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しんのすけ「赤ちゃん?」


1 :2012/09/25 〜 最終レス :2012/11/03

ひろし「そうだ!もうすぐしんのすけはお兄ちゃんになるんだぞ!」

しんのすけ「おおぉ!!オラ、お兄ちゃんに!!いつ!?あさって!?」

ひろし「お馬鹿。あと6ヶ月だから…12月だな」

しんのすけ「えへぇ〜、オラお兄さんかぁ〜。五歳にしておとなのかいだんを一歩のぼってしまうわけですなあ」

ひろし「こいつ、きいてねぇし…」

2 :
いつメン元気?\(^o^)/

3 :

みさえ「うふふ、しんちゃんはお兄さんになるんだからもう少しいい子にならないとね」

しんのすけ「かあちゃんももうすこしおだやかにならないとね」

みさえ「なんですってぇ」
グリグリグリグリ
ひろし「あーこらこら、あまり激しく動き回るなよ、赤ちゃんになにかあったらどうするんだ」

みさえ「やーねぇあなた、これくらい平気よ」

4 :
ひろし「いや、でも万が一ってこともあるだろ」
みさえ「あなた…」
ひろし「赤ちゃんが産まれるまで、俺も出来るだけ家事を手伝うから!」
みさえ「……」コクン

ひろし「しんのすけ、お前も父ちゃんに協力してくれ!お兄ちゃんになるんだろ!」

しんのすけ「おおぉ!ブ、ラジャー!」
ひろし「よぉし!男同士のお約束だぞぉ!」

5 :
――2ヶ月後

しんのすけ「かあちゃん、かあちゃん!」

みさえ「なあに?」
しんのすけ「ふとった?」
みさえ「…っ!」

みさえ「これはねしんちゃん、お腹の中の赤ちゃんが大きくなってきてるだけよ」

6 :
なんかマジキチになりそうで怖い

7 :

しんのすけ「でもかあちゃん、最近ごはんよくおかわりするゾ」
みさえ「そ、それはね、赤ちゃんの分の栄養もママが摂ってあげなくちゃいけないからよ」
しんのすけ「ほぅほぅ…」

みさえ(確かに最近、妊娠を理由に食べ過ぎたかも。家事もあまりしてないし…。ちょっと気をつけた方がいいかしら)


8 :

――更に1ヶ月後

みさえ「ご飯できたわよー!」
ひろし「しんのすけ!ごはんだぞー」
しんのすけ「ほほ〜い!」

いただきまーす!

しんのすけ「かあちゃん、ちょっと味濃いゾ」
みさえ「あら、本当?」
ひろし「う〜ん、味が濃いというか妊娠を理由にした手抜きが目立つよな。今日は惣菜の唐揚げで、昨日は麻婆豆腐、一昨日は…」


9 :
クレしんスレは鬱

10 :

みさえ「や、やだ。偶然よ。たまたまよ。今度から気をつけるから!」

しんのすけ「やれやれ、ごまかしかたがヘタですなぁ」
ひろし「他の家事はやるから、せめて晩飯くらいはしっかり作ってくれよな!」
みさえ「は〜い」


この日が
三人で笑って食事をした最後の日だった。

11 :

翌日、みさえは急に腹痛を訴え病院へと向かった。
赤ちゃんに何かあったのではと思い、産婦人科に行ったのだが
どうやら原因は別にあるらしい。
別の病院を紹介されたので、しんのすけも連れ、三人でそこへ行ってみた。

診察室に入るみさえを
しんのすけとひろしはただ見送った。
検査は一時間ほどかかるらしい。
ひろしはもちろん、
ひょっとしたらしんのすけにとっても
この一時間はとてつもなく長いものだったかもしれない。

12 :
おい…早えよ…

13 :
支援

14 :

「野原さん、診察室へお入りください。」

アナウンスと共に
2人は部屋に飛び込んだ。
みさえは別の部屋で休んでるらしく、いない。
医師「どうぞ、お座りください。」
ひろし「み、みさえは!あ、赤ちゃんは!大丈夫なんですか!!」

しんのすけ「かあちゃんは食べ過ぎなだけだよね!?」


15 :

医師「落ちついてください。今ご説明します。」

医師「…奥さんは、癌です。」
ひろし「……が、がん?」
しんのすけ「がぁ〜ん」

しんのすけ「…ってなに?」
医師「正確には胃癌です。まだ初期段階なので命に別状はないのですが…ちょっと問題がありまして。」


16 :
ここからスローペースになります。

ひろし「と、いうと」

医師「はい、奥さんは今妊娠されていますね。」
ひろし「え、えぇ。」

医師「初期段階の胃癌でしたら、手術することなく抗がん剤で治療することができます。」

医師「しかし、今抗がん剤を使用すれば母体だけでなく、お腹の中の赤ちゃんにまで負担を与えてしまいます。」

17 :
何か1日前に見たような…
しかし見てるぞ

18 :

医師「この場合、ギリギリまで赤ちゃんの成長を待って、出産と治療を手術で同時に行うことになります。」

ひろし「な、ならみさえと赤ちゃんは助かるんですか!」

医師「……………」

ひろし「先生!!」

医師「正直、五分五分です。赤ちゃんが成長しきるまで、奥さんの体力が保つかどうか。保ったとして、手術に耐えられるかどうか…」

ひろし「そんな…」

19 :

この日から
みさえは入院することになった。
ストレスからくる体力の衰えを避けるべく
癌のことは言わないことにした。

みさえには
食べ過ぎと運動不足からくる胃炎…と言い赤ちゃんに問題はないことも伝えた。

ひろし「……」

しんのすけ「とうちゃん…かあちゃんはどうなるの?」

ひろし「きっと…大丈夫さ。赤ちゃんも…。」

20 :
今日はここまで。
また明日、書きためてからくるよー

21 :
まってるぞ

22 :
水を指してごめん
ひまわりは?

23 :
>>22
赤ちゃんじゃないの?

24 :
みさえの腹の中

25 :
ほしゅ
ケチをつけるわけではないが、本来「」内の最後の文の。は省くんじゃなかったっけ?

26 :
泣いた

27 :
こわいけど待ってる

28 :
>>25
国語の教科書通りにやるならむしろ「〜。」であってるらしい
まあ、どっちでもいいらしいし細かいことは無しでいこうぜ

29 :
まじクレしんのssやめろや!!!
やめろや・・・

30 :

しんのすけ「かあちゃん…」
しんのすけはめずらしく落ち込んでいるようだった。
無理もない、母親の妊娠、出産なんて初めての体験だ。
そんな時にその母親が倒れたんだ、不安で仕方ないだろう。


31 :

しんのすけ「とうちゃん、かあちゃん…死んじゃうの?」

!!

ひろし「おバカ!かあちゃんが死ぬ訳ないだろ!!」
しんのすけ「オラ…かあちゃんが死んだらどうすればいいんだ。」
ひろし「しんのすけ…」


32 :

しんのすけ「ごはんは誰が作るの?アクション仮面おRは誰が洗うの?オラ…とうちゃんの作ったごはんなんて食べられないゾ」
ひろし「……おバカ」
ひろしにはわかっていた。後ろを向いたまま震えているのが…
きっと
しんのすけなりの強がりだったのだろう。
やはり心配で仕方ないのだ。

しんのすけ「オラ、早くかあちゃんのごはんが食べたいゾ…」


33 :

――1週間後。

ひろし「みさえー、来たぞー」
しんのすけ「かあちゃん、来てやったゾ!」

みさえ「あら、2人共。ちょうど良かったわ。今、お義父さんとお義母さんが来るって連絡があったのよ。」
ひろし「え?オヤジとおふくろが?」
しんのすけ「じいちゃん!?」

34 :

みさえ「えぇ、なんでも私の代わりに家に居てくれるって。一応大丈夫って言ったんだけど…」

ひろし「きっと、しんのすけに会いたいだけだろうさ。ほれ、これ着替え。」

しんのすけ「そうだ!ほい、オラも」
そう言い、しんのすけはチョコビを手渡した。
みさえ「しんちゃん…」

しんのすけ「これさえあれば、病気なんてすぐ治るゾ」
みさえ「やーねぇ、そんな大袈裟な病気じゃないのに…」

35 :

ひろし「………」
みさえ「ねぇ、あなた」
ひろし「…え!?あ、ああそうだな。」
みさえ「どうかしたの?」

ひろし「いや、なんでもないよ。じゃあ、俺2人を迎えに行ってくるよ。しんのすけ!行くぞ」

しんのすけ「仕方ないですなあ」
みさえ「あ、ちょっと…」


36 :

バタン

しんのすけ「……とうちゃん」
ひろし「なんだ?」
しんのすけ「ごめんだゾ」
ひろし「気にするな。」

ひろし「ほら、じいちゃんとこ行くぞ。」

ひろし(自分の子どもに気を使わせるなんて、ダメな父親だな…おれ)


37 :
ここまで。
夜中の3時くらいにまたくるよー

38 :
続き楽しみにまっているよ(威圧

39 :

――春日部駅

しんのすけ「じいちゃん、ばあちゃん!」
銀の助「おぉ〜しんのすけ〜!元気にしとったかあ?」
しんのすけ「もちろんだゾ。オラのゾウさんもお元気してるゾ!」

銀の助「そうかそうか」

つる「しんちゃん、久しぶりね」
しんのすけ「ばあちゃん、お久しぶりぶり〜」

40 :

つる「あっはっはっ、いつでもしんちゃんはしんちゃんなんだね〜」

ひろし「オヤジ、おふくろ!」

銀の助「おおーひろし!」

ひろし「おおーじゃねぇ!あまりはしゃぐなよ。旅行に来たわけじゃないんだからさ…」

つる「いいや、こいつは旅行気分でここに来てる」

銀の助「もう、ばあさんたら////」

ひろし「まあいい、とりあえず荷物置きに家に行くか。」


41 :

――野原家

マサオ「しーんちゃん!」

しんのすけ「おお、マサオくん!それにみんなも!」
ネネ「これからみんなで公園に行かない?」

しんのすけ「おお!いいですなあ〜」

しんのすけ「とーちゃーん!オラ公園に行ってくるゾー」

ひろし「おう!気をつけて行ってこい!」

しんのすけ「ほっほ〜い」

…………

42 :

――野原家

マサオ「しーんちゃん!」

しんのすけ「おお、マサオくん!それにみんなも!」
ネネ「これからみんなで公園に行かない?」

しんのすけ「おお!いいですなあ〜」

しんのすけ「とーちゃーん!オラ公園に行ってくるゾー」

ひろし「おう!気をつけて行ってこい!」

しんのすけ「ほっほ〜い」

…………

43 :

銀の助「さてと…」

つる「ひろし…」

ひろし「…ああ」

銀の助「お前、これからどうするつもりじゃ?」

つる「みさえさんには、本当のことは言ったの?」


44 :

ひろし「言ってない。余計な心配させたら、あいつの体と赤ちゃんに負担がかかるから。」

銀の助「しんのすけには?」
ひろし「詳しくは話してない。けど…」
つる「けど?」
ひろし「しんのすけは多分わかってる。みさえの病気のこと、赤ちゃんのこと、…俺の気持ち、全部。」

銀の助「そうか…、いつも変わらんように見えたが、知っとるのか…。」
ひろし「ああ」
銀の助「…しんのすけは、強い子じゃのぉ」
ひろし「…ああ!」

ひろし「自慢の…息子だよ!」


45 :

つる「あんたもしっかりしな!家のことは私がやるから、あんたしっかり働いて、しんのすけとみさえさんを守るんだよ!」
ひろし「ああ、わかってる」

ひろし「…まだ決まったわけじゃない。きっと助かるさ。そして、家族4人で暮らすんだ。」

銀の助「そうじゃ。きっと大丈夫じゃ。」

ひろし「…よし!みさえのとこに行くか!!」

46 :
おやすみー
夕方頃また来るよー

47 :


48 :

――みさえの病室

ひろし「みさえー、オヤジ達連れてきたぞー」

みさえ「あらお義父さん、お義母さんお久しぶりですー。」
銀の助「みさえさん、ハロー!」
つる「どうも〜」

銀の助「うん、案外元気そうじゃな。」

みさえ「ええ、体調はもう大丈夫なんですが、なんでも食べ過ぎからくる胃炎らしくて」
つる「あらあら、みさえさんらしいわね」



49 :

あはははは!

笑う両親と妻
いつもの光景
でも、もしかしたら
もうすぐ見られなくなる光景かもしれない。
そう思うと
なにもかもを目に焼き付けておきたくなる。
いや、
こんなことを考えるのはやめよう…
みさえは元気になり
赤ちゃんも元気に産まれてくる!
大丈夫だ。
俺が…しっかりするんだ。

50 :

みさえ「あなた?」

ひろし「え?」

みさえ「え?じゃないわよ、もう。」
ひろし「ああ悪い、で〜何だ?」

みさえ「だから〜――」

その後、どうでもいい話を少ししたあと
ひろし達三人は家へと戻った。
家についてすぐ
しんのすけも公園から帰ってきた。

51 :

しんのすけ「おかえり〜!」
ひろし「ただいまだろ。」

しんのすけ「そうともゆう〜」
つる「しんちゃん、おやつあるわよ。手を洗ってらっしゃい」
しんのすけ「おお!おつや〜おつや〜」

――みさえがいないだけで、他はいつもと変わらない風景だった。

52 :

銀の助「しんのすけ〜、一緒に風呂に入ろう。」
しんのすけ「おお!お背中お流ししますわよ〜ん」

銀の助「ひろし〜、タオルはどこじゃ〜?」

――俺だけ…
いつまでくよくよしてるんだ。


53 :

つる「しんちゃん、一緒に寝ようか。」
銀の助「しんのすけ!オラと一緒に寝よう!」

つる「……」
銀の助「……」

つる、銀の助「しんのすけ!?」

――明日は会社だ。
もう寝よう…

54 :

…………

夜中、ふと目が覚める。
いつも隣から聞こえてくるいびきが聞こえない。
ひろし「……」

明日は早い、早く寝よう。

ひろし「………」

………ぅぅ

ひろし(ん?)

55 :
まだ無事だった、良かった。

56 :

…うぅ…ぐすん…

ひろし(しん…のすけ?)
銀の助とつるの間で
しんのすけは布団にうずくまっていた。

ひろし(泣いてるのか…)

……うぅ、う…
しんのすけ「かあちゃん…」

ひろし(しんのすけ…)

57 :

つられて泣きそうになった。
ひろし「……ぅぅ」

ごめんな、しんのすけ。不甲斐ない父ちゃんで…
泣き虫な父ちゃんで…

情けないなぁ

5歳の子どもが
こんなに頑張ってるのに…

銀の助(しんのすけ…)
つる(しんちゃん…)


58 :

ひろし(父ちゃん、頑張るからな!!)

しんのすけ「……ぅぅ」

―――
それからの生活は
意外に穏やかなものだった。
みさえの体調は崩れることもなく、医師はこのまま行けば母子共に問題はないだろうとのことだ。
お腹も膨らんできて
赤ちゃんもしっかり大きくなっているようだった。

59 :

しんのすけ「かあちゃん!!」
みさえ「あら、あなた。しんちゃん。」

仕事が終わると
しんのすけを連れ
病院に行く。
ここ数ヶ月の日課だ。

しんのすけ「赤ちゃんはお元気ー?」

みさえ「ええ、元気よ。ほら、触ってごらん。」
しんのすけ「おお!今動いたゾ!?」
みさえ「うふふ」

病気には見えないくらい元気なみさえは、安心感を与えてくれた。

60 :

このまま何事もなく
赤ちゃんは大きくなり
みさえも元気になる。

心のそこからそう思えた。

そう、信じていた。

61 :
スローペースで申し訳ないが、今回はここまで
今日の12時か
明日また来るよー

62 :
初日から見てるよ〜
頑張れ!

63 :
俺も初日から見てる!
がんばって完結させてくれよな!

64 :
すまない
多忙でくる暇がない
書きためてはいるから
夕方頃くる

65 :
待ってます!
頑張って!

66 :
待ってるー

67 :

出産予定日まで
あと2ヶ月となったある日のことだった。

その日もいつもと変わらず、仕事終わりにみさえの所へ来ていた。

みさえ「あらあなた、お疲れ様。」
ひろし「おう。」

68 :

みさえ「あれ?今日しんちゃんは?」
ひろし「ああ、オヤジ達と飯食いに言ってるよ。」
みさえ「そう。あなたも行けばよかったのに。」

ひろし「いや、今日はそういう気分じゃなかったんだ。それに、たまには2人で居たかったし…」
みさえ「あなた…」

ひろし「ほら!今日はケーキ買ってきたんだ。オヤジ達だけウマいもの食うなんて、ずるいからな。一緒に食おうぜ。」

69 :

白い箱の中には
いちごのショートケーキが2つ。

みさえ「ありがとう、あなた。」
一緒に買っておいた紙の皿に乗せ、みさえに手渡す。
ひろし「へへっ、しんのすけには内緒だぞ。」

2人でゆっくりケーキを食べるなんて、ずいぶん久しぶりだ。


70 :
ひろし「うまいな。」
みさえ「ええ、」

なぜだか
会話が続かない。
2人とも、なにか言いたそうにしてはいるが
それを口に出すことに躊躇しているような感じだった。
みさえ「あと2ヶ月くらいね」
ひろし「え?」

みさえ「赤ちゃん。」
ひろし「ああ、そうだな。」
医師から癌の話を聞いてからもう半年近くたったのか。
あっという間だったような、長かったような…


71 :

みさえ「ねぇ…」
ひろし「ん?」

みさえ「赤ちゃん、大丈夫よね…?」
ひろし「え?」
みさえ「だから、赤ちゃんよ。」

動揺が隠せなかった。
顔に
態度に
言葉に
それは現れた。

72 :
えっ

73 :

ひろし「な、なに言い出すんだよ。大丈夫に決まってるだろ!」

みさえ「………」
ひろし「なにも心配することはないさ!ちゃんと元気に産まれてくるって!!」
みさえ「…そう、よね。」
ひろし「ああ、そうだとも」
みさえ「………」
ひろし「…………」

みさえ「ごめんなさい、今日は検査とか多くてちょっと疲れてるの。もう寝るわ。ケーキ…ありがとう。」
ひろし「ああ、じゃあ帰るよ。また明日な。」

みさえ「………」

74 :

――翌日

むさえ「よ!ねえちゃん。」
みさえ「あら、むさえじゃない。」
むさえ「今日はちょっと暇だったからさ。」
みさえ「今日はって、いつも暇でしょ。」

むさえ「えへへ、はいケーキ。」

そう言ってむさえはケーキを差し出す。
それは昨日、
ひろしが買ってきてくれたのと同じ
いちごのショートケーキだった。


75 :
はよ

76 :
続き気になる…!

77 :
2時まで仕事だから
終わり次第また来るよ

78 :

みさえ「あら、このケーキ」
むさえ「ん?どうかした?」
みさえ「いえ…なんでもない。」

むさえ「変なねえちゃん。」
むさえの買ってきたケーキを見て
ふと、昨日のことを思い出す。


79 :

みさえ「…ねぇ、むさえ。私、死ぬのかな?」

むさえ「え?」

みさえ「私、病気なのよね?」
むさえ「な、なに言ってんだよねえちゃん!!」

みさえ「…やっぱり」

むさえ「…!!」

みさえ「あんたも、あの人も…その態度を見れば分かるわよ。」

みさえ「教えて…むさえ」
むさえ「いや、その…」

みさえ「いいから…教えなさいよ!!」

むさえ「………!」


80 :

―――その夜

ひろし「よ!みさえ。」

しんのすけ「よ!みさえ。」
みさえ「あら2人とも。いらっしゃい。」

しんのすけ「見て見てかあちゃん!今日ようちえんでよしなが先生とみんなでつくったの。」

50個くらいだろうか、
折り紙で折られた千羽鶴と、こども達からの寄せ書きをしんのすけは手渡した。


81 :

『おばちゃんがんばって』
『うまれたあかちゃんみせてね』
『かわいいあかちゃんをうんでください』

みさえ「………」

折り紙の裏にクレヨンで書かれていた寄せ書き。
1人一言ずつだったが
少しでもみさえの励みになればと園長が考えてくれたことらしい。


82 :

ひろし「これは先生たちからだ。」

4通の手紙を渡した。
幼稚園の先生達みんなが
みさえに宛てたものだった。
みさえ「……ぅぅ…。」

みさえは涙を堪えることができなかった。

みさえ「ありがとね、しんちゃん。」

みさえ「明日みんなにありがとうって言っておいてね。」

83 :

しんのすけ「かあちゃん。」
みさえ「ん?な〜に?」

しんのすけ「…なんでもない。」
みさえ「ん?へんな子ね。」
ひろし「みんなに心配かけてるんだ。早く元気な子を産んで、安心させてあげなくちゃな!」

みさえ「うん、そうね!」


84 :

みさえ「…あら?」

しんのすけ「……すぅ…すぅ…」
みさえ「しんのすけったら寝ちゃってるわ。」

ひろし「え?…あ、本当だ。」
みさえの横でベッドにもたれかかって眠るしんのすけ。
その寝顔うまれた時と同じように見えた。

みさえ「しんちゃんも大きくなったわね…」
ひろし「そうだなぁ。」


85 :

ひろし「でも、まだまだ大きくなるぞ!」

みさえ「………」

ひろし「どうした」

みさえ「…ねぇあなた。私、絶対元気な赤ちゃん産むから。」

みさえ「元気な赤ちゃんを産んで、しっかり育ててみせる。」

ひろし「うん…」

86 :

みさえ「しんのすけやこの子が大人になっていくのをそばで見守っていくの!」
ひろし「………うん」

みさえ「やりたいこともいっぱいある。行きたい所もいっぱいある。しんのすけやこの子としたいことも、まだまだいっぱいある!」

ひろし「……うん」
みさえ「だからね…私、」

ひろし「……」

87 :

みさえ「…まだ、死にたくない。」

目に涙を浮かべたまま
みさえは言った。
ひろし「………うん!」

みさえ「あなたぁ…」

ひろし「うん!大丈夫だ。きっと大丈夫。大丈夫に決まってる!」

みさえは知っていた。
自分のことを
…病気のことを。

88 :

ひろしはみさえに問いかけることはなかった。
わかっていたのだ。

きっと昨日の自分の態度を見て、不安から誰かから聞いたのだろう。
話した人を責めるつもりはない。
むしろ、謝りたいくらいだ。

こんな重大な責任を押しつけてしまったことを…。


89 :
すまない。明日また来るよー

90 :
うおー待ってるぞー

91 :
こんなところで終わるなんてー!
続きが気なる
待ってまーす

92 :
寝れないから
少しだけ書くよー


みさえにすまない、とひろしは謝った。
隠していたこと
不安にさせたこと

自分がもっと強い人間だったら…!

そう思った。

みさえ「見て。」
そう言ってみさえは
ひろしに一枚の紙を渡した。

93 :

それは幼稚園の子ども達が書いた寄せ書きの一枚だった。
そこには、
クレヨンでこう書いてあった。

『オラ、はやくかあちゃんのごはんがたべたいゾ。はやくおうちにかえってきてね。まってるゾ!』

ひろし「しんのすけ…」
少しシワがあり
文字の色がぼやけているところがあった。


94 :

みさえ「この子にも、無理させたのね…」
すやすや眠るしんのすけの頭を、みさえは撫でた。

ひろし「しんのすけは強い子だ。俺やオヤジ達の前で泣いたことがない。……まだ5歳なのに。」

ひろし「…情けないなあ。」

しんのすけ「ん…う〜ん」


95 :
みさえ「あら、しんちゃん。起きた?」

しんのすけ「ん?…なんだかあちゃんか。せっかくキレイなお姉さんにひざまくらしてもらってる夢をみてたのに。」

みさえ「私で悪かったわね…。」

ひろし「ははははっ、しんのすけ残念だったな。」

しんのすけ「あれ?父ちゃん、目があかいゾ。どうかしたの?」
ひろし「え?いや、なんでもないさ。父ちゃん仕事で疲れちゃって眠いんだよ」

96 :
続き気になる

97 :

しんのすけ「ほぅほぅ」

みさえ「しんちゃん、今日はもう遅いから帰りなさい。」
ひろし「そうだな、まだ飯も食ってないしな。」

しんのすけ「やれやれ、しかたありませんなあ」

みさえ「ほら、これ。お家に帰ってから食べなさい。」

98 :

そういって病室の冷蔵庫から白い箱を取り出し、しんのすけに渡した。

しんのすけ「おお!この匂いは!!」

みさえ「うふふ」

しんのすけ「うわーい!うわーい!かあちゃんってばフトモモ〜」

ひろし「ほら、帰るぞしんのすけ!」

しんのすけ「ほい!」


99 :
おやすみー
夕方か夜に来るよー

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