「ポップ」と向き合う表現者は、なぜこんなにも「悲しい」のか。 ROCKIN'ON JAPAN 洪弘基 いちリスナーとして、そしていち音楽雑誌編集者として、常に突きつけられる最大の謎にして、最大の真理である。 あれほど美しいメロディで人々の希望を喚起し、天にも昇るような歌声で幸福を祝福し、 荘厳なピアノの旋律で一日の終わりを平穏とともに告げる―― そんな音楽を生み出す当のミュージシャン本人が、なぜあれほど巨大な闇を抱え、驚くほど疲弊し、 そして時には精神にまで異常をきたさなければならないのか。 ブライアン・ウィルソンは、なぜ長年に渡り、重度の欝に悩まなければならなかったのか。 フレディー・マーキュリーは、なぜ迫り来る「死」と向き合いながら、《THE SHOW MUST GO ON》と叫ばなければならなかったのか。