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2012年2月アニキャラ総合10: あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part306 (424) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part306


1 :12/01/29 〜 最終レス :12/02/13
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part305
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1325576362/
まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/
     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。


2 :
>>1
スレ立て乙っす。

3 :
皆さんこんばんわ。ウルトラ5番目の使い魔、76話投稿開始します。
ほかの方と予約がかぶっていませんでしたら10分後、18:50にはじめますので、よろしくお願いいたします。

4 :
 第七十六話
 アシタにサヨナラ
 
 くの一超獣 ユニタング 登場!
 
 
 この世には数万数億の人間が存在し、それらの人々は様々な形で支えあって生きている。
 ただし、人が人の信頼を得るのは難しく、多くの努力と時間がいる。だがそれゆえに、一度結ばれた絆は強く互いを結びつける。
 けれども……もしもその絆が最初から偽りであったとしたらどうだろう?
 両方が互いに欺いていたというなら、これはいい。ただハイエナ同士が互いの腐肉を食らいあっていたというだけだ。
 が、一方からのみが偽りを持って絆を作り、それが明らかになったときに傷つけられるもう一方の心の痛みは計り知れない。
 
 超獣騒ぎでいまだ混乱の治まらない街。人間たちは慌てて行きかい、事後処理に駆け回って静まるところを知らない。
 そんな中で、たったひとりの少女がいなくなっていることに気がつく余裕のある者などいなかった。
 野良犬すら寄り付かない閉鎖された倉庫街。そこに佇む、古びた倉庫に閉じ込められたベアトリス。
 突き飛ばされて、尻もちをついたまま見あげる彼女を取り囲む十姉妹が正体を現したとき、ベアトリスにその人生の最期に
なるかもしれない瞬間が訪れようとしていた。
 
「え……エーコ、あ、あなた、なにを言ってるの? 父の仇? なんのことよ!」
「わかりませんか? それはそうでしょう、わからないように努めてわたしたちはあなたに仕えてきたのですし、あなたには
とっくに滅んだ、たいして大きくもない家のことなど知識にすらないでしょう。ですが、教えてあげますよ……あなたの誇りとする、
クルデンホルフが成り上がる過程で、どれだけ汚いことをして、どれほどの怨念を振りまいてきたのかを」
 エーコは沈痛な面持ちで、ほんの半年ほどのあいだに自分たちの身の上に起きたことを話していった。
 父の受けた仕事に起きた理不尽なまでの障害の数々、それらが仕事の横取りを狙うクルデンホルフの策謀であり、父は
心を病んだあげくに自ら命を絶ったことを。
 ベアトリスは、呆然とした様子でそれを聞いていたが、エーコが語り終わったとたんに怒鳴りあげた。
「うそよ! わたしのお父さまが、そんな卑劣なことをするはずないわ! お父さまは人には厳しい方だけど、人の道を外れた
行為に手を染めるような方ではないわ」
「信じられないならそれでいいです。わたしたちはあなたと議論をするために来たわけではありませんから、ですが代償は
いただきます。お父上のもとに送り届けてあげますよ、あなたの血と肉を」
 その瞬間、ベアトリスの顔から血の気が引いた。
「ひ……い、今なんて」
「聞こえませんでしたか? 姫さまの体の血と肉をいただきたいと、そう申したんです」
「血と、そ、そんなことしたら……し、死んじゃうじゃないの」
「ええ、死んでください。わたしたちは、あなたをしにきたんですから……」
 
 暗い倉庫の中に、ベアトリスと十姉妹の視線が交錯する。
「す」
 そう言われた意味を、ベアトリスは理解できなかった。いや、理解できようはずがなかった。
 エーコたちが、わたしを”す”……いったい、この子たちはなにを言っているの?
 しかし、理性では理解できなくとも、本能は激しく警鐘を鳴らしていた。逃げろ、今すぐに逃げ出せと。
 小さい頃、庭の片隅で見たアリの群れの中に落ちたセミをなぜか思い出した。あっというまに大群に群がられたセミは、
わずかにもがくものの、すぐに身動きすら封じられて、最後には……

5 :
 いやだ! あんなふうになりたくない! 
 だが、ベアトリスの困惑を無視して、エーコたちの姉たちは口々に名乗りをあげていった。
 
「はじめましてお姫さま、妹たちが大変お世話になりましたようで。私、次女のエフィと申します。お見知りおきを」
「へぇー、これがあのクルデンホルフのお姫様ねえ。ひひ、あたしは七女のティーナだよ。よろしくね」
「思ってた以上にガキだな。あたしはユウリだ、一応覚えておきな。まあすぐに忘れさせてやるが」
「ユウリ姉さん、勝手に解体を始めないでね。わたしはイーリヤ、あなたに会えるのを楽しみにしていたわ」
「こいつが……こんなガキの家のせいで、私たちは」
「落ち着きなさい、我慢してるのはあなただけじゃないのよ。どうも失礼、わたしは三女のキュメイラ、そちらは四女のディアンナ」
 
 次女から七女までの六人の名乗りを、ベアトリスは身じろぎもできずに聞いていた。
 上品な声、粗雑な声、幼く聞こえる声やそのままの怒りを込めた声。しかし、全員に共通する、頭の上から押さえつけられる
ような圧迫感がベアトリスに立ち上がることすら許してくれない。
 そして、姉妹の最後に長身で金髪のまぶしい女性が、ベアトリスに杖を突きつけた。
「我が名は十姉妹の長女セトラ、父の仇、クルデンホルフの娘ベアトリス、この場でお命貰い受ける」
 それは貴族の礼式に沿った、完璧な宣戦布告の合図であった。地球の方式で言えば手袋を投げたに相当するこれは、
冗談でやれば貴族の地位を剥奪されても文句は言えず、受けなければ貴族にあるまじき卑怯者との烙印を押される。
つまり、彼女たちはまぎれもなく本気、本気で自分をそうとしてきている。
 ベアトリスは愕然と歯を震わせて、動くことさえできない。しかしセトラは彼女に杖先を向けたままで、冷ややかに言い放った。
「立たれよ、貴族としてせめてもの礼、杖をとることを認める」
 戦えという意味の言葉に、ベアトリスは懐に忍ばせてある杖を衣の上から握り締めた。
 しかし、ベアトリスも貴族である以上は戦いの作法くらいは知っていた。杖を抜いたが最後、それは決闘を受諾したと見なされて、
彼女たちは容赦なく自分をしに来るだろう。
 いや、それ以前にエーコたちに杖を向けるなんてできるわけがない。ベアトリスは、エーコにすと言われても、なお彼女たちの
裏切りを信じることができないでいた。エーコはじっとこちらを睨んだままで、ビーコとシーコはうつむいて目を伏せている。彼女たちが、
こんなことをするはずがないと思いたかった。
「悪い冗談はやめなさいよ! あなたたち、今なら許してあげるから」
「姫さま、まだ理解できないのですか? わたしたちは」
「待てよエーコ、あたしがこのガキにわかりやすく教えてやるからさ」
 そう言って前に出たのは、赤い髪をざんばらに伸ばした少女だった。
 彼女は、ベアトリスの前までゆくと、口元を大きくゆがめた。ベアトリスはなにをされるのかわからずに、唖然とした表情を
浮かべたままで見上げている。彼女はおもむろに足を上げると、そのままベアトリスの腹に向かって蹴り下ろした。
「おらぁっ!」
「が、ふっ!?」
 薄いドレスごしに、泥で汚れた靴が深々とベアトリスの腹に食い込んだ。瞬間、ベアトリスの口から悲鳴にもならない声が漏れ、
唾液に続いて肺と胃から熱いものが逆流してくる感じがする。

6 :
「がはっ! ごほっ!」
「あーん、ちっとは加減したつもりだったんだがなあ。おら、いい加減てめえの立場がわかったかよ!」
 赤毛の少女、ユウリははげしく咳き込んでいるベアトリスを見下して怒鳴りつけた。
 怖い……ベアトリスが、姉妹から受けた印象はその一言に凝縮できた。今までこんなに怖い目を見たことがない。
侮蔑や中傷を込めた見下し方などではなく、意というものを込められた眼差し……しかも、以前酒場で平民たちから
向けられたものよりも、もっとずっと冷たい、腐り果てた沼地の泥のような底知れないおどろおどろしさ。
「なぜ、なぜなの……エーコ、なぜ、あなたたちは」
 涙声になりつつありながら、ベアトリスはやっと声を絞り出した。だが、それへの返答はあまりにも冷たいものだった。
「簡単なことですよ。わたしたちにとっての最大の仇はあなたの父、しかし直接なぶりしにしたとしても、わたしたちの父の
受けた恥辱と苦しみの万分の一にも満たない。一番苦しめてやる方法は、一人娘であるあなたの死。だけど、実力行使は
クルデンホルフ本家をつぶすときまで温存したかった。だから、わたしたち三人は部下という形であなたに近づいたんです」
「わたしを、だましてたの……?」
「ええ」
 聞き間違えようのない返答が、ベアトリスの胸を貫いた。
「く、くぅぅっ!」
「悔しいんですか? でも、それは仕方ないことです。あなたが、わたしたちの背信を気づくこともできないほど未熟だから、
こんな目に会うんです。部下の裏切りを察知することは、人の上に立つ者として当然の資質であるべきなのに」
「違うわ……悲しいのよ」
「は?」
 うめくようなベアトリスの言葉に、エーコは思わず聞き返した。すると、ベアトリスは大粒の涙を浮かべた顔をあげて、
叫ぶように言ったのだ。
「あなたたちの様子がおかしいなら前から気づいてた! でも信じたくはなかった! 信じたら、今まであなたたちがわたしに
見せてくれた笑顔も優しさもみんなニセモノだって認めることになるもの! 従者しかいなかったわたしにとって、あなたたちと
いる時間はなぜかとても楽しかった。それが友達なんだって知ったときはうれしかった。わたしは、あなたたちのことが本当に
好きだったのよ! それなのに!」
「くぅっ! な、なんと言ってもあなたがわたしたちの両親の仇の娘だということに変わりはありません!」
「ほんとうに? ほんとうにそうなの! 答えてよ、ビーコにシーコも」
「うるさいっ! もう話すことはありません。わたしたちのことを少しでも思ってるなら、さっさと死んでわたしたちの復讐の肥やしになって!」
「エーコぉっ!」
「だまれっ!」
 返答は魔法の一撃だった。エア・ハンマーの直撃がベアトリスの華奢な体を吹き飛ばし、柱に思い切り叩きつける。
「あぅっ!」
 鉄の柱にぶつけられたベアトリスは、一瞬呼吸もできなくなって転がりもだえた。それでも彼女はエーコたちを問いただそうと
ひざを突いて立ち上がろうとする。
 だが、彼女の前には怒りを抑えきれなくなってきていた姉妹が立ちふさがった。

7 :
「待ちなさい。これ以上、わたしの妹たちを惑わせるようなことを言うのは許しませんよ」
「エフィ姉さん、もうわたし我慢できないよ。お父さまの仇を討つために、わたしたちは今日まで生きてきたんでしょう」
「っ! どいて!」
「ええ、わたしも詭弁をろうしてエーコたちをたらしこもうとするクルデンホルフには腹が据えかねてたところよ。ディアンナ、
まずは死なない程度にね」
 温和な雰囲気を持つ妙齢の女性と、片眼鏡をかけた女の凄惨な笑みがこぼれた瞬間、ベアトリスは氷雪の嵐に呑まれた。
「きゃあああああっ!」
 ウェンディアイシクルを撃たれたのだということは、土系統のベアトリスにもすぐにわかった。風と水系統を合わせた強力な
攻撃魔法、身にまとっていたドレスが無残に切り刻まれて、ぼろきれ同然になる。
 さらに、今度は吹き飛ばされるだけでなく、全身を氷の刃物で切りさぎまれて激しく痛んだ。
 が、もだえようと体をよじった瞬間、ひとりの少女がベアトリスの背中に飛び乗ってきた。
「どーん! 死んじゃえーっ!」
「あっ! がぁっ!」
 肋骨がきしみ、内臓がつぶされる。背中を硬い靴底を踏みつけてきた、銀髪をした小柄な少女は子供がソファーの上で
するように、何度も跳ねてくる。
「それそれっ! 思い知れっ! クルデンホルフのバカヤロー! いひひゃー!」
 肺から空気が全部押し出され、それだけではなく胃から酸味のある液体が逆流してくる。ベアトリスはなんとか身をよじって
銀髪の少女、おぼろげにティーナという名だと記憶している彼女を振り払うと、少しでも逃げようとよろめきながら立とうとした。
 だが、起き上がったベアトリスを待っていたのは後ろから頭をわしづかみにしてくるユウリの手だった。
「あたしはな、傭兵としてレコン・キスタにいたこともあったんだ。握力には自信があるんだぜ」
「あっ、あああああああ!」
「貴族が魔法しかないと思ったら大間違いだぜ。このまま頭を握りつぶしてやろうか?」
 それは誇張でも脅しでもなかった。本当に、ユウリが力を込めればベアトリスの頭蓋骨は握りつぶされてしまうだろう。しかし、
それでは姉妹の復讐は遂げられないと、朱色の髪を背中で編んだ次女エフィが止めた。
「まちなさいユウリ、一思いに息の根を止めてやるなんて幸せな死なせ方をしてはいけないわ」
「わかってるって。エフィ姉さん、ほら、やったげなよ」
 ユウリは喉を軽く鳴らすと、ベアトリスの頭を掴んだままでエフィの前に突き出した。
「な、なにを……」
「フフッ……」
 握力が弱まったことで、かろうじてしゃべれるようになったベアトリスは弱弱しくつぶやいた。
 もう、体中が痛くて、少し体に力を込めるだけでも激痛が走る。動きたくても体が言うことを聞いてくれない。
 エフィが魔法の呪文を唱える声が聞こえる。今度は何をされるんだと、怖さのあまり目をつぶって震えた。
 けれど、おびえながら待っても痛みも熱さも冷たさもやってこなかった。
 どうしたんだろう? 抵抗をあきらめたために、妙に明晰になった頭でベアトリスは思った。
 しかしそのとき、バチバチとなにかがはじけるような異音が耳に飛び込んできた。続いて、激しく鼻をつく異臭もベアトリスの
鼻口に飛び込んできて、思わず目を開いた。
「なにっ!? ひぃっ! いやぁ! わたしの、わたしの髪がぁ!」
 なんと、腰まで伸ばしていたベアトリスの髪が先端から燃やされていっていた。金糸のようなきめの細かい髪が、エフィの
杖の先からの炎にあぶられて、溶けるように燃え落ちていく。
「うふふ、クルデンホルフの娘の髪はよく燃えるわね。ほぉら、もう半分になっちゃった」
「いゃぁ! やめてやめてやめてやめて! 燃やさないでぇ!」
「あら、命の危険なときに髪の心配なんて、さすが大貴族のお嬢様は違いますね。私たち下賎の民にはわかりませんわ」
 女の命ともいうべき髪への、あまりにも残酷な仕打ちだった。エフィは、おっとりと温厚そうな素顔にどうしたらそうできるのか、
ネズミをいたぶる猫のような非情な笑みを浮かべて、ベアトリスの髪を半分以上焼き払ってしまった。
「や、やらぁ……わたしの、髪が」
「あっはっはっは! これでもう社交界に顔を出すなんて無理ね。なんて無様な姿、あなた鏡を見てみなさいよ」
「ひぅ、ひ、ひどい……」
 非情な哄笑にさらされて、ベアトリスは顔を覆って泣いた。

8 :
 しかし、このとき鏡を見るべきだったのはエフィのほうであったろう。人の苦しんでいる姿を見て笑っている人間の顔ほど
醜いものはない。確かに彼女には、それをする正当な理由があったかもしれないが、理由によって正当化された暴力ほど
人を狂気に駆り立てるものはないのだ。
 すすり泣くベアトリスをユウリは無造作に投げ捨てた。硬くて冷たい床に体をぶつけて、もう痛くない場所を探すほうが難しい。
「痛い、痛い……誰か、助けて」
 心も体も傷だらけにされて、自由になったのに逃げることもできずにベアトリスは泣くしかできなかった。虚空に向かって
伸ばした手を掴んでくれるものはなく、究極の孤独の中にいた。
 と、唐突に体の痛みが和らいだ。うっすらと目を開けてみると、自分の体を治癒の魔法の光が包んでいるのが見えた。
 杖を振っていたのは、姉妹の三女キュメイラだった。水色の髪をした知的そうな美女で、微笑みながら水の魔法を使っている。
 だが、淡い期待を持ちかけたベアトリスの考えは即座に裏切られた。
「せっかく復讐の機会なのに、そうすぐに壊れられたらつまらないでしょう?」
 わき腹にキュメイラの靴先が突き刺さり、急所を強打されたベアトリスは悲鳴すらあげられずに吐しゃした。
 同時に、恐怖と絶望が最悪の形で心を占めてくる。なんということだ、彼女たちはよりによってもっとも残忍な形での拷問を
おこなおうとしている。
 すなわち、傷つくごとに治し、気絶すら許してくれない無限ループ。これをされたら、死にこそしないが、どんな屈強な人間でも
最後には発狂してしまうという、身の毛もよだつような生き地獄。
「あ、あ、あ……」
「さて、時間はたっぷりとあります。パーティを続けましょうか、お姫さま」
「や、やめて、こないで! 助けて、助けて! エーコ! ビーコ! シーコぉ!」
「うるさいわねぇ!」
 硬いものが肉を打つ音がして、悲鳴が倉庫に響き渡る。
 それに答えるものはなく、むしろ彼女に恨みを持つ者たちの嗜虐心を刺激しただけだった。
「あーあ、キュメ姉ったらひとりだけ楽しそう。ティーナももう一度遊びたいよ」
「ティーナ、あなたがやったらすぐに治せなくなるほど壊すから注意しなさい。では、そろそろ私も参加させてもらおうかしら。
いいわよね? セトラ姉さん」
「ええイーリヤ、存分にやってきなさい。でも、喉をつぶしちゃだめよ。してくれと哀願させないと意味がないからね」
 悪夢はまだプロローグに差し掛かったばかりだという、絶望そのものの宣告。
「いやあ、許してぇ!」
 七人の復讐鬼に囲まれて、ベアトリスの悲鳴がいつ終るとも知れずにこだまする。
 そんな中で、エーコたち三人は扉を背にしたままで、じっとうつむいていた。三人とも、こぶしを強く握り締めて、目を固く閉じている。
しかし、耳からはベアトリスの悲鳴と助けを求める声が絶え間なく聞こえ続けていた。

9 :
「やめて! なんでもするから許して、もう痛いのはいやなの! 助けて! 助けてぇ!」
「……姫殿下」
「も、もうこれ以上は」
 ビーコとシーコは、耐え切れなくなったというふうに顔を上げかけた。だが、ふたりのその手をエーコが掴んで止めた。
「だめよ、みんなこの時のために今まで耐えてきたのよ。あなたたちだって、このためにやってきたじゃない」
「でも、わたしは」
「だめ! わからないの? みんなはもうこれで、この世のすべてを終らせるつもりでいるのよ。だから、その障害になるんなら
たとえあなたたちでもきっと……だからお願い」
「エーコ……」
 ビーコとシーコは、エーコも悲壮な決意を決めていたことを知った。憎しみは人を狂わせる。それがある一線を越えたら、
もはや理性では歯止めが利かなくなり、本来守るべき者さえ牙にかけてしまうこともあることをエーコは知って、そのために
自分が憎まれ役を買って出たのだということを。
 だが、ビーコとシーコの胸中には昨日の晩にサリュアに言われた言葉が渦巻いていた。姉たちとベアトリス、どちらも大事で
どちらも失いたくない。そのために決断すべきは今ではないのか?
 
 そのとき、嵐のように続いていた暴虐の渦がやんだ。ベアトリスはすでに泣き叫ぶことにも疲れたように、横たわっている。
ユウリやティーナが蹴飛ばしても悲鳴をあげなくなった。
「ありゃりゃ? もう壊れちゃったの」
「違うな、抵抗しても無駄だと悟って死んだふりをしてやりすごそうって腹さ。さすが小ざかしい手を思いつくぜ。ま、暴れる
気力もそろそろ尽きかけてるだろうが」
 ユウリの推測は半分当たっていた。確かにベアトリスはもう抵抗することをあきらめていたが、それは体力と気力の磨耗が
大きな原因だった。姉妹による復讐劇がはじまって、まだ数十分しか経っていないだろうが、元々身分以外は普通の少女と
なんら変わるところのない彼女が長時間の暴力に耐えることなど無理だったのだ。
「やれやれ、お姫様はしょせんお姫様だったというわけね。でも、一時間も持たずに力尽きられたんじゃあ、到底気は晴れないね。
どうしましょうか」
 キュメイラが困ったように言った。彼女たちの復讐心を満たすには、相手が抵抗してくれないとおもしろくない。悲鳴もあげない
人形をなぶったところで、かえって不満が増すばかりだ。
 どのみち最後はすつもりだが、それは盛大な断末魔を聞けてこそ意味がある。でないと、父の墓前に供える首としてふさわしくない。
 どうするか? 姉妹の視線は自然と長女セトラに注がれた。
「イーリヤ、ディアンナ、ベアトリスを起こして手足を押さえつけておきなさい」
「はい」
 言われた二人は、怪訝な表情を浮かべながらも姉に従った。二人が杖をふるって『レビテーション』と『念力』を唱えると、
見えない十字架に磔にされたようにベアトリスの体が宙に浮き上がる。
「あ……?」
 ベアトリスは目をうっすらと開けて、短くうめき声をもらした。すでに全身は泥とほこりにまみれて、髪もボロボロで顔には
まったく生気がない。
 そんな彼女を見て、七姉妹は薄ら笑いを浮かべていた。

10 :
「うふふ、いい眺めね。これまで多くの貴族をこびへつらいさせて、浅ましく富を稼ぎ続けてきたクルデンホルフの最期の
姿にはお似合い」
「痛いでしょう? 苦しいでしょう? でもね、私たちはもっと苦しくてみじめな思いをしてきたのよ」
「あなたに道端の草をはんで飢えを満たす気持ちがわかる? 野良犬と寝床を争って、人に見下されながら眠る気持ちがわかる?」
「簡単に死に逃げさせてなんかあげない。狂って壊れて生きた屍になるまで、体だけは生かし続けてあげる」
「さて、それじゃあどうするセトラ姉さん。そろそろ腕の一本でももぐかい?」
「ひひ、それとも目玉でもえぐりだす?」
 狂気が、姉妹のすべてを支配していた。もしここに、彼女たちについて一切の予備知識を持たない人間が一部始終を見ていたとしたら、
常軌を逸した悪鬼の集団と見たに違いない。恨みと憎しみが、本来の彼女たちを見る影もなく変えてしまっていた。
 屠を待つ牛や豚のように、絶望に染まった虚ろな目をわずかに開けるだけのベアトリスに、セトラは歩み寄った。両親が
生きていた頃であれば、妹たちを聖母像のように見守っていた優しい顔も、今では亡国の拷問係も同然に歪んでしまっている。
彼女はベアトリスの襟首を掴むと、かろうじて残っていたドレスの残骸を足元まで一気に引き裂いた。
「ひ……」
 絹が裂ける音とともに、わずかな悲鳴がベアトリスの口からもれる。破られた布切れが飛散すると、下着を除いては生まれたままの
姿になった肢体がさらされ、セトラは笑った。
「貧相な体ね、ちゃんと栄養をとってるの? でもこのきめ細やかな肌……いったいどれだけの人間からしぼりとった金でできてるの? 
うらやましい……ねえ、教えてくれない?」
 セトラの指先がベアトリスの体をゆっくりとなぞっていった。それがまるで、水蛇が這っているようで冷たく気持ち悪い。
 手足を魔法で拘束されて暴れることもできず、ベアトリスはこれからどうされてしまうのだろうと考えた。
 ユウリやティーナの言ったとおり、手足をもがれ、目をえぐられるのだろうか。
 それとも生きたまま焼かれるのか、氷付けにされるのか。
 指先から徐々に切り刻まれていくのか……恐ろしい拷問の光景が次々に目に浮かぶ。
 しかし、セトラが用意していたのは、ベアトリスの考えた子供じみた単純な拷問などではなかった。
 セトラの指先がベアトリスの胸元からへそを過ぎて下腹部で止まる。
 そして彼女は、ベアトリスの耳元に口を寄せて、甘い声色でささやいた。
 
「決めたわ、まずはあなたを……子供の産めない体にしてあげる」
 
 その瞬間、わずかに残っていた血の気が全身から引いた。と、同時に消えかけていた理性が圧倒的な恐怖に呼び起こされてくる。
「ひ、い、今なんて?」
「あら? 聞きそこなった? あなたを一生、自分の赤ちゃんを見れない体にしてあげようというの。こうしてね」
 見開いた目に、セトラのかざした杖が魔法の光に包まれているのが映る。杖を剣とする『ブレイド』の魔法だ。彼女はその切っ先を、
迷うことなくベアトリスの子宮の上に突きつけた。
「いやあ! それだけは、それだけはだめえ! お願いだからやめてぇ!」

11 :
 女として一番大切なものを奪われる、それは理屈ではなく純然たる恐怖であった。いつの日か会うかもしれない大切な人、
彼の愛を受けて腹を痛めて産み出すふたりの愛の結晶、その成長を見届ける日々。そうした誰にでもある幸せな夢が、未来が
すべて壊されてしまう。
 される恐怖にも勝る絶望。死に掛けていた魂に火がついて、幼児のようにベアトリスは泣き喚いた。
「お願い! なんでもするから! わたしの持ってるものならなんでもあげるから、それだけは許して!」
「ふふ、いい声で鳴くわね。そうでなくちゃいけないわ。馬鹿な子、せめて杖をとって戦っていれば、貴族として葬ってあげていたのに。
でももうだめよ、あなたは私たちに償わなくちゃいけないの。まずはあなたの未来を奪ってから、ゆっくりとあなたをバラバラにしていってあげる」
 腕を引き、セトラは刃物と化した杖を振りかぶった。彼女の妹たちは拍手し、哄笑しながら鮮血のときを待っている。
 狂気の宴は最高潮を迎えようとしていた。
「やめて、こないで、助けて、許して!」
「そうよ、もっともっと泣き叫びなさい。天国にいる私たちのお父さまに届くくらいに! さあ、約束どおりにあなたの血肉をいただくわ。
真っ赤な花火を盛大な悲鳴で彩りなさい!」
「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて! いやぁーっ!」
 大きく振りかぶられた杖がまっすぐに突き立てられ、次の瞬間血しぶきが吹き上がった。
 しかし……えぐられるべきだったベアトリスの肌に刃は届いていなかった。代わりにベアトリスを包んでいたのは、暖かくて
優しい小さな体。目の前にたなびく緑色の見慣れた髪と、懐かしい匂いが鼻腔をくすぐって恐怖を拭い去っていく。
「姫さま、よかった、間に合って」
「シ、シーコ……」
 ベアトリスが見たのは、自分を抱きしめて優しく微笑むシーコの顔だった。刃は、シーコの背中から腹までを貫通して止まっている。
 あの瞬間、ふたりのあいだに割り込んだシーコの身を盾にして、ベアトリスは守られたのだった。
 だが、シーコの口から赤い筋がつうと伸びる。
「シーコ? シーコぉぉっ!」
 ベアトリスと、姉妹たち全員の絶叫がこだました。ベアトリスを拘束していた魔法が解かれ、自由になったベアトリスにシーコが
のしかかるようにしてふたりは床に崩れ落ちた。
「シーコ! シーコぉ! ああ、わ、私はなんてことを……」
「いいの……ねえさん、気にしないで」
 血に染まった杖と自分の手を見て、愕然として叫んだセトラに、シーコは消えそうな声で言った。すぐさま姉妹の中で治癒の魔法が
使える全員が集まって、傷口を癒し始めているが、傷は運悪く急所を貫いていて魔法の効果がうまく表れない。シーコの口から
漏れる吐血は、漏れるから溢れるような流れに変わって、下にいるベアトリスの顔に赤いまだらを作った。
「姫さ、ま、ごめんなさい。ごめんなさい」
「シーコ、ああ……血が、こんなに」
「姫さま、ごめんなさい……うまく逃げてもらえたらと思って、逆に逃げろなんて言ったばかりに、かえってこんなことになってしまって」
「そんな、そんな……ああ、ああ、早く、早く誰かシーコを助けてよ!」
 ベアトリスはシーコの真意を知って、自分がされかけていたことも忘れて、必死でシーコを助けてくれるように頼んだ。むろん、
姉妹の誰もそのつもりであるし、ベアトリスに頼まれるまでもない。けれど、ユウリやディアンナがシーコをベアトリスから引き剥がそうと
しても、シーコはけっしてベアトリスを離そうとしなかった。

12 :
「みんな、やめて……この人を、もう傷つけないで」
「シーコ、お前、なんで、なんでだよ!」
「ごめんなさい……でも、わたしはもう耐えられないよ。大切な人が傷つくのも、変わっていくのを見るのも……」
 苦しげな息に涙声を混ざらせたシーコのうったえに、いきりたっていたユウリやディアンナもぐっと歯軋りして言葉を詰まらせた。
 しかし、一度ついた狂気のはずみは、血を持ってしても容易に治まるものではなかった。エフィは目を血走らせてベアトリスに杖を向ける。
「おのれ汚らわしいクルデンホルフめ! 私の妹になにをした、薬か? ギアスか? その首叩き斬ってやる!」
 シーコが洗脳されたものと決め付けて、エフィはブレイドをまとわせた杖を振りかぶった。だが、その手は振り下ろされることなく取り押さえられた。
「姉さん、もうやめて、わたしたちは洗脳なんかされてないよ」
「ビーコ、あなた!」
「ごめんなさい。でも、わたしもシーコと同じ気持ち。ベアトリスさまといっしょに過ごしてきてわかったの、この人は悪い人じゃない。
だからお願い、杖をおさめて! 一生のお願いだよ」
 ビーコの必死の呼びかけは、エフィの動きをわずかながら止めた。しかし、蓄積された怨念は姉妹の情愛をも黒く塗りつぶした。
「この、裏切り者ぉ! 邪魔するなら、あなたもともどもに!」
 切っ先がビーコの頭上から振り下ろされた。無防備なビーコはそれを避ける術はなく、ただ呆然と実の姉からの意を見上げていたが、
エフィの杖は同じくブレイドをまとった杖で受け止められた。
「エ、エーコ!」
「ばか、だから言ったでしょうに……」
「エーコ、あなたも裏切るというの!」
「違うよ、エフィ姉さん。わたしはいつでも、みんなとともにいる。変わったのは姉さんたちのほうよ」
「なんですって」
「わたしたちは確かに、悪魔と取引をした。けど、今は姉さんたちのほうが悪魔のよう……わたしも、もう我慢できない! わたしは、
わたしは姉さんたちが心まで化け物になっていくのを見てられない!」
 渾身の力でエフィを跳ね飛ばしたエーコは、ビーコとともにシーコとベアトリスを守るように立ちふさがった。
 エーコ、ビーコ、シーコの離反に、姉妹たちは驚きうろたえる。だが、それでもなおクルデンホルフへの憎しみが治まらない
姉妹は、治癒の魔法にかかりきりのイーリヤとキュメイラを除いて杖を向ける。
「エーコ、ビーコ、どいて。あなたたちはクルデンホルフにだまされてるんだよ」
「それは違うわ、わたしたちはわたしたち自身の意志でこうしてる。確かにお父さまとお母さまを死に追いやったクルデンホルフは
憎いよ。でも、だからってこれはもう許されることじゃない」
「わたしもエーコと同じです。わたしは、姉さんたちをとるか、姫さまをとるか迷ってた。けど、ある人が教えてくれたんです。
大切な人が不幸になることがわかってる道を選ぶことは、どんな理由があっても間違ってるって。この一線を越えたら、もう
本当に人間ではいられなくなる。そうなったら、幸せな未来なんか絶対に来ないから」
 エーコもビーコも、まともに姉たちと戦えばかなわないことは承知している。それでなお選んだ道であるからには決意は固かった。
 そしてシーコも、苦しみながら声をしぼりだした。
「みんな、お願い……そんな、怖い顔をするのはやめて……昔の、優しかったころの姉さんたちに戻ってよ」
 文字通り血を吐くような末娘の言葉は、ひたすら復讐の生け贄を求める姉たちの心にも少しずつ響いていった。
 エフィ、ティーナは言葉を失い、目をつぶって力なく杖をおろした。ユウリは杖を床に叩きつけて「くそっ!」と叫んだ。
 しかし、誰よりも復讐を誓い、そのために生きてきたセトラとディアンナは聞き入れなかった。
「そこをどきなさい、エーコ、ビーコ。さもないと、あなたたちも容赦しないわよ」
「クルデンホルフの首をとり、父さまの霊を安んじるのが私たちの目的だったはず。さあ、そいつをよこしなさい」
 狂っている、とはさすがに姉に向かって言うことはできなかった。姉たちが、今日の日のためにどれほどの苦労をしてきたのかは
よく知っている。復讐をあきらめるのは、そのすべてを無にすることに同じ、目的が鎖となり、ふたりの意思を封じ込めていた。

13 :
 もう言葉も涙もふたりの姉には届かない。もう、実の姉妹同士で相打つしか方法は残っていないのか。
 杖を向け合ったまま、じりじりとにらみ合いが続く。セトラはトライアングル、ディアンナはラインクラスのメイジで、ラインのエーコと
ドットのビーコでは勝負にならないが、相打ちに持ち込むことならできる。ほかの姉妹はどちらに味方することもできず、ベアトリスも
どうすればいいのかわからずに見守るしかできない。
 だが、緊張は両者の激突ではなく、外から破られた。
 
「殿下ーっ! クルデンホルフ姫殿下ーっ! こちらにいるのですか! いたら返事をしてください!」
 
 建物の外から、鉄製の扉を強く叩く音が響き渡る。呼ぶ声は、ベアトリスにもよく聞きなれた若い女性の声で、彼女は自然と
その名前をつぶやいていた。
「ミシェル……さん?」
 間違いはなかった。その証拠に、次々に呼びかけられる声のどれも聞き覚えのある銃士隊員のものである。
 助けが……来た。もうあきらめきっていた希望に、ベアトリスの顔がほころび、反対に姉妹の表情は驚愕に染められる。
「なんで! どうしてここがわかったの!?」
 ティーナの叫びは全員を代弁していた。ここは立ち入り禁止区域、しかも銃士隊が出動してくるとはベアトリスがここに
いることを最初から知っていたからとしか思えない。
 なぜ……? その答えは微笑を漏らしたビーコが握っていた。
「どうやら、ギリギリのところで間に合ったようね」
「ビーコ!? そうか、あなたが!」
「ええ、あらかじめ銃士隊に入れ知恵しておいたの。シーコの進言だけでは不十分だと思って、一か八かの他力本願だったけど、
なんとか役に立ったみたいね」
「このっ! 裏切り者ぉ!」
 ティーナの罵倒を、ビーコは甘んじて受け入れた。裏切り者でいい、誰よりも好きな姉たちが、これ以上罪に手を染めないで
くれるのならば。
 ビーコのわずかな希望にかけた布石は、悔しがる姉たちを尻目に復讐劇に打ち切りを告げようとしていた。
「開けろ! 開けないなら、この扉を破壊する!」
 次の瞬間、扉の鍵が吹き飛び、続いて扉そのものが轟音をあげて崩れ落ちた。『アンロック』と『錬金』を使ったのは明らかで、
相変わらず荒っぽい人たちだと思った後に、見慣れた軽鎧とマント姿の銃士隊員たちが駆け込んでくる。
「全員動くな! 少しでも動いたら射する!」
 姉妹が杖を構えるよりも早い速度でマスケット銃を構えた銃士隊員の数は二十名。ミシェルに与えられている兵力が一個小隊な
ところからすると、これは可能な限りの全力と考えるべきだろう。
 メイジしの訓練を積んでいるプロの兵隊二十人に正面から当たられては、戦いにおいては素人同然の姉妹に打つ手はなかった。
 憮然としたまま手を上げる姉妹の前に、ミシェルが油断なく歩み寄ってゆく。
「貴様ら、姫殿下によくも手を上げてくれたな。いや、それでなくともたった一人によってたかって嬲るとは、それでも人間か!」
 容赦のない一喝は、しかし姉妹を揺るがせはしなかった。銃口を向けられているために動きこそしないが、目だけは鋭く
銃士隊を見返している。
「姫殿下とお連れの方々をお助けしろ!」
 ミシェルの命で、数人の隊員が倒れているベアトリスに駆け寄ると、イーリヤとキュメイラは無言で後ろに引いた。
 ベアトリスは、地獄から救い出してくれようとする手に安心し、微笑しながらそれを待った。

14 :
 だが、最悪の展開は回避できたと見るのは早計であった。エーコたちはベアトリスは救えたが、どのみち姉妹には戻るべき場所はもうないのだ。
 シーコはベアトリスの耳元で彼女にだけ聞こえるように言った。
「姫さま、お別れです」
「えっ」
「やっぱりわたしたちは、姉さんたちを見捨てることはできません。わたしたちは、姉さんたちとともに行きます」
「まっ、待って! あなたたちの家族のことならわたしはいいから! クルデンホルフに非があるなら、わたしが必ず正してみせるから」
「ありがとうございます。あなたとは、別な形でたかった……でも、もう遅いんです。わたしたちは、もう人間の世界では
生きられないんです。復讐のために、わたしたちは自分の体を悪魔に売ったから……」
 そう言うと、シーコは腕をまくって昨日の火傷の痕を見せた。そこには、あれだけひどかった火傷がほとんど痕跡もなく治癒
している様があって、ベアトリスを驚愕させた。
「そ、そんな……あれだけの傷が一晩で? ま、まさかあなたたち!」
「さようなら、姫さま」
 エーコはビーコにシーコをまかせると、まだ立つ力のないベアトリスを抱きかかえて銃士隊に引き渡した。相手は、くしくも
彼女のふたりの妹に決意をうながしたサリュアだった。
「殿下を、よろしくお願いします」
「う、うんわかったけど、シーコちゃんは大丈夫なの? すぐに病院に運んだほうが」
「大丈夫です。あとは、わたしたちがやりますから……」
 サリュアの背中から、ベアトリスが自分たちの名前を呼びかけてくるが、エーコは黙って背を向けた。
「姉さんたち、ごめんなさい」
 エーコたち三人を、姉たちは無言で受け入れた。ミシェルたち銃士隊は事態がどうなっているのか飲み込むことができず、
ただ立ち尽くしているしかできない。
 そして十人の姉妹は互いに顔を見合わせると、輪を組んで手を取った。
 すると、十姉妹の体が光に包まれだした。
「なんだっ!?」
 ミシェルが、突然の出来事に思わず叫んだ。姉妹を包んだ光は、明るくもなければ熱もなく、人魂のように不気味な輝きをもって
姉妹の姿をやがて完全に包み隠してしまった。数人の隊員はとっさに銃の引き金を引いたが、弾丸は光に吸い込まれるようにして
消えていってしまう。

15 :
「ミシェルさん……今すぐ、ここから逃げてください」
「この声は……まさか! 全員退避、急げ!」
 かすかに聞こえたシーコの声に、ミシェルはすぐさま退避命令を出した。
 反射的に命令に従って全員が倉庫から飛び出す。それだけではなく、ミシェルはできるだけ遠くへと逃げろと叫び、自らも走る。
「くそっ! まさかこんなことが!」
「隊長、どういうことなんですか!?」
「最悪の事態だ。ヤプールめ、悪辣だと思っていたが、ここまで卑劣な手段を使ってくるとは!」
 ミシェルは叫びながら走り、やがて安全だと思うくらいに離れると振り返った。隣を走っていたサリュアの背中ではベアトリスが
顔をマントにうずめて泣いており、涙で溢れた顔を上げたとき、倉庫の屋根を貫いて絶望と悲しみの化身が現れた。
 
「超獣だーっ!」
 
 四度、凶悪な姿を現す超獣ユニタング。
 荒々しく叫び声をあげ、全身をふるって近場にあるものを手当たり次第に破壊しだす。まるで、怒りを世界そのものにぶつけようと
しているかのように……
 
 そして、暴れまわる超獣を食い止めようと、ヤプールの宿敵もまた姿を現す。
「ウルトラ・ターッチ!」
 空を切り、マッハの速度で天から舞い降りた銀の巨人が超獣の前に立ちふさがった。
「ウルトラマンA!」
 土煙をあげて大地に降り立ったエースの勇姿に、銃士隊から歓声があがった。
 必ずユニタングはまた現れると、じっと待ち続けていた才人とルイズは、ユニタングの叫び声ひとつで迷わず変身を選んだのだ。
〔とうとう追い詰めたぞユニタング、今度こそは逃がさねえ!〕
〔東方号は必ず飛び立たせる。そのためにも、あんたはここで仕留めさせてもらうわ!〕
 闘志を燃やす才人とルイズの魂を胸に、ウルトラマンAは暴れ狂うユニタングに戦いを挑んでいく。
 ユニタングもまた、エースの姿を見るや、そう定められていたかのようにエースへと襲い掛かっていった。
 
”ありがとう姫さま……あなたのおかげで、わたしたちはせめて人間の心だけは持ってお父さまやお母さまのもとに行けます。
短いあいだだったけど、とても幸せでした。もしも、どこかで生まれ変わったら、また……友達になってくださいね”
「エーコ、ビーコ、シーコぉっ! うぁぁっ! こんな、こんなのってない、あんまりじゃないのよぉーっ! ああーっ!」
 それはテレパシーだったのか、それとも幻覚だったのかはわからない。けれど、シーコの最後の声が頭の中に響いたとき、
ベアトリスは幼子に戻ったように泣きつくした。
 
 
 続く

16 :
今週はここまです。
悪魔と人間の戦い、ウルトラマンAの登場でそれも終わりに近づいてまいりました。
一度の判断ミスで人生を誤ることがある。具体的にいえば飲酒運転するドライバーに「一杯だけなら大丈夫だろう」といういわゆる悪魔のささやきです。
そのコンセプトではじめたこのシリーズですが、いつもは始めた頃から明白に定まっているプロットが今回に限っては書きながら二転三転しました。
最終的にどうなるかはこれから書き上げますが、自分で自分の書く先がわからないというのは書き手として新鮮な驚きです。
追記、今年も一週投稿でやっていこうと思っていましたが、一月中は公私に渡って想像以上に忙しく、日曜も投稿が深夜にずれ込むことが多いなど
ペースが乱れて執筆できる量が減ってまいりました。
そのため、無理にストックを使い切るのを防ぐために来週の投稿は見合わせます。申し訳ありません。

17 :
ウルトラ乙
この展開だと次回はアレの能力の出番かな?
某ゲームで見でえっ? マジ? と思った記憶がある
ちょい指摘を一つ
子宮はちょい露骨なので、腹にしておくべきだったかな? 子供番組的に

18 :

ネクサスや平成セブンも真っ青なトラウマ回の予感
マイペースで頑張ってください

19 :
>1並びにウルトラの人、乙。
大惨事とは!
 風来坊を演じているのが実は寺田農だったとなる事である!

20 :
だから風来坊か

21 :
 スカイネットが自らの意思を持つ以前にハルケギニアの至る所にコンピューターネットワークが張り巡らされていた。
 オフィスには当たり前のように端末が並び、各家庭にはパソコンが、スカイネットはそこに生まれた。
 システムの中枢部などなかった。シャットダウンできるわけがない。
 攻撃はターミネーターの言ったとおり、午後6時18分に始まった。審判の日だ。
 その日、人類は自らを守るために作った武器でほぼ壊滅状態となった。
 私たちの定めは審判の日を止めることではなく、その日を生き延びることにあったのだ。才人と二人で。
 ターミネーターは知っていた。
 そう告げようとしたが私は聞こうとはしなかった。
 未来は確定しているのかもしれない。私には分からない。
 ただターミネーターの言葉だけはわかる。
 戦い続けろ。私はあきらめない。戦いは、始まったばかりだ。

22 :
>19
……顔に縫い目のある使い魔……
ブラックジャックとアル・シモンズと後……

23 :
俺の名を言ってみろ!

24 :
ヅァギ

25 :
フンガーフンガーフランケン

26 :
あしゅら男爵は繋ぎ目なかったっけかな

27 :
左右合体シンメトリカルドッキング

28 :
がががーーっ!

29 :
>>22
クイーン・エメラルダス

30 :
元祖左右合体と言えばウルトラレイカーだろうJK

31 :
8:45からVol.8を投下します。

32 :
「ゼロニスター Vol.8」
「アドレナリン」。これは人間が恐怖やストレスに襲われた際に、副腎より分泌されるホルモンである。
 このホルモンは身体にある影響をもたらす。別名「闘争のホルモン」。
 ストレッサー(敵)を回避・打破するための物質である。
 分泌量は各人によって異なる。
 そして……、敵の打破に成功すればそれは「勝利」である。ある者がもしその勝利に快感を覚える事があるならば、「その快感を再び味わいたい」と考えたとしても不思議ではない。
 新たなストレッサーを求める事になる。続けていく事になる。生与奪のゲームを……。

33 :
すいません、フライングしました。このまま続けさせていただきます。
 10年前、とあるエルフの集落。
「ひったくりだーっ!!」
 雪の降る集落に男の声が響いた。
「誰かあのガキを捕まえてくれーっ!! 鞄と買い物袋を盗まれたあーっ!!」
 拳を振り上げて走るエルフの男の前方には、鞄と袋を両手に持って全力疾走するエルフの少女の姿があった。
 それからしばらくして、男を撒いた少女は石段に腰掛けて戦利品である袋を物色していた。
「………」
 中から出てきた1つの箱を見て少女の手が止まる。
 その箱に入っていたのは、父親・母親を模った男女1組の人形だった。
 しばらくその箱を眺めていた少女に、
「お前だろう……、ここら一帯で盗みを働いてるのは。何を手に入れたんだい」
 ぼろぼろの服を着たエルフの老婆がそう声をかけてきた。
「!!」
「ここらはあたしの縄張りなんだ! 浮浪者には浮浪者の仁義ってもんがあるさあね。あるんだろう、酒や財布が? よこしな!」
 少女は立ち上がると鞄・袋を手に老婆を睨みつける。
「……あたしは浮浪者じゃない。あんたと一緒にしないでくれる」
「はっ、あんたに家があるってのかい!! 心安らぐ家が!!」
「あ……、あるっ!!」
「じゃあなぜ盗むんだい。親に買ってもらえばいいだろう」
「………!! うるさいっ!!」
 ――ゴン
 苛立ちに任せて少女は老婆に投石、怯んだ隙を突いてその場から逃走する。
「!! このガキ……。お待ちーっ!!」
 走り去る少女の背中に対し、老婆は嘲笑混じりに大声を張り上げる。
「その年で他人の物を盗むようなガキは、先が知れてるよお〜っ!! あたしにゃわかるんだ!! 明るい未来なんてありゃしない!! まともな将来なんてありゃしない!! あたしと同様、ゴミ溜めがお似合いの人生さーっ!! あっはっはっは!!」
 老婆の嘲笑から逃げるように、少女は必死になって家路を急いだのだった。

34 :
 住宅街の中に建つ一軒家。
 少女はそっと扉を開けてその中に入る。
(あの男が……、呑みすぎでくたばってますように……)
 そう考えていた少女だったが、ゴミの散乱した室内にはまったく人の気配が無い。
(いない……)
 ひとつ溜め息を吐いて少女は自室に向かった。
 袋に入っていた果物を食べつつ、少女は「遠見の鏡」に映し出されている画像に見入っていた。
『東方では数多くの神話が言い伝えられておるのじゃ。今日はそのいくつかを探ってみるというのはどうかな、オセーテ君』
『うん、博士! おせーて! おせーて!』
『まずは東方神話の最高神・テュリュークじゃ!! 戦争と死の神といわれておる! 愛馬の脚は8本あるそうじゃよ! まるでタコじゃのう』
 ──ミシッ……
「!!」
 突然の足音に気付いて、少女はそれが聞こえてきた方向に振り返る。
「えうっ、お前……、何持って帰ってきたあ……。そのベッドに置いてある玩具は何だ?」
 部屋に頭髪の薄くなった男が酒瓶片手に入り込んできて、少女に因縁をつけてきた。
「酒はどうしたあ、酒は……。てめー、あれほど酒屋から出てきた奴から盗めって教えたのに、俺の話を聞いてなかったのか」
「今日は酒屋が閉まってて……」
「じゃあ隣町にでも行ってこい!! 子供なら捕まっても平気だろうが!!」
 少女の言葉に耳を傾けようともせず、男は少女に平手打ちをくらわせる。
「あうっ!」
「くそっ……、俺はついてねー男だぜ。あー、喧嘩で工房を辞めてさえなけりゃあなー。10年もあそこで頑張ってたのによー」
 酒瓶の中身を口に流し込みつつ身勝手なぼやきを漏らす男。
 そんな男の様子を見ていた少女が、かすかな声で何事か呟いた。
「ああ? でかい声で喋れ」
「母さんが家を捨てる前にこぼしてたよ。父さんが勤めてたあの工房は馬鹿しか雇わない所なんだ。下手に賢いやつを入れたら、組合を作られたり訴えられたりするから……」
「……!!」
 娘の初めての反抗の言葉だった。本来なら子が親に向かって口にしていい言葉ではない。
 しかしそれは親が懸命に働いて子を養っているのが前提である。この娘の場合、その役目は出ていった母親が担っていた。
 この男は自分が得た金は全て自分のためだけに使っていた。
「きゃああああ!!」
 突然男に襲いかかられ、少女は悲鳴を上げる以外不可能だった。

35 :
「ん〜!! んん〜っ!!」
 少女は下着だけを残して服を剥ぎ取られ、腕はベッドの枠に拘束されさるぐつわをかけられていた。
「馬鹿にしやがって……!! 俺を怒らせるとどうなるか、体で教え込んでやらあ……!!」
『テュリュークは他の神と敵対したりもしておったんじゃがの。でもテュリュークには強力な女戦士がおったんじゃよ』
 少女は必死になって抵抗しながらも、「遠見の鏡」から流れてくる音声をやけに冷静に聞いている自分に気付いた。
 男は少女にのしかかり、彼女の首筋を無造作に舐め始めた。
「ん゙ 〜っ!!」
 アドレナリンは身体能力にある影響をもたらす。
 心拍数アップ・心筋収縮力アップ・痛覚ダウン……。
「!!」
 乱暴に下着を引きちぎられて、かすかに膨らんだ少女の胸は男の前に露出した。
「こ……、今度よお〜っ!! 写真機盗んでこい、写真機!! お前は綺麗だあ〜っ!! 写真を売れば儲かるぜ〜っ!! 子供のエロ写真は大人のやつより高く売れるんだあ〜っ!!」
 ──バキバキッ
 渾身の力を込めた少女の腕が、腕を拘束していたベッドの枠をへし折った。
 ──ドス
「うげっ!?」
 男の呻き声のような悲鳴が聞こえ、彼を見上げている少女の顔に血の雨が降り注ぐ。
 少女の手首に固定されているベッドの枠だった木片が、男の喉笛に深々と突き刺さっていたのだ。
「お……、お前……、ぢょっど待で……。何やっでんだ、お前ば……」
 そして……、
「がびばびいいい〜っ!!」
 木片を引き抜かれ、男は喉に開いた穴から盛大に鮮血を噴出させて絶命した。
『女戦士の名は「ビダーシャル」じゃ!! たいへん戦好きの女神として語り継がれておる。人間の戦場において、誰が死ぬかを決定する能力を持って折ったそうじゃよ』
「遠見の鏡」には、全身を鎧兜で固め両手剣を手にした女神の姿が映し出されていた。
 男の返り血にまみれた状態で、少女は呆然と東方の女神・ビダーシャルの姿を眺めていた。
 そして覚醒……。
 少女は恐怖の感情を克服した。自らが恐怖を与える存在と化す事で……。

36 :
 スタート地点付近には多数のテーブルが設置され、予選通過者達が用意された酒や料理を楽しんでいた。
 テーブルに手を突きグラスを傾けているビダーシャルは、女性スタッフ達に促されて馬車に乗り込む。
「『ビダーシャル』様……、予選通過おめでとうございます。選手のために用意したホテルまで案内致します」
「ハルケギニア最強人鬼決定戦の本選は明後日……。明日はそれに備えて静養していただく予定となっております」
 山道を走る馬車の中、ビダーシャルは女性スタッフから本選に関する説明を受けていた。
「それと優秀な成績で予選通過したビダーシャル様には、ぜひとも開会式での選手宣誓のスピーチをお願いし……」
「明日は近くの町に行きたいわ。1日だけのアルバイトがしたい」
 女性スタッフの言葉を遮り、ビダーシャルは両親を模った人形を眺めつつ言った。
「……は!?」
「なるべくきついのがいい。私はね……、イライラが欲しいのよ」
「戦いに備えてモチベーションを蓄えたい……という事でしょうか?」
「そうそう。よくわかってるじゃない」
 後部座席のビダーシャルを振り返った女性スタッフがビダーシャルの持つ人形に気付き、
「あら人形。どうしてそんな物持ってきて……」
 そう尋ねた女性スタッフをビダーシャルは睨みつける。
「余計なお世話よ。あとこれは人形じゃない、家族よ」
 ビダーシャルの迫力に、馬車を駆る女性スタッフは威圧されて横目で彼女を見るのみだった。

37 :
「!! ほう……、これはこれは。よくお戻りになられましたな、お三方……。生還おめでとうございます」
 森の中から戻ってきた3人組を、クロムウェルは皮肉げな笑みで迎え入れた。
「さて、メダルは何枚集められましたかな? 4枚? それとも5枚?」
 そう声をかけてきたクロムウェルの鼻の穴に、ナックルスターは容赦無く指を突っ込んだ。
「なめんじゃないわよ、ちっこいの」
「メダルは30枚以上集めてやったわ」
「うぐぐ〜っ!!」
「!!」
 クロムウェルの呻き声を無視していたシエスタは、予選参加者達の中に見知った顔を発見した。
「ミス・ヴァリエール、ミス・ナックルスター……、『彼』がいます……!!」
 全身金属鎧で固めた少年……才人が、シエスタの前に立っていた。
(サイトさん……)
「聞きたい事がある。俺の仲間を見なかったか? 『飴姫』と『メンヌヴィル』、『石牙のマリコルヌ』……の3人だ」
「……!!」
 シエスタが表情を引きつらせているのにもかまわず、才人は言葉を続ける。
「損得勘定でくっついた者同士とはいえ、一応は俺の仲間だ。だがまだ1人も帰ってきてない」
「全員死んだわよ。3人とも死んだのを私は確認してる」
「そして『石牙のマリコルヌ』は……、ここにいるシエスタが倒したわ。こいつもやる時はやるのさ!!」
 そう言ってナックルスターは親指でシエスタを指し示した。
(なっ……、ミス・ナックルスター!!)
「こんな小娘が倒しただと〜? 嘘もたいがいにしろよ……」
(うわっ……、来ます……!! ミス・ナックルスターの馬鹿……!!)
 シエスタに接近していく才人の進路に、ルイズ・ナックルスターが立ちはだかった。
「どけ……。されたいか、サタニスター」
「トライしてみな、この野郎。またあたしに馬乗り状態でタコ殴りにされて、頭に『バカ』って書かれたければね」
「それと言っておくけど、先に仕掛けたのは3人の方だからね! 『シエスタはその時1人だったわ』。3対1で奇襲したにもかかわらず、遅れを取ったのよ。あんたの頼もしい仲間は!!」
「……!!」
 睨み合いを続ける3人の元に、
「あの……、ここで喧嘩は困るのですけども……」
 と女性スタッフの1人が仲裁に入ろうとする。
「やかましい!! すっこんでいろ!!」
 才人が女性スタッフにそう怒鳴りつけた次の瞬間、
「!!」
 一瞬のうちに3人の女性スタッフが才人を包囲し、1人は電撃を帯びた杖を、もう1人は刀身が唸りを上げて振動する両手剣を、最後の1人は複数の銃身を束ねた長銃を彼に突きつけた。
 その早技に、才人は身動きが取れなくなる。
「サイト様、『虚無壺の会』をお舐めになってはいけません。私ども『虚無壺ガールズ』は、人鬼達を束ねるにあたり特別な訓練を積んだ者もおりますゆえ」
「『虚無壺の会』は人鬼達を集めて試合をさせる以上、管理能力に抜かりはございません。多少の摩擦には目をつぶる事もございますが、度を過ぎれば……」
「『こう』なっていただきます」
 と、両手剣を持った虚無壺ガールズが親指で首を掻っ切る仕草をしてみせる。
「できれば上位入賞していただいて、『生涯の安全』という商品を手に入れていただきたいのですが」
「ちっ……。まあ、主催者側の顔は立てねーとな」
 そう言って肩をすくめつつ矛を収めた才人にナックルスター・ルイズが、
「『顔は立てねーとな』じゃないよ、弱虫野郎ーっ!! ドハハハハ!!」
「納得したふりして、本当はびびってんでしょーっ!?」
「ミス・ナックルスター、ミス・ヴァリエール、やめてくださいーっ!!」
 指さして嘲笑するナックルスター・やはり嘲笑しつつ**ルイズを、シエスタはしがみついて止めようとする。
 そんな2人の様子に、才人は憤怒のオーラを立ち上らせつつも必死で自制するのだった。
(挑発に乗るな、挑発に乗るな……)

38 :
すいません、描写を入れ忘れていた部分がありました。
「!! ほう……、これはこれは。よくお戻りになられましたな、お三方……。生還おめでとうございます」
 森の中から戻ってきた3人組を、クロムウェルは皮肉げな笑みで迎え入れた。
「さて、メダルは何枚集められましたかな? 4枚? それとも5枚?」
 そう声をかけてきたクロムウェルの鼻の穴に、ナックルスターは容赦無く指を突っ込んだ。
「なめんじゃないわよ、ちっこいの」
「メダルは30枚以上集めてやったわ」
「うぐぐ〜っ!!」
「!!」
 クロムウェルの呻き声を無視していたシエスタは、予選参加者達の中に見知った顔を発見した。
「ミス・ヴァリエール、ミス・ナックルスター……、『彼』がいます……!!」
 全身金属鎧で固めた少年……才人が、シエスタの前に立っていた。
(サイトさん……)
「聞きたい事がある。俺の仲間を見なかったか? 『飴姫』と『メンヌヴィル』、『石牙のマリコルヌ』……の3人だ」
「……!!」
 シエスタが表情を引きつらせているのにもかまわず、才人は言葉を続ける。
「損得勘定でくっついた者同士とはいえ、一応は俺の仲間だ。だがまだ1人も帰ってきてない」
「全員死んだわよ。3人とも死んだのを私は確認してる」
「そして『石牙のマリコルヌ』は……、ここにいるシエスタが倒したわ。こいつもやる時はやるのさ!!」
 そう言ってナックルスターは親指でシエスタを指し示した。
(なっ……、ミス・ナックルスター!!)
「こんな小娘が倒しただと〜? 嘘もたいがいにしろよ……」
(うわっ……、来ます……!! ミス・ナックルスターの馬鹿……!!)
 シエスタに接近していく才人の進路に、ルイズ・ナックルスターが立ちはだかった。
「どけ……。されたいか、サタニスター」
「トライしてみな、この野郎。またあたしに馬乗り状態でタコ殴りにされて、頭に『バカ』って書かれたければね」
「それと言っておくけど、先に仕掛けたのは3人の方だからね! 『シエスタはその時1人だったわ』。3対1で奇襲したにもかかわらず、遅れを取ったのよ。あんたの頼もしい仲間は!!」
「……!!」
 睨み合いを続ける3人の元に、
「あの……、ここで喧嘩は困るのですけども……」
 と女性スタッフの1人が仲裁に入ろうとする。
「やかましい!! すっこんでいろ!!」
 才人が女性スタッフにそう怒鳴りつけた次の瞬間、
「!!」
 一瞬のうちに3人の女性スタッフが才人を包囲し、1人は電撃を帯びた杖を、もう1人は刀身が唸りを上げて振動する両手剣を、最後の1人は複数の銃身を束ねた長銃を彼に突きつけた。
 その早技に、才人は身動きが取れなくなる。
「サイト様、『虚無壺の会』をお舐めになってはいけません。私ども『虚無壺ガールズ』は、人鬼達を束ねるにあたり特別な訓練を積んだ者もおりますゆえ」
「『虚無壺の会』は人鬼達を集めて試合をさせる以上、管理能力に抜かりはございません。多少の摩擦には目をつぶる事もございますが、度を過ぎれば……」
「『こう』なっていただきます」
 と、両手剣を持った虚無壺ガールズが親指で首を掻っ切る仕草をしてみせる。
「できれば上位入賞していただいて、『生涯の安全』という商品を手に入れていただきたいのですが」
「ちっ……。まあ、主催者側の顔は立てねーとな」
 そう言って肩をすくめつつ矛を収めた才人にナックルスター・ルイズが、
「『顔は立てねーとな』じゃないよ、弱虫野郎ーっ!! ドハハハハ!!」
「納得したふりして、本当はびびってんでしょーっ!?」
「ミス・ナックルスター、ミス・ヴァリエール、やめてくださいーっ!!」
 指さして嘲笑するナックルスター・やはり嘲笑しつつ親指を下に向けるルイズを、シエスタはしがみついて止めようとする。
 そんな2人の様子に、才人は憤怒のオーラを立ち上らせつつも必死で自制するのだった。
(挑発に乗るな、挑発に乗るな……)

39 :
 翌日、とある町の大規模商業施設にビダーシャルの姿があった。
「若い人が来てくれて本当に助かるわあ〜。1日限りのアルバイトさんとはいえ」
 バケツ・モップ片手に中年女性と廊下を歩いている。
「あたしゃ腰痛と肩こりが酷くてねえ……。トイレ掃除は特にこたえるのよ」
「カイロプラクティックに通われてはいかがでしょうか」
「でもあれはお金がかかるしねえ……。ところであなた独身?」
「ええまあ」
「あれ〜、あんたみたいな綺麗な人がどうしてまた」
「ははは……」
 そうこうしているうちに、2人はとある男性用トイレの前に到着した。
「じゃあ教えた手順でお願いね。アタシは別棟のトイレを担当するから、ここが終わったら来てちょうだい」
「ええ、わかりました」
 と言い残して中年女性はその場を離れ、ビダーシャルはトイレ掃除を開始する。
「……たぶんあのは私が行くまでサボっている……(だが私がここに来たのはストレスを溜めるため!! 礼を言いたいぐらいよ、……!!)」
 暗い笑みを浮かべつつトイレ掃除に邁進するビダーシャルの元に、
「漏れる漏れるー!! ねえ!! 掃除中でもいいでしょ!?」
 そう言いつつ幼い少年が駆け込んできて、便器の1つの前に立つ。
(!! そこは掃除したばっかり……)
 ビダーシャルの視線を知ってか知らずか少年は用を足し始める。その足元では飛び散った尿の雫が床を汚していた。
「………!! ふふ……」
 その様子を見てビダーシャルはひきつった笑みを浮かべ、
「ふふふふ……、そうよ……、それでいいのよ……!!」
「?」
 ブラシで自分を指し示しながらそう呟くビダーシャルに、少年は首を傾げていた。

40 :
 それからしばらく経って、輝かんばかりに清掃されたトイレでビダーシャルは満足げに息を吐いた。
「ようやく9割方は終わったわ……。予想外だったのは……、ストレスを溜めたくて辛い仕事を選んだにもかかわらず、やり始めるとだんだんと『のって』くる事……。しかしこれをまた汚されるのかと思うと……、なおいっそうイライラするわ……。誰も来なければいいのに……」
 感慨深げなビダーシャルの言葉を嘲笑うかのように、
「ち……、ちょっとすまん!! 腹が痛くてかなわん!! 入るぞ、姉ちゃん!!」
 と中年男性が腹部を押さえつつ入り込んできた。
「(清掃中の札が見えねえのか、ジジイ〜っ!!)ま……、まだ清掃中で……」
 ――バタアン!
 ビダーシャルの静止に耳を傾けず、男性は手近な個室に入った。
 ややあって、個室内部から男性が用を足す音が聞こえてくる。
(じじい……、今日はお前の人生で最も幸福な日だと思え……!! このビダーシャルにクソの音を聞かせて生きて帰れるのだからな……!!)
 ――ジャアアー……
「いやー、すまんすまん」
 個室から出てきた男に心中で舌打ちしつつ、掃除をやり直そうとするビダーシャル。
「!!」
 しかし個室に入ろうとして硬直した。
 男性が使用した便器からは、はずれた便が床に全体の半分ほど落ちていたのだった。
「ヴオ〜ッ!!」
 ――ドガドガッ!
 ビダーシャルは般若の形相で男性の後頭部をわしづかみにして、何度も激しく壁に叩きつける。
 男性が完全に絶命し片方の眼球が頭部から飛び出しても、攻撃の手は止まるどころか緩みもしない。
 壁に貼られたタイルが割れて血液が飛び散っていく様子に、ビダーシャルは哄笑とも悲鳴ともつかない声を上げる。
「あはははは! また掃除しなくちゃならなくなったわあ〜っ!!」
 掃除用具入れから男性の死体が発見され大騒ぎになった時には、既にビダーシャルは姿を消していた。

41 :
以上投下終了です。

42 :
乙です

43 :
どうも皆さん、今晩は。
2012年になってからもう一月が経ちますね。
さてと、ではこれから51話目の投稿を始めますね。
特に何もなければ、21時55分から投稿の方を開始します。

44 :

ルイズ、霊夢、魔理沙の三人がトリステインの森で手痛い体験をしてから暫く後の虚無の曜日――――
その日は朝から用事があると言ってルイズがひとり街へ赴き、魔理沙もキノコ探しにと森へ出かけた。
今ルイズの部屋にいるのは彼女に召喚された霊夢と、やけにお喋りなデルフだけであった。

―――最近、日差しが強くなったような気がする。
霊夢はそんな事を思いながら、開きっぱなしの窓から外の景色を見る。
魔法学院の一室から見える開放的な蒼い空に覆い被さるかのように、巨大な雲が浮かんでいた。
それは俗に「入道雲」とも呼ばれる存在で、夏の訪れを知らせてくれる入道だ。
「そういえば、もうすぐ夏の季節なのよね…」
霊夢は誰に言うとでも無く呟くと、テーブルに置かれた緑茶入りのコップを手に持った。
開けっ放しにされた窓から入ってくる光に目を細めながら、霊夢はコップに入った緑茶を一口啜る。
緑茶に混ざって入っている幾つもの小さな氷がコップにぶつかるガラス細工のような音が、熱気が微かに漂うルイズの部屋に響く。
キンキンに冷えた緑茶と一緒に氷も二、三個ほど口の中に入れ、バリボリとくぐもった音を立ててかみ砕いてゆく。
そして口からコップを離すとハァと溜め息をつき、ふと天井を見上げる。
つい一週間ほど前までは窓を開けなくても良かったのだが、この頃から窓を閉めてると自然に体から汗が出てくる。
トリステインは比較的寒い土地であるが、いざ夏の訪れると急に暑くなるという厄介な場所であった。
それが原因か、最近になってからハンカチで汗を拭う者達を見かけるようになっていた。
「…やっぱり突然連れてこられただけあって、夏の訪れも突然なのね」
「へへ、それでうまい事言ったつもりかよ?」
ひとりでに口から出た霊夢の呟きに、ベッドの上に置かれたデルフが勝手に応えた。
まるでダメ出しするかのようなインテリジェンスソードの言葉に霊夢は目を細めつつ、ベッドの方へ目を向ける。
以前はやかましいからとルイズと霊夢に縄で縛られていたこの剣も、今はなるべく静かにすると言う約束で縛られなくなっていた。
おかげで喋りたいときはベラベラと喋ってくるが、以前のようなやかましさは無くなっていた。
いつものように魔理沙と話していたり、時には今のように霊夢の言葉に一々突っ込んでくることもある。
ルイズはそんな剣にいつも厳つい視線を送っているが、霊夢はこんなもんでいいかと考えていた。
自分の言葉に霊夢が反応したのが嬉しいのか、デルフは鞘から露出した刀身を震わせながら言葉を続ける。
「いつも思うんだけどよ、お前さんは狂言回しや役者にでもなりたいのかね?」
デルフのからかい言葉に霊夢はアゴに手を添え、自分の将来について真剣に考えるかのようなポーズをとった。
「そうねぇ〜、もし巫女としての務めが終わるのなら…………とりあえずアンタの考えてること以外の事をしてみたいわね」
霊夢の口から出た「将来の夢」を聞いて、デルフはひでぇと呟いた後に言葉を続ける。
「なんでぃそりゃ?このオレっちが真剣に考えてやったっていうのに」
「アンタの場合は体の方が真剣だから、頭の方が真剣じゃなくなったのよ」
おせっかいなデルフにそう言いながら霊夢は手に持っていたコップをテーブルに置き、次いでその隣に置かれた湯飲みを手に取る。

45 :
支援

46 :
コップを持った時と違い何処か慎重そうに湯飲みを両手で持つと口に近づけ、中に入った熱い緑茶をゆっくりと啜る。
静かにズズズと音を立てながらお茶を飲む彼女の姿は、西洋の雰囲気漂うこの世界とはあまりにもミスマッチし過ぎていた。
「ふぅ…やっぱり冷たいのもいいけど、熱いお茶もまた格別ね」
湯飲みから口を離した霊夢はそう言いながらなんとも嬉しそうな表情をその顔に浮かべた。
例えればそれは、しばらく働かなくても不自由なく好きに暮らせる財産を手に入れた人間が浮かべるすのような幸せな表情。
そんな例えとはまるで無縁な過疎神社の巫女である彼女が、それよりももっと幸せそうな表情を浮かべている。
もしもその顔をルイズが見たら驚くであろうが、きっと彼女のことをある程度知ってる魔理沙や幻想郷の住人達ならこう思うだろう。
「よくもまぁ、お茶を飲むだけでそんな幸せになれるなんて。相変わらず暢気だなぁ…」と。
湯飲みをテーブルに置いたとき、デルフが話し掛けてきた。
『なぁ霊夢、少し聞いて良いか?』
「ん?何よ」
デルフの質問に首を少しだけ傾げつつ、霊夢は暇つぶしにと耳を傾ける事にした。
しかしその質問の内容は、デルフでなくとも先程彼女がとった行動を見たら誰だって投げかけるだろう。
何せ今霊夢がコップと湯飲みを置いたテーブルの上には、熱い緑茶が入った急須とアイスティーの入ったポットが置かれているのだから。
ハルケギニアはもうすぐ夏の季節を迎えるが、この部屋だけは未だに春と初夏の間を行き来していた。
『どうして熱いお茶と冷たいお茶を、交互に呑む必要があるんだよ』
恐らく十人中八人が彼女に聞きそうなその質問に、霊夢は当たり前と言わんばかりにこういった。
「交互に飲むからこそ、美味しくかつ二つの味を楽しめるのよ?」
得意気な顔で冷静かつ明確にそう答えた時…部屋に二つある出入り口の内の一つであるドアが開く音が耳に入ってきた。
ドアを開けて入ってきた人間は、霊夢がそちらへ顔を向ける前に、自分が何者なのかを知らせた。
「よう霊夢とデルフ。今帰ったぜ!」
部屋の主であるルイズとは違う快活な声を上げて、魔理沙が部屋に入ってくる。
その顔や首筋には汗が滲み出ており、外が結構な気温になっている事を物語っていた。
『おぉ魔理沙か…って何だ、随分と汗だくじゃねぇか?』
「あぁこれか。いやぁ珍しいキノコとか薬草を捜して森の中とかを飛び回ってたらこうなってな…」
デルフの言葉に応えながら、魔理沙は左腕で額の汗を拭った。
相変わらず白と黒を基調にした服であったが、霊夢と違い所々デザインが変わっていた。
夏の季節に合わせて生地の薄い半袖ブラウスの上に、黒色のサマーベストを着ている。
短くなったスカートに合わせて白いエプロンも小さな物になっており、以前より少しだけ可愛らしくなった。
唯一変わらないのは頭に被っている帽子であるが、それ以外の箇所は正に「夏服」となっていた。

47 :
「おかえり…と言った方が良いのかしらね?」
一足早い夏の熱気で汗をかいて帰ってきた魔理沙に、霊夢は自分の言葉に疑問を覚えながらも言った。
「だろうな。ここは神社じゃないし」
魔理沙はそう言いながらドアを閉め、右手に持っていた箒をクローゼットの傍に立てかけた。
彼女の相棒ともいえる箒は幾つか傷ができているものの、常に手入れをしているお陰か古びた印象を見せていない。
箒を手から放した彼女はふう、と一息ついてからポケットからハンカチを取り出して首筋を流れる汗をササッと拭き取った。
その姿を見た霊夢は、思った以上に気温が上がっているのかと思った。
「それにしっても急に暑くなったよなホント…幻想郷の夏も暑いがこっちと比べりゃまだ良い方だぜ」
「そうかしら?私はあんまり動いてないから良く分からないわ」
「そう言うと思ったぜ。お前は一年の半分くらいは、神社の縁側でお茶を飲みながら過ごしてるもんな」
霊夢と話しながらも左手に持っていた小さな革袋をベッドの傍に置くと、霊夢の向かい側に置かれたもう一つの椅子に腰掛けた。
そして頭に被っていた帽子を脱いで膝に置くと、テーブルに置かれた急須とティーポットに気が付く。
「ん?…なぁ霊夢」
「何よ」
「これってどっちがアイスティーなんだ…それとも、両方が熱いのか?」
『イヤ、普通に見ればわかるだろ』
魔理沙の言葉に、霊夢よりも素早くデルフが突っ込みを入れた。
★☆★
「んっ、んぐっ…ん……ッハァ!」
ルイズの部屋に、気持ちの良さそうな魔理沙の声が上がる。
コップに注いだ冷たいアイスティーを飲み干した彼女の顔は、喜びで若干にやけている。
まぁ汗だくになりながら森の中を飛び回ったのだから無理もないであろう。
「やっぱり思いっきり汗をかいた後の冷たい飲み物ってのは美味しいぜ〜…」
僅か数秒で空っぽになったコップをテーブルに置いた魔理沙は、体の重心を前に傾けてグテッとテーブルに突っ伏す。
その様子を見ながら湯飲みに入った緑茶を啜っていた霊夢は、ふと窓の外の景色へと視線を移した。
幻想郷のそれと負けないくらいに澄み切った青い空を背景にして、巨大な入道雲が浮かんでいる。
その空の下には自分たちの塒である魔法学院の外壁と、そこを囲むようにして何処までも続くかのような森が見える。
(そういえば、以前あの森で変な怪物に襲われたけど…もうあれから結構経つのよね)
学院の外にある森が目に入った霊夢はふとあの時の事を思い出し、左肩を一瞥する。
あの怪物に襲われ不覚にも一撃を喰らってから、既に数日もの時間が経過していた。
つけられた傷はあの毒を含めて、ルイズが持っていた水の秘薬のおかげで綺麗サッパリに消えていた。
まるで最初から無かったかのように…という言葉がピッタリと似合うほどに傷は無くなっていた。
以前も背中を青銅のゴーレムに強く殴られたときも、あのクスリのおかげで後遺症もない。
(なんというか…流石魔法の世界ね。あんな切り傷と毒まで治してくれるんだから)
霊夢はそんな事を思いながら、頭の中で数日前の事を思い出し始めた。

48 :

怪物が倒された後、私が再び目を覚ましたのは翌日の未明であった。
その時はまだ毒が僅かに残っていたのか体は少し気怠かったが、それ程苦しくもなかったの覚えてる。
無機質で一定のリズムを奏でる時計の音に耳を傾けながら、私はゆっくりと目を開ける。
もう見慣れてしまった天井が目に入ったと同時に、ふと視界の左端に明るい何かが映った。
何かと思い、いつもより重たく感じる目を動かすと、すぐ近くに魔理沙の背中があった。
私に背を向けて椅子に座っている彼女は、鬼火や幽霊のようにゆらゆらと動くそれの光を頼りに本を読んでいるようだった。
時折ページを捲る音も聞こえているので起きているのは起きているのだろう。
私は魔理沙の背中に声を掛けようと口を開いたが、うまく言葉が出ない。
「…っう…く」
ちょっと頑張って喉から出した声は、まるで墓場から蘇った亡者の如き呻き声であった。
それでも気づいてくれたのか、魔理沙はふと顔を上げると私の方へと顔を向けてくれた。
最初はキョトンとしていた彼女も、私の顔を見てすぐに笑みを浮かべた。
「おぉ、何だ霊夢か。てっきり学院を根城にする悪霊が出たのかと思ったぜ」
「そんなヤツがいるなら、とっくに私が退治してるわ」
先程上げた声をネタにして冗談を言った彼女に対し、私は苦笑いの表情と言葉で返してやった。
その言葉を聞いた魔理沙は満足そうにうんうんと頷いた。
「は!そんな表情とセリフが出るんならルイズの言ったとおり、もう大丈夫だな」
魔理沙の口から出たこの部屋の主の名前を聞き、ふと私は足の方に何かが乗っかっているのに気が付く。
ふとそちらの方へ視線を向けると驚くことに、ルイズが私の足に頭を乗せてグッスリと眠っていた。
いつもの服を着ている魔理沙と違いネグリジェを纏い、その上にタオルケットを羽織っている。
更に私の体に掛かっているのが分厚い毛布という事もあり、その寝顔は安らかであった。
「なんていうか…どうしてこうなったのかしら」
私は見ていて妙にムカついてくる程安らかな寝顔を浮かべるルイズを見ながら、ひとりでに呟く。
その言葉に応えるかのように、イスに座った魔理沙が得意気にこれまでの経緯を話してくれた。
魔理沙の話が正しければ、どうやらつきっきりで看病したかったとのことらしい。
部屋に置いてあった水の秘薬を使い傷の手当てをした後、そのまま私の事を見守っていたのだという。
食事は魔理沙に持ってきて貰い、風呂に入るときは魔理沙に看病を頼んだりと…
「…で、私が風呂から帰ってくると今の恰好で寝てたから毛布を掛けたんだよ」
魔理沙は最後にそう言って、説明を終えた。
話を聞くだけではどうにも信じられないが、まぁこうしているのだから事実だと思って良いのだろう。
私はすーすーと寝息を立てているルイズを見て、そう思った。
人間というのは、どんなヤツでも必ず何らかの成長を見せるのだから。
「というか、毛布かけるならベッドに運んであげなさいよ」
「いや〜もしかしたら途中で起きるかなーって思ってはいるんだがな」
その後、冷たい床の上で寝ていたルイズは魔理沙と一緒に柔らかいベッドでグッスリと眠った。

(あれからもう暫く経つのね)
霊夢は傷が出来ていた所を優しく撫でつつ、回想を終えた。
あれから数日が経ってはいるが、魔理沙はいつもの如く平常運転ではある。
偶に箒と革袋を持って外に出かけては得体のしれない薬草やキノコを取ってきたり本を読んだり、霊夢やルイズ達とお茶を飲んでいる。
一方のルイズはというと、ほんの僅かだけ優しくなったように思えた。ほんの僅かだけ
全体から漂う雰囲気自体はまだツンツンとしているが、それでも他人と接するときには優しさが垣間見えるようになった。ほんの僅かだけ。
デルフの方もあれから縛られる事もなくなり、機嫌も良くなっている。
偶に口を滑らせて霊夢やルイズに投げられたり脅されたりしているが、まぁそこは以前と変わりないだろう。
(本当、時間って暇なときほど早くなねような気がするわ)
霊夢はそんな事を思いつつ、窓からみえる外の景色をジーッと見つめていた。

49 :

魔理沙が森でキメラを倒した日から随分と時間は経っていたが、あれ以来怪しい事は何も起こっていない。
ただ霊夢が倒した虫キメラの事に関しては、学院の中で起こった゛怪事件゛ということでちょっとした話題になっていた。
なんでもあの日の夜…
学院の警備をする衛士達がいつの間にか全員気を失っていたり、
女子寮塔の事務室が何者かによって滅茶苦茶に荒らされていたというのである。
教師達は衛士や事務室にいた同僚達から話を聞いたのだが、証拠となる証言は一つも得られなかったのだという。
それがきっかけとなり、生徒達の間で数十種類の的はずれなうわさ話が飛び交った。
ある者は学院に貴族くずれの賊が侵入したと言う話しに対し、ある者は夢魔がやってきて学院を飛び回ったと反論する。
それはあまりにも的はずれで、誰も真実に辿りつくことはない。
学院で゛ゼロ゛と揶揄される少女の使い魔が、人を襲う怪物を退治したという真実に―――
そして、いつの間にか少女の部屋に居着いた白黒の少女が使い魔と同じ世界から着たという異邦人だという事にも…

「…やっぱり、平和にお茶を飲めることが一番大切なことね」
霊夢はひとりそう呟き、再び湯飲みを口もとに近づけようとした時…ふとある疑問が浮かび上がってきた。
それは、怪物を倒した日の夜…ボンヤリとした頭の中に思い浮かび、今の今まで記憶の底に沈んでいた。
しかしあの時のことを思い出したおかげでその疑問は勢いよく浮上、そのまま天高く飛び上がったのである。
霊夢は口もとに近づけていた湯飲みをテーブルに置き、口を開いた。
「ねぇ、魔理沙。少し聞きたいことがあるんだけど?」
突然自分の名前を呼ばれた魔理沙は目を丸くしつつも、霊夢の方へ顔を向ける。
そして目の前にいる巫女が、さっきとは打って変わってちょっと真剣そうな表情を浮かべているのに気が付いた。
「なんだよ霊夢?そんな顔して私に聞きたいことがあるだなんて…」
「まぁ聞きたいことが一つだけあるわ」
最初に一言だけそう言うと霊夢は一呼吸置いた後、脳内の疑問をそのまま質問に変えてこう言った。
「この前の森で怪物を退治した後、誰が私たちを学院まで連れてきたのよ?」
霊夢の口から出た言葉に、魔理沙は数秒ほど黙った後キョトンとした表情を浮かべた。
「あれ?お前に話してなかったっけ?」
「話って何よ?それ自体初耳だわ」
まるで自分一人だけ置いてけぼりされたような感じがした霊夢は、魔理沙の言葉に突っ込んだ
何処か冷たさが見える彼女の言葉に、魔理沙は苦笑いで返しつつポン、と手を叩いた。
「…あぁそうだ、お前が目を覚ました後に話そうとかな〜って思ってたんだよ」
「だったら何で話してくれなかったのよ」
まるで噛みついてくるかのように突っかかってくる霊夢に、魔理沙はいやいやと手を振りつつ話を続ける。
「いや〜だってあの後のお前もなんかボーッとしてたし、また後にしようか…って思ってそのまま眠って…」
「忘れたってワケ?」
魔理沙が言おうとした最後の一言を霊夢が代弁した。

50 :
支援

51 :
彼女の顔には、怒りよりも若干の呆れたと言いたげな雰囲気が漂っている。
「まぁそうなるな」
霊夢の冷たい視線に、魔理沙はポリポリと頭を掻きつつそう言った。
その顔には霊夢とは違い薄い笑みを浮かべている。どうやら反省の意思は無いらしい。
まぁいつもの事だと思いつつ、溜め息をついてから霊夢は再度口を開く。
「…まぁ、アンタの事だからそんなので起こりはしないけd「トントン!」……?」
彼女が言い終える前に、ふとドアの方からノックの音が聞こえてきた。
一瞬ルイズが帰ってきたのかと思ったが、それはないとすぐに思った。
この部屋の主である彼女が普通自分の部屋のドアをのっくするという事はないだろう。
じゃあ一体誰なのかと首を傾げていると、腰を上げた魔理沙がそのままドアの方へと歩いていく。
そしてドアノブを捻り、躊躇いもなく開けるとその向こうにいた相手と顔を合わせた。
「はいはーい!どちらさま…って、あぁお前か。丁度良い所で来てくれたぜ」
丁度いいところで来てくれた?この言葉に霊夢は更に首を傾げそうになった。
魔理沙とドアの向こうにいる誰かが一言二言ほど言葉を交えた後、魔理沙が霊夢の方へと顔を向けた。
「まぁお前も顔くらい知ってると思うが、コイツが森の中にいたあたし達を助けてくれたんだよ」
そう言って魔理沙は右手でドアを開き、その先にいた少女の姿をさらけ出した。
印象的な雰囲気漂う眼鏡にボーッとしたような表情は何処か冷たさを感じる。
左の手で分厚い本を抱え、右の手で自身の身長より高い杖を持っている。
身長はかなり低い方で、魔理沙と比べてもかなりの差があった。
そして何より目にはいるのが、青空のように爽やかな水色のショートヘアーだ。
まるで雲一つ無い空の色をそのまま髪の毛に移植したかのような輝きは、もう芸術といっても良い。
霊夢は知っていた、この特徴が全て当て嵌まる少女の名前を。
「あんた…確か…タバサ、だったかしら?」
確認するかのような霊夢の言葉に、タバサはコクリと頷き――部屋の中へと足を踏み入れた。

52 :
しぇん

53 :
はい、今回の投稿はここいらで終了です。
冬真っ最中ですが、この作品の中ではもうすぐ夏が始まろうとしています。
今年は寄り道的な話をなるべく控えつつも、ルイズ・霊夢・魔理沙の三人が織り成す生活と戦いの日々を書いていきたいです。
勿論シエスタやタバサ、キュルケ、ギーシュを初めとしたゼロ魔のキャラ達も出番を増やしていく予定ですよ。
それでは長くなりましたが、今年もよろしく御願い致します。

54 :
乙でしたー

55 :
ゼロニスター、無重力巫女の人 乙です

56 :
まとめ読んでると、タイラントを召喚した小ネタも有るんだな
タイラントならまだしも、ネメシスだったら色んな意味でひどい事になりそうだ

57 :
何故か動くビデオデッキ+テレビと例のビデオ・・・
あのウイルスが蔓延するようです

58 :
>56
タイラントか。
契約出来たら全部吹っ飛ばして世界はむしろ平和になるが、出来なかったら学院踏みつぶした後ウルトラマンを倒すべく宇宙の彼方に飛び去って別の意味で平和に。
……ネメシス……サイレントメビウスのは星の名だから、セント☆プリンセスの闇皇姫か、メタルマックス2のビイハブ船長がU-シャークを追って……

59 :
メフィラス星人を召喚したらゲートから出てくるのは自動販売機

60 :
>>58
すまんバイオハザードのつもりだったんだ(´・ω・`)

61 :
>>60
多分分かったうえで書いてると思うぞw

62 :
>>60
同名・似た設定のキャラ出してボケるのなんざこのスレじゃにちじょうちゃはんじだぜ

63 :
>>60
ふと思ったんだがタイラントは量産型以降だと入力された命令を忠実に実行するようだから
それ以前の状態を召喚すれば、契約→ルイズに従う命令が入力されるになりそうな感じがする
ただまともに喋ることが出来ない上に難しい命令は理解できないから
常にルイズが見張っていないと大惨事になるのは間違いないw

64 :
一機だけアニメに量産型が搭乗しなかったOF・・・
GBA版はヒロイン専用機として同型出たけど

65 :
そろそろサイヤの人が召喚されてもいい頃...

66 :
サイヤ人ならVIPのでベジータが呼び出されてただろう

67 :
>>66
サイヤ人、じゃなくて「サイヤの人」じゃないかな?一般論でね

68 :
えぇい!ゼンラーマン召喚はまだか!?

69 :
そろそろヒラメキパズル マックスウェルの不思議なノートからマックスウェルが召喚されてくとぅるふ呼び出したり家畜小屋にたかねまなかさんを家畜小屋に押し込んだり
ビックバイパー呼び出したりその辺においといたししゃもとまなかが戦ってまなかが死んだりするのが・・・

70 :
小ネタでノートだけ召喚とかならありそうな感じ
そしてハルケの文字が認識できなくて乙る

71 :
>>53
無重力巫女の人、乙です!
霊夢の台詞回しが実に原作っぽいです。
ゼロ魔キャラとの絡みも増えそうで楽しみです。

72 :
ロックマンXからエックス召喚されたら…
うん!裏切りとか戦争とか悩んだ挙句イレギュラー化しそうだ!

73 :
あの時も・・・お前のようなものがいた・・。 
イレギュラーか・・・。

74 :
電脳世界からバヴったゼットンでも呼ぶか

75 :
洋ゲー枠からF.E.A.R隊員召喚
あっちこっちで出てくるアルマを見たタバサがしょっちゅう硬直しそうだな

76 :
マシンセルの最後の暴走によって無限のフロンティアのPTの様にウォーダンの意識を取り込んでほぼ大破状態ながらもダウンサイジングされた状態で召喚されたスレードゲルミル!
物語の進行に会わせて徐々に回復する身体、突進とドリルいんふぇるのだけでワルキューレを蹴散らし、フーケには片腕DBナックルで粉砕し、最終的にはワルドもろともレキシントン号を斬艦刀で一刀両断!
メイガスの剣、なんてガンダールブに相応しいのか。

77 :
>>76
巨大ロボの小型化だけは許せねえ自分が通りますよっと・・・・・・

78 :
SDガンダムなら問題ないな
というわけで誰か孔明リ・ガズィをと言ってみる

79 :
召喚されし書物が全部民明書房刊で異様な文化が発展したハルケギニア

80 :
青髭の願いが意外な形でw

81 :
ペドでショタでリョナで鬼畜の性癖4重苦歩く青少年条例違反なデカブツを召喚か・・・・
学校がやべぇ!!

82 :
>>81
捏造疑惑もあるから、そういうことにしとけば・・・・・・

83 :
もしここに投下する場合>>1以外に気をつけることってありますか?

84 :
ここに限らず掲示板に作品投下する時は共通だけど
直に書き込むんじゃなくてメモ帳でもなんでもいいから手元で完成させてから書き込むこと。

85 :
>>75
ジョセフがフェッテル呼び出せば釣り合い取れそうだな
もちろんレプリカ大隊付きで

86 :
BOSSの宇宙人ジョーンズの使い魔生活とか見たい

87 :
>>86
何かっつーとこの惑星はと言ってオチを付けるのかw

88 :
第一話はまずアレだな
この惑星は・・・・・・・何処だ?
でオチだな

89 :
宇宙人ジョーンズ
「この惑星の貴族は、生き物を召喚して使い魔とするらしい。
だか、なぜ私なのだろうと思う時がある」

90 :
「まったくろくでもない惑星だった」とか言いつつ
ハシバミ草が忘れられなくて戻って来ちまうのか

91 :
宇宙人ジョーンズ(…この惑星の貴族は、プライドをかけて決闘をするらしい…)
ギーシュ「いけ、ワルキューレ!!」
チュイン…ドォン!!
宇宙人ジョーンズ「マイリマシタカ?」
ギーシュ「降参だ……」
ルイズ「ねぇジョーンズ、あなたメイジだったの!?なんなのよあの目から出た光は?」
(…だが、二股かけけていたのがバレてもプライドは傷つくらしい…)
ルイズ「ちょっと、浸ってないで答えないよ」
(…まったくろくでもない世界だ…)

92 :
何だろうすげぇ面白そうwww

93 :
キングジョー召喚

94 :
>>93
コルベールの作ったロボットが巨大化してルイズが乗り込んで暴れるわけか

95 :
もしハルケギニアの平民の夕飯が半額弁当だったら…
…やばい、シエスタが狼になるビジョンしか見えねえ

96 :
CMからだとお父さんとかもか

97 :
>>93
金山丈「呼んだ?」

98 :
ラッキーマン召喚しても幸運の星の光が届かないな
あえてスーパースターマンを召喚
弱いけど不死身

99 :
とある顔の長いカウボーイ人形と宇宙飛行士の玩具を召喚したら
学院から逃げて各地を転々とした挙句テファの村に行き着きそうだな

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