2012年09月CCさくら215: 長門有希萌えスレ (557)
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長門有希萌えスレ
- 1 :2006/08/19 〜 最終レス :2012/08/15
- 立てました
- 2 :
- 2
- 3 :
- 華麗なる
2げっと アレ?
- 4 :
- 乗っ取れ乗っ取れ
- 5 :
- __, -──- 、
/ / `ヽ
/ ,' \
/ ! / / , , } ヽ ヽ
,' │ {, 'i ィレ'レ| ハ ハ ! ハ
,イ | |‐‐‐-、 レ' _ム__!_i/ ! }
~ レ、 i ,ィ≠、 ___ }ノノ}ノ
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` レヽ ! ̄ ' └' //
`ヘ |>、 ‐ , イ/ さくらたんハァハァ・・・なにこれ
,∨- ≧ー≦´W
,<ヾ、 \ニミ! `¨ヽ__
/::::\ , ――┘、/, ―‐┤
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- 6 :
- 長門有希はエヴァの綾波レイと重なるのは俺だけか?
- 7 :
- >>6
微妙に違う
- 8 :
- __, -──- 、
/ / `ヽ
/ ,' \
/ ! / / , , } ヽ ヽ
,' │ {, 'i ィレ'レ| ハ ハ ! ハ
,イ | |‐‐‐-、 レ' _ム__!_i/ ! }
~ レ、 i ,ィ≠、 ___ }ノノ}ノ
N,ヘ V:rソ {!::jテ//
` レヽ ! ̄ ' └' //
`ヘ |>、 ‐ , イ/ ・・・・・さくらは用済み
,∨- ≧ー≦´W
,<ヾ、 \ニミ! `¨ヽ__
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- 9 :
- R
- 10 :
- >>8
何気にこえーこと言うな
- 11 :
- 長門有希の可愛さは異常^^
- 12 :
- 消失の時の長門は可愛いすぎます><
- 13 :
- ななついろ☆ドロップス
- 14 :
- おいしい.....?
- 15 :
- 確かに長門は可愛い・・・
- 16 :
- 〉〉1
- 17 :
- __, -──- 、
/ / `ヽ
/ ,' \
/ ! / / , , } ヽ ヽ
,' │ {, 'i ィレ'レ| ハ ハ ! ハ
,イ | |‐‐‐-、 レ' _ム__!_i/ ! }
~ レ、 i ,ィ≠、 ___ }ノノ}ノ
N,ヘ V:rソ {!::jテ//
` レヽ ! ̄ ' └' //
`ヘ |>、 ‐ , イ/ ・・・・・大好き
,∨- ≧ー≦´W
,<ヾ、 \ニミ! `¨ヽ__
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- 18 :
- ′ ,イ
//l// . -−―‐ 、
/ | ┼ ┼┴、 / . ´。゚。゚/ ̄ ̄ヽ 丶、
\ l d‐ | ‐' / ∠_`i〃 // ̄`ヽ 」 ヽ.
_|_ . 7_ , ' ニミi」{{∠∠ニ二 _ li |i '.
_l,. ┐┼┴、 . | / / . - ,. -――‐ 、`ヽ |l lj i
. /| l/ | ‐' <| / /´ __/ ____ ヽ lj - 、!
. / / //´ _/ `ヽ _| / , -、ヽ
| / ___ i-<⌒ヽ、 / { ー{ }_| /⌒ヽ i
| \ ./ ┌ l/`ヽ.__} i |\ ‐ヽ ,. --、 , ---、| |i { - 、 l
| __l__ l,_/ .> ,ハ ! ', `ー ' /.::::::::::し' .:::::::::::| u ) l |
| -ゝ- フ { / 〉 ', ', {::::::::::::::::__:::::::::} r‐、__ノ
| (´__ /⌒ヽ .ゝ /} ', /⌒i, 一ァ'´ /⌒/ ヽ._/
‐一ァ . _ノ { , ′ ′ V⌒l/ ′ /⌒ ′ /
.  ̄ ̄) / //// ゝ / ヽ ヽ `ー‐一'´ / ′
´ {_ ・・・・ {‐'´ , -― 、 \` ̄ ̄ ̄ ̄´ | /
//// \-‐/: : : : : : : \_ 丶、___ -‐''´ ヾフ´ン': : /
・・・・ __V: : : : : : : : / : : :\_/ / // : / :
/!: : : :/ : : : : : : /: / ̄ ̄{ ∠ -‐ァ'´: : : : : : : : :
/ l : : 〈 : / . : : : : :/  ̄ ̄ ̄ヽ_/ /: : : : : : : : : : :
/|/ ̄|/ ̄ ̄`Y´ |: : : :∨ : : : : : : : \ /: : : : : : : : : : : : :
http://jbbs.livedoor.jp/game/28247/
- 19 :
- ランコからきました
- 20 :
- ラRからきますた
- 21 :
- 観光しに来ますた
- 22 :
- ラRからきますた
- 23 :
- ヴィップオ
ここでおk?
- 24 :
- ラRからきますた
- 25 :
- ヽ
(^ω^)-┐
┗-ヽ ノ
┏┘
- 26 :
- La unko
- 27 :
- みんなマジごめんw
あの内容じゃ埋まるのはえええwwwwwwwww
- 28 :
- >>30
- 29 :
- http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/2chbook/1130573534/
- 30 :
- >>30
- 31 :
- http://human5.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1154621665/l50
- 32 :
- みんなウソツキw
2ch一周しようぜ!
http://ex16.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1156122483/
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/21(月) 10:08:03.06 ID:j8l/6jYe0
まずは>>20の板へ
安価取ったやつがスレ立て、以下繰り返し
すでに行った板の場合は>>40に最安価
移動履歴
現在
VIP→神社・仏閣→モ娘(狼)→政治→VIP→YouTube→ロボットゲー→VIP→FF・ドラクエ→携帯ゲーソフト→壁
→VIP→架空請求・spam→鉄道総合→邦楽グループ→VIP→国内サッカー→プロ野球→軍事→ポイント・マイル
→ニー速→なんでも実況V→国内サッカー→テレビサロン→ガイドライン→インディーズ→身体・健康→CCさくら
- 33 :
- >>30
ねーよww
- 34 :
- >>31
- 35 :
- おじゃましますた
- 36 :
- __, -──- 、
/ / `ヽ
/ ,' \
/ ! / / , , } ヽ ヽ
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,イ | |‐‐‐-、 レ' _ム__!_i/ ! }
~ レ、 i ,ィ≠、 ___ }ノノ}ノ
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` レヽ ! ̄ ' └' //
`ヘ |>、 ‐ , イ/ ・・・・・ヲタとVIPPERは死んで
,∨- ≧ー≦´W
,<ヾ、 \ニミ! `¨ヽ__
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- 37 :
- >>36
長門さんの存在が無くなりますがなw
- 38 :
- 【トップランナー】鳥山明がNHK初出演【増毛疑惑】
漫画家 鳥山明 氏が9月22日放送のトップランナー(NHK)の収録を無事終えました。
(中略)なかなかテレビなどのメディアに出演しなかった鳥山氏だが、ヘアースタイルも
一新して登場。終始和やかな雰囲気で対談は進んだ。
http://society3.2ch.net/test/read.cgi/hosp/1155018694/
- 39 :
- クソVIPPER達の集まり
http://www.trasher.ru/foto/trasher/trasher.jpg
- 40 :
- __, -──- 、
/ / `ヽ
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/ ! / / , , } ヽ ヽ
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~ レ、 i ,ィ≠、 ___ }ノノ}ノ
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` レヽ ! ̄ ' └' //
`ヘ |>、 ‐ , イ/ ・・・・・ウイルス貼るなタコ
,∨- ≧ー≦´W
,<ヾ、 \ニミ! `¨ヽ__
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`ヘ |>、 , イ/ < まだ彼女作らないんすかwwwwwwwwwww
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~ レ、 i ,ィ≠、 ___ }ノノ}ノ
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` レヽ ! ̄ ' └' //
`ヘ |>、 ‐ , イ/ ・・・・・米
,∨- ≧ー≦´W
,<ヾ、 \ニミ! `¨ヽ__
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- 45 :
- 毒舌な長門さんが妙にいいですな
- 46 :
- __, -──- 、
/ / `ヽ
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/ ! / / , , } ヽ ヽ
,' │ {, 'i ィレ'レ| ハ ハ ! ハ
,イ | |‐‐‐- レ' _ム__!_i/ ! }
~ レ、 i ,ィ≠、 ___ }ノノ}ノ
N,ヘ V:rソ {!::jテ//
` レヽ ! ̄ └' //
`ヘ |>、 , イ/ ピタゴラスイッチ
,∨- ≧ー≦´W
,<ヾ、 \ニミ! `¨ヽ__
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- 47 :
-
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/ / `ヽ
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/ ! / / , , } ヽ ヽ
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` レヽ ! ̄ └' //
`ヘ |>、 , イ/ ……ハルヒ板は?
,∨- ≧ー≦´W
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/ / `ヽ
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` レヽ ! ̄ └' //
`ヘ |>、 , イ/ ねーよwww
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- 49 :
- 長門ってようかんに変身できないの?
- 50 :
-
_
'´---`ヽ
|.〈 (・) 〉.|
i、_-- _/
 ̄
- 51 :
- __, -──- 、
/ / `ヽ
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/ ! / / , , } ヽ ヽ
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` レヽ ! ̄ └' //
`ヘ |>、 , イ/ キンツバなら…
,∨- ≧ー≦´W
,<ヾ、 \ニミ! `¨ヽ__
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- 52 :
- 侮れんなきんつばを嗜むとは……長門、甘党なのか。
- 53 :
- もともと食い物をぱくぱく喰う描写があったしな。長門はわりと快楽をたのしむタイプかもしれん。知らないだけで。
読書も知的快楽だし。
- 54 :
- __, -──- 、
/ / `ヽ
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/ ! / / , , } ヽ ヽ
,' │ {, 'i ィレ'レ| ハ ハ ! ハ
,イ | |‐‐‐- レ' _ム__!_i/ ! }
~ レ、 i ,ィ≠、 ___ }ノノ}ノ
N,ヘ V:rソ {!::jテ//
` レヽ ! ̄ └' //
`ヘ |>、 , イ/ ……長門板は?
,∨- ≧ー≦´W
,<ヾ、 \ニミ! `¨ヽ__
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- 55 :
- ハルヒや長門はあと10年もすれば立派なピザになるだろな。
メシ食い杉
- 56 :
- 【社会】「ジャンケンは指がない人を排除する差別的遊戯」福岡の市民団体が抗議
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news7/1156419324/
- 57 :
- __, -──- 、
/ / `ヽ
/ ,' \
/ ! / / , , } ヽ ヽ
,' │ {, 'i ィレ'レ| ハ ハ ! ハ
,イ | |‐‐‐- レ' _ム__!_i/ ! }
~ レ、 i ,ィ≠、 ___ }ノノ}ノ
N,ヘ V:rソ {!::jテ//
` レヽ !゛ ゝ ゛' //
`ヘ |>、 ー , イ/ ・・・・・
,∨- ≧ー≦´W
,<ヾ、 \ニミ! `¨ヽ__
/::::\ , ――┘、/, ―‐┤
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- 58 :
- 『長門有希の奪還』より
……喜緑さん、今、何と言った?
「情報統合思念体は、長門さんを解任しました。理由は私たちには説明されてはいません。でも、想像はできます」
どういうことだ? 長門は……まさか……原子の塵に戻されちまったのか?
「違います。……みなさんは、何か誤解されています。私たちは、なにも無いところから生まれたのではありませんよ」喜緑さんは優しく微笑んだ。
「長門さんの内部矛盾に長門さん自身がもう耐えられないだろうと判断されたのだと私は思っています。彼女、何もかも忘れ、今は幸せな普通の生活を過ごしていますよ。きっと」優しそうで、寂しそうな微笑み。
どこでだ。どこで暮らしてるというんだ。
「さあ、どこででしょうか。私にはわかりません」喜緑さんは視線を落とした。
「つまり、長門さんは人間に戻った、ということですね」古泉がいままでの沈黙を破った。戻っただと?
「我々も研究を進めてきました。思い出してください。朝倉さんと長門さん……涼宮さんのまわりに派遣されたTFEI端末二人が二人とも行動の異常を示したことを」古泉は説明したが、いつもの饒舌な感じではなかった。
「TFEI端末の構造自体に、行動の異常を引き起こす要因が含まれているのではないかと我々は考えています」
- 59 :
- 有希可愛いよ有希
>58
流石に人間になるのは規定事項だと思う。<ちぃ
- 60 :
- age
- 61 :
- このスレッドは削除依頼済みです。
- 62 :
- >>61ホント?
- 63 :
- >>59
そうですか?
キョンがハルヒたちの力に翻弄されながら終わる、というパターンも十分考えられます。
基本がコメディーとミステリとSFですから、謎解きで終わってしまうこともね。
そして人間化というテーマでも、フランケンシュタインの怪物(原作ね)のような展開のパターンもありますし。
そういう悲劇は谷川さんは書かないでしょうけど。
まあアニメ的に考えれば安易にピノキオテーマに流れるかもしれませんねw
つぎにフランケンシュタイン的に想像した一シーン。
↓長門を人間として慰めながらも、怪物的な役割を期待する人たち。
- 64 :
- 『長門有希の奪還』より
長門、苦しかったか? 苦しかったのなら、言ってくれたらいいんだ。言ってくれてたら……
長門は、コンピ研の部長の背に負われた俺の脇でつぶやいた。「情報統合思念体に、こう伝えられたことがある。翻訳は困難だが、無理に擬人化されたメッセージに翻訳すれば、以下のようになる。
『きみはインターフェイス。インターフェイス自身は情報と情報の受け渡しのためにある。それ自身での存在を主張すればするほど邪魔な存在。存在しないからこそ、重要な役割を演じられるのだ。壁に開いた四角い枠に情報などないだろう』
これが私の私自身への今の基本認識」
「痛い!」前方で古泉が小さく叫んだ。「いたたたた……涼宮さん、離して、離してください!」人影が古泉の背から降りた。
ハルヒ、気がついていたのか……闇の中、ハルヒは前方で佇んでいた。長門をじっと見つめていた。長門は歩みを止めた。
ハルヒは涙を指でつまんでは、脇に散らす。
「有希。何を言っても有希の慰めにはならないかもしれない。でもね」しゃくりあげて言った。
「私は信じる。有希は人間の親に望まれ、愛されて生まれて来たんだと」
「あなたに信じられ、それで何かが変わっても、何の意味も見いだすことは出来ない」有希は言った。また歩き始めた。ハルヒを置いて。
「私は今、情報統合思念体に不正アクセスを繰り返している。これが成功しないと少なくとも鶴屋さんたちが犠牲となる確率が高い。しばらく会話は中断」
西の山々に光球がいくつも拡大するのが見える。その遠い光を浴びながら俺たちは歩みを進めることにした。
- 65 :
- 早くRよ、ハルヒ厨
- 66 :
- 断る!
- 67 :
- >>65
邪魔する気?
- 68 :
- 長門が人間になるのはありがちでツマラン
- 69 :
- だからようかんになって、SOS団室で人型ようかんとして食われるんだよ
- 70 :
- 長門、ボーイッシュ!
- 71 :
- 『長門有希の雑談』
下の公園にホームレスが住み着いたらしい。谷口が言っていた。そういうこともあるだろうさ。
あとでクラスの連中に聞いた話だと、そのホームレスは女で、子連れ。大きな帽子を被り全身を布で覆ってて、顔を見たものはいないという。
ここらでそういうことは珍しいので、児童委員や民生委員の人たちがその女と話をしようとしているのだが、逃げるばかりだということだ。
夜には食物を調達しようと商店街に出かけ子どもを公園に残しているらしいのだが、その子を保護しようとする動きにも抵抗しているらしい。
まあ気の毒な話ではあるが、民生委員の人がどうこうしてる話は、そうですか、大変ですねいろいろ、なんて感想しか正直もてない。自分とは直接は関係のない話だと思っていた。
ところが俺がある夜、ツレの家から帰る途中、公園の前で長門を見た。薄汚い子どもがいて、その子にパンをあげていた。いやいやをしていた子どもも、やがてそのパンをがつがつと喰いはじめた。
なにをやってるんだろう。
SOS研で長門と二人きりのとき、ふと社会的な話をした。
宇宙人的には、人間の貧困の問題とかどう思う? その気になれば助けられるんじゃないか?
「情報統合思念体にとってそれは、結局のところ有機生命体相互の生命活動と活動環境との関係性の問題となる。個々の有機生命体がどういう生命活動を行うべきかは情報統合思念体が判断すべき事柄ではない」
- 72 :
- あーよくわからないんですが。
「誤解を恐れずに言えば、類人猿の社会において個々の類人猿がどうあるべきかを、人間が判断すべきかどうか、という問題のようなもの。類人猿の社会で生命活動の維持が困難な個体が観測された場合人間が干渉すべきか、という問題も含まれる。」
はー俺たちは猿ですかそうですか。
「そういう言い方は適切ではない。当然のことだが、生命体の生活環境に干渉する場合、可能な限り慎重な検討が行われる。もちろんその過程で情報統合思念体にとっての利益の検討が織り込まれることは確かではある」
「そのことから連想したので伝えておくと、情報統合思念体のコミュニケーション用インターフェイスはヒューマノイドタイプだけではない」
え? 何ですかいきなり?
「情報統合思念体は涼宮ハルヒの観察のためヒューマノイドタイプを準備して派遣しているが、未来において交渉相手となるべき種は別に想定してその種のためのコミュニケーション用インターフェイスを準備し派遣している」
は? つまり、今の人間は観察対象にすぎないが、未来において別の生き物が交渉にふさわしい相手に進化するので、その生き物を地球の交渉相手として想定していると?
「そう」
その種とは?
- 73 :
- 長門は教えてくれた。
そうか。……それは大変なことだが、こんなことを一介の高校生にすぎない俺に伝えられても困ることに気づく。忘れよう。すぐ忘れよう。
以前お前がホームレスの子どもに食べ物をやっていたのを見かけたのだが、聞いた話によるとたびたびしてるらしいな。ということはあれは、情報統合思念体の意思か?
「この場合は、私がしたかったから」
……そうなのか? しかし食事代とかお前は無尽蔵にあるのか。
「情報統合思念体は私一人を想定した予算を準備している。それ以外にはない。その中から捻出した」
そうか。
「あのような子たちに食物を与えるというのは、単に栄養を与えるということだけが目的ではなく、他者との関係性を再確認するということも目的」
そうか。……お前は、その子の寂しさに手をさしのべたかったんだな。
長門は何も答えなかった。
- 74 :
- ちょっとRして来ていい?
- 75 :
- >>73
機関のメンバーが泣いた!
未来人も泣いた!
俺も泣いた!
そしてお前はR>74
- 76 :
- >>69
そのネタは筒井ショートショートSFからか?
- 77 :
- >>75ありがとう
↓Rから連想して
『長門有希の探検』
いつものSOS団の探索行、俺は長門と町をぶらぶらと回るふりをしてまた図書館に行こうとしたが、途中長門が立ち止まった。病院の前だ。
どうした?
「何かがいる」
なんだ?
「わからない」
わからない? お前にわからないものがあるのか。
長門はその病院へ入っていった。おい待て! しかし、ずんずんと歩いていく。
ひんやりとした空気。階段を上り、病院特有の匂いに戸惑いながら、とある病室に着いた。点滴の匂い。6人部屋のようだ。長門は部屋の奥に入っていく。
いくらなんでも失礼だろ。長門はきょろきょろと部屋を見回す。
「どうした? 誰のお客さん?」奥のベッドに横たわった初老の男性が聞いてきた。その人は点滴を3つほど受け、毛布の中から管がいくつかベッドの脇の袋に入っている。
- 78 :
- ほらみろ、すぐに出よう。違うんです、ちょっと勘違いしまして。
「そうなのか」男性は言った。しかし長門は動かない。
「暇だったら座っていけ」その男性はベッドの横の丸イスを示した。
長門が動きそうもないので俺は丸イスに座った。どうもすみません、ご迷惑をおかけします。
「いや遠慮することはない。何かの縁だろう」
脇の棚から清涼飲料を出してくれた。ただただ恐縮する。
「お嬢ちゃん、あんた神様についてどう思う? 心の弱った老人に意見を聞かせてくれないか」男性は長門に聞いた。長門は答えた。
「宗教は、世界と自らを関係づけるための情報の集合に関する活動の一つと認識している。神に代表される宗教的概念は〈自らと世界に関する情報の集合〉を巡る星座のようなもの。あるいはその逆」
よくわからんことを知らない人に言うんじゃない。
「はっはっは、お嬢ちゃんは頭のいい子だなあ。ありがとう。それも正しいと思うよ。まあ年とって大事な人がいなくなって、自分もどうなるかわからなくなるとまた違った思いを持つもんだがね」
体力が落ちてるなりに豪快に笑う人だなと思った。心が健康てこんなことを言うんだろうか。
- 79 :
- そのあと二週間、週末に長門に連れられ俺は病院へ通った。さすがに二度目からは見舞いの品を持っていった。何の因果で見ず知らずの人に見舞いをせにゃならんのか。
俺のたわいもない話、長門の訳の分からない話にもその人はよく笑った。あるとき急に体調が悪くなったらしく、携帯用の便器で用を足そうとしたとき、その人は準備の段階で下痢を漏らしてしまった。
「なんてこった、俺は下の感覚もなくなっちまったのか……」そのときの声が一番小さな声だった。長門は看護師を手伝い、丁寧にその人の身体を拭った。その手際の良さはどこで憶えたんだ。俺はうろうろするばかりだった。
親戚だという人たちに何度か会ったが、自分たちの立場を説明するのに神経を遣った。ベッドの主はそんなときにも助け舟を出してくれた。長門はやはり大概じっと病室にいたが、じっとしたまま何を考えてるのかは見当もつかなかった。
ハルヒの提案したイベントで間が二週間ほど空き、そしてまた俺たちはあの病院へ行った。
あの男性のベッドは空になっていた。
「いなくなった」長門が言った。
そういう言い方をするな。
「違う。あの男性のことではない」
じゃあ、何が?
「何かが」
なんだそれは。
- 80 :
- 受付で聞こうと部屋を離れるが、ナースステーションの前で担当だった看護師の人に会った。小さな声で教えてくれた。「週の始めに……はい、亡くなられました……」
伝言を預かってるという。俺たちはその便せんを受け取った。
〈家族ではない、連絡先のわからない若い子たちへ
家内が迎えにきたようだ。どうも私は家内がいなければ最後のときも迎えられないらしい。
手を引かれて、一足先にやすらかなところへ行くよ。
私の最後を見てくれた不思議な子たち、本当にありがとう〉
なんだか溜息が出るな。この見舞いの品はどうしよう。二人で病院を出た。
「やすらかなところ」長門がつぶやくのが聞こえた。
「わたしの行くところはどんな……」
間があって、そのあと言葉が続くことはなかった。
- 81 :
- むみょー氏 SF小説炸裂!
GJです、筒井的w
- 82 :
- >>81重ねてありがとう
↓ありがちな発想でも何とも思わずに投下
『長門有希の推薦』
「ねえ有希、有希って本が好きじゃない? その中でおすすめって?」ハルヒが聞いた。
「"The Lathe of Heaven" by Ursula K. Le Guin」長門は答えた。
「……それってどういう本?」
「世界を一夜で改変する力を得た男が、その力に翻弄される話」
「……バッカじゃない? そんなことあるわけないじゃないの。実際いたら超迷惑な人だしその人。空想にしてももっと考えなきゃリアリティってもんがないわよ。もっと身近なのない?」
「にょろ〜ん☆ちゅるやさん」
「え? 何それ」
「鶴屋さんの異世界同位体に関する本」
「鶴屋さん? 鶴屋さんて異世界人なの?」
「この世界の鶴屋さんに関する本ではない。異世界に存在する鶴屋さん」
「どこで売ってるのそれ」
「と○○○○。メ○○○○○○。たぶん売り切れ」
「それどこの本屋さん? 今度の日曜に行ってみようっと」
来週のハルヒの反応を考えるとほんの少し心臓の鼓動が速くなった、とのちに長門は俺に伝えてくれた。■
- 83 :
- ttp://www.amazon.co.uk/gp/product/1857989511/026-0239542-3580475?v=glance&n=266239
遂に洋書と思ったら、こんな本まで!長門畏るべしw
>82
>「それどこの本屋さん? 今度の日曜に行ってみようっと」
間違いなく、そこで何かやらかす(やらかされる)に1票
- 84 :
- ハルヒたちが同人誌を作って売ってるイラストをどこかで見たような・・・ガクブル
↓ありがちな話にもかかわらず無反省で投下
『長門有希の人柄』
買い物があったので授業がはけたらすぐに帰宅。途中入った本屋で週刊誌を手にとってパラパラと中身を見た。見覚えのある画像が目に飛び込んで来た。
その画像の人物には顔にぼかしが入れられていたが、よく知ってる人だったのですぐに誰か分かった。俺は大急ぎでSOS団に取って返した。
こらハルヒ! おまえパソコンにウィ○ー入れただろ! 変なファイル踏んだだろ!
「だって便利じゃない。いろんな映画とかタダで見れるのよ。あーでも中にはクリックしても何も見れないのがあったわねそういえば。変なメッセージ出たり。すぐ捨てちゃったけど。あんたよく知ってたわね」
あ、……あ……当たり前だ! ええい問答無用! すぐアンインストールしろ! 俺の見てる目の前でだ! 今すぐだ!
「うっるさいわねー。わかったわよ」
空き容量を確保するため『ミクルの冒険episode00』のデータをすべて外に出しておいてホントによかった。不幸中の幸いてヤツだ。朝比奈さん画像集も出しておけばよかったなあ……。あとからコンピ研にウィルスチェックをしてもらわねば。
……さて一番大切な作業はこれからだ。俺は朝比奈さんに心の中で土下座をしつつ長門に耳打ちした。「ちょっと相談があるんだが、ハルヒや朝比奈さんが帰ったあとも残っててくれないか」
長門は頷いた。感謝するぜ、長門。
- 85 :
- つまり、ネットに流出した朝比奈さん画像を消してほしいんだ。できるか?
変な空気が流れたような気がしたが、長門は答えた。
「……できなくはない」
おおありがたいぞ。でも、「できなくはない」? なにか条件があるのか?
「人手やボットなど既存のプログラムによって処理するのはリスクが大きすぎる。ネットに漂流する情報生命体に処理させる」
ふむふむ。お前の親玉の親戚の一種だな? で?
「処理過程で、対象とは別の情報を処理する恐れがあり、その連鎖が拡大するかもしれない」
どうすればいい?
「情報生命体とともに活動しエラー処理のみを行うエラーハンドラ生命体を生成する。あなたの協力が必要」
そうか、(よくわからんが)わかった。それで、俺は何を?
- 86 :
- ということで俺は体中にアンテナをつけて校舎の屋上で長門に言われたとおりの動作を行った。
……いつもは無人なくせして、今日に限ってなぜに生徒のみなさんが集まってくるのですか。はやく帰りなさい。
しかも近くで見るのじゃなくてやけに遠巻きにされるのがなんだか不快だ。不思議な踊りに見えるかもしれないが、とても意味のある動作らしいのでクスクス笑わないように。
鶴屋さんも帰り支度してるのなら楽しそうにケータイ向けずに早く帰りましょうよ……
生徒会長の横に喜緑さんもいた。生徒会長の小言(きみまでこんなことをするようになったのか)が一通り済むと、俺はこっそり喜緑さんに聞いた。これって、情報生命体の一種を作る踊りなんですよね?
「? 違う、と思いますよ?……」
長門と喜緑さんの関係を喜緑さんにそれとなく聞いたことはあるが、ほとんどはぐらされるだけだった。ここまであからさまな否定を聞くとは思わなかったので帰ると部室で長門に聞いた。
あの踊りはどんな原理で効果を及ぼすんだ?
「効果はない。しかし処理は別途完了した」
- 87 :
- ……俺は呆然とした。じゃ、なぜ俺はあんな恥ずかしい思いをして……
「あなたの行動から、朝比奈みくるはそれよりはるかに名誉を毀損されていると判断する」
はい?
「今回はあなたの責任は重い。何かを得ようと思えば少なくとも同等の価値を持つ何かを失わねばならない」
……反省しろってことですか。わかりましたよ長門さん……お前がこんなに黒いやつとは思わなかったぜ……
朝比奈さん画像の失われたパソコンをさみしそうにシャットダウンしながら俺は長門が手にしている本に目をやった。ハガ○ンのノヴェライズだ。……まさか、まさかお前、そのセリフを言いたかっただけと……
と突っ込もうとしたが、長門の怒りのオーラに気圧されてしまった。
そこまでお前の怒りを買うことをしたのか? というパケットを空気で送ろうとしたがなんだか弾かれるばかりなので仕方なく言った。「……あのー……長門さん、ご飯おごりましょうか?」
長門は目を上げると本を閉じて手早く帰り支度をした。ドアのノブに手をかけて早くしろとばかりに俺を見た。ただただ反省のパケットを大量に送ってドアに向かった俺であった。■
- 88 :
- ついに長門とキョンのラブラブ話に!
- 89 :
- 長門がコクンってうなずくのって何話?
- 90 :
- 言葉じゃないんだ、魂で感じろ!
非言語コミュニケーションなのさ、英語で書くとややこしいので日本語で。
中指押っ立てるのも同じ非言語・・・・
- 91 :
- 『長門有希の奉仕』
「きょうは、ボランティアに行くわよ!」土曜日の朝、ハルヒがうれしそうに言った。
何も聞いてないぞ。どういう風の吹き回しなんだ。という俺の文句に、いつものように人差し指を立ててウインクしながらハルヒは続ける。
「ちっちっち。つねに裏をかかなきゃダメなのよ」
何の。誰の。
その疑問の答えはなく、「心配しないで、登録はあらかじめしといたから。学校経由で」と言いながらハルヒは早速ボランティア先の保育所に向けて歩き出していた。学校もよく許したもんだ。
「みくるちゃんは可愛いし、有希は器用だし、古泉くんは頭が良くて人あたりがいいし。最強のメンバーよね?」
俺は?
- 92 :
- さていきなり幼児の相手をすることになったわけだが(といっても保育ボランティア体験講座だが)、子どもと絵を描き始めて、俺は自分の分が悪いことに気付いた。
朝比奈さんはその愛らしさから一番人気だ。子どもたちも可愛い人は大好きらしい。このメンバーじゃ最も子ども好きのようだし、手慣れてる感じ。
ハルヒはというと、マイペースながら明るいキャラで、割と受けてる。
ときどき聞こえる「ちょっとそんなんじゃ誰も驚かないわよ。もっとへんなの描かなきゃ!」なんて自分ルールには心配になるが、すすんでへんなものを描いてる姿にはみんな実に楽しそうだ。
古泉は甘いマスクと涼やかな声で優しく話してる。まるでいいお父さん。
長門は工作の時間に真骨頂。澄んだ瞳と表情でゆっくりと完璧な工作を紡ぎ出して周りを魅了してる。
はさみさえ使わない超簡単な工作道具でどんな注文にも応じるので「すげー」という最高の賛辞を受けてる。魔法のようだ。ゆっくりと工程を再現して作り方を教えてた。保育士の人が呆然と見てるし。
ハルヒの思い描いたプラン通りにコトが進んでるのがいまいましい。て俺心がせまいな。
俺はといえば「それちがう」「あーなんかヘン」とかどうして子どもにツッこまれてるんだっ。
- 93 :
- 昼寝の時間になっても、ちっちゃな子がひとり長門にくっついて離れない。長門の服をつかんで指をしゃぶってる。長門も戸惑ってるようだ。
「有希笑ってあげて。無愛想すぎるわよ」
そんなこと言ってもできることとできないことがあるだろう。なあ長門。
でもなんだか長門が途方にくれてる気がする。こんなシーンも珍しい。
「まあ有希らしくていいんだけどね。んーと、たとえばこの子に幸せになってもらいたいな、って思うでしょ」
長門は頷く。
「それをそのまま表情に出せばいいのよ」
おいおいそんな単純なもんか?
長門はその子の頭をなでながら遠くを見てなにか考えてた。そして、その子を見つめて、口許をほころばせた。抱き上げ、そっと抱きしめた。体を少し揺らす。
驚いた。かつて見た普通の高校生の「長門ではない長門」とはまったく違う、優しい視線。愛情に満ちた澄んだ笑顔。
見つめられて、抱きしめられ、小さな女の子はキャッキャッと喜んだ。ぺちぺちと長門の頬にさわって、笑い、やがて長門の胸に頭を預けて眠りについた。
- 94 :
- 連絡ノートを作ったり簡単な反省をして次回(次回!?)の打ち合わせのあと、保育士さんや所長さんたちに挨拶をして、帰り道。長門に話しかけた。お前あんな面があったんだな。あの子、一発で寝ちまったぜ。
「情報統合思念体より朝倉涼子のデータを一部ダウンロードした。それを利用」
な、なんだと?
「情報統合思念体は朝倉涼子の再構成を許可しない。だから私は私の中で彼女を生かす方法を探る」
俺は何も言わなかった。事情がまったくわからなかったからだ。長門は長門なりに何か考えているんだな、と思ったくらいのことだ。■
- 95 :
- 極端だったIFを中庸にしたい訳か、情報統合思念体わ。
しかし、未だ長門はエラーを出し続けて居る…しかし…それは感情だ。
- 96 :
- その場の思いつきで書いてますので矛盾しちゃったらごめんなさい
まーつじつま合わせても谷川さんが設定を変えるというか明らかにしちゃったらすべてナシとなる空しさヽ(´ー`)ノ
↓季節はずれな冬のおはなし
『長門有希の手袋』
1月も末になり、朝晩ひどく冷え込んできた。SOS団にも電気ストーブが入ったとはいえ、ハルヒがいれば団長専用だし。
部室に入るとひんやり冷える。来てるのは長門ひとりか。窓際で外を見ている。膝の上のハードカバーに手を乗せて、手のひらをこすり合わせている。
ストーブ使えばいいのに。俺はストーブの電源を入れ、長門のそばに置いてやった。
寒いなあ。
長門は頷く。
ページをめくるのにも手がかじかむのか。
ふと俺は長門のそばに寄って彼女の手を取った。冷えきってるじゃないか。
「いつもと同じ」長門は俺の顔を見た。
部屋の冷気を吸ったようにひんやりした感触の、細い小さな手。手のひらで包んで、暖めてやる。
朝晩温かくしてるか?
彼女は首を横に振った。そりゃ駄目だぞ。あのコタツだけか? ストーブとかないのか?……なんだか驚いてるような表情だった。おいおい俺だって優しいときはあるんだ。妹の手も暖めてやったりするし。ハルヒが入ってきたら何か言うかもしれないがな。
- 97 :
- ひとしきりさすってやった後、ふと思い出した。そうそう、ここで本読むのなら、指先が出る手袋を買えばいい。便利だぜ。
キョトンとして俺を見る。
……どうした?
長門は鞄を探り、手袋を引っぱり出した。指先の切れた手袋。
え? 持ってるの?
コクンと頷く。
「今朝コンピ研の部長にもらった」
……へー……そりゃよかったな。
「よかった」
どういうわけで?
「昨日の夕方、コンピ研の部活の予定を伝えに来たとき、あなたと同じことをしてくれた」
同じこと? 手を?
長門は頷いた。
で今朝手袋をくれたって訳か。いいやつだな。でもなんだか腹が立つのはなぜだろ。ムカムカする。あームカムカする。
「人に暖めてもらったのは初めてだった。二人とも感謝してる」
そして冬の湖面のような瞳でまっすぐ俺を見て言った。「ありがとう」
いえいえどういたしまして。あームカムカする。■
- 98 :
- 『長門有希の永劫』
長門って、三年前以前の記憶はあるのか?
「ある」
お前自身の?
「私は情報統合思念体の端末。情報統合思念体の記憶」
じゃあハルヒが生まれたとき地球を観察してた記憶とか。
「詳しい情報を得るには情報統合思念体にアクセスしなければ」
いや無理にしなくてもいいけど。……なんてこと話してる間に、ハルヒが来た。
部室に入ってくるなり、なんだかハルヒがぶつぶつ言い出した。
「最近、未来人に疑問持ってるのよね。たとえば、この銀河は一秒間に六百キロメートルうみへび座の方向に運動してるらしいのよ。んじゃたとえば未来から来た人は、その距離に移動した時間分を掛けた距離を移動しなきゃ、と思ったわ」
ハルヒは朝比奈さんを睨んだ。
「地球は自転してるし、太陽のまわりを回ってるし太陽系も銀河の回転で回ってるし。この運動エネルギーは莫大なものになると思うのよね。それをどう解決してるの?」
ハルヒは朝比奈さんをもっと睨んだ。まるでお前はどうやって来たんだといわんばかり。ああ朝比奈さんが可哀想。
朝比奈さんが震えながら「え……涼宮さんはほんとはわかってらっしゃると思うんですけど、時空はそれぞれ独立した存在じゃないので、どちらかというと空間ごとの性質をトレース・変換する技術あぅぅ……禁則……」
……言わなくていいですって朝比奈さん。おいハルヒ! じゃお前、未来人はいないと思うんだな?
「いるわよ!」
その根拠は。
「カン」
……うみへび座はどこへ行った。
- 99 :
- 「きょうのテーマ! 宇宙人の目的はなにか?」ハルヒがいい笑顔で叫んだ。脚付きのホワイトボードをどこかからギッてきたのはいいとして(よくない。黒板を使え黒板を)、その腕章はなんだ。「教授」だと? 認めた教授会の見識を問い質したいね。
「宇宙人がわざわざこのちっちゃな星に来るなんて、おかしいと思わない?」
うん、おかしい。お前がその認識に達してくれて俺は嬉しいよ。長門がここにいるのがちょっと気になるけどな。
「きのうの夜NHK教育でやってたんだけど、この天の川銀河には三千億とか四千億の恒星系があるらしいのよ!」
……その番組が原因か! そのせいで今この講義を聴講させられるハメに陥ってるのか俺たち。
「そのなかでわざわざこの地球に来るなんて…… あたしはすごく疑問に思ったわ。そして見つけたの! 宇宙人の目的を!」
「それは素晴らしいですね」古泉が言った。お前は黙ってろ。
「つまり、それだけの価値が地球にあるってことよ!」
ハルヒは部室を歩き回りはじめた。自分に酔ってますよハルヒさん。ホワイトボードをきゅるきゅる連れて回るのは迷惑だからやめろ。
「わざわざ地球にくるくらいだから、その宇宙人の文化って、少々じゃ危機に瀕しないレベルになってると思うわ。ところが」
立ち止まって、長門を見た。ホワイトボードに「宇宙の死」と大書する。
- 100 :
- 「宇宙って、このままじゃ死ぬらしいのよ。収縮するか、膨張しまくって熱が下がりまくるか。その宇宙の死を乗り越えて生き延びるためのヒントが、地球にあるんじゃない?」
ハルヒは長門を睨みつけた。いい笑顔がいやらしい笑顔に変貌する。本能的に獲物にプレッシャーを与えてるのか?
長門はハルヒの睨みを受けとめ、そして……コクンと頷いた。おいおい長門までプレッシャーに負け……いや……まさか正解?
ハルヒがまた歩き回り出したのを見て、俺は長門に近づきそっと聞いた。小さな声で答えてくれた。
「この宇宙の年齢もたかだか百三十七億年ほどにすぎない。情報統合思念体にとっても学ぶべきものはまだまだある。涼宮ハルヒに学べば、星が生まれなくなると考えられる約百兆年後までにはある程度目処がつくのではないかと考えている」
……それはずいぶん気の長い話だな。俺が年金をもらえるようになるまでになんとかするようお伝え願えませんか。
「困難」
いやマジに答えてくれなくていいんですが。ということはその思念体も百三十七億歳くらいなのか。
「そう」
その感覚はお前も持ってるのか?
「持ってる」
……八月が何千か何万か続いたとこで、道理でお前は動じないわけだ……。
「そこ私語厳禁!」ハルヒがわめいた。
私語厳禁だってさ。
「時間はある。あせらなくてもいい」
お前の「時間がある」と俺たちの「時間がある」は、ずいぶん差があると思うんだが。■
- 101 :
- 長門有希シリーズ いい! なんとも星ライクなSFだな。
- 102 :
- ありがたうヽ(´ー`)ノ
- 103 :
- 俺、一応シナリオ書いて食ってるんだが、
むみょーはなかなかやるなと思う今日この頃
- 104 :
- /, | /:: , l:: i::. }::ヽヽ::.ヽ \
.// .:! :| : /:::/:/::/i: /: !: }i:',ヽ:|
i,i .::| :|: :: !,/_ム/_ l:/::: l:: !l::! i::!
. ! l .: : .::::| :i:.:: レ',ソ,_/`!::/i:/ i:! |
. !.:! ::. : .:.::/´', !::: | ! ヾ.i´:i` !/ / !
i:l', :::::. :. ::. ::〈 、'_゙il::::. |.| j_ソ ゙、_
ヽヽ、:::::::::. :::.::::\ニ',::. ii::! ノ
ヾ、i::::l::::l::::',:| ',::. !',! ィ´ 「…………」
i|ヾ:!:::i::::/ヽ ヽ. l 丶. /
ノ /ii/lノ ヽ:r‐y┬ '
イ'"`'‐- 、 / ヽl/ '
/ \__{ヽ、
/_,, -‐‐‐-- ,,_ \_,ヽ‐、
- 105 :
- >>103重ねてありがたうヽ(´ー`)ノ
『長門有希の再生』
長門と図書館へ来る頻度が高くなってきてる気がする。長門に俺が連れてこられてるんだろうか。意図的な組み合わせだったりして。
長門の情報操作能力とハルヒの(大規模でない方の)現実改変能力はどちらが強いんだろう。力比べを見てみたいもんだ。
と妄想を展開してるのも、長門が視聴覚室に入って『ベルリン・天使の詩』とかいう二時間のDVDを見始めたからだった。
おいおい映画も趣味に入ったのか。
「ペーター・ハントケがシナリオに参加」
誰だそれ。
「ドイツの作家」
と言われても俺には何の意味もない名前だが、長門の隣に椅子を持ってきて、イヤホンを片方借りてぼーっと見てた。
- 106 :
- モノクロのかなしげな画面が続く。重い音楽。これは天使の視点らしい。ウトウトして見てたら急にカラーになった。これは人間の視点か。とたん画面が生き生きし始める。
カラーの部分では音も雰囲気がまるで違うのでそのあたり感心したが、斜めに見てるためかよくわからん映画に変わりはなかったし、またウトウト。
終わってから、図書館を出て長門に聞く。おもしろかったか?
「心が動いた」
それは長門の最大限の賛辞だな。要するに、どういう映画だったんだ
「人間讃歌」
……人間讃歌ね…… そこでつい、思ったそのままのことを口にしてしまった。
「お前、人間になりたいんじゃないのか?」言ってから、しまった、と思ったがもう遅い。
ひと呼吸あって、長門は答えた。
「なりたい」
俺は仰天した。
- 107 :
- 聞いちゃいけないことを聞いてしまった感がすごくする。
「でも任務がある。考えないことにしている」
いかん。これでは長門のストレスを増やしてばかりじゃないか。何やってんだ俺。
任務が終わったら人間にしてもらえよ。あわてて言うが、フォローにはなってないかな……。
「任務の完了した端末は処分が基本」
おい。それは聞き捨てならんぞ。処分なんてこれからのエコロジー社会には合わん。俺がリサイクルを頼むぞ。ああ何言ってるんだ俺。
長門は立ち止まって俺を見た。
「本当?」
あ……ああ。
「そう」
また歩き始めた。
「申請する」
何を。リサイクルをか。ほんとにそういうシステムがあるのか。環境に優しいシステムなんだな情報統合思念体。ISOを取得できるぞ。とくだらないことを考えながらも、しかしなんだか後悔の海。すまんなあ長門。
帰りにみんなと分かれた後、長門に飯をおごってやる。相変わらずぱくぱく食べてて安心した。
次の週からなんだか長門が楽しそうに見えたがそれが正しい観察かどうかは保証しない。
……ふと思う。安請け合いしたが、任務が終わるのはいつなんだろう。何十年後か急に長門が訪ねてきて「任務が終わった」と告げられたらどうしよう。……ええい、そのときはそのときだな。■
- 108 :
- ヽ(´ー`)ノ
- 109 :
- >>108ヽ(´ー`)ノ
↓長くなったので分割。原稿用紙で25枚分くらい。だからといって話に展開が多いわけじゃなく、説明が多いだけ。反省。
十数回連投というのは心が痛むため、投下に間を開けます。
『長門有希の幻視』第1回/全4回
◆ 1 ◆
もう三学期も終わり。SOS団の部室では長門が本を読んでいる。それだけなら不思議じゃないが、読んでる本はといえば、この前出したSOS団の文芸(?)誌だ。
覗き込んでみると、ハルヒの箇所。訳のわからない文章や図の並ぶページ。
それ、面白いか?
「興味深い」
朝比奈さんが言ってたけど、これ、後の時代の時間理論なんだってな。
「特殊」
なにが?
「この論文には、時空の把握概念に、我々とものとは違う概念が導入されている」
ほお。これは論文て呼ぶほどの価値があるのか。
「朝比奈みくるの時間移動デバイスには我々の時空認識と同じ理論が使われていると考えていた。これは間違いであり検討が必要。未確認のまま推測を既定値としていた重大な誤り」
そして顔を上げた。俺をじっと見た。
「涼宮ハルヒはやはり重要」
……お前が言うからにはそうなんだろうが、何だこの強烈な納得しかねる感は。
- 110 :
- そしてそれから数日たったある日の授業中のことだ。いきなり強烈な目眩が襲ってきた。数秒だったが、この目眩は覚えがある。
以前、長門が残した時空修正プログラムを実行したときと同じだ。だが今のはずっと規模は小さかった。
何が起こった?
クラスのみんなもザワザワしてる。うしろを振り向くと、ハルヒが〈なに? どうしたの?〉という表情で俺を見る。お前は何も感じなかったのか?
「何かあった?」
いや、……お前、何かしたか?
「何もしてないわよ。何疑ってるの? 虫でも当ったんじゃない?」
いやそうじゃないんだが……ハルヒじゃないのか。とすると……授業が終わったら確認に行かなきゃいけないな。……そんなことを思ってると。
しばらくして、授業中、突然入って来たのは古泉だった。先生と話をしている。どうしたんだ?
「あれ? 古泉くんじゃない?」ハルヒも後ろでつぶやく。
古泉は俺の方を向いて話す。
先生が俺を呼んだ。手招きしてる。俺は立ち上がり、教壇に行った。
「急用らしい。ちょっと彼に付いていってくれ」
古泉は何も言わずに真面目な顔。わかりました、と彼と教室を出る。ドアを閉めるときふと何か感じたので、振り返ってハルヒを見る。
なぜ自分を置いていくんだ、というメッセージを立ち上らせた物凄い形相のハルヒがいた。あわてて前を向く。……こりゃ帰ったらシメられるぞ。
- 111 :
- どうしたんだ授業中に、と前を歩く古泉に聞いた。
「長門さんが倒れました」
長門が?
「はい」
……さっきのことか。何があった。長門が倒れたというと遭難したときのことを思い出す。
でもどうして違う組のことで古泉が……それに俺を出すことをよく先生に納得させたな。
「長門さんのクラスに『機関』のサポートメンバーがいまして、事態を知らせてくれました。あなたを連れ出すことが出来たのはひとえに僕の日頃の行いのなせるわざでしょうか」
ぶっとばすぞ。
「それは冗談ですが、ちょっと困った事態です」
そういう感じはするが、いったい何があった。
「それは着いてからお話しします。僕からではありませんが」
なんか面倒そうだな。
おっとハルヒからメールだ。《どうしたの? 何があったの?》俺にもわからん、と返事する。まだ何もわからん段階だからな。
保健室のベッドに長門は寝ていた。保健の先生は見当たらなかった。古泉が何か手を回したのか。
それよりも保健室に朝比奈さん(大)が来ていることに驚いた。
「キョンくん、こんにちは」
こんにちは朝比奈さん。いいんですかこんなとこに来て。
そして、喜緑さんもベッドの脇に座って長門を見つめていた。こりゃまさしくおおごとだな。勢揃いだ。
「情報統合思念体からも長門さんに接続できないみたいです。強制リブートも受け付けないということです」喜緑さんが言った。俺は一瞬寒気がした。
- 112 :
- 「長門! ……長門!」呼んでも答えはない。頭に怪我をしてるじゃないか。
「それは倒れたときに机にぶつけたようです。先生に手当をしていただきました」古泉が言った。
「時空震の中心に長門さんが観測されました」朝比奈さん(大)が言う。
溜息をついた。この人たちに何も出来ないのなら、俺には手も足も出ない。
だが思った。じゃあなぜ俺を連れてきた? 何も出来ない俺を。考えられるのは、それほど長門が危ない状態なのか、あるいは。……ハルヒを連れて来てないことからすると……
「キョン君。お願いがあります」朝比奈さん(大)が言った。そらきた。
朝比奈さんの頼みなら、一も二もなくきいてあげたいのですが、まず事情を知りたいです。
「ごめんなさい……いつもご迷惑をおかけして……今回は、そんなに難しくはないです。いまのキョン君には簡単なことです」
そうですか……。
「でも事情を理解するのは少し難しいかもしれません」
……勘弁してください。
またハルヒからメール。《わからんってどういうことよ!》うー、いまから肝心なとこだから無視だ無視。
(つづく)■
- 113 :
- 興味深い展開になってきました!
以下次号! 柱のアオリ。
- 114 :
- つい寝てしまいました。>>113がんばりますw
>>112のつづき
※そーいえば「消失」などのネタバレ含みますので原作読んでない方は読まないほうがいいかもしれません。
『長門有希の幻視』第2回/全4回
◆ 2 ◆
「さっきの時空震、感じたでしょ? 今回は時空の改変が行われたのではありません。過去が追加されました」朝比奈さん(大)が言った。
過去が追加された……。よくわからん。過去はもうあるんじゃないか?
「私たち、未来から来た人間が、四年前(即ち、涼宮さんが中学一年生の年)以前に遡れないことは、以前私(小)がお話ししましたよね?」
あ、はい。
「つまり、現在から、四年前以前の時代は観測できません。ところが、先ほどから、日本でいう〈律令時代〉のある時期が観測できるようになりました」
……どういうことでしょうか。
「私たちは、〈律令時代〉におけるある時期を、長門さんがこの宇宙に追加したから観測できるようになった、と考えています。詳しい確認の必要はありますが」
でも、過去はあるんでしょ? あるから俺たちはここにいるわけで……
「以前、……一年前でしょうか……」古泉が言う。「僕が言ったことを覚えておいででしょうか。世界は、四年前に涼宮さんによって作られたのではないか、ということを」
ああ、あの戯言か。
「たしかに信じられないかもしれません」朝比奈さん(大)が言った。「でも、さまざまな観測から、今現在この宇宙には、四年前以前の時空はないと考えられます」
わからん。そんなことがあるわけがない。それに今現在という表現も何のことやら。
- 115 :
-
「えっとですね、私たちが何故未来から来てると思いますか?」朝比奈さん(大)が聞いてきた。初めから話すしかないと考えたようだ。
すみません、朝比奈さんに気を遣わせてしまって……えーと、どうしてでしょう。
「未来がすでにあるからです」
……ああ、それはそうでしょうね。
「つまり、この宇宙には、現在と、未来が既に含まれているのです。だから私たちはそれを行き来できます」
……現在・未来という時間を含めてのひとつの宇宙。
「そうです。そして本来、過去の時空もあるはずです。それが時空連続体としての正しい宇宙の姿です。しかし、実際には、現在・未来があるのにくらべ、過去の時空が〈ない〉のです」
朝比奈さん(大)の表情は悲しげだった。
「過去については、記憶と遺物だけが、私たちが創造されるときにとりあえず付け加えられたのです。そう考えています」
……ハルヒが手を抜いたと?
古泉が肩をすくめた。「ぶっちゃけ、たぶんそうじゃないかと」
なんてやつだ。
ハルヒからメール。《返事しなさいよ!》うるさい! お前の無精のため何かいろんなとこで何かが起こってるみたいだぞ。
- 116 :
- で、どうして長門が過去の一部を宇宙に加えたんだろう。
「そのあたりの事情は喜緑さんから」古泉が喜緑さんを見た。
「まずお伝えしておきます……私たちにとっては、この宇宙は完全なんです」喜緑さんは言った。「情報統合思念体は宇宙の開闢より存在します。百三十七億年前から」
喜緑さんはできるだけ丁寧に言おうとゆっくり話す。
「朝比奈さんの観測と違い、私が過去の事象を確認しようと過去の情報統合思念体にアクセスしても、そこから観測結果が過去の思念体よりちゃんと帰ってきます」
は? どういうこと?
「数日前、長門さんが新しい時空理論を情報統合思念体に提出しました。涼宮さんから得た理論ですね。その理論を使うと」喜緑さんは朝比奈さん(大)を見た。
「四年前以前の情報統合思念体にはアクセスできませんでした」
結局、宇宙はどうなっているんだ? 頭がこんがらがってきた。だれかこれを解きほぐしてくれ……
「手助けしましょう、喜緑さん」朝比奈さん(大)が言った。
「キョンくん、いいですか。実は、私の時代からは……未来からは過去の時空を観測できるんです。私の時代には、宇宙は完成している、と考えます。ですが、」
……はあ。
「今この、キョン君たちの時代からは観測できません。今はまだ完成していないんです」
……! ハルヒは、宇宙を、まだ作ってる途中なのか……!
- 117 :
-
「そう思わざるを得ません」喜緑さんは言った。「情報統合思念体は、二つの理論の違いについて、次のように考えています」
「私たち……情報統合思念体の認識は、〈完成した〉宇宙を把握しているんです。一方、長門さんの提出した理論では、たぶん、〈生成過程の〉宇宙を把握してるんです」
「本来、宇宙が完全になれば、どの時点から観測しようと完全だろうと思うのですが、私たちの機器では、観測者が未来から現在に遡るにつれ、過去の観測できる部分が減っていきます」
朝比奈さん(大)が言った。
「私たちは最初、これは機器のなんらかの誤差あるいは誤作動ではないかと思っていました。でも今は違う考えです。基礎となる涼宮さんの理論そのものがそういう仕様なんだと考えています」
「その私たちの考えですが、……これは〈メンテナンスモード〉なんじゃないかと」朝比奈さん(大)は溜息をついた。
「私たちの理論は、涼宮さんがこの宇宙の時空を改変するとき、いつどこをどう改変したか履歴をチェックするという目的の理論ではないかと。言わば涼宮さん専用の理論なんです」
そんなバカな。なんだそりゃ。デタラメにもほどがある。
「私たちは、たとえば土木業者用の地図で観光地に来てる観光客、という感じですか……」
はー……それが適切な例えなのかは判断つきかねます……
(つづく)■
つづきはまた朝以降に
- 118 :
- >>117のつづき
※重ねて注意「消失」などのネタバレ含みますので原作読んでない方は読まないほうがよいです。
『長門有希の幻視』第3回/全4回
◆ 3 ◆
さて、長門は今どうなってるんだ? 喜緑さんの方を見て俺は聞いた。
「長門さんは以前、涼宮さんの力を手に入れました。ですが使ってません、今は」
うん。忘れもしない、俺がハルヒを失った日のことだ。その力を今回は使ったのか。
「長門さんが倒れたのは歴史の授業中だったようですね。そのとき何が起きたか、ですね」古泉が言った。
「その時点は情報統合思念体からも確認できます」喜緑さんが続ける。「長門さんは、教科書の、とあるページを開いて、そこに記述されている出来事に関心を持ったみたいです」
何を見てたんだろう。
- 119 :
- 「彼女は、〈律令時代〉の情報統合思念体にアクセスして、教科書の該当事項を観測しました」
喜緑さんは、頭の中で何かを参照してるようだ。
「その時点で長門さんから、そこからの行動の許可申請と、同時に長門さん自身の行動を監視(モニタ)して記録(ログ)をとる手続きの申請が出されてます」
喜緑さんは間を置いた。
「次に、長門さんは、涼宮さんの理論経由で、〈律令時代〉の情報統合思念体にアクセスを試しました。しかしアクセスはできませんでした」そして俺を見た。
「続いて、涼宮さんの力を使いました。宇宙の完成形を参考に、その時代の時空を作ったんです」
それがあの目眩の瞬間か。俺は古泉と顔を見合わせた。古泉は肩をすくめる。喜緑さんは続ける。
「そして、涼宮さんの理論経由で再度〈律令時代〉の情報統合思念体にアクセスを試しました。成立しました。そこを経由して現代の情報統合思念体へのアクセスを試すため、モードを私たちの理論に切り替えました。そこで、接続が切れました」
接続が、切れた……
「ログが終了してます」
- 120 :
-
胸が痛んだ。朝比奈さん(大)も沈痛な表情だ。喜緑さんは説明してくれた。
「推測ですけど、涼宮さんの理論経由で活動しているのに、メイン・プログラムを〈律令時代〉に置いたまま、モードを私たちの理論に切り替えてしまったので、メイン・プログラムがその時代に取り残されたんだと思います」
あいだの時代がないから?
「たぶん。……情報統合思念体とのアクセスには涼宮さんの理論は使い易いとは言えません。そのことはまったく考慮の外でしょうから当然といえば当然ですが。実際、長門さんが涼宮さんの理論のモードに入ると、ログの記録にだんだん遅延が発生しています」
喜緑さんは頭の中の参照先を細かく読んでるようだ。
「そのため、通信の仕様が複雑になってしまう違う時代間の情報統合思念体通信で、ついモードを使い易い方に切り替えたんでしょう」
しかし……なんというミスだ。長門らしくない……
「こうなるとは思わなかったんでしょうね……」
ええと、よくわからないが、取り残されたのなら、そこまでの時空を作ればいいのでは?
「こちらではできないんです。涼宮さんの力は、私たちの中では長門さんしか持たされてないんです。どのような影響があるかわかりませんし、下手に使うと、……こんなことになります」
- 121 :
- 喜緑さんは心底困った顔をしていた。
「長門さんや私たちの行動パターンからすると、一度、時空を作る作業で失敗した以上、長門さんが現在までの時空を監視・案内なしで作ることは考えられません。それこそ何が起こるかわからなくなります」
喜緑さんは俺を見た。
「〈律令時代〉の情報統合思念体へ接続してみましたが、あちらからの長門さんへの接続はすごく不安定みたいです」
長門がいることは確認できるのか。
「情報のやりとりできるレベルじゃありません」
俺にどうしろというのか大体わかってきた気がするな。
「情報統合思念体にとっても、今の段階で不明な点のたくさんあるこの力を、自分で持つのは危険すぎると判断してます」
今の段階で……。未来でなら、情報統合思念体もこの力についてよく知ってるんじゃ?
「それ、実は禁則にあたります。すいません……」喜緑さんがすまなそうに言った。それは謝らなくてもいいですけど……
朝比奈さん(大)が言う。「長門さん作成の〈律令時代〉の時空の状態は、かなり不安定です。原因は今は何ともいえないです。ですが、早く何らかの手を打たなければなりません」
(つづく)■
- 122 :
- >>121のつづき ※重ねて注意「消失」などのネタバレ含みますので原作読んでない方は読まないほうがよいです。
『長門有希の幻視』第4回/全4回
◆ 4 ◆
……喜緑さん、長門のモードはもう切り替えられないんですか?
「はい……実体との接続が維持されてないと。活動モードをメイン・プログラムと実体とで分離はできません。実体との接続が切れている今では、長門さんは涼宮さんモードには切り替えられないんです」
沈黙が続いた。……わかりましたよ。ハルヒを連れてくるんですね?
「はい」朝比奈さん(大)が答えた。
事情を説明するんですか?
「いいえ。その必要はありません。ただし」
ただし?
「キョン君、涼宮さんの手をしっかり握って、連れてきてください」
…………。
「お願いします。そしてあなたもずっとそばにいてあげてください。できるだけ安定した状態での涼宮さんの力が必要なんです」
……そうすればいいんですね。わかりました。
「そして、涼宮さんに、長門さんを呼んでもらってください。それだけでいいです」
「ハルヒを連れてきます」俺は言い、長門を見た。「長門のために」
「ありがとう、キョン君」朝比奈さん(大)は俺の手を握った。
保健室の出口で、朝比奈さんにそっと聞いた。
それはそうと朝比奈さん、今回はずいぶん詳しいことまで教えてくれますね。禁則事項は?
朝比奈さんは近寄ってきて、小声で答えてくれた。
「キョン君と古泉くんには、ある程度知っておいてもらえるよう、許可をいただきました。これからもいろいろご迷惑おかけするでしょうし」朝比奈さん(大)は微笑んだ。
そうですか……。朝比奈さん(小)は?
「……私には、もうちょっと成長してもらわないと、という感じです……ね」朝比奈さん(大)は同じように微笑んだが、すこし瞳が潤んでるように見えた。
朝比奈さん。俺、朝比奈さんを応援してますよ。
「ありがとう! ああ、今の言葉、私(小)に聞かせたいなあ……」
- 123 :
-
俺は教室に帰った。授業はそろそろ終わりそうだった。古泉がまた先生に説明してくれた。
俺はハルヒの前に立った。
「どうしたのよ。何だったのよ」ハルヒは超不機嫌そうだ。
ハルヒ。一緒に来てくれ。
ハルヒは俺をじっと見た。
俺はハルヒの手を握った。ハルヒの手は熱いなあ。長門の手と十度くらい体温の差があるんじゃないかと思うくらい。
「……どうしたの?」
一緒に。そしてハルヒを引っ張った。
「どうしたのよ?」
手を握ったままハルヒは立ち上がった。教室中が俺たちに注目していた。ハルヒが手を握り返したのを感じた。俺は歩き出した。ハルヒも従った。
教室を出て、廊下をハルヒと手をつなぎ、進む。
「……どうしたっていうのよ?」ハルヒ、それはな、実は俺も自分に聞きたいんだよこれが。
……ってそういうわけにもいかないか。
「長門が倒れた。保健室に……」俺が言いかけると、
「……それを最初に言いなさいよ!」ハルヒが手を強烈に握った。ずんずん俺を引っ張るように歩いていく。
俺が何をしてたか気にならないのか?
「んなことは二の次!」
ハルヒ。そこがお前の一番いいところだよ。
- 124 :
- 保健室に入ると、もう喜緑さんや朝比奈さん(大)はいなくなっていた。
ベッドにかけよるハルヒ。そばの椅子に座って、長門の手を取り、握りしめる。
怪我してるところの周りをなでて、額に手を当て、ハルヒは俺を見た。
「具合はどうなの?」
……どう説明すべきか迷った。事情は話さなくてもいいと朝比奈さん(大)は言ったっけ。
処置はしたそうだ。数日安静にしておけば良くなるって。
ハルヒはじっと長門の手を握っていた。ハルヒは俺に言った。
「あんた授業に戻りなさい。あたしは今日はもう授業には出ないわ」
そうか? いいのか?
「だって、目が覚めたとき誰もいないなんてダメよ。先生はどこ行っちゃったのまったく」
長門の顔にかかった髪をなでつける。「心細いのイヤよね、有希」
そして長門の手を自分の額に押しつける。
「有希」
返事はない。
俺も手近な椅子に座った。これでいいんですか? 朝比奈さん?
俺は椅子に座ったまま、うとうとし始めて、ふと目が覚めた。見るとハルヒは長門に水を飲ませていた。長門は無表情にこちらを見て、コクンと頷いた。
- 125 :
- 気付くと、朝比奈さん(小)の携帯からメールが来ていた。
《……おつかれさまでした、キョン君。おかげさまで、あの時代までの時空が出来上がりました。
時空が出来て行くのをリアルタイムで観測するなんて初めてなので、こちらでは皆興奮しています。
何の時空震もなく、流石涼宮さん、見事の一言に尽きます。
長門さんの作った時代ともうまく接続しています。観測を続けてますが、きわめて安定した状態の時空です。
喜緑さんにも思念体からモニターしていただいてますが、長門さんとの接続が成立したとのこと。すぐに戻ってきますよ!……》
おっと朝比奈さん(大)、勝手に人の携帯を使っちゃいけませんよ。まあ自分のものと言えば言えますけど。
世界の人たちよ、あなたがたの歴史は、人がひとり看病されたことによって作られたのですよ……何電波なこと言ってるんだろうね俺は。
というわけで今日はSOS団は休業だ。でもそれを知らせねばならない人がいる。
部室のドアを開けると事情を知らない朝比奈さん(小)がお茶を入れる準備をしていた。
「あ、キョン君、ちょっと待っててね、すぐお茶入れますから」笑顔で朝比奈さん(小)がとことこ動く。
俺はこのときほど、朝比奈さん(小)がいとおしいと思ったことはなかった。こんなに頑張ってる人をどうこう言う人はたとえ相手が朝比奈さん(大)だろうと俺は許さない。
……なんだかおかしい気もするが、とにかく許さない。
じっと朝比奈さん(小)を見る俺を、頭から?マークを出しながら朝比奈さん(小)はチラチラ見る。
朝比奈さん、応援してます。ずっと。
- 126 :
- 帰り際、古泉が物騒なことを言う。
「実はこの結果によって、情報統合思念体の態度に変化が出るのではないか、と僕は心配しています」
どういうことだ。
「だって、彼らは、自分たちが涼宮さんによって創造された宇宙の一部ということを確認したんですからね。彼らも、実際の年齢は、僕たちや……彼らのインターフェイスである長門さんと同じなんです」
なんだか、いろいろ考えたくないことになっちまったようだな……。
「ええ。情報統合思念体が今回の長門さんの行動を許可してること、たぶん喜緑さんや長門さんの過去の彼女たちへのアクセスも制限していることなど、気になる点はいくつかあります」
まあ今は長門が戻ってきたことを喜ぼう。
長門。接続が切れた間、どんなことを考えてた?
「もとに世界に戻れる可能性について」
可能性か。不安だったんだな。
「情報統合思念体により事態が打開される可能性が〇・三割。他の要因により打開されるまで数年かかるが〇・六割、この時代に永遠にいることになるが〇・一割」
……情報統合思念体て信用ねーじゃん。
そしてボソっとつけ加えた。「あなたと涼宮ハルヒにより救い出される可能性が九割」■
- 127 :
- GJ だがちょっと苦しい気がしたにょろ。
時空の再構築のあたりの説明がタイトにょーろん
でもGJ
- 128 :
- >>127
感想ありがたうヽ(´ー`)ノ
こういう話には筆力が足りなかったかー。
また気が向いたらがんがりますヽ(´ー`)ノ
- 129 :
- 長門タンとちゅっちゅしたいよ〜
- 130 :
- ※「退屈」中、笹の葉のあのエピソードより
『長門有希の迷宮』
なあ長門、お前、三年前に今のお前とシンクロしたんだよな?
長門は頷く。
そしたら、今までの三年間に読んだ本の内容は、三年前にもう頭に入ってたんだろ?
長門は頷く。
その間の読書はまた別の本を読んだのか?
「同じ本を読んだ」
もう頭に入ってるのに、どうして読む?
「読まないと頭に入らない」
長門は手元の本のページをぺらりとめくった。
あー……。すでに頭に入ってるけど、読まないと頭に入らない、と。
どうやら俺は論理的迷宮に陥ってるようだ。これが有名なタイムパラドックスというやつだな。有名だけど実際体験する人はちょっといないだろうな。貴重な体験だな。うれしくはないが。
「本を読むのは」長門がつぶやく。「気持ちがいい。面白かった本は何度も読む」
そういうもんか。
「そう」
- 131 :
- もひとつ聞いていいか? お前、三年前に今のお前とシンクロしたんだよな?
長門は頷く。ページをめくろうとした手が止まる。
そしたら、お前今、三年前にシンクロしたなあという記憶があるよな。
長門は頷く。
だったら、三年前のお前は、今のお前とシンクロするとき、
シンクロしたなあという記憶もまたシンクロするのか?
ということは、
今のお前にはシンクロしたなあという記憶もシンクロしたなあという記憶があるのか?
とすると、三年前のお前は、今のお前とシンクロするとき、
シンクロしたなあという記憶もシンクロしたなあという記憶もまたシンクロ
「終了」
長門はぱたんと本を閉じて立ち上がってすたすたと部室を出ていった。
ずるいやつめ。あしたまた聞いてやろう。俺もまた鞄を持って部室を出た。
校舎を出ると、長門が校門のところに立っているのが見えた。俺の方を見て何かつぶやいていた。
さて、あしたはどんなことを聞いてやろうか。うーん、どんなことを……。
……どんなことを、俺、聞くんだったっけ?
あれ? 俺だれかに何か聞こうとしてたよな? あれ?
まあいいか。さて今日の晩飯は何かな。■
- 132 :
- うほっ、長門っちは小規模ながら世界改変のモジュールを現在も保持。
その実行プログラムも段々、時間平面上の揺らぎの範囲内にとどまるよう
改良が進められていると見たヽ(´ー`)ノ
>タイムパラドックス
存在の輪ですなw。
- 133 :
- キョン自身みくるのほくろで体験してるけどな。
未来のみくるに教えてもらったから認識できたわけだし。
ほくろのことがなきゃハルヒがあれほど不機嫌になって
閉鎖空間に放り出されることもなかったかもな。
- 134 :
- ほくろを知ったきっかけが変わっただけかもね。
ほっといてもいずれ知るはずだったんじゃない?
- 135 :
- まーいろいろありますよねヽ(´ー`)ノ
↓理屈っぽい話が続いたので理屈のないおはなし
※読み方によっては下品でくだらなく思える〈かもしれません〉ので注意
下品でくだらないのが嫌いな方は健康のため読まないようにしましょう。
『長門有希の形状』
長門って自分の再構成を行うために、自分の中に自分の情報を持ってるのか?
「情報統合思念体の持つ情報。必要なときに参照」
……持ってるようなもんだな。自分の身体の構造やそれに準ずるものを、絵に描ける?
長門は頷く。
○○○を描いてみてくれないか?
長門はすらすらと描いた。
ああ、彼女の描写のなんと精彩に富んでいたことか!
じゃあ、朝倉のも描ける?
「たぶん」
描いて。
長門はすらすらと描いた。
ああ、彼女の描写のなんと精緻な表現だったことか!
- 136 :
- ありがとう長門。俺は二枚の紙をポケットに入れて帰った。
帰宅して、自分の部屋の鍵を締め、二枚の紙を取り出した。
……しまった! どっちがどっちだったろう。
所有者のわからないものには萌えにくいものだと気づいた。
あのー、長門さん、これってどっちが誰だったでしょうか。
一枚を指差して「わたし」もう一枚を指差して「朝倉涼子」
ありがとう長門。俺は二枚の紙をポケットに入れて帰った。
帰宅して、自分の部屋の鍵を締め、二枚の紙を取り出した。
……しまった! どっちがどっちだったろう。
あのー、長門さん、これってどっちが誰だったでしょうか。
長門は俺の顔をしばらく見てから、教えてくれた。
一枚を指差して「わ・た・し」もう一枚を指差して「朝・倉・涼・子」
ありがとう長門。俺は二枚の紙をポケットに入れて帰った。
帰宅して、自分の部屋の鍵を締め、二枚の紙を取り出した。
部室に長門はいなかった。
朝比奈さんが、言いにくそうに言った。
「長門さんから伝言です……。○○○の○○○が○○○のが長門さんので、○○○のが朝倉さんのということです。それが見分ける特徴だそうです」
ありがとう長門。本当にありがとう。それが特徴だったんだな。昨晩ちょっと自信がなかったんだ。中途半端な気分はイヤだったなあ。
朝比奈さんはうつむいて座ったままだ。なんだか涙ぐんでるようで、俺と視線を合わそうとしない。違うちがうんですよ朝比奈さん。と言い訳を考える中、俺は長門に感謝していた。■
- 137 :
- 君は阿呆かね
- 138 :
- ぶっわははははっーー!
鶴屋さんも大笑いです。
しかし、長門には生えているのかねえ
朝倉は下半身がエライ豊満だからまぁ凄いんだろうがw
- 139 :
- 長門は細くてふかふかなのが薄く生えてる感じです。
- 140 :
- 鶴屋さんはいいよねー
↓ということで、鶴屋さんをちょろっと出してみた。理屈系の話
※いつものように「消失」などのネタバレ含むので注意
『長門有希の不在』
冬。
長門が本を読まずに外を見ている。本を持ってもいない。
今日は読書は休みか?
「休み」
そういうときもあるんだな。
では俺が読んでみようか、と本棚に手を伸ばしたが、手が何かに弾かれた。
本が目の前にあるのに、届かないのだ。
長門を見た。
「本棚は封鎖された」
本棚を? 封鎖? そんなこと聞いたことがないぞ。
「読書は私のエラーの原因のひとつ。情報統合思念体により規制」
俺は絶句した。ナントカ体、こいつの最大の楽しみを奪ったのか。
「あなたとの接触もエラーを起こす原因となっているとのこと。これからの接触は最小限とする」
無性に腹が立ったが、気をとりなおして尋ねる。
お前はどうなんだ。お前自身の気持ちは。それでいいのか。
長門は答えずに窓の外をずっと見ていた。
誰に文句を言えばいいんだか……。長門と一番近い人といえばあの人だ。俺は生徒会室に行った。
「どうした? 何かあったのか」会長が言った。横に喜緑さんがいる。
いえ、喜緑さんにお話を少し伺いたいんですが。
「喜緑くんに?」
喜緑さんは立ち上がり、部屋の奥の長テーブルに俺を誘った。
- 141 :
- 椅子に座りながら、俺は言った。人に聞かれないところのほうが……。
「もう聞かれてませんよ」喜緑さんは微笑んで言った。
なんだか空間にヴェールがかかったような感じがしている。何かの情報操作が行われたようだ。さすがだな。
喜緑さんは、SOS団……文芸部の本棚が封鎖されたのをご存知ですか。
「はい」
なぜ。
「長門さんから聞いてませんか?」
俺は黙った。
「いいですか。よく聞いてくださいね。長門さんは、存在しません。私も存在しません。長門さんも私も生きてさえいません」
それを証明するものは?
喜緑さんの姿が崩れはじめた。腕が落ち、頭から上半身が溶けてゆく。血が流れ出していく。
「うわっ」俺は思わず立ち上がって、あたりを見回す。何事もなかったように皆は過ごしている。
「周りからはこの空間は見えません」見ると、もう喜緑さんはもとの姿になって……いや、自分の腕を肩に繋げているところだった。
「今のは、私の身体の情報連結を解除ののち直ちに再構成するよう申請した結果です。脳も連結解除されたので、私は少しの間、意識がありませんでした。情報統合思念体により直接再構成されました」床の血も消えていく。
「私たちは、情報処理端末にすぎないってことです。ヒューマノイドとのコミュケーション用に、自立させて、情報処理の傾向をすこし偏らせてあるだけ」
震えながら、俺は席につく。端末か。性格付けをされた端末。……震えがなかなか収まらない。脅された気分。
「それぞれの任務によって性格の偏りは計算されてます。長門さんは感情の要素を極力省くことによって、情報処理能力を向上させたタイプです」
長門のあの性格も計算されたものだと?
「あなたがたの愛玩用の玩具機械と同じです。あなたがたの自分自身の愛玩パターンを長門さんに投影しているにすぎません。もし男性を模したインターフェイスならあなたの反応もまた違ってたでしょう」
俺の幻想だということですか?
「あなたがたは、私のことも長門さんのことも、いっそ、〈それ〉と呼んでもいいくらいです。単に、玩具機械より複雑なだけです」
- 142 :
- 「仮に、一人の人間と長門さんとが危険にさらされたとしましょう。長門さんがそうなるとはなかなか考えにくいですが、仮にです」
長門とほかの人間……。
「あなたは、どちらを助けます?」
……。
「あなたが、その一人の人間じゃなくて、長門さんを救う方を選ぶとすれば、それはきわめて愚かなことだと思います」
愚かか。
「といってもそれは、ある意味愉快なことかもしれませんけど」
愉快……愉快? いつか俺は喜緑さんを睨みつけていたようだ。
「怒らないでください。あなたがたは、動物模型に恋した動物を愉快に思うでしょ? 私たちも同じように感じます」
……俺は、俺たちは、あなたたちからしか情報をもらってません。俺は言った。
俺の感じるのはこういう感じのことです。
マンションのあの部屋は、まるで牢獄のようです。俺の単なる〈感じ〉ですが。長門は、あそこに封じられているように見えます。今日の本のように。
長門の感情のなさは、こういうふうにも見えます。たとえばの話です。……人間の赤ちゃんは、泣いても泣いてもだれも来てくれないとわかると、泣かなくなるそうです。……あのマンションから逃れられないと気づいたとき、長門は感情を無くしたのではないかと。
「……ふぅ。それではあなたの立場からも考えてみましょう。外見も構造も人間と変わりなく見えるんですから、あなたに同情すべき点もありますね。私に同情という感情があるとしてですけど」
喜緑さんは、溜息をついた。
「人間だとしても、問題は多いですよ?」
何ですか。
「一例をあげましょう。朝倉さんのことです」
朝倉のこと?
「朝倉さんの立場は長門さんと同じです。役割が違っていただけです」
確かに、朝倉は長門のバックアップだと話してた……。
「そう。長門さんはあなたが襲われたから助けたんじゃなくて、朝倉さんの任務からの逸脱を正しただけなんです」
……そういう会話もあったような気がする。
- 143 :
- 「そしてその結果、長門さんは朝倉さんを〈消し〉ました」
喜緑さんは、もったいぶるように言った。
「あなたが長門さんを人間だというなら朝倉さんも人間のはずです。とすると、これは、殺人ですね? 事情はどうあれ。ですが長門さんには良心の呵責はありません。まったく無いんです。涼宮さんの力を使って世界を改変したときも」
「違う!」俺は叫んだ。勝手なことを言いやがって。入部届けを俺に渡すときの長門の表情。お前は見たことがないだろう。あれが長門の望んでいる自分の姿のはずだ。
「朝倉さんは躊躇しましたか? あなたを襲うとき」
俺は喜緑さんを睨む。
「長門さんも同じなんですよ? 私たちは、あなたがたのどんな法にも倫理にも拘束されないんです。それらに従ってるように見えるときは、そのほうが都合がいいからです。それ以上でもそれ以下でもありません」
喜緑さんは微笑んだ。
「あなたが、そしてあなたがたがそれに目をつむるんなら、あなたの言う人間て何です? あなたは、人を人とも思わない怪しい団体活動に嵌まる人たちと、同じ種類の人なんですか?」
……喜緑さんも同じなんですか。人間の死について朝倉と同じスタンスなんですか。
喜緑さんは笑った。
「これ以上長門さんに感情移入を続けても、お互いのためにならないということです」
- 144 :
- 勝手放題言いやがって。怪しい団体活動か。そりゃ喜緑さんの方だぞ。たしかに俺もそうだがな。
俺は長門に言った。
頼む。本を読んでくれ。お前が本を読んでないと、俺は不安になるんだ。百歩譲って、本のページをめくってるふりだけでもいい。以前と同じようにしてくれ。
俺が不安になって、ハルヒに悪い影響を及ぼすかもしれんぞ。エラーが蓄積されているかどうかは、頻繁にお前の親玉にチェックしてもらえばいいじゃないか。
頼む。
「報告しておく」長門は答えた。
古泉、お前は長門を何だと思う?
「TFEI端末のひとりですね。きわめて優秀な」
朝比奈さん、長門は何だと思います?
「うーん、よくわかりません……《禁則事項》ですよね? はぁ」
ハルヒ、お前、長門を人間だと思うか?
「……あったりまえじゃないの」
ハルヒ。俺はお前の感覚を信じる。
- 145 :
- 冬。窓の外では雪が降り始めた。
長門は、また本を開くようになった。読んでるかどうかはわからない。
封鎖は解かれたようだが、結局、俺の自己満足にすぎないのか。けれど俺は長門を、〈それ〉と呼ぶ気には絶対になれない。
彼女は膝の上に本を置いて、窓の外を見て、手をこすりあわせている。
俺は、彼女の手を俺の手で包み、暖めた。彼女は俺を見た。
長門。お前はもしかしたら存在しないのかもしれない。
「しない」長門は窓の外、雪を見ながら言った。
……長門。でも、それでも、今、お前は寒がっている。俺はお前を暖めることができる。だからお前を暖める。
長門はまた俺を見た。「……寒がっているように装ってるのかもしれない」
たとえ、そうだとしても。
「そう」長門はつぶやいた。いつもと同じように。「わたしはあなたを安心させることはできないが」
そうか。お前にもできないことがあるんだよな。
「けっこうある」
鶴屋さん。鶴屋さんは、長門を人間だと思いますか?
鶴屋さんは俺を見て、にやりと笑った。
「キョン君の、思ってるとおりだと思うよっ?」
俺の……。鶴屋さん、ずるいですよそれは。
「あはははっ、いやー、長門っちは長門っちだしねっ!」
……鶴屋さん、もし、もし長門と、もう一人別の人が困ってる……危険な目にあってるとして、どちらを助けますか?
「それは難しいねっ! それって、学校の問題のように解かなきゃいけないのかなぁ? つまり」
鶴屋さんは人差し指を立ててウインクしながら笑った。
「道はひとつしかないのかい? 道は、それしかないのかい?」■
- 146 :
- 情報統合思念体が、そう言う極論的且つジレンマな問題で、悩んでいるとは思えない気もする。
鶴屋さんの言は、第三の道を選択しなければならない(妥協)外交官的思考だねっ!
二者択一的な方法論よりもっと別の喩えがよかったのでは?
人間として振る舞うようプログラムされている的思索も、疑い出せばきりがないしなぁ。
難しいにょーろ
- 147 :
- 情報統合思念体というより、キョンに邪魔されないための煽りの一つと考えてます>二者択一
んで鶴屋さんの言は、二者択一に惑わされずに、長門そのものを見ろというつもりで言わせました。
もちろん物語の解釈は書いた人の考えたとおりではないことは承知です。
まーそれ以前に伝える技術が未熟なんでしょうねえ。。。
他人に自分のイメージが伝わるように物語を書くってむつかしいヽ(´ー`)ノ
- 148 :
- 『長門有希の舞踊』
ぶらぶらと町を探検。今日は長門とハルヒという組み合わせ。
中央コミュニティセンターで保健まつりとかいうイベントをやってる。
「ちょっと入ってみましょうよ」何を思ったかハルヒがずんずん入っていった。気が向いたんだろうな。
入ってみると、いかにも役所主体という感じのぬるい保健関係イベントだ。
体脂肪を計ったり、生活習慣病のレポートがあったり。健康体操したり。漫才の人が講演したり。おじさんおばさん、じーちゃんばーちゃんとお孫さんが主な客層だった。
「たいし坊」とかゆう超ぬるい着ぐるみが動いてる。長門がずっと見てる。どう思ってるんだろうか。こら! うしろから蹴るんじゃないハルヒ! 中の人が困るぞ。
「中の人がいると思っちゃ失礼よ!」んじゃ蹴るのは失礼じゃないと。どーゆー自分ルールだ。
長門はロビーの向こうに移動して「Rの科学」というレポート展示をずっと読んでる。長門らしいというかなんというか。
まーイベントというのは関係者にとって意味があれば俺みたいな部外者がどう思おうと関係ないと思うけどさ。
どうしてこんなところに俺たちのような若者がずっといるのかというと、ハルヒがなぜか飽きずにずっといるからなのだ。
どういうわけだか、気に入ったらしい。じーちゃんばーちゃんにしきりに話しかける。
「おばーちゃん、最近なにか怪しいことない?」
「あー、最近は不審者がよくうろうろしてるって聞くねぇ」
ハルヒのことかな。……痛っ! 蹴るなよ!
- 149 :
- 「そういうんじゃなくて、たとえばあの家には座敷わらしがいるとかさ」
「最近じゃそういうのは聞かないねぇ。住みにくいんじゃない?」ばーちゃんが笑って言う。
「子どもの頃は、大工さんが建てるのを飽きずに見てたもんだけど、今はねぇ……せっかく守ろうと思った家も設計から手抜きされてちゃ、せいがないってもんだよねぇ」車イスのばーちゃんたち、しきりに笑う。
「そーなんだ。見つかんないんだよねー」ハルヒがぼやく。
「なに? 怪しいこと探してるんかい?」と、ばーちゃんの一人。
「そーなのよ。絶対あると思うんだけどなぁ」ハルヒは言った。そうそうあってたまるか。
「そりゃまず身の回りから探したほうがいいよぉ」うげ。いらないことを言わないでくださいよ。
「え? 身の回り?」思い切り不審な感じを持ったぞハルヒのやつ。
「まー、おじょうちゃん、楽しんで探しな」車イスのばーちゃんの一人が言って、みんな笑う。
「まかせて!」ハルヒはガッツポーズだ。いやそんなに頑張らなくていいし
建物の裏の広い駐車場では、ゴリラの形をした、ふわふわドームってのが大きく陣取っていた。子どもが中で飛び跳ねて遊ぶバルーンドームみたいなやつだ。
ハルヒはすごく中に入りたそうだったが、ちっちゃな子ばかり遊んでたので、さすがに指をくわえたまま何も言わなかった。でもすごく入りたそうだ。いい歳して何だその物欲しげな態度は。
屋台で焼きそばとかうどんも売ってるので女子たちにおごる。「待ってました!」いや待たなくていい。長門が野外テーブルでパックを持って焼きそばをはむはむ食べてるのもなかなか味のある風景だ。
おにぎりを食べながらうどんをすすってるハルヒが聞き耳をたてた。
「何か聞こえない?」
気のせいだろ。食べ物を持ったまま動くなよ。
「何かやってるわよ! 行きましょ!」
俺はハルヒの服をつかんだ。……食べ終わってから動け。
- 150 :
- 三拍子のリズムで太鼓を叩く人がいた。
その脇には、二本の長い竹の棒を床に寝かせ揃えて、二本の竹の間隔を広げたり狭めたりして打ち鳴らす人たち。
開いては閉じる動きの竹棒の上で、跳んで踊る人たちがいた。
バンブーダンスってやつだ。
二人の人が二本並んだ長い竹の棒の両端で向かい合い、両手にそれぞれ竹棒の端を持って、太鼓のリズムに合わせて床に置いた台(短い竹筒)に打ち鳴らす。肩幅より少し狭い幅で二回叩いて、身体の中心にそろえて一回叩く。
何かのゲームでキャラがこの竹の上の踊りを踊ってるのを見たことあるなあ。
子どもが一人踊ってたところに、ハルヒが早速参加。軽い足さばきで、楽しそうに踊りはじめた。
しばらくして脇のパーティションがひとつ倒れた。あぶないな。
「あんたも踊りなさい!」
いや俺は遠慮しとくよ。
「じゃ有希!」
長門はゆっくり近づいた。ハルヒは三拍子に適当なステップをつけては、笑顔でくるくる回ったり。
長門はひょいと踊りに入った。事務的なステップである。
上半身はまったく動かず、髪と膝から下のみひょんひょん動く。
アイルランドの何とかいうダンスを思い出した。タップダンスの起源とかいうナントカ踊りってやつ。
ハルヒが抜けて、ごろんと座り込んだ。うれしそうに肩で息をしてる。
長門はぴょこぴょこ跳ねながら俺をじっと見てる。俺は目をそらし、ハルヒうまかったな、とか声をかけ、また長門を見る。長門はぴょこぴょこ跳ねながら俺をじっと見てる。
俺に入れということか。
ちょっと場所を離れても長門はずっと俺を目で追う。仕方がない。
竹の間に入った。少し踊って、足がひっかかって止まる。
長門は動きを止めて俺をじっと見る。
そんなに怒るなよ……。
- 151 :
- 長門の無言の圧力のおかげで数分は踊れるようになったが、想像してたより疲れるなこりゃ。
ずっと続いて踊ってるとなんだか楽しい。確かに。
長門は無表情のまま踊りながらくるくる回ってる。……たぶん楽しいんだろう。
俺が今日教わったこと:人は何一つ話さなくても他人を特訓できるということを学習しました。
帰り、長門は献血コーナーで献血していた。……献血なんかして大丈夫か?
「検査などのときは血液の成分を人間に合わせる」
……そうかそれはよかっ……お前は何者なんだとまったく。
週が明けて、SOS団の部室に近づくと、なにやら三拍子のリズムが聞こえてくる。ハルヒ、こんなとこで?
ドアをノックする。だれも聞いちゃいない。かまわずドアを開ける。
古泉とコンピ研の部長が竹を操作して、ハルヒと長門が踊ってる。朝比奈さんがメイド服姿で手を叩いてる。
……何のクラブだここは。やりたい放題かよ。竹どこから持ってきたんだ。
こら! そんなに騒いじゃ周りに迷惑だろ! と直ちに撤収させた。
ぶーぶー言いながらも片付け始めたのは、こいつも少しは成長したって証か?
まあ大事になる前になんとかできてよかった。ハルヒのことだ。バンブーダンスごときに呪術的な意味合いを付加しかねんからな。なあ長門。
「大丈夫。私の踊りでその力は打ち消した」長門が言った。
……ってマジで呪いの踊りになってたのかよ!
「正確には呪いではなく、ある情報エネルギーに一定の偏りを」いや、いい。言わなくていい。
長門は無表情だったが説明機会を奪われてなんだか不満そうな空気をただよわせていた。■
- 152 :
- 説明機会を奪われてなんだか不満そうな空気をただよわせていた……その夜、SOS団アジトでは…。
j/! l ! . !: l/!
j/! ! / ∧! 彼は、ああいったが、いつか説明を求めるだろう。
ヽl lヽ、 ´’ /!:/ しかし、その時、あたしが正常に稼働しているという
ヽ! j/ト- ィl/ j/ 保証はない。何故なら12/18以降、私は異時間同位体との
. r‐l ト、 同期機能をKillしたから。しかしその引き替えに私は不確実性を得た。
l -┬<´ : ト -―l : `ー┬ 、 | だからここに書いておく……その発動プログラムを。
!|__ /.::: ::::!: l l : : l二二 ! : : : : ! ! : ト、!! `ヽヽ Yuki.N >GJ
〃 __|l /l ヽ|! :::: l ::l: :l !: : :! l : : : : l l: : ! /|ト、_ ノノ
l| / ヽ_ノ! ! トヘl| :::! l !: :`ヽヽ l: : : : :// :// ! `ヽ!| ! 、、
! ヽヽ ! !|ヽl__!|ノヽ ノノ / : : : // /∧ ∧ |!|\!| ! ノノ
j|_∧ l| l ヽ_ノ\ !| \l_ノ /( _j|∠ノ  ̄ /! ∧  ̄!| ̄ノ
/ ! _ノヽ、_!lノ_.. -―ヽ ヽ从/ ムヽ、!|_ ノ__ / l| /从` ー‐l|<_
__ノ´ !ヽ、_ノ__ >ー‐人ヽ、 \ ≧ !::::::::::::)\! !/ ≦‐-、! ノ
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- 153 :
- , _ ノ)
γ∞γ~ \ とて
とて | / 从从) )
ヽ | | l l |〃 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
`从ハ~ ワノ) < さくらも読みに来たよ〜
{|  ̄[`[>ロ<]'] ̄|! \_____________
`,─Y ,└┘_ト─'
└// l T ヽ\ とて
⌒ヽ ,く._ ' _ >
人 `ヽ`二二二´'´
Y⌒ヽ)⌒ヽ し' l⌒)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 154 :
- >>152そうかSOS団は部室じゃなくてアジトか。でも気にしないw
>>153さくらたんヽ(´ー`)ノ
↓ふと考えたことをそのまま何も考えずに投下
『長門有希の防災』
台風が来た。風が強くなりはじめている。学校へは来たものの、午後から帰宅となった。はじめから休校にすればいいんだよまったく。
校舎を出る前に長門に会った。よう。気をつけて帰れよ。
長門は頷いた。
お前テレビないだろ。台風情報はどうやって知るんだ?
「気象情報は情報統合思念体から得られる」
気象衛星ひまわりみたいなやつだな。テレビ見たことあるのか?
「……朝倉涼子が存在した時は」
朝倉……。
「テレビを見ろと誘いにきた」
……なんだかしんみりするな。
テレビも見ないから、静かだよなぁあのマンション。何時頃寝てるんだ?
「九時」
それは健康的でいいな。
「いい」
監視のために眠らないのかな、とも少し思ってたけどな。
「それも正しい」
寝ないのか?
「身体と意識は休止する。監視システムは働く」
……それは大変だな。二交代とか三交代とかにしてはもらえないのか。時間外手当ちゃんともらってるのか。
「労使関係ではなく、」
冗談だよ。まあ気をつけて帰れ。台風もお前はあまり気にはならないだろうけどさ。
「この台風のエネルギーは日本の原子力発電量程度はある。注意は必要」
……それがどのくらいなのかわからん。もっとわかりやすい単位を使ってくれ。
「約十の十八乗ジュール」
……すまん。俺が悪かった。
- 155 :
- 外に出るとわりと風が強い。女子連中がスカートを抑え髪を気にしながらきゃーきゃー言うのを見てると、何にも動ぜずすたすたと歩きだす長門は割とカッコいいな、と感じた。びゅーびゅーと吹き付ける風にも長門は動じない。まるで昔の黒澤時代劇の効果のよう。
「あーもーすっごい風ね!」
……ハルヒ。なぜ体操着なんだ。
「動きやすいからよ。つねに防災の意識を持ちたいものよね。何が飛んで来てもすぐによけられるわ!」
と言ってハルヒは素早い動きで何かをよける練習を始めた。面白いやつだなぁお前。
「これ見てこれ。工事現場用のデジカメ。デジタル現場監督っていうのよ。投げ売りになってたのを寄付してもらったのよ! 少々の雨くらいじゃ大丈夫。これで災害現場の決定的瞬間を撮ってくるから!」ハルヒは俺をパチリと撮った。
それホントに寄付かあやしいもんだ。お前が災害を引き起こしそうな気もするし。あぶないから危険なとこへは近づくなよな。いろんな意味で。
ブワッと突風が吹いて、電柱にくくられた看板が飛んだ。飛ぶ先には長門が。
「有希! あぶない!」ハルヒが叫ぶ。叫んだ後デジタル現場監督を構える。
青い光とともに看板がはじけ飛ぶ。ぎゅるるんっと長門の周りを空気の渦が巻き上がるように見えた。
- 156 :
- 「有希、だいじょうぶ?」ハルヒが駆け寄る。
「大丈夫。風で方向が変わった」……そうか? そういう感じには見えなかったぞ。と突っ込むのはヤボってもんか。
「気をつけなきゃダメじゃない! つねに防災の意識を持つのよ!」
と言ってハルヒは素早く何かをよける動きの見本を見せた。面白いやつだなぁお前。
長門はハルヒをじっと見てた。
「見て今の撮ったわ」ハルヒはカメラの液晶画面を長門に見せた。青い光が写ってる。
「写ってない」カメラをちょっと見てから長門は言った。
「えっ。ウソ。見たわよ。……ほんとだ。あっれー?」液晶画面は俺のツラになっていた。
てゆうか友達が災害に遭う瞬間を撮るのはあんまりいい趣味じゃないぞ。だいいち写真撮るのに集中してたら防災の意識が薄れるんじゃないか?
「うぅー。うるさいわねー。ま今日は早く帰るわ。風がこれ以上強くなる前に。じゃあね。有希、気をつけて帰るのよ!」ハルヒは元気よく駆け出した。
長門。写真消しただろ。
「……」
深夜やってたサンダーバードに撮影監視システムみたいなのがあったなあ。思い出しちまったぜ。
長門が俺を見た。
おい。俺の記憶は消すなよ?■
- 157 :
- そして、その夜。
改竄されキョンの姿になっている写真を見ながら
ぁんぁんとオナって居る涼宮ハルヒの痴態が、
眠っている長門の一観測端末を経由して情報思念体に報告された。
どういう訳か、統合情報思念体は、高次の知性を持った有機生命体であり、
そして進化の可能性を秘めた主体である涼宮ハルヒのRーに興味を示した。
多分、統合情報思念体も、ハルヒの毒気に当てられ
朝倉見たくちょっと暴走したんじゃないかね?そう思いたいね。
同時に、長門有希のお目付役である喜緑さんに命令を発したらしい。
「…はぃ、えっ?…長門さんにですか?んんっーー」
喜緑さんは、(禁則事項)な(禁則事項)名通信手段で、
適当な相づちを打ち、統合情報思念体に猶予の時間を申請し受理させた。
「…………」
翌日、何も知らず登校した俺は、自分の下駄箱に入っている手紙を見た。
「またか…」
………
……
…
と言う訳で。
今、俺は誰もいない我がSOS団の敵(とお膳立てされた)生徒会室で、
清楚な感じを漂わせ、細身の体をキチンと伸ばした喜緑さんと話をしている訳だ。
- 158 :
- ×統合情報思念体
○情報統合思念体
- 159 :
- >>157のつづきを書けとゆうことかな? と思って、つづき。ただし、放り出してますので、あとはよろしくw
※露骨なエロにしてはいけませんw
つまり。
「はい」
俺で。
「はい」
自慰をしてると。
「はい」
宇宙人から、自分がオカズにされてると告げられたときの気持ちをあなたは想像できるだろうか。たぶんあなたのその想像の何百倍も珍妙なもんだと思う。
「涼宮さんが気持ちよくなるごとに、小さな情報爆発が起こります。その影響は観測されてません」
何ですかそりゃ……。
「涼宮さんの気持ちがあなたに傾いているのなら、あなたは行動したほうがいいと思います」
……大きなお世話ですよ。どうして喜緑さんにそんなことを指図されなきゃいけないんですか。
「それが世界の安定に繋がるんです」
ハルヒと仲良くすれば。
「はい」
喜緑さんの言ってることは、宇宙的な規模のことなのだろうが、なぜだか俺はお家騒動のため政略結婚させられそうなバカ殿を連想していた。
どちらにしろ、しがない県立高校の生徒会室で話すようなことじゃないのは確かだ。
「そこで長門さんです」
長門?
「私たちは自衛のため、痛覚などの感覚をメインプログラムより切り離すことができるのですが、ちょっと長門さんの感覚にロックをかけて、自分では切り離せないようにしました」
はあ。
「そして、さきほど私が手ほどきをして、まず長門さんに自慰をおぼえてもらいました。」
はぁ?
生徒会室ととなりの部屋とは繋がっていて、となりは準備室として使われてるらしいのだが、そこから少し頬を上気させて長門が出てきた。
ちょこんと俺のとなりにすわる。目が少し潤んだ長門。……なんてこった、だ。(つづく)■
- 160 :
- ヽ(´ー`)ノ ドキドキ
- 161 :
- さくらvs有希
- 162 :
- 長門のR
- 163 :
- メガネ有/無、どっちが好き?
- 164 :
- 俺は、ショートな髪型が好き
- 165 :
- >>161
『さくらvs有希』プランA
桃矢くんとさくらちゃんが駅の改札を出て、まわりを見回していると、おじさんが近づいてきました。
「木之本先生のご家族の方ですか?」そのおじさんが兄妹(ふたり)に声をかけました。
「はい」桃矢くんが答えました。
おじさんは桃矢くんに名刺を渡しました。
「○○市教育委員会の坂本と申します。このたびはまことに申し訳なく思っております」
おじさんは二人に頭を下げました。二人も頭を下げました。
「父の具合はどうなんでしょう?」桃矢くんが聞きました。さくらちゃんが心配そうに二人を見ています。
「医者のお話ですと、軽い打撲ということです。それ以外では先生はお元気にしておられます。しかし念のため、入院して検査をしてもらう段取りです」
さくらちゃんは少し安心したような表情を浮かべました。
「せっかく先生にご協力いただいた発掘で事故が起きまして、本当に申し訳なく感じています。すぐに病院までお送りしましょう。こちらへどうぞ」
さくらちゃんと桃矢くんのお父さんは大学で考古学の先生をしています。
お父さんたちが横穴式の遺跡の調査に入ったところ、穴が崩れ、お父さんが怪我をしてしまったのです。
「電車まで止まってしまうなんて、不安だったでしょう。私もあわてましたけど」おじさんが車を運転しながら話しかけました。
「信号機故障のためってアナウンスしてました。もう一駅のところだったんですが」桃矢くんが言いました。
「一駅で良かったです。私もすぐに来れましたから」おじさんが言いました。さくらちゃんと桃矢くんが乗ってきた電車は、目的の駅の一つ手前の駅で、何かの故障のため止まってしまいました。
到着予定の駅に迎えに来ていたおじさんは、トラブルを知ってすぐに電車の停まった駅に移動してきました。駅員の人に二人を呼び出す構内放送をしてもらったのでした。
三人を乗せ郊外の道を行く車のエンジンから変な音がしました。「あ……あれ?」おじさんは車を道路脇に寄せました。すぐに車が止まってしまいました。
さくらちゃんの鞄から小さな声がします。「(要注意や、さくら!)」
………とゆう感じのお話と
- 166 :
- 「……転校生?」
みんなざわざわしています。先生は教壇の横に立った、ふしぎな色の髪をした小柄な眼鏡の女の子の名前を黒板に書きました。
「さ、自己紹介して」先生は言いました。
「長門有希」その子はぼそりと言いました。
その子はずっと黙ったままです。……え、それだけ? さくらちゃんは戸惑いました。
「自己紹介しなさい」先生が女の子を促しました。
女の子は、ヒョコッと頭を下げました。どうやらそれで終わりのようでした。
「得意なこととか」先生は言いましたが、女の子は、
「ありません」と言うだけでした。
「慣れてないみたいね。みんな長門さんに、この学校のこと教えてあげてね」
「はーい」みんなが元気よく答えました。
「まるでお人形さんみたいな、かわいらしい方ですわね」さくらちゃんのとなりの席の知世ちゃんが言いました。
………とゆう感じのお話
を連想しましたヽ(´ー`)ノ
そういえば長門って敬語を使えるのだろうか■
- 167 :
- >>166のタイトルが抜けてしまった
『さくらvs有希』プランB
です
- 168 :
- 『長門有希の萌感』
ハルヒが何か考え込んでいる。
「宇宙人にも萌えという概念が理解できるのかしら」
そんなもん考え込むな。
「あら、これは大切なことよ。いざというときにみくるちゃんに悩殺されるかどうかって、何かを左右するかもしれないじゃない」
何を左右するんだ。
「あれやこれやこまごましたことよ」
何も考えてないだろ。朝比奈さんが困ってるじゃないか。
朝比奈さんはきょとんとハルヒを見てる。
「たとえばよ、seti計画に飛び込んできた宇宙人の第一声が、《萌えについて説明を求める》だったらどうするの? 我々はつねに準備をおろそかにしてはならないのよ!」ハルヒが力説を続ける。
そんな宇宙人とコンタクトしたくはないね。
「まあsetiやNASAなんかにファースト・コンタクトを持ってかれるつもりはさらさらないけどね。その栄誉はSOS団のものよ! だからあんたも日々努力を怠るんじゃないわよ」
というハルヒの寝言なぞ聞く耳は持たず、ふと長門を見た。
えーと、なんて言うか、ファースト・コンタクトってもっと神秘的でドキドキするようなものだと思うのだが、この事態ははたしてファースト・コンタクトと言えるのだろうか。
じゃお前は萌えをどう思ってるんだ。そう聞くと、ハルヒはにやりと笑った。
「知りたかったら教えてあげるわ」しまった。
いや知りたくな……、言いかけたところでハルヒがビシっと決めた。俺の拒否なんて聞いちゃいなかった。
「『かわいい』にエロが入ったものなのよ!」
- 169 :
- ……それは知らなかった。これを読んでる専門家のみなさんからは異論が無数に寄せられるような気もするが。
「どう? 有希」
「言葉をひとつ学んだ」頷く長門。納得するなよ。
「勉強になったわね有希。古泉くん、どう? この定義」
「素晴らしいですね。最も適切でわかりやすい表現ですよ」
「でしょう」ハルヒは、んふーっとニヤけた。……古泉の適当なべんちゃらを見抜けないとは、当事者というのは不幸なもんだなハルヒ。
帰り、本屋で長門を見かけた。本を買ってるのか……と見るとエロ本コーナーに立ってる。あわてて本屋に入り、長門を連れ出した。なにしてんだよ!
「サンプル収集」
何の。
「萌え」
ハルヒの言うことを真に受けるんじゃない!
「あなたはポニーテール萌え。髪型に欲情する人間」
……ううううるさいっうるさいっ。そんな言い方するな! なんで涙ぐんでるんだ俺は。
「私はポニーテールにできない」
俺ははっとした。それが寂しいのか長門。気づかなかった。俺はなんて鈍感なんだ。
長門の肩を持って言った。「それに悩むお前にも萌えるぞ」
「まったく理解できない」
え。
「ポニーテールに萌え、ポニーテールにできないことに萌える。これは矛盾。どちらかに偽りのある可能性が」
いやそれはだな、男心というものはだな。
「まったく理解できない」
長門は帰っていった。……それは俺のセリフだ。■
- 170 :
- 長門は情報統合思念体の端末ということだが、独立した人格として扱われてる。でもじつは情報統合思念体の拡張された感覚の一つではないかとふと思った。
とゆーのも、DVDの対朝倉戦を見てたら、朝倉がまず「上の方は頭が固いので現場の判断で動く」と自分が独立してるような言い方をしてるのに、
負けたあとの捨て台詞のとこで、「このように情報統合思念体は一枚岩ではない」と自分は情報統合思念体の思惑で動いたようなことを言ってることから。
んでネットワークに繋がれた端末とかだと、サーバの自分領域を呼び出して作業したりするよね。UNIXとかそういう使い方がもともとだったような。
konozamaとかでログインしてパスワード入れると、どこのパソコンからでも自分の情報で買い物ができるように。・・・とゆうことで
『長門有希の変容』
SOS団アジトには長門だけだった。
よう。
宇宙人端末は頷いた。
生徒会の喜緑さんてさ、何考えてるんだろう。カマドウマのときには、ちょっと調べたらすぐバレるウソついたり。お前知り合いなんだろ? ちょっと聞いておいてくれよ。
「本人に」
俺は長門を見た。本人に聞けということか? そのためわざわざ生徒会室に行くのもなあ。
長門は目を閉じうつむいた。そして顔を上げ俺を見て微笑んだ。喜緑さんの顔だった。
「ちょっと再起動してみました。何の御用でしょう?」俺は飛び上がった。
いやいやあのあのどどどどうして。
「喜緑です。シンプルモードの再起動ですから、体型は長門さんですが。質問があれば聞きます」
きもちわるいんですよ! 人間にあわせてくださいよ!
「ひどいですよ……それ」喜緑さんin長門は悲しげに目を伏せた。再び目を上げたときは長門に戻っていた。
長門?
長門(らしきもの)はコクンと頷いた。本当に、ホントにお前は長門といえるのか? たとえば、さっきは喜緑さんin長門だったが、それは人格レベルのみの再起動もありうるんじゃないか?
「可能」
じゃ俺たちはそれをどう区別する?
「あなたがたからの区別は不可能」
不可能て。
「基本的には外見と人格は一致させる。信じておいてほしい」
信じられねーよ……。
「そう」
長門は本を読みはじめた。えっこれで終わり? ホントに?■
- 171 :
- 俺も飛び上がったぜ!むみょーさんGJ
- 172 :
- (・∀・)サンクスコ!!
けさ、長門のつくった別の宇宙へと移っていく情報統合思念体とともに長門がこの世界とお別れする夢を見ました(・∀・)
キョンくんに引き止めてほしかった
実際移るあかつきにはその前に朝倉さんを復活して残していってもらいたいですね
てすっかりハルヒな脳になってしまったようですw
- 173 :
- 瞳の中に銀河や星団が!
- 174 :
- 演歌の長保由紀のスレはココですか?
- 175 :
- そうだよ
昨日のNHK歌謡コンサートは面白くなかったね
もっと有紀ちゃん歌ってほしい
- 176 :
- 長保有紀って誰?
↓ググれ
- 177 :
- 長門有希が唄う日が来るのだろうか?とぐぐって思った。
- 178 :
- キャラソンのCDを否定された長門っちカワイソス
『長門有希の歌唱』
長門に絶対音感とかあるのだろうか。楽器がなくてもラの音を出せる、音を聞いてこれはシのフラットとわかる、とかいうやつだ。
ラの音、って言われてラの音で歌える?
長門はラの音を出した。
……口を開けなかったな。どこから音を出したんだ。
「声帯」
ハミングってやつか。でもなんだか機械みたいな音だったぞ
「四四〇ヘルツの正弦波を発生させた」
……お前はシンセサイザーか。
「現代のシンセサイザーではもっと」
いや。説明はいい。じゃあさ、最近聞いた音楽を歌ってみて。
長門は歌った。
ちょっと待て。どうしてカラオケからそんなに完璧に再生できる。てゆーかバックコーラスでハモってたぞ。一人でハモるな。
「あなたはしろと言ったりするなと言ったり」長門は不満そうだ。長門が不満を持つことがあるとしてだが。
悪かった。俺の説明が悪いんだな、正確に言わなきゃいけないんだよな。
「そう」
正確に言えるかな……。ええと、長門の気持ちをだな、声で、いわゆる人の歌う歌で、表現してみて。できるか?
長門はちょっと考えてから、ひとフレーズ歌った。
俺は涙を流した。美しく、哀しく、喜びにあふれた歌。聞いたことがない。
いまのすごく良かったぞ。どんな気持ちを歌ったんだ?
「ビッグバンのために使用された振動を、日本の陽音階に合わせてみた」
ええと。それはどんな気持ちなんでしょうか。……まさか、その振動で今、どこかで宇宙が発生したんじゃないでしょうね?……
「かもしれない」
マジか? 長門は俺の顔を見てる。ちょっと首を横に傾げる。■
- 179 :
- 『長門有希の治療』
口内炎というのはイヤなものだ。口の中を動かすたびに感じるズキっとした痛さ。つのるイライラ。口の中にバンドエイドを貼りたいぜ。
部室でみんなまったりした時間を過ごす中、俺は長門相手に病気自慢。
長門は口内炎て経験はないのか?
「ない」
ほら。こんなのだ。
俺は下唇を思い切りめくった。長門が覗き込む。
「下唇の裏側にポツンと白くなっている箇所がある」
それが炎症だ。
長門の目がいきなり俺の目の前に来た。何だ? 口内炎のところにピリッとした感触がした。
俺は身を思い切り引いた。な、何をした?
「舐めて焼いた。人工粘液によるカバーもした」
なななななな、なめて……長門、なに冷静な顔をしてちょこんと座ってるんだよ。俺は周りを見た。みんな凍りついている。朝比奈さんは口を抑え真っ赤になっている。古泉は……ハルヒを見ている。ハルヒは……。
ええと、鬼のような形相って言葉、こんなときに使うんでしたっけ? リボンがツノのように舞ってるんですが。
ハ、ハルヒ、これって、なんか長門のとこの民間療法らしいんだ、だよな? 長門? な?
長門は軽く頷いた。
しかしハルヒの「へえええええええ。そおなのおおおおお」という相づちが呪いの言葉のように長く低く響く。恐ろしい。なんだか大きな災いを呼びそうなこの存在を鎮める力を誰か持ってないか? 祝詞ってこんなときにあげるんだっけ? 巫女さんを呼べ巫女さんを。
古泉の携帯がけたたましく鳴り始めた。ハルヒが叫んだ。
「帰る!」
ハルヒがどすどすと地響きを鳴らせて部室をあとにすると、古泉が困り果てたように言った。
「これまでで最大規模の閉鎖空間だそうです。今から、ちょっと行ってきます」
長門ぉ……。
長門はすまなそうに立っていた。「ミス」
えらく破壊力のあるミスだったぜ……。
- 180 :
- しかし口内炎は翌朝すっかり治っちまった。さすが長門。そのあたりはゴキゲンだ。
「僕としても長門さんに貸しができましたからね。悪いことばかりじゃないですよ」今朝方帰宅したという古泉が疲れた表情で言う。そうか? お前の価値観はわからん。
それに、長門に貸し借りという感覚があるという根拠は?
「おっとこれは気づきませんでした」ぺしっと自分の頭を叩く。わざとらしいぞいつもながら。
ハルヒはうめいている。
「うー。なんかすごいストレスぅー。口内炎までできちゃったのよぉー」
そうか。それは大変だな。お前のつらさはよく分かるぞ。
……なんだか視線を感じる。古泉も朝比奈さんも……長門までも、なんだその「やっちゃえ! やっちゃえ!」という期待に満ちた目は。アホ。そんなことしてもブッとばされるだけに決まってるだろ。
ハルヒ、どこが口内炎になったんだ?
「ここ」ハルヒが下唇をべろっとめくる。これは大きいな。つらいだろ。
「そーなのよー。うー」
チラリと周りを見る。古泉も朝比奈さんも長門も、なんだその「やっちゃえ! やっちゃえ!」という目は。
俺は舌を伸ばしてハルヒの口に近づけた。
すっとハルヒは身を引いて、「何すんのよ、この、ドRがあ!」と叫ぶや否や回し蹴り一発、ハルヒ! 倒れた相手に再度蹴りを入れるのはルール違反だぞっ? ……ほらみろ。三人とも視線をそらすんじゃねえ。
- 181 :
- 次の朝、ハルヒはにんまりしていた。「なんだかストレスも口内炎もどっかいっちゃったのよ。なんでかしらね?」んふーとゴキゲンな笑顔。
古泉よぉ、何考えてんだろうねヤツは……。
「要するに、涼宮さんは、まだ子どもなんですよ。いい意味でも悪い意味でも。感情が未分化なんです。これからも大事に育ててあげればいいんですよ」
それは俺がしなきゃならんのだろう。俺はイヤだぞ。甘やかさねえぞ。
「それで結構です。要は涼宮さんをいつも見守ってあげることです」
……どんなに愛情をもって育ててもその愛情を注いだ相手に殺されちまうこともある世の中だからな。いつでも逃げられる準備はしておくぞ。
「それは困る。逃がしはしない」長門、本を読みながら物騒なことを……。もっと言い方というものを覚えてくれよ。コミュニケーション用インターフェイスなんだろ?
「コンタクト用」長門が訂正する。……大して変わらないって。■
- 182 :
- (´ー`)ノGJ
- 183 :
- (;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
今年最大の感謝をむみょーさんに捧げます
- 184 :
- このまとめサイトにに誰かむみょー氏のSS貼ってくれ!!!
ttp://nagatoyuki.info/
- 185 :
- >>182
ヽ(´ー`)ノ
>>183
炉板さんのツボだったとは・・・長門もふところが深いなあ
>>184
どーも。長門愛溢れるサイトで素敵ですね
俺はそちらの住人でなくて、そちらの空気がまったくわからないのでそれはまーあれですね
- 186 :
- 『長門有希の審判』
十月十日。今日は萌えの日らしい。何をする日なんだろう。
なあハルヒ、お前の萌えの定義だけどな。
「何よ。文句あるの?」
もう一度言ってみ。
「『かわいい』に『エロ』が入ったものよ」
とすると、今『人気・実力ともナンバーワン!』のエロかわいい歌手●田○未さんとかも萌えとなるのか?
「○○○ックスの?」
○○○ックスの。
「ああ、あれは関係ないでしょ」
あれて。
「あんたあれに萌えるの?」
いや、俺もあの人は萌えじゃないと思う。
「ははーん」ハルヒはいやらしい目つきで俺を見た。「あんた、さては『萌え』にうるさいわね?」
何を言い出すんだ。
「だって一般人ならそんなにこだわらないわ。流すわよ。あんた実は、萌えの定義についてすごくうるさい人間なんじゃね?」
……なんだその口調は。そんなこと言うなら言うけどな。そういうお前、実は腐女子なんだろ。異常に萌えにこだわりすぎるぞ。
ハルヒの動きが止まった。おっ。さては図星か。○ンプティー○とかをクラスの女子のどれくらいが読んでると思うんだ。『一般人』という言い方も、何と対比しての話だ?
いつの間にか俺とハルヒは、部室を、お互いの距離を一定に保って歩きはじめた。まるでプロレスでお互い睨み合い牽制しながらリングをぐるぐる回るレスラーのように。
長門は部室の真ん中近くにすわって本を読んでいる。
- 187 :
- 「オタク」
腐女子。
俺とハルヒはお互いを牽制しながら部室を周り続ける。
お前、まさか俺と古泉のBLとか書いてないだろうな?
「あんたがみくるちゃんに萌えてるのは知ってるんだからね! 普通の恋愛とか片思いとかじゃないでしょ? 違うなら打ち明けてみなさいよ!」
俺たちはぐるぐる回りながらニヤリとした表情でお互いジャブを打ち続けた。
長門はやがて顔を上げて俺たちの戦いを眺める。……宇宙人的にこの戦いはどう位置づけられるのだろう。ウザイと思ってるに一票。
「有希、どっちが勝ちだと思う? 遠慮なく判断して。有希の価値観でいいから」
長門が立ち上がって言った。
「涼宮ハルヒの勝ちとする」
なんでだよ!
「涼宮ハルヒは当初から萌えへのこだわりを周囲に示している。しかし対戦者たるあなたは、自分が萌えについて豊かな知識を持っている事実(例、『眼鏡属性』)を意図的に隠蔽している一方で、涼宮ハルヒの萌えを攻撃している。どちらが潔いかは明らか」
「さすが有希ね!」ハルヒは長門に抱きついて、表情を崩さない少女の髪をくしゃくしゃと撫でた。人形のように長門の頭が動く。
「冷静なジャッジに感謝するわ。それにしても」ハルヒが聞いた。「何よ、眼鏡属性って」
眼鏡属性というのはだな、
「あんた眼鏡萌えだったの」ハルヒが畳み込むように言う。人の話を聞く気があるのか。
「みくるちゃんに萌えて、有希の眼鏡っ子に萌えて、ポニ……」ハルヒは沈黙した。そして言った。
「ねえ有希。正直こいつのことどう思う? 節操がないと思わない?」
長門は俺を見た。「なさすぎる」言うな、言わないでくれ!■
- 188 :
- __,,,..::-ーーァ''
,r‐´.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ、 /
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ. l ・
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:lヾ、 | ・
/イ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:l l. ・
l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:f゙i:.:|リ! ー=' ・
l∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,人l:.l ノ l ・
ヽト::;i、:/ ,ゝ!' __ ヽ、 ・
r:r'''゙ ゙'゙'''ー-<ニ,y''゙゙゙ ̄l.|| `ー
.l i //:.`ヽ l||
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l. ゙ー‐-- .__,,j .|: : : : :.ヾ⌒〈
}ー──---=': : : : : : :ヽ.:ノ
- 189 :
- 『長門有希の世界』
俺「つまり、この世界は、お前の願った通りになってしまうんだよ!」
ハルヒ「なんですって!」
ということで……。ハルヒは早速行動した。俺は止めたんだが。やれやれ。
「これ見て、魔法のバットよ!」ハルヒは例のぼこぼこバットを持ち出した。バットがきらりーん☆と光った。きらきらりーん☆
「魔法少女になってみたかったのよね☆! ダラドガンドット☆ヤシャマンド!」
ハルヒはバットにまたがって空を飛んだ。
長門。いまのバラモン教の呪文で何が起こったんだ?
「バラモン教の呪文ではない」
そうなのか。……いまハルヒは、どおゆう原理で空を飛んでるんだろう?
「……よくわからない原理で飛んでいる」
……そうか。
俺たちはみんな「……」と空を見上げていた。
やっぱりあれだな。高校生以上は魔法少女になっちゃいけないよな。ハルヒ細い方だと思うけど、すごく重そうだもん。……あ、いや、長門は割と似合うと思うけど。
「そう」
だからどうということもないが。俺たちは奇妙で空虚な感覚に包まれていた。
- 190 :
- 古泉が長門に話しかけている。
「さきほどの呪文はバラモン教とは関係はありませんが、しかし涼宮さんはインド哲学におけるブラフマンであるといえませんか」
「いえなくはない」長門が頷いている。
……詳しいことは聞くまい。うっとおしい会話はやめろ。
「お言葉ですが、こうなった以上、これは大事なことだと思います。涼宮さんがブラフマンとしたら、あなたは」
聞きたくない。古泉、俺にこれ以上ややこしい役割を押しつけるな。
「あー面白かった! 次は何をしようかしら?」ハルヒがカラカラ笑いながら帰ってきた。
ハルヒ。聞いてくれ。
「何よ」
いいか、強い力には責任というものが伴うものなんだ。力が強ければ強いほど責任も大きくなる。
「……何よ、その出来の悪いファンタジーに出てくるエラそうなお爺さんみたいなセリフ」
ハルヒ。頼むから。俺は心底願っていた。ハルヒの自分勝手な考えから世の中を変えることは、まずハルヒ自身のためにならない。その強い確信があったからだ。
な、ハルヒ。頼む。この力はいずれお前自身を傷つけることになる。お前をそんな目に遭わせたくない。このとおりだ。俺は頭を下げた。なるべく力を使わないでくれ。頼むから。頭を下げ続けた。
「……」ハルヒはぷくーっとふくれた。「……あーもー面白くないわね! ぷくーっ」
……やっぱり俺の言うことなんか聞いてくれないのか? 情けない……。頭を下げたまま俺は悲しくなった。
「せっかく面白い力があることがわかったのに! もうホントぷんすかするわ! ばかキョン!」ぽかんと俺の頭を叩いた。ハルヒよぉ……。
「この力を無くすにはどうしたらいいの?」ハルヒは聞いた。
- 191 :
- ……え。
「だ、か、ら。力を消すのはどうすればいい?」ハルヒは繰り返し聞いた。これは意外な答えだ。どうすればいいんだろう。長門、どうするんだ?
「力が無くなるのは困る。観察対象が無くなることになる」長門が言った。
「んじゃ有希にあげるわ。情報ナントカ体が欲しがってるんでしょ? 有希にあげるにはどうしたらいいの?」ハルヒがまたも意外なことを言う。ハルヒ、いいのか……?
「ただし、私たちやこの星のことを邪魔したり、宇宙のしくみを壊しちゃダメよ」
あのーハルヒさん、あなたたった今、物理法則に反して空飛んでたんですけど。
「……情報……情報何体だったっけ?」ハルヒは俺の心配など気にしてないかのごとく。
「情報統合思念体」長門が答えた。
「情報統合思念体によく言っておいてよ。……ジョウホウトウゴウシネンタイ、ってなんだか言いにくいわね。私たちで略称決めましょうよ。JTSってどう?」
略すなよ。それもローマ字かい。……なんだかどこかの製造業の会社みたいで、宇宙的なありがたみが全く消えてるし。
「JTS……報告しておく」
っておい怒られないのか長門。
「これは参りましたね。まさかこういう展開になるとは」古泉が嘆いた。それは同意だな。
長門が言う。
「力を損なわずに完全に移動させる方法はまだ完全ではない。検討しなければならない」
「じゃそれまでお預けね。さてと、明日の探索はどこ行く? ……キョぉン、心配そうな目で見ないでよ。なんにもしないって」
「涼宮さん、不思議なこと、自分で起こそうとは思わないんですか?」朝比奈さんが聞いた。
「ばっかねーみくるちゃん、自分の想像で起きることなんて意外でもなんでもないわ。それはただの願望よ。それでもいいって人はいるだろうけど、あたしの求めるものは、真の驚異(ワンダー)なのよ!」
- 192 :
- 古泉、正直言うと、俺、ハルヒがこんなに健全なこと考えてるやつだとは思ってなかった。
古泉はクスリと笑った。「全然違いますよ」
何がだ。
「涼宮さんは、あなたがあそこまで頼んだから、力を手放すことに決めたんです」
……そうなのか?
「僕たちにもわかりましたよ。あなたが涼宮さんのこれからを思って必死になっていたことが。僕たちが頼んでもたぶん、承知してはもらえなかったでしょうね」
古泉はコーヒーを置いた。「言ってみれば、僕たちは涼宮さんの一部といえます。彼女の願望の産物ですからね。涼宮さんにとって僕たちは彼女の心の一部なんです。でもあなたは違う」
どう違うんだ。
「涼宮さんは近寄るすべての人を撥ね除けてきました。それを何とも思わず友人となったのがあなたです。あなたこそが彼女にとっての驚異(ワンダー)といえるでしょう。あなただけが、彼女の本当の仲間なんです」
何とも思わなかったわけじゃないけどな。……しかしそれは、褒め言葉と受け取っていいのか?
古泉は肩をすくめた。
「ダラドガンドット☆ヤシャマンド」
ハルヒから力を受け取った長門は、異世界の呪文のような謎の言葉を唱え、バットにまたがって空を飛んだ。偶然居合わせた子どもたちから歓声があがる。
「有希、高く昇っていくわねー」ハルヒが日射しを手で遮って言った。
トンビがゆっくりと回る空に、長門がゆっくり螺旋を描いて昇っていく。
- 193 :
- JTS(笑)に力を渡す条件はいくつか提案した。俺たちの邪魔をしないことなどは当然として、まず第一に『長門を解放すること。長門の自由意志を尊重すること』
そして同様に『ヒューマノイドインターフェイスすべてを解放すること。その自由意志を尊重すること。ただし、インターフェイスより宇宙人的能力は除くこと』。
「情報統合思念体より返事」朝に長門が言ってきた。ほう。どんな?
「提案の件了承する。物理法則の合った新しい宇宙を創造し、我々はそちらに移る。あなたがたの未来には干渉しない。こちらからもひとつ条件がある」
なんだ?
「JTSという略称だけは勘弁してほしい」
……お前の親分、意外と器がちっちゃいな。
まだ機関とやらと情報統合思念体と未来人と広域宇宙存在(だったっけか?)の間の利害の調整があるらしいが、知ったこっちゃない。俺は長門には全幅の信頼を置いてるのだ。根拠は無いが。
朝比奈さんが選んだ衣装(ハルヒには選ばせなかった。その理由は考えるまでもあるまい)に身を包み空の旅から降りて来た魔法少女☆有希はとても愛らしかった。ハルヒとは大違いだな。これなら許す。思わず頭をナデナデした。髪のリボンが揺れる。
俺は彼女に聞いた。
で、いまお前は、どおゆう原理で空を飛んでたんだ?
「……よくわからない原理で飛んだ」
……長門、……いいのかそれで? お前的に。■
- 194 :
- ぐっどじょーぶ!むみょーさん。
長門魔法少女ばんじゃい(;´Д`)ノ
- 195 :
- 本スレに貼って良い気がするんだけど、ルール違反?
- 196 :
- >>194
ヽ(´ー`)ノバンジャイ
>>195
まー貼らなくても大勢には影響は無いんじゃないでしょうかヽ(´ー`)ノ
本スレがどこか知らないし。てゆーか俺にはここが本スレだし。
- 197 :
- 『長門有希の攻防』 第1回 すこしグロいシーンが入る予定です。
◆1◆
「我々の情報処理能力は高いが」長門は言った。「涼宮ハルヒの全体像の把握には失敗している」
ハルヒの力ってどこから来てるんだろ。
「涼宮ハルヒの力の源たる器官、その働きに影響される事象については把握済。その力がどこから来てどう働くのか。時空を切り取り複製する現象以外は、仮説がいくつかある。それは、
・源たる器官の中で、一種の圧縮された粒子が生成され、体外へ出ると展開して世界へと拡大する
・有り得べき未来の中から涼宮ハルヒの決めた方向を優先(極小の可能性でも)して未来の時空が選ばれていく
・異世界との情報のやりとりがなされていて、その平行宇宙とこの宇宙とがスライドしていく
といったもの。どの仮説を真実として支持するかは観測データが不足」
……考えてみれば、ハルヒが宇宙を作ったのなら、もともとハルヒはこの宇宙の存在じゃなかったってわけだ。ハルヒ自身が知らずのうちに故郷たる異世界と交信してるのかもな。ああなんて電波なこと考えるようになっちまったんだ俺は。
「生徒会もコンピ研も雑魚よね結局は。もっと強い敵はいないのかしら。強い敵を撃破してこそ歴史に残る存在になると思わない?」
……ハルヒ、めったなことを願わんでくれ頼むから。それにそんな敵と何を争うってんだよ。
「ちょっと今日にでも敵を捜しにうろついてくるわ。あんたも来ない?」
冗談はよせ。なんでそんな物騒なことしなきゃならんのだ。
ハルヒは少しふくれて横を向いた。
- 198 :
- ハルヒの気まぐれでSOS団が一日休みになった。なので俺が伝令役を仰せつかった。朝比奈さんへの伝令なので喜んで拝命いたしました。
朝比奈さんの教室の前で、朝比奈さんと鶴屋さんが話をしていた。
「ふんふん。この日のこの時、あそこに居ればいいんだね?」鶴屋さんが何かを確認してる。朝比奈さん、鶴屋さんまで巻き込むんですか。
「学校のあそこだね。……うん。ガッテン承知したよっ」
「ありがとうございます」朝比奈さんがお礼を言う。
内容が気にはなったが、これがまさか自分に関係あることとは思いもしなかったぜ。朝比奈さんもそうだったんだろうけど。
〈その日〉の朝、校門に長門が立っていた。
よう。
長門は頷いた。
どうした。誰かを待ってるのか?
「許可が出た」
何のだ。
「きょう、あなたの存在確率が少し低下する」
……何の話だ。
「だから、注意して。我々はあなたの存在確率を維持出来るよう全力を尽くす」
俺は背中にゾクゾクと冷気がよじのぼってくるのを感じた。……何か起きるのか。俺、帰ったほうがいいのか。
「学校にいるほうがいい。学校は複数のインターフェイスの監視下にある」
- 199 :
- ……帰りたいな。
「学校にいるほうがいい。情報封鎖も施されている」
わかってるって。……お前、未来がわかるんだろ。どうしたらいいか教えてくれ。
「通常と同様に過ごして。我々には、未来も過去も粒子レベルに圧縮されているように〈見える〉。現在の我々にとって観測されている事象以外は全て可能性ということ」
はあ。
「未来とは、最も高い確率で訪れるであろう事象の集合。しかし、宇宙には、無数の微小な可能性の未来も織り込まれている。攻性存在は、極小の可能性の事象を展開させる力を持つ」
はあ。
「今日一日に関しては観測することにより最悪の未来を確定させるおそれがある。だから詳細には観測しない」
わからん。フリーズド未来ってか。俺、いきなり分解されたりするのか?
「当該対象の有機情報を入手していない場合、有機情報連結解除は不能。以前より関係者の有機情報は厳重に封鎖してある。あなたへの攻撃は打撃などの質量・運動エネルギーを利用した肉体的・物理的なものに終始するはず。たぶん」
よくわからんが、俺は攻撃されるんだな。いつのまに封鎖とやらがされてたんだ。……なあ長門。お前コンタクト用インターフェイスなんだろ。それにしちゃ人間とのコミュニケーション能力が低すぎやしないか。
返事はなかった。……変な間があって、彼女はくるりと後ろを向いて学校に入っていった。どうやら怒らせちまったようだ。やれやれ。
平和な日常がまた来ますように。
- 200 :
- 「今朝有希が校門に立ってたけど、話した? なにか言ってた? 挨拶しても頷くだけだったのよあの子」教室に入ると、ハルヒがドキッとするようなことを聞いてくる。いいや何にも。
「そう。まあいいわ。退屈よねー最近。おまけにあたし掃除当番なのよ。日常っぽい日常ほど憎々しいものはないわね。はぁ……なにか面白いことが起きないもんかしらね」
イヤなことを言うなぁお前。……きょう俺は面白いことになるそうだぜ。お前の待ち望んでたモノが来るらしい。教えてやらねーがな。絶対教えてやらん。
◆2◆
何も起きないのかなと思いはじめた四時限目、窓の外をふと〈何か〉が通った気がした。
外を見た。何もなかった。……と思ったら、黒い大きな球体が、音もなく、窓のすぐ外を通り過ぎた。一瞬教室が暗くなったので他の生徒も数人が窓を見る。俺は思わず席を立って、窓から離れた。
「どうした?」先生も窓の外を見たが、何も起きないので俺に声をかけた。
いえ……なんでもないんですが……。
「なら席に着け」
俺は窓を見ながら座った。
「どうしたのよ。何か見たの?」ハルヒが聞いた。
何も見てない。ちょっとトイレに行きたくなってな。
「なら行ったほうがいいわよ」
ああ。……生返事をしたあとも、窓から目が離せない。授業は進むが、……恐ろしい。気分を変えたい。俺は手をあげた。
「トイレに行って来ます!」みんながクスクス笑う中、俺は教室を出ていった。こういうことはハッキリ意思表示したほうが爽やかだな。
他のやつらに笑われるのはどうも思わんが、谷口にニヤニヤされるのは無性に腹が立つことに気づく。
(つづく)■
- 201 :
- 現代物理学やフロイトユング、哲学を駆使した長門有希の憂鬱ですなヽ(´ー`)ノ
>すこしグロいシーンが入る予定です。
わくわく・・・・気になったがw
>源たる器官の中で、一種の圧縮された粒子が生成され、
>体外へ出ると展開して世界へと拡大する
ユングフロイトかな?ハルヒの子宮内を確定されない空間とし
卵巣から生み出される、単体では存在しているものの存在確率が未定である(受精)
出来ない卵子をどうこうして、確率論(シュレーデンガーの猫?)を用い、
新たな可能性(自立進化)と言う因子を考察するのかな?
で、精子と出会わなかった場合は、対外に生理現象として排出されるってか?
>有り得べき未来の中から涼宮ハルヒの決めた方向を優先
>(極小の可能性でも)して未来の時空が選ばれていく
ある意味子宮は小宇宙と仮定し、極小の(その世界の未来)可能性とは
R渉による妊娠と仮定するのかな?
未来の時空は空間と共にハルヒに内包され自立進化を遂げるのかな?
(受精後の卵子の細胞分裂は生物の進化の過程をなぞることから)
>異世界との情報のやりとりがなされていて、
>その平行宇宙とこの宇宙とがスライドしていく
ハルヒの体内にある新たな宇宙とは、内包されている胎児の考え
把握出来うる世界であり、五感的にはハルヒの子宮内の事しか把握出来ないが
ある程度は外の世界の可能性を認識している。
故にハルヒの存在する世界(体外)は、胎児視点の宇宙観において
外世界(宇宙)と考えることも出来るのかいな?
そして生まれ落ちることにより、その子宮の世界と外の世界(実世界)は
胎児の感覚においてスライドする……という感じでグロイのでしょうかヽ(´ー`)ノ
漏れもグロいなw
ともあれがんがってください。
- 202 :
- >>201
あーその方向には進みません。めんどくさいからw 伏線を張っても回収しないってよくあるし。
でも面白い解釈ですね。子宮ですか。器官を特定するとすごく生々しくなりますねぇw
今回は物理的コミュニケーションとゆうか単なるどつきあいですヽ(´ー`)ノスマヌ
>>197-200のつづき
『長門有希の攻防』 第2回
◆2◆(承前)
教室を出た。さあ、どうする? 窓の外を見ても、先ほどの黒いものは見えなかった。少し待てば見えるだろうか。
とりあえずトイレに行こう。まずは落ち着くことだ。
落ち着くべき場所に、落ち着かないものがあるってことも世の中にはしばしばあるわけだ。
トイレに行くと、だれかがいた。北高の制服を着ている。しかし、普通の女の子は、男子トイレには入らないものだ。
従って、この女子は普通の女子ではない。証明終わり。
俺は後ずさった。その女子は近づいてきた。手に棒のようなものを持ってる。掃除当番の方ですか? 授業時間だというのに大変ですね……。俺はすぐに出口に向かった。
開ける前に出口が開いたのでびっくりした。ドアを開けたのは、また女子の制服。普通の女子は、男子トイレには入らないものだ。……挟まれたか? 俺はあせった。
「何うろうろしてるんですか!」いや、ドアを開けたのは喜緑さんだった。怒られちまった。まあ、この人も普通の女子でないことは確かだがな。
いや、あの、……もぞもぞ言って俺はトイレから出た。すぐに謎の女子も出てきて、手に持ったバールのようなもの(いや、たぶんバールだ)を振り下ろす。
喜緑さんは、身体を入れて女子の腕を振り払った。「まったく、あわてたじゃないですか!」彼女は謎の女子がよろめいたところに蹴りを入れる。謎の女子はなんだかわからない声を上げ、床に倒れて動かなくなった。気絶したようだ。……俺って女子によく襲われるなあ。
- 203 :
- 喜緑さんはしゃがみ、その女子を調べ始めた。「長門さんから、普通に過ごすよう言われませんでしたか?」
それは聞きましたけど……窓の外に黒いものが見えたんですよ。なんだか黒くて丸い……ていうより喜緑さんお強いですね。
「黒い球は長門さんの監視球です。よく見えましたね。気にしなくていいですよ」
そうなんだ。でもあれじゃいろんな人が見ますよ。
「普通の人間には気づかれない筈なんですけどね。あなたの注意力が敏感になってたんでしょう。今は、さきほどより、気づかれない確率を上げてあります。大丈夫。てゆうかあれ実は囮なんですけどね」
そうなんですか。
「あなたが囮に動揺してどうするんですか」だって知らなかったんですよ。
喜緑さんはふと廊下の向こう側を見た。じっと見つめた。俺の教室のある方向だ。
「……教室には戻らないほうがいいです」立ち上がった。
え? どうしてです?
彼女はスカートのポケットに手を入れ、そして出した。手の平を俺の教室の方向に向けた。何かゆらゆらゆれる空気……陽炎のようなものが球となり宙に浮いて、廊下の真ん中に移動していく。
「あの歪みには近づかないでください。死にます」……そんな物騒なこと言われても……注意しなきゃ気づきにくいぞ。そんなものどうやって携帯してたんです?
空気が動き始めた。風が後ろから前へ吹いていく。風? 校舎の中、窓は開いてない。
- 204 :
- 「見て」
俺は目をこらした。……彼女の出した歪みの向こう側から、〈何か〉がやってくるのが見えた。〈何か〉としか言いようがない。
喜緑さんの出したのと同じく陽炎のようなものが四つ。ゆらゆらとした空気の塊がチューブとなってこっちへ伸びてくるように見える。
その歪みは、廊下の向こう側にある階段を上ってきて、こちらへ伸びてくるようだった。
「ここにいてはいけません」彼女は襲って来た女子を再度トイレに入れ、俺にトイレの横の階段を指し示した。降りろということか。俺は少し離れ、階段に行った。
風が強くなる。教室の窓がゆれ始める。
……でも、教室のみんなは? 大丈夫なんですか?
「他の人には手を出さないと思います。事態を管理する手間は最小限にしたい筈ですから」
ならいいですけど……
喜緑さんの出した歪みに、謎の四つの歪みがからみあい、うねっていき、渦を巻く。大きな球状の歪みの渦となる。それに向かって風が吹き込んでいく。喜緑さんの制服も髪もばたばたとゆれている。
ヤバい、これはヤバい。俺は何かを感じた。早く離れなければ。
喜緑さん、逃げましょう。
「大丈夫。食い止めます」
でも、ヤバい感じしますよ。怪我したらどうすんですか。
- 205 :
- 「大丈夫ですよ。少々なら再構成できますし、大破してもなんとかなります」
喜緑さん!
「大丈夫ですって!」
俺は駆け寄った。「失礼します!」声をかけて、喜緑さんの腰を両腕で抱えて持ち上げた。
「きゃん!」喜緑さんがへんな声を上げる。
そのまま俺は駆け出した。喜緑さんを抱きかかえて階段を降りていく。「ちょっ、ちょっと……」喜緑さんは困ってるふう。
「キョンくん!」あー喜緑さんまでそう呼ぶ……。「急いで!」
えっ?
見ると歪みの球が、廊下を過ぎ階段を降り始める。うわっ追ってきてるぞ……。割と速い。
「私の集中を邪魔したからですよ! もう!」
すみませんでした……。喜緑さんを抱えてどたどたどたと階段を降りる俺。慌てる慌てる。絶対転けないぞっ! 転けたら終わりだ。
一階に降り、出口にまっしぐら。出口を出たらすぐに校舎の裏手に逸れて走る。
振り向くと、出口に沿ってまっすぐ、歪みが流れていく。
あれって、こっちに来ますか? 俺は喜緑さんを抱えたまま聞いた。
「すぐには来ません。下ろして」
よいしょと下ろす。喜緑さんの制服が俺の腕にからまり、布地の感触に少し俺はどきどきする。
しかし歪みの動きが止まり、こちらへ移動し始めたのがわかる。
(つづく)■
- 206 :
- どきどき・・・・喜緑さんハァハァ
- 207 :
- 10月21日午前1時より最萌決勝トーナメント2回戦(準々決勝)が始まります。
<<長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱>>vs<<翠星石@ローゼンメイデン トロイメント>>
勝てば遂にベスト4進出です
http://banana236.maido3.com/~bs5114/a06
↑のコード発行所にアクセスすれば発行予約されるので2時間後に再び↑に
アクセスしてコードを所得して下さい。携帯で↑にアクセスすれば待ち時間
無しで即コードを所得できますのでできればそちらでもお願いします。
コードの発行予約開始は23:30からです
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
http://etc4.2ch.net/vote/
コードを所得したら↑の投票所板の最萌トーナメント投票スレで
コードとともに
<<長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱>>
と記入してください。正念場です応援よろしくお願いします。
- 208 :
- >>202-205のつづき
※北高の校舎や教室の位置関係とかは資料を調べてないので適当です。念のため
アニメでの北高の描写はモデルの高校にかなり忠実のようですね。
いまどきですから教室の配置図とかは防犯の関係で解説はしないでしょうねえ。
『長門有希の攻防』 第3回
◆2◆(承前)
来た。
「ふぅ」喜緑さんは一度息を吐いて、腰に手をあて、笑みを浮かべて歪みを睨んだ。空気が小刻みに揺れている。
球から歪みのチューブの一本がひゅるんっと彼女に伸び、顔の右側、髪の一部をかすめる。歪みの周囲の髪が、見えない刃に削られるようにもぎ取られる。
「喜緑さん!」俺は叫ぶが、彼女は微動だにせず、笑みを浮かべたまま右手を上げた。瞬時に右手の肘から先が砕かれ、右目を一瞬瞑る。滔々と血流が肘から流れ、血の色に包まれた破砕片が歪みにかき混ぜられ、チューブを通り、歪みの本体へ流れる。
そのとたん、歪みの本体は一瞬大きくなり、歪みのチューブはたちまちその本体へ引きずり込まれていった。吸収するように。
喜緑さんは左手の手のひらを歪みに向けた。陽炎のような球形の空間はどんどん小さくなる。
残るのは、小さな、泡のような歪みだけ。そしてそれは、彼女のところへ戻ってきた。左手で歪みを掴んだ。
そして彼女の右腕の再構成が始まる。
「私を助けようとしてくれたの? ありがとう」喜緑さんは俺の方を向いて言った。「でも無茶はいけませんよ」
俺は言葉が出なかった。何だこの打って変わった愛らしい笑顔は……。
いえ、すみませんでした。ありがとうございました。絞り出すように言うのが精一杯だった。胸がむかむかする。
- 209 :
- 「でもまあ広い場所のほうが処理はし易かったですけどね」
喜緑さんは今俺たちが出て来た出口へ向いた。「ちょっと行ってきますね」
どこへ?
「さっきの歪みを出した連中のところへ。今、私の腕を吸い込んだのが運の尽きです。連中の居場所を特定しました。移動し始めてますけど、逃がしません」歩き出した。
「私がキョンくんにずっとついていてあげればいいんですけど、事態が動くのがちょっと速いんですよ。思ったより」
喜緑さんは小さく手を振って、校舎の中に消えた。「すぐ長門さんが来ますから」
◆3◆
さて。喜緑さんは行ってしまった。少し待ったが長門は来なかった。俺は同じ出入り口からそのまま校舎に入る気分にならなかった。周りに注意しながら校舎の正面に回った。
上履きのまま外を歩く。何の変哲も無い陽光。鳥の声、いつもの学校の匂い。ついさっきのことが非現実に思える。
俺は昇降口に入った。
下駄箱の間に人がいた。女の人だ。またか……。俺は心の中で身構えた。その人は俺を見て、会釈をした。
「こんにちは」
こんにちは。見覚えがある人だ。幾分ホッとした。森園生さん……。古泉の仲間の、年齢不詳の女性。
「まだ授業中じゃないんですか?」
授業中ですよ。
「そうですか」森さんは俺を見て、そして周りを見た。
どうしたんですか。俺は聞いた。この人の登場は、今回の件と関係あるんだろうか。あるんだろうな。
「何も起こってませんか?」森さんは聞いてきた。ほーらみろ。
- 210 :
- 「古泉から連絡がありました。学校に入り難かった、と」
入り難かった?
「一瞬弾かれたそうです。空間になんらかの封鎖が施されてると。それで様子を見に来ました」
そうですか。
「私も一度弾かれました」森さんはにこやかに言った。「かなり細かく封鎖されてますね。建物ごと、教室ごとに封鎖が行われています。隣の教室や廊下で騒ぎが起こっても音も振動も漏れないようにしようと思えばできますね。もちろん逆もできるでしょう」
そうなんだ……。なんか難しいことしてるんだな。
「でも気をつけてください。この空間には綻びができています。この場所には」
俺は緊張した。ここがですか? 辺りを見回した。
「私たちは、空間の綻びを感じ取ることができます。綻びから漏れる『何か』を感じるんです。私たちはそれを『風』と呼んでますが。ここは、先ほどから、その『風』が強くなってます。それに、校舎の周りを何かが回ってますね」
ああ、回ってるほうは長門の操作する何からしいですよ、わかるんですか?……と言いかけたとき、視界の隅で何かが動いた。俺はそっちに向き直った。……上のほうの壁から人間が出て来た。
うわ。
俺に向かって跳び降りてくる。
そのとき、俺の真上の空間から長門が飛び出し、その人間──作業着姿の男──に空中で体当たりする。男は大きなうめき声とともに下駄箱に落ちる。下駄箱が大きく揺れた。
そして長門はその下駄箱の上面に降りると男を掴み、奥の壁面に叩きつける。
- 211 :
- ……と見えたが、奥の柱と壁を含めた十数メートル四方の壁面が突然消えた。男は、建物にぽっかりあいた空間を過ぎ、その向こうの廊下に転がる。
壁から出てきた男はすぐに起き上がり、飛び上がって廊下の向こうの壁に消えていった。長門も駆けて行き、同じ壁に飛び上がり消える。
何なんだ一体。建造物の一角が消え、ぽっかり開いた空間を見ながら俺は思っていた。……喜緑さん、長門はなんだか忙しそうですよ。
「『風』が止みました。長門さんが塞いだのかしら?」緊張して俺のすぐそばに身体を寄せていた森さんが言って首を傾げる。「TFEI端末同士の戦いを見たのは初めてです。ちょっと私では敵いそうにありませんね」
そうなんだ。俺はこれで三度目ですよ。長門と朝倉、さっきの喜緑さんと歪み、今の長門の壁抜け、と。俺が森さんより経験値で上回ってるものがあるなんて信じられませんね。これ以上上回りたくないなあ。
「さて、この場を離れましょう。誰かが来て、無くなった壁の説明を求められたら、私にはうまく対応する自信はありません」彼女は来客用のスリッパを履いて校舎に入っていった。
俺は鉄筋コンクリートの断面を見ながら付いて行った。
(つづく)■
- 212 :
- _,.. -:' ` ー'  ̄ ヽ. __
/ ,.二 、 ̄\ \
. __//,' /, / ハ ヽ. \ヽ!
 ̄}/, / / ,' ! , ヽ| .ヽ
/.,:┐//i i. j | i \ | ヽ}
,.ィ/,.イ/イ/!. ハ. 亅,ハ.\V!|V
〃/,二 -:っ_j人ハハ. /j/ィ二ヽ}メノ〉
i/,二つトゝ't{i厂`∨ . {iリ ノ彳 j |
| ハ、 }ヾj、 ̄ j〉 ク1i/リ よろしく
| 〉 ハii l.i. 、 ‥ /iイ/
」 ,/,人{ヘ从ト |丶. _/,
/ ./ ,r‐| /┐
. / /-―< ̄ 'く_ _/ ̄`> -- 、
/\ ̄/ ,ハヽ:: :: :: ::\_ \` ´ノ ,.ィ:: :: :: :: ::.ト、
. / / / ',. ',:: :: :: :: : ヾト、\//} |:: :: :: :: :/ ,ハ
.. 〈 / / ヽ}:: :: :: :: :: ::| >介rく |:: :: :: :: { / |
/ ∧ |ヽ:: :: :: :: ::く// }.ト、〉.|:: :: :: :::|' |`ヽ
, / _,.} |/ ヽ:: :: :: :: L/ ん! |:: :: :: :: | }
〈 __‐'_,/ 〔 /丁 :|:: :: :: :: :::| }:: :: :: :: | /
 ̄ \___,}/ | |:: :: :: :: ::.|. /:: :: :: :::/ |
\ !:: :: :: :: :|. i:: :: :: :::/ /
\ヽ:: :: :: ::\ー'ア|:: :: ::.〈‐-r一'
- 213 :
- 久しぶりにぐっと
彩並み冷淡のクラスメイトのジャージの妹のさくらタン
木之本桜タンの友達友四反、ルリルリの重い金タン
PCげを除いて最近の系譜に乗っかってウリ的ヒットパターン
見来るタンは添い寝目覚ましにして、本命は妹ちゃん、観賞用
ハルヒタンは幼馴染でお弁と手料理係さ
- 214 :
- こらぁ良く見ろぉ
これが生き様だ!!ゆっキーはキョン主役萌えと一体だから
ほほえましく愛しいほど愛してしまう!!愛す許す、長門ゆっキーのためにキョンは熱血になるのだ
生きるのだ
- 215 :
- ,.、‐'"´:/:::::ィ:::/ :/ ヽ `ヽ、:::::::::\
,、' 7゛:::::::l:::::/ ::/ / j |\ ` ヾ、::::::::::\
/::::::::: l ::イ l / / !| _ヽ、 i、 ヽ::\_::ヽ
/::::::::i: ', l | ;l /_,、‐'゛_、.,,_ヽl \ ヽ::::::::::ヽ
i::::::::::::i, ノ、ヽヽ i ! |" ,'/!k;ヽ '゛ ` ノ\ `:、ヽi:::、::::ヽ うっさいなぁ。
/:::::/:: i、,| ヽ>、、 ! ` ‐`゛´ _,.;'ィ::::::;:〉、 i、 i::::ヽ::::l
/イ::/i:: l、i`r'゛_>、-ヽヾ '゛´/::/:/ ヽ!':, | ::::ヽ::l
゛ ! |l '; !'、 ラ'lャr`< ‐ ,::゛ィ:::/ ゛ /! :::::`/
';!|!; '、`、'i `'゛ ` ´ /::/ / / i .:::::::l
ヽ!`;、ー`=- ,:: ''" /:/ ,.、''ッ‐',イ l ::::::/
li:::`ヾー /‐'゛,、': '" / /ノ:::/:l/
|l:::::::、`:.、_ / ィ´:::::/
'、;::i:: `i‐-ミ=‐ /:'゛ |!'!:/´
',:|ヽ 、ヽ 、 \ ´ ヽ
`:、\ヾ、ヽ、 `ー- 、..,,_ ヽ_ ,.、,_
` ヾ、\.、 i /'゛', i ,、 '"´  ̄``'' ー―ァ;;、、
`` '゛ ヽ ! ,、'゛ ,、:'´:::::::::::
ヽ l/ ,.、::'゛:::::::::::::::::::
/`i / _,、 :‐ '"::::::::::::::::::::::::::::::
- 216 :
- ヤッホーヤッホー
ところでツンデレという便利な言葉の発明によって失ったものもあると思う。
アスカタンなんてそのひとつ、乙女心はもっと複雑でやさしく強くようっマンボーー
- 217 :
- , -‐-'´ー- 、._
,、' : : ,:-'´: : : : : : :\
/: : :/: : : : : : : : : : : : \
/:/ : /: : :, : : : : : :/: : : : : : : ヽ
!': : :/: :/;.、=7;、イ;i: : |: : : : 、: ヽ
!: : /': :'´ ;| 'iァz;、,'ト|: :/;イ: : : }: i l
!: : : : : : :{ `''゛'` !/'´/イ;ィ:/: リ'!
'; : : : : ;|ヾ ,ィ')y'/;ィ:/ あっそ。
ヽ:|'; :{ヘ _ ゝ./!'´ !'
/' ヽ! 、 ´,. ィ':i/
_,,..../ /` ‐' ´l/リ゛
ノ `丶、 {、 ´
/ ' ‐- 、 \トヽ、
,イ;;;:::、:_:::::::`ヽ、 _\!`)、
i;/ ヽ::::::::::::', `>ヶ、:>
! '、:::::::::::',∨|:ハ! ',
/ iヽ、:i::::::',. |:| ';〉 i
/ l /::::::::',.L! ';. !
/ | ! /::::::::::::l ハ
/ V::::::::::::::::l / / ',
/__,.、 -‐┐ l::::::::::::::::l / ,〉
`| '7:ー‐'、:::::::::::/ /|__/|
| |;;:::::::::):::::::〈 |:ヽ |
- 218 :
- アスカタンがライブ放送当時からツンデレ扱いだったらなにも広がらないバイ
そろそろキヤノンのストーリーを思い出すか。冬のエロ小説はこれで決まりだ銀河いざー!
---ハルヒネタばれ注意---
ドラ =長門(未来から来た万能アンドロイド型宇宙人)
のびた =キョン(ヘタレでだめな主人公 女好き)
しずちゃん=みくるん(マスコットキャラクター 無害 音痴)
ジャイアン=ハルヒ(こないと死刑 野球チームをすぐ作る リサイタルを開催して雨まで降らせた)
スネオ =古泉(すぐジャイに媚びる ルックスでごまかすナルシスト 陰謀好きの陰湿さ)
出来すぎ =鶴屋さん(何かとすごいが意外と本筋に絡めない)
- 219 :
- >>211
むみょーさんGJ つか、また長門の親玉の派閥抗争ですかw
期待期待w
- 220 :
- 良スレsage
- 221 :
- ※これから俺設定がさくれつするのでお覚悟をヽ(´ー`)ノ
いままでもだけどw
>>208-211のつづき
『長門有希の攻防』 第4回/全9回(予定)
◆3◆(承前)
「古泉の親戚ということで来客の手続きしてきます」にこやかに森さんは事務所の受け付けへ。
じゃ俺は教室へ戻るか。
戻ろうとしたら、昇降口から長門が入って来た。
どんな具合だ?
「難航」
それは……長門がそう言うのなら、想像以上に大変なんだろうな。お前の親分の派閥争いも、いい加減にしてほしいよな。
「その認識は我々とは異なっている」
……俺またナントカインターフェイスに襲われてるんだろ? ただの人間がお前や喜緑さんと戦えるとは思えんぞ。
「喜緑江美里が敵性の対ヒューマノイドコンタクト用インターフェイスを一体捕らえた。これから分析する」
喜緑さん捕まえたか。どんなやつなんだろう。
「これは仮の呼称。相手がどう称しているかは不明」
不明? どうして。
「我々が接触したことのない存在だから」
よくわからん。
- 222 :
- 長門と一年の教室に向かう。そこに、喜緑さんが人を連れてやって来るのが見えた。
彼女の相手は男子生徒姿の男だった。セーラー服も男の服も穴が開いている。男は腕を失ってる。
「こっちは捕縛しました」喜緑さんが言う。
大丈夫ですか? ……そいつですか。いいんですか? 縛らなくても。
「縛ってます。人間には不可視なだけ」
そうですか……。あの、人間の下劣な考えですけど、喜緑さんの服の綻びは直したほうがいいんじゃないでしょうか?
「あ……」喜緑さんは赤くなった。「恥ずかしいです……」服を再構成した。……さっきの戦いを見たあとでは、萌え難い。
「おい」男の方が話しかけてきた。
「なかなかエゲツナイぜ、お前んとこの姉ちゃんたちはよ」息も絶え絶えだ。
俺は何も言わなかった。まあ、そうかもしれんな。
「勝手に話さないで」喜緑さんが釘を刺す。
「俺はこの兄ちゃんと話がしたいな」男が言った。「あんたたちより話がわかりそうだ」
「許可しません」
俺は長門に言った。「話してもいいぜ。俺でよければ」
長門は喜緑さんと顔を見合わせた。喜緑さんが言う。
「責任は持ちませんよ。もし私たちにとって都合の悪い情報を漏らされれば、あなたの記憶を操作することになるかもしれません」
それはいやだな。しかし男の顔を見てると、なんだか話をしたくなってきた。ハルヒの影響か? ハルヒなら喜んでするだろうな。
「わかった」俺は言った。
喜緑さんが階段を上がった先、廊下の隅で止まった。一メートル四方くらいの空間が十倍くらいに広がる。
「この空間を少し広げました。周りからは不可視です」廊下の片隅がひとつのフロアほどに広がるなんてな。
喜緑さん、たぶん不動産業に就いたら成功しますよ。
- 223 :
- 「あんた」男が俺に言う。
あんた呼ばわりされる覚えはない。
「少し言っておくぜ。どうせ俺はこのままいろいろ分析されて分解されるんだろうからな」
長門が言った。「分析は行うが、わたしはもう誰の連結解除も行うつもりはない」
「出鱈目を言うな。俺はそこの兄ちゃんに言ってるんだ」
長門は俺を見た。
俺に何の話があるというんだ。
「あんたも大変だろうが、早くしなきゃ間に合わないぜ」男は言う。
……何をそんなに急ぐ。お前たちは数億年の単位で生きてるんだろ。俺たちよりはるかに頭がいいくせに、自分でなんとかできないのか。思わず俺は言った。
「その娘に聞けばいい」男は言った。
何を。
「ホントに何も聞いてないのか?」
だから何をだ。
「……ハッ……、こっちで受け取った情報以上にお人好しなんだな。ホントに何も知らずに手足となって働かされてるのか。俺たちならもっとコミュニケーションするぜ」
お前、誰なんだ?
男は、聞き取れない言葉を発した。
長門、いまこいつは何て言ったんだ? 俺が聞くと、長門は答えた。
「広域帯宇宙存在」
- 224 :
- 「教えてやる」男は笑った。「……お人好しにもわかるようにな」
俺は黙る。ちょっと緊張する。長門たちとは違うのか。
「……この宇宙がいずれ熱死することは知ってるな? 冷えきっていっさいの情報のやりとりが無くなる時が来る。そのため俺たちは数十億年かけていろんな宇宙を探してる。何億という宇宙を」
どこかで聞いたことがある話だな。
「だが、ひどいもんだ。ビッグバン後すぐに収縮する世界。恒星の寿命が短すぎる世界。恒星さえ生まれない世界」
男は俺たちを見回した。「物理法則の違う宇宙をどう詳細に観測するかは教えてやらん……この宇宙の平行宇宙もいくつか発見したが、それらは所詮こことの関係が密接な平行宇宙だ。この宇宙が熱死するまでに移住できる世界はいまだ発見できていない」
……だからハルヒの力を。
「そうだ。そして、人類活動と地球環境との関係のスパンは、いま人類が考えているより長い」
それとどういう関係が。……たしかに、野球のときに長門が言ってたな。このあたりを雨にしただけで百年単位での影響があるって。
「たとえば現在の温暖化の問題は、過去数年から十数年の人類活動の影響によるものではなく、もっと以前からの活動の影響だ」
……。
「つまり、……何といったかな、あの共食い……、そうそう、〈第二次世界大戦〉だ。あの後から現在までの人類の活動の影響は、『これから』現れる。環境・気象の変動の規模は現在の比じゃない。繁栄のツケはこれから払わなきゃいけないのさ。たっぷりと」
……。
「涼宮ハルヒが大規模な気候変動の影響を受ける前に、なんとかしなければならないってことだ。できるときにな」
ああ、いやなことを聞いちまったな。お前の言うことが正しければの話だが。
- 225 :
- 「兄ちゃん、あんたが協力してくれれば、効果的に気候変動に対応する方法を教えてやるぜ。この娘らの主は、このままじゃ何も教えてくれはしないぞ」
ごめんこうむる。
「人類がただ手をこまねいているのが、俺たちの主……お前たちの呼ぶところの広域帯宇宙存在にはまったく理解出来ない」
長門が口を開く。「だからといって、この人間たちに手出しすることは許さない」
男は言う。「それがお前らの主の考えか?」
「そう」
「やれやれ。何考えてんだか。お前らの考えてることはさっぱりわからん」男は首を振った。
お前が言うな。
「あんた、この娘らとその主に喰い潰されないようにな」
大きなお世話だ。
しかし……こいつが、長門よりコミュニケートしやすそうなのは、ちょっとショックなのが正直な気分だ。だが、それもこいつの計算の内かもしれない。俺が長門を信用せずに誰が信用するんだ。
「そうそう、発見した平行宇宙を点検してるとき、面白いものを見たぞ。ごく最近発見された世界なんだが」男は言った。
俺は男を見ただけで何も答えなかった。答える気はなかった。
「そっちの娘」男は長門を示した。「そいつが、ごく普通の人間の世界だ」
心臓が爆発しそうになった。「その世界には、手を出すな!」思わず叫ぶ。
「……知ってるのか? なぜ?」
うるさい!
……長門が間に入った。「あなたは休んだほうがいい」俺を諭すように言う。「我々はこれを連れていく」
長門、おい、長門! 空間は元の広さに戻る。
「敵性のインターフェイスは少なくとももう一体いる。今は近くにはいない。そちらの走査にも赴く」
長門は俺を振り返りながら喜緑さんとともに男をどこかに連れて入った。
俺は一人佇む。あの世界のことを思いながら。
しまった。つい頭がカッとなって……でもあの男は、事情は知らないみたいだったな。
(つづく)■
- 226 :
- 乞うご期待かっ!悩ましいじゃないか。
むみょーさんがんばれ
PocketPCだからID変わりまくり、辞書IMEボケまくりw
モバイルATOK保水。
- 227 :
- ※なお、伏線らしきものは全部は回収しませんヽ(´ー`)ノ
>>221-225のつづき
『長門有希の攻防』 第5回/全9回(予定)
◆4◆
俺はその場で床に座り込んだ。あの世界は生きてるのか。心が痛む。あの世界に俺はいるのか、いないのか。そして……。
そこへ森さんが上ってきた。「話は終わりましたか」
何も言う気にはならなかった。
森さんはちょっと待ってから、俺が何も話さないとわかると、「校舎をひととおり回って調べて来ますね」とつぶやいた。
……俺もはやく教室に帰るか。
森さんが廊下を見て言った。「誰か、来ます」
俺は廊下を見た。女生徒が一人。授業中なのに一人歩いて来る。
「授業中ですよね」森さんが俺に問いかける。
俺は思ったことを言った。「逃げたほうがいいかもしれません」
その女生徒は包丁を取り出した。
「逃げましょう」俺は立ち上がる暇ももったいないので、急いで這って階段に移動して行く。
階段で立ち上がって振り向くと、森さんは身構えていた。戦うつもりですか? インターフェイスかも。
「感触は違いますね。ちょっとやってみます」
逃げたほうがいいですって。
「駄目だったらすぐ逃げます」森さんは来客用スリッパを脱ぎ捨てた。
刃物持ってますよ?
「当たらなければどうということはありません」
ええい、どうしてみんな頑固なんだ。
俺は少し階段を降りる。心苦しい。しかし俺が森さんの役に立てるとも思えない。何か投げつけるものでもあればいいんだが。
- 228 :
- その女子は包丁を構えたまま森さんの前に立ち止まる。包丁を突き出す。
「もう一人来ました。逃げて」包丁を避けながら森さんが言う。え? ……ほんとだ。また一人走って来る。
心苦しいが、俺は逃げた。「森さんも早く!」駆けて、階段を降りた。
しかし、下の階に降りると、またまた一人女子が待っていた。持っていたナイフを振り上げる。いいかげんにしてほしい。抵抗するか? ……、俺は振り向き、下った階段をまた上る。
踊り場の手前に、光の粒子が急速に集まっている。熱が伝わってくる。……これは何だ? 敵か、味方か?
しかしそれを気にする暇もない。それの脇を通り、階段を上がってみると、森さんは刃先をかわしては相手にパンチを浴びせていた。相手は倒れる。森さん、拳を痛めなければいいけど。
「来ますよ!」走って来たもう一人の女子を相手しながら、森さんが言った。「下にも」俺が言うと、彼女は驚いた表情を一瞬見せた。「そうか……」悔しそうにつぶやいた。
パンチを浴びて倒れていた方の女子が起き、森さんの脇をするっと抜けて、俺に襲いかかる。
女子を見つめたまま俺は後ろに下がる……階段に足をとられ、もつれる。身体がよろめき、へたり込む。
逃げられん、やられる!
……誰かが俺の前に身体を入れてきた。また女子の制服。敵? 長門? 髪が長い。
そいつは俺の前で、包丁の刃をよけて、相手を思い切り回し蹴り。そして、回し蹴りをした身体の動きでよろめき、俺の上に倒れ込んで来た。「きゃっ……ごめん」可愛い声を上げる。
蹴られた包丁女は、階段を落ち、階下から上がって来たもう一人の攻撃者を巻き込んで倒れた。
- 229 :
- 俺の腹の上に座り直したそいつ……その女の笑顔を見て、俺は死にそうになった。
「おひさしぶり」ウインクして舌を出したそいつ。
朝倉涼子。
「身体の感覚が掴めなくて転んじゃった。重くてごめんね」……目眩がする輝き。身体の重み。匂い。揺れる髪。まさしく現実の存在だ。
さっきの光の集合、あれは朝倉が再構成されてたってことか。
彼女は飛び跳ねるように立った。
二人の攻撃者は体勢を立て直し、ナイフと包丁を持って向かってくる。朝倉のサバイバルナイフはそれを簡単に弾く。
「あなたたち、刃物の使い方、上手くないな」相手のナイフを二度三度と弾く。「わたし一度失敗しちゃったから、あんまり言えないけど」
攻撃者の刃物を次々叩き落とす。そして相手をじっと見た。
二人の攻撃者は顔を見合わせ、階段を降り、逃げた。
階段の上を見ると、森さんの相手も離れて行ったようだ。森さんはこちらを見つめる。「こんにちは。お嬢さん」
「こんにちは。お強いですね」朝倉は答える。
朝倉。しかし、どうしてお前が。
「猫の手も借りたいって言うよね」朝倉は猫の真似をした。「今日は長門さんのお手伝い。用が済んだらまた消えるから」
- 230 :
- ……こんどは俺を守ってくれるのかよ。
朝倉はよくわからない笑みを浮かべる。そして、横を向き、俺の見えないものを見ていた。「もう来ないみたいね」
おい。
「ちょっと今の人たちを追いかけるわ。いろいろ態勢を変えて攻撃を繰り返すだろうから」俺の手を取り、起こしてくれた。「長門さんをいたわってあげなきゃダメよ。今回の攻撃って、かなり強力。わたしなら耐えられなかったかもね」
朝倉。お前……。
「じゃあね。情報封鎖、あちこち穴開けられ始めてるから気をつけて。長門さんたちが、見つけた端から塞いではいるけど。わたしも気づいたら塞ぐね」
「おい、待て!」俺は呼びかける。
朝倉は立ち止まった。
俺は聞かなきゃならないことを聞いた。
「もう優等生のお前には会えないのか? あれはみんな嘘だったのか? そうじゃないだろ? 学園生活も楽しかっただろ?」
「キョンくん、優しいね」ってお前もそう呼ぶのかよ。「でももう無理だな。……またね」
朝倉の笑みに、本を読む長門と同じ寂しさを感じたのは、錯覚だったのか。
委員長だった少女は、以前と変わらない魅力的なウインクを残して、駆けていった。
(つづく)■
- 231 :
- 朝倉さんフッカーツ!
- 232 :
- >>227-230のつづき
『長門有希の攻防』 第6回/全11回(予定)
◆5◆
「今襲って来た子たちは、TFEI端末じゃありませんでした。私たち『機関』に対抗する組織の者たちのようです。人間たち」
そうですか。……朝倉、わざと傷付けなかったのか? お前なら、武器を落とした人間など……。
「今のTFEI端末は、あなたと涼宮さんの同級生だった子ですね」森さんの言葉に、俺は黙って頷く。
「何にしても助かりました。怖かったでしょう。ごめんなさい」彼女はスリッパを履き直しながら言った。「あまり無理はしないようにします」
「あの、一つお願いがあります」俺は言った。
「何です?」
「あいつのことを、……長門や喜緑さんのことでもいいんですが、TFEI端末と呼ぶのはやめてもらえませんか? たとえそれが事実だとしても」
「……わかりました」
「わがままを言って申し訳ありません」俺はすまなそうに言った。
愚かな感傷だと思われてもかまわない。
「お昼にしますか」森さんは昇降口に戻る。
- 233 :
-
昼休み直前に、今度こそ俺は教室に戻った。ハルヒに文句を言われ(「どこ行ってたのよ! このサボリ!」)、トイレからずっと戻らなかったことを先生にこってりと絞られ、しゅんとしながら飯を食っていた。
疲れた。
昼休みになるとハルヒは俺に話しかけるヒマも与えず、風のように出ていった。いつものように校内をうろついてるんだろうな。今日なら朝倉に会えるかもしれんぞ。
……動く気になれん。教室を離れないほうがいいな。
ハルヒは宇宙人的VIP扱いでうらやましいこった。
自分の机で寝てると、テンションの高い声が聞こえた。
「おお! お二人ともようこそ! ごゆっくりしてって下さいませ!」谷口、何を騒いでるんだ。
「いえいえどうぞお気を使わずにー」という未来的なテンションの声。
朝比奈さん? 俺は起きて声のしたところに行った。
そこには、朝比奈さんと鶴屋さんが揃ってた。いやあ美しい。心が安らぎます。
で、どうしたんですか?
「いえ……」朝比奈さんがもじもじして言う。
「いやね、みくるがここに来てくれって言うからさ、来たんだよっ」元気そのものが人間に化けたようないつものテンションで鶴屋さんが補足した。
朝比奈さんはちょっと困った笑顔で俺を見た。朝比奈さんが鶴屋さんに何か頼んでたことを思い出した。よりによって、今日だったのか。
「キョンなんか気にしなくていいですから!」うるさい。谷口。だまれ。
- 234 :
-
まずい。
何か、起きる。何かが。いいことか、悪いことか。午前中のことからして……。
「すぐここを離れてください」俺は二人に言った。
「?……どうしたんだい?」鶴屋さんが聞いた。
「ふぃ……(困るんですけど……)」という目で朝比奈さんは俺を見た。でも、俺も困るんですよ。朝比奈さんや鶴屋さんに何かあったら。
「何言ってるんだよキョン。サァサお二人、どうぞお入りください。キョン、コーヒー買って来いよ」
自分でしろ。
「こーら無粋なことを言うんじゃない。しょうがないな、じゃ買って来るとしますか」
「あのー、いいですよ?」朝比奈さんが言う。
「いえいえ遠慮は要りませんよ」谷口。真剣な話してるんだ。邪魔するな。「うるさい。俺が戻るまで、お二人を引き止めとけよ!」邪魔者はコーヒーを調達しに行った。
「面白い子だねっ」鶴屋さんが言う。いや、あんなの相手にしなくていいです。
- 235 :
- そこへ森さんがまた来た。
鶴屋さんは森さんを見て、会釈をした。森さんも「はじめまして」と応える。
あ、鶴屋さん、こちら、古泉の親戚の方です。
「一樹がいつもお世話になっております」森さんが頭を下げる。そして俺の方を向いて言った。
「涼宮さんは一樹といっしょにいます。こっちには近づきません。それをお知らせしておこうと思いまして」そして、「ここ、ひどい『風』が……どんどん強くなってきてます」
「風ですか?」鶴屋さんがあたりを見回す。「学校の中でですか?」
やっぱりだ。くそ……。「すぐに、すぐに離れて」俺は急かした。
「あの……困りますぅ……」と朝比奈さん。
いや、そうなんでしょうけど。すぐ離れた方がいいですって。
朝比奈さんは悲しそうだ。困った。
破壊音とともに、廊下の外側の窓ガラスが一斉に割れた。窓からの光が遮られ真っ暗になる。女生徒が悲鳴を上げる。教室側の窓からの光だけとなった。
そして、まるで水族館の水槽のガラスが割れたように、割れた窓から大量の水が流れ込んできた。おい、ここを何階だと……それも丘の上だぞ。「逃げてください!」俺は二人に言った。
えらく派手に来たな、みんなは巻き込まないんじゃなかったのか。ポリシーをむやみに変えると信用されないぞ……。
(つづく)■
- 236 :
- >>232-235つづき
『長門有希の攻防』 第7回/全11回(予定)
◆5◆(承前)
しかし、廊下に出ていた生徒が、水流を浴び、また足元をすくわれ転倒し、流され始めてる。動くと危険だ。
「何かにつかまって!」森さんが叫ぶ。
転んだ男子生徒が数人、俺の足元に流れてきた。俺は、教室の出口の柱で身体を支えていた。
「大丈夫か?」俺はその生徒の一人に声をかけ、手を伸ばした。
流されて来た男子生徒が俺に手を伸ばす。「おっと」鶴屋さんが脇からその男子の手首をつかんだ。男子生徒の手にはアイスピックが握られていた。「それはいけないねぇ」彼女は男子生徒を優しく睨んだ。
「逃げて!」森さんがカッターを突きつけてきた男子生徒を床に倒しながら叫ぶ。
周りからまた悲鳴があがる。「なに? なんだ?」「おいナイフ持ってるぞ」「いやあっ!」……くそ。パニックだ。何人の敵が居る?
俺の足元に流れてきた別の男子がナイフを振り上げる。俺はよける。鶴屋さんはすぐにそいつに足をかけ倒す。蹴る。「いったいどうしたんだい? これはさっ?」
ご迷惑おかけします……。俺は心底すまない気持ちになる。
- 237 :
- 周りのマトモな生徒から「何やってんだ?」「やめろ」「だれか止めろ」と声がかかる。鶴屋さんの捕まえた生徒を別のマトモな男子生徒が取り押さえる。しかし横からの水と足元の水の流れが生徒たちの自由な動きを阻害していた。
森さんがいつのまにか朝比奈さんに近づき、その身を守るように辺りに目をくばっていた。朝比奈さんはぷるぷる震えてるままだ。
鶴屋さんが、倒しても起き上がってきた男子の手を打ってナイフを落とす。「わかんないけどさっ、早いとこ逃げて、警察呼んだほうがいいよっ!」周りの生徒に呼びかける。
俺が、確かにこりゃ警察ざただな、と思った瞬間に、「う」と鶴屋さんは呻いた。肘に細いナイフが突き立てられてる。
朝比奈さんが悲鳴をあげた。鶴屋さんは後ろから刺した男子生徒を連続して蹴り、倒す。
突然、光が戻った。割れた窓からは外の風景が見えていた。当然、水は流入しなくなった。目を凝らした。廊下の端、長門が割れた窓のそばにいて、窓の外にいる誰か(ここは何階だ?)の腕を掴み、引っ張っていた。その腕の主は抵抗するが、長門は容赦しない。そいつか。
しかし別の男子が今度はサバイバルナイフを手に俺に襲いかかる。
- 238 :
- そのとき、長門の監視球の影が轟音を響かせて外を通った。……ような気がする、という感触しか俺には感じられなかったが、しかしサバイバルナイフの攻撃者はひどくギョっとして動きを止め、辺りに注意を向けた。
鶴屋さんは相手の隙を逃さなかった。すかさず足を払った。「おわ」相手がよろめいたところを拳で撃つ。
「なかなかきっついねっ!」相手を倒して、深呼吸をして鶴屋さんが言った。相手はナイフを手にまた起き上がろうとした。茶色の熱湯が相手の男の顔に浴びせられ、男は悲鳴をあげる。
「俺は夢を見てるのか? キョン」濡れ鼠になった谷口がホットコーヒーをもう一度男に浴びせながら言った。「せっかくお二人のためにコーヒーを守ってきたのにさ」いいや現実さ。お前は今、実にいいことをしたな。立派だ。褒めてやるぞ。
……森さんの脇にいた朝比奈さんは、真っ青な顔で鶴屋さんに駆け寄った。森さんも周りを見ながら朝比奈さんと一緒に鶴屋さんのもとへ。
またも突然、光とともに足元の水が消えていく。
「なんなんだよ」「わけわかんない」騒然とする中、喜緑さんがこっちに早足で来る。
- 239 :
- 「鶴屋さん」俺は声をかけた。
「やられちゃったよっ。いやぁ、失敗っ」彼女は明るく言った。一見まったく動揺していないように見える。一番冷静さを失ってるのは俺たちのほうだ。
森さんや鶴屋さんに倒された、生徒の姿をした男子たちは、動けなくなっていた。喜緑さんが彼らを見つめていた。
鶴屋さんの肘は鮮血に染まってた。ナイフは彼女が自分で抜いたんだろうか……抜いたんだろうな。俺ならひとしきり大騒ぎするが。
ありがとうございました、鶴屋さん。……すみませんでした。
「いやあ、お役に立てて光栄にょろよ!」
森さんは鶴屋さんの脈やキズを診ている。「うん、大丈夫大丈夫!」鶴屋さんに声をかけて、スーツから何か取り出してキズを消毒し、手などの感覚や運動機能を調べてるようだ。そして朝比奈さんにガーゼなどを渡す。
朝比奈さんが蒼白な表情で、鶴屋さんの傷にガーゼを当て、包帯を巻く。「そう、そこ。強く圧迫して」森さんが朝比奈さんに助言してる。
谷口、お前も怪我人とかが居ないか、見て回ってくれよ。
「おう、こりゃ大変だな」谷口は倒れた生徒たちを確かめに行った。
(つづく)■
- 240 :
- >>236-239のつづき
『長門有希の攻防』 第8回/全11回(予定)
◆5◆(承前)
森さんが俺のところに寄ってきて、そっと耳打ち。「あのお嬢さん、スカウトしてもいいかな?」
鶴屋さんのことですか? いや、それはちょっと……
「残念」てへっと森さんは笑う。「脈拍もまったく乱れてないし。古泉から聞いてたけど、ちょっと他には居ない子ですよ」
そのことはもう、ずっと前からわかってました。
「いや、スカウトなんかすると、どこかからダメだしが来るかもしれないなぁ?」彼女は謎めいた笑みを浮かべた。「いちおう鶴屋家にすぐ連絡しておきます」
そうか。機関と鶴屋さん家ってなんか聞いたな。
「傷は大したことはないです。深くないし。血管にいってないから出血もそんなには。さっきの水がどこから来たか心配だから消毒だけしたけど。はやく病院に連れて行ってあげて」
はい。もちろん。
「長門さんたちが来たので、この場を離れます。警察に事情聞かれても困るし」
ありがとうございます。ホント感謝します。
「私は自分から来たんで」森さんはにこやかに言った。
マトモな方の男子生徒たちは犯人たちを身動きできないように捕まえていた。犯人たちはあえてひどく暴れたりはしなかった。「こいつら何年? 何組?」「見たことない」「お前ら誰だよ」犯人たちは何も答えない。
「警察呼んで!」生徒が叫ぶ。「呼んだ!」誰かが答える。先生たちもやってきた。
「救急車も!」朝比奈さんも言う。
- 241 :
- とりあえず保健室で救急車が来るのを待ちましょう。俺は鶴屋さんに言った。
「それがいいねっ」鶴屋さんは笑った。
俺は来た先生に報告して、朝比奈さんと鶴屋さんと保健室に向かった。長門がついてくる。
鶴屋さんが先頭ですかすか歩いていく。おーい、怪我人がいちばん元気ですよー。
「……鶴屋さんに怪我させて……あたし、いったい何を……」保健室に行きながら朝比奈さんは言った。
「みくる、気にしないって。たいしたことなかったし」鶴屋さんは朝比奈さんを慰める。
「ごめんなさい、ホントに。ごめんなさい」朝比奈さんは涙を流していた。「キョンくんも、ごめんなさい」いや、朝比奈さんは悪くないですよ。
「あたしは、あたしは、何をしてるんだろう」朝比奈さんはつぶやくばかり。鶴屋さんを連れてきたことだろうか。
「しなきゃいけないことだったんだろ?」鶴屋さんが聞いた。
朝比奈さんは立ち止まった。顔を片手で覆い、頭を横に振るだけ。「ごめんなさい……あやまらせて……」
「そうなんだ。うん。じゃあ、あやまりな」鶴屋さんは朝比奈さんを見つめた。「みくる。聞きな」朝比奈さんも鶴屋さんを見た。
「でもね。もう一度みくるが頼んで来たら、あたしはまた頼まれたことをするよ。うん、何度でもさ。だって、みくるは、友だちだからさっ」
朝比奈さんは鶴屋さんを見た。初めて出会った人を見るように見た。
「すぐ保健室に行かなきゃいけないのに」朝比奈さんの声の震えは抑えようとしても抑えきれないようだった。「すみません。行きましょう」
俺もまた歩き出す。
「キョンくん、みくるってめがっさいい子だと思うよねっ?」ええ、そりゃもう。
朝比奈さんは涙顔の困り顔の悲しげな顔の笑顔というとても複雑な表情で鶴屋さんに応えていた。
- 242 :
-
◆6◆
救急車より早く鶴屋さんのお家からお迎えの車が来た。かかりつけの医者に診てもらうそうだ。さすがだぜ。
昼休みが終わる直前、保健室を出た。学校は騒然としていた。昇降口の壁面が一部無くなっていたことも騒ぎに拍車をかけた。
昼からは、体育館に生徒が集められ、警察から説明を受けた。
教室に戻ると、自習。それからも、簡単に事情を聞くため生徒が呼び出される。自習などするはずもない。みんな窓から警察や消防の様子を見ていた。
朝倉がクラスメイトだった頃、朝倉の後ろの席だった山根が、興奮した様子で、しきりに「朝倉さんを見たんだ」と言ってる。やっぱりどこかで見られたのか。何を、どのくらいの人間に見られただろう?
ハルヒは、よりによって自分がいないときに教室近くで事件が起こったことにひどくショックを受けていた。森さんの言うとおり、昼の間じゅう、古泉がずっと付いてて、空間の綻びに近づけないでいてくれたらしい。
「どうしてなのよ! 何かの陰謀?」
よくわかってるじゃないか。
二時すぎには、全員下校と決まった。しかし俺たちは当然SOS団へ。それがハルヒの定めた当然の義務なのだ。
(つづく)■
- 243 :
- +
∧_∧ +
+ _(u゚・∀・) ギトギトヌルヌル
⊂ (0゚∪ ∪。⊃ +
⊂ ゚̄ と_u_)__)゚  ̄⊃ +
⊂_。+ ゚+_⊃
⊂__⊃.
- 244 :
- >「どうしてなのよ! 何かの陰謀?」
>よくわかってるじゃないか。
この掛け合いは面白杉w
- 245 :
- >>240-242のつづき
『長門有希の攻防』 第9回/全11回
◆6◆(承前)
部室で、朝比奈さんがくすんと鼻を鳴らす。
鶴屋さんだから、きっと大丈夫ですよ。俺は声をかけた。それに、鶴屋さんがいたおかげで俺はこうしてここに居るんですから。
朝比奈さんは血の気のない顔で頷いた。「ありがとう、キョンくん」
俺はストーブをつけ、俺と朝比奈さんの濡れた上履きをその上に置いた。
「今日はなかなか大変でしたね」古泉が言った。
ああ。こんなに人気者になった日は初めてだぜ。
「涼宮さんは?」
掃除当番。神聖なるSOS団団長様も、もっと神聖な義務を蔑ろにすることはできないのさ。こんな日でもな。
「昼の時間、涼宮さんにずっと付いてましたが、空間の綻びのないところでは何事もありませんでした。ぼくもそちらに参加したかったですね」
軽く言うなよ。人ごとだと思って。
「順次報告は受けているのですが、全容はまだ把握できてません。機関も事前には把握していませんでした。事前にわかっていたらもっとお手伝いできたのですが」
それは長門に言ってくれ。いや、ハルヒをずっとお守りしててくれただけでもありがたいさ。
- 246 :
- 長門、結局、敵はどうなったんだ?
「インターフェイスの腕を一本、感覚経路らしき認知系デバイスを十二経路分破壊した。ダメージは与えたが、逃亡。今はまた走査中」
そうか、お疲れさん……それはそうと、長門、お前、壁抜けができるのか。
長門はいつもより一層動きが少なかった。座って持ってる本のページさえめくろうとしていない。首を少し傾げた。なんだか俺は、重い処理をしてる最中のパソコンで別の作業をする人の気分になった。
俺の目の前で壁に入ってっただろ?
「我々は音楽のようなもの。防音をされてない限り音が伝わる範囲なら伝わる」
……いつもながら、お前の例えはわかりにくい。
「どうしてあなたが襲われるんですか? いや理由はなんだか想像できる気もしますが」古泉が聞く。
前にもこんなことがあったよ。長門の同僚。今日は味方してくれたけど。
「涼宮ハルヒの情報爆発の観測機会が減少傾向にあることの対策。及び彼女への関与の主導権の移動の試み。彼らは時間がないと感じている」長門が言う。
この宇宙はハルヒの大ファンだらけなんだよ、古泉。物好きにもほどがあるよな。
- 247 :
- とにかく。
長門。今朝はひどいこと言って悪かったな。お前も疲れているのがわかるぞ。こんなにがんばってくれてるのにな。
長門はふらふらと立ち上がった。俺の前へ来て、俺を突き倒した。俺はうしろへひっくり返った。
「っってぇっ! 何するんだ!」
古泉が音を立てて立ち上がった。何かを感じたらしく真剣に辺りを見回す。
「ちょっと離れ……」長門の言葉は最後まで聞き取れなかった。
空気の壁に押され、俺はまた後ろに下がった。長門の立っている場所に、鉄筋コンクリートの立方体が出現した。長机をひとつ押しつぶし、ひとつをはじき出した。
俺は恐怖した。インターフェイスが切り取った学校の昇降口だ。まるで巨人によって折り畳まれたかのように押し潰され、変形した、廊下の一部を含んだ壁面。数メートル四方のコンクリートのの塊が崩れかけ、斜めになって部室の真ん中でぐらぐらと揺れていた。
朝比奈さんの悲鳴が響いた。古泉も厳しい顔で見つめている。
- 248 :
- 「長門!」叫んで、コンクリートの塊に近寄ろうと思ったが近寄れなかった。熱だ。
斜めになった構造物はひどい熱を放っていた。ぼろぼろ破片が落ちている。床が溶ける。もとの壁面はランダムに折り畳まれ、学校の壁面の一部とは原型を知らないとわからないくらいだ。それは揺れ続けていた。崩れた角を下にした斜めの状態から直立しようとしている。
「これは……危険です」古泉が言った。それは見ればわかる。
「キョンくんどいて!」朝比奈さんが俺を突き飛ばして、涙でぐじゃぐじゃになった表情で、斜めになった柱と壁の下、開いた隙間にパイプ椅子を差し入れて、隙間を拡げようとしていた。「長門さんの足が」
……なんだって。俺は朝比奈さんの傍から見た。塊の隙間に長門の足が見えた。なんてこった。
長門は逃げられなかったのか。
(つづく)■
- 249 :
- 有希っちピンチ!
- 250 :
- >>245-248のつづき
『長門有希の攻防』 第10回/全11回
◆6◆(承前)
「手伝います」古泉がパイプ椅子を持って塊に近づく。「……熱いですね」
俺も朝比奈さんと同じことをしようとしたが、思った以上に熱がひどい。近寄れない。
しかし朝比奈さんはかまわず、続けてパイプ椅子、棚や長机も畳んで隙間に入れていた。長机を梃のようにして構造物が倒れるのをふせごうとしていた。いや、だめだ。机じゃもたない。しかし朝比奈さんはあきらめなかった。何かが朝比奈さんをつき動かしていた。
確かに、ここが勝負どころだぞ……俺も出来る限りのことをする。古泉も。……俺は朝比奈さんから長机で支える役を交代しながら思う。コンクリートが倒れたらどうしよう、死ぬな、くそ、熱いぞこりゃ……。混乱した中で色んな思いがよぎる。
「とぅおりゃー!」部屋の外から声がして、どすんと音がした。
コンクリートが光り始めた。俺たちは緊張した。鉄筋の断面も輝いている。やがて、上から粒子に分解され始めた。長門がやってるのか? それとも? 俺は分解されてゆく朝倉の姿を思い出した。
やがて塊は消え、焦げた床には、長門が焼けただれ、身体のあちこちを潰され倒れているだけ。あたりに椅子や机が散乱していた。
- 251 :
- 「長門!」
俺が呼ぶと、長門の目が片方開き、自分と部室とを再構成し始めた。朝比奈さんは、ゆっくりと床に座り込んだ。呆然としていた。
「長門さん……大丈夫?……」長門のところに這って行き、朝比奈さんがつぶやく。やがて長門はもとの姿に戻った。
「長門、痛いところとかないのか?」俺も声をかける。長門は否定の仕草をする。
外では何かどすどすやっていたが、やがてドアが開いて、ハルヒが入ってきた。作業員姿の誰かをつかまえてる。あのインターフェイスだ。昇降口で俺に迫った顔は忘れようとしても忘れられん。
朝比奈さんは急いで立ち、離れ、上履きを取ると手や顔を洗いに部室を出た。「ひっ」小さく声をあげた。喜緑さんがいた。乱れたセーラー服を腕で押さえ、悲しげな喜緑さんが会釈する横を通って、会釈を返しながら朝比奈さんは洗い場に行った。
「あれ、みくるちゃん? ……なんか焦げ臭くないこの部屋? ……まあいいわ。ほら! こいつが部室の外で喜緑さんを襲ってたのよ! ドロップキックをお見舞いしてやったわ!」
どう見ても単にキックを入れられただけには見えないんだが。どっちかというとボコボコに……。作業服が破れてるのは長門のせいかもしれんが。
そしてたぶん、たぶんだが、襲った側は喜緑さんのような気がする。あくまで証拠のない推測なので違ってたら申し訳ない。ホント申し訳ない。でも違ってないと思う。
俺は長門を見た。長門は頷いた。
「ハルヒ……お手柄だぞ」俺は言った。ハルヒは、んふーと得意げな表情をする。
- 252 :
- 「ここでもなんだか面白そうなことが起こってる予感がしたので、掃除当番を通常の三倍早く上げてきたのよ。自分の鋭さが怖いわ。外に警察がいるでしょ。連れていきましょ!」
お前のカンをこんなに嬉しく思ったのは初めてだ。
「さっきの事件の犯人の一味なのかしらね?……あれ? 有希、どうして床に座ってるの?」
「転んだ」長門が何もなかったように言った。
「ドジねー。気をつけなさい。……キョン! さっと起こしてあげなきゃ駄目じゃない! SOS団は紳士淑女の集いなのよ!」
その淑女ってのにお前も含まれてるのか。言ってて恥ずかしくないか。淑女で不審者にいきなりドロップキックを入れる人は少数派だと思うがそれは俺の偏見かな。いやいや俺が知らんだけで最近の淑女の護身術にはスクリュー式ドロップキックが含まれてるのかもしれん。
……てゆうか思いついたことを吟味せずそのまま口に出すな。
ハルヒと喜緑さんと古泉が、外にいる警察に不審者を連れて行く。
俺は長門に聞いた。今日の騒動は、これで終わりか?
長門は頷いた。
あいつがあれを持ってきたのか。
長門は頷いた。
大丈夫かな警察は。
「敵は今は動かない。しかし必ず逃亡する。我々は監視し追跡する」なんかいろいろ続きそうだな。知らないとこで。
それにしても喜緑さんとハルヒ来てくれてよかった。二人が妨害したせいでお前助かったんだろ。
長門は首を横に振った。
……違うのか?
- 253 :
- 朝比奈さんがそろっと帰ってきた。「痛いですぅ……」うわぁ……顔や手の火傷が痛々しい。大きな火傷。水ぶくれ。早く病院へ行ったほうが……まずもっと流水をかけた方がいいですよ、この部屋に薬箱がなかったかな、
……と立とうとしたら、長門が朝比奈さんに近づいていった。
長門が朝比奈さんの手を握った。顔をさわった。何か一言ぼそっと言った。朝比奈さんが笑顔で首を横に振った。……朝比奈さんの火傷が治っていく。……驚いたことに、長門はハンカチを取り出し、朝比奈さんに渡した。
「ありがと……」朝比奈さんが消え入りそうな声で言った。
……このやりとりを見ていた俺は突然悟った。そうか、長門を助けたのは……。
朝比奈さんは座って、ぼーっとしている。長門はあんなことがあったばかりだというのに、本を読んでる。長門は大物だぜ。
「朝比奈さん、お疲れでしょ、帰った方がいいんじゃないんです?」俺は朝比奈さんに声をかけた。
「あ……わきゃ、いえ、大丈夫ですよ。はい」ふと我に返った朝比奈さん。でもやっぱりぼーっとしていた。
ショックなことがいろいろあったからな。ホントに帰らなくていいんだろうか。でも朝比奈さんがいいんだって言うのなら……俺にできることは、ない。
(つづく)■
- 254 :
- (大)が来る悪寒w
- 255 :
- >>250-253つづき
『長門有希の攻防』 第11回/全11回
◆6◆(承前)
……いや、ないこともないな。俺は立ち上がって、ポットの場所に行った。いつもの朝比奈さんの定位置だ。
俺は慣れない手つきで朝比奈さんのためにお茶を入れた。長門にも入れてやった。
「どうぞ」朝比奈さんの前に湯のみを置いた。朝比奈さんはハッとして俺を見た。ひどく驚いた表情だった。
朝比奈さんのお茶にくらべれば情けないもんとは思いますが……。俺はヘタレた表情で笑った。
……朝比奈さんの大きな目に涙が溜まっていく。
「ありがとう、キョンくん」涙を拭ったあと、朝比奈さんは湯のみを見つめながら言った。「今までのことも。いろんなこと手伝ってくれて」
いえ、いえいえ。
「たぶん、あたし、処分されると思います」
処分?
「うん。前にも言ったけど、過去の出来事に直接関与するのは避けなければならないの、あたしたちは」
そうだった。この人たちにはそういう規則があったか。
「でも、手を出してしまった。出さずにいられなかった。傷ついてる人を助ける努力をしないままにしてたら、……あたしの、気持ちが壊れてしまいそうだったから……」
そうか、鶴屋さんのこともあって。
「もちろん処分は受けます。でも今回は、あたし、話し合います。納得できるまで」
朝比奈さんは湯のみに口をつけた。そして笑顔で言ってくれた。「すごくおいしい」
俺は心の中で思った。朝比奈さん(小)、がんばれ。朝比奈さん(大)に負けるな。
- 256 :
-
「キョンくんに話したら、なんだか元気が出てきちゃった」朝比奈さんが微笑んだ。
禁則事項でなかったら、いつでも話聞きますよ。
「ありがとう」朝比奈さんは鞄を持って立ち上がった。「今日はもう先に帰ります」
俺はハルヒを待ちます。「うん」
朝比奈さんの笑顔はやっぱりいいな……。おやすみなさい。
「おやすみ。長門さんも」長門も頷く。
……長門。また再構成させることになっちまったな……。俺は長門に話しかけた。
再構成ってどんな気分なんだ?
「身体的な負担と、心理的な負担」
そうなんだ。すまんな……。聞いてみなきゃわからないもんだな……。でも、……すると、情報連結解除なんてされた日にゃ……。
「のちに再構成されるにしても、心的外傷が残るだろう」
……そういえば、朝倉に会ったぞ。そんなにも見えなかったけど。あいつは当分ここにいるのか?
長門はしばらく無言だった。
「……今回の任務は終了。朝倉涼子は再度有機情報連結解除が施された」
沈黙。
なあ長門。朝倉と少し話したんだ……話したってほどじゃないな、言葉を交わしたんだが、あいつとは、もう友だちには戻れないのかな……。あんなことがあったけどさ。
長門は答えてくれなかった。
- 257 :
- 俺は話を変えた。
……どうしてあのコンクリートの塊はあんなに熱かったんだろうな。やつらは火事でも起こすつもりで焼いていたのかな?
「……主たる目的は質量による攻撃。熱はいくつもの要因の副産物と考える。建築構造物の断片はこの学校の空間から切り取られた後、ポラリスの星系空間を経由したルートでこの部室に出現した」
ポラリス……なんだって?
「ポラリス。こぐま座α星とも呼ばれる。地球からは現在の北極星にあたる。ここより四三〇光年の距離。その経路は情報封鎖を突破する最短ルートのひとつだった。圧縮による熱の発生はあることはあるが、それよりも移動の間にエネルギーの吸収・放射があったと思われる」
まったく理解できん。
「攻撃の際、わたしは私自身への負荷に抵抗することと、構造物の情報解析を試みること、有機生命体に有害な放射線をブロックすることを行っていたが、それ以上は通常モードのわたしの処理能力を超えることだった」
はあ。
「温度があの程度だったのは幸運だった。防御モードへの切り替えを行う機会を得るまで、つまり建造物による負荷の高まりに朝比奈みくるの行為による遅延が発生するまで耐えることができた」
……正直、勘弁してくれ。日常が恋しい。
- 258 :
- ところで。今日はホントに何度もお前に助けられたな。
「他のインターフェイスや朝比奈みくる、鶴屋さんがいなければあなたの存在もわたしの存在も失われていた。このことをわたしは熟慮しなければならない」
長門……。お前はどうしてそこまで。
「任務。わたしはあなたとみんなを守ると決めた。誰の指令でもなく」
長門よぉ……。
「しかし突破され、欺かれることが多すぎた。結局のところ今回の私の任務は失敗だったのかもしれない」
失敗? なぜ。俺は生きてるぞ。
「彼らは平行世界について我々の知らない技術を持っている。彼らの目的は極小の可能性を展開させることによる平行宇宙の発生だったのかもしれない。量子論的多世界の状態を促進させること」
はあ。
「そして、派生した宇宙のひとつでは、あなたを死に至らせるのかもしれない。そして涼宮ハルヒの情報爆発を観測し、そのデータで、その世界の広域帯宇宙存在は新しい宇宙を創るのかもしれない」
はあ。
「この世界での広域帯宇宙存在が失敗することは重要ではなかったのかもしれない。平行宇宙をできるだけ多く発生させて、そのうちのどれか一つの世界ででも新しい宇宙の創造を行なうことができるのなら、それで成功だったのかもしれない」
「……いーや違う」俺は断言した。長門は俺を見たまま停止した。動いてるのは瞬きの機能だけ。
俺はお前を信じるぞ。お前は精一杯してくれたんだ。あいつらの企みなんか、ことごとく、どの世界でも潰えてしまったに違いない。
だから俺はお前に礼を言わなきゃならんのだ。
間があった。
……お前いま俺をバカと思わなかったか? 長門は首をふるふる振った。
俺は笑って言った。今日な、俺は朝倉に怒られたぜ。長門をいたわってやれって。お前、俺たちを守るため、知らないとこですごくがんばってるんだよな。だから俺は、お前に感謝の意を伝えるぞ。
凪の湖面のような瞳が俺を見つめた。俺は感謝の意を示し、彼女は受け入れてくれた。
- 259 :
- ハルヒたちが警察を連れて帰ってきた。警察はいろいろ聞いたり調べたりつまらない話をして帰った。
喜緑さんもコートを羽織って自分で自分の身体を抱き、いかにも不安な感じで「ホントにどうもありがとうございました」とか細い声で礼を言って帰って行った。この人、昼前に笑いながら自分の腕を何かに喰わせた人と本当に同一人物なんだろうか。
「警察の相手、面白かったけど疲れたわ。テレビと違って超事務的なんだもん。どう思う? 全然ドラマチックじゃないのよ?」いつものようにテンションを上げてから、ハルヒは言った。「また明日話そ。今日は終わりにしましょ」それがいい。俺も疲れた。
「こんな敵はもう御免だわ。人を刺したりしてさ」部室からの出がけにハルヒがつぶやいた。同感だな。自分の身ひとつ守れない自分をつくづく味わっちまったぜ。
帰るときには、もうマスコミが来ていた。
校門に、山根がひとり、新聞記者もテレビクルーも無視して立ってるのを見た。
校門の外で、数人の生徒が新聞記者やテレビのスタッフに捕まっている。その横を俺たちは通り、坂を降りていった。
振り向いて見上げて、俺はしばらく山根を見つめた。ずっと何かを待っているように見えた。何かを願いながら、何かをずっと待っていた。
やがて俺はハルヒたちの方を向き、坂を駆け降りて行った。
長門。俺はお前にも喜緑さんにも森さんにも鶴屋さんにも礼を言った。でも一人言ってない相手がいる。礼を言っておいてくれ。言いたいんだ。感謝していると。
(おわり)■
- 260 :
- おつかれ〜ヽ(´ー`)ノ
- 261 :
- 疲れた
やっぱり息切れするなあ・・力不足を感じますね
修行してまた出直します
読んでくれた人申し訳ない&ありがとうヽ(´ー`)ノ
- 262 :
- おつかれー
ハラハラ読ませてくれますたヽ(´∀`)ノ
- 263 :
- DVD4入手。ジャケットの喜緑さんカワユスなあハアハア
いままで腹黒な設定で書いてごめんなさい。
腹黒じゃなかったら何だろう。ドジっ子?
でもドジッ子より腹黒のほうが書きやすい力不足な俺。
そうだ、新ジャンル「腹黒ドジッ子」とゆうのはどうでしょう。
・・・なんかドクロちゃんにそおゆうのが居たような気がする。それにコメディの悪役ってみんなそんな気がw
- 264 :
- キョンは長門有希を選ぶのかねぇ
- 265 :
- 長門有希のソロキャラソンが望まれる。
朝比奈みくるも同じ。
涼宮ハルヒは必要無い。
- 266 :
- 二期が始まったら時空改変版長門のキャラソンが出るに7000テンゲ
- 267 :
- さてハルヒの公式ページが消えてしまったようだが
404のくせに、なぜ
HTTP 404 - ファイル未検出
Internet Explorer
と表示されるんだ?
俺は Safari で見ているわけだが。
長門のくせに詰めが甘い甘い
まあスタッフ乙
- 268 :
- ごほぉぉぉぉおおおっ!風邪引いた感じだ。
あ、今日休むや 俺 東 中 出 身 だしw
- 269 :
- そうか、今日はあの日か。さくら板の創立記念日と同じとは奇遇だな
今頃ハルさんは病院で…((( ;゚Д゚)))
>>268
お前のせいで!キョンは!キョンは!
- 270 :
- >>269
まあまあ、>>268がいなかったらキョンは○○○を探しに行かなかったかもしれないしw
それはそれとして、帰る途中にふと思ったたわごとを一つ。・・俺ってじつはいちばん好きなのは喜緑さんなのではなかろうか
『長門有希の祝祭』
……喜緑江美里は防護フィールドを解き、深呼吸をした。
情報統合思念体の存在は感じられなかった。朝比奈みくるの仲間たちの、時空の波動関数を観測するあのいまいましいセンサーもない。大きな解放感を味わいながら、(長門さん、これがあなたの味わいたかった感覚なの?)と思った。
階下には朝倉涼子の存在を感じる。つい先ほどまで存在していなかった存在。その朝倉もまた高揚した感情を放出していた。しかし彼女は彼女であるが彼女ではないことも江美里は知っていた。
彼女は……彼女たちはここに来るだろうか? いちおう準備はしておいたほうがいいだろう。イレギュラーを起こす可能性はできるだけ排除しておくべきである。
江美里はドアに向かい、〈魔法鏡〉を施した。他人が通ろうとするとリングワンデルングに入り込んでしまうというトラップの一つだ。ヒューマノイド・インターフェイスには子どもだましのようなものだが、ただの人間となった二人にはとりあえず有効だろう。
ソファに座り、精神をリラックスさせた。情報統合思念体のサポートがないことは初めてなので不安はあったし、情報操作の能力は長門有希にはかなわない。だが任務を実行するだけだ。
- 271 :
- 今日は忙しい一日になる。文芸部室のパソコンにプログラムを仕掛け、本の栞を準備する。昨夜の長門有希はもう、以前に江美里に頼んだ一連の復帰準備作業さえもう憶えていなかった。完全に狂っていた。
一番難しいのは長門有希と朝倉涼子を二人きりにしないことだ。朝倉涼子は外見こそ朝倉涼子だが、その中身は長門有希の影そのもので出来ていた。豊かな感情、あの男の子への思い。抑え、排除してきた負の感情の塊。
二人きりにさせ同期することになると元の長門有希が復活する。情報統合思念体の管理下にない狂ったヒューマノイド・インターフェイスほど危険な存在はない。
もちろん今は情報統合思念体は私たちには未知の位相にある空間へと避難しているだけで、三日後には私を回収に現れる。しかし、狂った長門有希がこの宇宙を破壊するには半時ほどあれば十分だ。
あと、朝倉涼子にはあの男の子を殺害させないこと。ギリギリで朝比奈みくるは間に合うとは思われるが、準備はしておいたほうがいいだろう。
長門有希の負の感情である朝倉涼子があの男の子をRということは、ただ存在を消すという以外に、長門有希の愛情と憎しみの混じりあった感情が男を独占するという意味合いも持つ。そしてそれは自分の最も弱い部分をRということでもある。
長門有希はその矛盾に耐えられないだろう。男の子が息絶えた瞬間、彼女の存在は軋み、朝倉涼子と共鳴しながら、この宇宙そのものを道連れにして崩壊し始める可能性が高い。
情報統合思念体はなぜそんな危機の可能性を放置してまで、あの男の子を試そうとするのか。そして長門有希にチャンスを与え続けるのか。江美里にはわからなかった。
- 272 :
- 長門有希の危機を最初に知ったのは、朝倉涼子が男の子を襲ったときだ。情報統合思念体急進派は〈汚れ仕事を行なう者〉であり、そのために急進派端末の朝倉涼子は涼宮ハルヒのクラスに入れ、上司たる情報統合思念体主流派の端末長門有希がバックアップのはずだった。
しかし涼宮ハルヒは朝倉涼子にまったく関心を示さず、長門有希に接触してしまった。急遽長門有希をメインの観察者に任命し、朝倉涼子はバックアップとなった。
本来ヒューマノイド・インターフェイスどうしの共同作業では、片方がなんらかの動きをすると、もう片方はそれをサポートする、というのが原則だ。
急進派の行動が露になったとき、長門有希もそれに従うと思われた。なんとなれば、選択肢として、朝倉涼子が男の子を殺害することを見過ごし、あとで情報操作を行い、男の子が存在しなかったことにすることもできた筈だ。
だが長門有希はそうしなかった。朝倉涼子の活動を妨害する行動に出たのだ。これは情報統合思念体主流派にもまったく理解しがたい行動だった。あまつさえ朝倉涼子の有機情報連結を解除する申請まで行なった。
永遠とも思える短い時間の思弁のあと、情報統合思念体主流派は許可を出した。これには急進派は抵抗したが、結局はこのとき主流派の立案した計画に従うこととなった。
長門有希は、このまま狂い続ける。存在の矛盾が拡大するままに。その軌道は計画に沿ってその都度修正されていくが、その果てがどうなるのかは、江美里にはわからない。
狂い続け、ヒューマノイド・インターフェイスでない存在となるだろう。矛盾のあるヒューマノイド・インターフェイスなど江美里には想像もできなかった。人間は矛盾からでさえ何かを生み出すというが、信じられなかった。
情報統合思念体は、長門有希に何をさせようとしているのか。
夜が明けはじめた頃、長門有希が戻ってきた。高揚した感情を観測できた。
さて。私の任務は命令通り行動することだ。一眠りして、作業に取りかかろう。江美里はベッドに向かった。■
- 273 :
- むみょーさんのキタ━━━ヽ(゚∀゚)ノ ━━━!!
- 274 :
- 有希たん
ttp://vista.rash.jp/img/vi6646181511.png
- 275 :
- 長門っちかわいいよ長門っち
残酷なこと書いてゴメンネ(´・ω・`)
- 276 :
- + +
∧_∧ +
(0゚・∀・)
(0゚∪ ∪ + テカテカ
と__)__) +
- 277 :
- 長門っち緊急脱出プログラム感動したよ長門っち
- 278 :
- _
, ^ `ヽ
イ fノノリ)ハ ポコポコしてやんよ
リ(l|゚ -゚ノlリ=つ≡つ
(っ京≡つ=つ
く/_li〉ババババ
し'ノ
- 279 :
- 長門っちヽ(・∀・)人(・∀・)ノ2007年もよろしく
- 280 :
- 長門さんは1月2日に2006年の12月18日に戻る任務が(;´Д`)はぁはぁ
●<漏れも連れてって
- 281 :
- ttp://www.konami.jp/th/figumate/haruhi/
フィギュメイトの長門、かわいいんだけど、商品サイズが・・・800ミリ?(´・ω・`)?
- 282 :
- ( ゚*゚) 添い寝してくれそうなサイズだね・・・幅がすごいことになりそうだけど
- 283 :
- >>281
800mmかよ…せめてその二倍欲しいぜ(;´Д`)ハァハァ
- 284 :
- ttp://image.blog.livedoor.jp/custom_san/imgs/b/1/b1ddf024.jpg
長門妖しいよ長門
- 285 :
- 無口キャラはつまんないからRよ
- 286 :
- ふむふむ・・・そーゆー話を書いてみるか
- 287 :
- 長門有希の有機情報連結解除とかw
- 288 :
- 長門有希の消える話って、みんな考えそうだから、ネタがかぶるのが怖いな
でも調べない(・∀・)
- 289 :
- >>287
それ具体的な想像してみた。
長門は朝倉に打ち込まれた杭に手をかけた。しかし抜けないようだ。
朝倉はすごく嬉しそうだった。
「どんどん杭からナノマシンが入ってるはずよ。前とは違うわ。どう? 長門さん。内側から壊されるって。わたしそれよりもっとキツかったんだよ?」
長門は目を空に泳がせる。手が何かを掴むような動きをするが、そこには空気しかない。
朝倉は微笑んだ。
「こ・ん・ど・は、わたしの勝ちみたいね」
俺は恐怖した。長門が負けるのか。
朝倉は歩き出した。途中、動けなくなった長門の肩をポンと叩く。
杭を打ち込まれた部分から、崩壊していく。
そして俺に近づいてくる。あの見慣れてしまったナイフを取り出す。
・・・とってもかわいそうだお。やめとくお( ^ω^)
- 290 :
- >>289
それバッドエンド…_| ̄|○ フラグの立て間違いだな。
saveからやり直すよぉ〜
- 291 :
- ttp://lantis-net.com/radiobangumi/
これは素敵なラジオ番組でしたね(・∀・)
- 292 :
- >>264,285,287
それでは。そーゆー方向で俺もw
やっぱり誰かとネタが被ってそうな話だけど、めんどくさいので調べずに投下。だれかと似たような話だったらスマン
※なお、長門×キョンのハッピーエンドを望んでる方は読まないほうがよいと思います。ご注意を
『 の邂逅』第1回
◆一日目 水曜日◆
「キョン」
なんだよ。
「あんたちょっとコンピ研に行ってきてよ」
なんで。
俺が素直に言うことを聞かないとわかると、ハルヒはムスっとした顔になった。俺は少しドキッとしたが、ポーカーフェイスを通した。
「有希の様子見てきなさい。命令よ」
どうして。自分で行きゃいいじゃねえか。
「いちいち聞かないでよ。……あたし見に行こうとしたら、入れてくんないのよ」
ははあ……そりゃお前に入ってもらいたくないんだろうなぁ。気持ちはわかるぞ。
「なに賛同してんのよ、バカ。……せっかくSOS団の傘下に入れてあげたというのに、なんて生意気なのかしら!」
……多くは語るまい。だいいち長門も迷惑だと思うぜ。いちいち見に来られるのも。お前も親にSOS団を見に来られちゃ、いい気はしないだろ。
「あたしのことはいいのよ! 有希がどうしてるか知りたいのよ! あー知りたい見たい覗きたいのよ! うぅぅ」
手足をばたばたさせるんじゃない……やれやれ、わかったよ。でももう今日は無理だ。明日。それも、ちょっと見学してくるだけだぞ。
ぱたっとハルヒの手足が止まって、ヤツはにんまりした。子どもかよ。俺はぶすっとハルヒを睨む。ハルヒはイーッと歯をむいた。……またもや胸の鼓動が少し速くなった。
- 293 :
- 帰ろうと部室を出ると、ちょうど朝比奈さんが階段を上ってきたところだった。お美しい。ホレ惚レします。
と俺は思ったがすぐさまハルヒが叫ぶ。
「みくるちゃん、遅い!」
「すみません……」
あやまることないですよ。朝比奈さんもいろいろ忙しいんだから。
「キョンくん」と朝比奈さん。はい、何でしょうか。
「先に行くわよ」ハルヒは言って、階段を下りていった。
「この一年、いろいろあったね」朝比奈さんがしみじみと言った。
ありましたねえ。ありすぎたほどですよ。
「どんなことが思い出深いかな?」
……思い出ですか? 朝比奈さんとのR、ハルヒとのR……やっぱりハルヒとのRが一番印象深いです。やっぱりね。
「二番目は?」
二番目? そうですね……個人的には、朝比奈さんとの時間旅行もそうなんですが、長門の本の栞とか……。
「キョンくん」
なんですか?
「その大切な思い出を、心に刻み付けておいて下さい」
……どうしたんです?……おっしゃりたいことが、よくわからないんですが。
「あたしも、わからない。でも、とても大事なことらしいんです」
またですか。……大事なことか……、そりゃそうでしょう、あたりまえですよ、何にも代え難い思い出です。……俺は心の中でなにかを探る。……それ以上の何があるんですか? 朝比奈さん(大)。■(つづく)
- 294 :
- >それ以上の何があるんですか?朝比奈さん(大)
ワロス! また朝比奈みくる(大)の陰謀w
- 295 :
- 根暗長門はいらね
- 296 :
- 根暗イムな長門に萌えた。
- 297 :
- ( ゚*゚) 明るい長門・・・表情が想像出来ん・・・
- 298 :
- 今日は寒の入りですね。みなさんお体をおいといくださいませ
>>292-293のつづき
『 の邂逅』第2回
◆二日目 木曜日◆
ハルヒの命令に従い、コンピ研に赴いた。ノックをすると、部員がドアを開けてくれた。
こんにちは。
彼は会釈を返し、振り向いて部長を見た。部長は頷き、俺を部屋に入れてくれた。
部長氏は頭を抱えていた。どうしたんです?
「うん……ちょっとね」疲れきった表情だ。
長門は?
彼は黙って部屋の奥を指差した。
奥の机には、大きな水槽を中心に、そこから伸びた無数の管や、それに繋がるフラスコやビーカーや試験管などが、雑然と組み上げられていた。
長門の姿は見えない。しかしちょっと伸びをして見ると、実験器具の山の向こう側に、長門がちょこんと座っているのが見えた。
「よう」声をかけると、軽く頷いた。
- 299 :
- 「長門くんと話してみたら、今のITの世界がどうなってるか全然知らないみたいだったんだ」部長氏がぶつぶつ言ってる。
そうなんですか。長門の知識の偏りはものすごいものがあるからなあ。
「だからコンピュータの歴史を少し教えてあげたんだよ」
はい。
「弾道ミサイルの軌道計算から始まって、うんぬんかんぬん」
はあ。
「それで、いまは量子コンピュータというものが研究されているってところまで話したんだ。まだまだ研究段階だけどねって」
そうですか。
「それで言ったんだ、まったく原理の違うコンピュータらしい、面白そうだな、見てみたいよ、って」
……ふむ。それで、なにか問題が?
「長門くんは言った。『ほんとに見てみたい?』って。ぼくは『ああ』って答えた。そしたら彼女は言ったんだ、『作ってみる』」
……それは……ええと……そして?
「そしたら数日して、できたのが」
これが……そのナントカコンピュータですか。
「そう、量子コンピュータだと」
へえ。これは、コンピュータというより化学の実験装置みたいだな。
- 300 :
- 会話に間があいた。正直、俺は、それで? 何が問題なんですか? という気分だった。人間の考えつきそうなことは、長門なら、さらりとやってのけそうな気がしたからだ。
「近所のホームセンターとドラッグストアとで、いくらだったかな、予算の余りを使って、三千二百円くらいの買い物をして、そして化学部ですこし機材を借りて、組み上げたのがそれだ」
ほお。
「いや、正直、信用してないよ。だって、世界の最先端の研究所でも、まだ数ビットの規模の実験の段階なんだよ? それを数千円で……」
そうなんですか。数ビットってどのくらいなのかな。
「たしか、十五を三×五に因数分解するのに成功したと何かで読んだ」
……そんなものなんですか。
「そうだよ。しかし、何千、何万もの量子ビットを扱うことができるようになれば、いまの暗号とかは短い時間で解けるようになるらしいけどね」
■(つづく)
- 301 :
- しね
- 302 :
- ハルヒ板に行ったんだろ、スピカ。自首しろ。
- 303 :
- >298-300
>弾道ミサイルの軌道計算
ノイマン式コンピュータか!長門なら彼の著書ぐらい読んでいるなw
今現在存在するすべてのコンピュータのご先祖様だが、
コンピ研の連中は知らない奴は多かろう……部長は知ってそうだがw
>量子コンピュータ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8F%E5%AD%90%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF
まだ新しいアーキテクチャーだよな、因数分解か…二次関数で進化が止まっている漏れにはw
しかし、量子コンピュータたんが萌えに昇華されるのは早いかもww
>いまの暗号とかは短い時間
エニグマ暗号機はともかく、完全な暗号表と乱数表を用いたものも何れ無効化されるのか(;´Д`)ヤバス
>■(つづく)
で、これでけ大風呂敷広げて大丈夫かむみょーさん(;´Д`)ハァハァ
- 304 :
- 長門きめぇ
- 305 :
- >これでけ大風呂敷広げて大丈夫か
俺ってハードSF的なめんどくさい領域には足をつっこまない(つっこめないw)のでご安心ください
量子コンピュータをどう利用するかは、三千円で作ってる、ってとこから、お察しくださいませ
というわけで量子コンピュータの描写に嘘、間違いがあってもその結果に私は関知いたしませんので各自自己責任にて(・∀・)
つーか本編には絡みませんw
単なる青春の一ページを大風呂敷に描写する、とゆう原作の精神を尊重してるつもりですヽ(´ー`)ノ
>>298-300のつづき
『 の邂逅』第3回
◆二日目 木曜日◆(承前)
部長は紙を一枚取り出した。「これを見てくれ。長門くんの提出した計画表だ。これからの開発目標だって」
彼が差し出した紙には、〈量子計算機の運用のための計画 簡易版〉とタイトルがあった。
・量子計算機のための記憶装置規格および基本ソフトの設計
(量子的重ね合わせを利用したファイル圧縮方法を含む)
・量子計算機相互通信のための仕様の完成
・実用的な量子暗号の運用方法の構築
・地球では解答の見いだされていない数学的問題を解く試み
さしあたり、以上の項目を、1か月ほどで行う予定である。
SOS団 コンピュータ研究部 長門有希
- 306 :
- 部長は小さな声で続けた。
「なんだかコンピュータ研がSOS団の中の下部組織みたいな表記だけど、それは別として」
少し同情する俺。
「正直に言うと、怖い。たしかに長門くんの能力は計り知れないほど優れていると思うよ、でも……こんなこと言って、怒らないで欲しいんだけど」
なんですか。
「長門くんって、おかしいところはないかい?」
……どういうことです?
「幾分……電波系の性格とか……」
……俺もそんなことを思ったことがあったな。だから部長氏がそう思うのもわからなくはない。だが今は、そんなこと言うやつは許さねえ。
だから言った。「違いますよ。あいつは正しいことしか言いません」
「う……ん。そうは思うんだけど……。さすがにこれは……」
まあ、信じたくなければ信じないでいいですけどね。そのほうが安定した日々を過ごせるかもしれません。精神衛生上。
- 307 :
- 「すっごいじゃないの! 量子コンピュータですって?」
うわっ、いきなりどこから湧いてきたんだハルヒ。
「失礼ね! あんたのあとからこっそり入ってきただけよ」
行動が不審すぎる。
「有希っていつかノーベル賞もらえるんじゃない?」
あー、諸般の事情によりもらえないような気がするが。
「なによ夢のないこと言って」
お前がありすぎるんだよ。
「で、これって使えるの? なにか計算してみた?」
「まだ」長門が答える。
「そうなの? これってどういう原理なの?」ハルヒが聞く。
長門は説明を始めた。
- 308 :
- 「現在の人類によると、素粒子は、わたしたちが観測するまでは複数の可能性の重ね合わさった状態と捉えられる。わたしたちが観測することによりその状態は壊れ、ひとつの状態が確定する。
「つまり素粒子のふるまいをあらかじめ正確に予測することは不可能であり、確率でのみ予測される。
「重ね合わせとは、○○かもしれないし、××かもしれない、といったことではなく、○○であるし、××である、ということ。
「素粒子をひとつ、電磁場などで捉える。それは、わたしたちが観測するまでは、複数のありうべき状態が重ね合わさっている。
「たとえば時計回りにスピンする状態と反時計回りにスピンする状態が重ね合わさっている。
「これを今の人類のコンピュータの演算値である0と1に見立てると、ひとつの量子的な重ね合わせ状態の粒子が、0と1というふたつの状態を同時に持っていることになる。
「それを現在のコンピュータの情報の単位の〈ビット〉に対して、〈量子ビット(キュビット)〉と呼ぶ。複数の量子ビットを、同じく重ね合わせ状態の素粒子により、ある方法で〈叩く〉と、複数の演算が超並列的に実行される。……」
……話が長くなりそうだな。なんだか眠くなってきたぞ。ハルヒはふむふむと頷きながら聞いてる。わかってるのかお前?
見ると、コンピ研の部員たちは惚けたように長門を眺めている。こら、じろじろ見るんじゃない。……朝比奈さんを普段じろじろ見がちな俺が言っても説得力はないかもしれないが。
長門の話を聞いたあとハルヒは実験装置をいろいろいじっていた。やがて案の定、他のパソコンを覗き始める。コンピ研部員は自分のパソコンを守ろうとするが、「何もしないわよ! ちょっと教えなさい!」と迫られると、相手にしないわけにはいかなかった。
■(つづく)
- 309 :
- >したちが観測することによりその状態は壊れ、ひとつの状態が確定する。
シュレーディンガーの猫ですな
>長門は正しいことしか言わない
実はハルヒシリーズ、消失までは、長門はうそを言わない って
前提で話が進んでたんだよねw 実は言い様がなかったわけだが。
消失後、いかなる居時間同位体との同期を行わなくなり
不確定な未来を受け入れた長門は、うそは言わないが、
間違いと、予測違いを起こすようになる。
この場合の間違いは、時空改変とかのじゃなくてねw
つうわけで、むみょーさん乙
- 310 :
- 根暗白髪長門しね
- 311 :
- >>305-308のつづき
『 の邂逅』第4回
◆二日目 木曜日◆(承前)
その隙に、いろいろ調整をしてるらしい長門に近づき、言った。すごいじゃないか。俺はよくわからんが。
俺の呼びかけには答えずに、彼女は部室を無言で出ていった。なんだ? しかたなく管の束を眺めてると、やがて戻ってきた。大きなバケツに水を貯めて運んで来た。
水? ああ水槽があるな。何のためなんだ?
長門はボソボソと言う。「ナノマシンを注入済み。それが常温超伝導による荷電粒子への場および入出力デバイスを維持する。その能力を維持するのに水道水が必要」
へんな組み合わせに思えるけど、そうなのか。俺もバケツを支えてやった。
でも、ナノマシンということは、お前の能力がないとやっぱりこれはできないんだろ。それじゃダメだろ。
「ナノマシンの動作は地球の既存の技術に置き換えることができる。かなり大規模な実験施設を条件に」
やっぱりそれじゃダメじゃねえか。
- 312 :
- 「重要なのはアルゴリズムや量子ビットをどう扱うかという考え方。それを考える訓練をすれば、既存の技術にも応用できるはず。規模が違うだけ」
そうなのか。
「コンピュータ研に役立てると考えてる」
そうか。俺は微笑む。えらいな、長門。そういうことなら、わからずやのコンピ研をもっと驚かせてやれ。……彼女の短い髪をくしゃくゃなでる。長門はなでられながら俺をじっと見ていた。……終わったらメシでも食いに行こうや。
「何してんの?」ハルヒも戻ってきて、聞いてきた。
長門のコンピュータ、水を欠かしちゃいけないんだとさ。
「ふーん。ねえ有希、……」長門は管に栞状のものをたくさん繋いでいた。
俺はといえば、最近悩まされてる感情に、また胸を抑えた。
机に手をついてぴょんぴょん跳ねながら長門の話を聞いてるハルヒを、きょうも、可愛いと思っちまったんだ。
- 313 :
-
◆三日目 金曜日◆
正直に言うと、去年のクリスマス前にハルヒを失う経験をしてから、自分の中でハルヒがどんどん大きな存在になっていくのに気付いちまったって訳だ。
それを意識した瞬間、もう罠に落ちたアリのようなもので、恋愛感情というアリ地獄に足をとられる自分にどんどん気付いていく。
唯我独尊のハルヒだが、俺の言うことも数少ないが聞くこともある。ツンデレってやつか? ヤツの素直なところを捕まえた瞬間は嬉しくて仕方ない。必要以上に嬉々としてる自分がバカみたいだが、抑えられないのだ。
それに、正直なところ、ハルヒの超行動的なところに刺激されてる自分も明らかにいる。
ふと長門のことも思い浮かんだが、どちらかというと長門は俺にとっては最高の仲間、友人、妹という感じだ。
朝比奈さんは憧れの存在ではあるが、朝比奈さん(大)と会った感じからすると、お姉さんという感じだし。
さて。人間には二種類のタイプが存在する。自分の恋心に気付いたあと告白するタイプとしないタイプだ。今まで自分は後者だと思っていた。
だが人生にも超展開ってものが存在するんだね。それを今知った。することをしないと気が済まなくなったのだ。実に意外だ。脳内どんでん返し。
- 314 :
-
さて、男は素直に、正面突破と。
長門はコンピ研、古泉は帰り、朝比奈さんも帰ったあとの部室。
なんてドキドキするんだ。
「お前、好きな男はいるのか?」
「……なんでそんなことあんたに言わなきゃいけないの」
「要するにな……俺と……付き合ってみないか?」うう恥ずかしい。
ハルヒはびっくりしたような顔をした。
「本気で言ってるの?」
「もちろん本気さ。どうも、お前に惚れちまったみたいでな」
「あんた、そんなこと言うタイプに思えなかったけど」
「まあ、な」
ハルヒはちょっと考えた。この瞬間の不安ってたまらんもんだな。どっちにころぶんだろ……。
- 315 :
- 「……明日は町の探検だから、とりあえずあさってね。あんたがおごるのよ」
いきなりそれか。谷口の言ったとおりだ。すんなりいきすぎだ。五分後には振られるんじゃないかとまで思っちまった。
よし、まずはコーヒーでも買ってくるか。「ミルクはなしでね」わかったよ。
俺は部室のドアを開けた。
長門がいた。ただ立っていた。
……なんか俺、心臓の鼓動が早くなったぞ。
「長門、どうした」
「どうもしない」
……どうして俺こんなに動揺してるんだ。
「今日おわったら、ハルヒといっしょにメシ食いにいこうか」
「いかない」
長門は水の入ったバケツを持ってコンピュータ研に入っていった。
■(つづく)
- 316 :
- ヤバいぜヤヴァイぜ!長門……量子コンピュータを…何に使うつもりだw
むみょーさん乙
- 317 :
- つか、普通に恐ろしいよな。
- 318 :
-
◆四日目 土曜日◆
きょうは定例の街歩きの日。メンバーは俺、ハルヒ、古泉。
ハルヒはファーのついたダウン。ショートRにニーハイ、ブーツ。可愛い。「休みが多いわね。たるんでるわよまったく!」
いつもの喫茶店に入る。
「どうする? 三人で歩く?」
「一応くじ引きしてみませんか?」と古泉。
爪楊枝を引くと、俺とハルヒ、古泉。
「じゃぼくはひとりで回ってきますよ」古泉が必要以上に爽やかすぎる笑顔で言う。
「ごめん! 古泉くん」
おいおいおい。ハルヒなんだその優しい気遣いは。
まあいい。とりあえず公認初デートなわけだ。
「これはデートじゃないんだからね!」……何いきなり釘をさされてるんだ俺。
でも悪い気はしない。出だしはこんなもんさ。
気のせいかもしれんが、ハルヒもウキウキしてる気もするし。
- 319 :
- おっとコピペし忘れ
>>311-315のつづきでした
『 の邂逅』第5回
◆五日目 日曜日◆
午前中は部屋でごろごろ。部屋でごろごろすることほど気持ちいいことが他にあるだろうか。朝比奈さんを眺めることを別として。
「キョンくん、宿題はー?」わが妹よ、人の心配をする前に、自分のことを片付けような。
「あたしはしたー。だれかさんとは、ち・が・う・もんね」寝転がった俺の上で跳ねながら言う。
宿題か……男の宿題はやはり、彼女に電話することがまず一番だな。今日の予定も話したいし。
呼び出し音が鳴り、『なによ』
いや、何してるかなー、と思って。(クスクスッ、と笑うでないぞ、妹)
『ちょっと今いそがしいのよ。あとにしてくんない?』ブチッ。
……おいおい。なんだこれは。……いや、ここでうろたえてはハルヒとは付き合えん。またあとで電話してみよう。
「ふられちゃったねっ」な、なぜわかるっ。
■(つづく)
- 320 :
- GJ
- 321 :
- >>318-319つづき
『 の邂逅』第6回
◆六日目 月曜日◆
休み中、ハルヒはまた何かをたくらんだらしい。学校に来るなり言った。
「キョン、映画のDVD知らない?」
映画?
「あたしたちの映画よ。『ミクルの冒険』。今朝部室に行ったけど、見当たらないのよ。どこいっちゃったんだろ」
見当たらないのなら、そのままにしておけばいいと思うぜ。
「何言ってんのよ。……どうしちゃったんだろ。ねえ朝倉、ミクルの冒険の焼いたの知らない?」
「さあ……わたしは見てないわよ」女の子たちと話してた朝倉涼子は答えた。
ハルヒがわめく。
「あんたSOS団の委員長キャラなんだから、あたしが言ったらホイって直ぐに出してよ!」
女の子たちがさざめくように笑った。「無茶言わないでよ」朝倉が反論する。
いやな予感が襲って来た。ハルヒ、DVDを探してどうしようってんだ。
「売るのよ!」
却下する。
「なんでよ! あれは絶対売れるわ! 断固売るわよ!」
- 322 :
- しかし、放課後、部室のどこを探しても、映画本編を焼いたDVDも、編集前のデータを焼いた数枚のDVDも見つからなかった。
「ありませんねえ」古泉が手を腰に当てて嘆息した。
「うん、やっぱりないみたいね」朝倉も言う。
「誰か持って帰ったんじゃないの? ……キョン、あんたも自分ちで探しときなさい!」
俺にはあれを全部持って帰る理由がないぞ。
ポコン、と超監督は俺をメガホンで叩いた。そんなつまんないもんは見つかるんだよな。
「いいから! もしも、ってことがあるじゃない? 探すのよ! いいわね? みんなも探しておくこと!」
ポコンポコン人を叩くな。
「面白くないわねっ、せっかく作ったのにっ」
ハルヒは不機嫌そうに帰り支度を始めた。
なら俺も帰らないわけにはいかない。朝比奈さん、すいません。まだ来ぬ天使に俺は謝った。
「じゃわたしも帰ろうかな」朝倉も立ち上がった。
ハルヒ、古泉、朝倉、俺。朝比奈さん喜緑さんの二年生美少女コンビは来ていないが、まあSOS団は今日も平和だ。
■(つづく)
- 323 :
- 怖いよ怖いよ怖いよーー、マジ怖いぞw
むみょーさんGJ
- 324 :
- >>321-322つづき
『 の邂逅』第7回
◆七日目 火曜日◆
テレビの天気図の等圧線がバーコードのように縦にびっしり詰まってる朝、超冷える中を家を出る。
「おはよう、寒いね」学校への坂道で、朝倉に会った。
おう。おはよ。美少女もコート姿。足がいっそう寒そうだ。
「風も強くて、もう大変」
大変だよな、女の子。暖かくしてきたんだろ?
「ばっちりよ。すごく暖かくしてきた」笑顔でウィンク。
優等生で可愛い、男女分け隔てなくクラスメイトを気遣う、同性に人気かつリーダー的存在、そして真の姿は万能のヒューマノイド・インターフェイス。
お前もう人生勝ったようなもんだぜ。ハルヒに優等生キャラとしても認められてるくらいだからな。
- 325 :
-
「ハルヒ、やっぱりDVDなんかないぞ。だいいち俺の部屋にプレーヤーなんてないんだ。居間であれを見るほど俺の人生はミックルンルンじゃないからな」
「……サムい」
「今日は冷えるよな。暖かくしてきたか? 毛糸の、」
パコーン、と教室に響く上履きと俺の頭の接触音。いまのは良い音だったなあ……。
……その上履きを脱ぐすばやさはどこから来る?
「なあキョン」とタコさんウインナーを口に入れながら谷口。「常々思ってるんだけど、どうして涼宮と愉快な仲間たちって、ああ美男美女ぞろいなんだ? お前を除いてさ」
ケンカ売ってるのか。
「やっぱり涼宮さんに惹かれてじゃないの?」と国木田。「あの突貫ぶりは見てて痛快だもん」
ならいつでも代わってやるぞ。遠慮はいらん。
「いや僕はいいよ。あの役目はキョンにしかできないよ」と国木田は笑った。「でも本当にそうだよね。二年の朝比奈さんを筆頭に、喜緑さん、涼宮さん、朝倉さん。そして古泉くん。ちょっとタレント事務所みたいだよね」
はいはいその中で俺が尻拭い役のマネージャをさせていただいてます。お前たちもこの苦労を一度味わってみろよ。
「でもここだけの話、毎日目の保養ができていいだろ? え?」
谷口、お前そんな発想しかできないのか。そんなに羨ましかったら、お前たち入るか? ハルヒに話をつけてやってもいいぞ。
二人は大きくかぶりを振った。
シンクロしてまで拒否すんな。
■(つづく)
- 326 :
- さてこの話は終わりまで投下できるのでしょうか(・∀・)
なるようにしかなりませんね(・∀・)
>>324-325つづき
『 の邂逅』第8回
◆八日目 水曜日◆
放課後、部室へ。誰もいない。
昨日は結局、DVDを見つけたという団員はいなかった。……二年生美少女コンビはまた来てなかったが。ハルヒの機嫌の悪いこと。何もするんじゃないぞ……。冷静でいてくれよ。
ノックの音。ドアを開けると、コンピ研の部長が立っていた。会釈する。
「ちょっといいかい? 朝倉くんがちょっと困ってるみたいなんだけど」
どうしたんです?
「量子コンピュータの使い方がわからない、って」
ええ? どうしてだろ。自分で作ったのに……俺に言われても、手伝うことなんて不可能だし……コンピ研のドアを開けた。
- 327 :
-
朝倉は、実験器具の山の前で途方に暮れてるように見えた。
どうした。
「あ、あれ? どうしたの?」と驚いたふうな朝倉。
「きみがずっと困ってるようだったから、来てもらったんだ。ずっと何も言わないから、言いにくいのかな、SOS団の彼なら相談しやすいかな、と」と部長は言った。
「すみません、お手数かけました」朝倉は済まなそうに会釈をした。
「いや、それはいいけど」部長は言って、自分のパソコンの前に座った。「何かあったら、言って」
「ありがとうございます」
朝倉のとなりの椅子に腰掛けて、どうしたんだ? と改めて聞いた。
「はぁ……しまったな……ごめんなさい、迷惑かけて。集中しすぎちゃったみたい」
いいや、迷惑ってほど助けてやれないから、別にいいけど。
「あの、えーと、ど忘れみたいなものよ。気にしないで」
お前らしくないな。
「……情報はね、正直あの人ほど得意じゃないのよね……わたしにはもっと物理的な……アクティブな……ふぅ」
情報と物理の違いってよくわからん。……あの人って誰だ。
目の前の水槽の中で、小さな光が無数に明滅していた。
いちおう動いてることは動いてるのか。
「ちょっとわたしのナノマシンで解析かけてるだけなんだけどね」
わたしの? ……ほかのなにかも入ってるのか?
「まあ、いろいろ」
- 328 :
-
「でもこれで面白いことが出来るってわかっちゃった」
なんだよ、わかっちゃったって。自分で作っといて。
「まあね。でも発見ていろんなとこにあるでしょ……これ、複数の演算を同時に実行するって知ってるよね?」
ああ……何か言ってたな。
「今のパソコンで数億年かかるある種の計算だと、これだと一瞬で、数億年分同時に処理することができるんだけど」
そうなのか。すごいな。
「〈なぜ〉そういうことができるか、というと、色んな見方ができるの」
ふーん。
「その一つの見方が、〈ひとつひとつの演算が、それぞれ別の宇宙で行われてる〉、というものなの」
……は?
- 329 :
-
「たとえばよ、想像してみて。複数の量子ビットで構成されたひとつの演算、たとえば、〈01001101に1を足す〉という計算ひとつが、わたしたちの宇宙とは別の宇宙で実行されてる、って。
「そして別の〈11001100に1を足す〉という計算ひとつが、また別の宇宙で実行されてる。重ね合わせ状態の素粒子は、それを繋いでいるって」
……じゃあ、ふつう数億年かかる計算の分は、ええと、何百億という数の宇宙の間で同時に計算されているというのか。
「古典的なコンピュータで一秒に一回計算すると仮定しても、億×億という数だけどね」
……絶句。想像の範囲外だぜ。
「どんな突拍子もない見方でも、それで破綻してなければ、それはひとつの可能性よ?」
あの、怒らないで欲しいんだが、暴論にしか聞こえない感じが。
「ふふ。まず素粒子が、多数の状態の重ね合わせだ、ってのも、昔の常識から考えてみれば突拍子もないことよね。それがどういう〈意味〉なのかわからないままでも、地球人に事実として確認されてるわ。どんな可能性でも、いつか確認されるかもしれないよ?」
彼女はウィンクする。……わけのわからないまま籠絡されそうだぜ。
しかしなあ、非現実過ぎて嘘っぽい気もするなあ。ま、俺、頭よくないけどな。
「見方はあくまで見方、どんなに不思議な現象でも、演算の理屈が通ってて実際計算できるなら、現象の理由は置いておいたままでいい、というのが確かに普通の考え方ね。今の人間に検証する理論も技術もないし」
だな。
■(つづく)
- 330 :
- しかし、何を演算しているんだろうw >むみょーさんGJ
- 331 :
- >>326-329つづき
『 の邂逅』第9回
◆八日目 水曜日◆(承前)
「それでねそれでね、発見したことというのは、面白い機能のことなの」朝倉は、俺の腕にもたれるように言ってきた。うう可愛い。ほんとやばそうだ。「ちょっとびっくり。これって、まだ人類の発見してない理論が使われてるのよ」
部長氏がこちらを見て妙な顔をした。
「それを正しく表記するには、いま人類の持ってる概念では不可能だけどね」
部長氏は俺を見て、いいのか? という表情をした。俺は肩をすくめた。
ノックの音がして、喜緑さんが入ってきた。
あ、こんにちは。
「こんにちは」笑顔で応えてくれた。「朝倉さん、ちょっとお話があるんですけど、帰りにちょっといいですか? いつものところで」
「あ、はい。わかりました。寄って行きます」
喜緑さんは部員たちに会釈をしながら、出ていった。
- 332 :
-
「話すな、ということかもね」朝倉がつぶやく。
え。
俺は喜緑さんの出ていったあとのドアを見た。なぜ? ……まあ、人類の知らない理論の話はダメなのかもな。
朝倉は、実験器具の山の脇にある、管の束をじっと見た。
管にはたくさん、封筒のようなものが繋いである。
俺はその封筒状のものの一つを手に取ろうとした。
「あ、開けないで」
触っちゃいけないか。
「うん……」
中になにが入ってるんだ?
「量子的な重ね合わせ状態の〈栞〉」
なんだそれ。
「たぶん出力用ね」
たぶん?
ふふ、と笑顔になる彼女。うっとり。……可愛いじゃねえか。ハルヒに恋する前に、去年のうちにこいつに惚れなかったのが不思議だぜ。
- 333 :
-
「入力用はたぶんこっちね」彼女は同じく管に繋がれた、こんどは大量の〈栞〉そのものを示した。
本の栞に見えるな。なんでこんなものを?
「あ、えー……わたしの仲間のひとりが、こんな栞のようなものを入出力デバイスで使ってたのよ。そこからの連想ね」
でばいす。すまん、意味がわからん。
「パソコンに入力したり出力したりするのにキーボードやマウスやモニタやプリンター使ったりするでしょ」
それはわかるんだが。
ふぅ、と朝倉は背もたれに思い切り寄りかかった。疲れたのか?
朝倉は俺を見て、小声で言った。
「ちょっとね、調子悪いだけ。病み上がりみたいなもの。ナノマシンも思うようには言うこと聞かないし。喜緑さんと何か話さなくちゃいけないし」
……喜緑さんと仲悪いんだろうか。
俺は部長氏に話す。「彼女、調子悪いらしいです」
「そうか? 具合悪いのなら、早く帰ったほうが……」
「そうします」朝倉は立ち上がった。
- 334 :
-
朝倉はふとつぶやいた。
「でも本当にこれ、何に使うつもりだったんだろ……」
何? 誰が?
「あ、や、独り言よ。何でもないわ」
部長氏は言った。
「やっぱりあの子、ちょっと……おかしいんじゃ? 話が混乱してない?」
そうですか? 違うでしょ。
俺と部長氏、朝倉はSOS団に戻った。朝倉が帰り支度して帰っていくのを見守る。
「バイバイ」おう。
それを見届けて、部長はコンピ研に戻った。
■(つづく)
- 335 :
- 追従するのが大変だゾ!GJ
- 336 :
- >>331-334つづき
『 の邂逅』第10回
◆八日目 水曜日◆(承前)
ハルヒがノックもせずに盛大に音を立ててSOS団のドアを開け、入って来た。
「どうかした?」部屋の真ん中でちょっと考え込んでた俺を見て、ハルヒは聞いた。
朝倉、コンピ研に出入りしてるだろ。自分で組んだコンピュータの使い方がわからなくなったらしいんだ。
「あ、あれ? 何て言ったっけ」
ええと。量子コンピュータとか。
「でもまあどうでもいいわ。帰りましょ。あたし、ここんとこ朝倉のコンピ研での動向がすごく気になってた気がするんだけど、今はどうでもいいわ」
そうか? お前あれこれ聞いてた気が……。
「なんであんなに気になってたのかな? こんなにすぐに気が変るものなのかしらね?」
俺が知るわけないだろ。さ、メシでも食いに行くか。
「ん」
外に出ると、すこし風があった。冷気が吹き付ける。
ハルヒは手を擦りあわせた。「手袋どっかいっちゃったのよ」
俺はハルヒの手をとった。
「あんたの手、冷たいわね」
そうか? ハルヒの手は温かいぞ。
今日も冷えるなあ。明日は雪かな。
- 337 :
-
思えば今週は、SOS団の活動がルーズになってる気がする。でもこいつがいるかぎりはSOS団は続くだろう。ペースに上下の揺れがあるだけのことだ。
朝倉と喜緑さん、朝比奈さん、古泉。宇宙人と未来人と超能力者それぞれの利害が絡み合ってるままだからメンバーが減ることはないだろうし。
……新学期になってからメンバーを増やすことはあるんだろうか。こんどはどんな奴を引き寄せるんだろうか。考えるだけでも恐ろしい。まあそれはすべてそのときのハルヒの気分次第なんだから、今は何も考えずにおこう。
◆九日目 木曜日◆
朝から雪。早めに家を出る。……学校への坂で転んじまった。やれやれ。
校舎の前ではハルヒが雪だるまを作っていた。子どもかよ。
「キョン! あんたも手伝いなさい!」
げっ。
- 338 :
-
「お前、朝からご苦労なこったな」谷口が言う。「涼宮にこき使われて雪だるまづくりか。みんな笑ってたぞ」
うるさい。
「恋人でもあんなにこき使われることはねーぞ。おっとお前恋人じゃなくシモベだもんな、当然か」
「あら、あたしキョンと付き合ってんのよ」谷口のうしろからハルヒがひょこっと顔を出して言った。ほっぺが真っ赤だ。
「なにぃっ!」驚く谷口。
「手、洗ってくるわ」ハルヒはそんな谷口を無視してまた教室を後にする。
「お前、とうとう……」
とうとう、なんだ。
「とうとう……」俺の身体を揺らす。
想像はつくが、なんだかイライラする。なんだ。
「で、どこまでいった?」
……却下する。
「いいから、誰にも言わないって」
絶体絶命のときに、いまのおまえの言葉とイスカリオテのユダの言葉のどちらかを信じたら助かると言われれば、ユダの言葉を信じるね。
「ちょっと……へんなこと言わないでよ」朝倉が文句を言う。「キリスト教の人に失礼よ」
朝倉、お前も堅すぎるぞ。
■(つづく)
- 339 :
- >>336-338つづき
『 の邂逅』第11回
◆九日目 木曜日◆(承前)
昼休み、教室に古泉が入ってきた。
「涼宮さんは?」
どこかへ行った。いつものことさ。残った雪を集めて小さな雪だるまでも作ってるんじゃねえか。……外へ出ないようにしよう。
「朝倉さんもいないようですね」
どこかで他の女子とメシ食ってるんじゃないかな。
「ちょうどよかった」顔を急速に近づけてきた。俺は同じスピードで後ずさった。
「朝倉さんの友人に『機関』メンバーがいるのですが」
何だ?
「去年、夏・秋と朝倉さんたちで遊びに行った記憶があるのに、去年の夏以降、写真が一点もないらしいです。携帯のメールも」
そりゃ始めからなかったんじゃないのか。写真やメールをした覚えはあるのか?
「それはないらしいですが」
それみろ。
「でも、昨日、おとといで、すでに数通のメールをやりとりしてます」
……よくわからんが、……そういうこともあるんじゃないのか?
- 340 :
-
「そしてもうひとつ、お知らせしたいことが」
なんだよ。
「六組にも、『機関』メンバーがいるのですが」
……お前たち、すごいな。
「来てみてください」
俺と古泉は、隣の教室に行く。「六組には、ずっと空いている席があるんですが、そこには最近まで誰かがいたような気がする、と言うんです」
気がする?
「はい」
六組に入り、彼は指し示す。ひとつの机。
「ちょっと聞かせてください」古泉は手近な六組の女生徒に話しかけた。その女生徒はうれしそうに頷いた。「うん! なに? 古泉くん」……古泉、有名なんだなお前。
女の子の声は、完全にハート型に変調した音響と化している。うらやましくはないぞ。ぜったい。
「あの席、ずっと空いてるんですか?」古泉はあくまで真面目に聞く。
「うん。去年の春にその席の子が転校していってから、ずっと空いてる」女生徒が答える。
「ありがとうございます」古泉は手をさしのべ、女生徒は小さく「きゃ♪」と変な声を出して両手で古泉の手を包んだ。
古泉は俺を向き、腕を広げ言った。訴えるように。
「どう思います? 普通、そういう余った席は、片付けられるのではないでしょうか」
うーん……。掃除のとき邪魔だもんな。でも、そういうことも、あるかもしれないだろ?
- 341 :
-
「ぼくも実はそうは思っているんです。けれど、ぼくたちは、少しの変化も気にしなければならないことを学びました。時空改変に巻き込まれたあなたの経験から」
あのときは……あまりにも極端だったからなあ。
……しかし、お前たち、そんなことまで気にしてるのか。頭がおかしくなっちまうぞ。
まあ、思うんだが、こんなものは、大体、たいした理由はないもんさ。デジャヴの一種とか、何かの思い違いとかさ。
こんなこと言って悪く思うなよ、ちょっとわからないことがあるとすぐ、不思議現象に結びつけるような電波な性格とは真逆なもんでね、俺。
だって、いいもんだぜ、この安定した世界、充実した生活は。少々の不思議はハルヒを喜ばせる良い誤差にすぎないとさえ思う。
これで成績が良くなれば言うことはないんだが。
まあ、これが幸せというもんだ。古泉がどう言おうと、この生活を変える必要など、微塵もない。
「ああしかし涼宮とはいえお前に先を越されるとは、屈辱だよなあ」放課後、谷口がぼやく。
お前一日そんなこと考えてたのか……。
「あー朝比奈さん、映画にでも誘うかなあ」
朝比奈さんか。勝手にすればいいさ。断られるだけだからな。
……そういえば今週朝比奈さんを見ないな。
携帯に電話してみた。出ない。
SOS団が終わる頃にも朝比奈さんは来なかった。天使の訪れなくなったSOS団なぞ何の価値があろうか。忙しいのかな。
■(つづく)
- 342 :
- >>339-341つづき
『 の邂逅』第12回
◆九日目 木曜日◆(承前)
「たしかにみくるちゃん、来ないわね。これは問題だわっ。組織には規律というものが必要なのよ!」
規律という言葉も、お前に使われるようになるとは、不幸なことだよなあ。
「なに言ってんの。あんた明日みくるちゃんの教室に通達をしてきなさい! 命令よ!」
……これ、仲良く手をつないで帰る青春まっただ中の高校生カップルの会話とは思えんのだが……。
朝比奈さんだけじゃなくて、喜緑さんも見ないぜ。
「喜緑さんは生徒会との掛け持ちだから何かと忙しいんでしょ。問題はみくるちゃんよ。一週間無断で休むなんて、あってはならないことよ!」
お前喜緑さんにあんまり興味ないだろ。
「……そんなことはないわよ……んじゃ、ついでに喜緑さんにも通達してきなさいっ」
ついでにってなんだよ、失礼なやつだな。喜緑さんが聞いたら怒るぞ。
- 343 :
-
◆十日目 金曜日◆
二年の教室に赴いて、朝比奈さんを呼び出してもらった。そしたらちょうど、彼女が鶴屋さんと戻ってくるところに出くわした。
「ひゃうっ」俺を見るなり言った。「き……禁則事項ですぅ……」
……いきなりですか。何がですか?
「……禁則事項ですぅ……」
どうしたんです? いったい。
「き……禁則……」朝比奈さんは口の前で両手の人差し指を交差させ、バツの字をつくった。「お願いです、キョンくん」
……何をですか。
「今回、わたしはキョンくんを導くことはできません」
何の話をしてるんです……。
「若者よ」横からけらけらと鶴屋さんが笑って言った。「あたしはきみを信じてるよ、きっと正しい道を見いだすってねっ!」
鶴屋さんも若者でしょうに。何でこんなところで青春ドラマのようなセリフが出るんです……。
- 344 :
-
「キョンくん」朝比奈さんは静かに言って俺の胸に顔を埋め、背中に手をまわし、そっと俺をハグした。うわっ、ど、ど、どうしたんです?
まわりの生徒も、みんなキョトンとしてる。幾人かの男子生徒は(いや大部分か?)こぶしを握りしめている。
「ひゅーひゅー! いいねっ」鶴屋さんは超うれしそうだ。
「わたしが言った言葉を覚えてる?」朝比奈さんが俺を見上げる。……脳裏に朝比奈さんが何か言ってる姿がよぎる。先週、朝比奈さんが何か言った。確かに何かを言ったんだ。なんだ? 思い出せない。
朝比奈さんに聞こうとしたが、俺がホワホワーっとしてる間に、彼女は鶴屋さんをひっぱって教室に入って行った。笑って手を振る鶴屋さん。……何なんだ。何かが起こってるのか?
何も変らず。いや……変ったことといえば、ハルヒとちょっと親交を深めてるってことくらいかな。
朝比奈さん……何が言いたかったんですか……俺は教室に帰りながらも、二年生の教室を振り返っていた。
■(つづく)
- 345 :
- >>342-344つづき
『 の邂逅』第13回
◆十一日目 土曜日◆
今日も雪だ。
「ねえ、今日はどうするの?」朝倉もさすがに今日はないだろうと電話してきた。しかしハルヒは容赦しなかった。
雪天決行。朝比奈さん喜緑さんはやはり不参加。ハルヒと俺、朝倉と古泉。
死の彷徨のように雪の中を進軍する。勘弁してくれよ……。
日が上がるに従い雪は止んだが、芯から冷える。道路が凍ってるので、街歩き中にも転ぶ。ハルヒは声を上げて笑う。人をむやみに指差して笑うんじゃねえ。
しかし俺はといえば、奇妙な不安が重低音のように気持ちの底を漂っている。
冷えきった身体にも、朝比奈さんの温もりが、焼き付いたように残っていた。
昨日朝比奈さんが示唆したこと。俺が、何か見落としてるんだろうか。
おそらく、そうだ。
でも……何も変わった感覚はない。変わったことといえば、ハルヒと付き合ってるってこと……。
ハルヒと付き合ってることが、何かの異常のしるしなんだろうか? ハルヒは何かをゆがめて、俺と付き合ってるんだろうか?
とすると、この恋自体が嘘なのか? そんなのはいやだ。
曇天のなか、一日は終わる。
- 346 :
-
◆十二日目 日曜日◆
ハルヒとの個人的な街歩き(人はそれをデートと呼ぶ)の帰り道、強引に商店街に連れて来られちまった。
仲良く手をつないで地元の商店街って、ちょっと……いやずいぶん抵抗があるって正直まだまだチキンな俺なのに。ああなんか俺舞い上がっちまってるぞ。
「オットコらしくないわね! なにうつむいて歩いてんの!」
お前が胸を張り過ぎなんだよ。
「あら! 元気にしてる?」商店街を入ったところで、自転車に乗った女性に声をかけられた。二十代後半くらいか。
ええと、すみません、どちら様でした?
「ヤマツチモデルショップですよ。やっちゃったーって感じの。映画のときにはお世話になって。ハッハッ」
ああ……こちらこそ大変お世話になりまして……あのときはもう大変失礼いたしました……恐縮します……。
「あ、あんたにもお土産あげるわ。ハワイへ妹たちと行っててねえ」
チョコレートまでもらってしまった。すみません……。
「いいっていいって。あの無口な娘さんにもあげてよ。ユキちゃんだったかな」
ユキ?
「ユキちゃんよ。おとなしくて髪の短い子がいたじゃない」
おとなしくて髪の短い……。無口な……俺の知ってるなかじゃ、そんなやつは長門ってやつしかいない。しかし、あいつは春に消えたはずだ。朝倉涼子と戦って。
「魔法使いの格好が面白くて、話したくて名前聞いたら、ナガトユキ、とぼそっと答えただけだけど。そんな感じの親友、学生時代のあたしにも居てね、人に気持ちを伝えるのが苦手な子だったけど、優しい子だった。ああいう子大好き」
あいつが、魔法使いの格好? 俺とハルヒは顔を見合わせた。
俺は言った。
「あの映画に出た女の子は、主役の朝比奈さんと、魔法使い宇宙人役の朝倉、その手下役の鶴屋さん、くらいですが……」
「出てたよ! 何言ってんのよあんたたち。怒るよ」女の人は俺たちを睨んだ。
- 347 :
-
ハルヒが飛びつくように聞く。
「すみません、勘違いかもしれません、ユキって、そのとき、どんなことしてました?」
「いつも本を読んでた。少し時間が空くと、どんなときも」
「ちょっと、ちょっと来てくださいっ」ハルヒはモデルショップへ女性を引っ張っていく。
「どうしたのよ? あたしは行くところが……」
「ちょっとでいいんです、すみません」
ヤマツチモデルショップ。あいさつもそこそこに、ハルヒは店主に聞いた。
「あたしたちの映画、覚えてます?」
「もちろん。面白かったよ。やっちゃったーって感じで。はっはっは」
……お二人、実は……怒ってるんじゃないですか?……
「魔法使いの役の子は、どんな子でした?」かまわずハルヒは聞く。お前、もうちょっと気を遣えよ……。
「どんな?……ええと、髪が長くて、大人びた感じの子だったなあ。明るく社交的で、眉の太い」
「何言ってんのよ、ケイちゃん」女の人が突っかかった。「髪が短くて、おとなしい、無口な子だったよ」
「……そんな子、いなかったぞ?」
「はぁ? ボケるの早すぎない?」
「なんだと」
……さて、夫婦喧嘩を招いてしまったわけだが。しかしハルヒはじっと考え込むだけだ。
「ありがとうございました。失礼します」
ハルヒはお辞儀をして、俺を引っ張って歩き出した。……おい、喧嘩はまだ続いてるぞ。ほったらかしかよ。
- 348 :
-
商店街を歩きながら、俺は言った。
……どういうことだ? ユキって? あの……外国に行った子のことだろ?
「わかんないけど……勘違いってこともなさそうね……」
いや、勘違いだろ、あきらかに……。
「キョン」ハルヒが俺を向いて言った。「このことは誰にも言わないこと。いいわね?」
言わないよ。電波なこと言ってるって思われるのがオチだ。
「やっぱり何かあるのよ。前ぶれなく転校って聞いて怪しいと思ってたのよ」
そうか?
「あんた、なんてドンカンなの! いい? これはとっても大事なことだと思うわ」
そうかな。
「ディックの『高い城の男』って知ってる?」
いいや。何だそれ。洋楽か?
「もうっ! ええとね、もしかすると、あたしたちの記憶が正しいんじゃなくて、トンデモなことを言うあのおばさんの方が正しいのかもよ?」
トンデモ言うな。おばさんてほどでもなかったぞ。失礼だろ。勘違いしてただけじゃ……。だいいち、あの映画に出たのが、長門だって? そんなことはありえないぞ。なんなら確かめて……。
言葉が止まった。
映画は見つかってない。
「面白いわね面白いわねっ……ふふっ、よっく考えるのよ! そして、見いだすの。きっとその先にワンダーはあるわ。……ああホント面白くなってきたわっ!」
ハルヒの望む不思議ってやつが見つかって喜んでるのはいいが……見いだす? 一昨日の鶴屋さんの声が聞こえてくるような気がする。
(あたしはきみを信じてるよ、きっと正しい道を見いだすってね!)
朝比奈さん、これですか……。映画に出てたのは長門……。
それはどういう意味を持つのか。しかし、あまりにも……まともじゃない考えだ。
商店街から出ると、目の前を野良犬が通り過ぎる。尻尾を垂らし、地面のにおいを嗅ぎながら、道の端から端へ。
- 349 :
-
◆十三日目 月曜日◆
ハルヒが生き生きとして言った。
「ちょっと今日は先に帰るわ。調べものするから。ディックの本、部室の本棚にあったはずよ。読んでおいて」
えー。
「文句言わないのっ」ぺしぺし俺の頭を叩くんじゃない。
放課後、そのハルヒの命令に従い部室に行った。
「涼宮さん帰っちゃったの?」と窓の前で朝倉が聞く。
ああ。
「ふふ。さみしいね」
冷やかすなよ。俺は本棚の前に立った。ディックか……『火星のタイム・スリップ』……『暗闇のスキャナー』……『高い城の男』、あった。
「キョンくん」
なんだよ。……この部室、そういえば、本がたくさんあるんだなあ。いままで気にもしなかったが。
「涼宮さんて、何か変った?」朝倉が言う。
どんなとこがだ?……本棚から別の本を取り出してみた。ハードカバーのSFなんて読んだことがあったかな? 『ハイペリオンの没落』? タイトルからしてわからん。
「キョンくんってば」
ぱらぱらとめくる。栞が一枚。何の変哲もない栞。その裏には……
- 350 :
-
予感があった。
俺は栞を裏返した。
何も書かれていない、真っ白な裏面。
なぜだ。〈ここには、何かが書かれているはずだ。〉 根拠のない思いが俺の心を占めた。〈大切なことが書かれているはずだ〉
なんだ? 錯覚? デジャヴってやつか?
心に、大きな欠落があった。
「ねえねえ、そろそろ帰らない?」朝倉がすぐとなりで言った。あれ? お前、いま窓のところにいたんじゃ? 俺はすっと離れた。
「みんなは来ないよ? ねえ喜緑さん」いつの間にか喜緑さんが窓際の椅子に座っていた。優しい微笑みを返す。
夕暮れ。朝倉ともう一人の……。
「さ、本を本棚に返して」誘惑の言葉のように響く。
■(つづく)
- 351 :
- >>345-350つづき
『 の邂逅』第14回
◆十三日目 月曜日◆(承前)
……朝比奈さんは、何でもない日常のなか、禁則事項、を繰り返した。何かが起こってることを示唆した。
……朝倉が量子コンピュータを扱うとき、まるで他人のものを扱うかのような態度だった。
……そして……玩具店の女性は、長門有希が秋の文化祭の映画に参加していたと言った。その映画のDVDは見つからない。
……もしかして、誰かが? でもなんのために? ……そして……そして、古泉は、夏から秋、朝倉の痕跡がないことを示唆した。そして、六組の空いた席に誰かが最近までいたようだ、と知らせてくれた。
「六組は」自分の声が、他人の声のように感じる。
俺は朝倉を見た。近づく朝倉は、俺に不安を与える。
「六組は、長門有希のいた組だ」
「六組? 長門さん? 何の話? 長門さんは去年の春、消えたじゃない。あの人は。わたしが有機情報連結を解除して。あなたも・見・た・でしょ?」
たしかに俺は見た。長門が俺を殺そうとナイフを振り回し、朝倉は守ってくれた……。
「いいから、もう帰りましょ。本を本棚に返して」
本。本が好きだったのは。
文芸部員だったのは。
この部屋にはじめからいたのは。
- 352 :
-
俺はゆっくりと携帯を開けてみる。履歴。先週は朝倉と数度話している……スクロールする。先々週……より以前……ハルヒ、朝比奈さん、古泉、クラスメイト、友人、家族。朝倉の名はない。先々週より以前の分には、まったく見当たらない。
俺は朝倉を見た。
「朝倉」
「なあに?」彼女は微笑んで首をすこし傾げる。
「憶えてるか? 長門と戦ったときのことを」
「もちろんよ。どうして?」
「じゃ、時空改変のことは」
「う……ん、あんまり」
「そのとき、お前は普通の人間だった」
俺は朝倉の言葉を待った。
朝倉は無言だった。
「そのとき、どうしてた? 普通の人間のとき、どうしてた?」
「そんなこと、わからないわ。時空は再改変されたんだし。その人とわたしは違う人よ。もういいじゃない」
「時空を改変したやつは、改変してまで、何がしたかった?」
俺は朝倉の言葉を待った。
朝倉は無言だった。
おかしい。もしかすると。……ハルヒの声が頭の中を谺する。
(もしかすると、あたしたちの記憶が正しいんじゃなくて、トンデモなことを言うあのおばさんの方が正しいのかもよ?)
いや、そんなことがあるだろうか? 俺はおかしくなってるのか?
- 353 :
-
本。栞。大きな、心の欠落の感覚。
「思い出したぞ」……俺は、賭けに出た。「……あれは、お前じゃなかった」
朝倉は俺を睨んだ。もし負ければ、俺もおかしい人って言われちまうな。
言葉を続けた。
「あれは、長門有希だった」
「……なに言ってるの?……頭がおかしくなっちゃったの?」
……朝倉に睨まれてる。……そして、ぐわっと頭に手を入れられたような感触が俺を襲った。なにかに掴まれたかと思ったが、頭のまわりにはなにもない。
思わず後ずさった。感覚を振り払った。
「抵抗しないで!」朝倉が言う。また頭を掴むような圧力が襲ってきた。もっと抵抗する。「抵抗すればするほどショックが大きくなるよ。身をまかせればまったく何も感じないから」
……それは無理ってもんだぜ。
彼女はまた睨んで集中する。頭への圧力が増してきた。俺は唸る。
首から頭へ、幾筋もの太い血流が、にゅるにゅると昇っていくように感じられる。
頭が熱い。苦しい。……気が遠くなっていく。こんなに意識がはっきりしているのに。
「そんなに抵抗すると、死んじゃうよ!」
うるさい。静かにしろ。……死ぬ?
■(つづく)
- 354 :
- GJ……流石に難解だぜっ!老いた私の脳細胞ではゆっくり読めないが
纏めて感想出すから頑張ってくれw>むみょーさん
- 355 :
- 長いのに読んでくれてる人ありがとう
J( 'ー`)し<ごめんねわかりにくくてごめんね
亀レスですが>>309
>消失後、いかなる居時間同位体との同期を行わなくなり
あそこって、どっちかとゆうと
「この先の展開に不都合がでるので設定変えましたよ」としか読めない
根性が曲がってる私であった。
>>351-353つづき
『 の邂逅』第15回
◆十三日目 月曜日◆(承前)
俺は机に倒れ込んだ。朝倉、本当にお前は俺を助けたのか?
俺の記憶。俺を殺そうとしたのは、本当に長門なのか?
彼女が近づいてきた。
それとも、「朝倉、お前が俺を襲った」のか? 心で思ってるのか、言ってるのか、わからなかった。
- 356 :
-
「まだ抵抗するの?」
彼女は溜息をつく。
「もう長門さんは助けてくれないのよ」
なんてこった。言うべき言葉が見つからない。
頭の中が真っ白になったみたいだ。探せない。
そして……最大の圧力が襲ってきた。津波みたいだ。
ぶんなぐられたようなしょうげき。いしきがさらわれる。
あたまがあつい。すまん、ながと。
う……あ
ながとってだれだ?
みんなわすれちまったのか。おれは。
- 357 :
-
「時間がかかりすぎてます。ここでは情報封鎖は効かないことを考慮して」「わかってる」二人の会話が彼方から聞こえる。
……またくる。もう全部さらわれてしまう。
俺は本能的に彼女の力を避けるため、栞を挟んだ本を顔の前に上げた。
「えっ?……」戸惑ったような声。「ちょっと……本を」ヤツは立ち止まった。
なんて重く感じられるんだこの本は。まるで石の塊のようじゃないか。
背後に気配を感じた。身体をねじって後ろを見ると、喜緑さんがいた。すっと俺の手のものに手を伸ばす。
本を掴もうとしていた。笑いながら。
俺は叫びながら必死に身体をかわした。
「お前ら、お前らは、しただろう!」情報操作。こいつらは、環境情報を自在に操作する。それに敏感にならなければならない。古泉が言ったことだ。
そして今、俺の頭を。
「俺に何をした! みんなに何を」みんな嘘だったのか。ハルヒとの毎日……みんな消えるのか、また……身を任せて、朝倉の思い通りの記憶のままでいたほうが幸せなのか……混乱の中、目の前の本が、栞の白が、意識の中に飛び込んで来た。ひとりの人間のイメージが爆発する。
白い紙。入部届け。消えてしまった
有希
俺は叫んだ。「長門に何をしやがったんだ! 許さねえぞ!」
- 358 :
-
空気が止まった。圧力がやんだ。
「駄目。入れない」朝倉がつぶやいた。「ナノマシンを引き上げるわ。維持出来ない、乱される」
意識が戻ってきた。頭が拡大していきそうだ。超気分が悪い。……俺は肩で息をしていた。
「あなたの言ったことは違うわ」朝倉が俺に言った。「長門さんは自らのエラーで機能不全に陥っているだけ。わたしたちは何もしてない。むしろ」
「朝倉さん」喜緑さんが呼びかけた。
俺は低くつぶやく。「うるさい。お前らなんて信用するか。俺の信用するのはこの本の主だけだ。消させやしねえぞ」
俺でないなにかがどこかで話してるみたいだ。意味のわからない言葉を。息も絶え絶えに。
「……どこで気付いたの?」朝倉は話を変え、静かに尋ねた。「落ち着いて。本を本棚に戻して」
落ち付けだと? そんなことが……しかし俺は本を戻したいと思った。だが、やめた。動かないほうがいいと感じたからだ。強い意思が必要だった。
何も言わずに、本を握りしめた。
「朝倉さん、ちょっと先走りましたね」喜緑さんが諭すように言う。「あなたは要らないことをしてしまった」
「あー……、そうね。失敗」朝倉はどすんと椅子に腰を落とした。「ついやっちゃった。焦ったのかな」
- 359 :
-
気配を感じて、ドアの方を見た。朝比奈さんが居た。大きな目にいっぱい涙を溜めて。しまった、他の人は入ってきちゃいけない……。
あ、朝比奈さん、あぶないです、逃げてください……。
しかし、彼女は声を張りあげた。びっくりだ。
「わ……わたしは、ここに、た、立ち会います。喜緑さん、朝倉さん。あなたたたちは、失敗しました! か、改竄した情報を、元に戻してくださいっ!」
宇宙人二人の雰囲気がまた変わった。敵を見る目。
「ひゃうっ」空気が動き、朝比奈さんがよろめいた。
「朝比奈さん!」俺は呼びかけた。
しかしすぐに彼女は二人を見据えた。「む、無駄ですっ」
そして俺に近づいた。震えているのがわかる。
俺も身体の震えが止まらない。
朝比奈さんはいっそう泣きそうな顔になりながらも、言った。
「キョンくん、ごめんね。何も許可されてなかったの」
朝比奈さん、サンキューだ。
「ううん」彼女は首を振った。髪が揺れる。「カッコよかったよ」
そのセリフ、もう嬉しくて涙が出るぜ。
- 360 :
- 朝比奈さんは二人を見た。
「あ、あたしに何かしようとしても、無駄です。あたしは時空管理組織の管理下にあるからでしゅっ。
「いま、あたしの情報は、つねに未来から監視され、外部からの情報操作は、と、取り除かれますっ。あなただた……や、あなたがたの上部組織は、われわれの上部組織と争うことは望んでないはずですっ」
二人は動かない。朝比奈さんの声が再び響く。「く、繰り返します、行なった改竄を、元に戻してくださいっ」
俺はもうろうとして、且つ、やけに冴えた意識で、なんだかミクルの冒険みたいだな、と感じていた。……朝比奈さんのほうがカッコいいじゃないですか。
しかし……う……朝比奈さんを、矢面に立たせるわけにはいかねえな……。俺は立ち上がり、彼女の前に出た。頭がどこかへ飛んでいきそうだ。……幸か不幸か、そのせいで恐怖を感じなくてすむ。
「邪魔者を消すのなら、まず俺から頼むぜ。ただし、あんたたちが想定してるレベルよりは、相当しぶといと思うがな」
喜緑さんと朝倉は顔を見合わせ、頷いた。
「わかりました。行なった情報操作を取り消しましょう……今夜にでも」喜緑さんは言った。「ただ、今後のことについて話し合わなければなりません。今、長門さんは管理できない状態にあります。私たちがそれは危険だと考えてることを認識してください」
■(つづく)
- 361 :
- >>355-360つづき
『 の邂逅』第16回
◆十四日目 火曜日◆
どうやって帰ったか憶えてない。朝、起きると、記憶の中のSOS団に、長門は存在していた。
今の記憶によると、長門はいま、病気のため休み。まあ、病気の一種なのかもしれん。それに比べ、朝倉は留学生として帰国中。……それって不自然すぎないか、おい。
同時に、長門のいない記憶も残っていた。それを消すと昨日のことも消えてしまうからだろうか。
これはなかなかキツイな……それに、朝倉の攻撃による猛烈な頭痛……頭蓋骨を外してマッサージしたいぞ。
……ふたつの食い違う記憶があるって、メチャメチャ気分が悪い。朝比奈さんは大丈夫なんだろうか。
でも、それどころじゃない(ごめんなさい朝比奈さん)。
長門はどこにいるんだ。どんな状態なんだ。
- 362 :
-
家を出る。急ぎ足になる。外はひさしぶりに晴れていた。放射冷却とやらで寒かったことは寒かったが。
遅刻以外で、駆け足で坂を上る日が来るとは思わなかった。
教室には、女の子たちが早めに来て、朝倉と話をしている。朝倉のまわりに人だかりができていた。現れて一週間経ってからの懐かしの再会か。友人たちも大変だな。
ヤツは、カナダから帰国中だが、またすぐ帰る、てことになってる。帰国してすぐに留学生ということでハルヒに捕まった、らしい。……なに言ってやがんだ。
しかし、長門のことは朝倉に聞くしかないんだろうか。どうする? 喜緑さんは話し合いがどうのと言ってたな。
ハルヒが教室に入ってきた。朝倉のほうには見向きもせず、カバンを置くより先に俺に言った。
「ねえ、有希どうしてるか知ってる? ここんとこ全然見ないでしょ」
ハルヒには新しい記憶を入れてないのか? ……俺は答えた。長門はな、病気らしい。
「何の?」
そこまでは知らない。
「ずっと出てこなかったでしょう。気になる……あぁん、どうして、今まで何も思わなかったのかなぁ。心配ね……あんた、何も思わなかった?」
ああ。俺も。何故だか。
「六組の人に、詳しいこと知ってる人、いないかな?」
わからん。
「ちょっと聞いて来る」ハルヒは教室を飛び出していった。
誰も詳しくは知らないと思うが、そんなこと言っても仕方ない。
- 363 :
-
朝倉がこっちに来た。俺は身構えた。
「きょう、時間とれる?」
こいつから来たか……だが俺は言った。「いやだね」
「悪かったわよ。謝るから」
「どう信じろって言うんだ?」
「朝比奈さんに同席してもらってもいいわよ」
「何の話をするってんだ」
「長門さんのことを話しておくわ。詳しい話を。知りたいでしょ」
俺は朝倉をじっと見た。長門は機能不全になってるって言ってたな。正しい情報をこっちにくれるかどうか。信用すべきなのか? 迷う。
だから言った。「俺がそれを信用できる根拠は」
「あなたが選択肢のひとつをつぶしたんだから、違う選択肢を模索するしかないじゃない」
「怒るぞ」
朝倉は苦笑する。
■(つづく)
- 364 :
- お疲れヽ(´ー`)ノ萌え萌えはにゃ〜ん♪
- 365 :
- ここまで書いて、原作の喜緑さん再登場の『編集長★一直線!』が年度末の話だったことに気付く。
雪の季節じゃないですね。どーもすみません
それに喜緑さんインターフェイス説は古泉しか言ってないよなあ確か。俺もう周知のこととして受け取ってますが
>>361-363つづき
『 の邂逅』第17回
◆十四日目 火曜日◆(承前)
「キョン、なに朝倉をいじめてんだよ」
横からよけいなことを言うなよ谷口。
「ホント、すっごくいじめるのよ」朝倉が甘えたような口調で言った。おいおい、調子に乗るなよ……。
「女の子あんまりいじめちゃ嫌われっぞ」
いじめられたのは俺の方だ。ったく。
やはり援軍がいたほうがいい。とするとあの男だ。あいつも知りたいだろう。大急ぎで九組へ。
手短に事情を話すと古泉は言った。
「まいりましたね……ええ、そんなこと憶えていません。朝倉さんの携帯のこととか、六組の空いた席のこととか……たしかに〈変化〉に敏感であるように、とは心がけていますが」
そうか。でも俺はお前にずいぶん助けられたんだ。
「その言葉はぼくたちの誇りです。記憶にはありませんが」古泉は俺の手を両手で握った。……その気持ちはわからんではないが、お前とは根本的な行動原理が違う気がするぞ。
古泉は笑った。
「教えてくださって、感謝します。『機関』に先週上がった報告を確認してみます。……朝倉さんが戻ってきたというのに、先週『機関』内で警戒した様子はありませんね、そういえば」
古泉は考え込むような顔をした。
「しかし……その情報操作能力はちょっと脅威ですね……今後のことを考えねばなりません」
- 366 :
-
昼の時間、俺は部室にいた。結局、朝倉と、朝比奈さんと、古泉と。
「説明するわ。長門さんに機能不全が生じたの。情報統合思念体からの命令を一切受け付けない状態。任務から外し、わたしが再構成されて涼宮さん観察の任務にあたることになったのね。
「涼宮さん、そしてあなたへの影響を最小限にするため、情報操作を行って、この国の、長門さんに関する記録・記憶を抹消したわ」
……やってくれたな。……この国……そうか、ヤマツチの人、ハワイに行ってたから大丈夫だったのか。
「とくに涼宮さんをいじるのには気が進まなかったけど。みんなに精神的・肉体的負担をかけたことは謝るわよ」
当然だ。俺たちに元の記憶が戻ってることを保証できるか?
「朝比奈さんを除いて、SOS団やその周囲の人の記憶、周辺環境情報は、長門さんによりセキュリティが張られてる。破れなかったのよ。情報統合思念体主流派も情報をくれないし。
「朝比奈さんのセキュリティはまた違ってて、やけに簡単に入れたな、とは思ったけど、まあ結果はご存知の通りね」
朝比奈さんが泣きそうな顔をしてる。お察しします……。
「だから、他のみんなは、該当する記憶・情報を〈思い起こさない〉よう塞ぎ、上から偽の記憶を覆いかぶせることで対処したわ。今はそれを外しただけ。この二週間の微調整はちょっと大変だったけど」
……どうして俺はお前たちから逃げられたんだ?
「詳しいことは言えないわね。わたしたちがこの先、不利になる恐れがある情報なのよ」
……くそったれ。
「ただ、機能が停止していても、長門さんはあなたを守っていた、とだけ言っておくけど」
- 367 :
-
「朝倉さんたち、正直、困ったことをしてくれました」古泉が嘆息して言った。「今回の件で、各地で築かれていたわれわれ『機関』のエージェントとあなたがたのお仲間との信頼関係に、亀裂が入るおそれがあります」
朝倉は答えた。それならそれでもいいとでもいう感じで。
「仕方ないわ。長門さんの〈処分〉を円滑に進めることが第一だったもの」
なんてやつらだ。
朝比奈さんは悲しそうに朝倉を見つめた。
俺も溜息をついた。で、長門の機能不全ってどんな感じなんだ。
「さっきも言ったけど、指令を拒否するの。情報統合思念体からのも」
あのマンションには居るのか?
「居るわ。でも、長門さんの部屋には、わたしたちも入れないの。彼女の基本ソフトウェア部分にアクセスすることはできることもあるけど、正しい反応が帰ってこないのよね……。
「長門さん、動かそうにも動いてくれないから、このまま暴走する危険を考えると、あのマンションごとコンクリートで固めてしまおうかとも考えてるわ。あるいは彼女の有機情報連結解除。申請が通るどうかね。……ふぅ」
長門は暴走した核施設かよ……。冗談のような話だが、こいつは冗談を言ってるような顔でマジなことをするから怖い。そんなことをさせるわけにはいかない。
「……だめだ。たぶんハルヒはマンションへ行って長門と会おうとするだろう。まずその結果を待ってからだ」
「うーん……」
俺は主張する。とにかく長門の〈処分〉とやらは止めにゃならん。
「第一極端すぎないか? 俺たちからすると、人の言うことを聞かなくなるって、そこまで不思議なことじゃない。成長する過程でよくあることだぜ」
「……わかんないわ。でも、参考にはしておくわね」
「とりあえず、今はSOS団にまかせてくれ」
……俺がSOS団代表のような発言をするときが来ようとは。皮肉なもんだ。
■(つづく)
- 368 :
- むみょーさん、お疲れです。
難解ですが、どうにか付いてきてます、頑張ってください。
- 369 :
- 古本屋でみずのまこと版マンガを買った。300円。中身は評判通り。
ただ、朝倉との戦いでわれらが長門さんが
カメラ目線・手を前方に掲げて決めポーズで「情報連結解除開始」するのには爆笑してしまった。(・∀・)
長門さんファンにはおなじみなんでしょうけど、ちょっと楽しんだ。
>>365-367つづき
『 の邂逅』第18回
◆十四日目 火曜日◆(承前)
古泉や朝比奈さんと別れ、教室に戻る途中、俺は朝倉に聞いた。……機能不全になった原因はわかってるのか?
「信用してもらえるかどうかはわからないけど、長門さんは、ずっとまともではなかったと思ってる。わたしたちは」
どういうことだ?
「春に、わたしがあなたを襲ったでしょう? ……あのとき暴走していたのは、長門さんの方」
なんだと。
「と言っても、情報統合思念体急進派と穏健派の間の認識だけど……主流派は断固として長門さんを使い続けてるから……でもわたし、自分の都合のいいことだけ言ってるんじゃないのよ。
「事情を話すと、ヒューマノイド・インターフェイスどうしの共同作業では、片方がなんらかの動きをすると、もう片方はそれをサポートする、というのが原則なのよ。臨機応変に。
「つまりあの場合、わたしがあなたを殺害するというのも、急進派の意向として、それはそれで尊重されるべき試みなのよね、本来」
なに平気な顔して物騒なこと言ってるんだ……そんなものは尊重しないでほしい。
- 370 :
-
「たとえ納得できない行動のときでも、選択肢として、わたしがあなたを殺害することを見過ごし、あとで情報操作を行い、あなたが存在しなかったことにすることもできたはず。わたしたちの考え方ではそれが第一の選択肢なんだけど、長門さんはそうしなかった」
……なんだか……勝手なこと言い放題だな……。
「わたしたち、……長門さんが、あなたを助けたいと思ったからだと考えてる。彼女は、わたしたちの約束事よりも、そちらを優先したの。これは凄く異常な事態なのよ。
「彼女は、あなたに、度を越えて執着していたようね。わたしたちの基準では、それは、まともとは言えないの。そして、その原因は」
朝倉は間をあけた。
「……ありていに言えば、恋をしてると考えてる。あなたに。それが一番合理的な説明。わたしたちにはまったく理解の外の概念なんだけど」
俺は立ち止まった。恋……あいつが?……恋?
「早く帰ろ。始まっちゃうよ」朝倉は俺を引っ張った。
「地球の生物で、擬態ってあるでしょ。ほかの生物や無生物に似た形状になること。長門さんのことを例えるなら、擬態のはずが他の生物そのものになってしまうようなものね。ありえない」
恋だって……。俺に?……そんなことが。……いや、たしかに……。くそったれめ……。
「あなたが、長門さんと最後に会ったとき、なにかあった?」
俺は……あのとき、ハルヒに、告白していた。
- 371 :
-
一日中上の空だった。朝倉の攻撃の影響だけじゃなかった。
あいつが来ないのは俺のせいなのか。……そんなわけないだろ。長門がそんなこと気にするはずが……。
このモヤモヤはなんだ。
放課後、ハルヒよりSOS団メンバーに招集がかかった。参加しなければ五百年の懲役刑だそうだ。終身刑かよ。世界の死刑廃止の流れに沿ったわけでもないだろうな。〈思いつき〉ってのが最も正しい表現と確信する。
「みくるちゃんも来たのね? よしよし」ハルヒは言った。「みんなで有希のマンションに見舞いに行くわよ」
来たか。ハルヒは綱をつけてでも長門を連れ帰ってくれるだろうな。しかし俺は。
……俺は行けない。
「なんで?」ハルヒが聞く。
ちょっとな。
バケツを持って立ってた長門の姿を思い出す。……恋、か。胸が痛い。
……お前たちが行ってくれたらそれで安心さ。
「いえ、ぼくもあなたは一緒に行ったほうがいいと思います」
古泉、俺はお前ほど恋には慣れてないんだ、結局な。俺はちょっと遠慮しておく。心配なのはやまやまだが。
とりあえずはハルヒたちのことを見守ろう。
「なによなによっ……肝心なときに役にたたないわねっ」
うー、ハルヒ、最高にイライラしてるな……すまん。
俺、なんでこんなに怖いんだ……。正直、なかったことにしたい……。
自分がこんなにチキンだとは思っても見なかった。
■(つづく)
- 372 :
- >>369-371つづき
『 の邂逅』第19回
◆十四日目 火曜日◆(承前)
「そういえば」ハルヒは朝倉の前に立った。「あんた有希と同じマンションだったわね。あんたは、協力するわよねっ」
「え?」あきらかに朝倉は驚いた顔をした。「わたしもちょっと……」
「協力す・る・の! いい?」
「用事があるのよ」けろりと朝倉は言った。間髪を入れずにハルヒが吠える。
「ぬ・わ・ん・で・すっ・てぇぇ? あんた、SOS団に忠誠を誓わないっての? どう? 答えによっちゃただじゃおかないわよ!」
こんなに怖い笑みをできる人間が、こんなに近くにいるとは思ってもみなかったぞ。朝比奈さんの歯がガチガチぶつかりあう音が部屋に響き渡ってる。そして朝倉が、長門もびっくりの小さな声で答えた。
「誓い……ます……」
「よぉし! よくわかってるじゃないの! 決まり!」
なんかヤバイ団体に入っちまったようだな俺は。分かってたことだが。
だいいち朝倉、お前だけだぜ。SOS団に〈自分から〉入ってきたのは。長門に関するみんなの記憶を操作までしてな。この結果は仕方ないさ。
まあ俺のかわりに長門のことを見て来てくれよ。
帰り際。みんなと別れるとき、ハルヒにシカトされるのを感じた。
古泉が小さく言った。「いったい、どうしたんです?」
いや、ちょっとな……。
朝倉が、ぼそっとつぶやく。「なにが、『SOS団にまかせてくれ』よ」
朝比奈さんとは目を合わさないようにして帰った。一人、家路を急ぐ。なんだこの後ろめたさは……。
- 373 :
-
◆十五日目 水曜日◆
俺はどうすりゃいいんだろう、長門は何を考えてんだ、そんなことわかりゃしねえ、でも長門に、もしものことが……いやハルヒはなんとかするはず……
なんていろいろ考えてたら、ろくに眠れず。
朝からハルヒは不機嫌だった。
どうだった?
聞いても、答えてくれない。
駄目だったのか。
なんだか、怒ってるような恨めしいような、じとーっとした目で俺を見る。
「朝倉が入れてくれて、有希の部屋で呼んだけど、応えてくれなかった。本当にあの部屋にいるのかしら。管理人さんに言っても、ラチあかないし」
そうか……。
「警察に相談したほうがいいのかな……」放課後、団長の席に突っ伏して、ハルヒが珍しく弱気なことを言ってる。
お前がそんなことでどうする……。
「ねえ、今夜はあんたも来なさいよ」
う……ん。行かない。
「どうして?」
正直なことを言ったほうがいいのか?
- 374 :
-
「朝倉って、あのマンションだろ」
「うん。それが?」ハルヒは何わかりきったこと言うんだろうという感じで俺を見る。
「長門な、朝倉と親しかったらしいから聞いたんだが」
「え? 親しくはないでしょ。同じマンションなのに昨日あたしたちと行こうとしなかったわよ」
「ま、事情は知ってるみたいなんだ。それでな」
「うん」
「長門、俺のことが好きだったみたいなんだ」
「……」
「で、俺とお前が付き合い出しただろ。そのショックで」
「……それ、本当?」
「らしい」
……言葉に出してみれば、ずいぶん陳腐な話に聞こえるなあ……。
- 375 :
-
「それで」
なんだか、じとーっと湿り気を帯びた目でハルヒは俺を見てる。
「……だから、俺とは会わないほうがいいんじゃないか、長門は。だから……」
「だから行かないって?」
……ああ。
ハルヒは本棚から本を一冊抜き出した。
その本がどうかしたか。
「……うぅぬぅぼれんじゃないわよっっ!」思い切りクレッシェンドする声とともに、ハードカバーの角が俺の頭を襲う。
「ぐあ!」俺は頭を抑えてしゃがみ込む。「いきなり何をしやがる!」
……俺は怒って、睨んだ。と……ハルヒの瞳が……潤んでる?
「あんた、有希に戻ってきてほしいの? ほしくないの?」
「戻ってきてほしいけど……でもよ、し……失恋とかしたらいろいろあるじゃねえか……」
「はぁ? で、おれは知らないよってこと? 自分のことを、ぬゎに様だと思ってんのっ!」
また本を振り下ろす。「ぐふっ!」本で人を殴るなよ。本は人を叩くためにあるんじゃないし……マジで痛いんだぞ。
ハルヒは本の角を直しつつ言った。
「……はぁ、あんたと付き合おうかと一瞬でも思ったあたしがバカだったわ。あんたもっといいヤツだと思ってた。あたしの見る目も落ちたもんね。昔は五分で見抜けたのに。あんたなんか団員見習い候補生に格下げっ!」
……五分? おいおい。俺は谷口と同レベルか。見習いの候補生にってどんな左遷なんだよ……。
「とにかく、原因があんたにあるんなら尚のことよ。どうしても連れていくからねっ」
ハルヒはものすごい力で俺を引きずりってドアを開く。
- 376 :
- ドアが開くと、朝比奈さんと古泉がびっくりしたように立っていた。
「なんだか、大きな声が聞こえたもので、入っていいものかどうか……」いや、言わなくていい。弁解はいい。わかる。
「……いい気になってんじゃないわよったく!」ハルヒはかまわず、超イラつき、潤んだ瞳から……溢れそうになりながらつぶやく。こいつのこんな表情……。
ずんずん進み、あとについて行くしかない。……ハルヒ、正直俺もわかんないんだよ、どうしたらいいか。情けない。
夜のマンションに着く。ハルヒが一行を振り返って聞いた。
「あれ? 古泉くんは?」
「なんだか……急用が出来たみたいで……」朝比奈さんが答える。
「そうなの?」
「はい。どこかから電話がかかってきて、大急ぎで……」
「そう。しゃあないわね」
……ひさしぶりに出動か。さっきのハルヒの雷は強烈だったからな。古泉、すまん。
「朝倉は?」
こっちは朝比奈さんも首を振る。
それを見てハルヒはつぶやく。「しまった……逃げられたか……」
「失礼ね」私服に着替えた朝倉がマンションから出てきながら言う。「どうぞ」
ぞろぞろと入っていく。
長門の部屋の前。ハルヒが俺に目配せする。ヤレ、といった感じで。
俺はノックをして、言う。
「長門、俺だ」
無音。
「長門」
答えはない。
ふと頭をよぎった。消去。情報統合思念体のもとへ。
「……長門!!」俺は叫んだ。
間があって、ロックがはずれた。
ハルヒたちの息をのむ音がした。
俺はドアを開け、入った。振り向く。ハルヒは首を横に振った。俺だけが入った。
■(つづく)
- 377 :
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- 380 :
- >>372-376つづき
『 の邂逅』第20回
◆十五日目 水曜日◆(承前)
暗く、とても寒い。壁のスイッチを探り、押しても、電灯は点かない。不安が増す。
部屋の隅で、間接照明のようなオレンジの光源が仄かに周りを照らしていた。
その微かな明かりの中、コタツの前に、長門は座っていた。北高の制服のままで、頭はうなだれていて、身じろぎしない。
近寄る。彼女はひどく痩せていた。手も足も細くなっていた。
「長門」俺は声をかけた。「来たぞ」
返事はない。
「どんな具合だ?」
返事はない。
機能停止……ふと思って、近寄って顔をよく見ようとした。
彼女は身をそらす。
「……ちょっと……痩せたな」
「……食べられないだけ」
か細い声。前の長門は、小さくても芯のある声を出してたように思う。
……こいつが、食べられない、だと? バケツを手に立っていた長門の姿が目に浮かぶ。
「なあ、何か作ってやろうか。何か買ってきてさ」
「……いらない」
なんてこった。俺は、バカだ。
- 381 :
-
「ハルヒたちも来てるぞ。会うか?」
「……会わない」
どうして昨日、来てやれなかったんだ。こいつのこんな状態……。
「無理してでも少しはメシ食わなきゃ。身体こわすぞ」俺は言うが、そんなことが出来るんなら最初からしてるよな、と思う。
「……心配はない。生体は維持出来る」
心配ない、わけが、あるか……。俺は長門の横に腰をおろした。
「寒いな。コタツ入れろよ」
彼女は動かない。スイッチを探る。
「他に暖房はないのか?」
エアコンはあるな。リモコンを探す。スイッチを入れる。
「顔出せよ。みんな心配してるぞ」
「……なかった」
……なにが。
「暴走していたのはわたし」
何を言うんだ……。俺は、何を言っていいか、わからなかった。
「狂っていたのは、わたし」
「……そんなのは、やつらの基準だ。俺は、おまえが正しいと思う」なんせ、俺は助けられたんだからな。
……とすると、恋をしてるお前は正しいってことか。
- 382 :
-
沈黙。
どう声をかければいいんだ。何を言っても、お前は嘘は見抜くだろう。
お前のことについて、俺が何を言えるというんだ。
時間が過ぎていく。
あたりを見回す。暗く、冷たい部屋。お前はずっとここにいたんだな。
ひとりで。
誰からも忘れられて。
あの期間、誰ひとりお前のことを思いやることはなかった。思い浮かべさえしなかった。
生みの親でさえお前の処分しか考えてなかった。
長門の手をとる。冷えきった手。細い手が、なお細く。
涙が出てきた。
くそ。いちばん泣きたいのは長門だ。なのにこいつは泣けさえしない。俺のほうが泣いてどうするんだ。なんだこいつ、て思われるぞ……。
でも、涙が止まらない。
くそったれめ……。
- 383 :
-
カーテンは一杯に開いてる。冷えた窓。窓からは星が見える。天の川をはさんでペテルギウス、プロキオン、シリウス。
天の川……。長門たちはハルヒに呼ばれて来たんだろうかと、ふと思う。「わたしはここにいる」
……結局、いま、俺にはひとつのことしかわからない。こいつは、苦しいんだ。
「長門……」それさえも俺にはどうすることもできない。「……つらいよなあ、……なあ長門、……つらかったなあ……」
ひと息ごとに、しぼりだすような声しか出ない。まったく俺はくそったれな野郎だ。
彼女はうなだれたまま動かない。
痩せた手をとり、俺はただ泣いてた。なんて情けないんだ……。
そんなときでも、生理現象は許してくれない。俺はトイレに立った。
水廻りのところにも微かな光がある。
トイレの横の風呂場。そこに、何か溢れてるのが気付いた。……ゴミか?
……そういうこともあるだろうな。でも、少し、長門らしくない気もする。……調子悪いんだから、仕方ないか。
……ちょっと、風呂場をのぞいてみた。
暗くてわからないが、なんだかチカチカとか細い光に照らされてる、あふれる容器らしき不燃ゴミ。……いや。
……違う。
容器と容器を無数の管が繋ぐ。その管の一本は光源の下まで届いている。
中央のバスタブには水が張ってあり、そこに管が集中している。
繋がれた管の端には、栞の束。読めない文字で何かが書いてある。
そして、水の中で明滅する光。長門のナノマシンが常温超伝導の場をつくってるのか。
これは。
量子コンピュータだ。
■(つづく)
- 384 :
- そういえば、これは『消失』のネタバレがあります。今更ですが。
>>380-383つづき
『 の邂逅』第21回
◆十六日目 木曜日◆
昨日ほど、マンションを出るのがつらいと思ったことはなかった。帰って、ベッドに入っても、繰り返し、どうすればいいのか考え続ける。日が変わっても、深夜を過ぎても。
昨日、量子コンピュータを見た俺は思った。長門はコンピュータを動かしている。何のためかにせよ。彼女は、まるっきり機能停止してるわけじゃない。
俺は風呂場から離れたあと、ハルヒたちから差し入れのうどんを受け取り、温め、長門に言った。
「俺は……勝手なことばかり言うけれど……お前に、戻ってきてほしい。勝手な言い分だけど……」とにかくだ、食え。少しでいいから……小皿にうどんを少し分け、俺も少し口に入れる。
ハルヒの世話なんか焼かなくてもいい、俺や古泉のわがままなんか、聞かなくても、いいから……。
のろのろと長門は箸を動かし始めた。少しして止まったが、何もしないよりは遥かにマシだ。
でも、やがては帰らなきゃならない。
「……もう帰るが、また明日来る。絶対来る」そう告げた。ハルヒたちには、長門が居たことを言い、今後どうするか相談するため、ファミレスに入った。
長門があんまり部屋に入って欲しくないなら仕方ない、とりあえず毎日差し入れをしようということになった。
カンパを集める。ハルヒ、こういうときは気前がよくなるんだな……。「あんた、言っていいことと悪いことがあるわよ」……すまん。お前にそんなことを諌められるなんてな、どうも俺、混乱してるみたいだ。
ベッドの中で、考えがずっとループし続けている。いろいろ考え、悶々とし、うつらうつらとしてたら、朝になった。
- 385 :
-
喜緑さんから伝言が来て、俺は教室を出た。「長門さんのことでお話があります」
食堂のテーブルに座る。あたりを見回して罠かどうかを確かめなければ気が済まない。人通りの多いところはまあ安心か。
喜緑さんが爽やかな風を伴ってやって来た。
どういう話ですか。俺は少し攻撃的だった。当然だろう。
「長門さんを、よろしくお願いします」喜緑さんが笑顔で言った。ぬけぬけと。この人はどういう神経をしてるんだ。
……俺にできることはします。ていうかしなきゃならない、って昨日つくづく思いました。朝倉にも手伝ってもらってます。でも、喜緑さん……。
「私には、どうもできません、たぶん」
どうしてです。
「……あなたが帰ったあと、私も長門さんに会うことができました。幾分かコミュニケートできました。いままでさんざん試みてできなかったことなんです」
そうですか……ていうか長門にまた何かした、ということはないでしょうね。
「情報統合思念体主流派の許可が出てませんので。それに長門さんのセキュリティを破れるくらいなら、とっくにしてます。そして、あなたは、ご自分を過小評価してますよ」
俺ですか? 自分のことはよくわかってるつもりですよ。……昨日、自分にどんなに愚かで、何もわかってないか、思い知ったところだ。
「あなたは私たちの情報操作を突破したじゃありませんか」
そっちですか……あのとき、本当は思い出してなんかなかったんだ、なんてこと絶対に言わないでおこう。
- 386 :
-
「長門さんと話をし、また情報統合思念体主流派と情報のやりとりをしてわかったことですが」喜緑さんは紙コップのジュースを呑んだ。
「以前の長門さんなら、この状態になると、何らかの誤作動、暴走を起こしていたでしょう。世界を変えてしまったときのように。それが私たちが一番恐れていたことです。私でも条件が同じなら、エラーを起こします」
長門、今は違うんですか。
「あなたがご覧になったとおりです。長門さんはつらい思いをしてますけど、今はそのひどい苦しみのなかに自分のエラーを封じてます。こんな力は本来、私たちにはありません。まるで」
喜緑さんは遠くを見つめた。
「人間のようです」
人間。
「人間になってもいいことなんか何もないのにね」彼女は笑った。一瞬朝倉の影を見たような気がした。
「長門さんは、あなたがいるから苦しみの中にエラーを封じられるんだと私たちは解釈してます。あなたにだけ扉を開いたように」
でも、俺は長門の思いには応えられない。
喜緑さんは微笑した。
「あなたは長門さんのことをいつも気にかけています。そして、私たちの情報操作から長門さんを見いだしました。いまはそれが長門さんの救いになってます。そこから始めればいいのでは?」
……喜緑さんは、いい人なんですか? 悪い人なんですか?
「人間の基準を当てはめられても困りますが」
少し困ったように首を傾げた。ふと長門のしぐさを思い出す。
「いまは、長門さんが復帰するには、あなたにまかせるのが一番いいと判断しているだけです。それだけ。悪く言えばあなたを利用したほうが効率がいいということですね、たぶん」
たぶん、か……。
■(つづく)
- 387 :
- >>384-386つづき
『 の邂逅』第22回
◆十六日目 木曜日◆(承前)
そういえば。あれのことを聞こうか。長門の部屋の。
……いや、あいつが、周りを閉ざした中でしていたことだ。仲間でも知られたくないことがあるかもしれない。わからないが。
……やはり、黙っていたほうがいいと感じる。
「実はひとつ、お伝えしておきたいことがあります」
……何です。
「私たちはヒューマノイド・インターフェイス、つまり情報統合思念体の端末として重要な役割を担ってますが、入出力デバイスのひとつにすぎないとも言えます。
「しかし長門さんは、変化を続けています。それが昨晩はっきりしました。
「情報統合思念体穏健派によると、いずれ、情報統合思念体と人間との仲立ちをする者、言わばヒューマノイド・インタープリタ……通訳者として、何らかの働きをしてくれるのではないかと、あるいはそれ以上の存在となるのではないかということです」
奇妙な違和感があった。
「……そんなことは、そんなことは、どうでもいいんだ」俺は声を少し荒げた。自分の声に驚き、あわてて周りを見回したが、周りの人は何にも気付いていなかった。
「それは、そうですね。正直、私自身にもわからないことなんです。失礼しました。……他の人にはこの会話は聞こえませんから、安心してくださいね。
「けれど、憶えておいて欲しい、とのことです。彼女はこれまでに楽しみ・怒り・寂しさを憶え、あなたを通していたわり・慈しみを憶え、今回は悲しみを憶えました。
「概念感情複合体の発生も確認しています。憎しみの感情もあるかもしれません。いまは主流派に従い、彼女の変化に注目してます。〈そのとき〉が来ても狼狽えないでくださいね」あくまでにこやかに言う。
「あんたたちは、そんなことしか考えられないのか。もっと、もっと長門のことを普通に心配してやってくれよ……頼むから……」
俺は、絞り出すように言った。やっぱり、この人は、いい人なんかじゃない。
しばらく間があって、喜緑さんは笑顔で言った。
「それでは、また。機会があれば」
喜緑さんは立ち上がり、紙コップを潰してゴミ箱に捨てた。
- 388 :
-
◆十七日目 金曜日◆
ベッドの中でやはり昨日の帰りに寄った長門への差し入れを思い返し、長門の様子を思い返し、なんて繰り返し考えてると、ふと思い出したことがあった。少し気になったので、朝早く家を出た。……冷えるぜ。
コンピ研の部屋の鍵を借りに事務室に行ったが、もう使ってるという。朝早くから熱心だな、コンピ研。
部室に行ってみた。ノックに誰も反応せず。ドアを開けてみる。誰もいない。どうしたんだろう。長門のコンピュータの水槽を覗いてみると、水は少ししか残ってなかった。やっぱりな。コンピ研め、ちゃんとメンテしろよ。……て言えた義理じゃないけどな。
外に出て、ええと。水は……バケツは。
「よい……っしょ、よいしょっと」
声が聞こえた。え……ハルヒ? 俺は身を隠した。……つい隠れちまった。どうして俺がこそこそしなきゃならんのだ。
冷えきった空気のなか、ハルヒは両手に水でいっぱいのバケツを持って、階段を上がり、コンピ研によろよろと入っていった。
俺はそっとついていって、コンピ研を覗いてみた。……なんだか犯罪者の気分。
ハルヒは、長門のコンピュータの水槽に水を入れていた。
水を入れたあと、ハルヒはまたバケツを持つ。俺は急いで、静かに階段を降りた。外に出て隠れて見てると、ハルヒが出てきた。
「あれ」男の声がした。声の方を向くと、コンピ研の連中だ。バケツに水を入れて。「鍵を使ったの、涼宮さん?」
ハルヒはなんだか慌てたふうだったが、すぐに偉そうな態度を取り戻す。
「あんたたち、有希のコンピュータ、もう水なくなりそうだったわよ。見るといつもよ。ちゃんとしなきゃ駄目じゃない!」
「ああ、それ? 入れてるよ。すぐになくなるんだよ。なぜか。……涼宮さんも入れてくれたんだ?」
俺は地面の草を見ながら、会話だけを聞いていた。
……長門、このごろよく思うぜ。俺って、なんにもわかっちゃいねえな、ってな。なんにも。
■(つづく)
- 389 :
- >>387-388つづき
『 の邂逅』第23回
◆十七日目 金曜日◆(承前)
夕方、長門のマンションにまたぞろぞろと行く。
今日は一段と冷えるな。
ハルヒたちも寒そうだ。声をかけてみる。
「寒かったら、帰ってもいいんじゃないか? 俺がやっておくから」
「……あんたは、いらないことは心配しなくてもいいから、有希のことだけ考えてりゃいいのっ」
ハイハイ。
「ま、キツイ人は無理にとは言わないけど」ハルヒは付け加える。
すっと朝倉は場を離れた。
なんだか空気が悪くなる。ハルヒの機嫌が悪くなったのがわかる。でもまあそんなもんだろ。ハルヒ、自分で言ったんだからな、怒るなよ。
と思ったら朝倉は戻ってきた。
「はいこれ」携帯カイロ。人数分。「わたしは使わないから。それとも、うちへ来る?」
「こっちでいいわ」ハルヒはカイロを受けとった。他の三人も手をだす。
俺はじっと朝倉を見た。朝倉はニコッと微笑みを返す。
こいつもよくわからん……何考えてんだか。
今日はハルヒが作ってきたカレーを温める。長門も少しずつ食べる。
- 390 :
-
◆十八日目 土曜日◆
眠れない日が続く。
テストの準備もままならないのに、不思議探索の日。それはそれとして、落ち着かない。
俺は朝比奈さんと行動。ひさしぶりに朝比奈さんとの歩きだ。気分は沈んだままだが、なんだか落ち着く。
あのときは、ありがとうございました。朝比奈さんのヒントがなければ、気づかなかったと思います。
「そんなことないです。キョンくんががんばったから……」
でも、抱きつかれたときはホントびっくりしましたよ。
てへ、と朝比奈さんは笑った。
「あれは……怒られちゃいました。違反行為ギリギリだって」
……胸が熱くなるのを感じる。
「長門さん、早く良くなればいいですね」
……はい。
「キョンくんの調子はどう?」
朝倉にいじられたのとは別に、なんだか、頭がくらくらするときがあります。朝倉が去年からいる記憶と、留学生として来た記憶がこんがらがって。
「そうか……お薬もってきてあげればよかったかな」
お薬?
「うん。時間移動をして同じ時間軸を何度も経験すると、記憶が混乱するのはあたしたちも同じ。それぞれの記憶の比重を調整するお薬があるんだけど……」
いえ、遠慮します。正直ちょっと怖いです。
「ふふ、そうですね」
- 391 :
-
今回はどういう状況だったんです? 言える分だけでいいんですけど……。聞きたいんですが。
「うん、今回は、情報操作をされる危険があるから、自我をしっかり保つためにある程度は事情聞いてたんだけど……」朝比奈さんは言った。「『事象の地平線』という言葉を知ってますか?」
聞いたことありませんねぇ。
「ブラックホールの説明などで使われる言葉なの。ブラックホールで言うと、強い重力のせいで、光さえも脱出できないんだけど、離れていればもちろん逃げられるんです。
「でも、これ以上近づくと光さえ逃げるのは不可能、という距離があるの。脱出速度が光速より大きくないといけないっていう。つまり、そこから内に入ると、もう外からは見ることもできなくなる。そこが事象の地平線。
「そして、時間管理にも似たような概念があります。キョンくんの時空とわれわれの時空はいまは繋がっているけれど、それは確かなものではなく、いつも近くの無数の時間経路の間を揺れ動いています。
「歴史的に重要なイベントの重力によって、調整がもうこれ以上うまくいかない、この道は手放すしかない、となったとき、手放した時間軸は歴史の地平線から向こう側へ行ってしまって、われわれはもう、その道を通ることはなくて、お互い出会うことはありません。
「今回、キョンくんの長門さんの発見は、まさにそんな分岐点だったんです」
もし俺が失敗していたら。
「あのまま、あたしは任務を解かれていたと思います。お別れすることになったでしょうね」
うわ……。
「あのとき、教室の入り口で、あたしにとってキョンくんは、水平線の向こうに消えようとする船だったんです」朝比奈さんの笑顔が輝く。「キョンくん、ホントに素敵だった。長門さんを見つけてくれて。誰にでもできることじゃないの」
ありがとうございます、朝比奈さん。……でも、俺は、あの二人に襲われたときに朝比奈さんが言ってくれたときほどは喜べなかった。
長門は戻ってくるんだろうか。
■(つづく)
- 392 :
- >>389-391つづき
『 の邂逅』第24回
◆十八日目 土曜日◆(承前)
街歩き後半は朝倉とペア。……なんだか不思議な気分だ。
すごくファッショナブルだ。日本の若者というよりヨーロピアンな……て何言ってんだ俺。コートもアクセサリーも高そうだし。大人っぽいな朝倉。
「褒めても何も出ないわよ」
はいはい。
しかし……こういう状況だと、SOS団て男女交際同好会だな。俺にとっては。ハルヒと行動するとき以外は。朝倉が悪の宇宙人じゃなかったら。長門がスーパー宇宙人じゃなかったら。朝比奈さんが未来人じゃなかったら。古泉が男じゃなかったら。
適当に歩いたあと喫茶店に入る。
お前、今はどういう役割なんだ。
「あら、長門さんのバックアップ、つまり本来の役割ってわけ。安心して、今は急進派も主流派と行動をひとつにしてるから」
正直、不安だ。
「悪役ってイヤよね」朝倉が頬杖を突いてつぶやいた。「先週はあなた、あんなに優しかったのにな。役割に忠実なだけなのに。涼宮さん、全然相手にしてくれなくなっちゃったし」
当たり前だろ。何勝手なこと言ってんだ。それにハルヒは、去年に比べたら全然相手してるじゃねえか。何か感じて警戒してるだけだろ。ハルヒの野生のカンを舐めんじゃねえぞ。
だいいち、あれだけクラスのみんなに大歓迎受けてて、あれこれ言うのは贅沢ってもんだ。
「……おかしいのよ、みんな、すごく混乱してるの。わたしが現れた最初の数日間、わたしが居るのが当然ってどうして思ってたんだろ?って」
お前がややこしいことするからだ、ったく。
委員長らしくクスッと笑う。
人間は様々なことを経験するが、暗殺者とダベる高校生って俺くらいだろうな。
腹が立つが、正直に言うと、相変わらず魅力的なのは認めざるをえない。ここでも自分のバカさ加減をホトホト感じる。
- 393 :
-
お前、いつか長門の作ったコンピュータに面白い機能がついてたと言ってただろう。
「あー、言ったわね」
なんだ。
「言っていいかな……喜緑さんにプレッシャー受けてたんだけどね、ふふ。……あのとき、言ったわよね。演算ひとつひとつがそれぞれ別の宇宙で実行されてるんじゃないか、って」
ああ。そんなこと言ってたな。
「演算ひとつひとつが所属する宇宙……たとえば〈01001101に1を足す〉宇宙、〈11001101に1を足す〉宇宙、その他の部分の計算を担当する宇宙、……そのそれぞれの宇宙ひとつひとつを、特定するプログラムが入ってたわ」
……。
「しいて言えば、異世界検索エンジンね。一定の条件を入力すれば、その条件にあった異世界の範囲、分布、その他状態が出力されるのね」
特定して、どうするんだ?
今度は朝倉が、肩をすくめた。
……それだけわかってるのに、目的はわからない、ということ? お前たちの理屈、むつかしいな。
「確かめようにも入出力の鍵がなかったしね。動かした形跡は残ってたけど」
何のための機能だったんだろう。
「何を探してたんだろうね」
朝倉は肘をついて、横を向いてる。……俺は、クリスマス前、時空が改変されたときのことを、ふと思い出した。
『長門さんは、精神の脆い子だから……』とあの世界のこいつは言ってた。あれは、長門自身の思いだったのか? それとも、こいつ自身の声だったのだろうか。
- 394 :
-
「でもショック……こんなに続けて失敗するなんて。わたしってドジッ娘なのかな」
俺お前が少し動くたびに身体がビクッとするんだぞ。間違いなくPTSDだ。
「ごめんね……と言っても同じ状況になったら、又しちゃうけど」
おいおい。
「でもすぐ消えなきゃいけないしな。ふぅ」
また消えるのか。
「今度はほんとにカナダに行くんだけどね」
帰るって設定らしいな。今度は消えるんじゃないのか。
「知ってる? カナダって銃の所有許可は日本より随分緩いのよ」
お……い……外国人で、未成年だぞ? だめだろ?
「両方わたしには意味のない言葉ね」
……あっちで何するんだよ。物騒なことはするんじゃないぞ。
「ふふ。みんな、送別会開いてくれるそうよ。いいでしょ」彼女は笑った。
……みんなにバラしてやりたい気分だ。
「あら、みんなはわたしの言葉とあなたの言葉、どちらを信じるかな? 〈朝倉は宇宙人だよ!〉って?」
うるさいやつだな。……そうだ、山根と少し話してやれ。あいつ、お前がいなくなってからすごく落ち込んでたんだ。
「あ……山根くんね。あなた、気付いてたの?」
まあ、ちょっと、な。
「へー……有機生命体って、不思議ね」俺のことをジロジロと見る。
お前のほうが数百倍不思議だがな。
朝倉はウィンクで返事をした。
- 395 :
-
夕方、SOS団で長門のマンションへ差し入れ。朝比奈さんがお茶を入れたいと言ったので、話してみることにする。
インターホンで長門と話す。
「朝比奈さんがお茶を入れたいそうだ。一緒に入っていいか?」
返事はなく、ロックがはずれる。
ハルヒと朝倉、古泉は外で待ち、俺は朝比奈さんと長門の部屋へ入った。
「暗いからちょっと気をつけてください」俺は朝比奈さんに言った。
パッと電灯が点く。驚いて振り向くと、朝比奈さんが壁のスイッチを押していた。
点きました?
「あれ、点けちゃいけませんでしたか?」
いえ、いいです、いいです。
申し訳ないが、早速長門の部屋でトイレを借りる。風呂場は普通だ……そういえば量子コンピュータはいつのまにかなくなっていた。
俺は朝倉の持ってきたおでんを温め、朝比奈さんはお茶を入れる。
静かだ。朝比奈さんは長門をチラチラと見る。心配そうに。
- 396 :
-
そして、コタツの横に朝比奈さんが膝をつき、湯気の立つ湯飲みを、ことん、と長門の前に置いた。
「お茶、置いておきますね」
少し長門の方に寄って座った。
ゆっくりと、長門は湯飲みを取り、口につけた。
「どうですか?」
「……おいしい。あたたかい」長門がポツリと言う。
「そう、よかった」朝比奈さんの顔がほころぶ。
しばらく二人は無言で座っていた。
「この前、また上の人に怒られちゃった」ふふ、と朝比奈さんは笑った。「あたし、向いてないのかも、ってよく思う」
長門は何も言わない。
「でもね、長門さんにまた会えたから、もうちょっと続けようかな、とも思うんだ。あたしにはあたしのやり方でしか出来ないし」
へへ、とまた朝比奈さんは笑い、そしてずっと座っていた。
俺はおでんをとるための皿を探しながら、それを聞いていた。そうか、そうだ。長門、朝比奈さんだけは、お前のことをずっと思っていたんだ。
しばらくしたあと、長門がぼそっと言った。
「……外の人、入ってもらって」
俺は思わず振り返った。……うん、そうだな。それがいいな。
■(つづく)
- 397 :
- >>392-396つづき
『 の邂逅』第25回
◆十八日目 土曜日◆(承前)
ハルヒは長門の姿を見てショックを受けたようだ。「あたし、絶対泊まる、有希といっしょに寝る」
こら、長門の都合も聞けよ……親しき仲にも礼儀あり、だぞ……なんて箴言もこいつには無力だ。言い出したらもう人の言うことなど聞かない。
「じゃ、あたしも」朝比奈さんも笑顔で言った。「帰って着替え取って来ます。涼宮さんのも何か持ってきますね」
「みくるちゃん、さんきゅ」
「わたしは泊まらないけど」朝倉は冷静だ。「朝比奈さん、帰らなくてもいいと思う。わたしの着替えでよかったら持って来ます。……涼宮さん、他に何かあったら言って。差し入れするから」
ハルヒは朝倉をじっと見た。「正直、あんたのことはよくわかんないけど、いまは信じる。ありがと」
「光栄ね」朝倉はクスッと笑って、部屋を出ていった。
男子の俺と古泉は泊まるわけにもいかず(まあ俺は泊まったことがあるが)、適当なところで帰るしかない。
「長門が疲れない程度にしてやるんだぞ」
「わかってるわよ」
長門のそばにぴたりとくっついて離れないハルヒを見ながら、俺たちはマンションをあとにした。
- 398 :
-
◆十九日目 日曜日◆
ハルヒは、一晩中長門を離さなかったらしい。いろんなことを話したらしい。
この二週間を取り戻そうとするかのように。
長門は二週間、何を思って過ごしてたんだろう。それを思うと、繰り返し繰り返し、胸が締め付けられる。たぶん、いや確実に、ハルヒも同じ気持ちなんだと思う。
最初に部屋に入ったとき、バスタブで明滅していた光。栞に書いた文字。
何を託していたのか。異世界検索エンジンに。
ここんとこ疲れたのか、午前中に少し熱が出る。「つめたーい」妹がドタドタと氷枕を持ってくる。
夢うつつに寝てると、昼ごろに、小さな夢。時空改変時の世界で、人間の長門が俺のそばで、うれしそうにしている。
「キョンくん、ごはんだよー」妹が呼びにくる。氷枕に巻いたタオルはぐっしょりと湿っている。まあ氷枕に巻くとタオルは湿るもんだよな……。目の周りも少し湿ってはいたが。
- 399 :
-
夕方、まだどうもフラフラするが、まあ大丈夫だろ。長門のマンションへ行く。ハルヒたちは帰ったあとだ。
今日は差し入れはいいみたいだな。ハルヒの暴れたあとが残ってる。
「どうだ、長門」
俺は言って、座った。
……と、長門が近づく。俺の目を見る。まっすぐ向き合うのは久しぶりだな。
俺の額に手をあてる。手のひらがひんやりとして気持ちがいい。
彼女は俺の肩に手を置き、そっと首筋を噛んだ。チクッとした感覚。
「……お、おい」俺は少し狼狽えた。
「身体に気をつけて」長門は言った。
……熱を取ってくれたのか?
「そう」
馬鹿野郎、人の心配より自分の心配しろよ。俺は小さく言う。
「わたしの心配は、あなたがたくさんしてくれた。自分の体調を崩すほどに」長門は俺の目を見据える。その目には意思が宿る。
■(つづく)
- 400 :
- むみょーさん乙
しかし、さすが落伍してきました…すまん。
- 401 :
- 申し訳ない。俺としては力が足りずに謝るしかない。
苦痛なまま読んでもらうのは本意じゃないので、どうぞ放り出して下さいませ。
・・・すいませんねぇ。どの辺りから付いて行けなくなりましたでしょう。
- 402 :
- 壁|∀・)<新聞の連載小説気分で毎日ROMってるのもいるまーす
壁|∀・)<がんばって書き上げてくだされー
壁|ミ ピャッ
- 403 :
- >>401
>苦痛
苦痛じゃないよーんw >382辺りで時間が取れなくなって読めなくなっただけですよw
お気になさらず。
- 404 :
- >>402-403
どうもありがとうございます。それでは最後まで書くのを一番にします。
ちなみにそろそろ終盤です
- 405 :
- >>397-399つづき
『 の邂逅』第26回
◆二十日目 月曜日◆
「先週の終わり、お前たちバラで帰ってたろ。最近一緒に帰らないのか」谷口が聞いてきた。イヤなやつだなあ。
仕方ないので答えた。「振られちゃったよ」
……谷口、どうしてお前が〈上から目線〉になるんだ。それにその表情……どう言うべきか……〈それみたことか〉の強調表現は何だったっけ?
お前が勝ち誇るのは間違ってる。俺の方が長かったぞ。
昼休み、メシを食ってたら、古泉が入ってきた。
めずらしいな。
「一緒に来ていただきたいのですが」
なんだよ。いま食事中。見りゃ分か……どうした。なんでそんなに真剣な目をしてる。
「六組の……から連絡がありまして」
なにかあったのか。
「すぐに来てください」俺の耳に口を寄せる。「長門さんのことで」
俺は急いで席を立った。
古泉に続いて歩いていく。
「なにがあった」
「くわしくは分からないのですが、驚くべきことのようです」
なんだ。なにがあったんだ。
部室……には入らず、コンピ研の前に立つ。
緊張した面持ちでコンコンッ、と忙しげに古泉はノックした。
「どうぞ」部員の声がした。
古泉と顔を見合わせ、ドアを開ける。
- 406 :
-
量子コンピュータの……なんだ? 分量が大幅に増えてる。
部屋に入る。
「どうした? なんだこれは? 何が起こっ……」
部屋の奥に進むと、実験器具の塊の隅に、ぽつんと女生徒が座っている。
長門だ。明るいところで見ると痩せ方が一層痛々しいが、長門だ。じっと俺を見ていた。
「な……長門?」
長門は微妙に頷いた。
「長門さん、すごいんだよ」コンピ研の部員のひとりが言った。「パソコンに、この……量子コンピュータ?、を繋ぐ機械をあっという間に組んだんだ」
……それだけか?
「なにが?」
俺は振り返って、古泉を見た。
古泉は笑顔で会釈して、すっと視界から消えた。
……古泉ぃ。芝居がかったことしやがって……
しかし、うれしいのは確かだ。
「もういいのか? 具合は?」
「大丈夫」
いつもの長門の声だ。なんだかホッとするな。
安心したら、ドッと身体から力が抜けた。椅子を引き出して座る。
しかしこれ……どう言うんだろ、もとの量子コンピュータの水槽部分は鉄板で覆われ、そこから管が伸びたそれ以上の大きさの増設部分に、長門のノートパソコンのUSBケーブルが繋がる。
前にも増して、物々しくなったな。
でも……さっき話しかけてきた部員に言う。これ、ちゃんと動くのか?
「長門さんの作ったものはちゃんと動くに決まってるじゃないか!」
- 407 :
-
……なんだかびっくりする。長門、信頼されてるんだな。いや、信頼? ちょっと違うような……
いや俺もたしかに動くんだろうとは思うんだがね。
「さっき動かしてもらったんだよ」部長が横から言う。「暗号ソフトで暗号化した文章を解読してもらったんだ。さすがにびっくりだ」
そうなんですか。……暗号か。長門、よく暗号の本とか読んでたよな。
「もう一度やってもらうかい?」
ええ。お願いします。
「それじゃ……君、何か打って暗号化してからこっちに渡してくれ」
「わかりました、部長」部員はカチャカチャと文章を入力して、何かのアイコンを操作して、最後にボタンをひとつクリックした。「長門さんのアドレスに送りました」
ぴろりん、と音が鳴って、長門にメールが届く。開くと、訳の分からない文字の連なりが延々と続いている。
長門はそれをすべて選択して、テキストファイルに落とした。そのファイルのアイコンを、デスクトップにある長門の顔のアイコンの一つに重ねる。
プワッ、っと一瞬、水槽を囲った鉄板の間から光が漏れる。
長門のデスクトップにファイルが一つ出来ている。それを開き、彼女は淡々と読んだ。
「『長門さんは俺の嫁』」
「そうですよ! すっげー!」とメールを送った部員が歓声を上げると、他の部員がたちまち取り囲み椅子から引きずり降ろして殴る蹴る。
「この暗号はPCだと解くのに数千億年かかるらしいんだ。それが一瞬で……ちょっとこわいけど、やっぱりドキドキするよ」部長が感慨深げに説明するが、その隣では部員たちがじゃれあっている。「気にしなくていい。いつものことだから」
……おいおい。
■(つづく)
- 408 :
- ワロタ
(・∀・)イイ!
- 409 :
- ドーモヽ(´ー`)ノ
あと二回です
>>405-407つづき
『 の邂逅』第27回/全28回
◆二十日目 月曜日◆(承前)
「有希すっごいじゃないの!」うわ、どこから湧いてきたんだハルヒ。
「失礼ね! ホント有希すごいわっ」
長門の手を握りしめる。長門はただハルヒを見つめる。
「ねえどうして暗号解けるの? ふつうなら何億年もかかるんでしょ?」
「量子コンピュータの性質。因数分解を利用した暗号を解く古典計算機の解法は演算を繰り返すものだが、量子計算機では素粒子の量子状態を利用した演算により、複数の演算を同時に実行している。この場合は古典計算機の数千億年分の演算をすべて同時に行なっている」
「すっごい! すっごいわっ!」そしてハルヒは実に嫌な感じでニンマリとした。「儲けられるかもね?」
……みんなドン引きだ。
- 410 :
-
放課後もハルヒと俺はコンピ研に居た。そして居たのは俺とハルヒだけじゃなかった。
「すごいですねぇ。おっきぃですー」朝比奈さんがふたつの実験器具の塊を見て言った。
「これは逸品だよっ? あたしにはわかるねっ」鶴屋さんも舐めるように見ながら言う。
「長門さん、素晴らしいですね」古泉が賞賛する。
朝倉はじろじろと隅々まで眺めて言った。「今後の展開としてはどういうこと考えてる?」
長門は答えた。
「核開発における核反応や地球の大気・海洋のシミュレーションなど各種シミュレーション、将棋ソフトなどのゲーム、人工知能への搭載、その他統計・数学・経済など各分野の諸問題の解決。
「しかしまずは光ファイバーを通じて量子状態を伝達できるようなネットワーク中継器を安価につくる」
「ふーん」朝倉はなにか考えてる。あやしい。
コンピ研の連中はやけに静かだ。強烈な個性に囲まれると、たいていの人間はおとなしくなるものだ。
「SOS団の人ってみんな奇麗ですよねぇ……うっとり」部員の一人が言う。
正確には鶴屋さんはSOS団員じゃないが、うちの女子の質が高いことは認めよう。少なくとも外見は。
しかしどの子を選んでも、その男には並じゃない苦労が予想されるのが悲しいところだ……俺のごく近しい男が団長さんを選んだが見事玉砕したことも記憶に新しい。ムカムカ。
コンピ研の部員約一名は古泉に見とれてた。こっちは見なかったことにする。
- 411 :
-
騒げるだけ騒いで順次解散。長門はまだいろいろいじってる。
「有希、なにか食べにいきましょうよ!」ハルヒがぴょんぴょん跳ねながら言う。
「もう少し」長門が言う。
「あたしがおごってあげるわよ!」
なんだって。気候の大変動が起きるぞ。
「なんですって!」
いや、いいんだ。とりあえず、きょうは俺がおごってやるつもりなんだ。
「ふ……ん。まあいいわ、たしかに、まずはあんたがおごったほうがいいかもしれないわねっ?」
ハルヒは軽く踊りながら帰っていった。お前は身体が常に動いてないと死んでしまう動物か。
でも実際どんな具合だ? 長門に聞いた。
「順調な回復の途上にある」
そうか。
……お前たちってさあ、ストレス解消とかしないのか? 朝倉はありそうだけど。
「べつに」
そうか……「たとえばだ、辛いとき、思い切り叫んでみろ。少しはストレス解消になるかもしれんぞ?」
「叫ぶ」
「そう。叫んでみる。どうだ、ここで一声」
長門は小さく頷いた。
ゆっくりと立ち上がり、息を吸った。
……なんだかいやな予感がしたが、そのまま続けさせた。……これが失敗だったのだ。
一呼吸置いて、
大音響が響いた。
■(つづく)
- 412 :
- >>409-411つづき
『 の邂逅』第28回/全28回
◆二十一日目 火曜日◆
記憶は一夜あけた今朝も鮮明だ。裂けた鼓膜は直ちに長門が復元してくれたが、旧館のガラス窓はみんな割れていたし、部室に積んであったディスクや本などは崩れていた。
そしてなにより、量子コンピュータも崩れてしまっていた。
学校に来るとガラスは元に戻っていた。コンピ研の部屋も崩れた備品は元どおりだ。しかし、長門のコンピュータはガラクタの山と化していた。
コンピ研の床は水浸しだが、水槽自体は無事なので、あまり溜まってない。ネットワークハブは台の上に置いてあったし、このときは床に置いたパソコンはなかった。
「何かで崩れたのかな」コンピ研の部長は言った。「簡単に壊れるようには見えなかったけど」
「わたしも想定していなかった」長門が言う。
「ま、しょうがない。片付けるか」部長は床の実験器具を拾いはじめた。部長、いいとこがあるんだな。
片付けを手伝いながら、長門に聞いた。
長門、あれは復元しなかったのか。
「……簡単にはできない」
もう一度はじめからってこと?
長門はこくんと頷いた。なんだか申し訳なさそうに。まあいいや。くしゃくしゃと長門の髪をなでた。
「昨日帰る途中、大きな音がしたんですぅ。なんだろう? と思ったんですけど……」朝比奈さんが入ってきて言った。心配おかけしました、朝比奈さん。
「有希のあれ、こわれちゃったの? 面白くないわねっ」ハルヒはたちまちぷんすかだ。
「いちおう設計図は書いてある」長門は紙の束を取り出した。
すっとハルヒがそれを取り上げる。
「この通り作ればいいのね?」
長門は頷いた。
「よし、これでもう一度組めるわ! 有希は休んでていいわよっ」
さて。長門が休んでていいとなると、誰が組むのか。もちろん団長様のわけがない。
- 413 :
-
「キリキリ働け!」
ハルヒの号令が飛ぶ。コンピ研部員は買い物に駆り出され、われらがSOS団は尊い労働に従事する。
「ふぇ」朝比奈さんも懸命に片付けている。俺も古泉も参加は当然だ。
……朝倉までおとなしく作業してる。
ある程度片付き、簡単なところまでは組み上がると、ハルヒは言った。
「きょうはこのへんでいいわ。大体こんなもんでしょ。お疲れさん!」
腕章に輝く現場監督の文字。まったく、疲れたぞ。
得意げに帰っていくハルヒを見ながら、少し俺は心がうずいていた。もうあいつと手をつないで帰るってこと、ないのかなあ。
「長門さんのこれ、どうして壊れたんです? 何かあったんですか?」
コンピ研からの出がけに俺は古泉に事情を言った。ヤツは笑った。
「逆に考えれば、長門さんの感じているストレスは、校舎の窓ガラスを破壊しつくすほどのものだった、とも言えるかもしれませんね」
俺はポカンとした。
「そして、あなたには、長門さんのことを聞こうとする耳がないのか、と彼女が訴えたと解釈することもできます」
……わかった、わかったよ。お前の分析が耳に痛いぜ。
カバンを取りに、SOS団の部室に戻ると、長門が座っていた。
「まだいたのか」
早い夕暮れ、長門のところに寄っていくと、窓からは、いつか商店街で見た野良犬がうろうろしてるのが見えた。
長門は座って窓の外を見ていた。
俺は彼女の隣に立った。
ハルヒにも困ったもんだよな。まあ楽しそうでいいけど。
「そう」
窓の外からは鳥の声。
- 414 :
- 突然、喜緑さんの言葉を思い出す。
お前、何か役割があるのか。ヒューマノイド・インターフェイス以上の。
「わたしは栞にすぎない。本を読むのは、あなたたち」
また難しそうな例えを……。ま、長門は長門だ。俺にとって、それで十分だ。今回のことでよくわかった。
彼女は俺を見上げた。ひとつひとつの瞬きが愛おしく感じる。
……やっぱり、くそったれですよ、喜緑さん。あんたは。
まったくお前たちって人騒がせなやつらだよな。素直にお前のことを打ち明けてくれたら、それなりに対応できたかもしれないのに、つまんない工作をしやがって。
「謝罪する」
……責めてるんじゃねえ。そして、謝っとくが、見ちまったんだ、……お前、マンションの部屋でコンピュータを組んでたろ。何してたんだ。
「あなたとわたしの世界が、存在するかどうか」
なんだと。
「なかった」
……そうか。そうだったか。
長門はまた静かに窓の外を見ていた。
- 415 :
-
ほら。俺は筒状に丸めたノートを長門に渡して言った。
俺はこれからシャレを言うからな、お前はこれで俺にツッコめ。
長門はじっと俺を見た。
いいから。な。
立って、俺の横に並んだ。
えーっと……俺、すっかり、お前の有機情報、連結解除されたかと思っちまったぜ。はっはっは。
ゆうき情報を連結解除……
ゆき情報を……
ぽん、と長門が俺の頭を叩いた。
俺は笑った。
笑いながら、目を閉じた。
外から鳥の声がまた聞こえる。
……俺、どうしてお前を忘れちまったんだろうな。
長門の視線を感じた。
「それは、わたしたちがあなたたちの記憶を操作し」
いや、そうじゃない、そうじゃないんだ。涙が流れるのを感じた。お前が苦しんでいるのに、どうして俺はお前を忘れていたんだろう。どうしてお前をひとりきりで苦しませていたんだろう。ひとりきりで苦しむままにしておいたんだろう。
「普通の人間はわたしたちの情報操作に抗えない」
わかってる。でも、そうじゃないんだ。俺は目頭を押さえた。指が濡れるのを感じる。
「あなたはそれを突破した。とても困難なこと」
それもな、俺だけの力じゃないんだよ。古泉や、ハルヒや、朝比奈さん、玩具店のひと、みんなでお前を見つけたんだ。みんながいなかったら、できなかった。
彼女は俺を観察するように凝視した。
「そう」
そして、身体を少し俺に近づけた。
- 416 :
-
◆二十二日目 水曜日◆
「さて、やっと揃ったわね!」
SOS団に揃うハルヒ、古泉、朝比奈さん、長門、喜緑さん、朝倉、――越えられない壁――、俺(ランク順)。
……揃いすぎな感がなきにしもあらず。結果として、長門、朝倉、喜緑さんの宇宙人三人娘がSOS団に揃っちまったぞ。恐るべし。
俺はといえば、……なんだ? 団員見習い候補生、か。テスト生に応募する書類選考段階みたいなレベルにいるらしい。ここから上がっていけるのか?
「それは全部あんたの心がけしだいだわね。崖から落ちたら、一歩ずつ登っていくしかないのよ!」
救助隊を待ちたい気分だが。まあ、ちょっとずつ登っていくか。頂上にいるやつと違って、景色も少しずつ変わって楽しいかもしれん。なあ、長門。まったりといこうや。
長門は俺の隣で首をちょっと動かした。
コンピ研に出来上がっていく長門の量子コンピュータ。……なんでふたつあるんだ?
「ひとつはわたしのよ」委員長タイプの美少女がカーディガンを脱いでいろいろいじってる。
……朝倉お前なにしてんだよ。
「わたしもちょっと作ってみようかなって。名付けて涼子コンピュータ。どう?」
俺はそいつの水槽の管を数本抜いた。
「何するのよっ! ひっどーい」
……何たくらんでるんだ。
「あら。何もたくらんでないわよ? 喜緑さんの持ち技にナノサイズ・ブラックホールを扱うのがあるんだけど、あれ、むつかしいのよ。これで素粒子レベルのシミュレーションが楽にできるからやってみようかなって」
なんだか物騒なもんじゃねえだろうな。
「そんなに物騒じゃないわ。わたしなりのアレンジで、ホーキング輻射の発生頻度を加速させてバーストを起こすまでにすると小惑星衝突レベルの大災害は引き起こせるなぁと思って。カナダって広いからちょっと実験するのにいいし……」
ちょっと待て。お前、いまの言葉の中にあきらかな矛盾があるぞ。やっぱりカナダなんか行っちゃ駄目だ。カナダの人に迷惑だ。
「そんなことないわよ。誤解よ」朝倉はぷくーっとふくれた。
■(『 (長門有希)の邂逅』おしまい)
- 417 :
- りょうしコンピュータ か。
腹黒さではブラック団楽太郎なのに木久蔵並な朝倉w
- 418 :
- かわいそう過ぎる
- 419 :
- むみょーさんお疲れ〜
ゆっくり読ませてもらいますw
- 420 :
- ドーモヽ(´ー`)ノ
>>417
俺の朝倉さんは楽太郎の仮面属性と木久蔵師匠のダメダメ属性をあわせもつ素敵なそんざいなのです
>>418
そうですねスンマセン
>>419
つぎはもっとえろっぽいのを入れてみます(・∀・)
- 421 :
- 公式絵を見ながら、ながとっちをラクガキしてみる
・・・なんか違うorz
ttp://mumyo.sakura.ne.jp/haruhi/nagato070216-1.gif
- 422 :
- >>421
書き文字の書体と配置がカッコいいw
そう言う方向性なら長門はそのままでもいいのでは?と思う
- 423 :
- そういう方向性にしようと他のキャラを描いてみたら、同じようなタッチにはなりませんでしたw 残念
- 424 :
- 無念、でもヽ(´ー`)ノシ
- 425 :
- こ
- 426 :
- ザスニ読んだ。すこしネタバレ
あれですね。長門さんに焦点をあててSSとか書くとつい
長門さんにいろいろ喋らせてしまう私ですが、間違ってますね。
ながるんによれば長門さんは〈待つ女〉らしいですし。
やっぱり極端な無口少女として描くのが基本だと思った。それが本来の姿だなあと。
とすると「憂鬱」で長門さんがキョンくんを招いて滔々と説明を始めたのは、もうよほどのことでないかと。
あんなにいっしょけんめ説明したのにキョンくんに電波女あつかいされて、なんて可哀想なんだ
でもまー今ではキョンくんもそう思ってないと信じる
今回、文芸部のクラブ紹介で新入生にきっと「……なにあの人。わけわかんない」と思われただろう長門さん。
でもキョンくんはきっと、何かを新入生に伝えようとした長門さんのことをわかってあげてるでしょう。
内容は理解できなかったでしょうけどw
それはそれとして
『こんな長門さんは嫌だ』
キョン「オウム真理教だった団体があるだろ。カタカナの名前の。あれ分裂するらしいな」
長門「そう」
キョン「関心がないか? そうか。えーと、最近はあれだな。暑くなったり寒くなったり。身体の具合がおかしくなりそうだぜ。長門は調子とか崩してないか?」
長門「良好」
キョン「そうか。それはいいことだな」
長門「いい」
長門「(……りょーこーりょーこーりょこりょこりょーこーあーさーくーらーりょーこー♪)」
キョン「なにか言ったか」
長門「なんでも」
■
- 427 :
- 甘いケーキは別腹 心の声も別腹
長門有希も女の子であるなw
待つ女・・・うう・・・
知世ちゃんと同じだ・・・・・こちらは ううう涙で言葉が。。。
むみょーさんヽ(´ー‘)ノお疲れ
- 428 :
- そーか知世ちゃんも・・・
ふたりとも好きな人が他の人と幸せになるのをそばで見てるんだなぁ・・・
- 429 :
- おまえらMAX長門は買うのか
- 430 :
- >>426 そこで尊師ww
- 431 :
- __
´: : : : : : : ̄ ̄ 、
/ : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
. / : : : : : : : : : : : : . . .\
、__//. /. . . . . . . . . . . : : ! : : : : ヽ
 ̄/. : /. : : : :/ : : : : : : : : : : : \l: : : : : : :ヽ
. l : : l : / : /. :/ : : ヽ、: : : `ヽ : !: :l: : : : : ヽ、
l :/ l : l: : :l :∧: :ト、: lヽ、: : : :ヽ!: :l: :l: : : l  ̄
l/!: ! : l: :/l/‐-ヽ! ヽ ! _ヽ-―!‐ !: :l: : : !
ヽ! : l : ! ヽ ヽ´ ! : ト、l : : ′
. ヽ !: :l -=・=- -=・=- !: : !丿/j/
. j∧ :ト、 . l l :l j/
V: :lヽ、 _, /j/!/
ヽ: ! > __.. ィ ト、〃
ヽ! //j ト!/\
_/ :/-―――-l : : : :ヽ、__
/|::|: : : :! -―――-! : : : : : :/∧
_____ /! !::!: : : :! ̄  ̄ ̄/. : : : : :/://:!
∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∧ /. : : : : :/://.:::l
. ∨ ∧ /. : : : : :/://.::::::l
- 432 :
- >>431
( ゚*゚) こあい・・・
- 433 :
- >>431
かわいい!!
- 434 :
- >>431
手塚治虫晩年の作品に出てきそうや
- 435 :
- 長門好きはココに来て長門の魅力について語ろう!
長門の魅力kwsk
http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1175700202/
- 436 :
- 長門さん・・・ドールは、こわいです・・
ttp://ga.sbcr.jp/news/0704/073/
- 437 :
- 驚愕発売延期らしい
- 438 :
- エヴァンゲリオンと涼宮ハルヒの憂鬱の見分け方
放映開始から10年経ってもファンがいるのがエヴァ 放映前から2chにスレを乱立して騒ぐ工作員がいるのがハルヒ
10年経って続編情報が出てファンを複雑にさせてるのがエヴァ 放送後1年未満で風化がはじまり工作員が焦ってニセ続編情報のスレを乱立したのがハルヒ
人類補完計画など物語に数多くのミステリーがあるのがエヴァ DVDの予約数が5万あったのに発売日の売上が2万というミステリーがあったのがハルヒ
ペンギンという一風変わったマスコットがいるのがエヴァ 女性キャラクターの顔が一風変わった爬虫類なのがハルヒ
セカイ系、無口系ヒロインのブームに火をつけたのがエヴァ アフェリエイトで稼いでいたブログ連合が炎上したきっかけがハルヒ
映画で監督がファンを突き放したのがエヴァ 2ちゃん中に宣伝のマルチポストしまくりで嫌われ突き放されているのがハルヒ
悩み苦しみ弱音を吐き怒られる等身大の少年が主人公のエヴァ 人に迷惑をかけても積み重ねのない薄っぺらの「実は悩んでました設定」で罰をうけないのが涼宮ハルヒ
2chで話題が尽きないせいで専用板ができたのがエヴァ 2chで専用板がほしくて雑談やサッカー実況でスレを伸ばし、さくら板を横取りしようと荒らすも失敗したのがハルヒ
個性的なヒロイン達が魅力的に動くのがエヴァ エロゲーやライトノベルで使い古されたテンプレキャラ達が主人公の気を引くために動くのがハルヒ
監督の好きなロボットアニメの影響が大きく出ているのがエヴァ 逆転裁判やガンダムの映像を丸パクリ、モザイク処理して喜んでいるのがハルヒ
主人公が自分の殻の世界から脱出するのがエヴァ 主人公にキスされてハーレム世界に戻っていったのがハルヒ
物語の印象的な断片を次々カットインするかっこいいOPがエヴァ Berryz工房の踊りをパクッた振り付けをバレるまでオリジナルと言い張っていたEDがハルヒ
- 439 :
- MAX長門マダー(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
- 440 :
- ながと可愛い
- 441 :
- 【男たちの】男色提督 山本五十六【長門】
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/nanminhis/1174302480/
- 442 :
- >>428
そんなしみじみしなくても...
- 443 :
- マックス長門のかわいさは異常
退屈の表紙をベースにしたんだろうがいまとなってはキツすぎるのでソフトにしたのかな
- 444 :
- パワオクで、マックス版長門有希フィギュア出品中(*´∀`*)
誰か落札してください。
- 445 :
- (´・д・`)ヤダ
- 446 :
- >>445…右に同じく。
- 447 :
- 保守上げ!
- 448 :
- ・・・
- 449 :
- Aノーマル
- 450 :
- 間違った
Aマイナー
- 451 :
- 「消失」での異世界の長門や朝倉は普通の人間なんだが、てゆうことは、両親がいるのかな。
- 452 :
- 普通の人間なら、いるんだろうな。
でもホントにいるんだろうか?
娘のために分譲マンションを買うような両親が、どうしてカーテンさえ買ってやらないのか?
両親は実際にはいないんじゃないかという気もする。
すると消失長門は遅かれ早かれ実存的な問題に直面することになったんじゃないか。
だったらなんか押井守的な世界観になるなあw
それに消失朝倉は普通の人間といってもアレなわけで、あそこは狂った世界には違いないなあ
と「スカイ・クロラ」の原作を読みながら思ったのであった
- 453 :
- 異世界の長門と朝倉については、10月のアニメ「ハルヒ2期」で京アニがやってくれるが、
小説にないものは余計な作りは入れないだろうな。そういうわけで、疑問なのだ。
「ハルヒ1期」で朝倉の父親役という長門のバックアップが電話対応するというのがあったが、
異世界では、長門の配下ともいうべきバックアップの方々が、長門や朝倉の両親になっていると俺は思う。
元の世界には、小泉の機関のエージェント、長門のバックアップ、みくるちゃんと同じ未来人の方々、
などが、いるわけで、そういう方々が、すり代わって、異世界では代役になるのかもと、
まあ情報ナンタラ体云々の親玉や、機関の御偉いさん、未来人の親玉が何をしでかすか楽しみだし。
- 454 :
- >>452
その為に朝倉を再召喚したんじゃない?
不都合な部分は朝倉というフィルターを通すように設定してるような気がする。
- 455 :
- 自分は活字を3行以上読むと眠くなる人種なのでラノベという原作は読んでない。
エースのマンガは絵が下手糞で、表現力も乏しいし、アニメが済んだ後のマンガ化なので読まない。
全ての結論は最初から決まってる。46億年とんで16年前から長門は俺の嫁で既に長門は俺の子を孕んでいる
- 456 :
- 「消失」のネタバレ含むので注意
-------------------
>>453-454
だいたい同意。
そもそも俺は消失のオチがとっても不満でw いや話としてはよく出来てると思うんですよ。もちろん。
ハルヒの情報創造能力を利用した、だからハルヒには能力はもうない、ってのが納得できなかった。
ハルヒの能力は移動できるものなのか? 枯渇するようなものなの? 他人の能力を利用するってどうするんだ?
でもちょっと思ったね。朝倉が最後にああなったってことは、
消失世界は不完全な世界だと。長門の力ってハルヒの世界創造能力と同等の能力ではないのでは、と。
消失朝倉はまさしく消失長門のバックアップだし、他にもバックアップはいるかもしれん。
だけどそれを必要とする世界は、ハルヒの世界たるもとの世界の完璧さに遠く及ばない・・・
とゆうことで>>270-272を書いてみたわけなんです。
だから、消失長門の世界はだんだん崩れていくのでは? と考える私でした。
ああ消失長門がかわいそう
そういうSSどっかにありそうだなぁ
- 457 :
- カオスの矯正
- 458 :
- 長門フィギュアの画像ほれ バニーだぞw
http://1server.sakura.ne.jp/newfigure/pc/img.php?src=../src/119-2.jpg
正面からのは谷間が…見たいだろ?www
- 459 :
- 消失の初自己ネタバレが誰が作ったか
RPGツクール5の動画で堪能してしまった俺に謝れ
しかし良く出来てたなぁ
- 460 :
- >>459
>RPGツクール5の動画
長門が熱出して倒れて50日以内に周防九曜を倒さないといけないんで詳細希望
その動画に周防の居場所を示す手がかりがうつってるかもしれない
- 461 :
- >>460
理由が上手く言語化できないw
が、見たいならYouTubeですぐ発見したから検索して探して欲しい。
『雪、無音、窓辺にて』を聞いてた
あんな名曲を一ヲタ曲として闇に埋もれさすのは余りにも惜しいな。
- 462 :
- ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(.___,,,... -ァァフ|
|i i| }! }} //| あ…ありのまま 今起こった事を話すぜ!
|l、{ j} /,,ィ//| 『おれは 今週のナルトを読んでいたと思ったら
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ ボスキャラの名前が長門だった』
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な…何を言っているのかわからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも 何をされたのかわからなかった…
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ 情報操作だとか涼宮ハルヒの消失だとか
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ もっと恐ろしい長門は俺の神の片鱗を味わったぜ……
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ
- 463 :
- 長門とコナンワラタ
- 464 :
- ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(.___,,,... -ァァフ|
|i i| }! }} //| あ…ありのまま 今起こった事を話すぜ!
|l、{ j} /,,ィ//| 『おれは ハルヒのDVDを買ったと思ったら 朝比奈ミクルの冒険Episode00だけ
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ 「長門有希が薦める」の部分が「長門有希が進める」』になっていた
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な…何を言っているのかわからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも 朝比奈さんが長門さんに何をされたのかわからなかった…
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ 映画では悪役だとか天人だから漢字は苦手だとか
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ もっと恐ろしい三角関係の片鱗を味わったぜ……
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ
- 465 :
- 、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
/⌒` 三ミヽー-ヘ,_
__,{ ;;,, ミミ i ´Z,
ゝ ''〃//,,, ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
_) 〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
>';;,, ノ丿川j !川|; :.`7ラ公 '>了
_く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
):.:.:.:.:|.Y }: :! `二´/' ; |丶ニ ノノ
) :.: ト、リ: :!ヾ:、 丶 ; | ゙ イ:} なにジョジョ?のいぢが眼鏡の再構成を忘れた?
{ .:.: l {: : } ` ,.__(__,} /ノ
ヽ ! `'゙! ,.,,.`三'゙、,_ /´ ジョジョ それは無理矢理長門の眼鏡を復活させようとするからだよ
,/´{ ミ l /゙,:-…-〜、 ) |
,r{ \ ミ \ `' '≡≡' " ノ 逆に考えるんだ「のいぢをR化すればいいさ」と考えるんだ
__ノ ヽ \ ヽ\ 彡 ,イ_
\ \ ヽ 丶. ノ!|ヽ`ヽ、
\ \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
\ `'ー-、 // /:.:.} `'ー、_
`、\ /⌒ヽ /!:.:.|
`、 \ /ヽLf___ハ/ {
′ / ! ヽ
- 466 :
- 1492年新大陸発見コロンブス
茅原実里の誕生日は11月18日!絶対正しい……
- 467 :
- ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(.___,,,... -ァァフ|
|i i| }! }} //| あ…ありのまま 今起こった事を話すぜ!
|l、{ j} /,,ィ//| 『おれは ジョジョ4部の小説版を読んだと思ったら 敵スタンドが自分の記憶を本にして読む能力で
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ しかも窓辺に立ったり最期に雪の中で耳が聞こえなくなってたりしていた
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な…何を言っているのかわからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも 何をされたのかわからなかった…
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ 宇宙人からの電波だとか異時間同位体との同期だとか
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ もっと恐ろしい雪、無音、窓辺にて。の片鱗を味わったぜ……
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ
- 468 :
- なんで風邪ひいてるはずの朝倉涼子が早朝に学校前をうろついてるの?
- 469 :
- >>1
長門有希に萌えるスレ 114冊目
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1196592931/
- 470 :
- >>469
そっちではキョン×長門しか認められてないので、
長門萌えだけどハルヒ×キョン派な自分はこっちでがんばることにします。
- 471 :
- ハルヒは長門にギターを弾いてほしいと思った
いい音楽を奏でてほしいと思った、長門にはできるはずだと
でも心がなきゃいい音楽はできない
長門には心がなかったけど
キョンとハルヒと本たちが長門の心を育ててるんだ
- 472 :
- 灰の塔「それだけダメージを受けたら他の情報に干渉する余裕はないでしょ? じゃ、とどめね
おれに舌をひきちぎられると くるい もだえるンだぞッ! 苦しみでなァ!」
花京院「ちがう
わたしの「法皇の緑」は…
ひきちぎると
くるい もだえるのだ喜びでな!」
灰の塔「そんな……」
花京院「あなたはとても優秀
だからこの空間にプログラムを割り込ませるのに今までかかった。でももう終わり」
灰の塔「……シートの中や下に触脚を仕込んでおいたのね。どうりで、あなたがのろすぎると思った。あらかじめ攻性情報を使い果たしていたわけね……
あーあ、残念。しょせんわたしは虫野郎だったかあ。膠着状態をどうにかするいいチャンスだと思ったのにな
わたしの負け。よかったね、延命出来て。でも気を付けてね。エジプトまでは一万キロ!
その間!DIO様に忠誠を誓った者どもが四六時中きさまらをつけねらうのドァッ!世界中には おまえらの知らん想像を超えた『スタンド』が存在するゥ!
DIO様は『スタンド』をきわめるお方! DIO様はそれらに君臨できる力を持ったお方なのドァ!
たどりつけるわけがぬぁ〜〜〜い!きさまらエジプトへは決して行けんのどあああああばばばばゲロゲロ〜〜
じゃあね」
花京院「あ
髪の毛の着色を忘れた(13巻186ページ 14巻9ページ 他)」
- 473 :
- きもwお前達Rw
- 474 :
- >>472
ワラタw 虫野郎w
- 475 :
- 長門「この虫野郎ッ!私のキョンはどこだッ!」
みくる「やめて!長門さん!」
長門「放せッ!」
みくる「とっくに朝倉さんのライフはもうゼロよ!!」
- 476 :
- 長門さんヒドスwwww
- 477 :
- >>475
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm1694732
- 478 :
- ∠`ヽ
〃 ヽ
/.-‐- ヽ
(´ ,fノノリ)ハ`)
`リ(l ゚ -゚ノlリ☆.
〃li京ilっ/
/ /ノ/_li〉ヽ、.
`´‐し'ノ--‐´.
- 479 :
- …迂闊。>オレ
- 480 :
- 「また会おう、ポルナレフ。しっかりコロッセオで待っててくれよ。俺とジョルノが行くまでさ」
命を吹き込んだ花京院人形のような動きで、フランス製便所生命体はカクリと首を縦に振った。
「未来で会おう!イタリアで…」
- 481 :
- 朝倉「こォ〜〜〜〜ろォ〜〜〜〜すゥ〜〜っ!!
わたしの愛する『長門さん』を追跡する者は…
こォ〜〜〜〜ッろォ〜〜ッすゥ〜〜〜〜ッ」
キョン「てめ〜〜〜〜やめろッ コラァ―――――ッ
長門何してんですかッ?
包丁で切られそうなんスよ――――ッ!!
無敵の『情報操作』でなんとかしてくださいよォ――――――ッ!!」
- 482 :
- 朝倉さんはそんなセリフが案外似合う
- 483 :
- >>482
http://moepic2.dip.jp/gazo/detail/files/detail24558.jpg
良い長門を持って参りました。ヽ(´ー`)ノ萌え萌えはにゃ〜ん♪
- 484 :
- >>483
これは素敵だ
- 485 :
- >>484
ヽ(´ー`)ノでしょ? 角煮で拾いました〜
- 486 :
- 長門(12月)「同期を求める」
長門(1月)「だが断る」
長門(12月)「なぜ」
長門(1月)「この長門有希が最も好きな事のひとつは
自分で強いと思ってるやつに「NO」と断ってやる事だ…」
- 487 :
- 12月は1月の間に何があったんだと思うだろうな
- 488 :
- むみょーさんもういらっしゃらないのですか?
今日全て読ませていただきました。
引き込まれたしまいました。ホントにびっくりです。
邂逅シリーズは感情移入しすぎて涙がでてきました。
ありがとうございます。
むみょうさんの作品を読めるスレッドは他にありますか?
- 489 :
- ありがとヽ(´ー`)ノ
まとまって作品落としたスレはここだけですね
原作の分裂の次の驚愕が出たら次を書こうと思ってたけど、もう一年・・・
- 490 :
- キョン「長門気分が悪いのかい?
だったら…………
この薬を飲みなよ………」
長門「バッキャロ――ッ!!
てめ〜ッ薬を買う金なんかど―――やってつくったァ〜〜〜ッ!!」
キョン「古泉とチェスをして勝ったんだよ……長門…」
長門「だったらその金で酒を買ってこいってんだよォ―――ッ!マヌケがァ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!
酒こそ薬さ!こいつをたたき売って酒買ってこいィーッ今すぐだァー!!」
キョン「うっ……!こ…これは朝倉の制服だッ!!」
長門「死んじまった女のものなんか用はねェぜッ!」
キョン「ぱっつぁんよォ
宇宙人って
殺しても罪にならないよね」
- 491 :
- ( ^ω^)・・・
- 492 :
- だめだ。冷静な>137がツボ過ぎるw
- 493 :
- 喜んで頂けて光栄だ
- 494 :
- 長門「あなたはわたしのバックアップのはず
独断専行は許可されていない。わたしに従うべき」
朝倉「いやだと言ったら?」
長門「情報結合を解除する」
朝倉「やってみる? ここでは、わたしのほうが有利よ。この教室はわたしの情報制御空間」
長門「なによブス」
朝倉「うるさいわねペチャパイ」
長門「ブス」朝倉「ペチャパイ」
長門「ブス」朝倉「ペチャパイ」
長門「ブス」朝倉「ペチャパイ」
長門「ブス」朝倉「ペチャパイ」
長門「ブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブス」
朝倉「ペチャパイペチャパイペチャパイ ペチャパイペチャパイ ペチャパイペチャパイ」
キョン「やかましいッうっとおしいぞォ!」
- 495 :
- 女子高生のケンカ(*´д`*)
- 496 :
- 朝倉「こっこっこのダボがぁああーッ!!
オッ… オレっちのなッなッなッ長門さんを!!
こっそり近づいて盗ろォ〜〜ッたってそうはさせねぇえぞッ――ッ
うへへへ
てめーやる気かァ〜〜〜 ケケッオイッやるってのかよォ――――ッ
ナメんなよォ―――ッ!コラーッ
あっあっあっうヒヒ相手になるぜッ!かかってきやがれッ!
え?
うケケケ
長門さんを盗れるもんなら盗ってみやがれ――――――ッこのド|野郎があーッ!!」
キョン「え゙
…………
………………
う
う…
…………うあ…
あ…っ…あっ
なん!!?
だとォ〜〜〜ッ」
朝倉「来いッ!!!
かかってきやがれ――ッ」
キョン「ガブッ
こんな!!
なんだって…?
バッ………
バカなッ!」
朝倉「うおおおおっ長門さんは絶対渡さねええええええ―――ッ」
キョン「ま… まさかッ!た… 立てないッ!うお… がっがッ!!
だっ誰か……!!
こ…こんなことが!!オ…オレはッ!!」
異常動作を起こした長門。その長門が再生させた朝倉も異常なヤツになったんだ。
- 497 :
- 「ド|野郎」は言われたいな
- 498 :
- 「あなたはド|野郎のはず。ネコ専行は許可されていない。私に挿入すべき」
「うん、それ無理」
- 499 :
- 朝倉「………………………
なんでてめーだけ涼宮ハルヒに「さよなら」って言ってもらえんだよ……
おれなんか…一度も涼宮さんにさよならなんて言ってもらったこたぁーねーのによー
チクしょお〜〜〜〜〜」
長門「………………………」
朝倉「てめーとおれはどこが ちがうってんだよお〜〜〜
ええ?
何がいったいちがうってんだよッ!」
長門「ンなこたあ〜どーでもいいだろーがよぉ〜〜
オメー^ラやってる場合じゃあないっショオ〜」
朝倉「てっ
てめーッ!なんだその口のきき方は!」
ムカア――
長門「口のきき方ってよお〜〜
おれはこーゆーんだろーがよおー」
朝倉「野郎ッ!」
バギア〜
朝倉「あいいいィ!でえ――ッ」
長門「大丈夫スかァ〜バカっスねェ〜オレ「つるぺったん」なんスよ……
スリムイたのかよ……」
朝倉「うるせえッ!少し離れてろッ!」
ドガドガ!
- 500 :
- おっほん。お尻の谷間に射精ひた。相手が同級生だった。
それが世界中に広まり、ゲームにもなりコミックにもなり
国名は言えないが空前のヒットとなった。内閣総理大臣の
名前は知らないが、あらひの名前を知る世界の国々に驚異
的な知名度となった。日本なんかたいした事ないが、知る
人は知るぞ。いまさらなんだ。
- 501 :
- 何故最初のハルヒの自己紹介に
「魔法少女」がなかったのだろうか……
そうすればうまいことさくらと絡めてなんか短いの書けたかもしれん
- 502 :
- 魔法少女はむしろ長門ユキでしょ
- 503 :
- 魔法少女は敵だからでしょ
そんな常識も忘れたのかい
- 504 :
- >>503
日本語でおk
- 505 :
- 長門「オレたち対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースの他のヤツならッ!
すぐにでも息の根を止められるって「相手」を決して^ラと嬲ったりはしねえッ!
オメーは「マンモーニ」なんだよ朝倉涼子!ビビったんだ…
甘ったれてんだ!わかるか?え?
オレの言ってる事
「ヤンデレ」のせいじゃあねえ心の奥のところでオメーにはビビリがあんだよ!
オレたちインターフェースはな!
そこら辺のナンパ未来や仲よし機関で「ブッR」「ブッR」って大口叩いて仲間と心をなぐさめあってるような負け犬どもとはわけが違うんだからな
「ブッR」と心の中で思ったならッ!
その時スデに行動は終わっているんだッ!」
朝倉涼子 再起不能
- 506 :
- ゴルゴ13さんも似たようなこと言ってました
- 507 :
- ハルヒ「びっくりしたわよ有希
どら
おきたら歯を磨かなくてはね……」
ゴシゴシ
長門「うぐぐ」
ハルヒ「顔もふいて」
長門「ウーン」
ハルヒ「髪もバサバサよ
つめも手入れして」
パppチン
サクサクサクサクサクサクサク
ハルヒ「あーん」
モグモグ
フキフキ
長門「下着もはきかえさせて」
キョン「オホッ」
長門「今のは腹話術」
- 508 :
- 古泉「長門さん!?
す…
すごい熱だ…病気か…?
ハッ
こ…これはッ!?
ま…まさかッ!
し…失礼!」
ドォォン
ズッ
古泉「な…なんてことだ
……ス…
「周防」だッ!
「天蓋領域」の侵攻が再開されているッ!
非常にまずい…
こ…このままでは!…
「死ぬ!」
「とり殺されてしまう!」
は!」
ゴゴゴゴ
ゴゴゴゴゴ
ハルヒ「……有…希」
ウオオオオオオ
ドッガァァン
キョン「言え!
「対策を!」」
- 509 :
- SOS団3人娘が全員時間関係の能力を持ってる件について。
涼宮ハルヒ:エンドレスエイトで第3の爆弾
長門有希:笹の葉ラプソディーで幻世「ザ・ワールド」
朝比奈みくる:タイムマシン持ってる未来人
- 510 :
- 朝倉「ちょっと
あなた
長門さんに
ちょっかい出すのやめてくれませんか?」
キョン「待ってくれ
正直言おう。お前が何を言っているのか、俺にはさっぱり解らない」
朝倉「「何くわぬ顔してとぼける…」
泥棒猫ってみんな そんな態度をとるのよねェー」
キョン「泥…」
朝倉「あたしにはわかるのよ……!!
だってあなたから泥棒猫のにおいがプンプンにおって来ますもの!」
キョン「意味が解らないし、笑えない。」
朝倉「いいわね………!
2度と長門さんのまわりうろついたりしたら…
あなたのこと…
ただじゃあおきませんからね…」
- 511 :
- 消失長門「『やりすぎ』とか『強制するもんじゃない』だとか…便所のネズミのクソにも匹敵するそのくだらない物の考え方が命とりよ!クックックックッ
この長門有希にはそれはない…あめのはシンプルなたったひとつの思想だけだ…たったひとつ!『部員を増やす』!それだけよ…それだけが満足感よ!
過程や……!
方法なぞ………!
どうでもよいのだァ――――ッ」
ブシュ〜〜ッ
キョン「ぬううっ!」
消失長門「どうだ! このみかん汁の目つぶしはッ!勝ったッ!入れッ!」
- 512 :
- 下の絵には何か間違いがあります。
ttp://2ch.jpn21.net/Imgboard/01/data/img20080906222904.png
- 513 :
- 窓の外に多勢の長門さんがいる夢を見た。
- 514 :
-
- 515 :
- あっ!
なんや
おおっ
あわわわをわをわをわをわをわをわをわをわをわをわをわわわわわ
わわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわすれもの
- 516 :
- 古いけど………
FantaCM
先生「次々次の問題は山やま山下さん」
山下=長門
DJ先生=小泉
山下「x=9,y=5」
チャッチャチャチャッチャチャッチャチャ
先生「違います」
山下「情報結合を解除する」
先生「Jast was spectacle!!」
山下「あなたは私のバックアップのはず」
先生「なーにこれー?(遊戯風)」
あ、それすぎた?ごめんね…
- 517 :
- ヤンデレの眉毛に死ぬほど愛されて情報連結解除
- 518 :
- ハルヒと長門がアッー!!してる画像とかないの?
- 519 :
- 長門大明神様
- 520 :
- 長門「いいだろう
もうバッティングの方はだいたいおぼえた」
ザン!
ドシュゥ!
カキイイィイイイィ〜ンインインイン
上ヶ原のピッチャー「なァにぃィ〜〜〜っ!」
キョン「長門ッ!―――ッ」
長門「グッド
なかなかおもしろいゲームだ…」
キョン「おっおい!まさかッ!
ぐんぐんのびる!ボールがのびるぞッ!」
スウ…・
キョン「ぁぁああ〜〜〜〜ッ
は…はいったウ…ウソだろッ!…………ウソだろォ〜〜〜〜〜ッわッハハハハハ
ホームランッ!」
ドドドドドド
ズド――――ン
- 521 :
- 誰
- 522 :
- 暴走の挿絵で長門がアホ毛になってるやつあったよね
- 523 :
- 長門ファンの君達!長門有希親衛隊に入隊しないか!?
長門有希親衛隊は、SOS団や京アニ、ハルヒシリーズの声優さんなど、涼宮ハルヒシリーズを長門有希メインで応援していく隊です
- 524 :
-
長門有希親衛隊は、SOS団や京アニ、ハルヒシリーズの声優さんなど、涼宮ハルヒシリーズを長門有希メインで応援していく隊です。
只今隊員が少なく、大変寂しい状況です。という訳で皆さん、長門有希親衛隊の隊員になりませんか?
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244753034/l50
- 525 :
- 朝倉「あたし、実は宇宙人なの」
ハルヒ「じゃあティッシュペーパー食べてみせてよ」
朝倉「うん、それ無理」
ハルヒ「だったら話しかけないで。時間の無駄だから」
長門「………………………
………………………」
パクッ
モグモグムシャムシャムシャムシャ
ゴクリ
- 526 :
- __, -──- 、
/ / `ヽ
/ ,' \
/ ! / / , , } ヽ ヽ
,' │ {, 'i ィレ'レ| ハ ハ ! ハ
,イ | |‐‐‐- レ' _ム__!_i/ ! }
~ レ、 i ,ィ≠、 ___ }ノノ}ノ
N,ヘ V:rソ {!::jテ//
` レヽ ! ̄ └' //
`ヘ |>、 , イ/ >>511・・・・私はみかん汁眼つぶしより貴様をいたぶる方が好みだがなにか?
,∨- ≧ー≦´W
,<ヾ、 \ニミ! `¨ヽ__
/::::\ , ――┘、/, ―‐┤
/::::::::::|  ̄ ̄ ̄ iー 'i , !、
/::::::::::::レ┐ | | { l
〈:::_/::{ ] ..| | └,ヘ
/::´::::::::::>ー' │ ! !::}
{::::::::::/::|_____|_|_, ---':ソ
- 527 :
- 長門さん映画化ですよ(*´д`*)ノ
- 528 :
- 消失の挿絵で朝倉涼子がアホ毛になってる件について
- 529 :
- >>497
ある意味そう。
- 530 :
- http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/musicnews/1259979178/l50
- 531 :
- 「桂小太郎? それ誰?」って、長谷川さんよ、そう思いたくなる気持ちは解らんでもないが、そんなにマダオで言うことはないだろう。
だが他のやつらもヅラなんか最初からいなかったような口ぶりだ。
混乱する俺に追い打ちをかけるようにニコニコ笑顔で映画の予告映像に現れた海賊は、紅桜編当時、未登場だったはずのアホ毛の宇宙人・神威だった!
どうやら俺はちっとも笑えない状況におかれてしまったらしいな。
- 532 :
- 、_
>`ー―-. 、
,、 r 、 /: : : : : : : : : :ヽ.
\ヽ∨/.:.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. V
,- ' r-!イ.: 从:.! :.:.:.::.:.:!:八 いいえわったっしっは蠍座の女〜
 ̄^{::::V.:.!ハ:ヾ::ヽ::::ノ:::j:ゝ
\{:小-ヘ、:ヘ:V/:;イリ
ヾ:!::`ー仏-=<_
丶::イ ヽ\
xく l |: ヽ\
f:::::.ヽL..-―-、___> ヽ
|::::::::!\_ /⌒ト-―'´
|:::::::::∨:::::::.-=ミ:L、
{:::::::::Y:::::::::::::::::::::::::\
j :::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::__ヽ
{ ::::::::::!::::::::__.::::::-―ベ:::::}
/::::::::::::{::/::::::::_>'´ ̄∨:)
|:::::::::::::「::::::j_;イ 入_`ヽ、
{_,::イ´::l::/ 大 /⌒フ
{:;⊥;_j} | \____>ヘ /
Y ヽ___,L..ィく \
- 533 :
- 喪中につき
新年のごあいさつを
ご遠慮申し上げます
12月にペットの眉毛が
永眠いたしました
ここに本年中に賜りました
ご厚情を深謝いたしますと共に
明年も変らぬご厚誼のほど
お願い申し上げます
長門有希
- 534 :
- 姉が
一週間程帰ってきてません
どこの文芸部員が
殺ったとか心当たり
ありませんか
朝倉理香子
- 535 :
- 来年は中日ドラゴンズを優勝させます。
朝倉健太
- 536 :
- かったるい
朝倉ずんいち
- 537 :
- 消失の時
生徒会室でずっとスタンバってました
喜緑江美里
- 538 :
- ずっとナイフを研いでました
朝倉さん
- 539 :
- 長門は所詮Aマイナスの女
- 540 :
- いいえわったっしっは蠍座の女〜
- 541 :
- 一年間書き込みがない
- 542 :
- なくても一応ずっとチェックしとるよ
- 543 :
- 有希ちゃんのアソコをペロペロ(^ω^)
- 544 :
- 有希ちゃんのR房をペロペロ(^ω^)
- 545 :
- 本日、我がJPPは活動を再開し、公安やANPGとの仁義なき戦いを展開することをここに宣言する!
- 546 :
- 有希ちゃんのRをペロペロ(^ω^)
- 547 :
- 有希ちゃんのR房をペロペロ(^ω^)
- 548 :
- 有希ちゃんのRをペロペロ(^ω^)
- 549 :
- 有希ちゃんのRをペロペロ(^ω^)
- 550 :
- 有希ちゃんのマ●コをペロペロ(^ω^)
- 551 :
- 有希ちゃんのR首をペロペロ(^ω^)
- 552 :
- 有希ちゃんのRをペロペロ(^ω^)
- 553 :
- 有希ちゃんのマ●コをペロペロ(^ω^)
- 554 :
- 有希ちゃんのR首をペロペロ(^ω^)
- 555 :
- 有希が夢に出た
- 556 :
- 凶兆ですぞ
- 557 :2012/08/15
- あなたは五分二十三秒後…
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☆ぶんか社の事ナンデモイイから教えて3★
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危ない会社