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2012年5月801263: モララーのビデオ棚in801板67 (256) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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モララーのビデオ棚in801板67


1 :12/02/18 〜 最終レス :12/05/04
   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎
モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]._\______   ____________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板66
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/801/1316072222/
ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり
保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/

2 :
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★
1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。
(1)長時間(30分以上)に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>4-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
(4)一度にテンプレAA含め10レス以上投下しないで下さい(連投規制に引っかかります)
  長編の場合は10レス未満で一旦区切り、テンプレAAを置いて中断してください。
  再開はある程度時間をおき、他の投稿者の迷惑にならないようにして下さい。
(5)シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
   また、長期連載される書き手さんはトリップを付ける事を推奨します。
(参照:トリップの付け方→名前欄に「#好きな文字列」をいれる)
(6)感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬や、書き手個人への賞賛レスはほどほどに。
   作品について語りたいときは保管庫の掲示板か、作品が収録されたページにコメントして下さい。
※シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。
相談・議論等は避難所の掲示板で
http://bbs.kazeki.net/morara/
■投稿に当たっての注意
1レスあたりの最大行数は32行、タイトルは全角24文字まで、最大byte数は2048byte、
レス投下可能最短間隔は30秒ですが、Samba規定値に引っかからないよう、一分くらいがベターかと。
ご利用はテンプレをよくお読みの上、計画的に。

3 :
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。
  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

4 :
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
テンプレ1
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

5 :
テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────
          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘

6 :
テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ

7 :
テンプレ4
携帯用区切りAA
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
中略
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
中略
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

8 :
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。

9 :
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)

10 :
>>1乙!

11 :
>>1乙です
即とか大丈夫かな?

12 :
>>1おつです
即って何レスだっけ?
今平気ならもう平気なのかな
3レスで済みそうなSSを数日考えてたけど何もでてこなかったので
とりあえず保守orz

13 :
保守

14 :
>>1
一応保守

15 :
>>1
同じく保守 

16 :
保守

17 :
保守がてら投下します。
半生注意。洋画「三ッツョン淫ポッツブル:幽霊プ口卜コル」部ラン卜受け。
海外映画スレ555さんが元ネタです。それ以外にもちょこちょこ書き込みを参考にさせてもらってます。
ちょっと長くなりそうなので分けて投下。今回投下分にはエロありません。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「今度は僕が金持ちの男を誘惑する」――確かに僕はそう言った。それは認める。
だけどそれっていわゆる言葉のアヤってやつで、散々な目に遭ったからつい口から出たっていうか…
とにかく、本当にその気があったわけじゃない。第一そんな状況になることなんてないと思ってたし。
だから今僕が置かれている状況もきっと何かの間違いで、
「さぁ、これから長く楽しい夜を過ごそう……君と私の二人だけで」
目の前にいる大富豪の男に抱き寄せられてベッドに横たえられそうになってるなんてあり得ない。
「う…っは、ぁ……」
変な薬を盛られて抵抗もできないまま身体が蕩けそうになってるなんて、絶対嘘に決まってる!
(誰か助けて…!!)
ことの発端は一時間前に遡る。今回のミッションはIT関連事業で大成功を収めたとある実業家のPCから顧客データを抜き取ること。
彼は裏の世界にもかなり通じていて、取引相手の中には過激な連中を援助している者もいる。
彼らの足取りを掴み身柄を押さえるための重要な任務だ。
今日はその実業家が手に入れた数十億ドルの大豪邸で盛大なパーティーが行われる。
実業家はサイバー関係のスペシャリストで、会社のセキュリティーは万全で隙がない。
ベンヅ一ほどのプロでもそこのサーバーへ侵入するのは難しいそうだ。だが彼は最近購入したこの豪邸に自宅を移したばかりで、
セキュリティーのレベルは決して低くはないがまだまだ隙が多いらしい。そこを狙うという筋書きだ。
各々の担当は、イ一サソ(ジュピター)がサーバールームへの潜入とベンヅ一のサポート、
ベンヅ一(プルート)がサーバーへのハッキングとデータの抜き取り、
ヅェ一ン(ヴィーナス)がターゲットの足止め、そして僕(サターン)は…裏方だ。
会場にいるターゲットやその取引相手達の動向をチェックして報告するとか…まぁそんな役だ。

18 :
今回はインドの時みたいにやたらとアクロバティックなことは必要ないらしい。全く残念だ。
「こちらジュピター。準備はいいか」
「プルート了解。いつでもいいぜ」
「ヴィーナス、配置に着いたわ」
「サターン異常なし。感度も良好だ」
「よし。行動開始だ」
そうしてミッションが始まった。直接重要な部分には関わらないとはいえ、僕も気を引き締めて
周囲の様子を警戒しながらゆっくりとパーティー会場の喧騒の中に紛れていく。
しかしまさかまた現場に戻るなんて思ってもみなかった。しかもあのイ一サソ・八ン卜のチームの一員として。
前回の一件で思い知らされたけど、いくらデスクワークに没入しようと
僕の中のエージェントとしての部分が消えることはないみたいだ。
それが良いことなのか悪いことなのかはわからないけど、そのおかげで自分の身は自分で守れるんだからまあ良しとしよう。
エージェント時代に身に付けたノウハウがあれば、大抵のことは切り抜けられるはずだし。
そんなことを考えたりしながら、ミッション開始から十分ほど過ぎた時だ。突然焦ったような声で通信が入ってきた。
「サターン!サターン!今どこだ!?」
「今はバーカウンターの近くだけど…どうした?」
「緊急事態だ。ヴィーナスと交代しろ」
「何かあったのか!?」
もしかして目的に勘付かれて襲われでもしたんだろうか。
思わず身体を緊張させると、当の本人からも通信が入ってきた。
「私じゃダメなの。ターゲットを足止めできない!」
「足止めできないってどういうことだ?怪我でもしたのか!?」
「いいえ、そうじゃないの。私は大丈夫だけど…」
「あー、その…アレだ。ヴィーナスじゃダメなんだ」
僕達の会話にベンヅ一が割り込んでくる。心なしか気まずそうな空気を感じる。どういうことだ?
「『ヴィーナスじゃダメ』?何なんだ、分かるように説明してくれないか?」
「だからそのー…」
「彼はゲイなの!」
口ごもるベンヅ一を押しのけるような、切羽詰ったヅェ一ンの言葉に耳を疑った。彼が……何だって?
「タイミングを計りながら様子を見てたんだけど、彼誘ってくる女性を全部あしらってるの。
私もやってみたけどダメだった。そしたら彼の側近が『残念ながら彼は女性に興味がないんです』って…」

19 :
「つまり、”彼女”は大の男好きなんだとさ。参ったなこりゃ」
「え……それ本当か?間違いないのか?」
確認しなくても恐らく事実だろうと薄々は気付いてたけど、だからってそんなの簡単に納得できるわけがない。
そんな僕を急かすようにイ一サソから通信が入る。
「時間がないサターン。君が足止めするんだ」
「ぼっ、僕が!?」
つい大声を出しかけて咳き込んだふりでごまかした。
一瞬集まった視線が外れるのを待って悪足掻きと知りつつも一応他の案を提示してみた。
「いや、っでも男は三人いるし、第一君の方がずっとハンサムじゃないか!
…そうだ、プルートの方が可愛げがあっていいんじゃないかな?」
「そりゃー俺が魅力的なのは知ってるけどさ、俺パソコン係だし」
「僕はサーバールームに潜入しなきゃならない」
「う……」
どこか既視感のあるやりとりにぐうの音も出ない。
あぁ本当はわかってるよ。状況的にも僕がやるしかないことくらいわかってる。わかってるんだけど…!
「……っ!」
「サターン!悩んでる時間はないぞ!」
「ええ、彼会場を出て行こうとしてるみたい」
「おいおいおいマズイって!何とかしろよサターン!」
「―――っ分かった!!分かったよ、行くよ!」
皆の声に急き立てられるように僕は覚悟を決めた。
周囲を見渡し、会場の壁に掛けられた時価数千万ドルの絵画の前にいるターゲットを視認する。
一番近い出入り口に向かうためには人ごみをかき分けて会場を横切っていく必要がある。そこを狙おう。
「あー…ヴィーナス、何かアドバイスとかないか?こういうのには不慣れで…」
「無理に誘惑しようとしなくてもいいわ。何気ない会話から相手の得意分野に持っていって
話を続けさせるだけでもどうにか時間を稼げるんじゃないかしら」
「こっちもできるだけ急いで終わらせるようにするから、何とか引き止めといてくれ」
「わかった。とにかくやってみるよ」
「頼んだぞサターン」
背中を押してくれる皆の声が頼もしいよ…本当に。
僕は動揺を隠すように軽くストレッチして、力んでしまった身体をリラックスさせてみる。
ネクタイの歪みやスーツの乱れを直し、最後に一度大きく深呼吸をして腹を括った。
さぁ、ミッション開始だ。

20 :
しえん?

21 :
何気ない風を装い、通りかかったウェイターからワインを受け取る。
一口含んで気分を落ち着かせながらターゲットが動き出すのを待った。
取引相手と思われる老紳士との会話が終わり、握手をして二人は別れた。
僕は接近しながら彼の姿を観察する。身長は185センチくらい、彫りの深い造りの顔で
やや長めの睫毛に縁取られた深緑の瞳が一際目を引く。
ダークブラウンの髪はきちんと撫で付けられ、整った顔立ちを更に引き立てている。
何ていうか…羨ましくなるくらい格好良い。ベビーフェイスだとからかわれた過去がある僕としては特に。
……そのベビーフェイスをこのミッションに活かせないだろうか。ふと思い付いてはみたものの、
どうやればいいのかさっぱりわからない。考えがまとまらないことに焦って喉が渇く。
手にしていたグラスの中身が無くなったことに僕より早く気付き、行き届いたサービスで
ウェイターから差し出されたワインを貰って振り向いた瞬間、目の前にいた男性とぶつかってしまった。
「ぅわっ!」
ぶつかった拍子に零れたワインが、相手の真っ白なスーツに赤い染みとなって広がっていく。
こんな大事な時に何をやってるんだ僕は…!!
「あぁ!!すみません!ワインが…!!」
すっかり動揺してしまった僕は謝りながら、怒っているだろう相手の顔を見る。
そこに立っていたのは何と今回のターゲットであるあの実業家だった。
彼は穏やかな表情を崩さずにこちらを見ている。これはマズいか…?
――いや、これはチャンスだ。確実に彼を引き止める口実ができたじゃないか!
「本当に申し訳ありません!あの、クリーニング代は弁償しますので…」
なんとか気持ちを落ち着かせながら謝り続け、ハンカチでワインをわざと広げるように拭き取ろうとする。
だがその動きに気付いた彼は僕の手を取って拭うのを止めさせた。
「それでは染みが広がってしまう」
「…っ」
追い払われるかもしれない、と僕は少しだけ身体を硬くする。もしそうなったら全てが水の泡だ。
また僕のせいで任務に失敗してしまったら…
「それに、ワインを浴びてしまったのは私だけではないようだし」
「え?」
そう言われて自分の服を見てみると、確かにスーツの胸の辺りに結構大きな染みができていた。

22 :
「本当だ…」
「良ければ代えのスーツを用意するけど、どうかな?」
これは良い流れになってきたぞ。まさか向こうから誘ってくるなんて上手くいき過ぎな気もするけど、これに乗らない手はないよな。
「そんな、こちらが汚してしまったのに」
「構わないよ。スーツを新調する良い口実になる」
「あ…やっぱりクリーニングじゃ済みませんよね……」
本当に弁償しなきゃいけないとなるといくらくらいするんだろうか。
まぁ別にそんなこと考える必要ないし考えてる場合でもないんだけど、やっぱり少し申し訳ない気持ちにはなる。
それが少し表情に出てしまったようで、彼が握ったままだった手を引き寄せて優しく微笑みかけてきた。
「そうだな……やっぱり責任は取ってもらおうかな」
「っ……はい…」
「スーツを弁償してもらう代わりに、一杯付き合ってくれないかい?」
来た…!!
「え…?あの、それでいいんですか?」
僕が肩透かしを食らったような反応を返すと、彼の目がほんの少しだけ細められた。
恐らくこうやって何も知らない相手を罠にかけるような行為に愉悦を覚えるタイプなんだろう。
この誘いに乗ったらどうなるか、全く予想がつかないわけじゃない。
だけど、今は僕の身の安全よりも優先されるべき重要なことがある。僕はイ一サソ・八ン卜のチームの一員なんだ。
彼とベンヅ一が無事ミッションを遂行できるように、僕は僕でできるだけのことをやらなくちゃいけない。
例えどんな目に遭おうとも。
……でもやっぱり、ちょっと怖いなぁ…
「私は酔うとかなり長話をしてしまうようでね。スーツを弁償した方がマシだったと思うかもしれない」
「それは……心してかからないといけませんね」
「ハハハ。まぁとにかく、私の部屋に行こうか。着替えはそこにあるから」
彼は朗らかに笑いながら僕の肩に腕を回す。優しく促しているようで、
有無を言わさぬ力が込められたその手に一抹の不安が過ぎる。
それを振り払うように彼に笑みを返しながら、僕達は人知れずパーティー会場を抜け出した。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

23 :
>>20さんありがとうございます!助かりました。
前スレの時は連投規制に引っ掛からなかったので気を抜いてました。申し訳ないです。
続きは後日ということで。即回避できれば幸いです。

24 :
>>22
乙。凄く面白いので続き期待してる!

25 :
男性向け男女CP(いわゆる男性向け・女性目線からするとCPものというより女キャラ主体で男キャラは添え物的なジャンル)は、
二人がもとから恋人同士でない限り物語が終了したらもうそれっきりみたいな終わり方をしているのに対し、
女子向け男女CPはレイプシチュや付き合う前シチュでも
『この後二人は恋人同士となりました』みたいな空気を匂わせる終わり方をしている。
例えば同じレイプものでも男性向けは事後放置だが、女性向けは男キャラが『責任とるぜ!前から好きだったんだよこれからは大事にするぜ!』みたいな結末を迎えるみたいな。

26 :
皇帝×公爵 
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 
お愛ぼいなと思うのは、をかしいのかもしれない。けれど銀髪の皇帝は、寝台で杯片手に書を捲る、
おのれより年長の白髪の男が愛らしく思えてならない。腰に羽根の枕を当てがい書を読んでいた公爵は、
っ……! と小さく喘ぎ、読みかけの書を枕元の飾り棚に置くと、おいたをする皇帝の不埒な手を
ぴしゃりと叩いた。老いてなお精悍な銀髪の皇帝は、麗しく老いた公爵の胸の双茱を、夜にだけ匂う珍しい
らんの花の香油をまとった指でツンとつつき、はだけた胸元から覗く公爵の双茱が悪いのだと
にやりと笑い悪さを続けた。公爵は思う。ただ同衾し語らうだけで、なにもない夜も二人ならいつも幸せだ。
できることなら今宵は、まろやかな酒を飲み交わしながら、ゆうるりと書を捲っていたかった。けれども、
ききわけのない皇帝が、杯を傾けながら胸の双茱をつつくため、公爵は書見用の眼鏡を外した。
なにもない夜も楽しめる。そんな歳になったはずだが、なにを求められれば老いた花芯がじわりと濡れて、
いつもこうして流される。数十年間、認めることが出来なかった恋心も、一度認めてしまえば木々の若葉が

27 :
萌えいづる様に伸びやかに、枝を広げて萌えさかる。麗老なる公爵は、陰萎ゆえ指玩に走り、「卿の胸は
えも言われぬな」 と嘯く皇帝の手を優しく払うと、恋い慕う皇帝の下肢に男娼のように傅いた。
をかしいと思う。かつては恥辱の極みだと思っていた。けれど今は皇帝の花芯を口に含める。その昔己を
投獄した男の下肢に傅きながら公爵は微笑み、寄る年波に負け、猛々しさを失って久しい皇帝の
下陰へ恭しく接吻した。挿入もままならない陛下を、この手と口で、勃たせてさしあげたい。老い衰え、
できぬことも増えたが、時の流れを今は寿げる。けれど時折、胸に蘇るあの男の眼差しだけがただ苦い。
きらきらと光る芳香花の精油を用い、皇帝の老いた花芯を優しく慰め、高ぶらせながら公爵は、緋紅色の
るこう草を思わせる鮮紅の目をした皇帝の最愛の友を思い出した。彼をめたのは公爵だ。その事実を
棚晒しにしたまま、わけあって皇帝と肌を重ねたのは40年前。今も皇帝の胸には彼が棲んでいる。心が
にわかにかき曇り公爵は自嘲した。皇帝の唯一無二になりたいと欲する、老いて貪欲になった己が憎い。
感傷的な物語の脇役の気分だ。切なげにため息した公爵を皇帝はきつく抱きしめた。皇帝が没したのは、
謝肉祭の三日目だ。皇帝は公爵を想いながらも、迎えに来た緋色の瞳の友の手を取り天上に旅立った。 Fin
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

28 :
>>27タイトル間違え
アラウンド70 2/2です、すまんです

29 :
>>22
テカテカしながら待ってます?

30 :
 いつも通りだった筈だ。どこにも間違いなんか無かった。
 朝からの自分の行動を思い返しながら、クルルは困惑していた。
 用事を済ませて、いつもの通りにケロロの部屋でケロロに背を向けて端末を弄っていた。
 だが今、クルルはケロロの膝――というか足――に頭を乗せ横になり、体にはブランケット。
 おまけに眼鏡は奪われ、代わりのようにケロロの手のひらが乗せられていた。
 どうして、こうなった。
 事の発端はこうだ。
 クルルが端末で作業をしている間、ケロロはガンプラを作っていた。それは実に当たり前の光景で、ぶつぶつギャーギャーと騒がしくプラスチックの塊と戯れる姿は特に注意を向けることの無いようなものだった。

31 :
>>30はミスにつき、やりなおします
蛙軍曹の緑黄緑です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 いつも通りだった筈だ。どこにも間違いなんか無かった。
 朝からの自分の行動を思い返しながら、クルルは困惑していた。
 用事を済ませて、いつもの通りにケロロの部屋でケロロに背を向けて端末を弄っていた。
 だが今、クルルはケロロの膝――というか足――に頭を乗せ横になり、体にはブランケット。
 おまけに眼鏡は奪われ、代わりのようにケロロの手のひらが乗せられていた。
 どうして、こうなった。
 事の発端はこうだ。
 クルルが端末で作業をしている間、ケロロはガンプラを作っていた。それは実に当たり前の光景で、ぶつぶつギャーギャーと騒がしくプラスチックの塊と戯れる姿は特に注意を向けることの無いようなものだった。

32 :
 ふと、ケロロの独り言の域を超えたガンプラへの愛が聞こえなくなった。
 僅かに動く気配を感じたクルルが顔を上げ、ケロロの方へと顔を向けると、思いの外ケロロが近くに来ていて、思わずびくりとのけぞったクルルを笑うでもなく、じっとクルルの顔をのぞき込んでいた。
「……なんだよ、隊長」
 含む色の無い、ただ真っ暗で深いだけの瞳に気圧されて、いつもの軽口も出て来なかった。
 蛇に睨まれた蛙ってのはこんな気分か、と些か現実逃避じみた事を考えながら見つめ返す。何となく目をそらしたら負けな気がする。
 無言で動かずにいたケロロの目が、急に不愉快そうに細められた。そうして、じとりとした視線とともに一言。
「……顔色が悪い」
 言うが早いか、バサッという音と共に視界が奪われ、体を半回転させられケロロの足に落とされた。

33 :
支援

34 :
「っ、なにしやがる!」
「お黙んなさい! 休憩を命じるであります!」
 突然の不可解な仕打ちに、非難の声をあげたクルルを押さえて、ケロロは怒ったように言う。
「ふんとにもー、まぁたろくに寝てもいないんデショ。ダメダメ! しっかり休めやこらー!」
 まくし立てられ気圧されているうちに、眼鏡を奪い去られ、目隠しをするように頭を押さえられて、すっかり逃げられなくなってしまっていた。
 そして、冒頭に戻る。
 自分の顔色が悪いなんて、それこそいつもの事だろう。確かに、ここ数日作っていた物があったため、睡眠時間は少なかったかもしれない。
 それでも、疲労を顔に出すような事はしていない筈だった。
 そもそもクルルは、自分の弱みを見せることなどまずしない。

35 :
 ただでさえ生来恨みつらみを買いやすい性質の上、トラブル&アクシデントが信条なのだから、ポーカーフェイスはお手の物である。
 そんなクルルに、顔色が悪いから休め、と言う。居心地の悪い感覚に身じろいでいると、上からクスクスと小さな笑いが聞こえた。
「なんだよ……」
「ふふ、何で解ったんだーって感じだからさ」
「……何で」
「解るよ、クルルの事だもん」
 まあ全部じゃ無いけど、大体何となくね〜。
 気楽に言ってのけるケロロに、クルルは些かぐったりした気分になった。
「理由になってねぇ……」
「えー、そう? てか早く寝なさいよ。あ、子守歌とか歌ってあげよっか」
「イラネ」
「即答かよ! かっわいくねーな!」
「く〜っくっくっく」

36 :
 くだらないやり取りをして、なんだかもう起き上がる気力も尽きてきたクルルはため息を一つ吐き、体の力を抜いた。
 一気に押し寄せる倦怠感に、気づかないうちに結構な疲労が溜まっていた事を思い知った。
「……本当に寝ちまうぜぇ」
「どーぞどーぞ、瞼が溶けるほどお休みなさい!」
「普通目玉だろ。く〜っくっく」
 諦めて本格的に寝に入ったクルルの耳に、微かに届いた音。低く掠れて、でも微かに甘いような、小さな歌声。
 古いいつかの歌は、少しだけ引きつるような胸の痛みを残して、クルルを眠りへと連れて行った。
 地響きのような音と、ギリギリという固い物を擦りあわせるような音で目を覚ましたクルルは、何事かと辺りを見回して、ケロロに眼鏡を奪われていた事を思い出す。

37 :
おらっしゃあああああ

38 :
 這うようにして見つけた眼鏡を装着し、改めて音の正体を探ると、何のことは
無い。大の字になって寝ているケロロだった。
 つまり、地響きのような音はケロロのいびきで、ギリギリという音は歯軋り
だったのである。
「……うぅん……ふぇ、ぶえぇっくしょい!」
「……コイツはどうやったて締まらねえな」
 年上ぶって人の心配をしてみせた結果がこれだ。
 今にもよだれを垂らしそうな寝顔に呆れながら、先ほどまで自分に掛けられて
いたブランケットをケロロに掛けてやる。
――まあ、後で礼くらい言っとくか――
 放置されていた端末を起動し直したクルルは、寝こけている癖に騒がしいケロ
ロの額に口付けを一つ落とした。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>33
支援感謝です

39 :
三レスで規制はSSにはきついすねえ

40 :
半ナマ注意。洋画「時間(要英訳)」時間監視局員受け
※エロ・ネタ・設定捏造注意
※このキャラに関するネタバレがありますので鑑賞予定の方はスルーしてください
連投規制回避のため、どなたかいらしたら支援をお願いします
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
私の『時間』がカウントダウンを始めてからもうすぐ40年が経とうとしている。
25歳の姿のまま、衰えることもなく、老いることもなく。
その頃には既に富裕層とスラム層の居住エリアの区分が完了していたが、
両者が混在するエリアもまだいくつか残っていた。所謂”娼婦街”だ。
豊富な『時間』によりほぼ永遠の命が約束され、道楽の限りを尽くす富裕層の人間を愉しませる為に
スラム層の人間が身体を売り、『時間』を稼ぐ。普通に働いた稼ぎが平均24時間として、
ここでの稼ぎは平均35時間。自らを売り物にしてもその程度しか稼げない。
にも関わらずそこで働く者が減らなかったのは、まだスラム層から抜け出せる可能性が残されていたからだ。
現在では廃止されてしまったが、この頃にはまだ『時間』を貯蓄しておける
個人用のカプセルがあった。スラムの人間が生活していく為には24時間あれば十分だ。
”娼婦街”で働けば生活費の24時間を引いてもまだ10時間近く残る。
そうして生活費を切り詰めて『時間』を貯め、富裕ゾーンで職を手に入れることができれば、
もう『時間切れ』の恐怖に怯えて暮らすことはなくなる――
そういう望みがまだ実現可能な時代だったのだ。
やがて富裕ゾーンにスラム出身の者が増えることを好まない者達
――生まれながらにして富裕層である資産家や名家出身の一族達――が
反対運動を起こし、貯蓄カプセルが廃止されるのと同時にそういった成り上がりが
事実上不可能となってしまった。そうなってしまえば、もはやスラムの人間に希望などない。
自然と働く人間もいなくなり、やがて”娼婦街”は廃れた。そして両者の居住エリアは完全に隔離され、
『タイム・ゾーン』という何重ものゲートが設けられたことによって、
富裕層とスラム層の人間が接触することは禁じられた。もう何十年も前のことだ。

41 :
何故今更こんなことを思い出したのだろう。そうだ、あのスラムゾーンからきた青年のせいだ。
彼はひょんなことから莫大な『時間』を手にし、『タイム・ゾーン』を超えてこちらにやってきた。
有り余る『時間』を持つ富裕層の人間は急ぐということをせず、走りもしない。
だから焦ったり走ったりするあの青年は明らかにここでは浮いているのだ。
そんな彼の姿は、私にある特別な感情を思い出させる。
明日をも知れぬ毎日から逃れたくて、に物狂いで努力したあの日々を。
スラムゾーンから抜け出す為に、何もかもを犠牲にしてきた昔の自分を。
両親は私が25歳を迎えてまもなく亡くなった。姉がいたが、彼女は30歳を迎えることは出来なかった。
家族を喪い失意の底に落ちた私は共同墓地に彼女を弔い、時間の許す限りそこに立っていた。
残りの『時間』は一時間を切ったが、もう気にならなかった。
どうせ必になって働いても一日を生きるのがやっとだ。夢を持ったところで実現させるための
『時間』がない。何の為に生きているのだろう。生きることがこんなに苦しいなんて。
姉の為に十分過ぎるほどの涙を流した私の眼からはもう何も出てこなかった。
代わりに空から大粒の雨が私の身体を濡らし、心を冷やしていった。
共同墓地から私の家までは一時間あっても辿り着くことはできない。だが、さほど問題ではない。
また街に体が一つ増えるだけのこと。私を弔ってくれる者がいないのが少し残念ではあるが、それだけだ。
降り頻る雨の中を亡霊のように歩く私を気に留める者はいなかった。
皆自分が今日を生きるのに精一杯なのだから、恨めしいとは思わない。
だがふと、私の上に降るはずの雨が止んだ。やがてそれは傘を差しかけられたからだと気付いた。
顔を地面から正面に向けると、スラムゾーンには不釣合いな格好をした紳士が立っていた。
不必要にしか見えないくらい過剰に付けられたボタンが、その男性が富裕層であることを物語っている。
富裕層の人間は何事にも『時間』をかける。服を着ることにさえも。
「濡れているな。少し雨宿りしていかないか」
そう声を掛けられて、共同墓地がここの”娼婦街”のすぐ近くにあるということを思い出す。

42 :
それで気付いた。彼は私を買おうとしているのだ。
富裕層の男性の中には当然女性と快楽に耽るものの、やがては飽きて男性に手を出し始める者がいるという噂は聞いていた。
それがまさか自分に降りかかるとは思っても見なかったが、どうせもう30分くらいしか残っていない身だ。
もうすぐぬのだから今更逃げようという気も起きなかった。
「……連れて行ってくれ」
私は差し出された男性の手を取り、”娼婦街”の中で最も高級なホテルへと向かった。
「客を取ったことはあるか」と聞かれ、私は「ない」と答えた。
それならばと彼は何か薬品を取り出して私に飲ませた。
男性同士の行為の際に、受け入れる側の苦痛を軽減させる為の薬なのだと言った。
それが効果を発揮するまでの時間に彼は私にフェラチオをさせた。初めてだったのでやり方はよくわからなかったが、
自分でする時にはどうやっているかを思い出しながら奉仕した。
口の中に収められた彼のペニスは時折脈打ち、次第にトロトロとした粘液が溢れ出てくる。
自分の涎と一緒に何度か飲み込みながら舌を這わせていくと、突然喉の奥で熱が弾けた。
「んっ!?っ、げほっ!ぅ…」
驚いたのと息苦しさに顔を背ける。男性は私の頬に手を添え、満足げに微笑んだ。
「すまない。あまりに上手だったから我慢できなかった」
「…そう、か……」
そんなはずはないと思ったが、それを主張することに意味もないので黙っていた。
少し零れてしまった精液を手の甲で拭っていると、彼が私の手を掴んで『時間』をチャージしてきた。
「……これは…?」
「愉しんでる途中で『時間切れ』になられては困る」
「あぁ…」
彼の言い分に頷いている間にチャージが終わる。追加されたのは二時間。それだけあれば十分だろう。
裸で床に跪いていた私を抱き起こし、ベッドの上に横たえる。
その上から覆い被さるようにして男性が唇を重ねてきた。あくまでも性的欲求を刺激する為だけのキスだ。
しかし経験豊富と思われる彼のキスは私の身体を蕩けさせるには十分すぎるものだった。
「はっ……ん…っふ」
ベッドに縫い付けられたまま息継ぎも忘れてしまいそうなほどに舌を絡められ、頭の奥が痺れるような感覚に陥る。

43 :
支援?

44 :
その間に彼の掌に身体を弄られ、言いようのない快感に私は身を捩った。
「ぁ、はぁ…っ」
「ようやく身体が温まってきたな…さっきは本当に冷え切っていたから」
彼は獣のように笑ってみせ、私の乳首を口に含んだ。音を立てて吸い付き、
硬くなってくると軽く歯を立てる。じんじんと疼くような痛みと熱に思わず呻き声が漏れた。
私の身体が完全にベッドに沈み込んでいることに気付くと男性は手を背中の方に回してきた。
そのまま下へと滑らせ、いつの間にかひくつき始めていたアヌスに中指を押し込まれる。
「っうぁ!?」
そこは解された覚えもないのに簡単に彼の指を受け入れてしまった。
これが先程飲まされた薬の効果なのだろうと結論付けるのに少し時間がかかった。
「…ん…っ、あ、あぁっ…」
「少し冷たいが我慢しろよ」
「え…?は、あっ!うぅ…っ!!」
何のことか理解する前に指の隙間から何かを中に注入された。
その後に指が三本入ってきたことから考えると潤滑剤だったようだ。
その指は何の障害もなく私の中を奥へと進み、それに伴って聞こえてくる卑猥な音が聴覚をも犯してくる。
「ふぅっ…、んっ!っはぁ、あ…!」
「なかなか感度が良いな…あの薬には催淫成分は入ってないんだが」
感心したような、驚いたような口振りで彼は言う。ではこの狂いそうな程に
私を苛む熱は何なのか。尋ねようにも、私の口からは喘ぎしか出てこない。
だが訊くまでもなく彼が答えを独り言ちた。
「やはりスラムの人間には『時間』がないからか」
『時間』――その言葉が唐突に私の思考の中に突き刺さる。
『時間』を持たないスラムの人間は、食事も睡眠も――セックスですら十分に享受することなどできない。
だから短時間で満足する為に感覚が過敏になっていると、彼は判断したのだろう。事実それは正しい。
この男性は、こんな私を惨めだと思っているだろうか。少なくとも慈しむつもりがないのは判る。
だが、私にも彼を恨んだり憎んだりするような感情は湧いてこなかった。何も浮かばなかった。
富裕層に『時間』がありスラム層に『時間』がないのは、もはや自然の摂理と化した。

45 :
数時間後に彼がホテルを出で行き、『時間切れ』となった私の体が残されるのは仕方の無いことなのだ。
『時間』は今も昔も何ら変わることなく流れている。
厳然たる正確さで時を刻み、慈悲も容赦もなくリミットを突きつける。
富裕層にいればそのリミットを限りなく先延ばしにすることができ、スラム層にいればそれは常に背後を付きまとう。
そういう社会になってしまったのだから、もうどうしようもない。
「こんな世界はおかしい、不公平だ」と叫んで民衆が革命を起こす時期はとうに過ぎた。
人間が『時間』を通貨として利用出来るようにまで進化したとしても、過ぎた『時間』を巻き戻すことは出来ない。
これから先の未来を向いて生きていくしかないのだ。
「……ぅっ、あぁっ!!」
突然の圧迫感に驚いて悲鳴を上げると、いつの間にかうつ伏せにされていたことに気付く。
一瞬混乱しかけたが続いて与えられた衝撃で挿入されていることを知った。
「ぐっ!!ふ――ぅあ!はっ…!」
「っ…さすがにキツいな……でも痛くはないだろ?」
「あ!う、うっ…っく、はぁっ!」
腰だけを上げた状態の私の脚を開かせ、臀部の肉を割り開くようにして奥深くを抉る。
彼のペニスが内壁を擦る度に電気が走るような強い快感を生じさせる箇所があった。
彼はその存在を経験から知っていたようで、私の反応を見ながらそこを何度も突き上げてきた。
「っひぃ、あぁっ!!あ、や、嫌…っ!!」
「嫌か。止めたい?」
「ちが…!も、出る……イくっ…!!」
私は自分でも驚くような言葉を口にしながらシーツを握り締めて律動を受け止める。
こんな風に快楽を与えられたことはなく、信じられない程の熱を持った身体が自分のものではないような気さえしてきた。
だがぬ前に体験するのが苦痛ではないということに少し安堵もしていた。
『時間切れ』になった者は、心臓が破裂でもしたのかと疑う程の衝撃を受けて息絶える。
私も同じように最期を迎えるのだろうが、こうしていれば腕に刻まれたボディ・クロックが
無情にその時を知らせるのを見なくて済む。迫り来る絶望から眼を逸らしていられる。
「はっ、はっ、あ、あっ!ぅあぁっ!!」
「イくのか…?いいぞ、全部出してしまえ…!」

46 :
でももし、何かが間違って私が数時間後無事に目覚めることが出来たなら、私はもう二度とスラムには戻らない。
この”娼婦街”でも、他のどこかでもいい。蔑まれようと唾を吐きかけられようと、傷付けられようとも構わない。
何が何でも働いて『時間』を稼いで、貯めて、『タイム・ゾーン』を超えてやる。
「あっ、イく、イっ……はぁっ!!」
そして『時間』に忠誠を誓おう。『時間』は何をも裏切らない。
『時間』があるべき姿を保っていられるようにこの身の全てを捧げよう。
例えその”あるべき姿”が既に歪んでいたとしても。
「―――――っっ…!!」
激しく腰を打ち付けられ、内側を蹂躙される想像を絶する感覚に息が出来なくなりそうだった。
やがて五官の機能が麻痺したような錯覚に陥り何もかもが真っ白になった瞬間、
頭の奥が焼き切れるような衝撃と共に私は絶頂を迎えた。
そして今、わたしはかの青年の前に銃を掲げて立っている。
富裕層の女性を人質にとって逃亡を続ける彼をようやく追い詰めたのだ。
青年は私の正体を見抜いていた。身体に染み付いた習性のせいで富裕層の人間とは
異なる行動を取る私に、どこか通ずるものを感じ取っていたのだろう。
彼に起きた悲劇や苦悩、そうして持つに至った信念は私にも理解出来る。
私もかつて経験したことだ。だが導き出した答えは違った。
私は全ての間違いを無視することを選び、彼は――彼女と共に――全ての間違いを正すことを選んだ。
彼の強さが私にもあれば何かが変わっていただろうか。
もしかしたらこうして相対するのではなく、共に戦っていたかもしれない。
起きなかったことに思案を巡らせても何の意味もないと解っている。
だが出来ることなら、彼にはんで欲しくないと思っていることもまた事実だった。
「身体が元気でも、心が消耗してしまう」――とある富裕層の人間がこう漏らしたという。
私が『時間』を監視し守ったとしても、それをいつしか望まなくなるようになる者もいるということか。
私の心もその段階に近付きつつあるのかもしれない。

47 :
支援

48 :
その時私はあることに気が付いた。その『時間』が、私にはもういくらも残されていないことに。
「『時間』……」
既に後悔したり嘆いたりする猶予はなかった。あったとしても、私はどちらも感じなかっただろう。
「がっ…!!」
全身を強打されたような激痛が走り、次いで心臓が止まり、私は背中から地面に倒れた。
左腕に刻まれていたボディ・クロックは緑の光を失い、ただの刺青となってその役目を終えた。
今や亡骸と化した私を見て、青年は何を感じているのだろう。優越感か、憐憫か…それとも虚しさか。
私は無念さも悔しさも感じてはいなかった。達成感も満足感も、何も。
『時間』は何をも裏切らない。厳然たる正確さで時を刻み、慈悲も容赦もなくリミットを突きつける。
その順番が少し遅れて私に回ってきた――それだけのことだ。
私の『時間』はこれで尽きた。後はせめて、あの青年の『時間』が早々に尽きてしまわないことを願おう。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>43さん>>47さん支援ありがとうございました
しかし連投規制は支援があっても時間経たないと駄目なんでしょうか?
支援入っても投稿できなかったorz

49 :
今、ばいばいさるさんは廃止されてるから、支援はあんまり関係ないかも
timecount=20・timeclose=3だから、801板全体で20レス中3レス同じIPだと書き込めなくなる
投稿間隔じゃなくてレス数なので、801板に人が少ない時はかなり苦しいね
あと、二重投稿規制もあるので、同じ文字数の投稿を連続でしようとすると書き込めなくなる
何かしらのエラーが出たら、改行を変えるとか空白を付けるとかして内容を変えて再投稿しないと規制される
その上忍法帖の規制もあるからね…

50 :
おお、いい情報ありがとう
今までもそうだけど、深夜投下より今くらいが一番投下しやすいね

51 :
ナマ注意です。
元青心・高低、現原人バンド唄×六弦です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
誰もおまえのようには唄えない。
誰もおまえのような言葉を書けない。
誰もおまえの真似なんか出来ないさ。
だから、おまえは誰を気にする必要もないし、
くだらない事で悩まなくて良いんだ。
明るくて、魅力的。ありふれた表現をするなら
おまえはそれそのもの。
おまえの、時折垣間見せる、思い詰めた孤独な
表情は、昔からのものなのだろうか。
これからも、それは消えはしないのだろうか。
でも、おまえはおまえだよ。
おまえが孤独に唇を噛んでいるのを見るのは
胸が締め付けられるけれども、そこから生まれ
るものだってあるだろう。

52 :

俺より少し背の高いおまえが、俺の首元に顔を
うずめている。
骨っぽい、長い腕が苦しいほど体に絡みついて、
チッソクしそう。
だきしめてほしい、って言ったのはおまえじゃねえかよ。
そう一分くらい前の事を思い出したけれど、俺
はそのまま、おまえの頭を出来るだけ優しく撫
でてやる。
不安か?
心配か?
何十年か後に、未来のおまえから今のおまえに
問い掛けてみりゃ良い。
今もこれから先も、そんな大したことじゃなか
った、って、おまえが笑って言えるようにして
やるから。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

53 :
ナマ注意です。
元青心・高低、現原人バンド唄×六弦です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
爆音。真っ暗な世界に白光が走る。
ああ!きた!きた!
音と光の台風の中、僕は無茶苦茶に跳ぶ。
これとひとつになってしまうんだ。
もっと、もっと、もっとだ!
――あなたにとってロックとは何ですか?
――考えたこと無いよ、そんなの
彼が、竜巻を起こすくらいに腕を振り回す。
グルグル回して、ギターストローク。
野太い音で世界を叩き起こす。
全力疾走の心臓のようなドラムが、最初から全開で。
地響きのようなベースが、エンジンになる。
そして僕は唄う。精一杯でかい声で。
――どうしてライブでチ○ポを出すんですか?
――んー、それは、しょうがないんだよ
何もいらなくなる。本当に、この瞬間は他に何も。
何があったって、跳ぶには重すぎるんだ。

――何か、皆さんに伝えたいことは?
――いや?それぞれ好きに解釈してくれて構わない


54 :

僕は生きてる。僕はこのために生きてる。
毎回毎回、この瞬間、んだっていいと思うんだ。
爆音とひとつになる。もっともっと、僕を捕まえてくれ。
熱狂が笑う。バカ笑いだ。もっともっと、僕を動かせ。
隣りで彼が、足を蹴り上げる。普段はとても色の白い、
その頬が、肌蹴た華奢な肩が、上気して色付いている。
一心にギターをかき鳴らす彼が、会場を、メンバーを
見渡して、そして僕を見る。
飛び跳ねる僕とふと目が合う。その瞬間、彼は満面の
笑みを浮かべた。
ああ僕はそれを見て、もっともっと唄う事が好きになる。
もっともっと、心のままに、大きな声で。
爆音と熱狂の中、彼がいつの間にか僕のすぐ隣にいた。
それに気付いた時、ぐっと僕の右肩に彼の腕が回された。
いいぞおまえ、最高だ、そう僕を褒めてくれる彼の声が
腕から伝わってくるような力強い感覚。
僕もそれに応えたくて彼の肩に腕を回そうとしたけれど、
彼はすぐに僕から離れてしまって。
ああ、本当に心が身体になっちゃえばいいのにな。そうしたら
無限に跳んで、無限に唄って、無限に君とくっついていられる
のに。
僕は声を張り上げる。
気持ちいい。気持ちいい。
ドラッグなんかより、セックスなんかより。
いつだって今が一番最高の時だ!
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

55 :
ナマ注意です。
GSのヴォーカルとベース。
エチありです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
グループの解散が決まってから、受理は落ち着かない日々を過ごしていた。
まだまだ熱狂的なファンが全国にいるとはいえ、GSブームがピークを過ぎ、Pが脱退を頑なに希望したとあっては、解散も仕方がないかと受理は思っていた。
それはそうと、解散後の身の振り方が決まっていないのは自分だけだった。
Pは京都に戻って大学に入るというし、沙里も太郎も四郎も自分達でバンドを作ると言っているのに、プロダクションからは、解散後の芸能活動について、何も言ってくる気配はない。
−−俺っていちばん人気あるんやなかったの?
不安になった受理は、意味もなく事務所へ行ってはお茶を淹れてみたりしたが、スタッフはみんな解散へ向けたマスコミ対応やコンサートの準備に忙しく、誰も相手にしてくれない。
解散後の芸能活動への不安もあったが、それよりも、自分がもっとも懐いている沙里と離れることが、一番辛いことのように思われた。
−−解散したら、もう今までみたいに会えんのかな……
自分だけが置いてきぼりになっている寂しさを感じた受理は、TV収録が終わったある日、楽屋で沙里を見上げながら言った。
「今日沙里ん家行ってもええ? こないだ言ってたビートルズの新譜、聴きたい」
「おぉ」
2人でタクシーに乗り、信濃町にあるマンションに着いた。
沙里は着替えもそこそこに、ジャケットからレコードを取り出すと、ターンテーブルに乗せる。
「今度のもええで」
♪The Long And Winding Road……
受理は絨毯の上で体育座りをし、膝にアゴをのせたまま、ぼんやりとヴォーカルに耳を傾けている。
いつもなら耳をそばだてて聴き入るビートルズの曲が、今日はなぜかあまり頭に入ってこない。
「どうしたんや?」
コーヒーを淹れていた沙里は、いつもと違う受理の様子に気づき、顔をのぞき込む。
「あの……」
受理が何か言いかけると、沙里は彼の髪の毛を優しくかきあげ、なめらかな額に唇を押し当てた。
そっと唇をおろしてくると、唇に唇を重ねた。

56 :
思えば最後に身体を重ねてから3ヶ月経っていた。
受理を絨毯の上に横たえると、沙里はセーターとTシャツを乱暴にまくり上げた。
ほんのりと色づいた右の乳首にキスする。
「あっ…ンッ……」
別人のような甘い悲鳴を上げると、みるみる受理の身体の力が抜けていった。
沙里は唇を左の乳首に移すと、右の乳首を指先で刺激する。
唾液で濡れた敏感な先端が空気にさらされ、ひんやりとした刺激に受理は身をよじる。
慌ただしく受理のジーンズをはぎ、下着を引き下ろすと、窮屈そうだった彼自身が、沙里の指をはじくように元気よく跳ね上がった。
彼のそこは綺麗な肌色をしていて、沙里は思わず見とれてしまう。
沙里も自身を取り出し、身体をぴったりと寄せ合って、互いの昂ぶりを刺激しあうように腰を動かす。

57 :
「あっ……ふっ……」
受理は息を弾ませながら、気持ちよさそうに沙里のなすがままになっている。
華奢な受理を気遣って、いつもはそのままお互い射精して終わるのだが、その日は違っていた。
受理は切なげに潤んだ目で沙理を見つめながら、恥ずかしそうな声でつぶやいた。
「沙里としたいよ……」
普段は口数が少ない受理らしからぬ言葉に沙里は驚いたが、精一杯自分の気持ちを口にしてくれたのだとわかり嬉しかった。
いとおしげに受理の唇をついばむと、固く締まった蕾にそろそろと指を差し込んだ。
受理の唇からは、痛みなのか快感なのか分からないような声が漏れ出てくる。
何度かそうしてゆっくりと慣らすと、沙里は彼の腰を持ち上げ、自分自身を押し当てた。
「あっ、あっ……」
別人のように甘い悲鳴が受理の唇から漏れ出てくる。
つながったまま、しっとりと潤んだ受理の中を味わうように沙里は身体を動かした。
同時に受理の中心にも指を添えて優しく握り混む。
挿入の苦しさで萎えかけていた彼のそこが、だんだんと固く張り詰め、先端からは透明の液体がしたたり始めた。
受理の反応にあおられ、沙里の動きが速度を増すと、受理が苦しそうに喘ぎながら口を開いた。
「沙里、もう、イってもいい……!?」
「まだアカん」
沙里の制止に従おうと、受理は自分自身をつかんでいた彼の手を取って押し戻し、射精を我慢しようとしたが、それは間に合わなかった。
「あっ……」
受理は何度か身体を震わせると、勢いよく若い牡の性を散らした。
沙里は顎に飛んだ彼の飛沫を手の甲でぬぐうと、何度か身体を往復させ、自分の欲望に片を付けた。
2人は抱き合ったまま、口もきけずに放心状態だった。
沙里におおいかぶされたまま、しばらく後、受理は甘えたような声でつぶやいた。
「沙里……どこへも行っちゃヤだよ……」
「どこも行かんて。解散しても一緒や」
「本当……?」
離ればなれになるかも知れないと不安になっていた受理が可愛くて、沙里は受理の頭をクシャクシャとなでると、そっと口づけた。
P/Y/Gの結成が決まるのはそれから数ヶ月後のことだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
2/2が長すぎて分割する羽目に・・すまんでした

58 :
ギャグ漫画曰和の太子×妹子 時代考証的にメタメタなのは仕様です
スレ18で出た太妹ひな祭り、というワードに滾った結果がこれだよ!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
理不尽な上司の命令には、ずいぶん慣れた。小野妹子はそう思っていた。
すぐ後ろに大きな落とし穴が待ち構えているとも知らずに。
目覚めるなり、妹子は跳ね起きた。日は既に登りはじめている。
――寝すごした!
あわてて支度をし、赤いジャージに着替え、栗色の髪をさっとなでつける。
視界に端に映る、一枚の紙。妹子はテーブル上のそれを忌々しげに一瞥すると、隣のパンを手に取った。
のんびり食べている時間はない。飛び出すように、家をあとにした。
「行ってきまーす!」
パンをかじりながら、道を駆け抜ける。
どうしてこんな目にあうのだろうと、妹子は昨夜を思い返した。
残業づくめの一週間だった。
あげく、アホな上司が横やりを入れてきたり、足を引っ張ったりと、心身ともに妹子は疲弊していた。
明日の休みが、光輝いて見える。洗濯と、掃除と、それから余裕があれば、自炊もしたい。
明日への希望を胸に、自宅へ帰りついた妹子を待っていたものは、一通の手紙だった。
ピンクの封筒にハートのシール。ふざけた封書は、差出人を見るまでもない。
「うわっ……太子からだ」
妹子は顔をしかめた。嫌な予感しかしない。
聖徳太子。
まがりなりにも、皇子。次期天皇に一番近い男。異臭を放つジャージの摂政、飛鳥の変人。妹子の上司だ。
本来、仕事外で関わりあう必要はないのだが、妻も恋人も友人(人間)もいない太子は、友誼を妹子に求めてくる。
今更、妹子はそれを拒みはしない。けれど、限度というものがある。
そうっと、封を開ける。

 『アホの妹子へ
 明朝八時 朝廷前に来ること
 にげたらゆるさんぞ
                       聖徳太子』
  追伸:カニの殻を剥いたあとの手はなんかおいしい

「直接言え! あと汚ねえ!」
妹子はため息をついた。やっぱり呼び出しだった。放っておきたいが、そうすると太子は何をしでかすかわからない。
せめて妹子にできることは、愚痴ることだけだった。
「休日出勤なんて、聞いてないよ!」

59 :
なんとか呼び出しにギリギリ間に合った。妹子は軽く息を整え、朝廷の中庭へと向かう。
そこには、巨大な建造物が出現していた。
「なんだこれ……」
幅は四メートルほど、高さ五メートルほどの赤い物体が、広々とした朝廷の中庭にそびえ立っている。
横に回ると、板張りの階段のようなものに、赤い布が被さっているようだ。ただ、この階段はやたらに一段が高い。
妹子の背丈の半分もないが、膝より高い。それが七段、積み重なっている。
昨夜、退出するときにはなかったはずだ。
よくこんなものを、一晩で。感心半分、呆れ半分で妹子はそれを見上げた。
最上段に、人がいる。紫の冠に、青いジャージ。太子だ。
「よく来たな、妹子」
「なんなんですか、これ。リアルスーパーマリオでも作る気ですか?」
太子はそれには答えず、上がってこい、と指で示した。
アスレチックの要領で、妹子は最上段を目指す。
「これ、例の法隆ぢみたいに崩れたりしないでしょうね」
「なめるな、今回はしっかり耐震構造で作らせた」
「やっぱり大工さんが一晩で作ったんですか……」
そのジェバンニぶりに心の中で合掌する。
七段の高さに、妹子はかつて落ちた落とし穴を連想した。ここから落ちたら、ただでは済まないだろう。
見晴らしはいいが、一段の奥行きはさほど余裕があるわけではない。
いささか、落ち着かない気持ちになる。
おはようございます、おはよう、と挨拶をすませ、さっそく本題に入る。
「それで、こんな朝早くになんですか? ろくな用じゃなかったら、僕帰りますんで」
「さっそく帰ろうとするなよ! まあ、そこに座りんしゃい」
促されるまま、妹子はその場に腰を降ろした。
「ちょうどいい時期だからな。ひな祭りパーティを開く!」
「はあ」
いかにもイベントごとの好きそうな太子が考えそうなことだ、と妹子は思った。
節分でひどい目にあったくせに、懲りない男である。
「お酒と、お寿司と、お菓子を振る舞って……あと、余興もある予定なんだけど」
「はあ、いいですね。で、僕に何をさせようと」
「うん、雛人形になってほしい」
「雛人形に……なる?」
どういうことかと、妹子は困惑した。まさか縮めというわけでもあるまい。太子はときどき、言葉足らずだ。

60 :
「太子」
覚えのある低い声がすぐ真下から聞こえ、妹子は太子と同時に一段下を振り向いた。振り向いて、ぎょっとした。
「あ、竹中さん」
太子は承知済みとばかりに動じない。
妹子が予想した通り、そこに立っていたのは太子の友人・フィッシュ竹中だが、いつものトレーナー姿とはまるで違う。
朝服を改造したような束帯に太刀を佩き、矢筒を背負う。頭に冠を乗せ、それに耳飾りのようなおいかけを付けている。
武官の装いだ。
面食らった妹子に、竹中はにこりと微笑みかけた。
「やあイナフ、今日は楽しもう」
「ど、どうも。その扮装は……?」
「右大臣だ。いや、左大臣だったか?」
右大臣と左大臣。なるほど、どういうことか妹子にはわかってきた。
竹中は太子に向き直った。
「彼女たちの準備ができたと。上げていいか?」
うん、と太子が頷くと、すぐさま竹中は降りていった。
「雛人形になるって、お雛様の格好をするということですか」
いわゆる「生き雛」か。妹子は得心した。つまりこれは、雛壇だ。
「そうそう、コスプレコスプレ。
ひな祭りといえば、雛人形だろ、でも飛鳥時代に雛人形、ないしなー。室町時代まで下らないと。
だからいっそ、ええーい、なったれ! と」
「……はあ」
その情熱はどこからくるのだろう。無駄に元気なオッサンだ。そのエネルギーを、少しは仕事に向ければいいのに、と妹子は思う。
「それで、僕はなんの役を――」
きゃあ、という歓声があがり、妹子の声はかき消された。
着飾った采女を、竹中が抱え上げて運んでいる。降ろす姿も優雅で姫にかしずく騎士さながら、美男美女で絵になるなと妹子は思った。
太子たちの一段下、二段目に采女が三人、配置される。三人官女だ。
官女たちは顔を見合わせると、太子と妹子を見上げてくすくすと笑った。
「案外、お似合いですこと」
「色合いもちょうど赤と青ですしね」
「よかったですわ、妹子様が引き受けてくださって」
まさか、と妹子の顔から血の気が引いた。
続々と集まってくる人と、調度類。
妹子の隣に燭台が置かれた。ぼんぼりだ。背面には金屏風が立つ。
「太子、あんたまさか僕に、お雛様役をやれ、と……?」
「そうだけど」

61 :
太子は悪びれる様子もない。妹子の視界が、ぐらりと揺れた。
「……太子はお内裏様なんですよ、ね?」
「決まってるだろ」
主張するように、太子はえへん、と笏――例のアイスの棒を、掲げた。
「あの、太子……わかってるんですか?」
「なにを?」
くもりのない無垢な瞳に見返され、ぐ、と妹子は言葉に詰まる。
雛人形のシチュエーションは、お内裏様とお雛様の結婚式だ。
太子が新郎で、妹子が新婦。
妹子の脳裡にジャージネクタイで新聞を読む太子と、エプロン姿で目玉焼きをサーブする自分が浮かんだ。
なんだ、今の新婚ビジョン。
カッ、と妹子の頬に赤みが差した。頭を振ってわけのわからない妄想を吹き飛ばす。
役とはいえ、太子と夫婦なんて冗談じゃない!
「どうして僕がお雛様なんですか! 普通女性でしょう」
三人官女だって女性がしてるじゃないですか、どうして肝心のお雛様が男なんですか。
そう主張し、一段下を見ると、官女たちは一斉に目をそらした。
「……」
「……」
「……」
「…………」
断ったあと、らしい。
心で妹子は膝をついた。
太子のもてなさを、甘くみていた。
「誰もなり手がいないんだよ〜。高所恐怖症とか、私がイケメンすぎて無理とか。でも、お雛様を欠かすわけにはいかんからな。
頼む妹子! ほれ、これやるから」
太子が差し出したのは、お雛様が手に持つ桧扇だった。
「いらんわこんなもん!」
妹子はそれを太子に投げつけた。太子の額に直撃する。
ていうか、そんな理由を信じるなと妹子は言いたい。
「ひなあられ!」
「もうぅ〜、しょうがないから引き受けますけど、今回だけですよ!」
着々と準備が整い、雛壇に人が集まってくる。
早々にこのイベントを終わらせたい。妹子は回りを見渡した。誰か、この状況をなんとかしてくれる人はいないものか。
トラブルメーカーに、ストップ役足りえる者に。それぞれの背中に向けて、妹子は祈った。一縷の望みをかけて。

62 :
  ケース1 : フィッシュ竹中の場合
後頭部に焼けつくような熱い視線を感じ、竹中は笑った。
イナフ、俺は。
仲良くしている人間を見るのが好きなんだよ。
その場を崩す期待を寄せられても、困るな。
竹中は振り返り、妹子を見上げた。親指を立て、ウィンクする。
声に出さず、唇だけを動かした。
「グッドラック、イナフ」
  ケース2 : 馬子帰る
蘇我馬子は、今イベントのスポンサーの一人だ。
資金を出し、警備も私兵から出した。蘇我の姫をお雛様役に、と話が来たついでに、馬子までここに立つ羽目になった。
存外、太子は人を乗せることがうまくなったものだ。
又甥の成長に、馬子は口の端だけで笑った。ただし、乗り続けるつもりは毛頭ない。
「馬子様、ご報告申し上げます」
蘇我の従者が進み出て、段に登り、馬子に耳打ちする。あらかじめ用意しておいた仕込みだ。
馬子はひとつ頷くと、近くを見渡した。岩のような男、ゴーレム吉田がいる。
右大臣が魚人なのだ、左大臣が泥人にすり替わっても問題ないだろう。
「そこの君」
「! 俺か?」
いそいそと、吉田は馬子に駆け寄った。
「急用ができた。私は行かねばならん。代わってもらえるか?」
「任せろ、岩のように硬い俺だから、武人にはちょうどいいんだぜ!」
装備一式を吉田に譲ると、馬子は足早に朝廷の奥へと向かう。その後ろを、従者が付き従った。
「――もう少し、あれを尻に敷くことを覚えてくれると扱いやすくなるのだがな」
「……は? あ、あの」
「一人言だ、気にするな」
  ケース3 : ピューと吹く調子丸
ひときわ高い笛の音が、響き渡った。謡と太鼓が、それに続く。
五人囃子は、全員太子の舎人だ。
その一人、調子丸は妹子の刺すような視線を感じながらも、笛を吹き続けた。
妹子さんスミマセン、そう心の中で謝罪する。
女性が皆嫌がって、お雛様のなり手が誰もいなかったんです。生け贄になってください!
できればそのまま太子のお嫁さんになってください、既にポジション的にはそんな感じですから、問題ありません。俺の負担が減ります。
どうかお幸せに!
気まずさをふき飛ばす勢いで、一心不乱に笛を吹いた。
なんだか今日は、調子がいい。

63 :
女帝・推古の名のもとに開かれたひな祭りパーティは、お酒も食事も振る舞われるとあって、盛大に人が集まった。
中庭の奥に位置する雛壇にも、注目が集まる。
華やかで、いい催しだ。さすが女性天皇らしい。そんなささやき声があちらこちらであがる。
お雛様役を振られた妹子は同僚にからかわれるやら、噂されるやらで針のむしろだった。
頼りにできるものは誰もいない。自分でこの状況を終わらせなければ。
妹子は太子に向き直った。
楽しげに太子は人々を見下ろし、酒を飲んでいる。
盃があいた。手持無沙汰な妹子は、三人官女から借りた銚子で酒を注ぐ。
盃に、花びらがふわりと舞い降りた。白酒に、早咲きの桃の花。
「あ……桃花酒、ですね」
「うん。楽しいなあ、妹子」
「そうですか?」
妹子からすれば、ただお酒を飲んでいるだけに見える。
ふわふわと太子は笑った。酒に酔っているわけではないようだが、上機嫌だ。
「お前も飲む? 一献」
「いえ、勤務中ですから」
「休みじゃん」
「休日出勤中です、太子のせいで」
「お堅いねえ、お前は」
「僕は普通です。ほら、おつまみもバランスよく取らないと、悪酔いしますよ」
「せんわ! お前、私の酒豪ぶりをなめとるな……」
「なんか気持ち悪いくらいニヤニヤしてますし、もう酔ったのかと」
「気持ち悪いって言った!? まったく、お前は上司をなんだと……だって、楽しいもん」
「なにが楽しいんですか?」
妹子の問いには答えず、太子はくい、と盃をあけた。
ん、と黙って盃を差し出す。妹子も無言で、酒を注いだ。それをキュッ、と飲みほして、太子は大きく息をついた。
「見てみろ、妹子。人の顔。みんな、楽しそうだろう?」
「ええ、そうですね」
老若男女、普段は朝廷に立ち入ることのない人々も招いての大盤振る舞い。食べて、飲んで、しゃべって。そこには、笑顔がある。
「私のしてることはさあ、すぐに結果が出ないことがほとんどだから」
「ええ」
「だから、憲法を作っても、遣隋使を派遣しても。それで民が喜んでるところなんて見れないからな。
こうやって、民衆の楽しそうな様子を見るってのは……楽しいな!」
太子の心からの笑顔に、妹子はドキッとした。
たしかに、笑顔には人を楽しくさせる力があるのかもしれない。

64 :
でも、ドキッ、はない。太子相手に、それはない。妹子の心がざわつく。
この状況のせいか。もう、役を降りてしまいたい。
「ところであのう、太子……ひな祭りって何かわかってますか?」
「わかってるよ、上巳の節句だろう?
種を撒く前の閑農期にお酒やごちそうを神に捧げて、豊穣を願う。で、おさがりを皆にふるまう」
「へえ……そうなんですか」
「もともとはな。それが大陸の五節句と合わさったんだ。農耕民族らしい行事っちゃ行事だろ。妹子、節句ってどう書く?」
「え?こうじゃないんですか?」
節句、と妹子は人差し指で宙に書いた。
「いや、もとはこう書くんだよ」
いいか? と太子は妹子の手首をつかんだ。
「!!」
妹子は激しく動揺した。そんな、手首ごときで、手を握られたわけでもないのに。いくらなんでも意識のしすぎだ。
太子はそんな妹子に気付くことなく、妹子の指で文字を書く。妹子はそれを目で追った。宙に浮かんだ文字は、節供。
「お供えもののこと、そのものだ」
「あ、ああなるほど、節供が転じて、節句……」
「そゆこと」
太子は満足げに頷いた。
その手が離れる。手首がじん、と熱を持ったように妹子は感じた。
どうしてしまったんだろう、自分自身がわからない。まさかと思う。太子相手に。それでも今、胸がドキドキしているのは、まるで――
「ところで妹子、あの箪笥や茶道具はなんのためにあるの?」
「…………」
どうしてそんなに物知りで、雛人形のことを知らないのだろう。まさか、知らないフリをしているなんてことは。
それはない。妹子はそう確信している。太子に演技力は皆無だからだ。
「あれらは……嫁入り道具です」
「へっ? ヨメイリ?」
太子はぽかんと口をあけた。
「あの牛車で運んで、駕籠でお嫁に着たんです。……お雛様が」
「ああ、嫁入り。そういうことか……って、えええっ!」
ポポッ、と太子の頬が赤く染まった。
「し、知ってたよ、そんなん……」
「今知ったでしょう、あきらかに! ていうか、雛人形をなんだと思ってたんですか」
「おもしろ芸人集団だと思ってた……」
「そっちの雛壇!?」
「え、ちょっと待って、ちょっと待って。ということは……」
太子は眉間に指を置き、思考した。

65 :
「私が婿で」
自身を指さし、手首を返して妹子を差す。
「……お前が、嫁?」
ごくん、と唾をのみ込んで精一杯の平常心をよそおい、妹子は言った。
「不本意ながら、この雛壇にいる以上、そういうことになりますね」
「妹子が、嫁……」
ぽーっと、みるみる間に太子の顔が赤く染まる。
「やめろ、僕でよこしまな想像するな!」
「え、いや、普通そんなこと言われたら……するだろ」
「…………ッ!!」
さっきの新婚妄想を思い出し、妹子の頭に血が上る。文句を言えた筋合いではない。
お互いに相手の顔が見れなくて、おかしな雰囲気になる。
「…………」
「…………」
雛壇の最上段に、真っ赤な顔をした男が、二人。
じりじりとした空気に、焼かれそうになる。
なんだこの状況。もう無理だ、限界だ。妹子は恥ずかしさに消えてしまいたい。
はっと気がつくと、雛壇は太子と妹子を除いて、無人になっていた。三々五々に散って、あちこちで楽しんでいるらしい。
下から、竹中と調子丸が見守るようにこっちを見ていた。
妹子と目が合うと、二人は顔を見合わせて頷き、くるりと背を向けた。竹中が手を振る。そして二人は、去って行った。
お前らのしわざか。余計な気をまわさんでいい。ていうか、いつの間に仲良くなったの!? わなわなと妹子は震えた。
その震える手を、しっかと握るものがいる。
「た、太子」
「…………」
真っ赤な顔で俯いたまま、口の中でもごもごと太子はなにかつぶやいている。
ああ、聞きたくない、なにも聞きたくない。妹子は耳をふさぎたくなった。イヤーマフを持ってくるべきだった。
「あ、あの、太子、もうみんな下りて行っちゃったんで、僕たちも下りましょう。ね?」
妹子は立ち上がった。しかし押しても引いても、太子は根が生えたように、動かない。
「行くな」
「え……」
「行くな、妹子」
ぎゅう、と力強く手を握り締められ、妹子は息が詰まりそうになる。
「この雛壇の上だけだ、お前と夫婦でいられるの。だから、もう少しだけ……」
太子は身を縮めた。俯いて、背中を丸めて、顔が赤い。眉は情けなく下がって、唇はへの字に引き結ばれて。大きなだだっ子。
そんな顔をさせたいわけじゃない。妹子が見たい、太子の顔は。もっと、明るくて、ほがらかな――

66 :
「……別に……」
「え?」
ぼそりとつぶやいた妹子に、太子は顔をあげた。
「別に、ここだけの夫婦じゃなくっても、いいですよって言ったんです!」
妹子の叫びに、思わず太子は立ち上がった。
「い、いいい妹子?」
「はい」
「あ、ああああの、私……あの、その……」
太子は妹子の手を両手でぎゅうと握りしめ、懸命に言葉を探す。探す。探す。
一向に出てくる気配がないので、妹子は焦れた。
「言っておきますけど」
「はい」
しゃきっ、と太子の背筋が伸びた。
「二人きりのとき限定ですから。それ以外のときに嫁扱いしたらぶっすぞ」
「なにこの子夫と認めた人を脅してきたよ!」
「じゃあ、早く下りましょう。お腹がすきました」
言いたいことを言った妹子は、は、と息を吐いた。顔は赤いし、耳まで熱い。
けれど、なんだか胸は、すっきりしている。
「ほら、行きますよ太子」
「ちょ、ちょーっと待って、待って妹子」
太子は妹子を呼び止めた。
「なんですか」
「私と夫婦になるって……」
「はい、そう言いました」
あまり何度も言わないでほしいと思う。いちいち確認されるのは、恥ずかしい。
それともなにか、ここで誓いの言葉でも言えというのか。妹子は太子をじろりとねめつけた。
「それって、えっちも混み?」
「ッ……!!」
顔面が爆発するかと妹子は思った。
ようやく自分の気持ちを理解しただけで、そんな先のことまで考えてない!
「し……」
「し? しり? おケツ?」
「知りません、バカッ!!」
「でべそっ!?」
至近距離からのボディーブローに、太子は悶絶した。
そのまま、飛び降りるようにして妹子は逃げた。これから、自分たちはどうなってしまうのだろうと新たな問題に懊悩しながら。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

67 :
ナマ注意です。
元青心・高低、現原人バンド唄×六弦です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
最初は、良く見ている大好きなお笑い番組のドッキリみたいなものかと思った
んだ。
おまえ、俺を引っ掛けてるつもりか?なんて。
だってさ、俺、頭悪いからさ、あんな例えしか思い付かなかったんだもん。
――やらしてくんねえか?って言われたら・・・やらしちゃうかもしれない
えっと、それはつまり、“俺はそれだけおまえの唄に、声に、惚れこんでるん
だぜ”、ってのをまあインタビューの場を少し笑わせるつもりでそういう言い
方になっちゃった訳であってさ。
――マー××、あの時言った事、本当?僕がマー××を欲しがったら、本当に
  くれるの?
――ねえ、したいよ。マー××
俺の部屋で、何となく二人でレコードなんかを聴いていた時、あまりにも唐突に
おまえに抱き締められて、耳元でそんな事を言われて。
おまえは相当真剣だったろうに、その時の俺は思わず、隠しカメラはどこだ、と
探してしまった。
「ちょっ、え?ちょっと、待てまてまて」
やばい、このままじゃ押し倒されてしまう。
俺は結構必で腕を突っ張って、おまえから逃れようと身を捩った。

68 :
「マー××、しようよ、したいんだ」
「だっ、だから、ちょっと、・・・っ、待てって!」
思わずおまえを突き飛ばす形になってしまって、一瞬、しまった、と思う。
俺は反動で背中を壁にぶつけて、おまえはよろめいて尻餅をついた。
そしてそのまま、怒られた犬みたいな表情で、俺を見つめる。
「だって・・・マー××があんな事言うから、僕はあれからずっと、その事ばっ
かり考えてて・・・」
カメラはどこだ、何処だ?
俺は落ち着きなく、それほど広くも無い部屋の中をうろうろ歩き回る。でも、歩き
回るうちに、ヒ××は俺に内緒でそんな仕掛け人なんかになる訳ないよな、バラエ
ティに承諾する訳ないよな、てかそんなバラエティねえよと少し冷静になってくる。
でも、ってことはさ、おまえ。
「・・・本気で?」
腰が砕けたようにおまえの前に座り込んで、何度もまばたきしながら呟いた。
おまえは、はっと我に返ったようになって、みるみる赤面した。
「ご、ごめんね!」
僕、何を考えてたんだろうね、とおまえは慌てて部屋を飛び出そうとする。
「あ、・・・待て、って!」
おまえを呼び止めた時点で、その後の展開はもう9割方決まってしまったに違い
ない。後の1割は、もうおまえに全部委ねて。
そして俺がおまえに言ったのは、全くもって頭おかしいとしか思えないほどの、
もし他人に聞かれでもしたら、そのまま窓から飛び降りてしまうほど恥ずかしい
台詞。もうこんな青臭い事は二度と言わないだろうと思っていたのに。

69 :
「ごめん、いきなり過ぎて、ビックリしただけ。・・・多分、ほんとにおまえと
そういう関係になったところで、・・・俺は何も変わらないし、今まで通り、お
まえとやってけると思う。・・・おまえと俺ってさ、もう、これからも、・・・
ずっと一緒にやってくんだしさ・・・。おまえにさ、そんな風に思われてたのは
別に、全然、嫌じゃないし。どっちかってと、・・・まあ、嬉しい、し・・・
で、でもな、心の、準備とか、ある、から、今日いきなり、は、待ってクダサイ」
何とかかんとか、そう言葉を絞り出す。
そうしたら、それをじっと聞いてくれていたおまえはすごくホッとした顔になって、
また物凄く魅力的な笑顔で、俺に頷いた。
ああ、俺は本当にこの笑顔に弱いんだ。
「ごめんねマー××。じゃあ、今度はちゃんと電話して行くから。・・・僕も、
ちゃんとしていくから」
少しはにかんで、立ち上がって、おまえは出て行った。
俺はおまえがドアの向こうに消えるのを見送って、おまえの足音が聞こえなくな
った瞬間、ソファにぶっ倒れた。
おまえに抱き締められた時に伝わった、おまえの激しい心臓の音が、苦しいほど今
俺の胸を打っている。
――ハジめての女の子かよ、俺はイイ年こいて・・・
笑われたい。今、凄く誰かに笑い飛ばしてもらいたい。
俺の言葉にも、全くこれっぽっちも嘘なんて無かった事を。
そうだ、俺はいつだって、おまえになら、何だって―――
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

70 :
ナマ注意です。
元青心・高低、現原人バンド唄×六弦です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
おまえのなすがまま―なんて、君はどれだけ僕を信じてくれているの?
こんなにまで僕に何もかもくれても良いなんて、僕はそれほど価値のある
男だっていうのか?
――そうだよ
息をするように、当たり前のように、君は僕を全肯定する。
君だけ。僕をこんな風に見てくれるのは君だけだ。
欠陥だらけの僕なのに、君の僕を見る目は決してブレたりしない。
僕は自己嫌悪しそうなくらいだ。だって、君がそんなだから、僕は
君の気持ちに胡坐をかいて図に乗っているんじゃないだろうか、僕の
君を思う気持ちは、君が僕に抱いてくれるそれと同じだろうか、
そう自分を疑いそうになる。
そして、何だって僕のやりたいようにさせてくれるのに、君をこれ以上
欲しがるなんて僕は――普通じゃないだろう?
――いいんだよ
ちょっとくらい、僕を否定しておくれよ。一杯あるだろう?
――ない。もう、何も、ない

71 :

いつも見ている筈の、君は今夜幾分違って映る。
僕の気持ちのせいなのか、君も本当にいつもと違っているからなのか。
ドキドキする。僕は怖気づいている。
向かい合っている君が、こんなにも綺麗で。
――本当に、いいの?ねえ、いいの?
あんまりしつこく聞けば、きっと君はもう怒るだろう。
もう、そんな事言っちゃいけないんだ。
分かっているのに、僕は何度でも出てきそうな声を抑え込む。
分かっている、いつだって、最後に決めるのは僕なんだ。
そして僕はもう来てしまったんだ。
長い沈黙を、君は辛抱強く待っている。
君の綺麗な目はいっそう純粋で、綺麗に澄んだ魂までそこに見えるようだ。
頬に触れる。滑らかな、冷たい頬。
こわれものみたいな君は、僕のなすがまま。
目を伏せた君の顎を、指で軽く上向かせる。
大理石の彫刻のような瞼の窪み、繊細に通った鼻筋、薄い唇。
柔らかくうねる長い髪を撫でると、君はふっと幸せそうに貌を綻ばせた。
僕は最高潮に高鳴る鼓動の中、君と唇を重ねた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

72 :
ナマ注意です。
元青心・高低、現原人バンド唄×六弦です。
「月光」からの続き。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
僕は浅い眠りから覚めて、ひたすら途方に暮れていた。
何を考えようとしても、どうしようどうしよう、としか頭の中は回らない。
言い訳なんて何も考え付かないよ。
ベッドの中、隣りには、乾いた涙の跡を残してぐったりと意識の無い君。
一晩中、君を解放してあげなかった。
僕は夢中で、どれだけ君を食べ尽くしても飽き足らなくて、ずっとずっと
君と繋がっていたくて。何度も何度も君を抱いた。
しまいに君が泣いて、もう無理、もう許してと懇願しても、全然止められ
なかった。
揺さ振って、何度も奥まで突き上げて、まともに息も出来ない君の唇を更に
貪って。
掠れた声さえ出せなくなっても、ぐちゃぐちゃに溶け合ったまま、掻き乱し
続けた。

73 :

深い呼吸に合わせて上下する、華奢な背中。
触れるとしっとりと汗ばんで熱く、まだ夜の有り様を残しているようだ。
それは、夜の僕のひどい仕打ちを物言わず突き付けているようで、いたた
まれない。
ああ、ごめんね。本当にごめんね。
乱れた長い髪を何度も撫でる。以前よりは幾らか健康的になったけど、決し
て強くない、やっぱり繊弱な君。肩や首筋に張付いていた黒髪が、僕の指の
間を滑ってゆく。
こわれものみたいな君に、あんな無茶をする気なんてなかったんだ、最初は。
君が幸せそうに笑って、唇が重なった時、理性が吹っ飛んだ気がする。
本当に馬鹿だ、僕は。
ふいに君は身じろぎして、その目がうすく開いた。
ぼんやりと、茶色の目が何かを探すように緩慢に動く。そして僕を捉えた。
「あ、あの、あの・・・あの、」
僕は口をぱくぱくさせるしか出来ない。
「・・・・・」
君はしばらく無言の無表情で僕を見つめていたけれど、やがて気だるげに
身体を動かして、ベッドサイドの煙草に手を伸ばす。うつ伏せのまま煙草
に火を付け、深く吸い込んでからゆっくりと煙を吐き出した。
「・・・オハヨ」
「・・・おはよ、う、ゴザイマス」
そしてまた沈黙が流れる。謝らなきゃ、絶対怒ってるよ、幻滅されてるよね、
そう一人でびくびくしている僕より先に、また口を開いたのは君だった。
「・・・ごめんね」

74 :
「へ?」
「それ・・・」
君は恥ずかしそうに目を細めて振り向き、僕の胸を指差す。
初めて気付いた、君の爪の痕。君の痕が幾つも僕の身体に刻まれていた。
「多分、背中にも付けちゃってると、おもう」
いつもと変わらない舌足らずの口調で、訥々と言う君に僕は思わず泣き出し
そうになる。
「そんな事!全然、何でもないやん。僕の方こそ、マー・・・っ」
怒涛のように謝罪の言葉を吐き出そうとした僕の口を、君は遮った。
僕の頭を引っ掴んで、些か乱暴に噛み付くようなキスで。
驚いて固まる僕の唇を、君はぺろりと舐める。
そして僕から手を離すと、煙草を灰皿に押し付け糸が切れたようにベッドに
沈み込んだ。
「いーんだよ」
僕に背中を向けた君の声は怒っているような、笑っているような、照れ隠しの
ような。
「でも、しばらくは、させてやんねーから」
「・・・はい」
しおらしく返事した僕の声に、君の背中から力が抜けるのが分かった。
なんて無防備、なんて穏やか、君、全然怒ってないんだね。僕は本当に、どう
したらいいんだろう、どこまで君に甘えて、どこまで君を想えばいいんだろう?
僕は君を抱き込んで、その背中に沢山の想いを込めてキスを落とした。
君は僕が回した腕に、優しく手を重ねた。
恋人でもなく、家族でもなく、ただ同じものに掴まれ、同じ歩幅でこれからも
歩いてゆく、どうしようもなくいとおしい、僕のいとしい君。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

75 :
>>66
GJ!楽しくて可愛くて面白かったw

76 :
半生注意でお願いします。
「李総の息/子」先輩ズで、3256。付き合ってない。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「聞いたか謙語」
リングの中へドリンクを投げて寄越して悟朗が楽しそうに尋ねる。
軽く受け取って、口に含みながら視線だけで先を促した。
「面接だ面接。友達面接。あいつら泣いてたぜぇ、不合格食らって須々木と遊べねえんだと」
クククと笑ってリングに背中を預ける悟朗を、少し呆れたように眺めて謙語もロープに凭れる。
「相変わらずぶっ飛んだお袋さんだよなあ」
「それだけ須々木を愛してるんだ。良い母親だろ」
「出たぜ熟女好きがよ」
「だから違うってんだろうが」
「ま、環境は人を変えるっつーのは否定はしないさ」
人気のない部室でふたりの会話だけがぽつぽつと落ちる。
穏やかな時間だった。
窓から差し込む夕陽が眩しい。
「もうすぐ卒業だなあ」
「突然どうした」
「お前の戦う姿を間近で見られるのも、残りわずかってことだ」
もう残っている生徒は少ないのだろう。
部室どころか校庭からも廊下からも、日中の喧騒がない。
放課後の空気だけが校舎を包んで、伸びた日をやけに実感させたのだ。
春が近い。
冬が終わる。
「最近考えるとな。柄でもねえが、ちょっと寂しくなっちまってよ」
「悟朗」

77 :
後ろからぐいと顎を掴まれ、強制的に上向きにされる。
予想よりも至近距離で覗きこまれ、悟朗は僅かに驚いて固まる。
僅かだ。
すぐに笑みを浮かべた。
「情熱的だな謙語」
「茶化すんじゃねえよ悟朗。……お前何が言いたい」
だが悟朗に答える気はない様で、ちゅ、とリップ音をさせてふざけて見せる。
謙語があからさまに眉間にしわを寄せた。
いつもクールぶっている謙語の珍しい反応に、悟朗は顎を固定されたままで気持ち首を傾げた。
勿論固定されているので実際には謙語の右手にその感触が伝わっただけだ。
「謙語ぉ、アゴ外れんだけど」
「入れてやるから安心して外せよ」
「……なんつーか、おっかねえからいいよ」
そろそろ本当に関節が危うい。
ぐぎぐぎと軋むような気がする。
は、と小さくため息をついて、悟朗は少し真面目な眼をして続ける。
「だから、……環境だろ」
「環境だ?」
「不良高校で熱血教師に指導され、母親を探すために五輪を目指す。まあここまでなら美談さ」
相変わらず掴まれたままの顎が草臥れたけれど、話しきるまで放す気はないらしい。
「だが不良仲間といつまでもつるんでいたところで、何も得はないだろう。
 それどころか、あることないこと好き勝手言われて足を引っ張っちまうかもしれねえ」
俺はお前の邪魔になるなんざまっぴらごめんなんだよ。
知らず言い含めるような口調になるが、悟朗自身に自覚はない。
「……つまり?」
「つまり、俺も不合格ってことさ」
話は終わりとばかりに、己の顎を押さえつけている謙語の右手をぽんぽんと叩く。
弛められるはずのそれは、けれどそのまま悟朗の顎を固定する。
いい加減に放せと言いかけたその唇を、声を封じる様に塞がれた。

78 :

左手で。
「……ふぁんのふもりふぁけんふぉ(何のつもりだ謙語)」
「お前、友達不合格って覚悟あんの」
「ふぁ?(あ?)」
怪訝そうに眉を寄せた、悟朗の唇を覆ったままの自身の左手に口づける。
やはり「ちゅ」と音を立てて。
「友達じゃなくなっちまったら、次はこれなしってことだぜ」
まん丸く見開いた目の前で、「これ」とひらひらと左手を振ってやる。
そのまま顎も解放して、固まる悟朗の横をさっさとリングから降りてしまう。
顎を定位置に戻す動きはぎこちなく不自然ではあったが、外れはしなかったらしい。
シャワー室へ消える謙語の背中はあまりにも普段通りだ。
冗談だったのかと悟朗が強張った肩の力をふうと抜いたところで駄目押しの声が飛ぶ。
「卒業式が楽しみだな、悟朗」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ノヅマさんの蓮っ葉な口調が難しすぎてちょっとおかしくなってる。
それ以前に着地点を見失っているけれど、もうすぐ最終回の悲しみの勢いで。
先輩ズ可愛いよ先輩ズ!

79 :
>>76
久しぶりに見に来たら…GJ!!
3256大好物です

80 :
>>76
まさかの392先輩押し展開にときめいた
56かわいいよ56

81 :
>>80
自己レス32ネ先輩だった そしてsage忘れごめん
ちょっとサンドバッグになってくる

82 :
>>76
まさか棚で3256見れるなんて思わなかった!
56の顎が無事で何よりw
32561143256!萌えをありがとう!

83 :
>>26 27
亀だけど縦読み乙
でも正直微妙〜
「お愛ぼい」とか読めないし。造語?意味は?
「るこう草」って何?脳内植物?
おおっぴらに出来ない萌えを投下できる棚に感謝してるなら
口にしない方がいいよ。変な縦読み鼻につく

84 :
>>83
申し訳ないがあからさまな絶許狙いは

85 :
>>83
お前さんは何と向かい合ってるんだ?
調べるとかしないの?恥ずかしいよ

86 :
RPG風異世界ファンタジーです。
とくれば魔王×勇者!と思ったんですがとりあえず触手×戦士になっちゃいました。
かなりニュルニュルしますんで苦手な人はご注意ください。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
戦士は窮地に陥っていた。
魔王討伐のパーティに加わって1年、とうとう魔の城にたどり着き、魔王に相対した瞬間、彼と魔王以外が消え去ったのだ。
突然仲間を失ってうろたえる戦士に、魔王は落ち着きはらって言った。
「ここは時空を超えた場所だ。お前以外の者たちはすぐそこにいるが、時の流れの違う場所にいる」
「……どういうことだ」
「これを見るがいい」
魔王が手をかざすと、暗闇の中に仲間たちの姿がぼうっと浮かび上がった。
確かにすぐそこ――さっきまでと同じ場所に立っているのに、薄暗く、石像のように動かない。
しかも、なぜだか手の届かない、はるか遠い場所にいるかのように感じる。
「私はお前だけを連れてここに来たのだ。ここで何時間、何日、何年経とうが、彼らは動かない。彼らにとっては一瞬の出来事なのだ。この中でどれだけ時が経とうともな」
「何だと……?それじゃ、お前の相手は俺一人でしなきゃならねえってことか」
「私は一対一でゆっくりと話し合う主義でな」
魔王はわずかに唇を丸め、ふっと息を吹きかけた。
戦士の金色の前髪がふわりと揺れた一瞬の後、猛烈な風がその兜を吹き飛ばした。
握り締めていた剣の柄が右手から放れ、大剣が宙に舞う。
「なっ……!」
魔王は美しい唇をつり上げて、優雅に笑った。
「まとめて相手をして、すぐに終わってしまうのもつまらない」
「ふん……勝手なことを。俺は一人だって充分貴様と戦える!」
「剣もなしにか」
「そうだ!」
戦士は素手のまま、すばやくダッシュする。
「ほう……!」
元々の脚力と風の加護を受けた靴の効果で、信じられないスピードで魔王の正面に近づいた。

87 :
魔王は掌を翻し、防御しようとした。
その瞬間、戦士の姿が消えた。
はるか空中に飛び上がった戦士が、真上から魔王の頭を狙って拳を叩き込む。
「くらえッ!」
だがその拳は、相手をすり抜け、地を砕いた。
魔王は傷一つなく、戦士の背後に立っている。
「くっ……!」
「なかなかのスピードだ。人間とは思えん。……しかし、私が時空を操れる以上、あまり意味がない攻撃だ。お前の時間を止めることができるのだからな」
魔王の指輪が光った。
戦士の体が石のように重くなり、一切動けなくなる。
「お前の意識だけを残し、体の時を止めた。どうだ?これでも戦えるかな」
「…………!」
しゃべろうとしても、体どころか口も動かなかった。
「人間たちは定期的にお前たちのような者をここへよこしてくれるな。だがお前たちのような生命力のある人間は久しぶりだ。生け贄にはちょうどいい」
突然地面がぐにゃりと柔らかくなり、巨大な植物の蔓のようなものが大量に湧き上がった。
抵抗する間もなく、戦士の手や足に蔓が巻きつき、絡みついていく。
「うわっ……!」
魔王が術を解いたらしく、ようやく声を発することができた。
だがなす術もなく戦士は空中で植物に絡め取られ、じたばたともがいた。
蔓だと思ったものは、奇妙な粘りを帯びた触手だった。
這った後にナメクジのように透明な粘液を出し、それに触れた靴や手袋だけでなく、硬い鎧までもが煙を上げて溶け出した。
「心配はない。魔樹の粘液は人体まで溶かしはしない。大事な栄養源を失うわけにはいかないからな」
「栄養源だと!?」
「言っただろう、生け贄になってもらうと。お前たちのような、普通の人間の何万倍ものエネルギーを持った者は貴重なのだ。
たった一人を食うだけで、他の何万人を食う手間が省ける」
「俺を、食うのか……っ」
「ふふ、食うと言ったのは比喩だ。優秀な魔族は人間をさず、質の高いエネルギーだけを吸う。我々の生命を維持し、種を存続するためのエネルギーをな。
だがここしばらくはそんな人間も現れず、エネルギーも尽きてきた。差し当たっての急務は、そこにいる絶滅危惧種の魔樹の子孫を増やすこと……
ちょうどお前のような丈夫な苗床を待っていたところだ」

88 :
シュルシュルと触手が巻きつき、戦士の体を這い回る。
「うあぁっ!?」
「心配するな、したりはしない。それどころか、お前ほどの肉体なら永遠に生きることすら可能になるのだ」
「触るなっ、汚らわしい魔物めッ……あっ、あぁっ!」
触手は戦士の下着まで溶かし、戦士の下半身に直に触れてきた。
「な……にを……っ!」
「お前が苗床にふさわしいかどうか調べているのだ。よほど丈夫な人間でなければ、卵を産みつけても孵化する前にんでしまうからな」
「卵……だと……!?……ぅあッ!」
ビクン、と戦士の体がはねた。
粘液が肌に触れたところがじんじんと疼き、痛みとも痒みともつかない奇妙な感覚を帯びた。
性器に巻きつかれ、ぐねぐねと締めつけられると、戦士は思わず声を上げて身をよじった。
「魔樹は媚薬を使って人間を高ぶらせる。そのほうが同じ量でもエネルギーの質が高まり、供給もスムーズになるからだ。
お前はこれからすばらしい気分を味わい、喜んで魔樹にエネルギーを差し出すことになるぞ」
むき出しになった尻たぶを開き、一本の触手が孔の周りを這い回る。
入り口の周りを丹念になぞって粘液を塗りつけると、先端をするりと潜り込ませた。
「あァっ、入…る、な……っ!」
じわじわと粘液を放出しながら、中を探るように触手がうごめく。
触れられたこともない場所に怪しげな毒を施され、ビクッ、ビクッと戦士の体が引きつった。
ひとしきり調べ終わると触手は一度引き抜かれ、その先から、さらに細い半透明の卵管が現れた。
その中には、表面に細かな触手が生えた、魔樹と同じ緑色の丸い卵が数個、透けて見える。
「気に入ったらしいな。生命エネルギーも充分らしい。……卵を宿すに相応しい肉体だ」
「やっ……、やめろっ……、あぁぁっ、あぁー……!」
卵管から卵がにゅるりと押し出され、戦士の後孔へと飲み込まれていく。
小石ほどの大きさの丸い卵は粘膜で覆われ柔らかな弾力をもち、腸壁をぐにぐにと刺激しながら奥へと潜っていった。
――卵を……、産みつけられた……!
二個、三個と続けて入っていく卵は、それぞれが足のように柔らかく細い触手を何本もうごめかせて、自らの居場所を探すように移動していく。
「や、め……っ、……んっ、んぅぅっ!」

89 :
下腹部に力を込めて卵を押し出そうとしても、卵はびくともせず、いっそう奥へと入り込んでいく。
――ちくしょう、……魔物の……卵がっ……!
おぞましさに体を震わせながら、戦士は卵を押し出そうと下腹部に力を込め、思い切り手足を振り回した。
しかし暴れれば暴れるほど、魔樹の力も激しさを増す。ぬめった触手が中に入り込み、みっちりと内部を圧迫し、卵をさらに押し込んでいく。
中の卵が押されて擦れ合い、内側の粘膜を押し広げる度に、ぞくっと電流が流れるような刺激に襲われた。
全身に力が入らなくなった隙に、触手がぐっと卵を押し込んでくる。触手はだんだん太さを増して内部の襞を広げながら、入り口ぎりぎりまで引き出されては中へ突き入れられる動きを繰り返した。
「あふっ……!……ぅあッ!」
突かれる度に戦士の体がびくんと震え、抵抗する意思が少しづつ、だが確実に削ぎ取られていく。
魔王はその姿を見て、満足げな笑みを浮かべた。
触手が戦士を愛しむように襞を擦り上げる。
そのスピードは徐々に速まっていき、溜まった粘液がじゅぷじゅぷと淫らな音をたてた。
「あっ……、ぁヒっ……!」
耳を覆いたくなるような情けない声が漏れた。
しかし下腹部から脊髄を貫き脳を侵す快感は、その屈辱さえも麻痺させ、全身を揺さぶった。
もはや声も出なくなり、戦士は背をのけぞらせ全身をガクガクと痙攣させながら、ついに精を放った。
性器に巻きついた魔樹の触手がそれを絡めとり、吸い上げる。
その感触にさえ、びくん、びくんと身体がはねる。
やがて力尽きた戦士の体からぐったりと力が抜けた。
すると魔樹の動きも少し緩やかになったが、まだ動きを止めることはない。
ひくひくと余韻に震える孔に、触手は相変わらずゆったりと抜き差しを続けている。
一度捕らえた獲物を支配下に置くために、入り口の襞に媚薬である粘液を染み込ませ続けているのだ。
戦士は抵抗する術もなく、触手の動きに身を任せるしかなかった。
「どうだ、魔物の卵を孕んだ気分は。卵にとってはお前の快楽こそが糧となる。今はさぞ気持ちがよいだろうな」
「……黙…れ……、こんなもの……!」
魔王の嘲笑に戦意を取り戻し、戦士の目が鋭く光る。
もう一度全身で触手に抗い始めた。

90 :
だが魔樹はそれに反応するかのように再び戦士の全身を締め上げ、後孔の奥深くまで差し込まれた触手が容赦ない抽挿を始めた。
「ひッ……!やめっ……動く、なっ……あ、あっ、あっ、あっ……!」
触手が奥を突くたびに、戦士の顎がガクガクとのけぞる。
魔の薬に痺れた下半身は全く言うことをきかず、別の生き物のように激しく動き、痙攣した。
全身を硬直させ涙を流しながら、戦士は強すぎる快感に耐えるしかなかった。
「ふふ……。魔樹は支配欲の強い生き物だ。お前が抵抗すればするほど、抑え込む力もまた強くなる。楽になりたければ、服従すればいい。
お前が素直に従えば、魔樹もお前を優しく扱い、最高の快楽を与える。そうすれば、お前を苦しめるものは何も無くなるぞ。
お前は快楽を得ることしか考えられなくなり、すべてを忘れて魔樹の虜になるのだ」
「だ、誰が……服従などッ……!」
戦士はまた全身に力を込める。だが結果は同じだった。
彼が狂ったように手足を振り回しても、魔樹がそれをしのぐ力で押さえつけ、内部を抉りながら粘液を注ぎ込む。
鍛え上げた筋肉も、体の中を責める触手と媚薬には無力だった。
戦士は快楽にうち震え、精を零して力尽きる。
一瞬緩やかになった攻撃の合間に、戦士は息を整え、再び抵抗した。
だがそれもむなしく、戦士は無限に続く快楽の中、意識を手放すまで犯され続けた。
その凌辱は果てしなく繰り返された。
絶望の中、どのぐらいの時間が経ったのか分からない。
戦士の体を覆っていた鎧は魔樹の粘液ですっかり溶け落ち、露出した全身の肌の上を無数の触手が這いずり回っていた。
ぬるぬるした液体に覆われた乳首を触手がしつこく弄ると、戦士は鼻から抜けるような声で喘ぎ、身をよじった。
手足には何重にも触手が絡みつき、全身を拘束しながら舐め回すように這い回っている。
あらわになった秘所には代わる代わる触手が突き刺され、産みつけられた卵に滋養を与えるためなのか、数分おきに生温かい粘液がたっぷりと注入された。
その度に戦士は気が狂いそうな快感に襲われ、性器は本人の意思に関係なく熱を持って、痛いほどに張り詰める。
魔王の支配する時の中で、戦士はもう何日もこうして魔樹にいたぶられ続けているような気がした。

91 :
それでも、戦士は気力を振りしぼり、涙に潤んだ碧眼を魔王に向けてにらみ続けていた。
「さすがだな。体内に卵を宿したまま、これだけの責めを受けてまだ正気を保っていられるとは……。
並大抵の人間なら、既に力を吸われすぎて廃人になっているか、息絶えているところだ」
「……ふざ…ける……な……」
「それでこそ、選ばれし勇者と共に旅をしてきた戦士だ。お前の体力と精神力には敬意を表そう。だがそろそろ卵も育ってきた頃だ……お前には、果たすべき役割がある」
「……!あ、ぐッ!」」
戦士の顎に魔樹の触手が巻きついた。
無理やり口を開けさせられ、その中に粘液にまみれた太い触手がねじ込まれる。
「んぅぅっ!んぶっ……!」
「お前はその卵を孵化させ、その子らの母となるのだ。魔樹の子を生んだ後も、お前の豊かなエネルギーは魔樹たちのすばらしい糧となろう。
そしてその見返りに、お前はこれ以上ないほどの快楽と永遠の命を得るのだ」
ゴポッ、と音がして、触手から口内へ大量の粘液が注がれた。
「ンンっ……、ン……っ」
吐き出すこともできず流れ込んできた液体は粘度が高く、不快に喉に絡みついたが、味は花の蜜のように甘かった。
ごくりと飲み込んだ途端、上等な酒にでも酔ったかのように目のふちがほのかに温かくなり、視界がピンクのもやに包まれていく。
「……ぁ……」
何とも言いようのないふわふわした感覚が脳を侵し、必に保っていた強い意思が急速に萎えていく。
粘液に覆われた触手が首元や髪の中、さらには顔全体を包み込むように絡みつき、透明な媚薬を塗りつけながらニュルニュルと動き続けていた。
何本もの触手に口の中まで蹂躙され、戦士の全身から力が抜けていく。
――ダメだ……ここで、屈してしまったら……俺は……!
その時、下腹の辺りがじわり、と温かくなった。
――何だ……、これは……?
卵が割れて、とろりとした粘液が溢れ出すのを感じた。
その瞬間、戦士の下腹部に衝撃にも似たすさまじい熱が走った。
「んんっ……、んぁあぁぁ――っ!」
粘液の中から、熱い溶岩の塊のような何かが動き出した。
魔樹の幼生だった。

92 :
規制大丈夫かな?
念のため支援入れときますね

93 :
腹の中でうごめく魔物の感触に、戦士の意思に関係なく腰がガクンガクンと大きく揺れだした。
「ぉ……ンっ、……んんっ、ンッ、ンッ、ンッ、ンッ」
生まれたばかりの数匹の幼生は重なり合って所狭しとうごめき、奥深くをまさぐり、無数の触手を伸ばして自らがまとう粘液を戦士の体内に塗り広げていく。
その粘液は強烈な媚薬となって、戦士の下腹部を焼いた。
「んぐっン、……んンーっ……!」
戦士の中心が大きく反り返り、大量の精を放つ。
体中に巻きついた魔樹は触手を伸ばしてそれを飲み込み、戦士の口に差し込んだままの触手から同じ量の透明な粘液を吐き出し、喉の奥へと注ぎ込んだ。
「ぉッ……ぐ……っ」
戦士は涙を流し、痙攣しながら、それを飲み込んでいく。
じん、と体中に甘い毒が走る。
限界を超えた快楽に脳が痺れる。
もう、何も分からなくなっていた。
飲み込みきれず口から溢れた液体を魔樹が絡めとり、再び戦士の口元へと運ぶと、彼は無意識に舌を伸ばして透明な媚薬を舐め、啜った。
戦士は歓喜に震えながら、魔樹が与えるすさまじい快楽の渦に取り込まれていた。
その体がビクン、と大きく痙攣した。
――何か……出るっ……!
腰ががくがくと震えた。
「ぅあ……、ぁ……!」
彼が言葉にならない声をあげると、触手が彼の両足を大きく持ち上げ、ゆっくりと左右に広げた。
開かれた秘部は魔王の視線のほうへと向けられる。
――魔王が…見てる…前で、……俺…は……!
じっと注がれる視線に、戦士は不快感よりも不思議な興奮を覚えていた。
乱れる息の中で桃色の舌が震え、透明な涎の糸がひとすじ、顎へと流れ落ちた。
ヒクヒクと震える後孔から粘液が溢れ、ぬめぬめと光りながら、柔らかい魔樹の幼生らしきものが徐々に姿を現す。
――生ま……れ…る……っ!

94 :
限界まで広げられた孔の縁から、ずるり、と一匹目が這い出した。
見開かれた戦士の両目から涙が溢れ、瞳が上瞼の裏に隠れた。
「あぉ……、ぉ……ッ」
一番太い部分が通り抜ける瞬間、限度を超えた快感に、戦士は白目を剥いたままガクッ、ガクッと全身を震わせた。
後孔から這い出た幼生は戦士の尻に名残惜しそうにまとわりついた後、ゆっくりと触手を伸ばして床へと滴り落ちた。
続けて二匹、三匹と生まれてくる魔樹の幼生を見ながら、魔王は目を細める。
「ほう……。久しぶりだ。こんなに色つやのいい魔樹が生まれるのは」
媚薬を放出しながら這い出てくる幼生が襞を刺激して、戦士は痙攣を繰り返す。
性器からはとろとろと半透明の液体が流れ続けていた。
「なるほど、出産こそが苗床にとって最高の快楽だと聞くが……どうやら真実らしいな」
「……あぁぁ……はぁぁ……ぁぁ……」
魔王が見ている前で、戦士はもはや口を閉じることもできず、涙も涎も垂れ流すままだった。
体内に残った卵の残骸を触手に掻き出されるだけでも、戦士はビクビクと太腿を引きつらせて悦楽に悶えた。
腹の中が空っぽになり、戦士が放心したのもつかの間、生まれたての幼生たちが戦士の腰に巻きついてくる。
「あうっ……」
幼生たちは先を争うように戦士の秘所に足を差し入れ、淫靡な刺激を送り込んできた。
別の触手は性器に巻きつき、拙い動きで精を搾り取ろうと動き始めていた。
「礼を言うぞ、人間の戦士よ。お前はこの魔樹たちの母となった。あとはこの子らがよく育つよう、栄養を与え続けるのだ」
「……えい……よう……」
戦士は蕩けた目で魔王を見上げた。
ぐちゅ、ぐちゅ、と後孔を触手が出入りしている。
快感に揺れる戦士の瞳を見つめながら、魔王は微笑んだ。
「そうだ。お前はただそうして思う存分魔樹に抱かれているがいい。魔にとってはその快楽こそがすばらしい栄養となる。
お前はこの魔樹たちの親だ。親は子に食べ物を与え、育てるものだ。そうだな?」
「…………は……い……」
――そうだ……親は子を育てるもの。
何も不思議には思わなかった。
自分は、この子らの親なのだから。
自分はそのために生まれたのだと、自然に信じることができた。

95 :
魔王が手の甲を差し出すと、戦士はぼんやりと焦点を失った瞳を向け、そこへ吸い寄せられるように唇を寄せた。
なぜだか分からないが、そうしなければならないような気がしたのだ。
口づけをした瞬間、エメラルド色だった戦士の瞳は、魔王と同じ血のような真紅に変化し始めた。
魔王に忠誠を誓い、その許しを得た者は、永遠の命を持つ魔族に生まれ変わるのだ。
幼い魔樹の触手が、ぐぐっと体内に入り込み、餌をせがむように強く擦りつけてくる。
戦士は喜びの吐息を漏らしながら、腰を揺らめかせた。
「あ……、また、出る……、出…るっ……あ、あッ、あァ……ッ」
ビクン、ビクンと体を震わせ、戦士が放った精を、魔樹が吸い尽くしていく。
その報酬として、魔樹は新たな媚薬を戦士に与えた。
戦士は触手に吸いつき舌を這わせ、溢れる透明な粘液を夢中で飲み下していく。
そして再びその体はますます熱を帯び、快楽の輪は無限に続いていくのだ。
触手の先から卵管が伸び、その中にいくつもの新たな卵が見えた。
戦士は自ら両足を開き、期待に胸を震わせながら、それらが体内に注入される瞬間を待った。
「あぅ……っ、うふぅ……っ」
卵管が奥深くへと入り込み、魔樹の卵を次々と体内に埋め込まれていく感覚に、戦士はたまらない喜びを感じ、泣きながら悶えた。
淫液でできた水溜りにぽとぽと涙が落ち、触手に抱かれ快楽に身をくねらせる戦士の姿が映し出され、揺らめいている。
そのすぐ側には、魔王を斬るはずだった大剣が転がっていた。
刃先は既に魔樹の粘液に侵され、ボロボロに錆びている。
いずれ、剣そのものが跡形もなく溶け去ってしまうだろう。
魔王はそれを一瞥し、笑った。
「そうだ……それでいい。お前はその身も心も、魂までも、我々に捧げ続けるのだ……永遠にな」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
BLで触手堕ちってあんまり無いから自分で書いてみた。
途中で総数増えました、スイマセン。支援ありがとうございました。
パーティの残りの面々の分もそのうち書く……かも。

96 :

…ふう

97 :
>>86
触手堕ちとか超萌えたー!

98 :
半生注意です。
ドラマ「李総の息/子」より息子×鰐。フェラーリ、扱き合い?有りです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「鰐河ダメだって腕噛んじゃ。…そんなに声聞かれるの恥ずかしい?」
「ぅ…ぁ、んっ、たり前っ…だ…!」
どうしてこんな事になってしまったのか。
――――――――――――――――――――――――――
その日、少し遅刻して学校へ来た鰐河は教室への近道だと体育館方面へ向かって校内を歩いていた。
遅刻した理由は大した事ではなく、ただ何となく朝がダルいとか学校行くのめんどくせぇとか、その程度の事だった。
ヤンキーだらけの学校なので、そういった遅刻理由は珍しくはない。
「わーにっかわ!」
だらだらと一人外の渡り廊下を歩いていると、突然何者かに後ろから抱き着かれた。
「うぉっ!?…なんだ涼木かぁ、お前も遅刻か?」
いきなり抱き着かれた衝撃で若干前のめりになりつつも、自分より相手の方が小柄で軽い事もあって鰐河は転ばずには済んだ。
へへ、と無邪気そうに笑うこの男は、同じクラスの涼木台地だ。

99 :
「近道しようと体育館側周ったら、姿勢の悪〜い背中が見えたからな。」
そういって鰐河の腰に抱き着いた台地は、いたずらな笑みを浮かべる。
「うっせ!お前より背がデケェんだ、姿勢伸ばして過ごしてたら疲れちまうだろ」
よくわからない理論を語りながら、鰐河も台地につられてニヤリと笑う。
なんだよそれ、嫌味か〜?と、お互い憎まれ口を叩き合いながらクスクスと笑い出す。
「ってか、お前いつまで引っ付いてんだ?いい加減離れろよ」
「ん〜?いやぁ、鰐河って普段長ラン着ててよくわかんなかったけど、こうしてみると意外と細いなと思って」
ギュッ、と腰に回した腕に力を込めて台地が言った。
「バーカ、お前には言われたくねっつの。俺なんかよりずーっと細っこいくせしやがって」
確かに台地は鰐河に比べて背も、体型も、顔も全て可愛らしく、まるで女子のようだった。
しかし、前に二人が対決した時に台地は鰐河の前歯を拳で4本折っている。
「全く、そんな細ェ体でなんであんな力強いパンチが打てんだろうなぁ?」
鰐河が不思議そうな顔で台地を見つめる。
すると、今まで無邪気そうな表情を浮かべていた台地の顔が微かに歪んだ。
「…多分、力の入れ方とかじゃない?」
「涼木…?」

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