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2013年01月創作発表12: 自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第74章 (540) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第74章


1 :2012/10/26 〜 最終レス :2013/01/05
ハイテク兵器 vs 剣と魔法。
内容はガイドラインを参照。
・sage厳守。
・書きこむ前にリロードを。マナーとして。
・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。分断防止のため。
・SS投下中の発言は控えてください。
・支援は50レスに1回。
・嵐、煽り、気に食わないコテは徹底放置。自然現象として脳内あぼーんしましょう。
・品性に欠けるレスはなるべく付けませんよう。
・気に食わないレスを、気に食わないコテハンまたは気に食わない人間のものと根拠無く認定するなかれ。
 ループ禁止。対策としての『萌え』などには書き手も読み手も極端な反応をしないこと。
 そんなことより海産物の話でもしよーぜ。
・以上を守らないものはぬるぽと見做し、鉄槌制裁( ・∀・)つ=■彡☆))`Д´)されます。
前スレ
自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第72章
ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1344911105/
保存庫
ttp://www26.atwiki.jp/jfsdf/
ttp://pixus.iinaa.net/jfs.htm
分家
ttp://jbbs.livedoor.jp/movie/4152/fjieitai.html

2 :創る名無しに見る名無し:2012/08/14(火) 11:26:03.07 ID:4RcBXbQ4
新暫定ガイドライン
0. 現代科学であれ男塾理論であれ異次元科学であれ議論であれ、第一に置くべきははスレ住人が楽しいこと。住人が不快に思う事は避ける。
1. 投下してくれる作者は神。批評はいいが節度を持ってやること。
2. 「自衛隊がファンタジー世界に」とあるように、あくまで「現代の日本国自衛隊」が主に関わる話であること。
3. 自衛隊の組織・装備はあくまで現用もしくは近未来的に配備が予想されるものに限る。
  核兵器・旧東側諸国製兵器・未来兵器・巨大人型兵器など、現代の日本国が配備するにはナンセンスなものは極力避けること。
  現代科学と作中の設定で説明できる場合にはこの限りではない。
4. 軍事力の背景となる社会構造、政治・戦略・作戦・戦術・戦闘に関してはある程度しっかり設定しておくのが好ましい。
作中の設定で説明できないものは避けること。
5. F世界側の設定は作者が勝手に決めることが出来るが、「超魔法・無敵キャラまんせー」な話にならぬよう気をつける。
  基本的には自衛隊・近代兵器マンセーの方が好まれる。
  また、オーバーテクノロジーの扱いは慎重に。
6. ファンタジー側の人間もきちんと描写する方が好ましい。
  自衛官主観という演出などであえて描写しないのはこの限りで無い。
7. 萌えだけ、エロだけ、グロだけを目的とした作品は、このスレ以外のしかるべき板やスレに書き込むこと。
8. スレ外の該当作品にかんする批評などの雑談は、ほどほどに。
9. 次スレは>>980か480KBを踏んだ方が立ててください。


2 :
■今までこのスレで討議された議題
・ファンタジー世界の市場規模についての考察
・Rによる世界支配は許されるか
・江戸時代とファンタジー世界の類似性について
・大陸国家VS海洋国家戦略、その長短について
・マッチとメラ、着火手段としてどちらが優れているか
・F世界での日本経済再生と交易について
・ドラゴン…契約方法と空軍戦力としての有効性を考える
・自衛隊的ダンジョン攻略法
・対人地雷と魔法の罠。
・F世界における神の影響力について。
・F世界的陣地攻略法
・熊に見るモンスターの手強さ
・巨大昆虫対策〜界面活性剤から核弾頭まで
・決闘における非致死性制圧法(殺さずにいたぶる百の方法)
・F世界の街道、交通路における運搬手段が道に与える負担うんぬん
・銃弾を受け付けない素材を武具の材料に用いれるか
・マクロ経済を考慮すべきか
・後世の倫理や常識/後知恵で過去を断罪しても赦されるか

3 :
■さんざんガイシュツの話題
・シーレーン確保における脅威の排除(海賊、海の怪物対策)
・日本が傭兵を雇用することは可能か?
・萌えは是か否か。
・議論は是か否か。
・魔法・怪物の設定(最終的には作者に一存という結論)
・補給が断たれた場合、弾薬を何とか確保可能か?不可能な場合はどうなるか?
・球形以外の世界。
・食糧対策・餓死者の局限−魔物を喰らうモノ−
・在日外国人・異世界住人対策。政治思想の殴り合いは勘弁
・資源・エネルギー問題。
・外交方針について。
・人間と亜人の共生について。
ガイシュツだが、再考察とかは特に禁止されてない
SFは禁止だと言うことです

4 :
関連サイト
「帝國召喚」(作:くろべえ/分家皇軍スレ)
ttp://www.geocities.jp/wrb429kmf065/index.html
「輸送戦記」(作:Call50/本家)
ttp://homepage2.nifty.com/Call50/
分家まとめサイト
ttp://www.geocities.jp/wimsigma/
SSの書き方
ttp://www6.plala.or.jp/Action/taidan01.html
ttp://www6.plala.or.jp/Action/taidan02.html

5 :
過去スレ
創作発表板
72 ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1344911105/
72 ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1337702041/
71 ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1326519134/
70 ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1318261509/
69 ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1280728791/
68 ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1261921219/
67 ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1254132077/
66 ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1247917732/
65 ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1242886494/
64 ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1235983300/
63 ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220184382/
軍事板
63 ttp://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/army/1220300122/
62 ttp://hobby11.2ch.net/test/read.cgi/army/1214912385/
61 ttp://hobby11.2ch.net/test/read.cgi/army/1210853200/
60 ttp://hobby11.2ch.net/test/read.cgi/army/1206945872/
59 ttp://hobby10.2ch.net/test/read.cgi/army/1200068856/
58 ttp://hobby10.2ch.net/test/read.cgi/army/1187502563/
57 ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1181167154/
56 ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1177836560/
55 ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1173715591/
54 ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1171625885/
53 ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1170750554/
52 ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1166436294/
51 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1163066160/
50 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1161084208/
49 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1160188326/
48 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1157263954/
47 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1153579549/
46 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1149155655/
45 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1145708454/
44 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1141803533/
43 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1138537013/
42以前は保存庫参照

6 :
>>1>>2を一緒にしてしまった

7 :
>>1
次回のスレ立てする人に提案。
「次スレは>>980 もしくは 480k あたりで立てること」と >>1 に明記してはどうだろう。
一向に立たないと不安になると思うから。

8 :
>>1乙です。
スレ立てありがとうございます。


9 :
>>1
褒美に、総理大臣となって転移直後の難局に当たる権利をやろう

10 :
この時、1が史上最強の内閣総理大臣として歴史に名を刻もうとは誰も予想していなかった・・・・

11 :
最強の総理大臣…
国士無双を「ライジングサン」と読んじゃうあの人のこと?

12 :
いや、女子中学生総理じゃないか?
個人で核兵器保有してたw

13 :
では、どなたかそれで一つSSをお願いしますw
0時頃投下予定です。

14 :
最終話、前後編のつもりがかききれませんでした。無念。
本当は最後まで一度に投下したいのですが、宣言した以上出来ている分を投下します。
どなたもいないのなら、明日にのばそうかなとも思うのですががが。

15 :
ノシ

16 :
ふんもっふ!

17 :
いらっしゃったー!
なれば味方を置いて撤退するわけには参りません。
投下します。

18 :
京都府舞鶴市余部下 総監部前予備陣地左翼
2012年 6月5日 21時45分
 彼我の交戦距離は限りなくゼロに近づいていた。射撃をかい潜り敵兵が陣地に迫る。
「うわぁッ!」
 陸戦隊員の海士が戦斧を下から突き上げられる。鉄帽が弾け飛んだ。彼はそのまま後ろに倒れ込む。左の頬がざっくりと切り裂かれていた。
 敵兵は土嚢に足をかけると、倒れた海士に戦斧を振り上げた。
「させるか!」
 沢田曹長が素早く動いた。大きく空いた敵兵の脇腹に着剣した64式小銃を突き込む。銃剣が鎖帷子を突き破り、臓腑を抉った。
 苦悶の表情を浮かべた敵兵は、それでもなお道連れとばかりに戦斧を振り下ろそうとした。沢田曹長は銃剣が刺さったまま、引金を引いた。
 轟音と共に敵兵は土嚢から転がり落ちた。沢田曹長は、すぐさま倒れた海士の首根っこを掴むと、引きずり起こした。
「おい、無事か!?」
「痛テテテ……目は見えます。口も動く」
 沢田曹長は、海士の背を平手でどやしつけた。
「よろしい。戦え!次が来るぞ!」
 いやはや、頼もしい限りだ。自らも敵に銃撃を浴びせつつ、稲富は部下の活躍に舌を巻いた。戦況は苦しいが希望はある。数分前、通信員が報告した内容を思い出す。
『前島埠頭に陸自普通科小隊到着。市場検問所を第三戦車大隊通過。市内へ急行中』
 朗報であった。あと少し耐えれば、増援が到着するのだ。

 その時、生暖かい風が稲富の頬を撫でた。煙に霞む戦場に奇妙な気配を感じる。
 何だ?
 稲富だけでは無かった。隊員達は程度の差は有れど、落ち着かない様子であった。
 突然、敵軍内に青白い光が生まれた。生暖かい風は、光の中心から吹いている。付近の煙を巻き込み、渦が生じている。
 カタカタと、音がした。
 光が消えた戦場に、先程まで存在しなかった人影が浮かび上がった。
 乾いた足音が、陣地に迫る。数は十を超えていた。
 人影は、片手に曲刀、片手に円形盾を持っている。ゆっくりと迫ってくる。
「ヒィッ!?」
 稲富の傍らで、海曹が情けない悲鳴を上げた。
「情けない声を出すな!海曹だろう!」
 思わず稲富は叱責の声をかけていた。些細な事で士気が崩壊する事が怖かったからであった。しかし、彼の予想に反し、その海曹はさらに悲鳴を上げた。
「あ、あれを見てください!何だってんだ!勘弁してくれ!」
 その言葉に導かれるように稲富が目を向けた先には、敵兵が立っていた。
 それは異形、の一言では片付けることが出来ない姿であった。一目でこの世のものではないと分かった。驚くべきことに全身のどこにも肉はなく、ぽっかりと空いた眼窩の奥に、青白い炎が見えるのみであった。
「……骸骨が動いている?」
 流石の稲富も、動揺を押さえられなかった。
 カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
 呆然とする隊員達をあざ笑うかのような、骨が鳴るけたたましい音と共に、骸骨達は一斉に走り出した。

19 :

「う、撃てェ!」
 陸戦隊員達が一斉に射撃を開始した。統制も何もない、全弾をフルオートで叩き込まんとする射撃であった。
 数秒の後、静寂が訪れた。1弾倉を撃ち尽くし、隊員達は骸骨がバラバラになったことを期待した。
──しかし。
 骸骨兵は倒れていなかった。手や足や、頭を失ったままの姿で、前進を続けていた。
「もう駄目だ!」
 稲富が恐れていた一言が、自陣から発せられた。骸骨が銃撃をものともせず目前に迫る様子に、稲富自身も一瞬同意しそうになった。
 
 その一言で、ついに守備隊は崩れた。隊員が次々と逃げ出す。稲富も、沢田もそれを止めることは出来なかった。
「くそっ、沢田曹長。第一分隊に後退命令を出せ!もう持たない」
「残念です」
 側面が崩れては正面が持ちこたえても無意味であった。この局面を打開できる唯一の手段──予備隊も存在しない。
 稲富に出来ることは、部下と共に後退するのみであった。


20 :

 エレウテリオは、呆気なく崩れる敵軍をやや意外に感じた。あれほど頑強に戦った魔法戦士が、竜牙兵を見ただけで総崩れになるとは。
 そこで周囲の様子に気付く。神官戦士団こそ平然としているが、その他の騎士や槍兵達は一様に足を止めていた。竜牙兵に近付く者はいなかった。皆、畏れている。
 我が手勢とて同じか。話には聞けど、竜牙兵を見たことのある者など、我を含め一人もおらぬからな。
「さてさて、エレウテリオ殿。如何なされましょうや」
 魔導師バルトロが言った。彼の傍らには一体の竜牙兵が侍っている。竜の牙を寄代に、魔導によって生み出された外道の兵は、何の感情も持たず、ただ使役者の命ずるままに殺戮を行う。
 禍々しい姿よ。だが、その力は認めねばなるまい。
「流石は本領軍直属の魔導師殿。御助勢感謝する」
 エレウテリオはいくらかの本音を込め、バルトロに答えた。さらに、配下の兵に告げる。
「敵は崩れた!勇敢なる我が騎士団の兵達よ!追撃だ!敵を海に追い落とせ!」
 エレウテリオが発した力強い激に、兵達は己を取り戻した。土嚢を越え、敵を追撃にかかる。
 勝った。
 エレウテリオは、確信した。このまま敵を追い散らす。そして、市内で戦うアランサバル指揮下の別働隊と合流し、この都市を我が物とするのだ。

21 :
京都府舞鶴市余部下 海上自衛隊北吸岸壁 護衛艦みょうこう艦橋
2012年 6月5日 21時47分
 艦橋内は照明が消され、照度を抑えた赤灯だけが僅かに手元を照らしていた。その僅かな光が、艦橋立直員の姿を暗闇に影絵の様に浮かび上がらせている。
 暗闇に声が響く。
「総監部に小火災。未だ鎮火に至らない模様」
「陸戦隊、敵部隊と交戦中」
「立入検査隊指揮官負傷。現在、東駅に移動中」
 左ウィングで二十倍双眼鏡を覗き込む二番見張員、艦橋中央に立つ航海長、無線からの交話を中継する通信士が、口々に報告した。
 護衛艦『みょうこう』艦長、細川孝英一等海佐は、艦橋の右側に据えられた艦長席の赤い背もたれに体を預け、静かに左手を上げた。
「了解」
 彼は静かに返答すると、そのまま左手をあごにあて考え込み始めた。
 『みょうこう』は戦闘配置を維持している。艦橋ウィングには土嚢と防弾盾が配置され、見張員は鉄帽と防弾チョッキに身を固めていた。
 細川は物々しい様子を見せる艦橋で、指揮を執っていた。通常、護衛艦において戦闘ともなれば、艦長はCICに降りるのが普通である。
 しかし、この異常な夜に限って言えば、『みょうこう』の戦闘力の源であるイージス武器システムの大部分が眠ったままであり、戦闘指揮に必要な条件は艦橋に揃っていた。
 細川は自分の目で状況を把握する必要を感じ、CICを船務長と砲雷長に任せると、艦橋に上がったのだった。
 艦の左前方数百メートルの路上では、彼の部下が慣れない陸戦を戦っていた。常に穏やかな雰囲気を絶やさない細川も、さすがに気が気ではない。
 明滅する発砲の光。総監部から流れる煙。怒号と銃声が艦橋の開け放たれた防水ドアから聞こえてくる。
 細川は首から提げた双眼鏡を持ち上げ、顔にあてがった。視界が限られる代わりに、数倍に増幅された映像が彼の目に映し出された。
 細川の口元が歪んだ。唸りが漏れる。彼には珍しいことだった。背後に控えていた通信士が、思わず表情を変えた。
「拙いな。崩れるぞ……」
「艦橋、二番。味方が陣地を離れます。──撤退しています!」
「艦長!」
 細川の呟きをかき消すかのように、見張員と航海長の叫びが、艦橋に響いた。

22 :

 細川は、装受話器を手に取った。
「CIC、艦橋艦長だ。射管員長はいるな?」
『はい!射管員長です!』
 まだ三十代前半の若い声が、返ってきた。元気がよいと評判の一曹だ。
「砲術長が危ない。主砲、やれるか?」
 細川は言葉を惜しんだ。静かだが苛烈な問いに、艦内通信系がしばし沈黙する。
『……出来ます!』
『無茶だ!』
 射管員長と砲雷長が同時に叫んだ。艦内通信系の向こうで、雑音に混じり何かのやり取りが聞こえる。
 数秒の後、細川は再度尋ねた。
「無理か?」
『やります!可能です!』
 間髪入れず、挑むような声が返ってきた。
『……他に手はないのでしょう。稲富組を信じて、やります』
 砲雷長も同意した。
 すでに総監部前予備陣地には、敵兵が突入しつつあった。陸戦隊員は一部の者が反撃を加える中、辛うじて敵の手から逃れようとしていた。
「対地戦闘用意」
「対地戦闘用意!」
 命令が復唱される。アラームがけたたましい音をかき鳴らし、全乗員が戦闘配置につく。
「各部、配置よし。対地戦闘用意よし!」
 すでにほとんどの乗員が持ち場についていたため、素早く報告があがった。
 
 細川は、はっきりとした発音で、命令を下した。
「左対地戦闘」
『左対地せんとーう。260度、距離300。目標、敵武装集団』
 独特の抑揚をつけた号令がスピーカーを震わせた。前甲板に鎮座する54口径127o単装速射砲塔が生き物のように動き、砲口をわずかに左へ向けた。

 目標指定を受け、CICでは射管員長が脂汗で顔中を濡らしていた。砲雷長も同じである。
 距離300。対地射撃。すぐ傍に味方。前代未聞の射撃であった。自分のミス一つで砲術長以下数十名が吹き飛ぶ。
 だが、迷っている時間はなかった。試射も出来ない。算出した調定値を入力する。
 主砲がほんの少し俯角をかけた。即応弾マガジン・ドラムから主砲弾が砲塔内に揚弾された。無人の砲塔内に重い金属音が響く。
「調定よし!」
 射管員長が全身全霊を込めて報告する。
『装填よし』
 報告を受けた砲雷長は、大きく唾を飲み込んだ。フットペダルを踏む。おい、本当に撃っちまうぞ。

『調定よし。主砲目標よし、射撃用意よし』
 スピーカーから砲雷長の報告があがった。
 『みょうこう』は、わずか数分で敵に向け牙を剥く用意を終えたのだ。
 細川は軽くうなずくと、背後に控える通信士に言った。

「砲術長と話す」

23 :

京都府舞鶴市余部下 北吸岸壁前 国道27号線上 
2012年 6月5日 21時52分
 稲富は、最初その呼びかけを意図的に無視した。自分にはもっと優先すべきことがあると考えたからだった。
 最後の弾倉を装填すると、スライドを前進させると同時に、敵に向けて引き金を引いた。
 発砲。その隙に、周囲を転がるように部下たちが逃げる。その半数がすでに小銃を失っていた。
 拙い、ヤバい、洒落にならん。稲富の半分茹だった頭の片隅で、警報が鳴っている。どう考えても、逃げ切れないと頭の中の冷静な部分が告げていた。
 スライドが金属音を立てた。前進した状態で止まっている。弾切れだ。顔を上げると、骸骨が一体土嚢の上でゆらゆらと揺れていた。
 一瞬の躊躇のあと、彼は小銃を捨てた。弾帯から9o拳銃を抜く。冷たい金属の塊は、彼の手にずしりと重みを伝えたが今の状況ではいかにも頼りなかった。
「──長。砲術長!」
 そこでようやく通信員の叫びに気づいた。携帯無線機を片手に、目に涙を浮かべながらも、必死に稲富を呼んでいた。
「どうした、早く逃げろよ」
 稲富の言葉に、通信員が何を言っているんだ、という顔をした。
「砲術長に、通信です!逃げたいので早く出て下さい!」
 ああ、そうか。こいつ俺が無線に出ないと逃げられないのか。稲富はすまん、と詫びると通信員が差し出した携帯無線機を握った。
「こちら、砲術長」
『艦長だ。生きているな』
 稲富は思いがけない相手が出たことに驚いた。
「はい、今のところは、ですが。しかし、ずいぶんと楽しくなってきました」
 話す間にも敵は迫る。稲富と通信員は拳銃で敵を牽制しつつじりじりと後退した。突撃をかけられたら、抑えきれない。
『砲術長が敵に一番近いな?もう、陣地に味方はおらんな?』
「はい。私と通信員が最後尾です。再びお目にかかるのは難しいかも知れません」
 一拍の間があり、艦長が言った。
『君の仕事を代わってやる。今すぐ総員側溝に飛び込め。いいな?』
「は?それはいったい……?」
『いいからすぐに飛び込んで、目を閉じろ。口は開けておけよ!』
 まさか、まさかな。稲富は、『みょうこう』を見た。前甲板の主砲がこちらを向いていた。なんてこった、艦長は本気だ。
「砲術長了解!──総員側溝に飛び込め!急げ、死んじまうぞ!」
 稲富は周囲で味方の撤退を援護していた数名に、有らん限りの声で叫んだ。傍で状況を掴めずおろおろするばかりの通信員を、側溝に蹴り込む。
 周囲の全員が飛び込むのを確認し、稲富は身を翻した。左肩に矢が刺さるのを感じつつ、彼は側溝に倒れ込んだ。

24 :

「路上に味方なし!」
「航海長、確認した。艦長、クリアです」
 細川は、艦長席で背筋を伸ばすと、よく通る声で命令した。

「主砲打ち方始め」
 
『打ちー方始め!』
『射ェッ!』
 スピーカーの号令に、間髪入れず砲雷長が裂帛の気合いを込めて叫ぶ。
 閃光。轟音。計測員が測る間もなく、300ヤード先の路上に、着弾の閃光と土煙が上がる。薬莢が甲板に転がり、耳障りな音を立てたが、誰も気にする者はいなかった。
『遠五十』
「よぉし、まずまず!」
 航海長が叫んだ。初弾は風圧で桜並木を吹き飛ばしたあと、敵の真っ只中を抜け、路上に着弾した。
『修正、下げヒト。───調定よし!』
『射ェッ!』
 弾着から速やかに修正が行われる。再計算値が入力された。第二弾発砲。
 
『命中!』
 次弾は突撃を挫かれた敵の直中に着弾
した。アスファルトと土砂と、生き物だった何かと、この世の者ではない何かの混合物が巻き上げられる。
『射ェッ!』
 第三弾発砲。冷却水を滴らせた砲口から閃光が煌めく。艦橋は鼻を突く硝煙の臭いに包まれた。
 第三弾は、国道に架けられた歩道橋の基部にダメージを与えたらしかった。始めはゆっくりと。そして、ある瞬間からは一気に、年期の入った外見の歩道橋は、埃を猛烈に巻き上げながら倒壊した。

「総監部守備隊より本艦宛て。『敵は潰乱セリ。射撃効果大』」
 通信士が報告した。細川は、はっきりとうなずくと、静かに命令した。
「打ち方やめ」
『打ちー方やめ!』
『主砲打ち終わり。砲中弾なし』
 CICから異状なしの報告を受けても、艦橋では誰もしゃべらなかった。射撃は絶大な威力を発揮し、敵の突撃を破砕したというのに、歓声をあげる者もいない。
 誰もが一時的に放心していた。その中で唯一艦長細川一佐だけが、平常心を保っていた。
「うん、なかなかよろしい。──航海長、陸戦隊の収容を行え」

25 :
今宵はこれまでにいたします。
さて、皆様のお眼鏡に叶うかどうか。次回が、戦闘のラストになります。

御意見御質問御感想お待ちしております。

26 :
乙でした。
やっと主砲が火を噴いた!
敵側の混乱がまだ見られないのが残念。
続きに期待しております。

27 :
乙です。
本職の陸上自衛隊の活躍を期待してます。


28 :
投下乙
先が読めないw
F世界の魔道士の結界効果も切れつつあるのだろうか
両者共に時間との戦いで幸運の女神のいたずらで
どちらに勝利が微笑むかわかんなくなってきた

29 :
乙です。
もう一悶着ありそうな展開ですね。
期待してお待ちしています。

30 :
投下乙
今まで魔法が少し影薄かったからなあ

31 :
>>30
攻撃魔法はヘリに対するマジックアローくらいだったからなぁ
弓に攻撃力UP&命中力UPの補助魔法もあったか
地味だけど侵攻初期に戦域全体に気象操作がかなり効果あったかと

32 :
ゲートzeroが更新してるね

なろうの『冒険者日本へ行く』
第七艦隊が壊滅したようだ

33 :
感想ありがとうございます。
何だか皆さんにもやもやを溜めっぱなしのような気がします。申し訳ありません。
主砲による直接支援は、描きたいシーンでした。上手く描写できているかどうかは……。
魔法の影が薄いのは、西方諸侯領軍の仕様ですw。
さて、では残りを投下します。

34 :
京都府舞鶴市余部下 北吸岸壁前 国道27号線上
2012年 6月5日 21時50分
 街路上に設けられた敵陣は、土袋を積み上げた程度の簡素なものであった。恐らく、後衛程度のものだったのであろう。
 その陣地を守っていた敵兵は駆逐された。辺りには放棄された敵の得物や兜が転がっていた。
 竜牙兵の集団を先頭に、神官戦士団が続く。さらに勢いに乗る騎士団の兵が敵陣を乗り越えようとしていた。
 エレウテリオはその最も先頭で剣を掲げていた。かつて、よく磨かれていた板金鎧は一日の戦塵によってくすんでしまっている。しかし、自ら兵を率い敵に迫るその姿は、何より兵の士気を鼓舞し続けた。
 あとは、容易い。エレウテリオは思った。敵勢は完全に崩れている。追撃戦が最も戦果を挙げられることを、彼はよく知っていた。
 正面から戦えばどれほど手強い勇士とて、撤退時には容易く討たれるのだ。あとは兵の体力が続く内にどれだけ稼げるか。敵の城館も包囲すれば綻びは見えよう。
 右手にそびえる城館の敵は、柵の内に籠もり、味方の苦境にも打って出る気配はない。それだけで、敵兵の数が知れた。アランサバルの手勢も動かせば──。
 そこまで考えたところで、彼は正面を逃げていた敵が消えたことに気づいた。
──いや、消えるはずがない。よく見れば、ことごとく道の脇に設けられた溝に飛び込んでいる。ついに気が触れたか。エレウテリオは、憐れんだ。
 あの様な場所に逃げ込めば、豚のように殺されるのみだというのに。武人らしく斬り合ってRば、少なくとも名誉は保たれよう。
 愚かな。

 次の瞬間。
 閃光が、彼の網膜を焼いた。轟音が物理的な力となって、彼の身体を吹き飛ばした。天地が逆さまになり、エレウテリオは道路脇の手すりに叩きつけられた。
 鎧に包まれた身体が軋んだ。息が詰まる。何が起きた?朦朧とする意識の中、彼は仰向けに倒れた身体を身じろぎさせると、後ろに続く彼の配下を見た。
 轟音。土砂が降り注ぐ。耳に圧力を覚えた後、何も聞こえなくなった。人の頭ほどある破片が、彼の右足を砕いた。痛みが脳髄まで駆け上がった。無意識のうちに叫びをあげた。
 後には、配下などいなかった。
 あれほど猛威を振るった竜牙兵は、跡形もない。巨大な何かが通り過ぎたかのように、ほとんどが吹き飛んでいた。わずかに一体──エレウテリオの後ろを進んでいた一体が、半身を失いもがいていた。
 勇壮な戦歌を詠いながら進撃していた神官戦士団は、生き残った数名が自分の腕や足を探して、幽鬼のようにさまよっていた。
 騎士団の兵達も似たような状態であった。頭を失った兵がいた。頑丈な板金鎧を巨大なハンマーで叩かれたかの如く潰され、七穴から血を噴いて倒れる騎士がいた。
 おお、神よ。いや、悪魔か。古の魔神の技か。一体何が起きたのだ!

 俺の騎士団が消えてしまった。

 三度閃光と爆風。音はきこえない。土砂と柔らかい何かが彼の頭上に降り注ぐ。
 彼の視界には、ゆっくりと傾ぐ橋脚が見えた。それを最後に、エレウテリオの視界は闇に包まれた。

35 :
京都府舞鶴市森町   
2012年 6月5日 21時12分
 ロンゴリアはとても良い気分だった。手勢を率いて狭い路地を抜け、開けた道を走っていた。
 目の前わずか十歩には異界の魔法戦士共が、よろばいながら逃げている。あれだけ我らを手こずらせた奴等も、魔力が尽き
た様であった。手傷を負った者もいると見えた。
 まるで、狩りだな。愉快だ。まことに愉快だぞ!
 ロンゴリアは暗い愉悦を感じていた。あれ程までに強力な魔術をもって、彼を怖れさせた敵兵が、立場を逆転させ逃げ惑っている。その現状に耐え難い喜びを感じていたのだった。
 配下も彼と同じ気持ちのようである。
「逃がすかァ蛮族どもめ!」
「八つ裂きにしてくれるわ!」
 多くの仲間を失った兵達は、手にした得物を振り上げ、威嚇する。
「どうした!そんな逃げ方では追いつくぞ!」
 騎士ですら、復讐心に駆られている様であった。敵兵は一兵残らず殺されるだろう。
 もちろん、ロンゴリアにそれを止めるつもりなどない。ここまでやられた相手だ。Rのも一度きりでは気が済まぬ程よ。重い鎧を付けて走るのは息が切れたが、この先敵を切り刻めると思えば、何のことはない。
 陣形も何もない。ただ殺戮の衝動に突き動かされた集団は、一丸となって敵を追った。

 走るロンゴリアの目の前に、巨大な橋が姿を現した。橋?しかし、地の上に架かる橋とは?
 その巨大な石造りの橋の下に川はなかった。家屋や道を跨ぐようにそびえ立っていた。ならば、一体何のための橋であろうか?
 考え込みそうになったロンゴリアは、配下の笑い声で我に返った。遂に力尽きた敵兵が路上に座り込んでいた。兵達はそれを嘲笑していたのだった。
 そうだ、今は橋などどうでも良い。あやつらを八つ裂きにせねば。
 ロンゴリアは恐怖に引きつる敵兵の顔を見てやろうと思った。脚を緩めヘルムのバイザーを上げた。そして、気づいた。
 笑っている。
 何がおかしい。貴様等は今から死ぬのだというのに。何故笑えるのだ。 

 巨漢の敵兵が悠然と右腕を上げた。

 その動きに惹かれるようにロンゴリアが視線を上げたその先には、巨大な橋があった。橋には灯りが点されていた。
 彼の顔は瞬く間に真っ青になった。全身が熱病にかかったかのように震えた。
 手勢の一部もそれに気づいた。誰かが剣を取り落とした。

 そんな、そんな馬鹿な。有り得ない。ここまで来て……。


『クアーズ、こちらコロナ。打ち方止めた』
「クアーズ了解。敵はあらかたやっつけたな。助かった」
『お安い御用だ。マラソンお疲れさん』
 『みょうこう』立入検査隊を救ったのは、JR東舞鶴駅の高架上に陣取った舞鶴陸警隊機動班の小銃分隊であった。
 無線連絡を受けた彼等は、立入検査隊が必死で引きつけた敵に対して、容赦なく7.62o弾の雨を降らせ、これを粉砕したのだった。
  

36 :

京都府舞鶴市浜 県道51号線 大門七条
2012年 6月5日 21時32分

 アランサバル率いる別働隊は、未だ統制を保っていた。手勢の一部を分け、敵部隊の捜索に回しているが、残りの軽騎兵と槍兵、重装歩兵、長弓兵合わせて二百名を直率していた。
 敵地での夜間行軍は、苦労ばかり多く、実入りが少ないものである。アランサバルもそれは十分承知していた。何事にも手を抜かない彼は、軽騎兵の半数を斥候とし、部隊の前方を探らせている。
 残りは、重装歩兵、槍兵、長弓兵に戦闘縦隊を組ませ、いつでも交戦できる態勢を維持していた。幸いなことに、街には灯が点っている場所が多く、月明かりもある。
 
「落伍兵は少なくて済みそうですな」
「うむ、このまま北上し、街道に出る。その後西に向かい、敵の背後を衝くぞ」
「オゥ!」
 アランサバルは入手した地図を思い浮かべた。今、部隊を移動させている道を北上すれば、西の市邑から続く街道に出る。
 街道を西に進めば、騎士団長率いる本隊と合流出来よう。敵がいれば挟撃出来る。
 
 アランサバルは手勢を振り返った。松明を掲げ行軍する軍勢の士気は保たれているが、さすがに疲れも見える。もう、半日も戦い通しなのだ。
 早く宿営地を定め、兵を休ませねば。明日も厳しいいくさになるだろう。
 左右の景色が変化した。どうやら商店が並ぶ通りらしい。昼間はさぞ賑やかに違いない。
 そこで、前方より二騎の騎兵が隊列に近付いてきた。緊張した面持ちで、傍らの騎士が誰何した。
「誰かッ!」
「軽騎兵隊、アルセに御座います!前方に敵を発見致しました!」
「申せ!」
「はっ、街道を西に進む一団を物見致しました。大型の荷車が4両、中型のものが2両。護衛騎兵は随伴せず。恐らく輜重の列かと」
「歩兵もおらぬか?」 
「おりませぬ。見えたのは大型の荷車に御者らしき人影のみ。ただ、面妖な事に……」
 アルセは顔を曇らせた。アランサバルが続きを促す。
「何でも良い。見たものを申してみよ」
「荷車を牽く馬の姿が見えません。八輪のあれだけの車。どうして馬もなしに動いているのか……」
「誠か?」
「間違いありませぬ。四角い車は何にも牽かれず動いておりました」
 アランサバルは攻城用の破城槌を思い浮かべた。それならば四角く、馬が見えないのも理解できる。しかし、破城槌などどこで使うというのか。
 いや、思い込みを捨てねばならん。敵の鉄車は、馬なしで動いておったではないか。恐らくその類に違いない。


37 :

 その時、前方から低い唸り声のような音が聞こえてきた。アルセが警告する。
「荷車の音です。間もなく見えてくるかと」
 アランサバルは道の先、街道との十字路を睨みつけた。いくらも経たない内に、荷車の車体が見えた。のっぺりとしたその車は、金属で出来ているように見えた。御者が一名、天井から上半身をのぞかせている。
 確かに護衛は見えない。ならば、横腹を突けば容易に倒せよう。上手くすれば、敵の魔導具等を手に入れられるやもしれん。
 アランサバルは素早く決断した。配下に命ずる。
「あれに見えるは敵の輜重車列だ!ものども、かかれ!」
 配下の兵達は素早く反応した。長弓兵が矢をつがえる。重装歩兵と槍兵が戦闘縦隊のまま、槍を斜めに突き出し、早足で駆け出した。軽騎兵は手槍を脇に抱え、愛馬に鞭を入れた。
 彼の手勢は奇襲の成功を確信し、敵に向け殺到した。
 

 敵の存在は既に判明していた。あれだけの集団が松明をかざして移動していれば、誰だって気付く。
『クロコ00、こちら01。敵情報告。武装した約200名、突撃に移行。送レ』
『クロコ01、こちら00。警告を実施せよ、送レ』
 車列前方から、拡声器による警告が聞こえてきた。無線機からも同様の声が漏れる。
『こちら01。対象は警告に応じず。発砲許可求む、送レ』
 車列の中程で指揮を執る海北一尉は、速やかに次の指示を行った。クロコ00が彼の乗る73式小型トラック。01から04が96式装輪装甲車で、05が後衛の73式である。
『01、警告射撃を行え。クロコ04、05の他、各員降車せよ。前には出るな。車体を盾にしろ、送レ』
『01了解。警告射撃開始』
『02了解。小銃班を降車させる』
『03了解』
『こちら04。指示を請う』
『05。後方異状なし』
 海北は警告の声に負けぬよう無線機に叫んだ。
『04と05は海岸通から市役所前へ向かえ。海自部隊と協同し東から来る敵を迎撃せよ、送レ』
『04了解』
『05了解』
 そのやり取りの間に、警告射撃が始まっているようだった。中島三曹が言った。
「面倒ですねぇ。さっさと撃てないんですかぁ?」
「交戦規定ってやつだ。俺達はあくまで治安出動だからな!」
「はぁ、お巡りさんみたいなもんですかねぇ」
「おう、いいかナカジ。何でもいきなりぶっ放す奴は嫌われるぞ」

38 :

『こちらは陸上自衛隊です。速やかに武器を捨て、投降しなさい。指示に従わない場合は実力を行使します』
「駄目だなこりゃ」
 拡声器で警告していた陸曹が、諦め口調で言った。集団は警告の意味が分からないとばかりに、雄叫びをあげて突撃を続行していた。
 これが映画ならなかなか迫力のあるシーンだと誉めてやるんだけどな。
「発砲許可は出たか?」
「警告射撃を行えとのことです」
 中隊長の命令を陸士長が中継した。陸曹はM2重機関銃を構える銃手に指示した。
「機関銃、警告射撃だ。撃て!」
 腹に響く重低音。続いて銃手の罵りが聞こえた。
「危ねぇ。矢が飛んできた!撃たれています!」
「中隊長に反撃許可を要請しろ!」
 車体に矢の当たる金属音が鳴っている。すぐさま返事が帰ってきた。
『実力行使を許可する。反撃せよ』
 陸曹は待ってましたとばかりに、勢い込んで銃手に指示を出した。
「機関銃、敵集団、距離二十メートル、連射、指命、撃て!」
 銃手はM2ブローニング重機関銃の銃口を敵集団に向けると、一瞬躊躇いの表情を見せた。しかし、矢が頬を掠めると「お前等が悪いんだからな」と、小声でつぶやき、発射レバーを押し込んだ。

 夜の闇を曳光弾の光が切り裂いた。

 敵の御者が構えた筒が空に向けて火を吐いた瞬間、それを目撃した全ての兵が、相手が無力な輜重馬車などではないということを、本能的に理解した。
 だが誰も止まれない。彼らは前に進むしかなかった。
 そして、恐るべき筒がついに彼らに向き、火を放った。
 アランサバルも、現実に気づいていた。だが、全ては遅すぎた。彼の左にいた騎士の愛馬が、首から上を吹き飛ばされた。騎乗した主人も同じ運命を辿った。焔の礫が命中したものは、人であれ馬であれ、四肢を飛ばされ、大穴が空いた。
「な、なんだこれは!」
「信じら──」
 身分の高低も、技の優劣も、勇者も卑怯者も、分け隔てなく吹き飛ばされた。
「盾を構えよ!密集陣を敷け!」
「だ、駄目です!盾では防げませ──ギャァァァ!」
「ォ──。」
 ふざけるな。こんな強力な魔導を用いる兵など、いてたまるか!このようないくさがあってたまるか!
 ワシの求める名誉あるいくさはこんなものでは──。
 左右に逃れる場所もなく、アランサバル率いる軍勢は、96式装輪装甲車車載の重機関銃によって叩き潰された。
 軍を率いるアランサバルも、最初の一連射で、周囲の騎兵と諸共に銃弾を受け戦死した。
 指揮官を失った軍勢は、あっさりと潰乱。約50名の死者とほぼ同数の重傷者を残し、散り散りになり軍勢としての機能を喪失した。


39 :

京都府舞鶴市余部下 北吸岸壁前 国道27号線上
2012年 6月5日 22時08分

 エレウテリオは意識を取り戻した。酷い耳鳴りが頭の中をかき回している。彼は腹に乗った破片を払い落とすと、苦労して身体を起こした。
 全身から伝わる激しい痛みを強靭な意志の力で無視すると、彼は周囲を見渡した。ぼやけた視界が徐々に輪郭を取り戻すと、そこはこの世の地獄であった。
「……なんということだ」
 街道は、巨人族が力任せに掘り返したような有り様となっていた。焦げ臭いにおいが辺りに漂う。
 そして、瓦礫には人であった者達の欠片が混ざり込んでいた。彼の視界に動く者は居なかった。
「こんなことがあるものか。騎士団をわずか数撃で……古代竜に出くわしたとでもいうのか!」
 エレウテリオはやり場の無い怒りを吐き出した。だが、彼の中に確固として存在する熟練した野戦指揮官としての部分が、これほどの破壊を為したものが何であるのかを理解していた。
 彼は、閃光が発せられた方角に頭を向けた。そこには、港があった。折れた並木の向こうに、星空を背に黒々とした巨体が聳え立っていた。城壁を思わせる重厚な構造物が周囲を威圧し、櫓は天を突く程の高さだ。
 軍船?まさか、あれほど巨大な船などあるわけがない。俺の頭はどうかしてしまったのか?あれは、まるで──
──黒鉄の城、だ。
 エレウテリオは、笑った。このような国を蛮族と侮り、戦いを挑むとは。何たる道化よ。我等こそ蛮族ではないか。
「……エレウテリオ様」
 背後でよく知った声が聞こえた。振り返ったエレウテリオの前には、満身創痍の騎士パスクアルが剣を杖に立っていた。
「騎士パスクアル!その姿は一体?本隊にはたどり着けたのか?」
 エレウテリオは問いかけながらも、答えを得る前に全てを察していた。パスクアルの頭に巻かれた布に滲んだ血は赤黒く固まっていた。
 パスクアルは震える声を絞り出した。
「無念で御座います。既に西方諸侯領本軍八千は壊滅いたしました。ベタンコウルト公を始め、カニサレス候、エリソンド伯他名のある諸侯はことごとく討たれ、ある者は虜囚となり、ある者は行方も知れませぬ」
「八千もの軍勢が、壊滅……」
「異界の軍は陣を固く守り、我が軍勢は攻め倦ねておりました。そこに敵の増援が着陣。敵勢二千余りが全て攻撃魔術を用いたと、聞きました。地を這う鉄車に蹂躙され、空を駆ける異形の竜のブレスは騎士団一つを焼き払った、と」
 エレウテリオは己の血の気が引く音を聞いた。魔法戦士が二千だと?
「本軍にたどり着いた時には、既に潰走が始まっておりました。護衛の軽騎兵も討たれ、私もこの有様。情けない限りで御座います!」
 パスクアルは号泣し、最後は絶叫となった。

40 :

 その時、二人のすぐ傍で瓦礫が持ち上がった。身構えた二人の前に、竜牙兵に支えられた魔導師バルトロが姿を表した。
「やれやれ、酷い有り様じゃ。……おお、エレウテリオ殿御無事じゃったか」
「そちらも」
 そんなやりとりに、パスクアルが割って入った。憎悪に満ちた視線をバルトロに向けている。
「エレウテリオ様!我等は嵌められました!」
「どういうことだ?」
「西方諸侯領軍が壊滅する前、本領軍五百騎は『門を守備する』と戦線を離脱しました。我等が囲みを破り門まで撤退したとき──既に門は本領軍と共に消えていたのです!」
 つまり、逃げ出したということか。いや、会敵前に離脱するとは、もしや初めから──。
 エレウテリオの中で全てが繋がった。
 ここ一年程で西方諸侯と皇帝の関係はずいぶん冷え込んでいたな。そこに降って湧いた、異世界への外征案。敵は惰弱で油断しきっている。豊かな土地。勝利の約束されたいくさ。だが、現実は違った。
 この敗戦で、一万の兵が失われる。
「領邦を統治すべき貴族達と共に。敗戦の咎も問われるだろうな」
 エレウテリオはじろりとバルトロを見た。バルトロは平然としていた。
「何かと口うるさい古い諸侯の力は削がれ、西方諸侯領には代官が送り込まれる。徴税だけでなく鉱山採掘権も皇帝の直轄となるだろう」
 殺気がエレウテリオの背に膨れ上がった。
「やってくれたな、本領軍の狗め」
 バルトロは怯えも狼狽えもしなかった。ただ、静かに言った。
「その通りじゃ、エレウテリオ殿。本領軍は西方諸侯が邪魔じゃった。帝國の揺籃期から続く旧家は、皇帝陛下の言うことをろくに聞かぬ。豊かな領地も、細切れに分断され必要以上の税が諸侯の懐に納められておった」
 パスクアルが剣を握りなおした。
「そのくせ、騎士団は旧態依然のままで見栄えが良いだけ。南方諸国の攻略に使うことも出来ぬ。陛下は、南征を前に後顧の憂いを絶つと定められたのじゃ」
 エレウテリオは、揶揄するように言った。
「我等を異界で戦わせ、棄てるか。だが、異界の軍の強さ尋常では無いぞバルトロ。皇帝の浅知恵は帝國を滅ぼすだろうよ!」
 バルトロは笑った。
「ふぇっふぇっふぇっ。織り込み済みじゃよ。この地の門はもはや開かぬ。門を開くには古代魔法王国の遺跡にて、然るべき術式を織らねばならぬ。異界の軍がどれほど強くとも、この世の者に門は開けぬ」
 そうか。そういうことか。まんまと引っかかった我等西方諸侯が甘かったということか。
「恐れ入ったぞ、バルトロ。もはや我が剣は皇帝に届くまい。だが、貴様には!」
 エレウテリオは剣を抜いた。バルトロは力無く笑うと首を横に振った。
「ワシを斬る必要は無いぞ。もはや死んでおるからな」
「なんと……」
 そう言ったバルトロの腹からは臓腑がはみ出ていた。致命傷であることは明らかであった。
「しくじったわい。それにのう、ワシも門が既に閉じられたことを知らなんだのじゃ。門が閉まる前に迎えが来る手筈であったのじゃが……ワシもトカゲの尻尾の一部よ」
 バルトロが姿を消せば、目論見に気づいたかも知れぬ。策を完璧とするため、バルトロ程の魔導師も捨て駒か。
「そろそろ疲れたわ。先に冥界で待っておるぞエレウテリオ殿──」
 そう言うと、バルトロは倒れた。彼の魔力が消えると共に、竜牙兵も土塊に還った。

41 :

 後には、エレウテリオとパスクアルが残された。虚無感が心に満ちた。もはや兵は絶え、故郷に戻る術もなく、妻子とも永遠に離れ離れだ。
 ようやく止んだ耳鳴りの代わりに、敵兵の警告が周囲を満たした。新手らしい兵達の前には、今日死力を尽くして戦った敵勢の指揮官らしい、ずんぐりとした漢が立っていた。
 エレウテリオは残った力を振り絞り名乗りを上げた。
「名のある騎士とお見受けする。我が騎士団は貴殿の勇戦の前に敗れ去った。我、ブエナベンドゥラ・ディ・エレウテリオ・イ・ロッサは最期の戦いを所望する!」
 敵の指揮官は手のひらをこちらに向け何かを叫んでいた。降伏せよとでも言っているのだろう。
 だが、エレウテリオは剣を抜き、騎士パスクアルと共に最後の突撃を敢行した。


「敵兵二名射殺!」
 陸自隊員が報告した。稲富の制止を聞かなかった二名の騎士は、あっさりと銃弾に倒れた。
 稲富は周囲の荒れ果てた景色を眺め、顔をしかめた。陸自隊員の持つ無線からは、舞鶴市各所の状況が流れてくる。
 国道27号線及び白鳥街道の二方向から侵入した武装集団は、陸上自衛隊第三戦車大隊の増援を受けた各部隊により、鎮圧された。
 諸隊は速やかに西舞鶴地区の奪還に向けて行動を開始していた。明朝には全域の制圧が完了するだろう。
 本職が来ればこんなもんだ。
 稲富は、手近にいた陸自隊員に声をかけた。
「タバコ、持ってないか?」
「ありますよ、どうぞ。……しかし、酷い有り様ですね」
 稲富の血と硝煙にまみれた姿を一瞥し、陸自隊員は気の毒そうに言った。
 稲富は思い切り肺に吸い込んだ紫煙をゆっくりと吐きながら、言った。

「ああ、酷い一日だったよ」

 指揮官らしい騎士の死体の虚ろな瞳が、稲富を見上げていた。
 このままでは終わらない。日本はとてつもなく大きな何かに巻き込まれていく。
 稲富は何故かそう思った。彼はもう一度肺を満たすと、足元の死体にタバコを供え、その場を立ち去った。


42 :

 2012年6月4日から5日にかけて発生した大規模騒乱──のちに『北近畿騒乱』と呼ばれる事件は、自衛隊治安出動部隊による鎮圧という形で、終結へと向かった。
 福知山市及び舞鶴市を奪回した陸上自衛隊は、第七普通科連隊と第三戦車大隊を基幹とする部隊を綾部市に投入、6日の午前には市庁舎を制圧、市全域を回復した。
 謎の武装集団は、その多くが死亡、または逮捕されたものの一部が付近の山間部に逃走した。このため、陸上自衛隊、京都府警、管区機動隊諸隊が協同し大規模な山狩りが実施された。
 この間、大江山にて武装集団のものと思われる何かの大規模な痕跡が発見されたものの、逃走した人間及びそれに似た何かを完全に捕捉することは、困難を極めた。
 北近畿全域に安全宣言を出すまでに、三カ月の月日が必要とされ、その間に家畜や人命に少なからぬ被害が出ている。
 本事件における人的被害は以下の通り。
死者:4417名(うち警察官67名、消防官39名、自衛官52名)
重軽傷者:2094名
行方不明者:1000名(日本人999名、米国人1名)
 なお、武装集団の死者は推定約5000名、逮捕者3631名を数えた。
 逮捕された者は、全員が未知の言語を話し、また、身元を証明するものを何も持たなかった。このため、捜査は難航を極め、背後関係に迫ることが出来ないでいる。
 
 一方、政府は事件への対応の遅れと、甚大な被害が生じたことに対し、野党、マスコミ、世論からの厳しい追及を受けた。支持率は低迷し、政権運営に行き詰まった政府は8月、衆議院を解散した。
 結果、政界再編成ののち、中道右派連立政権が成立。今回の事件を受け、様々な法律が改正されていくこととなる。
 そして、行方不明者の行方は、必死の捜索にもかかわらず、手掛かりすらも掴めなかった。『消えた千名』がどこへ行ったのか。
 死亡説、隣国による拉致説に始まり、果ては神隠しまでが論じられたが、事件から6ヶ月が過ぎた現在も、発見されていない。

43 :
以上です。
すみませんもやもやで。我ながら爽快感に欠けますね。
あと残すはエピローグです。近い内に投下します。
御意見御質問御感想お待ちしております。

44 :
乙です
ちゃんと完結してくれるのはありがたい
でも寂しくもあり
>>米国人1名
あかん

45 :
投下乙
F世界の陰謀が明かされて納得
バルトロの部下と連絡が取れなくなったとき既に撤退完了してたわけですね
帝国は以前に小規模で偵察済みで西方諸侯軍はまんまと罠にはめられた
このまま終了なら皇帝はまんまと成功したわけですが...
エピローグでそこらへん書いていただくこと期待して

46 :
>>米国人1名
米帝様が舌なめずりをしながらこちらを見ています

47 :
>>44
アメリカなら!それを口実に”スターゲート”を製作して作動してしまうでしょう。
現実にイラク占領の際に異世界間ゲートをイラクの遺跡から押収しまったし!
>>43
異世界への人質奪還の侵攻作戦を期待しています。無論、アメリカ主導で!

48 :
面白かった!
ありがと。
だが、やっぱりモヤモヤ感が否めない・・・
個人的に拉致られた人を奪還して欲しいな。
けどゲート閉じちゃってるし無理か
エピローグも楽しみに待ってます

49 :
投下乙です
異世界との交流(殴り合い含む)はなしなのかぁ。

50 :
乙でした。
むぅ…すっきりしない終わり方。
出来ればきっちりと被害の保障くらいはさせたいのに…
エピローグにちょっと期待してます。

51 :
面白い読み物でした。

52 :
乙でした。
最後の最後に伏線張ってしまうあたりが憎いですねぇ。
エピローグ期待してお待ちしています。もちろん、続編も。

53 :
沢山の感想ありがとうございます!
もやもやはエピローグで少しは解消される、と思いま、す?(不安)
ちまちまと伏線を張ってきましたが、分かりにくいところも多々あったと思います。
どうも、文章がくどくなる癖があるようです。
楽しんでいただけたならこんなに嬉しいことはありません。
エピローグはもうちょっとで仕上がるかと思います。

54 :
エピローグと続きが読みたい

55 :
完全にスカッとするためには、捕らえた魔法使いたちに転移の魔法を開発させ、それを使って向こうへ攻め込むしか無いと思えるけど。
魔法使いたちも、捨て駒にされたことで皇帝を憎んでいるはずだから、可能性はありそうに思うのだが。

56 :
魔法使いに言うこと聴かせたくても、言葉が通じないってのが痛いね

57 :
何だか筆が乗りまして、エピローグが仕上がりました。 
  
投下します。

58 :

終わりと始まり
青森県むつ市 釜臥山山頂
航空自衛隊第42警戒群レーダーサイト
2012年 12月8日 5時32分
 その日、下北半島一帯は高気圧に覆われ、好天を期待できる気象条件であった。未だ夜明けの気配すら無い釜臥山の頂上では、レーダーサイトに勤務する職員達が、一瞬たりとも途切れることの無い監視業務に従事していた。
 釜臥山は、下北半島中央部恐山山系の最高峰で、標高は878.6メートル。眼下に陸奥湾を望む景勝地である。
 ただし、この山の特徴はそれだけではない。釜を臥せたさまに例えられる山の頂には、特異な形状を持つ建造物が周囲を睥睨していた。
 航空自衛隊第42警戒群が装備するJ/FPS-5警戒管制フェーズド・アレイ・レーダーである。通称ガメラレーダーで知られる電子の目が、本州最北端の地で空の守りに就いている。
「あと30分で、交代だなぁ」
 長時間緊張を強いられた疲労も露わに、警戒管制員の九戸三曹が言った。
「はよ朝飯ば食いてぇなぁ」
 彼の隣でしみじみとつぶやいたのは、気象班の晴山三曹である。彼が雑談をしながらも決して目を離すことがないレーダー画面には、識別不明機のプリップではなく、周囲の空模様がエコーとして映し出されていた。
 
 6月の『北近畿騒乱』の後、突然の惨禍に見舞われた日本国民は、それを防ぐことが出来なかった政府の対応に、強烈な不満を示した。
 政府は贖罪羊を見つけだそうとした。
 政府内では、自衛隊情報本部、外事、公安警察、在外公館その他全ての情報関係部署が『事件前に大規模騒乱の兆候無し。周辺諸国、国内諸勢力の関与は考えられない』と、口を揃えた。
 追及側は容易に信じなかったが、提出された資料、周辺諸国の対応、その他すべての情報がそれを裏付けていた。
 逮捕者の取り調べに当たった警察も、匙を投げた。あらゆる証言と物件を組み合わせると、何をどうやっても『地球上に該当なし』となるのである。
 政府は、世論と野党の追及に火だるまになりつつ、対応を迫られた。しかし、結果耐えきれず政権を失った。

「こんなジョークがある」
 眠気覚まし、とばかりに九戸が言った。
「ほう」
「ある時、国民が敵対勢力に拉致された。
アメリカは、すぐさま空母機動部隊を派遣し、空爆と巡航ミサイル攻撃を行った。
イギリスは、すぐさま特殊部隊を投入し、人質を救出した」
「ああ、そんな感じだべな」
「イタリアは、人質が男だったのでやる気が無かった。
ロシアは、拉致犯の家族を捕らえ、『人質を解放しなければ家族を拷問してR』と発表した」
「あの国ならやりかねねえ」
「中国は『我が国にはまだ十四億の人民がいる』と発表した。
韓国は、謝罪と賠償を日本に要求した」
「定番だなぁ。」
 晴山は笑った。
「日本は──」
「遺憾の意を表明したんだろ?」
 九戸の答えは違った。
「いや、拉致された人質を見つけられなかった、だよ」
 どこか気まずい、白けた空気が二人の間に漂った。九戸は頭をかきながらぽつりとつぶやいた。
「あんま、面白いジョークじゃ無かったな」
「んだな。──なんだか最近、どこもかしこもどんよりしてるなぁ」


59 :

 日本には、どこか重苦しい空気が漂い始めていた。
 新政権は、国内の治安維持を図るため、自衛隊法、警察法に始まり、銃刀法、警備業法、果ては農業関連の諸法規に至る様々な法律を改正した。
 これらは安全を求める国民の支持を背景に、強力かつ速やかに推し進められることになった。
 その背景に、実は『北近畿騒乱』の前から類似の事件が発生していたことが、捜査の進展によりあきらかになったことがある。
 今まで有害鳥獣の仕業や猟奇犯の犯行とされてきたうちの何割かが、北近畿を襲った集団に類似する何者かによる可能性が出てきたのだった。
 そして、それらは終結していないことも判明した。『北近畿騒乱』後も全国各地で小規模な事件は頻発していたのだった。
 国民は恐怖し、対策を求めた。
 その結果、自衛隊の弾薬の保管や出動に関する即応性は向上し、各地に分屯基地が設けられた。予算の増額も認められた。
 警察は重装備化すると共に、派出所、駐在所が倍増、今ではあちこちにプロテクターとショットガンを装備した警官の姿を見ることが出来る。
 また、過疎地や山間部における自己防衛が必要不可欠との要求から、警備業の規制緩和と銃刀法の改正による自警団の編成が進んだ。
 当然、副作用は存在した。
 警視庁及び大都市を抱える道府県警察内に新設された「特殊事案機動対処隊」略して「特機隊」は、防弾装備で全身を覆い、自前の装甲車や重火器を保有する、『北近畿騒乱』規模の事案に対処することを想定した部隊であった。
 しかし、この部隊の性質上、当然のごとく機動隊、SAT、銃器対策班等との軋轢を産んだ。自衛隊との関係も緊張した。
 また、危惧された銃刀法規制緩和による犯罪の増加は、警察の強化と自警団の組織が比較的円滑に進んだことから、予想より大分低い数値となったものの、人心は不安定化していた。
 山間部の過疎地は危険とされ、廃村が続出、林業は低迷し里山も荒れた。アウトドア産業や観光業も打撃を受けている。
 そして最も深刻なのは、拉致被害者の行方は一向に判明せず、いつどこで自分が襲われるかも知れない、という状況であった。
 懸命の捜査にもかかわらず、犯人の手掛かりは無く、どれだけ守りを固めてもそれは根本の解決にはならない。
 不安は澱のように人々の心に沈澱した。それが、世の中にどこか停滞した空気を招いていた。

 当初は高い支持率を保っていた保守政権だった。
 しかし、9月以降『隠岐島占拠事件』での西部方面普通科連隊による奪還作戦、相馬市騎馬自警団と武装集団による『相馬攻防戦』。
 捕獲された生体サンプルの争奪が原因となった『防衛医大炎上事件』等が立て続けに発生、国民は被害の大きさに衝撃を受け支持率は低下し続けていた。

「へば、申し送りの準備するべ」
「了解」
 
 もちろん、日本国政府はただ手をこまねいているだけの組織では無かった。
 依然として行方不明者の手掛かりは見つからないものの、過去データの洗い直しにより、武装集団や特異生物の出現前には、ある現象が発生することを突き止めていた。
 特定雲の発生である。
 規模の大小はあるものの、事件の前には必ずこの雲が発生していた。そして、数時間後には消滅することが分かった。
 政府はこの報告を受け、防衛省、国土交通省、気象庁等の関係省庁に対応を指示した。
 各省庁は折衝と調整を繰り返した結果、気象、航空管制、警戒その他あらゆるレーダー施設に、気象観測用のドップラー・レーダーを設置、さらに組織の枠を越えて緊急通報システムを整備した。
 J-ALERTと連動したこの警報システムが運用を開始した11月以降、国民の被害は一件も報告されていない。
 九戸三曹と晴山三曹も、このシステムの一部であった。
 
 
「晴山さん、今日明けだろ。田名部辺りの店で一杯やろうや?」
 チェックリストに鉛筆を走らせながら、九戸が言った。しかし、晴山の返事は無かった。
「──晴山さん?何か用事でもあるんか?」
 レーダー画面を見つめる晴山の肩は小刻みに震えていた。
「いや、ねえよ。有ったとしても、今日は山降りらんねぇわ」
「ん?──こりゃあ、大変だぁ!」

 九戸が覗き込んだその画面には、時計回りに渦を巻く、雲のエコーがはっきりと映し出されていた。


60 :

青森県むつ市大湊浜町 大湊漁港
2012年 12月8日 8時02分

 港は猛烈な地吹雪に曝されていた。明け方までの晴天が嘘のようであった。
 県警本部からの出動命令を受けた、むつ市警察署の城守一郎巡査は、防寒具と防弾装備でまるまると着膨れた姿で、雪に抗っていた。
 雪が彼の視界を奪っている。恐らく10メートル先の者すら見逃すだろう。彼は巡回を命じられたらものの、同伴する同僚と漁協の職員と共に、途方にくれていた。
「なんもみえね!」
「化けもんに襲われたらひとたまりもねえべ」
 彼が持つMP-5J機関けん銃は、通常であれば信頼性の高い高性能サブマシンガンであったが、現状では作動するかどうかすら不明であった。
「本部、こちら移動04。地吹雪で何も見えません。巡回は不可能です」
『移動04、周辺は異常ないか?』
 無線の声は、城守の癪に障った。思わず言い返していた。
「だーかーらー!なんもみえねって!」
 その時、風が変わった。北から猛烈に吹き込んでいた風が、まるで台風の目に入ったかのように収まったのだった。
 見上げると、青空すら見えた。
「お巡りさん!あれ!あれ!」
 漁協の職員が、怯えた声で叫んだ。城守が彼の指差す方向──海の方向を見ると、そこには一人の人間がいつの間にか現れていた。城守は思わずつぶやいた。
「……雪女がでた」
 突如生まれた無風の空間で、その人物は粉雪と風を身に纏っていた。ゆったりとした薄緑色の長衣が風に舞う。長衣から覗く手足は、細くしなやかな様子が窺えた。肌は雪よりも白い。
 唖然として動けない城守達に向けて、体重を感じさせない軽やかな足取りで、その人物は歩み寄った。
 渦を巻く風で、長い金色の髪がふわりと宙を舞った。柔らかな髪に隠れていた顔が露わになる。
 この世の者では無い、と城守は思った。余りに美しかった。猫のように大きな瞳が彼を興味深そうに見つめていた。年の頃は十代半ばであろうか。小さな口元に僅かに緊張の色が見て取れた。
 城守は、まじまじと見つめられ、頬を寒さ以外の理由で染めながら「やっぱり、この世界のもんでねえ」と思った。

 その人物の耳は長く尖っていた。

「あんた、何もんだ!この吹雪はあんたの仕業か?」
 城守は尋ねた。答えが返ってくることは期待していない。正体不明の武装集団は、誰も彼も言葉が通じないのだ。

 目の前に立った長衣の者は、鈴の音を思わせる声で、だが堂々と名乗りをあげた。

「わたくしは、リユセ樹冠国、西の一統リューリ・リルッカ。帝國に抗う南瞑同盟会議の命により、乞師として罷り越した。異世界の方よ。この国の宰相閣下にお目通り願いたい」

 リューリと名乗ったその言葉は、確かに異国の言葉であった。だが、何故か城守には古風な名乗りが理解できた。
 
 この日より、二つの世界は縁を結び、日本国は長い戦いに踏み込むことになる。
 

61 :
以上です。
 というわけで、エピローグ&プロローグ終わりです。

 今回の一連のお話は、実は自衛隊召喚SS『(題名未定)』の序章『北近畿騒乱』でありました。
 とりあえず今日は投下のみで失礼します。
 御意見御質問御感想お待ちしております。

62 :

面白い展開になってきましたね

63 :
>>61
異世界のクソッタレ帝国への武力侵攻と拉致被害者の奪還を期待します。
http://www12.atwiki.jp/jaeger/pages/39.html
帝国の土人をこの目に合わしてください。


64 :
乙。
こういうときにUSAが助けてくれれば力強いんだけどなぁ、さすがに何も協力関係にないとい
うことはないんじゃなかろうか、同盟国としてありようが疑われそうだし。
法改正とかは中国韓国のいちゃもんがマッハになってそうだ。

65 :
投下乙
一瞬バンシーか?と身構えましたが
精霊ぽい感じの異世界人でよかった
登場したのが青森(恐山)じゃなく
もっと南だと銃撃されて不幸な事態になったでしょうなぁ
異世界の往来が帝国の独占技術じゃなく、いくつかの勢力が行使可能なら
日本側から異世界への逆侵攻も可能になると思えますが
異世界側に移動のイニシアチブ持たせるのも日本の暴走防ぐ意味でよいかも
まぁ...事情知ったあの国が「自国民の安全」を口実に介入するでしょうね
日本が助力を求めるかどうかが今後の展開を大きく左右すると予想されますが
楽しみにしております

66 :
乙です
日本の戦いは長引くのかぁ、南無
>>相馬市騎馬自警団 ワロタwパネェwww

67 :
なるほど、盲点でした。「敵の敵は味方」。異世界の、帝国と敵対する勢力が、こちらへ力を借りにやって来るとは。

68 :
乙です。
毎回思いますが、背景が細かく書かれていてとてもわかりやすいです。
「雪女」というワードでシヴァを想像したのは私だけでしょうか(笑)
これからが第二部ですね。お待ちしています。

69 :
投下乙です!
> 今回の一連のお話は、実は自衛隊召喚SS『(題名未定)』の序章『北近畿騒乱』でありました。
序章でこの長さとは…
大作になりそうなんですごく期待してます

70 :
騎馬の自警団ってことは、牧場とか農業学校辺りから購入したやつに散弾銃持ったおっさんが乗ってるわけか。すげぇなおい。

71 :
>>42
>隣国による拉致説
というより、近隣の大国に撤退したと思う人がネットの世界では多くいそう

72 :
防衛医大が襲撃されたのはやばくね。魔法で探知とかされたのだったらいいけど
そこにあると分って襲撃されたら情報きちんと集めていることからきけんだ
これで異世界側への道が開かれたか。やっと出番が少なかった陸自の活躍が
見れるのか。


73 :
>>72
「奪還」じゃなく「争奪」だからこの世界の諜報機関でそ
>>71
ゴブリンやオークが生体兵器なら某軍事大国が容疑者だな
日本国内に駐留軍置いてるし某アニメで研究中の生体兵器が逃げ出した前科も有るしw

74 :
 沢山の感想ありがとうございます。少し、裏話など。
 元々『ゲート』の銀座や皇居での攻防戦を描いてみたくて、ノリで始めた物語でした。自分の知識の限界に合わせた規模に収めるために、地方都市を舞台にしてみました。
 とりあえず、描きたいシーンがありました。
・異世界軍による蹂躙
・騎士団対機動隊
・オークを素手で殴りR自衛官
・主砲の直接火力支援
 上手く書けたかといえば……ですが。
 予め書きたいことが纏まっていたのと、皆さんの応援のお陰で取り敢えず完結させられました。ありがとうございます。
 やきもきさせたり、戦車や戦闘ヘリが出なくて物足りないところもあったと思います。ちゃんと戦車戦闘やヘリの描写を書けるよう勉強します。
 敢えて、現場の描写に留めて全体像を分かりにくくもしていました。
 今後も文体と描写の手法は余り変わらないと思います。魅力的な人物を書けるようになりたいものです。

隣国について
・アメリカ人を入れたのは──(検閲済)
・中国とは地域紛争一歩手前です。韓国は華麗にスルー(国民世論的に)
異世界への門について
・ギミックはおいおい。異世界の人々にとっても、ある程度制限のある方法です。
異世界について
・帝國と敵対勢力があります。へんてこな国を沢山だしたいものです。
相馬騎馬自警団
・相馬野馬追参加者が先祖伝来の甲冑を纏い、家族と出陣式をする映像を見て、間違いなく編成されると確信しました。浪漫です。
 他にも腰矢指矢で街を守る『出水市自警団』とか、『鹿児島市抜刀自警団』とか。とはいえ、銃砲刀剣類は所持に制限を残してあるので、自警団の装備も抑制されたものです。
防衛医大炎上について
・ゴジラ細胞みたいな感じで。多分どこかの国同士がやりあってます。
 しばらくは異世界構築とネーミングに悩みつつ、陸海空の自衛隊と、中世の戦争について学びます。なるべく早く書きたいところですが……世界観とネーミングで手を抜くと、あとで苦労するので、ちょっとかかりそうです。
 がんばります。

75 :
設定は凝りだすと手が止まってしまうので
そこらへんは書きたいパッションとの兼ね合いで勢いを優先するのもあり
でも納得行く作品に練り上げる気持ちも大事なので
せかすような事は控えて応援しま
あと現実の中世の戦争は
F世界には魔法とか(我々から見た)異生物とかの要素があるので
史実に沿った資料は参考にはなっても物語で使うには限られるかもしれません
魔法や異生物の無い地域は我々の世界と大差無いかも知れませんが
それだとタイムスリップもののカテゴリーに入る気がします
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refISBN=4775309420
既に持っているかもしれませんが
「幻想世界の住人たち1,2」「幻の戦士たち」など怪兵隊の出してる本はよいと思います

76 :
>>74
対帝国戦は、アステカ帝国を滅ぼした”コルテス”の侵略を参考に!
コルテスは、生贄狩で帝国に反感を持っている周辺民族をまとめた侵略方法ですね。


77 :
乙です
今後の展開を期待しております

78 :
>>74
日米異世界侵攻軍の活躍を期待しています。はやく攫われた人たちが解放・奪還されると
いいですね。ついでに帝国の皇帝・貴族の処刑を!
まさしく異世界フロンテイアですね。


79 :
>>78
まだ不明だけど「米国人一人」が民間人じゃなかった場合
裏に何かが有る可能性残っているよ
その場合能天気に「ツアーの処刑だヒャッハー」とはしゃぐことできん

80 :
その一人がチャック・ノリスでF世界ピ〜〜〜ンチ

81 :
アメリカならプラズマ軍事技術が進んでいるからエルフの力なしでも異世界へ自由に
転移できるかもしれない。もっとも筑波のマッドたちも開発できる力があるね。


82 :
「米国人一人」
あのコックさんですね、わかります

83 :
沈黙のファンタジー

84 :
やめて異世界滅んじゃう

85 :
最強のコックは、勇者として召喚されたことにより能力補正され
あらゆるモノを「打ち・極め・折って投げる」能力を付与されていた!
「なに?村に入った将兵が手足を折られて捕まった、だと?」
「馬鹿な。城崩しの大ゴーレムの首が一晩のうちにすべて折られていた!?」
「星落しの・・・・軌道が・・・捻じ曲がるだとぉ!」

86 :
どう見ても仮想戦記ではなくハリウッド映画です、本当にありがとうございました。

87 :
>>83 >>85
面白そう!
アメリカ版ゲートの映画をハリウッドは製作しないのかな!
ある日、ニューヨークにゲートが出現してファンタジー世界の帝国軍が襲撃。しかし、アメリカ軍に
ボコボコにされてゲートはアメリカ軍が奪取。
そこからアメリカ流フロンテイア・・・・・・ファンタジー世界への侵略が開始される!
帝国に攫われた人質奪還には、あのセガールの親父率いるシールズ。
皇帝、貴族は爆撃・射殺・・・もしくはコンバット格闘技術で死亡。
アメリカ軍なら高高度から各都市に非放射能爆弾の雨を降らせそう。


ロシア版 INモスクワ・赤い広場   シナ版 IN北京・天安門
もいけそう。




88 :
一番嫌なゲート実写版は、

 韓国版 INソウル・南大門

 ファンタジー世界の底辺の住民に対してR・殺人・窃盗・・・・・・・・・・
かなり悪辣非道をしそう。
奴らは、ベトナム戦争で前科あり。


89 :
>>87
合言葉は「リメンバーN・Y」ですか
誰が見たいんだよ

90 :
実写ゲート版映画を真っ先にパクリそうなのは、韓国。
戦国時代の豊臣軍がソウルに攻めてきて・・・・・・・・韓国が逆侵略で日本占領。
”天軍”も戦国自衛隊のパクリだね。


91 :
アメリカにはスターゲイトシリーズがあるからなあ

92 :
ファイナルカウントダウンという作品があってな

93 :
スターゲート続編作らないかな

イギリス版ゲートだと「500年のトンネル」があるかな?
現代側が搾取目的でゲート作るから逆かな

94 :
アメリカ・ロシア・中国・日本に同時に門が開けばいいだけのことだろう
元より、世界VS世界と言う構図なのだから
T-72型M777ポーターシステムの効力射が敵陣を粉砕し、Kliverシステム搭載型ピラーニャが制圧する
そんな戦場があったらとっても嬉しいなって

95 :
>>94
あいてが「ネギま」の火星魔道文明だった場合
返り討ちに合いそうな気がする

96 :
>>95
あれ結構設定がいい加減だろ……いや、俺も好きだけどさ……
それにあの世界の地球側も対外だぞ? あれほどのレベルの違いを100年程度で
克服、超科学の領域に入り込んでいるからな。
何しろ、火星VS地球の未来において、拮抗してるみたいだし
というか、逆にF側と地球側が拮抗する戦記物で最後まで書いたやつが見てみたいな
無いだろうが

97 :
> あれ結構設定がいい加減だろ……いや、俺も好きだけどさ……
設定がきっちりしてるより面白いかどうかの方が重要。

98 :
スレチな話題なうえに設定も糞なんで激しくどうでもいいです

99 :
てかなんで唐突にハーレムおねショタ漫画のしかも火星の話が出たんだ
>>94
最初は国連軍だけど、いつの間にか地球連合とか地球連邦になるんだろ

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