2013年01月エロパロ694: 病弱少女のHなSS 第二病棟 (761) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

【ふくよか】ぽっちゃり娘でエロSS (126)
花咲くいろはでエロパロ (358)
だめぇ 激しくゆさぶらないでぇぇぇぇぇぇ (230)
先生とHな授業を・・・・・ (258)
【GENESIS】川上稔作品エロパロ16冊目【AHEAD】 (158)
【陰湿】レズいじめ2【ドロドロ】 (117)
嫌われる女の子 (310)
女にだいしゅきホールドされて強制中出しさせられる (133)

病弱少女のHなSS 第二病棟


1 :2008/05/25 〜 最終レス :2013/01/01
病弱少女を題材にしたSSを書き込むスレです。
病弱少女であれば純愛、陵辱どちらでも歓迎。
次スレは>950を取った人が立てましょう。
※又はスレ容量が480KB近くになったら次スレを立てて下さい。
@前スレ
病弱少女のHなSS
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1183997747/
@関連スレ
【心と】  障がい、不自由のある日常  【身体】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204098249/
盲目の美少女と
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1159362829/
【内診】病院でエロストーリー4【身体検査】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1177913689/
@保管庫
http://www9.atwiki.jp/byoujaku/pages/38.html

2 :
>>1

3 :
1さん、乙です!

4 :
今宵も病弱っ子が少しでも回復する事を祈って・・・
>>1

5 :
>>1
乙。

6 :
>>1
乙!

7 :
前スレでは>>1の次スレガイダンスなんて笑い話だったんだよなぁ
みんな乱立糞スレの1つ扱いしてて
なんか感無量だな

>>1乙!また頑張っていこうな

8 :
>>1乙!
このスレでも保守ネタはあるのかなぁ。
最近見て無かったから、なんか寂しい。

9 :
前スレ最後の埋めネタの続きは無いの?

10 :
今朝>>1さんが隣の病室に移ってきた。
何でも、転院してきたそうだ。
俺は今日も病室の窓から空を眺める…
これから楽しい日々が始まりそうな予感。    

11 :
それが>>10の最後の思い出でした

12 :
そう、>>10はもう長くない命だったのだ
結局>>10>>1とは一回も会えず、その短い一生を終えた

13 :
>>11-12
はえーよw

14 :
んだwww

15 :
1さんを独占しようとする人間には厳しいな
埋めネタの続きはきっと忘れた頃に芽吹くと思うから…
だから、10の気持ちは土の中に埋めさせてください

16 :
>>10が逝ってから早二ヶ月、もう、夏と呼んでも良い時期になった。

17 :
>>10カワイソス。
最初は、派閥争いに敗れ
孤島の診療所に逝った医師かと思ったが
現実は残酷だな。
今更ですが、
>>10さんのご遺徳を偲び、哀悼の意を表します。

18 :
急患が運ばれて来た様だ!>>17先生、手術室までお急ぎ下さい!
・・・・こうして>>19の入院生活が始まった。   

19 :
せめて・・・このスレの最初のSSが見れるまで生きていたいよ・・・

20 :
「どうしてこんな患者を引き受けた。>>17先生」
「院長…。わたしは、わたしはどうしても…>>19を…」
「今まで成功例が無いんだぞ。>>19になれでもしたら、わが病院の名倒れだ」
「……」
「ここの>>17先生は凄腕って聞いてた。きっと助けてくれる…」
>>19>>17が担当医から外されようとされているのを知らない。

21 :
「それでも、それでもわたしは>>19を助けたいんです!」
「責任も何も取れない人間が何を言っている? 絶対成功する自信があるとでも?」
「わたしは、必ず成功させます! 決してこの病院を貶める事にはしません!!」
「……なら、勝手にするがいい。辞表の用意はしておくんだな」
そう言って、背を向けた院長の手には何度も読み返されているかのように薄汚れた>>19のカルテが握られていた。
院長が勇気を振り絞れず、>>17に全ての信頼を寄せた事を、>>17は知らない。
「……! ありがとうございます!」
彼の嬉々とした謝礼の言葉は、院長の背中に突き刺さった。

22 :
一方その頃>>1は・・・!

23 :
前スレのも含めてますます保守ネタ保管しておきたくなっちゃうなあw
新スレ一発目のSSも楽しみだわw

24 :
10のお見舞いに来ていた俺の前に1枚のコピー用紙が落ちてきた。
風に乗って何処からか飛ばされてきたのだろう。
俺は何気なくそれを拾い上げた。
よく見ると、小さく可愛い字で何か書かれていた。
10くん、可愛い男の子、病弱

xxx先生と絡めると面白そう

お見舞いにくる友達との三角関係に発展!

保守ネタ?
………。
看護婦さんに声をかけられるまで俺の意識は何処かに飛んでいたようだ。
俺から原稿を受け取ると看護婦さんは物凄い勢いで走っていった。
今日もいい天気だなあ…と、俺は思わず空を仰ぎ見た。

25 :
>>17医師による最初の執刀が行われた。
>>19が次に目を覚ました時、悪性腫瘍の一部は切除されていた。
しかしまだどこに転移しているか分からない。

26 :
……これで良し、か?
カルテをまとめていた私は区切りをつけて一息をついた。
>>19の今後、>>1の安否、気に掛かる事は沢山あるが、それらの結末はまだ分からない。
私は席を立つと、カルテを提出する為に席を立った。

第二病棟の保守ネタは保管したが、あんな感じでおk?
足りない所は改編、追加、よろしくお願いします。

27 :
この方式だと初代が大変すぐる…。
簡単な人物紹介みたいなのにしたほうがいい気がする。
2-10 隣の病室に1が越してくるも出会うことはなかった悲劇の男
みたいな?
いじりまくりでごめんね、思い出を地面に埋められた10の人。

28 :
正直前スレの保守ネタは引きずって欲しく無いな。
つか今保守ネタ書いてる奴なんか必すぎて萎える。
それだけ書けるんなら投下してくれよ。

29 :
>>28
同意。
前スレの保守の流れは自然でよかった
後半は無理に保守ネタに走ってた感があったけど

30 :
>>28-29
だな
前スレでも誰か書いてたけど、「そんなに保守キャラになりたいのか」てのは観てて萎える。
それになれ合いが過ぎると職人も投下しずらいだろうし。
自然に行こうぜ、新しい>>1のキャラはそのうち生まれるだろう。

31 :
えー保守ネタの皆さん前スレの>>453を読みましょう
ホントその程度のものだったのです
ですからあまり強引なストーリー仕立てはなりきりになっちゃうので気をつけましょう
せっかくの暖かいスレが荒れちゃうのは凄く惜しいです
あくまでちょいと楽しいGJ!と保守、という事で
偉そうな事書き込んじゃってゴメンナサイ
まあ病院ではお静かにって事で

32 :
>>31
なんでそこで>>425なんだようぜぇなぁ
あのあたりからなりきでウザくなったのに。
お前も>>30がまとめてるんだか出てくるなよ。

33 :
まあ、つまり全体を要約すると…。
SSの投下まだー?ということになるな。
31は病室はお静かに、の間違いでは?
窓の外を眺めながら新作をのんびり待つことにする。

34 :
SS待ってる間に自然にネタが入るのが理想だな

35 :
>>34
生涯で始めて感じる感情を上手くコントロール出来ないのだろう。

36 :
>>35
今更だけど誤爆です。

37 :
>>35
と、言う難病でリサイクルはどうだろう。。
「あんたなんか好きでも嫌いでもないからぁ!」


あ、先生さん、俺に睡眠薬をくれませんか

38 :
糞!俺には保守することしかできないのか!?

39 :
救急車のサイレンを聞いて思い付いた話を保守代わりに投下。
俺は今、救急車の中だ。天井は暗く、音も遠くなってきた。
ぼんやりと、ここで俺はぬのか…とある種の諦めの様なものを覚えた。
遠ざかって行く誰かの声を聞きながら俺は闇に身を任せた。
次に目覚めた時、朝だった。シーツの白が眩しい。
枕元を見た。ご丁寧に様付けの名前と血液型が記された紙が刺さっている。
俺を見た女性看護士が走り去っていく。数分後、俺のオヤジより少し若そうな先生がやって来た。
「気が付いたかい。今日は八月二日、三日間君は寝ていたんだ。」
医者はこの他に容態、現状を説明し去っていった。
俺は頭を強打していた、腹に裂傷があったらしいが全く気付かなかった。
あの時は、腹の感覚はおろか、痛みさえ知覚出来なかったのだから。
包帯が腹と頭に巻かれていた。そのせいか腹がザックリと言われてもイメージが沸かない。
少し動いただけで鈍痛が襲ってくる。シャレにならない痛みだ。
そんな感じで一ヶ月が経ち、病院内をリハビリ代わりに歩いていた時、"彼女"と出会った。   

40 :
「ハァハァ…ハァ…すみません…誰か呼んで…ハァ…貰えません…か?」
俺は自販機の前でうずくまっている女の子に助けを求められ、迅速に行動した。
「ありがとう、後数分遅かったら危なかったよ。彼女がこれを君にって…」
俺は彼女の担当医と思われる医師に礼を言われた。
一緒に手渡された紙を見てみた。
"先程は有り難うございました。今度良ければお話しませんか? 502号室・信濃早紀"
俺は明日、502号室に行く事にした。女の子に手紙を貰ったのはこれで三回目だ。
もっとも、一回目の手紙の内容は“ね、ウザい、首吊れ”だったが。
ベット上でニヤけていて向かいのベットの鈴木さんにからかわれたりした。
俺の頭は明日の事で埋まった。
投下中断。時間が出来次第投下。タイトル未定。  

41 :
gj
君には続編を書く義務があるようだ
そういや今日は救急車を二回も見たな

42 :
つかみが巧すぐる〜。
wktKで待ってるよ。

43 :
何、続くとな…? 期待してます。

44 :
投下します
今、俺は早紀さんと学校について話をしていた。
病室中が聞き耳を立てているので色気のある話は出来なかった。
今朝の俺はかなり興奮していた。ま、妄想を繰り広げていただけなのだが。
コツンコツンと樹脂のサンダルがいつもより大きく音を立てる。
ガチガチに緊張しながら502号室に辿り付いた。
名前を見て六人部屋だという事に気づいたが、まだ緊張が抜けない。
学校の職員室で、「●●先生はいらっしゃいますか?」と言う時の感覚だ。
窓際左手側のベットの前で止まり、カーテン越しに声を掛けた。
「信濃早紀さんですか?藤代卓也です…あの…手紙をいただいた者ですが…」
すぐにカーテンの向こうから返事が帰ってきた。
「どうぞ、そこの椅子に掛けて…よろしくね。藤代君。」
美しい。それが俺の感想だった。あの時はそれどころでは無かったからな。
彼女は病人服に点滴、と色気もお洒落も無い格好だったけど、とても美しく存在感があった。
何で入院しているのか?はNGワードに登録し、話題に上らないようにした。
日常の事、病院のテレビを通して見た世界の事などが話題に上った。
「藤代君って歳幾つ?」信濃さんに聞かれた。
    

45 :
「16歳、三河高校一年六組二番」
俺はご丁寧に聞かれてもいない学校名、クラスまで答えてしまった。
信濃さんは笑いながら、「私と同じ歳なんだね。ところで藤代君の学校ってどんなところ?」と聞いて来た。
「丘の上にあるんだ。バスで通学する奴と自転車通学が大半かな。」俺はその他に食堂の話や、自転車最速王の話をした。
「今度は私の番だね。私の学校は仏教校で、女の子と男の子が3:1の割合なんだ。でも、私は二ヶ月しかまだ通って無いの。入院しちゃったから。」
信濃さんは少し悲しそうだった。
そして、お昼が近づいて来たので病室に帰る事にした。
「これからも話し相手になってくれますか?」信濃さんが不安そうな顔で聞いて来た。
俺は笑顔で「よろこんで。また来るよ。」
信濃さんが笑顔で「友達になりませんか?」と聞いて来た。
俺はまた「信濃さんとならよろこんで。」と言って病室を出た。
昼飯がいつもより美味しく感じた。
投下終わり。時間が出来次第投下。
   

46 :
GJ
仏教校ってのは伏線かい?

47 :
今日は一話ですね。あ〜続きが気になる!
あのコテハンか題名つけて貰えるとうれしいんだが。
お願いできないだろうか?

48 :
今の所題名案がふたつあるのですが…
傷ついた俺と尊き君 なんてどうでしょうか?
もしくは 二人で行こう… とか。 
他に良い案がある方は明日の19:30までに書き込んで頂ければ…検討します。 

49 :
sageはきちんと行ってほしいかな。
あと、投下はできうる限りまとめてからが望ましい。
これが君の作品であるなら、タイトルは自分でつけるべきじゃないかな?
タイトルは話の骨子にもなりうる大切なものだよ。

50 :
なんでこうsageないやつが居るの?
なんか前スレにもいたけどあいつか?なんか文章の感じとか似てるし。

51 :
携帯なんじゃねーの?

52 :
>>50
それは誤解です。
前スレで何度もsageるのを忘れていた愚か者は私ですが、>>48とは別人です。
恐らく>>51さんの言う通り携帯なのではないかと…。

53 :
みんなに読んで欲しいんじゃね?

54 :
時々sage忘れてました…何やってんだオレ…"orz
ホントすみません。

55 :
そんなに責めないでいこうよ。
下げ忘れることもあるさ。

56 :
そうそう。
病院ではお静かに、だろ?
まったりとSSの投下を待とうぜ。

57 :
病院内ではお静かに願います

58 :
す、すんません…

(…怖ぇ〜>>57さんって言ったか?表情一つ変えずに注意してくるんだもんな)

59 :
あぁ、意外にsageチェックが外れてる時って多いんだよねw

60 :
おれも経験あるな
てかよくあるミスだな

61 :
まぁあれだ
>>38(>>48)は>>49の言うことも尤もだから、その辺も注意して頑張ってくれ。
sage進行では無いのだが、あまり頻繁にageられると変なのも湧くからな。
病院だけに衛生にも気を付けてくれよ。
じゃお大事に。

62 :
夜間巡回、今日も異常なし。か…

63 :
>>62
しかしそこで彼が見たものとは!?

64 :
月夜に浮かぶ>>10の姿だった。

65 :
闇に舞う蝶…パピヨン

66 :
>>10はホムンクルスになったのか・・・

67 :
保守……しようか……
来るSSを待ちながら……

68 :
膣カンヂタって難病なんか?
気になってしょうがないんだが。

69 :
カンジダじゃないのかと。
免疫力が低下すると繁殖するカビの一種らしい。
別に難病じゃなさそうだぞ。

70 :
…あれっ?
おかしいなぁ、さっき鎖錠を確かめたのに。
何で開いてる?
ガチャッ

71 :
>>68ー69
痒くなるのか?
場所が場所だけに使えそうだな
つか名前がWWW
さぞかし年頃の娘は恥ずかしかろう(笑)

72 :
バタン!
…な、んだったんだ。
いまのはっ?

73 :
今の内に全裸待機して置くか

74 :
>>72
きっと新しいSS職人が来た音にちがいない

75 :
>>73
先生!献体なんですからもっと大切に扱って下さい!

76 :
あと少し、あと少しだけ…。

77 :
投下します。

78 :
 鳥の囀りが心地良く朝の陽が差し込む窓から聞こえている。空に漂う雲は悠久の時を人に感じさせるが如く緩やか
に流れ、青の絵具を白いキャンパスの上に塗りたくったかのような快晴の広がる空には颯爽と雀達が飛び交っていた。
 窓から差し込む陽の光は、その部屋の全貌を余す事なく照らし出し、その部屋の中央に置かれている寝台にも降り
注ぐ。そこに横たわる人影が、朝陽に瞼を照らされて小さく身じろぎ、億劫そうに呻く。しかし、未だ深い眠りに就
いているその人は身体をまだ起こさなかった。
 この部屋に居るのはただ一人であるようだった。それにも関わらず、この部屋は一人で使うには余りにも広く、そ
して余りにも豪奢だった。何処も彼処も見るからに高級そうな家具がその存在を誇示し、そこに在るのに意味は無い
であろう壁に掛けられた絵画は金の額縁に収まって、更にその価値の凄まじさを彷彿とさせる。
 まるで、一国の主が住まう城の一室のようなこの部屋は、それこそそれ相応の威厳がある一国の主が住まうに相応
しいとも思えるが、寝台にて穏やかに寝息を立てている少女は、そのような想像を裏切る容貌をしていた。
 けれども、この部屋に住まうに相応しくないと云う訳ではなく、むしろ彼女こそがこの部屋の一部であるかのよう
にその姿は部屋の背景に溶け込み、同化している。
 純白のシーツに広がる髪の毛は、金塊の如く朝陽を跳ね返して金色に輝いている。その繊維の一本一本が糸よりも細
く、さながら綺麗な黄金の水の潺湲を思わせた。寝巻きから伸びる、雪国に積もる真白な積雪のような肌は人形のよう
で、目鼻立ちの整った顔は美しいと云う他なく、可憐とも美麗とも、どちらで形容しても一向に差し支えなかった。
 そのような容貌を持つ彼女は照り付く朝日にとうとう敗北を喫したのか長い睫毛が伸びる瞼を漸く開いた。 そこか
ら覗く碧眼は宝石の如く炯々と輝いていて、その輝きは彼女の容貌を合わせれば太陽にさえ敵うのではないかと思える
ほどに神々しく、輝かしく、そして何より、美しい。
 彼女は、容赦なく降り注ぐ陽光に目を細めると、腕を傘にそれを遮って身体を起こした。ぎしりと軋む寝台の上に上
体を起こして座り、大きく伸びをすると一気に身体の力を抜いてぼんやりと窓の外に目を向ける。そこにはやはり、窓
枠に飾られた絵画のような青空が広がっていた。
「朝ね……」
 一言、恨めしそうにそう呟くと、彼女は欠伸を一つ噛み潰して寝台から脚を下ろした。裾が七分辺りまでの寝巻きか
ら覗いた足もまた、細く頼りなく見えたが、彼女を美しく魅せるのに相違はなかった。
 そして、彼女が起き上がるタイミングを予め予期していたかのように、豪勢な装飾が施された扉がコン、と叩かれ
る。彼女はまた、忌々しげな表情を作りながらそこを見遣り、呆れたように嘆息した。
 「入りなさい」と、一言呟きながら。

――「囚われの身の、お姫様」

「失礼します」
 細く、低い男の声が丁寧な挨拶を扉の向こう側で云った。そして僅かばかりの逡巡の後、ゆっくりと扉は開かれ、そ
こから一人の男が姿を現した。
 漆黒に染まるスーツに身を包み、襟元に蝶結びで赤いリボンを付けている。胸元から見える白いワイシャツは黒とは
対照的な、一点の汚れすら見付からない白。清楚が極められたかのような風采の男は、少し目に掛かる程度の髪の毛を
しっかりと整えて、中世の頃の執事のような佇まいをしていた。
「おはようございます。麗華お嬢様」
 男は緩やかな微笑を湛えてそう云うと麗華の傍まで歩み寄り、寝台の端の方に着替えを置いた。そうしてまた、軽い
お辞儀を彼女に見せると、黒曜石のような瞳で彼女を見詰めた。顔にはやはり穏やかな微笑が残っている。
 寝台に腰を落ち付けながら、怪訝な目でそれを眺める少女は目の前に彼が居るにも関わらず大きく溜息を吐くと、そ
の溜息を出させた本人である彼を下から覗き込んだ。
 それでも全く気分を害する事なく微笑んでいる彼を見て、彼女はまた何か判然としない苛立ちを覚えるのだが、寝起
きの倦怠感が付き纏う身体でそれをぶちまける事など出来ようはずもなく、そのような自分に呆れているのか、彼に対
して諦念のようなものを感じているのか、よく分からない溜息を吐くのみだった。

79 :
「あたしは監視カメラで二十四時間絶賛監視中なのかしらね、黒川?」
「どのような意味でしょう」
「何でいつもあたしが目を覚ましたと同時に来るのよ。監視されてるとしか思えないわ」
 彼女は不満げにそう云った。成程、彼女の云い分も分からなくはない。
 彼女の部屋にカメラなど勿論設置されてはいないのだが、それにも関わらず黒川と呼ばれた男は、毎朝彼女が目を覚
まして足を寝台から降ろすと同時にあの豪奢な扉を控え目に叩く。その理由が未だに分からない彼女からすれば、それ
は異常な事と云っても差支えはなかった。
 けれども、彼は麗華がそれを尋ねる度に笑みを少しばかり深くさせて、毎回同じ事を云うのである。その台詞が、彼
女には酷くもどかしく、そしてこそばゆいように感ぜられるのだった。
「私の、お嬢様への忠誠心があってこそです」
 黒川はまた、そう云って笑みを深くさせた。麗華とはまた違った美しさを持つ彼がそれをすると、彼女は何時も同じ
事を思う。まるで、夜の接客業の頂点に君臨している男のようだと。
 しかし、彼の言動は常に丁寧で遠慮をした事など過去に在りはしない。麗華よりも少しばかり年上の彼は、麗華が幼
い頃から彼女に仕えていたが、それでもこうして執事として型に嵌ったような言葉使いしかしないのだ。
 何度か、もっと気楽に話して欲しい、と彼女が云った時も彼は「私はお嬢様に仕えさせて頂いている身の上ですから」
と云うばかりで取り合わなかった。
「……まあいいわ。今日の朝食は和風が良いわね。お願いできるかしら」
「卓越ながら、既に用意させて頂きました。お着替えになられましたら、食卓の方までいらして下さい」
「……」
 お辞儀を一つ残して踵を返した彼を見遣り、麗華はまた怪訝な目付きで彼の背中を見詰めた。歩き方でさえも礼儀正
しい黒川の靴音が、朝の音色に混じって行く。
 黒川が「失礼しました」と云って扉を閉めると、麗華はまだ一日が始まったばかりにも関わらずもう何度目かも知れ
ない溜息を吐いて、寝台に置かれ、丁寧に畳まれた自分の着替えを見て何処か遠い目をした。
 態度こそ高貴な所を常々見せている麗華ではあったが、その外見とは裏腹に心中はそれを諫めている彼女が居る事
を、自身で理解しているのだ。
 麗華が住んでいるこの屋敷は、近所から――と云っても一番近い家屋ですらかなり離れた位置にあるのだが、「囚わ
れた姫君の城」と云うのが通称だった。何処から吹聴されたのかは最早見当の付けようも無いが、子供から伝わり、そ
れが徐々に脚色を加えられながら伝播されて行ったのであろう。確かであるその通称の由来は、まるで一国の姫君のよ
うな彼女が滅多に外出をする事がなく、月に何回かの通院時にだけその姿を外界に見せるからである。
 本人はそれを気に留めたりはしていなかったが、それでも払拭しきれぬ不安は何時でも在った。
 麗華は月に何度か、決まった日に街の病院へと赴く。それは、思春期に入った辺りから患っている病気の所為なので
あるが、その病気と云うのがの脅威こそ無くても頻繁に症状が浮き彫りになる。忽ちその病気が片鱗を覗かせると、
彼女はとてもじゃないが身体を動かせなくなる。体が熱く≠ネり、ある衝動に苛まれるのだ。
 麗華の歳は既に十七を迎えようとしているが、以前は通えていた学校にもその病気の所為で通えなくなり、勿論不定
期に襲ってくる症状の所為で外出も極力避けている生活が続く事になったのである。
 それはまだ色々な事を学びたての彼女にとっては拷問に等しいものだった。

80 :
「はあ……今日は発作が出なければいいんだけど」
 朝が来ても麗華の生活は一向変わらない。家の中で時が過ぎるのを感じ、薄暮の頃に此処に来る家庭教師に勉強を教
わり、そしてまた惰性的に過ごす――病気が発症してからその生活は変わる事を知らなかった。だから、麗華は朝が来
ても嬉しいとは思わない。ただ、またつまらない日常が始まりを告げたのだと、諦念するのみである。
 麗華はおもむろに寝台に置いてある着替えに手を伸ばすと、それを自分の前に広げた。黒川が選択したので相違ない
が、どうにも彼が選んでくる着替えは何時も堅苦しいものばかりだった。長い裾を持つ黒のスカートと、体の線を示す
かのように小さめな白のブラウス。その襟元に飾る、彼と同じ赤いリボン。
 単純で着易いのは良かったが、お嬢様扱いされるのは気が引けた。幾ら黒川の方が年上だとしても、そこまで年の離
れない人間にそう云った扱いをされるのが彼女は好きではなかった。そう思う度に、麗華はそれが自分の身から出た錆
なのだと思い知る事になるのだが、今更自分を罵倒しても何も始まらない。
「あんな事、云わない方が良かったかも知れないわね」
 自身の過去を省みるも、現状はそう易々と変わってはくれず、溜息を一つ落としてから麗華は着替え始めた。肌触り
でさえそこらの洋服に使われている生地よりも格段に良い洋服は、滑らかに彼女の身体を滑って行った。

 深紅の絨毯が敷かれた階段を手擦りに手を置きながら下って行くと、食堂のある一階に差し掛かった所で用意されて
いるだろう朝食の良い匂いが此処まで漂ってきた。その匂いを感じつつ、麗華は部屋を出て此処まで来る間に、誰一人
としてすれ違う者が居ない事を今一度思い知った。
 廊下を歩いていても擦れ違う人は一人として居らず、少しだけ開いている部屋の扉の隙間から室内を窺って見てもや
はり誰も居ない。その全ての理由は、この屋敷に仕えている使用人が去年の中頃から暇を出されて既に此処を出払って
いる所にある。それこそが彼女が省みていた事であり、最早どうしようもなくなった事であった。
 更に運の悪い事に、麗華が病を患った時期は丁度両親が仕事で海外へと行く事になった時期と重なってしまったの
だ。前々から聞かされている事ではあったものの、両親が自分から離れるのは寂しいもので、更に自分が病気に罹って
いるとなればその寂しさは果てのないものだった。
 一人、此処に取り残されて多くの使用人達と過ごす生活など、彼女には信じ難い事であった。堅苦しい対応しかしな
い使用人達は彼女の暇潰しの相手には成り得ないし、かと云って病気に蝕まれている状態では学校にも行けない。まる
で窮屈な鳥籠の中に閉じ込められてしまったようで、麗華は酷く居たたまれない心持を覚えた。
 その結果、両親が海外へと出発する直前に彼女が頼んだ事は、黒川以外の使用人を全て出払わせる、と云うものだった。
何故黒川を残したのかは、彼女自身余り理解していない。ただ、年が一番近かったからなのか、その容貌があったから
なのかは未だに不明瞭なままだが、それでも麗華は今の自分の状態を考えると何時も一つの結果に逢着する。
 麗華は自分でも知らない内に彼に惹かれていたのだ。何時も自分の云った事と仕事以外はしない彼だったが、それで
も麗華にはそれが優しく感ぜられた。黒川の一挙一動に恩倖が込められているような気がした。そしてそれを享受して
いる内に、彼女の心はすっかりと黒川に惹かれていたのだった。
 けれども、彼は相変わらず仕事と命令以外の事で彼女と接しようとはせず、何時でも使用人としての壁を麗華との間
に築いていた。余りに高く聳え立つその壁を超える術を、麗華は持ち合わせていない。彼女もまた、主人と云う壁を彼
との間に隔てていたからだ。今となっては、その二つの壁はどうしても瓦解させる事の出来ないものになっていた。

81 :
「使用人なんて、辞めさせようかしら」
 云って、麗華は自嘲気味な笑みを湛えながら首を振った。
 何度そのような事を考えただろうか。そして、その度に挫折しただろうか。彼女はそれを思うと、結局その考えを思
考の中から排除するのだ。――使用人と主人と云う繋がりが消えてしまえば、彼は必ず自分から離れて行く、そのよう
に思慮してしまい、同じ所を低回するのみで何も変わらない。
 嘆息を一つ零して、麗華はもう目の前に食堂の扉がある事に気付いた。煩悶していたら、何時の間にか此処まで来て
しまっていた。彼女は一度深く空気を吸い込んで気を静めると、食堂の扉を開いて中へと入った。その途端に、鼻孔を
擽っていた朝食の匂いはより濃く彼女に届いた。
「朝食の支度は出来ております。どうぞ召し上がって下さい」
 長い食卓机の先端、一人分の食事が置かれている場所の傍らに佇む黒川は麗華が入ってくるなりそう云った。軽く十
人は共に食事を摂る事が出来るだろうその机は、使用されている箇所が全体の一割にも満たない所為で酷く寂寞を漂わ
せている。麗華はその光景に落胆すると同時に諦めて、黒川が差し出した椅子に腰掛けた。
 目の前には見ているだけで食欲をそそられる料理が並べられている。見た目こそ普通の家庭の料理と比べても差異は
無いが、その実、そこに使われている食材はどれを取っても高級料理店で使われるような逸品だった。
 しかし、それが麗華を嬉々とさせる事はない。見慣れてしまったこの光景も、変化が無ければ彼女にとってただの食
事と変わりないのだ。
「たまには、あなたも一緒に食べたら? でないとこんなに大きな机が勿体ないじゃない」
 箸を持とうとした時、麗華はそう提案する。これも何度掛けたか分からぬ言葉だ。それでも、今日は何か変わるかも
知れないと、僅かばかりの期待に想いを馳せながら彼女は時々こうして提案していた。
 しかし、黒川はやはり首を申し訳なさそうに横に振って、その誘いを断るのだった。飽くまで彼らの関係は使用人と
主人であり、共に食事を摂る事などは考えられない事である。それは麗華も重々承知の上だった。
「恐れ入りますが、辞退させて頂きます。私は使用人、お嬢様はその主人ですから」
「じゃあ、主人として命令よ。今日はあたしと朝食を食べなさい」
「申し訳ありませんが、出来ません」
 そう云って黒川は深々と頭を下げた。とても申し訳なさそうな顔をして、如何にも残念だと訴えるように。
 けれども、麗華はそれを素直に信じる事が出来ない人間であった。彼がその表情を作っているのだとしたら、と
疑ってしまう。もしかしたなら、彼のその表情は麗華を傷付けないようにと配慮しているものかも知れない。彼の本当
の気持ちは、その表情を裏切って全く別のものかも分からないのだ。
 何とかその考えを頭の中から追い出して、麗華は瞳に影を忍ばせながら箸を持つ。
 そうして目の前の小皿に盛られた漬物を一口食べると、顔を顰めた。
 その料理は美味しいものであるはずなのは分かり切っている事なのに、酷く味気ない物のような気がした。味のな
い、砂を噛んでいるかのようで、麗華は詰まらなそうに箸を動かして行った。
 黒川は依然として麗華の座る椅子の隣に立っている。その顔はやはり使用人のそれで、彼女の心持を良くさせるには
及ばなく、そしてこの日常に変化をもたらすような事も到底成し遂げられないであろう表情だった。

82 :
「何だか、味気無いわ」
「お嬢様のご健康の為に、薄味にしています。
 ……詳しい病状などが分かれば更に最適な物をご用意出来ますが」
「……黒川が知る必要のある事じゃないし、これからもこの味で結構よ」
 食事に対する批評を漏らして、麗華は直ぐに自分の発言が軽率だったと気付いた。
 そして、黒川の好意に素気なく答えると、彼女は決まり悪そうに味噌汁に口を付けた。
 彼女は黒川に対して自身の病状を打ち明けていなかった。それには勿論理由があるのだが、それは口が裂けても黒
川――だけに関わらず、どのような人間であっても彼女はそれを打ち明けるような真似はしない。麗華の病気の事を
知っているのはただ一人、彼女を担当する医師だけなのだから、麗華がどれだけの間閉口を続けているかと云う事は
想像に難くないだろう。けれども、麗華がつい口を滑らせて自身の身体の事や健康の事などを黒川の前で話してしま
うと、彼は間髪入れずにそれらを病気の事に関連付けて、何かと麗華の世話を焼くのだ。
 勿論その気遣いはとても喜ばしいものなのだが、やはり病気の事となると彼女は閉口せざるを得なくなる。心配を
掛けている者に対して口を閉ざすなど、自分で遣っていて罪悪感を覚えている麗華であったが、しかしそれも致し方
のない事と云える。彼女を蝕む病気は、どちらかと云えば精神を苦しめる物だったからだ。
「失礼ですが、お嬢様。私にだけでもご自身の病気の事をお話して頂けませんでしょうか。
 ……使用人である以上、私はお嬢様のご健康の為に尽力しなければなりませんから」
 黒川は、彼女の素っ気ない答えに眉根を下げると、遠慮がちにそう云った。
 麗華は心臓が大きく跳ねている感覚を覚えたが、何とかそれを自分の内に隠すと、平然を装って暖かいお茶を一口
喉に流し込んだ。苦みのあるお茶は余り好物ではなかったが、彼女の舌はそのような事を感じる暇もないようだった。
そうしてお茶の入った湯呑を机の上に置くと、麗華は隣で立っている黒川に視線を合わせた。
 純粋に自分を心配してくれているだろう黒川の目付きは優しいそれで、麗華は今度は先刻とは別の意味を持った心
臓の動悸を胸に感じていた。漆黒の瞳が自分の全てを見透かしているようで、いっそ全てを打ち明けてみようか、と
今まで考えた事もない考えが彼女の思量の中に生まれる。
 しかし、それは彼女の誇りと自尊心とが、阻む結果になってしまった。
 ――あのような病気の事を、誰が他人に云えるだろう。
 一人で抱え込む事しか出来ない麗華は、何時もそう思う度に誰にともなく慙恚した。一人煩悶して、それでも最善
の対策など皆無に等しい中で、麗華は苦しんだ。羞恥と噴悶、時には自身の身体を怨嗟した事すらある。彼女の場合、
他人に手を差し伸ばされようとも簡単にそれを受け取る事が出来ない境遇に居たのである。
「……大丈夫。命に関わるような病気じゃないし、食事とかで解決する問題でもないもの。
 ただでさえ黒川は一人で色々やってるんだから、余計な事は心配しなくてもいいのよ」

83 :
 云って、彼女の心には針で突かれたが如くチクリと小さな痛みが広がった。黒川が一人で色々遣っているのは他で
もない麗華の所為であるにも関わらず、それを理由に自分の事は心配しなくても大丈夫、などと云われても大多数の
人間は簡単に納得する事が出来ない事だろう。
 しかし、こと黒川に関しては納得するのが義務になっているかのように、とても簡単に彼は頷く。 悄然する様子
など片鱗すら窺わせず、ただ「了解致しました」と云って黙り込む。
 それが、彼と彼女との間にある壁が成す、お互いへの干渉の仕方であった。
「……悪いけど、今日はもういいわ。何だか食欲も無いし、私は部屋に戻るから」
「かしこまりました。何か御用がありましたら、遠慮なさらずにお申付け下さい」
 麗華は箸を置いて立ち上がると、随分と残っている朝食の残肴を見て、また申し訳ない心持になった。
 彼が丹精込めて作っているだろうこの豪勢な料理に殆ど手も付けずに下げさせるなんて、と罪悪感が彼女の中で木
霊する。炊事だけでなく、その他の家事諸々、全てを黒川は一人で行っている。掃除などは、屋敷が余りにも広い為
に全てを綺麗にし終わる頃には一週間が過ぎてしまうほどだ。
 そのような多忙な仕事を持つ黒川を蔑ろにする自分が、まるで権力を盾に威張り散らす暴君のように見えてしまって、
彼女は何処か憫然とした様子を漂わせながら無駄に広い食堂を後にした。
 最後まで、彼女は彼を振り返らなかった。
 その所為で、黒川の独り言を麗華が耳にする事は無かった。
「……麗華お嬢様に関するもので、余計な事など、ありません」
 朝を喜びながら迎える鳥達の囀りが、彼の言葉を彩って、そして消して行く。
 麗華が出て行った扉を見詰めて、黒川は行き場の無い自身の想いに打ちひしがれた。それは果して、お嬢様≠心
配するが故なのか、麗華≠心配するが故なのか、彼の真意を知る者は彼以外に存在しない。
 丁度、彼女が病の事をひた隠しにしているように。

84 :
投下終了、続きます。

85 :
これは力作ですな!
ツンデレお嬢様+病弱…ゾクゾクとする良質な組み合わせ…
GJ!

86 :
http://ex24.2ch.net/test/read.cgi/base/1212778628/
domo2で病弱で検索したらこんなスレがあった。

87 :
乙。続き期待wktk

88 :
>>77-84
改行していただけると読みやすくて助かるのですが。

89 :
保安係にとって日曜日とは、慌ただしく過ぎる平日とまるで別格だ。
特に午後からの出番(遅番)ほど、心持ちの軽い当直はない。
夕方から殆ど取り扱い事項はなく、後は手弁当をつまみ、のんびり構えて月曜日が来るのを待っていればよいのだ。
いや、その筈だったのだ…あの日までは…。
保守

90 :
>>89
この流れで保守は無いだろ。

91 :
日曜夜の保守は大切だと思う。
まあ投下への感想が先だろうけど

92 :
感想
読みにくいです。
改行して下さい。

93 :
職人がスレを嫌うような態度を取る人が多いねぇ。
何はともあれ>>84GJ!

94 :
基本、重複スレだからな。
あと職人未満の保守厨ウザ杉

95 :
前スレが保守ネタで盛り上がってしまってたんだから仕方ないっちゃ仕方ないが
基本的にはSS投下待ってる間のお遊びみたいなもんだからな
本末転倒になっちゃいかんよな

96 :
なるほど、職人が来ない流れになれば保守の出番、って訳か…

97 :
コロンブスの卵的発想

98 :
ほしゅ

99 :
投下します。

100 :
 麗華は自室へと戻る途中、ふと思案に暮れた。
 もしも彼が少しでも自分達との間に聳える壁を乗り越えて自分に接してくれたなら、病の事も告げられるだろうか、
と。事務的に心配するのではなく、彼女の名前を呼び捨てにでもして、必になってくれたなら、それでも自分は病の
事を隠し通そうとする事が出来るだろうか。
 麗華が感じる彼への情、それには疑いようのない懸想の念が含まれている。それは彼女自身よく理解しているつもり
であったし、それだから今のこの関係が酷く虚しく、そして寂寞漂うものになってしまっているのだ。けれども、黒川
が麗華に向ける想いはどのような形をしているだろうか、と彼女は考えて不安になる。
 それは彼女が知る由もない事だが、それでも考えずには居られない。少しでも期待を込めた日々を送らねば、麗華は
日常の重さに耐えかねて、塞ぎ込んでしまうだろう。だからこそ、何時までもこうして日々を平然とした調子で送って
いられるのだ。
 麗華は物憂いげな表情を浮かべると、黒川が今何をしているかを想像した 此処の仕事は熾烈を極めるものである。
普通なら、一人で遣る事ではなく、少なくとも十人は必要な仕事だろう。しかし、それを黒川は一人で毎日こなしてい
る。休暇などは与えられず、麗華の為に仕事の疲れを仕事で癒すかのような日々を送っている。
 それが、一寸の希望の光を彼女に差し込ませるのだ。
「……普通の人なら、とっくに辞めているはずだもの」
 彼女はその光に拘泥されて、離れる事が出来なかった。
 主人と使用人の立場で均衡を保つ二人の関係に、新たな刺激を与える勇気を持ち得ていなかった。何時までも暗く孤
独な小部屋に閉じ込められて、小さな窓から時折差しこむ陽光に想いを馳せる事しか、彼女には出来なかったのである。
以前の彼女であったなら、常に昂然としていられただろう。彼女の元来の気質は、そう云った燦と輝く太陽のような光
に満ち溢れていたからである。
 しかし、自分が黒川に抱いている感情が、恋慕の情であると気付いてからは、彼女の気質は瞬く間に変貌を遂げた。
そして運の悪い事に、彼女がそう成り始めた時期は丁度病に侵された時と重なるのである。そうなれば、人間が行う解
釈など一つに定められてしまうだろう。事実、黒川や、そして両親でさえそう思い込んで疑わなかった。
 彼女の気質が変わったのは、病気に罹った所為≠ナあると決め付ける事には刹那の時間すら必要としなかったので
ある。年頃の遊びたい盛りの女が、病気で外出すらままならないと云う事は誰彼が哀憐の念を抱く事だろう。誰も、彼
女が伝えられない想いに悩乱している所為≠セとは考えなかったのだ。
 そうして、彼らの均衡は保たれたままこうして膠着状態を続けている。
 それだから、彼女は平然として居られる。
 そして、索漠とした感情に煩悶しているのだ。
「……いっそ、黒川が居なくなれば悩む事も無くなるのかしらね」
 自嘲気味な笑みを讃えて、麗華は自室のドアに手を掛けた。どうせ出来もしない事なのに、と自らを嘲弄しながら。
 そして、その時であった。
 突然、彼女は身体の異変に気付かされたのである。答えは簡単に見出す事が出来た。恋々たる想いが積み重なった結
果の限界点――病気の、発作だ。
 その確信を抱いた麗華は、直ぐに自室のドアを開け放って室内に入り込むと、乱暴にドアを閉めて寝台に飛び込んだ。
そして、柔らかな布団の感触に抱かれながら力を込めてシーツを握り締める。続く、病魔に耐え得る為に。
「はあっ……はあっ……はあっ――」
 それは苦痛とは違うが、明らかな苦悶であった。
 時が一刻を刻む度、上昇して行く彼女の体温は熱に浮かされる時のような意識を朦朧とさせるものではなく、体の底
から熱さを訴えるような、発散しなければ正気の喪失を彷彿とさせる熱だった。そして、麗華はその発作が起きる度に
一貫して同じ方法で発散させてきた。それ以外の対処法などは知らなかったし、存在しなかったのである。
 体の奥から渦巻いて昇ってくる熱は、忽ち彼女の頭を蕩けさせた。そうして、正常な思考を段々と無くしていく彼女
の中に、或る渇仰が生まれる。それは、貪欲なまでの性的な欲求であった。

101 :
「はあっ……駄目、なの、に――」
 自制を利かせる彼女の理性が、自身の行動を拒もうと奮闘する。絶え間なく生まれる自己嫌悪はその間にも彼女を苛
めるが、それでも麗華は自分を止める事が出来なかった。逆らうなど、元より不可能な事であった。
 だからこそ、原因も、症状ですら病気と診断するには不明瞭であったのに、彼女が病気に罹った≠ニ云われる所以
に成り得るのである。その病気に抗うと云う事は、百人の兵が百万の兵と戦っても、決して勝てぬ事と同義であった。
 抑え切れない情動が、彼女の手を突き動かす。最早、彼女の脳が身体に送る指令は彼女からのものであって、彼女の
ものではなくなっていた。理性的な彼女の部分は、淫蕩な行いを今から行おうとしている自身の身体を、何処か身動き
出来ないような暗い牢獄で見せ付けられているかのように、客観的で屈辱的だった。
「熱い――熱くて、どうにかなっちゃう……」
 彼女の細い指が、ブラウスの釦を一つ一つ外して行く。一つ、釦が外れる度に、彼女の中のもどかしさが歓喜の声を
上げていた。先に迫る快楽に向けて準備を着々と進めて行く自身の行動は、どうしようもなく煽情的で、どうしようも
なく厭らしく、異なる二つの感情の挟撃に晒された彼女は最後の釦を引き千切ろうとするかのように乱暴に外した。
 はだけたブラウスの隙間から窺える白磁のような真白な肌が、外気に晒される。ただそれだけの事で、彼女は快感に
身体を強張らせた。未だ脱ぎ切れていないブラウスを完全に取っ払う事すら面倒に感ぜられて、麗華は服の隙間から手
を差し込ませる。片方の手は未だシーツを堅く握り締めていて、手持無沙汰に震えているようだった。
「ぁっ……」
 小さな喘ぎが桜色の唇の隙間から漏れ出る。下着の上から触っただけで、敏感に快感を感じてしまう自分の身体に嫌
悪しながら、それでも彼女はこの行いを止める事が出来ないまま、本能に近い行動を続行した。下着の中に手を滑り込
ませると、撫でるように手を動かす。その手が軽く乳房の頂点の突起に触れると、そこは既に屹立していた。
 その様子を、牢獄に捉えられた彼女自身が冷やかな目で見詰める。厭らしい、汚らわしい、卑俗にも程がある。この
ような行いに耽って快楽に身を捩っているなんて、大きい家のお嬢様だからと云ってその本質は淫乱な雌なのだ、と攻
め立てる心の声が何処からか聞こえる気がしても、麗華の手は止まる事が出来なかった。
「は……あ、あぁ……」
 切ない声が豪奢で広い室内に木霊する。可憐な唇から漏れ出る吐息は麗華の体温を、そしてこの部屋の室温ですら上
げているかのように、熱く、甘い。彼女の乳房が自身の手によって形を変える度に、体の底から蠢く快楽への渇望が更
に麗華を追い詰めていた。冷やかな自分の目ですら、最早彼女の快感に貢献するものへと成り果てている。
 頭の中が狂気に満たされているかのように、快楽を求め、真白になって行く感覚は、この発作が起きる時は必ず起こ
る事象だった。そして、着実に視界が白い霧に満たされて行く度に、彼女が感じる悦楽は増大して行く。乳房を揉みし
だくだけでは我慢が出来なくなれば、次はその頂点で屹立している突起を摘まみ、背筋を仰け反らせた。
「あっ、んぁぁッ……! ダメ、おかしく、なっちゃう……ッ!」
 自分を狂わせる性欲が理性をことごとく瓦解させて、周りが見えなくなり、聞こえる音も自身の喘ぎだけになった頃
に、麗華の頭の中には一人の男の姿が浮かんでくる。麗華がこうなった時には、既に自分を冷罵するかのような目付き
で眺めている自身の姿などは目の端にも映る事は無い。
 最早彼女が目にしているものはその想像によって創造された男と自分とが、淫猥な情交をしている光景だった。そし
て、その男こそが彼女に仕えているこの屋敷の使用人――黒川だったのである。

102 :
「んぅ……ッ! はっ……ぁ……もう、我慢、できないよぉ……!」
 発する声は幼児の如く稚拙な発音で、どれだけ彼女が自慰行為に没頭しているかを窺わせる。
 頭の中でのみ見える、黒川との情交はとても甘美で、この時ばかりはそれを虚しく思う暇も無く、彼女は長いスカートを
たくし上げ、その裾を自分の口に挟むと、シーツを握っていた手で既に染みが広がっている純白の下着に触れた。
 けれども彼女自身、もうそのような行いを自分がしているなどとは、思っていなかった。彼女の瑞々しい太股を、そ
して恥ずかしい染みが広がる下着を露出させているのは、彼女にとっては黒川が行っている所業になっているのだ。
 そして、黒川は囁く。麗華の想像から創られた理想の彼は、優しく彼女の耳元で囁くのだ。
 綺麗です、お嬢様
 それを聞くと、麗華は自分の中に羞恥と随喜とが入り混じり、云い知れない感情の萌芽が胸に芽生える感覚を覚え
る。それは、荒れ狂う波が暴れて、何もかもを吹き飛ばす凶悪な暴風が吹き荒れる快楽の海へと身を投じる事を躊躇い
無く鼓舞して、現実の彼女の指を下着から透けている裂け目へと這わせるのだった。
「ふっ……んんッ! ふ、むぅぅ……!」
 触れた所はもう液体が絞り出せるのではないかと思えるほどに濡れていた。彼女の指は下着越しにその割れ目をなぞ
り、そして蜜が滴る壺を見付けるとそこに指を挿し込んだ。逆碁を打つような形になった麗華の細い指は下着の抵抗だ
けを受けながら埋没して行く。ざらざらとした布の感触が内襞に擦れ、彼女は法悦とした表情をしたまま小さく震えた。
唾液を次々と吸収していくスカートの端も、その黒の生地を更に濃く染めている。
 彼女の頭の中では、黒川の、男の割に華奢に見える指が自分の秘部に埋没して行く様が映し出されている。それだけ
で、彼女の体は歓喜に打ち震えるのに、彼女の中の黒川はまた甘い囁きを耳元に零すのだ。
 もう、こんなに濡れていますよ。麗華お嬢様
 と、意地悪い微笑を湛えながら囁かれる彼の言葉は、羞恥を煽るのに不足など無いのに、更なる快感を麗華に与えた。
彼の意地悪い笑みも、甘い囁きも、全てが媚薬になっているかのようで、麗華の身体を昂らせて行く。彼女の凄艶さは
増して行き、絡み付くような熱を孕んだ喘ぎは更に熱くなり、行為は加速して行った。
「あっ……ああっ……! だめ、そこ、おかしくなっちゃ――ふあぁッ!」
 彼女は下着を太股の中間辺りまでずり下げると、完全に露出した自身の、柔らかな茂みに覆われた割れ目にいきなり
指を挿入した。布とは違う感触にまた身体が震え、体から吹き出る汗はその量を増した。膣の中を擦るように、指を曲
げればその度に背を反らせ、出し入れを繰り返せば淫靡な水音が室内に木霊した。余りに強い刺激に咥えていたスカートは
腹の上に被さっている。その所為で、口の端には滔々と唾液が流れていた。
 想像の中の黒川は彼女の制止も聞かず、その白い指で彼女の中を容赦なく掻き回した。時折彼女の反応を窺っては、
意地悪い微笑みを湛え、そして空いている手の方で麗華の豊かな乳房を力強く揉みしだく。お嬢様は淫乱ですね≠ニ
云って胸の突起を甘噛みすれば、彼女は反論も出来ずに快楽に酔いしれた。
「くろ、かわぁッ……あっ、んんっ……! はッ、あああッ! そんなところ、だめ……んうぅッ……だって……!」
 既に赤く充血した陰核を、彼女の指が優しく摘まむ。未だに膣内は蹂躙されているままであるのに、そのようなとて
つもない刺激を与えられては、もう耐える事は叶わぬ事であった。

103 :
「あっ、ああっ! もう……だめ……ッッ!!」
 麗華は背を弓なりに仰け反らせると桜色の唇が真白に変わってしまうほどに強く噛み締めて身体を震わせた。そして
恍惚とした表情で絶頂の余韻に浸かると、虚ろな眼差しで室内に目を巡らした。手は、未だに淫猥な手付きで自身の秘
部を弄っている。彼女の身体に蔓延る淫魔はこの程度の快楽を得たくらいでは満足しなかったのである。
 麗華は部屋の壁際に位置している一つの棚を見遣ると、震える足で立ち上がりそこへと歩みを進めた。息は荒く、
目は蕩けているかの如く焦点を失い、意識があるのかどうかですら判然としない。もしかしたなら、彼女に意識は
無かったのかも知れなかった。彼女が見ている光景は甘美な妄想の世界に存在しているからである。
 もう、いいでしょうか? お譲様
 黒川がそう囁いた時には、麗華は再び寝台に坐していた。彼女の右手には、男性の性器を模した淫具が艶めかしい光
沢を放ちながら握られている。彼女は黒川の囁きに、黙って頷いた。そして、手に握られている醜い男性器を既に愛液
が溢れ出している割れ目に宛がうと、ゆっくりとそれを体内に埋めて行った。
「ふあぁ……入って、る……黒川のが、あたしの中に……ッ」
 ちゅく、と云う音と共に無機質な冷たい塊が彼女の中を犯して行く。しかし、それが彼女の最奥に達する事は
無かった。無論、彼女の想像の中で黒川の性器は侵入を進めている。けれども、無意識の内に彼女はその無機質な道具
で自身の純潔を失う事を恐れていたのである。彼女は偽物の男性器を半分も埋め込まない内に出入を始めた。
 その雁首が、彼女の中に溜まっている愛液を掻きだし、膣壁を擦り、浅い場所で快感を与え続ける。麗華にはそれだ
けで充分であった。彼女の想像に鼓舞される快感は普通の自慰行為などでは及ぶ事のない範囲にまで上り詰めていたの
である。異物が自身の膣を蹂躙する中で、一度絶頂に達した彼女の体は早々に高まり続けていた。
「あっ、ふっ……! ああっ! 黒川ッ……くろかわぁっ……!」
 黒川の腰の律動は、麗華の現実での手の動きと呼応して彼女を苛めた。
 彼女の表情は、普段の怜悧な面を影も残さず消して、そこには陶然とした快楽に打ち震える一人の女があるばかりで
ある。弛緩した唇の端からは涎が流れ、陽光を受けて厭らしく光り、涙の伝う頬は赤く上気している。余りにも、凄艶
な姿。彼女の容姿がそこに合わされば、その美しさに敵う者など他に存在するだろうか。
 人形のような容貌が醸し出すその光景は、もしも此処に観客が居たならば、欲情よりも先に溜息が出てしまうだろう。
それはまるで、例えようもないくらいの美しさを持つ風景や、とてつもない値打ちの絵画を見た時に感じる情操に酷似
したものだ。兎角、彼女の今の姿は美しく、そして淫乱だった。
「はぁっ……! ふっ、くぅ……ああぁっ!」
 黄金の水が氾濫しているかのように乱れる金の糸が、浮かぶ汗の所為で至る所に張り付いて、煌めいている。何時し
か喘ぎ声を耐えようと噛んでいたスカートの裾は寝台の下に脱ぎ捨てられて、最早使い物にならない純白の下着もその
上に投げ捨てられて、上半身に纏うブラウスの下に着ていた下着も同じように放られている。
 上半身にただ一つ纏う白のブラウスは快感を渇仰する自身への細やかな抵抗であったのかも知れない。
 淫猥な水音は絶え間なく室内に響き渡り、麗華の喘ぎ声は叫喚のようにも聞こえ、その部屋は淫蕩が極められた様を
克明に、刻薄に表しているかのようだった。麗華はもう直ぐ達せられるだろう快楽の高みに向かって、疑似男性器の出
入を激しくさせる。空いている手は豊満な乳房の形を変えて、高みへの促進剤となっていた。
 視界に掛かる、白い霧は全ての音を、映像を隠してしまって、彼女はもう達する事でしか周りが見えなくなっていた。
それ故に、気付く事が出来なかったのである。
 自分の病の事を、隠していた事が全て泡沫に消えてしまう音に、気付けなかったのだ。けれども、その音の主は今#゙女と
交わっているのだから、彼女にとって仕方のない事であったのかも知れなかった。

104 :
投下終了。
続きます。

105 :
病弱お嬢キャラでエロとか最高だな!GJ!

106 :
続きキタ━━(゚∀゚)━━ !!!!!
gjです

107 :
保守

108 :
病弱系ってさ、なんか難病におかされてるって展開が多いけど
すぐに風邪ひいちゃったりする娘もありだよな?

109 :
病弱というより軽い虚弱体質的な?ありですありです

110 :
投下します。

111 :
 黒川は何処か物憂い気な表情をその端正な顔に浮かべながら、一つの家に存在するには巨大すぎる階段を上ってい
た。彼の仕事は多々あるが、その中で一番大変なものは屋敷の掃除であった。この広い屋敷の掃除は一人でこなすには
想像を絶する苦労を要するのだが、それでも彼は年に一回業者を呼んで大掃除をする以外はたった一人でそれを行って
いた。
 しかし、黒川がこうして物憂い気な表情を浮かべているのは何もこれからしなければならない掃除が理由では無かった。
否、それも無きにしも非ず――と云った所であったが、それでも彼の悩みの比重に一割ばかりを提供しているだけで、
然して重要な意味を持ってはいなかったのである。
 ならば、どうして彼がこのような浮かない表情をしているのか。
 それにはやはり、この屋敷に住まう彼が使えている主人に起因しているのであった。
 今日、彼が掃除を行う所は四階建ての屋敷の中の、三階であった。そこには麗華が居る部屋もあるのだが、それが逆
に彼の憂鬱に拍車を掛けている。何故か――それを考えると、黒川は決まって一人で首を振って、分からないとも、考
えたくないとも取れる動きを以て、その顔を使用人がするべきそれに戻すのだが、今日ばかりは場合が違った。
 黒川が首を振って現在の思量を振り払おうと思っても、その顔にはやはり物憂い気な表情が浮かんでいたのである。
それは、今朝の麗華の言葉に悩みの根源を置いているのであったが、いち使用人でしかない彼に掛ける言葉など見付け
る事は出来ず、黒川は喉まで出掛かった言葉を胸の奥へと仕舞い込んだ。
 けれども、結果的にそれが彼を悩乱へと陥らせるものとなってしまうので、やはり彼の心持は負の方向へと傾いてし
まうばかりで、一向に要領を得なかった。
 黒川と麗華との関係は長いものであった。彼女とは五歳ばかりの年が離れているが、彼は幼い頃に既にこの屋敷に勤
める為の教育を施されてきていた為、麗華がこの世に生まれ落ちた時から彼女に付き添っている。その関係が急速に変
化する事となったのは、麗華の頼みで黒川以外の使用人が一人残さず出払わされた時期だった。
 数多くの使用人が居る中で、自分もその一人としてこの屋敷に仕えていた黒川であったが、やはり一人になってしま
うと意識の仕方も変わってくるもので、以前まではただの主人としてしか見ていなかった麗華の事も自然と目で追いな
がら知ろうとするようになっていた。それは使用人として当然の事であったが、しかし色々な面でまだ未熟だった彼は、
自分ですら知らない内に彼女の事を意識し始めていた。
 何せ、大して自分と年も違わぬ少女と、自分一人の二人きりの暮らしなのである。使用人だからと云って自分の煩悩
を抑制してきた彼であっても、やはり少女との二人きりの生活ともなれば意識してしまう。ましてや、この世に早々居
ないだろう美麗な容貌の持ち主である麗華がその相手なのだから、余計にその意識は高まって行った。
「……使用人って立場がこんなに辛いなんて、考えてもいなかったな」
 階段を上り終えて、黒川は一人呟いた。
 そして、主人である麗華に対して恋慕の情を持っている事に、吝嗇の念を抱いた。
 このような特別な感情を覚えていなければ、黒川は胸を毒蛇の長い蜷局の中に締め付けられるような痛みを覚える事
も、毒液滴る、鋭い歯牙に恐怖を感じる事も無かったであろう。彼女との間に聳える壁に、少しだけ手を当てて乗り越
えてみようか、と考える事も無かった事だろう。
 しかし、やはり考えずには居られないのだ。麗華の事を思う度に、あの艶やかな金の髪の毛に触れたくなる。彼女の
事を気遣う度に、他の者には出来ない事をしている優越を感じる。この広い屋敷の屋根の下で、彼女と一緒に暮らして
いる事実に何より幸福を得ている。けれども、それ以上を望む事は許されない事なのだと、理解している。

112 :
 使用人とその主人との甘い恋愛なんて、まるでロミオとジュリエットのように切ない話だ、と彼は思う。そのような
浪漫を感じる事もあったが、往々にして現実とは厳しいものである。彼は互いを懸け隔てる壁を踏み越えて、彼女に手
を差し伸ばす勇気を持ち得なかった。だからこそ、変な事を考えてしまうのだ。
 何故、麗華は麗華なのだ――と。我ながらセンチメンタリズムの極みだと、黒川は自身を罵った。
 いっそ、麗華が全くの別人で極普通の一般的な少女であったなら、このような懸想を抱く事も無かった。彼女に想い
を掛けるなどと、有り得ない事であったはずなのである。何より、そのような想いを持ってしまう事に、彼は使用人と
しての誇りを毀損しているように感ぜられた。今まで使用人として最高の教育を受けていたのに、それを一思いに破壊
してしまうかのような感情は、殆ど不必要であったのだ。
「は、馬鹿馬鹿しいにもほどがある。このままで良い事に、変わりはないのに――」
 云って、黒川は苦笑した。
 そう云った舌の根も乾かぬ内に、彼女の事を考えてしまっているのだから、笑わずには居られなかった。くつくつと
喉を鳴らす彼の姿は何処か痛々しく、途方もなく広がる荒涼とした景色の中に佇む様を彷彿とさせる。長く伸びる廊下
の先にある扉を見ると、それはより顕著になったようであった。あの扉の向こうに、彼女は居るのだろう。そして、人
形のような容貌で何事かをして、その容貌を一切損なう事なく何事かを思うのであろう。黒川は、その彼女の日常に介
入する事が出来ない。使用人の仕事として彼女と接する以外に、何もする事が出来ない。
 それは、諦念するよりも先に寂寥が胸を打つものであった。近付こうとすれば近付ける距離に彼女は居るのに、その
資格が無い事がどれだけ辛い事なのか、それを知る者は多くない。
 それを乗り越えて結ばれる者達など、所詮小説や喜劇の中だけに存在し得る物語の登場人物でしか無いのだ。黒川は
そう決め付けると、自嘲気味な笑みを湛えて廊下を歩み始めた。赤い絨毯の上に、彼の靴音が木霊する。些か老朽化の
進むその廊下は、彼が一歩進む度にぎしりと軋んだ。恐らく、この音は彼女に聞こえているだろう。
 もしかしたら、その音を聞きつけて自分を呼んでくれるかも知れない――そのような希望を考えた、その時だった。
 ――黒川……くろかわぁッ……!
 と、距離が離れている所為と、扉が隔たっている所為でくぐもった、けれども紛れもない彼女の声が自分の名を呼ぶ
のを、黒川は確かにその耳に聞き取った。何か用事でもあるのだろうか、と黒川は一瞬考えてみたが、妙に切羽詰まった
彼女の声はそう云った風には到底聞こえない。ならば、緊急事態でも起こったのだろうか。そう考えると、とてつもな
い何かに恫喝された時のような慄然が、彼の全身を総毛立たせた。
 自分の知り得ていない彼女の病気が深刻なものになっているのかも知れない。彼女はに至るような病ではない、と
云っていたが、それも信用出来るものではなかった。黒川はそう考えるや否や、軋む廊下に敷かれた絨毯を蹴って、走
り出した。背に冷やかな汗を感じながら、汗の滲む手に握り拳を作り、逸る心臓の動悸を抑えて、駆けた。
 その内に鮮明になる彼女の声もまともに頭の中に入っては来ず、心配のみに突き動かされて彼女の部屋へと一目散に
走る。時間は三十秒も掛からなかった。それでも、彼には長い時間が経過したように感ぜられた。長距離を走った時のよ
うに激しく脈打つ心臓は息を荒げさせ、ある種の恐怖に蹲踞する彼の足は、情けなく震えている。
 しかし、扉に手を掛けたその時に、一刻をも焦るかのような心境であった彼の心持は一瞬にして冷静さを取り戻した
のである。扉の薄い板を介して伝わる彼女の声は、切羽詰まっている事に相違は無かったが、悩ましい響きを伴ってい
た。黒川が一度として聞いた事のない麗華の女≠フ声は、水に広がる波紋の如く、彼の心を徐々に静寂へと導いた。

113 :
「お嬢……様……? 何を――」
「あっ、ふぁ……ッ! んんっ!!」
 掠れた黒川の言葉は最後まで形成される事は無かった。麗華の凄艶な声を以てして遮られたその言葉は二度と紡がれ
ず、彼は二の句を失って扉の取っ手に手を掛けたまま、愕然と立ち尽くした。
 一の矢は同じ矢によって弾かれて、続く二の矢は弓の弦を軋ませるばかりで一向に放たれない。ところが、相手が放つ
矢は驟雨の如き激しさと儚さを以て、彼に降り注いでいる。その時に咄嗟に過ぎた自問は、今の事件を解決するのには
一寸の力にも成り得ないほどに脆弱なものであった。――俺は今、何をしている?
 そのような自問にも、答えは見出せない。扉に掛けた手は震え、心なしか額には汗が滲むのを彼は感じた。絶え間な
く聞こえる彼女の嬌声は止まる事を知らず、彼の鼓膜に突き刺さり続ける。それでも、黒川は動く事が出来なかった。
彼の思考は、今からどうすれば良いのか、と云う一点を考える事に於いて、あらゆる結論を低回していたのである。
「黒川……ッ! もう、あたし……! んっ、ああっ……!」
 彼女が呼んでいるのは、果たして自分の事なのだろうか?
 自分は今、この扉を開けて、彼女に顔を向けても許されるのか?
 答えを出すのに迷いは無いはずであるのに、彼はやはり身動きする事が出来ずに茫然とそこに立ち尽くすのみであった。
彼女が呼んでいる名は、自分であって自分ではない。したがって、この部屋に入る事は許されない。麗華が今行ってい
る行為を自分が目にするなど、あってはならない。
 そう思っても、足は一向に動く気配を見せなかった。ただただ、棒のようにしてそこに在る足は、彼の命令をことご
とく裏切ってその場に位置したまま情けなく震えるばかりである。
「あっ、あっ、あああッ!! だめ……! ふぁっ、んっ、んんっ! も、イっちゃ……う……ッ!」
 余裕のない麗華の声が、黒川の思考を奪って行く。まともに働かない脳味噌で、しかし彼はそれでも動いた。
 この場から離れないと――その思考が全てであった。麗華は黒川に決して見せたくない姿を晒しているはずである。
それならば、自分がこの扉を開けてはならないと、無意識の内にその結論に逢着していた。けれども、不運な事に、彼
は再び聞いてしまったのである。扉の向こう、快楽の高みへと達しただろう彼女の口から、自分の名を。
「く、くろかわぁッ……! あ、ふ、くぅ……! あっ、あ、ああああッッ!!」
 それだけであった。
 たった、それだけの事で彼が逢着した結論は忘却の彼方に吹き飛び、それに代わるようにして別の思量が彼の頭の中
に蔓延った。最早引き剥がす事など出来るはずもなく、何処か呆然とした心持のまま彼は扉の取っ手に掛けた手をゆっく
りと緩慢な動作で捻る。がちゃりと音が鳴って、扉が少しばかり開いた。

114 :
 そこから差し込む陽光が、後光と化して彼女の姿を照らし出し、より淫靡に、より凄艶に、より卑俗に、その姿を浮
かび上がらせる。黒川を頭の中に創造し、淫らな格好で淫事に耽る彼女の姿は、妄想の世界から現実の世界へとその姿
を現し、黒川の前に全てを曝け出す。果たして、それが彼にとって幸運であったのかどうかは、分からない。
 黒川は扉を全て開き終えると同時に言葉を失った。何事かを云おうとしていた彼の口は閉じる事を忘れたかのように
中途半端に開き、驚愕とも混乱とも取れない光を湛える瞳は何処かしらを彷徨う事なく、一点を見詰めていた。
「はあっ、はっ……あ……!? く、ろか……わ……?」
 寝台に身を横たえて、愛液が滴る秘所から醜い塊を生やしたまま、彼女は愕然と視界に入ってきた人物を見詰めた。
そこに立っているのは誰だ、と一瞬の内に考えるも、無残な事にそこに居る人間は彼以外には有り得なく、麗華は全身
が脱力し切った状態のまま焦点の合わない碧眼の目を、漆黒の瞳へと合わせた。
 二人の間に流れた逡巡はとてつもなく長く感ぜられた事であろう。嘆息する事もなく黒川はその場から動く事が出来
ず、そしてまた、それは麗華も同様であった。
 彼女は小刻みに身体を震わせたまま、拭えぬ絶頂の余韻に身を浸し、涙が一杯まで溜まった瞳のみで、彼に嘆願する。
その瞳の輝きは慟哭である。そして、喜びである。矛盾する性質の相反する感情は、体と精神とに派閥を分けて、熾烈
な争いを繰り広げている。戦線の火花は至る所に飛沫を上げて、黒川の内にも戦火を巻き起こす。飛び火し炎によって
拡大した戦場は今更平穏を取り戻す事も出来ず、疲弊して行くばかりの彼らの心は戦禍の獄卒に苛まれ、抉られた。
 出て行って――≠ニ、そう云っている事を言外に物語る彼女の瞳を見た時に、体を動かす事がどう云うものなのか、
それすらも忘れてしまったかのように立ち尽くしていた黒川の瞳が初めて揺らいだ。そうして、自分が何をしているの
かと辺りを視線が彷徨い、最後に上着をはだけさせ、スカートを脱ぎ捨て、下着を全て取っ払った、淫らな姿で寝台に
横たわっている彼女を目にした時、彼の中の時計の針は漸く時を刻み始めたのである。
「あ……、お嬢様……」
「……ッ……!」
 羞恥に耐え兼ねた、麗華の瞼は堅く閉ざされ、唇は真一文字に引き結ばれて、未だ残る快感の残滓に身震いしている
その姿はまるで何者かにその体を犯されていたかのような印象を彼に与えた。皮肉にも、そのお陰で彼はまともな思考
を取り戻したのだが、それでも混乱へと陥ってしまった彼の頭は鈍重な判断しか下せなかった。
 一歩、彼女の部屋に踏み込んでしまった足を後ろに退けると、続く一歩が再び出された。俯くばかりになってしまった
麗華はその様子を見る事もなく、ただ、その場に横たわるのみである。しなやかに伸びた白い足は汗ばみ、彼を誘って
いるようである。しかし堅く閉ざされた瞼から生える濡れた睫毛が落とす影は、彼を拒絶している。黒川は麗華の姿が
否応なしに網膜に色濃く焼き付けられた心持を覚えていた。傍迷惑にもほどがある、と思っていた。
「失礼……しました」
 黒川は震える唇で言葉を紡ぎ出したが、それも麗華に聞こえていたかどうかは定かではない。それほど、彼の狂悖し
た行動は自分にでさえ信じられないものだったのである。
 黒川の片足が漸く彼女の敷居から出る事が出来た時、彼は急いで扉を閉めてそれを背凭れにその場に座り込んだ。冷
静になった頭が自分を冷罵し、嘲弄し、不様だと哄笑する。何故自分は麗華の声を聞いた時に踵を返さなかったのか、
何故自分はあの部屋の中に足を踏み入れてしまったのか、それらがどうしようもない悔恨となって彼の心を刻んで行く。
けれども、先刻見た光景が、美しい夢でない事は確かだったのである。
 声を押しした慟哭は、彼が先刻耳にしていたくぐもった嬌声と同じように、扉の向こう側から聞こえてきた。それ
こそが自分が犯した過ちの全てを物語っていて、彼を悄然とさせる。黒川は自分の髪を掻き上げて、どうしても頭に浮
かび上がってしまう、惨憺たる様で泣いている彼女を考えて、「畜生」と呟いた。

115 :
投下終了。
今更なんですが、性欲が爆発してしまうみたいな病気でも病弱って言えますか?
もし違ったら大変申し訳ないのですが。

116 :
病気の所為だったのか
思考の暴走だと思ってたが、特に気にならんかった

117 :
それで病弱だと思えないのなら、病弱成分くっつけちゃえばいいよ
病気自体が架空の物なら、全然問題ないはず
それが無理なら押し通してしまえの乙

118 :
SEX依存症っていうのがあったと思います。
あと、脳のどこかの以上でそうなるとか有ったかと。

119 :
>>115
いまサラダがGJ
とりあえず黒川ああああああああああああああああ

120 :
次は志賀本通

121 :
今まで病院ものが多かったので
いっそガンスリンガーガールっぽい戦闘能力が激高だが心臓が生まれつき弱い
少女暗者ものでも書いてみようかと思ったけど

挫折したわwwwww

122 :
再挑戦に期待

123 :
大丈夫なようなので投下します。
質問に答えて下さった方、ありがとうございました。

124 :
「ひっ……うっ……うう……ッ……」
 枕に顔を埋めて、麗華は泣いていた。汚れの一つも見当たらないシーツの上に広がる金の髪は、彼女がしゃくり上げ
る度に揺れている。華奢な体も、細い手足も、全てが彼女を儚く見せるには事足りていて、今にも麗華の姿は霧散して
消えてしまいそうだった。そして、そうなってしまえたら良いのに、と彼女自身思わずには居られなかった。
 黒川が部屋を出て行ってから、幾度自分を怨嗟したか分からない。幾度、自分に怨言を送ったか分からない。彼女は
ただひたすらに自己嫌悪を繰り返していた。けれども、だからと云って何かが変わる訳でもなく、ましてや、彼の記憶
も自身の記憶も消せる訳でもなく、やはり泣く事しか出来なかった。
「なんで……こんなッ……!」
 麗華の性格の淵源は、誇り高くあった。
 いち財閥の一人娘として生まれ、早々に出産を望めぬ身体になってしまった母親は跡取りとして息子を残す事は出来
なかった。だから、彼女らの家系――進藤家の跡取りは彼女が務める事になったのである。幼い頃からそう云い聞かさ
れてきた彼女は、過去から今日まで、そう云った情緒を確立して行くに至った。
 何をするにも気高く、誰にも屈する事なく、常に人を導くように振舞い、一家の恥にならぬようにと心掛けてきた。
勉強も他人に追随を許さぬくらいに励み、運動も彼女に敵う者は居なかった。類稀なる俊才を持ち得る彼女は他人から
敬遠されそうな立場ではあったが、その篤実さと豪放さはそのような念を取り巻きに思わせなかった。
 正に神童と呼ばれるに相応しい彼女は、個人的な能力だけでなく、社交的な能力も兼ね揃えていたのである。誰から
も愛され、誰をも愛するその性格はともすれば荘厳なものであったが、ともすれば仏陀のように慈悲深かった。
 しかし、だからこそ彼女は自分を赦す鷹揚さを持ち合わせていなかった。
 彼女が積み上げてきた自分への自信は先刻を以て酷薄にも崩れ落ちたのだ。自分が晒した姿がどれだけ醜かった事だ
ろうか。一家の跡取りとして有るまじき醜態をあろうことか使用人――そして彼女の想い人に晒してしまった事が、ど
れだけの失態だっただろうか。否、それ以前に、あのような行為に耽る自分がどれほど淫乱な姿だったのか。
 全てを見られたのだ。誰にも見せた事のない下着に隠れた秘部までも、淫靡な嬌声を上げてよがっている様も、絶頂
の果てしない快楽に身を委ねて恍惚としている姿も。全てを見られたのだ。他の誰でもない――あの、黒川に。
「こんなッ……こんな事になるなら……!」
 腕を振り上げて、麗華は枕を拳で叩いた。少しだけ形を変えるそれだったが、それでも柔らかい枕は直ぐに元の形を
取り戻して、彼女を嘲笑しているようだった。抑え切れない激情は溢れ出し、どうする事も出来ない現状は意味のない
暴力を無機物に与える。麗華は枕を鷲掴みにすると、部屋の壁の方に投げ付けた。壁際に置かれていた棚に直撃したそ
れは、その上に在った花瓶を落とし、砕けさせる。それでも彼女の自身への怒りは収まらなかった。
 息を荒げて怒りに震える唇を噛み締める歯には、既に赤い液体が付着している。止めどなく溢れる涙はシーツに薄黒
い染みを作り、濡らしていた。白く細い糸と、赤く濁った糸とが彼女の綺麗な顔の中に忽ち線を引いて行く。錯綜する
思考はむしろ統一されているようでもあった。そこにある全ての感情は自身を蔑むと云う目的に於いて、見事だと思え
るまでの統一を成している。それに反発するかのように乱れた服装は、或る意味で的を射ているようであった。
「こんな身体になるくらいだったら……ッ!」
 ぼやける視界で自分の白い手を見てみれば、そこには彼女の情事を思い起こさせる、既に固まりつつある液体が付い
ていた。ぎり、と奥歯を噛み締めた麗華は、片方の手で思い切りそこに爪を立てた。
「……生まれて来なければ……良かった……!」
 涙が混じり、消えそうな言葉を呟いた彼女は立てた爪に更なる力を込める。爪は表面の皮膚を突き破り、肉すらも抉
り、赤い液体を滲ませた。透明な液体に朱が入り混じり、混沌とした色の液体が彼女の手を伝ってシーツを汚す。感じ
る痛みは最早毛ほどもなく、彼女は自身の手を何度も何度も掻き毟った。
 そこに纏わり付く、汚れを必に流そうとするかのように。涙を流しながら、掻き毟った。
 そこから流れ出る血液も、同じ彼女の体液だと云う事にも気付かずに。
 何も、洗い流せはしないのだと云う事にも、気付かずに――。

125 :
 窓の外には絵画を模したかのような青空が、窓枠に飾られて映し出されている。時折横切る鳥達は颯爽と飛び去り、
微かな歌声を残して行った。漂う雲はただゆっくりと、風に流されて宛てのない目的地を目指して進んでいる。その下
に煙る屋敷の庭に植えられた木々は、大自然の恩恵を喜ぶようにして風にその身を委ねて揺れていた。遠く見渡せる街
々の光景は太陽にその煌びやかさを奪われて、地平線を歪めていた。
 その中の小さな空間で、一人の少女の慟哭は絶え間なく響き続けた。

「……」
 麗華は茫然としながら包帯の巻かれた左手を蝋燭の揺れる火に翳して、見つめ続けていた。美しく光り輝いていた青
玉のような瞳は土耳古石の如く翳っている。僅かに傷の残る唇の柔らかな肉は、瑞々しさを孕んでいた少し前の時分と
は打って変わって乾き、潤いが見えない。丁度良い具合に整っていた頬は心なしか少しばかりの肉が削げ落ちたように
も窺える。時折僅かに動く細く切り揃えられた眉毛は、物憂いげにその根を垂らしていた。
 思わず見違えてしまいそうになる彼女の容貌の変化は、まるで夏が終わった後に秋を飛び越えて唐突に冬が出迎える
ようなものである。猛暑に適応した人々の身体はその急激な変化に付いて行く事が出来ず、舞い降りた極寒に身を震わ
せ、それをもたらした神を恨む。そこに信仰の有無などは関係ない。ただ、不幸に見舞われた時に八つ当たりの対象が
必須なのが、人間と云う生き物なのである。神様とて人々が生み出した偶像なのだから、そうに違いない。
 けれども彼女は自身の怒りの捌け口を知らなかった。神を怨嗟する者は愚者である。他人や物を八つ当たりの対象に
選ぶ者も愚者である。しかし、その全てが何もかも無意義であると大悟する人間は愚者よりも確かに高位な人間である。
それ故に苦しむ。内にただ溜まり続ける濁った水はその許容量を超えても尚止まらない。偶像を捌け口にする愚者は、
或る意味で利口な存在かも知れなかった。果たして麗華は、利口でありながら紙一重の愚者である。
 薄暗い部屋の中を照らすのは一寸の光しか提供し得ない小さな蝋燭の燈火のみである。麗華は揺らめく小さき焔の向
こうに自分の世界を見た。煌びやかな光に照らされた外界の、中心に存在する暗き牢獄。彼女はその中の格子が付いた
小さな小窓から炯々と輝く外界を、恋々たる想いで眺めている。幾ら願おうとも牢獄の重い鉄の扉は開かれず、一筋の
光を見遣りながら彼女は頬に白い糸を引く。その様子を、一人の男が黙然と眺めているのだ。悲しき光を瞳の奥に携え
て、憐憫たる想いに唇を噛みながら、ただ眺めている。牢獄の扉を開く鍵は彼の手に握られている。
 牢獄と外界とを隔てる扉は腕一つ通すだけの幅を持った格子によって造られている。彼女はその僅かな隙間から手を
伸ばす事が可能である。男は扉の直ぐ前に立って、宛然と麗華を見詰めている。その手に握られている、男の体温で温
められた鉄の鍵に触れる事の出来る距離に彼は居るのに、それでも彼女は手を伸ばせない。牢獄の中に住まう悪魔が、
伸ばそうとした彼女の白い腕を掴んでしまう。麗華は懇願する。離して、と湿った目で悪魔に訴える。悪魔は醜悪な笑
みを浮かべながら、彼女を組み敷き、好き放題に犯し、嗤う。それを、男はただ見ている。
 蝋燭の火が根元まで達すると、揺らめく小さな焔は静かに消えた。燭台に残るのは白い蝋の残滓のみで、他には何も
ない。麗華は蝋燭の焔の向こうに垣間見た自分の世界が静かに消えた事に安堵しつつ、薄暗い室内の天井に自身の手を
翳す。左手の包帯に薄く赤が滲み出て来ていた。影で暗くなった血液の色は麗華の自身への憤りである。彼女は綺麗に
揃う五指を曲げて、力強い拳を形作るとそれを閉じた瞼の上に被せた。闇の広がる瞼の裏に映るのは、執拗に焼き付い
たあの日の記憶ばかりである。彼女の追憶は、左手の痛みと共に心を痛め付けていた。
 あれから一週間と云う日数が経過したが、麗華は部屋から滅多に出て来なくなった。彼女が部屋から出る時と云えば、
手洗いや入浴時だけのもので、部屋は常に施錠されている状態であった。食事は黒川が持ってきて、扉の前に置いて行
く、と云った風に、まるで引き籠りになったかのような生活が続く事になったのである。
 その間に彼女達の間で交わされる会話と云えば、黒川が食事を持ってきた時に「食事をお持ち致しました」と云って、
それに麗華が「扉の前に置いて」と短く答えるくらいのものだった。

126 :
 彼女がこの屋敷で唯一多くの言葉を交わす者と云えば、彼女の病気の事など少しも知らない家庭教師だけで、その家
庭教師とだけは彼女は会話せざるを得なかった。これまでの生活の中で勉強中にだけは発作が起きなかったのは、不幸
中の幸いと云えるだろう。一人になると煩悶してしまう彼女にとっては、勉強に集中していられる間のこの時間が一番
安閑としていられる時分であった。
 今日もまた、黒川と麗華は殆ど会話を交わす事なく、麗華は部屋で茫然自失とした時分を、黒川は屋敷でこなさなけ
ればならない仕事をする時分を、それぞれ物憂いげな表情を浮かべながら過ごすはずだった。けれども、今日ばかりは
勝手が違ったのである。二人にとって思わぬ来客が、屋敷の呼び鈴を高らかに響かせたのだった。
 雲が広がる低い空から落ちる雨粒が窓に当たり、五月蠅い音を奏でている日、軽快な音は麗華にはとても久し振りに
感ぜられた。そして、それは黒川も同様の思いであった。
 麗華は相変わらず部屋に籠っていた為、応対に応じるのは黒川の役目だったが、覗き穴から来客の顔を見た時に彼は
あからさまに眉を顰めた。中からの対応を待ちながら腕時計を見たり、髪の毛を弄ったりしているのは、少し癖の
掛かった髪の毛を外に跳ねさせている、顔立ちの良い少年であった。
 何処かの学校の制服を着こなす彼の印象は清楚で清潔、そのようなものだろう。制服を着崩す事なく、形式通りに着
るその少年は、大きな家の一人息子と思わせるには充分であった。しかし、やはり黒川は複雑な心持のまま扉を開いた。
屋敷に招き入れるには、少しばかり抵抗があったのである。だが、黒川は自分の心持がどうであろうと、彼を屋敷の中
に招かねばならない。彼の抵抗は、間もなく扉を開けて、直ぐ前に立っている少年の前に蹲踞した。
「こんにちは。今日は雨の中、いかが致しましたか?」
 黒川は形だけの笑みを浮かべながら彼に訊いた。水滴が滴る癖のある髪の毛は、それでも外に跳ねている。困った風
に人の良い笑みを浮かべながら、少年は目の前に佇む自分よりも幾らか背の高い男を見上げた。同じ漆黒の瞳が、しか
し違う光を湛えながら交錯する。けれども、それを意識しているのは黒川のみである。少年は無邪気なようで人の心を
見透かすような瞳を細めながら、黒川を見据える。雨の音は絶え間ない。
「こんなに濡れて、申し訳ないのだけど、麗華の様子が気になってね。
 聞けば近所からは囚われた姫君の城≠ネんて呼ばれているみたいだし、実際滅多に外出しないって話だから心配に
なってしまって」
 照れ臭そうに濡れた頭を掻く少年の頬は僅かばかり朱が差していた。黒川は、その様子が気に入らないとでも云うよ
うに仮初の笑顔を顔に張り付けた憮然とした態度で立っている。しかし、目の前で誰からも好かれそうな柔和な笑顔を
浮かべている少年は、自分よりも格段に立場が上の者だった。
 その少年――白水 優(しらみず ゆう)は進藤家と縁の深い家系の者であった。それ故に幼い頃から懇意な間柄の麗
華に会いに来るのも多く、慳貪な態度で迎えるなどあってはならない事である。ましてや、屋敷に仕えるただの使用人
がそのような態度を取った暁には、首が飛ぶのは必然である。
 横柄な態度を取らない優はそのような事をする人間では無かったが、その闊達な性格が黒川には気に入らなかった。
誰をも懐柔してしまいそうな危うさを秘めた優に、麗華がどうかされてしまうのではないかと不安になる。杞憂だとは
云えない心配だけに、それを分かっていながら何も行動を起こせない自分に対して歯痒さを噛み締めている。
 実際、優が麗華に対して懸想の念を抱いているのは傍目から見ても確かなものであったし、それを両家とも快く
思っている。元より、いち使用人でしかない黒川が間に入る余地など、存在しなかった。余りにも自分勝手な想いでは
あったが、麗華に長く仕え、そして特別な感情を持っていてはそれも仕方のない事であった。
「すぐにタオルをご用意しますので、客間にてお待ちになって下さい。お嬢様も呼びしますから」
「ああ、ありがとう。それじゃあ、遠慮なく上がらせて貰うよ。ええと、黒川君で合っているかな」
「はい。……それが、どうかされましたか?」
「いや、長い事一人でこの屋敷の管理をされているって聞いていたから。
 僕の所の使用人が聞いたら絶句するだろうね。こんなに広い屋敷を一人で管理するなんて」
「お嬢様が直々に、私を℃cして下さいましたので、大した苦ではありません」
「はは、こんなに主人を思ってくれている使用人が居るなんて、麗華も幸せ者だよ」

127 :
 優は黒川が強調した部分には触れる事なく、飽くまで鷹揚にその場をやり過ごすと屋敷の敷居を跨いで客間の方へと
歩いて行った。彼が歩く度に髪の毛から滴る水が、絨毯に染みを作る。黒川は余裕綽々と云った風に歩む優の姿を一瞥
すると、三階へと続く階段を登って行った。やはりその顔は、物憂いげなそれだった。
 麗華の部屋の目の前に立つと、彼は二回扉を叩いて中からの反応を窺った。彼がノックした後、暫しの逡巡を置いて
中からは細い声が聞こえてくる。暗い影が差すその声は、彼の心臓を中に置いて蜷局を巻く毒蛇の尾に込める力を増さ
せて、締め付けた。
「お嬢様、優様がお見えになっています」
「……優が……?」
 彼女が優を名前で呼んだ事に、彼は人知れず苛立ちを募らせた。立場が同じと云うだけで、お互いに何も知らないは
ずなのに、あたかも懇意だと振舞う様が彼には気に入らない。かと云って口出しする事も出来ず、やはり使用人として
の態度を保ち続ける彼だったが、今日はそれがとても辛く感ぜられた。
 先日の事があったからなのは明白であった。あの日から複雑になってしまった互いの心境は融和する事が出来ないま
ま、今日を迎え、未だに変化を知らない。けれども、優と麗華は普通に言葉を交わせるだろう。まるで久方振りに出会
う親友に気軽な挨拶を交わすのと同様、胸の内に燻ぶる暗き影を見せないだろう。麗華は何も彼に教えてはおらず、彼
もまた、彼女が他人に痴態を晒した事を知らないのだから。
「……分かった。支度してから、すぐに行くわ。黒川はお茶でも出してあげていて」
 優の事だから、傘も差してきてないでしょうし、と最後に付け加えて、それきり麗華から何かを云う事はなかった。
黒川と麗華とが、此処まで長い対話をしたのは久方振りであったが、それでも彼の心境は怏々とした靄が晴れないまま、
心の軋む不協和音を頭の中に響かせている。
 優の事なら何でも分かる、それを示唆するかのように付け加えた麗華の言葉は、存外彼を不快にさせた。長い使用人
の生活が、そのような感情を抱かせはしないと信じていた彼にとってそれは石で頭を叩き付けられたかのような衝撃を
伴った。彼女の口から他の男の名が出る事が、これほどまでに自分を不安に、そして不快にさせると云う事を、彼は改
めて思い知る事になったのである。
「……承知致しました」
 今にも消えて無くなりそうな乏しい声量で云って、彼は心なしか行きよりも重くなった肩を少しばかり下げて、踵を
返した。長い廊下には、彼の靴音と喧しい雨音が静かに響き渡り、何処か蕭条とした様を漂わせていた。
 黒川が客間の扉を開くと、そこには上着を脱いでワイシャツ姿になっている優の姿があった。あの雨の中、傘も差さ
ずに庭を門から玄関へと駆けて来たのだろう彼の体は、上着は勿論水が滴るほどに濡れていて、それはワイシャツも同
様の事だった。濡れている所為で、肌の色が透けてしまっている。黒川は手に持ったタオルを彼に差し出した。
「ああ、済まないね。君には昔から世話を掛けているような気がするよ」
「そのような事はございません。進藤家の使用人として有るべき事をしているのですから」
 苦笑を浮かべて云った優に、憮然とした態度でそう返した黒川はその後何かを云う事は無かった。
 詰まる所、優の来た事に不安と不満を同時に感じているのである。優が此処に来た目的も、彼が麗華に対して抱く気
持ちも――何もかもが判然としない。判然としている事にはしている。しかし、何か逃避的な猜疑心がそれを確信へと
変えてくれない。黒川自身の気持ちは判然としているのに、何かを出来る事もないその現実に苛まれて、彼はただ意気
消沈するばかりであった。
 けれども、黒川はまだ自分の顔に仮面を被せる事が可能だった。優が何事かを云えば、当たり触りのない返答を流暢
に紡ぐ事が出来たし、怏々とした態度を発露する事もない。長年の使用人生活で培ってきた彼の性質は思わぬ所で彼に
助けの手を差し伸べ、救いにならない救済を与えたのである。
 優はタオルと同時に差し出されたお茶を一口喉に流し込むと、ほう、と長い溜息を吐いて何処か遠い目をした。その
様は彼が滅多に見せる事のない緊張の表れでもある。黒川には何故こうして優が緊張しているのか分りかねた。

128 :
「どうだい? 君から見て彼女の病状は。結構深刻だと聞いていたのだけれど」
 図らずも呆然としてしまっていた黒川は、突然掛けられた言葉に即刻返事を返す事が出来なかった。
 否、例え彼が万全の準備をして如何なる優からの問いを待ち受けていたとしても、黒川は答えられないだろう。麗華
の病気を知る事は、彼にでさえ無理であったのだから仕方がない。面と向かって頼み込んでも麗華はそれを拒否するの
だから彼にはどうする事も出来なかったのである。
「……私は存じていませんが、お嬢様は生の問題ではないから心配するな、と申し上げておりました」
「そうか、それは何よりだ。しかし、――君が知らないとなると、どんな病気なんだろう?」
 優は顎に手を当ててその理由を黙然と考えていたようだったが、やがて何も思い付かなかったのか嘆息すると、先刻
よりも温くなったお茶を啜った。黒川は終始気の落ちた表情で、憮然と佇んでいた。無配慮な優の言葉は、今では黒川
の心を抉っているかのように、痛みを与えている。
 それもこれも、全て麗華のあの行為を目にして、耳に入れてしまったのが原因である。あれさえ無ければ、今頃黒川
は優と談笑を交わしていた事だろう。優は使用人とも気兼ねなく話し、そしてその相手も話し易いような雰囲気を作る
才能に長けていたのだから、今の優は黒川が醸し出す一触即発の空気を読み取っているとしか思えなかった。
「――遅れて、ごめんなさい」
 そのような何処か――少なくとも黒川にとっては――気まずい時分が暫く続いた頃だった。
 唐突に客間の扉が開けられ、そこから金の美しい髪の毛を真っ直ぐ腰まで流した麗華が姿を見せた。彼女の姿は、
一見すればワンピースのような服装にも見えたが、よく見てみればそれは着易そうなドレスであった。それが、窮屈な
のを好まない麗華が自分で購入した服である事を知っているのは此処では麗華と黒川のみである。
 そして、それが黒川の胸にちくりと針を刺した。
 普段は何も反発せずに自分が選んできた服を着てくれていたのにも関わらず、この場ではわざわざクローゼットの中
に埋もれていただろう服を取り出してくるなんて――と。それだけではない。彼女の顔には薄く化粧が施され、普段よ
りも長くなった睫毛や、瑞々しい桜色の唇も艶やかに電灯の光を受けて光っていた。白い肌はそれを際立たせ、何処か
儚げな印象を人に与える、新雪のような美しさを存分に放っていた。
「……いや、別に気にしなくても――」
 そう云って振り返ろうとした優は、しかし呆然としたまま口元に近付け掛けていた湯呑を中途半端な位置で固定して、
何処か夢心地で言葉を紡いでいた。唐突に目に入れるには、彼女の姿は余りにも美し過ぎたのである。優は呆けながら
も彼女の姿を爪先から頭頂まで眺めた。そして、最後に麗華に会ったのは何時だっただろうか、と考える。記憶を
遡って行くと、それは実に二人が中学校に入学した祝いの席の事であった。
 扉の前に立つ麗華は、その細く整えられた眉の根を下げて、眉間に皺を寄せて優を睨み見た。癖のある髪の毛から未
だ滴り続けている水滴は絶え間なく下の絨毯に斑模様を作っていて、着ている白いワイシャツは先ほどよりも乾いてい
るものの、まだ透けて地肌が窺えるくらいだった。麗華は嘆息を一つすると、大きく足音を立てながら彼に近寄った。
「れ、麗華……?」
 戸惑ったように彼女の名を呼ぶ優の声に耳も貸さず、彼の手からタオルを引っ手繰ると乱雑にそれを優の頭に押し当
てた。癖のある髪の毛が麗華の操るタオルに潰され、代わりに水気を吸い取られて行く。がしがしと云う擬音が適切に
も見える麗華の頭の拭き方は傍目から見ても乱暴なものだったが、それでいて母親のような恩倖を含んでいるようにも
感ぜられた。その様子を、冷然とした目で眺め遣る黒川は、やはり身体の前で手を組んだまま微動だにしなかった。
「全く……傘くらい何時も備えておきなさいよ、って繰り返し云ってるじゃない」
 彼の頭を拭く手は休ませず、動かし続けたままで彼女は云った。されるがままの優は照れ臭そうに笑いながら、
「ついつい忘れてしまって」と零している。麗華は再び嘆息を落とすと、随分と水気を吸い取ったタオルを彼の頭から
退けて、膝立ちになって真正面から彼の目を見詰めた。蒼穹を映したかのような碧眼と、月の掛かる夜の闇を彷彿とさ
せる優の目が交差する。そうして一拍の間を置いて、麗華は嫣然と微笑みながら久闊を叙した。

129 :
「久し振り、……優」
「久し振り、麗華」
 云って互いに微笑んだ所で、とうとう黒川は自身を苛める心の渦に耐えかねてその場から逃げ出すように、
「お茶を入れて参ります」と云って客間を出ると、早足で台所に向かって行った。突然の彼の行動に麗華と優は怪訝な
眼差しを彼が去って行った扉に向けたが、優が言葉を発した事により強制的にその場の空気はがらりと変わる事と
なった。
 但し、扉を見詰めていた彼女の目には今も寂寞と懊悩を漂わせてはいたが。
「それにしても――麗華、君は随分と綺麗になったものだね」
 紳士が恥じらいを持つ事なく云うような科白を聞いて、麗華の新雪のような真白な肌は、突然夕陽が差したかのよう
に赤くなった。何か云い返そうと彼を見て口を開けても、安閑たる様子で柔和な微笑を湛えている優の姿を見ると、喉
まで出掛かっていた言葉も尻込みして奥の方に逃げてしまう。
 結局何も云う事が出来ず、彼女はただ愧赧の念を表している表情を隠すようにして、俯いた。
「なに、照れる事はないさ。僕だって驚いたくらいなんだから」
「……お世辞なら、お断りだけど」
「僕の目がお世辞や社交辞令を云っているように見えるのかい? 君のその眼は」
 そうして俯く麗華と無理やり視線を合わせようと、彼女の顔を覗き込んでくる彼の目は、麗華に猜疑の念を入り込ま
せる余地もないほどに澄んだ黒をしていて、そこに虚偽などは微塵も窺えなかった。だからこそ、彼女は更に顔を熟れ
た林檎のように赤らめて、出来るだけ優の目から逃げようと顔を背ける。
 そのような、普段は怜悧で荘厳な様子を見せている麗華が見せる可愛らしい一面を満足そうに見遣ると、優は穏やか
に微笑んで彼女から顔を引いた。安心したように溜息を吐いた麗華の顔は、まだ赤かった。
「そうじゃないけど……」
「じゃあ、なんだと思ったんだ」
 諧謔を弄するように、気軽に言葉を紡いだ彼は、しかし呆気に取られる事となった。
 理由など彼女の今の姿を見るだけで一目瞭然であるのに、それでも何故≠ネんだと問い質す彼の質問に、麗華は健
気にも答えを返そうとしたのである。それはやはり彼女が普段の――と云うよりは昔だが、それとは掛け離れているも
のだった。麗華は羞恥に震える可憐な唇で、彼に返答を寄越した。
「……恥ずかしいのよ」
 その様たるや、どうやって形容出来ようか。
 膝の辺りのドレスの生地を両手で掴みながら、顔だけではなくドレスから伸びる肌すらも赤らめさせて、必の思い
で紡いだ彼女の言葉と今の姿は重なる事で形容し難い楚々たる様を見せていた。その姿に彼が言葉を失うのも無理はな
い事である。この場に黒川が居たとしても、同じ反応をした事だろう。
 最後の麗華と会った時などは、こうして恥じらう姿を彼女が見せるなどとは優は考えてもいなかったのである。常に
凛とした面持ちで悠然と人の前を歩く、或る意味で狷介だった彼女がこのような姿を見せるなど、優は初めて知った。
そして、初めてにも関わらずその強烈な映像の一枚一枚は網膜に焼かれ、保存されたのであった。

130 :
「……」
「……」
 そのような奇妙な時分が長らく続いた時であろう。お茶を淹れに行っていた黒川は通常の倍以上の時間を掛けて漸く
戻ってきた。彼が扉を開けて一番に目にしたものと云えば、そこには俯いて真っ赤になった顔を金の長い髪の毛で隠し
ている麗華の姿と、またもや湯呑を中途半端な位置で持ちながら呆けている優の姿だった。
 しかし、彼らの間に流れていた沈黙も、黒川が来た事によって吹き飛ばされたようである。徐々に元の新雪のような
色の肌を取り戻しながら、麗華は黒川から差し出された湯呑をぎこちない礼を云いながら受け取って、一口だけ喉に流
し込んだ。優は、すっかり冷めてしまっているお茶を飲み、顔を顰めていた。
 それから彼らは何事かを話していた。
 当たり障りのない会話を誰もが選んでいるようであった。黒川と麗華は勿論、そしてそれは何故だか優も同じで
あった。彼は何処か節操がないように見えた。何かとそわそわと落ち着かない事が時々あり、そうなると必ず何かしら
の話題を振る。そうして今の時間は成り立っていた。
 けれども、その背景には常に暗幕が張られているかのように、伐としたものを漂わせ続けていた。揺蕩う暗幕の裏
に燦と輝くは、白き太陽である。その光の全てを遮る暗幕は、丁度空に広がっている雲と同じ役割を果たしていた。
「――あのドライヤーの熱さはまだ覚えているよ。あの日も今日のような大雨が降っている日だった」
 枯渇した湯呑を手に持ちながら、優はそのような事を云った。先刻まで昔話をしていた事から考えてみても、それは
同じように過去の思い出の話だったのだろう。彼は癖のある自分の髪の毛を指先で弄りながら麗華に視線を向けた。
 探られるようにして視線を向けられた麗華は、思い当たる節があったのか目を高い天井に巡らせた。既に薄暮を過
ぎた今の時分では、窓の外から入り込むのは騒がしい雨音のみで、外には黒洞々たる暗闇が広がるばかりである。その
所為か、天井に吊るされた豪奢なシャンデリアが降らす光は平生より明るく感ぜられた。
「ええと、何の事かしら」
 判然としない様を見せたまま云われた彼女の言葉は、むしろ優が話した出来事が本当の事であったと証左するものに
他ならなかった。優はここぞとばかりに唇に歪曲を描くと、意地悪く微笑んだ。そうして、その視線を今度は黒川に向
けると、わざとらしく確認するように、云った。
 困った風に視線を彼方此方に巡らす彼女の姿は、彼の嗜虐心を煽るには充分過ぎる効力を持ち得ていた。そのような
事に麗華が気付くはずもなく、唐突に自分から視線を外した優の姿を彼女はただ怪訝な眼差しで見遣っていた。優の後
ろに立っている黒川の姿は、故意に視界に入らないように努めていた。
「君は覚えているかな。ずぶ濡れの状態でここに転がり込んで来た時――ドライヤーで髪の毛を乾かしてくれると思ったら、いや、予想もしてなかった。麗華は僕の頭に躊躇なくそれを押し付けたのだからね」
 そのような諧謔を弄する彼に、思わず麗華は顔に血が昇ってくる感覚を覚えた。
 確かに、彼女が記憶する優との思い出の中にはドライヤーを押し付けた記憶が残っている。あの時は、何度も風邪を
引くかも知れないと注意していたにも関わらず、また雨に濡れて訪れた彼の無頓着さが、子供心に彼女を怒らせたのだ
ろう、気付けば乾かそうと彼に向けていたドライヤーの先端は焦げた臭いを室内に撒き散らしていた。
 大事には至らなかったが、衝動的に優の頭を燃やし掛けてしまった事は未だに彼女にとって遣り切れない思いが残る
過去であった。今でも、優は彼女との間に出す諧謔にそれを使うのだから、麗華に忘れる事が出来ないのも道理なので
ある。けれども、今はそのような優の冗談でさえ、この屋敷に住まう二人の男女には素直に楽しめないでいた。

131 :
「ええ、存じております。あの時は確か、優様が頭を押さえて離さなかったもので、火傷の治療に手間が掛かりました。
その様子を、お嬢様は狼狽致しながら見守っていましたね」
 黒川はそう云って、笑った。但し、その笑みはとても感情の籠っている風には聞こえないものであった。否、或いは
郷愁の念に思わず零してしまった失笑に見える事であろう。しかしそれも、優に対してでしか大した効力を発揮し得な
かった。黒川が喋り終えると同時、殆ど無意識下の状態で麗華は彼を見遣った。
 果たして、そこには憮然とした表情を崩して笑う黒川が居た。見事なまでに精巧な造りの仮面を被った彼が、能面の
ように無機質な微笑を湛えていたのである。
 思わず、彼女は身震いした。
 余りにも、そこで微笑んでいる彼の様子が尋常でないものに感ぜられたのだ。何時もなら柔らかい物腰で微笑む彼が
そのような表情をしているなどと、彼女には信じられなかった。そしてそれがもたらすものと云えば、やはり自身の醜
態を晒したあの日の事なのである。麗華はこの瞬間でさえ自戒の念に苛まれていた。
「……黒川まで、よしなさいよ。あたしが覚えてないんだから、そんな事も無かったのよ、きっと」
「あのドライヤーの熱さは忘れようにも忘れられないものだったがね。僕は今でも君がドライヤーを持っている所を想
像するだけで、頭から血の気が引いて行くくらいなのだし――」
 そうして、三人は誰からともなく哄笑した。
 優は彼女の云い訳の苦しさに、そして黒川と麗華はこの場のどうしようもない滑稽さに。
 彼ら三人が話しているこの場は、どうしようもなく滑稽だった。何処か粗相が無くても談笑を純粋に楽しむ優。対し
てお互いを牽制し合うように窺う黒川と麗華は、常に心の何処かに影を忍ばせていた。三人が談笑するこの場の明るい
表面の裏には、暗澹たる錯綜が渦巻いているようだったのである。兎角、その様は滑稽であった。
 仮に優と麗華の二人だけだったならば、――或いは使用人が黒川一人と云う状況さえ無ければ、均衡は何事もなく保
たれていた事であろう。しかし、現実には黒川はその場に居合わせているし、他の使用人達も存在しない。最悪とも取
れるこの状況はありありと現実の峻峭さを示唆していたのである。
「まあ、あの時僕が晒した醜態と云えば情けない限りだった。今思い出しても恥ずかしい思い出だよ」
 この話題に一通りの区切りを付けた優の言葉を筆頭に、活き活きとした沈黙は彼らを包み込んだ。猛然たる雨音はそ
の熾烈さを更に増し、今では外から聞こえる音など他に聞こえるものは無い。そのような、何処か居心地の悪い沈黙は
暫くの間続く事になった。そうして、三人はそれぞれの思量に耽っていた。
 麗華は考えていた。
 自分が返していた言葉は恐らく適切なものであっただろう。久し振りに出会った幼馴染と交わす会話としては、彼女
が発していた言葉はこの上なく適切だった。久し振りに会えた喜びを密やかながら水面下に映し、談笑を楽しむ笑顔も
見せていた。けれども、その深海の奥深く、彼女は別の事を考えていたのであった。
 自分とは全く違った鷹揚さと闊達さを兼ね揃える優は、とても優しい。自分の云った事に対して正直な気持ちを返し
てくれる。それは彼女が長らく忘れていた至極当たり前の日常であるはずであった。
 しかし、麗華はそれを忘れていた。自分が蒔いた種とは云え――黒川以外の使用人を辞めさせるなどと、そのような
事をしてしまったからこうした場でさえ懊悩に陥ってしまう。

132 :
 恐らく、彼女は気が付いていたのだろう。
 自分が優と言葉を交わし、笑顔を作り――、そうする事で、黒川がどのような表情をしているのか。一見すれば瞭然
の変化なのである。多くの人間はそれを理解する事だろう。黒川は、嫉妬の炎に身を焦がされながら、耐え兼ねた苦痛
にその端正な顔を歪めていたのである。けれども、それが云い訳染みた感情を麗華に与えるのだ。そのような事は許さ
れない。いずれは進藤家を引っ張って行く自分が、どうして使用人との恋を優先出来よう?
 彼女は自分が累々と積み上げてきた尊厳を損なう訳には行かなかった。徐々に秩序を構成しつつある自身の世界に亀
裂を走らせる訳には行かない。黒川に対して取る行動に寸毫の変化でもあったなら、忽ち彼女が唯々として作ってきた
世界は音を立てて崩れる。ましてや、得体の知れぬ、しかし確かな病魔に蝕まれている自分がそのような事をした所で、
誰彼をも不安に陥らせる事は分り切っている事であった。そして、そのような思いがそれ≠フ入り込む僅かな隙間と
なってしまったのである。
 麗華は自分の胸に新しい風が吹き抜けるのを感じていた。今まで生暖かい空気ばかりが蔓延していた自分の心に、爽
快さをもたらす感情が芽生えているのを理解していた。
 優の優しさは人を惹き付ける。もしもそれが身を焼くほどの恋慕に苛まれている者に対して吹いたなら、何も起こら
なかった事であろう。けれども、麗華の恋はむしろ消極的で塵労を伴うものだった。それだから、彼女の胸を颯爽と吹
いて行った柔らかな風は、彼女を躍らせるのである。
 散った木の葉が風に吹かれて、抵抗など出来はしないように、それは至極当たり前の事だった。そうしてそれを嫌悪
する自分自身が、更に畏怖嫌厭を彼女にもたらすのであった。
 ――ともすれば、優に近付くのも好い選択肢かも知れない。
 黒川は自ら恃んでいた。
 今、この沈黙の真只中でさえ優を追い出したいと思う自分自身の存在を。
 しかし、それを上回る彼の使用人としての誇りは必の阻止を見せていた。けれども、彼の心の奥に静かに燃ゆる嫉
妬の炎は、その赤黒い血のような火をは時折油を差されたかのように、火柱と化して燃え上がるのだ。
 例えば、優が麗華を羞恥に染めさせていた時。黒川は云い知れぬ優越を感じているのを見逃せなかった。彼女が真赤
になって俯いている様を見れば、あの日彼が目にした快感に打ち震える彼女の淫乱な姿が過り、麗華をからかう優を、
彼女が少し小突けばその手が誰を想って濡れていたのかを思い出す。麗華が優の名を呼ぶ時などは、切羽詰まって余裕
のない声が誰の名を愛おしそうに呼んでいたのかを思い出した。
 それらが混ざり合って生まれる優越は、しかし彼を救っていたのだ。けれども、想いを知っていても彼にはどうする
事も出来ない。対して優が彼女にどのような感情を抱いていたとしても、彼にはそれを実現させる能力と社会的立場が
ある。その自分との差異が生む焦燥は絶え間なく彼の嫉妬の炎に油を差し込み、猛らせるのだった。
 彼はそれを露呈してしまう事を何より恐れ、そして何処かでそれを望んでいた。
 そのような相反する感情の挟撃が、黒川に能面のような表情をさせる所以だったのである。
「――随分と話し込んでしまったけれど、僕がここに来たのは他に理由があるんだ」
 彼らがそれぞれの思案に耽って暫しの後、優はそう云って話を切り出した。それは前後の会話から察すれば唐突なも
のであった。つい先刻は昔話に花を咲かせて、明るい哄笑を振り撒いていた彼が謹厳にそう云ったのだから、違和感は
拭い切れるものではなかった。
 黒川と麗華は、彼のただならぬ雰囲気に何か尋常ではないものを感じ取っていた。否応なしに湧き上がる不安がそう
するように、焦燥が彼らの心に蔓延する。優は先刻とは打って変わった真摯な眼差しに荘厳な光を湛えながら麗華を見
詰めている。背後に突き刺さる黒川の視線も彼に何ら影響を与えていなかった。

133 :
「……なに、かしら」
 麗華は重々しい空気に押し潰されまいと、必に言葉を紡ぎ出した。優の目には一塊の炭火のような赤い光が揺らめ
いている。静かに揺れるその焔は、彼の決心の表れでもあったのだろう。そのような重大な何かを彷彿とさせる光は、
その様子を裏付けるようにして彼の唇を震わせていた。麗華の目にも映る彼の緊張の様子は、やはりかつてない不安を
巻き起こす。その場に立ち込める雨音は静謐な室内に浮き彫りになって響き続けていた。
 一閃、稲光が黒洞々たる夜の闇に走ったかと思うと、後続に轟音が木霊した。それを合図とするかのように、優は重
い空気を肺に取り入れると漆黒の瞳の中に更なる勢いを以て揺らめく焔を強くした。
「君に――麗華に、」
 内心その場から直ぐにでも逃げ出したい衝動に駆られながらも、黒川は何とかその場に突っ立っている事が出来た。
彼の目は一心に優の背中に注がれている。その瞳の中に憐憫たる弱々しい光を湛えながら、優が紡ぎ出そうとしている
言の葉を摘もうと殆ど無力な努力に心血を注いでいた。
 そして、それは麗華でさえも同様であった。言い知れぬ不安が芽吹いていくような、そのような感覚を覚えて優の真
摯な眼差しから目を逸らしたかった。けれども、優の瞳には魔術でも施されているかのように、彼女の碧眼を捉えて離
さない魔力が込められていて、麗華はただ彼が続ける二の句に耳と目を傾ける事しか出来なかった。
 外に立ち込める雷雲は熾烈な勢いの雨粒を落としている。何も見えはしない漆黒の闇にまた、一筋の稲光が亀裂を入
れた。その頃には丁度、優の唇は既に言葉を形成しようと開きかけていた。
「白水家の次期後継者である僕に、嫁いで貰いたい――」
 それはまるで詩を吟するかの如くの長嘯で紡がれているようであった。その言葉を、黙然と謹聴していた麗華は言葉
を失い、それでも徒に炯々と輝いている碧眼の双眸を見開くばかりである。
 活き活きとした沈黙が領する室内、それをすかのように数刻遅れて遣って着た雷鳴は、黒川の忍従の歯軋りの音を
消し去っても、優の想いの全てが込められた言葉を刹那の光の内に掻き消してはくれなかった。
 後には、何処からか集まってくる雨音が室内に蔓延る静寂の中に虚しく響き渡るばかりであった。

134 :
投下終了。続きます。

135 :
急展開ktkr

136 :
>>134
毎度GJ
しかしこれ主従スレでもいけそうだな

137 :
流れ切って悪いが
お前らこれどうよ
>>ttp://jp.youtube.com/watch?v=Eo_lyj92J34
泣ける

138 :
>>134
GJ!

139 :
>>121
もう一度立ちあがって書こうぜ!?
>>134


140 :
「日向さん、だよね?」
僕はベンチに寝そべった少女に声を掛けた。
冬が近いとはいえ、秋の陽気はまだまだ暖かい。
僕の目には彼女がその暖気を目一杯吸いこんでいるように見えた。
「そうですけど」
彼女はチラリと僕を見るとすぐに視線を逸らした。
まるで興味がないという風に。
なるほど、先生が手を焼くわけだ。
「どうして授業に出ないの?」
僕はあまり彼女を警戒させないように彼女の隣のベンチに座る。
彼女は僕を気に掛ける様子もなく、まっすぐに空を見つめていた。
「意味がないからです」
彼女はそう言ながら僕を見ると小馬鹿にするようにクスリと笑った。
その様は必に勉強している人間を馬鹿にしているようでもある。
僕も学校での勉強に意味があるとは思ってない。
その点では彼女の意見には同意できる。
だけど、それだけでは腑に落ちないこともある。
「じゃあ、なんで君は学校に来ているの?」
僕はその疑問を素直に彼女にぶつけることにした。
もっと時間を掛けて親密になれればいい。
そう考えてもいたけれど、それはどうも難しそうだ。
「家にいても同じだからです」
流れる雲を見つめ続ける彼女の瞳はどこか淋しそうだった。
なんとなく、その気持ちは僕にもわかる。
「そっか、淋しいんだ」
僕は彼女の気持ちを代弁するかのようにポツリと呟く。
彼女はガバっと跳ね起きると、僕に向かって大きな声で叫んだ。
「淋しくなんかありません!」
真っ赤な顔をして、彼女は僕を睨みつけてくる。
クールなのかと思いきや、これはなかなか直情的な子だ。
「そう。 君は雲が好きなの?」
僕は彼女から視線を逸らし、彼女の見ていたらしい雲を見る。
それは、何の変わり映えもしない普通の雲だった。
「別に好きじゃないです」
気勢を逸らされたのか、彼女はぷいっと横を向いた。
こういうのをツンデレというのだろうか。
少なくとも素直ではないのは確かなようだ。
そんな彼女の姿が、僕の目には微笑ましく映っていた。
キンコンカンコーン。
休み時間の終了を知らせるチャイムが鳴った。
「授業、行かなくていいんですか?」
また雲を眺めているのだろうか、遠い目をした彼女が尋ねる。
「いい天気だから、僕も君を見習って授業をさぼろうかと思ってね」
僕を見た彼女の目が一瞬、信じられないという風に大きく見開かれる。
そんな彼女に僕はニッコリと笑ってみせた。

141 :
好き好んで他人と接したがる人間はいない。
そんな人間がいたとしても、それは何かしらの下心があるからに違いない。
僕もその例に漏れず、彼女への下心がある。
ただ、それが世間一般のソレとは少し異なっているだけのことだ。
僕はベンチにドサリと寝そべって空を見上げた。
青い空を白い雲が流れていく。
ゆとりを持って見る空はこんなにも美しかったのかと改めて実感させられる。
彼女はいつもこんな景色を眺めているのだろう。
チラリと横目で隣のベンチに座っている彼女を見た。
僕を見ていたらしい彼女は慌てて視線を逸らす。
「ぷっ、ははははは」
そんな彼女の姿に、僕は思わず噴き出していた。
人との触れ合いに慣れていないらしい彼女の姿は僕の目には新鮮に映る。
「なっ、なんで笑うんですか!?」
彼女は口を尖らせるようにして僕に叫んだ。
思った通り感情の揺れの大きい子だ。
「君が可愛いから」
感情を剥き出しにする彼女が面白くて、ついつい虐めてみたくなる。
可愛い子に意地悪してしまうのは僕の悪い癖だった。
それが理由で何度、好きな子に嫌われてしまったことか。
「なっ、なっ、なっ………」
言葉がでないのか、彼女は口をパクパクとさせている。
そんな彼女に、僕はにっこりと笑って見せた。
「こんの、女ったらしーーーーー!」
彼女の怒声が突き抜けるような晴天に響き渡った。

彼女は懲りもせずに屋上のベンチに寝そべっていた。
もっとも懲りないという点では、お互い様なのかもしれない。
妙に大人しいと思えば、彼女はすぅすぅと可愛い寝息を立てて眠っていた。
僕は彼女の頭の先、ベンチの余った部分に座り、何気なく彼女の頭を撫でてみる。
彼女の髪はサラサラと心地よく、陽光をよく吸収してポカポカと暖かい。
突然、ぱちっと彼女が目を開くと、その視線が僕の視線と絡み合う。
「おはよう」
僕は彼女の頭を撫でていた手を持ち上げて、よっとばかりに挨拶をした。
「ななな、なにしてるんですか〜!?」
彼女は勢いよく跳ね起きるとベンチの限界ぎりぎりまで後ずさる。
その手は胸元でぺけを作るように交差されている。
「何って、髪を撫でてただけだよ」
敵意を持って睨みつけてくる彼女に、にっこりと微笑んでみせる。
悪意のないことをアピールしたかったのだが逆効果だったか。
彼女は僕を指差して、開いた口が塞がらないとばかりに口をパクパクしている。
どんな罵声が聞けるのかと思ったら、彼女は溜めた息を吐いて指を下ろした。
「あれ、怒らないの?」
予想外の反応に僕は思わず尋ねずにはいられない。
「……怒る気も失せました」
ぷいっと彼女は僕から顔を逸らせる。
かと思いきや、その視線の矛先はたまに僕の方を向く。
どうも、随分と警戒されてしまったようだ。
「ん〜っ!」
体を反らせて伸びをする僕の動きに彼女の体がびくりと反応する。
そんな彼女の反応に僕は必に笑いを堪える。
「だ、だから、何で笑うんですか!」
笑われることの理不尽さに彼女は頬を膨らませる。
僕はそんな彼女を、にやにやしながら見つめていた。

142 :
彼女と話すための時間は無尽蔵ではないけれどあった。
少なくとも、僕と会話するのが嫌そうではなかった。
結果的に、僕達は次第にお互いのことを話すようになっていた。
例えば、僕が留年していて彼女よりも一つ年上だということとか。
その時から、彼女は僕のことを先輩と呼ぶようになった。
目上の人間に対する畏敬の念からではない。
僕に対する彼女なりの嫌がらせのつもりらしい。
あまりいい気はしないので、彼女の目論見は成功といっていいだろう。
「先輩は息ができないってどういう事だと思いますか?」
突如として、彼女が突拍子もないことを尋ねてきた。
彼女のことだから、それは普通の意味合いではないのだろう。
「苦しいことだと思うよ」
それが、精神的な意味にしても、肉体的な意味にしても。
どちらとでも取れるような答えを彼女に返す。
何にせよそれは、僕の体験したことのないことだ。
僕には彼女の気持ちはわからない。
わからないけど、理解しなければいけない。
それが、彼女を正すための近道であり、僕がここにいる理由でもあるのだ。
「私は、その息ができなくなることがあるんです」
重苦しい沈黙を破って、彼女がその口を開いた。
それは、彼女が初めて僕に見せた弱さだった。
彼女の呼吸器の障害は心臓が原因のものらしい。
成長につれ障害は肥大化し、いずれはその命すら奪う難病だと聞いた。
唯一、彼女を救う手段は臓器移植のみ。
特殊な体質の彼女に適合する臓器が手に入る予定は……。
今のところはまだない。
僅かに俯いた彼女の見せる辛そうな表情。
不謹慎でも、僕にはそれが少し嬉しかった。
「そっか、怖いんだね」
僕は俯いた彼女の頭をポンポンと軽く撫ぜる。
図星なのか、僕を見つめる彼女の目が大きく見開かれた。

143 :
一人は寂しい、だけど人に弱みを見せたくない。
そんな彼女の選んだ妥協点が、この屋上という聖域だったのだろう。
「大丈夫、君はなない」
力強く、彼女を抱き寄せて囁く。
「僕が保証する、君は絶対になないって」
キンコンカンコーン。
授業の始まりを知らせるチャイムが鳴った。
彼女の小さな手が抱き締めていた僕の体を突き放す。
「授業が始まりますよ、先輩」
俯いたまま彼女は言った。 僕には俯いた彼女の顔は見えない。
だけど、コンクリートの床に染み込んだ水滴の痕。
それが彼女がどんな顔をしているのかを教えてくれる。
「もう何回エスケープしたと思ってるんだい?」
その言葉に僕を突き放していた彼女の手が僕の制服を握り締める。
そして、トンと彼女の頭が僕の胸に押しつけられる。
「先輩は意地悪です」
ふっと息を吐き出すように彼女は呟いた。
「でも、先輩の言葉なら本当にそうかもしれないって思えます」
「……信じてもいいですか?」
彼女にしては珍しい弱気の台詞。
それだけ僕が彼女の心に近づけたのだと思いたい。
「僕のことを嫌いじゃないなら信じてほしい」
彼女の髪に手を伸ばして、そっと撫でる。
「私は先輩なんて、大嫌いです」
そう言いながら彼女は僕の背中に手を回して緩く抱き締める。
「そう? 僕は君のことが大好きだよ」
僕も彼女の背中に手を回し、彼女を抱き締め返した。
視線が交錯し、ゆっくりと彼女が瞼を閉じる。
彼女との付き合いのほとんどがそうであるように
僕は彼女の意図を汲み取らないといけない。
唇を重ね、彼女の甘やかな唇を存分に味わう。
それは甘美な感触であると同時に僕を思い悩ませる。
これ以上の行為は僕に許されるのだろうか、と。
「先輩……」
何かを期待するかのように彼女が僕を見つめる。
熱く潤んだ熱を持った瞳。
その眼差しを断ち切るように僕は再び彼女と唇を重ねた。
そうして彼女を強く抱き締める。
僕は聖人君主ではないし、一人の男として立派に性欲を持っている。
それでも迷いが僕を躊躇わせていた。
「先輩の意気地なし。」
どくん、その言葉が僕の胸を打った。
本当に勇気があるのは僕じゃない。
震える体を健気にも抑え続けている彼女の方だった。
僕は何に怯えていたのだろう。
制服の中へと手を伸ばし彼女のふくらみに手を添える。
そこは僕の鼓動など比較にならないほど早く脈打っていた。
「ごめん……」
僕は一言だけ呟いた。
それは今までの僕の行いに対しての贖罪。
そして、これからの僕の行いに対しての贖罪だった。

144 :
「少し待ってて」
彼女の頭を軽くぽんと叩いて昇降口のドアに向かう。
ドアが開かないように軽く仕掛けを施す。
「せ、先輩……?」
僕の行動に不安を感じたのか彼女は声をかけてくる。
授業中だし誰もこないと思うけど万が一ということもある。
「誰にも邪魔されたくないからね」
僕は彼女に向かって軽く微笑んで見せる。
唖然とした彼女の髪をかき上げて可愛いおでこにキスをする。
「優しくするから」
そう囁きながら彼女の首筋に唇を這わせていく。
彼女の体から甘いミルクの香りが僕の鼻をくすぐるように漂ってくる。
制服の中に手を差しこんで彼女の背中に添って指を滑らせた。
ブラ紐に手が触れると紐を辿るようにホックまで指を手繰らせていく。
「あっ……」
弾けるような感触と共にホックが外れる。
緩んだブラの隙間から彼女の膨らみに手を伸ばす。
思っていたよりは小さいけれど、揉めるぐらいはあることに安心した。
早鐘を打つ彼女の胸の膨らみを優しく丁寧にこね回す。
「ふっ……んっ」
彼女の胸を弄ぶほどに彼女の口からは小さく息が漏れる。
胸への刺激に声がでそうなのを堪えているのだろうか。
「声、出してもいいんだよ?」
そう彼女の耳に優しく囁きながら胸への愛撫を続ける。
耳まで真っ赤にした彼女は意地でも声を出そうとはしない。
僕にはそんな彼女が可愛くて仕方がなかった。
「あっ!?」
不意に彼女が小さく声を漏らした。
「先輩、ちょっと待って」
彼女が慌てて僕を押しとどめようとする。
「どうしたの?」
突然の彼女の心変わりに僕は思わず尋ねていた。
「……下着が汚れちゃうから」
恥ずかしそうに呟く彼女。
その言葉を聞いた瞬間、彼女が僕を止めた理由に理解がいった。
「向こう向いてようか?」
僕は気恥ずかしさに彼女から視線を逸らしながら聞いた。
「……うん」
視界の端に彼女がこくりと頷くのが見えた。
僕が彼女に背を向けると、しゅるりとスカートが擦れる音が聞こえる。
そうして、たんたんと二つ床に足を落とす音。
「先輩、いいよ」
ようやく彼女からお呼びがかかり、僕は彼女へと向き直る。
気恥ずかしそうな顔の彼女、この制服の下には何も は い て な い。
そんなことを考えると、なんというか不思議な気分になってしまうものだ。
僕は無言で彼女の手を引いて、ベンチの前に立たせるとスカートの後ろを捲り上げる。
「座って」
そうしてベンチに彼女を座らせる。
制服が汚れないようにするための僕なりの配慮だ。
彼女を押し倒しながら制服の裾から指を滑りこませていく。
「ふっ……んっ…」
胸に触れると閉じられた彼女の睫毛がぴくりと揺れた。
そのままゆっくり、彼女と唇を重ねる。
熱く、舌と舌を絡ませ合う濃厚なディープキス。
「んっ…んんっ……」
合間に漏れる彼女の吐息がたまらなく愛しく思える。

145 :
舌を絡ませつつも神経は手に集中させる。
気取られないように彼女のスカートを少しずつ捲り上げ、
肌に触れてしまわないよう時間をかけて彼女の股間へと指を近づけていく。
「んっ…!?」
指先に触れた淡い感触に彼女は小さく身悶える。
ばれてしまったのなら、もはや我慢する意味もない。
僕は指先を彼女の秘所へと這わせた。
指先に感じられるひんやりとした液体の感触。
彼女のそこはすでに愛液を溢れさせていた。
「濡れてるよ…」
濡れ具合を確かめるように秘裂に何度か指を滑らせて
すっかりと熱くなった蜜壷の中に少しずつ指を潜り込ませていく。
指を進ませるほどに彼女の可愛らしい唇からくぐもった声が漏れる。
「やっ……んくっ……」
内壁を指先で交互に擦るようにして彼女の中を軽く掻きまわす。
壁を擦る度に彼女の身体がびくりと小さく跳ねる。
何かを堪えるように彼女の口から吐き出される熱い吐息。
そんな彼女の仕草が可愛くて、ついつい虐めたくなってしまう。
愛撫を中断する頃には彼女は息を荒くして、ぐったりとしていた。
その隙に財布の中のコンドームを僕自身に装着する。
何年前のコンドームだろうか。
当時のことを思い出すと情けなくなるので今はやめよう。
彼女の秘所に僕自身を擦りつけるようにして滑り具合を確認する。
どうやら準備は十分のようだ。
「いくよ」
短く確認を取ると彼女の中への挿入を開始する。
半ばまでペニスが入った時点で何かに引っ掛かるような感じがした。
「かなり痛いかもしれないけど、我慢できる?」
彼女は手で口を抑えながら首を縦に振る。
僕は一息にペニスを彼女の奥へと突き込んだ。
「んう〜〜〜っ!!」
手で抑えられた彼女の口からくぐもった悲鳴が漏れる。
さすがにかなり痛かったようだ。
目の端からはじんわりと涙が滲んでいる。
「大丈夫?」
汗の浮いたおでこの前髪を撫で上げるようにして尋ねる。
彼女はこくこくと頷いたけど、それがやせ我慢であることは間違いなかった。
「やっぱり、やめようか」
言いながら、少しでも痛みが和らぐようにと彼女の頭を撫でる。
彼女に苦痛を味合わせながら、僕一人が絶頂に達したところで何の意味もない。
僕の目的は、彼女を気持ち良くしてあげることだからだ。
「いやです」
頬を膨らませて、彼女はきっぱりと言い切った。
こういう時の彼女の強情さには目を見張るものがある。
梃子でも引いたりはしないのだろう。
「こんな、途中でやめるなんて絶対に許さないです」
彼女は僕の制服の襟を握り締め、ぐいっと引っ張るようにして立ち上がる。
僕と体を入れ替えると、ベンチの上に僕を押し倒す。
そうして、僕の上に馬乗りになった。
「先輩がイクまでは絶対にやめませんから」
そう宣言して彼女は膝立ちの姿勢から腰をと落としていく。
彼女の蜜壷がゆっくりと僕のペニスを呑み込んでいく。
「あっ…ぐっ……」
苦痛に彼女の顔が歪む。
彼女が自ら望んでそうしている行為だ。
僕に止められるはずがなかった。

146 :
「……優」
僕の目の前で彼女は必に痛みに耐えている。
彼女の為に僕がしてやれることなんて限られている。
一番の解決策は少しでも早く射精してしまうことだろう。
「先輩……」
苦痛に歪んだままの表情で彼女は僕に微笑んだ。
そんな彼女の健気さに僕は胸が締めつけられる気がした。
彼女の中で締めつけられているペニスが思わず硬くなってしまう。
「はっ…んんっ……」
途切れ途切れに息を漏らしながらも彼女はゆっくりと挿入を繰り返す。
締めつけは悪くはないし、滑りも悪くはない。
だけど、こんな緩慢な刺激では絶対にいけそうにはない。
「先輩……気持ちいい、ですか?」
不安そうな表情で彼女が尋ねてくる。
「……うん、気持ちいいよ」
それは嘘じゃない、彼女の中はすごく気持ちがよかった。
ただ、抜けるほど強い刺激ではなかったけれど。
「そう、ですか……」
彼女は嬉しそうに微笑むと腰の動きを僅かに早める。
痛みが薄れてきたのか、ただ我慢をしているだけなのか。
一つだけはっきりと言えるのは、彼女の漏らす声色。
それに苦痛以外の何かが混じり始めているということだろうか。
「んうっ……、先…輩……」
熱い吐息吐き出すようにして、彼女が僕を呼ぶ。
その腰つきは次第に早く、滑らかな物に変わっていく。
それは強い締めつけと相まって、僕を限界へと追い詰めていく。
「くっ、出るっ!」
僕は呆気なくゴムの中に精液を吐き出していた。
「先輩……、いっちゃったんですか?」
彼女は怪訝そうな表情で僕を見つめてくる。
「そうだよ」
軽い倦怠感を感じながら僕は彼女に答える。
「……よかった」
彼女は満足そうな表情を浮かべて微笑んだ。
だけど、その少し前に彼女の見せた物足りなそうな顔。
僕はそれを見逃さなかった。
「それじゃ、お返し……だね」
僕はニンマリと笑うと、腰をゆったりと動かし始める。
「えっ……?」
間の抜けた彼女の声が印象的だった。
抜いたら終わりだと考えていたんだろうか?
どっこい、世の中そんなに甘くはない。
「今度は僕が君を気持ちよくしてあげる」
彼女の腰を両手で掴むようにして身体を起こして、彼女の首筋に舌を這わせる。
左手は彼女の腰を抱いたまま、右手を制服の中へと滑り込ませていく。
精液を吐き出して意気消沈していた僕の物はすぐに固さを取り戻し始める。
「せっ、先輩……!?」
彼女の口から戸惑うような声が漏れる。
その振動は彼女の喉を通して直接に僕の舌へと伝わってくるようだ。
「さっきはあんまり触れなかったから、今度はじっくり触ってあげるね」
彼女の控え目な膨らみをやわやわと揉み解す。
控え目とはいってもそこは立派に女性の胸なわけで、楽しむ分には問題はない。
しっとりと汗ばんだ彼女の胸の感触は、手に吸いつくように柔らかくて心地よかった。
「さっきよりドキドキしてるよ?」
どくどくと掌に伝わってくる彼女の脈動。
それを慈しむように彼女の滑らかな胸を撫で上げていく。

147 :
舌で指で彼女の身体を弄びながら、腰を尺取虫のようにゆったりと動かしていく。
緩慢な動作は確実に彼女の柔らかな内壁を捉え、擦り上げていく。
「はっ…くうっ……」
可愛い口からは苦しそうな息が漏れる。
彼女の身体はじんわりと熱く火照ってきているのだろう。
その首筋にはうっすらと汗が滲んでいる。
「痛くない?」
優しく彼女の体が痛まないように。
ゆっくりと彼女を突き上げるようにして尋ねる。
「はっ……はい」
短くこくりと頷くだけの反応、それだけ余裕がないということなのだろう。
膨らみに手を這わせ、中を浅く擦りつける。
その度に、彼女は小さく息を漏らして肢体をびくりと震わせる。
「優の中、すごく熱くなってるよ」
羞恥心を煽るように彼女の首すじに囁きかける。
その言葉に反応するように、彼女の膣が僕自身を小さく締めつける。
僕の首に抱きついたまま彼女は何も答えなかった。
ただ、背中に回された手に僅かに力が篭っただけだ。
彼女の爪が僕の制服に食い込むのがわかる。
反応を見ればわかる、きっと彼女の顔は真っ赤なのだろう。
そんな彼女の様子に僕はくすりと笑う。
彼女の胸の先端を指で軽く弄んで、少し強めに逸物を押し込む。
「んんっ…ふあっ!」
びくりと背筋を仰け反らせると、彼女の口からは艶っぽい吐息が吐き出される。
彼女が身体が仰け反る度に、膣がぎゅっと締まって僕自身を強く締めつけてくる。
その感触がたまらなく気持ちがいい。
「気持ちいい?」
緩く彼女の答えを引き出すように彼女の中をゆったりと掻き回す。
彼女の言葉を妨害しない程度にゆっくりゆっくりと。
「気持ちいい…、です」
躊躇うような小さな声で彼女はその言葉を口にした。
彼女にその言葉を言わせたという征服感に僕はぞくぞくとしたものが走るのを感じた。
その高揚感に僕自身が一段と硬さを増し彼女の中を軽く擦る。
んっ、と小さく彼女の唇から息が漏れる。
「そう、よかった」
僕はニッコリ笑って囁くと、少し強めの挿入を開始する。
これから先にもう気遣いは必要ない。
ただ、彼女を気持ちよくすることだけに没頭すればいいのだ。
彼女の柔らかく滑らかな膨らみを揉み解す。
そうしながら、その先端を指先でくりくりと刺激していく。
次第に彼女の先端が硬くなっていくのがわかる。
「んっ…ふあっ…」
胸は彼女の中でも特に弱いところの一つなんだろう。
他の場所を弄った時と比べると実に反応が素直だ。
少し弄ぶだけで、すぐに僕自身を締め付けさせてくる。
そんな彼女を見ていると、ますます胸が触りたくなってしまうわけで。
ついつい指先に神経を集中させて、彼女の胸を触ってしまう。
「あっ…先輩…っ…!」
彼女が頭を僕の胸に強く押しつけてくる。
俯かせたその唇からは、はあはあと荒く息を喘がせている。
そろそろ限界が近いのだろう。
腰をしゃくりあげる度に、内壁を擦られる感覚に彼女は小さく息を漏らす。
背中に回った手には力が篭り、彼女の中は僕自身を締めあげる。
狭くなった中を押し広げるように挿入すると一層強い反応が得られる。

148 :
触れれば触れるほどに彼女の口から漏れる声は大きくなっていく。
まるで、淫らな音を鳴り響かせる楽器のように。
僕はゆったりと腰を突き上げながら、胸を弄んでいた手を
スカートの中へと潜りこませて、彼女のクリトリスを軽く刺激した。
「うあっ…!?」
肉の芽を指で押さえつけると、彼女はびくりと体を仰け反らせる。
そのまま肉芽を指先で転がすように刺激を加える。
「せっ…、先輩っ……」
彼女は苦しそうに息を喘がせながら、体をびくびくと震わせる
肉芽を弄ぶ度に、彼女は今までにない強さで僕自身を締めつけてくる
「んっ……んんんっ!!」
僕を抱き締める彼女の手に力が篭り、彼女の膣がぎゅっと僕のものを強く締め上げる。
その締め上げを利用して僕もラストスパートに入る。
下の壁を擦るように引き抜きながら、抉るように彼女の中に深く突き込む。
彼女の締め付けに、体をぞくりとした感覚が這いあがる。
「ふあっ…、先輩ぃ……!」
彼女の口から切なげな可愛い声が漏れる。
そんな彼女の姿からは、香り立つような女の匂いを感じさせる。
絶頂の後も激しく責められてきついんだろう。
とは言っても、僕もこんな状態ではやめるにやめられない。
「ごめん、僕も後少しだから…。」
彼女は身体をぐったりとさせて、はあはあと息を乱れさせている。
首に絡んだ腕も抱きつくわけではなく、力なく垂れ下がっているだけ。
僕は彼女の身体を両腕で支えると、己の欲望を満たすための挿入を繰り返す。
「んうっ……、うあぁっ…!」
彼女の唇から漏れる辛そうな喘ぎ。
そんな彼女の表情にも、そそる物を感じてしまう。
僕は絶頂に向けて容赦なく腰を突き込んでいく。
「優っ、いくよ」
僕は彼女の体を強く抱き締める。
高まる快感をペニスから迸らせるようにして僕は絶頂を迎えていた。
張りつめたゴムの中に精液がドクドクと吐き出されていく。
彼女の体を抱いたまま、僕はベンチの上にゆっくりと倒れ込む。
荒い呼吸の度に持ちあがる彼女の重みが不思議なぐらい心地よかった。

キンコンカンコーン。
授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
「優、たまには授業に出てみようとは思わない?」
僕の上に圧し掛かる存在に僕は声を掛ける。
「たまには、授業に出てみるのも悪くはないかもしれませんね」
そう言って彼女は意地悪そうな笑みを浮かべる。
それは、僕の見た彼女の笑顔の中で一番の笑顔に見えた。

149 :
私が授業に出始めると、入れ替わるように先輩は学校に来なくなった。
その頃の私は、遅れていた学力を取り戻すのに必だった。
だから、先輩の事を考えている余裕なんてなかった。
それからしばらくして、ドナーが見つかったという朗報が私の耳に届けられた。
信じられなかった。
今まで諦めていたものが手に入るという喜び。
手術の失敗や感染症といった問題はあった。
だけど、そんなものは輝ける未来の前には霞んで見えた。
手術が無事に成功してから何年経っただろうか。
本当に私は病気だったのか、そう思える程に私は健康になっていた。
結婚して初めての子供を産んだばかりの私は、
我が子の愛らしい寝顔を見る度に幸せな気持ちで一杯になれた。
きっと、私は人生で一番に幸せな時期を迎えているのだろう。
「優、これ・・・」
産婦人科のベッドで休養中の私に母さんが手渡したのは一通の手紙だった。
差出人の名前は、あの影山先輩だった。
優へ
この手紙を読む頃には君は手術を終えて元気になっていると思います
君を支えてくれるであろう素敵な人が君の傍にはいますか?
もし、そんな人がいるのなら少し残念です
だけど、傍にいなかった僕には何も言える資格はないよね
君が幸せであるかどうか、それが僕の唯一の心残りです
もし、君が自分の選んだ相手に自信が持てないと言うのなら一言
大丈夫、君の選んだ相手に間違いはないよ
もっと自分を信じて
僕は君の幸せをいつまでも祈り続けています
永遠の愛を篭めて
20xx x月x日 影山 大輝
手紙を読み終えると、私の瞳からは涙が溢れていた。
忘れかけていた記憶が鮮烈な映像となって頭の中に蘇ってくる。
この手紙は私の手術が行われるよりも前に書かれた物だ。
それなのに、先輩は私が手術をすることを知っていた。
私は先輩に自分の病気の事を話した事はない。
先輩が私を励ますために言った根拠のない台詞、忽然と姿を消した先輩。
全ての点が私の中で線となって繋がっていた。
悲しかった、悲しかったけど、それ以上に嬉しかった。
先輩は私を捨てたんだとずっと思っていた。
だけど、そうじゃなかった。
先輩はずっと一緒だった、ずっと私と一緒だったんだ。
「優・・・?」
母さんが心配そうに私に声をかけてくる。
「ううん、何でもない」
私は服の袖で涙を拭って答える。
「私、今すごく幸せなの・・・すごく幸せ・・・」
力強く脈打つ鼓動を掌に感じながら、
私は溢れ出す心からの笑顔で母さんに微笑んでいた。

150 :
あとは他のSS書きさんに期待する

151 :
素晴らしく乙です!
ありがとう。

152 :
キタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━!!!!
GJだよGJ

153 :
GJだよ!!
一つになって生きていくって良いな

154 :
保守剤投与

155 :
何で先輩は心臓あげたのか?
事故でんで移植されることになったのならわかるけど。
前もって手紙を書いてるということは、移植するのがわかってる。
つまり移植するのがわかってるということは、
自分がんでしまうのがわかってるわけだから、心臓をあげる理由づけがないとおかしい。
不治の病でぬから、というのは無しね。
そういう病人からの移植は無いから。
エッチシーンの描写などディテールは凄く良いのに、
設定の時点で破綻が惜しい。
設定に無理があると醒めるから。
骨組み破綻の無いようにして書いたら、きっと神。
頑張ってまた書いて。

156 :
         ,. -ー冖'⌒'ー-、
       ,ノ         \
       / ,r‐へへく⌒'¬、  ヽ
       {ノ へ.._、 ,,/~`  〉  }    ,r=-、
      /プ ̄`y'¨Y´ ̄ヽ―}j=く    /,ミ=/
    ノ /レ'>-〈_ュ`ー‐'  リ,イ}    〃 /
   / _勺 イ;;∵r;==、、∴'∵; シ    〃 /
  ,/ └' ノ \   こ¨`    ノ{ー--、〃__/
  人__/ー┬ 个-、__,,.. ‐'´ 〃`ァーァー\
. /   |/ |::::::|、       〃 /:::::/    ヽ
/   |   |::::::|\、_________/'   /:::::/〃
!     l   |::::::|  ` ̄ ̄´    |::::::|/
    ノ\ |::::::|            |::::::|

157 :
誤爆orz

158 :
すごく期待出来る書き手さんなんで、正直に感想を書きました。
気分を害したら申し訳ない。
期待の表れなんだ。

159 :
投下します。

160 :
 ――白水家の次期後継者である僕に、嫁いで貰いたい。
 ここ数日降り続いた雨の水滴が窓に玉を作っている。麗華は、濡れる窓の先に広がる雲の蔓延る低い空を見て、先日
優に告げられた求婚の言葉を思い出していた。あの日から一週間が過ぎた今でも彼女には優の言葉を細部に至るまで思
い浮かべる事が出来た。それは、例えば彼の真摯な瞳であるとか、心持ち震えた声であったとか――兎に角、そのよう
な普段なら数刻も経たぬ内に忘れてしまうような事も頭の中に焼き付いて離れないでいた。
 優は麗華に猶予を与えた。彼女にとってそれは恩賜にも相当する有り難い言葉であった。突然の求婚に混乱する麗華
を見兼ねたのか、前もってそう決めていたのかは定かでは無いが、麗華は少なくとも前者だと思っていた。何時でも柔
和な笑みを絶やさない鷹揚な彼が見せる優しさの一つだとしか、彼女には結論付ける事が出来なかったのである。何と
か乱雑に散らばった自身の想いの断片を整理する時間を与えられた麗華は、彼から受け賜わった猶予の代償に、絶えず
煩悶を繰り返さねばならない苦痛を受け取った。
 麗華は物憂げな表情のまま、長い睫毛から降りる影に悲しげな光を湛え、彼の求婚をどうするか悩乱していた。
 しかしその一方で、既に決断は出来ているとも云えた。彼女の立場からすれば、それは他には有り得ない選択肢であ
る。彼女は進藤家唯一の娘なのだから、当然だった。
 麗華の母君は、彼女をこの世に産み落としてから早々に出産を望めない身体になってしまったと云う。男尊女卑――そ
う云う訳ではなかったが、昔から進藤家の後継ぎは男性であると云うのが古くから続いてきた進藤家の習わしであった。
しかし、母が生んだのは麗華であり、それから新たに子を身籠る事もなく、已む無く麗華が進藤家を継ぐ事となってい
た。
 それは彼女が幼い内から聞かされていた事である。だからこそ、麗華には迷う余地など無かった。二つに分かたれた
世界に、それぞれで光り輝いている太陽のどちらかを選ぶ二者択一の権利などは持っていなかった。
 彼女が聞かされていたのはそれだけではない。麗華が病魔に蝕まれた頃、事態は急速な変化を遂げたのである。麗華
が患う病気は或る意味でとてつもない重さを秘めている。進藤家当主として下の者を率いる立場にある彼女があのよう
な淫蕩極まれりの病気に苛まれている事を誰彼が知ったら、どのように思うかは、聞くまでもなく判然している。
 そこに生まれるのは、不安、憫然、不満――それこそ負の方向に傾く事はあっても正の方向に傾くなど到底有り得な
い事である。それを彼女の両親が知った時、彼らは一つの決断を下した。その結論に至るのは線路の上を列車が行くか
の如く滑らかであった。そしてそれを受け入れざるを得ないのも、彼女はよく理解していた。
 進藤家の次期当主が不安定ならば、進藤家と懇意な仲である白水家の当主と添い遂げさせるより他はない――彼らが
下したのはこのような判断であった。いずれにしろ、女性当主では何かと便宜が良くない世の中である。それだけで白
水家の令息を許嫁にする事に迷う余地などは無かったが、強制的な結婚を強行する時代ではない上に、本人達の気持ち
も無視する訳にも行かず、彼女が病を患うまでは最終的には優と麗華次第であった。
 けれども、彼女が更に不安定になれば、それは必須と云えるほどの事になった。何時発作が現れるかも知れない彼女
に進藤家の全てを任せるのは心許ない。麗華は自分が病気に侵されているのを知った時にはもう大悟していた。そして、
白水家との結婚は両親からも切に願われた事柄であった。
 そして、一週間前に彼女はとうとうその時を迎えたのである。優は麗華に求婚をした。そしてそれを是と取るか非と
取るか、彼女は今二者択一を託されている。しかし、迷う余地などは元より存在しなかった。彼女は自身の尊厳と、進
藤家の行く先とを考えて、彼の求婚を快い返事で受ける事を決めかけていたのである。
「黒川――……」

161 :
 しかし、麗華は彼女の人生で一度きりの分岐点の前で、立ち往生していた。
 その理由が黒川だった。彼女が懸想を寄せる相手、しかしその想いを告げる事など許されるものではない。それ故に
彼女は何時までも同じ所を低回しているのであり、そしてそのような自分に憤りを感じているのだった。
 けれども、麗華は憤りよりもむしろ、自分を見たくなくなるほどに自分が醜く思えた。それこそ食糞餓鬼よりも醜く、
卑しく、低俗な人間のように思えた。それは要因は説明するまでもなく、彼女が天秤に掛ける二人の男性の存在に関係
する。一人は黒川、一人は優、その二人を麗華は天秤に掛けているのである。
 勿論、それぞれに寄せる想いの内訳は似て非なるものであった。
 麗華が黒川に寄せるのは恋情であり、対して優に向けるのは親しい友人に抱く思慕だった。
 それだから、麗華は自分がどうしようもないほど醜く感ぜられたのだった。
 優は麗華に想いを告げたあの日、言葉にはしなくとも静かに燃ゆる自身の想いを彼女にぶつけた。優は進藤家の存亡
であるとか、そう云うものに興味を持っていなかった。ただ、彼の想いを優先して彼女に告げたのであり、そこには麗
華への憐れみも無ければ偽りなどは畢竟あるはずがなかった。
 しかし、麗華は違うのである。彼女が本当に気に掛ける人間は黒川以外に有り得なく、優に向けるのは親友としての
想いである事にも何ら変化は無かった。
 けれども、優は云ったのだ。そして、望んだのだ。
 嫁いで欲しい=Aそして言外に、この想いに対して本当の気持ちで応えて欲しい――と。
 それを天秤に掛けるなどと、失礼極まりないではないか?
 黒川と添い遂げる事が不可能だからと云って、不本意な結婚をするのが許されるとでも?
 自身の気持ちは? 優の気持ちは? そして、黒川の気持ちは?
 彼女の心の中に種々様々な自問が錯綜する。そしてその錯綜の果てに、漸く彼女は答えを見出したのである。それは
奇しくも、窓の外に見える雲に入った僅かばかりの裂け目から、爛々と輝く太陽が面を見せた時と同時であった。まる
で、彼女の決断の表れであるかのように、太陽から差す一筋の光は彼女の白い中に青味を帯びた憂い顔を照らし、薄暗
い室内にぼんやりと浮かび上がらせた。その瞬間に、彼女の部屋には二回ばかり、扉を叩く音が木霊したのであった。
「お嬢様。朝食の用意を致しました」
 その低くも細い声が、一層彼女の決断を堅固なものとした。
 彼女は何時になく荘厳な声音で、ただ一言「入って」と云った。
「……失礼致します」
 戸惑うようにおずおずと扉を開いて中に入った黒川は、窓際に置かれた椅子に腰かけている麗華の姿を見遣ると、目
を足元に落とした。この部屋を見るのは何日振りだったか、それすらも分からない。ただ頭に描かれるのは彼女がよが
るあの姿のみで、やはり彼は表情を曇らせた。
 そして、今日が何の日であるか、それを考えても黒川は気分が消沈するのを感じた。今日は優が求婚の返事を伺いに
来る日であったのだ。彼は一週間の猶予を麗華に与え、そうして出た結論を結果の良し悪しに関わらず享受すると云って
立ち去った。けれども、それだから彼には部屋に招かれた理由が一つしか思い当たらなかったのである。
 恐らく、別れの言葉を云われるのだろうと、何となく彼はそのような気がしていた。彼女が進藤家の為に白水家に嫁
ぐのは、殆ど義務に近いものがあったのだから、それも仕方がない。食わねばす、と目の前に置かれた飯を誰もが食
べるように、恫喝に酷似する強制的な選択を、諫める事などは出来るはずもないのだ。彼は諦念感を携えたまま、麗華
の部屋の中、扉の前に立ち尽くした。
「私の前に、来て」
「……」
 黒川は麗華の命令にただ聴従するだけであった。重い足取りのまま彼女に近付くと、その間に鳴った靴音ですら重々
しいものになっている気がした。彼女の目の前に立つと、彼は物も云わずにただ足元に視線を注ぐばかりであった。
 そのような黒川の姿を一瞥して、麗華は黙然と窓の外を見遣った。太陽は何時しかその全貌を雲の裂け目から覗かせ
ている。差す陽光は眩しかったが、しかしこれからの自身の行動を後押ししてくれている気がして、彼女は深く呼吸す
ると項垂れる黒川を真正面から見据えた。

162 :
「黒川に、云いたい事があるの。良いわね?」
 麗華は強い物云いで釘を刺すと、彼の顔を上げさせた。そうして今度は暗い声で「はい」とだけ云った黒川の漆黒の
瞳を見詰めた。ありありと寂寥を漂わせる彼の姿は憔悴し切っているようである。
 何処か翳った瞳も、下がった眉根も、どれもこれもが何時もの使用人≠フ彼の姿を眩ませる。しかし、だからこそ
彼女は決断した事を敢行するのである。麗華は大きく深呼吸をすると、やけに落ち着いた声音で話し始めた。
「あたしは先日、優に結婚を申し込まれたわ」
「……存じております」
 何を分かり切った事を、とは黒川は云わなかった。ただ彼女の言葉に胸を突き刺され、心臓が抉られるかのような凄
まじい苦痛に表情を歪めた。それでも、話を聞かなくてはならない。例えそれが最も耳にしたくない言葉だとしても、
それに耐え兼ねて耳を塞ぐ事は許されないのだ。
 これが最後に受ける命令なのだろう、黒川はそう思わずには居られなかった。そして、その途端この屋敷の存在がと
ても大切な物に見え出した。
「あたしは、それを受けなければならない。……それは分かるわね?」
「……はい」
 不安定な人間を当主に就かせるのは忍びない、それは黒川もよく理解している事だった。だから、麗華がどのような
物言いで、例えそれに仕方がない≠ニ云う響きが含まれていたとしても、口を挟む事は出来なかった。
 彼らの間に聳える壁は、刻薄なまでの高さを以て麗華と黒川とを懸け隔てている。最早それを越えて接する事などは
不可能な領域になってしまったのだ、と彼は半分諦念にも似た喪失感を感じていた。今までの時間は失われる。同時に
彼らを懸け隔てる壁の意味も意義を無くすだろう。それが酷く惜しく思えた。
「でも、あたしは最後に黒川――あなたに伝えるのと同時に、尋ねるわ。……本当の気持ちで答えて」
 ――嗚呼、彼女は何と眩しい光を碧眼の双眸に秘めているのか。その光の眩しさたるや、太陽でさえも裸足で逃げ出
して行くかのような神々しさと共に光り輝いている。そしてそれを肯定するかのように、雲影から慈顔を出した銀河の
栄華の象徴たる太陽は、その恩賜を躊躇する事なく大地へと乾坤に注いでいた。
 麗華の瞳がそうして慇懃な様を漂わせた一瞬間、黒川は身体が強張るのを感じた。
 恐怖がそうさせたのではない。ましてや怯えでも悲しみでもない。それらを上回る正体不明の感情が、そうさせたの
だ。例えるならば――そう、積み重ねてきた今までの時間が成す山が、崩れそうに揺れたような、とてつもないほどの
不安だった。それと同時に、彼らの間を分かつ壁に瓦解の兆しが見えたのを、彼は感じ取っていた。
「はい」
 その予兆と不安と、麗華の瞳とが、彼に怖気づいた態度を取らせる事を許さなかった。黒川は先刻の見るも痛々しい
表情を自ら掻き消し、彼女の慇懃な視線に応えるようにして漆黒の瞳に一点の焔を燈した。
 広大な雲影が蒼穹を覆う灰色の空には僅かな隙間から顔を出す太陽でさえ息を潜めているようである。燦々と煌めく
光が窓から差し込み、彼ら二人の姿を朧げに映し出していた。輪郭を何処か不明瞭にさせるその光は何処となく儚く、
触れようとすれば煙となって消えてしまいそうだった。

163 :
 ――幾何かの逡巡が巡り、麗華は先日優がそうしたように重々しい空気を吸い込むと、言葉を紡いだ。
「あたしは――」
 疎らに散らばった感情の破片を糸で紡ぐように、彼女が人生を送る中で見付けてきた感情はそうする事によって形を
露わにして行く。冥々とした場所で燻るだけだった感情も繋ぎ合わせ、緊張に暴れ狂う心臓がもたらす手の震えも必
に堪え、一つの言葉を創り出して行く。積年の想いは酷く脆い。繋ぎ合わせてもたった一言の言葉で一瞬にして崩れ
去ってしまうだろう。けれども、彼女はもう後に引き返す事は出来なかった。
 選ばなくてはならない人生のたった二つの分岐点。その道の分かれ目に存在する古ぼけた看板に指し示される道の内、
彼女はどちらか一つを選ばなくてはならない。
 片一方は草莽が覆い尽くす限りなく見え難いが、それでも爛々と輝く太陽が白い光を捧げる道、片一方は月の冴える
漆黒の夜の帳が降りた寂寥の漂う道。彼女はその分岐点の目の前で、看板に一つの問いを掛けるのだ。
 ――明るい道に、行く事は出来ますか。
 その問いを、彼女は震える唇で、けれども先刻と変わらぬ慇懃たる様を振舞おうと尽力しながら、ただ、静かに、熱
く滾る感情を垣間見せながら、彼へと紡ぎ出した。
「――黒川と、添い遂げたい」
 縹渺とした弱々しい風が窓を叩いた。僅かに雲霞を払う太陽が、彼女に向かって光を注ぐ。心持ち濡れている彼女の
碧い瞳が輝いた。未だかつて、誰彼にも向けた事が無いであろう、身を灼く恋情を携えて。
 驚愕と、混乱とが綯い交ぜになり、思考を鈍らせる。しかし、纏まらない思考の裏に、常に大切に安置されていた
一つの言葉の塊は、彼女が告げた言葉の意味を咀嚼するよりも早く、姿を現した。そこに刹那の逡巡すらあったのかど
うかでさえ分からない。少なくとも、黒川は自身の思考が、今し方云った言葉を理解する前に云ったのだから、その速
さがどれほどのものだったのかは想像に難くない。
 それはあらゆる感情を無視し、それと同じだけの猛然たる痛みを伴いながら、沈黙ばかりが勢力を上げる室内に轟く
凄まじさを以て、彼女の鼓膜を震わせた。
「お嬢様の告白に、私は答える事は出来ても応える事は――到底、叶う事ではありません」
 そこに含まれた意味に、恐らく麗華は気付いたのだろう。
 みるみる内に、慇懃な態度を崩して行く彼女を、黒川は残酷な優しさが突き動かすがままに抱き締めた。小さな体躯
に感じる体温はどうしようもなく温かく、手に降り掛かる金の糸はどうしようもなく柔らかく。胸の中から聞こえてく
る蕭条たる慟哭はどうしようもなく愛おしい。
 灰燼と化した彼女の想いは、心に吹き抜けた突風が残さず浚って行き、後に残る荒寥たる有様に同情する事さえも黒
川には叶わない。彼はただ武骨な手で彼女の髪を梳き、自身の中で渦巻く激情の嵐を収めようと背中に回した腕に力を
込めた。胸に抱かれる麗華は、阿蘭陀の涙のように儚く脆い、そして且つ堅固だった想いと共に涙の雨を碧い瞳から降
らせていた。黒川のスーツに縋るようにして、顔を押し付けて、濡らし、ただ、泣き続けていた。
 ふと、黒川は窓の外を見遣る。
 蒼茫たる蒼穹が広がっているはずの空には重苦しい灰色の低い空が空々と雲域を広げている。そこに雨は無かったが、
それよりも中途半端に雲の膜の向こう側に身を隠し、滲んだ白い光を放つ太陽が鬱陶しく思えた。一思いに豪雨でも降
らしてくれたなら、少しはこの騒ぎ立てている胸の内を鎮めてくれるかも知れないのに、ことごとく黒川の嘆願を跳ね
のける大自然の理は無変化の中に世界を抱くばかりである。
 何故だか、大した明るさも放っていない今にも消えてしまいそうな太陽の光が、目に染みた。

164 :
投下終了。続きます。

165 :
支援

166 :
>>164 今更ですがGJ!
続きがきになる・・・

167 :
お嬢様ってのは今まで有りそうでなかったキャラだからな
かなりポイント高いよな

168 :
上げ

169 :
あいかわらず文章下手だけどな

170 :
>>169
これは読む人選ぶSSだろ。
純文学好きな俺にとっては上手いと思った。
軽い文体が好きな人には敬遠されるだろうけどな。

171 :
>>170
誰にでもミスはある。
これが下手糞なやつだったら揶揄するが、つづきが読みたいので最後まで頑張れ。
ま、今後気をつけろ。

172 :
>>170
お前に言ってんだ
それともあれか?「志村ー、ID、IDー!」って奴かWWWW
それだったらマヌケ杉だろJK
あんまり面白杉age

173 :
喧嘩するなよ

174 :
病室ではお静かに願いますよ

175 :
す、すんません!

こ、怖ぇ…また>>174さんに怒られた

176 :
もう投下は無いだろな…

177 :
せっかく書いてくれてんのに、下手くそなんて言われれば書く気失せちゃうかもね…
てか、見てる減った?

178 :
見てる人減った?、ね

179 :
まあ前スレは>>1というキャラありきだった故にだしな
保守キャラも御法度…ってかぶっちゃけネタ切れだしな

てなワケでその…さ、どっか行きたいとことか、食べたいモンとかない?
いや、べ…別に急に優しくなんかなってねぇよ!いつも通りだろ!
このスレは過疎で落ちかけなんかじゃねぇよ!

180 :
長い闘病生活なんだ、弱気になる事だってあるさ

181 :
age

182 :
世間では一昨日辺りまで、「お盆休み」というものだったらしい。
私の身にとって、それが関係のないものとなってどれくらいたっただろうか…。
以前勤めていた会社に突如降って湧いた「製品不良による、医療事故への加担」の疑惑。第三者委員会は結局原因究明に至らず、あれだけ騒ぎ立てていたマスメディアも、今では水を打ったかのようにすっかり静まりかえっている。
彼らは何時だってそうだ。自分たちに興味が無くなれば、視聴者・読者の反応が薄くなれば、すぐに別な話題作りに躍起になる。
翻って、切れ目無い弾幕のような、暴力的な言葉の集中砲火を浴びた私達はどうなる?
私はあの時まで、将来への期待に満ちた新人MRだった…。仕事には、毎日新しい発見が感動があり、残業続きの日々にも苦は無かった。クライアントから求められる、知識レベルの高さに武者震いし、それこそ寝る間が惜しくて徹夜で資料に目を通した。
何より私をそこまで駆り立てる原動力、「婚約者」の存在が大きかった…。
中学時代2年間クラスメートだった彼女とは、大学のゼミ交流会というひょんな場所で再会し、以来私自身驚くくらい焦らずに交際を進め、遂にプロポーズまで漕ぎつけたのだった。
それらの「希望が詰まった箱」を、あの時突然にぶちまけられたのだ。当然私の世界は一変した…。
(若い君なら、まだやり直しが利くから、ねぇ?)業績が急に悪化した会社ではベテランMR達の圧力に屈し、早期依願退職の列に加わった。(わたし自身の気持ちに揺らぎは無いんだけれど、ね?)ごめんなさい、そう言い残して彼女は私の前から姿を消した。
そうだ、彼らはズルい!会社にしがみつくことを選ぶのはプロフェッショナルでは無い、ベテランだ。周囲の理解ない声に結局傾くのは、本当に婚約者の行動なのか?
…これは私自身の心の叫び。自らの力ではどうする事も出来なかった、哀れな遠吠えだ。
そうして私は、人との関わりの少ない仕事、少ない仕事へと職を住居を転々とし、今に至っている…。
さて、午後の巡回警備の時間だ。

183 :
>>182続き
構内警備の仕事とは、私自身思うに、単調の積み重ねの永続である。
何事もないことが美徳。
だが、今現在のように一度事が起これば…。
(君は一体何をやっていたんだ!)と当事者側から激が飛び、(君、こんな事では困るじゃないか…)と、先方に平誤りに駆け付けた担当上司に、粘り気のあるお小言を掛けられる。
赤の他人からの、いわれのない罵声・ヤジ。厭味を含んだ非難の声。そんなものは慣れてくれと謂われても、馴れたと外には言ってはいても、とめどなく溢れて来る感情がある。
かつては、傍にそっと寄り添ってくれる存在があった。そんな小さな幸せが永遠に続くと信じて疑わなかった。今ではそれすらも叶わない…。
私はそっとその場を辞し、人気の無い方人気の無い方へと、歩を進める。
はっきり言って、大人な行動ではない。反社会人的な行動。ふとそんな一節が脳裏を過ぎる…。
傍から観れば通常の巡回中の警備員さん、そうにも見えただろうか。なるべく自然さを心掛け、私は目的の場所の前に立つ。右手側ポケットに手を突っ込み鍵束に触れる。
すっと抜き取った手の平のハーネス先に、それらは扇状に拡がると小気味よい金属音を聞かせてくれる。
目当ての一本を選び抜く。油性マジックで黒色に塗られた鍵先、持ち手には[9]とテプラが貼られている…。
ふっ、と一息ついて、鍵穴に差し込みシリンダーを廻した。毎度お馴染み解錠の音、私は同時にドアをそっと押し始める。これは所謂ホテル錠、従ってドアノブを動かす必要が無い。
戸口の先には非常口を知らせる緑色の弱い光、続いて青・濃紺・黒と闇が広がりを見せている。
果たして今の私はどんな顔をしているのだろうか…?一瞬だけそう思い表情を引き締める。予想外に表情筋の動きが大きい。
おいおい、しっかりしろよ。大丈夫か?自分自身に叱咤しつつ、半身分だけ開けた空間にするりと身を滑らせ、そっとドアを閉じた…。

<巡回警備員の午後>プロローグ・完

184 :
スレチ乙

185 :
まあ、第一印象は悪いね

186 :
今頃前スレ>>1は元気に夏コミの戦利品のBL同人誌を読んでるんだろうなぁ…
一緒に列に並ばされた彼氏とか顔げんなりさせてたり
いやはや元気が一番だねぇ

187 :
>>186
いつまた病状がひどくなるかわからんからな
要注意

188 :
あの子の事はそっとしてあげて

189 :
>>45の続きが気になるのは

…俺だけか?
ノゥワァァン(泣)

190 :
>>189
今更…

今頃になってそんなこと…

どうしてもっと早く言ってあげなかっだったんですか!
>>45はもう…

もう…


191 :
誰か・・・
誰か>>45を迎えに行く者はいないのか!!

仕方ない!こうなったら俺が・・・!!

続きを妄想して抜いてみる・・・!!

192 :
町はずれの丘の白い屋根の病院に
every sunday afternoon 花束持って会いに行く
御機嫌ナナメの午後はしかめっつらで
たまに花瓶が飛んで来る事もある
気分がいい日には君も聞けるでしょう、あの子の口癖
"and goes on like this"
「もうすぐ羽を貰うの、この窓から飛び立つわ
そして映画観に行って、洋服も買って、アイス食べながら天使と恋するの」
 She's only 14
町はずれの丘の白い屋根の病院に
every sunday afternoon今日もあの子に会いに行く
マイナス思考とステレオタプを何より嫌い、自由とロックを愛する彼女曰く
「人生は長さなんかじゃ無くどう生きるかでしょう?」
得意げに笑って"and goes on like this"
「もうすぐ羽を貰うの、この窓から飛び立つわ
雲の上まで行って又地上に降り立つの
そして映画観に行って、洋服も買って、アイス食べながらメトロ乗るの
ピアス開けてたまに学校に行って、夜にはあなたの腕で眠りたいの」
町はずれの丘の白い屋根の病院に
every sunday afternoon今日もあの子に会いに行く
「いま羽を貰うの、この窓から飛び立つわ
雲の上まで行って又地上に降り立つの
そして映画観に行って、洋服も買って、アイス食べながらメトロ乗るの
ピアス開けて、たまに学校に行って、夜にはあなたの腕に抱かれて
最高の眠りにつきたいの」

193 :
>>192
それで一編書け
いや書いて下さい

194 :
 優希はベッドに腰掛けて窓から曇った灰色の空を眺めるだけの時間を過ごしていた。
 一人静かに、特に何を考える訳でもなく、空を、雲を、太陽や月を、ただボンヤリと眺める。偶にその視線を落とし、海に向かってなだらかに下っていく町の風景を見ることもあるが、気付けば空を眺めている事が多い。
 今現在は足だけだが、時には手が、時には全身が使えなくなる病を抱えている優希にとって、ソレは寝たきりになった状態でも彼女が出来る貴重な行為だ。
 手足を使わないと出来ない事が日常化してしまったら、また手足が使えなくなった時に自分の状態を強く認識してしまい、より苦痛を感じてしまう。
 優希がソレに気づいて以来、彼女はココ何年かで一番多くの時間をこの行動に費やしていた。
 他の患者と話す事に楽しさを見出せず、むしろ苦痛しか感じなくなってからは特にソレが酷くなった。
 隣の患者は優希の知らない話題をたくさん持っていたが、その話の面白さを理解できないうちにその患者は退院してしまう。次にそのベッドにやってきた患者も、同様だ。
 かつての友人達に感じた、自分だけが何も成長していないような、自分だけが取り残されるような感覚ばかりが募っていき、優希は相部屋の患者と口を利かなくなるようになっていった。
 しかし、相部屋ゆえに隣の患者の会話や行動は優希に届いてしまう。楽しげで、ソレで居て優希には理解できない会話は、さらに優希に苦痛を感じさせた。
 いつだったか、優希は一人部屋へと移りたいと母に話した。長年の入院費用は馬鹿にならず、自分のせいで親の生活が楽ではない事を優希は理解していたが、それでも耐えられなかったのだ。
 優希の母はその言葉に何を思ったのだろうか。優希の心情を察したのか、それともただのわがままと思ったのかは分からない。結果として、母は優しい笑みを浮かべて優希の希望を受け入れてくれた。

 一人部屋の生活は寂しいものだった。
 今まで煩わしいとしか感じなかった雑多な音や、嫌でも耳に入ってくる情報がカットされただけで、ココまで孤独を感じるものかと優希は思い知らされた。
 それでも、自分だけが取り残されるような感覚は和らいでくれた。
 静かに空を見上げ、いつか感知する事を願いつつ養生する生活は変わらない。
 ある日、鏡を前に優希はある事に気付いた。寝てばかりの生活のせいか、背は伸びず、外見も入院した頃と殆ど変わっていなかった。まるで自分には時間が流れていないのではないかと、優希自身が錯覚したほどだ。
 しかし、そんな優希にも時が流れている事がハッキリと視覚できるものがあった。
 目が覚める度に増えてゆく、下半身を中心に、全身に残る無数の手術痕――。
 切っても、何が悪いのか分からない。しかし、機械や外側から見ただけでは原因を突き止めることすら出来ない。故に、無駄に増えていく傷跡――。
 自分の白い肌に傷が増えていく度に、優希は時が流れている事を自覚してしまう。
(自分に未来はあるのだろうか?)
(このまま、両親に負担をかけながら、無駄に時を過ごしていくだけなのだろうか?)
 そんな事を少しでも考えてしまえば自分が生きている意味を考えてしまい、そして自身の人生を自分で否定してしまい……、涙が溢れて止まらなくなる。
 泣きたくない。泣いて、そんな自分を、現実を、認めたくない。
 だからこそ、優希は空を眺めていた。
 悪い事を考えないように、ただボンヤリと――。

195 :
 そんな、ネガティブ思考防止の為の日課の意味合いが変わってきたのは、ある冬の日だった。
 優希が「目を覚ました」その日、薄暗い窓の外では雪が降っていた。
 入院してからどの位経つかは忘れたが、彼女がこの病院で雪が降っているのを見たのはコレが初めてだった。
 この町の雪は、冬に入ると一晩で降りつくし、ソレっきり降らなくなるのだという。
 普通の生活をしている人ならば、冬の入りを知る恒例として目にするが、季節の変わり目が近づくと何日もの間「眠る」彼女が、この降雪に出会える機会は今までに一度もなかった。
 優希は珍しく心が躍る思いがした。
 自分の、唯一とも言える私物である携帯を取り出し、窓を開けてその様子を携帯のカメラに収めようとした。出来るだけ空が大きく綺麗に写るようにと、動かない下半身に鞭を打って窓から身を乗り出し、手を伸ばして雪が降る空を撮ろうとする。
 しかし、目覚めたばかりで衰弱していた彼女の筋肉はその程度の運動にも耐え切れなかった。突然腕の力が抜けたかと思うと、手の中の携帯電話がスルリと零れ落ちてしまったのだ。
 優希は小さく悲鳴を上げた。
 ただでさえ入院費で生活が苦しい両親が、それでも優希に持たせてくれていたその携帯は彼女にとっての宝物である。
 共働きで忙しい両親にいつでも連絡出来る。いつ「眠たく」なっても、いつ「目覚めて」も、すぐに知らせる事が出来る。個室に移った事で母の仕事量も増え、面会できる時間が少なくなってしまった優希にとって、それは命の次に大切なモノであった。
 優希は慌てた。必至に車椅子を駆って、中庭へと携帯を拾いに向かった。
 夜明けを迎えようとしている中庭に雪は厚く積もっており、三階の病室から中庭に向かう僅かな時間で雪は降り止んでいた。
 本当は看護士を捕まえて携帯を取って来てもらうべきだったが、その時の優希にはそれだけの時間も惜しくあり、同時に、骨折で運び込まれた患者の件でナースセンターが急がしそうであった事が、一人で行くという思いに拍車をかけた。
 吐く息は視界を遮るほど真っ白く、空気は身震いするほど冷たかった。その上、急いでいた為に優希は何の上着も羽織っていない。こんな所で長居をできるほどの体力は優希にはない。
 雪にはまらないように、舗装された地面を選んで車椅子を進めていく。雪が薄く、足場が固い場所を選んでは進み、10分ほどをかけて何とか優希は携帯を落とした地点へと辿り着いた。目覚めたばかりの体は降り積もった雪の中を車椅子で進むという苦行に限界を訴えている。
 幸いな事に携帯はすぐに見つかった。三階という高さから落としたにもかかわらず、雪のお陰で外傷は見当たらない。
 安堵の溜息を付き、優希は携帯に手を伸ばした。
 しかし、無茶な姿勢で手を伸ばした事が悪かったらしい。「ガコッ」っという鈍い縦の揺れに続き、車椅子が雪の深い所へと傾いた。舗装している道から外れ、花壇か芝生かの段差に車輪の片方が落ちたのだ。
 優希が全てに気付いた時には既に遅く、彼女は深い雪に車椅子ごと倒れこんでしまった。
 身を切る寒さの中、パジャマ姿でココまで来た優希の冷え切った体に、直接触れる雪の冷たさは過酷なものだった。その上、体を起こそうとした所で突然体を支えていた両手が地面に沈んだ。驚く間も無く、両手に激痛が走る。
 よりにもよって自分が倒れこんだ場所が氷の張った池だったとは。激痛に顔を歪ませながら優希は絶望した。雪に突っ伏している為に呼吸も出来ず、顔の筋肉はガチガチに冷えて強張り、まともに声が出ない。
 息苦しくなっていく中、水の冷たさがが強烈な痛みと共に腕の感覚を消してゆく。もし腕の力が抜けたら、自分は池に頭から突っ込んで溺してしまうだろう。
 自身の危機に対して恐怖感が本物になってくる。腕の感覚が無くなるにつれ諦めの気持ちが強くなってくる。
 そんな瞬間、突然優希の体は宙に舞った。
「無事か!」
 自分が濡れるのも構わず、優希を抱き上げた青年は真っ先に大声でそう訪ねて来た。

196 :
 あの瞬間から、優希の中に桐沢孝之という人物が住み着いた。
 ただ無心で空を眺めるだけの漠然としたこの時間は、最近になって若干の意味を変えていた。
 空を眺めていると、いつしか孝之の事を考えてしまい、「また会ってみたい」「話をしてみたい」そんな欲求を感じるようになったのだ。
 長い入院生活で、患者や看護士以外の人との付き合いに飢えていた事もあるし、そもそも目覚めたばかりで久しぶりに誰かと話をしたかったことがその原因かもしれない。危ない所を助けられたという出会い方もその一因だろう。
 孝之が見舞いに来てくれるも突然帰ってしまったあの日からは、その思いがさらに強くなった。気が付けば、また孝之と会えるか、もっと孝之のことを知る事が出来るかをずっと考えているのだ。
 そして同時に、優希は木村晶に聞かされた孝之の幼馴染の話も思い出していた。その話で晶は、幼馴染にとっての孝之を延命剤に例えていたが、今の優希にはその幼馴染の気持ちが理解できる気がする。おそらく幼馴染は、この想いよりも何倍もの強さがあったのだろう。
 まだ数度、顔を合わせ、言葉を交わし、笑いあった程度の付き合いでしかないのに、孝之との僅かな時間は優希に孤独な印象を一切与えずに、コレまでの入院生活になかった鮮烈な充実感を与えていた。
「また、会いたいな……」
 ボンヤリと空を眺めつつ、優希は呟く。
 晶の言った「心配しなくても、孝之はまた近いうちに現れる」という一言を信じ、その時を待つ瞳には以前の絶望感は映っていない。
 最近になって自分が前向きな思考になっている事を、その時の優希が気付く事は無かった。


――――――――――――
引越しで間が開いたけど、ちまちま続けます。
エロ展開がないのがあいかわらず酷い……

197 :
先生!速く続きを処方してください!

198 :
乙〜!
規制の間に随分と寂れちたもんだな
活気が戻るのを信じてのんびり待つかな

199 :
はやく職人を呼び戻すんだ!

200 :
「職人は何処に在りや 全住人は知らんと欲す」

201 :
上げ保守

202 :
このスレに来るとロードを思い出してしまうから困る

203 :
すんごい今さらだけどロードって何?
このスレはいろいろ大切なもんを忘れちまった気がするよ
思いやりとか優しさとか

204 :
>>203
それに乗っかって、オレもオレもで立てたスレだからこうなったんだよ…
まとめ見てみろよ、自分たちの載せたらあとは知らん顔だ

205 :
完結したら載せようと思ってる
いつか完結すると信じて、じっと待ってるんだが変か?

206 :
>>205
変じゃないですよ

207 :
やあ…このスレは過疎ってるんだってね?
そいつは良かった…。

だって病気の女なんていないんだろう?

208 :
みんな退院しました

めでたしめでたし

209 :
>>202
虎舞龍?

210 :
なんか保守する必要ないときに保守ネタしようとするわりには
ほんとに保守が必要なときに過疎るあたりもうだめなのね
みんな熱が冷めたよう

211 :
なんか保守する必要ないときに保守ネタしようとするわりには
ほんとに保守が必要なときに過疎るあたりもうだめなのね
みんな熱が冷めたよう

212 :
大事な事なので二回言いました。

213 :
9月ももう終わりですね。
この前のリンゴ、ありがとう。
最近は薬のせいかな、すごく眠くて、来てくれたのに気づけなくて、ごめんなさい。
せめて手紙で、お礼を言いたくて。
…また、来てね。
…今度はちゃんと、話をしたいから。
ちっぽけな病室から愛をこめて。
        保守

214 :
千の祈り、千羽鶴

215 :
ならこれで215羽目…っと

「どう?お姉ちゃん?うまく折れてるでしょう?」
そう言って私のベッドの上に肘ついてぶーんなどと言って折り鶴を飛ばす真似をして無邪気に笑うこの子が心の底から憎い。
「えへへぇ…お姉ちゃんのいい匂い…」
嬉しそうにシーツに鼻先を埋める仕草がたまらなく鬱陶しい。
近づくな触るな。
ここで呼吸すんな。その息をいますぐ止めろ。
「それじゃあ時間だから買えるけど、明日また来るからね」
ふざけるなもう二度と来るな。
「じゃあね〜」


「……バカ。ここ結核病棟だっての。マスクぐらいしないっての」
そして私はまたあの子が来て早々に外してしまったマスクへとそっと唇を重ねた。

216 :
じゃ216羽目な

217 :
これで217羽ね

218 :
美しい娘がうちに入院した。
図らずも担当となった俺はすぐにやられた。一目ぼれだった。
彼女の病、それは、目が見えないことだった。
彼女は兄を愛していた。
その兄に婚約者ができた。
彼女は困惑した。受け入れようと努力した。だが無理だった。
狂おしいまでの情熱を抑えるうち、無意識のうちに婚約者を傷つける事件が起こった。
精神衰弱を治療するため、という名目でここへ入れられた彼女に変化が起きた。
目が見えなくなったのだ。
いやこう言った方が正しい。婚約者だけが見えなくなったのだと。
彼女にとって婚約者は、存在しないものになっていた。
彼女は精神の均衡を取り戻す。
兄夫婦も安心。ハッピーエンド。
なワケはない。
身近な人間を理想の男性に祭り上げることで社会を知った気か?
世界はもっと広い。
俺は今日も目の前に腰掛けている。恐れている目を開けてくれるようにまで。

219 :
クリスマスまでに一作投下できるように頑張ってみる
本音を言うと、自作より他作が見たいんだ
誰か一緒に頑張ろうぜ

220 :
>>219
ギュッ(ベッドから出ている手で無言で手を握る)

「ここに…いて」

221 :
ベッドから突き出した生白い手が俺の手を握る。
暗い闇の底から響くような冷たい声。
ぞわりと背筋に鳥肌が立つ。
やっ、やめてくれ!?
この病室には誰もいないはずなのにっ!?
誰か、助けてくれ〜!?
気弱な俺の声にならない叫びが病室に響いた、まるっと。
今はこんな調子だけど、いつか退院できるといいな。
それじゃ、また。
─221羽目を枕元に置いて

222 :
折り鶴を握りつぶしながら少女は今日も泣く

223 :
だって…だって…
千て、
1000まで行ったら…
1000まで行くって…

1000まで保守だなんて…
ずっと、ずっと保守だなんて…

そんなの絶対イヤ…

224 :
もとが保守だけで1000まで繋いでいこうというスレだったからな
洒落っけのある保守書き込みしている間にSS投下があったりなかったりラジバンダリ
気長に待とうか

225 :
>>もとが保守だけで1000まで繋いでいこうというスレだったからな
んな訳ねぇだろ
それで職人追い出したのか?とんでもねぇ糞スレだな

226 :
「そんな!それじゃ君は……」
少年が絶望的な声を上げる
「あら、今更知らなかったとでも言うつもりなの?」
この白い部屋の絶対君主、白いベッドに腰掛けた少女が見下す様に言う。
「…だって君は……だとしたら…」
今迄信じていたものが全て嘘だったと言うのか?そう思うと少年の腰から力が抜け、思わずサイドボードに手をつく。
ぎしり、とベッドが鳴る。
少年のそんな様に少女鼻を鳴らす、その目は下僕を見下ろす君主の目だ。
「大袈裟ね……あなただってそうでしょう?何のために来てるのよ、ここに」
「それはだって……」
「あなたもみんながあの娘にしたみたいにしたいんでしょう?」
ごぶり、と少年の心の黒い物が澱が揺れる。
<違う…あの子は…>
「…そんな風に……言うな…」
「何よ、あの娘がよくってあたしが駄目って事は無いじゃない、あたしにも」
少女の声はもう少年の耳に入ってなかった。
『あの子』あの少女は…耐えていた、自らの運命から、そして待っていた、やがて来るであろう希望を。
ダノニコイツハ
少年の心の澱はごぼごぼと広がり、それとともにその心は冷えて行った。
「どうせあの子だって心の中じゃ……」
「煩い!黙れ!」
激しくその肩を掴む。
「痛い!何すんのよ、ちょっ!離して!やめてよ!何よ知ってるのよ、あんたがあの子の事をどうおもってたのか!」
一瞬少年の力が緩んだその隙に、少女がするりと腕から抜け出す。
「だれか…」
「うおお!」
「うぐっ」
計算した動きではない、少女が助けを呼ぼうとした刹那、少年はその行く手を阻もうとして大きく足を出した、
そこにまるで狙ったかの様に見事なカウンターで少女の腹が当たったのだ。
「うがっ、がっ」
腹を抱えてうずくまる少女、その姿が一瞬別の少女の姿とダブる。
あの少女
あの時少女は病に耐え、苦しみに耐えていたのに
ダノニコイツハ

227 :
「うおおおっ」
そのガウンの襟を掴んで力ずくで起こすとそのままベッドの上に叩き付ける
「あうっ!うっ」
その上に馬乗りになるや細い咽を掴む。
「わかったよ……してやるよ、望み通りにな……」
「がっ、かはっ」
酸素を求めてその口を開く、その瞳は突然の暴力にと痛みによる恐怖に震え、潤んでいた。
もう君主の目では無い。
少年は少女のガウンの帯びを抜くと彼女の両手をベッドの鉄パイプに縛り付けた。
「いや…やめて…」
サイドボードの小振りの包丁を取るとガウンの下のネグリジェの襟に差し込む、
「ひい…」
辛うじて出た悲鳴は消える様に小さかった。
ネグリジェが切り裂かれると白い薄い胸が露になる、その先の赤身がかった突起を見た時、少年の下腹部がギリリと鳴った。
そして吐息も荒く少女の径鼠部に刃物を差し込むとショーツを切り裂き、それを少女の口に押し込んだ。
彼の尻の下で少女の足が暴れる。
それを感じながら腰のベルトをゆるめ、ジッパーを降ろす
「ふぐ、ぐううう」
白い顔を朱に染めて少女が自らの運命に抗う様に頭を振る。
<そうさ、そんな抵抗など>
少年の怒張が引き出される
<あの子の耐えた苦しみに比べれば>
少女の膝の裏を持ちその脚を高くかかげる
<どれほどの物か>
少年の前に幼い秘裂が表れ、開かれたそこに分身を一気に突き立てる。
「ふうっ!ふうむむむうううううっ!」
「こうされたかったんだろ!お前みたいなクソスレ!こうして保守してやる!
>>225
こうですか?わかりません(´・ω・`)

228 :
つまり本スレの>>1はビッチであると。
そう言う事で宜しいか?(`・ω・´)

229 :
ビッチでいて仮病常習犯な程に人恋しい女の子…
なんか昔のエロゲにそんなキャラがいたな

230 :
「おはよう、よく眠れたかい?診察の時間だよ」
今朝も同じ時間にやってくる。
「さぁ、さいしょは検温だよ」
少女の返事も待たず布団をめくる、横向きに寝ている少女の裸の尻がさらけだされる。
もう今更抵抗など無意味な事を彼女も学習していた。
「そうそう大人しくしてね、危ないから」
そういいながら尻の谷間を拡げ、薄く色付いた窄まりに体温計を突き立てる。
「く…」
少女は眉を顰め唇を噛む。
「ふううむ、どうも計りにくいなぁ」
ぐりぐりと体温計がわざとらしく少女の秘孔を抉る、少女は目を瞑りきゅっと唇を噛み耐える。
嫌悪感より、気を抜くと上げてしまいそうになる声と腰骨から這い上がる密やかな快感に。
やがてつぷっと体温計が臂く抜かれた、「ほお」と思わず御安堵の息がもえた。
「ふん、まぁ平熱の様だね、さて次は、触診だよ」
完全に掛け布団が引き剥がされ、少女の裸体が露になった。

231 :
とん、と少年の指が少女の胸を叩く、とんとん、と胸を響かせた指は徐々に外側へと動き
緩やかな膨らみを凹ませる。
その窪みがもとも深くなったところで指は叩くのをやめ、ぐっとその膨らみを掴む。
「ふっ」
おもわず息がでる。
指がゆっくりと膨らみを揉みしだく、幼い膨らみは指によって形をぐねぐねと変える
もう先程から少女の胸の先端はジンジンと疼いていた。
「くふ」
唇に立てた歯の間から息が漏れる。
ちゅぷっと少年は尖り切った少女の突起を口に含むと甘噛みしながらそのつぶつぶとした蕾みを舌で
締め付けはじめる。
「あ。あ、いや」
敏感なところを刺激され、少女は背を弓なりに逸らしながら声を上げた。
ちゅぷちゅぷちゅぷ
「あ、や、やぁあ」
ガチャガチャと縛られた手がベッドの鉄パイプを鳴らす。
唇と舌で乳首を刺激しながら少年の指は徐々に少女の身体を下に向かって陵辱してゆく。
やがて指は太腿の肌を撫で降ろし始めたころ、少年の舌が乳首を離れ、つううと乳房から腹、臍を走り
下腹部へと至り、僅かな陰毛の手前でその肌から離れると、その白い太腿に吸い付いた。
ちゅちゅうと吸い付きながらこんどはその脚の付け根へと這い上がって行く。
「あ、あ、あ、ああ」
きゅっっと痙攣したようなした疼きが太腿から径鼠部を抜けて脇腹まで走る。
股の中心がぞわぞわと啼く。
それは舌が径鼠部に達した時に頂点に達した。
ゆるゆると舌が脚の付け根の窪みを焦らす様に撫でる。
「あっ…くっ」
ぎりぎりと手首に食い込むくらいに縛られた紐を引く。
きゅっっと唇を噛み締める。
あれから毎日少女はこの様な「診察」を受けている、もう身体が慣らされて来ているのだ。
そうしないと言ってしまいそうな言葉を引きとどめる。
そうしないと耐えられない快感の渇望を引きとどめる。
はやく、
はやく触って欲しい
はやく
欲しい
耐え切れなくなったころを見計らって少年の指が確かめる様に少女の秘裂を撫でる。
「んあ!…あ、ああ、ほ…」
「ほ?ほ、何だい?」
おもわず出た言葉の捕まえる
「ほ…ほし…」
「こうして欲しいのかい?」
少年の指が入り口のあたりの裂け目をつっっと押すとつぷっと難無く指が肉の間を通り、中まで
のみこまれる。
「ほうら?どう」
たえきれず少女は叫ぶ
「ああああ!ほ、ほ保守!」

232 :
最後噴いたw
うまい!
随分と凝った保守だな
つ座布団一枚

233 :
あれから一週間、>>1は保守られ続けている訳ですね。( ´д`;

234 :
今から報告まとめるわw

235 :
説明書を妹のベッドに置いて、その後凸。
妹「なんか変なの置いてあったんだけどw」
俺「ナデナデシテー」
妹「お兄ちゃんがファービーになるのw」
俺「ナデナデシテー」
妹「はいはいw」
撫でられる。
俺「ブルスコー」
妹「wwwww」
俺「アソボー」
妹「なにするのw」
俺「アソボー」
妹「じゃあこれ取ってきてw」
枕投げられる。
俺「ダッコシテー」
妹「取って来てよwww」
俺「ダッコー」
妹「わかったわかったw」
抱き締められる。
俺「ナデナデー」
妹「www」
俺「ブルスコー……ファー」
妹「wwww」
いきなりもう捨てよっかなといわれる。
俺「ファービーと友達、妹のトモダチ、ステナイデー、イウコトキクカラー」
妹「嘘だよwwナデナデしてあげるからおいでw」
抱き締められる。
俺「ブルスコー」
妹「えい!」
脇殴られる。
俺「モルスァアアアアアア!!」

236 :
妹「いきなりどっか行かないでよw」
俺「イヤシテー」
妹「じゃあ、はい!」
対面座位の形になってキスされる。
俺「……ブルスコ」
妹「癒された?」
俺「ファー」
妹「よしよしww」
俺「ナデナデシテー」
妹「はいw」
俺「ナデナデー」
妹「またw」
俺「ナデ(ry」
妹「マッサージ器ないしww」
俺「ファー」
妹「そろそろお兄ちゃんの声が聞きたいな」
俺「ブルスコー」
妹「ファービーだけじゃ寂しいなぁ」
俺「……じゃあそろそろ終了で」
妹「wwww」
俺「元に戻った記念になんかしてw」
妹「じゃあぎゅってしてあげる!」
俺「あーやっぱこっちの方がいいわw」
妹「面白かったけどねw」
俺「俺は頭おかしくなった感じだったw」
そしてじゃれ合ってた。
こんぐらいだったかな。
マッサージ機がなかったのはご愛嬌って事でw

237 :
すんません誤爆っす!!
恥ずかしいから忘れてくれ!

238 :
(゚Д゚)

239 :
(°д°)

240 :
よし、それをSSにするんだ。

241 :
妹が仮病で寝てるところを珍獣に陵辱されるのですね、分かります

242 :
妹にちょっかいスレか?

243 :
ぶっちゃけ楽しい話を読ませて貰ったと思ってる

244 :
ファービー懐かしいなw

245 :
もうこのスレいらなくね?

246 :
早く病気を治して、このスレとおさらばしましょうね

247 :
「前スレの>>1さん、最後になんですって?」
「私の屍を越えてゆけ…ですって。笑っちゃいますわよね…」
「………」
「まぁ、生きろ、という事ですわ」

248 :
前スレ>>1んでんじゃねーかwwwww
しかも俺屍のCMネタだしwwww

249 :
「あん!あっ」
身を逸らせると窓越しに高い空が見えた。
あれから何日経っただろう。
大人はだれも来ない、病室といっても少女がそう言ったから
買い取った保養地の屋敷、その一室に過ぎない。
元々医者などいないのだ。
そもそも「ごっこに」本物の医者など必要あるだろうか、
遊びの為、それだけのために用意された場所。
それだけの事ができる力が少女にはあった。
幼い彼女には過ぎた力、全てを手に入れられる力。
だから大人達はちやほやしてくれていたのだ。
父から受け継いだ権力。
だが父はその力を捨てて、自分を捨てて、
あの娘の元に行こうとしたのだ。
だからんだ。
そう少女は信じている
あのなにも無い娘の元に行くこうとしたのだ。
何もない筈なのに
なのに
じゅぷっと少年の指が秘裂の中をえぐる。
びくんと少女の身体が跳ねたる。
ぐちゅぐちゅと指が肉をかき回す
「やっ!」
その場所に指があたる、少女の声を聞いて少年は指をもう一本増やす。
「や、や、あっあっ、あっ、あっ、あっ、」
くちゅくちゅとくすぐるように二本の指が「そこ」を掻く、
じゅくじゅくと蜜が溢れだす。
少年の指が密に染まり、手の甲まで濡らす。
その様に彼はほくそ笑み、もう一方の指でそこを開き、少女自身
をむき出しする。
「やっ」
剥き身の自身に風を感じ少女は身を固くする、が、次ぎの瞬間、
そこは暖かく柔らかいものに包まれた。
「ひあああああ」
逃げる様に身を縮める、勿論そんな事くらいで少年の舌とから
逃れることは出来ない。
じゅぶじゅぶと唾液の海のなかで種が舌で嬲られる。
身体が二度三度と跳ね、たまらず太腿が少年の頭を締め付ける。
もう何も考えられない
何も

250 :
なにも
何も無い子の筈なのに
何もかも持っていた自分の筈なのに
あの子の持っていたものが
わたしに無かった
どうして
どうしてわたしには
少年の舌と指で二度達したあと、いつものように脚を開かれ
貫かれる。
「くふ、ふ、ふぁああああっ
あん、あん、あん」
深く貫かれる度に腹の中が踊る
最初の頃は痛いだけだった突きは今やたまらない疼きを齎すもの
となっていた。
「あん、あん、あん、いいい、いい、いっいいい」
忽ち絶頂えと駆け登る少女の声に少年はすと手首の戒めを外した。
「いい、いいっいく、いっちゃう」
たまらず少女のは少年の背に手を廻す、しっかりと
胸の少年の体温を感じる、身体全体でその温かさを感じる。
「いっ、いくぅっ!」
少女の身体が跳ね、手と脚で少年の身体にしがみつく。
びくっびくっと少年の腰が跳ね、びゅくびゅくと男の精が少女の
胎に放たれる。
温かさが下腹に広がる。
しっかりと少女は少年を抱く、しっかりと少女は男を抱く。
この体温を抱く
そうこの温かみ
これが欲しかったのだ。
父親が少女に与え得なかったモノ
ただこの温かさが欲しかった。
そう
ただこの温かい
保守が

251 :
保守乙を通り越して保守GJ!

252 :
今やっているチームバチスタの栄光に病弱少女が出てこないのは何か間違えているとしか思えない
普通今売り出しの若手の女優とかを息抜きマスコットオリキャラとかで出すよなぁ
出るのチビノリダーとかおっさんばっかりで渋すぎるw
まぁ割りかし面白いから良いけど

253 :
>>249
仮病保守の続きktkr
ビッチがすっかり手懐けられてるじゃねーかW
GJ
続く、のか?

254 :
age

255 :
囚われの身の、お姫様の人が投下を停止してから5ヶ月…俺は待ち続けるぞ

256 :
256羽目ほしゅ

257 :
保守

258 :
そっと彼女の枕元に一羽の折り鶴を置いて

保守

259 :
保守がてら投下します。今までの流れで千羽鶴が出てきます。
エロなし。NGワードは「林檎のウサギさん」です。

260 :
糸で一列に纏められた折り鶴を手に取り、じっと見つめる。
こんなもの所詮は紙――そう言いきってしまえばそれでお終い。
ただそう言い切れずに、今まで作ってくれた折り鶴を残している。我ながら愚かだと思う。
ふう、と溜め息をついて糸で繋がった折り鶴を元の場所のベッドの角にぶら下げておく。
竜治という少年はお見舞いと称し週に一回、私、千鶴の病室へ遊びに来る。
私の父親は一応トップ企業の社長、なので私はかなり設備が整った病院にいる。
そんな所に高校の帰りであろうブレザーを着た少年がお見舞いに来るのはとても奇妙な光景だ。
と言っても、竜治は五年前から来ているので看護師たちはもう慣れているようだった。
お見舞いの高級そうな果物をおいしそうに食べてはその包み紙で折り鶴を作り帰っていく。
私が十二歳に入院したので一年に五十個と単純計算しても五年で二百五十羽。
それを紙屑ととらえるかは私の自由だが、何故折り鶴を作るのかはここ五年間全くもって理解できない。
本人曰く「千羽鶴を作ろうと思ってたけどだんだん面倒臭くなってきて辞めた」そうだ。
人のお見舞いのために作ろうとして途中で投げ出すというのは何なのか。
大体このペースでは千羽出来るのはあと十五年後。遠すぎる未来だ。
「ん。千鶴、来たよ」
ノックはするが返事を聞く前に部屋に入ってくる。何て無礼なのだろう。
「お?今度は林檎か。待ってろ、俺が皮剥いとくから」
包み紙を破らずに林檎を取り出し、すぐそこにあった果物ナイフで素早く丁寧に剥いている。
この前母親が持ってきてくれたのだが、面倒臭くてそのまま放置していた。
「出来た、ウサギさん。可愛いでしょ。食べる?」
切り終わった林檎をお皿に並べる。何故ウサギさんなのかは聞くのも煩わしい。
「ウサギさんでないのなら」
十七歳にもなってウサギさんの形の林檎など食べるものか。
「ウサギさん可愛いのに……もう千鶴にはあげない」
シャクシャクと音を立てて食べる竜治。君は本当に高校生なのか。
「食べないとは言っていない。私にも一つ寄こせ」
お皿を私に手渡した後、林檎の包み紙を手に取り正方形に整え、鶴を折る。
その光景を見つつ、ふと昔のことを思い出す。

261 :
小学校六年生の帰り道、いきなり血を吐いて倒れた私は病院に運ばれた。
意識が戻った時には両親が泣きながら抱きしめて私はぐしゃぐしゃになった。
病気のことは十七歳になった今でも教えてくれないがもう学校には行けないかもしれないと言われた。
クラスメートの中で初めてお見舞いに来てくれたのは竜治だった。それからずっと飽きもせず来てくれる。
「千鶴、大丈夫?」
大丈夫、と答えたら竜治が満面の笑顔で良かったと言ってくれたのは今でも覚えている。
「俺、千鶴が早く良くなるように千羽鶴作る!」
と叫んでいた気もするが、あれは嘘だろう。
本当なら多分今頃私は元気に竜治と一緒に学校に通って恋だの勉強だの青春を謳歌しているはずだ。
「出来た」
そう言って彼は折り鶴を一つ私に差し出す。私はそれを糸に通す。
それを見たあと竜治はこの病室を去っていく。
「林檎美味しかったよ。ありがと。じゃあね、また来るよ。」
その言葉に寂しさと嬉しさを覚える。まだ一緒にいてほしい、また来てくれる、と。
ベッドの角の千羽鶴を見る。この未完成の千羽鶴は私と竜治との過ごした時間の表れなのだ。
ふと思う。この千羽鶴ができる頃には私はどうなっているのだろう。
千羽鶴が重なっていく分だけ私の寿命も減っている。下手したらもう途中で尽きているのかもしれない。
ただ、このごろ感じることがある。
竜治が鶴を折ってくれるたびに、早く元気になりたい、そして一緒にいたいと。
――ああ、私は彼が好きなのかもしれない

262 :
GJ! 続きも待ってるよ。

263 :
保守

264 :
病院着の前を掻き分けて、大きな指が胸元へと潜り込んでくる。
仕事で荒れた乾燥した手が私の胸に触れる。
ざらりとした感触に、体がぞくぞくする。
少し触られただけなのに、先端がもう硬く尖り始めている。
『ほら、すっかり硬くなってる。』
そう言わんばかりに硬くなった先端を弄ばれる。
優しい指遣いが、私の感じる場所を的確に捉えて離さない。
「んっ・・・。」
少し乱暴に硬くなった乳首を、こね回されて引っ張られる。
先端から広がる、ぞくりとする刺激に小さく声が漏れた。
『声を漏らすとみんなにばれちゃうよ?』
耳に囁くような小さな声と共に体を弄ばれる。
意地悪にされる程に、体はどんどんと熱く火照っていく。
焦らすようなツボを心得た愛撫は少しずつ私の体を昂ぶらせていく。
まだ、触れもしていないのに、私は愛液を溢れさせてしまっていた。
そんな状態を察して、指は下へ下へとゆっくりと肌を伝い降りていく。
肌と布に隙間を作るようにして、指が下着の中へと潜り込む。
指はぽわぽわとした毛を軽く弄ぶと、濡れた割れ目の上をぬらりと滑った。
『こんなに溢れさせて、うさぎちゃんは本当にエッチだね。』
普段ならば、絶対に聞くことのないだろう言葉。
そんな台詞が頭の中に、はっきりと聞こえた。
割れ目を少しずつ押し開くみたいにして、指が何度も往復を繰り返す。
愛液を潤滑液にぬるぬると滑る指先が、たまに敏感な突起に擦れる。
「んんっ・・・!」
その刺激に、びくりと体を震わせて仰け反らせてしまう。
意地悪な愛撫に、愛液がどんどんと溢れてくる。
『うさぎちゃん、そろそろ入れるね。』
私のあそこに、太い何かが押し当てられる。
焦らすみたいにゆっくりと、緩やかな出入りを繰り返す。
そこはもうぬるぬるで、準備は充分みたいだった。
「はっ・・・くっ・・・。」
ずぬりと、それは奥へと押し込まれていく。
その感覚に体が、きゅうっと、それを締め付けさせる。
『うさぎちゃんの中、すごく気持ちいいよ。』
気持ち良さそうな顔が嬉しくて、膣が更に締まった。
それを合図に、体の中に押し込まれたものが動きだす。
最初は緩やかに、でも次第に速さを増して。
「んっ・・・ふっ・・・」
中を擦られる気持ちよさに、小さく息を漏らす。
丁寧だった挿入は、少しずつ荒さと激しさを増していく。
同時に頭の中を染め上げるような気持ちよさが体を支配する。
「先生・・・、先生っ・・・!」
必に声を押しす私に、先生は激しい挿入を繰り返す。
掻き回すような行為に愛液が淫らな音を立てているのが、はっきりとわかる。
私は声が漏れてしまわないように、病院着の裾を捲り上げて口に咥える。
「んっ・・・んんん〜っ・・・!!!」
襲い来る快感に体が、きゅうっと指を締めつける。
昂ぶり弾けた感覚に私は布を強く噛み締めてイった。
はあはあと荒く息をつきながら、余韻に浸る。
力の抜けた口からは、ぱさりと布が胸元に落ちた。
乱れた着衣を整え、息を整えながら考える。
熱くなった体が冷めるにつれて、虚しさが心の中を占めていく。
いつもそうだ。自分を慰めた後はどうしようもない寂しさに包まれる。
不安を感じると私は呼吸ができなくなってしまう。
だから、このボタンを押すのは仕方がないことなんだ。
そう自分に言い聞かせるようにして、私はボタンに手を伸ばした。

265 :
あけましておめでとうございます
続きそうで続かない保守

266 :
ついでにたまにはベットもちょっと高くしてみるね

267 :
>>261の続きを書いてみました。ついでにトリップも。
不評があれば次からは投下は辞めて全裸待機に移りますので。

268 :
日は沈み不健康な青白さを含んだ月が照らす真夜中。潔癖なまでの清潔感を作り出す白い病室という檻に閉じ込められた少女。
今も病が体を蝕み内側から壊していて、の恐怖と孤独に震えながら命の蝋燭の灯火を静かに揺らし続けている。
助けて、私を救って、お願い、私はまだ生きたいんだ、誰か――
「千鶴?あれ、寝てるのかな?」
竜治の声が聞こえる。私は寝ていたらしい。目を開けずにぼんやりする。
「今まで俺が来たときに寝てたことなんてなかったのにな……」
どうやら私が寝ている間に竜治がお見舞いに来た、ということらしい。
薄眼を開けると少し悲しそうな顔の竜治が立ちながら私を覗き込んでいた。
「まあ、折角来たんだから起きるまで待つか……まさか目を覚まさないなんてないよね……ハハ」
自分で言って苦笑しながらベッドの横のパイプ椅子に座る竜治。いくら寝ていても普通、病人の前でそんな冗談は禁句だ。
起きて怒ってやろうと思ったが、止めた。このまま寝たふりをして少し遊んでやろう。
「ん……竜…治」
寝ぼけながら竜治の名前を呟いてみる。寝返りを打ちながら竜治の顔を盗み見てみる。
「呼んだ?…って寝ぼけてたのか。でも何か寝ぼけて呼ばれるって照れ臭いな。変な夢でも見てるのかな?」
顔を赤くしながら静かに笑う竜治。そっと私の右手を優しく握って耳元でこう呟いた。
「フハハハハ、我ハ魔王。我ニ従エ」
何だコイツ。馬鹿にしてんのか?私はふざけてこんなことを言った。
「魔王…様…もっと手を握って」
「えと、その…ハイ」
さらに顔を赤くした。なかなか可愛い。こんなこと言ってたら普通は起きてると分かるだろうに。馬鹿め。
「……ん?何だこの手は?」
ゆっくり目を開けて、さも今目覚めたように演技をする。
竜治は目を白黒させてあの、その、と言っている。それでも手を放さない。
「何人の手を勝手に握っているんだ竜治!」
「いや違うんだ。これは千鶴が寝惚けて握ってと言ったんであって」
必に弁解する竜治。つい追い詰めたくなってくる。
「嘘をつくな!私がそんなことを言うか!」
「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
今日はいい夢見られるかもしれない。竜治に触られた手を握りしめてそう思う私だった。

ふと、竜治は私のことをどう思っているのか知りたくなった。病気の女の子としか見ていないのだろうか。
それならそれで私は構わない。それは変わりない事実だからだ。ただ一つ教えてほしい。私がんだら竜治は、君は、涙を流してくれるか?
それとも――

269 :
短くてすいません。それではお目汚し失礼しました。

270 :
なんといじらしい…GJ

271 :
コンコン、と開いているドアを叩く。
薬品の匂いが、鼻を突いた。
中にいた少女は窓の外を見ていたのか、自分に背を向けながらベットに座っている。
「お嬢」
俺は少女に声をかけた。
今の今まで自分の存在に気付いていなかったのか、その小さく細い肩をビクリと震わせながらおそるおそる振り返ってくる。
まるで親を探している雛鳥のようだ。
俺の姿を補足すると、少女の顔に笑顔が広がる。
「大谷さんっ」
「準備、出来てるか。もう迎え、来てるから」
今日は、半月に一度あるかないかの一時帰宅の日。
半年前は、出なかった。
その時は大きな手術を一度し、一週間生の堺を彷徨った。
今も本当はというと、とてもではないが家に帰れるような状態ではない。
だが、その半年前の手術が終って出た結論は“今の医学ではもうどうしようもない”という事であり、半ば医師に見捨てられた形の中、この一時帰宅が決まったのである。
もしここで帰る事が出来なければ、次に自宅に戻る時には、彼女は生きていないかもしれないのだ。
「うん、今行くね」
少女はベットから降りると、小さな鞄一つを持ってこちらの方へと歩いてくる。
この病室から、いや病院から出るなんて何時振りくらいの事だっただろうか。
俺も、いや彼女自身すらも覚えてはいないだろう。
そのくらい、彼女はこの狭い世界の中で生きすぎた。
病院の中、そりわけこの病室だけが彼女の世界であり、その他にもっともっと広い世界があるということを、彼女はあまりよく理解出来ていないのではないだろうか。
だから、病室から外へ出ようとする少女のトタトタとした歩みが不意に止まった時、その細い身体が僅かに震えているのに、気付けないわけもなかった。
「行こう」
「う、うん」
とはいうものの、それ以上何が出来るということでもなく。
俺は彼女の肩をそっと叩いて、病室を後にするのだった。

272 :
書き込んでおかないといつまでも続き書きそうにないので
プロローグ程ですが投下しておきます。
マフィアの幹部とボスの一人娘の話
そういう位置関係が好きなだけで
マフィアの実情とかあんまり考えてないので、色々おかしい所が出てくると思います

273 :
おお!新作来てる
入りやすい導入で、続きが待ち遠しいです
一つだけ疑問(と言うほどのものでもないが
「お嬢」て呼び方だと、マフィアと言うよりはヤクザ・極道の方がしっくりきませんか・・・?

274 :
どうもです。
ですよねぇ、正確にはヤクザなんですが
なんか、ヤクザって言葉が微妙にピンとこないというか、好きじゃないのかもしれなくて
あとバッカーノの読みすぎで、マフィアとかファミリーとかっていうのが、染み付いているみたいです
ヤクザが正しいので、そちらに直します
まあ、そういう設定ってだけですしね
続き投下します

275 :
病院は騒がしい都会からかなり離れた静かな田舎町にあり、そこから彼女、智の自宅である屋敷までは車で二時間ほど移動しなければならない。
そのわずかばかりにおおがかりな移動距離が彼女の帰宅を困難にさせていた。
もし、帰り途中に何か容態に変化があればすぐに医者に診せてやることも出来ない。
簡単に言えばその様な事態を危惧しなければならないほど危険な状態なのだ。
いくらここ一ヶ月の容態がいいとはいえ、彼女の病気がよくなることはない。
しかし、残り僅かな時間を病院の中だけで過ごすには、何もなさすぎる。
病院の中しか知らない少女がそのままそこで一生を終える、なんてあまりにも酷だ。
だから、その為の時間。
14歳の少女が、せめて少しだけも普通の生活を、世界を知る為に設けられたその一時帰宅の時間で、俺は智に何をしてやれるんだろう。

「なんだか、別な人の家みたいな気がするね」
車の中の道中、無事というべきな何事もなく自宅にたどり着き、一年以上戻っていなかった自室に入った智は開口一番にそういった。
無理もない。小さい頃からの病院暮らしで、ココにいるのは年に数回だけ。去年一年それがなかったと考えると、そう感じてしまうだろう。
本来の使用者がここにいなくても、毎日のように手入れがされてきたその部屋は以前智がここい帰ってきた時と全く同じ姿を保っていた。
「でも、覚えてるよ、何処に何しまってたとか、何したとか」
「そうか」
「私、記憶力はいいよ」
そう笑って智は小さな時に両親からプレゼントされたという大きなクマのぬいぐるみに抱きつく。
見舞いに行くときに見せてくれるような、少し強張った物ではない、純粋な物だ。
それに応えるように俺も笑って見せると、そのぬいぐるみごと身体を後ろから抱きしめる。
「じゃあ、これは覚えてるか」
「え、」
なに、と続けようとした唇に自分のを重ねてしまった。
逃れようにもこの体制では出来まい。
少し息苦しそうな声が漏れて、キスから逃れようとしているのがわかった。
しかしそんな唇に無理やり舌を絡ませあうと、クチュリという水音が耳をついた。
感覚が溶かされてしまったのか、最初は抵抗していた智も、今は俺にされるがままになっている。
長く深いキスを終え、唇を離すと、高揚しているのかトロンとした表情の彼女と目が合う。
「最初にキスしたのはいつだったかな」
「あ、う」
そう質問すると、顔を赤くしながら目を逸らしながら小さくいじわる、と呟いた。

276 :
その様子がたまらなく可愛くて、愛しくて、また抱きしめてしまう。離したくない。この身体を、この笑顔を。
智は、俺の事を頼りにしてくれる。
周りの人間は“お嬢は大谷さんがいないと生きていけない”と笑うのだ。
でも、そうではない。そうじゃあない。
智がいなくなって生きていけなくなるのは、俺の方だ。
この先、いつか訪れるそう遠くない未来のことを考えると、途端に息が苦しくなる。
世の中に、同じ様に病気で苦しんでいる奴は大勢いる。
だが、世界の人口で考えれば一握りだ。
そうだというのに、どうしてその一握りの中に智が含まれなくちゃいけないんだ。
含まれていなければ、きっと今頃。
「大谷さん、私、んだらどうなるんだろう」
そんな悲しい言葉なんか無縁に、普通の14歳の女の子として生きていただろうに。
「ぬのはね、怖くないんだ。でもね、私がんでから、それから先の事ね、沢山時間が経ったら、大谷さん、私の事忘れちゃうんじゃないかなって」
「何、バカな」
「誓える、忘れないって」
今度、触れてきたのは智の方だった。
先ほどとは打って変わって、切なそうな表情を浮かべながらキュ、と抱きついてくる。
俺はその柔らかな髪をそっと撫でる。
「大谷さん、ウソツキだからちょっと信用出来ない。っていうのは冗談だけど、いつも少しだけ心配になるんだ」
「バカ」
そう言うと、智が笑いながら小さな口付けを落としてくる。
そして、唇を離すとしばらく見つめ合って、またキスをする。
同じ様な事を、しばらく繰り返していた。
まるで、俺に自分をしっかりと刻み付けるかのように。
「だから、いつまでも私の事覚えているくらい、記憶力、よくなって欲しいんだ」
「覚えてるよ、当たり前だ」
「そうかな、私との約束、一度だって覚えていてくれた事ないのに」
「それは」
その先の言葉が、またキスによって塞がれる。
愛しすぎて、でも大事にも出来なくて、どうしようも、なくて。
「私は、大谷さんの事、んでも忘れない。忘れられないと思う。だって、今ここに生きている前に、私は大谷さんが好きなんだもん」
智は俺から体を離し、部屋にしかれていた布団の上にパッと倒れこむようにしながら大の字になる。
そして目を閉じた。
長時間の移動の後だ、疲れて眠るのかと思った。
この時期はまだ寒い。
布団をかけてやろうと手を伸ばすと、反対に智の腕につかまれていた。
わずかな力で引っ張られる。
「智」
「だからね、私にもっと大谷さんを刻み付けて。もっと、大谷さんに私を刻み付けて」
そう言う少女の体が、震えていた。
今日、あの病室から出てくるときと同じ様に。
狭い世界でしか生きてこれなかったのだから、きっとこれから先もその中でしか生きていけない。
でも、それでも。
その狭い世界の中に俺しかいないというのなら、俺はそこにいなければならない。例え、その先で主がそこを去ったとしても。
俺はいつまでもそこにいる。それだけは、しっかりと約束出来る。
頷くと、智の体に覆いかぶさるようにキスをした。

277 :
短くてすみません。
今日はここまでです。
次はエロシーンです
もう半分くらい書いているんですが
書いている途中に
こういうヒロインに思い入れがありすぎるのか
何やってんだとか
文章下手すぎて
自己嫌悪に陥ってしまったので
ちょっと時間かかりそうです
何はともあれ読めない文章ですみません

278 :
GJ---------!

279 :
>>277
おねがい
たんびにすいません言うな
読んでる俺が悲しくなる
そんな自信無いモンにwktkしてる俺がバカみたいじゃねぇか。
途中経過報告はいらんから、焦らずゆっくり自分のペースで完走してくれ。

GJはその時までとっとくぜ

少なくともここに二人あんたに期待してる人間がいることを忘れ無いでくれ。

ガンガレ

280 :
期待してる人間3人目参上!
GJ!!

281 :
狭い部屋の中で、二人分の荒い息が重なり合う。
前だけ開かれた服の隙間から陶磁器のように白い肌が覗き、年の割には大きさのある乳房が揺れている。
その乳房の先端をまるで壊れ物でも扱うかのようにそっと舌先で舐めると、小さな体が弓なりにしなった。
「あ、はう、うんっ、ふ」
口から漏れる小さな喘ぎ声は、俺の欲望をかきたてるには十分すぎる物だった。
刺激を与える度にピクピクと痙攣するかのように震える体も、恥かしさのせいか真っ赤になっている顔も、その目からこぼれている涙も。
全てが愛しくて、だが壊したくて、頭の中で何かおかしなアドレナリンが出ているようだった。
やわらかい乳房を少々乱暴に扱うと、少しばかり痛かったのか苦痛そうな表情を浮かべたのだが、それを見ても止める気にはなれない。むしろ、もっとそういう表情を見たいとすら思う。
そうするには、こちら側の準備も必要だろう。
そう思ってすぐ、片手はショーツの上からその溝の部分をなぞっていた。
「ひっ、や、あ、な、なにっ……」
「あ、智、こっちいじってなかったのに下着までもう濡れてるんだけど」
「ダ、ダメぇ……」
初めてそんな大事な部分を他人に触られたせいか、その刺激の強さに体が大きく反応する。
その様子が可愛くて、特に敏感だろう部分を重点的に攻めていく。
「あ、やぁっ……ダ、ダメ、なのっ……そん、なとこっ」
智の手が俺を突き放そうとするが、子供の手が大人の俺をどうにかする事も出来ない。
それどころか、愛撫されて力が抜けてしまうのか、抵抗する手はいつのまにんかせめて声を聞かれないようにと自らの口を押さえる物へと役割を変えていた。
「ふ、むうっ、ふむっ……」
手の隙間から声が漏れてくる。
可愛い声をきちんと聴く事が出来ないのは残念だったが、それもまたよくて思わず笑みをこぼしてしまう。
もっと、もっとだ。
俺の中にこの子を刻みつけて、この子の中に俺を刻み付けて。いつまでも彼女の事を覚えていたい。覚えていて、欲しい。
下着の上からでもわかる程、そこは秘部から溢れ出した液でヌルヌルとしめっていて、恥かしがっていながらもきちんと感じているのだと思うと嬉しくなってしまう。
「智、いつも一人で触ったりとかするのか」
「え、一人でって……」
「自分で気持ちよくしちゃうのかって事だよ」
智が赤面したかと思うと、触っていた部分がヒクリと反応した。
目が合う。
あまりにも恥かしかったのかすぐにそらされたが。
「ふーん、触ってるんだ」
「ち、違うもんっ」
頭を振って否定されるが、その限りではないと体が示している。少し意地悪をしたくなって、智の片手を取ると下着の中、陰部の方へと直接指をあてさせた。
突然の事に、智の体が震えて慌てているようにこちらを向く。
「お、大谷さん……」
「見せてよ、智がしてるとこ」
ウソ、という様に智がこちらを見上げてくる。
俺はニヤニヤとしたままその行為を促すだけだった。
彼女の体が、プルプルと震えている。
屈辱だ、と考えているのだろう。
「なあ、智、気持ちよくなりたいんだろ」
「く、う」
「ほら、見せて」
そう言いながらゆっくりと下着を脱がせていく。
先ほど誘導させた手のせいで多少は隠れているものの、うっすらと生えたアンダーヘアに包まれた大事な部分が顕わになった。

282 :
「わ、ダ、ダメ」
「すごく、キレイだ」
「あぅ」
「近くで見てもいいか」
返答を待たずに、かがんでその部分に顔を近づける。
ヒッという悲鳴にも似た智の声がするが、気になどしない。
間近で見るそれはキレイなピンク色をしていた。
遊んでいない証拠だ。
ヒクヒクと僅かに動いているのは、恥かしいのか、それとも反対に見られている事で興奮しているのだろうか。
可愛い。もしそうなら可愛すぎる。
好奇心からか、右手がそのひくついている部分を触っていた。
「きゃあぁぁっ」
そんな悲鳴が聞こえたかと思うと、次の瞬間彼女の体がぶるっと震えて、俺の顔に何か生温かい液体が降りかかっていた。
それはしばらく降りかかったのちに止んでいく。
智は“致してしまった”せいか、完全に力も気も抜けてしまったらしく、頭上で目を閉じながら息を整えている。
どうやらしてしまった事に関してそれ自体に自覚がないらしい。
しばらくの間、独特な匂いのそれと生温かく濡れた布団の上にいたのだが、気になって起き上がってみる。
「とーも」
「にゃ、ぅ……お、たにさ……わ、私……今、ど、なったの……」
俺の姿を確認すると、肩で深めの呼吸をしながらトロンとした表情で尋ねてくる。
おそらくは、軽く触ったことはあるが、軽くとはいえイクのは初めてだったのだろう。
「イッたんだよ」
「い、イ……?」
「すごく気持ちよくなったって事だよ。すごくよかったみたいだな、おもらしまでして」
「……お、もら……えっ」
言葉を復唱し、それから自分がしてしまった事の意味を捉えると、耳元まで赤面させてガバッと起き上がる。
そして、自分が“してしまった”跡を確認すると、それを隠したいのかその部分をパタパタと叩き始めた。
ああ、もう、可愛すぎるじゃないか。本当に。そういうのはむしろ嬉しいのに。
恥かしさも頂点に達したのか、遂に智が泣き出す始末だ。
顔を俺の胸に埋めて隠しながらポカポカと今度は背中を叩いてくる。
「みーちゃった」
そう言ったら少しだけ叩いてくる力が強くなる。
どうやらその怒りやら恥かしさやらなんやらを何処にぶつけていいかわからないらしい。
この行動が可愛くて、もっといじめてやりたくなる要因になるんだとどうして気付かないんだろう。
無自覚、というのもまた可愛い要素ではあるが。
「智」
「あうっ……」
手を掴むと、顔を近づけてキスをする。
頬の熱が伝わってくるが、そこに愛しさを感じた。
「可愛いよ」
「バ、カ……」
きゅう、と抱きついてくる智の体を抱き返した。
普通に抱き合うのもいいが、こうやって上半身だけでも直接肌を触れ合わせながら抱きしめるのはまた特別な気がする。
智も似たような気持ちでいてくれるのだろうか、伝わってくる心臓の鼓動は先ほどより強い。

283 :
「あのさ、智」
「何……」
「俺のも、気持ちよくしてくれないか」
その言葉を聞いてもイマイチピンとこないのか、智がキョトンとした顔でこちらを見上げている。
まだそういう知識はないらしい。
試しに立ち上がってズボンと下着を脱いで見せたが、智が驚いているのは初めて間近でダ男性器を見たからであって意図を汲み取ったわけではない。
「どう、するの」
「あの、口で」
「口で……」
「舐めたり、とかな」
「へ」
一瞬考えてしまったようだ。
おそらく実感がわかないのだろう。
智が恐る恐る立ち上がったペニスを指差して尋ねてくる。
頷くと、躊躇いがちに視線を落とした。
「頼む」
「う、うん……」
少女は恥かしそうにペニスを握るとしばらくそれを見つめていた。
そして何か決心をしたのか、小さく何度か頷くと、口を開いて口にふくんだ。
「く、ぁ……」
「ぬ、んんっ……ふ、」
小さな口には大きくなったペニスはまともに入らないのか、先端のかりの部分を口に含むだけでも精一杯のようだ。
竿を弱々しい力で握りながら、先端の部分をチロチロと舐めている。
与えられる刺激は見当ハズレの物ばかりで、快感とは程遠いのだがそれでも初めての行為を懸命に、俺の為にしてくれているその姿が愛おしい。
「ん、ぷ……ほう、ひたら、いい、かな……」
しばらくして、ペニスを咥えたまま智が不安そうに尋ねてくる。
これでいいのかどうかわからないのだろう。
俺は笑ってその頭を撫でてやると口を開いた。
「先だけじゃなくて、他も舐めてくれると嬉しい。無理に口に入れようとすんなよ、舌で舐めてくれるだけでいいからさ」
「わかった……」
ペニスから口が離れる。
ピチャ、小さな音ではあったがそんな水音が聞こえた。
智はそのままペニスを握ったまま、今度は竿の方に舌を這わせ始める。
アイスを舐めるように奉仕してくれる姿がたまらない。
先ほどの物よりは要領を覚えたのか、与えられる快感もいい物になっていた。
「にゅ、ふっ……く、ん……お、たにひゃ……気持ちいー……かな」
「ああ、いいよ、智」
「うんっ……」
たどたどしい愛撫ながらも、確実に形にはなってきている。
ピリピリとした弱い電流のような刺激が体を襲ってきた。
時折的確な快感が与えられ、ピクリと反応する。
声こそはあげないものの、俺のそんな様子を伺いつつ、智は一生懸命に舌を動かしていた。

284 :
そんな彼女の姿をみていると、妙な気分に襲われる。
このまま、好きなように、なんてことを。
何言ってるんだ。
俺はただ単に智とこういう事をしたいわけじゃない。
体だけを求めているんじゃない。
心も、存在もその全てを求めたくて、今こうしている筈だというのに。
無理矢理にでも犯して、いう事を聞かせて、一生ここに、なんてバカな思考が浮かんでくる。
結局、俺はこいつの事を離したくないのだ。
目の前にある理不尽な別れを、受け入れたくないのだ。
智はぬ事は怖くないと言っていたのに、おそらくは、この先の別れの事もきちんと受け止めているのだろう。
「ん、ちゅ、う……」
熱っぽい頭のまま、そんな事を考えながら智を見つめていた。
こちらに気付いた智は、穏やかな微笑みを返してくる。
「お、たにさ……」
「何」
「あの、ね……その……」
フェラチオを終えて、そう言いながら見上げてくる智の頬が染まっている。
もじもじとしながら体を摺り寄せて来た。
バカ、そんな事したら、もう。
「止められなくなるかもしれないけど、いいか」
「……ん」
「多分お前の体にかなりの負担を強いる事になる。それでも……俺と一緒になりたいか」
「……うん、なりたい、よ」

あれからずっと黙っていた智が、いきなり泣き出した。
「……あ、れ……なんで、かな」
目じりからポタポタと涙が零れ落ち、膝の上濡らしている。
手の甲でそれを拭おうとしているようだったが、なかなかそれは止まらないようだ。

抱きついてくる体を抱き上げると、その下の、溝の部分に自分のペニスをあてがった。
智が息を漏らす。
緊張しているようだった。
「もう一度聞いとく。ホントにいいか、それにお前が思ってる以上に辛いぞ」
「いい、よ……辛くても、大丈夫……」
「そうか」
俺はため息をついた。
もう、今更後戻りも出来ないのだろう。
目の前で緊張に震えている少女に、もう一度だけキスをすると、そのまま、ゆっくりとその体の中にペニスを沈めていった。

「ど、しよ……こわ、いよ……怖いよ……嫌……怖い、怖い……こ、わい……ヤダ、嫌なの……にたく、ないよ……私、まだ

285 :
その瞬間、智の表情が一気に苦痛へと歪んでいく。
「い、あ、ぅ、ひっ……あぐっ」
大人を受け入れるには、智の体はまだ小さすぎる。
当然だ。
やめよう、と小声で提案したが、智が首を振りそれを受け入れようとしない。
頭から抱きついて、俺から離れようとしなかった。
抱きつきながら、苦痛に耐えプルプルと震えている。
「ひいっ……いやぁぁぁぁぁ」
メリメリ、とそれでもペニスが中を進んで行く。
結合部から、鮮血が流れている。

「嫌だ……嫌だよ……助けて……何で、今更……」
智が、泣いていた。
少なくとも今まで一緒にいて、こんな涙は見た事がなかった。
こんな、言葉も。
怖いなんて一度も言った事がなかったから。
にたくないとか、絶対にそんな事を言わないから。
いつも、何かそういう事は達観したような所があって。
ああきっと、生まれつきそういう運命を持っていたのだから、もう何処か諦めているのだろうと、俺はそんな風に勝手な事をずっと思っていた。
ずっと、そう思っていた。
だから泣きじゃくる智を見ても、気の利いた言葉など思い浮かぶ筈もなく。
「……そうだ、今度どっか遊びに行こう。好きな所、さ……何処でも、連れてってやるからさ……」
少女の悲痛な泣き声が響くその狭い部屋の中、どうしようもなくダメな男の呟きが吐き出された。


286 :
「ふうっ……はあぁっ……く、ぬ、ぅ……」
痛みをこらえているのか、叫ぶような声はなくなったものの、小刻みな震えが止まらない。
そんな様子を見ているととてつもなく不安になってしまう。
原因を作っているのは俺自信ではあったものの、やはり。
「やっぱり止めた方が……」
「ダ、メ……ダメ……」
「でも……」
智が積極的にキスをしてくる。
痛みを紛らわす為なのか、それとも別な意図があってなのか。
「わた、し、ね……幸せ、なの……しあ、わせ、だから……最後まで」
そうだ、俺達は幸せなんだ。
幸せな筈なんだ。
だから智のその幸せを崩してはいけない。
あと、幸せなのだから今の俺はきっとおかしい。
幸せなのに、どうしてこんなに苦しいなんて思うんだろう。
「智、愛してるよ」
俺はそう囁くと、性器が半分も納まっていない結合部をかき混ぜる為に腰を動かし始めた。
体は満たされているのに、何処か空虚な気がする。
いや、でも気のせいか。
幸せなのだから。
こうする事によって、智と俺間に何かが一つ増えて。
きっと俺は彼女を忘れなくなるのだから。
んでも、彼女は俺を忘れないのだから。



「なあ、智……お前、幸せだったか」
彼女が過ぎ去った部屋の中、俺は壁にすがりながら返答のない質問を投げかける。
質問に答えるべき少女はこの部屋に存在する筈もなく、ここではない遠く、違う場所に存在していた。
もちろん俺の質問が届く筈もない。
あれから俺達はずっと何処か空虚な気持ちを抱えたまま生きてきて。
交わした約束も曖昧なまま、時間だけが過ぎていく。
残り少ない砂時計が時を刻んでいく。
過ごす毎日は生きた心地がするわけもなし。
ただ、お互いを思うときだけ心が苦しくなる。
「ああ、本当だ……生きてるよりも人を好きになる方がよっぽど大変なんだな……」

続く

287 :
お疲れ様です
皆さんのお陰で、なんとか書けました
また同じ子で書いてみたいので(需要とは別に)
続く、になります
途中で逃げたくなったので本番入った移行おかしくなりましたね
修行しますので、また書かせていただけたら嬉しいです
お粗末サマでした

288 :
うん場面が入り乱れて意味不明

289 :
乙!
ちなみにトリップの使い方間違ってる
△△△△#○○○○ みたいに○に任意の文字列を入れるんだぜ
コピペすると◆が◇になっちまうからな

290 :
こんな感じかな?
ありがとう
今度からこれでやってみるよ

291 :
思い出半分妄想半分です
乱文ですが、投下してみます

292 :
都会でも田舎でもない海沿いの街
街で一番大きな総合病院の一室
窓からは海と線路が見える
温暖化の影響か季節は秋のはずなのに外はまだ蒸し暑い
でも廊下は少し寒いな…
少し前まであんなに人がいたのに今は何人かがサーフィンをしているだけの風景
生まれつき心臓が悪い
運動会も体育も参加したことないし
学校で話す人は保健室の鈴木先生と同じクラスの佐藤さん位
帰ってもお父さんとお母さんはお兄ちゃんの方が好きみたい
当然のこと…
お母さん…
どうして私を産んだの…?
土曜日夕方
ドアがノックされる
「酒井…だよな…?」
車椅子に座る私
「………」
「入っていいか…?」
「………」「……」
「ええ……」
「おっお邪魔します…」
沈黙
「あっ…これ…」
花束が差し出される
「あっありがとう…」
「…座ったら……?」
「ああ…」
沈黙
「何……?」
目を合わせず下を向く私
「いやっ…お見舞いのつもりだけど…」
「やっぱり迷惑だったよな…」
無言
「じゃあな…」
椅子から立ち上がろうとする
「…雨宮くん…」
「なっ何だ…?」
「もう少し…いたら…?」
下を向いたまま
「あっああ…」

293 :
イスに座り直す
「学校…」
「えっ…?」
「学校はどう…?最近…」
「あっ…そうだな…」
「えっと…遠足があってなバスに乗ってディズニーシーに行ってきたんだ…ほらっ」
携帯で撮影されたディズニーシーの風景を見せられる
「おみやげ……」
「…あっすまん!!いや忘れてた訳ではないんだその…」
「……w」
久しぶりにかすかに笑みを浮かべる
「私小6の時に一回行ったことあるから…」
「そっそうなのか…」
沈黙
「さっ酒井…」
「……?」
「いつ退院できそうなんだ…?」
無言
「なんだよお前そんなに悪いのかよって…」
「ゴメン…言いたくないよな…」
沈黙
「雨宮くんは聞かないんだね…これのこと…」
座っている車椅子を少し後方に移動させる
「ああ…酒井お前…」
「歩けなくなっちまったのか…?」
「ううん…歩けるよ…でも最近動くとすぐ息切れしちゃうからこれに乗ってたほうが楽なんだ……」
「…そうか…」
沈黙
「雨宮くん…」
「優しいんだね…だから女子から人気あるんだね…」
「お前はなっ何を言っているんだ…?」
「俺が人気あるわけないだろ…」
「本当だよ…山田さんも向井さんもカッコいいって言ってたし…」

294 :
「あいつらはただ俺をからかっているだけだって…」
沈黙
「あのさ…酒井…」
「…?」
「上手く言えないけど、お前話してみると以外と面白いし、何か学校もお前がいないとしっくりこないってゆうか…その…」
「またここに来てもいいか…?」
沈黙
「私…多分転校すると思う…」

「はっ…?」
「転校って…マジか!?お前どっどこに転校するんだ!?」
「父親の転勤か何かなのか…!?」
「ここの院内学級に…」
「院内学級…って…?」
「お父さんとお母さんが話してるの聞いちゃってさ…」
「私の心臓悪くなってるみたい…」
「いつもの検査入院がもう2ヶ月以上続いてるし、
お薬の量段々増えてるし、
階段も1人で登れなくなってるし、
車椅子になっちゃったし…」
「もう普通の学校じゃ無理みたい…」
重すぎる空気 沈黙
「…酒井…お前…」
「ゴメンね…今日は来てくれてありがとう…」
「酒井…」
「暗くなってきたしもう今日は…」
悲しみとずっと抑えていた感情によって胸が締め付けられる
「聞けよ!!酒井!!」
「……」
ガシャン
車椅子から体が落ちる
「……」
「おい!!大丈夫か!?」
「ちょっと看護師…」
「大丈夫…」

295 :
「ハァハァハァ…」「うっ…」
ベッドの足をつかみ立ち上がろうとする
「……」
背後から立ち上がるのを手伝う手が両肩に触れる
ベッドに座る私…
イスに座る男子…
「ありがとう…」

「私も雨宮くんに教室でちょっかい出したり、廊下で一緒に走ったりしたかった…」
「酒井…お前…」
「さっき俺のこと人気があるとか言ってたけど、酒井お前だってかなり人気あるんだぞ」
「ぶっちゃけかわいいっていうか…綺麗だよなお前…肌すごい白いし…目デカいし…」
「……」
「マジだぞ!?俺だってそう思ってるし…」
「……」
「やっぱり今日会いに来て良かったよ」
「本当はここ来るまでかなり勇気出したんだぜ…」
「アドレスは知ってるけどあんまり話したことなかったし…でも何か急に心配になってさ…」
「昨日席替えしたんだけど、俺の席の右斜め前が酒井の席だっただろ」
「机とイスしかないけど何かお前がいそうな感じがずっとしてて…だから」
両目に涙が溜まり始める
「もっと仲良くなっておけばよかった…」
「えっ!?どうしたんだよ!?」
「スマン…」
「いいの…私…私…」
「雨宮くん…」
「なっ何だ…?」


296 :
「私…雨宮くんともっと一緒にいたいっていうか…話したいっていうか…その…」
「えっ…」
「……」
「何だよ…はっきり言えよ…」
「…好きだ…酒井」
「嘘…」
「いやマジだ…」
「………」
沈黙
「ダメ…」
「………!!」
「やっぱりそうだよな…」
「いやそうじゃなくて…」
「いいんだ酒井…」
「違うの…だって私雨宮くんに何にもしてあげられないし…」
「それにこんな体だし、話しても面白くないし…」
「でも一緒にいてくれるなら……私…私…」

297 :
リアルタイムktkr
つC

298 :
>>297
支援?ありがとうございますw
かなり中途半端ですが都合によりここまでで勘弁して下さい(>_<)
後日続きを投下させていただきますw
ではまた

299 :
乙ですお二人さん。
できたらタイトル付けていただくとありがたい。

300 :
>>296の続き投下します
>>299
考えてませんでした…
センス無しですが
タイトルは「中2、304号室」にさせて頂きますね…

301 :
「私……」
「うれしい……」
「酒井……」
沈黙
「雨宮くん…私も好きだよ…」
「ずっと…一年の時からずっと…」
「でも…」
「でも私…」
両目に涙が溜まり左目から涙が流れ始める
「酒井…」
「泣くなよ…」
「せっかくきれいな顔してるのにもったいないぜ…」
「……」
「ありがとう…俺マジでうれしいよ…」
「酒井お前…何かするとかそうこと考えるなよ…」
「会えるだけで…お前の姿見れるだけで俺は満足なんだ…」
「……」
「雨宮くん…」
「もう…止めて……」
「もう…その気にさせないで…」
急に私の手を取る男子
「何でだよ…何でだよ!!酒井…」
「俺マジだぞ!!何でお前は…」

「……ありがとう……」
「私…ずっと寂しくて…寂しくて…」
体が丸まり両目から涙が溢れ出す
急に私の体が暖かい何かに包まれる
「あっ雨宮くん…」
私に体温が移動する
女子の香り
男子の香り
後頭部を撫でる手のひら
体が硬直してしまう
「俺マジだからな…」
「っていうかお前…冷たすぎだろ…」
「雨宮くんが暖かいんだよ…」
「なぁ…もう少しこうしててもいいか…?」
「…いいよ…」
私も腕を腰に回す
胸と胸が密着する


302 :
沈黙
口唇が重なり、すぐに離れる
「ゴメン…」
目を開ける私
「何で…謝るの…?」
「いや何となく…」
ベッドに倒れ込む
私のパジャマのボタンが上から外される
「やっぱダメだ…」
「酒井…こんなつもりでここに来たわけじゃないんだ…なのに…」
「…いいよ…続けて…雨宮くんなら私大丈夫だと思うから…」
「酒井…」
何もしない私…
裸にされる私…
裸になる私…
「すげーきれいだ…」
「さっ触るぞ…」
胸に指が触れる
「あんっ…」
「だっ大丈夫か…?…胸って…結構柔らかいんだな…」
ファスナーから男性器が露出される
「……」
「何か…スゴいね…」
「そりゃ…こうなるって……」
「あっ…!!」
下半身に指が入る
「ゴっゴメン…」
「…いいよ……」
男性器の先端がゆっくりと私の中に入る「うっ!!」
顔をしかめる私…
「大丈夫か…酒井…?」
下半身に激痛が走る「ああっ!!」
腰が動く
声を出す私
「雨宮くん…雨宮くん…痛い…」
「ゴメン…酒井…」「ハァハァハァ…」胸から全身に血液が一気に流れる
胸を押さえる私…

303 :
「さっ酒井…!!」
「ハァハァハァ……」
「大丈夫……」
体が離れる
「クシュン!!」
くしゃみをする私…
少量の出血を確認する
「酒井…」

「………」

「寒い…」
「あっパジャマ…」



304 :
>>300
GJ
なんか、ラストが好き
切ないね
最後の台詞二言がさ
それを引き立てて
印象に、残った
また書いて下さい

305 :
今日は退院日
病院のみんながお祝いしてくれてる
あれ、でもどうしてあの子はいないの?

306 :
wiki更新早っ
職人さん乙です。
でも仮病保守は入れないの?

307 :
へぇこのスレもウィキなんてあるんだ?ってちょっと覗きに行ったら…

なんだか泣けてきたよ。オマイラ良いヤツだな

308 :
>>307
何いってんだ、肝心な1スレの保守が一つも載ってないじゃないか。

309 :
1スレはよいものだ
2スレだって悪くはない
3スレはまだまだだね

310 :
>>308
ああ、あれはおもろかったなw

311 :
外が見たいだろ?ちょっとベッドをageるね

312 :
やだっ
だって
だって…外にはコワイ人、たくさんいるもん…
わたし、ここがいいもん。
お兄ちゃんていっしょがいいもん。
お兄ちゃんがいてくれたらさみしくないから。
びょうき、なおんなくていいもん。

だから…
だから、ずっとここにいてね…お兄ちゃん。

313 :
僕だって…っ、僕だってずっとそばにいられる訳じゃないっ
僕だっていつ…

…ううん、なんでもない

314 :
やだっ
やだやだっ!
ずっといっしょだよ
ずっといっしょってやくそくしたもん!

だから…


315 :
なんか鬱々してくる

316 :
>>314の続き
「だからっ!」
俯いたまま彼女は語気を強める。
彼女が愛おしかった。
しかし何も言えない。
安易な慰めなど何も役に立たないのだ。
だから僕は口を閉ざしたまま彼女を見つめ続ける
「……だから」
今度は弱々しい声がした。
彼女は多分泣く寸前なのだろう。
本当に僕はなんてことを言ってしまったのだろう。
自己嫌悪と彼女への罪悪感で胸が痛くなる。
「だから…………、お兄ちゃんの心臓をちょうだい」
「え」
何を言われたのかわからなかった。
思考が停止した瞬間に彼女の体が跳びはねて僕を突き倒した。
衝撃で息が詰まり体を動かせなくなる。
その隙に彼女は僕を拘束してしまった。
「お兄ちゃんは私の中で生き続けるんだよ」
僕に馬乗りになった彼女の目は煌々と輝いていた。
ああ、彼女は化け物になっていたのか。
「それじゃ、いただきまーす」
そんな間抜けなことが僕が最期に頭に浮かんだことだった。

317 :
「って話を聞いてきたんだけど」
何か話をしてほしいという彼女に、
僕は永年勤めている看護師さんから聞いたこの病院に伝わるという怪談を話してみた。
話し終えた僕は情緒たっぷりに話すために壁に向けていた眼を彼女の方に戻した。
「…………」
固まっていた。
「…………!」
小刻みに震え始めた。
「すぅぅぅぅぅぅぅ……」
息を吸っている。
「ばかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
叫ばれた。
大声に耳に痛みと共にキーンという音が訪れる。
「病室では静かにしないと」
叫び終えた彼女に耳を手でふさぎながら注意する。
「誰のせいかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
今度は声と共に襟を掴まれ前後に揺すられる。
「やめっ、舌かっ、首っ、やばっ、」
何度も揺すられたが何とか舌も首も守れた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
「はい、水」
息の荒い彼女に水差しで水を注いだコップを差し出す。
「んぐっ、んぐっ、んぐっ、はぁ……」
「大丈夫?」
コップを受け取り言葉をかけたら、今度は睨まれた。
「ほんっと信じられない。怪談なんて話す普通」
「何でもいいって……、はい、ごめんなさい」
お見舞いに来た僕に、
何でもいいからなんか話して、
と彼女が言ったので怪談を話してみたのだが不愉快にさせてしまったようだ。
「むーーーーーーっ」
彼女は怒って膨れている。
その様子は結構可愛いけど、指摘するとまた怒りを買うので黙っておく。
「えーと」
どう謝ろうか?
僕がそれを考えようとしてきょろきょろ見回していると、
「ケーキ」
という声がかかった。
「え?」
「だからケーキ。病院の売店や喫茶店のじゃなくて近くのお店のやつ」
つまり、ケーキを買ってくれば許してもらえるということのようだ。
「何がいい?」
「任せる」
「わかった」
確認を済ませ席を立つ。
扉に向かう僕に後ろから、
「10分以内ね」
と悪戯っぽい声がかかった。
その声に僕は
「ケーキが崩れてもいいのなら」
と返す。彼女は
「じゃ、できるだけでいいから急いでね」
と応える。
「わかった」
僕は短く答えを返してエレベーターに向かった。
(了)

318 :
なんというGJな連携・・・そして最後が甘ーい!
ちょっと糖尿検診行ってくる

319 :
乙〜。

320 :
警告・糖分過多

321 :
つインシュリン

322 :
俺も病院でインシュリンもらってくるわ

323 :
歯医者行って北俺はオコチャマ

324 :
一ヵ月後ぐらいに親不知抜歯の予定
周りの奴らが痛い痛いと脅すもんだからこえーよ

325 :
ちゃんと抜歯に行ったかな…


326 :
 

327 :
test

328 :
てst

329 :
「もういいかげんにして下さい!」
担当医師の机を前にとうとうわたしはそう言ってしまった。
「何をだね」
わたしの何時になく強い口調に彼は驚いたカルテから目を上げた。
「先生が今あの子にしている事です」
「ああ」
何が言いたいのか察したのだろう、いや、いずれわたしがこんな事を言い出すのではないかと思っていたのかも知れないが。
「前にも説明しただろう」
そう言って視線をカルテにもどす、話しは終わりだと言わんばかりに。
分かってる、仕方ない事なのだ。
だが頭で理解出来ても気持ちは収まらない。
そして彼のそんな態度にわたしの感情な爆発した。
「何がですか!!テストテストってあの子はモルモットじゃないんですよ!

330 :
「そうさ、モルモットじゃない。わたしの思い通りにすすんでいるからね」
わたしは絶句した。
ずっと先生を尊敬してきた。もう何年もだ。それなのに。
もう──駄目なのね。
わたしは彼を許さない。絶対に。

331 :
うん
とりあえずこの先生日本語理解して無いな、答えになってないし

332 :
保守でさらに上げるぜええええ!

333 :
「ねえ、大丈夫」
隣に座っていた由紀ちゃんが声をかけてきた。
声をかけられた私の体がビクリと震える。
ううん、体が震えたのはそのせいだけではないのだけれど。
少しだけ、霧がかったような思考の中、こういうのを朦朧としているというのだろうか、私は由紀ちゃんの方に視線を向けた。
由紀ちゃんが心底心配そうな表情でこちらを伺っていた。
「え、何が」
「何がって……体。どこか悪いの、ボーっとしてるよ。それに、なんか顔、赤いし」
「そ、そんな事……ないよ、由紀ちゃんの気のせい」
私の言葉に、由紀ちゃんが訝しげな表情を浮かべる。
まあ、そんな簡単には信じたりしないだろう。
私の体調の事は自分が一番よく知っているつもりなのだけれど、やはり少しの強がりがのちのちの命取りに繋がるなんていう事はよくあるわけなのだし、由紀ちゃんが私を心配するのは当然だ。
でも、今こんなに朦朧としているのも、体がとても熱いのも、私の病気のせいだけじゃない。
「本当に」
「本当だよ、今日暑いから、そう見えるだけじゃないかな」
「……ならいいんだけど」
私は、由紀ちゃんににっこりと微笑んでみせた。
由紀ちゃんも、それに戸惑いがちながらも笑顔を返してくれる。
彼女は、私の何年にも及ぶ入院生活の中で初めて出来た友達だった。
由紀ちゃんは病気ではなくて……名前はなんだったか忘れてしまったけれど、事故にあって大きな怪我をしてこの病院に入院してきたらしい。
だから病棟も違ったりするのだけれど、院内学級で知り合って今ではこんなに仲良しになった。
でも、そんな由紀ちゃんも今日で退院する事になっている。
リハビリでたまに病院には訪れる事があるみたいだけど、今みたいにゆっくりとお話する機会はもうあまりないんだろう。
こんな事をいうのはよくないんだろうけど、少し寂しかった。
由紀ちゃんが退院するのは、とてもいい事なのに。
でも、退院して、また私はずっとここにいて……。
「美穂」
「由紀ちゃん……」
「また、絶対会いに来るから。リハビリだけじゃなくてさ、美穂のお見舞いの為に、絶対」
「うん」
由紀ちゃんの手が、私の手の上に重なる。
いつも明るくて元気な由紀ちゃんの手。
弱気な私を引っ張ってくれた。
それが、もういなくなってしまうんだ。
寂しい、寂しいよ。
この病院の中で、私は一人ぼっちなのに……。
「由紀、ちゃん、元気でね」
「うん、美穂もね」
由紀ちゃんのご両親が見えた。
立ち上がって、由紀ちゃんはそっちの方に向かっていく。
待って、待ってよ、行かないで。
思わず伸ばしかけてしまった手を、私はためらいがちに落とした。

334 :
「バ、バイバイ」
「うん、またね」
私は笑いながら手を振ってくる由紀ちゃんに、笑顔を返した。
由紀ちゃんの背中が遠くなっていく。
……行ってしまった。
「美穂ちゃん」
不意に、私の後ろに誰かが立つ。
その慣れた感覚と、恐ろしい程の気配に、ゾワっとした寒気が体中を走った。
ゆっくりと振り返る。
そこに立っていたのは、大方頭の中では予想したいた、担当の先生だった。
背の高い大きな体は、まるで壁みたいに聳え立っている。
先生からは、威圧感のような、そんな物しか感じない。
首の後ろを、何か冷や汗のような物が伝っている。
「……検診の時間だよ」
「は、はい……」
そう言って、先生は歩き出した。
私は、その後をついていく。
少しだけ後ろを振り返った。
由紀ちゃんの姿は、当然だけどもう見えない。
嫌だ、嫌だよ……行きたくないよ。
いつも歩いている廊下、長くて、暗くて、嫌。
長い廊下の、一番奥の、部屋。
先生がその扉を開ける。
中には、数人の、同じ様な病院の先生がいて、私を待っていた。
「……あ、ぅ」
「いらっしゃい、美穂ちゃん」
先生が私を部屋の中にいれて、扉が閉まった。
いつもの、いつもの事だ。
私はため息をついて、目を閉じる。
「さ、美穂ちゃん、始めようか」
先生たちの視線が、私に集まっている。
私は着ているネグリジェの裾を捲し上げた。
ブブブブブブ、と聞こえる機械音。
朝から、ずっとコレをつけさせられている。
「美穂ちゃん、沢山おもらししてるね、いけないな」
「ぅ……」
「いけない子には、お仕置きをしないといけないね」
先生の手が伸びてきて、その恐怖感からか、体が震える。
下着から何かが溢れ出て、床に何かがしたたり落ちた。
由紀ちゃん、由紀ちゃん、助けて、助けて……。
もう何処にも逃げられなくて、由紀ちゃんがいてもいなくても、変わらない日常が私を取り囲んでいた。
終わり

335 :
お粗末サマでした。

336 :
はあ…そうですか

337 :
>>335
GJ!
しかしなんだろう、真夜中の病院に侵入して病弱少女をかどわかしたくなってきた

338 :
>>335
良投下乙
しかしてっきり百合だと思って、一時的に局部で急上昇した俺の血圧をどうしてくれる!W


339 :
なんか新しい担当冷たい
じゃなくて、335乙!
もうちょっとエロに食い込んだ部分も期待

340 :
>>335
GJ!これは続く予定なのか?

341 :
ほすー

342 :
上げ

343 :
通院上げ

344 :
診察上げ

345 :
ふふふっ

346 :
おら、なんかワクワクしてきたぞ。


347 :
先生、来てきださい!
>>346さんの心電図が!心拍数が異常です!

348 :
仙豆食わせとけw

349 :
>>348
いや、それ有ったら医者いらんだろW

350 :
あげとこ

351 :
何度と通ったリノリウムの床を踏み、何度と通った道を辿り、何度と叩いたドアの前に着く。
形式的にこんこんと三回ノックをすれば、「……入っていいよ」といつもの答えが返ってくる。
「おはよ」
「……おはよう」
明るく挨拶をする俺とは対象的に、ベッドの上の彼女は鬼もかくやと言わんばかりの渋面だった。
「ねぇ享くん、今日は月曜日だよね?」
「そうだな。週の頭の月曜だ」
「……。今、朝の十時だよね享くん。私の言いたいこと、判ってくれるといいんだけど」
いつもならもう少し白々しい会話が続くのだが、今日は相当お冠のようで早々に彼女は尋ねて来た。
俺はわざと取り合わないでおく。そういう性分なのだ。
「いやあ、創立記念日だよ創立記念日。ガッコ休み」
「今月になってもう五回目だよね、創立記念日」
「なんでも昭和の頃に週一で建て代わってたらしいんだ。付いたあだ名が週刊高校」
「……もういいよ」
これ以上ない呆れ顔で彼女はため息をついて、観念したように改めて俺の方に向き直る。
「何で学校サボってまで来るかなぁ……」
「愛だよ愛。ラブパワー全開だよ俺」
またそんなこと言って、と頬を染めながら拗ねる彼女の名前は柊佳織。
彼女はうまれつき病弱な体質で、病院と二人三脚の人生を送って来ている。その間に割り込もうとする不埒な輩がいた。
それがこの俺、御崎享の簡潔な現状だ。
たまたま委員長だった俺が佳織と出会い、病室に通い出してもう三年になる――。
佳織は手元のカーディガンを羽織ると、ベッドから下りて来て俺の前に歩み寄り、仁王立ちしてこう言った。
「つべこべ言ってないで、今から学校に戻りなさい。まだ三限には間に合うわよね」
「気にすんなって。出欠は大丈夫だからさ」
そう言うと、まだ何か言いたげな佳織の躯を抱きしめる。ひどく華奢で、今すぐにでも雪のように崩れてしまいそうだ。
「ちょっと、やめようよ享くん、いきなりは私恥ずかしい……」
「愛をつべこべとか言われては男が廃るかなー、と」
「廃らないから安心して、ほら」
なだめてやめさせようとする佳織。いつも他人の心配ばかりして、佳織を心配する身にもなってほしい。いつもそうだ。
いったん離した後、今度は抱え上げてベッドまで運んでやる。
「明日手術なんだしあまり動いて何かあったら大変だろ」
「……うん」
佳織の顔はもう真っ赤だ。他人に敏感なくせに自分には無頓着な彼女は、直接的な言葉に弱いのだ。俺の好きなところでもある。
「……ってちょっと、ごまかさないでよ享くん。私は学校をさぼるなって話をしてたんだけど」
「いかに俺が佳織が好きかって話だろ?」
「あのね。何度もいうけど、私のせいで享くんが迷惑したり、留年とかになるのは私が嫌なの。お見舞いに来てくれるのは嬉しいけど、」
佳織らしい俺への思いやりに溢れた言葉を俺は遮る。
「わかってるよ。そこは考えてる。だから、できる限り一緒にいたいって俺の気持ちも察してくれ」
「でも……!」
堂々巡りだ。いつにもまして佳織が俺につっかかってくるのは――明日が手術だからだろうか。
「でもじゃない」
「なんでいつもそんなに私ばっかりなのよ……。お願いだから享くんは享くんのことを考えて、ね」
「やだ」
ふたたび抱きしめを敢行する。佳織硬直。黙らせるには、結局これが1番手っ取り早いのだ。
「うー……」
「心配ありがと。でも、俺にも心配させてくれ」
「もう、仕方ないなぁ……」
お姫様は渋々と、俺の背中に手を回す。

352 :
すいませんこれで一応終わりです

353 :
ナイス保守!GJ!

354 :
上げ

355 :
適当に投げ込みます
注意書き
・百合です。初めて書きました
・オーソドックスなシチュしか書けない奴なので察して下さい
・結構うつになる終わり方で私もうつです
では投下

356 :
「失礼しまーす」
 病室に入るとすぐ、看護婦さんとすれ違った。
 そして目の前には、見慣れた幼馴染の顔。
「常夏、元気にしてた?」
「あら真冬。…ううん。あまり元気じゃないわ」
 見て分かった。この前よりも、また痩せた。
「検診、終わったんだ」
「ええ。薬も飲んだし――ちょっと眠たいけど」
 私はイスを持ってきて座った。
 パジャマ姿の常夏をこうして間近に見るのも、もう当たり前になった。
「ここのところ、ずっとじめじめだね」
「ふふ…でも、バケツをひっくり返したような雨よりは、風流があって良いわ」
 外は雨。病院の庭に人の姿は見当たらない。
「ねぇ、元気出してね常夏。病気が治ったらまた二人で一緒に――約束だからね」
「……」
 私は絶対、常夏に悲しい顔は見せない。
 普段通り、明るく元気な自分で接する。不安にさせたくないから。
 どうしても悲しい時は、顔が見れないように、彼女と抱き合う。
「真冬――?」
「常夏…好き」
 もう、常夏が長くないことは私も分かっている。
 来る度に私は、こうして甘えるように彼女に埋まる。
 辛いよ――こんなことしか出来ないなんて。
「はぁ…真冬は、昔から甘えん坊さん」
 そう言って常夏は、私の髪を撫でた。
 しばらくそうしていた。声は絶対に出さない。
 泣かない。どんなに悲しくたって、私は――。
 気持ちは収まった。私はそっと、体を離す。
「……やっぱり常夏の体って、ふかふかで気持ち良い。胸の肉、少しは私に分けてよ〜」
 私は笑顔で、口から冗談を放つ。
 いつもなら、下らない話にも付き合ってくれる常夏。
 だけど今日は軽く笑って、溜息をつくだけ。
「真冬…私――」
「そんな顔は似合わないって。あーもしかして私に愛の告白とか? どーしよー」
 嫌だ。何も言わないで。
「ねぇ、それよりさ――」
「好きよ――私も真冬のこと」
「――わあっ。じゃあ、相思相愛だね。よーし、またぎゅーっとしちゃおうっと」
「……ええ、ぎゅーっとして」
 気持ちを抑え込むのは、もう限界に近かった。
「ん…真冬ったら、そんなにきつく抱かなくたって、私は何処にも行かないわ」
「うん……はぁ…」
 常夏はそっと体を離して、私の顔を見た。
「どう…したの? 私の顔に…何か付いてる?」
 私は今、どんな表情をしているの?
 常夏の手が、私の頬に触れる。
「ごめんね。私――真冬だけは泣かせたくなかった」
 常夏の手が触れたのは、涙だった。私は自覚もなく、泣いていた。
「な、何? ほら、好きだから…嬉しくて…私――」
 もうダメ。何で? 私のバカ。こんなの嫌っ。

357 :
「は…はぁっ…うわあぁぁー」
 涙が止まらない。抑えきれない。
 抑えたくない。このまま泣いてしまいたい。
 何で、何で常夏がこんな目に遭うの? 何で私――?
 神さま、何でよ!?
 気が付けばずいぶんと長い時間、そこで泣いていた。
 私は常夏の胸の中に、顔を埋めていた。
 体をしっかりと、常夏が抱いている。
「…常夏…くすん」
「……私の為に、泣いてくれてありがとう」
 私は泣き疲れて、放心状態だった。
 常夏はただ私の体を抱き、髪を撫でていてくれた。
「常夏…好き…」
「私も…真冬、好きよ」
 そう言って、私の顔を持ち上げた。
 彼女は私にキスをしてきた。
 昔悪ふざけから始まって、それから何度かやった。
 けど、こんなに心を締め付けるキスは、初めてだった。
「うん……」
 嬉しくて、そして悲しくて、また涙が零れた。
「ん…ふ…」
 大人しい彼女が精一杯、私と舌を絡ませる。
 まるでとろけるような感覚で、私も無意識に応じていた。
「ぷ…は…」
 常夏の舌と私の舌に、糸が出来ていた。
 元気だった時よりも確実に弱い力で、常夏は私をベッドに引き入れた。
 私の服をゆっくりと脱がすその手つきが、信じられずに茫然としていた。
「んっ――」
 常夏の手が優しく私の胸に触れ、撫でるように揉み始めた。
 気持ち良くて、何よりも常夏に触れられるのが、嬉しい。
 常夏も片手でパジャマのボタンを外し、胸元をさらけ出した。
 その大きな胸を、私は恐る恐る触れる。
 ――温かい。
 そしてまた、顔を埋める。いつだって私を受け止めてくれた、この場所に。
 横になったまま、私たちはまた抱き合った。
 常夏の手が私の腕を掴み、下半身へと誘導した。
 ズボンを下ろし、下着の中に。大事な部分を触れさせられる。
 熱かった。そしてじっとりと、湿っていた。
 指が思わず、動いてしまう。
「はぁっ…ああっ…」
 苦しそうに悶えながらも、私に見せる常夏の表情は、何だか優しかった。
 声を出されるたびに、指に思わず力が入る。
「あんっ…あはぁっ…!」
 そして、中の何かに触れた時、常夏の体がびくん、と強く反応した。
 気が付いたら、常夏のが指を、シーツを濡らしていた。
 常夏は今度は私のスカートを下ろし、下着越しに触ってきた。
「やぁ…んっ――!」
 体に快感が、電気のように伝わった。
 常夏はきつそうな表情を浮かべながらも、私には笑顔のまま。
 下着を下ろし、直に触れてくる常夏の手。

358 :
「い、い…やっ…!」
 思わず口に出してしまったけど、全然嫌じゃなかった。
 ただ、気持ちが良くて、嬉しいだけ。
 思えばずっと、自慰をしていた。漠然とした何かを思い浮かべ、ただ気持ち良くなりたくて――。
 私が欲しかったのは……常夏だった。
 指を中に入れ、段々と激しくなる動き。
 下半身が今までの経験にないくらいに、強く疼く。
「やっ…はあっ…ああうっ…!」
 常夏はその体勢のまま、またキスをしてきた。
 さっきよりもずっと、舌が――ううん、頭も体も、全部とろけそうになる。
「いっ…あっ――!!」
 私の体はとろけて、弾けた。そんな感覚しかなかった。
 ただ頬に涙が伝っていたのは確かに分かり、常夏がキスで拭いてくれた。
「はぁ…はぁ…常夏、私――!」
「ずっと…一緒よ、真冬」
 その後も私たちは病室を締め切り、夢中で体を交え合った。
 今日で全ての思いを、気持ちを――吐き出す為に。
 常夏も涙を流した。ぬのが恐いと、別れるのが辛いと。
 私も枯れるまで泣いた。感情を全てぶつけ、ぶつけられて。
 そして愛した。好きだったことを、未来永劫忘れたくないから。
「真冬…大好き。誰よりも、何よりも好き。ありがとう」
「常夏――私も大好き。世界で一番好き。だから――!」
「私、幸せ……最後の最後に、一番心強い支えが出来たわ」
「私も…幸せ…」
「そう。だって私たちは二人で一つ。だからもう、何にも恐くない」
 その後一ヶ月を待たずに、常夏は息を引き取った。
 やっぱり涙が出た。悲しかった。思い出が、心を締め付けた。
 でも、気持ちを偽ったまま別れていたら、多分私も常夏も、幸せにはなれなかった。
 常夏は、今も私の記憶と体にずっと生きてる。
 ずっと一緒。――私たちは、一つ。

おしまい

359 :
おつかれさま

360 :
本当に適当だった。

361 :
患者さんいますかー?

362 :
ふざけないでよ!何度ナースコールを鳴らしたと思ってんの!どうなってんのよこの病院は!


…ひとりぼっちになったのかと心配しちゃったじゃないの…

363 :
保守

364 :
随分とお加減がよさそうですね>>362さん?
先日からお出しさせて頂いている“お薬”、効いておられるようですね…。

疼くんでしょう?身体が…

365 :
さらには拘束ベルトで四肢の自由を奪われ、火照る身体を自分で慰めることも禁じられた>>342は…

366 :
>>342じゃなくて>>362だろって事に翌々日になって気づく俺

367 :
>>342「ひは…っ、わらひ…関、係…なひのにィィィヒィ…しゃわりたい…やらひくなゃった…あしょこ、しゃわりたいよぅ」

368 :
>>367
だから不注意にage無いでって、あれほど注意したのに…
可哀想だけど…あの娘一生この病棟から出られ無いわね…


いつまで保つかしらね…
可哀想な>>342…クスクス

369 :
はぁん……

370 :
病弱少女って昔から日本人の萌えポイントだよね
何となく明治の頃の文学作品とか連想するしw

371 :
凌辱物って意外に無いよね

372 :
>>370
明治成分いいじゃないか。大好物だぜ
田舎の邸で療養中の華族の美貌のお嬢様とかよくね
私的にはさらにアルビノ設定まで付けたいが属性過多だよなぁ
時代が時代だし、遺伝子の研究も進んでないから踏み込んだらややこしいか

373 :
ミーン、ミンミンミン。
陽光が燦々と照りつける真夏日に蝉の鳴き声が木霊する。
「今日も暑いですね」
お嬢様が私に声を掛けてきた。
彼女にとってはただの気紛れなのかも知れない。
だけど、そんなちっぽけな出来事が、
私にとっては心臓が飛び出るぐらい嬉しい事だった。
緊急時以外に使用人から声を掛けることは許されていない。
だからこれは、お嬢様と言葉を交える数少ない機会なのだ。
「あ、はい、そうですね」
手拭いで汗を拭いながら、私は振り返った。
お嬢様は額に張りいた髪が鬱陶しかったのか髪を人差し指でそっと払う。
そんな些細な動作の一つが育ちの良さを感じさせる。
顔を伝う汗の一滴が、ふくよかな顎の線を辿りぽつりと落ちた。
着物の合わせ目、真っ白な肌の奥へと滑り込むように。
「お飲み物、取ってきましょうか?」
一瞬、私の視線はお嬢様に釘付けになっていた。
邪な目でお嬢様を見てしまった。
お嬢様に気付かれなかっただろうか?
そんなことを考えながら、私は自分に新たな仕事を課した。
「お願いします」
優しく柔らかな微笑み。
この笑顔のためならば命を捧げても構わない。
そう思えるぐらい私がお嬢様に傾倒していたのは確かだった。
私は使用人で彼女は華族の一人娘。
最初から叶わない恋だったのは間違いない。
それでも私は、お嬢様のことを諦め切れなかった……

続かない保守

374 :
>>372
そこは時代設定を現代にするとかしてw
まぁ、WW2を経験してなかって史実よりマシな負け方したとか
小細工を使えば華族云々も現代設定で積極的に使えますよw
>>373
愛のあるレイプスレとかに繋がりそうな展開ですね。

375 :
>愛のあるレイプスレとかに繋がりそうな展開ですね。

お前はここから出て行けという意味ですか?

376 :
愛のあるレイプスレで続けなさい、という意味では?

377 :
>>375-376
いや、愛のあるレイプスレの作品みたいで良いなぁと思っただけで別に他意はなかったのです。
出て行けとかそんな事は無いです。
つか>>374は文章が変になってるな
>まぁ、WW2を経験してなかって史実よりマシな負け方したとか
ではなく、まぁ、WW2を経験してなかったり史実よりマシな負け方したとか、だな。

378 :
>>373
雰囲気があって好きだ

379 :
新作期待

380 :
病弱お嬢様ってのは俺の一番大好きな設定

381 :
ロマサガ3のミューズとか、シスプリの鞠絵とか
病弱キャラってなると、あんまり知らないな…

382 :
そこで文学作品ですよ
ノーベル文学賞の人に行ってみるとかw

383 :
見た目ロリの女患者が、面会時間後に神父とヤってる漫画があって好きだった。

384 :
それ読みたい

385 :
>>155
久々に最初のほうから読んでみて、相当な亀レスですまないが、
ドナーは希望すれば、希望した相手に臓器を提供できるらしい
レス汚し失礼しました。

386 :
このスレを、なせるわけにはいかない!

387 :
「このスレが落ちたら、私の命も……」

388 :


389 :


390 :


391 :


392 :


393 :
ちゃん

394 :
りん

395 :
しゃん

396 :
かい

397 :
ほう

ハコに入ってます

398 :
拝啓
ホルマリンちゃんりんしゃんかいほう(箱入り) 様
初夏らしく、蒸し暑い日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?
ホルマリン(以下略)様は毎年夏になると体調を崩されるので、大変心配しております。
ところで、昨今の不景気の影響からか、作品の投下が不足していたりはしませんか?
もしよろしければ盲目の美少女スレ・身体障害者スレと合流し、新たに病弱・身体障害系スレのメッカをつくる、というのはいかがでしょう?
既に、盲目スレと身体障害者スレは合流ということでほぼ決定しております。
「病弱スレの住民の皆さんの了解が得られるのであれば」合流させていただきたく存じます。
以上です。それでは、くれぐれもご健康にお気をつけて。

399 :
「え…?
この病院閉鎖なんて嘘ですよね…
大丈夫…ですよね?
なんとか言ってください先生!」

400 :
>>398
嶺上開花は麻雀の役じゃね

空気?なにそれうまいの?

401 :
ちゃんリンシャンはCMじゃね?

402 :
「大丈夫だよ。他の病院と合併なんかしないから
大体あそことは専門が違うからね
そんなこと心配しないで、少しでも体を休めなきゃ良くならないよ」

403 :
そうですか、やっぱり違いますよね。
ということで合流は中止します。スレ汚し失礼しました

404 :
お誘いの件、誠に有り難うございます。
しかし私は“ここ”の彼女たちを治してあげたいのです。

405 :
>>404
先生、あのね。
私、先生がいなくならなくて嬉しかったよ

406 :
「囚われの身の、お姫様」
の投下が止まって一年。続き読みたかった・・・

407 :
あれは自業自得だからな
しょうがない

408 :
先生、どこにも行かないでください・・・。

409 :
この病院には通い慣れていた。
俺は健康そのものだ。A型肝炎にかかった訳でもない。
俺は今、病室の前にいる。ドアの横にあるネームプレートには【如月 メイ】と書かれている。
ドアを開けると、少女がいる。
こいつが、俺の幼馴染みの如月メイ。
数年前から、体の末端から触覚が無くなっていく病気にかかって、病院での生活を送っている。
彼女は、俺が来たのに気がついたらしく、微笑んで迎えてくれた
「やっと来やがったか。糸篠廉人(れんと)君」
俺は、この名字が少し嫌いだ。
何故なら、フルネームで呼ばれると【愛しの廉人】って聞こえてしまうからだ。
でも、メイにならそう呼ばれても構わない。
メイと話をしていると、あっという間に夜になる。だけど、それでも構わない。
なぜなら、両親は出張で、二人とも明日の夜まで帰ってこないから。
「なあ、廉人。聴いてほしい願いがあるんだ」
メイの一言で、部屋を包む空気が変わった。
メイの顔も、深刻な表情を浮かべている。
「どういう、願いなんだ?それ、俺の力でも、叶えられるか?」
「ああ。廉人しか、アタシの願いを叶えられる人はいないよ」
メイの瞳が、妖しく輝いた。

410 :
「どんどん感覚が……無くなっていくんだ」
メイは、俺に目を向ける。
「足と、手の指先から……痛みや温もりが消えていくんだ。そして、何も感じなくなる。無痛症に……なっちまう」
メイは、俺の目の前で、服を脱ぎ始めた。
まだ19歳の俺の目に、メイの裸身が突き刺さる。
「アタシ、廉人と結婚したい。でも……その時になって何も感じられないのは凄く辛い。だから、今すぐに……」
一瞬だけ、俺は何も聞こえなくなった。
でも、メイの唇の動きから、俺はメイが何をしたいのかが理解できた。
服を脱いで、メイを抱きしめた。
「お、お前が望んだ事なんだからな!ど、どうなっても……知らないからな!」
そのまま、抱きしめたメイを、ベッドに押し倒した。
その先は、あんまり覚えてはいない。
ただ、覚えていたことは、お互いの体をなめまわしあったり、4回入れて4回中出ししたり、尻にも入れたり。
互いに動けば、互いに喘ぎ、泣いた。
幸福な時間だった。あんなに激しい初体験したのは、世界を探しても少ないだろう。
朝の5時に家に着いた。
今日も、メイの所に行こう。
たとえ、体が温もりを忘れても、心は決して温もりを忘れないから

411 :
突然の思いつきで書きました。
反省はしている。
だが、後悔はしない。

412 :
そうか

413 :
GJですぞ

414 :
>>410
GJ
考えられるプレイ全部やっちゃいそうだな。

415 :
>>405
私と会えるのを喜んでは駄目じゃないか

416 :
>>415
ドラマとかで、入院する為に自傷とかあるな。

417 :
その刃を先生が素手で掴んで止めたりするんだよな

418 :
そのままナイフをグニャッと曲げちゃうんだよな

419 :
片腕がフックになっててジャリ缶ぐらいなら簡単に貫けちゃう鉄腕先生、かっこいいです

420 :
>>418
「センセイ…その手…」
「ああ…この腕は昔ちょと…失敗してね」
まともな医者もいなかったこの村にふらりと現れ、大したお代もとらず
天才的な腕で本当ならんでてもおかしくない人を助ける「センセイ」
みんなセンセイに感謝してみんあセンセイが大好きで
わたしもセンセイが好きで
だからわたしは…
そのセンセイの手が片手が作り物だなんて
「びっくりしたろ?」
そう言ってははと先生は笑いましたが、その顔は一瞬すごく辛そうに見えたのです
だからわたしはほとうはびっくりしたのだけれど
「いいえ、どんな手でもセンセイの手です。みんなを助ける素敵な手です
だからわたしはセンセイの手が好きです」
「そうか…」
そういってセンセイはわたしの髪をくしゃあとするのです

そんな優しいセンセイが
あんな恐ろしい…
あんな恐ろしい化け物達に…
「動くな!動くとこのガキの命は無いぞ!」
その時わたしはその化け物に捕まり首に恐ろしい爪を突き立てられたました。
わたしは只恐くて恐ろしくて震えてました。
そしてセンセイは、わたしの前に立つセンセイは、いつものケガを見る時のような
やさしい声でわたしに言っうのです。
「すぐ済むからな、目をつぶってろ」
わたしが目をぎゅっと瞑るとセンセイが怪物に向かってこう言うのが聞こえました
「その子に傷の一つでもつけてみろ、その時はお前の命で購わせてやる」
「な、なんだと貴様…」
「今、その子を離せば見のがしてやる、簡単な取り引きだとっととここを去れ」
その時怪物はこう叫びました
「き、貴様っ!ふ、ふざけるな裏切り者の結城丈二!」
そうして私達は「センセイ」の本当の名前を知ったのです。
まで読んだ

421 :
ライダーマンかよw

422 :
>>420
ここが何の板かを忘れてついつい燃えてしまったじゃないか。どうしてくれるw

423 :
>>420
有りだな
さあ続きを書く作業に戻るんだ

424 :
>>420
Gackt乙

425 :
床擦れ注意

426 :
床擦れに薬塗るふりして媚薬を塗る。

427 :
>>420
利き腕が無くてもオペを続ける…
それが医者というものだろ…
オール病弱少女VS大大学病院ですね。わかります

428 :
>>427
同時上映は、生の分け目の大決戦ですね。

429 :
>>428
上手い!

430 :
いつの間にかヒーロータイムネタの流れになってるwww

431 :
誰が始めたんだよ
責任取れよ

432 :
「あんた私の主治医でしょ!責任取りなさいよ!私の体っこんなにっハァッしてぇ。うぁ、もっ……もっと突いて……ハッもっと、んん!もう……やだよぉぐすっこんなの、こんなエッチなの私じゃあ無いよぅ」

433 :
このスレの住人のノリの良さと優しさはホント居心地が良いなw

434 :
>>431
>>420>>431、結婚しよう」
431「はぁ?」
420「お前の言う通りだ、こうなったのは俺の所為だ、だから」
431「ばっ、ばばバカじゃないの、あんた自分が何いってるか分かってる?あたしが言ってるのはそういう事じゃな」
420「431!」
ガバッ
431「ちょっt、なっ…ん…んんっ!んー!んあ!、ちょっ何するのよ!」
パーン!
420「…431」
431「いいかげんしてよ!そんな、…そんなことして面白い?人をバカにして!」
420「431、バカになんかしない。俺は本気だ」
431「そっ、そんなコト信じられる訳ないじゃない!大体…いつぬか分からない人間と誰が結婚なんてすると思うのよ…」
420「…」
431「…他人の半分も、ううん、それ以下の人生しか無いあたしと人生を共にしようっての?…そんな、そんな…」
420「だからだ」
431「え?」
420「だからこそいつでも一緒に居たいんだろう、違うか」
431「4、420…」
420「お前に時間が無いなら俺の時間をくれてやる。
短い時間だからこそ一分一秒が他人より大事なんだろう。
俺の時間でお前の時間を他の誰よりも実りのある物にしてやる。
それがバカな事か?」
431「バカ…」
420「お前」
431「バカッ!バカよ大バカ者よ!いつぬかもしれないあたしの心拍数こんなに上げてドウすんのよ!
バカぁ!」
420「431、じゃぁ」
431「もうっ!わたし倒れそうなのよ、早くなんとかしなさいよ!」
420「ああ、こうか」
431「もっと、もっとしっかり支えなさいよ…そう…もっと…ぎゅっと…あん!…ほんと…ほんと…バカなんだから…」
まで読んだ

435 :
何だよこのスレ
気持ち悪いんだよ
書き込む度に俺にアンカー打ってくるんじゃねえ
>>420といい>>434といい…
つーか責任の取り方がおかしいだろが

436 :
つかお前がナイフをグニャとか書くからおかしくなったんだろがw

437 :
激安!!
満足!!

妄想!!妄想!!
妄想!!妄想!!妄想!!妄想!!
妄想!!妄想!!妄想!!妄想!!妄想!!妄想!!
http://happy-boy-girl.cocolog-nifty.com/blog/

438 :
m

439 :
ココ300円で届くのもはやかったよ!!
数も多かったし、挨拶も丁寧だったw
最近ひんぱんに色々なチャンネルで見る!!
裏DVD 日刊・タマ袋

440 :
>>431
>>420

441 :
投下します
続かない上に中途半端
百合
よかったらどうぞ

442 :
何か指が触れるたびに、まるで弱い電流でも流されているみたいに体がビクビクと反応していた。
怖い。
でも、大切なお友達の有紗ちゃんにそんな事言える筈もなくて、私は有紗ちゃんにされるがままになっている。
「あ、有紗ちゃん……!」
「へぇ、ここってこんな風になってるんだ」
「ひゃあっ」
有紗ちゃんの指が、私の胸の辺りを触っている。
その瞬間、なんだかこしょばいような、よくわからない、とにかくたまらなくなってしまって私は思わず鋭い声を上げてしまった。
その声を聞いてか、有紗ちゃんが眉をしかめながら私の方を見てきた。
「紗由里、ダメだよそんなに大きい声出しちゃ。みんなに見つかっちゃうよ」
「で、でも」
「でもじゃない。……紗由里はみんなに怒られたいの?」
「……お、怒られたくない」
病室を抜け出してきただけでも大目玉だっていうのに、普段滅多に誰も来ない倉庫の中にいる事がバレたら、きっと看護婦さんや先生に大目玉をくらっちゃう。
それは嫌。
だって、しばらく病室から出られなくなっちゃうし、有紗ちゃんとも会えなくなっちゃう。
でも、こんな、変な風に有紗ちゃんに触られてて、声が出てしまう。
どうしよう。
……というか、有紗ちゃんはこんな所で何がしたいんだろう。
体の仕組みを勉強したい、なんていきなり言い出して。
お勉強なら、誰か大人に言えばいいのに。
「だって、教科書で勉強しても本物をみないとわからないでしょ」
「そう、だけど」
有紗ちゃんは私にいたずらっぽく笑いかけると、私が手にもって捲りあげていた寝巻きの裾を指差す。
「ここ、口にくわえてなよ」
「え?」
「これで声抑えられるでしょ」
なんだか腑に落ちないけれど、言われるままそうした。
急に恥ずかしくなってきて、私は少しだけ身を縮める。
体を預けていた机がキシ、と小さく音を立てる。
「じゃあ、続きするね」

443 :
こくりと頷くと、有紗ちゃんは更に胸の方へと顔を近づけてきた。
ど、どうしたんだろう。
なんで、こんなにドキドキするんだろう…
女の子同士だから、体なんて見られてもぜんぜん恥ずかしくない筈なのに、今こんな風に有紗ちゃんに体を見られていて、すごく恥ずかしい。
体の奥が、熱い。
「紗由里の胸、可愛い」
「ふぇ……?」
「もっと触っていい?」
私が反応を示す前に、もう有紗ちゃんは手を伸ばしていた。
なんだかその顔はすごく楽しそうで、興奮しているか顔が少し赤い。
有紗ちゃんの手が、胸に触れていた。
「……柔らかぁい」
「う、ふぅっ……」
「紗由里、胸結構大きいよね、ふふっ」
「……っ」
ど、どうしてそんな風に触ってるの?
触るだけなら、普通に触れるだけでいいのに、有紗ちゃんは感触を確かめるみたいに執拗に指を動かしている。
へ、変だよ、有紗ちゃん、何かおかしい……。
でも、そんな事も言えなくて、私はぎゅっと目をつぶるだけだった。
「可愛いっ……可愛いよぅっ……紗由里、紗由里っ!」
有紗ちゃんの行動はどんどんエスカレートして来た。
具合が悪いんじゃないかって思うくらいの荒い息で、とても夢中そうに触ってくる。
いや、そんなレベルじゃない。
胸だけを触っていた手は体を這うように滑っていて、有紗ちゃんの唇が私の胸に吸い付いている。
「っう……!!」
「さ、ゆり、さゆり……!」
体いつの間にか机の上に完全に押し倒される状態になっていた。
「あ、有紗ちゃん……?」
「ね、紗由里……紗由里の初めて、私に頂戴?」
「え?」
有紗ちゃん……?
一体何を言ってるのかな。
ギラギラとした目でこっちを見ている彼女は、なんだか有紗ちゃんじゃないみたいだ。
「な、何……」
「私たち、どうせ大人になんかなれないんだし、私、ちゃんと責任取るよ。だから、紗由里を頂戴、初めて、頂戴」
「有紗ちゃ、んんっ……!」
一瞬何をされたのかわからなかった。
少し息苦しくなって、それから……。
有紗ちゃんの顔がすぐ近くにある。
キスをされているんだ、と気づいたのはその時だった。
え、なんで……どうして?
「……紗由里、私、紗由里が好きなの、だから、いいよね?」
有紗ちゃんがクスリと口元を歪ませている。
続かない

444 :
>>443
GJ

445 :
GJ

446 :


447 :





さぁこのスレの保守は全然収納してなあいよな?元々保守ネタで栄えたスレなのに

448 :
◆wQx7ecVrHs氏の降臨を待ち続ける

449 :
>>447
栄えたとか言うなよw

あれはホントに前スレ>>1に奇跡を見せるための当時のスレ住人達の苦肉の策だった気がする

450 :
>>449
そんな映画あったな。

451 :
>>449
奇跡ってかwwwww
草はえらぁ、ノリのいいのが二、三人いただけじゃん。

452 :
保守歌

453 :
保守

454 :
上げ

455 :
動かない足。リハビリと言う名の苦痛。
何で私の足は動いてくれないのだろうか?
何で私はリハビリなんてキツイことをしているのだろうか?
そんな風に絶望して、落ち込んで、何もしたくない時期があった。
―――いや、生まれついてこの足の私にとってそんな時間が永遠だと思ってた。
動かないのなら諦めよう。リハビリはキツイからやる必要もない。
そんな風に諦めていた。
『昔はやっていたのに、なんでやめちまったんだ?』
けれどその一言が。
彼のそんな一言が私にまた勇気を与えてくれた。
優しさなんてなく、気遣いの言葉でもなく。
ただ疑問を不躾に聞いてきただけ。
だけど、ああ―――
そんな彼の言葉は『わたし』を思い出させてくれた。
周りのみんなは楽しく遊んでいる。
いつもわたしの周りのみんなは走り回って遊んでいた。
わたしの足は動きもしない。
歩くこともできなければ、走ることなんて夢のまた夢だ。
だから走ってみたくてリハビリを始めた。
―――そうだった。
夢のまた夢だったとしても、わたしには夢があった。
友人と、家族と、それこそ誰とでもいいから―――走ってみたいと。
だから諦めない。
私はわたしを思い出した。だから夢を叶えよう。
希望はずっと昔からあったんだから。
私は夢を叶える為に再びリハビリに取り組む。
ああ、けど夢はちょっと変わった、そう。
走るのは友人でも家族でも誰でも良かったけれど―――最初に走りたいのは、君なんだ。
そんな小さな夢を叶える為に、今日も私は頑張っている。
あなたの何気ない一言(保守)が誰か(スレ)を救います。
病弱少女のHなSS。
空気読めない保守ネタでごめんね!

456 :
>>455
献血のCMみたい。
GJ

457 :
>>455
気にスンナよ。良かったぜ

458 :
投下でもせんと続き書きそうにないんで
ちょっと投下するよ。
続きます

459 :
夕暮れが街を包んでいく。人の疎らな校舎はとても静かで、グラウンドの向こう側でテニスの打ち合いでもしているのか、コツンコツンという音が高らかに響き渡っている。
実際にそうしている姿は見えないのだが。
そんなことはどうでもいい。
というか、何もかもがどうでもいい事なのだ。学院にいること、勉強している事、くだらない交友関係や学校生活、自分がここに生きているという、その事実すら、くだらなく、どうでもいい。
いつからこんな事を思うようになったのだろう。わからない。
辛うじてわかるのは、自分が何もかもに無関心になっている、という事だけだった。
夏とはいえ、もう夕方だ。
アブラゼミたちの鳴き声は、いつのまにかヒグラシ達へとバトンタッチをしていて、自らの寝床へと帰っていく。
今、グラウンドでテニスに興じている少女達も、そろそろ自分の家へと帰る頃合だろう。
下校を促す放送が、そろそろなり始める頃だ。明日から夏休み。家へと帰る足取りはさぞかし軽い事だろう。
普段は騒がしい学校という場所が、一気に静寂へと落とされる。この雰囲気を、意外に好きだと思ったのは去年の一学期の、終業式の日の事だった。
なんということはない。部活にも入っていない井上は、普段は終礼が終わるとそそくさと学院を後にする。
それが、その日は少しだけ面倒な事があったのだ。
朝、下駄箱を空けるとそこにピンク色の可愛らしい封筒が置いており、それが何であるかというのは相当鈍くない限りわかるわけであるのだが。
ともかくまあ、井上はそれを一度で理解した。ここは女子校だ、そういう事があっても不思議ではないし、すくなくとも自分は容姿は悪くない。むしろかなりいいと言っていい。
そう自覚しているから、、一部の生徒たちにそのような目で見られていてもおかしくはないだろう。自分がそれがいい、とは思わないが。
手紙には放課後に校舎裏に来て欲しい、とだけ書かれてあり、井上は時間通りにその場所に向かった。
案の定、そこには何度か顔だけ見たことがあるような年下の少女が待っていて、自分に思いを告げてきた。
その子がどういう決心をこれまでにつけてきて、どんな表情でそれを実行したのかはわからないが、そんなに必になる理由が井上には理解出来ず、返事一つでそれを断った。
その女の子の名前も顔も今は覚えていない。
そんな事もあったせいか、なんとなしに気まずくなり、家に帰る事も出来ずに井上は図書室で時間をつぶしていたのだった。
あそこはいい。クーラーも効いているし、図書室の奥の方、本棚と本棚との角になっている場所に置いてあるソファーは実に座り午後地がよかった。
普段は昼休みなどに利用しているその場所で、本を読んでいたのだが、いつの間にか眠ってしまい、時は既に夕刻をさしていたのだった。
そんな時にふらふらとたどり着いたのが、ここ、屋上。屋上に出た時に、なんとも言えない雰囲気に、包まれていたのである。
そう、今までの人生で感じたことのない、何と表現していいものかはわからないが。
人が生活している音が聞こえているのに、何処か遠く、消えて行ってしまいそうな、まるでこの後、この世界の全てが終息へと向かって行くような、幻想。
ともかくも、井上はそんな雰囲気が気に入ってしまったのだ。
だがしかし、そんな雰囲気を味わう事は一年に一度しか出来ないのだろう。
夏休みに入る前の、この終業式の一日だけ。だから今日も、井上は時間を見計らってこの屋上にやって来たのだった。
目の前に広がる街は夕焼けに包まれ、普通の女の子ならばその美しい光景にうっとりとしてしまう所だろうが、井上はそうではない。
この終わりの風景を楽しんでいるのだ。もし、このまま一瞬にしてこの夕焼けが、世界を滅ぼしてくれればいいのに、と思うほど。
少しだけ心地のよい風が、鬱陶しいスカートの裾を揺らす。
自分でもなんとなくは感じていた。自分があまりにも冷めている、と。
年頃の子達、とくに自分の学校にいるような子達がときめくような物に、自分が何一つ興味を持つことが出来ないのだ。
自分に熱い視線を向けている少女達の甘い思考、そうじゃなくても、特に恋愛という事項に関してはおどろく程に興味を抱くことが出来なかった。

460 :
「……」
と、そこに何かしらの気配を感じる。
長い髪を押さえながら気配の方へ振り返る。屋上の入り口のドア、そこに、女の子が立っていた。
なんでだろう、と思う。普段はこんな事があっても、自分は何も思わない筈なのに、どういう事だろう。
小柄な少女は何処か虚ろ気な表情で、こちらを見つめている。
なんとなしに、井上は少女の事が気になってしまう。あまりみたことのない少女ではあるが、何処かで会った事があるような気もする。会ったとすれば、何処でだろう。
こういう時、井上は自分の性格が少しだけ嫌になる。
いつも他人に関して無関心すぎるのだ。たまにこういう思いをする事があっても、その人を思い出せないだなんて。
「あ、の」
少女が申し訳なさげに声を上げる。どうやら困っているようだった。何を困っているかはわからないが。
「ご、ごめんなさい」
少女はいきなり謝ると、井上に背を向けてその場を去ろうとする。
ま、待って。
そう思った刹那、井上は少女の腕を掴んでいた。
だから、おかしいんだって。
少しだけ怯えている瞳と目が合う。一体、どうしたっていうんだろう。
いや、それはこの子ではなくて自分だ私は一体どうしてしまったんだ。どうしてこんなにも、この子の事が気になっているのだろう。おそらく初対面で、何も知らないというのに。
しかも、この私が。
掴んだ腕から伝わってくる、僅かな振動。震えている。自分の事を怖がっているのか。
「……あ、ごめん」
「……」
井上はすまなそうに腕を放した。少女は、安心したようにため息を吐く。
肩口で切りそろえられた髪を揺らしながら、肩で呼吸をしている。まるで折れてしまいそうな体つきだ。
「あなた」
「はい」
「あなた、名前は」
「え」
ちょこん、と首を傾げる。少女を指差すと、了解した、というように頷いた。なんとなしに、それがまるで小動物のようで可愛い、と思ってしまう。
ほら、まただ、おかしい。何かを可愛いと思うなんて。
「多川、です。多川、なつみ」
「え」
ああ、だからか。
井上はその名前に覚えがあった。というより、この学院に通っている生徒なら、噂くらいは聞いた事があるだろう。
二年生に、たまにしか学院に通うことが出来ない可憐なお姫様がいる、なんどという。小さい頃から病弱らしく、入退院を繰り返しているらしい。
「ふーん、あなたが」
「知ってるんですか」
「まあね」
噂程度にしか知らないことではあるが。自分を知っている、と聞いてか、なつみは何処となく安心したように笑った。
ジン、と、何処かが熱くなったような気がする。
「あの、ごめんなさい、今出て行きますから」
「待ってよ」
再び体を離そうとするなつみに、井上はまた語りかける。今はどうしてだろうか、この少女と話がしたいのだ。
「せっかくだからさ、一緒にどう」
なつみが、嬉しそうに頷いた

461 :
しばらく続く予定
スレ汚し失礼

462 :
>>460
期待

463 :
期待するけど、今度からもう少し1行の字数を減らして欲しい。

464 :
保守

465 :
上げとこ

466 :
続き投下します
また途中までですが
アドバイスどおり文字数減らしてみた

467 :
どうやら、病弱であまり学院に来られない、というのは本当らしい。
詳しい病名などの事は教えてくれなかったが、登校するよりも入院していたり、
自宅療養している事の方が多い、と苦笑いで彼女は語ってくれた。
今日もどうにか学院まで来られたのはいいものの、
終業式もホームルームもすでに終了してしまっていて、
誰もいない教室で一人、机にたまったプリントを処理していたらしい。
迎えが来るまで少し時間があるようだったから、
普段歩き回ることが出来ない学院の中をさ迷っていて、ここにたどり着いたようだった。
「今日って、成績表、貰えるじゃないですか」
「うん」
「……一応、もらったんですけど、ほら」
カバンの中から通知表が取り出される。
中には成績を記す為にテンプレートと、あるべき評価が下されている筈だ。
が、しかし。
なつみの通信簿にはテンプレートしか記されておらず、
成績を示す部分には何も書かれていなかった。
「いつもなんです。学校、ホントに行けてなくて。
 一学期も、片手で足りちゃうくらいしか行けなかったんです」
そう言って丁寧に畳まれた通信簿は、またカバンの中にしまわれる。
少しだけ悲しそうな表情をしていたが、
通知表と同じようにすぐに内側にしまわれてしまった。
二人で手すりにもたれかかった。
風が吹く。
自分の体をそのまま包んで、何処かに行けてしまえばいいのに、
と井上はなんとなしに思っていた。
「井上さんは、どうしてここに」
「ん、別に……好きだからかな」
好き、となつみが聞き返してくる。
どうしてかわからないらしい。まあ、そういう物だろう。
こんな時間にこんな場所にいるのは、酔狂な人間だ、きっと。
「この感じ好きなだけ。夕焼けのさ」
「キレイ、ですもんね」
「いや、そうじゃなくて」
「え」
夕焼けの赤。終わりの色だ。
赤が終わりなら、空の青色はきっと始まりの色なのだろう。
青は嫌いだ。
無意味な日常生活が、これから先もずっと続いていくような感じがする。
それはたまらなく、苦痛なのだ。
だから赤がいい。すべてを終わりに導いてくれる。
どうしようもなくくだらなくてどうしようもなく嫌いなこの世界を、
終わらせてくれるに違いない。

468 :
「多分さ、違う何処かに行きたいんだと思う」
「……」
行ける訳がない、というのも十分に理解している。
だからこそこんな願望を持ってしまうこと事態が下らなく思えてしまって、
井上は自嘲気味に笑った。
なつみは、じっとそんな井上を見つめている。
「……行ってみたいです、私も」
「え」
「ここじゃない何処か。
 私も、毎日同じことばっかりで、飽きちゃいましたし」
そういうことじゃない、と井上は言おうとしたが、
なつみが学校に来ることも出来ず、病院にずっといるのだと言うのなら、
そう思ってしまっても仕方ないな、と考えた。
退屈する間もなく、彼女は全力で毎日を生きているだけなのだ。
もし、自分が同じ立場に立っていたら同じことを思うかもしれない。
今の自分が、毎日を退屈に思う事よりも強く。
きっとそれは、想像もつかないような物なんだろう。
「そんな事言っても、怖くて外にも、出て行けないんですけどね」
「怖い、ね」
「はい。……私は、私の周りの世界の事しか知らないから。
 ホントにそれだけしか知らなくて……外に出て行く事が、出来ないんです。
 ……ごめんなさい、こんな話、退屈ですね」
「いや、別に」
井上はなんとなく頭をかいてみせた。
ちらりとなつみの方に目をやる。
夕焼けの赤に照らされた横顔が、なんとなく神秘的に見える。
また、何処かが熱くなった気がした。
「井上さんは、夏休みは何をするんですか」
くるっとなつみの体が回り、楽しげにそんな言葉を紡いだ。
空気が少し硬くなったと思ったのだろう。
赤に染まっている筈なのに、何処か違うような気がする。
それはまるで、自分の嫌いな青に、始まりの青色に染まっているような。
夏休みに、きっと何か特別な思いをはせているのだ。
「さあ、まだ決めてない」
曖昧な言葉を紡ぎだして答える。実際まだ何も決めていないのだ。
自分は、長い夏休みの中で、いつも同じことを考えるんだろう。
このまま全てなくなってしまえばいいと。
赤の静寂に、包まれればいいと。
彼女は、どうなんだろう。何を思い、何をして日々を紡ぐのか。

469 :
「私は、やりたい事をしたいと思ってます」
「やりたい事?」
「はい、やりたい事。
 沢山あるから、全部出来るかどうかはわからないんですけどね。
 今まで、私は何もしてこなかったから、せめて今だけは、
 何かをしようって。……そう思わせてくれた人が、いるんです」
少しだけ恥ずかしそうに、なつみが顔を赤らめる。
とはいえ夕焼けのせいでそんなにわかりもしないのだが。
でも、なんとなくそうなっているような気がした。
きっと思わせてくれたという人の事を、なつみは少なからずとも思っているんだろう。
思春期の女の子だ、そういう淡い思いを抱いてもおかしくはないだろう。
……面白くはないが。
面白くないとは何だ。わけのわからない思考が頭を走る。
少しイラつく。自分にだ。今日の自分は本当におかしい。
さっきなつみに会ってから、
自分の中のバランスの何かが崩れてしまっているような、そんな感じがして。
これは、何だ? これは、これは。
「井上さん?」
「え、」
「どうかしましたか」
なんでもない、という代わりに首を振った。
違う、違う。そういうのではないのだ。
でも、なんとなくではあるが、それでもいいような気がするのだ。
この子なら、この子になら。
何かもどかしい物が頭を渦巻く。
体の奥が熱くなる。これを、どうにかしたい。
「あの、さ」
「はい」
ああ、本当に、本当に調子が狂う。
こんなこと、どうしてこの私が言おうとしているんだろう。
言ってしまいたいような、言いたくないような、今とても曖昧な気持ちになっている。
どうしたんだろう、本当に。
いや、わかっている。どうしてこんな気持ちなのか。
私は、この子の事がとても好きなんだ。
ありえるはずもない一目ぼれをしてしまった、多分そういう事になるんだと思う。
「具合でも、悪いですか?」
なつみが顔を覗き込んでくる。
胸が高鳴った。
無駄に体温がジン、と熱くなっているような気がする。
熱いのは夏のせいではない。
大きな瞳、白い肌、小さいけど柔らかそうな唇。
今日初めて顔を合わせた、この少女の全てに、
自分はどうにも狂わされてしまっている。
だからというわけではないのだが、
井上の両手はなつみの頬に触れていた。
柔らかい。
なつみが不思議そうな表情でこちらを見上げていた。
その無垢な表情に、この胸はまた高鳴る。
それを感じた瞬間に、井上はなつみの唇を奪っていた。

470 :
>>469
期待

471 :
>>469
こほっこほっ…
ううん大丈夫、なんでもないよ?ぐっじゅぶだったよ…

472 :
無理すんな

473 :
続きいきます。
今度こそ終わりまで

474 :
ああ、もうそれでやめてしまえばよかったのに。
目を閉じてなつみを感じていると、
もっと、もっとと何か急かされているような気がしてならなくなり、
触れているだけだった唇は、彼女をもっと味わう為のディープな物へと変わる。
なつみが、うっと小さく呻いた。
気になどしない。
小さな腕がもがきでようと自分の体を押し返そうとしていたが、
病弱で非力な少女の力など微々たる物で、
強く抱きしめてしまえばそれまでだった。
「ん、んうっ……」
自分でもどうしてこんなに積極的になっているんだろうと、不思議に思う。
一目ぼれどころか、他人を好きになるなんてとても低俗でくだらなくて、
他人に触れるなどもってのほかだというのに。
しかし、今はどうにもこの少女が愛おしくて仕方がない。
自分が信念として掲げてきた事さえ捻じ曲げる事が出来る、
この少女は一体何者なのだろう。
いや、そんな事は至極どうでもいい。
今はただ、この少女を自分の意のままにしたい、
ただそれだけなのだ。
舌が、なつみの口内を侵すように動き、彼女の物とまた絡み合う。
うっすらと目を開けると、目尻からわずかに涙を溢しているなつみがみえる。
自分の中に得体の知れない感情が、また沸きあがるのを感じた。
この子は一体どんな声で泣くのだろう。
いや、鳴くのだろう。
片手が、なつみの細い腰周りの辺りを撫でている。
人に触られなれていないのか、動くたびになつみがびくりと体を震わせる。
さすがに自分も息苦しくなり、ようやく唇を解放してやる。
なつみが、肩で呼吸をしながらヘナヘナとその場に崩れ落ちた。
「いの……えさ……」
「どうかした、なつみ?」
「どうして……」
こんな事を、と聞きたいのだろう。
しかし、言わせてしまう前にまたふさいでしまえば面倒な言葉は出てこない。
数秒程甘美な感覚をまた味わった後、
放す間際に軽くなつみの唇を歯で噛んだ。

475 :
「なつみ」
「……っ」
「やりたい事がしたいなら、私がさせてあげる。
 行きたい所があるなら、私が連れて行ってあげる」
だからね、と井上の手はなつみの頬を撫でた。
口元が嫌ににやけているのがわかる。
私は今とても楽しい、そう感じているのだと。
「だから、ね」
思っている人がいるなんて些細な事だ。
それが気に入らないのなら無理やりにでも奪ってしまえばいい。
井上は微笑みながらなつみの制服の前に手をかける。
恐怖に怯えているのか、なつみはただただ震えているだけだ。
それがむしろ好都合であり、すんなりと開く事が出来た。
白い下着に包まれた胸がめにつく。
想像しているよりも大きかった。
大きかった、といっても考えていたほど、の程度ではあるが。
ブラジャーを、くい、と乳房の上へと押し上げた。
「……可愛い胸ね」
「……っ」
いやいや、というようになつみが首を横に振った。
胸の下に、手術の跡のような物がある。
井上はそれを指先でそっと撫でると、今度はそこに口付けを落とした。
「やっ……」
「声も可愛い……ねえ、もっと聞かせてよ」
そう言いながらなつみの乳房にそっと手をかける。
柔らかい。触っているだけで気持ちがいいと感じてしまう。
なつみは何か言いたげな表情を浮かべていたが、
くっと歯を食いしばったまま目から涙を流している。
ああ、素晴らしいなと井上は思う。
病院暮らしの長いなつみはこういう行為が存在するという事すら、
満足に知りはしないのだろう。
未知の経験と感覚に戸惑い、
恐怖に涙する少女を意のままにするのは実に心地がよかった。
撫でるように、掴むように胸をまさぐると、
なつみは時折敏感に体を跳ねさせながらすすり泣いていた。
「あれ、泣くほど気持ちがいいの?」
「や、ちがっ……」
「初めてのくせに……変態」
事実、最初は泣いているだけだったなつみの表情が、
今は少しばかりうっとりとしたものに変わっている。
それをいい事に、井上はそのままなつみの衣服を全て脱がせてしまった。

476 :
生まれたままの姿のなつみ。
未成熟で発達途中の体。
人形みたいだな、と井上は思う。
「キレイ……」
「……ぁ」
「ねえ、これからどうしようか?」
そう言いながらも、井上の指はなつみの股間の方へ伸びている。
何かを感じとったのか、なつみの体がびくっと震えた。
「聞くまでもない、か」
股間の割れ目の部分にそっと触れる。
わずかに、クチュ、という水音がした。
「ダ、ダメ」
「ダメって?……あんたここ濡らしてるじゃん」
「ぇ……」
「あれ、どうして濡れてるかわかんない?
 ……そうね、あんたそういう知識疎そうだもんね。
 なつみ……あんたは私に触られて感じてるんだよ。
 他人にこんな風に触られたの初めて?
 初めてなのに、気持ちよくて感じてる変態なのよ、あんた」
強い口調で言ってしまったせいか、
さすがになつみが声をあげてすんすんと泣き始める。
しかし、井上の注目はそこではなく、
今触れているその割れ目の方へと向かっていた。
心なしか、さっきよりも濡れているような気がする。
ドキドキする。
触れている指を、そのままズプ、と進めていく。
「ひっ……!」
なつみの中、
そう考えるだけも頭が痺れそうになるくらいドキドキするというのに、
キツイながらも、こうもすんなりと指が進んでいる事に、
井上はこれ以上ない程に興奮を覚えていた。
「あ、あぁっ……」
「なつみ……すごい、私の指のみこんでるよ」
「っ……」
うつむこうとするなつみの顎を、
空いている手が無理やりこちらを向かせる。
逃しはしない。
「私をみなさい」
「ぅっ……」
「なつみ」
なつみは、おそるおそる、
しかし真っ直ぐに井上の顔をみつめてた。
井上は一度軽い口付けを与えてから微笑みかけると、
なつみの中に入っていた指をそっと引き抜き、
その指を彼女の前で広げてみせた。
二本の指にたっぷりとなつみの蜜が絡みつき、糸を引いている。
なつみの表情が固くなる。

477 :
「……や、やめて、くださ」
「舐めなさい」
言葉を遮る様に、井上はそう言い放つ。
なつみはその言葉に怯えながらも、いやいや、と首を振った。
「舐めなさいと言ってるんだけど」
「……ゃ、です」
「なつみ、舐めなさい」
強い口調で命令しながら、井上は指をなつみの口に無理やり押し当てる。
それで観念したのか、なつみはおそるおそる口を開き、
指を舐め始めた。
ちゅぷ、と唾液と指についたなつみ自身の蜜が混ざりあう音がする。
指を舐めているなつみの姿を見ながら、井上は満足げに微笑んだ。
私は今までこういう子を探していたのかもしれないな、と。
学院に通う少女達のしている『お付き合い』というやつは、
ただのつまらない『友情』の延長でしかなくて、
とてもくだらない。
井上はこんな風に、誰かを、
とりわけなつみのような、極端に何も知らない、
無垢で美しい少女を屈服させてみたかったのだ。
だから、周りの普通の少女達に思いを告げられる事があっても、
何も感じなかった。
彼女たちは井上の興味の範疇ではないから。
しかし今日いきなり目の前に、
儚げで美しく、そして何も知らない少女が現れた事で、
自分すら気づいていなかった欲望を知る事になった。
なつみの幼い舌が自分の指をおそるおそる舐めるその様子が、
体の奥を熱くさせるほどゾクゾクとする。
私、この子を離したくない。
「もういい」
そう言うと、ちゅぷ、と音をたてながら名残惜しげになつみの口が離れた。
「……ご苦労様。可愛かったわよ」
「……」
「なつみ、少し足を開いて」
「いやっ……」
「なつみ」
強く言えば、なつみはそれに従う。
井上はそう確信していた。
きっとなつみはそういう子なのだ。
井上の声に怯えたなつみは、事実おずおずと足を開いてみせる。
「ふふ……いい子ね」
井上はそのやわらかい髪にそっとキスをする。
体がプルプルと震えていた。
まるで小動物のようだ。
諦めてしまっているのか、
力なく横を向いているなつみの股間を指で広げる。
むき出しになっているクリトリスを指でそっと撫でた。

478 :
「っ……!」
「いやらしい子……」
「ち、ちが……」
「何が違うって?
 初めてで、しかもここ屋上だよ?
 そこでアソコをこんなに濡らして……とんだ変態ね」
首を振りながらも、なつみのアソコがひくひくと僅かに動いている。
クリトリスを弄られているのだから、そこからは更に蜜が溢れ出してきていた。
否定しようがない、と突きつけてしまえばそれまでだ。
「そんな変態は、ここを触ってるだけじゃ満足できないよね?」
「いや、やめ……」
「さっきより奥に入れてあげる」
先ほどまでなつみに舐めさせていた指を、
再びその割れ目へと指を当て進ませていく。
「あ、あっ……いやぁぁぁぁぁ!」
「そんなに悲鳴あげて……可哀想。でも、すぐによくしてあげるからね」
指を根元まで入れてしまう頃には、
なつみは失神してしまったかのようにぐったりとしてしまっている。
おや、まだこれからが本番なのに、と井上は笑った。
額にそっとキスを落とす。
「……なつみ、好き」
中に入れた指。
なつみの中はとても暖かくて、しばらくそのままでいたかった。
ああ、今だけ、今だけは男が羨ましい。
自分にもなつみを犯す事が出来る男性器があればいいのに。
なつみの中をこれ以上ないってくらいにグチャグチャにしたい。
指じゃあ限界があるじゃない、
まだ始めたばかりだけどそれだけはなんとなくわかる。
そんなもどかしい気持ちを覚えながらも、井上は指を動かし始めた。
「いっ……!あ、あ、あぁぁぁっ!!」
指を入れる事が出来る範囲でグチャグチャと動かし始める。
初めてだから勝手が分らないが、なつみは感じていてくれているだろうか。
なつみはもう意識が飛んでいるようではあったが、
悲鳴のような声と共に時折別な声も上げてくれている。
「あっ、あんっ、ふぁっ……!」
「なつみ、ねえ、なつみ……気持ちいいの?気持ちいい?」
「んんっ……!」
なつみは答えてはくれない。
しかし、性器から溢れている蜜が品のない音を響かせ、
少なからずとも彼女が感じているのだという事を教えてくれた。
こんなにしているのだから気持ちよくないというわけはないだろう。
むしろ、ここまで濡らしているのだから、相当彼女は感じている筈だ。
それどころか。
いつの間にかなつみの腰が自ら少しではあるが動き出している。
「そんなに、そんなにいい?自分からおねだりするなんて、あんたホントに……」
井上は指を動かす速度を速める。
それに合わせるかのように、なつみの喘ぐ声も段々と甲高いものに変わっていくのだ。
「は、はぁぁっ、あんっ、やっ……!」
「どうしたの?イきたいの?イってもいいのよ?」
ねえ、ほら、と急かすように、
井上の指は突くと一番強い反応を示すその場面を重点的に突き始めた。

479 :
「ふぃっ」
反応が、今までとはあきらかに違うものに変わる。
太股が僅かながら痙攣し始めている。
限界が近いのだなと思うと、
井上は指を一気に突き上げた。
「ふあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
なんとも言えない、官能的な悲鳴を上げながら、
なつみは足を開いたまま放尿した。
シャアッと勢いよく黄色の液体が飛び出し、井上の手のひらを濡らしていた。
ゾクゾクとした感覚が止まらない。
なつみ、あんたをこのまま放したくない。
そう思いながら、
ようやく我を取り戻したのか顔を赤くしながら泣き始めているなつみの頭を抱き、
何度も何度もキスをした。
「なつみ……好きよ、愛してる。
 私の物になりなさい……ううん、絶対に離さない」
臆病ななつみの性格の事だ。
この出来事は誰にもいう事は出来ないだろうし、
今日の事を話に出せば、彼女は私から離れることが出来ない筈だ。
今は無理やりでも、夏休みは長い。
これから先じっくりと調教すればいいだろう。
きっと彼女はそういう事に逆らえない子だ。
その辺りに放り投げられていたなつみのカバンから、携帯電話が覗いている。
それを拾い上げ、ディスプレイを開いた。
不在着信が何件か入っている。
今の時間に、おそらくはなつみを迎えに来た誰かから電話がかかっていたのだろう。
「……ぁ……ぁ……」
胸の中のなつみが、小さく息をしている。
息をしながら、誰かを呼んでいるような気がした。
気になって屋上から校門の方を見ると、
そこに見慣れない黒塗りの車が停まっており、
長身の男が誰かを待っているようだった。
「……気に入らない」
そう小さく呟くと、井上は携帯の電源をそのまま切った。
もう辺りは暗い。
夏の最初の夜が、始まろうとしていた。
おわり。

480 :
スレ汚し失礼した

481 :
>>475
GJ
なつみ最高。

482 :
あげ

483 :
>>480
是非とも続きを

484 :
てs

485 :
病弱か…
俺で代われるものなら、代わってあげたいよ

486 :
そんな事……だめだよ
辛いのは私一人で十分だよ

487 :
優しくて残酷だね…>>486

488 :
辛いのを忘れさせる為に快楽を。

489 :
俺にも似たような経験があるが、病弱少女からの望みを「叶えて」抱くってのも、
病弱少女側の側にいる人に対して「叶えてあげた」どいつ自己満をさせてあげるための気遣いを
「させてしまった」感がどうしようもなくついて回る。
同じ気持ちなのに受け止め方が別れちゃうんだね。
病弱少女との付き合いは心を前向きにしとかないとすぐに気持ちが後ろ向きに流れちゃうよ。

490 :
保守しておこう

491 :
>>489
…などと訳の分からない言動を繰り返しており…

492 :
精神病患者専用の病棟に移しましょう

493 :
弱りきった体で保守

494 :
>>493……?
おい>>493
おいっ
返事をしろっ
頼むから返事をしてくれよぉ…

495 :
>>494
大丈夫。
夢の住人になっただけだ。

496 :
お見舞い保守上げ

497 :
体が弱くて今までろくに外に出られなかった子と、
生まれて初めての夏祭りに行ってという妄想は出来たんだけど、
なかなか文章にならないな・・・

498 :
>>497
が、頑張って…

499 :
>>497
あらすじを聞くだけでもう切なくなる要素満載の話だな
年末だしな。ゆっくりゆっくり自分のペースで話まとめていきゃあいいさ

500 :
年明けまでに何か投下したい

501 :
最後の投下が10月だもんなぁ・・・自分もちょっと頑張って書いてみよう

502 :
コホッ

503 :
ゴッホゴッホ!

504 :
先生、心電図に異常がっ!!

505 :
マツリダマツリダ!

506 :
ヒマワリダヒマワリダ!

507 :
わだばゴッホになる

508 :
いいえ、ケフィアで…ゲホッゴホッ

509 :
ほしゅ

510 :
保守あげ

511 :
保守

512 :
保守でっせ

513 :
お見舞い保守

514 :
…このスレが落ちたとき、わたしの命も…ウっゴホゴホ!

515 :
なせないよ!

516 :
…このスレが落ちたとき、あた、あたし、あたっ…ぶしょっ
やーはなみずー

517 :
ほーほー

518 :


519 :




私の病気って治るの…?

先生…黙ってないで何とか言ってくださいよ…っ!


520 :
うーん・・難しい問題だねぇ・・

521 :
なおるよ!

522 :
ああ、治るよ。この薬を使えば一発だ
ただ、これには重大な副作用があってね、
飲むたびに少しずつ体が淫乱になっていってしまうんだよ
さあ、どうするかね?

523 :
病弱少女「この勝負、ライフで受ける!」

524 :
上げ

525 :
>>497さんの病弱娘はお亡くなりなってしまったんでしょうか…?

526 :
>>525
俺もずっと待ってるんだ…

527 :
きっとエンディングに迷ってるんだ…
そうだって信じる

528 :
>>527
そうか、それなら仕方ないな
全裸待機に戻る

529 :
別に……あなたにお見舞いに来てなんて、頼んでない……

530 :
>>529
強気な態度を取るも憔悴しきった状態を隠しきれない病弱美少女に萌える

531 :
つ゜全快はしない薬

532 :
イチコとニコはシャム双子。首から上が癒着している、口二つ眼一つのサイクロプス美女だ。
前頭葉が1.5人分しかないので、人格は独立していても、性格も思考も殆ど同じ。
だからふたりとも俺に夢中。セックスは必ず3Pになるんだけど、夢中になると二つの
心臓からの血液が大脳に集中して、卒中になっちゃうんで、大変なんだぜ。

533 :
なんだシャム双子って。
一瞬タイ人の双子かと思ってしまったじゃねぇかよ。

534 :
シャム双生児はスレ違いじゃね?

535 :
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204098249/
【心と】  障がい、不自由のある日常  【身体】
シャム双生児はこっち担当な気がするな

536 :
こちら第二病棟です
どなたかSS書きの人はいませんか?
当病院にて療養中の人間がSSの不足で倒れそうです
今こそ貴方の力が必要なのです
どうか勇気を出して……く……
(通信終了)

537 :
>>536…待ってて、今先生が向かってるわ。
頑張って、お願い…!

アルビノとかもやっぱあっち担当かしらん

538 :

 結核は治る病。なんだそーだ。鳥海サナは、そう聞かされた。コマネチのおいちゃんもそう言っていたっけ。
 それまで病気の類とは無縁だった彼女。それが珍しく風邪を引き、鬼の霍乱か? と父親に笑われたので足をふんずけてやった。
 ただ。風邪にしては妙に長引くと思って病院へ行って見たら。
「結核ですね」
 その一言で、サナは二ヶ月間の入院を申し渡されたのだった。若い身空の二ヶ月は貴重だ…
 それだけが、不満だった。
 サナの地元は山の中。高原地帯にある。そのせいか、昔から高地療養所…サナトリウムがあった。
 最近、また入院患者が増えてきているそうだ…
 サナもまた、家の近くだからと言う理由で、そこへ押し込められてしまった。地元の人間でココに入院するのは珍しい。
 普通の病気なら普通の病院へ入るからだ。この地にも、大気の汚染が押し寄せて来ているのだろうか…
 与えられた病室は個室。木造で年季が入ってはいるが、広くて閑かで怖いくらい。
 実際、妙な噂もクラスメイトから聴いた。
「出るらしいよ〜、アソコ」
 何が出るって言うのよ。
 …
 やたら元気な、看護士のお姉さん。読書室で出会った、病弱そうな眼鏡の青年。
 そして、宵闇に垣間見た影。
 サナの記憶に強く残る二ヶ月がいま、始まる。
 続く? 

539 :
>>538
ここのSS書きはスレの性質からか病弱な人間が多いようだ
最後まで続かないSSも少なくはない
君は違うよね?
期待を込めてGJ

540 :
感想ありがとうございます。
急患がいらしたようなので、つい走り書いてしまいました。
では、これより一話目を投稿します。
読み飛ばす方はNG指定をお願いします…

541 :

「富士鷹ナスカ」
「はい?」
 サナは思わず訊き返していた。目の前には、ピンク色の制服をまとった看護婦、おっと看護士さん。
「一富士、二鷹、三なすび、で富士鷹ナスカ。覚えやすいでしょー? あ、ナスカお姉さんで良いからね」
 この療養所に二ヶ月缶詰めとなったサナ少女。初めての朝食の時間だった。
 自分の個室…木造で大分年代モノな…に、がらがらと荷台に乗っけた朝食を運んできてくれた彼女は。
 こんこん。はーい。しつれいしまーす。の後に、そう名乗っていた。
「なすか、お姉さん」
「はーい? 何かしら?」
 歳の頃は二十代だろう。むっちりと張った身体、制服の下からつんと存在を誇示する両の胸。豊満な腰。
 顔立ちは中々に整っていた。さぞかし男性患者に人気が有るだろう。
 だが、この部屋の新米主となったサナは女性であった。女神のように微笑む看護士にこう言う。
「朝食の配膳、お願いします」
 鳥海サナは中学一年。今年の春に小学校からランクアップしたての少女だ。
 顔つきはまぁ、人並み? 手入れがうっとうしいので艶の有る黒髪は短く切り揃えている。
 体形は… だから人並みだってば。ナスカと名乗ったあの看護士さんに比べたら俎板も同然。
 もっとも比べる相手も悪いか。あちらはぱっつんぱっつんなのだから。
 言わばまだ蕾。そう言うことだ。
 で。
 入院して早々、サナ少女はこの療養所の闇を観ることになった…
 年代物なサナトリウム。未だ木造なこの建築物は、空気の綺麗な山中にあった。
 街からは車で一時間くらいか。
 その施設は、古いながらも充実していた。例えば…
「うわ、でかっ!」
 全裸のサナは驚いた。まだつるぺただ。
「うっさい、ナレーション」
 こほん。
 彼女が驚くのも無理はない。入浴時間になってサナがやって来た大浴場(女湯)は、まさに大浴場だった。
 温水プール? と見紛う程の規模な湯船がどーんと広がっている。
 洗い場も席が多い。その割に誰も居ない…
「じゃ、まさか、貸切? やっりぃ!」
 サナは元気に雄叫びをあげた。

542 :

 流行の曲を鼻歌しつつ、サナはふと気付いた。
 ここって、割と大勢の人が入院してるんだよね? それにしては。
 入院手続きをした時の事務の人たち、診察してくれたお医者様、そしてナスお姉さん。
 それ以外の人間に会っていない。
 …
 自分が部屋にこもってテレビ(無料)を見たり、携帯ゲームをやり込んだりしてたからかも知れないが。
 手拭い片手に、この浴場に来るまでの間も。誰にも、会わなかった。
「…」
 ま、そうゆー偶然も有るわよね。サナは脳天気に思う…
 がらがら。不意に引き戸が開く音がした。脱衣所から誰か来たのだ。
 目は良いサナ。やってきた人物をすぐに捉えた。
「あ、ナス」
「ナスじゃない、ナスカです」
 お姉さんはにこやかに訂正した。サナ同様全裸だ。風呂に入るのだから当然だろうが、タオルで隠そうともしない。
 ごくり。制服と言う拘束から解き放たれた女体は、迫力満点だった。
 豊かな乳房、陰部を彩る淡い繁み。もちもちしているが決してたるんではいない肉欲の塊。
 そんな、彼女は。サナに近付き。手桶でまず湯をかぶると、サナの隣にやってきて座った。
「もう泳いだ?」
「しょ、小学生じゃないんですからっ」
 ナスカ看護士が来なかったら泳ぐ気まんまんだったのはおくびにも出さず。
 ふふふ。看護士は笑った。
「私、幾つに見える?」
「へ?」
 二十代位だろうとナレーションが。
「ぶー、はずれ。実はね…」
 …
「…うそ。嘘ぉ??」
 驚愕した。どう見てもそんな歳には見えない!
「…冗談、ですよね?」
 サナは恐る恐る訊く。だが答えは無常かつ残酷だった。
「ホ・ン・ト(愛)」
 嘘だろ… 私のお母さん、いいや、お婆ちゃんより歳上なんて嘘に決まってる。そう、嘘だ、悪い冗談だ!
 あからさまに疑いの目を向け始めたサナに構わず、《ナスカ》は言った。
「貴女、此処の出身じゃないでしょ」
「え」
 まあ、確かにそうですけど。小学の時にお父さんの転勤で引っ越してきて。
「都会の匂いがするモノ。ま、地元の人間だったら、余りココには近付きたがらないからねぇ…」
 何を言っているんだ。
「でも、人身御供は差し出さなきゃならない。あ、孫悟空とは違うわよ?」
 だから何を言っているんだ。
「本当に美味しそうなつるぺたちゃん」
 !!
 サナは不意に唇を奪われていた。

543 :

 ナスカと名乗った看護士の女は。湯船の中でサナを羽交い絞めにしていた。
 その状態で器用に首を舌を伸ばし、サナの唇を、口中を味わう。
「美味… 若いおなごはまっことビミ」
 はぁ、はぁ、はぁ。な、何なの。何なのよう!
 口を吸われる度、何かぴりぴりと痛い。そう、まるで、何かを。血を吸われているような。
 元気一杯だったサナのつるぺたな身体は身動き一つ取れず、段々と抵抗力を失ってゆく。
「あら?」
 《ナスカ》が口を利いた。
「いいわいいわ、さなとりうむの少女はこうでなきゃ」
 だから、何を言っているのよ!! 身体に絡みつく彼女の乳に、手足に。サナはまだ抗おうとした。
「私はねぇ、病弱な女の子が好きなの」
 放して… 放してよ。
「でも元気一杯な女の子も好き。だって…」
 ひぃっ!?
「その有り余る精気を吸い取って、わらわが美貌の肥やしと出来るからのう。くくく」
 女郎蜘蛛。そんな単語が不意に頭をよぎった。
「さーてー。サナちゃんはぁ、まだ生娘よねぇ?」
 え。
「よーしお姉さん、今日はハッスルして処女姦通までしちゃうぞー!」
 や。
「やめてぇぇええ!」
 ちゅうちゅうとサナの胸を吸う。ふくらみかけた柔らかな乳房を。
 吸われる度、サナの肌からは血の気が失せてゆく。
 そして《ナスカ》の右手は、くりくりとサナのクリトリスをいじくっていた。
「こりこりしてる。食べたら歯ごたえ、良いんだろうなー」
 あ、あ。クリトリスは刺激にぷっくりと膨れ上がるも、じゅうっと焼けるような痛みと共にすぐ萎んでしまう。
「そろそろ、本番行こうかな?」
 やめて、やめて。私、初めては、すきなひとに。
「まだ居ないんでしょう? じゃあ頂戴よ。貴女の初めて」
 いやあ。
「嫌じゃない… すぐに気持ち良くなるわ…」
 《ナスカ》の股間がぱっくりと割れた。女性器の中から、何かおぞましい物が出てくる。
 それは長めなざんばらの髪を粘液に絡ませた、男の上半身だった。
「おなごじゃ、おなごじゃ! 久々の生娘じゃ!!」
 男は… しわくちゃの老人は。女体の手足に絡め取られ動けないサナに。両の腕で這いずって。
 大きくサナの太腿を広げさせた。毛も生えていない割れ目が、縦一文字のすじが露わになる。
 そのまま男は、幼い女性器に吸い付いた…

544 :

 ぺろぺろ。舐めまわす。その舌が急に膨れ上がった。やがて見事な男性器を形作る。
 そのまま、唾液で無理くりぬるぬるにされた、サナの陰唇を押し広げ、膣口に突き立てられて…
「あ? ああ、あ。ああああああぁぁあ!!」
 サナの身体など一切気にせず。舌ペニスは強引に処女膜を引き裂いた。
 流れる鮮血さえも吸い取ってゆく。己が養分として。
 じゅぽん。一度ペニスが引き抜かれた。
「なんて美味しいんでしょう! やっぱり生娘は、若い娘は良いわ!」
 そう恍惚とつぶやく《ナスカ》は、サナを捕らえたまま口を、胸を吸う。
 もうサナに、抵抗する気力など残っていなかった。
 再び、老人の舌が捻じ込まれる…
 何度も、何度も、何度も…
 その度に。膣から、子宮から。たっぷりと少女の養分は搾り取られてゆく。
 快感など感じない、ただ激痛が走るだけのレイプ。
 化け物の宴は、誰も居ない大浴場の真中で延々と続いた…
「サナちゃーん、朝ご飯ですよう?」
 …
 翌朝。サナは病室のベッドに寝かされていた。その顔色は青白い。
 昨日までの彼女とは別人のようだ…
「たーくさん食べて精力付けないとう」
 ナスカお姉さんは制服姿で嘲笑する。
「ミイラになっちゃうゾ? あはははははははははは」
 頬のこけたサナは結核特有の咳にむせながら、懸命に起き上がる…
 食べなければ。食べなければ。
 自分が、喰われて終わるから。

 症例一つ目、終わり

545 :
乙です
これでまた頑張れる…っ
……うっ、ごほっごほっ

546 :
これで…ようやく逝ける……
G……J――― - - -

547 :
症例は後二つある、それまで、それまで持ちこたえるんだ!
眼鏡の男と、謎の影。すっかり病弱となったサナ嬢の運命やいかに。

548 :
持ち直しました。

549 :
持ち直し速っ! カンフル剤になれば幸いです。
眼鏡の男は甘口にする予定… レイプはやっぱり苦手。
では調剤をお待ちください。

550 :
ナスカの真の正体が気になるぜ

551 :
感想ありがとうございます。夕べははしゃいでしまいました。
これより第二話を投薬します。読み飛ばす方はNG指定をお願いします…

552 :

「あっ、あっ、あっ」
 老人の舌が出し挿れされるのに合わせるかのように、小柄な少女は喘ぎ声をあげる。
 その華奢な身体は、豊満な女体…ダッタモノ…に蜘蛛の巣のように絡め取られている。
 女体の女性器から、まるでヤドカリのように萎びた上半身を生やしている老人。
 その舌が、ペニスのようなそれが膨れ上がった。
「いぐぅうううぅ!!!」
 射精は無い。逆に《何か》を吸い取られてゆく。ぱんぱんに押し広げられた膣から。
 無理くりこじ開けられた子宮から。淫らな樹の根のごとく。
 やせ細った少女の身体は、それにオルガズムを感じるようになっていた…

『症例:男性患者』

 鳥海サナは結核である。ゆえ、この高地療養所に入所していた。
 だがそこは、古くからこの地に住む者なら近付きたがらない…
 魔窟であった。
「おっくすりですよー、さーなーちゃあん♪」
 無駄に元気な女性看護士、富士鷹ナスカがサナの病室にやって来た。
「はい… お姉さん…」
「うん、いーお返事!」
 このナスカがヤドカリである。いや女郎蜘蛛と言うべきか。ピンクの制服はぱつぱつで、はちきれんばかり。
「ちょっとつまみ食い」
「あ…」
 無抵抗なサナ。そんな事をしても無駄だと十二分に思い知らされたから。その心と身体で。
 療養所指定の浴衣のような、独特の衣装を与えられた彼女。その胸が露わにされている。
 ちゅぱ。ちゅぱ。ちゅぱ。
 薄桃色のサナの乳首が、ナスカの…女の方の…舌でころころころ。ちゅっ。
 散々長い舌で弄くられ、男好きのするぽってりした唇で吸われる。
「おっぱい、出ると美味なんだけれどねぇ?」
 かりっ、と乳首を噛まれた。
「ご、ごめんなさい… おっぱいは出ません…」
「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
 流れる鮮血を舐め取りながら、お姉さんは狂ったような笑い声をあげた。
「知ってるー」
 そうだ、と本業の投薬に戻りながらこの妖怪は言った。
「早くおからだ治す為にもー、このさなとりうむの中をお散歩してみた方が良いよ♪」
「はい…」
「空気は綺麗だし食事療法も一級品! 早くおからだを治してー」
 ここでナスカは一拍置いた。従順に聴くサナ。
「のうみそとおまんこ、どっちをさきにたべようかな」
 捕らえられた胡蝶に、選択の自由なぞ無い。あはははは。

553 :

 読書室。
 古びたプレートには、何時の字体かは知らないがとにかくそう書かれていた。
 少女は看護士に言われるがままに、さなとりうむ内を散歩していた。
 街までは車で一時間ほど。だが、歩く気力はサナにはもう無かった。
 ケータイは持っている。しかし何故か、操を奪われたあの日から、急に電波が圏外となった…
 他に電話は、職員が詰める事務室にしかない。
 地元の人間が勤めていると言うのに、彼らはサナを見ても無関心を装っていた。
 自分さえ、自分の家族さえ良ければ、それでいいのだ。
 それに今のサナの思考回路では、手紙を託すなどということは考えもつかなかった。
 ナスカと言う看護士への恐怖と、生じてしまった人間不信。ふらふらとサナは揺らめく…
「…?」
 読書室の引き戸を開けると、やはり此処も広い施設だった。
 やはり古びた、と言うよりは厳めしい造りの本棚がずらりと並ぶ。
 少々かび臭い…
 蔵書が傷むのを防ぐためか、レースのカーテンが閉められ弱々しい日光を届けていた。
 此処にも誰も… 居た。
「あ、ああ…」
 サナは駆け寄ろうか逃げ出そうか、迷うことになる。そこに居たのは。
 窓際の壁に寄りかかり、サナとおんなじ療養所指定の病人服を着た。
 その上に黒のカーディガンを羽織った、眼鏡の青年だった。
 背はもやしのようにひょろ長い。髪は少しだけ長い。顔立ちは至って普通。その辺の大学に通っていそうだ。
 入口で逡巡するサナに、青年は顔を上げた。
「…君が新入りか」
 びくっ。サナは小兎のように震え出す。逃げなきゃ…
 だが脚が動かない。
 青年はよっこらせと壁から離れ、読んでいた本を閉じて左手に持つと。サナに近付いてくる…
「こんな小さな娘が。…可哀想に」
 え? サナは直感した。女の勘、という奴かもしれない。
 この人は、味方だ!
 途端に脚が動くようになり、サナは思わず青年の胸に飛び込み。ぐすぐすと泣きじゃくり始めた…

554 :

「僕の名前は宝殿光丸」
「ほーでん、みつまる、さん…」
 不意の事態に戸惑った青年は、赤子をあやすようにサナをなだめ。落ち着いた所で沢山有る席の一つに誘った。
「見ての通り典型的な病人でね。治療の為に此処に居る」
 びくっ。サナはまた震え出した。治療って… 飼育の間違いじゃ。青年は…光丸は笑う。
「ナスカに逢ったね? と言うか、もう毒牙にかかってしまったか…」
「な、な」
 笑い事じゃありません!
「まぁまぁ」
 光丸青年は再びサナをなだめる。
「アイツは一筋縄ではいかない… しばらく来ないと思ったら、君をオモチャにしていたのか」
 …
「ま、此処に入れられてしまったが最後。一生逃げ出せないと思った方が良い」
 ?!
「この地には、この山には。たくさんの化け物が住んでいた」
 何を言い出すのかこいつは。
「人と化け物の共存。それは食物連鎖によって成立する」
 は、はぁ?
「人なんて弱い存在だよ。この星の上では」
 …
「自分より強い化け物にどう相対する? その答えの一つが人身御供だ」
 アイツが… あの女が言っていた!
「残念、白羽の矢は君に当たってしまった。おめでとう」
「何がおめでとうですか!」
 サナは久方ぶりに大きな声を出した。何だか急に元気になった気がする。
「君は純粋な土地の人間じゃないね」
「…はあ」
 青年は言う。
「結核… それもでまかせだよ。恐らくはタダの風邪」
 はい?
「この街の医者は、此処と結託しているから… ああ、今は菌を植え付けられて、本当に結核のはずだ」
 そんな… そんな!!
「家族にはもう二度と会えないだろうが… これも運命だ。精一杯生きるんだよ」
 ふざけないで!!
「…ぐふっ!」
 そう言おうとした途端サナは咳き込む。ああ、この咳が、植え付けられた物だなんて!
「可哀想に」
 口先で何を言うか。だが青年はこう続けた。
「少し、体力を分けてあげよう… 幸い、何日かナスカに吸われていないからね」
 ええっ?

555 :

 いきなり、抱き締められた。この療養所はいきなりが多すぎだ。
 そのまま、赤いベルベットの床に押し倒され。サナは病人服を、下着を脱がされる。
「こんなに痩せて。今楽にしてあげるからね」
 言いつつ、光丸はサナにマッサージを施し始めた。
「身体を流れる血、リンパ、そして氣。これらの流れを整えてあげれば…」
 あ。何だか。気持ちいいかも。
 年頃の少女にもかかわらず、サナは人前で全裸にされることに慣れてしまっていた。
 腕を、脚を。乳房を腹を陰部を。こりこりと揉み解されてゆく…
「はぁ、はぁ、はぁ…!」
 呼吸が荒い。とっても、気持ち良いよう… んぐ?
 まんこに指を突っ込まれていた。
「な、何を」
「動かないで。ああ、大分激しく弄ばれているようだねぇ」
 くっちゅ、くっちゅ。あ、あ、あん。
「ふむ、やはり《氣》を胎内から補充した方が良さそうだ」
 き? きってなによう。何時の間にか光丸青年も全裸になっていた。
「僕の金玉は《氣》でぱんぱんでね… 久々のおめこで《氣》が漏れちゃったよ」
 …青年のペニスは巨大だった。皮の剥けた先っちょから、とろとろと蜜が零れている…
 ずん。前戯も何も無かった。ただ巨根を突っ込まれただけ。
 幸いにもマッサージでほぐされていたから、サナのオマンコはかろうじて受け入れおっけーだった。
「いやぁあああああ!!」
 レイプ、レイプ、レイプ!
 こんな日が一生続くの? お母さん、お父さん、うう…
「うぐっ、うええええん」
「泣かないで、サナちゃん。すぐに《氣》を。聖なる液を注いであげます…」
 菩薩のような顔で眼鏡の青年は言った。そして以外に早漏だった。
 ぴゅる。
「へ?」
 ナスカの責めはもっとねちっこい。そして吸われることは有っても、膣に出されることなんて無かった。
 だが。
 ぴゅる、ぴゅる、とぴゅ。
 お腹の中に温かなものが注がれている。そしてその度に、何だか胎内が熱くなってゆく。
「こ、これって」
「聖なる液、略して聖液。これが本当のセックスなんだよ…」
「ほんとうの、せっくす」
 あん。じわじわとマンコが良くなってゆく… とーっても気持ち良い…
「サナちゃんの中に、一杯一杯射聖してあげるからね。金玉が空になるまで…」
 あああああ。
「いいよう、気持ち、いいようッ…! もっと、もっとせーえきくださいっ」
 ここで光丸はにやりと笑った。
「人にモノを頼む時は、どうするべきなのかな?」
 ああ、えーと?
「私の… サナの可哀想なオマンコに、光丸お兄ちゃんの聖液をどぷどぷ注いでくださいませっ!」
「はい、よく言えました。ご褒美に…」
 広い読書室の真中で。ベルベットの床を汚しつつ。
 光丸はたっぷりと発射した… サナの膣内、いや子宮の奥の奥まで。
 …
 じゅうっぽん! 粘性を帯びた音と共に、ふにゃふにゃ巨チンが引き抜かれる。
「サナちゃん。聖液を発射してマーラ様はお疲れだ… お慰めするんだ」
「…はぁい…まーらさまぁ…」
 ぱく。柔らかくなっても巨大な一物の先端を、サナは咥えた。ぺちゃぺちゃと可愛らしく御奉仕。
 やがて全身を使い、マーラと呼ばれた巨チンを再び奮い起こさせて行く…
 サナは理性を失った光亡き瞳で、御奉仕を続けた…

556 :

 こうして。
 夜はナスカの老人に生気を吸われ。
 昼はマーラ様に聖液を注がれる。
 それでサナの身体は保たれるようになっていった。乳を吸われてはごっくんし、膣出しされては搾り取られる。
 その繰り返しで、次第にサナの意識は、粉々に砕けていった。
 何時しか従順な、妖への御奉仕者が出来上がってゆく。
 ああ、サナ。
 可愛い可愛い中学一年の雌奴隷よ!

 症例二つ目、終わり

557 :
むしろサナトリウムで病弱になりました!ですね
しかし可愛い可愛い中学一年の雌奴隷って無駄にエロい響きだね

558 :
純愛系ばっかりなので新鮮だった
俺にも話を書く力があれば何か書けるのにな
乙しか言えないんだぜ……orz

559 :
感想ありがとうございます
何か化け物出したせいでスレチっぽくなってしまいました
症例三つ目は需要があれば書きます

560 :
>>559
需要ありまくりです

561 :
是非に是非に

562 :
皆様ありがとうございます。で、では、投薬いたします。
…かなりグロい部分がありますので、読み飛ばす方はご注意ください。

563 :

 サナトリウムには学校が在った。今日はそのお話。
 とぴゅとぴゅとぴゅ…
 ごくん。
 搾り立てのお子様ちんぽみるくを美味しそうに飲み干し、サナは妖しい笑みを浮かべた…
『サナお姉ちゃんの性教育』
 此処、魑魅魍魎が闊歩する高地療養所へ来てから一年。サナは中学二年生になっていた。
 いやさ、良く生き延びた物だ。昼夜を問わず身体を蝕まれながら、半病人を通り越して全病人状態でありながら。
 家族との連絡は一切取れない。結核が悪化してしまい、完治するまで面会謝絶。建前は。
 勿論家族が納得するはずはなかったが、この土地へ来たのが運の尽きだった…
 人身御供。
 都会から越してきたサナは、名誉ある生贄に選ばれたのだ。
 街全体をもって、家族の意思は封された。
 さて。
「今日は性教育の授業ですよん♪」
 何故か女教師風スタイルのナスカお姉さん。その正体は皺くちゃの爺。サナのアソコが大好物だ。
「では実験動物とうじょー!」
 ?
 一応、サナも義務教育を受けることが出来ていた。妙な所で律儀な化け物屋敷だ。
 セーラー服(非常にオーソドックス)を着せられたサナ一人が、教室と言うか病室の一つに居る。
 机と椅子は、やっぱり古びた木製だった。
 そうそう、実験動物君。
「ここ、どこ? お姉さんたち、誰?」
 どう見ても小学生な、歳の頃はサナよりちょっとだけ幼いくらいの男の子。
 そんな彼が、女教師ナスカに連れられてやって来た。
 こん、こん。
 結核特有の肺を衝く咳が、ふとサナの口から零れた。
 …
 このお陰で、サナは思う様に身動き取れない身体にされていた…
「じゃあ、脱げ♪」
 言うや否や、ナスカは本性を現した。びりびりと、新聞紙でも裂く用に容易く、少年の服を引きちぎってしまう。
「ひ、ひいい?」
「この♂はねー、春休みに山菜取りに都会から来た所を捕獲したのー」
 たちまち全裸だ。剥かれた少年は股間を隠しながら、サナとナスカに毒づく。
「な、何々だよ一体!」
「うっさい、♂」
 げし。ナスカの蹴りが後頭部に命中し、少年は名乗る間もなく昏倒させられてしまった。
「はい、性教育かいしー!」
 何故かハンディカムを手にしている…
「? ナスカ様?」
 サナはなるべくこの淫魔を刺激しないように、そっと尋ねた。
「んー、頭からかじっても良いんだけれどさー。この子の家族はそうしちゃったし」
 うわ。

564 :

「偶々惨劇の舞台から離れてたこの子を、お勉強につかおー、って訳」
「はぁ…」
 少年は、可愛らしいチンポから失禁していた。
「さあ、サナちゃぁん。この子で《お勉強》しなさい」
 断ると言う選択肢など無い。サナは席から立つと、少年に近付き。…ぺろぺろと床一面のオシッコを舐め始めた。
 尿を舐め終わると次は、少年だ。ぷにぷにの少年の肌を、全身くまなく吸い尽くし。
 自然、サナの柔らかな舌の刺激によって、年頃なオチンポはギンギンにおっ立っていた。
「…喰え」
「…はい」
 サナは少年のチンポにかぶりつく… 精液は貴重な栄養源だ! 夢中でご奉仕する。
 タマタマを転がし、亀頭を甘噛みし。先走る液もごっくんして。しこしこしこしこしこしこ。
 あ。出そう。金玉がきゅーっと上がって… とぴゅ。
 とぴゅとぴゅとぴゅ。
 …ごくん。
 搾り立てのお子様ちんぽみるくを美味しそうに飲み干し、サナは妖しい笑みを浮かべた…
「どう、性教育の感想は?」
 ナスカお姉さんが訊く。カメラをしっかり回しつつ。オナニーも大好きなナスカ、オカズにするのだろう。
「…はい。とっても、美味しいです…」
 ぺろっ。舌なめずり。サナもすっかり妖のようだ。
「んー、でもう、性教育って此処で終わりじゃ無いわよねぇ?」
「はい… ナスカ様…」
 ふかふかのぱんつを脱ぎ捨てるサナ… そのまま少年に跨って。
 こん、こん。
 少しだけ咳き込んだ。少年の濃い精液が喉に引っかかっていたのだ。
 チンポを咥えこむ。再び元気になるように、愛情たっぷりのフェラチオ。
 若いせいか、少年。いや♂の一物は再び堅くそそり立った。そこへサナは腰を下ろし。
 既に濡れ濡れの使い込まれた名器へ、童貞チンポを飲み込ませてゆく…
「いいねいいね、小学生を犯す中学のお姉ちゃん! いいよー」
 カメラを結合部へズームインさせて。
「さあ、一滴残らず搾り取れ! 可愛い金玉をカラにしろ!」
「…はい」
 従順にサナはうなずき。激しく腰を振る。盛りのついた♀かまきりのように。♂を喰らい尽くす…
 少年は射精した。何度も。何度も。何度も。
 薄暗い病室で、性教育は続き…
「わん!」
「貴方の名前… そうだ、ぽち! ちんぽを引っくり返して、ぽちが良いわ!」
「わん!」
 身体を心を家族を。全てを文字通り喰らい尽くされ。少年だった♂は、サナの従順な飼い犬と化していた…
「一緒にお風呂でせっくすしようね、ぽち♪」
「わん!」
 少年の手足はナスカに食われ、犬のような義足が付けられていた。
 セーラー服のサナのマンコに、懸命にご奉仕するぽち…
「…わん!」
 そうそう。脳味噌も少しばかり、ロボトミーされたそうだ。

 終わり

565 :
サナたんだいぶなじんでますね
そしてダルマプレイとロボトミーキタコレ
男子だけどwでもこれもアリだ!

566 :
前スレのdatってどこにあるんだ?

567 :
何かスレ違いっぽくなってきてね?
女性に食われるスレとかだるま欠損スレとかみたいだ

568 :
病弱少女の相手って、どれが一番萌える?
1.担当医
2.見舞いにくる同世代の男の子
3.同室の女の子
まあ、俺は2番一択なわけだがw
>>564
エロ話なのにエロ成分が薄くなってるように思う
見せてもらってる身分で文句を言ってすまん

569 :
俺は3かな。同じく読ませてもらってる身だが、スレ違いってのはそうかもな

570 :
>>568
全部だ
ちなみに俺はこれで良いよ

571 :
オレも3かな

572 :
カタカタ、カタカタ。
ベッドの上に起こした体をクッションで支え、病人用のテーブルの上のノートパソコンを操る。
病気がちな彼女を心配した両親が、少しでも外の世界に触れられるようにとプレゼントしてくれたものだ。
通信教育も受けられるし、同じ病気の人たちともブログやSNSを介して話し合える。
気分のよい日にはこうして長い時間をネットに費やしている。
その日はたまたま、よく利用するサーチエンジンの中から新たな創作サイトを探していた。
ネットで発表される恋愛小説を読むのも彼女の趣味の一つ。
年頃の少女として、彼女も恋愛への興味も憧れも人並みに持っている。
読みたい本は母親に頼めば手に入ったが、ティーンズ向けのものであっても恋愛小説をお願いするのは気恥ずかしかった。
結果自分でネット上の作品を探すこととなり、それを読むことで想像を広げて楽しんでいる。
サイト紹介が並ぶ中に“病弱な女の子の恋愛小説”とあるのを見つけ、彼女は強く興味をひかれた。
学校は休みがち、もちろん習い事も続かない彼女は極端に人と接する機会が少ない。
『病気がちな子は、どうやって恋をするんだろ?』
自分にもこんな恋が訪れるんじゃないか、そう思える小説だといいなとそのサイトのURLをクリックした。

573 :
「…え」
途中までは、入院中の少女とエリート医師の出会いに胸を高鳴らせていた。
重い病気に苦しみながらも周囲には明るく振る舞うヒロインに、医師は徐々に惹かれるようになり
二人はついに気持ちを通わせる。
しかし、その後は夜の個室でキスを交わし、ヒロインのパジャマが脱がされる、と話は展開されていった。
驚いた少女は、サイトに入る前に年齢確認を求められたのを思い出した。
深い考えもなく実年齢より上の「18才以上」をクリックしてしまったが、ここは官能小説を公開するサイトだったのだ。
『やだ、気づかなかった…』
これ以上は読んではいけない、そう自分を戒めるが展開が気になって画面から目が離せない。
今やヒロインは医師の前に晒された裸身をよじり、その貧弱さを嘆いている。
その気持ちは彼女もよくわかった。着替える際に自分の体をみて、あまりの細さに情けなくなることがある。
『肋骨も鎖骨も浮き出てるし、二の腕も華奢っていうよりゴツゴツだもん』
実際に自分のその部分を体を触ってみる。白く薄い皮膚の下に、細い骨の感触が伝わってくる。
『…それでも、きれいって言ってくれる人いるのかな…』
小説の中では、医師がそうヒロインの耳元で囁き、体を隠す腕を取り、ヒロインをベッドへと倒している。
首筋へのキス、肩を暖めるように手を添え、鎖骨の間に舌を這わす。
いつしか彼女の指は、医師の唇の動きを追うように動いていた。
まるで愛撫を受けているヒロインと同化したような感覚。
開襟の隙間から胸元へ、さらに下へと指を進める。
『胸の膨らみに沿って…そっと、くすぐるように…』
むず痒いような、くすぐったいような波が広がっていく。
体つきのわりに豊かな胸の谷間に差し掛かるとゾクゾクと身を震わせた。
もう少し下の方まで…とパジャマのボタンをひとつ、ふたつ、外していくとひんやりとした空気が素肌を刺激する。
頭の隅に追いやられていた禁忌の意識が戻りかけたが、指の動きを止めることができない。
『それまで肩におかれていた手がそっと胸を包み…さするように…』
手のひらの中央に、堅くなり始めた乳首があたる。
少し力を入れると先がこすれ、直接的な刺激にさらにその存在感が増す。
震えた肩からパジャマが滑り落ち、片方の乳房が完全に露わになった。
それすら気づかずに彼女はより大きく手を動かし続ける。
「ふぁっ…!」
長く伸びた髪が偶然、敏感になったしこりに触れた。
思わぬ刺激に声を上げる。
慌てて口を押さえ、ドアの向こうの気配を探る。
しばらく待ったがなにも起こらない。階下の母には聞こえなかったようだ。
ほっと息をつきパソコンの画面に目を戻すと、おりしもヒロインも自分のあげた嬌声に戸惑っているシーンだった。
さらにヒロインの声を引きだそうと、医師の指が乳首を捉え、やさしく撫でさする。
描写を読みながら再び目をとろんと潤ませた彼女は、今度は声が漏れないようにと、
胸をいじるのとは逆の手をあげ、袖口を噛む。
医師の指の動きは段々と激しくなり、2本の指で挟んで転がし、軽く摘み
「は……んぅ…」
色づいたヒロインの胸の先端に、唇を寄せて柔らかなキスを落とす……
コンコン。

574 :
突然のノックの音に、言葉通り飛び上がった。
慌てて胸元を合わせ、思い通りに動かない手でもどかしくボタンをとめる。
「沙希、起きてる?
工藤先生がいらしたわよ」
「は、はぁい!ちょっと待って…」
インターネットのブラウザを消し、ボタンを掛け違えてないか確かめる。
「なんですか、先生をお待たせして」
「起き抜けだったから髪を直してたの。」
入ってきた母親に、いいわけ紛れに髪に手を伸ばし、手櫛で整える。
その後ろから長身の男が姿を表した。
「遅くなってごめんなさい、先生」
今や珍しくなったが、往診を行う医師は僅かながら存在する。
しかしその中でも20代の若さで、クールな雰囲気が漂う彼のようなタイプはめったにいないだろう。
挨拶もそこそこにベッド脇の椅子に腰をかけ、彼女の顔をのぞき込む。
「顔が赤いね。熱は?」
「全然ないです!大丈夫です」
「一応、体温と脈取らせて」
まさかイヤとも言えず、いわれるがままに体温をとるために髪を耳にかけ、脈をとるために手首を預ける。
「…なんかこぼした?」
パジャマの袖を捲り上げた医師に問われ、首を傾げる。
「いえ、何も?」
「少し濡れてるようだけど」
その指摘に、先ほどまで噛みしめていた場所だと思い出して、さらに顔が赤くなる。
「あの、さっき口元拭ったから」
苦し紛れについた嘘を気に止めるでもなく医師は手際よく仕事をこなし、問題なしと診断を母娘に告げ帰って行った。

575 :
数日後。
あれに懲りて問題のサイトの閲覧は避けていたがどうしても好奇心が抑えられず、
誰も部屋を訪れる心配のない夜中になるのを待って彼女はパソコンを立ち上げた。
緊張しながら、前回と同じ手順で例のサイトを探し当てる。
『確か、こんなタイトルだったっけ』
うろ覚えの作品タイトルをクリックしたが、それは目的の作品とは違っていた。
病弱なヒロインの設定は同じだが、舞台は自宅で医師が訪ねてくる展開だった。
ヒロインの部屋で二人きりになり、初めは熱がありそうな彼女の様子を心配していたが
不自然なほど狼狽えるヒロインの様子に医師は不審を抱く。
――――
“これ、どうしたんだ?”
男は少女の袖口が濡れているのに気づき、手を取って持ち上げた。
“寝起きに口元拭いた時に…”
赤く染めた頬の色がさらに深くなる。
あからさまな言い訳に男は少女から見えないように口の端で笑った。
眠っている間に唾液が流れることはあるだろうが、袖口で拭うなどこの少女には似つかわしくない。
脅えたように身じろぎする少女の様子に気づかない振りをして顔を近づけると甘い汗の香りが漂ってきて
男は自分の想像が事実だったと確信する。
顔を背けた少女の耳元に、息を吹きかけるようにして囁いた。
「今までひとりでなにしてた?」
「………」
「喘ぎ声堪えてたんじゃないのか?」
――――
……まさか。
余りに似通った状況に、頭の中が混乱する。ほとんど再現と言っていい。
『けど…どうして…?』
めまいを覚えてヘッドボードに背を預ける。
『あの時部屋にいたのは、私とお母さんと先生だけ。
…先生…?』
あの無口な医師が小説を書いた上ネットで公開するなんて考えられない。
しかしただの偶然の一致とするのも、可能性の低さはほぼ同じくらいだろう。
さらにこの作品につけられた公開日はあの出来事の日のあと。タイミングまで合いすぎる。
『先生…気付いてたの…?』
ショックで意識が遠のきそうになる。
暗い室内で唯一光るパソコン画面が、彼女の顔色を一層青ざめさせた。
同時刻。
彼女の母親もまた、パソコンに向かっていた。
先日公開したばかりの、病弱な少女と医師の物語に対し掲示板に感想が続々と寄せられている。
その一つ一つを読み、丁寧にレスを返しながら、心の中でひとりごちた。
『虚構の世界ででもいいから、病弱なあの子に恋を知ってほしくて書き始めたのに
結局18禁小説になって、あの子に読ませられなくなっちゃったわね。
そう言えば、この間の濡れた袖口。
ネタに使わせてもらったけど本当はなにが原因だったのかしら?』
ふと浮かんだ疑問にキーボードを叩く手を休める。
「…せめて涙を拭いていたのなら盛り上がったでしょうにねぇ。」
涎を拭いてたんじゃロマンスも何もあったもんじゃない、と母親は肩をすくめ、
再びパソコンへと注意を戻した。

お目汚し失礼しました。

576 :
GJすぐる
余韻のあるラストとか、良いね!
また投下するの待ってます。
しかし容量見ると、このスレって結構投下とかされてるスレなんだね。
また>>1には>>1000を見せて上げられないかもしれない。

577 :
>>572
お目汚しだなんてとんでもない
GJです、面白かったよ
>>576
SSが多いと1000までいかない
つまりこれはSS書きの陰謀だったんだよ!?

578 :
これは良い

579 :
>>572-575
こういう変則的なのも良いなぁ
そして御母堂自重w

580 :
病弱で卑屈になってツンツンしまくって周りにキツい事を言って孤立する少女
そんな少女を支えるは犬猿の仲のクラスメートの男の子なシチュを連想したけど文にできない

581 :
>>580
何それ萌える……

582 :
>>580
今お前は文にしたじゃないか!
あとはキャラの名前とセリフを考えるだけだじゃん!
病弱少女「どうせ…どうせ手術したって助かりっこないよ…。アンタだってそう思ってんでしょ?」
男「……まあな。ってかそもそもおまえみたいなチキンが手術受けるなんて無理だろw」
病弱少女「っ!!……何よそれ…何なのよ!チキン?このアタシが手術が怖がってるとでも言うの!?」
男「違うのかよ?」
病弱少女「〜〜っ!あったまきた!いいわよ!手術が何よ!受けてやろーじゃないの!」
男「……。その調子だよバーカ」
病弱少女「……。やっぱアンタの事キライだわ」
男「俺もお前の事大キライだよ」
ほらこんな感じでさ!

583 :
>>582
ニヤニヤした

584 :
病弱少女屈指の鬱展開と言えば
最初の出会いは最悪でお互い素直になれず口論・喧嘩・すれ違いの果ての紆余曲折の末に気持ちを確かめあい将来を誓い病室で交わり結ばれた2人。病気が治ったら旅行にとやくそを交わす
しかし運命は残酷で
その数日後、突如として容態が急変し病弱少女はそのまま帰らぬ人に
しかも最後の言葉がもっともっと一緒に居たかったけど、ゴメンね的な

585 :
>>584
うむ、王道だな

586 :
保管庫とまってるなあ

587 :
投下

588 :
《頼むよ、ちょっと顔出してくれればいいからさ!》
「無理だってば。今日は予定アリだから。」
歩きながら、携帯越しの押し問答。無駄だってのに粘るなあ。
《つれないこと言うなよ〜、一人急に来れないとか言い出してさ〜。》
「あ、ホント。」
さして興味もない。俺はいつものように角を曲がって信号にさしかかる。
《女の子三人に男二人じゃ耐えらんないんだよ、助けると思って!ね!》
「いや、いいじゃん。何がダメなんだよ」
信号が青になった。そもそも参加すると言った覚えもない。
《いやそのー、こっちが少ないと、なんかその、さみしいじゃん…。》
「だから、今日は予定あってほんとに無理なんだ。ほかの奴を誘ってくれよ。」
《…じゃあ、洋一の予定って何なんだ?》
「…ん、ちょっと知り合いの見舞いにね。」
相手が少し押し黙った。お、さすがにわかってくれたか。
《…その見舞いの人って、どんな感じなんだ?》
ぴっと、荒い感情が鼻先をかすめた。
「…いや、少し入院が長引いてるだけ。」
《…じゃあさ、ちょっと!ちょっとだけこっちに来てよ!見舞いはまたいつでもできるかもしれないよ?でもさ――》
ぶちっと電話が切れた。いてて、親指痛い。
携帯をポケットにしまいこみ、さらに歩く。この坂を登りきれば目的地だ。
「ふう…」
白い壁、広い駐車場、大きな玄関。
そう、ここは病院。
今日は第三土曜日。二週に一度のお見舞いの日である。
待合室の自販機で缶コーヒーを買った。
普段なら直に病室に向かうのだが、今日はいつになくけだるくて、一息つかずにいられなかった。原因は言うまでもない。
(見舞いはまたいつでもできるかもしれないよ?でもさ――)
本当にそうなのか?どうしてそう言い切れるんだ?
数年前の記憶が頭にちらつく。
(けしてんでしまうような状態ではない…)
あの日の医者の言葉。あれも本当なのか?
疑い始めればきりがない。
あの時の言葉は、騒ぎ立てる子供達をうまくだますための、ただの方便だったんじゃないか?
二週間前に病室で言葉を交わした水香が、今日も変わらずに病室にいるという、そんな保証はどこにもない――。
不意に缶コーヒーが手から滑り落ち、自動ドアの方に転がっていく。
あわてて拾おうとドアに近付いて、映りこんだ顔にびっくりした。
まるで重い病気を抱えたような、暗く沈みこんだ自分の顔。
いかん!いかんいかんいかんいかん!
コーヒーを小脇にはさみ、ごしごしと両手でこすって顔をほぐす。いかんぞ松崎洋一。見舞いに来た奴がこんな顔してたら、治るもんも治らん。
しっかりしろと自分に言い聞かす。水香本人のつらさはこんなもんじゃないはずだ。
よし、気合入れていかなきゃな。悪い方に考えててもしょうがないんだから!
何もなくてもそばにいる。何かあれば力になる。それが友達ってものじゃないか。
――自分がいることで、ほんの少しでも水香のつらさが和らいでくれれば。
そこまで考えて、やっとプルトップを開けてコーヒーが飲めた。
空き缶を捨て、階段を上る。水香の病室は二階の奥、長い廊下を歩いた先にある。
この廊下もなかなかもどかしい。遠くからでも病室のスライドドアは見えるが、たどり着くまで結構時間がかかるのだ。

589 :
「?」
あのドアは水香の病室だったはず。そこから出てきた白衣姿に、少し不安がざわめく。
ドアを後ろ手に閉めた後も、白衣姿はうつむいていた。なんだおい、なにがあったんだ?
つい先ほどの気合があっさりとかき消されそうな感覚。無意識に小走りで白衣に近づいていた。
「あの…」
「ああ、君か…。」
思い出すまでもない、あの日の医者だった。ストレスで胃でも痛むのか、表情が一層辛そうになった。
「水香は…?」
「うん…」
相変わらず歯切れの悪い医者だ。俺にどこまで話したらいいのか、計りかねているようにも見えた。
「…大丈夫だ、彼女は。…君は、いつも通り接してあげなさい。」
いいね、と言い置いて、硬い表情のまま去ってしまった。
おかげでオレは、スライドドアの手すりを見つめたまま数回、深呼吸をしなければならなくなった。
病気が?発作が?他の何かが?空回りに近い速度で巡る思考を振り払って、すがるように医者の言葉を頭の中で繰り返す。
いつも通りに、そう、いつも通り、同じような態度で……。
手すりをつかんで、最後に少しだけ長く息を吐き、ゆっくりとドアを開けた。
(!!)
瞬間、医者に会っておいてよかったという思いがまたたいた。
「あ…」
寝ているというより、薄っぺらいシ−ツに押し潰されているような水香がいた。
「んく……」
ぎこちなく体を起こそうとしている。水香なりにいつも通りでいようとしているようだった。
それが今、腹をえぐられるようにつらい。
耳が痛くなるほど静かな病室。そのせいで、衣擦れの音や水香の呼吸音が、どうしても聞こえてくる。
なにかうっとうしく感じたのは、自分の胸元で暴れる心臓だった。
「ふぅ…」
ベッドをきしませ、壁にもたれて体を起こす。それだけで、少し息が上がっている。
音のない部屋が、そんな気付きたくない音まで耳に拾わせる。
――明らかに、いつもと様子が違う。
「……、よぅ。」
俺の顔は大丈夫だろうか。水香の不安を煽るような表情だけはしたくない。
「……」
すぅ、と息を吸い、ゆっくりと吐き出す。まだ呼吸が、整っていないのかもしれない。
「…、……うん。」
いつも通り、病室のドアを閉めた。
スツールをいつもより少しだけベッドに近寄せ、座る。なぜか自分の足音が、やたら耳に付いた。
「…」
「…」
水香はどこか悲しそうに、視線を下に流している。
半分ほど形になったジグソーパズルをつまんでみたが、とてもそんな気になれない。
ぼんやりとピースを眺めているだけだ。ただただ、時間が過ぎていく。
「なんか…」
「あの、ね…」
言葉がぶつかる。少し遅れて、視線もぶつかった。
「…なに?」
小首を傾げて、言葉を促す。水香のよくやる仕草だ。
「あ、いや…」
訊いていいのか、よく考える前に声にしてしまった。しかし、いまさら引けない。
「その…」
…おまえ、大丈夫なのか。…いや違う。
「…おまえ、どうかしたのか。」
「……」
また、すぅと息を吸う。怒るでも、悲しむでもない、訊かれると分かっていたような顔。
「……とうやくがね」
投薬がね。聴き違えないように、頭にタイプしていく。
「…ききすぎちゃったって、言ってた。」
「………そうか。」

590 :
改めて、言葉の意味を考える。
投薬が効きすぎた。ということは、今の状態は薬によるものなのか。
それじゃ、薬の量さえ減らせば元気になるのか?
なんだ、いいことじゃ――
いいこと、なのか?
盗むように、水香を見やる。
「……」
いつにもまして表情が固い。隠そうとはしているが、状態が好転したとは思えない。
(大丈夫、なのか?)
電話の言葉、あの医者の顔、そんなことばかり思い出す。
「……」
いやな感じだ…。いやダメだ、なんとかこの重い感じを変えないと…。
ブイ、ブイ、ブイ、ブイ。
(!……。)
しまった、メールだ。誰からなのか予想はつく。携帯の電源を切っておくべきだった。
「…鳴ってるよ。」
「え?ああ…」
しかも水香に聞こえていた。
つくづく今日は、病室の静寂が恨めしい。
携帯を取り出す。クソやっぱりかよ。メールを開くが、読まずに閉じる。ついでに電源ボタン長押し。
何事もなかったようにポケットへしまう。
さりげなく水香を見たが、窓から外を眺めていて表情は見えなかった。
「…行ってよ。」
「ん?」
「…メール。なにか、あるんでしょ…?」
おっと。
…まったく、ときどき妙に鋭いんだもんな…。
「メルマガだよ。」
軽く肩をすくめた。うん、我ながらいい感じ、重い空気もちょっとは軽減かな――
ふいに、水香がこっちを向いた。
(!)
よどみなく、まっすぐ、心を覗かれるような目で、射抜かれた。
「…」
たじろいだか。いや、そんなことはない。
ぷいっと窓に視線を戻して、
「…うそ。」
一言、断言した。
「…よーくん、うそついてる。」
……見抜かれた。
くそ、こいつ。ごくたまにこんなことしやがる。
「…たいした用じゃない。」
軽く首を振って。
まだだ、立て直せ。ていうかオレは行きたくないんだ。
「…いいの。気にしないで…。」
あ、まずい。これは悪い方向に進んでる。
「……気にしないで。じぶんのせい、だから……。」
自分のせい。自嘲的な、痛ましい笑いが水香の顔に張り付いている。
「ビョウジャクなのに、外であそんでた、わたしのせい…。」
ビョウジャク。
「じごうじとく、だもん…。」
自業自得。
「違う。」
思わず、口に出ていた。
「それは違う…。」
水香のせいじゃない。ああ、嫌な記憶がよみがえる。

591 :

(大森さんは体調を崩したので、しばらく学校に来なくなります…)
(大森って、だれ?)
(あの、体弱い子。遊んでたら、変なのが体に入っちゃったんだって)
(ふーん…。体弱いなら、家にいればいいのに…)
(そうだよねー…)
違う!悪いのは水香じゃない。
悪いのは、
悪いのは…!
「オレのせい、なんだ…。」
「え…?」
思考がぐるぐる回って、回りすぎて熱くなって、わけがわからなくなって。
それまでため込んでいた思いが、あふれてしまった。
「オレが…、オレがあちこち連れ回ったせいで、水香が…こうなったんだ。」
ダメだ。また嫌な記憶がよみがえる。
水香に変なものが入るより、少し前。
(ねえヨイチ、ミッカと外で遊ぶの、やめよう?)
ミキがつまらなそうに言ってくる。
(ミッカ、楽しそうだけど、つらそうだもん…。こないだだって、ケンタがミッカのかばん持って家まで行ったんだよ?)
(…。)
あの時のオレは、ミキより不機嫌な顔をしていた。
(ミッカのおばさんにも、「あんまりムチャしないように見ててね」って言われたし…。ねえ、もっと家でできる遊びしよう?)
だけどオレは、水香と外で遊べなくなるのが嫌だった。
だから…。
(じゃあ最後に、あの工場に行こう。それで、もうやめる。)
帰り道の途中にある、錆びて赤茶けた廃工場――
あんなとこ歩き回ったばっかりに。
自分の都合を押し付けたばっかりに。

――ミッカ!?どうしたの――!?

廃工場の帰り道、水香は、ガードレールにもたれていた。

「あの工場に行こうって、『たんけんだー』なんて、ガキみたいなことやってなけりゃ、水香だってこんな目に合わなかった。」
「…。」
「バカだったんだ。水香の体のことなんて考えもしないで、好き勝手に遊びに付き合わせて…。」
そのせいで、水香はずっと病院に閉じ込められてる。オレのせいで。
だからオレは、今でも二週に一度はここに来る。他の奴とは事情が、責任が、違うから。
それが通い続ける理由。半分は本当だ。
「あんな遊びなんかしてなきゃ、水香は今も普通に学校行ってて、楽しいことだって今よりもっと――」
「…ふっ…」
そこでやっと、水香の様子に気づいた。
「…え?」

592 :
泣いている。水香が、泣いてしまっている。
「…そんなふうに、みてたの……?」
…なんだ、オレは何をべらべらしゃべってたんだ?
ぽろぽろと、白い頬に跡をつけ、拭いもせずに泣いている。
そうさせたのは、まぎれもない自分で。
回りすぎて熱くなっていた思考が、今度は急速に冷えて、凍りついていく。
「わたしが…っ、…かわいそう、だから、きてたの……?」
「あ…」
違う…と、言えたんだっけか。それすらもはっきりしない。どちらにしても、何も変わらない。
「…。」
なにをしゃべったらいい。どうすれば、水香が泣くのを止められる。わからない。わからない。
待ってくれよ、そうじゃないんだ、なんて言えばいいんだ――
「でてって……。」
それが聞こえなかったわけじゃない。ただ、信じたくなかった。
「出てってよっ……!」
まるで操り人形みたいに頼りなく立ちあがって、重い両足がのろのろ歩いていく。スライドドアの前まで。
バーをつかんだところで、なんとか踏ん張った。
このまま出てっちゃダメだ。
言わなきゃ。
言うことが。
くすんだ白いドアを睨み、背中で水香のすすり泣く声を聞きながら、あの日の自分が問いかける。
(どうして、そんなに「たんけん」がしたかった?)
(どうして、そんなにミッカと外で遊びたがった?)
…本当は?
本当は。

オレは…。

「…好きだったんだ…。」
バーに映る、ゆがんだ景色を見ながら呟いた。
「遊んでる時の、笑ってる時の、おまえが。」
初めて声をかけたときの、涙をためた目。
枯れ枝を振り回すバカなガキんちょについてきた、楽しそうな顔。
かくれんぼの数を数える、弾んだ声。
病室で話すようになってから、かけらもなくなってしまった。
だから、せめて、そのかけらの、ほんのはしっこでいいから。
「笑っていて、ほしいから…。」
それが、理由。まぎれもなく本当の、ここへ来る理由だった。
「だから、その…かわいそうとか」
顔を向けて、こわごわと。少しだけ水香を見た。
水香は…。
「…。」
目に涙をためたまま、驚いたみたいにこっちを見ている。
まるで時間が止まったように、そのままだった。
「…。」
長いまつげが上下して、またひとつ涙がこぼれて。
引いた波がまた押し寄せるように、水香を泣かせたんだという事実が戻ってきた。
「ごめん…」
ダメだオレは。もしかして失敗を取り戻そうとしてもっとひどいことを言ったんじゃないのか?
もうバカだ、帰ろう。ここにいたら水香を傷つけるばっかりじゃないか。
「ごめん!」
「…っあ」
ドアを開けて廊下へ出て、後ろ手で閉めて歩き出す。
最初は早足だったのに、長い長い廊下を突き当たるころには、ほとんど走っていた。
そうして逃げるようにして、オレは家路についた。

593 :
「へーえ、それで?」
携帯電話を耳に当てつつ、あたしはおやつの板チョコをぱりぱり開ける。
母さんに見つかったらまたぶつぶつ言われそうだけど、あたしだって相手は選ぶっての。
《いや、だからその……どうしたらいいかなって。》
「あやまんなさい。」
即答してから、チョコをぱきっとかじる。うん。やっぱりクランチ最高。
《そ、そうだよな…。…そうだよなぁ。》
「だってミッカの具合が悪くなってるっぽくて、ヨイチが変なこと言って、ミッカが泣いちゃって」
ここでコーヒーを一口。チョコとコーヒーって合うわよねぇ。
「…でてけーっていわれてそのまますごすご帰ったんでしょ?完全にヨイチが悪いじゃない。」
《…。》
電話越しに聞いた話を要約すると、そうなる。
なのになんか、電話の相手は歯切れが悪い。んまったくいらいらする。
「なによ。どっか違うの?」
《い、いや、合ってる。一週間前にそれがあって。》
ふぅん。先週の話と比較して一部がすっこぬけてるけど、そこはしょうがないか。
幼馴染でも、そういうことってあるもんね。
「で、来週のお見舞いにどんな顔して合いに行ったらいいかわかんないってわけ。」
《…そうなんだよ。…なぁミキ、ちょっと見舞いについてきてくれよ。》
「イヤよ!あたしあの子に『治るまで会っちゃダメなの…』って泣かれるのなんか二度とイヤ!」
《あ〜、そんなことあったのか…。ホント困ったなぁ…》
途方に暮れたみたいな声出してる。
「フツーに行ってこないだはごめんなさいでいいんじゃないの、分かんないけど。」
《おいぃ、そんな適当に言うなよ…。》
「テキトーじゃないわよ、あたしは最初っから謝んなさいって言ってるわよ。」
《うぅあぁ、そうだな…。》
…だめだこいつ、完全にヘタレってる。
しょうがないなぁ。少し時間を開けたほうがいいか。
「じゃあ、来週行くのはちょっと休んで、次からなんでもないような顔していけばいいじゃない。」
《あー、三週間後か…。…でも、うやむやにするのは良くないよな…。》
おもわず、ため息が出た。
「それじゃ、次行った時に謝んなさい。」
っていうか謝るとかいいから会いに行けっつの。もっと大事なことがあんでしょうが。
《うん…。そうするよ。》
あー、もー、いらいらする。七日前の電話のテンションを聞かせてやりたい。
(あのね、さっきね、あでも私の勘違いかもしれないんだけど、でも、その、たぶんなんだけどね…)
落ち着かせるのに15分。筋道立てて話を理解するのに30分。まったく。
…それでも声が聞けたことの方が嬉しかったけど。
「はい。この話もうおしまい。もう電話切るわよ、今日もピアノあるし。」
《あ、おう。…ピアノはほんと続いてるよな。》
「体当たり食らわすわよ。」
《あ、ごめんごめん。体当たりはやめて。》
「今までの茶道とか乗馬があたしに合わなかったの。」
《あ、そうでしたかすいません。》
ふん。運が良ければケンタもふっとぶあたしの必技に恐れをなしたわね。
「んじゃまたね。」
《おう…。》
電源ボタンを押して、時刻を見る。16:52。5時頃って言ってたから、そろそろかな。
チョコをぽりぽり、足をぱたぱたさせながら、携帯をちらちら見る。
まだかな、まだかな…。
…っ!
「もしもし!?」

594 :

なんだか最近、お姉ちゃんのテンションが高い。
なんかちっちゃいころからの友達が、久しぶりに連絡をしたんだって。
私は良く知らないけど、晩ごはんの時もニコニコしてるから、きっと仲の良い人だったのかな。
私としても、お姉ちゃんが嬉しそうにしてるのはいいと思う。お母さんとも口げんかするの、減ったし。
ただその…
「もしもし!?」
…お姉ちゃん、聞こえてるよ…。
「…が電話してき…、…メね、来週はちょっとムリ…」
隣の部屋の声がここまで聞こえるって、なんでこんな壁うすいの、この家。お姉ちゃんの声がおっきいの?
「…、ピアノは6時……、全然…」
携帯で音楽聴いてようかなあ…。
…あ、イヤホンお姉ちゃんに貸してたんだった。
「…によ、…週の元気はどこ……のよ!?」
…こうなったら、お姉ちゃんに直接言おう。聞こえてるって。
勇気を胸に、私は希望の一歩を踏み出した。
「もう、大丈夫よってもーう。」
…お姉ちゃん、ドア隙間あいてるよ。だからだよ。
「三週間も時間あるんだから、ゆっくり考えとけばいいじゃない。」
閉めたら静かになるかなあ。やっぱり一言言ってからの方がいいかなあ。
「でも恰好がパジャマってのもねぇ…。なんかネックレスみたいな、あっ!あたしがあげたやつあるじゃない!着けてる?」
…でも、お姉ちゃんすごい楽しそうだし…。
「なぁんでよぅ!……なにがよ!あんたのなんだから、あんたが着けなきゃもったいないじゃない!」
…やめとこう。お姉ちゃんには、あとでちゃんと言おう。
「そんなことないわよ!あたしが選んだんだもん、絶対かわいい…」
静かにドアを閉めて、私は階段を下りた。
…リビングで、お皿洗うの手伝ってこようかな。

…三週間、か。
…あれだね、光陰矢のごとしってね。早いもんだぜ。
もちろん今病院ですよ。お見舞いに来てますよ。
いつも通り階段登って、長い廊下歩いて…うん。
…そのまま歩いてってエレベーターで二階分上がって屋上にいます。ハイ。
「どはあぁあぁぁ……。」
ミキがいたら確実に体当たり食らってるな。
分かってんだよ情けねーなってのはでも泣かしたダメージが全然消えなくてこうなっちゃいましたハイ。すいません。
ちょうど誰もいないもんだから好きなだけがっくりできるな。はあ。
…水香があんな泣いたの見るの、初めてだったもんなあ。
今まで、涙ぐんだりはあったんだけどさ。あんなぼろぼろ泣くのなんて…しかも自分のせいでってのは、なかったからなあ。
謝って許してくれるかなぁ。嫌そうにされたらどうしようかなぁもう…。
「あ、よーくんだ。」
「えっ!?」
飛び上がるほどびっくりした。後ろにいた。水香が。
「…ふぅー…。」
「……えぇえ!?」
どぎもをぬかれた。そのまんま動けないオレを見て、くすくす笑っている。
笑っている。水香が。
「な、なん、てかどうやって!?」
「…歩いて。」
「はぁっ!?」
あり得ない。ここまで歩くって、あのくそ長い廊下を歩ききった上に、階段を二階分ぐるぐる上がって…。
そんなバカな。
記憶がまたたく。

595 :

――あの廃工場の帰り道。横断歩道。
水香は…
横断歩道を渡れなくて。
オレとケンタでおぶさって――
そんなバカな。
「な、なんでそんな、あの…」
「リハビリ。」
「リハっ…リハビリ!?」
なんだそれ。それって…!
「投薬で…、悪いのがなくなったから…リハビリ。」
なくなった。
悪いのがなくなった。
今、そう言ったよな。
それは……それはつまり…。
「……おまえ、治ったのか…?」
「…そう。」
確かにそう言った。うなずいたんだ。
「…おまえ、治ったのか!!」
「うん…!」
おもわず、肩を掴んで声をあげた。
「そっか!そっか良かったなぁ!!」
「うん、うん…。」
「なんだよ泣くなよ、いいことなんだろ…っ」
言いながらぼろって涙が出た。クソォかっこ悪いなもう。
ごしごし目を擦って携帯を取り出す。こうしちゃいられない。
「ミキとケンタにも伝えるよ!あいつらも喜ぶぞ!」
「うん…!」
『ミッカが治った!!』ってだけメールに書いて、同時送信した。行けコノヤロー!
「はぁー…、よかったな、ホント。」
「うん…。そ、その、それと…」
「ん?」
振り返ると、うつむいた水香。
首から下げた、青いイルカがゆらゆらしてる。
「ま、前に、来たときの…」
ぎくっと体がこわばる。そうだ謝らなくちゃ。
「あ、あれな…」
「その…、…わ、私のこと、…す、すきだって」
え。
そんなこと言ったかな言ったよな。うん。
なんつうかその場の勢いってかいや勢いじゃないな今までのためてたやつがこう…ポロっと。
また心臓がやかましく跳ね回り出した。
「あ、あの、あれって…」
水香の顔は見えないが、きっと赤くなっている。
「…ほ、ホント?」
…本当だ。
なのに、喉になにかがはまり込んだみたいに、うまく声が出ない。
…だーくそ、本当のことを本当だと言うだけだろが。詰まるなオレ!
「…ほ、本当、だ。」
水香の手が、イルカを包むように握った。
うつむいてた顔をさらに下に向けて、絞り出すように。
「わっ…、私…」

596 :
ゆっくりと顔を上げる。白いほっぺを赤くして、今にも泣きそうな水香がいた。
ぎゅう、とイルカを包む手を強くする。それにすがるように。勇気をもらうように。
「……わたし…、……わっ、わたし……、も…」
「水香ちゃーん、ここにいた…の……」
すべての人間が、急速に動きをなくしていく。
「…。」
「…。」
「…。」
凍った。止まった。フリーズ。
誰も動かない、否、誰も動けない。
心臓だけが、やたらと存在感を主張する。
ユキさん…と、そばで蚊の鳴くような声を聞いた。
「………ご、はん」
虚空を見つめたまま、看護師は呟く。
「病室、に、置いとく、から………」
そのままゆっくり、180度方向転換。
「ごめんなさいっ!!」
どたどたと音を立てて逃げて行ったが、時すでに遅し。
「…あー…」
「ううぅうぅぅぅ〜〜〜……」
そこには、できるだけ小さくなって消えてしまおうとしている少女がいた。

その日、[大森]というプレートがはまった病室は、これまでになくやかましかった。
どったんどったんどったんガラーー。
「ミッカちゃん治ったんだって!?」
「ケンタくん…。」
「おおぉぉーーミッカちゃん、顔色良くなってるよ!」
「ケンタくん、背が高くなった?」
「そうそう、親戚のおじさんに横にもでかくなったなって言われたよ!ははは!」
「ケンタおまえ、それなんだ?」
たたたたたたたたたたた…。
「あ、なんか…、…?なんっかのお菓子!ははは!かーちゃんが持ってけって」
「どいてっ!!」
ドムッ!!
「オボフッ!!?」
178p88sの巨体がもんどりうってたたらを踏む。
「ミッカァ!!」
「ミキちゃ…」
「ミッカーー!!やっと会えたーーー!!!」
150p弱の少女が嬉しそうに抱きつく。
「ミキちゃん、髪が長くなってる…。」
「そーなのよ、『ちょっとはしおらしくなさい』とかおかーさんが言うからさー。」
「…体当たり健在の時点でらしくないだろ…大丈夫か?」
「お、お菓子無事でよかった…。」
(で?で?で?うまくいったの?)
(うまくっていうか…でも、途中でユキさんが…)
(ええぇそうなの?全然言えなかった?)
(う…うーーん……ちょっとは…)
(ホント!?がんばったじゃない!)

597 :
「水香ちゃーん…、あー…、食器、片していいかなー…」
「あ、ユキさん!ちょっと待って…。」
「ごめんね水香ちゃん、ほんとにごめんね…。」
「そうだ!うちの猫、子供産んでさ!えっと携帯携帯…」
「ミッカほらあーん」
「えぇー?」
「リンゴ一個くれ一個」
「あっ!よーくん!もう…」
「あったあったこれこれ!こいつら産んだの!」
「わぁ、見せて。…ぷっ、ケンタくん電池切れって。」
「えぇーー」
「えぇーー」
「うわわわちょっと待ってちょっと待って、乾電池の奴がどっかに…!あったあった!」
「あははは、あははははは……」
目元を拭いながら笑う少女。
「ちょっとなに泣いてんのよーう。」
「ちがうよ、泣いてないよ…。」
「よーしよしよしって撫でてやろーか。」
「いっ、いいよそんな…」
「ほーらかわいい猫ちゃんですよ〜…。」
「もーぅ、みんな騒いじゃだめだよ…。」
食器を回収したワゴンを押しながら、若い看護師は目を擦る。
頭に浮かぶのは、いつかの病室、冷たい床。
(…みんなに……っ、あい、たい…)
…よかったね、水香ちゃん。本当によかったね…。

「今日で退院っ!おめでとう水香ちゃん。」
「ユキさん、お世話になりました。」
ぺこりと頭を下げる。
「かわいい服ね、パジャマよりそっちの方がいいわ。」
「えへへ…ミキちゃんと一緒に、いろんなチラシ見て選んだの」
スカートを翻す彼女は、もうどこから見ても普通の女の子。
胸元には、青いイルカが跳ねている。
「お父さんたちは?」
「みんなと歩いて帰るって言ったから、先に帰っちゃった。」
「そうなの。じゃ、あんまり待たせちゃ悪いわね。」
「うん…、ユキさん。今まで、ありがとうございましたっ。」
「うんっ。定期健診さぼっちゃダメよ?」
「はぁいっ!」
元気よく病院の正門に駆けて行く少女。
その先には、あの日と変わらない笑顔の友達が待っている。

598 :
「おー。挨拶済んだかー。」
「うんっ。よー、くんっ!!」
ドムッ!!
「ウボフッ!!」
「いいっ!いいわよ今の体当たりっ!」
「はいっ!」
「うっく…、ミッカおまえ、やるようになったな…。」
「ミキちゃん流の体当たりはけっこう響くよ…。」
「おお…そのようだ…。」
「さぁてと、どこ寄って帰ろっか?」
「…そういやこの先に新しい店できたな」
「行きたい!それどこ?」
「この道まっすぐ…おい引っ張るなあぶないあぶない」
「えへへっ」
後ろの二人と、少し離れて。
「…よーくん。」
「ん?」
言えなかったことばが、やっと届きそう。
「………好き、です。」
「…………お、オレも、です。」
…また、色んなところに、連れてってね。

「……言ったね。」
「……やっと言ったわね。長かったわ。」
「ヨイチバレバレだったよね。」
「んバレッバレだったわ。」
「やれやれ…。」
「ほんと、やれやれよ。」
自然と緩む頬を、ため息でごまかして。

「世話の焼ける幼馴染たちね…。」

599 :
おしまい。
そして最後に。
自分は、
このスレが、
大好きです…っ!
サッ

600 :
GJ

601 :
GJ良かった

602 :
今なら言える、スーパー乙!
規制で何も書けないのが辛かった

603 :
素晴らしいSSでした、GJ

604 :
サナちゃんのサナトリウムシリーズは、ここでは打ち切り?
スレ替えて続いたりするなら、教えて欲しいぜ。
俺は続きを渇望してるぜ! ・・・ごほごほlっ。

605 :


606 :


607 :


608 :


609 :


610 :
最高の小説が沢山。こんなスレがあったなんて知らなかった。
自分も病弱な女の子フェチ。
いつか医師(男)×患者(少女)の小説が書けたらいいな。

611 :
ただひたすらに酸素を求め、喘ぐ。
その度に私の喉、胸、背中が、ぜぇぜぇと悲鳴をあげる。
呼吸をする、そのためだけに身体中に力が入って、あちこちが痛い。
夏でもないのに身体中が汗ばんでる。
『こんなに苦しいならいっそ、して・・・』
何度そう思ったかわからない。
でも、何かを伝えようとしても苦しくて話せない。
喘鳴に掻き消されて言葉にならない。
あの夜私は、総合病院の救急外来で処置を受けていた。
何度経験したかわからない、いつもの発作。
でも、今日はいつもと違って吸入をしても楽にならない。
「ユキちゃん、大丈夫だからね」
「頑張って!」
救急医や看護師さんの言葉も、何だか遠くに聞こえた。
酸素濃度を示す数値は、90を切っている。
「呼吸器科の先生に連絡して」
救急医が看護師に指示する。
同時にすぐさま酸素を投与しつつ、気管支を広げる点滴をする事になった。

612 :
呼吸器科の先生が病棟から下りてきた。
「ユキちゃん、まだしんどいかな?」
「ん・・・。」
私は頷いた。
「失礼するよ。」
先生は、私の病衣の合わせの紐を解き、胸に聴診器を当てる。
反射的に胸を手で隠そうとしたけど、その手を先生に軽く押さえられてしまった。
「しんどかったね。すぐに良くなるから、頑張って。」
私にそう言って、看護師さんに何やら指示を出している。
気休めかもしれないけど、その一言が嬉しかった。
先生の胸元のIDカードには『南村 有』と印字されてある。
私・南村ユキの伯父だ。
小さい頃、私は
「有さんとけっこんするの!」
が口癖だったと姉から聞かされた。
忙しくて滅多に会えないけど、笑顔が印象的な有さんが大好きだった。
でも。
16歳になった今、その気持ちが完全に消えたと言えば嘘になる。
現実では無理だと、頭ではわかっているのに。
それでも、人助けのためにお医者さんになった優しい有さんは、私の憧れの人。
だから今日も『有さんなら助けてくれる』と自分に何度も言い聞かせた。
事実、処置のおかげで症状も少しマシになってきた。
酸素濃度も92〜94に上がってきている。

613 :
wktk

614 :
呼吸困難が次第に和らいでいくにつれ、私は自分の状態を客観視できるようになってきた。
鼻には酸素を送るためのカニューレ、腕に点滴の留置針。
指先と胸にはモニタに繋がれたコード。
モニタには私の心電図波形と酸素濃度が継続的に映し出される。
全身を拘束されて、何だか私、実験動物みたい。
発作で苦しんでいた必の形相、ぜぇぜぇし過ぎて涙ながらに嘔吐してしまった跡。
有さんにこんな姿、見られちゃった・・・。
そんな自己嫌悪と羞恥心、救急処置室という非日常。
呼吸困難で少し頭がどうかしていたのかもしれない。
昔から体調が悪い時にぼーっとしてへんなきもちになる、その正体が掴めそうで掴めない。
或いはこの状況で、眠っていたマゾヒズムを喚起されてしまったのか・・・。
処置ベッドは、カーテンで仕切られている。
私は掛け布団を胸元まで被せ、唯一自由の利く左手を、病衣の下にしのばせた。
初めて見る、医師としての有さん。
身体を見られた。胸元に触れられた。手首を押さえる、大人の男の人の力。
優しい声。私に向ける温和な表情。
私の指先は、先程触れられた胸元を探っていた。
診察のためとはいえ、ここを、有さんが・・・。
若干、呼吸が苦しい。でも私の身体が、この動悸に、勝てない。
一通りその辺りを触っているうちに、人差し指の腹が、胸の先端を捉えた。
びくりと身体が反応する。
ここは救急処置室。私は要経過観察の患者。
こんな事をしたらまた苦しくなる、そんなのわかってる。でも。
利き手である左手が、理性と切り離される。

615 :
保守

616 :
保守

617 :
保守

618 :
>>614の続きは?
規制であろうか?

619 :
喘息少女の恥しい治療希望。
浣腸、導尿、読みたい!

620 :
我慢の利かない指先が、恥ずかしいトコロを捉える。
「く・・・ふ、あぁっ」
声が抑えられず、私は慌てて病衣の腕の部分を噛んだ。
私はまだ16歳。男のひととの経験も無い。
だから、そういう知識はよくわからなかった。
「ん・・・っっ」
暗中模索状態で、いちばん気持ちいい部分を探っていく。
(何だろう、コレ・・・)
ぬるぬるしたものが、指先にたくさん絡みつく。
その指で前のほうを触れると、身体と脚が勝手にぴくぴくしてしまう。
そこには、小さい豆のようなものがあった。
ぬるぬるを潤滑剤にして、指の腹で優しく擦ってみる。
(有さんにこんなことされたら、わたし、どうなっちゃうんだろう・・・)
頭がおかしくなりそう。涙が出てくる。
胸がどきどきする。呼吸が荒くなる。
私は自分の立場も忘れかけ、快感を求めていた。
「ヒュウ・・・」
自分の呼吸の音で我に返り、青ざめる。
点滴で抑えられていた発作が、『激しい運動』によって再び出てしまったのだ。
そのうちに激しい咳が止まらなくなり、看護師さんが慌てて飛んでくる。
私は震える手で乱れた病衣を直し、指先をシーツで拭った。
こんな非常事態でも、さっきのことは絶対に知られまいと必だった。
「ユキちゃん、どうしたの!?」
話ができない。代わりに、ぜーぜーと異常な音を立てて呼吸をする事しかできない。
「先生!南村ユキさん、発作です!!」

621 :
お一人にでも需要があれば嬉しいです。
受け付けない場合は『救急初療室』をNGワードにしてください。
>>618
多忙と体調不良でした。
梅雨なので皆さんも気をつけてください。
>>619
そのどちらかは予定しています。
>喘息少女の恥しい治療
私も大好物ですw

622 :
おいおい…病弱少女のスレの書き手が体調不良とか冗談にもならんよ
そちらこそご自愛頼むぜ?

623 :
619です。
ありがとうございます!
楽しみに待ってます。
同じ趣味の方がいて嬉しいです!

624 :
>>622
ありがとう。もう大丈夫です。
病弱少女フェチたる者、健康第一ですねw

「脈拍124、サチュレーション89です」
「おかしいな・・・ユキちゃん、何かした?」
私は慌てて首を振る。自業自得。今更ながら、恥ずかしい。
有さんが気づいてるんじゃないか、怖かった。
酸素を調節してもらって、点滴をもう1本入れるうちに、症状は良くなってきた。
だけど、困った事が起きた。
トイレに行きたくなってしまったのだ。
ナースコールのボタンを押すと、看護師さんが来てくれた。
「どうしたの?苦しいかな」
「いえ・・・あの、トイレ・・・」
「あ、ちょっと待っててね」
発作の時は歩く事もままならないから、看護師さんに支えてもらうか
車椅子で、処置室内のトイレに連れて行ってもらっていた。
だから、今日もそうだと思っていたのに・・・。
しばらくしてからベッドサイドに来たのは、有さんだった。
有さんは少しかがんで、私の目を見て言う。
「ユキちゃん、さっき、一旦治まりかけた発作がちょっと酷くなったよね」
トイレに行きたいだけなのに一体何だろう、と思いながらも私は頷いた。
「今の状態では、ベッド上から動かないほうがいいと思う。
トイレのほうも、症状が落ち着くまで、おしっこの管を入れるね」
黙ってるのは、わかりました、っていう事と同じなのかな・・・。
でも私には、それが意味する事も、何をされるかもわからなかった。
ベッドから離れた有さんと入れ替わりに、さっきの看護師さんが入ってくる。
そして・・・『処置』の準備が進むうちに、自分の顔がこわばるのが感じられた。

625 :
>>623
全く同じ趣味です。自分の書き込みかと思ったくらいw

たすけて。こんなの、いや。今すぐこの場から逃げ出したい。
発作を起こして医療機器に繋がれているこの状態で、そんなことできないのはわかってる。
私は今、病衣の裾をまくり上げられて、家族にさえ見られた事のない所を蛍光灯の下に晒している。
「ユキちゃんいいかな、下着、取るよ」
看護師さんの言葉に抵抗する術は無かった。
「お膝を立てて、脚を開いてね」
そんな事、できないよ・・・。
看護師さんに目で訴えても、慣れた手つきでぐっと脚を開かれてしまった。
「先生、準備できました」
この姿を有さんに見られるなんて・・・。
脚を閉じたいけど、看護師さんに押さえられてそれもかなわない。
呼吸を楽にするためにベッドを起こしてあるから、処置する所も視界に入る。
恥ずかしすぎて、とても直視できなかった。
「大丈夫。すぐに終わるよ」
有さんは手袋をはめた指で、私のアソコを開いた。ぜんぶ、見られてる。
いや、と抵抗する間も無く、
「ちょっと冷たいかな」
と、ピンセットで挟んだ綿球で、開いたその中を丹念に拭かれる。
・・・恥ずかしいなんてモノじゃない。私は目をぎゅっと閉じて、唇を噛んだ。
看護師さんが、大丈夫よ、我慢して、と手を握ってくれる。
でも、身体の反応は、逃げ出したいという感情とはまた別のものだった。
少し前に自分で触ってきもちいいと思った所を、有さんが触れている。
なんでだろ。拭いてもらってるのに、ぬるぬるがたくさん出てる。
おしりの辺りがむずむずする。
腰がぴくっと動いてしまって、有さんに「じっとしててね」と注意された。

626 :
全裸待機

627 :
う、最高!
wktkが止まらない!
嗜好にジャストミート!

628 :
ぬるぬるが収まらないので、何度も何度もそこを拭われた。
拭くたびに綿球を替えて、優しく、中をなぞるように。
「ちょっと汚れてるから、きれいになるまで拭くからね」
そんなこと言わないで・・・恥ずかしいよ・・・。
消毒が終わっただけで、呼吸が乱れてる。でもこれはきっと、病気のせいじゃない。
有さんは、細いチューブをピンセットで挟んで、もう片方の手でそこを押し広げた。
(それ、何?)
見たことのない医療器具。何をされるのか、急に怖くなってしまった。
「ちょっと痛いかもしれないけど、すぐに終わるから頑張ろうね。
尿カテ入れるよ。力を抜いて、深呼吸して」
有さんに言われるがままに深呼吸を繰り返す。
けど、怖さと恥ずかしさで、呼吸が浅く、速くなってしまう。
その瞬間、おしっこが出るあなの辺りに強烈な違和感を感じて、私は声にならない声を上げた。
「い・・・っ!!」
看護師さんに身体を強く抑えられた。
「動いたら危ないよ。ちょっと辛いけど我慢してね」
有さんがなだめるように言う。危ない?わたし、何されてるの?
「く、あぁ・・・痛い・・・痛いよぉ・・・!!」
『痛い』とは少し違うけど、咄嗟に出たのは『痛い』という言葉。
言葉で表現できない違和感と、何をされているかわからない恐怖。
そして、自分でも見た事のない部分を見られている恥ずかしさで、大粒の涙が止まらない。
「うう・・・っ」
こんなに泣いてよく発作が起きないな、と、自分でも不思議に思う。
「お疲れさま、痛いのはもう終わりだよ。よく頑張ったね」
処置の続きを進めながら、有さんは私に笑いかける。
恥ずかしい部分を見られて、処置の苦痛に泣いて・・・。
それもよりによって、その処置をしたのが、ずっと憧れてた有さん。
私は優しい言葉に答える余裕も無く、ただ頷いて涙を流した。

629 :
処置が終わっても不安な表情をしてる私の頭を撫でて、有さんは、
「もう痛い事はしないから。初めての事でびっくりしちゃったね」
と微笑む。
心が落ち着かない。ほんとうはもっと撫で撫でして欲しい。
でも、有さんに子供だと思われるのもなんだか悔しい。
「平気だよ。わたし、もう高校生だもん」
ついつい強がった態度を取ってしまった。
有さんはくすっと笑う。
「胸の音が綺麗になって、身体の状態が安定するまで、このまま経過観察するね。
何かあったら、すぐにこれで知らせて」
と、ナースコールを私の手に握らせてくれた。
酸素濃度は95。
健康な若い人が精一杯息を止めても95が限界って聞いた。
この状態に慣れてしまってる自分が悲しい。
成長すれば治るよ、って言われて、もう16歳になってしまった。
私の病気は治るのかな。
患者が私しかいなくなった明け方の救急処置室を見渡して、そんなことを考える。
「有さん、私・・・」
言いかけた言葉を飲み込んだ。
「どした?」
「ううん、何でもない」
また泣きそうになって、慌てて言葉を打ち切る。
「大丈夫だよ、ここは病院だから。しんどくなったらすぐに助けてあげる」
助けを求めて縋る私の手を握り返してくれた、大きな手。
(ひとの手って、こんなにあたたかいものなんだ・・・)
病気になったことで知りえたことも、あるのかもしれない。
わたしもいつか、そんな優しい人になれたらいいな。

おしまい。

630 :
超GJです!同志!
めちゃくちゃ良かった!!
おしまいが残念です。
前によくみてた喘息の女の子のブログで、
ベットから全然動けなかったって書いてあって
絶対導尿されてるなって妄想してた。
そんな妄想がSSになって読めて、すごく嬉しかった!
ありがとう!

631 :
GJだ

632 :
GJ良かった。
とやっと言えた。
スマソ、規制解除ですた。

633 :
優しさに溶けて保守

634 :
こんなスレ見つけて、極めてテンプレート的なSSを思いつき勢いで書いてしまった。
内容的には>>610っぽい医師(研修医)×患者モノ
勢いだけで書いた上に、研修医や医者の仕事なんてまったく知らずちょこっと調べる+妄想で
久しぶりのSSの上、スイーツ臭が漂うので無理っぽい人はNG指定お願いします

635 :
自分の家は貧しかった。とにかく底抜けに金が無かった。
金が無いと心も荒む、自分のいた家は地獄のような環境であった。
父は自分や母に暴力を振るい、母は他所の男と不倫をしていた。
だから自分が大人になったら、金持ちになりたいと幼いころから思っていた。
金さえあれば、どうとでもなる。金さえあれば幸せな家庭になっていた、と常に考えていた。
だから我武者羅に勉学に励んだ。友達とも遊ばずに、常に学校ではトップの成績を取り続けた。
根暗やガリ勉などと陰口を叩かれていたが、気にしないことにしていた。
その結果、一流大学の医学科に入学し、首席で卒業することができた。
医者にでもなれれば、金が手に入るだけでなく地位や名誉も得ることができる。
友人だろうが女だろうが、金や地位あがれば腐るほど手に入る。本当にくだらない存在である。
今現在、研修医である藤野修一は常々そう考えている。
研修医となって、随分と時が過ぎた。
周りの医師等の自分の評価は『極めて優秀である』とのことである。
当然のことだ。大学在学中も昔と変わらずに一時も休まずに勉学に励んできた。
ちゃらちゃらと遊び半分で医学科に来た奴らとは自分は違う。
幼少期に母親の内職の手伝いをやっていたことからか、手先も器用であり手術も難なくこなした。
問題は無い、このままこの病院に居座り続けられる。早期の出世も見えてきている。
そんなある日、担当医の仕事が舞い降りてきた。
研修医にそんな仕事を押し付けるなと反感を覚えたが、カルテを見て「ああ、なるほどな」と
手の施しようが無いのだ。この少女の命はあと数か月で尽きる。
おそらく、研修医の目に担当医として患者のを焼き付けさせたいとでも思っているのだろう。
なかなかにエゲツないことをする場所である。

636 :
「藤野先生、患者さんは205号室ですからね」
看護師からの確認の一言、この人の名前は菊池彩菜。
勤務歴がそれなりに長い中堅どころの看護師である。他の看護師や患者からの評判は良好。
しかし、詳しい年齢は誰もしらないようである。外見だけから判断すると20代前半に見える。
「菊池さんは、この患者とはどれぐらいの付き合いなんですか?」
「確か…5年ほどだったと思います。6年前に入院されて」
「そうなんですか、随分と長いんですね。あと…」
「私の年齢に関しては指摘しないでくださいね」
「誰も、そんなこと一言も言っていませんよ」
研修医になってからは、自分でも口数が増えたと思う。
今までの陰気な性格では、この先生きのこることができないと理解したからだ。
医師や患者だけでなく看護師や他の研修医ともよく話すようになった。
利用できるものは可能な限り利用する。それが賢い生き方なのだ。
「菊池さん」
「はい、なんでしょうか」
「この病院は、昔からにかけの患者を研修医に任せる風習があるんですか?」
失礼な発言であることは理解している。だが、患者に会う前にこの不快感を誰かにぶつけたかった。
「ん、そうですね……。北条先生ぐらいですね、こういったことを考える方は」
北条先生とは、自分の指導医のことである。ここ数年、指導医となることはなかったようである。
「北条先生のやり方は少しアブノーマルでして、他の先生方も困ってらっしゃるんですよ」
"腕は確かなんですけどね…"と、菊池さんは小さくフォローの言葉も呟いた。
「そんな先生が担当医になったってはことは…」
「今年は患者さんの数が多くて、忙しいからですね。」
「なるほど…」
「研修医さんの数も思っていたよりも多かったてこともありますね。あとは…」
「あとは…?」
「一流大学の首席君が気に入らなかったのかもしれませんね」
この女は、平気で人の癇に障ることを口に出す。なのに腹立たしく思わないのは人徳からであろうか。

637 :
そういったやり取りをしていたら、お目当ての患者の部屋に着いた。
部屋には一つだけ表札がかかっており、『皆川涼子』と書かれていた。
「皆川さーん」
と、菊池さんがノックした後に部屋に入る。自分も菊池さんに続き部屋に入る。
「あ、菊池さん!」
その少女は、菊池さんの顔を見ると微笑んだ。
しかし、その少女は見るからに衰弱しきった顔をしており、正直に言うと見るに堪えない。
「皆川さん、調子はどうですか?」
「それなりに良いです。それよりも…」
少女は自分のほうに期待を寄せた目を向ける。
「あ、紹介しますね。今日から皆川さんの担当になられる藤野先生です」
「よろしくね、皆川さん」
「よろしくお願いします、藤野先生」
軽く会釈をすると、丁寧に皆川さんは頭を下げた
菊池さんは体温を測る等、一通りの仕事を終え、自分を残して部屋を出て行った。
"仲良くなるために、二人きりで少し話してあげて"と気を遣ってくれたようだ
どちらかというと、自分よりも皆川さんに気を気を遣ったようだ。
「ねえねえ、藤野先生」
「なんだい?」
「藤野先生って研修医だよね」
胸の名札にはしっかりと研修医と書かれている。隠しようは無いが隠す気も無いものだ。
「そうだよ、僕はまだ研修医だ」
「研修医なのに、一人で担当医をやらしてもらっているの?」
「あ、ああ、そうだよ」
自分だって疑問に思っていることだ、普通は指導医がつくもんじゃないのか
「そうなんだ、藤野先生って優秀なんだね。やったぁ!」
「おいおい、普通は嫌がるところだぞ。研修医なんかに診られて不安にならないのか?」
「研修医だって立派なお医者さんでしょ。先生が弱気でどうするのよ」
確かにそうである。少し弱気になっていたことは認める。
「それにね、北条先生は治らないって言ったけど…」
北条と言う医師がアブノーマルであるということを再び理解した。
「言ったけど…?」
「藤野先生になら治してもらえそうな気がするの。気がするだけだけどね」
これが、皆川涼子と言う少女との出会いであった。
暑い夏が終わり、少し涼しくなった初秋の午後のことである。

638 :
とりあえず、以上です。終わりまで書けてるんですが
ちょこちょこ手直ししながら適度に上げていきたいと思います。

639 :
ククク…!なるほど、久しぶりだな…乙と言うのは!
マジGJ。次を楽しみにしてますぜ

640 :
     _,,...,_
  /_~,,..::: ~"'ヽ
 (,,"ヾ  ii /^',)
    :i    i"
    |(,,゚Д゚)
    |(ノ  |)
    |    |
    ヽ _ノ
     U"U

641 :
オペしましょ

642 :
適度、いや規制が入ったに違いない
>>640
この先生きのこれない?

643 :
>>641
ターヘルアナ富子、ふ、古い…。

644 :
好きなジャンプの連載が終わるまではねないと頑張る病弱少女

ただし好きな作家はかつての黒岩よしひろ

645 :
ガルディーンの最終巻を読むまでは(ry

646 :
それは確かにねないなw

647 :
保守

648 :
「とある孤独な研修医」ずっと楽しみにしてるんですが、多忙でしょうか?

649 :
保守

650 :
test

651 :
かちゃかちゃかちゃ…
「こんにちはー…あれ?知恵の輪?」
「うん…こないだのお見舞いでもらったんだけど…はぁ、ムリ。望月さんやって…」
「あ、これ見たことあるなあー、確かこうやって…」
「できるの?」
「んーと、確かねえ、やり方があったような…」
かちゃかちゃかちゃかちゃ。
「あれ」
「…あれー?」
かちゃかちゃかちゃかちゃ…
「むむむ…」
「くすくす…」
「こら。あれおっかしいなー。こうだっけ、こっちだっけ…」
「…なに遊んでいるのかしら」←休憩時間中
「ひゃうっ!!あ、先輩こういうの好きですよね!?お願いします!じゃっ!」
「え・・・」
たたたた…
「…」
かちゃかちゃかちゃかちゃ・・・。
「………ふう。いいこと弱子ちゃん。病院ではね、体を健康な状態に直すのが目的なの。
それには安静にしてなきゃだめな時もあるから、こうして知恵の輪をするのもいいことだとは思うわ。
でも退屈なのをなんとかするのは、別に知恵の輪である必要はないわよね?
だから私が持ってきたこっちのパズルをしましょう。輪っかをただ外して付けなおすより絵を作る方が絶対に楽しいわ。
ね、私も空き時間には手伝ってあげるから、そんなにぷるぷるして笑わないで頂戴。
…もう、笑わないでったら」
ほしゅ

652 :
ありがとうございます、>>651さん。ほんま助かりました
こんな過疎スレでしょ?なかなか来てくれるお医者様もいないんですわ
>>651さんの保守が無かったらどうなってた事やら…
…いゃあね、こんな過疎スレもう潰したら〜なんぞ心ない事言うもんもおりますが
弱子の奴ぁこのスレが好きって言ってきかんのですよ
けど私らぁGJGJしか言えんもんですけぇ、ほんま>>651さんみたいな人にはみんな感謝しとるんですよ

653 :
>>651-652
ナイス連携プレイ!!

654 :
>>652
CV:泉谷しげる

655 :
保守

656 :
メス

657 :
シリ

658 :
アゲ

659 :
保守

660 :
病弱少女を絶頂させるとどうなるのっと

661 :
生的に逝っちゃう…?

662 :
長期昏睡女性患者の妊娠
「うのあきら」が挿画してた小説にそんな一文が添えられてましたが
タイトルは失念 病院内部の腐敗糾弾ものだったと記憶

663 :
ほす

664 :
>>660
普通より妖艶で艶かしく……
>>662
そういやそんな小説あったなあ
俺も題名忘れたw

665 :
上げ

666 :
昨日早朝から酷い嘔吐と下痢及び高熱になり
会社休んで病院へは何とか着いたが立っているのもつらくなり車椅子に乗せて貰い看護士さんに押してもらった
医者からは胃腸炎と言われ
すぐに処置室で点滴を受けることになりベッドで寝ていると結構若めな看護士さんが登場し
腕に点滴の針を刺すために血管を探しているみたいだがチューブで腕縛られたりおしぼりみたいなのをまかれても
結構脱水がひどく腕から血管が出てこないとのことで
年配の看護士に相談後
左手の甲から点滴をすることに
点滴のやり方自体下手くそっぽかったが
手の甲にかなりの痛みが走った
その時ふと思ったのがこんな痛みなんて序の口にもならない医療行為を毎日受けている女の子がいるということ…
病弱少女元々大好きだがもっと好きになってしまった…
普通に優しく接したい
スレ汚し失礼しました

667 :
点滴へたくそなひと居るよなw
俺は点滴じゃなくて採血でよく針をぶっさされたが、何度もやられるとへたくそはすぐに分かる。

668 :
>病弱少女元々大好きだがもっと好きになってしまった…
>普通に優しく接したい
ブラウザで読める、病弱少女サウンドノベル。
ttp://escape.rash.jp/NHC/NHC_0102_PortraitOfFebruary.html

669 :
>>668
亀だがありがとう
PCでみてみるねw

670 :
ここの皆さんにはどんな病気の女の子が需要ありますか?

671 :
病弱とは少しズレてしまうが俺は脚に不自由な症状を抱えてるのがいいな
車椅子とか松葉杖とか
あと動くとすぐに息切れしてしまうのも良いね

672 :
>>670
個人的には、思うに任せない身体を押して……というシチュが好きなので、あんまし病気の種類は問わない。
日に当たって無さそうな白い肌とか、発育悪そうな肋とかも好物だが、それは無くてもいただける。

673 :
ありがとうございます。
病弱少女ものを書きたくなったので、皆さんの需要をお伺いしてみました。
いつになるかわかりませんが、構想を練ってみます。

674 :
心臓が弱いとか、精神的に脆いとかも好きだな
すぐに過呼吸起こしそうな儚げな感じもいい

675 :
お餅が噛み切れない病弱っ子

676 :
「ほれ、餅が焼けたぞ」
携帯式コンロの上で、餅がぷっくりと美味そうに膨らんでいる。
本来的には持ち込み不可な代物だが、そこは察してほしい。
これには、海よりも深い事情があるのだ。
「たまには病院食じゃなくて、お餅が食べたいなあ」
ぼそりと何気なく呟かれた一言。
素知らぬ顔で、あざとさ200%の計算され尽くした台詞だった。
たとえそれが彼女の計画通りだったとしてもだ。
好きな女にそんなことを言われて行動しない男がいるだろうか。
少なくとも俺は我慢できなかった。
「熱いから気をつけろよ?」
ふーふーと、熱気を放つ餅を冷ましながら。
それを彼女の方へと差し出す。
「あーん」
小さな口がぱくりとお餅をほうばる。
箸を引っ張ると硬い外皮が割れ、にゅーっとお餅が伸びる。
ぷつんと半ばで千切れた餅が垂れ落ちそうになり。
慌てて箸を持ち上げ口の中に放り込んだ。
お互いの顔を見つめ合うようにして、むぐむぐと口を動かす。
俺はすぐに餅を飲み込んだが、彼女はまだ苦戦しているようだった。
「あご、つかれた」
短く一言だけ彼女が呟く。
口を動かすのもやめ、まっすぐに俺の顔を見つめる。
甘えるような何かを求めるような、そんな表情で。
「バカだろ、お前」
声が上擦りそうになるのを抑え、何とか言葉を返す。
俺が顔をゆっくりと近寄せると彼女は瞳を閉じ。
唇と唇が触れ合うと俺も目を閉じた。
上唇にちろりと舌を這わすと、軽く口が開き。
生暖かい物体がこちらの口の中に送り込まれてくる。
それを咀嚼して彼女へと送り返す。
顔を離すと、彼女は餅の感触を舌で楽しんでいるようだった。
頬が膨れたり、へこんだりと微妙な動きを見せる。
やがて、彼女の喉を塊が滑り落ちていった。
「美味かったか?」
ごくんと彼女の喉が餅を嚥下するのを見届けて声を掛ける。
「うん」
彼女は満足そうに、こくこくと首を縦に振る。
そうして、悪戯を思いついた子供みたいに、にんまりと笑って。
「おかわりは?」
そんな台詞を口にしたのだった。

677 :
GJ!
入院したことないからよく分からないが
食事制限されてる人以外は正月に餅は出るのかな?

678 :
一度自分でもぐもぐしてから、ってのがポイント高いですな。
まったくよく分かってらっしゃる。

679 :
>>677
基本病院ってとこは餅食えるほどの病状の人間は正月には一時帰宅させる
お年寄りの方は逆に自分の身体が不安なんで家に帰りたくないらしい
ある重い病のお婆さんが家は遠いし身内に迷惑とか掛けたくないから家に帰りたくないと看護婦に言ったんだが、
それを看護婦のアホが半端に娘さんに伝えたせいで「私のいる家には帰りたくないってどういう事!?毎日忙しいのに尽くしてきたのに…」に駆け付けて泣き始めた
まあ疲れも溜まってたんだろう
当然そんな事欠片も言ってないお婆さんも泣いてる娘さんにそんな風に言われて泣き出す始末
病院もまあ年末忙しいのも分かるし、ベッド開けたいのは分かるが家族に連絡するんならちゃんと伝えてやれよ…と思ったな
同室の妹の見舞いにクリスマスだと浮かれてケーキ持ってたらまさかの場面で気まずくて病室にいられなかったよ

680 :
みんなが病弱少女萌えに目覚めたきっかけが気になる。

681 :
>>264
震える指で緊急呼出用のボタンを押さえる。
これで五分もせずに、あの人がここにやってくる。
その事実が、私の心から不安を取り除いていく。
廊下の向こうから響く足音、そうして勢いよく扉が開かれた。
「ウサギちゃん、大丈夫かい!?」
息を切らせながらの苦しそうな声。
その姿に思わず頬が緩んでしまいそうになる。
「はい、大丈夫です。」
心を落ち着けて、平静を装って頷いてみせる。
私が微笑むと先生は、「よかった」と荒くした息を隠さずに呟いた。
誰にでも献身的な、先生のそういう所が私は好きだ。
「それじゃ、脈を測るから手を出して。」
その言葉に少しドキリとした。脈を測られたら嘘がばれる。
だけど、それを止める方法が私にはなかった。
渋々と差し出した私の手首を、先生の指が押さえる。
「ウサギちゃん。」
俯いた先生の口から漏れる抑揚のない声。
いつも、私を呼びかける暖かな声とは明らかに違う。
落胆や失望、そんな含みを持っている様に感じられた。
「どうして、嘘をついたんだい?」
怒りを押ししたような冷たい声。私は何も答えられない。
伏せられたままの先生の表情は私からは見えなかった。
「せ、先生に会いたかったんです。」
叱られた子供のように声が震えてしまっていた。
・・・バンッ!!!
病室の壁に先生の掌が叩きつけられて激しい音を立てる。
「君もわかってるだろう?」
先生が私に問いかける。
いつも優しい先生の表情は険しかった。
「この病院がどれだけ忙しいのか知ってる筈だろう?」
微塵も怒りを隠そうとはせず、先生は語り続ける。
私は何も答えられない。
「君のお遊びに付き合っている暇はないんだよ。」
沈黙を破るように先生は言い放つ。
そうして、私も見ようともせず荒々しく立ち上がった。
勢いのまま、早足に病室を出て行こうとする。
「先生っ、行かないで!」
身が引き裂かれるような思いで、私は叫んでいた。
胸を締めつけられるような苦しさ。苦しくて息もできない。
先生を追おうとした体は無様にも寝台から崩れ落ちる。
「せんせ・・・い・・・。」
言葉は擦れ音にならない。先生の出て行った扉は涙でぼやける。
ゆっくりと、私の意識は黒に染まっていった。

682 :
続きはきっと一年後
きっかけなんてない病弱少女萌え

683 :
……実はちょっと期待してたんだ……。
くそーっ、いつになったらウサギちゃんの気持ちは実るんだよおおお!
>>680
藤崎竜版封神演義の竜吉公主。虚弱体質。少女じゃなくておねーさんだけど。
病弱+少女ならパワポケ1の進藤明日香。心臓病。試合で負けるとんでしまう幼馴染……。

684 :
>>681
最高!!
>>680
生まれて初めての入院で同室だった、喘息のお姉さんだと思う。
発作時は咳き込んで咳き込んで本当に苦しそうだったと母に聞いた。
小さい頃すぎてその光景は覚えていないけど、記憶のどこかに残っているんでしょうね。

685 :
>>679
それ…マジでどん引きのエピソードだな

686 :
>>670
ところで今更なんだが
リアルでも特に特定の疾患ではないが虚弱とか身体が比較的貧弱とかで
時折ふらついたりして救急車で運ばれる人が居るからそういう感じの儚げな美少女が良い

687 :
学生時代に朝礼でたまに倒れてたような子?

688 :
>>687あれはすごくいい。なんつーか、庇護欲をそそる感じが。

689 :
>>687
そんな感じ
確かに庇護欲そそるよね

690 :
投下に期待

691 :
wktk

692 :
保守

693 :
いいよね病弱
個人的に車椅子は外せないがあまりにも脚がプラプラな感じはちょっとな…
現実的ではないが頑張れば松葉杖な軽度に脚に障害がいい

694 :
SS書こうかなとか思いましたが、やっぱりえちぃ要素はなきゃダメですかね?

695 :
>>694
個人的にはあった方がいいとは思うけど
そんなこと言ってたら投下されないじゃないか!
後日談で、えちぃ要素を補足するとか
とにかく期待してます

696 :
このスレの住人だと、女の子が喘息の発作起こしただけでおっきする奴いそうだからな〜。
あとは、病弱少女とはちょっと違うけど、渡辺淳一の「白き狩人」とか例に挙げさせてくれ。
この小説は主人公の女医さんが、悪性腫瘍にかこつけてバレリーナだった患者の脚を切断してしまう話なんだが、
脚を切断した後のリハビリに付き合う場面では、主人公がサディスティックでなかなか興奮した。
慣れないリハビリに患者がぜぇはぁ汗だくになってるのを、殊更厳しく叱責しててなぁ……脚切断した張本人がやるのがまた良かった。
……うまく伝わったかどうかは分からないが、たいがいのことは書き方次第でエロくできる!
エロ入れなきゃな〜でも話的に無理あるかな〜なんて感じで筆が止まったら、思い出して欲しい。

697 :
おkです
頑張ります
激励、ありがとうございました

698 :
>>696
良いなそういうの
病弱だったり、身体に欠損があったりするとドS心をくすぐられる

699 :
俺はどこまでも優しく甘やかしてやりたいがやはり最終的にはいじめてしまうんだろうな…

700 :
>>696
基本的に男と女の組み合わせが好きだから、
ジョイじゃなくて男の医者だったら最高のシチュエーションだなw
喘息の女の子も大好物。
友達や知人だと心配で全く興奮しないけど。

701 :
個人的にはペルソナ3の順平とチドリみたいなのが好き。

702 :
このスレを、なせる訳にはいかないっ!

703 :
復帰

704 :
復帰

705 :
どうも、697です
ようやく一話を書き終えたので投下します

706 :

我ながら、アホだと思う。
僕はその日、近所に住んでいる仲のいい小学生たちに公園でサッカーしないかと誘われた。
高校生にもなって小学生と遊ぶのは、初めのうちは少し抵抗があったけど、遊んでるうちにだんだんそれもなくなって、素直に楽しめるようになっていた。完全に童心に帰っていた。
そんな時、小学生の一人が蹴ったボールが、僕の頭上を超えて道路に飛んで行った。
ボールは道路の真ん中から少し端によったあたりまで転がり、そのまま動かなくなった。
そのボールに向かって、軽トラックが走り込んでいるのを見たとき、僕は思った。
『ボールが破裂する!!」
トラックのタイヤはしっかりとボールを捉えていて、このままだと破裂するのは目に見えていた。
小学生達はボールの予備をまだ持っていたけど、久しぶりの運動で興奮していた僕はなにを思ったのかそのまま道路へ突っ込み……軽トラックに吹っ飛ばされた。
そしてその時、その光景を見た小学生たちはこう語った。
『サイバ×マンの自爆を食らったヤ×チャみたいだった』
そして、おバカな僕は病院に入院することになった。
十六の夏だった……。

707 :

僕は驚愕した。
「今時の小学生も、ドラ×ンボール知ってるんだなぁ」
「いや、いきなりなに言ってんのよあんたは」
僕はトラックに跳ね飛ばされたあと、小学生たちが呼んだ救急車によってこの白城市立病院に運ばれ今に至るというわけだ。
そして、小学生たちは見舞いに来てくれたのだけれど、僕が跳ねられた時のことを身振り手振りで話して、ついでにお見舞いの品であるメロンやリンゴをすべて食い尽くすという残酷なことをしてから帰って行った。
……僕の夕張メロン……あとで食べようって残しておいたのに……。
そしてその際に、僕がヤムチャみたいなに様だったよってことを話していた。
世代が違うと思ったんだけどなぁ……。
「ま、ドラゴ×ボールはやっぱり名作ってことだよね。ちょっと驚いたよ」
「そんなことどうでもいいわよ。……それにしても、ほんとに驚いたわ……」
ため息を一つ吐き、幼なじみの斎藤梨子が言った。
「やっぱり?でもさ、北×の拳は知らないって言うんだよ?中途半端だよね」
「そこじゃないわよ!そんなつまんないネタ、いつまでも続けないでよ!わたしが驚いたのは、なんでダンプカーに轢かれたのにあんたはそんな元気なのかってことよ!」
ああ、それか……って、
「ダンプカー?軽トラックじゃなかったっけ?」
「どっちにしろおかしいわよ!十メートルくらい吹っ飛んだって聞いたわよ!なのになんで全治一ヶ月程度の怪我だけなのよ!!あんたどんだけ頑丈なのよ!?」
「どんだけ〜」
「だまれ!!」
なんか、怒鳴っているうちに感情が高ぶってきたのか、声がどんどん大きくなってる気がするなあ……。

708 :
「でも、僕の記憶だとやっぱり冒頭の通り軽トラックだよ。ダンプカーだったら今頃僕は天国に逝ってるよ」
「冒頭ってなによ!?それ以前にあんたはいつも自分の記憶を改ざんしすぎなのよ!ていうか、どの口が天国に逝けるなんてほざいているのかしら!?調子乗るんじゃないわよ!あんたなんて地獄で充分よバーカ!!」
なんでこんなに怒ってるんだろう?
相変わらず不思議な生態をしている。
「まあなんにせよ、僕が轢かれたとき北×の拳のザコキャラばりのに方をしたのは紛れもない事実なんだよね。自分で自分の頑丈さに呆れるよ」
ひでぶ!とか言いたくなるなぁ、と僕が自嘲のため息を漏らすと、リコも呆れたような疲れたようなため息を吐いた。
「また改ざんしてるわよ……はぁ……。あんたと話していると本当に疲れるわ……」
疲れているようだ。僕のせい?
「ま、それもご愛嬌ということで」
「……もういいわ」
リコはそう言うと、立ち上がって扉の方へ歩いていった。
「もう帰るの?」
「うん、結構無事そうだからそんなに長居する必要もないかなって」
「そう、じゃあまた明日」
「また明日って……来るコト前提?」
「え?来ないの?」
「いや、行くけど……」
「じゃあまた明日」
「…………また明日」
僕とリコは、小学校に入学する前からの付き合いで、家も近く家族ぐるみの付き合いでもある。
だから、お互いのコトは少なからず理解しているつもりだ。
最近は通っている高校が違うからか疎遠になってたけど、関係性は変わらず僕がボケてリコがつっこむ(ていうか叫ぶ?)といった形のままだった。
リコが釈然としないような顔で病室から出て行く。
リコの、病院だから丁寧に歩いているつもりなんだろうけどどこか雑な足音が遠ざかっていく……。
……よし。
入院してるといっても、リコが言っていたとおりたいした怪我じゃない。
一応検査の為に入院してるけど、僕の身体は頑丈だから多分異常はないだろう。
だから、むしろ元気いっぱいだ。

709 :
そして、退屈で寝ることしかやることがない病室では溜まった元気は発散できない。
となると、やることはひとつ。
「病院探索だ!」
ベッドから降り、スリッパでペタペタしながら病室を出る。
なんか、怪我をしているという実感がない。
試しに走ってみる。
「風にーなりーたいー!!」
…………。
数分後、当然の如く看護婦の方にこってりと絞られた。
やっぱり、人に迷惑をかけちゃダメだね。
でも、今の病院内を走り回っていて少しわかったことがある。
この病院のスタッフは美人が多い!
これは重要な問題だ。
なぜこんなに美人が多いのか……。
十分ほど考えてみたけど、院長がスケベ、という理由以外思いつかなかった。
結論、この病院の院長はスケベだ。
そういえば、友達の大沼くんの話によると病院の屋上は美少女とのエンカウント率が高いらしい。
どうせアニメや小説の情報だろうけど、暇だから行ってみようかな。
「というわけで、屋上に着きました」
早速あたりを捜索してみる。
「美少女はいねがー!イネがー!稲がー?イネガーイネガーイネガー!」
変な呪文を唱えながら屋上を徘徊する。
はたから見れば不審者もしくは精神障害者確定だろう。否定は出来ない。
一通り探してみたけど、美少女どころか猫一匹いなかった。あるのはベッドのシーツとかの洗濯物のみだ。
もしこのシーツが美少女が使っていたもので、洗ってないやつだったらどうしようなどと思春期の少年にありがち(?)な妄想をしてみる。
おそらく僕は当然の如く匂いを嗅ぎ、身体に巻きつけるだろう。変態だ。
ま、思春期だから仕方ない。仕方ないか?
「にしても暇だな〜」
屋上で身体に生乾きのシーツを巻きつけていると、不意にセカチューという言葉が脳裏をよぎった。
セカチュー。「世×の中心で愛を叫ぶ」もしくは「セカンドちゅー」、「世界一チュロス」。
一番後ろはなんか違う。
残り二つ……たぶん、「セカンドちゅー」は違うな。そっちより、「ファーストちゅー」の方がいいに決まってる。
慣れてなさがいいね。なんの話だ。

710 :
となると、「世界の×心で愛を叫ぶ」か。
叫ぶを絶叫に変えたらどうだろう。
おそらく、「好きだぃゃあああああああああああああ!!!」って感じだろう。
そういえば、友達の城崎くんが昔こう言っていた。
山頂でやっほーと叫んだりとか、海辺で海だーと叫ぶのは爽快らしい。
ちょっと気になったので、僕も何事か叫んでみることにした。
じゃあ、なんて叫ぶ?
愛を叫ぶ?いや、パクリはダメだろう。
それより、僕は高校生だ。
高校生といえば?
……そう、青春だ。
なんか無理矢理な気がしないでもないが、きっと気のせいだ。
それに、サブタイにもあるし。
むしろそっちが本音?まあいいや。
僕は屋上の手すりに手を置くと、思いっきり息を吸い込んだ。
そして叫ぶ。
「せい!しゅん!だぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁ……ぁぁぁ……ぁ……ぁぁ…………」
最後の方はちょっと酸欠状態だった。情けない。
……叫んだだけなのに結構疲れてきた。息も乱れている。
関係ないけど、呼吸が乱れている女の子ってなんかエロいよね。本当に関係ねぇ。
やることがなくなったな。
そういうわけで、次はなにをしようか。まだまだ時間は沢山ある。看護婦さんでも視姦しようかな。
とりあえず、屋上から退散しよう。
大声を出したから、スタッフの方々が来るかもしれない。来ないかもしれない。
高校生にもなって正座でお説教はもう勘弁だ。

711 :

僕は手すりに背を向け(明日へ向かって)走り出した。人間、元気が一番。
病院内へのドアを開け、階段を駆け降りる。
……と、屋上への扉のすぐ下にある階段の踊り場を曲がろうとしたときだった。
「あっ!」
ちょうど下から上がってきた小柄な人影にぶつかってしまった。
人影がグラリと揺れ、後ろに倒れる。
下から上がってきたわけだから、当然後ろは階段、しかも下りだ。
頭から落ちたら怪我じゃ済まないだろう。
そう思った瞬間、身体が動いていた。
僕の身体は、人影の手を掴んで引き寄せていた。
しかし、ぶつかったときの勢いが強すぎたのか、不完全な態勢では完全に引き寄せられなかった。
このままではどちらも落ちてしまう。
ならいっそーーー落ちてしまおう。
ただし、痛い目をみるのは僕一人で充分だ。
あ、なんか今の台詞かっこ良くない?
身から出た錆。自業自得。一石二鳥。最後はなんか違う。
僕はこんな状況でも馬鹿なことを考えている呑気な自分の頭に感心した。さすが僕。
でも、ま、ダンプカーよりは安全だから当然か……ってあれ?軽トラだったっけ?ま、いいか。
そして僕は、誰かを抱きしめながら仰向けに階段を落ちていった。

712 :
投下終了です

713 :
乙続期待

714 :
このスレの住人達の無事を祈ってるよ

715 :
>>714
ありがとう
@茨城
現実逃避してたらここにたどり着いたw

716 :
>>715
無事?大変だろうけど頑張ろうな

717 :
>>716
ありがとう
うちの地域はまだ断水中で銭湯とコインランドリーに人が列んでる感じだけど一週間前給水車に6時間列んでたのに比べるとかなりマシになった
チラ裏スマソ

718 :
>>717
なんのなんの
いやマジでご無事で何よりだよ
今はどこも苦しいんだから弱音愚痴当たり前じゃん
病弱少女のスレだけに、本当に健康と安全の有り難さと尊さを感じさせられた

719 :
病弱だけど活発お転婆少女

720 :
>>719
1スレにあったなあ、今でも好きだぜ

721 :
被災した怪我人ばかりじゃなくて私も構ってよぉ!とか駄々をこねてしまい一人自己嫌悪する病弱っ娘

722 :
このスレ無くなるの嫌なんで上げ

723 :
生きて

724 :
ほんの数レス上が震災当日っていう

725 :
>>724
震災当日の書き込みなんぞどこにも無いんだが

726 :
季節の変わり目は体温調節が難しいから気をつけてね上げ

727 :
保守

728 :
なないで!

729 :
まだ生きてる

730 :
なないで……

731 :
し、ぬわけないじゃん

732 :
まだ……終わらない

733 :
上げ

734 :
生きてるよ!

735 :
はい

736 :
月日が経つのは早いな

737 :
んだな

738 :
ぬくもりが欲しい

739 :
ヌクモリティ

740 :
aiai

741 :
>>681
「ウサギちゃん、気がついた?」
心配そうな顔で先生が私の顔を覗き込んでいた。
いつの間にか、私はベッドに寝かされている。
「先生、どうして?」
私は、ぼんやりと尋ねる。
あれだけ怒っていた先生が戻ってくる理由なんかないのに。
「病人を、ほっておけるわけないだろ?」
私から視線を逸らすようにして先生は答える。
やっぱり、まだ怒ってるみたいだ。
「ごめんなさい。」
自分が情けなくて涙がこぼれそうになる。
あんなことをして先生を呼び出すだなんて本当に最低だ。
「いや、僕が悪かった。 患者のケアもできないようじゃ医師失格だな。」
私の頭を優しく撫でながら、先生は自分の失敗を反省するように小さく呟く。
「先生は、悪くない。 悪いのは全部私だから。」
それが事実なのに、先生はどんな失敗も自分の失態として受け止めようとする。
そんな優しすぎる先生が今の私には辛すぎる。
「少しだけ、一緒にいて貰えませんか?」
ベッドシーツの中から手を差し出して。
心の中の踏ん切りをつけるために先生にお願いをする。
「ああ、いいよ。」
先生は笑って私の手を握りしめる。
分かってた、先生ならそう答るしかないだろうということは。
私は自分の立場を利用する、ズルイ女だ。
「・・・・・・。」
握られた手から、先生の温もりが伝わってくる。
気持ちは落ち着いてきたのに、体はなかなか落ち着かない。
ドクドクと早鐘を打つ心臓の鼓動が、頭の中に響くみたいに感じられる。
「先生、抱いてくれたら二度とあんなことしない。」
「そう約束したら抱いてくれますか?」
先生に見えないように俯けた顔が、一瞬で熱くなるのがわかる。
「ウサギちゃん?」
私の手を握っていた先生の手から力が抜ける。
でも、私は先生の手をしっかりと握りしめて逃がさない。
「・・・約束できる?」
どれだけ思い悩んだのか、先生がようやく重い口を開いた。
「はい。」
私は待ち侘びた先生の言葉に即答していた。
元々、約束なんかしなくても、二度とあんなことをする気はなかった。
約束は口実で、意味はこれっぽっちもない。
ごくりと、先生が唾を飲み込む音が聞こえた。
私の体にそれぐらいの価値はあるということだろうか。
「先生、抱いて。」
先生を捕まえていた手を離して先生の首に抱きついていく。
最後の一押し、これ以上の勇気は私には出せそうもない。
心臓が爆発しそうなぐらい、バクバクと脈打っている。

742 :
あけおめー、続きはまた・・・

743 :
うーむ

744 :
保守&復旧

745 :
やっぱり一回落ちてたのか

746 :
最近よく鯖落ちたりするな

747 :


748 :
しゅ

749 :
どっかで見たけど心電図が付いた昏睡状態の女の子を犯す小説があったな
反応はしないけど心電図の波形でわかるみたいな

750 :
>>749
小説とかアニメだと美化されてるけど
実際、昏睡してる子供って・・もう・・
あれだぞ・・


751 :
3次に興味はありません
過呼吸で倒れる女の子を介抱したげたい

752 :
>>750
749のサイト見つかったわ 「鬼畜病棟の灯り」でぐぐればあるはず
実際て・・・想像と現実はそりゃ違うでしょ、一緒にしたらいかんよ

753 :
保守&復旧

754 :
HO

755 :
保守

756 :


757 :
初めて、
少し勝手だが、前スレのSS「この春に、桜と君と」の話です。
私のイラスト練習の一部として、「この春に、桜と君と」をイラスト化を予定、
(投稿を予定あり、もちろん原作者の名を連ねる)、
事故なしなら来週からスタートと思う。
(少し勝手だが、春香ちゃんのキャラデザインを既に決めるが)
ご報告を頂きました、
原作者(◆wQx7ecVrHs)君がいるなら、お返事頂けたら嬉しいです^^

758 :
やるのは良いと思うのだが、他人の創作に乗っかる割には、妙に横柄な口調だなw

759 :
あの作者さんはもうこのスレ見てないんじゃないかなあ

760 :
どの作者さんならこのスレを見てるって言うんだ
エロシーンなんて書けねえよ、ばーや
誰か栄養補給お願いします

761 :2013/01/01
あけました、おめでたー
TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

水晶の欠片亭 ソードワールド36号店 (730)
水晶の欠片亭 ソードワールド36号店 (730)
おむつ的妄想7枚目 (363)
ベルサイユのばらでエロパロ7 (706)
【【るろうに剣心でエロパロ】】 (717)
人類は衰退しました (919)
FF零式エロパロスレ (386)
忍者・くノ一でエロパロ (594)


















さらに見る