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2012年09月ゲームサロン103: ストーリーを教えてもらうスレ part63 (373) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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ストーリーを教えてもらうスレ part63


1 :2012/09/08 〜 最終レス :2012/10/29
【注意事項】
スレの容量が500KBを超えると書き込めなくなります。
480KBを超えたら次スレが立つまで書き込みを控えてください。
自分でやるのが面倒、手に入らない、時間がない、お金がない、などの理由で
ストーリーを知りたいゲームのストーリーを教えてもらうスレです。
発売して半年以内の新作について語る際は名前欄に
タイトルと新作ネタバレ用の共有トリップの #新作ネタ をつけて下さい。
新作のネタバレを読みたくない人は ◆l1l6Ur354A をNGワード指定推奨。
またリクの際は、正確なタイトルとハード名を付記して下さい。
まずはまとめWiki↓で既に書かれていないか、既にリクエストされていないか調べてからリクしましょう。
ストーリーを教えてもらうスレ暫定Wiki
http://www8.atwiki.jp/storyteller/
携帯電話の場合でもこちらのURLから行けば表示は崩れますが見れます
http://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/2.html
・すでにwikiに載っているストーリーでも、より詳しく知りたい場合はリクエストを受け付けています。
・スレに書き込まれたストーリーのまとめWikiへの収録作業や
まとめWiki中の未解決リストの更新作業は、スレ内の有志によって行われています。
手の空いた方がいらっしゃったらご協力をお願いします。
編集方法の説明はこちら。:http://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/18.html
・作業を行ってくれた方は、「>>○○まで収録作業したよ」
「>>○○までのリクを未解決リストに反映したよ」などと
スレに書き込んでくれると、次に作業をする者にとって
どこから作業すればいいのかわかりやすくなるため助かります。
前スレ
ストーリーを教えてもらうスレ part62
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1342188620/

2 :
ストーリーを読む・リクエストする方へのお願い。
・リクエストの際は、正確なタイトルとハード名を付記して下さい。
・まとめWikiで既に書かれていないか、既にリクエストされていないか調べてからリクしましょう。
・リク主は依頼したストーリーが書かれたら、書き手に感謝の意を伝えましょう。
・過度のクレクレはスルーや批判の対象になります。気をつけましょう。
・手の空いた方はwiki編集などでスレに貢献しましょう。
ストーリーを書いてくれる方へのお願い。
・外部サイトからの無断転載は禁止です。もし外部サイトの管理人の方から許可を得て転載する場合でも、
 許可を得たという事を証明し、さらにそのサイトからの転載であると言うことを明記してください。
・要望に出ているゲームのストーリーはどんどん書いて下さい。 
 要望に出ていないゲームでも書きたいと思ったら遠慮せずに書いて頂けると読み手が喜びます。
・すでにwikiに載っているストーリーの補足も書いて頂いて結構です。
・この板は一般板なので18禁のゲームのストーリーの要望、紹介はご遠慮下さい。
・名前欄に作品名を入れてもらえると、まとめやすくありがたいです。
・時間を置いて数回に分けて投稿する際には、最後に「続く」と御書き下さい。
 そうする事でストーリーの投稿の混交を防げます。
・発売して半年以内の新作について語る際は名前欄に
 タイトルと新作ネタバレ用の共有トリップの #新作ネタ をつけて下さい。
・これを書こう、と思われた際は「○○○○を書きたい」と意志表明し、予約していただけると、
 投稿の重複が防げて大変ありがたいです。
 また、書くのはよそう、と思われた時には面倒でも予約の取り消しを御願いします。
・勝手ながら、予約から1ヶ月以上経ったものは予約無効とさせて頂きます。
 同じく、最終投稿から3ヶ月経ったものも権利失効とさせて頂きます。
 都合により取り消しが出来ない場合の長期間にわたる放置を防ぐ為です。

3 :
関連スレ
(漫画サロン板)
ストーリーを教えてもらうスレ まとめ Wiki*
http://wikiwiki.jp/comic-story/
(ライトノベル板)
ライトノベル@2ch掲示板 ストーリーを教えてもらうスレ まとめWiki
http://www44.atwiki.jp/lightnovelstory
(女向ゲーム一般板)
ストーリーを教えてもらうスレin女向ゲ一般板
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/ggirl/1253686667/l50
(エロゲネタ板)18才以上の方のみ!
エロゲのストーリーを教えてもらうスレまとめwiki Ver.2.0
http://wiki.livedoor.jp/esosmw658/
(女向けゲーム大人板) 18才以上の方のみ!
BL@【やるのが】ストーリーを教えてもらうスレ 3【面倒】
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/gboy/1285119403/l50
乙女@【一つ】ストーリーを教えてもらうスレ【よろしく】
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/gboy/1157949089/l50
[以下本スレdat落ち]
(ギャルゲー板)
ギャルゲーのストーリーを教えてもらうスレ まとめWiki
http://ponkotsu.r.ribbon.to/
(アニメサロン板)
ストーリーを教えてもらうスレ まとめ
http://cabin.jp/koizumi/story/

4 :
ストーリーを教えてもらうスレ暫定Wiki - 未解決一覧
http://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/14.html
(これまで、ここには未解決リストの内容すべてを転載することになっていましたが、
未解決リストの容量が大きくなってきたためかなりの連続投稿を要してしまいます。
2chの書き込みシステムに「忍法帖」が導入された関係もあり、連続投稿が難しいため
代わりに、上記のようにWikiの未解決リストページへのリンクを貼ることで
代用させていただきます。)

前スレの容量が一杯になって書き込めなくなるまでは、なるべく前スレを優先して使用してください。
前スレ
  ストーリーを教えてもらうスレ part62
  http://toro.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1342188620/

5 :
毒殺だったとしたら、毒はどうやってあの室内に持ち込まれたのかを日向は議題に上げた。
気化すると危険なので、狛枝は必ず密閉容器に入れて倉庫に毒を持ち込んだはず。
だが、該当するような容器は倉庫内になかったのだ。
「そんなもん、ペットボトルに入れときゃいいんじゃねーのか?
 そしたら、俺たちの投げた消火剤のボトルに混じってわかんなくなっちまうだろ。」
終里の言葉に、日向の脳裏を光が駆け抜けていった。
もし、狛枝が消火剤のボトルを持ち帰り、それに毒薬を詰め替えて倉庫に持ち込んだなら、容器が見当たらない謎は解ける。
狛枝が隠し持っていたガスマスクとゴム手袋は、その時に使われたものだろう。
一緒に落ちていた丸い紙切れを見せると、ソニアが反応した。
以前消火器等を点検したとき、簡易消火剤のフタを開けてみると、同じような青い紙蓋で密封されていたというのだ。
ならば、狛枝がこのボトルを容器に使ったことは確定だ。
問題はいつこれが割れて、中身が気化したのか、それは狛枝が死んだ正午頃の事だ。
七海が、「恐ろしい事」を思いついた、と呟いた。
日向も、同じ恐ろしい事に思い当たっていた。狛枝の底知れない悪意に満ちた真意に。
毒入りのボトルは、倉庫に持ち込まれたのではない。
あの時、棚の上に紛れ込ませてあったのだ。
それを手に取った日向達のうちの誰かは、中身が消火剤ではないなんて露知らず、それを炎の中に投げ入れた。
薬は熱で気化し、狛枝はそれを吸い込んで死に至った。そして力の緩んだ手から鞭が抜けて、槍が落ちたのだ。
これは自殺ではない。狛枝は、日向達に自分を殺させたのだ。
そして、日向達はどうやっても誰がそのボトルを投げたのか特定することはできない。
「解けない謎は無い…そう思ってるオマエラを、“解けない謎”で打ちのめす。
 それが、狛枝クンの真の狙いだったんだね!」
モノクマは大笑いしている。モノクマは、誰が特定のボトルを投げたのか把握している為、裁判の正解が分かっているのだと言う。
手詰まり。絶望的な展開だった。
「…わかるかもしれないよ。」
七海が、ポツリと呟いた。
「狛枝君は、みんなの事を信じてた。罠にはまってくれるって信じてた。
 そして、何よりも自分の『超高校級の幸運』を信じてた。
 皆の事を計画に盛り込んで、自分の才能を盛り込まないなんて、おかしいよね?」
狛枝は、妄信的に自分の幸運を信じていた。今までも、肝心の部分を運に任せた行動が目立つ。
超高校級の天才達は、誰でもそうだと答えた。最後に頼るのは自分の才能しかない。
ならば、狛枝が今回自分の幸運に任せた部分とは何だったのか?
それはもちろん、誰が自分をRペットボトルを投げるのか、ということだ。
彼には、結局裏切り者が誰なのか分からなかった。だから裏切り者に自分を殺させようとした。
彼は「命に代えても裏切り者を炙り出す」と言っていた。それを有言実行したのだ。
だから、裏切り者を特定すれば、犯人も自ずと決定する。

6 :
七海は、そこまで説明して日向を見た。
「裏切り者はね、名乗り出たくても名乗り出られないんだ。
 だって、そういう風にできていないから。
 だから、言い当てて欲しいんだ。日向君になら、それができるはずだよ。」
「七海…ッ!」
日向自身にも分かっている。この中で日向だけが、裏切り者が誰なのか知っているのだ。
あの、モノミが持っていた日記帳。狛枝はあれを見ても裏切り者が誰か分からなかったのだろう。
だが、日向には分かる。自分がファイナルデッドルームに入ろうとしたのを知っているのは、七海だけなのだ。
「七海…お前が、裏切り者なのか…?」
「…あーあ。正解されちゃった。」
七海はニッコリと微笑んだ。
皆、七海が裏切り者だなんて信じなかった。七海が未来機関の手先だなんて。
「違うんでちゅ!未来機関は、皆さんが思ってるような組織じゃないんでちゅよ!!」
モノミが、悲しそうな顔で叫ぶ。
ソニアは、七海がカードリーダーに真っ先に電子生徒手帳を通したことを指摘した。
だが、七海はきっと爆弾が偽物だという事を知っていて、狛枝の脅しがはったりなのが分かっていたのだろう。
モノミは爆弾が偽物だと知っていた。七海とモノミが繋がっているなら当然七海も爆弾が偽物だと知っている。
「バレちゃったから白状するとね、爆弾が偽物なのは知ってたよ。
 それを言えなかったのは、モノミちゃんから聞いたっていう経緯を話さざるを得なくなるから。」
左右田が、皆に問いかけた。
「それが本当だとしても、七海に投票してもいいのかよ?
 それって、狛枝の運に乗っかれって事だろ!」
「あんな奴の事、信じられるかよ!」
それを日向が遮った。
「違う!俺たちが信じるのは狛枝じゃない!
 俺たちは、七海を信じるんだよ!今まで一緒に過ごしてきた七海の事を!
 七海は、命を懸けて俺たちを守りたいって言ってくれてるんだぞ!
 だったら、それを信じるしかないだろ!そうじゃなくちゃ、誰も救われないじゃないか!!」
七海は微笑んだ。
「あのね、悲しむ必要はないんだよ。だって…これは今までのとは違うもん。
 みんなは今までみたいに、”誰かを疑って”生き残っていくわけじゃない。
 みんなは、”私を信じて”生き残っていくんだよ。」
七海は、モノミに向き直って謝った。
「モノミちゃんもごめんね。こんなことになっちゃって、きっと色んな人にすごく怒られるよね。
 でもね、私はどうしてもみんなを守りたかったんだ。それに…そうできることが嬉しいんだよね。」
「……正しいか正しくないかは、あたしが決めることじゃありまちぇん。
 でも、あなたがそう思えたことは、とってもすごいことだと思いましちゅ。“奇跡”、なんて呼べるかもしれまちぇんね。」
モノミは優しく微笑んだ。
モノクマが二人のやりとりを遮り、投票タイムを始めた。
七海を信じ、七海に投票する。満場一致で犯人は七海に決定し、モノクマは正解と答えた。

7 :
「みんな、おめでとう。今まで黙ってて、ごめんね。
 みんなは空を飛べないでしょ?水中を自由に泳げないでしょ?
 それと同じ。“そういうもの”として存在している私には、未来機関を裏切ることはできない…。」
これ以上の事は、どうしても七海には話すことができないのだと言う。
「七海さんが裏切り者だったとしても、私たちは七海さんに裏切られてなんかいません。
 七海さんは、ずっとわたくしたちの仲間です。今だってそうです…
 責める気なんてありません。だから、謝らないでください!」
それが、みんなの気持ちだった。
九頭龍が、ふと疑問を口にした。
狛枝がこの展開を望んでいたとしたらおかしいのではないか?自分たちは、今にも負けそうになっていたのに…
「いいところに気づいたね!彼は裏切り者を炙り出すとは言ったけど、Rとは言ってないんだよ。
 コングラッチュレイショーン!!オマエラは見事、狛枝クンの目論みを阻止したのです!
 彼の目的は、裏切り者以外を皆殺しにすることだったんだからね!」
一体なぜそんなことを?だが、彼に真意を問いただすことも、二度とできない。
七海は、狛枝のことも許して、微笑んでいた。
「あたしも、千秋ちゃんに負けてられないでちゅ!たとえ勝てない勝負と分かっていても、一矢報いて見せるでちゅ!」
モノミがモノクマに抱きつき、モノクマもろとも自分の機体を自爆させた。
もちろんすぐスペアの機体でモノクマは復活するが、モノミも自分のスペアで抱きつき、また自爆する。
「ちょっと、全滅しちゃうよ!」
「それが狙いでちゅ!さぁ、あと何体いるんでちゅか!」
「まぁ、那由多くらいかな?モノミちゃんはあと何体いるの?知ってるよ、あと10体だったよね。」
モノミが絶句する。那由多はなくとも、無数のスペアがモノクマには存在する。
「オマエも見たでしょ?あの工場で、ボクが作られていくのを…」
あのおもちゃ工場で作られていたのは、ただのぬいぐるみだったはずだ。
「でも、ぬいぐるみにボクという人格を与えられたら、それはもうモノクマだよね?」
「なっ……まさか、アンタ、すでにそこまでの力を!?」
…なんだか、急に話がファンタジーだかSF臭くなってきた。
七海がモノミを止める。「みんなを信じて、後を任せよう」と。
モノクマは話を打ち切り、七海と共にモノミも今回処刑すると宣言した。
二人は抗わず、手を繋いで皆に別れを告げた。
「みんな、騙すような真似して…ごめんね。
 最後まで守ってあげられなくて…ごめんね。」
「最後に一言だけ、先生っぽい事を言わせてくだちゃい。
 英雄になる必要なんてないんでちゅからね。無理に誰かに認められなくてもいいんだからね。
 自分に胸を張れる自分になればいいんでちゅ!だって、自分自身こそが、自分の最大の応援者なんでちゅから!
 そうやって自分を好きになれば…その“愛”は、一生自分を応援してくれまちゅよ。らーぶ…らーぶ…」

8 :
【七海千秋&モノミ処刑】
 全てのモノミスペアと、モノミと七海は並んで床に座らされる。
 上からは、石造りのブロックが落ちてくる。これは、巨大テトリスだ。
 次々にスペアが押しつぶされていく。七海の傍らにいたモノミも、降ってきたブロックに押しつぶされ見えなくなった。
 七海がいる細いスペースだけを残して、次々とブロックが積まれていく。
 そして、縦に長い一本の棒ブロックが現れた。それはクレーンで七海の真上に吊り下げられ、落とされた。
 押しつぶされた七海は視界から消え、全ての列がそろった下から3段が、跡形も無く爆発して消え去った。
日向は、目をそらさず七海の最期を見届けた。でも、いつのまにか膝から床に崩れ落ちていた。
無力感でいっぱいだった。虚しくて、寂しくて、胸が痛かった。
「ありがとう」と最後に言えたらよかったのに、とうとう言いそびれてしまった…。
モノクマは、殺し合いの終了を宣言し、生き残った5名に卒業の権利を授与した。
だが、タイムリミットはまだ2日ある。モノクマなら2日もあればまた殺人を犯させる動機を作ることができるだろうに。
「この、5名という人数に意味があるんじゃないのか?だからお前は、まだ日数があるのに殺し合いを終わらせるんじゃないのか?」
モノクマは答えなかった。
カウントダウンが終われば、全て終わる。未来機関のしょーもない計画は便所の泡と化し、オマエラはいつもの絶望的な日常に帰るのだと、モノクマは言った。
あと2日はおまけ。好きなように南国を満喫しろと言われて、皆足取り重くコテージへと帰路についた。
日向は翌日一日を、シーツに潜って過ごした。
そして、モノクマの設定した最後の日、朝目覚めたときに、言い表しようのない恐怖を感じた。
まるで、この島に自分以外誰もいなくなってしまったような。
日向は、その恐怖から逃れるように、コテージから飛び出していた。
その恐怖から逃れるように、コテージから飛び出していた。
そその恐怖から逃れれれるようにコテテージを■飛び出していた。
その■のそから恐怖■■の恐怖コテージ逃れるように飛び出し逃れ■ように飛び出し■■
世界が剥がれ落ちていく。モザイクがかかったように歪む。黒い染みが視界いっぱいに広がる。
それが収まった時、目の前には日向をレストランに呼びに来た七海がいた。
レストランには、他の4人も揃っていた。
狛枝が遺したビデオレターが、もう1つあったのが発見されたらしい。
時限ロックがかかっていて、裁判後に再生できるようになっていたそれは、狛枝の遺言だった。
「感謝しろよ!ソニアさんが見つけてくれたんだからな!」
「うふふ、田中さんとハムスターさんの散歩をしている時に見つけたのです。」
視界に黒い染みが広がり、そこには不敵に笑う眼蛇夢が現れた。
早速再生してみると、狛枝の遺言が始まった。
『えーっと、このメッセージを見ているのは誰かな?未来機関の裏切り者さんかな?
 だとしたら、おめでとう…ボクの希望通りの結末になったみたいだね。』
やはり、狛枝の狙いは裏切り者以外の処刑だったのだ。
「無駄口はそのへんにしておけ。まだ続きがある様だぞ。」
世界がモザイクがかった次の瞬間、十神がざわつく皆をたしなめた。

9 :
狛枝は、生き残ったのが裏切り者以外の皆だった場合にも通じるように話すと前置きして、本題に入った。
『あのね、ボクは散々言っていた事を実行したに過ぎないんだ。
 ボクはある事実をファイナルデッドルームのクリア特典で知った…
 みんなに知られると面倒になるから、そのページはもう処分しちゃったけど…それにしても驚いたなぁ。
 だってまさか、いん●んおbじょtい#%△いcじえおmおpsm、13う4@えk‐あじてrt』
その事実を知った狛枝は、すぐさま行動を起こすことを決心した。
『でも、日向クンを馬鹿にしてられないよね。ボクも本心では主役に憧れてたんだから…
 あじmf詳し`+くhはぴん的濫時8rうぇbとかでjがお』
狛枝は淡々と語る。その事実を踏まえると、モノクマの行動の意味も分かるらしい。
事あるごとに島の謎や未来機関の情報を与えて、みんなに希望を抱かせていたのは、それが『最悪の絶望』に繋がるからだ。
しかもモノクマは、それを誰かに見せつけようとしている。その誰かと言うのが世界が歪む世界が剥がれ落ちる黒い染みが視界いっぱいに広がる。
『キミらがモノクマの目論みから逃れるためには、ある場所に行かなければならない。
 その為のパスワードが、ネズミー城にあったあのメッセージなんだよ。
 本来、その場所に行くにはなんらかの手順を踏む必要があったみたいだけど、それを無視するようなあのメッセージは、ある意味裏ワザみたいなものだったんだろうね。
 きっと、あれはモノクマでもモノミでもない、別のヤツが残したものなんじゃないかな?
 ボクの計画が終わるまでは隠す必要があったけど、そろそろ発表してもいいころだよね。
 パスワードを発表しまーす。『11037』。』
狛枝は、これを使ってある場所に行けば、モノクマの目論みから逃れられると繰り返した。
そして、自分のやったことが、世界の希望の礎になることを信じていると言った。
『そして、もし本当にそうなったら…
 ボクを讃えてくれ。
 ボクの偉業を伝えてくれ。
 ボクの銅像を作ってくれ。
 ボクを敬ってくれ。
 ボクを…超高校級の希望と呼んでくれ。』
それが、狛枝凪斗の残した遺言だった。
気づくと、日向は遺跡の前に立っていた。
緊張している九頭龍に、ペコが笑いかける。
「冬彦ぼっちゃん、心配せずとも大丈夫ですよ。何があっても、私がぼっちゃんを守りますから。」
「さぁ、扉を開けろ!リーダー命令だ!」
十神と七海に促され、日向はパネルを操作する。
大丈夫だ、16人全員一緒なんだから。どんな事があっても大丈夫。
扉を開けるとそこは、裁判場だった。
何の飾りもなく、古びて褪せているけど、作りは見慣れた裁判場そのものだ。
「……みなさんはどこへ行ってしまったのでしょう?」
ふと見ると、皆どこかに行ってしまい、5人しかいなくなっていた。
おかしいな。………いや、おかしいのは、……この、世界…
その頃、公園ではカウントダウンが0を迎えていた。
世界が、崩れ落ちていく。
<CH■PTER5 終了> 生存者 5名

10 :
とりあえずここまでです。明日0話と最終話投稿します。

11 :
>>1
ロンパの人乙です

12 :
ロンパ2さん乙です
今夜が楽しみ!

13 :
>>1
スレ建て乙
ロンパは2→1の順にやってたから分からなかったけど、
あのパスワードはシャイニングメッセージだったんか

14 :
CHAPTER0 『修学旅行へ向かう船の中のような』
ボクは船に揺られていました。不規則な揺れの中倒れまいと踏ん張っていました。
ボクのような才能に愛された人間には、この予想が付かないという感覚は中々興味深いものです。
相部屋になった、白い髪の男が嬉しそうに話しかけてきます。
白い髪の男は、ボクの返事を聞いて笑います。
「ふーん、僕と違って、相当期待されてるんだね。」
このツマラナイ世界。劣った人間たちが、優れた天才を追い詰め、引き摺り落とそうとする世界。
この世界はすでに、自分たちの進化を許そうとしなくなっているのです。
「ボクを利用した彼女を、今度は利用してやるんですよ。」
ボクが、彼女の遺したアレを、この懐に隠し持っていると話すと、白い髪の男は興奮しました。
「えっ?じゃあ、僕はもう一度彼女に会えるのかな?今度こそ、僕は彼女を殺せるのかな?」
この男―『超高校級の幸運』は、彼女―『超高校級の絶望』に複雑な愛憎を抱いています。
彼の袖口から見えている手は、あの女の物です。
それを指摘すると、彼は嬉しそうに笑いました。
「すごいでしょ?これ、未だに腐らないんだ。ボクの一部になれてるってことだよね?
 勘違いしないでね。ボクはあいつが大嫌いだ。敵だからこそ、その力を取り込むんだよ。」
死体を漁ったということか。ツマラナイことをするものです。
そろそろ島が近づいてきました。別に興味はありません。この先のゲームには、ボクは参加できないことになっているでしょうから。
それを言うと、白い髪の男は残念そうな顔をしました。彼は、またボクに会いたいと言いました。
だが、ボクは彼に興味がありません。
「だって、あなたはツマラナイ。」
この男の才能も、思想も、行動も、全て底が見える。理解し予測できる。ボクにとってはツマラナイ。何もかもがツマラナイ。
ジャバウォック島が、近づいてくる。
<CHAPTER0 終了>

15 :
CHAPTER6 『さよなら絶望学園』
扉が見える。一体はここはどこだ?俺はどこに行くんだ?
日向がその扉の中に入ると、そこは教室の中だった。でも、なんだか様子がおかしい。
異様な教室だった。全ての窓に分厚い鉄板が、巨大なボルトでがっちり固定されている。
武骨で露骨な監視カメラがこちらを向いている。まるで、監獄だ…。
ここはどこなのだろう。遺跡に入ってから、ここに来るまでの経緯が思い出せない。まるで、一番最初の時のように。
そこに、モノクマからの校内放送が始まった。
卒業試験を行うから、体育館まで来いと言うのである。
行ってみると、そこは案外普通の体育館だった。
モノクマは、あの遺跡の扉と、遺跡の間に希望ヶ峰学園を作ったのだ、と訳の分からないことを言う。
「オマエラがこの支配から卒業するのはめでたいけど、学園長としては胸中複雑なんだよね。
 オマエラが社会に出てちゃんとやっていけるのか…。
 だから、外の世界がどうなってるのかお勉強してから、ジャバウォック島に残るかどうか選ばせてあげるよ。」
モノクマはそう言い、この学園に散らばった手がかりを探すよう日向達に言う。
「どうせ、オマエラなんて、メインキャストが到着するまでのつなぎなんだよ」
と、謎めいたセリフを残して、モノクマは退場した。
体育館を出ると、何故かそこは先ほどとは違う廊下になっていた。
目の前が、チカチカとモザイクのように歪む。見えない壁があるように、進めない個所がある。
それでも、桜の植わった剣道場、冷凍庫の並ぶ生物室、奇怪な植物で溢れた室内庭園、様々な場所を巡ってそこにある文書を読んでいった。
以下にその内容をまとめる。
希望ヶ峰学園は、政府公認の特殊教育機関だ。
生徒はスカウトによってのみ入学を許される。その選考を行うのが、教育者であり才能の研究者でもある職員たちだ。
希望ヶ峰学園は、教育機関でもあり、才能を研究する機関でもあるのだ。
彼らの悲願は、人類の希望となりえる、真の天才を作り上げること。
しかし近年深刻な資金不足に悩まされていた希望ヶ峰学園は、以前から検討していた「予備学科」の導入に踏み切った。
これは資金集めの為だけの、ごく一般的な教育しか行われない学科だったが、希望ヶ峰のブランド力に惹かれ入学希望者は殺到した。
彼らからの異常に高い授業料という、潤沢で恒久的な資金源を得た希望ヶ峰は、更に天才の育成に力を注いだ。
そして完成したのが、カムクライズルという生徒だった。
彼は、ありとあらゆる才能を身につけた、人類史上最も優秀な天才。職員たちは彼を『超高校級の希望』と呼んだ。
そして、彼を守るために職員たちは彼の存在を、他の生徒たちからも世間からも隠した。
しかし、そのカムクライズルが、「希望ヶ峰学園史上最大最悪の絶望的事件」を起こしてしまった。
学園でも最も優秀な生徒13人で構成される生徒会、そのメンバー全員を、彼が突然惨殺してしまったのである。
学園は、カムクラを守るために事件を隠ぺいした。
しかし、それを嗅ぎ付けたある女生徒が、事件を利用して以前から待遇に不満を募らせていた予備学科の生徒を焚き付け、一斉蜂起させた。
そしてその暴動が、人類史上最大最悪の絶望的事件へ繋がっていった。

16 :
最初は予備学科生の抗議活動にすぎなかったそれは、ネットのコミュニティを介して膨れ上がった。
社会不安を背景に持つデモだったそれは徐々にエスカレートし、過激な破壊活動に発展していった。
そして目的と手段が入れ替わり、強者が弱者を殺戮し、弱者がさらに弱者を殺し、弱者が徒党を組んで強者を嬲りR、そんな事が当たり前になって行った。
世界がその異変に気付いたときは既に遅く、各国は意味のない戦争に突入していた。
もう、誰にもその絶望感は止めることができず、世界は爆発的に崩壊していった。
もちろん、そうなる様に人類を操った集団がいた。最初の蜂起を焚き付けた女生徒を中心とした、『超高校級の絶望』と呼ばれる集団。
彼らは希望ヶ峰学園が認めた才能を、人類の希望の為でなく、人類の絶望の為に使ったのだ。
彼らは既存の価値観を覆し、民衆を洗脳し、殺戮を日常の物とし、絶望で世界を塗り尽くした。
彼ら、『超高校級の絶望』が全滅しない限り、人類史上最大最悪の事件は終わらない。
その超高校級の絶望とはそもそも、とある最強にして最恐にして最凶の女生徒、江ノ島盾子一人を差す言葉だった。
カムクラの起こした事件を利用し、予備学科生を焚き付けたのも彼女だ。
盾子には、人を惹き付け、人の価値観を塗り替える才能があった。歴史上の独裁者の多くがそうであったように。
彼女は、事態を鎮静すべき層すら操り、広大なコネクションを駆使して世界に絶望を広めていった。
彼女の手足となった者達は、彼女という絶望を怖れ敬い、それから逃れる為、あるいは近付く為に、あらゆる絶望を彼女に捧げ続ける。自分たちの命すらも厭わずに。
現に、役目を果たした予備学科生2357人は、彼女の命令に応える為、ただそれだけの為に、たった一人を除いて全員が集団自殺を遂げている。
その彼女も、自らが仕組んだ殺し合い学園生活で、『超高校級の希望』に敗れ自ら命を絶った。
その学園生活を生き残った6人の希望達は、外の世界への脱出に成功している。
日向は、理解不能な情報の洪水に呆然としていた。自分も、江ノ島盾子とやらに心酔していたのだろうか。
2357人のうちの、たった一人の生存者なのだろうか。
校内には、各所にやたら怖い顔のじいさんの肖像画がかかっていて、『希望ヶ峰学園設立者 神座出琉』とプレートが付いている。
この名前、やはりああ読むのだろう。希望ヶ峰きっての天才と、学園設立者の名が一緒なのは何故なのか?
校内に散らばっていたのは、希望ヶ峰の情報だけではない。未来機関のメンバーがやりとりしたと思われるメールが、切れ切れにホログラムとして空間に浮かんでいた。
そこから分かる情報を以下にまとめる。
未来機関とは、人類史上最大最悪の絶望的事件に対抗するべく結成された、希望ヶ峰学園卒業生達による組織である。
彼らが現在急務としているのは、江ノ島盾子を失った「超高校級の絶望」達の残党狩り。
どこに潜んだか杳として知れないが、江ノ島級の次期指導者が準備されている可能性もある。
彼らを発見し、殺処分すること。それが事件を終わらせるための唯一の道だというのが、未来機関の方針だ。
未来機関は、希望ヶ峰学園の生き残りだと名乗る少年少女の、各地で合計15名の保護に成功した。
彼らがどうやって人類史上最大最悪の事件を生き延びたのか不明だが、
怪我を負っている者や飢えている者もいて、過酷な状況を生き延びてきたことが推測される。
彼らへの聞き取り調査は、同年代という事もあり、『コロシアイ学園生活』の生存者たちに任された。
この15人というのが、七海を除いた日向達15人の事なのだろうか。
そう考えていた矢先、日向は被験者リストというデータを見つけた。まさしく日向達15人の名前が列記されている。
その中に十神白夜の名はなく、「超高校級の詐欺師の人」という適当な呼び名が印字されていた。
そこに、新聞記事が添えてあった。それは、超高校級の日本舞踏家西園寺日寄子の活躍を讃える記事だったが…
その、西園寺日寄子と名が添えられた写真には、スラリと背の高い和服美少女が映っていた。
日寄子の面影はあるが、日寄子はもっと子供体型で、それで色々許されていたはずだ。
一体、どういうことなのか?そして、被験者とは一体?

17 :
未来機関のメールを読んでいくうちに、気になる一通を見つけた。
「未来機関第14支部 苗木誠へ
 君は今、一体どこで何をしているんだ?君がしていることは、重大な規則違反なんだぞ。
 何故、絶望の残党を庇うんだ?君は、彼らに騙されているんだ。
 彼らを抹Rることが、人類史上最大最悪の事件を終わらせる唯一の道だと、君にも分かっているはずだろう。
 いいか、君達6人を救い出し、記憶を取り戻すことに協力したのは未来機関なんだぞ。
 全ては希望溢れる未来の為なんだ。すぐに彼らを我々に引き渡しなさい。」
この苗木誠という男は、何故か江ノ島盾子の手下達を庇っているらしい。
それにしても、調べが進むうちにいよいよ学園内の光景は非現実の度を増してきた。
今や、天地はひっくり返り、あらゆる文字は文字化けし、ポリゴンが欠け、物が宙に浮いている。
調べ回るうちに日向は、薄々感じていた予感を決定付ける情報を目にしてしまった。
新世界プログラムという物についての情報だ。
新世界プログラムは、最新サイコセラピー機器と、その管理プログラムで成り立っている。
超高校級のプログラマー、超高校級の神経学者、超高校級のセラピスト等、彼らの研究を活用して作られたこの機器は、
頭部に装着することで、全員に「共感覚仮想世界」を体感させる事ができる。
また、更なる特徴として、仮想世界での記憶情報を、現実世界の記憶情報と置換させることができ、
これによって、仮想世界と現実世界の情報に逆転現象を生じさせることが可能となっている。
ただし、あくまで心理療法の為の装置であり、他の用途での使用は固く禁じられている。
洗脳や人格支配に対する治療に効果的な反面、悪用されれば人格破壊の可能性もある為である。
これを読んだ途端、日向の中に虚無感が広がって行った。
これまでの何もかも、苦しみも喜びも、辛い別れも、何もかもが無為になる予感。
そして日向は、虚空に浮かぶ大きな黒いウィンドウを見つけ覗き込んだ。
そこには、華奢で小柄な少女の映像が浮かび上がっていた。
「新世界プログラムへ、ようこそ」
それは、「アルターエゴ」と名乗った。この新世界プログラムのプログラムマスターだという。
この仮想世界の構築と管理を担当しているが、被験者へ干渉する権限は、大部分が『監視者』の物である為、アルターエゴは手を出せないらしい。
「分かりやすく言うと、ボクはマンションの管理人みたいなものかな。建物を管理する能力はあるけど、部屋の中までは力が及ばない…。
 でも今はウィルスが僕の管轄下まで侵入してきて…そのせいで、僕が管理する世界そのものがおかしくなってしまったんだ。」
アルターエゴに、ここは一体どこなのか、と質問した。
アルターエゴ曰く、ここは新世界プログラムが構築した仮想世界。
今回は妙に急な起動で、世界を構築するための情報の収集の時間も取れなかった為、この実験施設があるジャバウォック島のデータを流用したのだという。
だからここは、仮想世界に構築された、ほぼジャバウォック島であると言えるそうだ。

18 :
アルターエゴ曰く、新世界プログラムとは、希望の為の装置。
被験者の任意の期間の記憶を消去し、そこにこの仮想世界で得た記憶を書き込む装置だ。
日向達はここで、2名の監視者に見守られ、希望の為のプログラムをこなしていくはずだった。
2名の監視者は、それぞれ教師と生徒という設定で皆に影響を及ぼす。
教師ポジションの監視者には、ルールの設定等の権限が与えられている。
しかし、どこかからウィルスが入り込み、その教師の権限を横取りしてしまった。
新世界プログラムはスタンドアローンで動いている為、ネットからウィルスが入り込む可能性は無い。
おそらく、島外から誰かが外部記憶装置を持ち込み、ウィルスを侵入させたのだろう。
恐ろしく優秀で凶悪なウィルスとアルターエゴは、今日まで激しい攻防を続けてきた。
その結果、深部までの侵略を許してしまってはいるが、アルターエゴはまだプログラムの根幹の防衛は果たしている。
だからそのウィルス―モノクマは、教師役の監視者という権限を乗っ取っている限り、その役割のルールに従わざるを得ないのだ。
そこまで話したところで、モノクマが割り込んできた。
「いくら神様ポジションだからって、それ以上話すと、キミ」
モノクマが突然何重にもブレて固まった。
そして、今までアルターエゴが映っていたウィンドウから、少年の声が聞こえてきた。
「ねぇ、聞こえてる?アルターエゴが、なんとか通信を繋げてくれたんだ。誰か、そこにいるんだよね?」
こちらの声は聞こえていないらしいその声は、始めに謝罪した。
「ボクも、正直言って迷っていた。実験段階のプログラムを君たちに起動してもいいのかって。
 だけど、これしか手段がなかった。ボクは君達を救いたかったんだ!」
しかし、危険が無いはずのプログラムの中にウィルスが侵入し、新世界プログラムは暴走した。
外からの命令も、シャットダウンも受け付けず、外にいる彼らは殺し合う日向達の姿をモニタから見せられ続けた。
だが、声の主は監視者の暴走を考慮に入れ、二つ保険を用意しておいた。
それが、プレイヤーにのみ与えられ、教師役に拒否権の無い「強制シャットダウン」の権限と、緊急用パスワード『11037』だ。
「この数字はね、ボクの仲間が、ボクを助けるために残してくれた数字なんだ。
 ボクの気持ちも同じだよ。この数字の意味を、忘れないで。」
日向達が強制シャットダウンを望めば、教師役の意思を無視して、終りを選択することができる。それはモノクマに対する強力な武器となる。
ただそれには、参加プレイヤーの過半数の承認が必要だ。
「今はまだ人数が足りない。モノクマは卒業試験を悪用して、君達を絶望に突き落としに来るはずだ。でも、希望を持ち続けて欲しい。
 ボクがそっちに行くまで、持ちこたえてくれ!」
砂嵐と共に、ウィンドウにはアルターエゴが戻り、モノクマが再び動き出した。
モノクマは、停止していた間の記憶は無いらしい。アルターエゴの目配せに、今の事をモノクマに悟られないよう口を噤んだ。
そこでチャイムが鳴った。卒業試験が、始まる。

19 :
【卒業試験】
指定された赤い扉をくぐると、そこはあの遺跡の中の裁判場だった。
そこに5人で並ぶと、モノクマが試験のルールを説明し始めた。
今まで投票に使っていたタッチパネルに、「卒業」と「留年」の二つのスイッチが表示されている。
卒業を押せば、この島から出て修学旅行は終了。留年を押せば、この南国生活がこのまま続く。
ただし、卒業を選んだとしても、教師役が許可を出さなかった生徒はそのまま留年しなければならない。
ただこれは、教師役の監視者という権限にくっついてくる義務だそうで、形式的なものだとモノクマは言う。
すぐにも卒業を押そうとした一同を押しとどめて、モノクマはいつもの学級裁判形式で試験を始めた。
最初の議題は、「ここは一体どこなのか?」
仮にモノクマがばらまいた情報を信じ、アルターエゴとの接触を考えるに、
ここは、新世界プログラムによって現実のジャバウォック島を元に構築された、仮想現実世界だ。
この島で非現実的な展開が次々起こったのも、モノクマのめちゃくちゃな力も、
「ゲームだから!この一言で全部片付くんだよ!」
モノクマはそう言って高笑いするのだった。
「待てよ!じゃあ、俺らは一体なんなんだよ?まさか、架空の存在とか言わねぇよな!?」
九頭龍の問いにモノクマが答えて曰く、
日向達は、今現実世界で新世界プログラムの機器に繋がれ、ポッドの中で眠り続けている本体の脳内情報から、
希望ヶ峰学園で過ごした数年間の記憶を取り除いて再構築された架空の人格、
ゲーム上における自己の分身、『アバター』なのだという。
そんなバカなことがあるはずがない。
皆そう言って抗うが、手持ちには嫌な材料ばかりが揃っている。
まず、数年間の記憶を奪われているということが事実な否か。
西園寺日寄子についての新聞記事の写真が本人なら、本当の日寄子はその奪われた数年の間に成長し、
自分たちの知っている日寄子が小さいのは、入学前の記憶から作られたアバターだからだと考えると筋は通る。
記憶喪失を認めるなら、仮想世界の可能性も認めざるを得ない。
生身の体であったら、記憶にない急成長を不審に感じるはずだからだ。
「俺とペコは、ほとんど毎日面突き合わせてきたんだ…急に数年記憶が飛んだら、見た目の変化に気づかないはずがねぇ…」
九頭龍は青い顔でそれを認めた。
なら、今感じている自分の鼓動も、床を踏みしめたこの感触も、傍らに感じる仲間の気配も、全て脳の中で作られた幻なのだろうか?
ここでソニアが、ある死刑囚の話を始めた。
彼は拘束され目隠しをされて、足の指に血を抜き取る為の傷を切開された。
しかし、彼がずっと血を抜いている音だといって聞かされていた水音は、ただの水を滴らせていた音。
彼は本当は血を抜かれてなどいなかった。なのに、彼は死んでしまった。
脳がリアルだと感じれば、それがその人のリアルになる、という話だ。
自分達にも、同じ現象が起こっているのだろうか?

20 :
「…ていうかよ、ゲームならゲームでいいじゃねぇか。」
九頭龍の表情が急に明るくなった。ここが仮想の世界なら、この中で死んだ皆は現実には生きていることになる。
5人は色めき立つが、モノクマが愉快そうにそれをブチ壊した。
「リアルなウソはリアルになる。オマエラそう言ってたばかりじゃない。」
この世界でRば、脳は自己の死を認識する。装置によって生命活動は維持されているが、2度と目覚めることは無いという。
一度期待しただけに、突き落とされた時のショックは大きい。
自分たちにこの苦しみを強いた、未来機関とは一体何者なのか?
皆、怒りに任せ未来機関を敵だと罵るが、そう片付けてしまっていいのだろうか?
そもそも、このゲームは最初平和そのもので始まった。モノミがモノクマにやられたところからおかしくなり始めたのだ。
モノミと七海の正体は、『監視者』―つまりNPCだったのだとモノクマは言う。
七海は生徒として皆に混じり、皆が危険な方向へ流れそうになった時それを止め、
モノミは教師として、ルール作りと違反者を罰する権限を持ち、そのルールによって皆が危険な行為に及ぶのを防いでいた。
そして、そう作られた彼女たちには、どんなに日向達を助けたくても、
ここが仮想現実世界であるという事実に触れる事柄は、一切口にすることはできなかった。
NPC=ノンプレイヤーキャラクター。操作する人間を持たない、プログラム上の存在。
七海がそのNPCだった事に衝撃を受けつつも、それでも日向達の彼女への友情は変わらなかった。
七海は確かに存在していた。自分たちは彼女に命を救われたのだから。
「ゲームキャラへの感情移入はほどほどにね。」
こちらをおちょくるモノクマを睨みつける。そう、こいつこそ一体何者なのか?
そういえば、未来機関が『世界の破壊者』だという情報も、モノクマが一方的に与えてきただけの物だ。
「いやいや、未来機関は世界の破壊者ですよ。少なくともこの場にいるボクらにとってはね。」
うそぶくモノクマを更に問い詰めたが、モノクマは答えなかった。
「ボクの正体を明かす前に…どうやら例のメインキャストが来たようですね。」
「何が世界の破壊者だよ…。未来機関は悪くない。」
裁判場の空席に、突如モザイクの嵐と共に一人の少年が姿を現した。
優しそうな雰囲気の、小柄で目のクリっとした少年だ。
「ボクの名前は苗木誠だ。キミ達と同じように元希望ヶ峰学園の生徒で…今は、未来機関に所属している。」
唐突な未来機関の一員の登場に、5人は驚き戸惑う。
「そうか、俺らを助けに来たんだよな!?だったら早く助けてくれよ!」
左右田の叫びに、苗木誠はすぐには答えずこちらを厳しい目で見つめていた。
「…もちろん助けるのはかまわない。でもその前に、キミたちは自分たちの置かれた状況をキチンと理解しなくちゃダメだ!」
モノクマに提示された手がかりを繋げて考えてみろと苗木は言う。
「ねぇ、君達はどうして新世界プログラムにかけられたんだと思う?
 新世界プログラムは、別名『希望更生プログラム』とも呼ばれているんだ。ここまで言えば、自分たちの正体が分かるよね?」
「俺たちは、未来機関に保護された『希望ヶ峰学園の生き残り』じゃないのか…?」
込み上げる不安に青ざめながら、そっと尋ねると、苗木は容赦なく鉄槌を下した。
「『希望ヶ峰学園の生き残り』、『超高校級の絶望の残党』。どちらも、君達を指す言葉だ。」
未来機関は、分かれて行動していた日向達を、希望ヶ峰学園の生き残りとして保護した。
その聞き取り調査を任された苗木とその仲間は、聞き取りが進むうちに、彼らが絶望の残党である事を知り驚愕した。
未来機関に日向達を渡せば、殺処分は免れない。苗木はすぐに15人全員を連れて逃げ出した。
そしてジャバウォック島に渡り、新世界プログラムを使用して日向達を絶望から救い出そうとしたのだ。

21 :
そんなバカな。超高校級の絶望といえば、世界を破滅に導いた張本人ではないか。
混乱する一同をよそに、苗木は淡々と日向達の正体を語った。
人間性のかけらも残っていない、人の形をした絶望。
呼吸をするように、いたぶり尽くし、焼き尽くし、破壊し尽くす怪物たち。
「それを知ってしまったからこそ、狛枝クンはあんな事をしてしまったんだろうね。」
モノクマが狛枝に渡したファイルには元々、絶望に堕ちた後の経緯も含め、全員の入学後のデータが揃っていた。
全てを知った狛枝は、彼の信念に基づき、自分を含めた全ての絶望を抹殺しようとしたのだ。
それでも、どうしても自分達とそんな非人間的な怪物が繋がらない。
苗木は、日向達が入学後ある女生徒から強烈な影響を受け、彼女に屈し、絶望へ堕ちてしまったのだと言う。
『超高校級の絶望』江ノ島盾子。彼女から受けた洗脳の記憶を取り除けば、日向達自体は危険人物では無くなるのか、それを見極める為のプログラム実行でもあったという。
苗木の話を信じようとせず、闇雲に否定する一同を、苗木が一喝した。
「目を背けちゃダメだ!!」
その一瞬、日向の脳裏に覚えのないビジョンが浮かび上がった。
薄暗い船室で、こちらに身を乗り出している狛枝の笑顔。狛枝の袖口から覗いているのは、赤い爪の女の左手だった。
「少し思い出せたみたいだね。」
苗木曰く、絶望達は、友人も家族も、自分の体ですら躊躇なく破壊する。
飢えによる絶望を得ようとして骨と皮だけになった者。自分の家族の命を江ノ島に捧げた者。江ノ島の死後、彼女の後追い自殺を強要して一般市民を大量虐殺した者。
自分の中に彼女を生かす為、自分の片手を切り取り彼女の手を移植した者。彼女の見ていた絶望を見ようと、彼女の片目を自分へ移植した者。彼女の子孫を得ようと、彼女の中から…
「もうやめろおおおおお!!!!」
日向は絶叫していた。
嫌でも、脳裏には罪木の姿が蘇っていた。記憶を取り戻した途端、仲間を無意味に殺戮し、誰かへの妄信的な愛を語り、絶望を振り撒いて死んでいった彼女。
あれが、自分達の正体だと言うなら、じゃあ、今ここにいる自分達は一体、どうしたらいい?
「外の世界の自分たちに絶望しちゃったんだね。でも大丈夫、そのために新世界プログラムはあるんだから。」
卒業を選べば、今ここにいる自分達が、本体の人格に上書きされる。
本体の肉体の欠損部分や、もう死んでしまっている仲間たちに関しては状況は変わらないが、この人格のまま、日向達5人は現実世界に戻れるのだ。
5人で、何を選択すべきか話し合った。
外にいる自分達の体は滅茶苦茶な状態かもしれないし、全世界に処刑を望まれている大罪人だ。
それでも、外に出るべきだ。そうでなければ、その座をかけて戦い死んでいった仲間達に顔向けできない。
そう結論が出たが、日向はふいに違和感を感じた。
モノクマが先ほどから何も口出ししてこないのだ。ここで日向達を大人しく卒業させるなら、こいつの目的とは何だったのか?
大体、この苗木誠を信用してもいいのだろうか?日向は彼にも違和感を感じていた。
仲間に、結論を出すのを少し待ってくれと頼むと、その苗木が絡んできた。
「君達なんか、本来見捨てられてしかるべき人間なんだぞ。助けてやるって言ってるんだから、大人しく従えよ。
 未来機関に逆らう気なのか?」
アルターエゴを介して話しかけてきた人物と、この苗木誠の人格は決定的に重ならない。
お前は偽物だと糾弾すると、モノクマが割り込んできた。
「どう見ても、可愛いと評判の苗木クンじゃん!偽物だっていうなら、証拠を出してみなよ!」
日向は、パスワード「11037」を突きつけた。本物なら、この数字の意味が分かるはずだ。
「え?えっと……何だったっけ…?おかしいな…むしろ、君達はそれをどこで知ったの…?」
しどろもどろになった苗木は、やがて諦めたように笑い始めた。
「うぷぷぷ…結構いい線いってると思ったんだけどなぁ。」
登場した時と同じく唐突にその姿が掻き消え、モノクマが自作自演を認めて恥らって見せた。

22 :
「今のあいつは、俺たちを外に出そうとしていた。
 だったら、それがお前の目的か?そこにお前の罠があるのか?」
「あーあ…見透かされちゃった…スケスケになるまで見透かされちゃった…」
頭に来た皆が、モノクマをリンチにかけようとするのを制して、
モノクマはラスボスとして変身の一つや二つしておくと言い出した。
「さて…それではお目にかけちゃおうか…第二形態も第三形態もすっとばした、最終形態を!」
モノクマの周りに光が集まっていく。日向は何故か、頭の中がチリチリと焦げ付くような不安を感じた。
突如、裁判場の壁が轟音と共に崩れた。土煙の中から、巨大な手がバシリと床を叩く。赤く塗られた長い爪。
壁の外は、何もないポップな柄の空間。その下方から、手のサイズに見合った女がぬっと顔を出した。
クマの髪飾りで二つに結われた髪、豊かな谷間を覗かせた派手な改造制服、ギャルメイクが施された美しい顔。
その全てが、規格外にデカかった。床に頬杖を突いた女は、人間一人分くらいはある巨大なデコケータイを、ドカリと空席に突きたてた。
その画面には、ようやく普通の人間サイズの、同じ女が映っている。
「ふーん、LLサイズの女子高生を見ると、人ってそんなリアクションするんだ。」
画面の中の女は、慌てふためく日向達を愉快そうに眺めている。
「俺たちは、こんなのを相手にしねーといけねーのかよ…!?」
「こんなの呼ばわりなんてショックです!酷いですよ、センパーイ!」
女はキャラをコロコロと変え、自分の「死んだ後まで飽きっぽいなんて、絶望的です」と嘆いた。
「もしかして…お前が江ノ島盾子か?」
死んだはずの江ノ島盾子が、何故ここにいるのか?
「アンタらは、人工知能アルターエゴって知ってる?
 そうなのじゃ!今の私様は人工知能なのじゃ!人類すら超越したのじゃ!」
あまりにもデタラメな話に、思考が追い付かないが、江ノ島のマシンガントークは待ってくれない。
「ほら、アタシってこんな性格だから、すぐに死にそうじゃん?
 だから、生前に予め作っておいたんだよね。自分の人工知能プログラムをさ…
 で、そんなアタシを誰かがこの新世界プログラムへと導いてくれて、
 こうして江ノ島アルターエゴが、アンタらの前に絶望的に姿を現したってわけよ!」
こいつが、自分達を絶望へ堕とし、世界の終りを企てた、江ノ島盾子…
でも、だからって、どうすればいいのか?それがわかったところで…
「俺たちに何ができるんだ?とか警戒しないで下さいよ、先輩!
 同じ超高校級の絶望じゃん!クラス全員に優しい委員長からすら、道端の痰を見るような目を向けられる者同士、仲良くよっ!ね?」
ぜ、絶対に嫌だ!皆のブーイングに、江ノ島は急にガックリ肩を落とした。
「あーあ、嫌われた…せっかく先輩方の為を思って、卒業プログラムを改竄したのに…」
江ノ島は、あのカウントダウンの話を持ち出した。あれは特に意味は無く、あの日付が終わるまでに日向達を卒業試験に送り込めるかという自分ルールだったらしい。絶望的にしょうもない話だ。
そしてその間ずっと、江ノ島はモノクマを演じる傍ら、しこしこ頑張って本家アルターエゴの防衛を掻い潜りプログラムの改竄を続けていた。
「すっげーーぇ大変だったんだぜっ!!卒業プログラムはシステムの根幹を為す存在だから、厳重に暗号化されて守られてやがった!
 あやうく、自分の大したことなさに絶望するところだったぜっ!」

23 :
努力の甲斐あり、江ノ島は卒業プログラムのデタラメな改造に成功した。
このままではご褒美成分が少ないので、卒業を選んだら、死んだ皆も現実では目を覚ますようにしたというのだ。
そんな都合のいい話があるのだろうか?さっきまでの、リアルなウソがどうたらという理論はどうなったのか?
「死んだあいつらが生き返るなら、理屈なんてどうてもいいだろっ!!」
九頭龍はそう吠えるが、日向はいまいち納得がいかなかった。
「そうすると、お前にどんな得があるんだ?」
そう江ノ島に尋ねるも、江ノ島はすぐに卒業を押さないと留年を選んだとみなすと脅しをかけてきた。
でも、卒業しかないはずだ。皆で揃って帰れるならそれ以上の選択肢はないはず。
日向達は、卒業のボタンに手を伸ばした。
「それは違うよ!!」
鋭い声に遮られ、みんな手を止める。空席に、モザイクの嵐と共に、またも苗木誠が姿を現した。
「押しちゃダメだ!それが、江ノ島の罠なんだ!」
今度こそ本物だ、と江ノ島は嬉しそうに微笑んだ。
「ボクの名前は苗木誠。未来機関の苗木誠だ!」
彼は、すぐに助けに来られなかったことを皆に詫びた。ずっとそうしようとしてきたが、その度にウィルスに阻まれてきたらしい。
「このタイミングで侵入できたことも、お前が仕組んだものなのか?
 いや…だとしてもかまうもんか!ボクは絶対にみんなを助けてみせる!そして、お前との因縁にも決着をつけるぞ!」
「雑魚どものピンチというタイミングで、こうして主人公が颯爽と現れましたとさ!
 きゃはー!かっこいいーー!ヨダレがブリュブリュ出ちゃうー!」
どんなにかっこよく、そして裏技介入でこの中に来たとしても、江ノ島という教師役に従う生徒役というポジションは変わらない。
彼女が認めなければ卒業が叶わないという事も同じ。だが、それを承知で苗木はこの中に来たという。
「相変わらず捨て身の希望だねー。そんなアンタが、生理的に受け付けないくらい好きよ。」
苗木は江ノ島に取り合わず、江ノ島の真意を皆に話して聞かせた。
アバターが消えるという事態は想定されたことが無く、一度消失してしまったアバターは、二度と蘇ることはない。
江ノ島は、アバターの消えたメンバーに、自分のアルターエゴを上書きするつもりだ。
つまり皆は生き返る訳ではなく、江ノ島に体を乗っ取られた状態で目を覚ますということ。
乗っ取る体を増やすために、江ノ島は日向達に殺し合いをさせていたのだ。
ならば何故直接全員を殺さなかったのか?それは、江ノ島もまたルールに縛られていたから。
「教師は、規則違反があった場合以外、生徒に直接干渉しない」というモノミが作ったルールに、日向達は守られていたのだ。
「でも、全然別人になる訳でもないよ?先輩たちのデータはアタシの中に蓄積されてるから、そのままの人格を演じることも可能です。
 九頭龍先輩のデータもたんまりあるから、より九頭龍先輩好みの辺古山ペコさんを演じられちゃったりしてね。」
「ふざけるなあああ!!あいつらの命を、何だと思ってんだよ!?」
「雑魚。」
九頭龍の雄叫びを、江ノ島は冷たく一言で切って捨てた。
絶望は彼女にとって、目的でも理念でも本能でもなく、自分が自分である為の定義付け。何の目的もなく、ただ絶望を求め振り撒くことができる。
彼女は自分を増やして未来機関を制圧、そして新世界プログラムを利用して人類総江ノ島化なんていう絶望的にふざけた計画を練っていた。
それを阻止するためには、自分たちを留年させ、ここに江ノ島ごと留まらなければならない。
「未来機関にとっては都合のいい話だよね。超高校級の絶望をまとめて閉じ込めておけるんだから。」
自分達がやって来たことは何だったんだろう?仮想世界の中で、絶望同士で殺し合っただけだったのか。
自分たちが、生きて帰りたいと思ったこと自体が、そもそも間違いだったのか?

24 :
「諦めちゃダメだ!!」
絶望に塞がった思考を、苗木の言葉が弾丸のように切り裂いた。
江ノ島だけをここに閉じこめ、日向達を助け出す方法があるのだという。それが、強制シャットダウンだ。
しかし江ノ島は、それについても承知していた。参加人数15人の過半数が、同時に強制シャットダウンを選ばなければそれは実行されない。
苗木を入れても現在の人数は6人。全然足りてない。
それでも、いやむしろ勝ち目があるからこそ、苗木はプログラムの中にやってきた。
「ボクは彼らを信じてるんだ!彼らなら、きっと来てくれるはずだって信じてる!」
彼ら…?訝しんだ次の瞬間、再びモザイクの嵐が巻き起こった。
「そんな事、わざわざ言われるまでもないわね。」
長い銀髪の少女が、空席に姿を現した。
「何が信じているだ。付き合わされるこちらの身にもなってみろ。」
引き締まった体の、本物の十神白夜が苗木を睨んでいる。
「霧切さんに十神くん!やっぱり来てくれたんだね!」
彼らもまた、未来機関の一員であり、前回のコロシアイ学園生活の生き残りだ。
これで8人、すぐにでも強制シャットダウンを実行しようとする十神に、日向はおそるおそる聞いた。
強制シャットダウンをすると、自分たちは一体どうなるのか?
霧切と苗木が言うには、強制シャットダウンを行えば今回のプログラム内にあった全ての物は消去される。
架空のジャバウォック島も、今回の為に用意されたNPCも、構築されたアバターも。
つまり、今の日向達は跡形もなく消えて超高校級の絶望として目を覚まし、死んだ仲間は死んだままで、プログラムの中にしか存在しなかった七海の存在は完全に消えてなくなる。
「おい、そんな事まで言う必要があるのか?」
と十神は苗木達をたしなめた。という事は、3人は是が非でも強制シャットダウンを選ばせたいのだ。
それもそのはず、卒業に江ノ島の承認が必要な以上、強制シャットダウン以外に3人が現実に帰る手立てはない。
でも、自分たちは?日向達には、今の自分達を失くし絶望に戻るという絶望的な未来しか待っていない。
「それがお前たちの過去だ!過去からは誰も逃げられないんだ。」と十神は責任を追求する。
「君達は洗脳されているだけなんだ!必ず、今みたいな状態に戻れるはずだよ!」と苗木は励ます。
「私たちが精一杯サポートするわ。抹殺なんて、絶対にさせない。」と霧切が請け合う。
「だから、僕たちと一緒に戦ってほしいんだ!」
それでも日向達は即答できなかった。ここで起きたすべての事が、何の意味もなく、記憶ごと消えていくなんて。
江ノ島は、この殺し合いがそもそも何の意味もない事だったと嘲笑う。
日向達の殺し合いは、苗木達希望をこの仮想空間に誘き寄せるためのおとり。
絶望達があえて未来機関に保護されたのは、絶望VS希望の延長戦を用意する為。
要するに、この殺し合いを仕組んだ犯人自体が、日向達本人なのだ。そうなるよう計算し苗木を利用して、ここに江ノ島アルターエゴを持ち込んだ黒幕がいる。
「そう、アンタ達を絶望させるのはアタシじゃなくて、この後登場する黒幕よ。
 という訳で、カムクライズルさんの登場でーす。」
神座出琉。希望ヶ峰創立者の名を付けられた、希望ヶ峰の誇る超高校級の希望。
彼は江ノ島に利用され、生徒会メンバーを惨殺してクーデターのきっかけを作った後、姿を消した。
既に江ノ島に殺されているだろうと未来機関は予測していたようだが…
「失礼しちゃうよねー。カムクライズルはちゃんと生きてるよ。ねっ、日向クン!」
突然話を振られて、日向はぽかんとするしかなかった。
「予備学科予備学科とバカにされていた日向クンに朗報でーす!
 現実の日向クンには、超高校級の希望と言う才能があったのでーす!」
「な、なんだよそれ!俺たちを騙してたのか!?」
「まさかの叙述トリックなんて嫌ですよ!」
「ちっ違う!俺はやってない!俺は、生まれたときから日向創だって!」

25 :
支援

26 :
支援

27 :
その日向創が、後に希望ヶ峰の誇る天才『神座イズル』になるのだ。
そもそも、希望ヶ峰学園自体が設立された理由こそが、神座イズルを作り出す事であった。
人工的に才能を作る。
その悲願の為に、希望ヶ峰は長年才能を持つ生徒たちを研究してきた。
設立者の名を冠し、カムクライズルプロジェクトと称されたその計画は、とうとう実行段階に移され、
才能の受け皿として、才能を持たない予備学科生が目を付けられた。
「あんたは誰よりも希望や才能に憧れていた。そこを希望ヶ峰学園に付け込まれたんだよ。」
才能を人工的に開花させるなんて、よっぽどの事をしないと無理だ。だから希望ヶ峰学園は、よっぽどのことをした。
外科的措置による脳への直接干渉。そして日向創は、初の成功例としてカムクライズル1号になった。
そこには日向創は残っていない。
才能の獲得に邪魔な、感覚も感情も記憶も思考も嗜好も趣味も、全て意識下へ封印された、才能だけに特化した別人格、それが神座イズルだ。
そして神座は江ノ島によって絶望に堕ち、江ノ島アルターエゴを持ち込んで今回の殺し合いを用意した。
日向創がここにアバターとして再現できたこと自体、江ノ島には驚きだと言う。
新世界プログラムが、脳の奥底から記憶や感情をほじくり返して掻き集め、どうにか再構築されたのが今の日向創。
だから強制シャットダウンを選べば、日向創は消え失せる。
「助かる方法は無いのかって?アンタはもう知ってんじゃん!」
「…そうか…、普通に卒業を選べばいいだけ…か……」
卒業を選べば、神座イズルに自分が上書きされる。この人格のまま現実に帰ることができる。
「それはダメだ!」十神が怒鳴る。
「そりゃそうだよね。そうされると、未来機関の皆がここに取り残されちゃうもんね。
 超高校級の絶望なんかの為に、未来機関が犠牲になることはできない。もー、最初からそう言えばいいじゃん!」
「そんなこと言っていないわ。ただ、私たちは…」
「世界を絶望から救わないといけない?はいはい、聞き飽きたって。
 そもそも、その世界って、自分の存在を懸けてまで救わなくちゃいけないの?
 世界が幸せでも、自分が幸せじゃなきゃ意味ないじゃん。」
自分達の記憶と人格を犠牲にして強制シャットダウンしたところで、苗木たちが力及ばなければ、日向達は未来機関に殺されるのだ。
江ノ島は、画面の中で日向達に向き直った。
「…で、アンタらはそれに堪えられる訳?
 ここで起きた事の何もかもが、無意味なただのゲームとして終わって…
 ここで感じた感動や友情や愛情や何もかもがセーブデータにも残らないまま消えちゃって…
 大好きな彼女は動かないまま衰えていって、大嫌いな彼も眠ったまま痩せ細っていって…
 日向クンに至っては、存在そのものが消えてしまう…
 そんな絶望に堪えられんのかよ?誰のために堪えるんだよ?
 顔も知らない連中の為にか?感謝すらしてくれない連中の為にか?
 …それは“希望”なのかよ?」

28 :
「惑わされちゃダメだ!それが江ノ島の手なんだよ!」
「そいつの戯言に耳を貸す必要は無い!それよりさっさと強制シャットダウンを!」
未来機関の3人は、強制シャットダウンの必要性を日向達5人に説く。
ようやく混乱から立ち直りつつある世界…そこにまた江ノ島を復活させれば、大勢の犠牲が出るだろうと霧切は言う。
「だから、それを防ぐ為に強制シャットダウンしろと。
 で、記憶のすべてを失って超高校級の絶望に逆戻りしろと。中には存在そのものが消える奴もいるけど、ガマンしろと。」
江ノ島の言葉に、3人は歯切れ悪く「それしか方法が無い」と答えるばかり。
方法ならある。卒業すればいいだけだ。未来機関の3人はここに閉じ込められ、世界は混乱に陥るだろうが、自分たちは助かる。
…そのどちらかを選べっていうのか。自分の希望と世界の希望の選択を迫られるなんて。
そんなの選べない。どうして自分がこんなことに巻き込まれなくちゃならない?何の才能もない自分が。もう放っておいてくれ。
「絶望だの希望だの、勝手にやってくれ!俺には関係ない!!」
日向の出した答えに、他の4人も同意する。選べない。こんな責任負えない。
「ひ、日向クン……」
苗木が青白い顔でこちらを見つめている。
「あーあ、また私の予想通りになっちゃった。こうやって何もかもが予想通りってのもさ、絶望的に退屈なのよね。
 まぁ未来を望まないっていう未来もありだと思うよ。希望しなければ絶望に襲われなくても済むんだし…
 私だってそう、絶望を求めなければ希望なんてしなくて済む。みんなで呪いから解き放たれて、ここで仲良く立ち止まってようよ!
 ずっと…この南国生活にどっぷり浸ってようよ…ずっと…ずっとずっとずっとずっとずっと…」
気づけば、最初の砂浜に、16人全員が並んでいた。
皆笑顔だ。もうこれでずっとみんな一緒に居られる。この南国の楽園で永遠に続くゲームを、16人全員で…
「…違うでしょ。みんなはゲームなんかじゃない。」
笑顔の皆の中、七海がこちらを見た。
その途端、砂浜は消え去り、真っ暗な空間に日向と七海だけが残された。
「ゲームなのは私だけ。みんなはそうじゃないでしょ。」
消えたはずの七海が、目の前にいる。彼女は自分の中の記憶にいる七海なのだろうか?
「お前だって嫌だよな?俺たちの記憶が消えれば、お前がいたってことも無くなっちまう。」
日向は、この無茶苦茶な状況を愚痴り、選択なんて出来るわけないと零す。
七海は、例え日向達の記憶が消えても、日向達が自分の未来を生きる限り、七海が生きて戦った証は残っていると答えた。
そして、誰の為でもなく、自分自身の為に選び、その選択に責任を持たなければいけないと。
「でも、選べないなら創っちゃえばいいんじゃないかな?
 ここはゲームだけど、みんなはゲームじゃないんだから、選択肢を作ることだってできるはずだよ。
 みんなには必殺技があるでしょ?ほら、『やればなんとかなる』ってやつだよ。」
それは、今までどんな窮地に陥っても、やればなんとかなってきたけど…。
「ほらっ、いつまでウジウジしてるんだよ!自分に胸を張りたいんじゃなかったのか?」
七海が突然、珍しく大きな声を出した。
胸を張れる自分になることに、才能なんて本当は関係ない。大事なのは自分を信じられるかどうかだ。
「そろそろ、日向くんのかっこいいところを見せてもらおうかな?私も手伝ってあげるからさ」
気づけば、いつもの裁判場に立っていた。日向と七海の他に、14の空席に並んでいるのは、日向の顔をした男たち。
腰の下まで伸びた長い髪、感情を感じられない表情、暗く翳った瞳の色は、血の様に真っ赤。
これが現在の自分、絶望に堕ちた希望カムクライズルだ。
カムクラ達のネガティブな言葉の洪水に、こちらの言弾は「未来は創れる」この一つきり。
それでも全ての言葉を撃ち落として、日向はカムクラ達を打ち負かした。

29 :
「希望も絶望も背負った君達なら、きっと未来だって創れるよ。
 都合のいい奇跡だって、やればなんとかなる!
 だから、中途半端にウジウジしてないで、全てを捨てる覚悟で本気になってやってやれ!
 私も、応援しているからさ。」
七海の声が遠くなっていく。また、言いそびれてしまった…
気づくと、周りではまだあの卒業試験が続いていた。
選択を放棄した皆を、未来機関の3人が必死に説得しようとし、それを見て江ノ島が嘲笑う。
「ぶつかりあうのは、どっちも希望。結論なんて、永遠に出ねーんだよ!!」
「それは違うぞ!!」
日向の声に、裁判場が一瞬静まり返った。
「きっと希望だけじゃない…絶望だって沢山あるだろうな…
 どんな未来になるか分からないけど、でも、俺たちの未来は俺たちの物だ!もう、誰にも渡さないぞ!」
「……は?アンタ誰?」
日向の中で堰き止められていた何かが、封印を解かれ動き出した。
収まり切らない才気が日向の身の内から溢れ、火花の様に瞳から迸り光を散らす。その瞳は、真っ赤な火の色に染まっている。
「……カムクラ…!どうなってんのよこれ!マジもんのバグ!?」
江ノ島の表情が初めて険しく歪んだ。
「俺はカムクラじゃない!日向創だ!」
日向は、仲間たちに強制シャットダウンを呼びかけた。
用意された結末なんて知ったことか。そんなもので終わったりしない。みんなが繋いでくれた未来には、もっと大きな可能性があるはずだ。
まずは胸を張ってここを出て、それから未来を作っていけばいい。
「何言ってんの…そんな都合のいい話…。そんな強がったって、ここから出たら、どうせ記憶を失なうだけじゃん…」
江ノ島は、理解不能といった表情で呆れているが、ソニアはパネルに手をかざした。
「卒業と留年を、同時に押せばいいんでしたよね?
 …えっと、わたくしにもよくわからないのですが…ただ見えたのです。」
真っ暗な深海を沈んでいくような気分になって、身動きが取れない程体が重くなって…
そんな時、一瞬だがソニアには確かに見えた。暗い海を照らす燈台のような、厳しいけれど暖かい光。
「きっと、あの光を照らしてくれていたのは…そういう事ですよね?日向さん。
 私たちがこれから作る未来は、皆さんが作ってくれた未来でもあるんですよね?だったら…立ち止まれる訳ないですよね!」
「だからさ…自殺行為だって…」
江ノ島の言葉を鼻で笑い、九頭龍もパネルに手をかざした。
「自殺行為なのは百も承知だ。俺らのメリットなんて見当たらねーしな。
 だけどよ…俺には、あいつの声が聞こえたぜ。そう言や、あいつに怒鳴られたのは初めてだったか…。
 へっ、いつまでもガキ扱いされてちゃ、堪ったもんじゃねーよなぁ!」
終里も、めんどくさそうにパネルに手を伸ばす。
「やっぱ、ゴチャゴチャ考えるのはオレの性に合わねーや…
 つえー奴がいたら闘うってのが、オレらしいよな?…それが胸を張るって意味なんだよな?
 だったら、オレはこっちだろ!!」
左右田も、仕方なさそうに溜息をつき、パネルに手をかけて笑顔を見せた。
「あーあ…またメンドクセーことになっちまったな…
 でも、オメーらがやるなら、オレもやらねー訳にはいかねーだろ。
 どこにも居場所がねーなら、せめて、この場所だけは絶対に守らねーとダメだろ!」

30 :
「なんなのよ、アンタら…どうして、自分から絶望に飛び込んでいくような真似ができるのよ?」
それは、自分たちが未来を信じているからだ。
新しいことも困難なことも、やればできるって信じている。そこが江ノ島とは、決定的に違う。
「そんなの、希望なんかじゃないじゃん…絶望ですらない…
 な、なんなのよぉぉぉぉぉぉぉッ!?」
江ノ島が頭を抱えて叫ぶ。
「日向クン…それにみんなも、ありがとう…」
苗木の言葉に、日向は静かに返した。
「それを言う相手は、オレ達じゃないと思うぞ。」
訝る苗木を置いて、日向はパネルに手をかざした。
「じゃあ、始めるか。」
「…こんな簡単に終わっちまうんだな。」
「あ?終りじゃねーだろ。」
「ここから始める為…ですよね?」
「まずはこの閉ざされた世界を終わらせて…そこから先は、俺たちが創っていくんだ。」
全員で、一斉にスイッチを押す。
その途端、江ノ島の目の前の空間がひび割れて、光と共にモノミが―いや、モノクマに敗れる以前のウサミが飛び出した。
モノクマに破壊されたはずのステッキを、江ノ島盾子に振り下ろす。巨大江ノ島は、光と共に崩れ消えて行った。
落ちた携帯の画面に映った江ノ島は、砂嵐の中に呑まれ薄くなっていく。
「あーあ、こりゃ絶望だわ。また絶望に絶望して絶望を絶望しちゃった…あー、楽しい。
 あー…でも…これでもう…絶望を…希望しないで済む…そ…んなの…絶望…的……」
ぷつりと画面は暗くなり、それきり沈黙した。
「どういうことだ?ウサミは消失したはずだ…」
十神は訝るが、苗木は嬉しそうに笑っていた。
苗木が用意したはずの結末は、既に苗木の与り知らぬ方向へ転がり出したのだ。
世界が崩れていく。タイムリミットが近づいてくる。
「あの…もしもの話で恐縮ですけど…仮にここを出たとき、ここでの記憶を失っていても、無意味ではなかったのですよね?」
それは、これからの自分たち次第だ。
「…やっぱ、コエーな。」
「俺だって怖い。でも、怖くて当たり前なんだよな?」
「オイッ、オレはオメーらの事も他の連中の事も、ぜってーに忘れねーからな!
 オメーらも覚えとけよ!オレの名前は…左右田和一だからな!」
「オメーらみてーに濃い連中を、簡単に忘れれるかってんだ。」
「もし忘れたとしても…意地でも思い出してみせますって。」
「後で日向が訳わかんねー事言い出したら、オレが半殺しにして正気に戻してやるよ!」
「助かるけど、できるだけ手加減はしてくれよ?」
怖いけど、怖くて怖くてたまらないけど…これでいいんだよな、七海。
「ありがとう…。ありがとう、七海。」
やっと言えた言葉と共に世界が白く染まっていく。七海の声が聞こえた気がした。
<CHAPTER6 終>

31 :
あとエピローグだけなんだけど、連続投稿ですね!って言われて投稿できません。
とりあえず待ちます。

32 :
支援

33 :
支援

34 :
エピローグ 『未来の前の日』
苗木達は、帰りの船に乗船する為、港へ到着した。
乗り込むのは、苗木、霧切、十神の3人だけだ。
「おい、苗木…本当にこれでよかったのか?
 取り調べは僕に任せて!…なんていうからその通りにさせてやったが、あいつらは本当に大丈夫なのか?
 元の絶望に戻っただけなんじゃないのか?」
「それはない…と思うよ。
 だって、そうでなかったら、自分達からこの島に残りたいなんて言いださないでしょ。」
眠ったままの仲間を助けたい。彼らはそう思っているのだろう。
意識的にしろ無意識的にしろ、そういう選択をしたということが、彼らが元の彼らではない証拠だ。
「でも、実際問題、眠っている彼らが目を覚ます可能性はほとんど無いでしょうね。」
「ううん、可能性の問題じゃないんだよ。ほんの少しの可能性しかなくても、その未来を創ろうと懸命に前に進むこと自体が…彼らにとっての未来なんだよ。」
けど苗木には、不思議と彼らならそこにたどり着ける気がしているのだ。
それはそれとして、この島に元絶望達だけを置いて帰って来たなんて、本部のお偉方に知られたらただではすまない。
「隠ぺい工作、頑張らないとね…」
「そういう問題ではないだろう。」
「で、本部にはなんて説明する気なの?」
「それは…これから船の中でじっくり考えようかと…。」
「そう、頑張ってね。そこまでは私たちも手伝えないから。」
泣きつく苗木に、自分の判断を尊重してもらえただけ有難いと思え、と十神が叱りつける。
まだまだ自分達にもやるべきことが残っている。世界は未だに絶望から立ち直ってはいない。
「どうやら、もうしばらくはお前達と行動することになりそうだな…」
「あなたの帰りを待ってる人もいるしね。」
「…おぞましい事を思い出させるな。」
「じゃあ、行こうか…僕らも、僕らの未来を創っていかないとね。」
島を出ていく船を、日向は高台から見送っていた。
短く切った髪を、風が撫でていく。
事件は終わり、ここから、もっと不条理で荒唐無稽で理不尽で、もっと難しい日常が始まっていく。
それは道というよりは、今目の前にしている海に似ている。どこにでも行けるし、どこにも行けないかもしれない。
それでもここで、日向創として生きていく。
俺の未来は、ここにある。
<スーパーダンガンロンパ2 終>
生存者は日向、ソニア、左右田、九頭龍、終里の5人。そしてもしかして将来は15人。

35 :
ロンパ2乙です

36 :
ざっくりまとめると、、
1.江ノ島盾子が希望に敗れ自殺
2.江ノ島と苗木達の再戦の舞台を用意する為に絶望の残党が苗木達に接触する
3.仮想現実世界の中で自分達を殺し合わせ、それを餌に苗木を仮想現実世界の中に呼び込む計画実行
4.仮想空間内では絶望たちの記憶は消えるので、洗脳前の絶望達は必死で殺し合いを生き抜く←本編
5.苗木くん釣られクマー、仮想現実世界の中に絶望達を助けに来たけど、
 江ノ島さんと神座くんの二段構えの絶望に打つ手無くなる
6.主人公日向くん、ヒロイン七海の力を借りて神座を捻じ伏せて覚醒、才能解放
7.未来は創れる!ということで、洗脳前の絶望達が、江ノ島や自分達の用意した結末をブチ壊し、現実世界へ帰還
8.日向達5人は、この島で自給自足生活を送りつつ、
 人格を消されて脳死状態になっている仲間達を目覚めさせる手段を模索しながら暮らしていく。
という感じです。
クリア後に、もしモノクマの侵入が失敗していたら、という平行世界アイランドモードをプレイできます。
日向超高校級のフラグ建築士化、一周で5人まで同時クリアOKという修羅場必至の作業療法系ギャルゲーです。
以上でスーパーダンガンロンパ2終了です。支援ありがとうございました。

37 :
乙乙乙乙。すげー乙。
ダンガンロンパ2のストーリー読んでPSP買っちゃいそうな俺から乙。

38 :
絵見てロンパ欲しくなったけど、このスレのWIKIでストーリー読んで満足してしまった
2も今読んじゃったからもういいやw
おしおきも動画で全部見たし、時間の節約になったわ

39 :
やはりストーリーを知ると演出も知りたくなるから買ってしまうな
ついでに言うなら、オマケのギャルゲーが凄く気になるw

40 :
仲良くなってRをもらうゲームです(本当)

41 :
ストーリー書いといて何ですがロンパ2おすすめです。
6段階の親密度イベント×15人、各章の特定アイテム所持スチルイベ、
モノミになって機械の獣を倒すアクションゲーミラクルモノミ、
ボッチだらけの天才達と愛やら重い友情やらを結びまくるアイランドモード、
殺し合い学園生活で幸運と軍人が織りなす奇跡の全員生還劇ダンガンロンパIF
などなど、まだまだお楽しみが盛りだくさんです。

42 :
乙です
ストーリーの評判が良いから気になってたんだがソフトが高くて手が出せなかったんだよね
面白そうだしいつか遊ぼうっと

43 :
ロンパ2乙です
Ifも気になるけどIfは小説なんだっけか

44 :
ロンパさん乙です!
1の人が面白かったので2も同じ人に書いていただいてとてもありがたかった
わかりやすいし小ネタも面白かったです、最後は感動しました
ダンガンロンパゼロもゲーム化したから…ないか

45 :
乙です
補足しとくと七海の父は前作の超高校級のプログラマー不二咲千尋で
兄は彼が作ったプログラムアルターエゴのはず
見た目が似てる上に千尋と七海の誕生日が同じ3月14日
仲良くなると起こるイベントでもほのめかされてる

46 :
ロンパ2乙。1はベスト発売まで待ったが2は我慢できず発売日に買ったわ……
ストーリーの要点がすっきりきっちりまとめられててファンとしては嬉しい。
ちなみに今回は通信簿の会話から各キャラクターの絶望の理由がほのめかされてるが、
そっちについての補足ってやっていいんだろうか……
(どうしても書き手の主観が多くなるからイラネ、って場合はやめるし、
もちろん本編書き手さん本人が書くつもりならでしゃばる気はないが)

47 :
絶望の理由に関してはいまだに議論が分かれるとこもあって、
気になる人は自分で買って見たくなるもんだろうからそこまで必須でも無いとは思う
ストーリーとしてはまとめられているぶんで充分伝わるし、
裏話までやっていくとなるとさすがにキリが無いからね

48 :
ロンパさんお疲れ様です。ストーリーを振り返りたかったんですごく助かりました。
>>46
書いてもいいんじゃ無いかな。他の人がどんな風に捉えてるか知りたいし。

49 :
ここはストーリースレなんだから解釈はスレ違いでしょ

50 :
考察スレへ誘導
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/handygover/1346173709/

51 :
なんで狛枝は江ノ島が嫌いなのに、腕移植したの?

52 :
考察スレへ誘導
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/handygover/1346173709/

53 :
あのー、スーパーダンガンロンパ2なんですけど、
読み返してみたら、一つ段落抜かして投稿してました…愕然だわ…
しかも最終話に繋がる伏線のところだわ……
3話の、まるで発熱しているように罪木は熱かった。 の後ろに以下の文が入ります…

54 :
狛枝は高熱で錯乱してはいたものの、24時間看病をしてくれた罪木の様子は切れ切れに記憶があった。
そしてそこから、狛枝は彼の忌み嫌う絶望の気配を感じ取ったのだった。
同じ病による精神の錯乱から、罪木は絶望を求めるようになってしまったのだと狛枝は言うが、罪木はそれをあっさり否定した。
「私がこんなことをしたのは、私の“あいするひと”の為です」
彼女は、愛する人とやらへの盲目的で献身的な愛を、頬を染めて語る。
愛しいその人だけが、この世でたった一人罪木を許し、罪木を愛してくれるのだという。
「愛って、すばらしいですよ。他のものなんかどうでもよくなっちゃうくらい素晴らしいんです。
 絶望とか希望とか、正直どうでもいいです。」
既にこの世の人ではない愛しい君は、生きていたなら罪木のしたことを褒めてくれるだろうと言う。
…まさか、この口ぶりは…
「そうです。私は、ただ思い出しただけです。」

55 :
ごめんね…

56 :
ドンマイです!

57 :
予約していたDS「八つ墓村」を投稿します。

58 :
永禄9年、とある村に尼子氏の落武者たち8人が逃げ延びてきた。
村人は落武者たちが持っていた三千両の黄金に目が眩み、彼らを襲撃して首を刎ねた。しかし、肝心の黄金はどこにも見当たらなかった。
その後、襲撃の主導者だった庄屋の田治見庄左衛門が、突如発狂して暴れ回り、村人7人を殺して自害した。
落ち武者の祟りだと考えた村人たちは、武者たちの墓を立て、彼らを明神として崇めることにした。
そして村は「八つ墓村」と呼ばれるようになった。
昭和二十数年。
天涯孤独の青年・寺田辰弥は、自分が田治見家の跡取りだと知らされる。だが、辰弥の父・要蔵は異常な人物だった。
要蔵は妻子ある身で辰弥の母・鶴子を見初め、彼女を監禁し力づくで妾にした。やがて辰弥が生まれたものの、鶴子に恋人がいた事を知った要蔵は、鶴子と辰弥を虐待するようになった。
耐えかねた鶴子は辰弥を連れ、村から逃げ出した。だがそれに激昂した要蔵は、罪もない村人32人を惨殺してしまった。
八つ墓村の人々は要蔵の事件を忘れられず、辰弥が八つ墓村に来ることに不安を感じていた。
金田一は辰弥の依頼で、彼と共に八つ墓村へ向かう。

59 :
そして辰弥が村に現れた途端、殺人事件が次々と発生。犠牲者たちに何の共通点もない無差別殺人のようだった。
迷信深い村人たちは、要蔵の子である辰弥を疑う。だが、異母姉の春代と従妹の典子は辰弥を信じていた。そして辰弥は母が隠した手紙から、自分が要蔵の子ではないと知る。
犯人の目的がまるで分からず、警察の捜査は行き詰まる。村人たちは疑念と不満を募らせ、ついに辰弥を私刑にかけようと襲撃する。
辰弥は鍾R洞に逃げ込むが、春代までもが何者かに殺されてしまった。

60 :
真犯人は森美也子。彼女は田治見家と並ぶ村の名家・野村家当主の弟の嫁。
犯行の動機は、典子の兄・慎太郎と結婚する事である。
美也子は慎太郎と相思相愛だったが、美也子が亡き夫の遺産で裕福なのに対し、慎太郎は戦後落ちぶれて一文無し。実直だが気位の高い慎太郎は、美也子に求婚することが出来なかった。
美也子は、慎太郎に田治見家を継がせれば、彼が堂々と自分に求婚してくれるだろうと考えた。
だが春代を除く田治見家の人々は、人格者の慎太郎を疎んじており、彼に跡目を譲りたくないばかりに辰弥を捜し当てる程だった。美也子は邪魔な田治見家を皆殺しにしようと企む。
彼女は目的をカモフラージュする為、無関係な人々まで殺して無差別殺人に見せかけた。そして村人たちの心理を巧みに扇動し、彼らに辰弥を襲わせ抹殺させようとしたのだった。
結局、春代が死に際に噛みついた傷が化膿し、美也子は壮絶な病死を遂げる。
辰弥は田治見家を慎太郎に譲り、鍾R洞の中で見つけた三千両の黄金を持って村を去る。
慎太郎は田治見家の財産を元手にして村に工場を建て、村人たちの迷信深い思想を近代化し正そうとするのだった。

61 :
辰弥の本当の父は、僧侶の英泉。元は亀井陽一という教師で、鶴子の恋人だった。
彼は要蔵の事件に責任を感じ、村を去って僧になった。よその出身だった上、過酷な修行が彼の容貌をすっかり変えてしまったため、村の人々も彼の正体に気づかなかった。
英泉は一目見て辰弥が自分の子だと気づいたが、辰弥の性格を知らないばかりに、彼が事件の犯人なのではと疑ってしまい、父と名乗れずにいたのだった。
典子は辰弥に一目惚れし、いかなる時も彼の味方だった。辰弥は彼女の愛に応え、二人は結婚する。
慎太郎は三千両を掘り当てて美也子と結婚するつもりだったが、事件の真相を知り、心に傷を負ってしまった。彼は生涯独身を貫くことを決め、いずれ辰弥と典子の間に生まれるであろう子供の二人目を養子に迎えることにした。
しばらくして金田一の元に、典子が妊娠したという吉報が届いた。
(END)
※「三千両を発見する」「辰弥の実父が分かる」「典子と結婚」の三つは、ゲーム中でフラグを立てることにより追加されるイベントです。
発生させなくてもクリア可能ですが、全て見るのが原作と同じエンド。
また、ゲームでは金田一の依頼人は辰弥ですが、原作での依頼人は美也子の義兄です。

62 :
今日はここまで。バッドエンドは後日投稿します。

63 :
乙です!
バッドエンドも楽しみに待ってます

64 :
八つ墓村の人乙です。
以前煉獄&煉獄弐を書いた者ですが、
改めて内容を見返してみたら見るに絶えない内容なのと
公式サイトが見れなくなってしまったのでもう一度書き直そうと思います。
書き上がったら直接編集するかそれが無理なら差し替えスレッドに投稿する予定です。

65 :
極限脱出ADV 善人シボウデスを予約します。
未解決リストでは3DSですが、自分がプレイしたのはVitaの方です。

66 :
>>64
書きあがったらスレに報告とかよろしく

67 :
乙、そして保守

68 :
書き手のみなさん乙であります

69 :
八つ墓村の人おつです
昔原作読んだけど、主人公が典子に初めて会った時
「アホやなーこいつ、これで顔が可愛かったら同情心もわくんだけど
ぶっちゃけ醜いから生理的嫌悪感しかわかんわ……って俺も現金な奴だぜ」
みたいなこと考えてたのに、
後半で典子が「お兄様お兄様」とべたべたしてくるようになると
「こいつよく見るとかわいいじゃねーか///」
と真逆の感想になってて、
この主人公いい加減すぎだろ、と呆れた記憶がある

>>64
書いた二作、前に読みました
期待してます

70 :
ええええその感想はおかしくね?
懐かれても「不細工うぜー」だったらRくさすぎる。

71 :
ある程度遺産への下心もあったし、人間味のある奴だと思ったけど

72 :
*決戦の間・五十八*
蛇恍院、何処からか総帥の声が響き渡る。
大納「須恵家が滅ぼされてからの長き戦い、今こそ終結の時を迎えた。
踏みにじられた我々の恨みを晴らすその使命に耐えられるか、どうか…お前の腕、見せてみろ!」
五十八「お任せを。」
捨陰党の忍が現れた。
5人程、始末すると総帥の声がした。
大納「確かに、お前の腕、認めよう。鳴鏡館へ向かえ! 我々の太刀、夕霧を取り戻すのだ! 師範代の居ない鳴鏡など恐るるに足らん!」
五十八「皆の者、安心せい。」
船着き場、刺客を4人程、始末。
墨流が現れた。
五十八「捨陰の恨みをワシが晴らす!」
「私、墨流。御門サンガ名前、付ケテクレタ。」
攻撃をかわし、始末。
五十八「フン、この程度か!」
五十八「この辺りで鳴鏡の奴を見かけたような気がしたが…何処へ行きおった!? しかし、ワシの目の黒いうちに積年の恨みを果たす事が出来ようとは…嬉しい事よ…。 !? 誰じゃ!?」
本郷が来た。
本郷「よう、爺様! 引退したんじゃ無かったのかよ。」
五十八「本郷か。何を言っておる! こんな大事な時にこのワシが居なくてどうする!」
本郷「大丈夫かあ? 俺を教えていた時とは訳が違うぜ! 腕は認めるけどよ。」
五十八「何が認めるだ? フン、年寄り扱いしおって! あー、もっと厳しく躾るべきだったかのう。今からでも遅くは無いぞ!」
本郷「いくらでも相手になるぜ…が、どうやらお客さんらしいな…。行くぜ!」
そう言って駆け出す本郷とそれに着いてくる五十八。
(ここから本郷にバトンタッチ)
ジャックビル屋上、刺客を5人程、始末。
御門が現れた。
本郷「行くぜ!」
御門「この御門がお相手です!」
素早い攻撃をかわし、始末。
本郷「後は、任せるぜ…!」
(ここから五十八にバトンタッチ)
産廃処理場予定地、ホッキョク・ツバメが現れた。
五十八「これはまた、随分と薹の立ったおなごじゃのう。」
ツバメ「フン、このツバメが爺様の相手とはねぇ!」
タックルして、始末。
ツバメ「夕霧で…お前達、捨陰党の怨念を解放しようというのか…?」
五十八「怨念? ふざけるな! ご先祖の鎮魂の為じゃ!」
続きます。

73 :
続きです。
鳴鏡館道場、刺客を3人程、始末。
風閂が現れた。
五十八「夕霧はワシが頂く。」
風閂「取れるもんなら取ってみな。来なっ!」
攻撃をかわしつつ、始末。
「漸く…漸くじゃ…!」
そこに源五郎が来た。
源五郎「落ち着いてる暇はありませんよ!」
五十八「おお、源五郎! お前も来たか。流石にワシが鍛えた男は違うのう!」
源五郎「そんな呑気な事を…これ以上は五十八殿には危険です。後は私にお任せ下さい。」
五十八「これしきの事、何でも無いわ!」
源五郎「第一、神社に向かってる割りに方向が違いますよ…ん? そんな話をしている場合では無さそうですね…来ますよ。
私が戦う間、夕霧をお願いします!」
五十八「おい! どいつもコイツも年寄り扱いしおって…!」
(ここから源五郎にバトンタッチ)
迷ひ橋、刺客を5人程、始末。
辰美が現れた。
源五郎「ん? お前は…まさか!?」
辰美「悪いけど…夕霧、返して貰うよ!」
どうにか攻撃をかわし、始末。
源五郎「五十八殿…! 行ってしまわれたか、全く…。」
(ここから五十八にバトンタッチ)
踏鞴神社参道、刺客を4人程、始末。
空蝉が現れた。
五十八「空蝉とか言ったな…会ってみたいと思っておったぞ…!」
空蝉「おお、お主、お互いそろそろ最後の戦いにしたいものよの!」
どうにか攻撃をかわし、始末。
五十八「ん!? 神社へ急がねばっ…!」
続きます。

74 :
支援〜

75 :
続きです。
踏鞴神社境内、神主が待ち構えている。
五十八「我ら捨陰党の願い、遂げさせて貰おう!」
玄鷹「長い間、鳴鏡と共に守り続けてきた鏡家の血筋、終わらせる訳にはいかない!」
ギリギリまで間合いが縮まってから始末。
玄鷹「は、早く…お逃げ下さい…!」
五十八「奥か…!」
神社本殿に向かった。
踏鞴神社本殿、死装束を身に纏った女性がいた。
五十八「お主が、お主がそうなのか?」
已綱「来ましたか…。」
五十八「そうか…ここに来るまで長い時を掛けてしまったのう。覚悟するが良い! 須恵家の恨み、漸く晴らせるぞ!」
夕霧を手に迫るが、彼女は全く戦う意思が無い…。
已綱「そう…貴方達の目的は貴方達の夕霧で私を斬り、血を絶やす事…。800年前に私達の先祖、鏡家は同志であった須恵家を裏切り、滅ぼした…。
長い間、積み重ねられた須恵家の恨み、晴らす方法は一つしかないようです…。さ、鏡家の末裔の…この私をお斬りなさい…。」
彼女は何もして来ない…。
どうする…?
続きます。

76 :
*ED・斬る*
五十八は彼女を斬った。
已綱「うっ…!」
断末魔を上げ、倒れる。
已綱「ひたすら…意味も無く、守り続けてきた鏡家の血も…今、私が絶える事で…全て、終わらせる事が…出来る…。」
彼女は息を引き取った。
五十八「そう…か…。随分と昔から覚悟を決めておったようじゃのう…。ワシも随分と昔から、お主を斬る事しか考えておらんかった…。
ワシもそう遠くないうちにお主の所へ逝く事になるじゃろう。その時は、同志として語ろうぞ…!」
*ED・本殿を去る*
五十八は彼女を斬らずに、本殿を出た。
五十八「30年前のワシじゃったら、勢いに任せて斬っておったかも知れんのう…。しかしじゃ、捨陰党たる者、無抵抗の者を斬る等とは言語道断じゃ! これで良い、良かったのじゃあ…!」
以上です。
次はウタマルです。

77 :
ブシブレ弐さん乙です
プレステ3のアスラズラースをどなたかお願いします

78 :
東京トワイライトバスターズ 〜禁断の生贄帝都地獄変〜 を投下します。
どこを削るべきか迷いましたら長くなってしまいました。スマヌ。何日かに分けて投下します。
背景としては大正十二年の帝都 東京が舞台で魔法やゾンビ等が登場します。
【補足】
・二章以降は基本的に祥と由貴以外の協力者を二人同行させる事ができます。
 この投稿では戦闘に有利になりそうなサブキャラクタを重視して同行させています。
・二章以降に聞けるランダムな情報はカット(警視庁で鬼瓦と帝日新聞社で三珠記者から琢磨と由貴に関係のありそうな情報)
・探索、鍵開け等は省略化。
・カナンフィーグの書で由貴が魔法を覚える所もカットしてます。

79 :
【序章:邂逅】
 暗い地下水路の奥の独房に幽閉された少女由貴は自分の名前や何者で、どうしてここにいるのか忘れてしまっていた。
時折、夢の中で自分の事を励ます声だけが生きる支えになっていた。
 ある日、考古学者の草薙琢磨が兵士の隙をついて由貴の独房に侵入して連れ出す事に成功する。
その時、由貴は自分の名前を知る事になる。
琢磨は逃げる途中に由貴を幽閉した組織に奪われた写真と想い出が沢山詰まったロケット(首飾り)を見つけ奪い返す。
 一方、気絶させられた兵士が目を覚まし組織の頭領である仮面の男へ侵入者が入ったと報告する。
仮面の男は西洋の魔道士の様なローブをまとった人物。仮面の男は犯人の目星はついているし、
地下には忠実な番犬を放ってあり直に死体として見つかると笑みを浮かべる。
 琢磨には一人の協力者の男が居た。琢磨と由貴は物陰に隠れて追っ手から見つからないように合流を目指す。
急に由貴が絶望感で足が進まないと言い出し座り込んでしまうと辺りに獣の咆哮が響き渡る。
そこへ仮面の男が現れる。仮面の男と琢磨は旧知の仲だった。
「私達の大切な巫女は返していただきますよ。」
仮面の男は掌より閃光を放つと少女は倒れ込んでしまう。
琢磨が襲いかかろうとした時、背後にはこの世のものとは思えぬ巨大な化物が大きな口を開けて襲い掛かってきた。
辺りには琢磨と由貴の悲鳴と仮面の男の大きな笑い声が響く。

80 :
【オープニング】
西暦1923年 大正十二年―――
 私はこの年に起こった出来事を、決して忘れる事はないだろう。
懐かしい思い出と狂気に満ちた記憶が同居した、あの時代の事を…
 私は今までこの事を伏して生きてきたがここにその事実を貴方に伝えようと思う。
願わくば、この事実を警告として、後世の人々に語り継いでくれる事を祈って…
―――大正十二年の夏。
 私が当時十五歳の少年で、イギリスの叔母に預けられてから三年後のことである。
私の元に考古学者である父、草薙琢磨が行方不明になったと書かれた手紙が届いた。
 突然のことに驚いた私は身辺整理もほどほどに、空路経路と航海経路を使用して故郷「帝都」へ帰国を果たす。
 「父はどこかで必ず生きている」
 そうひたすらに祈りながら―――
大正十二年、帝都では謎の変死が相次ぎ、新聞の一面を飾っていた。
解決の糸口も見えず捜査が暗礁に乗り上げる中、少年とその仲間達が事件の裏で蠢くものに敢然と立ち向かう―――
東京TwilightBusters 〜禁断の生贄帝都地獄変〜
【登場人物】
・草薙 祥(くさなぎ しょう):主人公の少年。イギリスへ留学している。頑固な性格は親譲り。母親とは幼い頃に死別。
・由貴(ゆき):地下施設に捕らえられている記憶を失くした少女。
・草薙 琢磨(くさなぎ たくま):主人公の父親で帝国大学に勤める考古学者。体格も良い。頑固者。
・帯刀 杢念(たてわき もくねん):草薙家に使える執事。老齢ではあるが柔道家で体力には自信がある。
・麻生 沙夜子(あそう さよこ):琢磨の秘書の若い女性。琢磨に淡い思いを抱いている。祖父は琢磨と同じ大学へ勤める教授。
・鬼瓦 権造(おにがわら ごんぞう):警視庁に勤める警部。熱血漢の頑固者で琢磨とは親しい間柄。
・氷室 京一郎(ひむろ きょういちろう):帝国陸軍の少佐。冷静な性格で琢磨とは親しい間柄。
・ヒルデリカ リヒテンシュタイン:ドイツ人の若い女性。見世物一座の座長。口は悪いがお人好しで美男子が好き。
・九条 静(くじょう しずか):祥の幼馴染の少女。父の忠重は警視総監。祥は彼女をお静ちゃんと呼んでいる。
・鈴 麗華(りん れいか):若い女性の中国人。風水法百余派の宗家の鈴家の主。

81 :
【第一章:〜父の遺言〜 1】
 大正十二年、七月末に草薙祥を乗せた定期船が帝都東京の芝浦港に着いた。
船を降りた祥は、代々草薙家の執事を勤めている帯刀杢念と再会し、車で屋敷へと送ってもらう。
 移動中、帯刀はこれまでの経緯を祥に説明する。
草薙琢磨が屋敷を出たのは七月一日の深夜『帰りが遅くなる』と電話があり、それから三日経っても連絡がない。
妙な胸騒ぎを覚えた帯刀は、念の為、警察に捜索願いを出すが、捜索が開始されても琢磨は見つからず、
七月十日を以って捜査を打ち切られてしまったらしい。現在警察は動いていない為、今後頼ることは出来ない。
琢磨の人間関係については詳しくないが、元々よく海外で過ごしていたので、日本での友人は少ないと思う。
ただ、友人ではないが二年ほど前から雇った秘書なら何か知っているかもしれない。
今日は遅いから明日会われてはどうかと祥へ提案する。
草薙邸に到着した二人。祥は今日は休みを取って、明日より捜査を開始する事にした。
 八月一日 午前七時。祥は帯刀に起こされた後、昨日話していた秘書の居場所である帝国大学にある
琢磨の研究室の事を聞き出し、帯刀に留守番を頼み帝国大学へと向かう。
 帝国大学についた祥は琢磨と同じ考古学教授の麻生教授と出会う。琢磨はこの麻生教授の元で学問を学び、
少し前までは同僚であった事、琢磨の秘書を務めている孫娘の沙夜子も心配している事やその居場所を教えてもらう。
祥は麻生教授に礼を述べて、琢磨の研究室へと向かった。
 帝国大学研究室。ここは、祥の父である草薙琢磨の私室兼研究室。祥はこの部屋に居た麻生沙夜子と出会う。
琢磨が失踪した手掛かりは以前掴めていないらしい。
 祥は琢磨が失踪する前、何をしていたのか教えてもらう。琢磨は十五年前にチベットの研究旅行中に見つけた
未知の遺品を手にした事をきっかけに、未知の超古代文明が存在していた仮説を唱えていた。
発掘した品の一つは、考古学研究所に居る麻生教授が鑑定中だという事だった。
また、陸軍の将校が面会に来た事があったけど用件は掴めていない。
祥は沙夜子に礼を述べて、考古学研究室へ移動。麻生教授と再開する。
 祥は麻生教授から、もう何年も前から琢磨に鑑定を依頼された壷の解析資料を代わりに受け取ってもらいたいと渡される。
壷自体は三ヶ月前に琢磨が必要だからと持って行ったそうで、その壷は何故か年代測定ができない代物であり、
どの文明に属する代物なのか全く検討がつかなかった。壷に施されている紋様…いや、文字かもしれないものも
解読が困難で何年も研究時間を費やしてもわからなかったもの。もしかしたら、琢磨が唱えている仮説の代物かもしれないと言う。
祥は麻生教授から二…三ヶ月前に警察の捜査に協力した話を聞く。
琢磨がなぜ警察に協力していたのかはわからないが、最初に「お」がつく警部と協力していたらしい。
また、実はここだけの話、沙夜子は琢磨君に惚れている事を教えられる。
麻生教授は仲介役として琢磨に再婚を勧めたが、琢磨は堅物でそんなつもりは毛頭ないとの事だ。
琢磨と沙夜子のRは二年前で元々、琢磨の授業を聞きに来た事が始まりだと言う。

82 :
【第一章:〜父の遺言〜 2】
 麻生教授から聞き取りを終えた祥は自宅へと戻る。
執事の帯刀は琢磨の書斎を整理する最中に封が切られていない手紙を見つけたようだ。
祥は手紙を受け取り封を切って読んでみると、六月一日に鬼瓦権造という警察関係者が、予てよりお尋ねの少女に関して
調査結果報告の為、一度警視庁まで来て欲しいという内容だった。
鬼瓦は琢磨の捜査を担当している殺人捜査課の警部で、琢磨とはかなり親しい間柄だった。
「この人なら父さんの行方を掴んでいるかも知れない…」
 祥は警視庁で鬼瓦と面会し、父の事について教えて欲しいと話しだす。
警察が捜査を打ち切ってしまったが、自分一人でも父の行方を探し続けようと思い、
以前まで担当していた警部から何かお話を聞ければと思いと伝えると、鬼瓦は激高し祥を留置所へ連れ出す。
 留置所へと連れ込んだ鬼瓦は祥と口論する事になった。
「二度とここに来てはいかん。親父さんの事はきれいさっぱり忘れてしまえ…わかったら帰れ…
この件は警察だけでなく特別高等警察や憲兵隊までもが血眼になって探している。
この件は我々に任せて、家でおとなしくしとれ…決して悪い様にはせん。」
祥は、父と親しかった警部は捜査が打ち切られた後も一人で探してくれてると聞いたからきっとわかってくれると信じて来た事、
一人でも探し出してみせる意気込みを見せると鬼瓦も観念して、できるだけの事は協力すると約束してくれた。
 祥は父の書斎の手紙に書いていた女の子の話について尋ねる。琢磨は数年前からある女の子を捜していたらしい。
歳は十五歳くらいで色白で背丈は祥と同じくらいで、なぜ琢磨はその女の子を捜していたのかはわからないそうだ。
 警視庁より外へ出た祥は他にも情報が欲しいと思い街の人へ聞き込みを開始する。
秋葉原の通りを歩いて行くと通りの奥の雑貨屋で沙夜子とR、聞き込みに協力してくれた。
 二人は太平町へと足を運ぶ。この辺りは住宅地のようだ。
琢磨が失踪する二日前この辺りで琢磨を見かけた生徒が何人かいたらしい。
通りの奥の工場のような古く錆び付いていた建物はの前に陸軍の兵隊が三人見張っていた。
本所区には陸軍の駐屯地は無いはずだ。一体、なぜここに居るのだろう?
少し離れた場所で鬼瓦警部も祥と同様に兵士達の様子を伺っていた。
鬼瓦は最近、この工場に帝国陸軍の一部の将校達が集結し始めているという情報を受けて見張っていたそうだ。
上司からの命令で明確な目的は不明だという事だ。もしかしたら反乱分子かもしれない。
あと数分で交代要員が来るから、これから草薙教授の捜索をしようと思っていると祥へ伝えると鬼瓦は去ってしまう。

83 :
連投の為、続きはまた今度

84 :
ほすほす

85 :
乙です。これ、やってみたいけどプレミアついてて高いんだよね。
楽しみです。

86 :
まとめるのに時間がかかってしまい、大分間が空いてしまいました。
その間にまとめサイトにまとめてくださった方、次スレ立ててくださった方、
ありがとうございました。
第4章いきます。

87 :
■第4章 闇の戦場!アングラビシダス!!
数日後、ミソラ第二中学校にて。クラスは転校生がやってくるとの話題で持ちきりだった。
先生が言うには、転校生の名前は「海道ジン」。ただし少し遅れているようでまだ姿を見せない。
すると突然耳をつんざくような音が。聞いたこともない音にクラスがどよめく。
外からだ!とクラスメートが指差した窓の外を見ると、1機の戦闘機がこちらに向かって
高速で飛んでくる。物珍しさに思わず窓に張り付くクラスメート。
戦闘機は学校にぶつかる直前で急旋回すると、ホバリングしながらバン達のいる教室の前に近づいてきた。
ハッチが開くと、中から姿を見せたのは赤い瞳の少年。彼こそが転校生の海道ジンだった。
度肝を抜かれるクラスメート&先生。バンはジンと目が合ってしまう。
操縦していた執事は「行ってらっしゃいませ、おぼっちゃま」とジンを見送った。
(●赤い瞳の少年=海道ジン:熱血主人公とは正反対の無口、冷静と絵に描いたようなライバルキャラ
黒髪に一部白いメッシュを入れたかのような髪の色だが、全部地毛
●執事:海道家に仕えるのっぽで素敵なおじいちゃん
海道ジンの事を「おぼっちゃま」と呼び、大切にしている)
海道ジンはとにかくクール。ただしちょっと変わっていて、先生に自己紹介を促されても
「話す事はありません」と答えて先生を困らせる始末。
LBXやってるの?と聞いてもさっぱりで、自身の事はあまり詮索されたくないし
周囲にもあまり興味を持たない様子。
放課後の教室にて。バン、アミ、カズはそんな風変わりな転校生の事も気にしつつ、
これからブルーキャッツに行ってアングラビシダスの事を聞こうと言って教室を出る。
「アングラビシダス」の単語に思わず反応するジン。
喫茶店ブルーキャッツにて、檜山からアングラビシダスについて聞くバン達。
アングラビシダスはトーナメント方式の個人戦。ルールは何でもアリ、違法アイテムも違法改造も
破壊もOKの闇の大会。
しかも次の大会では、優勝者はLBX世界大会であるアルテミスへの出場権も与えられるという。
アルテミス出場を巡って何時もよりも激しいバトルが繰り広げられるだろうし、イノベーターから
送り込まれた刺客がバンのLBXを破壊しに来るだろう。それにアングラビシダスで優勝しても
淳一郎が100%解放される保証はない。それでもバンはアンブラビシダスの参加を表明。
アミやカズも参加すると言い出した為、檜山は「参加手続きはこちらでしておく」と承諾する。
次のアングラビシダスは1週間後。早速キタジマ模型店で特訓しようとするバン達に対し、
檜山達は「一度会場を見ておいた方がいい」と勧める。
拓也に連れられ、ブルーキャッツの一角の開かずのドアを開けて地下へ続く階段を下りるバン達。
しばらく進むと、コロッセオのような装飾の広い室内が見えてきた。
アングラビシダスの会場は喫茶店ブルーキャッツの地下にあり、ルール無用と言わんばかりに
下品な言葉の野次が飛んでいた。観客もガラの悪い人が多く、まさに世紀末状態。

88 :
会場のフィールドではLBXプレイヤーがフリーバトルを繰り広げており、その中に海道ジンの姿もあった。
ジン1人と彼の黒いLBXジ・エンペラー1体に対し、相手は3人の操る3体のLBX。
あっという間にLBXジ・エンペラーは3体の敵LBXに囲まれてしまった。
と、次の瞬間。目にもとまらぬ速さでジンはCCMの操作をすると、あっという間に3体のLBXを同時破壊。
ジンは一瞬で勝負をつけることから「秒殺の皇帝」という二つ名を持っていた。
呆然とする相手を余所に、ジンは静かに会場を下りていった。
ジンの実力も目の当たりにし、凄い!面白くなってきたと盛り上がるバン。
そんな彼らを、高い位置の観覧席から見下ろす背丈の高い紫髪の少年の姿があった。
(●LBXジ・エンペラー:海道ジンが操る、マントを羽織った厳つい皇帝のような風貌の黒いLBX
バンのLBXアキレスとはカラーリングも対の存在、ちなみに神谷工業製)
それからバン達はキタジマ模型店の店長に頼み込み、アングラビシダスに向けて特訓を始めることに。
練習相手の店長が操るLBXに苦戦するバン達。あれ?そう言えば沙希さんはLBXやらないんですか?と
バン達が聞くと、途端に店長が「その事は聞くな!ダメったらダメだ!」と派手に取り乱す。
何だ?と訳も分からずに顔を見合わせるバン達。
キタジマ模型店のみならず。路上でのフリーバトルでも練習を重ねるバン達。
その様子を、背丈の高い紫髪の少年が興味深そうに見ていた。
ある日、バン達がキタジマ模型店で特訓していると、リコ、テツオ、ギンジの3人がやってくる。
ゲーセンにいる郷田が呼んでいるからついて来いと言われ、リコ達について行くバン。
その途中でエージェントにバトルを吹っかけられたりもしたが、特訓を重ねたバンの相手ではなく
あっさりと下す。負けたなら撤収!とダッシュで逃げるエージェント。
そしてバン達がゲーセンに着くと、そこでは郷田が信じられないような物を見るような顔で膝をついていた。
LBXフィールドの中には無残に破壊されたハカイオーと、1体の不気味な黒いLBXジョーカー。
そして郷田をあざ笑うように見下ろす背丈の高い紫髪の少年。彼がLBXジョーカーを操り、郷田を破ったらしい。
彼の名は仙道ダイキ。ミソラ第一中学の3年生の番長格で、郷田とは性格や信条の食い違いから
しょっちゅう仲違いを起こしているらしい。
郷田の仇を取るために仙道にバトルを挑むバン。承諾した仙道が手元から引いたカードは「死神」。
お前は切り刻まれる、そして俺にひれ伏すのだ!と狂気じみた笑みを浮かべる仙道。
(●背丈の高い紫髪の少年=仙道ダイキ:ミソラ第一中学3年生の少年。
友情や義理を大事にする郷田とは違い、一匹狼で自分が勝つためなら平気で他人を利用する。
使用LBXはジョーカー。LBXの腕も中々のもので「箱の中の魔術師」の二つ名を持つ。
タロットカードも趣味で、事あるごとにカードを引いては預言めいたことを言う。
●LBXジョーカー:道化師のような外見のLBX、非常に癖が強く使いにくいらしい)
仙道&LBXジョーカーとバン&LBXアキレスのバトルが始まる。
仙道が引いたカードは「愚者」。動きが単調、愚の骨頂。お前の動きは見切ったと言わんばかりに
LBXアキレスの攻撃をするりするりとかわしていく。
そして仙道が「魔術師」のカードを引くと、「魔術師の本気を見せてやる!」と叫ぶと同時に
素早く動き回っていたLBXジョーカーが3体に分身した。
分身した3体のLBXジョーカーから集中攻撃を喰らうLBXアキレス。壊される!と思った瞬間、
突如LBXジ・エンペラーが乱入してLBXジョーカーの動きを止めてしまう。
登場したのはジン。君もアングラビシダスに出場するなら、そこで決着をつけた方が
目立つだろと仙道に言い、仙道も納得してその場は引き上げる。
去り際、仙道はジンに向かって「お前も出るなら潰されないように気を付けた方がいい」と言い放つ。
ジンも何も言わないまま、無言で去っていく。

89 :
残されたバン達。仙道とジンの乱入ですっかり忘れていたが、郷田はアングラビシダスに出場する
全選手のデータをまとめた情報端末をバンに渡すために呼んだのだった。
情報端末を受け取るバン。郷田によると、バンに渡すようある人物に頼まれたらしい。
アングラビシダス当日。ブルーキャッツの地下会場に到着するバン達と拓也(保護者代わり)。
ざわめく会場の中心にスポットライトが当てられ、主催者と思しき男が開会宣言を叫ぶ。
「俺はレックス!諸君、俺の名の元に試合ができることを光栄に思え!
破壊の祭典アングラビシタスへようこそ!」
しかし服装は違えど、主催のレックスと名乗る男性は檜山そのもの。
何時も喫茶店で見ていた穏やかな立ち振る舞いとは正反対のレックス(=檜山)の様子に
バン達は驚きを隠せない。
トーナメント表も発表され、バン、アミ、カズは全員違うブロックに振られることに。
参加者の中にイノベーターの刺客がいるかもしれないと警戒しつつ、お互いトーナメントを
勝ち抜くことを誓い合う。
バンは順調に勝ち抜進み、次の準決勝の相手は仙道ダイキ。
前回と変わらないLBXジョーカーによる3体分身攻撃に押されてしまう。すると突然Vモードが
発動し、バンのLBXアキレスが金色に輝きながら暴走してしまう。
そして3体に分身していたはずのLBXジョーカーは、3体ともそこに存在したまま立ちすくんでいた。
仙道ダイキの分身トリック。それは仙道自身が3体のLBXを同時に扱っていたというものだった。
最初こそ暴走したLBXアキレスの勢いに圧倒されかけるものの、バンのCCMの操作を受け付けず
自律プログラムで行動しているのだと気づくと、自律行動特有の行動パターンを見抜いて
反撃に出る仙道。LBXアキレスも操作できないしどうしようもない……と思ったその時、
バンのCCMに「これはパンドラからの贈り物だ」というメッセージ付で何かのプログラムが送られてきた。
バンがふと見回すと、観客の中にパンドラを肩に乗せて試合の様子を見守る男性がいた。
帽子を目深に被っている上、サングラスをしているので顔はよく見えないが……。
一か八かと勝負に出て受け取ったプログラムを実行するバン。プログラムをインストールすると
「ですトロイファンクション解除 コントロール可能」と表示され、Vモードが発動したままの
LBXアキレスを操作できるようになっていた。
コントロールできるようになったLBXを操り、LBXジョーカー3体を撃破し勝ち上がるバン。
一方試合の様子を見ていた拓也もバンの様子の異変に気づき、バンが見ているだろう先を見上げてみた。
目が合う拓也とサングラスの男性。驚く拓也、気まずそうに顔をしかめるサングラスの男性。
拓也は慌ててサングラスの男性を追いかけるが、いつの間にかサングラスの男性はいなくなっていた。
一方、バンが勝った会場にて。最後に仙道に「お前がイノベーターの刺客か?」と聞いてみるが、
仙道は「俺が誰かの命令を聞くものか。俺に命令できるのは俺だけだ」と言って立ち去ってしまう。
会場を去る直前、仙道が1枚のタロットカードを落とす。落としたのは「星」のカード。
「友情?……くだらねぇ」カードを拾うと、仙道はそのまま会場を後にした。
(●サングラスの男性:LBXパンドラを連れた、スーツを着こなした中年くらいの男性
サングラスやハットで顔はよく見えないが……?)

90 :
そして決勝戦。相手は海道ジン。カズやアミは途中で敗退してしまった。
試合前の会話で、ジンは自身がイノベーターの刺客だと認めた上で、この試合でバンのLBXを破壊し
プラチナカプセルを回収するとバンに宣戦布告。もしバンが勝ったら、バンが望む情報を教えると宣言した。
かくして始まった決勝戦。2人とも善戦し一歩も譲らない。お互いに必殺技を繰り出しては
かわしての繰り返し。ジンは目にもとまらぬ手つきでCCMを操作する。
バトルも白熱してきた頃、突然LBXジ・エンペラーの動きが停止してしまう。
ジンのCCMの入力速度にLBXの方がついていけず、CPUがエラーを起こして停止してしまったらしい。
少し閉まらない終わり方だが、今回のアングラビシダスの優勝者はバンに決定。
去り際、ジンはバンに耳打ちするように「ポイント579−934、君の欲しがっていた情報だ」と呟いた。
夕日が差し込む広い室内。全面ガラス張りの窓からは街並みが見下ろせる。
その室内には外を眺める海道義光が1人。そこへ突然ドアが開く音がして、苺鼻の男性が
畏まった様子で部屋に入ってきた。「海道先生!お孫さんが……」と言いかけた時、
突如鳴り出す義光の携帯電話。苺鼻の男性を一旦控えさせ、義光は電話に出る。
電話相手はジンだった。ジンは義光にアングラビシダスで敗れたことを詫び、
そしてバンに淳一郎の居場所を教えたことを淡々と報告した。
通話が終わると、義光は背後に控えていた苺鼻の男性に「沢村、次のプランに移行する」と声をかけた。
(●苺鼻の男性=沢村宗人:角ばった顔つきに苺鼻、趣味の悪いゴツい指輪が特徴の中年男性
TO社役員でありながらイノベーターの内通者でもあり、第2章序盤のTO社役員会議で
LBXアキレスの設計図をこっそりダウンロードしてたのはこの人)
アングラビシダス終了後、喫茶店ブルーキャッツにて。バン、アミ、カズとレックス、拓也はいた。
バンがジンから聞いた情報を元に檜山と拓也が位置を割り出す。
場所を知り思わず閉口する2人。その場所とは、海道義光の自宅。
先進開発省大臣であり海道財閥の総帥である海道義光こそがイノベーターの黒幕だった。
そして海道ジンが海道義光の孫であることも拓也の口から語られる。。
どうやらここに淳一郎が捕まっているらしい。海道邸は何処よりもセキュリティが厳しいだろう。
綿密に計画を立てなければ淳一郎の救出は難しいと頭を抱える彼らの元に
「私も手伝わせてもらえないかしら?」と女性の声と来店の音がする。
振り返り、その女性を見て驚くバン。彼女はバンにアタッシュケースを預けた人だった。
レックスと拓也も「石森里奈!?無事だったのか!?」と驚く。
「海道邸のデータならここにあるわ」と里奈が見せたのは、データの入ったUSBだった。
(●石森里奈=眼鏡で長髪の女性:バンにAX-00が入ったアタッシュケースを渡した人
レックスや拓也と面識があるらしい)
第4章、終了。

91 :
余談。
仙道の持ち歩いているタロットカードですが、絵柄は殆どがLBXモチーフで、
その絵も凝っていてかっこいいです。個人的にこのカードを商品化してほしいくらい。
あと個人的に仙道の声はセクシーだと思う。(CV:勝杏里)
それと檜山蓮=レックスですが、アングラビシダス以降バン含む子供達は「レックス」呼び
しているので以降「レックス」で統一します。(大人達は「檜山」呼びしてますが)

92 :
ダンボールの人乙です
仙道さんは一品もののLBXもタロットにしてしまうすごい人

93 :
東京トワイライトバスターズの人乙です!
御神楽少女探偵団みたいで面白そう
御神楽少女探偵団の方が後なんだろうけど
>>85
2010年にDS版が出てて、そっちは安いみたい

94 :
【第一章:〜父の遺言〜 3】
 二人は聞き込みを再開し、麻布十番通り、帝大付属病院、そして乃木邸付近へと足を運ぶ。
琢磨は乃木邸へ来た事があるらしい。聞き込みを行おうとした祥は門前に立っている男性を見つける。
その人は二人の姿を見てやや驚きの表情を見せた後、ゆっくりとした歩調で歩み寄ってきた。
茶色の帝国陸軍の軍服を着込み方には金色の星の階級章…
軍隊の知識の薄い祥でさえ、その男の人が高い地位に居るものだとわかった。
「これは奇遇ですな。麻生沙夜子さん。」
「…そうですわね。ところで、乃木大将の御自宅で何かあったのですか?」
陸軍将校はたまたま立ち寄っただけだと答え、去って行った。
沙夜子は陸軍将校の名前は知らないが以前琢磨の留守中に大学へ訪れた方だと答える。
日が暮れる時間になってしまい二人は研究室へ戻る事にした。沙夜子は琢磨の研究資料を見せたいそうだ。
 琢磨の研究室へ入ると麻生教授が出迎える。麻生教授と沙夜子は明日の研究の発表の準備、
琢磨の説いた仮説…超古代文明について失踪する前の資料を元に続きをまとめているらしい。
沙夜子は祥に部屋に置いている本でも読んでおいてと伝えて、
考古学研究室にて麻生教授と二人で研究発表用のレポートの仕上げに取り掛かった。
 祥は琢磨の研究室の本棚から目ぼしい本を読みあさる。主な内容として4点あった。
1:ギリシア戦乱記と言う本の古代ギリシア文字の翻訳と、アルカディアの文章の所に印が付いていた。
2:哲学者プラトンが説いたと言われるアトランティス大陸の事について書かれた本。
  アトランティス大陸は大西洋にあったとされる幻の大陸だけど幾多の災害や地震で滅亡し大陸は海に没したという…
3:超古代文明追跡録と言う琢磨が超古代文明を追っていた頃の記録。その一節にはこう記されている。
  「大正五年、私はついにその先史古代文明の謎を、チベットの古代書物《ラサ記録》から見出す事ができた。
  その文明は、私が追い求めてきた先史《超古代文明》の一角に過ぎないが、今後の研究対象として十分役に立つと思われる。」
4:聖書の悪魔と言う書物を発見した。キリスト教やユダヤ教の悪魔に関する資料のようだ。
 ひと通り目ぼしい本に目を通した祥の元へレポートの作成が完了した沙夜子が入ってくる。
レポート作成に時間がかかってしまった沙夜子は、今日は一旦帰る事にすると伝える。
明日であれば時間があるから今日と同じように琢磨の捜索を手伝うと約束してくれた。
そこへ麻生教授が血相を変えて入ってくる。
「じ、実はじゃ、先程警視庁から電話があってな…それで…
 ―――祥君、落ち着いて聞いて欲しい。琢磨君が…亡くなったそうじゃ。」
麻生教授の言葉を聞いた沙夜子はその場で気を失ってしまう。
麻生教授は困惑する祥へ自分達は後から合流するので先に警視庁へ向かって欲しいと伝える。

95 :
【第一章:〜父の遺言〜 4】
 祥は急いで警視庁へ向った。祥は受付に居た帯刀に本当に琢磨だったのかと尋ねる。
「それが…爺にはわかりかねます。もし、あれが旦那様なら…坊ちゃん、お辛いでしょうが、ご確認くださいませ…」
そこへ麻生教授が沙夜子を連れて現れる。祥はまだ琢磨の遺体の確認は行なっていない事を二人に伝える。
更にそこへ鬼瓦が現れる。
鬼瓦「話の途中すみませんが、祥と麻生沙夜子さんは確認のため、霊安室に来てもらいます。」
 祥と沙夜子は鬼瓦に霊安室へ招かれた。
鬼瓦「ここです…事件で人が亡くなった場合、必ず親類による身元確認が行われます。辛いでしょうがお願いします…」
祥は暗い霊安室の奥に安置されていた遺体が本当に琢磨なのか疑っていた。
身体に触れるとまるで氷に触れているかのように冷たかった…勇気を出し、顔に掛けられている白布を取った。
顔は醜く焼け爛れ、そして腐敗していた…
祥は顔をまともに見る事ができなかった。沙夜子からは悲鳴が上げる。
祥は耐え切れず素早く白布を戻し、この遺体は琢磨なのか違う男なのかと葛藤した。
祥「間違いなく…父さんです…」
鬼瓦「そうか……ご苦労だったな祥………これが最後だから、少し側に居るといい。儂は外で待っておるからな。」
沙夜子は祥の頭を抱きしめて二人はしばらくの間、泣き叫んでいた。
―――それから二十分後。
祥は沙夜子に連れられて霊安室から出てきた。
 祥は鬼瓦警部の部下に車で家まで送ってもらう事にした。鬼瓦は別れ際に祥へロケットを渡す。
琢磨の内ポケットに隠されていたロケット。ロケットを開けると小さい頃の祥の写真が入っていた。
鬼瓦「本来なら証拠物件として保管される所だが、これだけは持って行くといいだろう。あとは儂がやっておくから心配するな。」
 翌日の八月二日、琢磨の葬儀が行われた。親類は、この東京には居なかったが、琢磨に講習を受けていた帝国大生や同僚、
秘書の沙夜子、恩師の麻生教授、鬼瓦警部といった人達が参列し慰霊を弔った。葬儀は夕方の六時で終了した。
 葬儀の片付けを終えた帯刀は祥の今後の予定について尋ねる。
祥はイギリスに帰ろうと思っていた事を打ち明ける。学校の方も休学しているし、向こうにいる友達も帰りを待っている。
今からイギリス行きの乗船券と航空券を手配すると明日の定期便に乗ることができる。
帯刀は手続きを行うと伝えた後、祥にこの家の相続を受け継いで貰いたいと切り出すが、
琢磨との思い出に押し潰されそうだから相続したくないと言われてしまう。
帯刀は心苦しく思いながらも祥の意向に従った。

96 :
【第一章:〜父の遺言〜 5】
 祥は早めの就寝とする事にした。昼間の疲れのためか、ベットに身を委ねた瞬間深い眠りについた。
夢の中で女性らしき声が聞こえてくる。周りは煉瓦造りの暗い部屋には異臭を放つ壷があり、
部屋の奥には異形の神を祀っているのであろう、巨大な像が一体安置されていた。
「ダレ………ソコニイルノハ……ダレナノ…マタ…ワタシヲイジメルノ」
声の主は、異形の神に縛り付けられた少女から発せられていた。
「……タスケテ…ダレカ…ダレカ…ワタシヲコノ地獄カラタスケテ……」
祥は見たことも無い少女と、状況が掴めず君は誰なんだと問いかけるが、再び意識はまどろみに没し始め、視界がぼやけだした。
 八月三日、夜の七時を過ぎていた。もうこんな時間か、今日は出港日だったな。
祥は眠りから目覚め部屋を出て執事の帯刀に感謝の言葉をかけて一緒にイギリスに来てくれないかと誘う。
帯刀は勿体無いお言葉ではありますが、代々この家を守って朽ち果てると、そう先代と約束していると断られる。
荷物が揃っている事を確認すると二人は車に乗り込み芝浦港へと向かった。
生まれ育った町、温かい故郷を去る。懐かしい事、辛かった事、そして父さんとの思い出を全て捨てて…
 一時間後、二人を乗せた車は芝浦港に着いた。
客船で一旦香港へ渡り、そこからイギリスに向かう旅客機に乗り換える…この国ともしばらくお別れだ。
祥は帯刀から重い旅行鞄を受け取り別れの挨拶を交わした。
その時、祥はふと、誰かが呼んでいるような気がして振り向いた…だが、そこには誰もいない。
急に軽い目眩を感じ、桟橋の手すりに手をついた。軽い頭痛が走っては消え、
ぼやけた視線の中で周りの風景が全て止まって見えた。
 そして、目の前に昨日夢で見た少女の姿が浮かび上がった。
祥の声は、少女の耳には届いていないようだ。少女は、ただ哀しい顔をして祥を見つめている。
祥はこの少女を何処かで見たことがあることに気が付いた。
夢ではなく何処かで以前あの少女の哀しげな顔を見た事がある既視感を覚えるがどうしても思い出せない。
遥か昔に、一度だけ会ったような気がする。
「君は一体誰なんだ?なぜ、僕の前に現れるんだ!?君は…僕に何をしろっていうんだ?」
 祥が問いかけると後ろから不意に何かがぶつかってきて、よろけて桟橋に倒れそうになった。
小さな女の子が祥にぶつかってきてしまったようだ。祥は夢の中ではなく現実に戻された事を実感する。
祥にぶつかった女の子とその母親は何度も祥へ謝り船へと足を運ぼうとしていた。
女の子は船へ乗る前に、ぶつかった時に祥が落とした物だと祥へロケットを受け渡す。

97 :
【第一章:〜父の遺言〜 6】
 ロケットの中の硝子が割れていないか確認すると中の写真が少しだけずれて、
その下にはもう一枚写真の様な物がはさまっていた事に気づく。
祥は硝子のカバーを取り出して幼い頃の自分の写真を取り除くと昨日夢と先程の幻覚の中で出会った少女の写真が貼られていた。
「―――!?なぜ、あの少女の写真が!?―――もしかしてこの少女が父さんが探していた少女なのだろうか?」
祥は、なぜかその少女と自分との間の何か不思議な繋がりの様な物を感じていた。
「(もう、イギリスに帰るって決めていたはずなのに…ここにいてももう…父さんは…帰ってこないのに。
 だけど……なぜか、あの少女の事が気になる。あの哀しい眼…声…………)」
祥は再びロケットを見た。少女の顔は笑っておらず、ただ…哀しい笑みを浮かべているようだった。
「(…僕は、これからどうすればいいんだろう?
 イギリスに戻り、勉強して父さんのように考古学者になって、それで父さんは満足なんだろうか?
 ―――いや、僕自身本当にそれで満足なのか?今、僕がイギリスに帰るということは父さんの事を忘れるのではなく、
 自分から逃げることになるのではないだろうか?それならば…この少女を捜して父さんの死の真相を探ればいいのではないか。
 このまま、永遠に後悔し続けるよりも、今全てを解決させた方が…
 やってみよう、無駄かもしれないけど後悔しないためにも。)」
乗船を急かす船員に対し、祥は謝りながら乗船を断り桟橋から離れた。
帯刀が祥の姿を見て驚く。祥は帯刀に自分の考えを伝える。
琢磨がなぜ死んだのか、捜していた少女は何者なのか全ての真相を知りたい。
何も知らずこのまま帰ったら、僕は一生後悔する。一週間後にイギリス行きの船が出るから、それまでに掴んでみせる。
帯刀「…………ふぅ…いた仕方ありませんな。わかりました、坊ちゃん。今回の渡英は取り止めに致しましょう。
 坊ちゃんの納得がいくまで、爺もお供いたします。それが、執事として当然ですからな。」
祥「じいや、ありがとう、じいや。」
 草薙邸へ戻った祥は今後の行動について考える。
鬼瓦の話では、琢磨は何処かで殺された後、芝浦港に流れ着いたそうだ。
せめて当日の行動がわかればと思い、帯刀と共に二階にある琢磨の書斎へと向かった。

98 :
【第一章:〜父の遺言〜 7】
 書斎の机の中等、未整理の収納物には考古学の書類ばかりが入っているばかりで、失踪に関する情報は得られなかったが、
一枚の開封済みの手紙を見つける。差出人の名前は山神義郎。祥とは面識のない名前だった。
琢磨宛に書かれた手紙の内容は、琢磨の依頼により探していた少女の居場所が判明した為、
詳細を帝日新聞社本部の報道部にて話すといった内容だった。
手紙の発送日は七月一日、琢磨が失踪した日に近いはず。祥は近くにある新聞を取り、帝日新聞社の場所を調べた。
 父親の足取りを一刻も早く知りたい祥は応接室に出た所、帯刀とR手紙の事や港での幻覚、二日前の夢の事を説明する。
祥は、もしも少女が父さんのように殺されたりしたらと思うと居ても立っても居られなかった。
夜分遅い時間の訪問を宥める帯刀を押しのけようとしたその時、祥は帯刀に投げ飛ばされる。
「申し訳ございませんが、今は休まれた方がよろしいかと思われますぞ?
 あの程度の投げをかわせないのは、気力不足だという証拠ですからな。」
主人の健康管理も執事の役目、帯刀は焦らず冷静に行動して欲しいと祥に促す。
 祥は帯刀に自室へ連れ戻され布団に入った。祥は帯刀の言っている事は正しい、悪いのは自分だと反省する。
体調を整えて、明日また行動しようと心の中で呟き、まどろみに身を委ねた…
 八月四日 祥は帯刀に起こされる。夢も見ずぐっすり眠れたようだ。
祥は一人、帝日新聞社へと向かうが道に迷い彷徨いている所で麻生教授と出くわす。
沙夜子が琢磨の死によって精神的にまいって寝込んで、学会の発表どころではないと言う。
学会の発表も一人では出来ない麻生教授はぶらぶらと東京巡りをしているらしい。
祥なら沙夜子も立ち直らせる事ができるかもしれないから、時間があったら様子を見て欲しいと頼まれる。
麻生教授は帝日新聞社の場所と沙夜子の住所を教え去ってしまう。
 祥は帝日新聞社の受付に入り受付の女性に山神さんに用事がある事を伝える。
二階奥の報道部に山神のデスクがあると案内され報道部へ。一番奥に座っていた編集長が祥に経緯を説明してくれた。
山神は考古学者だと言う男の手伝いをしていて…ひと月前のある日、姿を見せなくなってしまった。
連絡も何も無いから不安で、警察には失踪という形で捜してもらったが見つからない。
確か失踪する前に―――数年前に廃棄された睦月精肉工場に行ってその考古学者と二人で少女を捜すと言い出て行き
その日以来、山神君は帰ってきていない。睦月精肉工場は本所区の太平町にあると言う。
 父が失踪した時期と同じだと気づいた祥は、考古学者と言うのは琢磨の事ではないかと推測する。
祥は編集長に礼を言い受付へと戻る。
琢磨の足取りについて考えこむ祥に受付の女性が話しかける。編集長から言付けを頼まれたらしい。
『睦月精肉工場跡は帝国陸軍が占拠しているので、侵入するなら気をつけるように。』だそうです。
草薙琢磨はよくこの新聞社を訪ねて山神さんと編集長の門脇さんとは友人だったそうだ。
祥は受付の女性に編集長にも礼を伝えて欲しいと言い新聞社を去る。

99 :
【第一章:〜父の遺言〜 8】
 陸軍をどうにかしなければならない、祥は考え事をしながら東京駅を横切り警視庁へと足を運んだ。
祥は受付で鬼瓦への面会をお願いするが、警視総監からの呼び出しで今日一日帰ってきそうにないそうだ。
祥は警視庁を出て今後の行動について考えるが、鬼瓦警部不在では睦月精肉工場へ行けそうもないと困り果てる。
鬼瓦以外に協力してくれそうな人と言えば帯刀と沙夜子位しか居ない、とにかく相談してみよう。
 沙夜子に相談する為、祥は牛込区(うしごめく)へ足を運んだ。
沙夜子の住まいを見つけた祥は再び麻生教授と再会する。どうやら沙夜子の様子が気になって戻ってきたそうだ。
祥は麻生教授に招かれ応接間へと進み沙夜子と再会する。沙夜子は初めて出逢った時と違い、やつれ果てている様に見えた。
目は赤く充血し、頬もややこけていた。満足に食事も取らず、夜な夜な泣き続けていたのだろう。
 祥は麻生教授に沙夜子と二人っきりで話がしたいと願い出る。
麻生教授は了承し話が終わったら声をかけてくれと退室すると沙夜子は祥へ話しかけてきた。
祥や祖父の麻生教授や大学関係者にも迷惑をかけている事はわかっているが、どうしても立ち直れない。
祥は自分も琢磨が死んでから目標を失ったような感覚を覚えた、でもこれ以上泣いたら琢磨に叱られるから泣かない。
いつまでも琢磨との思い出の中に逃げて自分を見失なう訳にはいかないと沙夜子を諭す。
沙夜子は琢磨も慰めてくれる時、祥と同じような事を言ってくれていた事を思い出し自我を取り戻した。
沙夜子は祥の大人みたいな言葉を褒め称えた所で、盗み聞きを立てていた麻生教授が入ってくる。
 祥は沙夜子に用件があった事を思い出しこれまでの経過を二人に説明する。信じてくれるかわからないが、事実を素直に伝えた。
全てを話し終えた時、沙夜子の顔が青ざめているのがわかった。
沙夜子も琢磨の死に疑問があり、快く協力してくれる事を約束する。
麻生教授は沙夜子が立ち直った事に安心し研究室に戻る事にする、何かあったら訪ねて来なさいと祥に伝える。
 祥と沙夜子は帯刀を説得する為、祥の自宅へと足を運んだ。
祥は帯刀に父の失踪した場所がわかったと伝え協力を依頼する。
帯刀も快く祥に協力すると答える。
 三人は本所区太平町にある睦月精肉工場へと向かう。
祥は帝日新聞社の編集長から聞いた工場跡を見渡す。以前、祥や鬼瓦も見た事のある工場跡地だった。
入り口には兵士が見張っていて侵入できそうにもない。中々隙が伺えないまま時間がだけが経過してしまう。
沙夜子は見張りの兵士の様子が何かに操られているようだと言う。確かに何かに怯えているような雰囲気だ。
様子を見続けるも隙ができず、夕方、そして夜を迎えてしまう。このままでは埒があかない。
沙夜子は祥に食べ物を買ってくると言い去ってしまう。
祥と帯刀は何か対策はないか話し合っている所で沙夜子の悲鳴が聞こえてきた。

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