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2012年5月社説74: 原発の安全な再稼働へ首相の責任重い :日本経済新聞 (116)
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原発の安全な再稼働へ首相の責任重い :日本経済新聞
- 1 :11/06/02 〜 最終レス :12/03/06
- 2011/6/1付
定期検査のため停止中の原子力発電所で地元自治体や住民が安全性に懸念を強め、運
転再開の見通しが立たない。このままでは1年以内に国内に54ある原発がすべて止ま
り、電力危機が全国に広がりかねない。
電力不足は経済全体に大きな影響を及ぼす。政府は危機感をもち、東京電力福島原発
を除く44基について安全性を総点検する体制づくりを急ぐべきだ。異例の政治判断で
中部電力浜岡原発の運転停止を求めた菅直人首相の責任は重い。
九州電力の玄海原発2、3号、関西電力の高浜1号などは定期検査を終えて、本来な
ら3、4月に運転再開の予定だった。しかし、地元自治体が「安全確保の説明が不十
分」と反発し、再開の見通しが立たない。中国電力も来年3月に予定していた島根3
号の運転開始を延期した。
再稼働が宙に浮いた原発は6電力会社・11基に及ぶ。原発は13カ月ごとに定期検査を
義務づけられており、いま稼働中の19基も来年夏までに止める必要がある。国内の発
電量の約3割を担ってきた原発のすべてが止まれば、全国規模で計画停電を余儀なく
される。
今後のエネルギー政策で原子力をどう位置づけるのか、政府が展望を示していないこ
とが地元の不信の根底にある。それに加えて、菅首相の要請で浜岡原発を全面停止に
したことが、他の原発の再開に響いていることは否めない。
首相は「東海地震の想定震源域の真上にある浜岡は特別」と強調した。この考え方は
理解できるが、説明不足だ。浜岡以外の原発の地元は、かえって「地震や津波への備
えは大丈夫か」と不安を募らせている。
「安全性が確認されれば稼働を認めていくことになる」と首相は述べているが、人ご
とのような説明では困る。浜岡原発を自身の要請で止めた首相は、他の原発の安全確
認でも自ら地元に出向き、自治体や住民の理解を求めるぐらいの覚悟が要る。
菅首相や海江田万里経済産業相は原発の安全規制を所管する原子力安全・保安院を経
産省から分離する方針も示した。原子力の推進を担ってきた経産省の中に規制役の保
安院が置かれていることは、これまで地元自治体の強い不信を買ってきた。
保安院の独立は推進と規制を分離する観点から当然であり、地元の協力を得るために
も欠かせない。だが、停止中の原発の運転再開のお墨付きを新組織が与えるのでは、
時間がかかりすぎる。原子力安全委員会を刷新するなどして、安全性の総点検を急ぐ
べきだ。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE0EBE7EAE1EBE6E2E2E3E2E4E0E2E3E38297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
- 2 :
- ■人民日報と提携するような恥知らずな中国御用達新聞=日本経済新聞
5月14日、東谷暁氏、中野剛志氏、三橋貴明の共著
「「TPP開国論」のウソ 平成の黒船は泥舟だった」 が飛鳥新社から発売に
なりました。お蔭様で出足は好調だそうですが、飛鳥新社が本書について、
日本経済新聞に広告を出そうとしたとき、事件が起きました。
広告は、5月20日に朝日新聞、日経新聞に掲載される予定だったのですが、
朝日新聞には普通に載りました。
ところが、日経新聞は広告掲載を拒否してきたのです。
問題になったのは、「大マスコミの情報隠し」と「悪質なデマ」の二箇所です。
この二箇所について修正しろと、日本経済新聞は代理店を通して言ってまいりました
(相手側担当者は匿名のまま)。
そこで、飛鳥新社側は二段階にわたって譲歩し、「メディア上の情報の偏りを糺し」
「悪質な開国論」に修正すると伝えましたが、日経は最後まで譲ることはなく、
掲載拒否となってしまいました。
飛鳥新社は、代わりに23日に読売新聞で全5段の上記広告を打つ予定になっています。
朝日や読売は、飛鳥新社側に審査で何も言ってきませんでした。
日経だけが、広告ですら紙面に異論を許さないという姿勢であることに、飛鳥新社及び
三橋は心底から疑問を感じております。
日本経済新聞がTPPを推進していることは、周知の事実です。だからと言って、
自分たちに異論を述べる広告の掲載を拒否するとは、とてもではないですが
「公器」などと名乗る資格はないでしょう。
- 3 :
- 電力自由化だの発送電分離だの言う前に管にはやるべき大仕事が山ほど残ってんだろうが
まずはこれだけの迷惑を掛けた東電に土下座
責任を擦り付けた清水社長にも個人的に土下座
人が住めなくなった福島で土下座
着工まで後一歩だったのに原発拒否に転じた青森で土下座
運転開始が無期限延期になった島根で土下座
日米政府が10年掛けて築き上げたガラスのような信頼関係をぶち壊した鳩山の後継者として沖縄で土下座
総理の地位に一日でも長く居座りたいなら権限外の事にパフォーマンスで口出しするのではなく
自分のやるべき仕事をまず一つ一つ片付けてから辞めろよ
- 4 :
- 青森県知事選 原発の信頼回復の足がかりに(6月6日付・読売社説)
原子力の安全性が確保されるのであれば、国策への協力を続けていい。青森県民はそう選択
したと言えよう。
青森県知事選で、原子力発電所の新設を条件付きで容認する、自民、公明両党推薦の現職三
村申吾氏が、民主、国民新両党推薦の山内崇氏らを大差で破って、3選を果たした。
青森県は、東日本大震災の被害を受けた。東京電力福島第一原発の事故は、下北半島に原子
力施設が集中する青森県内にも不安を広げている。
既設は、東北電力東通原発1基だが、建設・計画中は4基と全国で最も多い。4月の余震で
は、東通原発への外部電源が一時止まった。六ヶ所村には、原発の使用済み核燃料を再利用
するための再処理工場もある。
原子力政策が、知事選の争点の一つとなったのは当然だ。
三村氏は、「安全なくして原子力なし」と主張した。原発などの安全対策を検証する専門家
委員会を設けることで、県民の懸念払拭に努めたいとの考えを示した。
三村氏の2期8年間の実績に加え、原子力の安全対策を重視する現実的な姿勢が支持された
のだろう。「計画中の原発凍結」を訴えた山内氏は、及ばなかった。
大震災後、原発が立地する北海道、福井、島根、佐賀の各知事選では、原子力政策が勝敗を
決する争点にならなかったにせよ、原発を容認する現職が当選した。
懸念されるのは、菅首相の要請で静岡県の中部電力浜岡原発が停止した後、全国で原発の安
全性に不信感が高まっていることだ。
政府と電力各社は、原発の安全対策の見直しを急ぎ、確実に実施していかねばならない。
万一の事故に備えた原発周辺住民の避難体制も再検討すべきだ。定期点検後の原発の運転再
開に向けた環境を整える必要がある。
民主党は最近、地方選で敗北を重ねている。菅政権の失政や迷走が影響しているのだろう。
菅政権には、原発事故対応や震災復興を任せられないと考える人も少なくない。
読売新聞の先週末の世論調査で「原発事故をめぐる政府の対応を評価しない」とする人は7
3%に達した。64%が、政府の復興対応を「評価しない」と答えた。
有権者の厳しい視線が、地方選での民主党の退潮を加速させていると見るべきだ。
(2011年6月6日01時27分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110606-OYT1T00072.htm
- 5 :
- ドイツ「脱原発」 競争力揺るがす政策再転換(6月7日付・読売社説)
ドイツの産業競争力を奪いかねない重大な政策転換である。
ドイツ政府は6日、既存の原子力発電所17基を2022年までに全廃することを決めた。
1980年以前に建設された古い原発など現在運転停止中の8基をそのまま停止し、残りは
稼働期間32年をメドに順次停止するという。
中道左派連立政権が2002年に法制化した「脱原発」政策への回帰である。
メルケル首相率いる現在の中道右派連立政権は昨秋、従来の脱原発政策を転換し、原発の稼
働期間を平均12年延長する方針をいったん決めた。風力など自然エネルギーでは必要な電
力を賄えない、との判断からだった。
それをわずか半年余りで再度転換したのは、東京電力福島第一原発の事故がドイツ国民に与
えた衝撃の大きさを物語るものだろう。事故後のドイツ地方選で、原発早期廃止を訴える環
境政党が大躍進し、連立与党は敗北を重ねた。
原子力は、ドイツの発電量の2割強を供給する重要なエネルギー源である。脱原発で生まれ
る不足分は、当面は火力発電所の増設などで、将来的には自然エネルギーの拡充で埋めると
いう。
だが、その道程には不確定要素が多い。
増強をもくろむ風力発電はバルト海沿岸など北部に集中し、南部への送電網の建設に多額の
投資が必要だ。自然エネルギーの高コスト体質に拍車をかけかねない。
自然エネルギー特有の供給の不安定さもつきまとう。
ドイツ産業界が競争力の喪失を懸念する所以(ゆえん)である。ドイツは欧州経済の牽引(けん
いん)車だけに、欧州全体の景気も左右されよう。
ドイツが脱原発へと舵(かじ)を切れるのは、陸続きの周辺諸国から電力を輸入できるからだ。
現に今、電力の8割を原発に依存するフランスや旧ソ連型の原発が稼働するチェコから輸入
している。
原発廃棄は決めても、原子力に由来する電力に頼る構図は変わらない。自国の原発技術の売
り込みも続けるという。ご都合主義の側面も否めない。
世界の趨勢(すうせい)を見れば、中国やインドなど多くの国が、増大する自国のエネルギー
需要の供給源を原発に求めている。
島国の日本も、ドイツとは事情が異なる。電力を隣国から買うことはできない。産業競争力
を維持するうえで、安全性を高めて原発を活用していくことが、当面の現実的な選択である。
(2011年6月7日01時17分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110606-OYT1T01283.htm
- 6 :
- 原発検査停止 政府は運転再開へ全力挙げよ(6月10日付・読売社説)
東京電力福島第一原子力発電所の事故で深刻化した電力不足が、全国に拡大する事態は避け
なければならない。
定期検査のために原子炉を一時停止した原発の運転再開が難しくなっている。
福島原発の事故をきっかけに、原発への「安全神話」が揺らぎ、運転再開を見送る動きが広
がったためである。
さらに、菅首相が中部電力に対し、浜岡原発を全面停止するよう唐突に要請したことが、混
乱に拍車をかけた。
原発を抱える14道県の知事は8日、浜岡原発だけが全面停止の対象になったことについて、
安全基準などの判断根拠を、政府が責任を持って自治体に示し、国民にも説明するよう重ね
て要請した。
実際に、関西電力の美浜原発1号機や九州電力の玄海原発2、3号機などは依然として、安
全の確保を理由に運転再開を延期したままである。
懸念されるのは、稼働中の原発も次々に13か月ごとの定期検査に入るため、国内の原発5
4基すべてが、来夏までに停止に追い込まれかねないことだ。
全国の電力供給の3割を担う原発が止まれば、生産の減少や消費の冷え込みによって、震災
で減速した景気が腰折れしかねない。
生産拠点の海外移転による産業空洞化も加速し、復興への足かせとなる。
政府は、電力不足を火力発電で補う場合、燃料費は年間3兆円も余計にかかると試算するが、
短期間に代わりの発電施設を確保することへのハードルは高い。
震災を受けて、政府は新成長戦略の見直しに着手し、エネルギー戦略の柱に原子力の安全性
向上を掲げた。その判断は妥当だ。
やはり、安全を確認したうえで、検査の終わった原発の運転を再開することが必要である。
政府は国際原子力機関(IAEA)に、原発の安全強化策を実施すると約束した。緊急に対
処すべき措置と中長期的な課題を整理し、着実に対応すべきだ。
海江田経済産業相は、原発の地元の知事らに、運転再開への理解を求める考えを強調してい
る。
当面、どのような安全策を講じれば原発の運転再開が可能となるか、きちんと説明責任を果
たすことが再開への第一歩となる。
政府はエネルギー安定供給に向け、全力を挙げねばならない。
(2011年6月10日01時12分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110609-OYT1T01151.htm
- 7 :
- IAEA報告書 教訓を世界の原発向上に
2011.6.5 02:53
東京電力福島第1原子力発電所事故から、世界の原発への教訓を導き出すために来日した国際
原子力機関(IAEA)の調査団による報告書素案が日本政府に示された。
専門知識を持つ作業員が困難な現場で献身的に事故に対応していることを高く評価する一方で、
「津波に対するリスク評価が過小であった」ことなどを指摘する内容だ。
日本と世界の原子力発電のさらなる安全性向上を実現するための貴重な分析といえる。前向き
に受け止め、改善を急ぎたい。
再認識しなければならないのは、日本が世界有数の地震国であるということだ。今回の大津波
で大破した4基をはじめ、狭い国土に54基の原発が密集している。
調査団の報告書は、原発の安全には「あらゆる自然災害のリスクに対する防備」が求められ、
そのためには「最新情報などを反映した安全性評価の定期的な更新が必要である」と明記して
いる。
耳の痛い指摘だ。東北地方の太平洋側は千年間隔で大津波に襲われていることが近年、明らか
になりつつあった。その知見を採用して電源車を配備するなどの対策を講じていれば、これほ
どの事故にはならなかったはずである。
また「原子力規制機関の独立性と明確な役割」についても改善が求められた。経済産業省に同
居する原子力安全・保安院のあり方を速やかに見直す必要がある。
福島事故は、原発保有国や原発に期待する世界の人々を動揺させた。そのあおりで原発離れが
広まると原油価格が高騰し、経済不安の火種になりかねない。
菅直人首相は自然エネルギーを重視しているが、日本が脱原発を急いでいるとの誤解を世界に
与えないための配慮が不可欠だ。
そのためには、定期検査後も停止したままとなっている国内の複数の原発の再稼働を国の責任
で行うべきだ。それは今夏の電力不足の不安解消にもつながる。
報告書は、日本が包み隠さず事故調査に協力したことを冒頭で述べている。IAEAの理解と
期待に応えるためにも、安全運転を通じて原子力発電の有用性を世界に示す努力を続けたい。
7日には政府が設置した「事故調査・検証委員会」の初会合も開かれる。事故を起こした国の
責務として、再発防止に向けて問題点の徹底的な摘出が求められる。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110605/dst11060502530002-n1.htm
- 8 :
- ドイツの脱原発 実態知らずの礼賛は禁物
2011.6.8 03:16
ドイツの脱原発が決定的になった。6日の政府閣議で正式合意に達したためである。同国
内にある17基の原発は2022年までに全廃される。
福島第1原子力発電所事故を契機に、世界で急速に高まった反原発世論に押された結果の
エネルギー政策の大転換だ。
日本国内にもこの方向転換を評価する声がある。だが、手放しの脱原発礼賛は禁物だ。ド
イツ経済や国民生活などへの影響を慎重に見極めたい。
環境先進国を自負するドイツの国内でさえ、産業界から憂慮と懸念の声が上がっている。
産業用の電気料金は既に高くなっており、脱原発でさらなる高騰が避けられないからであ
る。同国の産業競争力の低下は欧州連合(EU)全体の景気低迷を招きかねない。
原子力発電の特長は、安い電気を安定的に生産・供給する力があることだ。福島事故とそ
のあおりで、日本国内の原発は3分の2が停止している。各電力会社は火力発電の量を増
やして代替しているため、燃料代がかさんでいる。
原発の停止状態が継続すると国内9電力の負担増は、年間2兆円の規模となる。この巨費
が料金増に転嫁され得ることを、国民は見落としてはなるまい。消費税率アップに換算す
れば、約1%増に匹敵する規模である。
ドイツの脱原発は一国の選択としては尊重すべきだが、同時にドイツのエネルギー事情の
実態を知っておくことが必要だ。ドイツは電力の約半分を石炭火力でまかなっている。太
陽光発電に熱心な一面のみが伝えられがちだが、現実は違う。
これだけで驚いてはいけない。ドイツは原発停止で不足する電力を隣のフランスから輸入
するが、フランス産電力の8割は原発で作られたものである。ドイツの脱原発は「自国内
では生産しない」という名ばかりの「脱」である。
全原発の停止に踏み切ることができるのは、欧州全域をカバーする電力網が存在するから
だ。島国であり、エネルギー資源小国の日本では、こうはいかない。
福島事故を受けて日本政府はエネルギー戦略の見直しに着手しているが、安全性と安定供
給を両立させての原発堅持が不可欠だ。
ドイツの決断は、エネルギーと経済の両分野にまたがる遠大な実験だ。その足取りを、こ
れからしっかりと見届けたい。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110608/erp11060803170000-n1.htm
- 9 :
- 広がる電力不足 原発再稼働で危機回避を
2011.6.12 02:51
関西電力が管内の全ての利用者を対象に、夏場の15%節電を要請すると発表した。定期
検査を終えた同社の原子力発電所が再稼働できず、電力不足に陥るためだ。
同じ15%節電を求める東京電力や東北電力と違うのは要請に強制力がないことだが、九
州電力も同じ事情から、節電要請の検討に入っている。このままでは電力不足が全国に波
及し、深刻な危機を招きかねない。
再稼働できないのは、東京電力福島第1原発事故にともない、原発の安全性に疑念を抱く
地元の了解が得られないからだが、菅直人首相が明確な根拠を示さないまま中部電力の浜
岡原発を停止させたことも不信の原因になっている。首相は海江田万里経済産業相ととも
に自ら地元を説得して回り、電力危機を回避する責務がある。
東電と東北電管内では、節電に応じない大口需要家に強制使用制限を発動することもあり、
自動車や電機大手では当初予定された25%削減に踏み込む企業もある。
こうした東日本の電力不足に対応して、関電管内に生産拠点を移した企業も多く、関電の
節電要請による経済活動への影響は避けられない。大阪府の橋下徹知事は「根拠のない1
5%節電には協力しない」と反発している。
今後さらに深刻化しそうなのが原発の再稼働問題である。
原発は13カ月連続運転し、その後、3カ月程度の検査に入るルールが定められている。
全国には関電保有の11基を含めて54基の原発があるが、このうち計35基が現時点で
運転を停止している。
この中には、東日本大震災で停止したままの福島第1や首相要請で停止した浜岡なども含
まれるが、検査を終えながら地元了解が得られず再稼働できないままになっている原発も
少なくない。
原発の再稼働に地元の同意は法律上は必要ないが、電力会社は地元市町村や県と安全協定
を結んでおり、実質的に地元が関与している。地元との協議を電力会社に丸投げしてきた
国の責任は重い。
現状の「検査ルール」でいけば、来夏までに国内すべての原発が止まる。原発は日本の電
力需要の約3割を賄っており、全面停止となった場合の日本経済への影響は計り知れない。
震災復興にブレーキをかけ、国際的な産業競争力を失いかねぬ事態は、何としても回避す
べきだ。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110612/dst11061202510001-n1.htm
- 10 :
- 2003年って全部原発止まっていたらしいけどw
なんで停電しなかったのwwwww?
- 11 :
- 「脱原発」欧州の不安と現実
2011/6/15付
原子力発電再開の是非を問うイタリアの国民投票で、同国の国民は「脱原発」の道を選ん
だ。東京電力の原発事故を受けて、原発の安全性に不安を抱く声が広がった結果だ。
50%台の高い投票率が示すのは、一般国民の原発問題への関心の高さである。投票者のう
ち95%が原発の凍結を望んでおり、稼働再開を目指してきたベルルスコーニ首相は「原発
にさよならを言わなければならない」と敗北を認めた。
スイス、ドイツに続き、イタリアも脱原発にカジを切ることになる。だが、欧州内で同じ
機運が高まっているわけではない。フランスと英国のほかチェコやポーランドなど東欧諸
国は原発推進を打ち出している。
イタリアの投票結果の意味を判断するには、同国の国内事情を十分に考慮に入れなければ
ならない。
1986年のチェルノブイリ原発事故を受けた国民投票の結果、イタリアは90年までに、国内
4カ所の原発を閉鎖した。現在は電力の約15%を、フランスやスイスなどからの輸入に頼
っているのが現実である。
電力料金は欧州で最も高い水準であり、これがコストとなって産業競争力の足かせとなっ
ている。恒常的な電力不足を解消するために、ベルルスコーニ政権が原発の運転再開を模
索してきた経緯がある。
今回の国民投票に至るまでに、国内で長期のエネルギー政策について十分な議論が交わさ
れたとはいえない。国民は脱原発を選択したが、政府は風力や太陽光発電などで代替する
具体的な政策を描けていない。
国民投票には、不祥事が続くベルルスコーニ政権の信任を問う意味もあった。投票結果に
は、原発への不安と政治への不信が重なり合う形で映っていると考えるべきだろう。
イタリアの脱原発について、海江田万里経済産業相は「電力供給の逼迫は経済、国民生活
に影響する」と語った。その認識は正しいが、エネルギー供給の未来図を描けていないの
は日本も同じだ。
安心な暮らしや経済成長には、安全で安定した電力供給が不可欠だ。原発のあり方や再生
エネルギーの活用を含む全体像について、コスト、技術進歩、環境への影響など総合的な
観点から考える必要がある。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E2E6E0E2E6EBE2E3E7E2E4E0E2E3E38297EAE2E2E2
- 12 :
- 製造業追い込む電力不足を放置するな
2011/6/17付
定期検査中の原子力発電所が再稼働する見通しが立たず、電力需給の逼迫が全国に拡大し
つつある。円高に加え電力不足が深刻になれば企業の海外生産移転が加速しかねない。
中長期のエネルギー政策のなかで原発への依存度をどう考えるかは国民的な議論が要る。
だが当面、経済への影響を抑えるには、検査を終えた原発で安全を確保できる場合は運転
を再開する必要がある。政府や電力会社は原発の安全性判断の基準について早急に、地元
自治体や住民に説明を尽くす必要がある。
東京電力福島第1原発の事故と、政府による中部電力浜岡原発の停止要請で原発への不安
が広がっている。3〜4月に検査を終え運転再開予定だった関西電力などの原発が、自治
体から安全性の説明が不十分とされ、再稼働を認められないでいる。
夏場の電力不足の懸念から関電は企業や家庭に15%の節電を求めている。節電要請は北陸
電力も決め、九州電力も検討している。
電力不足が東電、東北電力や中部電管内以外にも波及する影響は産業界で大きい。東日本
での生産減を西日本での増産で補う予定の企業は計画の抜本的見直しを強いられる。
円高や高い法人税率に電力不足が加わり、国内生産を維持してきた企業が海外へ積極的に
生産移管し始める可能性がある。トヨタ自動車からは「日本でものづくりを続ける限界を
超えている」との声が出ている。
国際協力銀行によると、日本企業の海外生産比率は2000年度の23%から10年度は31.8%に
高まった。第一生命経済研究所の試算では海外生産比率が1%上がると製造業の就業者数
が28万人減る。海外生産移転が加速すれば雇用不安が広がる。
原発は電力供給の3割を占め、休止中の火力発電所の再稼働や太陽光などの自然エネルギ
ーでは補いきれない。当面の電力不足の拡大を防ぐには原発を再稼働させるしかない。
そのための地元への説明が現在は足りない。大地震や津波への備えは十分か、非常用電源
などの対策で事故発生の危険をどれだけ減らせるのか。政府や電力会社は安全性判断の根
拠となる基準などを丁寧に説明しなければならない。
「15%」といった節電の数値目標がどんな根拠からか明確でなく、電力会社への不信感を
招いているとの指摘もある。透明で丹念な情報開示が信頼を得る第一歩だ。
このままでは1年以内に国内で54ある原発がすべて止まる。経済も国民生活も影響は甚大
だ。政府と電力会社は危機感を強めてほしい。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E2E7E6E1EBE3E2E3E5E2E4E0E2E3E38297EAE2E2E2
- 13 :
- イタリアの選択 欧州の原発依存は変わらない(6月16日付・読売社説)
スイスやドイツに続いて、イタリアが「脱原発」の継続を選択した。
欧州ではその一方で、原発大国フランスや英国のほか、フィンランド、スウェーデン、チ
ェコ、ポーランドなど北欧、東欧諸国が原子力発電を推進している。
原発を放棄できる背景には、近隣国の原発による電力を、送電網を通じて輸入できるとい
う欧州ならではの事情がある。実態として欧州の原発依存は変わらない。
イタリアの国民投票で原発の再導入を目指す政府の方針が、94%の反対で拒否された。
ベルルスコーニ首相は「結果を受け入れる」と、原発との決別を約束した。
ドイツに比べてイタリアは、風力や太陽光など再生可能エネルギーの開発・普及が遅れて
いる。代替エネルギー開発をどう進めていくのか、イタリア政府は早急に明らかにする責
任があろう。
2008年に発足した現在のベルルスコーニ政権が原発再開を目指したのは、電力供給体
制の脆弱(ぜいじゃく)さを痛感したからだった。
イタリアは1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故後、国民投票で原発廃止の道を選
び、90年には主要国で唯一、稼働原発のない国となっていた。
だが、電力需要の15%を輸入に頼るうえ、総発電量の8割以上を占める火力発電の燃料
の高騰で、産業用電気料金はフランスの約2倍になった。隣接諸国と結ぶ送電線の事故で
大停電も経験した。
イタリアでは過去10年間、先進国では例外的に、1人当たりの国内総生産(GDP)も
労働生産性も低下した。財政赤字は膨らみ、経済は低迷している。将来、ユーロ圏経済の
波乱要因になりかねないと指摘されている。
このため、原発4基を新設し、2020年までに稼働させる方針を掲げたのだが、福島第
一原発の事故という逆風にさらされた。
原発再開を起点にしたベルルスコーニ政権の成長戦略は抜本的な変更を迫られている。も
し、イタリアが過去10年の負の遺産を解消していくことができなければ、景気回復の足
かせとなる。欧州経済への打撃も大きい。
その影響は、欧州を重要な輸出市場とする日本にも、当然、及んでこよう。
日本は震災からの復興に向け、自国のエネルギー戦略を再構築するとともに、欧州諸国の
エネルギー政策も注視する必要がある。
(2011年6月16日01時30分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110615-OYT1T01255.htm
- 14 :
- 原発と民意―決めよう、自分たちで
原発再開の是非を問うイタリアの国民投票で、反対派が9割を超えた。
ドイツの2022年までの段階的閉鎖、スイスの34年までの廃炉に続き、欧州でまた
「脱原発」の猛烈な民意が政治を突き動かした。
福島の重大事故のあと、原発への厳しい世論が広がる。
では、日本はどうか。
4月の福井や佐賀、6月の青森など、原発立地県での知事選が相次いだが、原発の存廃そ
のものを問う展開には見えなかった。「脱原発」票は行き先を探しあぐねているようだっ
た。
欧州との、この落差はいったいどうしたことか。
日本でも、菅直人首相が浜岡原発の停止を求めた。ただ、津波対策を終えるまでの時限措
置で、原発全体を視野に入れた方針転換ではない。
国会の動きも理解しがたい。どの政党も太陽光や風力など自然エネルギーの普及に賛成な
のに、自然エネルギーによる電気を電力会社が高く買い取る制度を導入する法案は、いま
だに審議入りもできていない。
これが、原発推進を国策としてきた日本政治の現状なのだ。
振り返れば、官僚ら「原子力村」の仲間で政策をつくり、安全神話と補助金で地元住民の
合意を取りつけてきた。民主、自民の2大政党とも推進派で、有権者が原発問題と向きあ
う機会が少なかったのも事実だ。
だが、いまや安全神話を信じる人は見あたらない。事故の被害は立地補助金が行き渡る自
治体の範囲をはるかに超え、子や孫の世代にまで及びそうな現実も思い知らされている。
もう黙っていられない。私たちの将来を決める選択なのだから「お上任せ」「政治しだい」
でいいはずがない。国民がみずからエネルギーを選び、結果の責任も引き受けていこう。
こんな民意が一気に集まり、うねり、各地で散発的に始まった「脱原発デモ」を全国一斉
実施にまで拡大させている。
かつてない規模で広がる「脱原発」の民意を、政党はどうくみ取れるのか。始まったばか
りの超党派の国会議員による勉強会に注目する。
だが何より大事なのは、やっと声をあげ始めた私たち有権者がもっと議論を重ね、もっと
発言していくことだ。
国民投票は容易ではないが、原発の住民投票なら、新潟県巻町(現新潟市)などですでに
経験がある。停止中の原発の再稼働を問う住民投票を周辺市町村も含めてやるのも一案だ
ろう。
自分で将来を決めるために。
http://www.asahi.com/paper/editorial20110615.html
- 15 :
- 社説:欧州の脱原発 フクシマの衝撃は重い
欧州で「脱原発」の流れが加速している。イタリアは12、13日の国民投票で原発再開
に「ノー」を突き付けた。6日にはドイツが既存の原発17基を22年までに全廃するこ
とを閣議で決めている。いずれも福島第1原発の事故が背景にある。世界に波紋を広げる
フクシマ・ショックの重さを改めてかみ締めたい。
イタリアの国民投票は57%近い投票率で成立し、原発反対票が約95%を占めた。同国
はチェルノブイリ原発事故(86年)後、国民投票で原発全廃を決めたが、他国からの電
力輸入などでコストがかさみ、ベルルスコーニ首相は20年をめどに原発を再開したい考
えだった。「原発再開法」を推進した同首相には最悪のタイミングで原発事故が起きたわ
けだ。
ドイツの場合は、「フクシマが私の考えを変えた。(事故の)映像が脳裏に焼き付いて離
れない」というメルケル首相の言葉がすべてを物語っていよう。福島の原発事故が世界の
主要国の針路を変えた。ドイツなどで環境重視の緑の党などが発言力を増し、各種選挙で
旋風を巻き起こしたことにも注目したい。
他方、欧州には事故の恐ろしさが誇張されて伝わり、ある種の「過剰反応」を引き起こし
たと主張する人もいる。独伊は「脱原発」と言いながら、原発大国フランスなどからの電
力輸入をあてにしているではないかとの見方もある。脱原発の評価はそう簡単ではない。
原発政策は、経済や政治の統合が進む欧州と、海に囲まれた日本とでは事情が違う。欧州
は欧州、日本は日本である。その欧州も、仏英などの原発推進派と、独伊やスイス、ベル
ギーなどの「脱原発」派に分かれているのが実情だ。80年にいち早く脱原発へかじを切
ったスウェーデンの議会は昨年、方針を転換する法案を小差で可決している。
だが、脱原発に踏み切った独伊の決断はあくまで尊重されるべきである。脱原発を進めれ
ば電力コストがかさんで国民負担は増えやすい。閣議にせよ国民投票にせよ、脱原発の決
断はそう簡単ではない。両国はフクシマを反面教師とし、多少の負担増は覚悟の上で「安
全」を選んだといえよう。
ドイツは「脱核兵器」にも前向きで、国内に配備されている米軍の戦術核兵器の撤去を求
めてきたことも忘れてはなるまい。
一方、米国や中国、インドは原発推進の姿勢を変えていない。中東ではサウジアラビアが
30年までに16基もの原発を建設するとの情報もある。世界の分かれ道に、どう対応す
べきか。スリーマイル島(79年)やチェルノブイリに続く原発事故の震源地となった日
本としては、将来の原発政策を腰を据えて考えたい。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110615ddm005070131000c.html
- 16 :
- 伊も脱原発 日本から流れを変えよう
2011.6.15 03:05
イタリアの脱原発が決まった。原子力発電再開の是非を問う国民投票で反対票が圧倒的多
数を獲得したためである。
ドイツ、スイスの両国も、原発の順次閉鎖を決めたばかりだ。欧州全体でみれば、フラン
スや英国など原発堅持の国が多いとはいえ、東京電力福島第1原発の事故を引き金に欧州
の一部で原発離れの潮流が勢いを増しつつある。
各国の意思は尊重したいが、正しい選択なのだろうか。持続可能なエネルギー政策である
のかどうか冷静な見極めが必要だ。
イタリアの事情はある面で、日本と似る。海に囲まれた地震火山国でエネルギー資源に乏
しい。
だから原子力発電の有用性に着目し、1960年代の半ばから商業発電を開始したが、8
6年のチェルノブイリ事故を受け、4基あった原発は90年までに閉鎖された。その後、
原子力発電の再開などを公約に掲げて当選したのが、現在のベルルスコーニ首相である。
イタリアの電力は、火力発電が80%を占めており、電力料金が高い。二酸化炭素の排出
削減にも苦しんでいる。2003年には計画停電を余儀なくされもした。
そんな状況下にあって、イタリアは再び「原発にサヨナラ」を告げた。ただし、不足分は
フランスから原子力製の電力を買って使える。そこが、外国からは電力を融通してもらう
ことができない、日本との決定的な差異である。
感性に流れる選択よりも、理性に基づく判断が必要だ。安全性を再確立して範を世界に垂
れ、脱原発の流れを食い止めるのは、事故を起こした国として日本が国際社会に果たすべ
き責務であろう。
にもかかわらず、日本国内の原発は事故機を含め3分の2が停止している。定期検査後も
地元の了解が得られず、運転再開できない原発が増えているためだ。法的根拠を欠く運転
不能は、国家の機能不全だ。菅直人首相と海江田万里経済産業相の傍観は許されない。原
発立地県を行脚し、首長に運転同意を「要請」すべきである。
このままだと、日本は、諸外国の目に脱原発路線と映る。それが第4、第5のドイツ、イ
タリアを生みかねない。脱原発の電力不足は火力発電に委ねられ、原油や天然ガスの価格
高騰を招く。エネルギー不足とコスト高は日本経済、ひいては世界経済にも悪影響を与え
かねないのである。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110615/plc11061503060004-n1.htm
- 17 :
- 再稼動して
事故が再び起きても
責任は取らないだろう
- 18 :
- 原発再開要請 地元への丁寧な説明が必要だ(6月19日付・読売社説)
定期検査などで停止している各地の原子力発電所の運転再開に向け、政府は18日、現時
点での安全対策は適切、との判断を示した。
これを受けて海江田経済産業相は、今週末にも原発立地の自治体を訪問し、検査などで止
まっている原子炉の運転再開を要請する考えを明らかにした。
東京電力福島第一原発の事故で、原発の安全性に懸念を強める自治体の説得は、これから
が正念場となる。政府には十分かつ丁寧な説明が求められよう。
今回の安全対策は水素爆発などの過酷事故を想定したものだ。
原子力安全・保安院が、原発を持つ国内11社に対し、全電源喪失といった緊急時に、中
央制御室の作業環境、通信手段などが確保できるかどうか、報告を求めた。立ち入り検査
も実施した。
3月末にも各社に安全対策を指示し、5月6日、地震と津波に対する短期的な対策は適切
だと“お墨付き”を出している。
ところが、同じ日に菅首相が中部電力浜岡原発の運転停止を要請したことが、原発を抱え
る自治体に不安を広げる結果となった。
原発のある14道県の知事は、浜岡だけを停止した根拠を政府が責任を持って示さない限
り、運転再開に同意できないとしている。
今回、政府としては、2度にわたる緊急安全対策の結果公表で、運転再開への条件は整っ
たと見ているのだろう。
だが、原発のある自治体からは、政府は浜岡の疑問に答えていない、との反発が出ている。
こうした指摘に、政府はきちんと説明を尽くさなければならない。
日本の電力事情を考えれば、定期検査を終えた原発については安全性を確認した上で、順
次運転を再開することが必要だ。
現在運転している原発も、検査で来年夏までにはすべて止まる。全国的に電力不足が深刻
化し、生産減少や消費の冷え込みが景気の足を引っ張る恐れがある。
電力コストの上昇で、企業が工場を海外へ移す「産業空洞化」も加速しかねない。
海江田経産相は、ウィーンで20日から始まる国際原子力機関(IAEA)の閣僚級会議
に出席し、福島第一原発事故の後の安全対策などについて報告する。
日本の原発の安全強化策を世界にアピールし、国際的信認を回復することが急務である。
(2011年6月19日01時20分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110619-OYT1T00072.htm
- 19 :
- 原発再稼働 首相は誠意をもって語れ
2011.6.21 02:49
東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で、定期検査の完了後も運転できない原発が増
えている。海江田万里経済産業相は、原子力発電所が立地する自治体に対し、健全な原発
の再稼働への理解と協力を求めた。
国が全国の電力会社に指示していた安全対策の実施状況を確認した上での要請だ。だが、
自治体の反応は硬い。強い反発の声さえ上がっている。国への不信感が強いためだろうが、
先進国の姿には程遠い秩序の喪失ぶりといえる。
定期検査後の原発は、国による安全性の確認を経て運転を再開できると法律に定められて
いる。それが通用しない状況は、諸外国にとって理解不能と映るだろう。
ウィーンでは、今回の事故から原発の安全性向上への教訓を引き出すことに主眼を置いた
国際原子力機関(IAEA)閣僚級会合が始まった。国によって事情は異なるが、多くの
国が安定したエネルギーを原子力に求めている。
日本の原発の安定的な運転継続は、事故国として、世界の原発利用国に対する責務でもあ
る。
電力各社が講じた安全強化策には、水素爆発の防止措置も含まれる。先にIAEA調査団
が日本政府に示した一項目だ。同調査団は津波の過小評価も指摘したが、これについては
既に非常用の電源車の配備などを終えている。
その他の安全対策もIAEA調査団の指摘に即している。にもかかわらず、自治体の長の
多くが原発の再稼働に背を向ける姿勢はいかがなものか。
「脱原発」は耳に心地よく響くかもしれないが、現実を顧みずに直進すれば「貧エネルギ
ー社会」に突き当たる。電力不足で経済や社会の機能が停滞すれば、東日本大震災の復旧・
復興の致命的な障害ともなりかねない。
安全対策の適正実施が国によって確認されたことで、健全な状態で停止中の原発の再稼働
に向けての手順は、おおむね整った。
欠けているのは、菅直人首相の誠意であろう。事故後、国民の間に原発への不安感が増し
たのは、首相の場当たり的な言動によるところが大きい。インターネット対話で、再稼働
の方針を追認するだけでは不十分だ。
中部電力浜岡原子力発電所を止めたときと同等の意気込みで、停止中の原発の再稼働の必
要性を国民に語りかけてもらいたい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110621/plc11062102490005-n1.htm
- 20 :
- IAEA宣言 原発安全に福島の教訓生かせ(6月22日付・読売社説)
世界の原子力の安全性向上に、「フクシマ」の教訓を生かす第一歩とすべきだ。
ウィーンで開かれている国際原子力機関(IAEA)の閣僚級会議で、IAEAの機能強
化を柱とする閣僚宣言が採択された。
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、宣言は、安全対策を検証する必要性を指摘
した。
国際社会の取り組みについて、原発の安全基準の見直しや、IAEAが専門家を派遣して
各国の原発の安全性を評価する新たな制度の導入を提案した。
事故時には、迅速で継続的な情報提供が重要としたうえで、緊急対処能力や訓練を強化し
ていくべきだとも強調した。
原発事故への不安は、世界各地に広がっている。IAEAが原発の監視や、安全対策の強
化に乗り出すのは当然のことだろう。
日本政府は、IAEAに全面的に協力しなければならない。国際的な原子力技術の向上に
貢献する責任も重い。
世界では原発75基が建設中で、さらに91基の新設計画がある。中国やインドなど原発
推進の新興国に続いて、中東やアジアの途上国も新規導入を計画している。
しかし、原発に関する共通の安全基準は確立していない。安全性を高めるとコストがかさ
むため、原発利用を本格化したい新興国では、規制強化への反発が強い。
IAEAは「核の番人」と言われるが、安全対策を国際的に徹底させるのは容易でない。
国際協調の重要性は一段と増している。事故時の国際救援体制の整備や、途上国に対する
原子力技術の支援なども求められる。原発を推進してきた日本は、主導的な役割を果たさ
ねばならない。
海江田経済産業相はIAEAの閣僚級会議で演説し、福島原発事故の経緯と収束への対応
を説明した。日本の他の原発では緊急安全対策を2度実施し、運転に安全上の支障はない
と強調した。
日本の取り組みに一定の理解が得られたとしても、事故を収束させねば、信頼回復は難し
い。
国内では、定期検査で停止した原発の運転再開が急務になっている。電力不足が、経済成
長とこれから本格化する復興の足を引っ張ってはならない。
政府は事故対応と安全性向上について理解を得る努力を、国内外で粘り強く続ける必要が
ある。
(2011年6月22日01時29分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110621-OYT1T01187.htm
- 21 :
- IAEA会合―原発安全の監視役に
原子力をめぐる国際社会の空気が変わった。そのことを痛感させる国際原子力機関(IA
EA)の閣僚級会合だ。
目を引くのは、いま世界に渦巻く脱原発の動きに関心を払ったことだ。閣僚宣言は、原子
力を選ぶ国がある一方で「原子力を使わないことにした国、段階的にやめるとした国もあ
ることを認識する」と明記した。
IAEAは、1953年の国連総会で当時のアイゼンハワー米大統領が「平和のための原
子力」を唱えたのがきっかけで57年に生まれた。核の番人であると同時に「平和利用の
促進」を旗印にする。その国際機関が、脱原発を無視できなくなったことの意味は大きい。
これは、皮肉にも福島第一原発事故がIAEAの役割を変えつつある、ということではな
いか。原子力開発を促すよりも、その安全を「監視」することこそが今、求められている。
一つには、脱原発の潮流が強まっても、すぐにすべての原発が止まるわけではないからだ。
動き続ける原発がある限り、大事故を防がなくてはならない。
もう一つは、新興国や途上国に、高まるエネルギー需要を満たすために原発建設をめざす
国が少なくないことだ。背景に、先進国側の原子力ビジネスの思惑もある。新しく原発に
手をのばす国の安全態勢づくりを支援しなくてはならない。
こうしたなかで、天野之弥(ゆきや)事務局長は、IAEAの国際専門家チームが、世界
中の原発の安全評価に乗り出す考えを明らかにした。たとえば無作為に選んだ1割の原発
について、原発の運転だけではなく、緊急時の対策から規制のあり方まで調べあげようと
いう構想だ。
この構想には、二つの面から期待できる。
まず、一律の基準をつくるだけでなく、原発ごとに調べることに意義がある。原発の安全
では、立地点にどんな災害リスクがあり、周辺にどれだけ多くの人々が住んでいるかとい
った自然、社会条件も考えなくてはならないからだ。これは今回、思い知らされたことで
もある。
さらに、日本のように「原子力村」が根を張る国では、外の目が評価に欠かせない。
気になるのは、この構想に立地国がどこまで協力するかだ。同意を得たうえで進めるとい
うが、原子力は国家技術の性格があるため、すんなり受け入れない国もあるかもしれない。
日本が送り込んだ事務局長の提案だ。まずは、日本政府がこの国際チームを率先して受け
入れたらどうだろうか。
http://www.asahi.com/paper/editorial20110622.html
- 22 :
- 社説:世界の原発 安全へ規制の強化を
国際原子力機関(IAEA)の閣僚級会議が、原発の安全対策強化に関する閣僚宣言を採
択した。天野之弥事務局長による5項目の安全対策も示された。
「核の番人」といわれるIAEAは、これまで核兵器の拡散に目を光らせるお目付け役と
位置づけられてきた。原発施設の安全については強制力のある権限を持っていない。
しかし、原発の安全は世界の課題である。世界には米国、フランスを筆頭に全部で約44
0基の原発がある。中国、インド、ベトナム、アラブ首長国連邦など途上国・資源国を中
心に新設計画も数多い。
大事故がひとたび起きれば、その影響は甚大で、国内だけでなく世界に及ぶ。福島第1原
発の事故を教訓に、世界の原発の安全性を高めることが急務であり、国際的な対策を迅速
に進めたい。
閣僚宣言には、事故防止策としてIAEAの役割の強化や、安全基準の見直しなどが盛り
込まれた。天野提案では、津波や地震、長期にわたる全電源喪失などを考慮し、安全基準
を1年以内に見直すとしている。
自国の原発の危険と安全性の検証も宣言に盛り込まれた。これはIAEAに促されるまで
もない当然のことだ。ただ、自国だけで評価すると甘くなる恐れは否定できず、かといっ
てIAEAがすべてを評価するのも難しい。
天野提案のように国際的な専門家チームが抜き打ち的に調査を行うのは、客観的な安全確
保のために重要な方策だろう。その際には強化された新たな安全基準で評価すべきだ。
安全基準の強化への対応は各国の思惑により分かれる。原発輸出国のフランスやロシアは
積極的だが、新たに原発の導入をめざす途上国は消極的な傾向があるようだ。
安全基準が厳しくなれば、対策強化による原発のコストがかさむ。途上国にとっては原発
導入が難しくなる。先進国でも新設のハードルは高くなるだろう。
しかし、福島第1原発の事故で明らかになったように、安全よりコストを優先させれば大
惨事を招きかねない。国民や近隣諸国の人々の命や健康、生活を脅かすだけでなく、事故
対応や賠償のコストははかりしれない。
IAEAの安全基準は加盟国に順守を義務づけているものではない。しかし、国際的な法
的枠組みを強化し、規制に強制力を持たせることが必要ではないか。
閣僚宣言は福島第1原発の事故について日本とIAEAが透明性のある包括的な評価を示
すことを求めている。世界の原発の安全のために真摯(しんし)に対応することは、事故
を起こした日本の義務である。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110622ddm005070110000c.html
- 23 :
- 原発事故でなお続く海外の不信を拭え
2011/6/25付
原子力安全の強化を話し合う国際原子力機関(IAEA)の閣僚級会議が24日までウィー
ンで開かれた。東京電力・福島第1原子力発電所の事故を教訓に、原発が安全に運転され
ているかを世界各国が相互にチェックする制度を充実するなど、国際協調によって安全性
を高めていくことで合意した。
福島の事故を契機にドイツなど脱原発を急ぐ国がある。一方で中国やインドなどは今後の
エネルギー需要を満たすため原発を増やす。ベトナムなど新たに導入を目指す国も多い。
建設中の原発は世界で75基。さらに100基近い計画がある。
この現実を見据え、人々が放射能の不安におびえる悲惨な事故を繰り返さないために、世
界の英知と努力の結集が欠かせない。事故やトラブルの情報を各国が包み隠さず国際社会
に提示し、安全にかかわる技術や知識を共有し合って、原発の安全性を高めていかなけれ
ばならない。
日本政府はとりあえずの事故調査報告を提出したが、汚染水の処理に難渋し、事故を収束
させる道筋を確約できなかった。日本へのあからさまな非難はなかったものの、非公開の
分科会では炉心溶融に至った日本の対応に質問が集中し、情報開示への不満が相次ぐなど、
国際的な不信はまだぬぐい去れていない。
福島第1の放射性物質は世界に及び、人々の不安をかき立てた。日本の情報開示が不十分
だったために、各国の対応と原子力政策のかじ取りを難しくした側面は否定できない。
IAEAの天野之弥事務局長は、世界共通の原発安全基準の強化と、基準の順守を各国が
互いに検証し合う仕組みを提案した。IAEAの専門家チームを抜き打ち的に派遣する制
度もつくる。国際協力を通じ安全性向上を狙う提案を歓迎したい。
IAEAに加盟する約150カ国はおおむね天野提案を支持するが、一部は相互検証が国家
主権の侵害につながるとの懸念も示す。立場の違いを乗り越えて、実効性のある安全確保
の体制を国際社会は迅速につくっていくべきだ。
原子力安全利用の「優等生」という日本の自負は事故でもろくも崩れた。IAEAの安全
強化策が真に世界の原子力安全につながるよう、日本は支援する責務がある。政府が設け
た事故調査・検証委員会の詳細な分析をまとめて公開し、事故の全体像を世界に知らせる
ことも重要だ。
汚染水処理、廃炉、放射性物質の除染などで独自の技術や経験を持つ国から支援の提案も
ある。日本は提案を広く受け入れるべきだ。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E3E2E6E2E3E6E2E0E7E2E4E0E2E3E38297EAE2E2E2
- 24 :
- IAEA提案 日本は潮流を読み誤るな
2011.6.27 03:25
東京電力福島第1原子力発電所の事故を踏まえて、原子力発電の安全強化策を討議してい
た国際原子力機関(IAEA)の閣僚級会合が議長総括を発表して閉幕した。
チェルノブイリに続く今回の過酷事故から導き出された多くの教訓を、世界の原子力発電
所の安全運転や事故時の緊急対応などに反映していくための合意が得られた。
日本は事故の収束に全力を傾注するとともに、透明度の高い情報発信を続けることで、世
界の不安解消に努めねばならない。それが事故を起こした国の責任だ。
ウィーンで24日まで行われた5日間の会合では、IAEAの天野之弥事務局長が示した
5項目の特別提案を軸に議論が進んだ。まずは、このことを評価したい。そうしてまとま
った議長総括には、世界の原発をIAEAの専門家チームが抜き打ち的に安全確認の調査
をする計画も含まれている。
全体として、IAEA自体の機能強化を図るとともに、国際協力の深化を通じて、安全管
理や危機管理の向上を目指す内容だ。9月のIAEA総会に向けて具体的な行動計画案が
作られる。
現在、世界の約30カ国が発電に約430基の原発を利用している。今回の事故をきっか
けに、ドイツやスイス、イタリアは脱原発の道を選んだ。だが、それは全体の1割にすぎ
ない。
大多数の原発保有国は原子力発電支持を変えていない。エネルギーの安定供給力の大きさ
を認識しているからである。急増する世界の人口を支えるためには膨大なエネルギーが必
要だ。
それに対して日本はどうだ。定期検査による停止原発が増える一方だ。菅直人首相からは
再稼働への熱意が伝わってこない。菅首相にはエネルギーの安全保障をめぐる国際情勢が
理解できていないようだ。少数国の原発離れに目を奪われて、世界全体のエネルギー潮流
に逆行しようとしている。
世界では新興国を中心に75基の原発が建設中だ。これに加えて約90基の新設計画があ
る。
原発は増えていく。その安全技術を高めていくのは、事故で世界に迷惑をかけた日本の重
要な義務であろう。IAEAによって示された原発の安全性強化策の実行の先頭に立つの
も日本の役割だ。そのための第一歩は、国内原発の早期再稼働にほかならない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110627/plc11062703250002-n1.htm
- 25 :
- 玄海原発 再稼働の動きを歓迎する
2011.6.30 02:58
原発再稼働の兆しがようやくひとつ、見えてきた。歓迎したい。
定期検査で停止中の九州電力玄海原発の運転再開を目指し、海江田万里経済産業相が地元
の佐賀県を訪れ、古川康知事や岸本英雄・玄海町長に理解を求めた。古川知事は「安全性
は確認できた」と前向きに応じ、岸本町長も「私の判断を固めさせてくれた」と、再稼働
容認の姿勢をにじませた。
ここは、菅直人首相自らが地元説得に乗り出すときだろう。
東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で、定期検査完了後も運転できない原発が増え、
全国で54基ある原発のうち35基が停止中だ。稼働可能な原発には東日本大震災後、緊
急の安全強化策が実施され、すでに国により安全性が確認されている。にもかかわらず、
地元自治体の多くが「安全確保の説明が不十分」と反発し、再稼働の見通しは全く立って
いない。
こうした中で、佐賀県の判断は他の原発立地の自治体に大きな影響を及ぼす。玄海を第一
歩に、ひとつひとつ再稼働を実現させていくことが、政府の責務である。
最大の障害は、安全性に関する国の説明が不足している点ではないか。首相も再稼働を口
にはしながら、エネルギー政策における原子力の位置付けを明確にせず、姿勢に一貫性が
ない。それが不信を招き、ひいては「脱原発」ムードを広げている。古川知事も「総理が
どうお考えかが重要だ」と、トップの曖昧な態度を批判した。
電力需要の約3割をまかなってきた原発が全面停止すれば、経済への影響は計り知れない。
5月の鉱工業生産指数は前月比5・7%上昇し、復調を見せてきた。電力供給に支障が生
じれば、そうした復興の動きを鈍らせてしまう。
28、29の両日、東京電力をはじめ全国の電力会社の株主総会が開かれ、焦点となった
「脱原発」の株主提案は全て否決された。関西電力の総会に出席した筆頭株主の大阪市の
平松邦夫市長も、風力や太陽光など再生可能エネルギー推進を求めつつも、原発事業から
の撤退には反対意向を示した。
中長期的な再生可能エネルギーの推進は、エネルギー安全保障の観点からも重要であり、
原発との間で賢明なバランスを取ることが必要だ。首相は地元の不安払拭のため、その戦
略を自らの言葉で直接、住民に語りかけるべきだ。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110630/biz11063002590002-n1.htm
- 26 :
- 電力使用制限 経済活動の圧迫をやめよ
2011.7.1 03:11
東日本大震災と原発事故を受けて、関東と東北地方を対象とした電気事業法に基づく電力
使用制限が始まる。最大の焦点は日本経済への影響をいかに抑えるかだ。
37年ぶりの強制措置の発動となるが、対象となる東京電力、東北電力の供給能力をきち
んと検証しつつ、日本経済を支える基幹産業の電力確保など優先順位を明確にする必要が
ある。使用制限をする以上、菅直人首相は自ら定期検査を終えた原発再稼働へ地元を説得
するなどして、電力安定供給と経済への影響回避を最大の責務としなければならない。
使用制限は大口需要家に前年比15%の節電を求め、罰則も科せられる。自動車業界では、
工場の平日操業を減らして週末稼働させるなどの対応に追われ、部品業界も追随を余儀な
くされた。物流も含めて影響は広範囲に及ぶ。
大震災で東日本の製造業の多くが操業縮小や中止に追い込まれ、ようやく本格的に立ち直
り始めている。使用制限発動でせっかくの機運に水を差してはならない。
大口需要家でも生命の安全に必要な病院や福祉施設のほか、安定的な社会活動に必要な鉄
道など約30分野は適用対象から外された。使用制限は9月まで続く。電力消費動向をみ
ながら、業界ごとに除外対象を見直すなど悪影響を最小限にとどめるための柔軟な対応が
求められる。
電力使用制限 経済活動の圧迫をやめよ
2011.7.1 03:11 (2/2ページ)
東電は夏場のピーク時に5520万キロワットの電力確保にめどをつけたが、昨年の電力
消費は最大6千万キロワットに達した。使用制限下でも消費が供給を上回れば、大規模停
電の恐れは常にある。電力会社は自家発電の買い入れ拡大など供給能力の上積みを図る一
方、政府も電力需給の検証が欠かせない。
罰則はないが、一般家庭も15%節電が求められる。家庭の電力消費の約3割はエアコン
が占めるが、熱中症対策も重要だ。上手に使うことがカギを握る。設定温度を1度上げれ
ば約10%の節電につながるという。扇風機と組み合わせるなどの工夫を凝らしたい。
それでも電力消費が供給を上回りそうな場合、地域ごとの計画停電を実施する。震災直後
の計画停電では、周知が遅れて大混乱を招いた。政府は計画停電を「電力有事」と位置づ
け、万全の態勢と計画を備える必要がある。過ちを繰り返さないために、国民への事前の
説明を欠いてはならない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110701/plc11070103120002-n1.htm
- 27 :
- 【産経抄】
6月30日
2011.6.30 02:57
菅直人首相が「脱原発」を争点にして衆院解散・総選挙に打って出る、との観測記事をよ
く見かける。しかし、この言い方には違和感を覚える。安全でクリーンな自然エネルギー
の導入を進める、広義の「脱原発」に、反対する人はほとんどいないからだ。
▼意見が分かれるのは、原発を即時全廃するのか、否かである。もし前者の過激な道を選
び、エネルギーが足りなくなればどうなるのか。曽野綾子さんは、50度を超す酷暑の国
で、多くの人々が今でもただ生きるだけの暮らしを余儀なくされているのを見てきた。そ
んな経験から、暑ければ労働の「量」が減り「質」が落ちると、きのうの小紙のコラムで
指摘していた。
▼30年以上前に読んだ『知的生活の方法』のなかで渡部昇一さんが、欧米の学者と業績
に差が出るのは、日本の夏の暑さのせいだと、こぼしていたのを思い出す。だから知的生
活のためにはまずエアコンを買えと、若者にハッパをかけたものだ。
▼梅雨が明けないのに、各地を猛暑が襲っている。熱中症で搬送される人のなかで、やは
り高齢者が占める割合が大きい。エネルギーの不足は、弱い立場にある人により大きな苦
痛を与える。
▼安定した電力があてにできなくなり、料金の高騰にも嫌気がさした企業が次々に海外に
逃げ出す、産業の空洞化の問題もある。もっとも、海外投資の機会がある富裕層は、さほ
ど困らないと言われている。
▼福島第1原発事故によって飛散した放射性物質への不安から、今年の夏、海水浴にも行
けず、プールにも入れない子供が続出しそうだ。成人してからは、国内で就職する機会が
失われているとすれば、彼らこそ、一番の被害者といえるかもしれない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110630/plc11063002570001-n1.htm
- 28 :
- 【産経抄】
7月2日
2011.7.2 03:30
中国の偉い人はブラックユーモアのセンスがある。中国共産党結党90周年にあわせ、北
京と上海を4時間48分で結ぶ中国版新幹線が開業したが、列車の名前は「和諧号」とい
う。和諧とは日本語で調和という意味だそうな。
▼和諧号は、川崎重工業などからの技術供与をベースに中国メーカーが製造したものだが、
中国側は「独自開発だ」と米国などで特許申請の予備手続きを進めている。どうやら和諧
は、調和ではなく、強欲を意味する雅語なんだろう。
▼きれい事をいって強欲ぶりを遺憾なく発揮する和諧の精神は、中国の専売特許かと思っ
ていたら、日本にもあるある。権力維持に人一倍の強欲さをみせる菅直人首相がご執心の
再生エネルギー特措法案も「和諧」の臭いがぷんぷんする。
▼確かに太陽光や風力、地熱を利用した再生エネルギーを飛躍的に増やそうというこの法
案は正義であり、魅力的にみえる。いまだに放射能をまき散らしている東京電力福島第1
原発の現状をみるにつけ、党派を超えて一刻も早く成立させよ、というお調子者が出てき
ても不思議ではない。
▼野党の中にも早く法案を通して菅首相の花道をつくり、退陣させた方がいいというおめ
でたい議員がいるという。しかし、この法案には重大な欠陥がある。経産相が決める固定
価格で再生エネルギーの全量買い取りを義務づけているのだ。
▼簡単にいえば、たとえ高コストであっても電力をつくればつくるほど供給者はがっぽり
儲(もう)かり、つけは料金値上げとなって消費者にまわってくる。もっとはっきりいえ
ば、価格を決める権力者にとりいった政商に極めて有利な仕組みなのだ。ペテン師と「越
後屋」に高笑いさせてはいけない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110702/plc11070203310002-n1.htm
- 29 :
- 長時間総会でも晴れぬ東電株主の不安
2011/6/29付
福島第1原子力発電所の事故を起こした東京電力が28日、定時株主総会を開いた。個人株
主を中心に出席者数は9309人と、過去最多だった昨年総会の3倍近くに達した。所要時間
も6時間超と、東電としては最も長い総会になった。
東電の株価は事故の直前に比べ、7分の1程度になっている。自分の財産が大幅に減って
しまった株主が、さまざまに意見表明を競ったのは自然なことだ。
議事の進行を妨げるような一部株主のふるまいも見られたが、原発事故の経営責任や損害
賠償の支払いなどに関する質問も多かった。
そうした株主の声を、東電の経営陣は正面から受けとめるべきだ。東電を実質的に管理す
ることになるといえる政府も、総会で聞かれた株主の不安と疑問に耳を傾けてほしい。
東電の勝俣恒久会長は原発事故に関して「心より深くおわびする」と株主に謝罪した。清
水正孝前社長は、1兆2473億円の最終赤字となった2011年3月期決算を説明するなかで
「経験したことのない重大な危機に直面している」と述べ、経営の窮状を訴えた。
一方、株主の一人は東電の経営陣に対して、原発事故の収束作業への懸念を表明した。
事故の収束や被害の拡大防止は、東電の責任で進めるべきだ。炉心の冷却作業は遅れが目
立ち、東電株が乱高下する一因になっている。作業予定を定めた工程表を作りなおし、そ
のうえで収束に全力をあげるといった現実的な取り組みが必要だ。
総会ではさらに、発電と送電の事業を分ける「発送電分離」への見解や、再生可能エネル
ギー事業への取り組みを尋ねる声も聞かれた。否決はされたものの、原発事業からの撤退
を定款に定めるよう求める株主提案も出された。
どれもこれも東電の経営を左右する問題であり、株主にとっても大きな関心事だ。
ただ、そうしたエネルギー政策が絡む問題に、東電が自社の一存で答えを出せる状況では
ない。
政府は賠償支援の条件として、経営・財務調査委員会(委員長・下河辺和彦弁護士)によ
る東電の資産調査を始めた。同委員会は東電のリストラだけでなく、事業の将来像も議論
するとみられる。
原発賠償支援法案が成立すれば、東電の公的管理の度合いはさらに強まる。政府は原発事
業のあり方などを含めた東電の将来像を、東電株の4割強を握る個人株主の存在も意識し
てしっかりと説明してほしい。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E3E0E7E6E1E2E2E0EBE2E4E0E2E3E38297EAE2E2E2
- 30 :
- 東電株主総会 厳しい声を経営改革に生かせ(6月29日付・読売社説)
株主の厳しい声を、経営改革にどう生かすか。東京電力が突きつけられた課題は重い。
28日に開かれた東電の株主総会は、福島第一原子力発電所の事故を受け、大荒れとなっ
た。出席した株主は昨年の3倍近い9300人に達した。所要時間も6時間を超え、東電
の記録を大幅に塗り替えた。
総会では、安全対策の不備や事故収束の遅れ、情報提供の不十分さなどに批判が相次いだ。
勝俣恒久会長など、経営陣の責任を問う声も多かった。
東電は株主の指摘を、真摯(しんし)に受け止める必要がある。事故の早期収束を図るとと
もに、再発防止などに全力を挙げ、信頼を回復しなければならない。
取締役の選任など、会社側の提案は可決された。清水正孝社長は引責辞任し、西沢俊夫新
社長が就任した。今後、新体制の下でどのように経営改革を進めていくかが問われている。
原発事故の被害者に対する損害賠償の支払いのため、東電は資産売却など、合理化努力の
加速が求められる。企業年金の削減も検討すべきだろう。
今年の総会では、事故後とあって、一部株主が毎年のように提案している原発事業撤退の
議案に対する賛否が注目された。
結果は反対多数による否決だった。電力の安定供給に原発は欠かせない。撤退すれば、火
力発電の燃料費などがかさんで収益が低下し、被害者への賠償にも支障が出る。否決は妥
当な判断だ。
ただ、例年は5%ほどの賛成が今年は約8%に増えた。東電は、原子力の安全性に対する
不信感が強まっている証しと受け止めなければならない。
総会では、「巨大な天災地変」による事故は電力会社が免責されるという、原子力損害賠
償法の規定についても論議された。東電は「免責も可能と考えたが、政府に支援を求めて
被害救済を急いだ」などと説明した。
ところが、東電の資金繰りを公的資金で支える「原子力損害賠償支援機構法案」の審議が
遅れている。このままでは賠償金支払いが滞る恐れもある。政府・与党は法案成立を急が
ねばならない。
ただ支援策には、数兆円以上とされる賠償負担を民間企業の東電に負わせるという問題点
がある。原子力行政を推進した政府がもっと責任を分担すべきだ。
(2011年6月29日01時21分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110628-OYT1T01270.htm
- 31 :
- 社説:東電株主総会 社内論理より安全守れ
福島第1原発事故を起こした東京電力の株主総会が開かれ、出席者数は過去最高、開催時
間も過去最長を大きく更新した。株主からの質問は、取締役報酬や企業年金の減額、損害
賠償、原発の安全対策など極めて多岐にわたった。今回の事故に対する経営責任、さらに
は原発事業のあり方が、厳しく問われているということだ。
「東電の体質を変えないと何度も事故は起きる」。株主の間から上がった批判を東電経営
者は重く受け止めるべきだ。07年の新潟県中越沖地震で東電柏崎刈羽原発が被災して以
降、原発震災はありえない「仮想事故」ではなくなった。東北沖の巨大地震の危険性につ
いても、2年前に経済産業省の審議会で取り上げられたが、東電の安全対策には生かされ
なかった。
02年夏に発覚した福島第1、第2原発や柏崎刈羽原発での「トラブル隠し」で、東電は
安全管理に関するガバナンスの欠如を厳しく批判された。原発事業は専門性が高く、閉鎖
的・排他的になりがちな分野ともいえる。それだけに、積極的に情報を公開し、社会のチ
ェックを受け入れることが不可欠であるはずだ。
しかし、東電にそうした文化は根付かなかった。今回の総会で退任した清水正孝・前社長
は、5月の決算発表の席上、「(東電には)地域や顧客への目線を失い、社内論理でいっ
てしまう傾向が残っている」と自戒した。今度こそ、社内論理優先の社風を改め、安全管
理を徹底する社内システムの構築を求める。
今回の株主総会では、402人の株主が提案した原発の段階的廃止も大きな焦点になった。
否決はされたものの、一定の賛成を集めた意味は大きい。
今年は、原発を保有する9電力会社のうち東電や、政府の要請で停止した浜岡原発(静岡
県)を抱える中部電力など6社で、脱原発を求める株主提案があった。議決権行使助言会
社が機関投資家に対し、「原発は民間企業が続けるにはリスクが大きすぎる」として「脱
原発」提案に賛成するよう助言する動きもあった。
確かに、原発の立地や安全管理には巨額の費用がかかる。事故が起きた際、事実上、損害
賠償額の上限も免責も認めない現行の賠償制度では、電力会社のリスクは極めて大きい。
一方で、国の責任はあいまいだ。国策である原発を、このまま民間企業の電力会社に委ね
ることには、無理がある。
今後、依存度を下げていくにしても、当面一定の原発は稼働することになる。最も大切な
安全性を高めるには、どんな形態が望ましいのか。これを機に、国民的な議論を深める必
要がある。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110629ddm005070119000c.html
- 32 :
- しっかし熱いなー
俺は我慢できるけど、老人や病人はつらいだろ
いつもは、弱者救済叫ぶくせにこういう時だけ切り捨てるの?
原発騒動でぼろもうけしたマスコミから電力奪って
工場と弱者に回せよ
テレビ局も輪番停電
新聞も輪番休刊だ
騒ぐだけ騒ぎおって、少しは節電に協力しろ
- 33 :
- 完全な循環注水が実現…汚染水増加食い止め
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110702-OYT1T00725.htm
東京電力は2日午後、福島第一原子力発電所の高濃度汚染水を浄化
して原子炉の冷却水に再利用する「循環注水冷却」を再稼働させた。
原子炉に処理水を送る経路にタンクを新設するため、1日朝から中断し
ていた。再稼働後は、原子炉に注入する水の全量に処理水を使っており、
汚染水の増加を抑える完全な循環注水が実現したことになる。
循環注水冷却が先月27日に初稼働した際は、仮設タンクに十分な量
の処理水がなかったため、従来の真水タンクの水も一部利用していた。
2日午後5時までに処理した水は、注水量の約10日分に相当する3580
トンに達した。
汚染水処理が滞った場合は真水タンクの水も使うが二つのタンクから
吸い上げると、流量や水圧が不安定なため、新設したタンクから一本化
して注水するシステムに改良した。 これまで原子炉への注水が漏れ出し
汚染水が増加してきた。 浄化して循環させることで食い止めることがで
きる。
(2011年7月3日10時20分 読売新聞)
- 34 :
- 原子力委員会 新大綱策定会議(第1回)
議事次第 平成22年12月21日(金)9:01〜11:58
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/sakutei/siryo/sakutei1/siryo.pdf
> ○大橋委員 おはようございます。
> 東京大学システム創成学専攻の大橋弘忠です。よろしくお願いします。
>私もきまじめに一枚資料を昨日用意してまいりました。
>最後にプロレス的なパラダイムと書いてありまして、事務局からこのプロレスというのは
>ワープロミスじゃないかという連絡を昨日いただいたんですけれども、これはプロレスで、
>一昨日京都で泊まっていたんですけれども、夜プロレスをやっていまして、プロレスというのは
>敵と味方がありまして、レフリーがいて、それを放送するアナウンサーがいて、観衆がいるんですけれども、
>余り深くは言いませんけれども、一致団結して前へ進めていくようなところがありまして、
>そういう何かガRな緊張関係じゃなくて、こういうプロレス的なパラダイムで
>こういう原子力にしても、何か物を進めるような議論を進めていくといいと思って余計な一言を書きました。
- 35 :
- アルデンヌ3連勝のジルベールが、今日も来るな
- 36 :
- 玄海原発 再開へ首相自ら説得にあたれ(7月6日付・読売社説)
定期検査で停止している原子力発電所の運転再開に向けて、局面を打開する動きが出てきた。
九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の2、3号機について、玄海町の岸本英雄町長が運転の再開を
了承した。
佐賀県の古川康知事も、運転を容認する構えだ。8日の県民説明会や、11日の県議会の論議を踏
まえて判断するという。
政府の指示で、九州電力は地震や津波による電源喪失など、過酷事故への安全対策を実施した。そ
の上で、海江田経済産業相が原発の運転再開に「国が責任を持つ」と確約し、突破口が開けた。
県議会などには、依然として慎重論も根強い。古川知事が、最終的に判断する前に「首相の真意を
確認したい」とし、首相に会談を求めたのは当然だろう。
首相は早急に現地を訪問し、安全性や運転再開の必要性について自ら丁寧に説明するべきだ。
首相は、中部電力浜岡原発の全面停止を唐突に求め、原発の安全性に対する懸念を増幅させた張本
人だ。説得の先頭に立ち、事態を改善させる責任がある。
東京電力の福島第一原発事故は収束になお時間がかかる。原発が立地する他の自治体では、運転再
開に難色を示すところが多い。
玄海原発の再開を実現させて、「次」につなげることが重要である。他の原発でも、地元の自治体
から同意を得るための追い風となるだろう。
今夏は東京電力や東北電力の管内はもちろん、全国的に電力不足が深刻になりそうだ。
九州電力では需要に対する供給の余力が、猛暑時に2%を切る見通しとなった。関西電力は、原発
2基が7月下旬に検査入りすることから、一時的に供給力が需要に届かなくなるとして、節電の要
請に踏み切った。
このままでは1年以内に国内の全原発54基が停止し、電力供給の3割が失われる恐れがある。電
力が足りず、大幅な減産や工場の海外移転が加速しかねない。
日本経済の衰退を防ぐには、原子力の安全を確保し、原発を活用することが欠かせない。
首相は、太陽光や風力など自然エネルギーの普及促進を図る再生可能エネルギー特別措置法案の早
期成立に意欲を示している。
自然エネルギーの普及は重要だが、水力を除けば電力量の1%に過ぎず、直ちに主要な電力源には
ならない。政府は、原子力と火力を柱とした現実的なエネルギー政策を推進すべきだ。
(2011年7月6日01時25分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110705-OYT1T01213.htm
- 37 :
- 原発再テスト 運転再開へ安全確保を急げ(7月7日付・読売社説)
政府がいったん安全に「お墨付き」を出した原子力発電所を、改めて検査することになった。
菅首相は6日の衆院予算委員会で、国内の原発について、地震や津波による過酷な事故にどこまで
耐えられるかを調べる「ストレステスト(耐性検査)」を行う考えを示した。
定期検査で停止した原発の運転再開に関する、新たな基準やルールを作成するとも述べた。
原子力安全・保安院による従来の検査だけでは、運転再開に地元の自治体や住民の理解を得られに
くいと判断したという。
原発の安全に万全を期すことは重要だ。だが、首相の原発政策を巡る言動は、あまりに場当たり的
で、原発の停止による深刻な電力不足に対する配慮も足りない。
政府は、テストの具体的な手法やスケジュールを早急に詰めて実施に移し、原発の安全再確認を図
るべきだ。
このテストは、従来の安全基準を超える地震など、厳しい条件にさらされた場合の影響を模擬計算
する。電源やポンプ、配管など設備の弱点を洗い出し、安全性の強化に役立てるとしている。
福島第一原発の事故を受け、欧州では6月からストレステストを開始している。国際原子力機関
(IAEA)も、加盟各国に導入を求める方針だ。テストは、原発の信頼性の補強材料となろう。
懸念されるのは、九州電力玄海原発の運転再開が大幅に遅れかねないことだ。
海江田経済産業相は6月中旬、国内の原発の安全対策が適切だとする「安全宣言」を出した。玄海
原発の現地も訪れ、安全性に「国が責任を持つ」と確約した。佐賀県の古川康知事も再開に一定の
理解を示していた。
安全性に合格点をつけた政府が突然、“追試”を課すと言い出したことに、知事と地元町長が強い
不信感を表明したのは当然だ。
築かれつつあった地元との信頼関係は、大きく傷ついた。
他の原発に広がりかけていた再稼働の機運に水を差し、電力不足が全国的に長期化することも懸念
される。
この日の国会審議では、菅首相と原子力安全委員会の班目春樹委員長がともに、経産相の「安全宣
言」の内容を事前に知らなかった事実も判明した。政府内の意思疎通は極めてずさんである。
原子力政策の司令塔が一体どこにあるのかも不明確だ。政府はしっかり連携し、原発の安全確保を
急がなければならない。
(2011年7月7日01時30分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110706-OYT1T01120.htm
- 38 :
- 原発再稼働混乱 首相は電力「危機」を直視せよ(7月8日付・読売社説)
菅政権の下で原子力発電所の再稼働問題が混迷を深めている。1年以内に全原発が停止し、深刻な
電力不足に陥ることも現実味を帯びてきた。憂慮すべき事態だ。
九州電力玄海原発(佐賀県)を巡り、地元の岸本英雄玄海町長がいったん表明した「再稼働の了承」
を正式に撤回した。
菅首相がストレステスト(耐性検査)を行うまで安全は確認できないと唐突に発言し、海江田経済
産業相の「安全宣言」を否定したためだ。政府のちぐはぐな対応に、町長は「国を信用できない」
と怒りを露(あら)わにしている。
古川康佐賀県知事は、原発の安全に関する統一見解を政府に求めた。地元自治体の政府への信頼は
地に墜(お)ちたと見ざるを得ない。
混乱を招いた責任は、首相にある。本来なら、事態の収拾を図らねばならない立場だ。だが、首相
にそれを期待できるだろうか。
首相はこれまで「安全性が確認された原発は稼働させる」と述べてきた。それに従って海江田氏も
玄海原発の再稼働を地元に働きかけてきた。
ところが、首相は安全確保には新基準が必要と方針を変えた。
後ろから弾を撃たれた形の海江田氏は「いずれ、私も責任を取る」と述べ、辞任の可能性にも言及
した。独善的な首相にはついて行けないとの思いだろう。
安全確保のためのストレステストの必要性はわかる。だが、少なくとも数か月かかるという。玄海
原発の運転再開は電力需要が急増する8月には間に合わない。他の原発の再稼働も、困難になる。
営業運転中の原発は全国で17基あるが、このうち5基が7月と8月に検査で停止する。北陸電力
1社分に匹敵する500万キロ・ワットの電力供給が失われる計算だ。
電力制限している東京電力や東北電力の需給は綱渡りとなる。計画停電の可能性もある。
首相が、危機的な状況を認識していないのなら、あまりに無責任だ。自然エネルギーの普及を目指
す「再生可能エネルギー特別措置法案」への執着もいいが、目の前の問題解決が先だろう。
首相は、「私が最高の首相だとはうぬぼれてはいないが、責任から逃れるわけにいかない」と述べ
ている。課題を掲げるだけで、自らは積極的に動こうとしない人物の言葉とは思えない。
この首相の下では、日本経済は沈んでいくばかりだ。菅政権に一刻も早く終止符を打つ手立てを政
界全体で考えるべきである。
(2011年7月8日01時18分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110707-OYT1T01309.htm
- 39 :
- 吉野弘さんの詩、『黒い鞄(かばん)』の一節を。〈私は、ひどく嫌いなんだ/自分の持物を自分
の身体の一部と感じない人が――/人込みの中、持物を他人にぶつけて平気な人が…〉◆一国の政
治は大きな荷物である。背負う人が前触れもなしに回れ右をすれば、周囲が迷惑する。「安全性が
確認された原発は稼働させる」方針を、菅首相が一夜にして反古(ほご)にした。一転、安全確保の
新基準を満たさない場合には稼働させないという◆気の毒なのは、突然の方向転換で荷物の角に頭
をぶつけた人たちである。原発を抱える自治体は朝令暮改に困惑している。上司の気まぐれに業を
煮やしてか、海江田万里経済産業相は辞意をもらした◆政権の延命には「脱原発」を争点にした衆
院解散をちらつかせ、批判勢力を牽制(けんせい)するに限る。世間受けのいい“脱原発の闘士”と
いう仮面をかぶっておけば、野党は解散をいっそう怖がるだろう、シメシメ…と、気まぐれの裏側
にゲスの勘ぐりをしてみる。首相の「卑」はどうやら小欄にも伝染したようである◆国政の荷が身
に余るのなら、下ろせばいい。その人にはすげ笠(がさ)と金剛杖(こんごうじょう)が似合う。
(2011年7月8日01時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column1/news/20110707-OYT1T01183.htm
- 40 :
- やらせメール 原発の再開に水差す失態だ(7月9日付・読売社説)
小手先の策を弄して、原子力発電所の運転再開に“追い風”を吹かせようと考えたのなら、思い違
いも甚だしい。
九州電力が、玄海原発の運転再開へ向けて世論を誘導するため、「やらせメール」工作をしていた
問題である。
6月末、佐賀県民への説明会がテレビ放映された際、再開に賛成するメールを投稿するよう、子会
社の社員らに要請していた。
「一国民の立場」で発電再開に共感を得られる意見をまとめ、自宅のパソコンからメール送信する
よう指示した。
一般の住民を装った「やらせメール」を、組織的に送らせようという意図は明白である。
文面は「お願い」だが、力関係から、子会社などは「命令」に近いと受け取っただろう。
副社長をはじめ複数の役員が関与していた。会社ぐるみの疑いが濃厚だ。運転再開に対する県民の
意見を公平に聞くという説明会の趣旨が踏みにじられた。
九電の真部利応(としお)社長は8日、海江田経済産業相に陳謝したが、信頼の回復は容易ではない。
九電は、事実の解明を急がねばならない。これまで類似の工作をしていないか、徹底した調査も必
要だ。社長の進退問題も含め、経営責任を明確にするべきだ。
さらに問題なのは、九電が当初、事実を隠したことである。
発覚前の7月4日、九電の原子力発電本部副本部長は、参考人として呼ばれた鹿児島県議会で、や
らせメールを「依頼した事実はない」などと全面否定した。
国会の質疑で取り上げられた6日、真部社長はようやく記者会見を開いた。自身の関与について
「ノーコメント」を連発し、「そんなに大きな問題か?」などと語った。説明すべき立場なのに、
あまりに不誠実ではないか。
福島第一原発の事故を受け、原子力の安全を強調してきた電力業界への風当たりは強まっている。
九電の不祥事は、原発に対する不信感を一段と増幅させることになりかねない。
一方で、電力不足は今後、深刻さを増していく。定期検査を終えた原発の運転再開には、地域住民
らの理解が欠かせない。電力各社は経営の透明性を高め、信頼を取り戻す努力を重ねてほしい。
原発では、トラブル隠しや検査データ改ざんなど、情報開示に関する不祥事が多かった。
いまだに隠蔽体質から抜け切れていないのではないか。改めて総点検すべきである。
(2011年7月9日01時37分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110708-OYT1T01154.htm
- 41 :
- 社説:九電やらせ指示 変わらぬ体質に驚く
「民意」を捏造(ねつぞう)しようとした、あまりに浅はかな行為だ。定期検査で止まっている九
州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開に向け、経済産業省がケーブルテ
レビで放送した県民への説明番組に対し、九電の課長級社員が子会社などに、原発再稼働を支持す
る電子メールを投稿するよう依頼していた。九電の信用が失墜しただけでなく、原発事業全体に対
する国民の不信感を一段と増幅しかねず、経営トップの進退にも直結する不祥事といえるだろう。
この社員は、子会社4社の社員4人と九電社内の原発関連部署3カ所の3人に、メールで依頼した。
しかも、九電関係者と分からないよう、自宅などのパソコンから送信するよう、「隠蔽(いんぺい)
工作」も指示していた。民意を不正に操作する「犯意」は明らかだ。この問題をめぐっては、今月
4日に、九電川内原発がある鹿児島県の県議会でも、メールで依頼したことの真偽について質問が
出たが、九電幹部は明確に否定。6日に国会で取り上げられて初めて、社長が事実を認めた。
電力業界ではこれまで、数々の事故隠し、データ捏造などが問題になり、住民の信用を損ねてきた。
東電の福島原発事故では、そうした独善的、閉鎖的な企業体質の改善が強く求められた。しかし、
今回も反省は生かされなかったようだ。
国民の不信感は、他の電力会社へも波及しかねない。原発への国民の視線が厳しさを増し、定検を
終えた原発も再稼働できない事態が続いている。再稼働には、地域住民の理解と納得が欠かせない
だけに、今回の不祥事の影響は深刻だ。実際、再稼働を了承していた玄海町長は、了承を撤回した。
政府の「ストレステスト」実施という要因も加わったが、地元の信頼は大きく損なわれた。
「やらせメール」に関しては、上司を含めた他の社員の指示や関与など不明な点も多い。まず、事
実関係を調査し、その結果を明らかにしなければならない。九電は、調査結果を踏まえ、再発防止
に向けたコンプライアンス(法令順守)体制の立て直しを急ぐ必要がある。
それにしても、なぜこんな愚行を犯したのか。海江田万里経産相が定検中の原発について、「安全
宣言」したことに代表される原発再開を急ぐ動きと無関係ではないだろう。地元も再稼働に前向き
とみられた玄海原発には、再開の一里塚として、再開促進派の期待は大きかったようだ。もともと
県民への説明番組にしても、出席者が国の選んだ7人に制限されたことなどから「再開への地なら
し」との批判があった。拙速が招いた愚行だったということだ。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110708ddm005070153000c.html
- 42 :
- 九電メール―この体質を変える時だ
うまく民意を演出すれば、原発の運転を再開できるとでも思ったのだろうか。
定期検査中の玄海原発2、3号機の再稼働に向け、政府が佐賀県民向けに説明するテレビ番組を、
6月末に放映した。この番組にあてて、再開賛成の意見をメールで送るよう、九州電力の幹部が自
社や協力会社の社員に働きかけていた。
九電の真部利応(まなべ・としお)社長は「国の説明の信頼を損なわせた」と謝罪し、辞意を固め
たという。
原発で働く人たちには当然、運転再開を願う気持ちはあるだろう。だったら堂々と意見を届ければ
よい。「自宅パソコンからアクセスを」などと、所属を隠させる必要はないはずだ。協力会社との
力関係を考えれば、九電からの「お願い」は「命令」ではないか。
福島原発の事故以降、各地の原発周辺で暮らす人たちに、不安が大きく広がる。番組には、広告会
社を通じて選ばれた7人が県民代表として参加した。テレビの前で、説明をもどかしく聞いた県民
も多かったろう。
「真摯(しんし)にかつ県民の共感を得うるような意見や質問を発信」と今回の指示メールにある。
九電はなぜ、不安を持つ県民の共感を得ようと、自らが真摯な努力をせず、インチキに頼ろうとし
たのだろう。
電力会社には、民意と誠実に向き合うのを避けようとする体質が、しみついてきた。
日本でも、原発の安全性を問う声が高まった1980年代以降、各地で「公開ヒアリング」が開か
れるようになった。だが実際は、地元の声を形式的に聴くだけの儀式が多かった。意見陳述をした
人が、電力会社に頼まれた「サクラ」だったり、傍聴人の住所を調べたら社宅の近辺が多かった
り……。
電力会社や政府が力を注いだのは、巨額を費やす広報活動やPR施設づくりによって、原発は安全
だし欠かせないとの見方を普及することだった。
地元・玄海町の岸本英雄町長は、政府が突然、原発安全性評価(ストレステスト)をすると言い出
したことに加え、九電メール問題にも反発。いったん表明していた玄海原発の再開容認方針を撤回
した。混乱が続く。
3・11の災厄の後、日本のエネルギー政策は分岐点に立つ。互いにきちんと向き合い、意見や立
場の違いの中から、解を見つける熟議が必要なときだ。
電力に関心が高まり、そういう議論ができる時代になった。電力会社は社会の激変に目を開き、信
頼を得て地域に生きる新しい道を歩んでほしい。
http://www.asahi.com/paper/editorial20110708.html
- 43 :
- 「やらせメール」とは情けない
2011/7/8付
九州電力の社員らが玄海原子力発電所2、3号機の再稼働をめぐる国主催の説明会に「やらせメー
ル」を送っていた問題が明らかになった。社員らが一般市民を装い、再稼働を支持するメールを送
っていた。
説明会は玄海原発の再開について、賛否両面から佐賀県民の率直な意見を聴く場として企画された。
当事者である電力会社の社員が身分を隠し、一方的な意見を送ったのは、説明会の公平性を踏みに
じる。原子力利用の大原則である「民主的な意思決定」にも反する。
福島第1原発の事故で国民は原発に不安を募らせている。原発関係者が謙虚に反省しなければなら
ないこの時期に、九電の行為は情けない。
やらせメールは、経済産業省の主催で6月26日に佐賀市で開いた説明会に送られた。その4日前、
九電の原子力発電部門の社員が本社や子会社の複数の社員に「一国民の立場」から玄海原発の再開
を支持する意見を送るように依頼したという。
説明会が開かれた時点で、佐賀県玄海町長や県知事は再稼働について態度を保留していた。やらせ
メールが首長の判断に影響を与えた可能性もあった。九電が組織ぐるみで「見せかけの県民世論づ
くり」を意図していたのなら、許されない。
真部利応社長は7日、「(社長を)続けるにしても長くはない」と辞任を示唆した。だが前日の記
者会見で自身の関与について「ノーコメント」と繰り返し、「そんなに大きな問題ですか」と述べ
た。事の重大さの認識が希薄だったのではないか。
電力会社は地域の電力供給をほぼ独占し、地域経済に強い影響力をもつ。そのおごりと甘えが今回
の問題の背後になかったか。外部の専門家を交えて徹底した調査が必要だ。
一方で、説明会の開き方にも問題があった。出席者は経産省が募った地元商工団体幹部や主婦ら7
人に限られ、ケーブルテレビなどで公開された。本来なら、多数の市民が自由に意見を言える場と
すべきだ。
福島原発の事故の遠因には「原子力ムラ」と呼ばれる閉鎖的な体質があったとされる。これから原
子力政策の進め方を冷静に議論するためにもまず、電力会社が閉鎖的な体質から脱却しなければな
らない。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E3EAE2EBEBE2E2E2EAE2E5E0E2E3E38297EAE2E2E2
- 44 :
- 原発検査 再稼働問題もてあそぶな
2011.7.8 02:41
菅直人首相は一体何を考えているのか。
海江田万里経済産業相を通じて突如として発表した、全原発に対する安全性の余裕度を測るストレ
ステスト(耐性検査)の実施である。
地元、佐賀県玄海町の岸本英雄町長や古川康知事の理解と歩み寄りで可能性が見え始めていた九州
電力玄海原子力発電所2、3号機の運転再開は、これで一気に遠のいた。
玄海原発は、東日本大震災後に止まったままとなっている他原発の再稼働に先導的な役割を果たす
と期待されていた。
定期検査後に運転再開不能の状態が続けば、来年5月までに国内の全原発が停止してしまう。計画
停電の日常化も懸念される。国民生活や産業経済活動への負の作用は計り知れない。
ストレステストでは、原発が通常より過酷な外的条件に耐えられるかどうかが図面や計算機シミュ
レーションでチェックされる。原発が運転中でも可能だ。
今回の福島事故を受けて欧州連合(EU)は現在、域内の原発を対象に、地震や洪水などへの耐久
性を数カ月がかりで確認中だ。国際原子力機関(IAEA)も6月の閣僚級会合でストレステスト
の実施を加盟国に勧告している。
安全性を高める努力は、原発の運転に不可欠だ。日本も震災直後の3月に津波への緊急対策強化を
施し、6月には水素爆発の防止などからなる2段階の安全強化策をすでに実施済みだ。
海江田経産相は6月18日に、これらの対策を適切と認めた上で原発立地自治体の説得に着手して
いたではないか。菅首相も同じ見解であったはずである。
今回の唐突な方針転換は、菅首相の指示によるものだ。首相が古川知事に面会さえすれば大きく前
進するという段階で、あえて長期を要するストレステストを持ち出し、しかも再稼働の前提とする
ことは、運転再開を避けたがっているとしか思えない。
最近の首相は、「脱原発解散」をちらつかせている。ストレステストが解散の布石であるなら、言
語道断である。
九州電力が再稼働に理解を得ようと、佐賀県民向けの「説明番組」に一般市民を装ったやらせメー
ルを送らせていたのは問題だ。だが、このことを再稼働先送りの材料としてはならない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110708/plc11070802410002-n1.htm
- 45 :
- 原子力委員会 新大綱策定会議(第1回)
議事次第 平成22年12月21日(金)9:01〜11:58
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/sakutei/siryo/sakutei1/siryo.pdf
> ○大橋委員 おはようございます。
> 東京大学システム創成学専攻の大橋弘忠です。よろしくお願いします。
>私もきまじめに一枚資料を昨日用意してまいりました。
>最後にプロレス的なパラダイムと書いてありまして、事務局からこのプロレスというのは
>ワープロミスじゃないかという連絡を昨日いただいたんですけれども、これはプロレスで、
>一昨日京都で泊まっていたんですけれども、夜プロレスをやっていまして、プロレスというのは
>敵と味方がありまして、レフリーがいて、それを放送するアナウンサーがいて、観衆がいるんですけれども、
>余り深くは言いませんけれども、一致団結して前へ進めていくようなところがありまして、
>そういう何かガチ○コな緊張関係じゃなくて、こういうプロレス的なパラダイムで
>こういう原子力にしても、何か物を進めるような議論を進めていくといいと思って余計な一言を書きました。
プロレス的なパラダイム
プロレス的なパラダイム
- 46 :
- 首相の「脱原発」 総合的なエネルギー政策を示せ(7月16日付・読売社説)
◆「個人の考え」では混乱が広がる◆
国の浮沈にかかわるエネルギー政策を、一体どう考えているのか。
菅首相は、記者会見で「脱原発依存」を声高に主張しておきながら、批判を浴びるや、個
人的な考えだと修正した。首相の迷走が与野党や経済界、原発立地自治体などに混乱を広
げている。
政府の方針ではないと閣僚懇談会で確認された以上、首相の理想論に振り回される必要は
ない。政府と与野党は、東日本大震災後のエネルギー政策について地に足のついた議論を
始めるべきだ。
そもそも、退陣を前にした菅首相が、日本の行方を左右するエネルギー政策を、ほぼ独断
で明らかにしたこと自体、問題である。閣僚や与党からさえ、反発の声が一斉に噴き出し
たのは、当然だ。
首相は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、脱原発にカジを切ることで歴史
に名を残そうとしたのだろう。
だが、その発言は、脱原発への具体的な方策や道筋を示さず、あまりに無責任だった。
首相は、消費税率引き上げや、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加などを掲げ、実
現が危ぶまれると旗を降ろしてきた。同様の手法のようだが、今回は明らかに暴走してい
る。
◆電力の危機を直視せよ◆
首相は、原発の再稼働について、安全評価が不十分とし、ストレステスト(耐性検査)を
条件に加えた。最終的には首相、経済産業相ら4閣僚で判断するという。
法律や制度を軽視し、思いつきで新たなルールを持ち出す。民間の東電主体で被害救済を
進める法案を国会に提出する一方、それとは矛盾する「原発事業の国有化」の検討を示唆
する。
「政治主導」をはき違えた、浅慮そのものと言っていい。
首相発言で最も問題なのは、当面の電力不足への危機感が決定的に欠けていることだ。首
相は「国民や企業の理解と協力」で対応可能と言うが、理解に苦しむ。
東電と東北電力はすでに15%の電力使用制限を実施し、一般家庭には節電を呼びかけて
いる。
それに加えて、8月末までに全国で5基の原発が定期検査で停止し、500万キロ・ワッ
トの供給力が失われる。原発を再稼働させないと来春までに全原発が停止する。
首相は、当座の電力源として企業の自家発電など「埋蔵電力」を当て込んでいるらしい。
だが、電力不足の穴埋めに使えるのは原発1〜2基分に過ぎないという。
全54基の原発が止まるとどうなるか。民間調査機関には「国内総生産(GDP)が14
兆円以上減少」「50万人が失職」「発電コストは4兆円増加」との予測もある。
企業は工場を海外に移転し、産業の空洞化が加速するだろう。
原発の再稼働を急がないと、懸念はやがて現実となる。首相は、脱原発への、夢のような
構想を語っている場合ではない。
中長期的なエネルギー政策の見直しも急務だ。原発事故に対する国民の不安、原発への不
信感を考えれば、原発増設は従来の計画通りには進められまい。経済成長に必要なエネル
ギーをどう確保するのか、専門家を交えた議論を深め、新たな戦略を練る必要がある。
首相は太陽光や風力など再生可能エネルギーを有望視している。だが、水力を除けば総発
電量の約1%しかない自然エネルギーに過大な期待は抱けない。
太陽光パネルや発電用風車を置く適地の確保やコストなど難題が山積している。
自然エネルギーによる発電が普及することは望ましい。だが、電気料金が上がり、国民や
企業に重い負担がかかる懸念もある。火力発電も含め、電力供給の望ましい組み合わせを
模索すべきだ。
◆安全性の向上にも責任◆
原発事故後も、多くの国は原発の安全性を高めた上で活用する方針だ。中国やインドなど
新興国は増設を計画している。日本には、世界の原発の安全性向上に寄与する責任がある。
脱原発に向かえば、原子力技術が衰退し、科学技術立国もままならなくなる。日本は「原
子力の平和利用」を通じて、核拡散防止条約(NPT)体制の強化に努めてきたが、国際
的な発言力も大きく低下するだろう。
ドイツやイタリアのように近隣国から電気を買えない日本が、脱原発でやっていけるのか。
世界では、新興国経済の拡大で、石油などの資源争奪が激化している。エネルギー安全保
障の観点も見落としてはならない。
冷静に現実を直視し、多角的な視点から日本のエネルギー政策を再構築すべきである。
(2011年7月16日01時27分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110716-OYT1T00111.htm
- 47 :
- 大飯原発停止 電力危機がさらに深刻化する(7月17日付・読売社説)
福井県おおい町の関西電力大飯原子力発電所1号機で、緊急冷却系のタンクの圧力が下が
るトラブルがあり、関電は原因調査のため、16日、運転を手動でストップした。
出力120万キロ・ワット近くの大規模電源だ。原発依存度が約5割に達する関電として
は“虎の子”を失う事態と言える。
関電は、11基の原発をいずれも福井県に保有しているが、これで停止中は5基となる。
今週、さらに2基が定期検査で止まる。盛夏を前に、関西圏も電力供給の維持が一層厳し
くなるだろう。
大飯原発のトラブルは、タンクの弁の異常が原因として疑われている。直後に復旧し、放
射性物質の漏出もなかった。重大な事故に直結するトラブルではない、とみられている。
問題は、再稼働の時期が不透明なことである。原因を特定し、対策を施しても、当分の間、
運転の再開は困難だろう。
菅首相が、定期検査中の原発の再稼働の条件として、ストレステスト(耐性検査)の実施
を言い出し、混乱を招いているためだ。
大飯原発1号機は、東日本大震災の前日、定期検査の最終段階である「調整運転」のため、
起動した。通常は、その後1か月程度で最終検査を申請し、営業運転に入るが、4か月以
上、100%出力で運転を続けていた。
申請期限は法律で明示されているわけではない。電力不足に対応するための苦肉の策とし
て運転を継続した関電を、経済産業省原子力安全・保安院や地元自治体も事実上、黙認し
てきた。
福島第一原発事故を踏まえ、保安院が緊急指示した津波対策や非常用電源の強化などは、
すでに実施していた。
改めてストレステストが再開の条件となることで、福井県が、他の原発の再稼働を含め、
態度を硬化させる恐れがある。
菅政権がもたらした混乱は、福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」にも波及しつつ
ある。
首相の「脱原発依存」宣言を踏まえ、高木文部科学相が先週、もんじゅの開発中止を検討
するとも受け取れる発言をし、あわてて取り消す騒ぎがあった。
もんじゅには、日本の原子力政策の根幹として巨額の資金が投じられてきた。福井県や敦
賀市は、政府内の論議もない唐突の発言に困惑している。
原子力を巡る政治家の場当たり的、無責任な対応で、原発立地自治体を振り回すべきでは
ない。
(2011年7月17日01時01分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110716-OYT1T00959.htm
- 48 :
- 社説:「脱原発」表明 目指す方向は評価する
菅直人首相が13日、記者会見し、原発への依存度を今後、計画的、段階的に下げていき、
将来的には原発がなくてもやっていける社会の実現を目指すと表明した。国のエネルギー
政策を抜本的に見直す「脱原発」表明である。
原発への依存を減らしていくこと、そして現実的にもそうした方向にならざるを得ないこ
とは、私たちもこれまで何度も指摘してきたところだ。その考え方については基本的に支
持し、評価したい。
しかし、首相のこの日の会見ではあまりに具体性が乏しい。将来とは一体、いつごろを考
えているのか。代替エネルギーをどうやって促進していくのか。何より、菅首相が「私自
身の考えを明確にしたい」と前置きしたように、これは内閣、あるいは民主党も含めた政
権としての方針なのか、はなはだ心もとない。
いずれ遠くない時期に退陣するであろう首相だ。まず、政府・与党としての考えをまとめ
る作業を急いでもらいたい。
菅内閣では九州電力玄海原発の再稼働問題をめぐり、首相と海江田万里経済産業相との間
で「不一致」が問題になったばかりだ。一連の経過に対し、首相は会見で「私の指示が遅
れ迷惑をかけた」と改めて陳謝したが、今回の「脱原発」表明についても、早くも「どこ
まで閣内で議論をしているのか」という疑問の声が出ている。
もちろん、首相のリーダーシップで進めていくことは必要だ。しかし、民主党の執行部で
さえ菅首相と距離を置き始め、絶えず退陣時期が焦点となっている現状を考えれば、個人
的な意見の言いっぱなしで終わる心配がある。
一方、菅首相は、企業や各家庭の節電の努力の結果、今年の夏から冬にかけては「十分に
必要な電力供給は可能」と明言したが、もっと具体的な数字を挙げて説明しないと説得力
を欠く。
さらに来年夏以降に関しては、天然ガスを使う火力発電所の活用などを挙げたが、「計画
を立てていきたい」と語るだけだった。これでは、ただでさえ方針が二転三転する菅内閣
に不信感を強めている産業界などは納得しない。
国民の安全と暮らし、経済活動をどう保っていくか。確かに首相がいうように国民が選択
すべき政治課題である。いずれは総選挙の大きな争点ともなるだろう。だからこそ、政権
与党の責任として民主党の考えをまとめることが必要だ。
首相はこの日も退陣時期を明確にしなかったが、まさか「脱原発」を自らの延命の材料に
するつもりはなかろう。次期代表を決める代表選でもきちんと論議すべきである。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110714ddm005070147000c.html
- 49 :
- 脱・原発依存 その場限りで信用できぬ
2011.7.14 03:00
エネルギー政策は社会と経済を支える国の基本だ。菅直人首相が記者会見で「将来的に原
発に依存しない社会を目指す」と政策を大転換する考えを打ち出した。
だが、その内容は全く不十分で、無定見ですらある。何より退陣を表明して「死に体」と
なっている首相が国の将来を左右する新たな政策に取り組むことがあっていいのだろうか。
菅首相は「原発への依存度を計画的、段階的に下げてゆく」と明言した。発電量に占める
現在の原発比率は3割弱だが、これを将来はゼロにするとの方針だ。現在のエネルギー基
本計画では2030年に50%以上に高めるとしていたが、全面的に転換する。
確かに、東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故を受け、従来の原発政策の見直し
は避けられない。中長期的に再生エネルギーを強化してゆくことも、方向性としては妥当
だろう。
しかし、再生エネルギーの発電比率は水力を含めても9%程度で、一気に高めることはで
きない。問題は10年、20年単位での基幹エネルギーの転換をどう円滑に進めるかだ。
首相はこの点を全く説明しておらず、無責任以外の何物でもない。
唐突なストレステスト(耐性検査)の実施により、定期検査を終えた原発の再稼働は当面、
遠のいた。このままだと、来春にも国内すべての原発が停止する。首相は節電と企業の自
家発電の活用などで乗り切れるとしたが、エネルギーの安定供給という政府の責任を放棄
したといえる。
この夏だけでも、東日本では15%削減の電力使用制限令が発動され、家庭や企業は重い
負担を強いられている。企業・工場の海外脱出も出始めている。また発電コストが低い原
発を減らし、再生エネルギーの比率を高めれば、電力料金が上昇するのは必至だ。
菅首相は、原子力安全・保安院を経済産業省から切り離す方針も改めて強調した。検討す
べき行政課題ではあるが、原発再稼働の判断を先送りする口実にしてはならない。
これまで菅首相は、重要政策について政府・与党内できちんと議論することなく、その場
限りで思いつきの発言を繰り返してきた。単なる政権延命のためだけの政策転換は、もう
許されない。一刻も早い退陣こそ求めたい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110714/plc11071403000004-n1.htm
- 50 :
- もんじゅ―開発はあきらめる時だ
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)をめぐる高木義明文部科学相の発言が、波紋を呼
んでいる。
高木氏は昨日午前、もんじゅについて「廃止とか、単純に継続とかではなくて、全体的な
エネルギー政策の中で結論がおのずと出てくる」と述べた。
それが「開発中止を含め検討」と報じられたのを受け、夕方、改めて記者会見し、「中止
なんて一言も言っていない」としつつ、「議論に予断は持つわけにはいかない」と語った。
未曽有の原発事故を起こし、原発依存を下げていく以上、政府がもんじゅのあり方を問い
直すのは当然のことだ。
高速増殖炉(FBR)はプルトニウムを燃料にし、運転しながら燃料を「増殖」させる原
発だ。この「夢の原子炉」によってエネルギーを支える構想を、核燃料サイクルとよぶ。
かつては多くの国が核燃料サイクルの実現をめざしたが、技術的な難しさ、コストの高さ、
プルトニウムを扱うことによる核拡散の問題を理由に、欧米はほぼ撤退した。
日本の計画も遅れに遅れている。1970年代には「95〜2005年ごろに実用化する」
という計画を描いていたが、現在の原子力政策大綱では「50年ごろまでに実用化」とし
ている。
もんじゅは初発電から間もない95年12月に冷却材のナトリウム漏れ事故を起こした後、
ほとんど稼働していない。すでに9千億円以上を投じ、停止中も1日5500万円の維持
管理費がかかる。
しかも、もんじゅは原型炉であり、この次に実証炉、実用炉と続く。実証炉をだれが主体
になってつくるかも未定だ。つくるとしても、もんじゅとは違うタイプになる。実用化の
見通しは立たない。
日本の原子力開発の歴史において、普通の原発(軽水炉)が外国から丸ごと輸入されたの
に対し、もんじゅは国産開発のシンボルだった。
しかし、もんじゅで冷却材に使われるナトリウムは水と爆発的な反応をするため、制御が
難しい。事故が起きた場合の危険性は極めて高い。
私たちは13日付の社説特集「提言 原発ゼロ社会」で、核燃料サイクル計画からの撤退
を求めた。もはや巨額の予算をかけてFBRの開発を進める意味は乏しい。FBRはあき
らめ、もんじゅは廃炉にすべきだ。
FBR時代が来ない以上、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理事業も、根
本的に見直さなければならない。
http://www.asahi.com/paper/editorial20110716.html
- 51 :
- 産業力高める再生エネ買い取り法制に
2011/7/15付
太陽光や風力などで起こした電気の全量買い取りを電力会社に義務づける再生エネルギー
特別措置法案が審議入りした。将来の電力の安定確保と産業育成の両面で新制度は意義が
ある。電気料金の上昇を抑えられるよう与野党は議論を深め、効果的な制度にしてほしい。
現在は家庭の太陽光発電で余った電気を電力会社が買う制度がある。新制度は対象を風力
やバイオマス(生物資源)発電などにも広げ、企業からも電気を買い取る。自然エネルギ
ーを普及させるため大規模な太陽光発電所などの建設を促す。
原子力発電所の稼働率低下を火力発電で補う動きが広がっている。だが燃料の石油、石炭
や液化天然ガス(LNG)は新興国の需要拡大で長期的に価格上昇が避けられず、火力発
電を増やすことは得策でない。温暖化ガス削減にも逆行する。
そこで期待されるのが自然エネルギーだ。水力を除き現在は発電量の1%という比率を引
き上げ、火力や原子力に次ぐ電源にしたい。後押しするのが全量買い取り制度だ。
太陽電池や風力発電機などの競争力向上もこの制度は促す。太陽電池は日本企業がかつて
世界シェアの上位を占めていたが、低価格の中国や米国の企業に逆転されている。新制度
で電池の需要増が見込め、量産効果で価格を引き下げやすくなる。
太陽光や風力発電が広がれば、蓄電池や電力消費をきめ細かく管理する次世代電力計など
の需要増にもつながる。こうした電力関連の新市場は自動車産業に匹敵する規模に拡大す
るとされ、産業構造転換のためにも自然エネルギーを普及させたい。
自民党や公明党など野党も自然エネルギーの導入拡大では一致している。ただし効果をあ
げるには、新制度を丁寧に設計する必要がある。
太陽電池などの市場を育てるには電気の買い取り価格を適切に定めることが不可欠だ。価
格が高すぎては参入企業の創意工夫を妨げる。安すぎると参入意欲がわきにくい。
電池の製造コスト低下や技術の進歩に応じ買い取り価格を見直すことが重要だ。風力や小
規模水力などの価格も柔軟な決め方が求められる。
電力会社の買い取り費用を電気料金に転嫁する際も工夫が要る。同様の制度があるドイツ
は家庭の電気料金への上乗せ幅は大きくし、産業用電力への転嫁は小幅にしている。
野党には企業の国際競争力を考え電力多消費型産業への配慮を求める声がある。日本もド
イツを参考にしてはどうか。電炉や化学産業などには軽減措置があっていいだろう。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E0E0E6E7EAE7E2E3E7E2E5E0E2E3E38297EAE2E2E2
- 52 :
- 原子力委員会 新大綱策定会議(第1回)
議事次第 平成22年12月21日(金)9:01〜11:58
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/sakutei/siryo/sakutei1/siryo.pdf
> ○大橋委員 おはようございます。
> 東京大学システム創成学専攻の大橋弘忠です。よろしくお願いします。
>私もきまじめに一枚資料を昨日用意してまいりました。
>最後にプロレス的なパラダイムと書いてありまして、事務局からこのプロレスというのは
>ワープロミスじゃないかという連絡を昨日いただいたんですけれども、これはプロレスで、
>一昨日京都で泊まっていたんですけれども、夜プロレスをやっていまして、プロレスというのは
>敵と味方がありまして、レフリーがいて、それを放送するアナウンサーがいて、観衆がいるんですけれども、
>余り深くは言いませんけれども、一致団結して前へ進めていくようなところがありまして、
>そういう何かガRな緊張関係じゃなくて、こういうプロレス的なパラダイムで
>こういう原子力にしても、何か物を進めるような議論を進めていくといいと思って余計な一言を書きました。
プロレス的なパラダイム
プロレス的なパラダイム
- 53 :
- >>49
まあ徴兵制だろうね。
戦前(に成人した)世代と戦後世代の日本人を見比べれば一目瞭然。
- 54 :
- 政府「核爆弾作れる状態を維持するには原発は要るんだよ」
- 55 :
- 「原発」ステップ2 再稼働への工程表も作れ
2011.7.20 02:51
東京電力福島第1原発事故の収束に向けた工程表前半「ステップ1」の総括と後半「ステ
ップ2」の内容が発表された。最重要課題の原子炉の「安定的な冷却」は、目標の3カ月
以内に実現できた。困難を克服しての達成を評価したい。
炉心溶融を起こした3基の原子炉を今後、3〜6カ月程度で「冷温停止状態」に移行させ
ることが、ステップ2における最大の課題となる。
前例のない展開となった事故の収束作業は放射能汚染との戦いだ。その取り組みを世界が
注視している。東京電力と政府には着実な前進と明快な情報公開を期待したい。
ウラン燃料の残留熱を冷やすために、かけ流しにされた水が放射能汚染水として増え続け、
一時は海への流出が心配されたが、浄化システムを組み込んだ「循環注水冷却」で危機を
回避した。
現在、1〜3号機の原子炉内の水温は100度に近づいている。ステップ2では、できる
だけ早く100度未満に落ち着かせ、冷温停止を実現してもらいたい。
ステップ1では、3基の原子炉格納容器内への窒素ガス封入も実現した。危険な水素爆発
の可能性は、ひとまず遠のいた。
現場で懸命の作業に従事している人々の労苦をねぎらいたい。彼らの放射線被曝(ひばく)
量の管理はこれからの大きな課題だ。8月の熱中症対策も今後の進捗(しんちょく)を左
右する。
避難住民が段階的に元の暮らしを取り戻せるよう、原子炉安定の努力を前倒しで進めても
らいたい。ステップ2の開始で、年明けをめどとする一応の収束への期待が、ほの見えて
きた感がある。
これに対し、国内の原発の運転利用状況は、日を追って悪化している。発端は菅直人首相
による中部電力浜岡原子力発電所への運転中止要請だ。突然、発表されたストレステスト
(耐性検査)など2段階からなる安全評価の新規導入も、原発の再稼働の遅れに追い打ち
をかけた。
13カ月ごとの定期検査入りで発電中の原発が減っている。その中で関西電力大飯原発1
号機がトラブルで停止した。今夏の近畿圏への影響は大きい。深刻な電力不足が暗い影と
なって日本列島を覆い始めた今、再稼働への工程表も必要だろう。政治的延命のみを考え、
自ら招いた事態を座視し続ける菅首相の責任は重大である。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110720/plc11072002510004-n1.htm
- 56 :
- 電力不足―西日本も、さあ節電だ
政府は関西、北陸、中国、四国、九州の電力5社に対し、20日になって急きょ、この夏
の節電を要請した。
東京、東北電力管内のような強制力のある電力使用制限令ではないが、この夏は列島あげ
て節電に全力をあげなければならない事態になった。
西日本でも電力不足が懸念されるのは、定期検査で停止中の原発の再稼働が見込めないな
か、関電の原発と中国電の火力発電所がトラブルで止まり、電力需給の見通しが一気にひ
っぱくしたからだ。
西日本には震災で壊れた大規模発電所はないし、同じ周波数の地域が広く、電力の融通も
しやすい。それでも昨年並みの電力需要があれば、5社合計ではピーク時に電力不足に陥
りそうだという。とりわけ、発電量の約5割を原発で賄ってきた関電が深刻だ。
原発の再稼働をあてにしているうちに、政府も電力会社も対策が後手に回ったのは明らか
だ。節電体制づくりの準備不足という点では、西日本の方がむしろ厳しい展開と言える。
ただ、今からできることは限られている。当面はありとあらゆる節電でしのぐしかない。
要は、暑さの厳しい時間帯に電力使用が集中しないようにすることだ。そのためには、地
域や職場、家庭で相談して、工夫を凝らしていく必要がある。
もともと、西日本は大震災の被災地から遠い。企業の中には東日本の電力不足を見越して、
わざわざ西日本へ生産拠点や管理部門を移したところもあるくらいだ。地震の実感がない
ぶん、住民は「なぜ節電なのか」という思いだろう。
それでも、節電が不可欠な現実と向き合わねばならない。
何より効果的な節電をするには、政府や電力会社が供給能力や需要動向に関する情報をき
ちんと開示することだ。
とくに最も不足が心配される関西ではいま、政府が「10%以上」、関電が「15%」、
自治体でつくる関西広域連合が「5〜10%」と、ばらばらな目標値を設定している。
これでは、住民は本当に足りない電力がどのくらいなのか、どれだけ暑さを我慢しなけれ
ばならないのか、わかりにくい。
ただでさえ、計画性を欠いた政策変更を繰り返す政府と、九電のやらせメールに象徴され
るような企業体質を引きずる電力会社に対し、国民の不信感は募っているのだ。
もっと根拠のある数字と、納得できる説明が要る。それが夏を乗り切る最低条件になる。
http://www.asahi.com/paper/editorial20110722.html
- 57 :
- 広がる電力不足 異常事態の恒常化回避を
2011.7.21 03:09
もはや異常事態だ。政府は関西電力の電力供給の低下に伴い、関電管内の大口需要家に対
して10%以上の節電を求めることを決めた。これで電力危機は東日本から全国に波及し
た。
この危機を乗り切るには節電が必要だが、あくまでも緊急避難にすぎない。電力不足の恒
常化はそうでなくともエネルギーコストの高い日本から企業を海外に追いやってしまう。
それによる雇用の喪失も深刻だ。菅直人政権には定期検査を終えた原発の再稼働を含め、
電力の安定供給を確立させる責務がある。
関電は先週、トラブルで大飯原発1号機を緊急停止した。今週には高浜原発4号機と大飯
原発4号機も13カ月ごとの定期検査で運転を停止する予定だ。同社の全11基の原発の
うち7基が止まる。原発比率が発電量の半分を占める関電にとっても深刻な事態である。
電力需要が供給を上回ると、予想外の大規模停電が発生する恐れがある。病院などでの突
然の停電は生命への危険が伴うばかりか、工場の操業停止など産業界への影響も計り知れ
ない。
こうした電力不足の危機を招いたのは、菅首相の思いつきとしか言いようがない原発政策
だ。中部電力浜岡原発に法律に基づかない停止を求め、定期検査を終えた原発へのストレ
ステスト(耐性検査)の実施を突然決めたことなど枚挙にいとまがない。
再生可能エネルギーが原発の代替になり得るのは10年、20年単位の遠い将来だ。その
間、家庭や企業に節電を強い続けるというのでは、あまりにも無責任だ。
広がる電力不足 異常事態の恒常化回避を
経済産業省の調査によれば、円高や法人税の高さも加わり、大手メーカーの7割近くが海
外進出を考えているという。現に東レは韓国に炭素繊維工場を建設し、自動車用半導体大
手のルネサスエレクトロニクスは台湾やシンガポールなどの生産を拡大する。こうした日
本政府の無策の足元を見るように、韓国や台湾などは安くて安定的な電力を武器に日本企
業の積極誘致に乗り出してきている。
液晶大手シャープの町田勝彦会長は「電力不足がとどめを刺し、日本でのモノ作りが不可
能になる」と懸念を示す。経済同友会の長谷川閑史(やすちか)代表幹事も「企業は海外
シフトを考えざるを得ない」と警告している。国内空洞化の危機は既に足元まできている。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110721/plc11072103090005-n1.htm
- 58 :
- 原発輸出「見直し」 日本経済をぶち壊すのか
2011.7.23 03:22
自らが表明した「脱原発」を正当化するために国家の基本であるエネルギー政策をもてあ
そんでいるとしかいいようがない。菅直人首相が、成長戦略の柱の一つと位置づけている
海外への原発輸出について、見直しを示唆した。
成長戦略はデフレ脱却をめざす日本の経済政策の基軸である。景気への配慮を欠く首相発
言の迷走で、電力危機が全国に広がっている。このうえ、成長戦略も台なしにしてしまう
つもりか。首相は発言をただちに撤回すべきである。
原発は建設費が1基5千億円といわれ昨年6月、鉄道などと並ぶインフラ輸出の有力候補
として、政府の成長戦略に掲げられた。日本企業がベトナムやアブダビでの入札に相次い
で敗れたことから、官民一体となって受注獲得に乗り出す狙いだった。
努力が実ってベトナムの第2次分の受注に成功し、ヨルダンやトルコとも交渉中だ。首相
も年頭の施政方針演説で「私自らベトナムの首相に働きかけた結果、原発の海外進出が初
めて実現しました」と胸を張っていた。
ところが、首相は21日の参院予算委員会で、ベトナムへの原発輸出について「もう一度
きちんとした議論をしなければならない段階にきている」と答弁した。枝野幸男官房長官
は「見直しを示唆したとは受け止めていない」と弁明したが、これまでの官民の努力を否
定するもので耳を疑う。
ベトナムは福島第1原発の事故後も日本に発注する方針を堅持している。日本としてベト
ナムにどう説明するのか。このままでは国際間の信頼関係を損ないかねない。日本の原発
平和利用をずっと支持してきた米国も、懸念を深める事態になっている。
事故があったとはいえ、耐震性などの点で日本の原発技術の水準は高く、それに期待を表
明する国は少なくない。日立製作所がリトアニアの原発建設の優先交渉権を獲得し、事故
後初の新設契約にこぎ着けたのもいい例だ。
世界の人口は間もなく70億人を突破する勢いで、新興国、途上国がいかにエネルギーを
確保するかが課題となっている。日本の原発を輸出することは日本の経済成長だけでなく、
世界に対する貢献にもなる。日本は事故を教訓に技術力を高め、継承していく努力を怠っ
てはならない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110723/plc11072303220002-n1.htm
- 59 :
- 原発輸出見直し 国際信用損なう首相の不見識(7月23日付・読売社説)
世界第3位の原子力発電大国・日本の菅首相が「脱原発依存」を発信し続けていることで
内外に波紋が広がっている。
このまま国家戦略の根幹をなすエネルギー政策の方向性が定まらないようでは、国際的な
信頼も失いかねない。憂慮せざるを得ない事態だ。
菅首相は参院予算委員会で、個人的な考えのはずの「脱原発」を正当化し、政府の方針を
転換するかのような答弁を繰り返した。
その一つが、政官財一体で推進してきたベトナムなどへの原子力発電所の輸出である。
「外交手続きは進んでいる」とする一方で、「きちんとした議論がなされなければならな
い」と述べ、輸出を見直す考えを示した。
「脱原発」との整合性をとるためだけの窮余の答弁だろう。
だが、政府が主導してまとめた契約を、一方的に見直すというのは無責任に過ぎる。
政府は、地球温暖化対策や原発の新規導入国への技術支援になるとして、原発の輸出を新
成長戦略の柱に位置づけてきた。アジアには日本の技術への期待も高い。
枝野官房長官や海江田経済産業相が、首相の意に反し、原発輸出を継続する考えを明確に
しているのは、責任ある姿勢と言える。
米国のナイズ国務副長官が、ワシントンを訪れた高橋千秋外務副大臣に、エネルギー政策
について説明を求めたのも、首相の迷走に懸念を抱いたのだろう。
首相は5月の主要8か国首脳会議で、「今回の原発事故を教訓に最高水準の原子力の安全
を実現する」と言明していたからだ。
米仏などは原発政策を堅持し、中国やインドなど新興国も原発増設計画を進めている。原
発事故の再発防止策を示し、国際的な安全基準策定に協力、推進することこそ、日本の責
務である。
首相が手本にしたドイツは、フランスなどから電力を輸入できる。2022年まで国内1
7基を順次閉鎖する計画も立てている。
日本は電力を隣国から買えず、ドイツとは事情が異なる。唐突なストレステスト(耐性検
査)導入で、来年春までに全原発が停止する事態も現実味を帯びてきた。
全原発が3か月停止するだけで50万人超の雇用が失われるとの試算もある。首相の言動
に対し、経済界が反発するのは当然だ。
世界が激しい資源獲得競争に入っている中、日本のエネルギーの安全保障政策には不安を
覚える。海図なき「脱原発」路線で日本を漂流させることは許されない。
(2011年7月23日01時03分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110722-OYT1T01149.htm
- 60 :
- 自民党国家戦略 「原発再稼働」は評価する
2011.7.24 03:50
自民党がまとめた中長期の国家戦略に関する報告書で、今後のエネルギー政策に関して
「安全強化策を施した上での既存原発の稼働維持」との方針を明確に示した点は率直に評
価したい。
報告書は東日本大震災によってエネルギーをめぐる状況が一変したことを認め、太陽光や
風力などの再生可能エネルギーを「新たな柱の一つ」と位置付けた。だが、「原発の発電
量を直ちにカバーすることは極めて困難」として、安易な「脱原発」路線と一線を画した
のは現実的といえる。
福島第1原発の事故によって原発の安全性への信頼は大きく揺らぎ、自民党も従来のよう
に原発推進を唱えるのは難しくなった。だが、菅直人首相の下での再稼働凍結などが電力
危機を招き、産業空洞化に拍車をかけている。
今回の再稼働方針は、国民生活や経済活動に死活的なエネルギー政策で、責任政党の立場
を強調し、現政権に代わる受け皿を示そうとしたものだ。
外交・安全保障政策で、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則につい
て、核兵器を積んだ米艦船の寄港を容認する「2・5原則」に初めて踏み込んだ。画期的
な判断である。
日本の安全を米国の拡大抑止(核の傘)に委ねている以上、中国や北朝鮮の核増強の現状
をみれば、非核三原則の見直しは避けられないからだ。集団的自衛権の「行使容認」とと
もに、日米同盟の実効性を高めていこうとする姿勢を支持したい。
「領土主権の護持」も掲げた。非常事態に国が迅速に対応する法制度を憲法を含めて整備
することも打ち出した。これらも、民主党政権では実現が困難なものだ。
「保守」としての自民党らしさも教育政策を中心に織り込んだ。親の過保護や無関心、
「公」を軽視する傾向が教育を危機的状況に陥れていると指摘し、「大震災で全国民が再
認識した家族・家庭の重視」を改革の柱に据えた。
保守カラーは成長戦略にもにじみ出ている。欧米の市場原理主義とは異なる「人間と自然
の調和」を理念とし、「日本固有の文化や伝統を重んじる」社会を目指すとした。国家の
ありようを示した意味は大きい。
日本をどうすべきか。次期衆院選に向けた基本政策を自民、民主両党は競い合わねばなる
まい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110724/plc11072403500001-n1.htm
- 61 :
- 韓国国営放送である犬hkを解約する方法
http://www.youtube.com/watch?v=eXHtr8nKn2k&feature=related
ただし一般郵便だと無視される可能性があります。
とぼけられないように一般書留+配達証明=770円で郵送したほうが確実です。。
これをすると、犬hkから電話がかかってきます。
丸め込まれないためにも、理論武装、犬hkの不祥事事件の知識が必要となります。
十分に準備を整えてから実行しましょう。
私の実際の経験では、1時間ほどの電話×2日ほど掛かりました。
あまり好きな手段ではないのですが、担当者の胃に穴を開けるつもりでクレーマーに徹しました。
デジタル移行の今がチャンスです。
- 62 :
- 次また事故があても
誰も責任を取らないw
- 63 :
- 電力会社の「原発がないと夏のピーク電力に耐えられません…」って言い分がある。
このピークは年間40時間だけ、8月の上半期2週、昼の2時頃にくる。
原因はエアコンとTVの併用が激増するからなんだってさ。
有名なこれ(http://www.nri.co.jp/opinion/r_report/pdf/201104_fukkou6.pdf)見てもTVが効くのは良く分かる。
ここで抱く疑問…暑くてエアコンはわかるが昼間の2時になぜTV…?って…
甲 子 園 か い !
要するに電力会社の言い分って、エアコンがんがん効かせた部屋で、灼熱地獄下でやってるガキの野球大会を見たい
暇なジジババのために原発が必要だってことか。
主催者朝日新聞とNHK、開催時刻ずらしてナイター中継にしてくんねー?。
生中継はラジオだけにしてTVは夜録画を放送するようにするだけでもいい。
そんだけで原発の必然がなくなる。
- 64 :
- 原発賠償法案 早期成立で着実な救済図れ(7月19日付・読売社説)
福島第一原子力発電所の事故で、東京電力による損害賠償への支援策を定めた「原子力損害賠償支
援機構法案」の国会審議が、動き出した。
法案提出からすでに、1か月を空費した。与野党は意見調整を急ぎ、早期成立を図ってほしい。
賠償金の総額は数兆円規模にのぼる見込みだ。国が負担するのは原子力損害賠償法(原賠法)に基
づく1200億円だけで、これを上回る分は、最終的に東電が負担しなければならない。
東電だけで払い切れる金額ではないだろう。被害の着実な救済には、公的支援が欠かせない。
支援機構法案は、東電など原発を持つ電力各社の負担金で「原子力損害賠償支援機構」を新設する。
国債など公的資金も活用しながら、機構は東電の賠償金の支払いを立て替え、東電が長年かけてこ
れを分割返済する仕組みだ。
自民党などは、国策で原子力政策を推進した政府が、十分責任を果たしていないと指摘している。
もっともな主張である。政府・与党は、国の責任の明確化など、必要な修正に応じるべきだ。
これとは別に、自民など野党5党は、賠償金支払いの半分を国が立て替える「仮払い法案」を、議
員立法で参院に提出している。東電の厳しい資金繰りを補える。被害の早期救済に有効だろう。与
党も前向きに対応してほしい。
与野党が互いの主張を譲らず、「時間切れ」になる事態は、何としても回避すべきだ。
金融界などは、支援機構法案が9月末までに成立しないと、東電が債務超過に陥る可能性を指摘し
ている。東電が、被害救済、事故収束、電力安定供給という責務を果たし続けるためにも、経営危
機を招いてはならない。
法案成立後も、原子力災害の賠償のあり方について、見直すべき課題は残る。
原発の事故は被害が巨額で、賠償は民間企業1社の手に余る。海外では、電力会社の賠償責任に上
限を設けている例が多い。米国は約1兆円、英仏は100億〜200億円などだ。
電力会社に無限の賠償責任を負わせる日本の原賠法の規定は、いずれ再検討が必要となろう。
東電は、福島の事故収束費や火力による代替発電の燃料費など、多額の負担を迫られる。東電の格
付けは「投資不適格」に下がり、他の電力会社も軒並み格下げされた。信用不安の拡大が心配だ。
政府による総合的な支援が求められている。
(2011年7月19日01時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110718-OYT1T00771.htm
- 65 :
- 原子力賠償法案 「国の責任」はっきり示せ
2011.7.29 03:08
東京電力福島第1原発事故に伴う賠償を支援する「原子力損害賠償支援機構法案」と、国が賠償金
を立て替える「原子力事故被害緊急措置法案」が衆院を通過した。
被害者救済への見通しが立ったことは一歩前進だ。しかし、与野党協議の結果も政府案から大きく
修正されることはなく不十分と言わざるをえない。
特に、国の責任の具体的内容が明示されなかったのは問題である。「社会的責任として国が賠償に
万全の措置を講じる」との抽象的文言を追加しただけで、東電負担の上限設定などに触れないので
は、最終的に国が責任を負うことにはなるまい。
法案の解釈があいまいになり、かえって被害者の救済に支障が出ることも懸念される。修正案に東
電が債務超過に陥る事態を想定した文言はないが、付則で「法律の施行後早期に、国や東電、株主
などで負担のあり方を検討し、必要な措置を講じる」としており、東電を法的整理する可能性を残
したとも受け取れる。参院での審議ではこうした不透明な部分を含め、理解しやすい中身にする努
力を重ねるべきだ。
損害賠償をめぐる議論には、最初からボタンの掛け違いがあった。原子力事故の際の補償を定めた
原子力損害賠償法では、異常に巨大な「天災地変」の場合、電力会社は賠償を免責され、国が責任
を負うと定めている。
しかし、菅直人政権は初めから、この条項の適用の可否を議論することなく、東電の「無限責任」
を前提にしてきた。そこにそもそもの根本問題がある。
修正後の法案でも国が原賠法に基づき1200億円だけを負担するが、超過分は原則、東電が負担
するとしている。だが東電の資金繰りは厳しいので、国が支援機構を通じて立て替え払いし、後で
東電が分割返済する。
機構は本来、将来の原発事故に備えて電力各社が資金拠出し基金をつくるために設立される。しか
し今回の事故では、さかのぼって基金からの流用も是認された。
これでは東電以外の電力会社も賠償金を負担することになり、電気料金の全国一斉値上げにもつな
がりかねない。
この問題で、先送りはもう許されない。国の責任が不明確では被害者の不安も払拭できないことを
与野党は銘記すべきだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110729/plc11072903080002-n1.htm
- 66 :
- 社説:原賠機構法案 残る課題の議論深めよ
福島第1原発事故に伴う東京電力の損害賠償を円滑に進めるための原子力損害賠償支援機構法案が、
週内に衆院を通過し、8月上旬には参院で可決、成立する見通しになった。東電に代わって、賠償
金の半分を国が仮払いする野党提出の法案も成立の見通しになり、被害者救済が前進することを歓
迎したい。
しかし、原賠機構法案は、与野党協議による修正を経て、将来的に見直す余地を残す項目が増え、
暫定色が強まった。肝心なのは、被害者の迅速な救済と電気の安定供給だ。政府や国会には、その
目的達成を確実にするため、残された課題の議論を深めてほしい。
法案には、新たに国の「社会的責任」が明記され、賠償実現に国が「万全を期す」との文言が盛り
込まれた。電力会社と一体になり、原発を推進してきた国の責任が明確にされたことは、評価した
い。
一方、付則や付帯決議で、東電の株主・債権者の負担や、経営のあり方を再検討することが示され、
「東電を債務超過にさせない」とする閣議決定を見直すことも確認された。これは、東電を債務超
過とし、法的整理する可能性を残したものとも受け取れる。
確かに、法的整理になれば、株主の責任が全うされ、銀行融資などの債権カットも可能になるため、
その分、賠償に伴う国民負担が軽くなるというメリットが考えられる。
しかし、それで被害者救済が確実に実行できるか、冷静に考える必要がある。例えば、銀行などは
約5兆円に上る東電の社債を保有しているが、社債償還を受ける権利は、一般の債権に優先するこ
とが、電気事業法で決められている。債務超過ということは、すべての債務を弁済する資力がない
ということだから、社債が優先される分、一般債権である賠償金が支払われなくなったり、削られ
たりするおそれがあるわけだ。
国が税金で穴埋めできれば、被害者は救済されるが、原子力損害賠償法(原賠法)に政府が賠償金
を支払う規定はない。今回の法案の「万全を期す」という文言で、それが可能になるのかも不透明
だ。東電の法的整理を議論するのであれば、国が直接、賠償金を支払う法的な枠組み作りを前提に
する必要がある。
また、法案は付則で、国の責任のあり方を含めて、原賠法を見直すことを明記した。電力会社に無
限責任を負わせながら、原発事業を担わせることには無理がある。菅直人首相が検討を表明した
「原発国有化」とも密接に絡む。国のエネルギー政策の中で、原発をどう位置づけるかが問われる
問題であり、政府の責任ある対応を求める。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110728ddm005070002000c.html
- 67 :
- 放射性廃棄物を作り続ける原発なんか不要
- 68 :
- 完全に壊れた日本国!「法律を守らない」とした菅首相が被害者の私
を公然且つ問答無用に死刑執行中!!
日本政府による私共家族の生命・人権・財産権等々の著しい侵害行為
―。被害 者の私はその事実関係を明らかにした上でその後の措置を自
らのSOSを伴った抗議行動によって国民とマスコミに引き継いだ。
にもかかわらず直ちに私共の安全、人権及び損害回復義務を負った加
害者の政府が、尚も法務局・人権擁護課、裁判所及び検察庁を先頭に
立てた国家ぐるみでもって被害者の私 を有無を言わせずに殺害、自ら
の罪を歴史から完全に抹るという確信犯的法律の蹂 躙行為を公然
と可能なものとした。通算6473日目(2011年8月5日現在)。
これでは世界中で生き残れる人間は皆無(如何なる権力者に如何なる
奇跡が起 きようが僅か数ヶ月の命)である。―こう認識した菅首相は、
日本政府の究極 の犯罪行為は本件の真相を公のものとした私の息の根
を止めるまで問答無用に 続くことが既に確定済(それこそが日本国に
おける適正な法の執行)であるとす る。 http://kayoda.digi2.jp
日本政府による私共家族の生命・人権・財産権等々の著しい侵害行為は、被害
者の私がその事実関係を明らかにしたことから、後は私共の損害回復を含む加
害者側への法的措置を残すのみとなった。
にもかかわらず直ちに裁かれなければならない加害者の政府が、尚も法務局・
人権擁護課、裁判所及び検察庁を先頭に立てた国家ぐるみでもって被害者の私
を有無を言わせずに殺害、自らの罪を完全に抹るという確信犯的法律の蹂
躙行為を公然と可能なものとした。通算6415日目(2011年6月8日現在)。
これでは世界中で生き残れる人間は皆無(如何なる権力者に如何なる奇跡が起
きようが僅か数ヶ月の命)である。―こう認識した菅首相は、日本政府の究極
の犯罪行為は本件の真相を公のものとした私の息の根を止めるまで問答無用に
続くことが既に確定済(それこそが日本国における正しい法の執行)であるとす
る。 http://kayoda.digi2.jp
- 69 :
- 国民は基本的に「官僚は腐っている」という認識を持たなければならない。
- 70 :
- エネルギー政策 世界一安全な原発めざせ 今のままでは最貧国に転落だ
2011.8.6 03:47
日本の基幹エネルギーである原子力発電をめぐる諸政策が今、危機のふちにある。
東京電力福島第1原発の事故後、原発に対する菅直人首相の方針が、脱原発色を深めなが
ら迷走を続けているからである。
原子力は、日本の基幹電源であり、生命線であるだけでなく世界が必要としているエネル
ギーでもある。原子力発電を論じる際には世界の諸情勢を展望して判断する見識が枢要だ。
東日本大震災の被災者が歯を食いしばって耐え、復興に向けて努力する中で、日本国家を
支えるエネルギーという基本的な土台が傾き、沈下しつつある。
原発の定期検査後に運転再開ができなくなっている状況は、極めて深刻だ。事故機などを
含めて54基のうち39基が止まっている。
再稼働の条件となるストレステスト(耐性検査)の1次評価も実施されるが、来春には全
電力の約30%を支えてきた原子力による発電量がゼロになりかねない。
原発が15基しか動いていないにもかかわらず、幸い大停電は起きていない。だから「原
発はなくても済む」という意見もあるが、それは違う。不便を耐え忍ぶ国民と企業の努力
によって維持されているだけだ。できるだけ早く再稼働させなくてはならない。
◆原子力重視は国際趨勢
資源小国の日本が、衝動的な脱原発に駆られるのは問題だ。産業の海外移転に拍車がかか
り、工業生産や経済活動が停滞する。アジアにおける国際的地位さえ、危うくなるだろう。
世界の人口は70億人に向かっている。途上国の人々の健康な暮らしには食料と並んでエ
ネルギーが必要だ。石油に代表される化石燃料には限界が見え始めており、価格の高騰も
予見される。
日本原子力産業協会の調査によると、世界の30カ国・地域に約430基の原発があり、
全電力の15%を原子力が供給している。
ドイツやスイスなど欧州の一部の国は福島事故を契機に原発廃止を決めたが、むしろ世界
の趨勢(すうせい)は長期かつ安定した発電が可能な原子力の有効利用に進んでいる。
海外では約70基の原発が建設中で約80基が計画中だ。米仏など原発重視を変更してい
ない先進国との協調も重要だ。太陽光や風力、地熱発電に代表される再生エネルギーの利
用開発も必要だが、本流を読み誤ると将来が危うい。
日本は昨年、策定した「エネルギー基本計画」で、2030年までに14基以上の原発建
設を目標に掲げていたが、今回の事故で新増設は事実上、不可能だ。東京電力は福島第1
原発の4基の廃炉を決めている。事実上の「減原発」である。この電力不足分を当面、再
生エネルギーなどで埋めなくてはならない。
菅首相の場当たり的な迷走を放置すれば、日本はエネルギー最貧国に転落しかねない。ま
た「原発」と「原爆」を結びつけ、国民の忌避感や不安感をあおる行為も禁物だ。まして、
一国の最高責任者が行うべきことではない。あらかじめくぎを刺しておきたい。
◆重要な技術力の継承
原発の安全性を増すために、改革や改善を進めるのは当然のことである。原子力安全・保
安院の経済産業省からの独立もその一つだ。国際原子力機関(IAEA)からも指摘され
た課題である。
しかし、5日に政府が両論併記で示した「原子力安全庁」の試案は、来年4月の設置時期
を含め最善とは思えない。原発事故の収束もまだ道半ばである。拙速を避け議論を深める
べきだ。
日本は原発の基数と発電量において世界3位の国である。原子炉の製造や運転管理の両面
で世界の最高水準の技術を有している。この知的蓄積をさらに発展、継承し、増え続ける
途上国の原発に生かすことこそ日本の責務だ。
エネルギーの安定確保は、国際社会の安全保障とも不可分の重要課題である。ベトナムを
はじめ、日本製原発の輸出を交渉してきた相手国への国際的信用を損なってはならない。
優れた原発を提供することで、日本の安全技術をさらに高めるというフィードバックを機
能させてゆきたい。
日本列島は、地震の活動期に入っている。津波を含めて耐震性のさらなる強化は必要だ。
今回の事故から可能な限りの教訓を学び取り、「世界一安全」と胸を張れる原発をめざそ
う。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110806/biz11080603470005-n1.htm
- 71 :
- 広島原爆の日 反核に利用される脱原発
2011.8.7 02:38
広島で66回目の原爆の日を迎えた。
今年は東日本大震災に伴う福島第1原発事故と重なり、核兵器廃絶の訴えと原発政策のあ
り方の関連が注目されたが、菅直人首相は平和記念式典あいさつで「非核三原則堅持」な
どをうたう一方で、「原発依存度を引き下げ、『原発に依存しない社会』を目指していき
ます」と持論の脱原発を繰り返した。
だが同じ6日、東北電力が東京電力に緊急の電力融通を求めたように、原発なしで日本が
立ちゆかない現実は既に明らかといえる。脱原発にこだわる首相の言動は無責任としかい
いようがない。
東北電力が東電に電力融通を求めたのは4日以来3日連続で、東北を襲った先月末の豪雨
とその後の気温上昇のダブルパンチを受けて電力危機に陥ったためだ。にもかかわらず、
首相は式典後の会見でも「私の(脱原発)発言と政府の方針は方向性で一致している」と
強調した。原発再稼働が進まない中で、脱原発の道を突き進めば危機は全国に広がりかね
ない。
これに対し、松井一実広島市長は平和宣言で「脱原発を主張する人々、あるいは、原子力
管理の一層の厳格化とともに、再生可能エネルギーの活用を訴える人々がいます」と双方
の主張を取り上げ、政府に「早急なエネルギー政策の見直し」を求めるにとどめた。
9日に田上富久長崎市長が読み上げる平和宣言(骨子)も脱原発に踏み込んでいない。首
相の路線に乗らず、一定の距離を置いた両市長の姿勢を評価したい。
松井市長は今年4月の統一地方選で初当選した被爆2世だ。平和宣言では被爆者の声を紹
介し、平和を訴えた。反米色の強かった秋葉忠利前市長の平和宣言に比べ、比較的イデオ
ロギーにとらわれない内容だった。
ただ、今の日本にとり深刻な脅威である北朝鮮の核問題などに触れず、不十分さは否めな
い。
今年は原水爆禁止世界大会が初めて福島市で開かれた。反核運動と脱原発を結びつけよう
とする政治的意図が透けて見える。
日本の反核運動は必ずしも純粋ではなかった。中国や旧ソ連の核実験をめぐって共産党系
と旧社会党系の団体がしばしば反目し、その対立は今も尾を引いている。
日本の将来のエネルギー政策が党派性の強い反核運動に左右されてはならない。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110807/trd11080702380001-n1.htm
- 72 :
- 原爆忌の菅首相 「脱原発」にふさわしい場か(8月7日付・読売社説)
原爆忌の6日、広島市で開かれた平和記念式典で、菅首相が東京電力福島第一原子力発電
所の事故に言及した。
広島大学など関係者による放射線の測定や被(ひ)曝(ばく)医療チームの福島への派遣とい
った支援を得て、事態は安定してきていると述べた。
原爆医療の経験と実績が、福島でも役立ったのは確かである。
これに続けて、首相は、「原発に依存しない社会」を目指す考えを改めて表明した。
だが、「脱原発依存」はそもそも個人的な見解だったはずだ。世界の注目する記念式典で
持ち出したのは、原爆と原発事故を重ねることで自らの主張をより効果的にアピールした
かったのだろう。
鎮魂のセレモニーのいわば“政治利用”ではないか。
首相はその後の記者会見で、先月末、関係閣僚によるエネルギー・環境会議が原発への依
存度を下げていくことを理念とした「中間整理」をまとめたことを挙げ、自らの発言は、
政府方針と一致するとの考えも明らかにした。
しかし、中間整理は首相の「脱原発」宣言を修正したものだ。
とりまとめに当たった玄葉国家戦略相も、原発を活用しながら減らす「減原発」とし、国
民的論議を経て、原発の最終的な姿を決める考えを示している。首相の意向と一致してい
るとは言えまい。
退陣を表明した首相が、具体的な根拠を欠いたまま、国家の根幹にかかわるエネルギー政
策の変更に道筋をつけようとするのは、無責任に過ぎよう。
世界の経済が景気後退の危機に瀕(ひん)している今、日本が生き残るために、原子力エネ
ルギーの平和利用はなお欠かせない。
原発事故を確実に収束し、原発の安全性を高めていくことは、日本の信頼回復への道でも
ある。
一方、広島市の松井一実市長は、記念式典の平和宣言で、2人の被爆者の体験談を紹介し、
平和への思いを世界に伝えたいと述べた。さらに、すべての核保有国に核兵器廃絶に向け
た取り組みを強力に進めることを求めた。
2年前にオバマ米大統領が掲げた「核兵器のない世界」に向けての国際社会の動きは、停
滞している。北朝鮮の核兵器開発の動きを止めることも出来ていない。
核軍縮・核不拡散・原子力の平和利用の分野で、日本が国際的に果たすべき役割は大きい。
外交を立て直し、強力に推進するためにも、「ポスト菅」体制を早期に築かねばならない。
(2011年8月7日01時17分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110806-OYT1T00855.htm
- 73 :
- 社説:原爆の日 経験を福島にも生かせ
原爆が投下されて6日で66年。今年の夏は、いつもと様相が異なっている。3月11日
に発生した東日本大震災は東京電力福島第1原発事故を引き起こした。地震と津波で壊滅
した東北の町並みと、放射性物質による汚染によって住民が避難を余儀なくされた福島を、
爆風と熱線によって廃虚と化した故郷と重ね合わせた広島と長崎の被爆者は少なくない。
私たちは原子力の利用がはらむ危うさと今、向き合っている。
今年の平和記念式典で読み上げられる「平和宣言」は原発事故を反映したものになる。
広島市は初めてエネルギー政策の早急な見直しと具体策を政府に求める。引用するのは、
核の軍事、平和利用双方に反対を唱えた被爆者で、原水爆禁止日本国民会議(原水禁)議
長などを務めた故森滝市郎氏の「核と人類は共存できない」との言葉だ。長崎市は、「脱
原発」の言葉こそ使わないが、原発からの将来的な脱却を明確に打ち出す。
被爆者・反核団体にも変化が見える。被爆者の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会」
は1956年の結成以来初めて全原発の順次停止・廃炉を求める「脱原発」を運動方針に
掲げることを決めた。
放射線被害に苦しんできた経験を踏まえ、原発の周辺住民や作業員に「健康管理手帳」を
交付し、定期的な健康診断を実施するよう求める要望書を政府などに提出した。
原水禁も、原発事故を受けて初めて福島で世界大会を開催し、「脱原発」を訴えた。
運動は一枚岩ではない。「平和運動と日本のエネルギー政策にからむ原発の是非は分けて
考えるべきだ」という主張があるのも事実だ。
すさまじい破壊力で一瞬にして大量の放射線を放出した原爆と、低線量の放射性物質の影
響が広範囲で続く原発事故の違いは大きい。だが、人々が放射線被ばくによる不安に長年
苦しめられる点は共通する。
原発事故の場合、低線量被ばくの影響に未解明の部分があることが不安を大きくしている。
原爆との違いも考慮したうえで、広島と長崎の被爆者を対象に放射線の影響を調査してい
る放射線影響研究所など、専門研究機関が蓄積してきた専門知識やチェルノブイリ事故の
経験を住民の健康管理に積極的に活用したい。
核兵器と原発はこれまで切り離して考えられてきた。近年は原子力に対する「安全神話」
も浸透していた。しかし、福島の事故は原発の危険性に改めて目を向けさせた。唯一の被
爆国としての経験を原発対策にも生かしながら、従来にも増して核廃絶のメッセージを発
信し続けるのが私たちの責務である。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110806ddm005070101000c.html
- 74 :
- 事故の教訓胸に核廃絶へ新たな誓いを
2011/8/6付
66回目の広島「原爆の日」がめぐってきた。犠牲者を悼み、核兵器廃絶に向けた誓いを新
たにしたい。
今年は東日本大震災で福島第1原発が深刻な事故を引き起こし、放射能被害が広がる中で
この日を迎えた。原子力とどう向き合っていけばいいのか。ヒロシマ、ナガサキに加え、
「フクシマ」の教訓を世界に伝えていく責務を、私たちは負った。
唯一の被爆国として、日本は戦後一貫して核兵器廃絶を訴えてきた。平和を希求する姿勢
は国際社会で信頼を得ており、核軍縮にも一定の役割を果たしてきた。
米国のオバマ大統領が「核なき世界」の構想を打ち出し、核廃絶に向けた機運は高まって
いる。だがその一方で、北朝鮮やイランの核開発を阻止する有効な手立てが見いだせない
など、現実の国際情勢は依然、厳しいままである。
「原点」である広島では、被爆者の平均年齢が70歳代後半を迎え、体験を語り継ぐことが
いよいよ難しくなってきた。若い世代に向けた平和教育のあり方をいかにして再構築する
かという課題に直面している。
こうした状況の中、3月11日の震災で原発事故が起きた。もちろん、人を殺傷するための
核兵器と原発を同列に論じることはできない。原発のあり方については、安全強化ととも
にエネルギーの安定供給など総合的な観点から考える必要がある。だが、原発も一歩間違
えば放射性物質を拡散させ、人々の生命・健康や生活を脅かすことを、私たちは身をもっ
て経験した。
被爆国である日本は、原子力は平和利用に徹するとの姿勢を明確にした。廃虚の中から世
界に冠たる平和で豊かな国を築こうと誓い、自主・民主・公開の原則を掲げ、原子力を復
興と経済発展に役立ててきた。
福島の事故は、この原則が空洞化してしまっていた事実を突きつけている。「平和利用だ
から問題ない」とどこかで慢心し、安全策を絶えず見直していくという努力を社会全体が
怠っていたのではないだろうか。重い覚悟で平和利用に踏み出した原点にもう一度立ち返
る必要がある。
そのためには、福島で何があったかを徹底的に究明することが不可欠である。その結果は、
包み隠さず、世界に向けて発信していくべきだ。
「非核」を訴え続けてきた日本で世界最悪レベルの原発事故が起きたことに、私たちは正
面から向き合っていかなければならない。そこで得られた教訓を踏まえつつ、これからも
世界平和や核兵器の廃絶に向けたイニシアチブを発揮していこう。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E1E4E2E4E5E7E2E2E4E2EAE0E2E3E38297EAE2E2E2
- 75 :
- 原爆投下と原発事故―核との共存から決別へ
人類は核と共存できるか。
広島に原爆が投下されて66年の夏、私たちは改めてこの重く難しい問いに向き合っている。
被爆体験をもとに核兵器廃絶を世界に訴えながら、核の平和利用を推し進める――。
核を善悪に使い分けて、日本は半世紀の間、原子力発電所の建設に邁進(まいしん)してきた。そ
して福島第一原発で制御不能の事態に陥り、とてつもない被曝(ひばく)事故を起こしてしまった。
■平和利用への期待
こんな指摘がある。
日本は、広島・長崎で核の恐ろしさを身をもって知った。なのにその経験を風化させ、いつしか
核の怖さを過小評価したために再び惨禍を招いたのではないか。
歴史をさかのぼってみる。
かつては被爆者自身も核の平和利用に期待を寄せていた。
1951年、被爆児童の作文集「原爆の子――広島の少年少女のうったえ」が刊行された。平和教育の
原典といわれる本の序文で、編纂(へんさん)した教育学者、故長田新(おさだ・あらた)さんは書
いている。
「広島こそ平和的条件における原子力時代の誕生地でなくてはならない」
長田さんの四男で、父とともに被爆した五郎さん(84)は当時の父の心境をこう解説する。
原爆の非人道性、辛苦を克服しようと父は必死に考えていた。原爆に使われた技術が、平和な使
途に転用できるなら人間の勝利であると――。
平和利用への期待は、被爆体験を省みなかったためではなく、苦しみを前向きに乗り越えようと
する意思でもあった。
53年12月、アイゼンハワー米大統領の演説「原子力の平和利用」を機に、日本は原発導入に向け動
き出す。54年3月、日本初の原子力予算が提案された。
その2週間後、第五福竜丸が水爆実験の「死の灰」を浴びたことが明らかになる。原水爆禁止運動が
全国に広がったが、被爆地の期待も担った原発が後戻りすることはなかった。
■影響の長期化は共通
それから57年――。
広島、長崎、第五福竜丸、そして福島。ヒバク体験を重ねた日本は、核とのつきあい方を考え直
す時に来ている。それは軍事、民生用にかかわらない。
放射線は長い年月をかけて人体にどんな影響を及ぼすのか。原爆についていま、二つの場で議論
が進む。
一つは原爆症認定訴訟。国は2009年8月、集団訴訟の原告と全面解決をめざす確認書をかわし、救
済の方針を示した。
しかし昨年度、認定申請を却下された数は前年の倍以上の5千件に及んだ。多くは原爆投下後、爆
心地近くに入り被爆しても、放射線と病気との因果関係が明確でないと判断された。
被爆者手帳をもつ約22万人のうち、医療特別手当が受給できる原爆症に認定された人は7210人と
3%強。前年の2.8%から微増にとどまる。
もう一つの場は、原爆投下後に降った黒い雨の指定地域を広げるかどうかなどを考える厚生労働
省の有識者検討会だ。
広島市などの調査で、放射性物質を含んだ黒い雨の降雨地域が現在の指定地域の数倍だった可能
性が浮上した。指定地域にいた人は被爆者援護法に基づく健康診断などを受けられる。
健康不安に悩む多くの住民の声を受け、国は指定地域を科学的に見直す作業を続けている。
一方、原発事故が起きた福島では長期にわたる低線量放射線の影響が心配されている。
福島県は全県民を対象に健康調査に着手した。30年以上にわたって経過を観察するという。
まず3月11日から2週間の行動記録を調べ、場所や屋外にいた時間などから被曝線量を推計する。
被爆と被曝。見えない放射線の影響を軽減するため、息の長い作業が続く点が共通する。
■次世代への責任
核エネルギーは20世紀の科学の発達を象徴する存在である。
私たちは、一度に大量の人間を殺害し、長期にわたって被爆者を苦しめてきた核兵器の廃絶を繰
り返し訴えてきた。
世界各国に広がった原発も、同じ燃料と技術を使い、危険を内包する。ひとたび制御を失えば、
人間社会と環境を脅かし続ける。その安全性のもろさが明白になった以上、原発から脱却する道
も同時に考えていかなければならない。
世界には推定で約2万3千発の核弾頭がある。原発の原子炉の数は約440基だ。
道のりは長く、平坦(へいたん)ではないだろう。核被害の歴史と現在に向き合う日本が、核兵器
廃絶を訴えるだけではなく、原発の安全性を徹底検証し、将来的にゼロにしていく道を模索する。
それは広島、長崎の犠牲者や福島の被災者、そして次の世代に対する私たちの責任である。
核との共存ではなく、決別への一歩を先頭を切って踏み出すことが、ヒバクの体験を重ねた日本の
針路だと考える。
http://www.asahi.com/paper/editorial20110806.html
- 76 :
- 脱原発と脱官僚支配、マスゴミ排除は同時に行う必要がある。
- 77 :
- 終戦直前、半田の中島飛行機工場を襲った大地震:
「地震の次は何をお見舞いしましょうか」とB29がビラ散布。
- 78 :
- 地デジ完全移行に伴いNHK受信契約を解約します 2
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/nhk/1312023214/
NHK受信料・受信契約総合スレッド124
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/nhk/1313368862/
http://www.youtube.com/watch?v=Du5ZgXmxLq0
- 79 :
- 「泊」営業運転 原発再稼働の一歩とせよ
2011.8.18 02:53
北海道電力の泊(とまり)原子力発電所3号機が営業運転を再開した。高橋はるみ道知事
の容認判断を受けたもので、3月11日に東日本大震災が発生して以来、原発の営業運転
再開は初めてとなる。電力の安定供給に向けた大きな一歩と位置付けたい。
菅直人首相の迷走する原発政策によって、定期検査で停止した国内の原発は再稼働が困難
な状況にある。その菅内閣は月内にも退陣する方向だ。泊原発3号機の営業運転再開を契
機に、次期政権は停止中の他原発についても早期再稼働に方針を転換し、日本経済を支え
る電力の確保に全力をあげねばならない。
泊原発3号機は、大震災発生時には定期検査の最終段階にあたる調整運転に入っていた。
通常は1カ月程度で営業運転に移行するが、震災の影響で手続きが宙に浮いていた。調整
運転のまま営業運転と実質的に変わらぬフル稼働が5カ月以上も続いた異常事態は、今回
の措置でようやく解消されたことになる。
ただ、今回は再稼働後の調整運転からの移行であり、定期検査で停止した原発の再稼働と
は事情が異なるのも事実だ。再稼働の手続きに入っていた九州電力玄海原発2、3号機は、
菅政権がすべての原発にストレステスト(耐性検査)を実施する方針を急に示したことで、
現時点では再稼働への道筋は不透明なままである。
国内に54基ある原発は、13カ月に1度の定期検査や大震災の影響で相次いで停止して
おり、現在稼働しているのは15基だけだ。定期検査が済んでも再稼働できなければ、来
春にはすべての原発が停止する事態となる。
厳しい暑さが続く中で電力不足は全国規模に広がっている。電力供給の約3割をまかなう
原発の再稼働は、震災からの復興にとっても喫緊の課題だ。
高橋知事は泊原発の営業運転再開にあたり、「原発立地地域の信頼を損なわないように丁
寧な対応を求める」と語った。道と経済産業省の意思疎通に問題があったことも、知事判
断に時間を費やした理由だ。反省が必要である。
菅首相の無責任とも言える「脱原発」宣言で、これまで協力してきた原発立地先も、国の
原発政策に不信感を強めている。菅氏に代わる新首相は、電力安定供給の観点からも原発
再稼働に向けた確固たる指導力を発揮すべきだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110818/plc11081802530006-n1.htm
- 80 :
- 泊原発営業運転 電力危機回避の一歩にしたい(8月18日付・読売社説)
定期検査で3月から調整運転を続けていた北海道電力の泊原子力発電所3号機が、ようや
く営業運転に移行した。
高橋はるみ道知事が容認した。東京電力福島第一原発の事故後、原発の営業運転再開は全
国で初めてだ。
高橋知事が政府に対し、徹底した安全対策を求めたうえで、決断したのは妥当である。政
府と北海道電力は、引き続き、泊原発3号機の安全運転に全力を挙げねばならない。
泊原発3号機は、大震災前の1月に定期検査に入り、3月7日に調整運転を開始していた。
試運転に相当するもので、通常なら1か月程度で営業運転に移行する。
しかし、福島原発事故の影響で政府の原子力政策が迷走し、原発への不信感が高まった結
果、調整運転期間は5か月間以上に及んでいた。異例の事態と言えよう。
局面を打開するため、政府は、営業運転の前提となる経済産業省原子力安全・保安院の最
終検査に加えて、内閣府原子力安全委員会にも意見を求める「ダブルチェック」を打ち出
した。
定期検査の終了の判断に関し、道と地元自治体の了承を得るという特別な手続きを踏んだ
のも、やむを得なかっただろう。
泊原発3号機は、調整運転中もフル稼働状態で送電していた。営業運転への移行は、現状
の追認であって実質的な変化はない。
それにもかかわらず、地元の同意を得るまでに相当の時間がかかった。原発再稼働へのハ
ードルの高さを示している。
今後の焦点は、定期検査などで停止中の原発に、運転再開への流れが広がるかどうかであ
る。
全国の原発54基のうち、泊原発3号機など稼働している15基も、来春までにすべてが
定期検査のため運転を停止することになる。
政府は、原発が想定以上の地震や津波に襲われた場合の安全性を確認するストレステスト
(耐性検査)を2段階で実施する。
定期検査を終えた原子炉については、重要機器に絞った1次評価によって、再稼働の可否
を判断するルールが決まっている。
一時、再稼働寸前にこぎつけた九州電力玄海原発の2、3号機も、地元の佐賀県などの、
政府と九電に対する強い不信感から、再稼働の見通しは立っていない。
政府は、ストレステストを早急に実施することで原発の安全性を確認し、地元自治体の理
解を求めるべきだ。原発を再稼働させて電力危機を回避する責任がある。
(2011年8月18日01時19分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110817-OYT1T01086.htm
- 81 :
- 泊原発の運転―次は厳しい新基準で
定期検査中だった北海道電力の泊原発3号機が、きのう営業運転に入った。東日本大震災
後に営業を再開した原発は、これが初めてになる。
といっても、泊3号機は震災以前に実質的な点検を終えており、3月7日から試運転にあ
たる「調整運転」を始めた。すでにフル運転に入っており、電力を供給してきた。
通常は調整運転で問題が生じなければ1カ月程度で営業運転に移るが、震災を挟んだため
に5カ月以上も続いた。実態は営業中と変わらないのに法的な手続きを中途半端なままに
置くことは、責任の所在をあいまいにし、好ましくない。
政府は震災後、定期検査で止めた原発を再開する際には、地震や津波などの負荷にどこま
で耐えられるか計算する「ストレステスト」の1次評価を受けるよう義務づけた。
しかし、フル運転をしている泊3号機は「営業中の原発と同等」と政府は判断して、1次
評価の対象から外したうえで、すべての原発に対して行う2次評価の対象とした。
この夏、電力不足は東日本にとどまらず全国的な問題だ。とくに北海道は、被災地東北へ
連日60万キロワットを融通している重要な供給源でもある。これらの状況を考えると、
営業運転への移行は理解できる。
ただし、原発の安全性に懸念をもつ人が多いことにも、十分に留意する必要がある。
15日には北海道大の吉田文和教授ら道内の大学関係者50人が緊急声明を発表した。
泊原発は93年の北海道南西沖地震で影響を受け、近くの日本海沖に活断層群があると指
摘されていることなどを例示。北電が今後とる安全性向上策も、時間をかけすぎで緊張感
が欠如していると批判した。再開に同意をとる地元の範囲も、今より広げるべきだと主張
している。いずれも、もっともな指摘だ。
泊3号機は、震災後初の営業再開というよりも、震災前の検査基準で再開した最後の原発、
と考えた方がいい。
したがって、これから検査を終えて再開する原発は、新基準に沿って安全性を厳しく問わ
なければならない。安全向上のために、吉田教授らのような指摘も反映させることが大切
だ。
そして、危険が見つかれば再開させない。これが大原則であることに変わりはない。
政府が電力需給見通しなどの情報を公開し、原発を減らしていくスピードを設定すること
が、大原則実行の基盤になることを改めて指摘しておきたい。
http://www.asahi.com/paper/editorial20110818.html
- 82 :
- 社説:泊原発 リスク評価は万全か
定期検査で調整運転を続けていた北海道電力泊原発3号機の営業運転を知事が認め、原発
は営業運転に移行した。
定期検査の最終段階にあたる調整運転が5カ月以上続く異例の事態が解消されたとはいえ、
疑問は残る。
政府は、定期検査中の原発の再稼働には、「安全評価(ストレステスト)」の1次評価を
義務づけている。一方、稼働中の原発は2次評価の対象となる。泊原発3号機は定期検査
中でありながらフル稼働していた。電力供給の面では営業運転と変わらず、判断が難しい
面はあった。
しかし、本質的な問題は、いずれの評価の対象とするかではない。東京電力福島第1原発
の重大事故を踏まえ、現段階でできる最善のリスク評価をし、地域住民や国民に説明する。
それを踏まえた上で、営業運転に移行するのかどうか判断する。これが、電力会社や国に
課せられた義務だ。
にもかかわらず、再開の手続きをめぐる混乱からはリスク評価を踏まえて決めようとする
意思が伝わってこなかった。安全性の議論を置き去りにして、国も地元自治体も、政治的
やりとりに終始した印象が強い。
これでは、住民の安心も、国民の信頼も得られないのではないか。
現時点で、福島の事故を踏まえ各原発がとっている対策は緊急措置にすぎない。泊原発で
も、移動発電機車の配備や仮設ポンプの配備、水素を外部に放出する手順の整備や、がれ
き撤去用の重機配備などを実施しているが、いずれも応急措置だ。
リスクへの懸念が払拭(ふっしょく)されているわけではなく、北海道電力は営業運転移
行で胸をなで下ろしていてはいけない。今回は「仮免許」と認識し、安全評価をより積極
的に進め、その情報を迅速に公開していかなくてはならない。
政府は、今回のケースに対応し、原子力安全・保安院の検査に加え、原子力安全委員会の
二重チェックを受けることで収拾を図ろうとした。だが、安全委は「法的に意見する立場
になく、政府の要請もない」と、独自の判断は示さなかった。
政府、保安院、安全委のすれ違いは、これまでも繰り返されており、安全性への信頼感を
損なうものだ。
原発事故以降、安全規制にたずさわる組織も、安全基準そのものも、信頼性を失った。信
頼できる新組織や安全基準ができるまで、個々の組織が最善を尽くす覚悟が必要だ。
原発の営業運転再開は事故以来初のケースだが、他原発の再稼働への追い風とみるのは間
違いだ。再稼働や運転継続は、それぞれの原発のリスク評価に応じて行うべきで、電力会
社には厳格な対応を求めたい。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110818ddm005070101000c.html
- 83 :
- 泊・運転再開 “なし崩し”にはするな
2011年8月18日
調整運転中だった北海道電力・泊原発3号機が営業運転を再開した。大震災後、多くの原
発が止まったが、再開はこれが初めて。だからといって、すべての原発再開にお墨付きが
出たわけではない。
調整運転とは、定期検査に伴う試運転のことである。ほぼフル出力で発電もする。営業運
転と何ら変わりはなく、法律上検査中扱いになるだけだ。通常は約一カ月実施して、経済
産業省原子力安全・保安院の最終検査を通れば、そのまま営業運転に移行する。だが、こ
の“前例”が大きく物を言いかねない。
今年一月に定期検査入りした泊3号機は、三月七日に原子炉を起動し、調整運転を開始し
た。だが、その直後に福島第一原発事故が起きたため最終検査が受けられず、五カ月以上、
試運転の状態が続く異例の事態になっていた。
保安院は、営業運転再開はすぐにも可能と考えていたようだ。ところが、菅直人首相が難
色を示し、道も「地元軽視」と反発したため、保安院の検査結果を原子力安全委員会がダ
ブルチェックし、地元自治体の同意を得ることが、特別な再開条件とされていた。
九州電力のやらせメール事件もあって、停止中の原発再開に逆風が吹く中で、泊3号機を
再稼働への呼び水にという声も上がっている。しかし、拙速は禁物だ。
新たな二条件を満たしたことで、住民の不安が解消されたわけではない。ダブルチェック
とはいうものの、原子力安全委員会による審議はわずか十五分、高橋はるみ知事が再開容
認を諮った道議会の特別委員会でも「安全論議が尽くされていない」という声が強まり、
審議は深夜に及んだ。
同意した四町村以外にも、再開に不安を覚える自治体は少なくないし、泊原発の周辺では
大きな活断層が見つかっている。
高橋知事は「調整に時間をかける性格のものではない」と述べていた。まったく逆だ。議
会や住民などとの合意形成には、十分な時間を費やしたい。
福井県には、全国最多の商業用原発十三基が集中し、うち九基が停止中である。
西川一誠知事は「福島第一原発の事故を踏まえた新たな安全基準が示されなければ、再稼
働は認めない」という姿勢を堅持する。
再開ありき、では不安は増すばかりだ。地域住民の不安をくみ取り、地質や気象の条件な
ども踏まえた議論と判断を、原発立地道県のすべての知事に望みたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011081802000066.html
- 84 :
- エネルギー政策 展望なき「脱原発」と決別を(9月7日付・読売社説)
◆再稼働で電力不足の解消急げ◆
電力をはじめとしたエネルギーの安定供給は、豊かな国民生活の維持に不可欠である。
ところが、福島第一原子力発電所の事故に伴い定期検査で停止した原発の運転再開に
メドが立たず、電力不足が長期化している。
野田首相は、電力を「経済の血液」と位置づけ、安全が確認された原発を再稼働する
方針を示している。唐突に「脱原発依存」を掲げた菅前首相とは一線を画す、現実的
な対応は評価できる。
首相は将来も原発を活用し続けるかどうか、考えを明らかにしていない。この際、前
首相の安易な「脱原発」に決別すべきだ。
◆節電だけでは足りない◆
東京電力と東北電力の管内で実施してきた15%の電力制限は、今週中にすべて解除
される。
企業や家庭の節電努力で夏の電力危機をひとまず乗り切ったが、先行きは綱渡りだ。
全国54基の原発で動いているのは11基だ。再稼働できないと運転中の原発は年末
には6基に減る。来春にはゼロになり、震災前の全発電量の3割が失われる。
そうなれば、電力不足の割合は来年夏に全国平均で9%、原発依存の高い関西電力管
内では19%にも達する。今年より厳しい電力制限の実施が不可避だろう。
原発がなくなっても、節電さえすれば生活や産業に大きな影響はない、と考えるのは
間違いだ。
不足分を火力発電で補うために必要な燃料費は3兆円を超え、料金に転嫁すると家庭
で約2割、産業では4割近く値上がりするとの試算もある。震災と超円高に苦しむ産
業界には大打撃となろう。
菅政権が再稼働の条件に導入したストレステスト(耐性検査)を着実に実施し、原発
の運転再開を実現することが欠かせない。
電力各社が行ったテスト結果を評価する原子力安全・保安院と、それを確認する原子
力安全委員会の責任は重い。
運転再開への最大の難関は、地元自治体の理解を得ることだ。原発の安全について国
が責任を持ち、首相自ら説得にあたるなど、誠意ある対応が求められる。
野田首相は就任記者会見で、原発新設を「現実的に困難」とし、寿命がきた原子炉は
廃炉にすると述べた。これについて鉢呂経済産業相は、報道各社のインタビューで、
将来は基本的に「原発ゼロ」になるとの見通しを示した。
◆「新設断念」は早過ぎる◆
代替電源を確保する展望があるわけではないのに、原発新設の可能性を全否定するか
のような見解を示すのは早すぎる。
首相は脱原発を示唆する一方、新興国などに原発の輸出を続け、原子力技術を蓄積す
る必要性を強調している。だが、原発の建設をやめた国から、原発を輸入する国があ
るとは思えない。
政府は現行の「エネルギー基本計画」を見直し、将来の原発依存度を引き下げる方向
だ。首相は、原発が減る分の電力を、太陽光など自然エネルギーと節電でまかなう考
えを示している。
国内自給できる自然エネルギーの拡大は望ましいが、水力を除けば全発電量の1%に
過ぎない。現状では発電コストも高い。過大に期待するのは禁物である。
原子力と火力を含むエネルギーのベストな組み合わせについて、現状を踏まえた論議
が重要だ。
日本が脱原発に向かうとすれば、原子力技術の衰退は避けられない。蓄積した高い技
術と原発事故の教訓を、より安全な原子炉の開発などに活用していくことこそ、日本
の責務と言えよう。
◆原子力技術の衰退防げ◆
高性能で安全な原発を今後も新設していく、という選択肢を排除すべきではない。
中国やインドなど新興国は原発の大幅な増設を計画している。日本が原発を輸出し、
安全操業の技術も供与することは、原発事故のリスク低減に役立つはずだ。
日本は原子力の平和利用を通じて核拡散防止条約(NPT)体制の強化に努め、
核兵器の材料になり得るプルトニウムの利用が認められている。こうした現状が、
外交的には、潜在的な核抑止力として機能していることも事実だ。
首相は感情的な「脱原発」ムードに流されず、原子力をめぐる世界情勢を冷静に
分析して、エネルギー政策を推進すべきだ。
(2011年9月7日01時19分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110906-OYT1T01165.htm
- 85 :
- 原発安全に強い指導力示せ
2011/9/26付
野田佳彦首相は国連の原子力安全首脳級会合で演説し「原子力発電の安全性を世界最高水準に
高める」と約束した。安全神話に安住してきた日本の原子力政策を根底から見直さないと、国
内や世界の信頼は回復しない。首相は自らの約束を実現するため強い指導力を示してほしい。
日本の原子力は「ハードは一流だが、ソフトは二流」とされる。ポンプなどの装置は信頼性が
高いが、原発という巨大・複雑システムの安全な運用に抜かりがあった。大切な非常用発電機
をすべて地階に置く危険を、電力会社も規制当局も放置してきたのは、その端的な証しだ。
ソフトは人材と制度である。首相は来年4月をメドに原子力安全庁を設け、規制強化を目指す
というが、安全を担う専門家をどう集めるのか。原子力安全・保安院には頼りになる専門家は
いない。経験豊富な人材を海外からスカウトし、要職につけるくらいの覚悟が要るだろう。
炉心溶融など重大事故に備える対策は、現行法では電力会社の自主的な努力に委ねられている。
事故は起きないとする「幻想」が生んだ制度の不備だ。これを機に原子力関連の法制度を安全
第一の仕組みに大胆に改める必要がある。
国際原子力機関(IAEA)が派遣する安全点検の調査団受け入れに首相が触れなかったのは
不可解だ。受け入れは既定方針だが、日本が先頭を切って世界の原発安全に協力する姿勢を示
すため、改めて強調してもよかった。
首相は「脱原発依存」に言及しない一方で、国内で原子力発電を維持し続けることも明言しな
かった。あいまいな言い回しは首相自身の迷いの表れとも受け取れる。
国民は今、エネルギー政策に大きな関心を寄せ、多様な意見を持つ。経済産業省がエネルギー
政策の、原子力委員会が原子力政策の見直し作業を始めたが、役所主導の従来通りの検討では
国民の納得は得られないだろう。官邸には菅直人前首相がつくったエネルギー・環境会議があ
るが、透明性を欠くうえ、決定に法的な裏付けがない。
首相が率先して広く国民の声を聞き、専門家を交えて開かれた議論をする場をつくるべきだ。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E7E2E5EAE6E0E2E0E4E2EBE0E2E3E38297EAE2E2E2
- 86 :
- 首相国連演説 「安全な原発」活用を公約した(9月24日付・読売社説)
野田首相が原発事故の早期収束と、原子力の安全利用を国際公約として表明した。事故から得
られた教訓を生かし、世界の原発の安全性向上に貢献することが日本の責務だ。
福島第一原子力発電所事故を受けて、国連が開催した原子力安全に関する首脳級会合で、首相
は演説に立った。
年内に原子炉の冷温停止を達成すると述べるとともに、「原子力発電の安全性を世界最高水準
に高める」と強調した。
首相はこれまで、原発政策に関して「『脱原発』と『推進』という二項対立で捉えるのは不毛
だ」と述べるにとどまっていた。
首相の発言は、原発の安全性を徹底的に高め、引き続き活用する方向に軸足を置いたものだ。
具体的な展望のない、菅前首相の「脱原発路線」と一線を画した。
原子力の平和利用の先頭に立ってきた日本としては、現実的かつ妥当な判断である。
さらに、首相は「事故のすべてを迅速かつ正確に国際社会に開示する」と明言した。
事故の原因究明と情報開示を通じて、日本の信頼回復に努めなければならない。
各国の知見も得て、あらゆる災害や事故を想定した安全対策を追求すべきだ。
首相は、原子力安全規制の根本的な強化も約束した。
その柱となるのは、政府が経済産業省から原子力安全・保安院を切り離し、環境省の外局とし
て、来春設置する予定の「原子力安全庁」である。
組織の円滑な再編を図り、有能な人材を集め、実効性のある規制体制を築かなければならない。
急増するエネルギー需要をまかなうため、中国やインドなどの新興国を始め、多くの国が原発
利用の拡大を図っている。
首相が「原子力利用を模索する国々の関心に応える」と語ったように、日本は、原発の輸出体
制を立て直し、事故防止のノウハウも積極的に供与すべきだ。
事故を契機にエネルギーの多様化の機運が世界的に高まった。
首相が、官民の技術を結集し、再生可能エネルギーの開発・利用を拡大する努力を倍加させる
ことを強調したのは当然だろう。
政府は、来年夏に新たな「エネルギー基本計画」をまとめる。太陽光や風力などの自然エネル
ギーと、原子力、火力の最適な組み合わせを検討するという。地に足の着いたエネルギー戦略
を打ち立てる必要がある。
(2011年9月24日01時08分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110923-OYT1T00710.htm
- 87 :
- 首相国連演説―脱「内向き」の先頭に
大震災と原発事故という未曽有の試練を抱えても、日本は決して「内向き」にはならない。世
界の課題に貢献し続ける。
野田首相が国連総会の演説に込めたのは、そんなメッセージに違いない。
首相は冒頭、震災にまつわる三つのエピソードを紹介した。
宮城県で研修中のインドネシア人看護師が、津波の直前に患者を避難させてくれたこと。
ブラジルの恵まれない子どもたちが、小銭を集めて日本に送ってくれたこと。
ケニアの大学生が追悼集会で「上を向いて歩こう」を合唱してくれたこと。
そして首相は「世界との絆を日本人は永遠に忘れない」と誓った。
戦後の日本は、先の大戦への反省から、平和国家をめざし、途上国の開発援助を積極的に展開
してきた。
今回、世界中から救いの手が差し伸べられたのは、半世紀以上にわたる日本の活動への評価と
無縁ではなかろう。
だからこそ、復旧・復興や原発事故の収束を急がねばならないなかでも、経済大国として持て
る力を国際社会の課題に注ぎ続けるべきだと考える。
首相は新たな国際公約として(1)南スーダンの国連平和維持活動への協力(2)ソマリアの
飢饉(ききん)への人道支援(3)中東・北アフリカの民主化支援のための10億ドルの円借
款を表明した。この内容を率直に評価する。こうした努力が日本の国際的な地歩をより確かな
ものにするはずだ。
これに比べて、原子力安全に関するハイレベル会合での演説には大いに疑問がある。
「事故の教訓を世界に発信する」と宣言したのはいい。しかし、今後のエネルギー政策を具体
的に語ることもなく、原発輸出の継続を宣言した。訪米前に米国紙に、原発の再稼働時期を
「来夏に向けて」と明言したことと合わせて、菅前首相の「脱原発依存」の後退を図っている
ようにしか見えない。
菅氏が5月の国際会議で、自然エネルギーを拡大させる野心的な数値目標を示したのに比べて、
何とも見劣りする。
前政権の何を引き継ぎ、何を変えるのか。首相は明確に国民に説明する責任がある。
国内では、復興増税や社会保障のための消費増税が議論されている。国連でアピールした対外
支援についても、幅広い国民の理解と支持を得る作業が欠かせない。
外交日程は一段落し、明日から国会の予算委が始まる。その論戦が最初の試金石になる。
http://www.asahi.com/paper/editorial20110925.html
- 88 :
- 安愚楽牧場って、4千億ぐらいあって、会計監査人を選任してなかったんでしょ。
会計監査人の設置義務違反が、100万円の過料でしょ。タバコのポイ捨てや、
ロリコン雑誌購入したんじゃないんだから。
会計士の先生のHPみたら、会計監査人の設置義務のある負債200億円以上の
会社で、設置していない会社は、全体の5%だそうだね。違反がみつかっても、
罰金100万円ですむから、いたくもかゆくもないんだっってよ。
林原の件といい、この件といい、金融庁が何も手をうたなかったら、また、
こういう事件はおきるよ。たぶん、1年以内にね。自見さん、しっかりしてよ。
- 89 :
- 九電報告書―こんな会社で大丈夫か
どうしてここまで世間の常識とかけはなれたことができるのか。多くの国民が、あぜんと
しているに違いない。
佐賀県玄海町の玄海原発の再稼働をめぐる「やらせメール」問題で、九州電力が経済産業
省に最終報告書を提出した。
ところが、九電が調査を委託した第三者委員会が問題の核心として指摘した古川康佐賀県
知事の関与には一切触れず、真相究明の姿勢がまったく感じられない。枝野経産相が「理
解不能」と怒ったのも当然だ。
問題となったのは6月26日の県民向け番組。第三者委はその5日前に九電幹部と懇談し
た古川知事が「再開容認の立場からもネットを通じて意見を出して欲しい」と発言したこ
とが「やらせ」の発端と認定した。
九電の報告書はこれを黙殺したばかりでなく、玄海原発のプルサーマル計画をめぐる05
年の佐賀県主催の討論会で、九電が仕込んだ「やらせ質問」への県側の関与も言及してい
ない。
いったい何のための第三者委員会だったのか。
しかも、7月にいったん辞表を提出した真部利応(まなべ・としお)社長は「個人的な考
えだけで辞めることはできかねる」という不可解な理由で、05年の討論会開催時に社長
だった松尾新吾会長とともに続投するのだという。
第三者委の委員長を務めた元検事の郷原信郎弁護士は「経営体制を維持しようとする経営
者の暴走」と批判する。
電力会社の場合、不祥事や問題が起きても、一般市民には他の企業を選ぶことができない。
こうした地域独占にあぐらをかいてきた電力会社の体質が、企業統治の機能不全を招いた
のではないか。
それにしても、古川知事に批判の矛先が向かないよう、ここまで気を使うのは異常だ。
第三者委の報告書は、玄海原発で全国初のプルサーマル導入をめぐって、九電にとって古
川氏は「まさに『希望の灯』とも言えるものだったはずである」と指摘している。
九電が原発の再稼働のためには、真相究明や住民への地道な説明よりも、知事の政治力が
優先されると考えたとしたら、本末転倒も甚だしい。
外部からの批判に耳を傾け、独善的な体質を改める。それが電力業界にとって福島第一原
発事故の大きな教訓であり、再発防止への原点だったはずだ。
九電は、批判を受けて報告書を再提出するという。しかし、電力業界の経営のあり方を抜
本的に見直さない限り、安定的な電力供給もおぼつかない。
http://www.asahi.com/paper/editorial20111018.html
- 90 :
- 社説:九電報告再提出 信頼回復を最優先に
九州電力が、玄海原子力発電所(佐賀県)の再稼働をめぐる「やらせメール」問題の最終
報告書を経済産業省に再提出することになった。先週提出した報告書が、真相究明にはほ
ど遠い内容だったのだから、再提出は当然のことといえる。九電は、再提出を「背水の陣」
と覚悟し、信頼回復に努めるべきだ。
やらせ問題は、玄海原発の再稼働向け、経産省が制作した住民向けテレビ番組に対し、九
電側が子会社などに再稼働を支持する電子メールの投稿を依頼していたものだ。
九電が委託した第三者委員会は、九電幹部と面会した古川康佐賀県知事が、再稼働容認の
意見が増えることを期待するという趣旨の発言をしたことが、問題の発端になったと認定
した。05年に実施された県主催のプルサーマル討論会に関しても、九電が仕込んだ「や
らせ質問」への知事の関与を指摘した。
しかし、九電はこうした認定を受け入れず、報告書には知事に都合の悪い指摘は盛り込ま
なかった。
そもそも真相究明を第三者委に委ねたのは、中立性、公正性を確保するためではないか。
その結果を無視したことについて、眞部利應(まなべとしお)社長は「見解の相違」「私
の目で自信をもっている」と強弁したが、説得力は乏しい。結果的に、信用失墜に輪をか
けた格好だ。
原発再稼働に向け、知事の意向が大きな意味を持つことは否定できない。しかし、電力の
安定供給を目指し、知事をかばって幕引きしようとしたのなら本末転倒といえる。地元住
民の意向を無視し、知事が再稼働を決断することはないはずだ。
住民の理解を得られない限り、原発再稼働はあり得ない。最優先すべきは住民の信頼回復
であり、それには公正な調査と意を尽くした説明が不可欠だ。
東京電力福島第1原発の事故以降、電力会社に対する国民の視線は厳しさを増している。
九電以外の電力会社も、原発関連のシンポジウムなどで「やらせ」を繰り返していたこと
が分かっている。行政に守られ、事実上競争のない地域独占の中で、利益を享受してきた
ことが、そうした消費者を顧みない独善的な体質につながったとの指摘もある。
電力会社は、行政本位になりがちな視線を国民本位に転換しなければならない。九電は、
再提出する報告書をその第一歩にすべきだ。
国主催のシンポジウムに関わる「やらせ」には経産省原子力安全・保安院も関わっていた。
電力会社と国、自治体との不透明な関係も解消を迫られている。その意味で、古川知事も
今回の第三者委の指摘を重く受け止めるべきだろう。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20111019ddm005070115000c.html
- 91 :
- 説明尽くし信頼取り戻せ
2011/10/17付
何とも曖昧な内容だ。九州電力が玄海原子力発電所の再稼働をめぐる「やらせメール」問
題でまとめた最終報告書は、第三者委員会が認定した古川康佐賀県知事の関与に触れず、
問題の発端について見解をはっきり示さなかった。
社内処分は役員報酬の減額にとどまり、いったん辞意を表明した真部利応社長は続投する。
説明を避けては信頼回復は望めない。福島第1原発事故の不十分な情報開示などで電力会
社の説明姿勢をみる目が厳しくなっていることを、認識しているとは思えない。他の原発
の再稼働やエネルギー政策にも影響しかねない。
九電の第三者委は古川知事が同社幹部と面談した際に、発電再開を認める意見が増えるこ
とへの期待を述べ、その発言がやらせに決定的な影響を与えたとした。
だが九電は第三者委の事実認定を採用せず、具体的な反論も避けた。真部社長は「見解の
相違」と言うが、何のために外部の目を入れたのかわからない。枝野幸男経済産業相は九
電の最終報告書を「理解不能」と強く批判した。
原発をめぐる一連のやらせ問題は実態の解明が十分とはいえない。国主催のシンポジウム
で国が電力会社に「やらせ質問」を要請した例は、5社・計7件が明らかになっている。
しかし自治体による催しについて調査する動きは北海道などを除き広がっていない。
佐賀県が2005年に開いたプルサーマル説明会でやらせ質問があったとされる件では、県が
事実関係を調べ始めたが内部調査だ。客観的な調査ができるだろうか。
電力会社、国と自治体が一致して原発を推進してきた地域では、3者にもたれ合いが生ま
れ、説明責任を軽視するようになったのだろう。それがやらせの温床だ。
だが原発の安全神話が崩れ環境は一変した。十分な情報開示がなければ電力会社の計画も
自治体や国の施策も受け入れられない。
やらせ問題の中途半端な幕引きは原発再稼働を遠のかせる。九電に限らず徹底調査が求め
られる。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E7E4E6E4E1E1E2E3E5E3E2E0E2E3E38297EAE2E2E2
- 92 :
- 九電やらせ問題 報告の再提出で説明尽くせ(10月18日付・読売社説)
信頼回復へのハードルを自ら上げる行為ではないか。これでは、原発再稼働に必要な地元
自治体や住民の理解が得られるかどうか心配だ。
九州電力は先週、玄海原子力発電所の再稼働をめぐる「やらせメール問題」の最終報告を
経済産業省に提出した。
これに先立ち、九電の第三者委員会は、古川康佐賀県知事が九電幹部と面談した際、国主
催の説明会で原発の運転再開を求める意見が増えることに期待を示し、やらせの実行に
「決定的な影響を与えた」などと認定していた。
しかし、最終報告では、第三者委報告の記述を簡単に紹介するにとどめ、知事の関与や責
任について言及しなかった。
枝野経済産業相は、九電が都合のいい部分を「つまみ食い」したと批判した。17日の記
者会見では「国民や地域の信頼を回復するためどうすべきか、九電自ら判断すべきだ」と
も述べた。
九電は批判を真摯(しんし)に受け止め、より丁寧な説明を盛り込んだ報告書を再提出する
必要があろう。
やらせ問題の影響で、玄海原発の再稼働は今もメドが立たない。九電が説明不足のまま問
題の幕引きを急げば、再稼働に地域住民などの理解を得ることは、一段と難しくなりそう
だ。
九電以外の電力会社や原子力安全・保安院による原発賛成派の動員、やらせ質問依頼など
の事実も発覚し、原子力関係者の情報発信に対する信頼は傷ついた。
全国的にも、今冬から来年にかけて電力不足に陥りかねない状況にある。九電の混乱が長
引くと、他に与える影響は大きい。
そもそも九電は、やらせの原因究明と再発防止を徹底する狙いで弁護士ら有識者をメンバ
ーとした第三者委を設けた。社内調査では身内に甘くなり、信用されないと判断したため
だ。
ところが、九電の真部利応社長は、結論の違いは「見解の相違」であり、第三者委に合わ
せる考えはないとしている。これでは外部に調査を依頼した意味がない。
真部社長は7月に国会で、やらせ問題に関連し、事実上の辞意を表明したが、最終報告の
提出にあわせて辞意を撤回し、続投する考えを示した。
「個人的な考えだけで、社長はやめられない」との釈明は、分かりにくい。
何よりも原発の再稼働が急務である。地元の不信感を払拭し、事態を打開できるよう、九
電は知恵を絞ってもらいたい。
(2011年10月18日01時30分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111017-OYT1T01439.htm
- 93 :
- 原発防護域拡大 弊害多くて疑問も大きい
2011.10.22 03:09
単純に範囲を拡張すればよいのだろうか。
原子力発電所の事故に備え、内閣府の原子力安全委員会が示した「緊急防護措置区域(U
PZ)」などを新設する案に対しては、そうした疑問を持ってしまう。
これまで原発を中心に最大半径10キロだった区域が半径30キロ圏に拡大されるのだ。
UPZとは、原発事故時に備え、屋内退避や避難が速やかに行えるよう、普段から防護措
置を整えておく区域のことだ。事故で漏れた放射線量が所定の数値を超えると区域内の住
民に対し、指示が出されることになる。
今回の福島第1原発の事故では避難対象地域が徐々に拡大されたことで混乱が生じた。そ
の改善を、範囲を拡大したUPZに託そうとする狙いのようだが、合理的で幅広い視点か
ら議論した結果なのか疑問だ。
大部分の原発周辺で、避難対象の住民が25万人以上となり、最多の区域では100万人
を超える。事故時に、これだけの人々をどうやって退避させるのか。受け入れ先の確保な
ど、現実を見詰め直しての再検討が不可欠だ。
問題はこれにとどまらない。UPZの新設で防災対策を講じるエリアは拡大し、域内に含
まれる自治体数が大幅に増加する。
電力会社は、原子力発電所が立地する自治体や県などと安全協定を結んで原発を運転して
いるが、関係自治体が増えれば、運転再開にあたっての全体合意の取り付けが難しくなり
やすい。
原発の新増設は一段と条件が厳しくなり、このままでは、長年にわたって原発を受け入れ、
支えてきた地元自治体の経済や雇用にも影が差しかねない。
UPZなどの設定は、住民避難の枠を超え、地域経済や国のエネルギー安全保障にまで影
響の及ぶ問題だ。来年4月の原子力安全庁の発足を待って、国全体として整合性のある論
議を積み重ねるべき課題であろう。現在、大部分の原発は停止しており、安全委が急ぐべ
き理由は見当たらない。
避難区域の設定で安全に余裕を持たせることは必要だが、今回の原発事故の引き金が、千
年に1回とされる大津波であったことも忘れてはならないことである。
熟慮に欠ける防護区域拡大は、目的とは逆に、国民の不安をいたずらに募らせる弊害を招
く。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111022/dst11102203090002-n1.htm
- 94 :
- 防災域の拡大―廃炉の基準に反映を
原発事故の際、避難や屋内退避を含む防災対策を準備しておくべき地域を、半径8〜10
キロ圏から30キロ圏に広げる。原子力安全委員会が防災区域の拡大案を打ち出した。5
キロ圏内は、ただちに避難する区域だ。
福島第一原発の事故では、半径20キロ圏が立ち入り禁止となるなど、大規模な住民避難
が現実のものになった。見直しは当然の措置だろう。
30キロ圏への拡大で、対象となる市町村は44から135に増える。人口は4倍近くに
膨らむ。圏内の自治体は、住民への連絡手段の確保、避難計画や訓練、放射線量を測る態
勢といった対策を考えなければならない。
いざというときの備えを充実させることは大切だ。ただ、人口の多い地域で大きな事故が
起きた場合、迅速に避難することがどこまで可能だろうか。
福島では、20キロ圏内の人口は約7万8千人。それでも、すぐに情報が伝わらなかった
り、避難時に大渋滞が生じて何時間も立ち往生したり、高齢者が取り残されたりした。
全国の原発の30キロ圏内には、政令指定都市や県庁所在地も含まれる。17カ所ある既
存の原発のうち、15カ所で対象の住民が25万人を超える。
最も多いのは、東海第二原発(茨城県東海村)の106万7千人だ。企業城下町の日立市、
行政機能が集中する水戸市がすっぽりと含まれる。
99年に核燃料加工会社JCOの臨界事故を経験した東海村の村上達也村長は、防災マニ
ュアルの強化などをはかってきた。
だが、福島の事故後の混乱を目の当たりにして、「どんな計画をつくっても、こんな人口
密集圏での避難は無理と悟った」という。今月11日には細野原発事故担当相と会い、す
でに運転開始から30年を超す東海第二の廃炉を提案した。
私たちも原発の段階的な削減にあたって、老朽化した原子炉や大きな地震を経験して耐久
性に不安が残る原発とともに、周辺地域で十分な避難・防災計画を講じるのが困難な原発
は廃炉にするよう提言してきた。
防災区域の見直し案を機に、それぞれの自治体が防災計画を練り直す。避難のためには道
路や避難場所の整備などに、巨額の費用がかかる場合もあるだろう。それでも原発が必要
か。経済的、社会的なコストを真剣に検討しなければならない。
野田首相は「寿命がきたものは廃炉にする」としているが、避難の実現性も廃炉の基準の
ひとつとして、明確に位置づけるべきだ。
http://www.asahi.com/paper/editorial20111022.html
- 95 :
- 脱原発 思考停止は避けよう
開沼 博
呉越同舟。立場の異なる者同士が場を共にし同じ目標に向かおうと手を携え
る。同床異夢。立場を共にしているつもりが、実はそれぞれ全く別の目標に
向かっている。似て非なる言葉だ。
3・11以来「脱原発」という言葉が盛んにメディアに登場するようになった。
初めてこの言葉を聞いたのは、3・11など想像だにしなかった頃、長く反原
発運動をしている人からだった。
今や、「脱原発」は、そんな一部の人に留まらず、多くの人が口にする言葉
となった。しかし、私はこの言葉を聞く度、いつもふと考え込んでしまう。
それは「あなたのいう『脱原発』とは具体的には何をさすのか」という疑問
に他ならない。
「即時全廃炉すべし」も「現実的には長期的になくしていく方向で」も。
「これを機に自然エネルギーの普及を」も「まずは化石燃料の使用量を増や
さないと」も。子の健康被害への心配を「脱原発」に託す親もいれば、一方
に、よく見ると原発推進論者が巧みに「脱原発」という言葉を用いながら事
態が冷め、皆が忘却するのを待つ姿もある。
勿論その散り散りな状況を揶揄するつもりは全くない。だが「脱原発」とい
う一見「輝かしく希望溢れる」お題目を唱えることに安心し思考停止しては
いないか。それで本当にあなたが感じる問題は解決されるのか。
なんとなくよさそうな「脱原発」。でも「CO2削減に役立つエコな原子力」
なんて言葉にもその「なんとなくよさそう」を感じ、思考停止した揚げ句、
現下の事態を招いたのではないか。
「脱原発」が呉越同舟に向かうのか同床異夢に終わるのか。私たちは考え続
けなければならない。たとえ絶望の淵にあろうとも。
(東京大学大学院博士課程・社会学)
- 96 :
- 電力不足対策 節電と原発再稼働が不可欠だ(11月3日付・読売社説)
そろそろ、冬の電力不足への準備を本格化させなければならない。
政府は今冬の電力需給対策として、関西電力管内で前年比10%以上、九州電力管内で
は5%以上の節電を実施するよう要請した。
関電では、暖房などで増える電力需要に対して供給力が最大9・5%足りず、九電も2・
2%不足する見込みだ。
政府は東京電力など他の管内にも、数値目標のない「一般的な節電」を求めた。今夏の
ように、法律で節電を義務づける使用制限は回避された。電力各社が火力発電などを増
やす一方、企業や家庭で節電が定着した成果といえる。
とはいえ、油断は禁物である。政府がホームページ上で紹介している節電方法などを参
考に、引き続き省電力に心がけたい。
来春以降も電力事情は厳しい。東電福島第一原子力発電所の事故後、定期検査で停止し
た原発の再稼働にメドが立たないからだ。ストレステスト(耐性検査)の遅れなどで、
来春に全54基の原発が止まる可能性は高い。
政府は、全原発が止まったまま今年並みの暑い夏を迎えると、全国で9・2%の電力不
足となると見込んでいる。今夏の2・7%より、かなり深刻だ。原発依存度が高い関電
管内などでは、電力の使用制限を迫られる恐れがある。
そうした事態を回避するには、電力の供給能力を高めるべきだが、課題も多い。火力発
電用の燃料価格が高騰し、電力各社の業績悪化を招いている。いずれ電力料金が上昇し
て、家計や企業生産の重荷となりかねない。
火力発電には、温室効果ガスの排出量が増える短所もある。太陽光や風力など再生可能
エネルギーの普及促進が望まれる。しかし、短期間では困難だ。
経団連の調査で6割の企業が、電力不足が今後2〜3年続いた場合、国内の生産を縮小・
停止すると答えた。電力不足は、景気悪化や産業空洞化などで経済に打撃を与える。安
全を確認できた原発から再稼働を急ぐ必要がある。
政府は全国の9原発22基について、耐震性などを改めて点検する方針を示した。だが、
ストレステストに加えて安全性のハードルを上げる姿勢には疑問符がつく。
無論、安全性の確認は大切だが、稼働中でも点検は可能だろう。政府が再稼働の判断を
先送りする口実としてはならない。
政府は原発の安全性評価を着実に進めると同時に、再稼働に明確な道筋をつけるべきだ。
(2011年11月3日01時52分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111102-OYT1T01303.htm
- 97 :
- 原発と節電 再稼働で「暗い冬」回避を
2011.11.4 03:01
トラブルのため先月4日から運転を停止していた九州電力玄海原子力発電所4号機が、再
び発電を始めた。経済産業省原子力安全・保安院のお墨付きに加え、地元の同意も得ての
再稼働であり、当然の措置である。
政府は今冬の電力供給が厳しくなる関西電力と九州電力管内に節電を求めたが、電力不足
の状況は続く。産業空洞化にも拍車がかかってしまう。野田佳彦政権は政府の責任を自覚
し、原発再稼働を主導しなければならない。
玄海4号機の停止は、誤った手順書にもとづく補修作業が原因だった。原発そのものに損
傷を与えたわけではなく、九電は手順書の見直しを含めた再発防止策を講じた。保安院も
「おおむね妥当」と判断している。
玄海原発では、2、3号機の運転再開をめぐって「やらせメール」問題も起こった。その
信頼を回復する意味でも、九電は今後、さらに安全に留意して運転を続けるべきだ。
しかし、4号機も来月には13カ月に1度の定期検査のため再び止まる。国内に54基あ
る原発のうち、いま稼働しているのは11基だけだ。東京電力福島第1原発事故の影響で、
定期検査が済んだ原発も再稼働に至っていない。このままでは来年春にも、全ての原発が
ストップしてしまう。
政府は原発による発電比率が5割を超える関電の管内には今冬、前年比10%の節電を求
めた。九電にも、節電5%を要請した。さらに、冬場は朝と夕方に2つの電力需要のピー
クがあるため、午後に集中する夏場より節電が難しいとの指摘もある。
今冬は何とか乗り切れても、来夏の電力供給の見通しは立っていない。企業や家庭に協力
と忍耐を求める節電は、あくまで緊急避難で、抜本対策としては当面、原発が必要なこと
は明白だ。
電力不足が長期化した場合、日本経済に及ぼす影響は極めて深刻となる。関東・東北地域
はこの夏、工場の週末操業などでかろうじて対応できたが、歴史的な円高も追い打ちをか
けている。
特に輸出企業は急速に収益を悪化させ、工場などの海外移転に歯止めがかからない。日本
経済を活性化させ、震災からの復興を成し遂げるためにも、政府はできるだけ早く原発の
安全を確認し、再稼働に結びつけてほしい。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111104/biz11110403020000-n1.htm
- 98 :
- 日越首脳会談 安全な原発輸出で信頼向上を(11月1日付・読売社説)
日本とベトナムの幅広い協力関係を、着実に前進させていきたい。
野田首相と来日中のズン首相が会談し、日本の原子力発電所輸出の方針を堅持し、ベトナ
ムの発電事業で協力することを確認した。
両国の共同声明は「ベトナムは日本の原子力技術供与を強く求めた。日本は世界最高水準
の安全な技術を提供する」と明記した。
実り多い会談と言えよう。
日越両国は昨秋、原発輸出で合意した。菅前首相の「脱原発」発言で一時混乱したが、輸
出計画は再び軌道に乗ることになる。
南シナ海沿岸部に建設される原発2基を日本企業が受注する。1基目は2021年の運転
開始を予定している。日本の官民の技術力を結集し、原発の安全性向上に努めて、ベトナ
ム側の期待に応えることが求められる。
ベトナムでの原発の運転、保守管理や、技術者の育成にも中長期的に協力していく必要が
ある。
こうした協力の法的枠組みを定めた日越原子力協定は今年1月に署名されたが、承認案は
国会で審議されないままになっている。与野党は速やかに承認すべきだ。
共同声明には、日本が地球観測衛星を有償供与し、高速道路や国際港の整備を支援するこ
とも盛り込まれた。
ベトナムの交通網や科学技術を支えるインフラ(社会基盤)輸出は、日本の経済成長戦略
の柱の一つでもある。今後さらに拡大させることが大事だ。
両国は、ハイテク製品に欠かせないレアアース(希土類)の共同開発に向け、協力を深め
ることも確認した。日本の商社が鉱山開発に参画し、早ければ2年後から日本向けに供給
する。
レアアースは世界生産の9割を占める中国が輸出を規制し、価格が高騰している。昨秋の
尖閣諸島沖での漁船衝突事件後、中国は対日輸出を制限した。日越の共同開発を進め、
「中国依存」体質から抜け出すことが戦略的に重要だ。
ベトナムなど東南アジア各国は、南シナ海の領有権を巡り、中国との間で火種を抱えてい
る。この海域は日本の海上交通路でもある。両首脳が紛争の平和的解決などで一致したの
は当然だ。
日本が、ベトナムから看護師・介護福祉士希望者を受け入れることも決まった。そのため
の現地での日本語研修制度も検討する。
再来年は、両国が外交関係を結んで40年となる。対中国をにらんだ戦略的パートナーと
して信頼を深めることが肝要だ。
(2011年11月1日01時17分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111031-OYT1T01349.htm
- 99 :
- 原発輸出に「福島」の教訓を
2011/11/2付
ベトナムのグエン・タン・ズン首相が来日し、野田佳彦首相との会談で日本から原発を輸
入する方針を表明した。
日越両政府は昨年、日本からの原発輸出で合意したが、福島第1原発事故のため不透明感
が出ていた。今回の首脳会談とそれを踏まえた文書は、従来通り計画を進める方針を確認
した形だ。
野田政権はインドへの原発輸出の前提となる日印原子力協定の話し合いも加速しつつある。
原発輸出を、改めて日本の成長戦略の柱の一つに位置付けて推進していく姿勢を鮮明にし
たといえよう。
ベトナムやインドといった成長著しい新興国はエネルギー不足が深刻だ。大規模な発電が
可能な原子力に期待を寄せるのは自然であり、日本がそうした期待に応えていくのは国際
協力の一環としても意義がある。
ただ、それには大きな前提条件がある。日越両首脳が署名した文書がうたうように、福島
の事故の「徹底的な検証から得られる経験と教訓」を生かすことだ。
現時点では、福島の事故の検証はなお道半ばだ。既に判明した情報も、これから明らかに
される情報も、着実に内外に公開していくことが肝要である。
ベトナムでは言論の自由に制限がある。ベトナム国民が十分な情報を得られない状況で原
発建設計画を進めれば、後々に禍根を残しかねない。ベトナム政府と手を携えた、国民向
けの情報発信も必要だろう。
野田首相とズン首相は、ベトナムでのレアアース(希土類)の共同開発やベトナムから日
本への看護師・介護福祉士の受け入れを進める文書にも署名した。双方が有利な関係強化
と評価できる。ズン首相はまた、国交40周年の2013年に天皇、皇后両陛下や皇族に訪越し
てほしいと要請した。
ベトナムは台頭する中国への対応という課題を日本と共有する。環太平洋経済連携協定
(TPP)交渉のメンバーでもある。戦略的に日越関係を深めていきたい。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E4E3E7E2EAEAE2E2E0E3E3E0E2E3E38297EAE2E2E2
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