2011年10月1期創作発表【SS】 コメディ 【ラブコメ】 【パロディ】
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【SS】 コメディ 【ラブコメ】 【パロディ】
- 1 :11/08/07 〜 最終レス :11/11/18
- ジャンル:コメディの作品は何でもござれ
ラブコメでもパロディでもシットコムでもブラック気味でもOK
コメディと名がつけば、迷わずここへ投稿して下さい
明るく笑える作品を ときに感動を与える名作を 今の時代は必要としている気がする
短編、長編なんでも構いません
- 2 :
- 俺さ昔から思ってたんだがよ。
ラブコメって「ラブ&コメ」なのか「ラブDEコメ」なのかどっちなんだ?
コメディパートと恋愛パートが関係ない別物でもいいのか、
恋愛におけるすれ違いや行き過ぎた愛情表現とかそういうのをコメディとするものなのか、
ってことなんだけど……。
- 3 :
- すまん、ここで聞くことじゃないかも。
- 4 :
- 「すまん、ここで聞くような事じゃないかも」
そんな事を言って照れくさそうに頭を掻くあんたに一言いってやりたい。
まったくもってその通りだよ! 空気読めよ! なんで今そんな事聞いてんだよ!
……あれ? 一言じゃないな……まあいいか。
「……まあ、そういうのって、笑いの要素があるかどうか、じゃないの?
ラブコメにジャンルわけされるような物なら、笑い要素とラブ要素が半々くらい
なんじゃないかと思うし、そうじゃないなら1作品の中のラブコメ要素、みたいな
感じに言われるんじゃないかと思うわよ」
なのになんで真面目に答えちゃうかなぁ、わたし……。
せっかくあんたと初めてふたりきりで喫茶店に入って最高にハイって奴なのに、
何が悲しくて創作における定義論なんかを語り合わなけりゃいけないんだろ……
あ、やば、何か目に滲みそうになってる……。
「……あれ? 話、退屈だった?」
彼は、私があくびでもしたのかと勘違いしてるみたい。
違うわよ! 何か自分が情けなくなって思わず涙がちょちょぎれただけで、
別にあんたの話が退屈だったわけじゃなくて、むしろ創作の事語ってるあんたは
いつも真面目な顔しててちょっとかっこいいとすら思うし、だから私も真面目に
答えちゃうだけで、退屈だなんて事絶対にないんだから!
……というような事を言えるわけもなく。
「ううん、ちょっと昨日遅かったから……寝不足なの」
ふぁー、とわざとらしくあくびをしてみせる私を見て、クスリと笑みをこぼす彼。
……うわぁ、ますます泣きたくなってきた。
ま、実際に寝不足なのは本当なんだけどね。でも、睡魔が襲ってきても今の
私は一撃の元に葬り去る自信がある。テーレッテーとかオモイガーとかメザメタコーとか。
「お前も何か書いてたの?」
「……いや、まあ……そういうわけじゃないんだけどね」
書いてはなかったけど、頭の中では描いてましたよ。
今日あんたとこうして喫茶店で部誌の打ち合わせする事になって、一体何を
どう話そうか、っていう計画をね! そのせいでろくに眠れずに、目の下の隈を
ファンデーションとかで何とか隠してのこの当日ですよ! そして描いてた計画は
既にもろくも崩れさってますよ! もっとこう、甘い雰囲気とか、少しは期待してた
のになぁ。
はぁ……ホントに、どうしてかなぁ。そんなに眠れなくなる程楽しみだったこの
時も、いざ迎えてみたら自分が情けなくて涙が出てきそうな有様ですよ……。
「俺は昨日例の話書いてたら乗って来ちゃってさぁ」
「あれ? もしかして寝てないの?」
「うん。徹夜明け。でも全然平気。これが若さか……」
「名言っぽく言うな」
「でも、お前目の下に隈とか出来てないな」
「ああ、うん……別に、遅くなったって言っても、寝てないわけじゃないし」
- 5 :
- よくよく見れば……そう、今日一日……というか、彼への想いを自覚してから
ずっと、彼の顔をまじまじと見る事なんて出来なかったんだけど、意を決して見つめて
みれば、彼の目の下には割とはっきりと隈が浮いていた。ああ、なるほど、ホントに
徹夜明けなのね……。
私は、ちょっとだけ、隈なんてみっともないからとお化粧で隠してしまった事を悔いた。
隠さなきゃ、彼とお揃いだったのに……って何女の子な思考始まってんのよ私!?
恥ずい! 恥ずかしすぎるわその思考わっ!?
「おーい、どうしたいきあり頭抱えて座り込んで……?」
「あ、うん、ごめん……な、なんでもないから。ほら、ちょっと突然カリスマガードを
実践してみたくなっただけ」
「お前、時々面白いよなー」
そう言って彼は笑う。凄く爽やかで、物書きが趣味だというイメージが浮かばない
程に明るい、屈託の無い笑顔だ。私は赤くなってきた頬をごまかすように、怒ったふりを
しながら部誌の打ち合わせに必要な資料を取り出した。
「そろそろおしゃべりの時間は終わりよっ。いい加減作業しないと、今日も徹夜する
事になっちゃうわよ?」
「うげー。流石に二徹は厳しいわ」
「だったらさっさとやりましょ。まず、表紙絵から選ばなきゃだけど……」
「へいへい。真面目な誰かさんに怒られたくないから、頑張るとしますか」
……嘘ばっかり。真面目なのはあんたじゃない。私は……私のこの真面目さは、
物凄い不真面目な理由で出来上がってるんだから。
あんたを助けたい。
あんたの笑ってるとこを沢山見たい。
あんたと少しでも一緒にいたい。
だから、真面目に頑張って、あんたの隣にいるんだから。いられるんだから、ね?
ほんと、そういうのちっとも気づかないんだから……。
「はぁ……」
「ん? どったのため息なんかついちゃって」
「な、なんでもないわよっ!」
「幸せ逃げちまうぜ。今のうちに吸い込んどけよ」
……幸せは、今ここにある。
なんて言える程に、私は無欲じゃないのよね。
「……すこー」
「おお、まるでダイソン」
だから、私は彼のいうがままに、大きく息を吸い込んだ。逃げていったかもしれない
幸せを、吸い込めるように。ちゃかすように笑う彼と同じ空気を、少しでも多く吸い込めるように。
……まったく、なんでこんなのに惚れちゃったんだろ?
おわり
- 6 :
- ここまで投下です。
・・・ラブコメっぽくないかも。
あと、>>2-3氏、発想元にさせてもらってすいませんでした。
- 7 :
- シットコムが見たい今日この頃
- 8 :
- >>6
テンパり気味の女の子がとても可愛くて良かった。やはりコメディは真剣でないとな。
ゲラゲラは笑えないけどニヤニヤ。そんなラブコメっぽさがね、人類には必要なんだね。
- 9 :
- 期待age
- 10 :
- 創作板で正統派コメディって今までなかった気がする
- 11 :
- 正統派って?
- 12 :
- >>11
正統派というか最初から最後までドタバタ系のコメディのことを言いたかったんだ
不快にさせたんなら謝る
シリアスな作品の方が多い印象だったから、ここが新鮮に映ったんだ
- 13 :
- すまんかった。不快とかではなかったんだ。
- 14 :
- さっそくこういうの得意そうな人投下してるなw
- 15 :
- 支援age
- 16 :
- 忍
- 17 :
- よみがえれー
- 18 :
- コメディ最高
- 19 :
- 誰もいないの?
- 20 :
- コメディって言われてもピンと来ないんだぜ。
創発板的には、どのへんに多いもんなんだろ。
- 21 :
- 一目惚れだった。恐らくこれが俺の人生で最初で最期の恋
幼い頃両親から虐待を受けていた俺は耐えられず家を飛び出しホームレスとなった。
だが毎日強盗を繰り返していたため金には困らずホームレスにしてはそこそこ裕福な生活をおくっていた。
そして13歳の夏、俺は貯まった金で家を買った。
更に家事等色々一人でやるのは面倒だなと思い奴隷を買おうと思いたった。
そして俺は今、ホームレス時代ある経緯で知ったこの世の闇と言える奴隷街に居た。
ここは客なら例え赤ん坊一人だろうとこころよく迎えてくれる。
奴隷達は人売組織に拉致された者達でここには老若男女とわず様々な人種の奴隷がいる。
赤ん坊も居れば体に障害を持つ人間までいる。
が行き届いている者ほど値段は高く、飼い主に従順だ。
(何かいい奴ないかな………!)
今まで感じた事のない何かが体の中に込み上げて来た。俺は目の前の奴隷に心を奪われた。
金髪のロングヘアーに透き通る様な青い瞳に幼い顔立ち
見た所俺と年が変わらない外人の少女が檻の中で全裸で体育座りをしていた。
近づいてみると嫌な顔一つせずニコリと笑ってみせた。
助けてほしいという意志を全く感じない。かなりが行き届いているようだ。
ずっとその場に立っていると20代くらいの男性の売人が俺の方に近寄って来た。
「これが気になりますか?」
「……いくらだ?」
「…1億になります」
「な!」
- 22 :
- 「一億!?」
ここの奴隷は平均500万程である
「はい。これは今現在ここの奴隷達の中で一番の代物なので」
「……その値段に見合うだけの価値はあるんだろうな?」
「勿論で御座います。これは可能な限りどんな命令でも聞きます。と言えば自ら命も絶ちます」
「!!…………」
「いかがなさいますか?」
「…………買う……」
「お買い上げありがとう御座います」
俺は少女を連れて家に帰った。
「……そうだ、まだ名前聞いてなかった。俺は村雨貝(むらさめかい)、お前は?」
「サラと申します」
「年いくつ?」
「13です」
やっぱタメだ
「…家に帰るまでもそうだったけど、ほぼ絶え間なくそんなにずっとニコニコしてて疲れねーの?」
「はい。慣れてますので。不愉快でしたら止めますが」
「いや可愛いからいいよ(した奴等スゲーな)」
「…」
50代の金持ち男性「おい!ここに居た娘はどうした!?」
さっきの売人「ああ…あれはついさっき売られましたよ」
「何ぃ!?貴様ワシが買うから金を持ってくる間待ってろと言っただろうが!」
「私は待つなんて一言も言ってませんよ」
「えぇい黙れ黙れぇ!買った奴の名前を言え!捜し出してしてやる!」
「組織としてはお客様の情報をお教えする事は出来ません」
「言え!さもないとすぞ!!」
男は銃を取り出した。その場にいる奴隷達は怯える
「……落ち着けよ小太り。「組織としては」だ。俺個人としては教えてやってもいい」
「!…ほう」
「ただし情報料として3億頂く」
「な…ふざけるな!タダだタダ!!」
男は怒り狂い思わず銃の引き金を引きそうになった…が
後頭部に銃を押し付けられる感触がし硬直した。売人の男の仲間だ
「落ち着いたか?とにかく情報が欲しければ金を払うんだな
決断は早くした方がいいぞ。今ここに居るのは俺と仲間と奴隷とアンタだけだが
組織の糞真面目な連中が来てこんな交渉見られたら俺もアンタもされる」
「……!」
「まあ穏やかにいこうぜ」
- 23 :
- サラは嫌な顔一つせず料理洗濯と様々な家事をこなした。買って良かった。
「あの…」
晩飯を食い終わった後の事。サラが俺に初めて自分から口を開いた。
「シャワー浴びてもいいですか?」
「え、いや別に一々俺に断りを入れなくてもいいよ(つか風呂には毎日入ってくれよ)」
「分かりました。ではそうさせてもらいます」
(…一応自我はあるんだな…)
そこでふと思った。俺が入浴シーンを覗いたら……いや俺が突然風呂に入って来たら
サラはどんな反応をするんだろう?怒るのかニコリと笑って何も咎めないのか
これから一緒に住む奴隷だ。彼女の事を色々知っておきたい。………入るか…
シャアアアアアアア……
サラがシャワーを浴びる音が聞こえる。準備完了、俺は全裸になった。
「…行くか」
俺は勢いよく風呂場に入り込んだ
(さあ…どう出るサラ!?)
「…………」
サラはキョトンとした顔で俺を見つめた。流石にどう反応していいのか分からないのか
しかし美しい。顔もスタイルも完璧だ。これは欲情してしまう。
「うおーーーーーーー!!!」
狭い風呂場でまた勢いよく、サラを押し倒した。
「ぅ…………………」
サラは沈黙したまま。何を喋れば、何をすればいいのか分からないのだろう。
俺の股間がギンギンになる。
「……挿入るからな…」
「…………はぃ…」
やっと口を開いた。しかしほんと謙虚だな…。
ズッ…
「ひゃう!!!」
ちょっと強くRを押しただけでサラは失神した。どんだけ敏感なんだ…。
- 24 :
- >>20
面白い作品は大体コメディじゃないか?
そもそもジャンル的に範囲広いし
ピンと来ないのも当然かもな
例えば、フルハウスとかはコメディだよね
そんな感じでコメディってジャンルの作品を考えると、0から考えるより理解し易い気がする
- 25 :
- 俺は気を失っている(全裸の)サラをベッドまで運んだ。しばらくするとサラは目を覚ました。
「申し訳ございません!まともに交尾の相手も出来なかったあげく貝様に運んでもらって……奴隷の恥です!」
すぐにサラは涙を流し謝罪してきた。更に(全裸で)土下座までする始末。
土下座するのはむしろサラに襲いかかった俺のはずなのに。
俺は同じ人間にこんな事やらせてしまった罪悪感と、こんな事やらせてるんだという高揚感を同時に感じた。
この女はどれだけ俺を満足させてくれるんだ。流石一億の女。ありがとう奴隷街。
「まあ気にすんな。誰だって苦手な事の一つや二つあるさ」
俺はサラの頭を撫でつつケツをまじまじと見ながら励ましの言葉をかけた。
「……貝様…」
サラは顔をあげた。
「それにあれはあれで俺は満足したんだぜ?押し付けただけであんなら
入れた時はどうなるんだろうなって思ったらww」
「…」
サラは口を少し開いたまま何とも言えない表情をし沈黙
今のゲスの極みとも言える発言にサラが何を思ったのか、俺に知る術はない。
「……さ!今日はとりあえずもう寝よう!」
「…はい」
静かにニコリとサラは言った(全裸で)
- 26 :
- がんばれ
- 27 :
- 俺は同じベッドでサラと一緒に横になった。
サラは俺より早く眠りについた。
…………ムラムラ来てとても眠れん。やろうと思えばこのままHしてやる事も出来る。
起きてもサラなら怒らないだろうし……。
しかしそれは気が引けて出来ない。浴室で襲った後に言ってもなんだが
けどあれはHする直前に一応本人の了承は得た。だが眠ってるとなると了承が取れん。
仕方なくすぐ隣で眠ってるサラの寝顔をオカズにし抜くだけに留めた。
俺にも一応良心があるんだな……あ、精子がちょっと飛んだ……サラの下半身についたかも……
まあいいや……………………いつの間にか俺は眠った。
午前4時、俺の家の前に小太りの男とその執事と5人のスーツの男達が立っていた。
「この家か……よし、さっさと洋ロリ娘をさらってこい!」
「はっ、男の方はいかがいたしましょう?」
「して事が大きくなるのも面倒だ。ほうっておけ」
「はっ」
スーツの男達がピッキングで家のドアを開け侵入して来た。
スーツA「大きな音を立てるなよ。慎重に行くぞ」
スーツB〜Eが頷く
- 28 :
- 俺は尿意を催し目が覚めた。
トイレに行こうとし寝室を出ようと寝室のドアをゆっくり開いた瞬間、ちょうど目の前を
スーツの男たちが横切り左に向かった。慌ててゆっくりドアを閉める。
(ビックリした!何だ!?泥棒!?とにかく見つかったらヤバい!)
ここの寝室は2階。窓から出て屋根に乗り庭の木に飛び移れば下に降りて逃げられるかも…
俺は逃げて警察を呼ぶ事にした。
そうだサラも連れていかなきゃ
「おいサラ!起きろ!」小さく叫ぶ。全く起きる気配無し
「くそ……早くしないと見つかって……最悪される…!…………………そうだ!……」
サラを起こすにはもうこれしか手がないと思い、俺はサラの○○○を親指で強く押した。
「きゃっ!!」
「ばっ…!」
サラの大きな声でスーツの男達が寝室に俺達ターゲットが居る事に気付いた。
「っ……貝様…何か?……」
「泥棒だ!窓から逃げるぞ!」
素早く窓を開いて屋根に乗り、俺達は木に飛び移った。
「! 家の入り口に見るからに悪そうな小太りのオッサンとその執事ぽいのが!主犯!?」
(これじゃ降りられない。どうやって逃げれば……)
ポタッ…
小太り「ん?」
俺とサラがいる木の枝から何かが垂れ落ちた。俺はハッとしサラの方を見る。
「…ごめんなさい貝様……」
さっき○○○を強く押されて緩くなったのか、サラが尿を漏らしていた。
小太り「いたぞ!木の上だ!」
- 29 :
- コメディなんだよね?
笑いどころが分からない
- 30 :
- >>29
スレを盛り上げようとその場の思いつきで書いてるので
自分でも何がやりたいのか分からなくなってしまいました
- 31 :
- 逆に壮絶なストーリーに仕上げられるのではないかいな
- 32 :
- >>31
そしてしょうもない理由で戦うわけか
- 33 :
- 支援
- 34 :
- このスレが賑わうことを祈って投下します。
あまりに意味不明だったため没にしていたSSで悪いんだけど。
あ、元のスレにはないしょだぜ。
- 35 :
-
「『ジャンボ。おら、タニシ』――先輩、ジャンボタニシに興味はありませんか?」
「唐突に何っ!?」
梅雨は明けたはずだったが、初夏の空気には、依然、湿り気を帯びた熱が潜んでいた。じわりと皮膚から体内
に染みこんでくるような今日の暑さは、模範的な高校生たらんとしている俺をしても耐え難い。
そんなわけで待ちわびていた放課後だ。もろもろの雑用を手早く済ませて、俺はいそいそと学園の正門をくぐ
ったのだったが――
そこで、後輩の女子に捕まってしまった。二、三年来の顔馴染みである。
「ですから、ジャンボタニシですよ。田んぼを見ていると、稲の茎にピンクの卑猥な卵塊が付いていたりするで
しょう? 大人の玩具っぽいやつ。あれですあれ」
「そりゃ見たことくらいはあるが。その形容や比喩別にいらなかっただろ」
「……興奮しました?」
「下品さにびっくりしたわ!」
「男の子はそういうギャップに激弱だと、私は風の噂で聞いたのです。清楚な美少女の可憐な唇から、情け容赦
なく迸るエロ・ワード。この最強コンボこそ最強です」
「最低だ」
相変わらず、のっけから台無しな言動だった。
この“後輩”というのは、黒髪を顎の高さで切り揃えた、見てくれだけは本当にそれはもう綺麗な娘なのだが、
あいにくと性格がキワモノすぎて扱いに困る。
向こうは熱烈な求愛行動(と本人は主張するが、実は何かの嫌がらせなのかもしれない。それは誰にもわから
ない)に精力的だったが、俺のほうはとてもではないが恋愛の対象としては見られない。
「それでえっと、何の話でしたっけ? ……そうそう、昨夜私、ネットの通販でいいなと思った大人の玩具を――」
「ジャンボタニシは!?」
「どうでもいいじゃないですか、あんな泥臭い巻貝」
「お前何なの」
確かにジャンボタニシは脈絡なかったけど。
まさかこの女はエロの導入のために、わざわざジャンボタニシの卵を引き合いに出したのか?
……遠大だな。
ごめんな。お前の先輩は視野が狭くて頭の回転も鈍いもんだから、ちょっと付いていけそうにないよ。
「でもでも、先輩がそんなに私とジャンボタニシについて語り合いたいというなら、私としてもやぶさかではな
いですよ?」
「お前御用達の闇の通販グッズよりはまだしもマシな話題かもわからんが、……正直もう帰りたい……」
偽りのない本心だった。後輩との会話は気力を馬鹿食いする。
- 36 :
- もちろんというか、後輩は俺の意思表示などさらりと無視した。とことんマイペースな女だった。
「ジャンボタニシって、あんなんでも、もとは人間さまの食べ物として輸入されたんですよね。私、てっきり何
かの養殖のための餌だとばかり思ってましたよ」
「あー、気持ちはわかる、ような気がする。……けど、何かの養殖って、たとえば何だよ?」
「え?」
ふと気になって聞いてみたところ、後輩は口元に人差し指を添えるなんていうあざとい仕草でアピールしてから、
「……泥田坊とか」
謎の生き物の名前を出してきた。
「ドロタボウ?」
ナニソレ。
後輩が「くわっ!!」と大きな目を見開いたのは、俺が聞き覚えのない文字列をおうむ返しにした、その直後
だった。
ヤバイ悪霊に取り憑かれたかのような悲惨な形相になった彼女は、恐らくは嫁入り前の女子という立場すらか
なぐり捨てて叫ぶのだった。
「むかし北国に翁あり!! 子孫のためにいさゝかの田地をかひ置て、寒暑風雨をさけず、時々の耕作おこたら
ざりしに、この翁死してよりその子酒にふけりて農業を事とせず、はてにはこの田地を他人にうりあたへければ、
夜な夜な目の一つあるくろきものいでゝ田かへせ田かへせとのゝしりけり!!」
ここで急に真顔に戻り、
「これを泥田坊といふとぞ?」
可愛らしく小首を傾げさえして解説を締めくくった。
「そんな地方妖怪をせっせと養殖してどうしようってんだよ」
人間離れした切り替えっぷりが怖くて、俺のツッコミも精彩を欠いた。てゆーか会話の流れもテンションもフ
リーダムすぎて、もう何をどう拾ってどういう反応を返せばいいやらわからん。誰かこいつを止めろ。
「養殖といえば、確かアメリカザリガニはウシガエルの餌として輸入されたんだったな」
……誰も止めてくれないので、俺がどうにかするしかなかった。渡る世間は鬼ばかりで、先輩はつらいよ。
「思えば、水田にもいろんな外来生物が進出しているのですね。コカナダモ、ナガエツルノゲイトウ、オオキン
ケイギク、コンバイン、ホテイアオイ……こういう植物などもなかなかに根が深いといいますね」
「何か変なの混じってないか?」
日本の自然界の行く末を憂うように、神妙に目を伏せる後輩だった。先ほどジャンボタニシについて「どうで
もいい」と言い放った不届き者と同一人物とは思えなかった。
- 37 :
-
「日本の生態系を守るために、私たちにはどんなことが出来るのでしょうか」
いつもは突拍子もない奇行の影に隠れがちだが、さすがにシリアスでは端麗な容姿が映える。
「……やっぱり、ひとりひとりが気をつけていかなくてはいけないと思います」
「小学生の感想みたいだな」
やはりダメだったか……。
シリアスモードは一〇秒ぽっちももたなかった。
まあ、別段興味のないことについて急にそれっぽく語ろうとしたって、思いつかないものだ。
……だからといって高校生にもなって「ひとりひとりが気をつける」はないと思うが。
「差し当たって、ジャンボタニシのピンクで卑猥な大人の玩具そっくりの卵塊を見つけ次第、ゴリゴリ削って水
中にドボン落としてやりたいと思います! ハハッ、ざまあみれ!!」
「……」
今日の彼女には、一体何があったんだろう……。
俺はどうも情緒不安定な後輩に何と言葉を掛けてやるべきかしばし悩み、他人のフリをすることにした。
平和な一日でした。
おわり
- 38 :
- 以上。
ではな!
- 39 :
- なぜここにwww
名前一切出てないのにどこのだれか解るって凄いなw
- 40 :
- めっちゃ笑えました、投下乙!
元ネタ知らないけど吹いたwww
- 41 :
- 元ネタってか、本来の所で見る二人まんまだw できれば幸せにくっついてほしいが無理かw
- 42 :
- 盛大にわらかしてもらいました。乙です
- 43 :
- 人いねえな
新作来いやー!
- 44 :
- ?「恋愛とは、なんだ。メリー」
メリー「恋人を手に入れる事。一言でいうならただそれだけ」
?「しかし、恋愛をすると確執が起こるな? メリーよ。
そして恋に破れたものは『恐怖』を覚え、人生において敗北者となる……
俺は『恐怖』を克服することが『恋愛』することだと思う。
恋愛の頂点に立つ者は! ほんのちっぽけな『恐怖』をも持たぬ者ッ!」
メリー「貴方様ほどの御方が何を恐れて?」
?「創発志士 倉刀 作」
メリー「倉刀!? バカな! あのようなもの!」
?「うむ、あのような者だが……正確に言おう! 倉刀に恐怖しているのではない!
倉刀はあなどれんということだ!」
メリー「ただそれだけの事でお出向きになられるというのですか」
?「そうだ」
メリー「くだらぬ! あなたはそのような事をしてはならぬ!
わがGのメンバーがすでにむかっております!」
ゴゴゴゴゴゴ
メリー「かならずや倉刀とその仲間を始末してくれるでしょう! キヒヒヒヒヒェャーーーーーッ」
?「ふん、変わった少女だ。お前の欲しい物はなんだ?」
メリー「なにも……しいていうなら貴方様の側にいることが望み!
貴方様は強い星を持っておられる……運命を変えるほどに……」
- 45 :
- 倉刀「う〜遅刻遅刻」
そう言いながら公園の中を通って通学路をショートカットするのは、ぼく倉刀 作
何の取柄もない普通の高校生だけど、しいて言うならロリババァに興味があるって事かなー
そんな急ぐぼくにベンチに座る少女が目に止まった
(ウホッ、いいロリータ)
そんなぼくの心を見透かしたのか、少女はいきなりDSの蓋を開いたのだった
少女「やらないか」
倉刀「あ……」
何という事だ……
そういえばここの公園はたびたびすれ違い通信が目撃されるので有名な場所だった
うかつなぼくは対戦申し込みされてしまったのだった……
倉刀「すまないが通学の途中でね、他をあたってくれないか?」
少女「対戦なんてものはすぐに出来るんです。例えばあそこに猫が居るでしょう」
ポイ
少女「あの猫が取るのは右か? 左の肉か? どうです、つまらないけど……スリルあるでしょう、フフ」
倉刀「ああもう、わかったよ、やるよ。右だよ、右!」
少女「グッド! 楽しくなってきた」
ニャー
少女「おっと、猫が気づきましたよ。おどろかせないでくださいよ」
倉刀(俺が猫なら……右、右の大きい肉を狙う)
ゴゴゴゴゴゴ
シュバッ シュバッ
倉刀「あ……」
少女「ふふ、見ましたね。左、右と」
倉刀「あー、負けちゃったね、残念残念、じゃあこれ――」
少女「さ、払ってもらいましょうか」
倉刀「は……?」
少女「何って……『掛け金』ですよ。あなた……私の『賭け』にのったでしょう。
頂きますよ、『掛け金』を」
ズンッ
倉刀「なっ!?」
おぶさる者「ケッコンシテ、ネ? ケッコンシテ、ネ? ハヤクシテ、ネ? ハヤクシテ、ネ?」
- 46 :
- 倉刀「な、なんだぁーーーーッ!? こいつはーーーーーッ!」
少女「それが私の『能力』……まずは一回目、あなたの『1/3』を奪った」
倉刀「き、君は一体!?」
少女「SSPと呼べ! 知能指数ではあなたより上だ!」
ゴゴゴゴゴゴ
SSP「ある学者が提唱した。この世界には草食男子があふれている、と……
われら女性が受け身の姿勢ではもはや結婚はかなわず、攻めるべきである、と……
倉刀 作! あなたに結婚を申し込む!」
ドッギャァァァァーーーーーンッ
倉刀「な……しかし君は……」
SSP「そう13歳、日本国内では未成年として扱われ、ましてや結婚できる年齢ではない!
そこでだ……わたしと結婚ことに、なんの不安感があるのだ?
恋愛に年齢は関係ない、他の全ての安心が簡単に手に入るぞ」
倉刀「が……ぐ……」
SSP「不自由でしょう、『1/3』はこちらにあるからな……まずは一本。
三本とって初めて『貴方』が手に入る!」
おぶさる者「ケッコンシテ、ネ? ケッコンシテ、ネ? ハヤクシテ、ネ? ハヤクシテ、ネ?」
SSP「そいつは見届け人であり監視人だ……勝負にイカサマがないようにな……
勝利したとき! 肉体と精神は私の物となり! 二人は結ばれる!
社会的地位や……醜聞なぞ……どうでもよいのだぁーーーーーッ!」
倉刀(こ、こいつ! こいつには、やると言ったらやる………『スゴ味』があるッ! )
SSP「もちろん、貴方にも拒否する権利がある……先に三回勝てば、私も乙女だ
すっぱりと! あきらめましょう!」
倉刀「やれやれ、こいつはとんだ道草だぜ……なんて言い訳するかな」
SSP「ところで、まだ例の言葉を聞いていなかったわね」
倉刀「いいだろう……賭けよう……」
ゴゴゴゴゴゴ
倉刀「俺のを!」
SSP「グッド!」
- 47 :
- 投下乙。
とにかく何かのパロヂーということは分かった。
くそみそクリニックと、ジョジョの奇妙な冒険と、らんま1/2、メリーさんの羊、そしてルドルフとイッパイアッテナ、
妖怪子泣き爺も少し混じっているかな……
……俺の舌ではここまで分かるッ!
だがッ! だがッ!
こいつはまだ何かを隠していやがる……っ!? 気付かない俺を見て愉快げに笑っている……っ!?
まったく許されざる行為ッ!!
いいかよく聞け、このグッジョブ(よい仕事)野郎。
俺の怒りがお前を許さない。許しはしない。まだ。
- 48 :
- ちょwww何これwww
- 49 :
- なぜにSSPがにwww
そんでなぜにウラトに求婚されてんだwww
- 50 :
- コメディって難しいよな
ポンポン書ける人ってどんな頭してるんだろ
- 51 :
- おまwwww
ジョジョ第四部のタイムリーな所を読んだ俺にはピンポイントすぎるwwww
- 52 :
- 逆に俺は恋愛が苦手だ
その気恥ずかしさをごまかすためにコメディをいれる
あとオリジナルやろうとしてもパロディ描写が入ってしまう
- 53 :
- 倉刀「ところで、なぜ僕なんだい? なぜ結婚を?」
SSP「恋することに理由なんてあって?」
倉刀「なんか信用できないんだよね、いきなりだし。ひょっとして担がれてるんじゃないかな、って……
顔の表情をみるとわかるんだ、汗とかでテカるだろう? その感じで見分けるんだ……
汗の味をなめれば、もっと確実にわかるけどね」
SSP「別に、他意なんて、ないわ……」
ゴゴゴゴゴゴ
倉刀「汗を、かかないな……よし、信じよう。ところで、僕が勝ったら解放されるという保証は?」
SSP「私も乙女よ……プライドがあるわ」
倉刀「いいだろう、そこに座りな……ポーカーで決着をつけよう」
SSP「……グッド」
『ポーカー』!
くばられた5枚のカードを一度だけ交換して、相手よりいい役をそろえようとするゲーム
しかし、ゲームに「賭け」の魅力が加わると、一変して複雑な心理戦が始まるゲームでもある!
ポーカーフェイスとは、相手に気持ちを読まれないための表情なのだ!!
パラパラパララ……
SSP「全部で54枚、何の変哲もないカードね」
倉刀「確認はいいかな? それではシャッフルさせてもらおうか」
シャッシャッシャッ
倉刀「君、僕」
シャッ
倉刀「君、僕」
シャッ
倉刀「君、僕」
シャッ
倉刀「君、僕」
シャッ
倉刀「君、僕――」
おぶさる者「明日ハ雨カナァ……」
ベキィッ!
おぶさる者の呟き!
それを聞いたSSPはいきなり倉刀の指をへし折った!
- 54 :
- 倉刀「あぐあああ〜〜〜〜〜ッ!?」
ゴゴゴゴゴゴ
SSP「言ったはずよ、イカサマは見逃さないってね……」
ス……
SSP「今、私に配ろうしたカードは二枚目から……つまり一番上は自分にくるということ」
パラリ……
SSP「一番上で、Aのスリーカードが出来てるじゃないの……」
倉刀「おとなはウソつきだと思った少年少女のみなさん、どうもすみませんでした。
おとなはウソつきではないのです。まちがいをするだけなのです……」
おぶさる者「コイツハメチャユルセンヨナ〜〜〜〜」
SSP「私が思うに、いい恋愛関係ってのには、3つの『U』が必要だと思うの。
1つ目は……「うそをつかない」。2つ目は「うらまない」…そして3つ目は、相手を「敬う」…
いいでしょう? 恋愛の、3つの『U』よ。それが、これでは……やれやれ、
こうなったら『道具』をつかった勝負は危険そうね」
ゴゴゴゴゴゴ
SSP「考えたわ……何を扱えば平等、公平な勝負になるだろうかと……
私は考えた……」
おぶさる者「歯ガネ、痛ムノヨ、青空ガ出ナイト」
SSP「ジャンケン、で勝負よ……」
倉刀「……いいだろう」
このときジャンケンと聞いて倉刀にある予感が走った……
倉刀(この勝負、運否天賦じゃない……おそらくは愚図が堕ちていく……
勝つのは知略走り他人出し抜ける者…………!)
ざわ…… ざわざわ……
- 55 :
- 投下する
短い上にコメディになってない気がするが、枯れ木も山の賑わいと思って許してね
- 56 :
-
ふっ。
ボクの名は、毛山たけし。職業はイケメンカリスマ美容師。歳は……まだ二五さ……。
指の骨さえ歪む修行の果てに、小さいながらも念願の自分の店(店名“カリスマ美容院”)を手に入れ、さら
にカリスマ・アップ。
店内では今日も神々しいまでのカリスマを帯びたハサミとカミソリが情け容赦なく閃き、地上においてひとつ
の究極的“美”を完成させる。
どんなお客様にも「これが……わたし……?」と言わせてみせる。それが、イケメンなボクのカリスマなジャ
スティス。
だが……
「どんなお客様にも、と言っても、そこには限度というものがあるのじゃないか……?」
ともボクは思うのだが、いかがだろうか。
たとえば。
今まさに、座り心地抜群のカリスマ・チェアにちょこんと乗っかっている少女。……いや、かな。
異様に小さな女の子だった。小さなと言っても、幼稚園児くらい?とかそういう次元の話ではない。
身の丈七寸(だいたい二〇センチメートルくらい)ばかり。
そんな彼女は、もちろん人類ではない。身長を表すのにも思わず尺貫法を使わずにいられなくなる、古ぼけた
日本人形である。世にも不思議な。
『髪が伸びてしまったの』
ぜんまい仕掛けもなしに、ひとりでに歩き回る日本人形。仔猫が鈴の珠にじゃれつくような甘やかな声(ロリ
ータ・ボイス)で喋る日本人形。
毬の柄が可愛らしい真紅の着物、きめ細かな肌は白く、生気の宿る瞳は鳶の羽根を思わせる。黒く艶やかな髪
は、肩に掛かるていどの長さ。
麗しのジャパニーズ・アンティーク・ドール。
と言ったが、ひょっとしたら実年齢は三桁とかかもしれない。……三桁て。「金さん銀さん一〇〇歳一〇
〇歳!」なんて、今の若い奴は知らないだろうに。
科学的に考えるに……これは、いわゆる怪奇現象という奴に違いなかった。つまり妖怪とか幽霊とか、そうい
う類いの。
“髪が伸びる日本人形”! 怪談の定番中の定番が、今日のお客様の正体!
ボク自慢のカリスマ美容院を訪れるのは、どうしたことだかこんな人外なお客様ばかりなのだった。もしや立
地が悪いのだろうか。土地代をケチらず、もっと縁起のいい、リッチな立地にしていれば。
『……どうかしたの?』
「いや」
日本人形の言葉で我に返る。
そうだ。呆けるな。いい加減に慣れろ。ボクはイケメンで、カリスマで、何
よりカリスマ美容師なのだ!!
そこに毛があるなら、あるいは毛がなくても、整える。美しくな。あの日、そう誓ったはずじゃないか。誰に
って? ――もちろん、カリスマ美容師の神(ゴッド・オブ・カリスマ美容師)にさ!
「どのようなスタイルにいたしましょうか。ご希望はございますか?」
だからボクは問うのさ。いつものように。
日本人形は、少し考えてから答えた。
『そうね。この際だから、金髪の縦ロールにしてみたいわ』
「そいつはロックですね」
髪の長さ的にはちょっと厳しかったが、ボクはやり遂げた。これはきっと、カリスマなボクだから出来たこと。
あとは、一夜明けていきなりお蝶夫人みたくなっていた不気味な日本人形が、主人に捨てられたりしないこと
を祈るばかりだ。
カリスマ美容院は今日も予約でいっぱい!
おわり
- 57 :
- おわーり。
別にこれだけだ。
- 58 :
-
ハッ。
ボクの名は、毛山たけし。職業はイケメンカリスマ美容師さ。好きな動物はタスマニア・デビル(タスマニア
島の悪魔)。
血の滲むような修行の果てに、小さいながらも念願の自分の店(店名“カリスマ美容院”)を手に入れ、さら
にカリスマ・アップ。
店内では今日も神々しいまでのカリスマを帯びたハサミとカミソリが踊るように閃き、下界においてひとつの
圧倒的“美”を完成させる。
どんなお客様にも「これが……おれ……?」と言わせてみせる。それが、イケメンなボクのカリスマなジャス
ティス。
だが……
「どんなお客様にも、と言っても、そこには限度というものがあるのじゃないか……?」
ともボクは思うのだが、いかがだろうか。
たとえば。
今まさに、座り心地抜群のカリスマ・チェアに、もさっと鎮座する毛むくじゃらの影。たぶん哺類(たぶん)。
真っ黒い不気味な生き物だった。
だいたいマルチーズをひと回り大きくしたくらいのサイズ。手足のわからない毛虫のようなシルエット。眼はある、口もあるっぽい。
そんな影は、もちろん人類ではない。たぶん哺類だとは思うが、ただの獣とも思えない。
毛むくじゃらの真っ黒い生き物。世にも不思議な。
『わしもいよいよビューチー・サロン・デビュー……か』
人語を解する毛むくじゃらの真っ黒い生き物。何か大型のモップ系の掃除道具のように見えなくもない。
不気味なブラック・シャギー・モンスター。
――毛羽毛現は惣身に毛生ひたること毛女のごとくなればかくいふか。或は希有希見とかきて、ある事まれに、みる事まれになればなりとぞ。
頭をふとよぎる何かの一節。毛女て。毛女て何?
まあよい。科学的に考えるに……これは、いわゆる怪奇現象という奴に違いなかった。つまり妖怪とか幽霊と
か、そういう類いの。
妖怪の一、“毛羽毛現”! じめじめした場所やおトイレに出没するというレアリティ高めな妖怪が、今日の
お客様の正体!
ボク自慢のカリスマ美容院を訪れるのは、どうしたことだかこんな人外なお客様ばかりなのだった。もしや変
な噂が立っている? 鬼●郎ポストに相談してみるべき?
『……どうかしたかの?』
「いえ」
毛羽毛現の言葉で我に返る。
そうだ。呆けるな。いい加減に慣れろ。ボクはイケメンで、カリスマで、何
よりカリスマ美容師なのだ!!
そこに毛があるなら、あるいは毛がなくても、整える。美しくな。あの日、そう誓ったはずじゃないか。誰に
って? ――もちろん、カリスマ美容師の神(ゴッド・オブ・カリスマ美容師)にさ!
「どのようなスタイルにいたしましょうか。ご希望はございますか?」
だからボクは問うのさ。いつものように。
毛羽毛現は、少し考えてから答えた。
『全体的に真っ赤に染めて、ポンキ●キのム●クみたいな髪型にしてくれたら……いいね』
「そいつはクールですね」
ネタ的にちょっと厳しい気もしないではなかったが、ボクはやり遂げた。これはきっと、カリスマなボクだか
ら出来たこと。
「これでわしもピチピチギャルに大人気じゃあ! 頬擦りで、ぱふぱふなんじゃお!」とはしゃぐ、真っ赤な
毛むくじゃらの生き物に、それはどうかなと思ったが、もちろん口には出さないボクは紳士。
カリスマ美容院は今日も予約でいっぱい!
おわり
- 59 :
-
はんッ。
ボクの名は、毛山たけし。職業はイケメンカリスマ美容師さ。好きなモビルスーツはトールギス。
自行為にも近い修行の果てに、小さいながらも念願の自分の店(店名“カリスマ美容院”)を手に入れ、さ
らにカリスマ・アップ。
店内では今日も神々しいまでのカリスマを帯びたハサミとカミソリがリズミカルに閃き、くすんだ街において
ひとつの奇跡的な“美”を完成させる。
どんなお客様にも「これまでの髪型より……ずっとナイス……!」と言わせてみせる。それが、イケメンなボ
クのカリスマなジャスティス。
だが……
「どんなお客様にも、と言っても、そこには限度というものがあるのじゃないか……?」
ともボクは思うのだが、いかがだろうか。
たとえば。
今まさに、座り心地抜群のカリスマ・チェアに、いつのまにかふんぞり返っていた老人。
異様に大きな禿頭のふてぶてしいお爺さんだった。
歳月を経た鯰(ナマズ)を思わせる面構え。派手さはないが上等な着物を着て、これまた値の張りそうな煙管
を吹かすお爺さん。……ここ禁煙なんだけどな。
一見するとナマズに似ているだけのただの老人だが。ボクのカリスマ美容師としての勘が正しければ、この老
人、恐らく人類ではない。
異様に大きな禿頭のふてぶてしいお爺さん。どこか不思議な。
『……お茶』
いきなりサムシング・トゥ・ドリンク(何か飲む物)を要求する異様に大きな禿頭のふてぶてしいお爺さん。
- 60 :
- とてつもなく図々しいオールドマン・ウィズ・ビッグ・ボールド・ヘッド。
――ぬらりひょん(翁型)。語るべき伝承はここに存在せず。
頭をふとよぎる何かの文字列。
ふむ。科学的に考えるに……これは、いわゆる怪奇現象という奴に違いなかった。つまり妖怪とか幽霊とか、
そういう類いの。
日本妖怪の一、“ぬらりひょん”! ただのお爺さんにしか見えない頭のつるっつる禿げた妖怪が、今日のお
客様の正体!
ボク自慢のカリスマ美容院を訪れるのは、どうしたことだかこんな人外なお客様ばかりなのだった。だが人間
っぽいなだけまだマシかもしれない。
『……お茶』
「少々お待ちください」
ぬらりひょんの言葉で我に返る。単語で会話しようとするあたりが実に横着。そんな義理はないんだが、お茶
を出して差し上げる。ぬらりひょんは別段うまくもなさそうに飲み干してから、お代わりと茶菓子を要求した。
……ええい。我慢だ、我慢しろ。いい加減に慣れることだ。ボクはイケメンで、カリスマで、何よりカリスマ
美容師なのだ!!
そこに毛があるなら、あるいは毛がなくても、整える。それだけだ。どんなムカつくお客様でも、美しくな。
あの日、そう誓ったはずじゃないか。誰にって? ――もちろん、カリスマ美容師の神(ゴッド・オブ・カリス
マ美容師)にさ!
「どのようなスタイルにいたしましょうか。ご希望はございますか?」
だからボクは問うのさ。いつものように。
ぬらりひょんは、間髪入れずに答えた。
「髭。ターンエーガ●ダム風に」
「きっとよくお似合いですよ」
心にもない言葉、多少棒読みになったことは否めない。
美容院のアイデンティティ的にもやや厳しい気もしないではなかったが、ボクはやり遂げた。これはきっと、
カリスマなボクだから出来たこと。
異様に大きな禿頭にターンエーガンダム風の付け髭をしたふてぶてしいお爺さんは、仏頂面のままでお帰りに
なった。
……お孫さんとごっこ遊びでもするのだろうか。それともコスプレ大会を荒らすつもりか? 何だかよくわか
らない。よくわからないが、言えることがひとつだけある!
カリスマ美容院は今日も予約でいっぱい!
おわり
- 61 :
- いいね
日本人形が一番面白かったけど
- 62 :11/11/18
- age
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