2011年12月1期創作発表34: 【駄洒落で】ダジャレー夫人の恋人2【創作】 (45) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼


【駄洒落で】ダジャレー夫人の恋人2【創作】


1 :11/01/01 〜 最終レス :11/11/30
背筋が凍るような駄洒落を一つ聞かせてくれないか
前スレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1234984585/

2 :
今年もまたこの季節がやってきた。
私は毎年のお得意先から依頼を受け、仕事に取り掛かることにした。
車を飛ばして30分、うさぎパークにやってきた。今年は近場で嬉しい。
去年買い換えたデジカメでビデオや写真を撮影したり、直に触れ合ったり、スケッチを取ったり。
実に充実した一日だった。
何? 遊んでいるだけだって?
それは大いに誤解だ。これは取材。歴とした仕事の一環だ。
次の日から私は構図を練りはじめた。
そう、私はイラストレーターなのだ。
前日に集めた資料を見返しながら、自分の持てる想像力の全てを尽くす。
結局、野を駆けるうさぎ、デフォルメしたキュートなうさぎ、バニーガールなど、いくつかの案を採用した。
構図が決まったら次は下描きだ。
薄い鉛筆で、まずは大雑把に、そして徐々に細かく輪郭を形作ってゆく。
納得いかないときは最初からやり直す。頭の中にしかないイメージを現実に見える形にしてゆく重要な作業だからだ。
下描きを完了させた私は、洗面所から水を汲んできて机の上に置く。
それから部屋にしまってある水性絵の具のセットを広げた。
このご時世、コンピュータで一から描くこともできるが、私は手作りの方が好きだ。
……まあ、これらの作品も最終的にはコピーされる運命なのだがな。
チューブから絵の具をひねり出し、水を少し混ぜる。
赤や黄色、微妙な加減で絵の具を混ぜて、うさぎの毛色に近づけてゆく。この作業は楽しい。
必要な色を一通り揃えてから塗るのが私流だ。
塗る時は基本に忠実に。ムラを作らないように。
細かい毛並みの表現などが終わったら、最後に文字を入れる。
これも大事なデザインの一部だ。
一字一字、真心を込めて丁寧に書いてゆく。
うむ、今年も満足のいく出来に仕上がったようだ。
仕事を終えてしばらくが経った。
誰もが忙しく走り回る12月だ。
私は仕事の成果を確かめにデパートに来た。
私の作品は今年も好調な売れ行きのようだ。
良かった。そうでなくては私の異名が泣くだろう。
毎年、干支をあしらった年賀状で人々の心を掴んできた、「賀正の画匠」という名が。
おわり

3 :
復活キターーーーーーーーーー!

4 :
本堂から、ちらりと参道を見やる。
境内は産廃……もとい参拝客でごった返している。正月なのだから無理もない。
普段は神社仏閣なんぞ見向きもしない癖に、こんな時だけはちゃっかり神仏頼みとは、現金なものだ。
――謹賀新年ならぬ、金が信念といったところか。
初詣の賑わいは、寺の和尚として本来なら喜ぶべきことなのだが、彼らの幸せそうな笑顔を見ていると、
こんな捻くれた嫉妬や皮肉にばかりとらわれてしまう。
悟りなんぞとは程遠い、煩悩の極致であろう。
――あれからもう五年になるのか。
早くに妻を亡くし、男手一つで手塩にかけて育てた息子が、駆け落ち、勘当同然で家を飛び出したのも、
ちょうど年明けの頃だった。
「僕には僕の人生がある」
そう言って息子は私の許を去った。
私の跡を継ぎ、立派な住職となってほしい……その一念で仏の道を説いてきたのに、私は裏切られた。
それ以来、私の信心は揺らいでいる。
慌ただしくひとしきりの雑事を終えると、日はとうに暮れていた。
一人きりの遅めの夕食の支度をしていると、戸口に人の気配がした。
立っていたのは……息子だ。
隣には女性、そして息子の足の影に隠れるようにして、小さな女の子の姿があった。
私の姿を見ると、息子は深々と頭を下げた。
「父さん、すまない……」
ゆっくりと顔を上げる。
「もう一度、やり直せないかな」
その言葉を聞くや、自分でも驚くことに、私の中にあった全てのわだかまりは一瞬で消え去った。
涙が頬を伝う。
「ああ、もちろんだ……さあ、上がりなさい……」
これまでの長年の修業でも掴めなかった何かを、今、この瞬間に得られた気がした。
「彼女が妻だよ。そしてこの子が……」
初めて会う孫娘は、小さい頃の息子によく似ていた。
「ほら、この人がおじいちゃんだよ」
息子に言われ、おずおずと私に近づいてくる。
私がゆっくりと孫娘を抱き寄せると、彼女は少し照れたように笑い、私の濡れた頬にキスをした。
「これがほんとの、和尚がチューだね」
息子が優しく笑いながらそう言った。
私も涙を拭き、にっこりと笑い返した。

5 :

ええ話や

6 :
復活待ってました!
俺もネタ温めてるので書きあがったら投稿する!

7 :
>>6
wktk

8 :
 アステラル暦785年。
ノカイドの時の皇帝レヴンは暴君として名を馳せていた。
行き過ぎた税の取り立て、そして彼を諫めようとする臣下を次々と断頭台に送った。
言うまでもない恐怖政治である。
役人はレヴンに賄賂を送り官位稼ぎに執心し、もはや国は崩壊の一途を辿っていた。
我が身可愛さに皇帝に反逆する者ははほぼ皆無と言って良かった。
 だが、例外はあった。
帝国の端にある自治都市シムカウプ。
ここには反帝国レジスタンスが存在していた。
「ムルーラ隊長、間者から情報が入りました」
 シムカウプのレジスタンスアジト、2人の男が話している。
ムルーラと呼ばれた男は若いながら貫禄があり、精悍な顔立ちをしている。
「して、内容は?」
「帝国軍は当初の予定通り定刻1600に税の徴収隊をユバールに向けて出発しました。
我々の目論見通り、ワーサム峠を越えてこちらに向かっております」
「来たか……よし、計画通り遂行する。兵を集めろ!」
 言うが早いか、ムルーラは席を立ち、甲冑を身に纏う。
ワーサム峠を中腹まで差し掛かった頃、徴収隊の護衛隊長であるベノロッホは異臭に気付いた。
「おい」
 彼は後続の兵に話しかけた。
「はっ」
「火薬の臭いがしないか?」
「少々お待ちを……。我々の荷物にも火薬がありますがこぼれたり臭いが漏れたりしている様子はございませぬ」
「んだと? おい、誰かこの辺りの地図をよこせ! ……なんてこった、ワーサム峠ってのは曲がりくねった長い悪路じゃねぇか! となると、この火薬は……」
 ベノロッホが言い終わるのと同時くらいに、四方から火矢が飛んでくるのが一同に確認できた。
 そして。
 一瞬にしてワーサム峠は火に包まれた。
シムカウプのレジスタンスが火薬を仕掛け、火矢を放ったのだ。
瞬く間に徴収隊と護衛隊は混乱に陥った。
炎に焼かれて死ぬ者、炎からは逃れたものの待ち構えていたレジスタンス兵に討ち取られる者……。
 王の権威の象徴と言われた1000人を越える徴収隊と護衛隊であったが、生存者はベノロッホを含め数名であった。
 ワーサムの屈辱。
後々まで語り継がれるシムカウプ反乱軍の開戦事件である。
「やったか」
 ムルーラはくすぶり続けるワーサム峠を眺め下ろして呟いた。
彼の後ろには戦いを終えた数十人の兵が連なっていた。
「もう後には退けん。レヴンは本気で我々反乱軍を消しに来るだろう」
「元よりその覚悟でございます」
「この命、ムルーラ様に預けました」
 ムルーラの言葉に兵たちが口々に言う。
うむ、とムルーラは頷いた。
「つらく苦しい戦いになるだろうが、我々を見て各地の反乱勢力も決起してくれるだろう」
 ムルーラが言うと皆が頷いた。
ムルーラは続けた。
「諸君! 我々はここに帝国からの独立を宣言する! これからも帝国に抵抗していこう!」
<了>

9 :
そう来たか!
帝国にていこ…あれ?
                        ヽ○ノ   まあいいか!
                         /
                        ノ)
    ,ィィr--  ..__、j
   ル! {       `ヽ,       ∧
  N { l `    ,、   i _|\/ ∨ ∨
  ゝヽ   _,,ィjjハ、   | \
  `ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ   > と見せかけて実は
     {___,リ ヽ二´ノ  }ソ ∠ 第2段落5行目だったんだよ!
    '、 `,-_-ュ  u /|   ∠
      ヽ`┴ ' //l\  |/\∧  /
--─‐ァ'| `ニ--‐'´ /  |`ー ..__   `´
    く__レ1;';';';>、  / __ |  ,=、 ___
   「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))
   |  |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,|  , -,
    ! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | |   | | .l / 〃 ))
    l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj  7
    | |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\::  ::::|  ::l /

10 :
ていこう し ていこう というオチ だな

11 :
そっちか!

12 :
深いね

13 :
751: 名無しくん、、、好きです。。。 2010/10/02(土) 13:57:17
よっ!おめぇ彼女が出来たんだって?
おぅ!マナカってんでぃ!
こんちくしょう、羨ましいじゃねぇか!
医者の娘でかわいいんだぜ!
ってことは玉の輿ってぇやつだぁな!めっぽう羨ましいじゃねぇか!
ところがなぁ、この間親父さんにばれちまってぇよ
ほう、それでどしたい?
「ウチの娘に手ェだすんなら覚悟はできてんだろうなぁ!え?」って言われてよ
怖ぇえ親父さんだな、おぃ…
手術室に引っ張っていかれて竿だけ切り取られちまったぃ
そりゃぁ気の毒なこったな
おうよ、これがホントの玉残しってな

14 :
 子供の頃から「根暗」とか「陰気だ」とか言われ続けてきた。
だから、大人になっても対人関係に悩む日々が続いている。
そんな自分が何の間違いか、運送屋の配達員になってしまった。
 配達員というのは実に多くの人と接する。そして、ありとあらゆる状況に晒される。
顧客からの問い合わせや苦情、集荷先での遅延、天候の急変、道路の渋滞、上司からの叱責。
そういったものに遭遇するたびに、こちらの精神は疲れ、傷つき、それが更なるトラブルの元となる。
 ある日、またもや上司の前に立つ事になった。
顧客からの苦情というか、とにかく向こうにしてみると自分の応対が良くないらしい。
自分としては精一杯明るく、誠意を持って対応しているつもりなのだが。
 そんな訳で今、上司からお決まりの言葉を聞かされている。
「君ね、運送業はサービス業なんだ。その事は分かっているんだろう?」
うん、そうだね。その事は分かっているんだ。でも、この性格はどうしようもないんだ。

15 :
うん、そうですか

16 :
うん、そうなのかー

17 :
うん、そうやね。

18 :
嫁入りならば玉の輿。
婿入りならば腰の玉。

19 :
「シャンハイラオチュー」を「じょう,えびざけ」などと読んでみる。

20 :
「ただいま〜」
「おかえり、姉ちゃん」
 いつものように、玄関先で姉ちゃんを出迎える。
良くある風景、よくある受け答え。
 姉ちゃんは19歳。
現在大学の2年生だ。
姉ちゃんはごく普通の小学中学に通い、程々の高校に通い、高くも低くもないレベルの大学に進学した。
一見すると姉ちゃんはそこそこ美人の普通の女子大生だ。
しかし、姉ちゃんには男が寄ってこない秘密があった。
「ほら、新しいの買っちゃった♪」
 そう言いながら、姉ちゃんはごそごそと自分の荷物をまさぐった。
シャネルの紙袋だ。
家族一同の視線を受けながら姉ちゃんは紙袋からまるで香水や口紅でも取り出すかのような丁寧な手つきで虫かごを取り出す。
それを見て父さんも母さんも僕もため息をつく。
「ほらね、もうすぐシーズンでしょ? せっかくだし買ってきたの。これで秋口が楽しみ!」
 姉ちゃんがとても楽しそうなのと裏腹に父さんと母さんの暗い顔が際立つ。
「で、姉ちゃん。今度買ってきたのは何?」
「鈴虫! やっぱり風流といったらこれよね。
平安時代から貴族の間では飼われていたし、江戸時代には庶民の手にも入ったといわれているの。
日本人が古くから四季を感じる上でこの子は欠かせないポジションにいたんだよ。
『年へぬる 秋にもあかず 鈴虫の ふりゆくままに 声のまされば』、なんて藤原公任も詠んだのよ」
 姉ちゃんは頼んでもないのにくを延々と話す。
ほんとう、これさえなければ姉ちゃん男に人気出そうなんだけどなぁ。
 もう語るまでもないよね。
姉ちゃんは虫マニアだった。
姉ちゃんの外見に引かれて寄ってくる男は数いれど、しかし、最後まで立っていた男は未だかつていない。
ヤンバルテナガコガネやヨナクニサンについて小一時間語られたり、初デートが雑木林でカブトムシ狩りや近所の田んぼにゲンゴロウやアメンボ取りに行ったり。
小学生の自由研究じゃないんだから。
「あんたねぇ、虫ばっかりで異性には興味ないのかい?」
 母さんが問う。
「だって虫に興味ない男ばかりなんだもん。話もまともに聞こうとしないし。そんな男無視よ」
 さいですか。
「ま、弟君くらい虫の話をちゃんと聞いてくれて、それなりに虫の世話を手伝ってくれる人ならありかな」
 僕に矛先が向いた!
「流石に姉弟はまずいんじゃないかな」
「ん? でも私はわりと本気だな。最近の男、虫を見る目がないんだもん」
 僕と姉ちゃんは両親のジト目を受けて、僕だけ深く嘆息した。
<了>

21 :
弟裏山

22 :
 N県S市。地方局のNSB局レポーターである得宝有代(とくほうありよ)はS市の市議会についてのドキュメンタリーの取材のため、スタッフ共々市議会の会議所を訪れていた。
「得宝さん、市議会の取材は初めて?」
 カメラマンに問われ、有代は振り返る。
「ええ、初めてです。市民に市議会の実体を報道するため、私も精一杯勉強させて頂きます」
 熱意のこもった有代の言葉にカメラマンはどことなく困った様子で、ふーん、そう、と気のない返事をよこした。
「あら? 何か市議会についてよく思わないことでもあるのでしょうか?」
「そうじゃないけど……。得宝さんは知らないだろうけど、普段テレビで報道しないような市議会の実体に度肝を抜かれると思うよ」
 カメラマンの発言の真意が分からず、有代は首を傾げる。市議会って、普通の市議会じゃないのだろうか。もしやとんでもない不正の実体でもあるのだろうか。
「ここが会議室です。得宝さん、入って」
 カメラマンに促され、有代は目の前のドアをノックする。
「失礼します」
 そう言って扉を開け、有代は目の前の光景に目を白黒させた。
「ウエルカム!」
 有代に向かってクラッカーが引かれ、色紙が舞う。頭上のくす玉が割れ、『NSB局ご一行様ようこそ』と書かれた紙が上から降りてくる。
 有代は周囲を見渡した。スーツにネクタイ姿の市議会議員なんて一人もいない。まるで仮装会場だった。ピエロの格好もいれば、赤いアフロもいるし、バカ殿の格好もいるし、全身タイツもいた。
「え? え? 一体何?!」
 有代は目の前の事態を理解できなかった。カメラマンも呆れたように首を振っている。
「得宝さんが知らないのも無理はないよ。こんなんだから、会議室の中は放送しないことになってたんだ、今まで」
「ここって普通に会議するところじゃないの? みなさんの格好は一体?」
 改めて周囲を見渡す。頭上にはミラーボールが回り、会議室中央にはお立ち台がある。部屋の中には鶏が放し飼いになっており、時折コケコッコーと鳴いている。
「……これはどういうことなんですか……?」
 半ば放心状態になった有代のそばに、バカ殿の格好をした市議会議員がやってきた。男は、口を開く。
「市議会がそんなに不思議かい?」
<了>

23 :
不思議すぎるww

24 :
 ピーナッツは絶体絶命の危機にあった。
「く……そ……」
 左手一本で必死に崖にぶら下がっているピーナッツを見下ろす枝豆の眼は、どこまでも冷ややかだった。
 
 半刻前。
 ピーナッツと枝豆。その両者が、雌雄を決する戦いだった。
 つまみとして絶大な支持を得ている枝豆。対するは、つまみ以外にも中華料理などで幅広く活躍しているピーナッツであった。
「お主のような若僧が吠えるようになったものよのう」
 枝豆は終始余裕だった。敵を前に、枝豆は剣を抜く。
「枝豆! 貴様に虐げられた我が一族の恨み、思い知れ!」
 ピーナッツはそう叫ぶと、腰からトンファーを取り出し、両の手に握る。
「ピーナッツなぞ滅べばいい……!」
 枝豆のその一言で、戦いの火蓋は切って落とされた。先に動いたのは枝豆だった。枝豆は流れるような動きで剣を振る。それは、長年戦いで培われた熟練の業だった。対し、ピーナッツはトンファーで切っ先を受け、威力をしながら反撃を狙う。
「塩茹でして出しただけの料理でつまみの長など言語道断だ!」
「ふっ、幼子の気管支に詰まるような豆風情が吠えよるわ」
「一族を悪く言う奴は……この俺が許さない!」
 枝豆の言葉に、ピーナッツの闘志が高まる。ピーナッツは返す刀で枝豆の手首や顎を狙ってトンファーを繰り出す。それを、紙一重でかわす枝豆。ピーナッツは攻撃の手を強めていく。
 だが、それは枝豆の巧妙な策略だった。

25 :
「はぁ……はぁ……」
 ピーナッツは疲弊しきっていた。枝豆の重さのある一撃をトンファーで受けながらの戦いは並大抵の疲労ではない。
「どうした、もう終わりか」
「くっ、まだだッ!」
 怒りにかませて攻撃を繰り出すピーナッツ。勢い良く剣を振り降ろす枝豆。両者の武器がぶつかり、甲高い金属音が響く。その瞬間。
「さらばだ、若僧」
 枝豆が左手で腰から短刀を引き、ピーナッツの肩に深々と突き刺した。
「ぐわっ!」
 よろめくピーナッツに、枝豆は蹴りを喰らわせる。そのままピーナッツは後方に体勢を崩し、崖から滑り落ちた。
「……ほう、まだそれだけの力を残しているとはな」
 ピーナッツは崖から落ちずに、左手で渾身の力を込め、トンファーを崖に突き刺し、全体重を左手で支えていた。
「若僧なりに頑張ったものよのう。今楽にしてやる」
 枝豆が近付いている。ピーナッツは思わず目を瞑る。家族や、一族の姿が瞼の裏に浮かぶ。次の瞬間、枝豆は剣を振りあげた。
「落下せい!」
<了>

26 :
落花生ーー!!

27 :
「子供たちに手を出すな……ふげッ!」
 銃床で顎を殴られた教師が吹き飛んだ。彼はもんどりうって悶えている。周囲にいた子供たちが泣き出し、先生、と一斉に叫ぶ。
「馬鹿が。逆らうから痛い目見るんだよ。大人しくしてりゃいいものをよぉ」
 銃を持った若い男が下卑た笑い声をあげる。
「我々の崇高な理念を理解して頂けないとは残念だ」
 奥の椅子に座る、眼帯を付けた壮年の男が煙草に火をくゆらせながら言った。
「我々は文部科学省に動いてもらう崇高な目的があってやっていることだ。その交渉材料としてこの小学校の教員と児童にはしばらく我々の手の内にいてもらう」
「ちく……しょう……」
 這ったまま、体を起こそうとしながら教師が言う。
「でもお前らは後悔する……お前らは一番狙ってはいけない小学校を狙っちまった」
 教師がそう言ったのと同時に、校内の警報が鳴る。
「何事だ」
リーダー格とおぼしき、壮年の男がトランシーバーに向かって尋ねる。
「隊長、大変で……ぐわぁっ!」
「おい、どうした!」
 そのまま、器械からは砂嵐の音が流れる。
「おい、応答しろ!」
 若い男も自分のトランシーバーに呼びかけるが、そちらの先からも絶叫が聞こえてくる。
「始まったか……」
 教師は傷だらけの顔に口の端だけで笑みを作る。教室の外からは絶叫と凄まじい爆音と銃声の応酬が聞こえる。
「俺、見てきます!」
 若い男が一名、部屋の外に駆け出して行った。その刹那。
 廊下で、二人の男が対峙した。僅か一瞬。
 若い男は白髪の男を認識した。白髪の男が手に何か握っている。それはきっとモップの柄。
 認識する間もなく、手首を返し、白髪の男は若い男の銃めがけて柄を繰り出す。
 突き。突き。突き。突き。
 まずは一撃、銃を取り落とし、さらに一撃、男の手首は有り得ない方向に曲がり、さらに一撃、モップは男の胴体に深く打ち込み、最後は眉間を強く突いて吹き飛ばした。
男は薄れゆく意識の中で、白髪の男の名札に「校長」とあるのに気付いた。
 激戦は続いた。
 そのまま校長はドアを蹴破り、もう一人の若い男の脳天にモップを喰らわし銃を奪った。
すかさず壮年の男が校長に照準を絞る。宙に浮いた男の銃をキャッチし、校長は両手に一本ずつ拳銃を握る。
そのまま側転しながら相手の銃撃をかわす。そして机を蹴りとばし、バリケードにしつつ、二本の拳銃で反撃に転じた。
 銃弾が男を穿つ。校長は的確に右手、左手、右足、左足を狙う。それはあたかも『突き穿つ死の槍(ブリューナク)』のようで。
「ぐあぁぁっ!」
 男が床に倒れる。
「安心しろ、急所ははずしてある」
 校長は銃口から吹きあがる硝煙をふっ、と吹いた。
 学校を占拠していた集団は残らず逮捕された。一人残らず、校長の手で倒されたのだった。
「校長、ありがとうございます」
「先生、ありがとー」
 教師も児童も校長の周りに輪を作る。先程の負傷した教師が嬉しそうに言う。
「校長は今日も絶好調!」
<了>

28 :
誇張抜きにすごい校長だな!

29 :
 男は手術台の上の若い女を見つめた。女は気管挿管され、横たわっている。既に7半の手袋を身に付け、ガウンも着た。手術だ。
「佐々布先生が手術してくれるんだってね」
 横たわったまま、女は外科医に向けてそう呟いた。
「……」
 佐々布医師は目して、語らない。
「私の体にメスを入れるの、先生でよかった。他の人には触らせたくないから……」
 横で麻酔科医が静脈と動脈のルートを確保している。
「……」
 佐々布医師は喋らなかった。麻酔科医は静脈ルートからシリンジに入った白いプロポフォールを注入した。段々と女の意識レベルが低下していくのが傍目からも見て取れた。
「ささぬの……せんせ……い」
 そこまで言い、女の意識は完全に薄れた。麻酔科医が酸素を吸入させ、喉頭鏡を女の右口角に差し込み、追って気管チューブを挿入した。
 女は佐々布医師の情婦の1人だった。彼に寄ってくる女は両手で数えるほどいた。その中に何人本気の女がいたかは定かではないが、少なくともこの女はそうであったのだろう。
「へへ、この患者佐々布センセイの恋人らしいじゃないですか」
 第1助手である藤谷が言った。
「センセイに何人も恋人がいると知ったらどうするでしょうね」
 別に脅す風でもなく、茶化すように藤谷が言う。知れた所で、どうなるものでもない、と佐々布は思う。佐々布は綿球をイソジンに浸し、術野を消毒していく。
「この女、天涯孤独らしいですね。センセイに見捨てられたらどうするんでしょうかねぇ」
「……」
 綿球を捨て、コンプレッセンで術野の外側を覆う。術野だけが青いシートに空いた穴の中、浮かび上がった。佐々布は無影灯を調整し、術野に光が集中するように動かす。見れば、藤谷も準備できたようだ。
「へへっ、センセイの執刀をまた一番近くで見させて頂きます」
 術野は整った。執刀医の佐々布、第1助手の藤谷、第2助手、第3助手、麻酔科医、器具出しのオペ看護士全員が揃っていた。
「タイムアウト」
 佐々布の言葉に、看護士が時計をスタートさせる。オペ開始だ。
「八紘夢子さん。膵頭部癌に膵頭十二指腸切除を行う」
 低いがはっきりと通る声で、佐々布が言った。医師達は各々配置につく。
 思えば、幸薄い女だった。だが、自分にとって数多くいる情婦の一人でしかない。
「ねぇセンセイ。センセイにとってこの患者は何だったんですかねぇ」
 藤谷が言う。佐々布はオペ看護士に向かって右手を差し出した。
「メス」
<了>

30 :
「あなた、お水を持ってきたわよ」
「……あぁ、すまない」
 私は夫の床の脇に立ち、水差しからコップに水を注ぐ。夫の体を起こし、口元にコップを当て、ゆっくりと水を飲ませてやる。
「迷惑をかけるね」
「あなた。気にしなくていいのよ、夫婦じゃない」
 水を飲み終わった夫をまたゆっくりと床に寝かせる。
「もう少ししたらお粥を持ってくるわね」
「ありがとう、おまえ」
 夫は心底感謝したように言い、目を潤ませた。私が夫に一礼して、部屋を下がる。
 ……馬鹿な男。毒を盛られているとも知らずに。
 夫と私は30歳違いだった。私は行きつけのバーで夫に近づいた。前妻を失った悲しみに暮れているのを知っていて。
 夫はかなりの財産を持っていた。言うまでもなく、それが目当てだった。そうでもなければ、こんな老人のような男の妻に収まるつもりは毛頭ない。
勿論、互いに、保険金もかけてある。先に死ぬのは夫に間違いないのだが。
 私は、とある日を境に少しずつ、夫に毒を盛り始めた。少しずつ、体内に蓄積される毒。それは、タリウム。
摂取を続ければ、全身が痛み、手足が痺れ、脱毛症状もみられる神経毒だ。私はそれを少しずつ夫の食事に混ぜていた。
 夫が医者嫌いなのは計算の内だった。日に日に具合が悪くなりつつも、夫は頑なに病院にかかることを拒んだ。勿論、病院に行かれたら困るのは私の方なのだけれども……。
 それから私の仮初めの看病生活が始まった。看護士生活をしていた頃の知識がこういう形で役に立とうとは思いもしなかった。
 私は個人輸入でを取り寄せ、夫に注射した。勿論名目は痛み止めとしてだった。うとうとする代わりに痛みが和らぎ、夫は泣いて私に感謝した。
 本当に、馬鹿な男。ちゃんとした用法でなく、あえて毎日は注射していないというのに。薬漬けになってばいい。
「ほら、あなた口を開けて」
「うん、美味しいよ。ありがとう」
 もはや床から離れられない夫は食事だけが唯一の楽しみだった。
米と水と塩だけの簡素な粥。
ありがたがるのは勝手だが、栄養不良になるような質素な食事にしているのだから早く死んで欲しい。
 私は夫の部屋からで、離れた台所で皿洗いをする。
 夫が死ぬまで後どれくらいかかるだろう。後幾日で保険金と財産が手に入ると思うと、私はついついほくそ笑んでしまう。
 ふと、私は忘れていたことを思い出す。夫の痛みを取らなければ。
「ああ……そうだ。今日はモルヒネを盛る日ね」

31 :
夫……。
おっと、ついageてしまった。

32 :
おっとっと・・・俺も間違えてageちまったぜ

33 :
捕手を保守した。

34 :
学校の帰り道、隣を歩いていた友が「おっ」と言って足を止めた
草むらで何か見つけたようだ。振り返ると友は見つけたソレを私に見せた、
カマキリの卵だった。
「うわあッ!!」私は思わず友の手を払いのけ卵をぐしゃぐしゃに踏みつけた
私は虫が大の苦手であり、特にぞろぞろと幼虫が出てきそうな卵は
想像するだけで鳥肌が立ってしまう。それを分かってて友は悪戯をしてくる
「あ〜あグチャグチャだわ、エッグいの〜。」

35 :
くそう、地味にきた・・・w

36 :
 彼女と出会ったのは、彼女が入学した頃だった。彼女は僕の隣に引っ越してきた。
 僕たちは同じ時間に家を出ることが多かった。
「お、おはようございます、いい天気ですね」
「ああ、えっと、そうだね」
 そんなぎこちない会話から僕たちは始まった。
「先輩は何部なんですか?」
「陸上部だけど……?」
「今度見学に伺ってもいいですか?」
「いいよ……って、ええ?! マジ?!」
 頓狂な声を出して驚く僕に、彼女はいたずらっぽく微笑んだ。
 彼女はマネージャーとして入部した。
「いつの間にこんなかわいい子みつけたんだよ」
 にやけながら俺を小突く悪友にうるさい、と僕は言った。女子がくすくす笑って、非常に気恥ずかしかった。
 梅雨が来た。その日、僕は不覚にも傘を忘れた。そして、夕立が降った。
「くっそ、ダッシュするしかないな」
 僕は玄関で走る準備をしていた。
「先輩? どうしたんですか」
「傘を忘れてさ」
「……よかったら私の傘、使います?」
「え、でも君が濡れちゃうんじゃ……」
「私の傘で、一緒に帰りましょう?」
 彼女は頬をうっすら赤らめた。僕も頬が熱くなるのを感じた。その日、僕らは一本の傘で帰った。
 幸せな日々だった。
 だが、それもそう長くは続かなかった。
 彼女の様子が変わっていたのは、夏休み明けだった。夏休みの間、彼女は悪い友人と付き合うようになったようだった。彼女のお母さんに聞くと、門限も守らず時には朝帰りすることもあったらしい。とても信じられなかった
 僕は彼女をまっとうな道に戻そうと努力した。だが、高校二年生の僕には到底無理な話だった。
「もうその連中と付き合うのはやめにしないか」
「先輩。口出さないでくれます?」
 彼女は僕に食ってかかった。以前なら考えられないことだった。
「君が打ってもらってるビタミン剤って絶対まずいって。戻れなくなる前に引き返すんだ!」
「私を放っておいてよ!」
 彼女は僕に平手打ちをして去っていった。
 数日後、彼女のお母さんに呼ばれて僕は彼女の部屋に入った。
 ……惨状だった。
 壁紙やカーテンはカッターでズタズタに裂かれていた。彼女は部屋の隅で体育座りし、言葉にならない声で何やらぶつぶつ言っている。
 僕が、彼女を助けられなかったから。僕は悔やんだ。彼女が悪い連中と付き合うのを止められたなら、薬に手を出すのをやめさせられたなら。僕自身の無力さの結果が目の前にあった。
 僕の後輩は、完全に荒廃していた。

37 :
捕手を保守

38 :
 ついにこの日が来た。
 俺は自分の野望が今に達成されようとしている喜びに震えずにはいられなかった。
社長秘書の館山礼香はベッドの上ですやすやと寝息を立てている。
 二人で幾度となく外食を続けること数度、俺に気を許した礼香をへべれけになるまで酔わせた。
今までのデートで一切下心を見せなかった俺の我慢が功を奏したのだ。
歯牙ない係長風情である俺が社内のマドンナの礼香を。
礼香を狙っていた水川専務も悔しがるだろう。
 初めて食事に行った際の礼香はかなり警戒していた。
俺みたいな汚い中年親父が食事に誘うのだ、警戒してしかるべきだろう。
 しかし、俺は目先の利益には決してとらわれなかった。
少しチャンスがありそうでも、礼香に下心を感じられぬよう食事はオープンで上品な店だけを選び、紳士的に振る舞い、酒をこちらから飲ませることもなく、見栄を張ってまで食後は自分で家まで送ることなくタクシー代を渡して家まで送迎させた。
 このようなやりとりが何度あっただろうか。
ある晩、礼香の方からぽつりと口を開いたのだ。
貧乏だった子供時代。
両親の離婚。
母親の女手一つで育った過去。
いじめにあった学生時代。
男性不信になっていたこと。
ようやく、最近男性不信を乗り越えて好きな人ができたこと。
その人と交際を開始したこと。
もうすぐ退職し、2人で今度初めての旅行として軽井沢に行くこと。
自分の今までの鬱屈とした生活の辛い思い出と今迎えようとしている幸せな日々の話。
礼香は自分から酒を頼み、少し酔いながら話していた。
礼香は俺の企みも知らずに俺を信用しきっているようだった。
 今夜の礼香はとりわけ上機嫌だった。
恋人がいながらも俺と食事をしに行くのが楽しみだったという。
何回目からは礼香は俺のことをお兄ちゃん、と呼んでいた。
今まで年上の身近な男性がいなかったらしい。
そんな存在が欲しかったとも言っていた。
いい気なもんだ、その信頼している男の毒牙にかかるというのによ。
 すっかりできあがった礼香はタクシーでここまで運んだ。
町外れのテル。ここなら誰の邪魔も入らないし、逃げようもない。
もっとも、礼香は全く起きる気配はないのだが。
 礼香の服はすっかり脱がせてしまい、彼女は下着姿でベッドの上に横たわっていた。
俺もシャツを脱ぎ、カチャカチャと音を立ててズボンを脱いだ。
 礼香が避暑地に行く前にことをなさねばならない。
俺は今日こそ手に入れるのだ。
秘書の秘所を。

39 :
僕には、好きな人がいる。
クラスメイトの、川井さんだ。
見た目はちょっと地味でそれほど目立つわけじゃないが、僕にとってそんなことは重要じゃない。
クラスの掃除をしているとき、図書委員の仕事をしているとき。
いつでも彼女は一生懸命だった。
そのひたむきな姿が、僕にはとても魅力的に見えた。
かわいいなあ、川井さん。

40 :
川井伊予菜さんかわいいよな

41 :
「この映画、本当に君たちが作ったのかい? 自主制作にしては良く出来てるじゃないか」
「その通りさ。お褒めに与り光栄だね」
「本当に素人が作ったとは思えないよ。 誰が監督をやったんだい?」
「トムさ」
「へぇ、トムが? まさに意外な才能ってやつだな。 ……で、そのトムの姿が見えないけど」
「今日ははじめから来てないよ。 なんでもママの誕生日なんだってさ」
「なら仕方ないな。 で、脚本は誰が書いたんだ?」
「トム」
「なんだって?」
「だから、トムがさ。 ついでに言うとだ、演出もやったし、映像編集にも少し手を出している」
「なんてこった、八面六臂の大活躍、って訳だな?」
「どちらかと言えばワンマンなだけだよ」
「何、これだけ面白いものを作れるんだ、つまり実力がある、ってことだろ?」
「まあ、それはそうなんだが……」
「あ、そういえば一箇所だけ腑に落ちないところがあるんだ」
「うん、なんだい?」
「マイケルがマリアを……」
「おい、おい、ちょっと待ったジョン。ちゃんと役名で読んでくれなくちゃあ」
「ああ、なるほど君の言うとおりだ。訂正しよう。エドワードがテレサをいきなり抱きしめたことがあったが、
彼はキャサリンに惚れてたんじゃあなかったかな? 解説求む」
「ああ、その……」
「なんだい?」
「さっきも言ったとおり、ほとんどはトムがやってね……僕はちょっと……その」
「つまり、何が言いたいんだい?」
「解説もトムだ」

42 :

 久々に結婚式に招かれた。
母方のいとこの中で独身最年長だった男の結婚。しかし正直、あまり乗り気ではない。
娯楽の少ない田舎。次の一大イベントの主催者は三十五歳独身のお前かと親戚一同から
期待の矛先を向けられるのは火を見るより明らかだからである。
 ただ、ひとつ楽しみにしてることがある。
見ないうちにめっきり綺麗になったと母から噂が上がる、メガネっ子の従妹(二十三歳)も
この式に呼ばれているようなのである。
 従妹は俺が今住んでいるアパートと200キロ離れた俺の実家との中間あたりの街に住んでいる。
最後に会ったのは十年前。俺の使い古しのパソコンとプリンターを従妹に譲ったときである。
 パソコンがかなり普及した頃ではあったが、それでもパソコンを持たない家庭は少なくなかった。
まだ早いと言う家族の判断でインターネット接続は見送られたが、CD、DVDが視聴可能で
ワープロも表計算もハガキ作成も出来て大量のおまけゲームまでついてさらにメモリーを増設した
当時それなりのスペックを誇ったマシンである。十代前半の少女には魔法の箱に見えたのだろう、
はにかみながらもメガネの奥でキラキラと瞳を輝かせていたのを今でも鮮明に覚えている。
「どうも。ご無沙汰しています」
 観音開きのドアを派手に開けて新郎親族の控え室に入る。
真っ先に目に付いたのは、明るい銀色のタキシードにはそぐわない表情をしている新郎(三十八歳)だ。
叔父夫婦に軽く挨拶し新郎の前に立つ。
「この度はおめでとうございます。……なんかだいぶ疲れてんじゃね?」
「遠いところ御足労いただきありがとうございます。……いろいろあってな。やっとここまで
 こぎつけたって感じだ。いざ結婚となればお前も分るさ」
 事前準備が余程大変だったのか、結婚式、披露宴を待たずに新郎は心労で憔悴しきった顔をしている。
しかし、新郎の気苦労はこの際どうでもいい。俺のお目当ては大人になったメガネっ子の従妹だ。
メガネはかけてないがその姿は気づいていた。場違いなスタンドアップピアノに似た、ノースリーブの
素っ気ない黒のワンピースに白のレースのストールを纏った従妹が俺を見て小さく微笑んだ。
「……あなたもそろそろ結婚したほうがいいんじゃない?」
 案の定、笑いながらではあるが叔母から苦言を呈される。
適当に相槌を打ち話をはぐらかす。そしてすぐに俺は叔母の隣でニコニコしている従妹に声を掛けた。
「どうも。俺のこと覚えてる?」
「あはは、あたり前じゃないですか。現役は退いたけどパソコンまだ電源入れればバリバリ動きますよ」
 
 母の話は本当だった。
俺の想像をはるかに凌駕し、大人になり綺麗になった従妹の笑顔がとても眩しかった。
肩口にかかるストレートの黒髪と、整えているくらいでどちらかと言えば太い眉毛は秘めた芯の強さを感じさせた。
少女から大人の女に移りゆく季節を共に過ごした俺の98SEマシンはさぞかし幸せだっただろう。
「……あれ、メガネ掛けてなかったっけ?」
「今は基本コンタクトですね。メガネも持ってるけど」
 思わず見とれてしまったのを笑いながら誤魔化す。
ついでにあまり露骨にならないように、俺は褒め言葉を探した。
「パソコン持ってった時のメガネの印象強いけど、雰囲気ガラッと変わったね。目ヂカラアップみたいな」
 俺の声に従妹は僅かに下を向いた。
そしてあの頃のようにはにかみながら恥ずかしげに答えた。
「えへへ。……ちょっとマスカラ塗ってますから」

43 :
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44 :

 猟師のゴン吉は、鉄砲を背負い秋の山を鹿や野うさぎを追っていました。
ウサギを三匹しとめた所で、風が変わり、雨が降りはじめました。
「こりゃぁ、荒れるな」
ゴン吉は山かげにある小屋に向かいました。
 その小屋は囲炉裏と二、三人がやっと横になれるだけの小さなものでした。
ゴン吉は火を起こすと、ウサギをさばき、鍋でぐつぐつ煮込みました。そして鍋の後の楽しみにと
山で拾った大きな栗を数個火の周りに置きました。
 ウサギ鍋を半分ほどたいらげた頃でした。
小屋の戸をドンドン叩くものがありました。こんな嵐の日に俺の他に山に入った者がいたのか?と、
ゴン吉が振り返ると、不思議な事に戸を開ける音も立てずに、毛むくじゃらの小熊のようなものが
立っていました。
 これが話に聞く山わろだろうか……? 
ゴン吉が凍ったように見つめていると、その毛むくじゃらのものはゴン吉の斜め横に座ると
無邪気に囲炉裏の火に手をかざしました。
「お前、わしを山わろだろうと思うておるじゃろ?」
 毛むくじゃらのものの声に、ゴン吉の顔から血の気が引きました。
見るとその顔には大きな目が一つしかなく、その目玉は嬉しそうにぎょろりとゴン吉を見つめていました。
山わろはサトリ。人間の心の中が手に取るようにわかる。と誰かが話していたことを思い出しました。
今も自分の心が読まれているのかと思うと恐ろしくてゴン吉はいてもたってもいられません。
「お前、わしがお前の心を読んでると思って怖がっておるじゃろ?」
山わろはぽつりと言いました。
 ゴン吉はしまった、と思いました。
そして、これでは何も考えられない、早くどこかに行ってくれればいいのに。とつい考えてしまいました。
「……お前、わしが早くどこかに行ってくれればいいと考えておるじゃろ」
山わろは一つしかない目をつむって言いました。ゴン吉は恐ろしくて恐ろしくてたまりませんでした。
 逃げるに逃げられずゴン吉はただ囲炉裏の火を見つめたまま、ぴくりとも動けませんでした。
山わろも背をまるめ、静かに手を囲炉裏の火にかざしていました。
聞こえてくるのはざーざーと言う小屋の外の雨の音と、パチパチと言う薪の燃える音だけでした。
 そのうち囲炉裏の火が小さくなりました。
ゴン吉はそばにあった薪を取ると、ひざに当て、ぱきんと二つに折りました。
薪を折った勢いで木の破片が山わろに向かって飛んでいきました。しかしそうなることが解っていたかの
ように、山わろは紙一重の差でひょいと身をかがめました。
 その時です。
 ぱんっ、ぱんっ!!!
 囲炉裏の中で焼かれていた栗数個が弾けました。
突然の鉄砲に似た音に、山わろは狐につままれたような顔をして言いました。
「栗け……? ……びっくりしたなー、もう」

45 :11/11/30
あげ
・ 次のスレ
35: 【漢詩】宜以漢文創作 (17)
36: 【いでよ】立体物を作ってみるスレ 2【三次元】 (72)
37: ぼくのかんがえた聖杯戦争 (102)
38: 【シェアード】学園を創りませんか? 4時限目 (562)
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