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2013年17おいらロビー358: クロスハゲのスレ vol.002 (302) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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クロスハゲのスレ vol.002


1 :2008/09/18 〜 最終レス :2013/04/08
1 名前:ニコフ川д゚) ◆nikov2e/PM sage 投稿日:2008/01/09(水) 22:25:47 ID:??? BE:?-2BP(7780)
ここは華スレのアイドルであるクロスハゲさんに全力で萌えるスレです。
異論は認める。
ではよろしく頼む
【air】クロスハゲのスレ【kote】vol.001
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/bobby/1199885147/
うpと混沌はバレスレの華page.141
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/mog2/1221134402/

2 :
新スレおめでとうございます。

3 :
おめでとうございます

4 :
前スレが逝去されました。
「見逃したうわあああああああああああああああ」って人は、ぜひNimへ!
http://www42.atwiki.jp/novelsinmixi/
また、このスレは小説が主です。
「長文R」って人にはちょっと辛いかもしれません。

5 :
5 ムカシガタリ
カンは、夜半に例の山にまた立っていた。
『明日から学校だし、時間が制限されちまう。今日、出来ればフィーリングだけでも掴んでおきたい』
昼間のイメルストレフからの言葉が思い出される。
――
  「邪鬼眼に異常が出る原因、分かるか?」
  「知らねぇよ」
  イメルストレフはカンだけを呼び出して話をしていた。
  こんな質問内容ならば、別にカンだけでなくても良いはずなのに。
  「じゃあ言おう。――本人の心の動きに関連しているんだ。思い当たるフシがあるだろう? ――例えば、常に興奮しているとか」
  「?」
  「そこだな、お前の問題点は」
  そう言ってイメルストレフはクスクス笑うが、カンは疑問符しか浮かんでこない。
――
そして、誰かがカンに言った。
「カンって、お兄さんの背中を追ったりしないのね」
「追って、何になるんだよ……あんなヤツ」
自嘲的なセリフが口をついて出る。
兄と自分が比較対象になるとき、カンは必ずあの時のことを思い出すのだ。

6 :
――数年前
レンが邪鬼眼(当時はそんな呼称を知らなかったが)を使えるということはカンとレンの間の秘密だった。
何もない場所から火を灯すという技術が、本で読んだ内容そのまんまだったりして、カンは尚更惹かれていた。
「うわ、便利だなぁこれ」
「そうだろう? それならカン、もっと俺を敬え」
「嫌だよ」
手は燃えないのか、とかそういう微妙なリアリティはカンにとってはどうでもいい事だった。

7 :
「お兄ちゃん、それ、僕にも見せて貰えないかな」
ふいに背後から声をかけられた。
図体のでかい、黒サングラスのいかにも怪しい男が立っていた。
どんな意図があるにしろ、二人にとってはよろしくない来客であることは間違いなかった。
「カン」
「そうだね」
言いたいことはなんとなく分かった。
せーの、で二人が一緒に走り出す。レンがカンを守りながら、家への距離を詰める。
「逃がすか!」
その瞬間、相手の腕が伸びた。形容ではなく、本当に伸びたのだ。
その手をレンが払った。手はコードを巻き取るように男に戻った。
「お前……俺が狙いなんだろ! カンは関係ない!」
カンはひたすら逃げることに夢中で、足下の木々に目を懲らす余裕がなかった。
「あっ」
カンが足を踏み外す。そこに、男の手が伸びる。
「弟君はどうでもいいが、お前の為のダシには使える」
レンのリミッター解除。
「うるせぇぇぇぇぇっっっっ! その口、二度と使えないように堅牢に縫い込んでやらぁっ!」
レンがそう言って、邪鬼眼を光らせる。

8 :
「まだまだだな」
嘲笑うかのようなセリフが飛ぶ。
銃弾が放たれたような音が響いた。カンが立っていた場所が綺麗に円く抉れて、レンは何も言わず立っていた。
レンの右脇腹は血に染まっていた。
「カン! 逃げろっ」
絞り出したような声を聞き、カンは自分に出来ることを悟って、逃げ出した。
『俺はいざとなると、兄貴にとって邪魔な存在なんだ』
その事だけを、悟って。
レンは、傷一つ無い姿で帰ってきた。シャツの赤みを母親に指摘されると、
「ケガ? してないよ。――あ、ちょっとだけ、友達のケガしたての所に触れちゃったかもしれない」
その姿が、ケガを隠して気丈に振る舞っているようにしかカンには見えなかった。

9 :
先ほどの雑念が、カンの中で勝手に増殖し、妄想を生んでいった。
その中で、意図して少しずつカンはレンとの距離を空けるようになった。
すると、本当にレンは家を去っていってしまった。
部屋はもぬけの殻で、カンへ思いを込めた品などを残すことも無かった。
――
カンがレンを超える事は、自分が一歩前に出ると言うことだ。
一歩前に出れば、レンはカンを守りにくくなる。
それを考えれば――。
「でも、兄貴は居ない」
消えたかも知れない、死んだかも知れない。どっちにしろ、現前するのはゼロだ。
カンは再度、自分に言い聞かせた。
「――だから、兄貴の為じゃない。俺のためだ」
時計は、深夜2時を指していた。

10 :
5 ムカシガタリ おわり

11 :
気合入ってるなぁ

12 :
おっつ
結局レンって生きてんの?

13 :
いよいよ奴が動き出すフラグ

14 :
そろそろカンがレベルアップする頃ですね

15 :
これ更新したらストック0の悪寒

16 :
6 4つの衝撃
「ユキ!」
バセットは、ユーフォニアムの治療を「登校日には間に合わせる」と言っていたが、本当に間に合ったようだった。
「ただいま、カン」
「ああ、おかえり」
目の周りには傷が残っておらず、天性の麗質はそのままだった。
「じゃあ改めて、これ」
水色の邪鬼眼を二つ、ユーフォニアムに返却した。
「効果が追加されたってさ。『神鳥の御羽(ゴッドフェザー)』と、あと一つ何だったかな」
結局、名前は思い出せなかった。後でイメルストレフに聞きに行こう、とカンは決めた。

17 :
さすがのカンも、授業はマジメに受けた。前の学校で習っていた範囲を脱したので、だらだらしてもいられなくなったのだ。
「つまり、S=1/2{n(n+1)}から、nをn-1とすれば――」
考えるのを止め、別のことを思考する。
『勝鬨の剣』は、斬撃を飛ばすという点では、今カンが目指している状況に一番近い。
だから、そこに別の邪鬼眼を加えればいい。
が、邪鬼眼の組み合わせ技は同時発動が三つまでだ。『勝鬨の剣』は既に三つ使っている。これ以上は何も出来ないのか?
『待てよ……。効果時間があるやつ(『邪鬼眼否定』とか)は、あらかじめ発動しておけば、追加できるな』
さらに使えそうな邪鬼眼をノートに写す。
『……これぐらいか。順番は入れ替えても変わらないだろう』

顔を上げた瞬間、教師と綺麗に目があった。
「数式を解くよりも、そっちのお勉強の方が大事か?」
「……昨日、勉強しすぎたから今日は勘弁して下さい」

許してもらえるワケがなかった。

18 :
――放課後――
「さて、試してみようか。自信はどれくらいだ」
「うーん。9割」
そう言って、刀を取り出す。
「『邪鬼眼否定』『未熟』」
バッ、と二色の邪鬼眼が光り、カンを包む。効果発動成功だ。
カンは更に邪鬼眼を追加する。
「『剣戟の心得』『風神』……『勝鬨の剣』!」
そう言って、カンは下から上へ、地面を擦るように刀を振り上げた。
目の前の空間に、ぶよぶよとした空気の塊が出来上がる。
さらに、もう一個の邪鬼眼を光らせる。
「――『残骸爆破』」

そう言って、カンは目の前の空気の塊を、×の時を描くように斬りつけた。
瞬間、そこから放たれた空気の塊は青緑色の斬撃と化して、飛んでゆく。
斬撃はぶれ、二つの剣閃が四つに見える。
それが勢いをRことなく、突進する猪の如く山頂へ向かう。

19 :
ドン、という音が響く。
山には×を二つ重ねた印が現れ、周りの木々は吹き飛ばされていた。
「完成、かな?」
カンはバセットの方を見る。
バセットもすっかりキョトンとしていたようで、正気に戻るのにコンマ4秒ほど必要だった。
「ビックリだ。お前がここまでやるとは思わなかった」
「ありがとう」
流石のバセットも、褒めざるをえなかった。
「じゃあ、相応の名前をつけてやる必要があるな」
「そんなん、最初から決まってる」

そう言って、一瞬溜める。

「――『天哭の四重奏(ブレイク・カルテット)』」

20 :
6 4つの衝撃 おわり

21 :
邪鬼眼通信第十七号
『邪鬼眼の効果についての説明・11』
『精神同一(パラサイテーション)』 ランクSR
自分と相手の思考を同期させ、肉体を乗っ取る。
自由に移動させることが理論上可能ではあるが、本人との繋がりが必要なため、出来ることは必然的に制限される。
発動時間・8分 発動ラグ・3分
『神鳥の御羽(ゴッドフェザー)』
『神鳥一体』効果付与(『神鳥一体』は仕様により昇華-が作られない)
対象を完全に保護する堅牢なバリアを張る。
発動時間・1分 発動ラグ・2秒
『天哭の四重奏(ブレイク・カルテット)』
『邪鬼眼否定』『風神』『剣戟の心得』『未熟』『残骸爆破』
相手を狙って左右対の4斬の衝撃波を放つ、カンの必殺技。
軽微ながら追尾機能もある。
発動ラグ・16秒

22 :
ついに必殺技ktkr

23 :
>>17の呪文が解けない

24 :
なんかインフレ始まるのか

25 :
7 Heroic command
学校でチラホラと欠席が目立つようになった。
クラスでも最低5人は休んでいる。もちろん、無断でだ。
「お前ら、何となくでも事情は察してるな?」
中には授業が成り立たないほどの欠席もあったらしく、他クラスと合同授業するという事もあったようだ。
帰りは、初等部以外の生徒にも集団下校が義務づけられた。
そんな折の、生徒会室だった。
ポルタティフの声に、全員――カンを含めて――が頷く。
「カン、お前はもう大丈夫なんだな?」
「イエスアイキャン」
「今年は祭りが二回で済むと思ったんだが、どうもそうではないらしい。三回目の祭りが勃発しそうだ」
どうでもいいことだがカンは諜報活動などをあまりしない。
存在感が激厚なのと、マグロのように止まることが大嫌いなカンには、おそらく正反対の仕事だからであろう。

26 :
「今回は俺みたいな木偶人形と、普通の人間が混じって襲いかかってくる。戦い方には注意しろ」
バセットはそう言って、ポルタティフを睨む。
「流石に今回はなぁ。俺も出ないと体面がな」
「そこで、これだ」
ドラマでよく見る、チラシの文字を切り貼りしたような文言が載った手紙だった。
『どうしてこう、ここの住民はこうやって宣戦布告するのが好きのかな』
カンはそう思いつつ、紙面に目を通す。
『月が生まれ変わり、実った果実が採れる頃、征服を開始せり』
何時のことだろう。
秋だろうか。
しかし、夢凪は季節がめまぐるしく転換する。定まった季節は無い。

27 :
「明明後日の午後6時頃か……」
「あぁ。そういえば今日は17日でしたね。それならばピッタリと」
「?」
バセットがそれっぽいことを言い、アルモニカが同意した。
残念ながらカンにその意味は全く分からない。
「まぁ、開始時刻はどうでもいい。問題は夢凪がサンジェルマンの支配に落とされるかどうかだ」
「この戦も、勝ち確のクソゲーだ。負けはないが、引き分けに持ち込まれると非常に困る」
その時、ドアが勢いよく引かれた。
「「「「待ったぁっ! その話、見過ごせねぇっ!」」」」
同時に、生徒達の大歓声がこの部屋を取り囲むように上がった。
「聞こえてるように話し合ってるんだから、まぁ当然の結果だな」
ポルタティフがカンにだけ聞こえるように呟いた。
バセットに負けず劣らず、なかなかの策士である。

28 :
「夢凪を守るなら、俺たちにだって出来ることがある!」
「「「そうだそうだ!」」」
「学校が休みになればなおいい!」
「「「そうだそうだ!」」」
酒が入っているかのようなテンションである。全員を上手く扇動すれば、どんな国家間戦争が起きても恐らく負けはないだろう。
「お前らの気持ちは分かるが、落ち着け。ヘタに休講にしたら、向こう側がこっちの動きに気付いちまうだろうが」
ポルタティフの体面がそう言わせたのだろう。確かに相手にばれるのはまずい。
『そういやそうだな』という声と共に、騒ぎは一端粛清され、むしろ縮小ムードへと流れていった。
「――まぁ、明日は俺のメンタルが優れないから、午後はちょっと目を離す事があるかもしれないがな」
全員の士気は一転、また爆発した。

29 :
7 Heroic command おわり

30 :
otuです
なんだろうこのテンションw

31 :
邪気眼持ち集めたらネルフを超えると思う

32 :
8 天地迎撃
前の過程をすべてすっ飛ばして、カン達は来るべき決戦の準備をしていた。
「すっ飛ばして良いの?」
「俺の都合じゃないし」
『カン、準備は良いか?』
バセットホルンからの電話だった。
「はいはい。頂上が禿げてるので、見晴らし良好です」
カンに与えられた指示は簡単だった。
相手陣の位置を調べ、反対側からカンの攻撃を先頭に、逆落としを決行するのだ。
メンバーは50人程度。
「位置的には問題ないが……タイミングが分かりにくいなぁ」
『1200秒後だ。丁度に、相手陣地を丸ごと吹き飛ばせ』
「そんな、適当に言ったような数字を出すなよ」
『こちらは準備完了。ポルタティフとオルファリオンの本気が、あれだ』
カンは夢凪学園の方を仰ぎ見る。
学園のあった箇所に、黒色の巨塔が出現している。
「あれか……。アレが、なんだって?」
『オルファリオンの邪鬼眼、『難攻不落(ギガ・フォートレス)』だそうだ』
あんなのがあるなら、前の戦争の時にも出して欲しかった、とカンは心の中でぼやいた。

33 :
その瞬間、敵の姿が見えた。
みんながみんな、黒衣のマントを羽織っていて、誰が誰なのかは判別不能だ。
バセットホルン曰く、『サンジェルマンの泥人形も混じっている』のだそうだ。
ちょっと闘いにくいかな、とカンが思っていると、次は敵の親玉が出てきた。
紫がかった白髪、甘いマスクに似合わぬ、野望が籠もった瞳。
「あれが、サンジェルマンか……?」
聞こえぬように呟き、隣のヴィオに確認をとる。
「多分ね。でも、ああやって堂々と出てくるということは、向こうも何かしらの自信があるのかもしれないわ」
現在、午後5時過ぎ。バセットの言った予定時刻よりはちょっと幅がある。
「アイツが、兄貴の仇……」
その大儀を思い出すと、いくらカンが兄に興味を持たないとは言え、怒りの念を感じざるを得なかった。
『今は、アイツを倒す……! それだけだ』
「仰々しい仕掛けがあるが、全く気にすることはない。我が望むのは――、ただ、破壊のみ」
乾いた声が響いた。
黒コート集団からは返事がない。恐らく操られているのだろう。
――すると、これは何のために? カンは訝しんだ。

34 :
前に、バセットホルンが言っていた。
「古代の日本に於いて、呪いは重要だった。名前を呼んで呪う事は、『きゅうしょにあたった!』、『こうかはばつぐんだ!』が同時に出るくらいに強力な効用を持っていた」
つまり、名前を知ることが相手の生命を握るのと同等だったということだ。バセットはそう付け加えた。
「そこで、サンジェルマンの邪鬼眼だ。『名殺与奪(ネームキラー)』は、相手の名前を呼べば相手を操ることが出来る。――ある意味、最強の邪鬼眼かもしれない」
「ギア……いや、ともかくとして。それを解除するにはどうすればいいんだ?」
バセットは、やれやれと言いたげな表情になった。
「今のところ、お前のそれしか無い。しかし……ラスボスの懐に行くってのは少々危険すぎる事だな」
「いや……やるよ。それが、俺にしか出来ないなら」
そのまま、具体的対策も立てずに今日という日を迎えてしまった。
カンは少々不安だった。

35 :
「あと30秒で、バセットがさっき言ってた時間よ」
「しかし、丁度真下に来てくれるとは……。どう考えても、なんか別の思惑がありそうな――」
そこで、カンは気付いた。
サンジェルマンの邪鬼眼が、陣にいる人間全体を取り囲むようにオーラを放っている事に。
『そろそろ、状況報告をお願いしたいところだが――』
「バセット! 違う! ――アイツらの狙いは、最初から本陣だけだったんだ!」
急いで電話で呼びかけるが、既に遅し。
『何……だと!?』
そこに、既にサンジェルマンの軍隊は居なかった。
そこには、その感嘆符を述べていたバセットから始まる、中心部にいたはずの一団が居た。
わけも分からず、ただカン達の目の前で立ち尽くしたままで。

36 :
8 天地迎撃 おわり

37 :
冒頭ワロタ

38 :
まさかのラストバトル!?
名殺与奪鬼畜過ぎワロタ

39 :
9 反撃開始
「まさかだろ!? こんな人数を一気に移動させるなんて……!」
そして、この場所に長く留まるのは色んな意味で危険すぎる、ということも考えていた。
それもそのはず。カンの『探索』から、地下に大きな邪鬼眼の光を見たからだ。
この場所に地雷でも仕掛けられていたら、一挙に木っ端微塵で終了だ。
――いや、むしろそういう行為の方がまだ、ぬるいのかもしれない。
「ヴィオ! 全員をあっちに再転送出来ないのか!?」
「無理よ!」
「試しもしないで、そんな事言うもんじゃない!」
「そうじゃないの! 『世界地図』が、まだイメルストレフの元にあるの!」
おそらく、サンジェルマンの一団は既に城壁に攻撃を開始しているはず。この距離をもたもたと移動している暇はない。
「そんなお前らに、大朗報だ」
どこから現れたのか。それはイメルストレフだった。

40 :
「――都合良すぎじゃね?」
「お約束だろ。――というわけで、返却だ。恐らくさっきの邪鬼眼と同じかそれ以上の威力を持ってるはず、早くみんなの力になってやれ」
それはいつか見た黄色の邪鬼眼ではなく、淡いピンク色の邪鬼眼だった。
「みんなー! 聞こえてるかーっ!」
カン達は、山を下りながら麓の連中に呼びかける。
「ヴィオが今、全員をそっちに送り込む! 全員、なるべく固まるんだ!」
「間に合わない! イメル、私たちをあっちまで送って!」
「――了解、足下に気をつけて……と思ったが、移動すれば問題ないか」
それと同時に、カンとヴィオの身体がふっと浮く。
「俺も後から行く。それまで、絶対に死ぬなよ」
人並み外れた強靱な力で二人を下まで一気に投げ飛ばすと、二人に手を振って分かれた。
「……あれ? もしかして、お前らも下まで行きたいの?」
イメルストレフはカンとヴィオの事だけ考えていて、率いていた部隊をすっかり忘れていた。

41 :
「あとちょっとだ! 行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
「『宇宙新書(コスモグラフィ)』」
「『最短経路(ショートカット)・天哭の四重奏(ブレイク・カルテット)』!」
巨大な魔方陣が浮かび、カンや下にいた仲間達を包み込む。

「あちらさんは今頃、ワケも分からず混乱しているだろうよ」
サンジェルマンの参謀はどうやらちゃんとした言語を話すようだ。
「そうだな。あと何分ぐらいで終わる?」
「遅れるのが4分ほどだと計算しているので、あと3分で完了です」
「そうか。――じゃあ、今何秒経った?」
「はい。今丁度1分で……。 え?」
その振り向いたフードに、カンが刀で斬りかかる。
「丁度、3分削ったことになるのか。――食らえ」

42 :
9 反撃開始 おわり

43 :
10 二つの鎬
四本の巨大な斬撃が、中心部に向かって放たれた。
人が次々に吹き飛ばされ、薙ぎ倒され、あっという間に中心部への花道が開かれた。
「みんな! ここから戻って体勢を立て直すんだ!」
みんなが動いている間、相手は一切攻撃をしてこなかった。
その姿を、サンジェルマンがニヤニヤしながら眺めている。
「お前……どういうつもりだよ」
「勝負はフェアに行かないと、ってヤツだね」
「さっきまで卑怯なことをして時間を稼いでたクセに、何がフェアだ」
刹那、カンが飛び出して攻撃を仕掛ける。
「兄貴はどうだった? さぞかし美味だったろうな」
サンジェルマンはカンの刀を片手で白刃取りして、反撃するともなく返した。

44 :
「あの男は、僕に唯一泥を塗った罪で、無限の空間の住人となってもらった」
「!」
そこに強烈な水圧の水が放たれた。カンは瞬時に大きく避ける。
「どういう意味だ!」
「別に含みを持たせたわけじゃない。言葉の通り解釈して貰えばよい」
その時、攻撃の構えを取った集団が居た。
「カン! 援護するわ!」
そこに居るのはいつものメンバー。
ヴィオローネ。
バセットホルン。
スピネット。
ユーフォニアム。
イメルストレフ。――今、居ないけど。
そして、カン。
いつも変わらない、死地をくぐり抜けてきた仲間達。
「――これは、私怨だ。お前らは、中心部に居るポルタティフ達を援護しに行ってこい」
「嫌よ。あんたの怨なら、私たちも一緒よ!」
カンは、ある意味でその返事を待っていた。だから、唇の端が自然と歪む。
「なら、アイツを分子サイズまで粉砕できるかな? それぐらいじゃないと、俺の怒りは収まりそうにないんだ」

45 :
「俺たちが集まれば、不可能ではないかもな」
全員が結束し、相手をしっかりと睨む。
「死のフルコースを食す用意は出来たかい?」
サンジェルマンが、唇の端を歪めながらその集まりを見つめていた。
「ああ。今日だけ、コックにも食べる権利を与えてやるぜ」
「それじゃ、まあ――」
サンジェルマンが、大きく跳躍してカン達の真後ろに降りようとしていた。
その手には、邪鬼眼を溜めている。
「一番、弱そうなのから。――『虚空へと誘う流星(エンプティ・スターダスト)』」
黒色の破壊光線が放たれ、カン達の塊――特に女子三人衆の辺りを狙っていた。
地面が砕け、コンクリートが軽々と吹き飛んでいく。
周りにいた部下達も吹き飛んだが、それには目もくれない。
「これで終わりか……大したことないな」
サンジェルマンは、死体を確認すべく粉砕された地上を眺める。
そこで、砕けていない一点を見て、彼も目を見張った。

「さっきの言葉、撤回する必要があるな。――少なくともここに居る女は、鬼神の如く強い」

スピネットの邪鬼眼と、ユーフォニアムの羽で出来た障壁が、カン達を完全に防御していた。

46 :
10 二つの鎬 1/2 おわり

47 :
邪鬼眼通信第十八号
『邪鬼眼の効果についての説明・12』
『名殺与奪(ネームキラー)』 ランクAR
特定の人物の名前を呼ぶことで、自分の思い通りに行動させることが出来る。
効果時間・(所有者のオフが無ければ)無限
『難攻不落(ギガ・フォートレス)』 ランクSR
正確には『夢凪学園』の機構のうちの一つ。それを発動させるための邪鬼眼。
学園が要塞へと変化し、砲台などでで攻撃が可能になる。
『宇宙新書(コスモグラフィ)』
『世界地図』昇華+
物体を指定した位置へ移動させる。
対象が自身だけでなくそれ以外の人間、邪鬼眼による攻撃なども移動できる。
『最短経路(ショートカット)』 ランクC
邪鬼眼の発動する順番を指定しておくことで、その通りに邪鬼眼を発動させることが出来る。
組み合わせ技を発動するときなどに便利。
発動ラグ・1分
『虚空へと誘う流星(エンプティ・スターダスト)』 ランクR
強力な威力を持つ破壊光線を放つ。人が触れるとその部分は壊死する。

48 :
おつ。なんでいきなりラストスパートしてんの

49 :
スピネットって結構反則じゃね。バセットの次くらいに
ラスボスはレン

50 :
「これで終わりか? お前こそ、大したことないな」
カンが挑発するが、サンジェルマンは余裕の笑みを崩さない。
「これを凌いで貰うくらいでなければ、宴は楽しめん!」
サンジェルマンの拳が飛び、それが衝撃波のようになってカンを襲う。
「カンは、私が――私も――守る!」
スピネットが間一髪で飛んできて、バリアを形成して衝撃波を弾く。
「外野は黙ってな! 『凍結号令(エターナルフォース・プロフィビタル・ブリザード)』!」
白色の冷凍光線が、中心部に集まろうとしている敵達を一気に凍らせた。
「あんたなんかより、カンの方が何万倍も強いわ!『反逆鳥・1024』」
反逆鳥のマシンガンが放たれ、サンジェルマンの周辺を一瞬にして蜂の巣にしたてあげた。
――しかし、サンジェルマンの敵意は別の所にあった。
「俺より、強い……、だと!?」
サンジェルマンが一気にカンとの間合いを詰めた。

51 :
「今の声、撤回させてやろう。『粛清の剣(パージング・パワー)』」
サンジェルマンが光に包まれた剣状の物質を取り出し、カンに斬りかかってきた。
「くっ!!」
振りかぶった一撃は、カンのそれより何倍も力がある。刀が折れそうだ。
「雑魚が! 兄弟故の使命感で動くお前は、本能で動く我には勝てん!」
「使命感? 違う!」
カンはサンジェルマンの刀を押し返し、開いた腹部に『風神』を叩き込んだ。
「『運命』だっ!」
「『天命の十字架』」
その瞬間、カンは急激な重力を感じた。立っている事が出来ないので、地面に倒れ伏す。
「今の言葉で、お前も兄と同様に危険な存在であることが分かった。ならば兄とは違い、我が軍門に下って貰おう。――『名殺与奪・カン』」
「「「カン!」」」
全員が恐れていた事態が、いち早く起こってしまった。
「許さないんだから……。絶対、そんなこと許さないんだからっ!」
その効果を知っていたからこそ、その先にどんな事態が待ち受けているのかを知っていた。
ユーフォニアムは、これまでに見せたことのない激しい怒りを表していた。
ユーフォニアムの両手の邪鬼眼が煌めきだしたとき、全く見当外れの方向から、誰かの声が聞こえてきた。
「ちょっと、そこを退いてくれないか。 ――あ、ちょっと刀借りるぞ」

52 :
その影は瞬時にカンの刀を奪い取り、サンジェルマンへと一気に跳躍すると、その邪鬼眼を一気に切り裂き、砕いた。
「! 貴様、誰だ!?」
サンジェルマンも、砕けた『名殺与奪』を見て驚愕した。
「おやおや? 俺の顔を忘れるほど、君はおつむが良くなかったかな?」
男はそう言って、カンの方を見やる。

「おかえり」
「ああ、ただいま」

レンが、満面の笑みで帰宅の挨拶をした。

53 :
10 二つの鎬 おわり

54 :
なんか無駄に長いバトルパートは次回から!

55 :
熱いw
熱すぎるw
すんごい疾走感と緊迫感
しかもついにレンまで……
それはそうと
『虚空へと誘う流星(エンプティ・スターダスト)』」
これめっちゃカッコユイ……

56 :
11 向かうところノーエネミー
「これは、全部返すぞ。あくまでお前のモノだからな」
レンは、刀にはまっていた邪鬼眼を全て取り外し、それを纏めてカンに返した。
「返すったって……。と言うより俺、それが無いと邪鬼眼が使えないんだけど……」
「そこはイメルストレフに頼んでおいた。すぐに来るはずだから、それまで待ってろ」
そう言うと、再度サンジェルマンの方を見た。
「レン……! 貴様、一体どうやって!」
「うーん。やっぱそれは俺の『じつりき』ってヤツかな?」
「ともあれ、これで形勢逆転ってやつだな」
バセットホルンがニヤリと笑い、完全勝利を確信していた。
「ならば、むしろ……! 『降臨・松・竹・梅』!」
地面に魔方陣が三つ浮かび、三人の白色のローブ姿の人が現れる。
「松、参上つかまつりました。ご命令は」
「あいつらを殺せ。完膚無きまでに」
「「「委細承知」」」
非常に端的な命令を下すと、サンジェルマンは市街地への方へと逃げていった。

57 :
「追いかけるぞ!」
カンがそう言うと、全員が町の方へと走り出した。
「残念ですが――、我々も命令を遂行せねばなりません。その為に――」
三人が武器を構える。
「「「あなた方には、ここで果てて頂きます」」」
レン達も、自然と攻撃の構えを取る。
「――へっ。上等、だ」

58 :
カンとレンとユーフォニアムが松の方へ向かう。
「『超絶破壊(ギガグラビティストライク)』」
レンは拳を振り上げると、松が居る場所目掛けて叩き付けた。
蟻地獄のように地面が砕け散り、周りのビルが傾きだした。
「――今、わざと外しましたね。ひょっとして、私どもの力をなめていますか?」
フードが外れて顔が見える。
聡明そうな表情をした少女だった。
「そんな顔、恋人にでもなめて貰えばいいじゃないか。――俺は無理。吐き気がする」
「……! 許しません!」
「そこのお嬢! カンをしっかり守ってやってくれ!」
「分かった! ――カン、あんまり動かないでね」
「すまない。――今この時だけ、頼んだ」
ユーフォニアムの表情は、すっかり戦乙女のようだった。
「イメルストレフが来れば、この戦いは終わる。だから、それまで持たす」
「だったら、それまでに貴方を塵にして差し上げます」
赤々とした炎の弾が放たれる。

59 :
「こんなの、『神速』で避けるまでもないな。行くぞっ!」
レンは跳躍すると、『風神』でビルの高いところまで上り詰める。
「『超絶破壊』!」
レンはビルの上部を粉々に破壊した。レンはその反動を利用し、松の居る場所へ突貫する。
「アイディアは素晴らしいですが、私の狙いは崩せません」
松は右手と左手にそれぞれ火球を構えると、一方はレンに、一方はカンの方へ放った。
「! カン、避けろ!」
すんでの所でレンも火球を刀で相Rるが、向こうへはどうやっても間に合わない。
「カンは――、私が守る! 『聖天使の徳翼(ミスティファイ・アーム)』」
その瞬間、大量の鳥が集まり、ユーフォニアムを包み込んだ。
そのままユーフォニアムは火球に手をかざし、火球を無効化する。
「すげぇ……」
ユーフォニアムの背中には羽が生え、さながら天使の様相だった。
「消えなさい。『永遠凍結号令(エターナルコズミックフォース・ブリザード)』」
ユーフォニアムは、ヴィオローネやアルモニカの放った冷凍光線よりも更に威力の高そうな、極太の光線を放った。
スレスレで松の左側を掠め、頭髪とローブが凍り付く。

60 :
「残念だが、ここで終わりだ。カン、お前にはこれを」
後ろに、イメルストレフが立っていた。
「これ……って、もしかして、二本目か!」
なんというか、西洋の剣に趣が近くなっている剣だった。
「そうだ。正真正銘、お前の剣だ」
イタリック体で小さく『For Kan』と掘ってある。気恥ずかしい。
「カン、頑張って! 私も援護する」
「いや、ユキはイメルと一緒にヴィオローネの所に行ってくれ。そのうち俺も行く」
しゅん、としたユーフォニアムをカンがなだめる。
「絶対行く。俺を信じろ」
そう言って、カンは走り出した。
「――そうだな。アイツなら、絶対死なないだろうよ」
「じゃ、じゃあ……。お願いします」
イメルストレフとユーフォニアムは、ヴィオローネの援護に向かった。

61 :
「さぁて? この2年間、あんたは何をしていたのか教えて貰おうか?」
「2年? そんな経ってたのか。道理でお前と俺の背格好が似てると思った」
レンが言うには、サンジェルマンに閉じ込められていたのはものの20分程度だったそうだ。
「と言うことは、身体上同い年になったって事か?」
「まぁ、そうなるな」
レンが分かるような分からないような表情になる。
「そこっ!」
二人の間の場所に、巨大な氷柱が落ちて、しっかりと刺さった。すんでの所で避けていなければ、恐らくどっちかが死んでいただろう。
「なぁ、兄貴。今この瞬間に思ってること、一緒だよな?」
「多分な」
「じゃあ、声に出してみようぜ。せーの――」

「「口を挟むんじゃねえよ、クズ野郎」」

カンの『天哭の四重奏』が、松の身体を一瞬にして捉え、弾き飛ばした。

62 :
「お、上手い上手い」
レンがパチパチと拍手をして、刀を構えた。
「――でもな、俺の方が上手い。『無限遠方投擲(ムル・オーフ・シー)』」
邪鬼眼を発動させると、なんとそのまま刀を松の方へ投げた。
「!?」
松は刀にローブを貫かれ、一時的に動きを止められる。
「動くと、余計に痛いぜ。『神鳴り(アウトオブザブルー)』」
ズドン、というオノマトペがその事態を形容するのに一番相応しかった。
白色の剛雷が松に刺さった刀に落ち、全身にその衝撃を余すことなく伝える。
「サンジェルマン様に伝えなければ……! この二人、危険すぎます……!」
松は衝撃に耐えられなくなったのか、光に包まれて消えていってしまった。
「こんなの相手に手こずってるなら、サンジェルマンなんて相手にされないぜ」
「そうそう。通過点、通過点!」

二人もそう言って、ヴィオローネの居る場所へ向かった。

63 :
11 向かうところノーエネミー おわり

64 :
邪鬼眼通信第十九号
『邪鬼眼の効果についての説明・13』
『粛清の剣(パージング・パワー)』 ランクR
剣状の物質を精製する。
効果時間・30分
『天命の十字架(バッドフォーチュン)』 ランクSR
対象一体を地面に磔にする。
効果時間・2分 発動ラグ・35分
『超絶破壊(ギガグラビティストライク)』
『残骸爆破』昇華+
手から衝撃を伝え、物体を破壊する。より威力が上がったが、本人に戻る反動が強くなった。
発動ラグ・30秒

65 :
『無限遠方投擲(ムル・オーフ・シー)』ランクR
物体を、狙い定めた場所に向かって投げ飛ばす。
発動ラグ・20秒
『聖天使の徳翼(ミスティファイ・アーム)』
『神鳥一体』昇華+++
天使の羽を身に纏い、強力な防御力と邪鬼眼を使える能力を得る。
使える邪鬼眼は以下の通り。それぞれがその属性の最大の威力を持つ邪鬼眼である。
『太陽の欠片(サンライト・キャノン)』
『怨念の業火』昇華+
強力な炎を一点に凝縮させ、大爆発を起こす。
『永遠凍結号令(エターナルコズミックフォース・ブリザード)』
『永遠力暴風雪』昇華++
相手の邪鬼眼を長時間使用不能にさせる冷凍光線を放つ。
『神鳴砲(ホーリー・ボルト)』
『神鳴り』昇華+
一箇所に強烈な雷を落とす。
『海竜神(リゴール・ストーム)』
擬似的に津波を起こし、敵を押し流す。
効果時間・50分 邪鬼眼攻撃の発動ラグ・なし この邪鬼眼の発動ラグ・1ヶ月

66 :
わかってたけどレンtueeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee
そして不覚にも松がツボです
たぶんフードをかぶってたからだと思います

67 :
えーー レンラスボスじゃねえのーーー

68 :
流石にもう技名はおぼえらられねえです
レンがこのあとFF4のカインみたいになってくれねえかな

69 :
12 アイデンティティ
竹には、バセットホルンとスピネットが向かっていた。
「どうしたどうしたぁ! 闘う気無くしたかぁ!?」
二人の周りをグルグルと周りながら、竹は攻撃を繰り返している。
「そんなことは無いさ。責め時ってのがあるんだ」
バセットホルンはこんな危険な場所でも至って冷静である。
「でも、その時ってのが……なかなか来ないんですよね」
スピネットが結界を展開していなければ、恐らく瞬殺だっただろう。
「だったら……こっちから行くぜ!」
突然止まると、一気に二人の居る方向へ向かってきた。
「スピネット。俺、怠いから寝たいんだけど」
「えぇ!? 寝るなら、こいつを何とかしてからにして下さい!」
「まずは首一つ! 『残骸爆破』っ!」

70 :
その拳を、スピネットがしっかりと捉えた。
苦痛に顔を歪ませることもなかった。
「その首とは、どちらの首でしょう?」
完全に、威力を殺していた。
「くっ……! この野郎、どけっ! どきやがれ!」
竹の熾烈な連打が繰り返されるが、スピネットはその一発一発を正確に見きり、その細い両腕でしっかりと全てを相Rる。
「いいぞいいぞー。頑張れ頑張れ」
この期に及んでバセットホルンは寝ていた。
「起きて下さい! 邪魔ですっ!」
スピネットは足がもつれて(いるフリをして)、その顔面を思いっきり蹴り飛ばした。
眼鏡が吹き飛ぶ。
「お前……! これ、俺のアイデンティティなんだぞ!」
「怒るなら、私じゃなくてこっちに言って下さい!」

71 :
「お前ら……俺をそんなにバカにしてぇか!」
スピネットの脇をスッと抜けた一撃が、バセットホルンの腹部を貫いた。
「バセットさん!」
バセットは腹部に開いた穴を見ながら、感慨深そうにしている。

「――オイオイ。眼鏡の次は、服まで台無しにする気かい?」

バセットは乾いた笑いを浮かべた。――半分以上は、怒りで消されていたが。
「ちょっと待て。眼鏡は俺じゃなくて――」
その全身目掛けて、バセットホルンの本気が繰り出された。
「この世に挨拶する時間を、コンマ1秒だけ与えてやる」
腹部への強烈な一撃と共に、顔面に痛烈な頭突きを加え、地面に叩き付ける。

「――『牙折打(レット・スレイブ)』」

続けざまにその全身に、赤いオーラの衝撃波を放つ。
5メートルほど吹き飛ばされた竹は、何かを狙ってまた立ち上がった。血だらけの口を拭き、再度突撃する。
「狙いはそっちじゃねぇよっ!」
バセットホルンの目の前で身体を捻り、側にいたスピネットへと殴りかかる。

72 :
拳が激突する音が、嫌にしっかりと響いた。
「!」
勝利を確信した竹を見て、スピネットもバセットホルンも笑っていた。
「お前は、戦術眼に欠ける哀れな男だ」
スピネットは、相手の攻撃をバリアで無効化していたワケではなかった。
全てを自分の中にエネルギーとして蓄積させていたのだ。
それを、自分の右手から一気に放つ。
「『大蟷螂の大斧(レックレス・アントアーミー)』」
白色の気弾は近寄った竹をしっかりと捉え、上空数メートルへと吹き飛ばした。
「なっ……この、この俺がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
竹はそのまま白色の塵となり、風と混じって消えていった。
「――まずは一勝、ですね」
「まぁ、余裕だな」
二人は微笑んだ。

73 :
12 アイデンティティ おわり

74 :
出だしのセリフで既に竹からものすごいかませ臭がしてましたw

75 :
13 その女、破天荒にして
梅には、ヴィオローネが向かっていた。
「あんたら、あたし一人置いていく気!?」
「まぁまぁ落ち着け。俺のご到着だ」
イメルストレフだった。
「あんた、カンの方はいいの?」
「大丈夫だ、もう事は済む。じきに増援が来るから、そこまで待っても良いぞ」
「残念ね、そんなのを待っていられるほどアタシはのんびり屋じゃないわ!」
「じゃあ、こんなのはどうかしら?」
梅の周りには、白銀の矢が無数に配置されている。それが全て、ヴィオの首の辺りを狙っている。
「えげつないわね。――でも、嫌いじゃないわ」
『宇宙地図』を光らせ、ヴィオは梅の背後に瞬間移動した。
「逆回転、全弾発射!」
「敵は後ろだけじゃあないぜ」
その両肩を、正確に銃弾が射貫き、その心の臓に数本の矢が刺さった。
「二対一……! でも、まだ7:3で有利ね」
梅は、計算に基づいた攻撃が得意らしい。
「そのうざったい論理、聞いてるだけで頭痛がするわ。何とかしてくれない?」
「無理。おべんきょうは俺にも無理」

76 :
「そこの方は、女? それとも、男? ハッキリしてくれない?」
イメルストレフは一瞬考え込み、明朗に答えた。
「俺を殺せたら、教えてあげる」
そう言って初めて、イメルストレフは突き刺さった矢を抜いた。
「――出来るもんなら、な」
リロードする音と共に、イメルストレフは拳銃を構えた。
両の手に、一発ずつ。
「お前と俺は縁もゆかりもない。しかしながらここは生死の境である故に、死んで貰おうか」
両方の拳銃の引き金に手を掛ける。その瞬間、銃の持ち手の辺りが光るのを、梅とヴィオは見逃さなかった。
「邪鬼眼……!」
「俺の謹製を受け取れ、『流星(コメット・バレット)』」
上空に向けて放たれた銃弾は、さっきの邪鬼眼の色と同じように発光している。それがみるみるうちに分裂。
分裂して分裂して分裂して、さらに分裂した。
「『宇宙地図』!」
とっさにヴィオローネは自分に目掛けて落ちてくる銃弾の雨を、『宇宙地図』で飛ばした。
当然、方向は梅の頭上だ。
大量の砂煙と爆発音が響き渡る。
「やったわ……!」

77 :
そう思ってガッツポーズを取った瞬間、ヴィオに向かって白銀の矢が飛んできた。
「まだ無事だって言うの!?」
煙が消えると、そこには無傷の梅が、無数の矢を空中に展開させていた。
「障壁使いは、あなたのお仲間だけじゃないってワケ」
『スピネットのことも分かってるなんて……流石、あのサンジェルマンが呼び出した事はあるわね』
ヴィオが次の手段を考えているとき。
「じゃあ、こんなのはいかがかしら? 『太陽の欠片』」
その言葉と共に、凄く鬱屈とした熱が出現した。その中心が梅に向かって静かに動き、周りの空気を集めて大爆発を起こす。
「あぶな……って、ユーフォニアム! あんた何よその格好!」
羽の生えた聖天使は、地面に足を着けていなかった。
「こっちの方が早いっていうか、簡単っていうか。――とにかく、行こう? あんなのに負けてたら、カンに笑われちゃうよ」
「そ、そうね」
そう言われて、ヴィオローネはようやく背筋を伸ばした。

78 :
「せっかくだし、共同戦線っていうことで。一撃で決めるわよ」
「ええ!」
「何々、今度は何よ? さっきのは流石にビックリしたけど……あんな攻撃をしたら、すぐには復帰出来ないわよね」
すると、ユーフォニアムは紫色のオーラを溜めていた。
「チッチッチ。残念ながら、弾数は無制限なのです」
「そんな……! チートよ!」
「チートだな」
「チートね」
散々である。
「でもまぁ。今はあんたさえ居なくなればいいのよね。……『凍結号令』」
「『神鳴砲(ホーリー・ボルト)』」
「「『天地雷鳴(ディザスター・サファリン)』!」」
梅の頭上に巨大な氷塊が落ちてくる。
「この程度なら、私の攻撃で崩せるわ! バカにしないでもらおうかしら」
「こんなことも読み取れないわけ?」
ユーフォニアムがパチンと指を鳴らすと、その氷塊に雷が落ち、そのショックで氷が粉々に砕ける。
それが氷柱のように分かれ、梅を襲う。
「くっ……!『防護障壁・大』!」
巨大なピンク色のドーム状の障壁が展開される。

79 :
「そこで、やっとこさ俺の出番ってわけだ」
ピッタリと、その障壁にイメルストレフが張り付いていた。
「あんた……! そんな場所にいると、氷柱に刺されるわよ!」
「ほほう。敵に情けをかけてくれるんかい。――俺は、そんなことしないけどね」
ジャキッ、と二丁拳銃を障壁に向けると、邪鬼眼を光らせた。
「止め――」
「『轟射(グランド・バレット)』」
赤く光った銃身から放たれた銃弾は障壁に接触し、そのまま障壁を完全に打ち砕いた。
ガラスの砕けるような音と共に、氷柱の雨が降った。
イメルストレフはそれを全て右手とその腕で受け止め、血だらけの腕をちょっと見て、梅に銃口を向けた。
「あばよ。次の世では俺に会わないようにな」
銃声と共に、梅は塵となって消え去った。
「――さて。俺たちで最後かな?」
周りを見ると、カン達は居ない。どうやらサンジェルマンの元へ向かったようだ。
「そうみたいね。行きましょ」
いよいよ、決戦だ。

80 :
13 その女、破天荒にして おわり

81 :
邪鬼眼通信第二十号
『邪鬼眼の効果についての説明・14』
『牙折打(レット・スレイブ)』 ランクSR
紅色のオーラを放って相手を吹き飛ばす。
威力は相手が重いほど高い。
発動ラグ・11秒
『大蟷螂の大斧(レックレス・アントアーミー)』 ランクAR
相手の攻撃を無効化し、そのエネルギーを体内に蓄積することが出来る。
蓄積したエネルギーの値が大きいほど、この邪鬼眼の威力は高くなる。
発動ラグ・10分
『流星(コメット・バレット)』 ランクR
銃弾を分割し、雨のように降らせて攻撃する。
※銃の特性により発動ラグ無し
『天地雷鳴(ディザスター・サファリン)』
『神鳴砲』+『凍結号令』
氷塊を砕き、氷柱による雨を降らせる。
『轟射(グランド・バレット)』 ランクSR
強烈な威力を持つ弾を発射する。
コンクリートや障壁程度ならば容易く破壊する。

82 :
チートなら仕方ない!

83 :
おお、マジでラストだ
スピネットも十分チートじゃねえかと思うんです
ついに終わるかぁ

84 :
14 Break!
カン、レン、スピネット、ユーフォニアム、バセットホルン、ヴィオローネ、イメルストレフが、サンジェルマンの下へ集まった。
「時間稼ぎにもなりゃしねぇ。何だあの三バカ大将は?」
「いいや。稼ぎになった。ここに、お前らを永遠に縛り付ける」
辺りが灰色で包まれる。
ドンヨリとしていて、カン達の周りの空気も重い。
どうやら、外界とは隔離されてしまったようだ。
「ユーフォニアム。打ち消せ」
「いいんですか? 聖なる領域では、みんなの『本当の姿』がさらけ出されてしまいますよ?」
「戦力に問題がないなら、良い。相手が有利になるのは気に食わない」
だったら、とユーフォニアムは白色のオーラを身に纏う。
「――『虚空の聖域(ホーリー・フィールド)』!」
「俺の目を見るなよ。――目が腐るからな」
ふと、イメルストレフが呟いた。
『?』
その意味が、その次の瞬間に分かった。

85 :
「吸血鬼? 地獄の王に改めた方がいいんじゃあないか」
つややかなロングヘアに清純な顔立ちの女は、今や異形の怪物と化していた。
「ベルゼブブか。アイツは嫌いじゃなかった」
全身、ねずみ色の皮膚に禿げた頭。目はトンボのように大きく、手は獲物を捕まえるための巨大な爪が生えている。さながら、ヒーロー物に出てくる怪人のような風貌だった。
「こんな姿を晒すのは何百年ぶりかな。――うわ、爪の手入れがなってないな」
「どんな姿であっても、イメルはイメルだ。そうだろ、みんな?」
レンだけが、その恐怖に憶することなく武器を構えている。
「そうだな。――今は、目的がある。アイツをブッ倒したら、精一杯お前に怯えてやる」
「おうよ。……でも、お化け屋敷だけには呼ぶなよ」
カン。
レン。
バセットホルン。
スピネット。
ユーフォニアム。
イメルストレフ。
全員が武器或いは邪鬼眼を構えた。

86 :
「やれやれ。相変わらず使えない奴等だったわけだ。消して正解だったかな」
カンとレンが飛び出し、サンジェルマンに斬りかかる。
「もう一振りあったら、崩せたかもなぁ」
その両方の剣を、綺麗に白刃取りして、奪い取る。
「「『所有者の証(リターン・トゥ・カイザル)』!」」
剣がカンとレンの手に戻ったところで、また仕切り直しだ。
「消え失せろ。『二色根元(ダブルインクルード)』!」
黒と白のうねりが真っ直ぐにカンとレンの元へ飛んでいく。
「『花霞・百花繚乱』! カン、レンさん、伏せて!」
波は二人の前で打ち消された。その後ろから、青色の光線と紅色の火の玉が飛んでくる。
「『空中分解・散』」
バセットホルンの技が弾け、サンジェルマンを空中に吹き飛ばす。
「ならば、そこから叩くのみよ!」
サンジェルマンはなんと空中を蹴り、バセットホルン達の居る方向に飛び出していった。
「みんな、避けろっ!」
「『無限遠方投擲』。受け取れ」

87 :
レンはカンの持っていた剣と自分の刀を、一気にバセットホルンの居る場所まで投げ飛ばした。
「キャッチ」
「負けねぇよ?」
バセットホルンがカンの剣を、イメルストレフがレンの刀を手にした。
「心の奥からの恐怖を引きずり出してやろう。『百発百中(レイン・レール)』」
大量の白銀色の物質が出現し、超高速で吐き出される。
「射撃で俺に勝負を挑もうなんざ、30世紀早いんだよ! 『銀弾の暴風雨(シルバーブレット・リアクト)』 ――あ、これはパスな」
イメルストレフは刀をユーフォニアムの方へ投げ渡すと、再び二丁の拳銃を構え、一気にぶっ放した。
「ターゲット、232発。――足らないな、全然。道端の石ころと戯れてる方が全然楽しいぜ」
正確無比な射撃が、相手のレールガンを一発一発捉え、正確に真ん中から吹き飛ばして無力化する。
弾切れしないのはお約束らしい。

88 :
「ユーフォニアム、刀を握れ!」
「ええ! ええ、ええっと……。こう、かな」
「持っているだけで邪鬼眼の威力を高める効果があるはずだ。そのまま、相手を打ち抜け!」
「はい! ――『反逆鳥・天地神明(ガルーデーション)』!」
大きく広げたユーフォニアムの羽から、『反逆鳥』がマシンガンの如く放たれる。
『百発百中』の弾丸は、反逆鳥とイメルの銃弾により見事に全てが相殺された。
「ぐうっ、猪口才な!」
そのサンジェルマンの逃げようとした背中を、レンは見逃さなかった。
「まぁまて、祭りは始まったばかりだぜ。――『狩猟豹の如く(バースト・チェイサー)』」
刀は、再び二人の手に戻っていた。
レンはカンの『神速』とは比べものにならない速さで、サンジェルマンの行く手をことごとく阻む。
「お祭りの主役が逃げるなんて、少々弁えがなっていませんね。――さてその貴方に、私たちからプレゼントがあります。――『無の嫡子(サンオブゼロ)』」
レンが、『邪鬼眼否定』と同じ黒色の邪鬼眼を光らせた。

89 :
14 Break! おわり

90 :
あぁついにラストバトルか……
熱い展開とは裏腹にどこか寂しい

91 :
もう惑星侵略出来るレベルの戦闘
レン一人じゃ勝てないの

92 :
15 七重奏
「貴様、あの時は力を隠していたな!」
「どうでしょうね。あんたお手製の牢獄の中で揉まれたら、自然とパワーアップしちゃったのかもな」
「バセット、どうした? 珍しく辛そうだぞ」
バセットが、肩で息をしていた。脱皮でもするのかもしれない。
「いや……大丈夫だ」
この聖なる領域が、不死者には苦しいのかもしれない。
「アイツは大丈夫。兄貴が負けるはずない」
カンは剣を構えた。
「俺も行く。もう、アイツの背中に目を背けるのは止めた」
「面白いことを教えてやろう。俺の攻撃に一度でもぶち当たると、お前の邪鬼眼は全部お釈迦。ノーリスクハイリターンってワケだ」
それは『邪鬼眼否定』と全く同じ効果だった。
――つまりは、『邪鬼眼否定』を昇華させたと言うことなのだが。

93 :
「今の俺の力では、あんなの不可能だ。ただでさえ『不和』を理とする邪鬼眼が昇華するなんて、天地がひっくり返ってもありえない」
イメルストレフはそう言うのだが、一体どういう経緯があったのだろう。
サンジェルマンは、その事を聞いても全く憶しない。
「だったら……一度も食らわなければいいだけの話だ!」
「『残骸爆破』『風神』……『竜巻(サイクロン・ストリーム)』!」
カンが放った三本の竜巻の柱が、一気にサンジェルマンを襲う。
「そろそろ、『聖天使の徳翼』の効果が切れます……! この空間がもたなくなったら、かなりマズイ事に……!」
「おうよ。だから、さっさと決める」
レンの目には、怒りや悲しみなどは無かった。
楽しみ――、なのかもしれない。
過去を知るカンにとっても、そんな表情を見るのは初めてだった。
いつも愁いを帯びた、何か大人びた表情。数年の年の差しか無いのがおかしいほどに、レンはいつも落ち着いていた。
「そう。お前はここに来た時点で、負けているんだ。何故かって? じゃあ逆に聞こう。『なぜ、お前はここに居る?』」
背筋がヒヤッとした。
まさかこの男は、そこまで計算ずくなのか?

94 :
「そ、それは……!」
「そうだ。正に全て俺の思い通り。お前の運命も、掌の上だ」
レンが華麗な抜刀術を披露すると、斬撃がサンジェルマンの身体を切り刻んだ。
サンジェルマンが吹き飛ばされて、壁に叩き付けられる。
「これは、一撃一撃に俺たちの思いが籠もってると思え……!『戦慄の七重奏(デストロイ・セプテット)』」
一撃、また一撃。
次々に飛んでくる斬撃の嵐が、サンジェルマンを砕かんとばかりに何度も何度も切り刻んだ。
『これが……兄貴の、本気……!』
レンは、今この瞬間も戦いを愉しんでいるように見えた。

95 :
15 七重奏 1/2 おわり

96 :
これは……フラグ!

97 :
聖なる領域に侵され、とうとう本来の姿が保てなくなったのか、サンジェルマンは泥人形のような本体を見せながら地面を這い、こちらに向かってきた。
「我ハ不滅……! 永遠ハ、常ニ我ト共ニ有リ……!」
急に、サンジェルマンを炎の壁が取り囲んだ。
「最後のあがきってやつか。下らない、本当に下らない」
「『凍結号令』!」
「『牙折打』」
その攻撃は、いずれも炎の壁に吸収されて消えてしまった。むしろ炎がますます燃えさかり、その攻撃は二度と通じそうにない。
「カン。俺の合図で、示した場所にお前の技をぶちこめ。……大丈夫だ、絶対に上手く行く」
レンが指をパチンと鳴らすと、周囲のアスファルトが砕け、次々にサンジェルマンに向かって飛んでいく。
「無力ナリ……! 哀レナリ……!」
その炎に触れたアスファルトは、なんと蒸発してしまった。
「水やドライアイスや0ケルビンのアイテムをぶち込んだところで、全く効果がないな。……ならば寧ろ、非科学的に道を開くだけだ」
レンはそう言って、炎の壁に斬りかかった。

98 :
「おらぁ!」
シュバッ、という音と共に炎が一瞬だけ無効化される。『邪鬼眼否定』の効果の賜物と行ったところだろうか。
すると、レンは奇妙なことをした。
熱さに耐えながら、その炎の壁と接している地面に、刀を突き立てたのだ。
「今だっ! この刀に向けて、お前の技を放て!」
その刀だけ、周りの炎が無効化されていた。そこに技を放てば、全てが向こうに届く!
「『天哭の四重奏(ブレイク・カルテット)』!」
四発の斬撃が、吹き飛ばされた刀と共に淡い青の光と炎を帯び、サンジェルマンをしっかりと捉えた。
炎の壁が無効化され、熱さが途絶える。
「この救いようのない悪鬼には、永遠と共に生きる術を与えてやるべきだな。……おい、お前ら。ちょっと俺の周りに集まれ。今から、こいつを封印する」
言われるがまま、6人はレンの元に集まった。
「邪鬼眼を同時発動で組み合わせる。シメは俺がやるから、失敗はない。よし、一人ずつやれ」
行っていることはよく分からないが、とりあえずやってみるしかない。
今は、それしかないのだから。

99 :
「邪鬼眼否定」
「凍結号令」
「花霞・百花繚乱」
「……、牙折打」
「神鳥一体」
「流星」
「――無の嫡子」
全員の邪鬼眼の光が集まり、一つに結集する。

「「「「「「「封印鉄鎖(シーリング・エターナルフォース)!」」」」」」」

光り輝く魔方陣が、サンジェルマンの真下に展開される。
そこから波が起き、それが中心を包み込んで飲み込む。
「コノ世ハ……全テ、我ノ手ノ中ニ……ィィィィッ!」

「永遠を求めるなら、死もまた一興さ」
レンが、寂しそうに言った。
そして、スポン、という間の抜けた音と共に、サンジェルマンと魔方陣は消え去った。

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