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2011年10月1期新シャア専用新機動炭酸コーラサワーW 模擬戦6戦目
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新機動炭酸コーラサワーW 模擬戦6戦目
- 1 :10/01/25 〜 最終レス :11/12/07
- このスレは我らがパトリック・コーラサワー他00の面々とWの皆さんの
日常を描いた心温まるスレです。
00が終わってもコーラとカティがゴールインしてもこのスレはまだ終わりません。
<<前スレ>>
新機動炭酸コーラサワーW 模擬戦5戦目
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/shar/1238488720/
<<過去スレ>>
新機動炭酸コーラサワーW 模擬戦4戦目
ttp://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/shar/1218545997/
新機動炭酸コーラサワーW 模擬戦3戦目
ttp://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1210763914/
新機動炭酸コーラサワーW 模擬戦2戦目
ttp://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1204543589/
コーラーサワー主人公でW作り直そうぜ
ttp://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1191923320/
<<まとめ>>
ttp://arte.wikiwiki.jp/
ここのクロス(ガンダム)の「00-W」にあります。
- 2 :
- 主な登場人物
*プリベンターと、その関係者*
(日々、世界平和の為に戦ったり、戦わなかったりする)
パトリック・コーラサワー
主人公。コードネームはプリベンター・バカ。
プリベンターが誇る一号。
何か行動を起こすたびに問題が発生するスペシャルバカ。
元AEUの少尉らしいが退役した理由は不明。
何が起きても生還率100%。
今日もわが道を突き進む。
グラハム・エーカー
コードネームはプリベンター・アホ。
プリベンターの二号。
独特の美意識を持ち、発せられる言葉はグラハム語と称される。
ガンダムラブでプリベンターにきたらしいが詳細は不明。
五飛の師匠(ガンプラの)
アラスカ野ジョシュア
コードネームはプリベンター・マヌケ。
プリベンターの三号。
グラハムによってむりやり加入させられたかわいそうな人。
あげくコーラさんによって呼称が「アラスカ野」になってしまった。
すげえヘタレ。
3馬鹿の中では意外とまとも。
ヒイロ・ユイ
コードネームはプリベンター・ウイング。
Wの主人公だがここでは影が薄い。
MS(ミカンスーツ)の操縦から家事全般まで何でもこなす。
リリーナの漫才がトラウマとなる。
デュオ・マックスウェル
コードネームはプリベンター・デス。
お調子者。
立場上自然とつっこみ役になる(というか唯一の突っ込みキャラ)。
喋る回数はコーラさんに次いで多い。
トロワ・バートン
コードネームはプリベンター・ウエポン。
口数は少ないがやるときはやる男。
『しまっちゃうおじさん』を恐れる、妄想少年。
- 3 :
- カトル・ラバーバ・ウイナー
コードネームはプリベンター・サンド。
プリベンターの良心。
の筈だが意外と黒い。一度キレると誰も止められない。
張五飛
コードネームはプリベンター・ドラゴン。
得意技はコーラサワーいじり。
強引すぎる手段で事件を解決しようとする。
グラハムの策略によってガンプラ作りにはまる。
サリィ・ポォ
コードネームはプリベンター・ウォーター。
プリベンターの現場部隊のまとめ役。
コーラさんの暴走に頭を痛める毎日。
ヒルデ・シュバイカー
コードネームはまだない。
キレたら怖い。
得意技はフライパン投げ。
レディ・アン
コードネームはプリベンター・ゴールド。
プリベンターのリーダー。
本編にはあまり登場しないが、コーラさんやグラハムの加入を認めるある意味心のデッカイ人。
シーリン・バフティヤール
コードネームはまだない。
皮肉屋メガネ。
レディ・アンの秘書みたいなことをしているらしい。
ビリー・カタギリ
みかんエンジンを発明した天才科学者。
喋りだすととまらない。
プリベンターに自身の開発した発明品を提供してくれる。
グラハムの一応友人。
マリナ・イスマイール
プリベンターのスポンサーその1。
この世界ではプチセレブ。
重度のショタコン。
20歳以上の男には容赦無くスタンガン攻撃を食らわせる。
- 4 :
- ドロシー・カタロニア
プリベンターのスポンサーその2。
自身の屋敷の庭にはイカしたセンスの像が沢山立ち並んでいる。
本編と同じく、気分屋と見せかけて意外と色々考えているお嬢様。
リリーナ・ドーリアン
外務次官。
ドロシーとお笑いコンビ『リドリロ』を結成。
夢はM●1グランプリ優勝。
ヒイロの恋人。
*マイスター運送*
(『24時間何処でも何でも運びます』がモットーの民間企業)
刹那・F・セイエイ
マイスター運送の配送係。
無愛想。
ハローキ●ィちゃんマニア。
アレルヤ・ハプティズム
マイスター運送の配送係。
客に愛想の悪い刹那をたしなめた。
ロックオン・ストラトス
マイスター運送の配達係。
事実上マイスター運送のまとめ役。
問題児が多く気苦労が絶えない。
ティエリア・アーデ
マイスター運送の配送係。
愛銃(水鉄砲)『ヴァーチェ』を携帯している。
絶望するのが日課。
リヒテンダール・ツエーリ
マイスター運送の配送係。
陽気な性格。
同僚のクリスティナ・シエラに片思い中。
デュオと仲が良い。
スメラギ・李・ノリエガ
ビリーの同窓(ビリーには九条君と呼ばれている)。
一升瓶を持った酔っ払い。
- 5 :
- *人類革新重工*
(『揺り籠から墓場まで』が社訓。ここ数年、日の出の勢いで伸長を遂げている気鋭の企業)
セルゲイ・スミルノフ
人類革新重工の商品開発部部長。
心の俳句を詠む。
俳句を詠む前は必ずブツブツと呟く。
ソーマ・ピーリス
セルゲイの秘書。
現在「バケラッタ」という言葉にこだわっている。
コーラサワーと奇妙な友情が芽生える。
ミン
人類革新重工の商品開発部係長。
中間管理職。
このスレでは数少ない普通の人。
*その他、頻繁に登場する人々*
カティ・マネキン
元AEU大佐。
現在は歌手デビューし、世界の歌姫として各地を飛び回っている。
なんだかんだでコーラサワーの事が好き(?)
アリー・アル・サーシェス
別名ゲイリー・ビアッジ、またはひろし。
PMCのちょっかいかけ担当。
世界が平和になって仕事がなくなったのでプリベンターを逆恨みしているが、 いつもやられている。
武器はソッコ君もびっくりの異臭靴下と健康にいいアグリッサ。
トリニティズ
トリニティ運送に勤める三人兄妹。
ヨハンは腹黒、ミハエルは客にけんかをうる問題児、ネーナは天然。
コーラサワーの女たち
何人いるかわからないコーラさんの愛人。
コーラさんいわく、プリベンターに入ってからはそっち方面は自重しているらしい。
看護婦
新人ながらコーラ番にされてしまったかわいそうなナース。
コーラさんが入院するたびにさんざんな目にあっている。
- 6 :
- ラッセ・アイオン
マイスター運送の配送係。
このスレにおいては完全なるノンケ。
ホモネタを振られると本気で泣く。
マリーメイア・クシュリナーダ(バートン)
レディ・アンと共に暮らす。
年齢の割りに大人びておりクールな性格。
コーラサワーに懐いている。
ミレイナ・ヴァスティ
プリベンターを離れたシーリンの後任としてやってきた。
重度のラノベマニアで、コーラサワーの天敵2号。
アンドレイ・スミルノフ
セルゲイの部下にして実子。
優秀な父親が重荷らしい。
元OZだが、崩壊前に上手く離脱出来た様子。
コーラサワーに「ドレイ」とあだ名をつけられる。
リボンズ・アルマーク
世界的なアイドルグループ「イノベイター」のリーダー。
なんかアリーを使っていらんことを考えているらしい。
相当裏の世界に通じている様子。
ちなみにマネージャーはあのアレハン様らしい。
- 7 :
- >>1GJ
キャラ紹介もかなり前のになってきたな、と思ったので、
ごめん、即死回避もこめて主要キャラだけ現状にあわせようとやってみた
<プリベンター>
政府直結の組織。
本部は政府の首都(ブリュッセル?)の議事堂内。
トップはレディ・アン、現場リーダーはサリィ・ポォ。
いまだ不安定な統一政府の平和を、裏から守る隠密同心。
死なないから屍拾う者なし。
パトリック・コーラサワー
主人公。
だいたい33、34歳。
コードネームはプリベンター・バカ。(もっとも、コードネームはほとんど使用されない)
MS(ミカンスーツのこと。以下この説明は略)は専用ネーブルバレンシア→シークヮサー。
プリベンターでもマイペースのスペシャルっぷりは相変わらずで、メンバーの頭痛の種。
ただし、時としてその無茶苦茶な行動力・発想力が事態の打開を促すことがある。
二部から三部にかけて、ついに晴れてカティ・マネキンと結婚、現在幸せ真っ盛り。
とにかく動くたびに問題がおこる。
グラハム・エーカー
別名ミスター・ブシドー。
だいたい32、33歳。
コードネームはプリベンター・アホ。
MSは専用ネーブルバレンシア→カラタチ。
ガンダム大好きが嵩じて不意打ちでプリベンターにやってきた。
日本カブレで、意味も無く仮面を被ってブシドー状態になったりならなかったり。
ビリー・カタギリが製作中のカラタチの完成が待ち切れないようで、やっぱり我慢弱い男。
趣味は修行。
ジョシュア・エドワーズ
別名アラスカ野。
アニメでは一期で早々に脱落しているので、年齢は一期当時のまま。
コードネームはプリベンター・マヌケ。
MSは専用ネーブルバレンシア→紅鮭。
グラハムがプリベンターに入る時に彼によってムリヤリ引き込まれてしまった。
三巨頭の中では比較的まともだが、それだけにコーラサワーやグラハムのオモチャと化す。
好物はサーモン。
あとものすごいヘタレ。
- 8 :
- ヒイロ・ユイ
年齢はおそらくEWの直後。(他のWキャラも同じか?)
コードネームはプリベンター・ウイング。
MSは専用ネーブルバレンシア→タンゼロ。
もともと口数が少ないキャラクターなので、あんまりセリフがない。
ただ、ガンダムパイロットの中では張五飛と並ぶ武断派。
結構ぶっとんだこともするほうで、他のガンダムパイロットをプリベンターに集める時、かなり無茶な方法を使っていた。
リリーナとの関係は相変わらずのそのそといった進展具合の様子。
デュオ・マックスウェル
コードネームはプリベンター・デス。
MSは専用ネーブルバレンシア→マンダリン。
ガンダムパイロットの中で一番陽気で面倒見がいい性格なのが運の尽き、なんだかんだでコーラサワーのお守役に。
会話も多く、おそらくこのスレの中でコーラサワーの次にしゃべっている回数が多いのは彼のはず。
もうスレの過半がコーラサワーのボケと彼のツッコミでなっている漫才といっても過言ではない。
気の良い常識人は損をする、という天然色の見本。
張五飛
コードネームはプリベンター・ドラゴン。
MSは専用ネーブルバレンシア→バンペイユ。
デュオのツッコミが言葉ならば、彼のツッコミは拳。
必技は人間ミサイルで、事件の解決手段としてコーラサワーをぶん投げることもしばしば。
コーラサワーがボケの大暴走をかました時、最後に黙らせるのは彼の武術かヒルデのフライパンと相場が決まっている。
グラハムによってガンプラ作りに目覚めたらしい。
カトル・ラバーバ・ウィナー
コードネームはプリベンター・サンド。
MSは専用ネーブルバレンシア→シトロン。
いわゆるボンボンで、スレではウィナー家の副当主もやっているいそがしい人。
家のほうからお茶っ葉やおかしをいろいろ持ってきているらしい。
コーラサワーとからむこともあるが、あまり会話ははずまない様子。
あと、本気でキレると一番こわい。
トロワ・バートン
コードネームはプリベンター・ウエポン。
MSは専用ネーブルバレンシア→タンジェリン。
無口な男二号、であるからして自然とセリフは少ない。
それだけに時折見せる強硬な姿勢とセンスの域を超えた前髪が彼のチャームポイントか。
コーラサワーとはほとんどと言っていいほどからまない。
なお、案外こわがり?
- 9 :
- サリィ・ポォ
年齢は20代後半?
コードネームはプリベンター・ウォーター。
現場でコーラサワーやらガンダムパイロットやらを指揮する立場にある人。
まじめで優秀だが、裏を返せばコーラサワーにふりまわされまくりともいえる。
最近目じりにシワが増えてきたらしい。
あだ名はオデコ娘一号。
ヒルデ・シュバイカー
コードネームはない。
デュオがプリベンターに加入した時、一緒にくっついてきた。
ある意味、コーラサワーの日常における最大の天敵。
必技はフライパンアタック。
あだ名はオデコ娘二号。
ミレイナ・ヴァスティ
年齢は00二期終了時?
コードネームはない。
反省府組織カタロンにうつったシーリンの後釜として、レディ・アンの秘書になった少女。
ドがつくオタク。
別の意味でコーラサワーの日常の天敵。
あだ名はオデコ娘三号。
レディ・アン
コードネームはプリベンター・ゴールド。
プリベンターの責任者。
本部とは別にある執務室にいるか、または出張しており、いそがしいようす。
なので何とスレ初期からいるキャラにもかかわらず、まだセリフがない。
コーラサワーやグラハムの加入を認めちゃう、ある意味心がデッカイ人。
ビリー・カタギリ
正式なメンバーではないが、MSをはじめとしてプリベンターの活動に大きく貢献している人。
諸科学に強く、ミカンの皮を燃料にして動くエコドライブ「ミカンエンジン」を開発した。
その頭脳はノーベル賞クラスだが、とにかくくを語りはじめると止まらない。
のほほんとした人柄で、グラハムとは親友。
ガンクロ倉庫のまとめを読み返しつつやってみた
ウザかったらすまない、まちがいがあったらもうしわけない
- 10 :
- hosyu
hosyu
- 11 :
- 即死回避
- 12 :
- >>1乙〜
- 13 :
- >>1&土曜氏乙
- 14 :
- 即死判定はレス何番くらいまで?
とりあえずそこまで進めて生存確定させたほうがいい?
- 15 :
- ほしゆ
- 16 :
- 今のところ生存を確認できてる職人さんは土曜日氏と不定期氏と模倣氏か……
名無しでもネタを投下しちゃってくれていいのよ
- 17 :
- なにしろほぼ週一で投下があるスレだからなw
- 18 :
- (大体)毎週続きが投下されるスレは貴重だ
土曜日さんは実にエレガントイヤッフだと思う
- 19 :
- 星湯
- 20 :
- 最近規制多いなあ
- 21 :
- ほし
- 22 :
- ミレイナ・ヴァスティ。
プリベンターのリーダーであるレディ・アンの秘書を務める少女。
歳はまだ14、世間一般から見れば尻が青いどころか、社会人としてすら認められない年齢である。
が、ところがどっこいしょ。
彼女、相当の才媛だったりする。
各種技能を持ち、前任のシーリン・バフティヤールの後を継いで、まったくの不足無く大役をこなしている。
「ふふーん、今日もよく働いたですぅ」
レディ・アンは世界中を飛び回っている激務であるからして、当然その秘書もかなり忙しい。
だが、山のように積み上げられている実務も、彼女の力でかなり軽減されている。
人は見かけによらない、その典型と言ってもいいかもしれない。
「さーて、帰ったら『とある六法全書の誤字探し』の続きを読むですぅ」
しかし、歳相応の趣味ももちろん持っている。
それは、ラノベ、マンガ、アニメ等が大好きというところ。
つまりは、重度のオタクなのである。
現代の輝けるオタクの一番星、それが彼女、ミレイナ・ヴァスティなのだ。
「と、その前に本部に寄ってお茶でも飲んで行くですぅ」
ですです語尾がどーにかなんないかとも思うわけだが、ま、これも彼女の個性なのであろう。
なお、彼女の両親、イアンとリンダはマイスター運送の重役である。
ミレイナがどうしてシーリンの後釜になったかは、まあ簡単な話、レディ・アンとヴァスティ夫妻が知り合いだったから。
レディ・アンの人脈は、大海のように広い。
ついでに言っとくと、前任のシーリンもそうだし、マイスター運送の現トップスメラギ・李・ノリエガ、
コーラサワーの嫁のカティ・マネキン、グラハムの親友で在野の天才ビリー・カタギリ、彼の師匠のレイフ・エイフマン、
この辺りも彼女の知人であるからして、その気になれば大同団結を組んで世界を制覇することもあながち不可能ではあるまい。
多分、おそらく。
「おーおー、相変わらず騒々しいところですぅ」
ミレイナはプリベンター本部のドアを開けて、中へと入った。
「はーいどーも、ミレイナちゃんですぅ」
彼女が口にした通り、今日も本部は騒がしかった。
主に、一人の男を中心にして。
◆ ◆ ◆
- 23 :
- プリベンター本部が静かな日は少ない。
パトリック・コーラサワーが休みな日を除けば、大抵うるさい。
彼がハネムーンに行っている間は、実に穏やかな日々であった(そうでもないかもしれんが、武士面さんとかいるので)。
「今日も賑やかですぅ。で、いったい何の話なんですかあ?」
「あらミレイナ、いらっしゃい」
「はーい、ヒルデさん、こんにちはーですぅ」
ミレイナはヒルデ・シュバイカーと仲が良い。
同性であり、年齢も近いことから、自然と関係が育まれていった。
まあ自然っつってもある意味ミレイナの趣味の押し売りだったわけだが、まあそれは置いておくべきであろう。
ちなみに、ヒルデは幸いにもオタク光線に感化されなかった。
その辺りは一歩退きつつも良好な関係を築いていくのが、オトナの付き合い方というものであろう。
まあヒルデはミレイナと一歳程しか違わない少女ではあるが。
「見ての通りよ」
「はあ、またまたスペシャルさんですねえ」
「またまたまたアイツよ」
ミレイナはコーラサワーのことを『スペシャルさん』と呼ぶ。
なかなか色々な意味が含まれていて、実に良い呼称である。
グラハム・エーカーについては素面状態時は普通に『エーカーさん』、お面状態時は『ブシドーさん』と呼び分けているのだが、
その辺りはミレイナ、結構天然で皮肉家の素質があるのかもしれない。
「で、どーいったことからまたこんなに揉めまくりやがってるんですぅ?」
「ま、聞いてみたら? やり取りを」
「はいはーい」
ヒルデの言葉に、ミレイナは頷くと、ひょいと喧噪の中心地である休憩室を覗いた。
中では、何時もの如く何時ものように、コーラサワーとデュオ・マックスウェル、そしてガンダムパイロットたちが激論を交わしているのだった。
漫才という名の激論を。
「簡単な話だぜ、ズバッとやってバシッと撃ってドギャッと片付ける! これで解決だ」
「擬音ばっかり使うな、説明能力が皆無かお前は」
「デュオ、つっこむだけ無駄だ」
コーラサワー達が何を話しているのかというと、
くいっと纏めて簡単に言ってしまえば、『籠城したテロリストを如何にとっ捕まえるか』ということになる。
「仮にもAEU時代に一つの部隊の指揮を取ってた人間がこれでいいのかねえ」
「今更な話ですね、結構」
休憩室にいるのは、コーラサワーとデュオ、そしてカトル・ラバーバ・ウィナー、ヒイロ・ユイといった面々。
張五飛とトロワ・バートンはサリィ・ポォの御供で只今出張中、
グラハム・ブシドー・エーカーさんは毎度の如くビリー・カタギリの研究所で我慢弱い性を全開にしていて不在である。
哀れなアラスカ野・サーモンことジョシュア・エドワーズも無理矢理にグラハムに同行させられており、
うん、何と言うか、グラハムさんちゃんと仕事しろ、と。
「何だか楽しそうな話ですぅ、私も混ぜてもらって構いませんかあ?」
「ああミレイナか、別に楽しくも何ともないぜ?」
「余計な刺激さえしなければ、いいですよ」
「……しそうだがな」
不意のミレイナの参戦に、ちょっとばかり眉を顰めるデュオたち三人。
今までコーラサワーにこの娘が絡んで、落ち着いた結末を迎えたことがあまり、いやほとんど無いのだ。
- 24 :
- 「でまあ、かくかくのしかじかというわけだ」
「ふーん、そーなんですかあ。うーん、ミレイナはちょっと専門外ですぅ」
ミレイナの本領はデスクワーク(とオタクワーク)にあり、切った張ったはまるっきりの対象の外。
一応護身術的にジュードーのイロハはマスターしているが、大の男が一人ならともかく、集団でかかってきたらもうアウト、といった程度だ。
まあ彼女の体格からすれば、それでも十分過ぎるっちゃ十分なのだが。
「立て篭もりなんざあ、脅せば一発だ。ドカンと撃ち込んでだな」
「人質がいたらどーすんだよ、巻き添えだぞ」
「捕まる方が悪い」
「仮にもプリベンターの一員として言うべき台詞じゃねーぞ、それ」
とまあ、ミレイナが来るまでコーラサワーをはじめとする面々は、こーいったやり取りを繰り返していたわけである。
コーラサワーの作戦はぶっちゃけて言うと、大味の極端。
緻密さの欠片も無く、やはりどこまでも現場で駒として使われてナンボな人材だと謂わざるを得ないわけで、
今更ながら、デュオ達は彼と同僚であることの不幸を噛み締めまくっている次第。
「流石はパーソナルジェットで天空に突撃をしただけのことはあるな」
「褒めるなよ」
「褒めてねーよ」
これで軍人時代から今まで、大きな怪我を戦場で負ったことがないというのだから、
余程強運の女神様に好かれているか、不真面目な死神に取り憑かれているかのどっちかとしか言い様が無い。
プリベンターに来てからの怪我も、無茶故の自爆かそれともヒルデ、五飛辺りのツッコミの結果が多く、敵の攻撃の因るものは皆無と言っていい。
「そうは言うけどお前ら、ちゃんと色々解決してきてるだろ? この天才・コーラサワーの手腕で」
「偶然が偶然を呼んでいるだけだけどな」
「ま、まあ、偶然を呼びこむのも力かもしれませんけどね」
「それを最初からアテにして戦いたくない。少なくとも俺は」
密漁事件、アザディスタン事件を終息に導いたのは間違いなくコーラサワーである。
それは、デュオやヒイロも認めるてはいる。
だがやはりそれは、説得力の無い説得で犯人を無理矢理に自首に追い込むようなもんで、
個人プレーが生み出した運命のラッキーな一滴に過ぎないのだ。
ある意味、奇跡の範疇と言えるだろう。
「だいたいよ、相手が引き籠ってるならよ、表に引きずり出しゃいいんだろ?」
「それが一番難しいんだよ」
「簡単じゃねーか、空調を操作して室内にコショウをぶちまけるとか」
「はあ?」
「ガラスを引っかく音をスピーカーに流すとか」
「はああ?」
「美味い食いモンを表に並べておびき寄せるとか」
「わあ、スペシャルさんの作戦、まるで子供向けのアニメみたいですぅ」
「ああ、大人の殻を被った子供の脳味噌から出た発想だからな」
「あ、でも子供に失礼かもしれないですぅ、今時のちっちゃい子、結構賢い子が多いですぅ」
「そーいや以前、幼稚園児に馬鹿にされてたことがあったな……」
ミレイナとデュオ、言いたい放題。
二人の年齢をプラス二十程すればコーラサワーの歳なのだが、普通ここまで言われまくる三十代半ばもおるまい。
- 25 :
- 「おおそうだ、籠っている建物を建機でぶっ壊して追い出す、ってのは」
「コーラサワーさん、もう犯人も人質の命も完全に無視してますよ」
「それは違うぜ坊っちゃん、犯人に人権は無い! 人質もヤバいと思ったら逃げ出す努力をしろってんだ、待っている方が悪い!」
「流石にそれ、冗談ですよね?」
「いや、本気だろこれは」
コーラサワー流のやり方をコーラサワー流で説明される。
これでは理解しろという方がもうどだい無理な話である。
「スペシャルさん、前から結構思ってましたけど、頭の中が鮒寿司とシュールストレミングとクリスマスプティングとブート・ジョロキアがミックスですぅ」
「どーいう意味だよ、オデコ娘三号」
「深く考えないで良いですぅ、半分勢いで出た言葉ですぅ」
「ふうん、そーなのか」
「……これで納得しちゃう辺り、スペシャルさんは根は良い人なんですかねえ」
「極悪人じゃないのは確かだな」
「個性的、ですよね」
「ああ、世界に誰一人とて並ぶ者がないくらいのな」
デュオ達は肩をすくめた。
そして、溜め息をついた。
コーラサワーのスペシャル過ぎるプランに対して出来るのは、それだけしかなかった。
いや、それだけじゃ本当は駄目なのではあるが。
「まあ、味方は全員無事、人質も無事、犯人逮捕ならどーいう過程だってオッケーですぅ」
「ミレイナ……それだとアイツと同じってことになるぞ」
「いや、無論個人プレーや偶然に頼らない過程、ってことですぅ。詳しい内容はサリィさんにお任せ、ということで」
「サリィの小ジワと白髪が増えるってことか、結局」
デュオはもう一度、溜め息をついた。
そして内心で決めた。
サリィは外出中だが、この論争(?)は報告しないでおこう。
現場でならもうしょうがないが、本部での出来事でサリィに余計な心労をかけてはいけない。
そう、小ジワと白髪の増加を促進させるような……と。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の度は続く―――
前スレ最後容量ギリギリにしてしまってすいませんでしたコンバンハ。
誤字脱字がありましたらごめんなさいサヨウナラ。
- 26 :
- 土曜日氏乙!
ミレイナwwwww
- 27 :
- 保管の人も乙
しかし携帯また規制かよ、これでPCも規制かかったら2ch全滅じゃねーのか
- 28 :
- hosyu
- 29 :
- まとめの話数を見ると、よくここまで続いたものだと思う
- 30 :
- 土曜日さん乙です!!
>>27
俺はOCNだが、今日になってやっと規制解除されたよ…
- 31 :
- ケータイとパソがダブル規制くらったらどうしようもないからなー
巻き込まれないことを祈るしかできないし
助けてコーラさん!
- 32 :
- 保守
- 33 :
- ビリー・カタギリは天才。
これは、マゴウカタナキ事実である。
ミカンの皮を燃料にして動くエコドライブ「ミカンエンジン」を開発し、
さらにはそれを積んだMS(ミカンスーツ)まで自前で作ってしまうのだから、もう天才と言うっきゃない。
例えセンスがちょっと微妙であろうとも何程のことがあろうか。
優れた才能の前に、いささかのセンスの欠乏など、砂の一粒レベルのマイナス点でしかないのだ。
多分。
「しかし、ようやく完成か」
「えらく時間がかかったもんだな」
「まあしょうがないですよ、何しろ博士一人でやっているわけですから」
「しかもアレだしな、ずーっと我慢弱い男にまとわりつかれての仕事だからな」
「今日も行ってるそうだ、研究所に」
「……最早それが仕事だな」
プリベンターの本部は、今日は弾んでいた。
そう、とうとう新型MS(ミカンスーツ)の完成が、ようやく近づいたのであった。
プリベンターのメンバーが使用していたMS(ミカンスーツ)、ネーブルバレンシアは、
アザディスタンでのアリー・アル・サーシェスとの戦闘で、ボロボロになってしまった。
強大な敵に抗する力を持つ必要性に迫られたプリベンターは、ビリー・カタギリにそれぞれの専用機の製作を依頼し、
そしてようやく長い開発と調整の期間が、今終わろうとしているところだった。
新型は外見とネーミングセンスに少し注文をつけたくなる出来だが、
まあそれは十分に我慢の許容範囲であるからして、メンバーに文句は無かった。
と言うか、ほぼ無償で戦力を提供してくれるのだから、ありがたい以上のナニモノでもないわけで。
「だが、またガンダムに乗ることになるとはなあ」
「ガンダムじゃないけどな、ガンダムじゃ」
「ああ、確かに」
「それでいい。ナタクは、ガンダムは役目を終えた。だから、こだわる必要もないはずだ」
ガンダムというMS(これはモビルスーツ)に、ヒイロ・ユイをはじめ、ガンダムパイロットたちは愛着を持っていた。
今、ガンダムはもうこの世に無い。
張五飛が語った通り、彼らの愛機はその役目を終え、永遠の眠りについたのだ。
今更その名前を引っ張り出しても、それぞれの相棒への冒涜にしかならないだろう。
新たな剣には、新たな名前と新たな役割を。
それでいいはずだった。
「イヤッホー、とうとうシークヮサーが出来あがるわけだな!」
で、もちろんこの男、パトリック・コーラサワーもはしゃいでいた。
「お、ちゃんと発音出来てるじゃないか」
「当たり前だぜ! 夫婦水入らずで特訓したからな、発音の!」
「……何やってんだか」
- 34 :
- 新型機の名称は、パトリック・コーラサワー機が『シークヮサー』。
AEU出身のコーラサワーに合うように、イナクトのデータが使われている。
近遠両面に対応出来る、万能型と言えるMS(ミカンスーツ)である。
我慢弱い武士ことグラハム・エーカー機が『カラタチ』。
ユニオン時代からグラハムの嗜好を知り尽くしているだけに、グラハムがぞっこん惚れ込む程の出来栄えになっている。
近接戦闘に特化してあり、集団戦よりもタイマン勝負に向いている機体と言えるだろう。
アラスカ野ことジョシュア・エドワーズ機は『紅鮭』。
ヘタレ根性丸出し、ではない、後方からのサポートを役割として考えられた機体である。
両腕に装備されたシールド、そして狙撃型の強化トリモチガンが標準装備となっている。
ヒイロ・ユイ機は『タンゼロ』。
剥かれたミカンの皮のような四枚羽根が特徴で、スピードに長け、長距離を駆けての先制、一撃離脱をスタイルとするMS(ミカンスーツ)である。
近距離戦も十分に対応可能で、トータルバランスで言えば最も優れているかもしれない。
デュオ・マックスウェル機は『マンダリン』。
瞬間的な機動性が特徴であり、さらには電波妨害装置により、隠密性も高い機体である。
特殊装甲の『オレンジクローク』で防御力もあり、後方撹乱、単独潜入に向いていると言える。
張五飛機は『バンペイユ』。
カラタチ以上に接近戦を重視されたMS(ミカンスーツ)で、風貌もどことなく猛々しい龍(と、ミカン)を思わせる。
ちなみに、漢字で書けば『晩白柚』となる。
カトル・ラバーバ・ウィナー機は『シトロン』。
高い防御力と索敵能力を持ち、言わば指揮官機のような趣きになっている。
サリィ・ポォの下でサブリーダー的な役割を務めるカトルには相応しいMS(ミカンスーツ)であろう。
トロワ・バートン機は『タンジェリン』。
これは完全に中〜遠距離専用機で、複数のトリモチガン、粘着ミサイル、捕獲ネットを装備しており、
多数を相手にする時に相当の力を発揮することが出来る仕上がりとなっている。
「これで群がる敵どもをギッタンギッタンになぎ倒していけるぜ!」
「ギッタンギッタンになぎ倒されなきゃいいけどな」
「前に立ちふさがる馬鹿どもを、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ」
「言っとくけど、あくまで俺達のMS(ミカンスーツ)は相手を取り押さえる為のものだからな? 破壊する為のものじゃないぞ」
「つまんねーこと言うんだな、みつあみおさげ」
「プリベンターを何だと思ってんだよ、お前」
そう、プリベンターは隠密同心的な組織とは言えど、相手を斬ってはいお終い、が出来ない。
裏に潜む無法の者どもを白日の下に叩き出し、法の裁きを受けさせるのが彼らの仕事なのだ。
まあ、現状のミカンエンジンの出力では、どう足掻いてもバスターライフル等の重火器は積めやしないのだが。
「さて完成と決まれば、あとはあのヒョロヒョロ赤鬼をぶち倒すだけだ」
「まだ出てきてないだろ」
「そのうち出てくる」
「……まあ、そうかもしれんが」
コーラサワーが言うところのヒョロヒョロ赤鬼、つまりソンナコト・アルケーは、アリー・アル・サーシェスの乗機である。
分離球体式武器のハッサクを操り、アザディスタンではプリベンターを壊滅寸前にまで追い込んだ強敵だ。
「結局、カタギリ博士の研究所からデータを盗んだってことになるんですよね」
「それ以外の可能性がないからな」
アリーがソンナコト・アルケーを持つに至った経緯は、未だ闇の中。
だが、ミカンエンジンを積んでいる以上、ビリー・カタギリの研究所のPCをハッキングしたとしか考えられない。
「奴一人の仕業なのか、それとも」
「黒幕がいるのか……」
プリベンターの現場リーダーであるサリィ・ポォは、黒幕がいる説に現在傾いている。
そして、それはガンダムパイロット達も同様である。
アリーに援助している裏のスポンサーがいる、と考えた方が自然だからだ。
- 35 :
- 「まあ、奴をとっ捕まえなきゃ始まらないわけだ」
「ふん、いずれ首根っこを押さえ、芋づる式に関係を洗っていってやる」
プリベンターに敗北は許されない。
負けはすなわち、闇の勢力に対する手段を表の世界が失うということである。
統一政府の、人類の平和を守るためには、必ず勝ち続けなければいけないのだ。
「まー見てろって、このスペシャルなエース様、パトリック・コーラサワーがまた奴に勝ってみせるからよ!」
「野球法は、もう通じんと思うが」
「なぁに、ならば今度はサッカー戦法だ」
「普通に戦えないのかよ、お前は」
アザディスタンでは、コーラサワーのバッティング攻撃で逆転一発、アリーを退けた。
だがアリーも戦闘にかけてはプロ中のプロだけに、同じ轍を踏む可能性は低い。
パワーアップしたMS(ミカンスーツ)で、プリベンター一丸となってアリーとソンナコト・アルケーを退治しなければならない。
「そう言えば、カタギリ博士が言ってたぞ。シークヮサーだけスペアパーツを多めに作ってある、って」
「どーいう意味だそりゃ」
「決まってるだろ、一番よく壊すからだよ、間違いなく」
「何だと―!? ナメやがって、あのポニテ博士ー!」
「正しい判断ですね、きっと」
「ぼっちゃんまでそんなこと言うのかよ!」
「破損第一号は、賭けをしなくても明白だな」
「なんじゃーそりゃあ!」
新型の完成を控え、意気の上がるプリベンターなのであった。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの旅は続く―――
コンバンハ。
規制巻き込まれが怖いですサヨウナラ。
- 36 :
- 土曜日塩津
>夫婦水入らずで特訓したからな、発音の!
なんか女教師と不良生徒みたいな夫婦だ
- 37 :
- この物語はどうやったら終わりになるのか
まったく想像がつかんゴクリ
- 38 :
- 土曜日さん乙
>規制巻き込まれが怖いです
確かに、最近規制が多いですからねえ…
- 39 :
- 保守
- 40 :
- 映画は九月らしいね
- 41 :
- >>40
そうなのか、楽しみだなあ
- 42 :
- >>40
映画でもコーラは不死身で居られるかなあ
- 43 :
- >>42
脚本の人曰く「彼は永遠に彼のまま」なので、不死身は変わってないんじゃね
- 44 :
- 二月十四日。
独り者には辛い日である。
チョコなんざ欲しくねーや、食いたければ普通に店で買うからいいもんねふんふーん。
……などと強がっているうちは、永遠に意中の人からは貰えまい。
悔しいことだが。
まあ現在の日本ではイベント化しているが、詳しい由来等はネットで調べればすぐわかる。
なので、ここでは特に説明はすまい。
つうか、行数が稼げるけど、書いてて虚しくなるし。
物凄く。
「はい、あげる!」
「……? あ、その、ええと、これは?」
「……今日、何の日だと思ってるの?」
「はい、ええと、その、二月十四日で、セントバレンタインデーだね」
「なら、そういうことじゃない」
統一政府の首府の、とある公園のさらにとあるベンチ。
天から注ぐ陽光に草花の香りが優しく乗り、冬の終わりが徐々に感じられるこの日、
一組のアッツアツやぞなカップルが、バレンタインデーという祝祭を存分に楽しもうとしていた。
「何でそこで戸惑うのよ、沙慈」
「いやあ、何でだろうね。はは、ははは」
「だいたい、付き合い始めてから毎年バレンタインにはチョコをあげてるのに」
「そうだね、うん。ごめんね、ルイス」
沙慈・クロスロードと、ルイス・ハレヴィ。
沙慈はJNNTVの報道アナウンサー、絹江・クロスロードの弟で、現在大学で宇宙工学を専攻している学生である。
ルイス・ハレヴィは富豪ハレヴィ家の一人娘で、沙慈と同じ大学に通っている。
沙慈と絹江がまだ東京で暮らしていた頃、留学生としてルイスが沙慈と同じハイスクールに転入してきて、それ以来の付き合いになる。
統一政府の誕生、絹江のJNN(ちなみに、ジェットニュースネットワークである。ジャパンニュースネットワークではない)本社への異動、
ハレヴィ家の首府への引っ越しなどが重なり、無事今日までその愛を育み続けているという次第である。
「はっくしゅん!」
「大丈夫? まだ寒いんだから、コートは必要だよ」
「わかってるよぅ。でも新しく買ったこの服を、沙慈に早く見せたくて」
「いや、その、嬉しいんだけど、風邪をひいたらまずいよ」
ふわりと一陣の風が舞い、二人が座っているベンチを包む。
すっかり雰囲気が春色な二人だが、積極的なルイスに振り回される沙慈、という構図は未だに変わらず、
男女の仲というより、男の子と女の子の仲、といった感じが強い。
沙慈は「まだ僕も彼女も若いんだから、ゆっくり進めばいいや」と考えている節があり、
ルイスがじれったいモードに入って我儘が加速してしまうことも度々ある。
- 45 :
- 「早速食べてくれるかな」
「え、ここで?」
「もちろん」
「うーん」
「何よう、問題でもあるの?」
「い、いや、もったいないかなーって思って」
まあ何にせよ、二人なりの恋愛の形であるとは言えるだろう。
どちらかが駆け足ではいけないのだ、こういうのは。
二人三脚でペースを互いに合わせることで、愛という樹木は枝を成長させていくのだから。
「わざわざ手作りでこしらえた身としては、早く食べて欲しいんだけどなー」
「……うん、そうだね。じゃあ、いただくよ」
「ほんと?」
「こんなことで嘘言ってもしょうがないじゃないか」
両親はすでに他界してしまっているが、姉と二人暮らしで生活に問題はなく、
夢であるコロニー技師への道を真っ直ぐ進んでいる沙慈。
さらに彼女は金髪美人でお金持ち、トドメにベッタベタのベタボレ。
リアルが充実しているとはこういう人間のことを言うのだろうか。
「うわ、これってチョコレートケーキ?」
「えへへ、頑張ったんだから」
「凄いね。……うーん、凄いんだけど」
「な、何? 何かダメなところでもある?」
「いや、やっぱりここでは食べられないな、って」
「……どうして?」
「切り分けるナイフも無いし、フォークも無い。このままパクついたら形が崩れちゃうよ」
「あ……そうか、そうだね」
「だから、やっぱり後で食べるよ。……僕の家で」
「ね、じゃ、行っていい? 一緒に」
「もちろんだよ、一緒に食べよう。ああ、姐さんが買ってきた良い紅茶の葉があるから……」
うーん、甘酸っぱい。
輝いている青い春、溢れる若さと純粋さ。
「あ、そうだ」
「なあに?」
「刹那が今日仕事が休みだって言ってたから、呼んで……」
「……オホン、オホンオホン」
「……呼ばないで、休ませてあげた方がいいよね、多分疲れてるだろうから。ははは」
- 46 :
- 危ない、沙慈君危ない。
恋人同士で二人っきりになれる空間に異分子を呼ぶのは、
ゼッ○ル粒子いっぱいの部屋で銃火器を使うのと同じ行為である。
性格が穏やかなだけに、お隣さんの刹那に対して色々と気を利かせてしまう沙慈であるが、
彼女であるルイスからしてみれば、気を利かせるのはどこまでいっても自分だけにして欲しいのだ。
なお、刹那と沙慈は東京時代もお隣さん同士であった。
そして今でもお隣さんなのだが、ここはあれ、全て話の都合ゆえ(何か久しぶりにこの言葉を使った気がする)。
「じゃ、行こうか。ルイスが風邪をひいちゃう前に」
「もう、馬鹿にしないでよ、ひかないった……はっくしゅん!」
「ほら、また」
「うう……」
沙慈は自分のコートを脱ぐと、ルイスの肩にかけた。
そして、手を取って先に歩きだした。
二人の頭上を、二匹の蝶が、絡み合うように飛んでいった―――
◆ ◆ ◆
「おらあ、もっと食えよ、アラスカ野!」
「いや……もう無理、口の中がドッロドロで」
「根性ねーな」
「根性とかいう問題じゃない……うえっぷい」
さて、所変わってプリベンター本部。
ここも、今日はチョコレート一色だった。
「おい、みつあみおさげ、食ってくれ」
「嫌だよ」
「ならちんちくりん、頼む」
「断る」
「じゃあ前髪……」
「この歳で糖尿病にはなりたくない。拒否させてもらう」
バレンタインデーだから、ではない。
「ぐはあ、どうしろってんだこの量!」
「強運の己を呪え、そんなもん引き当てる方が悪いわ」
パトリック・コーラサワーが『ハロルチョコレート全種類一年分』を懸賞で当てちゃったからである。
事の発端は、さして難しい話ではない。
製菓会社のバレンタインデーのキャンペーンの一環で、そういう懸賞があったのだが、
これに何の気無しにコーラサワーが応募しちゃったのが全ての始まりになっている。
応募と言っても、コンビニで適当に飲み物を買った時、
店員に「これこれこういう懸賞がありますけど、チャレンジしますかあ」と聞かれて、ハイと答えちゃっただけのことである。
無論、店員も職務上の義務として客全てに同じことを申し出ており、特にコーラサワーを狙ったわけではない。
で、またこういう社会的に特に意味の無いイベントにて大当たりのクジをぶち当てちゃうのがコーラサワーという男だったりするわけで。
- 47 :
- 「だいたい何で本部に持ってきたんだよ、おかげで狭くなっちまってるじゃねーか」
「いや、だって家には置いておけないしよ」
「カティさんに怒られたみたいですね」
当てたことそのものついては怒られるべきものではないが、
それでも家に置いたら邪魔で邪魔で仕方がないのは事実である。
嫁のカティ・マネキンとしても、当てたのか良かったじゃないか、で済ますわけにもいかないのだった。
何しろ全種類一年分である、段ボールで数十箱ときたもんだ。
「しかし、色々な種類があるものだな」
「サワークリーム納豆味、紅生姜カツカレー味、超激辛味噌ラーメン味……本当にチョコレートなのか、これは」
「ゲテモノ系だとしても、普通にカレー味とかラーメン味とかに出来んのか」
「作った人のこだわりじゃないでしょうか」
「おえっぷ、トロサーモン味というから食べたんだが、やはりこれはサーモンでもチョコでもない」
「ワンダフル塩ちゃんこ味、ミラクルワサビ醤油味、マジカル辛子明太子味……ふむ、残念ながら今回は私も興がそそられん。喝ッ」
「やっぱり私、食べたくないわ」
「だよな」
ガンダムパイロット達もヒルデ・シュバイカーも、グラハム・エーカーもジョシュア・エドワーズも、チョコレートが苦手というわけではない。
だが、このように複雑怪奇な味付けをされたチョコレートを食べる気には、とてもとてもなれなかった。
「これ、不良在庫を無理矢理プレゼント品にしただけなんじゃないでしょうか」
「鋭いなカトル、俺も今そう考えていたところだ」
「だが待てデュオ、ならば一人の当選者にではなく、複数の当選者にばら撒いた方が効率が良いはずだ」
「五飛、それはおそらく手間の問題だろう」
「ヒイロの言う通りと、俺は見る。面倒臭かったのだろう、製菓会社も」
「いや、そういう詮索はいいから食べてくれ、ちょっとでも!」
コーラサワー、本気で困り気味。
『意味不明な味だらけの大量の』チョコレートは、さすがの彼も対処出来ないレベルの強敵と言えた。
「一つの鍋に全部ぶちこんで溶かしたらどうだろうか」
「ますます強烈に不味いチョコになるだけだと思いますよ」
「福祉施設に配るという手もあるが、この奇天烈な味では迷惑になるだけだろう」
「なら答は簡単だな」
「そういうことだ、貰った者が全部食べればいい」
容赦の無いガンダムパイロット達。
無理矢理コーラサワーに一部を食わされたジョシュアが首を高速に縦振りして、全力同意の構えを見せている。
グラハムはと言えば、先程も興が乗らぬと宣言した通り、どーでもいい様子。
流石はワンマンアーミー。
「わかったわ、プリベンターの現場リーダーとして、パトリック・コーラサワーに命令します」
「へ?」
「自己責任で処理しなさい。ただし、捨てるとかは無しの方向で」
「そんなあ!?」
独身時代はモテまくりだったコーラサワーだけに、バレンタインデーに大量のチョコレートを貰うこと、食べることには慣れている。
だが、それは皆、「ちゃんとしたチョコレート」だったから、時間をかけつつも全部食べきることが出来たのだ。
- 48 :
- 「味覚異常になったらどーすんだ!」
「いやあ、味覚くらいの異常ですむかなあ、これ」
「逆に考えろ、デュオ。異常と異常が重なって」
「ますます異常になるだけだと思います、僕は」
「お前らマジで頼む、マトモな味のやつだけでもいいから、本当に食べるの手伝ってくれ!」
バレンタインデーは恋人たちの甘い日。
だが、プリベンターにとっては変人の甘くない日なのであった。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――
沙慈とルイスにやっとちゃんとした出番を用意出来ましたコンバンハ。
多分、刹那を間に挟んでプリベンターに関わってくることになるかと思いまサヨウナラ
- 49 :
- まさかここでゼッフル粒子なんて
単語を見るとは思わんかったw
- 50 :
- そういや沙慈とルイスは、第一部での雪合戦しか登場してなかったな。
- 51 :
- 土曜日さん乙!!
>サワークリーム納豆味、紅生姜カツカレー味、超激辛味噌ラーメン味
しかし、食えば吐きそうなチョコレートだなあ…w
- 52 :
- 好きな食べ物:何でも食える!
のコーラさんだ、こんな試練なんてことないはず!
でも、食えるのと美味いか不味いかは、また別の問題だよな…
- 53 :
- 保守!
- 54 :
- 親戚の結婚式で遠出するため、次回は少し遅れます。
申し訳ない。
- 55 :
- >>54
おめでとうございます
行ってらっしゃい土曜氏さん!
- 56 :
- >>54
了解しました!
- 57 :
- hosyu!
- 58 :
- グラハム・エーカー。
魂の名(自称)をミスター・ブシドー。
一昔前のインディー団体の覆面レスラーみたいだ、などと言ってはイケナイ。
本人は本気である。
ドがつくまでに本気である。
ブシドーとは言うものの、別に当人は日本人ではない。
生まれも育ちも生粋のユニオンのアメリカ人である。
金髪である。
白人である。
重ねて言う、日本人ではない。
「心頭滅却し六根清浄、義を見てセザールは勇無き也。喝ッ」
ぶっちゃけて言うと、日本カブレである。
サムライ好きである。
どこでどう間違った異文化解釈をしたのかわからないが、彼の背中を押した神様は相当意地が悪いに違いない。
「キエエエエエエエエィ!」
猿叫一閃、彼の朝は鍛練より始まる。
六時に起床し、洗面と清めのうがいをした後、
準備運動をきちんと行い、住居を出て、そのままジョギングへ。
以前は読経かもしくは暗記した『葉隠』を全文口上しながら走っていたのだが、
さすがに近所から苦情が出て、これは取りやめた。
走る速度は本人は抑えているつもりだが、
同じ時間帯に朝トレをしていた近くのハイスクールの陸上部の三倍の速さがあるという未確認情報がある。
あくまで未確認であり、自己申告も他者申告もなされていないため、不明となっている。
ちなみに、走る時は袴姿である。
ジョギングより戻ると、次に木刀の素振りに入る。
剣術についてはどの流派にも属しておらず、正式に教えを受けたことはない。
もっとも、軍人だったわけで、修行に全てを捧げるわけにはいかなかったという事情は一応ある。
まあそんなわけで、剣はほとんど自己流だが、それでも一定の理にかなった動きになってしまっているのが恐ろしいところではある。
何しろ初めて乗ったMSで本来ならスペック上不可能なはずの空中可変を行ってしまうくらいであるからして、
無茶も通せば道になる、ということを直感でわかっちゃっているのだ。
信じるということはまったくもって怖いと言わざるを得ない。
つまりは、『一流の修行家』と表現してもいいだろうか。
まあ、正味の話、そんな人間は振り返ればロンリネス、振り返らなくてもロンリネスだが。
「うむ、良い汗をかいた。本日も身体は健全也」
日本文化を好きになるのは別に良いし、多少の曲解は致し方ない部分もある。
だがしかし、彼の現状については次の言葉によって全てが表現される。
「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ」
なお、彼の友人で、曾祖父が日本人のビリー・カタギリが武士化について諌めただの制止しただのという記録は無い。
◆ ◆ ◆
- 59 :
- 「本日も快晴也。諸君、おはようというところだな」
「あれ、エーカーさんですぅ、おはようございますですぅ」
「ほう、これは珍しい。君がこの時間から本部にいるとはな」
「レディさんが遠方に出張で、今日は残留なんですぅ」
出勤したグラハムを最初に出迎えたのは、レディ・アンの秘書を務める少女、ミレイナ・ヴァスティだった。
普段はなかなか絡まない二人であるが、実際、特別仲が良いというわけでもない。
グラハムは誰にでも「グラハム・エーカーな態度」だし(一応、相手が女性の場合、目上の場合は言葉遣いや態度は丁寧にはなるようである、礼儀として)、
ミレイナはミレイナで、グラハムに深く絡んだら疲れるだけだということを十分理解している。
ミレイナにしてみれば、自分の得意分野(オタク道)で攻めても、武士道バリヤーであらぬ方向へ弾き返されてしまうわけで、
そこら辺りがパトリック・コーラサワーなどとは異なり、からかい易くも絡み易くもないのであろう。
ちなみに、ミレイナは素顔状態のグラハムは「エーカーさん」、お面状態は「ブシドーさん」と呼び分けている。
以前「サムライさん」とか呼んでいた記憶もあるが、まあそれは多分気のせいである。
そういうことにしておいて欲しい。
してもらえればありがたい。
うん、いっそそんな記憶も事実も無かったということにしておこう。
「ようナルハム野郎、朝からご機嫌だな。脳味噌の中でディズ○ーランドでもオープンしたのか」
「仮にそうだとしても、君には関係の無いことだな」
「何なのこの朝の挨拶立体交差点は」
次いで声をかけたのはパトリック・コーラサワー。
ご存知、不死身にして幸せの男である。
「珍しいじゃねーか、こうやってちゃんと出勤してくるのは。まだ勤労意欲ってやつが残ってたのか?」
「聞き捨てならんな、私は一度たりとも職務放棄した覚えはない」
「いや、最近は顔を出したと思ったらすぐにあのポニテ博士のところに行くじゃねーか」
「我が愛機『カラタチ』の完成が待ちきれないのでな」
「二人とも微妙に会話がドッジボールだな」
合い間にてツッコミを入れているのは、もうすっかりその役割が板についてしまったデュオ・マックスウェルである。
別にグラハムとコーラサワーの異次元会話を無視したっていいのだが、
そうすると逆に精神衛生上よろしくないので、仕方なしにツッコんで空気の修正を図っている。
これはもう、性分であるとしか言いようがない。
他のガンダムパイロットはグラハムとコーラサワーを強引なりともスルーすることが出来るが、デュオはそうではないのだ。
「本来なれば終日側にいて、その生誕を見届けたいのだが」
「ならとっとと行ってこいよ、今日は特に目立って仕事がないらしいぞ」
「肝心のカタギリが不在なのだ。知人に会う約束があるとのことだ」
「あー、ポニテ博士がいなきゃ完成には近づかないな、確かに」
新型MS(ミカンスーツ)の完成が待ちきれないのは、別にグラハムに限った話ではない。
コーラサワーだってガンダムパイロットだって同じである。
グラハムがビリー・カタギリの研究所に通い詰めなのは、
彼が際立って我慢弱い男だからに他ならない。
- 60 :
- 「スペシャルさん、別に仕事が無いわけじゃないですぅ」
「だって出動がないだろ」
「その気があるのなら、いくらでも書類の仕事を回してあげるですぅ」
「そんなつまらねー仕事は別にしたくない」
「社会人としてあるまじき発言ですぅ」
プリベンターにおいて、書類関係の仕事は、責任者であるレディ・アンと、
現場リーダーのサリィ・ポォ、そしてレディの秘書であるミレイナが主に扱っている。
デュオだってヒイロ・ユイだって張五飛だって、やらなきゃならない時は書類仕事もする。
だが、コーラサワーやグラハムにはあまり回ってこない。
単純に得手不得手の問題である。
パイロットとしての能力は、グラハムもコーラサワーも折り紙つきである。
何しろユニオン軍とAEU軍において、共にエースと呼ばれる存在だった。
普段の行いを見ていると甚だ怪しいが、実際そうだったのだから仕方がない。
操縦技術については、おそらく二人ともこの世界の二十傑には入るであろう。
「カラタチが完成した暁には、不逞な悪人共は私が一刀両断にしてくれよう」
「お前だけにいい格好させるか、悪人は俺が倒すってんだよ」
「はいはいプリベンター全員でかかるのが基本だぜ。暴走は厳禁だからな」
「私がいつ暴走をした?」
「俺がいつ暴走をしたってんだ?」
「わあ、サリィさんが聞いたら怒り爆発な発言ですぅ」
プリベンターは、日常の業務とは別に、とある人物の尻尾をつかむべく情報を集めている。
その人物の名前はアリー・アル・サーシェス、別名ゲイリー・ビアッジ。
プリベンターの前に幾度も立ちはだかってきた強敵である。
特にアザディスタンの一件では、コーラサワーを除くプリベンターのメンバー全員が彼に煮え湯を飲まされている。
「受けた屈辱は必ず返す。サムライとして」
「次もまた俺が倒してやるよ、このスペシャルエースの俺には誰も勝てねえ」
新型MS(ミカンスーツ)の完成は近い。
そして、プリベンターの反撃の日も近い。
「一騎討ちにて、絶対に倒す。私にも矜持というものがある」
「キョウジだかドモンだかツマヨウジだか知らないが、奴は俺が倒すって言ってるだろ」
「だーかーら、プリベンター全員で当たるって」
「どれだけ言っても無駄ですぅ、この二人」
近い……はずである。
多分。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――
コンバンハ。
年度末が近く仕事が立て込むので、ペースがちょっとズレていくかもしれませんサヨウナラ。
- 61 :
- 00側の設定が結構改変されてるから、
厳密に言うと《クロス》スレではないのかもしれないな、ここは
じゃあなんだといわれるとうまく表現できないが
えーと、寄せ鍋というかミックスジュースというかカレギュウというか
語彙が乏しくてスマン
- 62 :
- 土曜日塩津
デュオが貧乏くじ過ぎて泣けてきたwww
- 63 :
- 土曜日さん乙
奇人二人の会話を無視しようとも出来ないなんて、デュオも大変だなあw
- 64 :
- 保守
- 65 :
- 小説でコーラさん大尉に昇進してたことが明らかになったわけだが
こっちはもう軍人じゃないからなあ
- 66 :
- >>65
退役した理由は不明なんだよね>このスレのコーラ
- 67 :
- 祝鯖復帰保守
- 68 :
- やっとDoCoMo規制解除された。
土曜氏乙
- 69 :
- 西の空には、太陽が一日の役目を終え、地平線の下へ身を休めようとしている。
俗に、この時間帯を逢魔時、という。
一人の男が、世界統一政府の首府であるブリュッセルのとある路地裏を歩いている。
男は歳の頃、だいたい三十半ばから四十というところか。
だが、その身体から発せられる精気は、決して中年のそれではない。
若者に負けない―――いや、安穏と今ある暮らしを生きている若年には、決して出し得ない凄味のようなものが、精気に混じっている。
「ヘッ……」
男は、ビルの隙間から漏れる、血のように真っ赤に染まっている夕焼けの明りを目を細めて見上げた。
周囲には、誰もいない。
ここ一帯は、OZが起こした騒動の一件で寂れて以来、未だ再開発の目途が立っていない場所である。
現在の人類文明の中心たるブリュッセルにも、こうした場所は残っているのだ。
しばし、男は立ち止って夕陽を見つめていたが、やがてまた歩き出した。
彼は、所謂「裏社会」の人間である。
様々な悪事に手を染めてきたし、傭兵として幾多の戦場を潜り抜けてきた猛者でもある。
「晩飯までに話がまとまりゃいいがな」
口の端をくいっと釣り上げて、男は笑った。
それは、肉食獣の笑みであった。
彼は今、世界レベルの陰謀に加担している。
その成就の為に、陰謀の主の手足となって、色々と暗躍をしている最中なのだった。
「景気の良い色だぜ、今日のお日様はよう」
彼の名前は、アリー・アル・サーシェス。
傭兵としての仮の名は、ゲイリー・ビアッジ。
全身を深紅に染めて、彼は歩く。
下ごしらえも終わりに近づき、いよいよ大きく動く時が側に迫っている。
これから、具体的にどう動くかについて、話し合いが行われることになっている。
とは言っても、謀主に直接会うわけではないのだが。
逢魔時。
昼と夜の間に位置し、この世に在らざるものが、大手を振って活動を始める時間であるとされる。
または、大禍時ともいう。
大いなる禍の時、すなわち「著しく不吉な時間」、それが、今である―――。
◆ ◆ ◆
- 70 :
- 「やれやれ、今日も一日が終わるな」
「ふわああ、早く帰って晩飯を食いたいぜ」
「もうちょっと包み隠して言えよ、あからさま過ぎるぞ」
「だって俺、新婚だし。嫁さんの手料理を食べたいのは当たり前だし」
「いや、だから帰りたい気持ちを露骨に表すなって言ってるの!」
世界の平和を裏側から守る組織、プリベンター。
現代の隠密同心と言えるこの集団は、統一政府内において、最強の戦力を持っている。
物量こそは他の組織に劣るが、集められたメンバーは、精鋭中の精鋭で、簡単な表現を用いれば、「一人が百人力」なのである。
「まったく……緊急出動があっても、『嫁さんに会いたい』と帰るつもりかい」
「当然だ!」
「胸を張って言うな!」
先程から漫才紛いのやりとりを交わしているのは、
プリベンターのメンバー、パトリック・コーラサワーとデュオ・マックスウェルである。
歳の差は二十もあろうかという二人だが、会話の内容にはそれ程大きなレベルの違いは無い。
むしろ、若いデュオが合わせている部分がある。
「怒るなよみつあみおさげ、地球が滅ぶとかいう規模の事件ならともかくだけどよ、それ以外は家庭を優先させるのが俺のツトメだ」
「……社会人だろお前、一応」
「社会人の前に、パトリック・コーラサワーという男であり、カティ・マネキンの夫だ」
「相変わらず噛みあってるのかそうでないのかわからんな、お前らは」
二人のやりとりに絡んでいったのは、同僚の張五飛である。
中国拳法の達人で、プリベンターの中でも特に武断派とされている。
デュオと五飛、そして今はこの場にはいないが、
ヒイロ・ユイ、カトル・ラバーバ・ウィナー、トロワ・バートンの計五人は、かつてはガンダムのパイロットとして、
OZの暴挙に真っ向から立ち向かった勇者達である。
十代の後半にもならない彼らだが、
身に付けたメカの操縦技術、武器の取り扱い、戦闘の行い方等々、「闘う」ことにかけては、
ここ近年のどの軍隊の兵士よりも確かな実力を持っている。
「まあいい、一応定時にもなる。帰りたいというのなら帰らせてやれ」
「そりゃそうだけどさ」
「それに、いよいよ明日は例のモノが完成する日だ。ここでいらん体力や精神力を使う必要もないだろう」
「でも、事件が急に起こるかもしれないぜ」
「その時はその時だ、こいつを外して臨む。その方がおそらく、俺達にとってもやりやすいはずだが?」
「……否定出来ないな」
プリベンターは現在、世界で唯一、『戦力』と呼べる人型機動兵器を持っている。
すなわち、ミカンエンジンを動力機関として動く、MS(ミカンスーツ)。
天才ビリー・カタギリがデザインした新しいMS(ミカンスーツ)が、いよいよ明日、本当に完成するのだ。
「完成するのは楽しみだけど」
「テストもしなければならない。今日ばかりは、馬鹿の相手を無駄にして力を使うな」
「おい、馬鹿って誰のことだよ」
「お前のことだ」
コーラサワーの疑問に、間髪入れずに返す五飛。
彼に遠慮の二文字は無い。
躊躇の二文字も無い。
いや、彼の辞書には一応載っているのだが、
コーラサワー相手にそれらを使うつもりは、五飛にはさらさら無い。
- 71 :
- 「あの自称サムライもおかげで研究所に入り浸りだ、事件さえ起こらなければ、今夜は静かに過ごせるだろう」
「今更だけどあの人、仕事を何だと思ってるのかね」
自称サムライとは、グラハム・エーカーのこと。
日本文化に間違った解釈で入れ込んでいる彼は、ビリー・カタギリの親友でもあり、
またMS(ミカンスーツ)にえらく思い入れがあるので、新型のプランが上がってからこっち、
出動がある時以外はほとんどカタギリ博士の研究所に詰めているのだ。
「でも、起こって欲しくない時に限って起こるのが事件ってもんですぅ」
「そういうこと言わないでよ、ミレイナ」
さらに会話に加わったのは、プリベンターのリーダーであるレディ・アンの秘書を務めるミレイナ・ヴァスティと、
デュオ達現場組の後方支援を役割とするヒルデ・シュバイカーの二人の少女達だった。
年齢も近く、仲の良い二人であるが、
プリベンターという特殊な組織に身を置くだけあって、
五飛程ではないにしても、共にかなり遠慮が無い性格をしている。
「でも、心構えは必要ですぅ」
「それはそうだけど……」
「まあスペシャルさんとエーカーさんは心構え以前の問題だとは思いますですけどぉ」
にこやかな表情でキッツイことを言い、ズズズと熱い緑茶をすするミレイナ。
苦笑しつつ、ヒルデも合わせて湯呑みを口に運ぶ。
「何ぐじゃぐじゃ言ってやがるんだよ、オデコシスターズ」
「どういう呼び方よ、それ!」
「私達がオデコシスターズなら、差し詰めスペシャルさんとエーカーさんはオバカブラザーズってところですぅ」
デュオとコーラサワーが漫才なら、全員を巻き込めばそれこそ新喜劇か。
当人達は不本意だろうが、これではプリベンターは「愉快な組織」と他者から思われても仕方がない。
「とにかく、俺は定時になったら帰るぞ」
「わかったよ、ロウドウシャとしてのトウゼンのケンリだからな、とっとと帰れ」
「俺の全身に流れる血、あの夕焼けの太陽のように真っ赤で熱い血が、『家へ帰れ』と言っているんだよ!」
「誰でも彼でもない、お前自身の血がか」
「なーるほど、誰彼時ってやつですぅ」
プリベンターに一日が賑やかに終わる。
そして、今日という日の幕が閉じれば、また新しい一日がやってくる。
「結婚したは良いけれど、人生の黄昏時にならないようにしろよ」
「どういう意味だよ、みつあみおさげ」
「嫁さんに愛想尽かされるようなことはするな、ってこと」
明日という日がどのような日になるのか、
希望や願望はあっても、神ならぬ人の身、正確に予知も予測も出来はしない。
出来るはずも、無い。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――
コンバンハ。
前にも言いましたが、三月四月はちょっと投下が変則になると思いますサヨウナラ。
- 72 :
- 土曜日さん乙〜
次回以降何かが起こりそうな予感
- 73 :
- 土曜氏乙です。
これはハプニングが起きること確定ですねw
- 74 :
- コーラは残業したくないタイプなのかw
- 75 :
- 過疎でも投下があればスレは継続する
その見本みたいなスレだな
- 76 :
- ほしゅ
- 77 :
- ここはギャグだが、シリアスなWと00のクロスというのも読んでみたい
しかし、どういう世界設定になるか・・・
AEU,ユニオン、人革連、コロニー、OZを並列させられるのか
イナクトのお披露目中に空からエクシアとWが降ってきてカチ合わせ、コーラは巻き込まれでフルボッコ
グラハムはガンダムだらけの状態に歓喜でとにかくどのガンダムにも戦いを挑み、
OZ主導で三国連合が組まれ、ヒイロたちとソレスタの両方の排除しようとし、
リボンズとトレーズがよくわからん会話を・・・
- 78 :
- >>77
その場合、CBとヒイロ達はやはり敵対するのかな?
- 79 :
- 持ち帰りの仕事&休日出勤が多く、話の続きは順調に遅れております。
申し訳ないっす。
- 80 :
- >>79
休日出勤ですか、大変ですね…
話の続きは落ち着いてからでも構わないですよ
- 81 :
- 保守しとく
- 82 :
- 世界政府の中心たるブリュッセルの裏町に、その建物はあった。
小さなビルディングで、外見は薄汚れており、かなり年季が入った建築物であることがすぐにわかる。
表には小さな看板がかかっており、そこには、『専用貨物・第一分所』という文字だけが書かれている。
何の貨物なのか、第一というのが何の意味なのか、それらを示すものは一切無い。
「やれやれ」
血の色に似た夕焼けの光を背に浴びつつ、一人の男が、その建物の入り口をくぐっていく。
彼の名前はアリー・アル・サーシェス。
だが、この本名よりも、ゲイリー・ビアッジという仮の名前の方が、まだよく知られている。
良い意味では、無い。
むしろ悪名である。
それは、かつて数多の軍事組織で恐れられた、そして今でも恐れられている傭兵としての名前だ。
「手間のかかるこって」
入り口のドアを開けると、細い通路の奥に、さらにまた頑丈に作られた鋼鉄製の扉がある。
生半可な銃弾では決して貫通しそうにないそれの横に、古ぼけた建物には似合わない、
番号入力式のロック・システムが、薄青い電子光を放っている。
「ピ・ポ・パ……じゃないってね」
アリーは番号のボタンには手を伸ばさず、そのまた横にある、小さな液晶画面に親指を押しあてた。
実は、ボタンはダミーで、本当は指紋認識型のロック・システムなのだ。
数秒のブランクがあり、ガコン、という重たい金属音が、廊下に響く。
分厚い鋼鉄扉の鍵が、開かれた音だった。
「邪魔するぜ」
誰に聞かせるでもなく、アリーはそう呟くと、扉をゆっくりと押し開けて、中へと入った。
ギギギ、と錆び付いたような耳障りな金属音が彼の耳に届いてきたが、特に不快がる素振りはアリーは見せなかった。
扉の向こうは、さらに先へと続く通路があり、そのまた奥に、地下へと伸びる階段があった。
アリーは、薄ら笑いを浮かべつつ、その階段を下っていく。
周りは限りなく闇に近いが、足元を乱すことはない。
優れた傭兵である彼にとっては、この程度の暗がりなど、たいしたことはない。
「よお、待たせたな」
階段の下には、小さな地下室があった。
そしてそこでアリーを、一人の男が待っていた。
「……遅いぞ、君」
「悪いね、何せこんなヘンピな場所にあるタテモンだ、いつまで経っても覚えられなくてね」
「それでは困る」
その男の名前は、ラグナ・ハーヴェイ。
世界の輸送、交通の大部分を仕切るリニアトレイン社の総裁たる人物であった。
- 83 :
- 「四分と三十五秒の遅刻になる」
「だいたい五分ね」
「違う。四分と三十五秒だ」
アリーは肩をすくめると、ラグナの前を通り、奥の戸棚へと足を進めた。
リニアトレインの総裁であるラグナは、細かいことにやかましい。
一分一秒の大事さは、傭兵であるアリーはよくわかっている。
だが、遅れても問題ない時と、遅れてはならない時の違いもよくわかっている。
今回は前者であると、アリーは認識していた。
ラグナとは見解の相違があるだろうが、それについて議論するつもりは、アリーには毛頭無い。
どうやっても歩み寄れないからだ。
根っこの部分で異なっている以上は。
ちなみに、一代で企業を興す男には、二種類あるという。
数字にとことん細かくて厳しいか、それとも細かい部分と大雑把な部分を併せ持つか。
とある企業家は、細君と口喧嘩をした際、
「何月何日何曜日の午後何時、おやつに食べたポテトチップスをお前の方がこれくらいの大きさのを何枚多く食った!」と罵り、
それを聞いた細君は怒るどころかすっかりあきれ果ててしまったそうな。
そいで最後には離婚したそうである。
今際のきわに病室で、『結婚してからお前に対して使った金の額が云々』と言われたくない、という理由で。
……何の話だったったけ。
ああそう、アリーとラグナが同志であっても歩み寄れない、というところである。
「こんな都会で、一分一秒違ったって死にゃあしねえよ。戦場じゃあるまいし」
「む……」
ラグナは明らかに不快な表情を見せた。
アリーの答えが気に食わなかったからではない。
アリーが戸棚を開けて、そこにあった酒のボトルを取り、グラスになみなみと注いで、一気にあおったからだ。
「ん……ふいぃ、さすがにうめえな」
そこにある酒はどれも高級なものばかりだが、アリーが手に取ったそれは、中でも最も値の張る物だった。
無論、アリーはそれを承知で呑んでいるのだが。
そしてさらにアリーは、机の上の葉巻きのケースにも手を伸ばした。
酒と同じく、「貰うぜ」や「いただくぜ」という許可は取らない。
ある意味、あてつけと皮肉である。
この辺り、アリーは「意図的に他人を不快にさせる」能力も一流であると言えよう。
「……とにかく、もうすぐ通信がある」
「へいへい」
アリーは葉巻きを口にくわえながら頷き、次いで部屋の中をぐるりと見回した。
ここは、ラグナ・ハーヴェイの所謂『隠れ家』の一つである。
リニアトレイン社の総裁として社会的に伸し上がる為に、彼は色々と汚いこともやってきた。
ここは、そうした時に使われる『裏の商談場』なのだ。
だから、酒や葉巻きだけではない、部屋の中にあるものは全て一流と言って良いモノばかりであった。
長く裏社会で生きてきているアリーにしてみれば、その体面主義はいささか馬鹿らしいものに映る。
それが必要であることも承知はしているのだが、何と言うか、この部屋はあまりにも「きっちりし過ぎ」ているように、彼には思えるのだ。
ただ、あのアレハンドロ・コーナーよりかはラグナの方が趣味が良いのは、彼も十分認めるところであった。
何しろあのコーナーさん、ほったらかしておくと部屋中をキンキラキンのキーンにしてしまいかねないので。
- 84 :
- 「今は火を点けるのはやめたまえ」
「わかってますって」
これから、彼らの主から、重要な通信がある。
何処に行き、そして何をすればよいのか。
すでに計画は動き出している。
「―――時間だ」
ラグナは、壁の大きなモニターに身体の正面を向けた。
灰色の画面が一瞬青白く光ったかと思うと、次の瞬間には、そこにはとある人物の姿が映し出された。
「やあ、息災のようだね。二人とも」
「はっ……」
「大将も、お元気そうで」
ラグナは小さく頭を下げ、そしてアリーは酒の入ったグラスを掲げて見せた。
モニターの中の人物こそ、彼らの主にして、計画の立案者なのだ。
「さて、本題に早速入ろうか」
リボンズ・アルマーク。
世界的アイドルグループ、イノベイターのリーダー。
それが、ラグナとアリーの『現在の主君』である。
主君と言っても、心からの忠誠を捧げたわけではない。
リボンズにはリボンズの、ラグナにはラグナの、そしてアリーにはアリーの思惑がある。
利益が一致しているなら、当面は手を携えていけるはずである。
未来永劫そうであるかは、今のところ定かではないが。
◆ ◆ ◆
「イヤッホーウ! やっと完成するんだな」
プリベンターの本部は今日も朝から賑やかだった。
そうじゃない日があるのか、というツッコミすら入りそうだが、今日はとにかくいつもに輪をかけて騒がしかった。
無論、理由はある。
そう、とうとう今日、ビリー・カタギリによる新型MS(ミカンスーツ)がプリベンターにやってくるのだ。
「これでプリベンターの戦力も回復ですね」
カトル・ラバーバ・ウィナーの表情も明るい。
戦うことについては、一度ガンダムを捨てた身としていささか思うところもあるが、
それでもやはり戦力が無ければ、アリーをはじめとする未だ世界に残る悪党たちに対抗出来ない。
世界統一政府は未だ生まれたばかりの赤ん坊にも等しい体力しかない。
コツンと脛を蹴飛ばされただけで、すってんころりんと転んでしまうかもしれないのだ。
プリベンターとしては、せっかく人類が手に入れたこの平和を、そう簡単に覆させるわけにはいかない。
「で、やっぱりと言うか何と言うか、あのミスターサムライマンは本部にいないわけだな」
「昨日退出してからすぐさまポニテ博士の研究所に飛んでいったらしいぞ」
「……昨日今日なら一晩寝りゃあすぐだろうに、ホントに我慢弱い奴だな、あの人」
そう、ミスター・ブシドーことグラハム・エーカーは、昨日の晩からカタギリ研究所に絶賛突撃中。
ここ数カ月は自宅とプリベンター本部にいるより長い時間を研究所で過ごしてきたわけで、
もういっそビリーに頼んで研究所に住まわせてもらったらいいのに状態だったのだ。
とにかく自分の興味の対象というか、入れ込んだことについては一直線、他はおかまいなしな人である、グラハム・エーカーは。
- 85 :
- 「とにかく、俺達も行こうぜ。ポニテ博士の研究所に」
「待てよ、サリィが確認取ってからにしろ」
「確認なんて今更いるかよ、ポニテ博士が完成だって言ってるんだろ?」
「手順が必要なんだよ、こういうのは。子供がオモチャを貰うのとはワケが違うんだぞ」
コーラサワーにつっこむデュオの横で、小さくヒイロが「コイツは大きな子供だ」と呟く。
それについてはほぼ同意見だったので、敢えてデュオはヒイロには何も言葉を返さなかった。
「でも全員で押し掛けるわけにはいきませんよ」
「そうだな、本部を空にするわけにはいくまい」
カトルの言葉に、トロワが同調した。
プリベンターは緊急時には速やかに出動しなければならないので、本部に誰もいないという状況が生まれてしまうのは確かにまずい。
「オデコ娘二号を残していけよ、どうせアイツには乗るMS(ミカンスーツ)なんて無いんだから」
「もとからヒルデは残留だぜ、いつだってほとんど連絡員として本部に残ってるだろ」
「ならそれでいいじゃねーか」
「いやだから、連絡員だけが本部にいても仕方ねーだろって話だろうが!」
怒鳴りながら、デュオは今日のこれからの流れというものが薄らとだが脳内で見えていた。
どうせコーラサワーは止めても無駄、何だかんだで研究所に行くことになるわけで、
そうなるとそのお守として自分が間違いなく同行者に選ばれるであろう、と。
「おーい、オデコ姉ちゃん一号! とっとと行こうぜ、ポニテ博士のところに!」
「誰がオデコ姉ちゃんよ」
オデコ、もとい額を指先で押さえつつ、プリベンターの現場リーダー、サリィ・ポォは皆の前に姿を現した。
丁度今、ビリー・カタギリと連絡を取り合っていたところである。
「……不本意だけど、アナタを連れていかざるを得ないわね」
「不本意って、どういう意味だ」
「そういう意味よ」
コーラサワーを無理矢理残していっても、ギャアギャアとわめき散らすだけだし、
仮に緊急出動せねばならなくなった場合、コーラサワーがそんな様子で本部に居残っていては、残留組の士気と仕事に差し障る。
結局は、連れていくのが無難っちゃ無難なのであった。
「で、不本意だろうけど、デュオもお願い」
「ああ、不本意だけどお願いされたよ」
「あとはヒイロと五飛もついてきて」
「了解した」
「当然だな」
ヒイロと五飛もプリベンターの中ではどちらかと言うと武断派であり、新型MS(ミカンスーツ)にはかなり期待を寄せていた。
コーラサワーとは違った意味で、連れていくべき二人ではあった。
「ヒルデとカトル、トロワはお留守番をお願い。一応、ミレイナにも仕事に一段落ついたら本部に来るようには伝えてあるから」
「ちょっと残念ですけど、わかりました」
残留組三人を代表して、カトルがサリィに答える。
基本、カトルはサブリーダー的立場になので、プリベンターが別れて行動する場合は、サリィとは別の班になることが多い。
- 86 :
- 「よし、話はまとまったな。さぁ行こうぜ、今すぐ行こうぜ、ちゃっちゃと行こうぜ!」
「言っておくけど、向こうで面倒は起こさないでよ」
「すでに面倒な奴が先発で行っちゃってるけどな」
「その場合は俺が黙らせよう、二人とも」
「そうなったら俺も手を貸す、五飛」
面倒なことが起こることがほぼ確定しちゃってる気もしないでもないが、まぁこれもプリベンターである。
とにもかくにも、新型MS(ミカンスーツ)は今日完成する。
無論、コーラサワー達は知り様も無い。
ブリュッセルの、それほど離れていない場所で、彼らの敵となる者達が、世界的陰謀をさらに進めようとしていることを。
プリベンターの戦力が新しく生まれた日、プリベンターの最大の敵もまた、生まれたのだ。
新型MS(ミカンスーツ)を駆って、プリベンターが本格出動する日は、それほど遠くはない。
もちろん、それを知っているのは、意地悪な神様だけである。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――
コンバンハ。
もうマジで残業はどうにかならないかしらサヨウナラ。
- 87 :
- 土曜日さん乙!!
そろそろアリー達がなにやら事件でも起こしそうな雰囲気ですねえ…
残業ですか、身体には気をつけて…
- 88 :
- hosyu
hosyu
- 89 :
- アリー達は何をしでかすつもりなんだろうか…?
- 90 :
- 保守
- 91 :
- 九月の映画公開まであと半年か、長いようで短いようで長い
我らがコーラの出番が少しでもあれば嬉しい
- 92 :
- 人減ったな
- 93 :
- 静かに待ってるだけだ
- 94 :
- 宣言通り3、4月は仕方がないというところか
- 95 :
- その代わり公式外伝がコーラさん外伝になりつつある件
- 96 :
- 映画って九月ってことだけしかわかってないんだっけか
祝日がある第四週くらいか?
- 97 :
- >>96
何にせよ楽しみ
- 98 :
- どうもです。
四月から昇進することになりました。
下につく連中が揃って、手順を何も知らない新人+転勤組です。
入社以来、本気で上司を恨んでおります。
仕事がクソ忙しいのは変わりませんが、投下が遅れるにしてもきちんとせねばならぬと思い、
映画公開時を最終回と決めた以上、そこに向かってこれからの話をどう動かすか、図やら何やら造ってまとめております。
正味、ここまで95%は投下当日(か前日)にに「無計画に勢いと思いつきで一気に書き上げ」ていたので、
そりゃもう呼称やら経過時間やらがかなり前後でチグハグになっているところが多々あります。
さすがにこれからはそうはいかんな、と……。
取りあえず四月の半ばまでには再開をしたいと思っております。
その辺りだといい加減仕事も落ち着くかな、と(願望込み)。
で、何にもナシなのはアレなので、まとめの最中に脳内設定の足しにしようと適当に描き散らかしたものを、ラノベTESTのup51660.zipに置きました。
解凍パスはいつもどおり cola です。
長々と自分語り失礼しました。
では。
- 99 :
- イヤッ砲!
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- 1read 100read
TOP カテ一覧 スレ一覧 削除依頼 ▲
・ 次のスレ
厨二病のガノタがよく言う事
お前らの好きなMS教えて(平成ガンダム版)
キャラ信者アンチスレ57
今年こそ劇場版SEEDの情報出るんだよな?