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2012年3月創作発表129: 【気軽に】お題創作総合スレ【気楽に】 (333) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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【気軽に】お題創作総合スレ【気楽に】


1 :
とにかくお題に沿って創作するスレです
絵でも文章でも消化方法はなんでもあり
お題消化は一個ずつでもまとめて複数個でもご自由にどうぞ
消化お題が他人とかぶっても気にしない
※お題ではないリクエストに関しては別スレでどうぞ

2 :
創作だけでなくお題提示でのご参加もお待ちしておりますー
とりあえずお題「夏」

3 :
 夏の曇り空。
 もくもくと湧き出てきた入道雲に、ふと昔を思い出す。
 雨を降らせそうな雲に、思い出す。
 わくわくした時の事を、思い出す。
 夏になり、買ってもらった雨合羽。
 緑色で、被るとちょうど可愛いアマガエルのように見える装飾で、それを早く着てみたくて。
 私はいつも早く雨が降らないかなぁ、と空を見上げてばかりだった。
 そんなある日の事。
「今日は外に出たらだめよ。XXXXXちゃんなんか、飛ばされちゃうんだから」
 やっとやってきた雨は、激しい風も引き連れていた。
 それが台風と呼ばれる自然現象だと、私は初めて知った。
 びゅうびゅうと吹きすさぶ風。バリバリと戸板を打つ雨。
 でもそれは、私のわくわくを煽るばかりで――
「お母さん、車でちょっとお出かけしてくるから、ちゃんとお留守番しててね」
 わくわくを、抑える大人はいなくなった。
 私は、買ってもらったばかりの緑の雨合羽を着て、外に出て、そして――
 ……あれ?
 それから、どうなったのだったっけ?
 首を捻って考えてみるも、どうしても思い出す事ができない。
 考えながら、私の足は自然に進む。
 どこへ行くかも知らぬまま。
 夏の曇り空。
 激しい雨の最中でも、歓喜の歌を歌うように、カエル達は鳴いている。
 気づけば、そこはどこかの田んぼの中。
 あ、そっか。そうだったね。
 見上げれば、そこにあるのは入道雲。
 雲を背に、緑に茂る、稲穂の群れ。
 私は、カエルになったんだっけ。
 これから雨が降りますよ。
 私(カエル)達は鳴き始める。
 これから雨が降りますよ。
 私も合わせて泣き始める。
 もう、かえれない。
 カエルが鳴いても、かえれない。
 
 げーこ、げこ。
 げーこ、げこ。
 どんなに鳴いても。
 どんなに泣いても。
                                      終わり

4 :
ここまで投下です。

5 :
詩的で凄くいいですね!
新スレ第一回を見事に飾ってくれました
カエルが死んだ子供達だとすると、切ないですね
文章表現も素敵です。投下乙!!

6 :
テンポがいいな

7 :
お題 海

8 :
規制解除?

9 :
やった解除!
夏と海か
良いお題だ!

10 :
>>3
KOEEEEEEE

11 :
お題「空」

12 :
もっと奇抜な題がいいな

13 :
>>12
じゃあ、「砂漠の屋台」

14 :
「へいらっしゃい!!」
「み……水を……」
「はいよッ! 冷や一丁!
「はぁ……。ゴクッゴクッッゴクッゴクッ……」
「お客さんいい飲みっぷりだねぃ!」
「はぁ……はぁ……。た……助かった……」
「お客さん、アツアツおでんはどうだい!? 今日は大根がよく炊けてるよッ!」
「お……おでん!? この砂漠で……?」
「くぁぁあ〜! 今日のカラシはよく効きやがらぁ!」
「な……! 大根にからしを田楽のように……!」
「はいよッ! こいつぁ俺からのサービスだよッ!」
「食えと!? この灼熱の砂漠で……アツアツからし大根を食えと!?」
「おっとすまねぇ! これじゃたりねぇや。熱燗一丁ッ!」
「なんと恐ろしい! こいつ悪魔か!?」
「食わねぇのかい?」
「え?」
「食 わ ね ぇ の か い ?」
「え? え? ちょ……。う……うわぁぁぁあああ……!!」
【昇天】

15 :
会社の飲み会からの帰途。
俺は屋台によった。
よもや砂漠が店主をやっているなんて思わなかったからだ。
「お客さん。焼酎、どうぞ」
砂の山がのそりと動いて、さらさらと音を立てながら、一升瓶を傾けた。
俺はグラスを差しだす。
ちょろちょろちょろ。
さらさらさらさら。
グラスの中に、焼酎の澄んだ輝きと、店主の身体の一部(であろうと思われる)砂が注がれる。
砂を注ぐつもりはないらしいが、粉体に近い微細な砂粒の流体を肉体とする砂漠にとって、
それを散らさないのはほぼ不可能らしかった。
生まれてこのかた砂漠であることに慣れきっている店主にとっては、
砂が入るなんてことはラーメン屋でスープに指が入るくらい日常茶飯事のようだ。
店主に抗議含みの視線を向けてみるも、顔だって砂の流動がうねうねしているだけだから、
勢いどこが顔なのかわからないくらいだった。
底に一センチくらい砂の溜まった焼酎を眺め、仕方ないので砂が沈殿するのを待ってからグイと煽った。
「うまいでしょ。ちょっといいやつ、振る舞ってんですよ」
「ああ、うまいね。おでん、よそって貰えるかい」
「ええ、よろこんで。何にしますか」
「ええと、適当に」
「へえ、じゃあ適当に」
店主はおでんをよそう。
さらさら、とまたも砂が俟って散って、おでんは浜辺におっことしたみたいに砂塗れになる。
しかし、酒はおいしかったので、おでんも美味しいかもしれない。
むしゃ。
じゃりじゃりじゃり。
…………。
「よく煮込んでますからね。うまいでしょ」
「えと……う、うまいよ」
言えなかったが、とんでもなくまずかった。
おでんに土をまぶしたみたいな、って言うかリアルに砂粒をまぶしたおでんの味がして、
途方もなく不味かった。
俺は不味さに顔をしかめそうになりながら、その生理現象を抑えて砂漠を見た。
砂漠は相変わらずさらさらしながら、でもどことなく驚いているのが伝わってきた。
「お客さんが初めてです」
「何がですか」
「ワシとこの、おでん、うまいって言ってくだすったの」
「……うん、悪くは、ないですよ」
そういうと、砂漠はとても嬉しそうに笑った(ように見えただけかもしれない)。
後はもう、上機嫌の砂漠が、サービス、サービス、と言って、たくさんタダ酒を浴びせてくれた。
気がついたのは、公園のベンチだった。
酔いつぶれてしまった俺を、砂漠がここに寝かせていってくれたらしい。
俺に掛けられていた防寒用らしき新聞紙が、たくさんの砂粒に塗れていた。
公園の入口からこのベンチまでにも、やけに乾いた砂が道を作っている。
また一度砂漠に会いたいと思い友人を連れて屋台を探したのが、あれ以来砂漠の屋台を見たことはない。
終わり

16 :
いいねぇ
そういう発想大好きだよ

17 :
>>14
からし大根おいしそう
>>15
なぜその方向に捻ったしw

18 :
>>15 思いついたらすでに書かれていたww 店長かわいいよ店長

19 :
お題
「残暑」
「観測史上最高」
「暑さで二か月前に換えたばかりのHDがまたクラッシュして創作環境あぼーんパート2」

20 :
なんか新しいお題クレクレ

21 :
「潜水型神話」
「世界巨人型神話」
「宇宙卵型神話」
書けるもんなら書いてみやがれ

22 :
アダムの肋骨からイヴがうまれるより、ずーっと昔。
地球はまだ、大きな孤独だった。
始まりより先に生まれ、終わりがあるのかも分からず、一人で居た。
あるとき、地球は蛇に遭った。
アダムとイヴをかどわかした蛇よりも、いや、像をも一飲みにする蟒蛇よりも、二百五十六倍は巨大だった。
とぐろを巻いてシャラシャラ言っている蛇に、孤独だった地球は近寄った。
蛇はいつもどおり飲み込む星を探している最中だった。
星を食って生きて来た蛇は、自分より大きな生き物を見たのは、それが初めてだった。
あんまり地球が怖くて、蛇はすかさず噛み付いた。
牙の先から、今までに食った星々のエキスをどろどろに溶かして、地球に流し込んだ。
地球は熱くなった。
グラグラ煮え立つ蛇の毒液が地球を冒した。
地球は蛇に怒り、その首を掴んで振り回した。
蛇は振り回されまいと、地球の腕にぐるぐる巻き付いた。
地球と蛇は掴み合い絡み合いながらぐるぐると回り続けた。
地球と蛇はグズグズに融けて、一塊になった。
塊には、地球だった頃に蛇に噛まれた傷口があった。
傷口は化膿し、爛れ、崩れ、やがてその腐肉から鉱石人(ドワーフ)が生まれた。
鉱石人が腐肉を掘り、地球は内まで腐れ、やがて死んだ。
鉱石人の耕した腐肉に木が生え、森が出来た。
やがて森の精気が澱み、森の智者(エルフ)が生まれた。
それからはもう、地球は楽園になった。
樹人(トレンタル)が生まれ、風の妖精(シルフ)が生まれ、水の精(ニンフ)が生まれた。
アダムとイヴが現れたのは、それらのあとだった。
地球と絡み合ったあの蛇が、小さくなってアダムとイヴを唆したのだ。
そして人間が増えたあと、蛇は元の巨体になって、地球の表面をめちゃくちゃに暴れ回った。
舟を創った人間だけが生き残り、それら以外は皆、蛇の下敷きになって死んだ。

23 :
聖書をベースに異論なのが混じってるな

24 :
鉄石人でドワーフと読むのかー
>>22を見るまでずっとイブの肋骨からアダムを作ったんだと思ってました

25 :
ついに、これこそ
わたしの骨の骨
わたしの肉の肉
これをこそ、女(イシャー)と呼ぼう
まさに、男(イシュ)から取られたものだから
(旧約聖書 創世記2:21―23)
野郎の肋骨から女体が創られたそうな。
なら肋骨全部女にしてもらったら夢のハーレム生活開始じゃん!

26 :
女性に骨抜きにされた男というわけですね わかります

27 :
だれうま

28 :
256倍だけ妙にデジタルw

29 :
おだいかまーん

30 :
峠の団子屋

31 :
ある村に団子屋を名乗る男が訪れた。この村で団子をつくりたい、家か土地を貸してくれとのことだ。この村は立地条件が良く、この手の商売人から人気が高い。多くの場合、金をもらって土地を貸していた。しかし男は金がないと言う。
なら駄目だと追い返したが、近くの峠に勝手に店を作ってしまう。その峠はほとんど誰も足を向けることのない場所。そんな所に客なんてくるはずないと村人は馬鹿にしていた。
ある日、珍しくその峠を超えて村へ旅人がやってきた。旅人が言うには峠の団子が大層美味しいらしい。あまりに熱弁をふるうものだから気になった村人が団子屋に出向いた。その村人もやはり美味しいと他の村人に語る。そうしてあっという間に団子屋は大人気となった。
しかし、問題がある。その峠は気軽に行くには遠すぎるのだ。村人にとって団子屋はなくてはならないものになっていた。しかし、そう頻繁に行くことは難しい。
そこで村人たちは団子屋に頼んだ。どうか村に来てほしい、あの時は悪かった、と。団子屋は頷いてくれるとばかり思っていた村人だったが、団子屋は首を横に振る。それから何度も頼み込みが結果は変わらない。
我慢ができなくなった村人の1人が峠に家を建て、村から出て行ってしまった。そしてまた1人、また1人と。結局は村人たち全員が峠に移り住んでしまった。
団子屋を中心に峠には新しい村ができた。元の村と比べて格段に不便ではある。しかし美味しい団子を気軽に食べれられる、と村人たちは喜んでいた。しかし喜びもつかの間。団子屋は峠からいなくなってしまった。
男はもともと村があった場所に新しく大きな大きな店を作った。立地条件がよく、自慢の団子もあってか、評判はすぐに広まった。団子屋は今日も繁盛している。

32 :
昔話風だな
絵本なんかになる前の原型だと、結構こんな感じのエグさがあるよな

33 :
感想どうもー
峠の団子屋って言われたら昔な話ししか思いつかないぜ。昔話風に書いてて思ったのだけれど、すごく書きやすかった。無駄な描写とか必要ないからスラスラ。
ええ、そうなんです。あまりにスラスラ書けるもんだから推敲がおろそかになってしまったんです。

34 :
 照りつける日差しが、皺の目立ち始めた肌を焼く。町から町への旅続きは、
この歳になってくると体に堪える。ことに、このような長い坂道は。
辺りを見渡してみて、街道の脇に木陰を見つけたので、ひとまずそこで
休むことにした。
 腰を落ち着けると、四方の蝉の鳴き声が急に大きくなったように感じた。
やや視界がぼやけているようなのは、往来を忙しく行き来する通行人達が
あげる砂煙のせいか、あるいは、それほどまでに疲れているということか。
今日は風のない日だ。
 この峠を越えれば目的の町だ。そこに今回連れて行く娘がいる。
できれば、人買いやら身売りやらとは関わらない商売がしたい。
そんなことを思ったのももう昔のことだ。もうすぐ四十になる。
自分にはもう他に食っていく術もあるまい。是非もない。
 先の見えない坂道を見上げる。あまりのんびりもしていられない。
もう行かなくては。いうことを聞かない体に言い聞かせるように、
ゆっくりと腰を上げた。

35 :
 峠のてっぺんまで登った頃には、すっかり疲れ果ててしまっていた。
この商売も、いつまで続けることが出来るだろう。見上げれば、
日も真上を過ぎて、徐々に下り始めている。刻限まで時間がないが、
このまま進むことは出来そうになかった。ちょうど向かいに団子屋がある。
小腹も空いたことだし、茶でも飲みながら一服していくことにした。
 貧相な店だ。野山に落ちている材木を適当にくみ上げたような椅子が
置いてあって、そこに何人かが腰掛けて団子を食う。それだけだ。
だが、腹が膨れて、しばらく休めればそれでいい。店の小僧が
茶と団子を持ってくるのを待ちながら、建物のの中から外へと蠅が
飛んでいくのを、ぼんやりと眺めていた。
 しばらくすると相席になった。隣に座ったのは、汚らしい風体の侍である。
くたびれた着物に大小をさして、痩せこけた顔から、やけに大きな眼窩を
覗かせていた。近頃はどこも食い詰めた浪人が多い。この男も大方その類であろう。
と、侍が不意に話しかけてきた。
「この先の町へ?」
「へい、あっしくらいの歳になりますと、こんな峠でも越えるのが
しんどくてわかりません」
「だろうな。商売か?」
「品物の受け取りといったところですかね」
 それきり侍は黙り込んでしまった。手元の茶も飲まずに、じっとどこかを
見つめていた。

36 :
 峠を下りきった頃には、日はとうに落ちていた。月のない、暗い夜である。
「商品」の受け取りは間に合わなかった。明日侘びを入れることにして、
ひとまず今夜の宿を探そうと、町をうろついていたときのことだ。
不意に、横手の細い路地から人の気配を感じた。
「あんた、なかなか勘がいいな。人買いの手先にしておくのはもったいない」
「旦那は、昼間の……」
 男は抜き身の刀を下げて、異様な気配をまとっていた。団子屋であったときとは
別人のようだ。
「悪く思うな。しがない町人の娘でも、身売りなぞはさせたくないと思う者がいるのだ」
「あんた……まさか!」
「成仏しろよ」
 その刹那、雲の隙間から月明かりが差し込んで、振りかぶられた刀を鈍く光らせた。
その後のことは、知る由もない。

37 :
ここまで投下
もう一個お題クレクレ

38 :
むささび

39 :
むささびと
モモンガの違い
わからない

40 :
 むささびは空を飛んでいた。彼が飛ぶのは、生態学的必然に迫られた本能に則った行為と
とらえる向きが多いのは無理からぬことではあるが、それは「真実」を知るものからすれば
噴飯もののおめでたい思考と言わざるを得ない。また、あれは飛んでいるのではなく、
航空力学的な原理によって滑空しているのだという方もいるだろう。しかし、それもまた
事実とは異なっている。
 そも、むささびとは何であるか。モモンガの親戚のようなものであるという認識は、
これもまたしても誤っている。モモンガのごとき野蛮な獣とは違い、むささびは、さる「統治者」
から重大な使命を授かって生まれてきたのである。世間に流れるむささびの世俗的、学術的情報は
すべてダミーに過ぎない。真相は選ばれし一部の人間によって秘匿されている。
 彼らは「上」から指令を受け、「機関」の間者達を探し出すことを使命としている。
野生動物というのは世を忍ぶ仮の姿に過ぎない。研究開発部門による危険な投薬実験によって
身につけた反重力作用能力を用いて夜空を行き、千里先をも見通す目(これは誇張表現ではない。
特殊な外科手術を施されたことによって彼らの目は現代医学の常識を遙かに超えた能力を
持っており、それは「千里眼」と呼称されている)で下界を監視しているのだ。
「肌を刺す夜気が心地よい。今宵は血を見ずには済みそうにないな」
 彼がふと漏らしたつぶやきは、月下の下冴え渡る大気に吸い込まれ、すぐに消えていった。
森が風に吹かれて、不気味に葉音を鳴らしている。

41 :
 「千里眼」がオブジェクトをとらえた。本来の森にはいないはずの「異物」である。
むささびの勘はやはり外れてはいなかった。絶え間ない訓練によって第六感を極限まで
鍛え上げた彼にとっては当然のことだろう。
「ククク……やはり現れたか。数は二。おそらくは『機関』の者……」
 標的が何かを喋ったのが聞こえる。むささびはそれを超強化聴力で漏らさず聞き取る。
「のう、吉田のじいさん。どうして夜中にこんなところに来たんだい?
わしは、うまいものを食わせてくれると聞いて、わざわざ青森から
来たんだが」
「フォフォフォ。わかってるわかってる。良く聞け。その昔、かの北大路魯山人が
愛したと言われる食材、それがむささびじゃ。その肉は鶏よりも完璧な鶏肉であり、
その骨でだしを取れば、最高のラー油汁が作れるという。それを今から捕まえるのじゃ」
 むささびはぎょっとして吉田爺さんの手元を見ると、そこにはうなりを上げる
チェーンソーが握られていた。そして、爺さんのギラついた目はいつからかこちらを
見据えて放さない。むささびは、我知らず声にならない叫びを上げていた。
むさうま

42 :
うぱ太郎とむささび次郎

43 :
 彼は、突如としてそこに現れた。
 私は尋ねた。君もモバイルの適性者――者、という表現は適切ではないかもしれないが――なのか、と。
 彼は答えた。いいや、そうではないんだよ、と。
「俺っちは、突然変異に変異を極めた、ハイブリッドモモンガさ」
 彼はむささび次郎と名乗った。モモンガなのにムササビなのか、と疑問に思いはしたが、そこには色々と
理由があるのだろう。私がウーパールーパーだからとごく単純にうぱ太郎と名付けられたのとは異なり。
 いや、あるいはそれは同じなのかもしれない。理由の差こそあれ、そこに理由があっての名づけである事
には何の変わりも無いのだから。
「しっかし、びっくりしたなー。なんで俺っちみたいに喋れるんだい?」
 もっともな疑問だ。私は端的に、モバイルとその適正者として得られる能力について説明した。
 より正確に言えば、モバイルに適応したが故に会話が可能な思考能力を得たというわけでは
無いのだが、大筋で言えばそう表現して間違いは無い。故に、詳細を省いた説明を、私は行った。
 先の質問も、その大筋に沿った意図でもって行ったのは言うまでもない。
「なるほどねぇー。そんなスゲーもんがあるんだなー」
 モモンガのむささび次郎は、酷く感心したようだった。特に、モバイルの発揮する超絶的とも言える
能力には、強い関心を抱いたようだった。
「でも、適応できなきゃ死んじゃうんじゃ、俺っちも試してみようって気にゃならないなー」
 彼はそう言って笑う。
 考えて見れば、私は酷く運がいいと言えた。ウーパールーパーの身でモバイルに適応し、結果として
死を得る事なくこのような知性を得て、今ここにこうして在る事ができている。それは感謝してもいい
幸運なのだと、今更ながらに私は気づく。
 幸運。
 幸運か。
「でもまあ、幸運っつったら俺っちも大したもんなんだぜ? ハイパーな科学の申し子として、ハイブリッド
 モモンガという上位種に進化できたんだからさー」
 ハイブリッドモモンガ。
 先程から彼が口にする言葉に、私は興味を持った。
 それは一体何なのか、と尋ねると、彼は困ったように首をかしげた。

44 :
「いや、俺っちもよくわかんねえんだけどさー。何かスゲーモモンガなんだよ。それが俺、ムササビ次郎さー!」
 ……よくわからないのはこちらも同様だった。
 だがしかし、彼がここにいるという事、それが即ち、彼の言うハイブリッドモモンガの能力の一端を示している
と言えた。なにせ彼が立っているのは、モバイラーの秘密基地内にある、私専用の水槽の前だったのだから。
 彼はここに転移してきた。即ち、ハイブリッドモモンガの能力、その一つは、空間転移である事は明白だ。
 モバイルを用いずして空間転移を行う。それが如何な偉業であるかを理解できるのは、モバイルの適応者
だけであろう。加えて、知性の付与。そして二足歩行を可能にした身体能力の改造。それらは本来、モバイルクラスの
超技術を用いなければできないはずの事だった。だが、それを彼は行っている。モバイルを用いずして。
 仮にハイブリッドモモンガである彼が、何らかの意図によって創りだされたのであれば、その意図お持った
存在は、モバイルには遠く比肩しないながらも、超時空間をある程度制御する事には成功している――そういう事になる。
 一体どのような存在が、その成功を得たというのだろうか。そしてそれは、私たちモバイラーにとっては
敵となるのか、それとも味方になるのか。冷静に分析しなければならないだろう。
 とまれ、目の前のモモンガ、むささび次郎からは、敵意のような物は感じない。それは、つまり……彼自身は、
少なくともモバイラーに敵対しようというつもりは無いという事だ。
 だが、彼に能力を与えた成功者の意図までは、彼の言動からはわからない。
 用心は、しておく必要がある。超絶的とも言える力を持っているからこそ、それに溺れてはならないのだ。
「さて、前から気になってたお前にも会えたし、俺っちはそろそろ行くなー」
 私は、どこへ行くのだ、と尋ねた。
 彼は、どこへなりとも、気がむくまま、と答えた。
「今はまだ、自由にしてていいんだってさー」
 ……今はまだ。
 遠からず、何らかのアクションを、むささび次郎に能力を与えた存在は取る、という事か。
 本来ならば、ここでむささび次郎を捕縛するなどして、より以上の情報を得るように動くのが妥当なのだろう。
それは冷静に考えればわかる。
 だが、私はその気に、どうしてもなれなかった。
 彼は何も知らない。自分がどういった存在なのかすら、知らされていないのだ。
「んじゃ行くさー!」
 そう叫ぶと、彼は消失した。
 空間転移。どkに行ったのかはわからない。私はその転移を、そっと見送った。
 出来るならば、彼とは敵対したくない。そんな気持ちが、彼の行動を差し止める事を妨げた。
 そう。それはいうなれば、友人になれそうだという、そんな気持ちになった故に。
 私は彼のいなくなった空間を見ながら、小さくため息をついた。
 できれば、彼とはもうたくない。だが、できれば、彼とはまたたい。
 願わくば、戦いの場ではたくない。
 願わくば、今のようにちょっとした会話を楽しめるだけの余裕のある場所でたい。
 初めて抱くその気持ちに、私は酷く動揺している自分を自覚していた。
  
                                                   終わり

45 :
ここまで投下です。

46 :
現れたwwwうぱww

47 :
俺っちハイブリッドモモンガ。よろしく。

48 :
ハイブリッドモモンガの今後が気になるw

49 :
お題クレクレ

50 :
「かぎかっこ」

51 :
 夏の終わり、と言うと何か情緒のようなものを感じるが、僕が小学生だった頃も、
他の多くの少年達と同じように、八月の終盤は溜まりに溜まった宿題との戦いの時だった。
自由研究は適当にでっち上げればいい。計算ドリルも知恵熱を出しながら必死でやればなんとかなる。
問題は、八月三十一日に手つかずで残っていた日記帳だった。
 絵日記でなかったことは不幸中の幸いだが、これは数多い宿題の中でも最大の強敵だった。
なにせ一月分の出来事を一気に書かなければならないのである。量が尋常ではない。
初めのうちは、嘘八百を並べながらも全うに書くのだが、すぐにつらくなる。
埋めるべきスペースがさっぱり埋まらないのだ。
 さて、ここで僕は知恵を絞らせた。とりあえず、余白を埋めるためには、上から下まで
びっしりと文字が詰まっていなければならないわけではない。要は、改行を増やせばいいのである。
会話文をたっぷり詰め込めば、一気に行数が稼げる。かくして、意味のない会話が大量に書かれた、
スカスカの日記帳が完成した。
「おはよう。」
 お母さんは言った。
「うん、おはよう。」
 ぼくはこたえた。
「あさごはんはたまごやきよ。」
 ずっとこんな調子である。行の頭がカギ括弧で埋まった、何ともいえない代物だ。
 さて、こんな内容であるから、当然学校では怒られることを覚悟していた。
満足に出来ていないことは承知で、一応は終わらせたという体裁だけ整えたのである。
ところが、例の日記は予想に反して担任には好評であった。
「正太郎の日記はすばらしいな。積極的に会話を文章に入れることで表現が豊かになっている。
みんなも見習うように。云々」
 教師というのは、ひょっとして馬鹿の集まりなんじゃないかと初めて思ったのは、
確かこの時だったと思う。手抜きが褒めちぎられるとは、僕もなかなか運が良かった。
担任の方も、あれがお世辞にも褒められた文じゃないのは承知で、何らかの教育的思惑で
ああいう言い方をしたのだろう。だが、それは生徒達にはきちんと伝わることはなかった。
 彼が自分の誤りに気づいたのは、ヘチマの観察日記で、植物と会話する電波文がクラスに
溢れかえったときのことであった。

52 :
「<なぁ、閉じるかぎかっこよ。
」<なんだよ、開始のかぎかっこ。
「<俺らってさ、人の役に立ててんのかな。
」<は、知らねぇよそんなこと。お前いつも難しいこと考えてんな。
「<ていうかつい話しかけてから話す内容考えるから、普遍的に考えて続けてる事を聞いちゃうんだよ。
。<チミは終わりを考えずに始めるからよくないね
」<お、句点もそう思うか、俺も開始のかぎかっこのそういうところ直した方が良いと思うんだ
、<でも開始のかぎかっこみたいに無軌道に始めてくれたほうが私は出番が多くて嬉しい
「<おいおい 句読点達は出て来るなよ 読みにくくなるから
」<……確かに読みにくいな
、<はいはい戻りますよ
。<チミ達と違って我々は忙しいのでね
「<……よーし、読みやすくなった。
」<ほんと、句読点達は働きもんだよな。
「<あ、今誰かがSS書いてる。
」<俺達がいなくなって困ってるみたいだな。かぎかっこってタイプして変換候補調べたり記号一覧で調べたり罫線で代用しようと試したりしてる。
「<二重鍵かっこに役目取られる前にいこうぜ。
」<そうだな、文献名と副音声しか表現できない奴等に仕事取られちゃたまらん。
‰<……あいつら好き勝手言いやがって。
∬<出番多い癖にムカツクよな。
£<ほんとだよ。意味さえ理解されているのか怪しい我々はどうなるんだっての。
∬<……お前ら、自分の意味理解してる?
£<え
‰<え
∬<俺、二重積分、だよな?
£<……
‰<……
作者<終わり。

53 :
刀メ閧ェやられたか。だが奴は我々の中でも最弱。

54 :
【会話式】記号を擬人化するスレ【記号論】

55 :
‡<情けない奴よ。

56 :
∫<お題くれくれ

57 :
吹雪

58 :
正直吹いた

59 :
もう一個お題ちょうだい

60 :
「円筒」

61 :
高校が豪雪警報のせいで早く終わった。
完全な管理下にあるくせに、何が警報なんだか。
不自然なくらい自然な粉雪が晴れ雪の天蓋から零れてくる。
僕はホログラムで擬装された人工の空を見ないようにして、下だけ向いて歩き続けた。
直ぐに分厚いのに透明なアクリルの隔壁に行き当たる。
この円筒形に囲われたアクリルの内側が切り取る冬だけが、僕らの世界だ。
温暖化によって四季を忘れた地球にあって四季を忘れたくない日本人のエゴによって、この四季保管槽は管理されている。
四季のあった過去を、円筒の水槽の中に再現しているんだ。
直径50キロの大きな水槽は今、水槽の外の温暖化を更に加速させるほどのエネルギーを使って、真冬を演じている。
僕はこのアクリルの内側しか知らない。
僕の体は、研究機関が50万円くらいで精子バンクから買った凍った精液と、
100万円くらいの金で代理出産を請け負った子宮から創られている。
雑費込み数百万円で生み出された人権の無い実験動物。
この円筒の中にはそういう人間しかいない。
僕は円に内接する接線だと自己紹介するみたいにアクリルの壁に沿って歩いた。
透明な隔壁に、吹き付けた風が塗り込めた粉雪を、指先でなぞって落とす。
それを手持ち無沙汰に続けながら足元だけ見て歩いていたら、女性もののブーツが視界に入った。
「あんた、なかなか見つからないし、寒かった」
彼女は制服の上に着たコートの白いファーに半ば隠れるようにして、雪女みたいに白い息をはいて喋った。
「豪雪警報出てるんだぞ。良い子は早く帰れよ」
「あたしは不良だからいいの。つーか良い子はあんたでしょ?円内首席。雪玉なげちゃる」
「違うし。円内に満点は数人居る」
彼女はおもむろに雪をこねはじめ、僕は身構えた。
彼女は丸めた雪玉を見つめ、僕は身構え、彼女はもうひとつ雪玉をこしらえ、僕は飛びのける用意をし、
彼女は二つの雪玉を重ね、「……マニエル」と呟いた。
「……なんだよそれ」
「雪だるまのマニエル」
「いやそうじゃなくて投げるんじゃなかっ(ry「隙ありっ」
━━━ぼこーん!
油断した。
僕は不機嫌が顔にでやすいのか、彼女はすぐに悪戯モードからご機嫌うかがいモードに変わった。
「悪かったよ、ごめん。させてやるから」
「うそつけ」
まずヤラセてもらったことさえない。
ちなみに円筒内の人間は生殖の機能が制限されているから、孕むということはまずない。
「今日はマジ」
「え」
「あたしんち、来なよ」
「え……?う、いや、あの……はい」
「よしよし、書き初めだな、くん」
寒い日に温め合う、なんて事は、円筒の外ではもはや有り得ないことだ。
冬を味わえる円筒に、初めて感謝した日だった。
終わり

62 :
お題くれー

63 :
乙です
あ、最後うらやましい……ことなんかこれぽっちもないんだからね!
人工的に作られた四季に風情を感じるのは無理だろうになぁ
日本人の意地だろうか
お題:飴チョコの天使
無理なら他の人の意見を採用という方向で

64 :
>>63
どういう意味のお題ですか?
昔そういう天使が流行ったとか・・・?

65 :
>>64どうも地元ルールだったっぽいことが判明したので別の人のお題を待とう

66 :
感想ありがとー
残念ながら俺も飴チョコの天使って聞いたこと無いです

67 :
>>61
おい、その施設はどこの天国だい?

68 :
ですおううれと、の綺麗なvケークをあれを鼻だけかじる念。
かじる人間は。華マスク。華のない びょqkpき
とおおこく、させて

69 :
>>65
地元ルールだったなら仕方ない
じゃあお題:金のエンゼル銀のエンゼル

70 :
>>69
超特急で書いた。クオリティ低いのはわかってる
http://imepita.jp/20101013/412330

71 :
>>70
あるあるw
うちも兄弟でよく食べてて、缶詰も2種貰ったけど
金があたった事はなかったなー

72 :
金が当たったっていう人に会ったことすらないw
銀途中でなくしちゃうから、揃ったことなかったな

73 :
>>69
狙ってるけど
http://imepita.jp/20101013/478750

74 :
なぜお嬢様口調w

75 :
「……また外れてしまいましたわ……」
 とあるスーパーの袋詰めをする台の付近で、彼女はぼそりと呟いた。
 見るからにお嬢様然としたその姿は、庶民的なこの場所には大層不似合いな物だったが、
その事を気にしている人間は誰もいない。
 ……正確には、誰もいなくなった、と言うべきか。
「で、でも、わたくし、食べられるだけで幸せですし、べ、別に気にしてはいませんのよ?」
「……お嬢、誰に言い訳なさってるんですか?」
 こうしてお嬢――私の主人だ――のお供としてここを訪れるのは、もう両手両足では
足りない回数になる。このスーパーの常連客にはすっかりおなじみの光景でとなっている
ので、誰も気にする人間いない、というわけだ。
「お黙りなさい、加山。わたくしは別に、どうしてもおもちゃの缶詰が欲しいわけでは
 決して無いのですからね。勘違いしないようになさい。ただ、このお菓子が美味しい
 というのが第一であって、金銀のエンゼルは、私にとってはおまけでしか無いのですから。
 そこはしっかりとわきまえておきなさい。よろしいこと?」
 こういうのもツンデレと言うのだろうか。
 いうなれば、おもちゃの缶詰デレ。
 ……流行りそうに無いな。
「で、お嬢。もう一つ買われるのですか?」
「……今日はもうやめにしておきましょう。なんだか日が悪いのではないか、という
 気がしますの。占いでは運気が絶好調と言っていたのですけれどね……」
「お嬢、以前から思っていたのですが、わざわざ一個ずつ買って羽部分確認するのではなく、
 ケースごと買ってまとめて確認した方が効率が良いのでは? そもそも、おもちゃの缶詰に
 した所で、直接森永から買い求める事も可の」
「お黙りなさい、加山!」
「はぁ」
「確かに、我が家の財力があればおもちゃの缶詰を直接手に入れる事も可能でしょうけれど
 ……そんな事をしては浪漫がありませんでしょう?」
「……」
 浪漫、か。
「確かに、当たるか外れるかわからないというのは浪漫があるかもしれませんが……
 でも、結局、おもちゃの缶詰は欲しいんですね、お嬢?」
「そそそそそそそそそ、そんな物が欲しいわけでは決して絶対にありませんの事ですわよ!?」
 ……別に、欲しいなら欲しいで認めてしまえばいいと思うのだが、どうしてこの人は頑なに
否定しようとするのだろうか。よくわからない。
「と、とにかく……また明日出直しですわ。帰りますわよ、加山」
「わかりました、お嬢」
 結局、このスーパーへの日参は、明日も続くようだ。
 ま、それが主に尽す従者の務めだと言われれば、私は従うだけだ。
 いつか、お嬢がおもちゃの缶詰――そこに至る金銀のエンゼルを当てる、その日まで。
                                                  おわり

76 :
ここまで投下です。
何か>>73見て思いついたので。

77 :
すごいな
よくぞここまで広がってしまった
お嬢様にチョコボールww
お金持ちにチープなお菓子って、意外とギャップがある取り合わせで、いいな
マンガよかった
次お題、よかったら時事ネタ
「Yahoo陥落」

78 :
ありがとう。
小説と意外なコラボでした。おもしろかったよ。
ヤフー陥落?
何があったヤフー!時事ネタわからん

79 :
>>75
加山に惚れた

80 :
>>78
夜中の惨事に中国からF5アタック
トップページおよびヤフオクの機能が停止

81 :
「侵攻、止まりません!」
 それは、夜中の三時という、草木も眠る丑三つ時に、突如としてやってきた。
「ええい、第三部隊は何をしている!? ブロックさせろ!」
「ダメです、トラフィックの制御、間に合いません!」
「なんなんだ、これは……!?」
 中枢部は混乱をきたしていた。
 こんな事態は、幾度も訓練を行って来た彼らにとっても初めてで、その経験が
無いという事実は、混乱を恐怖へと昇華させようとしていた。
「……仕方が無い、アレを使え!」
 その男の言葉と共に、爆音が響いた。
 サーバーの物理的切断スイッチによる防御。その効果音としての爆音だ。
 だが……。
「な……接続が切れないっ!?」
「ダメです、サーバー止まりません! トラフィックも増大中! このままでは……」
「サーバーが……物理的に破壊される……!?」
 過負荷は既に限界を超え、サーバーを蝕んでいた。
 混乱を超えた恐怖に包まれる男たち。
 だがその中で、二人の男だけが、冷静に事態を観察していた。
「……五年ぶりだな」
「ああ……間違いない」
 男の一人は、笑みを浮かべ、呟いた。
「……シナだ」
第一話


|、陥落

82 :
ここまで投下ですっていうかすいません、最後の一言思いついただけですすいませんすいません

83 :
エヴァですねわかります

84 :
不覚にもちょっと笑ったぜw

85 :
デザイン板からやってきました。失礼します。
“全く新しい服づくり”というテーマで、
web上でアイディアを募り、作品を制作しようとしています。
創作発表板住民のみなさまの豊かな想像力を貸してください。
お願いします。
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/art/1286725505/
板違い、宣伝、失礼しました。

86 :
>>81
おもすれー
ありがと

87 :
お題「重ね着の限界」
自分にもお題を。

88 :
>>87
対立構造

89 :
お題:灰色の空
なにかいいお題あったらください。

90 :
ゼリー

91 :
 空を眺めるという行為は、どうしてこんなにも心を落ち着かせるのであろうか。
 悠久の彼方まで、はるけき果ての果てまで連綿と続く――そんな錯覚を
覚えさせてくれる、空という、存在しないが故に存在する物を、私は大層好む。
 特に――今この時のように、黒く濁り、灰色に染まっている空には、昂ぶり
すら覚える。鼓動が速くなる。息も僅かにうわずる。
 それは、我らにとっての天敵たる陽の光を覆い隠してくれるから、というわけ
では、無い。私という個にとって、陽光なぞ物の障害とはならぬのだから。
 この昂ぶりは、この興奮は、想像故にだ。
 灰色の空の、その向こうには何も見えぬ。それ故に想像する事ができるから。
 その向こうを隠した灰色の空の先に、何かが待っていそうな気がして、私は
そっと身を熱くするのだ。
 さあ、今この時、暗雲の向こうに待つのは、果たして―― 
 と。
「ルティア様」
 ベランダの揺り椅子に腰掛け、今にも雨が落ちてきそうな空を眺めていた私を、
無粋な声が現実に引き戻す。
「なに用か、ディアナ」
 瞬時に生じた不機嫌さを隠そうとも、振り返りすらもせずに、私は声の主に応じる。
 そこでは、長く伸ばした黒髪と、私の従者である証となる赤眼とを不安に揺らした、
一人の女がかしずいているのだろう。いつものように。
「……お時間でございます。御出立の準備を」
「もう、そんな時間か」
 僅かに震える声で、彼女は私に刻限であると、そう告げた。
 応じ、私は椅子から立ち上がり、振り向く。
 やはりそこには、予想通り、そしていつもの通り、黒髪の女がかしずいていた。
 ディアナ・フイルハルム。かつては、既に亡国となったとある国の王女であった。
そう聞かされている。亡国となるに至った騒動の最中、私が拐かしたのだ。
 その美しさに惹かれて――だったと、朧気ながら記憶している。
 私のような存在には、人間にとっては重要な問題である性差など大した問題では
無い。美しい物は美しく、美しい者は美しいのだ。そこに人の価値観を当てはめる
余地は、無い。
 この女、ディアナは、この私、ルティアルング・フォン・エイリントンが、初めて
従者にした女。
 それまで孤高を貫いていた私が、初めて隣においた女。
 私の美貌にひけを取らぬ美しさを持つ女。
 百近い歳月を経て尚、私と対峙する時にはその美貌を不安に揺らす、そんな女。
 その様は、私に得も言われぬ快美感をもたらしてくれる。
「相変わらずよの、お前は」
 吸い尽くし、存在自体を消す時に生じる絶望は、確かにとろけるような甘さだ。
だが、それは一度で終いだ。文字通り、存在自体を消す時にしか、その甘さは
味わえない。だから、我らのような存在の中でも下等なモノは、それに溺れ、
己を忘れ、獣以下の存在へと堕ちていく。とろけるような快感は、実際に自らが
溶け、解け、融けているが故の快感であると、知らないのだ。
 そうならぬ為に、今この女が覚えているような恐怖にも似た不安という物は、
必要なのだ。快美感を与え、甘さを摂れぬが故の渇きを癒してくれる物が。
 この女は、そういった意味では実に出来た従者であると言える。
 そんな風に、常に不安に怯え、恐怖を抱えて生きて――あるいは死んで――
いながら、その不安に乱れ、恐怖に壊れる事は無いと言うのだから。幾人かの
私と同種の存在に尋ねた事はあったが、この女のような存在は誰も得ていなかった。
 初めて得た従者が、得難き者であったとは、まさに僥倖。
「……それが、私の、貴方様より与えられた役目なれば」

92 :
 どうやらディアナは、戯れの空見を妨げた事を咎められたのだと、そう捉えたらしい。
これからの予定を考えれば、そして事前にそうしろと私が命じていた事を考えれば、
この女が私に声をかけたのは、全くもって正しい行為だったというのに。
「ふっ……やはり相変わらずよの、お前は」
 生真面目で、融通がきかない。だから、不安に、恐怖に怯えながらも、私の為に、
私が命じた事を懸命にこなそうとする。その結果叱責されたとしても、懸命に不安を、
恐怖を抑えて、耐える。その姿に、私は笑みを禁じ得無い。
 乱れてしまえばいいものを。
 壊れてしまえばいいものを。
 それを、ディアナは、しない。持って生まれた心の強さ故か、懸命に歯止めを
かけ続けている。この百年の間、ずっとだ。
 それを可能にしているのは、恐らくもうひとつの癒し故、だろう。
「……此度の道行(みちゆき)が終われば、また可愛がってやろう」
 びくりと、目の前の黒髪が震える。
 この百年、"可愛がる"とは、そういう意味でしかない。それ以外の意味であった
事は無い。この女は、そういう意味の面でも、得難き従者であった。
 純潔を奪われたその日の内に、まさしく気をやる程に溺れてしまう程に素質が
あったが故に、不安と恐怖を慰める事ができ、今の今まで耐える事ができて
いるのではないか――私はそう推測していた。
 今も、顔を下げているが為に見えないその頬には、朱が差している事だろう。
 これもまた、我が渇きを癒す行為の一つ。
 故に、私はこの百年、この女以外から必要な物を得ていなかった。
 その必要が無かった、と言うべきか。
 であるからこそ――此度の道行は、必ず通さねばならない。
「さて。それでは、面倒だが、行くとするかの」
「はっ……準備は既に整えております」
「お前は本当に出来た従者よの……」
「……それが、私の、貴方様より与えられた役目なれば」
 "澱み"に憑かれただのは所詮難癖。私という個は、人の身において驚し、恐する
ような事を、この百年行っていないのだから。
 だが、その難癖を捨て置けば、多寡において圧倒的に寡である我らは、不安故に
滅ぼされるだろう。元より、我らは人の姿をしてはいるが、人ならざる者ではあるの
だから、それが恐怖に至らぬ不安であろうと、人は動く。
 故に、その難癖をどうにかする為に、私は動かねばならない。
 私は――私たちは澱んでいるわけではないと、そう証さねばならないのだ。
「……しかし、あの魔女に遭うのも、久方ぶりよの」
「お知り合いなのですか? ……あの、<変幻する魔女>(ヴァリアブル・ウィッチ)と」
「ああ。お前を我が従者とするよりも前からの、な。無論、その時のあやつとは
 違うあやつではあろうが……」
「……転生、ですか?」
「そういうわけではない。……ま、遭えばわかろう」
 証す為に赴くは、日本。そこで、私は一人の魔女に遭い――会うのではなく、
逢うのでも、遇うのでもない――協力を要請するつもりだった。
 この灰色の空の、はるけき彼方に在る、極東の島国へ。それが此度の道行。
「黒雲は嵐の予兆……だが、それもまたよし」
 さあ、今この時、暗雲の向こうに待つのは、果たして――
                                       おわり

93 :
ここまで投下です。
ところどころ意味不明かも・・・

94 :
なんという厨二w

95 :
でもだれもが初心者の頃は通って来た道だから。乙

96 :
>>93
おー! 投下乙です
これは某スレに投下してくれていたあのSSにつながるお話なのかな?
なんか懐かしくて、妙に嬉しくなったよw
それに、あのSSが思ったよりも深い世界観につながる物語だったんだなぁ…
と今更ながら感じました
また何処かでお会いしましょうw

97 :
>>90ありがと。
ゼリー
http://imepita.jp/20101101/817610

98 :
ぷるんぷるんしとるw
かわええなぁ、コックさん

99 :
絵本の挿絵みたいな絵だな

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