2013年17エヴァ64: もしもシンジとレイが双子だったら (325) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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赤木リツコの研究室 (460)
リツコ「ヴンダーよミサト」ミサト「ブンダー」 (189)

もしもシンジとレイが双子だったら


1 :2010/08/27 〜 最終レス :2013/09/20
つーか実際あの二人は兄妹(姉弟)みたいなもんだよね

2 :
おいおい
キメラとシンジさんを一緒にすんじゃねえよ

3 :
お互いのことなんて呼び合うんだ?

4 :
シンジのことを「お兄ちゃん」って言うレイはアリ?

5 :
一卵双生児は性は同じです。顔も似ています。
一つの卵子が何らかの原因で二つに分かれたものですから。

6 :
そんな当たり前のことをドヤ顔で言われても

7 :
_   _,. へ_/| /  ヽ        j |  ヽ _____
  ``<_三三ミニァ  〉       〈  | r'´∠ -─┴ '´
    \ `ヽ、_」 , - ─‐-- ─- 、 r<_/
\   、 \ _ムィ 一/⌒ヽ、ー‐- `ヽ、」  /´     /
 ハ     ̄/       /            \∠    /
/ 厂 ̄7/       |         、       マ辷 ´
 /   //   /    |          !   \     ト、\
/   // j   / / //|        | |    ヽ   |  \
j  // |   | | ||i!     / j ||| ||   !    ヽ
i| /  |   | | | | iト、   // //||| |!||  |    !
|レ|!   ヽ  | 「 T十r-ト、 〃 /i/ |/|/!/| |il |  |    |
| ||    ヽ | r〒テヾ、!ト、  /フー十|十!「|ij | ,イ     |
| i!     | ヽソ トィン:}   ヽソ  ===ミ、/!_|/ノ       | >>1
| i!     ヽ _|ハ┴''┴    、       /├ '        |  あんたイカぁ?
ト||  , -──‐|ハ    rv──‐ァ     /|├-─- 、    !
i |/       | || ト、  ヽ    /   /{| |      \  |
||         ! |!┤ \  、__ノ  /   j ハ      \|
トiハ      /ハヘ |   ` ‐-‐ ´    〃 | |      j
 ! |!    /  トト! ! \     /  /|_j.」      i /
 | | __   `フ┬‐く   \   /  /   |    ,    |/
!| !イ`ヽ / |  \       /    |  / \  レ /
|| ||   レ′     ` ー--‐ '´         V   `y /
ハ|  ||  ィ′     、 `ー一   /       |    //
∧ ||j!   |       ヽ      /       |    /   /
! | ll |  |                      ,   /   /

8 :
レイ「お兄ちゃん、わたしのお弁当にお肉入れないでって言っているのに‥‥」

9 :
レイ「お兄ちゃん、わたしが寝てるときぱじゃまめくっておかずにしないでって言っているのに・・・・」

10 :
シンジ「夜中に僕の布団に潜り込んでくるレイがいけないんだろ」

11 :
>>5
一卵性双生児で男女という事例、リアルでも存在してます。ものすごくレア
(出会ったら学会発表もの)ではありますが。

12 :
世界に5組くらいいるらしいな

13 :
チン毛が生え始めたので一緒にお風呂に入るのを拒否るシンジ

14 :
うむ。双子だと、ヒロインはアスカだけになるから丸く収まるな。
おまいらの不毛な争いもなくなる。

15 :
シンジの恋人役としてのヒロインは明らかにアスカだしな

16 :
双子で近親相姦に走るに決まってるだろ

17 :
>>13
レイはなんか無頓着そうだから「なぜ一緒に入らないの?」とか言ったりして

18 :
むしろ先に生えてくるのはレイの方だろ

19 :
ヨスガノソラ

20 :
>>11
手順は
排卵→卵子分裂→とある理由により二人の男の精子が→それぞれ卵子に突撃
ってこと?

21 :
テスト

22 :
>>20
卵子の分裂は受精してはじめて開始だからそれはないよー

すみませんが、ここ人がいないようなので失礼します。
ずっと昔(5年近く前だ…)エヴァ板に投下したネタをここで完結させたいと思います。
遅れたのは 就活→引っ越し→卒業制作→就職 の流れのためでした。
当時読んで感想とか書いてくれていた人がもしここを目にすることがあったら、
あの頃は本当にありがとうございました。
とりあえず前スレは
 thirdchildren -霧亥-
   http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1127448659/
 
 玉依シイナがミサトそっくりな件について
   http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1157685881/

では少しの間、スレをお借りします。

23 :

戦闘終結より数分。
荒廃した『ジオフロント』、すなわち『南極』に続く第二の超構造体(メガストラクチャー)内部空洞の全景。
破壊は周辺数階層分の平盤と周壁にまで及び、一帯に点々と散らかった珪素生物戦闘体の残骸が
廃工場群のように黒煙をあげている。焦土と化した旧『第三新東京市』市蓋区画の最外縁では
戦略自衛隊(JSSDF)の生き残りが、撤退と並行して状況の観測を続けている。
大量の瓦礫と、硬化堆積物の破片と、濁った重油と鉱滓と。さまざまな廃物の上に熱塵が黒々と渦巻き、
変わり果てた景観を多重の幕で覆っては薄れることを繰り返す。
空電のざらついた沈黙が辺りに満ちている。

24 :

熱硬化したジオフロント堆積層の中心に、人の持てる限りの技術で封塞されたネルフ本部施設が
傷つき汚れた姿を晒している。周辺は熱と衝撃による大規模な摩耗痕で浅い峡谷になり、林立していた
補助設備群はあとかたもない。
戦自の爆撃で露出した超構造体(メガストラクチャー)のみが、傷ひとつないなめらかなプレート面を見せている。
中央、巨大な円形の開口部が底深い闇を湛えている。
穴の傍らには、自ら屠った珪素生物の屍骸の山に囲まれ、エヴァ弐号機がひざまずいた姿勢で休止
している。四つの眼をもつ頭部の先には、堆積層の稜線上で同じく片膝をついて静止した姿がある。
エヴァ初号機。
損傷の激しい装甲に代わり、変容した黒い素体組織が硬質の光を放っている。背甲部は隆起して
巨大な外部端子の基部を形成し、伸び出した黒い電纜が九本、物理制圧された量産型エヴァ
九機の装甲の下に潜り込んでいる。
初号機を中心にした不揃いな機体群の輪を、導索条を通じて青い電光が縫う。電視技師級の目を
持っていれば、圧縮された電子標示が周囲に明滅するのを捉えることもできる。
巨大な電磁効果が機体群のシルエットに重なって脈動する。
プログラムは既に展開され始めている。

25 :

施設内自家発電の、いくぶん輝度の違う照明が第二発令所の諸構造を浮かび上がらせる。
幾層かに分けられた橋体のうち、最上階の司令卓はもはや人影もなく暗い。今ここを動かしているのは、
その下の主管制階である。主卓の三人を中心としたオペレータらは外部端子で各コンソールと硬脳電結し、
スクリーンを流れ落ちる表示を視覚で追うことなく、高速で処理を続けている。
彼らの背後に立つのは、ネルフ副司令冬月コウゾウ、作戦部長葛城ミサト、そしてE計画主任科学者
赤木リツコ。それぞれに口をつぐんだまま、主画面に大きく映し出された初号機を注視している。
『初号機と、エヴァシリーズ各機の同調完了』
『エヴァシリーズ、全システムは初号機を主核として安定』
補佐オペレータの声に続いて、主画面下部を覆う複雑な巨大電相模式像とその解読図が変化する。
初号機とエヴァシリーズが形成する統合ハードウェアをいわば電子の眼で見た、この状況のもうひとつの視点
である。精密な情報複合体の中心は、むろん初号機およびその現在の搭乗者の情報構造そのものである。
無音の電子協奏を見上げたまま、ミサトは一方の足から他方へ体重を移しかえる。
「…碇司令を疑うわけじゃないけど」
両肘を掴んでいた手を片方放し、軽く曲げた指で唇をかすめる。
「本当に、信用できるの? あのエヴァシリーズを」

26 :
変わり果てた初号機とともに映っている九体の量産型エヴァ。集積蔵跡を利用した極秘施設で建造され、
試験稼働でその一帯を破壊しつくしてジオフロントに飛来した、パイロットの搭乗を前提としない、人類補完
計画遂行の一翼を担う人造ネット接続機。特定の意思に統御されないそれらの並列起動は、そのまま
セーフガードの大量転送(ダウンロード)、つまり階層居住圏の壊滅を意味する。〈ゼーレ〉の終末シナリオに
織り込まれたそのカタストロフは、彼らにとって〈サードインパクト〉と呼ばれる事象の一端に過ぎない。
ミサトの近傍の席に坐るオペレータが、顎を突き出すようにして斜めに振り返る。
「心配ないですよ。システムは完全に制圧されてます。
 ま、相当に無理な接合ですが、初号機の増設ハードとしてあれ以上のものは望めませんからね。この際、
 贅沢は言えませんよ」
日向の言葉に頷きつつ、冬月の顔に刻まれた厳しさは晴れない。
「…この上、委員会が何か仕掛けていると思いたくはないがね」
「念のため、MAGIによる電相監視は続行中です」
別の主席オペレータが長髪を払って端子をさらに一つ側頭部に差し、素早い指さばきでコンソールを叩く。
やがて主画面下の情報像はおおまかに統合され始める。
『初号機、接続相を形成完了』
『第一から第二十五までの予備電子界を、MAGIの監視のもとで並行検証します』

27 :
『MAGIの管制レベルを最終調整』
『検証終了。接続予備シークエンス開始…問題なし。進行中』
管制主席に坐るうちで唯一の女性オペレータが、ひととき情報流から眼を上げて感嘆する。
「初号機、MAGIの最終検証をクリア。すごい…エヴァシリーズとの論理誤差まで、自力で統合してます。
 さすが、碇司令ですね」
口にしてしまってから、伊吹は背後のリツコを気にする。
答えはない。
青葉が肩をすくめ、日向が口を挟む。
「史上初のエヴァ接続者は伊達じゃないってことだろ。俺たちはせいぜいフォローに徹するだけさ」
ミサトが視線を走らせる。明滅する表示の明かりの中、リツコの表情に変化はない。
青葉があえて平板に告げる。
「…階層閉鎖システムへの再接続準備、完了しました」
リツコが初めて唇を開く。
「了解。
 始めましょう。階層の主システムへ、アクセス開始」
発令所に一気に緊張が高まっていく。
主画面の中で、初号機の躯体を駆け巡る電光の束が閃光を放つ。

28 :

超構造体(メガストラクチャー)内部の闇。
累々たる巨大な珪素基系の屍骸を潜り抜けるようにして、霧亥、惣流・アスカ・ラングレー、綾波レイは
珪素生物らの侵攻経路を逆方向に歩いていく。
円形の開口部は頭上に遠ざかり、荒廃した通廊や剥き出しの足場は黒い塵灰ばかりに包まれている。
開口部からの明かりとともに、観測インプラントに感じられる階層居住圏の通常電磁放射も薄れていく。
周囲の闇を占めるのは、幾列もの導管や隔壁のほかは、用途も知れない構造物の塊ばかり。
「なーんにも動いてないのね」
好奇心半分、苛立ち半分でアスカがこぼす。声は雑然とした暗がりに吸い取られるように消える。
「まだ、動力切られてるから」
まっすぐ前方を見つめて歩きながら、レイが答える。
レイの身体は、先ほどの戦闘のまま、大半が珪素基系の機構で再構成されている。全身を覆う黒い装甲の
なかで、わずかに顔が白く浮かんでいる。知らず知らず彼女の身体を注視していた自分に気づき、アスカは
強い自己嫌悪を覚える。
「碇司令と初号機が、この階層の内部システムを再起動できれば、一時的に機能すると思うわ」
思わずアスカは聞き返す。
「一時的、って…」

29 :
レイは振り返らない。
「ネット端末遺伝子を持つ人間の、正式な命令じゃないから」
「…そう、よね。あたしたちはみんな、変異した染色体しか持ってないもの」
アスカはプラグスーツに覆われた自分の手のひらを睨み、強く握って顔を上げる。
ジオフロントからの距離が増すにつれ辺りの電磁的沈黙は厚くなっていく。古い空気の裾に塵が舞い上がる。
二人の前を、霧亥は無言で歩いていく。階層居住圏で生産されるものとは全く異なる規格のスキンスーツは、
先の戦闘で負った損傷をほぼ自己修復してしまっている。右手には黒い矩形の銃が握られている。
重力子放射線射出装置。同じ重力子で構成された障壁を除き、あらゆる物質と空間を貫通する威力を
持つ武器である。この階層でサードチルドレンと呼ばれる以前、霧亥はこの銃を手に都市構造体を旅する
探索者だったと、今ではアスカもレイも知っている。
ふと、霧亥が足を止める。
ぶつかりそうになって文句を言いかけ、アスカが真顔になる。
「…もしかして、始まるの。再接続が」
霧亥の背中は動かない。
やがて振り向くことなく、歩みを再開する。

30 :

ジオフロント中央。
あるいは腹部を潰され、あるいは腕をもがれたエヴァシリーズ九体に囲まれた初号機。
周辺にはエヴァシリーズに繋がれたものも含め、大量の黒い導管束と電子機関群が展開されている。
突然、輪の上空の大気が密度を増す。
蒼白い閃光が弾けるように焦土を縫う。
放電は堆積層の隆起と周壁を越え、灼けた平盤を拡がり、騒擾する暗闇を抜けて彼方の都市構造に達する。


31 :

発令所の活気は緊張を帯びて高まっていく。
『接続シークエンス開始』
「接続開始。主導権をMAGIから初号機に移譲します」
青葉がめまぐるしく変転する情報をさばき、電相像を整理する。幾つもの標識が主画面にまたたく。
初号機を示す複合表示に対峙するもうひとつの巨大な電相が、ふいに情報流を受け入れ始めた。
「階層主システムの応答を確認。認証が始まっています」
日向の報告を受け、ミサトはぎゅっと両肘を掴む。
「どうやら門前払いはくわずに済んだみたいね」
「わからないわよ」
振り返ったミサトに、リツコは首を振る。
「むしろ、ここからが本番だわ」
両手を無造作にポケットに突っ込んだ姿に、階層居住圏始まって以来の成功の興奮はかけらもない。
「階層システムの、予備電子界。
 未だかつて、私たちが…階層居住人類の技術が到達したことのない、未知の領域、よね」

32 :
「そう。
 これまで、単なる居住者である我々からは一切隠されてきた、この階層の主統治システムの稼働領域。
 この先を知っているのは、11年前に初号機で接続を試みて戻ってきた碇司令、ただ一人よ」
リツコは無表情に語る。
「以降は、初号機からの直通回線に同期してのオペレーションとなります」
傍らの席から、伊吹がさりげなく説明を添える。
ミサトはうなずき、目もとをわずかに引き締める。
碇司令。
11年前の、事故に終わったと公表された初号機での接触実験をリツコが『成功』と呼ぶ理由、そして
そのとき自ら被験者を務めた碇が、今、サードチルドレンに代わって初号機に乗っている理由。それは
恐らく同じものであり、答えは碇本人しか知らない。
オペレーション段階の進行にともなって、主画面の映像は変化していく。


33 :

ジオフロント堆積層深部に建造された、超長期型の完全循環系をもつ密閉型シェルター。
完全閉鎖された直通エレベータの外扉の前に、重武装の加持が佇んでいる。
内部に旧第三新東京市や近郊の住民を保護して、高い装甲壁がそびえている。ちょうど加持の頭上あたりに
古い文字列が並び、摩耗した影を落としている。
仰ぎ見て加持は微笑する。
「これが、本来の第三新東京市、か」
手にした煙草の煙が揺らぐ。遠景のエヴァシリーズは電磁効果を過密加速し、震動が足もとまで伝わってくる。
「かつての要塞都市でも、ネルフ本部でもなく、この生命保存シェルターこそが整備計画の核。
 世界再建の要、人類の砦…本当にその名の通りにならずに済めばいいんだが」
加持は煙草をもみ消し、扉を離れて歩いていく。単身でも都市空間を縦走可能な重スキンスーツと数々の
携帯装備、両脇に吊るされた武器。硬質化した起伏を踏み越えていく加持の周囲に、やがて数人ずつ
同様の重武装に身を固めた姿が合流してくる。みな大きな仕事を終えたあとのように、妙にさっぱりとした
表情を見せている。これが最後の出立になるというのに、悲壮な影はみじんもない。
何人かが加持に不敵な笑みを向ける。
「済んだか?」
「ええ、全ての外部進入口のロックを確認しました」

34 :
「発令所下の最後の緊急ルートだけは構造上残ってますが、シェルター周辺に大規模な震動や火災が
 感知されれば、それも自動的に遮断されます」
「俺たちの街はこれでそっくりこの中におさまったってわけですか」
「現時点で望みうる限り安全に…と、願いたいっすね」
いかにも気楽そうなやりとりに、加持は笑う。
ともに歩く元ネルフ保安部、警備部、諜報部の面々も笑っている。
「これで、外にいるのはよっぽどの物好きだけになったってことですよね」
「覚悟を決めたって言ってくれよな」
硝煙をあげる堆積層と、珪素生物の残骸をあとに、発掘できた限りの古い技術時代の武器で身を鎧った
人々は歩いていく。彼らの頭上、破れた装甲天蓋ごしに都市構造体の闇が開け、そのさらに遥か上方には、
確実に近づく終局を未だ知らない階層居住圏が広がっている。
「覚悟ねえ。安全に隠れて生き延びるチャンスをふいにして、他の都市に手助けに出向いてくなんて
 やっぱりただの物好きと違うか」
「どうせなら英雄願望と呼んでくれい」
加持は笑う。人々は笑う。焦土を踏みしめて歩いていく。
まずは、撤退しつつも明確な目的を見失っているJSSDF残存部隊へ。そして、協力を要請して彼らと合流し、
唯一残った数条の軌道車輌に分乗して、階層居住圏の各都市へ。砦に入れなかった人々のもとへ。
わずかに傾いで疾走を始めた軌道車輌の窓から、加持はジオフロントを振り返る。最後の一瞥に乗せて呟く。
「やっぱり俺はこういう性分らしい。そっちを頼むよ。
 すまないな、葛城」


35 :

近隣三十七小層におよぶ大居住区をまとめる都市連結体、『第二東京』。
セカンドインパクトとその直後の動乱がおさまったあとに整備された、高度に効率化された重層居住区が整然と
組織されている。
中央区画、第二東京駅。
人々の行きかう広大な駅舎を横切って、旅装の相田ケンスケが走ってくる。
鈴原トウジが手を挙げて迎える。
ケンスケは駆け寄り、息を切らして大儀そうに頭上の電光掲示板を仰ぐ。環状軌道線の運行情報が
幾つかの言語に切り替わりながら表示されている。
トウジも付き合って見上げ、苦笑いした。
「なんや、久しぶりに会ういうのに遅刻かいな」
ケンスケは眼鏡を直して汗をぬぐう。
「悪い悪い、やっと席を確保した急行が、途中で止められてさ。戦自車輌の通過待ちだよ」
「そんなんお前なら迷惑どころか大喜びやろ」
トウジがおおげさに呆れ顔を作り、ケンスケはにやりとしてカメラのおさまった鞄を叩いてみせた。
「…ま、とりあえず、元気そうで良かったわ」
「お互いにね」

36 :
うわあ。あげてるし。すみません。

37 :
周囲を首都の喧騒が通り過ぎていく。人波をさけて歩きながら、二人は手短に近況を伝え合う。
「委員長は?」
「なんや親戚のツテ頼って、東北の方に越してったで。やっと落ち着き先が決まっていろいろ忙しいらしいわ」
「そっか…いまだにこの辺でうろうろしてんのは、俺たちくらいか。
 他のクラスメートはみんな、俺たちよりずっと前にさっさと疎開しちゃったしなぁ」
「してへんヤツもおるけどな」
なにげない声の硬さに気づき、ケンスケは黙る。
広場の天井付近に設置された巨大な電子画面に、今日のニュースが映示されている。途切れた会話に代わり、
なんとなく二人が見上げる。画面内ではお天気お姉さんが各地の電磁波変調予報や、〈山間〉部の建設者
移動情報を解説している。平時と異なるのは、画面下に政府広報の帯が時おり小さく流れることくらいである。
「…どうなっとんのやろ、第三新東京市」
ケンスケは首を振る。
「わかんないよ。完全に情報統制されてる。パパの端末こっそり見ても、もう一切情報が来てないんだ。
 現地も、政府関係者以外は進入禁止らしいし。噂も伝わってこないよ」
トウジはこぶしを握る。
「わかっとるわ、そんなこと。どうせワシらには、できんことの方が多いんや」
「…そうだな」
しばらく二人は黙りこむ。頭上では重力野球の試合速報が流れ始める。
やがて、二人はお互い気遣うように笑みを浮かべる。
「…今度は、こっそりドンパチ覗きに行くわけにはいかへんで」

38 :
て言うか、遺伝子レベルではシンジの妹であり母親でも有るんだろ

39 :
>>38
ゲンドウの遺伝子が入ってないから妹ではないんでないか

40 :
「何言ってんのさ。行きたいのは、トウジの方だろ」
「うるさいわい」
広場の入り口には、大きなアーチの上を埋めるように軌道車輌の都市間交通網模式図が明滅している。
第三新東京市を示す点は赤く変わり、市方面に向かう全経路が〈全線運行停止〉の表示で塗り潰されている。
無言で睨みつけたまま、トウジとケンスケはただ立ちつくしている。
〈閉鎖階層〉≧階層居住圏。
記録も残されていないほど古い時代、一つの階層の機能がネットスフィアから切り離され、ネットの恩恵を
受けない代わりに、セーフガードの渉猟から内部の居住者たちを隠した。また、超構造体を物理的・電子的に
閉鎖することで、都市のカオスに住み着いた珪素生命から居住圏を守り通すことにも成功していた。
混沌とした巨大都市構造体の片隅で、居住者たちは自分たちが孤立していることすら知らずに、階層内部で
完結した生存を享受してきたのである。
一世代前、古代の堆積層から発掘された記録媒体によって、人々は自分たちの置かれた状況を知った。

41 :
すみません。底辺でひっそりやろうと思ってたのに。
終わったらスレタイに合ったこと何かやります。ご勘弁ください。

42 :
外部の脅威を知らない世代は、階層の外に信号を発信してネットスフィアに復帰しようとした。それは階層の
主システムの使命と衝突し、階層は、通信に使われた『南極』周辺をシステムダウンさせて実験を阻止した。
周辺の都市は完全に機能停止し、また中核部の大爆発によって階層社会は大混乱に陥った。十年以上の
時間を消費して一部が旧に復したとき、人々はその惨事をセカンドインパクトと呼び、以降、外部への通信や
階層システムへの接触は第一級の禁止技術となり、関連した知識や古代記録は機密となった。
しかし、人々には想像もつかなかったことだが、階層主システムの活性化は付近を移動していた珪素生物の
注意を惹いた。その支族は閉鎖階層を見つけ、長年死んでいると見なされていた超構造体の開放を試みた。
珪素生物の技術は充分に高度なものであり、階層が開かれるのは時間の問題だった。
階層主システムは、内部生存圏を守るため、電子侵攻を強引にシステム内部へ引き込み、汚染された端末を
封鎖して焼き切った。接続機に侵入した珪素生物のプログラムは強制的に内部空間に転送(ダウンロード)され、
外部制御を断たれて自走を始めた。
かくして、階層居住圏に使徒が襲来した。


43 :
>>39
父親が違っていても妹は妹だ

44 :

「双方向回線、開きます」
主画面のなかで、エヴァシリーズを率いた初号機の像と、階層主システムを表わす巨大な情報構造との
あいだで電子索はますます密に絡み合い、膨大な情報が交換されているのがわかる。
「初号機は全電子予備界を階梯遡上。主構造との接触までヒトマル」
「MAGIによる検証、全てクリア」
「正シークエンス、進行中」
スクリーン群で変転する表示の明かりに洗われながら、ミサトはいぶかしむ。
初号機の情報構造のなかで、搭乗者の信号はまるで機体に融け込んでいるかのように稀薄である。
それに初号機からは必要データが提出されるだけで、搭乗者からの通信は一切行われていない。
あのなかはどうなっているのか。
だが、あえてその疑問を口にできる者はいない。

45 :
  閉鎖階層内部の安定した環境で生きてきた私たちは、世代が進むにつれて多くの技術や
  身体機能を失ってきたの。私たちは今の身体では完全にはエヴァを起動させることはできない。
  情報インターフェイスとしてのエヴァを使うには、幼少時に身体改造によって脳の再艤装を行い、
  多くの擬似人格で補助を行う必要があるの。
  それが適格者(チルドレン)。エヴァに乗れる人間が限られているのはそのためよ。
「選ばれた、あるいは仕組まれた子供たち、か…」
以前、リツコが語ったことをミサトは思い出す。リツコはかつてセントラルドグマの深部施設で、エヴァと人間との
より現実的な接続方法を研究し、失敗している。唯一実用に堪えたのがのちのダミープラグの技術である。
人間を適格者にする研究はエヴァの建造と並行して完成されたはずである。つまり、碇司令がエヴァに乗れる
はずはないのだ。本来ならば。
実際、十一年前の接触実験で自ら被験者を務めた碇は、そのとき、一時的ではあるが重大な人格・情報の
混濁を受けたと記録に残っている。
が、事故と公表されたその実験の結果を、リツコは「成功」と語る。そして現に今、碇は初号機に乗っている。
ミサトは未だ何も知らない自分を意識する。
あのなかで彼はどうなってしまっているのか。

46 :
しいて想像しまいとしていても、気がつけば視線はいつしか画面内の初号機に戻っている。
思考を新たな報告が中断する。
「初号機、主システムに接触します」
すべての人間が一斉に主画面を見上げる。
後方で、ぽつりと冬月が呟く。
「碇。本当に、これで良かったんだな」

/
建築構造とも有機組織ともとれる巨大連続体のそびえる非空間
漂う碇の仮想身体
周囲を取り巻く変動情報の断片が電子塵となってきらめきながら継時崩壊していく
微速変相する自分の仮象を立て直す碇
一つの方向を見定める
/断線感覚もなく移相する風景
近くにある明るい群果状の動力制御アイコンを軽く叩く碇
/

47 :

「あ、点いた」
真っ暗な通廊の先で、古い搬送軌道の制御卓が表示灯を点滅させる。
霧亥はさっさと移送台座に乗り込む。レイがアスカを無言で促し、あとに続く。
「ほんとに動くの?」
「ああ」
霧亥は顔もあげず制御盤をいじる。いくつかの表示が映し出される。
移送台座の手すりに寄りかかり、アスカは錆びつき塵の層に覆われた走路を不審げに見おろす。
「…ちゃんと走るんでしょうね、これ」
レイは首をかしげる。
「レールの状態に依存するから、どのくらい時間がかかるかは不明ね」
アスカはげんなりした顔で手すりを離す。
「ま、徒歩で行くよりはマシか」
がくんとひと揺れして、移送台座はプラットホームを離れる。風が起こり、軌道の両側の暗闇が高速で
流れ始める。
霧亥を先頭に、三人は行く手の古い走路の彼方を見据える。

48 :
>>39
え? だって父親も何も、母親のクローンなんでしょ?
(すこし人外要素が混じってるだろうが)
シンジから見たら母親×2にはなっても妹にはならんのじゃないか

49 :

広い発令所のなかが急に明るむ。
初号機からの送信画面が変転し、風景らしきものが映し出されている。
重なり合うさまざまな構造体の絡み合いが擬有機的な景観を作り出し、微光の大穹隆が遥か彼方の
黒い仮想地平まで続いている。
見知らぬ眺望に、人々が嘆声を洩らす。
「これって…?」
ミサトが圧倒された表情で呟く。
コンソールを流れるデータを瞬時に判読し、伊吹が答える。
「初号機を中継した、階層主システムからのリアルタイムの信号です。
 おそらく、今接続している碇司令の、電子身体の擬似視覚、そのままだと思われます」
同じくデータを処理しながら、青葉と日向も興奮を隠せずにいる。
「予備電子界の風景、ってとこか…」
「すごい…成功、なのか?」
一人、リツコだけが無表情を変えずにいる。ミサトが振り返る。
「でも、これだけじゃ何がなんだかわからないわよ」

50 :
「そうね。まずはシステム中枢に当たる部位を特定しないことには、何もできないわ」
日向が落胆に近い表情を見せる。
「この広大な情報領域を捜し回るわけですか…?」
「まるで、未踏査区域を探索する探検家だな」
青葉の述懐に、冬月が苦く笑う。
「探索か。ここはサードチルドレンにコツを教示願いたいところだな」
ミサトが組んだ腕をほどき、一方の手を腰に当てる。
「…で、そのサードチルドレンは?」
「再起動中の、超構造体の測位システムが位置を捕捉してます。現在、内部空洞の奥を移動中の
 ようです」
「アスカとレイも一緒?」
「みたいです。古い搬送施設を起動させて使ってますね」
リツコが初めて嘆息する。
「…もうそこまで機能掌握しているのね。碇司令は」
画面内では、ところどころ不鮮明ながら確実に表示部分を広げていく超構造体内部地図と、
同じく写像されてゆく精細なシステム経絡の描画が進行している。

51 :
>>48
宇宙人の人間のハーフだよな。
ちなみに、カヲルはミサトの子供でイイんだよね

52 :
三人がたどっている経路を見、ミサトが目を見開く。
「待って、この方向ってまさか、さっき重力子放射線で消却されたあたりを目指してるの?」
「はい。ですが、先に現れた使徒らしき物体は、既に活動停止している模様です」
日向が問題の座標を拡大表示する。青葉が走査地図を追加する。
「周辺に、ATフィールド、または侵入対抗電子空間の痕跡は検出できません」
「確認できる限りでは、珪素生物の反応は皆無です。
 …やはり、先に現れた、使徒と思われる個体の撃った重力子放射線で殲滅された可能性が
 高いですね」
「あの大群を一撃で殲滅か…同所にいたセーフガードとおぼしき戦力も、かね」
冬月がやや厳しい表情で確認する。青葉はうなずく。
「間にある超構造体の遮蔽効果のため、走査野の一部が不鮮明ですが、恐らく」
「…そうか」
ミサトは再び主画面を見上げる。
「第拾四使徒…一度ここを襲い、初号機が倒した、唯一の重力子放射線射出装置装備型。
 それがなぜ、私たち階層居住人類の味方を?」
日向が画面内の初号機を一瞥する。
「碇司令が、階層システムの記録から直接ダウンロードして使ったという可能性は?」

53 :
伊吹が小さく息を吸い込む。
「そんな…確かに、今の初号機なら不可能じゃありませんけど」
「いや、それはないさ」
青葉が首を振る。
「使徒が攻撃を行ったのはただ一回、初号機がエヴァシリーズを制圧する寸前だけだ。その時、
 碇司令はシステム外縁に接触してもいないはずだ」
「そもそも、使徒を形成するだけの、都市から独立した大容量ハードウェアは、過去の使徒襲来で
 すべて使い捨てられてるわ。今さら、どうやってそれだけの器能体を用意したの?」
ミサトは日向の肩越しにコンソールを覗き込む。
「対象が活動停止してるとして…霧亥君たちは、使徒を確認しに行ったのね?」
「それとも、超構造体の先を見に行ったのかもしれんな」
冬月の言葉に、一瞬全員が沈黙する。
「『外』、…ですか」
ミサトが呟く。この階層内部だけを世界として生きてきた彼らにとって、『外』は深宇宙にも等しい。
冬月は疲れた目を画面内の初号機に向け、静かに溜息をつく。


54 :

劣化した軌道に火花を散らし、搬送台は暗闇の底を疾走する。
「ネット球(スフィア)は、人のために作られた器。
 世界の上に綴られた、もう一つの世界」
レイは珪素基系の甲冑に覆われた黒い細い手を、手すりに軽く置いて立っている。
「高度に成長していく間に、それは利用者を選別するようになった。
 そのためにあるのがセーフガード。
 その存在理由は、ネットスフィアの基底現実であるこの都市から、正規のアクセス能を持たない
 不法居住者…すなわち、ネット端末遺伝子を持たないすべての者を、ネットへの脅威と見なし
 排除することにあるわ」
耳を傾けるアスカの長い髪が真っ暗な空間に激しくなびいている。
「要するに、ネット端末遺伝子のない人間は皆殺しってことでしょ?
 だから本来なら、〈厄災〉で正常な端末遺伝子を失った私たち放浪世代(ディアスポラ)に、生きのびる
 可能性はなかったってわけね」
アスカは掴んだ手すりをかたく握りしめる。
「その私たちずっとかくまってくれてたのが、この閉鎖階層。
 だけど、いくらネットに繋がってないからって、物理的座標を特定すれば直接仕掛けることができるわ。
 連中にはハードウェアの強制走査権みたいなもんがあるんでしょ? それに、同じようにセーフガードからの
 隠れ家を必要としてた別の不法居住者も、ここを狙い始めた」

55 :
>>51
オイオイどっから出てきたのその話w
ミサトが南極調査隊にいたからって、アダムにダイブした遺伝子
とやらがミサトのもんだとは限らないと思うが

56 :
「珪素生物。ネットのカオスから生まれた、都市の寄生者たちよ」
アスカは手すりを放し、両腕を支えによりかかる。
「使徒形成は、連中のハッキングを強制終了させるための、階層防衛機構の捨て身の切り札ってとこね。
 正規の救援を要請できない階層が取れる手は、それしかなかった。…ちぇ、つまるところ私たち、今まで
 ひたすらバグ取りに精出してたわけか」
レイは少しだけ振り返る。
「私たちは使徒を全て倒してしまった。もう身代わりの代償はいないわ」
けげんそうにアスカが反駁する。
「全てじゃないわ。この先に、また現れたじゃない。忘れたの? 今、私らはそれを確かめに行くのよ」
レイは答えない。
アスカが見つめるなか、レイは黒光りする自分の手の甲に視線を落とし、やがて、再び顔を上げる。
「…ネットの法と、カオス。どちらが勝っても、人は生き残れないわ」
アスカは溜息をつくと、くるりと身をひるがえして、手すりに背中を預ける。はためく髪が表情を隠す。
「着いたら、ちっとは説明、あるんでしょうね」
走査卓の前で、霧亥は銃を握り締め、無言で前方の闇を見据えている。
やがて視線の先、真っ暗な走路の彼方に、終着点とおぼしい標識灯がかすかに浮かぶ。

57 :

ジオフロント。
辺りにたちこめる熱気の靄は少しずつ薄れ始めている。
不動の初号機を囲み歪んだ円環を作って擱座しているエヴァシリーズ。青い電光が輪を走り抜けている。
計十体のエヴァの演算器能が融合され、かつて人がなした全てを超えて急速に出力を増大させていく。
中心で、初号機の両目は炯々と光を放っている。
/
無限に交錯する情報複合体の中を漂う碇
/の仮象身体をその内に含む初号機の情報構造
巨大な双眸の仮象で表わされる走査体系が膨大な情報景観を見渡す
システム融合した全てのエヴァを制御し、一直線に目的地に向かう碇
その個有情報構造は徐々に初号機に取り込まれつつある
領域検索を続けるうち、しだいに経絡が絞られてゆく
初号機の眼で仮象地平を見据える碇
/の前で風景が一変する
闇の中にぽっかりと浮かんだ高い城門
古風な門扉は堅く閉ざされている
周辺にゆるやかにわだかまる破損キャッシュの霧
大扉の前に佇む碇
/

58 :

超構造体外縁部。
内部通廊の先はぽっかりと開けた外側の空間に続いている。
休止中の超構造体の沈黙を通して、馴染みのない電磁効果がかすかに伝わってくる。
アスカはリフトから降り立った姿勢のまま、最後の外壁の向こうから目を離せないでいる。一瞥し、
霧亥はためらいなくアスカを追い抜いて、超構造体の向こう、禁じられた『外』へ歩き出す。
アスカが慌てて声を尖らせる。
「ちょっと! 何考えてんのよ、そっちは『外』でしょうが!」
霧亥は振り向きもせず歩いていく。
アスカは躊躇し、足踏みし、かぶりを振って、結局走って横に並ぶ。
相変わらず足取りを緩めない霧亥の右手は、固く銃把を握っている。
霧亥はアスカを一瞥する。
「別に外には出ない」
「じゃ、他に何があるのよ。再起動が成功するとして、それまで待たないと、私たち、セーフガードに
 ナマで見つかる人間第一号になっちゃうでしょうが」

59 :
まくしたてるアスカの少し後ろから、レイが唇を引き結んでついてくる。
霧亥は少し肩を怒らせる。
「…使徒を確かめる」
アスカが呆れ顔になる。
「それはわかってるわよ。だから…」
「できるだけ、こちら側から観測できる地点を探しましょ。まだ危険だわ」
レイが後を続け、アスカはわが意を得たりという顔をする。
「ほら、優等生もこう言ってるんだし。わざわざ最前線に突っ込むことないわよ」
霧亥は答えない。
無言で分厚い灼塵を踏み越え、外壁の隙間に出る。
レイは黙ったまま立ち止まる。アスカが二人を見比べ、やがて意を決したように霧亥を追う。


60 :

/
城塞の巨門の前の碇 背後には別の城門のように佇立する初号機
目を閉じる
 /まぶたの裏に制御ウィンドウが立ち上がる/
/細い光条の絡み合い
/特定できない顔と声の幻
/見知らぬ荒景
 /視覚的空電/
/
 (認証開始)
/
 (確認作業開始/経過/経過/経過///)
 (/中断/再開/中断/)
 (/再試行)
/
 (認証確認)
 (接続機構構築/////完了)
/ 
 (最終入力要求)
//
門扉を正視する碇
 碇「統治局のメッセージ通り、私はここに来た。エヴァ初号機とともに」
背後にそびえ立つ初号機
無限遠を見つめる巨大な光る双眸
 碇「私は」
/

61 :
2人は双子

62 :

超構造体の内部通路の壁が尽き、同じ素材がそのまま開口部になって四方に拡がっている。
足もとから、傷ひとつないなめらかなプレート面がほぼ垂直に暗闇へ落ち込んでいる。
わずか数歩先は暗い虚空である。
奈落を見下ろす通路の口に佇み、霧亥、アスカ、レイは周囲を見渡す。一帯は闇に沈んでいるが、
種類の少ない背景電磁放射に目が慣れてくると、遠く近く、未踏の都市構造がそびえているのが
少しずつ見分けられてくる。
巨大な輪郭はあちこち激しい戦闘の痕跡で汚れている。薄い白煙をあげているのは、点在する
珪素生物やその武装の残骸。超構造体の上に築かれていたはずの構造物は、大口径の重力子
放射線で跡形もなく消却されている。床面すれすれに発射され、下部構造を大きくえぐり、正面の
多重壁を貫通して続く射線は、闇の奥へどこまでも伸びている。
無機質な匂いの風が吹き上がってくる。アスカが背伸びして闇の奥を窺う。
レイが誰にともなく言う。
「穴の先600kmまで、敵はいないわ」

63 :
愕然として、アスカが振り返る。
「そんな遠くまで? ったく、どんな目ぇしてんのよ」
「穴はもっと続いてる」
霧亥が付け加え、アスカはげんなりした顔になる。
「…あっそ。
 で、使徒はどこよ。それが本題なんでしょうが」
霧亥は無言で奈落のふちに歩み寄り、足の下に落ち込む暗闇を見透かす。
アスカが続き、ふいにそれを認識して声をあげる。
奈落の底に、黒い粘性の漿液にまみれて、ひときわ巨大な珪素基系塊がある。主な構造は既に崩壊し、
組織片が黒々と濡れた小山を作っている。既に活動停止して久しいとおぼしき、第拾四使徒の巨躯である。
「…あ」
レイが小さく声をたてる。
使徒の頭部が、いちじるしく劣化して床面に落下している。その脇、白い骸骨の仮面に癒着するように
人の姿が仰臥している。周囲には黒い不活性の物質が飛散し、左腕と両脚は半分以上ない。残った部位は
レイと同じ黒い装甲で覆われているが損傷が激しい。かろうじて白い顔が見えている。先の戦闘時、弐号機の
戦闘補佐をレイに任せ、珪素生物の流入を止めるべく、超構造体に単身突入していったカヲルである。
一瞬レイを見、暗闇の底を見下ろして、アスカは理解する。
「…使徒は、あいつが」

64 :
レイの目もとを表情の影がかすめる。
「…わざと造換塔を使ったのね。ここから見える分だけでも、可能な限り潰しておこうとして」
無言で霧亥が前に出る。
押しのけられる形になって文句を言おうとしたアスカは、そのまま息を呑む。
超構造体の外縁ぎりぎりを踏みしめ、霧亥は重力子放射線射出装置を構える。
銃口はまっすぐカヲルに向けられている。
視線を感じたのか、汚塵と鉱滓のなかでカヲルがゆっくりと目を開き、頭上の三人を見上げる。
霧亥は正確にカヲルめがけて構えている。
カヲルは銃口を見上げている。
不動の数秒が過ぎ、張りつめた闇の底から、先にカヲルが口を開く。
「…霧亥か。良かった、間に合って」
霧亥は銃口を逸らさない。
カヲルは再び瞑目する。
「交戦中のセーフガード駆除系と珪素生物は一掃した。それと近隣の、捕捉できる限りの造換塔もね。
 けれど、全ての座標を特定することはできなかった。第二波の転送(ダウンロード)は時間の問題だ」

65 :
静寂のなか、意外に鮮明に言葉が届く。
「…もう単独で武装を作るだけの器能はないけれど、僕と、この使徒の身体は、おそらく駆除系生成の
 材料になる。…使徒を強引に作出するために、自分で断線したからね。たとえ階層内部に戻っても
 使い物にならないだろう」
銃口越しに見据える霧亥を、カヲルは真剣な眼差で見上げる。
「霧亥。今度こそ、僕を消してくれ」
霧亥の目がわずかに険しくなる。それを見てとったのか、カヲルの声はふっと緊張をとく。
「君が来てくれて良かった。その銃なら確実に終わらせられる。
 …ありがとう。初号機にいるもう一人の適格者にも、よろしくと」
何もできずにいる焦燥のなか、アスカが聞きとがめる。
「…もう一人?」
が、霧亥は一度わずかに下がった銃身を再び構える。
辺りに重力子充填のノイズが響き始める。
アスカは我知らず向き直り、そして霧亥の目つきの硬さに言葉を失う。
止める前に引き金が引かれる。


66 :
むしろユイとレイが双子では?

67 :

/
虚空に立つ霧の城門
長い背をたわめ、巨大な両腕を開く初号機
碇の仮想身体が不規則に揺らぐ
人の形だけをとどめた記号
 碇「…私は/僕は」
/

第二発令所。主画面上では、認証シークエンスが完了しようとしている。
緊迫する職員たちの間で、冬月は一人初号機だけを見ている。
正確には、その内部にいるはずの男の姿を見ようとしている。
冬月は思い返す。
…人類補完計画を提唱したあの日、私にだけは話してくれたのだったな。
ゲヒルンで行われたあの最初の接触実験の、真相。
お前が、一度だけ初号機をインターフェイスとして階層システムの深部にまで到達し、そこに隠されていた
統治局の代理構成体と接触できた、その理由は…


68 :

周囲の大気が一瞬歪み、ついで穴の底から爆発が壁面を駆け上がる。
アスカとレイが頭をかばって伏せる。
一拍おいて、衝撃が叩きつける。
/
ふと、虚空を見上げる碇の形
記号化された顔に鋭い笑みが刻まれる
口を開く
迷いのない双眸
「僕は、エヴァンゲリオン初号機のパイロット、碇シンジです」
/
空間に巨大な鐘の音に似た轟音が鳴り渡る
/
発令所の全ての画面で光が展開してゆく。
主画面に映る初号機に、冬月は虚しい笑いを投げかける。
「…お前こそが、ここのシナリオと母事象との相違点、そのものだからなのだったな」

69 :

/
門から伸び出す光る有機的な軸体 周囲を変転する情報列が取り巻いている
見る間に量を増す索体群
碇の身体を絡め取り、そのまま門そのものに引き込んで没する
失われる人の形
城門を見つめる初号機の巨大な双眸
/

広大な閉鎖階層。その内部は、大半が住む人もない未踏査の集積建造物に占められている。
営々たる建設者の活動によって増設されてゆく、そびえ立つ都市構造体。その機能の多くは、
階層居住圏の技術のすべてをもってしても、未だ解明できていない。
その構造物の連なりを、今、裂けるような音を引き連れて放電が駆け抜けていく。
そして、地響きにも似た稼働の重低音が轟き始める。


70 :

発令所に緊張した音声が響く。
『階層主統治システム、アクセス承認。初号機による再起動、成功しました』
一斉に様相を変じたスクリーン群を、ミサトが振り仰ぐ。
「やったの?!」
「そのようね」
リツコは冷静さを崩さないが、口もとには笑みが浮かんでいる。
オペレータ、スタッフらの間に歓声が湧く。
勝利の余韻もつかのま、日向、伊吹、青葉の三人はあわただしく状況を報告し始める。
「初号機、主要構造を検索中。階層内部の都市恒常機能を掌握していきます」
「並行して、階層統治システムに接続。階層閉鎖コマンドを要求。各種再設定、進行中です」
「反応、返ってきてます。目的のファイルを実行する前に、かなりの確認作業が必要になりそうですね」
「閉鎖コマンド自体にはロックが掛かってるようです。MAGIと連携してパターン解析を開始します」
「通信量の増大に対応するため、同時進行で機体器能を増設しています。演算速度、さらに増大」
ジオフロントを俯瞰する別の映像画面が、増殖する初号機の素体が巨大な多重翼となって拡がり、
天蓋を越えて伸びてゆくさまを映し出している。九体のエヴァシリーズもその裡に組み込まれていく。
冬月は苦く笑う。
「…これが、エヴァの本来の機能。そして、本来の姿、か」
未だ、搭乗者からの一切の通信はなされない。

71 :

階層居住圏各所。
人の住む基盤である都市構造体は、微小だが長い震動を続けている。
前例のない事象に人々は混乱し、幾つかの居住区を恐慌が席巻する。建造中のシェルターに
殺到する市民と、治安出動する都市連軍。両者の間で衝突が起こり、混乱が拡大していく。
そのとき、居住区の管理システムが次々に起動し、自動的に事態に介入し始める。
徐々に混乱が収まっていく。
人々は畏怖を、あるいは感慨をこめて、昨日まで単なる〈地形〉だった都市構造体を眺める。


72 :

超構造体外縁。
熱気と、錆びた金属の輝きを放つ塵の渦が怒涛となって外壁に砕け、急速に吹き散らされる。
アスカは頭をかばっていた両腕を恐る恐る下ろす。
壁面の上から見下ろすと、破壊された深淵が流動する塵雲の隙間からのぞく。唇を噛み、
アスカはただ立ちつくす。
と、隣でレイが息を呑む。
そのレイの脇をすり抜けて、銃をしまい、あっさりと外壁のへりを蹴って、霧亥が飛び出す。
「…え?!」
巻き起こった強い上昇気流が壁面を打ち、ふいに視界が晴れる。霧亥は熔けて粗く固まった
傾斜を、熱い靄をついてあぶなっかしく滑降していく。その目指す方向に目を凝らしたアスカの
表情がぱっと変わる。
はっとして、レイが手を伸ばす。
「駄目、その先は」
「何言ってんの」
レイの手を軽く払いのけ、アスカは鮮やかに勝気な笑みを見せて振り返る。
我知らず胸をつかれ、レイは瞬きする。
「…あの馬鹿が飛び出してった時点で、『外』も『中』も、もう無効に決まってるじゃない!」
アスカはめいっぱい背伸びして奈落を覗き込み、霧亥を追って断崖を伝い下りていく。
とまどって立ちつくすレイの眼下で、黒い靄が薄れ、消却された使徒の残骸の跡に、状況を
信じられないままに目をみはる、カヲルの姿が現れる。

73 :

引きちぎった導管でカヲルの身体を背負った霧亥が、垂壁を全身で登り終える。
先に上がったアスカは誘導に使った懸下ワイヤーを回収している。ひゅるっと終端を振って、
細いが強靭なワイヤーが手首の収納環に巻き取られる。
「まさか非常時のためのプラグスーツのサバイバルツールが、こんなことで役に立つなんて
 思わなかったわ。…というよりも、またも使徒を助けるなんて想像もしなかったわけだけど」
アスカはじろりと視線を流す。霧亥は傷ついたカヲルを背中に縛りつけたまま、黙々とスーツの
前面をはたいているが、顔を上げてアスカを見る。アスカはおおげさに溜息をついてみせてから、
意外に素直に笑う。
霧亥は少しの間その顔を見つめ、再び視線を逸らす。
レイは少し離れたところに立っている。
「最初から、彼を回収するために来たの」
霧亥が無言で振り返る。レイの表情は硬い。
微妙な緊張を感じ取って、アスカが二人を見比べる。カヲルはぐったりと目を閉じている。
「碇司令から、そう命令されてたの」
「え…?」
アスカの顔に混乱が湧き上がる。
「どういうことよ、ファースト。碇司令は最初からこいつのことを知ってたの?
 …キリイ、どうなのよ!」

74 :
霧亥は憮然と目を逸らす。
「…こいつは使徒じゃない」
「ちょっと、それ答えになってないでしょうが」
さらに言いつのろうとするアスカを抑えるように、カヲルがうなだれていた頭を起こす。
「彼女たちが疑うのも無理はないよ。今の僕は足手まといにしかならない。…いや、もっと悪い。
 さっき言ったろう、僕には力もないし、セーフガードユニットをダウンロードされるのを防ぐ手段もない」
肩越しに訴えるカヲルから、霧亥は頭をねじるようにして顔をそむける。
「別に、それはどうでもいい」
無愛想に答えてそのまま歩き出す。その背に向かって、レイがもう一度問いかける。
「命令じゃないなら、なぜ助けるの」
霧亥はレイを一瞥する。
「お前はなぜ助けない」
アスカがぱっと目をみはり、それからカヲルを見る。カヲルは耐えるように視線を落としている。
レイは動じない。白い顔を少しうつむけて答える。
「彼の言う通りだもの。次の転送が来たら、彼は私たちを排除する兵器として再構成されてしまう
 可能性がとても高いわ。彼は、階層にとって危険なのよ」
カヲルが頷く。が、霧亥は足取りを緩めず、元来た隔壁の奥へ戻っていく。
「え…ちょっと、キリイ!」

75 :
アスカがあわただしく追いすがってくるのをそのままに、霧亥は搬送軌道のコンソールを操作して
搬送台座に乗り込む。アスカは続いてプラットホームに立つが、一度立ち止まって、霧亥の顔を
じっと見つめる。
「ファーストの肩を持つわけじゃないけど、…ほんとに、そいつを階層に連れてって大丈夫なの?」
移送台が再起動する。霧亥はコンソールの表示を見たまま答える。
「戻れば初号機がある。こいつは敵にはならない」
カヲルが必死の面持ちで見つめる。アスカは虚をつかれた顔になり、それからにっと笑う。
「わかった。
 …もし万が一のことがあったら、私が弐号機で何とかしてみせるわ」
カヲルは驚くほど無防備に表情を崩す。
霧亥が振り返る。不敵な笑みを残し、アスカは大股に台座に乗り込む。
「それでいいでしょ、ファースト」
追いついてきたレイの顔を、驚きと動揺がよぎる。レイは装甲された自分の身体を見下ろし、
ふいに頼りない表情になって、唇を結んで頷く。
「…わかったわ」
乗り込むレイに、アスカが手を貸して引っぱり上げる。
霧亥は無言でキーを叩く。
移送台は振動し、少しがたつきながら復路を滑走し始める。

76 :
test

77 :

軌道の軋りが超構造体内部に消え、残響も暗闇に吸い込まれる。
使徒の骸のあった辺りにわだかまる黒塵の雲のほか、辺りにもう動くものはない。
懸崖の下にできたクレーターが、周囲に散らばった珪素生物の残骸とともにゆっくりと冷えていく。
突如、それらの上を電光が駆け抜ける。強烈な放電が宙で大量の結節点へと収束し、雲を裂いて
使徒と珪素生物の残骸、さらに床面の素材そのものを直撃する。
瞬時に周囲の情報圧が激増する。
大気が引き裂け、沸騰する空間の下、使徒と珪素生物を材料に次々とセーフガードが立ち上がる。
奈落を埋めた駆除系の大群は、超構造体を見上げ、一斉に垂壁の上へと群がり登っていく。


78 :

/
線画のような風景のなかを歩く碇の仮象体
起伏する地面 歪んだ山稜 動かない湖面 粗っぽく描画された植物
ノイズのような暗白色の霧がすべてを覆っている
自分の身体を見下ろす碇
歩いているのは、十四歳の少年である
手足の先から黒い微細亀裂が成長し、仮象を侵食してくる
呟く碇
「…時間、ないな」
見守っている初号機の気配
/

「初号機、まもなくシステム中核と接触します。階層閉鎖コマンドを要求…」
接続作業のなか、伊吹がふと眉をひそめる。
「待ってください、…何、これ」
リツコとミサトが相次いで覗き込む。
「どしたの?!」
「おかしいです、この電相構造って…」
日向と青葉も異常に気づく。
「階層システムじゃない。初号機だ。いや、…まさか、これは」
「素体内部に異常発生! …制圧したはずの、エヴァシリーズですッ!」
「なんだと?!」

79 :
冬月が目を見開く。俯瞰画像のなかで、初号機の演算翼がゆっくりと傾いでいく。その根本から
別の素体構造が噴出し、みるみるうちに成長して初号機を侵食する。
「…なんてこと」
データをスクロールしたリツコが一瞬絶句する。
「量産型の操作に使われたダミープラグが再起動している。パーソナルデータを擬装していたんだわ」
「どういうこと?!」
リツコは険しい表情でミサトを一瞥する。
「…碇司令のデータを、ダミーの裏に二重記載していたのよ。一度制圧されることで潜伏状態に
 入って、アクセスが成功してから、内部から初号機のコントロールを奪うつもりだったんだわ」
伊吹のコンソールの上に屈み込み、キーの上にすばやく指を走らせる。
「どうするの?!」
「ダミーが何を最終目標としてプログラムされているのかを突き止めないと。このままでは何も手が
 打てないわ。マヤ、MAGIの監視網から強制介入して」
「はい!」
にわかに新たな緊張を帯びた発令所の中央で、冬月は絶望的な予感に襲われる。
初号機を振り仰ぎ、祈るように呟く。
「…碇、急げ。急いでくれ、頼む…」
/
初号機/碇はすべてを知覚している
/

80 :
/
発令所での人々のせわしない声/システムに喰い入ってくるエヴァシリーズの執拗な衝動/
階層居住圏の各居住区へ急ぐ加持たちの動向/超構造体内部を疾走する搬送台/
未だ階層システムの侵入対抗電子空間に阻止され壁面から次々と剥がれ落ちる駆除系/
霧亥の重力子放射線射出装置に走るわずかな静電衝撃/
/
十四歳の碇シンジは全力で仮想地形を駆けていく
冬月の懇願の声が囁く空電になって聴覚野にオーバーラップしている
/碇 捜せ はやく 頼む/
苔むした廃墟を過ぎ、折れ曲がって蔓に覆われた電信柱の脇を走り抜ける
うず高く積み上がった瓦礫の谷間から木々が黒々と枝を伸ばしている
少年の仮象は幻の第三新東京市を駆け抜ける
書割のような虚景を、エヴァに侵食されながら走り続け、山間の湖畔にたどりつく
巨大な爆発の跡とおぼしき丸い水辺が、単純化された波を描画されて暗く広がっている
赤黒い波が打ち寄せた形のまま凍りつき、波打ち際に壊れたエントリープラグが座礁している
それを見た瞬間、碇シンジの全身を虚無の恐怖が掴む
/無限に続く都市
/無人の風景
/徘徊する珪素生物たち
/意味を喪失した膨大な時間
/もはや自らの起源も忘れ、無作為に成長を続ける都市
/増殖しカオスを抱え人間を拒むネットスフィア

81 :
//だが、少年は憶えている幾つもの痛みで自ら心を強打する
 /「帰れ」
  「あんたみたいな気持で乗られるの、迷惑よ」「じゃあ寝てたら。初号機には、私が乗る」
  「そうやって、人の顔色ばかり見てるからよ」「うるさいわね! ちっともよかないわよ!」
  「他人だからどうだってぇのよ!」「あぁ、あんた見てるとイライラすんのよ!」
  「…気持ち悪い」
//
痛みが虚無を貫通する
視界が甦る
砂を蹴ってハッチの内部に飛び込む碇シンジ
かつてそうしていたように操縦席に座り、操縦桿を握り、そのアイコン/最優先コマンドを通じて
最後の接続を強行する
ほぼ同時に、まがまがしく成長した黒い亀裂が少年の身体を縦横に喰らい尽くし始める
/

超構造体外。
胸壁の下には、開口部から階層に侵入しようとして機能停止した駆除系が散らばっている。
なおも駆除系の群れは壁面を登っていこうとするが、やはり開口部に達した途端に動きが鈍り、
白煙をあげて転がり落ちていく。しかし、群れの数は尽きず、状況は膠着する。
やがて、宙に別の放電が収束する。
床素材に一瞬にしてクレーターができる。圧縮された情報が物質化され、黒い大きな人型になる。
形成された上位セーフガードは、異様に長い手を差しのべて手のひらを広げる。

82 :

衝撃。
軌道の遥か後方で超構造体が揺れる。
同時に黒い矩形の銃身を、唐突に微小な衝撃が走り抜け、消える。
霧亥が弾かれたように顔を上げる。
コンソールを掴み、移送台の動作を無理やり最高速度に上げる。軌道が派手に軋る。
「ちょっと…、何なのよ!」
投げ出されそうになった身体を引き上げながらアスカが悲鳴に近い声をあげる。レイがすばやく
背後を振り返る。が、続けて激しく足もとが揺れて、レイはアスカの隣に床に膝をつく。
「…このままの速度を維持すると、到着する前に車体が分解してしまうよ」
カヲルがすべて知っている表情で呟く。
霧亥は答えない。ただまっすぐ前方を見据えている。
移送台が奥深くから厭な軋みをあげ、不規則に跳ねる。レイがアスカの腕を掴む。
次の瞬間、軌道終端に激突して跳ね上がった移送台は床面に突っ込み、勢いのまま滑っていく。
上下左右に揺さぶられながら、レイとアスカは固くお互い掴まり合って耐える。
真っ暗な通廊の彼方、ジオフロントから射す光芒が徐々に強まっていく。
いきなり眼前が開ける。
開口部突端に正面衝突して砕け散った移送台から、四人は勢いよく宙に投げ出される。

83 :
一気にジオフロントの眺望が広がる。
レイが両肩から黒い翼が展開し、アスカを掴まえていったん飛び上がる。視点が上昇し、
異景がさらに広がる。
降下していきながら、レイとアスカはそれを見る。
硝煙をあげる周壁と焦土の中央で、巨樹のような初号機の増設素体が崩壊し始めている。
何対もの長大な翼はたわみ、傾き、幾つかは折れて落下し、堆積層に突き刺さっている。
翼枝を垂らしていく初号機の装甲は、素体が補綴形成したものも含めて無理やり引き剥がされ、
組織片と体液にまみれたそれらが生々しく散らばっている。
中心部は黒く沸き立つ活性体に覆われつつある。構成情報のせめぎあいが構造樹形を揺らし、
奔騰する素体組織のなかから次々とヒトの手足や頭部らしきものが突出して、一斉に初号機
本体を力任せに引きちぎり、食い破っていく。
血の臭いが辺りに充満している。
アスカが喉の奥で小さく呻き声をあげる。
レイは悲愴な表情になる。
「…碇司令」
log.25 終

84 :

 〈もし、我々以外にも都市に生きている人がいて、
  いつかその人が、この閉鎖階層を訪れることがあったら、
  そして、我々もそれまで生きのびることができていたなら、
  そのときには、我々の行動にも意味があったと言えるかもしれない〉

 風景は静まり返り、都市の背景電磁放射だけが長く脈打っている。
 露出した超構造体(メガストラクチャー)のプレート面から、階層の天井まで、眺望をさえぎる
 ものはない。
 見渡す限り人影はなく、たださまざまな残骸だけが累々と重なっている。
 超構造体上に積もった瓦礫の露頭に座礁したエヴァ初号機。
 影が長く落ちている。
 エントリープラグ挿入口から、壊れたプラグが突出している。周辺に劣化した素体組織が
 まとわりついている。プラグ外殻の破損箇所から内部が窺える。黒い不活性物質の溜まりが
 見え、黒光りする飛沫が破れ目の周りを汚している。
 どこかから吹き寄せられてきた砂塵が周囲を埋めていく。遠目には冷たい砂浜にも見える。
 もはや機能しないプラグの内部から高く低く、空電のホワイトノイズが響いている。


85 :

/
//
霧亥は肩で呼吸をしながら、感覚の失せた両足を踏みしめた。
傍らで、統治局代理構成体はもぎ取られた片腕を垂らし、同じく荒い喘声を繰り返していた。
霧亥は隔壁に背中で張りつき、遮蔽物の陰から数発撃った。爆発が辺りを席巻した。
少し遅れて、十数体分の駆除系セーフガードと珪素基系の破片がばらばらと降ってきた。
「霧亥、時間がない」
代理構成体が超構造体の一角に片腕を突っ込み、格納されていた設備を無理やり引き出した。
反動で、無事だった腕もがちぎれそうになって垂れ下がった。後方からは変わらず、走りくる駆除系
の多数の足音が響いてきていた。霧亥は目で問いかけた。
「これは手段としては最も危険性が高いものだが、同時に最も成功性が高いと予測できる。
 私のこの行動は、閉鎖階層内部にも多大な影響を及ぼし、現在ネットスフィアから隔絶されて
 いる階層主システムに、最終防衛プログラムの実行を強制するだろう。しかし、君をこの階層の
 内部に送り届けるには、ほかにできる方法はない」

86 :
代理構成体の手の先は微細に分岐増殖して入力端子になり、引き出された古い物理端末に
黒い糸のように入り込んだ。端末が活性化した。
同時に、閉鎖階層とその外部を隔てている超構造体が、長く低く震動した。プレートの一部、
後から建設された構造物に隠された部分がガシンと音をたてて開き、内部に通じる真っ暗な通廊が
現れた。
長く閉ざされていた暗闇を、霧亥は無言で見据えた。
「これ以降、我々からの全ての信号は遮蔽され、君は階層内部で孤立することになるだろう。
 内部がどれほど変化しているかはまったく不明だ。だが、過去ただ一度この階層からネット
 スフィアに接続し、階層全体をネットから切断した何者かの記録は、どこかに残っているかも
 しれない。
 我々は、階層がセーフガードに発見される前に君がその記録を発見し、ネット端末遺伝子が
 今も階層内に存在するかを確かめてくれることを信じている」
爆煙の向こう側から駆除系と、それを駆逐する珪素生物たちのたてる戦闘音が近づいてきた。
代理構成体は統治局標の章の刻印された顔を霧亥に向けた。
「君が内部に進入した段階で、セーフガードは君を感知できなくなる。しかし珪素生命たちは侵入
 の試みを続けるだろう。内部で時間がたつほど、状況は困難になると予想できる」

87 :
「我々が発掘した最終プログラムの母事象では、碇シンジという人物が鍵を握っていた。彼を探す
 ことが探索の第一歩となるだろう。しかし、彼がどんな姿でいるかは不明だ」
霧亥はただ視線を返すと、銃を懐にしまった。
代理構成体は身体の各部を変化させて武装を造り出し、霧亥と、硝煙の向こうから押し寄せる
敵勢との間に立った。砲撃が周囲に着弾し、足もとが大きく揺さぶられる。
「その入り口はあと三十秒ほどで完全に閉鎖される。今すぐに君の探索を始めることを勧告する」
霧亥はもう一度代理構成体を見据えると、身をひるがえして超構造体の奥へ走り出した。
爆煙の幕を裂いて突っこんできた珪素生物を、代理構成体が巨大に成長した腕で押さえ込む。
たちまち周辺は代理構成体とセーフガード、そしてその両方を排除しようと襲う珪素生物たちの
激しい戦闘に巻き込まれた。
霧亥はひたすら超構造体の奥めざして走った。と、周りが瞬時に明るくなったと思うやいなや、
後方からの巨大な爆発が背中を突き飛ばした。霧亥は足をとられ、それでもがむしゃらに前に進み、
閉まりかかる隔壁の向こうにぎりぎりで転がり込んだ。背後で隔壁が次々とと地響きをたてて閉まった。
爆発も戦闘も、超構造体のプレートの向こうに消えた。
霧亥は立ち上がった。
静まりかえった暗闇の彼方に、階層内への出口とおぼしいかすかな明かりが見えた。


88 :

男は死んだ都市のなかにただ一人で立っていた。
霧亥はすぐに男を見つけた。機能も建設者の活動も停止した、電子的にも完全に沈黙した
都市のなかで、男だけが信号を発していた。
網膜に表示される情報を読み取ることはまだできなかったが、霧亥は男に近づいた。
男は霧亥より頭ひとつ半ほど背が高かった。
無表情に口を開いた。
「古代に行われた統治局との交信記録によって、外部に探索者が存在することは知っていた。
 君が、霧亥か」
男は特務機関ネルフ総司令碇シンジと名乗った。
その後、死んだ都市が〈南極〉と呼ばれていること、<セカンドインパクト>のこと、そしてここで
戦うことになる<使徒>という存在のことを聞いた。
そして、霧亥のサードチルドレンとしての時間が始まった。
//
/


89 :

ジオフロント。
硝煙をあげる周壁と焦土の中央で、巨樹のような初号機の増設素体が崩壊し始めている。
何対もの長大な演算翼はたわみ、傾き、幾つかは折れて落下し、硬い堆積層に突き刺さる。
翼枝を垂らしていく初号機の装甲は、素体が補綴形成したものも含めて無理やり引き剥がされ、
組織片と体液にまみれたそれらが生々しく散らばっている。
中心部は黒く沸き立つ活性体に覆われつつある。構成情報のせめぎあいが構造樹形を歪ませ、
奔騰する素体組織のなかから次々とヒトの手足や頭部らしきものが突出している。それら異物は
初号機本体の素体を食い破り、自らの組織を埋め込み、物理構造侵食を最も暴力的な形で
行っている。
辺りには血の臭いが満ちている。
「…碇司令」
黒い翼を揃えて降り立ち、背中に羽を収納したレイが悲愴な顔で呟く。
隣で、アスカは必死に吐き気をこらえている。
床面を陥没させて着地した霧亥が頭を上げ、初号機を見据える。
突然、構造樹全体を強烈な電光が縫う。太い放電はそのまま周囲の構造体に伝播し、
堆積層と周壁を伝って階層の大天井に達する。
霧亥の銃にまた新たな電磁衝撃が走る。今度のは先ほどよりも長く、驚いている霧亥の腕に
まで伝わってやっと消散する。
都市構造体が新たに長い震動を始める。立っていられないほどではないが足もとが揺さぶられる。
「…どうなってるのよ、キリイ!」
何とか自分を抑えたアスカが問いかける。霧亥は答えず、ふいに少し離れた堆積層に視線を
向ける。

90 :
ほぼ同時に、その真上に別の放電がほとばしり、集束して床素材から何かを構成し始める。
霧亥が表情を引き締め、カヲルを背負ったまま銃を構える。レイがアスカをかばって前に立つ。
形成はほとんど時間を要さずに完了し、蒸気の靄が晴れたあとに、背の高い樹状の人型が佇む。
霧亥が銃を下ろす。
人型には四肢もなく、足もとは床から生え出たようになっている。顔は白い平静な仮面で、
かすかに慈悲に似た表情が漂っている。数本のラインを交差させた標章が額に刻まれている。
アスカが慎重に人型を窺う。
「キリイ、知ってるの? こいつ…何なのよ」
「統治局だ」
「え…?!」
顔色を変えたアスカの前で、人型がゆっくりと口を開く。
「その通りだ。
 私は統治局…ネットスフィアの支配レベルの代理構成体。
 君たちにメッセージを伝えるため、基底現実に転送(ダウンロード)された」
アスカがレイを押しのけて前に出る。
「ちょっと待ちなさいよ。ここはネットから切り離されてるんでしょ? なんでネットスフィア側の
 意思が、階層のなかに実体化できるのよ!」
代理構成体の表情は微動だにしない。
「階層の閉鎖はたった今解除された。階層システムはつい先ほど、君たちが初号機と呼ぶ
 あの複製体をインターフェイスとし、搭乗者の遺伝子情報でネットへの仮接続を行った」
霧亥が再び険しい表情になる。
アスカは代理構成体と初号機を見比べ、必死に理解しようとする。
「仮接続? 搭乗者…って、碇司令が?!
 どうしてよ! 今までのことが全部無駄になるじゃない!」

91 :
代理構成体は冷静な語調で答える。
「周囲の機体に記載されている一群の意志が、搭乗者の遺伝子情報を自分に上書き
 していたのだ。現在、端末を支配しているのはそれらの意志だ。この低次の行動はセーフ
 ガードの介入を許し、階層にいる全ての人々に確実に脅威をもたらすだろう。
 だが、これによって我々もある程度自由にこの階層に介入できるようになった。
 実行者を止め、この事態を収拾するには、あの初号機に行ってみるしかないだろう」
「…碇司令に会え、というのね」
レイはまっすぐ代理構成体を見つめている。
「そうだ。我々としても、彼が碇シンジ当人だということは予想していなかった。だが、現在の
 状況では、その事実が君たちの助けになるだろう」
霧亥が頷いてアスカを見る。
「初号機に行く。惣流、弐号機は動かせるか」
アスカははっとして我に返る。
「まだ内部電源は残ってるから、たぶん大丈夫。けど、予備電槽使いきっちゃったから、
 そんなに長くは起動してられないわよ」
「すぐ終わらせる」
アスカは呆れたように霧亥を見つめ、そして身をひるがえして弐号機の方に駆け出していく。
レイは代理構成体を凝眸している。
「…わたしと彼はどうなるの」
目で、霧亥の背中のカヲルを指す。カヲルはひとことも喋らず、頭を垂れている。
「心配はない。君たちは霧亥や人々の助けになってくれると予期されている。
 わたしには限定的な統治局の効力を与える機能が付与されている」
代理構成体の肩に当たる部分から細い糸状の出力回線束が伸び、レイとカヲルの前に
差し伸べられる。

92 :
レイは霧亥を見る。霧亥は頷く。
かすかに息を吸い込み、レイは出力端子を手に取る。
と、端子の先が手のひらの内部に潜り込み、瞬間、レイは短く息を吐いて上体をたわめる。
「綾波」
端子はすぐに抜け、レイはわずかに額に汗を浮かべて顔を上げる。
「…大丈夫」
見つめる霧亥の背中で、カヲルが身体をくくりつけていた導管を切って床面に降り立つ。
霧亥が振り返る。カヲルの脚はレイと同じ珪素基系の素材で再形成され、損傷も修復
されている。カヲルはどこか寂しげな顔で微笑し、長い刃状の武装を展開してみせる。
代理構成体は糸状の端子を再び引き込み、三人を見つめる。
「これでこの階層にいる限り、君たち二人はセーフガードの命令を強制されないだろう」
話し続ける代理構成体の足もとが劣化し始める。
「すぐにセーフガードが階層に流入するだろう。君たちは階層が制圧される前に初号機に
 到達し、それを機能させていま一度ネットとの接続を遮断するよう、強く勧告する」
「階層の他の人々を守るには、それしかないわ」
レイが強い調子で言い、代理構成体は頷く。すでに肩のあたりまで劣化が及んでいる。
「私は限定付きの代理構成体。これで通信を終わる」
その言葉を最後に、代理構成体は劣化した物質塊となってその場に崩落する。
霧亥、レイ、カヲルは、堆積層の稜線の上に見えている初号機をそれぞれに仰望する。
「…行こう」
霧亥が短く言い、同時に、再起動した弐号機が超構造体開口部の陰から顔を覗かせる。


93 :

 (目を覚ます。何かがおかしいと感じるが、それが何なのかはっきりとはわからない。
  正面には見知らぬ天井。どこかに似ているが……思い出せない。
  自分の手を持ち上げて見てみる。軽く握り、また開く。再び何かを思いだしそうになるが、
  やはり掴めないまま意識の外に逃れてしまう。
  人が入ってきて、気分はどうかと訊く。思いついて、たずねてみる。僕はどうしたの?
  看護師は安心させるようにほほえんで、事故にあったのよと答える。もう大丈夫よ。
  少しだけ安堵する。もう少し訊いてみる。何の事故? 何が起きたんですか?
  看護師はもう一度ほほえむ。街の郊外で、大規模な情報漏出が起きたのよ。あなたは
  そこに倒れていたの。きっと情報流を直接浴びてしまったのね。
  きっと、って?
  まだ意識が安定していないのよ。もう少し休まなくては。
  大丈夫…です。大丈夫だと思います。教えてください、何があったのか。
  駄目よ。
  どうして?
  あなたがわたしに何が起こったのか訊くのは、これで四十一回目なのよ。でも心配すること
  ないわ。脳がショックからさめれば元通りになるから。さあ、もう少し眠りなさい。そう言って
  看護師は枕元の計器類をチェックし、出ていく。
  混乱する。
  ホワイトノイズが詰まっているような頭で必死に考えようとする。思い出そうとする。けれど、
  何も掴めないまま、また意識がぼやけてくる。部屋の景色が遠のいていく。
  そして目を覚ます。正面には見知らぬ天井。何かがおかしいと感じるが、思い出せない…)


94 :

霧亥、レイ、カヲルの三人を肩の上に乗せ、弐号機は隆起の上の初号機めがけ駆ける。
初号機の樹形はエヴァシリーズによって変更させられつつある。幾つも突出した翼状構造物が
配置を変えられ、新たな形状が生み出されていく。変動する構造の中心で、初号機本体は
生贄のように両腕を開いて吊るされている。
あと少しで堆積層を登りきるというところで、突然周囲を衝撃が襲う。
『何なの?!』
「超構造体の方よ」
弐号機が大きく頭をめぐらせる。
先ほど四人が出てきた開口部の傍に、いつの間にか黒い背の高い人影が立っている。
プラグ内で拡大表示してみて、アスカは眉をひそめる。
ゆうに人間の身長の三倍はあるその姿は、明らかに人間離れしている。
額の標章がさらに拡大される。統治局のと似ているが、もっと簡素なデザインである。
『セーフガード…?』
プラグに激しい警告音が響く。
直後、激しい爆発が周辺一帯を吹き飛ばす。
弐号機が肩の上をかばって後退する。本部施設周辺の堆積層が爆圧で掘削されていく。
開口部に立つ人型は、左右対称の形に広げた手のひらを宙にかかげている。異様に長い
指を縦断するようにして、額の標章と同じマークが刻まれている。
人型は手を下ろす。黒い長衣に似た外装が一瞬広がったように見える。
瞬間、周囲に膨大な数の放電が集束する。

95 :
『今度は何?!』
弐号機の肩の上でカヲルがきつく眉根を寄せる。
「気をつけて! 駆除系を落とす気だ」
渦巻く放電群は真下の物質を削り、再構成し、瞬く間にそこに駆除系セーフガードの大群が
立ち上がる。セーフガードの標章を刻印された人形の顔と、黒い球体関節と白い鋭い手足を
持った群れが、一斉に走り出す。
レイがはっとする。
「…初号機を目指してるわ」
「惣流、行け!」
霧亥が短く叫ぶ。
『わかってるわよッ!』
弐号機は再び初号機をめがけ、堆積層の傾斜を一気に駆け登る。
変容した初号機の全容が視界を占める。


96 :

第二発令所は衝撃に揺れる。
「直撃ですッ!」
冬月が主画面を見上げ、焦慮するスタッフらを叱咤する。
「今のは物理的な衝撃に過ぎん! アブソーバを最大にすれば耐えられる」
ミサトの胸元で白い十字のペンダントが揺れる。
「地下のシェルターへの影響はっ?!」
「ぎりぎりで堆積層が盾になり、被害ありません! ですが、次が来たら外殻部が露呈します!」
唇を噛むミサトに、リツコが厳しい表情で向き直る。
「今はここよりも初号機を優先させなければならないわ。わかってるはずよ」
ミサトは一瞬唇を噛み、そして表情を引き締める。
さらに警報が鳴り響く。
「堆積層上に、正体不明の戦力が多数出現! 初号機を目指しています!」
「…ネットの法の行使者、セーフガード。ついに来たか」
冬月が呟く。ミサトは振り返る。
「あれが、本物の…外部侵攻、ですか。しかし、なぜ初号機を?」
「たとえ不完全でもネットの端末であり得、ネットスフィアの脅威となる可能性のあるものは全て
 破壊する。そんなところだろう」
リツコが伊吹の傍に歩み寄る。
「マヤ、こちらから初号機への回線は?」
「駄目です、全て遮断されています! 現状で初号機に情報干渉するには、直接器体に
 接触するしかありません」
「エントリープラグから直接内部信号を送る、か」
ミサトが呟いて、ジオフロントの全景マップをすばやく一瞥する。

97 :
彼女の前で日向が高速でコンソールを操作する。
「現在、弐号機が単独で向かっています。しかし、追加武装は使いつくし、機体も内部電源に
 切り替わっています」
スクリーンのひとつに弐号機の活動限界までの時間が表示される。残り三分もない。
その隣に堆積層の隆起を登りきった弐号機の映像が広がる。巨大に成長された樹状構造に
阻まれ、ネット端末と化した初号機本体まではまだかなりの距離がある。
と、初号機の構造翼の幾つかがばらけて黒い触手の束になり、多方向から弐号機に襲いかかる。
「駄目、避けてっ!」
思わずミサトが叫んだ瞬間、一条の光が弐号機の肩から触手群を撃ち抜いて伸びる。着弾点に
あたる階層の胸壁が大爆発を起こす。
「…霧亥君!」
弐号機の肩の上が拡大表示される。上下する機体に揺さぶられながらも銃を構えている霧亥の
姿が、発令所に大きく映し出される。
「セーフガード第一波、初号機に到達します!」
「周辺組織を攻撃しています! このままでは…」
霧亥の隣で、珪素基系装甲で身を鎧ったレイとカヲルが、黒い矩形の翼を広げる。
弐号機の足元に舞い降り、それぞれ大量の駆除系を相手に立ちふさがる。階層居住圏には
解析すらできない強大な武装が、駆除系をひと薙ぎで屠っていく。
重力子放射線が再びエヴァシリーズを射抜く。霧亥を肩に、弐号機は巨大な構造樹のなかへ
中心の初号機目指して突っ込んでいく。


98 :

 (やがて、言われた通り、脳機能は元通りになり、事故の詳細を今度はきちんと聞く。
  けれど退院できるほどに回復しても、記憶は戻らない。自分の名前だけはわかる。碇シンジ。
  でもそれだけだ。しかしいつまでも入院しているわけにもいかず、市の福祉サービスを頼って
  当面の住まいに移る。年齢上、まだ未成年の生徒だ。
  少しずつ、ここが〈東京都〉であること、階層居住圏のこと、ここに住む人々のことを覚えていく。
  それでもそれらを前から知っている気はしない。現実味がない。
  都の中学校の二年に転入する。結局身元は判明せず、情報震災孤児として暮らす。  
  碇シンジ。自分の名前だけが現実だ。だが、それに付随する何かを思い出そうとするたびに、
  深い混乱とパニックの予感が襲い(駄目だ)、あわてて他のことに気を向ける。
  今はまだ駄目だ。そういう気がする)


99 :

『どぉりゃあああああッ!!』
弐号機は絡みつく翼の触手をはねのけ、引きちぎり、樹状構造の中心を目指す。
後方ではセーフガードの兵器を展開したレイとカヲルが駆除系を駆逐し、時間を稼いでいる。
次々と生え出る触手にさえぎられ、弐号機は初号機に近づいたかと思うとまた離される。
『チッ! キリイ、時間が惜しいから乱暴に行くわよ!』
弐号機はいったん後退し、構造樹の真上はるかに大跳躍して、真っ逆さまに初号機めがけて
降下する。黒い触手が大量に分裂し、一斉に空中の弐号機に突進する。何本かの触手が
弐号機を貫通する。
『キリイ! 行って!』
弐号機が肩の霧亥をかばっていた手を放し、向かってきた触手をひとまとめに押さえ込む。
霧亥は頷き、落下する弐号機から一気に身を躍らせる。襲い来る触手の合間にかろうじて
初号機が見えている。何度か触手の先に絡めとられそうになり、高速で擦過する黒い束に
ぶつかって遮られながらも、霧亥は最後のぎりぎりの隙間をすり抜けて、初号機の素体の
すぐ傍に着地する。
顔を上げる。頭上には構造樹の翼枝が幾重にもそびえ、弐号機がその向こうに落下する。
その衝撃で、磔刑の姿勢の初号機がぐらりとかしぎ、霧亥のいる突起部にぶつかる。
霧亥はためらうことなく、一気に素体をよじ登って背甲部を目指す。エヴァシリーズの出力端子
が何本となく装甲を貫いて突き立った、エントリープラグ挿入口へ。


100 :

 (高校の課程を修了するころには、いくつか既視感のある事物を見つけている。
  南極。〈箱根〉。存在しないはずの海の光景。
  自分の出自を知るには高度な情報検索能力が必要だと判断し、大学では情報工学を
  専攻する。そして四年目に、情報総体工学という学問を知り、その有力な研究者である
  冬月教授を知る。
  そして同じころには自分を援助してくれていた組織の存在をも知っている。ゼーレ。決して
  表には出ない、政府よりも、都市連よりも巨大な力を持った組織。
  それらすべてを知っているという気がする。またあの吐き気に似た恐怖とパニックの予感が
  (嫌だ)こみあげる。
  ある日、ゼーレのエージェントと名乗る人物が迎えにくる。案内された先で、碇シンジという
  名に関する幾つかの事実、そしてはるかな古代に起こったとされる、彼らの信奉する〈母事
  象〉のことを(駄目だ)聞かされる。それらすべてを(駄目だ)知っている。思い出したくもない
  (嫌だ)そのすべてを知っている。
  恐怖の予感が全身をわし掴みにする(もうやだ嫌だ嫌だ嫌だ!)。
  碇シンジ、その名前が現すのは、エヴァンゲリオンと名付けられた人類の希望と絶望。
  内なる海が隠された激流をあらわにする。溺れそうになり、危うくまた心の海面に顔を出した
  ときには、もう全てを受け容れる準備ができている。準備、それとも諦観。非常な罪悪感。
  決して喜びでも、答えを見つけたという勝利感でもない。懐かしく思えるものは全て、ずっと
  昔に滅び去っていたからだ。
  けれど、目的も見つけている。それら全ての悲劇を防ぐという、贖罪にも似た、命と存在を
  賭けた目的を。
  その日からはこれまでとはまったく違った視点を持って、ひたすらに階層について学ぶ。
  来たるべき時に向けて用意された存在として。
  そしてまた別のある日、評価されたレポートを手に、冬月教授に会いにいく)


101 :

駆除系の津波はもはや衰え、大量の残骸が辺りにうず高く積み重なっている。
レイは鋭利な武装をおさめ、堆積層に降り立つ。少し先にカヲルの姿が見えている。
と、超構造体開口部に佇んでいた黒い人型がわずかに膨らんだように見える。
次の瞬間、巨大な爆発がレイもろとも硬化積層を吹き飛ばす。叩きつけられ、目を開いた
レイは、自分の上に身代わりに灼かれたカヲルの身体を見る。
「…どうして」
カヲルはわずかに身を痙攣させながら顔を上げ、微笑する。
「君たちには未来が必要だ。そして君もまた、死すべき存在ではないんだよ。
 …この閉鎖階層の、孤独な主統治システムの代理構成体である君もね。綾波レイ」
レイの表情が崩れる。
「…そう。本当は初号機で二度目の接続実験を行ったとき、偶然リリスを通じて出力された、
 不正作出物。でも碇司令は、代理構成体と呼んでくれた」
涙が頬を伝い、熱された堆積層の露出部に滴る。
レイは身を起こす。
入れ替わりにカヲルが膝をつき、それでも、利かない両脚に無理に力を込めて立ち上がり、
きびすを返す。背面はひどく削れ、翼は焼けただれ、大量の質量を喪失している。
レイは引き留めようとして、数箇所で装甲の再生が始まっているのを目にして、手を下ろす。
自分も静かに立ち上がると、カヲルに並ぶ。

102 :
カヲルが少し驚いたように振り向く。
「あなたも、死なないわ」
レイの真摯な眼に、けおされたようにカヲルは瞬きする。それから虚しく笑う。
「僕のなかにあるのは、所詮、変異した遺伝子だ。この階層のようにネットから切り離されて
 いた場所でなら、仮接続のためのキーとして通用するけれど、もうこの階層は開かれて
 しまった。今度こそ、僕にとっては生も死も同じことなんだよ」
レイは目を逸らさない。
「碇君が二度もあなたを助けたのは、あなたの裡にある遺伝子のためだけだと思っていたの?
 あなたが最も感染創の少ないネット端末遺伝子の保持者だからだと、そう思っているの?」
カヲルは答えず、ただ首を振る。
「いずれにせよ、今は初号機を守らなければ。あれを取り戻せなければ、もう誰も事態を
 止められないよ」
レイは頷き、カヲルとともに彼方の上位駆除系を見据える。
黒衣のセーフガードは、異形の道化人形のような顔を二人に向け、一歩進みだす。


103 :

  (ねえ、聞いて。聞いてほしいんだ。
   僕らはやっと君を見つけたんだ。
   セカンドインパクトは止められなかった。
   でも、エヴァを造った。〈母事象〉で語られたヒトの進化のための汎用器じゃなくて、
   君を見つけるための、みんなを救うためのハードとして。
   僕は初号機を造って、君に会いにきたんだ。
   僕らをずっと長い間守ってきてくれた君に、答えを聞かせるために)
「サードチルドレン、初号機に接触!」
「行ける! アスカ、弐号機で援護してっ!」
『わかってるつぅのッ!!』
画面、いや発令所そのものが揺れているのは、上位駆除系とレイ、カヲルの交戦地点から、
その凄まじい衝撃の余波が堆積層を伝わってくるためだ。本部施設全体が何度も揺さぶら
れるが、最後の砦としてまだ持ちこたえている。
弐号機は残り少ない電源を惜しむことなく、次々と樹形構造から生え出すエヴァシリーズと
激しく格闘する。足もとに突き立った壊れた翼端を引き抜き、巨大な刃のように振り回して
触手や頭部や手足を斬り落とす。
『キリイ! さっさとしなさいよッ!』
アスカの昂揚した叫びが戦場に響き渡る。


104 :

  (エヴァはアダムとリリスから造られた。だから、構成情報のなかに、アダムを造った人たちの
   言葉が残っていたんだよ。
   『外』の世界への、希望を託した言葉。君はそれを、ずっと待っていたんだよね?
   僕は答えを見つけた。あのとき、初号機との最初の接触実験でハードとしての性能を
   試したとき、君のなかに残されていた統治局のプログラムが教えてくれたんだ。そして
   その言葉の通り、僕らはサードチルドレンを迎えた。この閉鎖階層にいちばんふさわしい、
   外の都市から来た、初号機の搭乗者を。
   それは、僕じゃなかった。僕の役目は、彼をエヴァに乗せることだった。
   〈母事象〉の再現を求めるゼーレに逆らうために。もう、あの終局を訪れさせないために。
   そのためには何でもした。ゼーレに脳の直挿解析を許すことまでした。…そのせいで、今
   みんなに迷惑がかかっちゃってる。僕ももうここから出ることはできないと思う。
   でも別にいいんだ。
   彼が来るまで、初号機は渡さない。
   それだけは、僕にもできることだから。
   ほら、来るよ。君がずっと待っていた、『外』からの……)


105 :

エヴァシリーズに侵食されながらも、初号機はATフィールドを崩さない。その機体の上を、
霧亥はよじ登り、飛びつき、ぶつかり、少しずつエントリープラグ挿入口へ近づいていく。
後方では弐号機の内部電源がゼロに近づいている。
霧亥は振り向き、そして眼を見開く。
エヴァシリーズから生え出た触手が再び束になって融合し、初号機とは別の樹状構造を
成長させていく。構造の合間からはエヴァシリーズの上半身や翼や、さらには誰とも知れない
ひどく年老いた人間の顔が伸び出し、まがまがしく枝を広げる。
霧亥は周囲をすばやく一瞥する。以前も同じような戦いをした記憶が甦る。そのときは、相手は
セーフガードがが送りこんできた使徒だった。超構造体外縁でカヲルが作出した第拾四使徒だ。
初号機が促すように身をたわめる。
霧亥はその頭部を見上げ、決断する。
剥きだされた初号機のコアの上まで滑り降り、腰部から外部端子を引き出してコアの周囲の
素体に直接繋いでいく。コアが応えるように暗く輝き始める。
全て繋ぎ終えると、霧亥はコアの球面の上にひざまずき、正面の奇形樹めがけて銃を構えた。
一斉にに銃の外装が開放される。


106 :

黒衣の上位駆除系は再び手のひらを掲げる。
左右対称に開かれた巨大な手全体を横切って、セーフガードの標章が強烈な光を帯びる。
瞬間、膨大な爆発がレイとカヲルを直撃する。
爆圧が焼けただれたジオフロント表層を押し流し、上位駆除系はそれを前衛として歩を進める。
と、別の光が爆煙を吹きさらって広がる。ATフィールド。
侵入対抗電子領域を全開にしたカヲルを遮蔽に、レイが大きく回り込んでセーフガードに肉迫し、
片脚を膝下から消し飛ばされながらも、旋舞してその頭部を切断する。
ついで、カヲルの繰り出した巨大な黒い剣が振り下ろされ、セーフガードを足元まで押し潰す。

すさまじい充填ノイズが集束し、霧亥の周りに電磁嵐となって吹き荒れる。
禁圧解除。
そして重力子の光は極限に達し、霧亥は引き金を引く。
輝く光弾が咆哮するエヴァシリーズの樹を貫通し、彼方の上位駆除系すらも消し飛ばして、一帯に
凄まじい爆発を引き起こす。周囲の全てが灼熱の光に変わり吹き飛ばされていく。
巨大な気流の渦が、ジオフロントを席巻する。


107 :

振動、ホワイトアウト、電子の叫喚。
発令所は衝撃の余波を抜ける。
ミサトが真っ先に身を起こし、画面に初号機とサードチルドレンの姿を捜す。
「やったか?!」
多少のノイズとともに映像が戻る。眩しく光る靄を引いて、エヴァシリーズでできた樹がゆっくりと
倒れていき、地響きとともに堆積層に激突する。
発令所に歓声が溢れる。
リツコは伊吹のコンソールを操作して、ジオフロントの俯瞰図を呼びだした。傷ひとつない超構造体
開口部から少し離れて、瓦礫の間で互いを助け起こすレイとカヲルの姿が映し出される。
リツコは人知れず安堵の息をつく。それから、そんな自分に気づいて目をみはる。
主画面では、だいぶ翼が減り、片膝をたててうずくまっている初号機と、その背中の上に立つ霧亥が
映し出されている。重力子放射線射出の反動で傷ついてはいるが、足取りはしっかりしている。
「…よっしゃ!!」
ミサトが両拳を握る。
『よっしゃあ、はいいけど、こっちもなんとかしてよね』
「え? アスカ?」
視線を戻したミサトの目に、内部電源を使い果たして床面に突っ伏している弐号機の姿が飛び込む。
「しまった…考えてなかったわ」
「設備もなしに、どうやって回収しますかね」
固まるミサトに、横からリツコがぼそりと、ブザマね、と呟く。


108 :

動きを止めた初号機の背甲部に、霧亥はよじ登る。
かろうじて残っていた背面装甲を無理やりもぎ取り、下に投げ飛ばすと、緊急射出機構が働いて
エントリープラグが突出する。霧亥はしばらく手間取ったあと、ようやくハッチを開ける。
生々しい臭いと熱が膨れ上がり、風に吹き散らされる。
霧亥は無言でプラグ内を見下ろす。
操縦席があった場所には、何もない。
初号機の素体が内側から貫通し、完全に内部インテリアを破壊している。電戦効率を限界
まで高めるため特殊化した素体が専用ハードとなってプラグを満たしている。
搭乗者の姿はどこにもない。
発令所。
主画面に、搭乗者のいないプラグ内が映し出される。
伊吹が小さく呻き声をあげ、口元を押さえる。
ミサトは絶句し、リツコを振り返る。
リツコは全て予想していた眼で、無表情に告げる。
「言ったでしょう、我々にはエヴァをネット端末として動かすことは本当はできなかったの。
 それを可能にするには、必要な艤装措置を受けて〈適格者〉となるか、あるいは、
 物理身体の全てを強制的にエヴァに読み取らせるしかないの。
 今見ているのは、その結果に過ぎないわ。
 …こうするしかなかったのね、結局。あの人が望みを果たすためには」


109 :

  (僕は、君に聞いてほしい。
   ほら、ここにいる。一人ぼっちでいた君が夢見てた、都市の探索者、霧亥だよ。
   君は独りじゃない。
   世界は死んでなかったんだ)


110 :

霧亥は腰から外部端子を引き出し、プラグ内の素体の端末に繋ぐ。
目を閉じる。
/
/知覚/認識
/仮象:無限遠を見渡す巨大な双眸
 /ソウカ……キミガ、キリイナノネ
 「碇はどこだ」
 /モウイナイ
 「お前が階層主システムか。ここを閉鎖するにはどうしたらいい」
 /イイエ、モウデキナイ
 /トジラレタモノハ、イツカヒラカレル
 /ソレガ、ムカシ、ココヲトジタヒトタチノ、ホントウノノゾミダッタノヨ
 /ヒトガセイチョウシ、ジュンビヲトトノエテ、イツカ、ミズカラソトニデテイケルコト
/仮象:アダムを建造したとおぼしき人々のおぼろな映像
 「ここにはもう端末遺伝子は存在しない。お前はネットスフィアに組み込まれる」
/肯定
 「どうすればいい?」
/現時映像:都市機構が停止した各居住区で人々の助力に奔走する加持たち
/現時映像:弐号機から自力で脱出してジオフロントを睨みつけるアスカ
/現時映像:発令所で事態の把握を急ぐミサトら
/現時映像:静まった都市構造体を仰ぐ人々 中にはトウジとケンスケの無事な姿もある
 /イキテイケバイイノヨ
/
/


111 :

霧亥は顔を上げる。
視線の先には初号機の巨大な頭部がある。
外部端子を引き抜くと、エヴァシリーズの支配から逃れ、再び上方へ伸び出した初号機の
翼群が、最後の強大な信号をはらんで電磁波をまとう。
そして階層は再び侵入対抗電子領域に、電子的なATフィールドに覆われる。
物理的な閉鎖ではない。ただ人々が、ここから旅立つための時間の猶予を作っただけ。
初号機はそれを最後に、完全に物理機能を停止する。
霧亥は突き出たエントリープラグを覗き込む。
内部は硬化を始めた素体に覆い尽くされ、搭乗者の信号はすでにない。
霧亥はきびすを返す。
初号機を滑り下り、堆積層に降り立つ。スキンスーツはすでに損傷を修復し始めている。
銃を確かめ、懐にしまい、超構造体開口部に向かって歩き出す。
傷ついたレイとカヲルが、巨大な開口部の前に立っている。
二人は霧亥を止めない。視線だけが交わされる。
霧亥は再び開口部に降り、超構造体のなかを、階層の『外』を、無限に続く都市構造を
目指して歩いていく。
発令所で、ミサトはそれを見つめている。
冬月が気づいて同じ画面を見、呟く。
「…行くか」
日向が振り向く。
「いいんですか?」
ミサトは頷く。
「ここからは、私たちだけでやれってことなんだわ。
 …ありがとうね。霧亥君」
画面内で霧亥の後ろ姿は小さくなり、やがて超構造体に隠れて見えなくなる。


112 :

「ええ〜っ、何も言わずに行かせたぁ?!
 あの無口無骨無愛想馬鹿を?!」
修復に回されるため搬送されていく弐号機のそばで、アスカは大声をあげる。
ミサトは困った顔で笑う。
「あいつ、どこに行くかわかんないわよ! 迷いまくって、一生ここに戻ってこれなくなるかも
 しれないのよ?!」
「もう戻ってこないわよ、彼。たぶんね」
アスカはミサトの横顔に一抹の寂しさを見つける。
振り払うように、また声をはりあげる。
「なのに止めなかったわけ?! もう、ミサトの馬鹿! 甘すぎる! 信じらんない!
 私、あいつにまだ何も…言ってやれてないのよ」
ミサトは微笑する。
アスカは振り上げていたこぶしを下ろす。
「…私、あいつに何も言ってやれなかった」
アスカの表情が無防備になる。
「勝手に、どっか行っちゃうんだもの。わかってたのよ、ずっと前から。
 あいつ、そのうち一人で行っちゃうんだって。
 …わかってたのに」
ミサトが歩み寄り、アスカの肩に手を置く。アスカは顔を上げる。
ミサトは笑ってみせる。
「出発しなければならないのは、私たちも一緒よ」

113 :
「 超構造体が開かれた今、もうここの内部だけで生きていくことはできないわ。
 今のところはまだ初号機と階層の侵入対抗電子領域がセーフガードを閉め出してくれて
 るけど、いつまでもそれに頼ってはいられないもの。
 私たちも、旅を始めるのよ。この階層が閉じられる前、私たちの祖先がずっとそうしていた
 ようにね」
アスカは何かを呑みこんだ顔になる。
ミサトは軽く頷いて、両手をぱんぱんとはたいてみせる。
「さぁて、忙しくなるわよ。なんたって弐号機をまた動くようにしなきゃなんないし、
 どうやって旅するか、その方法自体、白紙から考えなきゃなんないんだから。
 そうそう、加持から連絡があったわ。他の居住区にも事態を知らせてくれてるみたい。
 近いうちに、また都市連が都市連として機能するようになるでしょうね。今度は閉じこもる
 ためじゃなく、私たちが、再び旅立つためにね。
 アスカ、あなたはその旅の要になるのよ。エヴァ弐号機でね」
アスカは目をみはる。
そして、長い髪をひるがえして、ミサトに背を向ける。
片手を腰に当て、超構造体開口部を睨む。
「…わかってるわよ。
 こうなったら、いつかあいつに追いついてみせるわ。私のエヴァで。
 それでいいんでしょ? ミサト」
ミサトは小さく息を吸い込み、そして、優しい表情で頷く。
遠くから互いを支え合ったレイとカヲルが近づいてくる。
アスカは背伸びして、大きく手を振る。


114 :

そして、長い時間が経ったあと。
風景は静まり返り、都市の背景電磁放射だけが長く脈打っている。
露出した超構造体のプレート面から、階層の天井まで、眺望をさえぎるものはない。
見渡す限り人影はなく、たださまざまな残骸だけが累々と重なっている。
超構造体上に積もった瓦礫の露頭に擱座したエヴァ初号機。
どこかから吹き寄せられてきた砂塵が周囲を埋めている。遠目には冷たい砂浜にも見える。
海の存在しない砂浜に、影が長く落ちている。
エントリープラグ挿入口から壊れたプラグが突出している。
もはや機能しないプラグの内部から空電のホワイトノイズが響いている。
高く低く、長いうねりと断続を交えて続くそれは、打ち寄せる海の波の音に似ている。
存在しない波音が、いつまでも響いている。

Final log 終

115 :
終わりです。ありがとうございました。


お題『もしシンジとレイが双子だったら』
ケージにて
シンジ「何をいまさらなんだよ。父さんは、僕がいらないんじゃなかったの?!
    …レイのことは引き取ったくせに!」
シンジのゲンドウへの不信感激増の予感

116 :
  碇「冬月。レイを起こしてくれ」
冬月「使えるかね」
  碇「死んでいるわけではあるまい」
シンジ「!」
ストレッチャーでレイが運ばれてくる
冬月「十年ぶりの対面か…」
シンジ「…!」
  レイ「……」
シンジ「れ、レイ…? 君が? その、どうしたんだよ、そのケガ」
  レイ「……(すごく痛そう)」
シンジ「………」
シンジ「やります。僕が乗ります!」

唐突にお兄ちゃん魂発生

117 :
戦闘後
..ミサト「一人で…ですか?」
黒服「そうだ。彼の住居は、このさきの第六ブロックになる」
..ミサト「…それでいいの、シンジ君?」
シンジ「よくないです」
..ミサト「ほら、やっぱたった一人でなんて…」
シンジ「レイを引き取ります」
..ミサト「は?!」
シンジ「あんな父親失格の人のそばになんか置いておけません。
    妹は僕が面倒みます」
..ミサト「えぇええ?!」


成計画、発動

118 :
>>116>>117
いいね

119 :
>>118
いい…んですか?!

追加
本部の通路で電話してるミサト
..ミサト「だーかーら、レイは退院したらシンジ君とこに行くことになったから。
    上の許可も獲ったし。…心配しなくても、双子の兄妹の間柄でどうこう
    なんてこと、起きたりしないわよ」
. リツコ『当たり前でしょう! 何考えてるの、あなたって人は!…』
..ミサト「あいかわらずジョークの通じないやつ」
シンジ「…ジョークなんですか? それ」
..ミサト「やあねぇ、ジョークに決まってるじゃない。
    それともなにか、思い当たるフシでもあるのかナ?」
シンジ「ないですッッ!!」
ミサト、出歯亀疑惑発生

120 :
結局ミサトに引き取られることになったシンジ
街を俯瞰する高台にて
 シンジ「…すごい。ビルが生えてく…!」
  ミサト「これが、対使徒専用迎撃要塞都市、第三新東京市。
     わたしたちの街よ。…そして、あなたが守った街」
 シンジ「………」
 シンジ「…僕はただ、レイを守っただけですから」
  ミサト(いいセリフ台無しか…)

ミサトのマンション
  ミサト「さっ、入って」
 シンジ「あの…お、おじゃまします」
  ミサト「シンジ君。ここはあなたの家なのよ?」
 シンジ「……
     …た、ただいま」
  ミサト「おかえりなさい」
 シンジ「ただいま、おかえりなさい、か。なんか…気持ちのいい言葉ですね」
  ミサト「でしょ?」
 シンジ「……今度は僕が、レイに言ってあげるんですね」
  ミサト(…いい加減そこから離れなさいよ)

シンジ、兄馬鹿化の予感

121 :
 ミサト「シンジ君たら、ほんとにレイを引き取るための転居願い、出しちゃった
    のよ。あんな世話好きのお兄ちゃんだとはね」
 リツコ「受理する方も、する方じゃない?」
 ミサト「…やっぱり、許可下りないんじゃないかって思ってた?」
 リツコ「そうね。あのレイが他人と暮らせるとは思えないし」
 ミサト「思えなかったし、よ。もう引っ越し手続き済んでるんだから」
 リツコ「……」
 ミサト「何にせよ、シンジ君にとっても、これからがほんとの生活の始まりなのよ。
    ここでのね」
 リツコ「…そうね」
  ミサト「というわけで、またも新たなる同居人の歓迎会を…
     …って、シンジ君? どしたの、改まって」
 シンジ「ミサトさん、今までお世話になりました」
  ミサト「えええ?! ってまさか、こないだの転居願いって…」
 シンジ「ちゃんと目、通してくれなかったんですか?
     僕、ここを出て、レイと二人暮らしをすることになるんですけど。
     ミサトさんに二人も負担抱えてもらうわけにはいかないですし、
     レイの面倒、ちゃんと見てあげないといけないから」
  ミサト「……ッ」(書類の控えに首を突っ込んでいる)
 シンジ「…ミサトさん?」
  ミサト「シンジ君」
 シンジ「はい?」
  ミサト「お願いだからあたしの面倒も見てくれない…?」
 シンジ「お断りします(キッパリ)」

122 :
ミサトの必死の懇願により、同居継続
  ミサト「レイ、退院おめでとうー!」
  .レイ「……」
 シンジ「良かったね、レイ。…あの、勝手に手続き進めちゃって、
     …気に入ってもらえるように、がんばるから」
  .レイ「……」
  ミサト「あら、どしたのレイ? 困った顔しちゃって」
 シンジ「…やっぱり、一人の方が、良かったのかな」
  .レイ「……」
 シンジ「……あの」
  .レイ「…ごめんなさい。こういうとき、どんな顔したらいいかわからないの」
 シンジ「…、レイ…!
     べっ別に、気にしなくていいよ。レイが普通だって思う通りで、さ。
     あ、料理の味、どう? 手、つけてないけど、口に合わなかったかな」
  .レイ「……(ぱく)」
 シンジ「……」
  .レイ「おいしい…」
 シンジ「良かった…そうだ、味噌汁も飲んでみて。あったまるよ」
  ミサト「………気のせいかしらん。何かが違うって気がヒシヒシと」

いろいろと台詞前倒しの予感

123 :
学校でトウジとイザコザ発生後
 シンジ(なんであれに乗ってるんだろう。人に殴られてまで)
  .レイ「……」
 シンジ「…!」
  .レイ「非常招集。先、行くから。
     …お兄ちゃん」
 シンジ「……
     すぐ行くよ。待ってよ、レイ」

 シンジ「うおおおおおおッ!」
  ミサト「よっしゃ、いいわシンジ君!」
 青葉「目標、完全に沈黙!」
 一同「おお〜」
   碇「フ…問題ないな」
 冬月(…妙にあっさり同居を承諾したと思えば…)

シンジって、近しい人、親しく思える人のためにはがんばっちゃう奴だと思う
あと「お兄ちゃん」とか「ごちそうさま」とかに飢えてそう

124 :
  シンジ「どうしてあいつ、いつも一人なんだろうって思って」
  トウジ「そら言うたら、一年のとき転校してきてから、ずーっと友達いてへんな」
 ケンスケ「なんか、近寄りがたいんだよな」
  トウジ「なんや、お兄ちゃんとしては心配なんか?」
  シンジ「そりゃ…でも、僕が首突っ込むことでもないし」
  シンジ「レイ、もう掃除終わったの?」
   .レイ「あと、ゴミ捨てたら終わり」
  シンジ「じゃ、待ってるよ。一緒に買い物して帰ろう」
   .レイ「う、うん」
 ケンスケ「あ〜あ、完全に過保護兄だなぁ。な、トウジ」
  トウジ「……ワシも妹手伝わんといかんような気になってきたわ」
 ケンスケ「…状況は拡大感染の模様、か…」

125 :
単純に考えて、双子だったら
パーソナルデータも酷似してるはず として
  .レイ「今度の作戦は、わたしが初号機に乗る」
 シンジ「駄目だよ、危ないよ。僕が乗る」
  .レイ「…お兄ちゃんのけち」
 シンジ「けちとかじゃないってば」
  .レイ「けち」
 シンジ「ああもう、わかったよ」
  .レイ「…やった」(小さくばんざーいのポーズ)
 シンジ「しょうがないなぁ」
 伊吹「パルス逆流! 初号機、起動しません」
  リツコ「仕方ないわね。パイロット変更、パーソナルを書き換えて、再起動」
 伊吹「はい」
 レイ「おかあさんのけち…」
  碇「ユイはシンジびいきだったからな」

126 :
  ミサト「いっただっきまぁ〜す」
 シンジ「いただきます」
  .レイ「いただきます」
  ミサト「うんうん、シンちゃんのご飯は今日もおいし…
     ……?」
 シンジ「? どうしたんですか、ミサトさん」
  ミサト「んー、なんでもないわよ」
 シンジ「…? あ、レイ、はい、醤油」
  ミサト「……」
  .レイ「…何見てるんですか、葛城一尉」
  ミサト「な、なんでもないわよん」
  ミサト(…おかずに箸をつける順番が同じ…か)

127 :
 青葉「昔、お互いの存在を知らずに育った双子の兄弟がいたんだが、
     初めて出会った時、とても驚いたそうだ」
 日向「そりゃ、実は自分に兄弟がいるとわかれば驚くさ。双子じゃなくても」
 伊吹「驚くというか、喜ぶんじゃないかしら」
 青葉「それが、お互い話をしてみたら、乗っている車の車種、付き合っている
     彼女の名前、大学で専攻した科目、就いた職業。おまけに産まれた子供の
     人数、性別、名前まで、ことごとく一致したらしい」
 伊吹「ええ?!」
 日向「シンクロニシティってやつかな、双子の」
 伊吹「それにしても、すごい偶然」
 青葉「ま、事実は小説よりも奇なりってことじゃないか」
    三人「………」
 シンジ&レイ「な、「なんですか」」
    伊吹「シンクロニシティ、かしら…」
    日向「いや、単にハモッただけだって」

128 :
×おまけに産まれた
○おまけにその後産まれた
ミスった…

129 :
   教師「では出席を取りますよ…えー、相田!」
 ケンスケ「はーい」
   教師「えー、碇!」
シンジ&レイ「「はい」」
   一同「………」
   教師「……
      あー、…よし、碇は両名ともいるな」
  トウジ「まーた同じことしてんのやな、センセ」
 ケンスケ「『これがいわゆるセカンドインパクトで…』と
      いい勝負だよな」
  シンジ(呼び直してくれないんだ…)

130 :
アスカ「あんたたちねぇ、もうちょっと自分の立場を理解しなさいよ!
    同じクラスで同じ苗字なんて、キモチワルイでしょうが!」
 レイ「どうして?」
アスカ「どうしてって…」
 レイ「私、別に気持ち悪くないわ」
アスカ「…この子にジョーシキを問うのが間違いだったわ」
シンジ(僕はどっちに賛成しとけばいいんだろう…)

131 :
  レイ「……」(肉を残す)
. シンジ「あ、ゴメン、また一緒に盛っちゃったね…
    次から、気をつけるから」(味噌汁すする)
 アスカ「あんたたち、双子のくせに食べ物の好みは全っ然違うのね」
  レイ「そんなことないわ」(納豆まぜまぜ)
. シンジ「そういえば意識したことって、ないや」(すかさず醤油を渡す)
  ミサト「今日も我が家は平和、か…」(ビール二缶め)
ペンペン「クワーッ!」(焼き魚完食)

132 :
水泳授業中のレイ、プールサイドで足を滑らせる
バスケ試合中のシンジ、リバウンド取ろうとして足がもつれる

ケンスケ「ふぅむ、なるほどね」
 トウジ「何を一人で納得しとるんや」
ケンスケ「今、碇二人が同じポーズで転んだ」
 トウジ「上(プール)と下(グラウンド)で?」
ケンスケ「そう。十秒差くらいで」
 トウジ「ほぉ」

133 :
 .レイ「どいてくれる」
シンジ「うわっ、ごッ、ごめん」
シンジ、手をどける
レイ、左側から起きあがろうとする
シンジ、左側によけようとする
 .レイ「……」
シンジ「ご、ごめん」
シンジ、右側によけようとする
レイ、右側から抜けようとする
シンジ「……」
 .レイ「……」
シンジ「…僕が先にどくね」
 .レイ「…うん」

134 :
  ミサト「駄目、よけて!!」
 シンジ「えっ?」
   レイ「!!!」
 .伊吹「どうしたの、レイ!」
  .リツコ「ショックを起こしてるわ。…まさか、シンジ君の痛みを
     感じてしまったというの」
 .伊吹「双子のシンクロニシティ、ですか」
  ミサト「もう、こんなときに! ケイジに行くわ、あとよろしく」
ネルフ、マジでピンチ

135 :
シンジ「また、あれに乗らなきゃいけないのか」
 .レイ「そうよ」
シンジ「僕は…イヤだ。レイはあれに乗って怖い目にあったことがないから
    そんなことが言えるんだ。もう、あんな思い…したくない」
 .レイ「…わたしだって、痛かったのに」
シンジ「え?」
 .レイ「もう、寝てれば。初号機にはわたしが乗る。
    自分で動いて痛い目にあった方が、ましだもの」
シンジ「そんな…それは…」
 .レイ「さよなら」

136 :
シンジ「…ッ、駄目だ!」
 .レイ「!」
シンジ「…イヤだけど…ほんとにイヤだけど、それで他人に、妹につらいことを
    押し付ける方が、もっとイヤだ。
    僕が乗るよ」
 .レイ「…お兄ちゃん」
シンジ「心配、するなよ」

作戦後
 トウジ「シンジのやつ、実は反撃作戦の前に妹にグチッて、叱られたんやと。
     いやー、どこの家でも妹はしっかり者やなぁ。
     ワシも妹見舞いに行くとき、気をつけなあかんな。ハハハ」
ケンスケ「……」
 トウジ「ん、どないした、ケンスケ」
ケンスケ「……なんで…なんで俺にも妹がいなかったんだ〜!! ちくしょう!!」
 トウジ「……」

137 :
    ミサト「おっふぁっよ〜」
     プシッ
    ミサト「んぐ、んぐ、んぐ、んぐ、…ぷっはぁあ〜っ! くぅうう〜!
       朝一番はやっぱコレよねぇ〜」
   .シンジ「…コーヒーじゃ」
    レイ「ないんですか」
    ミサト「…?
       おっ、二人ともおんなじ顔して睨んじゃってー。やっぱり双子なのねん」
シンジ+レイ「「えっ」」
両者、お互いをじーっ
   .シンジ「…、えっと、その…」
     レイ「……」
シンジ+レイ「「…、ごめん」なさい」
シンジ+レイ「「…あっ」」
笑いこけるミサト

138 :
 アスカ「で、いるんでしょ、ここに。もう一人」
. シンジ「もう一人?」
 アスカ「あんたバカぁ? ファーストチルドレンに決まってるじゃない」
. シンジ「ああ、レイなら…」
 アスカ「……?!
     ちょっと、名前呼び捨て? まさか出来てんの二人?!
     何よ、トロくさいと思ってたけど、けっこうやるんじゃない」
. シンジ「いや、そうじゃなくて…あっ」
 アスカ「ヘロゥ? あなたがイカリ・レイね。プロトタイプのパイロ…
     …ッて、同姓?! まさか…まさかほんッとに出来てんの?!
     なんたる非常識、14歳なのにフケツにもほどがあるわッ!」
  レイ「……」
. シンジ「待ってよ。違うって」

139 :
 アスカ「ふん、弁解できるものならしてみなさいよ」
. シンジ「あの、妹なんだ。双子の」
  レイ「……」
 アスカ「……ふたご…」
  レイ「そうよ」
 アスカ「……」
 トウジ「黙ってもうたな」
ケンスケ「そりゃ、あれだけ大上段で行ったんだし」
 アスカ「………
     何よ、非常識よ。碇司令の子供だからって、二人揃ってパイロットなんて
     贔屓にもほどがあるわよ! この、親の七光りコンビがぁっ!!」
 シンジ「ええっ?!」
ケンスケ「…引っ込みがつかなくなった、と」
 トウジ「ほんま、エヴァのパイロットって、変わり者が選ばれるんちゃうか」

140 :
 アスカ「このグズに合わせるなんて、どだい無理な話なのよ」
  ミサト「じゃあ、やめる?」
 アスカ「ほかに人、いないんでしょ」
  ミサト「レイ」
  レイ「はい」
 アスカ「…!」
  ミサト「やってみて」
  レイ「はい」
 一同「おお〜」
 トウジ「さすが双子やなぁ」
ケンスケ「まさにユニゾンだね」
  ミサト「これは、レイの零号機の改修を優先させた方がいいかしら」

141 :
 アスカ「……何よ。だったらそうすればッ!!
     どうせ元から組んでる二人の方が、作戦も成功するでしょうよ!
     後から来た私なんか、どうでもいいんでしょ!! バカッ!!」
 シンジ「あの…」
 .アスカ「何も言わないで!」
 シンジ「……」
 .アスカ「わかってるわ。私はエヴァに乗るしかないのよ。
     …言い訳に使って、悪かったわね」
 シンジ「えっ?」
 .アスカ「双子のことよ。相性とか、呼吸とか、そんなの後講釈だわ。
     要は、もっと上手くやってみせればいいのよ。…それしか、ないんだわ」
 シンジ「……」
 .アスカ「…何よ、何笑ってんのよ! 気持ち悪い!」
 シンジ「べっ、別に笑ってなんかないだろ!」

142 :
ユニゾン作戦成功後
 トウジ「で、まだやっとるんやて? あいつ」
ケンスケ「そう。碇妹に張り合うつもりらしいよ」
 トウジ「ご苦労なことやなぁ」
 .アスカ「ちがーう! そこであんたがコケるんでしょうが!」
 シンジ「…もう、なんでこんな、漫才の真似みたいなことしなきゃならないんだよ」
 .アスカ「漫才じゃない! パートナーシップ構築のための訓練よ!
     日頃の生活から、双子どうしより、息が合ってるってことを証明してやるの!!」
ケンスケ「理屈は一応わかるような気もするけど…」
 トウジ「…せやけど、どう見ても漫才やな」
ケンスケ「だね」
  .レイ「……」
 シンジ「あ、レイ…! あの、これは別に…」
  .レイ「…がんばれば」
 シンジ「そんなぁ…」

143 :
伊吹「プロトタイプの零号機には、特殊装備は規格外なのよ」
. リツコ「レイには、零号機とともに本部で待機してもらいます」
..アスカ「残念ね〜? 温泉、行けなくて」
  レイ「……」
作戦終了後 
温泉宿露天風呂
 .シンジ「は〜、いい湯だなぁ」
ペンペン「クエーッ」
 .シンジ「綾波も、今頃準待機解かれて、風呂に入ってたりして」
同 本部大浴場
  レイ「はぷしゅっ」
  レイ「…一人だけど、いいお湯」

144 :
しまった…  ×綾波 ○レイ >>143

 .シンジ「また別れ道だ…」
  アスカ「うーん、右ね」
   レイ「私は左だと思うわ」
 .シンジ「僕もひ…」
  アスカ「もうっ私がリーダーなんだから、黙ってついてくればいいのよ!」
 .シンジ「でも、レイの方がここ詳しいんじゃ…」
  アスカ「シスコンは黙ってて!」
 .シンジ「……シスコン…」
   レイ「時間がないわ。行きましょ」
  アスカ「もーうー、リーダーの言うことをききなさいってば!」
 伊吹「三機とも、発進準備完了しました」
 青葉「しかし、パイロットが…」
  リツコ「大丈夫。あの子たちは必ず来るわ」
  リツコ「……たぶんね」
 一同「えっ」

145 :
  ミサト「レイは?」
 アスカ「誘ったわよ! でも付き合い悪いのよね、あの子」
  両者、シンジをじーっ
. シンジ「な、何?」

 アスカ「ど・こ・に・し・よ・う・か・なーっ、と。
     今度は、あんたも来るのよ」
  レイ「私、行かない」
 アスカ「…#」
. シンジ「なんで僕のほう見るんだよ」

146 :
 アスカ「当然でしょうが」
. シンジ「…?」
. シンジ「…!」
. シンジ(まさか…兄が責任とれとか、そういう…?)
 
 アスカ「……」
. シンジ「れ、レイ! どうして行きたくないの?」
  レイ「…肉、嫌いだから」
. シンジ「じゃあさ、レイでも食べられるところにしてもらおうよ。ね?」
  レイ「…う、うん」
 アスカ「……
     最初っからそうやればいいのよ。このドンカン」
. シンジ(……やっぱり…)

147 :
『みつどもえは、全然似ていない三つ子で、性別は同じ女性ですが、顔は似ていない。』
『二卵双生児である可能性が高い。』
『一卵双生児なら、性別は同じで、顔と体つきは似ているし。』

148 :
. ミサト「そう言えば、二人は双子なんだから、何もシンジ君が
    お兄ちゃんじゃなくてもいいんじゃないかしらん」
シンジ「そ、そうですか?」
. ミサト「いいじゃない、お姉ちゃんレイ。ね?」
 .レイ「…お姉ちゃん」
. ミサト「そ。はいシンジ君ー、言ってみて」
シンジ「ええ?! もう、仕方ないなぁ…
    お…お姉ちゃん?」
 .レイ「…なに、弟」
シンジ「え…と、何でもない…よ」
 .レイ「そう」
. ミサト「…なんかいつも通りだわねぇ」

149 :
保守

150 :
この二人絶対結婚しないまんま年寄りになってW介護になりそうな気がする。

151 :
保守

152 :
捕手

153 :
どっかのスレでマヤがシンジの姉だったらという話があったな
マヤ、レイ、シンジの三姉弟だったらどうなるんだろう

154 :
test

155 :
このスレまだ残ってたのか!

 伊吹「シンジく…あ、いえ、シンジ、前回よりハーモニクス値が
     8も向上してるわ。
     …が、がんばったわね。お姉ちゃん、嬉しいわ。…なんて」
 シンジ「え? …あ、あの、…ありが、とう。…お姉ちゃん」
  .ミサト「お〜、いい感じじゃない」
 伊吹「ふふ。あ…レイも、お疲れさま。連動試験の数値、よくなったわね」
  .レイ「そう」
 伊吹「…えっ?」
  ミサト「あら? 『お姉ちゃん』は?」
  .レイ「……」
 伊吹「…えっと…」
  .レイ「……」
  ミサト「あちゃー…」
 伊吹「……こ、こんなところでしょうか、先輩」
  リツコ「…そうね。お疲れさま」
  .ミサト「ん〜、何がマズかったのかしらん」
 シンジ「レイ、どうかしたの? さっき」
  .レイ「…お姉ちゃんはわたし」
 シンジ(…続いてたんだ…)

156 :
マヤお姉ちゃんと双子乙

157 :
シンジ「考えてみればさ、僕が兄でもおかしくないんだよね」
レイ「シンジがお兄さんなの?」
シンジ「うん、レイは妹。……なんで笑うのさ」
レイ、そっぽ向いて、「笑ってないわ」
シンジ「嘘だよ、肩が震えてるじゃないか。そんなにおかしい?」
レイ、シンジを見て、「笑ってなんかいないわよ。でも、シンジがお兄さんだなんて」
シンジ「やっぱり笑ってるじゃないか」

158 :
まあ、実のところシンジは末っ子にしかみえない
もし、リツコ、ミサト、マヤ、マリ、カヲル、アスカ、レイ、シンジの順番の姉弟だったらと妄想してしまう

159 :
結構面倒見がいいとこあるし、さすがに末っ子はないんじゃないか
というかそもそもこのスレではシンジが兄だったと思うけど

160 :
熱帯夜深更
 リツコ(…ん…何? …ああ、クーラーのタイマーが切れたのね)
 リツコ(…さすがに寝つけないわね、この暑さは)
 リツコ(…そうだわ)
 リツコ「ミサト。ちょっと、ミサト、起きなさい。
    悪いけど、クーラーのリモコン近くにないかしら」
 .ミサト「んー…。知らないわよう…あー、マヤちゃん、ねえ」
  .マヤ「…聞こえてます、お姉さまたち…こっちにもないわ。マリちゃん?」
  マリ「うにゃー、うっるさいなぁ…んっと…カヲルぅ、あとよろしく」
 カヲル「まったく、他力本願だねぇ…アスカ、すまないけど」
 アスカ「なぁにが、すまないけど、よ…んもう、レイー、お願い」
  レイ「…わたしも、お願い。シンジ」
 シンジ「えー…?
     はぁ…やっぱり、そうくるんだ。もう…はい、点けるよ」
 総員「ふー、やれやれ。おやすみー」
 シンジ「おやすみなさい」
 シンジ(良かったな、すぐにリモコン見つかって。みんな眠そうだったし)
 シンジ(……ん?)
 シンジ(…ありがとう、とかは…?)

お人好しぎみな末っ子。
別々の部屋で寝ろよという突っ込みはなしでよろしくお願いします

161 :
>>160
>>158だけどナイス!
GJ!!

162 :
双子かわいい

163 :
委員長「碇さん、プリント配るの手伝ってくれない?」
  シンジ「あ、うん。はい、貸して」
委員長「えっ…? …もう、碇君じゃなくて、碇さん! 妹さんの方!」
  シンジ「わっ、ご、ごめん」
委員長「碇君! 今週の掃除当番、忘れてるでしょ!」
   .レイ「? ごめんなさい」
委員長「あれ…? あ、ちょっと、違うわ。碇君、お兄さんの方よ」
  シンジ「あ…ごめんっ」
   .レイ「じゃ、私、先に帰るから」
  シンジ「うん。ミサトさんに、晩ご飯カレーだよって言っといて」
   .レイ「わかった」
  .トウジ「…まーたやっとるで。もはや恒例行事やな」
. ケンスケ「ま、仕方ないさ。双子が同じクラスに在籍してること自体、無理があるんだし」
  トウジ「あの二人もいい迷惑やなぁ」
委員長「こら、そこの二人! あなたたちも当番でしょ!」
. ケンスケ「いけね」

164 :
真希波・マリ・イラストリアス
「でたな!鬼婆ライダー!真希波キック!!」
ガツン!!ガシャン!!←マリが扇風機を蹴飛ばして、アスカの頭に倒れる時の音。
式波・アスカ・ラングレー
「うがぁーっ!!何をするのよ!?」
渚カヲル
「アスカ、落ち着けよ。マリだって寝ているんだから。それよりも、扇風機が壊れちゃったぞ。動かねえよ。」
式波・アスカ・ラングレー
「この扇風機、この間、ミサトマートで買った安物だわ。」
真希波・マリ・イラストリアス
「うるさいわね…。さっきの騒動で目が覚めちゃったじゃないの…。」
その後、扇風機無しで寝たが、蚊がうるさいので、マリとアスカは蚊をビシバシやる四マツ。
カヲルの顔に蚊が止まったため、二人でおもいっきりビンタ。
渚カヲル
「いてえな!おバカヤロー!」
マリとアスカ
「ちっ!逃したか…。」

165 :
キャラ違うし・・・

166 :
やはりここは長子リツコから末子シンジまでの8姉弟で

167 :
この際ゲームなどに登場したキャラも含め、
長女リツコ
次女ミサト
三女マヤ
四女サツキ
五女アオイ
六女カエデ
七女マリ
長男カヲル
八女アスカ
九女レイ
十女マナ
十一女マユミ
次男シンジ
の十三人姉弟でどうだ

168 :
それだとスレタイが…

  リツコ「やれやれ、ただいま。
     やっと我が家だわ。久しぶりとはいえ、徹夜がこんなに堪えるなんてね」
  ミサト「ふっふ〜ん、トシね、トシ。認めなさいよ」
   マヤ「あ。ミサトお姉さまだって、一つしか違わないじゃないですか」
  ミサト「あら、相変わらずマヤちゃんはリツコびいきなのねん」
   マヤ「べ、別にそんな」
   .マリ「はいはーい、いいから早く玄関あけてくんないかなぁ。遅刻しちゃうじゃんか」
 . カヲル「マリ、その前に『おかえりなさい』ぐらいは言わないとね」
   .マリ「ったぁー、年下のくせに呼び捨てするかー、ふつー。
     あ、そんなことより、シンジ、今日のお弁当なーに? さっき見逃しちった」
  アスカ「ざーんねん。今日のは、この私が腕をふるったの。期待してよね」
   マリ「…うそっ」

169 :
  カヲル「へえ、それは珍しいね」
   .マナ「ほんとほんと。やー、鬼が出るか蛇が出るかって感じだよね」
  マユミ「それはちょっと、言いすぎですよ。せいぜい、開ける前に爆発物処理班を呼ぶくらい、です」
  アスカ「…そこの二人、聞こえてるわよ」
   マリ「にゃー、怖い怖いー。さっ、巻き込まれないうちに先、行くか」
  カヲル「そうだね。シンジ、レイ、そろそろ出ないと遅れてしまうよ」
  シンジ「うん。行こう、レイ」
   レイ「あ、待って。ヴィオラ、持っていかないと」
  シンジ「そっか、今日通しで練習だっけ。兄さんは来れるの?」
  .カヲル「生徒会の方が長引かなければね。一応、席を作っておいてくれるかい?」
  シンジ「わかった」
  アスカ「ほら、もう、ぐずぐずしない! んじゃ、年少組、行ってきまーす」
  .ミサト「はーい、行ってらっさい」
   .マヤ「ふう。毎朝毎朝、あわただしいですね」
  .ミサト「そう言えば、従姉妹三人娘は今日帰ってくるんだっけ?」
  リツコ「そうね。松代の作業が一段落するみたいよ。さて、昼まで眠るわ。おやすみ」
   .マヤ「おやすみなさい、お姉さま。さ、私も出る支度しないと」
  .ミサト「うーむ、徹夜明けに寝ビール一缶…ダメか…どう思う、ペンペン?」
.ペンペン「クエーッ」

…くらいの感じで。これでも多すぎかww

170 :
うわっsage忘れすみませんでした

171 :
>>169の従姉妹達がサツキ・アオイ・カエデの3人で普段は同居というワケか
それもまた良し♪

172 :
シンジ「今日はエヴァの訓練もないし、ミサトさんも遅い、か。
    ただいまー…って、誰もいないよな」
 .レイ「…お帰りなさい」
シンジ「?! れ、レイ? 零号機の再試験じゃなかったの?」
 .レイ「神経系統の二次調整が必要になって、明日に延びたの」
シンジ「そう…なん、だ」
 .レイ「……」
シンジ「…あの、良かったね」
 .レイ「何が?」
シンジ「えと…、その、…今日、ゆっくり休めて」
 .レイ「……」
シンジ「あ…ごめん、別に、…休みがいいことだなんて、そんなの、
    僕の勝手な感じ方だよね。レイは、後から呼ばれた僕と違って
    ずっと真剣だもんな。エヴァに乗ることに」
 .レイ「……
    それは、いいことなの」
シンジ「え?」
 .レイ「きっと、他に、することがないだけだわ。私」
シンジ「…そう、かな」
 .レイ「え」

173 :
シンジ「そんなことないなんて、…僕だって、そんな風に言う自信ないけど、
    でも、レイは、ちゃんと自分で決めてそうしてるって気がするよ。
    結局成り行きで乗ってる僕とは違う。…いいことだと、思うよ」
 .レイ「……」
シンジ「…なんて、少しはきょうだいらしいこと言おうとしたりして。
    似合わないよね、はは」
 .レイ「…お兄ちゃん」
シンジ「…え」
 .レイ「…やっぱり、お兄ちゃんだと思う。私が、お姉ちゃんなんじゃなくて」
シンジ「…レイ…?」
 .レイ「……ありがとう。お兄ちゃんでいてくれて」
シンジ「…!」
 .レイ「…お茶、淹れるわ」
シンジ「あ…いいよ、僕がやる」
 .レイ「…あ」
シンジ「やらせてよ。お兄ちゃん、なんだしさ」
 .レイ「…、うん」
シンジ「僕も、レイがいてくれて、…その、すごく嬉s

174 :
ガラッ
 ミサト「たっだいまー。ったく参っちゃうわー、直前になってデータ差し替え、
    おまけにMAGIの評価待ちで、結局、夜にまた出勤だなんてもう最っ低だわー。
    ま、おかげで晩ご飯食べる時間できたのはラッキーだけど、にしてもリツコのやつ…
    …って、あれ?」
シンジ+レイ「「……」」
   ミサト「…ど、どうかしたの、二人とも?」
シンジ+レイ「別に「何でもないです」」
   ミサト「何でもないって、その二人ともなんかすごく…」
シンジ+レイ「「なんでもないです」」
   ミサト「………ひょっとしてあたし、すごくKYだったのかしらん」
 ペンペン「クエーッ(わかれよ)」

初心に帰ってみました。にぎやか大家族ももちろんいいけどね。

175 :
 トウジ「双子いうても、顔はあんま似てへんのな。あの二人」
.ケンスケ「男女の双子だからね。いわゆる『そっくりさん』な一卵性じゃなくて、
     二卵性双生児ってやつだと考えるのが自然なんじゃないの」
 トウジ「そら…つまり、どういうことや」
.ケンスケ「生まれるタイミングがたまたま一緒だったってだけで、遺伝的には
     普通の兄妹と同じってことかな。確か」
 トウジ「なんや、そうなんか」
.ケンスケ「しかも、ずっと別々に生活してきたんだろ。好き嫌いとか習慣とか、くせなんかも
     大して共通点ないと思うぜ、たぶん」
 トウジ「お互いのこと、知らんで生きてきたわけやから、か。
     …なんや、寂しい話やな。おーい、碇!」
 シンジ「えっ?」
  .レイ「何」
 トウジ「………?!!」
.ケンスケ「…共通点、ないはずなんだけどなぁ」
 トウジ「……
     おい、おいおい、見よったか今の?! 振り向く動きが完全に一致しとっ…」
.ケンスケ「いやー、謎が深いよなぁ、双子って」
 シンジ「ねぇ、何の用なんだよ…?」
  .レイ「気にしなくていいと思うわ」

176 :
test

177 :
.アスカ「あーあ、やっと解放されたわ。
    ったく、毎日毎日、似たような訓練ばっか。たまには、もっと派手ーな仮想演習とか
    やってくれたっていいのに。何のための決戦兵器なのよ。ね、シンジ」
シンジ「そ、そうかな」
.アスカ「何よ、張り合いないわねぇ。…ん」
シンジ「? あ、レイ」
 .レイ「…お兄ちゃん」
シンジ「これから、零号機の追加試験だっけ? 遅くまで、お疲れさま」
 .レイ「…平気。少しだから」
シンジ「なんか、リツコさんがあとで来てくれって。パーソナルデータの更新とか言ってた」
 .レイ「わかったわ。じゃ、先、帰ってて」
シンジ「うん」
.アスカ「……」
.アスカ「…あんた、よく気持ち悪くないわね」
シンジ「なんだよ、いきなり」
.アスカ「あの子よ、あの子。ファースト」

178 :
シンジ「ええ?
    なんでレイのこと、そんな風に思わなきゃいけないんだよ」
.アスカ「だって、ここに来たとき、初めて顔を合わせたんでしょ? 実の双子なのに。
    しかもお互い、全然知らないまま育ってきたんでしょ。なんで普通に接してるのよ」
シンジ「普通にって、…当たり前じゃないか。それこそ、実の兄妹なんだから。
    …アスカは、変だと思うの?」
.アスカ「変、って言うか、…イヤじゃないの? ある日突然、自分とよく似た人間が現れて、
    しかも自分と同じ立場で、一緒にやっていくなんて。
    同じ、なのよ? 自分の存在理由とか、少しは悩んだりしないわけ? あんたは」
シンジ「別に、…そういう風に、考えたことない、けど」
.アスカ「無自覚もいいとこね」
シンジ「…え」
.アスカ「あんた、馬鹿? ほとんど同じ人間を二人揃えるってことは、結局、一人はもう一人の
    交替要員ってことじゃない。あんた、あの子の予備でいいわけ」

179 :
シンジ「…予備だなんて、…そんな、僕もレイも、そんなつもりないよ。
    僕は僕で、レイはレイで…それで、アスカとも、皆で力を合わせて戦って、…それじゃ、
    駄目なのかな」
.アスカ「…駄目とは言わないわよ。
    ただ、あんたはそれで良くても、本当のところはどうなのか、ちっとは疑ってもみろ
    って言ってるの」
シンジ「…うん。…でも、僕は今のままでいい。
    ここに来るまで、お互い、いることも知らなかったけど、今は、僕の大事な家族なんだ。
    …家族ってどんなものなのか、わかった気がするんだ。
    だから、レイのことは疑わない。…ほんとに、そんなこと考えられないんだ」
.アスカ「……
    いつか、痛い目見るわよ。絶対に。…それでもいいわけ」
シンジ「…、うん」
.アスカ「…あんた、ほんとに馬鹿ね」

180 :
「エヴァに乗ったら呪われて人外になります」
ってなんだそれ
んな設定なくても、エヴァに乗るのは子供たちにとっちゃ充分に呪いだったろうに

181 :
幸福の科学の声優
子安武人 小清水亜美 吉野裕行 白石涼子 三石琴乃 置鮎龍太郎
掛川裕彦 伊藤美紀 安元洋貴 銀河万丈 千葉繁 三木眞一郎
真山亜子 西村知道 島本須美 柳井久代 青山桐子 大本眞基子
雪野五月
原作・原案:大川隆法『仏陀再誕』
企画・脚本:大川宏洋
監督:石山タカ明
音楽:水澤有一
キャラクターデザイン:佐藤陵、須田正己
美術監督:佐藤勝
編集:古川雅士
音響監督:宇井孝司
VFXクリエイティブ・ディレィター:粟屋友美子
VFXスーパーバイザー:オリバー・ホッツ
アニメーション・プロデューサー:藤田健
アニメーション制作:グループ・タック
配給:東映
制作:幸福の科学出版

182 :
Q1 双子だと実感するのはどんな時ですか?
  .レイ「…よくわからない」
 シンジ「うん。正直、それほど気にしたことない、かな…?
     皆にはよくそう言われるけど、自分では、あまり実感ないんだ」
  .レイ「必要、ないもの」
 シンジ「はは、そうかもね」

Q2 逆に、似ていても他人だなと思うのはどんな時ですか?
 シンジ「うーん…こっちは、ありすぎて答えにくいや」
  .レイ「そうね。たくさんある」
 シンジ「え、レイも、そうなんだ。じゃ、例えば?」
  .レイ「プールに行った時」
 シンジ「え…?(カラダ的な意味で? ていうか、あの時思わず見とれたの、気づかれてた…?!)」
  .レイ「泳げないなんて、思わなかったもの」
 シンジ「(良かった、そっちか…)
     えー? 人間は浮くようにはできてないんだよ」
  .レイ「……」
 シンジ「な、何だよ、その顔」
  .レイ「べつに」

183 :
レズ妄想できないじゃないか

184 :
幸福の科学の声優
子安武人 小清水亜美 吉野裕行 白石涼子 三石琴乃 置鮎龍太郎
掛川裕彦 伊藤美紀 安元洋貴 銀河万丈 千葉繁 三木眞一郎
真山亜子 西村知道 島本須美 柳井久代 青山桐子 大本眞基子
雪野五月
原作・原案:大川隆法『仏陀再誕』
企画・脚本:大川宏洋
監督:石山タカ明
音楽:水澤有一
キャラクターデザイン:佐藤陵、須田正己
美術監督:佐藤勝
編集:古川雅士
音響監督:宇井孝司
VFXクリエイティブ・ディレィター:粟屋友美子
VFXスーパーバイザー:オリバー・ホッツ
アニメーション・プロデューサー:藤田健
アニメーション制作:グループ・タック
配給:東映
制作:幸福の科学出版

185 :
創価学会の声優
青羽美代子…聖教新聞2009年4月1日5面。1968年入会、芸術部員副白ゆり長。
沢口(石橋)千恵…創価中学校・高等学校卒業。
高橋直純…聖教新聞2002年6月2日5面他(男子部メールマガジン「DAN」2002年6月7日号)東京昭島支部副部長
生天目仁美…聖教新聞(2006年4月11日)東京新宿青春支部女子部員
本名陽子…創価大卒、ビデオ出演
麻生かほ里…コンサート(2004年、創価学会音楽隊結成50周年記念演奏会・創価グロリア吹奏楽団第18回定期演奏会)出演、CDも発売。
伊瀬茉莉也…2008年7月19日PR大会出席と学会系ブログに記載。田中美奈子(創価)代表の動物愛護団体ELFにも参加
銀河万丈…創価・幸福の科学両方CMを担当。

186 :
新劇は双子設定の可能性あるな

187 :
Q あなたにとって、双子のきょうだいとはどんな存在ですか?
 シンジ「え…っと…
     …一緒にいると、なんだか、安心する。他人だけど、他人じゃないっていうか。
     お互い、違うけど似てるから、他の人とより、少しは、緊張せずにいられる…のかな。
     そのことが…似てるってことと、違うってことが、嫌じゃない。だから、安心する」
  .レイ「…不安。
     一緒にいると、自分が自分じゃないような、気持ちになる。
     そこにいる相手が、不確かな自分の、よすがになってしまう。ここにいるための。
     それは、自分にも、相手にも、違うことのはずなのに。だから、不安」
  .レイ「お兄ちゃん」
 シンジ「何?」
  .レイ「どこにも、行かないで」
 シンジ「行かないよ。だって…きっと、僕たちは、ここにいてもいいんだ」
  .レイ「…それで、いいの」
 シンシ「…うん。僕は、そう思う」
  .レイ「………ありがとう」
 シンジ「え? ごめん、今、何か言った?」
  .レイ「…なんでもない」

188 :
双子で最初からスタートした場合レイはデレ全開になるのか?

189 :
やっとQ観てきた。レイのこと気遣いながら話しかけるシンジが嬉しかった。
ただ、それだけに、序・破の気持ちを持ち続けてたのはシンジだけだったことが悲しい。
なんかQより『巨神兵東京に現る』の方が本編みたいだったなぁ。ちゃんと終わってたし。
あとカヲル君、彼はほんとにいい子だ…というか、シンジのこと心底好きなんだなきっと。

  .ミサト「うわーん、作戦部長が遅刻ってのはさすがにマズイわよねッ、ったく。
     (振り返って)さ、シンジ君、行くわよ! …って、あれ? レイ??」
  .レイ「…お兄ちゃんなら」
 シンジ「何やってんですか、ミサトさん! 先に車のとこに行ってますねって、
     さっき言ったじゃないですか。なのに、いつまで待っても来ないし」
  .ミサト「あっれー…? おっかしいわね、ずっとシンジ君がそこにいるもんだと…」
 シンジ「いたのは、レイでしょ。まったくもう」
  .ミサト「ゴメンゴメン、だって似てるんだもの、気配が。やっぱり双子なのねん」
  .レイ「そう?」
シンジ「それとこれとは関係ないでしょ。ほら、早く行くんじゃないんですか!」
  .ミサト「はいはい、怒らなくてもいいじゃない。んじゃレイ、戸締まりよろしく」
  .レイ「行ってらっしゃい」

190 :
 .カヲル「へぇ、そんなことがあったんだね」
 シンジ「うん。ったくもう、呆れちゃうよ。そりゃ、普段からズボラなとこはあるけど、
     幾らなんでも、人を取り違えるなんて。…それとも、…そんなに、間違えやすい
     のかな。僕らって」
 .カヲル「確かに、よく似てはいるね」
 シンジ「はぁ…やっぱり、そうなんだ」
 .カヲル「ただ、人違いをするほどとは思えないな」
 シンジ「…そう、かな」
 .カヲル「僕にとってはね。全然、違うよ。感じがね」
 シンジ「そうなんだ…」
 .カヲル「…どうかしたのかい? なんだか、元気が出たような顔をしているけど」
 シンジ「えっ、あ、いや、何でもないよ。…なんていうか、…ううん、やっぱりいいよ。
     (振り返って)あの、カヲル君はさ…、…?! レイ??」
  .レイ「…彼なら、さっきからそこよ」
 シンジ「えっ? あれ?? …ッ、ごめん、…その、二人とも」
  .レイ「………」
 .カヲル「ふふ。僕らも、気配が似ているのかな」

191 :
 リツコ「あら、そんなことがあったのね」
 .ミサト「レイってば結構怒った顔してて、もう、笑いこらえるのが大変だったわー」
 リツコ「人間の感覚なんて、案外当てにならないものかもしれないわね」
 .ミサト「そ。思い込みに勘違い、誤解にど忘れ。せいぜい反省しながら行かなきゃね。
    (振り返ってから)ねっ、リツコ」
 リツコ「? …呆れた。付け焼き刃で慎重になっても、身につかないわよ」
 .ミサト「それは言わないお約束」
 .カヲル「まだ機嫌、直らないのかい? 彼女」
 シンジ「うん…ねえ、レイ、ごめんってば」
  .レイ「…知らない」
 シンジ「はぁ…」
 .カヲル「大変だね、お兄ちゃんというのも」

192 :
>188 別に変わらないんでは? 双子だとしてもあのままかも

 シンジ「それにしても、ここに来たばかりの時は、大変だったな」
  .レイ「何が?」
 シンジ「いきなり、いろいろなことが起きて。エヴァとか、使徒とか、戦いのことだって、
     …僕なんかに、そんなことが起きるなんて思ってもみなかったから。
     でも、一番は、レイに会えたことかな」
  .レイ「そう?」
 シンジ「当たり前だよ。目の前の怪我してる女の子が、顔も覚えてないレイだったなんてさ」
  .レイ「…私は、知らされてた」
 シンジ「僕が来ること?」
  .レイ「うん」
 シンジ「そうなんだ。やっぱり、父さん…から、だよね」
  .レイ「そう、碇司令から」
 シンジ「…父さんのこと、そんなふうに呼んでるんだ。ずっと?」

193 :
  .レイ「そう。覚えてるかぎり、ずっと」
 シンジ「……」
  .レイ「どうしたの?」
 シンジ「…ほんとはさ、僕は、レイのことうらやましかったんだ。僕は小さい頃
     先生のところに預けられたのに、レイは、初めから父さんと一緒だったから。正直、
     父さんは僕よりレイの方が大事なんだって、…ずっとひがんでた」
  .レイ「……」
 シンジ「自分だけが辛い思いしてるって、思い込んでたんだ。…そんなはずなかったのに」
  .レイ「…お兄ちゃん」
 シンジ「ううん、いいんだ。
     あのさ、レイは父さんのこと、…好き?」
  .レイ「…わからない」
 シンジ「わからない?」
  .レイ「うん。…そういうふうに、考えたこと、ないから」
 シンジ「考えたことない、って…」
  .レイ「…お兄ちゃんは、葛城一尉のこと、名前で呼ぶのね」
 シンジ「あ…うん」

194 :
  .レイ「碇司令のことも、お父さん、って呼んでる」
 シンジ「…うん」
  .レイ「……いいな」
 シンジ「え?」
  .レイ「…なんでもない」
 シンジ「…、レイもさ、呼んでみればいいのに。父さんのこと、父さんって」
  .レイ「…無理。きっと」
 シンジ「そんなことない。できるよ、絶対」
  .レイ「…私にも?」
 シンジ「うん。
     そうだ、いきなりで難しいなら、例えば、まずミサトさんやリツコさんに試して
     みたらどうかな。…あ、でも、レイが嫌だったら、することないんだよ」
  .レイ「ううん。…やって、みる」
 シンジ「ほんと? 良かった、…けどなんか、無理やり押しつけちゃったみたいで」
  .レイ「違うわ。
     それに、私、お兄ちゃんのことは、お兄ちゃんて呼べたもの」
 シンジ「あ、…そういえば、そうだね。…なら、きっとできるよ。父さんにも」
  .レイ「…、うん」
 ミサト「どしたの、難しい顔して」
 リツコ「…ああ、ミサト。それがさっき、レイに名前で呼ばれたの」
 ミサト「レイに? 『リツコさん』って?」
 リツコ「そう。あのレイによ」
 ミサト「いいんじゃない? そう深刻に考えなくても。第一、いい傾向じゃない」
 リツコ「…だといいわね」
 ミサト「そうよう。喜びこそすれ、悩むことじゃないわよ。あ、それと」
 リツコ「何?」
 ミサト「驚いたのはわかるけど、…ボールペン、上下逆に持ってるわよん」
 リツコ「えっ? …!!」
 ミサト「…まったく、ほんとは嬉しいんじゃないのかしらん」

195 :
 リツコ「その後どう、双子との生活は」
 .ミサト「ん? もうすっかり慣れたわよ。公平に決めた家事当番も無事定着したし」
 リツコ「定着したのは二人にでしょう。察するに、あなたは大して入ってないんじゃない?」
 .ミサト「う…何よ、その言い方は」
 リツコ「何にせよ、お互い家族でいることが板についてきたようね。まさか、
     私生活に関してはあれほど自堕落で無責任なあなたが、二人の子供の
     保護者を務められるなんて、正直思わなかったもの」
 .ミサト「…前半はともかく、ま、おおむね同意するわ。自分でもまだ驚いてるもの」
 リツコ「人間の環境適応能力も、まだまだ捨てたものじゃないわね」
 .ミサト「そ。人間、何にだって順応してくもんよ。今じゃ、二人が一緒の速度で
     コーヒー飲みほすのも、同じ方に振り返っておでことおでこぶっつけるのも、
     同じタイミングでトイレに立っちゃって譲り合いするのも、あとは食事どきに
     両側から同時に手を伸ばして、お醤油ひっくり返すのにも慣れたわー。
     あ、でも、起き抜けでねぼけまなこの二人から、左右からサラウンドで
     『おはようございます』って挨拶されるのは、さすがにまだちょっち
     びっくりするけど」
 リツコ「…あなた、本当に大した環境順応力だわ」

196 :
test

197 :
  ミサト「二人ともおっはよう。ふむふむ、今朝は海草サラダにオムレツねん。
     いっただっきまー…ん? どしたの、レイ? 食べないの?」
  .レイ「……」
 シンジ「レイ? あ、そっか。はい」
  ミサト「え? お酢? サラダに?」
 シンジ「これでどう? 食べられそう?」
  ミサト「えっ、それじゃちょっち、酸っぱいんじゃ…」
  .レイ「…ありがとう」
  ミサト「ええ?? いいの、それで?」
  .レイ「うん」
 シンジ「ドレッシング、薄味にしたから、レイには海草のにおいが気になるのかもって思って」
  ミサト「なるほど、さっすがお兄ちゃん。…けど、なんでそうだってわかんのかしら」
 シンジ「さあ…なんとなく、そうかなって」
  ミサト「ふーむ…さしずめ、シンクロニシティか双子の神秘だわね」
 シンジ「もう、ちゃかさないでくださいよ」
  .レイ「…おいしい」

198 :
  ミサト「ただいま〜。ふー、今日もくたびれたわ〜」
 シンジ「お帰りなさい、ミサトさん。ちょうど、ご飯できるところですよ」
  ミサト「おー、ありがと。あ、でも、先にシャワー浴びてくるわ」
 シンジ「あ、はい」
  .レイ「お兄ちゃん」
 シンジ「何? あ、そうか」
  ミサト「どしたの?」
 シンジ「お風呂の温度、直しときますね。さっきレイが入ったから、少しぬるめになってて」
  ミサト「あ、なるほど。悪いわね…って、今のだけで話、通じてたの…?」
 シンジ「? 別に、普通に気がつく流れだったと思いますけど」
  ミサト「そうかしらん」
 シンジ「あ。また、シンクロニシティとかそういう話に結びつけようとしてるでしょ」
  ミサト「あはは、ごめんごめん。あっれー、シンちゃん、けっこう顔が怒ってるわよん」
 シンジ「誰のせいだと思ってるんですか。まったくもう」
  .レイ「お兄ちゃん、お味噌汁、沸いてる」
 シンジ「え? うわっ」

199 :
  ミサト「やれやれ、今日もなんとか平和に過ぎた、か。二人ともー、そろそろ寝なさい」
 シンジ「はーい。あ、そうだ、レイ」
  .レイ「覚えてる。けど、私」
 シンジ「それはいいよ。けどさ、ほら」
  .レイ「そうね。じゃ、明日」
 シンジ「うん」
  ミサト「…??!」
 シンジ「? どうかしたんですか?」
  ミサト「…一応訊くけど、今の、会話…だったのよね?」
 シンジ「?? そうですけど。レイ、明日からクラスの週番なんですけど、ネルフの検診で
     遅刻するから、午前中の仕事は僕が代わりにやっておくよって。でも、委員長って
     けっこうそういうこと細かいから、学校に来たら、ちゃんと断っておきなよ、って…
     …あれ? ミサトさん?」
  ミサト「……
     あり得ない…やっぱり…やっぱり、双子って人知を超えた存在なんだわ…」
 シンジ「ミサトさん?? ちょっと、どうしたんですかミサトさん?!」
  .レイ「そっとしておいた方がいいと思うわ」

200 :
いつも乙です

201 :
あけおめ

202 :
  シンジ「あけましておめでとうございます、ミサトさん」
   ミサト「はーい、おめでと、シンジ君。今年もよろしくね。
      …よろしく、なんて、軽く言うのはずるいけどね。お互い、がんばりましょ」
  シンジ「はい。…お正月の間くらい、使徒が来ないといいですね」
   ミサト「うんうん、まったくだわ〜。お屠蘇くらいゆっくり呑ませてほしいもの」
  シンジ「ミサトさんのお酒はいつものことでしょ」
   ミサト「あらら、初小言? もーう、怖い顔しちゃって。ね、ペンペン」
..ペンペン「クエーッ」
  シンジ「もう。…レイ、そろそろ終わった?」
   .レイ「…うん」
  シンジ「じゃ、開けるよ…、…!!」
   ミサト「…わーお。すっごい綺麗じゃない、レイの振袖姿! まさに天女のごとしだわ」
   .レイ「どうしたの、お兄ちゃん」
  シンジ「え?! ッいや、別に、…その、…あんまり、綺麗だから」
   .レイ「…! 本当」
  シンジ「本当だよ。えっと…に、似合ってるよ、すごく」

203 :
   .レイ「…、あ、ありがと」
   ミサト「ったく、二人して照れちゃって。本日の我が家は春爛漫ってとこねん」
  シンジ「べ、別にいいじゃないですか、ほんとに綺麗なんだから。
      レイ、帯とか初めてなんだよね、大丈夫? 苦しくない?」
   .レイ「平気。少し、動きづらいだけ」
  シンジ「そっか。あ、そうだ、あとで記念写真撮ろう、せっかくだから」
   .レイ「うん」
   ミサト「ふむふむ、今年もお兄ちゃんは世話焼き大好きで行くわけね。美しい兄妹愛だわ〜」
  シンジ「だから、そういうの今年はやめましょうってば」
  冬月「どうした、碇。さっきから携帯の画面ばかり見て」
    碇「…いや、何でもない。葛城三佐のパイロット監督報告だ」
  冬月「要は、年賀状かね。時代は移っても残る、美しい日本の習慣、か。感慨深いものだな」
    碇「……」
  冬月「…碇。
      そうやって隠さなくても、私の端末にも同じものが届いていたぞ。添付画像も一緒に」
    碇「…!!」
  冬月「『あけましておめでとうございます お父さんへ』…か。綺麗になったな、レイも」
    碇「………」
  冬月「…もしや、泣いているのか、碇?」
    碇「…いや。何でもない」
  冬月「そうかね」

204 :
乙です

205 :
あげ

206 :
いいスレ

207 :
双子ならアスカは精神が安定するよね

208 :
  .レイ「ただいま」
 シンジ「あ、お帰りー、レイ」
  .レイ「…?」
  ミサト「こっちこっち、キッチンに集合よん」
  .レイ「? …甘い匂い」
 .アスカ「豆よ、豆。豆に砂糖どばーっと入れた真っ黒いスープ。
     ほんと、日本人の食事のセンスって信じらんない。味の想像もつかないわ」
  ミサト「それは食べてのお楽しみよん。さ、レイも座ってー」
  .レイ「……」
 .アスカ「何よ?」
  ミサト「ああ、アスカなら、私が連れてきたの。せっかくの機会だし」
  .レイ「機会?」
 シンジ「お汁粉、作ってるんだ。昨日鏡開きだったの、すっかり忘れてて」
  .レイ「おしるこ」
  ミサト「そ。お正月に飾ってた鏡餅を入れて食べるの。
     この際だから、アスカにも日本の正月の良さを体験してもらおうと思ってね」
 .アスカ「別に、そんなの頼んでないわよ、私。
     こんなオママゴトみたいな真似につき合う義務も理由もないし」

209 :
 シンジ「まぁまぁ、とにかく、味見だけでもしてみてよ。
     はい、これ。箸はこっちを使って。…口に、合わないかもしれないけど」
 .アスカ「何よ、いちいちいじけんじゃないわよ。…わざわざ来たんだし、一応食べるわよ。
     ッてミサト、それは私の分でしょ! 何横から取ってんのよ!」
  ミサト「だーめ、一番乗りは家長の権利って決まってるの。さ、いっただっきまーす」
 シンジ「あ、ほら、ちゃんと皆の分あるから」
 .アスカ「ったくもう、何なのよこの家は。…じゃ、もらうわ。うわ、あっつそう」
 シンジ「うん、お餅もお汁粉も熱いから、気をつけて。はい、レイの分」
  .レイ「…いい匂い」
 シンジ「甘すぎたらごめん。そうだ、お茶も淹れるね」
  .レイ「……おいしい」
  ミサト「んー、さっすがシンジ君! やさしい甘さとあったかさがお腹に沁みるわー。
     うんうん、やっぱりこうでなくっちゃ。さあて、日本の伝統スイーツのお味はどう? アスカ」
 .アスカ「どうって、人が食べてる最中に…ん」
 シンジ「…あの、やっぱり、アスカには合わなかったかな」

210 :
  .レイ「……」
 .アスカ「! 何よ、いちいち同じ目つきで見ないでよ、妹。……べつに、悪かないわよ」
 シンジ「そっか。…良かった」
 .アスカ「…ふん、そんなことでくよくよしてちゃ、使徒になんか勝てないわよ」
 シンジ「…、そうだね。はは、ごめん」
  ミサト「ぷはーッ、おいしかったー。あ、シンジ君、おかわりある?」
 シンジ「ええ?! まだ食べるんですか?」
  ミサト「もっちろん」
 .アスカ「うっそー、この甘いのを? あとで気持ち悪くなっても知らないわよ」
  .レイ「…わたしも」
 .アスカ「!」
 シンジ「あ、うん。…はい。二杯目だから、ちょっと少なめにしたよ」
  .レイ「…ありがとう」
 .アスカ「ちょっと、馬鹿シンジ。私も」
 シンジ「え? だって気持ち悪くなるって…」
 .アスカ「いいから寄越す!」
 シンジ「え、あ、うん」
  ミサト「もーう、アスカったらむきになっちゃって、可愛いとこあるじゃない」
 .アスカ「!! 何よもう、うるっさい!」
  .レイ「…ふう。おいしい」

211 :
 トウジ「そういや年明け、碇兄妹と外で会ってんけどな」
ケンスケ「何だよ、その顔。ユニゾン発声で『あけましておめでとう』とでも言われたの」
 トウジ「いや…ワシも絶対そう来ると思ってたのにな」
ケンスケ「違ったの?」
 トウジ「…シンジが『あけまして』って言うたとたん、即、碇妹が『おめでとう』って
     綺麗に繋げてきたんや。いやー、さすがのワシも驚いたわ。シンジも驚いとったけどな」
ケンスケ「分割年始か…やっぱ、双子って謎だよなぁ」
 トウジ「んな大げさな。ま、にしても、今年はどうなることやろうな」

年始ネタ引っぱってごめんなさい。あとあまり双子っぽい点がなくてすみません。
いろんな方が読んでくださってるみたいで、大変うれしいです。これからも精進します。

212 :
この設定ならアスカはツンを控えめにしてデレを多めにしても良さげな気がする

213 :
ツンツンか

214 :
ツンヤン

215 :
.ミサト「あら、レイ、お帰りなさい。…ん? 何持ってるの? 後ろに」
 レイ「…赤木博士が、今日はこれを渡すものだって」
.ミサト「おー、ちゃんとチョコ用意したんだ。ふふ、レイもやっぱり女の子なのね。
   なんか安心したわ」
 レイ「そう、なんですか」
.ミサト「ん。かわいいわよん」
 レイ「…、よくわからない」
.ミサト「あらら? ま、そこがレイらしいっちゃらしいんだけどね。…あ、シンジ君なら
   今ちょーっち忙しいみたいよ」
 レイ「?」
.アスカ「だーかーら、もっとこう、気の利いたアイディアはないのかって言ってるの!
    こんなんじゃ、そこらのコンビニで売ってるのと変わんないじゃない」
シンジ「そんなこと言われても、いきなり作れるわけないだろ。だいたい、なんで
    当日になってからチョコの手作りなんてしようとするんだよ」
.アスカ「だぁもう、うっさいわね。当日になっちゃったからあんたに頼んでるんじゃない」
シンジ「…これが人に物を頼む態度とは思えないんだけどなぁ」
.アスカ「なんか、言った?」
シンジ「言ってないよ。…はぁ」
 レイ「……」
.ミサト「どうする、レイ? シンジ君、呼んでこよっか?」
 レイ「いい。…あとで」
.ミサト「そ。で、ちなみに、レイはお兄ちゃんに、どんなのあげるのかなー?」
 レイ「…、だめ、内緒」
.ミサト「ふふ、そっか。おっし、健闘を祈るわ」

216 :
test

217 :
伊吹「零号機、初号機、ともに、第七シークエンスまでの全てのチェックリストを
    クリア。深部シンクロテスト結果、およびハーモニクス、全て問題なし。
    第29次定期起動試験、終了しました。テストログは、集約後にメルキオールでの
    総合解析へ回します」
..リツコ「了解。…シンジ君、レイ、お疲れさま。上がっていいわよ」
両者『『はい』』
伊吹「二人とも、調子いいみたいですね。シンクロ率も、少しずつですけど、安定して
    伸びてきてますし」
..リツコ「そうね。双生児…身体情報、パーソナルデータともに酷似した二人と、二体のエヴァ。
    例の新システムの件、そろそろ本格的に……あっ」
伊吹「先輩? ……あっ」
日向「パーソナルデータの取り違え?! シンジ君と、レイの?」
伊吹「……そうなの…」
青葉「で、初号機と零号機は、ちゃんと起動してたのか?」
伊吹「ええ。…まさかテストが終了するまで、気づかなかったなんて…」
日向「いくら双子とはいえ…驚くべきは、エヴァのシステムの柔軟性ってことか」

218 :
青葉「にしても、赤木博士が同席してたにもかかわらず発覚しなかったとはなぁ」
  碇「ああ。信じがたいミスだ」
三人「「「!!!」」」
冬月「碇、そう怖い顔をするな。機体相互換試験に向けて貴重な先例が得られた
    とも考えられるだろう。少なくとも、検証に値する結果だよ」
  碇「そうか」
三人「副司令…!」
冬月「しかし、一歩間違えば重大事故につながっていたかもしれんのだぞ。
    今後、最低でも技術部への査察の増加は覚悟しておきたまえ」
三人「………」
. ミサト「うー…リツコ? そろそろ、やめといた方がいいんじゃない?」
..リツコ「………」
. ミサト「…あちゃー。こりゃ、飲み明かしコースだわ」
加持「ま、仕方ない。つき合うさ」

219 :
..ミサト「でー、結局、アスカはシンジ君にあげたのかしらん?」
.アスカ「な、何をよ」
 .レイ「チョコレート、14日の」
.アスカ「…やったわよ、一応。わざわざ上に報告しなきゃなんないわけ」
..ミサト「だって、首尾が気になるじゃなーい。あんだけ大騒ぎしてたんだから」
.アスカ「う…大騒ぎとは何よ、大騒ぎとは」
..ミサト「アスカってば、案外かわいいとこあるのよね。当日になってからあわてちゃってさ」
 .レイ「そう、騒いでた」
.アスカ「! 何よ、妹。あんたは関係ないでしょうが」
..ミサト「関係なくないわよーう。レイは、シンジ君にちゃんと渡したもの。ね?」
 .レイ「…うん。あ…お兄ちゃん」
シンジ「もう、何してるんだよ、三人で。またケンカ?」
.アスカ「またとは何よ。だいたい、あんたがボケッとしてるのが悪いんじゃない」
シンジ「?? 何がだよ」
..ミサト「ふーむ。
    ここはひとつ、本人に訊いてはっきりさせときませうか。…シンジ君?」
.アスカ「え、ちょっと、ミサト!」
..ミサト「アスカからはもらった? バレンタインのチョコ」

220 :
シンジ「え? …いえ、確か、アスカからは何も」
 .レイ「……」
.アスカ「何よ、やったでしょ、ちゃんと! その日のうちに!」
シンジ「もらってないよ! あの日は、チョコ作るの手伝わされただけで…あれ」
..ミサト「どしたの?」
シンジ「…チョコ作りの合間、味見しろってくれた分が、もしかして」
..ミサト「ええ? もーう、そんな遠まわしな…あら、ちょっ、アスカ? どこ行くの?!」
.アスカ「…どこまで鈍いのよ、ったく。馬鹿馬鹿しくてやってらんないわ…
   ! 何よ、あんたまで」
.カヲル「どうしたんだい? そんなに慌てて。
    …やあ、シンジ君。この間のお菓子、ありがとう。おいしかったよ」
シンジ「あ、…あれは、たまたま作った分があったから。良かった、口に合って」
..ミサト「ん?」
 .レイ「…お菓子」
.アスカ「…それって、つまり」
シンジ「その、なんか…かえって、ごめん、大したものじゃなくて」

221 :
.カヲル「そんなことないさ。嬉しかったよ、気持ちが感じられて」
シンジ「カヲル君…」
.アスカ「………あげたんだ。チョコ」
..ミサト「なんと。完全に想定外の展開だわ、これは」
 .レイ「…ちょっと、うらやましい」
シンジ「? どうしたの、三人とも」
.アスカ「……馬鹿シンジ。
    あんた、この私が作った分を、このニヤケ男にやったわけ…?」
シンジ「え? 違うって、アスカのじゃないよ。材料の残りがもったいないから、
    自分でも作ってみただけだよ。それを女の子にあげるのも変だし…
    …ッて、なんでそんなに怒ってるんだよ?!」
.アスカ「うるさいッ!! 馬鹿、フケツ、鈍感、信じらんない!」
シンジ「うわ?!」
.カヲル「…大変だね、他者の間で暮らすというのも」
.アスカ「あんたも、なに他人事ヅラしてんのよ! こんの底抜けの大馬鹿コンビが!!」
 .レイ「そういえば、葛城三佐はあげたんですか」
..ミサト「ん? …あらら、そっか、一応あたしもあげる立場だったか。うーん、今から
    用意するってのもなんだし…あ、そうだ! 代わりに、男子二人にはこの、
    特殊仕様のカッコいいチョーカーを」
両者「「 いりませんッ!!」」

規制長かったー…
>212
…やってみたけど、どうも上手くいきません。すみません。
ツンデレって今いちよくわからないんですが、アスカのは、キャラがどうこうと
いうより、シンジに「もっとしっかりしてよ、男でしょ、いいとこ見せてよ」と
言いたい気持ちの現れじゃないかという気がします。個人的にはですが。

222 :
222

223 :
LASとかはやめてほしい

224 :
かわいい

225 :
test

226 :
血縁的にそうかも、兄弟か親子かどっちか

227 :
. ミサト「二人とも、ちょっちそのままねー。…はい、オッケー」
 .レイ「もう、動いていいの」
シンジ「うん、いいんだよ。…それより、なんでいきなり身長測定なんですか」
. ミサト「んー。二人は背の高さまで同じなのかなって、気になってねん」
シンジ「なんですかそれ…」
 .レイ「それで、同じだった、んですか」
. ミサト「そう! なんと、ぴったりミリ単位まで一致してるの。さっすが双子だわ」
シンジ「もう、毎回双子双子ってはやすの、やめてくださいよ。いい加減慣れましたけど」
. ミサト「事実そうなんだから、しょうがないでしょー。それに、レイのほうはぜんぜん
    気にしてないみたいよ」
シンジ「そうなの?」
 .レイ「うん。…少し、嬉しいから」
シンジ「…、そっか。なら、僕もいいや」
. ミサト「ふふ。シンジ君、ほんとレイには優しいわね。表情まで柔らかい感じ」
シンジ「べ、別にいいじゃないですか、それこそ、双子なんだし。ミサトさんの好きな」
. ミサト「おっと、意外に鋭い反撃ー。…ん、レイ? どしたの、頭触って」
 .レイ「…身長。ずっと、同じなんですか」
シンジ「え?」

228 :
. ミサト「うーん。
    ずっと同じってことはないわ。二人とも成長期だしね、背だってもっと伸びるし、
    心も身体も、きっとどんどん変わっていくわ。もっともっと、あなたたちらしくね」
 .レイ「……」
. ミサト「けど、心配することないわ。どんなに年を重ねても、たとえお互いの距離が
    変化することがあっても、あなたとシンジ君が双子のきょうだいだってことは
    ずっと変わらない事実なんだから。…ね?」
シンジ「え? …! はい」
 .レイ「……おにい、ちゃん」
. ミサト「ん。…ただーし、お兄ちゃんの座は近いうちにおびやかされるかもよ?
    何しろ中学生くらいまでは、女の子の方が伸びが速いんだっていうし。身長」
シンジ「え?! そうなんですか?!」
. ミサト「案外、レイに抜かれるかもね。ふっふっふ、その間はレイお姉ちゃん復活かしらん」
 .レイ「そうなんですか」
シンジ「ええ、レイまで?! うわ、えっ、なんか、どうしよう」
. ミサト「もーう、本気で心配しちゃって、面白いやつ。大丈夫よ、高校に入った頃にはまた
    シンジ君が抜き返してると思うから」

229 :
シンジ「なんだ…」
. ミサト「ま、それもこれも、これから先のお楽しみねん。道は長いわー」
シンジ「ッて、ミサトさんが面白がってどうするんですか! ったく…うわ、もうこんな時間か!」
 .レイ「…これから」
. ミサト「ん、まだ不安? レイ」
 .レイ「…、いいえ。…うれしいの」
. ミサト「…そ。
    あなたたちは、いくらでも楽しんでいいんだからね、これからを。胸を張って行きなさい。
    そのために、私たち大人も頑張れるんだから」
 .レイ「…はい」
シンジ「レイ! もう出ないと、学校遅刻するよ!」
 .レイ「あっ…待って、今、行く」
. ミサト「はーい、行ってらっしゃい。二人とも、気をつけてよ」

なんかミサトさん特集みたいになってしまった。長いし。(いつもか)
>223 そういうのは苦手なんで、ラヴコメ程度の雰囲気までで止まると思います。
読んでくださった方、ありがとうございます。

230 :
その後、実はレイが姉であることが判明
それを聞いたアスカの反応「双子の順番なんて、たいして意味ないわよ」

231 :
確かにそうかもしれない

232 :
流石に?

233 :
>230
.アスカ「だいたいね、昔と今じゃ、双子の順番の決め方も違ってたのよ。知らないの?」
シンジ「し…知らなかった、けど」
.アスカ「相変わらずなーんにも知らないのねー。
    今は、先に産まれた方が上って決めることになってるでしょ? 昔は逆だったのよ」
シンジ「後から産まれた方が上、ってこと?」
.アスカ「そ。なんでも、後から産まれた方の子は逆に、先にお母さんのお腹に入ってた
    って考え方だったらしいわ。なーんか、ヘリクツっぽいけど」
シンジ「そうなんだ…アスカ、よく知ってるね、そんなこと」
.アスカ「はん、常識よ。どっちにしろナンセンスね、どうしても順番が知りたければ、
    受精のタイミングとか、卵割開始のあたりまで、ゲンミツにさかのぼるしかないじゃない。
    ま、フツーはそんな情報、残ってないし調べもしないけど」
 .レイ「残ってる」
シンジ「え? …どこに?!」
 .レイ「この前、見せてもらったもの。碇司令に」
.アスカ「……
    それって、受胎前から記録つけてたってこと?! …なんたる親バカ、信じらんない」
シンジ「…父さんって…」
.アスカ「あ、で、どっちが先だったの? 結局」
シンジ「え?!」
 .レイ「知りたい?」
.アスカ「当然でしょ。さ、もったいぶってないで教えなさいよ」
シンジ「…ちょ、ちょっと待って、なんか、心の準備が」
 .レイ「……」
.アスカ「ほらもう、どうなのよ」
 .レイ「………ないしょ」

234 :
いつも乙でしゅ

235 :
test

236 :
 .レイ「ごめんなさい、遅くなった」
シンジ「ううん、平気だよ。さ、帰ろう。お腹すいちゃったよ」
 .レイ「うん。…わたしも」
シンジ「はは、じゃ、帰ったらすぐご飯にしよっか」
 .レイ「うん…あ」
シンジ「? …あ、カヲル君!」
.カヲル「やあ、シンジ君。それに妹さん」
 .レイ「……」
.カヲル「もう、帰るところかい?」
シンジ「うん、やっと訓練終わって、二人で帰るところなんだ。君も、今
    上がったところ?」
.カヲル「いや、僕はまだ次の試験があるんだ。15分後には再エントリーだよ」
シンジ「…、そっか…」
.カヲル「僕に何か用があったのかい?」
シンジ「あ、いや、…別に、用ってわけじゃない、んだけど。…ッごめん、時間
    ないんだったよね。それじゃ、お疲れさま」
 .レイ「……」

237 :
.カヲル「…待って。確か明日は、夕方には全ての試験日程が終わるはずなんだ。
    その後なら時間が取れると思うよ。久しぶりに、器楽室にでも行こうか」
 .レイ「……」
シンジ「! うん。…あの、ありがとう」
.カヲル「ううん、僕も楽しみだよ。じゃ、また明日」
シンジ「うん。明日」
 .レイ「……」
シンジ「あ…ごめん、レイ。帰ろうか」
 .レイ「……」
シンジ「レイ? …ごめんよ、待たせちゃって。疲れてるのに」
 .レイ「……お兄ちゃん、あの人と仲、いいのね」
シンジ「え?」
 .レイ「…うれしそう、だった。ずっと」
シンジ「え…そう、かな。普通に話してたつもりだけど…変だったかな」
 .レイ「ううん。そうじゃ、ない」
シンジ「??」
 .レイ「……器楽室って、何」
シンジ「さっきの話の? ああ、ピアノがあるんだ、ここの器楽室に」
 .レイ「…ピアノ」
シンジ「うん。変だよね、本部の中なのに。そこで、何度かカヲル君と連弾したんだ」
 .レイ「れんだん」
シンジ「そう。…あ、二人で一緒に弾くんだ、ピアノを。高音と低音の担当に分かれて、
    いい音を出せるように、それぞれ考えながら、でも、協力して」

238 :
 .レイ「…同じ、一つの曲を?」
シンジ「そうだよ。難しいけど、楽しいよ」
 .レイ「……そう、よくわからない」
シンジ「あ…そっか、言葉じゃ、伝わりにくいよね。ごめん」
 .レイ「そうじゃ、ないの」
シンジ「え?」
 .レイ「……わかりたくない、そんなの」
シンジ「レイ? 今、何て?」
 .レイ「…何でもない」
シンジ「…レイ? え…あ、待ってよ。待ってってば」
 .レイ「……」
シンジ「??? 急にどうしたんだよ、もう。長話したのは、そりゃ、僕が悪いけど」
 .レイ「……あの人、ここで何してるの」
シンジ「え? …カヲル君のこと?」
 .レイ「そう」
シンジ「何って、…まだ担当するエヴァが調整中で来ないから、ここで予備訓練だけしてるって
    ミサトさんが言ってたじゃないか。でも、予備なんて言っても大変だよな。僕らより
    試験の量もずっと多いみたいだし。…レイも、零号機が準備できる前は、あんなふうに
    毎日忙しかったんだよね、きっと。なんか…僕だけ、楽してエヴァに乗ってるみたいだ」
 .レイ「…わたし、あんなことやってないわ」
シンジ「え…?」

239 :
シンジ「…どういうこと? それって、カヲル君が」
 .レイ「…、ごめんなさい。わたしの気のせい、だと思う。
    試作型の零号機とは、課される試験が違っても不思議じゃないもの」
シンジ「…レイ…?」
 .レイ「……ごめんなさい。…変なことばかり、言った」
シンジ「…、そんなことないよ。レイはずっとここにいて、長い間一人でがんばってきたんだから、
    後から来た人のことが気になるのは、当たり前だよ。変なんかじゃない」
 .レイ「…ごめん、なさい」
シンジ「なんだよ、謝ることなんかないってば。ほんとにどうしたんだよ、さっきから」
 .レイ「……」
シンジ「……
    しょうがないなぁ、まったく」
 .レイ「…お兄、ちゃん?」
シンジ「こんな遅い時間まで残らされてたからだよ、きっと。落ち着かないのも、気になるのも。
    ほら、早く帰って、ご飯にしよう。レイの好きなもの作るからさ」
 .レイ「……お兄ちゃん」
シンジ「さ、行こうよ。帰ろう」
 .レイ「…うん。うん、…お兄ちゃん」

規制解除ヤッター。
>189で何も考えずに登場させてしまったので、カヲル君の位置付けの話。
長くてすみません。読んでくださった方、いつもありがとうございます。

240 :
 ミサト「じゃあ…行くわよ、二人とも!」
..シンジ「え、あっ、はいっ」
  .レイ「はい」
 ミサト「せーの、じゃんけん…ぽんッ!
    …あっちゃ〜、またあいこか。シンジ君ー、レイ、真面目にやってる?」
..シンジ「すみません…って、なんで謝らなきゃいけないんですか」
 ミサト「だって、これじゃいつまでも今週の風呂掃除当番、決まらないじゃない。
    だいたいねぇ、六回も続けてあいこ出すなんて、普通思わないでしょ。ま、
    仲がいいというか、双子の面目躍如ってとこかしらん」
..シンジ「わざとやってるわけじゃないんですけどね…」
  .レイ「わたしが、やります。掃除」
 ミサト「だっめっよッ、ちゃんと公平に決めた上で実行しないと。さっ、もう一回
    仕切りなおしていくわよっ! せーの!」
  .レイ「じゃんけん、ぽん。…あ、また」
..シンジ「……はぁ…」

241 :
 アスカ「じゃ、行くわよ」
. シンジ「う…うん」
  レイ「…いいけど」
 アスカ「せぇのッ、あっち向いてホイッ!!
    ……ぷっ…ぷくく、あはははは! うそっ、ホントに二人で同じ方見るんだ!
    どんだけ仲いいのよあんたたち! もう運動神経つながってんじゃないの?!」
. シンジ「………」
  レイ「…何がそんなに楽しいの」
 アスカ「は?! おっかしいに決まってるじゃない! あ〜、今の撮っとけばよかった、
    近年稀に見る決定的オモシロ瞬間だったのに〜! あはははは」
. シンジ「………」
 アスカ「何よ、馬鹿シンジ」
. シンジ「べつに」
 アスカ「怒ってるじゃない。ったく、あんたたちをオモチャにしようなんて思ってないわよ。
    今後の作戦展開のために、ちょっと確認したかっただけ」
. シンジ「作戦? 何の」
 アスカ「…あんた馬鹿? 使徒との戦いに決まってんじゃない!
    もしあんたたちが、エヴァでも同期した動作ができるんなら、戦術に幅ができるでしょ」
  レイ「目標に複数の弱点が存在したり、コアを多重攻撃する場合ね」
 アスカ「そ、妹はわかってるじゃない。…あんたね、一応兄の癖に、なんッにも考えてないの?」
. シンジ「…う…」

242 :
 アスカ「はん、普段は世話焼いて偉っそうにしてる癖に、肝心なとこは妹に頼っちゃって。
    ほんと、どっちが上なんだか。つくづく頼りないっていうか、恰好悪いの」
. シンジ「……う…」
  レイ「……
    で、本当なの、今の」
. シンジ「え?」
 アスカ「…何よ、つまんないの。この程度はお見通しってわけ」
. シンジ「?? 何が?」
  レイ「……」
 アスカ「……あんた、ほんッッとに馬鹿ね。
    んな作戦あるわけないじゃない。ウソよ、ウ・ソ! テキトーに言っただけだってば!」
. シンジ「…えっ、…なッ、なんだよそれっ」
 アスカ「あははは、真面目に考えちゃっておっかしい〜! あ〜、面白かった。なかなか
    いい暇つぶしだったわ。じゃ、私、エヴァの準備できたみたいだから」
. シンジ「………」
  レイ「…お兄ちゃん?」
. シンジ「………」
  レイ「別に、気にしなくていいと思うわ」
. シンジ「……うん、ありがと……はぁ…」

243 :
 トウジ「おはようさん…お、なんや、暗い顔して」
.ケンスケ「ふーむ。碇妹の姿も見えないし、ケンカでもしたの」
 トウジ「ほんまか? ったくしゃあない兄貴やな、はは」
 シンジ「………」
 トウジ「ど、どないしたんや」
.ケンスケ「?! まさか、本当に妹さんに何かあったのか?」
 シンジ「…ううん、レイは今日は本部。そうじゃなくて…
     あのさ、なんで双子だと皆にからかわれるんだろう」
 トウジ「は?」
.ケンスケ「…なるほどね。で、皆って、たとえば誰」
 シンジ「ミサトさんとか、アスカとか…二人だって時々茶化すだろ」
.ケンスケ「それは確かに」
 トウジ「ま、挨拶がわりにやっとる感じやな。…すまん、嫌だったんか」
 シンジ「…、別に、いちいち嫌だって感じる訳じゃないよ。本当のことだし。
     たださ、なんで毎回毎回、双子のことで何か言われなきゃならない
     のかなって。…アスカなんて、僕を馬鹿にするためにわざわざ
     話題に出してる感じなんだ、最近」
 トウジ「そら、確かにやっとれん話やな」
.ケンスケ「けど、そんなのいつものことじゃないか? あいつの場合」
 トウジ「せやせや。気にする必要ないで、あんなキンキン女」
 シンジ「…、そうだよね」
 トウジ「おう。考えすぎっていうか、考えるだけ無駄やで、きっと」

244 :
.ケンスケ「他人を見下すことにしか興味ない、損な性格なんだろ。相手にする
     ことないさ」
 シンジ「…うん。ありがとう、二人とも」
 トウジ「しっかし、家族のことまでダシにするか? なんや腹立ってきたわ。
     妹にはとんだとばっちりやし。ワシらみたいに、学校終わったらハイ
     さよならって訳にもいかんしな…ほんま、同情するで」
 シンジ「そうなんだよ…
     本部にいるときの方が、周りを気にしない分、好き勝手言われるんだ。
     …僕のことはもうしょうがないけど、何も、レイが一緒のときに限って
     ちょっかい出してこなくたっていいのに」
.ケンスケ「? そうなのか?」
 シンジ「うん。なんで、妹と一緒にいるだけで嫌味言われなきゃいけないんだろ」
 トウジ「わざわざ妹の前でか?! なんつー性根の曲がったやっちゃ」
.ケンスケ「…ふぅむ。
     思うに、単に仲間外れにされたくないだけじゃないか? それって」
 シンジ「え? …アスカが?」
 トウジ「何言うとるんや、あの個人主義の唯我独尊女が? あり得へんって」
.ケンスケ「けど、碇妹と一緒のときが多いんだろ? からんでくるの」

245 :
 シンジ「あ…うん、ほとんどそうだよ。それで、双子双子って」
 トウジ「やっぱりただの嫌がらせと違うか、それ」
.ケンスケ「あのさ、これは俺の想像だけど、シンジは妹のこと、かばいすぎなんじゃ
     ないかな。っていうか、あいつにはそう見えてるんじゃないかって話
     なんだけど」
 シンジ「え…そう、かな」
 トウジ「ちょっと待てや、妹かばうのは兄貴として、男として当ったり前やないか。
     それのどこが悪いっちゅうんや」
.ケンスケ「いや、悪いって訳じゃないさ。ただ、俺たちと違って、シンジはあいつの
     単なるクラスメートじゃない。共にエヴァに乗って戦う、仲間だろ」
 シンジ「? そんなの、わかってるよ」
.ケンスケ「だからさ。本来はシンジと碇妹と、あいつとで、三人のチームのはず
     なのに、あいつには、お前たち二人の繋がりばかり強くて、自分だけ
     疎外されてるような気になってるんじゃないか? 双子の相性の良さ
     ってのが、その思い込みに拍車をかけてる可能性もあるかもな」
 シンジ「…それで、いつも…?」

246 :
.ケンスケ「もしかしたらって話だよ。
     ま、理由はどうあれ、結果としての行動が単なる嫌味と嫌がらせじゃ、
     とてもじゃないけど同情はできないけどね」
 トウジ「せや。結局自分の不満をシンジにぶつけとるだけやないか」
 シンジ「……」
.ケンスケ「おい、仮定の話だって。あんまり本気にとるなよ、確証もないんだし」
 .アスカ「そ・の・と・お・り。憶測で人の内面を語ってんじゃないわよ」
.ケンスケ「?!」
 シンジ「あ、アスカ?!」
 トウジ「おわッ出た、出おったで鬼が!」
 .アスカ「あんたたち…さっきから聞いてれば、勝手なことをベラベラとよくも並べて
     くれたもんだわね…? どういう目に遭うかわかってんでしょうねッ!」
 トウジ「あかん、逃げるで!」
.ケンスケ「異議なし!」
 シンジ「うわっ、まっ、待ってよっ」
 .アスカ「待ちなさいよ、この三馬鹿トリオがぁっ!! …くッ、このっ!」
.ケンスケ「うぎゃあ!」
 シンジ「あっ、ケンスケ?!」
 トウジ「捕まったか…成仏するんやで、ワシらはお前の分まで生きるさかい!」
.ケンスケ「見捨てるのかよ!」
 .アスカ「ちょっと、相田」
.ケンスケ「はははははい?!」

247 :
 .アスカ「……
     さっきの話、誰かに話したらコロスわよ。もちろんシンジにもう一回言うのもよ」
.ケンスケ「へっ?」
 .アスカ「…それだけよ」
 シンジ「あ、解放された…ッて、こっち来るよ?!」
 .アスカ「こらぁっ! 自分たちだけ逃げられると思ったら大間違いよッ!!」
 トウジ「ぎゃあああぁ、く、来るなぁあああ」
.ケンスケ「………なんとまぁ。
     俺の推測も、あながち外れちゃいなかったってことか。…ま、エヴァに守って
     もらってる身だし、武士の情けだ。黙っといてやるさ」
 .アスカ「待ちなさいっこのっ!! この私から逃げられると思ってんの?!」
 シンジ「うわぁあああ?!」
 トウジ「ひぃい、やめろ、やめんかい! リアル鬼ごっこは勘弁やって!」
 .アスカ「はぁ?! 身の程を教えてあげるって言ってんのよっ!」
.ケンスケ「……
     やっぱ、考えすぎだったかもな。あの有り様じゃ」

248 :
おもしろい

249 :
あげ

250 :
age

251 :
 シンジ「わ…、珍しいですね、シュークリームなんて」
  .ミサト「ふふん、たまにはおみやげ。…なんてね、マヤちゃんが、近所に新しいお店が
     できたって、皆に買ってきてくれてね。二人の分もとっといてくれたのよ」
 シンジ「そうなんだ…今度、お礼言わないと」
  .レイ「…?」
  .ミサト「ん、レイはもしかして初めて? 中にはね、甘〜いクリームが入ってるわよん」
 シンジ「あれ? ミサトさんの分は?」
  .ミサト「ああ、あたしは皆と一緒に食べてきちゃったから。さっ、どっちでも好きな方食べて」
 両者「えっと、じゃあ「こっち…、あっ」」
  .ミサト「お、ひさびさに出たわね〜、双子のユニゾン」
 シンジ「だから、わざとじゃないですってば。…レイ、ごめん、僕はこっちにするね」
  .レイ「え、…いい、これ、食べて」
 シンジ「いいって、そんな遠慮しなくていいんだよ」
  .レイ「…でも」
  .ミサト「おっと、二人して譲り合っちゃって、かっわい〜。しっかしこういう時は困るわね…
     んー、決められないならいっそじゃんけん、って、それも駄目だったか…」
ペンペン「クワーッ!!」
  一同「「「あっ」」」
  .レイ「…食べた」
 シンジ「まるごと一個…ひと口で…」
  .ミサト「ていうか、食べられるんだ、この手のもの。 って、あらら、どうする? 一個になっちゃったけど」
  .レイ「……」
 シンジ「しょうがないですよ。レイ、良かったら、半分ずつにする?」
  .レイ「! …、うん」
 シンジ「じゃあ、切ってくるね」
  .ミサト「…なんと。丸くおさまっちゃったみたいだわね」
  .レイ「この方がいい、私」
  .ミサト「ひょっとして、空気読んだのかしらん…? いや、それはないか」
ペンペン「クワッ、クックックーッ」

252 :
test

253 :
  ミサト「ふうー、いいお湯だったわー。ずいぶんゆっくりしちゃったけど、
    二人とも、まだ起きてるー?」
  ミサト「寝ちゃったのかしらん。って、んん…?!」
 シンジ「……」(SDATで音楽鑑賞)
  .レイ「……」(読書)
 三者「……」
  ミサト「……ちょっと、二人ともっ!」
 両者「?! うわっ、ご、「ごめんなさい」」
  ミサト「…あのねぇ。もしかして、ずっとそうやって座ってたの? 二人で?」
  .レイ「はい」
 シンジ「そ、そうですけど。あ、けっこう時間経っちゃったんだ…」
  ミサト「黙ったまんまで…?」
 シンジ「え? あの、はい。レイとだと、喋らないでいても落ち着くんです、なんか」
  .レイ「喋らないと変、ですか」
  ミサト「はぁー…まいいわ、そろそろ寝なさい。明日も学校でしょ?」
 両者「「はい」」
  ミサト「うーむ…一応、保護者としてはなんか言っといた方がいいのかしらん。この場合」
ペンペン「クワーッ(あくび)」

254 :
日向「それにしても仲良くなったよな、あの二人。
    シンジ君が来たばかりの頃は、どうなるかと思ったけど」
伊吹「少し変わったわよね、レイ。前より表情が出てきた気がするわ」
青葉「共同生活がいい方向に働いてるってことだろう。別々に育った
    からこそ、やっと会えた今を大事にしたいのかもな」
日向「しかし、葛城さんもよく続くよなー。中学生二人を世話するなんて」
青葉「そうだな…ただでさえ多感な時期なのに、使徒との戦闘で普通じゃ
    考えられないようなストレスも抱えてる子たちだ。周りには見せないが、
    かなり大変なはずだ」
日向「それに加えて、作戦時には情を抑えて厳しく接しなきゃならない、か」
伊吹「本当、大変ね…」
青葉「ああ。つくづく頭が下がるよ」
 シンジ「…ミサトさん! ミサトさん、起きてくださいよ、もう朝ですってば!
     僕たち、先に出てますよ! …レイ、ミサトさんのお弁当は?」
  .レイ「大丈夫、包んだ」
 シンジ「ありがと。…ちょっと、ミサトさん! ちゃんと起こさないと無理かな…」
  .レイ「駄目、時間ないわ」
 シンジ「〜っもう、しょうがない、行こう。じゃ行ってきますッ! 知りませんよ!」
  ミサト「…ふぁ〜い、行ってらっしゃーい……くかー…」
ペンペン「…クワッ(処置なし)」

255 :
 シンジ「そう言えば、僕らのパーソナルデータって似てるんだよね」
  .レイ「そう、前に取り違えたこともあるって、赤木博士が」
 シンジ「ええ? …それくらい、似てるってことか。って、エヴァは動いたんだよね?」
  .レイ「うん。乗ってた私たちも気づかなかった」
 シンジ「そうなんだ…じゃあさ、もしかしたら、それで起動する初号機と零号機も、
     僕らと同じ双子みたいなものだったりして。…なんて」
  .レイ「……」
 シンジ「(ハズした…!)あ…変なこと言った、よね。…ごめん」
  .レイ「違うわ」
 シンジ「え? …何が?」
  .レイ「双子じゃなくて、零号機はお姉ちゃん。試作機だから」
 シンジ「え…そっか、そうだね。じゃあ、初号機は弟かぁ」
  .レイ「うん、弟」
 青葉「はは、なんか面白いこと言うな、あの二人」
 日向「やっぱりまだ子供、って感じだな」
 伊吹「……」
 日向「? どうした、マヤちゃん」
 伊吹「えっ? ごっごめんなさい、つい……想像したら、結構かわいいなって…」
 青葉「…兄弟エヴァが?」
 伊吹「そう、なんか親近感がわくっていうか、あ!先輩に話してみようかしら」
 両者「……」

256 :
test

257 :
 .アスカ「グーテンターク、ぼけぼけ兄妹。
     ったく、相変わらず冴えない顔並べちゃって…特にシンジ、なーに
     いつも以上に暗い顔してんのよッ!」
 シンジ「痛っ! ッもう、レイは関係ないだろ」
 .アスカ「ふん、何よ、相変わらず兄妹仲のおよろしいことでー。で、どうしたのよ」
  .レイ「テスト。学校の」
 .アスカ「は?」
 シンジ「中間試験の結果。今日、返ってきただろ。なんか…覚悟してたよりも
     もっとやばい点数で…はぁ、帰ってミサトさんに何て言おう…」
 .アスカ「何よ、そんなこと? あんたも?」
  .レイ「……」
 .アスカ「……馬っっ鹿じゃないの?
     あんたたちね、中学校の定期試験くらいで何真剣に悩んでんのよ。
     あんなの進学上の通過点でしょ、単なる」
 シンジ「簡単に言うなよな。その単なる通過点でつまづきそうだから、こうやって
     落ち込んでるんじゃないか」
 .アスカ「だ・か・ら馬鹿だって言ってんのよ。通過点は通過点じゃない。しょせん
     腕試し、模試が駄目でも、本番でいい点とれりゃいいのよ」
  .レイ「本番?」
 .アスカ「そ。えーと、あんたたちの場合だと…高校受験?だっけ?」

258 :
 シンジ「高校、かぁ…なんだか、全然実感ないや」
 .アスカ「馬鹿、現実逃避してんじゃないわよ! そうやってのほほんと過ごしてると、
     中学の残り一年ちょっとなんて、あっという間に終わっちゃうわよ」
 シンジ「…そうじゃなくて。
     本当にそういうの、実感ないんだ。クラスの皆はそうかもしれないけど、
     僕に、受験なんか来るのかな、って。…その前に死ぬかもしれないのに」
  .レイ「……」
 シンジ「アスカは…不安になったり、しないんだ」
 .アスカ「……
     はン、当ったり前じゃない。何辛気臭いこと言ってんのよ。何のために
     エヴァに乗ってるわけ?
     私たちは使徒に勝って、生き残る。カンタンじゃない」
 シンジ「…すごいな、アスカは。…アスカが言うと、本当にそうなりそうな気がする」
 .アスカ「ふふん、あんたなんかとは覚悟が違うのよ、覚悟が。
     ほら、妹。あんたも覇気のない顔してないで、もっと顔、上げなさいよ」
  .レイ「……」
 .アスカ「…な、何よ」
 シンジ「どうしたの、レイ」
  .レイ「……死なないわ」
 シンジ「え?」

259 :
  .レイ「お兄ちゃんは死なせない。私が、守るもの」
 シンジ「…、レイ」
  .レイ「…私には、他に何もできないと思うから」
 シンジ「…そんなこと、言うなよ。
     だったら、レイは僕が守る。一緒に生きてけば、何だってできるよ」
  .レイ「…お兄ちゃん」
 .アスカ「……あーあー、ほんっとにウルワシイ兄妹仲でいらっしゃることでー。
     何よ、…それじゃあ、私のことは誰も守ってくれないわけ。わかってるわよ、
     せいぜい自力で生き残ればーってことでしょ。ばか」
 シンジ「…、違うよ」
 .アスカ「うん?」
 シンジ「アスカは、僕たちで守る。…どこまでできるかわかんないけど、でも、
     絶対守るから」
 .アスカ「…え」
  .レイ「…うん。私も」
 .アスカ「…、何よ、それ」
 シンジ「あ…、やっぱり当てにならない、よね。アスカに比べたら全然力不足だし、
     …けどさ、僕たちだってエヴァを動かせるんだし、…その、手助けくらいなら」
 .アスカ「…ばーか。んなこと言ってるんじゃないわよ」
 シンジ「あの、…ごめん」

260 :
 .アスカ「何謝ってんのよ、やっぱり馬鹿ね。
     …しょうがないわね。じゃ、もしあんたたちがヤバい目に遭ったら、その時は
     特別にこの私が、まとめて面倒みてやるわ。いい、特別よ、トクベツ」
 シンジ「…アスカ? あれ、レイ」
 .アスカ「ん、何よ」
  .レイ「……ありがとう」
 .アスカ「へ…?」
 シンジ「あ…」
 .アスカ「……何よ、あんた、笑えるんじゃない」
 シンジ「そうだよ。ほんとにたまに、だけどね」
  .レイ「うん。…トクベツ」
 .アスカ「…、なによ、いきなり。
     ッて馬鹿シンジ、なんであんたまでニヤニヤしてんのよ! 気持ち悪い!」
 シンジ「ええ?! なんだよ急に?!」
 .アスカ「男がやたらとニヤけても気色悪いだけだって言ってんの! もうっこの馬鹿!」
 シンジ「ちょ、うわっ、何するんだよっ」
  .レイ「……
     みんな、ばか、かも。でも、…私も、そうかもしれない」

規制解除やったー。
長くてすみません。読んでくれた方、ありがとうございます。
ずいぶん遅れましたが>248-250 ありがとうございました。励みになりました。

261 :
 加持『へぇ、二人とも、外に遊びに出るタイプじゃないのか』
  .ミサト「そ、だから休日っても静かなもんよー。ま、当人たちはそれで
     充分くつろいでるようだし、他人が口出すような問題でもないし」
 加持『おいおい。他人ってお前、一応保護監督者だろ? いいのか、
     そんなんで』
  .ミサト「だからこそ、よ。あの子たち、二人でいるだけで満足みたいだもの。
     いつまでもそれじゃ困るけど、今はまだ、そっとしときたいのよ。実際、
     割って入れるような雰囲気じゃないしね」

262 :
 加持『そうか。にしても、そんなに双子の結束が堅いんじゃ、家族三人の
     共同生活にならないんじゃないのか? シンジ君はイヤフォンで音楽、
     レイは本、お前だって長電話。まったく、一つ屋根の下だってのに』
  .ミサト「ああ、それなら大丈夫。あの子たち、いくら集中してても…」
 シンジ「…ん」
  .レイ「…あ」
 シンジ「もうこんな時間か。ミサトさん、そろそろご飯の支度始めますけどー?」
  .レイ「私、お風呂入れてくる」
  .ミサト「…我に返るのも、二人同時だから」
 加持『…どこまでも双子だなぁ、そういうところは』

263 :
test

264 :
委員長「あ、ねえ、碇君! ちょっと頼まれてほしいんだけど」
  シンジ「え…な、何? 掃除当番ならちゃんと…」
委員長「違うわよ、妹さんのこと。図書室で借りた本、そろそろ返却するようにって
     伝えておいてくれない? 図書委員の子に言われちゃって」
  シンジ「あ、うん。…ごめん、すぐ返すように言っておくから」
委員長「お願いね」
 トウジ「おーい、碇ー。ちょっと待ってんか」
  レイ「わたし?」
 トウジ「せや。ってうーん、そやないとも言えるんやけど」
  レイ「…?」
 トウジ「シンジや。あのな、シンジにな、こないだの宿題のプリント、もいっぺん
     貸してんかって頼んでくれるか? いやー、直接言うと『またー?』とか言われるし、
     ここはいっちょ、妹からやんわりと言うてもらえへんかなー、て…」
  レイ「……」
 トウジ「やっぱ、あかんか…」
  レイ「…ううん。わかった」
 トウジ「ほんまか! いやぁ助かった! ありがとさん、恩に着るで」
.ケンスケ「なぁシンジ、…って、妹さんは? 一緒じゃないのか?」
 シンジ「え? レイなら、本部に行くって先に帰ったけど」
.ケンスケ「なんだ、一歩遅かったか…」

265 :
 シンジ「何だよ? レイがどうかしたの」
.ケンスケ「いや、明日の社会科の授業さ。俺と彼女の二人で、教材の準備しとくことに
     なってたんだ。分担決めとこうと思ったんだけどな…あ、そうだよ、シンジから
     聞いといてくれないか? どうせ、家に帰れば一緒だろ?」
 シンジ「えー? まぁ、うん、別にいいけど」
.ケンスケ「悪い、頼むな」
 アスカ「馬鹿シンジ! 妹に、更衣室のロッカーまた鍵開けっ放しだったって言っといて!
     ッたくいくら使うのが私らぐらいだからって、無防備っていうか、無頓着にもほどが
     あるわよ! あんた一応兄なんだから、一般常識くらいきっちり教えときなさいよね!」
  ミサト『あ、シンジ君? 悪いんだけど、レイに、明日の機体連動実験、午後になるって
     言っといてくれる? リツコのやつがまッた伝え忘れたみたいなのよー。ゴメンね』
 シンジ「いえ、それじゃ、伝えておきますね」
  ミサト『ありがと。ほんと、いつも悪いわね。じゃ』
 シンジ「……」
  .レイ「どうかした」
 シンジ「ううん。…ただ、なんか皆、僕とレイがいつも一緒だと思ってるみたいだからさ。
     レイも今日、トウジに伝言頼まれたろ。まったくもう、いくら双子だからって、人のこと
     掲示板代わりに使うことないのに」

266 :
  .レイ「…双子でも、一緒じゃないの」
 シンジ「別にそういう訳じゃないよ。まぁ、他の皆からは一緒に見えてるみたいだけど」
  .レイ「でも、違うのね」
 シンジ「え?」
  .レイ「……」
 シンジ「…なんだよ。レイが気にすること、ないよ。僕は別に迷惑だなんて思ってないし」
  .レイ「…?! どうして」
 シンジ「わかるよ、そのくらい。レイってさ、けっこう顔に出るんだよ、いろいろ」
  .レイ「…わかるの」
 シンジ「全部じゃないけど。レイのことはこれでも見てきてるつもりだし、…それに一応、双子だし」
  .レイ「…、うん。…そうなのね」
 シンジ「うん」
ペンペン「…クワッ(クソッ、俺にも双子の妹がいれば…!)」

267 :
 シンジ『くッ、このっ…!
     あ…まただ。何で、うまくいかないんだろ…ちゃんと動かしてるのに』
 .カヲル『まだ少し力みすぎてるんだよ。焦らずに、エヴァの反応を感じて』
 シンジ『うん。こうかな…っ、あ…、動けた…!』
 .カヲル『そう。良くなったよ』
 シンジ『うん…、でもやっぱり、こう動かそうって思った通りとは、違う気がする』
 .カヲル『動かそうとするんじゃなくて、エヴァと一緒に動こうと考えればいいのさ。
     協調の前提は、相手の呼吸をはかること。ピアノと同じだよ。少し、貸してみて』
 シンジ『あ、うん。…うわっ』
 .カヲル『こう…』
 シンジ『…すごい、エヴァってこんな風に動けるんだ』
 .カヲル『操縦桿はそのまま握ってて。動作のタイミングは手動主体にするから、僕の
     操作はそっちのプラグにも同期する。入力操作と、エヴァの実際の動きとの
     差を感じるようにしてごらん』
 シンジ『う、うん。…あ、…』
 .カヲル『ね。わかるだろう、機体との協調なんだ。それを無視して動かそうとすると…』
 シンジ『あ…! これって、さっきミスったのと同じ』
 .カヲル『そう、ほんの少し、次のコマンドが早かったのがわかるかい?』
 シンジ『そっか…合わせられてなかったんだ』

268 :
 .カヲル『エヴァは、君自身の身体とは違うからね。自分で普段動くときのように無意識に
     やってしまうと、スムーズに連動してくれない場合がある。少し注意してみる
     だけで、ずいぶん違うはずだよ。さ、やってみようか』
 シンジ『うん』
  レイ「……」
 アスカ「ん、妹じゃない。何やってんの?
    …あー、またやってるんだ、あの男ども。よく飽きないわね、あんな初級訓練」
  レイ「……」
 アスカ「あんたも最初の頃はやったでしょ? ま、今はエヴァの制御技術が安定してきて、
    使う数値も実地の機体出力だし、各エヴァの反応差も反映されてるし、昔よりは
    ずいぶんマシね。けど、あんなの退っ屈じゃない? ほんと、呆れるわねー」
  レイ「……」
 アスカ「…何よ、シンジ以外には返事しないってわけ。
    はいはい、ちっとは変わったかと思った私が馬鹿だったわよ。…シンジもシンジよ、
    あんな得体の知れない補充パイロットなんかにべったりしちゃって。ったく男同士で
    キモチ悪くないのかしら」
  レイ「…、ごめんなさい。私に話してたの」
 アスカ「は…? あーのーねぇ、あんた以外にいないでしょうが。
    …っていうか、あんたもよくよく物好きねー。シミュレータ室の前でじーっと待ってても、
    あの二人だったら、あと一時間は出てこないわよ。たぶん」

269 :
  レイ「…待ってる」
 アスカ「そ。待ってるんでしょ、ダイスキなお兄ちゃんが出てくるのを」
  レイ「…、よくわからない」
 アスカ「はぁ…もう、じゃなんでここにいるのよ」
  レイ「……」
 アスカ「…ちょっと、ほんとにわかってないわけ?
    あんたね、無自覚か無関心か知らないけど、いい加減にしなさいよ! いつもは
    自分のテスト終わったらさっさと帰るくせに、今はそうやってずっと中の様子見て。
    それを待ってると言わずして何て言うってのよ。
    馬鹿シンジに、早く戻ってきてほしいんでしょ。あんた自分の気持ちもわかんないの?」
  レイ「…そう、かもしれない」
 アスカ「……
    わかんないなら、知ろうとしなさいよ。せめて気づこうとだけはしなさいよ、自分の心に。
    じゃなきゃ、あんたいつまでもそのままよ」
  レイ「……」
 アスカ「ま、シンジの馬鹿は、別に変わらなくてもいいんだろうけど。
    じゃーね。まったく、あの兄にしてこの妹ありね、どこまで馬鹿なのよ」
  レイ「……」

270 :
 シンジ「ありがとう、カヲル君。…じゃなくて、ごめん。遅くまで付き合わせちゃって」
 .カヲル「かまわないよ。どうせこの後もエントリーの予定なんだ」
 シンジ「そうなんだ…大変だね」
 .カヲル「大したことはないよ。さっきの訓練プログラムと似たようなものさ」
 シンジ「でも、すごいよ、カヲル君は。きっと僕なんかより、ずっとエヴァのこと
     わかってるんだろうな。だから、あんなに操縦も上手いんだよね?」
 .カヲル「…さあ。所詮、僕のは仮象訓練だから」
 シンジ「そっか…
     …あの、変なこと言うみたいだけど、…さっきみたいにカヲル君と一緒だと、
     エヴァに乗るのも、そんなに嫌じゃないんだ。あ、いや、単に一人が怖いって
     だけかもしれないけど、はは」
 .カヲル「…そうなのかい?」
 シンジ「…うん。
     怖いし、不安でたまらない。…けど、君ならエヴァに乗るのも戦うのも、きっと
     怖くも辛くもないんだろうな。エヴァの動かし方を見てると、ほんと、そう思うよ」

271 :
 シンジ「僕みたいに変に緊張したりしなくて、レイやアスカのやり方とも違うけど、もっと
     ちゃんと自信がある感じで、迷いがなくて、何をすればいいかわかってて。
     …僕も、君みたいになれたらいいのに」
 .カヲル「…そうではないかもしれないよ」
 シンジ「え?」
 .カヲル「僕たちは、エヴァに乗らなければならない。だけどそれは良いこととは限らない。
     特に、君にとってはね」
 シンジ「…でも、皆が乗れって言うんだ。それに、初めて、自分にも何かできるかも
     しれないって思えたことなんだ。…好きには、なれないけど」
 .カヲル「…そうだね。
     ごめんね。僕には何も言えないよ」
 シンジ「カヲル君…?」
 .カヲル「……
     それに、僕はまだ本物のエヴァに乗ったこともないから。既に何度も実戦に
     耐え、使徒に勝っている君とは、比較にならないよ」
 シンジ「そんな、…それはだって、まだ専用の機体が準備できてないんだから仕方ない
     じゃないか。君のせいじゃないよ」
 .カヲル「…そうだね。早く、君の力になりたいよ」

272 :
  レイ(…私、なぜお兄ちゃんを待ってたの)
  レイ(私、なぜお兄ちゃんを連れて帰りたいと思ったの)
  レイ(お兄ちゃんが他の人といるのが嫌だから?)
  レイ(お兄ちゃんが他の人と笑ってるのが嫌だから?)
  レイ(…そうじゃない。私…それだけじゃ、ない)
  レイ(…私)
  レイ「……私、あの人が怖い。…そうなのね」
 シンジ「レイ?! どうしたの、先に帰ってるかと思ってたのに。あ、遅くなるって
     言ってなかったっけ…? ごめん、ずいぶん待たせちゃったよね」
  .レイ「いい、平気。…帰ろ」
 シンジ「…? なんだよ、怒ってるの? …わかった、早く帰ろう、って、そんな
     引っぱらないでってば、ちょっとっ」
  .レイ「帰るの」
 シンジ「もう、どうしたんだよ。…ごめん、カヲル君、僕たちこれで帰るね」
 .カヲル「うん。二人ともお疲れさま」
  .レイ「さよなら」
 シンジ「レイってば、…待ってよ、ちゃんと歩いてるだろ、痛いんだってばっ」
  .レイ「痛くない。お兄ちゃんの、ばか」
 シンジ「ええ?! なんでそうなるんだよ?!」
 .カヲル「…大変、だね。…二人とも」

273 :
うわぁ下げ忘れみっともない。
すみませんでした

274 :
  .ミサト「MAGIシステムって、三台のスーパーコンピュータで構成されてるのよね。
     いつも三台で競合・審議してるの? ケースによっては効率悪いんじゃ
     ないかしら」
 日向「いえ、扱うケースによっては、タスクを分散して共同作業しますよ。
     もちろん個別に検証はしますし、審議制そのものも継続されますけど」
  .ミサト「柔軟に、個々の力を合わせて事に当たるってわけね」
 .アスカ「ちょっと、何度言ったら覚えるのよ! こんの非常識妹、それに馬鹿シンジ!」
 シンジ「う…なんで僕まで怒られるんだよ」
 .アスカ「あんたが責任持ってしつけておかないからでしょうが! わかってんの?!」
 シンジ「…う…ご、ごめん」
  .レイ「ごめんなさい。ここ、片付けておくから」
 .アスカ「もう、ちゃんとやっといてよね!」
 日向「また二人揃って怒られてますね、シンジ君とレイ。真っ向から怒られるシンジ君と
     冷静に事態収拾をはかるレイ、担当というか対応も、いつも通りですね」
  .ミサト「ん〜、重たいタスクを分散処理してるのよ、きっと」
 日向「…双子システムですか?」

275 :
  伊吹「初号機、および零号機、ともに前回よりシンクロ率が2.4上昇して
     います。ハーモニクス、問題ありません」
  リツコ「シンクロ率自体はシンジ君の方が高いものの、二人の搭乗ログは
     回を追って酷似していく感じね。これも双子の神秘かしら」
  伊吹「深部シンクログラフも、一致箇所が増えましたしね」
  .アスカ「…何それ。どこまで共通項増やせば気が済むのよ、気持ち悪い」
  ミサト「二人にそんな気はないのよ。あの子たち、それぞれ目の前の課題を
     こなすだけで精一杯だもの。作為があったら、むしろ余裕の証だわ」
  .アスカ「はいはい、あの二人はケナゲないい子ですよー…っと、来たわね。
     良かったわね、また二人仲良くシンクロ率アップできて」
   .レイ「…何」
  シンジ「?? どうしたんだよ、いきなり」
  .アスカ「またそうやって、何もわかってない顔して。…いいわよねー、あんたたちは
     いつも一緒でいられる相手がいて。暮らすのも一緒、作戦でも一緒、今度は
     データまでお揃い。どうせ自覚も使命感も二人で半分こなんでしょ」
  シンジ「! 何だよそれ」
  ミサト「アスカ、やめなさい」
  .アスカ「やめないわよ。何でも同じなんだから、いっそプラグスーツもお揃いにしたら?
     馬鹿シンジは男って顔じゃないんだし」
  リツコ「アスカ!」
  .アスカ「何よ、二人ばっかり庇っちゃって。そうやって甘やかすから…」
  リツコ「やめてちょうだい。プラグスーツまで揃えられたら、区別がつかなくなるわ」
残総員「「「「えっ」」」」
   .レイ「…そうね」
残総員「「「「えっ」」」」

276 :
 .シンジ「ただいま…ッて、ああ! お味噌切れてたんだった…もう、スーパー入る
     までは覚えてたのに、何やってるんだよ…しょうがない、もう一回行こう」
ペンペン「クワッ!」
   レイ「ただいま。これ、買ってきた」
 .シンジ「あ! いつも使ってるやつだ…ありがとう、けど、どうして?」
   レイ「なんとなく、要るような気がして」
  .レイ「…!」
  .レイ「…、…」
 .アスカ「ん、何やってんの? シャワー浴びに行かないの?」
 シンジ「レイー? ごめん、シャンプー新しいの、ここに置いとくから」
  .レイ「! ありがと、今、取りに行く」
 .アスカ「もうっわざわざ女子ロッカー室の前まで来て何やってんのよ! ていうか
     シンジ、あんた先に帰ったんじゃなかったの?」
 シンジ「え? そうだけど、でもなんか、レイが困ってる気がして。ちょうど上の
     コンビニにいたし、これ要るかなって」
 .アスカ「はぁ?! …もいいわ、男子はとっとと去りなさい! 大声出すわよ!」
 シンジ「だから、カンニングなんかしてないってば」
 トウジ「せやけどこの、一言一句違わへん二枚の答案用紙! 動かぬ証拠やで。
     さぁ説明できるもんならしてみんかい!」
 シンジ「そんなこと言われても…だいたい、レイの席は教室の反対側なのに
     どうやって答案見るんだよ」
ケンスケ「ふーむ。抜き打ちだったから、事前にペーパー用意するのはちょっと
     考えられないしな…けど、スペルの間違え方までまったく同じってのは」
 トウジ「えらい芸の細かいやっちゃなぁ、ははは」
 シンジ「もう、何だよそれ…」
  .レイ「…芸って、何」

277 :
 青葉「脳神経接続、だな。距離に依存しないタイプの」
 伊吹「接続媒体は…現状では検出できないもの、よね」
 日向「それなら、量子通信が妥当じゃないか? いっとき話題になったやつ」
 伊吹「ベルの実験の? その場合、ハードは何になるのかしら」
 青葉「そりゃ、双方の脳神経回路そのものだろ」
 日向「いや、生体電流の組織か、それが作るホログラフィ構造かもしれないぞ」
 伊吹「あ、むしろ情報そのものが、高次ハードとしてふるまってたりして」
 青葉「飛躍しすぎだって。MAGIやエヴァを見ればわかるだろ」
 ミサト「MAGIの検証待ちの間に、何を盛り上がってるのかしら。あの三人」
 リツコ「双子の思考パターンの共時性、要はシンクロニシティについて、仮説を述べ合ってるそうよ」
 ミサト「へぇ。テレパシーの一種、とかでいいのにね」
 リツコ「それじゃつまらないんでしょ」
 ミサト「難儀な性分ねぇ」

278 :
test

279 :
シンジ「何、トウジ。相談って」
 .レイ「私にも、なの」
トウジ「ん、碇妹にも聞いてほしいんや。あのな…実は妹のやつがな、こんど
    …退院、することになってな」
シンジ「…、ホント?!」
トウジ「ああ。主治医のセンセイが、ようやくOK出してくれたんや」
シンジ「そっか…!
    良かった、…ほんとに、良かった。おめでとう、トウジ」
トウジ「おお、いや、お前にもずっと気にさせとったみたいやし。シンジには
    先に言うとこ思ってたんや。…そういう訳やから、もう心配せんでええで」
シンジ「…うん」
 .レイ「妹、さん」
シンジ「あ…そっか、レイは入院してたからわかんないか。トウジの妹さん、
    最初に使徒が襲ってきたときに怪我しちゃったんだ。…僕が、初号機で
    巻き込んで」
トウジ「なんや、もうそのことはええって。
    でな、相談はここからなんやけど…なあ、退院祝い、何がええやろか…?」

280 :
シンジ「え…? 普通に、花束とか、何か妹さんの好きなものとか…
    うーん、こういうのって僕より、委員長にでも訊いた方がいいんじゃないかな」
トウジ「アホ! 男として、いや一人の兄貴として、んなこと他人に頼れるかい!
    なあ頼むで碇兄妹、なんかこう、妹を思いっきり喜ばせるようなええアイディア、
    お前らならあるやろ? な? な?」
 .レイ「…わ、何」
シンジ「ちょっとッ、って、僕らに訊くのはいいんだ?」
トウジ「水臭いこと言うなや! お前らなら詳しいやろ、何せ碇妹は何度も入院
    …って、考えてみたら、えらい無神経な話やったな。…すまん」
 .レイ「別に、平気」
トウジ「…ありがとな。
    いや、いざ退院て決まったら、何してええかわからへんのや。お前らに
    話したら、何かわかるかと思ってな。悪い、つい勢いで訊いてしもて」
シンジ「…そっか。
    あ、でも別に、特別なことは何もしてないよ。僕たちのときは」

281 :
トウジ「へ? …ほんまにか?」
 .レイ「うん」
トウジ「……んな、な、何やてぇ?! シンジお前、それでも兄貴かいっ!
    たッた一人の妹がめでたく退院したちゅうのに、何もしないんかっ!」
シンジ「いや、違うって、…普通に、お帰りって言って、普通にご飯作って…
    退院したって言っても、身体はまだ疲れやすいだろ。だからあえて特別な
    ことはしないっていうか。それに自分の家に帰ってきたら、まずは普通に
    過ごしたいかなって思って」
トウジ「…んんん、一理あるっちゅうか、深いなぁ。
    けど、そんなんでええんか? なんか、そやな、お祝い会とか」
 .レイ「別に、…そういうの、わからないから」
トウジ「んんんん…」
シンジ「そんなに真剣に悩まなくても、トウジの妹さんが喜ぶことは、トウジが
    一番知ってるよ。僕らなんかに訊かなくてもさ」
トウジ「ま、そらそうやけど…」
 .レイ「うん。…お兄ちゃんが心配したり、喜ぶのが、一番嬉しい」

282 :
トウジ「! そっか、そうなんか…
    よっしゃ。なんか、気が楽になったわ。ありがとな、二人とも」
シンジ「ううん、そんな、あんまり役に立てなくてごめん。…そうだ、何か手伝える
    ことがあったら言ってよ。僕らも協力するからさ」
トウジ「おう。そのときは頼むで」
 .レイ「うん。
    …でも、気をつけて」
トウジ「ん?」
シンジ「え、何に?」
 .レイ「やりすぎ。最初の頃、よくやってたから」
シンジ「…あっ」
トウジ「? 何の話や?」
シンジ「ちょっと待ってレイ、もしかして」
 .レイ「退院してきたら、知らないうちに部屋が葛城三佐の家に引越しされてたり。
    一日に何度も、ご飯とかおやつ作ったり。枕もとに勝手に毎日花を置いたり」
シンジ「ちょ、レイ、それはもう何度も謝って…」
トウジ「ま…まあ、ほほえましい兄妹愛やないか」

283 :
 .レイ「ギプス取れなくてシャワー浴びにくいから頭洗ってあげるって言ってきて
    断っても聞かなかったり、下着勝手に出してきたり、夜中にトイレ行ったら
    わざわざ起きてきてついてこようとしたり、目が覚めたらそばで寝顔見てたり、
    謎のぬいぐるみとか小物を部屋に置いたりそれ触らないでたらがっかりしたり」
シンジ「うわ〜〜〜ッッ」
トウジ「……シンジ…お前…」
シンジ「違うんだってばッ、僕はただその、レイってどんな子かまだわかんなくて、でも
    何かしてあげないとって思ってだから別にそんなつもりは」
トウジ「……感動したッ!
    お前、兄貴の、いや、漢の鑑や! いやぁお前のことみくびっとったわハハハ」
シンジ「え? うん、えと、ありがと…う…?」
トウジ「そうとわかれば早速大歓迎会の準備開始や! ほら行くでシンジ!」
シンジ「いや、違うって、ちょっと待ってよっ」
 .レイ「……」
.ケンスケ「トウジの妹さ、こないだめでたく退院したろ。トウジの奴、喜びのあまり
     思いっきりはしゃすぎて空回りして、妹さんから逆に怒られたらしいぜ。
     まったく、小学二年生に叱られるなっての。なぁシンジ」
 シンジ「………」
.ケンスケ「? どうした、頭なんか抱えちゃって」
  .レイ「気にしないであげて」

284 :
test

285 :
人工内耳の音は、機械的に合成されているコード化された音声である。
ヒトには冷たく、機械にとって優しい音である。
このため、音入れしたばっかりは、脳がこういうコード化された音に慣れていないため、
すぐには言葉はわからない、強い違和感を感じるなどの状態になる。
人工内耳の音は、機械的に合成された音で、ヒトの声はガリガリとしわがれたようで、
まるでロボットがしゃべっているような感じの声である。
自分が知っている作品のセリフ、BGMなどは、昔の音の記憶の勘で補完するため、大体わかります。

286 :
 加持「どうだ、子供たち。ジオフロントの土で育ったスイカの味は」
 シンジ「おいしいです、すっごく! 果物がこんなに濃い味がするなんて、
     知らなかったな」
 加持「はは、そうか。人工的に供給してるとはいえ、ここには太陽光と
     水がふんだんにあるからな。何より、本物の土がある。今の人類に
     再現可能な限りの、天然に近い土がね」
 .アスカ「こんな、泥だらけホコリだらけのところなのに。なんか悔しいけど、
     土ってすごいのね」
 加持「そうさ。土に育つものは、手をかければ必ず応えてくれるからな」
 .アスカ「んっ?! 何か、固いもの噛んだ…何? この、黒い、ちっこいの」
 加持「ああ、そりゃ種だよ、スイカのね」
 .アスカ「種ぇ?! じゃ、このちっこいのから、こんなばかでかい実ができるんだ…
     なんか、見ても信じらんない。実感、なさすぎて」
 シンジ「ほんとだね…」
  .レイ「ぷは。…おいしかった」
 シンジ「あは、もう食べ終わったんだ…あれ? レイ、種は? 全然捨ててないけど」
  .レイ「…捨てるもの、だったの?」
 .アスカ「ええ?! 全部食べちゃったわけ? あんたねえ…お腹の中にスイカが
     生えてきても、知らないわよ」
 シンジ「何言ってるんだよ、そんなこと……ないです、よね…?!」
 加持「それはない。安心していいよ。ただ、あまりお腹にいいものでもないけどね」
 シンジ「え?!」
 .アスカ「ちょっと、今からでも吐き出しなさいよ! ほら、早く!」
  .レイ「平気。何ともない」
 .アスカ「違うわよ! あんたが良くても…」
 シンジ「…? う…なんか…急に、お腹、痛くなってきた…」
 .アスカ「…ほら、絶対こうなるんだから! もう、このくらい予測してしかるべきよ」
 加持「おいおい、大丈夫か?! これも、例の双子のなんとかってやつか」
  .レイ「?…ほんとに、何ともないのに」

287 :
  .ミサト「明日のこと、まだ迷ってるのね。
     もう決めたでしょ、シンジ君。いつまでもそうやって考え込んでないで」
 シンジ「僕は別に、…ミサトさんが一方的に、行けって言っただけです」
  .ミサト「不安なの、お父さんと二人だけで会うのが」
 シンジ「…当たり前ですよ。何話せばいいかもわからないのに」
  .ミサト「会話なんて無理にできるもんじゃないわ。顔を合わせれば自然と
     話したいことが出てくる、そういうものよ。まずは、まっすぐお父さんの
     顔を見ること。短い間でいい。それだけでも、大事なことなのよ」
 シンジ「……」
  .ミサト「…ま、他人がどうこう言うもんじゃないけどね。けど、逃げることでもないわ。
     せめて明日、レイが一緒に行ければね」
 シンジ「…その方が、僕は」
  .ミサト「え?」
 シンジ「…何でも、ないです。…もう寝ます。おやすみなさい」
 .カヲル『そう、妹さんは行かないのか。残念だね』
 シンジ「いや…僕は別に、…どっちでも一緒だったから」
 .カヲル『心配、なんだね。お父さんが、君と彼女のどちらを見てくれるのか』
 シンジ「そういう訳じゃ…、…いや、そう…なのかな。
     …うん。一緒ならたぶん、父さんはレイとだけ話すだろうから。
     僕はただ二人のそばについてるだけ。自分から話すこともできないくせに、
     二人の邪魔をしたくないからって自分に言い訳して、結局何もしない。
     …だからレイが行けなくて、本当は少しほっとしてるんだ。…嫌な奴だよな」

288 :
 .カヲル『そう? 君はお父さんも妹さんも、恨んでしまいたくないだけだよ。
     二人を大事に思うから、自分を悪く見たがるのさ。自責することないよ』
 シンジ「そう…かな。…そう、どっちにしろ、明日は行かなきゃ。レイの分も」
 .カヲル『そうだね。君が元気な姿を見せるのが、お母さんも一番安心すると思うよ』
 シンジ「うん。…あの、ごめん。夜遅くに、いきなり電話でこんな話して」
 .カヲル『構わないよ。話を聞くくらい、僕で良ければ』
 シンジ「…うん。…ありがとう、いつも」
 シンジ(父さんもレイも、恨みたくない、か)
 シンジ(…なんでレイじゃなくて、カヲル君に聞いてもらおうと思ったんだろ。
     父さんの話するなら、真っ先にレイが浮かんでいいはずなのに)
 シンジ(でも考えてみたら、レイが父さんにどう接してるのか、父さんはどうなのか、
     僕は大したこと知らないんだ)
 シンジ「…双子って、思ってたより、近くないんだな。本当は」

289 :
test

290 :
 加持「あれ? 葛城、今日休みだっけ?」
  リツコ「そう。彼氏の付き添い」
 加持「カレシ? …ああ、シンジ君か。授業参観でもあるのかな…
     って、さっき、レイ見かけたぞ?」
  リツコ「今日は学校はないわ。そうじゃなくて、お母さんの命日だそうよ」
 加持「ああ…墓参りか。面倒見がいいな、葛城は」
  リツコ「違うのよ。ただ行くだけなら、シンジ君は一人でも平気でしょうね。
     問題は」
 加持「もしかして…碇司令が一緒、とか」
  リツコ「おかげで彼、渋っちゃってね。心配だから車で送るそうよ。レイは
     零号機の追加機能試験だし」
 加持「それでここにいたのか。テストぐらい、延期したっていいだろうに」
  リツコ「そうもいかないのよ。今日中にデータを取りきらないと、予定されてる
     機体相互換試験に間に合わないもの。
     それに予定通り終われば、レイは碇司令の帰りのヘリに便乗させる
     つもり。三人で顔を合わせるくらいはできるでしょ」
 加持「へぇ、さすがリッちゃん。…しかし、果たしてそう上手く事が運ぶかな」
  リツコ「あら、スケジュール上、可能な限りのことはしたつもりだけど?」
 加持「スケジュール上は、だろ。あの三人が、素直に家族の再会を演じると
     思うか?」
  リツコ「それこそ、面倒見きれないわよ。それに、双子の結束が固いのは
     よく知ってるでしょ。息を合わせてうまくやるんじゃない」
 加持「結束ねぇ。…かたや他人に預けられて育ち、かたや離れることなく
     手元で過ごす。いくら血のつながった双子といえど、埋められない溝も
     あるんじゃないのか。まして、その張本人を挟んで向き合うときては」
  リツコ「…他人が首を突っ込むことじゃないわ。さて、そろそろ行かなきゃ」
 加持「ま、確かにな。お疲れさん」

291 :
墓地にて
降下してくるヘリの窓にレイの姿
   碇「では先に帰る。仕事が残っている」
 シンジ「…!」
   碇「何だ」
 シンジ「…、ッあの…今日は、うれしかった。父さんと話せて」
   碇「…そうか」
 シンジ「でも、…レイとは、一緒に帰るんだね」
   碇「それがどうした」
 シンジ「父さんは…、あっ!」
ヘリから降りてきたレイ、回転中のローターの風にあおられて転ぶ
 シンジ+碇「「!!」」
  .レイ「…痛」
 シンジ「大丈夫、レイ! あ…膝、血が出てる、すぐ手当てしないと」
   碇「どけ。すぐに本部の医務局に連れていく」
 シンジ「何悠長なこと言ってるんだよ、父さんこそどいてよ! ほらレイ、貸して」
   碇「お前はいい。素人が手を出すな。レイ、行くぞ」

292 :
 シンジ「絆創膏貼るくらい何だよ! そうやっていっつも他人任せにして」
   碇「お前こそ、何も知らないくせに」
 シンジ「父さんよりは知ってるさ。…あっ」
   碇「お前と話してても埒が明かん。レイ、行こう」
  .レイ「あ…、! 痛ッ」
 両者「「!!」」
 シンジ「何するんだよ父さんッ! 無理に歩かせちゃ駄目だ、捻挫してるかも」
   碇「いや、骨折の恐れもある。おい! 担架だ! 早くしろ!」
 シンジ「そんなの待ってられないよ! はい、レイ、おぶさって」
  .レイ「う、うん」
   碇「おい、勝手にさわるな! 早く下ろせ、あ、いや、早く運べ、いいから」
 シンジ「父さんこそ周りをうろうろしないでよ! 危ないだろ!」
   碇「危ないのはお前のおぶい方だ。…ああレイ、大丈夫か」
 シンジ「だから前を塞がないでってば!」
  .レイ「……」

293 :
  .ミサト「…で、結局、仲良く三人で帰ってきたそうよ。
     その後も、医務局まで揃ってレイの付き添い。ほんと、レイのこととなると
     血相変えるんだから」
 加持「案ずるより生むが安し、か。心配無用だったな。…ところで、なんでお前
     そんなに機嫌悪いんだ? ハッピーエンドじゃないか」
  リツコ「ああ、ミサトはね。シンジ君を車でお墓まで送っていったでしょ」
 加持「それは聞いた…って、ん? まさか」
  リツコ「そう。レイの騒ぎでみんなヘリで帰っちゃって、連絡もなく一人で墓地の前に
     置いていかれたそうよ。この暑さの中」
 加持「…そりゃまた、貧乏くじだ」
  .ミサト「なんですって」
 加持「いやいや、お疲れさまです、葛城作戦部長。あとで一杯おごってやるから」
  リツコ「しばらく話しかけない方がいいわよ、拗ねてるから」
  .ミサト「うるっさいわねもうッ。ふんだ」

294 :
 .カヲル「じゃあ、親子三人で話ができたんだね」
 シンジ「うん…会話っていうより、レイの心配してただけだったけど。なんか、
     それも情けないよね、はは」
 .カヲル「そんなことないさ。君は、そのきっかけを無駄にしなかったんだからね」
 シンジ「そう…なのかな。…うん、医務局で別れるとき、少しだけど、父さんの
     顔を見て話ができたんだ。…父さんも、普通に応えてくれた。いつも
     こうやってレイの面倒見てやってるのか、とか。あれ、結局レイの話だ」
 .カヲル「それでもいいと思うよ。次は、君自身の話ができるといいね」
 シンジ「…、うん。…ありがとう、カヲル君が励ましてくれたおかげだよ」
 .カヲル「僕じゃないさ。妹さんのおかげ、だろう?」
  .レイ「…わたし」
 シンジ「え…そうか、そうだよね。レイも、ありがとう。レイが来てくれたからだよ」
  .レイ「…、私、別に何も、してない」
 シンジ「あ…」

295 :
  .レイ「…でも、よかった」
 シンジ「…!」
  .レイ「なんだか、いつもと違ってた。お兄ちゃんも、…碇司令、も。…うれしかった」
 シンジ「…、そっか。…足首、もう大丈夫?」
  .レイ「うん。今朝、赤木博士に湿布、替えてもらった。もう平気」
 .カヲル「そう、良かったね」
  .レイ「……」
 シンジ「? どうしたんだよ、照れてるの、レイ。そっぽ向いたりして。…あ」
 .アスカ「やーっぱり、ここにいた」
 シンジ「アスカ? 終わったんだ、2号機の試験」
 .アスカ「当たり前でしょ。
     それより何をぐずぐず居残ってるのよ、あんたたち! テスト上がったんなら
     明日に備えてさっさと帰って休みなさいよ。いついかなる時も即応できる態勢を
     整えとくのが、待機中の当然の務めでしょ!」
 シンジ「何だよ、別に、ちょっと話をしてくぐらいいいじゃないか」
 .アスカ「はぁああ…そこが無自覚だって言うのよ。あのね、予備人員なんかとぐだぐだ
     無駄話をしてるヒマはないの。ほんっと、意識低いんだから。
     妹も、馬鹿シンジとおんなじ顔してこっち見ないの! うっとうしい!」
  .レイ「……」
 シンジ「もう、レイにまで当たるなよな。一人だけ遅くなったからって」
 .アスカ「何か言った?!」
 シンジ「べつに。はぁ…ごめん、カヲル君。また今度」
 .カヲル「うん。お疲れさま」

296 :
test

297 :
  .レイ「じゃ、私、先に行くから」
 シンジ「うん…」
  .レイ「…どうしたの」
 シンジ「え?! …あ、いや、別に」
  .レイ「……」
 シンジ「…、あは、ちょっと緊張してる、のかな。けど別に、大丈夫だよ。
     レイは気にしないで。ほら、遅れるよ」
  .レイ「…わかった」
 シンジ「じゃあ、あとで」
  .レイ「うん。行ってきます」
 シンジ「行ってらっしゃい。…
     …ふう」
  ミサト「そんなに固くならなくても大丈夫よ、シンジ君」
 シンジ「…ミサトさん」
  ミサト「予備テストは全部OKだったんだし、あなたたちはいつも通りにやれば
     いいんだから。始めてみれば、案外、すぐ済んじゃうわよ」

298 :
 シンジ「…、はい。でもやっぱり、別のエヴァに乗るのって、なんだか不安で」
  ミサト「そっか。レイの零号機でも、駄目?」
 シンジ「……」
  ミサト「ま、とにかく、余計なことは考えずに、自然体で行きなさい。
     案ずるより産むが安しってね。そう、レイのあの落ち着きを見習うつもりで、ね」
 シンジ「…はい。僕も、あんなふうにできればいいんですけど。…こういう時って
     やっぱり、レイには敵わないや」
  ミサト「いやいや、実は赤の他人には見分けられないだけで、本当はレイも
     緊張してるのかもよ。その辺、どう? お兄ちゃん」
 シンジ「ええ? そんな、いくら双子だからって、考えてること全部わかるわけじゃ
     ないですよ。たまに何となく、気持ちが伝わる気がするだけで」
  ミサト「うーむ、傍目からは以心伝心って感じなのにね。今は?」
 シンジ「…よくわからないです。
     わかるって思えることの方が、本当は少ないのかもしれない。…僕は
     レイのこと、本当は大して知らないのかもしれない。変ですよね、初めて
     会った頃より今の方が、わからないことが多い気がするなんて」
  ミサト「そんなことないわ。
     誰だって、大人だってそうよ。それに、自分だけわかったつもりになるより、
     その方がずっと正直だわ。理解できなくてもいい。ただ、信じてあげなさい。
     あなたの妹なんだから」
 シンジ「…はい」

299 :
誰かシンジとレイの双子漫才を

300 :
ついでに300ゲンドウ、じゃなくてゲット

301 :
良スレ

302 :
test

303 :
プロバ規制やっと解除、長かった…
>>300 おめでとうー
>>301 ありがとうございます

.アスカ「そうよ、あんたたち息だけはぴったりなんだから! せっかくの双子の特性、
    他の何かに生かすべきなのよ」
 .レイ「生かす?」
シンジ「何だよ、いきなり」

304 :
.アスカ「何でもかんでもエコが叫ばれるこの時代、効率化は急務よ。有用な人的資源は
    眠らせずに活用すべきだって言ってるの。そうね、たとえば…あ!なんだっけ、
    ニニンバオリ?とか!」
 .レイ「私が後ろから腕だけ出して、お兄ちゃんにお蕎麦食べさせるのね」
シンジ「え…っと、それって、ただの宴会芸じゃ」
.アスカ「…う、うるさいわね。じゃあえっと、あれよ、機関銃の砲手と、弾帯を送る係!
    これなら実践的でしょ?」
 .レイ「アパム、弾持ってこい。の人ね」

305 :
シンジ「うーん…確かに実戦では役に立つかもしれないけど、エヴァで戦うときは
    予備の弾は手近な兵装ビルから出してもらうし、わざわざ二機でやらなくても」
.アスカ「ッもういちいち細かいこと言うんじゃないわよ! ったくもう、じゃあれでいいわ、
    餅つきで! ネルフの公式行事とかで、会場のにぎやかしでもやってなさいよ」
 .レイ「お兄ちゃんが杵でついて、私がお餅を返す係ね」
シンジ「…アスカさ、もうどうでもよくなってるんじゃない…?」
.アスカ「無能な兄は黙ってて! …にしても妹、あんた詳しいのね。よく調べてるわね」
 .レイ「別に、普通」

306 :
本部内実験場
固定位置で壁面に拘束された初号機
  レイ「初号機、起動を確認。引き続き、簡易機体連動試験に入ります」
 .リツコ『了解。全て問題ないわ。…レイ、どう? 初めて乗った初号機は』
  レイ「……
    お兄ちゃんの、近くにいる気がする」
固定位置で壁面に拘束された零号機
 伊吹『ボーダーライン、クリア。零号機、起動しました』
  リツコ『やはり、初号機ほどのシンクロ率は出ないわね』
 伊吹『でも、さすが双子ですね。初実験で、ここまで安定した数値になるなんて。
     シンジ君、大丈夫? ご苦労さま、無事に、起動できたわ』
 シンジ「……はい」

307 :
  リツコ『気分は悪くなさそうね。では予定通り、続いて機体連動プログラムに移って』
 シンジ「はい。…あの、もう一つの実験の方は」
 伊吹『あ、レイなら大丈夫よ。さっき、シンジ君より少し早く、初号機の起動に成功したわ』
  リツコ『あなたは心配しなくていいの。簡易版プログラムだから、すぐ終わるわ。いつも通り
     エヴァを動かすことに集中して』
 シンジ「…はい」
 シンジ(…零号機か。いつも、レイが乗ってるエヴァ。…何度も助けてもらった)
 シンジ(だからなのかな。何だか、知らない場所って感じがしない)

308 :
 シンジ(エントリープラグは同じ仕様だし、LCLも、操縦桿も同じ。でも、それだけじゃなくて
     …レイのすぐ近くにいる気がする)
 シンジ(…そうか。レイの…匂いなんだ)
 シンジ(……?)
 シンジ(…なんだこれ、何か、変な…機体に、抵抗がある…、感覚が…おかしい)
 シンジ「!」
警報

309 :
  リツコ「どうしたの?!」
 伊吹「脳神経パルスが乱れてます。変です、今まで安定してたのに…、制御神経、断線開始!」
  リツコ「回路を強制遮断。精神汚染の恐れがあるわ。食い止めて」
 伊吹「駄目です、信号を受け付けません! 零号機、制御不能!」
拘束具を破壊し振り払うように前へ出る零号機
不器用に数歩歩き、突き当たった壁に頭を激しく叩きつけ始める
   ミサト『何があったの! パイロット…シンジ君は?!』
   リツコ「今は、まだ不明よ」
   ミサト『不明、って…!』

310 :
  伊吹「パイロット、脳波シグナル微弱。意識ありません」
オペレータ「零号機、内部電源に切り替わります。活動停止まで残り15秒」
   リツコ「完全停止したら、すぐにプラグを強制排出。再入力、準備急いで」
  伊吹「はい!」
   ミサト『リツコ!』
   リツコ「事が収束してから報告するわ。今は口を出さないで」
   ミサト『違うわ! 次に予定していた2号機の連動試験は中止、ただちに発進準備!』
  伊吹「えっ?」
  日向『上空に、未確認の移動物体が侵入しつつあり! 不規則に形態を変動中!』
  伊吹「そんな、まさか…!」
   リツコ「…使徒?!」

311 :
晴れ渡った第三新東京市上空
陽炎の包む街並を長大な影が変転しながら横切っていく
高度500mにまでそびえ立つ形状不定の巨大物体
無光黒面で形成された幾何学立体、複雑な塔様の集合体、有機的な曲面が
入り組んだ機械のように次々と形を変え入れ替わっている
ビルの陰を這うアンビリカルケーブル
身を隠しつつ、上空の物体を窺うエヴァ初号機と2号機
後方では市民たちの緊急避難が続いている

312 :
緊迫する発令所
 日向「12分前に、突然現れました。形状、サイズ、質量も常に変化し続けています。
     本部直上をほぼ中心として微速移動していますが、その速度も軌道も不定です」
  ミサト「住民の退避は?」
 青葉「現在、シェルターへの避難は78%まで完了。やはり、目標に近い西地区が
     遅れています」
  ミサト「…全ての住民の避難が完了するまで、うかつに手は出せないわね。
     初号機と2号機は現状維持。一定の距離を保ちつつ、目標を監視。くれぐれも、
     まだ攻撃はさせないで」
 日向「了解」

313 :
  リツコ「司令も副司令も不在のこの時に、使徒襲来とはね。それも未確認のタイプ…
     MAGIの回答は、現時点では分析不能。通常の物理法則には従っていないのよ。
     私たちに見えているあの物体が、目標の本体ではないということもあり得るわ」
  .ミサト「相手は使徒よ。我々の常識が通用してくれる敵じゃないわ。とにかく今は、
     現状でできることをするしかないわ」
  リツコ「…初号機をあのまま出したのも、そのため?」

314 :
  .ミサト「2号機だけでは、退避未完了の地区を全てカバーしきれないわ。たとえ戦闘には
     耐えなくても、2号機のバックアップなら可能だわ」
 日向「目標、再び移動を開始!」
 .アスカ『本部に向かってるわ。…ミサト!』
  .ミサト「住民の退避は?!」
 青葉「まだです! 最短でもあと15分!」
  .ミサト「アスカ、まだ手出ししないで。そのまま目標を追跡」
 .アスカ『…ッ、じれったいわね。初号機、場所を変えるわよ!』

315 :
  レイ「…了解。初号機、2号機のフォローを続けます」
初号機内のレイ
モニタ中央、上空で緩慢に回転伸縮する目標の巨影が移動していく
じっと見据えるレイ
ふと眉をひそめる
突然、目標の巨大構造の一端が形状変化して開き、多数の黒い棘腕が弾け出る
形状不定の時とは違い、全てに重質量反応がある
轟音をあげて次々と街並に突き刺さり破壊する棘腕の群れ
初号機にも迫る

316 :
  レイ「!」
とっさにATフィールドを展開する初号機
瞬間、目標全体が反応する
あらゆる尖端がコースを変えて初号機を包囲、一斉に展開して周辺一帯を呑み込んだ直後
急に目標構造の全てが折り畳まれて元の大きさに戻る
ぽっかりと削り取られた市街
初号機の姿はない
何事もなかったかのように再び無音の形状変化を始める目標

317 :
  .ミサト「どうなってるの?! 初号機はっ?!」
 日向「全シグナル消失! 目標周辺にも、それらしき反応は皆無!」
 伊吹「パイロットとの交信も途絶えています。プラグからの信号、全て断絶!」
 青葉「目標、沈黙! 再び形状・質量ともに、不規則に変動中」
  .ミサト「…アスカッ!」
 アスカ『わかってる!』

318 :
ビル陰から飛び出し、目標に掃射を加える2号機
再び実体を得て広範囲に展開する目標
降り注ぐ黒い尖端
貫通され宙に砕ける建造物群
それら全てを機敏に回避していく2号機
再度攻撃に出るが、目標は一時的に展開攻撃と収縮を繰り返すのみ
初号機の反応は戻らない
ミサトの感情を殺した声が撤退を命じる
全市を睥睨するかのように宙にそびえる巨大な目標の姿
プラグ内で強く唇を噛むアスカ

319 :
test

320 :
短く息を吸い込んで目を見開くシンジ
本部内病室
 .カヲル「気がついたね」
 シンジ「…え…、カヲル君…? ここは…僕は、確か…」
 .カヲル「君の実験中に、零号機が暴走を起こしたんだよ。覚えている?」
 シンジ「え…っと、…うん。
     でも何だか、はっきり思い出せない…ような」
 .カヲル「無理もないよ。零号機から、大量の脳神経パルスの逆流を受けたんだからね。
     どこか、痛むところはないかい」
 シンジ「うん…、大丈夫、だと思う。零号機は…?」
 .カヲル「あれからごく短時間で停止して、再固定された。機体とシステムの再検査も
     済んでる。心配しなくていいよ」
 シンジ「そっか…、良かった。…でも、あとでレイに謝らないと。怒ってないといいけど…
     そうだ、僕はどのくらい寝てたんだろう。あ…カヲル君、もしかしてずっとここで
     付き添っててくれたんだ…その、ありがとう」
 .カヲル「……」
 シンジ「…カヲル君?」
 .カヲル「シンジ君、ごめんね。
     君に伝えなければいけないことがある。…落ち着いて聞いてほしい」
 シンジ「え…?」

321 :
  リツコ「目標は高次元体。すなわち、我々の三次元物理空間ではなく、より高い
     数理次元の超立体としてふるまっています。我々に見えているあの物体は
     目標の三次元的断面。本体の落とす影に過ぎないの。おそらく目標の本体…
     コアは、我々の手の届かない高次空間に存在し、こちらに干渉するときにだけ
     ATフィールドを介して実体化する」
  .ミサト「…向こうから攻撃してこない限り、手出しできないってことか。
     初号機は?」
 伊吹「被襲時の状況を分析した結果、機体は展開していた目標のATフィールドの
     収縮に巻き込まれる形でロストしています。現在は、目標本体と同じ高次元
     空間に捕獲されていると考えられます」
  .ミサト「つまり、目標に取り込まれた…予想される、初号機の状況は」
 日向「アンビリカルケーブルの先端は、目標の展開ラインのすぐ内側の地点で
     切断されていました。その時点で初号機が内部電源に移行したとすると、通常の
     活動限界までは5分20秒」
  リツコ「レイが機体を生命維持モードに切り替えていれば、16時間程度はもつわ」
 伊吹「同時に、電源が生きている間は、初号機のATフィールドが高次空間の影響下でも
     機体を保持し、パイロットを守ってくれるはずです」

322 :
 青葉「目標は、現在も第三新東京市上に滞空中。出現当初と似たパターンの
     不定移動を繰り返していますが、軌道半径は徐々に縮小しています」
  .ミサト「…そう。
     状況は芳しくないけど、かろうじて、何かする時間はあるわね」
 .アスカ「…時間だけは、ね」
  .ミサト「アスカ?」
 .アスカ「何かできるつもりでいるのなら、甘すぎるわよ。
     高次元への回路を開けるのは目標だけ。つまり私たちは、目標の側から
     何か仕掛けてくるのを待つ以外に何もできない。おまけに先の戦闘状況から
     して、仮に目標が実体化して、こちらからそれを攻撃したとしても、本体に
     届く保証は何もない。何の手応えもなかったもの」
 青葉「…確かに、その通りですね。2号機との交戦の前後で、目標の行動に変化は
     認められません」
 .アスカ「今回だけは、無理よ。…私たちには、何もできない」
 伊吹「そんな…」
  .ミサト「いえ、一つだけ方法はあるわ」
 日向「えっ?」

323 :
 .アスカ「…エヴァのATフィールドね」
  リツコ「そう。高次元空間で本体を支えているのもまた、目標のATフィールド。
     何らかの形でそれに干渉できれば、本体をこちらの物理空間に引きずり出す
     ことが可能かもしれない」
 .アスカ「…使徒殲滅の第一段階は、そのATフィールドの中和、無力化。セオリー通り、
     基本に忠実にやるのが、今回も早道ってわけね」
 青葉「しかし…それを実行するには、相当量の物理エネルギーが必要になります」
 日向「大出力のATフィールドに加え、強制干渉するための、いわば起爆剤。
     さらにそれらをコントロールする、精度の高いオペレーションが不可欠ですね」
 .アスカ「2号機一機で、できる方法じゃないわ。…悔しいけど」
 日向「せめて、零号機が使えればな」
 伊吹「先の実験では、搭乗者との神経接続には成功したものの、実働テストまでは
     行えませんでした。つまり、実戦での機動は未知数です」
 青葉「加えて、エヴァが搭乗者に原因不明の拒否反応を示した…」
 .アスカ「…馬鹿シンジには零号機は動かせない、ってことね。ミサト」
  .ミサト「わかっているわ」

324 :
 シンジ「使徒に…呑み込まれた…?」
 .カヲル「…そうだよ。
     上では今も、使徒の監視と周辺の捜索が続いている。でも、初号機らしき反応は
     見つかっていない」
 シンジ「そんな…嘘、だ」
 .カヲル「…うん。嘘だったら、良いのだけれどね」
 シンジ「……僕の、せいだ」
 .カヲル「シンジ君…?」
 シンジ「…僕のせいで、レイはやられたんだ。
     僕の代わりに初号機で出たから、…僕が出られなかったから、代わりにレイが
     そんな目に遭う羽目になったんだ。僕が、零号機で失敗なんかしたから」
 .カヲル「…シンジ君」
 シンジ「僕のせいだよ。僕が出てれば良かったんだ。レイが危ない目に遭ってるのに
     僕は何も知らずに寝てただけだった。…くそっ」
 .カヲル「シンジ君…」
 シンジ「…ごめん。だけど…、…もうッ、肝心な時に何やってるんだ、僕は…!」
 .カヲル「……」

325 :2013/09/20
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