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2013年06月電波・お花畑627: 流浪の戦士ヘイドレクの物語 (194)
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流浪の戦士ヘイドレクの物語
- 1 :2008/12/02 〜 最終レス :2012/04/11
- でもまあ、いいんじゃないか?
掃き溜めにも咲く花はあるさ。
そう語るヘイドレクの目には、涙が溢れていた。
- 2 :
- 「あっははははは、あはははははは!!」
:.:.| : : : :|:.: |// ヽ | | l ヽ
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三三ゞ三三三\:.:.:.:..... .. ../ /\_ト、 \ 丶 `,
三三三三ゞ:三三≧==こ´ /| \ \トヘ、 i
.三三三三王三不三三{__// | \ ヽ l
三三三三ノ/ |三三三/〃 \ ヽ } |
- 3 :
- 瓦礫と化した街は、全てを焼き尽くす紅蓮の炎に包まれている。
爛れた肉をまとう血まみれの人々の列が、渇きを癒そうと河へと向かう。
私は体に圧し掛かる瓦礫を跳ね除け、立ち上がった。
目の前には、まさしく地獄そのものの光景が広がっている。
吹き荒ぶ熱風が私の頬を炙る。
死肉の焼け焦げた匂いが辺りを漂い、思わず吐き気を催した。
ここが住み慣れた街だったとは、俄かに信じがたい。
それほどに変貌し、破壊されつくしていた。
一体何故、どうしてこのようなことが?
私は崩れ去った建物を這い出し、かつての大通りを歩き出した。
道端に散らばる死体は、その原型をとどめながらも焼け焦げて消し炭のようだ。
逃げ惑い、炎に舐めつくされて絶命した人々の苦悶の姿を不気味なまでにとどめている。
だが、もはや彼らが何処の誰なのかなど分からない。
それ以前にもはや誰も気に留めないであろう。
体の節々が痛む。
吹き飛ばされ、瓦礫に打ち据えられた己の肉体も、乾きと疲労で憔悴しきっていた。
額の裂傷から垂れる血を袖で拭った。
煤の混じったどす黒い血が、白い袖口を染め上げる。
通りをゆっくりと進む人々は、言葉にならぬ呻き声を上げながら一つの方向へと進む。
全てを失い、絶望に飲み込まれた彼らの求める希望は、ほんの僅かな潤いであった。
私は大通りを、街の外に向かって進む。
幽鬼の如く爛れた人々の列には従わない。
彼らの行き着く先は、死のみ。
私には分かった。今、私がなさねばならぬこと。
- 4 :
- 煙に蒸された死体の臓腑が弾け、路上に腸が飛び散る。
大通りに面した商館が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちるのを見た。
次々と倒れ伏す人々を横目に、私はひたすら歩いた。
壁へ、街の外へと。
血が滴り、己の服を染める。
焦げた空気が時折通りを吹き抜け、地を這う人々を薙ぎ払う。
通りを飾る柳やアカシアが、その枝葉を燃やしていた。
火の粉が飛び散り、辺りを照らす中を私はひたすら歩いた。
あと少し、あと少しでたどり着く。
そこには、私にたった一つ残された希望があるはずだ。
私にとっての救い。
他の誰の物でもない、私だけの救いの手が。
大通りを抜け、街の外に向かう交差点を曲がった時だった。
急に、雨が降り出した。
低く立ち込める積乱雲から、まるで天が溢れたかのような豪雨が吐き出される。
人々を焼き尽くした煤を含んだ、呪われたような黒い雨だ。
道に散乱する瓦礫を、瞬時に黒く染め上げてゆく。
その黒い雫はかつて街を模った瓦礫たちを伝い、側溝に流れ込み、黒い奔流となって走る。
私はその雨の生温さを感じ取りながら、尚も進んだ。
周りで人々が次々と倒れてゆくのが見える。
彼らは己の希望にたどり着いたのだ。一抹の潤いに。
挙句にそれを受け入れ、満足し、死の帳の中に消えていったのだ。
もはや苦痛もなく、乾きもない永遠の漆黒の中へと。
だが、私は諦めない。
私の望むものは、そんなものではないのだ。
彼らのように、運命を甘んじて受け入れるなど、私は真っ平だった。
- 5 :
- 衰弱した私の体を打ち倒さんとばかりに、豪雨が私を叩く。
その漆黒の雨が、街を嘗め尽くした灼熱の炎を次々と消し去ってゆく。
まるで今までの隆盛が嘘であるかのように、炎はその勢いを弱め、小さくなってゆく。
死人の肉を焼く炎もまた、消えてゆく。
僅かに水蒸気を立ち昇らせる湿った音を立てて、その熾き火は消えた。
断罪の炎が消える。
弔いの火が消える。
齎されたのは、死にゆく人々への恩寵だ。
穢れ、汚れた街を清めるように、雨は全てを流し去る。
黒い雨はそのうちに冷たく白い雨に変わっている。
雲間から覗く月明かりを浴び、その雨粒は銀の粒となって街中を覆い尽くす。
私は歩いた。ただひたすら歩いた。
建材の骨格のみを残して、壁も屋根も焼き尽くされた建物が、通りに疎って立ち並ぶ。
林立するそれらは、月の光を受けてまるで白骨のようだ。
透徹とした、死の支配する街だ。
潤いと、冷気と、静寂のみが許された廃墟だ。
かつてここにあった人々の息吹など無かったかのようだ。
破滅が喜びも悲しみも、怒りもすべて飲み込んだのだ。
私は遂に街の外れまで来た。
破壊の爪跡はここにも存在した。
焼かれ打ち砕かれた人々の残骸が、虚しく散らばる広場。
そこに私は今、生ける者としてただ一人、立ち竦んでいる。
目の前には巨大な門があった。
普段は閉ざされているこの門が、今は何故か大きく解き放たれている。
その先に見えるのは、無限の闇。
まるで何も存在しないかのような、虚無の世界だ。
私は躊躇する。
確信はあった。それは確かだ。この先にしか、私の希望はないのだから。
だが、何かが私を押しとどめる。
- 6 :
- 恐怖なのだろうか?
それはおそらく違う。恐怖ならば、今さっきまで散々味わい尽くしたのだから。
迷いなのだろうか?
それもおそらく違う。昨日までの世界が消え去った今、迷うものなどあるわけがない。
いつのまにか雨は降り止んでいた。
音一つ無い、死の世界となった街だ。
私自身の息吹だけが、この静けさの中で生々しく耳に届く。
そして己の心臓の鼓動も。
私は間違いなく、今も生きている。その証しだ。
乾いた喉に、唾を送り込む。
ざらついた舌が、口腔の壁に張り付く。
私は歩いた。門の向こうに向かって。
一歩、踏みしめるごとに、その足音は高らかに響く。
巨大な門は、今や私を待ち受けるかのように、大きくその漆黒の口を広げる。
輝きのない、その希望の中へ、私は今、一歩踏み込んだ。
暗路が、闇の奥に向かって伸びているのが見えた。
それ以外、何も見えない。
おそらく見えないのではなく、何も無いのであろう。
もはや迷うことなど無かった。
私は唯一つ残されたこの道を進むしかないのだ。
目を開き、遥か遠くまで続くその暗路を見据える。
希望はおそらく、この先にあるのだ。
確実に、未来に通じる希望が。
私は歩き出した。
迷い無く、力強く。
私の背後で、巨大な門が閉ざされる音が聞こえた。
- 7 :
- 流浪の戦士ヘイドレクの物語
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1218622888/
- 8 :
- /  ̄ ̄ ヽ _ --―――――-、
/、 / /´、 ノ
{ ーrー'´ / ノ_ _ -‐'´
\ }―‐‐-/ /  ̄ ̄
/::::\, ゝ―</ヽ
/:::::,:/:fィ:´丁:、::`ヽlヽ:ヽ
/:::rィワ:::レトk八:::ヽ::',::}::l:::::l
,':::::〉テ!:::l ィ=ミー\{ムイ::P!:|
l::!〈/イ:!:::lヘュ;j {:;トi:::l)i::|
|::!:::lヾヘ:::! 、_', ` ハj/i::!
レ!:::|::', :ヽ:ト.、 //'ハ :!
ヾヘヾ::::'f`t≧tく-v{:/ リ
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〃 、l、 〃 -、`=っ
/ ヽ ,ィ´`ヽ /ヘー-┬-ツ
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/ 人.y: :ヽ : : : . }: . : : : jノ /
/ / ヽ: : 、 _ヽ; : '`: : : :f:i′ ./
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/ く ヽ : : :i : : : : :!lー''
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- 9 :
- 「ほら、山びこだよ…」
お父さんはマサシくんにそう言い、遠くの八ヶ岳を指差しました。
マサシくんは、お父さんが指を差した方向に耳を済ませます。
するとどうでしょう、遥か八ヶ岳の峰から素敵な声が聞こえます。
「あ、本当だパパ、凄いや!」
マサシ君は嬉しそうに笑います。
「ねえ、どこどこ?私も聞きたいよ!」
マサシ君の妹、マユミちゃんはパパにねだります。
マユミちゃんは今度、エニグマ幼稚園の年長組になりますが、まだまだ甘えん坊さんです。
優しいパパはマユミちゃんを抱き上げ、そして頬に優しくキスをします。
パパはお髭が濃いので、マユミちゃんの頬にはざらざらした感触がします。
「ほらマユミ、あっちの方だよ。耳を済ませてごらん?」
パパはそう言って、再び八ヶ岳を指差しました。
マユミちゃんは目を閉じ、耳を済ませます。
するとどうでしょう、再び甲高い声が響いてきます。
「あ、パパ。私も聞こえたよ!ねえ、あれは何?」
マユミちゃんはパパの首に抱きついて尋ねます。
子供は好奇心がいっぱいです。
見晴らしのよい高台でお弁当にしましょう、とママは言いながらゴザを敷き、お弁当の用意をしています。
良く晴れ、遠くアルプスまで見通せる素敵な場所。
空気も澄んでいて春風がとても気持ちいいです。
優しい陽射しが幸せな家族を照らします。少し眩しいくらいの陽だまりです。
「マサシ、マユミ。あれはね…、」
パパはマサシくんの手を取り、マユミちゃんを抱き寄せました。
「あれはね、ヘイドレクという男の悲鳴なんだよ」
パパはそう言って、遠く八ヶ岳の峰々を見ながら微笑みました。
- 10 :
- /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.l:.:、:.:|:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.ヽ
//:.:.:.:./:.:./:/ |:.:.|:.、:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:.:.:.l|:.:.:.:ト!
|:|!:.:.:.:.:!:.:.|:/ !:.:|:.:l:.:.:._l:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.||:.:.:ノ|
|ハ:.:.:.:.:|:.:.|'| ̄ !:.:ト、\:.:.:.|l`ヽ|:.:.:|:.:/l:/ハ
l! ヽ:.:.:.l:.:.l:| ヽl ヽ=≠-、:.l|:.:.:|//彡/:|\
\:|:.:.|=-‐ トしrハ|:.:ノ|/! |´|:.:|:.:.:ヽ
i`:.l , ー‐' ,':.:.:.:トノ:!:.:l:.:|:.|:.l!|
|:ノ:.\iヽ ー‐ /:.:.:.:/:|:.:.:.|:.:|:.:lソレ'
//:.:.:.l「| ト、__,.. ィ/:.:.:.:斗-!:.:.:|:.:.:.:.ヽ
/:.:/:.:.:./l/ ノ,へ ! /:.:./ \l:.:.:.:.:.:.',
/:.:.:/:.:.:./|/ 'ー-ri /:.:.:.:/ , |ヽ:.:.:.:.:.:',
/:.:.:.:.ノ!:.:./ ! 二j´ /:.:.:.:/ / l:.:.\:.:.:.:.',
/:.:.:.:.:.:/ ∨ノ/ ,rノー|:.:/ノ´_,,. -‐ /!:.:.:.:.:ヽ:.:.:l
!:.:.:.:/_, -‐' .〉 ,ィ´ ̄l:/ '´ /:.|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:|
- 11 :
-
「スイス政府民間防衛」より。新しい戦争。その名も「乗っ取り戦争」
第一段階「工作員を送り込み、政府上層部の掌握。洗脳」
第二段階「宣伝。メディアの掌握。大衆の扇動。無意識の誘導」
第三段階「教育の掌握。国家意識の破壊。」
第四段階「抵抗意志の破壊。平和や人類愛をプロパガンダとして利用」
第五段階「教育や宣伝メディアなどを利用し自分で考える力を奪う。」
最終段階「国民が無抵抗で腑抜けになった時、大量植民。」 ←今ココ
- 12 :
- ,ii
.ト、 / |
| \、 ,. - ' ´ ̄¨ ‐ ト、
| \, ヽ \
U j ヽ ,' ヽ \.ヽ
/ L 'i i ,i l l ヽ. ヽ i
| FYハ l ト、 }}__ l |
| |. | l ト、ヽ.\',⊥},ノ |
| | | ,.‐'ヾ. ヽゝ .{hi >‐ |
| | |'´/゙「` Y{j 、 |
| | .|,ハヘ_jと `´ 〉 |
| | |/ヾゞ= ' , -‐ 1 / .|
| | | ド ヽ _ ノ/ |
| ハ ヽ |i´` ー- .,、.-イl |
| | .| | |-- 、__{\ ̄:ヽ |
| | ,ハ l }:.:.:.:.:.:.|「`Y>:.:.l l |
. | |_/_;ヽ ヾト、:.:.|ト、/´\:.:| | |
| | l.|:.:.:.:`:.\ \ヾ!!:.| \| |
| | | i |:.:.:.:.:.:.:.:.\ \:.:.| ,>|
| | || |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽヽゝ| _,ハ|
|,ハ |! |. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:} }}:.└‐'´:.|:.:.:|
|| | |l.| lヽ:.\:.:.:.:.:.ノイ:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:{
|| | /|,ハ.| |:.:.:.:\:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:ヽ
. |! ヽ| | ||∨|:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:}__:.:.:.:.:/:.:.:.:.:l
_. -- 、ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:|:.:.:.:ノ:.:.:.:.:.:.:|
rf ̄ _, イ:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`'^L:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:|~\
〉レ'´ ,入:.:.}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:.:.:.:.:|´ ̄¨7z.、 _
_,ノ'´ _/ ヽ_\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:.:.:〉 「 _) ` 、
r「 / / `「 \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ ,人 | } ヽ
}| / ,/ .| ヽ、ー--:.:.:.:.;人:.:.;> | フ !
ヽ,ヽ _/ | | `ー`=- 、-イ:.:.:.∨\ | } l
ヽ厶' _, | ヽ \「 ̄ヽ. \ _ __ __. '
{.|  ̄ ヽ \ _,/,ユ ,ニヽ.\
'(\ _ | ` ‐ 、_r{ _r┘ \> .ヽ,>┘
└、ヽ/,ノ `^ー-- 、 _ ー一 /_」 \
,/'´ { '^ーO―O--r┴―ー '‐ '--- ―― - 、 \
,〃 ヽ { ヽ ヽ
// ) ___ |_ U
l ,′ ,厂`´  ̄ ー- '^ ‐ - .._ /
l.{ /  ̄ ‐-------‐ '
- 13 :
- のび太は男子トイレの個室でRーをしていた。
手に握りしめ、顔に押し付けてスーハーのしているブツは、しずかちゃんのブルマだ。
体育の授業終わりで汗ばんだしずかちゃんのブルマは、汗の匂いでムンムンしていた。
先ほどまでクラス一の美少女が見につけていた宝物の中に、のび太は鼻先を埋め、思い切り息を吸い込む。
思春期に突入した生娘の放つ、たまらないフェロモンの芳香が、蓄膿ぎみののび太の鼻腔を通して脳髄を刺激する。
(しずかちゃん…ああ、しずかちゃん!)
のび太はそう呟きながら、自らのペニスを固く握り締めた。
…つい先ほど、休み時間開始のチャイムとともに席を立ったのび太。
ジャイアンやスネ夫の呼びかける声を無視し、そのまま教室を脱兎の如く飛び出した。
授業時間中もずっと興奮を抑え切れなかった。
もちろん授業など耳に届いていなかった…そんなのいつものことだが。
先生に指名され、黒板に書かれた非線形微分方程式の応用問題を解くように言われたが、
すこしイラついた態度で「わかりません」と答えたのび太、これで放課後は居残りが決定した。
(ふん、まあいい…。)
ポケットの中には先ほどしずかちゃんから失敬した、脱ぎたてのブルマ。
夏の日差しの下でたっぷり汗をかき、少しムレたしずかちゃんの股間を覆っていたブルマだ。
のび太の鼓動は高鳴る。
もはや五時限目に提出しなきゃならないサンスクリット語のレポートのことなど頭に無かった…。
…たまらなくなったのび太はついに、しずかちゃんのブルマを口にくわえ込んだ。
裾に溜まったしずかちゃんの汗から、少ししょっぱい味がする。
(むう、た、たまらない!)
既に真っ赤に腫れ上がった己のペニスは、小学五年生にしてはサイズはかなりでかい。
大男の疎チン・ジャイアンや、モロの短小Rのスネ夫に比べると、そのグロテスクな巨大さは群を抜いている。
その灼熱を帯びた巨大なペニスは、今、のび太の手の中で破裂しそうだ。
「…あ、ああっ、し、しずかちゃん!」
脊椎が震えるような感触が伝わり、肛門括約筋が引き絞られる。
そしてその快感は右手で握り締める男根に伝わり、熱く膨張した男根全体が痺れた。
そろそろ出ちゃう、そう思ったのび太は口にくわえ込んでいたしずかちゃんのブルマを取り出す。
そのブルマで自分のペニスを包むと、一気に手の動きを速めた。
しずかちゃんのヴァギナに接した布地が、今、己の亀頭を激しくこすり上げる。
しずかちゃんから染み出した女の汁が、今、己の亀頭のカリに擦り付けられている!
「しずかちゃん、ああっ!!」
一瞬、大きく体を痙攣させたのび太…その直後、のび太のペニスの先端から、夥しい量の精液が放たれた。
熱を帯びた精液はそのまましずかちゃんのブルマの布地に流し込まれ、繊維の隙間にしみこんでゆく。
ちょうどそのとき、授業開始のチャイムが鳴った。
- 14 :
- (どうせレポート書いてないしさ、五時限目の授業なんてサボっちまおう…)
のび太はしずかちゃんのブルマで自分のペニスを拭い、精液をふき取ると、便座に座ったまま軽く尿をした。
廊下からは、教室に戻る同級生たちのあわただしい足音や、早く教室に戻れと怒鳴る教師の声が聞こえる。
そんな日常の喧騒を遠くに感じながら、のび太はポケットからタバコを取り出して口に咥えた。
(前に俺の吸ったタバコの吸殻のせいで、ジャイアンの奴が停学処分になったな…。)
そう思い出してのび太は微笑んだ。
髑髏のレリーフの刻まれたニッケルシルバーのジッポライター(22世紀製でドラえもんから奪い取ったもの)で、
口に咥えたハイライトに火をつける。
大きく煙を吸い込むと、一瞬軽い目眩が起きた。この瞬間がたまらない。
血液中にニコチンが巡ってゆく快感に浸りながら、のび太は煙を天井に向かって吐き出す。
興奮が収まり、自分の精液で塗れたしずかちゃんを見た。
濃紺の生地に、べったりと自分の精液が染み付いている。
どうすっかな?とのび太は悩んだ。
(このまま持ち帰ってRーネタにするって言っても、もう俺のザーメン塗れだしさ。)
なら、いっそのこと誰かに変態行為の罪を擦り付けちゃえ、と思いついたのび太の脳裏に、スネ夫の顔が浮かんだ。
廊下に出たのび太は、見回りの教師に見つからないように注意しながら廊下を進む。
目指すは5年3組のロッカールームだ。
すでにクラス全員のロッカーの合鍵は取ってある。
ドラえもんの未来の道具(名前はなんつったけなあ…まあいいや!)でアッという間だ。
通りかかった理科実験室では6年生のクラスが理科実験実習をやっていた。
なにやら常温核融合の実験らしく、重水素抽出装置やフォトンレーザー共振器などがウンウン唸っている。
特殊バイザーをつけたアホ面の上級生たちが、理論物理学博士号を持つ理科教師の熱弁を熱心に聞いている。
(馬鹿だな…こんなのドラえもんを脅しつければ、ミノフスキー・イヨネスコ型核融合ジェネレーターくらい出してくれるぜ)
嘲笑いながらのび太はそこを通りすがる。
そのときだった。
「のび太くんっ!」
と、呼びかける声がした。
その声に、射抜かれたように立ち竦むのび太。
額に汗がぶわっと浮かぶ…まずい、見つかった!
ツカツカと背後からのび太に近づいて来る足音が響く。
固いヒールがリノリウムの床に当たり、長い西校舎の廊下に響き渡った。
ゴウンゴウンという空調の音と、時折発せられる実験室からの機械音…その中で一際甲高く靴音が響く。
- 15 :
- 「のび太くん、今、授業中でしょ?」
女の声…のび太は恐る恐る振り返る。
そこには鮮やかな白いブラウスを着た、美人英語教師茉莉子先生がいた。
鼻筋の通った端正な面立ち…薫り立つような濃厚な色香がどことなう漂う。
紅のルージュが引かれた口元は僅かに微笑み、刺すような視線でのび太を見つめる。
「こんなところで何をしているの、ダメでしょう、授業をサボったら」
そう言ってのび太の目の前まで歩み寄る茉莉子先生。
細身の体から我儘に隆起したR房が、のび太の鼻先で揺れる。
たしかにまずいことになった…こんな状況じゃ誤魔化しようがない。
担任の谷口に報告が行けば、こんどこそ間違いなく停学だ…のび太の頭は必死に打開策を探る。
「せ、先生はこんなところで、何をしてるんですか?」
結局そんなことしか言えなかった…見回りに決まってるじゃんかよ!
のび太は「全力疾走で逃げる」という選択肢を思い浮かべ、それを実行しようとした。その瞬間、
「私?…うふっ!私もサボりよ」
茉莉子先生は、そう言って妖しげに微笑み、再びのび太の目を見つめる…熱い瞳だ。
「生理痛だって誤魔化して、5年1組の授業をすっぽかしたの。だからあなたと同罪…黙っててよ、のび太くん!」
そう言いながら茉莉子先生は懐からタバコを取り出した…ヴァージニアスリム。
それを一本取り出し、口に咥えた瞬間、「あ、ここじゃヤバいか!」と言って、振り返って歩き出した。
(生理痛…生理痛って、茉莉子先生は今生理なのか?)
のび太の中で妄想が膨らむ。そして視線は歩き出した茉莉子先生の後姿を無意識に追っていた。
年頃の男子生徒を挑発でもするつもりなのか、切り詰められた短いスカートから長く健康的な美脚だ。
そのグレーのタイトミニの下で、ことのほか肉感的な尻が、歩くたびに躍動するように蠢く。
(生理って…マジすか、茉莉子先生)
先ほどたっぷりと放精したにも関わらず、のび太の股間が疼いた。
窓から差し込む午後の日差しの下で、見事な美脚…。
そして生理…女性のあの部分から、出血するんだよな、確か。
「のび太くんも、来る?」
突然振り返った茉莉子先生は、のび太に向かってそう声を掛けた。
そして自分に向けられるのび太の視線を素早く察し、悪戯に微笑んだ。
その微笑は、差し込む日差しの中でまるで奇跡のような輝きを放っていた。
- 16 :
- 「…茉莉子先生、ボク、もうダメですっ!」
のび太自身を苛める巧みな茉莉子先生の舌技に、のび太は最早限界であった。
机の端に腰掛け、ズボンとパンツを下ろしたのび太。
そののび太の前に跪き、長い黒髪を振り乱しながら茉莉子先生は一心不乱にのび太をくわえ込む。
大きく開かれた胸元から、豊満なR房が揺れる。
先ほどまでのび太の顔がうずまっていたあの場所だ。
たくし上げられたスカートからは、見事なまでに丸みを帯びた臀部が剥き出しになり、のび太の視界の下で蠢く。
その白い地肌が、窓から差し込む西日を浴びて痛々しいほどに白い。
「ああっ!」
人気の無い北校舎…その狭い教材用具倉庫の中に響き渡る喘ぎ声を上げて、のび太は果てた…。
体中が震えるような快感が駆け抜け、その疼くような快感がのび太のペニスに伝う。
前立腺の奥から湧き出した熱き迸りが、長く太いのび太の男根を伝い、茉莉子先生に向かって噴出した。
「…んんっ、むんんぐっ!」
のび太を口に含みながら、茉莉子先生は唸った。
口腔内にことのほか大量の精液が満ち溢れ、その熱を帯びた奔流が茉莉子の喉に流れ込む。
小学五年生としては考えられないほどに巨大なのび太のペニスが、茉莉子の口の中で痙攣して暴れた。
若草をすり潰したような生臭さが、茉莉子の鼻腔を刺激する。
その若き生命力の逞しさに煽られ、茉莉子は自分の体の芯が熱くなっていくのを感じた。
机の端に腰をかけたまま、のび太は快感に余韻に浸り、大きく喘ぐ。
そののび太の腰に手を回し、茉莉子はさらに彼自身を深くくわえこんだ。
「あうっ!ま、茉莉子先生!」
のび太は腰を引かせる。
茉莉子はそれを押さえ込むように抱きしめ、のび太の太いペニスを吸った。
一滴も残さず彼の雫を吸い出す、彼女の本能がそれを求めていた…。
「…うふっ!ダメでしょ、のび太くん」
体育用のマットの上で横たわる二人。
茉莉子先生はヴァージニアスリムを一本取り出すと、それを口に咥えた。
「あ、ライター…」と言いながら、横たわるのび太の上に身を乗り出し、向こう側にあるバッグを探りはじめた。
のび太の目の前に、無造作に晒された丸いR房が揺れた。
少し汗ばんだ白い肌が、ホコリ臭いこの用具倉庫の中で一際新鮮に輝く。
目の前のこの女の肉体で、自分は初めての経験をしたのだ、と改めて振り返った。
その瞬間、精を放って萎れたのび太のペニスに、僅かだが疼きが走る。
茉莉子先生はライターを取り出すと、のび太の横に座り、タバコに火をつけた。
少し目を閉じ、煙を味わった後、ルージュが滲んだ唇をすぼめて天井に吐き出す。
のび太はそれを横目で見ていた。
快感の余韻が彼の思考力を奪い去る。力なく横たわる体は、まるで自分のものではないようだ。
そんなのび太を、茉莉子先生はしゃがんだ姿勢のまま見下ろした。
そしてあの悪戯ッ気たっぷりの微笑みで、のび太の目を見つめる。
- 17 :
- 「まったく…こんなことしてるなんて、結構可愛いところあるじゃない」
茉莉子先生はそういいながら、のび太が持っていたしずかちゃんのブルマを手にとって見せた。
のび太は寝そべったまま、恥ずかしさのあまり視線を逸らす。
見られたくなく、知られたくない自分の恥部が、このように晒される。
激しい自己嫌悪と後悔の念が、のび太の中で渦巻く。
「みなもと…しずか、かぁ。ああ、あの娘ね」
茉莉子は指先でつまんでいるブルマを宙で数度振った。
濃紺の生地に、のび太が放った精液がこびり付き、乾いてカピカピになりかけていた。
「のび太くんは、この娘のこと、好きなの?」
顔を背けるのび太の目の前にそれを突き出し、タバコを咥えながら聞いてくる。
その声はどこか楽しんでいるようで、妙に明るい。
「いえ…別に、そういうわけじゃ」
のび太の口は重い。
もちろん大好きだ。
幼馴染であったしずかちゃんが、思春期を向かえ徐々に女の体になってゆく。
そんなしずかちゃんに、抑えられない熱い思いが沸き立つのを、のび太は知っていた。
今まで意識していなかった原始的な衝動が、のび太の中で激しく燃え上がってきている。
その捌け口を求めて日夜苦悶している…その結果が、これだ。
突然、茉莉子先生がのび太にのしかかってきた。
「ひねくれてるのね、のび太くん。…もっと素直にならなくちゃ女の子にモテないわよ」
そう言って微笑むと、茉莉子先生はのび太の唇に己の唇を重ねた。
長い黒髪で視界を奪われた。濃厚すぎる女の薫りが、一気にのび太を包み込む。
茉莉子先生の舌が、のび太の前歯を押し広げた。そのまま中に侵入し、のび太の舌と絡まりあう。
唾液と唾液が交わされる…茉莉子先生の唇から溢れた唾液を、のび太は飲み込んだ。
のび太は思わず先生の首に縋りついた。
夢中になって茉莉子先生の唇を求める。
ああ、たまらない。
だが、のび太の抱擁を面倒くさそうに払うと、茉莉子先生は唇を離した。
のび太の肩を押し、上半身を起こす…長い唾液の糸が、二人の唇の間で光った。
もう一度、二人は見詰め合う。
刺すような視線が、のび太に注がれた。
美しさを越えて、どこか恐ろしい。
無言のまま、ジッと茉莉子先生はのび太を見つめる。
緊張し、唾を飲み込むのび太。
- 18 :
- すると突然、茉莉子先生の手が、のび太のペニスを握った。
「ううっ!」
まだRしておらず、下腹部で萎れたままの柔らかなペニス。
そのペニスを茉莉子先生の手が揉む…少し冷たい手の指の感覚が、たまらなく心地よい。
「こんなに大きいの、あなたは持ってるじゃない…凄いわ、これ」
茉莉子先生はゆっくりと顔をペニスへと近づける。
「この凄いので、しずかちゃんのことを貫いちゃいなさいよ…男でしょ?のび太くんは」
そのまま肉茎を口に含んだ。肉茎をこすり上げ、陰嚢を丁寧に揉みながら、亀頭に軽くキスをした。
「まだ、時間はあるわ…今度は私を気持ちよくさせてよ、のび太くん」
四つん這いになった茉莉子先生は、のび太のペニスを掴んだ。そのまま己の秘所に導く。
「で、でも…先生もマズいんじゃないですか?」
自分のペニスがゆっくりと茉莉子先生の中に入ってゆく。
熱く濡れた粘膜が、のび太の硬直した肉茎をくわえ込んでゆく。
「忘れたの?私、今日は生理痛で半休なの…うふっ!」
ついにのび太のペニスが、茉莉子先生のヴァギナに埋まった。
茉莉子先生は顔を顰め、小さく唸る…のび太の肉茎の圧力に、少し驚いているようだ。
のび太は茉莉子先生の膣の熱さを感じ取りながら、茉莉子先生のR房を掴んだ…。
午後の太陽が眩しかった。
思わずのび太は目を手で覆う。
普段通いなれた、いつもと変わらぬ通学路。
しかしその街並みが、前より小さく見える。
春風が優しく吹きぬける通りを、のび太は一人歩いていた。
もちろん担任教師の呼び出しなど、彼の頭にはない。
そんな些事など、もはやのび太にとってはどうでもよかった。
体の節々が疼き、少し気だるさが残るが、それすら今は心地よかった。
下校中の他の同級生たちの卑小さを内心少し嘲笑いながら、のび太はゆっくりと道を進んだ。
「おーい、のび太!」
突然、空き地から叫ぶジャイアンの声が聞こえた。
スネ夫、しずかちゃん、それに珍しく出来杉。
町内少年野球チーム”ジャイアンズ”の面々が空き地に勢ぞろいしていた。
彼らはのび太の方を見ながら、早く来るように手招きしている。
(今日は試合なんかあったか?)
歩みの速度を速めることなく、のび太は彼らの集う方へと進んだ。
別に急ぐわけでもあるまい、どうせ小学生の用事なんてたかが知れている。
- 19 :
- 「早く来いよ、何やってるんだよのび太!」
少しイラついたジャイアンの表情が可笑しい。
しずかちゃんの少し心配そうな表情が見える。
目が合った瞬間、少しだけ心臓の辺りが疼くのを感じた。
表情は変えない…その自分の冷静さにのび太は少し驚きながらも、決して歩みを速めない。
そのような自信が何処からか湧き出てくるのが、自分でもおかしかった。
「遅いよのび太。掃除の時間もサボって何やってたんだよ!」
ジャイアンが目の前で怒鳴る。
そういえば北校舎階段の掃除当番だったよな、と思い出した。
「あの、ちょっと調子が悪くて保健室で寝ていたんだよジャイアン。ゴメンね」
いつも通り、少したじろいだ表情をとってみせる。もちろんこれは演技だ。
自分をこれほどコントロールできることが、ちょっと嬉しかった。
「だいじょうぶのび太さん…?」
しずかちゃんが心配そうに見つめる。その視線が痛い。
僅かに微笑んで頷き、なるべく目を合わせないようにする。
心のどこかにあるやましさが、のび太の心を疼かせる。
「で、どうしたのみんな。勢ぞろいしちゃってさ?」
と言い掛けたところ、ジャイアンがのび太の腕を掴んだ。
「ちょっと来いよ。これからみんなで相談があるんだ…」
「…なあ、おかしいと思うだろ、のび太」
話が終わると、ジャイアンはそうのび太に話しかけた。
いつもはのび太を冷やかしにかかるスネ夫が、今日は珍しく静かだ。
みんなの顔もどこか深刻そうで、笑い声を上げるやつは一人もいない。
馬鹿げている、そうのび太は思った。
てっきりしずかちゃんのブルマが無くなったことを問い詰められるのではないか、と疑ったからだ。
あれは自分の目の前で、茉莉子先生が燃やして捨ててくれたし、ばれる心配はないのだが。
ヒマをもてあまして身勝手な妄想を膨らましてるだけじゃないのか。
そんなヒマがあったら、別にやることがたくさんあるんじゃないのか?
「でもね、のび太さん。私の身の回りでも変なことがあったの…」
と、しずかちゃんは泣きそうな顔で話だした。
そもそも出来杉の話も常軌を逸している。
- 20 :
-
(※以下、事件内容はまだ未定)
「何かあるに違いないよ…」
出来杉くんはみんなに向かって言った。
「ボクはこの事件を少し調べてみたんだ。あまりにもヒドイ事件だったし、何か異常な感じがしたからね」
こればかりはいつもの出来杉くんだ。
「この事件が集中して起きているのはそう、この富士見町を中心とした辺りだったんだよ。」
そう言って出来杉くんは地図を広げた。
地図には赤や青のマジックで方々に丸や三角の印がつけられている。
出来杉くんによれば、それは事件の発生場所だそうだ。
様々な模様に描き分けされた印は、事件の内容と起こった時期を分類したものだという。
それを一つ一つ指差しながら、出来杉くんはご自慢の自説の滔々と説いている。
周りの同級生たちも、食い入るようにその説明を聞いている。皆真剣だ。
見ればしずかちゃんも真剣な眼差しで、出来杉の説明に聞き入っている。
(余計な事を…)
とのび太は思った。
頭が良すぎて宇宙から電波でも受け取ったんじゃないか?アホらしい。
そんなの俺たち小学五年生がどうこうしたところで、どうにかなるわけないだろ。
のび太は一応聞くフリをしながらも、どこか醒めていた。
麗らかな春の日差しの中で、浮かれたように熱心に語り合う少年少女たち…。
そんな中で一人のび太だけは、茉莉子先生との逢瀬を思いだしていた。
「…よし、決めたぞ!」
突然ジャイアンが叫んだ。 びっくりするのび太の目の前で、ジャイアンは土管の上に飛び乗り、みんなの方を向く。
「俺たちでこの事件を解決しようぜ!」
そうジャイアンは宣言した。
みんなを見つめるジャイアンの目は、溢れ出る正義感で漲りキラキラと輝いている。
固く握られたこぶしを天に突き上げ、戦いへの決意を露わにしていた。
そんな姿を澱んだ瞳で見上げながら、のび太は溜め息をついた。
(解決するって何を?戦うって何と?少年探偵団って何の冗談だ?…馬鹿馬鹿しい!)
こんな阿呆なこと、必ず誰かが反対する、そうのび太は期待していた。
というより、この馬鹿げた思いつきを誰か笑えよ、のび太は周りを見渡した。
すると…「そうだ!」「ジャイアンに賛成!」「俺たちが事件を解決しよう!」
のび太の目の前で彼らは口々にそう叫び出す。
拳を振り上げ、口々に戦いを叫ぶ少年少女たち。
その異様な姿は、平和で平凡な日常とは明らかに乖離している。
- 21 :
- ふと出来杉と目が合う。
彼の目は不思議なほどに爛々と輝き、まるで光を放っているようだ。
普段の知的で冷静な優等生とは思えない、どこか熱を帯びたその表情にのび太はたじろぐ。
真っ直ぐに刺すような視線がのび太の注がれる。
まるで獲物を狙う捕食獣のような、鋭い視線だ。
のび太は思わず目をそらした。何かを見透かされているような、そんな気がしたのだ。
周りの同級生たち…中にはのび太が名前も知らないような、別のクラスの人間まで集まっている。
彼らは土管の上で仁王立ちするジャイアンに、興奮した視線を送る。
何かがおかしい、何かが。
今まで過ごしたありきたりの日常が、どこか狂っているように思えた。
そういう意味では、出来杉は正しいのかもしれない。
午後の授業を抜け出し茉莉子先生と二人で過ごしている間に、のび太の住まう世界は何かが変わったように見えた。
- 22 :
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- 25 :
- 『尾崎豊物語番外編 壮絶!R開発調教』
「紳士淑女の皆様、お待たせいたしました…これからこの巨大なディルドを、この肉便器男のケツにぶち込みま〜す!」
ガチムチマッチョの女王さま、見城徹がそう叫ぶと、客席は一気に沸いた。
それを一礼して受ける見城…巨大な胸筋がブルルンッ!と弾む。
尾崎の尻に向き直った見城は巨大なディルドを手で掴むと、尾崎の肛門に先端をぴたりと当てた。
同時に「ウリャ!」の掛け声とともに一気に腰を押し出し、尾崎の肛門内にディルドをぶち込む。
「うぎゃああー!」尾崎は絶叫した。
凄まじい激痛が全身を突上げる。
Rで痛覚神経を沈静させても、括約筋が引き千切れる痛みは想像以上だった。
塗りこんだローションも意味を成さないほど、見城の肛門調教は過酷だった。
ブチブチブチっ!と尾崎の肛門括約筋の筋繊維が引き千切れてゆく。
熱き血潮は腸内を伝い、腿を流れてステージ上に流れてゆく。
しかし気持ちいい! 痛いにも関わらず、尾崎は同時に快感にも目覚めていた。
肛門を虐められると同時に、見城が尾崎のペニスをRし始める。
尾崎のペニスは熱を帯びて膨張し、痙攣し始めた。
見城の図太い指の腹が、尾崎の亀頭の縁を巧みにこすり上げる。
その痺れるような快感が尾崎を刺激し、肛門をより引き締めてゆく。
「ああっ…あああっ!」
遂に限界に達した尾崎は、短い喘ぎとともにステージの床に向かって精液を放出した。
しかしそれでも快感は止まなかった。
見城のディルドが肛門をかき回すたびに尾崎は喘ぐ。
尚もRを続ける見城の巧みな技に反応し、再びRを始めた。
「素敵だな、尾崎…。もう、こんなにしちゃってw」
見城は目の前で喘ぐ尾崎の痴態を見下ろし、嘲るように笑った。
肛門から血を垂れ流し、四つん這いで悶え泣く尾崎…それは完璧に調教されたマゾ奴隷だ。
ここまで尾崎を調教してのけた見城の手際に、客席で自慰をしていた須藤は軽く嫉妬を覚えた。
その須藤の嫉妬を感じ取りながら、見せ付けるように尾崎の肛門をかき回す見城。
そして激痛の快感の波の中で、尾崎は遂に失神し、同時に失禁した。(了)
- 26 :
- _ -─ ¬く  ̄ ‐- 、
/ _==-ミァ-─‐-、 \
/ , ‐''" \ \
/ / / | \ ヽ
/ / / / / || | i ヽ i
i / / / / / / || || |│ |ノス
|// / /___, -一ァ| /! |ト、|│ | | く」
|,-‐¬  ̄---┘'7 |! ハ! |,、-┼十|! | | |
, -‐ ''" し' '´_ /,ィ二l |ト、/!ヽト、\_ヽ!|!l | ハ |
,r/ __ ,イ|リ ヾハ! ヽ! ,ィ⌒ヾミリノ!/リ |
/ ||ヽ -' / ̄ )` __ |ヒノ:} '` ,イ/ | |
,r ' ヾ、 ,-、____ , イ ̄,r==- ==-' レ' /| |
/ ヽ `ーソ ' | |ト、,ヘ ′"" "" / / || |
. / \_ / | ハ ヽ`゙'ヘ ' '__. ィ / / | | |
/ / / | ヽ 川\ ヾ三ニ‐'′//! | | | |
/ / / 八 \川| |`ト- .. __ , イ‐ァヘ | | || |!
/ / / / \ \ 「`ー- 、 / .〉 ト、| ヽ、
,イ /-─=¬ニヘ、_ \ 厂\ 厂ヽ /!| | `ー=ヘ
-‐  ̄ /─ '  ̄ ├- ヽ\ \ノ\ \ 人 ハ!ヽ || |-┤ ヽ
/ /!‐-- | |\ ト、_`ヽ oヽ ト、! || |‐┤- ヽ
// 〉 __ / ├‐- || | 川-‐ | | 厂7! ハ! ├:┤  ̄ヽ
/ / ー ─  ̄ ├‐- リ || ハ!ヘ | | ト┤|/′ ヾ,┤ ゙i_
- 27 :
- ト _ハ
│ `\ /ノ ヽ
│ ヽ\ _______/ノ ヽ|
│ λ \ /ノ │
│ 」 亅 `/ ノ / |
/ ソ ノ /彡 丿',
/ / / ',
/ / / |i | ヽ i ',
/ / / | | | | ', | |
/ | | | | i| | | | |
i| | イ「「`ト | | | ィTTナ ト 、_ | | | |
|| | | | |レr=ミ|i | | | | |__|__| `| |_」_ | |
|i |从 |〈 ト::::::} i| 「/厂`ト、/| | - V i |
W |i| 代_リ |.{ ::::::}|〉| |^ヽ | i |
| | ゝ‐' 辷ーヅ | |_ノ.ソ i |
| | i|:::::::: ' ::::::::: | |イ | /i |
| i | \. 、_ _, /| // | / レ'
|\ |厂/ヽ、 , イ / /∧\|i
乂 \| / __ > 、_ . ィ |/|/从 | |::| ̄ ̄ ¨ ヽ、
n_ ,,.ム<゚<>゚ヽ ト、 ヽ _ | |::| トr― 、____
r ‐し:::/ }:::::::::/ | ヽ r‐ '´ / // / ト-<: : : : : :入_
| 、入::::' ,__ム.斗ヤ', / // / トミヽ、` <: : : : :./入_
∨ _└、::レ<´ | ヾ\ / // / | \:.:.\ `<: : : : : :\,''"',''"'''"'ヾ
レ' \ Y } ', ヾ \_i:_/ / / ∧ \:.:.\ ∨――へ '"''ヾ
/ \ |_} | ', `ヾ ニニニ - ' / / | V:.:.ヽ. ∨: : : : : |\ ゞ ''"'ヾ
ヽ、 >ヘ、_}. | |\ ./ / | |:.|:.:.:| |―― 、|: : | 丶 '"ヾ
\ ヽ | | `‐r‐<.._ / ./ | /.:.::./ |: : : : : :| \\ ゚ ゚ ヾ
\__, |二ニi |___ヾ >、/ー' | >'//::.:/ | \: : /: : : :∨\ ゞ ヾ
ノ | / く_ 入 ヾ ト、 |‐ ¨ /:.:.:/ /: : :.∨\: : : :.',: :/ ヾ
. / | /\: :\.トヾ\_____,/|___//::./ イ: : : : :.|: : :.|: : : :∨=@ ゞ゚ ヾ
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- 32 :
- 『ヘイドレクの物語 欠落した部分』
@
「はっ!」
ヘイドレクは起き上がった。まったく見知らぬ風景が、ヘイドレクの周りに広がる。
一面お花畑…芥子の花と食虫植物がたくさん植わった謎の花園だ。
宙を舞う毒虫たちが、ヘイドレクの弛んだ肌を次々と刺し、花に集った毒蝿が食虫植物に食われている。
空は桃色の雲で厚く覆われ、時折そこから黄色っぽく濁った雨粒がパラパラと振り落ちる。
空気全体が硫黄臭く、独特の硫化水素臭がヘイドレクの蓄膿ぎみの鼻を突く。
「ここは一体、どこなの?」
気づけば全裸。というよりも全裸は殆どヘイドレクのユニフォームと言ってよい。
そんな軽犯罪的な格好のまま、ヘイドレクは立ち上がった。
するとどうであろう、遠くから鋭い爆発音が響いた。
同時に爆風のような風が吹き抜け、空を覆う桃色の雲を薙ぎ払った。
「うわっ!」
ヘイドレクは思わず腰を抜かし、地面にへたりこんだ。
少し脱糞してしまったことは秘密だ。
爆発音がした方向から、様々な破片が飛び散ってくる。
人間の臓物や引き千切れた手足が、ヘイドレクがへたり込む辺り一面にも飛び散り、血飛沫を散らした。
赤紫の芥子の花が、どす黒い人間の生血で染まる。
するとどうであろう、地面のあちらこちらから湧き出てきたムカデやヤスデたちが、その肉片に群がった。
長い牙を剥き出しにして、人間の死肉を引き千切って喰らう毒虫たち。
――ここは天国なのか?
困ったときはRー。それがヘイドレクの掟だ。
本当にこんなところに来るとはヘイドレク自身も思っても見なかったのだ。
死臭の漂う極彩色の花園で、自らのペニスを至極ヘイドレク。
呆けたようなマヌケ男ごときに、ここに送りこまれた本当の理由など分かりはしない。
そう、それは陰謀…遥かなる神々の仕掛けた、人類の存亡に関わる壮大な陰謀だったのだ。
- 33 :
- A
ピンク色の雲の切れ間から、黄金色にキラキラと輝く陽射しが差し込む。
するとどうであろう、蕾を硬く閉じた棘だらけの蕾が、ゆっくりとその花弁を押し広げたのだ。
まるで血そのもののような朝露を垂らしながら、毒々しい赤紫色やオレンジ色の花びらが広がる。
生臭く、むせるような芳香が、いきなり周囲に漂った。
その香りはまるで魔法…生きるもの全てを酔わす、魅惑の甘い香。
「ああっ、あううっ!」
ヘイドレクは思わず唸った。貧弱な想像力の中に眠りこける歪んだ官能を呼び覚まされてしまったのだ。
小学校低学年の少女たちへの偏愛や、ホラーやファンタジーの作家になれるとの勘違いも甚だしい思い込み。
腐りかけたヘイドレクの脳髄を、そのような妄想の絵巻が渦巻いてゆく。
まるで地獄絵図…いや、極楽なのか?
そんな中でヘイドレクは、いつしか自らの妄想に酔いしれてゆく。
目の前に、ヘイドレクが憧れた小学五年生の美少女・詩織ちゃんが微笑んでいる…。
詩織ちゃんは、そのままヘイドレクに寄り添い、愛くるしい笑顔を見せた。
もちろん現実には、そんな少女など存在しない。
花の芳香に含まれるアヘンとかヘロインとかに似た成分が、脳神経をチリチリと刺激し生み出した幻覚だ。
だが、それで充分だった。
ヘイドレクのペニスは、もうビンビンだった。
目を瞑ったまま両手でペニスを弄繰り回すヘイドレク。
彼の瞼の裏には、幻覚の中で踊る美少女・詩織の、スカートの裾から覗く素足が映し出される。
興奮のあまりヘイドレクは傍に落ちていた名も知れぬ兵士の死体を抱きしめた。
その死体…腐って腐臭を放ち、腸がはみ出て、そこに無数の芋虫が集っている…を、己の股間にこすりつける。
液化した腐肉が、グチュッと粘液質の音を立てて、ヘイドレクの小さめのペニスを押し包む。
肉に集っていた芋虫たちが、ヘイドレクの肌を這い回り、小さな毒針でチクチクと刺す。
――ああ、最高だ!たまらないよ!
その刺激すら、今のヘイドレクにとっては快感そのものだった。
- 34 :
- B
ヘイドレクは妄想の中で、この世に存在すらしない美少女のスカートの裾に手を差し入れる。
だが幻覚に過ぎない美少女・詩織は、可憐に恥じらい、少し顔を赤らめて目を背ける。
そのしぐさに、思わずヘイドレクは唸った。
そう、屑の人生を歩み続けたヘイドレクが、長らく憧れ続けた光景だ。
ヘイドレクは微笑んだ。もちろん思い切り気持ち悪い笑顔で。
もう一度、妄想の中の美少女・詩織を抱き寄せた…残念ながらそれは、腐って肉のこそげ落ちた兵士の死体だが。
そのまま詩織ちゃんの頬にキスしたのだ…残念ながら兵士の死体の、剥き出しの尻の肉であるのだが。
ヘイドレクの唇の周りに、腐肉から滴り落ちる粘液がこびり付く。
それを舌で美味しそうに、ヘイドレクは舐めとる。
右手は、もはや己のペニスすら握りつぶしそうだ。
――も、もう逝きそうだよっ!
幻覚の美少女・詩織を組み伏せ、その衣服を手で掴み、そのまま剥ぎ取ろうとして…ああっ!
その瞬間だった。
突然、周囲の花たちは、謎の黄色い粉を吐き出し始めたのだ。
まるでタバコの煙を吐き出すように、全ての花たちがその花弁を僅かにすぼめ、それらを空中に解き放った。
それはピンク色の瘴気と交わり、徐々に虹色の春風の中で渦を巻き始めたのだ。
とたんに辺りの様子が一変した。
大量に漂う花たちの花粉が、いつしか虚空に満ち溢れ、柔らかな日差しを遮った。
地平線の彼方から、鈍い漆黒に染まった積乱雲が立ち昇り、春風を遮る。
と、同時に、まるで肌を掻き毟るような痛みがヘイドレクを襲う。
鼻腔を貫く、吐き気を催すような硫黄の匂い。
脳髄に、焼き火箸でかき混ぜたような激しい痛みが走る。
戦士たちの死肉を喰らっていた虫たちは、突然宙に飛び立った。
明らかに怯え、興奮している毒虫たちは、群れを成して次々と交尾を始める。
一匹のメスに無数のオスが群がり、生殖管を卵管にねじ込もうとする。
ダンゴ状になった虫の群れが無数、宙に舞い、ぶつかり合う。
ブンブン飛び回る肉食の甲虫たちは共食いを始める。
さらに何処からとも無く現れた蝙蝠たちが、その虫たちをバリバリと喰らい始める。
- 35 :
- C
そんな中で、何とヘイドレクは笑っていた。
鼻の穴や耳の穴から膿を垂れ流し、毛穴という毛穴から血潮を滲み出しながら、ヘイドレクは笑い転げていた。
そう、詩織ちゃんが、ヘイドレクの前で衣服を解き始めたのだ。
覚悟を決めたように、恥じらいながらも、ゆっくりとヘイドレクの目の前で。
上着を脱ぎ払い、スカートをたくし上げ、詩織ちゃんは真っ白の可愛らしいパンティーを抜き取る。
もはやスカートの下には、何もない…そこに存在するのは、詩織ちゃんのあの、あのっ!
スカートの裾から伸びる、硬く閉ざされた、か細く白い少女の両脚。
その奥、恥部が間もなくヘイドレクの目の前に!
――やったっ!遂に、遂に俺はロリロリ美少女の未開発Rを拝め、犯せるんだ!
泣きながら笑い、笑いながら泣いたヘイドレクは、その少女の股間を血走った目で凝視する。
――間もなくだ、間もなく純粋無垢なRを観賞できるんだ。
もはやヘイドレクの股間は爆発寸前…死肉と蛆虫の集った臭い短小チンポが痙攣を始める。
――思う存分観賞し、ナメナメした後は、僕のこのデチ棒を思いっきりぶち込んで!
生理すら始まっていない娘の子宮に、己のザーメンを大量に注ぎ込んでやる、とヘイドレクが思った瞬間だった。
ヘイドレクの網膜に飛び込んできた光景…それを見た瞬間、ヘイドレクは凍りついた。
そのままゆっくりと口を開き、初めは呻くように、そののち天に轟くような声で、ヘイドレクは絶叫した。
「うわあああっー!」
詩織ちゃんの股間から、30センチ近いペニスが悠然とそそり立っていた。
先端部からカウパー氏腺液を滴らせたその赤黒い肉棒。
それはまるでそれ自体が独立した生き物であるかのように悠然と脈打ち、ヘイドレクの頬を叩いたのであった。(了)
- 36 :
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- 37 :
- 『雨の日』
@
もう終わりだね。そう、今日まで頑張ってきたけど、それももう終わりだ。
間もなく核融合炉は溶解し、この施設は大爆発を始めるよ。
もう、誰も助からないんだ。
エネルギープラントの大爆発で、周囲半径100キロくらいは死の世界になるんだ。
その後は短くて数百年、長ければ数万年も半減期がある放射性物質に汚染された土壌が、果てしなく広がるだけ。
僕は握り締めていたサブマシンガンを、目の前のテーブルの上に置いた。
管制室には、先ほどまで僕らに抵抗を続けたエネルギープラントの職員たちが、血まみれで倒れている。
無駄な抵抗をしなければ、彼らをここまで痛めつけて殺さなかったのに。
命令どおり原子炉から制御棒を抜いて、核反応を暴走させれてくれれば、仕事も早く済んでたのに。
実に馬鹿な奴らだ。
この管制室の中は、けたたましい警報が鳴り響いている。
原子炉の様子をモニターしているモニター画面には、危険を告げる警告の文字が点滅する。
明らかに上昇した炉心温度は、もはや停められない。
ウラニウム235の核融合反応は臨界を越え、大量の中性子をばら撒きながら周囲のイエローケーキを焼いている。
核融合炉にあるカメラは、純水に満たされたプールで不気味に光を放つチェレンコフ光を映し出す。
これは破滅の光だ。全てを終わらす僕らの希望の輝きだ。
あと少しで、この世界は滅ぶんだ。
僕はふと、外部警備用モニターを呼び出し、その画面に目をやった。
降りしきる雨の中、自動通報装置の通報を受理した軍関係者が、門前に殺到しているのが見える。
それと、おそらく特殊部隊員を満載しているであろう武装ヘリが、施設の上空を飛び回っているようだ。
もう遅いのに。
僕らの同士が彼らに対し、密かに施設内に持ち込んだ機関砲で応戦している。
門を突き破り、内部に突入した装甲車にミサイルランチャーを撃ちこんでいるのが見える。
一瞬、オレンジ色の輝きがモニター画面を満たす。
それが消えた途端、装甲車の一つが炎上しているのを映し出す。
そんな虚しい光景を呆然と眺めながら、僕はタバコに火をつけた。
喉をチリチリと刺激するニコチンの刺激を心地よく味わいながら、僕は笑った。
楽しいからではない、そうではないのだ。
核反応が完全に制御不能になり、モニターには総員退去を命じる表示が出た。
だからどうした、いまさら外に出てももう遅い。
全ての安全システムを完全に破壊し、遮断装置も破壊した。
もう誰も止められないのだ。
- 38 :
- A
唯一、政府安全保障室への回線だけを生かしておいた。
今頃、政府は恐慌状態だろう。
僕はそのままウイスキーを取り出し、同志であり、恋人でもある美弥子に飲ませた。
彼女は先ほどの銃撃戦で腹を撃ち抜かれ、間もなく死ぬ。
既に顔色は真っ青で、目線も虚ろだ。
光を失った瞳で僕を見上げ、美弥子は力なく微笑んだ。
美弥子もまた、分かっているのだ。
これから始まる、素敵なひと時を。
だから愛する女の死を目の前にしても、悲しみは出てこない。
むしろ僕は幸せだと、そう感じている。
どっちにせよ僕だって同じだ。
あと30分もあれば、僕も彼女とともに、この世から消滅するのだ。
ほんのちょっとの時間差に過ぎない。
僕らがたどり着く先は、同じだ。
それは数百万人の人間たちとともに。
美弥子が事切れるのを見た僕は、そのウイスキーボトルに口を付けた。
彼女の口紅が、ウイスキーボトルの壜口に僅かに付着している。
何度も唇を重ね、何度も僕のペニスを愛撫してくれた美弥子の唇の、最後の痕跡だ。
僕はそのボトルの口に、美弥子との最後の口づけを交わした。
そのまま中身を思い切り煽った。
焼けるような刺激が喉に流入する。
僕は少しむせながらも、その火傷しそうな琥珀色の液体を胃袋に流し込んだ。
刺激で少し涙目になったまま、五月蝿く警報を鳴らすモニターに向かって乾杯と一言。
もう終わりだ。
最高だ。
どうやら施設内に特殊部隊員たちが突入したようだ。
決死の覚悟の彼らの勇気に、心からの経緯を表したい。
遠くからだが銃声が聞こえる。
サブマシンガンではなく、明らかに攻撃用のカービン銃の音だ。
甲高いその銃声は、ここが核施設であることを忘れているようだ。
どちらにせよ、もうそんなこと言ってられないのだけど。
制圧ではなく殲滅、その上で核施設の運転停止。
おそらく彼らはその積もりだ、危険を承知の上で。
- 39 :
- B
受けて立とう、僕はそう呟きながら、テーブルの上にあるサブマシンガンを手に取った。
すぐ傍に転がる美弥子の死体から、サブマシンガンの予備弾倉と手榴弾を取る。
これが最後の戦いかもしれない。
もしかしたら僕は、盛大な花火が炸裂する、その瞬間を見られないのかもしれない。
それが少し残念に思えた。
その瞬間を体で感じて、この世界から消滅したかったのだから。
まあいい。
携帯無線機から、リーダーの村上が呼びかける声がする。
施設管制室に向かう防衛線が危険である、と彼は僕に怒鳴っている。
直後、その無線機のスピーカーから村上の絶叫が響いた。
容赦のない銃声とともに。
まもなく敵が、ここにも来る。
もう遅いのに。
もう停められないのに。
管制室の廊下で同志達が撃ちあいをしている。
その銃声を心地よく聞きながら、僕はモニター画面を見た。
炉心の融解を告げるメッセージか表示された。
これで決まり、間もなく大爆発が起こる。
もう終わりだ。
僕は再び外部カメラに映像を切り替え、外の光景を映し出すモニター画面を見た。
雨に打たれながら、装甲車や軍用車、完全武装の兵士たちが佇むその光景。
僕らの築いた防衛線を、必死になって突破しようと励む、報国の精兵たちだ。
素晴らしき勇者である彼らこそ、この偉大なる場所で共に死ぬに相応しい、僕はそう思った。
直後、凄まじい光と熱線が僕を包み、その一瞬で僕はこの世から消滅した。
最初に放たれた大量の中性子線で、おそらくこの地域数百メートルの人間は即死する。
おそらく僕はこの瞬間、死んだ。
殆ど間をおかずに放たれる、強力な放射能が、数十秒にわたり辺りを焼き払う。
さらに巨大なエネルギーが一気に放たれ、この地域は形ある者全てが破壊し尽くされる。
ああ、なんと素晴らしい。
最後に、きのこ雲によって巻き上げられた大気が、空に雲を作り出す。
そこから大量の放射性物質を含有した黒い雨が降り注ぎ、大地を穢してゆく。
僕もその雨粒の一つとなって、永遠にこの大地を穢してゆくつもりだ。
それが僕の最後の希望だ。 (了)
- 40 :
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- 42 :
- 【戦争奇譚 〜戦艦長門〜】
現代に大東亜戦争時の日本海軍の軍艦の名前を聞くと真っ先に「大和」が上がると思うが、「大和」は当時、
極秘に建造されていたために国民には存在は知らされておらず、有名になるのはむしろ戦後だろう。逆に
戦前戦中にかけて帝国海軍の軍艦と国民に聞けば間違いなく「長門」と答えたのである。
長門は昭和13年から17年まで連合艦隊の旗艦まで勤めた帝国海軍のシンボルであった。大和が戦中末期に
撃沈されたのに比べ、長門は数々の戦いを潜り抜け終戦時まで残った唯一の巨大戦艦であった。
しかし戦後米軍に接収された長門は原爆実験の標的艦として最後を迎える。一回目の実験でも無傷で残り、
二回目の実験でも僅かに傾いただけで他の米軍戦艦が沈む中で唯一水上の上で悠々と残っていた。これに
米国実験者は驚嘆し、長門の構造を調べ上げようとした。その矢先、長門は忽然と海上から姿を消した。
日本が二発の原爆で降伏したのに対して、長門は二発の原爆にも耐え、アメリカによる解体からをも許さず、
まるで自決するかのように自ら沈んでいった。まさに大日本帝国海軍の最後の意地を見せた最期であった。
【戦争奇譚 〜兄の帰還〜】
ガダルカナルで戦死した兄を供養しようとOさんは、戦争から50年後にガダルカナルで行われた慰霊祭に
参加した。その際島から小石を遺品として持ち帰った。
帰国後、数日経ったある日Oさんは奇妙な夢を見た。兄が裸同然の姿のまま座敷で寝ているのだ、体には
深い傷が有り、「傷が疼いてどうしようもない」と訴え「畳で寝たくて帰って来た、畳が恋しくて」「ばってん、
久しぶりの畳はぶかぶかして寝にくか」そんなことを言う。
そこでOさんが「ベットはどうか」と聞くと「やっぱり畳のほうがよか」というのであった。兄が家でゆっくり寝た
がっているのを知ったOさんは、再度ガダルカナル島へ行き兄を故郷へ連れて帰ろうと考えた。
そんなある日再び兄が夢に現れ、「自分ひとりが島を離れて故郷に帰るのは、皆に申し訳ない」「そこで、
俺一人が写っている写真を持って来てくれ」「それを、みな(戦死した戦友)のため、自分の身代わりとして
島に残してほしい」と頼まれた。
現在Oさんは兄が夢の中で寝ていた座敷に応接台を置き「兄がそこにいるつもり」で暮らしている。無事生還
した兄の戦友がOさん宅を訪れた際は、その応接台を囲み、唄を歌い酒を飲み、ガダルカナル島戦の懐古談
に花を咲かせている。
彼等をいうには「一日でもいいから故郷のたたずまいを見たい。いちどでいいから家に帰りたい。皆、そう思い
ながら死んでいったんです」
- 43 :
- 【戦争奇譚 〜夜の砂漠にて〜】
北アフリカ戦線にて。イギリス軍の輸送トラックが砂嵐で進路を見失った。視界が利かないため、ドライバーは
停車して砂嵐をやり過ごすことにしたが、砂嵐はなかなか止まず、それが去ったのは日が暮れたあとだった。
結局ドライバーは車中で一泊することにした。
乗せてくれ、と兵士がひとり、不意に闇の中から現れた。話し相手がいないこともあり、ドライバーは快く乗せた。
妙な訛りの英語を話すやつだと思ったが、連邦国のどれかの兵士だろうと思い、気にしなかった。しばらく会話
を楽しんだ後、もう行かなくては、と兵士はトラックから降りた。こんなに遅く何処へ行くのだろうと思い、ウィンドウ
越しに姿を探したが、その兵士の姿はもう見当たらなかった。
夜が明けて、目が覚めると、砂嵐で気付かなかったが、近くにドイツ軍の戦車が擱座していた。それを味方の
兵士たちが調査していた。近づいてみると、壊れた戦車から、戦車兵の死体を引っ張り出しているところだった。
その顔は、昨夜トラックに乗せた兵士と同じものだった。
【戦争奇譚etc】
日本兵の幽霊は他に比べて多かったようだ。兵舎での噂話で、死んだ兵隊さんの手首が、夜な夜な現われ、
「おいで、おいで」と手招きするらしい。日本軍の大陸の戦場(日露?)での怪談話。
戦局が暗転し、南方からの「転進」中にジャングルに迷い込んでしまった部隊が、「巨大な遺跡を発見した。
見たことのない生物がいる。人間に似ている」という通信を最後に消息を絶った。
ジャングルで撃ち合いをしていると、フイにシーンと静まり返る瞬間があるらしい。弾薬の補給や負傷者の
救護などをするタイミングがちょうどお互い合って、まるで休憩時間のようにその間は銃声がしないのだが、
その時間が長いと、必ず発狂するものがあらわれたという。
第一次世界大戦でイギリス軍がトルコ軍の砦を攻略する際に、不思議な雲に包まれて消滅したという記録が
ある。中国でも日中戦争のころ、約3000人の中国兵が不思議な霧に包まれて消滅したという。そのおかげで
日本軍の南京攻略がスムーズに達成できたという話がある。
第二次大戦の北アフリカ戦線で、孤立したドイツ兵達が1人の老人と出会って古い地図を譲って貰った。
そこには水や食料の貯蔵庫が記されていた。それでどうにか助かったドイツ兵達は、どこでこの地図を手に
入れたのかを老人に聞いた。すると老人は、「ナポレオン公から援軍が到着するまで死守するようにと命令を
受けました」と 言って姿を消したという。
先の大戦中の戦車兵の話。真夜中いつものように数十台で隊列を組んで行進していると、付近の森から、
蒼白い鬼火が続々と現れた。狼狽していると、クラッペ(覗き穴)から外を見ていた兵士の頭が吹き飛んだ。
夜が明けて、別の部隊がそこを通った。そこには、切り裂かれたような戦車の残骸と、車内にいたにも関わらず、
射殺された兵士の死体がいくつも転がっていた。その中に混じり、奇妙なランタンを持った、敵の兵隊の死骸が
おびただしい量転がっていた。
- 44 :
- 【戦争奇譚etc】
南太平洋の、とある島での出来事。孤立した日本軍が駐留しているとみられる島に、米軍が夜間上陸しようとした。
すると突然、島の高台に金色に輝く人の様なものが現れた。その途端、米軍の上陸用舟艇に錆による穴が空き、
次々と浸水した。結局米軍は、その島には上陸しなかった。後に上陸前に撮影されたその島の航空写真を見ると、
島にはどれも錆びた高射砲や輸送機などが写っていた。その島では全ての鉄という鉄が錆びてしまっていた。
米軍の非公式記録より。
硫黄島について。海上自衛隊では、禁忌となっていることがある。硫黄島での演習で上陸し、そこでの記念として
石を持ち帰った所、亡霊が艦内を彷徨い、叫び声や電気系統に異常をきしたという。海上自衛隊の航海日誌に
載るくらいの事実。
日露戦争での話。開戦前、明治天皇は戦争に消極的で、大国ロシアを打ち負かす事など絶望的と思われていた。
が、あるとき公務を終えられた後、明治天皇が、「この戦には神が兵を貸してくださる。必ず勝てる。」と言われ、
結局開戦となった。結果、日本軍は勝利を収め、世界史を塗り替えることとなる。
戦後、捕虜となったロシア兵は口々にある証言を残す。「黒い服を着た日本兵は弾が当れば死んだが、白い服を
着た日本兵にはあらゆる武器が通じなかった。」と。
なお、明治の皇軍兵の軍服は上下黒の詰襟に白いゲートルであり、「白い軍服」の兵士は存在しない。
第一次大戦中のヨーロッパでも似たような話があった。イギリス軍が撤退した陣地から十字の剣を持った謎の
騎兵隊が現れ、銃撃しても倒れる気配を見せなかった。恐れおののいたドイツ軍が敗走。2、3キロ離れた所に
いたイギリス軍は、誰もいない無人の陣地にドイツ軍が必死に銃撃をしている異様な光景を目の当たりにした。
【戦争奇譚etc】
空母「瑞鶴」に乗艦していた見習い尉官の話。戦闘の際、日ごろからお世話のなっていた中尉が敵機の爆弾に
より倒れた。左足を付根からもぎ取られていたが意識があり、「もし呉に帰ったら家族に苦しまずに死んだ、と、
そう伝えてくれ」と言い、息を引き取った。見習い尉官は遺言どうり中尉の家族に手紙を書き送った。
それから二十五年後に行われた瑞鶴戦没者慰霊供養の際に中尉の未亡人と会い、実際の中尉の最期を伝えた。
すると未亡人は「これまで何回となく夢で帰って来てくれましたが、不思議な事にそのたびに左足がないんです。
今、やっと、その訳が解り、ほっとしました」
太平洋戦争中期〜後期、アリューシャン列島での話。偵察を行っていた日本の潜水艦が、日本軍が玉砕した
アッツ島沖を航行していた所、突然アッツ島から光の玉が飛び上がり空中で止まると、こちらの(潜水艦の方向)
へ向かって飛んできた。潜水艦長は「急速潜航!」を発令し、潜水艦はそのまま水中へ潜っていった。その後、
あれはなんだったのか考え、結局、「おそらくアッツ島の英霊でしょう」と言う事になった。
カンボジアでポルポト政権時代に不穏分子が大量に虐殺、遺棄された農場は、今は欧米の果実企業のプラン
テーションで、とても美味なマンゴーやドリアンが採れるとか。ベトナム戦争で多数の戦死者を出したメコン下流
の田園地帯は、今は日本の商社によるエビ養殖池で埋め尽くされていて、美味なエビが育つらしい。
スターリングラードでは、包囲されたドイツ兵の一部が人食い(グールー)化した。それを退治するために貴重な
弾薬を割かなければならなかった。
- 45 :
- 【戦争奇譚etc】
NHKの沖縄戦の番組。日本軍の犠牲者数に対しアメリカ側は、戦死者数こそ届かないものの、怪我やその他の
要因で本国に返された兵士が、実に日本人死者の4倍もいた。その殆どが夜襲に怯えて、ノイローゼになった為
という。「闇の中から奇声をあげて日本兵が来る!来る!」「撃たれても構わずに突っ込んで来る!」と彼らは
本気で怯えていたという。遠い異国の地で米兵にとっては、日本軍の戦い方は充分にオカルトだったのだろう。
フィリピンでの話。人喰ってる連中は、見れば分かったらしい。みんな敵に追われて食うや食わずで、幽霊みたい
な顔してるのに、人食いの連中だけはつやつやだったそうな。しかも何とも言えない目付きをしているらしい。
「ありゃ獲物を狙う目付きだった」とのこと。戦艦武蔵の生き残りの人(海軍の人)が、相当数やられたらしい。
海軍の船乗り連中は歩き慣れてないから、狩やすかったと。
戦史から離れるけど、遭難者が人を食い合う事例に付いては、「復讐する海−捕鯨船エR号の悲劇」と言う
のが参考になる。読み易くて中々良い本だった。
南方の戦線で、どの戦場でも後先考えずに突撃を繰り返す小隊があった。少し狂った小隊長の命令が指揮する
部隊で、部下はそれに従っていたに過ぎなかった。結局その小隊は、とうとう小隊長と二等兵の青年の二人きりに
なってしまった。それでも小隊長は突撃の命令を出すものだから、二等兵の青年は遂に頭に来て、小隊長を後ろ
から銃で撃ち殺してしまう。その後二等兵は、小隊長の死体を解体し、乾し肉を拵えていたところを発見される。
二等兵は銃殺刑になった。
第2次大戦中の凄惨な事件。1945年2月、ベンガル湾のラムリー島のマングローブが生い茂る沼地に、イギリス軍
が1,000人を超える日本軍をおびき寄せていた。すると19日の夜から20日の未明にかけて恐ろしい叫び声が続いた。
負傷者の血の匂いに刺激された無数のイリエワニがこの沼地に集まり、動きのとれなくなっていた日本兵に襲い
かかったのだった。沼地の外側にいたイギリス軍は一晩中すさまじい悲鳴を聞かされた。そして夜が明けてから
彼らが発見した生存者はわずか20名だった。
F−16戦闘機の空気取入口は、前輪の上にあり、いかにも、人を吸込み易い構造になっている。そのため案の定、
その手の事故で何人か死亡している。F100・F110ターボ・ファン・エンジンに粉砕・圧縮・過熱…文字通りのミンチ
状態に。そうした事故に遭った人間のうち、空気取入口の中にあるケタに掴まって助かったのもいるというのだが、
そこは、氷結防止に100度以上の加熱空気が出る場所でもある。さぞかし熱かったことだろう。
第二次世界大戦のヨーロッパの戦場での出来事。1機のP−38ライトニング戦闘機が基地に戻ってきた。しかし
いくら通信で呼びかけてもパイロットは応答せず、そのP−38は管制塔に激突しそうになった。そのとき通信兵が
脱出しろとパイロットに指示を出すと何故か指示通りパイロットは脱出した。しかしその後ある事が判明した。
そのパイロットは既に死んでいたのだ。しかも、何時間も前に。
- 46 :
- 【戦争奇譚 〜ペリリュー島秘話〜】
太平洋戦争末期、ペリリュー島での出来事。当時その島に駐留した日本兵たちは、島民たちととても親密になった。
島に伝わる歌や、日本兵が歌う歌を教えあって共に歌ったり、島民達も日本語を覚えて兵士たちと会話したりと。
しかし時が進むにつれ、だんだんペリリュー島にもにも戦争が迫ってきた。そんな中で、日本兵たちと親しくなった
島民の青年達は私達も一緒に戦うと日本兵に申し出た。
すると日本兵の上官は怒りを露わにし、その青年を一喝した。
「我々、帝国軍人は貴様等とは違う!」
そう言って島民の青年たちの申し出を退けた。さらに日本軍は2つあった島の一方に陣取り、その島に居た島民
たちを、もう一つの島へ船で逃がした。
最後の船が出る時、それまでいなかった日本兵がバラバラと砂浜に飛び出してきた。砂浜に集った日本兵たちは、
別れの船に向かってみんなで手を振っていた。
その後、ついに米軍との戦が始まり、日本軍が陣取った島は真っ赤に燃え上がった。激しい戦闘が続き、日本軍は
玉砕し、日本兵は皆、死んでしまった。その時、島民たちは「ああ、あの時 日本兵の上官が怒ったのはこういうこと
だったのか」と思い、感涙の涙を流したという。
【戦争奇譚 〜マラッカ海峡の英霊たち〜】
そんなに遠い昔ではない時代の出来事。夜間にマラッカ海峡を航行していた日本の貨物船が、海賊の快速船に
突如襲撃された。相手は強化したエンジンを積んだ快速船、こちらは積み荷を積んだ貨物船、これではいくら
頑張っても如何ともし難く、ついには海賊船がもう夜目にも見えるところまで近づいてきた。
このままでは横付けされ、乗り移られ、積み荷と船は奪われ、乗組員は人質に取られて身代金と引き替えになる
まで虜の生活だ。
船員たちは放水銃(消火用)を放ちながら、なんとか近寄られないように操船をつづけていると、後方からもう一つ
の船影が近づいてくる。急速に近づいてくるその船はどうやら軍艦か沿岸警備隊のものらしく、砲を装備している
のが見える。軍艦は海賊船と貨物船の間に割り込んで海賊船を牽制し始めた。すると海賊船はあきらめて方向
転換し、そのまま消えていった。
そのときにはもう夜明けが近く、その軍艦は貨物船から遠ざかりはじめた。見ると白い制服を着た乗組員達が帽子
を持った手を大きく振っている。船員達がその軍艦を見ると、どうもかなり古い型の軍艦で、普段見かけないもの。
水平線の向うから太陽の光が差しはじめ、遠ざかる船の艦尾にはためいていた旗を照らし出した。旭日旗だった。
そのまま軍艦の影は朝日の中にとけ込むように薄れて消えていった。後で調べてみるとその軍艦は旧日本海軍の
駆逐艦に似ていたという。
- 47 :
- 【戦争奇譚 〜八甲田山後日談〜】
明治35年1月、厳冬期の八甲田山中にて、青森五連隊の雪中行軍隊210名が遭難し、199名が死亡するという
事件がありました。それから1〜2ヶ月後の寒い夜、青森五連隊連隊長の所へ、営門の兵士が血相を変えて
報告に来ました。
連隊長が営門に駆けつけると、遠くの闇の中から、大勢が行進する音、軍歌、ラッパの音が近づいて来たそう
です。だんだん近づいて来て、もう少しで闇の中から姿を現すと言う時、連隊長はおもむろに軍刀を抜き、闇に
向かって叫んだそうです。
「雪中行軍隊の諸君、よーく聞け。貴様等は勇戦奮闘し見事な最後を遂げた!今や無情雪山の鬼と化すも、
迷ってはならん!お前達の死は無駄ではなかった!厳冬期の軍装及び戦術については、一大改革がなされる
事となったぞ!来たるべき戦役に於いて、未然に軍の損失を防いだその功績は大きい!貴様等行軍隊員は、
みな靖國神社に合祀される事になったのだ!迷うな!心安く眠れ! ここはお前達の帰って来る所ではない!
帝国軍人として見苦しい振る舞いは、この連隊長が許さん!青森五連隊雪中行軍隊、回れ右! 前へ進め!」
足音はピタリと止まり、八甲田山に向けて進んで行き、二度と戻らなかったそうです。
【戦争奇譚 〜乗員の行方〜】
1943年4月4日、北アフリカ・ベンガジ空港からイタリア・ナポリへ向け2波に分かれて発進した合計25機のB24爆撃機
の編隊は、無事爆撃を終え帰投した。が、ただ1機、後発隊の先導を勤めていたウィリアム・ハットン中尉の操縦する
64号機"レディー・ビー・グッド"だけが帰投しなかった。
行方不明となった64号機は厚い雲のせいで飛行場を見失い海上で墜落したと思われていたが、それから15年後、
ベンガジ基地から南方616kmも離れた砂漠で残骸が発見された。機は飛行場にたどり着けなかったのではなく、
逆に飛行場を遥かに飛び越してしまっていた訳だ。機体は砂漠の乾燥した気候に保護され不時着時そのままの
姿で残されており、驚くべきことに無線機なども完全に作動し、魔法瓶のコーヒーも温かく新鮮なままだった。
しかし、奇妙な事に搭乗員の遺体はどこにも見当たらなかった。
1960年、ニューヨークのTV局でこの事件をドラマ化する企画が立ち上がり、陸空軍も参加して行方不明の乗員の
行方を捜す大掛かりなプロジェクトが開始された。そして、驚くべきことにB24の残骸の発見された地点からさらに
120kmも離れた地点で、ついに7名の乗員の遺体が発見された。
彼らは燃料の残り少ない機体からパラシュートで脱出した後、砂漠の中をベンガジ飛行場へ向けて絶望的な行軍を
行った挙句、ついに力尽きたのだった。副機長トーナー少尉の日誌にはこうある。
1943年4月10日、土曜日、救援を願い集まって祈る。何の兆候も無い。数羽の鳥。良い北風。体中が痛くて死に
たいと思う。夜非常に寒くて眠れない。
1943年4月11日、日曜日、まだ救出を待ち祈る。目が悪くなった。wgtを全てなくす。いたるところが痛い。もしも
水があれば、舌の上に落としたい。早く助けてほしい。同じ場所にいて休息は無い。
1943年4月12日、月曜日、助けはまだ無い。すごく寒い夜だ。
光人社NF文庫「恐るべき欧州戦」より
- 48 :
- 【戦争奇譚 〜突然消滅した軍隊〜】
第二次世界大戦中の1939年10月。3000人の中国兵が汽車で南京の近くの広野に運ばれ、夜になり約3qに
渡って、兵士たちは配置された。
兵士の配置も完了し終わって数時間後、司令官が宿舎から再びその前線に戻ってみると、さきほどまでいた
3000人の兵士たちが全て忽然と姿を消していた。野原には、焚き火が燃え続けており、銃は全て投げ出され、
また地平線に至るまで、一つの足跡も発見出来なかった。
第一次世界大戦中の1915年8月21日。トルコのアンザックの近くにあるサル・ベイ丘。この日、341名のイギリス
陸軍・ノーフォーク連隊がその丘の方へ向かって行進していた。すると不思議なことに、連隊が進んでいくにつれ、
丘の上にかかっていた灰色の雲がだんだんと下へ降り始めてきた。
その雲はやがて丘を完全に覆い尽くし、ノーフォーク連隊の数百名はその雲の中へ向かって行進しているかの
ようにも見えた。だが、雲の中へ入り込んだイギリス兵は、それから一人も姿を現さないのである。
この出来事はイギリス軍側のニュージーランド兵22名が一部始終を見ていた。一時間ほど後、その辺り一帯に
風が吹き始め、先程まで丘を覆っていた雲はまた段々と上昇し始めた。暫くして辺りが見渡せる状態になった。
だが、確かにその丘に向かって行進していたイギリス兵は、一人もいなくなっていたのである。
ニュージーランド兵が見ていた場所は数十q四方が広々と見渡すことができる場所であり、その付近に隠れる
ような場所など何もない。
連隊の341名全てが行方不明になったという通報を受けたイギリス軍はただちに調査隊を送り、ノーフォーク連隊
の行方を探したが、全く手がかりがなく、一人の死体さえ見つけることが出来なかった。
3年後の1918年、戦争が終結した時に、イギリス軍はノーフォーク連隊が、あの時トルコ軍の捕虜になったのでは
ないかと思い、厳しく追及したが、やはりそのような事実はなかった。あの時、雲の中へ消えた341名の兵士は
いまだに行方不明のままで、帰ってきた者も、また死体が発見された者もいないのである。
「消えたノーフォーク大隊」
ttp://page.freett.com/Umania/norf.html
【戦争奇譚 〜青い煙事件〜】
1945年3月、アメリカ軍の爆撃機12機がドイツ上空で撃墜された。しかしそれは、普通の撃墜のされ方では
なかったのだ。元イタリア空軍技術情報部の責任者であったレナト・ヴェスコはその著『インターセプト・バット
ドント・シュート』の中でこの撃墜についてふれている。
「翼や方向舵のない円盤型のドイツ戦闘機が突然アメリカの爆撃機に近づき、彼らの飛行路の前をものすごい
スピードで通過した。通過した時、それは『青い煙』を数度発射した。
数秒後、アメリカの爆撃機は火を噴き始め、次々と空中で爆発した。この時、ドイツの戦闘機はすでに地平線の
かなたに消えていた。
空飛ぶ砦と呼ばれるアメリカ軍の爆撃機と超最新の要撃機の戦闘(もしこれがそう呼ばれるものならば)は、
ヴルテンベルグ上空で起こった。爆撃機は主力グループから別れ、南バヴァリアへ向っているところだった。」
(青い煙事件)
http://inri.client.jp/hexagon/floorB1F_hss/b1fha777.html
- 49 :
- 【戦争奇譚 〜妖怪化した英霊たち〜】
ある夜、日本軍が野営していた時、その日以前の戦闘で確実に戦死したはずの兵士がぞろぞろと集まってきた。
彼らはまるで生きているかの様に振舞い始めた。食料はバクバクと食べ、そのうちに顔付きが餓鬼のように変わり、
腕がありえないぐらいに伸び始め、風貌が妖怪じみて来る始末。
最初は、寺の坊主や神社あがりの兵士が、祈祷やら、御祓いとかしたが効果が無い。するとその部隊の上官が、
その死者たちを集め、「お前たちは既に死んでいる。安らかに成仏しろ。これは命令である」と、号を発した。
その途端、その者達は号泣し始め、体がボロボロと崩れ始めた。彼らが崩れ去ったあとには、土くれだけが残った。
【戦争奇譚 〜生まれついての殺し屋〜】
最前線で戦う全ての兵士達は60日以内になんらかの精神異常が発生する。だがその中でも、3%ほどの兵士は
全く精神的な影響が出ないという。さらにそ3%の兵士達は、どんなに戦闘が長引いても精神異常は発生しない。
これはこの兵士達が生まれついての殺し屋だからだといわれる。そしてこの生まれついての殺し屋が倒す敵兵は、
軍全体の倒す敵兵の実に約50%を占めるという。
ちなみに彼らは、人をR事によって性的興奮を覚える快楽殺人者とはまったく違うタイプである。生まれついての
殺し屋かどうかは、実際に戦場に行くまで分からない。
【戦争奇譚 〜硫黄島〜】
海上自衛隊ではかなり多くの噂がある。硫黄島は周辺海域を航行すると、不思議な出来事に遭遇し易いという。
本土に帰りたい御霊が、帰還の為の船を捜して彷徨っているらしい。そうした御霊は潜水艦にさえも乗り込んで
来るという。
潜水艦は浮上の時は前後の重量を一定にする必要があり、そうなるように隊員のいる場所もあらかた決められて
いるのだが、あるとき後方側だけ不自然に重かったことがあった。調査しても乗組員の位置は決められたとおりで、
特に異常は見られない。浮上してその海域を離れると、後方の不自然な重さはなくなった、という。
他にも軍艦の沈んだ場所付近の海上で、変な光を見たりとか、サイパン帰りの観光客の背後に、軍人とおぼしき
霊が見えたという話もある。
【戦争奇譚 〜全日空機雫石衝突事故〜】
岩手県雫石での民航機と航空自衛隊機であるF86の空中接触事故があった。死者が実に162人という痛ましい
航空事故であった。
だがその後、事故現場周辺の国道には、夜な夜なその事故の被害者がわらわらと出てきたという。彼らは通る車を
取り囲み、手でバンバン叩いて止めたりしたそうだ。彼らは生者のままでは無く、事故当時そのままの欠損した体の
ままだったり、鬼火に取り囲まれた格好で出たりと、ひと目見てこの世のものではない、と分かるほどだったそうだ。
時にはこうした霊が昼間でも平然と現れた。中には、そのショックで気がおかしくなったタクシーの運転手もいたとか。
その後、御祓いや慰霊祭で年々出なくなったが、国道を別のルートにしたころから、話は聞かなくなった。
なお供養塔が建っている場所は、現在「慰霊の森」と呼ばれている。
岩手のオカルト好き、心霊スポット巡りが好きな人間の間でも、あそこだけは洒落にならないと言う事で、現在でも
完全にタブー扱いになっている。
【戦争奇譚 〜衝撃リポート!!世界の怪奇現象・大追跡スペシャルIIIで放送された兵士の霊〜】
http://jp.youtube.com/watch?v=PVIif58v3dw
- 50 :
- 【戦争奇譚etc】
作ってる最中から、最後の最後まで味方を死なせまくったドイツ艦シャルンホルスト。製作中に胴体の鉄板が倒れ、
職工を多数潰し、浸水式では転倒して多数の人を下敷きにし、大砲打てば暴発で射手が死に、艦撃沈後に逃げた
兵が携帯ストーブの爆発で死ぬ。他にも色々あるらしいが、味方のみで何人死んでるのか。詳しくはここで。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/9384/Liblary/C02/C02.html
プラモデルメーカーのタミヤの現社長の回想録。静岡の山の中に小学校があったのだけど、ある日飛行機が
飛んできた。滅多に飛行機など目にもしない山の中だったもので皆はしゃいでいたらクラスメートに一人、機種に
詳しいのがいて一言「グラマンだ…」
すんでのところで敵も小学校だと気が付いたらしく、機銃掃射もせずに飛び去った。とにかく人が大勢いる建物は
掃射するように言われていたので間違えて小学校を掃射したパイロットもいたという。ちなみに12.7mm機銃弾の
実物は万年筆ぐらいあるもので、子供に当たると靴脱ぎ場一面に内臓や脳漿が散乱したとか証言がある。
第二次世界大戦が日本の決定的敗北によって終結した後、昭和20年9月から東南アジアの戦場で戦っていた
兵士が日本に復員してくるようになった。
当時の横須賀線(東京←→横須賀)にも、任務を解かれた帰還兵が大勢乗り合わせる姿がよく見られたという。
だが復員兵の帰還が一段落した昭和25年あたりから、逗子や横須賀でそうした復員兵にまつわる奇怪な話が
噂されるようになった。逗子と鎌倉の中間に当たる名越トンネルで、軍服姿の復員兵がぎっしりと乗った真っ黒な
古びた省線電車が明かりもつけずに通過するのを大勢の人々が目撃したというのだ。
車両内には青白くぼやっとした復員兵がたくさん乗っており、みな視点の定まらない目つきで、やせこけた体、
ボロボロの軍服、疲れ切った表情の軍人たちがぎゅう詰めで揺られていたという。
「第二次世界大戦中に日本人が捕虜収容所の看守に朝鮮人を使ったのはなぜだと思う?朝鮮人は世界一
残忍だからだ。日本人はそれをよく知っていたんだ。」――イアン・フレミング
大和級戦艦は五番艦まで建造計画があった。一番艦は言うまでも無く戦艦大和であり、二番艦が武蔵であり、
三番艦は建造途中で急遽空母に改造されて信濃となり、進水してわずか半月で撃沈された。
新造艦は大和の46センチ砲を上回る50センチ砲を六門搭載するという素晴らしい計画であったという。
1951年8月4日の朝4時頃、フランスのドーバー海峡に面した町ディエップに住むドロシー・ノートン夫人は、
夜中の突然の騒がしい物音で目を覚ました。その音は機関銃や大砲を撃ったり、爆弾が爆発したり、飛行機が
急降下するような音だったという。
それを聞いた夫人は恐ろしくなってパリに住む伯父に電話を掛けた。伯父も電話を通してその怪音を聞いたが、
やがて三時間程するとその音は消え、夫人が外に出てみると、町は普段と全く変わりがなかった。
このディエップという町は第二次大戦中の1942年8月に、カナダ軍が戦車やコマンド部隊で無謀な上陸作戦を
行い、ドイツ軍相手に激戦となった町だった。
- 51 :
- 【戦争奇譚etc】
ナチス・ドイツの幻の空母、ツェッペリンが発見された。ナチスの科学の粋を集めて、9割まで完成していたにも
かかわらず、終戦でロシア軍に接収後行方不明になっていた空母だ。
ドイツ人には、日本で言えば戦艦大和に相当する思い入れが有るそうだが、発見された場所がポーランド領海
内で水深80メートル地点で、引き揚げにはポーランド政府が難色を示しているとの事。
B-29が地肌丸出しで夜でも灯火で輝いて見えた理由について。
サイパンを確保し東京空襲の足固めをしたアメリカ軍だが、カーチス・ルメイ将軍はB-29の防弾装甲をはがし、
内部の仕切や机や椅子も取り除き、塗料も全て落とし、機銃の大半を外し、弾丸も減らし、燃料も往復ギリギリに
して、重量を極限まで軽くして、爆弾を目一杯積むように指令した。B-29の乗組員はこんな爆撃機に乗ったら
帰ってこれないと覚悟して乗ったという。
また別の説だが、導入初期のB-29には米陸軍航空部隊の標準迷彩塗装(ニュートラルグレイ+オリーブドラブ)
が施されていた。対日戦に実戦投入された機体はほとんどが無塗装だが、これは重量軽減のためと、制空権を
完全に掌握しているため迷彩にする必要がなかったというのが主な理由。ただし、編隊の先導機は識別帯を機体
各所に塗装していた。
1943年6月8日、広島湾沖柱島泊地に停泊していた戦艦陸奥での話。その陸奥の主砲塔の上で、兵士が哄笑する
口裂け女のような謎の女を目撃したという。目撃したその兵士は、すぐに艦から下ろされて入院した。
翌日、陸奥は爆破事故を引き起こし沈没してしまった。有名な怪談。
第二次大戦時のドイツの戦車長シュタウデッカーSS軍曹の話。
中隊に合流しようと夜中単独で行軍していたら、途中で戦車が道を塞いでいた。戦車から降りて、「何をやっている
んだ」と言いに行ったら、それは何と敵軍ソ連の戦車だった。
こちらも驚いたが、向こうも随分驚いている。暗闇のせいで互いに気付かなかったのだ。ここで軍曹、驚きはしたが
慌てず騒がず、手榴弾を敵戦車の開いているハッチに放り込み撃破。さらに、そばにいたもう一両の敵戦車も同様
に撃破。危難を脱した軍曹は行軍を続け、無事、味方中隊に合流した。
第二次大戦の最中、シベリアの収容所に抑留されていたポーランドの将校三人が脱走を決行。ユーラシア大陸
を縦断し、ブータンからインドへ達するという途方もない計画で、これだけでもある意味驚きの逸話だが、彼らは
途中のヒマラヤでイエティを見てしまったという。
- 52 :
- 【戦争奇譚 〜硫黄島について〜】
硫黄島勤務になった自衛官に、霊感が強い人がいた。ある夜、彼がむくっ!と起き上がり、フラフラと外へ向かった。
同室の方が声をかけるも反応無し、まるで夢遊病者のように歩き続け、あるところで突然、ばったり!と倒れた。
意識が回復してから、何があったのか尋ねると、「誰かに呼ばれた気がする」。
彼の霊感ぶりは有名だったこともあり、倒れた場所を掘ったところ、遺骨が見つかった。なお、こういう霊感が強く、
そのために英霊に「呼ばれた」隊員によって、何柱かのご遺骨が見つかっている。
黄島外来宿舎に、金縛りやポルターガイスト等、必ず怪現象が起こる部屋がある。私たちが行った時、人数の
都合で、自分ともう一人がその部屋に泊まることになった。
怖いのが嫌、というより、亡くなってまで苦しんでいるのではと思い、詳しい作法などは知らなかったが、きっと喉が
乾いただろうな、甘いものが欲しかったかな、お酒が飲みたかった人もいたかな、と思い、本土からミニボトルの
日本酒、六甲水のペットボトル、飴玉を持っていき、窓の下に盛り塩と一緒に供えた。
そして「暫くこのお部屋をお貸しください。もしも、本土に戻られたい御魂がいらっしゃったら、窮屈かと思いますが、
この中にお入りください。皆様の故郷にお返しすることはできませんが、この半分を○○県の△川に流します、
半分は、こちらに置いていきます。」と、念じました。
結局、心配されていた私の部屋では何も起こらなかったが、夜中、隣の部屋から悲鳴とガターン!という騒音が。
聞くと、ベッドを下から蹴られたような感触があり、一瞬浮いたようだったとか。明かりをつけると、ベッドの位置が、
引きずった跡もなく、思い切りずれていた。それから後、夜は何事もなかった。
硫黄島医務科壕という、傷病者を治療するための壕に案内された時のことです。入り口にポトスが自生する、
一見のほほんとした場所なのですが、硫黄島戦では、足の踏み場もないほどに傷病者が寝かされ、本土からの
援助も絶え、満足な治療も受けられず亡くなっていった方が多かったそうです。
医務科壕は天井が比較的高めでT字型に掘られており、他の塹壕よりも少し開放的な雰囲気がありました。(他の
塹壕の殆どは地中に掘られており、地熱でサウナ状態です)「ここから雨水を取り、ドラム缶に貯めていた」等の
説明を受けていた時、足元の方から、苦しいような、熱いような、閉塞的な感覚が伝わってきました。
「ここ、地下があった、なんてこと、ないですよね?」試しに尋ねてみたところ、説明係の海曹がぎょっとした顔で
「地下があったらしいと聞いています。」と。だが、下に降りる階段が見つからないのだそうです。今も。
他の壕では「平成○年○月、調査ここまで」と書かれた紙が貼られていて、その先が落盤している場所などを目に
しました。遺骨収拾も、まだまだ進まないようです。
横須賀の教育隊に行たとき、所属していた隊の分隊士が語ってくれた話。
分隊士の同期の人が硫黄島に行ったとき、お供え物の一品としてタバコが置かれてあった。そのタバコを失敬して
しまったという。まだ硫黄島に着隊したばっかで間もなく、おそらく軽々しく考えてたんだろう。
その夜、その同期と一緒の部屋で寝ていた隊員は、隣から聞こえる呻き声がうるさくて目をさました。
案の定、タバコを失敬した同期がうなされてる。そいつを起こして何があったか聞いたところ、「寝ていたら急に胸が
重くなって、目を覚ました。そしたら、軍服を着た日本兵が『俺のタバコを返せ』って口の中に手を入れてきた」と
真っ青な顔で答えたとのこと。
戦地とは比べ物にならないが、私も山にこもって数ヶ月訓練してたから分かる。異性の居ない山奥で、自由を剥奪
されて体を酷使する毎日。嗜好品は唯一の慰めだね。甘いもの、水分、本や写真。人によってそれぞれ。
私は吸わなかったけど、煙草の一服を心の糧にしてた班員も居たのだから。
- 53 :
- 【戦争奇譚 〜狙撃手の話〜】
狙撃兵の任務は対狙撃兵任務である。その任務の時間も戦闘と戦闘の合間である。また狙撃兵は単独で行動
することはない。一般的には歩兵大隊に8人程度の狙撃兵からなるチームが編制され、二人一組で行動する。
一人が監視、偵察。もう一人が射撃という訳である。
現代戦では狙撃兵が発砲するのは止むに止まれずか、重要なターゲットを発見した場合のみである。
さらに狙撃兵は800メートル以遠のターゲットにライフルを使用するのは稀である。遠距離射撃には不確定要素が
多過ぎるし、自らの存在を暴露するリスクが多すぎるからだ。
このことから、狙撃兵の任務は偵察に限られるため、旧軍の槍のようなライフルは要らないと判断できる。
もっとも日本陸軍の使用していた38式歩兵銃は銃身が長く、弾が銃口から出るまでに火薬ガスが充分に膨張
できる為、この銃で弱装弾(発射薬が少ない弾薬)を使うと、米軍の恐れた発射音も発射時の閃光も発射時の
煙も出ない”マジックバレット”になったそうだ。
【戦争奇譚 〜嗚呼、八甲田山!陸軍第八師団歩兵第5連隊〜】
八甲田雪中行軍のラッパ手は、部隊を鼓舞するため、極寒の中でラッパ吹こうとして真鍮製の吹き口に唇を当て
たために、発見された死体は、唇が全部無くなっていた。
春日林太夫二等卒、宮城県登米郡宝江村字田沼出身、33年12月徴集。
行軍3日目(25日)、午前10時頃、鳴沢付近に於て「救援隊が来た!」と叫ぶ者がいた。皆は躍起となり西方を
見ると前方高地より向かって来る者達がおり、感極まって落涙する者もいた。
倉石大尉は喇叭手を呼び「早速集合ラッパを吹奏せよ」と命じた。その時呼応したのが春日二等卒だった。しかし
喇叭は唇に凍着して吹けない。更に気力も衰え号音は断続出来なかった。またこともあろうに皆の目に映った
救援隊の姿は樹木の切株だった。集団幻覚だったのである。
彼の唇肉は喇叭の為に剥奪され、遂に26日に至り凍死してしまった。
4月3日、賽の河原にて捜索隊が彼を発見した時には、喇叭を身辺に置き瞑目していたという…。
- 54 :
- 【戦争奇譚etc】
戦時中、とある田舎の話。その日、子供達は寺の本堂に集まって勉強していた。すると突然、空襲警報が鳴り響く。
防空壕に逃げてる暇はない。子供達はとっさに、仏像の前に置いてあったお供え物を置く卓の下に隠れた。
やがて敵機は去り、子供達は卓の下から出てきた。
しかし、そこで不思議なことに気付いたという。
とっさの事で気付かなかっのたが、卓は小さくてとても子供達全員が隠れる事は出来ない大きさだった。実際に
試したが、無理だった。しかし、空襲の時には、確かに子供達全員が卓の下にいたと記憶している。
不思議だが、仏様が子供達を匿ったのだろう。そう、村人は伝えあったという。
ホラー漫画家の日野日出志は、父と母が満州から日本へ帰ってくる道すがら生まれた。
周りに「不吉だから殺せ」と言われたけど、母親は必死にかばった。
その母親は後に精神的におかしくなってしまった。父親は日本に帰還後、養豚場営み、毎日ブタ殺していた。
結局、喧嘩の挙句に殺される。日野日出志の弟も父親と似た運命で、喧嘩の果てに、身体不随になり死亡した。
宇宙空間ではボールペンが使えないことを発見したアメリカが巨額の費用を費やして、いかなる空間でも使える
ボールペンを開発した。一方ソビエトは鉛筆を使った。
- 55 :
- 【戦争奇譚 〜冷戦時代の外交術。田中角栄の失敗と民主党〜】
キッシンジャーは冷戦時代、中ソ離反を図るために中国に接近した。結託してアメリカに対抗するのを防ぐという、
分割統治外交が基本を第一目的であった。もちろんキッシンジャー自身が親中で同時に反日でもあるのだが。
だが、その空気が読めなかった某国の総理大臣がいた。その空気の読めない利権政治屋の名は田中角栄だ。
当時内閣総理大臣だった田中角栄は、キッシンジャーが中国に行ったんだから、俺もいいだろうと中国に行った。
かつて韓国やインドネシアでの賠償ビジネスやったのと同じようなことやって、利権でガッポガポ。ウシシシッ!
しかもあの国土の広い中国だ、どれだけの利権の甘みを吸えるだろねえ、ガハハハッ!
そう甘い考えでパンダを連れて帰ってきた田中角栄。
だが、この田中角栄の勝手な行動にキッシンジャーは激怒した。
それから暫くして、田中角栄はロッキード事件で首相の座を追われる。
国内であれだけ土建屋利権を貪ったのにも関わらず、僅か5億円という、田中角栄からすればはした金の問題で。
しかも出所はアメリカ…
空気の読めない馬鹿な利権政治屋は、それからも暫くは自民党外からキングメーカーっぷりを発揮していた。
しかし田中角栄から甘い汁の吸い方をマスターした不肖の弟子、竹下と金丸に三行半を突きつけられてあぼーん。
金丸は自宅の床下に無銘の金の延棒を隠してるのをバレて、東京地検に挙げられた。
もちろん無銘の金の延棒を制作しているのは北朝鮮。なお金丸は西松建設の幹部と縁戚関係にある。
その後、旧経世会の金丸組は党を飛び出し、今や民主党で土建屋利権の甘い汁を吸う。
そう、小沢一郎をはじめ旧経世会七奉行の生き残りは、今は全員民主党にいるのだ。
彼らが特亜にお近づきなのは、日本の援助なるマネーで多額の利権を貪ること。
旧社会党と、旧経世会金丸組という戦後の不良債権の集ったのが、今の民主党さ!
- 56 :
- 【戦争奇譚etc】
京都時代にある隊士が見回り中に武士の幽霊を見たと報告したら、新撰組副長・土方歳三は激怒して
「武士ともあろうものが、この世に未練を残して化けて出るとは許せん、俺が斬ってやる」と叫び、
幽霊の出る場所に一晩中幽霊が出るのを待っていたそうだ。
今も酒処として有名な伏見の、ここで昭和初期まで蔵元だった家の話。地元では知る人ぞ知る話でもあるそうだ。
鳥羽伏見の戦いの時、この家に懇意にしていた新撰組隊士の一人深手を負って落ち延びてきた。
知っての通り、この戦いは幕府軍のボロ負け、将軍が江戸へ逃げてしまう始末。
それで、密かに匿われていた隊士は、家人に頼んで迷惑にならないようにその家の庭で切腹。
家人はその隊士の言うとおり、薩長に庭で新撰組が勝手に切腹しておりましたと届け出でた。
しかし、薩長はその切腹した隊士の遺体を、わざわざ四条河原まで運んで晒した挙句、首を刎ねた。
それ以来、しばしばその蔵元の庭には無念の形相すさまじい隊士の幽霊が出るようになったという。
中島三郎助親子の話。中島三郎助は浦賀与力でペリー来航の時に、一番最初に黒船に乗り込み交渉した
気骨あふれる人物でした。長崎海軍伝習所第一期生として機関術、砲術を学び勝海舟とは同期生です。
また、俳人としても知られ「ほととぎす われも血を吐く 思いかな」の句がある。
箱館戦争では箱館奉行並に推され、千代ヶ岡陣屋を守り、最後まで降伏せずに戦いました。
しかし、明治2年5月16日、胸を撃たれ戦死。その後、長男の中島恒太郎が敵陣に斬り込み、次男の中島
英次郎とともに銃で撃たれて親子ともども壮絶な戦死をとげました。
戦死した場所は彼ら親子の名前を取って「中島町」と名付けられました。
三男の与曽八は、父の意思を受け継ぎ、のちに海軍機関中将になりました。
- 57 :
- 【戦争奇譚 〜日本兵〜】
硫黄島の戦友腹を切り裂き、そこから取り出した内臓を体に巻き付けて死体に偽装し、突然攻撃してくる日本兵。
アメリカ兵からすれば想像を越えた存在だったのだろう。
また硫黄島では「メディーック!」と叫ぶとしばしば「イエァー!」と叫ぶ、米軍の軍服を着て偽装した日本兵が
爆弾抱えて突っ込んできたらしい。
【戦争奇譚 〜死してなおも…〜】
ある歩兵小隊が、敵の盛んな銃撃を受けて、竦んでいた。背後に自軍の砲兵隊の陣地があるが、敵の砲撃に
比べその活動はどうみても活発ではない。さらに自軍の砲兵陣地に敵弾が落ち、沈黙した。
砲の援護もなく、最後かと思った歩兵小隊の背後から、ただ一門の野砲だけが必死の援護射撃を開始した。
感動を勇気に、小隊は突撃し、敵を撃退した。その最後まで、ただ一門きりのその砲は吼え続けていた。
敵の退却を確認した後、小隊長は、礼を言おうと、たった一門の砲兵陣地に向かった。
砲の横で、最後の砲兵が敬礼をしていた。背の低い兵だった。
小隊長は、まだ遠かったが、敬礼を返しつつ、砲に向かった。だが、近づくにつれ、怪訝になった。
砲兵の背が低すぎるのだ。そして、最後の硝煙が晴れたとき、小隊長はようやく、あることに気づいた。
よくみると、その砲兵には、下半身が無かった。
【戦争奇譚 〜白虎隊隊員たちの渇き〜】
会津若松飯盛山には有名な白虎隊の墓地がある。
その墓地から歩いていける範囲に、建築好きなら知っているサザエ堂という、二重螺旋構造の珍しいお堂がある。
そこから下へ行ける石段を下ると、猪苗代湖から引かれている用水の出口があるが、そこの話だ。
戊辰戦争当時、この付近では奥州列藩同盟の雄、会津藩と官軍の激戦が行われた。
ここは街道の要所で、戦略的に重要な地点。劣勢ながらも会津藩士たちは必死の防戦を試みた。
その激しさはこの地に残る旧滝沢本陣の弾痕や刀傷の数々からも想像に難くない。しかし、装備兵力ともに勝る
官軍には敵わず、会津藩士達は多くの死傷者を残し会津若松城内に撤退、以後篭城することになる。
当時、官軍の布告により、近くの農民達は賊軍である会津藩士達の遺体に手を出すことはできず、負傷者も
そのまま捨て置かれ、そのうめき声は3町先からも聞こえるほどの凄まじいものだったという。
やがてその声も聞こえなくなり、近隣の農民は家の中で密かに成仏を祈念した。
それから数週間を過ぎたころ、夜半密かに数名の農民が様子を見に出かけた。
滝沢峠へ続く街道やその周囲には幾人もの会津藩士の遺体が打ち捨てられ、悲惨きわまる状態だった。
彼等が旧正宗寺の用水近くまで来ると、そこには末期の水を求めたのか、用水に首を入れたり、用水の中に
倒れ伏す数多くの会津藩士の遺体があった。
しかし、あったのは遺体だけではない。周囲からはあるはずのない灯火や戦の物音、凄まじいうめき声が…。
必死の思いで逃げ出した農民達は後日、密かに、そして丁重に藩士達を弔ったということだ。
- 58 :
- 【戦争奇譚 〜軍隊狸〜】
軍隊狸の話、1。愛媛県周桑郡壬生川町、松谷みよ子氏より。
伊予の喜左衛門狸は日露戦争に出征した。
小豆に化けて大陸を渡り、上陸するとすぐ豆をまくようにパラパラと全軍に散り、赤い服を着て戦った。
敵将クロパトキンの手記には「日本軍の中にはときどき赤い服を着た兵隊が現れて、この兵隊はいくら射撃
してもいっこう平気で進んでくる。この兵隊を撃つと目がくらむという。
赤い服には、○に喜の字のしるしがついていた」と書かれている。
軍隊狸の話、2。香川県高松市 室津源太郎氏より。
日露戦争の時、高松のじょうがん寺の狸の総指揮の元、狸たちが出征した。
兵隊に化けて山を作り、ロシア兵が登るなり山をひっくり返したりした。
凱旋の時には狸までが提灯行列をしたという。
軍隊狸の話、3。中国上海中支派遣軍八一〇一部隊 松谷みよ子氏より。
昭和十五年冬。柳橋という場所で友軍の一個小隊が敵軍に包囲されて全滅に瀕しているという報告が入り、
K氏所属の一個小隊は待機を命じられた。
その後Kさんと戦友三名が偵察の命を受けた。小高い丘で動き回っている敵軍を発見し、報告に引き返そうと
した途端に銃撃を受け、気がついた時には大陸の広野の果てしない暗闇の中に震えていた。
その時、一人の戦友が「あっ提灯」と叫んだ。
Kさんが振り向くと、目の前には懐かしい大三島神社の定紋入りの提灯の明かりがあった。
「五六だぬきや、五六さんが氏神さんの提灯持って迎えにきてくれたか」そういって提灯の後をついて走り、
無事に帰りつくことができた。
いずれも『現代民話考(松谷みよ子 立風書房)』より
【戦争奇譚 〜妖怪となった戦死者たち〜】
ニューギニアのある戦場でのこと。大規模な戦闘をした部隊の前線基地に、戦闘後、夜な夜な死んだ兵隊たちが
現われるようになった。彼らはいずれも、足がちゃんとあり、懐かしそうに「よおっ!」と言いながら現われるのだ。
現れたのはいずれも確かに戦死した連中ばかり。神主の息子の兵士がまじないをやったり、お経をよめる兵士が
お経を詠んだりしても、まったく効き目無し。
そのうち、ズカズカと兵舎にまで上がり込んできて、貴重な飯をバクバク食う始末。しかも、いきなり手がスルスル
っと伸びて、木の実を取ったりと、明らかに化け物化している様子だった。
怖いやら迷惑やらで困っていたのだが、なんとも手の施しようが無い。見るに見かねた中尉か大尉の隊長さんが、
幽霊たちが集まっているところへ、ツカツカと歩いていって、いきなり大声で、「全員、整列!」と叫んだ。
すると彼らは全員素直に整列した。そして、隊長は「貴様らは、全員戦死した兵隊である。よってこの世にいては
ならん。全員あの世へ行って成仏するように。これは命令である!」と叫んだ。
隊長が涙を流しながらこの命令を下すと、幽霊たちはしばし呆然とした顔で佇んでいたが、そのうち全員が泣き始め、
やがてボロボロと土人形のように崩れていった。あとにはその土だけが残り、彼らは二度と現われることはなかった。
兵隊たちはその土の大部分は現地に埋め、残りを少しづつ日本に持って帰って、供養した。
- 59 :
- 【戦争奇譚 〜英霊たちの帰還〜】
第二次世界大戦が激しさを増してきた時のこと。陸軍が硫黄島に増援部隊を送るために、若き兵士たちを船に
乗せて出発させた。次の日の夜、彼らが去った後の兵舍に残っていた別の兵士たちが、軍靴の音を聞いて
目を覚ます。こんな遅くになんだろうと窓を開け、外を見ると、昨日出撃した部隊が、自分の兵舍に向かって
行進している。が、その顔は悲しみに満ち溢れ、ほとんどの兵が俯きながら歩いていたという。
翌日、現場を見た兵は上官に昨晩自分が目にした光景のことを話した。すると上官は「ここに帰ってから、
靖国にむかったのか」と溜息をついた。
上官の話によると、港を出発した部隊は、すぐに米軍の潜水艦に発見され撃沈。部隊の生存者はいなかった。
その時間は、ちょうど兵が恐るべき現場を目の当りにした時間とほぼ同時だった。
【戦争奇譚 〜閉ざされた塹壕での出来事〜】
第一次世界大戦フランス戦線での話。イギリス軍の塹壕がドイツ軍の集中砲撃を受けて、そのほとんどが
埋まってしまった。その場所はドイツ軍の占領されていたが、数ヵ月後イギリス軍が奪還に成功した。
イギリス軍は塹壕を使うために掘り起こしてみると、退避壕(中が部屋のようになっている)に生きている兵士
たちがいたのである。兵士たちはすでに狂っており、退避壕の中には食い荒らされた死体が多数残っていた。
壕を掘り起こしていた部隊の指揮官は、狂った兵士たちに食事を与え、その後彼らを銃殺した。
【戦争奇譚 〜今なお彷徨う英霊たち〜】
ビルマ奥地にはインパールがらみで未だに彷徨ってる兵隊さんがいると。奥地の原住民が夜中に足音や声を
よく聞くらしい。原住民にどんな声聞くのか聞いてみたところ、「ガンバレガンバレ」「モウスコシダ」「グンソウドノ」
「ミズ、ミズ」などと、日本語知らないはずの原住民が答えた、という。
【戦争奇譚 〜食べられなかった米〜】
差し入れてもらったおにぎりを食べられなかった日本人兵士の話。そのうちの一人の兵隊がなぜか憑かれた
ように立ち上がり、傍に建てられた粗末な墓に握り飯を添えて、全身をふるわせながら「オレにはこの握り飯は
食えない」と慟哭するのである。
「どうしたのですか?」福島報道班員はきいた。傍の兵隊が、それを説明した。「あの墓には、Bという高砂義勇
隊員が眠っているのです。ニューギニアの作戦の当初から、われわれはBとともに戦ってきました。
食料のない日が何日も続きました。ある日、Bはずっと後方の兵站基地にさがって、食料を運ぶことになりました。
ところが、その次にBに出会った時には、Bは死んでいました。五十キロの米をかついだまま、Bはジャングルの
中で飢え死にしていたのです。背中の米には一指もつけずに!」
- 60 :
- 【戦争奇譚 〜戦艦長門の最期〜】
大戦後、日本海軍連合艦隊で唯一生き残った戦艦である長門は米軍に徴用され、核実験の標的鑑として
沈められるされる運命にあった。昭和21年7月1日、マーシャル諸島ビキニ環礁第一回の空中核実験が
行われたが、長門は殆ど無傷であった。7月25日第二回の水中核実験が長門の至近距離で行われたが、
約5度の傾斜を生じたのみであった。
その「長門、沈まず」の報を聞き元艦長の未亡人曰く「幾万もの英霊たちが水底をささえているのですよ」
その後長門は、29日夜間に誰にも見取られる事なく静か、静かに沈んでいった。
日本海軍が最後の最後で米軍の度肝をぬいた瞬間であった。核の直撃を受け傾斜したものの未だ浮いて
いる長門に驚嘆した米海軍の被害調査隊の一人は、長門の艦橋にこう書き残したという。
"Old Navy Never Die!(海の古強者は死なず!)"
【戦争奇譚 〜硫黄島の英霊たち〜】
施設関係の仕事で、自衛隊の航空機に乗って硫黄島に渡り、1週間ほど滞在したことがある。
島内には自衛隊しか居らず、寝泊りしたのも自衛隊の施設内だったが、そこの一室がいわゆる開かずの間だった。
他の隊員から聞いた話によると、そこは「出る」らしい。
部屋の中にはコップが置かれていて、毎日、新鮮なお水をお供えしているそうだ。
その部屋だけでなく、色々なところにコップに入った水が置かれているのだけど、ちゃんとコップの水係りを決めて、
毎日新鮮な水をお供えしているのだという。
案内してくれた隊員曰く、日米関係なく先の大戦で亡くなった多くの兵士のための供養だそうだ。
それを聞いて、水不足で苦しんだのは日本の兵隊さんだけだよな、と思いつつ、自衛隊のその心に感動した。
ちなみに、コップの水はエライ勢いで減るという。
なお島内には娯楽施設はなく、非番の隊員さんたちが何をしているのかというと、海で釣りをしたり、時には遺骨
収集をしたりもすると言っていた。
島内には自然の間欠泉があり、隊員さん達で作った自然のサウナがある。
そこに案内されて一緒に天然サウナを楽しんでいたときに年配の隊員さんから聞いたのだが、その天然サウナ
(洞窟)には兵隊さんの幽霊が出るらしい。
その話を聞いて驚いていると、その隊員さんが、「大丈夫!怖がる必要はないよ。同じ日本人なんだから。出たら
頭を下げて、ご苦労様でした!と労ってあげればいいんだよ」と言っていた。その通りだと思った。
【戦争奇譚 〜日本兵たちのサバイバル〜】
米軍から奪ったトンプソンで戦った元日本兵の方の手記より。
当時フィリピン戦線では銃も弾も不足し、彼らは米軍の偵察兵を襲撃して奪って使っていた。
そのうちに、彼のいた分隊の生き残り全員がトンプソンを持つようになったという。
終戦になり現地の武装勢力に投降した時、銃や装備が米軍の物では処刑されると指摘され、武装勢力の持って
いた日本の小銃や装備と交換して米軍に投降した。
- 61 :
- 【戦争奇譚 〜フィクション、その後の土方歳三〜】
昔、谷口ジローの単行本に、原作者の関川夏央が函館戦争以後も生き残った土方歳三の話を書いていた。
以下がその要約である。勿論この話はフィクションである。
択捉に日本政府から北方調査のために派遣された軍人の白瀬一行は、択捉で一人の年老いた武士に遭遇する。
彼の顔面の半分にはひどい焼けどの痕があった。どうやらその老人は旧幕臣のようだった。
そしてこの老人のたっての願いで白瀬一行は彼を同行させることにした。
この老武士は薬に関する知識が豊富であり、壊血病で苦しむ隊員達に、ビタミンの的確な補給法を教えたりする。
ある日のこと、彼ら一行は同じく択捉の探査にやって来たロシアの軍人達と鉢合わせしてしまう。
彼らと小競り合いとなったが、辺りは見渡す限りの荒野で遮蔽物は何処にも無い。
もしここで銃撃戦を起せば、仮に運良く勝てたとしても甚大な被害を出してしまうような状況であった。
その時、この老武士が紛争の解決案を白瀬に提案する。
その案とは、お互い一人ずつ選んだ代表者同士で戦って雌雄を決し、それで事を収めようと。
さらにその老武士は、自らその役を買って出た。
彼は白瀬に借りた軍刀を抜いて2、3度素振りをくれて鞘に収めた。
そのままサーベルを持った熊のように大きなロシア人につつと歩み寄る。
ロシア人はパイプをくわえたままで、この老武士を侮りの目で見下ろしていた。
その刹那、抜く手も見せずに鞘ばしった軍刀が閃き、ロシア人が口に咥えていたパイプが綺麗に切り落とされた。
一瞬の出来事に唖然とし、驚くロシア兵。
結局、この老武士の手練の技に感心したしたロシア人達は、事を丸く治める事を快く承諾し、解決した。
その後、老武士は白瀬に、「ワシは死ぬまでに1度でいいから、メリケン国をこの目で見てみたい」といい、
米国籍の船に渡りをつけて欲しいとねだる。
彼はこの老武士の願いを聞きいれ、乗船の手配をしてやった。この老武士が米国籍の船に乗り、日本を発った。
老武士は、向こうへ到着したら必ず手紙を出すと約束した。
だがその後、この老武士行方は遥として判らなくなってしまった。
果たして、この老武士は土方歳三だったのだろうか?
- 62 :
- 【戦争奇譚 〜米軍を攪乱させた幻の艦隊と幽霊部隊・一兵も残さなかった奇跡のキスカ島撤収作戦〜(1/2)】
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太平洋戦争で最初の玉砕の場所、アリューシャン列島のアッツ、キスカ島玉砕での話。
太平洋戦争中の昭和17年6月、日本軍はミッドウェー海戦と併行して、アリューシャン列島のアッツ、キスカ両島の
占領作戦を敢行した。このうち、ミッドウェー海戦は惨憺たる敗北に終わったが、アッツ、キスカ作戦の方は上手く
いき、殆ど抵抗らしい抵抗もないまま両島を占領した。
ところがいざ占領してみると、これが大変な島。夏は濃霧に閉じ込められ、冬は暴風雨が荒れ狂って、とても軍事
作戦を展開するどころではない。米軍の方もそのことを知ってか知らずか、奪回に来るわけでもなく、日本軍の
なすがままにまかせていた。
しかし、1年も居座られると、さすがに米軍の方でも面白くない。それないばかりか「ひょっとして日本の狙いは
アラスカにあるのではないか?」という憶測がアメリカ国民の間に流れるようになった。
地図を見ればひと目でわかるとおり、アリューシャン列島は千島列島からアラスカへ連なる島である。
南太平洋での戦況が思わしくなくなった日本が、矛先を北に転じてアラスカを襲わないともかぎらない。
つまりアッツ、キスカ島の日本軍は、アメリカにとっては喉もとに突きつけられた短刀に等しかったのだ。
そこで米軍は、昭和18年5月、1万1000人の兵をもってアッツ島を攻撃することにした。これに対して日本軍の兵力
はわずか約2600人。司令官のブラウン少将は、攻撃に先立ち「赤子の手をひねるようなものだ」と豪語した。
ところが、日本軍が水際での戦いをさけ、山岳部にこもって抵抗する戦法をとったため、米軍は予想外の苦戦を
強いられることになった。加えて寒さは聞いていた以上の厳しさ。カリフォルニアの緑野で訓練を受けてきた兵士は、
ヒヨコのようにふるえあがり、凍傷による戦闘不能者が続出した。
しかし、それでも戦力の差は歴然としている。日本軍はじりじりと山地に圧迫され、5月30日、29人の捕虜を除いて、
ついに全員が戦死した。太平洋戦争における最初の玉砕である。
アッツ島を制圧した米軍の次の目標は、当然、キスカ島に向けられた。
けれどもアッツ島での思わぬ苦戦に懲りた彼らは、すぐに上陸攻撃をかけることをせず、暫くはキスカ島近海を
艦隊で固めて日本軍の補給路を断ち、様子を見守ることにした。そして兵力を3万に増強し、さらに耐寒訓練を
受けたカナダ兵5000人を加えて上陸にそなえた。
これに対し、日本軍の参謀本部は、意外にもキスカ島の全兵力5639人を撤退させる方針をとった。
キスカ島の死守はむだな消耗戦になると読んだからである。
この命令はただちにキスカ島の守備隊にも打電され、これを聞いた将兵は踊りあがって喜んだ。
但し島の周囲には米艦隊が目を光らせている。その間隙をどうぬって撤退するのか、見通しは決して明るくなかった。
事実、当初こころみた潜水艦による撤退作戦は効率が悪く、一度に運べるのは80人が限度で、とても5000余人を
一度に撤退させ帰還させるのは無理であった。
そこで7月12日、駆逐艦を中心とする14隻の救援艦隊を派遣し、濃霧に隠れてキスカ湾に接岸、一気に撤収を
図る作戦に出た。ところが皮肉にも、その日にかぎって島を覆うはずの霧がすっかり晴れて、作戦は延期となった。
- 63 :
- 【戦争奇譚 〜米軍を攪乱させた幻の艦隊と幽霊部隊・一兵も残さなかった奇跡のキスカ島撤収作戦〜(2/2)】
A
キスカ島の将兵は深い絶望の沈んだ。彼らの脳裏にあるのは、アッツ島で玉砕した戦友たちの姿だった。
そこへ再び朗報が入った。救援艦隊が再度島をめざしているというのだ。
一方、米軍のほうも、着々と上陸の準備を整えていた。
補給路を断ってあるから、守備隊の食料はそろそろ底をつくはずである。
それを待って一気に攻撃をかけるというのが彼らの算段だった。
7月26日、米艦隊のレーダーは、霧の彼方に日本艦隊らしき船団を捉えた。
そこでひとまず島の監視を解き、全艦をもって敵艦を追跡、いっせいに砲撃を開始した。
当時、日本軍にはレーダーがなく、霧に中の戦いとなれば米軍の有利はいうまでもない。
ところが、ここで不思議なことが起きた。どんなに撃ちまくっても、レーダーから日本軍の艦影が消えないのだ。
海上を見ても、艦船が炎上している気配はまったくなく、ただ味方の曳光弾だけがむなしく霧の中へ消えていく。
「これはどういうことだ?」「まるで幽霊艦隊じゃないか」
砲撃と追跡は29日まで続き、燃料を消耗しつくした米艦隊は何がなんだかわからないまま、給油のために
いったん戦場を離脱しなければならないはめになった。
この幻ともいうべき艦隊がなんであったのかは、今もって謎とされているが、キスカ島をめざしていた日本の
救援艦隊でなかったことだけは確かだといってよい。
というのも、ちょうどそのころ、キスカ湾には日本の救援艦隊が到着し、撤収作業のまっただなかだったからだ。
しかもこのときは、海上全体が霧に包まれれていたにも関わらず、キスカ湾のみが50メートルの高さでポッカリと
霧の穴が開くという好条件に恵まれた。おかげで、撤収はわずか1時間で一兵の残もなく完了した。
しかし、もちろん米軍はそんなことは知らない。
再度艦隊を組んでキスカに戻った彼らは、今度こそ守備隊の息の根をとめてやろうと、まず航空機をもって40日に
わたる空爆を続けた。霧のため、成果は確認しがたがったが、出撃のたびに搭乗員は、「地上からの対空砲火を
受けた」と報告した。これもまた不思議なことで、当時、島は既に無人、対空砲火など上がるはずもない。
が、米軍は、それを日本軍健在の証拠だと判断した。
業を煮やした米軍は、8月15日、91隻の艦艇の支援の下に、ついにキスカ上陸を開始した。
だが、予想された日本軍の反撃は全くなかった。恐る恐る前進した将兵たちが霧の中に発見したのは、ゴースト
タウンのように放棄された兵舎と3匹の子犬だけであった。
”奇跡の撤退”として、戦後まで語り草となったこの作戦は、米軍を翻弄した幽霊艦隊と、年に一度あるかなきかの
霧の穴という気象の妙の上に成立したわけだが、おまけとして謎の対空砲火という怪奇まで生んだのである。
あるいはこの対空砲火は、島にとりついた日本軍将兵の魂魄が幽霊となって打ち上げていたのかもしれない。
ちなみに、幽霊艦隊については、ミッドウェー海戦に敗れて沈んだ日本の機動部隊の亡霊ではないかとの噂が
流れたことがある。(学研ムーブックス『奇譚集』より)
- 64 :
- 【戦争奇譚 〜恋瀬丸と恋瀬町〜】
昭和20年6月のこと。運送船「恋瀬丸」が便乗の乗客16名と荷物を積んで航行中、突如現れたP-51戦闘機2機に
機銃掃射を受けた。雨と降り注ぐ機関砲弾に、たちまち船内は阿鼻叫喚図となった。弾丸が薄い鋼板を貫通して
乗客たちを粉砕する。肉片が飛び散る…。大穴の開いた船底からはドッと水が溢れ、瞬く間に船は沈下。
そのうち機関が射抜かれたらしく缶が破裂。船体は真っ二つに折れ、高熱の蒸気が船内に充満する。
視界を妨げる大量の蒸気と大混乱、沈没速度のあまりの早さに脱出も思うように行かなかった。
結局恋瀬丸は沈没し、便乗中の水兵一人を含む乗員乗客18名が戦死。生き残りも殆どが重傷を負った。
同日には常磐線や各地の学校、航空隊 歩行者も攻撃を受け多数の死傷者を出している。
(ちなみに恋瀬は茨城県石岡市の町)
その後、毎年6月頃の夜になると、恋瀬丸沈没地点付近で巨大な青白い光球が走り回ったり、湖面上をびしょ濡れ
の人々がぞろぞろと歩き回ったり、誰もいないのに夜の湖面からすすり泣く声が聞こえたり、様々な現象が発生
するようになった。今現在でも現れる事があるそうだ。
【戦争奇譚 〜水戸歩兵第2連隊〜】
昭和19年11月14日の夜のこと。水戸歩兵第2連隊で突如営門が真一文字に開き、同時に進軍ラッパが遠くから
響いてきた。衛兵が警戒して見ていると、一個連隊ほどの部隊が行進してくる。
その先頭で連隊長の中川大佐が馬に乗り抜刀し、それに兵士が無言でついて来る衛兵司令は直感的に「捧げ銃」
を命令。衛兵が不動の姿勢で出迎えると、営庭の途中で部隊の姿が掻き消すように見えなくなった。
その日は村井少将と中川大佐が自決。生き残りが最後の突撃を敢行、玉砕した日だった。
この時点で玉砕は誰も知らされていなかった。
アッツ島で玉砕した山崎大佐の留守部隊である旭川師団でも似たような事があった。
(行進ラッパの音が近づいてくるが、部隊営門近くになるとかき消すように聞こえなくなる)。
最初は上官も「ウソつくな!」と衛兵司令を叱っていたらしいが、念のため将校を歩哨につけたところ、やっぱり
聞こえたため、上官も信じるようになった。
【戦争奇譚 〜ガダルカナル島〜】
ガダルカナル島も凄まじい戦いがあった。そこでは日本兵3000人が救援物資が来るのを信じて待っていた。
しかし待てども救援部隊はおろか日本軍の船も見えない。その内にとうとうアメリカ軍が島に侵攻してきた。
この時置き去りの日本兵3000人に対してアメリカ兵70000人。圧倒的な戦力の差は明らかだった。
だがこの圧倒的な兵力差にも関わらず、日本兵は必死で戦った。
この戦いの凄さは、戦闘により精神異常となって本国に帰されたアメリカ兵が30000人以上いたということから
みても、いかに日本兵が凄まじい戦い方をしたかって事が伝わってくる。
以下はガダルカナル島で生き残ったアメリカ兵の証言である。
「日本兵は正確に弾を撃ってくる」「動きも速いし狙いが定まらない(戦い方が上手かったとも言っている)」
「火炎放射器のバックパックに弾が直撃して爆発炎上。周りの仲間も燃えた」
「浜辺から上陸した戦車が砲塔を日本兵の方に向けたら、全速力で突進してきたかと思うと砲塔の中に銃を
向けて弾を放った。途端に主砲の中の大弾に触れたのか中で爆発を起こして熱気が凄かった。中にいた
搭乗員は皆オレンジ色のスライム状になって中から溢れてきた。それを見た周りの仲間も嘔吐をもよおしたり
して気が狂った人達もいた。もし砲塔に向かって撃つ時に先に我々が撃っていたら日本兵は死ぬ。
日本兵は死を覚悟して尋常ならざる決意で戦っていた事がそこで解かる。」
- 65 :
- 【戦争奇譚 〜ビルマにて。死の予感〜】
ビルマのメイミョウ 昭和19年1月26日のことだった。
敵の攻撃が激しくなったので偕行社(将校サロン)を後方のキョウセに移転する事になった。
若い女性たちがいたからである。別れの宴が行われた日、女性の一人上野山さんは南少尉に手のひらを見せ、
「私はもう間もなく死にそうだ。遺品と思って受け取ってください」と、母から貰ったという木のふちの四角い手鏡と、
赤い縁飾りをした手作りの白いハンカチをくれた。
偕行社が移って何日目かの真夜中、南少尉は何気なく手鏡を取り出し、今頃彼女たちはどうしてるだろうと思った。
その時、何か赤い影がすうっと後をよぎる気配がした 振向いたが誰もいない。ドアを開けてみても誰もいない。
不思議に思いながらハンカチを開くと、真っ白なハンカチに赤いしみが広がっていた。
少尉は胸をつかれた。一体何が起こったのだろうか。
その時キョウセにいた偕行社の娘たちは全員爆弾で木っ端微塵に吹き飛ばされていたのである。
報せが入り遺体収容のため南少尉らはキョウセに車を飛ばした。しかし建物も娘たちもすっかり吹き砕かれ、
どこに遺体があるのかも分からない。
呆然として見回すと、赤い靴を履いた女の片足だけがころがっていた。上野山さんの足であった。
【戦争奇譚 〜地下室に潜むもの〜】
第二次世界大戦ヨーロッパ戦線での話。電撃作戦によってフランス軍を散々打ち負かして進撃を続けるドイツ軍。
そんな折、あるドイツ軍の歩兵中隊が小村を占領した。
暫くして1人の兵士が、ある農家に立派なワイン貯蔵庫があるのを発見。上官に報告すると、「そのワインを持って
来い」と言うので、彼は地下にあるワイン倉に入っいった。
だが、いくら経ってもその兵士はワイン倉から戻ってこない。
しびれを切らした上官は別の部下2人に様子を見てくるように命令した。しかし、今度はその2人も戻って来ない。
上官は更に別の部下2人を行かせましたが結果は同じだった。
上官は「ならば俺が見に行く!」と言って残りの部下(何人かは不明)を従え、地下室に降りていった。地下室は
ごく普通のワイン倉で、別に変った所も無い。彼は先に送り込んだ部下5人を探したが、どこにも見当たらない。
しかし彼はその地下室に降りた時から、言いようの無い不安と恐怖に襲われていた。
「ここには人間以外の何かが居る」直感的にそう判断した彼は、捜索を打ち切り早々に地下室を後にした。
彼は戦争を生き延び、何十年後かに再びその小村へ行く機会を得た。恐る恐る地下室に降りた彼は、違和感を
覚えた。「この地下室、こんなに床が高かったか…?」以前見た時に比べ、確実に数十センチ程床が高くなっていた。
しかし彼は敢えてその事には言及せず、その場を去った。「人間以外の何か」とはどういうモノだったか?
【戦争奇譚 〜白馬の騎士〜】
第一次大戦勃発直後のお話。ドイツ軍の猛攻にさらされ、追い詰められたイギリス軍の部隊が、
「聖ゲオルギウスよ、イギリスを守りたまえ!」と叫びながら突撃し、孤立状態から脱出することに成功した。
そのとき、士官の一人は弓矢を持って敵軍の塹壕へと自軍を導く人々がいるのに気付いた。
戦闘が終わってドイツ人捕虜を尋問していると、捕虜がこう尋ねた。
「あの大きな白馬に乗った士官は誰なんだ?誰もあいつを撃てなかった」
どうやら、その白馬に乗った士官が謎の弓兵部隊を指揮していたらしいのだが、イギリス軍では誰一人として、
その士官を見ることは出来なかった。
また、別の戦場では、ドイツ軍の大部隊が突撃してきた直後に黄色がかった霞が立ち上り、それが晴れると
金髪で黄金の甲冑を纏った白馬の騎士が立っていたと言う。
白馬の騎士は剣を振りかざしてイギリス軍を駆り立て、結果としてドイツ軍は押され始め撤退したという。
- 66 :
- 【戦争奇譚 〜U65、謎の爆発〜】
第一次世界大戦の戦時中、大西洋を作戦にて航行していたアメリカ海軍の潜水艦が、波間に漂うドイツ海軍の
Uボートを発見しました。時は1918年7月10日。
「良い得物を見つけた。しかし妙だな。無人なのか、あの船は?」アメリカ潜水艦側の艦長は不審に思いつつも、
魚雷装填を部下に命じます。そして正に魚雷をドイツ潜水艦に発射しようとしたその時、当の目標が大爆発を
起こして、あっという間に沈んでしまいました。
呆気に取られてその有様を見ていた米潜水艦の艦長。「どうしたことだ、誰かが俺の得物を横取りしたのか?
それにしても爆発の直前、独潜水艦の舳先に誰かが立っていたような?」
この爆発沈没した潜水艦こそ、第一次世界大戦で「呪われたUボート」として知られる、「U-65」最後の姿でした。
実はこのU65、建造当時より「曰くつきの艦」として噂になっていました。
まず、建造中に5人もの死者を出しています。最初の死者は潜水艦の部品の下敷きになり、死亡。続いて機関
の点検をした際には有毒ガスが発生、その上の機関室の扉が何故か開かず、中に居た人間は逃げられずに
全員死んでしまいます。
それでも一応完成したU65は、初の潜航試験に臨みます。ところが浮上できずに沈み続け、海底に着底して
動かなくなりました。乗組員が必死に復旧作業をしましたがビクともしません。誰もが諦めかけた12時間後。
今度は突然浮上を始め、乗員は辛くも一命を取り留めます。
このように問題が多い艦など、平和な時代であれば流石に使われる事も無かったのでしょうが、当時のドイツは
戦争の真っ最中。出撃することになました。
出撃後最初の事故はベルギーで起きました。ベルギーの港へ寄港した際一発の魚雷が爆発、この事故で中尉
1人と下士官5人が死亡します。
そして整備の為にU65がドッグに入れられた夜の事です。艦の舳先に誰かが、じっと立っているのを2名の乗員が
目撃しました。一体誰だ、あんな所に突っ立ってるのは?そう思って注意しようとした時、見覚えのある顔である
ことに気付きます。「そうだ、あいつはこの前の魚雷爆発事故で死んだ中尉じゃないか!」
2人は艦長に対して見たままを報告しました。しかし彼は幽霊など居る筈は無い、馬鹿馬鹿しいと言い放ち、取り
合いません(その後、幽霊を目撃したうちの1人は、艦から逃亡した)。そうこうするうちに艦の整備も終了し、
再度出撃することになりました。
航海中、U65は何隻かのイギリス船を撃沈して立派に任務を遂行、帰港します。第二の事件はこの時起こりました。
帰港した港がある日、イギリス軍の爆撃を受けて艦長が死亡。U65には後任の艦長がやって来ます。
彼は自分の新しい部下の大多数が精神的に追い詰められてるのを見て「これは只事では無い」と直感します。
新任の艦長は部下達に「幽霊などは絶対に居ない」と訓示し、一応念の為とでも思ったのか、従軍司祭にU65の
お払いをさせました。
しかし、その後の経過を見るとお払いの効果は無かったようです。まず、数日して砲手が発狂して自殺。同日に士官
が足の骨を骨折。更に翌朝、下士官の1人が突然海に飛び込み、そのまま行方不明に。
立て続けに起きる事故に、新艦長も何かを感じたのでしょう。本来なら敵を追いまわす立場である筈のU65は極力
敵との交戦を避けるようになりました。また、恐慌状態にある乗組員を少しずつ楽な部署へと移動させる努力も
しました。そうすることで、少しでも負の力を逸らそうとしたのでしょうか。ですが、事態は悪化の一途を辿りました。
そして運命の1918年7月10日を迎えるのです。恐怖に耐えられなかった乗組員が艦を自爆させたのでしょうか?
それとも味方潜水艦に誤射されたのでしょうか?今となっては真相は闇の中です。
- 67 :
- 【戦争奇譚 〜遠き南の島に伝わる日本の歌〜】
遠い南の島に、日本の歌を歌う老人がいた。
「あそこでみんな死んでいったんだ」沖に浮かぶ島を指差しながら老人はつぶやいた。
太平洋戦争のとき、その島には日本軍が進駐し陣地が作られた。老人は村の若者達と共にその作業に参加した。
日本兵とは仲良くなって、日本の歌を一緒に歌ったりしたという。
やがて戦況は日本に不利となり、いつ米軍が上陸してもおかしくない状況になった。
仲間達と話し合った彼は代表数人と共に日本の守備隊長のもとを訪れた。自分達も一緒に戦わせて欲しい、と。
それを聞くなり隊長は激高し叫んだという。「帝国軍人が、貴様ら土人と一緒に戦えるか!」
日本人は仲間だと思っていたのに、みせかけだったのか?裏切られた想いで、みな悔し涙を流した。
船に乗って島を去る日、日本兵は誰一人見送りに来ない。
村の若者達は、悄然と船に乗り込んだ。しかし船が島を離れた瞬間、日本兵全員が浜に走り出てきた。
一緒に歌った日本の歌を歌いながら、手を振って彼らを見送った。
先頭には笑顔で手を振るあの隊長の姿が。その瞬間、彼は悟ったという。
あの言葉は、自分達を救うためのものだったのだと。
その後、彼ら日本兵はアメリカ軍との戦闘で、全員が玉砕して果てたという。 (>>46)
【戦争奇譚 〜英霊達への敬意を忘れるなかれ。八甲田山の雪中行軍供養塔〜】
八甲田山・死の雪中行軍は多くの方がご存知かと思います。
この悲劇は長く語り継がれ、それと共に心霊話も多くあります。
時は現代。ある学生グループが「肝試し」と称して悲劇の舞台となった八甲田山へやって来ました。
最初はただ騒いでいただけの彼等ですが、そのうち悪戯心が出てきたのか、雪中行軍の犠牲者を慰める
供養塔などに対して不敬な行為を働きました。しばらくして学生達は帰途に着きました。
だがその日の晩、彼等が寝ていると、外から大勢が足並みを揃えて行進する音が聞こえてきました。
それは徐々に学生達の方へと近づいてくる。とうとう、彼等の寝室にまでドカドカと入って来ました。
恐怖で動けない学生達を上から眺める多くの兵士達。
やがて1人の兵士が「ワシはこの手が欲しい」と言い出しました。すると別の兵士が「俺はこの目が」「ワシは足だ」。
その後半年ぐらいで、この学生グループは兵士達が言った手や目、足などを事故等で次々と負傷したとの事です。
この話が本当か嘘かは別として、八甲田の兵士達も国の為に自らの命を捧げた人々。
敬意を持って接したいものです。
- 68 :
- 【戦争奇譚 〜ジーカート大尉のメッサーシュミット〜】
20世紀中頃。当時のドイツは知っての通り、1939年からヨーロッパ中を相手に戦争を繰り広げていました。
特に1941年から始まった対ソ戦は日に日に泥沼の様相を呈していました。
1942年の或る日の事。旧ソ連領内にあるドイツ軍飛行場からメッサーシュミット(ドイツ軍の戦闘機)の一隊が
飛び立ちました。暫くしてメッサー部隊は作戦行動を終えて基地に帰還したのですが、「ジーカート大尉」の
操縦するメッサーシュミットだけが帰還しませんでした。
エンジン不調によるものか、対空砲火や敵戦闘機に撃墜されたのか?その後も彼の消息は掴めませんでした。
時は過ぎ去り、1989年。旧ソ連の空港に、管制塔と一切交信しないばかりか、着陸許可も無しにいきなり単発の
飛行機が滑走路に降りてきました。
空港職員が急いで駆けつけてみると、その飛行機はなんとメッサーシュミット戦闘機。尾翼にはナチスドイツの
象徴、「鍵十字」のマークが。職員が操縦席を覗いてみると、そこには白骨化した搭乗員が座っていました。
その後の調査で、この白骨化した搭乗員は1942年、東部戦線で消息を断ったジーカート大尉と判明しました。
一体大尉はどうやって半世紀近くもの時間を超えて突然現れたのか。その間は何処に居たのか。何故白骨化
してしまったのか。全ては謎です。
ただ、この話は「メッサーシュミット版」の他に「スツーカ版」(同じくドイツの急降下爆撃機)や「スピットファイア版」
「ハリケーン版」(共にイギリスの戦闘機)まであります。
【戦争奇譚 〜深夜に遭遇した謎の船〜】
私が乗務する潜水艦が八丈島南西を行動中だったときのことです。
潜水艦というとずっと潜っていると思われがちですが、実際は原潜でないかぎり水上を航走する場合も多いのです。
そのような場合、舷側の低い潜水艦では行き交う船と互いに識別しあうのが難しく、両目を使っての目視での監視が
非常に重要な役割を担います。
ある夜、私は見張りの士長たちともども司令塔の上に立ち、双眼鏡で周囲を警戒しておりました。
士長が左舷前方に船影を発見し、私はそのことを発令所に伝えました。
が、ほどなく「見間違えじゃないか?」と聞き返されました。同時に回していたレーダーには感度が無いというのです。
士長の報告した概位からすればごく近いと思われ、ありえないことです。
「そんなバカな。まだ見えてますよ」
と士長が言うので、私は夜でも良く見えるという彼の私物の双眼鏡を借り向けて見ました。
確かに船影はあります。それも思ったより大きく見えます。しかし妙なことに気づきました。
その夜は月が明るく、結構遠くの船影でも細かい部分までくっきり見えていたものです。
ところがその船影に限ってのっぺりと真っ黒く、細部がまるで見えないのです。
それでも、シルエットから判断して、こちらと反航しつつあるように見えます。
辛抱強く見つづけていると、ようやくその船が軍艦らしいことに気づきました。
あちこちから艦砲と思しき細いものが伸びているのです。
しかし艦砲主体のこのような大型艦は、自衛隊はおろか、米海軍にも、近隣諸国にももう在籍していないはずです。
私は当然の連想をしてしまい、思わず士長に双眼鏡を返してしまいました。
士長によれば、その船影は10分ほどで視界から消えたそうです。しかし彼はこういいました。
「一番近づいたとき、舷側にずらりと並んだ人影が、こっちに帽振れやってるように見えて仕方なかったですよ」
- 69 :
- 【戦争奇譚 〜イギリス海軍砲艦アヴァランシュ号の遭遇した謎の生物〜】
1897年7月。ベトナムのアロン湾を航行していた「イギリス砲艦アヴァランシュ号」が、体長20メートル程の生物2頭が
泳いでいるのを発見。これを攻撃した(命中したかどうかは不明)。
年が変って1898年2月15日。アヴァランシュ号は再びアロン湾にて謎の生物と1時間半に渡り遭遇。攻撃したところ、
今度は見事命中。しかし、取り逃がしてしまう。
更に同年同月25日。アヴァランシュ号はやはりアロン湾で未確認生物と3度目の遭遇をします。この時現れたのは
2頭で、頭部はアザラシに似ていたとの事。
【戦争奇譚 〜ドイツ帝国海軍潜水艦U28の見た謎の未確認生物〜】
第一次大戦中の1915年7月30日。「ドイツ海軍潜水艦U28」はイギリスの汽船「イベリアン号」号を雷撃、これを撃沈。
沈み行くイベリアン号は25秒後に海中100メートル付近で爆発しました。
その時、「ワニの様な体をし、頭が細長く水かきが付いた」体長20メートル前後の未確認生物」が爆発の衝撃で海面
に吹き上げられたのです。この様子はU28の艦長ともう1人の兵士によって、潜水艦艦橋から目撃されました。
ちなみにU28の艦長はこの出来事をつぶさに航海日誌に記録したそうです。流石は生真面目で知られるドイツ人、と
いったところでしょうか。
【戦争奇譚 〜洞窟の中のオオトカゲ〜】
第二次大戦中、タイ近辺での話らしいです。その地で日本軍は、昼の間捕虜を土木工事に従事させ、夜は洞窟で
休ませていました。そのうち、妙な事が起きるようになります。朝、捕虜を点呼すると何人か消えてしまっている。
最初は「脱走か?!」と思われたのですが、よくよく事情を聞けば、洞窟の中にオオトカゲが居て、そいつが夜に
なると捕虜を襲って食ってしまう、とのこと。 最終的に手榴弾で始末したという。
- 70 :
- 【戦争奇譚 〜新耳袋・第一夜より〜】
新耳袋・第一夜にこんな話があった。
太平洋戦争中のある夜、ふと目が覚めてなぜか仏間へ行かなければならない気がして仏間に行く。
すると他の家族もなぜか目が覚めて仏間に集まっている。家族全員揃ったので、わけは分からないけどせっかく
だから念仏でも唱えようと皆で念仏を唱える。明け方になりそろそろ寝床に戻ろうかと襖を開けて驚いた。
隣りの部屋が消えていたのだ。夜中に空襲に遭い、焼夷弾が落ちたらしく、あたり一面焼けている。
不思議なことにそんな音は全く聞いていないし、仏間の襖は爆風さえ受けていない。
おかげで家族は全員無事だったという。
【戦争奇譚 〜夜、陣地を覗き込む兵士たち〜】
第二次世界大戦でのこと、1944年にビルマ(現ミャンマー)にて日英両軍が互いに陣を構え、睨み合っていました。
戦況の方は正直な話、日本軍に対して不利。ですが「最後の一兵まで戦う」と頑張る日本軍。そんな中、イギリス軍
の一部隊が突然降伏を申し入れてきたのです。
「有利な筈のイギリス軍が何故?」日本側の質問に対し、イギリス側は以下の様に答えました。
「夜中になると、日本兵が我が軍の陣地をうろついたり、中を覗き込んだりする。それがどう見ても生きている人間
では無い。しかも、日本軍が突撃してきたので反撃すると煙のように消えてしまったり。もう耐えられない」
それを聞いた日本軍は「ああ、死んだ仲間がしてくれたんだ」と言って、別段驚かなかった、との事。
【戦争奇譚 〜消えたノーフォーク連隊について〜】
第一次世界大戦中の話です。1915年8月21日の事。トルコのアンザックの近くにある、サル・ベイ丘に向かって
イギリス陸軍ノーフォーク連隊341名が進軍していました。
その日、サル・ベイの丘の上には霧がかかっていたのですが、連隊が進軍するにつれてその雲は徐々に下へ
下りて来ました。やがてノーフォーク連隊はその雲に隠れて完全に見えなくなりました。
この様子は別の場所からニュージーランド兵22名が眺めていました。
問題はここからです。そのうち風が吹いて丘の雲を一掃したのですが、連隊兵士の姿が何処にも見えない。
ニュージーランド兵の居る場所からは数十キロ四方が見渡せるのですが、何処にも見当たらなかったそうです。
その後、イギリス軍では調査を開始したものの手がかりは無し。
戦後の捕虜返還でも、ノーフォーク連隊の兵士は1人として居ませんでした。
と、ここまでは良く知られる話なんですが、別の所で聞いた話ですと、何名かの遺体は発見されているとの事。
ただ、全員の遺体が見つかったわけではないので、やはり真相は闇の中。
【戦争奇譚 〜尚も成仏できぬ英霊たちの嘆き〜】
戦時中ではなく、戦後の話です。ビルマ(現ミャンマー)の現地の方々によれば、夜のジャングルから聞き慣れない
言葉(日本語)が聞こえてくるそうです。そのどれもが、苦しそうな声だとか。きっと、インパール作戦で散った兵士
なのでしょう。現地の人々からすれば言葉も分からないでしょうし不気味かも知れませんが、我々日本人にとって
は涙を誘う話です。
- 71 :
- 【戦争奇譚 〜幽霊飛行機〜】
1942年7月、イギリスのスコットランドで起きた話です。
その日、イギリス空軍士官のJ・デブリンはいつものように管制任務に就いていました。その日は特に予定らしい
予定も無く、のんびりしていたそうです。が、その時緊急連絡が入りました。
「敵味方不明機がモントローズ基地へ接近中!」デブリンは仲間と共に外へ駆け出すと、空を見上げました。
暫くして南東方向から飛行機の爆音が。やがてその飛行機は基地上空へ現れました。
「なんだ、あれは!時代錯誤もいいところじゃないか」
無理もありません。
彼等の前に現れたのは、第一次大戦で使われていたと思われるような、布張りの複葉機だったのです。
色はライトブルー、星型エンジン搭載のそれは、第一次大戦で使用され、かの「レッドバロン」撃墜にも一役買ったと
言われる、『ソッピースキャメル』戦闘機と思われました。複葉機はコース変更もせず真っ直ぐに飛び続けると、
そのまま雲の中へ消えて行きました。この謎の複葉機は数日後にも全く同じようにして現れたのです。
このあまりにも不可解な出来事に関心を持ったデブリンは早速調査を開始しました。
そしてデブリンは基地周辺に古くから住む、サンディ老人から次のような話を聞きだします。
数ヶ月前の事。羊飼いのジョンという少年が迷子になった羊を探すうち、大きな岩場へ出た。
暫く岩場を彷徨っていると、連れてきていた犬が何かを見つけたらしい。
そこは大きな岩の裂け目で、ジョンが中を覗き込むと中にはかなり古い複葉機の残骸と人骨が散らばっていた。
デブリンは確信します。自分が見た謎の複葉機はきっとジョンが見つけた複葉機であり、事故の日と同じコースで
数十年経った今でも空を飛び続けているのだ、と。
【戦争奇譚 〜幽霊飛行機2〜】
時は現代のイギリス、年が明けて間もない1月の出来事です。
ある夫婦が旅行中、バーノルズウィックという町に差し掛かりました。その日はイギリス特有の霧が発生していました。
そろそろ休む場所でも、と考えていた夫婦の目の前に、突然巨大な飛行機が現れたのです。
その航空機は周囲の建物や車にぶつかりそうな位の低空飛行をした後、現れた時と同じように、忽然と消えました。
夫婦の話によれば、その飛行機は第二次大戦中に活躍した『ランカスター爆撃機』で、機体は灰色、プロペラが
回転していたのにも関わらず、全くの無音であったとのこと。
その後、新聞でこの出来事が報道されると様々な人々から数十件の目撃情報が寄せられました。それによると、
色は灰色、特に国籍マーク等は付いておらず、プロペラは回転しているが音は全く無し。そして誰もが口をそろえて
「あれはランカスター爆撃機だ」と証言しました。
ある老人によれば、昔この付近には飛行場があったとか。
現在は戦時中、バーノルズウィックに不時着したランカスター爆撃機があったかどうかを調査中、との事。
戦後数十年経った現在。このランカスターは、今も帰るべき飛行場を探しているのでしょうか?
- 72 :
- 【戦争奇譚 〜帰ってきた戦闘機〜】
第二次大戦中、独・伊軍と英・米軍は北アフリカ及び地中海に於いても戦いを繰り広げておりました。
そんな中、アメリカ軍のP-38(戦闘機)の一隊が、ドイツ軍基地の偵察へ向かいます。
当然の如く反撃してくるドイツ軍。地中海上では、激しい空中戦が繰り広げられました。
やがて戦闘は終わり、P-38は再び編隊を組み直します。
ですが、一機足りない。空中戦でやられたのか、いや、パラシュートで脱出したのではないか。
仲間は低空飛行で海の上を探し回ります。が、懸命の捜索にも関わらず機体の残骸すら見つかりません。
燃料も乏しくなり、後ろ髪引かれる思いでその場を後にしました。
パイロット達は基地へ帰り着くと、僅かな希望を頼りに周辺基地へ問い合わせます。
「誰も奴が撃墜されているところを見たわけじゃないんだ、きっと戻ってくるに違いない。
もしかしたらエンジン不調か何かで、別の基地に着陸した可能性だってあるじゃないか」
ですが、全ての問い合わせも無駄に終わります。「やはり奴は戦死してしまったのだろうか?」
誰もがそう思った時、けたたましい空襲警報のサイレンが。
「敵味方不明機、接近中!」基地内は騒然となり、各員戦闘配置へ。
その間にも正体不明の飛行機は基地へ近づいてきます。
やがて、それは目視できるだけの距離までやってきました。
「あれはP-38だ!味方だ!」空を見れば確かに味方戦闘機P-38が低空飛行でこちらへやってきます。
地上から無線でP-38へ呼びかけます。ですが、反応がありません。
やがてそのP-38は無線を無視したまま、着陸態勢へ入ります。しかし、速度が速すぎる。
「危ないぞ、あんな速度で着陸なんて!」誰かが呟くと同時に機体は大きくバランスを崩し、そのまま空中分解。
その時です。「人だ!脱出したぞ!」空中分解寸前の機体から、搭乗員が脱出するのが見えました。
脱出した彼はパラシュートを開き、そのまま地上へ降りてきます。
「やったぞ、助かった!やっぱり奴は生きていたんだ!」
救急車輌と共に仲間のパイロット達も現場へ駆けつけました。それから数分後。
唖然として立ち尽くす衛生兵を、他の人々が遠巻きにしていました。
「こんな事ってあり得るのか?」「どうやってここまで?」「でも、確かに脱出していたが。お前も見ただろ?」
取り囲んだ人々はパラシュート降下してきた人物を見ながら、口々に囁きました。
パラシュートで脱出した人物は死亡していました。
ですが、パラシュート降下に失敗して死んだわけではありません。頭を撃ち抜かれて、即死の状態でした。
後の検分では、P-38の燃料タンクはすっかり空になっていました。
これは別に不思議な事ではありません。
帰還する時間を大幅に越えていたわけですし、燃料は無くなって当然なのです。
ですが、空中分解する寸前まで、飛行機のプロペラが勢い良く回転していたのは全員が見ています。
更に、頭を撃ち抜かれ、数時間前には死んでいる筈の人間が脱出し、パラシュートを開いて降下する姿も。
このあまりにも不可解な出来事は、前線指揮官が事件を目撃した全ての将校・下士官に証言を記録させ、
認識番号・官姓名・サイン付きで書類を提出させたとの事です。
- 73 :
- 【戦争奇譚 〜フーファイター…砂漠の遭難〜】
これも戦後の話です。
1958年の事、サハラ砂漠のカランシオ台地上空を飛行していた飛行機が、砂漠に胴体着陸 したまま放置されて
いる一機の爆撃機を発見しました。見たところアメリカ軍の爆撃機B-24と見られ、発見者は直ぐに米軍へ報告した
のですが、「該当機は無し」との返答。不時着着はそのまま半年放置されます。
その後地上からの捜索が始まり、問題の爆撃機は再発見されました。B24自体に大した損傷が無いばかりか、
機体の中にはチューインガムや煙草、ポットに入ったコーヒーなども残されていたのです。
調査員は首を捻りました。「機体はほぼ完全、中には食料も残されている。乗員は何処へ?」
更に機体の中からは飛行日誌も見つかりました。
日誌の最後は「1944年4月4日ナポリ港爆撃」の項で終了していました。
この事件は「空のマリー・セレスト号事件」として長らく語られたのですが、その後真実が徐々に明らかになります。
問題の1944年4月4日、ナポリ港爆撃は深夜に行われた夜間爆撃でした。
その後B24は帰投しようとしたのですが、どこをどう間違えたかサハラ砂漠へ。
夜間なので海と砂漠の見分けも付きません。
その後も必死に帰るべき空港を探しますが結局見つからず、燃料も尽きて全員(9人)パラシュートで脱出。
その時点で1人が行方不明になり、残り8人は地中海を目指して北へ歩き出します。
ですが砂漠の過酷な気候に耐えられず5人がダウン。残された3人は更に北へ。
結局この3人も途中で力尽きてしまうのですが、これらの事実は遺体に残された日記から明らかになったものです。
B24は彼等の脱出地点からすぐ南に不時着しており、更に南を目指してればオアシスもあったとの事。
搭乗員達が北ではなく、南を目指していたら、あるいは助かっていたのかも知れません。
こうして事実は明らかになったのですが、それでも疑問は残ります。
クルーの記した飛行日誌には、次の一文が書かれていました。
「火の玉、赤い火の玉…」。
これは戦時中、日本やドイツ上空に現れた「フー・ファイター」の事ではないでしょうか。
この「フーファイター」は敵味方関係無く、戦場で多くの人間によって目撃されています。
「フー・ファイター」に攻撃されたという事実は今のところ無いようですが、B24のクルー達がこの「火の玉」に惑わされ、
砂漠に迷い込んでしまったとしたら?
- 74 :
- 【戦争奇譚 〜村上忠良中尉の話〜】
戦闘中ふと横を見ると、なんと自分の母親が手招きしてるのが見える。
幻覚かと不審がったが、一緒にいた部下も見えるというので、匍匐でそっちに行ってみた。
その直後今までいた場所で敵砲弾が炸裂。大穴が開いた。
一方、母親の姿はいつの間にか見えなくなっていた。
戦後帰還してから母親にそのことを話すと、母親は非常に驚いた顔をした。
母親はその日、仏壇で武運長久を祈っている最中倒れ、戦場で苦戦してる息子の夢を見たというのだ。
【戦争奇譚 〜遊女の櫛〜】
時は1945年。日本中が巨人爆撃機B29により焦土と化していた頃です。その当時、Aさんは中学生でした。
ある日の深夜の事。彼の住む町がB29による爆撃を受けたのです。
家族とも散り散りになり、Aさんは必死の思いで近くの防空壕に駆け込みました。
「助かった…」ほっと一息付いたAさんは変な事に気付きました。
いつもなら他の人で息をするのすら大変な程に混雑する壕内なのに、居るのは自分1人だけなのです。
いや、よく目を凝らせば、もう1人壕内に居る。女性でした。
自分より年上の、17,8歳位でしょうか。しかし妙なのです。
ご存知の通り、当時一般の女性は全員モンペ姿です。しかし、彼女はなぜか派手な着物を身に纏っていました。
今考えればあれは遊女だったとの事ですが、当時はまだ純粋な中学生だったAさん。当然そんな事は知りません。
女性はAさんを見ると笑いかけました。それは決して不気味な笑い方とかではなく、見ていて心安らぐような笑い方。
きっと、世間の底辺を這いずってきた人間だからこそできる顔だったのでしょう。
爆撃の恐怖で今だ震えの止まらないAさんを見て、その女性はそっと彼の手を取り、自分の胸にAさんを抱きました。
まるで姉に抱かれているような安心感を得た彼は、そのまま眠ってしまいました。
次にAさんが気づいた時には、すっかり日が昇っていました。
爆撃から生き残った嬉しさと共に防空壕を駆け出そうとした彼ですが、ふと足が止まりました。
自分の足下にはボロボロになった着物と女性物の櫛が落ちているのです。
見たところ何年も使われていなさそうな感じでした。
汚くなっているとはいえ、この着物の柄は間違いなくあの女性が着ていた物・・・彼女は一体誰?
Aさんはその後大人になって某企業を定年まで勤め上げ、日本を「奇跡の復興」に導く一員となりました。
戦後数十年経った現在。彼は未だにその女性の笑顔を忘れられないそうです。
【戦争奇譚 〜ポケット戦艦グラフシュペー号〜】
グラフシュペーは、商船狩りに特化したポケット戦艦(豆戦艦・装甲艦)です。イギリス海軍の巡洋艦三隻と砲戦を
交え、損傷したグラフシュペーは中立国であるウルグアイのモンテビデオ港に停泊。つまり南米。
ここでは交戦は行われず、外交的駆け引きの後に、グラフシュペーはイギリス海軍の待ち受ける海へと出航します。
このとき、沿岸には80万人もの見物人が集まり、固唾を呑んで見ていたと言います。
だが、洋上では英国海軍が待ちうけ、逃げられないと判断したラングスドルフ艦長は、グラフシュペーを自沈させます。
乗員は商船に退避し、艦長は後に自決しました。これが世界的に有名なラ・プラタ沖海戦のあらましで、小説や映画
にもなった有名な海戦(船)です。
- 75 :
- 【戦争奇譚 〜米軍上陸前の硫黄島〜】
硫黄島は太平洋上の小島にすぎないため、川などが存在せず水の確保が非常に難しかった。
旧島民が使っていた雨水をためる貯水庫は一部の上層部のために使われ、2万人近い一般兵水は火山の蒸気を
冷やしたものが使われた。火山の蒸気だからたっぷりと硫黄等の重金属が含まれており、兵士の殆が身体を壊し
酷い下痢になった。一日に何十回もトイレに行かねばならず、それ以前にトイレに間に合えば『かなり健康な状態』
だとされた。大部分がトイレに間に合わず垂れ流し状態だった。因みにこの硫黄島の水で米を炊くと、硫黄でご飯が
黄色く染まったらしい。
また、硫黄島での敵が来るまでの任務は、敵が来てもしばらくは耐えれるように、蒸気噴出す熱い大地に穴を掘って
洞窟陣地を構築することだった。だが、活火山だけに洞窟内部の気温は非常に高く、低いところでも40度を越えて
いたとか。当然そんなところで長時間作業できるはずもなく、5分〜10分掘ったら身体を冷ますために外に出なくて
はならなかった。
また、殆どの者が身体を壊していたため倒れる者が続出。
病院もあるにはあったが、病人の数の多さから手のつけようの無い重病者が殆どだった。しかしそれでも尚手が
足りなかった。軍医が寝ている病人の間を歩きながら一瞥するのが通常の診察であり、手当てらしい手当てを受ける
者は見られなかった。そこはさながら死の待合室だったと生還者は語っている。
その後の米軍の上陸前の事前砲爆撃も凄まじく、発射された砲弾の数こそ沖縄よりも少なかったが、発射された
砲弾のトン数は沖縄と同じかそれ以上だった。なぜなら、沖縄はロケット弾や駆逐艦等の12.7cm程度の小口径砲が
主体だったが、硫黄島は戦艦による38cm〜40cmの大口径が主体となっていたからである。
硫黄島に発射された砲弾は推定5000トンに及び、これは一坪当たり700キロの爆弾を使った計算になる。
日本の一般的な爆撃機、一式陸上攻撃機の搭載量が800キロだったことを考えれば、砲撃の激しさが分かるだろう。
この砲撃により島の南端にある擂鉢山という山の形が変わったという人もいる。こんな状態でも人は生きていられる
ことがかなりの驚きといえよう。
【戦争奇譚 〜村田経芳〜】
日本人で特に有名な狙撃手は、明治時代の村田経芳。
明治8年の欧米視察で、ドイツ・フランス・イギリス・スイスの各射撃場及び大会で全部優勝。
腕試しでも全て勝ち、射撃協会から「世界一の射撃手」の称号を受ける。
また戊辰戦争と西南戦争でも官軍側にとして参加しており、当時のスコープ無し軍用銃で狙撃し、薩摩兵を何人も
仕留めている。薩軍の篠原国幹を狙撃戦死させたのもこの人。
【戦争奇譚 〜たった一発の弾で…〜】
戦闘中いつも寝そべって、足だけを塹壕の外に出している古参兵がいた。
「足負傷くらいで死なないし、負傷すれば誉傷扱いで内地に帰れる」と常々言っていた。
ある日、相当な長距離で敵と遭遇し、小競り合い程度の戦闘があった。
双方戦死者・負傷者もなく、戦闘が終結しかけたころ、「もう大丈夫か?」と古参兵が頭を上げた。
と、その瞬間に、たった1発の流れ弾が古参兵の頭を撃ち抜いた。この日の損害はこの古参兵1人だけだったという。
似たような話がベトナム戦争の戦記本で米兵の証言として載っている。
その兵士の小隊長は大変用心深く、夜は常に敵の襲撃に備え、屋根にも土嚢をのせた壕の中にこもり、ヘルメットと
防弾ベストまで身に付けて寝ていたのだが、ある日の夜、敵が、基地で就寝している兵士を叩き起こす為(一種の
心理戦)に嫌がらせで撃った、たった一発の砲弾の、それもその破片のひとつが小隊長の壕の小銃射撃用の狭い
開口部から入り、寝ていた小隊長の、防弾ベストに覆われていない首すじに命中し、あえなく戦死してしまった。
- 76 :
- 【戦争奇譚 〜レニングラードの悲劇〜】
1941年6月22日、ナチスドイツはソ連に侵攻し、8月にはレニングラードが包囲された。
ドイツ軍の空爆や地上よりの砲撃に苛まれ、寒さと飢えに苦しめられつつ900日の間市民は侵入者を拒み、
ついにソ連軍の巻き返しで包囲は破られた。しかしこの抵抗には広島原爆の二十倍もの犠牲が払われた。
1941年当時レニングラード市の人口は250万あまり。包囲が解かれた1943年末には人口は60万に減っていた。
少なく見積もっても、80万もの市民が餓死したことになる。
詩人のルクニツキーの証言では、1942年から1943年にかけては毎日六千から一万の市民が餓死もしくは凍死
していったという。そのため死体は袋小路、空き地、地下室を埋め尽くした。
死体回収のトラックはガソリンの欠乏で動かない。そこで人力で引きずって共同墓地に運び、前線から戻った
工兵がダイナマイトで凍った地面を砕き、埋葬用の塹壕に似た穴を掘った。
墓地に向かう道の両側には塀のように凍った死体が積み上げられ、車がすれ違うことも出来ないほどだった。
当然、食糧を求めての窃盗、殺人が横行する。殺して配給証を奪い取る。
しかしやがて食糧そのものが無く、配給証は無用の長物となっていった。
やがて墓掘り人夫がおかしな事に気が付いた。体の一部分が欠けている死体が頻繁に見つかるようになったと
言うのだ。特に腿、尻、腕、肩の肉が無い。墓地の前ではバラバラ死体すら発見されている。何者かが死体を
切り取り、肉を喰らっているのは明らかだった。
やがて生きた人間までもが殺されて喰われた。凍った死体は解体の前に解凍する必要がある。
生きた人を殺して即座に解体すれば手間がかからない。特に女と兵士が襲われた。女は脂肪が多く、柔らかいから。
兵士は、一般人よりも栄養状態が多いから。
1942年1月19日、物不足に悩むディミトリとタマラは大切に保存しておいたパン600gを携えて「干草市場」に向かった。
毛皮のブーツを買うためである。そこで二人は大男に出会った。身なりもよく、栄養状態も良いようだ。
彼は女物のブーツを持っていたので商談を持ちかける。値切った結果商談は成立。
ブーツがもう一足、数百m先の男の家にあるという。ディミトリは行くことにしたが、タマラはそこで待っていた。
男についていったディミトリは途中、妙な胸騒ぎがした。食人鬼の近づき方の噂を聞いていたからだ。
男は「ちょっと待ってろ」と言い、ドアに向かって 「生きたのを連れてきた」と囁いた。
ドアが開いた。中からなま暖かくきつい臭いが漏れだした。
蝋燭の光が揺らめき、炎に照らされて白い肉塊がいくつか、男の脚や女の血管の浮いた腕が照らし出された。
ディミトリが必死になって階段を駆け下りる。男が後を追う。運良く軍用トラックが外を通りかかった。
「助けてくれ、人食いだ!」ディミトリはトラックにすがりついた。トラックは停車、兵士が建物に乗り込む。銃声。
十五分後、戻ってきた兵士が「五人分の肉塊を発見した」と発表した。
レニングラードの食人は極悪非道の殺人鬼のみの仕業ではない。
「アパートの壁の裏で何が行われていたかは 神のみが知る」と、住民は証言する。
この証人は妻を食べた男、我が子を喰った親もいると断言する。
同じアパートの住民が妻を殺し、首を鍋で煮たという。この類の証言は際限がない。
- 77 :
- 【戦争奇譚 〜フーファイターについて〜】
1944年頃の第二次世界大戦末期に、超スピードで飛びまわる不思議な飛行物体が目撃されていた。
それは、直径1メートル前後の、赤色、黄色やオレンジ色の光り輝く球体で、アメリカ、イギリス、日本、ドイツ軍など、
敵味方や連合国・枢軸国の区別無く、パイロットたちによって目撃されていた。アメリカ空軍は、これらの不思議な
物体を、「フーファイター=炎の戦闘機」と呼称した。
フーファイターは高速で、編隊を組んで飛行し、レシプロ機をたやすく追い抜き、急降下や急上昇を繰り返したり、
光を発しながら機体の翼の下に急接近したりして、からかうように回り込んだりもしたという。
但しフーファーター側から攻撃する事はなく、フーファイターによる被害の例の殆んどは撃墜に転じたパイロットの
操縦ミスや偶然の接触などで墜落したものと考えられる。
このフーファイターは、絶対に攻撃をしてくることはなく、ニアミスしても機体に衝突することがない。
だがまるで何者かによってコントロールされているような動きをしていたのが特徴である。
なお、第二次世界大戦終結後は、何故か姿を消し、目撃されなくなった。
大戦中は特にドーバー海峡のバトル・オブ・ブリテンの頃から多数のフーファイターの目撃情報が出始めた。
向こうから攻撃してこないという特徴から、フーファイターのことを実験機・試験機などの新型秘密兵器の試験飛行
ではないかと想定し、連合軍とドイツ軍の双方の諜報員が情報を巡って暗躍した。
連合軍の方では、時期がドイツ軍のジェット推進エンジンを持つメッサーシュミットが配備される時期でもあったので、
フーファイターの正体は新型戦闘機でジェット又はロケット推進の機体ではないかと推測していたらしい。
D-day後の戦略爆撃の際も、特定地方でフーファイターが多数目撃されることから、連合軍はその地域を異常な
警戒ぶりで戦略爆撃を行ったこともあった。
一方ドイツ側でもフーファイターは多数目撃されている。
メッサーシュミットなどのジェット機の情報が連合軍側に漏れていると疑ったドイツ軍は、連合軍側がそれらの情報を
元に設計、改良してテスト飛行させていた機体なのではないかと推測していたらしい。
また天候の安定しないドイツ地方を飛ぶ第一級の戦闘機・爆撃機のプロに多数目撃、報告されていることから、
空電・球電・プラズマ等の自然要因とは異なる何らかの実体を持った人工の飛行物体が戦闘空域を飛行していた
可能性が高い、とも分析していた。
とにかくこれらの不思議な現象は、謎の戦闘機として「フーファイター」「ゴーストファイター」とも呼ばれている。
余談:ロケット推進器説は長く尾を引く噴煙を持ったロケット状の推進物体が戦略爆撃を行っていた爆撃機から
目撃されている。V2とは違う物らしい。
- 78 :
- 【戦争奇譚 〜栗田艦隊、謎の反転〜】
レイテ上陸するアメリカ軍に対して、日本軍は戦艦大和、武蔵を主力とする栗田艦隊を出撃させた。
しかし、途中の海峡(サン・ベルナルジ)にはハルゼーの大機動部隊(空母16隻、搭載機約1200)がいる。
日本軍は囮の小沢艦隊を出して、ハルゼーを海峡から退かせることに成功した。
囮の小沢は全滅直前に「作戦の成功をいのる」と打電。
だが、この電文は日本本土の艦隊司令部には届いたが、何故かより近くにいる栗田艦隊には届かなかった。
一方、電文を受けた日本の艦隊司令部は「成功に向けて努力せよ」と打電するが、この電文もまた小沢艦隊には
届いたが栗田艦隊にだけは届かなかった。
そして栗田艦隊にだけ届いた謎の電文がある。それは南西艦隊司令部発、宛第二艦隊(栗田艦隊)とするものだ。
「スルワン島北西、500マイル、敵機動部隊見ゆ。」先の二通の電文を受け取れなかった栗田艦隊は囮部隊の
成功を知らずに、この「幻の敵機動部隊」に向けて反転してしまった。
この反転によってレイテ突入は永久に失われ、日本の敗戦は確実に早まった。
これがかの有名な、「栗田艦隊、謎の反転」だ。
まず、先の二通の電文はなぜ栗田艦隊にだけ、届かなかったのか。栗田艦隊には大和以下、戦艦5隻がいたのだ。
有力な敵信傍受班もあり、マストも低い空母が主力の小沢艦隊に届くなら、栗田艦隊にも当然届くはず。
次は謎の電文は何故、栗田艦隊にだけ届いたのか。この電文は、もちろん南西艦隊司令部は作成していない。
アメリカ軍の諜報機関(スパイ)情報部にも関与の形跡がない。発信方向から日本本土方向だったことはわかる。
では、いつ、だれが、どこで作成した電文だったのか。今のところ、誰なのかは全くの謎。
なお、このレイテ上陸は極東版「史上最大の作戦」だった。
もし、アメリカ上陸部隊に大和以下の戦艦部隊(この頃は3隻)が突入して上陸部隊を粉砕してたら、アメリカ極東
陸軍の主力は瓦解。兵力バランスは大きくくずれ、沖縄侵攻ができたかどうか怪しい。
戦争終盤のターニング・ポイントであったのは確かだ。
- 79 :
- 【戦争奇譚 〜防空頭巾の集団亡霊〜】
三重県津市の海岸には、海の守りの女神の像が立っている。
ここは、昭和三〇年七月二十八日に市立橋北中学一年生の女子三六人が水死した所だが、当時の生き残りの
一人だった梅川弘子さん(二一)は、週刊誌「女性自身」(昭和三八年)に、その時の恐ろしかった手記をサイン、
写真入りで寄せている。
いっしょに泳いでいた同級生が、「弘子ちゃん、あれ見てー」と、しがみついてきたので、二,三〇メートル沖を見ると、
その辺で泳いでいた同級生が、つぎつぎと波間に姿を消していくところだった。
すると、そこで弘子さんは「水面をひたひたとゆすりながら、黒いかたまりがこちらに向かって泳いでくる」のを見た。
それは何十人もの女の姿で、ぐっしょり水を吸い込んだ防空頭巾をかぶり、もんぺをはいていた。
逃げようとする弘子さんの足をつかんだ力は物凄く、水中に引きこまれていったが、薄れゆく意識の中でも足に
まとわりついて離れない防空頭巾をかぶった無表情な白い顔を、はっきり見続けていたという。
弘子さんは助けあげられはしたが肺炎を併発し、二十日間も入院した。
その間中、「亡霊が来る、亡霊が来る」と、よくうわごとを言っていたという。
「防空頭巾にもんぺ姿の集団亡霊」というのには因縁話がある。
津市郊外の高宮の郵便局長・山本剛良氏によると、この海岸には、この集団溺死事件の起こったちょうど十年前の
月日も同じ七月二八日に米軍大編隊の焼打ちで市民二五〇余人が殺されている。
その際火葬しきれない死骸は、この海岸に穴を掘って埋めたという。
山本氏からこの話を聞かされた弘子さんは、手記の中で「ああ、やっぱり私の見たのは幻影でも夢でもなかった。
あれは空襲で死んだ人たちの悲しい姿だったんだわ」と納得している。
なお山本氏が聞いて回ったところによると、この亡霊は、弘子さんを含めて助かった九人のうち五人までが見て
いるばかりが、その時浜辺にいた生徒たちの内にも、何人かが見たと語っているそうだと、弘子さんは伝えている。
また、その後、こうした体験をした弘子さんは、卒業してガソリンスタンドの事務員に就職したが、自分でも積極的
に調べてみると、次つぎに怪異な事件が起こっていいることを知ったと次のような報告を併記している。
1.溺死事件の前日、大きな火の玉が浜辺の某家の屋根に落ちたのを釣りをしていた何人もが見たが、
その家の娘も弘子さんといっしょに遭難水死した。
2.腰まで海水に浸って釣っていた人が、突然何かに憑かれたように沖へ沖へと歩いていってそのまま
海中に姿を消し、死体も揚がらぬ事件が四年間も続いている。
3.渡辺小三郎という人は、幸い救われたが、病院で「亡霊を見た」とうなされ続け、意識不明のまま
二〇日後に死去している。
※editor注:この海辺は現在は遊泳禁止。
なお、この元の文は教養文庫の今野圓輔「日本怪談集(幽霊篇)」に載ってます。
- 80 :
- 【戦争奇譚 〜アッツ島で目撃されたフーファイター〜】
「基地を出てから一ヶ月余り、昭和18年11月14日の夜半の事です。
ちょうどキスカとアッツの間でアッツ島寄りを哨戒していたところ、その夜は珍しく海上は平穏で、漣一つないんです。
空には月さえ出ていました。こういう夜の襲撃は理想的なんだがな、と思ったりしたもんです。
アッツ島が墨絵のように浮き出ていました。しかし、相当な寒さで防寒外套を着ていても、寒さが骨身にしみましたね。
その時です。突然アッツ島のほぼ中央と思われる所から、青白い炎のような塊が上空に舞い上がったんです。
何だろうと目を見張っているうちに、炎の塊は次第に膨らんでくる。
それが橙色に変わりながら、相当なスピードでこちらに飛んで来るんですよ。
その不気味さは言いようがありませんね。冷水を浴びたように、ゾッとしました。
何やらわからんが、とにかく、「両舷停止、潜航急げ」を下令して、大急ぎで潜航したんですがね。
潜入後しばらくして、航海長と信号兵が、
「艦長、あれはアッツ島の英霊です。それに間違いありません」と、異口同音に言っとったですがね。
あの火の玉が砲弾とか信号弾でなかった事は確かです。爆発音はしませんでしたしね。
オーロラとかも考えたのですが、火の玉となって飛んできますかねえ、オーロラが。
何であったかは今なおわからない。とにかく不思議なものでしたなあ。」
(「伊二潜」艦長(当時) 板倉光馬少佐の証言 佐藤和正著 「艦長たちの太平洋戦争」より)
【戦争奇譚 〜戦争被災者たちの亡霊〜>>79】
夏の海辺での話。ふと沖を見ると子供たちが溺れてる。
これは大変だ、と大人が助けに行くと、子供の足でも立てる浅瀬だった。
波も穏やかだし、溺れるシチュエーションではない。しかし、助け出された子供たちは、恐怖のためか顔が真っ白。
不思議に思った大人たちは、子供たちに「なぜ溺れたのか?」と聞いてみた。
すると「一番始めに、えっちゃんが「わー」と言ってバタバタしたのね。最初はふざけてるのかな、と思った。
でもみんなも溺れ始まって大変だって思ったら、誰かがボクの足を冷たい手でギュッと握って引っ張ったの。
そしたら、海の中に変な格好の人がいたんだ。頭から座布団を被って着物みたいな服を着てたよ」と、
足についた手形の痣をさすりながら、ポツポツと答えた。
現場は終戦直前に空襲の被災者の死体が流れ着いた場所でもある。
焼夷弾の炎から逃れようと大勢の市民が川に飛び込んだ。が、酸欠のために次から次へ絶命。
そんな彼らの死体が海まで流され、ここに放置されてたと言う。
当時を知る漁民の1人は、重い口を開けてこう語る。
「当時は生きるんで精一杯だった。土佐衛門が大量に出ても、別に何も感じんかった。むしろ、エビやシャコや
タコが豊漁になって喜んでおったよ。供養が足りんかった…」。
この「事故」がきっかけとなって、現場に戦災者供養塔が建立された。
しかし現在でも、空襲の日が近づくと、夜の海を飛び回る人魂を見かけることもあるという。
- 81 :
- 【戦争奇譚 〜漢とローマ軍の戦い〜】
前漢の西域の司令官で会った張騫が匈奴との戦闘のおり、西域の奥深くで見たことが無い重騎兵装備をした
一軍と交戦をしている。漢では見られない陣形をとって張騫を苦しめましたが、是を破って漢に帰順させ、定住させた。
長い間、この一軍が何者なのか不明だったが、どうもローマ帝国の1隊がパルティアなどの中東にいる敵対勢力との
戦争の折に敗れて逃げてきたところを匈奴に拾われて参加していたものらしい。
その結果、図らずも漢とローマ帝国の兵の戦闘になったという見方がある。
【戦争奇譚 〜もし大戦前にテレビがあったら〜】
ルーズベルトは就任当時から車椅子の重病人であり、頭に大きな腫瘍を抱えていたという。
つまり、いつ死んでもおかしくなかった大統領というわけ。
何かのジョークで、「もしあの時代にテレビがあったら、合衆国国民は車椅子の候補者など選ばなかった」
というものがある。
【戦争奇譚 〜ミッドウェーの敗戦〜】
大東亜戦争の天目山であるミッドウェー海戦での噂話。
その時宇宙人が、アメリカ艦隊の存在していた方面の捜索を受け持っていた巡洋艦「利根」のカタパルトを故障させ、
そのために日本側はアメリカ艦隊の発見が遅れてしまい、この海戦で敗北したというものがある。
実際、その時に巡洋艦のカタパルトに故障がおき、偵察機である零式水上偵察機の発進が遅れてしまっている。
またミッドウエイには逆の逸話もある。
6月5日の第二次策敵時、エンタープライズの策敵機(SBD)が上空に銀色の不審な球体を発見。
これを距離をおいて追跡。見失ってふと雲の下をみると日本軍の南雲機動部隊の真上。
結果として米軍は、日本海軍の大航跡を発見したと言う。
まともな本ではあまり聞いたことない話だが、当時のアメリカ海軍の兵達の間でまことしやかに流れていた噂らしい。
それだけ当時は米軍がミッドウエイで勝利したことが奇跡的と考えられていたのだろう。
この時の日本軍の敗因として、策敵競争での遅れも確かだが、大きくは作戦指導の誤り。
賛否が分かれるが、陸用爆弾から雷装への変換の時間のロスがあり、これが「運命の5分」と言われている。
もちろん策敵機の遅れも大きい。これを含めた敗北というのが正しい見方ではないか?
- 82 :
- 【戦争奇譚 〜日露戦争時の美談〜】
旅順陥落の20日程前のこと、二龍山保塁から第九師団の工兵隊陣地前にハンカチで包まれた石が落ちてきた。
「敵の罠かもしれないが、そんな卑怯な真似もせんだろう。」
ということで拾って見ると、5ルーブル金貨二枚とロシア語で書かれた手紙があった。
司令部で翻訳してみるとそこにはこのような内容の事が書かれていた。
「包囲軍将校に懇願する。次の電報をたった一人の母に発信していただきたい。
本文:私は元気です。どうか安心してくださいませ。ピョートル。費用は同封の金貨でお願いします。」
これを見た大島師団長は「母親を安心させてやろう。」と指示をする。
費用は足りなかったものの上海経由で発信し、その旨を石にしばって保塁に投げ入れさせた。
すると、また返信が届いた。「わが母とともに厚く感謝する。」
【戦争奇譚 〜平将門の祟り〜】
戦後、進駐してきたGHQが平将門の祟りにあったという話。モータープールを作ろうとして将門公の首塚を壊そうと
したら、ブルドーザーが横転したり、関係者に事故、関係者に病気がついて回ったりと、怪異が続いた。
また同様の話は、羽田の鳥居にもあった。滑走路を拡張しようとして鳥居を壊そうとしたら、やっぱり怪異が続発。
このときはアメリカ軍の戦闘機が、金色に光るキツネに追跡されたとか。
【戦争奇譚 〜早すぎた埋葬〜】
第二次世界大戦でヨーロッパで戦死した人たちを集団埋葬して、その後、死体調査の為にもう一回掘り起こした。
するとその棺桶の内側に引っ掻いたり、かじったような跡があったという。
それらは生きたまま埋葬されてしまった模様。
また日本には、人間魚雷「回天」は特攻用の小型潜水艦というのがあった。
だがこれは作動不良も多く、出撃しても沈んでしまうとも少なくなかったという。
その場合は、海底で酸欠で死ぬのを待つだけになる。
イ33号潜水艦の話も有名である。この潜水艦は、戦時中に訓練中の事故で沈没してしまった。
戦後になり引き揚げた時、何と一区画だけ浸水を免れてたことが分かった。
だから、沈んでから絶命するまでのシチュエーションが、そっくりそのまま潜水艦内に残っていた。
その区画では、乗員がベッドで眠るように死んでいた。
酸素の消費を抑えるために、恐怖心と静かに戦った末に、そのまま絶命したらしい。
1人だけ首吊り自殺。1人だけ残って耐えられなくなったのかもしれない。
死体の状況は、死後も爪と髪の毛が伸びた痕跡があった。髪は5pほど、爪は1pも伸びていた。
皮膚は真っ白で口の中は真っ赤だった。酸欠状態だから菌の活動もあまりなかった。
だから、こんな法医学の常識に反するようなことになったのだろう。
- 83 :
- 【戦争奇譚 〜富士樹海の怪異。レンジャー部隊員が遭遇したもの〜】
自衛隊にも精鋭部隊がある。常設部隊ではないのだが、それはレンジャー部隊で、訓練は実にハードで有名だ。
その中でも一番に過酷な訓練は、富士の樹海の突破だ。最低限の食料と休憩であの樹海を歩いて突破するのだ。
ところでこの訓練だが、「出る」ので有名だという。
訓練の途中、いきなり雰囲気が張りつめたものになり、隊長が最後尾の新任隊員に
「絶対に後ろを振り向くんじゃないぞ」と釘を刺した。
だが、そう言われると、どうしても後ろが気になってしまう。
結局、誘惑に負けて後ろを見ると、疲れた表情の背広姿の男がついて来ていたというのだ。
現場は、その手の装備と類い希なる体力があって初めて歩くことのできる過酷な環境だ。
背広姿の、それも疲れきった男がついてこれるはずがない。なのに、いつまでもピッタリとついてくる。
だが隊員が森を出る頃には、その背広の男もいつの間にか消えていたそうだ。
またレンジャー部隊の訓練では、途中で自殺者の死体に会うことも珍しくないという。
富士の樹海とはそういう場所なのだろう。
【戦争奇譚 〜八甲田山の怪異〜】
「新耳袋 第四夜」の146ページに載ってる話。大学生4人が八甲田山をドライブしていた。
すると、調子のよかったエンジンが、突然にエンストを起こしてしまう。
何だ、と首を傾げてると、「ザッ、ザッ、ザッ、ザッ」と大勢の男たちが、闇の中から現れた。
全身黒ずくめで帽子を被ってるようで、顔だけしか見えない。
大学生4人は、アクセルを何度も踏み込んで、やっと脱出できた。
ようやく下宿にたどり着いて4人で震えてると、またしても足音が聞こえてきた。
足音は下宿の扉の前で止まったかと思うと、ぬぅっと男の顔が通り抜けて現れた。
男は6人。黒い明治時代の軍服を着ている。彼らは4人を取り囲み
「わしは、この男の右腕が欲しい」「俺は足が欲しい」「わしは左手」と話し始めた。
4人は、あまりの恐怖にその場で気を失ってしまった。
そして次の朝。起きると、泥靴の跡が、彼らを取り巻くように残っていた。(>>67)
【戦争奇譚 〜残された母は…〜】
ある小さな村で、ひとりの青年に召集令状がきた。青年は年老いた母と二人きりで暮らしていた。
老婆は足が不自由で、ほとんど青年の働きだけで食べているような状態だった。
老いた母を置いてはいけないと青年は泣いた。
だが、逆らうわけにもいかず、南方に向かう輸送船に乗り込み、土を踏むこともなく船ごと撃沈された。
数年が過ぎ、戦争が終わった。村人たちのあいだで、あの老婆はどうなったのだろうという話がでた。
いまさら様子を見に行くのは怖いのだが、放っておくわけにもいかないだろうということで、代表してある村人が、
村はずれにある老婆の家に訪ねていった。
なんと老婆は生きていた。痩せこけて、目とあばら骨が飛び出たような姿で生きていた。
一歩も家の外にでる事もできず、床を剥いで、赤土をけずりとってそれを食べていきていたという。
- 84 :
- 【戦争奇譚 〜アテルイの怨霊は何故存在しなかったのか?遷都と怨霊について〜】
民俗学者の小松和彦氏「鬼の造った国日本」より。
791年の平安遷都が何故行われたか、その前の長岡京が建設途中で何故、廃棄されたかは諸説あるが、
早良親王(さわらしんのう)の怨霊を恐れた、という点では諸説とも一致している。
つまり、怨霊を恐れて遷都した、というのだ。
当時の日本では、無念の思いを残して死んだ人は怨霊になるというに考えが存在していた。
その怨霊への恐れが遷都を行わせ、平安京を造らせた(だから都の名を『平安』としたという説もある)ということになる。
ちなみにこうした怨霊への恐れから、平安時代は保元の頃まで(武士が台頭するまで)死刑は行われなかったそうだ。
しかし平安京を造った桓武天皇は、このように早良親王の怨霊におびえながらも蝦夷(東北)征伐も行っている。
その際、降伏すれば助命は約束すると騙して蝦夷の首長「アテルイ」を捕虜にし、だまし討ち同然に死刑にした。
ここで疑問が一つ出る。「アテルイ」は怨霊にならないのか、という疑問だ。
桓武天皇は、早良親王の怨霊を恐れて平安京をつくった程に怨霊を恐れていたのだ。
それなのに桓武は自分が死刑にしたアテルイが怨霊になるとは考えていなかったのだろうか。
結論から言えば、桓武はアテルイが怨霊となるとは考えていなかった模様だ。
当時、蝦夷(東北)は日本とは考えられておらず、すなわち外国だった。
当然アテルイは桓武たちから見れば外国人となる。
また当時の考えでは、外国人は怨霊にならない、もしくはあるいはなりにくいと考えられていたのだ。
これはちょうど、キリスト教徒には『奇跡』は起こるが、異教徒には『奇跡』は起こらないというのと似た発想である。
ある民俗学者は、日本の文化や思想のことを、怨霊を恐れる「怨霊教」である、と言う。
キリスト教徒だけが悪魔を恐れるように、日本の文化や思想では怨霊をおそれるのではないか、と。
日本は長い歴史の中で、様々な宗教を自国に取り入れてきたが、これら仏教や道教、キリスト教など渡来の宗教は、
結局のところ怨霊を防ぐための「技術」として導入したのではないか、と見られている。
- 85 :
- 【戦争奇譚 〜彼岸の祖父母の声〜】
太平洋戦争の南方戦線での話。
部隊からはぐれ、道に迷った兵士がジャングルを彷徨ってると、懐かしい声が聞こえてきた。
耳をすませると、亡くなった祖父母や親族の声ではないか。
喜んで声の方向を目指すと、はたして彼らの姿が見えてきた。
なぜかジャングルの中なのに、一角だけ日本家屋の部屋のようになっている。
そこで車座になって、懐かしい面々が団らんしてるのだ。
「オレも仲間に入れてくれ」と兵士は喜んで言った。
すると、彼らは話をピタリと止めて、こちらに怪訝な表情を向けた。
そして「お前がここに来るのは、まだ早い。日本に戻れ」と言う。
兵士が「嫌だ。オレもそこに行く」と我を張ると、祖父が「駄目だ。帰れ!」と一喝。
そして、彼らの姿は、ジャングルの闇の中に消えてしまった。
その元兵士は。「あのとき、団欒に加わってたら、今頃、どうなってたんでしょうね」と言っていた。
【戦争奇譚 〜船霊(ふなだま)〜】
阿川弘幸の「暗い波涛」という小説より。船には「船霊(ふなだま)」っていうのが住んでいるという。
そして住んでいる船が沈む直前になると、船霊は船から抜け出す。
トラック諸島で日本海軍が壊滅的打撃を受けた後、
「そういえば、ゆうべ白い着物を着た女が船から出て行くのを見た」と証言する乗組員が、あちこちの船で続出した。
なお、このことは同氏の「軍艦長門の生涯」でも、この船霊信仰は紹介されている。
船霊信仰では、木をくりぬいて作った舟型の中に、船霊をかたどった紙の人形と五穣をはじめ供物を詰めて密封し、
船室に祀る。これは現在でも一般的な慣習である。
【戦争奇譚 〜航空母艦USSホーネットに出現する幽霊たち〜】
カリフォルニア州アラメダでの話。
第2次世界大戦やベトナム戦争で活躍し、現在は米カリフォルニア州アラメダで博物館として係留されている
空母「USSホーネット」に亡霊がすみついているといううわさが後を断たない。
「ドアが目の前でバタンと閉まった」、「冷たい一陣の風がどこからともなく吹いてきた」、
「奇妙な音や、第2次世界大戦中のユニホームを着た歩哨を見た」など、6年前に「退役」したUSSホーネット内で
働く職員やボランティアらによる「亡霊目撃」通報は、これまでに約数百件を数えるという。
この幽霊話を全く信じていなかった博物館の運営を監督するボブ・フォーラーさん自身も、船中で働くようになってから、
カーキーの軍服を着た兵士を数回見かけたと話している。
関係者によると、戦中にUSSホーネットで死亡した兵士の数は約300人という。
【御巣鷹山日航機123便墜落事故】
日航機が墜落したときに、現場に死体回収のために派遣された自衛官たちの話。
現場捜索に出動した自衛官がそこでキャンプを張ることになったのだが、山の中であり斜面だから寝る場所がない。
仕方ないので、近場の木に体を縛り付けて寝たという。すると、彼らは不思議な夢を見た。
飛行機が墜落した場所から大勢の人が山を降りてこちらに向かってくる、というものだ。
次の日の朝、仲間に「昨夜、不思議な夢を見たんだけど」と話したら、「実は俺も見た」という奴が続出したという。
みんな、そろって同じ夢を見てたいたそうだ。
結局、乗客のみんなが、山を降りて自分の家に帰って行ったんだろう、と妙に納得してしまったのだという。
- 86 :
- 【戦時奇譚 〜戦時下の菓子メーカー〜】
戦時中はR入りのキャラメルを配布していたというが、Rの錠剤その物を配ってたこともある。
本土の臨時軍需工場になった町工場や学校は女子工員達が仮眠数時間で飛行機の部品作っており、
そこにバケツ一杯の白い錠剤が在って「眠気が出てきたらり疲れが出てきた場合はこの錠剤を服用するように」
と言われて作業をさせいてた。
だが、女子工員たちは、このRが全然効かないってぼやいてた。
グリコが戦時下R入りキャラメル製造したなんて大騒ぎするほど珍しい事ではない。アメリカではコカコーラ
工場がその物ズバリ、「コーク(Rの方)」の製造工場になっていた。
ディズニーはプロパガンダ映画・アニメを堂々と製作し、徴兵逃れやっていたのは有名だ。
子供に夢を与える菓子メーカーやディズニーも、戦争の影響からは逃れ得なかったわけだ。
【戦争奇譚 〜「幻の虎(ティーガー)」〜】
1945年4月20日の濃い霧が立ち込めたある朝の出来事。
敗色濃いナチス・ドイツの重戦車が妙なかたちでアメリカ戦車隊に襲いかかった話について。
あるフランスの小村にさしかかったアメリカM4戦車隊のまえの家の物陰にティーガー2が隠れているのを発見した。
すぐさま航空支援を無線でたのみ、M4たちは扇状態に展開し、テーィガー2の側面を攻撃しようとした。
だが68トンの重戦車のまえにM4はつぎつぎと撃破されていった。
濃い霧のため航空支援もままならず、戦闘爆撃機がきたころにはM4は全滅していた。
かろうじて脱出したM4の乗員は、その重戦車のコマンダーズ・キューポラに子供が一瞬、顔をだしたのを目撃した。
その子供は14、5くらいだったという。また弾薬輸送車のsdk251には老人がいたという。
ティーガー2は貴重な戦車であり、この戦略的に、なんの価値もない村になど配備したことはない。
ただ、この村がアメリカ軍の空襲で壊滅したことは事実だった。
この交戦記録はアメリカ軍の記録にはあり、ドイツ側には、もちろん無い。
そのためこのティーガー2については「幻の虎(ティーガー)」と呼ばれた。
空襲で死んだ人々の霊ではないかといわれている。
新谷かおる「戦場ロマンシリーズ」に、これと似たような話が掲載されている。
【戦争奇譚 〜戦場のグールー〜】
スターリングラードでは、包囲されたドイツ兵の一部が人食い(グールー)化した。
それを退治するために貴重な弾薬を割かなければならなかった。
またフィリピンでの話。人喰ってる連中は、見れば分かったらしい。
みんな敵に追われて食うや食わずで、幽霊みたいな顔してるのに、人食いの連中だけはつやつやだったという。
しかも何とも言えない目付きをしているらしい。「ありゃ獲物を狙う目付きだった」とのこと。
戦艦武蔵の生き残りの人(海軍の人)が、相当数やられたらしい。
海軍の船乗り連中は歩き慣れてないから、狩やすかった。
なお、戦史から離れるが、遭難者が人を食い合う事例に付いては、
「復讐する海−捕鯨船エR号の悲劇」と言うのが参考になる。(>>44)
【戦争奇譚 〜狂気の戦場とグールー〜】
南方の戦線で、どの戦場でも後先考えずに突撃を繰り返す小隊があった。
その小隊は、少し狂った小隊長の命令が指揮する部隊で、部下たちはそれに従っていたに過ぎなかった。
結局その小隊は、とうとう小隊長と二等兵の青年の二人きりになってしまった。
それでも小隊長は突撃の命令を出すものだから、二等兵の青年は遂に頭に来てしまった。
彼は小隊長を後ろから銃で撃ち殺してしまう。
その後二等兵は、小隊長の死体を解体し、乾し肉を拵えていたところを発見された。
この二等兵は銃殺刑になった。
- 87 :
- 【戦争奇譚 〜最期に成し遂げた夢〜】
撃墜王として知られる坂井氏の著書で若い爆撃機パイロットの話があった。
このパイロットは、日頃から「俺は宙返りがしたい」って言ってた。
だが皆から「爆撃機で宙返り出来る筈ない」と言われてた。
ある日の作戦で、この若いパイロットの乗る爆撃機が攻撃を受けて火だるまになってしまった。
後は墜落か爆発するのみ。「もう駄目だ、助からない」と、皆がそう思ったその時だった。
火だるまの爆撃機は突然機首を上げるや、やや斜めながらも見事な宙返りを成し遂げた。
宙返りした爆撃機は、直後に爆発四散。若いパイロットは愛機と共に空へ散った…。
【戦争奇譚 〜不時着しても…〜】
ある日本軍機が攻撃を受けて海に不時着した。偶然、それを味方の偵察機が発見。不時着機の上空を旋回した。
不時着機のパイロットは最初、元気に手を振ってたのだが、そのうち必死に海面を軍刀で突き始めた。
「なんだなんだ?」と偵察機のパイロットは不思議に思って海面を見ると、海には沢山のサメが泳いでいたという。
その後改めてパイロットを助けに行ったものの、海には油が浮いてるだけだった。
【戦争奇譚 〜バロン西とウラヌス号〜】
硫黄島で力戦した第26連隊の「バロン西」ことロス五輪の馬術障害の金メダリスト西竹一と愛馬ウラヌスの話。
西竹一は硫黄島に着任するとき、年老いた愛馬ウラヌスの尻尾の毛を切り取り、ずっと胸に入れていた。
その後、硫黄島は玉砕し、西竹一は戦死。その死から3日後、ウラヌスも後を追うように死んだ。
【戦争奇譚 〜謝罪〜】
ある日、戦闘のために空母から戦闘機が何十機も発進していき、その殆どが撃墜されてしまったことがあった。
それから数日後の夜のこと、突然空母の格納庫に何人ものパイロットがやって来た。
整備兵たちは「御苦労さま」と思って声をかけようとすると、パイロット達はどうしたことか、みんなズブ濡れだった。
「あ、これはイカン!」と思い、整備兵たちは毛布や手拭を持っていこうとした。
すると整備兵の班長が「おまえら待て、なにもするな!」と叫んだ。
そのまま班長は直立不動の姿勢をとり、そのパイロットたちに向かって最敬礼をする。
整備兵たちは訳もわからず班長をみると、班長は敬礼したままボロボロと大粒の涙をこぼしていた。
「どうしたんですか?班長」と、ある兵隊が聞くと、
「お前たちわからんか?あの方達はXX少尉とその小隊の方達だ!」と言う。
「!」それを聞いて整備兵たちも、すぐさま全員整列をして敬礼をし、そのまま動かなかった。
そう、そのパイロット達は先日出撃して、みな撃墜された小隊の人達だったのだ。
整備兵たちが全員並んで敬礼しているのに気づいたパイロット達は、只だまって深々と頭を下げた。
そのまま格納庫からゆっくりと消えていったという。
「班長、今のはいったい?」と、兵隊がきくと、班長はあふれる涙をぬぐいもせず、
「無念だったのだろう、敵艦隊に攻撃する前にみな撃ち落とされ、死んでも死にきれんのだろう。
大事な機を壊し、一生懸命整備をした俺達に謝りに来たのだろう。」と言った。
パイロット達はみな18から25才くらいの若者だった。
- 88 :
- 【戦争奇譚 〜あるフィクション〜】
前線の粗末な基地にたどりつくと、すでに連隊の姿はなく、残された日記には以下の内容のことが書かれていた。
今日とうとう軍医が発症した。軍医を射殺後、我々はここを放棄する。
今や我々は日本軍からでなく悪魔の仲間から身を守らなければならなくなった。
運よく味方に巡り合えばいいが、たとえ日本兵でも、人間からの攻撃でRるのなら幸せかもしれない。
ジョニーとロニーの家族に遺品を渡したいが、彼らの最後の姿をどう話せばいいのか?
とにかくここを出よう。海沿いの道を行けば友軍に会えるかもしれない。
ベッドには軍医らしき遺体が残されていた。
だが、奇妙なことに頭を撃ちぬかれた後、体をベッドに括り付けられていたのである。
死者が蘇るとでも言うのであろうか?
あたりには銃弾の散らばった跡と、何かに火をつけた跡が残されていた。
その後、他に3体ほどの死体を確認。名称は不明であったが、体じゅうに銃弾を撃ち込まれた後に焼却されていた。
もはや味方同士で殺し合いを行ったことは明らかである。
さらに不思議なのは、なぜ彼らはわざわざ死体を焼却したのだろうか、ということだ。
最前線では、ガソリンは大変な貴重品である、にも関わらずそれを用いてまで焼却する理由が分からない。
もし死体が出たのなら、遺品を預かった後に土に埋めるのが自然なやり方である。
日本兵と戦っているうちに、彼らの火葬の風習に感化されたというのであろうか?
【戦争奇譚 〜母の執念〜】
沖縄地上戦での話。ある母子が連合軍の艦砲射撃から必死で逃げていた。
そのときどかからか砲弾の破片が飛んできて、一瞬で母親の首から上を吹き飛ばしてしまった。
だがその母親は、赤子をおぶったままで、首のない状態で1分ほどその場に立っていたそうだ。実話。
【戦争奇譚 〜九死に一生〜】
英戦艦P.O.Wとレパルス攻撃に参加したある爆撃機操縦手について。
彼には危機一髪のところで死線を乗り越えてきたエピソードがいくつもあった。
ある任務で飛行中に突然エンジントラブルに見舞われるも、すぐに正常な状態に戻った。
しかし速度が落ちてしまったので味方の一式陸攻が自機を追い越すかたちとなった。
だがその直後、前方に出た味方機は米戦闘機に撃墜されてしまった。
もしエンジン不調がなければ、自分が撃墜される側になっていたとのこと。
また台湾に向けて夜間飛行中、不時着をすることになってしまった。
そこで砂浜らしき場所に勘をたよりに接地すると同時に機体は反回転して停止した。
一瞬、意識を失ったが気がついて地面に降りて周囲を見ると、そこは「コ」の形に断崖絶壁のような場所であった。
しかも乗っていた飛行機がギリギリ入れるくらいの砂浜だったのでしばらく呆然となった話など。
零戦パイロットでは岩本徹三氏が敵弾を操縦席に受けた話があり、中国戦線では真正面の照準器に命中し、
数ミリの差で即死をまぬがれた話がある。また台湾沖航空戦で背部からの射弾が座席をつきぬけたが、
落下傘の金具で留まっていたおかげで負傷をまぬがれたエピソードがある。
(加藤隼戦闘隊のパイロットにも落下傘の金具で助かってる人がいた)
- 89 :
- 【戦争奇譚 〜ニューギニアに棲むUMAたち〜】
ニューギニアから生還した陸軍兵の話。
ニューギニアに駐留中、食料とすべく魚を捕る時に手榴弾を海に投げ込んで爆発させ、捕らえていたという。
その時、手足がヒレで、体がスベスベした大きいワニがたまに捕れ、焼いて食べたら、大変美味しかったそうだ。
どういうわけかニューギニア方面に派遣された兵士の体験談の中には、こうした怪物、怪獣の目撃談が他戦線と
比較してかなり多く含まれているのだ。
戦後、部隊史などをまとめるために行われた聞き取り調査や、新聞社などが発行したドキュメントなど、
ある程度公式な性格を持つ資料の中にも、似たような体験が多く記録されている。
その中でも特に多いのは、爪と長いくちばしを持つ大コウモリ、足が鰭化している巨大ワニだ。
当時、古代の爬虫類の外観がどのくらい普遍的な知識だったのかは不明だ。
だが申し合わせたように、この二種の目撃談は頻出する。
中には、実際に被害が出て任務として退治しに行ったなんて話もある。
それが未知の動物かどうかはともかく、そこには何かがいたのかもしれない。
ちなみにこの手の話は現地の人たちも良く語るのだが、彼らは渡来した人々が持ち込んだ話や戦争の風景も、
神話や実体験として扱ってしまうので、参考にはならない。
【戦争奇譚 〜伝えてほしい〜】
戦時中、陸軍歩兵だったAさんの話。Aさんが南方の島に居た時、部隊からはぐれてしまったことがある。
周囲は密林で方向なんてまるで分からない。焦って仲間を探すも、人の気配は皆無。
それどころか、歩けば歩く程、密林の奥へと進んで行っている錯覚に陥ってゆく。
やがてAさんは歩き疲れて大木の根本に腰掛けた。
「このまま俺は死んでしまうのか」と、そんな事を考えてると、大木の反対側で、何やら人の気配がする。
おそるおそる暗闇に目を凝らしてみると、そこには味方の兵士がいた。聞けば、その兵士も道に迷ったらしい。
とにかくAさんは味方の兵士が居る事にホッとし、同時に心強く感じたそうだ。
Aさんは、その兵士と身の上話などをしたのだが、その兵士はしきりに
「俺は帰れそうにないから、俺の家族に宜しく伝えて下さい」と言う。
Aさんは「何を馬鹿な、一緒に帰ろう」と返すが、相手は「伝えて下さい、お願いします、お願いします…」と繰り返すだけ。
とうとうAさんも折れ、「じゃあ、帰ったらお互いの家を訪ねよう」という条件で住所を交換した。
さて、それから暫くして彼は、運良く通りかかった味方の一団と合流出来た。
助かった、と思ったAさんが、ずっと話し相手をしてくれていたその兵士に声を掛けようとした。
だが、大木の後ろにはどういうわけかあの兵士は居なかった。
結局終戦になって引き揚げてきたAさんは、何年か経ってから約束を守るべく相手の言ってた住所へ出向いた。
その住所には、確かに密林で話した味方兵士の家族が居た。
けれど家族によれば、Aさんと話した人物はAさんと話すよりかなり前に、戦死した事になっていた。
結局、何故彼が縁もゆかりも無いAさんに「宜しく伝えて欲しい」と言ってきたのかは不明だった。
- 90 :
- 【戦争奇譚 〜佐久間大尉の遺書〜】
日本軍の潜水艦を引き上げたら、乗員は取り乱さず眠るように亡くなっていたという話。雑誌『丸』より。
そこには艦長の遺書が遺されていて、そこには以下のような文章が書かれていたという。
「大事な御国の艦を沈没させて申し訳ない。しかし、部下たちを責めないでいただきたい。
総員全てが沈着冷静に行動し、一切乱れることなく任務を全うした。
沈没における全ての責任は艦長である私にある。部下たちの遺族には、どうか手厚い保護をしていただけますよう」
潜水艦乗りの鑑としか言いようのない最期に、日本国内の軍人たちが敬意を表したのはもちろん、
世界中の軍人たちからも讃えられている、とありました。(おそらく佐久間大尉のこと)
【戦争奇譚 〜生き残った艦長、船員たち〜】
戦艦霧島の艦長である岩淵三次。戦艦霧島は第三次ソロモン海戦にて損傷を受け、霧島は自沈処分された。
だが艦が沈んでも生き残った艦長というレッテルを貼られた岩淵は、日本に帰っても内地勤務という監禁状態だった。
一方戦艦武蔵の生き残った乗員はフィリピンの山奥に監禁された。
最後は上陸してきた米軍戦車相手に爆弾背負って特攻させられたという。
武蔵乗員の生き残りが殆どいないというのはこのせい。
【戦争奇譚 〜水戸歩兵第二連隊〜】
昭和19年11月14日の夜のことだった。
水戸歩兵第2連隊で突如営門が真一文字に開き、同時に進軍ラッパが遠くから響いてきた。
衛兵が警戒して見ていると、一個連隊ほどの部隊が行進してくる。
その先頭で連隊長の中川大佐が馬に乗り抜刀。
それに兵士が無言でついて来る衛兵司令は直感的に「捧げ銃」を命令。
衛兵が不動の姿勢で出迎えると、営庭の途中で部隊の姿が掻き消すように見えなくなった。
その日はペリリュー島の戦いで村井少将と中川大佐が自決。
生き残りが最後の突撃を敢行、玉砕した日だった。
この時点で玉砕は誰も知らされていなかった。なお水戸の連隊は士気が高かったという。(>>64)
【戦争奇譚 〜硫黄島への天皇陛下の行幸〜】
硫黄島は「幽霊話」が多いという。
だが、平成の世になり、天皇皇后両陛下が平成6年2月、硫黄島に行幸してから幽霊出没激減したという。
それもそのはず、天皇皇后両陛下の短歌は栗林中将、市丸少将への返歌となっている。
・天皇陛下 御製
精根を 込め戦ひし 人未だ 地下に眠りて 島は悲しき
→・栗林忠道 陸軍中将
国の為 重き勤めを果たし得で 矢弾尽き果て 散るぞ悲しき
・皇后陛下 御歌
慰霊地は 今安らかに 水をたたふ 如何ばかり 君ら水を欲りけむ
→・市丸利之助 海軍少将の硫黄島での短歌
スコールは 命の水ぞ 雲を待つ 島の心を 余人は知らじ
- 91 :
- 【戦争奇譚 〜偵察機〜】
偵察機で米艦隊の偵察を行った海軍航空隊の少尉の話。
少尉はこのとき、敵船団を発見したが、自分も見つかってしまい、敵艦艇から集中砲火を浴びた。
激しい砲火の中で、これは駄目だと思った時だった。
突然友軍機が一機傍らから現れ、敵艦に向かって機銃掃射をしながら突っ込んでいったという。
その友軍機はどこのものかは、そのときの少尉には分からなかった。
だがとにかく少尉はその友軍機のおかげで集中砲火を上手く免れることができ、帰還することができたという。
さて、少尉が無事帰還すると、艦には少尉が搭乗した偵察機の他に別に偵察機が一機あったのだが、
その偵察機が命令なく発艦したらしく騒ぎになっていた。
後に乗員点呼を行っても誰も欠員がいないという。結局その偵察機に誰が搭乗したのかはわからずじまいとなった。
ともかく少尉はそのおかげで命拾いしたが、少尉本人も含め、後々までみんな不思議がっていたという。
結局もう一機の偵察機は、その後も帰ってこなかった。
当然であるが、偵察機は敵に見つかると徹底的に狙われる。
相手に自分の艦隊の位置を知られるのを防ぐためだ。
万が一艦砲射撃から逃げられても、その直後に発進した敵機の猛追跡を受けて狙われるという。
また敵に発見されて逃げるときも、下手に自分の搭乗艦の方に真っ直ぐ逃げてしまうと、
逆に敵に友軍の位置情報を教えてしまうことになる。
そのため偵察機は敵機に発見されると、元々速度を優先で殆ど弾薬を積んでないこともあり、
とにかく燃料ぎりぎりまで、追跡を避けるのにコースを変えながら逃げるように帰艦することになる。
そのため偵察任務はストレスによる体力消耗が激しく、一度の出撃で体重が3Kgも減ることがあるらしい。
【戦争奇譚 〜人間魚雷「回天」〜】
回天とは、あまり知られていないが人間魚雷だ。
中に人が乗り込んで操縦し、敵艦に体当たりして自爆するための特攻兵器である。
ある夜中、潜水艦のドックにて人の気配がした。
年輩の整備兵が「誰だ?」と誰何すると、そこには回天で特攻したはずの少年兵がいた。
驚く警備兵に対し、「今度は見事敵艦に体当たりしてみせます」と告げる彼。
そんな彼に整備兵が「もういいんだ。二度も死ぬ必用はない」と答えると、姿を消してしまった。
なお、回天はその構造と米軍のレーダー技術の発展などで目立った戦果を上げることができず、
120本程が実践投入されたが、戦果はわずか撃沈4隻撃破5隻と非常に少なかったという。
【戦争奇譚 〜白骨の精霊〜】
南方の原住民調査のためにN氏は、かつての激戦地ニューギニアの山中に入った。
原住民と仲良くなり一緒に生活しているうちに、日没後は彼らが山の中に決して入ろうとしないことに気づいた。
「なぜ、夜は山に入らない?危険な野獣とかいるのか?」
とのN氏の問いに、原住民は、
「野獣はともかく、とにかく気味が悪い。姿は見えないけど、あちこちから意味不明の人の言葉が聞こえる。
でも人の姿はやっぱり見えない。白骨はいっぱいあるから、あれはその白骨の精霊だと思う。
夜の山は生きた人が入る場所ではない」と答えた。
「意味不明の言葉ってどんな?」とN氏が問うたところ、原住民は
「『ガヌバレ』『シカリシロ』と聞こえる。私たちの言葉ではない」と答えた。
N氏は「さもありなん」と感じ入ったそうな。
- 92 :
- 【戦争奇譚 〜女の船霊(ふなだま)〜】
太平洋戦争中、日本海軍の海防艦2隻が台湾海峡付近を航行していた。
ある晩、片方の海防艦の乗組員が僚艦の甲板の上を松明を持った巫女が走り回っているのを目撃した。
しばらくすると、その巫女は海の中に飛び込むようにして姿を消した。
目撃した乗組員は「何かの見間違いだろう」ということで僚艦へは連絡をしなかった。
夜が明けると、昨晩巫女さんが走り回っていた海防艦の姿が見えなくなっていた。
無線で呼びかけても応答がなく、夜のうちに何らかの原因で沈没したのだろうと言うことになった。
古来から、船には女性を乗せてはいけないという話はある。
船は女であるため、船に女性を乗せると嫉妬するという説明や、船魂が女性だからという説明のされ方をされている。
現実には男性だらけの船の中で、船員たちの風紀が乱れるから、と言われている。
【戦争奇譚 〜消えた一個大体〜】
1943年にニューギニア戦線で、米軍を上陸時に迎撃するため作戦行動中の日本軍一個大隊(1000人以上)が
忽然と消えてしまった。未だに遺品の一つも出て来ない。
【戦争奇譚 〜原爆投下機を監視していた謎の物体〜】
広島に原爆を落としたB−29を観察していた謎の物体の話。
8月6日、前1時27分、Mk-1核爆弾リトルボーイを搭載したエノラ・ゲイがタキシングを開始し、
1時45分にA滑走路の端から離陸した。
午前6時30分、四国上空においてエノラ・ゲイのレーダー迎撃士官ジェイコブ・ビーザー陸軍中尉が
レーダースコープに正体不明の輝点を発見。
通信士リチャード・ネルソン陸軍上等兵はこのブリップが敵味方識別装置に応答しないと報告した。
エノラ・ゲイは回避行動をとり、高度2,000m前後の低空飛行から急上昇し、午前7時30分に8,700mまで高度を上げた。
【戦争奇譚 〜艦砲射撃の凄まじさ^】
主砲の爆風で機銃員がふっ飛ばされたという話。大岡昇平氏の「レイテ戦記」から引用してみる。
「対空戦闘のため、主砲も三式弾という対空焼夷弾を発射する。
合図のブザーが鳴ると共に甲板上に増設された高角機関銃の射手たちは、適当な遮蔽物を見付けて
避難しなければならないのだが、戦闘中でブザーの音が聞こえなかったり、実際鳴らなかったりするから、
多くの者が海上に吹き飛ばされた。」
「空から降って来る人間の四肢、壁に張りついた肉片、階段から滝のように流れ落ちる血、
艦底における出口のない死、などなど、地上戦闘では見られない悲惨な情景が生れる。」
ちなみに大和を旗艦とする連合艦隊の沖縄特攻の際、連合軍側作戦機の損失は13機(空母帰還後破棄も含む)。
このときの沖縄特攻で大和は、斉射三回で計27発の三式弾を発射していた。
ちなみに航空機相手だと、照準が合わせられなくなるほど接近されると主砲の撃ちようがないから、
打ちまくるということは基本的に不可能だったのだ。
また、艦砲射撃の自艦の防空能力に干渉するので好ましくない。
例を挙げると、シブヤン海では武蔵が退避警報を出さずに主砲を発射したため、機銃員が大変悲惨なことになった。
(菊水作戦の時の大和では一応対策はされていた模様)
- 93 :
- 【戦争奇譚 〜日本を戦争に導いた松岡洋祐〜】
毎年終戦記念日の時期になりますと、天皇家と靖国神社の問題が再燃します。
何故、昭和天皇は靖国神社参拝を辞めたか、この理由を知ると、今後も今上天皇陛下の靖国参拝は有り得ません。
まず、観えて来た光景は、終戦直後の昭和天皇とマッカーサー元帥との会見の模様でした。
おそらく、2回目か3回目の会談だと感じます。その時、マッカーサーから昭和天皇に明かされた情報がありました。
日本の大臣と大使の計2名と軍属の1名が、武器商社から超大金をスイス銀行に貰う見返りに
日本を戦争へ導くように誘導した事を教えられました。
ある一人の大臣が外国からの命を受けて、金銭により懐柔した他の2名を使用し、日本を戦争の舞台へ導いたのです。
これを聞かされた昭和天皇は深い衝撃を受けられました。
でもその時の昭和天皇にはまだ、その重臣達を信じたい気持ちが半分ありました。
その話を聞かされた後、マッカーサーとの記念写真を撮られたと感じます。
その時の陛下の目はショックの余り虚ろでした。
しかし、後年、色々な外国の経済界の重鎮や、戦争とは表面的には無縁な外国の貴族達から得た情報が
マッカーサーが伝えた内容を裏打ちする事が重なるに連れ、陛下は段々と確信を深められました。
また、戦前戦中に交わした、その重臣達との会話、その時の彼らの表情を思いだされては、裏切られた悲しみと、
任命した御自身の責任を感じ、国民と国土への深い慙愧の念に苦しまれたのでした。
この3名が合祀された靖国神社に、今上天皇が参拝する事は今後も無いでしょう。
昭和天皇の思いを聞かされているからです。
そもそもの始まりは、この大臣が若い頃にアメリカの大学へ留学した時に始っています。
その時ユダヤ系財閥の子息と知り合っています。
その後、彼はユダヤ財閥から学費の支援に始まり、官僚時代の出世の為の工作資金、
政治活動資金の全面的支援を受けて順調に出世したのでした。
時は流れ、ジュネーブ特別総会において日本の代表者として交渉を一任され、日本に有利に譲歩された
オフレコ案件を黙って一存で握りつぶして、逆に啖呵を切って国際連盟から日本を脱退させました。
これが後の太平洋戦争への布石と成っています。
戦後の昭和天皇の思いは、国民への謝罪だけでした。
敗戦後、直ぐにでも自害して責任を取ろうとされましたが、その度に明治天皇が現れて思い留まった様です。
「そんな楽な道を選んでは駄目だ」と。そして天照太御神の日輪を拝した時、自らの命と引き換えにして、
日本を再興させてから死ぬ決意をされました。それから日本全国を励ます旅に出られたのです。
日本が順調に復興を始めて、最後の願いが沖縄の返還でした。
戦争当時の沖縄国民の事を思うと、申し訳なさで昭和天皇の胸が裂ける様な痛みを感じられたとの事です。
沖縄返還の為なら、皇室の全財産を無くしても良いと考えられた様です。
この沖縄への思いは、今上陛下にも何度も伝えたとのことです。
また昭和天皇が取られた行動は、イギリスとオランダ訪問でした。
この時に昭和天皇は、世界には伏せられている、影の支配者に面会して、沖縄返還を願われたのです。
この時、皇室の保有する隠された金融財産の大半が無くなったと感じます。
その翌年、アメリカから沖縄が返還されました。その数年後にアメリカへは、御礼の旅に行かれました。
この時、ロックRー私邸に御夫婦で宿泊されたと感じます。
現在、影の支配者は、ドイツと近隣小国へ窓口を移動させているようです。
http://blog.goo.ne.jp/isehakusandou/e/14f8cfe7ac5ee7ad3e3ea7d96fffd355
- 94 :
- 【戦争奇譚 〜日本の敗戦が世界を救った?〜】
当時ヨーロッパのとある場所にいた一人の修道僧には予知能力があったという。
第二次世界大戦の勃発や国内のインフレなどことごとく的中させていたが、戦争終結以前に病没してしまった。
しかし、彼は最後に、第二次世界大戦後、すぐに第三次世界大戦がヨーロッパで始まり、
それまでの戦争とは比べ物にならないような災禍が訪れる、という予言を残していた。
それを生前に聞いていた者が、終戦後になっても戦々恐々と暮していたが、ついには戦争は起こらなかった。
もし修道僧の予言が本物ならば、どこかで歴史が変わったことになる。
そう仮定してみると、それは太平洋戦域の推移によるのではないだろうか?
例えハワイ作戦において真珠湾の燃料タンクを破壊し、ミッドウェーでの惨状もなく、レイテで栗田艦隊が反転せずに
マッカーサーもろとも輸送船団を壊滅させていたとしても、日本が最終的に連合国に勝利することはなかっただろう。
それどころか北と南から侵攻され、米ソによる分割統治が行われていた可能性もある。
だが広島と長崎に原爆が投下されたことで日本は無条件降伏を受諾した。
それは言い方を変えれば、玉砕戦術と神風をはじめとする特別攻撃による遅滞作戦で、
本土決戦の準備を整える構えが、米国に原爆投下の口実と決断を与えたことになる。
現にソ連の先制核攻撃による欧州進攻は実際に計画案まであったのだ。
つまり、日本国民の徹底抗戦の決意と多大な犠牲によって世界の歴史の流れは変わり、
結果人類は全面核戦争から救われた、と言ったら言い過ぎであろうか?
- 95 :
- 【戦争奇譚 〜軍紀の乱れ〜】
戦争末期のビルマでは、ある二等兵が将校の制服盗み、それを着込んで軍需物資をだまし取って横流しし、
大儲けしたという話あった。一方捕虜収容所では、チェンジマスターと呼ばれる者が存在し、職人経験ある兵に
彫刻させたり、監視兵から嗜好品などを得て、捕虜の支給品との物々交換を仲介して儲けた人もいた。
後方の補給所では普通に物資を横流しして私腹を肥やした連中が多く、こういう輩は上級者に対しても態度が
大きく、制服どころか派手な格好にサングラスだったらしい。
前線で戦った人の手記には、これらの物資が正常に部隊に補給されていれば、戦局も大きく変化したであろうと
記されていた。
【戦争奇譚 〜特攻攻撃の成功率〜】
かつて特攻隊関係の本では、特攻攻撃の成功率は約16%だったと記されていた。
その本によると、初期の頃には20%以上成功していたのだが、終戦間近には8%程度まで落ちていたという。
だがそれはGHQ側による情報操作であったというのが、最近の見方である。
特攻攻撃の実際の成功率は56%という高いものであったということが、最近公開されたアメリカ公文書館の
資料で明らかになった。
http://www.heiwaboke.net/html/2006/11/15-02.dat.html
【戦争奇譚 〜戦死通知〜】
終戦まもなくのニュース映画から。最初は戦死通知を受け取っておいおいと泣く遺族。
するとそこに二通目の戦死通知が届いた。さらに遺族の元には三通目の戦死通知が届き、遺族も流石に困惑。
いい加減にしろよ思っていたところに、今度は戦死したはずの当の本人が帰ってきた。
ニュース映像の最後は、その本人が笑顔で自分の墓に立てられた卒塔婆を引き抜くものだった。
- 96 :
- 【戦争奇譚 〜突然、敵と出会うと…〜】
夜、日本軍の偵察隊がパトロールしていると道に迷って見慣れない場所に出てしまった。
位置を確認しようと隊員が集まって地図を見ていたら、前方から数人の兵士が歩いて来た。
暗くて良く分からないがシルエットから米軍兵士だとわかった。
偵察隊は物資不足でこちらの武器は錆びた軍刀と小銃だけである。
相手はトンプソンやガーランドライフルなど高性能の武器でとても太刀打ちできるわけがない。
そのため偵察隊は何も出来ずじっとしていると、何故か米軍兵士も何もせず近付いてきた。
お互い敵同士だと分かっており顔は強張って偵察隊を睨んでいる。
しかし結局何ごともなくお互いに顔を見合わせたまま通りすぎていった。
しゃがんでいた隊長の尻に米軍兵士の足が当たった時、相手は「ソーリー、サー」とまで言ったという。
似たような話が西部戦線でもあり、後方に空挺降下した米軍部隊がドイツ軍と出くわした時、
お互いに全く戦う事なく道を譲り合ってしまったという話や、
戦闘中逃げ込んだ穴に敵兵士が入っていて無言のまま何時間も過ごした話などがある。
大きな戦争で徴兵された人間というは、当然普段から戦闘に慣れておらず、
特に初めて戦場に立つ時など過度の緊張状態に置かれいるために、こういう事が起きるらしい。
斥候なら班長が攻撃をさせない場合もあるが、夜間だと気づくのが遅れ、
見つけた瞬間ギョッとなって思考が停止したまま足は歩くのをやめない状態だったのか、
「自分が動けば相手も動く=殺される(良くて相打ち)」という心理が働いたのか。
一方マレー戦での出来事。
前線を偵察していた日本軍の斥候5名が、その帰り道に英軍兵士3名とバッタ リ鉢合わせしてしまった。
しかも相手は全員ステンMkUやブレン軽機を構え引鉄に指を掛けた状態だったのに対し、
こちら日本軍の方は持っていたのは全員小銃のみ。
しかも肩に担いでいた為すぐには応戦できる状態ではなかった。
そんな状態にで暫く睨み合った後、日本側の隊長が「ゴルァ!」っと一括した途端、
有利な状態だったにもかかわらず英軍兵は全員持っていた武器を捨て手を上げて降伏したんだとか。
- 97 :
- 【戦争奇譚 〜カール・グスタフ・フォン・ローゼン伯爵 Carl Gustaf von Rosen(1909-1977)〜(1/4)】
@
青いスワスチカ。スワスチカとは早い話鈎十字、→「卍」のことである。
およそ60年ほど前に、挫折した画家志望のチョビ髭オーストリア人がいろいろと余計なコトをしてくれたお陰で、
今やろくでもないイメージのマークになり果てていることは、皆さんご存知の通り。お陰で今や「卍」マークが
ついているだけで規制の対象。ドイツ空軍機のプラモですら、現在では尾翼に描かれているマークが目立たない
ように構図に注意が払われている有様だ。最近では、「ナルト」の日向ネジの額のマークが、本来無関係である
のにアニメではただのクロスに差し替えられてしまったことが記憶に新しい。
しかしこの青いスワスチカは実はフィンランド空軍の識別マークであり、かの国においては国の独立を維持した
シンボルとして、格別の意味を持っている。
だが、昨今の規制のせいで目にする機会も少なく、このマークの背景にある物語も、日本では殆ど知られていない。
なんとも残念なことだ。そもそもなんでフィンランドはこの「卍」マークを識別マークにしていたのか?
これにはあるスウェーデン貴族が大きく関わってくる。予め断っておくが、実在の人物である。
時に1916年。ロシア革命をによりロマノフ王朝は倒れ、レーニン率いるボルシェビキが取って代わったものの、
国内戦やら諸外国の干渉戦におおわれまくっていた時期のこと。旧帝政ロシア領であったフィンランドは
悲願であった独立を果たすべく、名将グスタフ・マンネルハイム将軍率いる白衛軍が共産軍と熾烈な独立戦争を
戦っていた。
しかし、戦いはフィンランド側の劣勢。スウェーデンをはじめとする北欧各国は隣国の窮状を座視するに忍びず、
武器弾薬や義勇兵を送り込むなど援助を惜しまなかった。
その一方、もはや辛抱溜まらず、個人の資格・私費でフィンランド軍の戦列に加わった人々もいた。
その中に血気盛んなスウェーデンの貴族がいた。
彼の名は、エリック・フォン・ローゼン伯爵。十字軍騎士の流れを汲み、スウェーデン王室との繋がりも深い彼は、
「騎士は自ら馬を駆って、窮地にある人々を救うものだ!」と、当時まだ実用化からさほど時間の経っていなかった
飛行機・ツーリンDを私費で購入、自ら操縦して戦場に現れたのだ。
その時に彼が翼に識別マークとして描いたのが、この「青いスワスチカ」だったのだ。
エリック曰く「これはローゼン伯爵家に伝わる、幸運のシンボルなのだ」ということだった。
なにしろ当時のフィンランドのこと。他に飛行機などあるわけもなく、エリックは偵察やら銃撃やらまさに獅子奮迅の
働きぶりで前線にあり続けたらしい。そして地上のフィンランド軍兵士達は、翼に鮮やかに描かれた青いスワスチカを
見上げるたびに大いに勇気づけられたという。「おう、見ろ!また伯爵が飛んでるぜ!!」
そうして長い戦いの末に1918年5月内戦は終了。
ソ連邦は1920年12月14日、やむなくフィンランドの独立を認めて平和条約を締結ることとなる。
エリック・フォン・ローゼン伯爵は祖国に帰っていったが、フィンランドは常に前線で戦い続けた彼の功績を忘れず、
感謝と敬意をこめて彼の幸運のシンボル・「青いスワスチカ」を全軍の識別マーキングとして制定したのであった。
とまあそうしたわけで、ナチス党がかのマークを採用する以前からフィンランド軍はこのマークを使っていたわけだ。
しかし、ローゼン伯爵家のフィンランドとの関わりはまだ終わらない。
- 98 :
- 【戦争奇譚 〜カール・グスタフ・フォン・ローゼン伯爵 Carl Gustaf von Rosen(1909-1977)〜(2/4)】
A
1939年、ソ連邦はフィンランド独立によって失った領土を取り戻すべく、国境付近に共産主義者による傀儡政権を
作りフィンランドに戦争を仕掛けてきた。一般に「冬戦争」として知られる戦いの始まりだ。
あきらかなソ連の侵略に対し国際世論は沸き立ったものの英米などの大国の姿勢は煮え切らず、
国際連盟がソ連に対し警告を発するもののスターリンが耳を貸す筈もない。
フィンランド軍総兵力を遙かに上回る兵員に機械化部隊に強大な空軍まで動員したソビエトに対し、
フィンランド軍は明らかに劣勢であった。
そんな状況にまたもや血を沸き立たせたスウェーデンの貴族がいた。
エリック・フォン・ローゼン伯爵のあとを継いだ息子、カルル・グスタフ・ローゼン伯爵である。
フィンランド独立のために自ら飛行機を駆って戦った父の勇気に倣い、
彼もまたフィンランドの窮地に駆けつけようと考えた。
しかし、父がフィンランドに出撃してからはや20年。さすがにただ飛行機で行けば良いというものでもない。
飛行機の性能もあがっているし、前回のツーリンDなんて複葉水上機ではただの足手まといだろう。
かといって最新鋭の戦闘機なぞ、いかに伯爵の威光をもってしても手に入るものではない。
そこでローゼン伯爵はどうしたのか?
「民間機に武装させて飛んでいこう」伯爵はアメリカのダグラス社の旅客機DC-2を購入、天井をぶち抜いて
旋回機銃座をつけ、座席を全部撤去。主翼と胴体に爆弾架をとりつけてしまった。
これでロシア人達にちょっとした爆弾の雨を一発お見舞いしてやろう、と言うわけ。
更に伯爵は怪しげな手管を駆使し戦闘機を二機購入。これで戦爆連合一丁あがり。
ロスケの戦闘機が出てきても怖くない。ただその戦闘機というのが、オランダ空軍で不採用になり長らく倉庫に
埋もれていた複座複葉戦闘機・オランダのコールホーフェンFK-52という、聞いたことのない戦闘機。
ハッキリ言って性能はゴニョゴニュであり、そもそもこの世に存在する機体はこの2機ポッキリという、
絶滅危惧種みたいなシロモノなのであった。ホントに大丈夫なのか伯爵?
そうして編成したものの、伯爵のDC-2は改造に手間取り、2機のKF-52が先に前線に送り込まれる形となり、
早くも伯爵の戦爆連合計画はほころびを見せ始める。
いよいよと伯爵がDC-2と共にフィンランドに到着したときにはすでにFK-52はどこぞの前線へ張り付けられていて
護衛戦闘機ナシ。鈍足の旅客機のみで白昼攻撃をかけるなど単なる自殺行為であろう。
それでも勇気と血液の温度に不足が無い伯爵、いささかも戦意を萎えさせない。
「戦闘機がいないなら、払暁攻撃をかけちゃる」まるであきらめないのであった
(ナンだか宮崎駿の『雑想ノート』に出てくる安松丸のもの狂いオヤジみたいだ)。
1940年2月夜、伯爵のDC-2は単機で出撃離陸する。
素人にしてはうまい具合にソ連基地上空に到達、低空から爆弾投下。
改造もムリヤリな上に(爆撃用の照準装置が無い)、操縦しているのも素人。何を爆撃したのやらさっぱりわからない。
しかし、タイミングが良かったのかまったくの奇襲となり、ソ連軍の迎撃機は1機もあがってこず、
しかも追撃機に捕捉されることもなく、伯爵のDC-2は無事に帰還。
成果は、まぁアレだったが、無事爆撃行を終えたのである。
この時も伯爵のDC-2の翼には「青いスワスチカ」が描かれていた。
結局、フィンランド対ソ連の冬戦争自体は第二次世界大戦の終結に伴い両国の間で講和条約が結ばれることとなる。
- 99 :
- 【戦争奇譚 〜カール・グスタフ・フォン・ローゼン伯爵 Carl Gustaf von Rosen(1909-1977)〜(3/4)】
B
しかし、ローゼン伯爵の戦いは終わらなかった。
戦後彼はエチオピア皇帝ハイレ・セラシエの招きで空軍の近代化の任務についたあと、
スウェーデンの民間航空会社「トランスエア」で長く旅客機のパイロットとして勤務していた。
もう、DC-2で爆撃行などは若き日の思い出となり果てようとしていた(と思う)1967年、
またもやローゼン伯爵の血を滾らせる事件が起こる。
ナイジェリア内戦、俗に言う「ビアフラ独立戦争」の勃発である。
この内戦の勃発に至る経緯はあまりにも長くなるので詳述は省かせていただくが、北部部族を中心とする
ナイジェリア連邦軍のビアフラに対する封鎖と飢餓戦術は凄まじく、ビアフラ側に多数の餓死者が発生していた。
そんな光景を見て黙っている伯爵ではなかった。
彼はスカンディナビア教会派の組織した救援団に上級パイロットとして参加。
飢餓に苦しむビアフラへの食料と医薬品の空輸作戦の責任者となる。
この時既に60歳だった(この時孫もいた)のだが、伯爵の血はなお熱い。
自ら操縦桿を握り地面すれすれの低高度でDC-7を飛ばし、
ナイジェリア軍のレーダー網をすり抜けてビアフラへの食糧輸送に尽力する。
そんな無茶な飛行をしていたのは彼くらいのものだったが、
そうでもしなければビアフラに食糧を届けることが出来なかったのだ。
しかし、そんな食糧空輸を続けても連日餓死者が増え続けるビアフラの惨状。
一度に運べる量も人口に比べて圧倒的に足りない。
ごく一部、陸路で国際赤十字が送り込んでくる支援食糧が入って来ることがあるが、
途中ナイジェリア連邦軍の手が加わるために、ビアフラ側は警戒して口にする者はいなかった
(ナイジェリア連邦軍側は支援用の小児用粉ミルクにまで毒を混ぜていたと言う証言がある)。
遂に伯爵は決断した。「もはやこの惨状から人々を救うためには、ナイジェリア側の空軍戦力を片づけるしかない!」
考える人はいくらもいるとは思う。だが、ローゼン伯爵はそれを素晴らしいバイタリティで本当に実行に移してしまう。
だが無論スウェーデン王室と関係の深い由緒正しい貴族と言っても、
さすがに最新鋭の戦闘機なぞ手に入れられるはずもない。
しかし伯爵にはかつて民間機を改造して実戦参加させた実績があり、その経験は今回も活かされることとなった。
今回はサーブ社のプロペラスポーツ機、MF1-9Bに目をつけた。これはスポーツ機といっても小国での軍事利用を
想定した機体で、翼下に300キロ用のパイロンやロケットランチャーも装備可能なのだ。
本来、国際的に承認されていないビアフラに飛行機を売ってくれる国は無いのだが、伯爵はまたもや怪しげな
手管を発揮。ストックホルムにあったタンザニア大使館を窓口に、
「タンザニアにパイロット養成学校を設立するためにMF1-9B5機を購入したい」と、輸出交渉を開始。
本来軍用機ではないのでスンナリ輸出許可が下りると、今度はその機体をフランス空軍基地に空輸して
武装を搭載する小改造を施した上でタンザニアへ…向かうはずだったが、途中でローゼン伯爵は、
「実はタンザニアの養成学校は一時的にガボンに移転するので機体はそちらに運んでくれ」と輸送業者に連絡。
そこで降ろされた機体を「テスト飛行」と称してローゼン伯爵とその同志達が操縦し、
そのままビアフラへ持ち去ってしまったのだという。
なんちゅーか、マッコイじいさんを彷彿とさせる手際の良さだ。
前回のコールホーフェン戦闘機の時と言い、貴族を廃業しても多分ブローカーとして喰っていけそうな気がするなぁ。
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