カバーの曲になるけど、Till there was youを聞いて それをコピーした頃(高校2年の頃) Augや9thを実際に弾いてみて感動した!!
13 :
Michelleのコードも変わってるよね。 歌に入ってから、普通のマイナーキーでの流れなら、 Fm - (F7) - Bbm といくところを、いきなりメジャーから始めて、 F - Bb7+9 って行って、トニック、サブドミ共にマイナーコードを使ってないんだよね。 一見甘ったるいバラードだけど、なんともいえない苦みがあるように聞こえるのは、 この辺のコードの工夫にも由来してると思う。 ちなみに+9thのコードは前出のTill There Was Youでもジョージがソロの終わりの方で C7の裏コードとして使ってるね(Gb7+9)。ビートルズでは頻度の低いコードだけど。
んで、「Drive My Car」は恐らく、意識的かどうかわからんが、作風的に「Ticket To Ride」の 延長線上にあると思うのだけど、「Drive〜」のサビとよく似た進行の”She's got a ticket to ride" の部分で、ブレイクするところで、GM7(+11)なんていう恐らく他に使われた曲のないコードを 使ってる。なんかこの箇所で異様に切なくなるんだよね。 隠し味的だけど場面に合わせて見事なぐらい効果的に使われてる。 で、こういうテンションコードも決してジャジーに響かないんだな。明らかにジャジーなタッチを 狙った曲は別だが。
楽器はノーマルなMやm、7thなどのコードで、Vo.とのコンビネーションで全体のコードを 作っている他の例として、 「Help!」のサビの頭、「You Can't Do That」の”〜told you before, oh, you can't〜」の部分などもあるね。 前者はVo.のみsus4、後者は+9thからsus4。 変哲が無いように見えて、実は独特の響きになっている。 後者のsus4の部分なんて、普通の7thコードの上にsus4が乗ってる訳だから、理論的にはとてもおかしい ことになってるんだけどね。でも全然不自然じゃない。
>>57 歌に入ってからの、Am-G6-FM7-E7の部分のことでしょう。 コードのルート音がA(ラ)-G(ソ)-F(ファ)-E(ミ)という風に下がっていってるから、 という意味でしょうね。 この考え方でいくならば、Help!のイントロとサビ、(Bm-Bm/A-G-G/F#-E) It Won't Be Longの”Since you left me, I'm so alone〜”の部分、(E-D#aug-D6-C#7) Anytime At Allの”If you need somebody to love〜”(D-F#m/C#-Bm-Gm/Bb) などがJohnの曲では「下降するコード」ということになりましょうか。 反対に「上昇するコード」ということであれば、Paulの作品、Here There And EverywhereのA部分 (G-Am-Bm-C)などががそれと言えるかもしれません。 でもこういう考え方は本来おかしい。なぜならコードというのは複数の音から成り立っているので、 ある音からある音をみれば下がっているけれども、違う音同士を比較すれば逆に上がっているという ことになる。 それにコードの構成音は例えば鍵盤上のこの位置の音でなければならないと定義されるものではないので、 例えば4度上という音程関係(ド-ファ)はひっくり返せば5度下ということになる。 だから異なる二つのコード同士を比較した場合、どちらが上でどちらが下というのは本来定義できない はずなのです。 コード進行において「下降する進行」と一般的に言われるものは、Michelleのイントロのような、 コードの中の特定の音だけが下がっていくという進行、クリシェと呼ばれるやつですね。 こういうものをさすのが普通です。 でも実際に演奏する側のイメージとしては「このコードからどんどん下がっていって。。」みたいなのは普段 感じていることだと思います。ギターや鍵盤などのコードを演奏する楽器に共通して言える認識でしょう。 当然Johnにもそういう認識はあったはずで、そういう意味で「下降しているように見える」進行が Johnのお気に入りだったというのはあるかもしれませんね。
59 :
良スレ化 パッハベルのカノンもいわゆる下降かな? 青い影とか A DAY IN THE LIFEとか
60 :
>>59 この手はその名を採って「カノン進行」とよく言われてるね。 A Day〜もその応用。 Let It Beもベース音を入れ替えて長さを変えればこれになる。 聞いてて安心感、安定感のある進行だからよく使われるんだろう。
ビートルズがほとんど使わなかったコードとして上げられるのが、まずm7(-5)。 ハーフディミニッシュとも呼ばれるやつだけど、まともに使ったのは最後期になってから。 Paulが「You Never Give Me Your Money」で、Johnが「Because」で使用。 それまでは、「Penny Lane」の”All the people that come and go"の部分などのようなクリシェの 経過としての使い方を除いては全く使用されていない。 マイナーキーではダイアトニックコードの中で2度にあたり、非常に重要な存在なのだが、 もともとビートルズには、どマイナーの曲が少ないということもあり、使用の機会が少なかった。 もしくは使い方をよく知らなかったのかもしれないね。 「Yesterday」の2つ目のコード、「Here There And Everywhere」の”〜wave of her hand”のところ のコードも順当に行けばVIIm7(-5)のはずだけど、あえてVIIm7を使ってるね。 まあ、Yesterdayの場合VIIm7(-5)にしてしまうと、あのメロディーはあてはまらなくなってしまうの だけど。(メロディックマイナースケールの2度のコードとして順当) おかげで両者ともVIIm7(-5)を使うよりなんとなくクールな感じに仕上がってる。 それ以降ポップスでは、I-VIIm7-III7-VImというパターンは定番の一つになってる。厳密にビートルズの 影響なのか、ビートルズも他のミュージシャンに影響されてのことなのかは検証したことが無いけど。 m7(-5)はそれ以降、Paulの名曲「My Love」の”My love does it good"の部分で非常に印象的な 使われ方をしてる。
67 :
近年のポールのライブで、「You Never Give Me Your Money」をやってるけど、 オリジナルでBm7(-5)のところをDmに変えてやってるね。 わざとなのか、忘れちゃったのか、録った後やっぱりDmにしとけばよかったと後悔していたのか。。 同じくライブでやる「Carry That Weight」の途中ではしっかりBm7(-5)でやっているので、 忘れたということはなさそうだけど。 いずれにしてもBm7(-5)も、ポールの中では、Dm/B、という認識の方が強そうだ(同じ音になる)。 「My Love」も同様か。
ビートルズのあまり使わなかったコード、次にあげられるのがmaj7 「ちょっと待て。Till There Was YouやIt Won't Be Longの最後のコード、There's a Place、I'll Be Back、 No Replyと、初期の頃からたくさん使われてるじゃん。」といった声が聞こえてきそうだけど、そういう 意味ではない。 要所要所で効果的に、また前後の流れの関係で使うことはあっても、ビートルズは「maj7を中心とした コード進行」はほとんど使わなかった、という意味だ。 maj7はコードのカテゴリーとしては4notesコードであり、今では様々なジャンルにおいて4notesコードを 中心としたコード進行はすっかりお馴染みになっている。我々の耳にもきわめて自然な心地よさを持って響く。 maj7、4notesコードで成り立つ音楽というのは、AOR、現在のR&B、フュージョン、といったジャンルで 多用される、幾分複雑で都会的な響きをもつ音楽である。 ジャズではモダンジャズ以降、またボサノバなどでは古くからばんばん使われているのだが、ポップスおいて それが当たり前のように多用されるようになるには、70年代のウエストコースト、AORといった音楽の登場 まで待たなければならない。 先程例の挙がったモータウンなどにおいて、60年代からのブラックミュージックでは既に多用されており、 白人がその要素を自分らの音楽にとり入れた、というのが実情であろう。 具体的には、キーがCであればトニックはCM7、サブドミはFM7、IIm、IIImではDm7、Em7を使い、ドミナントに おいてはGやG7がそのまま使われることは少なく、Dm7/G、F/G、G7(13)、またその他のオルタードテンション コードなどが使われることが非常に多い。 ドミナント以外のコードにおいてもテンションノートを効果的に加えるなどの工夫がなされるのが普通である。
76 :
周知の通りビートルズは多種多様な音楽の要素を自分らの楽曲へ取り入れるのに非常に貪欲であり、ジョンの ボブ・ディランなどのフォークムーヴメントからの影響、ジョージのインド音楽への傾倒、中期〜後期にかけて ホワイトブルースやハードロックムーブメントの吸収など、枚挙に暇がない。 当然モータウンやソウルといったジャンルにも関心を寄せていたことは確実であるはずなのに、彼らはコード進行 においてはこの種の音楽の要素を取り入れることは非常に少なかったといえる。 確かにリバプールサウンドが原点である彼らの音楽の周辺においては、時代的にまだそういうコード進行のもたらす 響きが斬新すぎたと言えるであろうが、彼らの音楽的な姿勢を考えるとこの事はむしろ非常に不思議にも思える。 彼らがコード進行の中心に据えていたコードは、3notesから成り立つ、いわゆるトライアードである。 キーがCであればトニックはC、サブドミはF、IIm、IIImではDm、Em、ドミナントではじめてG7を使い4notes になるといった具合だ。 その響きは単純で明快、安定感や力強さが前面に出る、と言えるだろう。 もう一つは彼らの音楽的なルーツである、R&RやR&Bの要素である、ブルースのコードや進行である。 ビートルズは様々な音楽の要素を取り入れながらも、コード進行においてはこのシンプルなトライアードの世界に 強くこだわり続けたのだろう。彼らの音楽が洗練されて行きながらも、ある種の泥臭さや親しみやすさを失わな かったのはこの事が大きく影響しているように思う。 ポールはビートルズ解散後の活動において4notesコードを中心としたコード進行を数多く使用している。 「Listen To What The Man Said」、「Silly Love Songs」、「Ebony And Ivory」などのヒット曲がその代表だ。 それらの名曲の数々は非常に洗練され爽やかで心地よい響きをもたらす。しかしビートルズにおける荘厳とも言える トライアードの美学とは完全に異質なものだ。 長くなりました。