2011年10月1期なりきりネタ【TRPG】遊撃左遷小隊レギオン!W【オリジナル】 TOP カテ一覧 スレ一覧 削除依頼
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【TRPG】遊撃左遷小隊レギオン!W【オリジナル】


1 :11/11/28 〜 最終レス :11/12/07
前スレ
【TRPG】遊撃左遷小隊レギオン!【オリジナル】  レス置き場
http://yy44.kakiko.com/test/read.cgi/figtree/1306687336/

過去スレ
『【TRPG】遊撃左遷小隊レギオン!【オリジナル】 』
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1304255444/


避難所
遊撃左遷小隊レギオン!避難所
http://yy44.kakiko.com/test/read.cgi/figtree/1304254638/

まとめWiki
なな板TRPG広辞苑 - 遊撃左遷小隊レギオン!
http://www43.atwiki.jp/narikiriitatrpg/pages/483.html

2 :
>『うー、えーと……まず我々はチームですが、常に全員で行動する必要はないと思います。
>「役回り」上、私とハンプティさんが離れてしまうのは不自然ですので、お二人で先に拠点を確保してください』
>『あの立会いが終わった後に、感服したとか適当な口実で話しかけて酒場へ誘って、
>向こうがどこを拠点に活動するつもりかだけでも聞いておきましょう。
>出来れば「面識がない」と向こうにも装ってもらいたいところですが……』
『了解したぜ……つっても、俺そういう演技とか苦手なんだよなぁ』
唸る様にして思い悩んだかと思えば、その直後にファミアはチームの面々に指示を飛ばしていく。
その指示内容は安全を確保する事を前提としたものであり、勇猛であるとはいえないが、
人材という財を損ねない事を求められる指揮官として、優秀なものである事は確かであった。
フィンはそんなファミアの言葉に特に反論する様子も無く、
逆に関心したかの様に目を少しだけ見開くと、頷き同意の意を見せた。
また、先に奇しくもフィンと意見を違えたマテリアも、ファミアの意見やフィン自身に
別段不満は出さなかった。普通は対立する意見を出されればその相手に悪印象を覚えるものだが、
マテリアは逆にそれを許容する懐の大きさを見せ、抑えきれぬ自信を孕んだ言葉を念信により伝えてきた。
それはとても頼もしく力強い言葉であったが……その言葉を聴いたフィンは、
魚の小骨が喉に引っかかったかのような嫌な感覚を覚え、首をかしげる。
『んー……。なんか、今マテリアが言った言葉、どっかで聞いた事ある様な気がするんだよなぁ。
 ……確か、何年か前に読んだ英雄譚で、正体不明の敵に攻撃を仕掛けたエリート騎士が……』
首をかしげるが、何年も前に読んだ本の事など完全に覚えているわけも無い。
やがて思い出す事を諦めたのか、人差し指で頬を掻き……
>『はい、初対面を装って欲しい旨、伝えておきましたよー!それでは、私はそろそろ宿の確保とお買い物に行ってきますねっ!』
『って、すげーなマテリア! ははっ、了解したぜ!
 お前のお膳立て、無駄にはしねぇ!俺も全力で演技しながらクローディア達に接触してみせるぜっ!!』
直後に、マテリアが行った橋渡しを聞いたフィンは、驚きを全身で表現しかけ、
ハッとしたかの様に冷静を装い、言葉だけ快活にそう言うと一度ファミアの方に視線を向ける。
思い浮かべるのは、自身が幼い頃に家に仕えていたバトラーの言動。
「あー、ごほん……では、僭越ながらお嬢様の意を彼の者達に伝えさせて頂きます」
そう言うと背筋を「しゃん」と伸ばし、普通のバトラー以上に
バトラー然とした態度でクローディア達に近づいていく。
……こうして見ると、所何時ものフィンに戻ったかの様に見えるが、所詮は空元気。
それでもフィンは、いつもを装い状況を開始する。
『おうっ、祭りが始まったら色々食いまくろうぜ!』
ちなみに、スティレットの職業意識の無い台詞への返事を
忘れなかったのは、フィンが素で祭り等を好むからである。
―――――

3 :
パチ、パチ、パチ
丁寧過ぎる程に丁寧な拍手をしながら、クローディア達の元へと近づいて来たのは、
先ほどナーゼムが武の心得があるとした内の一人。バトラーであった。
「いや、実にお見事です。私、感激致しました。
 さっきの筋肉の動きと軌道。其処の女も、子供も、並みの手腕ではありませんね」
オールバックに固められた蒼の髪。黒い使用人の衣装で身を固めたその青年は、
どこか憂いを秘めたかの様な笑みを浮かべ、やがて彼らまであと数歩という所まで
距離を詰めると、そこで一礼をしてみせる。
もしもバトラーの素性を知っている人間がいれば、この時点で別人だと判断しかねない程の別人っぷりである。
「失礼、自己紹介が遅れました。俺……ではなく、私は、えー……フィーンと申します。
 職業はバトラーです。この度は我が主であるお嬢様が皆様の演舞に感動なさり、
 是非にご挨拶をなさりたいと仰いましたので、お取次ぎをさせて頂きました。
 ではお嬢様。どうぞこの者たちにお言葉を」
しかし、所詮はフィンの演技である。無理矢理に使う敬語は怪しく、
妙な胡散臭ささえ感じさせる物に仕上がってしまっていた。
それでも……貴族の系譜という経験があったおかげか、執事の「よう」なものとしては振舞えていた。
【フィン、クローディア達と接触の後、ファミアをクローディア達の元へ誘導】

4 :
「(中々に、良い腕じゃないか。ダニーとやら)」
ふ、と小さく息を吐き出し、頬の汗を拭う。冬の寒さはとうに消し飛んだ。
小鳥が囀るような、外野の騒がしさも気にならない。
ただ――先程から感じている幾らかの『奇妙な視線』を除けば、だが。
7つか、8つか。明らかに一般人とは違うそれが自分達に向けられていると感じていた。
いやしかし、敵意は感じない。気にするまいか。
折角「盛り上がっている」ところなのだ。集中力を損なわれては困る。
「さあ、サイセンだ」
白い息を残し、三度その巨体に接近する。
小刻みに撃ち出されるダニーの拳を、ロンは足の裏で蹴って返す。
踊るように回る視界、現れては消える人々、そしてダニー。
そんな折、そろそろ決めようぜとダニーが観客に聞こえぬよう小声でそう言う。
ロンは黙って頷くが、はてと思考を一瞬止めた。どうやって「締め」ようかと。
再三言うが、ロンは(どんな見た目であれ)女性に手を出さない主義だ。倒すなどもっての他。
ならば、ここでは彼女に無理なく倒されるのが一番だろう。
「(カちはユズるぞ、ダニー)」
小声で返したその時、ナイスタイミングでクローディアからお達しが掛かる。
途端、ダニーの振りが大きくなった。ロンもそれに合わせて蹴りの数を増やす。
そして、決定的瞬間が訪れる。
小柄な体躯と柔軟性に徹底したロンのしなやかな蹴りが、見事ダニーに決まった。
てっきり避けると思っていたもので、ぎくりと一瞬動きを止めてしまった。
「あ……」
直後、圧迫感とともに視界が暗転。カウントダウンと歓声が聞こえる。
ダニーに下敷きにされ、自分の負けが確定したと理解したのは、ダニーに手を差しのべられてからだった。
その大きな手を掴むと、ダニーにならって観客に手を振る。
どうやら成功とみていいだろう。ほっと胸を撫でおろし、ダニーの腰辺りを肘で小突く。
「な、な、ダニーはツヨいんだな。ビックリしちまったよ。どこであんなタイジュツ、ナラったんだ?」
初対面の時とは一転、途端に人なつこい態度で接するロン。
パフォーマンスとはいえ、武術で打ち負かされた事、更にそれが女性であったことで、俄然興味がわいた様子。
無邪気に戯れる最中、拍手とともに一人の男が近づいてきた。
「いや、実にお見事です。私、感激致しました。
 さっきの筋肉の動きと軌道。其処の女も、子供も、並みの手腕ではありませんね」
蒼い髪をオールバックに固め、憂いを帯びた笑みをたたえる執事姿の男。
ロンはその笑みの裏を、本能、或いは第六感に近いもので感じ取っていた。
この男、何かある、と。敵意でもなく悪意でもなく、うすら寒い何か。
男はフィーンという名らしいが、どうにも胡散臭い。敬語といい、動作といい、笑顔といい。
パフォーマンスの最中に感じた視線は彼らだろうか。
「………………………………」
ロンはダニーの後ろに隠れると、どんぐり目をきつくさせてフィンと後方のお嬢様を睨みつけた。
傍から見れば、知らない大人を見て人見知りする幼子にも見えることだろう。
【フィンさん達に疑心暗鬼】

5 :
北国特有の寒気をはらんだ風は、一触即発の張り詰めたそれへと変わる。
立役者は二人。一人はノイファも知る人物であるダニー。
>「レエイ家家長、ロン・レエイ――オしてマイる」
そしてもう一人はロンと名乗る、クローディア達と公園に現れた見慣れぬ装束の少年だった。
その凛とした名乗りを切欠に、思い思いの思案や喧騒に興じていた園内の視線が、一点へと集まる。
(一緒に来たといっても、仲間という雰囲気ではないの……かな?)
目を向けた人々の息を呑みこむ様子を余所に、唐突に始まった打撃戦を眺めながらノイファは思考。
例えばクローディアの機嫌を損なったとか、クローディアの虫の居所が悪かったとか、そういった類の犠牲者なのかも知れない。
可哀想に、とロンを眺める視線に生暖かい憐憫の色が混じる。
(それにしても、ダニーさんの強さは相変わらずですが、相手もかなりの技量のようですけど――)
圧倒的な筋量を背景に相手を圧し込もうとするダニーに対し、ロンの動きはまさに"流水"とでも表現すれば良いだろうか。
フィンですら手を焼いたダニーの重撃の悉くを、掴もうとした指の間から水が零れ落ちるが如く、するりとするりと回避している。
(――ああ、なるほど)
と、ここで、ノイファは先刻までの考えを振り払った。そう、二人は本気で対立しているわけではない。
ダニーの動きはウルタールでの時に比べれば幾分か大雑把だし、ロンの方も明らかに致命打を放つことを避けている。
何より、二人の表情には険しさが見て取れない。
つまり目の前で繰り広げられているのは一種の演舞ということなのだろう。
裏でクローディアも一枚噛んでいるとすれば、"宣伝"と言い換えても良さそうだ。
湖底窟で確かダニーが道場がどうとか言っていた気がするが、そのマネージメントでも始める算段なのだろうか。
>「アイレル女史、クローディアと彼らの関係をご存知なのですか? ――」
セフィリアからの念信を受け、知らない内に口許へ当てていた指を離した。
思いの他、思考に没頭していたようだ。
『ええ。用心棒とその雇用主、と言ったところです。ロンと名乗った少年も同様と考えて問題ないかと。
 確かに良くも悪くも目立つ方々ですから、見つけるのは容易でしょうけど。』
説明に苦笑が混じる。
個性的ということならば、まさにその代名詞とも言える遊撃課に比べても、なんら遜色はないに違いない。
『ですが、全員実力は本物ですよ。
 見ての通りあの二人は武術の達人ですし、ナーゼムさんは鼻が利きそうです。獣だけに。』
気配に人一倍敏感そうなのが三人。
生半可な尾行や監視では、瞬く間に見つかりそうなものなのだが――
>『彼らの足音と心音を覚えました。「聞き耳を立てる」くらいなら、いつでも出来ますよ』
――それはあっさりと解決した。
さらりと言ってのけたのは新入隊員のマテリア。
無論、誰でも出来ることではない。否、例え諜報術のエキスパートでも到底出来はしまい。
彼女にしか出来ない芸当だ。
『了解しました。それではクローディアさん達は、ファミアさんのチームにお任せするとして、
 こちらはこちらで行動に移るとしましょうか。』
そう告げて念信を締めくくると、ノイファは胸の前でぽんと、小さく拍手を叩き立ち上がる。

6 :
>『お、お祭りが夕方から始まるのでありますよね?――』
ベンチから腰を上げた瞬間を見計らったのように念信が届いた。
声の主はフランベルジェ。ノイファの口許がひくりと歪む。
先程、他の会話に混じってえらく不穏な言葉を口走ってくれたようだが、ノイファの耳はしっかりと捉えていた。
(…………お祭りで、騒ぐ?)
一体それは任務とどう関係するのだろう。
そもそも"バレない"ようにと伝えたのに、思いっきり目立ったら意味がないではないか。
楽しそうに遊んで、贅の限りを尽くして、若い娘の関心はいつだってそれだ。
大強襲からこっち、人が影に隅に帝都の端々に目を配り、悲劇の芽を摘むことに躍起になっていることなどお構い無しなのだ。
朝も夜も、どんな些細なことでさえも、出向いては空振りに終わり、デマと判っては胸を撫で下ろす。
東奔西走。小さなことからこつこつと。雨にも負けず嫁にも行けず――
(――はっ!?いやいや、そんなことはどうでも良いのですよ)
ぶんぶんと頭を振って、脱線しかけた思考を隅へ。
職業意識ゼロどころか、ややもすればマイナス方向一直線な叫びに、胸の裡に昏いものが芽生えかけはしたが、発想自体は悪くはない。
古来より木の葉を隠すなら森の中という通り、人がその身を隠すなら群衆に紛れてしまうのが一番良い。
それに、諜報術を修めたユーディなら拠点に籠もりっきりなどという愚を冒しはしまい。
不自然な行動は、それだけ人の噂に上ることになりかねないからだ。
『……目立つのは極力避けたほうが良いと思いますけれど。
 ですが相手もこの街に溶け込もうとする以上、夜祭りを避けるのは返って不自然でしょうし、出てくる可能性はゼロではありません。
 ですので、まあ、捜査ということでしたら十分意味はありますね。』
そして祭りといえば楽しむものだ。
顰め面で歩いていたのではそれこそ不自然極まりないだろう。
『本来の目的を見失わない程度に楽しむとしましょう。
 それでは、各自宿を手配した後、時間になり次第夜通りに集合ということで良いでしょうか?
 定期報告もその時ということで。』
ノイファは念信を終えると、ロンを押さえ込んだまま天に向けて指を突き刺すダニーに背を向け、公園を後にする。

7 :
「うっ……これは、大分ひどいものですねえ。」
鼻を突き刺す黴の匂いにノイファは眉をひそめる。
自分の宿の手配したその足で、管理員から聞いていた神殿を訪れたのだが、彼の言葉が嫌味でもなんでもなかったことを痛感していた。
どう贔屓目に見ても掘立小屋の、音だけはやたらと重厚な扉を開いて最初に出迎えてくれたのは、もうもうと沸き立つ埃。
人の手が入らなくなって随分と経っているようだ。
「はあ、なんと嘆かわしい。せめて出て行くならシンボルくらいは持ち出せば良いものを……。」
太陽神としては見る影もなく汚れ果てた聖像を見上げ嘆息。
果たして拭いた程度でどうにかなるものだろうか。
(まあでも、誰も居ないのは逆に都合が良いですけど)
実に不敬ではあるが、いざという時の第二の拠点として、だ。
その為に必要な物資は街に出た際にでも、少しずつ準備すれば問題ないだろう。
「まあ、その時が来なければ来ないで御の字ですからね、っと。」
ぷつりと髪の毛を数本引き抜き、扉に挟むと、ノイファは"夜通り"へ向け歩き出した。
【宿の手配を済ませ夜通りへ 】

8 :
寒風が吹きすさぶ公園で、視線を独り占めにする巨女と少年
私としても興味がない、といえば嘘になりますが今は撤収作業を優先しましょう
しかし、それでも強い人間を目端に捉えてしまうのは私も騎士の端くれだからでしょうか?
正直に言うと作業にあまり集中出来ない
それくらい、彼らの動きが美しかったのです
そう、申し合わせたように……
演武と言えばいいのでしょうか?
とはいえ、演武は精通したもの同士でないと美しくはありません
そう言う点から彼らの実力は推し量れるものです
さすが、私
コホン、失礼しました
>『ですが、全員実力は本物ですよ。
 見ての通りあの二人は武術の達人ですし、ナーゼムさんは鼻が利きそうです。獣だけに。』
「そうですね。今回は手合わせしたくありませんね。オフのときにでもゆっくりと戦ってみたいものです
でも、ナーゼムさんとは遠慮したいですね
怖いですから」
ぶるると身震いをしてしまいます
寒いからでしょうか? いいえ、ナーゼムさんの変身後の姿を思い出したからです
あの姿を思いだすと、今でも強烈な獣臭が鼻をつくような気がします
さて、アイレル女史がクローディアを、アルフートさんチームに任せるという念信に、了解と短く返信したところでこちらの準備も完了です
さっそく、調査開始です
>『お、お祭りが夕方から始まるのでありますよね?――』
と、私の出ばなをくじくようにスティレット先輩が祭りにユーディがやってくるはずだと
……ちょっと何を言っているのかわかりません
いえ、私は先輩と違って、優秀な成績で教導院を卒業しましたから
先輩がいったことを言語的に理解が出来なかったわけでも
文法がわからなかったわけでもありません
なぜ、この状況で祭りを楽しむ必要があるのか?
これにはなにか、そう、私のような常識に囚われた人間ではわからない、なにか別の秘策が……
アイレル女史はなんとなく肯定という雰囲気ですので、私がここで反対をするというのもおかしな話ですし……
………………
ッ!そうか!!そう言うことなんですね。先輩!!
私は数瞬、考えを巡らせるとある考えに思い至りました
『スティレット先輩が祭りで目立つ行動をすることで、ユーディを誘い出すということですね!
そのための囮に自らなると!さすが上位騎士です!私には思いつきもしませんでした!」
ふう、危なく先輩をただ祭りを楽しみたい馬鹿と思うところでした
まったく、早計という言葉は今の私のためにあるのでしょうね
『そうと決まれば善は急げです!!私も早速、宿の確保に向かいます!
先輩とご一緒したいと!思いますが
今の先輩の格好は正直、独創的すぎるのでいるだけで目立ってしまいます
隠密を重視する今回の任務的に私まで目立つわけにはいきません
大丈夫です、先輩!そこまで目立てばユーディも罠だと思うはずですよ!!」
私はそう言い残して、貧民街の雑踏に姿を隠しました

9 :
「私がこんな部屋で寝泊まりするって知ったら、お母様は卒倒してしまうでしょうね」
自虐的に笑みを浮かべながら、しばらくごやっかいになる部屋を見渡します
ヴィッセンさんの忠告を忠実に守った部屋です
外の貧民街特有のげひた喧噪は少々耳障りに感じます
窓の外に目をやると、少し離れた向いの通りにアイレル女史の掘建て小屋があります
なんともこの街の教会だとか、この寒空の街ではさしもの太陽神様のご威光もあまりないのでしょうか?
それともお金がこの街の神様なのか
貨幣経済は便利ですが、虚を操る危険も孕んでいますからね
なんて、難しいことを考えてしまいます
ここに来るまでに買っておいた武器をさりげなく、ベット脇の小机に置きます
まあ、武器と言ってもただのフォークなんですが
その他の持ち込んだ物はバックの中に入れっぱなしです
いつでも脱出出来るようにです
備えあれば嬉しいなです
さて、準備も整い、祭りに繰り出すことにしましょう
お祭りというものは話には聞いたことはありますが、実際に体験するのは初めてです
勝手もわからず、飛び込んだ私は、とりあえず屋台で売っていたカウカウ牛の串焼きと根菜シチューを買い
ぶらぶらしようと考えました
先輩がやってくるまでは周囲の言葉に耳を傾けるそれぐらいでいいでしょう
それにしてもこの肉は堅くて食べづらいです

10 :
毟り取られたセフィリアの
 

11 :
>『うー、えーと……まず我々はチームですが、常に全員で行動する必要はないと思います。
 「役回り」上、私とハンプティさんが離れてしまうのは不自然ですので、お二人で先に拠点を確保してください』
>『それと病院を、できれば何軒か確認しておいてください』
『病院…?あぁ、取り敢えず了解した』
ファミアからの指令に頷く。
さてどうするかと、周りを眺めながらしばらく思案する。
道路の形状、街の立ち方。
それを記憶していきながら、最良の場所を搾っていく。
>『あ、そうそう、スイさん。アルフートさん達の宿は私が取っておきますね。
 それなりに高級な宿を取るつもりですから、万が一後で探られても問題ないようにしたいですし』
『!それは助かる。感謝する』
マテリアの頼もしい言葉を聞いて、その件は彼女に任せることにした。
――――――
宿の確保も終わり、人混みに紛れながら道を進んでいく。
ちなみに宿の部屋もきちんと指示通りだ。
(ずいぶんとまた…賑やかだな)
そういえばスティレットが祭が何とかと、言っていなかっただろうか。
(人混みに紛れる可能性があるって事か…)
その事を頭の中に留めておいて、ポケットの中に詰め込んだ僅かな銀細工に手を触れた。
「その辺に情報屋が居ると思ったんだけどなぁ…あ、病院発見」
ぼそりと呟いて、病院の名前と位置を記憶してから酒場へ向う。
あぁ、酒呑むの久しぶりだとかそんなことをぼんやりと思いながら。
【宿確保、酒場へ】

12 :
子供ばっかだな

13 :
リットン調査舞台

14 :

ゲプッ

15 :
【スティレット】
スティレットが祭りへの参加を提案した途端、ノイファの身体が体感で二倍ぐらいに膨れ上がった気がした。
もちろん気のせいだったが、正体不明の圧力が彼女の頬を叩いて(イメージ)、意味不明な身震いが起こった。
剣の名門スティレットほどの武人家系ともなれば、もう本能レベルで相手の力量を感じ取れる。
それとこれとはまったく全然関係ないのだけれど、空の背中がとっても寂しかった。
>『……目立つのは極力避けたほうが良いと思いますけれど。
 ですが相手もこの街に溶け込もうとする以上、夜祭りを避けるのは返って不自然でしょうし、出てくる可能性はゼロではありません。
 ですので、まあ、捜査ということでしたら十分意味はありますね。』
それでもきちんと指揮下の意見を加味してくれるあたり、手放しに恐るべき人物ではないのだろう。
というか曲者ぞろいの遊撃課の中ではかなりの常識人である。課長よりかは優しくしてくれそうな。
>『スティレット先輩が祭りで目立つ行動をすることで、ユーディを誘い出すということですね!
  そのための囮に自らなると!さすが上位騎士です!私には思いつきもしませんでした!』
この後輩は後輩でスティレットの妄言をかなり、とても、もの凄く好意的に拡大解釈してくれたようだった。
さりげなく危険極まる囮役に祭り上げているあたりがなんとも腹黒さを醸しているが、スティレットにそこまで高度な感受性はない。
『え?え?……あ、そ、そうでありますよ! こう、こっかあんねいのために自ら矢面に立つという姿勢をでありますね!?』
なんとなくほめられたのが嬉しかったので調子よく話を合わせておいた。
自分の立場がかなり致命的な方向へ横滑りして行っていることに、やはり気付かぬスティレットである。
>『本来の目的を見失わない程度に楽しむとしましょう。
 それでは、各自宿を手配した後、時間になり次第夜通りに集合ということで良いでしょうか?定期報告もその時ということで。』
『了解であります!では!』
形だけは立派な了解の意を示して、スティレットは公園から姿を消した。
仲間のところを辞したあとで、困ったことになった。名門貴族たる彼女にとって、『宿をとる』という行為そのものが未経験だ。
実家にいた頃は諸々の雑務は全てお付きの者がこなしていたし、公務中は詰所が用意されている。
彼女の生活の全てが、他ならぬ他者の全力の支援の上に成り立っているが故に。
この孤立無援という状況は、どんな毒よりもスティレットの首を締めるものになり得る――!!
(……って、宿のとりかたがわからないぐらいでそれは流石に大げさすぎるであります!)
最悪、セフィリアあたりに同衾させてもらえばいいやと楽観的に考えながら、
すると早々にやることがなくなってしまったスティレットは、とにかく仲間と合流すべく夜通りの祭りへ向かう。

16 :
並み居る都市の中でもことさらに特殊な性質を備えるタニングラード。
当然そこで催される祭事というのも他と比べて些かに異なる様相を呈している。
例えば串焼きひとつとっても、自治会に定められた長さの、しかも先端は刺突できないよう鈎状に丸められた串だ。
外見だけ見れば、魚釣り用の釣り針にそっくりだ。ちょうどエサを取り付ける場所に肉やら野菜が刺さっているので特に。
屋台を組み立てたり物品を運ぶのに必須な作業用ゴーレムなど、腕を除いた上半身がまるまる取り外され、操縦基がむき出しだ。
ゴーレムの持つ『鎧』の性質を極力排除するための処置である。
刃物を規制されているが故に、屋台で供される食材は全て、その場での調理を禁止されている。せいぜいが炙って加熱する程度だ。
「アイレルどのやガルブレイズちゃんはどこでありますかね……」
焼いた鶏の腹を割いてその中に炒り玉子を詰めた『胎内回帰焼き』にかぶりつきながら往来を散策する。
道行く人は総じて牧歌的な表情をしており、平和そのものといった風情を満喫している。
タニングラードは多少窮屈ではあるが、それでも帝国一平和な街だ。
魔法や素手による暴力事件はちらほらあっても、多くの人を傷付けるような力をそもそも人々は持っていない。
どれだけ派手に暴れまわっても、自治会付けの従士隊がすぐさま駆けつけ鎮圧してくれる。
(あれっ? 武器の携行を許されないこの街で、じゃあここの治安維持組織は何を持って抑止力としているのでありますか……?)
従士隊や騎士団が法の番人足りえるのは、彼らが犯罪者よりも精強な戦闘集団であるからだ。
強制力なくして法律は働かない。『お上にしょっぴかれる』というリスクがあって初めてならず者は犯罪を思いとどまるのだ。
だがタニングラードにはその強制力の土台となる刃が存在しない。武器を持たぬ番人が、圧倒的多数の民衆を抑えられるはずもない。
では、どうやってここの従士隊は悪党を成敗しているのか――
「おっと、ごめんよっ」
慣れない思索にふけっているうち、後ろから誰かに追突された。
スティレットより若いであろう、まだ十代中旬といった具合の少女が、彼女の背中にぶつかって謝罪しながら駆けていく。
咄嗟に首から下げた水筒に手を伸ばしていた彼女は――こういう雑踏で最優先に守るべきものを守り損ねていた。
腰のポーチに入れてあったはずの財布がない。
「ど、どろぼーーーーー! 財布をギられたでありますぅぅぅぅぅ!!」
大剣を振るう膂力を支える肺活量――常人より遥かに鍛えられた呼吸器から爆発させた叫びは、夜通りの一角を震撼させた。
ノイファやセフィリアが既に祭りへ着ていれば、今の叫びで状況を理解できるはずである。
いま、スリの少女は夜通りの人ごみを泳ぐようにすり抜けて富民街を縦断し、スラムの方へと走っていく最中である。
抜け道を知り尽くした少女をに追いつくには、外から来た彼女たちにとって困難を極めることだろう。
――常識的な手段で追いつこうとするならば。
【宿のとり方がわからず放浪。祭りの中で財布をスられる】

17 :
あれこれ言ってる間にタンホイザ陥落
10000人以上死亡

18 :
【クローディア】
クローディアの激励は、激励以上にパフォーマンスを佳境へ滑らせる合図となった。
公園内に集うオーディエンスたちもクライマックスの予兆を感じ、声援の雰囲気を昂らせていく――
後押しされるように、ロンの連撃速度が上がった。否それだけじゃない、傍目からして"有効打"の数が右肩上がりに増えていく!
「ダニーに大振りが目立ってきたわ! 疲れが出始めたのかしら!?」
「私にはなにか、彼女にも狙いがあるように見えますが……その前に判定勝ちしてしまいそうですね」
「あれだけの猛勢で、どの打撃ひとつとっても手打ちじゃないっていうのは、受ける側からしたら雪崩だわ――!」
体格差をものともしない――むしろ小回りのきく矮躯を有利に働かせつつあるロンのラッシュ。
ダニーの豪腕は素人目にこそ脅威に見えるが、その実武人の眼でようやくそれとわかる微小な"隙"を演出している。
どちらも大したエンターテイナーだ。一見さんにもわかりやすく派手で、見る人が見れば奥の深い、楽しい戦いだった。
「っ! ――やったっ!?」
一秒が十秒、十秒が十分に感じられる極限の打撃戦の中、やがて結末の一撃が放たれる。
鋭い弧を描いてさながら投石機の如く撃ち出されたロンのソバットが、その切っ先にダニーの顎を引っ掛けた。
全力疾走する猛牛の突進を受けたみたいにダニーの首から先がぐおんと揺れる。
黒目がピンボールのように眼窩の中で激しくバウンドした。
「き、決まったぁぁ――――ッ!!」
クローディアの熱のこもった叫びに観客たちがわっと呼応し、積雪も溶ける熱狂の渦中へ二人の格闘者を誘う。
勝負は決した――かに思われた。
だがその全てが、十重二十重の衆人環視を欺ききった二人の道化の妙演であることに誰一人気づかなかった。
そのときの心境をのちにクローディアはこう述懐している。
『常識的に考えて、顎を打ち抜かれて立てる奴なんていない……でもそれが、"常識的"な人間じゃなかったとしたら?
 あたしたちはすぐにそれを気付くべきだった。あの蹴りの一撃を、一発逆転の布石にするなんて芸当ができるとしたらそれは――』
一瞬にして沸騰した場内の空気を背に巻かせながら、蹴り足のフォロースルーへと移行するロン。
巨人を討伐せしめた少年の如き双眸に、終末の影が訪れる――ダニーがロンを巻き込む形で倒れこんできたのだ。
軸足の安定しない状況で逃げ場を防がれたロンに脱出する手段はなく、津波に呑まれるように芝生へと押し倒される。
観客の誰もが、気絶したダニーの最後の足掻きと認識した。意識を飛ばしてなお敵を離さぬ根性に快哉を叫ぶ者もいた。
「――違う!ダニーはまだ負けちゃいないのよっ!」
全ての視線が、ある一点へ集中していた。倒れ込んだダニーが、気絶したはずの彼女が掲げた腕。
その頂点で、ただ天を指し示し続ける指先を――。
ダニーの数えに合わせて、観客たちも一緒に声を張り上げる。指折り3つを数えたところでクローディアは硬貨を投げた。
カーン!と購入した手持ち鐘が雌雄の決着を響かせる。
「勝負ありっ! ダニーの勝ちよ!!」
今度こそ広場は歓声で充溢した。
両者の健闘を称える者、強い酒のグラスを空にする者、立ち上がり快哉を叫ぶ者、おひねりとばかりに紙幣で包んだ硬貨を投げる者。
芝生に散らばった金はナーゼムにきっちり回収させながら、クローディアはロンとダニーに手拭いと水を供して労った。
「ふたりともお疲れ様。見てみなさいこの大盛況!あんたたちのおかげで、明日から忙しくなりそうだわ……!」
戻ってきたナーゼムに一枚の羊皮紙を手渡した。
さっきのうちに彼女がしたためた原稿である。ナーゼムは広場の観衆へ向き直ると、獣の咆哮じみた大音声で朗上した。
「お集まりのみなさま、私共の興行お楽しみいただけましたでしょうか。語りの肴にでもしていただければ幸いです。
 さて、我々"クローディア総合商会"では物品に限らずあらゆる需要に融通いたします。
 ご要望があればご覧の通りの演武から、荷物持ち・家屋解体・鍛錬指導まで鍛えに鍛えたスタッフが全力を尽くさせて頂きます。
 また弊社では現在並行して、寄る時代の荒波を乗り切るべく体力づくり及び精神修養の指南を受け付けております。
 体力に自信のない方、強壮な肉体を手に入れたい方、とにかく身体を動かしたい方、いつでもお問い合わせお待ちしております」

19 :
パフォーマンスの余韻冷めやらぬうちに熱い鉄を打つ。
朗々と謳われる喧伝が風に乗って、オーディエンスの隅々まで行き渡った。
「まだ役所に申請出してないから、事業所構えるのもビラ撒くのもそれからだけどね」
タニングラードは行商人の街だ。
露店市については特に制限もないが、ここに根を張って事業を興すとなると別途に手続きが要る。
役所に出店許可を申請し、不動産事務所から土地と建物を借りて、商品を搬入するルートを確保する必要がある。
商材や店舗位置によっては商会ギルドや地元のマフィアにみかじめ料も支払わねばならないことだろう。
こなすべき雑務は山ほどあり、商売が軌道に乗るまでのこの時期がまさしく商人クローディアにとっての本領発揮となる。
ともあれ、宣伝としてはこの上ない結果を得られたのは率直に言って僥倖だ。
やはり遺才の選んだ人材に間違いはない――その確信以上に、上げまくったハードルをきっちり超えてくれる部下への感謝があった。
経営者であるクローディアにとり、自分のもとに集った頼もしい部下たちは原初の財産だ。
いつも資産運用に失敗する彼女であったが、こうなれば働きに相応しい棒給だけは借金してでも確保したくなるものである。
「さて、いい汗流したところであたしたちも引き上げましょうか。旅疲れもあることだし、ゆっくり食事でも――」
>「そのままの状態で聞いて下さい。クローディア・バルケ・メニアーチャさん」
不意に、どこからともなく知らない声が流れ込んできた。素早く視線を迷わすも、付近にそれらしい音源は見当たらない。
念信術式――あるいは遠隔地から音だけを転移させる類の魔術か。いずれにせよ正体不明の相手の"射程内"。
クローディアは表情を硬くした。それを見たナーゼムが眉根を寄せて訝しむ。おそらく彼には聞こえていないのだろう。
(まさか向こうから接触してきた――?)
先ほどナーゼムの話した、不自然な武人の一派。
『声』の主がその仲間という確証はないが、いくらなんでもここで第三勢力登場は話が出来過ぎている。
あたらしく商売を始める匂いを嗅ぎつけて、どの街にも大抵はいるごろつき共がみかじめでも要求しに来たか――
>「わたくし、遊撃課に所属するマテリア・ヴィッセンと申します。
 ここには、とある極秘任務を授かって来ているのですが……どうやら貴方と遊撃課には、深い縁があるようですね。
しかしクローディアのそんな予想も、マテリアと名乗った声の主の出した『遊撃課』というワードにまるきり覆された。
彼女は今度こそ息を呑む。遊撃課。その団体名がイメージとして結ぶ、とある男の死に様。
何故、彼らがここに? 言葉にできない問いは、きっとこれから知るために在るのだろう。
>「それはさておき……実は貴方に少し協力を願いたいのです。
  詳しい説明は、今からうちの課員が二人、貴方に接触を図りますので、そちらがします。
  一人は貴方と面識のある方ですが、どうか初対面を装って頂けますでしょうか」
>「いや、実にお見事です。私、感激致しました。
 さっきの筋肉の動きと軌道。其処の女も、子供も、並みの手腕ではありませんね」
紹介通りに一人の男が、拍手しながら近づいてきた。
質の良い執事服に身を包み、髪を後ろに撫で付けているが――誰かと思えばフィン=パンプティである。
クローディアは思わず指摘しそうになり、マテリアから言われた言葉を思い出して、面識のあるであろうダニーとナーゼムに目配せ。
(一瞬誰だか分からなかったわ……雰囲気ぜんぜんちがうじゃない。なんていうか、ちょっとくたびれた?)
双子の兄ですと言われたら速攻で信じる。それぐらい、顔立ちは同じでも纏う気配がまるで違った。
ところどころ敬語が怪しいし変装にしては色々と詰めが甘いが、人はここまで変われるものかと場違いな感心をした。

20 :
>「失礼、自己紹介が遅れました。俺……ではなく、私は、えー……フィーンと申します。
  職業はバトラーです。この度は我が主であるお嬢様が皆様の演舞に感動なさり、
  是非にご挨拶をなさりたいと仰いましたので、お取次ぎをさせて頂きました。ではお嬢様。どうぞこの者たちにお言葉を」
恭しく迎え入れられたのは少女。
なんでもさる地方領主の娘である彼女は、物見遊山で辺境のタニングラードへ来たは良いものの早々に退屈していたらしい。
そこへこのようなエキサイティングな光景を眼にしたとくれば、これはもう遊ぶしかあるまいと。
「あっそ。出来過ぎってぐらいに幸先良いわ。いきなりパトロン候補さまの登場なんて」
当然、"出来過ぎ"なのだろう。マテリアの言を信じるならば彼ら遊撃課はクローディアへ『装って』接触してきた。
どうせ援助の話もその場限りの出任せだ。クローディアは不自然でない範囲に限って嫌味ったらしく皮肉を返した。
(遊撃課ね……帝都の公務機関がなんだってタニングラードくんだりまで……)
そこまで思考して、あほどと思った。
クローディアがこの街にやって来たそもそもの理由。不自然な金の動きを見せた従士隊。
国内の様々な問題に対処する治安維持機関である従士隊がタニングラードに注目しているということは、すなわち――
『この街で近く、何かがある』というなによりの証左ではないか。
「けっこう。その話、乗ったわ!どうせお次は『立ち話もなんだし、どこか店にでも』ってところでしょ。
 ダニー、ロン、ナーゼム、撤収よ!今からこのお貴族様があたしたちに北国名物奢ってくれるらしいわ!
 他人の金だからガンガン食べなさいっ!でも腹八分目で済ませなさいよ、満腹がクセになると太るから」
展開していた機材やら荷物やらを部下三名に回収させながら、はたとクローディアはあることに気付く。
「まだ名乗ってなかったわね。あたしはクローディア。姓は捨てたわ、ただのクローディアって呼びなさいな。
 そしてあたしたちは――需要と供給の狭間を往く新時代の開拓者!クローディア総合商会! 呼ぶ時は『商会』で通じるわ。
 よろしくフィーン、お嬢様」
言外の色々を含めて、フィーンの手のひらをこれでもかと握った。
 * * * * * * 
誘われた酒場へ行くと、既に先客が二人いた。
見るからに頭の出来の残念そうな笑顔をふりまく娼婦と、商人のくせにどこぞの戦場でもくぐり抜けてきたような貫禄をもつ男。
まるで生活圏の被らない二人は、同じ酒場の別々のテーブルで個々にグラスを傾けているが――
(さっきの公園にいた二人ね)
ナーゼムが警鐘を鳴らした十人弱の男女、その中の二人だ。
おそらく『遊撃課』とやらのメンバーなのだろう。万が一の場合に逃げ場を塞がれないよう、入り口を背にして席に着く。
現在クローディアと同じテーブルに座るのは『商会』の4人とフィーン、それからその主。
数の上では優っているから、余程のことが無い限り逃げ損ねるということはないだろうが――。
「とりあえず生エール6つ。それからグローフ蟹の赤茹で、拡散棗の煎ったやつ、北海鮫の姿煮、ゼブル茸のソテー、
 アンダー・ライターの溶きココアももらおうかしら。あと濃い果汁に、仔牛の星降肉を炭火で炙って頂戴」
お品書きの高そうなメニューを片っ端からオーダーしながら、ダニーとロンにも注文を促す。
「尻込みすんじゃないわよ、あんたたちが百年かかってもお腹いっぱい食べられないような高級料理を狙いなさい!」

21 :
運ばれてきた蟹の甲羅を、先の丸いフォークでこじ開け中の味噌をすくう。
手先の器用な者なら素手で難なく開けるらしいが、そろばんしか弾いてこなかった彼女にはちと難題だ。
そも、本当に高級な店ならこんな茹でたてをドカンと皿に載せて持ってくるなどありえないのだが、文句は言うまい。
「……それで、あたしたちがどこに店を構えるつもりかって話だっけ?」
ココアのマグを空にしたクローディアはあくまで『装い』のまま質問に答えようとする。
ここに来るまでにダニーとロンには『遊撃課』の件を話していない。衆人の目のある場所で真相を口にするわけにはいかなかった。
フィンと面識があるダニーとナーゼムについてはアイコンタクトと、唇に人差し指を添えて余計なことを口走らないよう指示。
あとで本格的な説明が必要だろう。
「そうね、いまから地図を書くから、あたしたちに援助してくれるつもりがあるなら後日訪ねて頂戴」
言って、クローディアはナーゼムから差し出された羊皮紙に再び筆を走らせた。
目だけを動かして周りの様子を確認し、『商会』の面子に書いた内容を見せてから、それを丸めてテーブルの上を滑らせた。
フィーンかファミアが受け取れば、羊皮紙に記されているのが地図などではないことがわかる。そこにはこう書いてあった――
『尾行がついてる。あれもあんたたちのお友達?』
クローディアの目配せで、尾行者の位置は伝わることだろう。
彼女の位置からちょうど3時の方向。宝石商に近い位置で、一人の男が新聞を読み耽っている。
年の頃40そこらといった、労働者風情の壮年男性である。くすんだ色のズボンに赤茶けたジャケット。
揉み革で造られた安物の鳥打帽の下で、ただならぬ気配の眼光が新聞越しにこちらを射抜いていた。
なんらかの魔術によって視線を隠蔽しつつ視野を確保――しかし肝心の尾行者独特の"匂い"を隠しきれていない。
超人的な感度を持つナーゼムの鼻をごまかせるものではなかった。
(街ですれ違った途端に踵を返して着いて来たのよね……)
昼間の公園にはいなかった男――ゆえに、新たなパトロン候補者ということはありえない。
遊撃課の一人かとも思ったが、やたら若年の多いかの集団にあってはあまりにも年齢が過ぎている。
ナーゼムにこっそり意見を聞いてみたが、やはり遊撃課のものとは匂いが違いすぎると言う。
少なくとも尾行用の魔術を修めている時点で単なる一般人ではないことは確かだった。
自分に尾行がついているとわかったとき、最も簡単な対処法は紛い物の情報を掴ませてやることだ。
素行調査なり、拠点調査なり、偽れるものはたくさんある。ガセネタで真実を覆い隠してしまうのだ。
だがこのやり方は、尾行が長期に渡った場合に偽装工作にも限界が来るというリスクを負う。
監視の目を意識しながら、普段の自分をまったく出せないというのは被尾行者にとって多大なストレスだ。
だから一定期間過ぎても尾行が離れなかったり、相手のそもそもの目的がわからない場合などは――
次の段階に進む必要がある。消極的な尾行対策から積極的な尾行対策へ。
すなわち、迎撃である。
(どこか人気の少ないところへ誘き寄せて締め上げて、目的を吐かせるか……)
ただし、この段階の一番のリスクは――『戦闘を行わなければならないということ』。
このタニングラードにあってそれは、滞在する間ずっと後ろ指さされることを覚悟しなければならない。
ましてや今から商売を始めようという『商会』にとって、最も危険な爆弾となりうる要因だ。
(あの尾行があっちのお仲間なら問題なし。もしも別の誰かなら――頼むわよ、遊撃課!)
【ホイホイ誘われ酒場へ。第三者からの尾行に気付く】

22 :
ホイホイついていっていいのかい?
GMのスレかよここ

23 :
レギオン兵3人ほど派遣

24 :
「わぁ〜……お酒!あれもこれも全部お酒だぁ〜!
 火竜燃酒に、エリクシル・ヴェジェタル……うわっ、マリファリキュルまで!
 すごいすごい!う〜ん、やっぱり来てよかったぁ〜!」
酒場の扉をくぐってすぐに、マテリアは思わず奥のカウンターに駆けた。
両眼を輝かせてカウンター奥のバックバー、酒棚を見渡す。
火竜の喉すら焼くと言われる火竜燃酒、『霊薬』の二つ名を冠する古来伝承の薬草酒、
果てはあまりの度数と含有成分によって幻覚症状を齎し、その中毒性から法規制された毒酒まである。
酒好きのマテリアはこれまた、半分ほど地が出つつも、頭の悪い娼婦を演じていた。
「流石は無法の楽園!堕落の最果て!あらゆるボトルが流れ着く町の異名は伊達じゃないですね〜!」
小躍りしながらはしゃぐ。
周りの客や店主が苦笑を零していた。
「お嬢ちゃん、アンタも結構な好き者だねえ」
「えへへ〜、じゃなきゃこんなむさ苦しい酒場に一人飛び込んだりしませんよぉ〜」
絶妙に頭の足りない失礼な発言を飛ばす。
声をかけた男の笑みがひきつって、苦味が増した。
そんな事はまるで気にした様子もなく、マテリアは最初の一杯と、適当な料理を注文する。
蒸留酒を、香草や柑橘類の皮、砂糖で調味した水で割ったものだ。
単純な作り方だが、だからこそ店特有の味が出る。
「それじゃ、いただきま〜す」
差し出されたグラスを早速傾けて一口。
「……あ、おいしい」
思わず呟いた。想像していたものとは違う、力強くも華やかな味わいだった。
嚥下してしまうのが惜しいと思えるくらい、舌が歓喜しているのを感じる。
つまみに頼んだ燻製肉も、複数の香辛料が適度な自己主張と共に、肉の旨みを引き立てている。
あまりの美味しさに、思わず皿の上に残った肉の本数を確認。財布の中身を思い出そうとしてしまう。
「これは……どうやらこの町を侮っていたみたいですね……!」
意図しない内に間抜けな娼婦の仮面が剥がれ落ちて、真剣味に満ちた表情で呟いた。
無法の楽園タニングラードと言うと、どうしても乱暴で大雑把な濃い味付けを連想する。
だがそれは大きな間違いだったとマテリアは今、思い知った。
タニングラードはその性質上、調理器具が不足していて、代わりに上質な食材が揃う。
故に美味しい料理を作るのなら、素材の味そのものを活かすのが一番なのだ。
また器具に制限があるからこそ、それを使わずに出来る事に力を注がざるを得ないのかもしれない。
「こうしてはいられませ……じゃなくて、こうしちゃいられないよぉ!すみませーん!
 この燻製もう一皿下さ〜い!それと『霊薬』も〜!」
そんなこんなで、
「あははは〜!まだまだいけますよぉ〜!次は黒猫樽の葡萄酒持って来て下さぁい!」
ファミアやフィン、クローディアが酒場に到着する頃には、立派な酔っぱらいが一人出来上がっていた。

25 :
とは言え――これでも一応マテリアはプロである。
同僚とクローディア達の足音を聞き付けると、混濁した瞳にすぐに理性の光が舞い戻った。
水を飲んで、カウンターに突っ伏す。寝たふりをしながら聞き耳を立てた。
彼女は両手を用いずとも、ある程度の音声操作と敏感な聴覚を発揮出来る。
狭い範囲ならば、足音や筆を走らせる音くらいならば聞き取れる。
遺才故の体質、だけが理由ではない。
彼女の喉の奥と耳の奥には、自分の骨を材料にしたリングが埋め込まれている。
筒状のものがマテリアルである彼女は、それで遺才を不完全にではあるが発揮出来るのだ。
リングは従軍時に埋め込まれたものだ。いわゆる、人体実験の成果だった。
マテリアが入軍したのは四年前――皇帝が今の代に変わる前の事だ。
前皇帝は侵略を好む人間だった。
その為ならば手段を選ばず、目的すら選ばず、地獄にさえ侵略の矛先を定めた男だった。
人体実験はその為の一環だ。マテリアルを人体と一体化させれば、常に遺才を発揮出来る兵士が出来上がるのではないか、と。
人を魔族に近づける実験――それはやがてより洗練されて形を変え、『降魔』や『赤眼』へと繋がる。
繋がるのだが、今となっては何の益体もない事だ。
マテリア自身、便利な実験を受けたものだ、くらいにしか思っていない。
もっとも彼女は戦闘向きの遺才ではなかった為に軽度の実験で済んだが、
実験を受けた者の中にはより凄惨な変貌を強いられた者もいるだろう。
その事については、考えても仕方が無いと、目を逸らしていた。
>「そうね、いまから地図を書くから、あたしたちに援助してくれるつもりがあるなら後日訪ねて頂戴」
ともあれクローディアが、羊皮紙に筆を走らせる。
マテリアは聞き耳を立てた。
>『尾行がついてる。あれもあんたたちのお友達?』
『尾行、ですか』
念信器で声を発する。
筆談の内容をスイに知る術が無かった場合の為だ。
「……う、うぅ〜、頭痛いよぅ。お水……お水ぅ……」
続けて目を覚ましたふり。そして死に体を演じて冷水を注いだグラスに手を伸ばす。
「……吐きそう」
唐突に、小さく呟いた。周囲が俄かに騒然となる。
頭を抱える仕草に紛れさせて、右手を耳元へ。
皆が動揺を心音に反映させる中で、たった一人落ち着き払った心音の男がいた。
つまり、その男がプロだ。
口元を右手で抑える。嘔吐を堪える動作で遺才を発動。
「……尾行さんの心音、覚えましたよ。泳がせて、逆にあちらを尾行して、根城を突き止める事も可能だと思います。
 もちろん、それ以上の事も。どう対処するかはアルフートさんと、クローディアさんで決めて下さい」

26 :
マテリア穴って知ってる*?

27 :
>>3>>4>>11>>20-21>>25
ウルタールでの顛末に関してはファミアものちに上がってきた報告書に眼を通しています。
そこで語られる内容は結局のところ当事者以外には紙上の一幕でしかなく、誰かの流した血やこぼれた涙に現実感はありません。
故に、人相風体も近くで実物を見るまではどこかピンと来ないものがありました。
(確か……女性だったはず)
顔立ちは紛れも無くそうでしたが、そこから下は「皮膚の下に何がいるんですか?」と尋ねてしまいそうなほど
見事に隆起した筋肉の連なりでした。無論、ダニーのことです。
少し脇に視線をずらすとその後ろから顔だけ出しているロンと目が合いましたが、
そうして見ているファミアも、クローディア一行に声をかけるフィンの背後に隠れています。
奇矯な人間との初邂逅は慎重にするべきでしょう。
遊撃課もそういった人物の集まりという側面はありますが、ファミアの心の棚は大きめです。
>「けっこう。その話、乗ったわ!どうせお次は『立ち話もなんだし、どこか店にでも』ってところでしょ。
> ダニー、ロン、ナーゼム、撤収よ!今からこのお貴族様があたしたちに北国名物奢ってくれるらしいわ!
> 他人の金だからガンガン食べなさいっ!でも腹八分目で済ませなさいよ、満腹がクセになると太るから」
先にマテリアが話を通していたこともあって、こちらが「飲らないか」と言うより先に凄い勢いで状況がすっ飛んで行きます。
扉を吹き飛ばさんばかりに酒場へなだれ込んで、気がついたらオーダーを通しているところでした。
注文された料理は周辺からの人や物が集まるタニングラードならではと言える、文字通り『山海』の幸を集めたものです。
単純に値の張るものを頼みつつ、しかし味のかぶるものは外し、なおかつ高速。
ためらいも遠慮もないその姿勢はファミアの心胆を寒からしめるのに十分なものでした。
(この人、できる!――まさか……負けるッ!?)
そもそも何が勝ちかもわかりませんが、とりあえずそんな感じがしたのは事実です。
とはいえ張り合っても仕方がないので流されるままになっておくことにしましょう。
お金の出所を最後までたどれば行き着く先はどうせ国庫。
自分の懐は痛みません。体制側に与するというのは素敵なことですね。
それにしたって限度はありますが、借金抱えて「希望の船」に乗るようなことにはならないでしょう。
持ち盾を丸めたような、樽をそのまま縮小したような、
とにかくやたらと頑丈なジョッキがテーブルを叩き割らんばかりの勢いで供され、その後も次々皿が運ばれてきました。
「そういえば私、こういうお店って来た事ないです」
学生時代ぼっち気味だったファミアは、物珍しげに周囲を眺めながら完全に素が出た状態でぽつりと呟きました。
そうしながらも先刻別れた課員の姿を探していたのですが、はたから見れば立派にお上りさん継続中です。
二人とも既に店内にいることを確認してからエールのジョッキに手を伸ばして、ぐっと一呷り。
この白エールは北方産で、透明度のない淡い色あいと濃密で肌目細かな泡が見た目の特徴です。
冷涼な気候と魔力装置のおかげで保存のための熱処理をする必要がないので、
ほのかな甘味と鼻に抜けるリンゴのような香りも壊れることなくそのまま残っています。
「……苦い」
まあ、どれだけ能書きたれても飲み慣れていなければビールなんてそんなもんです。
「銘柄は任せるから、白を一杯持ってきて頂戴」
近くを通りかかった店員にそう声をかけてから卓に向き直り、
「そういえば名乗りもまだでしたわね。ファミアと申します」
カニとたはむる手を止めてココアのマグを空にするクローディアに、ファミアは自己紹介をしました。
>「……それで、あたしたちがどこに店を構えるつもりかって話だっけ?
> そうね、いまから地図を書くから、あたしたちに援助してくれるつもりがあるなら後日訪ねて頂戴」
クローディアは人差し指で唇を拭ったあと、それに答えながら一筆。
差し出された紙には以下のような文面が記されていました。
『尾行がついてる。あれもあんたたちのお友達?』

28 :
顔を上げてクローディアを見ると、さも意味ありげな目配せ。
しかしファミアはそれを追って視線を向けることはしません。動きが露骨すぎて即座にバレそうだからです。
「尾行……ですか。課員ではないと思いますが」
ジョッキを両手で抱えて口元に当てて紙を覗き込みながら、卓についた一同にだけ聞こえる程度の声で呟きました。
音も口の動きも漏れてはいないでしょう。
尾行ということは、一行が入店した後に入ってきた人物であるということです。
視線の方向にはスイがいたはずですが、先に店にいたので勘違いされるとは考えづらく、他の課員は別所での任務中。
では一体何者か……
>『尾行、ですか』
考えるファミアの耳元で突如マテリアの声がしました。おもわず跳ね上がりかけた体を必死になって抑えます。
今回、念信器の場所が本当に耳のすぐ側なので心臓に悪いことこの上ありません。
>「……尾行さんの心音、覚えましたよ。泳がせて、逆にあちらを尾行して、根城を突き止める事も可能だと思います。
> もちろん、それ以上の事も。どう対処するかはアルフートさんと、クローディアさんで決めて下さい」
『わ、わかりました。まずはこの場で様子を見ます。
 店を出た後、尾行者が私たちについてくるようなら視界に入らない程度の距離で追ってください』
まずはマテリアへ念信。音で後を追えるのなら姿が見える必要はありません。
むしろ向こうからも見られない分、危険は減ると言えます。
もし追ってこないようならこっちではなくクローディア達のゴタゴタだということで綺麗さっぱり無視。
他人の面倒は他人に片付けてもらうのが筋というものですね。
『スイさん、私はまだ尾行者の姿を確認していないので特徴をお願いします。
 それから、ヴィッセンさんと組んで尾行に当たってください。
 ――万一何かあるようなら、ばれてもいいですから二人で飛んで逃げてください』
ついでスイへ指示を送ります。
「戦闘は避ける」。事前にさんざん釘を刺されたことです。
あれほど口を酸くして言われたからにはもちろんそれが第一義であるはずで、
ならば全力で避けるのが指揮官の務めというもの。自分が怖いからとかそういうのはありません。一切。一切。
さて後発二人の足はそれで確保できたとして、先発である自分たちは……
(私がハンプティさんを担いで逃げることになるのかな……)
単純な移動速度で言えばもちろんそうなるのでしょうが、
執事を抱えて跳ねまわる少女というのはなかなかシュールな絵面かも知れません。
そんなことを考えているところへ置かれる白エール。注文したのはワインのつもりだったのですが。
「ぁぅ」
動くにしても、これが開いてからということになりそうです。
自分で注文したものに手も付けずに辞するというのはいかにも不自然。
尾行者が見ている前で不振な行動は慎むべきでしょう。
――文句をつけて換えさせれば早く済む話なのですけれど。
まだ残っている一杯目と格闘しながら、ファミアはフィンへ声をかけます。
「ねえフィン、わたくしハンターズギルドとかいうところへ行ってみたいわ。報酬次第で何でもする輩の集まりなのでしょう?
 何か珍しい話や品を抱えている者も多いのではなくて?」
このあとの予定をいささか聞えよがしに口にして、それからだいぶ舌に合わないエールを口にしました。
【とりあえず飲む】

29 :
「うーん……予想してたよりずっと大きなお祭りみたいですねえ。」
湯気の立つ蜂蜜酒を手の中で玩びながら、ノイファは白く息を吐いた。
次いで一啜り。嚥下した液体から沁み出す熱が、四肢に行き渡るのが心地良い。
通りのそこかしこに、発光と発熱を兼ねた蓄魔オーブが据えられてはいるものの、そこは流石に北の最果てタニングラード。
"夜通り"に人々が集いだし、日が落ち始めたこの時間帯ともなれば、肌を刺す冷気は昼の比ではない。
「さて、そろそろ集まる頃合だとは思いますが……っと。」
修道服の襟元を引き上げ、通りを見渡す。視界の端に捉えた未だ見慣れぬ格好をした同僚たちの姿。
赤くなった耳に手を当てる風を装い、耳飾りに偽装された念信器に指を伸ばす。
『そのままで大丈夫です。こちらで確認出来ました。』
同様に通りを眺めながら、串焼きに苦闘しているセフィリアと、蓄魔灯に背を預けるウィレムに声を飛ばす。
『もう暫くすればもっと大勢の人で賑わうのでしょうね。この通りも。
 まだフランベルジェさんの姿は見えませんが、その前に報告を済ませてしまいましょう。』
かじかむ口唇を暖めようと蜂蜜酒を一口。
ついでに再び通りを見回すが、やはり最後の一人であるフランベルジェの姿はない。
他の誰よりも、ともすればこの街で一番、目立つ格好をしている彼女なのだが、見える範囲の何処にも確認出来なかった。
 
『とは言っても、現状だと宿を何処にしたか、程度のものでしょうけどね。私は――』
"昼通り"にあるハンターズギルドの真向かい、『黄金の杯』亭。その一室がノイファの当面の拠点だ。
名前こそ何とも煌びやかだが、一階に酒場兼食堂、二階から宿泊施設といった、いたって在り来たりな旅の宿である。
そこにしたのは価格が手頃であったことがまず一つ。
もう一つは立地場所。
富裕層が居てもおかしくない場所ゆえに、ファミアたちのチームとコンタクトが取り易かろうという点。
そして何より決め手となったのは、帝都エストアリアに居を構える『銀の杯』亭の兄弟店であるという理由からだった。
『――あとは、同じく"昼通り"の端にあるルグス神殿……まあほとんど小屋なのですが、そこも拠点として使えそうです。
 調査の合間にでも手を入れて、いざという時のために籠もれるようにでもしておこうかと。』
一通りの情報交換を終え、手の中の蜂蜜酒も空になり、そろそろ祭りを見て回ろうかといった頃――唐突にそれは起きる。
>「ど、どろぼーーーーー! 財布をギられたでありますぅぅぅぅぅ!!」
祭りの喧騒をつんざき、通り一面に響き渡る叫び。
声質で判断するなどという能力は持ち合わせてはいないが、この特徴的な口調はフランベルジェのものに間違いない。
「早速目立ってるようですねえ……。」
最早諦めたとばかりに呻くノイファの前を、人ごみから抜け出た少女が、走り抜けていった。

30 :
『ウィレム君――』
逡巡の後、ノイファはウィレムへと念信を通す。
手指は即座に腰のポーチへ。取り出すのは紅粉の詰まった瓶。
それを放り投げる。
『――加減して追ってください。』
瓶を掴んだウィレムが少女を追って走る。
この街を仕事場とするスリ相手では、普通に追いかけたのでは見失うのは必至。
ならば人並みを遥かに逸脱した脚で追跡するしかない。
化粧粉を渡したのは、後から追いかけるための目印としてだ。
少女が向かう先はにあるのはスラム街。
帝国領内で最も平和なタニングラードにおいて、唯一その限りではない無法地帯。
追っていった先で、更なる危険が待ち受けていることも十分にあり得る。
(果たしてこの行動が正しいかどうか……)
タニングラードでなければ諦めるという選択肢もあったろう。
だがここでは一切のバックアップが断たれている。
手持ちの軍資金をたった一日で全て無くしたとあっては、今後の任務に支障が出るどころの騒ぎではない。
『仕方ありませんが予定変更です。先行するウィレム君には紅粉を渡してありますから――』
少女が駆けていった方向とは真逆へ、ノイファは視線を配る。
スリ騒動を目の当たりにし、自分の懐は無事かとざわめく群集。その中にユーディも紛れているかもしれないのだ。
見えない敵の、凍えるような視線を意識して、ぞくりと背筋が震えた。
『――セフィリアさんとフランベルジェさんは目印を手がかりに二人の追跡を。
 私は……一応後方を確認しながら付いて行きます。』
畏怖を押し込め、汗で冷たくなった拳を強く握り、ノイファは指示を告げる。
【ミッション1:スリを追跡せよ】

31 :
いや、勝手に
ミッション始められても困る

32 :
興行後に物見高い子供達から筋肉を触っていいか問われたダニーは快諾して触らせる。
数年後に思春期を迎えて初めて触った異性の胸が自分の大胸筋だと思い出した時の
彼らの顔を想像すると彼女の胸は厚く、いや熱くなった。
>>「な、な、ダニーはツヨいんだな。ビックリしちまったよ。どこであんなタイジュツ、ナラったんだ?」
「・・・・・・・・・」
ダニーはそっちこそ随分タフじゃないか、と返し、昔あった近所の道場で習ったと答える。
折角歩み寄ってくれたのだ、余計なことを言って変に気を遣わせることもないだろう。
後はただ鍛錬するだけ、と無難に締めくくる。
そして社長に貰った水を頭からひっかぶり手ぬぐいでざっと拭く。
その時、人気もだいたい掃けた公園に、この街の者とは趣の異なる二人組がやって来た。
ロンはささっと彼女の後ろに隠れてしまったが、ダニーは逆に吹き出しそうになる。
誰を隠そう以前洞窟で合った男、フィンその人だった。今は雰囲気を落としているものの、
初対面のイメージが強すぎるせいか、執事姿に違和感を禁じ得ない。
クローディアから目で釘を刺されて黙るが、これは堪らなかった。
一応挨拶を返してダニーは再び笑いを噛みす。
笑いを沈める為になんとか考えをまとめようと意識を逸らす。
ノイファはクローディアの本家筋の人間に雇われた的なことを言っていたような気がする。
ということは後ろの少女がそうなんだろうか、とフィンが付き従っている人物に視線を移す。
そこで、思考が切り替わる。いや強制的に引き戻されたというべきか。
小柄で手に手袋ではなくミトンを付けた少女、それだけ。それだけの筈なのに、
一目で脅威だと直観する。下手をするとノイファよりも危険な何かがある。
>>「けっこう。その話、乗ったわ!どうせお次は『立ち話もなんだし、どこか店にでも』ってところでしょ。
 ダニー、ロン、ナーゼム、撤収よ!今からこのお貴族様があたしたちに北国名物奢ってくれるらしいわ!
 他人の金だからガンガン食べなさいっ!でも腹八分目で済ませなさいよ、満腹がクセになると太るから」
こちらの緊張を他所に話がつくと、場所替えということで酒場に移動することになった。
そこではおごりを勝手に取り付けたクローディアはじゃんじゃん頼んでいく。
腹八分目とはなんだったのか。
ダニーはと言えば顎を摩りながらまずミルクを取った。彼女は酒とシガーと賭博はやらないのである。
そしてイカ墨のシュークリーム、キャラメルパフェ、灰麦のパンケーキ、白骨煎餅、
赤銅栗の甘露煮、青雷山コーヒーと注文する。

33 :11/12/07
人のおごりということで、彼女は自分の懐やトレーニングのことを一時的に忘れて
ここぞとばかりに甘いものを頼んだ。この値段で下手すると常人の二日分の食費に
あたるのだから中々侮れない。
嗜好品を口に入れるのは実に久々なのでなんだかそわそわしてしまう。
店内に堅気でない人間がいることや、相手の所属が分らないなどの
問題もあったが大したことではない。要はその時に動けばいいのだから。
気持ちを切り替えると、早速所望したスイーツを頬張る。
注文がデザートのみという点では始めからクライマックスである。
返す返すもサイズ差が酷いので折角のシューも一口サイズに早変わりなのだが、
それでもダニーは幸せそうに食べている。
クセのある甘い芳香を楽しむ一方でチョコレートのような色のクリームを味わう。
酒呑みが甘いものを欲しがるせいか意外にも店の甘味は充実していた。
>「尾行……ですか。課員ではないと思いますが」
例の少女、ファミアの声がしたのでちらりと目を向けるが食事を続ける。
ダニーは尾行があったことには気づかなかった。帝都じゃないので
別段追われるような心当たりが無かったからである。
お鉢が回って来るまでは通常業務でいいはずだ、そう思った矢先、それは聞こえた。

>「……吐きそう」

その呟きに即座に振り返ると娼婦のような女、マテリアが呻いているのが見える。
演技かどうかが問題ではない。実際に吐くかどうかが問題である。
しばし様子を眺めていたが、吐かないようだと分かると皆食事を再開する。
危ないところだったと思いながら、ダニーも二つ目のシューを食べようとして、手を見る。
ーないー どこにいったかと思えば、ロンの顔にべっちゃりと張り付いている。
手からすっぽ抜けてしまったようだ。そこでダニーは・・・
「すいませんシュークリーム追加で」
謝罪の意を込めておかわりを二人分注文した。
【ごめんなさい】
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FF4のレオノーラです
(∵)前田敦子だよー
夜神 月だけど…
おまもりひまりなりきりスレ 3