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現代幻影TRPG


1 :
現代幻影TRPG
ジャンル:現代化ファンタジー 
コンセプト:文明レベルが現代まで発展したファンタジーの世界で冒険
名前・
性別・
種族・(純人種・亜人種・獣人種)
年齢・
髪型・
瞳色・
容姿・
備考・
得意技・
好きなもの・
苦手なもの・
種族について
純人種
いわゆる普通の人間、器用貧乏
亜人種
エルフやドワーフなどのぱっと見人間っぽい種族
種族ごとに特化技能がある。
獣人種
人と他の動物(虫類も含む)の特徴を合わせ持つ種族
身体能力は他の種族よりも優れるが活動場所が限られたりする

2 :
面白そう!誰も志願しないならGMやってみていいかな?

3 :
……某所で立て逃げ告知があったので来てみました(をい
>>2
って、わけでやっていただけるなら参加予約1名入りまーす

4 :
同じく立て逃げと聞いてきました
>>2
汚れ役でもいいんで参加しちゃいたいのZE

5 :
酉付けました!
>>3-4
あいよ、了解!2人ともよろしく!
先にテンプレ用意してくれると助かります!
あと、参加してみたいなーって人、2人まで募集します!

6 :
いきなり酉ミスごめん
明日か明後日の夜に導入レス入れますね!

7 :
>>4
早いwwwww
>>2 GM志願の方、ないし>>1の人
って、わけで何か進捗がありましたらまたご一報お願いします
ゆっくりお待ちしてますので

8 :
以前、サバイバルTRPG・寝台特急スレで、完全に懲りました。
TRPGの事はもう懲り懲りだ…。
TRPGなんて大嫌いだ!!エヴァンゲリオン四号機で、本当にぶっ飛ばしてやりたい気分だ!!
ぶっ壊すぞ!この”TRPG”というゲームは…。A.T.フィールド全開でぶっ壊してやりたい。

9 :
まだ間に合うかな?
参加希望でっす。

10 :
PCよりGMです!酉合ってるかな
>>9
ようこそ!歓迎します!
今、導入レスを書いてます。早ければ明日の夜、遅くても明後日には投下予定です。
まだまだ新規さん募集しています!

11 :
せっかくケモ成分があるんでケモノに変えます
名前・トト
性別・女
種族・獣人種トラ族
年齢・27歳
髪型・虎柄のショートボブ
瞳色・釣り目の黄色
容姿・頭から獣耳、全身短めの体毛で覆われている。ホット、タンクトップ
備考・猫を被った虎娘である
得意技・パルクール
好きなもの・肉、キウイジュース
苦手なもの・寒いところ

12 :
どうも、GMです!
>>1だけのテンプレじゃちょっと足りないかな?と思ったので作りなおしてみました
もう作っちゃったよ馬鹿!って人はごめんね!直さなくてもおkだよ!
GM:あり
決定リール:あり。過度の決定リールは同僚と相談で調節
○日ルール:あり(3日、リアル事情などで遅れる場合は+2日ほど猶予あり)
版権・越境:なし
敵役参加:あり(事前に要相談)
避難所の有無:あり
備考:舞台は現代のアメリカみたいな場所だと思って下さると良いかもです。
 但し、仮想国なので日本にあるような法律やシステムを作っても問題なしです。
キャラテンプレ
名前:
性別:
年齢:
種族:(純人種・亜人種・獣人種)
容姿:
性格:
職業:
能力:(戦術や使用魔術、特技など)
備考:
あと、避難所もつくりました!よかったらどうぞ!↓
http://yy44.kakiko.com/figtree/#1

13 :
――――――――ん?君、此処は初めて?分かるよ、右も左も分からないって顔してるし。
もし君が良ければの話だけど、この世界のことを案内してあげようか。
俺、学校に内緒でガイドのバイトしてるんだ。何でも説明してやるよ。
まず、この世界では、人間と人間じゃない種族――例えば亜人種とか獣人種だとかが共存している。
因みに今、君達がいる国はアメリク合衆国ってところ。多民族ならぬ多種族国家さ。
通貨はどの国も共通している$(ドル)。治安が少々悪い以外は、自由と平等を重んじるとっても良い国だ。
他に特徴があるとすれば、観光スポットが多くて自然も豊か、それとご飯が美味しい!これ位かな。
あ!先に注意しとくけど、この国はあちこちでよくトラブルが起きたりするから、くれぐれも巻き込まれるなよ?
何せこの国、銃刀法に関してかなり緩いところがあるから。
許可取って申請すれば誰でも武器が持てる社会だなんて不穏すぎるよな。慣れれば良い所なんだけどね。
それでなくても、自然にはモンスターがうようよいる。森でモンスターに襲われる事件も起きてるな。
郊外とかだと、人里に下りてくるモンスターもいるっていうから、おっかない話だ。
ところでこの世界は、魔法と科学という二つの真逆の概念が存在するんだって。知ってた?
魔法っていうのは、自然の至る所に存在する魔力ってのを駆使するんだ。
自然現象や流行り病なんかも、自然が放出する魔法の一種だって先生が言ってた。
物理法則や重力なんかをある程度無視した魔法なんてのもあるみたい。
一見便利そうだけど、不便な面もあるみたいだ。まず、魔法を使うには銃器と同じく許可が要る。
こっちは銃刀法より厳しくて、テストだの精神鑑定だの受けて、ライセンスを取らなきゃいけない。
ライセンスを取らずに魔法を使うと、あっという間に豚箱行きだから気をつけな。
ほかにも、一人ひとり魔法を使える量は決まっていて、魔法を無限に使う事は出来ないとか。
それに、時間操作だとか空間移動だとか、ましてや死人を蘇らせるは出来ないらしいけど……難しいから良く分かんないや。
魔法に関してはこんな面白い話もある。何と、魔法を使う奴は、異常なまでに「科学」や「機械」に弱いんだと。
極度の機械音痴だとか、銃器や電子機器を異常に怖がる奴は、十中八九、魔法を使える奴だと見ていい。
ああ……最近聞いた話では、年々、魔法を使えなくなる者が増えてきてるみたい。
俺は元々使えないから関係ないけどね。
科学については……え?知ってるって?それなら話は早い。
多分、君らが想像しているものと相違ないだろうしな。
これだけ説明すりゃ充分だよな。
そんじゃ、ガイド代50ドル、耳揃えてきっちり払ってもらうぜ!まいどあり!
現代幻影TRPG、楽しんでいけよな!
【路地裏】
――ちょっと貴方!そんな所で何をしているの?
此処は『ギルド』の入口よ。一般人は立ち入り禁止!…え、ギルドが何なのかすら知らないの?
こんな世間知らずがまだ居たなんて……教えてくれって?ハァ…仕方ないわね、説明してあげる。
私達『ギルド連合』の実態を知らないなんて、屈辱以外の何物でもないもの。
ギルド連合のメンバーはね、一般企業や警察なんかが手を出せないような連中を相手にする職業が主なの。
そうね、職業は大きく分けて3つあるわ。
1つは、銃器や魔道具の密輸入の斡旋をしたり、逆に危険な魔道具等の管理を担う『道具屋』。
他にも、モンスター密猟者や魔法使い犯罪者を相手に戦ったりする『賞金稼ぎ』。
各地域の治安を守る、対犯罪者民間自衛組織『アゲンストガード』、略してなんかがいるわね。
どれもこれも危険な仕事だし、一歩間違えば犯罪行為だって行いかねない職業ばかりよ。
でも一応言っておくけど、、ギルド連合は国に認められた、合法的な機関なの。
今この国があるのは、一重にギルド連合が陰で支えているから、といっても過言じゃないわ。
どう?その顔、もしかして興味出てきた?
でも残念、相応の実力がない限り、仲間には入れてあげないわよ。
犯罪者達と対等に渡り合える胆力と腕がありゃあ文句はないけどね。
ま、ギルドに入った暁には、この私『道具屋メルシィ』をよろしくねえん!

14 :
【訂正
 地域の治安を守る、対犯罪者民間自衛組織『アゲンストガード』、略してアゲガなんかがいるわね。
↑に脳内補正しておいて下さい】
【それでは今より、現代幻影TRPGの開幕です!
 シナリオは皆さんの導入レス後に投下しようと思います。皆さん、どうぞよろしく!】

15 :
【ニューラーク市警 署長室にて】
「・・・何度目だ」
始末書に目を通しながら、目の前にあるソファーに深々と寛いでいる彼女に静かにといかけた
「そんなの覚えてないにゃ」
かなり気まずい空気の中、彼女は平然とそう答える
「…」
それに対し署長は、呆れるように頭に手を当て深くため息をした。
「色んな奴を見てきたが…お前ほど酷い奴は初めてだ
 物は壊すわ、犯人を捕まえたと思ったらすか半しにして、たまに取り調べをすれば…
 よくもまぁ…言っても無駄…といっても暫くはお前のことで頭を悩ませなくて済むか」
署長の言葉に、彼女は少し困惑する。
「辞令だよ…トト刑事!君には明日からギルド連合に転属してもらう」
そう言って署長はトトに辞令書を渡すとまるで肩の荷が下りたような顔をして
また深くため息をした。一方トトは
「…」
自身の手に握られた辞令をゆっくりと確認した。
ギルド連合への転属はいわば、危険地帯へ投げ込まれるのと同意であるが
トトの反応は違った。
「やっ………たにゃーーーーー!!!」
彼女のような型破りな存在にとっては警察のような堅苦しい組織よりも
そっちのほうがすごし易かったのかも知れない。
>>13
【路地裏】
「んにゃー本当にここであっているのにゃ?」
ビルの屋上にて、辞令書に書いてある住所を確認しながらトトは路地裏を見下ろした。
入り口らしい入り口はパッと見なさそうに見える。
「困ったにゃ、転属そうそう遅刻はしたくないのにゃ」
と嘆いた瞬間、人影発見した。話を聞くにギルド関係者が新入りに何か説明しているようだ
「ちょうどいいにゃ、あの人に聞いてみるにゃ」
そう言ってトトはコンクリの壁をガリガリひっかきながら屋上降りた。
「今日からお世話になることになったトトにゃ!よろしくにゃん」
名前・トト
性別・女
種族・獣人種トラ族
年齢・27歳
髪型・虎柄のショートボブ
瞳色・釣り目の黄色
容姿・頭から獣耳、全身短めの体毛で覆われている。未成年に間違われやすいほど背が低い。タンクトップ、ホット、大きめのジャケット
性格:猫をかぶり、ふだんはおちゃらけているが、短気
職業:刑事
能力:酔虎拳(オリジナルの格闘術)
得意技・パルクール
好きなもの・肉、キウイジュース
苦手なもの・寒いところ 、犬
備考:問題児で有名な刑事、刑事としてはそこそこなのだが、プッツンすると止まらなくなってしまう暴力刑事

16 :
キャラテンプレ
名前:アッシュ
性別:男
年齢:22
種族:純人種
容姿:銀髪ロング・黒いバンダナ・糸目・革のジーンズ&パーカー
性格:ちゃらんぽらん
職業:アゲンストガード
能力:我流剣術・格闘技、言い訳(魔法は使用不可)
備考:「アゲガ1適当な男」という不名誉な称号を持つちゃらんぽらんな男。
酒と女とギャンブルが大好きな典型的なダメ人間。
基本的に女と子供には弱い。
剣術と格闘技は我流だが、我流故に変則的な攻撃が特徴。

17 :
スロット…ポーカー…ブラックジャック…ルーレット…。
世の中には様々な種類のギャンブルが存在する。
しかし何をやってもダメな時はダメなのだ。
「俺の……800ドル………。」
今月最後の大勝負にも負け、俺の財布はすっからかん。
今月は合計して1500ドル以上の負けだ…非常にまずい。
「こんな店二度と来るかーっ!」
2週間前と同じ台詞を吐き捨てる。
ディーラーが澄ました笑顔で手を振りやがる。
ちくしょうふざけやがって…。
げっそりしながらギルドに帰るとメルシィちゃんが新入り?らしき人物にギルドの説明をしている場面に遭遇。
「おっすメルシィちゃん。それらは新入りさん?」
メルシィちゃんに説明を受けていた見ない顔と獣人種らしき女の子に目を配る。
>「今日からお世話になることになったトトにゃ!よろしくにゃん」
どうやら獣人種らしき女の子はホントに新入りらしい。
半分冗談のつもりだったんだけど。
「おう、よろしくなトトちゃん。俺はアッシュってんだ、仲良くやろうぜ。」

18 :
【トトさん、アッシュさんお願いします!】
【・お知らせ・】
お二人の他にも参加希望者がいらっしゃる場合、19日まで参加を受け付けます!
 20日にシナリオ開始としますので、参加者の皆さんは避難所に一報入れて下さると有り難いです

19 :
キャラテンプレ
名前:ルイーネ・アイゼンツォルン
性別:女
年齢:73歳
種族:亜人種・ドワーフ族
容姿:緑髪三つ編みロング 瞳は灰色 眼鏡 貧ロリババァ
性格:根暗にして守銭奴、しかし大昔に冒険者として勇名を馳せたご先祖様とその末裔であることを誇りに思っている
職業:某ソフトメーカーでSE→アゲンストガード見習い
能力:先祖伝来の斧槍術 ドワーフ固有の怪力 プログラミング(ハッカーとしては三流以下)
備考
@経歴・特徴
身長128cm 体重及びスリーサイズは本人の意思により非公開。
実家は鉄鋼業を営んでいる地方の中流家庭。大家族の生まれで上に7人、下に2人の兄弟姉妹がいる。
いわゆるトールキン型のドワーフで年齢は人間の基準に換算すると24歳程度。だが外見はどう見てもにしか見えない。
ドワーフ族は遺伝的形質として魔法に耐性を持つが、同時に自分自身も魔法を使用することができない。
また、手先が器用であることも種族の特徴としてあげられるが彼女の場合「力加減」というものがときどき疎かになる点がある。
A武器:MH-EZ08-RSO 機械斧槍『柊-Stechpalme-』《マシンハルバード・シュテヒパルメ》
元来白兵戦用のポールウェポンとして開発されたハルバードをさらに発展させ、現代戦にも使えるよう改良を施したもの。
ドワーフは伝統を重んじる種族であり、自分たちの闘い方をその武器と共に子孫へ伝える風習がある。
彼女の生家では代々ハルバードが継承され、この『柊』は都会に出るルイーネの為に両親から護身用として送られたものである。
型番は「Machine Halberd-Eisen Zorn 08-Ruine Special Order」の略。彼女がアイゼンツォルン家の第8子であることを表している。
材質はグロムリル鋼(※1)を主体としており、刀身には“不破”のルーン文字が刻印され、破壊力強化の魔力付与が施されている。
また、可変機構を備えており中・遠距離戦においては変形させてポンプアクション式のショットガンとしても使うことが可能。
ドワーフの高い技術水準によって製作された逸品である。
※1:ドワーフによって精錬された鋼のこと。
   高い強度と若干の聖性を帯びており、ミスリル程ではないがその効能はアンデットにもそこそこ有効。

20 :
カレッジを卒業して都会にあがった彼女は、とあるソフトメーカーのシステムエンジニアをしていた。
いわゆるIT土方といわれるものだ。
響きはなんとなくカッコいいが、その労働条件たるやかつてネットで騒がれたブラック企業そのものであった。
つまり――きつい、帰れない、給料やすい。
ドワーフは根性のある種族として有名だが、流石の彼女もやがて限界がきた。
虚ろな視線で連日徹夜で作業を続け、力加減を誤って職場のパソコンを破壊すること数十回。
付いたあだ名がズバリ「KBC」(キーボードクラッシャー)。
全くもって安易な発想だが世間なんてたいていそんなものだ……と彼女は考える。
やがて過労のあまりオフィスで居眠り&ケーブルに躓いて納入予定のデータを全部ふっとばすというダブルプレイをかましたその日、
ルイーネはとうとう会社をクビになった。
これでようやく地獄から解放される。収入はないが貯金は少しあるのでしばらくゆっくりしよう思ったその矢先――大家から一言。
「来月から家賃上げます。あと、滞納してる分さっさと払わないと今月中に出てってもらいますから」
ルイーネは焦った。早いところ再就職しなければ来月からホームレスだ。ニューラークの夜はくそ寒い。
大家のに見えないところで悪態をつきながら求人広告を眺めていたところ、ある警備会社の記事が目に入った。
元来穴倉に生きる引き篭もり体質のドワーフが一部の読者と同じように「警備員」という単語に親近感を覚えたわけではない。
彼女に流れる始祖から受けついた冒険者としての血が、ルイーネ・アイゼンツォルンの何かを惹き付けたのだ。
かくして、彼女は先祖伝来のハルバードと共にギルドの門を叩くことにした。
【路地裏】
>>13
ルイーネはギルド関係者からざっとした説明を受けた。ちなみにアゲガー希望だ。
>でも残念、相応の実力がない限り、仲間には入れてあげないわよ。
>犯罪者達と対等に渡り合える胆力と腕がありゃあ文句はないけどね。
「すいません、私には多分無理です」
のっけから心が折れたルイーネであった。勇猛果敢なドワーフが聞いて呆れる。
>>15 >>16
>「今日からお世話になることになったトトにゃ!よろしくにゃん」
>「おう、よろしくなトトちゃん。俺はアッシュってんだ、仲良くやろうぜ。」
ギルドの新人らしき獣人とベテランらしき人間の男が仲良く挨拶を交わしている。
「 」の中に句点が入るのは仕様だろうか。もっとも他人のスタイルについてとやかく言うつもりはない。
目下のところ先輩・同僚になる可能性すら怪しいのだから。

21 :
【路地裏】
『道具屋メルシィ』――ギルドの新入りをもてなすのは、大抵「彼」の役目である。
ドラァグクイーンさながらの露出が高く派手な衣装で男らしい体を包み、褐色の肌を派手なメイクで飾る。
その強烈な外見とは裏腹に、類稀なる女らしさと親しみやすい性格と相手を『視る』その観察眼を持つ事から、
男でありながら『ギルド1頼れる姐御』として多くのギルドメンバーに慕われている。
だが、そんなメルシィでも、今回の新入り候補には困惑せざるを得なかった。
求人広告を見て来たというアゲガ希望のドワーフ少女は、内面・外面ともに戦闘向きではなかったからだ。
>「すいません、私には多分無理です」
「んまっ!じゃあ何で来たのよ、貴女。冷やかしのつもり?」
おまけに、メルシィの説明を聞いただけでこの態度の変わりようである。
ルイーネの態度に憤慨するメルシィだが、一方で仕方のないことなのだろうとも思う。
民間自衛組織と聞こえはいいが、何せアゲンストガードの仕事内容は、一歩間違えば命を落とす危険もある。
今まででも、多くのアゲンストガードが命を落としたり、チームを脱退してきたのだ。
ごく普通の一般人であるルイーネが尻ごみするのも、当然のこと。
「でも、ここまで来たその心意気は買ってあげたいのよねぇ……」
ただ追い返すだけのも酷だろうか、とメルシィは考え、ふと視線をずらす。
「あら、そのハルバード!ちょっと見せてくれないかしら?」
ルイーネの所持する機械斧槍を見るや否や、メルシィの目の色が変わる。
ハルバードを見た瞬間、道具屋としての血が騒ぐのをメルシィは感じたのだ。
輝く刀身をうっとりとした目で見つめ、指先でなぞりながら、ある事を考えた。
――――こんな貴重な武器を持っているなんて、この子、只者じゃないわ。
製造工程を聞きだしたい、使われた材料が何であるかを知りたい、……このドワーフをぜひ仲間にしたい!
かなり不純な動機で、メルシィはこの少女を是非勧誘しようと考えた。
「……ねえ貴女。直ぐ諦めたりせずに、まずは見学でもしてみたら?
 ちょうど、仕事仲間が欲しかったのよね。機械作業は得意かしら?私、ぱそこんとか苦手で…」
ね?と首を傾げてメルシィは言う。メルシィの言葉に嘘はなく、仕事仲間が欲しいのは事実だ。
ドワーフは手先が器用で、鍛冶や石工を職業にする者が多いと聞く。
聞けば、ルイーネは元SEだという。デジタルに頼るこのご時世、機械音痴のメルシィにとって欲しい人材だ。
メルシィは着々と自分の脳内で、ルイーネを道具屋仲間に引き入れるプランを立てる。
当のルイーネが誘いに乗ってくれるかということまでは考えていない様子である。

22 :
「そうと決まれば、早速ギルドの新規参入者登録に行きましょ!
 本当は、一般人の新規参入には役所で申請を取らなきゃいけないんだけど、今回は特別よ」
ルイーネの手を取り、ウインクを飛ばしてご機嫌なメルシィ。
だがいざ一歩踏み出したその瞬間、コンクリの壁を伝って猛スピードで降りてくる一つの影。
弾丸のように現れた虎娘――トトが、唖然とするメルシィの目の前で元気よく挨拶する。
「今日からお世話になることになったトトにゃ!よろしくにゃん」
「き、今日から?……もしかして、新規参入の子?」
トトから事情を聞きだし、辞令書を受け取る。確かにギルドへの転属と書かれてある。
刑事がアゲンストガードに転属というケースはとても珍しい。もし本当だとすれば、ギルドで話題になるネタだ。
中身が女なだけあって噂好きのメルシィが知らない筈がないのだが、そんな話は聞いていない。
「おっすメルシィちゃん。それらは新入りさん?」
「あら、アッシュ。その顔、またギャンブルで負けたんでしょ?」
そこに現れたのは、アゲンストガードのアッシュ。メルシィとは顔馴染みだ。
アッシュにさりげなく近づくと、メルシィはトトの方を見やりながら小声で尋ねた。
「この子、刑事からそっちに転属になったらしいんだけど、何か聞いてない?」
普段はちゃらんぽらんで女好きな彼なら……と思ったが、どうやら彼も知らなかったようだ。
同じアゲンストガードが知らないという事は、答えはたった1つしかない。
難しい顔を見せるも、メルシィはすぐに表情を明るくし、トトとルイーネに向き直る。
「ごめんなさーい。私、どうしても確認したいことあるから、ここで待っててくれるかしら?
 ……アッシュ、しばらく二人の事、任せたわよ。ちょっとギルド人事局に行ってくるわ」
アッシュに囁くと、メルシィは小走りでその場を後にする。
――そして、メルシィと入れ替わるようにして近づいてくる音を、残された三人は耳にするだろう。
怒り狂うような野太い声、喧噪、荒い呼吸音、こちらに向かってくる無数の足音。
「助けてください!!襲われてるんです!」
喧噪と共に、路地の角から現れたのは、いかにもお嬢様ですといった風貌の少女。
黒い長髪をなびかせ、恐怖と焦燥を顔にはりつけた少女は、アッシュ達の後ろに隠れる。
彼女に続くようにして、今度はゴーグルを付けた男達が姿を現した。
その数、ざっと20人ほどだろうか。皆一様に、怒りで目が血走っている。
「そこの女を渡せ、ガキ共ォ!でなきゃぶっすぞ!」
リーダー格と思われる男ががなり声を上げる。
ゴーグルの集団といえば、彼らが何者であるかを理解できる者もいるだろう。
近頃、ニューラ―クを騒がせている過激派不良集団『バンプス』の一味であることを。
中でも、リーダーの青年・ゲオルグや取り巻きは違法魔法使いであるともっぱらの噂だ。
「そこの女はなァ、あろうことかこの俺様を振った挙句、ビンタしやがったんだぜ!」
「ふざけないで!頭に接吻を強要する人を好きになる訳がないでしょう!」
二人の会話と、ゲオルグの頬にくっきりと残る赤い手形の跡で、大体の事情は分かるだろう。
三人を盾にして強気になった少女は、ゲオルグ達に舌を突きだした。それが逆燐に触れたらしい。

23 :
「〜〜〜〜ッ、あの女ァ、どこまでもバカにしやがって!お前ら、あのガキ共もろともぶっ潰せ!!」
ゲオルグの合図と共に、十数人の屈強な男達が、それぞれ武器を手に襲いかかる!
「その女を庇ったこと、泣いて後悔するがいい!」
彼らは知る由もない。自分達が相手にしている「ガキ共」が一体何者であるかを。
泣きを見るのは自分達であることを、すぐさま思い知らされることになるだろう。
【スタートシナリオ:悪漢共から少女を守れ!
 エネミーデータ :過激派不良集団バンプス 数:20数人+α ラスボス:ゲオルグ】
【第1NPCバトル:金属バット、サバイバルナイフ、ハンドガン、メリケンサック等を所持。
        ワンターンキル・決定リール可。能力紹介しちゃってください】

24 :
その間に、アッシュと名乗る人間がやってきたので挨拶を済ませる。
「(なんか変な雲行きになってきたな)」
いまいちはっきりしないメルシィの様子にトトは少しばかり不安を感じた。
>「ごめんなさーい。私、どうしても確認したいことあるから、ここで待っててくれるかしら?
  ……アッシュ、しばらく二人の事、任せたわよ。ちょっとギルド人事局に行ってくるわ」
「人事がズサンなだけで終わればいいのににゃ」
走りさるメルシィの後姿を見ながらトトはそう呟いた。
とそうこうしていると、今度は反対側から何者かがこっちへ向かってくることに気がつく
>「助けてください!!襲われてるんです!」
>「そこの女を渡せ、ガキ共ォ!でなきゃぶっすぞ!」
「なんだか大変なことになってきたにゃ」
めんどくさそうにそうぼやくとトトは逃げてきた彼女に視線をやる
「いったい何があったのにゃ」
>「そこの女はなァ、あろうことかこの俺様を振った挙句、ビンタしやがったんだぜ!」
>「ふざけないで!頭に接吻を強要する人を好きになる訳がないでしょう!」
「やられて当然にゃ、誰がそんな悪趣味なゴーグル…ゴーグル?」
何か思い出したかのようにもう一度不良たちの姿を確認した。
そういえば、最近頭角を現してきたギャングチームに手を焼いている話を聞いた覚えがある
ただのギャングならば警察お得意の物量作戦でどうにでもなるのだが、
何せその中に、その中に違法魔法使いがいるらしく思うようにいかないんだそうだ。
特徴として、全員おそろいのゴーグルを装着しているらしいのだが…
「…そうだ。思い出したにゃ!バンプスにゃ」
>三人を盾にして強気になった少女は、ゲオルグ達に舌を突きだした。それが逆燐に触れたらしい。
>「〜〜〜〜ッ、あの女ァ、どこまでもバカにしやがって!お前ら、あのガキ共もろともぶっ潰せ!!」
「こうなったらしょうがないにゃ、返り討ちにするしかないにゃ!」
即座に構え、襲い掛かってくる悪漢たちにを向かえる
「ただの不良だと思って舐めちゃだめにゃ、違法魔法使いも混じっているから気をつけないとマズいにゃ」
そうアッシュ達に注意した瞬間、トトの頭に金属バットが振り落とされた
「甘いにゃ」
即座にバットを弾き飛ばし、顔面に掌打を打ち込み、怯んだところへ、更に胸にも掌打を当て弾き飛ばす。
間髪をいれず、サバイバルナイフを突きつけられるも
「私の得物も見てみるかにゃ」
そういうと、コンクリの壁を削った爪が現れ、それを振り下ろした。
一瞬のうちにナイフはぶつ切りに切られ、地面に落ちる。
不良に驚く間も与えず、また掌打で弾き飛ばす。
そんな調子で千切っては投げるように不良共をなぎ倒していく中、先ほど逃げてきたお嬢様の方へ視線を向けた
「いないにゃ!?」
この騒動に乗じて逃げ出してしまったのか?それとも別のトラブルでも発生したのだろうか
【全員に注意を促し、乱闘開始
 途中、お嬢様がいなくなっていることに気がつく】

25 :
>「この子、刑事からそっちに転属になったらしいんだけど、何か聞いてない?」
メルシィちゃんはトトちゃんをチラッと見ながら俺に尋ねる。
「いや〜残念ながら存じ上げませんな…。」
それにしても刑事からうちに転属させられるとはいったい何をやらかしたのかと小一時間問い詰めたい。
そして何故そんなレアな話を俺もメルシィちゃんも聞いていないのか…。
>「ごめんなさーい。私、どうしても確認したいことあるから、ここで待っててくれるかしら?
 ……アッシュ、しばらく二人の事、任せたわよ。ちょっとギルド人事局に行ってくるわ」
何かを悟ったのかメルシィちゃんは人事局に行くと言って二人を俺に預け去ってしまった。
えっ。
っていうかこの(ルイーネ)も新入り希望の方?
トトちゃん以上に冗談のつもりだったのに…。
こんな小さな女の子達がアゲガに入らないといけないなんて世も末だと嘆いていると、美しい女性(予想)の声と荒々しい野郎共の声が聞こえてくる。
>「助けてください!!襲われてるんです!」
現れたのはやはり黒髪ロングのお嬢様風美少女。
俺達の後ろに隠れたかと思うとぞろぞろとムサい野郎共が現れる。
>「そこの女を渡せ、ガキ共ォ!でなきゃぶっすぞ!」
何かすっげぇキレてらっしゃるんですけど。
いきなりぶっすとは物騒な奴だ。
>「いったい何があったのにゃ」
トトちゃんの問いに男は更にヒートアップしながら応える。
>「そこの女はなァ、あろうことかこの俺様を振った挙句、ビンタしやがったんだぜ!」
>「ふざけないで!頭に接吻を強要する人を好きになる訳がないでしょう!」
そりゃあしょうがないな。
俺のような超絶イケメン(自称)ならまだしも、こんなムサい野郎にキスしろだなんて罰ゲームでしかない。

26 :
しかも皆お揃いでゴーグルなんかしちゃって…恥ずかしいねぇ。
……コイツらアレだな、確かバンプスとかって連中だな。
最近ちょろっと調子に乗ってるヤンキー集団。
厄介なのは集団の中に違法魔法使いが混じってるってところだ。
ちょうど良い、コイツらとっ捕まえてボーナス貰おう。
ついでに黒髪美少女もゲッツといきますか…。
「それじゃあ君達はお兄さんの後ろに…」
>「こうなったらしょうがないにゃ、返り討ちにするしかないにゃ!」
……仕切られたー!
ぐぬぬ…こやつなかなかやるの…。
>「ただの不良だと思って舐めちゃだめにゃ、違法魔法使いも混じっているから気をつけないとマズいにゃ」
言ってる間にトトちゃんの頭上に金属バットが…
一瞬焦ったが、さすがは元刑事。
金属バットを弾き飛ばし、男を瞬時に制圧する。
「お〜お〜。やるねぇトトちゃ…」
よそ見をしている俺の後頭部に強い衝撃が走った。
振り向けば金属バットを手にした野郎が1人……。
「………ってぇなこのボケーーっ!!」
右手の拳を全力で握り、両足で強く踏ん張る。
体ごと相手に叩きつけるように全体重を乗せた拳を憎いあんちくしょうにお見舞いしてやる。
両腕で防ごうとしたようだが、俺のパンチはその程度では防げない。
両腕の骨を粉砕し、野郎の体は数メートル先の壁にめり込む。
「あーはっはっ!どんなもんだ!俺の拳はイテーだろ?」
勿論返事は聞こえてこない。
完璧なる失神KOだ。
スッキリしたところで周囲の様子を確認すると、トトちゃんと(ルイーネ)の姿はあるが黒髪美少女の姿が見当たらない。
「……アレ?」
俺はダクダクと頭から血を流しながら首を捻った。

27 :
>>21 GM 『道具屋メルシィ』
まず始めに何人の人間が「騙された!」と感じたのだろうか。
ルイーネの応対を担当したメルシィは女性ではなくオネエ言葉の男性だった。
叙述トリックというやつだ。いやはや、文字媒体はこれだから恐ろしい。
もっとも、当のルイーネは始めから彼と対面しているので驚くことはなかった。
(ちょっと変わった趣味の人が出てきたな)ぐらいにしか考えていない。
初っ端からヘタレ発言をみせるルイーネに難色を示すメルシィ。
だが、ルイーネの担いだ『柊』を見るやすぐさま目の色が変わった。
道具屋としてプロ意識の琴線に触れるものがあったのかもしれない、ルイーネはそう思った。
辞典片手に悩んだ甲斐があるというものだ。いや、それを言うのは止そう。
誰かさんが自分の苦労が報われたことに安堵しているその一方で
金銭的価値があるのなら最悪コレを売り払って今月の家賃をしのごうか……とバチ当たりな考えにルイーネが悩んでいたそのとき
>「……ねえ貴女。直ぐ諦めたりせずに、まずは見学でもしてみたら?
> ちょうど、仕事仲間が欲しかったのよね。機械作業は得意かしら?私、ぱそこんとか苦手で…」
「あ、そうですね。私で良ければお手伝いさせていただきます。あの――今日のお給料は出ますか?」
何たる幸運! しかも荒事担当ではなく事務仕事を回してくれるという。
先祖の勤めた勇者的職業に対する憧れはなくもないが、人生(ドワーフ生?)労働はやっぱり安全第一で手堅いものに限る。

28 :
>>23 GM ゲオルグ
>「その女を庇ったこと、泣いて後悔するがいい!」
泣く間も後悔する間もない。どうしてこうなった。
相手はもはやこちらを無関係とはみなしてくれないようだ。いたしかたない。
助けを求められて無視するというのは社会人としてどうなんだろう――という模範的回答もなくはなかったが
ルイーネはそれよりもまず優先すべき事情がある。
「謝礼は出ますよね?」
をいをい、他に言う事はないのか。
まあいいや。行け、ルイーネ。戦え、ルイーネ。主に自分の生活の為に。
【第1NPCバトル】
書き込み時間に制限があるので取り急ぎやったことだけをここに記そう。
何せ今日はこれから夜勤だからだ。
カッコいい描写はGMさんに丸投げだっ!!
「セイ!ヤアアアア!そおおおおおおおぃ!!」
迫り来る悪漢を斧槍で払う、薙ぐ、突く。
始めは自信が無かったルイーネもこれには驚いた。
彼女には自分が強いという意識はない。むしろ相手にしているこのsラどもが弱すぎる。
てんで動きがなっていないのだ。
成人したドワーフやエルフはその多く武術の達人だ。
何故か?考えてもみて欲しい。彼らは普通の人間よりもはるかに長生きだ。
修練に要した時間もそれに比例して長い――――弱いわけがないのだ。
【向かってきた6人ほどをへち倒す】

29 :
黒髪の少女は、怯えるようにアッシュ達の後ろで、ゲオリク達を見据える。
向こうは武器を所持し、魔法を使う大の大人たち。対するこちらは、幼さが残る少女2人と線の細そうな青年が1人だけ。
頼る相手を間違ってしまったのではないか、と不安が胸中を占める。
そもそも、不良に追われる見ず知らずの少女を助ける人なんてものは、そうそう居ない。
相手は意を持った大人数だ、見捨てられて逃げ出されてしまうかもしれない――。
>「それじゃあ君達はお兄さんの後ろに…」
>「こうなったらしょうがないにゃ、返り討ちにするしかないにゃ!」
―――――だがそれは、杞憂というものだったらしい。
虎娘のトトが即座に戦闘の構えを取り、銀髪の青年・アッシュも少女を庇うように一歩前へ。
まだ不安げな表情を見せる少女に、ドワーフ娘のルイーネは一瞥して静かに尋ねる。
>「謝礼は出ますよね?」
「え?し、謝礼ですか?」
予想外の質問に、少女は一瞬呆ける。
だがすぐに、その言葉を理解する。要は、助けるだけの理由があれば、彼女等を味方に出来るということだ。
そして少女には、助けるだけの理由を作ることができる。少女は眉を吊り上げると、しっかりとした声でルイーネに答えた。
「……ええ! 期待以上のお礼をさせて頂きますわ!」
会話をする間にも、不良達は各々の得物を手に三人に襲いかかる。
人数、戦闘力、魔法、戦闘経験、それらを全て持つ不良達には、充分な勝機があった。
一般人より恵まれていた環境、要素ひとつひとつが彼らの心に慢心を生んでいた。
かたや此方は喧嘩のプロ、女子供と細い男に負けない訳がない――そう、彼らが『ただの一般人』であれば。
>「ただの不良だと思って舐めちゃだめにゃ、違法魔法使いも混じっているから気をつけないとマズいにゃ」
「ひゃっはあー!初撃もーらぃい!!」
不良の何人かが駆けだし、アッシュ達に意識を向けていたトトに向けて、上段に構えた金属バットを振り下ろす!
彼の中では、不意をついたこの一撃で、トトの頭蓋骨は陥没する筈だった。
>「甘いにゃ」
「―――――へ?」
その瞬間、右手に衝撃を感じると同時に、重量のある物が、ブン、と空を切る音を聞いた。
右手を見る。金属バッドが消えている。信じられない思いでトトへと視線を戻した時には、
顔面にトトの掌打が綺麗にクリーンヒット。更に腹にも重い一撃を食らい、不良その1は後方に吹き飛ばされる。
瞬きする間にやられてしまった仲間を見て、不良達はただただ茫然としていた。

30 :
>「お〜お〜。やるねぇトトちゃ…」
「どこ見てんだコラァ!!」
最初に我に返った不良の一人が、アッシュに狙いを定めた。
暢気に笑って観戦気分のアッシュの背後に回り、後頭部に金属バットを振るう。
鋭く空気を切る音の直後、骨と金属がぶつかり合う鈍い音と共に直撃。
やった!まずは一人目―――――そう思った矢先。
>「………ってぇなこのボケーーっ!!」
「な、何でお前動け……あがはぁっ!!」
トトより倒しやすそうだと見ていた相手は、思ったより強固な頭蓋骨とタフネスな精神の持ち主だったようだ。
倒れて動けなくなるどころか、怒りに身を任せて渾身の正拳突きを不良に炸裂。
不良その2は両腕の骨を砕かれ、一瞬で意識を手放した。
「ばっこっち来、ぎゃああああああああああ!!」
>「あーはっはっ!どんなもんだ!俺の拳はイテーだろ?」
吹き飛ばされた先にいた不良達も巻き込んで、数人が壁にめり込む結果と相成り、アッシュは得意満面。
その間にも、トトは自らの爪でサバイバルナイフをゼリーのように裂いてみせ。
ルイーネはハルバードと共に悪漢達を次々と薙ぎ払う。
>「セイ!ヤアアアア!そおおおおおおおぃ!!」
小柄な体躯のどこからその力が出るのか、少女は不思議に思うほどだった。
不良達の足を払い、隙を突いて腹を突き、よろめいた所を薙いで一掃。
一人だけで何と6人も一度に倒してしまったのだ!武術の達人であるドワーフだからこそできる芸当である。
「(す、すごい!警官だって、犯罪者を一度に相手出来る限度は2〜3人だっていうのに……!)」
因みに、少女は近くの壁に隠れて戦いの様子を見ている。自分が彼らの邪魔になると自覚しての行動だ。
トトやアッシュは少女が居なくなったことに気付いたようだが、今は戦闘に集中してもらいたいものである。
三人の戦闘力と気迫に圧されたのか、不良達が一歩一歩、気絶した仲間を背負ってじりじりと後退する。
入れ替わりに、数人のメンバーが前へと踏み出す。
「Dammit!幾らか倒した位で良い気になるんじゃねえぞチビ共!」
一人が中指を突き立て、挑発するように下賤な言葉を吐き散らす。
仲間を倒され、尚もこのような強気な態度を取れる、彼らは自信に満ちているようである。
それは、三人の戦いぶりを観察していたついた自信だった。
「教えてやるぜ、『バンプスの魔法使い』達の強さをなァ!」
空に突き出した中指を三人に向けたその時、指先から炎の塊が迸る!
弾丸が如く吐き出された炎の塊は、三人の足元のコンクリートを抉り、火花と煙を散らす。
もし当たっていれば、相当な激痛と火傷を負う事になるだろう。
その正体は『火炎魔法』の応用――そう、彼らこそが、噂に違わぬ「違法魔法使い」その人なのである。
「お前ら、見たところ魔法は使えなさそうだなあ? ……全部、避けきることが出来るかな?」
魔法使い達が一斉に指先を三人に向ける。
そして、肉を焼き骨を燃やさんとする幾多の炎の塊が発射される!!
――――しかし、彼らにも弱点はある。何より肉弾戦と接近戦に弱い。
なおかつ、これは一般常識であるが……大抵の魔法使いはそこまで使役出来る魔力は多くはない。
襲い来る炎を避けての接近、或るいは時間を稼げば、倒す手立ては見つかるかも分からない。
【違法魔法使い登場、火炎魔法発射!】
【少女は物陰から見守り中】

31 :
>>29 GM(黒髪の少女) トト アッシュ
さて、今宵も始めよう。GMさんの描写に感謝。
悪漢たちを前にして臆することなく前に出る現役のアゲンストガード達。
アッシュからは若干の下心が見えなくも無いが、まあ当然だろう。
救いを求めるこの少女、着ているものが上等なら言葉遣いもお上品。見てくれだって十人並みだ。
育ちも良ければ家柄もさぞかし立派な人間なのだろう。
こういう絶好の機会を利用してお近づきになりたいと考えるのは男として当然の帰納である。
もっとも、命あってこそのモノダネだ。
トトとアッシュの発言によればこのゴーグル姿の不良ども、今巷を騒がせている名の知れた犯罪者集団であるらしい。
巻き添えを喰らった元一般人のルイーネが思わず謝礼を求めたくなったのは、実の所こーいう事情があった。怪我で済めばいいが。
>「……ええ! 期待以上のお礼をさせて頂きますわ!」
お礼は欲しいが実の所ルイーネはコレと言って労働報酬以上の過度な期待はしていない。
アッシュにとっては朗報だろう。彼女と懇ろになるチャンスだ。……当人がこの発言を聞いていればの話だが。

32 :
>>30 GM 『バンプス』 トト アッシュ
さて、只今の戦闘結果を確認しよう。10−0。
アッシュ氏が後頭部から盛大に出血していることを除けばこちら側の圧勝である。
少女の姿が見えないがおおかた邪魔にならないよう物陰にでも隠れているのだろう。
仮に彼女がルイーネたちを置きざりにしてさっさと逃げてしまったところで、何ら問題はない。
ルイーネの人間不信がちょっとだけ増すだけだ。ドワーフは義理堅く、そして激しく粘着質である。
しかし、これで引き上げるほど相手も甘くはない。
>「教えてやるぜ、『バンプスの魔法使い』達の強さをなァ!」
>「お前ら、見たところ魔法は使えなさそうだなあ? ……全部、避けきることが出来るかな?」
【第1NPCバトル:2ターン目】
魔法使いの放った火球の威力にルイーネは冷や汗を流した。
ドワーフは魔法に対する耐性を持っているが、それは精神的な作用に及ぼすものについてのみだ。
物理的な破壊力は対象外である。あんなものを喰らえば当然大火傷だ。
続けて発射される火炎魔法。目視できる速度のようだが足の遅いドワーフにこの弾幕を避けるのは少々難がある。
「はあっ!」
ルイーネは自分に向かってきた火球をハルバードで叩き落とそうと試みた。
カッコよく決めてしまうのもいいが、語り部はここで少しギャンブルに走りたいと思う。
【00−25 火球が爆発して大ダメージ】
【26−75 火球は叩き落としたけどちょっと火傷する】
【76−99 見事に火球を薙ぎ払う】
さて、どうなる?

33 :
【火球が爆発して大ダメージ】
ボバーン!!
「きゃあああああああああああ!!?」
やったぜルイーネ!君ならやらかしてくれると信じてたw!!
……と、言いたいところだが真面目な話彼女の取れる対抗手段はこれしかなかった。
ドワーフに軽快なフットワークなどできない。直撃しなかっただけでも御の字だろう。
服の煤を払いつつ、起き上がるルイーネ。その瞳には一切の油断は消え、闘志が漲っている。
魔法使いを侮ることはできない。近づくことが出来ないなら飛び道具だ。
接近戦を諦めたルイーネは『柊』をショットガンに変形させた。
銃身の形状はこちらの世界のレミントンに類似している。装弾数は8発。
スライドを動かし、狙いをつけた所でハタと気付く。
残存する敵戦力は魔法使いだけではなかった。ハンドガンを持った他の不良がトトとアッシュを狙っている。
最初から銃を使わなかったのはこちらに対する油断と乱戦における同士討ちを怖れたからだろう。
「先輩、援護します!!」
ガチャ(装填して) ドンッ!(撃つ)
ガチャ(装填して) ドンッ!(撃つ)
ガチャ(装填して) ドンッ!(撃つ)
【機械斧槍をショットガンに変形】【ハンドガンを持った不良に援護射撃3発】

34 :
「おらおらどうした!こんなモンかよゴーグル集団!」
気絶した仲間を背負って後退するゴーグル共に挑発の言葉を投げかける。
まだまだこんなモンでは俺の鬱憤は収まる筈がない。
コイツらには悪いがギャンブルで負けた憂さ晴らしを存分にさせてもらおうじゃないか。
>「Dammit!幾らか倒した位で良い気になるんじゃねえぞチビ共!」
>「教えてやるぜ、『バンプスの魔法使い』達の強さをなァ!」
向こうもまだまだやる気に満ち溢れているようで、ついに魔法使いを前線に出してきやがった。
指先から発射された炎の塊はコンクリートを簡単に抉る。
直撃すれば大ダメージは免れない。
>「お前ら、見たところ魔法は使えなさそうだなあ? ……全部、避けきることが出来るかな?」
向こうのおっしゃる通り俺は魔法を使えない。
他の二人も闘いっぷりを見る限り魔法は使えなさそうな感じだ。
見事なまでに肉弾戦チームが出来上がってしまったわけだ。
なんというアンバランス。
「ほっ!よっ!そーらよっと!」
だが、俺だって魔法使いと闘った事が無いわけじゃない。
っていうかギルド内にはもっと強力な魔法を使う奴だって居るわけで、こんな火の玉を避けるのは大して難しい事ではない。

35 :
最小限の動きで火の玉をかいくぐり1番近くに居た魔法使いの懐へ潜り込む。
「肋もーらいっ!」
俺の拳が魔法使いの脇腹にめり込む。
とりあえず一人撃沈。
この調子で次の魔法使いも…
>「きゃあああああああああああ!!?」
次の標的を定めているとの悲鳴が響く。
どうやら直撃はしなかったものの、ダメージを受けたらしい。
「大丈夫かー!?無理しないで隅っこに隠れてろー!」
という俺の発言が聞こえてないのか、はたまたシカトされただけなのか…服の煤を払いは起き上がる。
>「先輩、援護します!!」
は手にショットガンを持ち、こちらの援護に回り始めた。の眼はまだ死んでいない…むしろ闘志が宿っている。
なるほど、なかなか優秀な人材のようだ。
「よっしゃ、援護は任せたぜお嬢ちゃん!」
援護をに任せ、俺は魔法使いを潰す事に専念しよう。
「これで半分は終わったか?」
魔法使いを半分ほど叩き潰し、トトちゃんに視線を向ける。
魔法使い達も魔力が切れてきたのか、火の玉のスピードと威力も段々と落ちている。
これはテストには丁度良い機会だ。
「トトちゃん、残りの魔法使い共は君に任せるぜ?アゲガに入るからにはこのくらい楽にこなしてもらわないとね。」
ぶっちゃけた話、テスト云々というより頭からの出血が激しくてそろそろしんどくなってきたからというのは秘密である。

36 :
目を凝らし辺りを見てみると物陰から少女が様子を伺っているのが分かった
なんだそういうことだったのかと安堵し、改めてバンプスに目をやる
自分とアッシュが二人、そして、名前がわからない少女
いや、得物の扱いからしておそらくドワーフの女が六人、合計10人のされた状況に
バンプスの不良も怖気づいたのか後退を始めたと思われた
>「Dammit!幾らか倒した位で良い気になるんじゃねえぞチビ共!」
半数を失ってもなお強気な態度は変わらないどころか増しているようにも感じられる
どこからその余裕がくるのか、思考を巡らす必用は無い
なぜならば、
>「教えてやるぜ、『バンプスの魔法使い』達の強さをなァ!」
噂は本当だったのだから
指先から炎が迸った瞬間、トトは大きく飛び上がり壁を攀じ登って難を逃れるが
>「お前ら、見たところ魔法は使えなさそうだなあ? ……全部、避けきることが出来るかな?」
それを追うように次々と炎の塊と銃弾が飛んでくる
「にゃっにゃっにゃぁぁぁぁぁ!!!」
見事に的になってしまい、すぐさま飛び降り物陰に隠れようとしたが
炎弾の炎がジャケットに燃え移ってしまう
「にゃあぁぁぁぁ!!!」
慌てて転げまわってなんとか火は消せたが
「…」
ジャケットは見事に消し炭になってしまった
>「トトちゃん、残りの魔法使い共は君に任せるぜ?アゲガに入るからにはこのくらい楽にこなしてもらわないとね。」
そうこうしている間にアッシュが魔法使いの半数を潰しドワーフの援護射撃で銃弾もさほど飛んでこない
「…」
それを確認し、トトはフラリと物陰から出てきた。
しかし、明らかに先ほどの雰囲気とは違っている。
牙を剥き出しにし、目からは気が滲み出ている。
「てめぇら!全員ぶっころしてやらぁ!!!」
そう荒々しく叫ぶと、トトはおもむろに屈む
いや、屈むというよりは陸上のクラウOスタートに似た体勢に構えたというほうが正しい
さながら、肉食動物が獲物を狙っているようにも見える
次の瞬間、トトの足元の地面に皹が入る。両腕と両足にこめているのだ。
間髪をいれず、獣人特有の身体能力でもって弾けるようにトトは飛び出す
逃げる間も反撃する間も与えず、魔法使いとの間合いを詰め
腕を切り落とすほどの勢いで切り付ける。
すぐさま、他の魔法使いが炎弾を放ったが、先ほど腕を切りつけた相手の胸倉を掴み
盾にしそれを凌ぐ
「黙ってろクズが」
悶える魔法使いを他の魔法使いに投げつけ、その次の魔法使いへ襲い掛かる
残りの魔法使いを片すのにそれほど時間は掛からなかった
「はぁ…はぁ…はぁ…」
ある程度ぶちのめしてスッキリしたのか、先ほどよりも落ち着いているようだ。
しかし、まだ怒りがおさまらないのか視線は残った不良どもに向いている

37 :
【ギルド内・ギルド人事局】
「―――――やっぱりね!あんのグータラ、書類も満足に出せない訳!?」
ギルド人事局の扉を蹴飛ばし、肩をいからせ飛び出す男――メルシィ。
予感が当たったのだ。調べてみれば案の定、トトの転属届が提出されていなかったのだ。
アゲンストガードに転属する際、一切の手続きはある男が済ませることになっていた。
トトの転属を耳にしていない時点で薄々予感はしていたし、「あの男」の性格は熟知しているが、それでも怒りは収まらない。
「今度こそあの穀潰しを牛に変えて、精肉工場に売り飛ばしてやるわ!」
物騒な言葉を呟きながらあるビルディングに向かう。メルシィが目指すのは最上階のF6。
余談だが、メルシィは魔法使いの側面も持つ。故に、エレベーターは使わない。というより、使えない。
築ウン十年のビルディングの脆い非常階段を駆け足で昇り、現れた鉄製の錆びたドアを蹴り開けた。
「ちょっと、穀潰し!どういう事か説明なさいよ!!」
物や書類が乱雑する汚らしい部屋に、メルシィの怒声が反響する。
ドアを開けた反動で、幾らかの書類の山が崩れ、掛けてあったコートがずり落ちた。
ひらひらと舞う紙の山。メルシィが指を振ると、紙吹雪の中の一枚がその手に収まった。
「………………………っんだよ、煩いな。何の用だオカマ野郎」
突然、部屋の中心に置かれた黒ソファーが喋った。否、違う。くすんだ青髪が、ソファーの影からひょっこり頭を出した。
無精髭を生やし、眠たげな三白眼の、全体的にくたびれた雰囲気が漂う一人の男だ。
メルシィは男の態度に更に眉を吊り上げ、大股で近づいて勢い良く頭を叩く。
よっぽど強く叩いたのか、それとも男が弱いからか、男はまたソファーに倒れ込んだ。
「貴方ねー、ズボラにも程度ってもんがあるでしょう!?あとオカマじゃなくてオネエって言いなさい」
「あー?何の話だ?」
まだ寝ぼけ眼でメルシィを睨むと、目の前に一枚の書類を突きつけられた。
男は面倒くさそうに書類に目を通す。トトの転属に関する内容と手続きの書類だ。
「あーコイツねー、刑事からコッチ(アゲガ)に転属になったの。傑作だよなー、何やらかしたんだか」
「傑作どころの話じゃないわよ!彼女、今日こっちに来る手筈だったのよ!?
 なのにまだ登録されてないだなんて……少なくとも登録完了までの間、貴方のせいで彼女、仕事無しになっちゃうじゃない!」
メルシィに責め立てられ、最初は笑っていた男も眉尻を下げ、笑顔が引き攣っている。
アッシュが『アゲガ1適当な男』なら、この男――スタンプ・ファントムは『ギルド1のロクデナシ』だ。
当の本人は、何とかなるさとはぐらかす始末。呆れ果てて溜息も出ないといった様子で、メルシィは首を横に振る。
それにしても、先程からやけに外が騒がしい。訝しみながらも、窓から外を見下ろすと――。
「トトちゃん!?ルイーネちゃん!?それにあれは……バンプスじゃない!?」
サッと褐色の顔色が青ざめるメルシィの横に、『バンプス』に反応したスタンプも窓へと近寄る。
『バンプス』の名と噂はギルド内でも有名だ。中でもリーダーのゲオルグは『歩く時限爆弾』として名を馳せている。
それなりに悪名高いにも関わらずバンプスが捕まらないのは、彼の父親が大手企業の社長という点にある。
早い話が、警察に金を掴ませて息子の悪行を揉み消しているのだ。
それはさて置き、現役アゲガのアッシュがいるとはいえ、相手は魔法使い。
ルイーネに至っては自分の助手候補(勝手)である。メルシィは攻撃魔法は使えないが、放っておく訳にはいかない。
「助けに行かなきゃ!」
「待てよ」
スタンプは外の光景から目を離さないまま、駆け出そうとしたメルシィの腕を掴んで引き留める。
「離してよ!」と抗議するメルシィに、何かを企むような、意味ありげな笑みを浮かべた。
「新入り達の実力、お手並み拝見といこうじゃないか」

38 :
【路地裏】
物影に隠れながら、少女はハラハラと三人の様子を見守る。何も出来ないのがもどかしい。
>「ほっ!よっ!そーらよっと!」
「こっこいつ……!素早すぎるッ!!何者だよ!」
魔法使いが幾ら火球を打っても、青年――アッシュは器用に避ける。避ける避ける。
現役アゲンストガードの彼ならではの技術だ。魔法使いはムキになってどんどん火球を撃つ。
撃つ、避ける、撃つ、避ける、撃つ、避ける、――――撃たない。指先を幾ら振っても、火球が出てこない。
「(しまった、魔力切れ――――――!)」
>「肋もーらいっ!」
退避するより早く、アッシュの拳が魔法使いの鳩尾に綺麗に入った。
あっけなく、まずは一人目が陥落。舐めてかかっていた他の魔法使い達に緊張が走る。
先程、火炎魔法を見せつけた魔法使いは思考した――あの男はおそらく手練れ。倒すのは後回しだ。
狙うは――――女子供。つまりはルイーネとトトに矛先が向く!
火球が次々と少女たちを狙う。勇敢にもルイーネはハルバードで叩き落そうとするが――
>「きゃあああああああああああ!!?」
「ハッ!そう簡単に攻略されるかっての!」
吹き飛ばされるルイーネ、ジャケットに飛び火し喚くトトを見て嘲笑う。
さて、と魔法使いは状況を確認する。二人は火球、一人は先程の金属バッドでダメージを受けている。
トドメを差すなら今と、遠距離を得意とするハンドガンを持つ不良達に合図する。
不良達は頷き、銃口を三人に向けると引き金に指をかけ――。
>「先輩、援護します!!」
>「てめぇら!全員ぶっころしてやらぁ!!!」
なんと、ハルバードがショットガンに変形し、不良達を一掃!
その間にアッシュによってもう一人が撃破され、残されるは後二人とゲオルグが控えるだけ。
怒り心頭のトトと目が合った魔法使いは恐れをなし、火球で反撃しようと指を差し魔法を発動させる。
だが、その暇すら与えられる事無く間合いを詰められ、その鋭利な爪で切りつけられる。
「畜生、この虎娘――!」
>「黙ってろクズが」
火炎弾を放つも、トトは残酷にも傷を負って動けない魔法使いを盾にし防ぐ。
まともに炎を食らって悲鳴を上げる魔法使い、それをもう一人に投げつける。
そして残りを粛清しにかかる。それは正に、阿鼻叫喚と呼ぶに相応しい空間と変化していく。
「……………………」
その様子をゲオルグは、口を真一文字に結んだままゴーグル越しに観察していた。
運よく軽傷で済んだ舎弟達は三人を恐れ、付近の壁や山積みになった木箱の後ろに隠れる。
普段の短気なゲオルグなら、だらしないだの男がすたる等と罵倒する所だが、今は三人に意識が集中している。
戦闘がひと段落した所で、ゲオルグは両手をズボンのポケットに突っこんだまま、三人の前に歩み寄る。
「お前ら、アゲンストガードか」
最初に遭遇した時の興奮ぶりは何処へやら、酷く静かな声と冷たい眼差しで問いかける。
アッシュの魔法使いに対する対処、トトの格闘術、ルイーネの援護射撃。
それらの要素を合わせて判断したに過ぎないが、ゲオルグの予想は半分は当たり、半分は外れた。

39 :

「……只の一般人なら、死刑で終わらせてやろうと思ったが――アゲンストガードなら話は別だ」
歯を剥いて笑い、ゲオルグはポケットに入れていた両手を出す。
甲の部分に4つ突起物が付いた革のグローブをはめているのが分かるだろう。
舎弟達はそれを確認するや否や、一斉にゴーグルを装着した。この先ゴーグルが必要であると言わんばかりの行動だ。
「ぬおらァアア!!!」
「キッ――ヤァアーーーーーー!」
拳を作り、一番近くにいたトトに向けて振り下ろす!動きはさほど早くなく、避けるのは容易いだろう。
だが、目標を外した拳が地面を突いた瞬間、鼓膜が破ける勢いの爆発音と光波、衝撃波が三人を襲うだろう。
隠れていた少女も余波を食らい、強かに頭を打ち付けて気絶してしまった。
そして、それらが落ち着いた所でゲオルグが殴った場所を確認すれば、火炎弾とは比にならない程の巨大な穴が出来ていることだろう。
「俺のダチはな、お前らアゲンストガードのせいで死んだんだ。
 そこの女は後回しだ。お前ら――――纏めて『私刑』にしてやる!」
明らかな私怨と憎悪を携えて、ゲオルグは一歩一歩三人へと歩み寄る。
まだ軽傷で済んだ不良達も、ゲオルグが出張るのなら彼を守ろうと、味方の拳銃を手に三人を狙っている。
じりじりと近づく一人と三人の距離。その様子を見ていたメルシィが甲高い声を上げる。
「ちょっとォ!このままじゃ三人ともやられちゃうじゃない!」
「フン。倒せなきゃそこまでの奴等だったってことさ。アッシュも、トトとやらも、あの嬢ちゃんもな」
クククッと喉を鳴らしてスタンプは笑う。三人を心配する素振りは見せない。
眠たげな瞳の奥を僅かに輝かせ、この戦い自体をまるで楽しんでいるようだ。
――精々、ゲオルグ程度の魔法使いにやられてくれるなよ?俺を楽しませてくれよ、チビ共。
彼らの実力を見極めるかのように、青髪のアゲンストガード・リーダーは、三人を見つめていた。
ENEMY DATA
名前:ゲオルグ・ヴィオレッタ
性別:男
年齢:21
種族:純人種
容姿:巨漢、黄と黒を基調としたライダースーツ、ゴーグル
性格:(色んな意味で)手が早い
職業:過激派不良集団『バンプス』のリーダー
能力:爆発魔法―BOM・BUMP≪ボム・バンプ≫
   ゲオルグが編み出したオリジナル魔法。
   手甲の突起部分に爆発魔法を仕込んであり、突起部分が衝突すると爆発魔法が発動する仕組み。
   ただし威力はそんなに高くなく、ゲオルグ自身も魔力の数は少なめの為、一日に5発までしか打てない。
備考:過激派不良集団『バンプス』を束ねるリーダー。
   女に一目惚れするとすぐ手を出す悪癖有り。舎弟達にはそこそこ信頼されている様子。
   大手建築解体業社ヴィオレッタ社の御曹司という一面を持つ。
【ラスボス戦です!力を合わせて返り討ちにしてやってください!】

40 :
保守

41 :
>>36 トト
>「黙ってろクズが」
「…………」
こ、これは恐いっ!
虎娘さんのあまりの変貌ぶりに言葉を失うルイーネ。
だってさっきまで語尾に「にゃん♪」とかつけてた陽気な人がイキナリコレなんだぜ?
あるいはそれほどまでに大事なジャケットだったのだろうか。だとすれば服の恨みとは恐ろしい。
人虎……ワータイガー、あるいは虎憑き。性別によって虎男とも虎女とも呼ばれる。
獣人《ビーストマン》の一種にして、その強さは元の生物から察する通り同族の中でもトップクラス。
我々の世界においては日本や中国そしてインドといったアジア諸国にその伝承が残されており、
一説にはマンティコアの原型になったともいわれている。
伝説ではネコ科の動物霊が人間に憑依して変身してしまった例。
元々心の奥底にあった虎のように獰猛な精神がその人を虎に変化させてしまった逸話などがある。
小説では中島 敦の『山月記』という作品に登場したことでも有名だ。
いずれにせよ、これらは飽く迄伝説。
トトの出自や祖先についての事情はいずれ本人の口から実際に語ってもらう機会もあるだろう。
さて、世界が誇る多種族国家、ここアメリク合衆国に生きる人々には種族間の関わりにおいていくつかの禁則事項がある。
地域や風土によって内容は様々だがルイーネや語り部の知っている範囲で軽く紹介しておこう。
ひとつ、「エルフにを挑むな」
ひとつ、「ホビットに飯を奢るな」
ひとつ、「ドワーフの恨みを買うな」
ひとつ、「ゴブリンの連帯保証人にはなるな」
そしてもうひとつ、「“猫”だけは――――絶対に怒らせるな」
たいていの場合、当人がこれらの禁則事項を聞いたとき不思議に思うものらしい。
実際ルイーネもドワーフのことで首を傾げたものだ。
だが……実際その現場を目の当たりにしてみると、これらの戒めが正しいと気付くものは多いと言う。
『バンプス』なるワルガキ連中の下っ端どもも、身を以てそれを学んだことだろう。
【参考サイト:人虎 -Wikipedia- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E8%99%8E

42 :

>>38-39 GM ゲオルグ
はい。あけましておめでとうございます。
時候の挨拶はこれぐらいにして新年最初の冒険がのっけからボス戦とは景気のいい話である。
>「……只の一般人なら、死刑で終わらせてやろうと思ったが――アゲンストガードなら話は別だ」
>「俺のダチはな、お前らアゲンストガードのせいで死んだんだ。
> そこの女は後回しだ。お前ら――――纏めて『私刑』にしてやる!」
ルイーネに言わせれば只のとばっちり以外の何者でもないのが釈然としないところだ。
アッシュやトトもきっと同じ気持ちだろう……ルイーネはそう考えてはいるが、実際どうかはわからない。
もしかするとその死んだダチとやらにアッシュが関わってた!なんてドラマチックな展開があるやもしれん。
無いかなー。いや、あってもいいじゃないか? そのほうが面白そうだし、主に外野が(おい)。
これ以上はネタ潰しにしかならないのでひとまず置いとくとして、今は目の前の敵が問題である。
【第1NPCバトル:3ターン目】
これは非常にやっかいだ。
衝撃波だけでこの威力! ゲオルグの放った拳の威力を肌で感じ、ルイーネは瞠目した。
襲われたトトの安否は不明。直撃していないことを祈るルイーネ。流石の人虎もあれをまともに受ければただじゃ済まない。
ルイーネにとって不良たちの立ち回りは喧嘩慣れした素人のそれ以上か、それ以下にしか思えなかった。
だが、こと傷力については喧嘩と呼ぶにはややお気楽過ぎる。キチ○イに刃物。不良に魔法。テロリストに核ミサイル。
世に言う「持たすな危険」の三大ペアだ。冬休み明けのテストにも出るから覚えておこうね!
これは早々にケリを付けてしまいたいところ……なのだが、そうは問屋が卸さなかった。
残った雑兵がそれぞれ拳銃を手にこちらを狙っている。
ガチャ(装填) ドンッ!(発射) ×5
一斉射。決定ロールをフル活用して雑魚を片付ける。なるほど、TRPでガン・アクションが流行らないわけだ。
つまらん!!(※感想には個人差があります)
「あ……」(カチッ!カチッ!)
しかし、ルイーネは彼らを一掃する代償として全弾打ちつくしてしまった。
ちなみに彼女の使用しているショットシェルは岩塩を詰めたものなので当たっても死にはしない。
砂糖菓子の弾丸のように打ちぬくことはできないが……決して、甘くはないのだ!
余談ですが新谷かおるの『ふたり鷹』という漫画の作中人物も同じことをしたそうな。
……暴走族を追っ払うのに使ったというのだから、何とも不思議な偶然です。
【残った弾で不良の雑魚を一掃】【ちなみにテストには出ません】

43 :
>「お前ら、アゲンストガードか」
「………」
ゲオルグに対しトトは沈黙で答える
>「……只の一般人なら、死刑で終わらせてやろうと思ったが――アゲンストガードなら話は別だ」
ゲオルグがグローブをはめるのを目の当たりにし、トトは慢心した
接近戦ならば、ゲオルグよりも自分に利があることを確信していたからだ。
その慢心から、ゲオルグの舎弟達がゴーグルを装着したのに気がつけない。
>「ぬおらァアア!!!」
考察どおりゲオルグは殴りかかってきた。
それに対し、トトは反射的にカウンターを合わせようと動こうとしたとき
ある違和感に気がつく
拳の軌道が明らかにおかしいのだ。黙って立ってたとしても頬にかすることさえも
ない拳の軌道、フェイントにしては大振りすぎる。
そのとき、トトの獣じみた直感が危険を感じ取った。
残された猶予は瞬きする間もない。己が脚力でもって
すり抜けるようにゲオルグの背後に回りこんだ。その時
ゲオルグの拳が爆発し、トトは見事に吹き飛ばされた。
「これは…参ったにゃ」
ゴミ箱だった残骸の上で空を仰ぎながらトトはそう呟いた
確かに純粋な殴り合いならば、トトに分があったかも知れない
しかし、ゲオルグの魔法はその差を簡単に吹き飛ばして見せるほどのものであった
仮にもう一度殴りあいを望んだとしても、アレを爆発させずにゲオルグを倒す実力はトトにはなかった
もう一つ問題がある。
それはゲオルグの魔法の属性だ。
ゲオルグの魔法は先ほどの魔法使いと同じく火に属するものであるが
炎と爆発には決定的な違いが存在する。
先ほどの魔法使いのように炎を発するのならば、水を用いてその脅威を減少させることが可能だが
爆発となるとそうはいかない、花火や爆弾が水中で燃焼、爆発をこなせるように
ゲオルグの爆発も水で弱体化させることは出来ないのだ。
(それなら)
と何かを思いついたトトは徐に起き上がり、先ほどと同様にショットガンで牽制射撃を行うドワーフに目を向ける
銃撃、それも散弾ならば接近せずに攻撃を加えることも出来るし、弾くことも容易ではないはずだ
だが、世の中そんなに甘くは無い
>「あ……」(カチッ!カチッ!)
妙案を思いついた途端に、ショットガンの弾が尽きたようだ
「…もうこうなったらヤケクソにゃ」
打つ手もなくなり自棄になったトトは足元にあったマンホールを無理やり引き剥がすと
まるでフリスビーでも飛ばす様にゲオルグに対しそれを思いっきり投げ飛ばした

44 :
行くぜイオグランテ。

45 :
>>44
「……正しくはイオグランデ、です」
語り部は『V』までしかやったことがないのでよくわからない。
なんでも次回作の『]』はオンラインゲーでドワーフもエルフもオーガも出てくるとか。

46 :
【>>ルイーネ、トト】
「ハッ。どうだこの威力!テメー等雑魚アゲンストガードなんかにゃ無い圧倒的強さ!」
高笑いするゲオルグ。この爆発魔法は彼のオリジナルだ。
解体業を営む父の背中を見て育ち、彼が最も興味を持ったのが『爆弾』。
ダイナマイトから時限式爆発魔法まで、ゲオルグは節操無く熱心に研究した。
そして生み出した彼の創造魔法――BOM・BUMP≪ボム・バンプ≫。
爆発に独自の『美』を見出した青年の魔法は、いつしか『歩く時限爆弾』と呼ばれるまでに凶悪化してしまった。
「さあ観念しな、後ろには俺達もいるんだぜ!?」
ゲオルグの背後に隠れていた舎弟達が引鉄に指を掛ける。しかし、敵に回す相手を間違えていた。
「ドワーフの恨みを買うな」――ルイーネのショットガンの銃口が不良達に狙いを定めた!
それは正に一斉掃射、容赦なき手並みと呼べよう。皆して銃を捨て、蜘蛛の子を散らすように逃げ回っている。
「ひぇええええええ!!何だあのロリ!?冗談じゃねえ!」
「あっコラお前ら!戦えもしね―奴等がうろちょろすんじゃねえ!……?」
ルイーネが弾を打ちつくしても、面白いように舎弟達はパニックを起こしたまま。
まるで、未だに『ルイーネが弾を撃ち続けている』と錯覚しているかのようだ。
不審に思ったゲオルグは見た。トト達の背後から淡い桃色の煙が立ち昇るのを。
立ち昇った煙が雲のように広がり、煙が粉となって舎弟達に降り注ぐのを。
ひ弱な黒髪のお嬢様が、額から血を流しつつも、指先から煙を出し続ける姿を。
「もう怒りましたわ……!乙女の顔にキズを付けるだなんて…………!!」
お嬢様は静かに怒り狂っていた。怒りを代弁するかのように、煙はとめどなく噴出し続ける。
それは紛れもなき錯覚魔法――お嬢様もまた、魔法使いだったのである。
ゲオルグが驚いて目を見張る隙に、トトはマンホールをひっぺ剥がし、フリスビーの要領で投げつける。
寸でのところで気付き、向かい来る鉄の塊を弾き飛ばそうと、拳を突き出し爆発魔法を発動させた。
ところで、ゲオルグの爆発魔法にもれっきとした弱点がある。
それは、『物質全てを爆発させることが出来るというわけではない』、ということ。
馬鹿にするがなかれ、爆発しないということはゲオルグにとっての致命的なことなのだ。
例えば、石やコンクリートは爆発させることが出来る。だが、鉄等は強度の問題で爆発させることは出来ない。
では諸君らに質問しよう。マンホールは一体「何」で出来ているか。
「―――――――っ痛てええええええええええええええええええ!!!」
ゲオルグが突き出した拳を押さえ、痛みにのたうち回る。
当たり前だ、鉄を殴ったのだから。殴られたマンホールは弧を描き、宙を舞う。
トト達のことなど忘れてしまうほどに拳の激痛に夢中になっている今、ゲオルグは隙だらけと言えよう!
舎弟達は幻術に惑わされ、銃を捨てている。アゲンストガード達よ、チャンスだ!

47 :
投げ飛ばしたマンホールはまっすぐゲオルグに向かっていった。
それを見たトトは自分の仕出かしたことに気がついて後悔する。
マンホールが弾かれるだけではなく、ゲオルグの爆発によって
こっちに返ってきたり、爆散し、まるで散弾のように鉄片が飛んでくると思ったからだ。
しかし、既に後の祭りだ。賽はすでに投げられたのだ。
と覚悟を決め、身構えると
聞こえてきたのは、爆音ではなくゲオルグの絶叫だった。
「にゃ?」
一瞬何が起きたのかわからず、トトは一瞬困惑した。
まさかゲオルグが自分の魔法の限界を理解していなかった
なんて思ってもいなかったから当然である。
「…と、とりあえず、チャンスにゃー!!!」
激痛に喘ぐゲオルグに近づくと痛めた拳を手に取り、容赦なく壁に叩き付けた。
間髪をいれずに、叩き付けた拳を殴りつけゲオルグの戦意を折ろうとする。
それでもまだゲオルグがやるつもりならば、
トトは次にもう片方の拳を同じように使用不能にし私刑を始めるかも知れない

48 :

ここで残念なお知らせ。【アッシュ氏、戦線離脱!】
ΩΩΩ<な、なんだってー!!!?
いや、誰だよお前等w
彼の行方については後ほどGMからアナウンスが入るだろう。多分。
ともかく、アッシュはルイーネが目視できる現在の戦域からは完全にフェイドアウトしてしまった。
そう言えば出血が凄かったので近くで休んでいるのかもしれない、ルイーネはそう判断した。
(仕事中に敵前逃亡とは、何たるアバウト――!!)
ルイーネよ、それは今更というものだ。何故ならば彼は『アゲガ1適当な男』なのだから!!
しかし困った。彼の降板により現パーティのイケメン分は完全に品切れ状態だ。
ちんちくりんのドワーフ娘とプリティな虎ガール。うーん、あと一押し!
だいたい緑髪の眼鏡っ娘なんて世間じゃいらない子呼ばわりのポジションだしなー……
どうせなら乱ピンクとかにしとけば(ピンポーン)おや、こんな夜中に誰だろう?
※しばらくお待ちください
・・・スミマセン。ワタシガマチガッテマシタ。
【>>GM、トト、少女】
茶番はこのぐらいにして本題に入ろう。
>「ひぇええええええ!!何だあのロリ!?冗談じゃねえ!」
ルイーネの放った散弾は不良達を仕留めるという本来の意図には到らずとも、彼らに恐慌を来たす事には成功したらしい。
>「もう怒りましたわ……!乙女の顔にキズを付けるだなんて…………!!」
さらに意外な方角から思わぬ援軍が……!お嬢様の錯覚魔法で盛大にテンパるゲオルグの舎弟たち。
と、いうか恐慌の原因はルイーネの散弾よりむしろあちらのお嬢様だったりする。
(もしかして、私って無駄に弾を撃ち尽くしただけだったんじゃ……)
ふはははは!ようやく気がついたかっ!!この残念ドワーフさんめっwwwwwww ・・・orz
ところがどっこい
>「―――――――っ痛てええええええええええええええええええ!!!」
一方ではタイガー(元)女刑事が渾身のマンホール投げにより敵の首領に対して形成を逆転していた。
トトにゃん、グッジョブ!

49 :

【第1NPCバトル:4ターン目(ラスト)】
>「…と、とりあえず、チャンスにゃー!!!」
ルイーネがゲオルグに視線を向けたとき、既に決着はほぼ決まっていた。
隙だらけの彼とその拳に対し、トトが容赦ない攻撃を加えている。
自分が加勢する必要はなさそうだ、ルイーネはそう判断した。しかし、
(アレ?そう言えばこの人……)
ゲオルグの顔をまじまじと見つめながらルイーネは自分の記憶を探る。
そうだ、思い出した。以前の勤め先で見た顧客リストに載っていた家族構成で顔写真を見たことがある。
大手建築解体業者ヴィオレッタ社社長の御曹司だ。……そう言えばあちらのお嬢様も関連企業の名簿で見たような。
いや、今はそんなことどうでもいい。問題はこの男の素行だ。
ただの不良ならまだ許せる。違法な魔法行為も立派な犯罪だが、まあ良しとしよう。
しかし彼は父親の権力を利用して警察に金を握らせ、己の悪行を揉み消していると聞く。
では……一体その金銭は誰が稼いだものなのか?
決まっている。父親の会社で働いている社員たちだ。
ルイーネは腹の奥底から熱した鉄のようなものがドロドロと溢れ出してくるのを感じた。
会社の金はそこに勤める労働者たちの汗と涙の結晶。故に、本来ならば彼らが生活するための給料や保障に使われるべきものである。
にもかかわらず、この青年が再び罪を犯す度にそれが浪費されていくのだ。
世間では会社の金が無いせいでリストラされて職を失い、貧しい生活に苦しんでいる人々が沢山いるというのに。
自分のように家を追い出されそうになっているドワーフだっているというのに(もっともルイーネの場合は自業自得なのだが)。
ガシャ! ジャキン!!(『柊』をショットガンからハルバードに)
裕福な家に生まれながら真面目に生きることをせず、働きもしないで悪行三昧。
女の尻を追い掛け回しフラれれば逆上。自ら進んで反社会的暴力に手を染めながら、「アゲガにダチをされた」と一方的な被害者面。
ルイーネ・アイゼンツォルン(73歳)は激怒した。
必ず、この放蕩無頼のバカ息子を除かねばならぬと決意した。
ルイーネには法律がわからぬ。ルイーネは、元SEである。キーを叩き、寝る間も無いぐらい働いてきた。
けれども金銭の動きには、人一倍敏感であった。
彼女は今、自分にとって正しくない金の流れとその原因を前に――激しく【憎悪】している。
「……トトさん、逮捕なんて手ぬるいです。こんな奴しましょう。そのほうが世の中もうちょっとマシになりますよ♪」
ルイーネの眼鏡と構えたハルバードの刀身がギロチンのようにギラリと光った。
いつもは暗い彼女の表情が朗らかな笑みに輝いている。よし、ぶちころすぞ(`・ω・´)と。
ルイーネはゲオルグの首筋に向け、ハルバードを大きく振りかぶった。
をい、おちつけ!止めるんだルイーネw!!

50 :
時に、鉄を殴った事がある人間はいるだろうか。
爆発でさえ破壊できなかったものを、人の拳で殴るその痛みたるや、想像を絶するだろう。
>「…と、とりあえず、チャンスにゃー!!!」
「ぎゃああああーーーーーっ!!俺の手がああああああッーーーーーーー!!!」
だが巷で有名な暴力刑事は流石、容赦を微塵にも感じさせない。
ダメージを負ったゲオルグの手を掴むや壁に叩きつけ、尚且つその拳をゲオルグに叩き込む。
生来、立場を利用し、痛みや挫折とは無縁の生活を送って来た彼にとって、据えるには少々きつすぎるお灸だった。
立て続けに食らった理不尽なまでの反撃に心をへし折られ、彼に「戦う」という意思は残っていない。
舎弟達は混乱からお互いを潰し合い、チーム『バンプス』は最早機能していないのと同義だった。
「うぐぅ……た、たかがチビとモヤシに、この俺がぁあ……ッ!」
味わったことのない敗北、初めての挫折にみじめたらしく涙やら鼻水を流す。
その様子をじっと見つめる一人の女がいた。お嬢様だ。気が晴れたのか、もう桃色の煙は出していない。
お嬢様はアッシュやトト、ルイーネに「大丈夫ですか?」と声をかけ、ゲオルグへと歩み寄る。
芋虫よろしく転がった彼に、お嬢様は静かに言い放った。
「これで懲りましたか?我儘ばかりでつけ上がるとどうなるか……思い知ったでしょう?」
ゲオルグは無言で首を縦に振る。今はもうアゲガ達に反抗心の欠片もない。
お嬢様は今度こそ笑顔を浮かべ、ならばきちんとしかる所でしかるべき罰を受けて下さいね、と言葉を締めた。
これにて戦いは終わった。後は警察を呼べば万事解決だ。よくやった、アゲンストガード達!
>ガシャ! ジャキン!!(『柊』をショットガンからハルバードに)
「「え?」」
だが、そうは問屋が卸さない女がここに居た。
ルイーネから似つかわしくない気が発せられ、ルバードが背後からの光でキラリと煌めく。
掛けた眼鏡の奥に見える双眸から、ゲオルグに対する激しい憎悪が垣間見え、その場の空気が戦慄する。
>「……トトさん、逮捕なんて手ぬるいです。こんな奴しましょう。そのほうが世の中もうちょっとマシになりますよ♪」
「ひいいいいいいいいいっ!?たっ助けてくれえええーー!」
「い、いやそれは流石に駄目ですよ!もう反省してるんですから!」
お嬢様がルイーネを説得するも、ルイーネは聞く耳持たずの様子。
ルイーネはお嬢様を押しのけ、朗らかな笑顔でハルバードを振り上げた。
誰が止める間もなく、ゲオルグの首筋めがけ、断罪のギロチンが振り下ろされる――――!
「―――――――――はい、そこまで」
一瞬の出来事だった。ルイーネとゲオルグの視界を、正体不明の暗闇が襲う。
傍から見れば、突如上空から降って来た、一着のよれたコートが二人に覆いかぶさったのだ。
刹那、コートが風に煽られ、乱暴に振り払われる。
振り払われた途端、ルイーネとゲオルグの眉間に銃口が突きつけられていた。
二人の間に割って入るように。何もない所から物を出す手品よろしく。
風のように現れた第三者――青髪の男によって。

51 :
「もーちょい見てたかったんだが……流石に身内から犯罪者を出す訳にはいかんのでね」
銃口でルイーネの額を小突く。
そしてもう片方の手に握った拳銃を持ちかえるや、グリップの部分でゲオルグの頭を容赦なく叩き潰した。
短い悲鳴を上げて気絶したゲオルグを無視し、男はアッシュに視線を向けると、鼻で笑った。
「おいアッシュ、何だあのザマは。オメーはもうちょいデキる奴だと思ってたんだがな」
そのやり取りだけで、この二人が関係者同士であることが分かるだろう。
更に男が言葉を重ねようとした時、遠くからパトカーのサイレンが聞こえてくる。
恐らく爆発音を聞いた通行人辺りが通報したのだろう。男は鋭く舌打ちし、踵を返す。
「お前ら、……そこのチビとチビもだ。面倒だから着いてこい、誤認逮捕されたくなきゃな」
「あ、あの!」
お嬢様が勢いよく前に出て、アゲンストガード達に向き直る。
何だ何だと視線が集まる中、お嬢様は少しだけ体をもじもじさせると、がばっと頭を下げた。
「あっありがとうございました!お礼は必ずします!」
顔を上げ、お嬢様の笑顔はとても明るいものだった。
お嬢様はそれだけ言うと、お嬢様はわき目も振らずに駆け足で去って行った。
この時彼らは予想できないだろうが、また思わぬ形で彼女と再会するのは、――そう遠くない未来の話だったりする。
【第1シナリオ無事(?)終了!】
【ギルド内、ビルディング最上階】
「――――んで?お前がトト、そっちがルイーネだっけ?」
ソファにふてぶてしく座り、青髪の男はトトに気だるげな視線を向ける。
男の向かい側に座らされた3人にメルシィが紅茶を振るまい、彼もまた1人用のソファに腰を落ちつける。
「にしてもトンズラこいて正解だったな。あのままじゃゲオルグごとサツに捕まってたかもな」
窓から見下ろし、男はのんきに笑う。
後に二人は知るだろうが、この男こそアゲンストガードを纏めるリーダー、スタンプその人である。
通常、ギルドの人間達は個人個人で仕事に動く。だがアゲンストガードは別だ。
自警団として少数の人間が複数のグループを作り行動する。ここで一つの問題が発生する。
好戦的な性格が多いからか、グループ同士で諍いが多いのだ。犯罪者を捕まえる所か、アゲガ達が警察に捕まるケースも少なくない。
そんな彼らの監督係も含め、責任者としてリーダーのスタンプが彼らに指示を出し、纏めている。
最も、リーダーの性格が少々大雑把過ぎる故に、アッシュのように独断行動(ギャンブル行為)を取る者が多いのが現状だが。
「ま、結論からいえばお前さんらは【合格】。女ガキにしちゃ良い戦いっぷりだったぜ。
 明日から早速頼むよ。何分、ここは何時も人が足りないんでね」
トトの転属に関する書類不備の件はメルシィの口から説明された。
本来ならギルド人事局にメンバー登録されるまで出入りすら禁止されるのだが、
ゲオルグの一件もあり、人事局に掛けあって特別にアゲンストガード入りを果たした次第である。
因みに、スタンプの預かり知らぬ所で、ちゃっかりメルシィはルイーネを自分の助手として人事局に登録していた。
「おっとそうだ、これを言わなきゃ始まんねえよな――――ようこそお前ら、ギルドへ。
 まずは自己紹介でもしてもらおうか。ついでに書類も片付けてくれや」
スタンプはそう言うと、山のように積み上げられた書類を手にとり、目を通すのだった。
明日から、君たちアゲンストガードの忙しい日々が始まる――――
【第1シナリオ終了!】
【1ターンほど日常パート入ります、自己紹介の後に好きに行動してくださいませ】

52 :
どんなに強い人間だって皮膚が裂ければ血が出る。
そして出血している状態で動き続ければ血はとめどなく溢れ出て、貧血状態に陥る。
「ふぅ…。」
敵のボスは2人に任せて俺は陰で一服させてもらう事にした。
タバコというのもギャンブルと同じで一度ハマるとなかなか止められない。
ちなみに俺のタバコの銘柄は「アンラッキー・ストライク」
……こんな名前のタバコを吸っているから運が逃げていくのだろうか。
いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。
敵のボスはオリジナルの魔法を使うちょっと厄介な相手だ。
新入り希望の2人で本当に大丈夫かと心配になり影から顔を出して様子を見ようとすると、先ほどの黒髪のお嬢ちゃんが大丈夫かと声をかけにきた。
「あ、ああ。割と大丈夫。ちょっと貧血気味だけど。」
俺の様子を確認するとパタパタと他へ行ってしまった。
気を取り直して2人の様子を確認……
そこには笑みを浮かべながら敵のボスの首へ向けて刃を振り下ろすの姿が…。
「ちょっまっ―――」
駄目だ、どう頑張っても間に合わねぇ。
>「―――――――――はい、そこまで」
聞き覚えのある声と共に上空から落ちてきたコートが2人に覆い被さる。
「ようやくお出ましか…。」
颯爽と現れたのは俺の上司でありアゲガのリーダー…
>「おいアッシュ、何だあのザマは。オメーはもうちょいデキる奴だと思ってたんだがな」
「ひでーなぁスタンプの旦那。こんだけ出血した状態で魔法使い2人潰したって所を評価してほしいね。」
まったく…少しは部下をねぎらって欲しいもんだ。
誉められては伸びるタイプだから、俺。

53 :
よっこいしょ、と重い腰を上げるとパトカーのサイレンが聞こえて来る。
>「お前ら、……そこのチビとチビもだ。面倒だから着いてこい、誤認逮捕されたくなきゃな」
ギャンブルに負けて頭まで割られて、更に誤認逮捕なんてシャレになりません。
さっさと逃げさせていただきます。
>「あ、あの!」
おっと、そうだ忘れてた。
お嬢ちゃんからキスのお礼を…
>「あっありがとうございました!お礼は必ずします!」
飛びっきりの笑みでそれだけを言い残し、去って行くお嬢ちゃん…。
まあ…その笑顔だけで十分お礼になったって事にしとくか…。
ギルドに帰って真っ先に止血だけしてもらい、一命を取り留める。
もうちょっと遅かったらちょっとヤバかったらしい。
あんな雑魚にやられて一生を終えるなんて笑えない冗談だっての。
「おっ。ありがとメルシィちゃん。」
メルシィちゃんに出された紅茶を飲みながら最後の1本に火をつける。
>「ま、結論からいえばお前さんらは【合格】。女ガキにしちゃ良い戦いっぷりだったぜ。
 明日から早速頼むよ。何分、ここは何時も人が足りないんでね」
2人は無事にギルドに入る事が決まったようだ、良かった良かった。
>「おっとそうだ、これを言わなきゃ始まんねえよな――――ようこそお前ら、ギルドへ。
 まずは自己紹介でもしてもらおうか。ついでに書類も片付けてくれや」
「はーい。それじゃあ先輩の俺から。
 俺はアッシュ。好きな物は酒と女とギャンブル。アゲガに入った動機は……」
っと…これは女子供の前でする話じゃねぇか。
こほん、とごまかすように咳払い。
「アゲガに入った動機は女の子にモテるかなーって思ったからでっす。ま、2人共気楽によろしく頼むよ。」
上手くごまかせた…かな?
2人の自己紹介を聞いた後、俺はすぐさま部屋を出る。
書類の片付けなんてやってられるか!
俺は残り少ない所持金でタバコを買いにコンビニを目指した。

54 :
返り討ち自決

55 :
【第1シナリオ・終了】
>「―――――――――はい、そこまで」
>「もーちょい見てたかったんだが……流石に身内から犯罪者を出す訳にはいかんのでね」
(こ、この人……できる!!)
突如視界の外から現われた男の雰囲気に圧倒され、言葉を失うルイーネ。
彼女は彼が近づいてくる気配を察知出来なかった。斧槍術に関して言うならば達人の域にあるはずの彼女が、である。
額を伝う冷や汗が自らの怒りを冷ましていくのを感じ、ルイーネはハルバードを収めた。
はい、というわけでアゲンスト・ガードのリーダー、スタンプ・ファントム氏の制止により
ルイーネ・アイゼンツォルン(73歳)は何とか人しになることもなく、無事最初のお仕事を終えたのでしたー。
ふっ……お互い命拾いしたな!ゲオルグ!
>「あっありがとうございました!お礼は必ずします!」
「え?お互いの名前も連絡先も伝えてないのに、どうやって……?」
自分は火傷を負い、トトはお気に入りのジャケットを燃やされ、アッシュは後頭部に大怪我をした。
タダ働きの危険性を感じとり思わず呟いてしまうルイーネ。
どうもこのドワーフには他人を信頼するという気持ちが少し足りないようだ。
しかしながらこんなご時世で口約束を信じろというのも、確かに難しい話だろう。
ルイーネが「世の中捨てたものじゃないな」と思えるのは、もうちょっと先の話のようだ。
(せめて、治療費ぐらいは出ないかなー……)
ルイーネはサイレンの音から逃げつつ胸中で呟いた。
未練がましいことこの上ないが、アゲンストガードに請求するしかないだろう。
ま、とりあえずはお疲れさまと言わせてもらおうか。ルイーネ。

56 :
>>スタンプ・ファントム
【ギルド内、ビルディング最上階】
>「ま、結論からいえばお前さんらは【合格】。女ガキにしちゃ良い戦いっぷりだったぜ。
> 明日から早速頼むよ。何分、ここは何時も人が足りないんでね」
>「おっとそうだ、これを言わなきゃ始まんねえよな――――ようこそお前ら、ギルドへ。
> まずは自己紹介でもしてもらおうか。ついでに書類も片付けてくれや」
「あ――ありがとうございますっ!!」
採用決定。
スタンプの話の聞きながら、一体自分はいつどういった類の試験を受けていたんだろうと不思議に思うルイーネ。
まあ当人にしてみればこれで再就職が決まったので割合どうでも問題である。刹那で忘れてしまった。
「ルイーネ・アイゼンツォルンと申します。ドワーフです。元SEをしておりました。アゲガに志望したきっかけは……」
後半はつまんないので省略。
その後、山済みの書類整理を任されながらも彼女は何とか日暮れには帰宅することができた。
以下、ルイーネが焦げ臭い服と自分の身体を嗅いだ入浴前の一言。
「あ……火傷の治療費…………」
諦めろ。

57 :
>>アッシュ
【ギルド内、ビルディング最上階】
閑話休題。
時はルイーネとトトの自己紹介までさかのぼる。
>「はーい。それじゃあ先輩の俺から。」
「いたんですか」
メルシィに淹れてもらった紅茶を一口含み、ルイーネは率直な感想を述べた。
スタンプとのやりとりからこの組織における彼の立ち位置を彼女なりに見抜いた上での発言である。
それにしても……もうちょっとオブラートに包んでもいいような。
>「俺はアッシュ。好きな物は酒と女とギャンブル。アゲガに入った動機は……」
>「アゲガに入った動機は女の子にモテるかなーって思ったからでっす。ま、2人共気楽によろしく頼むよ。」
「はい、どうぞよろしく……」
  ◆ 
「……よろしくしてあげない」
書類整理に手を動かしながら、ルイーネは溜息まじりにそう呟いた。
紙面から目を外し、げんなりと周囲を見回す。アッシュは何処へ?いない?そうか、いないのか……何たるアバウト!!
(そんないい加減な性格で、モテたいなんて嘘でしょう?)
自分が対象外であることも材料に含め、先ほどの彼を分析するルイーネ。
概して異性に関心のある男性というものは、不真面目なようで仕事に対してもっとマメな性格をしているものだ。
先ほどのアッシュは何かを誤魔化し、そして心中ではいつもそのことばかり考えている――ルイーネはそう思った。
流石はドワーフ娘。見た目はロリでも中身は。伊達に70年も生きてはいない。

58 :
「フー…フー…大丈夫にゃ」
声をかけたお嬢様に対し、トトは熱気冷め止まぬ表情を不細工に隠して返した。
「世の中舐めてるからこうなるのにゃ!手一個ぐらい授業料にしては破格にゃん」
絶叫をあげ芋虫のように丸々ゲオルグを見て満足したのか
トトは拳を解き、警察らしく拘束しようとした瞬間だった。
ドワーフの持っていたショットガンがハルバートに変形した音を聞き
思わず振り返るとそこには、朗らかな笑みを浮かべ死刑執行を行なおうとせんとすドワーフがそこにいた。
「…最悪すとしても、こいつのオヤジを強請ってからにするにゃん
 そうしないともったいないにゃん」
明らかに正気を失いかけているドワーフを目の前にしてトト
経験から(非合法ではあるが)金儲けの話を持ちかけ、頭を冷やそうと試みるが効果はいまひとつらしい。
とそこへ颯爽と現れた青髪の男が割って入ってくる。
惚れ惚れするぐらいの手際で銃を構え、ゲオルグとドワーフを大人させた
「お見事にゃ」
ゲオルグを気絶させたのはいい判断だったかも知れない。
戦意喪失したとはいえ、命の危機に対し抗わない奴はいない。
恐らくこのままにしておけば、無事なほうの拳を爆発させ逃亡なりなんなりしていただろう。
ともかくこれで危機は去ったかにみえた。
息をつく間もなく聞こえてきたのはよく聞きなれたサイレンの音だ。
「んーたしかに配属初日に前居た場所の世話になるのはまぬけにゃ」
と青髪の男に促されるようについていこうとしたとき
先ほどのお嬢様が回り込んできた
「んにゃ?まぁ気にすることないにゃん」
丁寧にお礼をいうお嬢様に対し、トトは微笑みながら手を振って彼女を見届ける。
「…あっ名前聞くのわすれたにゃ」
【ギルド内、ビルディング最上階】
メルシィから書類不備の話を聞かされ、トトはそれに呆れ不安を覚えた。
そういう大事な書類がまともに行きかわないことが不思議でしょうがなかったからだ。
とギルドに対しての不満はそれぐらいにし、自己紹介を始める。
「トト・リェンにゃ、歳は27、階級は警部補だったにゃ
 格闘技は十二流虎形拳と捕縛術を少し、一応銃は使えるにゃ」
とざっくばらんに済ませ、ドワーフの自己紹介を聞く
「あーいうタイプは絶対に出世できないにゃ」
ルイーネと共に書類整理をしながら、グチるようにトトは応える。
トトの中で、アッシュの印象が「アテにならない奴」に固まるのも時間の問題かもしれない。

59 :
「ん…なれないことをしたからお腹がすいたにゃ」
書類整理を終わらせ、ビルの外へ出た第一声がそれだった。
正確にいうならば、慣れてない書類整理のせいではなく、あれだけ暴れたのが原因なのだが
問題はそこではない。
おもむろに時計を確認する。
「かなり遅くなったにゃ、この時間帯でやっている店は…
 あそこのレストランがいいにゃ…お金もそこそこあるし、久々にステーキでも食べるにゃ」
本日の晩餐が決まったところで、トトはすぐさま目的の店に向かって走りだす。
店に着き、まだやっているか確認するとトトはすぐさまカウンターに陣取った
「極厚ステーキ、塩薄めで玉ねぎ抜きでお願いするにゃ」
口の中で溢れそうな涎を押さえながら、注文をする。
ノンビリ目当ての品が来るまで店の内部を見回す。
流石に時間が時間なだけに、客はトトしかいないようでほぼ貸切状態といってもいいぐらいだ。
そんなちょっとした贅沢気分を味わっていると
「オゥ!まだやってるかぃ」
いささか酔っ払った純人種の男が入ってきた。
店員に案内されるよりも先にヅカヅカと男はトトの隣へ座る。
いやがおうにも、男へ視線を向けるトトの顔から嫌悪感が浮かんだ。
「とりあえず、ビール持って来いよ、あと…んー?なんか獣くせぇぞ」
嫌味ったらしい男の独り言にトトは舌打ちをした。
話が変わるが、獣人種の社会的立場は非常にややこしかったりする。
宗教色の強い国へ行けば、獣人種は神の使いのような扱いを受ければ
その反対に悪魔と蔑まれ忌み嫌われることが多々ある。
これは、多腕族や鬼族のような亜人種にも当てはまることなのだが
歴史の中で獣人種は、主にその身体能力から奴隷として扱われたり
富豪達の特殊な性癖を満たすために弄ばれたり、挙句、戦時中のとある国では
不当な理由で収監し、虐を行なったこともあるらしい。
そういった歴史からなのか、社会的に低く見られ不当な扱いを受けることが度々あったりする。
現在、そのようなボーダーは少なくなり、獣人種も大統領選挙に出馬出来たりするほど
社会的地位は見直されたが、しかし、差別が完全になくなったとは言えない。

60 :
男が隣に座ってから、トトはしばらくの間我慢していた。
「獣くさい」から始まり「毛むくじゃら」「檻に入れとけよ」「生肉でいいだろ」等々
と男は言いたい放題の中、トトは顔を引きつらせながら耐えた。
それもこれも肉のためである。
「お待たせしました」
遂に、念願のステーキの姿を目の当たりにした時、トトは思わず感動した。
しかし、その感動は長く続かなかった。
次の瞬間、手にしていた酒をこともあろうに、ステーキにぶちまけたのだ。
盛大にあがる水蒸気、咽るほどのアルコールの匂い
「おねーさん、ちゃんと冷やさなきゃ駄目だよー猫舌なんだからー」
男の戯言はもう耳には入ってはいなかった。
トトは何も言わず、フォークを振り上げると
なんの躊躇もなく男の手に振り下ろす。
「こんのクソがぁぁぁあぁぁ!!!」
こうしてアゲガ配属初日の夜は更けていくのだった。

61 :

【ギルド内ビル最上階】
ゲオルグの件から数日経ったある日の昼過ぎ、トトとアッシュに召集がかけられた。
因みにルイーネはメルシィと出掛けたのでここには来ていない。
外はバンプスが起こした爆発騒ぎのお陰で、「KEEP OUT」のテープがそこかしこに張り巡らされている。
先日、戦場と化した路地裏には何人かの刑事達が調査を進めている。
ギルドに入る際は、路地に立つ数人の警官達の冷たい視線を浴びることになるだろう。
ともあれ、最上階に辿り着いた二人がドアを開ければ、それを目にすることになる。
「ようお前ら。悪いが俺のブラックマウンテン探してくんね?
 アイツ足が生えてるからよォ、すーぐどっか行っちまうんだ」
……無様に地面に腹這いになった駄目親父もとい、スタンプの姿を、だ。
彼が言うブラックマウンテンとは、二人の傍にあるデスクの下の煙草のことである。
しかも裸だ。下半身はギリギリを履いているものの、見ていて見苦しいことこの上ない。
此処がギルドで、スタンプの自室でなければ、トトに手錠を嵌められても文句は言えないだろう。
オッサンが朝から必死になって煙草を探す駄目っぷりを発揮したところで、本題だ。
ようやく服を着たスタンプが腰掛け、二人にも座るよう促す。
「まー掛けろ。その爪で引っ掻くんじゃねえぞ?……んで、だ。二人を呼んだのは他でもねえ」
一言区切ると、アッシュとトトを交互に見るや、深ーい溜息を吐く。
「昨日の件でちょっとな。
 アッシュ、お前腕が落ちたんじゃないか?お前ならあと3〜4人位、ワケなかったろ。
 それとトトもだ。釘を刺すようだが、俺達の扱いは一応『一般市民』だ。
 ギルドにゃ同じ一般市民を無闇に傷つけちゃいけねえって決まりもある。手加減ってのを覚えにゃな」
ポケットから棒キャンディーを取り出して口を開いたかと思えば、まさかのお小言が始まった。
ギルドでは3つのルールが存在する。
「カタギはすな」
「上司に逆らうな」
「仲間を裏切るな」
実に簡潔、ストレートだ。これを破れば同じギルドの面々から顰蹙を食らう。
場合によってはギルドを永遠追放、なんてのもよく聞く話である。
アゲンストガードに至っては、「市民と街を守る」のが仕事だ。
いくら相手が魔法使いであるといえど、市民にカテゴライズされている内は自重というものを覚えなければならない。
その点において、正当防衛といえどトトはやりすぎだ、ということだ。
ゲオルグに手を掛けようとしたルイーネも今頃、同じ事をメルシィからきつく言われていることだろう。
「そんでだ。お前らにちょっとした『修行』を課そうと思う」

62 :

何が言いたいのか、といえば。スタンプがニヤリと笑った。
『明らかに何か企んでます』、と書いてありそうな位、顔にありありと浮かんでいる。
スタンプはまず説明するより早く、手慣れた様子で大きめの封筒を差し出す。
入っているのは、無線機が二つ、地図と書類を幾つか。
「本来はアゲガ内で『ちょっとした』腕試しでやる事なんだがな。
 二人には今から、ある男を捕縛してもらう。勿論、『無傷』でだ」
書類には一人の男の写真とプロフィールが記載されている。
地図はニューラ―ク市内のものだ。ショッピングモールから裏路地までの詳細がびっしり書き込まれている。
男の名はビリー・イーズデイル。
痩せぎすで左腕に蛇のタトゥー、スキンヘッドが特徴だ。
34歳、元公務員だが暴力事件を起こし辞職。
現在は無職。窃盗の前科があり、密売人としての嫌疑が掛けられている。
最大の特徴として、彼は自身の犯した罪の痕跡を出来るだけ残さない。
警察が何度も捕まえようとしたが叶わず、お手上げ状態。ギルドにお鉢が回って来たわけだ。
しかしビリーは、何度か別のアゲガに捕縛されかけるも、全て逃げおおせている。
そのすばしっこさと証拠隠滅の周到さに、ギルドの一部では彼を捕縛することがちょっとしたブームになっているのだ。
「コイツを、出来る限り無傷で捕縛しろ。これはリーダーとしての命令だ。
 スタートは30分後。5分前には『クライストンビル』で待機。返事は?」
その空白の30分は何なのか。と尋ねられても、スタンプは肩を竦めるだけだろう。
返事を聞くと、スタンプは手で蝿を追い払うように出て行けというモーションをし、ソファに寝転がった。
二人はその30分を使って何をしてもいい。
仲間にビリーの情報を聞くなり、街を散策するなり、準備をするなり。
しかし忘れてはいけない。
5分前にはニューラ―ク市最大の建築物『クライストンビル』に到着せねばならない。
でなければ、ビリーの捕縛は適わないだろう……とスタンプは付け加えた。
そして「無傷で捕縛できなければ」どうなるか。
「お前らは絶対、指一本でもそいつにゃ触るなよ。お前らが手を出したと分かった場合――コレ、だ」
手でシュッと首を切る動作を見れば、おおかた予想はつくだろう。
時間は午後3時30分。任務予定開始時間は――4時。
【第2ステージ:密売人候補を『無傷』で捕縛せよ!】
【1ターン目は好きに過ごして下さい。ビリーの情報に関することは避難所でお答えします。
 それ以外(街の様子など)は自由に描写してください。】

63 :
「だーるーいーなー。」
スタンプの旦那から呼び出しを受けギルドに向かう途中、ドンパチ騒ぎを起こした路地裏では警察が一生懸命捜査を進めていた。
仕事熱心なのは結構だけど、冷ややかな視線を送るのはやめて頂きたい。
>「ようお前ら。悪いが俺のブラックマウンテン探してくんね?
 アイツ足が生えてるからよォ、すーぐどっか行っちまうんだ」
……このマン、マジで人をなめてやがる…。
上司じゃなかったら殴り倒してるところだ。
こっちはあの冷ややかな視線を受けてまで来てやったってのに…。
いっそのこと煙草なんてやめちまえばいいんだ。
高いし、体に悪いし、周りに迷惑だし……
それでもやめられないのが煙草の怖い所なんだけど。
「ほれ、あったぜ。」
デスクの下から煙草を発見し、旦那に手渡す。
大事な大事な恋人を簡単になくしちゃいけませんよ。
>「まー掛けろ。その爪で引っ掻くんじゃねえぞ?……んで、だ。二人を呼んだのは他でもねえ」
そこまで言うと俺とトトちゃんを交互に見て深い溜め息をつく。
何よ、何なのよその溜め息。
>「昨日の件でちょっとな。
 アッシュ、お前腕が落ちたんじゃないか?お前ならあと3〜4人位、ワケなかったろ。
 それとトトもだ。釘を刺すようだが、俺達の扱いは一応『一般市民』だ。
 ギルドにゃ同じ一般市民を無闇に傷つけちゃいけねえって決まりもある。手加減ってのを覚えにゃな」
うっ…痛い所を突きやがる。
確かにあんな雑魚相手に傷を負わされたのは大いなる失態だ。
だが、まさかそんな小言を言う為だけに俺達を呼び出したわけじゃあるまい。
>「そんでだ。お前らにちょっとした『修行』を課そうと思う」
やっぱり?
やっぱりそういう展開になる?
やめろ、いますぐそのムカつく笑みをやめてくれ。
イライラするから。

64 :
説明の前に大きめの封筒が差し出される。
中身を確認すると無線機2つと地図と書類……宝探しでもやらせる気か?
>「本来はアゲガ内で『ちょっとした』腕試しでやる事なんだがな。
 二人には今から、ある男を捕縛してもらう。勿論、『無傷』でだ」
説明を受けながら書類を1枚取り出すと左腕に蛇のタトゥーを彫っているスキンヘッドの男と、その男のプロフィールが書いてあった。
>「コイツを、出来る限り無傷で捕縛しろ。これはリーダーとしての命令だ。
 スタートは30分後。5分前には『クライストンビル』で待機。返事は?」
これまた面倒な事を…。
無傷で捕縛ってのがどんだけ大変な事か、旦那だって分かってるだろうに。
しかももし手を出したのがバレたらクビときたもんだ。
リスク高すぎだろ。
「さて…それじゃあ後ほどクライストンビルでね、トトちゃん。」
ギルドの入り口でトトちゃんに別れを告げる。
旦那の反応を見た限り、30分という時間は自由に使っていいらしい。
トトちゃんとは一旦別れて各自で準備をする事にした。
無傷で捕縛する為にはそれ相応の準備が必要だからな。
「オヤジー。傷付けないで人を捕縛出来る武器をくれ。」
「旦那ぁ武器屋に人を傷付けない武器なんてあるわけないじゃないですか。」
俺は行きつけの武器屋を頼る事にした。
ここの主人は獣人種という事で虐げられていた所を助けた事がきっかけで、色々とご贔屓させてもらっているのだ。
外見がちょっと違うだけで亜人だ獣人だと騒ぎ立てるバカが未だに数多く居やがる。
多種族国家の大きな問題である種族間の溝というのは悲しい事になかなか埋まらない。
「そこをなんとかさぁ〜。頼むよ〜オヤジぃ〜。」
「気色悪い声を出すんじゃねぇ。とりあえず探してみるだけ探してみるよ。」
「ありがとよん♪」

65 :
現時刻、3時55分。
タクシーをぶっ飛ばしてもらってギリギリ間に合った。
「お待たせ〜。」
トトちゃんと合流し、クライストンビルを見上げる。
見れば見るほど馬鹿でかいビルだ。
どこのどいつがこんなビルを建てようと思ったのかは分からんが、こんな所に無駄な金をかけやがって。
そんな金があんならもっと別の所に金を回せってんだ…。
不況だ何だって言ってもある所には金があるんだなぁ。
…っと、今は考え事をしている場合じゃない。
「それじゃあトトちゃん、そろそろ行きますか?」

66 :
その日、トトはイラついていた。
先日のバンプスやレストランでの喧嘩を引きずっている訳ではないのだが
とにかくイラついていた。
そんな日に限ってスタンプからの呼び出しがあるのだからたまったものではない。
用件を手短にすませ、適当にストレス発散しようとギルドに向かう最中
この前暴れた路地にはよく見たテープと顔を良く知っている元同僚の姿が確認できた。
「おつかれにゃん」
愛想なくそいつらに適当な挨拶をして通り過ぎる。
通りすぎている最中、背中に視線が刺さっているのを感じる。
当然のことだとトトは思った。
自身の転勤日とバンプスの証言、おまけに違法魔法使いたちに付けた爪跡
どんなに勘の悪い奴でも疑いを通り越して確信するだろう。
しかし、そこまでの証拠があってもココでトトを止めないのは
自分らが手を焼いていたバンプスを壊滅させた手柄なのか、それとも、複雑な何かがあるのか
深く考えるのをやめ、トトはビルの中へ入っていった。
「…」
ほぼ無感情に近い面持ちで、トトはパンイチのスタンプをただ見ていた。
あまりのアレさ加減に切れる気力も起きないのだ。
アッシュがタバコを見つけ、ようやく本題に入ろうとした所
「…チッ!」
スタンプは冗談のつもりで引っ掻くなと忠告したのだろうが、トトにはそれが癪にさわったようだ。
聞こえるように舌打ちし、一瞬スタンプを睨んだ。
それ様を見たのか見てないのかわからないが、スタンプは話を続ける。
単純に内容を説明するなら、昨日の一件はどうみてもやりすぎ、自重しろ
とのことだ。
「赤いドレスを着て闘牛の目の前に飛び出した奴のことを『一般市民』とは言わないにゃ」
トトはそう文句を垂れるも、しぶしぶスタンプの話を聞く
スタンプの小言は終わり、本題である仕事の話が始まった。
渡された封筒をあけ、ざっと書類に目を通すとトトは声を漏らす。
ビリー・イーズデイル、トトがさずに捕まえた数少ない内の一人だ。
ただその時は、窃盗で逮捕しただけで、のバイヤーであることは初耳だった。
取調べの時に臭うことを言っていたのかもしれないが、取調べは別人が行った為耳に届いていなかったのかもしれない
トトはそれを知り、苦虫を潰したような顔で頭を掻いた。
ただでさえ無傷で捕まえることが苦手な上に相手が相手なのだから仕方が無い。
しかし、やらなければならない。それが社会人であり
「はい」
アゲガなのだから

67 :

25分後、上から下までゴスロリで決めたトトがクライストンビルの前で立っていた。
今回のターゲットと面識があるトトがこのままいけば確実にバレるに違いないと考えた末に
ゴスロリで変装という、頭かくして尻が隠しきれているかどうか妖しい
いや、寧ろホタルのように光っているかも知れない結論に行き着いたからだ。
「…自分でやればよかったにゃ」
しかし、変装にゴスロリを選んだのはトトの意思ではない
変装の為の服を見繕いにブティックに入り、物色していたところを店員に話しかけられ
ついつい、他人を間違われるぐらいイメージチェンジがしたいと言ってしまったのが間違いだった。
慣れないスカートの感覚に少しもじもじしているとアッシュが到着した。
「んもぅ〜大事遅刻だよ〜お兄ちゃん♪」
いつもの三倍以上に猫を被り声も変え、アッシュの元へ駆け寄る。
猫を被りすぎて語尾までぶっ飛んでいる始末だ。
>「それじゃあトトちゃん、そろそろ行きますか?」
といきなり正体をばらしたアッシュのつま先を踏みつける。
変に誤解されないよう、義妹が甘えているようにカムフラージュしながら
「私が好きでこんな格好していると思っているのかにゃ?
 態々ウィッグまでつけてきているのに、いきなり名前で呼ばれたら台無しだろうが」
耳元でそうアッシュに忠告し、離れる。
「行こうお兄ちゃん!キティ欲しいものがあるの」
キティって柄じゃねーよ

68 :
【午後3時55分 クライストンビル48階】
クライストンビル――合衆国最大の高層ビルとして、その名を知らない者は居ない。
最頂部含め高さは496m(四捨五入すれば実に約500メートル!)、付いたあだ名は「ヒマラヤ・ビル」。
階数は全99階で屋上があり、この内50階までがショッピングモールやエステ等の娯楽施設、それ以上はホテルとなっている。
7POAT(セブンポート・7大アメリク観光ポイントの略)の一つとされ、多くの観光客も訪れる。
なお、48階は一面ガラス張りの空中大庭園となっており、カップルや家族連れも多い。
「(5分前――そろそろか)」
一足先にスタンプはビルに到着しており、空中庭園の中に設けられたカフェの端の席に腰掛けていた。
観賞用の生い茂る熱帯植物を鬱陶しく感じ眉間を顰めつつ、腕時計に目を落とす。
予定では、トトとアッシュがビルに到着している頃だろう。
コートのポケットに手を突っ込むと、携帯電話を出しコールをかけた。
「……よう、俺だ。あ?誰が詐欺だぶちのめすぞ。
 二人揃って合流したか……よし、今から作戦を伝えるぜ。
               ターゲット
 お前らには言ってなかったが、目標には必ず部下……というか仲介役がいる。
 の値段交渉や取引場所とかも仲介役を通し、絶対に姿を見せる事はねえ。
 ……ってー事情があってよ。今から俺がそいつと『取引』をする。囮って奴だな。」
会話しつつ、チラ、とエレベーターの方向を見る。
6つある内の、右端の殆ど動かない、運搬用のエレベーターが稼働している。
例の『仲介役』が来る合図だ。スタンプの三白眼が鋭く光る。
「48階に来い。カップルか家族でも装って此処に来るんだ。
 いいか、作戦はこうだ。
 仲介役が来たら、偽の『取引』を開始する。そしてお前らが来たら、頃合いを見て『場所を変えよう』と指示する。
 お前らは俺達を自然に『尾行』しろ。袋小路にでも連れ込んだら適当に脅すなりしてビリーの居場所を吐かせる。
 兎に角早く来い。奴さんはスピード主義でな、交渉はなるべく長引かせるが、怪しまれたら終わりだからよ。」
チン。右端のエレベーターが軽快にベルを鳴らす。
ドアが開き、大人しそうな眼鏡を掛けた紳士風の青年が出てきた。
『仲介役』――ビリーと同じく、警察やギルドの網を何度もくぐり抜けて来た謎の存在。
変装の名人であり、彼(或いは彼女)と接触した買収者達の、仲介役に関する証言が一致することは一切ない。
またビリーとの関連性を一切見出さないことで、ビリー確保の失敗に一役買っていた。
謎めいたビリーの右腕『仲介役』。その存在を知る者は警察やギルドの一部に限られてくる。
そして今、その『仲介役』がスタンプの眼と鼻の先にいる――――――!
「……こんにちは。スタンプさんで間違いないですか?」
「ああ。そういうアンタは、ジェントリさんで合ってるのかい?」
スタンプは数週間前からあらゆる手を尽くし、ようやく仲介役との接触までに辿り着いた。
お膳立ては十二分だ。ここまでくれば、ビリー確保はあっという間だろう。
適当に会話を挟んで友人同士の振りを装いつつ、スタンプは二人が来るのを待った。
だが、一つ思わぬ誤算があった。
月に一度、空中大庭園へと繋がる6つのエレベーターは、定期検査の為、3分おきに1機が使用不可となる。
それが何と今日なのだ。午後4時ぴったりから検査は始まる。一階では既に二人が乗る筈のエレベーターは止まっているだろう。
【MISSION1:なんとしてでも48階へGO!】
【現在時刻は午後4時、人が多く目的の48階までは約10分ほどかかります。
 3分おきにエレベーターが止まるため、足止めを食らう可能性大】

69 :
ほしゅ

70 :
>>69
「……ありがとうございます」
ぐっじょぶ d(`・ω・´)
しかし、いきつけだったあんなスレやそんなスレが全部消えてしまったよーだ……(´;ω;`)

71 :
【>>ルイーネ クライストンビル】
一方、メルシィとルイーネもクライストンビルに到着していた。
メルシィは金のウィッグを被り、紅を基調としたドレスという姿。
片手にはブランド物のハンドバックを携え、一見すればブルジョアジー。
傍から見れば、金持ちの母子が買い物をしに来たように見えるだろう。
――これで、魔術師が着るようなローブを着てなければ、の話だが。
「ルイーネちゃんは初めてかしら、こういう所来るの?」
メイクをばっちり決めた顔を後方に向け、ルイーネに尋ねた。
その両脇で、メルシィの姿を認めたビルの関係者たちは次々頭を下げる。
現在、二人はクライストンビルの地下――第一級セキリュティルームへ来ていた。
今回、メルシィ達は買い物に来た訳ではない。れっきとした仕事だ。
道具屋とは、魔法具の扱いに長けた者達のための、魔法使いにとって最上級の職業の一つである。
道具の精製法から呪法具の解呪法など、仕事の内容もバラエティに富んでいる。
因みに、道具屋にもレベルという物が存在する。
レベルは5段階に分けられ、高ければ高いほど仕事内容も高度なものになる。
メルシィの道具屋レベルはグレード4。かなりのベテランである。
具体的には、――――百聞は一見に如かずだろう。
「此処はね、いわゆる上層階級の人達の私用銀行みたいな所なの。
 時価1000万ドルのダイヤとか、固有財産をしまっておくためのね」
クライストンビルのセキリュティーの高さは普通の銀行よりも群を抜いて高い。
それは一重に、メルシィのようなベテラン魔法使いやセキリュティー専門家の協力があってこそである。
通常のロックに加え、更に外部にトラップ魔法具や禁固魔法等のが掛けられている。
だが機械とは違い、魔法は年月が経つにつれ効力が薄くなる。
そのため、定期的にこうして検査しにくるのである。
「此処のトラップ魔法を創ったのは私の師匠なの。こういう凝った魔法を掛けるのが好きな人でね〜」
合鍵を持ってなければ扉に触れただけで鋼鉄の檻に変化する魔法、
特定の人物以外が暗証番号を解こうとするとボタンが一斉に噛みついてくる魔法、
合言葉を時間内に言わなければピクシー妖精が一斉に攻撃してくる魔法などなど。
10を超えるそれらの検査を全て済ませるのに、ゆうに1、2時間はかかっただろうか。
何せ全て、文字通り体を張って魔法を作動させ、また掛け直すのだから。
「あぁあー疲れたぁー!」
残った一匹のピクシーを指で弾き、メルシィはへたりと座り込む。
「はぁーあ……ルイーネちゃん、ここから先は私一人でいかなきゃいけないの。
 だから終わるまで、上で遊んでらっしゃいな。5時には戻ってきてちょうだい」
へとへとですと言わんばかりの表情で、ルイーネに向けてそう言う。
時刻は既に4時ちょうどを差していた。
【ルイーネ→自由時間です】

72 :

【第2ステージ】【ルイーネ宅】
 
爽やかな朝。
スーツの袖をだぶつかせ、桜咲く春の校門をくぐりぬける小学校一年生が如く、
初々しくも微笑ましい出で立ちでアパートの戸を開く緑髪のドワーフ娘が一人。
肩にはマッドブラックに焼き入れされた機械斧槍《マシン・ハルバード》。
数日前から新生活を始めた、ルイーネ・アイゼンツォルンの通勤姿だ。
アゲンストガードは基本的に服装の自由が認められているのだが、ルイーネはあえて指定の制服を上司に申請した。
あ、そこの君、関心してやる必要なんてトロールの知能ほどもないからね。
彼女の場合は単に「毎朝私服を選ぶのがメンドクセー」というモテない中学生のような、それこそものぐさ者の発想にすぎないのだから。
結局のところニューラーク支部のアゲガに女性のドワーフがルイーネしかいなかったので、ご覧の有様である。ざまあ。
「およ、ルイちゃん、今から出勤?」
扉を施錠するルイーネに子どもを抱いたハーフエルフが呼びかける。
「あ、お隣さん、おはようございます。そちらは丁度ご帰宅ですか?」
「んー、そうなのー、撮影の帰りでねー……」
「お疲れ様です」
「全くよ。流石の私も一度に五十人相手のカラミは大変だったんだから」
「いえ、そこまで聞いてません」
「つれないなー。ま、今の職場クビになったら教えてよ。大家に追い出される前に私がビデオの仕事紹介してあげるからさっ♪ 
 ドワーフの女の子って最近結構需要あるみたいよ?」
「……そんな日が来ないようちゃんと頑張りますので」
「ぶー、そんな言い方しなくてもいいのに」
 
早朝から全年齢対象の場でかような落ち着きの無い会話をさせてしまって申し訳ない。
亜人種は純人よりも長命な種族であることが多い。
しかし、往々にしてその精神年齢は見た目とほぼ変わらないことが多いようだ。
こちらの子持ちハーフエルフさんの見た目も二十代前半といったところで、気持ちの面でもだいたいそれぐらいである。
「ほら、ルイちゃんにいってらっしゃーいは?」「いってらっらーい!」
ちなみに、彼女の年齢は現在274歳。
「……いってきます」
《そちらの業界》では70年近く活躍されている、人気女優さんなのだとか――げに、エルフとは恐ろしい種族である。

73 :
>>71 GM
【クライストンビル 地下】【休憩時間】
>「はぁーあ……ルイーネちゃん、ここから先は私一人でいかなきゃいけないの」
横道にそれるのはこれぐらいにして本筋に戻ろう。
現在ルイーネは『道具屋』メルシィのアシスタントとしてこの場に来ている。
彼女曰く、ドワーフのルーンスミスが彫る刻印やアーティファクトとは違い、
こういった媒介の無い魔法は経年によって効力が薄らぎやすいのだと云う。
>「だから終わるまで、上で遊んでらっしゃいな。5時には戻ってきてちょうだい」
(遊んでらっしゃいって……完全に子ども扱いですね、メルシィさん)
自分のほうが年上なのにとぼやきたくなる反面、仕方無いとも感じるルイーネ。
直属の上司なのでいちいち抗議するわけにもいかない。亜人はこういうとき複雑だ。
(タバコでも吸ってこよう)
ポケットからディアボロのブラックメンソールを取り出し、喫煙所を探す。
その背中にビルの警備員が声をかけた。
「そこの君。こんなところに入っちゃ駄目じゃないか。もしかして迷子かい?」
警備員に全く悪意はなかったのだが、ルイーネが如何にも不機嫌な眼つきで彼に振り向いたのは言うまでも無い。
ドワーフは首に下げた通行証を彼に突きつけた。
「……あ、失礼しました。アゲガの人でしたかw」
ルイーネは彼に喫煙所の場所を尋ねた。残念ながら地下には無いという。
休憩なら48階の空中庭園にあるカフェがいいと薦められたので、ルイーネはそこに向かおうと思った。
客用と運搬用のエレベーターは点検で停まってしまう可能性があるというので、他のものに乗る。
こういったビルには客が入れないフロアにも【複数】のエレベーターを設置しているのである。
【クライストンビル 48階】【午後4時 ○○分】
カフェに到着したルイーネは以外な人物を目撃した。
「……Mr.ファントム。何故こんなところに?」
声をかけようとして、踏みとどまる。いつもと様子が違ったからだ。
彼女の知るアゲンストガードのリーダーは基本裸族であり、こんなところで優雅に茶をしばいたりなんかしない。
ましてや見知らぬ人間と会談中とあればなおのことだ。
【カフェに到着】【スタンプを様子見】

74 :
お兄ちゃん……まったくなんて素晴らしい響きなんだ!
体の奥底から何かが湧き上がってくるような感覚すら覚える!
ああ…俺に妹が居れば毎日お兄ちゃんと呼んでもらえたのに…。
今は亡き父母よ…何故俺に妹を産んでくれなかったのだ…。
>「私が好きでこんな格好していると思っているのかにゃ?
 態々ウィッグまでつけてきているのに、いきなり名前で呼ばれたら台無しだろうが」
あうちっ!
痛いよトトちゃん!
つま先は反則じゃん!
つま先は踏んじゃ駄目なところじゃん!
>「行こうお兄ちゃん!キティ欲しいものがあるの」
「お…おう……何でも買ってやる…よ…。」
猫の皮を被った虎か……う〜怖い怖い…。
若干ぎこちなくはあるが、兄妹を演じながらビルの中へと歩を進めると携帯の着信音が鳴り響く。
>「……よう、俺だ。あ?誰が詐欺だぶちのめすぞ。
 二人揃って合流したか……よし、今から作戦を伝えるぜ。
               ターゲット
 お前らには言ってなかったが、目標には必ず部下……というか仲介役がいる。
 の値段交渉や取引場所とかも仲介役を通し、絶対に姿を見せる事はねえ。
 ……ってー事情があってよ。今から俺がそいつと『取引』をする。囮って奴だな。」
いきなり俺って言うから詐欺かと思ったじゃないか。
まあ、ちゃんと「スタンプの旦那」って表示されてたけどさ。
>「48階に来い。カップルか家族でも装って此処に来るんだ。
 いいか、作戦はこうだ。
 仲介役が来たら、偽の『取引』を開始する。そしてお前らが来たら、頃合いを見て『場所を変えよう』と指示する。
 お前らは俺達を自然に『尾行』しろ。袋小路にでも連れ込んだら適当に脅すなりしてビリーの居場所を吐かせる。
 兎に角早く来い。奴さんはスピード主義でな、交渉はなるべく長引かせるが、怪しまれたら終わりだからよ。」
そこまで言って電話は切れた。
エレベーターに向かいながら旦那の話をトトちゃんにも説明する。
「まずは48階に行k…」
エレベーターの前まで来て愕然とする。
今の時刻は4時ちょい過ぎ……エレベーターは……止まっていた…。
よりによって今日が月に1度の定期検査だとっ!
「こうなったら……!行くぞ妹よ!!」
泣きたくなるような展開だが仕方が無い…階段を全力で駆け上がるのだ!
それ以外に道は無い!

75 :
ぎこちなく歩くアッシュの腕を引っ張りながらビルを散策していると
スタンプから連絡が入った。
「全く脱帽ものだにゃ」
ぬいぐるみに仕込んだ携帯に耳を近づけ
スタンプの作戦を聞きながら、トトは呟いた。
捜査で犯罪組織に捜査官を潜り込ませることはよくあることだが
スタンプのように自ら取引相手と偽って接触を図ろうとする話は聞いたことがなかった。
それもそのはずだ。取引は危険なギャンブルだ。
事を知られずに成立すれば強大な財源を得られるが、
下手をうてば、その先にあるのは絶望しかない。
だからこそ、彼らは取引相手を慎重に選び、徹底的に調べ上げる
警察という組織に属している人間には出来ない芸当だ。
電話が切れたのを確認し、ぬいぐるみを仕舞うとアッシュと共にエレベータへ向かった。
が、目の前にあったのは「ご迷惑をお掛けしております。ただ点検中の為〜」
と書かれた看板と、世話しなく作業をしてる作業員の姿だった。
「んもー、なんでこんな時に点検中なのー
 仕方ないな、エスカレーターでって待ってお兄ちゃん」
エスカレーターという選択肢を捨て、階段という苦行を選んだアッシュを
追うようにトトも階段へ向かった。
獣人特有の身体能力に加え、趣味と実益で続けていたパルクールの技能のお陰で
すぐさまアッシュに追いついた。
そのまま、五階ほど登ったあたりでトトは足を止めた。
「流石に階段で行くのは無理にゃ」
お互いまだ体力に余裕はありそうだったが、
仮にこのまま48階へ着いた時のことを考えるとやはり、違う方法を考えるべきだと思う
肩で息をしながら、兄妹のように歩くゴスロリ獣人と男…怪しすぎる。
しかし、快適な移動手段は無いに等しい
「安心するにゃ、方法ならあるにゃ」
とトトが指を刺した先にいたのは、窓の外でリフトに乗りながら
手馴れた感じで窓を拭いている清掃員の姿だった。
「エレベーターには敵わないけど、階段よりはマシにゃ」
そうアッシュに告げると、すぐさま清掃員との間合いをつめ
窓ガラスを切り裂くと、窓の外へ飛び出しリフトに飛び移った。
「ここから落されたくなかったら大人しくしてるにゃ」
爪を突きつけ清掃員が余計な真似をしないよう脅す。
【アッシュを追って階段を登る】
【バレそうな気がしたので、清掃員のリフトをジャックする】
【45階辺りで同じようにビル内へ戻る予定】

76 :
ちょwwwwおまwwwwwwww

77 :
今更なのですが、次のターンからでいいので入れて貰えたりしないでしょうか(´・ω・`)

78 :
>>77
それは新規参加希望、と受け取ってよろしいでしょうか?
でしたら大大大歓迎でございます!

79 :
>>78
はい、新規参加させてください!
明日の夜までにはキャラシートあげるので、参加可能なタイミングを教えて頂けますか?

80 :
早く消えろ自演野郎

81 :
>>79
GMの俺がまともにレス書けてないという体たらくぶりなので、参加するなら今がチャンスですよー

82 :
俺も参加俺も参加

83 :
【5階 リフト】
今日というこの日を、雇われアルバイト清掃員(25)は一生忘れることは無いだろう。
午後4時を回った頃、アルバイト清掃員はリフトに乗り清掃に精を出していた。
一面のガラスの壁を一望し、ガラスワイパー片手に窓を磨く。
ガラスが景色を反射させ、青い空と白くたなびく雲を映し出す。
普通の人間ならば滅多に見られないこの光景を一寸たりとも曇らせるまいと、彼は必死に窓を磨く。
高い所、特に空が好きな彼にとって、窓切りという仕事は正に天職。
リフトという絶景スポットから見上げる空は、格別以外の何物でもない。
鼻歌交じりに窓を磨き続け、5階まで到達した際に、それは起きた。
「ん?」
ふと、ガラス越しに、ゴスロリを身に纏った獣人種の娘と目が合った。
幼さが残る顔で、こちらを指差しながら隣の銀髪の青年に何やら話しかけている。
きっと窓切りを見るのは初めてなんだろう、微笑ましいなあと思いつつ、アルバイト清掃員は作業に集中し直した。
獣人娘が、窓を斬り裂き、リフトに飛び乗って来るまでは。
「ひぃいいいっ!?なっ何何々!?」
>「ここから落されたくなかったら大人しくしてるにゃ」
「ひゃぃいいっ!!?」
可愛らしい顔立ちとは裏腹に、鋭い爪を首筋に突きつけ恐喝してくる獣人娘。
銀髪の青年も乗り込んでくる。止める術など無い。
突如リフトをジャックした二人の要求は、45階まで自分たちを運ぶこと。
若き清掃員に戦闘経験などあるわけもなく、ビビりながら従うのみ。
「え、えーと、45階ですね……」
だが、清掃員もただビビってるだけでは終わらない。
清掃員はリフトを操作すべく、コントローラーを手にとる。
このコントローラーは、レバーを前に倒せばリフトは上へ上がり、後ろに倒せば下へと降りる。
しかもコントローラーの裏には、警備室へ非常事態を知らせる緊急ボタンが設置されている。
それを気付かれぬよう、指を滑らせる。
「(隙を見てこのボタンを押して、警備の人達に助けを……!)」
徐々にリフトが上を目指す最中、清掃員はひたすらチャンスを待った。
このまま二人に気付かれずにボタンを押す事に成功すれば、たちまちリフトは急停止する。
そうなれば、武装した警備員と二人が一悶着起こすことは必須になるだろう。
【48階・大庭園】
「(っそー……遅いなあの二人……)」
一方その頃スタンプは、中々来ないアッシュとトトに苛立ちを尖らせていた。
不機嫌さを表に出すことは無いが、それでも僅かに不穏な空気を纏わせる。
この作戦は何よりもスピード重視。尚且つ相手を「無傷で」捕えることにある。
二人に指示を出して早20分ほど経過。
4時を回った頃から、人の数は徐々に減り始め、まばらに点在するだけとなっていた。
下の階で行われる、某有名レストラン主催のパーティーに人が集まっているせいだ。
だがそれでも、本来の待ち人であるアッシュとトトの姿はない。
元々そこまで会話にボギャブラリーのないスタンプは、早くも会話のネタ切れで焦っていた。

84 :
一方の仲介者といえば、時計を気にしながらコーヒーを啜っている。
とても、を扱う一級犯罪者の右腕とは思えない温和な態度を余裕で見せつけながら。
余りに隙だらけ。余りに無防備。こいつは本当に犯罪者なのかと、目の前にしているスタンプでさえ疑ってしまう。
「時に、えーと……スタンプさん」
「おぉうっ!? な、何だ…じゃなくて、何でしょう?」
「そんなに驚かなくても……。コーヒーのお代わりをしても?」
「あ、あー……構いませんよ?」
まさか作戦がバレたかと思ったが、そんなことは無かったようである。
ウェイトレスにお代わりを頼む仲介者の後頭部を、スタンプは固い表情で見ていた。
「ねえ、スタンプさん」
仲介者が振り返り、向けて来た朗らかな笑顔を、スタンプも同じく笑顔で返す。
「そろそろ止めません? このお芝居」
笑顔が、凍りついた。
平穏な大庭園に設置された喫茶店の一角で、そこだけまるで別世界のような剣呑とした雰囲気に包まれる。
ウェイトレスがコーヒーを運んできた瞬間にその雰囲気は仕舞われたが。
仲介者は、今しがた口に出した発言を忘れたかのように、出されたコーヒーを煽る。
スタンプは一瞬だけ表情を固めた。が、再びポーカーフェイスを取り戻し口を開く。
「……お芝居たぁ、どういう事ですかねえ?」
「とぼけた所で遅いですよ、スタンプさん」
す、と仲介者がスタンプの後方を指差した。首を少し捻じり、スタンプは驚きに目を見開く。
その先にいるのは、こちらを観察するルイーネの姿。 まさかこんな所で遭遇するとは思わなかった。誤算その2である。
「お仲間を連れてとは、良い度胸ですね。大方、取締り官ってところですか?」
刹那、スタンプは足元に脅威を感じた。
脛に、鋭い刃物の切っ先を押し付けられた感覚。恐らく足元に何らかの武器を仕込んであるのだろうか。
だがあくまでも、スタンプは表情を崩さない。ここから先、少しでも隙を見せた時点でアウトだ。
仲介者はにこりと笑うと、スタンプにしか聞こえぬよう声を落として囁く。
「良いですねえ、彼女。『分解(バラ)』して売ったら、幾らになるでしょう?」
その一言は、スタンプを戦慄させるには充分な一言だった。
仲介者は笑顔を湛えたまま立ち上がり、ルイーネへと近づく。
「こんにちはお嬢さん、スタンプさんのお知り合いだそうですね。一緒にお茶でも如何ですか」
人の良い笑みを浮かべた仲介者は、スタンプに対しても意味深な笑みを向けた。
これはスタンプに対しての、遠回しの脅迫。
ルイーネもまた、仲介者に触れられた瞬間にただならぬ気を感じ取っただろう。
それはそのまま、人の良い笑みを浮かべた青年が「ただならぬ何者」であるかを露呈した一瞬でもある。
「コーヒーでもどうですか?それとも紅茶派でしょうか?」
青年は笑顔でルイーネに話しかける。 だが、仕込みナイフの先端はスタンプの脛に押しつけたまま。
尚且つ、ルイーネとスタンプの視界に入るか入らないかの所で、スーツの裾から銃口をちらつかせた。
ルイーネに接触した時点で、仲介者はルイーネを「人質」として使うと決めたようだ。
「スタンプさん、他にもお友達はいらっしゃるのでしょうか?何時頃いらっしゃるので?」
「…………………………」
これに対し、スタンプの解答は「沈黙」。
仲介者がしびれを切らすギリギリまで、何もアクションを起こすつもりはないという意思表示。
それと同時に、なごやかな雰囲気にそぐわない気配を纏う事で、ルイーネに非常事態を伝えるためでもあった。
なんとか、お互いの立場を逆転させなければ。「その瞬間」が来るのを、スタンプはひたすら待ち続けるしかなかった。
【トト&アッシュ組→リフトジャック成功なるも、緊急ボタンを押される5秒前。
          押された時点でリフトは止まり、武装した警備員と鉢合わせの可能性も!?】
【ルイーネ→仲介者が接触、お茶会に誘うと見せかけてルイーネを脅迫用の人質に】

85 :
気持ち悪い
幻影旅団のパクリ

86 :
幻影旅団があらわれた
ドローン

87 :
エレベーターのように早くは無いが、三人を乗せたリフトは
目的の階へ向かって上昇していた。
振り向けば、ここからだけでしか得られない絶景とエレベーターでは味わえない
開放感を満喫できるのだが、時間に追われているトトにそんな余裕はなかった。
「間に合いそうにないにゃ」
時計を確認し、焦りの息を漏らす。
その焦りからなのか、リフトを操作している清掃員に対して注意を向けず
これからのことについて暫し思考を巡らせる。
そろそろ目的の階に近づいてきているのに気がつき
ふと清掃員のほうへ視線が向かった。
その瞬間である。
「てめぇ何してんだ」
警報スイッチに伸ばした清掃員の腕を乱暴にひねりあげ
おさせまいと取り押さえようとするが、清掃員も負けじと暴れ
よしんば、抑えられていない腕や頭で押そうとしている。
なんとか操作パネルから清掃員を引き剥がすとトトは清掃員に対し怒鳴りつける
「ただでさえ遅れているってのによぉ、何してんだよ
 もう頭にきたぞ、本当は何もするつもりはなかったが、お前のせいだからな」
そう告げると、トトは手加減して清掃員を殴り倒した。
「ったく、手間かけさせやがって」
そうぼやいて、リフトを止めるとトトは何かに気づき
その場にしゃがんだ。
「コイツのことで頭がいっぱいで48階まで来てることに気がつかなかったにゃ」
気づかれてないか確認する為にリフトから顔を覗かせ、中の様子を伺う
スタンプと取引相手を思われる男は反対側の窓辺で話していた。
「とりあえず、バレてはいないみたいにゃ…アレ?」
何か違和感に気がついたのか、もう一度覗く
「なんでにゃ?なんでルイーネがいるにゃ、それに何か様子がおかしいにゃ」

88 :
【48階・大庭園 >>ルイーネ >>べネフィート】
取引きをするにあたって、事前に相手の情報を知るという事は基本中の基本だ。
仲介者が現在に至るまで警察の手を逃れ続けられたのも、情報があってこそである。
情報は、使い方によってはどの重火器よりも威力ある武器となる。
また、鋼鉄の盾よりも軽く強固な防壁となり、守ってくれる。
仲介者は何者よりも、情報を大事にし、多大な信頼を寄せていた。
だからこそ今回、スタンプ=ファントムという相手に対して、過敏過ぎるほどに警戒していたのだ。
「(スタンプ=ファントム……どんなに情報を洗っても、血液型すら分からなかった……)」
あらゆる手を使い、それこそ藁の山から髪の毛一本を探す気でスタンプに関する情報を探った。
だが、幾ら探せど彼の事は一切分からなかった。
スタンプが仲介者の指示通りに、事前に送って来たプロフィールのみが唯一の情報。
勿論、そんな物をハナから信じるつもりはなかった。
プロフィールを送って来るのは、あくまでも信用に値するかどうかのテストなのだ。
こちらで調べた情報とプロフィールが一致して初めて、取引を開始する。
だから、洗っても洗っても素情の出てこないスタンプを、仲介者は"脅威"と受け取った。
最初は取引きを断ろうかとも考えた。
見えない正体の候補――警察の関係者。プロの取締官。それ以上の組織――?
正体が掴めないことは、今までにない経験。どんな相手であれ、その中身を暴いてきた彼からすれば、薄気味悪い存在なのだ。
だがビリーは「構うことはない、取引しろ」と命令した。彼の一言は絶対だ。
一応、武装はした。脚部にナイフを仕込んだ脛当てを装着し、何時でもその足を捌けるように。
仕事仲間であるべネフィートも誘い、付近に待機させてある。
「万が一」の場合に備えてだ。仲介者自身は、戦闘経験はほぼゼロといっても過言ではない。
そして現在、スタンプとドワーフ少女……ルイーネへと目を滑らせ、微笑みをたたえながら二人を観察していた。
「(二人ともに焦りが見えませんね……余裕のつもりでしょうか)」
もし二人がグルだった場合、標的である仲介者が接触すればそれなりのアクションを見せるものと思っていた。
だが肝心のルイーネに、仲介者が予想したような表情の変化は見られなかった。
となると。ルイーネは全くの部外者であり、自分を追っていたのはスタンプ一人ということになる。
そもそも仲介者がスタンプを敵と明確に認識したのは、先程の山張りがあったからに他ならない。
仲介者の問いに対するスタンプの沈黙は暗に、自分の正体を明かしたようなもの。
――――待てよ。これは好機かもしれない。
「申し遅れました、私、スタンプさんの友人のジェントリと申す者です。
 輸入関係の仕事をしておりまして、今回はスタンプさんとある輸入物についての打ち合わせの最中だったんです。
 ……ときに不躾ではありますが、スタンプさんとのご関係は?」
流れるような嘘をいけしゃあしゃあと吐きつつ、ルイーネに何気なく尋ねる。
彼女が部外者ならば、何の猜疑心もなく問いに答えてくれるだろうと踏んだのだ。
沈黙か、或いは嘘を吐くような素振りを見せればクロ。どちらにせよ決定的な情報を捕まえることができる……だが。
「ああ、コイツ俺の『恋人』なんですよ」
ルイーネが答える前に、スタンプがバッサリそう言い切った。

89 :

「……スタンプさん、私はお嬢さんにお尋ねしているのですが。と言いますか犯罪ですよ」
「ご安心を。こいつは俺より年上ですし、昨今の世の中には合法ロリという言葉がありますから」
そういう問題ではないのだが、どことなくスタンプの顔は得意満面である。
ガンジーも助走付けてグーパンチするレベルだが、本人は上手い事言って誤魔化した、と言いたげだ。
疑わしいといわんばかりの視線を向けられれば、恋人を装おうとルイーネの手を握り、
「信じられないってなら、ここで一つ熱烈なキスでも……」
「いえ結構です。お連れ様が可哀想ですから」
これは酷いセクハラ発言。
ルイーネに殴られようとを持ちかけられようと文句は言えないレベルである。
だがそんなふざけたことを言っている間にも、握った小さな手のひらに素早く指で文字を書いた。
『今は 俺に 合わせろ』
ルイーネに素早くウインクすると、スタンプは取ってつけたような笑顔を向けた。
「……って訳で、取締官だとか言われても何のことだかサッパリなんですよ。映画の見すぎじゃないですかね?」
はっはっはと笑うスタンプ。別の意味で仲介人は冷めた視線を送る。
これ以上追及しても適当にはぐらかされてしまいそうである。さてどう攻めたものか。
何気なく視線を逸らし外へと向けた時、ふと何か違和感を感じた。
視界に入ったリフト。それ自体は別にどうという事は無い。問題は搭乗者だ。
「(今見えた影……明らかに清掃員の格好ではありませんでしたね…それに影が二つ……)」
仲介者の中で疑惑が首をもたげる。
べネフィートも気付いているだろうか。あのリフトの搭乗員に。
もし彼も気付いて疑念を持ったなら、何かしらの方法で探るだろうが……念には念をだ。
右手の指二本で眼鏡を押し上げ、視線をガラスの壁――不審な人影の見えたリフトに向けて投げかけた。
どこかで自分を見ているだろうべネフィートに対し、サインを送る。
この時既に、取引開始から30分が経過していた。
【べネフィート→サインを送る:リフトに怪しい奴が二人いるぞ、可能ならば始末しろ】
【ルイーネ→とんだセクハラ発言、今は適当に話を合わせてくれ】

90 :
今回の仕事の取引主、その仲介者たる彼……名前は何と言ったか
……どうも他人の名を覚えるのが得意ではないので思い出せないが
ともかく、“彼”が少し離れた場所に居る少女に向かって歩きだした時
ベネフィートは庭園内の喫茶店でも端の席。周りのソレとなんら変わりのないテーブルに着き、呑気に四皿目のサンドウィッチを頬張っていた
“彼”に誘われてノッた今回の話だが……正直な所、変化の無い状況に退屈を感じつつあったのも事実だったので
“彼”の行動はベネフィートの意識をサンドウィッチから引き離すのに十分効果的であった
(おや?)
今回の取引相手であるという男は、目の前にいるというのにどうしたと言うのか……?
ベネフィートは“彼”の行動の意図を理解しかねた
もしかすると、あの少女が“彼”が警戒していた脅威の一部だとでも言うのか?
……とてもそうは思えないが、人を見かけで判断するわけにもいくまい
だというのならばそろそろ自分の出番が来るのだろう
予想される攻撃を捌き、喧嘩慣れしていない“彼”を回収し、撤収する
そんなベネフィートに与えられたロールが機能するということだ
“彼”と少女、そして例の男から目を離さないようにしつつ、皿の上に残っていたサンドウィッチを急いで食べきり、伝票の下に料金分の紙幣を滑らせる
これで、いつでも動き出す準備は出来たわけだが
それでも“彼”は動き出さない
やれやれ、杞憂だったか。と、ベネフィートが考え出した時、“彼”が動いた
……と言っても、少女や男に対して何らかの行動を起こしたわけではない
右手の指二本で眼鏡を押し上げる動作、確か……『あちらを見ろ』だったか?
“彼”がちらりと見た方向を向くと、そこには見事なまでに磨き上げられたガラスの外壁と、作業用のリフト
そして、明らかにその場にそぐわない格好の男と獣人の少女が居る
(調べろ、場合によっては……ということですかね)
ベネフィートはスーツの内にある二つの得物の確認をし、ふぅ、と浅いため息をついて席を立った
そして、軽い足取りでリフトの方へと近づき、何の気もないように、側の換気用の窓を開けて、顔を出す
何事も、第一印象が大事である、ベネフィートは、少なくとも口元だけは爽やかな笑顔で、サングラスに隠された顔をバンダナの男と獣人娘に向けた
「やぁ、どうも……いいお天気ですね、そんな所でデートですか?」
【調査のため、トト&アッシュと接触】

91 :
全速力で階段を駆け上がる。
48階というとてつもなく長い階段だが、エレベーターが使えないとなるとしょうがない。
>「流石に階段で行くのは無理にゃ」
あっという間に追いついてきたトトちゃん…やはり獣人の身体能力は計り知れない。
「何か良いアイデアでも?」
>「安心するにゃ、方法ならあるにゃ」
トトちゃんが指差した先には一生懸命お仕事をする清掃員さんの姿が…!
>「エレベーターには敵わないけど、階段よりはマシにゃ」
確かに…確かにその通りだが流石に可哀想な…
>「ここから落されたくなかったら大人しくしてるにゃ」
oh……
行動が早い。
俺が止める間もなく、窓ガラスを切り裂きリフトに飛び乗った。
ここまできたらしょうがないよな…乗るしかない。
「いや〜ごめんね。ちょっとこっちも野暮用でさ。」
この人もお気の毒に…俺達のような面倒なのに目をつけられて。
>「間に合いそうにないにゃ」
トトちゃんがふと漏らした言葉に反応し、時計を確認する。
「あっちゃ〜。こりゃちょっとまずいかも…。」
万が一間に合ってもギリギリ…十中八九間に合わないとは思うけど…。
「よ〜しそろそろこの辺で…」
>「てめぇ何してんだ」
「へ?」
清掃員さんの腕をトトちゃんがひねりあげている。
清掃員さんの手には警報スイッチが握られていた。
グッジョブ!
よくやったトトちゃん。
「ただでさえ遅れているってのによぉ、何してんだよ
 もう頭にきたぞ、本当は何もするつもりはなかったが、お前のせいだからな」
でも…あの…その……殴り倒すのはどうかと…。
一応手加減はしてるんだろうけどさ。
リフトが止まると、トトちゃんはその場にしゃがみこむ。
俺も釣られてしゃがみこみ、リフトから中の様子を確認する。

92 :
多分ここは48階…だと思う。
だってスタンプの旦那と取引相手っぽい人が居るんだもの。
マズったな…もうちょい下で降りる予定だったんだけど。
>「なんでにゃ?なんでルイーネがいるにゃ、それに何か様子がおかしいにゃ」
「なぬっ!…あ、マジだ。」
トトちゃんの言う通り何故だかルイーネちゃんの姿があった。
この馬鹿でかいビルのよりによって48階に居るなんて…運命感じるわ!
取引相手と思われる男はルイーネちゃんにも話しかけている。
ルイーネちゃんは今回の件に関わっていない筈…。
という事はスタンプの旦那にとっても不測の事態が起こってるわけだ。
まったく悪い事ってのは重なるもんだな。
>「やぁ、どうも……いいお天気ですね、そんな所でデートですか?」
……そんなに重ねなくてもいいじゃん。
神様の馬鹿。
換気用の窓から顔を出しているサングラスをかけた男…十中八九敵。
というより敵と考えた方が良い。
俺は半ば観念して立ち上がり、にこやかな笑顔をサングラス男に向ける。
「どうもどうも。今日は兄妹水入らずでデートでしてね。
 天気が良いからリフトを借りてリフトデートをしていたところです。」

93 :
パァーン
ヴィク…

94 :
uiuyyiuy

95 :
>>84 GM スタンプ&仲介人
人間には2種類存在する。
バレンタインデーが終わった後に笑ってる人間と、そうでない人間だ。
ちなみに、語り部はどちらかというと前者に分類される。今年は3つもらった。母親と祖母とバイト先の子が配っていた義理チョコだ。
ではルイーネ・アイゼンツォルンの上司、スタンプ・ファントムという男はどちらに分類されるのであろうか?
――少なくとも、彼が今日次の機会にもらえるはずだった義理チョコを一個減らしてしまったのは間違いないようだ。
【48階・大庭園】【with 仲介者】
>「こんにちはお嬢さん、スタンプさんのお知り合いだそうですね。一緒にお茶でも如何ですか」
>「コーヒーでもどうですか?それとも紅茶派でしょうか?」
気付かれないように様子を覗っていたつもりのルイーネであったが、残念、全然バレていた。
おまけにスタンプの客人は結構剣呑な方であるらしい。
ルイーネはこういった現場での推理力に関してはずぶの素人だ。状況がさっぱり把握できていない。
しかし、仲介人が垣間見せた強烈な気に気がつかないほど、ドワーフ娘は鈍くもない。ハルバーディアーとしての六感が告げる。
こいつは敵だ。
スタンプから発せられる只ならぬ気配が裏付けとなる。
>>85-86
「H×Hは面白いですね」
しかし残念。語り部がWJで一番好きな漫画は『magico』である。
「特に作者が毎号ちゃんと描いてるところに好感が持てます」
うん、それ普通なんだけどね。

96 :
別に魔法と科学は融合出来るよ!?♪。

97 :
>>88 GM スタンプ&仲介者
はい、ここで残念なお知らせ。
語り部が良いお知らせを持ってきたことがないというツッコミはこの際気にしない。アーアーキコエナーイ(゜Д゜)
ルイーネは現在ハルバードを所持していない。丸腰だ。
どうか彼女を怒らないでやって欲しい。
担いだままカフェテラスに入ろうとしたらホテルマンに止められたのだ。
……まーね。如何に武器所持の規則が緩いつったって流石に限度があるよね。常識で考えて。
と、いうわけで彼女の『柊』は現在48階のクロークに補完されている。
姑息な前振りは以上。さて、何も知らずにノコノコと現われた眼鏡ドワーフの運命や如何に!?
【48階・大庭園】【with 仲介者】
>「スタンプさん、他にもお友達はいらっしゃるのでしょうか?何時頃いらっしゃるので?」
>「…………………………」
(……え?)
自分に害意を向けておいてその反応は一体全体どういうことなのか。
鈍いぜルイーネ。しかし、結果的にその自然な反応が仲介者の判断に迷い生じさせている。結果オーライ。プラマイゼロだ。
>「申し遅れました、私、スタンプさんの友人のジェントリと申す者です。
> 輸入関係の仕事をしておりまして、今回はスタンプさんとある輸入物についての打ち合わせの最中だったんです。
> ……ときに不躾ではありますが、スタンプさんとのご関係は?」
 「あ、はい。ええと――」
>「ああ、コイツ俺の『恋人』なんですよ」
うむ、お見事www
スタンプが止めていなければルイーネはナチュラルに「職場の上司です」と応えていただろう。
この先の会話はまさに突っ込みどころ満載で多いに笑わせてもらったのだが、当のルイーネはあたふたするばかりであった。
ふん、つまらん。刃物だけでなくもっとリアクションを磨いて欲しいものだ。芸人の道は厳しいんだぞ。
それでも……彼の放った『メッセージ』に気がついたのは僥倖と言えよう。
>「……って訳で、取締官だとか言われても何のことだかサッパリなんですよ。映画の見すぎじゃないですかね?」
(ああ――そういうことでしたか。って、無理あるでしょ!?)
ここに来てようやく事態を把握できたルイーネ。なるほど、ボスは仕事中であらせられる。
目の前にいるのは犯罪者。ロリコンは合法だ。セクハラもこの場合グレーとしよう。
ルイーネの灰色の瞳が半眼となる。
「あら、お仕事中だったんですかー?お邪魔してすいませんでした〜」
言いつつスタンプの腕にすがりつくドワーフ娘。その構図――まさに犯罪。
しかし、先のお礼に靴の爪先をしっかり踏んづけておくことも忘れない。
「実は私、“友達”と待ち合わせしてるんですけど、ちょっと早く来すぎちゃって……ねえ、ダーリン。もう少しここにいても、いい?」
演技力、皆無wwww しかし、これで選択肢は広がった。
ルイーネはスタンプこう尋ねているのである。即ち、「自分はここから離れるべきか、否か」と。
【こうですか?セクハラ上司殿】

98 :
おや、まだ幻影旅団があらわれrない

99 :
アッシュと共に暫し中の様子を伺う。
スタンプの話の中でルイーネのことは一言も出ていない。
いくら経験豊富なドワーフ言えども、ほんの数日前まではただの一般人を
取引という危険な場所に呼ぶほどスタンプは浅はかな人間ではないはずだ。
となると、これはトラブルということだ。
ならば、尚いっそう行動には注意をしないといけない。
そう考えを巡らせている途中、窓が開く音が聞こえた。
>「やぁ、どうも……いいお天気ですね、そんな所でデートですか?」
この状況の中で声を掛けられるとは思っても見なかった。
驚きで全身の毛を逆立てながら、声の主のほうへ向きを変える。
そこにいたのは、換気用の窓から顔を覗かせるサングラスの男
おそらく、あの取引相手側の人間と見ていいだろう。
ただの一般人が態々その程度のことで聞いてくるとは思えない。
となると、こいつの仕事はアイツの警護と邪魔者の排除と考えてもいいかも知れない
非常にマズいことになった。
>「どうもどうも。今日は兄妹水入らずでデートでしてね。
 天気が良いからリフトを借りてリフトデートをしていたところです。」
笑みを浮かべながらサングラスの男に嘘をつくアッシュ
だが、それでは駄目だ。
何故ならば、今足元でのびている清掃員について説明できなくなるからだ。
「た、助けてください!!!この人誘拐犯なんですぅー!」
怯えてた眼差しでサングラスの男にそう訴えかける。
あえてアッシュを誘拐犯に見せかけることにより、
のびた清掃員とバレバレな嘘の理由をでっち挙げることが可能になった。
さて、ここからが問題だ。
相手が何かしらのアクションを見せる前に、このグラサンが引き上げる状況を作らねばならない
出来ればアッシュと揉み合う振りをして、上昇か緊急スイッチを押せればいいのだが
はっきり言ってうまくいく気がしない。
アッシュからしてみれば、これは突拍子も無いアドリブであり
グラサンもとい、売人側からしてみれば、どちらにせよ取引の邪魔だ。
さぁどうなる?

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