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2012年4月夢・独り言48: 知らない先輩とゴールテープ持った話 (140) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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知らない先輩とゴールテープ持った話


1 :12/03/20 〜 最終レス :12/04/11
ただの自分語りで申し訳ないけど、よかったら聞いてください

2 :
どうぞ

3 :
実家PCより
とりあえずお互いのスペック
お互い高専生、実家が遠方なので寮生活(今は二人とも帰省中)
私♀…2年生(16歳)
    電気系
    陸上部で長距離してるけど運動神経ないorz
    163cm/後に先輩に貧って言われるけど体型は普通だと思う
    ボブだったけど、夏にショートヘアになった黒髪
    メガネ
先輩♂…4年生(18歳)
    私とは違う学科
    中肉中背
    元文化部
    中学のときまではいろんな運動してたらしいから運動神経は抜群…羨ましい
    髪型も普通だけど私より長いかな
    優しそうな顔してるってよく言われる
    視力もいい

4 :
>>2
ありがとうございます!!

5 :
うちの学校では春と秋に球技大会があるんだけど
最後の種目がリレーで、陸上部で走らない人が選手にゼッケン配ったりゼッケン回収したりするんだ
もちろんスターターとゴールテープも任される
私はそのときゴールテープ担当だったんだけど
種目終わってから皆さんをお待たせするわけにもいかないからってゼッケン回収も同時にしてた
走り終わった後輩とかに手伝ってもらえばよかったんだろうけど、頭が回らなかった
気がついたらリレーも残り一周で5年生がすごい勢いで走ってた
ゴールテープを持っていなきゃいけないのに、一緒に持ってくれる人がいない
焦った私は、一番近くにいた人にゴールテープを持ってもらうことにした
それが先輩だった
私「すいません…一緒にゴールテープ持ってもらっていいですか?」←かなり焦ってる
先輩「えっ」
でもそこは優しい先輩
私は無事に仕事を終えることができました。ありがとう
半年後にその話をされるまできれいさっぱり忘れてましたけどw

6 :
スレタイには知らない先輩って書いてたけど
私が1年生のときは先輩も部活してて、友達が先輩と同じ部活でよく先輩の話をしてたから名前と顔はなんとなく知ってた
あとで知ったけど、跳躍の先輩ともう一人の先輩(Aさん)と同じ部屋らしい
彼はというと、同じクラスで短距離の先輩(今の部長)から私の話をよく聞かされてたみたいだった
「とりあえず君のことは頭のおかしい子だと聞かされていたよw」
まさかあんないい先輩が外野に私のことを裏で頭がおかしいと言うなんて…
実際おかしいかもしれないけど
これも後日言われて思い出したんだけど
球技大会の1ヶ月前のこと
部長と跳躍の先輩(先輩の同部屋ではない)と長距離の先輩と私の4人で自販機の前でたむろしてたら
なぜか先輩が来て5人でいろいろ話してた
その日は始業式で私は制服&先輩たちはスーツだったから、先輩は長距離の先輩のネクタイで遊んだり
私や長距離の先輩のメガネをかけてみたりしてとにかくはしゃいでた
どういうわけか陸上部の人と仲がいいのね
リレーが終わったあとも、部長に向かって
「おい陸上部仕事しろよwwwww」とか言って笑ってたし
とにかく陽気でよく笑う人だなぁというのが第一印象
そして困ったときに助けてくれる優しい人なんだなぁというのが第二印象

7 :
始業式の日のこともゴールテープのことも忘れ
そして先輩の存在すら忘れかけていた頃に、私はまた先輩と遭遇していろいろな話をすることになる
あれは10月頃だったかな(ゴールテープ事件は5月の半ば)
運動部で寮生活してる人たちは、平日の練習の後はみんなで食堂で和やかに夜ごはんを食べるんだけど
その頃はタイミングが合ってたからか陸上部のグループに先輩がなぜか混じっておしゃべりに参加することが多かった
4年の先輩とのやりとりとか見てて楽しくなってたのを覚えてる
食堂の隣にちょっとしたロビーみたいなところがあるんだけど、その日はそこの事務室に欠食届を書かなくては行けなかった
欠食届というのは帰省とか試合とかバイトでごはんが食べれないときに前もって提出する紙切れのことで、提出すれば食べれない分のお金が返ってくる
そこのロビーに先輩がいて、平日の夕方だけに出勤する寮母さん二人と事務室のカウンター越しにおしゃべりしてた
私はちょうど部活が終わった後だったから、ショルダーバック提げて先輩の隣で欠食書いてたんだけど
先輩がショルダーバックにつけてたにゃてんしのマスコットに反応したんだ
そう、彼はにゃんぱいあが大好きで、ゲーセンも大好きで、部屋の鍵にでっかいにゃんぱいあのマスコットつけて持ち歩いてるの
いい歳した大学生の男がだよwwwそしてなぜか似合ってしまう憎らしさwwww
そしてお互い猫とカレーが好きだって事実が判明した
自転車で30分ほどの距離にイオンがあって、そこのフードコートにあるインドカレーのお店をおすすめされた
今度行こうかなーと思って、それからいろんな話をして私は部屋に帰った
私は人見知り激しいとこがあるけど、この人とは意気投合した
本人がわりとフレンドリーな人だったからっていうのもあるけど
たまにロビー行くと先輩がいて、話してると楽しくていい時間潰しになるからってその後ちょくちょく遊びにいくようになる

8 :
その日は日曜日で、夜ごはんがおいしくなさそうだからインドカレーのお店に行こうと思った
ついでにイオンで買い物したかったし
イオンで一人買い物するのは好きだけど、なんせ外食なんてめったにしないし(試合の日はパンとかおにぎり持参なのでスーパーにはよく行く)
フードコートなんて行った記憶がほとんどない
カレー屋さんどこかなーなんて、買い物袋提げつつ空いてるフードコートで一人キョロキョロしてたら、こっちに向かって先輩が歩いてきた
まさか会うなんて思ってなかったし、すごい顔を近づけられて「○○ちゃんチィーッス」なんて言うからめっちゃドキドキした
なんで下の名前にちゃん付けで呼んでくるかな…今でも思い出すとドキドキする
下の名前で呼ばれたのはこの時だけで、普段は苗字にさん付けです。そもそも名前呼ぶことないけど
かなり動揺した私は「飯食いに来たのー?」って質問に「飯食いに来ました」と思わずオウム返し
噛まなかっただけマシだけど(その後私は先輩の目の前でヒートテックって言葉を噛みました)なぜ飯…ごはんって言えよー
やっぱり優しい先輩。カレー屋さんの場所を教えてくれてどっかに行きました…と思ったのに
「おいしい?」
一人でカレーを食べてたらまたしても先輩登場。そしてテーブルの向こう側に座ってきた
「おいしいです(mgmg」
「だよなー!でも、結構甘めだよね。俺、スパイス結構入れて食べたことあるけど全然平気!インド人と対決できそうww」
「」

9 :
辛いもの大好きらしい…しかも運動部でもないのにかなりの大食い
バイト先がラーメン屋さんってこともあって身体の半分はラーメンでできてるって言うし、夜食べるお菓子もすごい
胃に穴が空かなきゃいいけど(笑)
話しながらナンカリー食べてたら指にカレーをちょっとだけこぼしちゃった
二人で「あ」とか言って笑った。恥ずかしくて顔伏せた
大して寒くないのに厚着して自転車で坂道走ったのと、暖房が効きすぎていたのと、カレーのスパイスと、先輩のせいで汗だくだった
先輩に突っ込まれてはずかしーなんて思いながら、その日はドキドキしながら寮に帰った
ちなみにその日は先輩もロボコンの打ち上げでラーメンを食べにきてたらしいです
その前から先輩のことが気になっていたけど、その日から余計に先輩の存在を意識するようになる

10 :
その日を境に、二人で食堂で夜ごはんを食べることが多くなった
私が休日やテスト前の部活ない日に一人でごはんを食べていると、なぜか先輩が向かいに座ってきて一緒にごはんを食べたりお茶を飲んだりしてた
今にして思えば、それは先輩にとってなんでもないことだったのだろうけど、私はそれですっかり舞い上がっていた
恋とは不思議なもので、思い込み次第で自分の感情の方向が決まる
私は、平日の部活が終わると毎晩のようにロビーに遊びに行くようになった
先輩がバイトや勉強や気分の問題でロビーにいない日も、寮母さんと先輩の話をしたり、同じようにロビーに遊びにくる人とおしゃべりするようになったいつもふざけてるようなノリの先輩だけど根は真面目だし、本当はここまで人懐こい性格ではなかったらしい
何が彼を変えたのかは分からないけど、先輩のことをもっと知りたいなぁと思った
先輩は素敵だ。そして私は先輩に惚れた
でも、今まで異性を好きになったのとはまた別の感覚があった
なんだろう…あまり恋している事実に対して執着していないというか
私は「先輩」という存在のファンのような、そんな気がした
先輩と仲良くなるうちに気付いたことがある
人の話を聞くのっておもしろい、ということ
今まで自分の言いたいことを一方的に相手に投げつけてきたところがあるけど
先輩の話し方とか話す内容がすごく好きで、もっとこの人の話を聞いていたいと思った

11 :
ある日、私は先輩にこんな質問をされる
「君ってどんな音楽を聴くの?」
私はPerfumeが好きで、ちょうどCDの発売が近くて意気揚々としてた
他にもcapsuleとかMEGとかCOLTEMONIKHAとか、中田ヤスタカ関連の曲が大好き
あと、気まぐれでジュディマリとかMISIAとか椎名林檎とかを聴く
「有名なところではPerfumeとかですかねぇ…」
「Perfumeか。Perfumeならまだマシかな。俺、最近のJ-POP(笑)とかついていけないの」
「あ、たまにcapsuleとかも聴きます!」
「capsule?最近capsuleをよく勧められるんだけど聴いたことないんだよね。音源持ってる?」
「ウォークマンでよければ・・・」
「じゃあ今度貸して!」
「あっ…はい」
この会話をきっかけに、音楽の趣味が変わるなんて思いもしなかった
私も最近のJ-POP事情には疎い方だったけど…
自他ともに認めるPerfumeファンだったのに、今ではもう初回盤を買う気力すらおきない
いや、今でもPerfumeは綺麗なお姉さんだと思っています
三人ともホントきれいで羨ましいです

12 :
案の定、先輩は私のウォークマンに自分のお気に入りの曲を20曲くらい入れて返してきた
空き容量は充分にあったから、もう少し入れてもよかったのに
その後、またひょんなことで曲を60曲くらいに増やされた
そして自分でも何曲か増やしてしまったから、先輩のフォルダだけで170曲くらい入ってる
約9GB入るうちの2GBが先輩からの曲…残容量は1.5GBくらいw
先輩が聴くのはバキバキのテクノやトランス、ハードコアと呼ばれるジャンルだった
国内で言えばDG LIFEとか…
アーティスト名までは分からないから詳細は割愛させてください
あと、POP'N Music やbeatmaniaやDJ MAX Portableのサントラも入ってた
聴いてみてびっくりした
私の知らないかっこいい曲が世の中にはたくさんあるなんて…!
先輩は海外の曲もたくさん聴くから何曲か入っているのかもしれない
あと、インディーズや大衆受けしないからという理由で有名にはならなかった曲もあって
もったいないような気がした
Groundbreakingというアルバムがあって、その中から数曲入れてもらったけど
あまりにおしゃれすぎて自分で全曲落としてしまいましたw
これがフリーなんて太っ腹すぎる!!
しばらくの間、私は先輩からいただいた曲しか聴けなかった
最近も先輩フォルダの曲しか聴いてないなぁ・・・もうすぐPerfumeのライブなのに
正直、私の好みにJPNは合ってないようです
新曲が近未来三部作に近い曲らしいのでちょっと期待してるけど、帰省するまえに予約するの忘れてた

13 :
先輩からcapsuleの感想を聞くことはなかったけど
なんかのお仕事で「曲をつなげてぴったり1時間にする」って言って、ちょっとだけ見せてもらったらcapsuleが入っていた
一応聴いたんだな…気に入ってもらえたかすごい心配なんだけど
ロビーで寮母さんと先輩と私で、誕生日の話になった
ちょうど私の誕生日の1ヶ月前のことだった
「私この日誕生日なんですよwwまぁ祝ってもらうことないんですけどねwww」
正直、自分の誕生日のことを他人に話すのって好きじゃない
いかにも「祝ってください!」って言ってるような気がするから
私にとっては特別なのかもしれないけど、別に歳が一個増えることなんて大したことないし
それこそ他人にとってはどうでもいいのではないだろうか
そもそも、私はよくないこどもとして生まれてきた
中学になるまで知らなかったし、今更どうでもいい事実なんだけど
家族の愛情は充分すぎるほどだった。それは今でも変わらない
でも、執着や依存されることはなかった
だからこそ、私は中学を卒業したら家を出るべきだってことを自分も含めた家族全員が考えていたのだと思う

14 :
「俺なんか春休みど真ん中だから誰も祝ってくれないよ。他人の誕生日を祝うこともあまりないし」
「そんなもんですよね」
「…(メモ帳を取り出す)誕生日もう一回言って」
「えっ」
「人の誕生日覚えるの苦手」
もうすぐ17歳の誕生日を迎える私だけど、好きな人に誕生日を祝ってもらったことなど一度もない
中学のときに付き合っていた相手すら、周りがしつこいくらい言うのに祝ってくれなかったもの
好きな人。しかも片思いの相手に誕生日を祝ってもらえるなんて出来すぎたことがこの先起きるのだろうか
ものすごく嬉しかった。神様ありがとう
誕生日当日はバイトで会えなかったので、次の日にロビーのカウンターにてぽいっと投げられました
そんな誕生日プレゼントは携帯ストラップでした
服の話とかしたことないのに、私の好みのストラップを選ぶなんてセンスよすぎ
嬉しかったけど、街の超おしゃれな雑貨屋さんで先輩が一人でストラップ物色してるとこ想像してくすぐったい気持ちにもなった
携帯にはストラップつけない主義なので、部屋の鍵につけていつも持ち歩いています
いつかゲーセンでとったにゃんぱいあとまさむにゃも一緒に(笑)
幸せすぎる誕生日でした

15 :
ロビーで先輩と話すようになってから、寮母さんや後輩の男の子や、先輩と同じ学科の先生とも仲良くなった
ある日、先生に「なんで学科も部活も違うのに、君たち二人は仲がいいの?」と聞かれた
「なんでか知らないけど、私が部活の人とごはん食べてたら絡んできたんですよww」
「違うしwww春の球技大会でお前が俺にゴールテープ持たせたのが始まりだろーがっっ」
「えっ。あれ先輩だったんですか?」
「覚えてないのかよ」
「確かに誰かに持ってもらった記憶はあるんですけど…あれ先輩だったんですかwwwありがとうございましたwwww」
「もう二度とやらねーからな!www」
来年もよろしくおねがいしまーす←
誕生日プレゼントを頂いた日は、その先生が宿直だった
その日の夜、洗濯をしようとしたらなぜか洗濯機の中からグシャグシャの2千円が出てきて焦った
これは大変と思って事務室に行ったら、丁度点呼でロビーに来てた先輩と後輩くんに遭遇
次の日は先輩の再試なのに、4人で日付が変わるギリギリの時間まで話し込んでいた

16 :
気がついたらお正月休みに入った
実家に帰って、初詣で引いたおみくじは大吉
「縁談:自分で苦しみます。相手の気持ちは変わらないでしょう」
一瞬先輩のことを考えた
でも、くっつきたい相手ではなかった
今年もお互い幸せで、仲良く笑いあえたらいいなぁと思った
年が明けても先輩はいつも通り仲良くしてくれた
その頃には後輩も混じって、3人で仲良く話していることの方が多かった
後輩は私以上に人見知りが激しくて、あまり誰かといるところを見ないんだけど
私に心を開いてくれるところが嬉しかった
その日も3人でおしゃべりしてた
でも、先輩は体調が悪いみたいで元気がなかった
それでもよく話すので、二人で相槌を打ちながら話を聞いていた
先輩「実はさ…俺、冬休みに失恋したんだよね」
二人「えっ」
先輩「まぁ片思いなんだけどさ。だいぶ立ち直ったけどさ。過去はどうでもいいんだけど未来が見えないの」
いや、それ立ち直ってないです絶対
それから先輩は私たちにちょっとだけ愚痴をこぼして、具合悪いから寝ると言って部屋に帰っていった
私は先輩の話を聞いてだいぶ落ち込んだ
なんだ。優しかったのは私を好きだからってわけじゃなかったんだ
別に付き合ってなにかしたいとは思わなかったけど…

17 :
ほとんどの男性がそうであるように、彼もまた女性に対しては優しい
女の子小突いたりとか普通にする
肩揉まれたりメガネ無理やりとられたり首筋の擦り傷をキスマークと勘違いされたり首筋触られたりしたけど、全て彼にとってどうでもいいことだった
私なんか、そもそも他人に触られることにすら慣れていないのに
彼氏でもなんでもない男の人と二人きりというシチュエーションで何を考えてどう接すればいいのか分からないのに
(部活では紅一点だけど部活以外で部員と絡むことはないし、父親とデートなら何回もするけど次元が違いすぎる)

18 :
先輩のことでその日はだいぶ落ち込んでいたけど、日が経つにつれてどうでもよくなってきた
ただ、先輩の具合があまり良くならなくて、寮母さんと3人で心配するようになった
寮母さんには誕生日プレゼントもらう前くらいから先輩のことが気になっているって話をしているから
だから、私の気持ちはある程度理解してもらえる
「以前マネージャーとして試合に行ったときにもらったけど開封しないまま部屋の机に飾ってあるリポD」を先輩に飲んでもらうことにした
週末は先輩もバイト、しかも接客業だから元気がないとダメなんだけど
バイトのある前の晩も具合はよろしくないようだった
バイトのある日の朝に直接食堂で会って渡そうかと思ったけど、先輩は食堂にはいなかった
そもそも連絡先を知らない
直接というのもなんだか恥ずかしいのでたまたま食堂にいた同部屋で陸上部の先輩にお願いして、先輩に渡してもらうことにした

19 :
その週末は、一人暮らしをしている別の先輩(Bさん)の家に夜ごはんを作る約束をしていた
その人とは1年生の後半から今現在に至るまですごく仲良くしてくれる先輩で、よく恋愛の話とかを聞いてくれた
「そういえば○○ちゃんって今付き合っている人いるの?」
「残念ながらいないんですよー。最近寮にいる先輩のことが好きになっちゃったんですけど、片思いで終わりそうなんですw」
そんな会話をしつつ夜ごはんの準備をした
その日のメニューは
ごはん
ふろふき大根
豚汁
卵焼き
酒まんじゅう(バレンタインの練習用に寮で作ってきた)
余ったにんじんと牛蒡はきんぴらにして、次の日の朝食べてもらうことにした
大して難しい料理でもないのにBさんは私の手料理をこれでもかってくらい褒めてくれた
恥ずかしすぎて、Bさんにちょっとだけ惚れそうになった
結構惚れっぽいんだ。それでだいぶ苦労するけど
でも、先輩を好きって気持ちは珍しいことにだいぶ長く続いてる
「美味すぎる!○○さんの好きな人が羨ましいwこんな素朴でおいしい手料理作ってもらえるなんて。誰か知らんけど」
「いや、私にはハードル高すぎますってwwてゆうかあの人は料理が趣味とか言い切ってますもん。需要ないでしょう」

20 :
なんでバレンタインが酒まんじゅうなのかというと、先輩がチョコと生クリームは苦手だと言っていたから
でも、甘いものが嫌いってわけでは無さそうだし・・・年の瀬の餅つきの話を楽しそうにしていたから和菓子は大丈夫だと判断した
先輩が具合悪くて寮の事務室に熱を測りにきたとき、たまたま私が居合わせていたんだけど
寮母さん「ついでだから○○ちゃんも測るー?」
私「練習後だし、ごはん食べたばかりだからちょっと高いかもしれないですけどいいんですか?」
寮母さん「じゃあ熱高かった方にこの饅頭を一個あげるねw」
結果は先輩の方が0.1度だけ高かった
大丈夫なのだろうか・・・
お饅頭は結局先輩が半分こにしてくれたから二人で一個だったんだけど、おまんじゅうを食べているときの先輩がとても幸せそうだった
だから、おまんじゅうなら大丈夫だろうと判断した
そして、冬休みのやさぐれエピソードを聞いて、酒粕入りのおまんじゅうにしようと思った

21 :
先輩の名前は出さずに、Bさんにこれまでのことをかいつまんで説明した
とは言っても、先輩が失恋したところからだからだいぶ内容は少ないけど
「で、酒まんじゅう渡していつ告白するの?」
「多分しないと思います。別にそこまで好きでもないし」
「そうなんだー・・・酒まんじゅうもおいしいのにもったいないなぁ。好きな人はリポD飲んで元気になったのかなw」
「知らないですwwwあ、でもバイト先はBさんのバイト先の近所ですよwwww」
「え?陸上部の先輩とかじゃないの?」
一言もそんなことは言ってない
「まさか…あいつ?」
「そのまさかですよ」
「俺あいつのことめっちゃ知ってるwwwそーかあいつか。あいつめっちゃいい奴だもんなー」
「そうなんですよwいい人すぎるんですよ」
「俺、あいつが働いてるって知ってからよくその店行くようになったww二人とも笑顔がいい感じだし、お似合いだと思うよ」
「//////////」
それから会う度に先輩とのことを聞いてくれるようになったBさん。応援ありがとう!
あれから一度もごはん作ってあげることができなくてごめんなさい

22 :
それから数日が経った
その日は平日だけど学校は休みで、部活も休みで
午後は久しぶりにイオンに行こうと私服を着ていた
寒いし、一人で買い物するだけだからお気に入りのカットソーにスキニージーンズに適当なピアスを合わせた
食堂でお昼を食べた
先輩はスウェット姿で、同部屋さんと楽しそうにごはんを食べていた
元気になっていてよかった
「元気になってよかったですねw」って声をかけようかと思ったけど
恥ずかしいから私は一人で先輩から離れた場所でごはんを食べた
先に先輩たちがごはんを食べ終わって、それからしばらくして私も食堂を出た
「あ、おもしろい奴がいる」
先輩が待ち伏せしてた
「差し入れありがとう。お礼したいんだけど、今日の夜は暇?」
「予定はないです」
「じゃあ飯食いに行こう!」
「えっ」
突然すぎた
まさか片思いの相手からデートに誘われるなんて
「別にお礼だなんてそんな…じゃあイオンで買い物がしたいから、ごはんはイオンで食べたいです」
「よしきた。じゃあ連絡先聞いてもいい?」

23 :
以前先輩と同じ部活だった友達曰く、先輩は他人に連絡先を聞かれるのが大嫌いらしい
部員名簿にも先輩のところだけ連絡先がなくて
先輩は部活を辞めたあとにすぐアド変をしたらしく、友達はメールを送れなかった。そんな過去がある
そんな先輩が腐れ縁とはいえ通りすがりの後輩に連絡先を教えるなんて
「いいですよー。最近iPhoneに変えたんですけど、連絡交換したこと一度もないんですw時間かかりますけどいいですか?」
「構わんよー」
案の定時間がかかった。寒いのにスウェットで長い間外に居させてしまい、申し訳ないことしたと思う
「じゃあまたあとでねー」

24 :
はっきりとした時間までは決めていなかったけど、寮で生活してるせいか大体これくらいって感覚があって
その時間に合わせて買い物をしていた
最後にハーブティーでも買おうかなと思って食品売り場に向かう途中で電話が鳴った
「もしもし」
「チーッス そろそろ行こうか」
「もうイオンに居ますよw買い物してました」
「分かった。すぐ行く」
「1階でぼんやりしてます。お気をつけて」
すごくドキドキしてきた

25 :
支援ー。
続き楽しみにしてるよ。

26 :
>>25
支援ありがとうございます!!
書いてて「これ他人が見てておもしろいんかなー」とか考えてたのですごく嬉しいです

27 :
輸入食品店でカモミールのハーブティーを買って、専門店街の通路にあるソファで携帯をいじっていたら、先輩が目の前にきた
お互いいつも通りの恰好だった
もっとも、先輩の前では部活の恰好か制服か部屋着のジャージ姿がデフォだから、私の私服姿は珍しいのかもしれない
夜ごはんはラーメンを頂くことにした
先輩がバイトでここ数日ずっとラーメンだったみたいで身体が心配だったけど、私はどうしてもバイト先のラーメンを食べてみたかった
「なんか身体が心配()」
「すいません…でも、食べてみたいって考えておりまして」
「構わんよー俺ラーメン大好きだからw」
ラーメン屋さんに向かう途中、寮に住んでいる同級生男子の集団を見た
買い物していたときも雑貨屋さんで遭遇したから一人にはお辞儀したけど、まだ帰ってなかったんだ
「なんか、同級生の集団がいるんですけど、大丈夫ですかね」
「別によくない?同じクラスの男女二人だったら『あいつら付き合ってんのか』って言われるかもしれないけど、二つも違うじゃん」
私は「そういえば2年と4年で付き合ってる人いよなー」と思ったけど、口には出さなかった
それに、私はそのカップルの彼女(同級生で寮に住んでる)のことが大嫌いだからこれ以上考えないようにした

28 :
その同級生の集団の中に、かつて私が片思いをして振られたC君がいた
C君とは学科は違うけど1年生のときは同じクラスで、いろんな意味で遊んだ相手だった
クラスが離れたあとも時々遊んだけど、みんながいる前では知らんぷりをしていた
それでも、私が先輩と二人きりでごはんを食べているのに遭遇したときは寂しそうな顔でこっちを見ていたような、睨まれていたような気がする
C君は、私が先輩と付き合っていると勘違いしているんだろうな
先輩が私のことをどう思っているのか知らないけど、私は先輩のことが大好きだから一緒にいて
先輩も優しい人だから私なんかと一緒にいてくれる
知らない人から見れば仲のいいカップルなのかもしれないけど、実際そんなことはなかった
手を繋いでもないし、私は敬語で話している
どんなに仲のいい人でも、目上の人には敬語を使う
それが、私たち二人にとっての「常識」だった
一度うっかりタメで話してしまったとき、普段温厚な先輩が別人のような形相で叱ってくれた
それ以降、特に先輩相手には気を使うようにしている

29 :
「どれにする?」
「おすすめはどれですか?」
「おすすめねぇ・・・まぁ全部おすすめなんだけどねwこれなんか新商品」
私は新商品のラーメン、先輩はラーメンとチャーハンと唐揚げのセットメニューを頼んだ
後から行きつけの美容院のお姉さんや同級生の友達に言われたけど、チャーハンが絶品らしい
そうと知っていたらチャーハンも頼んだのに
ラーメンはとてもおいしかった
それに、連日夜ごはんがラーメンなのにも関わらずおいしそうにラーメンを食べる先輩が素敵すぎた
この人と出会えてよかった
ラーメンを食べながら、もうすぐ始まる先輩の就活の話や、最近カラオケに行っていないっていう話をした
先輩「今行っても声出ないかも。大体、歌うような曲聴かなくなったし」
「中学のときは友達とよく行ってたんだけどねー。喉枯れるまで歌ってたなww」
「私、休みの日は一人でいることが多かったもので、高校入るまでカラオケ行ったことないんですよ」
「マジで?」
「赤ちゃんのときは両親がカラオケで遊んでる側で床に転がされて爆睡してたらしいですけどw」
「なにそれすごい」
「まぁ寝つきは悪くないですよ」
「俺、寝つきも寝起きも普通だけど、寝相が悪い。ウチのベッド広いし。朝起きて頭逆とかよくある」
「まさか床に落ちてたりしてませんよね?w」
「ギクッ…まぁ1年に一回あるかないか」
「wwwww」

30 :
先輩と一度でいいから一緒に寝てみたいな。もちろんエロいことなしでw
寝起きは普通って言うけど、たまに朝の食堂で見かける寝起きの先輩の顔はひどいって話なら友達とよくする
一度、何を血迷ったのか寝起きの先輩と一緒に朝ごはんを食べようとしたけど
「寝起きの自分見られるの恥ずかしいんだよ・・・」と言われた
「ところでさ、この店、ソフトクリームも美味しいんだけど」
「はい」
「100円なんだよ」
「安いですね」
「そうなの」
「じゃあ今から買ってきます」
「」
さすがにソフトクリームまで奢ってもらうわけにはいかないので、自分でレジに行って注文してきた
赤ぶちメガネをかけた大学生くらいの女の人が巻いてくれた
カップとコーンで迷ったけど、コーンだと手が汚れるかもしれないのでカップにした
ハンカチとティッシュは一応持ち歩いているけど…
カップにスプーンで正解だったと思う。いくらそんな関係でないとはいえ、コーンのソフトクリームを一人で舐めるなんて・・・
「お待たせしました」
「なんかデカくね?」
「えっ」
「俺が教えてもらってるのと2倍くらいの大きさなんだけどw」
「なんでだろう…でも嬉しいですwww」
ソフトクリームも美味しかった
「ごま団子と迷ったんですよ」
「ごま団子も美味しいよ」
「じゃあ今度食べに行きます」
「やったー」
先輩がバイト休みのときにごま団子と野菜ラーメンを食べに行ったけど、ごま団子も美味しかった

31 :
「ところでさ。前ここのゲーセンでメダルゲームしたらコインが50枚くらいに増えたんだけど」
「よかったですね」
「君にメダルゲームをやってもらいたいんだ」
「えっ・・・いや無理ですよ」
「いいから!」
「いやぁ…だって私、ゲーセンとかプリクラとUFOキャッチャーしかやったことないんですよ?」
「それめっちゃ女の子だなぁwww」
「褒めたってやりませんよっ」
「いいからおいで」
腕とかを引っ張られなかっただけマシだけど、私は強引にゲームコーナーに連れていかれた
ゲーセンでは先輩が店員さんと仲良さそうに会話していた
「メダルゲームやったことのない人を連れてきたんだけど、おすすめはどれか」とか聞いていたようだった
店員さんと仲良くなったという話は聞いたことあるけど、実際にその場面を見て「へぇ」って思った
そういえば、その数日後に「ゲーセンで仲良くなった女の子の話」を読んだけど、あれは号泣ものでした
物理の講義中にまとめ読んで泣いてました←

32 :
私たちは二人でダイノキングという恐竜が出てくるゲームをした
「このタイミングでメダルをこうやって入れていくとこうやってメダルが落ちていくから」
「ここ動かすとメダル落とす方向変えられるよ。ランプついてるところからメダルが落ちていくようにしてね」
先輩はなんでも簡潔に、そして分かりやすく説明してくれる
メダルゲームはなかなか楽しかった
最初の方はなかなか調子が良くて、メダルがジャラジャラ増えていった
「わーい。メダル増えたぁ」
「(ランプの場所が変わって)えーそっち?」
「タイミング間違えたぁ…」
先輩「おいっww」
ときどき先輩が大阪のおっちゃんみたいに「今日はよく当たりますなぁw」って言っているのがかわいいなって思ったけど、口には出さなかった
後半はあまりメダルが増えなくて、キリのいいところでゲームをやめた
「おっメダル60枚に増えた」
「よかったですねー」
後日、先輩は一人でメダルゲームをして200枚くらいに増やしたらしい。おめでとう

33 :
今度は、POP'N MUSICというゲームのところに連れていかれた
「俺の趣味(笑)」
そう言って先輩は一人でプレイを始める
私の知らない曲だけど、おしゃれだなーと思った
そして、画面の中で踊るキャラクターが無駄にかわいい
プレイに興じている先輩は知らない人のように見えた
譜面は速すぎて私の目には追いつかないのだけど、先輩は絶好のタイミングでカラフルなボタンを叩いていく
ゲームコーナーの隅っこで二人きり
音ゲーを楽しむ先輩と、それに見惚れる私
夢のようだった

34 :
「大丈夫?」
先輩が心配そうに私の目の前で手をひらひらさせる
ぼんやりしているように見えたのか、眠たそうにみえたのか
「大丈夫ですよ」
「じゃあ次はこっちね。どちらかというとこっちがメインかな」
「beatmaniaですか」
「うん。こっちは質悪いよw中指押しっぱなしで人差し指で違うリズムとるとか、手を離すタイミングも合わせなきゃいけないの」
「指つりそうですね」
先輩はやっぱり私の知らない曲をプレイして、私はそれを1メートルくらい後ろにある椅子に腰かけて見ていた
「こっちにおいで」
なぜか隣に誘導される私
まさかこれをやれと言われるのかと思ったけど,そこには先輩の上着が乗っていたから大丈夫だと確信した
「次の曲ね、譜面がきれいなの」
そう言って先輩はゲームを始めた
なんてことない譜面がずっと続き、最後の方になって
「ほら」
画面の上部から落ちてくる模様が稲妻のようなジグザグ模様を描いていた
「すごー・・・」
「ねっ」

35 :
音ゲーやメダルゲームってゲームコーナーの奥まったところにあるんだけど
そこはUFOキャッチャーやプリクラのコーナーと違い、照明が薄暗い
その代わり、ゲーム機の画面がキラキラしてて本当に夢を見ているような気分になった
好きな人が連れていってくれる場所で、心から楽しそうに遊んでいる相手を見るとこんなにも幸せな気分になるんだね
「さて・・・君のUFOキャッチャーの実力を見せてもらおうかな」
私たちは、にゃんぱいあの大きいぬいぐるみのUFOキャッチャーの前に移動した
明らかに、前の人が取ろうとして諦めた形跡がある
あと少し、ってところでにゃんぱいあの頭が出口の方向にあった
後ろには違うキャラクターのぬいぐるみがあるから、にゃんぱいあはこれで最後なのだろう
「ここをこうしたらこう・・・取れるかな」
「よく分かんないけど、取れるんじゃないんですか」
「まあやってみるわ」
先輩はそういって、一回分のお金を入れてアームを動かした
「あ」
多分、同時に声を出したと思う
にゃんぱいあは一回で、穴の中に落ちていった
先輩すげえ・・・

36 :
結局、私はUFOキャッチャーをしないままゲーセンを後にした
「コーヒーでも飲もうか」
喫茶店に移動して、割り勘で飲み物を頼んだ
私が先にココアを注文してレジで支払いを済ませた
ココアと荷物を両手に、先輩がアイスコーヒーの支払いを済ませるのを離れた場所に立って見ていた
なぜか痛そうな顔でこっちを見てくる先輩
席につこうとして一言
「お釣りもらおうとして静電気が発生した」
飲み物を飲みながら、いろんな話をした
勉強や携帯、そして部活のこと
「俺も今度機種変するときはiPhoneにしようかな。使いやすい?」
「まぁ便利だと思います。他のスマフォ知らないからなんとも言えないですけど」
「今思うと陸上部もよかったなー・・・4年最高じゃん」
「確かに4年生おもしろいですよー遅刻したらチロル買わなきゃいけなくなりますけどw」
「あれ出費が痛いらしいなww」
「でも、今の4年が考えたんですよ」
「誰?www」
「××さんですww」
「あいつかwwあいつならやりかねんww」

37 :
Bさんと先輩の話をして以来、ずっと気になっていたことを先輩に聞こうと思った
「先輩はなんで部活を辞めたんですか?」
私は、先輩が部活を辞めたことをすぐには知らなかった
夏休みに一度先輩が陸上部に遊びに来てくれたときにそのことを知った
「部活は辞めたよw今はバイトしてる」
「なんだかんだ言って、部活辞めたときが一番忙しかったなぁ・・・余裕ができたせいなのか知らんけど、人間関係広まったもん」
あの日、Bさんは言った
「勉強とか部活もそれなりに大事だけど、学校の外に出てみるのも楽しいものだよ」
「俺も部活はかなりサボってたけど、なんだかんだ楽しかった。あいつもいろいろあったみたいだけど部活辞めたのもいい決断だったんじゃないかな」
「だからって陸上楽しんでるのを無理にやめろとは言わないけどw今度あいつに聞いてみたら?」
友達は、先輩のことをタメ口には厳しいけど優しいしいじり甲斐があっておもしろい人だと言っていた
好みではないって言いきってたけどねw
彼女も部活を辞めたから先輩の話を聞くこともあまりなかったのだけど、少なくとも後輩には慕われていたのだ

38 :
「なんでだと思う?」
「うーん・・・顧問が合わなかったから?」
「正解」
確かに、先輩は元顧問であり同じ学科の先生のことを苦手だとは言っていた
嫌われているわけではないと思うのだけど、きっとクセのある人なのだろう
私も寮で一度だけ話したことがあるけど、あまりいい印象を持たなかった
「夏休みなのに練習が追いつかないからって飯ないのに寮に居残りさせられてさー」
「そう言えば前言ってましたね。お金足りなくなってうまい棒とかしか買えなくなって、最終的に先輩に弁当を分けてもらったっていう・・・」
「そうそう!まぁ、俺が苦手な人種だった。あと、後輩が怖い(笑)君の同級生の女子とかさー」
「確かに私もあの人たち怖いなーってたまに思います。女子の集団が苦手なのもあるんですけど」
「とくにあの子なんか父親が俺の学科の先生だからな・・・バックからしてもうw」
「私も1個下の後輩苦手なんですw」
「あいつはマシじゃね?委員会一緒なんだけどさ、自己紹介のときになんでか知らんけど『みなさんは目玉焼きに何をかけますか?』って聞くような奴だぜ?w」
「あの子はかわいいです」
「そしてこの前はロビーの椅子の上で踊ってた」
「」
部活でも委員会でも賑やかなのね・・・

39 :
「俺が一年のとき、部活が崩壊?してさ、一回活動停止喰らったことあんの」
「今じゃ考えられないですね」
「まぁな。そのときはまだバイトとかしてなかったし(寮の決まりで1年生はバイトできないことになっている)仕方ないからって部室で一人練習してた」
「へぇ・・・」
「ある日、同じクラスの女子も一緒に来てくれるようになってさ、そのうち同級生みんな来てくれるようになった」
「いい人たちですね」
「今思えばあの時が一番楽しかったな。変な話だなw部が危なかったときが一番楽しいとかwwww」
「いい話じゃないですか。ずっと聞こうと思ってたんです」
「えっ」
「いや、なんか知り合いと偶然先輩の話になって『あいついい奴だよなー』って言われて」
「おい」
「その話題でめっちゃ盛り上がったんですよw」
「なにそれハズいんだけど。誰?」
「知りたいんですか?ww」
「当たり前じゃんw」

40 :
「Bさんって知ってますよね?」
「部活でめっちゃお世話になったwしかもよくバイト先でラーメン食べてくれるありがたい人」
「確かによくお店に遊びに行くとは言ってました」
「てか、俺の話題でそんなに盛り上がるもんなの?」
「先輩がいい人だって会話だけで時間過ぎましたよ」
「マジか」
学校とはなんて狭い場所なのだろう
「そういえば、食品売り場通ってきて気付いたんだけど、もうすぐバレンタインなんだな」
「先輩チョコ苦手ですよね」
「うん。何でも食べるけどチョコと生クリームだけ苦手。洋菓子が苦手なのかもな。焼き菓子とかは好きなんだけど」
「ソフトクリームも食べれますよね」
「アイスも嫌いじゃない。…部活辞めたからもらうこともないだろうけど」
「じゃあ私が作ってあげます」
「えっ」
「餡子は大丈夫ですか?」
「餡子は大好物だよ。てか、和菓子は好きなんだよなー・・・ってマジで?」
「マジで」
先輩の目をまっすぐに見つめてニヤニヤして答えた
そのときの私は最高に気持ち悪い人だったと思う
好きな人を見つめるって、だいぶエネルギーを使うんだけどね

41 :
私の選択は間違いではなかった
料理上手で味にうるさい先輩の口に合うのかは知らないけど
「だいぶ話した後で申し訳ないけど時間大丈夫かな?」
「もうダメですね」
女子寮の決まりで、2年生は9時までにお風呂を済ませなければいけないことになっている
もう8時前だった
「この近くに銭湯があるから、そこに寄って帰ります。シャンプーくらいは置いてありそうですし」
「シャンプーにこだわりとかないタイプ?」
「ドラッグストアで買い物するのは大好きなんですけどねーなんか種類ありすぎて分かんないっていう」
「分かる!てか、ドラッグストア楽しいよな。一度入ったら30分は出ないw」
「意外ですね。化粧しないのに化粧品コーナー眺めてたり」
「化粧とかしなくていいじゃん」
「香水もなんだかんだで持ってないままこの歳になっちゃいまして。いい匂いのするハンドクリームとかなら大好きなんですけど」
「香水持ってるけど、出かける先なんて大抵バイトだからなー・・・使えない」
意外
そのような男性については賛否両論分かれると思うんだけど、私は好感を持てた
あまり匂いがキツいのは論外だけど・・・
たまにロビーで会う先輩がお風呂上がりの髪を乾かした後だと、シャンプーの匂いがして幸せな気分になる

42 :
「俺も銭湯いきたいけど、にゃんぱいあいるもんなー」
「ロッカーに入れればいいじゃないですか?w」
「いや、ロッカーには収まらないなぁ・・・てか、こんなの持って銭湯きたら迷惑じゃんww」
「残念です」
「原付に入らないかなぁ・・・」
私たちは喫茶店を後にした
あまりに楽しすぎて幸せだったのでつい「また誘ってくださいね!」って言ってしまった
そのときの反応は覚えてない
また遊んで欲しいな・・・
駐輪場に行ってびっくりした
私の自転車の隣に、先輩の原付が停めてあったのだ
先輩の原付を見るのはこれが初めてだったから、最初は分からなかったのだけど
「隣?」
「うん。空いてる場所に適当に停めたら、隣の自転車に君の名前が書いてあった」
「にゃんぱいあは入りそうにないみたいですね」
「うん・・・まぁ寮のお風呂に入ろうかな。あ、荷物運んであげようか?」
「いいんですか?」
「うん。とりあえずロビーで待ってるから」
「ありがとうございます」
「いえいえーじゃあお疲れ!」
先輩はすっかり暗くなった道路を原付に乗って走っていった
その後ろ姿を見て、すごくほっこりした気持ちになった
銭湯にはシャンプーだけじゃなくてリンスも置いてあった
サウナやいろいろな種類のお風呂があって1時間くらい入っていたいと思った。
先輩をお待たせするわけにもいかないから、漢方の湯というものに数分だけ浸かって銭湯をあとにした

43 :
銭湯を出る前に一応メールはしたけど、寮の駐輪場で携帯を確認しても返信はなかった
着信履歴から先輩の番号に電話をかける
iPhoneに機種変して、初めて電話をした相手が先輩だった
先輩の名前しか書いていない履歴を見て、嬉しいような気分になった
・・・先輩の着信履歴には、いろんな女の人の名前が書いてあるのかもしれないけど
「今戻りました」
「ロビーにいるよ」
「すぐ行きます」
先輩もお風呂を済ませていたのだろう、スウェット姿に微かなシャンプーの香りを漂わせていた
「○○ちゃんおかえりー」
ロビーには寮母さんもいた
講義はない1日だったけど、学校自体は平常運転だったので寮母さんもお仕事だったのだろう
その日は女子寮でインフルエンザにかかった人がいたらしく、お仕事の時間を過ぎても寮母さんは慌しくお仕事をしていた
「楽しいデートだったらしいねww」
「めっちゃ楽しかったですよwwあ、荷物ありがとうございました」
UFOキャッチャーがとてもすごかったって話をした
寮母さんにはにゃんぱいあを見ていないらしい
「じゃあ今度お部屋にお邪魔して見せてもらおう!」
「男子の部屋に入れるなんて羨ましいですね」
「おいっ」
お仕事が一段落ついて、寮母さんはそれぞれのおうちに帰っていった

44 :
「君の後輩は、目玉焼きには塩をかけるらしいよ」
「あ、私も一緒だwたまに胡椒もかけます」
「まじかー。まぁ俺も家だったら塩かな。一応、委員会の議事録に1年の回答だけ書いてあるんだ」
そういって、先輩は自分の委員会の引き出しからノートを取り出して私に見せてくれた
「おもしろいですねw」
「そういえばお風呂どうだった?」
「500円くらいでしたね。シャンプーとリンスとボディーソープがありまして。タオルはバスタオルと普通のやつが100円ずつ」
「安いじゃん」
安いのだろうか・・・地元の銭湯は石けんが置いてないしただのお風呂しかないけど100円で入れる
銭湯の値段の相場は私にはよく分からない。その日に入ったのはスーパー銭湯だから、次元が少し違うけど
「もしかしてサウナとかもある?」
「ありましたよー。ジェットバスとか」
「裏山。今度友達誘って行こう。サウナで我慢比べするのとか好きなんだよねw」
先輩は私より2つも年上なのに、心だけは私より遙かに少年だった
「寮のお風呂嫌いなので、久しぶりに外のお風呂に入れて楽しかったですよ」
「確かに寮の風呂だとのんびりできないよね」
「久しぶりに脚伸ばせましたし」
「いいなー」
宿直の先生に「これから点呼なので部屋に帰ってねー」って言われるまで、私たちは二人きりでずっとおしゃべりしてた
帰ってからメールしようかと思ったけど、白々しいと思ってやめた
また、会ったときにお礼を言おう
夢の中で、私は先輩と2回めのデートをしていた
それくらい、その日は幸せすぎた。本当にありがとうございました

45 :
部屋にある洋服ダンスのネジが緩んで、取っ手がガタガタで使いにくくなっていた
事務室に行って、寮母さんにドライバーを貸してもらおうと思ったけど、あいにく大きいドライバーしか事務室にはなかった
「Aくん(先輩の同部屋さん)なら持っているのかも。ちょっと部屋におじゃましてくるね」
「わざわざすいません」
数分後、寮母さんはドライバーを持って戻ってきた
「Aくんはドライバーを持っていないって。だから先輩に借りてきたよ」
「そうですか・・・そう言えば、にゃんぱいあは見れましたか?」
「忘れてたwww」
私は急いで部屋に戻り、タンスを直して事務室に戻った
先輩がいた
「ドライバーありがとうございました」
「どういたしまして・・・なんで寮母さんは俺の部屋に来たんですか?w」
「Aくんなら持ってると思ったんだもんww」
先輩は知らないのだろうけど私は知っている
寮母さんがとっさにAさんのことを思い出したのは、私が先輩のことを好きだから

46 :
テストとバレンタインが近づいて、学校の雰囲気はだんだんおかしくなってきた
確かみんなチョコが欲しいしチョコを作りたい
でも、このテストでコケたら留年してしまうのだ
陸上部もテストの1週間前から練習が休みになった
その頃、私は部活を辞めようと真剣に考えていた
大学に行こうと思ったからだ
今では大学進学は大人になってからの楽しみってことにして、卒業後は就職にしようと思っている
でも、そのときは大学進学のためのお金を貯めるためにバイトがしたい
だから部活を辞めようと思った
でも、それは建前で、本当は1年生に仲良くしてもらえないから
今でも1年生とは仲良くない
特に長距離の後輩は私に対してすごく冷たい
嫌いならそうさせておけばいい。彼はその程度の人間なのだ
それでも、私は卒業するまで陸上をしようと思った
でもバイトはしたい

47 :
テスト前でも、私たちはよくロビーで会っておしゃべりしていた
ときどき、子供は入ってはいけないという事務室のソファーに座っておしゃべりすることもあった
私たち二人だけのときもあれば、後輩も含めた3人だったり、先輩がいないときに事務室のなかでおしゃべりしたりした
ロビーと事務室の間にはドアがあるけど、夕方は開け放してあるので、入ろうと思えばいつでも堂々と入れる
私は制服姿でいることが多くなった
制服のことで細かい決まりはない
私服登校が許されているくらいだから
私はお気に入りのスカートを短めにして、冬は黒いタイツを履いて登校していた
寮母さんは言った
「いつも部活の恰好でいることが多いから、制服姿が新鮮なんだよね。かわいい」
そんなことはない
「先輩もそう思うよね?」
「まぁ制服見ることはないですね」
「朝たまに会うじゃないですかw」

48 :
メガネの汚れが気になったので、ティッシュで拭いた
隣の椅子に座っている先輩の足元にあるゴミ箱に投げたつもりだった
「入ってくれない・・・」
床に落ちたティッシュをゴミ箱に入れたとき、吹き出してた先輩が私にニヤニヤしながら言った
「へたくそ」
「んもーっ」
すっかりふてくされた私の耳元を先輩の指が触れた
「!?」
先輩は、私のメガネを外して自分でかけた
「返してください」
「ヤダ」
すごい違和感があった
メガネをかけていて楽しいのだろう
満面の笑みで椅子に座ってくるくる回る先輩を見ているうちに私まで笑えてきた
寮母さん「聞きたいことがあるんだけど、春休みの最初にある集会って何するんだっけ?」
二人「(笑いながら)覚えてないです」
「もうあんた達には聞かないからっwww」
二人の関係を知っている寮母さんの目にも、仲のいいカップルがいちゃついているように見えたのだろう
なかなか愉快だった

49 :
「頭痛くならないんですか」
「全然」
「あっそ」
「俺、視力検査に一回だけ伊達眼鏡して入ったことある」
「ちょw」
「伊達眼鏡してて、検査の前に外して『メガネいいんですか!?』って聞かれたときに『伊達です(キリッ』ってwww」
「自由人ですね。視力いいなんて羨ましいです」
「目悪いもんね」
「メガネも合わなくなってきたみたいです」
最後にやたら優しい声で「視力は大事にしなきゃダメだよ」って囁かれた
今更どうしろというのだろうか

50 :
寮母さんに怒られたので私たちはロビーに移動した
「運動を全くしなくなってだいぶ経つけど、すぐお腹空くんだよね」
「先輩はごはんたくさん食べますもんね」
「燃費最悪wwwなんてな。最近体型が危ない」
「私の方がひどいですよ。胸ないのにお腹ひどいし」
「やっぱり女の子は気になるもんなのか」
「//」
先輩は私から少し離れて、制服姿の私のことをジロジロ見てきた
「あの・・・」
「うーん・・・Cは無いな!」
「うるさいっ//」
その時はスポーツブラでいることの方が多かった
でも、実際のブラジャーのサイズは残念ながらCカップです
「残念でしたwまぁ正解は言いませんけどwww」
「厚着のしてるせいかなぁ・・・でも、俺こういうの当てるの上手いって言われる」
「気持ち悪いですね」
「俺は基本的にどんな話題されても盛り上がれる。下ネタとかみんな話すじゃん」
「話題が尽きると自然とその流れになりますよね」
「そう、ひとしきり笑ったあと『なんでこんな話してるんだか』ってなる」

51 :
もう一度私のことをジロジロ見てくる先輩
「恥ずかしいからやめてください」
「普通の女の子だね」
「だからやめt(ry」
「人間観察が趣味なんだ」
「悪趣味・・・ああでも、特定の人観察するのは好きです」
「やべっ」
そう言ってロビーの隅っこに逃げて丸くなる先輩
「ちょっと何逃げているんですかぁ?www」
「なんかそれ俺が観察されてるみたいで恥ずかしいじゃん//」
まぁその通りなんですけど
「別に先輩とは言ってないですwwwwこっち見てくださいよぉwwww」
今度は私が先輩のことをジロジロ見る番になった
これが、バレンタイン前の最後の会話になったと思う

52 :
餡子は前日の夕方に、おまんじゅうは当日の夕方に作った
二人いる寮母さんは1日交代で女子寮の相談室というところで女子寮生とおしゃべりをしている
餡子とおまんじゅうの毒見を寮母さんにお願いすることにした
なかなかおいしくできたと思う。さすがクックパッドさん
餡子を毒見してもらうついでに、相談室で寮母さんと二人でおしゃべりした
「餡子美味しいよー!もう幸せ!!うまくいくといいね」
「まぁ大して期待はしてないですけど」
「あの子、ゲーセンに女の先輩とか交えて集団で遊びに行ったことならあるみたいだけど、デートは○○ちゃんが初めてだったみたい」
「そうなんですかw」
「うん。それとね、年の瀬にお餅つくじゃん?あの子のおうちでは餡子も手作りらしいよ」
それはかなり危ない・・・餡子美味しくないって思われたらどうしよう
おまんじゅうを蒸した日は、なんでか知らないけどすごい感動されて、携帯で写真まで撮ってくれた
「せいろまで買ってるしw」
「セリアで買いました(笑)」
蒸しすぎて割れたり、お湯が足りなくなって鍋が焦げたりして大変だったけど、なんとかお風呂の時間までに蒸し終わることができた

53 :
寮母さんと二人で毒味したけど、味も見た目もそこそこの出来だった
点呼が終わってから渡そうと思って、お風呂の前に先輩にメールを送る
「点呼終わってから、外に出ていただきますか?」
iPhoneの場合、メール(MMS)を受信をするとロック画面にヘッダーが表示される
メールを送って1時間以上経過しても、ロック画面には何も表示されなかった
「おかしいな・・・」
点呼の直前になって、念のためロックを解除したら私がお風呂を上がったくらいの時間に返信が来ていた
「点呼前じゃダメ?」
もう遅いよ・・・
「すいませんっ。今気付きました・・・」
「別に構わんよ。点呼終わったら返事ちょうだい」
先輩が優しい人でよかった
点呼を済まし、私は急いでおまんじゅうを包んだ袋を持って先輩が住む建物の前へ行った

54 :
iPhoneの着信履歴を見て先輩に電話をかける
父親とも電話はするけどその場合はPHSを使う
その時も、滅多に通話しない私のiPhoneの履歴には先輩の名前しかなかった
「今どこにいるの?」
「先輩の建物の前です」
「すぐ行く」
運が悪いことに、そこは寮のロビーの前でもあった
そして、私たちが初めて話した自販機の近くでもある
宿直の先生におまんじゅうを渡すところを見られてしまったけど、若手のユルい先生だから許してくれた
「僕が見ちゃいけなかったかな?ごめんねww」
「別に構わないですよ。寮の敷地内だから問題ないとはいえ、点呼後に出ちゃったのは私です」
そう言って先生はロビーの中に入っていった
「はい」
「ありがと。ちょうどお腹が空いていたんだ」
「どういたしまして」
「お返し考えなきゃね。寮閉まる日とかいないよね?」
「朝早くから帰ります」
「そうか・・・いや、実は昨日もチョコもらったんだけどね、『お返し何がいい?』ってメールしたら『鎖骨で』って言われたwいやらしくない?ww」
「その人本命なんですかっ!?」
「分かんない。聞いてみたけど『秘密です』って言われた」
「そんな・・・私、本命なのに」
「えっ」
「言おうかどうか迷ったんですけどね。好きです」
「やったー!!」

55 :
嬉しそうな先輩の顔を見て、告白してよかったと思った
付き合いたいってわけではないけど、先輩のことが好きで、その先輩が私と仲良くしてくれることがうれしくて
先輩と話すうちに寮母さんや後輩や先輩方と仲良くなれたのが嬉しくて
とにかく、先輩のおかげで今の私は幸せなのだ
「ありがとう」って言いたくて
「先輩は私に愛されているんだよ」って教えてあげたくて
普段先輩と話すときの私は気持ちを全て伝えられなくて、それで後悔したり悩んだりするけど
もう、大切なことは全て話した
だから後悔しない
「返事は保留でもいい?ちょうどテスト勉強してたから、頭が追いつかないんだ」
「あ、それは申し訳ないです」
「構わんよ。じゃあ帰るね。ありがとう」
「こちらこそありがとうございました。おやすみなさい!」

56 :
それからしばらくの間、私は先輩のいるロビーに遊びにいくことができなかった
その次の日からテストが始まって、勉強に集中したいからって自分には言い訳してたけど・・・
大体、保留されたら振られたと思い込むのが恋愛の法則である
振られること自体は怖くない
何度も片思いで振られた私だけど、ほとんどの相手とは絶妙な距離で友達付き合いさせてもらってる
ただ、それまで当たり前に楽しいと思っていた先輩との関係に二度と戻れなくなるのが辛かった
ロビーに行かなくなった代わりに、相談室で寮母さんとおしゃべりするようになった
「どうしたらいいのでしょうね」
言葉では上手く言えない。でも、私の気持ちは二人とも分かってくれている
「逃げちゃったら意味ないじゃん」
テスト期間中に私は気持ちを整理した
そして、テストが終わった頃から私はまた、先輩と会って話をするようになる

57 :
いつも事務室に二人いるはずの時間なのに、その日は寮母さんが一人しかいなかった
「もう片方の寮母さんはね、先輩と一緒に宅急便屋さんに行っちゃった」
「なんでまた」
「エントリーシートの締切りが明日なのに、まだ発送していなかったのよ」
「まぁ忙しかったですし」
「写真も今日撮りに行ったって」
「」
「今にも泣き出しそうな顔してたw」って寮母さんは言った
見てみたかったな。そして、ハンカチを貸してあげたい
高専で就活するときは学校推薦というのが使える
学校が就職先を紹介したり、その企業を受けるときになにかとサポートしてくれる
就活については学校が全て面倒をみてくれるとは言うけど
先輩はその学校推薦というものを使わずに自力でその辺の大学生と同じ土俵で就職を決めると言っていた
県外の遠く離れたところに就職する気まんまんなのだ
先輩らしい選択だ
年上である以上、私より先に卒業していくのは自然なことだし
先輩の性格や価値観の一部しか知らないけど、遠く離れたところに出て一人暮らしすることは先輩らしい素敵な選択だ
でも、そんな遠い場所に締切り前夜にエントリーシートを発送して間に合うものなの?
その日の宿直の先生は「絶対駄目。あきらめるべき」と言っていた
他人事なのに不安になってきた

58 :
しばらくして先輩と寮母さんが帰ってきた
「おかえりなさい」
これが、告白してから初めて先輩に言ったこと
しばらく話していたけど、よそよそしい雰囲気に耐えきれずに私は部屋に帰った
それでも、先輩と会話できた自分はよくやったと思う
数日後
「そういえば、エントリーシート通ったみたいよ」
「そんなこともありましたねぇ」
「次はWeb試験だって」

59 :
テストも終わり、私は義理チョコを作ることにした
渡す相手は、同じクラスで寮に住んでる女の子、部員、Bさん、寮母さん、なぜか突然チョコをくれたクラスの男の子、そしてCくん
「寮の敷地の一目につかない場所でちょっと話したい」と言われたので、私は夜遅くにCくんと密会した
「いつの間にか彼氏ができていたね」
「先輩のこと?」
「名前は知らないけど」
「イオンで一緒にいた人でしょ?あれ、彼氏じゃないからw」
「マジで?ずっと彼氏だと思ってた」
「違うwwでも、やっぱり誰がどう見ても付き合ってるように見えるよね」
「うん。だっていつも一緒にいるし」
「私は好きだよ。この前告白したけど、返事来てない」
「好きで告白できたならいいじゃん」
Cくんが地元の友達と電話したいと言うので、私っは部屋に戻った
誤解がとけてよかったのか悪かったのか
悪いのは最初に私とごはんを食べようとしてきた先輩である

60 :
Web試験が終わった夜、ロビーにて先輩と以前お金を預けた先生と後輩(空気)とおしゃべりしていた
先生にもクッキーをあげた
お返しは先生の手作りクッキーだった
甘さを控えたココア味の生地にアーモンドを混ぜ込んであって、今まで食べたクッキーの中で一番美味しかった
寮母さんと日中だけ事務室でお仕事をしているお姉さんと4人で絶賛した
「今日のテストの出来はどうだった?」
「分からない問題たくさんありました・・・てか、部屋で受けてたんですけど、なぜか耐震工事の業者が入ってきまして」
「運悪すぎ」
「数学で頭使う問題のときに来たんですよ・・・もう落ちたかも」
「『これからのご活躍をお祈りします』ってメール来るかもしれないねw」
「あーあ」
落ち込んでる先輩を私を幾度か目にした
先輩だろうが他の人だろうが、私は落ち込んでいる人を励ますのが大変苦手である
そのせいで先輩を余計に傷つけたことがあったかもしれない
それでも何か言いたかった私は、その日もとんちんかんなことを口にした
「ここで運が悪かった分、発表のときに奇跡が起こってもいいじゃないですか。先輩は頑張ったんだし」
即座に「それはない」ってその場にいた全員に否定されたけど

61 :
青春だな〜ヽ(●´Д`●)ノ

62 :
>>61
レスありがとうございます
二度と戻れない青春の日々です(笑)

63 :
春休みに入った
春休みに入ってから、午前中は部活、午後はフリーなので買い物などをして過ごしていた
春休み前に私も晴れてバイトをすることが決まった
制服を作ってもらってから仕事だったので、春休み中にバイトをすることはほとんどなかったけど・・・
夜ごはんを食べてから寮のロビーに遊びに行ったけど、先輩はいなかった
餡子を毒味してくれた寮母さんと、1個上の先輩数名と、Web試験の話をしたときに居たのとは違う後輩がいた
私以外のメンバーはみんな同じ部活に所属していて、夜ごはんで食堂が余らせたおかずを持参してこれから部活に行くらしい
彼らともなんだかんだ言って仲良くやってます
その辺によくいる高校生というのがどうも苦手で、プリクラ撮ったり厚化粧したりしてキャーキャーうるさい女子高生にはついていけない
でも、高専特有のヲタっぽいようなノリが好きで、周りも大人っぽい人が多くて落ち着くんだ
私は私服で買い物を済ませたばかりだった
寮に帰って来てからクリーニング屋さんから電話があって、制服のクリーニングができたって言われたけど、明日にしようと思っていた

64 :
「腹減った・・・」
不機嫌そうな顔にスウェット姿で先輩がロビーに入ってきた
どうでもいいことだけど、毎度お馴染みのスウェットは偶然にも私の制服用のカーディガンと同じ色をしている
私と寮母さんはちょっと身構えた
彼は、食べることが大好きで、チョコと生クリーム以外ならなんでも食べる人だけど
ごはんが美味しくないと機嫌を損ねてしまうのだ
そのせいで私たちは何度も怖い思いをしている
以前この寮母さんと二人きりで話したとき
「二人とも表面上何事もなかったようにしているけど、どこかよそよそしいところがある」と言われた
どんなことを言えばいいんだろう
先輩「寝起きなんすよ」
私「それはどうもおはようございます」
先輩「そして、お腹空いてるんですけど今私服ないから買い物に行けないんですよ」
寮母「どうして?」
先輩「昨日バイトで生ごみ捨てに行ったんですけど、前の人がゴミ袋二重にしてなくて、私服に生ゴミが・・・」
この人の私服ははジーンズにパーカーかシャツ。部屋でまったりするときはスウェット
服が好きでたくさん持ってるというわけではなさそうだけど、私はそれくらいがちょうどいいと思っていた
肌もきれいだし、爪が長いって思ったことはない
髪は滅多に帰らないけど実家で切る主義らしく、時々前髪がどうのこうの言ってるし私よりは長いけど特に気になったことはない
とにかく清潔感のあるかわいらしい人なのだ

65 :
私服は全て洗濯中で、ソフランが頑張っているから臭いは取れると思うと言った
私も寮で洗濯するときはソフランのアロマリッチ使ってます
ジュリエットの甘い匂いにうっとり(笑)
「学校の売店くらいならスウェットでも行けるかな・・・」
そう言って一旦売店に行ったけど、すぐに帰ってきた
春休みの間、売店は夕方までしか営業していない
先輩「(ロビーに居合わせた先輩より一個下の先輩に向かって)ちょっとコロッケパン買ってきて」
寮母「ダメよ!この子たちはこれから部活なんだから」
私「あのー・・・クリーニング屋さんって何時までやってますか?」
寮母「もう閉まってるんじゃないかな?」
私「(iPhoneで調べたけど営業時間までは分からない)クリーニング屋さん開いてることを願って、ついでにスーパー行ってきます」
寮母「女の子が暗い道一人で買い物なんて危ないよ。雨降ってるし」
私「小雨ですよ。それに、ここで買い物に行けるの私くらいじゃないですか」
先輩「別に気を遣わなくてもいいって」
気を遣っているわけじゃない
気に入られたいわけでもないんだけど、目の前でお腹空いたなんて喚かれたところで私にできることなんか・・・
財布と上着と傘と手袋を取りに部屋に戻り、もう一度ロビーに行った
「で、先輩は何が食べたいんですか?」
「別にいらないから!」
「だから行ったじゃないw○○ちゃんならやりかねないってwwww」
「別に先輩のためじゃないです。私だってクリーニング屋さんに行きたいんですよお!」
もしクリーニング屋さんが閉まっていたら、事務室に電話しよう
歩くつもりで傘を持ってきたけど、あまりに雨が弱いから自転車で行くことにした

66 :
クリーニング屋さんはスーパーの敷地の中にある
その近くにもスーパーがあって、その日はポイントが5倍もらえる日だった
クリーニング屋さんまでは自転車で急な坂道をくだる
真っ暗だし、怖がりだからブレーキを軽めにかけていたけどそれでも速かったはずだ
クリーニング屋さんは閉まってた
電話するかーと思ってiPhoneを取り出したら、先輩から着信が入っていた
その時にはもう、先輩以外の人(バイト先)と通話してたから、着信履歴を見ても甘酸っぱい感情は起きない
本当は寮母さんと話したいんだけどなぁ・・・
仕方ないから先輩に電話した

67 :
寮母さんが出た
「寮母でごめんねw」
「いや、寮母さんに電話したかったから、そのほうがよかったです。クリーニング屋さん閉まってたんですけど」
「そっかぁ・・・そこで何か買って帰らないと、先輩は気の効かない後輩だって言うと思うよ」
「勝手ですね。なんかリクエストあります?」
「さっきからずっと粉ものが食べたいってうるさいのよw」
「お好み焼きとか?」
「いや、黒ごまの入ったスティック状のクッキーが食べたいって。まぁスティック状じゃなくてもいいらしいけど、コンビニで100円で売ってるって」
「ポイント5倍だからそこのスーパーで買おうと思ったんですけど」
「そこからだと、コンビニ遠いもんね」
「てか、ずっと寮母さんに言おうと思ったことがあったんですけど・・・」
電話かけてるときから私のテンションはおかしかった
自分でもびっくりするくらい大きな声で声もなんか高くて
お酒飲んだことないから分からないけど、酔っ払ったらこんなテンションになるんだろうなって思った
それからなぜか目が潤んできた
泣きたいのを我慢して、スーパーまで自転車を押しながら電話口で叫ぶ
「あと少ししたら、先輩と初めて話してからちょうど1年になるんですよ」

68 :
その日のことを私はよく覚えていない
覚えている範囲で、私は始業式の日のことを寮母さんに説明した
「よくそんなこと覚えてられるね」
「先輩がそのこと話してくれるまで忘れてたんですけど・・・
 初めて自販機の前で一緒にアイス食べたとき、こんなことになるなんて思わなかっただろうな」
「ww」
「なんか泣きそう」
「泣いちゃダメだよ。てかどうやって来たの?連絡来るのがやたら早いんだけど」
「自転車です」
「雨なのに?」
「小雨ですよ。大体、私は午前中は大雨なのに校内を6kmくらい走ってたんですからね!これくらいなんともないです」
「風邪ひいちゃダメだよ?」
「私が風邪なんかにやられるわけないじゃないですか。先輩なんか2回もダウンしたのに」
「そうだったね」
「なんでその度に差し入れしてたんだろう。今にして思えばおかしすぎる」
デートした次の週に、先輩はまた風邪をひいた
そのときはクリスマスかバレンタインのプレゼントに渡そうと思ったマフラーとみかんを差し入れした
マフラーは一応おしゃれ用に買ったけど、マフラーするような人じゃない
ただ、せめて寝てるときくらいは巻いて喉を温めて欲しいと思ってマフラーをあげた
絶対使ってないだろうけど

69 :
「運動部だしごはんもちゃんと食べるし身体を気遣ってるから先輩より丈夫だもんねー。今度はいいものご馳走になるといいね」
「自分で『俺丈夫だからw』って言ってるのに意外と弱い。もう二度と差し入れなんてしない」
スーパーに入った
混雑のピークが過ぎたのか、人が少ない
「人の少ないスーパーで一人大声で通話ってなかなか恥ずかしいです」
クッキーが並んでいる棚の前に着いた
でも、残念ながらチョコが挟んであったりチョコチップ入りだったりココア味だったり、とにかくチョコだらけだった
均一菓子ってところに行けばすぐに見つけられたのかもしれないけど、その時は思考回路がおかしかったのだ
「ハーベストじゃダメですか?」
「あーいいねぇ・・・ってダメみたい。なんかすごい嫌そうな顔してる」
「めんどくさー」
「代わった方がいいかな?」
「やめて下さい」
「なんで?」
「恥ずかしいじゃないですk・・・」

70 :
「もしもーし(はぁと」
先輩の声が今までにないくらい優しい
猫好き故に猫なで声も・・・
正直、気持ち悪いと思った
それよりも、「恥ずかしい」って言う声を聞かれたことを恥ずかしいと思う気持ちの方が大きかった
「あぁもしもし?何買えばいいんですか?」
「俺は今食欲に支配されている。腹が減って死にそうだ」
ばいいのに
「粉ものって言ってましたよね?パンじゃダメですか?」
「パンって気分ではないんだよなぁ」
お腹空いてたらなんでも食べたくなるもんじゃないの?
「プリッツとかじゃダメですか?」←もはやごまとか関係ない
「それもちょっと違う。俺はとりあえずクッキーが食べたい。あとは任せる」
「んもー・・・何買ってきても文句は言わないでくださいね!」
「言わないよぉwwじゃあね」
なんて自分勝手なんだ。いや、根は優しい親切な人なのは分かってるけど
女のくせによく食べるとは言われるけど、男の人・・・いや、彼の食欲には勝てる気がしない
恥ずかしいしちょっと怒ってるような話し方をしてたけど
実際幸せだった。顔は笑っていたと思う
めぼしいクッキーが見当たらなかったので、隣にあるドラッグストアに移動した

71 :
ドラッグストアの入り口の前で思いっきり滑ったけど、コケることも尻もちつくこともなく店内に入っていった
だいぶ焦っていたのだろう
ドラッグストアにもココア系のクッキーしか置いてなかった
以前、先輩が「(この飴が)めっちゃ好き」って言って私にくれたのど飴が売っていたけど買わずにドラッグストアを後にした
確かにあののど飴はおいしいです。あれから私も買って冷蔵庫に入れてます
先ほどのクリーニング屋さんの近くのスーパーに行った
クッキーの棚を見て、真っ先に抹茶味のクッキーが目に入った
抹茶味のクッキーはありそうでない
あったとしてもチョコチップが混じっていて、先輩に買えるものではなかった
そこで、私はようやく「均一菓子」の存在を思い出した
「100円均一!」と書いてある棚の中に、スティック状ではないけど黒ごまの混じったクッキーを見つける
それと抹茶味のクッキーを購入し、自転車で急な坂道を登って私は寮に帰った

72 :
寮に着いたのは8時過ぎ
そろそろお風呂に入らないと危ない時間だった
ロビーに入ると二人が事務室のソファーでおしゃべりをしていた
二人「帰るの早っ」
私 「おまたせしましたーじゃあ私はこれで」
カウンターにスーパーのレジ袋をポイって置いて出口まで進む
寮母「抹茶とかwwちょっとゆっくりしていきなさい」
私 「お風呂ヤバいから帰ります」
寮母「大丈夫だからw」
私はそそくさと部屋に帰った
追いかけられたらどうしようって思ったけど、そんなことは無かった
それよりもクッキーの方が大事
不安だったから、後でメールした
「先ほどはすいませんでした。クッキー美味しいですか?」
「気にすんなー。美味しいよ」
よかった

73 :
やっと追いついた
まさに青春って感じでいいな〜

74 :
数日後
「そういえば、Web試験通ったらしいよ」
「それはよかったじゃないですか」
「今度は面接だって」
面接の日が、ちょうど部活の合宿と被っていた
寮母さんと「就活って厳しいもんなのかねー」って会話をしていたら、先輩がレモネードとブラックコーヒーを持ってロビーに入ってきた
「差し入れ」
「ありがとうございます」
好きな食べ物の話をしたことはない
でも、レモネードはわりと好きなので嬉しかった
「試験に受かったらしいですね」
「なんで知ってるの」
「今あたしが教えたのー」
さすがに自販機で買ったばかりのレモネードを飲んだら舌が痛くなっちゃうので、しばらく缶の温かさを楽しんでいた
頃合いを見て、レモネードの缶を開ける
「美味しいです」
ロビーのテーブル越しに先輩と向かい合って座る
その日はなぜか二人きりだった
寮母さんは事務室の中で男子寮生のズボンの裾上げをしている
二人でおしゃべりをしてて、先輩が一度だけ寮母さんに声をかけたけど、集中しているのか反応がなかった

75 :
>>73
こんなベタなこと2ちゃんに堂々と書いてる自分が恥ずかしくなってきました(笑)

76 :
話が途切れたとき、私はどこを見たらいいのか分からなくなってうつむいた
「俺が君のこといじめてるみたい」
「そんなことないですよ」
先輩の目を見て微笑んでみたけど、私はきっと泣きそうな顔をしてた
テーブルの上にある私のiPhoneを見て言う
「春休みになったら機種変して、iPhoneを買おうと思う。ついでにキャリア変更しようかな」
「えっ」
私は先輩の電話番号しか知らない
でも、キャリアは一緒だから番号だけでメールをすることができていた
デート前に連絡先を教えたけど、QRコードに登録していた私のアドレスは間違いだったのだ
だから私たちはお互いのメアドを知らない
「メールできなくなるじゃないですか」
「そう言えば君にメールしたときエラーメールが返ってきた」
「ここがこう・・・違うんですよ」
「こうか。じゃあ今から空メール送るから」
こうして私たちはようやくお互いのアドレスを知ることができた
ちなみに、そのアドレスでメールをしたことは今現在一度もない

77 :
「見てもいい?」
「どうぞ」
先輩が私のiPhoneで私を困らせるようなことはしないのは分かっていた
「ごめん、ロック解除して」
ロックナンバーは先輩の誕生日を適当に並び替えたものである
「とりあえずSOICHAを移動させてください」
「そいちゃ?」
「なんでもないです」
先輩が来る前も、私は先輩のことをつぶやいていた
お互いTwitterをしているのは知ってるし、先輩は違うSNSで私の友達とも絡んでるみたいだけど、ネット上の私は知られたくないし、知りたくない
先輩のパソコンにエロゲが入っているのを知っても嫌な気分にはならなかったけど(先輩ならやるだろうなって思っていたし)

78 :
先輩にiPhoneを渡す
私がどんなアプリを入れてるのか見ていく
「ココログやってんの?」
「はい」
「俺も実はココログユーザーだったりする」
「あ、ちょっとブログいじっていいですか?」
「まあいいけど」
ブログまで見られないのは分かってる
でも、私はどうしても前の日に書いた記事を消したかった
先輩のことで悩んでいて、それゆえにネチネチしたことを書いてしまったのだ
コメントを受け付けていないから読者も少ないと思うけど、読んでいる人に心配をかけるわけにはいかない
先輩は女の人と電話をしていた
内容から推測してみたけど、どうも自分の母親のようだった
なぜか落ち着き無くロビーを歩き回る先輩
最後に留年がどうのこうの言っていたけど、知り合いか誰かの話だろう

79 :
ブログの記事を消しても先輩はまだ電話をしていたから、「デートなう」とつぶやいた
「レモネードおごってくれた。美味しい!」
「幸せです(ノω`*)」
通話が終わり、二人でiPhoneをいじる
「Siriはまだ日本語じゃないんだね」
「Siriってなんですか?」
「そこから?ww(Siriについて説明してくれる)」
「なにそれすごい」
「俺、Siriと会話したくてiPhone欲しいと思ってたのに」
「へぇ」
「クックパッド!それ超便利だよなー」
「いつもお世話になってますw」
「ほんとアレすげーよな。てか、虚構新聞読者ですか?」
「最近読んでないんですけどねw」

80 :
「てか、iPhoneで動画見るときってどんな感じなの?」
「YouTube見ますか?」
「うん。あ、履歴見せたくないよね・・・俺も動画の履歴とか他人には絶対見せれないw」
どんないかがわしい動画を見ているんだろう
そんな履歴なんて見られても別に・・・って思ったけど、
さすがに脚のマッサージ動画を見てたことは知られたくない
履歴は最近ハマったボカロ曲のPVでいっぱいだった
その下にマッサージ動画があって、履歴の一番最後がにゃんぱいあの動画だった
「私は変な動画なんて・・・先輩はこれでも見てればいいじゃないですかー」
http://www.youtube.com/watch?v=6qasp_inrOw
「おっにゃんぱいあかー・・・・・・あ、出たゆきうささん・・・・・まさむにゃかww」
「かわいいですよね」
「癒されるなー。今度ゆっくり見よう。意外と画質いいし、速いのな」

81 :
「で、これ元に戻すときどうするの?」
iPhone片手にあたふたしてる先輩の手の中で、私の指が画面に触れる
お互いの指と指が触れ合う
なんだか恥ずかしい気持ちになった
今度は自分で動画を検索する先輩
どこから教わったのか分からないけど、慣れない手つきでフリック入力をする
「慣れると楽なのかなぁ・・・」
この発言、破壊力ありすぎ
母性本能が爆発するかと思った
以前、スマートフォンに機種変した友達にフリック入力を教えたら
「こんなめんどくさいことやってられない。普通にガラケーで打つようにした方が速い」って全否定されたけど
先輩は自らフリック入力に挑戦するんだもの
なんか感動した
先輩ならすぐ慣れると思いますとは恥ずかしくて言えなかった

82 :
先輩は「最近ハマってる」という、海外のエレクトロニカ曲のPVを見せてくれた
「このアーティストは曲もおもしろいんだけど、PVもなかなかセンスあるの」
そう言って、先輩の解説を交えつつ二人で動画を見た
「俺にしてはおとなしいと思うでしょ?」
「そうですね」
「ここからなんだよw」
ボーカルの悲鳴のような音がして、曲はだんだん激しくなっていく
「この女の子の手つきおもしろくない?部屋でずっとPV見てたら友達もノってくれるようになってさw」
「おもしろいですねw」
SFっぽい内容のPVだった
眼鏡をかけたおっさんが、怪しげな女の子の超能力で操られぶっ飛ばされていく

83 :
「ちょww」
「じゃあ次」
今度は日本語だった
「辞世テンプレート?」
「うん。まさむにゃ見てたら思い出した」
先輩の大好きなpop'n musicのサントラだった
伊達政宗のようなキャラクターが出てるPV(公式ではなく、ファンの人が作ったらしい)を見た後にプレイ動画を見た
キャラクターがかわいかった
「PVもいいんだけどさ・・・やっぱりプレイ動画が見たくなるんだよな」
「全然構いませんよ」
先輩は、曲に合わせて指先でテーブルを叩いていく
ゲームなんてさっぱり分からない私だけど
楽しそうな先輩を見ていて、幸せな気分になった。いつものことだけど

84 :
同級生で寮生で学校を辞めていった女の子がいた
彼女は勉強や部活がしたいというよりも、男にちやほやされたいからという理由で高専に入学した
高校デビューだったのだ
その時点でなにかが間違えていると思うのだけど、まぁ過ぎたことはどうでもいい
彼女は言った
「人と話してるときに、自分が知らないことで勝手に盛り上がられるとイライラするんだよねー
男と話してて、自分が知らないゲームとかアニメとか音楽の話されると我慢できなくなる」
私だって、他人の趣味について深くは知らない
好きな人がいてその人の好きなものは分かるけど自分ではどこがいいのか分からないなんてよくある
それでも、私は好きな人が好きなものに熱中しているところを見ているのが好きだ
自分にとって何のことか分からなくても、こうやって熱く語ってるのを聞いていて幸せな気持ちになる
相手と一緒になろうとして、無理に自分を飾るのが苦手だ
先輩は、私に対してどんな気持ちで接してくれるのだろう
全てを知りたいとは思わないけど、等身大の先輩をこれからもずっと見ていきたい

85 :
お互いバイトやら就活やら合宿やらで会えない日が続いた
合宿の前の日に、私はクッキーを買いに行ったときに電話した寮母さんと相談室でおしゃべりをした
「そういえば明日から先輩も面接しにおでかけだって」
「おみやげせびるの忘れてました」
正直、お土産なんてどうでもいい
無事に帰ってきてくれて、また今までのように遊んでくれたらそれだけで幸せなのだ
口には出さないけど
「抹茶とは渋い選択だったねw」
「良さげのがなかなか見つからなかったもので」
「先輩とずっと話してたの。『こういうことがあったとき、真っ先に私が行きます!って言うのが○○ちゃんだって』」
「それが私だから。先輩に媚びたくてしたわけじゃないんですけど、もしもそれを誤解されてたら嫌だって思って」
「それはない」
「この前、レモネード頂いて安心しました。別に心配することはなかったなって」
「そりゃそうだよ。だって先輩だもん」

86 :
その日、私は黒いタイツにデニムのホットを合わせていた
上は、学校を辞めた彼女が「いらないから」とくれたカットソー
最終的に仲が悪くなってしまったけど、どういうわけか服の貸し借りはよくしていた
暖かくなったので、黒いタイツにミニスカートやホットを合わせることが多くなった
「そういえばさ、待ってるときに先輩が突然『○○ちゃんの脚が綺麗』って言った」
「えっ」
頬と耳が熱くなった
ショートヘアで髪を耳にかけているから、顔どころか耳まで真っ赤になっているところを見られたと思う
きっと、黒タイツの下の脚も真っ赤だ
「なんでまた急に」
「制服のスカートからスラッと伸びる脚がきれいだって先輩が言ってて・・・別にやらしい意味ではないんだけど」
「黒タイツ補正ですよw」
「まぁそれでしばらくその話題で盛り上がったの」
「」
寮母さんはよく、先輩の目の前で私のことを美肌だとか服がかわいいとか褒めてくれる
でも、さすがに先輩が私のことを褒めることはなかった
裏でそんなことを言ってたなんて・・・
そんなことがあったから、私はなにがあっても陸上は続けていくと心に誓った
そして、ストレッチやマッサージ、肌の手入れなんかも頑張ろうと思った

87 :
合宿が終わり、ホワイトデーもいつの間にか過ぎた
先輩とは会っていない
別に会いたいとは思わなかったけど、寮に戻ってきていないらしい
大丈夫なのかな
その日は卒業式
次の日の朝、私は実家に帰る
だから、今日会えなかったら当分会えないのだ
私の学校では、卒業式に在校生は部活単位で参加する
式自体には参加できない
謝恩会の時間に部活などでお世話になった先輩に花束などを贈ったり、卒業生と写真を撮ったりする
会場に着いたけど、先輩はいない

88 :
トイレに行こうとしたら、Aさんの姿を発見した
先輩つながりでAさんとも仲良くなった
「こんにちは」
「チーッス・・・あいつ、卒業式来るって言ってたんだけどなぁ」
「帰ってきたんですか?」
「うん。昨日の夜帰ってきた。よく分からんキーホルダーくれた」
「へぇー・・・」
「まだ部屋で寝てる」
「」
別に会いたいとは思ってなかったけど・・・・私の制服姿も今年の分は見納めなのに
それに、スーツでにゃんぱいあのキーホルダーを下げている先輩の姿を見てみたかった
「スーツは似合わない」って言ってたけど、私から見たら普通です。てか新鮮

89 :
午後はひたすら部屋の片付けをしていた
私は生意気なことに1人部屋なので、同部屋がいない
狭いながらも実家よりはるかに居心地がいい部屋ともしばらくお別れである
気を遣う相手がいないことをいいことに、私は鉢植えのバラとワイルドストロベリーを育てていた
部屋が暖かいのでワイルドストロベリーは2月上旬に種まきをした
本葉が2〜3枚ほど生えてきた
ワイルドストロベリー育てると恋愛運上がるってホントかな?
私にはよく分かんない(笑)
バラも近所のお花屋さんで同じ頃に買った
室内用の香りのないショッキングピンクのミニバラ
香りがいい花がよかったけど、手入れが大変そうだし、甘い匂いの芳香剤もあるからこれでいい
買ったときについていた蕾は全て開花したので切り落とした
新しく生えた芽から枝が伸び、先端に小さな蕾がついていた

90 :
寮母さんは二人ともお花が好きなので、この話題で盛り上がることが多い
帰省している間は寮母さんに預かってもらうことにした
実家で鉢植えの面倒を見るのは大変だから
それに、私がそうだったように、鉢植えにも、たくさんの人の愛情を注いで欲しかったのだ
陸上部で女っ気のない性格に合わず趣味が乙女チックで我ながら恥ずかしい(持ち物がかわいいとはよく言われるけど。iPhoneにもかわいいスキンシール貼ってるけど)
先輩にはバレたくないと思っていた
以前、寮母さんが先輩の前で私のギャップがすごいって話をしていたときはあまりの恥ずかしさに涙が出たけど・・・
「とりあえずこちらをおねがいします」
「ワイルドストロベリーも大きくなったねぇ・・・可愛い芽が出たときは嬉しそうに見せてくれたのに」
「寮に戻ったら植え替えしようかと思いまして」
「間引きもしなきゃねー・・・ちょっともらってもいいかな?」
「どうぞもらって下さい」
その日は女子寮の先輩もいて、私の鉢植えを褒めてくれた
ちょっと照れくさかった

91 :
「先輩は今日もバイトだって」
「明日には寮閉まるのに?」
「シフト入れた覚えがないのに、さっき電話があって出て行っちゃった」
「あーあ」
先輩に会えると思って制服で片付けをしていたのにな(笑)
私はあの日一緒にYouTubeを見て以来、今現在に至るまで先輩とは会っていない
そして、先輩がもう少しで19歳の誕生日を迎える

92 :
誕生日のプレゼントは決めた
先輩の財布が悲惨なことになっていたから、カードケースをあげようと思う
それと、地元で見つけたネタっぽいようなメッセージカード
カードでパンパンになった財布を見せてくれて、中身までは分からないけど
滅多に使わないのに病院の診察券とかも入っていそう
使ってくれるか分からないけど・・・
その日は用事があるから、次の日に地元に会いにいって渡したい
会ってくれるのだろうか
誕生日メールのついでに誘った方がいいのか、もう少し前に聞いた方がいいのか
もしこれを読んでくれている人がいたら、是非ともアドバイスをお願いします

93 :
最後に・・・ホワイトデーにBさんと会ったときのことを書いていなかったので書きます
その日は私のバイトが9時までだったので、Bさんの車で先輩とデートした日に行った銭湯に行った
助手席には私の知らない男の人がいたけどさすが高専生。楽しい人でした
「あいつから返事来た?」
「まだですw私も合宿でしたし、あの人も就活で忙しかったからなかなか会えなかったです」
「なに待たせてるんだか・・・そういえばあいつが留年するって聞いた?」
「えっ」
「あいつ成績よくないじゃん?それで留年って噂がある」
Bさんと助手席の人はイオンに用事があると言うので、私は一人で銭湯に行った
留年か・・・
この前の電話で留年がどうのこうの言っていたのはこのことなのだろうか
先輩といれる時間があと1年長くなったとか言われても嬉しくない
それで私が幸せになれる保証などないのだから

94 :
先輩のことは好きだ。これからもずっと、仲良くしてほしいと思う
でも、それ以上に先輩自身の幸せの方が大事
会いたいときに必ず会える関係ではない
私たちは二人とも、お互いの存在がなくても笑っていられる
学校でも、寮でも、部活でも、バイト先でも
それでも先輩と一緒にいるときが1番幸せになれるから
切なくなることも苦しくなることもあるけど、同じくらい幸せな気持ちを知ってしまったから
私は先輩と笑っていたい

95 :
本編(?)はこれで終わりです
私たちの間に何かが起きたら気分次第で続きを書いていこうと思います
大した話でもないのに最後まで読んでくださりありがとうございました
質問や感想、アドバイス等をお待ちしております

96 :
お疲れ様です。
先日は支援で<sage>入力してスミマセンでした…。
いいねー、新学期が楽しみだ。
この年に純愛は眩し過ぎるw
近況報告を待ってます。

97 :
こういうスレみてると心が洗われて綺麗になる気がする〜

98 :
>>96
読んで頂けるだけでも嬉しいです!
ありがとうございます
実家にいるのも退屈なので、早く新学期になって先輩に会いたいです
>>97
読んでくださりありがとうございます!
ベタな高校生活ですけどね←

99 :
もし高専という存在について「高専に入ると恋愛が〜」とか言う人がいるかもしれないけど
ごく稀にこのようなこともあるってことを知ってもらえたら嬉しいです
残念ながら私は美少女ではないし、絵に書いたような性格美人ってわけでもないのですが・・・
高専生だって恋愛するんだぞっ(多分)

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