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2012年6月創作発表126: テラカオスバトルロワイアル外伝4 (213)
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ゆっくりしていってね!!! 創作発表スレ25 (518)
kskアニメキャラバトルロワイアル Part32 (474)
ネギまバトルロワイヤル31 〜NBR ]]]T〜 (377)
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ネギまバトルロワイヤル31 〜NBR ]]]T〜 (377)
【無限桃花】創発発のキャラクター総合4【H・クリーシェ】 (260)
テラカオスバトルロワイアル外伝4
- 1 :12/03/07 〜 最終レス :12/06/05
-
誰も知らないカオスロワの世界へようこそ。
当ロワはカオスロワの世界を使った全く新しいバトルロワイアルパロディのリレー企画でございます。
暴力、流血、キャラクターの死など人によりましては嫌悪が抱かれる内容も含まれます。
スレ及びまとめサイトの閲覧の際はご注意くださいませ。
本スレッドのまとめwiki
http://www45.atwiki.jp/terrachaosgaiden/
避難所(したらば掲示板)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/14616/
前スレ
テラカオスバトルロワイアル外伝2
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1305971739/l50
1スレ目
テラカオスバトルロワイアル外伝
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1302969696/l50
本家テラカオスバトルロワイアル(当企画はこの企画の分家です)
(本スレは現在ありません)
本家テラカオスバトルロワイアルwiki
http://www23.atwiki.jp/terachaosrowa/
パロロワとはなんぞや? という方に、パロロワ総合wiki
2chパロロワ事典@Wiki
http://www11.atwiki.jp/row/
- 2 :
- 参加者一覧
【VOCALOID】6/6
○KAITO/○初音ミク/○鏡音リン/○鏡音レン/○巡音ルカ/○弱音ハク
【らき☆すた】3/4
●泉こなた/○柊かがみ/○高良みゆき/○岩崎みなみ
【カオスロワ書き手】3/3
○◆6/WWxs9O1s/●脱衣拳/○イナバ物置の人
【実在の人物】3/3
○織田信長/○所ジョージ/○イチロー
【みなみけ】3/3
○南春香/●南夏奈/○南千秋
【ドラえもん】3/3
○野比玉子/○ジャイアンの母/○かみなりさん
【仮面ライダーBLACK RX】2/2
●南光太郎/○クライシス皇帝
【カオスロワオリジナル】2/2
○混沌の騎士/●東京タワー
【魔法少女まどか☆マギカ】2/2
○巴マミ/○キュゥべえ
【サザエさん】2/2
○フグ田サザエ/○アナゴ
【くそみそテクニック】1/1
○阿部高和
【涼宮ハルヒの憂鬱】1/1
○キョン
【ストライダー飛竜】1/1
○ストライダー飛竜
【ファイナルファンタジーXI】1/1
○ブロント
- 3 :
- 【テイルズ オブ デスティニー】1/1
○ミクトラン
【テイルズ オブ シンフォニア】1/1
○マグニス
【テイルズ オブ リバース】1/1
○ヴェイグ・リュングベル
【星のカービィ】1/1
○カービィ
【ひらけ!ポンキッキ】1/1
○ガチャピン
【ぼのぼの】1/1
○シマリス
【ルーンファクトリー フロンティア】1/1
○ラグナ
【ポケットモンスター】1/1
○タケシ
【風来のシレン】1/1
○シレン
【ジョジョの奇妙な冒険】1/1
○ディアボロ
【仮面ライダーW】1/1
○井坂深紅郎
【東方Project】1/1
○藤原妹紅
【相棒】1/1
○杉下右京
【アカギ 〜闇に降り立った天才〜 】1/1
○赤木しげる
【空の境界】1/1
○両儀式
【サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY】1/1
○最終防衛システム
【書き手枠】4/4
○アーカード/○ディアボロモン/○◆6/WWxs9O1s(女)/○昏き海淵の禍神
48/54
- 4 :
-
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
生き残った一人だけが、望んだ願いを好きなだけ叶えることができる。
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる
【スタート時の持ち物】
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。しかし容量に制限がなく重さも一定という不思議なもの。
「地図」 → 東京都23区の区名が書かれている地図。 施設その他などは載っていない。
「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。
【第一回放送後に支給される持ち物】
「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
当ロワの都合上仕方あるまし。後述参照。
【ステータス】
投下の最後に、その話に登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表すステータスを書いてください。
以下テンプレート
【区名/○○日目・時間(深夜・早朝・昼間など)】
【キャラクター名@出典作品】
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(武器・あるいは防具として扱えるものはここ)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なものはここ)
[思考・状況](ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を・○○を探す・○○と合流など。
複数可、書くときは優先順位の高い順に)
【作中での時間表記】
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14 当ロワはこの時間帯から開始する。
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24
【禁止エリア】
放送ごとに禁止エリアがランダムで2つ指定される。
放送終了後1時間の猶予が与えられる。
三日経つと自動的に全てのエリアが禁止エリアとなる(2×4×3=24)
- 5 :
-
【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。
【禁止事項】
一度死亡が確定したキャラの復活。
大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる。
但し、展開、SS内容によっては通しになる可能性有り。
その場合は要議論。
時間軸を遡り、かつ矛盾が出ているSS投下。
話の丸投げ
基本的に前の話、次の話と整合性が取れていない場合は
要修正、最悪の場合破棄を宣告するかもしれません。
【予約等】
予約制度は基本的になし、FFDQや無名の形式。
ただし、投下の際にトリップは必要。
【世界観】
当ロワは『テラカオスバトルロワイアルでバトル・ロワイアルが開始しなかった世界』を舞台に進行します。
ですので、大半の参加者は同一世界からの登場となっております。(≒スパロボ風の世界と思っていただければわかりやすいかと)
よって別作品のキャラ同士に因縁や親交があってもおかしくはありません。
なおその設定についてはSS内で常時判明される形(=書き手が決める)となっております。
【書き手枠】
54名の参加者のうち4名だけは当ロワに投下する時に参戦を決定する参加者。
本家カオスロワで複数回描かれたキャラクターなら基本的には○。
ただし、書き手枠で登場話を書く場合は一旦、仮投下スレに投下をして、そのキャラを出して良いかどうか話し合って貰います。
【名簿】
上記の書き手枠の問題によって開始当初には名簿は支給できません。
ですので第一回放送後(ロワ内時間18時)に不思議なデイパックの特性を利用して
全参加者に支給されます。
- 6 :
- >>1
前スレの所ににこれを追加で
テラカオスバトルロワイアル外伝3
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1313252440/
- 7 :
- 新スレ乙です。
そして新スレ早々ですが
巴マミ、弱音ハク、ラグナ、巡音ルカ、最終防衛システム、鏡音レン
で投下します
- 8 :
- >>1乙!
次回は予約制度のことも追加した方がいいね
- 9 :
- 巴マミ――見滝原中学校3年生。
職業――学生兼魔法少女。
幼少の頃、不運な事故に巻き込まれ両親は他界。
以来、一人孤独に戦い続けてきた少女。
人知れず魔女を狩る魔法少女。
素質、努力、能力……それらがあわさり、彼女は勝ち続けてきた。
魔女との命を賭けた死闘を幾度と無く経験してきた。
魔法少女案内人たる小動物からもベテランと認められる程に。
少なからず、彼女はその実績を誇りに思い、自分の力にも自信を持っていた。
その彼女は今……
「なんで、どうしてなのよぉ!」
泣きながら銃を乱射していた。
「だ、だから落ち着いてください! 僕たちは危害を加えるつもりはありませんから!」
その真正面に立つのは一人の青年。
その姿が、マミをよりいっそう焦らせ、苛立たせる。
命名・魔弾の舞踏――自分の得意とする攻撃――
それがことごとく青年の剣に弾かれ、切り伏せられていく悪夢の光景。
いくらある程度の距離があるとはいえ、連続して放たれる銃撃全てに反応されているのだ。
もう普通の魔女なら軽く消し飛んでいるであろう程に撃っているのに、青年にはほとんど傷がない。
(見た目で油断した……やっぱりこの人も魔女の類……!)
マミは、少し悩んだ後に参加者二名がいた民家に奇襲をかけた。
間髪いれず、眉間を狙っての連続発砲。
それがすぐさま剣と槍で叩き落された瞬間から、マミの計算は狂い始めたのだ。
「当たってよ! 倒れてよ!」
「く……」
銃を召喚するたびにマミは魔力を消耗する。
対する青年も、常に剣を振り続けるために体力の消耗は激しい。
そしてマミは、微弱だが斬撃全てに魔力に近いものを感じ取っていた。
自分は動かず召喚のみ、相手は体力と一緒に魔力も消費している。
ならば、いつかは押し切れると思ったのだが……
「ラグナさん!」
「すみませんハクさん!」
青年と入れ替わるように現れる、白髪の女性。
これもまた曲者だった。
互いに物を投げあい、女性は宙の剣を掴むとすぐさまそれを振るう。
格好はメイド服などとふざけているくせに、その剣の腕前は先程の青年にも劣らない。
そしてその青年はというと……
「んぐんぐ……」
女性の後方で、民家からくすねた缶ジュースを一気に流し込んでいた。
その戦闘を舐めきった態度にマミはさらに苛立つが、それを口にする余裕はない。
時間にして僅か数秒程度。
たったそれだけの時間で、女性と青年が再び入れ替わる。
- 10 :
- (そんな……傷が治ってる!? それに魔力も……!?)
マミが驚いたのは、青年に僅かに与えた傷が治り、魔力も復活していることだった。
一応自分にも可能な芸当ではある。回復魔法を使いつつグリーフシードも使用すれば似た状況は作り出せる。
だが、いくらなんでも時間が短いし、青年はただジュースを流し込んだだけである。
(こんなの……こんなの絶対おかしいわよ……!)
マミは心中毒づく。
認めてたまるか、こんなこと。まさか市販のジュースで体力も魔力も回復させたというのか。
自分たち魔法少女は貴重なグリーフシードを使わなければならないというのに。
だが現に青年は再び剣を振り始め、女性はその後ろへと退いている。
一方はふざけた方法で体力を維持し、もう一方は秒単位でしか前にでてこないために体力消耗が少ない。
このままでは、延々と無限ループ地獄へと追い込まれかねない。
その前に、自分の魔力とグリーフシードが底をつくのが先だろう。
最終手段としてティロ・フィナーレを使う手もあるが、あれは発射までに僅かな溜めがある。
この距離、相手の戦闘能力……溜め中に自分が斬られる可能性の方が高い。
「うあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
だから、認めたくはないが……今は最善の手を使うしかない。
それは魔法少女としては屈辱の、魔女からの逃走。
不幸中の幸いか、敵の得物は剣と槍、近〜中距離武器であり、遠距離から狙われることはない。
街灯に魔法で生み出したリボンを巻きつけ、さながらターザンのごとく空中移動を繰り返す。
悲しいことに、この作戦は攻めに入った時より圧倒的に楽であり、かつ成功することとなった。
ちらりと後ろを見れば、唖然とした様子の魔女二人。
完全に攻撃範囲外まで、実に簡単にマミは逃げることができたのだ。
使用した魔力のことを考えれば、最初からこうしていれば……
そもそもあの二人をスルーしておけばよかったとも思えるが、仕方がない。
(なんでよ……! どうしてなの……! どうしてこう面倒な魔女ばかり……!)
マミの目的は、このバトルロワイアルで優勝することだ。
そして魔女やその他の化け物をこの世から消し去り、世界を平和にすることを願う。
参加者の命を奪うことは、心苦しくもある。
あの議事堂には子供もいたのだ。優勝を目指すなら、それも撃たなければならない。
だが今のマミにはある問題が生じていた。
支給品は自分のソウルジェムにグリーフシード、ほぼ磐石といっていい支給品だ。
それだというのに、最初に出会った凶悪な化け物にはまるで歯が立たなかった。
そしてそんな化け物をしばらくは足止めできたであろう、変身する青年の姿も見てしまった。
これまで魔法少女として戦いに明け暮れてきたが、今回の敵は今までとはわけが違う。
それがわかってしまったからこそ、マミは他の参加者の支給品を求めた。
強力な支給品と自分の魔法を併せて、強大な力を持つ化け物どもを倒してやろうと考えた。
心が痛むが、弱そうな参加者から殺していき、その支給品を奪う、そんな作戦。
それを実行した途端、先ほどのような手痛い反撃を受けた。
もはや、どの参加者が魔女や化け物で、どの参加者が安全に殺せる参加者なのかがわからない。
(私は一体……誰を撃てばいいの……!?)
ぐるぐると混乱し焦る思考の中、マミはひたすらにリボン移動を繰り返していた。
次こそ、安全に倒せる参加者と、そして強力な支給品が手に入ることを願って……
----
- 11 :
- 「に、逃げられましたね……」
「うーん……かなり焦った様子だったし、落ち着けば説得できると思ったんだけど……
それにしても、随分と変わった魔法を使う子だったな」
半壊した民家の中で、ハクとラグナは逃走するマミの後姿を眺めていた。
さすがの二人でも、リボンを用いて逃走するマミに追いつくのは無理な話である。
「魔法……? てっきり、映画や本の中だけのものかと思っていましたが……
やっぱり、さっきのジュースで傷が塞がったのも魔法なんですか?」
「それはどちらかと言えば体質ですね。自然の恵みをおいしく頂きその力を体力や魔力変換するんです。
そうですね……今の僕でも簡単に見せられる魔法だと……」
ラグナは辺りをきょろきょろと見わたし、やがて戦闘に巻き込まれず無事だった米袋を見つける。
そして人様の家ではあるが遠慮無しにその袋を開け、中の生米を握り締めた。
「よっと」
「え!?」
次の瞬間には、何故か湯気が出ているおにぎりがそこにあった。
しかもいつ出現したのか、海苔まで巻いてある。
「これがわりと初歩の料理魔法ですね。普通にご飯を炊いて握ることもできますが、こっちの方が早いんですよ」
渡されたおにぎりと袋に残された生米を見比べて頭に疑問符を浮かべるハクをよそに、ラグナはさらに民家を漁る。
「お、冷蔵庫が無事ですね。中身は少ないけど……よし、これとこれを使って、あれはこれで代用して……」
「中身ほとんど調味料しか残ってませんよ? これも主催者の陰謀なんでしょうけど……あ、日本酒だ」
「これだけあれば問題ありませんよ。全部お鍋に入れて蓋をして1秒、はい出来上がりです」
「え!?」
ハクの頭の上の?マークがさらに増える。
冷蔵庫を確認していたかと思ったらいつの間にかおいしそうなカレーが出来ていました。な、なにを(ry
「さっきの子も気になりますけど、今は身体を休める意味もかねてご飯にしましょう。はいどうぞ」
「あの……ラグナさん? これってカレーですよね?」
「ええ。別に光ったりしませんから安心してください。あ、もしかして辛い物が苦手でしたか?」
「いえ、大丈夫です……(なにこれ凄くおいしい……どうなってるの!?)」
一人の魔法少女のメンタルに結構な傷をつけたとは夢にも思わず。
二人の参加者は、遅めの昼食をとるのであった。
- 12 :
- リアルタイム投下だと!?支援!
- 13 :
- 【台東区・秋葉原近辺の民家/一日目・午後】
【弱音ハク@VOCALOID】
【状態】健康、両腕に包帯(治療済み)、若干混乱
【装備】メタルキングの剣、メイド服、ヘッドドレス
【道具】基本支給品一式、おにぎり、至高のカレー@ルーンファクトリーシリーズ
【思考】
基本:家族を見つけて守りつつ、首輪を外して主催者に挑む
0:とりあえずカレーを食べる
1:ラグナについていく
2:自分の死より他人の死の方が気になる
3:ジャイアンの母とはあまり戦いたくない
4:魔法というものに興味
5:謎の少女(巴マミ)を警戒
【ラグナ@ルーンファクトリー フロンティア】
【状態】:健康、RP50%、中疲労
【装備】:鋼の槍
【道具】:基本支給品一式(ランダム品0〜2)至高のカレー@ルーンファクトリーシリーズ
【思考】基本:主催者の撃破
0:カレーを食べ終わったら、近くで物資調達
1:ハクにこの辺りを案内してもらい、道具を集めたい
2:ハクと共に行動
3:回復用の食料と武器及び素材の確保
4:殺人は控えるが、場合によってはやむなし
5:立ち去る前にこの民家の調理器具と食材は全て持っていく
6:謎の少女(巴マミ)を警戒。できれば説得したい
※食事による回復量にも若干制限がかかっています
※秋葉原近辺の民家の一つが半壊しました
【至高のカレー@ルーンファクトリーシリーズ】
秋葉原近辺の民家にあった食材を勝手に使って作られた料理。
たまねぎさえ用意できれば、あとは市販のカレー粉や道端の草などで作れてしまうトンデモカレー。
だが、普通の人間には到底作れないほど作成の難易度は高い。
名前に恥じない美味しさであり、食べれば体力と魔力が大回復する。
仲間に究極のカレーが存在するが、至高よりも1ランク下の扱いである。
----
- 14 :
- 「! !」
「システムちゃんどいて! そのケダモノ殺せない!」
「駄目ですよ殺しちゃ!」
もうすぐ夕方とはいえ、道のど真ん中で公共の場にはふさわしくない言葉を乱発する三人組がいた。
思春期の少年・鏡音レンと、それに振り回される巡音ルカ、最終防衛システムである。
少し前まで共にいたはずのガチャピンとタケシの姿が見えないが、これもやはりレンの仕業である。
最初のうちこそ、泣き喚くレンをあやしていたガチャピンだったのだが……
あまりにもしつこくを連呼し、文字通りてこでも動かないレンの前に苦戦。
子供の扱いには慣れていたはずなのだが、なにしろ相手は見た目は子供、思考は煩悩の塊であるレンだ。
ついにはやつれた顔で匙を投げ、タケシにその身を案じられる始末である。
そして好機とばかりに、レンがタケシたちを置き去りにして一人勝ちしたのである。
独占的な意味で。
「まったく……あのガチャピンって子とも、もう少し情報交換したかったっていうのに……」
「そうですね。一応味方のようでしたけど……」
「! !」
もうレンにツッコム気力を失ってしまったルカが残念そうに呟き、システムもそれに続く。
彼女たちは知らないが、ガチャピンはある重要な情報を持っていた。
ルカ、そしてレンにとっても他人ではない存在、KAITOが……殺し合いに乗ってしまっているという情報を。
今、知らずに済んだのは幸運か、不運か……
まあそんなことより……
「だ!」
「いい加減にしなよ! またラリアット叩きこんであげようか!?」
「だからルカ、家族に乱暴はいけませんって!」
「こんなケダモノ家族じゃないよ!」
繰り返される不毛なやりとり。
遠目から見れば、二人の美女の間に一人の美少年が挟まれているとい状況。
羨ましいといえる状況だが、その美少年があんまりにも残念仕様すぎた。
よくある、黙っていれば二枚目というやつである。
この鏡音レンという少年は、ある意味でバトルロワイアルの希望といえるだろう。
死と絶望、悲しみに満ち溢れたこの世界において、自身の性欲を優先できるのだから。
ぶれない、という点に関してだけいえば、他の参加者たちも見習うべきところがあるといえる。
まあそのぶれなさをもっと別の方向に持っていけば本当の意味での希望となれるのだが……
この少年に期待するのは無理だろう。
仮に彼がこのバトルロワイアルと真に向き合ったとしても……
彼の大好きなお姉さんたちには勝てない。彼女たちに守られ続けることとなるだろう。
一方は仮面ライダーの力も行使できるアンドロイド。頭脳面も優れている。
もう一方は全参加者の中でも最強クラスの最終兵器。触っても怒られない。
一般人の、人間のレンがどう頑張っても届かない力の差がこうやって存在する以上……
彼は安心して叫び、ルカはそれを叱り、システムはそれをなだめ続けるのだろう。
----
- 15 :
- 「これはボクが装備すべきだよねぇ……!?」
「いや、ここは私でしょう……!?」
「や、やめてよお姉ちゃんたち!」
……ところが数分後、見事に立場が変わっていた。
ぴきぴきといった音が聞こえてきそうな感じで支給品を奪いあうのはルカとシステム。
それを止めているのはなんと、あのレンである。
非常に珍しい光景だが、彼女たちが何をとりあっているかというと……
『やめてくださいマスター(暫定)たち。私を粉砕する気ですか!?』
「ほら、ボク今いわば仮面ライダーアクセルカじゃない? 支給品も二つがアクセルだしさ……
ここでアクセルモードのレイジングハートが加わればトリプルアクセル! かっこいいじゃないか!」
「それなら私だって、サブウェポンはバスターランチャー、メインウェポンはスターバスターです。
ここにバスターモードのレイジングハートが加わればトリプルバスター! 強そうじゃないですか!」
まだレンの相手をする前で正常だったガチャピンと、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲と
トレードされたレイジングハート……通称レイハさんだった。
最初は眠っていたようだが、システムの魔力にあてられて目覚めたらしい。
当然、宝玉が突然『私と契約して魔法少女になってください』などといえば誰でも驚くはずなのだが
「別に今時機械が喋るなんてフツーだよね。それよりもボク、もう少女って年齢じゃないんだけど……」
「最初に会った白い生き物にも勧誘されましたが、最近それ流行ってるんですか?」
なにしろ三人中二人はレイハ寄りの存在であるが故に、全く驚かれることがなかった。
そのことに若干落ち込みつつも、レイジングハートはその名の通り、不屈の心で勧誘を続けた。
そして勧誘の第一歩として、まずは自身のモード説明を行ったところ……
運悪くアクセルモードもバスターモードもあったため、二人に取り合いされる羽目となってしまった。
ちなみに二人とも魔法少女という職業には微塵も興味を持っていない。ただ統一性のある武装をしたいだけである。
なお、ここまで書けばおわかりのことと思うが、このレイハさんはカオスロワ準拠の結構フリーダムな性格だ。
『落ち着いてください、本気で身体がミシミシいってます! 大丈夫ですから!
私を装備して、なんらかの物理以外で突出した能力があれば誰でも魔法少女に変身できますから! 順番になれますから!
そちらの白髪の方は純粋に魔力で、こっちの桃髪の方は歌唱力で、そっちの金髪の方は力で変身できますから!』
(それってもう……)
(魔法少女と言わないのでは……)
(ってことは、上手くいけば、二人の変身全裸シーンが……)
形振り構わないレイジングハートに対して、三人が心の中で小さくそれぞれツッコミをいれる。
しかし話を聞いてみれば、どうやら使いまわしが効くらしい。
本来であれば不可能な話なのだが、カオスロワ仕様ともなれば話は違う。
かつて、リリカルかみなりとリリカル波平が同時に存在していたのだから。
「……そういうことなら仕方がない。先にシステムちゃんに譲るよ」
「ありがとうございます。では……」
ようやく解放されたレイジングハートは、まずシステムの手の中に。
そしてカオスロワではおなじみの例の変身シーンが行われるが、そこは割愛しておこう。
「ええ!?」
少年約一名が残念そうにするがそれでも割愛する。
「これが、魔法少女ですか……」
『なんで身を守る衣装で思い浮かんだのがパワードスーツなのかはあえてツッコミませんが……
とりあえず成功です。さっそく何か魔法の試し撃ちをしてみましょう。折角なのでディバインバスターで』
見事魔法少女(?)に変身したシステムは、言われるがままにレイジングハートを構えた。
当然、バスターモードである。
「……こうでしょうか? ディバイィィィィィィィン『はい、そこで大きくバスターの掛け声を』
バスターランチャアァァァァァァァァァ!!!!『え!?』」
- 16 :
- レイジングハートが思わず絶句すると同時に、圧倒的な破壊魔法……
いや魔砲がぶっぱなされた。しかも前方4方向に向かってである。
無差別破壊と言って差し支えないそれは、近くのビル群の壁をぶち抜いていく。
この会場が一種のアンチマジックフィールドなのにも関わらずこの威力である。
「……え、えーっと……レイジングハート?」
『……なんでしょうか?』
「撃った自分が言うのもあれですけど……やりすぎましたか?」
『いいんじゃないでしょうか。むしろ主催者をにはうってつけかと。
では成功した様子なので、次、桃色のマスターどうぞ』
少なくとも目の前は焼け野原と化したというのに、もう平静を取り戻しているレイジングハート。
元のマスターはどんだけだったんだと三人が驚愕する中、下されたのは次のマスターへの交代。
巡音ルカ・20歳。どうする?
【中央区/一日目・午後(夕方直前)】
【巡音ルカ@VOCALOID】
【状態】健康、疲労(小)、仮面ライダーアクセルにもうしばらく変身不可
【装備】アクセルメモリ@仮面ライダーW、アクセルドライバー@仮面ライダーW、
【道具】支給品一式
【思考】基本:弱音ハクと合流し、主催にお仕置きをする。
0:やっぱりアクセルの方がいいってことだよね、うん……
1:弱音ハクと、豚へお仕置きする仲間を探す。首輪の解除も急ぎたい
2:別人でも、VOCALOID仲間は助ける
【補足】
※彼女にとってVOCALOIDは『人間に近いロボ』。7期のVOCALOIDみたいなものですが、
その他の設定(ナノマシンで自動修復等があるか)は後の書き手に任せます。
※弱音ハク以外のVOCALOIDがロワに参加していることを確認していません。
※並行世界の存在を知りました
【最終防衛システム@サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY】
【状態】健康、魔法少女(?)、人間への恐怖(若干緩和)、胸部中心にレンの血痕多数
【装備】スターバスター、振り下ろし、踏み潰し
○変化、○ダウン、○消滅、レイジングハート・バスターモード(空き)
【道具】基本支給品一式、スタバのコーヒー×2
【思考】
基本:主催者の排除
0:誰か人に当たってなければいいのですが……
1:未知の世界の強敵を警戒しつつ、首輪解除の方法を探す
2:白い生物(キュゥべえ、名前未確認)を警戒
【個人制限・特殊能力】
004「人間っていいな?」参照
※コロッケの効果時間は不明
【鏡音レン@VOCALOID】
【状態】:健康、首に打撲ダメージ(小)
【装備】:
【道具】:基本支給品一式、禍神のマリネ、たこルカのタコぶつ
【思考】基本:死にたくない
0:全裸変身シーンはどこにいったのさ!?
1:リンや他の家族が心配
2:電波お姉さんに家族と正義感溢れる青年(南光太郎)を探しを手伝ってもらいたい
※国会議事堂内で一部参加者の顔を覚えている可能性があります
※並行世界について理解したかどうかは不明です
【レイジングハート@リリカルなのはシリーズ】
【思考】基本:破壊されることなくロワから脱出したい
※性格及び性能はカオスロワ準拠。なんらかの素質があれば魔力がなくても少女じゃなくても変身させることができる
変身持続時間は不明。15分かもしれないしロワが終わるまで(永続)かもしれない。次の書き手さん任せです
----
- 17 :
- 「な、なんなのよ……今の魔力の塊は……!?」
その頃、ハクたちから逃げ切ったマミは尻餅をついた状態で震えていた。
体勢が体勢なだけに、方向からによっては下着も見えてしまうのだが、そんなのは些細なことだ。
つい今さっき、強烈な光線が自分のすぐ横を通り抜けていったのだから。
光線の通過跡は生々しく、いまだに煙が出ている。
あともう少し自分の位置が悪かったら、ソウルジェムもろとも消し飛んでジ・エンドだっただろう。
「わ、わたしにどうしろって言うの!?」
元からそれ程強くないメンタルの持ち主であるマミの精神状況はガタガタである。
今の光線の威力、発射方向を見れば、まさに自分の逃走先に超危険な魔女がいることとなる。
だがここで来た道を引き返せば、またあの二人組の魔女と出会うかもしれない。
いや最悪の場合、あの化け物……アーカードと再会してしまう可能性だって存在するのだ。
「つ、次は一体どこから襲ってくるつもりなの!? どこから魔女が来るっていうの!?」
まるで某ボスのように震えながら、マミは全方位を見わたす。
バトルロワイアルが開始してそれなりの時間が経つが……
行く先々でろくな相手に出会わない悲劇の魔法少女は、これからどう動くのであろうか?
【中央区北部/一日目・午後(夕方直前)】
【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】:参加者に恐怖、ソウルジェム汚染率65%(進行中)、混乱と焦り
【装備】:巴マミのソウルジェム、マスケット銃
【道具】:基本支給品一式、グリーフシード×3
【思考】基本:優勝して、魔法少女以外の脅威も消す
1:これからどうすればいいの!?
2:アーカードと青年(光太郎)、二人組の魔女(ハク・ラグナ)は誰かに倒されて欲しい
3:参加者から支給品やグリーフシードを奪い取り、バケモノへ対抗できるようにする
※ソウルジェム汚染速度が通常に戻りました。
※なんらかの希望を見つけることで速度が下がります
- 18 :
- 投下終了です
途中支援ありがとうございます
- 19 :
- 投下乙!
マミさんェ……
だが真のマミマミストはサラマンダーなマミさんでも応援する!
しかしジャイアンの母が異常なだけで、ハイスペックコンビも十分に強いんだよなぁ……
そしてレン
もげろ
前スレの投下の続きはまだかな?
- 20 :
- >>19
仮投下の方で投下したんですけどこっちで投下した方が良かったですね
これから続きを投下します
- 21 :
-
脱衣拳は歯を食いしばり両手を前に突き出し構えを取る。
「相手を脱衣させ、戦意を挫く。我が脱衣拳は不殺の拳なり――。だが唯一人を危める最悪の構えが存在する」
「ほう」
「出来ればこれだけは使いたくなかった」
突き出した両手を脱衣拳は自分の横へと動かす。
「では、見せてもらおうか……その最悪の構えとやらを!!」
「いくぞ!!!」
自らの叫びと共に脱衣拳は―――
「はあああああああああああああああ!!!!!!!」
自分の腰を前後交互に揺らし始めた―――。
「……」
脱衣拳が腰を揺らすたび彼の股間のマーラ様もぶらんぶらんと揺れていく。
「……」
「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
流石の混沌の騎士もドン引きする。
しかし脱衣拳はそんな事など気にせず腰の揺れを更に激しくする。それに伴い股間のモノも激しく揺れる。
(何だこれは……?確かに最悪の構えだが……それに隙だらけだ。もしや攻撃した時に発動するカウンター技か?
だとすればこのじみた行動も納得が行く!つまり、わざと隙を見せ攻撃をさせるのが奴の狙いか!!)
「隙ありぃぃぃ!!!!!」
「なっ何時の間に!?」
混沌の騎士呆けている内に脱衣拳は既に距離を詰め、混沌の騎士の懐に入り込んでいた。
「これは我が友より受け継いだセクシーコマンドーなる格闘技を取り入れた構えだ!」
「何だそれは!?」
混沌の騎士は知らないが、セクシーコマンドーとは相手の隙を無理やり引き出し、その隙を狙って攻撃するというスタイルの格闘技である。
脱衣拳は修行の為、世界を回っていた頃に、このセクシーコマンドーと出会っていた。
彼は、その普通の格闘技とは違い視覚で攻撃する点に注目し、それを自らの南斗脱衣拳に組み込んだのだ。
- 22 :
-
「喰らえ!南斗脱衣拳最悪最凶奥義!!!!」
「しまっ」
脱衣拳は両拳を合わせる。
そこに自分の残る全ての気を送り込む。
(この一撃で決める!!!!)
「殺・脱衣拳!!!!!!!!!!」
脱衣拳の奥義が混沌の騎士の腹部へと叩き込まれる!
自分の全てをこの両拳に込め――。
「うっぐあ……があああああああああああああ!!!!!!」
全身の服と同時に皮膚が裂けそこから鮮血が衣服と共に舞い散る。
殺・脱衣拳とは、相手が身に着けている物と同時に、その皮膚から始まり
更に、その下にある全ての肉体を文字通り脱衣させ最後には骨しか残さない。
これを喰らった者は、必ず死ぬ最悪の禁断の封じ手。
それは脱衣拳が志した相手を傷つけない拳とは魔逆の拳――。
だがそれを使わざるを得ないほど混沌の騎士の闇の力は強大過ぎたのだ。
「ハァ……ハァ……」
既に混沌の騎士は脱衣拳の両拳を離れ、遥か後方へと血と自らの肉体を散らしながら吹き飛ばされている。
しかし脱衣拳は、その場を動かなかった――いや動けなかった。
使えば必ず相手の命を奪う最悪の禁じ手。それを使った罰として脱衣拳自身もその代償を払わねばならない。
「グフッ!」
脱衣拳の口から血が吐き出される。
それと同時に全身に激痛が走り脱衣拳は堪らず地面へと倒れこむ。
「ぐあああああああああああああああああああ!!!!!!」
覚悟はしていた。だがそんな脱衣拳をあざ笑うかの様に、彼の体は更に激痛を増していく。
既に脱衣拳は、叫び声を聞きマーダーがやってくるなど考える余裕すらない。
- 23 :
-
「いいザマだな」
「なっ!?がはっ」
だが脱衣拳の前に居てはならない人物が立っていた。
その人物は激痛に苦しみもがく脱衣拳を見下ろしている。
「な、ぜ……?」
「我が闇の力を全身にくまなく巡らせた事で、先の両拳により狂わされた肉体の活動を制御し正常に戻したのだ。
無論、完全には制御しきれなかった為かなりのダメージを負ったし、今も自分の体を制御し続けなければ、直ぐに骨だけの体にされてしまうがね」
確かに混沌の騎士の体は所々皮膚が割け血が出ている、その為全身血だらけで彼の姿が全裸である事など誰も気にしないだろう。
「さらばだ脱衣を極めし者よ」
混沌の騎士はグラットンソードを振り上げる。
最早それをかわす力は脱衣拳には無い。
(私は――死ぬのか?)
激痛に自分の体が蝕まれるなか脱衣拳の思考は不思議とクリアだった。
(人は死ぬ瞬間、周りの物が遅く見えるというが……本当だったとはな……)
自分に向かって振るわれた剣がやけに遅く見えるた脱衣拳はそう思った。
(東京タワー……)
最後に思い出すのは自分が守ることの出来なかった一人の少女。
あ り が と う
ご め ん ね
(まだだ……例え死ぬとしても……まだ死ぬわけにはいかん!!!)
全身を走る激痛を堪え脱衣拳は再び立ち上がる!
「貴様……まだ動けるのか!?」
「生憎と諦めが悪いほうなのでな!!」
再び立ち上がる脱衣拳を混沌の騎士は斬り伏せようと剣を振るうが、脱衣拳は体を横に逸らし紙一重で回避、混沌の騎士の真横をそのまま駆け出す。
(何処に向かう気だ?だがどちらにしろ我が剣をかわした際に奴は攻撃を放ってこなかった。やはり体は限界か、あの様に体を動かしているのも奇跡に近いのだろう)
混沌の騎士の推測通り脱衣拳の体は限界だった。もう南斗脱衣拳を放つ事は出来ない。
――だがまだ彼は諦めない。
(頼む。力を貸してくれ)
脱衣拳が駆け出し向かった先には東京タワーに支給されたティバッグが転がっていた。
(やはりな一か八か支給品に賭けるつもりか)
本来ならば背を見せ隙だらけの脱衣拳に、闇の力を用い脱衣拳に黒雷を放てばティバッグの元へたどり着く前に難なく事が出来たが。
殺・脱衣拳によって狂わされた肉体を保持していなければならない為、安易に闇の力を使用することは出来ない。
(不味い、もしあの中に厄介な物が入っていれば……)
- 24 :
-
ティバッグの元へ辿りついた脱衣拳は、足でティバッグを上へ蹴り上げる。
丁寧にティバッグを漁る時間も余裕も、もう無いのだ。中に入っていたものを、ぶちまけながら宙を舞うティバッグ。
その中のランダム支給品二つを脱衣拳の視界が捉える。
一つはデザートイーグル。
この殺し合いの場においても、比較的当たりの部類に入る銃で、自動式拳銃の中では世界最高の威力を持つ弾薬を扱える。
(――駄目だ。私は銃を扱えない)
しかし脱衣拳は銃の扱いを知らない。今まで肉体一つで戦ってきたせいだろう。
無論扱いを知らないとはいえ使えない事は無いだろうが、大ダメージを負っているとはいえ、あの混沌の騎士相手に
この不慣れの銃で何処までやれるか分からない。
二つ目はヘラクレスオオカブトを模した赤いカブトムシの玩具。
(見覚えがある……確かカブトボーグなる玩具で、私の道場に殴り込みに来た少年が持っていた……)
この殺し合いの呼ばれる前、脱衣拳はとある中華料理店の前に自分の道場を開いた事があった。
だが、その中華料理店の息子の友達とやらが、このカブトボーグと呼ばれる玩具を持って、殴り込みに来て自分の道場を叩き潰したのだ。
しかも、その時の騒ぎで自分は変質者として警察に捕まってしまった。
正直忌まわしい記憶だが、その分この玩具の恐ろしさは身に染みている。
(確か、あの少年は最後に『服は脱がすものじゃない……着る物だ!!』と言っていたが、未だにあの意味が分からないな……)
一瞬余計な事を考えてしまったが、脱衣拳は咄嗟にカブトボーグを掴む。
「フハハハハ!!!最早、碌な思考も出来ぬようだな?銃ではなくそのような玩具を手に取るなど!!!」
「いやこれでいい!!頼む!!!力を貸してくれ東京タワー……そしてトムキャット・レッド・ビートル!!!!!」
あの少年が言っていたこのカブトボーグの名を叫び、脱衣拳はトムキャット・レッド・ビートルを混沌の騎士へ投げ飛ばす。
その投げ方は歪で本来の所有者が見れば鼻で笑うだろう。
だが脱衣拳の魂が感じられるいいチャージインだ。
混沌の騎士は自分へ向かってくるトムキャット・レッド・ビートルをかわす素振りも見せず、ただグラットンソードを振り上げる。
所詮は子供の玩具、このグラットンソードで斬り飛ばしてやろうと考えたのだ。
だが混沌の騎士の考えとは裏腹に、トムキャット・レッド・ビートルは赤いオーラを身に纏いスピードを上げる。
- 25 :
-
(ただの玩具ではないのか!?)
ただの玩具ではないと気付き、回避するにしても既に遅い。
トムキャット・レッド・ビートルは眼前にまで迫っている。
ならば斬り伏せるまで、元より回避する気などない。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
「はあああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
脱衣拳の投げたトムキャット・レッド・ビートルが、混沌の騎士の振り落としたグラットンソードが激突する。
「まだだ……貫けえええええええええ!!!!!」
体は限界だ本当にもう指一本動かす力も無い。だがまだその精神は死んではいない。
カブトボーグはチャージと同時に、その精神力を糧に動く。
トムキャット・レッド・ビートルは脱衣拳の叫びに答えるかのように赤い輝きを増す。
「我が……押されているだと!?」
自分が押されていることに焦りを隠せない混沌の騎士。
たかが玩具如きに、自分が押し負けるなど有り得ない筈だ。
怒りと悔しさを力に変え、手に持つグラットンソードを更に強く握り締める。
「おのれええええええええええええ!!!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
拮抗するカブトボーグと剣、しかしその拮抗は長くは続かない。
刹那、赤と闇の閃光が二人を包み込んだ。
- 26 :
- ■
カブトボーグとグラットンソードの激突により出来た巨大なクレーター。
その丁度中心部に脱衣拳は倒れていた。
横には先の戦いで破損したトムキャット・レッド・ビートルが転がっている。
「済まぬ、ブロンド殿、妹紅殿。どうやら私は……ここまでのようだ」
脱衣拳はここには居ない仲間達に謝罪の言葉を送る。
「そして……ありがとう……東京タワー……」
そう言い目を閉じる。
殺・脱衣拳を使用したにも関わらず、その後も無茶な体の酷使、この結果は当然と言える。
だが彼の顔に後悔は無い。確かにこの殺し合いの事は心残りではある。
でも自分が拳を交えた仲間達ならばきっと――
自分の全てを仲間に託し彼の生涯はたった今幕を閉じた。
■
「見事であった……脱衣の戦士よ」
クレーターより遥か彼方に吹っ飛ばされた混沌の騎士は脱衣拳に賞賛の言葉を送っていた。
「だがあれ程、肉体を酷使したのだ……もう生きてはいまい」
そう言い混沌の騎士は笑みを浮かべる。
「ククク……貴様が命を賭して放った一撃……だが無駄に終わったようだな。何故ならば我はまだ生きているからだ……。
そうどんな過程であろうと勝ちさえすればよいのだよ」
だがその笑みが苦痛の表情に変わる。
「ぐふっ……やはりこのダメージ到底無視できるものではないか……ともかく先ずは傷を癒さなければ……」
グラットンソードを杖代わりに混沌の騎士はヨロヨロと歩み始める。
一先ずの目的は自分の傷を癒す事だ。この状態でブロントやミクトラン等の強者と戦闘を行う事になったりすれば洒落にならない。
「しかし我も少し反省しなければな……過程を楽しむ事も大事だが、過ぎた油断と慢心は身を滅ぼすか……また一つ学んだよ」
- 27 :
-
【渋谷区/一日目・午後】
【混沌の騎士@カオスロワオリジナル】
【状態】:全裸、ダメージ(大)、疲労(大)、全身の至る所に割け傷、全身血まみれ、左の頬に打撲の痕
【装備】:グラットンソード
【道具】:基本支給品一式、(ランダム品0〜2)
【思考】基本:優勝し、記憶を取り戻す
0:一先ず傷と体を癒し服を探す、妹紅とブロントに関しては後回し
1:バトルロワイアルを楽しみつつ、光の力も手に入れていく
2:エクスカリバーの捜索
3:光の使い手(ミクトラン)を警戒。いずれ力を奪う
4:油断と慢心も程ほどにしておく
※東京タワーより、なんらかの力を奪ったかもしれません
※しばらくの間、闇の力が使えませんが時間が経てば使用可能になります
※渋谷区に巨大なクレーターが出来ています
※渋谷区にトムキャット・レッド・ビートル(破損)とデザートイーグル、そして東京タワーのランダム品(0〜1)が放置されています
支給品解説
【トムキャット・レッド・ビートル@人造昆虫カブトボーグ V×V】
東京タワーに支給。
カブトボーグの主人公、天野河リュウセイことリュウセイさんの愛用マシン、でも川に捨てられたりする。
野生のカブトボーグとは違い自立行動せず喋らない。
制限は野生のカブトボーグと違い5分使用すると6時間使用不可になる。
もちろん威力も制限されている。
現在破損中だが修理すれば使えるようになるかもしれない。
カオスロワではリュウセイさんの標準装備として登場。
その後、主催のゼロが持っていたが勝手に主催本部から離脱。
現在ラスカルと行動している。地味にキングストーンも吸収している。
ただし外伝では勝手に行動しないし、キングストーンも吸収していないので、普通のカブトボーグと何ら変わらない。
【デザートイーグル@現実】
同じく東京タワーに支給。
カオスロワにて複数人が所持していた拳銃。一般の銃の中では非常に威力が高い。
反動はかなりあるが、子供でもちゃんと構えさえすれば撃つことは可能。
(↑はリスタ前の説明からコピペさせて貰いました)
トムキャット・レッド・ビートルと違い特に破損はしていない。
銃弾が何発あるかは後の人にお任せします。
【脱衣拳@カオスロワ書き手】死亡確認 残り48名
- 28 :
- 投下終了です
- 29 :
- 避難所見てなくて申し訳ない!改めて投下乙!
脱税拳はやっぱり最初のダメージ蓄積がいたかったなぁ……
でも混沌相手に大ダメージ与えてるし、大健闘だよね。
やたらと股間がピックアップされてるがw
- 30 :
- 機動戦士ガンダム乙乙
・とある魔法少女の災難
マミさん、ついに人間(?)と魔女の区別もつかなくなったか・・・・・・
しかしびびりまくっている今なら逆にマミマミされずに生き残りそうだな。
ルカの魔法少女だと!?
でも20といってもそれはあんたの設定年齢で、作られてからそんな時間が経ってないはずじゃ(ry
まあ精神年齢は20なんだよな。うん!
某所のネタみたいに超昴天使マグロイヤーみたいになることを希望。
どうでもいいけど変身シーンってあくまで演出で、
劇中では一瞬で変身しているんだよね。
つまりレン、お前が変身シーンを拝めることはねーんだよ!糞して寝r(ry
・脱衣×混沌×騎士
カブトボーグの煽りがこんなところに・・・・・・
脱衣拳は最初のコントのツケがもろにきたな。
しかしトムキャット・レッド・ビートルがここにあるということは、あのお方もここにくる可能性が(ry
- 31 :
- ちょい質問
・とある魔法少女の災難
でラグナさん達が民家から食料を調達してたけど
食料品は有る所には隠されてるってことでいいのかな?
- 32 :
- >>30
怒らせてしまったようで申し訳ない……
wiki収録後、該当部分を削除しておきます
>>31
008話・それぞれの光と闇
で混沌の騎士がコーヒーを飲んでいたので
「飲食物は各地に点在しているが、当然一箇所あたりの量は少ない」
というつもりで考えていました。
こちらもwiki収録後に、可能性のひとつとして追記しておきます
いろいろご迷惑をかけて申し訳ないです
- 33 :
- >>32
いえ怒るどころか、20歳魔法少女になることに抵抗持つルカさんに悶えました。
精神年齢20ならどの道恥ずかしいので何も問題ないと思います。
でもできれば変身シーンを描写して(ry
- 34 :
- いや、>>30は怒ってるわけではないと思いますよ?
それはともかく投下乙です!
さすがの脱衣拳でも手負いの状態で混沌の騎士と戦うのは厳しかったか……
しかしそれでも、いいチャージインだった!
- 35 :
- >>30はまず間違いなくnk氏だなw
何はともあれ両氏投下乙です!
・脱衣拳はせめて妹紅に喧嘩売ってなけりゃ……
しかしシリアス戦闘なはずなのに脱衣拳の股間から目を離せないw
クライシス皇帝もいつかこうなるのかな?
・ハクさんに装備作ったりご飯用意したり、ラグナさんは戦闘よりも支援スキルがチートじみてるな……
魔砲少女システムさんは制限解除と同時にまずマップが消し飛ぶぞwルカの変身にも期待!
しかしマミさん、まだ……飛竜さんも禍神さんも、ジャイアンの母もいるんだよ!?
俺も速筆力ほぴぃ……
- 36 :
- ・出展元になのはパロのバリアジャケットや究極必殺奥義エターナルライトブレイカーが存在する
→システムさん使用のおそれ
・システムさんとなのはの某コラボ動画で合わせ技ダブルスターライトブレイクバスター発射
→システムさん使用のおそれ
・なのはさんが過去にブラスタービット全てからスターライトブレイカー乱れ撃ちという外道攻撃を行っている
→システムさんスターバスター乱れ撃ちのおそれ
確かにいずれにしても会場とマミさんのメンタルのためにも、早急にルカに渡した方がよさそうだw
- 37 :
- ゲリラ投下、お許しください!
南春香、ディアボロで投下します。
- 38 :
- 死にたい。
とっとと死にたい。
レストランのトイレでズブ濡れの服を着替えながら、ディアボロはずっと心の中でぼやき続けていた。
ディアボロと、彼を助けたおせっかいな女・南春香の二人は
しながわ水族館からさほど離れていないレストランの店内に身を潜めていた。
着替え終わったディアボロがトイレから出ると、外からは死角になる席に隠れていた春香が声をかけてくる。
「ディアボロさん、大丈夫ですか?」
「ああ……」
心配そうな彼女の声に、ディアボロは生返事で答える。
溺死寸前だった身体はもう回復している。今のディアボロの姿で異常なところといえば
ズブ濡れだったチャームポイントの網タイツを脱いで、支給品の753と書かれたTシャツを着ていることぐらいだろう。
(それにしても変なTシャツだな……753とは何のことだ?)
Tシャツにプリントされた謎の数字に首を捻りつつ、ディアボロは春香の向かいの椅子に腰掛ける。
二人の間で本格的な情報交換をするためだった。……もっともディアボロはそんなこと望んでいなかったが。
「じゃあディアボロさんはイタリアから旅行に来ていて……気がついたらあの水槽の中にいたんですね?」
「ああ、まあそうなるな……」
死に続けているなどと言えるはずもなく、ディアボロはただの旅行者だと身分を偽っていた。
しかしそれもあながち嘘だとはいえない。
ゴールド・E・レクイエムの能力による無限の死――その中で、ディアボロは自らのスタンドである《キング・クリムゾン》を失っていた。
今の彼はガタイがいいことを除けば、何の能力も持たない普通のおっさんである。
「それにしても外国の人まで巻き込むなんて……あの男は一体何者なのかしら」
「あの男――か。南春香、最初の会場で総理大臣と名乗ったあの男は、本当の総理大臣ではないのだな?」
ディアボロの質問に春香はハッキリとうなずく。
「はい、似ても似つきません。
今の総理大臣は小泉さんという人で……
きっとあの男は自分を総理大臣だと信じてる異常者なんだと思います。
だから私たちを誘拐して、こんなことを……」
国会議事堂で見たあの男のおぞましい姿を思い出し、春香は怒りと恐怖で身震いした。
「でもこんな大掛かりな犯罪、警察が見逃すはずありません。
きっと今頃大騒ぎになっていますよ。だから、きっとすぐに救援が来てくれます」
そう言って微笑もうとする春香だったが、今言った楽観的憶測を彼女自身が心の底では信じていないことは
そのぎこちない笑顔から容易に見て取れた。
しかし、今の彼女はその希望に縋るしかないのだろう。
「だから私は、妹たちを探して救助が来るまで安全な場所に隠れていようと思うんです。
それでディアボロさん……もしよければ、ディアボロさんも一緒に」
「いや、俺は自るから妹は一人で勝手に探してくれ」
- 39 :
- そう言いたいところを、ディアボロはぐっと堪えた。
彼の行動方針は『できるだけ楽に死ぬこと』である。
首輪がある以上、これはそんなに難しいことではない。
だが彼にはもう一つの行動方針がある。
それは『できるだけ他人に恨まれないようにする』ことだ。
他人に恨みを買うと、その先には恐ろしい死が待ち受けている。
ジッパーでバラバラにされたり、爆撃でボラボラにされたり
小さくされて蜘蛛入りのビンに詰められたり、鏡の世界に引き込まれたり
心臓を釣り針でブッ刺されたり、サイコロステーキのように細切れにされたり
超低温で凍らされたり、体中からカミソリの刃が飛び出したり
そして、アバ茶を飲まされたり。
「ウゲェ!」
「ディアボロさん!?」
「いや……大丈夫だ。今最悪なことを思い出してしまった……
残りHPが1の時に間違ってアバ茶を飲んで……これ以上は思い出したくない」
フラッシュバックした最低な思い出に冷や汗を流しながら、ディアボロは心配そうに自分を見ている少女に目を遣る。
(ここでこの娘の誘いを断って自るのは簡単だ。しかし……)
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次の死で春香が出てきた場合
『勝手に死にやがって!ぶっちぎってやるわ!』→【今日のディアボロ@アイアンクローで頭ギリギリされて死亡】
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(ダメだ!恐ろしい!せめて安楽な死を与えてくれ!)
とにかく他人のご機嫌を損ねることはやめよう、と元帝王は誓った。
「……わかった。ただし俺は戦ったりはしないぞ(余計な恨みを買うからな)」
「私も戦う気はありません。もしも襲われても、これで脅しながら逃げれば大丈夫ですよ」
そう言って春香は支給品のRPGを取り出す。
実際こんな武器を向けられたら、普通の参加者は尻尾を巻いて逃げるだろう。
『普通の』参加者ならば。
「そういえば、ディアボロさんには何か武器は――」
「俺に配られていたのはこのTシャツと、それからこれだ」
取り出されたのは、変なベルトとそのベルトにくっついてるナックルらしきものだった。
説明書によれば、これはイクサベルト&イクサナックルという仮面ライダーイクサとやらに変身するための装置らしい。
「仮面ライダーって……あの都市伝説の?」
困惑した表情でベルトを手に取る春香。
その後ろでディアボロは苦い表情を作っていた。
(せめてマーシトロン(自殺幇助装置)でも支給してくれればよかったのに、余計な物を……!)
普通の参加者ならば、この強力といっていい武器武装が手に入ったことを喜んだだろう。
しかし楽な死が目的のディアボロにとって、これらの仮面ライダーセットはハズレでしかなかった。
- 40 :
- 「仮面ライダーに変身できるなんて冗談としか思えませんけど……でもただの玩具にしては大きいし重過ぎるわね。
そういえば私も、このバズーカとカレーセットの他にもう一つ支給品があるんです。
なにかのディスクみたいなんですけど……」
そう言って春香がバッグから取り出した一枚のディスク、それにディアボロは見覚えがあった。
「!!それは――――」
しかしディアボロが何事かを言おうとした瞬間、巨大な建物が崩れ去る轟音がそれを遮った。
「何だ!?」
「ディアボロさん!今の音は――!?」
地震か、爆弾か。
突然の破壊音は二人の動きを凍らせる。
しかしその轟音など、その後に聞こえた『叫び』に比べれば可愛いものだった。
『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!!』
己が耳を潰してしまいたくなるような、名状し難き忌まわしい咆哮。
品川区一帯に響いた邪神の声は、二人の潜むレストランにも届いた。
【今日のディアボロ@禍神の咆哮にびっくりして死亡】
普段のディアボロなら確実にショック死していただろう。それは、それほどまでにおぞましい叫び声だった。
「――――!」
邪神の叫びを聞いた春香は、思わず持っていたディスクを手放す。
放されたディスクは、テーブルの上で一度バウンドして、まるで吸い寄せられるかのように春香の頭部目掛けて跳ね上がり――そのまま吸い込まれた。
「ひッ!?」
自分に何が起こったのか理解不能のまま、哀れな少女は叫ぶ。
「ザ・グレイトフル・デッド (偉大なる死)ッ!」
- 41 :
-
彼女の叫びとともに出現したのは、上半身だけの異形のヴィジョン。
紫色の全身に開く赤い眼。その周囲に漂う瘴気。
「きゃあああああああああああ!」
突然出現したその怪物に、春香は悲鳴を上げる。
だがディアボロは、一目で『ソレ』の正体がわかった。
(これは俺を裏切った暗殺チームの一人、プロシュートのスタンド能力《ザ・グレイトフル・デッド》!
南春香に支給されていたのはッ!グレイトフル・デッドのDISCだったッ!そしてこのスタンドの能力は――)
「ディ……ディアボロさ――――」
助けを求めようとディアボロの方を向く春香、だがそこで待っていた光景は、彼女を更なる恐怖へ突き落とすものだった。
「た、たしゅけてくれぇェェェ〜」
「イヤアアアアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!」
彼女が見たものは先ほどまでそこにいたはずの中年男ではなく、しわだらけの、全身がカサカサに乾いた瀕死の老人だった。
スタンド:ザ・グレイトフル・デッド (偉大なる死)、その能力は『老化』。
スタンド体から発生するガスを浴びた生物は、急速に老いさらばえ、干乾び、そして死ぬ。
老化という不可避の運命を超加速させる、恐るべき殺戮能力。
春香が偶然にも唐突に発現させてしまったそれの煽りを、隣にいたディアボロは不幸にも思いっきり被ってしまった。
「じゃから早く能力を解除するんじゃァァァ〜
脂っこくなくてやわらかいもんが食いたくなってきたよォォォォォ〜」
「―――――――――ッ!!!!!」
ショックのあまり言葉も出せない春香の前で、ディアボロはどんどん年老いていく。
そして――
【今日のディアボロ@春香姉貴にヨボヨボにされて死ぼ
「ハァ……ハァ……あ、危なかった……!」
肩で息をするディアボロ、その身体はすでに彼本来の年齢に戻っている。
彼が九死に一生を得た理由、それは
「南春香……気を失ったのか」
「……………………」
春香は床に倒れたまま動かない。その瞳は閉じられている。
無理もないだろう。突然殺し合いに放り込まれ、最後の一人になるまで妹であろうと殺せと命じられ
その妹たちはどこにいるのか、生きているのかさえわからず、その上この世のものとは思えない怪物の叫び声を聞き
――そして初めてスタンド能力を発動させたのだ。
スタンドは精神の力であり、能力を使えば精神も肉体も疲労する。
これだけの要因が重なったのだ。いかに気丈な少女といえど、耐え切れるものではない。
彼女が意識を失ったためにスタンド能力が解除され、ディアボロは老化地獄から救われた。
もしもう少しでも彼女が意識を保っていたら、ディアボロは彼が望む安楽な死からは程遠い最後を迎えていただろう。
- 42 :
- 「それにしてもスタンドのDISCまで支給されているとは
……まさか我が《キング・クリムゾン》も!?」
他の参加者がキング・クリムゾンを使用している姿を想像して、ディアボロは思わず首を振った。
キング・クリムゾンは無敵のスタンドだ。もしそれが支給されていたら……
彼の中に僅かにあった『優勝して本当に死ぬ』という希みが、音を立てて崩れ落ちた。
「ともかくこの娘は眠った。さあどうするか……」
倒れた春香の周りをぐるぐる回りながらディアボロは今後について考える。
できれば今すぐにでも春香を見捨ててここから出て行きたいが……
『よくも私を見捨てたわね!』
「うおおおおッ!アイアンクローは!アイアンクローは勘弁してくれ!」
見捨てた場合の未来を想定して、ディアボロは思わず頭を押さえてもだえる。
「やはり合意の上で別れるしかない。
そうなると結局、この娘が目を覚ますまではここで待機か……」
無論、春香の寝首を掻こうなんて考えは起こさない。
そんな事をしたら次回以降でどんな目に遭うか……
「もっとも、外には恐ろしくヤバい奴がいるようだからここで大人しくしているのが一番かもしれないな」
未だかつて聞いたことの無いあの咆哮。あの声の主は一体何者なのか。
いざとなったら首輪を爆発させればいいとはいえ、もし自る暇もなくあの声の主に捕まったりしたら
いったいどれほどまでに悲惨な最後が待っているのかわからない。
「ああ……早く楽になりたい」
そう言いながら、ディアボロは無意識のうちに首輪を撫で擦っていた。
【品川区・レストラン内/一日目・午後】
【ディアボロ@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】:健康
【装備】:名護さんTシャツ@仮面ライダーキバ
【道具】:基本支給品一式、イクサベルト@仮面ライダーキバ、イクサナックル@仮面ライダーキバ
【思考】基本:【死】に到達したい。無理なら楽に死にたい
1:『楽に死ぬ』『他人から恨みを買わない』両方やらなくちゃならないのがボスのツラいところだな。本当にツラい
2:死にそうになったら自分の首輪使って自る
3:春香が起きるまで待つ
4:咆哮の主(昏き海淵の禍神)を警戒
5:キング・クリムゾンが他人に支給されてないか危惧
6:優勝狙いとかは多分無理・・・・・・っていうか不可能・・・・・
※スタンド:キング・クリムゾンを失っています
※昏き海淵の禍神の咆哮を聞きました
【南春香@みなみけ】
【状態】:精神疲労(大)、気絶中
【装備】:RPG-7(弾頭無し) 、グレイトフル・デッドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
【道具】:基本支給品一式、お徳用カレーセット、RPG-7の予備弾頭※
【思考】基本:妹と一緒に帰りたい
0:(気絶中)
1:妹たちを見つけて安全な場所に隠れる
2:ディアボロと一緒に行動する
※RPG-7の弾頭の弾数及び弾の種類に関しては、後の書き手に任せます
※主催者の総理大臣は偽者だと思っています
※昏き海淵の禍神の咆哮を聞きました
- 43 :
- ・支給品紹介
グレイトフル・デッドのDISC
[[南春香]]に支給
ジョジョの奇妙な冒険からの出展。
DISCを頭部に埋め込むことでスタンド《ザ・グレイトフル・デッド》を使用できる。
《ザ・グレイトフル・デッド》
生物を老化させる能力を持ったスタンド。
スタンド体からガスを噴出させ、触れた生物を老化させる。
氷などで身体を冷やせば老化を抑えることができる。逆に体温が高いと老化のスピードは速くなる。
ザ・グレイトフル・デッドに直接触れられると、物凄いスピードで老化する。
※制限により一般人にもスタンド体が見えます。
※その他の制限は次の書き手さんにお任せします。
本来のスタンドの持ち主であるプロシュート兄貴はカオスロワ5期において対主催として活躍した。
イクサベルト
イクサナックル
[[ディアボロ]]に支給
仮面ライダーキバからの出展。
仮面ライダーイクサに変身するために必要なベルト。
電磁ナックルウェポン・イクサナックルを『レ・ディ・イ』の電子音のあと
イクサベルトに装着させることによって『フィ・ス・ト・オ・ン』仮面ライダーイクサに変身する。
必殺技はベルトのナックルフエッスルによって発動する、電圧5億ボルトのエネルギーを相手に打ち込む「ブロウクン・ファング」。
またイクサナックルは変身の有無を問わず電磁手甲武器として使用することができる。
本来の変身者の一人である名護さんはカオスロワ5期において大活躍していた。
名護さんは最高です!
〔制限〕
当ロワでは誰でも変身可能。
変身可能時間は10分。一度変身したら2時間変身不能。
※バーストモード、ライジングイクサへの変身が可能かどうかは次の書き手さんにお任せします。
※イクサカリバーの有無については次の書き手さんにお任せします。
名護さんTシャツ
[[ディアボロ]]に支給
仮面ライダーキバからの出展。
753と大きく書かれたTシャツ。
名護さんは最高です!!
- 44 :
- 以上で投下終了です。
名護さんは最高。これだけは伝えたかった。
- 45 :
- 6/氏、KAITO、アーカードで投下します
- 46 :
- 「そんな身構えるなよ。ただ情報交換してるだけだろ?」
KAITOと遭遇した6/だが、運がいい事にすぐに襲われることは無く、一先ず情報交換をする事となった。
しかし情報を引き出された後、殺される可能性もあるので6/は警戒を緩める訳にはいかない。
「まあ、その緑色の恐竜が危ない奴でさ」
(そういえば国会議事堂で見たな、そんな奴……とても殺し合いに乗りそうとは思えなかったが……)
「聞いてる?」
情報交換といっても6/は、ここに来てからろくに他参加者と出会っていない。
その為、こっちから渡せる情報は特に無い。
情報交換といよりは、KAITOが一方的に情報を提供しているだけだ。
もっとも、ガチャピンが殺し合いに乗ったという嘘の情報も交えているが。
「それで、お前らボーカロイドはそのマスターて奴に従ってる訳か」
「そう」
「先に言っておくが、俺はそのマスターなんざ知らないぞ?」
「分かってる。僕以外まだ誰とも会ってないんだろ」
KAITOは心の中で軽く舌打ちをする。
彼が6/を殺さず情報交換しているのは、マスターを知っているか聞き出すため。
ガチャピンの時は殺し合いが始まって、まだ間もない時間だったので、すぐに事にしたが
6/と会ったときには、既に数時間が経過していた。つまりマスターと出会っていてもおかしくはない。
(はぁ……。さっさと殺せば良かったかな)
だがKAITOが6/をまだ殺さないのには理由がある。
6/は自分達ボーカロイドの存在を、まったく知らないと言うのだ。
何処かの山奥に篭ってるのなら、ともかく聞けば普通に都会町に住んでいるらしい。
ならば自分達の存在を知っていなければおかしい。絶対にテレビ、ネット、街の広告なんかで見かける筈なのだ。
これはおかしい。マスターも気になるが、この男から情報をもう少し引き出しておいた方がいいと考えた。
(ボーカロイドねぇ……でも俺の知っている限りじゃ、音声合成ソフトでそのキャラクターの筈なんだがな)
6/は嘘を着いていた。
それは自分がボーカロイドを知らないという事だ。
彼もボーカロイドは知っているし、何度もキャラを弄っては二次創作で書いている。
(少なくとも、俺の知ってるボカロはアンタみたいなロボットじゃないんだよな。
おまけに、KAITOの言うボカロは芸能界でも活躍中ときてるもんだ。
完璧にパロロワじゃ、色んな他作品を繋げる時に使われる並行世界て奴だな。
確証は少ないがKAITOは少なくとも、うちの世界の総理大臣に見覚えが無いらしいし、その線が一番だな。
ただ普通のロワとは違って、ただ並行世界の住人達を呼んだ訳じゃ無さそうなんだよな……。
取りあえずKAITOには黙っておくか、色々混乱されると面倒だし判断材料はまだ少ないからな)
6/は一先ずの考察を終えるとKAITOに再び顔を向ける。
- 47 :
-
「情報交換はこれ位でいいか」
「(これ以上の情報は望めそうに無いね)そうだね。それよりこれからどうする?」
情報を聞き出すのはもういいと考えた、KAITOは形式上だけこれからの方針を尋ねる。
ガチャピンの時みたく今度は殺し損ねない為に、まだ油断させる必要があるだ。
「ともかく目の前の怖い人から逃げようか……」
6/は間髪入れずそう答えると背を向け、KAITOの真横を全力ダッシュで駆け抜けていった。
「……僕もまがりなりにもボーカロイド。ミク程じゃないけどその辺の人間よりは強いと自負してる。
でもあいつは駄目だね。うん逃げよう」
そういいKAITOも猛ダッシュする。
彼らの後ろには――
「つまらん……逃げるだけの犬か」
あのアーカードが居た。
【江東区・東京ビッグサイト/1日目・午後】
【◆6/WWxs9O1s@カオスロワ書き手】
[状態]:健康、緊張、KAITOを警戒中 、全力ダッシュ中
[装備]:なし
[道具]:ゴーカイジャのフィギュア@現実、豚でもわかる!風水大全〜方位編〜@現実?、同人誌、基本支給品一式
[思考・状況]
基本:主催者を倒しこの物語を『HAPPY END』にする
0:アーカード(何か見覚えがある)から逃げる!
1:仲間や首輪の情報を集める。ただしステルスマーダーには注意する。
2:仲間や強力な支給品を手に入れるまではゲームに乗っていそうな人間とは接触しないように注意する。
3:KAITOのスタンスがまだ分からないのでこのドサクサに紛れて離れたい
4:そういえば俺の名前は……?
※国会議事堂で、一部人外参加者の姿を確認しています
※豚でもわかる!風水大全〜方位編〜@現実?はまったく読んでいません。
※『パロロワ』に関する最低限の知識はすべて持っています。ただし『アニメ』などに関する知識を持っているかは次の方に任せます。
※自分の名前を『◆6/WWxs9O1s』と思っていますが、それに違和感を感じています。
※KAITOからガチャピンが危険人物だと聞きましたが疑っています
※参加者は並行世界から呼ばれたのではないかと推測しています
※KAITOの世界の事を聞きました
- 48 :
-
【KAITO@VOCALOID】
[状態]:健康、猛ダッシュ中
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:マスターを生き残らせるために他の参加者を全員(家族も含めて)
0:アーカード(名前を知らない)には勝てそうに無いので一時撤退。いずれは。
1:6/は後回し
2:家族でも容赦なくが特にミクは一族の生き恥なので見つけたら必ず
3:6/がボカロを知らないことに疑問
※最初の会場で自分のマスターらしき者の姿を確認していますがそれが誰かは不明です
※そのマスターがこのKAITOと同一世界の人物かどうかも不明です
※他にミク、レン、ルカ、ハクの姿を確認しています
【アーカード@HELLSING】
【状態】光太郎との戦闘でのダメージ(回復中)
【装備】スリッパ@カオスロワ
【道具】支給品一式
【思考】基本:殺し合いに乗る
1:光太郎とは再戦したい
2:6/達を追うか?
【備考】
※拘束制御術式を開放出来るのは5分間だけ5分を過ぎると強制的に封印
※拘束制御術式を一度開放すると24時間使用不可
※再生能力にも制限が掛っています
- 49 :
- 投下終了です
- 50 :
- 遅くなりましたが投下乙です
ディアボロのスタンスはやっぱり面白いな
それにしても春香は強力なスタンドを手に入れて一安といったところかな
ディアボロも支給品は強いけどスタンスがあれだからまだ油断は出来ないかもしれないけど
- 51 :
- お二方投下乙です!
ディアボロは禍神さんに遭ったら、ピンク髪繋がりで徹底的にやられそうだな。
しかし春香はまさに一般人といったところか。妹二人が死んだり既に人を殺しているが、どんな反応するやら……
6/は不幸、不運キャラが定着しそうな予感。
しかしここ最近の投下ラッシュは凄まじいな。自分もいい加減書かなくては……
- 52 :
- 皆様投下乙です
ヴェイグ、妹紅、ブロントさんで投下します
- 53 :
- (暑いな……)
容赦なく照りつける太陽を仰ぎ見て、ヴェイグ・リュングベルは顔を顰める。
白銀に包まれた寒村スールズで育ったヴェイグにとって、この会場の気候は好ましいとは到底言えないものだ。
これでも殺し合いが始まった直後よりは日差しも弱まっているのだが、それでも暑いことに変わりはない。
それどころか、ヴェイグは今の方が暑くなっているように感じていた。
これは、ヴェイグが冷房器具が作動していた六本木ヒルズの内部にいたのが原因だ。
しかもヴェイグは、一階から展望室までを階段を利用して登り下りしているため、内部にいた時間はそれなりに長い。
エレベーターを使えばもっと早く登り下り出来たのだが、田舎育ちのヴェイグがエレベーターの使い方など知っているはずもなかった。
長時間涼しい屋内にいたヒトが太陽の照りつける屋外に出たならば、体感気温が実際のそれよりも高く感じられるのは当然だと言えるだろう。
だが、それでもかつての旅の道中に訪れたアニカマルや砂漠ほどの暑さではない。この程度の暑さは、ヴェイグの歩みを止める理由には成り得ない。
クレアの元に帰る。その願いがある限り、生半可な障害ではヴェイグの歩みは止められない。
だが、この殺し合いもかつての旅のように生半可なものではないことをヴェイグは承知していた。
この殺し合いを打破するためには、かつての旅がそうであったように仲間の力が必要不可欠だ。
そのためにも他の参加者と接触する必要があることを、ヴェイグは強く感じていた。
先程六本木ヒルズの展望台から見た景色をヴェイグは思い出す。そこからの眺めには、ヴェイグの目から見れば特異な物に見える建物群の中でも、群を抜いて特異だと言える建物がいくつかあった。
あのような目立つ建物ならば、他の参加者が目標物と定めてもおかしくはない。ならばまずはそのような建物を目指すべきだろう。
バルカにあった蒸気機関車の線路のような物も気になるが、それは道中確認すればいい。
ヴェイグはそう考え歩き始める。そして、一歩踏み出したところで視界の隅で何かが動いたのを感じた。
ヴェイグは素早く何かが動いた方向を見たが、そこには誰もいない。だが、たしかにそこには動くものがあった。
その動くものとは影。影があるというのに地上にその影を作り出した者の姿はない。ならば影を作り出した者はどこにいるのか。答えは簡単、空である。
ヴェイグは弾かれたように空を見上げる。そこには、炎の翼を持つ少女が鎧を纏った男の手を引いて飛んでいくという奇妙な光景があった。
(……炎ということは、あの少女もマオと同じ炎のフォルスの能力者なのか? だが、翼を作って空を飛ぶなんてことはマオには出来なかったはずだ。
火の聖獣によって生み出されたマオよりも練度の高い炎のフォルス使いが存在するとは思えないが……)
ヴェイグの頭を様々な考えが過るが、ヴェイグは首を振ってそれらを頭から追い出す。
今大事なのはあの二人の能力ではなくスタンスだ。二人で行動しているということはこの殺し合いに乗っている可能性は低い。ならば、すぐにでも追って接触する価値は十分ある。
そうこうしている間にも、二人の姿はどんどん離れていっている。少しずつ高度が下がってきているのは、飛行が長時間維持できないからなのか、どこかに降りるつもりだからなのか。
どちらにしても接触するチャンスだ。ヴェイグはそう考え、腰を落とし構えをとる。ヴェイグは剣士であり、剣を持たない今は剣技を使うことはできない。
しかし、ヴェイグはただの剣士ではなく、氷のフォルスを持った剣士だ。故に、剣が無くてもヴェイグには使える技がある。
「絶・瞬影迅ッ!」
ヴェイグの体が蒼き光を放つ。そうして走りだしたヴェイグのスピードは、常人が出せるそれを遥かに超えていた。
フォルスにより自らの俊敏性を増大させる絶・瞬影迅の力を用いて、ヴェイグはビル群の中を疾駆する。
目指すは二人との接触。クレアの元に戻るための重要な第一歩と成り得るチャンスを逃すまいと、ヴェイグはさらにそのスピードを上げていった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
- 54 :
-
藤原妹紅とブロント。
コントの騎士から逃走した二人は、快適とはお世辞にも言えない空の旅を終えて、ビルとビルの間の路地裏に降り立った。
着地するやいなや、妹紅はその場に座り込む。脱衣拳との戦闘を終えた時点で既にかなり疲労していたのだ。その状態からさらに鎧を纏った男一人を支えて飛行した妹紅の疲労は並のものではない。
一方のブロントは俯き、悔しそうに身を震わせていた。自分があの少女――東京タワーを一人で逃したりしなければ、彼女は死ななかったかもしれない。そんな後悔の念に、ブロントは襲われていた。
ナイトの仕事はタゲを集め後衛に攻撃が届かないようにすることだ。
先程の暴走した脱衣拳のような、前衛に見向きもせず後衛を襲おうとする手合いはナイトとしては戦いにくい。
故に、東京タワーを戦闘区域から離脱させてタゲを強制的に自分に集めたブロントの判断は、すべてがすべて間違っていたわけではない。
だが、ブロントは失念していたのだ。この殺し合いの場すべてが戦闘区域であり、ヴァナでいうところの街のような安全な場所などどこにもないということを。
そしてその結果、逃げた東京タワーは混沌の騎士と遭遇し、殺された。
守れなかった。唯一ぬにの盾であるナイトが少女一人を、守れなかったのだ。
いや、守れなかったのは少女だけではない。あの首輪を爆破されて死んだ少年もだ。
『助けを求めていたにもかかわらずとんずらが間に合わなかった俺もまだまだ未熟ナイトだった感だが
いつまでもネガるよりも前を見て助けられる命を助けるべきだと思った』
この殺し合いが始まった直後にブロントが言った言葉だ。実際、ブロントは助けられる命を助けるつもりだった。だが、現実はどうだ。
助けられたはずの命すら、自分は助けられなかったではないか。
その事実に、ブロントの怒りは有頂天になっていた。
その怒りの矛先が向けられているのは、東京タワーを殺した混沌の騎士と、ナイトとしての役目を何一つ果たせず、混沌の騎士をハイスラでボコることもできなかった自分自身だ。
だが、怒りをぶつけようにも混沌の騎士は今この場におらず、自分自身に怒りをぶつけるというのも無理な話だ。
やり切れない思いの捌け口を求めるかのように、ゆっくりとブロントの拳が持ち上げられる。
だが、その拳は怒りに震えこそしているものの、何時まで経っても眼前に存在するビルの壁面に振り下ろされることはなかった。
ブロントにとって、今ここで怒りに囚われた勢いのまま壁面にメガトンパンチを繰り出すことは至極簡単だ。だが、そんなことをしたら確実に辺りに破砕音が響き渡る。
そうなれば殺し合いに乗った参加者に発見されてしまうかもしれない。
ブロント一人だけならばともかく、消耗した妹紅がいる状態での戦闘は極力避ける必要がある。
一級廃人であるブロントは怒りが有頂天になっていても、冷静さを完全に失うようなことはない。
一時的な感情に流された結果、アワレにも全滅したパーティをブロントはヴァナで何度も見てきた。
謙虚なナイトである自分がそんな貧弱一般人のようなミスをしてはならない。そうブロントは必死に自分に言い聞かせていた。
その光景を見ながら、妹紅の手に握られているディムロスは複雑な心境を抱いていた。
撤退の指示を出したのは自分だ。あの場で混沌の騎士と交戦しても勝算はほとんどない。
そう判断したディムロスは、少しでも損害を減らすためにブロントの意志を無視して撤退を選んだ。軍人として、冷静に、冷酷に。
そして、その選択が間違っていたとはディムロスは思わない。だが、それでも。
(我は軍人の判断という名の下のワガママにブロントを付きあわせ、誇りを傷つけてしまったのではないか。騎士にとって、場合によっては命よりも大事なものとなり得る、その誇りを)
目の前で激しく、それでいて静かに怒るブロントを見ていると、そう思ってしまう。
何か声をかけるべきか、そっとしておくべきか。ディムロスは思案する。だが、その答えはついぞ出ることはなかった。
路地裏に、蒼を纏った一人の男が駆け込んできたからだ。
- 55 :
- 『ッ!? 妹紅ッ! ブロントッ!』
ディムロスの叫びがコアクリスタルから発せられた時には、既にブロントは動いていた。
滑らかな動きでデイバッグからベルセリオスを取り出し、闖入者に切っ先を向ける。
それに数瞬遅れて立ち上がった妹紅も、ディムロスを片手で持ちながらもう片方の手を闖入者に向け弾幕の発射体制に入る。
「おいィ? 俺は今マジでぶん殴りたくなるほどむかついてるんですがねえ……? もしお前が殺し合いに乗ってるならリアルで痛い目を見ることになる」
「私も、貴方が殺し合いに乗ってるんなら容赦はしないわよ?」
警告する二人に対して、蒼き闖入者――ヴェイグ・リュングベルは、己の叫びをもって答える。
「俺は殺し合いには乗っていない! あんたたちもそうなんだろう!?」
そのままヴェイグはデイバッグを地面に置き、両手を挙げる。降参、もしくは敵意のないことを示すポーズだ。
それを受けて、妹紅とブロントは顔を見合わせる。アイコンタクトによりブロントとの意見が一致していることを察した妹紅は、警戒を解くことなくヴェイグに問いかける。
「その言葉、はいそうですかって簡単に信じられると思う? 言葉だけじゃなくて、証拠になるような物がないと信用はできないわよ」
「証拠か……。一応、見せられないわけでもない。あんたたちが満足するかはわからないがな」
「ほう、経験が生きたなはやく見せるべきそうすべき」
「わかった。……いくぞ」
そう言うと、ヴェイグはビルに向けて手をかざす。それに呼応するかのように、両側の壁面が蒼く光った、その一瞬後。
そこには、美しく輝く氷の柱がビルとビルを繋ぐかのように生成されていた。
『この男もソーディアン無しで術を……!?』
「これが俺の力――氷のフォルスだ。もし俺が殺し合いに乗っていたなら、四の五の言わずにあんたたちを凍らせてから殺していたはずだ。
……これでは、満足できないか?」
氷柱の生成を確認したヴェイグは改めて二人に向き直り、そう告げた。
再度顔を見合わせる妹紅とブロント。
ほんの少しの逡巡の末、ブロントは剣を、妹紅は手を下ろした。
「その様子だと、どうやら満足してくれたみたいだな」
「まあね。たしかに貴方の言っている通り、不意打ちであれをやられたら結構厳しいと思ったよ。
それに、迷いなくここに飛び込んできたってことは、貴方は私達の居場所を知っていたんでしょう?」
「ああ、先程空を飛んでいたのを見たからな。後を追わせてもらった」
暑い中全力で走ってきたからだろうか、額に浮かぶ汗を拭いながらヴェイグは問いに答える。
三人からは、つい先程までのような緊迫感に満ちた雰囲気はなくなっていた。
- 56 :
- 「なるほどね。こちらの居場所を知っていて、なおかつ一撃でこちらを無力化できる手段を持っている。
それだけ揃ってるのにわざわざ姿を晒すのは、私達をつもりだったんなら下策も下策だからね。
私は貴方を信用してもいい。ブロントさん、貴方も同じ意見と考えていいのよね?」
「ぜんえzん問題にぃブリザド無詠唱で撃てるのは卑怯すぐると思うがそれがとてとてなのは確定的に明らか
強力なブリザド使いがPT入りすることで総理大臣はアワレにも絶望しひややせかくことになる」
「……つまり、どういうことだ?」
「信用するってことよ。それで、できれば貴方の名前を教えてもらえないかしら?
ちなみに私は藤原妹紅。それでこっちが――」
「俺はブロントっていう謙虚なナイト謙虚だからさんづけでブロントさんでいい」
「俺はヴェイグ、ヴェイグ・リュングベルだ。……妹紅、ブロントさん。単刀直入に言わせてもらうが、あんたたちに頼みがある。
……俺には帰りたい場所が、帰らなきゃいけない場所がある。そこに帰るために、あんたたちに手を貸して欲しいんだ」
ヴェイグは真剣な面持ちで、二人にそう告げる。
それに対して二人は――微笑を返した。
「……何がおかしい?」
「いや、ね。さっきブロントさんが、強力なブリザド使いがPT入りすることでなんとかかんとかって言ってたでしょう?
貴方が頼みごとをする前から、ブロントさんは貴方と一緒に行動することを決めてたのよ。もちろん、私もそれは歓迎するわ。
……それに、私たちにも手伝ってほしいことはあるしね」
「頼られたくて頼られるんじゃない頼られてしまうのがナイトだからなPTメンバーを助けるのはナイトとして当然に決まってるでしょう?」
「ありがとう、二人とも。……よろしく頼む」
その言葉と共に、ヴェイグは両の手を妹紅とブロントに差し出す。
そして妹紅とブロントも、差し出されたその手を、しっかりと握り返す。
その光景を祝福するかのように、先程ヴェイグが作り出した氷柱が、陽光を浴びてキラキラと輝いていた。
「ところで妹紅。その衣服……そういう趣味なのか?」
「私だって好んでこんな格好してるわけじゃないわよ!?」
【港区・路地裏/一日目・午後】
【藤原妹紅@東方Project】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(極大)左腕骨折(応急処置済み) 混沌の騎士へ怒り
[装備]:ソーディアン・ディムロス、スク水
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本:主催者を懲らしめ、幻想郷に帰る
0:脱衣拳……
1:ブロント、ヴェイグと行動する。少し休みたい
2:ミクトランと混沌の騎士は倒す
※再生能力は制限により弱体化しています。
※飛行及び空中での能力連続使用に制限。
【ソーディアン・ディムロスの思考】
1:ブロントに声をかけるべきか……?
2:ミクトランがこの会場に……?
- 57 :
-
【ブロント@ファイナルファンタジーXI】
【状態】:ダメージ(中)、疲労(中)自己嫌悪、東京タワーの死にショック
【装備】:ソーディアン・ベルセリオス、ガラントアーマー+1(ガントレットのみバッグ内)
【道具】:基本支給品一式、
【思考】基本:主催者をボコる
0:脱衣拳……
1:他の参加者を探し、戦えそうなら仲間に、戦えなさそうなら保護
2:殺し合いに乗ってる奴はメガトンパンチ
3:ミクトランと混沌の騎士は倒す
※制限によりキングベヒんもス等は召喚不可
【ヴェイグ・リュングベル@テイルズオブリバース】
[状態]:疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品 ニンテンドーDS@現実、PSP@現実、iPad@現実(表面に少々の傷アリ)
[思考・状況] 基本:クレアの元に帰る。
1:殺し合いには乗らない。
2:妹紅、ブロントと行動。
3:同じ志を持つ参加者を探す。出来れば剣も手に入れたい。
4:自分に与えられた支給品を使いこなせる参加者も探す。
以上で投下は終了です
タイトルは『結束 UNITY』
指摘等あればよろしくおねがいします
- 58 :
- 投下乙です。
頼もしいトリオが誕生しましたね。光と炎と氷があわさり最強にみえる
- 59 :
- 投下乙!
ブロントさんの精神状態が若干不安だが、対主催戦力としてはかなり強い3人が揃ったな。
ヴェイグの嫌がらせ支給品は、もしかしたらブロントさんが使えるか……?
- 60 :
- 投下乙!
これはまた安定感のあるトリオができたな
打倒混沌の騎士の道も見えてきてはいるのか…?
それと>>54の二行目、コントの騎士となっていますが混沌の騎士ですよね?
- 61 :
- >>60
その通りですね、申し訳ない
wiki収録の際に修正させていただきます
- 62 :
- ゲリラですみません。
フグ田サザエ、ディアボロモンで投下します。
- 63 :
- がしゃがしゃとやかましい音を鳴らしながら、金属の塊が東京都を暴走していた。
元々、車の往来が激しい東京都であれば、暴走族などの存在も決して珍しいものではないだろう。
だが……
さすがにこれは珍しい。珍しすぎる。
「なんか馴れてきたら風が気持ちいいわー!」
セットするのに結構時間かかるであろう奇抜な髪型の主婦が、風を受け笑顔となっている。
乗っているのが自転車やバイクなら問題ないだろうが、この主婦が乗っているのはあの【オメガ】である。
しかも正しくは【乗っている】ではなく【はまっている】だ。
上半身は主婦、下半身はオメガ。
上半身がもし仮に白髪の庭師であればきっとみょメガとかかわいいあだ名をもらえたであろう姿だ。
この主婦の名前はフグ田サザエなので、とりあえず【サメガ】とでも呼んでおこう。
うん、かわいくない。
「これうまく運転できたら、あのお魚くわえたどら猫にもあっという間に追いつけそうね!」
能天気なことを呟きつつ、サメガは暴走を繰り返す。
世田谷方面ではどうほうを撃ったりした彼女ではあるが、あくまでそれはうっかりである。
あれ以来、はどうほう発射スイッチは勿論、じしんやかえんほうしゃも使っていない。
ただ、体のバランスを保つために無意識に握っているバーが……
常に前倒し、最高速度で前進し続けているだけだ。悪いことはなにもしていない。
なお、下半身のオメガの強度はそんじょそこらの機械とはわけが違う。
上半身は生身の主婦だが、そのはまっている位置は丁度真ん中である。
つまり壁に激突するのは、まずオメガのボディというわけだ。
さて、現代日本の一般建造物が。
超速(ブレーキ無し)の巨大な金属の塊に突撃されて耐え切れるだろうか?
答えは……NOッ!
「あらやだ! また見知らぬ人の家を壊しちゃったわー」
テヘペロッ! とでもいいそうな顔で、しかしそれほどサメガは悪びれない。
ここにつくまでどれほどの民家や会社の壁が犠牲になったかはあえて伏せておく。
せめてもの救いは、それら建物の中に篭城していた参加者がいなかったことだろう。
とはいえ、それもある意味では不幸かもしれない。
ここ数時間に及ぶサメガの暴走……これはもはや……
【一回誰かを轢き殺さなければ】ことの重大さを理解してくれないからである。
確かに、このバトルロワイアルの参加者には意外と特殊スタンスの参加者が多い。
悪質な契約勧誘、破滅願望、性欲優先、脱衣……
色々いるが、彼らはバトルロワイアルのルールは理解している。
だがこの主婦は、それすらしていない。どこぞのサーチアンドイートクリーチャーと同レベルなのだ。
仮にも一般人の主婦が、クリーチャーと同レベルってどうなのよとも思えるが、仕方がない。
とにかく、この主婦はいい加減にバトルロワイアルとは何かを理解しなくてはならない。
本人のためにも、そして巻き込まれる他の参加者のためにも。
他の参加者と、会話をすればこの主婦もルールを理解できるだけの頭を持っている。
ただオメガの移動速度が速すぎて、途中出会った参加者と会話できなかった……これが彼女の不幸といえる。
だが時計が夕方の時刻を指し示す頃、ついにその不幸が終わりを告げる。
- 64 :
- 「キャハハハハハッ! いやー、やっと千秋ちゃん以外の参加者に出会えたよ!」
オメガに勝るとも劣らない、超高速移動でサメガに接近する存在……
このバトルロワイアルにおいて、間違いなく最上位の戦闘力を有するディアボロモンである。
この悪魔とまともに正面からぶつかれる参加者は限られるし、また彼らもおそらく正面からはぶつからないだろう。
それほどの強敵と出会ってしまったサメガは、不幸なのではないか?
と言いたいところだが、実はそうでもない。
確かにディアボロモンは非常に強い。だが、強すぎるからこそ他参加者にも中々見られない程の慢心がある。
バトルロワイアルを【遊び】としか認識しない彼にとって、他の参加者は【遊び相手】にすぎない。
いつでも殺せるが故に、長く楽しむためにあえて生かし、泳がす。
飽きたり、ゲームの制限時間が近づいてきたらぱぱっと片付ければいいだけのことだから。
いずれは殺されるかもしれない。だが、ディアボロモンと出会ってすぐには殺されない可能性は非常に高い。
そういった意味で、ディアボロモンの恐怖からサメガはようやくバトルロワイアルの恐怖を安全に理解できる。
バトルロワイアル会場においてルールを理解していないなど問題外もいいところだ。
これでサメガもようやく、一参加者としてこれからの行動を考えることができるのだ。
「僕の名前はディアボロモン。ねえねえ、そこの急いでるおばさん、僕とゲームをしないかい?
僕がおばさんの大切な人を殺せば僕の勝ち。おばさんが僕を倒して大切な人を守れればそっちの勝ちさ。
どうだい、この――」
「邪魔よぉぉぉぉ!」
「おにごぇ!?」
ディアボロモンが台詞を喋り終える前に、サメガの鋼鉄下半身がディアボロモンにめり込んだ。
高速移動で回り込んだディアボロモンに対し、同じく高速移動で突っ込むサメガ。
受ける側の方がダメージが大きいのは当然であり、またディアボロモンは割と細身の部類である。
まるでコントのごとく吹き飛ばされ、きりもみ回転しながら近くの民家に突っ込んだ。
「やだもぉー! デパートの屋上ショーやってそうな人撥ねちゃったわ!
あとでデパート側から治療費請求されたらどうしましょ! 今月わりとピンチなのにぃー!」
だがサメガは、その光景を見てもまだほとんど動じない。
ディアボロモンの外見にも、今まさに自分がひき逃げ事故を起こしたことに対してもだ。
それどころか家計を心配するありさま。
この主婦は、下半身だけでなく、ある意味で精神も鋼鉄と言って間違いない。
そしてここまでずぶとく強固だと、ある問題が生じてくる。
はたして、このサメガに、バトルロワイアルのルールを説明してくれる猛者は現れるのだろうか?
【文京区・住宅街/1日目・夕方】
【フグ田サザエ@サザエさん】
[状態]:健康、おっちょこちょい、下半身がオメガにはまってる
[装備]:対個人用核爆弾(残り3)、オメガ(損傷有)
[道具]:基本支給品一式、ガイアメモリ・WEATHER
[思考・状況]基本:バトルロワイアルも行き当たりばったり、なんとかなる!
0:止まりたいけど、止まれない。現在北東方面に爆走中(本人無自覚)
1:他の参加者と支給品を交換して食材を手に入れる
2:夕飯時までにはバトルロワイアルを終わらせたい
3:食材が集まったら自宅に帰る
4:撥ねた人大丈夫かしらー?
※カオス準拠により、うっかり補正あり
※支給品の説明書を読んでいません
- 65 :
- 「ぐっ……ハハハハハハハハハハハハハ!」
サメガが去ったすぐ後、ディアボロモンはむくりと起き上がった。
不意すぎる一撃だったが、究極態であるディアボロモンにとっては致命傷とはなりえないのだ。
「へえ……僕が、人間に傷つけられるなんてなぁ……」
とはいえ、ダメージを受けたことは受けたのだ。
その事実を、ディアボロモンはゆっくりと噛み締める。
「これもハンデ……? いやいや……当然だよねぇ、落ち着いて考えれば。
普通にやったら、僕の圧勝だもの。それじゃゲームは一方的で楽しくないもんね」
そして、主催者の言っていた言葉を思い出す。
一方的な展開を防ぐための、制限措置。これがあるからこそ、今自分は傷を負ったのだ。
「……相手によっては、遊びもほどほどにしなきゃいけないってところかな?
まあいいや。あのおばさんはまるでこっちの話聞いてなかったし、追いかけるの面倒だし……
この周辺で他の遊び相手探してみるとしよう」
僅かに【警戒】ということを覚えた悪魔は、撥ねられた痛みよりも、次こそまともな遊び相手と会えることへの
期待に胸を膨らませていた。
弱ければ、千秋と同じようなことをしてやればいい。
強いなら、戦いごっこに興じてみるのも悪くないかもしれない。
それにここは、地図の中心に近い。
獲物には――困らない。
【ディアボロモン@デジタルモンスターシリーズ】
【状態】ダメージ(小)疲労(小)、僅かな警戒心
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、不明支給品1〜3(確認済み)
【思考】
基本:楽しく遊びながら優勝する
0:この周辺で遊べそうな参加者を探してみる
1:他の遊び相手を探す
2:優勝したら何してもらうか考える
3:新たな遊びを考える
4:おばさん(サザエ)を僅かに警戒
【備考】
※ネットワークに侵入不可
※プログラムの支配、改変能力に制限がかかってます
※戦闘能力に関する制限は現在詳細不明。
※殺戮や破壊を遊びとしか認識していません
※もしカナとハルカを見つけたらどうするかは後に任せます(名前は知っているが姿は知らない)
※口調はカオスロワ準拠です(原作映画は無口)
- 66 :
- 投下終了です
タイトルは【今は悪魔より主婦が微笑む時代なんだ!】で。
問題がありましたら、ご指摘お願いします。
- 67 :
- 投下乙です!
駄目だこの主婦www頭のネジが少なくとも二桁は飛んでやがるwww
しかしまあ、オメガに轢かれるって並の参加者なら即死クラスだよな
そんな脅威を無自覚に振りまいてるんだから恐ろしい……
- 68 :
- サザエwwwwww
オメガに手傷を受けるのはある意味で原作再現ですね。
遊び相手を探して何時間も一人でうろうろしていたディアボロモン・・・・・・
だからコーヒーを支給しておけとあれほど(ry
- 69 :
- それと外伝におかえりなさい。
これからもリスタート後でも書き続けてくれることを期待しています!
- 70 :
- ◆6/WWxs9O1s、アーカード、柊かがみ、イチロー、キョンで投下します。
- 71 :
- 「それじゃあかがみさん。僕は彼とコンタクトを取ってくる。
かがみさんは安全だとわかるまで、この建物で待機していてくれ」
「はい。……イチロー選手、気をつけてください」
柊かがみを建物内に残したまま、イチローは単身真向かいにあるファミリーレストランへと向かう。
そこに逃げ込んだ少年・キョンと接触するために。
すでに日差しは弱まり、夕闇が近づいているのがわかる。
(もうすぐこのゲームが始まって4時間経つ……
まずいな。かがみさんも心配しているし、早く秋葉原に向かわなければ)
しかしファミレスにいる彼を放っておくことはできない。
願わくば彼が殺し合いに乗っていないことを――そう願いながら店に入ろうとするイチローの歩みは
「誰かー!誰か助けてくれー!殺されるー!!」
突然聞こえてきた救いを求める声に止められた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「誰か助けてくれー!殺されるー!!シニタクナーイ!」
今、全力で走りながら拡声器で大声を上げている俺はバトルロワイアルに巻き込まれたごく一般的なパロロワ書き手。
強いて違うところをあげるとすれば現在進行で怪物に追いかけられてるってことカナ――名前は◆6/WWxs9O1s。
「なんてネタやってる余裕無ぇーーー!!」
思わず拡声器を通して絶叫する6/。
そんな彼の背後を、最強の吸血鬼・アーカードはまるで影のように着かず離れず追ってくる。
この現状は数十分前に遭遇したときから変わっていなかった。
一緒にいたKAITOの奴は……支給品でも使ったのだろうか……うまいことこの怪物から逃れたらしい。
その結果、6/はたった一人でアーカードと命がけの鬼ごっこをするハメに陥っていた。
そんな最悪の状況でも彼にとって幸運だったのは、「彼の支給品が拡声器だったこと」。
パロロワ書き手である6/は、ロワ会場での拡声器の使用が死を招くことを無論知っている。
しかし彼は今、拡声器の最大音量で助けを求める声を垂れ流している。
何故なら、拡声器を使い助けを呼ぶことこそが、アーカードに殺されずに済む唯一の手段だったからだ。
アーカードの狙いは、6/を助けにきた参加者と戦うこと。
自分で拡声器を使って呼びかけてもいいが、こんな殺し合いの中で他人を助けようとする人間を誘うためには6/にやらせたほうが都合がいい。
アーカードが求めているのはそんな参加者との戦いであり、6/はその広告塔として生かしてもらっているに過ぎない。
もし叫ぶのを止めれば、彼はすぐさまアーカードに殺されるだろう。
奴がその気になれば、追いついて6/を捻りなどわけもないことだ。
(そうだ。あの怪物が求めてるのは殺戮というより闘争
それも人間との……って、何で俺はそんなことがわかるんだ?)
最初にあいつを見たときにも既知感を感じた。
(ひょっとして……これは書き手特有の「メタ知識」ってやつか?
ハッキリ思い出せないのは俺に制限が科せられているからなのか?)
そんな事を考えながら、6/は声を張り上げる。
「誰かー!助けてくれー!」
危険人物を呼び寄せるかもしれないがそれでもいい。
誰かが来れば状況が変化して、生き延びるチャンスが生まれるかもしれない。
すでに限界に近い疲労の中で彼は必死に助けを求める。
「助けて――――」
- 72 :
- 「君!大丈夫か!」
その声に応えたのは、背番号51を背負う男だった。
◇
「あんた……ひょっとしてイチロー?」
「安心してくれ、僕は君に危害を加える気はない。
そちらのあなたも戦う気がないならそこで止まってくれ!」
6/に力強い笑顔を見せながら、イチローはアーカードを牽制する。
しかしアーカードは歩みを止めない。イチローを見据えたその瞳には喜悦の色が宿っている。
対するイチローの頬を冷や汗が伝う。彼は一目見て直感で理解したのだ。相手が人の理を外れた存在であることを。
「あなたは……殺し合いをするつもりなのか!?」
「答えはイエスだ。私からも一つ訊かせてもらおう。お前に時間制限は科せられているか?」
「時間制限……? 何のことだ?」
「無いのなら良い。今度こそ骨の髄まで灼けるような戦いを最期の最後まで楽しめる」
その僅かな会話の中で、彼らは互いに理解していた。これ以上の説得や交渉は無駄だと。
「ゼエ……ゼエ……」
走り疲れた6/は肩で息しながらイチローの背後に回る。
その間、アーカードは笑みを浮かべたまま、イチローはボールを握ったまま動くことなく対峙していた。
先に動いたほうが殺られる。そんな緊迫した空気は
「イチロー選手!何かあったんですか!?」
駆けつけてきた柊かがみの声で引き裂かれた。
かがみに悪気があったわけではない。
彼女はファミレスに入らず走り出したイチローを心配して、何かあったのか突き止めようと
6/の声を頼りにここまでやってきた。
しかし今、彼女は最悪のタイミングでこの場に現れてしまった。
「!!? かがみさ――!」
かがみに気をとられたイチローに隙が生まれる。
僅かだが、決定的な隙が。
その間にアーカードは一瞬でイチローとの距離を詰めると徒手で殴りかかる。
「クッ――!」
咄嗟にバットを取り出して防御するも、アーカードの一撃はバットを砕き
そのままイチローの腹部に突き刺さった。
「――――ッ!」
そのたった一撃でイチローの体が宙を舞い、近くの民家の中まで吹き飛ばされた。
「イチロー!」
「イチロー選手!」
6/とかがみの口から悲痛な叫びが漏れる。
その中でアーカードだけは笑いを崩さなかった。
「どうした? まだ終わりじゃあるまい。
闘争はまだ始まったばかりだろう!
さあ立て。立ち上がって私を打ち倒せ!HURY!HURY!HURY!HURY!」
- 73 :
- ◇
(私の……私のせいなの……?
私が声をかけたりしたから……余計なことをしたから、だからイチロー選手は……)
地に伏したままのイチローと笑うアーカードを見て、かがみは取り返しのつかない後悔に襲われる。
(このままじゃイチロー選手が殺される……私のせいで……)
その時彼女は思い出した。自分に残されていた、たった一つの武器のことを。
「嘘だろイチロー……っておい!お前なにする気だよ!」
6/が止めるのも聞かず、かがみは走り出していた。
ドンッ
体に軽い衝撃を感じてアーカードは背後を振り返る。
彼の腰の辺りに、円柱のような奇妙な剣が突き刺さっていた。
そしてその剣を握っているのは、真っ青な顔で震えながらもアーカードを睨みつけるツインテールの少女だった。
「イチロー選手!目を覚ましてください!」
アーカードに突き刺した乖離剣エアに力を込めつつ、かがみは叫ぶ。
この男に立ち向かうことも、人を傷つけることも恐かった。
しかし、自分の失敗の責任をとる方法を、彼女は他に思いつかなかった。
「このっ!化け物!」
返り血を浴びながら、かがみは祈るように更に力を込めてアーカードの肉を抉る。
その様子を、アーカードは微動だにせず見つめる。
「素晴らしい……」
「えっ……?」
アーカードの口から零れたのは、苦痛でも憤怒でもなく
かがみに対する賞賛だった。
突然の賛辞に、かがみは思わず力を緩める。
「お前は私に戦いを挑んできた。
私を化け物(ミディアン)と知りながら、力の差を知りながらそれでも挑んできた。
そうでなければならない!化け物の敵は人間でなければならない!
お前は犬ではなかった!お前はあの連中と、あの素晴らしい連中と同じだ。
あの黒い戦士と、あのユニフォームの男と、あの教授たちと同じ、人間だ!」
だからこそ
と、アーカードはかがみの左手を掴むと
そのままかがみの体を宙吊りに持ち上げる。
「ひッ――」
メキリ、という嫌な音と同時に、かがみの左手が砕けて折れ曲がった。
「ひいッ!?がああああああああぁぁぁ!」
激痛で絶叫するかがみに、アーカードは顔を近づける。
「あ……ア……」
「だからこそ、お前は私の敵なのだ。人間(ヒューマン)」
かがみが最後に見たものは、アーカードの顔、そしてその口から覗く鋭い牙――――
- 74 :
- ◇
イチロ―――目を覚―――――
「う…………」
誰かの声が、イチローの意識を気絶から呼び起こした。
(僕は……あの男にやられて気を失っていたのか……
ほぼ逝きかけていたな……)
「がはッ――!」
体を起こそうとすると激痛が走り、口から血が溢れる。
血を吐きながらもなんとか立ち上がるイチロー。
「か――」
その目に飛び込んできたのは
「かがみさん!!」
アーカードによって首筋に牙を突き立てられた柊かがみの姿だった。
「うおおおおおおおおおおおお!」
傷ついた自分の体のことも忘れて、イチローはレーザービームを放つ。
正確無比の軌道で投げられたボールはかがみを傷つけることなく、アーカードの頭部・鼻から上だけを吹き飛ばした。
「かがみさん!」
アーカードの体が倒れ、かがみが投げ出される。
痛んだ体を引きずりながら、イチローはかがみの元に駆け寄った。
「かがみさん!しっかりするんだ!目を開けてくれ!かがみさん!」
しかしかがみは動かない。その顔は紙のように白くなり、首筋の噛み跡からは血が流れ続けている。
「……だけど、まだ心臓は止まっていない。微かだけど脈はある」
かがみを抱きかかえると、イチローは呆然としている6/に近づく。
「――君に頼みがある」
「えっ、あ、はい」
「この子を連れて、どこか安全な場所まで逃げてくれ」
その背後では、頭部を失ったアーカードがむくりと身を起こしていた。
「僕は奴との決着をつける。だから出来るだけ、ここから遠ざかってほしい」
「わ、わかりました!」
意識のないかがみを背負うと、6/は一目散にその場から逃げる。
その背中を見送ると、イチローは怪物へと向き合った。
「素敵だ。人の身でよくぞここまで練り上げた」
「…………」
「だが私をのに頭を狙ってはいけない。狙うべきは心臓(ココ)だ」
己の心臓を指差しながら、アーカードは頭部に唯一残された口だけで笑う。心底愉快そうに。
「……これ以上の暴虐は決して許されない」
それに対し、イチローは静かな怒りと闘志を込めてボールを握った。
- 75 :
- ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
レーザービームが乱れ飛び、ビルが崩れ、吸血鬼の笑いが木霊する。
台東区の一角はたった二人の戦闘者によって破壊され尽くしていた。
夕焼けの中、永遠に続くように思われた戦いにも終わりの時が訪れる。
「ぐっ――――!」
地面に膝を屈するイチロー。彼の手元にレーザービームとして使える野球ボールはもう無い。
そして最初に受けたダメージに加え、その後負った傷とレーザービームを連発した疲労は確実に彼の命を蝕んでいた。
「ああ、楽しい。実に楽しいな。
こんな時間を過ごすのは一体何時以来か」
そう言うアーカードは、もはや人の形を成していない。
幾度もレーザービームの直撃を受け、幾度も倒壊した建物の下敷きになったその身体は
両手は消し飛び、頭は吹き飛び、片足はどこかに消え、腹部には幾つもの大穴が空けられている。
しかしそのような動く肉塊になっても、心臓はまだ無傷のままだ。
(僕の力が尽きるまでに奴を倒さなければ――)
しかし自分に残された武器はもう無い。
バットもボールも失い、酷使したグローブはすでに襤褸と化している。
(だがここで奴を倒さなければ、これからも被害者は増える。かがみさんのような――)
その時、地を這う彼の目は瓦礫に埋もれた剣を見つけた。
かがみが彼を助けようと振るった、あの異様の剣を。
(これを――使えば――!)
極限戦闘下の直感で、イチローはその剣…乖離剣エアを掴み取る。
そして残された最後の気力を振り絞り、再び立ち上がった。
「その剣……そしてその構えは」
アーカードは再生中の顔に、困惑の表情を浮かべる。
イチローはまるでバッターボックスでバットを構えるように、エアを振り上げていた。
彼の武器はレーザービームだけではない。
安打製造機と呼ばれる所以となった打撃もまた、彼の武器なのだ。
そして構えながらイチローは感じ取っていた。この剣の本当に使い方を。
(僕に……僕に勝利を齎してくれ!)
イチローは祈りと共に、彼の肉体と魂に宿る力、野球力とでも言うべき力を、魔力の変わりに乖離剣へ注ぎ込む。
そして、彼の願いに応えるかのように乖離剣が震え始める。
その刀身から巻き起こるのは破砕の暴風か、救済の神風か。
全てを原初に還そうとする風が、イチローを、アーカードを、彼らの周囲の全てを包み込んでいく。
「……素晴らしい!素晴らしいぞ!」
アーカードは巻き起こる風に全身を刻まれながら、この上ない歓喜の声を上げていた。
しかし彼に喜びを与えたのは神造兵器・乖離剣エアの威力ではない。
人の身で乖離剣の力を発動させたイチローの、人間としての精神であった。
「そうだ!人間よ、私を殺せ!私と私の中の地獄を殺し尽くしてみせろ!
HURY!HURY!HURY!HURY!HURY!HURY!HURY!HURY!HURY!HURY!HURY!HURY!」
- 76 :
-
破壊の嵐の中、身体を刻まれながらも、イチローはバッティングの姿勢を崩さなかった。
そして自身の全てを込めて、乖離剣を振り抜く。
「天地乖離す(エヌマ)――――」
心に浮かぶ、剣の真名と共に
「――――開闢の星(エリシュ)!!」
そして光が全てを包み――――全てが消えた。
◇
原初の光の中
星々の始まりの中
其処には人も無く魔も無く
昼も無く夜も無い
終わる 彼の世界が終わる
(醒めない悪夢なんかないさ。伯爵)
彼の世界が終わる 彼の世界が飛散する
◇
全てを消し去る光の中
イチローの脳裏に最後に浮かんだのは
自分が世界一愛する場所、野球場の景色だった。
超満員のスタジアム、ファン達の声援、掛け替えないチームメイトたち
そうだ。ここから帰ったら、かがみさんを試合に招待しよう。
彼女は喜んでくれるだろうか。笑ってくれるだろうか。
(そうだ……僕は帰らなければ……僕が戦うべき球場に……僕がいるべき場所に……)
そんな彼の望みを、全てを、天地乖離す開闢の星は飲み込み、消し去っていく。
- 77 :
- ◇
戦いが終わった後の、台東区の一角。
そこには何も残っていなかった。人も、街も、戦いの痕すらも。
ただ一つ、この圧倒的な破壊を齎した原因である乖離剣エアだけが、無傷のまま更地に残されていた。
【台東区/一日目・夕方】
【アーカード@HELLSING 死亡確認】
【イチロー@実在の人物 死亡確認】
※台東区の一角(地図の6-Wの辺り)が壊滅しました。
※アーカードとイチローの死体、首輪、支給品は消滅しました。
※乖離剣エア@Fate stay nightが放置されています。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
俺はずっとトイレに篭っていた。
吐き気と便意のダブルパンチに襲われてたし、正直これからどう動けばいいか決めあぐねてたからな。
最初は地震かと思った。俺のいるトイレがガタガタと揺れ始めたからだ。
「こ、今度はなんなんだ一体!?」
便座にしがみついて耐えながら、俺は揺れが収まるのを待った。
揺れが収まった後、トイレの扉を開けた俺は仰天した。
さっきまでたしかにあったファミレスが、ちょうど俺が篭ってたトイレの直前で
まるで竜巻に吹き飛ばされたように消滅していたからだ。
何が起こったのかわからない。
俺はしばらくバカみたいに突っ立って消え去った店内を眺めていた。
【台東区・ファミレス跡地/一日目・夕方】
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
【状態】驚愕
【装備】団長腕章@らき☆すた
【道具】支給品一式、ランダム品0〜2(本人確認済み)
【思考】
基本:殺し合いからの脱出
0:なぁにこれぇ……
1:早急にハルヒを探して、合流する。
【備考】
※ハルヒがこの会場にいないことに気付いていません。
- 78 :
- ――――遠くで大きな音がした。
なぜ私はこんな所にいるのだろう。
私は誰かの背中で揺られている。
今私が感じるのは、日光が肌を灼く痛みと、激しい渇き。
そして自分を背負って走っている男の荒い息と、心臓の鼓動、鼓動とともに流れる、その――
「な、なんだよ今の音は……!」
イチローから託されたかがみを背負って走る6/の耳にも、乖離剣による破壊の音は届いていた。
「クソッ……イチロー、どうか無事でいてくれ……!」
限界を越えてもつれそうになる足をなんとか動かし、6/は走り続ける。
その背中で、かがみの体が小さく動いた。
「……っ……う……」
「!! おい!目が覚めた――――」
かがみが意識を取り戻したことに気づいて振り返ろうとする6/
その首筋に痛みが走った。
同時に、体から力が抜けていく。
「え……?」
走ることはおろか立つことすらできず、6/は地面に倒れこむ。
「か……は……」
意識が消える瞬間、彼が見たものは
自分の首筋に鋭い牙を突きたてて血を啜る柊かがみの姿だった。
◇
吸血鬼に咬まれたものは吸血鬼になる。
吸血鬼の存在とともに世界中に伝わっているこの伝承の通りに
アーカードによって吸血されながら生き長らえた少女、柊かがみは呪わしい夜の住人として黄泉返った。
「…………」
吸血鬼となったかがみはその本能に従い
渇きを癒すために6/の血を吸い続ける。
血とは魂の通貨、命の貨幣。
血液と同時に、6/の記憶もまたかがみの中に流れ込んでくる。
パロロワ
書き手
一般人
怪物
マーダー
対主催
支給品
制限
「ぱ……ろろ……ワ?」
6/の血を吸った際に一緒に吸収した言葉を、思わず呟く。
しかしそれはまだ曖昧な彼女の意識の中で意味を持つことはない。
朦朧とした頭でかがみは考える。
自分の目の前で倒れている男は誰だろう。
なぜ夕陽を浴びると、体中がこんなに痛むのだろう。
そして自分の口の中に広がっている、この味は――
- 79 :
-
「…………」
吸血によって意識を失った6/を放置したまま、かがみは身を焦がす太陽から逃れて日陰に移った。
暗がりに隠れると、彼女は自分の事を思い出す。
私は◆6/WWxs9O1s
違う
私は柊かがみ
鷹宮神社の娘で家族は父と母と二人の姉と双子の妹
友人は……
「こなた…………こなたに会わなくちゃ」
自分の体に起きた異常を正確に理解しないまま
かがみは出来るだけ日の光の当たらない道を選んで歩き始める。
約束の地は近い。すでに目と鼻の先だ。
もうすぐ夜が訪れる。彼女がなってしまったモノたちの時間が。
少女はおぼつかない足取りのまま、闇の奥へと進み続けていった。
【台東区・秋葉原/一日目・夕方】
【◆6/WWxs9O1s@カオスロワ書き手】
[状態]:吸血による大量失血、意識不明、疲労(極大)
[装備]:拡声器
[道具]:ゴーカイジャのフィギュア@現実、豚でもわかる!風水大全〜方位編〜@現実?、同人誌、基本支給品一式
[思考・状況]
基本:主催者を倒しこの物語を『HAPPY END』にする
0:…………
※国会議事堂で、一部人外参加者の姿を確認しています
※豚でもわかる!風水大全〜方位編〜@現実?はまったく読んでいません。
※『パロロワ』に関する最低限の知識はすべて持っています。
※『アニメ』などに関する知識には制限かかけられているようですが、状況によっては思い出すかもしれません。
※自分の名前を『◆6/WWxs9O1s』と思っていますが、それに違和感を感じています。
※KAITOからガチャピンが危険人物だと聞きましたが疑っています 。
※参加者は並行世界から呼ばれたのではないかと推測しています。
※KAITOの世界の事を聞きました。
※吸血鬼(柊かがみ)に吸血されました。吸血による影響は次の方に任せます。
【柊かがみ@らき☆すた】
【状態】:吸血鬼化、意識朦朧、右手骨折(回復中)
【装備】:なし
【道具】:基本支給品一式
【思考】
1:こなたに会うために秋葉原の電気街まで行く
2:太陽光が痛いので日陰を進む
※吸血鬼化しました。
※◆6/WWxs9O1sから吸血の際に何か知識を得たかもしれません。
- 80 :
- 280 名前: ◆3DvbxWvM5k[sage] 投稿日:2012/03/19(月) 19:30:14 ID:SZIUAGKs [2/2]
さるさんをくらったのでこちらに。
以上で投下は終了です。
タイトルは《Dead END》でお願いします。
一応こちらにコピペ
投下乙です!
おお、イチロー……あんたはよく頑張ったよ
しかし6/氏は意識不明、かがみは吸血鬼化の上意識朦朧とは随分な影響が出たな
そんな大事件が起きてたのにトイレに篭ってた結果難を逃れたキョンは運がいいのか悪いのかw
- 81 :
- 投下乙!
イチロー熱いなぁ……
しかし6/もかがみも大変なことになってしまってこれからどうなるやら。
そしてそんな中(ある意味)ぶれないキョンにも期待してしまうw
最強ボスマーダーの一角が落ちたが、何気にマーダー勢では初死亡者なんだな。
なんとなく旦那が参加者の中で一番強いイメージがあったが、他はもっと強かったり?
誰か暇な人いたら他ボスキャラのおおまかなステータスと必殺技を教えてくれるとありがたい。
- 82 :
- ぶっちゃけた話他のボスよりアーカードの制限は結構きつめだったしね
不死性はぶっちぎりだけど火力が足りない
クロムウェル制限はかなりきつい
何はともあれ投下乙
- 83 :
- ロワに限らず、旦那は火力不足って話はどこかで見たな。
>>81
・ミクトラン
HP480000、物攻1584、魔攻1200、物防900、魔防800
必殺技・アンビバレンス他
弱点・音、射属性
・マグニスさま
必殺技・首コキャ、走破焔錬衝
・サザエさん(オメガ)
HP55530、物攻115、魔攻199、物防190、魔防150、回避95、速度76
必殺技・サークル(制限により使用不可)
弱点・雷、時間停止
※常時リフレク(魔法反射モード)
・最終防衛システム
総合HP54900、物攻128、魔攻128、物防128、魔防128、速度128
必殺技・スターバスター(制限により連発不可)
・昏き海淵の禍神
総合HP70000、物攻85、魔攻85、物防71、魔防71、速度63、運72
必殺技・カオステンタクル(制限により連発不可)
弱点・炎、氷、雷
・神体ニアラ
総合HP80000、物攻224、魔攻224、物防141、魔防113、速度76
必殺技・真竜メテオ2020(飛行制限によりおそらく使用不可)
弱点・全状態異常
自分がわかる範囲だとこれくらい。マグニスさまとディアボロモンはちょいわからん。
あくまで各世界での数値だからあんまりあてにならないが、皆馬鹿高い認識でOK。
ぱっと見の数値と、制限の緩さ的にミクトラン有利か……?
まあ全員出展元からして人間1〜5人で倒すことは可能だし、制限や弱点をつけば誰でも倒せる可能性はある。
まず強力な支給品が必要だけど。
- 84 :
- ディアボロモンだけじゃなく旦那や皇帝は出展先がゲームじゃないから、数値じゃ無理だね。
まぁ、ロワで数値なんざ主人公補正程ではないにしろアテにならんからいいか。
- 85 :
- この数値をそのまま適用しちゃうとミクたん無双になっちまうなw
でも音が弱点なら、ボカロ勢やカービィの歌に皇帝のカラオケマイクをあわせれば一撃必殺もあるな
凶器・カラオケマイクもカオスロワならありだろうし
しかしニアラの弱点それラスボスとして致命的じゃねw?
でもブレス吐けるなら上空から参加者狙い撃ちとかすごい有利そうだな
そこに射程の長いミクの鞭とマグニスさまの術が加われば磐石な気がしなくもない
- 86 :
- ゲームシステム違うから数字なんてあてにならないw
設定や攻撃の破壊規模で考えた方がいいんじゃね?
- 87 :
- ミクトラン……自称天上の王
【アンビバレンス】
全術技の中でも最高ランクの破壊力を持つ光と闇の混合晶術。
天からの雷の後、地からの雷が対象を貫く。
単純な威力だけなら第二形態の奥義メルティアスよりも上だが、攻撃範囲が狭く回避しやすい。
【セラフィックフェザー】
イベント戦で猛威をふるったミクトランオリジナル晶術。
広範囲に強力な光を撒き散らすが、ミクトランに密着してれば回避は余裕
オメガ……英雄達が撃破を諦めた最終兵器
【サークル】
カウンター技としてのみ使用。
発動されたらまず回避はできず、食らえば記憶を消されて戦闘から永久除外の狂った技。
でも制限で使えない。サザエさんがうっかり使う恐れもあるが。
【はどうほう】
オメガのメインウェポン。最大HPの50%を削る全体割合ダメージの青白い光線。
2発続けてくらえば問答無用で死ぬ。回避もまずできない。
最終防衛システム……神を越える最終兵器
【スターバスター】
世界を消し飛ばした過去を持つ核爆弾を上回る威力の全体防御無視の赤い光弾。
ダメージに多少ばらつきがあるが、2発食らえばまず死ぬ。回避は不可能。
昏き海淵の禍神……宇宙を巡る本物の神
【カオステンタクル】
驚異的な破壊力を持つ、突属性単体攻撃。下半身(脚)を縛られると使用不可。
その威力は、一般冒険者なら100回死んでもおつりが来るほど。
防御カンスト最強装備フル武装の聖騎士でさえ6回はる。つまり無対策=確実な死。
発動時点で最も弱っている(HPの低い)相手を狙う習性がある。
神体ニアラ……宇宙を巡る本物の神その2
【真竜メテオ2020】
2回チャージして宇宙の力を溜め、宇宙空間から虹の光を纏って突撃する全体攻撃技。
討伐適正レベルではガードしても耐えきれないほどの威力。
だが発動がバレバレであり、魔術士の薄い盾一枚で完全回避可能。
【真竜ブレス】
チャージ無しで使用可能な全体攻撃(魔法属性)虹色のブレス。
適正レベルではHPの70%近くを持っていかれる程の高威力。
予備動作がないため、メテオよりも回避困難。
巴マミ……ベテラン魔法少女
【ティロ・フィナーレ】
彼女の代名詞とも言える必殺技。巨大な大砲で広範囲をなぎはらう魔法攻撃。
威力は対艦ミサイルとほぼ同じ。
僅かにチャージ時間が必要。
攻撃範囲と命中率ではサザエさんとシステムさんが抜きん出た感じだな。
禍神さんは他にも必殺技沢山あるが、瞬間最大火力はトップといったところか。
ミクたんは強いけど、まだ人間の範囲なんだよなぁ……
あれ?サザエさんはどうほうに制限ないんじゃね?
結論【現段階ではサザエさんが一番ヤバい】
- 88 :
- サザエはオメガだけじゃなくて普通に核持ってるしなw
てかボス勢にまぎれてマミさん地味に攻撃力たけぇw
チアキの光線銃の威力ってどれくらいなんだろ?
- 89 :
- 漫画版スクライドに出てくる美形(設定年齢19歳蟹座のB型)の武器というかアルターだね。
カズマをフルボッコに出来るくらいの威力はあるというのは分かる。
ちなみに上位版の即死光線銃もあるが威力の詳細は不明。
- 90 :
- あれはアルターじゃなくね?
ジグマールのアルターは人間ワープとギャランドゥだった筈
- 91 :
- 現段階で一番あたりな支給品ってどれだろ?
はずれはアビシオンやらまどかタイタスやら沢山思い付くが
- 92 :
- 野生のカブトボーグ
- 93 :
- 戦闘能力的にはオメガとかか
ガイアメモリやソーディアンもかなり当たりの部類だな
- 94 :
- ニャア様も辺りの部類なのにどうしてこうなった……
- 95 :
- 書いてみたいんだがどんな風に書いていいやら分からない・・・
- 96 :
- シリアスでもギャグでも繋ぎでも死亡でも書きたい話をどうぞ
名簿が異常ってだけで、マナーやルールは他ロワと同じです
- 97 :
- ついでに、支給品もほぼ制限ないからあらゆるジャンルのものを引っ張ってこれるよ
気が向いた時でもいいので書いてくれたら、それはとっても嬉しいなって
>>94
上でも言われてるけど、ニャア様だって腐ってもラスボスだし、
実際上空からの真竜ブレスは並の参加者なら一撃で消し飛ばす威力あるはず
複数人相手なら真竜ブレス+漆黒の焔、一人なら虚無の睨み+真竜の牙が猛威をふるうし、
強力な支給品であることは間違いない。ただ性格と過去カオスロワの醜態で残念感が拭えないだけさ
- 98 :
- このロワの黒幕って誰なんだろう?
- 99 :
- それは書き手さん次第だな
今はまだ外部の描写が出るほど進んでないし
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