2011年12月1期詩・ポエム41: きのうみたゆめのはなし 第二夜 (8)
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きのうみたゆめのはなし 第二夜
- 1 :11/11/20 〜 最終レス :11/11/27
- さかのあるまちのゆめ
みたことも
いったこともない
めいろのように
ふくざつな
さかのあるまち
そこでぼくはたどりつく
ぼくのしらない
ぼくのいえ。
ぼくはそのまちをあいしているのだ。
その、しらない
さかのあるまちを。
- 2 :
- 「追想」
窓の外はすでに暗くなっている
透明で硬質な孤独感を肺に吸い込んだ
高層ビルの最上階からみる新宿の街は
どこまでも広がり
その光の筋は
思ったより寂しい
自分の中にある自分より大きな存在
そんな訳の分からないものに
突き動かされてきた半年だった
君には会えないだろう
もう二度と
悲観はいつだって時空を曲げる
フロアが無限に増殖し始め
石灰色の天井と机が混ざり合う
混沌
俺の中にあるもの
その接点は自我と自我の境界だ
かつての俺が俺の中から現れる
そうやって俺は
俺を失っていく
理由など無い
理由など無いんだ
それでも俺は
就職活動をせねばならず
新宿の夜空の上に広がる校庭で訓練を受ける
その昔、アルバイトとして働いていたコールセンターが
校舎の中にあるのが見えた
「明滅しているのは
星じゃなくて
過去から漏れ出した光なんだよ」
そんなことを言う
君の横顔は
あまりに淡く―
そっと抱きしめる
あの混沌とした夜空の
最も明るい場所から差し込む
柔らかい光で
消えてしまわぬように
- 3 :
- きのう みた夢
あした みる夢
夢を 生きている うつうが夢 夢がうつつ
大海のただなかに 砕けそうにただよう 一艘の小船
漆黒の雨雲 重たい灰色 大波の飛沫の刃が わたしをどこまでも切り刻む
いいこと ありますように
せめて ひとしずくの 恵みの夢を
雲の切れ間の 光のきらめきを 信じて
祈るわたしの 今宵みる夢 これが これこそ わたしのうつつ
人生は夢まぼろし 一瞬の夢ならばこそ
祈りをこめて 夢のひとしずくに 幸いを託さん
- 4 :
- 透明ちゃん?
- 5 :
- 「梅酒」
築150年の巨大な円柱
灰色のプレートで継はぎされたその威容は
バベルの塔と形容される
「お前も変わってるな
上の階ほど人気が無いんだぞ?」
125階建ての
121階の一室を
投資用マンションとして購入し
全財産を使い果たした俺を
同僚の斉藤が揶揄する
が、そんなことはどうでもいい
かつてその部屋で起こった出来事を
俺はまだ理解しきれていないのだ
1991年初頭
甲冑を纏った鬼が暴れ周り
5人が害された
鬼は
まだ幼い俺に刀を向け不可解なことを口走った
「神の掌から零れ落ちる光が
あまりにも眩しくて耐えられない
ここは俺が生まれた場所で
プレートの隙間から鳴る低い風の音も
眼下に広がる灰色の街並みも
この魂に刻まれている
見えるだろう
俺の目が
そう、俺はお前だ」
部屋の端にある梅酒の瓶の中で
梅が踊っていた
俺(あるいは鬼)は瓶の蓋を開けて中身を撒き散らし
刀の先で梅をつつく
甘ったるい香りが鼻腔を擽って
世界が琥珀色に染まった
そして腹を貫く刃物の感触が
鈍く
何度か繰り返された
あの日の鬼(あるいは俺)の呼吸が
今も聞こえる
俺の中で
あの琥珀色の世界で
あいつ(あるいは俺)は生きている
床に散らばる梅を
目の端に捕らえながら
- 6 :
- 「あなたに」
目を覚ますと
染みのある古い天井が見えた
閑散とした薄暗い部屋
俺の寝ている布団のほかには
あなたの使っていた化粧台があるだけだ
この部屋は
俺一人で使うには広すぎる
色の剥げた襖の中で
松の木がカタカタ鳴り
冬の到来を告げている
あなたのいない布団は
とても寒い
のそのそと起きだし
窓を開ける
深い霧の中、一匹の猫がゆらゆらと
道の奥へ消えていく
町には人の気配がなく
未だ早朝の5時を回っていないことを
思い起こさせる
斜向かいで
木製の電柱が燃えている
時々ああやって燃えるのだ
ごうごうと
誰も居ない町で
人肌を求める情婦のように
そのゆらめく暖色は
柔らかくて
柔らかくて
- 7 :
- 「砂浜」
砂浜で睦びあう二人の
静謐な余韻が銀河となり
夜空で輝いている
君のふとももについた砂を払うと
背中の羽根が夜風でゆらゆらと
揺らめいて―
(音は未だに死んでいる)
波打ち際に
かつて「孤独」と呼ばれたものたちの残骸が
打ち寄せる波に絡め取られて
翻弄され
虚空に響く
砂の鼓動は
あの藍色の
やわらかい
栓をぬいて
流れ出すのはいつも
流れてはいけないもの
- 8 :11/11/27
-
――2011年、夏
俺は断食をした
断食8日目
俺は
偶然の女神の導きによって鎌倉へ向かった
空腹と激しい喉の渇きに抗い
辿り着いた賽の河原で見た光景が忘れられない
夕日が世界を琥珀色に染め
あらゆるものが幸福を謳歌していた
孤独の残骸が
波打ち際で転がっていたのを覚えている
砂浜はただただ白く
人々の足跡を
包容するのみで
生命が存在してはいけない領域に立ち
深い深い記憶の深淵から
湧き上がってくる命の叫びを聞いた時
俺が欲したのは
神の力ではなく―
君だった
誰も知らない
二人だけの物語
それは真実の物語
これからも紡いでいこう
白い砂浜の上を
裸足のまま
どこまでも
どこまでも
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