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31: 都道府県擬人化スレ (791)

fate/zeroの妄想SS(厨二注意)


1 :11/12/06 〜 最終レス :12/01/01
fate/zeroのSSを書いてみたいと、思います。
内容は、zeroで召喚されたサーヴァントが全員違う、英霊だったら・・・
完全妄想、厨二、さらに低い文章能力と言う三重苦ですが、最後までつき合ってくれると嬉しいです
(と言うか、すでに違う作品?)

2 :
後、意味も無く公式設定
   ・神は呼べない
   ・西洋の英雄しか呼べない
 
等を気にして書いてます
まだ、名前を言っていないサーヴァントの真名を推理してみて下さい。

3 :

切嗣「……聖遺物を間違えたか?」
セイバー「……いく年月の眠りから目を覚ましし今ここに我が帝国の復活を告げる……」
セイバー「我こそは、終末の皇帝フリードリヒ・フォン・バルバロッサなるぞ!」
セイバー「違いますッ呼ばれたのは、私アーサー・ペンドラゴンです!」
バルバロッサ「アーサー? 北方の野蛮な島国の方の名前であるな…」
ペンドラゴン「……ッ!」
バルバロッサ「あいにく、我は私掠の限りを尽くす海賊国家に興味はない!
我はこの世に蔓延る悪魔を倒し我が帝国の復活と神の栄光を約束しに来たのだ!」
ペンドラゴン「……ならばさっさとお帰り下さい」
バルバロッサ「ん?何を言うておる、地方の島国の良く分からん小娘と、かつて世界を牛耳り神のを命令受け賜った世界帝国の皇帝、
どちらが呼ばれたか一目瞭然であろう」
ペンドラゴン(……神の命令?……)
切嗣「いや、それが……その小娘の方なんだが……」
バルバロッサ「んん?何を言っているのだ?召喚に使った聖遺物も故か剣の鞘の下にあるが、
我の使っていた指輪ではないか!」ヒョイ
アイリ「あら、その指輪、大爺様が探してた家宝の指輪じゃない!」
アイリ「貴方、見つけてくれたの?ありがとう!」トテテ
バルバロッサ「…………」
ペンドラゴン「…………」
切嗣「…………」

4 :
ウェイバー「……木片?」
ウェイバー「こんな物で英霊召喚なんて出来るのかよ……」
ウェイバー「まぁ、やってみたら分かるだろ」
鶏「コケェー!!」
ザシュ、ポタポタ
ウェイバー「これでよしと、」

5 :
ウェイバー「……死者達の嘆きと聖杯の名の元に、我ここに命ずる゛ 召喚″」

ドーンピカーモワモワ
ウェイバー(やったーこれで僕もマスターに!)
モワモワモワ…  
ウェイバー(……なんか、……弱そうなヤツだな……)
ライダー「……おまえ様がこの老骨めのあるじ様か?」
ウェイバー「……そ、そうだ、ところでお前のクラスは?それから名前はなんて言うんだ?」
ライダー「クラスはライダーでございます。この老骨めの名前はそうですのぅ……船渡しとでもお呼び下さいませ」
ウェイバー「呼び方なんて聞いてないよ、名前だよ名前!」
ライダー「ほっほ、今度のあるじ様はえらくせっかちなあるじ様ですなぁ」ホッホッホ
ウェイバー(こいつ格好を見た限りキャスターにしか見えないんだけどなぁ)

6 :
吸血鬼「……準備はしておいたぞ」
吸血鬼「精々足掻く事じゃのぅ」ふぉふぉふぉ
雁夜「……はぁはぁ、最後に聞くぞ吸血鬼! 桜は……桜は本当に返してくれるのだろうな!」
吸血鬼「ふぅん……
    まぁ、お前が聖杯を持ち帰ればの話だかな」ククク

7 :

雁夜「……鋼の体に不屈の心、この双方を騎士道に宿す者よ、いざ聖杯の名の元に馳せ参じよ゛召喚″」
ドーンドーンキラキラー
吸血鬼(……なんとも派手な……)
バーサーカー「…………んん?」キョロキョロ
バーサーカー「なるほど…状況が読めた!」ポンッ
バーサーカー「か弱き市民達よ!この伝説の騎士!ドン・キホーテ・デラ・マンチャが馳せ参じたからには安心するが良い!」
バーサーカー「次々と迫り来る悪漢どもの息の根を止め!聖杯を手に入れるこの私の雄姿を目に焼き付けるが良いわ!」キラーン
雁夜「…………」
バーサーカー「ぬぅ、あれは噂に聞く大蛇!いざ騎士の一撃喰らうがよいッ!」ダダダッ
吸血鬼(……だたの柱に突っ込んで行きよったぞ……)
スッテーン……コロコロ……
吸血鬼(……柱を切付ける前にこけたか……)
雁夜(……桜ッ すまない……)
バーサーカー「……このドン・キホーテ・デラ・マンチャ、バーサーカーと言う不本意な名で召喚されようと……
       卑怯なる大蛇の牙に倒れようと、この命尽きてなお市民だけは救って見せようぞ……」パタッ

8 :
 
綺礼「……時臣様 英霊召喚の準備が整いました。」
時臣「綺礼、ご苦労だった」
時臣「後は一人で出来る、お前はアサシンと一緒にこの屋敷を守っておいてくれ」
綺礼「……了解しました時臣様。 …アサシン」
アサシン「……御側に、マスター」スッ
時臣「……アサシン? 白いな、」
時臣「冬木市での聖杯戦争での、アサシンのクラスには必ずハサン・サバーハが召喚される事になっている筈だが?」
アサシン「時臣様、私めは第18代目ハサン・サバーハ、イブン・ラハドでございます。
     先代のハサン・サバーハを暗して成り上がった物で、少しばかり毛色が違うのですが、ご理解下さいます様お願いいたします。」
時臣「そうか、まあいい、引き続き警戒を頼む、」
アサシン「仰せのままに……」スッ
綺礼「……それでは時臣様、私も失礼致します」タッタッタッ

9 :

   l\           / |
   |  \___,/  |
   |           |
   | ⌒   `ー    |      どぅーだぁ☆
   |(0)   (○),    |
   |   く           |
  |ヽ_____,ノ     |
  |            |
  |            |
  \_____   〈
           \  \、__
           /ヽ  /    \
           |  /     、  \

10 :

カッカッカッ……
時臣「行ったか、じゃあ私も英霊召喚を始めるとしようか」
時臣「……戦にて永久の平和を実現する者よ、二握りの剣を持ちて聖杯を守らん゛召喚″」
パアッーキラッキラッ
アーチャー「……余はアーチャー、余を顕現させし、マスターはお前か?」

時臣「左様でございます」
アーチャー「ふむ、1200年後の世界と言うのも戦に脅かされている物か……」
アーチャー「何時になったら真の平和が来る事か……」

11 :
>>9
【雇用】就活もう過熱…短期決戦化が逆効果、焦る学生
再来年の春に卒業する現・大学3年生の就職活動のスタートが、今年から2か月遅い12月となった。
学生が学業に専念できる時間を増やそうと、経団連が採用活動に関する倫理憲章を改定して申し合わせたためだ。
ところが就職活動の短期決戦化に焦りを感じる一部学生で就活塾は以前にも増して盛況となり、
大学のサポート活動も前倒しされるなど、かえって戦線は過熱。「学業に専念」からはほど遠いのが実情だ。
大学生の就活のスタートは従来、大半の企業で会社説明会の周知や開催が始まる10月。
今年はその解禁が12月以降に繰り下がり、
一方で、採用に直結する面接や筆記試験などの「選考活動」は例年通り年明けの4月からで変わらない。
学生からすると、就活期間が2か月短縮された格好だ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111116-OYT1T00622.htm?from=top

12 :
龍之介「…満たして満たして満たして、満たす」ポタポタ
龍之介「…満たして満たして満たして、満たす」ポタポタ
龍之介「ふひー、悪魔召喚って言うのも難儀な物だねぇ」
龍之介「いやー、ホントこんなんで召喚なんてできる物なんかなぁ」どさっ
……ゴロン
龍之介「あっちゃー、また転がしちゃったよぉ……」
龍之介「最近、掃除してないからなぁ。本当すのはいいけど、死体の処理がなぁー」トホホ
龍之介「まぁ、悪魔でもなんでもちゃっちゃと召喚して、掃除でも頼もうかなぁー、なんちゃったりして」へへへ

13 :
ぼくのかんがえたさーぶぁんと
はっじまっるよ〜っ!

14 :
龍之介「……英知と神への信仰の元、死の奇跡と聖杯の理を讃え奉らん゛召喚″ ……こんな感じ?」
ピカーシュワー
龍之介「何これスゲー!CGみてぇ!!」
キャスター「……うん、君が今度のマスターかね?」ニコニコ
龍之介「あーえっとー、……そうですけど」
龍之介(……アラビア風のおっさん?)
キャスター「そうか!うん、宜しい!私はキャスター、君の名前は?」
龍之介「……名前?あー龍之介」
龍之介(……悪魔ってこんな感じなのか?)
キャスター「龍之介君だね。覚えたよ」ニコッ
キャスター「ところで!君の家は定期的に死体が手に入る家かな?」
龍之介「……はぁ、自分一応人をたしなんでるんで……」
キャスター「おお!ますます宜しい!君の様なマスターに巡り会えたのも、神のご加護に違いない!」ピカー
龍之介「……はぁ、そうかなぁ」
キャスター「いやー恥ずかしい話だけどねぇー、前のマスターがね、死体を用意してくれない人でねぇー、結局一つも宝具使わないでリタイアしちゃったからねぇ……」トホホ……
龍之介「はぁ……」
龍之介(……宝具?)
キャスター「あと、それから……」
龍之介「あーもう話は後にしてくんない?」
キャスター「おっと龍之介君、少し喋りすぎたみたいだね、すまない」ニコッ

15 :
見たかっ!!!
 
これぞ、意味の無い妄想力と厨二病のコンボ!!!
と、言う感じで本日のぼくのかんがえたさーヴぁんと
投下終了します

16 :
 ___
/ || ̄ ̄|| ∧_∧
|.....||__|| (     )  どうしてこうなった・・・
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
|    | ( ./     /
 ___
/ || ̄ ̄|| ∧_∧
|.....||__|| ( ^ω^ )  どうしてこうなった!?
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
|    | ( ./     /
 ___ ♪ ∧__,∧.∩
/ || ̄ ̄|| r( ^ω^ )ノ  どうしてこうなった!
|.....||__|| └‐、   レ´`ヽ   どうしてこうなった!
| ̄ ̄\三  / ̄ ̄ ̄/ノ´` ♪
|    | ( ./     /
           _____
          /      /     ___
        ( ./      / ♪ ∩/ || ̄ ̄|| ♪ ∩∧__,∧
          ̄ ̄TT ̄ 7_   ヽ|......||__|| 7  ヽ( ^ω^ )7 どうしてこうなった!
        /`ヽJ ̄  ,‐┘  /`ヽJ   ,‐┘ /`ヽJ   ,‐┘   どうしてこうなった!
| ̄ ̄\三  ´`ヽ、_  ノ      ´`ヽ、_  ノ    ´`ヽ、_  ノ
|    |       `) ) ♪       `) ) ♪      `) ) ♪
                       _____
      ♪   | ̄ ̄\三\ ♪ ./      /       ___
         ∩|     |   .| ( ./      /   ♪ ∩/ || ̄ ̄||   ♪ ∩∧__,∧
          ヽ|_____|__|   ̄ ̄TT ̄ 7_  .  ヽ|......||__|| 7    ヽ( ^ω^ )7 どうしてこうなった!
        /`ヽJ   ,‐┘   /`ヽJ ̄  ,‐┘    /`ヽJ   ,‐┘ /`ヽJ   ,‐┘   どうしてこうなった!
        ´`ヽ、_  ノ       ´`ヽ、_  ノ       .´`ヽ、_  ノ     ´`ヽ、_  ノ
           `) ) ♪         `) ) ♪         `) ) ♪     `) ) ♪

17 :
面白いねー

18 :
ほうほう……
え、これで終わり?

19 :
Fateアニメ始まって勢いに乗っているみたいだけど
実際Fateって面白いの?
見てみようかと思ってるんだが

20 :
厨ニとかなんとか言われてるのはそれとして面白いよ
わたしはね
君にとってはどうかは知らん

21 :
評判はいいみたいだな
見るとしたら、アニメからor原作から どっちがいいんだ?

22 :
>>1
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1322047976/
これを呼び込むのはどうかと思ったが、まあ隗より始めよという言葉もあるし。
え?破れ窓だって?

23 :
スイマセン
次スレたててしまいました・・・
次スレ
http://logsoku.com/thread/engawa.2ch.net/mitemite/1324361741/

24 :
>>21
コレのイメージはゼロのアニメですが・・・
見るとすれば、ステイナイトのゲームをおススメします・・・
聖杯がウンタラとか設定が分かりにくいので・・・

25 :
>>22
スイマセンえっと
既に、このような事をしているスレがあるとは、勉強不足でした・・・

26 :
>>24
じゃあ今度ゲームからやってみるよ

27 :
>>26
ゲームの方はまともにやると50時間でも終わらないぐらいのテキスト量。
時間効率で言えばWikiを読んでからコミックかアニメ見るのが一番速い。

28 :
スレが死んでいなければ再利用するよ

29 :
 遠坂邸の一室は、言峰綺礼の私室としてあてがわれている。
 綺礼はローテーブルに残されたワイングラスを片付けようとして、
ふと手を止めた。それは先刻まで傍若無人の限りを尽くして
立ち去った男──アーチャーのサーヴァント──が残したものだった。
アーチャーの雰囲気は極上のワインに似ていた。平凡な洋食を
その一杯で生涯忘れえぬ晩餐に変えるがごとく、古びたソファに
腰掛けるだけで平凡な洋室を宮殿の一室に変えるほどの豪奢な
雰囲気。ワインの残り香も薄れ行く中、綺礼はアーチャーの言を思い返していた。
 各マスターのその動機について調べ上げ、語り聞かせろ──。
 それが、言峰綺礼がアーチャーから受けた「提案」であった。
 ──そう、「提案」なのだ。断じて「命令」ではない。
あの風格や気配に圧される理由などない。かのアーチャーは
時臣師に召喚されたサーヴァントに過ぎず、自分と同格の
部下なのだから──。綺礼は重ねて自らに言い聞かせた。

30 :
「アサシン、聞いていたな」
「確かに」
 綺礼の背後の物陰から、笑う髑髏の仮面をつけた人型が浮かび上がる。
その体躯は背高なれど艶かしく肉付き、その声色は低くとも柔らかに
耳を撫でる。この「女」もまた、70を超える多重人格のサーヴァント、アサシンの一人であった。
「珍しく『女』が出てきたか」
「酒席とあらば、女が侍《はべ》るのが似つかわしきかと」
「お前『達』まであの英雄王に毒されたか。無駄口は開かず調査をしろ。報告を急げ」
「しかし、今更動機を調べ上げることが何の益になりましょうや」
 時臣の援護を目的としてアサシンを召喚した綺礼の元には、
すでに相当量の情報が蓄積されていた。敵対するマスターに
ついてもそれは例外ではない。彼らの魔術師としての戦力、
戦術、背後関係など、聖杯戦争に必要な情報はすでに調べ
尽くしているにも等しかった。
 動機とは。手間をかけさせてくれる──。
 動機。それは切嗣がアサシンに収集させた情報には
欠片として無かった要素であった。しかし、その
マスターたる綺礼が他のマスターの動機について
全くの無関心、というわけではなかった。
 綺礼はただ一人の動機についてのみ強烈な関心を抱いていた。
彼《か》の者の動機を知りたかった。否、その目で見たかった。
会って問いたかった。
──それにはアサシンの情報収集などむしろ邪魔であった──。
綺礼は己の五感でセイバーのマスター、衛宮切嗣の動機を
感じたいと欲していた。たとえ互いを認識した刹那にし合いに突入し、
一瞬の命の交錯がその全てであろうとも、切嗣から得られる
感覚は、感触は、すべて己の膚《はだ》によって得たかった──。

31 :
「主よ。やはり調査は形式で宜しいかと。アーチャーの言は戯れにございましょう」
 数瞬の忘我であった。綺礼は女の声で我に返る。
「願望……?」
「は……?」
「いや、やはり可能な限り仔細に調べろ。聖杯戦争はその全てが
条理常識の外にある。どのような情報が切り札となるともわからん。
これは命令だ」
「御意」
 女の影が闇に消える。その後には気配も余韻もない。
「私は衛宮切嗣を知りたい。しかしこれは願望なのか? 
願望だとしても聖杯に願うにはあまりに卑小だ、ならば、私の──」
 不意に、強烈な渇きが綺礼を襲った。目の前にはアーチャーが
飲み残した銘酒が、未だかすかに揺らめいている。
 アーチャーが残したボトルを手に取る。彼に置かれながらも
空のままに捨ておいたグラスにワインを注ぎ、飲む。注いで、飲む。
あたかも先程まで霊体化して背後に侍っていたアサシンの視線が
己と同化したかのごとく、綺礼は満たされぬ飲酒に耽る自分を背後から見つめていた。

32 :
 翌日夜。
 これは──妄執、狂気、いや、それ以上の──。
 私室のソファに座り込み、綺礼は手を震わせていた。
その手には一冊の文庫本が握られている。
「書店にて平積み。容易に入手できました。
すでにシリーズ8巻、重版も好調。累計売上は
50万部とも60万部とも言われる人気作です」
 アサシンの人格の一つである「女」は、
努めて声に感情を載せず、事実を伝えた。
「しかし、まさか、このような、退嬰的な、不道徳な──」
「娯楽は退廃と蜜月の仲にて、不思議はございません」
 綺礼の手にある一冊は、最新刊の8巻。アサシンの手には1巻。
2巻から7巻まではローテーブルの上に横並びにされている。
その表紙にはいずれも二人組が描かれ、ピンクの髪や
真っ赤な衣装は、薄暗い綺礼の私室にあってもなお眩しい。
 ──間桐雁夜 著『家出魔術師はちいさめ新妻二人に挟まれてもう大変(嬉)』──
 間桐雁夜の生業は「フリーのルポライター」であるが、
これを最も的確に言い換えれば「無職に毛が生えたようなもの」である。
無名ライターの雁屋が糊口を凌ぐために書き始めた
ライトノベルは、今や平積みのベストセラーになっていた。

33 :
 アサシンが1巻の帯を指で示しながら言う。
「『家出した落ちこぼれ魔術師が姉妹と重婚生活!』
……まあ、娯楽小説としては愚にもつかない凡庸な設定であります。
しかし、無駄にリアルな魔術の描写と本物のロリコンでなければ
描き切れない性を兼ね備えていると話題になり、
ライトノベル作家の悲願と呼ばれるアニメ化も目前という噂。
この、『家出魔術師はちいさめ新妻二人にはさまれてもう大変(嬉)』略称『ちいさめ』は──」
「黙れ!」
 綺礼が8巻を壁に投げ捨て、黒鍵の投擲で串刺しにする。
その表紙は白無垢姿のさくらとウェディングドレスのリンだ。
「主にしては珍しく無益な破壊をなさいますな。
罪は人が負うもの。本に罪はございません」
 アサシンの仮面は笑いの髑髏。普段は滑稽としか思えぬ
その笑顔が、綺礼には己を嗤うかのように感じられた。
久しく感じたことのない激しい怒りが湧き上がり、文庫本を突き刺したのだった。
ご丁寧にもその黒鍵を抜こうと壁に歩み寄るアサシンに、
綺礼が背中から言を叩きつける。
「だ! 年端もいかぬではないか……
それを『設定上は16歳だから結婚しても問題☆なっしんぐ』だと?
 欺瞞もペテンも程というものを知れ! たとえ年齢を許容しても
重婚は万死に値する重罪だろう! 神に永遠の愛を誓う結婚を何と心得る」
「主、たかが小説ではございませんか」
「腐っている! 斯様な悪書が年齢制限も受けずに一般書店に
平積みにされるこの国は腐っている! そして悪書を生み出す
かのバーサーカーのマスター、間桐雁夜は地獄の宣教師。
捨て置けば災厄の種を撒きちらす悪魔の手先に相違ない」
「雁屋は最も脅威の低いマスターにございます。過大評価は──」
 黒鍵を抜き、アサシンが振り返る。やおら歩み寄った綺礼は、
その両刃を鷲掴みにした。投擲に特化されているとはいえ、
黒鍵の刃は掌を容易に切り裂く。綺礼の右拳から血が滴り、
アサシンの細腕を伝っていく。

34 :
「主? お手を──」
「砕く……」
 綺礼は低く呻いた。
「砕いてやるぞ間桐雁夜。貴様はこの悪書のような
悪逆無道の地獄を現実にするために聖杯を用いるのだな。
ならば私の願望は貴様の願望を砕くことだ」
 両刃を掴んでいた右手を開き、天に掲げるかのごとく振り上げる。
綺礼は己の血を浴びながら、上を、天井を、その上の空を、神の座を仰ぎ見た。
「神よ。これがあなたの示したもうた願望か──。
ならば私は血を持って答えよう。必ずやあの悪魔を滅ぼそう。
いや、地獄に逃げ帰りたくなるほどの苦痛を与え、
すべての罪悪を悔い改めさせよう」
「最新刊の9巻が来週発売されますが、如何なさいますか」
 アサシンがワイングラスを片手に主に問う。
彼女は主の血がその師から借り受けた部屋を汚さぬよう、
ワイングラスで受け止めていたのであった。主の意識が
天上に飛翔していても、アサシンの意識はあくまでも
現実問題の解決にあった。血塗れの黒鍵はとりあえず
書店のビニール袋に包んである。血が固まらぬうちに洗浄せねばなるまい。
「三冊だ」
「は……?」
「研究用と儀式用に二冊。一冊は保存用だ。必ず三冊確保しろ」
「御意」
 アサシンは書店に走る。確実な予約のために走る。主の命を遂行するために、走る。
 残された綺礼に、再び渇きが襲う。グラスに注がれた己の血を飲み干すと、
鉄と塩が全細胞に染み渡り、魂に火が灯るのを感じさせた。
「砕いてやろう。雁屋よ。その、邪悪なる、心を!」
 その表情が何年ぶりかは綺礼自身にもわからない。
あるいは生涯一度もなかったのかもしれない。
 しかし、そのとき、確かに。
 ──綺礼は、歯を剥き出しにして、哄笑していた──

35 :
とりあえずここまでです。
雁屋おじさんのロリコン狂気にあてられた綺礼さん。
はたしていかなる方法でおじさんの心を砕こうとするのか?
そして雁屋のおじさんは幸せをつかめるのか? ご期待ください。

36 :
真面目な話かと思ってたらwww

37 :
なんだこれwwww
いいぞもっとやれ

38 :
>>35 真面目な感動巨編ですよ?
>>36 じゃ、もっとやりますね

39 :
「だんな様に、おはようのちゅー♪」
 僕が世界で一番愛しているお嫁さんのさくらが、
いたずら心ではじめた、おはようのちゅー。
(ふにふにでやーらかいよぉ)
 それが、僕が世界で一番可愛いと思っている
お嫁さんのリンちゃんの嫉妬心に火をつけてしまったようだ。
「ちょっとさくら! 妹のぶんざいで私よりさきに
ダーリンのくちびるをうばうとかなに考えてるの?
 そのきれいなお目目をくり抜いてもっときれいな
宝石にかえちゃうわよ!」
 ぷんぷん怒るリンちゃん、かーいいなぁ。
あ、そうじゃなくて。問題はリンちゃんとさくらちゃんの
おはようのちゅー権利争奪戦なのだ。

40 :
 まずは早起き競争から始まった。
就寝中の僕の枕元に早く到着した方が
おはようのちゅーをする権利を得る、という勝負らしい。
「ふふふ……。まだ四時だもんね。
さくらのねぼすけはお布団でぬくぬくと甘い夢を
みていやがる時間だもん。ダーリンの枕元を
占領するのもらくしょうよ!」
 しかしすでに、僕の枕元にはお布団で
ぐるぐるミノムシになっているさくらちゃんが
いたのであった。もうそのまま携帯ストラップにして
ぶーらぶらさせたいほどかあいいよう。かあいいよう。
「あら。遅かったですね、姉さん?」
「な、なんでさくらがもういるのよ! おとなしく寝てなさいよ!」
「今日は早く目がさめてしまったので、三時からこうやって
だんな様のお隣で寝顔をかんしょうしているのです。
愛するだんな様の寝顔なら何時間見ていても
あきませんからね。うふふ」
「どこまで私とダーリンの邪魔をすれば気が済むのよ!
 このおじゃま蟲っ娘のさくら!」
「ふうん。姉さんは、またおみそしるにミミズを入れられたいんですか?」
「ま、また?」
「ええ、3日に一回は入れてたんですよ。ミミズ。
姉さんのおみそしるにだけ、こっそりと。
ふふふ。姉さんたらなーんにも知らずに
ごくごく飲んじゃって。今頃お腹にミミズの巣が
できてるかもしれませんね。あはは!」
「と、取り出しなさいよぅ! 出して、出してぇ!」
「……あははっ。そんな簡単な嘘に引っかかって
泣いちゃうなんて、やっぱり姉さんはまだまだ
お子様ですね。だんな様のお嫁さんになるには
10年早いです。まあ、そのあいだに、さくらが
だんな様の子供を5人は作っちゃいますけど」
「えぐる! やっぱりその目をえぐってやるわ! このしょうわる女!」

41 :
 三人で公園でぇと(今日は白鳥さんのボートに乗っちゃうぞ!)する
平和な夢を見ていた僕にはあずかり知らぬことだけど、
このとき僕の枕元では火炎魔法とコクインチュー
(マキリポケモン)の壮絶な戦いがあったらしい。
なぜなら、目が覚めたら四畳半の寝室の畳に
いたるところ焦げ跡がついていて、力尽きた
さくらちゃんとリンちゃんが仲良くおねむをしていたから。
僕はもちろん、二人をそっとお布団に入れて、仲良く並べておいたよ。

42 :
 駄目だ──ダメだダメだダメだダメだ!──いくら書いても!
 間桐雁夜は原稿用紙をかきむしり、丸めて、咥え煙草を押し当てた。
窓から投げ捨てられた原稿用紙は流星となって裏庭に転がり、
罪のない蟻を焼きした。
 この半腐れのアパートで、六畳一間風呂なしトイレ共同の
安物件の片隅で、雁夜は執筆に行き詰っていた。
今日も原稿用紙と煙草だけを浪費し、原稿は一枚も進んでいない。
 元々は単なる小銭欲しさ、生業とも言えぬ日銭稼ぎで始めた
ライトノベル執筆。しかし、6巻を重ねた現在では、この
ライトノベルこそが間桐雁夜の存在理由そのものであった。
「偽りだ……空想なんだ、こんなもの! いくら書いても!」
 『家出魔術師はちいさめ新妻二人に挟まれてもう大変(嬉)』
略称「ちいさめ」は、雁屋の鬱屈した人生を丸ごと投影した
概念武装とでも言うべき魔書である。

43 :
 この魔書は、現実からの徹底的な逃避を正当化するために
書き連ねられた。それは実ることのない種であり、証明される
ことのない学説である。
 彼がその人生で唯一愛しながら、愛を告白することの
なかったた女性、禅城葵。彼女と彼女を「奪い取った」男
──この表現すら雁屋のねじくれた主観であり、世間では
美男美女が大恋愛の末に結ばれたと受け止めているが──
遠坂時臣との間に生まれた二人の娘、凛と桜。娘たちは
類まれな魔術の素質を持って生まれた。それゆえに
大きな宿命を背負っているものの、両親の愛に守られ、
遠坂の魔道に示された大道を堂々と歩めるはずであった。
いや、歩んでいた。
 にも関わらず、雁屋の歪んだ観念論は実在を凌駕した。
「救わなきゃ……。現実の凛ちゃんと桜ちゃんを救わなきゃ
いけないんだ。凛ちゃんは時臣の野郎に毎夜毎夜の虐待を
受けている。あの小さな背中に魔術刻印の刺青を刻まれて
いるんだ。どんなに泣き叫んでも助けは来ないんだ。
そして、桜ちゃんは間桐の蟲蔵で体を蝕まれている。
あの忌まわしい蟲共に白い肌も黒い髪もかじられて、
あまつさえ純血を──あああ!」
 雁屋は万年筆を振りかざし、原稿用紙の山に突き立てる。
青黒いインクが濁濁と滴り、手垢にまみれた机に
またひとつ染みを増やした。ちなみに、この万年筆と
原稿用紙はいわば雰囲気作りのアイテムであり、
実際の執筆活動は富士通の傑作ワープロ「オアシス」で
行なわれていた。親指シフトのスピード感なくして、
雁屋の迸る劣情と妄想を書き留めることは叶わなかったのである。

44 :
「書いても書いても、こんな妄想を何巻書いても、
現実の凛ちゃんと桜ちゃんは救われない! 
なのに俺は、書くことしかできないんだ!」
 雁屋の妄想はさておき、現実はどうであったか。
凛はまだ魔術の手ほどきを受け始めたばかりであり、
魔術刻印の移植もなされていない。桜は間桐の家に
養子に出されたものの、いまは蟲さんたちと
なかよしになる時期である。こらー服のなかに
入ってきちゃ駄目だよ蟲さーん、くすぐったいよぉ……ああん!
などと、桜と蟲たちはたわいもない触れ合いを楽しんでいる。なんと羨ましい。
「せめて桜ちゃんだけでも間桐の家から奪い返してやる……
そのためにはもっと売上が必要なんだ。
もっともっと萌えるシチュエーションが、
萌えるセリフが必要なんだ、なのに俺は、
こんな凡庸な萌えシチュしか思いつかない!
この手がヌルいエロシーンしか書かない!
もっと発禁ギリギリに迫るロリっ娘ご奉仕Hシーンを
書かないと売れないんだ、なにがおはようのチューだよ!
働け、働け俺の右手!」

45 :
 突然、雁屋が右腕を抱き抱えてうずくまった。
いつもの邪気眼発作ではない。焼けるような痛みが
右手の甲を這い回っていた。
「うぉぉぉお! 俺の右手が光って唸る!
 時臣をせと轟《とどろ》き叫ぶ!」
 この叫びを耳にした通りすがりの某監督が、
ガンダムファイターの決め台詞として引用したのは
また別の話である。しかしともかく、雁屋の右手には
三画の魔術刻印が宿ったのだった。
「これは……これはまさか令呪? 俺に令呪が宿ったのか?」
 万能の願望機への挑戦権。あるいは魔道を競う地獄への招待状。
その証たる令呪の意味は、「始まりの御三家」たる間桐の家を
逃げ出した雁屋には十分すぎるほどわかっていた。
「聖杯か! お前ならあの二人を救える。いや、葵さんも救える!
俺と凛ちゃんと桜ちゃんと葵さんで人生をやり直せる!
 そうだろう? そのために俺を選んだんだろう? 聖杯よ!」
 次回の聖杯戦争の始まりはいつだ?
 前回から60年周期なら──およそ一年後か──よかろう。ならば執筆だ。
 急激に、雁屋の目から熱狂が消えた。すでにその頭脳は
冷徹な計算を始めていた。
 聖杯が俺を待っている以上、こんな妄想にはもう用がない。
──しかし出版社を、なによりも読者を裏切るわけにはいかない。
全てのものから逃げ続けてきた俺だが、
この『家出魔術師はちいさめ新妻二人に挟まれてもう大変(嬉)』
だけは逃げたくない。おれはこの『ちいさめ』を完結させ、
真正面から聖杯戦争に殴りこむんだ。
 ならば、どうすればいい、雁屋?
 まず原作は次々巻の9巻で完結させる。そして現在進行中の
アニメ企画にも、ほぼそのまま使える台本を渡す必要がある。
「クソっ。一年しかないのか。短い、短すぎる──」
 雁屋は己の指を鞭にして、オアシスを打つ。
差し迫った7巻の〆切に、そして書き溜めるべき
8巻9巻の原稿に向かって。すでに一刻の猶予もない。
ただひたすらに奔《はし》らねばならない。
雁屋の指は限りなく加速していった──。
 一年後。
 全ての執筆を終えた雁屋の髪は、老人の如き白髪になっていた。
キーボードを殴り続けた指先はその感覚を失った。
一日21時間古畳の上に座り続けた足は跛足となり、
引き摺らねば前に進めない。右脳で妄想の世界を見ようと
見開き続けた左目は白内障を患い、ほとんど視力を失っている。
 しかし、それでも。雁屋の顔は、力なく開いた唇から、白い歯を覗かせていた。
 ──まるで、天国に向かう亡者のように──

46 :
今回はここまでです。ご意見ご感想をよろしくおねがいします。
 【次回予告】
蟲より恐ろしい〆切に体を蝕まれ白髪隻眼となった雁屋のおじちゃん。
しかしその右手には令呪が宿っていた。
その妄執は透徹した綺礼の理性《リセイ》すら焼き焦がし、
果てしない凶行の連鎖が広がっていく──。

47 :
あっ。おじちゃんの名前「雁夜」じゃん。「雁屋」じゃないじゃん。
こ、今後は訂正しますねっ。

48 :
半身不随の理由が駄目人間過ぎるww

49 :
ロリアサシンの登場が今から楽しみだw

50 :
>>48 仕事で体を壊しただけなのでとても真人間ですよ?
>>49 アサ子。ご期待ください。

51 :
 その偽りの名は間桐臓硯。蟲の塊で偽りの肉体を作り、
500年を永らえてきた妖怪である。彼は間桐家の当主で
ありながら、間桐の一族に刻印虫を植えつけ、魔力を搾取し続けてきた。
 その残忍にして非道な魔道から逃げ出した男が、今、冬日の下に門を叩く。
「爺《じじい》! お望みの令呪を持ってきてやったぞ! 桜を返せ!」

52 :
 今日は真冬日の予報なので、臓硯おじいちゃんは桜ちゃんに
「今日はお家で遊ぼうね」と言いました。桜ちゃんは
「じゃ、シルバニアファミリーね」と言いました。
暖炉の前で臓硯おじいちゃんと桜は仲良く遊んでいます。
「おじいちゃん。クマさんがひとりだから寂しいなあ。
クマさんのお父さんも買ってくれる? クマのお父さんは
おじいちゃんによく似てるんだよ」
「おうおう。クマさんじゃの? お父さんだけでよいのか?」
「うーん。でも、お父さんがいるなら……お母さんも……」
「わかったわかった。お母さんも買ってあげるからのう。桜」
「わあい! おじいちゃん大好き!」
 臓硯のくそじじいに抱きつく桜ちゃん。でもその目はぜんぜん
笑っていません。干からびたお顔がばきりと割れそうなほど
顔をくしゃくしゃにして笑う臓硯おじいちゃんは、そんな
桜ちゃんの頭をなでなでしてご満悦です。
桜ちゃんは、7歳にして老人を完全に制御する技術を
体得しています。なんと末恐ろしい子供でしょう。

53 :
 どんどん。どんどん。誰かが門を叩いています。
「おじいちゃん。誰かが門のところにいるよ?」
「桜。たぶん新聞の勧誘じゃろう。蟲が一番、もとい、無視が一番じゃよ」
 臓硯おじいちゃんのジョークはセンスが500年前です。
さすがの桜ちゃんも、一瞬目から光を失ってしまいました。
まあ、元々が目ですけど。
「ねえ。おじいちゃんは耳が遠くなったの?
 『じじい! 俺だ!雁夜だ! 令呪を持ってきてやったから桜を返せ!』
って絶叫してるよ? アレがオレオレ詐欺じゃなかったら、
ほんとうに雁夜のおじさんなんじゃないの?」
 じじい!と、お外の叫び声を真似する一瞬、桜はほんとうに
嬉しそうなお顔をしました。でも、目を伏せていた臓硯おじいちゃんには、
桜の顔は見えなかったのです。
「わしの息子は鶴野だけじゃ。雁夜はもうこの世にはおらん……」
「おじいちゃんがまた過去にタイムスリップしちゃった」
 臓硯おじいちゃんは500年も生きているので、
回想モードに入ると二時間は帰ってきません。
「いいもん。私ちょっとお外見てくる」
 桜ちゃんはお外の様子を見に行きます。
あ、風邪を引かないようにちゃんとコートを着ましょうね。マフラーも巻いたかな?

54 :
「臓硯! 間桐に巣食う寄生虫め!」
「くそっ。門を開けないならこちらが乗り込むまでだ」
 雁夜は枯蔦を掴むと、やおら煉瓦の外壁を登り始めた。
蔦を握り締める掌を逆刺が刺す。煉瓦の粗面が膝を削って、
青い芋ジャーを赤紫に滲ませる。
一歩、また一歩と登るほどに、雁夜の顔は歪んでいく。苦悶と喜悦をないまぜに歪む。
そうしてようやく壁の頂に差し掛かり──
 ──雁夜は、生家に帰還を果たした。顔面から。
 無理もない。雁夜は令呪を授かってから一年の間、
古畳に生えた菌類のように運動と無縁に生きてきた。
その肉体は歩くだけでも息を切らすほど衰弱を極めていた。
それゆえ、たかが2メートルの壁登りでも、雁夜にとっては
アイガー北壁に挑むに等しい極限行であったのだ。
満身創痍になりながら壁を登りきり、己の生家から、
愛しい桜が囚われている魔城から、歩み出てくる桜を目にした、その瞬間。
安堵が雁夜の意識を断ち切ったのだった。
「おじいちゃーん! なんか白いゴミみたいな人が倒れてる!」
 雁夜は幸いだった。その言葉を聞くことはなかったのだから。

55 :
今回短いですがここまでです。
次回はいよいよバーサーカー召喚。まさかの超展開が来るで!来るで!

56 :
新年あけましたおめでとうございやがります。連載再開です。
 呪われた生家への帰還を果たした間桐雁夜。
目を覚ました彼を待っていたのは、待ち望んだ桜の黒い大きな瞳──
「おぉ。黄泉《よみ》返りよったか。『息子』よ」
 ──ではなく、恨み続けた老人の双眸だった。
黴臭く薄暗いこの部屋においても、雁夜がその
憎むべき貌《かお》を見間違うことなどありえなかった。
「臓硯! 貴様ァっ──」
 雁夜は寝台を蹴って飛び起き、やおら老人の胸倉に掴みかかった。
否。飛び起きられた。掴みかかることができたのだった。
──飛び起きた、だと? 俺が?──
 雁夜の体は、今朝までは確かに満身創痍、半死半生の
体《てい》であった。それが今では総身に血が滾《たぎ》り、
力が漲《みなぎ》っていた。人の目には暗すぎるはずの
この部屋でさえ視力に不自由はなく、壁のひび割れや
床の敷石までが見渡せた。
 軽すぎる身体が雁夜の内に疑念を生じ、
鋭敏すぎる五感が確信へと変えた。──誰かが俺の体を
弄った。いや、そいつは目の前のこの老人以外にありえない──。
ならば、俺の体は、最も憎むべきアレによって、作り変えられてしまっているのか。

57 :
「俺に、『蟲』を入れたか、臓硯!」
「おうおう。効いておるのぅ。確かに入れた。たんまりと入れておいたぞな。儂《わし》の可愛い蟲たちをな」
「ふざけるな!」
 その拳は、確かに皺面を撃ちぬいたはずであった。
しかし、臓硯の矮躯《わいく》は風になびく蒲の穂のごとく、
ふわりと雁夜の拳を躱した。そうして、湿った音を立てて蟲蔵の床を踏んだ。
「元気になったのが嬉しいからといって、はしゃぎすぎじゃぞ雁夜。
ま、これでおぬしの願いも叶うのじゃから、無理もないがな」
「誰が頼んだ! こんな、おぞましい蟲を──」
 雁夜の膝関節で蟲がうごめき、両足の腱を切られたかのように
がくりと膝をつく。左目の視界は失われ、残る右目も闇に塗り
つぶされて何も見えなくなった。
「蟲を怒らせてはいかんぞ、雁夜。お主の体はすでに死人も同然じゃった。
それを蟲との共生関係で生き存《ながら》えさせておる。蟲に感謝こそ
すれ、恨む筋合いはないのではないか? ん?」
 臓硯は杖を片手に顎をしゃくる。雁夜は見えない目で声の主を睨み返した。
 蟲に感謝だと? それはつまり、貴様に感謝しろということか、臓硯──。
「そもそも雁夜。おぬしは令呪を授かりながら、なぜ里帰りなどしたのかの? 万能の願望機への挑戦権を得たのであれば、直截《ちょくせつ》に聖杯戦争に名乗りをあげ、ただその勝利の証、聖杯をもって願望を成就すればよいだけであろう」
「それは──」
「本当はおぬしもわかっておるのじゃろう。我が間桐の援護なしには、
すなわち蟲の力を借りねば、おぬしは召喚の儀式すら果たせずに
死ぬと。のう雁夜?」
 雁夜の腿から腰、背から首、顎から脳天へと蟲が這う。
左目は再び光を取り戻し、令呪を宿した右手はしかと握られる。
臓硯を、その背後の壁を這いまわる蟲共を睨みながら、雁夜が告げる
「ああそうだ臓硯。俺は蟲の力を借りに来た。
そして、貴様から桜を取り返しに来た! 文句があるか!」
「いんや。儂は大満足じゃぞ? では、早速儀式に入ろうかの。
今宵は久々に楽しめそうじゃ」
 嗄《しゃが》れた笑い声が蟲蔵に響いた。

58 :
「――されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――」
 えー。儂じゃ。間桐臓硯じゃよ。桜のおじいちゃんじゃよ。
 いやー今日はビックリじゃった。雁夜のバカ息子が久々に
帰ってきたと思いきや、なんとビックリ、令呪まで授かって
きよりおった! おじいちゃんモーびっくりして、いつもより
多めに失禁しちゃったもんね。あ、桜には秘密じゃよ?
 で、その雁夜にいささか以上に魔力が足りないナーと思って
ちょっと蟲さんたちを入れてあげたら、もうビンビンにお盛んに
なっちゃって。やっぱり若いっていいナー。儂(500歳)も
もう300歳ぐらい若かったらビンビンなのにナー。なんちて。

59 :
「――汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
 あ、そろそろ召喚儀式が終わっちゃうナー。何がでるかナー。
 いや、儂もね? 雁夜のバカ息子の勝率を微粒子レベルでも
いいから上げてやろうと思って「バーサーカーのクラス補正で
パラメーターの底上げをしたらいいんじゃなイカ?」なんて
小粋なアドヴァイスをしてやろうと思っておったんじゃが、
雁夜の方から「俺の僅かな魔力で勝つには邪道しかあるまい。
バーサーカーを喚んでやる。よもや異論はあるまいな?」
なんて言われちゃったもんじゃから
「アサシンは魔力消費も少ないし、マスターしに徹すれば
番狂わせもあるんじゃないかのー」とか、「キャスター喚んで
さらに召喚獣とか呼んじゃえば、ある意味反則じゃから
何でもアリじゃぞ?」とか、ちょっとヒネたことを言っちゃった
もんだから、雁夜のバカ息子に「うっさいだまれじじい! 口が臭いんだよ!」とか
ひどいことを言われてしもうて、儂はもう涙目で背中を見守る
ことしかできんかった。ちゃんと毎日ポリデントしてるのに。
 あーあー。なんかいかにも狂戦士って感じの、くらーい甲冑野郎が
出てきてしもうたワイ。たしかに強いかもしれんが、勝っても楽しくないじゃろ
コレは。「せ」→「ガオー」→勝利、「せ」→「ガオー」→勝利ってな
パターンゲーに終始するだけぞな。あーあー。60年に一度のお祭りが
こんな作業ゲーになってしまうとはの。
おじいちゃんはガッカリして老け込んじゃいますよ?

60 :
 お、おい? 雁夜?なぜサーヴァントを殴っておる?
 泣きながら殴っておりますかホワイ?
 素手で鎧を殴ったら痛いですよ?
 え?「なぜ世界を救う俺の戦いに美が召喚されない!」ですと?
 やー雁夜。そら無理じゃぞ。なんせバーサーカーを喚んじゃった
のじゃから。むくつけき大男が召喚されると相場は決まっておろう。
バーサーカーも無理難題を押し付けられて可哀想──っておい。
なにを膝ついて臣下の礼を取っていますかホワイ?
 もう全然わからないから、臓硯おじいちゃんお得意の
ムシムシ読心術でバーサーカーの心を読んじゃいますよ?
 なになに?「かのお方にもこのように怒りをもって
罰して欲しかったものだ。マスターの怒りは理不尽極まりないが、
たしかに人間の、愛すべき人間の感情だ。ならば私は、
このマスターの剣となってこの戦争に勝利をもたらそう」ですと?
 あのー。クラス間違えてませんかバーサーカーさん?
 そういうのはセイバーとかランサーのサーヴァントが考えることですよ?
 なんだか健気さまで感じて、おじいちゃんもちょっと応援したくなっちゃいますよ?
 あ、雁夜くん? なんで令呪なんか使おうとするのかな?
 バーサーカーも従順みたいだし、まだ戦いも始まっていませんよ? ねえ。

61 :
「令呪を持って我が傀儡に命ずる。
黒髪ロングで無口系だけどご主人様大好きが行き過ぎちゃって、
ちょっとヤンデレ気味の美にその姿を変え、恒久にその姿を保つべし──」
 ちょっとちょっと雁夜くん?
 召喚直後に変身スキル『己が栄光のためでなく:フォー・サムワンズ・グローリー』の
存在を見極めたのは偉いけど、令呪を外見の変更のためだけに使っちゃうのはどうなのかな?
 あ、なんか可愛くちいさくなっちゃいましたねバーサーカーちゃん。
剣とか持てるのカナ? ちゃんと聖杯戦争できるのカナ?
「ふふっ。バーサーカーちゃん。ようやく本当の姿になってくれたんだね。
僕のことは『おじさま』って呼んでね。じゃ、よろしくね!」
「オジ……サマ?」
 雁夜……。おぬしの笑顔など見るのは何年ぶりかのう。
心底幸せそうにバーサーカーちゃんの黒髪をなでなでしておるのう。
では、バーサーカーちゃんはおぬしにあげるから、儂は桜と
らぶらぶ孫ライフを送りますからの?
「さあバーサーカーちゃん。いっしょに桜ちゃんをそこのクソジジイから取り戻そうね!」
「ジジイ……コロス?」
「こらこら。怖い言葉を使っちゃだめだよバーサーカーちゃん。
していいのは時臣だけだからね」
「トキオミ……ワカッタ……」
 あっ。バーサーカーちゃんがこくんこくん頷いとる。
かわいいのう。いや、桜の可愛さを100としたら98程度じゃから、
桜には全然敵わない可愛さじゃけどな!
「このロリコン共……」
 召喚の儀式からの一連の凶行を盗み見していた少女、桜。
 彼女の心にまた一つ、黒い想い出が刻まれたのであった。

62 :
今回ここまでです。
ロリアサシンどころかロリバーサーカーが出てきてしまいました。
狂化のレベルが低めなので片言で会話ができます。
ご意見ご感想などよろしくお願いいたします。

63 :12/01/01
あけおめですー
多めに失禁てwww
こんなにお茶目なゾォルケン…ありだと思います!
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