共和国軍がジェネシス世界に召還されました 2戦目 (519) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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共和国軍がジェネシス世界に召還されました 2戦目


1 :2006/02/12 〜 最終レス :2012/07/24
前スレが512kを越え書きこめなくなったので
前スレ
http://hobby8.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1130414749/l50
今日の「離陸」を受けての共和国軍はどう動くのでしょうか

2 :
終了

3 :
しかしこんな形で次スレか…
ちょっとびっくりだな

4 :
>>1乙です

5 :
http://hobby8.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1130414749/803
突然の衝撃、俺達は光に包まれ、なにもできなくなった。
長い時間が経った。それは永遠のようにも感じられた。
光が消えると、森が変わっていた。
「ここはどこだ」
俺は思わず叫んだ。そこは見たこともない森だったのだ。
さらに異常が起きた。気づいたのはサリサだ。
「少尉殿!モルガが!モルガ!」
なんということだ、3両いた筈のモルガが1両に減っている!
「すぐに残りのモルガを探すんだ!歩兵達を出すんだ!」
「上を見ろ!」
突然叫んだのはバッツ少尉だ。なにかと思って上を見たら、そこには先ほどのダブルソーダに加え
プテラスが1機、現れた。
「おい!大丈夫か?ハレル、状況を報告しろ」
数分後、ようやく状況を把握したらしいウィンターズ大尉のゴジュラスが現れた。
「第17連隊第1中隊第1小隊長、オノダ少尉であります。モルガ2両が消滅。現在、歩兵を出して捜索を」
「第17工兵大隊、バッツ少尉であります。コンパスが突然、狂いまして気がついたら、こんなことに」
「ハレルです。ゾイドの方に異常はありません。しかし、無線が…そちらのゴルドスは?」
 ウィンターズのゴジュラスには、支援砲撃と通信・情報収集用の重砲型ゴルドスがついている筈だ。
「ダメだ。司令部に連絡を試みたが、全然つながらない。代わりに北1km地点に平原を確認した。
 ダブルソーダとプテラスもそこに向かったらしい。視界が確保できるから、そこで野営しよう」

6 :
 森を進んでいくと、確かにウィンターズ大尉の言ったとおり、森が開け平原が広がっていた。
プテラスとダブルソーダが着陸しており、パイロットが降りて、周りの様子を窺っているようだ。
「第21連隊強襲戦闘大隊、ウィンターズ大尉だ。状況は?」
応じたのはダブルソーダのパイロットだ。
「自分はシュルツ曹長。右は観測員のトムセン伍長です。上空から観測しましたが、
 付近に我々の知る施設や地形は確認できません」
「いったいどうなってるんだ…」
「大尉!あれを!」
 シュルツが突然叫んだ。シュルツが指さした方角には1機のシールドライガーと2機のコマンドウルフが。
「高速戦闘隊の連中だ」
 トムセンが言った。確かにライガーやウルフには、共和国軍のマークが。
 一方、偵察に向かった歩兵隊。僚機のモルガを発見することはできなかった。
「いったいどうなってんだ?」
 1番若い17歳の小銃手バッケイン上等兵だ。
「さぁね」そう答えるのは、フート曹長。俺の右腕的存在だ。いわゆる鬼軍曹という奴だ。
「なにか感じませんか?見張られているような…」
そう言うのは、小隊一の射撃の腕を誇る狙撃手のヴァシリ伍長だ。
「そうかね?」
「なんだ。あの連中は?」
木の陰に隠れ、共和国歩兵小隊を監視する一団がいた。ヴァシリの勘は正しかったようだ。
「正体を探る。包囲するんだ!」
「「ディガ!」」

7 :
この手のスレってこんなに早く次スレ建てるの?

8 :
>>7
>>1をよく読んでみよう

9 :
・・・ゲッ!恥ずかしい
失礼しました

10 :
アイアンロック攻略戦
討伐軍と共同で作戦を遂行する共和国軍
しかしその士気は何故か低かった。
「く、バイオゾイドの数があまりにも多すぎる。リーオ弾を提供して
貰ったとはいえ多勢に無勢か。それに・・・・」
「あのう・・・中佐・・・・今回の作戦の件ですが・・・」
「・・・ギルドラゴンを復活させる・・・か。君の迷いはわかる」
「はい・・・名称からおそらくギルドラゴンは・・・へリック共和国首都を
襲ったあの悪魔と関係があると私は思います。あの悪夢を再びこの時代に
呼び覚ましてもいいのでしょうか」
「・・・確かに君の不安は理解できる。ガイロスとの決戦に向かったはずの
共和国軍が結局ガイロス関係の遺産に頼らざるおえないとは・・・・
だが今は任された任務を果たす・・・それが軍人としての矜持だと考える」
「・・・・すいません。」
その時、地面が大きく揺れ彼方の山脈に白銀の巨龍が姿を現した。
その姿は一部の違いはあるもののギルベイダーそのものだったのだ
「・・・・・・中佐・・・・・あ、あれは!!」
「・・・・間違いないあれはギルベイダーだ、しかし何だ、あの巨大さは
・・・・神々しいまでの装甲の輝きは・・・・
多くの同朋の命を奪った憎むべき悪魔なのに・・・何故か美しいと思ってしまう」
「ウルトラザウルスを遥かに超える巨体・・・もしビームスマッシャーや
重力砲が使われたら・・・
・・・・討伐軍はあれを使うつもりでしょうか・・・我々は
もしかするととんでもない過ちを犯しつつあるのでは」
「・・・・ラカン殿の誠実さを信じたいが・・・・
討伐軍・・・・なんという危険な存在を目覚めさせてしまったのだ!!」


11 :
「ラプター9機撃破。次を回してくれ」
作戦開始から数分。相対する敵の数をコントロールしながら、順調に敵の数を減らしていく混成飛行ゾイド部隊の面々。
しかし基地周辺に集まった敵の数は100機を軽く越えていた。このままではいずれ押し負けてしまうだろう。
さっさと雑魚で撃破数を稼いで撤退したほうがいいな・・・そのような事を考えていると、次の相手が姿を現した。
「メガラプトルが1にラプターが3か。厄介な相手だな」
高い機動力と強力な火力を持つ上に、ラプターとは比較にならない耐久性を誇るメガラプトルは、飛行ゾイドにとっても難敵であった。
ヘルアーマーを貫通するほどの強力な武装は飛行ゾイドには搭載されてはいないし。避ける隙間もなく爆撃するにはコストが掛かり過ぎるのである。
しかしこの機体ならそのような問題はない。
「だが正面から突っ込むのは流石に危ういな。ここは一つ奥の手を使わせてもらおう」
そう言って、ホバリングで後方に下がりながらバルカンファランクスとハイパーレーザーガンで弾幕を張る。
しかし敵部隊はメガラプトルを盾にしながら一列になり、弾幕をものともせず接近してくる。
なるほど。このフォーメーションならば、メガラプトルの攻撃を避ければラプターの攻撃を受けることになり。耐えようにもメガラプトルの攻撃を受ければ
かなりの確立で大ダメージを受け、戦闘続行が難しくなる。
「いつまでも機体性能だけに頼ったゴリ押しだけじゃないということか。だがそのフォーメーションは、このガブリエーレにとっては好都合だ」
弾幕を弾きながら突進してくるメガラプトルに向かって、ガブリエーレの口から新たな弾幕が張られる。
いや、それは弾丸ではなく光線でもない。無色透明な液体であった。

12 :
メガラプトルのパイロットは勝利を確信していた。
確かにあのバケモノはリーオの大剣を持っているし、強固な盾を備えてはいるが。懐に潜り込めばどうという事は無い。
そして、この機体にはそれを実現できる瞬発力とブースターがある。
バルカンとレーザーでは、この機体を止められないと気づいたのか。何か液体を吐き出してきたが、そんなもので止められるはずも無い。
あと数メートルでこちらの間合いだ。ヘルファイアーを撃ちこみながら、ブースターで一気に跳躍。懐に潜り込み、奴の息の根を止めてやる――
しかし次の瞬間予想外の事態が起こった。
なんとメガラプトルが急停止したのだ。まるで機体が凍りついたかのように動かなくなり、無様に転倒する。
「馬鹿なっ!?こんなところで故障か!」
この時、メガラプトルのパイロットは先ほど浴びた液体が、対大型高速ゾイド用に開発されていた強化瞬間接着剤だとは知る由も無かった。
転倒したメガラプトルに反応できず。後続のラプター達が次々と追突してもつれ合う。
接着剤が間接に流れ込み機体が動かないメガラプトルと、何が起こったのかわからず、混乱してお互いが邪魔になって立ち上がれないラプター達。
そこへ容赦なくガブリエールの大剣が振り下ろされる。
反撃も出来ぬまま4機のバイオゾイドはその機能を停止した。

13 :
どうやら開発部からガブリエーレとセットで送られてきた対ゾイド捕縛用瞬間接着剤は功を制したようだ。
実はメガラプトルをほぼ無傷で手に入れれるチャンスなのだが、何かの拍子に動き出すかも分からないし。
飛行中にブースターでも使われたらたまったものではない。あきらめて倒すことにした。
「メガラプトル1ラプター3撃破。そっちの状況はどうだ?」
通信を入れ状況を確認する。そろそろ弾薬も尽きてくる頃合だろう。微かなノイズと共に副隊長から通信が入る。
「各機、高度を取っているので目立った損傷はありません。しかしエネルギーと弾薬が少なくなってきました」
予想通り弾薬が尽きてきたようだ。レイノスやナイトワイズならば格闘戦で戦う事も出来るだろうがリスクも高い。
それに、せっかく補充された機体を失っては元も子もない。引き時だろう。
「よし、それでは撤退を開始する。しかし、このままではせっかく集まってもらったディガルドの皆さんに申し訳ない。
好みに合うかどうか分からないが、爆弾やミサイルをプレゼントして差し上げなさい」
言い終えるや否や、急上昇するガブリエーレ。
その姿を確認し、混成飛行ゾイド部隊はミサイルや爆弾を基地に群がるバイオゾイドの群れに向かって一斉に発射した。
空対地ミサイルが、大型ボムが、煙幕弾が次々とバイオゾイドに降り注ぐ。
燃え盛る基地とディガルド軍を尻目に撤退していく混成飛行部隊の面々。
ディガルド軍が爆撃の混乱から立ち直る頃には、共和国の部隊の姿は既になかった。
――その頃、ガブリエールの戦いを観戦していたロイドは爆撃の煽りで飛んできた破片に頭を打ち、気絶していた。

14 :
「何だ、あれは…?」
レオンを追って海岸地帯までやってきたディガルドの兵士達は、
地に倒れ臥すセイバータイガーの前に立つ、見慣れない青いゾイドに驚きを隠さなかった。
セイバータイガーを狙って放ったヘルファイアが、
青いゾイドの張った光の盾のようなもので全弾防がれたのだ。
「反乱軍の、新兵器か…?」
「はぁっ、はぁっ、間に、合った…」
そのゾイドのコクピット。
荒い息をそのままに、レオンが座していた。
一か八かだったが、どうやら賭けには勝ったらしい。
「う、く…」
ぐらり、と視界が歪む。無理もない、彼はまだ少年である。
とうに限界を大きくオーバーしている彼に、まともに戦う力など残っているはずがなかった。
「…まだだ」
それでも、なんとか踏みとどまる。それはもう、意地と表せるレベルのものではない。
「僕は…死にたくないから、」
ランナーズハイ寸前の極限状態にある彼を支えていたのは、皮肉にも。
「こんな所で、死ぬのは嫌だから!」
死に対する恐怖であり、生きたいと言う強い願いだった。

15 :
「ああぁあぁぁああぁあぁあ!!!」
それが、彼を叫ばせる。
そしてその叫びのまま、レオンは機体をバイオラプターに突撃させた。
何の小細工も技術もないただの体当たりだったが、
バイオラプターを岩に叩きつけて戦闘不能にするには充分だった。
「く…ぅ―」
(もう、ダメか…)
…レオンの意識を、失わせるのにも。

そのまま動きを止めた青いゾイドに、バイオラプターが迫る。
パイロットが意識を失ってしまった今、回避も反撃も不可能になってしまっていた。
だが、この状況にもかかわらず、バイオラプターにこの機体を破壊することはできなかった。
なぜなら。
「上出来だ」
一言とともに放たれた光が、バイオラプターを撃ち抜いたからだ。
「本当によくやったよ。
 リーオもなしにたった一機でここまで戦い抜いたんだ、これは誇りに思ってしかるべきだ」

16 :
いやしばらく見てなかったら前スレが見当たんなくてちょっとばかりあせったわ。
>>1氏乙です。

17 :
「済みません、お手数おかけしまして…」
「いや、構わないよ、こっちのほうが本職みたいなものだからね」
アルフレートは、どうもコア関係に問題が起きたらしいというストームソーダーをチェックしていた。
「よし、わかった。まずは…」
アルフレートは、もともとゾイドコアの研究者であった。
その彼がこの世界にいるのは、西方大陸戦争後半以降から実戦投入されだしたゾイドに関係している。
つまり、オーガノイドシステム搭載機や完全野生体のような、
コアレベルでの新機軸が採用されているゾイドが実戦投入されるようになったために、
軍属のゾイドコア関係の技術者として共和国軍に従軍していたのだ。
そして、ニクスに渡る途中でこの世界に飛ばされた。
「それにしても…」
また疑念が湧いてきた。
上層部は何をあんなに焦っているんだ?
シヴァがそう簡単に完成させられるものではないことも、
完成を急いだことから来る不完全さが重大な問題を引き起こしかねないものであることも、
十二分に解っているはずだ。
それでこんなに急がせるというのは、何かの原因で焦っているとしか思えない。
今日ここに来たのもそれに対して苦言を述べるためだ。
急ぎすぎは危険だ。
それに参考にすべき資料も不足している。
データは持ってきているとはいえ、あのゾイドそのものは共和国にあるというのに―

18 :
「はっはっはっ、またお目にかかろう!」
爽やかな笑いとともに走り去るリンチ少佐
定員一名の操縦席に部下をスシ詰めにしているためなかなか笑える状況を呈している
「テメエ待ちやがれーっ!!」
後を追うデッドリーコングもゾイドを奪われた討伐軍兵士を相乗りさせているためコクピットの男臭さは致死量一歩手前だ
後に残されたのはアズサのバイオラプターただ一騎
「帰るか・・・」
その後の顛末について簡単に
フェルミはアイアンロックに用があると言って早々に飛び去った
「この貸しはそのうち返してもらうわ、アズサちゃんのカラダでね〜」
という不吉なセリフを残して
ヘレナは三日間静養したのち仕事に復帰した
捕われていた間の扱いについてアズサがそれとなく聞いたところただ一言
「・・・雑でした」
そしてチャンプ兄妹は
「やあアズサさんポゴタの町にいい店があるんですよ、どうですこれからご一緒に」
「上兄様、コレは私のだから駄目です!」
「お前らいい加減に帰れー!!」
実はまだ基地にいるのです

19 :
CDKBUzTs氏、「何でバルタンまで萌えキャラにしやがった」って台詞が気になるんですが、
何のことか見当がつかないために調べようがありません。
よろしかったら御教示下さい。

20 :
説明しよう
2月11日放送のウルトラマンマックスに登場したバルタン星人は
善玉のタイニーバルタンと悪玉のダークバルタンの二種類いて
タイニーは萌えっ娘で魔法少女でばるるんなのだうっきー!!

21 :
酔ってんのか?
なんかイっちまってるぞ

22 :
>>20
御説明どうもです。平成ウルトラマンはガイアの途中辺りから見てないので知りませんでした。
マックスに過去の怪獣・宇宙人が出てきてるってのはなんか知ってたんですが。そんなことになっていたとは…
ウルトラで魔法っつーとレオでなんか出てきたことがあるような(文字情報でだけ知ってる)…
しかしあんな宇宙人やら超人やら出てくるシリーズで魔法言われても。

23 :
レオだとウルトラマンキングがブニョによってバラバラにされたレオを復活させた奴か??
レオ以外にはジャックとかが好きだったな。ウルトラブレスレットとか。
まあウルトラマンは板違いなので、ゾイドの話題に戻そう。

24 :
ウルトラマンのネタなんて入れられてもわかんねーよ

25 :
「聖ベラマンチャ祭ですか?」
「先刻スペッテン氏が基地に来てね、是非協力してくれって言うのよ」
スペッテンというのはアラヨット山の麓にあるポポローネ村の村長さんだ
で、300年前に村を救ったベラマンチャという聖人を祝う祭りに基地から人を出してイベントを盛り上げて欲しいというコトらしい
その聖ベラマンチャというのが
「触れただけで病人を治したとか杖で地面を叩いたらレッゲルが湧いたとか色々伝説があるようだよ、素手で野良コングを倒したってのもあったな」
「どこの東方不敗ですかそれは」

26 :
>>25
だんだんスレと作品の内容が乖離し始めてるぞ
お節介かも知らんがどっかでちゃんとフォロー入れとかないと
ジェネシス二次創作にしか見えなくなってきてると言うか無駄なネタ織り込み過ぎ
もっと簡潔にした方がいいと思う
駄文失礼
華麗にスルーして以下ドゾー

27 :
「ちょ、ヴィーラさん速い!追いつけないから!」
こっちの事は完全にアウトオブ眼中らしく、ヴィーラさんはどんどん先へ行ってしまう。
カニのおかげで動きが捉らえられているのが救いだった。どうにか見失う事だけはない。
「ったく、全然聞いてねー」
ヴィーラさんに追い付くのを諦め、レーダーに目を戻す。
ヴィーラさんのジェノブレイカーの進行方向の延長線上に、確かにナニモノカが走っていた。
形と大きさからバイオゾイドだとは推測できるが、それがどんな機体かまでは分からない。
「速さからして、メガラプトルかな…」
ヴォルケーノで、しかも単独で動く人がいるとは考えにくい。
まあ何でもいい。…とりあえずヴィーラさん、後ろを一回くらいは見て下さい。
寝床貸してる人間にこの扱いはないと思います。
「―聞いてないだろうけどさ」
やっぱり、彼女の正体はお嬢様なのだろうか。
今度こそ聞いてやる。問い質してやる。尋問してやる。
住所年齢電話番号はどうでもいい、氏名は既に分かってる、肩書きと目的を。
徹底的に吐かせてやる。
…などと考えていたら、そのお嬢様から通信が入って来る。
「どうしたのそんなノロノロと」
ぷつっ。
こっちから切ってやった。

28 :
うう、鋭い指摘
ガチバトルはバトストに詳しい作者さんに任せてこっちは不良軍人と地元住民の
生暖かい交流を描きつつテキヤの親分の乗るハンマーロック(武器は三節棍)とか出そうと思ってたんですが
確かに共和国軍が出てこないのはスレタイ的にはマズイか
このままこの作風で突っ走るかシリーズ途中でプロデューサー交(ry


29 :
他に場所がないからここで今のうちに指摘しておく
ギャグがしつこい
既存のジェネキャラの扱いがぞんざい(>>554氏の言う踏み台的な扱い)
共和国軍がいなくても成立する話に見える
結論
お前調子乗りすぎ
自制しろ

30 :
「っ……」
ゆっくり目を開ける。
まず視界に入ってきたのは、青と白のツートンカラー。
「空…」
戦いが始まって以来、久しく空を見上げていなかったのを思い出す。
とても、キレイだった。
「おはようレオン君。そしてお疲れ様」
笑顔が視界に入り込んでくる。
「フェン、さん」
「ん」
「どうなりました…?」
「一応奪取には成功した。特異点についてはまだ分からないがね」
「そうですか……」
横を向くと、倒れ臥したままのセイバータイガーと、佇むシールドライガー。
その傍らに、フィアスとブレードライガー、そしてデススティンガーがいた。
否応なしに、さっきの戦いが思い出されてくる。
彼女もそれに気付いたのか、そちらに目をやった。
「しかし凄いなお前は。エレナから聞いたよ、あれだけのバイオゾイドをたった独りで抑えたんだってな」
「褒められたもんじゃ、ありませんよ」
どうしても、彼には自分のした事に対して後悔せずにはいられなかった。
「セイバータイガーには無理させちゃうし、フェンさん達が来てくれなかったらダメだったし、」
空に目線を戻し、
「結局、恐怖心も拭い去れませんでした」
噛み締めるように、ゆっくり言った。

31 :
>>26>>29雑談スレの次は此処を荒らす気ですか?気に入らないならスルーすればいいだけの話。いちいち人に絡まないように

32 :
すぐその手のと結び付けるのはやめとけ
どう見ても荒らす意志があるようには見えんぞ
ただ、言葉は悪いかもな
指摘はもうちょい紳士的にやろうや
誤解されやすい

33 :
しかし彼女は、ゆるゆると首を振った。
「それは違うよレオン君。言ったろう?力は強さに直結しないと。
 死ぬのは怖い。私だってそうだ。今までかつて、死ぬのを怖いと思わなかった事は一度もない。
 恐らく本当の、純粋な、無色の強さって言うのは、どんな状態に陥ろうとも、
 いかに自分に対して、恐怖に対して正直でいられるかにかかっていると、私は思うんだよ」
独断と偏見に満ちた見解かもしれない点は否めないけどな、といったん言葉を切る。
本当なら、こんな話を少年にするべきではないのだろう。素直に聞き入れられるとも思えないし、思う気もない。
だが、やっぱり言いたかった。
久しぶりに感情的になっているのを感じながら、彼女は言葉を継ぐ。
「軍人の私が言えた事ではないのは分かっているが、それを承知で言わせてくれ。
 …本当に、誰にも負けたくないなら、戦うな」
そう言う手段を用いずに恐怖と向き合い、折り合いを付けて立ち向かえるのが、強いと言う事。
信じていながら貫けなかった自分が言うのも傲慢だな、と他人事のように考えた。

34 :
なぁ>>28氏の書いたヤツてそんなにダメか?
結構このカルイノリが楽しみで見てたんだけど。
いやたまに行き過ぎてる気はそりゃしたが、個人の趣味じゃなかろうか。
・・・というかどうせ過疎な板なんだからそんな目くじら立てんでもよかろうに。
嫌いなら読まずにスルーすりゃいいだけだと思うが・・・。
少なくとも、世界がよくわからんバトストスレより楽しめてる。

35 :
本当に嫌いならコメントもしないだろ
むしろそう言う指摘をしてくれる人がいるのは幸せだとおも

36 :
 ニックは整備兵に指示を出すアルフレートを見ていた。
今日アルフレートが司令部に行くというので、警護の為ついてきた。
そこで会談の時間を待っていると、ウルトラザウルスの立っている近くの整備廠から、
コア関係に問題が起きたストームソーダーがいるので見てくれと呼びに来た。
そしてそれに応じて、指示まで出している。
やはり、自分の警護している人間はゾイドコア関連の技術者か何かのようだ。
だが、何の為にあの兵器の開発にコアの技術者が必要なんだ?
もちろん、あのシヴァとかいう仰々しい名前のついた兵器について詳細に知っているわけではない。
しかし、コアの技術者と直接結びつきそうな、
コア関連の新技術を採用した新型ゾイドの開発でも、そうした新技術を既存のゾイドに当てはめる計画でも
なさそうなことくらいは分かる。
シヴァはディガルドに強力な圧力をかけるための兵器だと聞かされている。
一般市民の居住区画に極めて接近、いや、隣接していることさえあるディガルドの軍事・生産拠点に対して使用すると、
一般市民の犠牲が大きくなり過ぎるため、実際に使用はできず、圧力をかける為だけにしか使えないほどの
破壊力のある兵器だとも。
何故そんな兵器の開発にコアの技術者が必要なのか。
尋ねても答えが帰ってくるわけはない。機密事項だからだ。そんなことはわかっている。
だが、答えが返ってくるかどうかということと、それを尋ねてみたいと思うかどうかということは、
あくまで別の問題のはずだ。自分は、尋ねてみたいと思っていなくてはおかしい。それも痛切に。
そのはずなのに、何故かそのことを尋ねてみたいという気がしない。
いや、そのことばかりではない。警護をするために不可欠な、
自分の担当の人間がいつどこへ行くかというスケジュール等の、最低限の情報しか与えられていないというのに、
それ以上のことを知りたいと思わないのだ。
自分でも、実に不可解だった。
もしかしたら、ウルトラを―ビッグ・ママを―危険に晒すかもしれない計画だというのに―

37 :
「何言っても応答なしかよ…くそっ」
それにしてもよく逃げる。かなりのやり手だ。普通のディガルド兵にあの動きはまずできない。
それこそ、先日戦ったコマンドウルフのパイロット達くらい熟練してないとダメだろう。
「まさか、な…」
そういう手合いの人員を討伐軍が養成し始めたのか、と一瞬思った。
しかし、彼等にそんな余裕があるはずはない。
「このままだと討伐軍の勢力圏内に到達してしまいますけど、どうします?」
リリが聞いてくる。確かに頃合いだ。
「じゃ、そろそろ行動に出るか。尻追ってるだけじゃ埒があかないしな」
レバー制御も慣れてきたし、大丈夫だろう。
速度を上げ、一気にメガラプトルを追い抜く。そして高度を下げ、目の前で機体を反転させた。
当然、相手は止まる。
「さっきから延々と無視してくれちゃってるけど。お前、何やってんだ?」
「……」
半ば諦め加減で言ってはみたが、やっぱり応答なし。
ここまで沈黙を守り通せるのはさすがだが、どうにもイライラする。
しかも攻撃体勢なんてとってくれちゃってるもんだから、なおさらだ。
いいだろう。こっちとしても、ゲームの恨みがある。
遠慮なくやれるってものだ。

38 :
「どーも最近の敵さんは、腕の立つ奴が多いみたいだな」
狙いが鋭い。
ここまで走り通しだったから疲れているのだろう、時々照準の修正が甘くなるが、
それを差し引いても相当だった。討伐軍のそれとは雲泥の差だ。
本当に。
何か、おかしい。
「…リリ。頼んでおいたもの、調べついてるか?」
「一応は。詳細は書類にまとめましたけど」
「概要が聞きたい。今は結論だけでいい」
ちょっと考えてから、リリはこんな答えを返してきた。
「ええと…一言で表すと、"現れてます"」
なるほど。要するに…
「…援軍反乱その他は特にないってことだな?」
「はい」
出所不明か。こりゃいよいよ分かんなくなってきたな。
「っと、お」
左右に振り回し続けていたのが功を奏したのか、メガラプトルの動きが少し鈍くなった。
チャンスは逃さずものにする。…一応、俺ことフィルの人生規範だ。
口を開いた瞬間を狙って機体を突っ込ませ、柄まで通れとばかりにバスタークローをねじこむ。
ウィリアムテルの射抜いたリンゴの如くあごから上を持っていかれたメガラプトルは、
二三歩よろめいてそのまま力無く倒れた。

39 :
気がつけば、知らない土地でした。
「てことで、やっぱりキャノリーユニットの制御系がダメになってたみたいです」
分かったのか分かっていないのか、村の老人はうんうんと頷く。
「よーわからんが、シンはすごいのう。なんでも直せるんじゃのう」
年の割にはごつい体をしたその老人は、結局分かっていなかったらしい。
それでも、ひょろっとした青年は、ほめられたのが照れくさかったのか、頬を掻いて表情を誤魔化した。
「いや、簡単に直ったのは、こいつが大事に乗られてるからですよ。
 ついでに駆動系も調整しておきました。左側のガタつきがマシになったと思います」
「その調子でテアとテラの心の傷も癒してやってくれればいいんじゃがのう」
「いやその・・・やめて下さいよ・・・」
顔を赤くしたシンに、老人は呵呵と笑った。
その後、村人はひとしきり茶飲み話をした後、土産の野菜を置いて帰っていった。
「モルガで畑を耕すのは、ちょっと微妙な気もするけど・・・。面白い使い方ではある・・・かな?」
どこかに鋤を引くレッドホーンとか、樵仕様のアイアンコングがいるかもしれないな。
土木工事用のジェノザウラーとか。
・・・。
僕は何をバカな想像をしているのか。
「シン、夕飯よー」
「シン、ご飯ー」
母屋から若い女性と幼い少女の声が聞こえた。
シンが今世話になっている家の主と、その娘である。
「あ、今行きます。ダ・カツさんがまた野菜もってきてくれましたよー」
納屋を改造して造った住居兼即席のゾイド整備場から、シンは野菜を担ぎ出した。

40 :
村の中心部にある湖で拾われてからしばらく経つと、さすがに慣れてきた。
最初は警戒されていたようだったが、故障で動かなくなった小型のゾイド(コネクテスというらしい)
を修理して見せたところ、どこからか流れて来たゾイド技師と認識されたらしい。
ひょろっとした、あまり強そうに見えない外見も、功を奏したのだろうか。
・・・あまり名誉なことでもないけれど。
家の主、ナ・テアの亡夫はゾイド技師だった。
4年ほど前に事故で亡くなったという、その遺品を受け継ぐ形で今は母屋から離れた所にある
その元仕事場を住処として借用している。
しかし、慣れてきたとはいえ、村の中心部にそびえる「ジェネレータ」を見ると
やはりここが自分の知る世界ではないことを意識させられる。
この、ゾイドの燃料とされる「レッゲル」という物質を生み出す装置は一体なんなのだろうか。
元研究者として、このレッゲルがゾイドに与えている影響も見逃せない。
どんなゾイドにも共通の燃料として機能し、さらにはゾイドになんらかの影響を与え
自己修復能力を高めているような節もある。
でなければ、ほとんどのゾイドがたいした整備もされずに放って置かれて
尚且つこれほどの稼働率を示している理由が思いつかない。
そもそも、「掘り出される」こと自体、シンには説明がつけられないことではあるのだが。

41 :
シンは元々、帝国技術院所属の研究者だった。
とある事件が起こり、降格から左遷のコースを辿って、
いつの間にか辺境の整備員になってしまうまでは。
さらには殺されかけた。いや、殺されたに等しいかもしれない。
トライアングルダラスに逃げ込んだ共和国艦隊を探し出せ。ほれシンカー。
いや無理ですよそれ。と言いますか僕パイロットじゃないんですが。
知らん。命令だ無理でも行け。
行きました。
遭難しました。
ウルトラザウルス見つけました。大きいなぁ。
・・・気がつけば知らない土地でした。
彼の知らないことではあるが、ゼネバス系の人間であった彼は、
ゼネバスの系譜に連なる者たちと、ガイロス帝国諜報部との暗闘に巻き込まれたのである。
影を感じながらも、組織の尻尾を杳としてつかめなかった帝国諜報部が仕掛けた
数多くの餌の一つだったわけだが・・・。
勿論のこと、シンは世に言う「鉄竜騎兵団」とは全くなんの関わりもない。
救いの手などどこにもなかった。
ここは、なんと平和なことだろうか。
高度な研究施設などは無論存在しないが、ゾイド達は戦争に使われることなく
人々の暮らしに溶け込んでいる。盗賊などの例外もないではないらしいが・・・。
それもこの村では、あるいは田舎だからか、めったに話題に上ることもない。
少なくことも、今この時は、概ね平和と言えた。
この場所で、ゾイドに触れていられるだけで満足している自分がそこにいた。
・・・ゾイドだけが原因、というわけでもなかったが。

42 :
ナ・テアはシンよりも4つほど年下の25前後の筈だが、夫を事故で亡くしてから、
女手一つで今年7歳になる娘を立派に育てている。
「お帰りなさい」
「シンおかえりー」
いやそこは『お帰り』じゃなくて『いらっしゃい』な気がしますよ?
と思わないでもなかったが、二人がそれでいいなら、余計な事は口にしない。
扉を開けると、さっそくナ・テラが飛び出して来た。
「おっと」
勢いに押されてよろけそうになり・・・そのままテラを抱き上げた。
「ほら、危ないよ」
勿論本気で怒っているわけではなく、テラも承知しているのか謝りながらも笑顔のまま、腕の中で暴れた。
その様子を見て、テアが腰に手を当てて怒って見せる。
「こーら。さぁ、ご飯にするから、二人とも早く座って」
「手伝うー」
テラが腕から飛び降りて母親の元に走っていった。
ぼそぼそと内緒話が聞こえる。
「・・・お母さん、シンがテラをかまうからヤキモチ?」
「オトナをからかわないの。それとも、お母さんがシンとっちゃってもいいのかなー?」
「それはダメー!」
思わず赤面する。
・・・共和国制のホームドラマのようだ。
そんな風に思ってしまわないでもなかったが・・・いいのだ。いいことにする。
台所に立つテアと、まとわりつくテラの様子を見ながら、
美人で優しい妻、かわいい娘。
少し頼りないが優しい夫(自分のことだ)。
なんとなく、そんな関係を妄想してシンはニヤけた。
いや自分では気がついていなかったかもしれないが。
帝国技術院時代の研究しか頭になく、人付き合いもいいとは言えなかった彼の姿を知るものが見れば、
思わず逃げ出したか、病気でも疑ったことだろう。
なんというかまぁ、この世界に来てからの彼はそんな調子なのである。

43 :
それは、ある意味シンが元の世界で生きた証だった。
「こっちこっち!」
ある日、子供たちが山で巨大なゾイドを見つけたと騒いだ。
子供の足でいける範囲には、そんなものがある可能性は無い筈なのだが。
ハズ、という言葉はやはりあまり当てにならないらしい。
「ちょうどお前さんが来たころに、大きな地震があってな」
ダ・カツの話によると、少し前の地震で地崩れが起こり、埋まっていたものが
表に出てきたのではないか。
そういう見解で村では落ち着いているそうである。
さんざん歩かされた。少なくとも、
途中でフィラソードあたりを借りてこなかった事を後悔する位には。
・・・なんでみんな、こんな元気なんだ?
疲れを知らないかのごとく、子供たちは歩いた。
息も絶え絶えに、シンは自らの運動不足を嘆いた。
そして案内された先で見つけたのは・・・。
数瞬、シンは疲れを完全に忘れた。
見たことのないゾイドである。
少なくとも、シンのいた時代にはこのゾイドは存在していなかった。
しかし、シンには覚えのある姿であることも、また事実だった。
「直せる?」
瞳を輝かせる、ナ・テラを始めとする子供たちに答える声も、震えていたかもしれない。
「うーん。どうかなぁ」
生返事をしながら、シンの目はある一点に注がれていた。
それは・・・
「ゼネバスの・・・紋章・・・?」
それからは、暇を見つけては調整と研究の日々が始まった。

44 :
なんかいいところで終わったな
続きが楽しみ

45 :
エナジーライガーか?はたまたセイスモか?

46 :
「……」
リリが佇む。いつもとは異なり、表情は険しい。
「…なるほどね。これじゃあ応答なしだわ」
その前に、片膝を立てている俺。この展開は予想していなかった。
いろいろ事情が聞けただろうと言う期待を裏切られた気持ちと、
死者に対する純粋な悼む気持ちと。正直言って心中複雑。
さらに、その前。
コクピットから這い出たその体勢のまま、兵士が事切れている。
例の土偶スーツを着ていたため、中の人の顔までは拝めない。
なので合掌してから脱がせた。
「……っ!」
リリが息をつまらせる。
背中を中心に、七発銃弾が撃ち込まれていた。うち三発貫通。かなりの至近距離から撃たれている。
「……」
予想通り、その人の顔には見覚えがなかった。
恐らくバイオゾイドを盗みに入ってディガルドの人間に見つかり、
撃たれながらもメガラプトルを奪取してここまで逃走し、そして…と言う次第だろう。
とりあえずは、そう仮定する。
「……と」
いかんいかん。感傷も推理も後回しだ。ここはまず、やらなければならないことがある。
「リリ」
「はい」
「エールさんに連絡頼む。捕まえられるならエルデさんも」

47 :
「あんまりがんばり過ぎたら、体に毒よ?」
テアが鍋をテーブルに運んで来る。手伝おうとしたが、断られた。
「シンは座ってるの」
幼いテラも皿を運んでくる。受け取って、テーブルに並べていく。
「やっぱり、動かないの?・・・残念ね」
「はい。でも、少しずつ元気になってきてますよ」
「へぇ・・・でもなんだか、あんまり楽しそうじゃないわね?」
シンは複雑な表情を浮かべた。
「うーん。なんていうか、動くのを見るのが怖いような楽しみなような・・・変な気分ですよ」
「ふーん・・・さぁ、食べましょ。昔から言うでしょ?腹が減っては・・・って。
 ほら、テラもスゴイ顔で睨んでるし」
いたずらっぽく、テアが笑った。
この世界では、ゾイドは発掘されるものだという。
そしてゾイドに乗ることが出来る人間の頭には、自然と頭にその名が浮かぶ。
シンが操縦席に座っても、そのゾイドの名は分からなかった。
テアが「残念」と評したのはそのことだろう。
シンは、ゾイドの精神波を感じやすい、俗に言うところの「ゾイドの声が聞こえる」人間、その一人である。
そういった者はゾイド乗りに向いているのだが、彼の興味はあくまでゾイド自体である。
また争いごとが好きなわけでもなかったし、喧嘩も弱い。英雄願望とも程遠い。
だから、ゾイド乗りではなく研究者の道を選んだのは、当然と言えば当然の成り行きだったかもしれない。
結局、今はこんな事になってしまってはいるのだが。
やはりレッゲルがよい方向に影響を与えたのだろうのか。
ここ数日を経て、停止しかけていたゾイドコアは徐々に力を取り戻しつつある。
その兆候が、徐々に観測されるようになっていた。
「なぁ、お前は・・・いや、なんでもない」
地面に伏せるような格好で土に埋もれた、巨大な肉食獣のフォルムを眺め、シンはその装甲に手を当てた。

48 :
「大規模な盗賊団・・・ですか?」
「うむ」
本日のお相手はビームトータスである。
もっとも、その砲塔は封印されて、昇降機として使われていた。
テアの出した茶を飲みながら、その乗り手、サ・ノヴは重々しく頷いた。
「遠く、東のほうから流れてきた連中らしい。
 恐らくはディガルドに追われた連中が食い詰めたんじゃろうな」
顎鬚を一房つまんで一つ弾くと、湯飲みを机に置いた
「ディガルド?」
「急激に力をつけて来た国じゃ。強引に周りの国を従えての」
面白くもなさそうに、サ・ノヴは白いものの混じる髭を弄ぶ。
・・・白いのを一本引き抜いて、涙を浮かべた。
「まぁ、ここからは遥か遠いがの。ともあれ、盗賊が近づいておるなら考えねばならん。
 念のため、な」
そう言って、また茶をすする。
「おぅい、ノヴよ、そんな所で何をサボっておるんじゃー?」
声と共に、モルガのキャタピラの音が近づた。
「バカモノ。修理じゃ修理。お主らのようにテアの茶を飲みにきただけではないわ。
 ・・・なんじゃ、兄弟そろってとは珍しいの」
ダ・カツとダ・ツグの兄弟が、モルガから降りる
「ワシらも茶を飲みに来たのではないわい・・・テア、茶をくれ、茶じゃ」
「なーに? またおじいちゃん三人組で悪戯の相談? すぐだから、ちょっと待っててね」
母屋の方から、苦笑交じりの返事が聞こえた。
と、ダ・カツとダ・ツグはサ・ノヴを挟んで一つ頷き合うと、声を低くした。
「・・・例の盗賊どもな、近づいてきておるようだぞ」
「・・・そうか。思った以上に早いな」
ボソボソと潜めた声が、ほんの少しだけ漏れてくる。
「念のためじゃが・・・準備はしておかんとの」

49 :
それから何日かが経ち。その日は、テラが一緒だった。
この世界の人間は健脚で、幼くとも下手をすればシンより体力がある。
勿論、遠いのでフィラソードを借り出してはいたが。
「今日はうごくかなぁ?」
「うーん。動くといいねぇ」
コアの動きは活発化している。すぐにでも目覚めそうな気配はあるのだが・・・。
やはり、乗り手として選ばれていない、そういうことなのだろうか。
いつの間にか、辺りを闇が包んでいた。昔から没頭すると時間が経つのを忘れてしまう。
機体の背中側にいるテラに休憩を呼びかけた。
テラは素晴らしく飲み込みが早い。少し教えただけで自分なりに考えて理解し、
今ではちょっとした手伝いなら十分こなせてしまう。
・・・だからと言って、少し連れて来過ぎかな?
「お茶飲んだら帰らないと、テアさん心配してるだろうなぁ」
すっかり冷め切った茶を、水筒から小鍋に移して火にかけた。
なんというか・・・楽しかった。この世界に来てからというもの。
毎日を新鮮に感じるようになった。これを、幸福というのだろうか?
温まった茶を湯飲みに分けて、一口含む。
「シンはお母さんのこと好き?」
噴いた。
「なぬななな・・・?」
テアの、こちらを振り返って悪戯っぽく微笑む姿が脳裏に浮かび、思わず赤面する。
「お母さん、シンが来てから楽しそうだし、テラもシンならお父さんになってもいいよ?」
澄んだ目が、携帯コンロの火を映して輝いている。
「シンはそれじゃ嫌?」
「い、い、嫌・・・じゃ全然ないけど、その、私はほらあれだし」
一瞬だが「しあわせなかぞく」の妄想を巡らせてしまう。しかし・・・。
・・・いつかまた、自分はどこかにとばされてしまうかもしれない。
そうならない保証は、残念ながらどこにもない。
「・・・テラ。僕はね」
言いかけたその時。遠くで、爆音が轟いた。

50 :
>>48は(´・ω・`)6ではなくて(´・ω・`)7です。
間違いました御免なさい。


51 :
「なんでぇ、抵抗は終わりかよ、張り合いのねぇ!」
セイバータイガーのTEZ20mmリニアレーザーガンが唸りを上げる。
盗賊に家が、田畑が焼かれていく。抵抗は・・・もうない。
元々、モルガやコネクテス、フィラソード数台では話にならない戦力をその盗賊団は備えていた。
ディガルドに追い散らされ、流れ流れて来た彼らにとって、この村は、見逃すには惜しい魅力的な獲物だった。
「てめぇら、あんまり壊し過ぎんじゃねぇぞ! 後で売れなくなるからな」
「お頭、この村のヤツら、食料からなにから全部置いて逃げ出したみたいですぜ」
散発的な抵抗を蹴散らした数機のコマンドウルフとブラックライモスが、
頭目のエレファンダーの周りに集まった。
その男、盗賊団頭目、バンデルは、エレファンダーの中でがっしりとした腕を組んだ。
・・・何もかも置いてさっさとトンズラしやがったってことは。
俺らに気づいてやがったってことか。しかし、見事な逃げ際だぜ。
お宝はさっさと隠して、俺らが諦めて出て行くの待ってやがると考えた方がいいか。
戻ってくるのを気長に待つのは・・・性に会わねぇ。
「昼には確かにこの村には人がいた。そう遠くにはいけやしねぇ。
近くに、村人全員が隠れられるだけの場所があるってこった」
意外に、頭が廻る。
「てめぇら、手分けして辺りを探せ。洞窟かなんかあるはずだ」
頭目に従い、手下たちは三々五々散っていく。
「・・・サービン」
不機嫌さを隠さない目付きで、バンデルは、村の入り口近くに突っ立ったまま
微動だにしないワイツウルフを見やる。
「てめぇも行け・・・何もしてやがらねぇな。報酬分は働けや」
「・・・フン」
ワイツウルフの中、サービンと呼ばれた男は一つ鼻で笑うと、
機体を山へ向け、走り出す。
「チッ」
舌打ち一つ、バンデルはエレファンダーの鼻を近くの民家に振り下ろした。

52 :
「なんだ!? 村のほう!」
「わ?」
咄嗟にテラを抱き上げると、岩肌をつたって機体の背中に上がる。
・・・煙。方角的に見ても間違いなく村のある辺りに、灰色の煙が上がっていた。
途切れ途切れに爆音も聞こえてくる。
今から急いでも・・・間に合わない。
理性の冷静な部分がそう判断を下すが
「ねぇシン、何があったの? 村は? お母さんが!」
テラの悲痛な叫びを聞くまでもなく
「テラ、そこにいるんだ、行って来る。・・・大丈夫だ。すぐに戻るから」
言い聞かせて、機体から滑り降りようとしたその時。
突然機体が振動を始めた。獅子の瞳に、光が点る。
コアが正常に動き始めたのだ。
「どこの誰の計らいかは知らないけど・・・ありがたい!」
途中焦ったためか滑り落ちそうになりながらも、なんとかコクピットに転げ込む。
「テラ!危ないから少し離れて!・・・すぐ戻る。待ってて!」
外部拡声器を通して声を送ると、テラは意外と素直に機体から離れて森に走った。
大きな岩の陰に隠れて、様子を窺っている。
その距離を確認して、シンはライガーの操縦席を見回した。
やはり機体の名前が浮かんできたりはしなかったが・・・
・・・いける。こいつは動く。動いてくれる。
ゾイドの声が、今日はこの上なく明確に聞こえた・・・気がした。
タタ・・・ウ。・・・ホコリ・・・カケ・・。
そんな声が。

53 :
シンの研究・開発対象は、野生体である。
実験機を奪われたために、大幅な遅れを余儀なくされた野生体「ゼロ」の開発。
その遅れの短縮、そして「イクス」・・・帝国のゼロの開発に彼の力が大きく貢献した、
そのことは誰もが認める事実だった。
それが、帝国諜報部をして彼を「餌」足り得ると判断させたのだが。
「野生体には、もっと力がある」
イクスの基礎開発が一応の完成を見た後も、シンはそう主張して研究を続けた。
有り余る野生体のキャパシティを満たすものは何か?
・・・そして辿り着いた一つの回答。
もっとも、その時のそれは、友人との会話と、落書き程度の考案図でしかなかったが。
シンが研究データに、ほとんど戯れに書き込んだ、その姿。
その答えが今目の前にあった。
その装甲は、代々受け継がれてきた、ゼネバスの誇りの赤。
己が体を押さえ込む岩盤を、こともなげに割り砕き、
「お前は、僕には扱いきれやしない。それは分かってる。けど・・・」
鈍い輝きを放つ、その長大な角と爪は銀。
ゆっくりと、卵から孵るようにその巨体が大地から這い出す。
その背に張り出した巨大な機関が息を吹き返し、その力を全身に巡らせ、コアに注ぎ込んでいく。
徐々に強くなる振動を感じながら、シンはパネルを撫でた。
「ちょっとだけ手伝ってくれないか?」
操縦桿を握りしめる。
咆哮が、夜を裂く。
赤い獅子が、走り始めた。

54 :
「…ふむ。災難だったね」
俺ことルディアスの報告を聞いた、エールさんの第一声だった。
簡単に言うと、追い掛けていたメガラプトルがフィルさんによって撃破された。
それだけならよかったのだけど、なんとパイロットがコクピットで死んでいたのだ。
それも、フィルさんが実行犯ではない。
「しかもメガラプトルを手に掛けたのがフィルである辺りなんかは特に。
何と言うか、世界は狭いモノだなとつくづく思い知らされた気分だよ」
「日々そう公言して憚らない人間が今更何を宣るつもりなんだ?」
「いやいや、ルディとフィルと言う取り合わせははっきり言って想定外だったもので」
「ふーん…」
確かにそれはそうだ。と言うかそれは俺のセリフだ。
エールさんは前々から様々な所にコネを持っていた。
だからディガルドと繋がっている事自体は驚くに値しない。
むしろ、よりによってフィルさんとも繋がっていた事が驚きだった。
うん。
確かに世界は狭い。
「…それにしても、色々と訳が分からなくなって来ているな…
ルディは本来ありえないはずのキラースパイナーを掘り出すわ、
出所不明の部隊が現れるわ…
何とも不可解で、面白いね」

55 :
>>53
エナジーライガー キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

56 :
巨大な獅子が大地を蹴りつけるたび、振動が辺りを圧する。
「やっぱりまだ調整が十分じゃないか・・・」
シンはモニターの中で次々と移り変わる各部のステータスを確かめつつ、
村のある辺りが燃える様子を、モニタ越しに見た。
今はただ、村人たちに無事で居て欲しいと、願うしかない。
本来の性能が発揮できていないとは言え、その速度は、
訓練や実験で乗ったゲーターやヘルキャットとはわけが違う。
村までの時間は僅かなものだった。
しかしその時。
レーダーがゾイド反応を捉える。
「中型・・・いや大型のゾイド・・・か?」
村と山を繋ぐ森の中、少し開けた空間で、その二体が出会った。
「赤い・・・ライガータイプか?」
「コマンドウルフ・・・違う?」
相手の素性を探りあうように、双方距離を置いて機体の足を止める。
ほんの僅かな沈黙を破ったのは、ウルフに乗った男だった。
「よぉ、そこのライガー。わりぃけどここは通行止めだ。他あたれや」
少し面倒臭そうな雰囲気を与える声。
機体に興味を引かれないでもなかったが、そんな場合ではない。
「こっちも急ぐんです。すみませんが、退いて下さい」
「そうか、だったら仕方ねぇや・・・こっちも商売でな」
言うや否や、唐突な動きでワイツウルフが跳躍した。

57 :
朦朧としかけた意識を、頭を激しく振って強引に引き戻す。
実験の一環でコマンドウルフには何度か乗ったことがある。
量産の利く傑作機であり、数多くの機体が戦線に投入され、その分捕獲された数もまた多い。
中には、そのままカラーリングを変えられ帝国側に編入された機体もあった。
最初そのシルエットを見た時、頭部の形状、機体のフォルムからコマンドウルフの派生系と考えたが、
「・・・早くて強い!」
いささかボキャブラリーに欠ける感想ではあったが
また、その特徴を端的に表してもいた。
どちらかと言えば、機体としてはケーニッヒウルフに近いものがあるのだが
そのゾイドは彼の知識にはない。
その動きにシンは翻弄された。
己の機体が得意とする、と思われる接近戦で始まった。
跳躍を見た、そう思った瞬間、衝撃が縦に襲う。
頭を押さえつけられた、そう思い至った頃には既に相手は飛び退り
放たれた2連装ショックキャノンが直撃、激しく機体を揺さぶる。
並みのゾイドであれば、今の一撃で終わっていたかもしれない。
反撃を狙ってがむしゃらに飛び込む。
「ぐッ?」
その加速に身体を持っていかれ、次の操作が間に合わない。
何とか振り下ろした重レーザークローも、
僅かなイオンブースターの噴射で位置を変えられ、あっさりとかわされた。
同時に、激しい横からの衝撃が襲う。
すれ違いざま、アーマーテイルの真横からの一撃だった。
突撃の勢いを利用された形で、ライガーが轟音を立てて転倒した。
一瞬の攻防ではあったが、ソイド乗りとしての格の違いを思い知らされるには、しかし十分な時間だった。
もう少しやれると思ったが、話にならない。
研究者の仲間内では乗れる方、と評されたことがあったが、
自分は己の駆るゾイドのパワーすら、全く制御できていない。
本物のゾイド乗りとの違いを、今思い知らされた。

58 :
「のってるヤツは・・・素人だな。」
今の攻防だけでも、それを知るには十分だった。
「だが・・・あのゾイド自体はとんでもねぇシロモンだ」
その動きに、図体の割りには軽い、そう思わされかけたのだが、足跡の沈み具合や
苦し紛れの一撃から伝わってきた衝撃、砲撃を至近距離から受けても沈まない、分厚い装甲。
そんな所からかなりの重量級ゾイドであると知れる。
・・・よくまぁ、あれだけ動くモンだ。
パイロットがその出力に振り回されているのが見て取れた。
先ほどの反撃。もし、フェイントの一つでも入れられるほど、パイロットが機体を制御できていれば、
あのスピードは避け切れていなかったかもしれない。
格の違いというものを、思い知らせた。
そう思ったが、立ち上がってきた相手からは、まだ戦意は失われていない。
自分の村が危ないのだから当然か。しかし・・・
「ありゃあ・・・半分方ゾイドが自分で立ちあがったか?・・・まさかな」
パイロットの意思に応えた、とでも言うのだろうか。
苦笑して、鼻を一つ鳴らし、バカな考えを追いやる。
そもそも、こいつ一体が村に辿り着こうが着くまいが、大勢に影響は無い。
「行けよ」
最初、何を言われたか分からなかった。
「さっさと行かねぇと、村がなくなっちまうぞ」
「え・・・?でも、あなたは、うわッ」
言いかけた所、ショックカノンの砲弾が地面に突き刺さり、猛然と砂と土を舞い上げた。
「いいからさっさと行きやがれ。オレはもう飽きたんだよ」
だったら最初から、と頭にこないではなかったのだが、到底敵いそうにない相手ではある。
その気まぐれに感謝こそすれ、恨むことが出来る立場にはない。
機体を村に振り向けると、再びライガーを走らせた。
「さて、これで義理は果たしたことにするかね・・・結末くらいは見に行ってやるか」
走り去るライガーの後ろ姿を確認し、ワイツウルフは歩き出した。

59 :
そこは楽しむ所じゃないと思うんですが。
ユーフォリアかあんたは。
「まぁ、それは小さな事だ。問題は…」
微笑んで、窓の外に一旦目をやり、
「君が襲われたと言うコマンドウルフと、件のメガラプトルのパイロット。
それらに、関連があるかどうかだ」
目を戻して真面目な顔で言う。
…エールさん自身は、関連があると疑っているわけだな。
聞いてみると、予想通り「当たり前だ」なんて言われてしまった。
「…動きも同じだったって言ってた事もあるし、恐らくはそうだ。
となると、私の情報網に何も引っ掛かって来ないと言う点がまた別の問題としてでてくるが…」
そこでニヤリと笑う。
…イヤな予感。
「それは、君に任せよう」やっぱり、そう来たか。
「フィル達と合流してほしいが、あれの部隊の行方はこっちでもつかめない」
今度は眉をひそめながら。本当に、表情がころころ変わる人だ。
「手間をかけてしまってすまないけど、自分で探して欲しい。出来る限りバックアップはする」

60 :
エールさんほどの情報戦闘能力を持つ人につかめない動きを、俺がつかめると思うのだろうか。
言ってみると、ちょっと乾いた笑いを漏らしながら、
「私じゃ無理だよ。縁の持ち方が月並みだから。
ルディ君のようないきさつで縁を持ったのなら、再会しないわけにいかないからね」
そんな風に答えてきた。
「それが因果とか運命ってモノさ」
「…そうですか」
運命。
俺が、一番嫌いな言葉だ。

61 :
「…同じだ」
手には血糊の付いた軍服(らしきもの)。
目の前には中のデータをもとに見様見真似で分解したジェットファルコン。
どちらにも、同じマークが入っていた。
「…こりゃ、傑作だぜ」
ルディ君といい、これといい、タイミングよくイベントが発生しすぎだ。
変なルートのフラグを立てるような行動をとった覚えはないんだけどなぁ…
「フィルさん」
後ろから呼びかけられる。
「リリか。応答は?」
「本部はダメでしたが、エルデ女史とは連絡がとれました。
近いうちに合流したいとの事です」
どっちも予想通りだった。
「おし、でかした。そんなリリを見込んでもう一つ頼みがあるんだけど」
「なんです?」
「タバコ持って来てくれないか?吸わなきゃやってらんない」
頭の痛さを我慢しながら、タバコをくわえて火をつける。
「いてて…バインダーの角は反則だろ…」
そりゃ頼み方は悪かったけど、何も角で殴らなくても。

62 :
閑話休題。
痛みは無視出来ても、掘り出し物と同じマークを持つ服があった事は無視出来ない。
「まさか地中で生き延びてたなんて…んなこたないか」
それは、ジェットファルコンと彼が同年代であると推測するに充分だった。
マークが入っているのが軍服である事から隊章か軍のエンブレムである可能性もあるけど、
少なくとも同じ時代、同じ世代のものである事は確かだ。
しかも、今ではないいつかの、と言うおまけ付き。
「……こんな事が、本当に有り得るのかな」
さらに、背中の弾痕の形から、彼は直立不動か歩いている所を後ろから撃たれている事が分かった。
と言う事は、彼は少なくとも逃走中や戦闘中に撃たれたのではないと言う事だ。
正規の軍人は、そんな走り方も戦い方もしない。
とどめに、メガラプトルが奪われたと言う知らせを最後に今の今まで連絡がとれていないと言う事実と、
組織戦を展開する、突然現れたコマンドウルフの部隊。
因果関係は立証出来ないが、今のところ以上から弾き出せる結論は一つしかない。
信じたくないが、可能性がある以上考慮しておくべきだろう。
「…早く来てくれねーかな、タスカー女史」

63 :
おお、新風が興っている
>>(´・ω・`)氏
エナジーGJ
739氏
切り込む角度が面白い

職人出現を願ってage

64 :
「と言うわけで探しに出たはいいものの…」
見つかるあて、ゼロ。そんな探し物など、普通なら初めからしない。
余程の物好きならするかも知れないが、俺ことルディアスにそっち方面の趣味はない。
自称トレジャーハンターのこの身で言っても説得力なんてありゃしないが。
「俺、今年厄年だったかな…」
「大きく外してるでしょ。だからきっと、厄じゃなくて不幸よ」
ヴィーラさん、涼しい顔でぬけぬけと言ってくれやがる。
事情を話したら「面白そうだからついていく」と即答されてしまった。
…話さなきゃよかった。
だから、こうしてのっけから欝なノリで始まった探し物が、
とんでもない事件に関わるきっかけになる可能性なんて、考える余裕もなかった。
そしてそれが、致命的なまでに裏目に出ることも。

「あんたら、ゾイドの部隊を見なかったか?」
「はい?」
村に入って人に会って第一声が「はい?」とは、随分とマヌケな気がする。
レッゲル(と、あわよくば弾薬)の補充と宿の確保のために訪れた村での事だ。
道行く人が皆何かを待っているかのような雰囲気だったので聞いてみたら、そう答えてきた。

65 :
いわく、ゾイドの部隊が大挙して訪れたので、
「強そうだったからディガルドをやっつけてくれるように頼んだんだ。
で、快く引き受けて出撃してくれたはいいんだけど…一向に帰って来ないんだよ」
との事。
しかも、戦闘の形跡も見当たらないのだと言う。
「確か、ヘリがどうのとか言ってたっけか」
「……ヘリ?」
何だそれは。ヘリコプターでも頼むつもりだったのか?
そんな事を考えていたら。
「もしかして、ヘリックですか?」
いつもとはまるっきり違う口調でヴィーラさんが唐突に言ってきた。
「うーん…多分それで合ってると思うけど。
ごめんね、最近ボケがひどくて」
思い出せないのはボケじゃない。それとも若年性健忘症ですかあんたは。
「こーゆーカワイイ女性が目の前にいるとそういう辺りがダメで…」
「死になさい」
ガッ
「ぬるぽ!」
―いろんな意味でお大事に。

66 :
「…知ってるの?そのヘリックって言うの」
「ええ、かなりね。因縁浅からぬ関係だから」
追及は止しておいた。俺も金的は喰らいたくない。
レッゲルも、弾薬も、宿も、運よく確保できた。今は、それらが終わって一息ついた所である。
「あなたは知らないの?」
「まるっきり。聞いたのも今日が初めて」
「あそう…」
ヴィーラさんが物知りなのか、俺が無知なのか。
いずれにしても、「レッゲルと弾薬はいくらでもあげるから探してくれ」と依頼されて、
ヴィーラさんが請け負ってしまった以上、俺もそれを手伝わないと言うわけにもいかない。
「コマンドウルフはいっぱいいるのにヘリックは知らない、か。変な国もあったものね」
それはこっちのおいなりさ…じゃなくてこっちのせり―
「…あれ?」
コマンド、ウルフ?
まさか。とは思うが、一応聞いてみる。
あんなもの、こんな短期間で忘れられるわけがない。
ええと…
「ヴィーラさん」
「?」
「ヴィーラさんの知ってるコマンドウルフって、部隊組んだりしちゃってる?」
「当然じゃない。あれは確かに傑作機だけど、あんなの単機じゃ戦況ひっくり返せないし」
…ストライクゾーン、ど真ん中ですか。

67 :
「頭ぁ、見つけましたぜ! でかい洞窟がありやがる。人の足跡もあった!」
「おう、でかした。よし・・・ダンカ。野郎どもを集めてこい。見張りもだ、もういらねぇ」
「承知だお頭」
ダンカと呼ばれた盗賊は、コマンドウルフで伝令役に走り出る。
エレファンダーの周りに、徒党が集まり始めた。
・・・ほとんどは、元々は普通の民だった。最初から盗賊だった者など、いない。
皆、ある日突然、ディガルドに町を奪われ、家を焼かれた。
中には行商に出て、帰ってみると村自体がなくなっていた、などという者もいる。
バンデル自身、そういった人間の一人だった。
「・・・落ちたもんだぜ」
エレファンダーの中、一人ごちる。
最初は、ディガルドから町を取り戻さんと旗揚げした集団だった。
しかし、ディガルドの擁するバイオゾイドに敵うはずもなく、大した抵抗も出来ずに追い散らされた。
今の、この村がそうであったように。
圧倒的な戦力の差を思い知らされたのである。心が折れるには十分な衝撃だった。
東から西へ流れ流れる旅。
補給を求めて近隣の町や村を訪れるも断られ、
耐えかねた一人が無理やりに食料を奪うと、後はもう一直線だった。
・・・今更考えたところでなんになる?
オレには、少なくとも自分についてきたこいつらを食わせていく責任がある。
こんな時代だ。他がどうなろうと知ったことか。
「頭ぁ、半分は集まりやしたぜ。後は外に出てるやつらだ」
「オウ・・・十分か。行くぜ野郎ども。おい、案内しろ!」
配下の言葉に現実に引き戻され、バンデルは命を下した。
咆哮が、炎に照らされる村に轟いたのは、その時だった。

68 :
「・・・なんだぁ?」
村の出口近くに居たセイバータイガーが、文字通り吹き飛んだ。
宙を舞う機体を反射的に目で追った途端、
一機のブラックライモスが大重量に背中を踏みつけられ、顎から地面に沈む。
次の瞬間には、コマンドウルフを一体下敷きにして、それは降り立った。
踏み砕かれたコマンドウルフから盗賊の一人が泡を食って逃げ出す。
「落ち着けてめぇら!」
一瞬パニックを起こしかけた部下たちにバンデルの叱咤がとんだ。
「角の生えた・・・赤いライガーだと?」
村を焼く炎の照り返しを受け、その装甲が輝く。
バンデルをその正面に置き、ライガーを囲むように盗賊団が陣形を整えた。
「村の人たちを・・・どこへやった?」
赤いライガーから、震える声が聞こえた。
伝わるのは強い怒り。幾人かの盗賊たちは、その声に警戒心を強めるが、
・・・逆に、バンデルには落ち着きを与えた。
見たことの無いゾイドである。慎重に越したことは無いが、このパイロットは冷静ではない。
機体がどんな力を持っていようと、それは大きな隙になる。
「きまってんだろうが。皆殺しだ、皆殺し」
エレファンダーの鼻が、一体のモルガを抱えあげて投げつけた。
あからさまな挑発であったが、
「ダ・カツさんのモルガ・・・」
目の前の、記憶には無いサイズのエレファンダーから聞こえた言葉に、シンの頭が一瞬で沸騰した。
怒りのままに、勢いに任せて飛び掛る。
この日二度目の、同じ失策。
・・・早い!が・・・それだけだ。
エレファンダーの鼻に真下から跳ね上げられ、ライガーの巨体が宙を舞う。
大地に叩きつけられ、地面を大きく削り取りながら、機体が滑った。
村の湖まで達したところで漸く止まる。激しい波が巻き起こり、湖面を揺らす。
半分水没したライガーの目から、光が消える。
「へっ。見掛け倒しだったかよ・・・シロウトが」
嘲りの声。エレファンダーが、倒れ伏した獅子に近づいた。

69 :
「やっほー」
「今日は随分早いな。もしかして、フリーだった?」
どうしても、体つきの秘密が聞きたくなる。彼女は、そんな抜群のプロポーションの持ち主だ。
「いやいや。フィルさん達にはいろいろ恩があるから、フリーにさせてもらったのさ」
「そいつは光栄だな」
エルデ・タスカー。
グラマラスな体形になる家系であるなんて噂が流布している彼女だが、真偽は全くの不明だ。
「いやいや。きっと実力さ、実力。何に対する実力かは全然分かんないけど」
試しに聞いてみた時の返答である。かなりの自信の持ちようだ。
そんな自信家のエルデさんだが、現在は傭兵なんてものをやっている。
先祖代々受け継がれてきたライトニングサイクスに乗り、数々の修羅場をくぐり抜け、
「で、今日の頼みってのは?出来れば切った張ったは遠慮したいなぁ」
…今ではこんな感じである。はっきり言って、とっても軽い。
腕の確かさとか腹が割れていたりとかする点を考えると、そこからは想像もつかない。
「エルデさんさぁ、自分の職業自覚してるか?」
「傭兵部隊"ファントム"所属、れっきとした傭兵だよ。
そこは自覚できてる。今のはジョークさ」

70 :
「分かってんのかなぁ…」
まあいい。エルデさんはこういう人だ。
「とりあえず、本題に入るか。
…帰る基地が、無くなっちまったんだ」
「フィルさんにそんな基地あったっけ?」
「今のところの、だ」
隠密行動を得意とする傭兵部隊、通称"ファントム"。
草創期は"第0特殊部隊"なんて呼ばれた事もあったそうだ。
請け負う任務の関係上、その実態はあまり知られていないが、その実力には定評がある。
ディガルドが本格的に世界制服を開始してからはどちらかと言うと討伐軍に協力的な立場をとっているが、
折り合いさえつけばディガルドの依頼やこんな仕事でも引き受けてくれる。
一区切りつけて顔を別の方向へやると、黒塗りの小さいライオン型ゾイドが目に止まった。
金色のブレードが眩しい。
「あれ、"V"じゃないか。もしかしてブラックさん同伴?」
「フィルさんからの依頼だから、だとさ」
隊長は名前をブラック・シークと言い、ダンディ街道爆進中のおっさんだ。
乗機は改造してリーオ製レーザーブレードとステルスシステムを搭載したレオブレイズ(彼は"V"と呼称)。
腐れ縁が今まで続いており、時々こうして助けてもらっている。

71 :
基本的にはいい人なのだが、強い敵と会うと人が変わったように好戦的になる。
いわゆる熱血漢。そんでもって、戦闘バカ。そんな面も持ち合わせているのだ。
腕がそれに見合っているのにはさすがの一言。
「おいおい、しかもカインたんまで同伴かよ?今日は大所帯だなオイ」
その隣には、黒い大型のキツネ―シャドーフォックス。
乗っているのは、カイン・ノヴァーリス。部隊一対人設定が消極的な奴だ。
話し掛ければ話す。人柄にも問題はない。ただ、自分からは絶対に喋らない。
カインの静かにしている姿は、病的な印象すら与えてくる。
「もしかして、皆で待ってたとか、そういう話?」
「カインはともかく、隊長はそんな雰囲気だったね」
うんうん、と確認するように頷きながらエルデさん。
「伝えたい事があるとかなんとか。道すがら言ってたよ」
―イヤな予感がした。

72 :
意識が過去へと跳んでいた。
そこでは、数少ない友人の一人が笑みを浮かべている。
研究内容は全く違ったが、同じゼネバス系出身の技術者だったところから交流が生まれた相手だ。
「どうだ、シーン。中々のモンだろう」
「ああ・・・すごい。驚いた」
目の前で脈動する機関は、確かに膨大な量のエネルギーを発生させていた。
「まぁ、まだ試作段階だが・・・地球から伝わった技術。
 そいつを、ここまでオレ達がモノにしたっていう証明だ」
目の前の巨大な機械の塊を動かしているのは・・・タキオン、そう呼ばれる粒子だった。
超光速という、理論上にしかありえなかった筈の粒子を利用する技術。その結晶が目の前にある。
「コイツなら、ゾイドコアが無くても動くゾイドだって夢じゃあない。いやそうなるともうゾイドじゃないか?」
そう語る友人とは裏腹に、シンは全く逆のことを考えていた。
「なぁ・・・こいつからエネルギーをゾイドコアに送り込んだら・・・どうなる?」
突然の言葉に、しかし友人は首を捻りつつも予想を口にする。
「そうだな・・・普通のゾイドコアなら、負荷に耐えきれず暴走するか・・・壊れるだろな」
「それが・・・普通のコアではなくて、完全野生体の核だったとしたら・・・?」
「んー?」
友人は首をかしげながら、端末までシンを導いた。二人で理論値を重ね合わせる。
例えば・・・そう、イクスの素体となる、ゼロのコアなら?
「・・・こいつはすげぇ。野生体コアってなここまでのモンか」
計算上、また僅かな時間ではあるが、野生体コアは
タキオンの生み出す膨大なエネルギーの負荷に耐え切った。
シンは、思わずニヤリと笑みを浮かべる。
「さしずめ・・・そうだな、この高エネルギー・・・ライガーゼロ『E・N・G』ってとこかな?」
「いんや・・・ここまで来たらゼロとはもういえねぇだろ」
友人は、端末に表示される出力その他の値を再度確認し、
「E・N・Gライガー・・・エナジーライガーなんてどうだ?
 ・・・まぁ、ゾイドに乗せられるほど粒子加速器をちっこくするのは、まだ夢のまた夢だがな」
そう言って、豪快に笑った。と、突然真剣な表情になる。
「4年くれ。4年で目処をつけてみせる。こいつは・・・モノになるぜ」

73 :
「う・・・」
どこかにぶつけでもしたか、シンの額から一筋の血が流れ出る。
その感触に、意識が現在へと引き戻された。
まだはっきりしない視界で、近づいてくるエレファンダーを見上げる。
僕じゃ・・・だめなのか・・・。
諦めが心を支配しかけたその時。
それを跳ね除けようとするもう一つの意識もまた、そこに在ることに気づいた。
ワレハマケヌ・・・マケラレヌ。
ワガ・・・ホコリニカケテ。
あるいは、それは言葉の形ではなかったかもしれない。
エレファンダーの巨大な脚が、ライガーを押さえつけた。
「高く売れるかもしんねぇが・・・息の根止めとくか」
エレファンダーの体重に、装甲が大きく軋みをあげた。
シンは、自分が負けず嫌いであったことを、思い出していた。
ゼネバスの出身であったが故、幼いころから差別を受け続けた。
研究者の資格を手に出来たのも、見返してやりたいという意識が強かったからだ。
ゼネバス人で何が悪い。決して劣るものではないことを、証明して見せる。
技術院勤務となって、実際に研究を始めてからは次第に薄れて行ったその意識。
同じ境遇の仲間を得て、ずっと奥に引っ込んでいた、その何かに抗うという意思。
それを呼び起こしたのは・・・。
「そうか、お前かエナジー・・・」
何者にも屈することを良しとしない、究極の野生体の精神波が、シンの心に響いていく。
ダ・カツ、ダ・ツグたちや、受け入れてくれた村人たちの姿が心に浮かぶ。
そして、ナ・テアとナ・テラの二人の姿が。
「・・・負けられないよな」
操縦桿を握る手に、再び力がこもった。力を失いかけていたコクピットに、光が点っていく。
獅子の目が、再び輝く。

74 :
「なんだ? 立とうってのか?」
踏みつけたライガーが、エレファンダーの脚を跳ね除けようともがくのを感じ取り、
バンデルは操縦桿を強く押し込んだ。
何故か、心の何処かが、目の前でもがくライガーに対して警戒を強く促している。
圧倒的に有利な立場にいるハズが・・・何を恐れることがある?
その、目に見えない圧力のようなものに気づいた者は、あるいはバンデルだけだったかもしれない。
「諦めて・・・おとなしく、くたばりやがれ」
バンデルのエレファンダーが、ゆっくりとかける体重を増やして行く。
警報音と共にパネルに文字が躍る。
それは、再び立ち上がるための力が流れ込むことを告げる声だった。
押しつぶされようとしている機体が軋みの音を発する中、
最後の枷を外すための問いかけ。
「勿論」
パネルに応えて、作動シークエンスを開始する。
しつこい程のしぶとさを見せるその装甲に、苛立ちが増した。
「ちッ、かてぇな・・・。だったら・・・叩き壊すまでだ!」
その厚さに業を煮やし、エレファンダーが、大きく鼻を振り上げる。
操縦席の横に現れる、大きなレバー。
一瞬、大きくサムアップサインを送る友人の、自慢げな笑顔が心に浮かんだ。
思わず苦笑が漏れた。気持ちに余裕が生まれた、そのことが分かる。
「エナジー・・・頼む!」
一気にレバーを前に押しやる。
赤い獅子の心臓に、巨大な力が流れ込んだ。

75 :
いきなり強まった下からの持ち上げようとする力に、一瞬バンデルは平衡失った。
倒れそうになるエレファンダーを、振り上げた鼻をバランサーに落ち着かせる。
「なんだと?」
踏みつけられたライガーから感じる力は、先ほどとは比べ物にならない。
「この俺のエレファンダーが・・・力負けするとでも言いやがるのか!」
バンデルはさらに操縦桿を押し込み、強引に力で捻じ伏せようとする。
力に対する固執の表れ。
その咆哮は、果たしてライガーのモノであったのか、シン自身のものであったのか。
出し抜けに、ライガーの姿が消えたように、バンデルには思えた。
力の向ける先を突然失って、エレファンダーがたたらを踏む。
・・・なんだ・・・何が起こった!
一瞬だが、視界に止まる赤い機体の姿。
「・・・そこかよォっ!」
予測位置を中心に、エレファンダーの鼻を薙ぐように振り回す・・・が、
「ごめんよ・・・エレファンダー」
察知する間も有らばこそ。
エナジーウイングが展開。次の瞬間、その長い鼻と左側の脚を二本とも切り飛ばされ、
エレファンダーが地響きを立てて崩れ落ちた。
・・エナジーチャージャーが、激しく蒸気を振りまいて停止した。
「がっ、ハ・・・」
エナジーライガーのコクピットで、シンは激しく喘いだ。
エレファンダーの押してくる力を利用して、そのまま後ろに跳び退る目論見は成功した。
・・・元々が、生半のパイロットが扱える機体ではない。
先ほどのような機動を、シンのような素人に毛が生えた程度のパイロットが行えたのは奇跡に近い。
殆どライガーの本能に従ったようなものだったとはいえ、
シンが意識をとばさずに持ちこたえたのは賞賛に値するだろう。
・・・みんなの無事を・・・確かめないと。
山で待つテラの顔を思い浮かべ、シンは倒れ付したエレファンダーに通信をとばした。

76 :
 写真立てのふちを持つデイビットの爪が白くなっていた。
「…そろそろ時間か」
呟いて、幼年学校の制服を着た少年と軍服を着た青年の写っている写真の入った写真立てを元に戻す。
今日、重要な実験が行われる。手を尽くして、そこに臨席する機会を得た。
シヴァがどういうものかを把握しておきたい。使えるものか否かを。あの誓いのために―
「行ってくるよ、兄さん」

77 :
「ねぇ」
……。
「ねぇちょっと」
……。
「ルディ」
…なぬ?
「あ、起きた。ねえ、ディガルドって誰?」
起きぬけにそういう質問って、どうかしてないか?しかも人名じゃないし。
「いや、これは私の興味からくる質問じゃないのよ」
じゃあ、何さ。
「いや、今ディガルドが来るとかなんとか叫び声が」
「それを先に言ってくれよ!」
「?」
「結論から言うと、敵襲もしくはフィルさん!」
急いで着替えてキラースパイナーの所へ急ぐ。インナーが後ろ前な気がするが気にしない。
ヴィーラさんは初めから平服だった。いざという時のためにそういう癖をつけたらしい。
フィルさんと合流しなければいけない事を考えると、戦うにしても様子見してからになる。
「…どうだった?」
「呼びかけも予告もなしに、いきなり攻撃を開始したそうよ」
杞憂だった。どうやら、フィルさんたちじゃない。
「ちょっと気になる事があるから、先に行ってるわ」
こっちの返事も聞かず飛び出していくヴィーラさん。
…俺、置き去り。

78 :
「やっぱりか。共和国も路線転換したのかな?」
「…ジェノブレイカー?恐竜型は絶滅したと聞いてたんだが…まさか、ガイロスもこの時代に?」
対峙する、ジェノブレイカーとバイオラプター(名前はルディから聞いた)。
乗っているのがガイロスとヘリックというのが少しナンセンスの感ありだ。
「で。そのヒロイックさのかけらもないデザインのゾイドは何かしら?」
「最強の盾だ。撃たれても死なない装甲。
…俺達の計画には、うってつけなゾイドだよ」
「あそう…」
聞いた自分で言うのもが、ぶっちゃけた話、それはどうでもいい。
「…国際法、忘れたわけじゃないのよね?」
「は?そんなの通用する世界じゃねーぞここは」
「ふーん」
ため息。
全く、人間というのはここまで落ちるものなのか。
自分達の戦闘スタイルも誇りも放棄した揚句に何の罪もない人を襲う。
ヘリックの人が聞いたら、泣くだろうな。
「なんだぁ?お前、こんなとこで軍人やってんのかぁ?」
「世間知らず、正体不明のお嬢様。そんなところかな」
もともとがそうだったから、演じるのは簡単だった。
「でも演技ばかりじゃ肩凝るし、お前ら潰したいし、ここらで一つ、ガス抜きしておく事にするわ」

79 :
>>72-75
激しくGJ!!
偶然にもタイミングよく牙狼の主題歌聞きながら読んで鳥肌がたったよ。
内容と歌があまりにもピッタリ来てた。

80 :
「ふーん、本当に効かないんだ」
ルディが言ってた事を疑うつもりはないけど、それでもにわかには信じがたかった。
見た目から察するに流体金属で出来たその体は、ビームもミサイルも通さなかった。
「荷電粒子砲も…だめかな?」
こんな近距離から撃っても、もし相手にダメージがなかったらジェノブレイカーが焼かれるだけだ。
よってその選択肢はとらないことにする。
「おらおらおらおら!ふわふわ逃げ回りやがって、
んなんじゃ俺を地面にはいつくばらせる事もできねーぞ!」
耳障りだ。
お言葉だけど、そういうお前だって、こっちにかすり傷一つ与えられてないよ。
相手の口から発射される火の玉のようなもの(確かヘルファイアーだったか)が、
フリーラウンドシールドで防げたのは幸いだった。
まぁ当たる撃ち方してこないし、使う機会は少ないのだけど。
「…以上、敵性能把握終わり」
そろそろ、反撃の仕方を考えるか。時間かけてても村の皆さんに迷惑かかるだけだし、
耳障りだし目障りだしムカつくし。

81 :
―怖い。
それが、第一印象だった。
「…嘘だろ?」
何と言うか、柄にもなくこんなセリフが口を衝いて出てしまうような、そんな光景。
討伐軍が優勢なのは別に驚くことじゃない。それよりも、もっとやばいモノがいた。
ヴィーラさんのジェノブレイカーが、バイオラプター達を情け容赦なく蹂躙してまわっている。
両肩のハサミで捕らえて頭にある小さな剣を頭突きをするようにねじこんで首を叩き落とす。
ハサミで地に叩き落としてから足で力任せに頭を踏み潰す。
もうそれは、ゾイド同士の戦いというよりはジェノブレイカーによる一方的な殺戮だった。
あれに乗っているのがヴィーラさんだと思うと、どうしても驚きが隠せない。
もしかして、あの金的はこれの伏線ですか。…えげつないなぁ。
「巻き込まれたくねーつーか同類と見なされたくねー…くわばらくわばら」
ディガルドの方々に合掌しながら、俺は様子見に徹する事にした。
数分後、ヴィーラさんが帰ってきた。
「ふう…終わり終わり」
「……」
涼しい顔してとんでもねえことしてくれやがる。…本当に、何者だこいつは?
あくびしながら退場するヴィーラさんの背中をみながら、俺は呆然としていた。

82 :
 相変わらず不可解だ。ニックは実験場へとライガーゼロを進ませていた。
今日、ウルトラにマウントしたロケットにシヴァを搭載する実験が行われる。
その実験が行われる地点までシヴァを運んでいくわけだが、その運び方が奇妙なのだ。
グスタフを使わず、装輪式車両で運んでいる。
その関係に殆どの車両が回ってしまい、スタッフの多くはゾイドで移動することになった。
それで今時分はライガーゼロに乗っているし、ストーン博士はコマンドウルフを操縦している。
何故グスタフで運ばないんだ?
いや、今回のことばかりではない。
自分が見た範囲ではだが、思い返してみればシヴァに直接触れるような作業にゾイドを使っていたことは無かった。
明らかにゾイドを使ったほうが良さそうな場面でも。
何故そんなことを。
この兵器は一体なんだというんだ―

83 :
「応えてください。村のみんなは、どうしました?」
しばらくの沈黙の後、返答があった。
「・・・言ったろが。皆殺しだってよ」
バンデルは鼻でせせら笑う。
モニタに映ったその姿から、シンの疲労は一目で見て取れた。
・・・こんな弱そうなヤツにしてやられたってのか? なさけねぇ。
バンデルの顔に自嘲の笑みが浮かぶ。
「もう、騙されませんよ。・・・ここには人の姿がない」
「知るかよ」
吐き捨てたバンデルに、なぜかシンの心に浮かんだのは憐れみだった。
「どうして・・・こんなことを?」
「バカか? 盗賊が村襲うのは当然だろが」
モニタ越しに、シンとバンデルがしばし対峙する。
「・・・食うために決まってんだろが。ここにいるのはディガルドに町を奪われ
どこからも受け入れてもらえなかった連中だ。生きてくには奪うしかねぇんだよ。
・・・わかるか?その苦しみが。故郷を奪われた人間の思いがよ!」
「・・・」
それは、ガイロス帝国におけるゼネバス人の境遇に、ある意味似ているのだろうか。
そして虐げられ、抗う力がないものは、より弱いものを虐げる。
そんな連鎖は、戦争には付き物だとはいえ。
・・・僕はまだ幸せな方だったのかもしれない。だが・・・
「だからって・・・そのディガルドと同じことを繰り返してどうする?
 お前たちに村を奪われたら、この村の人たちはどうすればいいんだ?
 ・・・共存の道を探そうとは、思わないのか?」
それは、もしかすればバンデルにではなく・・・争いを繰り返す、
故郷の世界を思っての言葉だったのかもしれない。
結局のところ、シンは後方勤務の現場を知らない人間なのである。
そんな彼のよく言えば理想、悪く言えば世間知らずな言葉は、バンデルの怒りを掻き立てる。
「知ったことかっ! 奇麗事ぬかしてんじゃねぇよ・・・おい!」
先ほどの戦いの最中、密かに送りつけられていた合図を確認し、バンデルが叫んだ。
それを受けて、一体のコマンドウルフが進み出た。

84 :
「へへへ・・・グッドタイミングてヤツかお頭」
「おうよ、ダンカ。 貴様の土産、見せてやんな」
頭部のキャノピーが開いて、一人の男が立ち上がる。その手には・・・。
「テラ!」
「動くんじゃねぇ!このガキ殺っちまうぞ!」
ダンカがテラの首根っこをひっつかんで持ち上げる。
シンが少しでもおかしな動きを見せれば、即座に地面に叩きつけられる体勢だった。
「シン・・・」
吊り下げられたテラが、苦しげに喉に食い込む服をつかむ。
「テラ!今助けるから!」
「助けられるわけねぇだろうが」
バンデルが、倒れたエレファンダーの操縦席から這い出る。
「形成逆転ってヤツだな。・・・まぁ、見たトコてめぇもそのゾイドも、
もう動く力なんざ残ってなさそうだが・・・念のためってヤツだ。出てきやがれ」
その言葉に、シンはハッチを開けて外に出た。
少しよろめいて装甲に手をつき、身体を支える。
残った数台のゾイドの銃口が、一斉にシンに向けられた。
「・・・やってくれたじゃねぇか。オレのゾイドが使いものにならなくなった。
落とし前・・・つけてくれんだろうな?」
バンデルが口の端を歪ませる。
「・・・テラを、離してくれないか」
「黙れ若造!今てめぇに必要なのは、人の心配じゃなくててめぇ自身の心配だろが!
 けっ・・・短けぇ付き合いだったな・・・やれ」
「だめ!シン逃げて!」
テラがダンカの腕の中で暴れる。
「おっと、おめぇは後で売り飛ばすんだからよ、あんまり暴れて傷物になってくれるんじゃねぇ」
押さえつけられながらも、テラは真っ直ぐにシンの方を見た。
「シン!」
砲声が、響いた。

85 :
「やれやれ粋じゃねぇなっ、と!」
二条の閃光が、空を奔る。
撃ち抜かれたダンカのコマンドウルフが、体制を崩した。
「ってめぇ、サービ・・・」
傾いたコマンドウルフから、テラとダンカがこぼれ落ちた。
疾風のごとく、ワイツウルフが近づき、開いたキャノピーから腕が伸びる。
崩れ落ちたコマンドウルフの側に、落ちたダンカが倒れている様子が見えた。
・・・テラ、テラは!
「テラ!」
シンはライガーの頭上から身を乗り出して叫んだ。
「あわてんじゃねぇよ、ほれ」
走り抜けたワイツウルフのコクピット。
男の片腕がテラを抱えあげていた。
「シン!」
「テラ!無事だった・・・」
男は左目に着けたモノクルに触れ、ズレを直すと、テラをコクピットの足元に下ろした。
「サービン・・・てめぇ裏切りやがったな?」
「おいおい、やめてくれや・・・契約違反はそっちだろ?
 オレはディガルドとドンパチやるって話だったから居てやっただけさ。
 ・・・単なる盗賊の手下に成り下がった覚えはねぇよ」
やれやれとサービンは肩をすくめた。
対照的に、バンデルの顔に血が上る。
「まぁ、いい・・・前からおめぇのことは気に食わなかったんだ。
 まとめて始末ってのも、悪かねぇ」
己のゾイドと手下を失ったバンデルは、だが、余裕の笑みを浮かべている。
「時間も稼げたからな」
取り囲むように、ゾイドの群れが姿を現す。

86 :
ゆっくりとその頑健な機体を進めるブラックライモス。
肩を並べて牙を剥く、コマンドウルフとセイバータイガーが数台。
ガイサックなどの小型ゾイドも含めれば、盗賊団としては大した戦力である。
「ゾロゾロとお揃いで・・・」
サービンは天を仰いだ。
乗り手の体力も含め、ライガーは既にエネルギーが尽き、戦力には数えられないと言っていいだろう。
自分はとなれば、逃げ切るだけなら簡単である。
もし彼の相棒がこの場にいたなら、この程度なら蹴散らす事も容易だっただろうか。
しかし・・・。
まぁ、オレはなんとでもなるが・・・このお嬢ちゃん連れてとなると面倒か。
いや、逃げる必要もねぇんだが。
バンデルが、倒れたエレファンダーの頭上で叫んだ。
「おい・・・そこの赤いライガーを始末した後はてめぇの番だぜ?」
動けないライガーから先に始末しようと言うのは、自分に対する見せしめか脅しか。
サービンは、しかし余裕を失わない。
「あのな。お前さんたちはやりすぎちまったんだよ。で、そろそろご退場願いたかった所でもあってな。
 同情はしねぇぜ?・・・この村を襲ってくれたのは、オレにとっては渡りに船だったよ」
サービンは拡声器を通して声を張り上げた。
「頃合いだぜ、じいさま方よ!」
「うぅぅぅりひゃぁぁぁぁぁ!」
けたたましい雄たけびとともに、黒い暴風がゾイドの群れに飛び込んだ。

87 :
「久しぶりだな、フィル・ボルト」
「フルネームはやめてください。何か堅苦しいです」
ブラックさんと握手。三十路とは思えない力強さだ。はっきり言って少し痛い。
「挨拶がこんな夜分遅くになってしまったこと、初めに詫びさせてくれ」
「いえいえ」
やり残したことがある状態で俺の所に来た関係で、挨拶が遅れてしまった旨を伝えられる。
俺としては別に困らないし、来てくれただけでもありがたいので、
そのくらいどうと言うことはなかった。
「三ヶ月ぶりかな?」
「ですね」
言って、それだけのインターバルが生じている事を改めて思い出す。
「そっか、て事はもうかなり経ってるのか…」
「その軍服を着てから、だな?」
「ええ…」
着る度にガチガチだった軍服も、今では塩で軽く揉んだような感じになっている。
時の経つのは速いものだ。と胸ポケットに手をやったところで、夕方一箱空にしていた事を思い出した。
「あ、ロック!」
「はーい」
ちょうど当番勤務中の部下が通り掛かったので、タバコの補給を頼む。

88 :
「…で、今日はどんな依頼を?」
それを見届けてから、ブラックさんは切り出してきた。
「エルデさんから詳細は聞いてると思うんで、要点だけ」
メガラプトルが何者かに奪われたとの報を受けてそれを撃破に向かったら、
それ以後基地との連絡がとれなくなってしまったことを簡潔に話す。
「フィルは、どう見ているのかね?」
「あんまり考えたくないですけど、誰かに、あるいは集団に占拠されたのかなって」
それがトップ。ボトムは、単なる通信機の不具合。天と地くらいの差があるのが問題だ。
しかも、ボトムの可能性は致命的に低い。
「…エルデに聞いたので帰ってくるついでに基地を覗いてみたが…"静か"だったぞ」
「やっぱりですか。あーあ」
そしてこう言うときに限って、こう言うときほど、一番信じたくない答が正解なのだ。
「隊長、タバコです」
「ナイスタイミング」
受け取り、すぐに火をつける。
何度目だろうか。「吸わなきゃやってられない」と思ったのは。
今日はいつになく多い気がした。
「ほんと…傑作だよな…」
リリに殴られた頭の痛みは、まだ消えない。

89 :
バイオ装甲も荷電粒子砲の前では無力だとわかった。
ジェノブレやBFが召喚されたら、レッゲルさえあれば
ディガルド大苦戦の予感。

90 :
漆黒の刃がライモスの装甲を貫通し、そのまま空に持ち上げると、地面に激しく叩きつけた。
「死にたくなくば・・・そこを退けい!」
黒塗りのランスタッグ。巨大な角が、月光を浴びて輝いた。
一目で業物と分かる長大な漆黒の槍が、自らを誇示するかの如く天を衝く。
「やあやあ我こそはキダ藩にその人ありと謳われたダ・カツなり! 亡き大殿より賜りし、
ステルスカッター・スレイヤーの錆になりたいヤツは、アどこのどいつゥだァア」
黒塗りのランスタッグが首を振りたてて大見得を切る。
「・・・略してステスレじゃ」
ダ・ツグがボソリと呟き、同時にその乗機、ハウンドソルジャーのクロスソーダーが、ライモスを紙のように貫く。
「ダ・カツさん!無事だったんですね!」
「おお、シン、すまんかったのう。本当ならお主らが帰ってくる前に終わっておったのじゃが、
 何しろ久しぶりでこやつら駄々をこねおってのう」
話しながらも、黒いランスタッグが携える、豪槍の刃は止まらない。
当たるを幸い、装甲をものともせずに敵を切って落とす。縦横無尽。そんな言葉が相応しく思えた。
「しかし・・・よく無事で・・・」
「フフフ。わしの相棒は目と耳が良くての」
「だれが相棒じゃだれが」
笑うダ・カツに、不機嫌そうな声が答える。
光学迷彩を解除して、シャドーフォックスが姿を現す。その位置は、先ほどまでダンカのコマンドウルフがいた場所。
「サ・ノヴさん!」
「うむ。無事で何よりじゃ。こいつらの事は前から見張っておってな。
 ・・・すまんかったな、シン。ワシらはお前のことを疑っておった。・・・盗賊の斥候ではないかとな。
 もう少し早く、テアやテラの言葉を信じるべきじゃったわい」
多少ショックがないではなかったが・・・色々と納得はいった。
「いえ・・・それで、当たり前なんだと思います」
「うむ・・・そう言ってくれるなら、気が楽じゃ。後でゆっくりと話そう。しかし・・・、
 なんもかんもタイミングが悪くて肝が冷えたわ。美味しいところはそこの若造がもっていきよるし」
「策士策に溺れるというヤツか」
ボソリと、ダ・ツグが再び呟く。
「うるさいわ!」
シャドーフォックスが煙を吐く。突然視界を奪われ、恐慌に陥ったセイバータイガーから、
黒い狐はゆっくりと戦闘力を奪った。

91 :
・・・なんでだ?なんでこうなる?これじゃ・・・あの時と・・・
次々に撃破される手下の姿を見て、バンデルは呆然となる。
・・・ディガルドのヤツらとやった時と同じじゃねぇか!
「なんでだぁぁぁっ!」
我知らず、雄たけびを上げ、腕をエレファンダーの装甲に叩きつけた。
「・・・敵を知ろうとせんかったからだ」
答えたのは、ダ・ツグだった。ハウンドソルジャーのコクピットで腕を組み
「昔の、ワシらのようにな」
「なに・・・?」
バンデルが伏せていた顔を上げる。
ダ・カツのランスタッグが、槍を待機位置に戻した。
「わしらものう。国をディガルドに奪われたんじゃよ。殿のお姿も見失ってしもうた。
 今は何処にいらっしゃるのか、そもそもご無事であられるのか」
「ディガルドの国力を見誤ったのだ」
シャドーフォックスが歩み寄り、キャノピーを開けてサ・ノヴが立ち上がる。
久々の戦闘機動で疲れた腰をもみながら、
「ディガルドに一矢報いんと、玉砕も考えたがな・・・ほれ。わしらにはまだ守るものが残っておった」
その首が指す方向には、数機のランスタッグに守られ、帰ってくる村人たちの姿があった。
引きずられているのは、村に辿り着く前に撃破された盗賊の機体か。
「・・・」
「お前さんらの怒りも分かる。同情もする。だがな・・・向ける相手を間違ってはならん」
一瞬、サ・ノヴが垣間見せた凄みに、バンデルの肝が冷えた。
・・・こんな老いぼれに、オレが気圧されるってのか?
そこには確かに、格の違いというものが横たわっていた。
あるいは、それは人間としての歴史の積み重ねの差だったのかもしれない。

92 :
気がつけば、村人たちが倒れたゾイドから盗賊たちを助け出そうとしていた。
・・・戦闘はもう終わっていた。
「ありえねぇ・・・お人よしばかりの村だな」
「かも、しれませんね」
サービンのワイツウルフが近寄り、途中からへたり込んでいたシンに、テラを投げ渡した。
受け損ねて取り落としそうになり、その拍子にシンはライガーの装甲にしたたかに頭をぶつけた。
「いっ・・・てぇ・・・あぶないでしょうが!」
「お母さん!」
悶絶しかけたシンの声は、腕の中で暴れたテラに遮られた。
母の無事な姿に気が緩んだのか、テラは今頃になってやっと涙をこぼしていた。
ナ・テアが村人たちと共に、下で手を大きく振っている。
シンは安堵のため息をつくと、さりげなく立ち去ろうとするサービンの姿を見た。
「行くんですか?」
「ああ、もう用はねぇしな」
「ありがとう・・・サービンさん。テラを助けてくれて。あなたがいなかったら・・・」
サービンは頭をボリボリと掻くと、
「痒くなるからやめやがれ。オレがいなくても、ジジイが何とかしてただろうよ。
 ・・・それと一つ間違いだ」
「え?」
サービンは片腕を上げて背中を向けた。
「オレの名はサービンじゃねぇ。サーバインだ。かっこわりい縮め方しやがって」
シンは少し吹き出した。
「・・・僕はシン、シーン・サイモンです」
「しらねぇよ、てめぇの名なんざ。・・・あばよシンザエモン」
「いやそれ微妙・・・」
しかし、彼の名前は結局やがてそう定着してしまうのだが・・・。
それはまた別の話・・・なのだろうか?

93 :
手元で鳴り響いた携帯通信機をつまみ上げ、通話ボタンを押す。
「はいよ。こちらサーバイン、面白くねぇが感度は良好だ」
操縦桿に脚をのせ、だらしなく寝そべったまま、モノクルを着けたその男は応答した。
「・・・定期連絡?ああ、すっかり忘れてたぜ。そっちの様子は? おもしれーヤツを見つけたって話だろ?
 エヴォルトするライガーとかなんとか・・・なに?キョーワコク?」
しばし、目を閉じて通信機から流れる言葉に聞き入る。
「毎度あんたのところには面倒が転がり込むこったな。で?上からの指示は?
 ・・・相変わらずだな。事が判断しきれなくると静観か。慎重と言えば聞こえはいいが、
 ただの日和見主義じゃねぇか。・・・この通信は秘匿回線だろ?上の批判でもしなきゃやってらんねぇぜ。
 まぁ、せいぜい死なないように頑張んな・・・ああ?こっちか?」
目を開け、シートの上で胡坐を掻いた。
「そうだな、面白そうな連中の村は見つけた。一機、メタルZiの槍持ったランスタッグがいやがる。
 ・・・キダ藩の生き残りだってよ。そっちに居るんだろ?お殿様がよ。知らせてやるか?
 ・・・ああ、こっちはその方が助かるが。戦力集めてるんじゃねーのか?」
またしばらく、通信機から聞こえる説明に耳を傾ける
「・・・あんたらしいっちゃらしいな。分かった。こっち方面のディガルド牽制に使わせてもらう。
 ・・・気にすんな。こっちの役目はあくまであんたの支援だからな。指示に従うまでだ。
 ・・・だからオレを戦闘狂みたいにいうんじゃねぇよ」
通信機の向こうから、笑い声が聞こえた。・・・勝てねぇな、ヤツには。何故か唐突にそう思った。
「・・・定期連絡といえば、フェルミからのが途絶えがちって話だが・・・
 そっちになんか話いってるか?・・・ああ。そうか。あの女、何考えていやがるかね・・・。
 ・・・ああ、オレとしては面白くなる方が好みだがな」
向こうから、咎めるような声が聞こえた。
「わーかってるっつの・・・。ああ、じゃーな。通信終わりだぜ」
通信機をそのまま適当に放り捨てた。
ふと、赤い獅子とその操縦者を思い出した。
・・・シンザエモンとか言ったか。悪いが・・・お前の村、利用させてもらうぜ。

94 :
とりあえず終わりです。読んでくださった方ありがとうございました。
初めてSSなんてものを書いてみて、簡潔にまとめてる方はすごいと思いました。
・大きさ比較で(´・ω・`)
 エレファンダー:全長21.6m,全高10.8m
 エナジーライガー:全長28.0m,全高12.0m
 ・・・(´・ω・`)
・はたして、エナジーウィングはバイオゾイドが切れるのでしょうか?
以上です。

95 :
「…ひどいな、これは」
村の人から教えてもらったディガルドの基地に来てみたら。
…地獄絵図を見た。
全く、朝の清々しさが台なしじゃないか。
一度仮眠をとり、朝早くに出発し、朝日と共に拝んだのがゾイドの残骸の山ってなんだよと。
見回すと、基地の設備は一部を除いてめちゃめちゃに破壊されている。
窓には血糊。遠くてあまり分からないが、倒れている人影も確認できた。
どこかのゲリラがやったのかとも思ったが、村の人のゾイドに基地を一つ殲滅出来るほどの火力はない。
それに、かなり狙いが定まっている。これは素人の仕業じゃない。
「…っく」
胃の中が空でよかった。ジャメヴ効果で吐きそうだ。
「……」
ルディは、呆然としているみたいだ。さっきから立ちっぱなしになっている。
まあ人間の死体も壊滅した基地も見慣れている方がおかしい。
「……」
ゾイドの残骸(バリゲーターかな?)の傷口を見ると、かなり焼けついていた。
ナパームか何かを直で撃ち込まれたような感じだ。
何となく、昨夜戦ったバイオラプターを思い出しながら、
「…耐えられないなら、コクピットに戻ってれば?」
そうルディに声をかけた直後。
警報が、辺りにこだました。

96 :
サーバインはソラなわけか
含みを残すラストもいいな
なにはともあれGJ

97 :
(´・ω・`)さんGJ
なかなか読み応えがありました
ハウンドソルジャーが活躍してて涙が出ましたわ・・・

98 :
オトリ作戦から1週間が経っていた。
不運にも飛んできた破片に頭を打ち。気絶したままのロイド=ハウマンは、ディガルドの捕虜となり。とある町の牢屋にぶち込まれていた。
「ああ、今日も飯が不味い。なんだこのトリコロールカラーの極彩色クラッカーは」
まだ痛む頭を擦りがら、ロイドは朝食に悪態をつく。
今朝の献立は軍用レーション(?)と水である。
こんな飯では食事を楽しむことも出来やしない。だが、食べなければ後でどんなへまを起こすか分からない。
諦めて不味いレーションを口にしながら、いろいろと考えてみる。
とりあえず初日に尋問を受けた後は、こちら世界(?)のゾイド操縦技術や戦術を研究したいのか、様々なゾイドに乗せられ
闘技場(と、俺は呼んでいる)でバイオゾイドと戦う日々が続いていた。
モルモットとして扱われるのは気に食わないが「もし貴様が負ければ、そのまま乗ってるゾイドを棺桶にしてやろう」などと言われたのでは
迂闊に手を抜くわけにもいかない。
しかも乗り込むゾイドは火器をすべて外され、格闘戦がメインとなるためにバイオラプターが相手とはいえ苦戦続きだった。
このままでは、いずれろくな事にならないだろう。その前に何とかここから脱出しなければなるまい。
だが、牢屋には常時2人以上の兵士が24時間監視をしている。牢屋からの脱出は極めて難しいだろう。
牢屋と闘技場への往復の時は、目隠しと手錠をされた挙句8人以上の兵士が付くVIP待遇だ。
バイオゾイドとの模擬戦中に脱走できないものかと考えたのだが、常時2〜3体のメガラプトルが監視しているため、これもまた難しい。
まあ八方塞なのだが、いずれチャンスが訪れるだろう。その時まで生き延びねば・・・。
しかし脱出したとしても、俺も脱走者扱いになっているだろうから。共和国に戻れば良くて降格、最悪生身でゾイドと戦う羽目になるだろう。
そもそも元の世界に戻れる保証も無いのだから、今までの知識と経験を生かしてこの世界で生計を立てていくべきかも知れない。

99 :
朝食も食べ終わり、することも無いので横になってまったりしていると兵士達がゾロゾロと牢屋へやって来た。
どうやらお仕事の時間のようだ。いつものように手錠と目隠しを着け20分近く施設内をランダムに周った後、闘技場に到着する。
目隠しを外されると、目の前にはカイゼル髭が特徴的な初老の男が立っていた。
初めて見る顔だ。身なりや周りの兵の態度からすると、かなり階級が高いようだ。
「君が噂の共和国兵か。何でも火器の無いコマンドウルフで2機のバイオラプターを倒したとか。いやいや通常ゾイドも馬鹿には出来んなあ」
笑いながら楽しげに話しかけてくるカイゼル髭。何をしに来たのかは解らないが、今までの模擬戦(といっても、こちらは命が掛かっているが)
のデータを大層評価してくれているようだ。だが、それはディガルドが貴重な戦闘データを手に入れているということでもある。
別に、この世界からガイロスに攻め込める訳ではないだろうし。ディガルドと戦っている共和国が苦労するならば、結構なことだが。
リスクだけ払ってリターンの一つも無いとは面白くも無い。
「はっはっは。まあ、そう苦い顔をしないでくれ。こう見えても君には期待しているのだよ?」
意味が良く分からない事を言い出すカイゼル髭。俺に期待しているとは・・・賭けでもしているのだろうか?だとしたらますます不愉快なことだ。
俺にも取り分をよこせといいたくなる。
そんな事を思っていると、なにやら秘書のような格好をした女性がやって来た。
「ジルベル少将閣下そろそろお時間です」
どうやら目の前の男は少将らしい・・・また随分な階級の人が来るものだ。ディガルドの少将はそんなに遊び回れるほど暇なのだろうか?
「それでは、また会おうロイド君。あっはっはっは・・・」
笑いながら遠ざかっていくジルベル少将とその秘書らしき女性。結局何をしに来たのだろうか。ディガルドの考えている事はよくわからん。

100 :
整備ブースへ行くと今日俺が搭乗するゾイドが見えてきた。
がっしりとしたボディを分厚い複合装甲で包んだ姿が特徴的な共和国の突撃ゾイド、ベアファイターだ。
ただし、俺が変な気を起こさないようにするためか、腹部のミサイルランチャーと背部のビーム砲は取り外されている。
また、全身を黄色に塗られ手足の先は赤く塗られている。恐らくゾイドの挙動を見やすくするための処理だろう。
これでコクピットが副座型なら、ベアファイターではなくベアトレーナーだな。などとくだらない事を考えながら、妙なパイロットスーツを着て
コクピットに乗り込む。このパイロットスーツも戦闘中のパイロットのデータを取るための物だろう。
パイロットシートに座ると同時にゾイドの意識が流れ込んでくる。共和国製のゾイドは自己主張が強いのであまり好みではないのだが・・・。
機体から整備員が離れたのを確認し、とりあえず計器類をチェックしていく。技術レベルが足りないのか、索敵系統が不調な以外は特に問題無い。
間接や燃料にも問題が無いのを確認して整備ブースからリングへと移動する。
力強いサーボモーターの音と共にベアがのしのしと前進していく。特に違和感も無いし、ベアと俺の相性はボチボチといったところか。
リング前の金属製ゲートが開き、リングへと入場する。直径300mほどの円形リングには、2機の黒いラプターが既に入場していた。
軽く周りを見渡すと、高さ15mほどの金属製のフェンスの上にある観客席にメガラプトルが配備されていた。今日は3機か・・念入りな事だ。
「リョウシャイチニツケ」
管制塔から指示が入る。2機のラプターから200mほどの位置にベアを移動させ、試合開始のサイレンを待つ。
今日の相手は今までとはパイロットが違うようだ。
今まで戦ってきた土偶パイロットは、攻撃パターンが単調なので付け入る隙は多く、たとえ機体で劣っていても戦術次第では勝てる相手だ。
しかし今日の相手は構えからして違う。恐らくはディガルドの正規訓練を受けたパイロットなのだろう。一筋縄ではいかない。
そこまで考えたところでサイレンが闘技場に鳴り響く。試合開始の合図だ。

101 :
サイレンが鳴り響くと共に2機のラプターが弾かれたように2方向に分かれる。どうやらこちらを挟み撃ちにする気らしい。
2方向から同時に攻撃を受けたのでは勝ち目が無い。敵のフォーメーションを崩さねば。
ベアの咆哮と共に右から迫るラプターに突進を仕掛ける。しかし、そう簡単に食らってくれる相手ではない。
直線的なこちらの突進を見切り。逆にこちらを引き裂こうと赤熱した爪を振り上げてくる。
しかしそんな対応は百も承知。四肢に力を込め、ベアを跳躍させる。
ヒートクローの一撃を飛び越え、更に観客席のフェンスを蹴り三角飛びを決め。こちらへ加勢に来ようとしていたラプターへ飛び掛かる。
勢いと共に左前足のクローを振り上げ、眼前に迫るラプターに渾身の一撃を見舞う。しかしそれを大きなバックステップで避けるラプター。
空しく空を切ったクローが地面に突き刺さる。その攻撃の隙を突いて、先ほどのラプターが後ろから飛び掛かってきた。
間に合わない―そう思った瞬間。一瞬のうちに瞬発力と速度に優る4足モードから、旋回性能に優れる2足へと切り替る。
更に変形の勢いと体の捻りを利用し、右ストレートをラプターの胴体目掛けて打ち込む。
カウンターが決まり、吹き飛ばされたラプターは、轟音と共にフェンスへ激突した。これで1体撃破だ。
しかし次の瞬間機体に衝撃が走る。こちらが右ストレートを見舞っている隙に、ラプターが襲い掛かって来ていたのだ。

102 :
「邪魔だっ!」
反射的に腕を振るい、ラプターを吹き飛ばそうとする。
しかし、奴は腕が当たる直前に飛んでいたため、腕は空を切った。
間合いを離し、こちらの様子を見るラプター。流石に仲間の二の舞になる気は無いらしい。
とりあえず機体の損傷を確かめる。どうやら右肩のアーマーが切り裂かれたようだ。だが幸いな事に機体を動かすのには問題ない。
機体を4足モードへ切り替え、ラプターに体当たりを仕掛ける。
当然真正面から仕掛けた突進は、軽々と避けられてしまう。だが次の瞬間、機体を2足モードへ切り替え機体を滑らせながらも
無理やりにラプターへ方向転換する。更に4足モードへ切り替え最大出力で突進した。
流石にベアがここまでの動きをやってのけるとは思っていなかったのか、完全に意標を突かれたラプターへとベアのクローが迫る。
轟音と共に1機目と同じ末路をたどるラプター。
「モギセンシュウリョウ。ベアファイターハ、セイビブースニイドウセヨ」
2機のラプターが完全に沈黙したのを確認したのか、管制塔から指示が入ってくる。
今日の仕事はこれで終了である。さて・・・明日はどんな厄介な相手が待っているのやら。

103 :
「うわー…これはきついわ…」
バイオゾイドとコマンドウルフ以下共和国軍の主力ゾイドの連合軍。
いや、いくらジェノブレイカーでも無理です。
ルディに手伝ってもらってもいいのだけど、
戦闘慣れしてないからどの程度戦力になるのか予測ができない。
「…不便だなぁ」
飛んで火に入る夏の虫。ちなみに今は夏ではない。
そんなジョークを吐き捨て、腹をくくる。
「参ったな…ちゃんと覚えてるかな?」
最近はずっと組織の中で戦っていたから、一対多数の戦闘がきちんと出来るか心配だ。
出来るなら逃げたい。そりゃもうマジな話。
そんな事情を敵が酌んでくれるはずもなく、ヘルファイアーの雨あられ。
「…やりますか」
オーケー。とっとと終わらせよう。

104 :
「基地で戦闘が?」
偵察に行ってきてくれたリリの第一声だった。
「はい」
「誰とだ?まさか討伐軍って事は…」
リリは首を振り、
「赤いゾイドと例のカニでした」
「っ!?」
おいおいおいおい。朝っぱらから何をドンパチやってるんだあのバカは?
「ブラックさん、頼む」
「…はいよ」
「リリ、トンボ返りですまないけど、先に行っててくれ」
「了解しました。…フィルさんは?」
「ねぼすけを叩き起こしてから追っかける」
「あ、フィルさん。早いですね」
「ああ、おはよう」
どんな時でも挨拶は忘れない、これ基本。隊の規則にもしている。
「ラプターのレストアは終わってるか?」
「ちょうど夕べに突貫作業で終わらせたところですよ。…こんな朝早くからどうしたんです?」
「知り合いがドンパチ始めちまった。それの救援だ」
「またお人好しな…そんなんだから万年中尉なんですよ」
「悪うござんしたね」

105 :
三機並んだグスタフの前を駆け抜け、バイオラプターのコクピットに飛び込むようにして乗る。
起動するや否やフルスロットルで発進。
「ったく、朝飯もまだだってのに!」
空の腹を叱りつけて黙らせ、限界まで加速させる。
なんだか、とても遅く感じた。

「……」
やはり朝飯が入っていないとキツいようだ。
昨日は獅子奮迅の活躍をしたヴィーラさんの動きが、少し鈍い。
かくいう俺は、物陰に隠れてチャンスを伺っている。
いや、恐いから隠れてるわけじゃないんだってば。…嘘じゃないよ?
お粗末ながら、作戦を思い付いたのだ。
成功のためにはゾイドを一機犠牲にしなきゃいけないという苦肉の策だが、
命が助かるならきっと安いもんだ。ゾイドの事を無視している感は否めないが。
「…くそ…」
チャンスはなかなか訪れなかった。ヴィーラさんを囲むように敵が動いてくれない。
そういうふうに立ち回ろうとするもの半分、我先に敵を倒そうとするもの半分と言った感じで、
後者は全てヴィーラさんに葬られている。
と言う事は、もう少しかな?

106 :
「ここまで漕ぎ着けたか…」
作業の指示を出しながら、アルフレートはあの日の上層部の言い草を思い出していた。
 ディガルドと敵対しているといっても、ディガルドという国家を消滅させるまで戦うわけではあるまい?
ディガルドと共存せねばならないときがいつかは来る。
そのときを早く訪れさせるためと、その後ディガルドに軍事力の大幅削減の要求を受け入れさせるためにシヴァは必要なのだよ。
それも早急にだ。
いつ我々がこの世界を去るのか解らんのだからな。
 解らないでもない。しかし…
 納得し切れない。
シヴァは本来抑止力としての兵器ではないのか?
抑止力として機能し続けるためには、それを使用可能な状態に維持し続ける体制が必要なはずだ。
つまり、この場合で言えば、我々がこの世界にい続けることが前提となってしまっているのではないか?
それだから「ディガルドに軍事力の大幅削減の要求」をして、我々がいなくなった、
つまり、シヴァがつかえなくなった後に備えるのだろうが、それで十分だと判断しているのか?
だとしたら、その根拠は?
そして何より、いくらバイオゾイドが強力な敵だからといって、
シヴァはディガルドに対する抑止力としてはあまりに強力過ぎないか?
まるでもっと―
 アルフレートの思考は突然の来訪により遮られた。
空からの使者。
どこからか飛来したダブルソーダが、まるで墜落でもするかのように着陸した。

107 :
「ふう…」
空腹に寝不足で全力戦闘はさすがに苦しい。
ルディは今何をしてるんだろうか。さっきから気配一つ感じられない。
まさかこっちに注意が向いているのをいいことに、増援を呼びに行っちゃったとかか…?
「くっ!」
絶え間ない攻撃。さっきとは違い、赤熱化した爪での近接攻撃も織り交ぜられている。
可能な限り避け、ダメならシールドで防ぐ。反撃はできない。
しようとすると、決まってヘルファイアーで邪魔が入るのだ。
一対多数用の火器がないに等しいジェノブレイカーにこれはツラい。
「か弱い女をフクロにして楽しいんかな…」
相手からこちらが見えないことは分かっている。いるんだけど、そんなセリフの一つも吐きたくなる。
そりゃあ、囲まれちゃったらねぇ。
「誰から撃ってくる…?」
疲れた体に鞭打って感覚を研ぎ澄ます。わずかな空気の歪みも感じ取るつもりで構える。
そして、バイオラプターが口を開いた瞬間を狙って機体を飛び込ませた。
エクスブレイカーでそれを掴み、もがくのも構わず強引に振り向く。
予想通り、ヘルファイアーが盾になったバイオラプターに直撃した。
それと同タイミングで、何かが飛び込んでくる。「はぁああぁ!」

108 :
ルディだった。
短い叫びと共に体当たりで一機を吹っ飛ばし、尻尾を振り回してもう一機を薙ぎ倒す。
さらにご丁寧にそれを足で押さえ付けながら、
「すいません、こんなになるまでほったらかしちゃって」
謝ってきた。
「…もう、それだけ動けるなら最初に言ってよ…」
昨夜はずっと隠れっぱなしだったのはなんでなんだろう。少し疑問だった。
「俺の技術じゃ不意打ちでもしないと返り討ちに遭っちゃうから」
どうやらチャンスを待っていたらしい。間の悪い人だ。

109 :
全力ですっ飛ばしたおかげで、どうにかカインには追い付いた。
カインは普通、ゆったりと機体を駆る。
最後のツメ的な役をこなすためには、少し遅いくらいがちょうどいいのだとか。
「どうだ?まだやってるか?」
「バリバリだぜ。たった二機で二十機も相手にしてる」
「ほう、それはそれは」
同伴している赤いゾイドというのが少し気になる。
リリがそう言うと言うことは、見たこともないタイプなのだろう。
と言うわけで、赤いゾイド候補。
ヴォルケーノ(ありえない)。青いライガーの進化形(これも考えにくい)。
ソードウルフ(そんなに数がいるとも思えない。まあ妥当か)。
ルディ君の乗るへんてこな合体ゾイド(はない。カニってはっきり言われてたし。よって却下)。
角付きの赤いライガー(話によるとあんまり長く戦えないらしい。…何の話だ)。
「そして戦果は三倍…いかんいかん」
オーケー落ち着け俺。
全く、朝食抜きはろくなことがない。入隊間もなくの教練中に空腹でぶっ倒れたこともあって、
それ以来朝食抜きは俺の人生から追放するくらいの気持ちでいたんだが、全くルディ君は。
ちなみに俺が首を突っ込んでいるだけとも言う。
「…オーケー落ち着け俺」

110 :
「指揮官はどこだ!!」
ダブルソーダのパイロットの大声と形相に、危険な着陸を咎めようと近付いた下士官が立ち竦む。
「私だ!」
ただならぬ状況を察知したらしく、この実験の指揮官自らが出てきていた。
ダブルソーダのパイロットは敬礼をしながら何かを掴み機体から飛び降りた。
「ディガルド軍部隊が来ます!直ちに撤退を!」
「ディガルド軍が来るなら警戒部隊から報告が来るはずだ。それにここは前線から―」
「これを!」
指揮官の顔が見る見る蒼白になっていく。
ダブルソーダのパイロットが突き出した映像記録装置には、小規模な共和国軍部隊を突破して進むバイオゾイド部隊が確かに写っていた。
「馬鹿な…電子戦ゾイドの監視があるんだぞ!?…警戒の異常の報告も通信の異常の報告も無かったんだぞ!?…
 ディガルドがECMをやったとでもいうのか!?馬鹿な…!ガイロスの連中にだってこんな完璧な真似はできんぞ!?」

111 :
ソラシティから脱出するヴォルケーノを見て一言
「はっはっはっ、待っていたまえルーj・・・」

112 :
途中乱入したルディだったが、想像以上に動きがよかった。
撃破するには至らないものの、隙を見せない立ち回りで確実にバイオゾイドを抑えている。
相手の攻撃を受け流し、すりぬけ、かわし、自分の攻撃を打ち込み、ねじ込み、叩き込む。
拳法でも習得してるんじゃなかろうかというくらいだった。
あまりの巧妙さに、敵の注意がみんなそちらに向いている。
「ヴィーラさん、固まっててどうすんの!」
…おっと、見とれてしまった。私としたことが。
動き出そうとした、その時。
「!?」
衝撃。機体が激しく揺さ振られる。
慌てて画面に目を戻すと、バイオラプターの顔が大写しになっていた。
「いつの間に向きを!?」
聞こえてないから答えもない。そして、その時間が隙になる。
コクピット直狙いのヘルファイアーが、連続で直撃した。
「ぐっ!」
「ヴィーラさん!?」
それに気付いてこっちに駆けてくるルディ。
その後ろには、立ち上がるバイオラプターの大群。
「うわ。最悪、だわ」
私にできたのは、
他人事のような自分の声を聞きながら、
ルディの機体がヘルファイアーの嵐に吹き飛ばされるのを見ていることだけだった。

113 :
抱き合ったままだったラプターを蹴飛ばし、視界をクリアにする。
ルディが元いた場所に、煙の柱が立っていた。
「……」
あっさりやられすぎだよ。…あまりに唐突過ぎて、そんな言葉しか浮かんでこない。
「……?」
と。通信のコール。
誰だろう。
「…ヴィーラさん、劇とか好きですか?」
「一応は、ね」
とりあえず答える。
おいおいちょっと待て。それってありなのかよ。
久しぶりに、事態の動きが思考より速い。
「で、どうしろと?」
「俺の真後ろまで来て下さい。出来れば逃げる風を装って」
ヘルファイアーを避けながら、煙の真後ろに回り込む。
「煙に巻こうったってそうはいかねぇぞ!」
耳障りなので聞き流す。
―直後。煙の中からアンカーのようなものが飛び出し、バイオラプターの開いた口を捕らえた。

114 :
「あー…シヌカトオモッタ」
呟く声も片言に。
それくらい恐かった。
ヘルファイアーを喰らうのに合わせて下を排除するつもりだったのだけど、
ここまで大量に飛んでくるのは予想外だった。おかげで分離する手間が省けた。
「な…なんだ?一体何が…」
答えずにトリガーを引く。
ハサミの中に仕込まれたガトリングが、大量の弾を口の中に叩き込む。しかもゼロ距離。当然致命傷。
三十発くらい撃ったところで、頭が吹っ飛んだ。
「…脆いなあ」
それに触発されたか、周りの攻撃も再開される。しかし、さっきと違ってほとんど当たらない。
それもそのはずだ。カニ―キラードームの大きさはキラースパイナーのそれよりもはるかに小さい。
しかも、直撃コースの弾は八方に装備されたレーザーで撃ち落とせる。
残骸の山から降りると、ヴィーラさんがそれを飛び越えて攻撃をかける。
…心得てるなぁ。
本当に、何者なんだ?あの人は。
「カニ…だと?」
やっぱり意外らしく、こっちを攻撃しようとする機体はほとんどが一瞬止まる。
隙あり、喰らえカニパンチ。吹っ飛ぶラプター。
…ちょっと愉快だ。

115 :
ザバットにも撃破されるバイオ装甲。
ビームには強くてもレーザーには弱いのか?

116 :
ジェネシス世界のレーザーがちゃんとしたレーザーなら大抵の金属は貫通するぞ
どう見てもレーザーには見えないけどね

117 :
そもそもバイオ装甲はソラの発明で、当然構造も弱点も知り尽くしてるだろう。
そのソラ人が、バイオ装甲に対して、効果を持つ光学兵器を有しても不思議
でもなんでもない。

118 :
ソラのザバットは想像を絶する出力のビームを撃てるんじゃ?
それこそジェノ荷電クラスの。

119 :
前スレって何レスまでいきました?

120 :
855
俺が最期だったからよく覚えてる

121 :
>>120dクス

122 :
やっと基地が見えてきた。
通信を傍受してみると、「カニが荷電粒子砲」だの「頭を潰された」「攻撃が効かない」だのと、
わけの分からない言葉が飛び交っている。
…何やってんだあいつらは?
「こっちは基地に到着した。先に救援に向かうが、構わんな?」
ブラックさんから確認の通信。了解の旨を伝えると、レーダーから"V"の反応が消える。
エルデさんのサイクスの位置はラプターのお粗末なレーダーでは初めから分からない。
リリも、ブラックさんの後を追ったようだ。
「先、行くぞ」
「止めないよ」
カインに断り、こっちも加速する。…やっぱり、どうも遅い。
全速力のままブレードを展開、背後からラプターを唐竹割りにする。
清々しいくらいに真っ二つになり、倒れるラプター。
「…カニ?」
その先に、小さなゾイドがいた。バラッツかとも思ったが、これはカニ型だ。
「その機体…もしかして、ブラックさんですか?」
そのカニから通信が入る。声には、聞き覚えがあった。
「―ルディアス・ユーカーか」
「久しぶりですね」

123 :
このスレの世界に於いて、ディガルド武国の問題が終わった時、
共和国対討伐軍の可能性も・・・ある?

124 :
>>123
共和国が「民主主義の素晴らしさを世界に広げよう」と
軍隊と共に乗り出す可能性の方が高い。

125 :
「撤退する!準備を!」
指揮官の声は落ち着いていた。
あるいは声だけでも落ち着かせないと不安と疑念に飲み込まれてしまうと思ったのか。
「お待ち下さい、大佐殿」
マクドゥーガル少佐がいつの間にか傍にいた。
「シヴァを使いましょう。シヴァの威力範囲とあのロケットの精度なら、効果があるはずです」
「む…無茶です少佐殿!来る途中で見ましたが、小規模なものですが集落が点在してます!
 そんな威力の大きな兵器を使ったら、民間人に被害が…!」
「だそうだマクドゥーガル少佐、それにあの二つはどちらも試験段階だ、不確定要素が多過ぎる。
 十分な損害を与えられなければ追いつかれるために待ってやるようなもの…きさっ…まっ…!」
銃を突きつけたまま、その眼に冷たい火を燈した男が口を開く。
「多くの市民のためには多少の犠牲もやむを得ぬものです。
 今、シヴァの威力をディガルドに知らしめるまたとない好機が訪れている。逃すわけにはいかないでしょう。
 発射の準備を、大佐」

126 :
「…?」
一瞬、影が見えたような気がした。そして、風が通り過ぎる。
次の瞬間、バイオラプターがずたずたに切り刻まれ、倒れ伏す。
かまいたち―にしては、出来過ぎていた。
「どうも、はじめまして」
通信。ナイスバディな女の人が画面に写る。同時に、黒いゾイドが溶けるように姿を表した。
額に一部、青いカラーリングがアクセントとして加えられている。
「無事だったみたいで何よりだよ」
「それは光栄です」
「そうかい。ゆっくり自己紹介したいところではあるんだけど、状況が状況だ。挨拶は抜きでいいかな?」
「ご自由にどうぞ」
散開する。
再び、黒いゾイドの姿が消えた。どうやら、ステルスらしい。
「……速い」
あの速さは凄い。挨拶に要した時間は、わずか七秒だった。
さらに、こちらが動き出した時点で既に三機撃破している。しかも、全部一撃。
「……甘いよ」
後ろから攻撃をかけてきたラプターを、直接口で捕らえる。
何か無性に腹が立ったので、
「消えろ、虫ケラ」
そのまま荷電粒子砲でラプターを塵に帰した。

127 :
>>124
それはそれで大変な事になりそうだね・・・。

128 :
>>114 カニGJ
で、キラードームとバラッツってどっちがでかいんだ?


129 :
>>128
商品持ってない上での発言だと思うので一応。明らかにキラードームの方がでかい。

130 :
>>128
設定の事言ってるのなら明らかにキラードームの方が小さい
虫よりちっこいマンジュウガニなんているのかと以下略

131 :
まるっこくて長さが無いから、全長とかはギラフソーダあたりより小さい感じは
あるけど、質量的にはキラードームの方が圧倒的に大きいわな。

132 :
 結局ニックには最後までことの次第はわからなかった。
 ダブルソーダが飛んできて指揮官が出てきたと思ったら別の将校が現れて脅迫をした。
そして恐らくその脅迫側の息のかかったほうとそうでないほうの間で銃撃戦が始まった。
あまりに唐突かつとんでもない事態に一瞬自分は何をどうすればよいのかわからなくなったが、
ストーン博士の身を守るための行動をとることにする。
その博士は、シヴァをこの騒乱の場から離すべく指示を出しているようだった。
だが、この状況とゾイドを使わない作業とが重なり、思うように進まないのは容易に見て取れる。
「急げ!何が引き金になるかわからん!」
どういう事情があるのかはわからないが、それほど急がねばならないのなら
緊急事態ということでゾイドを使っても良いのではないかと進言しようとしたとき。
「危ない!」
博士を引き倒すように伏せさせ、自分もその動きで博士に覆いかぶさるような低い体勢をとる。
シヴァを互いに押さえようというのだろう、小銃を撃ち合いながら兵士たちが駆け寄ってきた。
さらにはライガーゼロが二体突っ込んできた。互いに駆けながら、やや先行したほうを、もう一体が肩をぶつけて突き倒す。
 恐らくそれは、パイロットが最初から意図していた行動ではなかっただろう。少なくとも冷静な判断ではなかったはずだ。
野性体の闘争本能。攻撃を受けたことでそれが押さえられなくなったのだろう、
突き倒されたライガーゼロは跳ね起きたその勢いのまま、
シヴァを咥えようと頭を下げたもう一方のライガーゼロに前脚の爪を叩き込んだ。
倒れ付す相手に飛び掛り咽喉元に喰らいつく。牙をより深く喰い込ませながら、もがく相手に爪を叩き込む。
「いかん!」
ストーン博士が飛び起きる。そのあまりの勢いに、ニックは地面に倒される。
勝利を得たライガーゼロが、先の戦闘の巻き添えを食って破壊された周辺機器の中のシヴァに首を伸ばす。
だが、シヴァをしっかりと咥えると、そのまま動きを止めてしまった。

133 :
「どうしたんだ…?」
ニックは訝ったものの、一瞬の後ストーン博士のことを思い出し姿を探す。すぐ見付かった。
無事だった計器表示板の前にいる。
「…うしてる…」
どうしたのですかと聞こうとしたニックの耳に、恐ろしい言葉が飛び込んできた。
「シヴァが吹き飛ぶ…」


134 :
着いた時には戦闘終わってました。
うわー俺様無駄足。
「ごめん、遅くなった」
「別に大丈夫です。どうせフィルさんラプターだから戦力になると思えませんし」
リリは毎度毎度冷たい。ラプターグイのフリーズブレスくらい。
しかも正論であるだけに余計悔しい。
「てっきりファルコンで来るものかと思ってました」
「一応世間体ってもんを考慮してだな」
「してたんですか」
あう。
してないのバレバレじゃん。
動揺を隠すべく、タバコに火をつけた。…うげ、いつになくまずい。
そこで思い出す。そういえば、朝飯まだだったな。
「リリ」
「はい」
「朝飯、どうしようか?」

135 :
「しかし、縁というのは分からぬものだな」
「分からないのが縁ですよ」
タバコ片手にリリさんにぶん殴られるフィルさんを横目に、ブラックさんと握手。
「へぇ、まだ乗ってくれてるんですか」
「いい機体だよ本当に。こいつに何度救われたことか」
感慨深げに"V"を見上げるブラックさん。
「で、お前はなんでそんなカニなんかに?」
「またまたまたまた掘り出し物です」
「またか…。これで何機目だ?」
「おおざっぱに数えて10機目でしょうか」
元から死んでたダークスパイナーを除いても、そんな数。
この数字は、俺ことルディアスがゾイド絡みの事件を起こした回数と概算でイコールになる。
掘り出す理由が理由だからなのか、程度にはピンキリあるものの何かしら事件が起こる。
一応その都度頭をひねって切り抜けては来た。
が、さすがにここまで続くとどうも俺の体質に問題があるんじゃないかとか本気で考えてしまう。
その中でブラックさん以下傭兵の皆さんと知り合ったりできているから結果オーライなのかも知れないが、
もうちょっと平和な毎日も送りたい。…高望みしすぎか。
「それはそうと」
「どうした?」
「朝飯、どうしましょう?」

136 :
うらやましい。
彼女の―エルデのプロポーションを見てそう思わない女はモグリだ。
「その身体はどうやって?」
「知らんさ。これでも一応、思春期前は胸も尻も慎ましかったんだけどね…」
どこで間違えたんだか、と頭をかく。イヤミのない感じが、また彼女の魅力を引き立てている。
これで独身というのが信じられない。
「そこへいくと、ミーナも綺麗なうなじだね。私も魅了されちゃいそうだ」
本気なのか冗談なのか分からない口調で、そんなことを言ってくる。
彼女はこれがデフォルトだと少し話して分かっているので気にしない。
「しかし、恐竜型か…。いやいや、面白いモノを見れて私はハッピーだよ」
ジェノブレイカーを見上げながらエルデ。
「それはどうも」
恐竜型が絶滅した世界、か。
生活に不自由はないし、特に軍内に友好関係もないし、家族からは勘当済みだし、ここで暮らすのも悪くはないかもしれない。
ただ、一つ気になる事がある。この世界に迷い込んだ原因だ。
アリス・イン・ザ・ワンダーランドよろしく夢オチだったら面白いが、頬をつねると痛い。
そうでないとすると、何なのだろう?
「エルデ」
「なんじゃらほい?」
「朝ご飯、どうする?」

137 :
 エヴァンス少尉がシヴァを咥えたままのライガーゼロの強制ハッチ解放機構を作動させる。
そのまま乗り込んで、シヴァをウルトラから遠くへ運ぼうというのだろう。
「それは…」
 アルフレートより先に、その光景がシヴァの秘められた危険を知るものの言おうとしたことを説明した。
エバンス少尉の目の前、開け放たれたコクピットの中で、ライガーゼロのパイロットが崩れ落ちていた。
「なっ…」
エバンス少尉はその異様な光景に相当な衝撃を受けたようだが、すぐにパイロットを降ろしにかかる。
アルフレートにとっては、それは思ったとおりの光景だった。
絶命こそしていない。ただ、精神は崩壊しているだろう。あの悪魔によって…
「エバンス少尉!…」
どう言うべきか決めきれないまま、パイロットを降ろし終えようとするエバンス少尉に声をかける。
その時。
「がはっ…!」
「!!」
銃弾が、エヴァンス少尉に突き刺さる。シヴァを奪われまいと放たれた銃弾だ。
「エバンス少尉!」
「は…博士…シヴァを遠くに…ビッグ・ママを守ってください…」
アルフレートは立ち上がった。ライガーゼロのコクピットへ手を掛ける。
 悪魔め!悪魔め!貴様が!貴様がいるせいで―!

138 :
「ちぃっ!」
シヴァを咥えて走り去っていくライガーゼロを見て、デイビットはその場にいるゾイドを見回した。
一番速いゾイドは― コマンドウルフだった。駆け出す。
「少佐!無茶ですコマンドで追っても!相手は―」
無論、止めようとするケインも、追おうとするデイビットも、
そのライガーゼロに乗っているのがゾイドの操縦に関しては素人も同然の研究者だなどとは知る由もない。
「うるさい!」
コマンドウルフまで駆けつけ、乗っていた兵士を引き摺り下ろし、シヴァの後を追う。
「渡すわけにはいかんのだ―!市民の為に自分の手を汚す覚悟も無い奴等に―!」

139 :
>>6 テスト期間もようやく終了。続きです
 ウィンターズは、この不可解な現象に巻き込まれた部隊の状況を確認していた。
この現象に巻き込まれたのはゾイド17機、28人。以下の通りである。
第17連隊歩兵第1中隊
 メガトプロス×1(俺とサリサ上等兵)
 モルガ×1(フート曹長、エヴァーズマン軍曹、サーシン伍長、ヴァシリ伍長、トリガー伍長、バッケイン上等兵、ロウ一等兵、バウマン伍長)
第17工兵隊
 カノント-タス工兵仕様(バッツ少尉)
第21連隊強襲戦闘大隊
ウィンターズと一緒に行動してた
 ゴジュラス×2(ウィンターズ大尉とハレル少尉)
 アロザウラー×1(バイロン少尉)
 ゴトス×2(テムズ曹長、スペンサー曹長)
 ゴルドス×1(ダイク中尉、スピアーズ少尉、リプトン軍曹)
第5師団 師団司令部付高速戦闘隊
 シールドライガー×1(ライアン少尉)
 コマンドウルフ×2(クラーク曹長、シャベス軍曹)
補給部隊の護衛
 ベアファイター×2(ニクソン中尉とラムズ軍曹)
 グスタフ×1(ホランド軍曹)
第5師団航空隊
 ダブルソーダ×1(シュルツ曹長とトムセン伍長)
空軍 第301防空飛行隊
 プテラス×1(アッセン中尉)
いったいどうなっているのか…

140 :
 フート達は相変わらず、森の中で偵察活動を行なっていた。
「曹長、エヴァーズマン軍曹達と合流して、オノダ少尉の所へ行きましょう」
 そう言いだしたのは、バッケイン上等兵だ。指揮を執っていたフートも、いつまでも消えたモルガを探し回っていても
しかたがないと思い始めていたから、バッケインの進言を採用することにした。
「そうだな。よし、エヴァーズマン軍曹、オクレ(応答せよ)」
 フートは、ヘッドセットに備えられた無線機の電源をONにした。長距離用の無線は無理なら、部隊の間なら大丈夫だ。
<こちら、エヴァーズマン。オクレ>
「合流したい。そちらの位置を知らせ。オクレ」
<位置と言われても…>
その時。銃声が響いた。
「うっ」
 うめき声をあげたのは、バッケインだ。
「どうして!バッケイン!」
 そう叫んでバッケインに駆け寄ったフートが見たのは、穴が開き血がドクドクと噴出するバッケインの腹だった。
「狙撃手だ!待避!」
「突然、通信が途絶えた」
エヴァーズマンは、部下のサーシン、トリガー、ロウにそう伝えた。
「銃声が聞こえました」
そう答えたのはサーシンだ。彼は分隊の中でも聴力が優れている事で知られていた。
「あちらの方です」
「よし、言ってみよう。モルガのバウマン伍長に援護を要請する」
バウマンは、モルガのパイロットで、分隊の迫撃砲手でもある。

141 :
とりあえず宿舎の食堂は手付かずだったので、有り合わせで朝食をこしらえた。
それ自体は慣れたことだけど、七人分なんて作るのは、当然ながら産まれて初めてなわけで。
味には問題ないのは分かるし、自信もある。でも、なんとなく心配だ。
何と言うか、今までやったことがない事を首尾よくやっちゃってから
「これで本当にいいのかな」と振り返って思っている、そんな状況。そんな、かすかな違和感。
そこへいくと、思えばここ数週間。
そう感じなかった日は、なかったかもしれない。
「へぇ、今ではないいつか、ここではないどこかってのはちゃんと戦争然としてるのか…」
とフィル君、なかなか面白い表現を使う。
村での戦闘があったからなのか、ディガルドと言うとなんとなくとっつきにくそうなイメージだったが、
彼もリリちゃんもその先入観を見事に払拭してくれた。人間、肩書きにはよらないものだ。
しかも、フィル君の方はかなりの洞察力の持ち主らしく(リリちゃんもそうかもしれないが)、
私がどういう経緯でここにいるのか、かなりの程度分かっているようだ。
理由を聞くと、彼は一言、
「だってミーナ嬢みたいな格好の人見たことないし」
と答えてきた。

142 :
「まあそれだけじゃ単なる当て推量になっちまうわけだけど、そう結論づける要素もあるんだよ」
なんでも、今私たちがいる基地からバイオゾイドを盗んで逃げた(と思われる)パイロットの着ていた服と、
掘り出し物のゾイドに同じエンブレムが入っていたのだという。
「で、そのエンブレムの存在を俺は知らないし、地中から出てきたものって事はこの世代のものじゃない。
だったら考えられる結論は一つしかない。
彼は今ではないいつか、ここではないどこかから何らかの理由でここに来た存在だ、ってな」
だから、それを知ってるミーナ嬢も同年代、そして概算イコールな経緯でここにいると推測できるわけだ、そうだ。
うん。粗削りな感はあるが、通っている。
「…ところで」
「ん?」
「それ、何やってるの?」
「バトルガレッガ。簡単に言うとシューティングゲームだ」
それは見れば分かる。
「難易度に関わらず、初心者は地獄を見る可能性が高い、そんなある意味クソゲーだよ」
心臓に悪そうなゲームだなそりゃ。ただでさえシューティングはマイナー系だってのに。
「インカムが上がりにくいことはほぼ確定なわけね」
「何の話だよ」

143 :
どうも箸が進まない。きっと空腹なままで体を酷使したせいだろう。
生きているとは言え、体は一回撃破された際の衝撃で相当痛め付けられてしまっている。
多分服を脱いだらアザが大量に見つかる事だろうし、首も痛い。出血がないのが不思議なくらいだ。
「でもまぁ、作ってもらったんだし」
人が作ってくれたものを残すのも気が引けるし、体こそそんな有様だが腹自体は空いている。
時間さえ考慮しなければ平らげられるだろうと、俺ことルディアスは料理との格闘を再開した。
…つーかこんな体でなくても俺は朝からこの量は入らないから。
「ルディアスさんは、レベリー氏とどういう繋がりなんですか?」
隣にいたリリさんが、そんな事を聞いてきた。
「あれ?知らなかった?俺とエールさんって付き合ってるんだよ」
「嘘!?」
表情に大きな変化はないけど、声からかなり驚いているのが分かった。
「嘘」
しかもあっさり引っ掛かった。インテリに見えて、実はそうでもないのかも。
あ、睨まれた。
「まあ冗談はさておき」
フィルさんの二の舞はごめんなので、本当の理由をさっさと話す。
「野良ゾイドに襲われていたところを助けてもらったんだ。それがきっかけ」

144 :
まだゾイド乗りになる前の事だ。
「うん、だからエールさんは友達であると同時に恩師でもあるわけか。
ゾイド乗りのイロハも教わってるんだもんな」
「レベリー氏から…ですか」
「はっきり言って地獄だった。近接武装のかたまりみたいな機体で情け容赦なくコクピット狙ってくるし」
エールさんの機体はセントゲイルと言い(ノワールなんて愛称もあり、専らエールさんはそう呼ぶ)、
右手にハサミ、左手にリーオ製の二本の槍を有し、ほぼ全身黒塗りで悪魔のような姿をしていて、
とそんな機体が音速で突っ込んで来たらパンピーは間違いなく腰をぬかす。初めの俺がそうだった。
「しかもあの人常に音速で動くから気抜くとすぐ見失うし、…あー、今考えてもぞっとする」
「よく生き残れましたね」
「全くだよ」
ちなみにその時借りていたコマンドウルフは使う度にどこか破損することに嫌気がさしたか、
ゾイド乗りと名乗れるようになったら全く言う事を聞かなくなった。
ごめんなコマンドウルフ。
「ふぅ、ようやく完食」
食器を片付け、食堂を皆で連れだって出る。
カイン君はもしものために外にてシャドーフォックスで待機。
目指すは隣。
死体を拝みに行くのだ。

145 :
バイオゾイドの操縦者がどういうものか明かされたわけですが。
なんだか一気にダークになったね。
拉致された母子も土偶になってバイオゾイドの中に。
プロット考え直さなきゃ。

146 :
共和国軍技術士長「ふーむ、これがバイオゾイドのコックピットに搭乗
        していたというのかね」
技術士「はい隊長機以外は全てこの得体の知れない機械により動かされていた
    ようですが」
技術士長「おそらく操縦AIか何かだろう、接合部を分解して中を調べるぞ」
技術士「しかし改めて見ると不気味ですよね・・・」
技術士長「まあ、デザインの感性に関してはあまり良いセンスがあるとはいえんな
     ・・・よし空いたぞ」
一瞬中から緑色の炎が出てきて空に上って消えていく
技術士長「・・・・・・」
技術士「・・・・・」
技術士長「・・・・よし、見なかった事にしよう」
技術士「あのう、今あれから「ありがとう」って声が聞こえたような・・・」
ガクガクブルブル
技術士長「空耳だ!空耳・・・取り合えず報告書にはただの制御AIと
     記しておこう・・・」

147 :
「見慣れてて良かったな」
「何がですか」
「時間の事を気にせずに行動が起こせる」
「感覚が麻痺ってるとも言いますね」
簡単に言うと、真っ赤に染まった壁に天井に、あちこちに転がる死体、死体、死体。
飯食った直後にこれを拝むのは、見慣れていないとできない。その点、俺達は恵まれていた。
俺とリリ、ミーナ嬢は軍人、ブラックさん以下ファントムの皆さんは傭兵。
ルディ君も、聞けば慣れているとの事。遍歴が少し気になるが、今は横に置くことにする。
「蜂の巣か…これじゃ即死は間違いないわね」
とミーナ嬢、早くも死体を調べ始めている。
優雅な所作で、無造作に死体をひっくり返していらっしゃる。
なんともシュールだ。
「一カ所にまとめて周りから撃って、それから死に損ねたのと逃げるのを処理したみたいね…」
確かに、入口の扉に近いものほど背中の弾痕が多かった。
「フィル」
「ブラックさん?」
「少なくないか?まさかこの広さで動いている人員がこの程度なわけはあるまい?」
と聞いてくるブラックさん。確かに俺も、それは疑問だった。
一応それなりの規模があるここで、この死体の数は相対的に少な過ぎる。

148 :
>>145
惑星Ziで一、二を争うほどの
人の手による悲劇かもしれん。

149 :
「何人かいないな…」
全員の顔を確かめると、案の定何人か足りない。それも、「頭の固いやつら」ばかり。
「撃ったやつらが選別でもしたのか……っ?」
ストップ。足りないと言えば、土偶兵が一人もいない。
あいつらは、確か独りでは動けなかったはずじゃ…?
「って、じゃあ」
いないカタブツと土偶兵。残りは全員死亡。
ルディ君を襲ったヘリック共和国軍。背中を撃たれながら逃げ出した兵士。
掘り出し物。ミーナ嬢。今ではないいつか、ここではないどこか。迷い。困惑。暴走。利用。
…そして、そこから出せる結論。
俺はこの時、自分の頭の回転の速さを呪った。
「…まさか」
おいおいおいおいおいおいおいおい。
ちょっと待て少し待てしばし待て待てよ待てよ待ってくださいよ。
それ、まるっきり想定外の予想外なんですけど。
「…?」
血まみれの通信機が、甲高い音と共に入電を告げる。
取ると、カインがいつもと同じ口調で言ってきた。
「本命の、おでましのようだぜ」
それは想定内だった。

150 :
「どれくらいだ?」
「基地全体をぐるーっと取り囲む感じで…ざっと50くらいかな」
「全部バイオじゃ、ないよな?」
確認する。そういう事なら、多分そうだ。きっとこの問い方でカインには通じるはず。
「なんだ、クレアボイアンスでも会得してたりか?」
ビンゴだ。
「3:2くらい。一応バイオの方が多い。
あ、外のラプターとグイ以外は隠しておいたから。位置はもうそっちの通信機に送ってある」
「手際がいいな。助かるよ」
「ついでに、歩兵がそっちに向かってる。
討伐軍呼んどいたからしばらくは持ちこたえられるけど、いかんせん討伐軍だからな」
自分から喋ったのか!?お前が!?
という言葉は飲み込む。今は状況が状況なので、それは後回しだ。
「オーケー、手早く片付けられるように努力するよ」
「頼むぜ」
受話器を置くと同時に、扉が蹴り開けられる。
ぞろぞろと。
ぞろぞろぞろぞろと。ライフル抱えた歩兵が入ってきた。
走って入って来ているのに、なんだか止まって見えた。

151 :
「…ふむ。生き残りがいたか」
それが、そいつの第一声。何故か、狂人の戯言のように聞こえた。
まとっているのはあの服。俺の手元に血塗れバージョンがある、ヘリックの軍服だ。
一列横隊でこっちにライフルの銃口を向ける兵士達も、同じモノを着ていた。
「…すいません。いの一番に、始まる前に、要するに最初に聞いておきたいんですけど」
「何だ?」
「名前、教えちゃもらえませんかね?」
「……」
怪訝そうな顔をする。まあ確かに状況にそぐわない問いではある。
「いや、俺達これから場合によっちゃあの世逝きって事にもなり得るわけですし、
責めて死ぬ前に言葉を交わした相手の名前くらいは覚えておきたいなと」
これは嘘ではない。ただ、真実でもない。こんなところで死ぬのなんざごめんだ。
「…ありがたいが、生憎名はもうない。通用しない名はもう名とは扱えんでな、捨ててしまった」
「そうですか」
リリの方を見ると、右腕をしきりにぶらぶらさせている。
目配せして、それをやめさせた。

152 :
「あなた達は、一体何が目的でこんな事を?」
慎重に言葉を選ぶ。慇懃無礼でゴーだ。いえーい。
と。
「…お前は、自分の常識が何一つ通じない世界に突然放り込まれたことがあるか?」
こんな答えが帰ってきた。
「自分の事を誰も知らない世界に、何の心の準備もなく飛び込んだことがあるか?」
「……」
「軍人だからというだけで存在を全否定される。誰も…誰も、誰も俺達の存在を認めてくれない。
だったら、だったらどうにかして俺達の存在を認めさせるしかない」
面白そうだから黙って聞いていたら、声がだんだん悲痛なものに変わっていった。
「主義も主張も通らない世界じゃ、軍人は戦うことしかできないんだよ。
だから滅ぼす。刃向かう者を撃って逆らう者を斬って抗う者を潰して阻む者を殺して!
…俺達の存在を、恐怖と共に知らしめてやるんだ」
ふむ。概要は把握できた。つまりは単純に、
「生きた証が欲しいのか…」
あ、なんか分かったら腹立ってきた。
「なら墓標でいいじゃん。何なら今すぐ用意しようか?」

153 :
言ったら撃たれる事は分かっていた。けど、言葉が止まらない。
「人の命踏み台にして何ほざいてんだよ。軍人だから?は、甘ったれんなよ。
あんたら軍人でいなきゃアイデンティティのアの字も示せねーのか?
郷に入ってはって、知らないはずないよな?まさかそこまで頭がパーだとか言わないよな?」
お生憎様。その世界に俺は自分から飛び込んだ口だ。そうとは知らずに。
「一から始めりゃいいじゃないか。なんでそれを嫌がるんだよ。
生きた証なんて、そうでもしなきゃ得られるわけねーだろが」
運命に翻弄された。あまりの辛さに泣き明かした事もあった(恥ずかしい思い出だ)。
でも乗り越えて、乗りこなして、今日までやってきた。
やはりそうだからだろうか、俺には目の前の軍人が許せなかった。
「…俺達の。俺達の戦術と、あんたらのゾイドが合わさったら、最強の部隊ができるとは思わないか?」
ため息。―ダメだ。全然聞いてない。
なので、こう言い返すことにした。
「あんたらの傲慢と、ディガルドのお粗末さを併せ持った部隊ができたら、果たしてどうだろうな?」
「……っ?」
「バーナード・ショウだ。新しいところでは星新一でもいい」

154 :
 人の創りし悪魔を咥えた獅子が走っていく。その速度は、ライガーゼロである割には遅い。
無論、重い荷物をぶら下げた機体を素人同然の人間が操縦して、通常の速度が出るわけは無い。
しかし、真の理由はそんなことではなかった。
「…が…あ…っ…」
アルフレートは、精神を蝕まれる苦痛に必死で耐えていた。
このライガーゼロに乗っていたパイロットの精神を崩壊させた侵蝕。
アルフレートが耐えられているのは、事前の知識による心構えができていたのと、
ゾイドのパイロットではない分機体との精神リンクが弱いことが皮肉にもプラスに作用しているからに過ぎない。
「…この悪魔がぁっ…!…」
この精神侵蝕こそがシヴァはウルトラザウルスにしか搭載できない真の理由。
接触したゾイドの操縦系統を伝わってくるシヴァによる侵蝕を防ぐ機構を搭載する余裕のあるゾイドは、
今この世界の共和国軍にはウルトラザウルスしか存在しなかったのである。
では、何故このような精神侵蝕が起きるか。
それは、シヴァの機構による。
 シヴァ。―それは崩壊を目的に歪んだ姿にされたゾイドコアであった。
付随する機関から自己の安全限界を超えたエネルギーを取り込み、設定された時間が経過すると崩壊し、
この世に地獄を出現させる。
だが、ただのゾイドコアを用いると、コアの自己防御本能から、このサイクルが止まってしまうことが多かった。
そのため、シヴァにはもう一つの悪魔が組み込まれた。
オーガノイドシステム。
それも、制御やコアの限界を考えずに、純粋にエネルギーと凶暴性の増大を追い求めたものが。
自らの消滅をも意に介さない程の凶暴性。崩壊こそが目的であるコアにのみ持ちうるものであった。
そしてこの性質が、他のオーガノイドシステム搭載ゾイドの比ではない精神侵蝕を引き起こすのだ。

155 :
「…この身を犠牲にしても…!…」
自分はこの悪魔を生み出してしまった人間の一人だ。
シヴァを危険の無いところまで運んで、それから安全域にまで逃れる余裕は無いだろう。
この命を引き換えにしてでも、この悪魔の創出させる地獄から皆を救う。
だが、シヴァの様子から見るに、それでも―
「…間に合わないか…?…」
シヴァへの憎しみで埋め尽くされた心。その心の中に、ほんの僅か、そう、ほんの僅かだが―
 哀しみが、現れた。

156 :
「ヴィーラさん」
「ん?こんな時に何?ルディ」
「ヘリックって、本当にこんなに壊れた軍隊なんですか?」
「当然違うわよ。まあ敵方としては、そうであった方がいいんだけどね」
フィルさんがヘリックと渡り合ってるちょうどその時、
俺はヴィーラさんと話しながら脱出する方法を考えていた。
しかし星新一の方を知ってるなんて、フィルさんも博識だな。マニアックとも言えそうだけど。
見ると、相手が固まっていた。自分達の事で手一杯でそこまで頭が回らないらしい。
「さて、どうチャンスを作りましょうかね、っと…」
非常口が後方にあるのだけど、下手に背を向けたら辺りに転がる死体の仲間入りだ。
どうにかして、隙を作らないといけない。少なくとも、ぶち破る時間は欲しい。
見たところ、男三人で一気に突撃すれば破壊は簡単そうだ。
となると、あそこまで走れる時間が確保できればいいのか。
「……」
手持ちを確認する。しかし、目くらましになりそうなものはない。
となると、周りの物。
「何かあるかな…?」
見回す。…発煙筒くらいしかなかった。
と。そこで、リリさんの右手が視界の端に。
「…あれ?」
何か握っていた。

157 :
「!?」
急に楽になった。精神侵蝕が止まっている。
そればかりではない。心なしか、シヴァの崩壊への進行も止まってこそいないが―緩やかになっているように感じられる。
「―いや、そんなまさか―しかし―」
外部からの介入は無い。とすれば。
「―シヴァ。お前なのか」
シヴァ自身が、精神侵蝕と崩壊に歯止めを掛けている。そうとしか考えられない。
「―何故。何故だシヴァ」
生きることさえ自ら否定する存在として生み出し、実験と称して同じ宿命の兄弟達を虐殺し、恐れ、罵り― 憎んだ。
「どうしてだ!憎め!シヴァ、人間を、俺を!どうした、憎め、シヴァ、憎んでくれ! …憎んでくれ…頼む…」
シヴァは応えない。沈黙を乗せて、獅子は走っていく。そして―

158 :
「お、お…お前ら、自分達がどんな状況に置かれているか、分かってるのか!?」
明らかに狼狽している。多分、今になって名前を聞かれたことが効いてきたのだろう。
狙ってはいなかったが、あわよくばと言うのもあったから、こっちとしてはありがたかった。
「…そりゃあ、分かってるさ」
リリを見る。正確には、彼女の右手。
そこに"それ"が収まっているのを確認して、目配せで合図。
「逃げる絶好のチャンスだ、ってな」
言って、すぐに顔を右腕で覆う。
瞬間。
閃光と大音響が、辺りを包んだ。
リリさんが右手に握っていたのが閃光弾か何かであると気付いた時点で顔をかばっていたため、
なんとかスタングレネードのあおりは喰わずにすんだ。
「とりあえず二列横隊!女は男の後ろ!」
フィルさんの声を聞いて素早く立ち上がる。ブラックさんも、黙ってそれに従った。
男三人、横一列。目指すは非常口、ただ一つ。
やはり初めから、フィルさんはこれを狙っていたようだ。
「お昼休みは!?」
「「「ウキウキウォッチン!!」」」
どがんっ!!
「…なんて掛け声だよ」
何とも奇妙な掛け声ではあったが、三人息の合った突撃でドアは金具ごと吹っ飛んだ。

159 :
 シヴァを奪ったライガーゼロが見える。何故か遅いため、コマンドウルフで追いつけそうだ。
ふと、少年の日々の記憶が目の前に浮かんできた。
 ―兄さん。強くて、頭が良くて、優しくて、誇りであり憧れであった大好きな兄さん。
兄さんのような人間になりたくて、兄さんと同じ軍人になるために、幼年学校に入った。
兄さんも喜んでくれた。幼年学校を卒業して、士官学校を卒業して、兄さんのように士官になるんだと思った。
でもあいつらが兄さんを奪った。
帝国の潜入兵士を狩り出すために兄さんがやった作戦が多くの民間人の犠牲者を出したと言って、
市民の為に自分の手を汚す覚悟も無い奴等が、兄さんを銃殺したんだ。
軍人は、市民の為に自分の手を汚す覚悟のある人間でなければならないんだ。そんな軍人になるんだ。そして証明するんだ―
 閃光は、意識ごとデイビットを消し去った。


160 :
 撤退するウルトラに追いついてきたバイオゾイド部隊は、
少数のもの相手とはいえ共和国軍部隊と交戦してきていたため、それなりに損害を負っていたのと、
シヴァ関係のスタッフがゾイドに乗って実験場まで来ていたのが思わぬ形で功を奏したのとで、何とか撃退できた。
博士が走り去っていったときから経った時間を考えると、シヴァからも救われたようだ。
とてつもない危機と、それが去っていったということが、なんだか遠い世界の出来事のように感じられた。
突然、わかった。
何故自分がこの計画について教えられた最低限の情報以上のことを知りたいと思わなかったかが。
そうか―そういうことだったのか。
なんだか明るくなってきた。これが死者の見る光というやつだろうか。
「…ママ…」

ニックの体は、ゆっくりとその活動を止めた。


161 :
「…完璧なECMをしたディガルド軍部隊の襲撃があったそうだな」
「やはりあのソラとかいう連中の協力だろう」
「他に考えられまい。まああれの目的からすれば当然の反応と言えば当然の反応だが」
「確かにそうとしか考えられんとはいえ、あくまで状況証拠しかあるまい。
 関与を追及されても、そう言い逃れられると言う腹だ」
「状況証拠しかないという言い逃れは、我々もしておるじゃないかね。
 あれがギルベイダー―連中はギルドラゴンとか呼んどるらしいが―の脅威に対抗するための抑止力だということに関して」
「左様。いずれにせよ、今回の件で連中があれに脅威を感じていることが確認できたわけだ。
 あんなものはどうせものにはならんだろうが、連中が脅威を感じているという事実があればそれでよい」
「その通りだ。ところで、あれの参考にしていたゾイドは本国にあるのだったな」
「ああ。生命力と再生能力の強すぎるゾイドというのも考え物だな、折角機密保持のために自爆させたものを、
 生き残って部分的とはいえ再生してしまうものもいるとは。我々も教訓にせねばならん。
 もっとも、崩壊させるのが前提のものにしか使えん程度の情報しか引き出せないレベルではあるが」
「そのゾイド…名は何といったかな」
「あれの名はデスス―」


162 :
終わりました。ろくすっぽゾイドも出てこない変な話をだらだら書いてすみませんでした。
あいつら出そうかとも思ったんですが怒られそうだからやめました。
では。

163 :
「俺とリリは右、残りは左だ。そっちにゾイドが隠してある。
集合地点はカイン経由でもうそれぞれの機体に送信済みのはずだから、それを頼りに。
…死ぬなよ!」
フィルさんの簡潔な指示に従い、左に折れる。言った通り、皆の機体がいた。
急いで乗り込み、アイドリングしたままだった機体をもう一度起動し、集合地点を確認。
「ルディアス」
いきなりブラックさんから通信が入る。
「私とエルデはフィルとリリの援護に向かわせてもらう。大丈夫だな?」
「ダメって言っても意味のない聞き方ですね」
まあ、恐らく余程のことがない限り大丈夫だ。
いざとなったらヴィーラさんもいる。他力本願は不本意だが、機体が機体だから仕方がない。
それに、ブラックさんは傭兵だ。俺に構わせてばかりというわけにもいかなかった。
「今回のクライアントは俺じゃないですし、別に止めませんよ」
「分かった。何かあったら連絡を頼む」
言い終わるが早いか、サイクスと共に全速力で飛び出していく"V"。
それを見届けてから、機体―キラードームを発進させた。
そしてカニを守るような位置取りで、ヴィーラさんのジェノブレイカーが続く。

164 :
「ったく、煽動されちまいやがって…」
リリのラプターグイがフリージングブレスで相手の動きを鈍らせ、
ブラックさん達がその隙を突いて攻撃をかける。
バイオじゃないゾイドは俺が基本的に受け持つことにした。
ミサイルの嵐を一部はかわし、一部はヘルファイアーで落とし、残りをヘルアーマーで受け、反撃する。
しかし初めから反撃が計算に入っているのか、予定されたかのような一糸乱れぬ動きで回避してきた。
「なるほどな、この戦い方は勉強になるわ…」
さすがは本格の軍隊だ。この緊張感は討伐軍はおろか、ディガルドでも出せないだろう。
しかしヘルアーマーのおかげで大したダメージは受けないから、大胆に攻めていける。
それが何よりありがたかった。
「いいぞいいぞ、もっと撃ってこい」
そして戦いながら、じりじりと後退する。
あらかじめ目標に背を向けた状態で戦闘に突入していたから、
必然的に、相手には逃げているようにしか見えない。そうでなくてもどっちか分からない。
討伐軍の人達も援護してくれたおかげで、やがて乱戦に紛れ込むことができた。

165 :
後はこちらのものだ。
「ブラックさん!そろそろ逃げますよ!」
機体を反転させ、全速力で離脱する。
ブラックさんがそれに続き、リリが的確にフリージングブレスを放ちながら後ろを守る。
最後にカインが、追いすがってくる敵機体を電磁ネットと煙幕で足止めしながら追い付いてきた。
「エルデさんは?」
カインに聞いてみる。
エルデさんはステルスをつけっぱなしで戦うため、通信が来ないと所在が分からないのだ。
「ルディアス君の方に向かうって、言付けがあったぜ」
「そうか…」
まだいたら、そうするように頼もうと思っていたところだった。
いくらルディ君とミーナ嬢でも、やっぱりカニだと思うと戦力面で心配がある。
「じゃあとりあえず、集合地点ヘ向かいましょう。と言っても、俺の部隊の野営地なんですけどね」

166 :
しかし、なんであんなのを足にしたんだろう、このカニは。
キャタピラがついているから、多少の悪路も気にせず進めると言うのに。
人工的な部分は、なるたけ使いたくなかったのだろうか。
「…そんなわけないか」
そんなことを考える余裕があるくらい、共和国兵が駆るラプターの動きはダメだった。
まるで手応えがない。
音速に目が慣れている身で言うのもなんだが、別に遅くはない。
ただ、何と言うか、「戦う」方面の意志がまるきり感じられない。
そんな状態で繰り出される攻撃では当たる気もしないし、
例えバイタルエリアに直撃したとしても撃破される気もしなかった。
隙があったらハサミをぶつけて吹っ飛ばし、口が開いていたらそこにハサミを突っ込んで頭を吹っ飛ばす。
ヘルファイアーや実弾攻撃はレーザーファランクスで撃ち落とし、ビームの類いは必死に避ける。
俺がやっているのは、基本的にこれだけだ。なのに、皆喰らってぶっとばされていく。
ハサミを受け止めるやつもいるにはいるが、
「残念、左がまだあるんだよ!」
―これであえなくダウンである。これは何かのギャグか?
おかげで、いつのまにか追撃していたやつらは皆いなくなってしまった。

167 :
>>145,147,148
ジーンが一人で機械兵の生産・整備・補給なんかをやってたはずはないし、
軍の相当偉いさん(少将→中将)のザイリンが機械兵の実態を知らなかったことを合わせて考えると、
機械兵関連は独立性と機密性の高い組織が一手に担ってたのかもしれない。
そんなこと考えて以下ちょっとばかし。

168 :
母は私が12のときに死んだ。
 姉は私が13のときに死んだ。
 妹は私が16のときに死んだ。
 皆同じ病気だった。
 私は医学者になった。病と、そこから生まれる悲しみから人を救いたかった。しかしまだまだ我々の医学は無力だった。
 そのうち、私は医学者としてそこそこ注目されるようになってきた。そんなある日、私はディグへ召喚を受けた。
そして、ディグで、ソラから提供された医学上の知識や技術を、ディガルドにおいて効果的に利用するためには
どのような体制をつくったらよいかを考える研究会に、医学の面から考えるメンバーとして加わることになった。
 ソラから提供された知識や技術はそれは優れたものだった。
それこそ、私の願いを一気にかなえてくれるという錯覚を起こさせるほどに。
だが、そんなことは甘い幻想に過ぎないということは、すぐに思い知らされた。
ソラから提供された知識や技術により、それまでは救えなかった多くの人たちを救うことができるようになった。
それは事実だ。微塵の違いも無い動かぬ事実だ。
しかし、人は人なのだ。全能の存在にはなれぬものなのだ。
あのソラの知識や技術をもってしてもなお、治せぬ病、癒せぬ傷、救えぬ人々がいると言う事実が、
よけいにそれを私に悟らせた。

169 :
思えば、あれが運命の導きというものだったのだろうか。
子供ができた―それがわかったとき、私はどんなに幸せだったか。そう、本当に幸せだったのだ。
だからこそ恐ろしかったのだ、あの忌まわしい運命が、あの冷酷な運命が、
また私の愛するものを奪っていくのではないかという予感が。
 そして私はこう持ちかけられた。
「人の魂を機械に移植して、病や傷から永遠に人を救う研究をしないか」
と。

170 :
私の研究は極一部以外には隠された。
人々を救うためとはいえ、途中の段階で人を死なせることもあり得るし、うまくいく保証も無いのだから、
反対によって頓挫する可能性を考えれば当然だった。
 研究の途上の成果が、機械兵というバイオゾイドを動かす兵士をつくるのに利用されていることは、
いつも私の胸に重く澱んでいた。
しかし、研究のための十分な資金は、この軍事への貢献無しでは得られなかった。
それに、ディガルドが世界を統一して平和が訪れれば、死者や負傷者は大きく減ることになる。
軍への貢献は、そのときの到来を早めるのに役立つ。
私は、そう信じていた。
 終わりは、いきなり訪れた。停戦、そして武帝の敗北、反逆軍と共和国軍の勝利。
私を含む、機械兵に関わる組織の人間は、共和国軍によって軍事裁判に掛けられた。
 私は、人を救いたかった。
 私は、愛するものを失いたくなかった。
 それだけだったんだ…


171 :
クロイツ・シェンマルク
 機械兵の製造に医学的な面で携わる。
軍事裁判においての彼の証言は、きわめて自己中心的な主張が多く、
罪を犯しているという自覚に乏しかったことが覗える。
自己を正当化し、それを信じ切っていたことは、自らの行動を隠すことなく証言し、
また、証拠となる物品等を処分していなかったことからも裏付けられる。
機械兵の生産に携わり、またそれを強力に推進するという、
人間の生命と尊厳に対する重大な犯罪を犯したことにより
銃殺刑に処される。

172 :
>>167
軍事裁判なんて普通じゃんとか一瞬思った
そうか、共和国軍が入って来たから"軍事"裁判なのか
スゴイとこ突っ込んだな
GJ

173 :
イヤ、戦勝国が敗戦国の重鎮とっ捕まえて、ムリヤリ自国の法律、法廷感覚で
裁判沙汰にして極刑にしちゃうのって、どこぞの合衆国の所業だからね〜。
イマイチ世界観と噛み合わない感じがするぞ。

174 :
「いやいや、小さいのに強いね。感心感心」
いや、俺に向かって言われても。しかも不満丸出しな顔で。
エルデさん、さっきから「駆け付けた意味がない」だの「認めたくない」だのと呟きっぱなしだ。
気持ちは分からないでもない(俺も自分が操縦していたにもかかわらず似たような気分だ)けど、
はっきり言って俺にあたられても困る。
俺は呼んでないし、ブラックさんがああ言ってたから期待もしてなかった。
「全く、これじゃどっちが守ってたんだか」
ヴィーラさん、お願いだからその殺る気がひしひし感じられる視線を引っ込めて下さい。
…だから俺に言われても困るんだって!俺は頑張っただけなんだから!
傍目には両手に花、その実態はゲヘナもかくやの視線地獄。
集合地点に向かうまで、俺はずっと祈っていたように思える。

「…そうか。こっちとしても、それがずっと気になってたんだ。安心したよ」
カインさんが連絡しているのは、討伐軍の人だろうか。
集合地点は、フィルさんの野営地だった。俺はキラースパイナーの一件で来たことがある。
あの時は連れて来られて事情を聞かれて帰されただけだったからあまり分からなかったけど、
こう改めて見てみると、フィルさん結構大所帯。

175 :
グスタフ三機なんて、そうそう見られたもんじゃないと思う。
「討伐軍の人達も、全員撤退を完了したそうだぜ。死傷者もゼロだ」
ほっとした顔で、カインさんが結果を告げる。
「そうか、よかった。後で御礼言いに行っとかないとな」
どうやら作戦は成功らしい。よかったよかった。
「…で、だ」
言いながら、タバコに火をつけるフィルさん。首尾よく逃げ切れたはいいけど…と不安そうだ。
「俺とリリは脱走兵扱いだろうし、その他ゾイド乗りの皆さんもただじゃすまないだろうな」
下手すりゃ村総攻撃って事態にもなりかねんわな、と紫煙を吐く。
「…まあ、ディガルドにそこまで義理あるわけじゃないし、気使うこともないか」
「そうですね。元々ディガルドの肩書きも押し付けられたモノですし、」
フィルさんの言葉に答え、指笛を吹くリリさん。
数秒後、俺達全員の姿が影に飲み込まれた。
「…お?」
見上げると、白い体躯に蒼い翼の竜。
一つ二つ羽ばたき、軽く地を響かせて降り立つ。
エールさんから写真を見せてもらったことがある。確か、デカルトドラゴンと言ったか。
「この際きっちり捨てちゃいましょう。隠す必要性だって、もうありませんから」

176 :
>>173
パル博士はー?

すまん、演出上必要かなと思ったんだ

177 :
「その機体カラー……お前達…ソラノヒトだったのか?」
ブラックさんが、いつになく驚いている。
「私は…てっきりソラと繋がりがある程度だと思っていたんだが…」
「聞かれなかったから答えなかっただけですよ。そう驚く事でもないでしょう」
所詮俺は俺ですし、と二本目に火をつけるフィルさん。
「まあ、今じゃソラノヒトであることを証明するものなんてこいつくらいしかないんですけどね。
あそことはもう絶交に等しいし、普通に村作って住んでる身だから」
遠い目で空を見上げるフィルさん。
その目には、何が写っているんだろうか。少し気になった。
「村を作った、って…それは」
「言葉通りですよ。ジェネレータ修理して、家作って畑耕して。ついでに地下プラントも」
プラントって…工廠のことだろうか。
聞いてみたら、「うん」とあっさり肯定されてしまった。
「もとはレッゲルを環境の維持にも使えないかなっていう発想から作り始めたものなんだけどな」
いつの間にか小さい工廠一つ動かせるくらいにまで発展しちまってさ、とのことだ。
ソラ、恐るべし。
「大変だったろう?」
エルデさんが口を開く。
「一から村を作るなんて、生半可な気持ちでできることじゃない」

178 :
いつになく真面目な口調だった。いつもこの話し方でいてくれたらいいのに、とも思う。
「私も村を作って住んだ口だけど、ジェネレータ自体は初めからきちんと稼働してた。
それでまともに暮らせるようになるのに半年かかったんだから、そっちの場合はもっとでしょ?」
「…二年です」
フィルさんの答えにうわあ、と顔をしかめるエルデさん。
「そりゃご苦労様」
「最初の三ヶ月は特に最悪だった。生き地獄って言葉は、まさにあの状況を言うんだろうな。
毎日の食うものにも事欠いて、その中で成果の出ない努力に精神擦り減らして」
おかげでずいぶんと鍛えられたけど、と苦笑して、細長く紫煙を吐く。
「そんな世界にわざわざ飛び込んだのは、どうしてなんだ?」
とブラックさん。フィルさんは、事もなげに答える。
「何も知らなかったんですよ。あの頃は反抗期の真っ最中で、とにかく何にでも逆らった。
平和ボケしたソラへの反感や絶望もあったし、マンネリ化した日常への不満も、
こんなモノを作れるほどの文明が地上には今、そうでなくても過去にあるはずだっていう興味もあった。
とにかく、ソラを出たかった。ソラを出れば何か変わる、そう信じてたんです。
…でも、それが甘かった」

179 :
すごい遍歴だ。初耳なのもあいまって、ただただ驚くばかりだった。
「まず、仲間誘って降りてみたらいきなりこの有様ですよ。初めは全然信じられなかったですね」
「ソラのことはよく知らないが…そこまで驚くほどの違いがあった、と考えればいいかな?」
「そうです。そのくらいで留めておいた方が無難でしょう」
もっと何かあるらしい。恐かったので、俺は聞かないことにした。
「常識は通じないし、誰にも助けを求められないし…ほんとカルチャーショックでした。
今まで楽園で暮らしてきたから、何かを考えるってことがほとんどなかった俺にできたのは、」
紫煙を吐いて、また言葉を継ぐ。
「ひたすら汗流して働くことだけだった。俺、もやしな割に体力だけはありましたから」
おかげでこの体ですよ、とちょっと笑う。
確かに、フィルさんは服の上からでもおぼろげながら分かるくらい鍛えられた体つきをしている。
ディガルド内で鍛えてたのかな、と思っていたけど、まさかそんな事情があるとは。
「このタバコ、実は自家製なんですよ。努力を形にしようってひたすら考え抜いた結果。
かっこよく言えば努力の結晶かな」
次のフィルさんの言葉に、俺はさらに驚かされた。

180 :
>>176
>パル博士はー?
これが「バル博士はー?」に見えて考え付いたネタを投下。
このスレの一般的なSSの時代の未来の時代の
あるホームページの歴史上の人物紹介コーナーに書かれている文章、というイメージで。

181 :
はい、いつも男前な人生を歩んだ人達をご紹介しておりますこのコーナー、
今回は少し趣向を変えまして、あるマッドサイエンティストを取り上げたいと思います。
知る人ぞ知る(そして知らなきゃよかったと思う)、機械化に命を掛けた男、
ゲオハルト・カン博士です。


182 :
 ゲオハルト・カン、機械兵計画という人類の一大愚行に深く深―く関わった人なわけですが、
まずこの人、歴史に名前が出る前にどこで何してたかさっぱりわからない上に、
このゲオハルト・カンと言う名前だって本名かどうかはっきりしていないという
ステキ経歴の持ち主です。いきなり香ばしいですね。
出自に関しては、
機械兵の開発という、高度な頭脳を求められることをしていながら、
ディガルドの高度教育機関に在学していた記録が無いことから、
ソラシティーから来た科学者ないし技術者だったと言う説と、
ソラシティーはディガルドと協力関係にあったとはいっても、
ディガルドがあまり強大になりすぎるのは望んでいなかったため、
独自発展につながるような科学者・技術者の派遣はしなかったはずなので、
独学で教養と知識を身につけたディガルドの人間だったという説があります。
どちらが正しいかははっきりしていないのですが、一つはっきりしていることがあります。
それは、ソラシティー出身説を採っているのは旧ディガルド側の人間で、
ディガルド出身説を採っているのは旧ソラシティー側の人間だということです
(気持ちはいやというほどわかります)。


183 :
 さて、この人にはある目標と言うか哲学のようなものがありました。
それは、「進化というものを人間が合目的的に行わせる」というものです。
これは、彼の思想(もしくはキ○ガイであるゆえん)からきています。
カン博士は、進化は、神が生物を新しい状況にあった能力を発揮できるように作り変えているのだと考えていたようです。
そこで人間に目を転じますと、生物を品種改良などで性質を変えることはできますが、
例えば鳥が空を飛べるようになるようなきわめて大きな変化は起こせませんし、
自然の進化は人間の寿命に比べるとあまりに長い時間がかかります。
博士は考えました。
そしてひらめいてしまったのです。
生物の体の進化に時間がかかりすぎるなら、体を機械にしてどんどん新型にしていけばいいじゃあないかと。
実際、人間だけではなく生物全体の機械化が彼の目標だったらしく、
他の機械兵開発の関係者は人間とその実験のため哺乳類だけを対象としたのに対し、
カン博士は軟体動物から昆虫、さらには植物まで実験対象にしていました
(もっともこれは予算が許可されず、与えられた正規の予算からごまかして資金を得ていたようです)。
で、なんでそんなことをしようとしていたのかといえば、博士の考えでは、
それを成し遂げることで人間は神の力をひとつ手に入れ、完全な神へと近付ける、いえ、近付かねばならないからでした。
なんかもうキてます。
人間を改造しようとするなら、改造によって人間の能力を高めて神になろうとするもんなのがフィクションの定番ですが、
彼はそうはしようとしなかったのです。“完全な神に”なるという言葉からもうっすらやな予感が感じ取れますが、
どうも博士は「人間が神になる」とは、「猫が魚になる」というような「変身」のようなものでもなく、
「イモムシが蝶になる」というような「変態」のようなものですらなく、
「子供が大人になる」というような「成長」のようなものととらえていたようなのです。
あくまで“完全”ではないだけ、っつーことです。まったく大したイカレ野郎です。
それで、人間に「バイオゾイドを動かす」という「新しい状況にあった能力を発揮」させる
機械兵の開発に従事していたのです。

184 :
 こんなマッド街道一直線なカン博士でしたが、やはりというか壁にブチ当たります。
それは、「肉体の機械への置き換え」という手段を使ってもなお、博士の目標である
「全ての生物を任意の方向へ人為的に進化させる」ということには時間がかかりすぎることです。
ここで、普通なら(神になろう、っつー時点で十分過ぎるほど普通じゃないんですが)
「やはり人間は神にはなれない…」とかなってくれるものですが、博士は違いました。
さすがです。(マッド)サイエンティストとして歴史に名を残す人間は(イカレ方が)違うのです。
博士は、目標達成のための時間を長く取るため寿命を延ばす機械化を実現させ、
さらに手分けして同時進行的に行うため同一人物の魂を持つ機械化人間の量産をも実現させようと考えたのです。
博士の目的からいってもし実現したら自分がその機械化の対象になると思いますが、
「「自分」が「自分」の他にもたくさんいる」という事態になっても平気なんでしょうか
(平気どころか目的が早く実現できると喜びそうな気がするのがコワイところですが)。
こんな「名案」を思いついた博士、さっそくディガルドの最高権力者である武帝ジーンに認可と予算の配分を求めにいきます。
どうも博士、ジーンも「神」になることを目指してる以上進んでこの計画を推進させると思ってたみたいです。
しかし「神」になりたいっつっても、
あくまで「全てをその手中に収めた存在」というような意味での「神」になりたがっていたジーンは、
「なんでもかんでもできちゃう存在」という「神」になりたがっていたカン博士よりはマトモでした
(神になりたいっつってる人間が比較的という意味であれマトモに見えるっつーのは
トンデモない次元に到達しちゃってますが)。
こんなイカレたコト抜かすカン博士をさすがにやっかいだと思ったのか、それともヒいたのか、
博士を冷遇するようになります。暗殺も考えていたようです。
しかし、勘が鋭いのかなにか受信したのか(受信体質だったのは間違いないと思いますが)
博士は上手く中央と距離をとったため、実際的な被害は受けずにすんでいます。

185 :
 そんなこんなでイカレっぷりを遺憾なく発揮していたカン博士ですが、彼のディガルドでの目標追及にも終わりがやってきます。
そう、停戦とディガルド討伐軍・共和国軍の勝利です。
機械兵に関わっていた人間は次々捕らえられていましたが、ここでもまた鋭い勘が働いたのかなにか受信したのか、
カン博士は共和国軍の追及の手が伸びる前に姿を消していました。
厳しい捜索にもかかわらず見付からなかったカン博士ですが、その最後はあっけないものでした。
ある国の旧大都市の復興作業中の事故に巻き込まれて、一人の行商人の男が死んだのですが、
その男の身元を調べていくうちに、なんとその男がカン博士だったことがわかったのです。
あちこち転々として、身元が知られていなくても不審に思われないという理由で、行商人となっていたようです。
博士の所持していたグスタフは念入りに調べられました。
ここでさらなる機械化の実験に使っていた品が見付かることを予想(期待?)してしまうところですが、
実際には行商と生活に必要な品以外に見付かったのは、大量の民族楽器だけでした。
最後までわけのわからない人だったようです。


186 :
 その後の調査でわかったことですが、行商人をやっていた期間中、
カン博士は特に自分の正体を隠していなかったようです。
それどころか、むしろあちこちで自分がゲオハルト・カンであることを言い触らしていました。
こんなことしてたんではすぐ見付かってしまいそうですが、実際は死ぬまで見付かりませんでした。
どうも本人が自分からこんなこと言うワケは無く、ただのおかしなヤツだと思われていたようです
(「おかしなヤツ」は本人に当てはまっていますが。「ただの」はぜんぜん違いますが)。
意外なことにカン博士はぱっと見はごく普通、むしろとっつきやすそうに見えたらしく、
特に客から避けられるということもなく、商売はぼちぼちだったようです。


187 :
 こんな感じで一生を終えたカン博士ですが、このテの人に付き物の
「実は生きてた」説がごく一部にですが根強くあります。
裏でカン博士は共和国軍に実験データを渡し、共和国軍内部で密かに研究をしていて、
見付からなかったとか事故で死んだとかいうのは共和国軍の工作だというものです。
この説を信じる人のあげる根拠は、
身元がはっきりしないのが付き物である行商人の身元を調べて、
またそれを突き止めたというのは不自然だという比較的マトモなものから、
自分がゲオハルト・カンだと言い触らしていたのは共和国の用意した影武者で、
カン博士は確かに行商人をしていて確かに死んだと思わせるための工作だったという陰謀論くさいもの、
カン博士ならあんな事故に巻き込まれて死ぬハズがないという
お前らアイツを何だと思ってるんだと言いたくなるようなものまであります。
最後に、こうした「カン博士は実は生きてたんだ説」を信じている人たちの間で伝えられている
エピソードをご紹介してカン博士の話を終わりにしたいと思います。
 共和国軍で極秘裏に研究をするようになったカン博士ですが、
ゾイドは生命体の中心となるコアを人工物のボディーに移植してつくられています。
共和国軍の人たちはそれを知っていたわけですが、
あるとき、ある共和国軍の人が、からかうつもりだったのか皮肉るつもりだったのか、
カン博士にこんなことを言いました。
「いや、生命の中心となるものを作り変えのできる機械の体に移し変えて
 進化を人の手で行うというのがあなたの目標だったわけですが、
 似たようなことがすでに大昔に実現していたんですなあ」
その言葉に、カン博士はこう答えたといいます。
「ふむ、ゾイドコアを持つ生物については確かにある程度はできている。
 しかし、生命活動の根幹を自由に変更するところまではいっておらん。
 それにゾイドコアのような構造を持つ生物は宇宙の生物全体の中の一部だろう。
 知らないうちに達成されていた部分があることがわかったのはうれしいが、まだまだ先は長い。
 気は抜けんよ」
…確かに言いそうではある。
それではまた次回。

188 :
やべぇ、ハゲワロwww
この手のギャグネタをこの前提でやるとは
最高だ、GJ!

189 :
もしかして、博識なのもその辺りに事情があるんだろうか。
「…だからこそ、俺はあいつらが許せないんです。自分で考えないで、間違った方向に努力して」
言いながら、グスタフの方に歩いていく。
「とりあえず、デカいもん撤収しといてくれ。小さいもんは話が終わったら俺が片付ける」
「了解です」
何を思ったか、話のついで的な調子で野営地の撤収を始めちゃったフィルさん。
「あれ?…どうするんですか?」
その理由は、
「一旦、カインが人呼びに行ったっていう村へ移動する。
野営地張ってちゃバレバレだからな」
とのことだった。

「…おいおい」
また戻って来ちゃったよ。
この状態でどう村へ戻ろうかと思っていたら、いつの間にか昨日一泊した村だった。
「驚くことじゃないさ。村といってもそう数が多いわけじゃないし、これくらいはよくある」
とはエルデの言である。全く、分からないものだ。
少なくとも、この世界はとんでもなく狭い。そう後ろめたいことはできないようだ。

190 :
「あんたがたは…」
驚きを隠そうともしない村の人達。
そりゃあ大小様々ゾイドがこんな数で徒党を組んでやってきたら、驚かないはずがない。
そうこう考えているうちに、皆さん自己紹介を始めてしまったようなので(私ことヴィルヘルミナ含む)、
この際だから全員の名前と搭乗機体を確かめておくことにしよう。
順不同かつ敬称略だが、ご容赦願いたい。
ルディアス・ユーカー、愛称ルディ。自称トレジャーハンター、機体はカニことキラードーム。
フィル・ボルト。元ディガルド軍、ソラノヒト。ヘビースモーカー、機体はジェットファルコン。
リリ・イーサ。肩書きはフィルに同じ。ショートカットの眼鏡っ娘、機体はデカルトドラゴン。
ブラック・シーク。傭兵部隊"ファントム"隊長。ナイスダンディ、機体はレオブレイズ"V"。
エルデ・タスカー。"ファントム"所属。皆がうらやむナイスバディ、機体はライトニングサイクス。
カイン・ノヴァーリス。肩書きはエルデに同じ。不言実行、機体はシャドーフォックス。

191 :
ロック・フェビアン。元ディガルド軍。見た目からでは年齢判別不能、機体はグスタフ一番機。
ノア・セリア。肩書きはロックに同じ。ロリっ娘、ロックとグスタフ一番機の乗員を務める。
アスティ・カーチス。肩書きはロックに同じ。本が読みたきゃ彼に言え、機体はグスタフ二番機。
リン・ゴート。肩書きはロックに同じ。暇を見つけては地質調査、アスティとグスタフ二番機に乗る。
キリル。姓不明。肩書きは以下略。炊事係・技の一号、機体はグスタフ三番機。
アラン・ペリシテ。肩書きは以下略。炊事係・力の二号、キリルと三番機に搭乗。
そして私ことヴィルヘルミナ・デ・スフォルツァ。機体はジェノブレイカー先行試作型。
周りには言ってないけど、ガイロス軍大尉。ある意味お嬢様。
…とまあ、こんな具合である。はっきり言ってくせ者揃いだ。ちなみに自分含む。
機体も、見たことのないものばかり。辛うじてグスタフは分かったが、
他はエルデに教わらなければ分からなかった。
どうやら、恐竜型がほとんどいない代わりに別の機体に関してはかなり進歩しているようだ。
こんな世界で暮らすのか。
……何か楽しくなってきちゃったよ。

192 :
その日の夜。
俺ことルディアスは、村の傍らに張られた野営地を訪れた。
どこの家の部屋を借りるかという話になった時、元ディガルドの人達はそれを辞退したのだ。
「村に納まりきらないから」と理由を話していたが、本当の理由ははっきりしている。
そうしてやらなきゃ、村の空気が荒む可能性が高いことは目に見えているからだ。
「フィルさん」
フィルさんは、ちょうど独りでタバコを吸っているところだった。…おあつらえむきだ。
「おう、こんばんは。どうした?ジョークならエルデさんに吹っかけた方が楽しいぞ」
振り向いて片手を挙げるフィルさん。
「あいにくジョークはドクターストップ喰らってるもんで」
「そうか。そりゃ残念だ」
吹っかけたら押し倒されたことは黙っておくことにした。
…今は、そんな事を話しに来たわけじゃない。
「……気遣いは、無用だぞ」
と。
唐突に。しかし、話す前から分かり切っていた答えが。
突然に、しかし予想通り返ってきた。
「…やっぱり、分かりますか」
フィルさんは、笑っていた。強がりでも、意地でもなく、本当に普通に。
「顔見りゃ分かるよ。話し合いの時だって、お前はこっちをしきりに気にしてたしな」

193 :
驚いた。何も考えていないような顔をしていながらも、実際はきちんと見ているということか。
「言ったろ、俺の過去。……茨の道は、通り慣れてるんだよ」
紫煙を吐きながら、なんでもないように言う。
「元々覚悟はしてたしな。それに、今回はお前らもいる。俺には、それで充分だ」
貧乏なのに慣れてるだけかも知れないけどな、とちょっと茶化してから、
「昼のヘリック兵の言葉、覚えてるか?」
そんな事を聞いて来た。
「ええ…」
軍というだけで存在を全否定される。誰も、自分達の存在を認めてくれない。
確か、そう言っていたはずだ。
「お前なら分かるだろうけど、俺達はずっとその役回りを務めてきた。
あんなのは、とうの昔に経験済みだ。俺やリリは言うに及ばず、あいつらもな」
要するに、このくらい痛くもかゆくもないから心配いらないぜ、との事らしい。
「俺としては、村の人達が名前をちゃんと呼んでくれただけでも、御の字なんだよ」
―初めに聞いておきたいんですけど。名前、教えちゃもらえませんかね?
不意に、昼のフィルさんの言葉が頭に浮かんだ。…なるほど、納得だ。
「この時間だと…ルディ君、飯まだでしょ?」
「あ、はい」
「ちょうどいい。食ってけ」
「…はい?」

194 :
「ご馳走様でした」
「また食いたくなったら来てくれよ」
「はい、ぜひ」
ミィーティングの時刻が近くなったので、フィルさんと村へ向かう。
「いや、豪快な飯だったわ…」
キリル君とアランさんの見事なコンビネーションによって作られる料理は、
味や量だけではなく見応えも充分だった。
「食材さえあればいつでもあれやろうとするのが玉にきずなのよね…。うん」
とはノアさんの言だ。
「たまにしかないからよかったけど、しばらくはあれ毎日やられると思うともうね…。うん」
ちなみに、「ちゃん」付けしたら思いっきり泣きそうな顔されました。
どうやら、幼い外見に相当のコンプレックスを抱いているみたいです。
と。
「……?」
立ち止まる。
かすかな違和感。…なんだろう。
「どうした?忘れ物か?」
辺りを見回す。特に目新しいモノはない。耳をすませる。風の音に交じって、かすかな震動音。
そうと気付いてからは早い。体が、震動を感じていることが理解できる。
「…来てますね」
「来てる?何がだ?」
「恐らくゾイド…それもかなりの大型…」
音の聞こえ方から考えて、方向は…
「これは急いだ方がいいですね。村の方に行っているみたいだ」

195 :
今日の話で
ゲオハルト博士やクロイツ博士の同僚と思われる
黒ローブの幹部がいたな

196 :
ネーミングセンスに脱帽>>黒ローブ

197 :
キラードームに乗り込み、レーダーを起動する。「……」
大型ゾイドを示す点が一つ、村の方向へ直線軌道で動いている。
そして、さらにそのかなり後方。
「これは護衛か?それにしちゃ後ろの方走ってんな…」
それの二倍近い速度で、点が七個。これまた大型ゾイドと同じ方向へ動いていた。
フィルさんは護衛かと疑ったが、俺はそうは思わない。なぜなら。
「でも、大型が大きく先行する陣形なんてあるんですか?」
「知らん。もしかしたらヘリックにそんなのが…いや、ないか。腐っても本格だしな」
トリケラだって、先頭に出ることはあっても先行するってのはないしな、とフィルさん。
「となるとやっぱり、逃げてるって線が、有力になってきますね」
俺は、初めからそう見ていた。
こんな巨体をこんなスピードですっ飛ばすなんて、夜襲にしては不用心すぎる。
「それだったら助けに行かないと。これじゃいずれ追い付かれちまうよ」
「大丈夫です。速度から単純に考えて、まだ時間の猶予はあります」
言いながら、素早く数値を頭の中に打ち込んで計算していく。
「点の動きから考えて、スピードはおおよそ100キロ。
このまま直線を維持したとして、村まで到達するのに、長く見積もって15分です」

198 :
「ってことは?」
「…10分ですね。それだけ追っ手が抑えられれば、恐らく大丈夫でしょう」
「じゃあ俺とリリで抑えよう。割り込むのは早い方がいいしな」
「デカルトもファルコンも空戦用ですけど、野戦の夜戦って、大丈夫なんですか?」
「大丈夫だと思うぜ…と言いたいところだが、出来ればファントムの援護も欲しいな」
「了解です。村には俺から事情を話しておきます」
「オーケー。…あ、最後に一つ」
「何でしょう?」
降りかけて振り返り、フィルさんは真摯な目で俺を見て、言った。
「信じて、いいんだな?」
「……意地悪な質問ですね」
俺は、頷くだけでそれに応えた。
「こっちに大型ゾイドが逃げて来てるだと?」
「ええ。フィルさん達が追っ手を抑えに向かってます」
「分かった、援護に出よう」
ブラックさんはそれだけで分かったようで、すぐにファントムの面々を連れて出て行った。
「そういうわけなんで、ゾイドありったけスタンバってもらえますか?」
呼びかけに応じ、にわかに活気づく村。すんなり話を理解してくれた事を考えると、
どうやら誰かが既に説明していたようだ。
「何のつもりなの?」
ヴィーラさんが出がけに聞いてくる。
「パーティの飛び入りの、歓迎の準備ですよ」

199 :
>>739
緊張感が途切れないのはさすがだな、gj
だが、技の一号ってw逆だろwww
ギャグか?意図的か?釣りなのか?
釣られたオレクマー

200 :
ちょっとは554氏の事も考えてやれよw
トータル人数何人になるんだよこれw

201 :
つかさ、いまさら登場人物増やしてどうなるん?
TVも終わるのに。

202 :
>TVも終わるのに。
って状況にある中で、「こんなこのスレの終わり方はいやだ」ってのを考えてみた。

203 :
・集結した共和国軍と討伐軍の前に、バイオティラノがその巨躯を現した。
 まずい… ヤツにはあの「神の雷」がある。相当以上の損害が…
 ん?誰かバイオティラノに駆け寄っていく。でっ!あれって…
 俺がそれが誰かに気がつくのと殆ど同時に、そいつはコクピットからジーンの大将を引き釣り降ろした。
 よし、よくやったぞマイク。今度誤魔化してウルトラの…
 ってマイク。何故そのままコクピットに入る?そして何故射撃体勢をとらs
 世界は、「ポチっとな」の声に消えた。
・ゲオハルト・カン博士、同一人物の機械化による量産を実現させる。
 ジーン、ゲオルグ、カン博士、 大 量 発 生 。
 ディガルド武国、最高権力者同士の権力争いという心の底から意味不明な現象により、自壊。
 大量発生したヤツラは放っておくと何しでかすかわからない連中だし、何よりキモいので
 討伐軍と残りのディガルド兵、戦争そっちのけで和睦、駆除に乗り出す。
 「よーし、ジーン一匹捕まえたぞ」
 「気を抜くなよ、ジーンは一匹見たら三十匹はいるぞ」
このネタもう一つ考えたんだが、アズサ少尉とクロベエが直接の描写は殆ど無いけど出て来るんだよなあ。CDKBUzTs氏がアズサ少尉とクロベエの出演許可出してくれたら書きます。お願いできませんでしょうか。短いですか。


204 :
 で、真面目な話、ジェネシス終わったらこのスレどうなるんだろう。俺が考えてみたのは
・各職人さんがジェネシスの中でも(番組中の時代の過去・未来を含む)好きな時期を切り取って継続
 (一番無難だし理想的?歴史物とか終わっちゃった番組の二次創作とかはこういう形だし)。
・戦後の設定でやる。復興の様子とか、混乱とか、共和国軍と討伐軍が対立するようになったとか。
・このスレでは、番組内と歴史が分岐、戦闘が継続していることにする
 (共和国軍に潜在的脅威を感じたソラがディガルドと手を結んでいた、とか)。
・鉄竜騎兵団ないしはガイロスの皆さん団体さんでご到着。
 各陣営、バイオゾイドを使用するようになり、いっそう熾烈な争いを繰り広げてゆく。
・共和国軍、また時空移動。今度はまた違うゾイドの世界へ。
 討伐軍とかディガルドの人とかソラの皆さんでも時空移動に巻き込まれちゃった人達アリ。
こんなとこ。

205 :
好きな時期切り取って継続するのが一番いいんだろうなぁ
もともとパラレルワールド的な話であるわけだしな

206 :
ふと見たらなんか議論の空気だったので
オレも解決策を提案
板違いくさいけど、チャロンみたいにやればいいんジャマイカ?
(共和国やガイロス、ゼネバスの基本戦力は上陸作戦段階って前提の中で自由にやるってこと)
別にテレビの進行に合わせてリアルタイムで戦況が変わるんじゃなし
そのような話を書いていくスレでもないんだし
真面目に考えても、共和国軍が転送されてきた時点で
テレビと同じ形の終戦はありえないっしょ
いつ転送されたのかってのもあるけど、もしかしたら
ソラだって墜ちないかもしれないし、ラカンだって(以下略
まぁテレビが終わってもきっと続ける人はいるでしょう
現に継続してる>>739氏のはまだ終わらないみたいだし

207 :
というわけで、村の入口。ゾイドが十機程度、集結することになった。
…全く、何が来るっていうんだろう。大型とだけ言われても、予想なんてつくはずもなかった。
「……お」
ダラダラ待たされ、三分ほど経過したとき。
ジェノブレイカーが、微弱な信号をキャッチした。
しかもきちんと暗号化済み。暗号コードはヘリックのもの。
そして、その内容は。
「救難信号って…どういうこと?」
既に他の機体もそれを受信しているみたいだが、暗号化されているため内容が分からないらしい。
手違いを防ぐため、急いで通信を繋ぐ。
「こちらガイロス軍。救難信号を確認した。貴官の所属を伝えられたし」
「あ、やっとつながった!こちらヘリック軍…ってなんでこっちの暗号コードが読めるんだよ!」
「いろいろと事情があってね、救難信号は読めるの。それはさておき、どうしたの?」
慌ててしまっているのか、舌を何度も噛みながらつっかえつっかえ答えてきた。
「逃げて、来たんだ。原隊から」

208 :
「ブラックさん、まだかな…?」
暗い中集中する火線を必死にすりぬけながら、注意を引き付けつつ攻撃のチャンスを狙う。
しかし、敵機はそのほとんどが夜戦用のカラーリングで、かなり捕捉しづらい。
結果、こちらの攻撃はほとんど当たらない。
ファルコンもデカルトも、狙いの甘さを威力で補えないから、この状況は極めて不利だった。
しかも、敵の中にはメガラプトルまで混じっていて、
下手にビームを撃つと位置を特定されてヘルファイアーを連発で返される。
時間を稼ぐのはいいけど、これじゃいつまでたっても逃げられねーって!
「フィル?さっきから無視しっぱなしだけど、何か手が離せないことでもあるのかい?」
で、こんな時に限ってエールは通信をよこしてくる、と。どんだけ間が悪いんだよ。
「勘弁してくれ、今はそれどころじゃないんだよ!」
「そうか。仕方ないな…」
「すぐに行く。一分保たせろ」
…え?
だがその真意を問う前に、通信は一方的に切られてしまった。
「ちょっと、どう言うこと…おわあっ!?」
考える暇もなく、対空放火の雨あられ。
それを避けることで手一杯で、考える余裕もなかった。

209 :
>203 「了承」

210 :
>>209
>>203 「了承」
では御免を被りまして
 共和国軍とディガルド軍がお互いに相手のその情報を得たのは、ほぼ同じ時期だった。
「…!これはっ…」
「そんな…こんなことが…」
両軍兵士達の間に、動揺が広がっていく。
「そんな…解り合えたかもしれない人間同士が殺し合っていただなんて…」
「なんて愚かな事をしていたんだ、我々は…」
そしてその想いが非常なくびきをついに打ち破り、両軍は話し合いの機会を設けたのだった。
「もうやめにしましょう、こんな愚かな事は…私達は手を取り合ってともに歩んでいけるはずです」
「その通りです!その希望さえも踏みにじってしまう争い…こんなものはこの世にあってはならぬのです!!」
割れんばかりの拍手。代表同士が、固い握手を結んだ。
「ところで、私達はその愚かな争いで多くの町や村を無残にも破壊してしまいました。
 ぜひ力をあわせて新しく作り直しましょう!」
「もちろんです!素晴らしいものにしましょう!私達ならできるはずです!!」
天と地を揺るがさんばかりの拍手、口笛、歓声。
 ここに、両者は手を取り合い、理想と、夢と、そして希望に満ち溢れた未来をともに創り始めたのだった。

 その後、指揮官用バイオラプターとバイオプテラとランスタッグとレインボージャークとブラストルタイガーが
雑居ビルがたくさん立ち並んだ電気街とカブトムシのにおいのする人の集団を壊滅させたらしいけど
それはまた別の話なんだってさ。

こんな感じです。CDKBUzTs氏、許可ありがとうございました。

211 :
ゾイドにはあまりにも鳥脚類型がいない(イグアンとパラブレードだけじゃないか?)
という事態に対し、この世界で共和国軍が開発したという設定の鳥脚類型ゾイドを考えてみた俺。
ゴジュラスやアイアンコング(鹵獲、発掘品)が使う、手持ちリーオ性格闘兵器を運搬するゾイド。
基本形は共通で、武器によって
パラサウロロフス型(短刀、頭に装備) ランベオサウルス型(戦斧、頭に装備)
コリトサウルス型(チャクラム、頭に装備) チンタオサウルス型(トンファー、頭に装備)
オロロティタン型(手斧、頭に装備) アナトティタン型(歯付スコップ、鼻面に装備)
ムッタブラサウルス型(メリケン、鼻面に装備) オウラノサウルス型(盾、背中に装備)
といったバリエーションに分かれるという設定。
「そいつの出てくるSS書け」というツッコミを受けそうですが、
アクション性の高いSSでないとコイツは活きなさそう。
で、俺はアクション書くのが苦手… それじゃかわいそう、っつーことで…
どなたかよろしかったら使ってやってください。

212 :
SSを書きなさいよw
とお約束はさておき
面白そうなゾイドだな
恐竜の類ってことは技術大系はソラ系ってことかな?
いずれにせよGJ

213 :
山陰に没しようとする太陽が周りの景色を柔らかな茜色に染める
人気の無い格納庫の入口でくたびれたツナギを着た女兵士がぼんやりと座り込んでいた
「こんな所でなに黄昏てるんですアズサさん?」
女兵士に声を掛けたのは正統派メイド服に身をつつんだ落ち着いた雰囲気の女性だ
「いつか駆除してやろうと思ってたんだけど・・・」
アズサと呼ばれた女兵士は自分でも理解できないといった呈で首を振った
「居なくなるとなんか物足りないんだよな」
本国からの通達によってアラヨット山分遣隊基地は閉鎖されることとなり撤収の第一陣として
整備班26名は二日前に新たな任地に向け出発していた

214 :
「くそ…」
だんだん辛くなってきた。目は慣れてきたが、体が言うことを聞かない。
やはりマッハで動きなから格闘戦を行っていると、体にかなりの負担がかかるようだ。
ラプターグイやデカルトに乗り慣れているリリと違い、俺はファルコンが初めてだ。
泣き言を言える状況ではないのだが、やはりろくに鍛えてもいないのに乗ったのはまずかった。
「……っ」
機体を射線に対して垂直に流すようにして攻撃をやり過ごす。
避け方は分かってきたから、疲れたからと言って命の危険性はそう高まりはしない。
だがやっぱり、こちらの攻撃は当たらない。しかもさっきよりもっとだ。
対してリリは、さっきより動きも命中率もよくなっていた。やはり経験者は違う。
「って、げ!」
無駄な事を考えていた、その時間が隙になった。
いつのまにやら目の前に、メガラプトルがどアップ。
「くそ、こんなに近くちゃ口も狙えない…どうする?」
口を開く。チャージを始める。そして、
ずん。
メガラプトルの体から、槍が二本、生えてきた。

215 :
久し振りに操縦席から見下ろす風景はやけに新鮮だった
いつの間にか歩兵の目線に馴染んでいたことを自覚し苦笑した男のヘッドセットに
テスト走行を監視する技術者の声が飛び込む
「どんな具合だハットン?」
「急加速時に横ブレする癖があるが危険って程じゃない、あとはまあ合格かな」
ハットンと呼ばれた男が操るゾイドは全体のシルエットはゴドスと瓜二つながら仔細に眺めると
明らかにゴドスではない
角ばったボディはパーツ割りがより一層強調されあたかも積み木細工のよう
透明キャノピーは一枚板の装甲ハッチとなり両側に配された極めて目付きの悪いセンサーアイと
その下に突き出した上下二対のクラッシャーファングがそのゾイドの面相を寸詰りのゴジュラス・ギガ
といった印象にしている
その正体は新たな技術「コアブロックス」を手に入れた共和国軍技術陣恐竜マンセー派が意地とこだわり
と暴走の限りを尽くして完成させたゴドス・ブロックス1号機
その試運転に引っ張り出されたのが乗機を失って歩兵に降格されたゾイド乗り
研究施設を警備する傍ら村長の娘と友達以上恋人未満というぬるいラブコメシチュを延々と続けていた
ジム・ハットン二等兵だった

216 :
ディバイソンの群れが牽引するカボチャの馬車ならぬ移動事務所が荒野を爆走する
ディガルド領内の店舗が軒並み制圧されるなか間一髪ディグを脱出したメアリー・チャンプは
執務室に閉じこもり納品書と伝票の山を相手に無制限一本勝負を挑んでいた
「何かが起こってる、何かが・・・」
そんな女主人の様子に動揺を隠せないセバスチャンとベンジャミン
「メアリー様が真面目に仕事をしている・・・」
「大変動の前兆かしら?」
どぉぉぉぉぉぉん・・・・
ベンジャミンのセリフが終わらないうちにかすかな振動と一呼吸おくれて轟音が届く
顔を見合わせた二人は書類と格闘するメアリーを尻目にそっと退出する
10分後二人は真新しいクレーターの縁に立ちクレーターを作ったモノを見下ろしていた
「何と、デカルトドラゴンではないか!」
「ソラシティのガーディアンが何でこんなところに?」
その時操縦席のハッチが内側から押し開かれ女が一人這い出してきた
往年のドリフのコントのように顔を煤まみれにした女はブワっと黒煙を吐き出し一言
「死ぬかと思った・・・」

217 :
槍が引っ込み、力無く倒れ臥すメガラプトルの、その後ろ。
黒い、夜の闇に溶け込めないほど黒い、人に似た形の影があった。
眼は緑に爛と輝き、それがゾイドであることを示す。
左手に当たる部分に、一対の槍。右手にはクワガタのハサミ。背には翼。
何型とも形容しえない、悪魔のような出で立ちのそのゾイドの名を、俺は知っていた。
セントゲイル。愛称ノワール。搭乗者、エール・レベリー。
「…いつも思うんだけどさ」
エールが、ゆっくりと口を開く。言いながら、次の言葉を考えているようだ。
「声聞くだけでおかれてる状況が大体理解できるって…便利だよね」
「いきなりすぐに行くって、言われた身にもなってくれよ、エール」
「悪い悪い。一刻も早くと思ったんだ」
屈託のない笑顔で言う。達観した言動の割に、こういうところは幼い。
「危ない所を救ったんだし、まあ今日のところは大目に見てくれ」
そして、突然の闖入者に驚いたのか動きを止めたヘリックの部隊の方を向く。
「…聞こえてるかどうかは知らないが。選択する時間をやろう。
逃げて生き存えるか、戦って潰されるか。どっちを選ぶかは自由だが」
構えた槍―マグネイズスピアが、火花を散らす。
「覚悟はしろよ」

218 :
最初の通信からしばらく経った。相手も大分こちらに近づいてきている。
繋ぎっぱなしにしていた通信の感度も、だんだん良くなってきていた。
「……うそ」
そして、それとは全く違うところで、私ことヴィルヘルミナは驚愕していた。
近づいてきたおかげでジェノブレイカーでも解析が行えるようになったのだが、
その結果がとんでもないものだったのだ。熱反応の形から推定される機体が、なんと。
「マッド、サンダーって…ちょ、え?」
いやはや全く、とんでもない機体で逃げて来てくれたものだ。
夢かと思って頬をつねってみたが、当然のことながら痛かった。
現実なのは疑うべくもないが、しかしマッドサンダーは旧型を通り越して旧世代の機体で、
現在はそれが存在したという記録以外は残っていなかったはずだ。
それがどうしてこんなところにあるのだろう。まさか、決戦用に復活させていたとかだろうか。
「ジェノブレイカーのこと知ってたから、旧世代のものってことはないんだろうけど…」
それにしたって、これはいくらなんでも出来過ぎだ。
一体、この世界にはどれだけの異世界人(自分含む)が来ているのだろうか。
…少し、恐くなった。

219 :
「はは、逃げろ逃げろ」
組織だって撤退していく部隊の背に、小馬鹿にした感じで言葉をかけるエール。
当然、応答はない。
レーダーから敵機体の反応が消えるのを待って、彼女は再び口を開いた。
「…さて。私は状況があまり飲み込めていないわけだけど、よかったら説明してくれないかな?」
「さっきの自身の言葉を覚えているか、と先に確認しておきたいが」
「声から分かるのは、その人の状況だけだよ。全体の話になると、そうでもなくなる」
「…そうだったのか」
あまりそういう話をしたことがなかったので分からなかった。
「なら…と言いたいところだが、あいにく人を待たせてる。そっちを先に済ませてからだ」
「人、か…ルディ君の事かな?」
「いや、ミーティングをすっぽかしててさ。なぁ、ブラックさん」
「…来た意味がなかったな…」
戦えなかったせいか、ブラックさんは少し落ち込んでいる。
「戦わないのが正常なんだからさ、気にしない気にしない」
「否定はしないが…はぁ」「…………」
エルデさんの慰めに、肩を落とすブラックさん。
リリも、どさくさに紛れてこっそりため息をついていた。

220 :
ガンスナイパーのキャノピーを開け放ちエルザ・フリューゲルは満天の星空を眺めながら
手製のビーフジャーキー(のようなもの)を齧っていた
自身の所属する機械化大隊が駐留する前進基地のそのまた更に前方の監視ポイントに
支援部隊も無しで孤立しているにも関わらずエルザは完全にリラックスしていた
6歳のとき祖父に狩猟の手解きを受けて以来自然の中でサバイバルの技術を磨いてきたエルザにとって
森は故郷(ホーム)と言ってよかった
突然一匹のウサギモドキがガンスナイパーの足元を駆け抜けた
それが呼び水となりエルザの周りは大きいもの小さいもの、食うもの食われるものを問わず
気配を隠そうともせず移動する森の動物達の出す騒音で満たされる
それは自然のルールを超越した巨大な暴力が接近している証拠だった
数十秒後、キャノピーを閉じ警戒態勢をとるガアンスナイパーの前に銀色の津波が現れた
「こちらシエラ・ブラボー・フォー、グリッド27−Sに敵の攻撃・・・」
一旦言葉を切ったエルザは見たままを伝えることにした
「敵兵力は見える範囲でバイオラプター約四百機、さらに後続がある模様。これ以上の監視は
危険と判断し直ちに撤収する、交信終了」
砲兵と爆撃機の支援が師団単位であってもここで敵を阻止する見込みはまったく無かった
ささやかな抵抗として潜伏場所の周囲に仕掛けた振動感知式の指向性地雷を起動させると
真紅のガンスナイパーは稲妻のように身を翻し音も無く闇の中に姿を消した


221 :
完全撤収を明日に控えアラヨット山分遣隊基地では最後の荷作りが行われていた
「やっぱり焼却処分しようコレ」
「駄目ですよ大事な記念なんですから」
アズサとヘレナの口論の元は額に入った一枚の大判写真
それは聖ベラマンチャ祭のフィナーレを飾る仮装行列に参加するため思い思いの
コスプレ衣装に身を包んだ分遣隊員の集合写真だった
写真の中央で引き攣った笑みを浮かべるアズサはネコ耳にリボン付きシッポ、ビキニ
タイプの甲冑を着込みトドメは網タイツ+ガーターベルト(フリル付き)の無敵コンボ
この破壊力抜群なキャラクターこそ「魔法少将まじかる☆フェルみん」の宿敵「遊星獣人アズサリアン」
すでに全50話分のシナリオと絵コンテは完成していると豪語するヒップ中佐にアズサは本気で
殺意を抱いたものだった
結局一週間の休暇と旅行許可証の発行を条件にコスプレを承諾したうえ突然の転属命令で休暇の
約束は反故にされてしまった訳だが
「ヘレナさんはやっぱりゼルフトに戻るの?」
「司令には私設秘書をやらないかと言われたんですがいつまでも皆さんのご好意に甘える訳にも
いきませんし」
穏やかな笑みを向けられ赤面するアズサ
(同性のアタシから見てもこんなに色っぽい人に一人旅なんかさせたら絶対ナニかあるよなあ)
もう少し自分達と一緒にいた方がいいんじゃないかとアズサが言おうとした時
「アズサ姉ちゃん!」
麓の村の少年が血相を変えて飛び込んで来た
「どうした少年?」
「助けて、みんな・・・みんな連れていかれちゃうよ!!」

222 :
この世界じゃグイ部隊の相手は共和国軍かな?

223 :
出番なさげな量産トリケラの相手もな

224 :
>>140
 フートは岩陰から顔を出した。敵は15人前後。全員銃を持っているが、どうやら連射機能を持たないライフル銃らしい。
「ヴァシリ。バッケインの様子は?」
「意識が無い。止血しているが、早く軍医に見せないと。衛生兵はどこだ!」
 やばい状況だ。ライフルを持った襲撃兵がこっちに近づいている。
 その時だ。草むらから、トリガーが現れた。エヴァーズマンたちが駆けつけたの。
「お前ら、手を挙げろ!」
 トリガーは、機関銃手で、その手は分隊支援火器の5.56ミリ軽機関銃を構えている。敵の持っているのは単射銃。
機関銃相手に勝ち目は無い。
「衛生兵!」
ヴァシリが叫んだ。それを聞いて、衛生兵のロウがバッケインのもとに駆けつける。
 フートが敵に視線を戻した。不思議な事に気づいた。奴らは機関銃を相手にしているのに、まったく恐れる様子は無い。
むしろ、余裕すら感じさせる。なぜだ!すると敵のリーダー格と思われる男が叫んだ。
「ふん。こっちの方が人数は多いんだ。降伏するのはそっちだ!」
 リーダー格の男は、単射銃をトリガーに向けた。
「ちっ!」
 トリガーが思わず、軽機関銃の引き金を引いた。5.56ミリライフル弾が連射され、銃を構えて立っている敵を襲う。
敵兵達は信じられないといった表情で次々と倒れていった。
「やめろ!もう大丈夫だ」
 エヴァーズマンが草むらから飛び出し、トリガーを抑えた。銃声がようやく止まった。
「なんなんだこいつら?」
フートだ。「こいつら動きを見る限り素人じゃない。にもかかわらず機関銃を恐れない…いや機関銃を知らないようだった」
すると、それまでバッケインを診ていたロウが立ち上がった。
「ダメだ。もう死んでる」
残りは27人。

225 :
「またこのパターンかあ!!」
四方八方から火の玉が飛んでくる中ゴドス・ブロックス(以下ゴドスBL)を走らせながら
ハットンは叫んだ
昨日から始まったディガルド軍の大攻勢によって戦線は各所で分断され安全圏のはずだった
カルピ村もいまや最前線だった
村人と研究員が退避する時間を稼ぐため急ごしらえの混成中隊の一員として戦闘に参加した
ゴドスBLはいつの間にやら敵中に孤立していた
「ジム、こっち!」
無線で呼びかけてきたのはショッキングピンクのガイスティング
「アネットか!?!」
ガイスティングはゴドスBLを岩山に口をあけた洞窟の中に誘導すると入口に仕掛けた火薬
を爆発させる
「やけに用意周到だな」
「共和国軍が私達を見捨てたときは村人全員でここに逃げ込むつもりだったのよ」
悪びれもせずにアネットは言う
「とりあえずは助かったけどこのまま雪隠詰めかい?」
「洞窟の反対側はクリモネ山の北斜面に通じてるわ、ゾイドなら3〜4時間で地上に出られるわよ」
「思いっきり味方戦線と逆方向だぞ」
「ちいさなことよ」
アネットはついて来いとも言わずガイスティングを進ませる
年下の娘っこに主導権握られてるってのもどうかなと思いつつハットンは後に続くことにした

226 :
>>223
トリケラはE盾とヘルアーマー装備だから砲亀、ガンブラキラーとして大活躍だろうな。

227 :
「なんと、ソラシティが堕ちたというのか!」
デカルトドラゴンから這い出してきた女性(ディガルド監督部のベルチェ一等事務官と名乗った)
はベンジャミンの淹れた紅茶を一息で飲み干すと言葉を続けた
「デカルトのメンテが終わり次第出撃するつもりで格納庫でスタンバってたんスけどねー
いきなり総員退去のアナウンスがあったもんであわ喰ってマグネッサーが不調のまま
飛び出しちゃったっスよー」
「ジーンちゃんなにトチ狂っちゃったのかしら?」
ジーンの名を聞いて怒りの発作に襲われたベルチェは握り拳をプルプルさせて立ち上がる
「惑星Ziの自由と民主主義が踏みにじられたっス、罰当たりなマザーファッカー共は核の炎で
粛清っス!」
ピカドンピカドンキル!ゼム!!オール!!!とツイストを効かせて踊り出すベルチェの姿に
顔を見合わせるベンジャミンとセバスチャン
「変なの拾っちゃったわね」
「まあソラの人間でゾイドに乗りたがるのはイカレが多いからな」

228 :
「うわー…ほんとにマッドサンダーだ」
写真や資料映像で見たことはあったが、間近で見る実物は、やっぱりすごい迫力だった。
「ちなみにマグネーザーはダミーだ。反荷電粒子シールドは本物だが」
「それでもすごいって、復活できただけでも。ふーん、これが噂の背中事務所ね…ほうほう」
「あんまり手荒に扱ってくれるなよ、これでも大切な試作型なんだから」
持って帰れるあてはないけど、なんて言えるあたり、まだ精神的に余裕があるようだ。
「捕虜の分際で何をおっしゃりやがっていらっしゃるんだか」
一応、逃げてきたヘリックの人達は捕虜扱いしておくことにした。
銃・火器の類は全て私の責任の下没収、彼らの身柄も私持ちである。
そのためこのマッドサンダーも接収品ということになる。
「…軍人の肩書きも、悪いことばかりじゃないね」
軍人になってからというもの、肩書きに苦しめられ続けてきた私は、
まさかその肩書きにこんな形で助けられるとは、正直思っていなかった。
かたやそれで自暴自棄になってしまった方々もいることを考えると、本当に幸運だ。
「あなたたちも上陸作戦に参加を?」
「ああ。ウルトラザウルスの影武者的な、そんな扱いでな」
「ふーん…」

229 :
ジェネシス世界にすっ飛ばされたのは、ザルカの怪しい実験が原因?
とか誰か書き込んだんだっけ?

230 :
いや、記憶にないが

231 :
 やはり自分で書かんとな、っつーことで書いてみる。
 でもやはりアクションは苦手なので後世のあるサイトのゾイド解説欄みたいな感じで
(ゲオハルト・カン博士のとき使った手法だな、これ)。あとちょっと設定を変えています。

232 :
 みなさんこんにちは。ところでみなさんは「ジャイアント馬場」という人をご存知ですか?
ジャイアント馬場は、大昔の地球のプロレスラーで、こうしてここで話題に出せることでもわかるように、
非常に有名な人です。で、この人プロレスラーになる前は野球選手だったんですよ。
それが野球選手としては「ジャイアント馬場は昔野球選手だった」くらいにしか知られていない。
道を変えたからこそ大成したわけですね。
 今回はそんな「最初の目的と違う用途でこそ役に立った」ゾイドをご紹介したいと思います
(またえらく前フリとのつなげ方が強引だなオイ)。

233 :
 時空移動してディガルド武国と戦闘状態に突入した共和国軍部隊。
ディガルド武国といえばバイオゾイド、リーオ製武器かレーザーブレードでしか貫けないヘルアーマーです。
共和国軍部隊もヘルアーマーを大きな脅威と認識し、様々な対抗手段を考え出しました。
その一つが今回ご紹介するゾイド、ペイドロサウリアです。
 ところでこのペイドロサウリア、この制式名称より
「サンチョ・パンサ」ないし「サンチョ」という通称のほうが有名です。
ていうか「ペイドロサウリア」という名前を知らないで「サンチョ」が制式名称だと思ってる人が結構いる。
かくいうワタクシの知人にもいます。
まあ現場の人間はたいていそっちで呼んでたみたいなんですけどね。
 さて、先ほども書きましたとおり、ヘルアーマーを貫けるのはリーオ製武器かレーザーブレードしかありませんでした
(高出力荷電粒子砲についてはひとまずおいておきます)。で、リーオ製武器は材料の供給が安定しない。
となると、残るレーザーブレードが注目されるわけですが、レーザーブレードにもリーオ製武器にはない問題点がありました。
それは「武器自体がエネルギーを消費する」ということです。
このため、レーザーブレードを後付すると、
ゾイドの稼働時間が短くなったり、新しいエネルギー供給経路を追加しなくてはならなくなったりしてしまいます。
そこで共和国軍開発陣は考えました。
ある程度のエネルギー貯蔵装置を持ったレーザーブレード武器を、
エネルギー補充しながら運んでくれるゾイドがあったらいいんじゃないかなあ…と。
こうして開発されたのがペイドロサウリアです。
コンセプトをわかりやすく言い換えれば歩いてついてくるケータイ充電器です
(ケータイ=レーザーブレード武器、バッテリー付なわけね、充電器=ペイドロサウリア)。
運搬する武器はゴジュラスないしはアイアンコング(鹵獲ないし発掘した機体)用として開発されたものでした。


234 :
 ペイドロサウリアが運搬する武器には、
短刀・戦斧・チャクラム・トンファー・手斧・歯付スコップ・メリケン・盾があります。
盾以外の武器は全てペイドロサウリアの頭部にマウントされます。
ペイドロサウルスの頭部にはエネルギー供給機構の端子があり、武器が頭部にマウントされると、
その武器のエネルギー貯蔵装置に接続されます。
盾はエネルギー供給を必要としない(Eシールド等の類ではない)ため頭部にマウントする必要がないので、
その大きさから背部にマウントされます。
頭部に武器をマウントするのは、ゴジュラスが取りやすいように伸び上がって高く持ち上げるためと、
相手との位置取りから武器を取りにくいとき、首を伸ばして差し出すためです。
ちなみに、ペイドロサウリアはこの武器を使って格闘戦を行えるといわれることがありますが、
これは半分だけ正解といったところです。頭部武器マウントは、相手が武器を取ることを前提として造られているため、
ゾイドに武器を打ち付けたりしたら武器が外れてしまいます。
ましてアイスラッガーのように使用したなんてことは断じてありません。
とはいえ戦場では何が起こるかわからないものなので、
振り回して相手を近付かせないようにして自分の身を守ることはあったようです(そのくらいの遠心力程度では外れない)。
なお、頭部がエネルギー供給機構とマウントでほとんど占拠されているため、
コクピットは胸部にあり(ジェノシリーズと似た配置です)、さらにはキャノピー式であるという、珍しい形式になっています。
 それから、ペイドロサウリアは、輸送ゾイドであることからか、
機動性は戦闘用ゾイドに較べそれほどよくないと思っている人が多いようですが、
実際は戦場においてアイアンコング(最高速度150q/h)に随伴できるよう開発されたため、
最高で150q/hを出すことができ、不整地走破性や運動性も良好だったようです。


235 :
 で、実際にゴジュラス部隊やアイアンコング部隊に送られて試験されたペイドロサウリアですが、
その評価は芳しいものではありませんでした。一般的な評価がどんなものだったのか見てみましょう。
【短刀・戦斧・手斧】ゴジュラス:比較的効果的である。ただし、刀身が短いこととゴジュラスの腕の短さとが相まって、
                  リーチに問題がある。
          アイアンコング:威力自体は満足すべきレベルにある。
                   ただし、アイアンコングは前脚をつかないと機動性が大幅に悪化することから、
                   運用には問題が多いと言わざるを得ない。
                   機動する際にはペイドロサウリアにマウントしたままで、
                   目標に接近してきりつける段階で初めて手に取るといった運用をすれば、
                   この問題は解決する(それどころか、前述の機動性の問題から
                   大型の手持ち武装が運用しにくいというアイアンコングの弱点を克服できる
                   手段とすらなりうる)。しかしながら、この運用法は、
                   高い技量を持った搭乗員同士の息の合った連携が必要とされるため、
                   一般的なものとはなり得ない。
【チャクラム】ゴジュラス:−(ゴジュラスはチャクラムを十分に投擲できないので試験はされませんでした)
       アイアンコング:効果的な武装である。バイオゾイドに有効な射撃装備は事実上極めて限られる中で、
                投擲により離れた目標を攻撃できる本装備は価値が大きい。
                試作中のリーオ製砲弾と比較しても、回収がはるかに容易であることから
                補給の面で大きく勝っている。
                ただ、戦闘効率の点から、アイアンコング一体に対し、
                チャクラムが二〜三個、可能ならば四〜五個あることが望ましい。

236 :
【トンファー】ゴジュラス:効果的な武装である。格闘攻撃のリーチを伸ばす効果がある。
              尾による攻撃ほどのリーチはないが、尾による攻撃は(尾が背中側についているため)
              目標に命中させにくい傾向がある。本装備はそれを補うことが可能である。
       アイアンコング:効果的な武装である。格闘攻撃のリーチを伸ばす効果がある。
                打撃部を肘の側に回しておけるため、
                短刀・戦斧・手斧の項で述べたような機動性悪化も低いものに止められる。
【歯付スコップ・戦斧・手斧】ゴジュラス・アイアンコング(どちらからも似た評価が下されています):
               格闘兵装として使用するより、工兵用装備としてのように使用したほうが有用である。
【メリケン】ゴジュラス:−(メリケンはアイアンコング専用装備として開発されました)
      アイアンコング:比較的効果的である。ただし、アイアンコング用のナックルガードが開発されれば、
               そちらのほうが有用であることは明白である。
【盾】ゴジュラス・アイアンコング(どちらからも似た評価が下されています):
    取り回しが悪く運用しにくい。
    (ジェノブレイカーのように)副腕を装備するか、機体自体の装甲を強化するかにすべきである。

237 :
はい、はっきり言ってトンファーとチャクラム以外 つ か え ね え と言われちゃってるようなもんですね。
歯付スコップとか戦斧とか手斧とかは工兵用として使うべきだといわれてますし、盾に至っちゃ全否定です。
さらに、重大かつ根本的な問題がありました。それは…
ゴ ジ ュ ラ ス も ア イ ア ン コ ン グ も 、 も と も と の 状 態 で バ イ オ ゾ イ ド を撃 破 で き る 。
っつーことです。
早い話がペイドロサウリアは「あれば確かにそれなりに役には立つかもしれないがなきゃないでいいもの」だったわけです。
 そんなわけで、ペイドロサウリアは実用化はなしかチャクラムだけ生産するかという話になってしまいました。
いきなりお役ごめんの危機です。

238 :
 しかし、捨てる神あれば拾う神あり。違うところからペイドロサウリアに救いの手が差し伸べられます。
 中・小型ゾイド用の対バイオゾイド用兵装の開発が予想以上に難航したのです
(前に書いたレーザーブレードのエネルギー消費に関わる問題は中・小型ゾイドにおいてはよりシビアだった)。
バイオゾイド相手に苦闘を続けていた実戦部隊は開発部をせっつき、
ペイドロサウリアとその運搬する武器のことを聞きつけると
「もういい!その武器を口に咥えてでも使用する!」となったのです。
 こうしてペイドロサウリアは日の目を見ることになりました。
もともとゴジュラス・アイアンコング用に開発された機体なので、
中・小型ゾイドが武器を取るのは難しいのではないかと思われそうですが、
武器マウントを頭部に設けていたことが思わぬところで幸いし、頭を下げればよかったのです。
 さらに、ハンマーロックが数多く発掘されだしたこともペイドロサウリアに有利に働きます。
この格闘戦闘能力の高い優秀なゾイドを発掘できたことは(ペイドロサウリアに限らず)共和国軍にとって非常に大きく、
「我らが救世主だ!」なんて言われることもあったようです
(なぜハンマーロックがたくさんあったのかを考えるとスゲェ歴史の皮肉を感じずにはいられません)。


239 :
 さらにさらに、この時期の共和国軍が抱えていた極めて特殊な問題も
ペイドロサウリアに注目を集めさせることになりました。
周知の通り、共和国軍はディガルド討伐軍と協力関係にあったわけですが、
その討伐軍には、ゾイドの内部機構をいじられるのをよく思わない人たちもいたのです。
リーオ製武装は入手に問題があるからあまり装備できない。
するとレーザーブレードが残るわけですが、エネルギー系統を外装式にすると防御や重量バランスの問題がある。
かといってさっき書いたような理由でコアからの出力供給式や内装式は採用しにくい。
シバキ倒して言うこと聞かせたかったと思いますが、そういうワケにも行きませんしね。大人ってストレスたまるなあ。
もっとも、この問題を抜きにしても、討伐軍ゾイドの改修、
整備(コアレベルで認識させないと自己修復が利かないため、この場合特に大きな問題になる)のことを考えると
ペイドロサウリア方式が有効だったようですが。
それに、ゾイドを掘り出すという変わった事情にもスコップが重宝されました。
 そんなこんなで、ペイドロサウリアは採用され、
打撃系武装はゴジュラス・アイアンコング部隊が、
斬撃系武装は中・小型の戦闘ゾイド部隊が、
スコップなんかは工兵的な任務を割り当てられた部隊が
それぞれ使用するというように使い分けられたということです。


240 :
 で、停戦を迎えるワケですが、ペイドロサウリアの特異な遍歴はここで終わりません。
復興作業にスコップや斧が役立っただけではなく、その変わった特徴が思わぬ役に立ちます。
頭部のエネルギー供給機構を活かした出力源としての役割です。
他のゾイドも武装や制御機構などからエネルギーを引いてくることはできますが、
それにはゾイドに手を加えることが必要です。
ペイドロサウリアはまったく手を加えることなしに、大出力を長時間安定して供給できたのです。
しかも出力形式をある程度変えることまでできました
(それぞれ異なる形式の武器へのエネルギー供給を考慮して開発されたため)。
 こんなわけで、ペイドロサウリアはスピノサパーやグスタフ、ハンマーロックなどと並び、
復興に大きく貢献しました。このことをよく物語るエピソードがあります。
前線で戦闘ゾイドに随伴するゾイドであるため、ペイドロサウリアは戦闘による損失が大きかったのですが、
停戦後、各地から補修や供与を求める声が共和国軍に寄せられたそうです
(もっともこれには、先の戦争の反省から、武装したゾイドに規制が掛けられたところへ、
 ペイドロサウリアが武器をマウントしなければ非武装で不整地走破性が高く、
 それなりに大型のゾイドであったことも大きく関係していますが)。


241 :
 ご紹介してきましたように、ペイドロサウリアはその本来の目的にはあまり役に立たず、
むしろ違った用途でこそ活用されました。
こういう事態は、普通は数奇な運命をたどったというのかもしれません。
しかし、復興という場で活躍したペイドロサウリアは、むしろ幸せなゾイドだったのではないでしょうか。
 珍しくきれいにしめられましたね。え…、なんですかあなた、しつこい人ですね… 
忘れてあげましょうよ、盾のことは。

242 :
目の眩むような断崖絶壁に架かる一本の吊橋
スチール板とワイヤーで補強されてはいるが見るからに危なっかしい
負傷者を満載したトレーラーを牽引して橋の上を進むグスタフにバイオラプターの小隊が追いすがる
戦闘のバイオラプターの爪がトレーラーを捕えるかと見えたその時
一発の銃弾がバイオゾイドの踵を直撃した
ヘルアーマーが貫通を阻んだもののバランスを崩したバイオラプターは頭から引っくり返り後続の機体が次々に追突する
グスタフが橋を渡りきると同時にダンゴ状に絡まったバイオゾイドに一群のミサイルが降り注ぐ
轟音とともに谷底に落下する吊橋の残骸とバイオラプター
対岸の山腹からグスタフを見送ったエルザ・フリューゲルはさてと考え込んだ
友軍戦線への唯一の退路はたった今自分が吹っ飛ばしてしまった
まあこの辺りには自分以外もう味方は残っていないだろうから他の者が困ることはないだろう
さしあたっての問題はミサイルの発射で位置を察知されたのか中隊規模のバイオラプターがこちらに向かってくる
ミサイルを使い切った今なるだけ弾薬は温存しておこうと考えたエルザは追跡をかわすためガンスナイパーを山奥へと向けた

243 :
>>224
「俺のせいです」
フートはみんなの前で頭を下げた。バッケインの死に相当ショックを受けているようだった。
「俺がしっかりしていたら」
「もういい」
俺はそう言うしかなかった。そう言う以外、何もできなかった。
「いったい、どうなってるんだ?敵は何者だ?オノダ少尉、分かるか?」
ウィンターズ大尉が俺の顔を見ながら言った。俺は首を横に振った。
「奴らは間違いなくプロです。だが、機関銃を知らなかった。おかしいと思いませんか?」
エヴァーズマンが言った。かなり興奮している。こちらもショックから立ち直っていないようだ。
「レーダーに機影!大型です!」
突然の叫び声。声のした方に目を向けると、ゴルドスの背部コクピットの座席の上に立っている男。
「ダイク中尉!詳細を報告するんだ」
「大尉、おそらくライガークラスが一体。それに小型機が十数機。おそらく、モルガだ!」
「オノダ少尉?君の部隊か?」
ウィンターズ大尉は視線をゴルドスに向けたまま俺に尋ねた。
「いや。そんなに多いはずが無い。中尉!無線は通じるのですか?」
「いや、通じない」
 そうこうしているうちに突如出現した謎の部隊の姿を視認できた。黄色いサーベルタイガーに緑色のモルガ。
すると、黄色いタイガーのコクピットハッチが開き、男が立ち上がった。
「イダダガ山、影虎のジョシュアだ!」

244 :
>>243
 いったい何事だ?何が起きているんだ!
 とにかく部下達の状態を把握しておこうと、顔を横に向けると、対ゾイドロケット砲やら対物大口径ライフルやら持ち出していた。
「手を出すな。撃つなよ」
 ウィンターズ大尉の声が聞こえた。するとウィンターズ大尉は、ジョシュアと名乗った男の乗るタイガーに向け進みだしたではないか!
「共和国陸軍第5師団第21連隊、強襲大隊A中隊、ウィンターズ大尉だ!」
「きょうわこく?聞いた事がなに…あなた方はどこから来たんだ」
ジョシュアと名乗る男は、そう言うとコクピットから飛び降りて、ウィンターズ大尉のもとにやってきた。
「そうですね。あえて言えば、漂流と言ったところでしょうか?あなた達は?」
「漂流。そうか。我々は、イダダガ山からディガルドの密偵どもを狩りだしに来た」
「ディガルド?密偵?」「奴らはディガルドの他の歩兵部隊とは違い、甲冑を着けず、自由自在に動き回り、我々の動きを探っている」
「ディガルド…いったいどういうことだ?」ウィンターズのつぶやきはジョシュアには聞こえなかったようで、構わず話を続けた。
「そしたら、森からダダダダダ!という鉄砲のような音が聞こえたので、こちらに来たらあなた方に…」
「そのダダダダというのは、おそらく機関銃の事でしょう」「キカンジュウ?」
「彼が持っているものです」ウィンターズはトリガーを指さした。
「どれどれ」ジョシュアにはトリガーに近寄って、彼の軽機関銃を触りだした。そして、唐突に言った。
「お前、ゾイドか?」「えっ」驚くトリガー。
「このような武器を自由自在に操ることができるのはゾイドだけだ…」
すると、ジョシュアは見たことも無いゾイドが目の前にいる事に気づいた。
「このゾイドはなんだ!ディガルドの銀のゾイドにも似ているが・・・」
「ゴジュラスです」ウィンターズが答えた。
「ゴジュラス…ルッカ、知っているか」
 ジョシュアが叫ぶと、陰から突然、ゾイドが現れた。ヘルディガンナーだ。
そして、キャノピーが開くと、そこには女が居た。

245 :
>>244
 ルッカと呼ばれた女…歳は10代後半くらいか…は、コクピットから降りると、ジョシュアのもとへ駆け寄った。
「分かりません。だけど、見覚えが…城に保管している古文書に載ってたかも!」
「古文書か…よし」ジョシュアは、なにかを決心したようだ。
「ウィンターズ殿。あなた方は、ディガルドではないのだな?」
「ディガルド?聞いたこともありません」
「なるほど。漂流していると言ったな。ということは、行く当てがないと言うことだな?」
「そうなりますね」ウィンターズ大尉の表情が厳しくなった。次にどうでるか,探っているようだ。
「では、我が城に来ないか?」
突然の提案に誰もが驚いた。
「このような者達を場内に入れるのですか?」最初に声を出したのはルッカだ。
「話がしてみたい。こんなおもしろそうな事は久しぶりだ」
共和国軍側にも同様が広がっていた。
「ついていく気ですか?大尉」俺は大尉に尋ねた。
「そうしよう」「ですが、なにをされるか…幸い補給物資もあります。当分の食料・弾薬は…」
「だが、いつかはなくなるぞ。とにかくこの世界の事を知りたい。彼らについていこう」
 十分後、ルッカのヘルディガンナーを先頭に一団が、イダダガの山に向かって進みだした。

246 :
ポポローネ村は人口217人、農業と牧畜を生業とする静かな集落である
だが今は頭の天辺から爪先まで全く肌の露出の無い重装歩兵が銃剣を翳して村人達を追い立てていた
そこに走り込んで来る1台のむしk もといガンビートル
ドリフトターンを決めようとして納屋にめり込んだバラッツから固太りの中年将校、ショートカット
の女兵士、メイド服の美女が降り立つ
「手前ら一体何のつもりだ!!」
アズサの怒鳴り声に動きを止めた重装歩兵の壁を割って一人の男が進み出た
「ジーン閣下の御命令だ、こいつ等は全員ブラウ基地に連行する」
鮫の様な歯を剥き出して笑う男を見て身を強張らせるヘレナ
「何でお前がその軍服を・・・?」
つい先日まで敵だったはずの男の登場にアズサは怒りを通り越して呆然としてしまう
「ヘリック共和国のリンチ少佐は死んだ、私は神聖ディガルド武国ジーン親衛隊のリンチ大佐だ!」

247 :
「司令、新手のグイ編隊です」
「ひるむな、なんとしてもディグを潰す。プテラス隊の突入を守りぬけ」
「了解。こっちもリーオ弾装備だ。グイなんぞに遅れはとりません。」
「クルーガー司令、プテラス隊雷撃成功!ディグの対空砲火弱まりました。」
「止めを刺す。対艦徹甲弾準備。サラマンダー突進。」
「弾幕を張り続けろ!ビームで動きを止めたところをリーオ弾で刺し貫け!」
「どうした、隊長?やけに生き生きしてるじゃねえか?」
「初めてだからな。本当に全ての人のために戦うと実感できるのは。
 今日は遠慮無しだ。パンツアー隊、前に。押し込むぞ。」
「レイ、セレスにいいところもって行かせるなよ。俺達も行こうぜ。」
「おう。ブレード、大丈夫だろうな。」
「これは人殺しの戦争じゃないからな。貴様とやった時と違って手加減は要らん。
 凱龍輝の真の力見せてやる。」
『バックス、神の雷を受けたマッドサンダーの足が止まってる。援護に行って。』
「了解、先輩。いくぞ、バスターライガー。」
「高空偵察中のホエールキングより入電、全域で敵の数に押されています。」
「ジーンをルージたちが叩けば全ては終わる。突入部隊に敵を近づけるな。
 全部隊に敵の行動の阻害に全力を注ぐよう要請しろ。」
「左翼よりバイオトリケラ部隊接近中」
「何?いかん、これでは突入部隊が背後を取られる。ウルトラザウルス前進。
 全方位斉射をもって敵を食い止める。」
「しかし、ハーマン艦長、それでは敵中に孤立します。」
「心配するな。前も生きて帰ったんだからな。」

248 :
「命令書を見せてもらおうか?」
ヒップ中佐の言葉に生魚で頬を張られたような顔をするリンチ
「ディガルド軍は幼稚園ではないし君も『初めてのお使い』に来たわけではあるまい、
明日午前零時をもってアラヨット山分遣隊基地が閉鎖されるまで私はこの地方の治安
責任者であり正規の命令書無しに住民の移送を許めるわけにはいかん」
珍しく正論を吐くヒップに対する回答は心臓に向けられた拳銃だった
「ジーン閣下の命に従わぬ者はその場で銃殺だ」
思わず飛び出そうとしたアズサを重装兵のライフルが狙う
「嫌あ、放してえ!」
リンチの部下に羽交い絞めにされヘレナが悲鳴をあげる
1ダースを越すライフルに囲まれ身動きとれないアズサは歯軋りするしかない
「クロべえさえありゃこんなやつら・・・」
パパラパパ〜ン「はい、黒ラプター!!」
クラクションを鳴らしながら飛び込んできたグスタフが重装歩兵を蹴散らす
後ろのトレーラーに鎮座しているのは整備班と一緒に基地を去ったアズサのバイオラプターだ

249 :
逆パターンでジーンやカン博士が過去に飛ばされて
ディガルド再建というのも面白いかもな。
ZAC2056〜2099の間の西方大陸か東方大陸なら
勢力を伸ばせるだろう。

250 :
「今だ!」
ヒップ中佐の合図でガンビートルのトランクから飛び出したライバック料理長が発煙手榴弾を投げる
「やっておしまい!!」
シーゲル技術軍曹の掛け声でバールやワイヤーブラシを振り回し重装歩兵に襲いかかる整備班
「お前ら何で戻って来た!?!」
どさくさまぎれにヘレナを路地裏に引っ張り込もうとした下士官に低空ドロップキックをかましながら
アズサが言う
「説明は後、それより少尉」
オリベ伍長に言われるまでもなく地面を震わせる振動にアズサも気付いていた
「あちらさんもゾイドを持ち出して来たみたいですよ」
期待に瞳を輝かせカイザ二等兵が言う
「村人を助けるためだよアズサ君」
ダメ押しのセリフを口にするヒップ中佐
「ど畜生ー!!!」
トレーラーに飛び乗ったアズサは滑り台を逆走する子供の様にバイオラプターの
尻尾から背中へ駆け上がりながらツナギを脱ぎ
「おおー!」
ブラをとり
「おおおー!!」
最後の一枚を脱ぎ捨てる
「うおおおおー!!!」
クロべえを起動させたアズサはまず足元のギャラリーをヘルファイヤーで吹っ飛ばした

251 :
>>249
>逆パターンでジーンやカン博士が過去に飛ばされて
>ディガルド再建というのも面白いかもな。
>ZAC2056〜2099の間の西方大陸か東方大陸なら
>勢力を伸ばせるだろう。
ふと思ったんだが、東方大陸に飛ばされたカン博士がブロックスの誕生に関わったりしそうな気が。
ブロックスの「キメラ」「組み換え」「変形」「合体」といった特徴を
カン博士が「元となった生物からどれほどかけ離れたことをさせることができるか」とか
「他者問題への挑戦」とかいう実験でやりそうな気がするんだ
(自分の作ったキャラクターなのに「気がする」っつーのはどうかと自分でも思うが、
 こいつとマイクは俺の手を離れて暴走するんだ)。
人工的に量産可能という点も実験素材の確保に都合がいいだろうし。

252 :
書き込みないね?

253 :
最近書いている人達のオリジナル展開が暴走しすぎて面白くなくなったからだと思う・・・。

254 :
全ての戦いは終わった。
「神」を名乗ったジーンは、反ジーン連合の決死の作戦に討たれ、
この星は解放された。総ての人に、そしてゾイドにとって。
数多くの予定外の来訪者達は乱れた時空を超えて終結し、
戦い、傷つき、その多くが散った。

勝利に沸く熱気を感じながらも、
混乱の後の秩序の再建は、より多くの混乱を呼ぶのを
自分の世界での先の騒乱を見てきたサンドラは
素直に喜べない気分だった。
「少なくとも私達のときは、法律ってくだらない基準があったけど・・・」
彼らを規律するものはあるのかと自嘲気味に呟く。
後からこの世界に来た連中こそ、それぞれが独自のルールを持ち
また軍という実行力を持っているのが危険だなと思いつつも、
祝勝会での立ち振る舞いが今後を大きく左右すると
口元の笑みはさわやかに、ただし視線は鋭く、と、サンドラは顔を作る。

私達サベッジハンマーは幸運ではあった。
ほぼ唯一の飛行空母のホエールキングを有していたことと、
ザイリン少将を同乗させていたこともあって無理な戦闘に加わることはなく、
スタッフ、クルーを一人も失わずに終戦を迎えることが出来た。
このことを多く喜ぶべきだろうと。
バスターイーグルとロードゲイルが上空でユニゾンし、
クルーエルゲイルとなる。会場には驚きと喚起の声が上がる。
あの二人がユニゾンなんてね、と、
逆光に浮かぶ二人のゾイドの姿が頼もしくも見える。

255 :
思えばここに来ていろいろなことがあった、
四天王と大将との策謀に満ちた食事会。
さらにその席で決まった、彼らとのZi−ファイト。
バートンの家出。
一人独断先行して捕まったブレードの救出作戦。
レジスタンスのリーダー、ルージとそれを追うお姫様レ・ミィ。
その後ろから二人を追う、元、四天王のソウタ、もといギン。
私にもそんな幸せな年があったわと三角関係を微笑ましく眺める。
「共和国」の連中、最大勢力の彼らとは未だに付き合いにくい。
今は、元の世界に戻る方法探す派と、民主的な統治をすべき派で分かれているらしい。
前者なら付き合ってもいいかと思っていたが、
ホエールキングをギルにぶつけて大エネルギーを発生して・・とか語ってやがった
まじありえない。R
「あんた達には世話になった」
ザイリンがブレードに握手を求めてくる。
今回の事態で一番大きく変わったのが彼だろう。
ディガルドを反ジーン連合に変えたのは彼の功績だ。
そしてうちのブレードも大きく変わった。
差し出されたザイリンの右手を、ブレードはしっかりと握り返す。
「チイサナ・・・コトダ・・・
 オノレRD・・・ユルスマジ」
「くそ、この土偶め。本気で掴みやがった。血が出てるじゃないか!
 さっさとその魂を解放してやる!」
やっぱり中身は変わってないと二人を止めもせず、微笑ましく眺めるサンドラであった。

256 :
共和国軍を元の世界に戻す展開にするのであれば、アーカディア城跡地の地下に眠る
時空転送装置の遺跡を巡っての物語になるのかも。

257 :
脳内キャラの台頭しすぎは勘弁

258 :
特に脳内キャラが偉そうに既存キャラに講釈や説教たれたりすんのがむかつくね

259 :
まあ、それを言うなら従来ゾイドでジェネゾイド負かしたいだけってのが一番勘弁だけど…
マッド初登場の話とか……。

260 :
正直>>254-255の様に2〜4レスで物語が終わる位が丁度良い。
他の長編物は結局物語の収拾がつかなくなってしまっている。

261 :
ま〜もの書きは、規定の枠に上手く収めた上で、キッチリ物語を収束させられるから、
プロな訳で。
素人が、規定も設けず、ただ書きなぐるマイストーリーがグタグダで収束不能になるの
なんて当然といえば当然な事だ。 

262 :
これまでの(省略された)あらすじ
ポポローネ村でリンチの駆るバイオトリケラを苦戦の末退けるアズサ
戦闘後整備班から転属先のブラウ基地が討伐軍の手に落ちていたこと
その後メカゲオルグの部隊が味方の捕虜ごと基地を壊滅させたことを知らされる
さらにボラー少将の公開放送がダメ押しとなってジーン打倒に立ち上がる分遣隊員
討伐軍に合流すべく行動を開始したアズサ達にメアリー、ベルチェ、エルザ、ハットン、アネットが合流
そして部下を機械兵にされジーンから離反したリンチは一行に衝撃の事実を伝える
「つまり自分の人格をダウンロードしたスーパーコンピューターがジーンの切り札ってわけか」
メアリーの移動事務所に集合した面々にリンチの説明が続く
「そいつはディグの北西にあるヴァント大渓谷の最深部に設置されてる」
「そして万一バイオティラノが機能停止したときには機械兵のコントロールを引き継ぐという仕掛けだな」
「抜かりがないっスねー、頭の切れる馬鹿は始末に負えないっス」
「すでに討伐軍主力は自由の丘に展開をはじめている、ここは我々だけでジーンの秘密要塞を攻略するしかあるまい」
「だがあそこはバイオゾイドの大群と自動防衛機構で守りを固めてるぞ」
この戦力で攻め込むならウルトラザウルス級の戦闘母艦が要るとリンチは言う
「あーそれなら何とかなるかも」
全員の視線が集中する中アズサは鼻の頭を掻きながら
「アタシの実家の裏山にも埋まってるんだわご先祖様の遺産ってやつ」
「もしかしてギルドラゴン?」
「多分その同類、ウチの言い伝えだとギルベイダーって名前だけど」

263 :
>>260
一理あるな。
俺も4レスぐらいの長さで終わってる方が読みやすくて好きではある。
かといって長編ものもそれはそれで好きなんで、
長編書いてる職人さん達は5レスごとぐらいで物語にちょっとした区切りを設けてもらえると嬉しかったりする。

264 :
ようは執筆も計画的にと

265 :
プロットとか作ってないように見えるのよね

266 :
>>264
同感、正直目的も、終わりも見えてこない物語を読んでいてもね…。

267 :
実はこの「スレに書き込む」って形態は長編に難しい問題を引き起こしてると思う。
本であれば、その作品がどの位の分量であるかが頁数と一頁あたりの文字数から大体見当がつくが、
スレ書き込み形式だと見当がつかない。
商業的な連載物と違って、一旦発表された続きがいつ読めるのかもわからない。
>>263氏が提案してるようなこととか、そこらへんを踏まえた工夫があると良いのだろうな。

268 :
しかし読み手側があーだこーだ言う問題でもないと思うけど。

269 :
初期の短編でうまくまとめていた人たちがいなくなったのは
だらだらと続く長編でスレが埋まってるのに嫌気が差した
んじゃねえかと思ったり。
自分は何回か投下したけど、いつ終わるのかわからない
長編が続いていると、今書き込んで良いかどうか
かなり躊躇した。

270 :
それ言えてる。

271 :
アーサーVSザイリン書いた者だけど
実は自分、MBスレでも一本長編書いてる。恥ずかしい話だが当初の予定より三倍ぐらい長引いてる。
長編って本当に難しい。書いてるうちに途中で設定の穴とか見つけると
整合性つけるのに苦労したりはしょっちゅうよ。
短編職人こそむしろ尊敬に値すると思って自分もここで短編を書いては見たものの
結局なんだか尻切れトンボな話になっちまって今は反省している…。

272 :
話を始めるのは簡単だけど終わらせるのはとても難しいもの。
長編等を書いてるうちに話を膨らまさせ過ぎて纏められなくな
ってる人が多い。
要は短編でも長編でも如何に話を上手く纏めて終わらせる事が
出来るかということ。
とにかくガンガレ。

273 :
>>271
俺はあの話好きだよ。
丁度いい長さで読みやすかったし。

274 :
空にそびえる黒がねの城
某ダイナミックプロなロボットアニメの歌詞がピタリとはまりそうなギルベイダー
の雄姿ではあったがその内部は白鳥が水面下でせわしなく水を掻くがごとくとても
威風堂々とは言えなかった
只でさえ総身に知恵が回りかねるサイズのうえ何千年もほったらかしにしておいた
超巨大精密機械をいきなり戦闘に投入しようというのだ
ミッドウエイ海戦時工員をのせたままパールハーバーを出撃した空母ヨークタウン
のごとくヴァント大渓谷に向けて飛行するギルベイダーの内部ではあちこちに発生
する不具合と応急処置を施す整備班のイタチごっこが続いていた

275 :
「昔から妙にカンのいい子だったよ・・・」
周りの喧騒をよそに黙々とバイオラプターの整備を続けるアズサは食事を運んできたヘレナにポツリと言った
チャンプ商会の手によって修理なったデカルトドラゴンに便乗し故郷に飛び帰ったアズサが遭遇したのは見る
影もなく破壊され無人の廃墟と化した村落だった
だが一族が代々守ってきた秘密の入口とその奥に眠るギルベイダーは無事だった
そして今大空を往くギルベイダーのブリッジではアズサが常に身に着けていたお守りが中央コンソールにはめ
込まれ淡い光を放っている
「お守りを渡すとき妹にはなんとなく分かってたんだ、ギルベイダーの始動キーが必要になることが。そして
その時には自分は・・・」
気が付くとアズサはヘレナの腕の中にふわりと抱かれていた
「アズサさんの姉妹がそんなに簡単に捕まるはずありませんよ、全部片付いたら一緒
に捜しましょう。私の娘も、アズサさんのご家族も。中佐も料理長も、みんなきっと
手伝ってくれます。」
「うん・・・」
ヘレナの胸に顔を埋め涙を浮かべようかというその時アズサの本能が警鐘を鳴らした
野生の勘が命じるまま後ろ回し蹴りを放つと飛び散った木箱の陰からメアリー以下1ダースを越す出歯亀が姿
を現す
ヘレナから100発入りドラム弾倉を装着した短機関銃を受け取ったアズサはコッキングレバーを操作し第1
弾を薬室に送り込む
「何か言い残すことは?」

276 :
>>245
 イダダガ山は、この地域では最も高い、それも二つの峰が連なる連山で、二つの峰の間にジョシュア達の拠点が存在していた。
それは要塞のようであり、入り口には巨大な門があった。
「なに、ズーリに比べればなんとも小さなものだ」
 ジョシュアはそう語る。ズーリとは、反ディガルド勢力が集まっている要塞都市などだという。
 門の前で扉が開くのが待っていると、門の上の見張り台に兵士とは別に上等な服を着た中年男が現れた。
「ジョシュア様、何者なのですから!こやつらは!」
 中年男が我々のゾイドを指さしながら怒鳴った。
「心配するな、客人だ。門を開けろ!」
 タイガーのコクピットに立つジョシュアからそう言われ、中年男はしぶしぶ引き下がり、ほどなくして門の扉が開いた。
 門をくぐるとそこには小さな街があった。道は迷路のように入り組んでいて、簡単には中心部にはいけない。
少しいくとすぐ壁にぶつかる。T字路になっている。壁はかなりの高さで、その上にも街がある。
「ウィンターズ大尉。見てください。この壁。ゾイドでも簡単に登れない高さに設定されている。極めて巧妙な造りです」
 バッツがコクピットから興味津々に街や壁を眺めながら言った。
 一行は最初のT字路を左に曲がった。
「おそらく右は行き止まりになっているんでしょう」
 まさしく迷路か。通信機の向こうから聞こえてくるバッツの感心しきった声に俺は思った。
この砦、極めて考え尽くされている。ジョシュアという男は只者では無い。
 しばらく行くと坂道が現れた。壁の上に上がるための通路のような。
こうした壁になんどもぶつかり、入り組んだ迷路を進んで、やがて城にたどり着いた。

277 :
「うわあああぁぁぁ……」
私の意識は掻き消された。


278 :
「…うぅ…」
どのくらいの時間が過ぎた後だろうか。私は意識を取り戻した。
「!?どうしたというのだ!?」
スクリーンには平原と点在する森が映し出されている。
「故障か?」
有り得ないはずの光景に、アイアンコングのハッチを開け放って肉眼で確認するが、
そこに広がっていたのは、有り得ないはずのその光景だった。
「これは一体…」
私は反乱軍の要塞に突入して、そして噴火に巻き込まれ…
「そうか、そういうことか」
おそらく、噴火に巻き込まれ、そのまま吹き飛ばされたのだろう。
並みのゾイドの装甲ならば噴火の熱に耐えられないところだが、
我が帝国の誇るアイアンコングの強靭な装甲はそれに耐えたのだ。
そして大河に落ち、遠くまで流された…
「やつらのせいで厄介なことに…」
そうと分かれば一刻も早く友軍と合流せねばならない。
しかし、しばらく試したのだが、通信系等も位置情報システムもイカレているらしく、全く応答がない。
短く毒づき、私は人影を求めてアイアンコングを移動させ始めた。


279 :
「私はガイロス帝国軍少佐マルクスだ!ここから一番近くにいる帝国軍部隊の位置を教えろ!」
ようやく見付かった村落で私は住民と相対していた。しかし、なんだこいつらは。
我がガイロスを知らないなどと抜かす。言葉づかいも乱れている。
村落といい、住民といい、辺境であるのは一目で見て取れるが、それにしてもなんたることだ。
帝国の隅々にまで徹底した教化が必要だ。
そんなことを考え、怒りを抑えながら会話していると、
一人がいかにも何かに気がついたと言わんばかりの顔と声色をしてこう言ったのだ。
「ああ、あんたもすげえ昔から来たって人か!」


280 :
 何たる言い草だ!!
私の正確な言葉使いと国家への忠誠を理解できんがために理不尽に腹を立ててこの私を化石呼ばわりするとは!!
私はその男を怒鳴りつけると名前を聞き出し、村落から立ち去った。
本来ならその場でしかるべき処罰を与えるべきだが、現在は戦闘状況下だ。一刻も早く友軍と合流せねばならないのだ。
あの男の処罰は後ほどあの地区の責任者に命じることとする。
私は軍に忠実なのだ。


281 :
 私は急いでいた。
 いくつかの村落を巡る中で、情報が得られてきたのだ。
住民の不正確な知識のせいで理解に手間取ったが、友軍と連絡をつけられるかもしれない。
ディガルド武国と名乗る勢力が、反乱軍及びそれに協力する勢力と交戦状態にあるらしい。
ディガルド武国とは知らん名だ。辺境の小国が、覚えを良くしようと我が帝国に協力姿勢を示しているのだろう。
それに驚いたことには、そのディガルド武国なる勢力は、驚異的な性能の銀色のゾイドを多数使用しているという。
あの小僧の持っていたものと同種のオーガノイドを多数手に入れたということか。
ディガルド武国とやらは、名も知られぬ小国ながら反乱軍に対し善戦しているらしいが、
オーガノイドを多数有しているとなれば当然だろう。
しかし、ディガルド武国というのは満足な情報を手に入れることも出来ないらしい。
オーガノイドを保有していながらガイロス帝国に提供しないとは。
帝国がオーガノイドを入手しようとしていることも知らんのか。
もしくはオーガノイドを保有していることを我が帝国から隠し通せるとでも思っているのか。
いずれにしても情報活動がなっていないとしか言いようがない。
情報活動がなっていないと言えば、この辺りの住民の無知と言ったら呆れるばかりだ。
ディガルド武国は世界を支配せんばかりだのオーガノイドには徹甲弾も指向エネルギー兵器も効かぬだのと抜かす。
無知な人間が自分達の想像を越えたものを見聞きしたため、畏怖の念に駆られて話が大きくなってしまっている。
自分の理解できる範囲の中でしか物を考えられない人間は困ったものだ。


282 :
「あれか」
情報を統合し、私は反乱軍とディガルド武国軍との戦場に辿り着いた。
一般のゾイドと全く違ったゾイドが多数いるため、一瞬どちらがどちらなのか判断に迷ったが、
反乱軍の識別マーキングを付けたゾイドがいるのを見つけたためどちらがディガルド武国軍なのか分かった。
さらに観察を続けると、ディガルド武国軍側の指揮官機と思しき巨大なゾイドがいるのが目に止まった。
その機体への最短経路で戦場に割って入る。
ディガルド武国軍側の機体が私の機体に攻撃をしかけ、反乱軍側の機体がそれを阻止しようとするというおかしな事態が発生する。
ええい、敵味方識別もろくに出来んのか。なんと練度の低い連中だ。
私はアイアンコングの性能に物を言わせて無理やりディガルド武国軍側の指揮官機から見えるところまで突き進み、
ハッチを開け放って半身を表した。
「私はガイロス帝国軍少佐マルクスだ!私への攻撃をやめさせろ!」
返答はない。それどころか、なんとその巨大な機体は砲撃体勢を取り始めた。
この位置関係では、私も巻き込まれる―!
「やめろ何をする!私はガイロス帝国―!!」
絶望的なまでに強大な力の奔流が放たれた。恐ろしいほどの速さで私に迫ってくる。
「うわあああぁぁぁ……」
私の意識は掻き消された。


283 :
「…うぅ…」
どのくらいの時間が過ぎた後だろうか。私は意識を取り戻した。
「!?どうしたというのだ!?」
スクリーンには平原と点在する森が映し出されている。
「故障か?」
有り得ないはずの光景に、アイアンコングのハッチを開け放って肉眼で確認するが、
そこに広がっていたのは、有り得ないはずのその光景だった。
「これは一体…」
私はディガルド武国なる勢力の指揮官機と話をつけようとして、そして強力な砲撃に巻き込まれ…
「そうか、そういうことか」
おそらく、砲撃に巻き込まれ、そのまま吹き飛ばされたのだろう。
並みのゾイドの装甲ならばあの強力な砲撃に耐えられないところだが、
我が帝国の誇るアイアンコングの強靭な装甲はそれに耐えたのだ。
そして大河に落ち、遠くまで流された…
「やつらのせいで厄介なことに…」


284 :
 その時である。私は、こちらに近付いて来る一体のゾイドを見付けた。
「何!あれは!」
なんと反乱軍の最強兵器、ゴジュラスではないか!
殆ど反射的に、奴との距離を測る。測距系統か外部映像系統が故障している。
400メートル先で奴がこの大きさに見えるだと?
それではあのゴジュラスはゴドス並に小さいということになるではないか。
まあいい。多少の不具合はあっても、こちらはアイアンコングだ。
やってやろうではないか。
「手柄になる獲物だ―!」


285 :
終わりです。最後はフュザ世界に飛ばされる
(そこで何事か見にきた治安局のアロとゴルヘを見た目から共和国軍機体と判断して攻撃を仕掛け、
 駆けつけたゴジュラスギガを新型ゴジュラスと判断して戦おうと思う)
のとどっちにしようか迷いましたが、
ネオブロのほうがタイムリーだし(そうか?)、勘違いっぷりをよく書けると思いこうしました。
では。

286 :
この話は、ジェネシスの終わり近くの時間を舞台にしています。
また、「バイオティラノとバイオラプターグイを有する…」というくだりが出てきますが、
これは、最終決戦前で、ジーン側がグイを運用できないことが知られていなかったためという設定だからです。


287 :
「ヴァル、早く早く!」
ラトがコネクテスのところへと手を引っ張っていく。
わざともったいぶってゆっくり歩いているのだが、気付いているのかいないのか。
思わず口元がゆがむ。
コネクテスの傍らまでくると、ラトは早速よじ登って手際よくハッチを開ける。
最初に「僕がやる」と言って開けたときは、ひどく時間が掛かったうえ落っこちかけて大変だったもんだが、
ずいぶんと上手くなったものだ。
コクピットの脇に立ったままサムアップしているラトにサムアップを返してコクピットに滑り込む。
「ねえ、大きくなったらゾイドの乗り方教えてくれるって約束してくれるよね」
「あー、駄目だ駄目。お前の動かせるゾイドがいるかわかんねーだろ。守れないかも知れない約束はできねーの」
いつも通りのやり取りである。そしてラトはいつも通りむーむー言っている。
笑みを浮かべながらその様子を見ていると、やってきた村人にそろそろ出発すると言われた。
ラトにいつものところに座るように言い、それを確認してから始動させる。
固定の紐がぼろくなってきたな…そろそろ替えるか。
乗り込む前に確認したラトとふたりで作った木の座席の様子を思い浮かべながら、ヴァルはそんなことを考えた。
ゆっくりコネクテスを進ませる。
この村にはヴァル以外にゾイドを動かせる人間はいない。他の人間は徒歩だ。それに合わせる。
もっともその必要が無くとも、手作りの木の椅子なんぞにラトが座ってる以上ゆっくりにせざるを得んのだが。
ハッチを開けたままラトとくっちゃべっているうちに、目的地に着いた。


288 :
 そう、俺のときもこうだったんだな…
 目の前の光景を見ながら、ヴァルはそんなことを考えていた。


289 :
 ヴァルがこの人間たちと暮らし始めてもうどのくらいになるだろうか。
その集落に辿り着いたとき、どこから着たとも知れない自分は、そこで暮らすことを受け入れられないところだった。
そう、それ以前に訪れた集落でそうだったように、そうなっていても全く不思議ではなかったのだ。
ラトがいなければ。
 訊ねたことがある。不思議だったのだ。
なぜ一人の少年の言葉で、自分がそこで暮らすことを認めてもらえたのか。
初老のその男は、少し険しい目付きで地面を見ながらこう答えたのだった。
「ここにいる人間はみんな、もともとは余所にあった村の人間だったんだがな。
 どこにでもある話さ、ディガルドの連中が来るのがわかったんだ。
 ディガルドのやり方は知っていたし、かといって奴らを追い返すなんてできるわけもなかったから、
 村を棄てて逃げることにしたんだ。
 ラトの両親は村で二人だけのゾイドに乗れる人間で、それで…」
言葉を閉ざしてしまったその先は、聞かなかった。聞きたくもなかったし、言わせたくもなかった。


290 :
 あの時と同じように、ラトは必死だ。一緒に連れて行くように主張している。
しかし、こればかりは難しいだろうな―ヴァルはそう思った。
なにしろ、討伐軍とディガルド軍の大規模な戦闘があった近くに、
レッゲルか何か価値のあるものを積んだ残骸でもないかと来てみて見付けたそれは―
機械兵なのだ。


291 :
「つれてこうよ!おいてっちゃだめだよ!」
ラトの顔は、すっかり真っ赤になっている。
「討伐軍の人のところにつれてかなきゃだめだよ!」
「でもなあラト、もしディガルドにばれたら…」
その懸念は、確かにもっともだった。
共和国軍という強力な味方を得、さらに多くのディガルド軍部隊の寝返りで、
討伐軍側がそれまでよりずっと優勢になったとはいえ、
バイオティラノとバイオラプターグイを有するディガルド軍は、依然強大だった。
ディガルドが敗れるという保障は、どこにもなかった。
「だって、かわいそうなんだよ!討伐軍の人が言ってたんだよ…」
機械兵の実態は、討伐軍と共和国軍によって広く喧伝されていた。
にわかには信じられぬほどのおぞましい行為。
共和国軍の技術者が、ソラシティーの情報と技術も利用して、元の体には戻せないにせよ、
もっと普通の生活が送れるように体を作り変えるよう試行錯誤しているそうだ。
心情的には、ラトに味方したいところだが…
我が身を振り返ってみて、ヴァルは心の中で頭を振った。
だったら、自分は討伐軍と共和国軍のところへ届けに行けるか?行けやしない。

292 :
 村人たちはラトから離れて、固まって相談し始めた。
ラトは今にも泣き出しそうな顔で足元を睨み付け、一人で立っている。
ヴァルは、傍に行って話しかけた。
「なあラト、確かにその人はかわいそうだけど、みんなの言うこともわかるだろう?
 置いてかなくちゃならないんだよ」
「でもかわいそうなんだもん…」
そのままの顔で上目遣いにヴァルの顔を見上げ、弱い口調でラトはそう言った。
「かわいそうだけどな、仕方がないんだよ」
「だって…、だって!」
ラトの睨み顔が、少しくずれた。
「いいことしないと、天国にいってお父さんとお母さんに会えなくなっちゃう…」
涙が、二,三粒こぼれ落ちる。ヴァルは少し無言で立ち尽くすと、村人たちの方へ歩み寄り、言った。
「俺が持っていくよ。迷惑はかけない。
 持っていったら、そのまま帰ってはこない。村のことも話さない。それならいいだろう」
全員の視線が、ヴァルに集まる。しばしの沈黙の後、村人の一人がようよう口を開いた。
「…し…しかし、いいのか?それで…」
おずおずといったような、何をどう言ったらいいのか解らないといった口振りだった。
「ああ。俺は元々この村の人間だったわけじゃないからな。俺が行くのが一番なんだ」
間髪入れず、ヴァルは答えた。不必要と思えるほどきっぱりとした口調だった。
再びの沈黙。誰も何を言ったらいいのかわからないようだった。
ヴァルはしばらくその様子を見つめた後、自分のコネクテスに積むためあちこち壊れた機械兵へと歩み寄った。
 戦場からここまで自分で歩いてきたと思しきそれは、手足を少し動かした。


293 :
 あれから三日。ヴァルは、まだ村にいた。なかなか決心がつかないでいたのだ。
誰もそのことについて何も言わない。
しかし、どう思っているのかは、視線や態度でも、理屈の上でも、解り過ぎるほど、解っていた。
ヴァルはほとんど、ラトといるか、コネクテスで買出しに行っているかという生活をしていた。
ヴァルが買出しに行くのは、ほかにゾイドを動かせる人間がいないため、いわば当然だった。
だが、もし、そんな事情がなかったとしても、ヴァルは自分からその役を買って出ていただろう。
自分しかゾイドを動かせる人間がいないという事情はむしろ、
買出しに行きたがる理由を尋ねられないため、運が良かったと言えた。
買出しに行きたがることと、機械兵を届けに行く決心がつかないことは、同じことにその理由があった。
銃殺されるかもしれないのに、そうそう決心がつくわけがない。
ヴァルは、脱走兵だった。


294 :
 二―ル・マドセン。
それがヴァルの本当の名前だった。
ニールは、西方大陸の人間で、ある程度ゾイドや機械の整備が出来た。
そのため、共和国軍に徴用され、作業員としての訓練を受けた。
そして、二クスへの遠征に際し、ウルトラザウルスに作業員として乗り込むことになった。
その途上、ニクス派遣軍はガイロス軍との海戦に破れ、魔の海域、トライラングルダラスに逃げ込んだ。
荒れ狂う海流と、ゾイドの暴走による同士打ちで、ニクス派遣軍のゾイドは少なからぬ損害を受けていた。
それは、ウルトラザウルスとそこに積まれていたゾイドも例外ではない。ニールは、応急処置をしようと、工具を取りに走った。
そして戻ってくる途中、ウルトラザウルスが激しく大きく揺れ、
工具で手が塞がっていたニールは、どこかにしがみつくことも出来ず、通路の壁に頭を叩き付けられ、気を失ったのだった。
 気が付くと、ニールはテントの中に寝ていた。
頭に手をやると、壁に叩き付けたところにガーゼが当てられていた。痛みはほとんどない。
負傷者が大量に出たため、医務室は怪我の程度の重いものから当てられ、
ニールのように軽症のものは作業の邪魔にならないようウルトラザウルスの外のテントに寝かされたらしい。
…テント!?ということはここはどこかの陸の上だ。一体どこなんだろう。
ニールはテントの外をうかがってみた。
―明るい。青空が広がり、緑が見える。それにその光景を見て気が付いたのだが、寒くない。
聞かされていたところによると、確かニクスは酷寒の不毛の地だったはずだ。
 ―引き返したんだ!
そう頭に浮かんだ途端、家族への想いが、猛烈な勢いで湧き上がってきた。
お袋。姉貴。トムにメアリー。
 休暇は伸ばされっぱなしで、全然会えていない。
ここがどこかはわからないが、少なくともまるで帰ることの出来る当てのない二クスではない…
 すると、周りの様子から、急に、
混乱でニールのような一兵卒一人一人にまで気を配っていられないことに気付く。
 そしてニールは、脱走するという意識もないままにそこから抜け出してしまったのだった。


295 :
 気付くのに、そう時間は掛からなかった。
 ある村で、服と見たことのないムカデ型のゾイドを盗み、
民間人の振りをして故郷へ帰る方法を探してあちこちの村人と話しているうちに、
自分が全く違う世界に来てしまったことを知った。
想像さえ及ばないほどの遠い過去。
それが自分の戻るべき世界なのだった。
戻る方法など、見当すらつかない。
せめてもの救いは、恐らくは同じ時代に帰る方法を模索しているであろう共和国軍がいることだった。
努めてあちこちで情報を集め、可能な限り共和国軍の動きを把握しておくようにする。
それが、ヴァルに出来る全てだった。


296 :
 そんな逡巡の中のある日、いつものようにヴァルは買出しに出かけ、世間話の形で情報を集めていた。
すると、ある男がこんなことを言い出したのだ。
「そうそう、動ける機械兵って知ってるか」
確か自分が連れてきた機械兵は手足を動かしていたし、
損傷で今はもう歩けないらしいが、見付かった場所までは戦場から自分で歩いてきたようだった。
一瞬、全身が凍り付く。それを悟られないように、精一杯何気ない風を装って言葉を発する。
「ああ、そんなのも中にはいるんじゃないか?」
「うーん、いや、いるにはいるんだがな。そういうのは一人だけだと。
 確かゲオルグって奴がなった機械兵だけだって聞いたな。
 ゲオルグってのは将軍だったからな、特別扱いなんだろ。
 で、今は死んじまったんじゃないかって言われてるんだけど、はっきりとはしてないらしい。
 将軍だったってから、そのうち探すかもな」
「ふーん、そうなのか」
努めて平静を装ったが、声が震えていなかったかは自信がない。
とんでもないものを拾ってしまった。
ヴァルは、その場を去ると、真っ直ぐに村に帰った。


297 :
 村に戻ってから、ヴァルは周りと話をしようとしなかった。
ラトが心配して色々話し掛けてきてくれたが、生返事しかしなかった。
そんな様子で丸一日過ごし、ぼんやりと、あの機械兵のことを考えていた。
将軍か…大変な奴だ。
ディガルドの将軍ってことは、散々酷いことをしたんだろうか。
他の国に攻め込んだり、反対勢力を迫害したり、村を…
「!!」
ヴァルは、そこで大変なことに気が付いた。外に飛び出し、目に入った村人をつかまえる。
「あんたらの元いた村にディガルドが来たんだよな!?そん時の指揮官が誰かわかるか!?」
俺の考え過ぎであってくれ…!
「え…、な、なんでまた急に…」
「いいから答えろ!!」
違ってくれ、違ってくれ、違ってくれ!!
「わ、わかったよ… ゲオルグって奴だよ…」
「!!!」
力が抜けていく。視線が定まらなくなる。だったら、ラトは…
「畜生!!」
ヴァルはラトのところへ向かった。


298 :
「ラト、機械兵を連れて行くよ」
自分でも信じられないほど、落ち着いた声だった。
「え…、本当?」
ラトがどういう顔をしているのか、よくわからなかった。
「ああ、そうだ。それで、機械兵のことは、誰にも言っちゃ駄目だ。連れて来た時の話を覚えているだろう。
 約束だ」
「うん、わかった。約束だね」
ラトは笑った。その笑顔を見て、何故か悲しくなった。
「…これからも、可哀想な人に優しくしてやってくれよ」
自分も笑おうとした。しかし、ぎこちない笑顔の出来損ないをつくるまでで精一杯だった。
そのまま後ろを向き、歩き出す。
「ヴァル、ほんとは帰ってくるんだよね。ちょっとはいないけど、帰ってくるんだよね…」
振り向きたかった。だが、振り向けなかった。
呪わしい機械兵をコネクテスに積み込むと、始動させ、進め始めた。


299 :
 なぜ自分は、馬鹿正直にこの機械兵を届けに来たのか。
 真夜中、討伐軍の拠点近くの、朝になったらすぐ気付いてもらえるようなところに機械兵を降ろしながら、
ヴァルは考えていた。
 ラトが気付かないようにどこかに捨てて来てしまってもいいはずなのだ。
そうすれば共和国軍に見付かることを心配しなくてもいいし、村にいられたかもしれない。
そしてこいつはそうされても当然の報いとして仕方のない奴なのだ。
 なのに、自分はこいつが無事に討伐軍に見付けてもらえることを願っている。
 どうしてなのか、まるでわからなかった。
 まあいいさ。今そんなことを言っても仕方がない。
 機械兵を降ろし終わり、ヴァルはコネクテスに乗り込もうとした。
その時。

300 :
「そこ!何をしている!」
見付かった。明かりが向けられる。
「ええとその…、し、知り合いを訪ねに行く途中で一休みしていまして…」
とっさのこととはいえ、せめてもう少しましなごまかし方は出来ないものか。自分が恨めしかった。
「なに…?そのまま動くな」
三人ほど近付いてくる。意を決し、ヴァルはコクピットに飛び込んだ。
自分の限界を超えたと思える速さで始動させる。
「貴様!待てっ!!」
追ってくる。だが、近くにゾイドは見えなかった。
人間の足で追いつけるわけはないし、
ゾイドを取りに行くか応援を呼びに行くかしても、その間に逃げ切れる。
安堵が胸を掠めた時。
突然の衝撃を受けた。
「!!しまった!!」
焦りのせいか油断のせいか、道の脇の溝に片側の脚を落とし込んでしまったのだ。
何度試しても、抜け出せない。
他に手段がなく、ハッチを開け放って飛び降りる。
そのまま走り出すが、森の中に逃げ込もうと藪を突っ切ろうとした時、脚を取られて転倒する。
見ると、太い蔦か何かが足に絡み付いている。簡単には外せそうにない。追っ手の声が大きくなってくる。
我知らず、ヴァルの顔には笑みが浮かんでいた。
「天国の役人は、嘘くらい多めに見てくれるかな…」
その笑みは、自らを笑うようでもあり、満足ゆえに浮かんだようでもあった。


301 :
 広い野原を、一人の男が歩いていた。
 遮るもののない空を、雲が流れていく。
 ふと足を止め、空を見上げ、男は呟いた。
「天国か…そんなもん信じるくちじゃないんだが」
自嘲的な物言いだった。しかし、言ったその口元には笑みが浮かんでいた。
 そして男は、ほんの少し目を瞑ると、息を吸い、前を見て、どこまでも深い空の底を、
また歩き出した。




302 :
終わりました。ゾイドがろくに出てこない話を長々と書き込んですいません。
「あの状況でラ・カンが生きてたんなら、ゲオルグが生きて(?)いても不思議はないんじゃ…」
と思ってつくってみました。
では。

303 :
このスレまだ書き込みがあったのか・・・
「嘘と少年」
乙です。

304 :
「時をかけるモミアゲ」と「嘘と少年」書き込んだ者ですが…
俺以外の人のSSの書き込みがかれこれ一月半以上無いんですが、
作者さん達はこのスレ目を通していらっしゃるんでしょうか?
話の続きが気になるんです。
>>303の>このスレまだ書き込みがあったのか・・・
ってのを見てなんか「続き読めないのか?」って不安になったもので。
もし目を通してらっしゃるなら、宜しかったら、
「このスレ見てるよ」的なことでいいんで、何か書き込んでくれませんか?
お願いします。

305 :
>作者さん達はこのスレ目を通していらっしゃるんでしょうか?
たぶん通して無いな。
というか収拾がつかなくなった、あるいは飽きたかなんかの理由で書くのやめたんだろ。
ジェネも放送終わったんだし。

306 :
「知らない天井だ・・・」
二日酔いに似た不快感を伴う目覚めを迎えたアタシのそれが第一声だった
「お早うアズサ君。さて、今日の君の使命だが・・・」
「ピーター・グレイブスかおのれは!」
一挙動で飛び起きたアタシの跳び回し蹴りをキアヌ・リーブスのような動きで回避するヒップ中佐
「いや、今は大佐なのだがね」
「黙れ誘拐犯!」
そう、あの思い出したくも無い最終決戦の後
ジーンの電脳要塞もギルベイダーもチャンプ一族の最終兵器ジャッジサテライトも全て無かった事にして
アタシ達は平和な日常に帰還した
そのはずだった
アタシは故郷の村でしぶとく生き残っていた姉妹達と再会を果たし再建なった温泉旅館で平凡だが穏やかな
生活を送ろうとしていたその矢先
ディガルド連合王国国防軍大佐の肩書きを引っさげた貧相な中年がアタシに一服盛って麗しの我が家から
拉致しやがったのだ
「その件ならノープロブレムだ」
ブリーフケースからなにやら書類を取り出す大佐
「君が私の直属部隊に入隊する旨のご家族の承諾書だ、実家の旅館を国防軍の指定保養所にする条件を提示
したところお姉さんは快く同意してくれたよ」
「Noooooooooooooooo!!」

307 :
>>305
わーい新作だー!
「司令」はどんな内容なのか?ワクテカしながら続きを待つっす。

308 :
「ガーディアンフォース?」
「平たく言えば国境を越えた治安維持のための緊急展開部隊だ」
グスタフに牽引された大佐の移動オフィスの中
アタシは新たに配属される部隊の説明を受けていた
「部隊の性格上隊員は一騎当千のゾイド乗りであることは勿論『政治的』にクリーンでなきゃいかん」
なんとなく分かる
ディガルド武国という共通の敵があったが故に協調路線を採ってきた討伐軍と共和国軍は
最近目に見えてギクシャクしている
そんな中どの組織からもフリーな立場で警察権を行使できる部隊を創ろうとすればそりゃ揉めるだろう
どんなイカサマを使ったのか知らないがそのガーディアンフォースとやらの指揮官に収まったヒップ大佐が
かつての子飼いの部下を頼りにするのも分からないでもない
マテ、『子飼い』の部下?
「大佐、ひょっとして・・・・・」
「ああ、整備班の連中にも声を掛けてある。みんなまたアズサ君と仕事ができると知って大喜びだったよ」
「ファーック!!」

309 :
 そのゾイドは、地面から体の上半分ほどを突き出していた。
この時代に来る前から乗っていたガイサックをディガルドとの戦闘で失い、
失意のそこに沈んでいた俺は、それを見て不思議と心が晴れていくのを感じた。
なぜだか、そこでそうして俺が来るのを待っていてくれたような気がした。
キャノピー強制開放機構を作動させ、シートに体を預ける。
すると、そのゾイドの名前が頭に浮かんできた。
この時代の人間から話は聞いていたが、どうも信じきれなかったことだったが、
今は、それがごく自然なことのように感じられた。
そうか… お前はこういう名前だったのか。
「よろしくな、スネークス」

310 :
「またここかい・・・」
大佐に連れてこられたわれらがガーディアンフォースのベースは案の定懐かしのアラヨット山基地だった
「感無量かね?」
「微妙」
うん、いい思い出より不愉快な思い出の方が多いわやっぱ
その時アタシは出し抜けに形容しがたい衝動に襲われた
その場に大佐を放置してスーパーダッシュ
何かに引き寄せられるように格納庫に飛び込んだアタシは目の前にあるものが信じられなかった
アレがここにあるはずがない
アレはあの戦いで崩落する渓谷の底に消えたはずだ
でも
アタシがアレを見間違えることはあり得ない
「クロべえ・・・なのか?」

311 :
保守

312 :
「ここは、どこだ・・・?」
ぼやけた視界の中、アラームがなり続いていることと、体が前に傾いて左にGが掛かっていることだけ
理解した。
徐々に感覚が戻ってきていることがわかる。
現在、マグネッサー、及び外部ブースター等のメイン機関系統の機能が死んでいる事を、ディスプレイ上で伝えてきている。
「多分、タービンが停止して電力がまわってないのか・・・?」
だれに聞こえるなく、彼は話しかけた。
突然、きりもみから自由落下状態状態に、愛機がいきなり暴れ馬のようになり、焦る。
一瞬、アレが起動したかと、又は愛機も緊張しているのかと考えた。
しかし、どうやら自分は緊張しているらしい。腕に力が入っていたのだろう。
コントロールスティックは圧力感応式だ。
腕に無駄に力が入っているため、センサーは緊張して振るえる手の圧力まで検知したのだ。
そのため機体が安定しないのだ。
深呼吸をする。力を抜く、すると自由落下状態、安定した。
タービンを再始動することを決める。
タービンが回らないとはなしにならない。
高度計を確認。
高度計が2万3500mを切っているが、高度にまだ余裕はある。タービンを降下速度によって
回せると判断。
覚悟を決める。
2万2900m・・・・2万1500m・・・・・2万m・・・・・1万8560m・・・降下はとまらない。
高度計の高度はさらに高度が低くなっていく。アラートがなり続ける、愛機からの意思も伝わるが心で「大丈夫」だと伝えた。
かすかな振動があった。
タービンが回り電力が復帰、マグネッサー独特の振動がシート越しに伝わる。
愛機が吼える。
ブースター点火・・・・高度計が目まぐるしく数値を変える。
体がシートに沈む。激しいGが彼の体に負担をかける。
しかし彼は、スロットルを全開で上昇することをやめない。上昇し続ける。


313 :
どうみても、影響を受けていることがバレバレなんですが
続き書いてもよかでしょうか?

314 :
GOGO
どんどんいっちゃえ!

315 :
>>313
>続き書いてもよかでしょうか?
>>314の人も言ってるとおり、どんどんいくのがよかでしょう。
>影響を受けていることがバレバレなんですが
これが何の影響を受けているのかよくわからんのですが。
ちなみに俺「マグネッサ―」のところを「 マ グ ネ ― ザ ー 」と読み違え、
マッドサンダ―が空から降ってくるというとんでもない映像が頭に浮かんでしまいました…
「ブースター点火」「上昇」辺りで勘違いに気付きましたが。
タービン搭載の航空ゾイドということはストームソーダ―でしょうか?

316 :
>>314
>>315
ありがとうございます、夜にまた続きを書きにきます。
>>マッドサンダ―が空から降ってくるというとんでもない映像が頭に浮かんでしまいました…
それ使いたいですねwテラワロスw
そうです、ストームソーダーがすきなのと飛行ゾイドネタは少ない気がしたので
書いてみました。

317 :
高度3万5000mで機を安定させ、オートパイロットon。機体のコクピットには小さくエンペランザと美しく書かれている。
彼は、現状の把握をすることに勤めた。プリフライトチェックを飛行中にやるのは初めてだった。
エンペランザも嫌がらなかった。システムチェック・・・・開始。
普段は短いチェックも妙に長く感じた。
彼は、妙な違和感を覚えた。 「なんだ? この空はどこかおかしい・・・」とつぶやく。
周りを見回す。見渡すまでの雲の雲海だ。太陽の日がまぶしい。
太陽の日?
終了の合図、軽い電子音。
ふと我にかえる。
さっきまでは、夜じゃなかったか?
いまは、どうみても夜明けか、夕方ではないか?
焦って航空時計を見る。
時間通りならまだ日付が変る前のはずだった。
再度、電子音。
彼は、ようやくチェックの結果に気づく。
システムはすべて問題なし。
燃料も、十分だった。
多少、ゾイドコアが活性化していたが、許容範囲だった。
彼は安堵した。現状が異常な中で唯一安心できたからだ。


318 :
その時だった、長距離レーダーに感。
こっちに一直線で向かってくる。 数3、アローフォーメーション。
オートパイロットoff。
無意識にIFFで呼びかける。応答なし。
変りにノイズが帰ってきた。ECMだ。オートでECCMオン。
エンペランザは敵性機体と判断。
彼のエンペランザは次期戦略電子偵察機のストームソーダーである。
ストームソーダーは外部にオプションを搭載することが可能であり
3Sと呼ばれる偵察型もあるが、それとは別の機である。
共和国は、帝国のザバットのECMに対抗する必要ががあったため、電子戦機を配備する必要があった。
3Sではザバットの電子戦にはかなわない。
それは、3Sはあくまで偵察機であり斥候である為であるのだ。
3Sではノーマルのストームソーダーにステルス塗料とノズルを変更しただけであるのに対して
エンペランザはブースターエンジンをスクラムエアジェットエンジンと通常のジェットエンジンとのマルチエンジンを積んでいる
ことや、電子戦専用に3DMレーダーに情報収集ユニット、エンジンの出力増加によるフレームの補強。
その他の機材も専用に新規設計されており偵察機としての機能は3Sをはるかにしのぐ。
(設定は後々入れます、大体決まって折るのですが必要に応じて書いていきます。)
そのため、電子戦では右に出る機体は存在しない。
電子戦開始。敵機の情報を記録開始。
彼は、現状が異常であることから、通常通りでは情報が足りないと判断し、目視にて判断すると伝えるために
「エンゲージ」と宣言。
エンペランザは3機をアンノウンとした。

319 :
「例によってサイコロがどっかからグランチャーとかいう穴掘り専門のゾイドを調達してきてな、掘り出すのはさほど手間じゃなかったよ」
いつの間にかアタシの隣にはメタルフレームの眼鏡を光らせたシーゲル整備長がいた
「さすがにメインフレームと外装は八割方交換したがゾイドコアとメモリー回路は元のまんまだぜ」
整備長の言葉が右の耳から左の耳へ素通りしていく
アタシはようやく気付いた
自分が日常に帰った振りをしていただけだという事に
クロべえを前にした途端平凡な日常は音を立てて崩れ去りアタシは無くしたことすら忘れてかけていた自分の半身に再会した
結局アタシはゾイド乗りなのだ
昔も今も、そして死ぬまで
アタシの耳元に口を寄せた整備長がそっと囁く
「濡れたか?」
アタシは極上の笑顔を浮かべると渾身の右アッパーで整備長の顎を撃ち抜いた

320 :
恐ろしく久しぶりに違う話が同じ日に書き込まれている!
>>316
>飛行ゾイドネタは少ない気がしたので
確かにそういう傾向がある気はしますね。
ゾイド自体陸戦機体が中心(ストーリー的にも玩具の数的にも)ですし、
加えてジェネシス関連だと航空ゾイドが少なく、劇中に登場するのが遅かった(特に量産機であるグイが…)、
その上「格闘しばり」もありますしね。
前スレ含めても航空ゾイド中心の話は3つ4つしかなかった気が…
内1つは俺の書いたダブルソーダ―でグイを墜とす話だから、
「戦闘ヘリは陸戦兵器と捉えるべきだろ(陸軍所属だしな)!」とかいわれたらさらに減るし。
他に航空ゾイド中心の話一本考えてたんですが、
無限考察地獄に陥り、さらに機械兵設定がでる前に考えていたものだったので、そっちとの整合性がつかなくなり、
恐らくは下書きすら書かれることもなくオクラw
他のSS系スレでも航空ゾイド主体はあまり見ないかな〜?
見境ないネタ書き野郎である俺も他スレで一本書いただけか…
ま、そーは言っても水戦ゾイドに較べるとまだ恵まれてるんですが。
と言いつつ俺この(前)スレで水戦ゾイドネタ3本書いてたりw
他に書いた人いないけどな!WW
航空ゾイド以上にバイオゾイドとからませようがないからな〜
俺ももうどうしようもなくて一本にはオリジナルの水中用バイオゾイド出しちゃったし。
なにはともあれ、お二方とも続き楽しみにしてますよ!
これを機に(何のだ)、他の途中までの話の続きとか、新しい話とかも書き込まれるといいですね!

321 :
「同調開始(トレース・オン)」
目を閉じたアタシは自分が大海原に仰向けになって浮かんでいる姿をイメージする
水中に沈んだアタシの体は急速に形を失い別の鋳型に流し込まれる
数限りなく経験したクロべえの起動手順だ
バイオゾイドの優位性はバイオ装甲の防御力だけじゃない
バイオゾイドの操縦システムはコントロールレバーもフットペダルも用いない
土偶スーツと感応板を通じて文字通りゾイドと一体となるのだ
なまじ通常ゾイドで長年経験のある奴でも人間の器にこだわりがあるとバイオゾイドの操縦システムには適応しきれない
バイオゾイドの性能を最大限に引き出すにはどこか突き抜けたセンスが必要なのだ
その最高峰が某うっかり中将という事実には何か納得しがたいものがあるが
まあそんな訳で機械兵が全面的に廃止された今バイオゾイドは腐るほどあっても適合率の問題から可動機数が限られるため
新生ディガルド軍もバイオゾイドの装備が認められアタシのクロべえも慣らし運転が出来るって寸法だ
クロべえと視覚を共有したアタシの眼前にはアラヨット山系の壮大なパノラマが拡がっている
「GO!」
クロべえは最初の一跳びで基地のフェンスを跳び越すと崖下に向かってダイブした

322 :
彼は、愛機から降りて格納庫から更衣室に行くところだった。
彼、黒髪の青年だった。後ろから声がした。
「中尉・・・待て中尉!」
「草薙中尉!・・・きこえんのか?」
彼・・草薙アヤト中尉は振り返った。
その先には愛機の整備士で開発担当官である、エリス・ベル大尉がいた。
女性士官で、支給されているヒールを履いて身長はアヤトと同じくらいの身長だった。
アヤトは182cmあるのでエリスのヒールが高いわけではない。
エリス大尉は、この当たりの出身では珍しい、銀髪の女性だった。
すると、アヤトはいきなり殴られた。
「どういうつもりだ中尉?、私の命令を無視してテストを途中で中止すつとはなんのつもりだ!答えろ!」
しかし、アヤトは倒れることもなくつぶやいた。
「・・・・・別に・・・・何も・・・エンペランザに従っただけだ」
何故怒られているのか、理解できないという顔をしていた。
実際そうだった。
その態度が彼女を怒らせた。
また殴られた。
今度は、疲れと1発目のダメージからしりもちをついた。
「命令違反はゆるさん!、少佐に伝えておくからな」
そういって、ヒールの音を高らかに去っていった。

323 :
やべぇ
誤字があああ
すいません、妄想が妄想しているうちに
ジェネの時代じゃなくなるかも知れないです・・・

324 :
>>323
>ジェネの時代じゃなくなるかも知れないです・・・
そういうときは登場人物の前日談ということにしてしまうんだ!
「こんなヤツがジェネシス世界にやってきたんデスヨ?
 え、私人物像を描写するために前日談を長く書いたんデスヨ?
 話が違ってきてしまったんじゃないか?
 はは、またまたご冗談を(笑」
くらいに開き直ってしまうんだ!
俺ならそうする!

325 :
「やれやれ」とアヤトは誰に聞こえるわけもなくつぶやいた。
埃を払い更衣室に向かう。
フライトジャケットを脱ぎ軍服に着替え上官に報告しに行く。
ここは、共和国の首都の某所の地下基地である。
部隊名は共和国戦略情報戦隊、表向きは第5航空戦隊である。
所属は、空軍の所属ではな、独立した指令部を持つ。つまり、最高司令部と同等の発言権をもつ。
行動は、すべて超法規的活動も認められている。彼らに命令できるのは大統領のみ、最高司令部でも
頭ごなしに命令はできないのである。
その為、基地の所在は極秘扱いである。
そんな基地のため基地内は迷路のように入り組んでいる。一応首都基地の一部となっているが、一般の
士官では当然入ることも許されない。
アヤトはそんな通路を迷うことなく、上官の部屋に向かって歩いた。
ドアの前にたちノックした。
「入れ」

326 :
「貴方に恨みはありませんが渡世の義理、ここで死んで頂きます」
いきなり物騒な台詞をいわっしゃる相手にアタシはほけ〜っと見惚れてしまった
某バックドラフト団のオールバックの人みたく特大のサングラスで顔の上半分を覆っているにもかかわらず
そいつは背筋が震えるほどいい女だった、畜生胸の大きさなら負けてないやい
さてここで状況の説明を
ガーディアンフォースとやらになったとはいえ特別任務なんてそうそうある訳もなく
いつものごとくパトロールに出たアタシの前に突然ステルスバイパーが現れ冒頭の口上となった訳だ
ちなみにクロべえは共和国軍との共同作戦がし易いよう通常ゾイドとも映像回線が繋がるように改装されている
山が障害になって基地と交信出来ないポイントを選んで仕掛けて来たところを見ると伊達や酔狂じゃなさそうだ
と、そのとき通信回線に割り込みが入った
「何をやってるの貴方は?せっかく待ち伏せに成功したというのに奇襲を掛けるどころかわざわざ挨拶するなんて」
「す、すいません上姉様」
「本当、図体ばかり無駄にでかくて要領が悪いんだから。帰ったら教育的指導が必要だわ」
「ご免なさいご免なさいそれだけは勘弁して下さい下姉様」
先刻までのクールな雰囲気はどこへやら
見ているこちらがいたたまれなくなるくらいうろたえまくるグラサン美女
なんかシンパシーを感じてしまった
性格の悪い姉を持つと苦労するよなあ、うん

327 :
アヤトは、部屋にはいった。
敬礼。そこに、キール・ブリッジ少佐はいた。
この少佐こそがアヤトの上官であり、アヤトが心を開ける友人であった。
くだけた調子で
「大変だったようだな」と少佐「まぁ、座れ」
「ああ、勘弁してほしいよ」とアヤト、ソファに腰掛ける。
「大尉のことか?すまんな、義理とはいえ妹だ。迷惑をかける」
「全くだ」と自重めいた表情で笑う、アヤト。
そうエリス大尉とキール少佐は義理の兄妹だった。
少佐は、実力で彼女を第5航空戦隊に引き入れたが、経歴を調べているうちに気づいた。
そのことは、ごく一部しかしらないことだった。
「で、今日はどうした?お前が命令を無視したといっていたが、何か飲むか?」
「いや、いい」「殴られたよ、情けないことに2発目でしりもちだ」
少佐は、笑い出した。
「笑うなよ、キール」とアヤトが真顔で言った。
少佐はさらに笑い出す。
「クックック、はははっはっは、お前らしいよ。で?なんで命令を無視したんだ?」
と、少佐は真顔になった。
「エンペランザが嫌がったからだ。」
「OSか・・・・フム、仕方ないなここのストームソーダーはオリジナルの機体だからな」
そう、この戦隊所属ストームソーダーは、ごく初期に作られたオリジナルと呼ばれる機体のみだった。
のちに量産されて配備される機体は、OSが局所的になったが、このオリジナルの機体は完全なOS機である。
さらに、OSによって機体の意思があり個性があるので、選ばれたパイロットしかあやつれなくなった。
そのため、パイロットは機体ごとにPSネームや戦い方まで自由だった。
専用機となってしまったとは聞こえはいいが、兵器としては汎用性が低くテストヘッドとしてしか使えないので量産機と同仕様に変更されるところを
少佐が引き抜いたのだった。
ちなみに、エンペランザと決めたのはアヤト本人である。

328 :
「あんたも大変だなあ」
思わず慰めの言葉を口にしてしまう
「ここで貴方を始末すれば問題ありません」
む、そっちがその気なら
「じゃあアタシを仕留め損なったらどうなるんだ?」
想像したら怖い考えになったらしく顔面を蒼白にしてガクガクブルブルと震え出す
たっぷり12秒ほどそうしていただろうか、はっと我にかえると
「貴方には関係ありません!」
今度は顔を真っ赤にして怒鳴ってきた、なんかカワイイぞ
などど漫画みたいなやり取りが続いているが別に相手を舐めている訳じゃない
いや実をいうとステルスバイパーは結構やばい相手なのだ
バイオ装甲の衝撃吸収能力は単位時間あたりの運動エネルギーに比例する
簡単に言うと砲弾の爆発のような瞬間的な衝撃には強いが押し潰したり引き千切ったりといった
比較的ゆっくりとかかる負荷に対しては同クラスの通常ゾイド並みの耐性しかない
そしてステルスバイパーといえばディバイソンの息の根さえ止めるといわれた絞め技の持ち主である
さらにもう一つ、目の前のステルスバイパーはカスタム機だ
同機の特徴である扇形の頭部の両端、通常火器が装備される位置には先端を尖らせた鉄杭がセットされている
あれは十中八、九メタルZiだ

329 :
「仕方ないか・・・」少佐は思案の色をかくせなかった。
「OS搭載機であることを大尉はしらないのか?」とアヤト。
「いや、知っている、整備員だからな、ただ大尉の場合整備といってもどちらかというと専門分野しかみていないという報告が整備班から苦情があがってきている。」
「なんだと?、冗談じゃないな。そんな奴にエンペランザをいじられているのか?」
「どうにかするにしても、何かいいアイディアはないか?アヤト」少佐は心底困っているように見えた。
「フム、そうだな・・」とアヤト。
少佐はコーヒーを淹れた。
二人は各々のその場のアイディア出し合ったが、結果はでなかった。
そんなとき、少佐が「気分転換だ、付き合草薙中尉。これは命令だ。敵前逃亡はゆるさんぞ」
「了解であります、少佐」とラフな敬礼をするアヤト。
二人は、部屋を出て、地上にむかっていった。
地上に出た二人は、基地のそばにある、軍ご用達になっているバーに入った。
その帰りに、アヤトは思い付きを少佐に話した。
「キール、大尉をエンペランザに乗せてみてはどうかな?」
「正気か?」
「無茶かもしれないが、後部座席で電子戦のテストと称してやらせてみる価値はあるんじゃないかな?」
「フム、続けろ」
「電子偵察任務の時、フライトオフィサとして同乗させてやれば、エンペランザが嫌がるということがわかるはずだ、エンペランザの機嫌というものを肌で感じてもらう」
「一考してみる価値はありそうだな、少し時間をくれ司令に掛け合ってみる。」
「すまないな、俺が言いだしっぺなのに手間をかける」
「そんなんじゃない、俺の仕事だ」少佐は笑った。
二人は基地に戻り、自室にむかっていった。

330 :
ふと思った。このスレとジェネシスの続きを作る系のスレとで連動してみたらどうだろうかと。
すまん聞き流してくれ。

331 :
「こりゃまた派手にやられたなあ」
ハンガーに固定されたクロべえを見て驚きの声をあげるシゲさん
「強敵だった」
むっつりと答えるアタシ
クロべえの装甲はあちこちが凹み一部の傷は内部フレームまで達している
自分のゾイドを傷つけられて面白かろう筈がない
もっとも相手にも相応のダメージは与えてやったが
マストシステムが採用されていれば判定でどちらが勝ってもTBSに抗議が殺到しただろう
冗談はさておき
それから何事もなく一週間が過ぎ
久し振りに基地に帰ってきた大佐に呼ばれてオフィスに顔を出すと
「お邪魔してます」
グラサン女がいやがった

332 :
 解放戦争(※1)終結から長い年月が経ち、機密とされていた情報の公開が進んだ結果、
これまで触れてこられなかった事実に光が当るようになってきた。
 本稿は、これらの事実を筆者の推測・想像も交えて文章の形式で記述するものである。

※1 先の大戦の呼称については、各国家、集団、思想等により様々なものがあり、
   未だ統一的なものは存在しないのが現状であるが、
   本稿では比較的広く用いられ、また受け入れられている「解放戦争」という呼称を用いる。

333 :
 解放戦争に関する疑問点としてしばしば挙げられるもの一つに、
なぜ共和国軍は小規模な上陸作戦しか行わなかったのかということがある。
 共和国軍は当時唯一といってよい強力な水上・水中戦力を有しており、
さらに、そのもともとの目的が二クスへの上陸であったことからして、
当然のこと揚陸能力も持っていた。
 これらのことから、ディガルドの重要地点に近い地点に上陸、そこから進撃すれば、
より被害を抑えてより短期間に戦争を終結させられたのではないかという疑問が生まれたのである。
 この疑問に対しては、
1.当時の政治・経済・技術状況から、大規模な港湾整備は行われておらず、
  仮に上陸に成功したとしても、その後大規模港湾を占領して補給の拠点とすることが出来なかった。
2.ディガルドはもともと高緯度に位置する国家であったことから、国家中枢も高緯度地域に多く、
  その付近に上陸すると、橋頭堡付近が凍結してしまい、その期間補給が行えず上陸した部隊が孤立する恐れがあった。
3.当時有していた水上輸送能力では、
  ディガルドとの戦争を終結させるに足るほどの兵力を短期間に輸送することは難しかった。
4.このような戦争の帰結に直接影響を与えるほどの規模の上陸作戦を行うとなれば、
  ウルトラザウルスを作戦に参加させざるを得ず、極めて小さいものであるとはいえ、
  ウルトラザウルスを失う可能性も皆無とはいえなかった。
  これは共和国にとって戦力的にも政治的にも心理的にも到底容認できることではなかった(※2)。
などといったことがその回答として挙げられてきていた。
 だが、共和国軍の水上輸送能力を考慮すれば、
これらは、戦争そのものの帰結を直接左右するほどの上陸作戦を行わなかった理由とはなり得ても、
ある敵戦線の背後に上陸して、後方からの攻撃や分断を図るといった、
特定の戦域における奇襲的行動を目的とした上陸作戦を行わなかった理由にはなり得ないのではないかという疑問は
依然として残る。
 この疑問に応える手掛かりとなるかもしれないのが、
近年その詳細が明らかにされてきた「アーニッツ上陸戦」である。

※2 これに関してはさらに重大で複雑な問題が絡んでいる。後述。

334 :
アニメ(そしてディガルド対討伐軍の戦争)終っちまったい…
っつー状況にある中で、こんな形式使ってみることにしました。
やっぱ戦記系統のは流行んないのかな…

335 :
 偵察が少な過ぎる。
 アレンは不満だった。

336 :
 事の起こりは、シゾティエムと呼ばれる地域に、それぞれジェネレーターを中心とした村落が複数存在していたことである。
 当然のこと連合軍(※3)、ディガルド軍ともにこの地域を手中に収めようとしたが、
現在のところディガルド軍が制圧していた。
これを駆逐するために軍が送られたが、予測を上回る抵抗を受け、ほぼ膠着状態に陥っていた。
 この状況を打開せねばならなかったが、シゾティエム周辺の地理的条件が問題であった。
シゾティエムは、海洋に迫った山脈と、海洋の間に挟まれるように存在していたのだ。
このため大部隊が迂回できるような間隙が存在せず、
陸路で後方に回りこめるのは山岳地帯の走破性の高い高速ゾイドの小部隊のみであった。
そして、高速ゾイドの小部隊が後方に侵入しても、ディガルド軍の組織の特徴から効果的な戦果を上げることが出来ず(※4)、
また、補給が続かず、孤立する危険があることからすぐに引き返さざるを得ず、戦況を大きく動かすことは出来なかった。
 その一方で、増援に大部隊を送り込み、正面から制圧するということにも問題があった。
 この方法では、これまでの戦闘から見て、シゾティエム解放までに長い時間が掛かる可能性が高かった。
長い時間を掛けて押していく戦法では、
ディガルド軍にジェネレーターの保持ができないという判断を下し、
連合軍の手に落ちるのを防ぐためにそれを破壊する余裕を与えてしまう危険がある。
それは補給上の観点からも政治的な観点(※5)からも避けねばならない事態だった。

337 :
 そこで立案されたのが、ディガルド軍防衛地域後方をつける地点に上陸、迅速に分断挟撃して撃滅するという作戦である。
上陸地点の最終候補には、上陸後の進撃路の確保及び海岸地形を考慮して、
それぞれアーニッツ、ネイヘンと呼ばれる二つの地点が挙げられた。
この二つでは、アーニッツはネイヘンより主要路に近く上陸後の進撃にはより条件が良く、
ネイヘンはアーニッツより海岸地形がより上陸に向いていた。
この二つのうちどちらを選択するかについては議論が分かれたが、
上陸後の進撃速度が重視されたこと、
ディガルドには大規模上陸阻止作戦の経験が無く、相対的に上陸は容易になると判断されたこと、
ディガルドには大規模上陸の経験が不足していることから、
より上陸し易い地点を上陸地点に選択すると予測するであろうと判断されたことから、
最終的にアーニッツが上陸地点に選ばれた。
 また、ディガルドは、干潮時にも海中にある深度には、小型の水上ゾイド・船舶から障害物となるものを投下できる程度で、
本格的な障害を構築する能力は無いとの判断から、上陸は干潮時を狙って行われることになった。
 そして気象・潮汐の情報から上陸日時が選択された。
 作戦名「閂」、後にアーニッツ上陸戦として知られる作戦の実施が決定されたのである。

338 :

※3 いわゆる討伐軍と共和国軍の連合した軍の名称については、
   討伐軍に共和国軍の一部部隊が編入されたと見るべきだという意見から、そのまま討伐軍と呼ぶ意見と、
   その戦力の中で共和国軍部隊の占める割合が大きいこと、
   及び、軍事的に進んでいたこともあり、共和国軍上層部が、討伐軍最高指導部の指揮下にあるというより、
   それと対等の独立したもののように行動していたことから、連合軍と呼ぶ意見があるが、
   本稿では後者に従う。
※4 その後進性から、ディガルド軍の補給はきっちりとした統制や集積・分配地点・施設を設けるといったことが稀だった。
   このため、ディガルド軍の補給を脅かすには、統制部や集積・分配地点・施設を襲撃するという方法が使えず、
   持続的にそこにい続けることないし反復的に攻撃を仕掛けることが必要だった。
   また、ディガルド軍には、後方に侵入してきた敵部隊に対し高い機動性を持った予備部隊で対応する、
   いわゆる機動防御を行えるような部隊は、指揮統制・通信・情報系統が遅れていたことから数が少なかった。
   このため、後方への攻撃に対しては、司令部等後方の重要機構にバイオゾイド部隊を貼り付けるという、
   単純な対策を採っていることが多かった。
   対ゾイド戦においてバイオゾイドは極めて強力であり、
   少数の部隊でこれらの防御を突破して重要目標の攻撃を行うことは困難だった。
   このやり方は、兵力を余計に使ってしまうが、
   他に手が無かったのと連合軍に対し圧倒的な数的優勢を有していたことから長く続けられた。
   ディガルドの後進性が連合軍の不利となった皮肉な例の一つである。
※5 連合軍もディガルド同様自らの覇権を求めて戦闘しているのではないかと見ている人々はけっして少なくなかった。
   また、ディガルド側はこれらの見方を広げるよう情報・宣伝工作を行っていた。
   こうしたことに対応するため、連合軍は自らの戦闘の目的が人民の解放にあることを疑わせないよう、
   一般人に関わる被害を可能な限り少なくする必要があった。
   村落の存続に直接影響するジェネレーターの破壊は、なんとしても避けねばならない事項だったのである。

339 :
また過疎ってきちゃったかなあこのスレ…
そう判断するのは早計かな…?

340 :
>>332-338
GJ
私も続きを書きませんとな

341 :
>>340
どうもです!
独楽犬氏も続き再開(かも)ですか!
CDKBUzTs氏も帰ってきたし、新しい人も来たし、情況は好転しつつありますな!
他の人も帰ってくるといいですな!
…ウワサのゾイド本がジェネ関連のものだったら火ィ着かんかなあと思っとります。さらにアレな出来だったらエラいことに…
独楽犬氏は「米軍遂にゾイドを開発。」スレと長編並行していてスゴいなあと思ってます。
俺絶対出来ない…そもそも長編が書けない…よそのスレにもSSとかそれに類するネタとか書いてますが、みんな中篇以下。俺出来ない事多すぎw

342 :
「ホント好きだねうちの連中は」
格納庫は何処の優勝祝賀会ですかといわんばかりに飾り立てられ天井からは「歓迎!メドゥさん」と書かれた垂れ幕が下がっている
そう、何の因果かあのグラサン女(名前はメドゥだそうだ)はアタシの新しいバディなのだ
状況を説明するとガーディアンフォースの存在を快く思わない軍上層部の一部勢力がヒップ大佐への警告として送り込んだ刺客がメドゥだったのだが
実はそれすらも大佐の策略で逆に陰謀の証拠を掴んだ大佐は抵抗勢力を脅迫し人質として新戦力(メドゥ)を提供させたということらしい
でもって今日はメドゥの歓迎会なのだ(ウチは幼稚園か!)
「で、主役のメドゥ君はどこなのかね?」
「厨房ですよ、せっかくだから自分の手料理を食べてもらうって」

343 :
「お待たせしました」
運び込まれた料理を見て格納庫が静まり返る
「何だこれは?」
「コンソメスープです」
「これは?」
「スクランブルエッグです」
「これは?」
「ミートパイです」
「メドゥ・・・」
「問題ありません、何故か私の作る料理はどれも『鉛色をしたゲル状の物体』になってしまいますが味は保障します」
「このミートパイビクビク動いてるぞ?」
「活きがいいんです」
チュミミィン!
「・・・今鳴いたぞ?」
「・・・・・これは個性です」
「ざけんなぼk「頂こう」
「ちょっ!大佐!!」
「ご相伴にあずかります」
「俺達も!」
決然としてテーブルにつくシゲさん以下整備班の面々
お前ら漢だ、途方もなく阿呆らしいけど
その後の顛末については多くは語らない
その後一週間にわたり基地の機能は完全に停止した
そしてメドゥは厨房に立ち入り禁止となった

344 :
 上の連中の言うことはわかる。
 だが、それでもこの状態は何とかならんもんかとアレンは苦々しい気分になる。
 あのグイとかいう忌々しいゾイド。
 奴等のせいでこちらの航空活動は極めて困難にされてしまっている。
 これがどういうことに繋がるかというと、航空阻止が期待出来ないということだ。

345 :
 確かに相手がバイオゾイドであるというだけで航空攻撃は困難(※6)なのだが、
制空権が奪れていれば補給部隊や橋梁を叩くなどそれならそれの対応策はある。
 しかし、グイがいるせいで継続的な攻撃や重要固定目標への攻撃は絶望的といっても良いくらいだった。
ディガルドの警戒網の未熟さをついて、「通り魔的」な行動は出来ても、
継続的な行動や相手がどこを目標とするか予測し易い行動は対応され易い。
 航空阻止が期待できないなら、時と所で相手に対応させないようにするしかない。
 シゾティエム戦区の状況を安定させるため、ディガルドが増援を派遣する、
いや、まだ到着していないだけですでに派遣している可能性さえもあるのだ。
脆弱な上陸中、それに進撃中の側面・後方への攻撃を避けるためには、
予測されていない上陸地点と進撃経路をとることと、
こちらの動きに対応する時間を与えない早い行動が必要不可欠なのである。
そうした攻撃を企図する敵を長時間抑えるのは、迂回させて送り込める高速ゾイド部隊だけでは数が足りなくて不可能だろう。
 そのために、現地協力者からの情報を補うための航空偵察は複数の上陸候補地に対して限られて行われただけだった。
 水戦ゾイドによる偵察は、こうした欺瞞が難しいため行われていない。
この頃はディガルドも知恵をつけて、水中を進むゾイドを発見できるよう、
潜水可能な小型ゾイドを投入しているという話だった。
 …まあ連中にその知恵をつけさせたのは自分達だともいえるのだが…
 アレンは自分が皮肉な立場に置かれていることに歯軋りした。
 その上、懸念材料はそれだけではなかった。今見ている…

346 :
「大尉」
アレンは振り返った。
「何だ?エリック」
何を言いたいのかなどわかり切っているが、アレンは華奢な曹長にそう声をかけた。
「本当に大丈夫なのでしょうか、これは」
やはりこの話だ。
「動作に問題がないことはさんざんやった試験で確認済みだろう。少ないとはいえ実戦投入も経験している」
「しかし敵の眼前であんなことをした例はありません。今回の作戦では、少なくとも砲火の下で…」
「エリック・ハートネット曹長」
無理矢理話を遮った。
「どんなに試験を繰り返しても、結局は実際にやってみるまで全ての不安を取り除くことは出来んよ。やるしかない。」
我ながら強引だな… そう思う。エリックが感じているのと同じ不安を自分も抱えていることの裏返しだ。
エリックが反論してこないのも、けっして納得したからなんかではなく、そのことがわかっているためだろう。
 それにしても「あんなこと」を敵さんの目の前でやらなければいけない可能性もあるわけか…
 変形などとということを。

※6 バイオゾイドには通常空対地兵器は通用しないが、
   例えば岩などの大質量物体を投下してぶつければ戦闘能力を奪うことも不可能ではない。
   しかし、大質量弾体は搭載可能量が少なくなる、搭載機体の機動性、特に運動性を悪化させる、
   誘導も難しいなど問題点が多く、
   比較的機動性が高く小型の移動目標であるバイオゾイドに対してこれを用いた航空攻撃を行うことは困難である。

347 :
>276
 ジョシュアの城は、3階だての木造建築で、一般に想像されるような豪華なものではないが、
ジョシュアらしく機能性にあふれたものであった。
 我々は最上階の南に面する部屋に案内された。大きな窓があり、街全体や山の下の平原を
見渡すことができた。畳が敷かれたその部屋の真中には大きな机(ちゃぶ台という表現の方が
より正確かもしれない)が置かれていて、地図が貼られている。
「まるで、指揮所だな」
 ウィンターズが言った。皆の共通の印象だった。
 ジョシュアは窓を背に腰を降ろすと、我々に向かって言った。
「さて、共和国軍の皆さんだったかな?これからどうしたい?」
「帰る方法を探ります。今はこの世界のことが知りたい」
 答えたのはウィンターズだった。 
「俺もあんたらの事が知りたい。地下に古文者が眠っている。一緒に調べてみないか?」

348 :
>347
 城の地下の倉庫には様々なものが保管されている。
 篭城戦のための食糧に武器、弾薬。その一角に先祖代代伝わる様々な文章や書物
を収める書棚があった。
「ありました。ゴジュラスというゾイドのことが書いてあります」
 ルッカが1つの本に書かれた図を指さしながら言った。
 その図は、確かにゴジュラスに似てないことも無い。
「神々の怒りの前に、活躍していたゾイドらしいです」
「神々の怒りね」
 その光景を見ながら俺は呟いた。神々の怒り、ジェネレーター、バイオゾイド、そして
ディガルド武国。彼らが教えてくれたこの世界の情報は我々を驚愕させるに十分なもの
であった。
「こりゃ、本当に異世界にきたようですね。少尉」
フートが私の目を見ながら言う。
「あぁ。こりゃ、こっちで骨を埋める事になるかもな」
その時だった。
「大尉!これを!」
 声の主はウィンターズの右腕であるハレルだった。その手にはディスクが握られていた。
「それは我が家に先祖代代伝わるものでな。書物の一種らしいのだが」
 ジョシュアが頭を掻きながら言った。

349 :
>348
「CD-ROMのようです。ゴルドスのコンピューターで分析してみましょう」
 そう言ってハレルはディスクをウィンターズに渡した。
「よし、ダイクに渡そう」
「ジョシュア様!」
 上からジョシュアの部下が駆け下りてきた。
「大型ゾイドが近づいてきます!」
 再び城の最上階に戻ると、大きな窓のところに望遠鏡が置かれ、見張りが
平原を進む大型ゾイドを監視してきます。
「1機か?」ジョシュアが言った。
「おそらく」見張りが答える。
「大尉!」そこへダイクがやってきた。
「空中にも1機います。ゴルドスのレーダーが捉えました!」
「うむ」ジョシュアは唸った。
「よし、迎撃準備だ。防備を固めるのだ!」
 それを聞いた見張りは手旗信号用の赤白の旗を取り出した。
「この窓は街中の全て見張り台から見ることができます。ですので手旗信号
ジョシュア様の命令をすぐさま街中に知らせることができるのです」
 ルッカの解説にウィンターズは感心しきっていた。
「情報収集能力に加え連絡系統も完備。これはいよいよ指揮所だ」
>341
お陰でろくに更新できなくなっておりますが(汗

350 :
>>347-349
独楽犬氏続き再開!
地上と空から何かゾイド来ましたか。何が来るかな何が来るかな

351 :
「ビッグ・イアーよりエコー・ワンへ、ターゲット・ワンはグリッドA−7を10時の方向へ移動中。
データ転送します」
視界の隅が四角く切り取られ−ウインドウと言うそうだ−簡略化された地形図に赤と青の光点で標的と
クロべえの相対位置が示される
状況を説明するとアタシは新しく導入された偵察型ザバットとデータリンクシステムを活用した空中管制
による戦闘訓練の最中なのだ
「ターゲット・ワンが速度を上げました。接触まであと10秒・・・5、4、3、2、1、今!」
岩棚から飛び出したアタシは谷底を走るオレンジ色のガンビートルをロックオンする
両腕に装備した40ミリ砲が火を噴こうとしたその時
全身に着弾の衝撃が走りバランスを崩したクロべえは谷底へと転落していった
「申し訳ありません、システムに不慣れだったので標的とアズサさんの機体を混同してしまいました」
誠意の欠片も無い態度でぬけぬけと言い放つメドゥ
こいつアタシが大佐に厨房への立ち入り禁止を進言したのまだ根に持ってやがるな
無言で睨み合うアタシとメドゥの姿に格納庫の中に緊迫した空気が漂う
「いや〜仲が良いでござるなお二人は」
そこに現れたのは新入りのザバット乗り(名前はナガセとかいったか)
「「誰が仲がいいんだよ!」いいんですか!」
「ほれ息がピッタリでござる」
思いっきり顔をしかめて立ち去るメドゥ、ナガセは糸の様に細い目を吊り上げ心底楽しそうだ
「お前ゾイドに乗ってる時とキャラ違い過ぎないか?」
「あれは営業用、こっちが地でござるよ。ニンニン♪」
オンドゥルハ某魔法先生漫画ノ甲賀中忍ディスカ?

352 :
 悪くない。
 実際、良いゾイドなのである。
 初めは、あまりに自分達の知るゾイドとかけ離れていることに心理的な拒絶も感じたが、使ってみるうちに懸念は払拭された。
 ただし、払拭されたのはあくまでこれの一つの機械としての性能に対する懸念だ。
 性能など、いかに運用されるかに較べれば芥子粒ほどの重みもない。
 これが発掘され、機体の性格が明らかになったときから、
アレンは後方浸透に用いるべきゾイドだと判断、そう主張していた。
今回の作戦で割り当てられている、上陸の露払いには不安が残る。
現に、地雷除去装置の搭載は上手くいかず、今こうして実験機体から取り外している。
結局工兵のお世話になる訳だ。
航空阻止もパルチザンによる足止めも期待できない(※7)がため上陸部隊から敵増援への抑えを分派する都合上、
少しでも上陸後の戦力となるゾイドを多く参加させたいのはわかるが、ものには限度というものがあろう。
 このような任務にこいつ―レオゲーターを投入するとは。

353 :
 機雷及び地雷の除去。
 それがまず作戦の初期段階におけるレオゲーターに割り振られた任務だった。
 しかし、大量の砲弾を投射して地雷原を処理するという、
この共和国生産施設から切り離された世界では“贅沢極まりない”手段は使えない。
それで他の手段で地雷を除去するため、研究途上だった地雷処理ローラーやらプラウやら
挙句の果てには大昔の地球で一時使われていたというクラブまでが搭載試験されたが、
結局はゾイドに有効なほどの威力を持った地雷を処理するのに十分な強度と
航行時の重量バランスを少なくともこの短期間では両立させられないというやる前からわかりそうな理由によって
レオゲーターによる地雷処理は断念された。
そのため機雷の除去と工兵による地雷除去の支援がまず果たすべき任務となった訳だ。
 ディガルドには感応機雷やら遠隔操作機雷やらをつくる能力はないから、浮遊か係維の触発機雷で、
さらに秘匿技術もないようなものだから、
機雷除去のほうは作業そのものとしてはレオゲーターをもってすれば比較的容易と思われるが、
地雷除去の支援のほうはそういうわけにはいかなそうだった。

354 :
 支援を行うということは海岸に設けられていると予測される火点と撃ちあうということだが、
火点への射撃に効果的な榴弾系統の弾薬は航空部隊に取り上げられてしまっている。
爆弾生産能力の不足を補うための手段の一つで、保有していた魚雷や機雷まで取り上げられた。
全く無いわけではなかったが、けっして潤沢に使える量はない。
火点のような目標に使うには効率の悪い指向エネルギー火器を使うしかなかった。
せめてもの救いはディガルド側には前線で戦闘するゾイドを足止めできるほどの障害物を
この条件において短期間で構築する能力はないことで、
後続の支援砲撃ゾイド―具体的にはカノントータスのことだ―部隊や補給部隊の通過を可能にするための障害物除去は、
揚陸された近接戦闘ゾイドで海岸を掃討してから行えると考えられていた。

355 :
 …それでも多くの困難が予想されることには変わりはないのだが…
「閂」作戦にはバリゲーターも参加するが、アレンがこの作戦では
―それまで後方浸透を行いディガルドに痛手を与えてきた―
乗り慣れたバリゲーターではなくレオゲーターに搭乗するのは
その困難な任務の陣頭指揮をするためだった。
 頭の痛いことばかりであった。
 もっとも、アレンが不安と不満を抱いていたのは、あくまで、偵察の少なさ、予測される任務の困難といった事項である。
 アーニッツの真の状況、自分が今抱いている任務の困難さへの懸念が無意味なことに終ること、情報部の致命的な失策、
ましてやこれから彼を待ち受ける運命を、アレンはまだ知る由もなかった。

356 :

※7 パルチザンへの歩兵携行対ゾイド火器の供与は難しく(後述も参照のこと)、またバイオゾイドには事実上通用しない。
   このため、パルチザンがディガルド軍部隊を足止めするには障害を構築する必要があるが、
   当時の一般的な技術レベルでは走破性の高いゾイドに有効な障害物を構築するには時間がかかり、
   進撃を食い止めるのは極めて好適な地形条件がなければ不可能だった。

357 :
月の砂漠をはるばると
思わず懐かしのメロディを口ずさんでしまいそうな光景だが生憎とモニターの中で月明かりに照らされた
砂丘の上を進む隊列は駱駝ではなく共和国軍のグスタフだ
「どうやら情報は正しかったようですね」
砂丘の反対側に潜むステルスバイパーからメドゥが通信を送ってくる
「神兵様も人の子ってことだわな」
最近元ディガルド討伐軍を中心に密かに流行している物がある
麻薬である
元々地方の町や村には大抵巫女や呪術医の類がおり幻覚作用や興奮作用のある薬草は儀式等で常用されて来た
アタシの実家の裏山にもヤバイ効果のあるキノコが自生していて・・・
いや、詳しく語るのは止そう。て言うかぶっちゃけ思い出したくありません
閑話休題、最近になってそれら宗教行事(と言えるかどうかは微妙だが)に使用される薬草類を精製し、習慣性
と中毒性の強い麻薬を作って裏市場に流し始めた者達がいる
その黒幕が「解放戦争」で大きな力となり一部では「神の使い」とか「神兵」とまで言われた共和国軍のある
医療部隊だったのはなんとも皮肉な話である

358 :
 アーベルは機上の人になっていた。
 愛機“久米仙人”は、午後の日差しを浴びて目標空域へと進む。
 今回の「閂」作戦において、上陸は干潮時に行われることになっている。
それは満潮時においては水没している障害物が水の外に出ているときを狙う
(上陸用艇舟とゾイドでは、障害物を克服する能力に天と地ほどの開きがある)のが目的だから、
潮の引きが大きい日を選んで上陸日程が組まれている。
干満は潮汐力によって起こる。
この時代では月が一つだけだから、ほぼ単純にその月の月齢によって満ち引きの大きさが決まってくる。
天体の配列のみからいえば、満月ないし新月のときの正午と深夜に最大の満ち潮になる。
つまり潮が最も大きく引くのは、時間帯としては明け方か夕方ということになる。
実際のところは海水の慣性、地形の影響等によって多少ずれてくるのであるが、
全く違った時間帯になるほどずれるというものではない。
それゆえ、上陸時間帯は明け方頃か夕方頃のどちらかということになるわけだが、
上陸後の戦闘・進撃、作戦失敗時の後退のことを考え夕方頃が選択された。
ディガルドはその全体的な技術レベルには不釣合いな高度な暗視機器を有する
(何しろ高度な機器を装備したゾイドが発掘される世界だ)が、それを使う技量は共和国軍に及ばない。
夜間進撃は共和国軍の方が迅速だろうし、夜間後退する共和国軍を洋上で追跡するのは不可能に近いだろう。
―夜闇に紛れて逃げ帰る、なんてことにならないように願ってるがな…
ま、今更ごちゃごちゃ言ったところでどうにもならない。
きっちり仕事をするだけさ。
標的を確認して、接近して、急降下して、投下する。
そうすればいい。

359 :
 この時代にきて共和国軍はそれこそ数え切れないほどの困難に直面したが、爆弾の確保もその最も重大な一つだ。
とにかく爆弾に仕立て直せるものは工兵用爆薬から歩兵携行対ゾイド火器の弾頭やら迫撃砲弾までかき集め
(敵さんの造れる程度の障害を除去するにはゾイドがあれば十分だとか、
 どうせ歩兵携行対ゾイド火器はバイオゾイドには通用しないだとか、
 取り上げる側に属するカーベルから見ても無茶なことを言って―)、
確保した製造施設はほとんど航空爆弾とカノントータスの砲弾を造るのに当てるという、
かなり強引なやり口でこれに対処している。
そのおかげで空軍は余所から陰で「タイコー」と呼ばれてるらしいが
(なんでも大昔の地球に農民から武器を取り上げた「タイコー」というヤツがいたという話だ)―
 当然取り上げられた方は不満タラタラである。
 歩兵携行対ゾイド火器はバイオゾイドには効かんでも、火点等に対する火力支援には有効である。
アタックゾイドを持った現地人部隊が、
「私たちのゾイドではバイオゾイドは相手に出来ないから…」
と言って歩兵支援に参加してくれることになったときなど、土下座して礼を言いたい気分であった。
 ま、そのおかげで工兵の装備に関する発言力が増して、
掘り出されたハンマーロックをしっかり確保されたりもしているのだが。
しかしそこまでしても爆弾の絶対数において不安があるのは動かせない事実で、その上、誘導装置が無い。
それに一発一発の威力範囲も小さい。
 一発一発の爆弾の命中率が重要な状況でありながら、
誘導火器をそうそう使えないという事態に追い込まれてしまったわけだ。
かといって爆撃照準器の側の工夫で命中率を上げるのも、
爆弾の製造誤差が大きく、それに対応するためのデータ取得は爆弾を実際にそれなり以上の数を落とすことでしか得られず、
その方法も駄目であった。
航空ゾイドの飛行原理からいって、
目標の真上で空中静止し、そこから真っ直ぐに爆弾を落とすことは純粋な技術的意味では可能だが、
敵の対空砲火のある中でゆっくり位置を合わせてましてや静止するなど自殺行為でしかない。
 そこでその対応として出てきたのが―無誘導兵装の高い命中精度と高速による低い被弾率を併せ持つ急降下爆撃である。

360 :
 アーベルは急降下爆撃の提案者の一人で、その実現可能性に疑問を差し挟むお偉方の前で実演して見せたのも彼だ。
もっとも、(他のヤツのことは知らないが)アーベル自身は
この状況に直面したため対応策を探るうちに急降下爆撃を知ったわけではない。
空中機動研究教導団(※8)にいたときから知っていた。
 アーベルはゾイドが好きというより空を飛ぶことが好きな男だ。
地球で使われていた航空機についても仕事半分興味半分で調べていた。
 空中機動研究教導団から西方戦争にプテラス乗りとして参戦し、
鹵獲レドラーを与えられ(半ば自分でその役をもぎ取ったようなものだが)リンドブルムライダーになり、
再配備なったレイノスへ機種転換してニクス上陸軍に加わった
(ストームソーダー配備時、アーベルがストームソーダーに乗らなかったのは
 自分の思い通りに飛ぶのではなく自我の強いゾイドの「ご機嫌を伺いながら」飛ぶのが嫌だったんだ
 などと噂されたものだが、実際のところはその頃は機種転換訓練のために戦地を離れている余裕が彼には無く、
 その余裕が出来たときにはレイノスの再配備が決まっていて、
 空中機動研究団で僅かにあったレイノスに乗っていたことからその乗り手に選ばれたに過ぎない)。
 それがレイノスライダーからプテラス乗りに
(しかも急降下爆撃なんぞというわけのわからないことを言い出して自分から)戻ったのだから、
「ゾイドを愛する」連中からアーベルが変人呼ばわりされているのもなんら不思議ではない話だ。

361 :
 変人か… 悪くない呼ばれ方だ。
 ま、変人ということにかけちゃあいつの足元にも及ばんがな。
 アーベルは“ベレロポン”に乗る部下の顔を思い浮かべる。
 ストームソーダーを駆るエースがあんな誘い文句に惹きつけられて直接指揮官のところにやってきたんだから。
 もっとも、あんな誘い文句を考えたのは誰あろうアーベル本人で、
それに釣られたのかどうかはわからんが
トチ狂った指揮官のつくった怪しい部隊に自分から志願して転属した腕利きの集まりなんだから、
彼の部隊が余所からは公式ニックネームである“バンシーズ”とは全然呼ばれず、
“ジィフィアシズ・ファニーズ
(ジィフィアスの変なヤツラ―アーベルのフルネームはアーベル・ティンク・ジィフィアスだ―)”
なんぞと呼ばれているのは、これはもう、当然を通り越した自然の摂理みたいな気さえしてくる。
 やはりみんな純粋に飛ぶのが好きなヤツラなんだろうなと、アーベルは思う。
流石に実際に言ってこそいないが、
この世界にやってきて自分が思ったことを聞けば、ほとんどのヤツラが自分も同じだと言うんじゃないかという、
半ば確信めいたものをアーベルは持っている。
この世界にやってきて当然絶望のような感情も持ったわけだが、密かに喜んでいる自分もいた。
全く違う時空に移動することがあるということは、
本来なら出合い得ないはずの航空機や機動を実体験する可能性が
―それは、あくまでゼロではない、という程度なのだろうが―皆無ではない、ということだからだ。
口が裂けても言葉には出来ないが、自分の部下達もそんな気持ちを持っていることを、アーベルは気分として感じていた。
 事実、みな腕は確かで、その働きによって、
“せっかくの才能の使い方を決定的に間違えてしまってる連中”に対する評価は確実に変わった。
少なくとも戦闘への貢献に対する評価は。

362 :
 しかし、そんな栄光あるイカレ野郎どもをもってしても、アーベルはどうも今回の任務に自信を持ちきれなかった。
 護衛のストームソーダーやレドラーがいるとはいえ、
あのグイが出張ってくるまでにとっとと上陸を済ませたいというのももちろんある。
ディガルドの索敵・管制・展開能力から言って、即座にグイをよこしてくることは不可能だが
(共和国軍とは違う―
 かの有名な、「サーベルタイガーに遭遇した部隊は、直ちに空軍の支援を要請せよ」という指令は、
 一般的にはサーベルタイガーの優秀さ、
 特に重要だが戦力的に劣勢な対象を衝く能力の高さを示すエピソードとして受け取られているが、
 そのような急でかつ予測しにくい支援要請に応えられる能力を共和国空軍が有していたことも
 高く評価されてしかるべきだろう。
 このノウハウは、最も重要なものの一つとして共和国軍内で受け継がれていた。
 ディガルド軍が陸海空を問わずこのような高度な展開能力を持ち得なかったのは、
 技術的な問題もさることながら、その国家体制にも原因がある。
 その場の状況に素早く対応する高度な展開能力には、
 高い能力を有する下級指揮官、各部隊の高い独立行動能力が不可欠であるが、
 強権的な独裁体制のディガルドにおいては、それらは、反乱のリスクを考慮しなければならず、
 一部の高い忠誠心を持つ部隊にしか持たせられないものであった。
 もっとも、強制されていやいや戦うディガルドの連中と、己の義務として戦う自分達共和国軍の人間とでは、
 どちらが人間としてまともなのかはアーベルにはわからないのだが)、
いくらなんでもいつまでも出て来ない、なんてことはあるまい。

363 :
 しかしそれ以上に、アーベルには気にかかることがあった。
 ディガルド軍には装甲を施した砲がある。
 それに防御を固めた火点の存在も予測される。
 それらの硬目標は、水戦ゾイド部隊後衛のバリゲーターが洋上から砲撃することになっている
(あれだけ爆発物を取り上げといて、対装甲用の爆弾まで欲しいとは流石に言えなかったし、製造の問題もあったのだ―)。
 急降下爆撃隊は防御力の低い目標が割り当てられている。
 きっちりした役割分担というわけだ。
 そうきっちりし過ぎた。
 きっちりし過ぎている― こういうものは、大抵失敗すると相場が決まっている。
 融通の効く体制を整えておかないと、上手くいかない。
 予測通りにいく予測は予測通りにいかないという予測だけだからだ。
 アーベルのひげを蓄えた口元は歪んでいた。

364 :

※8 ヘリック共和国とガイロス帝国の第一次大陸間戦争末期に起こった月の落下による大異変後、
   共和国空軍にとって、レイノス、サラマンダーといった高性能航空ゾイドの激減も重大な問題であったが、
   同時に、航空ゾイドの減少によるパイロットの技量低下も深刻な問題と考えられた。
   この問題に対応するため、航空ゾイドの操縦技術の研究・保持・教導を目的とする組織が設立された。
   その組織の設立目的から、
   レイノス・サラマンダーといった希少航空ゾイドを保有、その操縦技術研究・保持も行われている。
   また、大異変後の一時は、航空ゾイドの激減から、
   「地球型航空機」を航空兵力の補完に利用することも検討されており、
   それらの開発・運用・操縦等の研究も行われていた。
   さらに、レイノス・サラマンダー等の希少航空ゾイドの保護に関する研究も一部行っている。
   これらのように、直接航空操縦技術に関わらない分野に関する学究的な性格も強い組織であり、
   地球に存在した空中機動研究団や教導団とはやや毛色が違う部分もある。
               ――――――――――
書いていて己のアフォさ加減無知さ加減に嫌気がさした次第。

365 :
過去スレにてアーサーVSザイリン書いたものです。
今度新作短編(リッツVSルージ)投下しようと思ってるんですが…。

366 :
>>365
そいつは楽しみですな。
それにしても、最近このスレに人が戻ってきてる気がする…
上がった訳でもないのに何でだろう?
偶然は集中するというヤツか?

367 :
彼らはその女を見つめていた
それは燃えるような赤毛の美女で蝋燭の明かりが揺らめくバーの椅子に腰掛けている
「畜生、いい女だぜ」
「見ろよあの胸、たまんねえなあ」
窓の外から女を監視している兵士はすでに捕えた女に性的な拷問を加える場面を想像して股間を膨らませていたが
彼らを率いる伍長はもっと慎重だった
村は厳重な監視下にある(主に中からの逃亡を防ぐためだが)
にもかかわらずいつの間にか見たこともない女が入り込み酒場で一杯やっている
これは一体どういうことなのか?
女は何者でどこから来たのか?
「かまうこたありません、踏み込んで一発ガツンとやってから引っ立ててって尋問すりゃいいんです
それか店の中で裸に剥いちまうってのはどうです?」
スターキー二等兵の言葉が伍長の決意を促した
考えるより行動のときだ
武装した五人の男は剣呑な顔つきで酒場のドアをくぐった

368 :
 妙だ。
 機雷を処理しながら、アレンの疑念は強くなっていった。
 浮遊機雷の他に係維機雷があることは予想通りだ。
 しかし、問題はそれら係維機雷の深度である。
 互いの深度がずれており、カバーし合って突破されにくいよう配置されているように感じられるのだ。
――その地点地点の深度が正確にわかるというのか?ディガルドに?
 気の回し過ぎである可能性もある。
 単に深度がわからないから色々係維索の長さを変えたものを設置しただけであって、
それが結果として互いに深度をカバーし合っているように見えているのかもしれない。
 だが…
 偶然にしては配置が良過ぎないか?
 そして、疑念と不安を抱えながら進んでいったアレンは、さらに信じられないものを目の当たりにすることになる。

369 :
「馬鹿なあっ!?」
 障害物。
 水中に、多数の障害物が構築されていたのだ。
 明らかに投げ落とされたものではない。
水底にしっかりと植え付けられ、上陸用艇舟の底を傷付けようとその攻撃力を備えた箇所を上に向けている。
「これはどういう…」
彼には非常に珍しいことに、アレンは半ば呆然と辺りを見回した。
その時。
「!あれは!」
 深度をカバーし合う係維機雷、水中に構築された障害物。
何故それら自分に疑念と驚愕をもたらしたものがあるのかの答を与えるものを、アレンは見付けた。
 しかし、アレンがその答に到達することはなかった。
 脳が答を紡ぎ出すより先に、まさに「あれ」によって、アレンは乗機とともに粉砕されたからである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ちょっとネタ思いついたから「米軍ついにゾイドを開発。」スレに書き込んでくる。

370 :
「やあ、一人で退屈していたところなんだよ」
女はテーブルを取り囲んだ屈強な兵士達を恐れる様子もなくグラスを掲げた
「どうだい、一緒に一杯?」
返事は特殊警棒がカウンターに叩きつけられるバシンという音だった
「お嬢さん、あんたはまずい立場にある。この村には誰も勝手に入ることは出来ないし我々に対してナメた態度を取るものを見過ごす訳にはいかんのだ」
凄みを効かせながらも伍長は湧き上がる不安を抑えることが出来なかった
この女は全く怯えてはいない
それにどこかで見た覚えがあるような気がする
「オーケイ、どうやらここには紳士はいないようだ」
女は立ち上がるとコートの前を分けた
シャツの布地を挑発的に押し上げる豊かなバスト
見事なくびれを見せるウエスト
そして交差して吊り下げられた二本のホルスターに収まった二丁のリヴォルバーが男達の前にあらわれる
酒場は静寂に満たされた

371 :
書く前に前置きと言うか、話にスムーズに入れるようにいくつか。
・予告どおり中身はリッツVSルージ。
・時期はそれぞれルージが「生身ゲオルグ最終戦、ハヤテ覚醒直前」リッツが「D兵団迎撃の一ヶ月前」
・ムラサメライガーの性能はかなり拡大解釈。
・ジェネシス(ルージパート)本編のシーンに多少の改竄が加えられています。
・かなり無茶な理屈で戦闘開始。ご愛嬌ということに('A`)
本編行きます。

372 :
 ZAC2100年、8月。完成直後にぶっつけ本番で実戦投入された新型機・ジェノブレイカーの
性能テストが、ニクシー基地付近で改めて行われている。
 リッツ・ルンシュテッドは突如として異常な挙動を示し始めた計器に訝しげな目を向けた。
 レアヘルツの発生帯にでも踏み込んだのだろうか? ――いや、ここは違うはずだ。
 3Dレーダーが示すところ、上空から何かが落下してくる。コアの反応があるから
ゾイドに間違いない。
 だが、この異常なゲインはなんだ。
 ホエールカイザーでも墜落してきたのか、はたまた反応弾でも飛んできたのか。と
思うほどの数値。それも常に変動しており安定しない。ただ一つ解ることは、反応の大きさから見て
落下してくるゾイドがせいぜい大型のカテゴリーに納まる程度のサイズだということ。
それがリッツを大いに驚かせている原因でもある。
 ジェノブレイカーが天頂を見上げると、蒼穹の中に点が一つ。だんだん大きくなってくる。
 どれだけの高さから落ちてきたのだ――機体を下がらせる。そして、轟音を伴って
そのゾイドは『着地』した。
 乾いた大地に深々とクレーターを刻んだもの。埃が風に散らされてみれば、水色と白で彩られた
見知らぬライガータイプの機体がそこに横たわっている。全身の装甲はひび割れ、パイロットが
無事とはとても思えない有様だった。
 どうしたものか。
 彼とこの奇妙なゾイドが居る場所から基地まではそう遠くない。もしパイロットが生きているなら、
行き倒れということで運んでやってもいい。
 そうでなければ、正体を明かすために基地で解体してみなければならない。どのみち運ぶことになる。
 乗り手の生死を確かめようとジェノブレイカーが歩を進めた、その時。
「……!?」

373 :
 ありえないことだった。
 大破といってもいい機体の損傷が、リッツの目の前でなにか見えざる力によって
修繕されていく。彼がゾイドの再生能力について知らないはずはなかったが、
これほどの再生能力はゴジュラスのOS搭載タイプでも持ちあわせていないだろう。
 全ての傷が消え、何事も無かったかのようにライガーが立ち上がる。
 パイロットも無事だったのだろうか? 彼の疑問は、心中に沸き起こってきた
唐突な猜疑心と戦意によってかき消されてしまう。
 ブレイカー、お前はあいつと戦いたいのか。
 向こうの機体も、こちらに対して露骨な警戒態勢を見せている。味方と見てくれては
いないようだ。
 少なくとも味方ではない。帝国軍の警戒区域に侵入してきたのなら、敵だ。そして愛機は戦いを欲して
はやり立っている。また、あれ程の再生力を持つゾイドは珍しい。
 ならば、衝動に身を任せてもいいはずだ。どんなゾイドであれ、この機体と俺のコンビで負けるはずは無い。
 それは傲慢ではなく、実力に基づいたゾイド乗りの矜持だった。
「こちらジェノブレイカー、リッツ・ルンシュテッド。未確認機の区域内侵入を確認――戦闘行動に入る」
 ひどい頭痛がする。
 頭痛の原因は脳に急激に流れ込む血液である、とか以前読んだ本に書いてあったっけ。
多分この姿勢が悪い。重力が左に向かって働いている――ムラサメライガーが横倒しになっているのだ。
「……どうしたんだろう? おれ…………ダメだ、何か大事なことを忘れてるような気がするのに」
 直前の記憶が飛んでいた。その前は確か、ミィやラ・カンら仲間と渓谷の近くを歩いていた
と思うのだが、そこからどうして何も無い荒地に転がっているのかは全く理解できない。
そもそも、その仲間はどうしたのだろう? 自分ひとり置いて消えてしまうような仲間と
旅をしていた覚えはないのだが。
 手元の石版に触れると、モニターに光が戻ってくる。重大な損傷があったわけではないらしい。
 と、90度傾いた画面に大写しになる赤いゾイドが目に飛び込んできた。

374 :
 二足で立ち、尾を突き上げた竜の姿。装甲は真紅、無機的なフォルムに、背負った武装は異様だが、
それはまさしく彼の知るバイオゾイド――とりわけ、ザイリンの駆るメガラプトルに近い形をしているように見えた。
「ディガルド? ……でも銀色じゃないし、バイオゾイドとは大分違う印象だ」
 装甲のラインなどは通常のゾイドのそれである。彼はダイヤルを回しながら通信を試みたが、どの周波数帯でも
相手に繋がる気配は無かった。
「遮断されているのか――? うわ、どうした!?」
 モニター内の角度が正常になり、重力の向きが変わる。続いて視点がぐっと高くなる。
 この間一切の操作をしていないルージが戸惑うが、ムラサメは気にも留めず。
 再びすっと視点が下がり、愛機が低く構えた臨戦態勢に入っていることが解る。
「……あれは敵だって言うのか? おまえを疑うわけじゃないけど……って!」
 赤いゾイドの両脇の盾から巨大な剣が四振り、さらに頭部に輝く細身の剣が一振り現れた。向こうは『やる気』だ。
 少年ながらも死地を潜り抜けてきた身。やらねばやられる状況の覚悟は早い。
「もう、責任持たないからな」
 竜の背から翼のような光が迸った。
 正直に言えば、リッツは軽い失望を感じていた。
 小手調べのつもりで放った一撃目、右のフリーラウンドシールドを全面に展開しての体当たりは攻防一体の技であり
機体のスピードゆえに敵からのカウンターも受けにくい。また、僅かに右寄りに突っ込むことで敵が左に回避するように
仕向け、思惑通りに動いたら左のエクスブレイカーで両断してやるつもりだった。
 が、二手三手先を見て放った攻撃を、敵は避けもせずに受けた。そして盛大に吹っ飛んだ。
「……雑魚だったか」
 本命の左を避けるために敢えて受けたのではない。衝撃をRためのバックステップもなければ、吹き飛ばされた後で
受身も取れずに無様な墜落を見せる。
 背中の大得物を見たとき、彼は期待したのだ。こんな扱いにくそうな武器を用いるのは玄人ではないのか、と。
 だが、どうやら違ったらしい。初心者がどういうわけか分不相応の機体に乗ってしまった――そんな印象を受ける。
「だが、あの再生能力……」

375 :
 言うそばからダメージなど無かったようにライガーが立ち上がってくる。
「悪いが、捕えさせてもらう」
 二度目の突進を掛けた。今度は始めから斬りにいく。
「コアだけを抉り出してしまえば、再生能力も働くまい!」
 有線クローを射出。振り回される大刀をかいくぐり、二つの爪が襲い掛かる蛇のように敵を翻弄し、その足をつかむ。
 捕えた。
 ライガータイプは機動性が生命線。足を斬り飛ばしてしまえば、勝ちは決まったようなものだ。
 リーチに勝る大刀の迎撃が来た。左から右、横一文字に振り抜かれる刃を盾でそらし、そのままエクスブレイカーで
武器破壊を仕掛ける。
 ブレードライガーのレーザーブレードさえ砕く超合金の鋏。
 ――それが、甲高い金属音を立てながらも、白銀の刃に傷の一筋さえ入れずに止められた。
「……ッ! この強度……」
 生まれた隙を逃すまい、と叩き込まれるはレーザークロー。全身でスウェーバックしてかわすと同時に、巨大な足の爪で
蹴り上げて間合いを開ける。またしても、受身も取らず地に落ちるライガー。
 リッツは敵に対する評価を若干上方修正した。
 性能に依存する面が大きいとはいえ、刀だけで戦わない程度の分別はある。
「OS機を凌ぐ再生能力、エクスブレイカーで傷つけられない刀……その機体、ますます興味が沸いた!」
 後方に、続いて左に向けて機体を滑らせる。片手で操縦桿とトリガーを操り、もう片方の手で剣と盾を巧みに動かす。
二度押し込まれた親指の動きに呼応して射出されたミサイルは刹那、慣性のままに放物線を描き――火を噴いて敵を追い始める。
 マイクロミサイルと、それを避けようとする敵機の軌道を目の端で追いつつ、操縦桿を限界まで左へ。蹴り入れた
フットペダルの動きのままに、ブースター全開。脚力だけでブレードライガーを凌駕する速度を叩き出す敵機はかなりの
運動性を持っているが、速度と走破性ならホバー移動のこちらが上。噴射炎を後背に背負い、追従する。
 大きく旋回して横から戻ってきたミサイルとの十字攻撃だ。ビームとショックカノンを目の前に炸裂させ逃げ場をなくす。
 ポイズンミサイルの直撃を貰うか、格闘で仕留められるか。あるいは――。

376 :
「やはりな、上に逃げるしかあるまい」
 ライガーは跳躍し、縦横からの攻撃をかわした。が、これも罠だ。
 ブースターを持たない機体には空中での移動手段が無い。あらかじめその動きを見越していたリッツ=ジェノブレイカーは
即座に旋回、重力に引かれて落ちてくる敵機の背後から斬りかかる。
 勝利の確信。
 エクスブレイカーを振りかぶるリッツの視界の中で、敵が大刀を動かす。
「勝っ――」
 体をひねり、巨大な刀が回転する反動で無理矢理に姿勢を変える。
「――!?」
 そしてそのまま機体ごと一回転し、遠心力をたっぷり乗せた斬撃が打ち下ろされる。
 足を狙っていた鋏を一閃、半ばからいとも容易く切り飛ばされた。素材の質が違いすぎる上に、乗せられた運動エネルギーの
違いがそのまま破壊力の差を決定付けた。
 勢いのまま大地に突き刺さった刀。着地するライガーに、こちらも勢いのまま突っ込む魔装竜。
 
 この一瞬、リッツは未熟なはずの敵が見せた予想外の神業に動揺してこそいたものの、最善と思われる次の一手を
実行に移そうとしていた。即ち、空いた左の盾で体当たりし、敵を吹き飛ばして間合いを取り直すこと。
 だが彼の右手は理性に反逆した。スロットルを叩き込み、フットペダルは壊れんばかりに蹴った。機体がさらに加速する。
同時にレーザーチャージングブレード展開。ユニコーンの鬣の如く後方へ伸びる軌跡は、注ぎ込まれたエネルギーの光輝。
 ――あのブレードライガーのパイロットも、目の前のコイツも、予想の上を行く反応を示す。ならば、そんな相手に
『最善』の手など通用するはずが無い。
 もはや彼は凍てる男“アイスマン”ではなかった。リッツ・ルンシュテッドは何かを失い、引き換えに何かを得たのだ。
 その思考、反逆、決意の全ては一瞬の泡沫と消え、敵が繰り出してきた右の爪を避けてジェノブレイカーの頭が
ふっ、と低く沈む。
 次の瞬間、全身をバネにして跳ね上げた光の剣が獅子の前脚を半ばから断ち切っていた。

377 :

 ――強い。
 地に伏したムラサメライガーのコックピットで、斬った勢いのまま遠ざかっていく敵を睨みながら、ルージは実力の差が
圧倒的であると理解していた。
 決して一つの攻撃を仕掛けてこない。常にこちらの動きを先読みし、二段三段と連続攻撃を仕掛けてくる。しかもその全てに
敵の反撃に備えて回避行動を取れるような姿勢制御が織り込まれているのだ。
 だが……対抗しなければ。
 目標は遥かに遠く。自分たちは所詮、未だディガルド武国に敵対する勢力として名乗ることさえままならない戦力。
 それでも絶望することは許されない。
 歩みを止めたその時、彼はゾイドに乗る資格を失う――そんな気がしていた。
 最も重大なダメージは斬り飛ばされた右前脚。他の部位のダメージは許容範囲だ。
「立てるか? ムラサメライガー」
 愛機は三本の脚で器用に立ち上がって見せた。とはいえ、これであの赤いゾイドに対抗するのは不可能だ。
「ゴメンな。正直に言って、アイツの方がおれより強いゾイド乗りみたいだ」
 ライガーが怒るのが伝わってきた。彼の弱気を叱る温かい感情。愛情と表裏を共にした怒り。
「だから――お前の力が要る。おれに力を貸してくれ」
 別の意思が伝わってきた。この力は汝のもの。求めよ、されば与えられる――と。
「……なら」
 石版に両手を押し付け、目を閉じた。赤いゾイドの殺気が近づいてくるのを感じる。
「おれに――おれに力をくれ! ムラサメライガーっ!」
 
 その瞬間――。
 怒涛のように脳裏を覆った記憶、記憶、記憶。強大なバイオゾイドの襲来、追い詰められる仲間たちの姿。
『これで終わりだ、ラ・カンッ!』
 敵将の声まで聞こえてくる。実際に聞いたのか、それとも“まだ聞いていない”のか。
 ――汝の欲する力は?
 それは声ではない。心に直接湧き上がってくる意思の奔流だった。
「間に合わなかったら、ラ・カンが……みんなが死ぬ。だから――だからおれに、“速さ”を――!」

378 :

 自分がなぜ何も無い荒野で、見知らぬ強敵との戦いに臨むこととなったのか。それが解った気がする。
 仲間を助けたい、その意思と覚悟を試すためにムラサメライガーはおれをここに連れてきたんだ。
 ならばこれは幻? 刹那のまどろみに見た夢? どちらかが現実<リアル>なら、もう一方は虚構<フェイク>なのか?
 そんな類推は無意味だ。
 力を手にする覚悟は等しく試される。これが一時の夢であっても、真実は手にした剣に刻まれる。心に刻まれる。
 ――“速さ”を汝に。
 目を上げると、赤いゾイドが煌く刃をかざして突っ込んでくる。もう一度視線を落とせば、石版に輝く二文字。
 “疾風<ハヤテ>”。それが新たな力の名。
「――走れ、ハヤテライガーっ!」
 炎が獅子を包んだ。
 一瞬で渦巻く炎に包まれた敵を見て、リッツは自爆でもしたのかと疑った。火だるまを避けて後ろに回りこむ。
「斬り落とした脚が……ない?」
 唐突に炎の繭が解かれた。そこにあるべきライガーの姿は見えない。残骸さえも残さず消えることはありえない。
「まさか、脚をまるごと再生できるほどの……?」
 その悪寒は半分的中していたが、半分はハズレだ。敵の力はそんなありえない予想さえも上回っていたのだから。
 衝撃――。
 センサーが敵の接近を警告した瞬間、反射的に飛び退いたジェノブレイカーの右腕が飛んだ。
「今の攻撃は!?」
 モニターに何か映った気がするが、確信がもてない。映像化の遅延現象といっても通用するほどの一瞬しか
『それ』は見えなかった。だが、確かに機体はダメージを受けたのだ。
 分割されたいくつかの画面のうち一つ、簡略化された地形が自機を中心に移されているレーダーマップ。その中を
縦横無尽に駆け巡る光点が一つ。これは――こんな速度を出せるゾイドが地上に居るはずが無い。
 後ろから来る。機首を転じ、敵に正対すると、脚部のバーニアを吹かして猛烈な勢いで敵の進行方向へ機体を滑らせる。
今の敵機はこの魔装竜さえも圧倒的に上回るスピードと、ライトニングサイクスすら足元に及ばないであろう運動性を得ている。
相対速度を縮めて迎撃することで速度差のアドバンテージを無くそうとしている――そう見るのがセオリーであり、彼の狙い。

379 :
 敵が見えた。さっきまでとは完全に別のゾイド――装甲色は薄い赤に、損傷の痕跡など無い両前脚には
小振りの刀が一振りずつ。
巨大なブースターを背負った姿はまるで炎に包まれているかのよう。威圧感のケタが違う。
 もはや捕獲などと悠長なことは考えていられなくなった。本気でかからねば、こちらが斃される。
「来い!」
 残っていた左腕を撃ち出す。赤いライガーは飛び上がってそれを避け、無造作な小刀の一振りで
ワイヤーを叩き切った。
大刀より攻撃力が落ちた分、取り回しが格段に上がったようだ。さらに突っ込んでくる。
 しかし、それを予測していないと思うな。
 高速のまま着地。踵のアンカーを開き、脚から盛大に砂埃を巻き上げながら急減速する。
ジェノブレイカーの前面には空気の流れで小規模な竜巻となった砂塵。その空間に、
敵が光背を負って飛び込んでくる――そう、そのスピードだ。
 おまえは自分自身の神速によって敗北する!
「掛かった――!」
 前面に展開するは鋏を無くした右の盾。その中心に付き立てられる白金の刃――瞬時の抵抗を経て、
バターに突き入れられたナイフのごとく易々と貫通。しかしその刃が伸びる先に竜の躯は無し。
 一流の闘牛士は囮とする布の後ろに己が身を置くことはない。彼は面積の広い盾を衝突の寸前でパージ、
敵の攻撃を引きつける囮<デコイ>としたのだ。そして、ジェノブレイカーの横を猛烈な速度で駆け抜けていった
ライガーは、得物に刺さったままのシールドによって足並みとマスバランスを崩される。
ほんの一瞬だが、それで十分。既にチャージは完了している。
「速すぎる機体は、トップスピードのままでは急激な旋回が出来ない。足に錘が付いていては尚更だ……」
 トリガーを絞る。
 解き放たれた破壊の吐息、集束荷電粒子砲は一直線に敵へ。光の奔流が敵を飲み込む――今度こそ、勝った。
 だが、何かがおかしい。手応えを感じない。
「……まさか。こんな事が」
 左手から、あのライガーが猛スピードで回り込んでくる。しかし何故だ。回避は出来なかったはず――。

380 :
 それはリッツがムラサメライガーの、そしてハヤテライガーの武装を知り尽くしていなかったための誤算。
粒子砲発射の寸前にルージはシールドを刺したままの左足のパイルバンカーを大地に打ち込み、強烈なGに耐えながら
強制的に機体を百八十度旋回させたのだ。そして、直後に襲い来た条光は――
「……俺が囮にしたシールドを、そのまま防御に使ったと言うのか。そして
 シールドが蒸発するまでの一瞬で射線を外れ……」
 ――再度、格闘を挑んできた!
 射線を左へ振って炎の弾丸を追うが、撃ちながらの旋回は速さを殺がれ、その機動に追いつかない。
 再チャージまでの数秒さえ待つことは出来ない。リッツは覚悟を決めた。すっと息を吸い込む。
「おまえは誰なんだ」
 スロットル全開。一気にペダルに体重を乗せ、操縦桿も折れんばかりに前へ。推進剤が爆発的に燃焼し、
スラスターが青い炎を噴き上げる。
「赤い紋章のブレードとは違う。だが、おまえも強い。俺は――嬉しいんだ」
 戦いを愛するゾイドとゾイド乗り。強敵と出会うことこそ、何物にも代えがたい命がけの歓喜。
「勝負ッ……!」
 残ったシールドは一方。もとより、守ることは考えていない。あの攻撃力を前に
こんな盾が何の役に立とうか。
 エクスブレイカーが一対。レーザーチャージングブレード一本。足の爪も、尾も残っている。
勝てるはずだ。俺と、コイツの組み合わせなら!
 距離が近づくにつれ敵と自分の速度がどんどん上がっていくような錯覚を感じる。
エクスブレイカーを振り上げ――
 閃光。斜めから振り下ろされた鋭い一撃が鋏と交差し、、上の刃を綺麗に断つ。その脚に装備された
白銀の短剣が根元から半回転するのを、リッツの視神経はコマ送りで見ているように感じた。
が、間に合わない。
 コンマ数秒もせぬうちに、再び閃光。返す刀は横薙ぎに払われ、下の刃をも叩き折る。
 一方の右、レーザーチャージングブレードで受け止めるも、激突の直後に敵の剣が奇妙な角度に翻り、
基部からこちらのブレードを跳ね上げ、異常な角度からガラ空きになった腹部へ刺突。ゾイドコアへ、
その前にあるコックピットへと吸い込まれてゆく――。

381 :

 リッツにはその剣筋が見えなかった。
 だから、彼が己の敗北を知覚したのは、眼前に迫った死の刃が炎と化して消失してしまった後だった。
死の危機を実感する暇もないまま、リッツ・ルンシュテッドは死神が目の前で身を翻して
冥界へと帰ってゆくのを見たのである。

 ―エピローグ―
 ルージ・ファミロンの意識はまた混濁していた。途中で夢から醒めた時のような気だるさ、
長い距離を走ってきた後のような疲労感がある。
 ――どこか、別の場所へ行っていたような気がする。
 彼は何一つ明確に思い出すことができなかった。見覚えのない荒野も、血のような赤に
身を包んだ竜の姿も、全て。
 だが、彼の覚悟をムラサメライガーは忘れていなかった。
 目を上げれば、窮地に陥る仲間。ああ、そうか――初めて意識が彼の居るべき場所に帰ってくる。
ゲオルグが駆るバイオトリケラの急襲、傷つき倒れていく仲間たち。今おれが成すべきことは、何だ。
「……ムラサメライガー、おれに“速さ”を」
 この既視感はなんだろう? 遠い過去に同じことを言った気がする。同時に、
ついさっき同じことを言った気がする。
 ――汝に“速さ”を。
 モニターに映る世界が炎に覆い隠される。彼は奇妙な感覚を押しのけ、仲間を救うために
操縦桿を握り込んだ。
 石版に映るは“疾風”の二文字。意識化に流れ込んでくるその名を、呼ぶ。
「行こう、ハヤテライガー」
 獅子は炎を身に纏い、銀色の二角獣を目掛けて疾駆した。さながら疾風のごとく――。

382 :

「テストなのにひどくやられたもんだな。破損部位の予備パーツがあったから
 良かったものの……しかしアイスマンがそうも驚くような敵たぁ、そんなに強いのかね?
 そのアンノウンゾイドは」
 基地でジェノブレイカーの修復に立ち会いながら、リッツは技師たちからの質問攻め、
及び苦情の嵐を受けることとなった。
 しかし彼の心はそこに在らず。突然現れ、幻のように消えてしまった敵に思いを馳せる。
 始めは未熟なパイロットだと思った。機体性能に頼りきった、初心者だろうと見下していた。
 だが、それを補ってあまりある天性のセンスとゾイドに寄せる信頼が戦いの中で感じ取れた。
そしてそれがリッツの敗因であろうことも全て、彼は自ら悟っていた。
 全てを俯瞰し得る神の視点から見るならば、ムラサメライガーの性能は
ジェノブレイカーを遥かに上回る。
その上にメタルZiの武器とエヴォルト能力も合わさって、ジェノブレイカーで
互角に競り合えたことが奇跡とさえ言えるのだ。
 だがリッツはそんなことを知らない。知っていたとて、彼は決して己の敗北を
性能のせいにはしなかったであろう。
 事実であっても、それは負け惜しみでしかないと解っていたからだ。自分は確かに敗れたのであり、
性能差がもう少し小さければなどという過去の仮定に意味はない。
 もしも再び相見えることがあるなら、今度は始めから全力で戦う。そして必ず勝利してみせる。
それこそが、敗北に傷つけられたゾイド乗りとしての矜持を取り戻す唯一の方法だ。
 赤い紋章のブレード。姿を変える謎のライガー。彼の心を燃え立たせてくれる敵こそが、
何物にも代えがたい命がけの喜びを与えてくれる――そうだろう、ブレイカー?
 巨大な注射器でゾイドコア活性剤を流し込まれる姿はいかにも工業製品然としているが、
リッツは自分に応える愛機の意思を確かに感じた。

383 :

 ZAC2100年、9月。リッツ・ルンシュテッドとジェノブレイカーは
デストロイヤー兵団迎撃のためニクシーから出撃した。彼はその任務の後
MIAとなるが、ルージ・ファミロンのムラサメライガーと再戦する機会は
ついに生涯得られなかった。
  ――それは、二人の男の奇妙な戦いの記録。
  たった一度、敵として出会ったゾイド乗りたちの間に刹那生まれた、ひとつの絆の物語。
                       <了>

384 :
浮上。

385 :
 まず最初は自分の耳を疑った。
 次にそんなことを言ってきた奴等の判断を疑った。
 それからどうも言われたことが言われた通りであることをどうにか理解した。
 これらのことをアーベルは数秒のうちにやっていた。
 何が起こったって言うんだ?
 いや、「何が起こった」かに関しては今言ってきたわけだが、これは予想外どころの話ではない。
 爆撃による混乱からディガルド軍側が立ち直らないうちに上陸を開始するため、
レオゲーター部隊による水中障害物撤去の完了と準備爆撃終了の間が開かないように
目標空域への侵入と爆撃開始のタイミングを計っていたら、
いきなり要は大体こんなことを言われたわけである。
「敵の攻撃下にあるレオゲーター部隊の後退を援護するため、
 カノントータスによる砲撃、次いで貴下の部隊による爆撃を行う。
 カノントータスの砲撃中は敵対空防御網への攻撃と着弾観測を行い、
 砲撃が終了したら直ちにレオゲーター部隊の後退の支援爆撃に移行せよ」
 何が起こったって言うんだ?
 後退の援護となれば、四の五の言ってる暇はない。
 即座に部下達に指示を下し、命令を実行に移すが、その間も疑問と困惑はアーベルの頭を離れない。

386 :
 やれと言われていることの、やり方についてはどうしてそうなのかはわかる。
 カノントータスの砲撃が短い時間とされているのは、
上陸後の速やかな進行を意図し弾薬運搬ゾイドに積み込んである砲弾をカノントータスに持っていくことが、
揚陸作戦用艇舟が小型のために困難だからだろう。
この状況ではカノントータス本体に積み込んである砲弾しか使用できないのだ。
機体規模の割に大口径の砲を搭載しているというカノントータスの長所は、
機体本体の搭載弾数が少なくなるという短所と表裏一体なのである。
これには、多数の弾薬運搬ゾイドを部隊に組み込むという、
帝国の連中に言わせれば「贅沢な」方法で対処しているわけだが、
揚陸作戦用艇舟の上ではどうにもならない。
 カノントータスの砲撃の着弾観測をしろというのは、
レオゲーターが攻撃されてる状況で直接照準が可能な距離まで接近したり、観測班を前進させたりしたら、
そのレオゲーターを攻撃してるヤツラの射程に入ってしまう可能性が高いからだ。
そうなれば一方的に沈められてしまうことになる。
 自分達にまず対空防御網の攻撃を行い、カノントータスの砲撃が終了したら目標を受け継げというのもわかる。
対空防御網より「手前」にいる「目標」を自分たちが急降下爆撃し、
カノントータスが対空防御網に対する砲撃をそれと並行して行うのでは、
自分達急降下爆撃隊が、間接照準射撃ゆえに大きな山なりの弾道を描くカノントータスの砲撃に巻き込まれる恐れ
(急降下爆撃では最終的に200m程度にまで高度が下がる、
 対して今は大引き潮の状態のため、「目標」と対空防御網の間は300m以上離れているのがほとんどだ)があるからだ。
だからカノントータスが「目標」を砲撃している間に対空砲火を黙らせ、
そして砲撃が終ったら目標を引き継げというのだろう。
 そう、わかるのだ、どうしてそういうやり方になるのかは。

387 :
 だが、やれと言われていることの理由―
そもそもどうしてレオゲーター部隊が後退しなければいけないのかがわからない。
 ディガルド軍が水中目標を効果的に攻撃する能力を持っていると言うのか?
 そんなことは出来ないであろうからこそ、
準備爆撃終了後即座に上陸を開始できるようレオゲーター部隊は先に進出したのだ。
 いや、そんなことはこっちに較べれば些細な問題なのかもしれない。
 もっとわからないこと―指示された「目標」の位置。
 それはレオゲーター部隊の位置より海岸よりの―海中なのである。
 アーベルの頭は掻き乱された。
 ふと―その混乱の中に一つの可能性が顔を覗かせた。
 そしてその可能性は見る間に大きくなり、混乱を覆い隠していった。
 ―まさか―
アーベルは慄然とした。
 ―まさかあれが―

388 :
 エリックは笑っていた。
 馬鹿笑いといってよかった。
「ずいぶんと思い切りがいいんだな、敵さんは」
実のところ、自分達に脅威を与えているそれがそこにある理由はむしろ逆なのだが、
今の彼がそのことを知る由も無い。
 そいつはルキアス大尉の機体をはじめ複数のレオゲーターを沈め、今もこうして自分達を危機に陥れている。
強力な火器と強固な装甲、それに異形の姿を持ったそいつは、
まさに自分達に脅威を与えているそいつに対して抱いている感情を具現した―
悪魔と呼ぶに相応しかった。
 かつての中央大陸戦争の際、中央大陸を追われ暗黒大陸へと逃れたゼネバス帝国が捲土重来を期し開発したゾイドの一つ。
 そのクラスとして最後のゾイドにして、そのクラス最強と謳われる戦闘力を持つゾイド。

389 :
 EMZ-31 シーパンツァー。
 時の狭間から現れ出でたかのような悪魔は、今のこの醒める手段すらない悪夢の支配者だった。
 障害物の陰から攻撃してくる、強固な装甲に身を包んだそいつらに、自分達が有効な打撃を与える方法は無かった。
この状況でヤツラを倒すにはウオディックが要る。
しかし、「閂」作戦にはウオディックは参加していない。
水中においては最強の称号に値する戦闘能力を発揮するが、
陸上での能力が極めて限定的で、
今の共和国軍には鹵獲機や発掘されたもの等がわずかに保有されているだけのウオディックは、
ディガルド軍側にはウオディックを持って対抗せねばならないような水戦ゾイドは存在しないと考えられていたことから、
上陸作戦である「閂」には不必要とされたのである

390 :
 水中で爆発が起こり出した。
 恐らくカノントータスの援護射撃だ。
 榴弾を撃っている。妥当な判断だろう。
 グスタフ、装甲を施された砲、トーチカ等、リーオを使用していない砲弾も有効な装甲目標が存在するため、
この作戦でもカノントータスには対装甲砲弾も積み込まれている。
しかし、その間接照準射撃用の対装甲砲弾で何とか効果が見込めそうなのは、
元の時代から持ってきた、トップアタックを狙った自己鍛造の子弾をばら撒くものがあるだけなのである。
この状況でこの砲弾を使用すれば、水面を感知して水面の上で弾体が形成されることになる。
自己鍛造弾の貫徹能力は、弾体が形成された位置と目標との間の距離に大きく左右される。
水面上で自己鍛造弾が成型され、しかも相手は重装甲のシーパンツァーで障害物が立ち並ぶ中にいる。
これでは、間接の隙間に挟まり込むとか、
シーパンツァーの上面コクピット後方にあるミサイルランチャーが開いているところに飛び込むといった、
幸運なというより奇跡に近い現象が起こらなければどうにもならない。
それでも水面で起爆してしまう、自己鍛造弾より更に有効距離の短い成型炸薬弾頭よりはまだマシなのである。
事実上、この状況では間接照準用の対装甲砲弾はシーパンツァー相手には効果が見込めないということだ。

391 :
 なら衝撃を与えられる榴弾の方がまだいい。
遅延信管はある―品質管理の問題から、遅延時間に高い精度は期待できないが―ので、
水面で反応してから水中で爆発してくれる。
しかし―重防御のシーパンツァー相手に深度調整できないチャチな爆雷のようなものは大して効果を上げられまい。
その上、撃っているのが砲弾であるということに起因するマイナスもある。
間接照準が身上のカノントータスの砲であるから、砲弾の初速を変える
―つまり発射の際の加速を変える―ことは可能である。
しかし、それでも砲身という限られた長さの空間で遠距離まで到達する加速を終えなければならないことには
いささかの変わりもない。
長い距離を使って加速するロケットや自由落下をするだけの爆弾とは違うのだ。
ゆえに、急激な加速に耐えるため、その弾体の殻はどうしても厚いものにならざるを得ない。
このため、弾殻を打ち破りそれを破片とするために砲弾の炸薬のエネルギーが大きく取られる。
水中では水の抵抗の大きさから、破片はすぐにその速度を失ってしまう。
つまり、破片生成に使われるエネルギーは攻撃力という観点からするとロスしたものとなってしまうのだ。
カノントータスの砲の大口径さと、水深の浅さ―水面からそれほどは遠くないところに目標がいるということだ―
がせめてもの救いではあるが、それでもシーパンツァー相手では行動の阻害くらいしか期待はできまい。
 エリックには、シーパンツァーがその重装甲と障害物という二重の鎧を纏っているように思えた。
 いや、三重か。
 ヤツラは更にもう一つの鎧に覆われている。
 それは俺達がくれてやったもの―自分達共和国軍の慢心だ。

392 :
 安堵していいのか?
 レオゲーター部隊が後退したという報告を受けて、アーベルはそんな疑念を持っていた。
 思った通り、レオゲーター部隊を後退せしめたのはシーパンツァーだった。
シーパンツァーがいる可能性に思い至ったとき、アーベルは恐怖にも似た警戒心を抱いた。
シーパンツァーの高出力ビームキャノン砲は、その長い射程と、優れたFCSから、十二分に脅威となり得る。
さらに、もし連中の12連装小型ミサイルランチャーに対空ミサイルが装填されていれば、
爆装で運動性が低下している自分達急降下爆撃隊には、まさに悪夢が現出する。
 しかし、もう一つの予測―いや、それはむしろ願望だったのかもしれないが―通り、
シーパンツァーの乗員はそれほど習熟していなかったらしい。
素早く状況を見て対空攻撃を仕掛けてくることは結局無かった。
ディガルド軍にとっては、シーパンツァーが有するような極めて高い戦術的柔軟性と戦術的幅を駆使した戦闘など
想像すらできなかったものであったろうから、そう早く習熟することが不可能なのは当然と言えるが(※9)。
 自分達は幸運を拾ったと言える。
 が…アーベルはどうにも危機を切り抜け切った気がしなかった。
 危機から抜け出していない…
というより、まだ別の危機が自分たちに襲い掛かろうと身を潜めているような気がするのだ。

393 :
 とにかく、これ以上の作戦の継続は不可能だ。
 上陸するためにはシーパンツァーの防衛網を突破せねばならない。
が、ここにあるゾイドと装備ではそれは不可能であることは、水戦には門外漢であるアーベルにも明白なことだった(※10)。
 それに、レオゲーター部隊の後退の支援で爆弾をかなり使ってしまった。
重防御のシーパンツァー相手に、効率の悪い爆雷攻撃のような真似をして行動阻害をしたのだから、
爆弾の消費量が多くなってしまったのは仕方ないのだが…
 作戦を遂行するためには、ゾイド、装備の補充が不可欠だ。
 だが、それは上陸の遅延を招く。
 上陸の遅延は、敵に兵力を送る時間を与える。
 作戦は中止か…?
 そう思いを巡らせていた時、アーベルは信じられない事態に直面した。

394 :

※9 ディガルドの国家体制、当時の一般的教育水準等から、
   ディガルド軍は一般的な兵士一人一人に高い能力を求めることは不可能だった。
※10 シーパンツァーの攻撃による被害を押し切って上陸を敢行したり、水戦ゾイドの数を頼りに押したりすることは、
    予測される被害の関係から採り得なかった。後述の本文も参照のこと。

395 :
すまん
前スレから見たいんだがまとめサイトとかないのか?

396 :
>>395
多分無い。少なくともこのスレと前スレにリンクされたことは無い。
前スレではその時点での設定や登場キャラクター(オリジナル限定)をまとめてくれた人がいたが、
たぶんそれも流れちゃってる…
各作者さん達が各々自サイト等で公開していれば別だが(ちなみに俺はサイト・同人等はやっていない)。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「グイ襲来」
 突然の警報であった。
 護衛に任せるしかない。
 ほとんど反射的にそう判断して、状況を確認しながらも、アーベルは驚きを禁じえなかった。
 何故こんなに早く出張って来られる?
 連中の航続能力では、飛行しながらの待機など到底不可能。
 つまり、共和国軍がここに来たという報告を受けてから、最寄の航空基地を飛び立ってやってきたことになるわけだが、
問題はその時間だ。

397 :
 早い。早過ぎる。
 「閂」は秘匿された攻勢作戦ではなかったか。
 情報の確認・整理、貴重なグイの出撃の承認、離陸の準備、ディガルドのヤツラが時間を取られる要素は山積みのはずだ。
 それが何故、こんなに早くグイを寄越してこられる?
 これではまるで、ディガルドのヤツラが
自分達共和国軍がここに来ることをあらかじめかなりの確率で予期していたとしか思えないではないか。
 いや、よく考えてみればあのシーパンツァーだってそうだったのだ。
 自分達がここに来ると思っていなければ、
わざわざ恐らくはそう多くは持っていないだろうシーパンツァーを配置して障害物構築までやらせるわけは無い。

398 :
 アーベルの思考は乱れに乱れた。
 だが、今になってしまってはそんなことを考えていても何にもならない。
 不幸中の幸いというべきか、ストームソーダーもレドラーもグイを圧倒している。
 それに夜の闇が迫ってきている。
 少なくとも、重大な損害は出さずに退けるはずだ。
 損害をできる限り小さくする。
 自分は指揮官としての勤めを果たさなければならない。
 ここは退くしかない。
 だが、無様に退く気はない。
 アーベルは指揮下の機体の位置と護衛変態の位置を再確認した。
 そして沈み行く太陽に目をやった。
 紅に染まる空は腹立たしいほど美しく、揺らめく水面は一日の最後の日の光を余すところ無く受け止めようとしている。
 長い夕暮れになりそうだった。

399 :
 奇襲効果は完全に失われたと判断され、「閂」作戦は中止された。
 後から指摘できることだが、作戦の計画及び準備の時点で、共和国軍は既に複数の重大なミスを犯していた。
 そもそもアーニッツが上陸地点であることが事前にディガルド軍側に察知されていた。
 まともな地図が存在しない状況で、上陸地点の情報を得るためには、現地住民からの情報収集が不可欠だった。
ここで、聞き込みをされた、もしくはその様子を見ていた住民が、
ディガルド側にそのことを教える危険性を重視していなかったのである。
連合軍が人民の解放のために戦っているというのは、
周りから見れば、あくまでその本人達がそう称しているだけのことであり、
仮にそのことを信じたとしても、強大なディガルドに勝てるという保障が無い以上
(むしろ敗れるとみる方が当然であるくらいだった―)、
自分達の立場のため、ディガルドへの敵対行為ととられる行為をとろうとしないことは住民にとっては
(しかもわざわざ上陸作戦を行うということは、その地点周辺は少なくとも連合軍の勢力化ではないということである)、
至極当然のことである。
共和国軍に、自分達は人民のために戦っており、人民は当然自分たちに協力するというある種の驕りがあったことは
指摘されねばならないだろう。
事前に上陸地点を高い確率で予測していたからこそ、ディガルド側は障害物の構築やグイの素早い派遣が可能だった。
 また、水中ゾイドを使用した偵察を行わなかったことも重大な問題を引き起こした。
もしそうした偵察活動を行っていれば、水中障害物とシーパンツァーの存在を事前に察知できたはずである。
ディガルド側の上陸阻止作戦能力の過小評価と、作戦秘匿の過度の重視、そしてゾイドの上陸作戦への適応性の高さ(※11)
から海岸地形の調査を軽視したことが、この結果を招いた。

400 :
 もっとも、シーパンツァーの存在を事前に察知できなかったことについて、
水中ゾイドによる偵察を命じなかった判断にだけその責を問うわけにはいかない。
 実は、共和国情報部は事前にシーパンツァーの存在を知ることが可能であった。
 アーニッツの航空写真の中に、海中へと消えていく轍が写っているものが存在しており、
その写真の轍を分析すれば、それをつけたのがシーパンツァーであることを突き止めることは可能であったのだ。
 しかし、共和国情報部は、ディガルド側に強力な水中ゾイドは存在しないという思い込みにとらわれていたために、
海中に障害となるものを投下するための舟を運んだ跡だろうと思い、
ディガルドの造船能力と轍そのものの大きさから、それほど大きな船ではないであろうと判断し、
その写真の重要性を認識できなかったのである。
 さらに、ディガルド軍上層部も判断を誤っていた。
 連合軍の上陸が行われるであろうということはわかっていたのだが、実際に上陸作戦を行ったことがない彼らは、
上陸作戦そのものの重要性を理解し切れなかったのである。
このころ、シーパンツァーは発掘・配備が行われ出したばかりであった。
当然、不慣れな兵器の運用に習熟するための時間と経験が必要であったが、
上陸作戦の重要性を理解しきれていないディガルド軍上層部は、
河川等からの連合軍水陸両用ゾイド部隊の侵入を阻止する戦闘より、
揚陸用艇舟を阻止するための機雷敷設や水中障害物構築のほうが、
その実戦試験には向いていると判断したのだ。
皮肉にもディガルド軍上層部の無理解が共和国軍に危機をもたらしたのである。
 もっとも、ディガルド側がシーパンツァーに習熟不足であったため、
後退する共和国軍はシーパンツァーの追撃を受けずに済んだという側面もある。
目印の無い海底を追撃してさらに帰還することは、水中ゾイドの運用に不慣れな乗員には不可能であり
(アーニッツ海岸海底に構築された水中障害物は、
 水中ゾイドへの習熟度の低いシーパンツァー搭乗員が戦闘中位置を把握するための目印という側面もあった)、
さらに、障害物から出てきてバラバラになったところを
水中戦能力にはるかに優れる共和行軍水戦ゾイド部隊に各個撃破される恐れも大いにあった。

401 :
 もしシーパンツァーが発掘されていなければアーニッツ上陸は成功していたのではないかという意見もあるが、
上記の必然的に上陸地点が漏れるということを考えれば、
仮にシーパンツァーが無かったところで、揚陸が楽になるだけで、
結局グイや陸戦バイオゾイド部隊が早期に派遣され、作戦目的の達成は極めて困難であったろうことは明らかである。
 そしてこれはそのまま、共和国軍が大規模上陸作戦を行わなかった理由に繋がっていく。
 奇襲的な大規模上陸作戦は成功が望めないということだ。
 奇襲的でない―敵の布陣しているところへ正面から向かっていく上陸作戦は、当時の共和国軍には採り得ないものであった。
 当時の共和国軍は、自らが必要とする教育レベルと練度の高い人員の補充は殆ど見込めない状況にあった。
 当時システムとしての戦闘能力は最高のものを有する集団でありながら、
いやそれゆえに、共和国軍はシステムそのものとしては最も脆弱な集団であったのである。
 水戦ゾイドや艦艇に搭載されたゾイド、それに洋上で活動している航空ゾイドは、
ゾイドの破壊が搭乗員の喪失に繋がる確率が陸戦ゾイドや陸地上空で活動する航空ゾイドに比べてはるかに高い(※12)。
 また、共和国軍の最終目的はディガルドに勝利することではなく、
あくまで元の時代に帰還してガイロス帝国との戦争に復帰することである。
 それ故、多大な損害の見込まれる力押しは、当時の共和国軍の容認できるものではなかった。

402 :
 さらに、この「元の時代に帰還する」という共和国軍の最終目的は、極めて重大な問題を引き起こしていた。
 共和国軍にとって、「過去への移動手段を手に入れた未来の自分達」が時間移動の方法を教えに来ていないことから、
過去への移動が可能であったとしても、
それは少なくとも「任意の過去へ移動してその時間的因果関係に介入できる」ものではないことは明らかであったが、
「任意の過去への移動と歴史の改変」が可能なのではないかという考えは、各集団に複雑な思惑を生むことになった。
これは当然予測される事態であったため、当初共和国軍は自らが過去から来たということを隠そうとしたが、
莫大な過去の詳細な記録を持つソラシティーの存在と、
時間移動の方法を探るにはソラシティーの情報と協力が必要との判断から、隠し切れるものではないとして、
ソラシティーと共同して「任意の過去への移動と歴史の改変」が不可能なものであると
アピールしていく方向に切り替えられた。
 しかし、やはり共和国軍の時間移動探求への懸念は消し切れるものではなかった。
 また、共和国軍は固有の領土を有していなかった(※13)。
これは、自給自足は不可能ということであり、
共和国軍は、固有の領土を手に入れるか、他の勢力から養ってもらうかしかないということを意味している。
ここで、固有の領土を手に入れることは、
共和国軍の「歴史の改変」の可能性とその武力への警戒から政治的な平和的方法では不可能であり、
武力を持ってする領土の獲得は、他の勢力を圧倒する兵力は有していないことから、これも結局は瓦解すると予測された。
つまり、共和国軍は何らかの勢力から援助を受けなければならなかったのである。
そして、この援助に関しても、余剰生産力に乏しい当時の技術水準ではその負担は大きいものであった(※14)。

403 :
 このため、共和国軍には、
もし、全土が一つの勢力によって平定される、複数の勢力が極めて平和的に共存するといった、
共和国軍のような「戦争専門」の集団が必要とされない形に落ち着けば、
「歴史の改変」への懸念、そして援助の負担から自分達は始末されるのではないかという懸念があった。
また、共和国軍に時間移動の方法を探究させておいて、
それがほぼ達成された時点で時間移動の手段を横取りすることを考えている勢力がいないとも限らなかった。
共和国軍は、ディガルドにジーンが存在しなくなったとしても警戒しなければならなかったし、
味方である討伐軍にも疑いの目を向けなければならなかったのである。
さらに、そもそも時間移動というものが不可能である、
つまりこの時代で生きていかねばならない場合のことも考慮しなければならなかった。

404 :
 ゆえに、共和国軍にとっては、「解放戦争」が終結する前に時間移動の手段を探し出すことが最善とされたが、
それが出来なかった場合、複数の勢力が緊張状態にあり、
共和国軍はそれらの間で強力な戦闘能力を有する集団として軍事・政治的なプレゼンスを持つことを目指すものとされた。
 このことを念頭に置くと、
「ディガルドの中枢地点付近に上陸、そこから侵攻し、戦争を短期間で終結させる」
という行動は、政治的な理由からも共和国軍は採り得なかったことがわかる。
仮にこのような戦略を採った場合、連合軍とディガルドの兵力差から
(連合軍側は敵地の各地を武力で制圧して勢力下に入れていくことが兵力の問題から出来ない)、
連合軍本拠地が攻め落とされるか、
各地に派遣されたディガルド軍部隊が連合軍侵攻の報を受けて戻ってくる前に戦争の勝利を収めないと、
上陸した軍勢は海を渡って撤退せざるを得ないか、孤立して壊滅することになる事態に陥る。
そして、その要求される迅速な勝利の為には、
ほぼジーン及びその周囲の限られた人間のみがディガルドの戦争継続を望んでいる状態でなければならなかった。
もしもジーンとその周囲の人間以外のディガルドの人間にも戦争継続の意志が広く存在した場合、
ディガルド中枢を破壊しても、戦争は継続し、結果、上陸軍は孤立の危機に晒されることになる。
 さらに、もしこのような「戦争の早期終結」が可能である、つまりジーンとその周囲の人間しか戦争継続の意志がない状態
(もともとそうであったか、工作によってそのような状態に持っていったかは関係無く)
となれば、戦争終結後、「複数の勢力が極めて平和的に共存する」という状態となる可能性も小さくない。
共和国軍にとっては、工作等を通じ、なんとしても複数の勢力が睨み合う状態に持っていかねばならず、
そのような工作の時間も無く「複数の勢力が極めて平和的に共存する」状態へと移行することは
どうあっても避けねばならない事態であった。
 共同して戦っているとはいえ、共和国軍は討伐軍とは異なった目的を持っていたのである。

405 :
 かように様々な戦訓を孕んだアーニッツ上陸戦であるが、
情報の開示が進むまであまり一般にその実体が知られることは無かった。
 これは、共和国軍上層部とディガルド軍上層部の思惑が大きく影響している。
 共和国軍上層部にとっては、アーニッツ上陸戦は、自らの失態を晒すものであることもあるが、
それ以上に、純粋に作戦によって敗れたのであり、バイオゾイドによって敗北した訳ではないことが問題であった。
 自分達のいた時代から切り離され、その上バイオゾイドという驚異的な存在と戦わねばならない共和国軍将兵は、
精神的に極めてデリケートな問題を抱えていた(※15)。
彼らにとって、ディガルドはバイオゾイドという「不公平な兵器を使う卑怯なヤツラ」であり、
自分達は「不公平だから負けることもある」のであって「公平だったら負ける訳が無い」のでなければならなかったのである。
もしその思い込みが崩れたらどんなことが起こるかは、共和国軍上層部には想像するのも恐ろしいことであった。
 また、ディガルド軍上層部にとっては、アーニッツ上陸戦は共和国軍を撃退し勝利したとはいえ、
自分達の判断ミスも数多く存在するものであった
(グイの準備についても、ディガルド軍上層部はその重要性を理解し切れず、
 シゾティエム戦区指揮官の強い働き掛けで早期の派遣が実現したという経緯がある)。
さらに、その判断ミスの多い戦闘で、
もし共和国軍に上陸を許せば、シゾティエムという重要地を奪われていた可能性も高かった。
 ここで、共和国軍上層部とディガルド軍上層部の
「アーニッツ上陸戦に関する詳細を隠すべし」という思惑の一致が見られたのである。
 かくして、「閂」作戦―アーニッツ上陸戦の実態は、歴史の闇に隠された。
 しかし、その犠牲者、その教訓、そしてそこに端的に示された問題は、永劫にわたって決して消えるものではないだろう。

406 :

※11 ゾイドは陸上用のものであっても、ある程度以下の水深で、流れが急でなく、水底がしっかりしていれば、
    そこを踏破することができる。
    このため、遠浅の海岸で水底に急な深い窪みのような地形が無ければ、
    比較的沖合いで揚陸用艇舟から降りて自力で上陸できる。
    このことから、ゾイドは海岸地形に対する上陸の自由度が高い。
※12 人員の補充の問題から、
    共和国軍上層部は危険な状態に陥ったら早めに「見切りをつけ」てゾイドを捨ててでも脱出するよう
    各ゾイド搭乗員に指示してはいた。
    しかし、ゾイドとの精神的な結び付き
    (特に共和国軍はガイロス帝国軍等と比べて
    ゾイドとの精神的結び付きが強いパイロットが多い傾向があったとされている)から、
    危機にあってもなかなかゾイドを捨てるという判断をしないパイロットも多く、
    また、優秀なパイロットほどゾイドとの精神的な結び付きの強い者の割合が高くなることは、
    共和国軍上層部の悩みの種であり続けた。
※13 このことは、共和国軍全体が戦略予備であるかの如く、
    地域に縛られない、戦略機動力を活かした戦闘行動をとることを可能にしてもいた。

407 :
※14 余剰生産力に乏しい当時の社会情勢にあって、戦闘専門の集団はその維持が難しいものであった。
    討伐軍のトップに立ったのはキダ藩々主のラ・カンであり、
    また、討伐軍そのものがキダ藩の人間を中心に結成されたもので、
    その上層部にキダ藩の人間・組織が多いことはよく知られているが、
    このことは、キダ藩が直接的には生産に関わらない支配階級を有する社会であったことと無関係ではない。
    そのような社会体制を持たない地域の対ディガルド反抗勢力は、生産にも携わる半武半農の組織であったり、
    社会のあぶれものや盗賊の集団であったりすることも多かった。
    共和国軍を初めとする、生産能力を持たない純戦闘集団を支えることを可能にしたのは、
    皮肉にも徴兵と戦闘時期の自由度(軍の人員が農業にも従事していると、農繁期には戦闘行動が取れない)
    を高めるべくディガルドが占領地にもたらした生産の効率化であった。
※15 自分達のいた時代から切り離された共和国軍将兵には、
    大統領専用機であり、共和国の象徴であるウルトラザウルスに精神的な拠り所を求めるものも多かった。
    このため、ウルトラザウルスの喪失は兵力的な問題と同等以上に、
    共和国軍将兵の精神的な問題にも重大な影響を及ぼしかねなかった。
    ある兵器がある集団の象徴になってしまったときに起こる問題で、
    過去の地球の戦艦も抱えていたことが有名である
    (旧大日本帝国海軍戦艦大和や、
     第二次世界大戦中の英国首相ウィンストン・チャーチルが、第二次世界大戦中もっとも衝撃を受けた事態は
     プリンス・オブ・ウェールズが沈められたことだと述べていることはよく知られたエピソードである)。

408 :
これで終了です。
変な話長々と書いてすんませんした(うわ3ヶ月もこんな話書いてたのか俺)。
後これは言おうかどうかホント悩んでたんですが、やっぱ言うことにします。
他に空戦ゾイド出したい人がいたら関係してくることなので…
CDKBUzTsさん、ほんとにごめんなさい。
「解放戦争」という表現を使って頂いたのですが… 
この「解放戦争秘録」、このスレの多くの人が想定しているであろう、
「トライアングルダラスで共和国軍が飛ばされた」ってのとは相容れないんです。
問題は空戦ゾイドで… 
FBの描写から、そもそも「空戦ゾイドがいなかったからトライアングルダラスに逃げ込まねばならなかった」
ので、空戦ゾイドがたくさんいるのとは繋がらないんです…
実は、書き込みだしてからこのことに気付き、「ヤバイ」とは思ったものの、「後で背景設定が違うことにすればいいや」と思っていたんです。
まさか自分のSSに取り入れてくれる作者さんがいるとは夢にも思わなかったもので…
まあ、「パラレル世界でも「解放戦争」という表現が使われている」ということにすれば別に問題はないんですが…
本当に済みませんでした。

409 :
「お嬢さん、その銃をゆっくりと捨てるんだ」
「嫌だと言ったら?」
沈黙の数瞬後、一同は一斉に動いた
伍長は腰のホルスターに手を伸ばし、兵士はライフルを肩から外す
無駄なことだった
赤毛の女の両腕が閃光のように動くと次の瞬間にはその両手に二丁のリヴォルバーが魔法のように収まっていた
女は五分の二秒で六発を撃ちその全てが致命傷となって五人の男は床に倒れる前に全員が絶命していた
伍長は自らの意識が闇に呑まれる寸前、ようやく女の正体に思い至った
共和国軍きってのガンスナイパーの名手、そして惑星Ziで五本の指に入るといわれた拳銃使い(ピストレロウ)
(そうだ、こいつはあの『赤いあく…ま』)
酒場の方から機関銃のように連続した銃声が響くのを聞いてトムソン大佐は手を休めた
鎖で壁に繋いだ半裸の少女に名残り惜しそうな視線を投げるとハンディトーキーに手を伸ばす
警邏隊に連絡を取ろうとした大佐は一瞬の早業で戒めを抜け出し音も無く忍び寄った少女に喉を掻き切られて崩れ落ちた
少女の背後に奇怪な仮面を付けた男が降り立つ
「リンナ様、工場の村人は全員村の外に連れ出しました」
「ご苦労さま、あとは手筈通りに」
「いくぞ野郎ども!」
ハックの号令一過進軍を開始するエレファンダー遊撃隊
村の周囲で守備についていたコマンドウルフが攻撃を加えてくるがEシールドが砲弾を弾く
共和国軍の技術がエレファンダーの眠っていた力を呼び覚ましたのだ
そのエレファンダーが犯罪者とはいえ共和国軍のゾイドと砲火を交えているのは皮肉というしかない
だがもっと皮肉なのは平地から攻め込むエレファンダー遊撃隊と呼応して背後の山を駆け下りてくる銀色のゾイドの存在だった
「元ディガルド討伐軍との共同作戦か…」
メガラプトルのコクピットでゴザイル准将は感慨深げに呟いた
この夜、一つの村が開放された
だがこれは始まりの終わりに過ぎない

410 :
ジェネシス世界のゾイド達がZAC2100年代の世界に召還されても、1ヶ月で使い物にならなくなるんだろうな。レッゲルなどという代物が無い訳だし。
よしんば、レッゲルの代替物が出来たとしても量産や修復も困難だろうなぁ。
デカルトドラゴンとパイロットのユウロが、復興中のヴァルハラ上空に突如出現したら面白そう。
とか小説書いたことも無いヘタレの戯言でした。

411 :
>>410
両国の恐竜型ゾイドだけが無差別に襲撃されると言う報告が続出
犯人を捕まえて事情を聞いてみると
「ぱいお」とか「バイヲ」とか分けの分からん事をほざいていました。
なんて光景が浮かんだ

412 :
>>410
 ユンは困惑していた。
 部隊に合流しようと移動していたら、いきなりこの光景の中に投げ込まれたのだ。
 石造りのようだが、何かそれとは違った印象を受ける巨大な建物が立ち並ぶ大都市。
あちこちから火の手が上がり、たくさんのゾイドが走り回っている。
戦闘中、それも熾烈なものということは一目瞭然だが、妙である。バイオゾイドでないゾイド同士が争っている。
この都市の巨大さからして、バイオゾイドでないゾイドを装備した盗賊団と町の自警団との争い、というわけではなさそうだ。
討伐軍内の仲間割れか?
それにしても、この都市の巨大さはいったい…
 ふと、視界の中に一体のゾイドがいることに気がついた。
変わった形をしている。
全体的な体型はバイオラプターやメガラプトルに似ている。
しかし、その背中には巨大な帆のようなものがついている。
そしてその形以上に変わったことに、そのゾイドは思い切り体の前方を下げ、こっちに背中を突き出している。
何をしているのかさっぱり分からないが、とにかく攻撃態勢ではないらしいことは確かだ。
だったら、今のうちにとっとと破壊してしまったほうがいい。
自慢じゃないが自分はゾイド戦が強いとは言い難いし、相手はバイオゾイドではないのだから。

413 :
 そのダークスパイナーのパイロットは舌打ちしていた。
 見たこともない銀ピカのゾイドを発見、そいつがIFFに反応しないので、
共和国軍の新型と思い、ジャミングウェーブを放った。
そうしたらそいつは平然としている。
――味方か。
だったらIFFがイカれてるとか通信の一つも入れろよな、と思ったが、
よく考えたら、IFFがイカれてるって事は、整備不良で通信系等もイカれてる可能性も高い。
 そいつのパイロットへの不満が、
新型の連絡を徹底しない上層部(うえ)と
経験の蓄積のない新型とはいえIFFや通信系等まで不具合にした整備の連中への不満、
そしてそんなものに乗せられているそのゾイドのパイロットへの同情に変わったときである。
「!?」
いきなりそのゾイドが斬りかかってきた。
ダークスパイナーは事実上無敵のゾイドとはいえ、それは相手の行動の自由を奪えるからである。
けして標準的な基準を大幅に逸脱するような防御力を有しているわけではない。
完全に油断しているところにバイオラプターの爪を喰らい、ダークスパイナーはあっけないほど簡単に崩れ落ちた。
ZAC2101年ニューへリックシティー陥落当時にあってはまさに信じられない事態であった。

414 :
で、このあと、
勝手にどっか行ったってことになると、自分の家族が何されるか分からないから
必死に本体と合流しようとあっちこっちうろつきまわるユンと、
ネオゼネバスのゾイドでもないのに何故かジャミングウェーブの効かない謎のゾイドを捕獲しようと
追い回すネオゼネバス(及びヘリックの小部隊)の話を夢想したのを思い出した。
長編書く能力ないのとこの手の話に合う作風書けないのとで断念したがな。
ぶっちゃけ自分で書くくらいなら誰かこの手の話得意な人に書いてもらいたいくらいだ。

415 :
バイオ装甲はどんな攻撃にも耐えるぞといきがっていると、
バキに出てきたどんな強力な打撃にも耐えられるような猛烈な修行を積んだ
中国拳法系キャラが、オリバの超怪力でクシャッと潰されるシーン
みたいな感じでデスザウラーあたりにクシャッとやられちゃうのキボン

416 :
>>415
○ャン○オンと妄想好きなのは分かった。
で、共和国軍はどこ行った?

417 :
デスザウラーがいたらそりゃラクだろうさ
いない所にドラマが生まれるんだろ

418 :
>いない所にドラマが生まれるんだろ
だが皆いない所で・・・ネタしかやらないから
いる爽快な展開も恋しくなるってもんだ

419 :
しかしぶっちゃけ、前にマッドサンダーがメガラプトルに優勢に戦う話し書いた人が批判の嵐食らったことあるから、
それ知ってる人たちはデスザウラーみたいなむちゃくちゃ強力なゾイド出すのは二の足踏むんじゃないかと思うんだが。

420 :
メガラプじゃなくてヴォルケーノな。
あれは普通に内容がマッド厨丸出しで酷かったから叩かれたんであって
そういったテーマでも上手く書ける人は大丈夫だと思う。
>>372-383の人の話は好きだ。

421 :
難しいよね、超強力ゾイド使って厨臭さがない文書くのは。
ある意味力量を測るのにはいい題材なのかもしれないけど。

422 :
ジェノブレとムラサメは性能がそこまで違わないだろうから
この場合の参考例にはならんのジャマイカ

423 :
そういう展開はどちらかと言うとマイバトストスレ向きだよな。

424 :
あちらは最近ギルドラゴンが幽霊と戦うなんて話もあったからな。
でもあちらはあちらなりのポリシーがあるようだから
短絡的に厨扱いして否定するような事はしたくない。
こっちはこっち。あっちはあっちの道を進むのが良いかと。

425 :
>>420
前座としてメガラプ3機が衝撃砲とかで瞬殺されてた様な希ガス
そういえばデスザウラーを有するネオゼネ軍団が一般のバイオゾイドに蹂躙されるとかいうのもあったっけ

426 :
それも書き方次第ではありうる・・・か

427 :
主役側がやたらに高性能ってのは、見せ場が作りづらいんだよな。
なんだかんだいっても、主役側がピンチに陥るってのは見せ場の王道だから。
そういう意味で、やたらに高性能なヤツは主役側をピンチに追い込む敵役に向いてる。
主役側が高性能な場合、高性能な代わりにすごい弱点があるとか、主人公がその性能を引き出しきれないとかで、
ピーキーなバランスにしていないと見せ場が作りづらい。
この点、前にあったエナジーライガーの話はよく出来ていたと思う。
主役側は高性能だが、主人公がそれにむしろ振り回されており、
そのうまく行く行かないが心理描写の変化と呼応しているところが。

428 :
>>427
そういう意味じゃマイバトストスレの話でも
主役も主役で確かに強いんだが、敵も敵で強いってパターンもあった。
>>424が挙げたギルドラゴンの話にしても、主人公も自立型のロボットで相当強いんだが
敵は敵で死なないから結局氷付けにして氷山に閉じ込めるしか倒す方法が無かったり、
幽霊だから物理攻撃が一切通用しないなんて、主人公が普通に見える敵もあった。
後者なんか最初主人公ビビリまくって力を発揮出来ないなんてシーンもあったし。
別の作者の超能力バトルもの(?)なんかさらに凄い事に・・・
でも逆に言えば主役も強くないと敵も強いの出せないって事にもなると思った。

429 :
エナジーの話ってどれ?

430 :
思ったのだが、そこそこ頑丈な方がピンチを演出しやすいのではと思った。
一見軽装甲な方がしやすいだろ?って思うだろうけど
あまり装甲が弱すぎても「直撃食らってダメージ受けてピンチ」という以前に
一撃でやられてしまってピンチが演出できないし、
かと言って敵の攻撃を全部かわしまくるってのも余程の○ちがいじみた
パイロットという設定でも無い限り無理がある。
まあ装甲が薄くても
1970年代のスーパーロボットみたいに体ぶち抜かれてもまだ戦えるような
タフさがあるなら話は別だけど

431 :
>一見軽装甲な方がしやすいだろ?って思うだろうけど
避けまくったけど(ゾイドの)足腰に負担がかかってガクガク・・・
次は避けられない!
というのもアリではないだろうか。

432 :
>>429
>>72-75,>>83-86,>>90-94.三話あるのではなく、途中で他の人の書き込みが挟まっている。
>>430
これをうまく演出に使ったのが、1stガンダムではないだろうか。
物語初期:ガンダムの防御力は絶大。アムロはまだうまく戦えない。
     敵に翻弄されて多数の攻撃を受け、ピンチと敵の強さを演出。
     喰らいまくっても防御力が絶大なため、やられはしない。
物語後期:ガンダムにさえ通用する攻撃力を持った敵機体出現。アムロは馬鹿みたいに強くなっている。
     敵の攻撃を喰らうとやられてしまうが、>敵の攻撃を全部かわしまくる〜余程の○ちがいじみたパイロット 
     これでアムロの成長と戦闘の熾烈さを描く。
>>428
そう、必ずしも主役側が「弱い」ってところまで行く必要はないんだよね。
敵のほうが主役側より強ければピンチは作れる。
>でも逆に言えば主役も強くないと敵も強いの出せないって事にもなると思った。
主役が弱い場合のこれへの対応として、
・主役劇中で終盤に向かって強くなる。成長とか訓練とか新メカとか新合体とか。
 話が一体の敵倒すところで終わらなかった場合、
 強くなった主役より強い敵→さらに強くなる主役→そのさらに強くなった主役より強い敵→…と、強さのインフレに陥りやすい。
・「お前ばっかにいいカッコはさせねえぜ!」「馬鹿野郎…っ!」「へへ…馬鹿はお前らだけj」数は力なり。
・実は敵には意外な弱点があったのだ。元祖「宇宙戦争」なんかがコレ。
・作戦ないし運勝ち。
 どっちかってーとその作品がギャグ寄りのものに多いが、「カクヤク(漢字が出ない)たる異端」なんかはそうじゃない例。
・主役負ける。作品として心理描写とか現実の厳しさとかを描くほうに力を入れる。
 このケースの「敵」は社会情勢とか組織構成なんかのことが多い。「人狼」ってこれだと思う。
・補正。そりゃもう叩かれやすい。
 主役が馬鹿強いってだけではなく、その逆なのに納得行かない描写で強い敵に勝っちゃっても叩かれるハメになるという例。
こんなのがあると思う。

433 :
>>431
ちょっとズレるかもしれないけど、
「ベルセルク」のガッツが紫犀騎士団長と戦ったとき、大剣が受け続けた衝撃で壊れてしまったのは、
このパターンに近いのではないだろうか。

434 :
怪物を倒す時その者も怪物になっている。みたいな事を誰かが言ってた気がする

435 :
思ったんだけど、やっぱ勝てる奴は何かしら強いと言える所があるよな。
一見弱くても作戦立案力が強い、人脈力が強い、運が強い、敵の弱点を探す洞察力が強いとかね。
こう言う要素さえも全否定して弱いまま勝ち続けたいと言うのはかなり無理があるだろうし、
これはこれで凄く横着な考えだと思った。それに、本当に弱いまま勝ち続けるなんて
考えようによってはある意味圧倒的な戦力でバンバーンと行くよりも厨になるかもしれん。
と言うか例え最初は弱くても勝てた時点で強者の仲間入りになっちまうか。
ただ、本人は負け戦ばかりだけど他の戦線で戦ってる味方が勝つので結果的に勝つならアリな気がした
(これは人脈の強さに入るのかもしれないけど)

436 :
>>435
>ただ、本人は負け戦ばかりだけど他の戦線で戦ってる味方が勝つので結果的に勝つならアリな気がした
主人公側にあまり実感が無いけど政治的に独立してしまったダグラムとか近いかもね。

437 :
>>249氏の書き込みを受けて書いてたのが途中中断してたのを、>>410からの流れで思い出して書き上げたものを投下。
キ○ガイは書いてて楽しいなぁ〜。

438 :
 天才と狂人は紙一重という、言い古された言葉がある。
 ベーゼは、この言葉には修正が必要なのではないかと思っている。
 天才も狂人も、他の人間に比べて何か突き抜けた部分を持っている人間を指している。
天才とは、この突き抜けた部分がたまたま他の人間から認められる方向性にあった人間に過ぎないのではないか?
つまり、天才とは狂人の一種であるということだ。
 何故今こんなことを考えているのかというと、あの男に会いに行くところだからだ。そうあの男に。
「何度同じことを言わせるのかね。だからあれは失敗作であると」
目の前の男は相も変わらず白衣姿だった。この男とは何度も会っているが、他の格好をしているのを見たことがない。
こういうと汚れた白衣を着込んでいるようだが、この男の纏っている白衣は不自然なまでに清潔だ。
どういうことか気にはなるが、聞く気には全くならない。
別に相手が気分を害するのではないかと気にしているわけではないのだが。
「ですが博士。あれを実用化することには重要な意義が…」
この男を説得するなど不可能で、しつこく言い続けて根負けさせるしかないのだろうな、と自分でも理解しつつ、
いつも同じような台詞を繰り返す。
「だからあれは失敗だと何度も言っているだろう。問題点はまとめて報告してあるのだ、理解されているはずだ」
少なくともお前の言っていることが「理解」できてしまわない程度にはまともな人間ばっかりだ、
という言葉が口から飛び出すのを抑えるので必死だ。
なにが「他者問題の解決に寄与する可能性は限りなく低い」だ。
「それはそうですが博士。問題点が多いことは十分に認識されておりますが、それでもあの予測出力は…」
驚異的。この一言に尽きる。実際、この男の報告でなかったら誰も信用しなかっただろう。
「あれが限界なのだ、あの程度がな。
 あれは出力の増大くらいしか見るべきところがないが、その増大した出力がアイアンコングと同等程度までだ。
 追求する価値はあるまい」
お前は今自分達が置かれている状況がわかってるのか――
いや、より厄介なことに、わかっていてこんなことを言っているらしいのだが。
ベーゼは、あの時からのことを思い出していた。

439 :
 それは全くもって創造を絶する体験だった。
こんなことが本当にあるのか――率直に言って、そう思った。
実例があることはよく知っていたのだが、それでもそう思った。
 時空移動。
それに遭遇したと判断するしかなかった。
現地の人間やゾイド、遠い昔になくなったというもう一つの月、失われた技術、それらの存在が、
自分達が遥かな過去へと飛ばされたことを証明していた。
その最たるものは――
会話を試みた自分達に対し、現地民が、あの共和国軍という連中の使っていたのとそっくりの翻訳機を持ち出してきたことだ。
 共和国軍が過去から来たという話は聞いていたが、何か実感が持てなかった。
それはちょうど、生物は進化するのだと知識として知っていても、
実際にある生物が違った生物へと変わるのは想像がつかないのと似ていたのかもしれない。
しかし、それはまた実際に起こったのだ。今度は自分達ディガルド武国の人間の身の上に。

440 :
 この地で新たなる武国を建設することは即座に決定された。そのためには莫大な資金が必要だった。
だが、持ち合わせていた装飾品や貴金属、希少物質やバイオゾイド以外は、
この地でも数多くあるだろうに何故か現地民が強く欲しがったゾイドくらいしか資金源がないと思われていた。
自分達は遠い未来の人間だとはいっても、殆ど科学技術が失われた後の時代から来ている。
ヘルアーマーくらいしか切り売りできる技術はない――はずだった。
ここで出てきたのである。この男が。
全ての生物の機械化を成し遂げるという、狂気としか言いようのない目的のために、
様々な生物の性質とその発展の研究を行っていたのが全く思いもよらぬ形で役立ったのだ。
これを応用することで、農作物や畜産物の効率の良い増産に使える技術を生み出すことができたのである。
ただでさえ利用価値が高いところへ来て、30年ほど前に起きたという大異変の影響で
食物生産にも大きな打撃を受けていたというこの地の事情もあり、
極めて大きな意義を有することになったのである。
 しかし――いくら時空移動などということに巻き込まれて結果的に役立つことになったとはいえ、
もともとこの男がやっていた様々な生物の性質とその発展の研究は、開いた口の塞がらないことに、
別の研究のために支給された正規の予算をごまかして行っていたことなのだ。
いくらまともな神経が欠如していても、そんな研究をしていたことは言い出せないか、
言うにしても恐る恐るというかそれにふさわしい態度があるものだろう。
だが――自分はまともな神経が無い人間についての認識が甘かったらしい。
何のことでも無いかのように、いけしゃあしゃあとこの男は話したのである。

441 :
 また、この男の存在は、この地のかなり特殊な技術との関わりでも大きな意味を持っていた。
何故か現地民がゾイドを強く欲しがったこととも関連するが、
この地では野生のゾイドの多くが大異変の影響でいなくなってしまったということだ。
そのため、この地の人間達は、人工的にゾイドの増産を可能にする技術を研究していた。
それは、ゾイドの生命活動の中心であるゾイドコアの働きを規格生産物に移し変え、
そのユニットを中心に人工パーツを取り付けて機体を構成するというものだった。
いまだ研究途上ではあるが、完成の暁には各分野に革命的な進歩をもたらすことはまず疑いの余地は無かった。
そしてこの、生物の人造物化という、考えてみれば神をも畏れぬ行為との相似形とも言える機械兵の開発を、
極めて積極的に、強力に、そして指導的に推し進めた奴がいる――
そうこの男、ゲオハルト・カンである。

442 :
主役を強く描く事で「敵も必死で戦っている」と言うのを表現するのもありな気がした

443 :
スーパーロボット大戦で例えるなら
マジンカイザーや真ゲッターロボにジンで立ち向かわねばならないザフト兵の
気持ちになって書くのが良いのかもな。少なくともこのスレ的には

444 :
 結局のところ――この男の開発への参加は、ベーゼの説得ではなく、
上層部による、研究費用のカットと研究のための施設使用の不許可のちらつかせと、
「本来の」研究を並行して行うことの承認によって得られることになった。
自分のやってきたことが事実上無駄になったことに憤るべきなのか、
これ以上この男と直接関わらなくてよくなったことに喜ぶべきなのかはわからないが、
自分がほっとしていることは疑いようも無い。
「すみません――その、どうしても気になるのですが」
秘書が話しかけてきた。
「何?」
何が気になるのか、ベーゼの頭の中に浮かんだ候補は二つだ。
うち一つはより気になるだろうがベーゼには答えようも無いこと、
もう一つはまだ答えられるが先の一つほどには気にはならないだろうことだった。
「例の、ゾイドの絶大な出力向上が見込めるという技術とはどんなものなのでしょうか」
 助かった。後者だった。あの奇怪な人間に関することじゃあなかった。
 もっとも、そっちのほうは気にならないんじゃあなく、自分の様子から聞いても無駄だと察しているだけだろうが。

445 :
「免疫というものを知っている?」
「ええ、確か病気を発生させる小さな生物が体に入ってきたとき、それをR生物の防御の働きだと聞いたことが」
「そう。それでゾイドにも免疫の働きはあるそうで。
 そこだけど、ゾイドの免疫の働きには、
 病原生物をR機構のためにコアの出力を上げるというものがあるって話。
 そして、免疫というものは、体に自分の組織以外の異物が進入してきたと判断されたときに働く。
 ゾイドの場合、コアに異物が進入してきたと判断されると免疫が働くんだっていうこと。
 まあコアに侵入されたときに免疫が働くというのはすぐ理解できると思う。
 手足に異物が侵入しただけで免疫が働くなら、ゾイドの改造は今よりずっと困難だろうからね。
 話を戻すと、例の技術の原理はこの免疫機構を利用したもの。
 まず、ゾイドコアを二つ用意する。仮にこの二つをコアAとコアBとする。
 そしてコアAとコアBを互いが互いに侵入されたと判断されるようにつなぐ。
 するとどうなると思う?」
「それは…コアAとコアBの両方が免疫を働かせるのではないでしょうか」
「その通り。そしてその中にはコアの出力を上げるものが含まれる。
 このとき、相手の出力が増大するとより強力な侵入を受けたと判断されるように
 コア同士が接続されているとする。
 さしてさらに、免疫反応に歯止めをかける機構の働きを抑えてあるとする。
 すると… コアAの出力増大を受けて、より強力な侵入を受けたと判断したコアBは、より出力を上げる。
 そうするとより大きなコアBの出力を受けて、コアAはさらに出力を増大させる。するとコアBは…
 というように、互いが出力を増大させあうサイクルが出来て、
 コアAとコアBそれぞれ単体の出力の合計より遥かに大きな出力が得られる。
 開発陣なんかはウロボロスシステムと呼んでるらしいけどね」

446 :
「原理はわかりましたが… 現実に上手く行くんでしょうか」
「どうだか、それは開発陣の課題。もっとも、聞くところによるとなかなか問題山積だそうだけどね。
 原理からすぐ想像がつくと思うけど、つなぐコアの間に、ある程度以上の出力やら生命力やらの開きがあると、
 弱体な方がすぐに機能停止に追い込まれてそこでサイクルが終わってしまうということだし、
 互いが互いに侵入されたと判断されるようにつなぐとか、
 相手の出力が増大するとより強力な侵入を受けたと判断されるようにつなぐとか、
 口では簡単に言えても、実現はそう簡単ではないそうだし。
 規格化されて個体差が少ないとか、いじくり回しやすいとかの性質を
 ゾイドコアに持たせられる目処がついていなければ、
 開発が決定されることも無かったでしょうね」
「あの現地民の研究していた技術のおかげというわけですか」
「そ。ブロックス様々ってわけ」

447 :
>>443
物語的な象徴の問題から言うと…
他とは隔絶した強さを持った奴は、敵側で出すと絶望やそれを打ち破る努力なり絆なりの強さを描くのに好適だが、
味方側だとどういう象徴的な意味合いを持たせるかっていう問題もあるだろうしな。

448 :
 いよいよ試作第一号を実際に動かす日が来たらしい。
自分もこれの実現のためにさんざっぱら苦労したはずなのだが、まったく持って感慨というものが沸かない。
 聞くところによると、これまでコアの接続がなかなか上手く行かず、
また反応制御機構の開発も難航し、とめたい場合は物理的に接続を断っていたという。
またゾイドコアが自衛反応として勝手に休眠状態に入ってしまったりもして、
それを無理矢理叩き起こす機構を開発する必要もあったということだ。
そうこうしているうちに他の部分の開発が進んだので、
ゾイドのサイズにシステムが収まるか、他の部分との相性はどうか等を実際に調べるために
搭載実験が行われることになったそうだ。

449 :
 急いでいる、というのが本当のところかも知れない。
 何しろ形からして他のゾイドとは全く違う。
 地球という星で使われていたという戦車なる兵器の形をしている。
 なぜそんな形になったのかというと、それは偏に件の「ウロボロスシステム」のせいである。
ウロボロスシステムはゾイドコアに負荷を与えて無理矢理大出力を取り出しているため、
コアはその大出力を発生させるので精一杯の状態になっており、
コアが直接出力を制御して機体を動かすという普通のゾイドの動かし方は出来なくなってしまった。
このためコアは単なる強力な出力源として用い、直接の駆動は人工の機械で行われることになったのだが、
脚でゾイドの動きをさせるという方式では機構も操縦も複雑になり過ぎ、
結果、戦車の形にするというオチになったわけだ。
本来ゾイドコアはもともと生命体として持っていた形態とかけ離れた形態の機構に組み込まれると
機能しなくなるということなのだが、
むりやり高出力での作動状態にさせているこの機構では動くのだそうだ。
何しろゾイドコアにしてみれば出力発生を止めるわけにはいかない状態にされているのだから。
それに、例のブロックスという技術の研究も一役買っているらしい。
もともとゾイドが有していた形態とかけ離れた形態でも動作するようにすることも、この研究の目的の一つなのだそうだ。
高性能な戦車を実現するのには、ゾイドが少ないために、
現地民が地球型の車両の研究も比較的盛んにやっていたことが大いにプラスに働いた。

450 :
何でも戦闘能力はかなり高いということで、
絶大な出力を活かした大火力と、
同じく絶大な出力により大重量でも機動力を確保できることから相当な重装甲が与えられているそうだ。
驚くべきか呆れるべきか、敵に格闘戦間合いに入られたら、体当たりを行うように指導される予定だという。
何しろ出力だけは有り余るほどある。それに大抵のゾイドを上回る装甲もある。
が…、従来のゾイドの近接戦闘とは大きく異なることは間違いない。
そして従来のゾイドと大きく異なるのは近接戦闘の方法だけではない。
全てが違うといっても過言ではない。
ということは、これを運用するための環境作りには多大な時間が必要だということだ。
この地ではゾイドが少ないが、他の地でもそうだとは限らない。その地の人間がこちらへの侵攻を考えていないとも。
 実用化を焦っているのは容易に想像がついた。
 取り合えず武国の人間として良い結果を祈るとして、ベーケは他の仕事を続けた。

451 :
独楽犬氏の続きキボン

452 :
ゾイド版未来少年コナンみたいなのキボン
野生児の主人公が裸一貫でディガルド潰すような内容の
最低でもレッドリボン潰した時の悟空並に強くないと話にならん悪寒もしたけどねorz

453 :
普通の奴が何とかして普通じゃない奴に勝利すると言うのが望ましい展開であるようだけど
冷静になって考えて欲しい。例え最初は普通でも勝った時点でもうそいつは普通とは言えんぞ。
はっきり言って本末転倒じゃないか?

454 :
>>451
「米軍ついにゾイドを開発。」スレで、春になったら更新できるみたいなことを書いていたから、
今は何か書いてるヒマがないのかもしれない。多分こっちも春になったら…だろう。
>>453
いや、それでいいんだよ?
普通の奴が普通じゃない奴に勝てるくらいになる「成長」なり、力を合わせたから勝てたっていう「絆」なり、
本来勝てるはずがないのに偶然や状況の積み重なりで買っちゃったりする「運命の悪戯」なりを描くのが
そういうプロットの話の読ませ所なんだから。
最初が普通の奴ってのは、そういった読ませ所を効果的に演出するためだったり、読者が感情移入しやすくしたりするための
手段に過ぎないもので、話の目的そのものじゃないわけで。

455 :
普通の奴が普通のまま勝つには仲間に任せるか運に頼るかぐらいしかあるめえ
そんなんが王道になったら俺は嫌だね

456 :
>>455
運に頼るほうはともかく、仲間に任せるは「仲間と力を合わせて」だったらとっくの昔から王道だと思うが。

457 :
主役側も敵に対抗出来るような強い奴を集めましたと言うパターンもある種王道であるが・・・
そうでなくても最低限戦えるだけの力は必要だと思う。
例えばジェネシスの討伐軍でも最低限としてゾイドなどの戦える力はあった。
それも無しにディガルドに勝とうと言うのは、健気かもしれないけど
ちょっと厚かましいんじゃない? って思えてくる。
悟空並に強い連中ばっかりが集まってるのなら話は別だけどw

458 :
ゾイドの免疫機構を利用して出力を向上させたゾイドコアを搭載したゾイドの試験についての報告から抜粋して要約。
 …過日行われた試験において、試験機体を起動させたところ、予測を上回る勢いでの出力上昇が確認された。
 これを受けて、テストパイロットは出力増大の反応抑制機構をより強く働かせようとしたところ、
その抑制機構が完全に追い付いていないことに気が付いた。
 計測数値とテストパイロットからの報告で異常に気付いた周囲の実験スタッフも
事故に備えて設けられていた外部操作の反応抑制機構と強制コア接続切断機構を作動させ、またテストパイロットも冷却機構を最大限働かせた。
 しかし強制コア接続切断機構は働かず、
最大限に作動させた反応抑制機構と冷却機構もテストパイロットの脱出のための時間を稼いだに過ぎなかった。
 試験機体は天地を揺るがすかのような凄まじい轟音を上げて爆発し、砲塔は天高く吹き上げられ、
爆発の衝撃波と破片は、
事故からスタッフと機材を守るべく実験施設に設置されている分厚い防護壁に深い爪跡を残し、一部においてはそれを貫いた。
 その後の調査によって、強制コア接続切断機構は異様に上昇したコア周囲の熱によって作動不能に陥っていたらしいこと、
少なくとも現在我々が有する技術で開発したのでは、この機構に十分な反応抑制機構と冷却機構は、
増大した出力の恩恵をスポイルしてしまうほどの重量となってしまうであろうことが明らかとなった。
 このような開発の継続に労力と資金を注ぎ込むことは…

459 :
「どういうことですか!」
「だから言ったはずだ、あれは失敗作だと」
ベーゼはあの男に食って掛かっていた。
「しかし予測出力と遥かに懸け離れた出力が出ているではないですか!それはどういうことなんです!」
「私が提示したのは、制御できる上限の出力だ。
 最大出力といったら、実用的に使用可能な上限の出力のことを指すと理解するものではないかね。
 それを上回る出力を追及させたのは私ではない」
「だったらとめるべきでしょう!」
「開発に参加する前に提出した報告書にその旨は記載してあったはずだ」
ああ確かに書いてあったさ。あんな山みたいな書類の中に一行ぽっち書いてあるだけでも書いてあるうちに入るんだったらな。
「もっと強くとめねばならないでしょう!」
「あれが他者問題の解決に寄与しないことに較べれば大した問題ではあるまい。
 それよりも、今回のことで複数の異なる生命体の相互関与という課題が出来たわけだが、
 地球ではこのような問題の解決に関し愛というものを重要な要素として研究していたということだ。
 地球の知的媒体には愛についての研究考察の記録が多く残っているそうだが、入手できないかね。
 ついては、まず、ソフィストの残したものが欲しいのだが――」
目の前の人物を射殺しないだけの理性が自分にあることを、ベーゼは心底恨めしく思った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
終わりです。元ネタわかる人いねえだろうなあ…

460 :
>>456
その理論だと「絆の強さが普通じゃない」と言う事になる気がする・・・
普通のまま勝ちたければ仲間の絆も普通レベルでなんとかしないと
普通の奴が普通のまま勝ち続けるってのはある意味
「日々強くなる為に努力している奴」の否定にも繋がると思うんだよな。
別にあえてそういう路線をやっていると言うのなら文句は無いが、
そういう「強くも無く、努力もしないくせに勝利欲ばかり旺盛」
と言う奴って凄く横着な気がする。
考えようによっては「俺って天才だから努力なんて馬鹿馬鹿しくてやってらんないよ。」
な奴以上にアレな気がするんだよな。
「天才だから〜」の奴はまだ強いから勝てると分かりやすい。
だが、「普通の奴が普通のまま勝つ。でも勝って普通からの脱却は嫌だ。」
なんてのもちょっとな〜って思ってしまう。

461 :
強力な兵器に頼ると言うのはこのスレの思想的には女々しい事かもしれんが、
その兵器も結局は設計開発した技術者の血と汗の結晶なんだから
これはこれでドラマを作る事が出来る。

462 :
>>461
ただ問題は、強力なゾイドはおそらくバイオにも簡単に勝ててしまう
(バイオラプターは、デッドリーコングに殴られただけで壊れる。ここでデスやマッドだったら…)ことと、
既存ゾイドはすでに開発されているということで、ジェネシス世界を舞台にする作劇上の必然性を持たせるのが難しいこと。
実を言えば、俺はゴジュラスを使ってこの手のドラマ(運用上の苦労)を描こうと思ったが、ヒストリーオブゾイドの記述で困ってしまったりする。

463 :
ディガルドと討伐軍の戦いと言う前提があるからその辺のバランスを崩さないように
するのは結構大変かもな。
マイバトストスレも変な心配するのが馬鹿馬鹿しくなるくらいバイオを
ぼんぼこ破壊する様な強い奴が主役の話もあったが、それだけの力が
ありながらディガルドと討伐軍の戦争に無関心でどっちにも付かず、
バイオを破壊すると言う行為も自衛に過ぎなかったなんて
意外にバランスが取れているように思えなくも無かった。
話のノリ自体が違うから引き合いに出すのはナンセンスなのかもしれんけど

464 :
名無しのナンバーが乗ってるバイオくらいなら簡単に倒しても良いんじゃねと思う私はだめっすか

465 :
容易く装甲抜いてあぼーんとかはNGじゃない?

466 :
確かにこのスレはマゾい話を作りたい人向けだよな
爽快さを求めるような人は向いてない

467 :
激しく失礼な事言ってスマソが
厨と叩かれるのが怖くて無難な話しか作れないのも
それはそれで女々しい気がした

468 :
「バイオゾイドにも家族がいるんだ。」
と偽善ばりばりのストーリーキボン

469 :
勘違いして欲しく無いのが
主人公を無理に弱くしないと良いドラマは描けないと言うのは
必ずしもそうじゃないって事。
主役が強くても面白いのは沢山ある・・・と思う

470 :
味方を強くしたけりゃ敵も強いのをそろえれば・・・
メガラプ以上ヴォルケーノ未満な強力なオリジナルバイオを絡ませてみるとか

471 :
>>470
そう。「主役は強い。でも敵も強い。」ってのも王道なんだよな。
主役が強いからこそ、その強い主役を苦戦させる強敵は強いと言う印象を与えやすい。

472 :
>>464>>465
デッドリーコングに殴られるとバイオラプターが壊れてしまうあたりからするに、
実は装甲は抜けないにしてもゴジュラスやアイアンコングは普通にバイオラプターには勝てるんじゃないか?
と俺は思ってるんだが。

473 :
所で召喚された共和国軍は元の時代に帰るアテはあるのか?

474 :
一応この手のタイムスリップネタだと
タイムスリップした先の時代にも時間移動の鍵を握る奴がいて
そいつのおかげでなんとかなった(スパロボα外伝がそれっぽかった)
なんてのがあるし、
もしくは自然現象的に時空の穴が開いてそれに吸い込まれて
気付いたら現代と言うのもある

475 :
ソラシティがアーカディア由来の時空転送装置を保存してたとか

476 :
戦国自衛隊みたく、タイムスリップした時代で全滅ってオチもあるぞ……

477 :
最後はアトレー王子が何とかしてくれるんじゃないか?

478 :
あの世界はゲーデル解が成り立つ世界だったとすれば…

479 :
スレが寂れた今だからこんな事書ける
スパロボOG(TV版)のサイバスターみたいな感じで
ジェネ世界の常識?そんなもん知ったこっちゃねーよバーカ
みたいな破格主人公キボン

480 :
それはマイバトストスレでどうぞ、って話に

481 :
竹槍だけでディガルド全滅させる物語

482 :
>>481
ほう、そんなの書いてるのか?
いずれ発表してくれることを期待して待つ

483 :
そのかわり竹槍を使う奴は範馬勇次郎並の超人だけどな

484 :
それ竹槍使わなくても全滅させられるだろ

485 :
「出撃準備ー!」
一斉に陣が慌しく動き始める。
出撃前のルージの素朴な、しかし力強い演説により、士気は最高潮に高まったと言っていいだろう。
そんな中で、彼は手にしたものを愛機のコクピットのいつもの所に備え付ける。
それは、へし折られて元の長さから半分程度になった、少しコゲ跡の残る、竹槍。
「・・・」
こんな頼りない竹槍一本で敵討ちに出た時の自分を思うと、今更ながら呆れたものである。
だが、あの時の、半ば自ら死を望むような決意がなければ、今の自分はここにいない。
全てはこの竹槍から始まった。そう考えると、いくつもの思いが浮かんでは消える。
「願わくば・・・これが最後になることを」
しっかりと"相棒"が固定されたのを見届け、もう一体の相棒を起こす。
待ちかねたかのように、相棒は力強い唸りを発した。
「よう、竹槍の」
その声が聞こえたのは、いつの間にか横に並んだ白い獅子からである。
「最終決戦に遅刻しちゃ、サマにならんぜ」
冗談めいた言葉ではあるが、その中に深く潜む闘志は、強い。
「レイ・グレック・・・あなた方には、本当に感謝しています」
敬意を込めて相手のフルネームを呼ぶ。それが気恥ずかしかったか、歴戦のゾイド乗りは
「よせよ、水くせぇ。こっちが終わったら、その後はこっちが帰る方法探すンだぜ?」
お互い様だと、誤魔化すように歩を先へと進めた。
「ルージの言葉じゃないが、これが最後だ。・・・死ぬなよ。お前には大事な人がいるんだろ?」
機体のコクピットで、照れたように頬をかく彼にかまわず、
「オレ達にも元の世界に大事な用事がある。だから、オレ達はこんなところでくたばりはしねえ」
閃光師団のレオマスターの言葉は、力強く。
「いいか。お前はオレやセイジュウロウ、あのザイリンが認めたゾイド乗りだ。自信もてよ」
それは、この世界のゾイド乗りとして、最大級の賛辞と言っていい言葉だろう。
言いい置くと、白き獅子は、この世界で見つけた青い相棒の翼を背に得て、舞い上がった

486 :
「最後の決戦ですな、ハーマン大佐」
ディガルドの軍帽をかぶった男に、事実上の共和国軍最高司令官、ロブ・ハーマンは答えた。
「ここまでこれたのは、あなたやザイリン中将の協力あったればこそ、ですよ。ボラー司令」
その言葉に、ボラーはかぶりをふる。
「いや・・・全ては我々に過ちを気づかせてくれた、討伐軍の若き英雄や竜騎士、閃光師団・・・」
感慨深げに言葉を切る。顔を上げてハーマンを見やり、
「あなたを含めた全ての『協力者』のお陰でしょう」
「いえ、我々はここでは只の旅人です。少々お節介な、血の気の多いヤツラもいますがね」
敵陣の前進の報が入る。
ハーマンはにやりと笑うと、声を張り上げた。
「ウルトラザウルスはここに固定! 神の雷だろうがなんだろうが、一歩も引くな!」
司令部に歓声は上がらない。ただ、静かに闘志を燃やすのである。
広大な、しかし草の生えぬ大地が広がる。ここが決戦場。
「竹槍のアニキ! こっちはいつでもOKだぜ!」
「こちらもです。いつなりと」
ケーニッヒウルフとハウンドソルジャーから、対照的な兄弟の始まりを待ち望む声が上がる。
「竹槍の! 空は任せよ。グイなど蹴落としてくれるわ!」
オルディオスを駆る女騎士は、共和国の空軍と共に遥か高きを駆け抜ける。
「死ぬなよ、にいちゃん。ねーちゃんつれて村に帰るんだろ?」
今の愛機を得てから譲ったバンブリアンに乗るのは、実の弟だ。
言葉を返そうとする矢先、俄かに周囲が騒ぎ出す
「・・・反・・・増大!・・・の雷・・・」
「・・・標はどこだ!・・・」
「・・・中央!ウル・・・ザウル・・!」

487 :
「神の雷が来る、シールド展開! 出力最大、耐えて見せろ!」
今日この時、この瞬間のために、技術陣とソラのヒトが不眠不休で作り上げたシールドが、
ウルトラザウルスの巨体の前面を覆う。
周囲の大地をえぐるように削りとりながら直進して来た高出力バイオ粒子砲の光が、シールドに到達。
瞬間、音として捉えられない轟音と共に、辺りが光に包まれた。
「どうなった! 司令部は、ウルトラザウルスは無事か!」
ノイズで濁ったレーダー画面は無視して、プテラス乗員はキャノピーに張り付くようにその姿を求めた。
凍りつくような時間の後。
光が収まる中、朧な影が煙に浮かび、やがて長い首のシルエットとなった。
煙が晴れ、現れた全体像には損傷はなく。
「・・・確認!・・・健在です!」
その報に歓声が上がる中、しかし、管制室はそれほど楽観的な状況ではなかった。
「今のであちこちに損害が出ています。次の展開まで後5分必要、バリア強度も70%が限界です」
「・・・無敵の盾とはなりえんか」
ハーマンが苦々しげに口の端をつりあげた。
「修理を急がせろ!いつ第二射がくるかわからんぞ!」
その言葉にかぶせるように、悲鳴にも似た報告があがる。
「観測のプテラス021より入電! だ、第二射を観測とのことです!」
管制室全体が息を止める中、思わず、唇を噛み締める。
「・・・バケモノめ!」

488 :
その時、それは静かに現れる。
その身を隠していた透明化技術の幕が、静かに剥がれ落ちていく。
巨体が、立ちはだかる。ウルトラザウルスを守るかのように。
突然の出現に周囲が息を呑む中、強固な背面装甲が開き、タービンが回転を始める。
強大な力をもつ顎に、荷電粒子の光が点る。
次の瞬間、大気が、閃光に切り裂かれた。
放たれた光は、もう一つの閃光と正面から衝突。
あまりの高出力エネルギー同士のせめぎ合いに、空間が歪んだかのように風景がかすむ。
互いに逃げ道を探りあった光は、共に遥か彼方の天に向かい、余韻を残して虚空に消えた。
「おいおい・・・」
その足元にいた兵たちは、その巨体を見上げて、なんとも言いようのない表情になる。
「純白の・・・デスザウラー・・・」
凛とした女性の声が響き渡る。
「あの光は私が止めます」
その声が響くは、巨大な白き死竜より。
「この戦を・・・終わらせてください」
響いた言葉に一つ頷くと、彼は操縦桿を握りなおした。
「さぁ、今度はオレたちの出番だ

489 :
ディガルドに急襲され、戦いの最中コクピットから放り出さた彼は、底の見えない裂け目へ落ちた。
たまたま背負ったままだった竹槍が、突き出た岩に引っかかったお陰で、九死に一生を得た。
その目の前に広がる、人工的な通路。その先の巨大な空間。
長大な槍を携えた黒い竜と、それより遥かに巨大な純白の竜が向かい合うように立つ。
その白い竜の足元にあった、小さなポッド。彼が近づくと、独りでにそれは開いた。
中から現れたのが・・・。
ディスプレイに、美しい女性の姿が現れた。
互いに言葉はなく、ただ静かに見つめ合う。もはや彼女の瞳に、力への恐れはない。
頷いてみせると、彼女は微笑んで通信を切った。
第三射はない。既に中央は乱戦に入っている。
彼の軍が位置するのは、戦場を一望できる小高い丘。横背を突き、勝負を決めるのが彼らの役目だ。
「さぁ、みんな。この大役、果たして見せよう」
いつもどおり、静かに語りかけるような指示。
裏腹に、愛機には常にない力が漲る。
十分に力を溜め込んだディオハリコンが、戦いを待ちわびるかのように明滅する。
手にする槍はドラグンバスター。本来は白のデスザウラーを止める為のもの。
反荷電粒子光閃槍とでもいうべき、それを手にしたデッド・ボーダーに、貫けぬものはこの世にない。
光を放ち始めた穂先を高々と天に掲げ。
「・・・突撃!」
後に、竜の騎士団と呼ばれた者たちの、戦いが始まった。

490 :
竜の姫の騎士、あるいは単に竜騎士と呼ばれたその青年に関する最新の研究では、
長年、彼に対し、敵方が使った蔑称とされてきた「竹槍の騎士」は、
むしろ親愛の情を込めた、親しい間柄の者たちでの呼び名だと判明している。
竹槍一本から身を起こし、多くの名だたる仲間を得て、
ついには英雄ルージ・ファミロンに比肩するほどの名声を得た彼。
しかし、討伐戦争後の消息は未だ判明していない。
竜の姫を連れて村に帰り、そのまま暮らしたという説が有力だが、
中には、異世界に渡った、などというものもある。

>>482
まだこのスレあったのな。
竹槍、から思いつくまま気の向くまま書いた。
文章も見直してないし設定とかも全然深く考えていないので
ヘンだったとしてもキニシナイでください。

491 :
結局ゾイド使ったのかよとか思ったけどさ・・・
ごめんやっぱ燃えたわ

492 :
と、ここで思ったんだが
ディガルドにも討伐軍にも組しない中立の立場から見た話ってのは
結局マイバトストスレにあった奴だけかな?

493 :
ネットは広いしそれだけかどうかはわからんな。

494 :
そういえばヅャドーが一時期自分のサイトでそういうのやってたスマソ
(今は無いけど)
どっちにも付かないと言うのは両方を敵に回すと同義にもなりえるから
余程の実力者でなければお勧めできない。って奴だな

495 :
↑ニート

496 :
機械猛獣ゾイドン創生記録VS機動戦士ガンダム運命種子=デスザウラーの大口径荷電粒子砲VSネオジェネシスのγ線∋荷電粒子砲&ストライクフリーダムガンダムVSブレードライガー&デスティニーガンダムVSゴジュラスの対決で何ですね

497 :
あげ

498 :
兵士A「魂を抜かれる?
     ハァ?何この世界 ゾイドじゃねーだろ・・・」

499 :
兵士B「『バイオゾイド』ってwwwwww
     ちょwwwwwおまっwwwwwwwwwwwwwww

500 :
エヘヘ阻止

501 :

こうして4ヶ月もレスつかないわけだが・・・
            ∧_∧
     ∧_∧  (´<_`  ) まぁこんな板だしな兄者
     ( ´_ゝ`) /   ⌒i.
    /   \     | |
    /    / ̄ ̄ ̄ ̄/ |.
  __(__ニつ/  FMV  / .| .|____
      \/       / (u ⊃ 
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


502 :
こんなスレだからだろ

503 :
ストーリー投下期待age

504 :
「なんなんだコレは…」
アズサは呟いた
固く握った拳を怒りに震わせて
「新しいパイロットスーツですが何か?」
「そんなこたぁわかってるんだよ!」
涼しい顔のメドウにむかっ腹が立つ
これは夢だ、悪い夢だ
アズサはそう思いたかった
だが現実は非情である
ここアラヨット山基地では内外から報道陣を招いて再建なった国防軍ゾイド部隊の
お披露目が行われることになっていた
問題はパイロットスーツの造形だった
肌にフィットし過ぎたボディラインモロ出しスーツなのはまだいい、百歩譲って
動き易さを追求した結果と解釈することも出来る
だが胸部から腹部にかけて開けられた意味不明な開口部は何だ、何故ヘソはおろか
下乳まで露出しなければならないのだ?
「いいじゃないですか減るモンじゃなし」
隣りで挑発的なポーズを取るメドウの背後では整備班の連中が揃って前屈みになっている
「減るんだよ!乙女心がゴリゴリと!!」
「ハタチ過ぎて乙女もないでしょうに」
「アタシはまだ19だ!」
「文句を言ったらバチが当るぞ」
基地司令のヒップ大佐が粘液質な視線を浴びせながら大真面目に言う
「共和国軍のその道の権威エエチチステンノー・モミスーナイダー博士に依頼して
デザインしてもらったんだからな」
「ソイツ絶対おかしいよ!名前からしてフザケてるし!!」
今にも口からヘルファイヤーを噴きそうなアズサ
「デザインコンセプトを出したのは指令と聞いていますが?」
メドウは氷のように冷静だった
「なんでもコレを参考にしたとか」
メドウが差し出す一冊の本
「ZOID新世紀/0?」

505 :
それはいわゆるパルプマガジンと呼ばれるものだった
アズサがランダムにページをめくっただけでも必ずといっていいほど露出過多な
コスチュームを身に纏ったゾイド乗りの女性キャラがわざとらしく胸をコンソールに
押し付けたりシートベルトを股間に食い込ませたカットが出てくる
「アタシらはオ■ペ■トか?」
「いいじゃないですか■ナ■ッ■でも」
視線でバイオゾイドを両断できそうなアズサにシレっとした顔でメドウが言う
「戦争屋よりはマシです、少なくとも人死にはありません」
「お前、只の痴女じゃなかったんだな」
「ちょっと格納庫の裏に行きましょうか?」
「お取り込み中失礼するでござる」
例によって気配も無く背後に忍び寄るナガセ
「出動要請でござるよ、セパンタの町に野盗が出たとの知らせが」
「よっしゃ、出動だ!」
地獄に仏といった顔のアズサ
下乳丸出しのスーツで報道陣の目に晒されるよりはゾイド戦のほうがいいらしい
「ああその前に」
愛機に向って駆け出そうとしたアズサを呼び止めヒップは言った
「脱ぎたまえ」
どこからともなく取り出したバールを振りかぶるアズサ
「いや、これに着替えてくれということなのだよ」
ヒップが取り出したのはやはりピッチピチながら露出を抑えたパイロットスーツ
「流石にそのスーツは実戦に用いるにはまだ改良の余地があるのでね、こんなことも
あろうかと予備のスーツを用意しておいたのだよ」
「じゃあこれはナニ?」
危険な光を瞳に宿し大きく開いた胸元を指差すアズサ
ヒップは輝くばかりの笑顔で言った
「おっぱいは正義」
「とりあえずR」
ヒップの脳天にバールを振り下ろしたアズサは“まともな”パイロットスーツを持って
格納庫へ急ぐメドウの後を追って駆け出した

506 :
ttp://kissho1.xii.jp/7/src/7jyou13205.bmp

507 :
>>506
何がしたいんだ?
懐かしくも面白いスレだった召還スレ・・・。

508 :
残り84kb

509 :
7か月ぶり

510 :
エヘヘ阻止

511 :
1ヶ月ぶり

512 :
残り84kb

513 :
1ヶ月ぶり

514 :
残り84KB

515 :
久しぶり

516 :
共和国ゾイドがジェネ世界にはないウィルスを持ち込んでバイオゾイド絶滅

517 :


岡田外務大臣キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
h‍ttp‍:‍/‍/‍q‍b5.2‍ch.net/t‍est/rea‍d.cgi‍/sak‍u2ch/1256‍630318/1

早く記念カキコしないと埋まっちゃうwww

518 :

  ∧_∧
  ( ・∀・)            人 ガッ
  (    つ―-‐-‐-‐-‐-‐○ <  >__Λ∩
  人 Y ノ.             V`Д´)/
  し(_)                  /  ←>>65

519 :2012/07/24
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