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2012年5月ニュー速VIP349: VIP市をテロリストが襲うようです (245)
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ここだけ異世界の魔法学校コンマ00で魔物発生(停学解除) (1001)
VIP市をテロリストが襲うようです
- 1 :12/05/31 〜 最終レス :12/06/01
-
────┼─タッグバトル─┼─┼─参加作品─┼────
青い空の中を、雲が奔っていく。
空を二つに割るように飛んでいた飛行機は、その高度をゆっくりと下げる。
「当機はまもなく着陸態勢に入ります」
飛行機が向かう先には三本の直線が見えている。
今そこから、異なる飛行機がすれ違うように飛び立っていった。
そしてまた一機が滑走路に曳かれていく。
朝でも夜でもこの空港は休むことがない。
進行方向に向かって右側には、
雲に突き刺さるような高層建築物がいくつも建ち並んでいる。
- 2 :
-
世界有数の経済都市である VIP市
一秒に動く金はおよそ数億とも数十億ともいわれる大都市。
南北に流れる一級河川を挟んだ対岸には、住宅街が詰まっていて、
人口密度もかなりの大きさだ。
都市は円形に広がっており、その中心には一段と高い尖塔が己を主張している。
頂上の展望デッキからは周囲が全て見渡せるだろう。
東から昇る朝日がゆっくりと光を溢し、影が短くなっていく。
様々な音が人々の目覚めを告げ、都市は動き出す。
いつもと変わらない一日が始まったかのように見えた。
- 3 :
- 長い三行
- 4 :
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――
タイトル◆side:building
――――――――――――――――――――――――――――――――――
チュンチュン
( ^ω^)「んー…」
( ^ω^)「今日も朝日が綺麗だお」
朝。天気は晴れ。
東の空に日が昇り、ほんのりとした暖かさが空気に混じる。
朝日は好きだ。気分がいい。
( ^ω^)「お」
( ^ω^)「営業のビロードくんかお」
( ^ω^)「今日も早いお」
( ^ω^)「関心関心」
- 5 :
- おお支援
- 6 :
-
足早に歩く若い男。
今年入社したばかりの新入社員だ。パリッとしたスーツがいかにも新人っぽい。
せっかくの休日なのに出勤とは本当にご苦労さまです。
( ^ω^)「あー」
( ^ω^)「いい天気なのに、朝早くから仕事とかマジしんどいっすわ」
( ^ω^)「こういう日は外で日向ぼっこするに限るお」
欠伸をかみ殺しながら、太陽に目を向ける。
眩しい。ウチの社長のハゲ頭のようだ。
なんてことを考えていると、横から声をかけられた。
('A`)「よぉ、ブーン」
( ^ω^)「お、ドクオかお。おはようだお」
こいつの名前はドクオ。
腐れ縁の旧友で、背丈が小さいが態度はでかい。
これだけだとすごい嫌な奴みたいだけど、間違ってはいないな。うん。
- 7 :
-
('A`)「相変わらずのんきな顔してんな」
( ^ω^)「そっちは相変わらず陰鬱な顔だお」
('A`)「オレの目の前の誰かさんのせいでな」
( ^ω^)「大は小を兼ねるというお」
('A`)「使い方間違ってるだろ、それ」
('A`)「とりあえず、そのでかい図体どかせよ」
( ^ω^)「と、言われましても」
('A`)「デェダラボッチとかに頼むか。山でも動かせるらしいし」
( ^ω^)「やだドックン。目が本気」
('A`)「いつだってオレは本気だ」
- 8 :
-
( ^ω^)「そんなことされたら、ウチの可愛い子どもたちが路頭に迷うお」
('A`)「おっさんばっかじゃねぇか」
( ^ω^)「若い子もいるお。秘書のトソンちゃん、受付のミセリちゃん、経理のクーちゃんに…」
('A`)「。ガチで」
(株)内藤商事が有する内藤ビルディング。
それがブーンこと、ボクの正式名称だ。
- 9 :
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――
−AM7:00−
内藤ビルディング
――――――――――――――――――――――――――――――――――
┌─────┐
│ロロロロロロロロロ│
│ ^ω^│ <どうも、きらきらきらりん内藤商事です
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
│ロロロロロロロロロ│ │ | ̄Τ ̄Τ ̄| │
│ロロロロロロロロロ│ VVVVVVVV
│ ┌──┐ │/::::::::::::::::::::::::::::::'A`:::\ <……
│ Τ ̄Τ │ ̄|Τ ̄Τ ̄Τ ̄Τ| ̄
│ │││ │ │|101 |102 |103| |....,,..,.......,,
- 10 :
-
('A`)「初っ端からうざいんですけど」
( ^ω^)「まぁ、休日の朝だし? お日様も気持ちいいし?」
('A`)「ふざけんな」
('A`)「こっちは野郎どもがジメジメゴロゴロしてるだけで気持ち悪いんだよ」
( ^ω^)「ドクオも女子を入れればいいお」
('A`)「絶賛歓迎中ですけどね」
('A`)「会社とかと違って、ウチみたいなアパートには女の子は来ねーっつうの」
( ^ω^)「呼び込めばいいお」
('A`)「軽く言うね」
('A`)「じゃあ、お前のとこの女子紹介しろよ」
( ^ω^)「なんでウチ選んだし」
('A`)「近いしちょうどいいだろ」
- 11 :
-
('A`)「ビルの横の欝田荘って会社にも近いし最高じゃない? みたいな張り紙とか出せないの」
( ^ω^)「そういうことは総務を通してくれお」
('A`)「固っ」
( ^ω^)「固いもなにも張り紙するとか無理だお」
('A`)「頑張ればできるんじゃね。ほら、身体の一部を崩して象形文字にするとか」
( ^ω^)「ホラーかお」
('A`)「ウチの部屋でやったら呪い扱いされたわ」
('A`)「そのせいで一室空いてる」
( ^ω^)「…」
('A`)「黙るなよ、悲しくなるだろ」
( ^ω^)「いや、だって…」
( ^ω^)「日も差さない部屋で呪われてるとか」
(;'A`)「半分はお前のせいだよ!!」
- 12 :
-
まぁ、日照権が悪いのは概ねボクのせいだ。
それは認めよう。とはいえ別にボクだけが飛びぬけて高いわけじゃない。
周囲は全部高層建築物だ。
言ってしまえば、ドクオがこの大都市VIPでは異質な存在なのだ。
( ^ω^)「つーか、ドクオ」
('A`)「あん?」
( ^ω^)「リフォームとかしないのかお?」
('A`)「んな金がねぇ」
( ^ω^)「おま…、その土地だけは一等地じゃねぇかお」
('A`)「だけとか言うな」
( ^ω^)「身体も随分痛んでるんじゃないのかお? このままじゃいつかリとかいってもおかしくないお」
('A`)「リね」
( ^ω^)「まぁ、倒壊するなんてことはそうそうないと思うけど、気を付けないと痛い目見るお?」
('A`)「…」
('A`)「…倒壊か」
- 13 :
-
( ^ω^)「え」
( ^ω^)「なに? 倒壊すんのかお?」
('A`)「そう簡単にしてたまるかよ」
( ^ω^)「びっくりさせるなお」
('A`)「ちょっと基礎工事が甘かったせいでヤバイ気がするだけだ」
( ^ω^)
('A`)「ん?」
( ^ω^)「それは…」
( ^ω^)「ガチでやべぇ」
(;'A`)「お前、そういうこと言うなよ!! ナイーブなんだからさ!!」
( ^ω^)「ナイーブとかそういう問題じゃないお」
- 14 :
- 支援
- 15 :
-
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「マジでやばいの?」
('A`)「わりと」
( ^ω^)「例えば?」
('A`)「鉄骨だと思ってたらシャー芯だった、みたいな」
(;^ω^)「建築物とは思えない単語が出てきた!?」
( ^ω^)「折れるものの代表格じゃねぇかお」
('A`)「そうだな」
('A`)「せめてロケットペンシルぐらいだったら…」
( ^ω^)「いや、それあんま変わってないお」
('A`)「お前、ロケシン馬鹿にすんなよ。ウチの203号室のギコくんは未だに愛用してんだぞ」
( ^ω^)「ギコくんのことはどうでもいいお」
( ^ω^)「っていうか、倒壊したらギコくんもペシャンコじゃね」
('A`)「ギコくんは最近彼女できたみたいだから潰れていいかな」
( ^ω^)「私怨すぎる」
- 16 :
-
('A`)「オレも支えてくれる女性が欲しい」
( ^ω^)「お前に必要なのは女じゃなくて支柱だお」
('A`)「お前はいいよな。両方持ってて」
('A`)「どっちか譲れ」
( ^ω^)「いや、さすがに無理」
(#'A`)「なんでだよ!!」
( ^ω^)「ちょっと考えれば分かるお」
(#'A`)「やだやだ!! どっちも欲しい!!」
( ^ω^)「なにこのうっざい子どもみたいなの」
(#'A`)「お前よりだいぶ年上じゃい!!」
( ^ω^)「まぁ、築年数だけは上だお」
(#'A`)「だけとか言うな!!」
- 17 :
- 支援
- 18 :
-
('A`)「…」
('A`)「はぁ…」
('A`)「まぁ、どう足掻こうが立派になるわけでもないし、女子が入ってくるわけでもないんだけどな…」
('A`)「夢ぐらいは見てぇよ」
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「ドクオ」
( ^ω^)「ボクはドクオを見捨てたわけじゃないお」
('A`)「嘘つけ」
( ^ω^)「ドクオはドクオのままが一番いいと思うお」
( ^ω^)「気にすることないお」
- 19 :
-
( ^ω^)「それを好いてくれる住人もいるんだお?」
('A`)「…まぁ、そりゃな」
( ^ω^)「だおだお」
( ^ω^)「汚くて臭くて日照権がなくて基礎がシャー芯で、住んでるのが野郎ばっかりでも」
( ^ω^)「ドクオにはそれが似合ってるお」
('A`)「あれ? なんだろう、この気持ち。目から変な汁が出てきたんだけど」
( ^ω^)「アスベストかお?」
('A`)「お前ガチでぶっわ」
- 20 :
- 今気がついてビビった、こいつら人間じゃねえwww
- 21 :
-
すっかり昇った太陽。
休日の静かなオフィス。
憎たらしい顔の友人。
今日も万事平和である。今のところは。
( ^ω^)(あ)
( ^ω^)(ビロードくんの湯飲みに茶柱が立ってる)
('A`)「どうかしたのか?」
( ^ω^)「いや」
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「ドクオ」
('A`)「んだよ」
( ^ω^)「今日はいいことあるお」
('A`)「まるで毎日が嫌なことだらけみたいに言うのやめてくれる?」
最高に長くて最低な一日の始まりだとは、このとき夢にも思わなかった。
- 22 :
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――
タイトル◆side:people
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`)(…………)
署内は朝からずっと騒がしい。
普段なら夜勤が終わって家に帰るころだが、そうもいかない事情ができた。
この二十数年、世界中を恐怖と混乱に貶めた世界最悪のテロリスト集団が、
再びVIP市に姿を現したとの情報が入ったからだ。
情報部からはまだ連絡が来ない。
噂の真偽確認が取れるまでは、家に帰るつもりもなかった。
- 23 :
-
……いまからちょうど21年前。
その日は、都市の中心にVIP市の象徴として建てられたVIPタワーの一般入場日、初日だった。
僕と妹は運よく展望チケットに当選し、列のかなり前辺りに並んでいた。
後ろには長蛇の列が続き、どこまで伸びているのかもわからない。
順番が来て大きなエレベーターに乗り込む。
高度を示すメーターと僕の高揚感はシンクロしていた。
ドアが開き、飛び出すように窓際間で走る。
全面ガラス張りのデッキからは、雲ひとつない青空の市内がよく見渡せた。
小さい妹の驚きが、つないだ手を通って僕にも伝わってくる。
突然の大きな震動。
僕らのいた場所は悲鳴と喧騒で満ち溢れ、
人の波に僕らは呑み込まれた。
不快な浮遊感を全身に受けながら、僕は妹の手のぬくもりを失った。
(´-ω-`)「……夢か」
- 24 :
- 建物なのか
- 25 :
-
ガタン、と大きな音を立てて俺は目を覚ました。
机に打ち付けた膝が痛む。
たった四人メンバーだったという。
世界一の高さをもつVIPタワーが、倒れた。
死者283人、負傷者1713人。
翌日、世界中の紙面のトップを飾った。
展望台デッキにいた人はただ一人を残して、全員命を失った。
衝撃で意識を失った俺は、病室で目を覚まし、その時の真実を聞かされた。
奇跡
その一言に尽きる。
傾きはじめたVIPタワーは、すぐ隣の高層ビルにぶつかりながら倒れたそうだ。
多くの人がタワーから投げ出されるなか、俺は隣のビルに投げ込まれた。
- 26 :
-
俺一人だけ生き残った。
たった一人の肉親だった妹は、無残な姿で見つかった。
彼女が殺されてから復讐だけを誓って生きてきた。
警察官になり、ひたすらに業績をあげ続けた。
気がつけば20数年で、頂上の座に上り詰めていた。
世界有数の経済都市であり、数百万人もの人々が生活しているこのVIP都市で。
(´ ω `)「……必ず……必ずだ」
都市の安全を守るためではない。
警察官の職務としてでもない。
ただ私怨を晴らすためだけに。
処刑台に送るつもりなんて毛頭ない。
(´・ω・`)(俺の手で……)
- 27 :
- 倒壊って言うと死因は突然死とかになるのかな
- 28 :
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――
−AM7:00−
VIP市 とあるカフェテリア
――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ФωФ)「奴との連絡はとれているのか?」
ハハ ロ -ロ)ハ「今日、作業する言ってたカラ、しばらくは無理だと思ウ」
爪'ー`)y-「やつってのは?」
三人の男と一人の女がカフェテリアの一角で話していた。
特徴的な金髪も、碧眼も、浅黒い肌も、すべてが風景にとけている。
異国人はこの都市での日常にすぎないのだ。
早足で通り過ぎる人々は彼らに一瞥もくれない。
たとえそこで、かつてない規模のテロ相談が行われていたとしても。
( ФωФ)「今回の協力者、というべきか」
ハハ ロ -ロ)ハ「仲間になりたいっテ話」
- 29 :
-
爪'ー`)y-「ふぅん。どうするの?」
彼らの熱狂的信者が自主的に運営しているサイトがある。
そこでは勝手なメンバー募集が行われていた。
勿論、そのほとんどは警察に捕まってしまうのだが。
サイト自体も巡回ルートに入っている。
だが、その中でも有望な人間を見つけた時、彼らは独自のルートで連絡を取る。
今回VIP市を訪れたのは、そのうちの一人がいるからというのもあった。
( ФωФ)「既に爆薬は郵送してある。時間がくれば動いてくれるであろう。
それを見てから使えるかどうか判断すればいい」
爪'ー`)y-「しばらくは関係ないってことね」
( ФωФ)「それで、場所は用意できたか?」
- 30 :
-
爪;'ー`)y-「それが、殆どのホテルは予約済みだ。
まさか一部屋も空いてないなんてことがあるなんてな」
( ФωФ)「どうするのだ?」
爪'ー`)y-「大都市と言えど、急速に成長したせいか、古い建物はまだある。
そいつをちぃと借りればいい」
( ФωФ)「ふむ、変に高級ホテルに入るよりはいいだろうな。見当はつけてるのであるな?」
ハハ ロ -ロ)ハ「高いホテルがいいデス……」
( ФωФ)「まぁ、そういうな。で、どこであるか?」
爪'ー`)y-「ここだ」
男は先ほど買ったばかりの地図を広げ、一点を指さした。
- 31 :
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――
−AM8:00−
ホテルモナー
――――――――――――――――――――――――――――――――――
そう、その日は普段どおりだった。
ホテルの朝は早い。
お客様のおはようからおやすみまでを管理をする立場としては当然のことであり、それを誇りに仕事している。
しかし、ボクのいう普段通りとは残念ながら仕事のことではない。
その日は普段どおり、ぎゃあぎゃあとうるさい弟分の話を聞いていた。
( ´∀`)「で」
( ´∀`)「またフラれたと」
( ;∀;)「そうなんだよぉ〜」
( ´∀`)「もう泣くな。鬱陶しいモナ」
( ;∀;)「ひ、ひどい!!」
- 32 :
-
( ´∀`)「仮にもモナーの系列に属する者だモナ?」
( ´∀`)「女にフラれたぐらいで情けないモナ」
( ;∀;)「うぅ、クーちゃぁん…」
( ´∀`)「…」
ダメだこりゃ。
いい加減辟易したボクは匙を投げた。
泣き言に付き合って2時間になる。つまり朝の6時からこれだ。頑張ったほうだと思う。
( ;∀;)「うぅ…」
( ;∀;)「ヘビー級の恋は見事に角砂糖と一緒に溶けちゃった…」
( ´∀`)「なんだモナ、それは」
ボクの名前はホテルモナー。
それでグジグジ泣いてるこいつがボク系列になるホテルモララー。
言ってしまえば兄弟みたいなものだが、こんな不出来な弟なんていらないと常々思っていた。
- 33 :
-
( ・∀と)「ジュリマリ…、YUKIちゃん可愛い」
( ´∀`)「はぁ…」
( ´∀`)「モララー、一言だけ言わせてもらうモナ」
( ・∀・)「何?」
( ´∀`)「その人間に恋愛感情を抱く癖、直したほうがいいモナ」
( ・∀・)「えー」
( ´∀`)「えーじゃないモナ」
( ・∀・)「だって好きなんだもん」
- 34 :
-
( ・∀・)「可愛いんだよ、人間の女の子って」
( ・∀・)「こう、ビルなんかとは違ってさ。背がちっちゃくて、柔らかそうで…」
( ´∀`)「当たり前モナ。モナたちよりでかくて硬そうな人間とか見てみたいモナ」
( ・∀・)
( ・∀・)「ウルトラの母とか」
( ´∀`)「初っ端から道を踏み外しすぎモナ」
( ・∀・)「もいいかなって」
( ´∀`)「そこは問題じゃねぇよ」
( ・∀・)「タロウも愛する自信はあるよ?」
(;´∀`)「…ウルトラの話はもういいモナ」
- 35 :
-
( ´∀`)「モララー、よく聞くモナ」
( ・∀・)「うん、よく聞く」
( ´∀`)「いくら愛し合っても人間と建築物では結ばれないモナ。何故だか分かるモナ?」
( ・∀・)「両親の反対?」
( ´∀`)「よし、分かった。黙って聞け」
( ´∀`)「世の中には変人もいっぱいいるから、建築物に愛情を示すような人間がいてもおかしくないモナ」
( ´∀`)「人間に愛情を示すような変な建築物もいることだし」
( ・∀・)「えへへ」
( ´∀`)「別に褒めてないからね」
( ´∀`)「でも結ばれることはないモナ」
- 36 :
-
( ・∀・)「なんなら駆け落ちでも」
( ´∀`)「駆ける足がねぇだろ、黙ってろ」
(;・∀・)「こ、こわい…」
( ´∀`)「で、結ばれない理由はただ一つ」
( ´∀`)「子どもができないから。これモナ」
( ・∀・)
( ・∀・)「え」
( ´∀`)「え」
(;・∀・)「できないの!?」
(;´∀`)「できると思ってたの!? どうやって作る気だったモナ!?」
( ・∀・)「設計図起こして基礎から固めていけばいいだけじゃないの?」
(;´∀`)「そりゃモナたちの話だモナ!!」
- 37 :
-
(;´∀`)「というか、なんで知らないモナ?」
( ・∀・)「?」
( ´∀`)「いや」
( ´∀`)「お前、だモナ?」
( ・∀・)
( ´∀`)
( ・∀・)「ボクってなの?」
( ´∀`)「うん、めっちゃ」
( ・∀・)「って何?」
( ´∀`)「何ってお前…、簡単に言えば人間が子作りするとこモナ」
(;・∀・)「え――――――――――――――!!?」
(;・∀・)「人の建設現場!?」
( ´∀`)「まぁ、間違いではないモナ」
- 38 :
-
(;・∀・)「ボクってそんな神聖な場所だったの!?」
( ´∀`)「いや、神聖というかどっちかというと猥褻というか…」
( ・∀・)「わいせつ…?」
(;´∀`)「あー…んー…」
( ´∀`)、「何かいかがわしいことしてたでしょ?」
( ・∀・)「例えば?」
( ´∀`)「なんかほら、ベッドの上でくんずれほぐれつ…」
( ・∀・)「え? プロレスごっこぐらいしか」
( ´∀`)「やだ、この子。純粋すぎる」
( ・∀・)「?」
( ´∀`)「確かに生まれて1年ぐらいしか経ってないけど」
( ´∀`)「まさかここまで世間知らずだったとは…」
- 39 :
-
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「モララー、よく聞くモナ」
( ・∀・)「うん? 任せろ」
( ´∀`)「人間はその、モナたちと違って人間同士がイチャイチャすることで子どもが生まれるモナ」
( ・∀・)「基礎工事もいらないんだ…」
( ´∀`)「いらんモナ」
( ・∀・)「土台は鉄骨? 大丈夫なの? 震度6強ぐらいはいける?」
( ´∀`)「いやまぁ、骨はしっかりしてるね。震度はそこそこ耐えれる、はずモナ」
( ・∀・)「人間って柔らかそうに見えるけど結構丈夫なんだなぁ」
( ´∀`)「色々と省略したけど間違ってはないと思うモナ」
- 40 :
-
( ・∀・)「あ」
( ・∀・)「プロレスは関係あるの?」
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「割と重要モナ」
( ・∀・)「プロレスすげぇ!!」
( ・∀・)「猪木とタイガーマスクも子作りしちゃう!?」
(;´∀`)「いや、さすがに…」
( ・∀・)「あー、イチャイチャしてないもんね。あ、でもオフは仲良しかも」
(;´∀`)「どっちにしろ嫌な絵面だモナ…」
( ・∀・)「ボクも人間とイチャイチャしたいな」
( ´∀`)「いやー、どうだろう」
( ´∀`)「手も繋げないし、キスもできないモナ」
( ・∀・)「あ、でも。この前『床にキスしてろカス』って言われたおじさんがキスしてくれたよ」
(;´∀`)「う、嬉しくねぇ…」
- 41 :
- いまからよむ支援
- 42 :
-
( ・∀・)「そうかな。優しいキスだったよ」
( ´∀`)「床だからね。激しくねぶられても困るモナ」
( ´∀`)「モララーは人間なら誰でもいいモナ?」
( ・∀・)「失礼な」
( ・∀・)「だって相手を選ぶ権利はあるよ!」
( ´∀`)「あぁ、同性とかだったら断れたりするモナ」
( ・∀・)「モナーは来る者拒まずだよね」
(;´∀`)「節操のないような言い方やめてもらいます!?」
( ´∀`)「コホン」
( ´∀`)「モナーはこれでもこの街一番のホテルモナ」
( ´∀`)「そんじょそこらの庶民に払えるお金じゃないモナ」
( ・∀・)「じゃあボクはこの街一番のだね」
- 43 :
-
(;´∀`)「まぁ、そうなんだけど誇っていいものか迷うとこモナ…」
( ・∀・)「VIPルームとかあんの?」
( ´∀`)「そりゃまぁあるモナ」
( ´∀`)「ゴージャスな大理石のお風呂に、天窓がついてるベッド…」
( ・∀・)「透けてるトイレは?」
(;´∀`)「ないよ、そんなの!!」
( ・∀・)「ウチのVIPルームはマット付きのお風呂に、回転するベッドだよ」
(;´∀`)「あぁ、ね」
( ・∀・)「オプションでグッズが選べるけど、モナーはどんなのが好…」
( ´∀`)「いや、いい。ごめん、もうやめて」
( ・∀・)「えー」
( ・∀・)「これから身体と身体のぶつかり合いのプロレスの話だったのに」
(;´∀`)「いや、まじでいいから」
( ・∀・)「ちぇー」
- 44 :
-
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「選ぶ権利って言ってたけど、好みのタイプとかあるモナ?」
( ´∀`)「正直モナにはよく分からんモナ」
( ・∀・)「そうだなー…、可愛くてー、髪がさらさらでー、目が綺麗でー、すらっとしてて…」
( ・∀・)
( ;∀;) ブワッ
( ;∀;)「クーちゃぁぁぁん!!」
(;´∀`)「最初に逆戻りしたモナ!?」
( ;∀;)「クーちゃんはヒールレスラーでね。鞭と蝋燭と鉄パイプを…」
(;´∀`)「コアな趣味の人だった!? 床にキスさせたのそいつだろ!!」
( ;∀;)「うん」
- 45 :
- かけ合いいいね
- 46 :
-
(;´∀`)「…」
(;´∀`)「…参考までに鉄パイプって何に使うモナ?」
( ;∀;)「場外乱闘…」
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「やっぱお前の趣味分からんモナ…」
なんてめんどくさい奴だろう。
ウルトラマンからプロレスの話までしたのに、結局ふりだしに戻ってしまった。
やっぱりガン無視が一番いいのだろうか。
ウィーン
そんなこと考えるところに客が入ってきた。
朝早くから部屋の予約だろうか。生憎、本日は満室となっているのだが。
( ・∀・)「クーちゃんかな!?」
( ´∀`)「ぜってぇ違うわ」
- 47 :
- 誰と誰のタッグなのかさっぱりわからん
- 48 :
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――
−AM8:30−
VIP市 警察署内
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´-ω-`)「ふぅ……」
もう何度目のため息だろうか。
今のところは怪しい人物は見つかっていない、という報告を受けた。
それも当然だろう。
経済都市だけあって外国から来ている人間も多く、肌の色や言語を気にしない人間ばかりだ。
他国で事件があった時、彼らテロリストは正規ルートで入国し、
パスポートを持っていたとも聞いている。
そんな人間を通常の手段で見つけ出すのは不可能に近い。
つけっぱなしの無線は、雑音を垂れ流すだけで何一つ有益な情報が入ってこない。
睡魔も限界に近く、仮眠室に入って休もうとも考えていた。
落ち着くために吸っていたタバコは、既に1箱を消費している。
- 49 :
- 結構長くなりそうだな
- 50 :
-
(´・ω・`)(……デマだったのか?)
去年の暮にもネットでテロリストを自称する人間が逮捕された。
今回の情報源は匿名のメール。
朝の3時に署内の全PCに送られてきた。
普段ならば数人の夜勤が対応する事態だが、内容だけに俺も残ることにしたのだ。
一通のメールや一枚の便せん、その程度なら軽い調査で犯人を特定できる。
だが、今朝は異常だった。
だからこそ、こうして待機しているわけだ。
席に座っているのも疲れ、立ちあがって署内の自販機に向かう。
120円を入れてコーヒーを買った。
砂糖の甘さが疲れた体に沁み入る。
一息に飲み干して、ゴミ箱に投げ捨てた。
- 51 :
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――
−AM8:00−
VIP市 とあるアパート
――――――――――――――――――――――――――――――――――
テロリスト達は古い建物の前に来ていた。
雑談していたカフェテリアから電車で数駅程度の場所。
( ФωФ)「ここか……」
空き部屋の状態はポストから確認する。
ハハ ロ -ロ)ハ「キタネェ……」
〈::゚−゚〉「入るぞ」
爪'ー`)y-「一階、二階の真ん中の部屋が空いてるみたいだな。
二階の方が何かあった時に対応しやすいか」
錆び付いた鉄の階段を上り、202と書かれた部屋を蹴り破る。
それだけで建物全体が軽くきしむ。
- 52 :
-
( ФωФ)「潰れないだろうな……?」
爪'ー`)y-「おそらく……で、最初にどこをやる?」
( ФωФ)「焦るな。地図を見てから決める」
彼らに目的はない。
しいてあげるのなら、壊して、こと。
小さな村を一つ丸ごと更地にしたこともあれば、発破予定のビルを先に壊したこともあった。
( ФωФ)「ふむ……」
VIP市は町の中心が大きな川で南北に縦断されており、
東にはオフィスが、西には居住区が集中している。
大小多くの橋が川を跨いでかかっており、円形の線路は都市全体を繋いでいる。
ハハ ロ -ロ)ハ「ココがいいネ」
爪'ー`)y-「ん? なんだぁ、随分でけぇ橋だな」
( ФωФ)「ふむ、相当な量の爆薬が必要だな。ィシィはここでいいか?」
〈::゚−゚〉「どこでも」
褐色の大男は短く答えた。
- 53 :
-
爪'ー`)y-「早速爆弾を仕掛けるか?」
( ФωФ)「警察が多く出歩いている。気をつけろ」
爪'ー`)y-「りょーかい」
普段から話が合うのか、それとも目的がないからなのか、
コンセンサスはすぐに得られたようだ。
主犯格の男と女性を残し、二人の男は出かけた。
爪'ー`)y-「楽しみだねぇ。わくわくするねぇ。何人死ぬかな!」
背の低い剽軽な男は手に持つアタッシュケースをくるくると回して歩く。
この男の役割は爆弾の設置。
建築学と物理学に詳しく、自ら志願してテロリストに入った。
〈::゚−゚〉「……殺人狂め」
長身に幅広の身体を持つ男は、
柔道、コマンドサンボ、ボクシング、太極拳など十以上の格闘技を極めている。
彼はリーダーの男から直接オファーを受け、テロ行為に参加している。
「少しお時間いいですか?」
アパートから少し離れたところで、見周りの警察が二人に声をかける。
- 54 :
- 支援
- 55 :
-
爪'ー`)y-「どしたん?」
「パスポートを見せていただきたいのですが……」
〈::゚−゚〉「構わない」
正規の手続きで入国している彼らを、警察官は疑いにくい。
それ以外にも、彼らは会社の社員証などの身分証明を携帯している。
そして、身分証明ができる人間の荷物を警察が調べることはしない。
この国では、プライバシーの問題が度々議題に上り、
そのたびに警察は苦汁をなめさせられてきたのだ。
何の問題もなく二人は切り抜けた。
爪'ー`)y-「さって、ついたね」
VIP市で一番大きい橋はオサム橋と呼ばれている。
橋脚は全部で36本、全長は2kmにも及ぶ。
都市の北側に位置し、朝と夜に関わらず多くの交通量がある。
- 56 :
- 出だし読んで面白そうなので支援
追いつくまで落ちるなよ
- 57 :
- パートごとの温度差すげぇなw
- 58 :
-
彼らの目の前で、遅めの出勤をしている車がかなりの速度で通り過ぎていく。
爪'ー`)y-「ふむふむ」
男は橋の形状を見ただけで、男は必要最低量の爆薬を計算する。
〈::゚−゚〉「長い」
爪'ー`)y-「そういうな、簡単な計算じゃないんだからさ」
手にしたメモ用紙には次々と情報が書き込まれていく。
橋の簡易図を描き、爆破するべきポイントを赤で囲む。
爪'ー`)y-「よっと。よし、んじゃやっちまうかね」
爆発物は彼により創り出されたもので、かなりの威力を持つ。
接着面があり、高所であっても投げれば張り付くようになっている。
- 59 :
-
男達は爆弾を慣れた手つきで取り付けていく。
30分もしない内に、全てを設置し終えた。
ポケットから携帯を取り出し、登録してある番号にかける。
一度のコールで相手が出た。
【爪'ー`)y-「リーダー? 準備できたよ」
( ФωФ)】 「よし、犯行声明の準備は?」
ハハ ロ -ロ)ハ「イツデモイイヨ」
( ФωФ)「では、狼煙をあげよう」
女性がエンターキーを押すのと、男が爆弾を起動するのは全く同時だった。
- 60 :
- 追いついた
と思ったらシリアス展開だと…
- 61 :
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――
−AM9:00−
棺桶大橋
――――――――――――――――――――――――――――――――――
その日は―…、快晴だった。
雲一つない青い空。
なんとよい心地だろう。自然に笑みが漏れる。
【+ 】ゞ゚)「見渡す限りの…」
【+ 】ゞ゚)「」
晴れで良かった。
そうだね、スカートだね。女子はスカートだよね。
【+ 】ゞ゚)「冬の絶対領域もいいものだが、やはり春夏だな」
暖かさは人を開放的にさせるのだろう。
北風と太陽の話もある。
なんならここで脱いでもいいのよ。捕まるだろうけど。
- 62 :
- オサムがマンホールから覗いてるにしか見えねえ…
- 63 :
-
【+ 】ゞ゚)「今日も一日が拝めることを神様に感謝しなくては…」
【+ 】ゞ゚)「イエス、!! ノー、!!」
【+ 】ゞ゚)「ノー!!」
【+ 】ゞ゚)「ノォ↑ゥ!!!」
もう少し尻上がりに発音したほうがいいかもしれない。
そう思っていたときだった。
【+ 】ゞ゚)「…」
【+ 】ゞ゚)「…?」
何か違和感を覚えた。
何だ? この紐パンでもいたのか?
紺パンか? 白か?
- 64 :
- まちがいなくですわ
- 65 :
-
【+ 】ゞ゚)「いや、違うな」
紐パンを見逃すわけはない。
ガン見だ。
無論紺でも白でもガン見だ。
つまり、は全部ガン見だ。
これはの気配ではない。もっと異質な…。
【+ 】ゞ゚)「…」
【+ 】ゞ゚)「…なんだ、あいつらは?」
橋のふもと、眼下で何やら蠢いている影が見えた。
あれは…、なんだ?
こんな時間に何をしているんだ?
【+ 】ゞ゚)「男…」
- 66 :
- 気になる木
- 67 :
-
がっかりだと思いながら観察していると、何かを設置しているようだ。
手早い。慣れている。何かしらのプロであろうことが推察された。
男は二人組、外人のようだ。
【+ 】ゞ゚)「何かを準備しているのか?」
【+ 】ゞ゚)「外人…、か」
【+ 】ゞ゚)「…」
まさか。
いや、ありえる。ここはVIP市と外部を繋ぐ最大の橋だ。
シュチュエーション的にはこれしか考えられない。
【+ 】ゞ゚)「あいつら…!!」
なんてことだ。
- 68 :
- 支援
- 69 :
- 支援したる
- 70 :
- 支援、これ交互にレスしてるの?
全然、区別できないんだが
- 71 :
-
【+ 】ゞ゚)「洋モノの撮影か…!!」
あれは撮影セットだな。間違いない。
ちょ、外人とかwwwwww滾るんですけどwwwwwwww
オレの跳ね橋が飛び跳ねちゃうよwwwwwwwなんちゃってwwwwwwwww
<では、狼煙をあげよう
爆破された。
.
- 72 :
- 想像通りのクソ野郎で安心したwwww
- 73 :
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――
−AM10:00−
VIP市 警察署→棺桶大橋
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(;´・ω・`)「なっ!?」
地面が大きく揺れた。
そう錯覚するほどの爆発音だった。
慌てて窓の外を見るが、この部屋からは黒い煙しか見えない。
音がした方向に窓がある、隣の部屋に駆け込んだ。
目に入ったのは、崩れていく棺桶大橋。
橋板は崩落し、ワイヤーは嵐に舞うように千切れていく。
特撮映画のセットのようにいとも容易く、その惨劇は解体作業すら思い起こさせる。
これだけの派手な爆発を起こせるのはやつらしかいない。
- 74 :
-
知らずに握りこんでいた両の掌をほどき、署長室に戻った。
椅子に座る間もなく、扉が開けられる。
「棺桶大橋が爆破されました!!」
額に汗を浮かべながら部下が飛び込んできた。
(#´・ω・`)「知ってるッ! 今すぐに検問を敷け! 被害状況は!」
自然に言葉に力がこもる。
「わかりません……」
(#´・ω・`)「……ッ! 現場に行く。新しい情報が入り次第連絡しろっ」
「はいっ」
防弾チョッキを着て、車に乗り込む。
サイレンを鳴らし、アクセルを限界まで踏み込んだ。
車と車の間をすり抜けるように現場へと急ぐ。
- 75 :
- オサムひでぇなwwwww
- 76 :
-
(´・ω・`)「…………」
道路が混んでいたせいもあり、30分近くかかってしまった。
辿り着くまでの間、車の中の無線で応対する。
オサム大橋は、見る影もなく完全に破壊されていた。
ここから見えるだけでも二十台以上の車が川に突き刺さり、
消防と救急が必死に救助活動を行っていた。
あまりに現実離れしたこの場所に、言いようのない感覚が体を支配する。
脳内にフラッシュバックするのはあの時の光景。
(#´ ω `)ギリギリ
間違いなく奴らだ。
背筋に冷たいものが滴る。
(#´ ω `)「……」
我に返った俺は現場に来ていた警察官に指示をとばす。
- 77 :
- 橋の名称がバラバラだな
オサム死んでしまったん?
- 78 :
-
(#´・ω・`)「いいから、道路を通れるようにしろっ!
向こう岸は誘導係を用意して南の橋へ車を回せ。
市内には緊急避難情報を流せ!!」
騒ぎに負けない大声で叫ぶ。
(#´・ω・`)「検問はっ!」
「交通量が多すぎて無理ですっ! 人数が足りませんっ!」
(#´・ω・`)「いいからやれっ!!」
無茶を押しつけているのは自分でもわかっていた。
だが、テロリストを逃がすことは許さない。
(#´・ω・`)(糞がっ……!!)
焦燥が胸を焦がす。署長という役職ゆえに、無心でテロリストを追うことはできない。
今この場所で指揮できるのは俺しかいない。
出世をすることで、逆に自らの首を絞めていたことに俺は初めて気づいた。
「ショボン署長!!」
(#´・ω・`)「なんだ?」
若い警察官が走って近づいてきた。
手には一枚の紙切れが握られている。
- 79 :
-
「犯人からと思われます」
(#´・ω・`)「渡せ……ッ!!」
「楽しんでもらえただろうか。祭りを盛大に楽しもうじゃないか」
一枚目は何の変哲もなく短い文章。
二枚目には漢字が書かれていた。
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3041654.jpg
(´・ω・`)「なんだ……これは……?」
「犯行予告……ですかね?」
(#´・ω・`)「ふざけやがって……」
- 80 :
- ほうほう?推理もの?
- 81 :
- 画像とは
wktk
- 82 :
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――
−AM10:30−
鬱田荘
――――――――――――――――――――――――――――――――――
衝撃だった。
最初は冗談かと思ったが、どうやら本当らしい。
信じられない。まさか。
(;'A`)「オサムがやられた…!?」
( ^ω^)「…?」
(;'A`)「嘘だ。そんなバカな有りえない…」
( ^ω^)「ドクオ、いきなりどうしたんだお?」
('A`)「…」
- 83 :
-
('A`)「人間が話しているのを聞いた」
( ^ω^)「なんだお?」
('A`)「オサムが落ちた、と」
(;^ω^)「オサムが落ちた!?」
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「住人が川にでも落ちたかお?」
('A`)「ちげぇ」
('A`)「オサムってのは、あれだ。街の北にあるでっかい橋」
( ^ω^)「棺桶大橋のことかお? この街一番の橋だお」
('A`)「古いけどな」
( ^ω^)「知り合いだったお?」
('A`)「まぁな」
('A`)「顔は悪いけど性格も悪い、良いところを探すのが難しい奴だった」
( ^ω^)「ドクオみたいな奴だお」
('A`)
- 84 :
- やっぱここの掛け合いが好きだ
支援
- 85 :
-
('A`)「でもな」
( ^ω^)「さすがメンタル強いお」
('A`)「今まで数々の地震洪水を乗り切った奴だ」
('A`)「人と人を繋ぐ仕事に誇りをもっていた」
( ^ω^)「へぇ」
('A`)「パンモロパンモロってな。いつも自慢げに語ってたよ」
( ^ω^)「最低だな」
('A`)「しかし、あいつが落ちるとは…」
( ^ω^)「落ちたっていうのは、橋が陥落したってことかお?」
('A`)「あぁ、そうらしいな」
( ^ω^)「事故でもあったのかお? それとも老朽化?」
('A`)「事故かどうかは分からんが…」
- 86 :
-
('A`)「爆弾がどうのこうの言っていた」
(;^ω^)「ば、爆弾!?」
(;^ω^)「事故ってレベルじゃねぇお!?」
('A`)「だよな」
(;^ω^)「もっと詳しい情報はないお!?」
('A`)「ちょっと待て」
('A`)「まだ話してるみたいだから…」
('A`)「えーっと」
('A`)「『次はどこにしようか』?」
( ^ω^)「ん?」
('A`)「あれ?」
( ^ω^)「…」
('A`)「…」
( ^ω^)「ドクオ、確認していい?」
('A`)「いいぞ」
- 87 :
-
( ^ω^)「その話してる人間ってお前のところの住人かお?」
('A`)「いや。知らんやつらだ。ドア蹴破って勝手に入ってきた」
( ^ω^)「え、知らない人なの?」
('A`)「あぁ、全く知らん」
( ^ω^)「…」
('A`)「…」
( ^ω^)「ドクオ」
( ^ω^)「非常に言いづらいんだけどさ」
('A`)「いや、言ってくれ」
( ^ω^)「…そいつらが、その、爆弾魔じゃね?」
('A`)「やっぱりそう思う?」
- 88 :
-
( ^ω^)「…」
('A`)「…」
( ^ω^)「…」
('A`)「…」
( ^ω^)「冗談じゃないよね」
('A`)「だったらよかったんだけどな」
( ^ω^)「…」
('A`)「…」
(;^ω^)「うぉぉぉぉぉぉぉっ、やべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
(;'A`)「どうしよう!? ねぇ、どうしようこれ!!」
(;^ω^)「んなん知るかお!! 自分で解決しろ!!」
- 89 :
- この情報が(´・ω・`)に伝えられれば逮捕だな
- 90 :
-
(;'A`)「ひでぇぞ、おい!! 話聞いたんだからお前も同罪だろ!!」
( ^ω^)「いや、罪はねぇし。ドクオ、どうにかしろお。そうだ、閉じ込めろ。部屋に封印しろ」
(;'A`)「無理無理。ドア蹴破られたんだぞ!? 大体、爆破されたらどーすんだよ」
( ^ω^)「大丈夫だお。自分たちがいるとこまで爆破する馬鹿はいないお!!」
(;'A`)「窓ガラス叩き割られておしまいだろ!!」
( ^ω^)「お前の部屋防弾ガラスとかじゃねぇの?」
(;'A`)「どんな警備体制とってんだよ、ウチは!!」
(;'A`)「大体防弾でも火薬は防げねぇよ!!」
( ^ω^)「…」('A` )
( ^ω^)「爆破って痛いのかな…」
('A`)「そらまぁ痛いだろ…」
(;^ω^)「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 爆破解体だけは嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
(;'A`)「オレだって嫌だよちくしょう!! しかも中にいるんだぞ!!!」
- 91 :
- 支援
- 92 :
-
(;^ω^)「全部終わったらボカンとか…」
(;'A`)「不吉なこと言うなよ!! そうなったらお前だって危ないんだからな!!!」
(;^ω^)「え、なんで?」
(;'A`)「何か無差別テロみたいなこと言ってるし」
( ^ω^)
(;^ω^)「閉じ込めろ!! ガチで閉じ込めろ!! ドアは施錠しなおせ!! 窓は気合でどうにかしろ!!」
(;'A`)「だから、無理だって言ってんだろ!!」
(;^ω^)「合コン開いてやるからさ。ほら、クーちゃんとか可愛くてお勧めだお!?」
(;'A`)「今更すぎんだろ!! それなら日照権寄越せ!!」
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「それは無理」
(;'A`)「い、意外と強情!!」
誰だったっけ、今日いいことあるなんて言った馬鹿は。
最高に最低だよ。馬鹿野郎。
オレたちの。
オレと、横の高層ビルと、中にいるテロリストの、最高に長くて最低な一日がこうして始まった。
- 93 :
- 猿避け
- 94 :
- 避難所から
198 名前:名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 20:43:47
ふぐぅ……VIP市をテロリストが襲うようですの>>1です。
猿さんくらってしまったので、その旨をどなたか配達をお願いします。
ご面倒をかけて申し訳ございません。
- 95 :
- 猿いね
- 96 :
- まじかよすまん
>>1は他スレに書き込むんだ
ちょっとはマシになるやもしれん
- 97 :
- うおお目を離した隙に猿だと
- 98 :
- さるされ
- 99 :
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――
−PM11:10−
VIP市 アパート
――――――――――――――――――――――――――――――――――
爪'ー`)y-「いや〜よかったね。百人は死んだかな?」
( ФωФ)「浮かれるな」
爪'ー`)y-「わかってますって」
爆弾を仕掛けてきた男達は戻っていた。
狭い部屋で顔を突き合わせている。
中心には何枚かの写真。
その全てが橋の崩落の瞬間を写したものだった。
爪'ー`)y-「次はどこをやりますかね?」
ハハ ロ -ロ)ハ「スコシ、面白いこと。警察にアンゴウを送ってみたい」
〈::゚−゚〉「リスクだ」
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