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カレル・ヴァン・ウォルフレンの日本分析 2.0


1 :10/11/13 〜 最終レス :12/05/06

K.V.ウォルフレンは舌鋒鋭く、日本社会、政治構造などを鮮やかに分析、全く新しい視点を
提供してくれた。
今日においても、価値の高い彼の日本社会分析について考える。
●カレル・ヴァン・ウォルフレン Wolferen,Karel van
 一九四一年オランダ生れ。十八歳より世界各国を巡り、八二〜八九年、オランダの「N
RCハンデルスブラッド」のアジア特派員。現在アムステルダム大学教授。 89年に『日
本/権力構造の謎』を出版し、国際的ベストセラーになる。
 その他の著書に、人間を幸福にしない日本というシステム、なぜ日本人は日本を愛せな
いのか―この不幸な国の行方 、ウォルフレン教授のやさしい日本経済 、日本という国を
あなたのものにするために、ブッシュ/世界を壊した権力の真実 、支配者を支配せよ―選
挙/選挙後 、アメリカを幸福にし世界を不幸にする不条理な仕組み、怒れ!日本の中流階
級、アメリカからの“独立”が日本人を幸福にする、民は愚かに保て―日本/官僚、大新
聞の本音、快傑ウォルフレンの「日本ワイド劇場」、日本の知識人へ など多数。

2 :

前すれ
カレル・ヴァン・ウォルフレンの日本分析
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/soc/1085141939/

3 :
時代遅れの化石だな。

4 :
Wolfrenは日本語もろくに話せないタコだ。
日本のことが良く分かるはずがない。

5 :
カレル・ヴァン・ウォルフレン氏講演会動画
http://www.youtube.com/watch?v=vRNFxs2013U

6 :
ジャーナリスト、ウォルフレン氏がトーク&サイン会 
2010.11.10 00:34
 徳間書店は15日午後7時から、丸善丸の内本店(東京)で、「アメリカとともに沈みゆく自由世界」の刊行記念として、
著者のカレル・ヴァン・ウォルフレン氏のトーク&サイン会を開く。
 オバマ大統領の失策によって変質しつつある米国が、日本を含めた自由世界を混乱に巻き込んでゆくという
近未来を、政治と経済の両面から描いた警告の書で、著者のウォルフレン氏は著名なオランダ人ジャーナリスト。
日本社会の仕組みを批判的に分析した「日本/権力構造の謎」(早川書房)、「人間を幸福にしない日本という
システム」(毎日新聞社)など日本研究の著書が多数ある。
 トーク&サイン会参加には書籍購入時に配布される整理券が必要で先着100人まで。
問い合わせは03・5288・8881(電話予約可)。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/101110/fnc1011100035002-n1.htm

7 :
茨城で釣りをした。
昔の話。

8 :
カレル・ヴァン・ウォルフレン 公式ホームページ
このウェブサイトは日本の読者のみなさんとの新しい触れ合いの場として設けたものです。
http://www.wolferen.jp

9 :
アメリカからの独立は、アメリカ人がアメリカを取り返す事が先決。

10 :
枯れる・晩年

11 :
立ち枯れ、オランダ!

12 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 1 ////////////////
カレル・ヴァン・ウォルフレン著、原著1989年発行
日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、篠原 勝 (翻訳)より
・・・・・
4章 <システム>に仕える人びと
 <システム>の抱き込みがいかに逃れようのないものであるか、その典型が労働運動、教育界の一部、
マスコミなどである。これらは、他の非独裁社会では、敵意をあからさまにはしないにしても、
既存の社会・政治権力の秩序との間で、多かれ少なかれ垣常的な緊張関係にあるのが、普通である。
日本の "飼い慣らされた" 労働組合については、すでに見てきた。学校やマスコミも、もちろん
<システム>の存続にかかわる重要な要素である。もう一つ極端な例として、犯罪分子までが
− 他の国では、権力の埒外と考えられている − <システム>に支配されている。
<システム>の抱き込み体制がいかに広範に及んでいるかを示す好例である。
 学童と、ジャーナリストと、暴力団とを一緒くたに論じるのは、意地が悪いと思われるかもしれない。
だが、現実には、日本の学校も新聞も犯罪組織も、いずれも共に<システム>に仕える高度に政治化された
存在である。真の対抗勢力の存在を容赦しない<システム>だから、重要な社会組織はなんであれ、
抱き込んでしまわなければ気がすまない。したがって、日本の管理者の主要グループを時おり
脅すほどの社会組織は、いずれ権カヒエラルキー下部の二次的構成員として組み込まれてしまう。
マスコミと、犯罪組織も特異な形態ではあるがその範疇に入る。そして、日本の学校がそのいい例だが、
比較的力の弱い社会組織は、<システム>全体の目的に完全に従わされる破目になる。
//////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

13 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 2 ////////////////
    <システム>に従う教育制度
 日教組というきわめて闘争的なアンチ<システム>組織がその存在基盤を、<システム>の
人材養成に重要な役割を果たし、本質的に性質の異なる<システム>構成員同士を結束させる、
その当の教育制度に依存しているのだと言っても、皮肉には聞こえるだろうが驚くことではない。
 かねてより日教組は、あからさまに<システム>に奉仕することになるであろう道徳教育の
導入を強力にはばんできた。管理者階級の重要な成員は、日本の教育はこのために大きな欠点を
抱えていると考えているのだが、日本の教育はひそかに、そうとはわからない形で<システム>に
好意的なイデオロギーを教えているのだ。しかしもっと重要なことは、教育が、試験選抜制に
もとづくヒエラルキーの維持にほぼ完全に服従していることである。学校が、いく重にも重なり合う
さまざまなヒエラルキーの成員となる人材を集め、選別する人材選別マシーンとして機能している
のである。この選別機能は、あらゆる段階での有名校に顕著で、人材選別以外の学校の機能は
どこかに忘れ去られたと思わされるほど強調され、その結果、日本の若者の知的成長を
大いに阻んでいる。
////////////////////////// 原書1989年刊 ///

14 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 3 ////////////////
        知的な芽をつむ学校
 日本の教育制度は、世界一ではないにしても世界有数の立派な制度として海外でも評判が高い。
この評判は、世界中でおこなわれる数学のテストでの日本の学童の高得点(多くの場合、最高点)に
もとづいており、また日本の経済的成功と関係があると思われているためである。日本の教育が
高い評価を得ていることは外国の教育専門家の意見にもうかがえる。彼らは、日本の学校の
水準の高さ、母親に見られる教育熱心さ、膨大な量のデータを丸ごと吸収する生徒の能力に
強い印象を受けている。
 日本の児童生徒が、国際的な筆記テストで高得点をとるのは、別に驚くべきことではない。
まさに、そのたぐいのテストのために、小学校から高校まで訓練されるのである。しかし、
そのテストが、たとえば自分で考えて結論を引き出したり、事実を抽象し、その抽象を理論的に
構成したり、自分の考えを小論文にまとめる、あるいは外国語で自分を表現する、あるいは、
単に質問する能力でもよいのだが、そういった能力を評価するテストであれば、たちまち、
日本の教育制度の欠陥がどこにあるかが露呈してしまうだろう。
////////////////////////////// 早川書房 ///

15 :

 民主党の鳩山由紀夫前首相は24日、国会内で開いた外交問題に関する同党議員の勉強会で
「『日米同盟』と金科玉条のように言われているが、米国が日本をどのような目で見ているのか、
真の意味での信頼関係があるのか、根源的なところが問われなければならない」と述べた。
朝鮮半島の緊張が高まる中、国内外で波紋を呼ぶ可能性がある。
 鳩山氏は「せっかく政権交代を果たしたのだから、政権交代の意義を失わせてはならない」と指摘。
新たな日米関係を模索する必要性を強調した。
勉強会ではオランダのジャーナリスト、カレル・V・ウォルフレン氏が日米関係と日本政治をめぐって講演した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101124/plc1011242001021-n1.htm

16 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 4 ////////////////
 日本の教育の目標は、英語の education という言葉の原義 "精神の諸力を生み育てる" から
遠くかけ離れており、単に事実情報を伝えることにとどまっていると思われる。生徒に合理的に
考える能力を錬磨させるどころか、日本の教育制度はこのような目標には冷淡である。
自発的に考え、自発的に行動することは、ほぼすべての学校で組織的に抑えられてしまう。
独創性に対する許容度が低いのである。生徒は、論理的に思考したり、当を得た質問を −
いや、実際には、どんな質問もいっさい − しないよう教育される。逆に、丸暗記に重点が
おかれる。だから、日本で "成績がいい" 学生の頭の中には、膨大な量のデータが詰まっている。
(逆の仮説をするならば)もし学生がそのデータを体系化し、そこから整った人生観を
見い出せたとしても、自力でそうしなければならなかったのである。ある教育問題の専門家は
次のように言っている。教育の目的は「テクノ=メリトクラート(試験評価で選抜された
専門技術者)制に必要な、志気と技術をもった労働者階層を養成することである。
テクノ=メリトクラート社会には、厳格な身分制と細かい調整のゆきとどいた組織社会
という環境の中で、着実にその能力を発揮できる社会意識をもった個人が必要だからである」。
////////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

17 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 5 ////////////////
 ある人間が<システム>の、どのヒエラルキーの、どの部署の、どのレベルに行けるかを
教育が決定づけるのは、日本に限らず大概の国で見られることだが、日本の場合、教育による
この機能は、欧米のどの国よりも、また、おそらく共産圏のどの国よりも情け容赦なく徹底的に
働いている。日本の教育制度はイギリスのパブリック・スクールや大学の卒業生のネットワークと
よく似ているが、それより何倍も拡大した規摸をもち、<システム>中の各所に散らばって、
<システム>に求心力を与えるエリート階級を形成する。
//////////////////////////// 840円(税込) ///

18 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 6 ////////////////
 人材選別は教育のごく早い時期から始まるが、なぜそうなのかを理解するには、まず逆の方向、
つまり、毎年、大企業や官庁に卒業生を供給する大学の方から見ていかなければならない。
 日本の高等教育は、東大、もっと具体的に言えば、その法学部を頂点とするヒエラルキーを
形成する。東大の卒業生なら、首相の座や自民党の重要ポストを獲得するための一番の跳躍台
である大蔵省に入るチャンスが多い。東大はまた、将来の産業コングロマリットの経営者の
人材も供給する。東大とほぼ同じレベルの京大や他の旧帝大もエリート層の一部分をなす。
東大ブランドが、どれほど尊重されるかは語りつくせない。過去一世紀にわたり、東大法学部は
日本のトップ管理者のほとんどを、 "聖選" してきた。その卒業証書は実質上、日本の
支配階級へのパスポートである。
/////////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

19 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 7 ////////////////
 フランスの政治について詳しい人は、それがグラン・ゼコール(フランスの大学校)にも
見られる制度だと指摘するかもしれない。だが、グラン・ゼコールの場合には、一つの大学に
限られず、多数の大学がある。しかも、学生が何を専攻し、どれだけ熱心に学んだかが
ひじょうに重要である。
 ヒエラルキーの中でランクは一つ下になるが、名声があり入学も難しいのは、私立大学の
早稲田と慶応である。早稲田の名声は、多くの政治家やジャーナリストを輩出しているためであり、
慶応の方は、経済界の上層幹部を送り出していることによる。その次のヒエラルキーに、
中央、明治、上智、立教、青山、日大といった、中位ランクの大学がある。関西地方には
同志社、立命館などがある。その下には、過剰なほど多くのより小規模な地方の国・公立大学、
私立の総合大学、私立の単科大学、女子短期大学、専修学校、芸術大学や音楽大学などがあって、
それぞれに独立した無名の小さなヒエラルキーを形成する。
//////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

20 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 8 ////////////////
 日本では、大学教育の質が上層管理機構に昇るための基準にはならなかった。一九世紀の
最後の数十年に、政治的決定を下す特権が世襲その他の非選抜によらず試験によって選び出された
者に与えられることが確立した後、議論は、教育の質でも内容でもなく、どの権威による試験が
選抜の役を果たすべきかに集中した。日本の管理者のヒエラルキーの頂点に立つ条件を持つ
東大法学部の卒業生が、今日、在学中に学ぶことは、多くのヨーロッパの大学や質の良い
アメリカの大学の学生が卒業までに学び取らなければならないことに比べれば、かなり内容に
乏しいといえる。
////////////////////////// 原書1989年刊 ///

21 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 9 ////////////////
 逆に、最下位ランクの大学であっても、エリート大学より授業の質が、必ずしも劣るわけ
でもない。逆に、中位から上の大学は、どれだけ内容がお粗末でもそのランクから落とされる
ことはないし、有名大学としての評判を失うこともない。官庁も大企業も、就職試験はだれでも
受けられることになっている。しかし、実際には、慣例どおりの人数割り制に従って、新卒者が
採用される。教育界のヒエラルキーは経済界と官界のそれに対応している。中堅企業は、
東大法学部の卒業生を採用しようとは夢にも思わないであろうし、また同じ意味で、中央大学の
卒業生が経済界のトップにのし上がることはひじょうに少なく、政府の要職につくことは
ほぼ皆無といえるだろう。
/////////////////////////////////// 早川書房 ///

22 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 10 ////////////////
 日本人は、つき合う相手の学歴を熟知している。筆者の知り合いのある外国人が、ガールフレンド
から、三カ月間会わないでほしいと言われたことがある。彼女の姉が東大卒の人物と見合いをして、
身上調査をされている最中だったのだ。つまり、絶好の縁談をとり逃さないためには、家族の
一人が外国人と交際しているということも含め、マイナス条件はいっさい排除されるのである。
 日本では、官・財界の "エリート・コース" とは無関係なコースに進むことになる医・工・
自然科学分野の学部を除けば、学生が大学の四年間、どんな勉強をしたかということは、
ほとんど問題にされない。法学部、経済学部、商学部では、もっぱらそれぞれの分野で
管理行政的側面から、学者がどう言っているかを教えるだけに終始し、単に<システム>の
より高いレベルに参入するために好まれる学部でしかない。
////////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

23 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 11 ////////////////
筆者は早稲田大学で四年間教えたことがあるが、その時に知ったのは、学内の最上位にランク
されている政経学部でも、学生はほとんど何も勉強しないということだ。専門分野の本 −
それも特別よく知られてもいない本のことが多いのだが − を数冊読むだけだし、たいてい、
読んだこともわずかしか頭に残ってないようだった。それでも学生が授業に出席するかぎり、
通常は、単位を与えるようにと大学側から指示された。
 卒業は、ほとんど自動的なものだ。ほかよりよく勉強した学生は、官庁や一流企業に入る
チャンスが増える。だが、有名大学で四年間なにもしなかった学生の方が、能力はあるが
ランクが下の大学を出た者よりは、つねに、上位ランクの就職先を見つけられるのである。
たいていの学生にとって、大学は、厳格な組織に組み込まれる企業に入る前の、つかのまの、
息抜きの場にすぎない。
//////////////////////////// 840円(税込) ///

24 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 12 ////////////////
        人生をかけた詰め込み学習
 多くの日本人が、 "いい大学" に入った学生は "のんびり" してもいいと考えているのだが、
ある意味では、これは正しいといえる。そのような大学に入るには、極度に神経をすり減らす
準備が必要だからだ。時には金や親のコネがものをいう − 特に私立医大や歯科大に入るには
− こともあるが、たいがいの場合、定員の一〇倍、二〇倍、あるいは、それ以上いる
競争相手に勝つために、志を抱いた若者が努力するしかない。そのための最短距離は、
これまで合格者をたくさん出したと定評のある高校に入ることだ。事実、日本の高校は、
大学の合格率を基準にしてランクづけされている。全国にある五四五三の高校の中の
わずか三校から、東大合格者の約一割が出る。
/////////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

25 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 13 ////////////////
 大学受験の合格率で学校の品定めをするのは、日本中の人の楽しみのひとつとさえいえるかも
しれないが、平均より上とみなされている高校では、学生は受験勉強に時間の大半を費やす
ことになる。いわゆる有名校なら、入試問題(べーバーテストがほとんど)の傾向に対する
研究は万全だし、また、入試問題を作る側の大学教師も、正解をかなり恣意的に決めることが
多いから、このような高校では、学科をきちんと教えるよりも出題者の意図が読める達人を
つくる訓練に力が注がれる。
 英語を例にとれば、受験生は、実用的な英語力にはあまり自信のない教授がつくる、多項目
選択肢問題の試験に合格するように勉強する。こうした試験には、あいまいでまぎらわしい
問題や、明らかな文法的な誤りが含まれていることも多い。英語は、数学、国語とならんで、
大学入試の三大主要科目の一つとされていて、生徒は大学教育まで含めると一〇年間にわたって
英語を学ぶが、わずかな例外を除き、英語で意思の疎通ができるところまではいかないのである。
//////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

26 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 14 ////////////////
 数学や物理は筆記試験向きであるから、学校の授業では数学で合格点がとれるようにと
努力する。一方、歴史やその他社会科学系の科目については、ある専門家がいみじくも
言ったように「クイズ・マニアのかわりに、学者がつくった瑣末な事実の記憶コンテスト
以外のなにものでもない」ようだ。
 入学試験がただごとでなくなるにつれて、学校の正規の授業時間の後に開かれる "塾"
という一大下請け民間産業が繁栄することとなった。塾も、入学試験の合格率によって
ランクづけされている。名門大学の入試に失敗した学生の多くは、時として三年も四年も
続けて再挑戦し、その間、浪人生は塾や予備校に通う。そして、塾も予備校も、膨大な
数の学生を受け入れるため、どんどん増えている。予備校の教え方には、秘伝伝授的な
ところがある。授業は、公表された過去の入試問題の詳細検討、分析、解説と、まるで
新しく発見された古代中国の文献を古典学者が扱うようにして、進められていく。一部の
プロの予備校講師は、ラスベガスのギャンブルで必勝法を教えて金をもらう "賭の理論家"
さながらに、客である学生用の確率理論を案出したりもする。
////////////////////////// 原書1989年刊 ///

27 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 15 ////////////////
 さて、名門高校に首尾よく入るには、名門中学に行くことがほとんど絶対条件である。
<システム>内の上級コースに賭けると親が決めた子供たちは、二つ、三つ、あるいは四つと
違う中学をかけもち受験する。そして、有名高校への進学率がもっとも高い中学校に入る
ためには、しかるべき小学校に行くことがまた重要になる。小学校の評判は、逆に、その
小学校からランクが高い中学や高校への合格率で決められるのだ。有名小学校の入試用の
練習問題集まで市販されている。しかし実のところ、選択は、もっと幼い時期から
始まっていることも多いのである。
////////////////////////////// 早川書房 ///

28 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 16 ////////////////
        ゆりかごから官庁まで
 小学校から大学まで、比較的楽をして行きたければ、大学付属の高校、中学校、小学校、
また時には幼稚園までついている、金のかかる私立学校に進む手がある。いったん、この
コースに乗れば、上にあがる各段階の試験はほとんど形式的なものとなる。このエスカレーター校に
入る一番の早道は、上位校につながる幼稚園に入ることである。という次第で、入園に際して
極端に多額の金がいる有名幼稚園がいくつかあり、実際に、独自の入園テストをおこなっている。
幼稚園あるいは小学校レベルからはじまって、エスカレーターの一番上に大学まである有名学校には、
慶応、学習院、成城学園、青山学院などがある。こうした幼稚園の入園テストでは、目撃した
人の話によると、ひらがなを読んだり、ブロックを組み立てる能力などが試されるということだ。
////////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

29 :
ウォルフレンのあとをつぐ、偉大な日本分析者がいない。

30 :
666 :まるたん・ゆ・あーる改:2010/12/14(火) 02:44:05 ID:xyJA7Kyy0
これから、未来、
たくさんの人が失業し、再就職ができない、という状況が生まれてくる。
外国の安い労働力に仕事を奪われ、日本人のなかには、かなり苦しい生活を
強いられる人たちもめずらしくなくなる。
お金は本当に貯めておくべきだよ。
673 :まるたん・ゆ・あーる改:2010/12/20(月) 20:27:15 ID:vZcQB01A0
今日のニュースだが、外国人留学生を企業が求めるようになっているんだそうな。
674 :名無しさん@お腹いっぱい。:2010/12/22(水) 22:51:15 ID:vm24WcAu0
まるたん・ゆ・あーる改は日本人か?
676 :まるたん・ゆ・あーる改:2010/12/24(金) 05:06:36 ID:DZsaREhL0
>>674
あたりまえだ。
677 :名無しさん@お腹いっぱい。:2010/12/25(土) 03:40:23 ID:48CAG0CB0
まるたん・ゆ・あーる改なんて名前で日本人とはな。


31 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 17 ////////////////
ある例では、お定まりのテストのここぞという時に、幼い子供に紙に包んだアメが渡された。
関係者の視線がいっせいにその子に注がれる。彼は、アメの包み紙をきれいにたたむか、
ぽいと床にすてるか、テストされていたのである。
 しかし、ほんとうの出発点はさらに幼い時にある。幼稚園の入試に成功するよう、三歳児に
家庭教師をつける母親までいるのだ。東京のある有名幼稚園に入るには、幼児用の塾で特訓を
受けるのが普通だ。しかるべき幼稚園に子供を入れるという目的だけのために東京に引っ越してくる
親の話も、よくきく。幼稚園の入園保証つきの出産広告を出した産院さえあらわれた。
////////////////////////////// 840円(税込) ///

32 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 18 ////////////////
 女の子も、官庁入りを目指すのなら男の子と同じコースで競争できる。だが、野心のある
両親をもつ女の子の大半は、平行する別のコース、つまり私立女子大学ヒエラルキーの中に
送られることとなる。この道は良縁を願う母親のためだけでなく、一流の花嫁を自社の
従業員にと探し求める会社の採用係にとっても重要である。また、製造業で働く質の高い
工場労働者を供給するための、ブルーカラー版高校ヒエラルキーもある。
///////////////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

33 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 19 ////////////////
        "試験地獄"
 教育制度は、<システム>の中でももっとも批判される要素である。元通産審議官天谷直弘は、
「わが国の現在の教育システムは、出来のよくないロボットしか作り出せないようだ」と述べている。
また、日本の教育が作り出すのは芸を仕込まれたアシカだ、と日本のもっとも多才な評論家の一人、
加藤周一は言う。 "受験地獄" と、それが生みだした "教育ママ" は、つねに非難の的になる。
"教育ママ"は、教育の全段階でわが子を押し上げるのに懸命なあまり、子供からあたりまえの
生活をとりあげてしまっている。日本では、子供の成績の良し悪しは主に母親の責任とされるので、
わが子の入試の成否は近所づきあいでも彼女の地位に大きく影響することになる。受験生をもつ
家では、家族全員の運命がその子に託されたかのように気をつかい、試験日が近づくとみな息を
殺して生活する。入試に失敗すれば心理的な荒廃がおとずれることにもなる。それも、受験生
本人だけではない。子供に強いられる人間ばなれした努力、そしてそれに伴って家族の間に広がる
緊張感が、今や、日本の中産階級の家庭でくりひろげられる主要なドラマになっている。
//////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

34 :
カレルにはB2ランクをあげる
ガイジンにしてはよく見てる

35 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 20 ////////////////
 子供たちが真剣にとりくむとなると、ただひたすら入試に向けて勉強するために遊びも、趣味も、
スポーツも、友達とのつき合いも、全部あきらめさせられる。それも、入試前の二年間ほぼずっと
である。学校と塾から戻れば、さらに深夜まで詰め込み勉強がある。ある塾は、一二歳の子供を
対象に、土曜の夜九時から日曜の朝六時までの詰め込み授業をおこなっている。一部の子供は
軍隊さながらの肉体耐久鍛練に参加させられる。一四歳で午前一時にまだ勉強机に向かっているのも、
別にめずらしくはない。数時間、詰め込み学習をした後は、もうほとんどなにも頭に入らない
ことなど問題ではなく、彼らとしては、熱心にやっている、そして、忍耐力で頑張っている
ところを見せることが重要なのである。
////////////////////////// 原書1989年刊 ///

36 :
いかにもな詰め込み批判だな
日本人よりオランダ人のほうが実のある教育を受けているとも思えない
日本の左翼から情報もらってる感じ

37 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 21 ////////////////
 このような試験による選抜システムがうまくいくのはひとえに、日本の子供たちが我慢して
耐えるからであろう。また、子供たちがこれほどまで親のいうなりになるのは、日本の子供と
母親の関係がわからなければ理解できない。日本の典型的な子育てでは、世の中はどう機能
するかという普遍的な成り立ちを教えるのではなく、子供の気持ちを操作することによって、
何が正しいおこないなのかを、教えることが多い。したがって、たいていの場合、子供は、
母親の顔色を見て善悪を見分けるようになる。つまり、教育ママは自分の子供に強い罪の
意識をうえつけることもできるので、それを彼女は、子供の勉強に拍車をかける手段に
使うわけである。
 入試の悩みや失敗が原因と思われる自殺が新聞などで大きく取り上げられ、学齢期の子供の
死の主因が受験地獄であるかのような印象を与えるが、実際は、そうではない。しかし、
子供の人格形成上に与えるゆがみ、親子関係のトラブルなどが、慢性的な試験不安によって
悪化することはたしかだ。
////////////////////////////// 早川書房 ///

38 :
オランダ人の「自由な」発想と「進んだ」放任主義の教育のおかげで
現在の移民に汚染され乗っ取られたオランダの現実があるw

39 :
>>38
ゆとり教育のお陰で「対馬があぶなーい!!」
by山谷えり子

40 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 22 ////////////////
 日本人のほとんど全員が受験制度は過酷であり、廃止すべきだということに同意しているし、
同時にほとんどの人が、今後も選別方式を変えるなんの手も打たれないであろうことも知っている。
つまるところ、この制度は<システム>の意向にもののみごとに合致しているわけだ。頭の中に
詰め込まれた膨大な量のデータが、ほとんどなんの役にも立たず、学生たちが(英語の場合
のように)正しく学び直すのも難しい間違った癖を身につけてしまったとしても、選抜されて
トップまで行くような人は非常に粘り強いし、きわめて記憶力が良いことであろう。官界と
経済界が高く評価するのは、創造性よりも、持続性、献身的な態度、そして記憶力である。
///////////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

41 :
じゅけんせいどははいしすべきなんだー、ふーん

42 :
★良書悪書 人材を劣化させる「就活断層」 - 『くたばれ!就職氷河期』 1
 池田信夫/アゴラ 2011年01月22日13時58分
くたばれ!就職氷河期 就活格差を乗り越えろ (角川SSC新書)
著者:常見 陽平 角川SSコミュニケーションズ(2010-09-10)
販売元:Amazon.co.jp ★★★★☆
就活に走り回る学生には、日本の労働市場のゆがみが集中的にしわ寄せされている。特に
「リクナビ」などの就職サイトが就活を大きく変えた。会社回りには物理的な限界があるが、
サイトから応募するのは簡単なので、学生は手当たり次第に有名企業に応募する。その結果、
人気企業のエントリー数は5万人以上になり、会社説明会も数千人規模になり、応募のハードルを
上げるためにエントリーシートは複雑で膨大になる。
しかし大手企業は、実際には「20校リスト」と呼ばれる有名大学(旧帝大〜MARCH)からしか
採用したくない。本書によれば、都内の私大生がある金融機関のセミナーを予約しようとしたら
すべて満席なので、不審に思って別名のアカウントをつくり、所属を「東大」にしたらすべての
セミナーに空きができたという。激増する応募を「足切り」するために、学歴差別がソフトウェア
によって自動化されているのだ。
つまり学生は有名企業に集中する一方、企業は有名大学に集中し、それ以外の学生にも企業にも
チャンスがない就活断層が拡大している、と著者は指摘する。就職サイトで見かけ上の募集範囲が
広がったため、もともと大手企業には絶対に入れない学生が大量に応募し、リクルート活動に
エネルギーを浪費する。他方、掲載料が数百万円もするリクナビにPRを掲載できない中小企業は
学生を採用できない。

43 :
★良書悪書 人材を劣化させる「就活断層」 - 『くたばれ!就職氷河期』 2
これに対して政府や財界が「卒業後3年間は新卒扱いにしよう」とか「会社説明会は4年生の8月
からに自粛しよう」などと呼びかけても意味がない。こういう横並びの採用が行なわれるのは、
長期雇用によって人材が企業にロックインされるため、中途採用では優秀な人材が採れないからだ。
このような硬直的な労働市場を生み出しているのは、労働者を企業にしばりつける退出障壁である。
長期雇用の保障されている大企業では、幹部になれる人材は会社に残るので、転職するのは
昇進の見込みのない二流の人材だと見られる。したがって企業は、中途採用で手垢のついた
二流の人材を採るより新卒でピカピカの人材を採って社内で教育したほうがいい。この教育コストを
回収するには長期雇用が必要だから年功賃金や年金・退職金などによって退出障壁を高める
・・・という悪循環になっているのだ。
この構造は、私がサラリーマンだったころからまったく変わっていないどころか、就職サイトで
悪化している面もある。企業の人事担当者は、口先では「尖った人材」や「肉食系のガッツの
ある若者」がほしいなどというが、実際に採用するときは4億円(生涯賃金)の固定費になる
ことを考えると、汎用サラリーマンとして使い回せる有名大学の無難な人材になってしまう。
就活断層は求人と求職のミスマッチを拡大し、若者の就職機会を奪うと同時に企業の人材を
劣化させている。これは日本の企業システムに起因する問題なので、規制改革によって簡単に
解決できるとは思えないが、少なくとも政府が退出障壁を高くするような制度はやめ、企業年金を
ポータブルにして退職金や付加給付に課税するするなど、雇用慣行に中立な制度にすべきだ。
なお著者(常見陽平氏)には、2月2日のアゴラ就職セミナーで就活断層の実態をくわしく
話していただく予定である。
http://news.livedoor.com/article/detail/5288090/

44 :
池田信夫さんは専用ウォッチスレがいくつもありますよ。

45 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 23 ///////////////////
 ところで、日本の教育に対するこうした見方は、ま新しいものではない。日本最初の外国人
教師の一人、アメリカ人宣教師ウィリアム・グリフィスは、なんと一八七四年に日本の教師に
ついてこう書いているのだ。「彼らの第一の仕事は、とにかく生徒の頭の中にしゃにむに知識を
詰め込むことであった。少年の精神力を豊かにし高め、知的なものの見方を広げ、自分で
考えるよう教えたりしたのでは、教師の仕事に反するのだ」
 この学校制度を通して、日本の管理者階級の出身家庭は高度に均質化される。理論的には
出世の階段はすべての者に開かれているのだが、貧しい家庭は、子供を授業料の高い私立校に
行かせることもできないし、一流国立教育機関へ入れるための準備ができる家庭環境を
整えることはまず無理である。
//////////////////////////////// 840円(税込) ///

46 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 24 ///////////////////
このようにして、あらかじめ憤重に選別された日本企業の "メンバー" は<システム>の他の
部分でしかるべき地位を占めているから、自社にとって役に立ちそうな昔の同窓生との
つきあいを大切にする。契約や法律外でこうして保たれる日本の企業および官界の人脈は、
細かくはりめぐらされたネットワークとなり、<システム>の神経系統の役割を果たす。
この情報ネットワークのおかげで、重要な情報は、<システム>内の各部にちらばる関係者全員に
文字どおり分単位で伝達される。このネットワークはまた、<システム>の構成員間の衝突をも
緩和するのに役立つ。産業コングロマリット内では、多くの場合、経営陣の出身校別の
私的なグループができ、さらにコミュニケーションが深められる。
////////////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

47 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 25 //////////////////
        創造性の欠如
 多項目選択肢問題テストの達人を作り出すことに主眼をおく教育制度からは、独創的な
考えを持つ者は選び出されない。知的好奇心は既成の秩序や慣行をおびやかす恐れがあるから、
積極的におさえられるのだ。このため日本の教育環境は、創造的な考えには冷たい。だが、
ここ数年、産業界と官界の一部から、このような日本人の創造性の貧困を問題にする声が
あがりはじめている。一九八七年に、アメリカ在住の日本人利根川進博士が医学部門で
ノーベル賞を授与された時、多くの新聞が指摘したのは、何十年間か海外で学び海外の研究所で
仕事をするという刺激がなかったら、受賞できなかったであろうということだ。日本の大学
にいる科学者は、有能な研究者を下積みの地位にしばりつける極端に硬直した学界ヒエラルキーと、
文部官僚の過度の規制とに妨げられて思うように研究もできないのである。
////////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

48 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 26 ////////////////
 戦後の三〇年間は、創造性の問題もそれほど心配にはならなかった。それというのも基本的な
発明の多くがすでに公開されており、技術も安く買えた。しかし、日本の産業が、前人未踏の
分野に踏み込みはじめ、外国の特許が以前ほど簡単には入手できなくなるにつれ、日本にも
発明者が必要になってきたのである。これに対する懸念は、通産省の定例報告書で創造力問題が
必ず取り上げられることや、いわゆる第五世代コンピューターの研究プロジェクトで開発に
携わる非常に若い研究者が、創造性が発揮できるようにとの配慮から、欧米人のように
くつろいで仕事をするよう勧められることに表われている。
//////////////////////////////// 原書1989年刊 ///

49 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 27 ////////////////
 一九八五年の夏、当時の中曾根首相によって設置された、教育学者、学識経験者、財界人が
構成する臨時教育審議会は、教育制度全体への批判以外のなにものでもない第一次答申を発表した。
報告書によると、日本の教育が作ってきたのは、明確な個性を持たず、まともに考えることも
できず、自分で判断もできないといった特徴をもった、型に嵌まった人間であった。報告書は
創造性の障壁になるものについても言及している。要約すれば、報告書は、リベラル派知識層が
長年訴えつづけてきた不満の多くをとりまとめたものであった。とはいえ、報告書に盛られた
対策は、文部省代表と自民党内の教育改革派など、あまりリベラルでない審議会メンバーの
意見を色濃く反映していた。(このことから、女性による民間教育審議会が、親たちの真の
希望を無視していると中曾根審議会を非難し、独自の報告書を発表した)。一九八六年および
八七年に発表された第二、第三の臨教審答申は一段と逆行が進み、個性的な考えの人間を
教育する必要性を無視する後退した印象になっている。
///////////////////////////////////// 早川書房 ///

50 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 28 ////////////////
        "質の高い労働者" の養成
 財界のトップが、創造性の欠如について不満を述べるのはよいが、日本の学校が今日のように
なった責任のかなりの部分は、彼らがとるべきだろう。一九六〇年代初めに、経済団体の代表
(経済審議会)が経済発展に最適な状況をつくるため、国の教育制度を一部手直し、学校を
「高い技術をもった高質の労働者を養成する訓練所」にする必要性を「経済発展における
人的能力開発の課題と対策」として提言している。その二年後には、日経連の教育特別委員会が、
高等学校の役割についてさらに具体的な提言をすることとなった。これに続いて、他の
主要経済団体もそれぞれの提言をおこない、やがてこれらは、政府の中央教育審議会の
基本答申に組み込まれた。答申にもられた提案はその後、各種の委員会の具体的計画に、
もり込まれ、七〇年代に文部省が改定したカリキュラムに徐々に反映されていった。
////////////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

51 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 29 //////////////////
 このようなカリキュラム改定の結果、教師の推定を総合した統計によれば、小学校児童の三割、
中学生の五割、高校生の七割が授業について行けなくなっている。公立校では理解の遅い
子供のために授業のペースを落とすことはできない。というのも学童の約九割が公立の学校に
通っており、そこでは全体のカリキュラム構成も、進度も、文部省によって決められて
いるからである。
 産業界の提言にもとづいて立案された教育計画の一環として、教育当局は、どの上級学校へ
進学させるかの進路指導にあたって、すべての生徒を成績によって五段階に分けた。
八○年代になると、偏差値の子供への圧力はさらに増大した。
//////////////////////////////// 840円(税込) ///

52 :
偉大なる人間のもとへは、黙っていても、若者が集まってくるものだ。
ダメオヤジたちはそれがわからない。
なぜなら、自分たちのところへ若者があつまってきたことがないのだから。
私は天才以外の者が偉そうにするのを許せない。
私は、天才という存在に憧れている。
哀れな権威主義なのかもしれない。
しかし、天才というものが存在するのも事実だ。
それは美男美女のごとく、天才はいる。
凡才が偉そうにしていると、なにをおまえごときが!
レベル低いくせに! 歳だけとって何にもできていないじゃねーか!
ザコだ、おまえは!
と思わずにはいられない。心のどこかで、無名人を見下している。
天才だけに学ぶ、天才崇拝の思想を、君たちも持つべきだろう。

53 :
草食系男子のように、女性に対して積極的になれない男性が増えている。
その理由は、たとえば、メディアなどでイケメンをみなれたことにより、
男性の容姿を小ばかにする女性が増え、容姿にコンプレックスを持つ男性が増えたこと。
経済が低迷するなか、資産をもたず、収入もない男性が、女性に対してコンプレックスをもつ
ようになっていること。
さらには、女性のほうが恋愛の達人であり、性的な面から、女性相手にひるんでしまい、
逃げ腰になってしまうこと、などがあげられると思う。
女性を恐がらず、女性と交際をさせ、そして、女性と結婚させられるようにすることでしか、
日本の未来は開けないと思う。
女性恐怖を克服させるには、どうすればいいか?

54 :
マスコミにとって一番コントロールしにくい存在は、
自信と知識をもった若者である。
逆にコントロールしやすいのは、無能なオッサンオバサンと、無教養な若者である。
知性ある若者は本を信じ、知性なきオッサンは映像の影響を受けやすい。
活字派の若者は「みやぶる」ことが得意だ。
子どもたちの人をみる目は厳しい。
中途半端な大人は評価しない。スポーツなら金メダリストしか尊敬しない。
銀メダリストは敗北者だと思っている。
子どもは残酷。ヒューマニティがない。辛口批評家だ。

55 :
二位はビリの代表らしいね。
本を書く人が一番で読む人二番。
若者も敗北者の知性らしいね。

56 :
セレブという世界に憧れる。
底辺のリーマン、ビデオ店の店員、派遣社員、セールスマン、ロック歌手、プログラマー、
アニメーター、B級タレント、トランペッターなどには社会の仕組みはわからない。
それがわかるような鋭さがあれば、セレブになっているからだ。
社会経験は大して役にたたない。
経験ではなく、洞察力の問題である。
けっきょく、大人も子供も、その知識の大半は、メディアから得たもの。
自分で見てきたものなんて、ほとんどない。
おれのジイサンも、富山の山奥からほとんど出たことがない生活を
送ってた農業人だったが、
芸能界や政治の裏側にものすごく詳しかった。

57 :
>本を書く人が一番で読む人二番
釣り?

58 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 30 ////////////////
 日本の学校では、ふつう、ほとんどの生徒が自動的に進級し、卒業する。だが、この教育制度が
好む "優れた記憶力" のない子供の大半は、一二歳になる頃には自分が社会階層の中か下で一生
過ごさなければならないことに気づく。中・高生の暴力や青少年犯罪がますます顕著になるのは、
このやりきれなさが直接の原因だというのが、日教組の見方である。学校の荒廃をさらに悪化
させているのは、通常、一学級の生徒数が四〇人から五〇人に達する大人数であることだろう。
こんなに大勢の生徒がいては、生徒の一人一人に教師が個人的に接することはほとんど不可能だ。
その反面、生徒のランクづけ制度の導入によって、教師が生徒を間接的に支配する力は
増したのである。
////////////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

59 :
セレブという生き方にひたすらあこがれる。
現代において、セレブでない人生など、
いったい、何の価値があるのだろうか?
財力で、人生を満喫する。
それがセレブという人生。
セレブでなければ、意味がなさすぎる。
私はかならずセレブになる!

60 :
日本では無理

61 :

/// 早川書房 ////////////////////////
 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/
///////////////////// 絶賛発売中!///

62 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 31 ///////////////////
        厳しい校則で激増する校内暴カ
 一九八○年代前半には、校内暴力に関連して、一般の人々も今の教育制度の欠陥をいやと
いうほど思い知らされることになった。一九八三年の数カ月間、新聞には生徒に襲われた教師の
記事があふれた。卒業式の後、復警だといって教え子に待ち伏せされ、襲われた教師もいる。
給食やハサミを顔に投げつけられた教師もいる。日本の学校は極端に世論を気にし、校内の
不祥事はたいてい外にはもらさないため、警察や新聞社の耳に届いた事件は、氷山の一角に
すぎないだろう。さて、一九八五年になって、もっと深刻な問題が表面化した。集団で弱い者を
いじめたり、からかったりする大がかりな "いじめ" 現象が、日本中のあちこちの学校で起こっている
というのだ。警察庁と法務省も、この問題について報告書を出し、つづいて文都省も、同省
はじまって以来の暴力事件の調査を四万校の小・中学校で実施することになった。日教組の
全国大会で判ったことだが、組合員教師の約半分が学校の秩序維持には、時には体罰も必要だと
考えている。ある弁護士グルーブが調べた九八五校の大半で、生徒がほとんど毎日のように
教師に殴られたり蹴られたりしているという。こうした処罰の方法は、 "いじめ" と密接に
関係があると見られる。
/////////////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

63 :
最近は自衛隊のいじめ自殺が問題になっているが。

64 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 32 ////////////////
 ここで旗色を鮮明にしようとばかりに、朝日新聞がいくつかの実例を社説で取り上げた。
その一つは、ある中学教師が、喫煙しているのが見つかった女生徒の家に行き、その子に
包丁で切腹してばよいと言ったあと、床に土下座して謝るその子の頭を蹴ったという
事件である。新聞で報道されるよりもっと多くの事件が、調査によって明るみに出たことからも、
学校での体罰は日常化していると、この社説は結論した。当局の調査が明らかにしたのは、
他の子供とどこか違う子を、先頭に立って集団で制裁する教師が多いことや、不文律に違反した
生徒を除け者にするのにも教師がしばしば同意を与えていたということである。周囲に自分を
合わせることは日本の社会では高く評価されるが、 "いじめ" が同調を強いる目的でおこなわれる
のは許されない、と結論で述べている。前述の臨教審リベラル派メンバーは、新聞社代表との
会談で、この問題は日本社会全体の秩序の乱れを反映しているとまで言いきった。軽い(時として、
それほど軽くない)形の威嚇は、社会における権力のヒエラルキーを維持するのに役立つと
考えていることは、ふだんはおくびにも出さない彼らなのだが、思わず本音を吐いてしまったようだ。
生徒にけしかけて弱い者いじめをさせる教師は、まさしく<システム>がいかに機能するかを
示す一つの範例といえる。
//////////////////////////////// 原書1989年刊 ///

65 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 33 ////////////////
        規則の大量生産
 いじめ問題は、各新聞にセンセーショナルな記事と怒りの社説を書く機会を与えた。しかし、
この問題には、はるかに重要な意味がこめられているのである。これはいわば象徴的な問題で、
深く道徳がかかわっている。すなわち、二つの陣営が支配権をめぐってしのぎを削る闘いを
くり広げており、勝者のやり方で若い世代を<システム>に適応させようというものであった。
 この種の問題はどれも、戦前の教育慣行の復活に有利な土壌づくりを目指す、しつけ重視の
文部省と、教育問題に熱心な自民党内のグループを、ある程度、利するものである。これに
反対する陣営には活動家教師、問題を憂慮する知識人と親たちがいる。管理者の考えでは、
米占領軍当局が国粋主義的な教育を一掃して以来、しかるべき "道徳" 教育の不在が、今の
教育制度の最大の問題だとする。政府の見解は、中曾根元首相の発言にあるように、この問題の
大もとは各家庭と社会全般に規律がないためだとしている。
////////////////////////////// 早川書房 ///

66 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 34 ///////////////
 一方、日弁連(日本弁護士連合会)は、本当の問題は校則が厳しすぎるためだと反対の結論を
出している。公立中学や高校で増える校内暴力について、日教組はその原因を、ついていけない
授業や、生徒をランクづけする制度にあるとしているが、管理主義をさらに強化することによって
対処しようとする学校が多くなっている。校則は、一九七〇年代末頃から急激に増えはじめた
もので、馬鹿げた制限が多い。
 日弁連は、子供の人権の重大な侵害が広範に見られるという結論の報告書をまとめた。
日弁連が調べた大半の学校で、生徒の座り方、立ち方、歩き方、そして、手を上げる時の角度や
高さまでこと細かに規定した校則が適用されている。下校路を指定している学校も多い。
級友と道で会話を交わすのを禁じている学校もあれば、給食のおかずを食べる順番を決めている
学校まである。このような校則は、自宅でも休暇中でも適用される。原則として、夕方六時以降は
外出禁止で、起床時間も定められている。日曜日も例外ではない。読んでよいのは学校の
選んだ図書に限られ、見てよいテレビ番組を決めるのは、親ではなく学校である。
休暇中の家族旅行にも、許可が必要な学校もある。
/////////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

67 :
>>65-66
もしかして小泉がウォルフレンがよしとするリベラルな教育を実現されてくれるんじゃないか、とwktkして
華麗に裏切られた国民も決して少なくはないんじゃないかな…

68 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 35 ////////////////
 このスパルタ教育の学校の生徒全員が、常時制服着用が義務付けられているのは、いうまでもない。
そのほか、髪型も同じでないといけない。生まれつき巻き毛か、髪の色が黒くない女子生徒は、
学期が始まる時点で、それが生まれつきである旨、母親の証明書を提出しておいたほうがよい。
バーマをかけたり髪を染めることは厳重な処罰の対象となるからだ。
 規則が多ければ非行が減るという考え方にもとづいて、これだけ多くの校則がつくられたのは明らかだ。
だが、これは少なくとも部分的には誤算だった。日弁連も日教組も、無意味な校則は、生徒同士
あるいは生徒の教師に対する暴力事件と直接的な関係があると見ている。校則を強化し、 "生産的" な
社会人の必要性を説くやりくちは、明治時代への逆戻りといえよう。あの時代にも、一般教養教育を
受ける権利を求めるリベラルな思想に対して、同様の反動が起こったからだ。
///////////////////////////////// 840円(税込) ///

69 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 36 ////////////////////
 この反動傾向は、日教組の力が弱まりつつある今、止めようがないようだ。そして日弁連は、
行き過ぎを指摘することはできても戦う態勢にはない。日本の新聞は、時々、警告を発しはするが、
一貫した姿勢で対処するわけではなく、ましてや深く調査して分析するところまではいかないようだ。
文部官僚に批判的にみえる編集委員が、一方では、校内暴力は家庭でのしつけが足りないからだ
という公式見解を支持する書き方をする。管理者が教育方針と統制の方式を定める権利とその
可否に関して、新聞がとる姿勢は、せいぜいよくみて、両面肯定的であり、きわめて日本的な
マスコミの体質そのものである。
/////////////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

70 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 37 //////////////////
    座敷牢につながれた日本の新聞
 日本のマスコミは、教育制度に比べれば独立性が高く、一見したところ<システム>内で仇役の
立場を演じているように見える。ところが、日本の新聞かほぼ一貫して見せる"反体制"の姿勢は、
いたって表面的なものである。日本の新聞は、決して<システム>を"真正面から本格的"に論じる
ことはない。時折、<システム>の一部構成員に対して激しい怒りを示すことはあっても、それが
二、三週間以上続くことはまずめったにない。また、その怒りも、かえって他の競合構成員の
利益になることが多い。なによりも重大なことは、新聞が<システム>を分析しようとはしないし、
<システム>の本質的な特徴やそれがどの方向に日本を導いているかについて、読者が検討できるよう、
批判的な観方を用意していないことなのである。
//////////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

71 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 38 //////////////
 この点において現代日本のジャーナリストは、初期の新聞や一九二〇年代の新聞で働いた先輩に
くらべ勇気がないといえる。一八六八年の革命的な変化(明治維新)とともに、国の指導者を
助けるものとして、新聞が登場した。初期の新聞記者や編集者の多くが、政府の役職の選にもれた
武士だった。一八七〇年代には、彼ら日本の新聞人の草分けは、新しく成立した少数独裁政府が
すべきことは何か、いろいろと比較してどの方向に日本の政治が発展していくのが望ましいか、
活発に議論を展開した。もっとも、当時は「報道の自由の概念はまだ成熟していなかったのだが、
政府が新聞をより厳しく規制する方法もまだ成熟していなかった」から、このような議論も自由に
展開できたのであろう。その後、報道の自由の概念と、それを規制する方法が、同時に発達していった。
すでに一八七〇年代の中頃には、新聞社は一八七五年の新聞紙条例に定められた刑期を務める
覚悟のできた"獄中編集者"を雇っていた。
////////////////////////// 原書1989年刊 ///

72 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 39 ///////////////////
        自主検閲の伝統
 一九世紀末の数十年かは、権力保持者も新聞の協力を得るのに、それほど強硬な手段に訴えなくても
よかった。ジャーナリストが、新しくつくられた神格天皇の神話と"家族国家"という国家主義的思想を
広めるのに、重要な役割を担うことになったのである。二〇世紀のはじめの三〇年間は、当局の
一貫性に欠けた気まぐれな検閲のもとに生まれた自主検閲を通して、おもに新聞が規制された。
公の指示は不明確で抽象的であいまいだったので、なにが検閲されるのかさえ判らなかったのである。
 米騒動や、一九二三年の関東大震災後の朝鮮系住民に対する襲撃など、重大な事件がいろいろあっても、
新聞紙上ではほとんど注目されないか無視された。共産党の結成やその後の消息を書くことはいっさい
タブーだった。以上のような明らかに政治的に重要な話題でなくても、不快な事柄はすべて、"愛国心"
という上からの圧力の結果、黙殺されることとなった。法律や新聞紙条例は、このような抑圧の
脇役的な手段にすぎず、官僚が好んで用いたのは記録に残らない個人的な警告だった。これは、今も、
日本の官僚の広く用いる常套手段である。つまりだれも責任を問われない、とらえどころのない
規制法である。
///////////////////////////////////// 早川書房 ///

73 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 40 ////////////////
 一九二〇年以降、報道の自由に対する抑圧は度を深めていった。今日の日本の知識人の共通認識
とは違って、これは"軍国主義"が盛んになった結果というよりむしろ、実際は、官僚側の規制と
報道機関ので"自主規制"とが相乗した結果である。
 自主検閲は、今も、日本のきわだった特徴として受け継がれている。新聞社、通信社、放送局は、
記者クラブを通して政府や経済界のニュースを集める。記者クラブは公式に検閲がおこなわれていた
戦時中に出現したもので、ジャーナリストとその取材対象である<システム>側の各組織体とが
共生するための制度化された機関である。ジャーナリストの側からいえば、重要なニュースを
見逃す心配がないから役に立つし、権力者には、報道媒体の自主規制を円滑化するなによりの
方法である。その数約四〇〇を数える記者クラブは、すべての省庁、政府機関、日本銀行、自民党、
警察、経済団体など、日本を円滑に運営していく役目を担う、ありとあらゆる機開や人物に付随して
設置されている。記者クラブに出入りするのは、一六〇以上の報道媒体を代表するおよそ一万
二〇〇〇人のジャーナリストである。クラブを通さずに、主要機関からほんとうのニュースを
収集するのは難しい。実質的にはまったく不可能なときすらある。日本でおこなわれる正式の
記者会見は、こっけいなくらい、演出されたものである。
////////////////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

74 :
ウォルフレンが指摘した「国家資本主義の実験室」としての《満州》や
《革新官僚》が戦後復興に果たした役割を、今後の大震災で思い出した。
というのも今回行政の姿が全く見えないにもかかわらず、行政権力が
行使されなければ不可能な国家総動員的な被災地支援が行なわれている
からだ。
東電が初めて実施した計画停電を前回行なった主体は東電の前身である
日本発送電という国策会社だし、東電は占領下の電力民営化で誕生した
日本発送電最大の分家だ。
震災後の物不足は国民の買い占めが原因だという公式発表にも疑問がある。
買い占めが仮に物不足と因果関係があるとしてもそれは結果に過ぎない。
物資の絶対量が不足した場合、国はちょうど水道の蛇口をしめたり、水路
に優先順位をつけて各々に水量を割り当てる様々な権限を持っている。
国民生活安定緊急措置法や石油需給適正化法などで物資・物価統制できる。
俺はまだ国が民間部門に統制権を行使したという明白な証拠をつかんでは
いないのだが、どうしてもその疑いを拭い去ることは出来ない。
これは全く個人的見解だが、政府(特に経産省)はこの大震災を利用して
大規模な経済統制の実験を東日本全域で実施中なのではないか、と考える。
それはかつて革新官僚が満州国で実施したのと同じ展開だと思う。
つまり、3・11は満州事変と同じ衝撃を国内にもたらしたと言える。

75 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 41 ////////////////
 首相には、毎日、主要な新聞から派遣された記者数人が密着し、彼がどこにいこうとも離れず
ついて行き、彼の言葉はすべてメモに取る。中言根が首相だった時には、毎週、禅寺に座禅に
行くときだけ、記者クラブのメンバーは同行を禁じられていた。政治家の自宅に夜うちをかけるのは
記者が好んで用いる方法で、何時間も待った後、パジャマ姿でくつろいだ大物自民党議員が
家族なみに部屋に招き入れ、話のひとつも聞かせてくれるかもしれない。もっとも忠実な内輪の
記者が、政治家とプライベートに話し合えるのだが、重要な新事実が判明したり何かふっと
漏らされても、特別待遇の資格を失いたくないから決して公表したりしない。お互いに、
このような場で得た情報は決して印刷されないと了解しているのである。時には、記者クラブの
メンバーが、取材対象の人物から贈り物をもらうこともある。
/////////////////////////////////// 840円(税込) ///

76 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 42 ////////////////
 大半の日本人記者は、一日中、記者クラブの仲間と時間を過ごし、クラブ関係以外の情報源には
あまり接触しないのが通常だ。記者クラブでは会員記者が、報道すべきか否かを、時には記事の
調子までを協定する。筆者の同僚のある日本人記者によると、ある大手新聞の記者は、掲載しないと
クラブで協定したのに自分のところだけ記事にしてしまったため、六ヵ月間にわたり記者クラブの
出入禁止処分を受けたという。実際には、別のデスクの同僚が他の情報源から入手した情報を
もとに記事を書いたのだから、彼は責められるべきではないのだが、そうしたことは情状酌量の
根拠にはならなかったようだ。こうした記者クラブは、かなり排他的で、在日外国記者協会の
代々の会長の一〇年以上の交渉のかいもなく、外国人ジャーナリストには、記者クラブの多くが
門を閉ざしたままである。
//////////////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

77 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 43 ////////////////
 いまさらいうまでもないだろうが、この記者クラブ制度は、本来、新聞が厳しくその行動や
目的を調査吟味すべき人々との関係を、「なあなあ」で居心地のいいものにしている。この制度が
あるかぎり、個々の記者が独自になにかを調べる気を起こすこともないし、仲間の記者が出した
結論にそぐわない形で問題を取り上げてもなんの報いもない。ところが、政治家や経済界の
スキャンダルが明るみに出て全マスコミが一斉に報道しはじめると、典型的なことであるが、
日本ではまさしく情報の雪崩現象が起こる。多くのジャーナリストがすでにその詳細を発端から
知っているからだ。あるベテランの外国のジャーナリストは次のように書いている。
  スキャンダルが暴露されると、人びとは一瞬にして、毎日、毎週、新聞、雑誌、テレビなどから
  溢れ出る暴露の洪水に首までひたされる。スキャンダル自体が何か正常な政治過程のように
  見えてきて、あたかもスキャンダルはそれだけで独立し、過去とは切り難された新事実であるかの
  ように目にうつるようになる。後から後からとスキャンダルは起こり消えてゆくが、そこからは
  いかなる政治的教訓も学ばれないし、いかなる本物の改革もなし遂げられないのである。
//////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

78 :


雇われ工作員
しかし今回の原発事故で日本のシステムが転換するチャンスなんだが。
ご参考
http://www.videonews.com/on-demand/511520/001784.php

79 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 44 ////////////////
 日本の編集者やジャーナリストは、いつもきまって"人びとの知る権利"を強調し、時には、
政府がその権利を人びとから奪いとっているといって形式的な非難もするが、実際に管理者が
日本をどう運営しているかの詳細を内密にしておくのに、彼ら自身が一役買っていることが多い。
なにか特定の分野を専門に報道してきたジャーナリストのほとんどが、実態と公式の"リアリティ"とが
大きく違うことを充分に知っている。ところが自分の報道分野以外のこととなると、この二つを
混同してしまうのは驚きにあたいする。<システム>が基本的に議会民主主義のしきたりと
原則に矛盾しているという現実を、正面きって認めた記者や編集者はほとんどいない。いるのは
<システム>をきちんと分析しないで使い古されたきまり文句"独占資本主義"を後生大事に
くり返すものだけである。
///////////////////////////////// 原書1989年刊 ///

80 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 45 //////////////////
 編集者がみずから招いた無知が、時として、かなり不気味な結果としてあらわれることがある。
たとえば、普段から、国会はたとえ国益に直接かかおるものでも外交政策をあまり討議しない
という事実はあっさり棚にあげて、野党が議会をボイコットしたために日本の選良たちが世界の
重大事件を討議できなかったと各紙が嘆いたりすることがある。また、ある大きな横領事件について、
読売新聞の社説は、株主と労組がその会社でなにが起こっているかをきちんと監視しているべぎだった、
と述べた。だが、日本の会社で、株主や労組がそうした役割をほんのわずかでも果たしたことなど
一度もない。日本の新聞には、毎日といってもいいほどこの種の論説が現われる。
//////////////////////////////////// 早川書房 ///

81 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 46 ////////////////////
  マスコミ合唱団の大斉唱
 日本のマスコミの権力の源泉は、その一枚岩的な性質にある。五大全国紙(五大紙の朝・夕刊の
総発行部数は三九〇〇万)が、その日一番に出す朝刊第一版のニュースの選び方や社説の趣旨は、
各紙によって違うかもしれない。ところが、大都市で読まれる最終坂の朝刊では、各紙の違いが
はっきりと出るおきまりの論争(たとえば防衛費について)以外は、ニュースの扱いがどの新聞も
似通ったものになってしまう。各紙の編集者が他紙の早版に大急ぎで目を通し、自社の新聞を
点検するのだ。だから、貴重な特ダネ記事は通常、都市部で発行される最終版までとっておかれる。
早版に載せてしまっては、それがその社の特ダネだとはだれにも分かってもらえないからだ。
重要事件直後の数日のトップ記事は、立場をはっきりさせず、あいまいでどっちつかずの記事に
なりがちであり、たいてい、他紙の記事と見分けがつかない。こうした全国紙の記事は、ぼう大な
数の外廻り記者が送稿してくる"発表もの原稿"と、外部からの政治的影響も受けながらデスクの
編集記者がまとめた、意外性のないものである。先にふれた決まりきった論点以外は、記事に
対して他から文句をつけられることもほとんどない。すべての日本人が、毎日ほとんど同じ
記事を読み、実質的に源が一つのニュースをもとに自分たちの意見を形成させられる。
//////////////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

82 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 47 ////////////////
 このように統一された新聞の声は、しばしば批判的ではあるが、国会での野党の嘆きの声に
よく似ているようである。たまにはこぶしを振り上げて当局を非難しても失礼にはあたらないと
されているが、それさえ儀礼の域を出ない。<システム>の一部の構成員は、対抗する構成員に
反撃あるいは抑圧をおこなう場合、予想どおりに展開される新聞の攻撃を利用する。事実、新聞は、
権力者の一部の集団が強くなりすぎるのを他の集団が防ぎ、力の均衡を保つのに重要な役割を
果たしている。
 周期的に登場する、限定されたテーマについての政治的論争になると、まるでベルが鳴ると
条件反射で唾液を出すパブロフの犬のように、全紙が即刻に同じように予想されたとおりの反応を
示すことになる。ある新聞が他紙と一致しなくても、そのパターンは容易に予想がつく。たとえば、
朝日新聞は、自国の防衛のために日本はもっと軍事費を負担すべきだという要求も含めて、
"右翼"勢力がわに立つとされる事柄にはすべて、不賛成の意を表する傾向にある。官僚を制御する
政治力を増大させようとする中曾根の努力に対しても、同様に疑問を呈した。同紙の反米傾向のある
コラムニストや論説委員の中には時代遅れの日本版マルクス主義から離れしていない者もいるが、
それでも朝日の編集方針に影響を与える。
//////////////////////////// 840円(税込) ///

83 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 48 ////////////////
 最近の新聞界におけるもっとも重要な変化は、読売新聞が、旧来の反米、反防衛の姿勢を捨てた
ことだ。読売は日本最大の新聞で、発行部数は一日に九〇〇万部。毎日新聞はまだ、従来から他紙が
みなそうであるように、朝日の方針に追従する傾向がある。経済紙を除く四つの全国紙のうち最小の
産経新聞は、右寄りに評される。このことは、北京に特派員駐在許可と交換条件に、毛沢東支配下の
中国に肯定的な記事を書くことを日本の報道機関が中国政府と協定した時、同紙だけが拒否し
たことから裏づけられるようだ。読売新聞が態度を変え、産経の反左翼の姿勢、それに、最大の
経済紙日本経済新聞の経済中心の編集方針が相まって、軍事は議論しないという戦後のタブーを
破るのに大きく寄与した。それと同時に、以前ほど左翼グループの声に注意がはらわれなくなって
きている。
///////////////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

84 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 49 ////////////////
  社会的制裁機関としての新聞
 日本のジャーナリストは、矛盾を指摘したのに報われない状況におかれて、ほぞをかむ思いに
かられることがある。権力保持者たちが公式ルールに忠実に従わない時、新聞はそのことを指摘し
批判するのに理想的な立場にあるはずなのだが、<システム>が提示するリアリティを乱すまいと
おもんぱかる同僚ジャーナリストや編集者によって、それも厳しくチェックされてしまう。
<システム>内で実際にどのようなことがおこなわれているかについて、あふれる情報を持っている
日本のジャーナリストは、どうするのがよいのだろう? すでに構造化した重大な規則違反を
一貫して指摘しようものなら、そのジャーナリストのまわりの(理想とは違う)現実の小世界が
くずれ落ちて、押しつぶされてしまうことにもなりかねない。常につきまとう問題は、どこまでが
正直な報道なのか判断のしようがないということである。適度に自己検閲できる器量のことを、
日本では、通常、ジャーナリストとしての"おとなの考え方"という。
/////////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

85 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 50 ////////////////
 立派なジャーナリストの本分はジャーナリスト修行中に必ず教えられるが、それに恥じない仕事を
してないという後めたさは、よく感じられることのようだ。しかも、社会秩序の維持と道徳の番人役
というのが、新聞がみずからに課し、また、社会的に受け入れられている(そして、期待されている)
報道機関の機能なので、問題がより複雑になる。その結果起こる欲求不満のはけ口は、いろいろある。
日本社会における、他のあきらかに解決不可能な軋轢の場合と同様に、儀式によってそういった
世俗の問題は解決されるのだ。そこで、新聞は、伝統の「一罰百戒」を念頭に、周期的に怒りの
エネルギーを発散すべくみずからのガス抜きのためのためのキャンペーンを展開することになる。
/////////////////////////////// 原書1989年刊 ///

86 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 51 ///////////////
 ほぼ一年おきに、教育熱心な親に入試問題を売った厚顔無恥な教師が"発見"される。国際電信電話
株式会社の役員数人がささやかな品物を国内に密輸入しようとして捕まった際、各紙は一斉に彼らを
たたき、同社は悔恨の情を示すため、ついに(法外に高かった)国際電話料金を下げると約束する
ことになった。ある有名デパートの社長は、そのデパートで売っていたペルシャの古美術品が実は
横浜製だと判明して、大いにはずかしめを受けた。ホテル・ニュージャパンが炎上し、後になって
法に定められた安全設備がそろっていなかったことが判明した時、モのホテルの所有者に対する
新聞の扱い方も、そうした例の一つだった。このように選び出された事件の"後日談"は、何週間、
時には何カ月間も続けて、新聞の一面を飾ることになる。その間、責任を問われた人々は、社会の
敵として、編集者の怒りの総攻撃をうける。しかも、こうした制裁は逮捕以前からはじめられる
ことが多い。
///////////////////////////////////// 早川書房 ///

87 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 52 ////////////////
 これで、他のデパートやホテルのオーナー、あるいは、次にやり玉にあがる組織がどこで
あるにせよ、そのトップも、恐怖心をおぼえ気をつける。また、いたるところでおこなわれている
ゆすり、たかりまがいの悪徳商法にも、ある程度歯止めがかけられ社会の役に立つ。法律が、
市民を護るためというより、官僚の行政目的のためにある(といっても過言ではない)国に
おいては、新聞が重要な制裁役をつとめる。日本人は、自分の評判に傷がついた後の結果を
極度に恐れるから、新聞にこういうことができるのである。名声を維持したいという気持ちは、
かなりの程度、組織やその成員に規律を乱させないための法的な制裁のかわりになるのである。
//////////////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

88 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 53 ////////////////
   "問題"現象
 <システム>は不可欠なものだということを、間接的に国民に教え込む日本の新聞は、<システム>の
役に立つ。だが、時には、新聞の矯正的な機能が<システム>自体のうまく機能していない面に対して
向けられることもある。ときおり、ある事柄が連日マスコミによって攻撃され、国中が燃えるという
ことがある。このように、大いに注目され、強く否定される事柄は、一般に"○○問題"と呼ばれる。
 前述の、学校でのいじめ"問題"は、一年以上もとりあげられて新記録だった。たいていの場合、
新聞がいい出す"問題"は、長くて二ヵ月間、一面に載せられる。この間は、バーにいっても、
喫茶店にいっても、どこにいっても、みなの話題がなにか、考えなくてもすぐわかる。少なくとも、
その話題があるおかけで、社会との一体感がもてる。その月に問題にされていることについて、
マスメディアが流しているのとは違う意見を言うと、まるで、きまりきった天気の挨拶にあえて異を
となえたように驚かれる。
////////////////////////////// 945円(税込) ///

89 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 54 ////////////////
 ここ数十年の記念碑的"問題"は、産業排出物による大気、土壌、水の汚染に焦点を合わせた
公害問題であった。おおよそ半年間にわたり全国紙が筆を揃えて、恐ろしい話をつぎつぎと載せた
キャンペーンを続けたのだ。その結果、日本人はすっかりといっていいほど魚を食べなくなり、
海産物市場がひどく脅かされることになった。おそらく問題が手におえなくなるのを恐れたのだろう、
それ以後、公害問題はすっかり一面から姿を消した。それにかわって、大地震によって東京の
大部分が破壊される可能性がある、さて、政府は非常事態に備えているか、というニュース記事や
論評がどっと一面を埋めることになったのであった。このように新聞が一斉に書き立てる結果、
時として大衆が過剰反応し、ひどいときにはマス・ヒステリア寸前に至る。
//////////////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

90 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 55 ////////////////
  ポロ儲けを糾弾するマスコミ
 時どき、官僚が目をつぶっている不正行為に対し、新聞が襲いかかることがある。サラ金と
いわれる"サラリーマン金融"会社がよい例だろう。暴力団とつながるこのような金貸しは、銀行、
保険会社、その他の金融機関と正常な取引関係を持ち、ちゃんとした事務所で営業することが多い。
 日本の消費者向け貸付けが未発達であることが、サラ金を登場させる原因になった。日本人は
もう何十年も貯金(平均して、収入の二割弱)を商業銀行や郵便貯金に入れてきたが、その資金は、
そこから一方的に大企業に流されてきた。銀行には、将来の個人見込客の信用度を判断するだけの
用意ができておらず、個人への使途制限なしローンは、長い間、ほとんどなかった。一九七〇年代末
から八〇年代初めに、諸般の事情から消費者ローンヘの需要が高まった時にサラ金が登場し、
無担保の短期貸付けにサラリーマンを誘ったのである。ワナは、四割〜七割、あるいは、それ以上
という高利にあった。不慣れな借り手は借金の深みにはまりこみ、高利貸しの思うつぼにはめられた。
//////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

91 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 56 /////////////////////
 一九八四年に、このような状況がもたらした一家心中や自殺を新聞が記事にしはじめた。
借金の取り立てに暴力団がやって来て騒ぎたて、その結果、評判を落とされた負債者が近隣に
顔を見せられなくなった。負債者の子供の学校に手紙が送りつけられたり、窮地においこまれた
妻がサラ企業者に言われて婦になって身をほろぼしたり……と、恐ろしい話があいついだ。
 このような商売を規制するはずの法律が、逆に業者を保護する結果を招いた。法の救済を求めて
法廷に持ちこまれた多くのひどい事例はたいてい、負債者にとってあまり有利な裁決は出されなかった。
犠牲者を代弁する代理人機関もないところから、新聞が唯一の番犬役を買って出た。事実、
新聞が書き立てたことで(不十分ではあるが)新法が制定され、より安い利息のサラ金へと
官僚が行政指導をするきっかけになった。
////////////////////////////////// 原書1989年刊 ///

92 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 57 ////////////////
 その法律ができた過程を見れば、<システム>のもとでは、消費者の利益への配慮が後回しに
されることがはっきりわかる。省庁間の縄張り争いや、"政治資金"と引き換えにサラ企業者を
保護しようとする自民党の動きによって、五つの関係法案の承認が延期になり、成立が六年も
遅らされたのである。やっとできた法律も、サラ金を合法化して最高利息を七割三分までとし、
サラ金の"経済状態"に合わせて実行可能になった日からは、四割に引き下げると定めるものであった。
一方にすでに、利息は年二割を限度とすると明文化された相反する法律があったにもかかわらずだ!
この新法により、いちばん得をしたのは、最大規模のサラ金と大蔵省だった。大蔵省は、金融界を
完全に制御していたところへ新種の金融業者の参入のため統制が乱れて、頭を悩ませていたのだ。
新法によってサラ企業者が登録制になり、それによって大蔵省は、強制的に情報を把握するとともに
行政指導もできるようになった。
////////////////////////////////// 早川書房 ///

93 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 58 ////////////////
 日本には、一般国民を護るための法律が整備されていないので、さまざまなポロ儲けをはびこらせて
しまう。サラ金は、ほんの一例にすぎない。そのほかにも、一部の学習塾、過剰投薬の医者、自民党
政治家を当選させるための後援会など、いろいろなものがある。脅迫まがいのボロ儲けは、不動産業や
株式市揚でも横行している。だが、こうしたボロ儲けの取り締まりを目的にした本格的な改革がなされる
気配はない。この仕事はマスコミにまかされ、実際に、社会の秩序を乱すおそれがあるほどのものは、
マスコミが働くほかないのである。
/////////////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

94 :

/// 早川書房 //////////////////////
 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、945円(税込)、ISBN: 4150501777
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4150501777.html
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/
http://www.bk1.jp/product/01055138
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/
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http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1101172635/subno/1
////////////////// 絶賛発売中!///

95 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 59 ////////////////
  便宜を因ってもらう暴力団
 <システム>が、アウトサイダーとみなされる集団をいかにその目的達成のために利用するかの、
もっとも驚くべき例は、警察と犯罪者の一群との関係である。日本には、という、かなり
ロマンチックなイメージももたれている、おおよそ一〇万人のギャングで構成される非合法社会
があって、これが勢力を誇っている。アメリカのマフィアとは違い、現代の主流は正業の
ビジネスの世界とは明確に一線を画している。彼らの儲けの大部分が、不法行為によって得たものだ。
彼らは、自分たちがであることを隠そうとはしない。みな、ダブルの濃紺スーツに、
白いネクタイと黒いサングラスといういでたちだから、むしろ目立つ。
 警察の推定によると、の収入は、不法行為から得たものだけでも一年に約一兆五〇〇〇億円
にものぼる。しかし、民間の専門家にいわせると、これは、ごく少なく見積もった額だという。
法律の裏で運営されている産業から入るほぼ同額の儲けが、見逃されているというのである。
日本最大の暴力団山口組の顧問弁護士によれば、負債回収や倒産"整理"その他の重要な儲けは、
警察の推定額からは抜け落ちている。いずれにせよ、はぬれ手に粟で金を手にしている。
ばか高いアメリカの大型車に乗れるのは、彼らのほかに歯科医ぐらいである。
//////////////////////////// 945円(税込) ///

96 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 60 ////////////////
   究極の共生
 何世紀も前から続いている伝統的な制度によって、犯罪組織は犯罪分子みずからか統制する。
それに肋けられて、警察は、組織外の犯罪を取り締まるだけでよい。犯罪を完全になくす
ことは不可能だから、組織化されていない犯罪を最小限に抑えるのに犯罪組織を利用しようと
考えだしたのは、徳川幕府のお目付け役すなわち、警察官と行政官を兼ねていた町奉行たちの
知恵であった。また、当時の犯罪は、京都と江戸を結ぶ東海道中心に起こった。高い地位にある
人びとも、追いはぎも、その他しもじもの者も、みなが東海道を使ったのである。幕府の
役人が考え出した解決法は簡単で、この往還の秩序を保つ責任を、賭博とというおきまりの
悪行を生業にする日陰者の組織にまかせたのだ。
/////////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

97 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 61 ////////////////
 は日本映画の花形であり、社会も寛容さを見せて黙認している。ちょうど、法律に
ふれるかふれないかギリギリのところで活躍するカウボーイのように、映画に出てくるは、
悪の犠牲者をかばう闘士である。だが、カウボーイと違うのは、個人主義者や一匹狼として
描き出されることはないということだ。は、近代化によって当世風の主流の社会から
失われてしまった旧来の敬うべき慣習や美徳を今も持ち続けていると、まだ広く一般の日本人の
間で信じられている。それはつまり、仲間うちの強い団結とか、主人=親分に対する絶対忠誠の
手頃な手本であるという意味である。映画は、時代劇と同じように美化された昔の武士の
伝統的な男らしさをロマンチックに描きだす。いや、実際には、「の方が、ある意味で
さむらいの英雄より伝統的であり、本質的に日本的だと言える」。映画の外の、現実の、
それも、とくに年配のは、自分たちはほんとうに伝統の守護者だと信じているようだ。
映画が大好きなは、映画の中の"生粋の"日本人的な態度に影響をうけるのである。
//////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

98 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 62 /////////////
 警察の調書にも、そんな実例がよく載っている−−「どんな犠牲を払っても、親分の命令に
従う義理があります。親分がカラスは白だと言われるなら、私も白と言いやしょう。どうしても
白い服を着なけりやならねえんなら〔どうしの抗争で死ぬ〕それもよし、それとも、
青い服でも〔刑務所に入る〕、あっしに文句はありやせん。」の間では、盃を交わす
儀式を通して擬制的血縁関係が結ばれる。の弁護を専門にするある弁護士は、彼らが
親分とか兄弟とか言いあっているのを聞いて、はじめは、馬鹿げたセンチメンタリズムだと
思ったのだが、今は、それがにはいかに説得力のあるものかが判るようになってきた、という。
 「理屈や金では、我の強い組員の統制はできない。親分を"父親"とする、不合理だが絶対的な
原理を振り回すことによって、組織は組員をなんにでも服従させることができる」
//////////////////////// 原書1989年刊 ///

99 :

/// 〈システム〉に仕える人びと 63 ////////////
 は、高い地位にいる人びとに保護されるのに慣れている。戦前、戦後、いずれの時代にも、
会社は彼らをスト破りに使った。非のうちどころがない有名大企業だからといって、威嚇の
目的に彼らを使わない、とはいえない。まれだが、たとえば、そうした大企業を相手どって
訴訟が起こされた時などである。が、政治家にかわって汚れ仕事をするのはよく知られたことだ。
佐藤栄作首相には、呼べばすぐ来るの"ボディガード"がいたし、政治集会に、用心のため
を出席させていた政治家も多い。日本で、おどしによってどれだけのものが達成でぎるかを
考えれば、高位のと仲よくするのはいいことだと自民党の政治家がいま考えても不思議
ではない。大臣がの結婚式に出席したり花を贈ったりしても、それほど大騒ぎすることも
ないと考えられてきた。黒幕として大きな影響力をもった岸信介元首相は、一九六三年におこなわれた
あるの葬儀副委員長を務め、一九七四年には、山口組組長の息子、田岡満の結婚式に際し
祝電を送っている。
////////////////////////////// 早川書房 ///

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