日本に関する調査におおむね基づいたイースタリン氏の研究では、日本は奇跡的な 経済成長を遂げたにもかかわらず、国民の幸福度にはほとんど変化がなかったとしている。 また後年の研究では、年収が米国では7万5000ドル、それよりも貧しい国々では8 000〜2万5000ドルの範囲を超えると、お金が幸福度に影響を及ぼさなくなることが指摘されている。 両氏は米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が実施した調 査「ピュー・グローバル・アティテュード(Pew Global Attitudes)」とギャラップ世界世論調 査(Gallup World Poll)、さらに国際社会調査プログラム(International Social Survey Programme、ISSP)の3調査による国際比較研究データを分析した。 両氏によれば「一国の中では、平均幸福度と平均所得の間に明らかな相関関係がみ られた」という。さらに国が豊かになると所得から得られる満足感は下がっていくが、なくなる ことはなく、また国全体の所得が倍増すれば国民の幸福度に与える影響は等しく、それは 当初の所得にかかわらないという。