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2012年1月1期創作発表22: 薔薇乙女の奇妙な冒険 (161) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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薔薇乙女の奇妙な冒険


1 :11/12/19 〜 最終レス :12/01/01
大体のまとめ
ttp://slpy.blog65.fc2.com/?tag=%A5%ED%A1%BC%A5%BC%A5%F3%A5%E1%A5%A4%A5%C7%A5%F3
ここから2つ3つぐらい読んでいただければ、おおよその雰囲気はつかめるかと。

2 :

『雪華綺晶 UNDER HELL』

3 :
水銀燈「♪ラーラーララーラララララララー」
金糸雀「♪ラーラーララーラララララ」
翠星石「♪ラーララーララララーラー」
蒼星石「♪そぉ〜せぇ〜せき〜〜!!」
金糸雀「……ちょっと蒼星石! もっと大きな声で歌わなくちゃ駄目かしら!」
蒼星石「え? これでもダメ?」
水銀燈「まだ恥じらいが残っているようねぇ。もっとほら、ハラミを震わせるのよハラミを」
翠星石「人形に横隔膜(ハラミ)は無ぇですよ水銀燈」

4 :
金糸雀「いい? 中途半端な恥ずかしさを声色に残していたら
     聞いている人の方が恥ずかしくなっちゃうのかしら!
     開き直ったぐらいの大声が今回は相応しい」
翠星石「カナチビの言うとおりですぅ。
     翠星石達がタメにタメたフリを受けてからの蒼星石のボケなんです!」
蒼星石「……」
水銀燈「私らが紡いだ絆を断ち切るような真似はしてほしくないわよねぇ。
     いくらあなたの得物が鋏とはいえ」
蒼星石「あのさ……」
金糸雀「何?」
蒼星石「このネタ、本当に面白いのかな?」
水銀燈「!!」
翠星石「!?」

5 :
金糸雀「い、今さら何を言ってるのかしら蒼星石! このカナが寝ずに考えた
     とっときのネタよ! 決まればドッカンドッカン間違いなしかしら!!」
蒼星石「でもこれ、『消臭力』を『蒼星石』に変えただけ……」
金糸雀「シャラッーーープ!!」
蒼星石「……う!?」ビクッ

6 :
金糸雀「甘えを捨てるかしら蒼星石!」
水銀燈「そうね。このネタを面白くないと感じるのは
     蒼星石あなたがやる気を出していないからよ」
蒼星石「僕が……やる気を?」
翠星石「そうですぅ! やる気スイッチの入った蒼星石の面白さは
     翠星石が一番知ってるです! ほら、え〜と! あの時! そう、あの時です!
     『クリームに溺れて見る夢はきっととても甘いのだろうね……』って
     スイーツポエムを披露してくれた時は、笑いをこらえるのに必死だったですぅ!」
蒼星石「そんなにご機嫌な状況だったっけ!?」

7 :
蒼星石「と言うか、そもそもあの時の僕は雪華綺晶に……」
金糸雀「まあ、細かいことはさておき練習あるのみよ。
     年忘れ姉妹チーム対抗お笑い合戦まで日が無いかしら」
翠星石「全くですぅ! ローゼンメイデンのトニセンこと水銀燈から蒼星石までの年長者組と
     それ以外プラス薔薇水晶の年少組に分かれての天下割れ目の大決戦!」
水銀燈「何であろうと真紅に負けるのだけは我慢ならない。
     だからこそ、この私もアンタらとの練習に貴重な時間を割いている」
金糸雀「スタンドプレーの申し子みたいなお姉さんまでが我をして
     カナの考えたネタに協力してくれているのよ。
     蒼星石もここは漢(オトコ)を魅せなきゃだめかしら!」
蒼星石「……」

8 :
ブサ綺晶「……タ……ゾッ」ぼろろっ
水銀燈「……っ!?」
ブサ綺晶「ミ……タ……ッ」よろよろ
金糸雀「な、何!? このボロボロでヨロヨロの子は……!?」
蒼星石「確か雪華綺晶の傀儡人形の……」
翠星石「ブサ綺晶!」
ブサ綺晶「ミ……タゾッ……」ふらふら
水銀燈「……『見たぞ』? まさか!?」
翠星石「翠星石達のネタ合わせの偵察ですか!?」
金糸雀「なんてこすずるい真似かしら!」
蒼星石「いや、ブサ綺晶の様子が変だ! そもそもなんでこんなボロボロで……!?」

9 :
ブサ綺晶「ミツケ……」バリバリッ
水銀燈「!? この子! 体中に亀裂が!」
ブサ綺晶「……タ」ぶしゅっ
金糸雀「うっ!? 流血!?」
ブサ綺晶「ゾ……ッ!」ドバッ
翠星石「うわわっ!? 弾け飛んだですぅ!?」
ブサ綺晶「……」しゅーしゅー

10 :
蒼星石「い、一体何だったんだ!? ブサ綺晶がバリバリ血を流して
     崩れて消滅するだなんて……! どう考えても普通じゃない」
水銀燈「そもそも末妹は元からフツーじゃないけどね」
金糸雀「と、とんだ悪趣味かしら。人形に血糊まで仕込んで……」
翠星石「しかし随分と手の込んだ嫌がらせですね」
金糸雀「全くかしら。世の中には人形の地雷があるそうだけど
     それを真似たのかしら?」

11 :
水銀燈「……地雷にしちゃあ威力が無さすぎる。それに……」すっ
蒼星石「? 何を拾ったんだい水銀燈? ブサ綺晶の残骸?」
水銀燈「いえ、ブサ綺晶はあとかたも無く消滅した。
     これはブサ綺晶が……口の中に隠して持って来たもののようね」
翠星石「それは?」
金糸雀「100円玉?」
水銀燈「いいえ、銀貨よ。1オボロス硬貨」
翠星石「んー? ブサ綺晶には貯金箱機能もあったですか?」
蒼星石「1オボロスということは……っ、葬送銀貨!?」
水銀燈「どうやら、らしくないドジを踏んだようよ末妹は」

12 :
§数十分後・桜田ジュンの部屋
真紅「情報を整理するわね。雪華綺晶の手下人形であるブサ綺晶が
    水銀燈達のところにボロボロになりながらやってきて消滅」
薔薇水晶「あとに残されたのは……その1オボロス銀貨」
雛苺「ヒナ達のネタ合わせの練習に全然来ないから変だとは思ってたの」
金糸雀「状況証拠だけから素直に判断すると
     雪華綺晶は『渡し守の集い』とのトラブルに巻き込まれたみたい」
ジュン「渡し守の集い?」
真紅「nのフィールドに巣食う集団の一つよ。この間説明したでしょ? もう忘れたの?」
ジュン「……いちいち覚えてられるかよ。テストに出るわけでもないのに」
真紅「この現代っ子め」

13 :
蒼星石「しかし僕達自身、渡し守の集いについてそう詳しいワケじゃない。
     ただ彼らは渡し守という名の通り『魂の水先案内人』を務めている」
水銀燈「気取っているの間違いでしょ」
金糸雀「この1オボロス銀貨は渡し守達の証であり、お守りかしら」
薔薇水晶「ギリシア神話に登場する冥府の川の渡し守カロンへの船賃がその由来です」
蒼星石「カロンの船賃は1〜6オボロス。時代ごとの景気によって多少変動する。
     あと1オボロス硬貨は銀貨だったり銅貨だったりもする」
ジュン「へぇ〜」
蒼星石「古代ギリシャでは死者の口に、このオボロス銀貨を含ませて弔う風習があった。
     それゆえに葬送銀貨とも呼ばれる」
ジュン「へぇ〜へぇ〜」

14 :
真紅「とまあ、トリビアはこのぐらいにしておいて、これで大体分かったでしょ?
    白薔薇と渡し守の間で何かいざこざがあったらしいことが」
ジュン「ただ単にアイツが渡し守から銀貨を盗んだだけじゃないのか。手癖悪いし」
水銀燈「……末妹は最近、もっととんでもないものを渡し守の集いから盗んでいるのよ」
翠星石「うげげ? 既に前科アリなのですか!?」
金糸雀「雪華綺晶は何を盗んだのかしら?」

15 :
水銀燈「渡し守を5〜6人ほど、末妹は自分の苗床に組み入れた」
ジュン「ッ!?」
真紅「……やれやれ」
蒼星石「雪華綺晶と渡し守の集いが以前から
     何かしらの連絡を取り合っていたのは知っていたが……」
翠星石「まあ、なかよしこよし出来るわけないのは当たり前です」
金糸雀「それにしても随分と関係がこじれたものかしら」

16 :
雛苺「それじゃあ、雪華綺晶は渡し守さん達からフクシューにあっちゃったの?」
翠星石「そういうことですね。ドロボーなんかするからですよ」
水銀燈「命を盗むのは薔薇乙女のサガ。
     私達は生命力だけを盗るけど、末妹は肉体ごと盗む。それだけの違い。
     手に血が付かない分、私達の方がえげつないかもね」
薔薇水晶「……」
翠星石「そ、それは違うですよ水銀燈! 翠星石達は……っ」
水銀燈「何が違う? どこが違う? 違わない。私達が動くには人間の命が必要」
翠星石「う……!」

17 :
金糸雀「二人とも落ち着くかしら」
水銀燈「金糸雀……」
翠星石「カナチビ?」
真紅「金糸雀の言うとおり。ここで私達のレゾンデートルやイデオロギーを
    論じても仕方が無いのだわ。姉妹それぞれに信念というものもあることだし」
薔薇水晶「……」
翠星石「……真紅」
水銀燈「ふん。アンタに言われなくても分かってるわよ、そんなこと」

18 :
ジュン「今、ここで重要なのはSOSを送ってきた雪華綺晶を助けることじゃないのか?」
蒼星石「その前に確認というか、明確にしておくべきことが一つ二つある」
雛苺「?」
蒼星石「一つ、雪華綺晶を助けるか否か」
ジュン「お、おい!? そんなことを議論するのか!?」
水銀燈「当然。今回のケースはどちらかと言えば末妹の方に非がある」
雛苺「……ドロボーさんはしちゃいけないことなのよね」
水銀燈「けれども先ほど言った通り、命を盗むは薔薇乙女のサガ。
     ライオンがウサギを食いしたところで、それを悪とは言わない」
薔薇水晶「では……仲間を奪われたウサギが徒党を組み
       ライオンを追いつめるのは悪だ……と?」
水銀燈「まさか。いくら私らでもそこまで独善的ではなくてよ」

19 :
蒼星石「問題は雪華綺晶のローザミスティカだ」
翠星石「ッ!?」
金糸雀「アリスゲーム以外の要因で薔薇乙女が斃れた場合
     ローザミスティカは迷子になってしまうかしら」
真紅「これは既に蒼星石の自滅の際に半ば立証されている」
蒼星石「雪華綺晶がこのまま渡し守の復讐で敗れるようなことがあれば
     そのローザミスティカの回収は至難を極めるだろう」

20 :
翠星石「ちょちょちょ!? 蒼星石? 自分が何を言ってるか分かってるですか!?」
蒼星石「もちろん」
翠星石「白薔薇が卑怯で気持ち悪くてえげつない最低のローゼンメイデンだとしても
     姉妹には変わりないですよ! それも末っ子です!
     翠星石達が助けてあげなくて誰が助けてあげると言うのですか!!」
金糸雀「それは……そうだけど」
雛苺「ヒナは……ヒナは雪華綺晶を助けるのよ! ちょっと怖い妹だけど……
    それでもヒナにとっては、たった一人の妹なの!!
    ドロボーしたのを叱ってあげなくちゃいけないの!!」

21 :
翠星石「よぉく吠えたです! チビチビ!
     さあ、他に誰か続こうと言う奴はいないのですか!?」
水銀燈「……」
金糸雀「……」
蒼星石「……」
真紅「……」
薔薇水晶「……」

22 :
翠星石「ぐあああっ! 何ですかこの姉貴どもは! 情も無けりゃ根性も無いですか!
     だったらテメーらみたいなタマナシメイデンはほっといて
     翠星石とチビ苺だけで白薔薇を助けに行ってやるですっ!!」
ジュン「お、おい翠星石……!」
翠星石「おら! 手掛かりの銀貨をよこせです水銀燈」
水銀燈「……」すっ
翠星石「ちっ! 無言で提出ですか。何か一言ぐらい言い返せです!
     ……行くですよチビ苺!」
雛苺「うぃ!」とててっ
ジュン「ひ、雛苺まで……」

23 :

ジュン「い、いいのかよ二人だけで行かせて!!」
水銀燈「いいわけないでしょうが」
金糸雀「でも、止められなかった」
水銀燈「翠星石の言うこともやることもまったくもって正論。正しすぎて眠くなるぐらい」
ジュン「だったら、どうしてお前らは……?」

24 :
蒼星石「二つめに確認したい事項。それは、これが雪華綺晶の罠かどうか……だ」
ジュン「ッ!?」
真紅「これ系の白薔薇の搦め手に、ジュンも含めて私達は煮え湯を飲まされ続けている」
金糸雀「少しはカナ達が慎重になるのも分かってほしいかしら、ジュン」
ジュン「……」
蒼星石「しかし翠星石の目には
     そういった僕らの態度が冷静とは映らず、冷徹だと映った」
薔薇水晶「烈しいのですね……翠星石は」

25 :
真紅「さて、こうなった以上、私らも何らかのアクションは起こさないといけない」
水銀燈「下手したらローザミスティカが3つも迷子になるからね。
     あ、雛苺のだけはひょっとしたら真紅の下に戻ってくるかもしれないけど」
金糸雀「また、そーゆー憎まれ口言っちゃう……。
     水銀燈も偶には素直に妹を心配するお姉さんになってもいいのかしら」
水銀燈「余計なお世話よ金糸雀」
蒼星石「それと最後にもう一つだけはっきりさせておくべきことがある」
薔薇水晶「?」

26 :
蒼星石「僕達のこれからの行動に正義や大義は無い。
     渡し守の集いから雪華綺晶を助け出したところで復讐の連鎖を紡ぐだけだ」
ジュン「蒼星石……?」
水銀燈「それでもいいじゃない。それこそアリスゲーム。それこそがローゼンメイデン。
     私達は憎しみと苦しみの石を積み上げて頂へと向かう、そして自ら崩す。
     災いを振りまき、巻き起こし、また自ら絶望するために私達は生まれた」
真紅「よく喋るわね水銀燈。絶好調じゃない」
金糸雀「逆かしら真紅。水銀燈が芝居がかった台詞を言ったり饒舌になるのは
     弱気になった自分を奮い起こすためかしら」
真紅「……そう」
蒼星石「……取り敢えずは翠星石達のあとを追おう。これに異論は?」
水銀燈「無い」
金糸雀「無いかしら」
真紅「賛成よ」

27 :

ジュン「なんかザワザワしていたが、姉妹仲良く末っ子を助けに行くという
     結論になったからメデタシメデタシ……なのかな?」
薔薇水晶「……さあ」
ジュン(何で薔薇水晶は行かないの? とは流石の僕でも聞けない……。
     空気読まない翠星石だったら聞くんだろうけど
     あいつはイの一番に出てっちゃったし……)
薔薇水晶「……」
ジュン(こういう話題になると薔薇水晶は昔のダンマリさんに戻っちゃうんだよなぁ。
     せっかく最近は、よく笑って、明るい子になってきてたのに……)

28 :
薔薇水晶「……」
ジュン(いつまで僕の部屋に居る気なのかなぁ?)
薔薇水晶「……桜田ジュン? ひょっとして私、邪魔ですか?」
ジュン「え、あ、いや! そんなこと無いって! 好きなだけ居ろよ」
薔薇水晶「では、すいませんが……もうしばらく。少し考えたいことが」
ジュン「あ、ああ……そうだ! お茶でも淹れようか?」
薔薇水晶「おかまいなく」
ジュン「いやいや、遠慮するなって。真紅が買いこんだいい紅茶葉があるんだよ。
     今、用意してくるから。少し時間かかるけど、いいだろ?」
薔薇水晶「ありがとう……ございます」
ジュン(取り敢えず薔薇水晶の傍から離れる口実はできたが
     何で自分の部屋なのに、こんなに居づらい空気になったんだろ)すごすご

29 :
§nのフィールド・とある渡し守の詰め所・最奥・鳥籠の牢獄
雪華綺晶「……」
ラプラス「生きてますか?」
雪華綺晶「それはどういう意味で?」
ラプラス「言葉どおりの意味ですよ。それ以上でも、それ以下でもありません」
雪華綺晶「あなたの発する言葉ほど、その通りに受け取ることができないものは無い。
       動いて喋ることが、考えることができるという意味では
       私は生きているのでしょうが……これであなたの質問に対する解答に?」
ラプラス「ええ、ええ。充分すぎますよ。『はい』と一言だけでも良かったのですが。
      それだけ言葉が出るということは存外に元気そうで安心しました」
雪華綺晶「……」
ラプラス「では、次の質問です。いつまで、ここでこうしているおつもりで?
      早いとこ、この檻をぶち破っていただけるのを期待しているのですが」
雪華綺晶「奇遇ですわね。私もあなたに同じことを期待していました」
ラプラス「……」

30 :
雪華綺晶「渡し守の集いを少し見くびりすぎましたか。
       ここまで強力な結界に私達を閉じ込めるとは」
ラプラス「ですから、あれほどつまみ食いはよくないと言ったでしょうに」
雪華綺晶「本気で忠告していたのですか?
       私としては上島竜平の『押すなよ』と同じ響きに聞こえていたのですが」
ラプラス「私の言葉は言葉どおりの意味。これも先ほどだけでなく何度も言いました」

31 :
雪華綺晶「しかし、そんな私に付きあってくださるあなたは本当に楽しそうでした」
ラプラス「それはもう楽しいですよ。審判者であり煽動者であり観客でもある私にとって、
      膠着していたアリスゲームを急進させる貴女の一挙一動は実に刺激的です。
      たとえそれがお父様も意にそぐわないものだとしても」
雪華綺晶「それも、ここでゲームオーバーとなってしまうかもしれません」
ラプラス「しおらしい真似は似合いませんよ雪華綺晶。あの傀儡はどうなったのです?
      渡し守達の包囲網をなんとか抜け出させた、あの傀儡人形は?」
雪華綺晶「一応は黒薔薇のお姉様達の下にたどり着いたようです。
       彼女達であれば、葬送銀貨からこの場所を割り出すのは容易いかと」

32 :
ラプラス「ふむ。助けを呼ぶことには成功した、と。
      なら私達がここで無理をしなくともよいわけですね」
雪華綺晶「いえ、こちらの危機を伝えられはしましたが
       お姉様達が私を助けに来られるかは別問題です」
ラプラス「渡し守の妨害に遭うと?」
雪華綺晶「それもそうですが、チームを組んだお姉様達は実力以上の力を発揮します。
       私達を捕らえる事ができた渡し守でも、お姉様達には敵わないでしょう」
ラプラス「ほう。どこぞのウルトラマン達は大違いですね。
      では白薔薇のお嬢さんの言うところの問題とは?」

33 :
雪華綺晶「お姉様達に私を助ける気があるかどうかです」
ラプラス「これはこれは……随分と頼りないことを言う」
雪華綺晶「私は誰からも好かれているわけではない。その事だけは断言できます」
ラプラス「そういうところが私にとっては実に好ましいのですが……」

34 :
雪華綺晶「……」
ラプラス「雪華綺晶、この際の時間つぶしというわけではありませんが
      前々から一度聞いてみたかったことがあります」
雪華綺晶「何です?」
ラプラス「ローゼンメイデンのマスターたりうる人物、
      彼らを自らの苗床として集めて何になるというのです?」
雪華綺晶「……」
ラプラス「確かに苗床が増えれば増えるほどあなたは強くなる。
      しかし、それはドラゴンボールのセルと同じでそろそろ限界です。
      セルが17号、18号を吸収して完全体となったように
      あなたも姉妹を吸収しなくては次のステップへ上がれませんよ?」

35 :
雪華綺晶「何も天上の少女(アリス)を目指すだけが究極に至る道とは限らない」
ラプラス「……」
雪華綺晶「私達が一眠りしている間に地球人口は2〜3倍となった」
ラプラス「? ええ、つい最近70億を突破したとか」
雪華綺晶「その分、他の動物達は絶滅していきました」
ラプラス「自然の摂理ですね。人間もそこに当てはめてよいかは議論のある所でしょうが」
雪華綺晶「つまり、地球上で陸と海の割合が3:7と決まっているように
       地球上に存在できるアストラル、いえ、魂の割合も
       キチっと決まっているとは思えませんか?」

36 :
ラプラス「……」
雪華綺晶「人間が増えれば増えるほど他の動物は減る。しかし、魂の総量としては変化が無い」
ラプラス「その考え方にはひとつ、重大な矛盾があります」
雪華綺晶「……どうぞ」
ラプラス「魂の質量保存則とも言えそうな『それ』は、いつから始まったのです?
      原初の地球は炎に包まれ、魂などというものは無かったかと思います。
      当然、その時には陸と海の割合なんてのも無かったでしょうが」
雪華綺晶「……流石は『全てを知る者』の肩書を持つだけはある。いい質問です」
ラプラス「それはどうも。それより解答を」

37 :
雪華綺晶「この疑問に対しては、地球自体を巨大な魂を持つ生命体だと
       仮定することで一応の解を得られます」
ラプラス「ガイア理論ですか。突飛なものを持ち出してきましたね。
      エコロジー学者にでもなるつもりですか?」
雪華綺晶「突飛なのは私もあなたも同じでしょう?」
ラプラス「……そうでした」
雪華綺晶「地球はその魂を削り、生命体を産み出し、増やした。
       しかし、ある時点でこれ以上新たな生命体を創出することはできなくなり
       魂のリサイクルとでもいうべき循環が始まった」

38 :
ラプラス「リサイクル。またまたエコっぽい話になってきましたね。
      ともかく、それを『魂の割合』と表現したのですか」
雪華綺晶「ええ。そしてこれはnのフィールドにも適応されます。
       現実世界に生者としてある魂とnのフィールドに死者あるいは
       残留思念としてある魂、はたまたその二足の草鞋を履いている者
       これらの割合もキチっと決まっている」
ラプラス「その辺りは渡し守の集いの思想と重なる部分ですね。
      彼らは魂の輪廻を大切にもしていますから」
雪華綺晶「さて、本音ではどうだかは分かりませんよ。私達のように」
ラプラス「……」

39 :
雪華綺晶「長々と前フリが続きましたが結論です。
       もし、ただ1つだけの存在が……いくつもの魂を所有できたとしたら
       その存在はどうなると思います? 何を見ると思います?」
ラプラス「それが、あなたの苗床? 興味深いお話ですね。
      しかし、その為にあなたが背負う業は深い。それでは
      アリスとして天上に咲き誇ることは叶わないと、このウサギめは考えます」
雪華綺晶「ならば……お姉様達のやり方でならアリスになれると」
ラプラス「彼女達のやり方にもまだまだ詰めが甘いと言える部分はあります。
      しかしそれでも少しずつ、悲しみと迷いと苦しみの石を積み上げています。
      崩れても崩れても天上へ向かおうとする意志さえあれば、いつかは」
雪華綺晶「上を目指すことだけが目的地へ至るただ一つの道とは限らない。
       業を深めることもまた別の道。ひたすら深く、ただひたすらに」
ラプラス「……」

40 :
雪華綺晶「世界は螺旋であり、巡廻している。
       天上(OVER HEAVEN)も地下(UNDER HELL)も突き詰めれば
       たどり着くところは同じだと私は考えます」
ラプラス「……トリビァル。そういう頑固で一途なところは
      他の姉妹達と同じですね。そういう性格はあまり好きになれません」
雪華綺晶「それもまた自然の摂理。私達は同じ父から生まれたのですから」

41 :
雪華綺晶「それはそれとして」
ラプラス「?」
雪華綺晶「話題の種も尽きてきたことですし……
       お姉様達が助けに来るとすれば、そろそろ今時分な頃合い」
ラプラス「そう都合よく事が運びますか? 歌劇でもあるまいに」
雪華綺晶「では、もう少しの場繋ぎとして賭けでもしませんかラプラスの魔?」
ラプラス「賭け? それは良いですが何を賭けるのです? まさか魂でも?」
雪華綺晶「いえいえ、賭けるのは何でも。そうだ、あれにしましょう。
       5オボロス。私とあなたがドサクサに渡し守達からせしめた銀貨です。
       賭けに勝った方が全ての銀貨を総取りということで」

42 :
ラプラス「なるほど。乗りました、その賭け」
雪華綺晶「グッド。では、賭けの内容はこうです。『助けに来るお姉様達は誰か?』」
ラプラス「これはこれは難しいお題を」
雪華綺晶「難問でこそ、挑戦する価値はある。よろしいですか?」
ラプラス「いいですとも。では、私は金糸雀、翠星石、真紅、雛苺の
      いわゆるバカ組……失礼、真紅組が来ると思います」
雪華綺晶「あなたにしては手堅い予想ですわね。確かに紅薔薇のお姉様達は情に厚い。
       私のような不肖の妹でも、しゃにむに助けようとする可能性は高い」
ラプラス「では、あなたも同じ予想ですか? それでは賭けになりませんね」

43 :
雪華綺晶「いえ、私は……」
ラプラス「……!? 正気ですか、本当にそのような予想に賭けを?」
雪華綺晶「はい。私は大穴に賭けるのが好きですので」
ラプラス「大穴というか無謀ですよ雪華綺晶。
      あなた自分で、『私は誰からも好かれているわけではない』と」
雪華綺晶「何と言われても私は変えません。あとはただ、待つのみ」
ラプラス「……」

44 :
§小一時間後
蒼星石「雪華綺晶……っ! 雪華綺晶!」こそっ
雪華綺晶「……!? 蒼星石……」
蒼星石「良かった……無事みたいだね。助けに来たよ」
ラプラス「何と……!? 彼女が助けに来るとは! 私の予想は早くも外れましたか」
蒼星石「いや、僕だけじゃない」
水銀燈「ちっ、何をラプラスの魔とよろしくやってんのよ末妹?
     二人も揃ってて、こんなボロい鳥籠に手も足も出ないってわけぇ?」
ラプラス「水銀燈……」

45 :
金糸雀「ちょっと待って水銀燈。よく見ると雪華綺晶達が閉じ込められているこの鳥籠、
     呪文や結界でガチガチに固められているかしら」
真紅「ま、そんなところだろうとは思っていたのだわ。
    でもローゼンメイデンが4人、それも外側からならば鳥籠は開けられるわね。
    少し下がっていなさい白薔薇」
ラプラス「金糸雀と真紅まで、この4人ですか」
雪華綺晶「……」
ラプラス「他のドールズは見当たらない……。惜しかったですね、雪華綺晶。
      あなたが賭けた予想は『全員助けに来る』でしたから」
雪華綺晶「……」

46 :

真紅「よし、鳥籠は解除した。出られるわよ二人とも」
雪華綺晶「ありがとうございました」ぺこり
水銀燈「流石のアンタも今回ばかりは頭を垂れたわね」
雪華綺晶「ところで……他の方は?」
蒼星石「翠星石と雛苺なら表の入り口のところで渡し守達と
     揉めて暴れている。『君を出せ!』ってね」
ラプラス「!」
雪華綺晶「……」
水銀燈「どうやら怒り心頭に達して冷静さを欠いているみたいだけど
     何も馬鹿正直に正面から突っ込まなくてもいいでしょうに」
金糸雀「けれどもお陰で渡し守達の注意はあっちに集中してるかしら」
真紅「私達としては絶好のチャンスだったというわけなのだわ」
雪華綺晶「なるほど」

47 :
ラプラス「……やれやれ、まさかの大穴的中ですか。5オボロスはあなたのものです」
雪華綺晶「いえ、まだです」
ラプラス「?」
雪華綺晶「薔薇水晶は来ていないのですか?」
水銀燈「はあ? 来るわけないでしょ。
     あの子は苦しむ者あれば誰でも助ける聖女ってワケじゃあないのよ」
雪華綺晶「……」
ラプラス「雪華綺晶? まさかあなたの言った『全員』とは……」
雪華綺晶「ええ、薔薇水晶も含めてのことだったのですが……惜しかったですわね」
ラプラス「二人ともハズレですか? ならば5オボロスの行方は……」

48 :
金糸雀「何の話をしているのかしら二人とも!
     こんな所にはもう用が無いんだから、さっさと……!」
雪華綺晶「……黒薔薇のお姉様」
水銀燈「?」
雪華綺晶「これを、帰ったら薔薇水晶に渡してください」
水銀燈「銀貨? 5枚? 5オボロス?」
雪華綺晶「『よく助けに来なかった。その判断を称えて』と私が言っていたとも」
真紅「ちょちょちょ、ちょっとそりゃどういうことよ!?
    助けに来た私らはともかく、何もしなかった薔薇水晶にご褒美?」
雪華綺晶「私から褒美なんて欲しいのですか真紅?」
真紅「いやいや、そんなわけはないけれど……」

49 :
水銀燈「分かった。確かに薔薇水晶にそう伝えとく。
     けど、自分で渡した方がいいんじゃないの? こういうのは」
雪華綺晶「いえ、私はもう行かなくては。12時の鐘は既に鳴っている」
金糸雀「は?」
ラプラス「おっと、いけないいけない。それはこの白兎めも同様。
      このままでは遅れてしまいます。急がなくては急がなくては……」
真紅「へ?」

50 :
雪華綺晶「では、ごきげんようお姉様方。
       助けていただいたこと、まことに感謝いたします」スゥゥ
ラプラス「私もこれにて失礼。また、いつかどこかで」ジジジ
水銀燈「あ、こら! 次元の扉を開く気!? だったら私らもついでに……!」
ババシュッ
蒼星石「……消えた……二人とも」
水銀燈「く……! だから助けるのは嫌だったのよ!
     全然、窮地なんかに陥ってたわけじゃないじゃない!!」
金糸雀「助け出した直後に、ワープして逃げる人だなんて初めて見たかしら」
真紅「ええと……どうする?」
蒼星石「どうもこうも……帰るしかないだろう。
     釈然とはしないが雪華綺晶の救出には成功したんだ」
水銀燈「そうね。あんまりウダウダしてると……」

51 :
渡し守A「あ! 鳥籠が開いてる!?」ドタバタ
渡し守B「何ィ!? 逃げ出したのかあいつら!?」ドタバタ
真紅「げ……っ!」
金糸雀「あちゃー……」
渡し守A「お前らか? お前らが逃がしたのか!?」
渡し守B「なんてことを……! 許さん!」
水銀燈「そりゃ、こうなるわよね……当然」
蒼星石「仕方ない! 強行突破で僕達も逃げよう!
     表の翠星石達も騒ぎに気づけば、ここから離脱するはずだ!」
水銀燈「ああもう、なんなのよ!? さっきからこの貧乏くじ!」
金糸雀「仕方が無いでしょ、お姉さんなんだから」
真紅「金糸雀の言う通りだわ」
水銀燈「ちぃっ……!」
渡し守A「逃がすわけにはいかん!」
渡し守B「者共! であえ! であえぇぇぇぇ〜っ!!」
蒼星石「押し通る!!」

52 :
§その頃の桜田ジュンの部屋
ジュン「ほら、これ僕が小さい頃の遠足の写真でさ。
     柏葉が一緒に映ってるんだよ。あいつ昔はこんなだったんだ」
薔薇水晶「……」
ジュン「えぇと……つまらないか?」
薔薇水晶「……」
ジュン「そ、そうか! じゃ、オセロでもしようか! オセロ!」
薔薇水晶「……」
ジュン(ああもう、間がもたないからって何で僕がこんな……
     付き合い始めたばかりの恥じらいカップルみたいな茶番を!)パpチン

53 :
薔薇水晶「……」パpチン
ジュン(……て!? やる気なさそうに見えて薔薇水晶オセロ強ぇーー!?
     おいおい、瞬されてちゃ、思ったより時間稼ぎにならねーよ。
     どうすんだ、この空気……!? もう……)
薔薇水晶「……桜田ジュン」
ジュン「は、はい!? なんですか!?」
薔薇水晶「お腹がすきました」
ジュン「だ、だったら夕飯を用意してるであろう槐先生の家に……」
薔薇水晶「……」ぴくっ
ジュン「帰ったらどうでしょう……なんて言ってみたり……ハハ……」
薔薇水晶「……」じろり
ジュン「ええと……ピザでいいですか?」
薔薇水晶「……」コクン
ジュン「それじゃあ、すぐに注文してきますんで」

54 :
ジュン(なんだかんだで雪華綺晶のことが気になってるみたいで帰りたがらないし。
     ずっと黙りこくって、怒ってるんだか悲しんでるんだかも分からないし……)
薔薇水晶「……桜田ジュン」
ジュン「は、はい!?」ぴた
薔薇水晶「ジュースはアップルで」
ジュン「よ、よろこんで〜っ」だばだばだば
薔薇水晶「トールで」
ジュン(まだ真紅の鉄拳支配の方が居心地的にはマシだ。
     早く! 早く帰ってきてくれ、真紅ぅ〜〜!)

55 :
§その頃の真紅は渡し守達相手に思う存分鉄拳を振るっていた
真紅「オラオラオラオラオラオラオラオラアラオラオラ」
雪華綺晶 UNDER HELL 『完』

56 :
ブログからきましたよ
期待してるのだわ

57 :
>>56
サンキューです

58 :

【翠雛合戦・桃の陣】

59 :
雛苺「♪うっにゅにゅっうにゅうにゅ ♪うっにゅっにゅ〜」くるくる
翠星石「?」
雛苺「♪うにゅうにゅうっにゅにゅ〜 ♪うにゅにゅにゅっうっにゅっにゅ」ふりふり
翠星石「な〜にを阿呆のように、うにゅ〜をかかげて踊っているですか? チビ苺」
雛苺「えへへ〜! のりのお皿洗いのお手伝いしたら特別にもらったのよ!
    オヤツの時間じゃないのに食べてもいいの!」
翠星石「……」

60 :
雛苺「それじゃ! いっただきま〜……」
翠星石「ちょい待ち!!」
雛苺「? なぁに? 翠星石」
翠星石「そのうにゅ〜を、翠星石の持つこの桃の種と交換する気はねーですか?」
雛苺「うゆゆ? 何を言ってるの翠星石? イカれてるの? この状況で?
    桃の実ならまだしも、桃の種とコーカンなんかするわけないのよ」
翠星石「いやいや、翠星石は大マジですよ。チビ苺こそよく考えてみるです。
     いいですか? そのうにゅ〜はここで食べてしまえば、それでもうお終いですぅ」
雛苺「ふんふん……」
翠星石「しかーし、この種を庭に植えて育てればあら不思議。
     10個も20個も桃の実がなって、そりゃもうフルーツ食べ放題ですぅ!」
雛苺「……」じゅるり

61 :
翠星石「ここまで説明すればチビ苺でも分かるですよね?
     このトレードが非常にお得であるということが……?」
雛苺「むむぅ……」
翠星石「何を迷うことがあるのですぅ?
     一時の欲望で、たった一つのうにゅ〜のために
     将来のフルーツ食べ放題をフイにしてもいいのですかぁ〜?」
雛苺「で、でも『クリ三年コキ八年』って言うし……」
翠星石「どこのセクハラおやじですかお前は。それを言うなら桃栗三年柿八年ですぅ」
雛苺「とにかく桃の実ができるまで時間がかかるの! 三年は長いの!」
翠星石「何言ってるですか、三年ぐらい翠星石達にとっては一瞬ですぅ。
     一眠りするか、鷲頭麻雀を半荘二回でもやりゃ、あっという間です」
雛苺「うゆゆ」

62 :
翠星石「とは言え、せっかちなチビチビのこと。
     時間を惜しむ気持ちも分からんでもないです」
雛苺「?」
翠星石「なんと! この桃の種は特別で、植えれば三日で実がなるのですぅ!」
雛苺「ふぉおおお! す、すごいの!!」
翠星石「ですよねぇ? このスーパーウルトラグレートデリシャスな桃の種を
     そのうにゅ〜一個と交換してやろうと言うのです」
雛苺「ううう……! で、でもぉ……」
翠星石「? まぁだ踏ん切りがつかねーのですか?」

63 :
雛苺「だ、だって翠星石はいつもヒナをいぢめたりダマしたりするの!
    今回も、もしかしたら……」
翠星石「やれやれ、そういうことですか。
     信用されてないなら、これ以上オススメしても、しゃーねーです。
     この桃の種は蒼星石にあげるですぅ。じゃ、そーゆーことで……」とてとて
雛苺「ま、待ってなの!!」
翠星石「ん?」ぴたっ
雛苺「分かったの! 交換するの!
    ヒナのうにゅ〜をあげるから、その桃の種をちょうだい!!」
翠星石「毎度あり〜」
雛苺「わぁい! これで三日後にはピーチ食べ放題なの! ありがとう翠星石!!」
翠星石「どういたしましてですぅ」むしゃむしゃ
雛苺「翠星石はホントは優しいお姉ちゃんだったのよね!
    ヒナ誤解してたの! じゃ、早速桃の種をお庭に植えてくるの」だだだ

64 :
翠星石「ふふん。チビ苺の奴、『ありがとう』ですって?
     翠星石が『優しいお姉ちゃん』なワケないですよ。
     あーいうバカがいるから翠星石は食いっぱぐれねぇんです。
     ククク……話にならない甘ったれ。
     この桜田家ではそういうウスノロはいのいちに餌食……喰い物」むしゃむしゃ

65 :
☆翌日
雛苺「ねぇねぇ翠星石ぃ!」
翠星石「? どーしたです? チビチビ?」
雛苺「昨日植えた桃の種からまだ芽が出ないの」
翠星石「ああ、そりゃ植えただけじゃ駄目ですよ。
     庭師の如雨露でスィドリームの甘いお水を毎日やらなければ
     フツーの桃と同じで実ができるまで三年かかるです」
雛苺「うゆゆ!? そんなこと昨日は言ってなかったのよ翠星石!!」
翠星石「だってチビ苺が聞かなかったんだからしょうがねーです」

66 :
雛苺「むむ……! じゃ、じゃあ庭師の如雨露を貸してなの!」
翠星石「いいですよ。でもタダじゃあ貸せねーです」
雛苺「っ!?」
翠星石「いや、可愛い可愛い妹のチビ苺のためですぅ。
     翠星石だってタダで貸してやりたいのは山々ですが
     甘露を出すとスィドリームが結構疲れてしまうのです」
雛苺「……」
翠星石「スィドリームも翠星石にとっては大切な人工精霊ですぅ。
     彼をタダ働きさせるなんて、優しい翠星石には耐えられないのです。
     だから、ある程度のレンタル料はいただいて、スィドリームの頑張りに
     報いる必要があるんですよ。お分かりいただけるですよねチビ苺?」
雛苺「う〜……。だ、だったらいくら払ったら貸してくれるの?」

67 :
翠星石「そうですね。一日百円でいいですよ」
雛苺「むむぅ……」
翠星石「ま、無理にとは言わねーです。
     三年かけて地道に桃を育てるのも一つの選択。どうぞ御自由にですぅ」
雛苺「一日百円だったらヒナのお小遣いからギリギリ払えるの……。
    庭師の如雨露を貸してちょうだい翠星石!」
翠星石「毎度あり〜。あ、お金は今じゃなくて如雨露を返す時でいいですよ」
雛苺「……ありがとうなの」

68 :
☆三日後
雛苺「わぁい! 翠星石の言うとおりにしたら
    ホントに桃の木が伸びて実がい〜っぱいなったの!!」
翠星石「おーおー、頑張ったですねチビ苺。立派ですぅ」
雛苺「ありがとうなのよ翠星石! はい! 如雨露とレンタル料の三百円!」
翠星石「は? 何を言ってるです? レンタル料は五百円ですよ」

69 :
雛苺「!? い、一日百円だって言ってたのよ翠星石……っ!!」
翠星石「そりゃそーですが、二日目以降は延滞料金ですぅ。
     ビデオだって漫喫だって延滞料は正規料金とは違うです」
雛苺「ひどいの! 騙したのね翠星石!」
翠星石「いーや、翠星石は嘘は言ってねーですよ。
     事前に確認を怠ったチビチビのケアレスミスですぅ」
雛苺「そ、そんなぁ……。ヒナは五百円もお金持ってないの〜〜っ!」
翠星石「だったら、この桃の木は差し押さえですね」
雛苺「さ、差し押さえ!?」
翠星石「金が払えないのなら、この桃の木は翠星石のものってことですぅ」
雛苺「ッッ!?」

70 :
翠星石「では、早速」よじよじ
雛苺「ああ!? 木に登って……!?」
翠星石「よしよし、いい感じに熟して食べごろですぅ……」ガブッ
雛苺「あああっ!?」
翠星石「ん、美味し。スィドリームの甘露を受けて育っただけはあるです。
     果汁の酸味と甘味が喉を通る度に、幸せの繰り返しです。
     果肉もしっとりとしていて、舌の上でシャッキリポンと踊るですぅ……」ムシャムシャ

71 :
雛苺「ダメなの! ヒナの桃を食べちゃダメなの翠星石ーーー!!」
翠星石「何を言ってるですか。これはもう翠星石の桃です。
     ああ、この瑞々しい甘さときたら、いくらでも食べられるです」モグモグ
雛苺「ひどいの! ずるいのーーっ!! 翠星石の性根は腐ってるのよ!!
    畑に捨てられカビがはえてハエもたからないカボチャみたいに腐りきってるの!!
    うゆゅ……ひぐっ……びぇ、びぇええええええええええええんん!!」
翠星石「わめくがいいです、ののしるがいいです、泣くがいいです。
     文無しにできるのは、せいぜいそれぐらいのことで〜す」

72 :
雛苺「びぇええええええええええ!!」
翠星石「とは言え、ちとやかましいですね。しょうがない……」
雛苺「うぇええええんんえんえんえん!」
翠星石「おらチビ苺。お姉様が慈悲の心で一つだけ桃を恵んでやるです。
     だから少し黙れですぅ」
雛苺「うゆゆ……ほんとう?」
翠星石「ほんとうです」
雛苺「一つだけ? 翠星石はさっきから何個も食べてるんだし
    ヒナは三個ぐらいほしいの……」
翠星石「三つ? 三つも欲しいのですか? いやしんぼですねぇ。まぁ、いいです。
     それじゃ特別に三つやるです。一個づつ放り投げるですから、
     ちゃんと受け取れですよ。落としたりしてもやり直しは無しですからね」
雛苺「ラジャーなの!」

73 :
翠星石「……」
雛苺「? 早く投げてなのよ翠星石!」
翠星石「ちょい待ち。今、コンセントレーションを高めているところです。
     チビ苺にちゃんと届くようにコントロールを……」
雛苺「分かったの」
翠星石(確か……自然の中にある黄金比をしっかりと見極める、でしたよね。
     空を舞う蝶々の羽根……陽光を受けてきらめく葉っぱ……。
     その自然の中から得た無限の黄金律を今、この手の中の青い桃に!)
雛苺「……」

74 :
翠星石「見えてきた……! 見えてきたですよ、お父様!
     勝利のイメージが! 無限の可能性を秘めた黄金の回転がっ!!」
雛苺「翠星石……?」
翠星石「チビチビ! 翠星石の渾身の一投です! 受け取れでぇす!!」ドギャンッ
雛苺「にゅっ!?」ガッシィン
翠星石「……」
雛苺「な、なんなのよ翠星石? これ青くて固いまだ食べられない桃なの!
    こんなのを投げるだなんて翠星石はひどいの!!
    しかもヒナの顔にぶつけようとしたのね! でも、ちゃんと受け止めたんだから!」

75 :
翠星石「安心するなですぅ。まだ桃は回転している」
雛苺「うぇ?」
ギュルルル
雛苺「うゆゆゆゆ!? 桃が? 桃の実が!?」
ドッパアアアアンン
雛苺「ぎにゃあああああ」バタリ
翠星石「ふ……っ。相手が安心した時、そいつは既に敗北している。
     これが薔薇乙女の冴えたやり方ですぅ」

76 :
☆その日の夕方
ジュン「ッ!? ど、どうした雛苺!? こんなところでぶっ倒れて!?
     ゼンマイでも切れたのか!?」
雛苺「うゆゆ……ジュ……ン?」
ジュン「し、しっかりしろ! 雛苺!」
雛苺「も、もも……」
ジュン「モモ?」
雛苺「桃の実が……」
ジュン「?」
雛苺「桃の実が……火を吹いたの……」ガクッ
ジュン「ひ、雛苺ーーーーーーーっ!!?」

77 :
真紅「……」
のり「どう真紅ちゃん? ヒナちゃんの様子は?」
真紅「大したことないのだわ。一晩、鞄で眠れば朝にはいつもどおりよ」
のり「よかった……」
ジュン「しっかし、庭でぶっ倒れているから何事かと思ったよ」
ベリーベル「……っ!」
真紅「ベリーベルの話から大体の事情は分かったけど……」
ジュン「ちょっと目を離している間に
     翠星石がそこまであくどい真似を雛苺に対してやっていたとはな」
真紅「そして当の翠星石は食べられる桃は全部もぎ取って
    蒼星石のところへ行ってしまった。残ったのは青い桃ばっかり」
のり「流石にやりすぎじゃないかしら。今回の翠星石ちゃん」

78 :
雛苺「そうなの……! 今度ばかりはヒナも翠星石を許せないの……っ!」ボロロッ
のり「ヒナちゃん!? ダメよ! 鞄で寝てないと!!」
ジュン「そうだ! 無理するな!」
雛苺「フクシューなの! リベンジなの!!」
のり「落ち着いてヒナちゃん! 気持ちは分かるけど
    暴力に暴力で立ち向かっては何の解決にもならないわ!」
真紅「アリスゲームは解決するけどね」
ジュン「身も蓋も無いことを言うな」

79 :
雛苺「翠星石はヒナからうにゅ〜を奪ったの! 桃まで奪ったの!
    でも、でも翠星石はもっと大切なものまでヒナから奪ったの!」
のり「そ、それは……?」
真紅「あなたの心です」
ジュン「ふざけてないで雛苺の話を真面目に聞け真紅」

80 :
雛苺「それはヒナの誇りなの! プライドなのよ!
    これを取り戻すには、ヒナが翠星石をぎゃふんと言わせるしかないの!」
のり「ヒナちゃん……」
ジュン「そこまでの覚悟を」
真紅「人は食べ物が無くても誇りがあれば立っていられる。
    誇りが無くとも食べ物があれば生きていられる。
    けど、雛苺はその両方を奪われた」
ジュン「?」
真紅「つまり、これは雛苺が明日からまた
    立ち上がって歩いて生きていくために必要な戦いということよ。
    肉体的な意味では無く精神的な意味のそれで」

81 :
のり「……分かった! じゃあヒナちゃん! お姉ちゃんも協力する!
   みんなで翠星石ちゃんに、ここらで一つお灸を……!」
雛苺「ありがとうなの、のり。でも、ヒナに手助けはいらないのよ!
    これはヒナと翠星石の戦い! ヒナが一人でやらなくちゃ意味が無いの!」
のり「ヒナちゃん……!」
ジュン「雛苺……」
真紅「よく言ったのだわ雛苺。それでこそ気高く咲き誇る第六ドール」

82 :
★その日の夜・桜田家玄関前
翠星石「ふぅ〜〜。ついついおじじと蒼星石と話し込んでしまったですぅ。
     しかし二人に、翠星石の桃は好評だったようでなによりです。
     さて、今度はどんな手でチビチビを働かせてやるですか……」
ガチャッ
翠星石「ただいまでぇ〜す。可愛い可愛い翠星石ちゃんのお帰りですよぉ。
     皆の衆、跪いてお出迎えしやが……」
シーン
翠星石「れ……? んー? 誰もいないのですか?」

83 :
翠星石「明かりも点いてなくて真っ暗ですぅ。みんな、こんな夜にお出かけ……?」
ぐに
翠星石「? 何か踏んだです? これは……苺わだち? ……ッ!?」
ガシィン
翠星石「う! 足が縛られ……!?」

84 :
雛苺「お帰り……じゃないのよね。ようこそなのよ翠星石」
翠星石「チ、チビ苺!? これは、まさか!?」ぐぐぐ
雛苺「そう。玄関のドアを開けた瞬間、ヒナのフィールドに繋がったのよ」
翠星石「ほほう。さては、ついにブチ切れたですね。しかし見苦しいですよチビ苺!
     悪いのはノータリンな上、金勘定もできないお前の方でーす!
     それを棚に上げて、暴力に訴えるだなんて薔薇乙女失格ですぅ!」
雛苺「……」

85 :
雛苺「暴力は使わないの。苺わだちで足を縛ったのも
    おとなしく話を聞いてもらうためだけなのよ」
翠星石「へ?」
雛苺「使うのはコレ。翠星石が置いていった、この青いままの桃達を使うの」ゴロロン
翠星石「どういうことですぅ?」
雛苺「ゲームで勝負するのよ」
翠星石「!? ゲ、ゲームぅ!?」

86 :
雛苺「ここからお互いに一個だけ選んで、コマ回しみたいに回すの。
    長い間、回せた方が勝ちよ」
翠星石「……」
雛苺「簡単なゲームなの。受けて立つのよね翠星石?」
翠星石「いいですとも。売られたケンカは買うです。
     しかーし! こっちからも条件があるです」
雛苺「うゅ?」

87 :
翠星石「その中から桃を選ぶのは翠星石が先です! そして決闘場所は
     ここ(雛苺のフィールド)じゃなく、チビ人間の家のリビングでやるです!」
雛苺「……」
翠星石「この条件は絶対です! じゃなきゃ、勝負は受けんですぅ!!」
雛苺「わ、分かったのよ。翠星石の言うとおりにするの」

88 :
☆桜田家一階リビングのテーブル
真紅「では、この勝負の立会人は私達が務めるのだわ」
ジュン「なんだ? ここでやることになったのか?」
雛苺「翠星石がここじゃなきゃ嫌だって言うの」
翠星石「当然ですぅ。チビ苺のフィールド内で
     コマ回し勝負だなんて対等な条件じゃないでーす」
のり「……」
翠星石「それじゃ約束どおり先攻は翠星石ですからね。
     桃も先に選ばせてもらうですぅ。どれどれ……」ガサゴソ

89 :
ジュン「先手も譲ったのかよ? 雛苺」
雛苺「だってぇ……」
真紅「翠星石としては当然の要求よね。用意された桃達の中に
    変な細工がされていないか、慎重に調べる必要があるし」
翠星石「そのとーりです」ガサゴソ
のり「抜け目が無いわねぇ翠星石ちゃん」
ジュン「普段は雛苺が一方的にやり込められちゃうのも道理だな」

90 :
翠星石「ふむ……ここにある桃達は全部ホントにフツーの桃ですね。
     じゃあ、翠星石はこれにするです! 一番丸くて回しやすそうなやつです!」
雛苺「ッッ!?」
翠星石「ほほう、そのリアクション? どうやらチビチビもこいつを狙っていたようですね?
     しかーし! 翠星石がこんなベストピーチを見落とすとでも思っていたですか!?」
雛苺「むむ……。それじゃ、ヒナはこっちの桃で勝負するの」スチャッ
のり「ヒナちゃんが選んだ桃も悪くないけれど」
ジュン「翠星石の桃の方が形が整っていて回しやすそうだな」
真紅「……」

91 :
☆先攻・翠星石
翠星石「では、いくですよ! そーれいっ!」ぎゅるんっ
ぎゅるるるるるる
雛苺「……」
ジュン「な、なんだ!? あの回転! い、異常だ!
     未熟で固い、青い桃だからってこんなに回るものなのか!?」
のり「すごーい! 何かの手品かしら!?」
翠星石「ふふん。翠星石は今日、黄金の回転を会得したのですぅ。
     これぐらいなら朝飯前でーす」
ぎゅるるるっるっぽてん
真紅「あ、倒れた」
ジュン「時間は?」
のり「に、27秒……っ!」

92 :
翠星石「まずまずといったところですか。ほれ、チビ苺の番ですぅ。
     おっと、その前に勝者の権利を聞いていなかったですね?」
雛苺「……!」
翠星石「そっちから勝負をふっかけておきながら、
     負けたら『すいませんでした』で済むたぁ
     まさかのチビチビでも思っちゃいねーですよね?」
雛苺「そ、それはもちろん分かってるの。
    負けた方は勝った方に一週間分のオヤツを渡すのよ!」
翠星石「グッド! そいつはいいことを聞いたですぅ!」
のり「ヒ、ヒナちゃん! 本当にいいの!? そんな約束!」
雛苺「……」
真紅「雛苺?」
ジュン「ヤケになっている……ワケじゃないみたいだな。何か作戦があるようだ」

93 :
☆後攻・雛苺
雛苺「それじゃヒナの番なのよね」スッ
翠星石「ニヒヒ……、27秒の壁を破れるもんなら破ってみやがれですぅ」
ジュン「……雛苺」
翠星石(仮にチビ苺が黄金の回転を、今日の一撃で身を以って
     習得していたとしても、27秒は超えられるはずがないですぅ!)
雛苺「……」ググッ
のり「ヒナちゃん……力みすぎちゃダメよ。リラックス、リラックス」
翠星石(黄金の回転をうまく伝えるには桃の形も大事なのでーす。
     一番形のいい桃は既に翠星石が使ったですし……)

94 :
翠星石(更に、念には念を入れて、選ぶフリをしながら他の桃全てには
     少しずつ傷をつけたです。僅かな傷でも、こういう勝負には効果は抜群。
     ゲームだなんて言い出すから、少し戸惑ったですが所詮はチビ苺の浅知恵。
     この翠星石に勝てるはずなかろうなのでぇーす!)
真紅「……」

95 :
雛苺「この桃じゃあ黄金の回転を加えたとしても27秒は超えられない。
    自分の勝ちは間違いない。そう思ってるんでしょ翠星石?」
翠星石「へ?」
雛苺「違うのよ、それは」ガブリッ
翠星石「桃をッ!?」
真紅「かじった!? いや、食べた!!」

96 :
雛苺「や、やっぱりちょっと固いのよね、でも」ガリガリムシャムシャ
のり「どどど、どうしたのヒナちゃん!?」
翠星石「理解不能ですぅ! 桃を食って何をするつもり……!?」
雛苺「こうするの!!」プッ
キュルルルルルルッ
ジュン「た、種ぇ!?」
真紅「桃の種が!!」
のり「ヒナちゃんが吐きだした桃の種が高速で回転してる!?」
翠星石「な、ななな……っ!?」

97 :
真紅「た、確かに、回すのなら実よりも種だけの方が遥かに簡単……!」
キュルルルルルル
ジュン「す、すげぇ! 30秒超えてるのにまだ回ってる! 翠星石より全然長い!!」
翠星石「チ、チビ苺!! こ、こんなの……っ!」
雛苺「……」
真紅「卑怯とは言うまいね」
翠星石「うぐっ!?」
真紅「雛苺は何も違反なんかしていないのだわ。
    桃を食べたりしてはいけないというルールなんか無い。
    だから、あなたも桃に傷をつけたのでしょう?」
翠星石「ッ!」

98 :
のり「翠星石ちゃん……」
翠星石「う、くく……!」
ジュン「もう分かってるんだろ? 完全に、してやられたんだよお前は、雛苺に」
翠星石「チ、チビ人間!?」
真紅「あなたが場所を変えようと要求することも
    自分に先に桃を選ばせろと言いだすことも雛苺は予想していた」
翠星石「な、なんですとーっ!? マジですかチビチビ!?」
雛苺「……」

99 :
真紅「それもこれも、全ては翠星石、あなたの油断を誘って
    雛苺自身が後攻に回るための準備だったのよ」
ジュン「そうじゃなきゃ、この種回し作戦は通用しないだろうからな」
翠星石「ば、馬鹿な……! こ、この翠星石が
     チビ苺の手のひらの上で踊らされていただなんて……っ!?」
雛苺「相手が勝ち誇った時、そいつは既に敗北している。
    これが本当の薔薇乙女の冴えたやり方なのよ!!」
翠星石「ぬ……ぬぬぬ……っ!!」

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