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2012年5月詩・ポエム97: 饂飩帳 (139) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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饂飩帳


1 :11/07/18 〜 最終レス :12/04/25
生きるもの全ては活動している
あの小鳥だって毎日食うものを探してる
俺にはそれが出来るだろうか
活動しない者は消えていけばいい
実世界でもそうであって欲しい

2 :
蟻の地面
兼ねてからの願いだった あの星へ
近くの荒野より 近くの墓場より
随分探していたあのジーンズより 僕は憧れていたんだ
白い まだら模様の全貌は
どことなく懐かしさを帯びている
ここから眺めるこの星は まるでお菓子のよう
色は青色 木の葉色 僕は小屋の中
小さな虫が顔をかすめる

3 :
「あの星」が「この星」になってる時点で言葉に対するお前の情熱の甘さに気づく
俺からすればお前が「活動しない者」だよ
それとも実は意味があるのか?

4 :

静かな音色は肉を叩く音 キャーシューキャーシュー
やがて虹色のお月様が
「通行券をお取りください」と
この僕に指図する
おっと 方向は常に南を向いてなくちゃならない
チャーシューチャーハン海鮮丼
僕はおもむろに月の頭をかち割った
あーいいかもー
この星に着地してからが本番だ
いいか 誰にも味を教えるな
砂糖で作られたと知ったらおしまいだ
この地は餓鬼しか生きてはいない

5 :
>>3
ありがとう
近くまでくれば「この星」だよ
そこまでの動きが見えないのは、俺が書かなかったからだけど
読み手に親切に書けないのは俺の悪い癖です。

6 :
また糞スレ立ってるし。どうせ間もなく飽きて棄てちまうんだろうに

7 :
広場
高い壁に苛まれてる
短い脚のテーブルが置かれてる
見上げると小さな穴が空いている
息苦しいのはここが狭いからじゃない
手足を交互にバタつかせると 少し浮く
声を出すと体に激痛が走る
あらゆる血管に空気が入るみたいに
人が犇く音がする 次第に目が痛くなる
浮いたまま上がってこられない
そのまま上がれば出ることは出来る
しかしそれは出口なのか分からない

8 :
想像と選択
うける!
君の笑う様と理由はは猿同然
泣ける!
君の涙は悲しいくらい安っぽい
癒される!
君の魂は永遠に解放されない
簡単な感情のファッションだ
服を着替えるように
香水をかけるように
恋人を変えるように
想像しよう
その中の
皮肉を
欲望を
経済を
それが流行の正体なんだから
何も見るな
何も聞くな
何も感じず
着せかえ人形のように踊れなんて
そんなこと君には出来ないのだから
君だけでも 探せる何かを選べばいい

9 :
雑食の鳥
啄んでも舌を突き出しても
口の中には入らない物がある
それが木の実であっても
肉塊だとしても
僕らは 上を見ながら食べる
ボロボロと食べカスをこぼしながら
ここは臭い
ここで下なんか見ちゃ
嫌な気持ちになるだけさ
時間という広大な土地が広がっている
ここには
機嫌の悪い奴らばかり居座ってる
誰が何を話したとか
あれがこうなったとか
もういいんだ
僕も上を見てる
臭い

10 :
ゆとり
とりあえずお前の話は分かった
後で裏口に来いよ
ビールとつまみをくれてやる
それからテレビとソファと
可愛い猫もやろう
壁はないが誰も見ちゃいない
お前だけの部屋だと思っていい
この世界はお前の部屋だ
周りを気にせず背伸びして
足を組んで懐には猫
扇風機はないが 北風は強い
そして凍える寒さの中
静かに息を引き取ってもいいし
そこのゴミ箱を漁って剃刀を取り出すも良し
俺にできることはこの程度だ
段ボール?
お前はさっき
俺に何て言った?
思い出せよ
お前の望むものは
すべて与えたんだから

11 :
野望と宿命に燃えてた時代は過ぎ
タイムリミット おしまいだ
歩くのを止め座り込んだ 俺はうつむき
痺れる足を固く縛る縄をほどいた
やり遂げられなかったことばかりが
散らかったまま 残されたまま
いつまでも汗はひかない
この胸の鉛の歯車はまだ微かに
回り続けている
俺の事を語る人はいない
みんないつだって何かに追われている
俺は後ろの景色になった
振り返ることはない それでいいんだ
陽が暮れるのをゆっくり待ちながら
ずっしりと重い歯車を
胸から取り出し 抱え込む
どこからか聴こえる悲しい歌声に
俺の心は少しだけ和んだ

12 :
おでかけ
今日は朝食に出かけましょう
素敵なカフェで卵のオムレツ
ジャムトーストとマキアート
君の眠たげな目が覚めるような
とっても美味しい朝食を
空っぽの籠と エプロン持って
さぁ出かけましょ
午後は買い物に出かけましょう
商店街でウインドウショッピング
君にも似合う服と帽子
ベルトに靴に携帯端末
わたしのおごりで構わない
ファッション雑誌とメモ持って
さぁ出かけましょ
今夜は映画に出かけましょう
君が観たいって言ってたあの映画
今日がその最終日 こればっかりは一緒に
一緒に来てくれなきゃいけないの
ねぇお願い ドアを開けて
早くそこから出てきてよ

13 :
午後四時四十五分
遊んでる奴らばかりとは言わない
人間を道具のように「使えない」とは言わない
上が単純に無能だとは言わない 一番おかしいのは
無理して働く俺たちかもしれない
定時が来て ぞろぞろと帰り出す連中
俺には関係ない 俺は残業組だ
経費削減とか ワークシェアリングとか
そんな言葉聞いても 俺には関係ない
労働しても教育はされない
もはや金でどうにかなる話じゃない
救ってもらいたい?そうじゃない
逆に救ってやりたいよ
君たちは定時に縛られてるんだ
時間を感じないくらい必死になれよ
お役所諸君 その革靴を脱いでみろ

14 :
読んだ!!

15 :
蟻の地面:かすかすの空間が良い感じだと思う
広場:出口か出口じゃないのか分からないところが、詩に重さを与えている。もう少し説明を加えても良いような
想像と選択:流行に対して、一度否定してその先を考えることで、否定感の上の肯定を感傷的に与えている
雑食の鳥:臭いというワードが、ハンパに効果的に使われている。メッセージ性の強い詩が多い感じだが、
言葉にもっとこだわっても良いと思う

16 :
ゆとり:ちょっと分かりづらいが、そこを読み取らなければいけないのだが、どうしても段ボールが分からない。ごめん
>>11:夢について感傷的に語られていて読みやすいのがいい
おでかけ:朝食、買い物、映画と分かりやすいが、ドアを開けて出てきて欲しいという視点に立って、他者に呼びかけている
のが優しい
午後四時四十五分:役所に対する不満を、意見で批判している。決めぜりふがもっと効果的に決まればいいのに

17 :
石の鐘
村から少し離れた高台に
石で出来た鐘が吊り下げられている
火事や川の氾濫などを知らせるために
随分前に高台と共に設置されたものだが
一度もその鐘の音を聴いた者はない
警鐘の代わりにこの村の見張り番は
いざという時 石の鐘をタタンと撞きながら
村中に聞こえるよう こう叫ぶのだ
「鳴らないぞー!!石だから鳴らないぞーっ!!!」

18 :
>>すーくーん
ありがとう。また会えたね。お互い、おかえりー!だね。
忍法帳のせいか出鼻を挫かれたぜ
>>雑草さん
こんな見ず知らずの麺類に丁寧な感想つけて下さって感謝します。
色々と未熟かつ適当な奴なんで、完璧さを求められると謝るしかありません。
段ボールは、ここでは暖を取るためのものです。
布団とかのほうが ゆとりらしかったかもしれない。
ボキャブラリーや生々しさは昔書いていた頃に比べて衰えてるのは確かで、
叩かれつつ建国したのは己のイマジネーションを取り戻すためでもあるのです。
いや、皆さんには関係ないですがね。好き勝手していいですか?

19 :
再婚
君と出会って
君と別れた
ままごとを始めた時は
このまま一緒に居られたらいいな
先のことは考えたくないなって
それはまだ子供の話
嫌になって別れたのは
君が嫌いになったからじゃない
思い通りにいかない事を
君にせいにした僕のせい
そして今日は再婚記念日
やり直そうなんて思わない
これからようやく始めよう
君と別れて
君と出会った
ままごとでも いいじゃないか

20 :
あの日壊れた残像は
地面へと散らばった
それは水溜りのように
下へ下へと落ちていく
川の下流に何となく
石拾いなんてしてみる
苔生した石に足を滑らす
川に落ちて死んでしまう
呼吸しても空気が入らない
目を開けても暗くて見えない
ただ下へ下へと落ち続ける
死ぬ前に見えるものは
遠い昔のことなのか
直前川辺に映る水面なのか
最後に記憶してたイメージを
循環させてまどろみの中へ
何故最後があれだったのか

21 :
>>11とか>>20とか題名付け忘れてました。
でも改めて付け足すのも偉そうだし我慢します。

22 :
カンパン
パンはパンでも焼かなくても美味しい
でも決してパンの仲間には入らないパンなんだ?
なぞなぞにもならないよ カンパン♪
空いてる穴の使い道はこうだ
一つ パンだと思って手にした人への落とし穴
二つ 製造過程で焼いた時 膨れないための穴
ごめん二つ目普通だった カンパン♪
ふっくらしてないし 缶に入ってないタイプもある
トースターで焼こうなんてとんでもない
せめて袋入りにも氷砂糖も入れてほしい
子供が間違って買ってきて泣いてるんです
氷砂糖が入ってない!ってね 夜も眠れない
亀田の柿の種に通じるよカンパン
脇役を引き立たせる名人さ
僕も君みたいになりたいのさ
なろう!なろう!明日なろう!
明日は檜になろう!なろう!ぱんっ

23 :
君の瞳にカンパン♪

24 :
秘密
貴方のやっている事は薄々勘付いてはいましたが
それだけはやってはいけません
俺はやってはいけない事を停めたまでです
「何でもあり」は貴方が決められることではないでしょう
俺は孤独ですが 貴方の場合は孤立しています
事が明るみに出れば取り合えしが付かなくなってしまう
不器用な性格なのは知っています
俺の前で誤魔化さないでくれたのは
きっと俺の事を信頼してくれていたから
そこは素直に嬉しく思います
ありがとうございました
この事は誰にも言うことはありません
ただ これからもそんな事をするつもりなら
貴方はこの職場を去った方がいい
それは会社のためでもあるし
何より貴方のため
貴方にこの仕事は向いていない


25 :

俺は死ぬまでこの事を引きずるつもりです
貴方を仕事が出来る人だと信頼していたから
そして俺以上に貴方が幼かったから
多くの人はどうして自分勝手でいられるのだろう
何故目先の事に気を取られ 周りを見失ってしまうのだろう
出来るだけ これからも俺はそうなりたくない
自分の質を上げるも下げるも自分の心次第なんだ
心が乏しいのはそれだけで不幸せな事だ
俺は心を汚す代わりに いくらでも損をしてもいい
人間正しく生きる事が一番難しい
だから出来る事なら全てを乗り越えないといけない
貴方にも分かっていただきたい
そして貴方自身の心で
あの行為は間違いだと認めてもらいたい

26 :
「あの音色は近くまでくれば」
みんな一斉に走っている
向こうから早鐘が聞こえる
どこでなっているのか見えないけれど
だんだん近づくのはわかる
お母さんが若かった時には
こんなにはっきり聞こえなかった
おばあちゃんが生きていた頃は
鐘があるとも思わなかったそうだ
音色の源はみたくない
鐘を避ける道に逃げ込みたい
みんなが口をそろえるけれど
そんな願いが届くとは
本当のところ信じていない

27 :
境界線に立つ
世の中は理解できない事が多すぎる
善と悪の線引きができない俺は
このまま神と悪魔に両腕をもぎられていくのだろう
そんな俺こそが善悪の基準になってやろうなんて
思っていた事もあったさ
どうすれば誰にも迷惑をかけずにるだろう
俺はずっと考えている
そんなこと出来るだろうか
生まれて来てしまった以上は
人に迷惑をかけないよう暮らしてる
こんな俺は矛盾の塊 グレーゾーンってやつだ
葛藤し 悩み続けることが生きる答えだ
常日頃 善と悪の二つのドアに前を行ったり来たりする
迷って決めた結果というものが大事なんだ
考え過ぎとか気を使いすぎだとか言っている奴
お前は真剣に悩んだ事あるのか
無いなら大きなお世話だ お前が嫌いだ

28 :
>>26
書いてくれてありがとう
情緒的で危機迫ってますね。もうすぐでしょうよ
おばあちゃん、お母さんって下りは伝わりやすい表現ですね。
やや圧縮気味のような気がしますが、俺も人の事言えません。
>>27 12行目。ドアの前を行ったり来たりする に変換してください。

29 :
護身銃
君は何も持っていなかった
足元には千切れた足
目の前にはほどけた綱
己自身に手を下す銃は必要か?
傷が無いのは幸いだ
痛みが無いなら尚のこと
歩けば つまずくから
転がる屍骸を踏み続けた
靴が擦り切れるくらい
その
黄ばんだ肌を捲ってみろよ
それは腐っている
それは諦めている
それは呼吸をしていない
糸瓜が垂れ茂るあの大門をくぐる
空の流れが速い
綺麗な星が黒いなんて
空が白ければ良いのになんて
突然
後ろから
鳥に話し掛けられる
君のこと好きだっていう物好きな男
あっちに行ったぜ
銃は必要かい?

30 :
怪我
死ぬ時なら大きな怪我をしていい
なんて思うかな
きっとそんなことをした瞬間って
口の中がとても生臭くなるような気がするんだ
生き物の最後ってそうやって
最後は自分自身の確認をして終わるんだろうって
それで 僕の口は臭ったかい?
寝てたものだから分からなかったよ

31 :
とある例え話
蛇とカナヅチを同じ箱の中に入れます
この蛇には眼がありません
カナヅチには細工がしてありまして
人感センサーといいますか
何かが近づくと小刻みに振動します
蛇は震えるカナヅチを獲物だと思って
よせばいいのに呑み込み始めます
やがて蛇の体はカナヅチになります
食べられない物だと気がついた蛇は
慌てて吐き出そうとしますが
この箱は時間が経つと
徐々にしぼんでいく仕掛けになっており
カナヅチを呑み込んだ蛇しか空間が無いため
蛇は吐き出すことが出来ないまま
死んでしまいました
箱はしぼみ続け
蛇とカナヅチにピッタリと貼り付き
やがてカナヅチの形になりました
その中に生き絶えた蛇が入ってるなんて
誰が想像出来るでしょうか

32 :
みみずのねどこ
じめじめわらわら
じめじめじゃりじゃり
ころころころん
こちこちこちん
みゅるん みゅるん
もりっ もちちち
こいん わらやら
どかどか どいん
じゃり じゃり
じゃり じゃり
わさ

33 :
耳のないうさぎ
生まれつき 耳のないうさぎ
疑心暗鬼の時代 何も知らない
数えることはできても
教えられたりはしない
与えられることはあっても
分かち合うことはなかった
光回線を頭に差し込むうさぎ
埋め立てられた海が割れる
反射的に穴を掘る
穴を掘る 穴を掘る 穴を掘る
眠ることはあっても
目覚めることはない
時に立ち止まるが
決して振り返らない
映し出された言葉と偶像に憧れ
やがて気がついてみれば
誰も彼もが三月うさぎ
兎死すれば狐これを悲しむと
誰が言ったか言わないか
耳のないうさぎ
眠ることはあっても
目覚めることはない
耳のないうさぎ
答えることはあっても
救うことはない

34 :
End and End
死んだらそれまで
それまでのことって
一体何をした
残せるものって
なかなかないな
何も残せないなら
子供を作れっていうのか
あいつらは近所の公園で
顔の付いたマネキンと踊ってる
踊ってる ひたすら踊ってる
最後は何が見たいって
今まで見たものは
一体何だろう
何故忘れる
忘れたくない物でも
覚えておけない
今だってほら
あいつらは近所の公園で
火の付いた札束と踊ってる
踊ってる ひたすら踊ってる
この終わりが終わる日は
いつになったらやってくるんだ

35 :
ビセラルジア
満ち足りている だけど今だけ
今だけが続けばなんて 痴呆に平和ボケ
そして時にドラマのようにシリアス
幸せという名の不幸は死ぬまで続く
気分だけで萎む心 と欲望だけで膨らむ心
ぐちゅぐちゅとか みっちみっちとかさ
ペニスと同じじゃないか
毎日毎日 身体を無理矢理起こしてまで
やらなければいけない事があるなんて
10年前では想像もしなくない日々を送る
誰かせいに出来るなら
内心いつでも死んでもいいと思ってる
あちこち痛んでる 死ぬために生きてる
意味がわからない 生きるためにれば
ブツブツブツブツ……
泣くことが公共ーのような時代
人はひたすら演出している
子供から老人 男から女まで
歯が生えて毛が抜けて
出すも入れるもやれたらな
一人でやれれば 何もいらない
そうだ
一人でならな
これもまた自己演出
全ては自分の欲望のため
これで食えれば才能だ
みっちみっち

36 :
!ninja

37 :
普遍
あがりはないし
ふりだしもない
さいころは転がり続け
盤上に駒はない
錆び茶けた空と
鮮やかな色の海岸線
毎日乱数の嵐に見舞われる
風は一時 西に吹くが
盤上に駒はない

38 :
雷が鳴ってる

39 :
一弦
一つの心が揺れる
己への焦りと苛立ちが
静かな夜にひとりでに
端から端へと揺れ動く
押さえ込む感情を
解き放つのは光か闇か
明暗を決めるこの指が
今も定まらずに行ったり来たり
今夜も歌えず黙ってる
揺れる心をなぞりながら

40 :
ワイアレス
穴の空いていない身体
呼吸する音は聞こえず
冠羽を立てる鳥のように
常に何かを警戒している
今日も空から人が降り続け
外では誰かの口と眼が飛んでいる
それを某然と眺めながら
手首にはめた吊り革を
無意識に弄くる私に頭はない
瞬時に手に入る世界
地上波の中で暮らしてる
切り落とした部分は紙に包まれ
自宅の押し入れや物置に
死ぬまで開けられることはない
穴だらけの顔と切り取られた手足は
もう宙を舞っている
それは死ぬまで落ちてこない
常に何かを警戒している
それを感じる感覚だけが
辛うじて束ねている

41 :
モラル
両成敗とは言わせない
世の中をナメてる奴ほど
必死に自分を正当化しやがる
俺をまるで裁判官か誰かと間違えていて
言ってる事が恥ずかしいくらい幼稚だ
あんたはどこで間違えたんだろうな
許せないが同時にやるせない
あらゆる責任から逃げている事に
自分でも気が付いているだろ?
ところで あんた今どこで喋ってるんだ
ほら子供が見てる
あんたの子供が見てるんだぞ
これで子供があんたの肩を持つようなら
親として子供と一緒に死んでやってくれ

42 :
優しさ
例えば 母の胎に入っていた時の様に
或いは 親に抱き締められた時の様に
或いは 初恋の人を前にした時の様に
或いは 恋人を初めて抱いた時の様に
或いは 自分の為に
背中を押してくれた人
笑顔を見せてくれた人
手を握ってくれた人
叱ってくれた人
そんな
誰かの優しさに気が付いた時
誰かの為の優しさは生まれる

43 :
蝉が夜明けを知らせてくれる

44 :
鉛筆削り
指の間に沈み込む
飴色に溶けた太陽が
汗で濡れた地面を染める
ガシガシガシガシと
辺り一帯に削り取る音が響く
歯を削る 指を削る
爪を削る 皮を削る
鉛筆を舐める
そう生え変わる物は多くない
付け替える場所は少なくない
いつも出来ない事が
瞼を閉じるだけで

45 :
しばえ
しばえしばえお さぐらえぼ
こふとえむじに ゆげりばみ
なっとこやえばに じゅじまんじ
ほみみちえんびじ あらおりちんじ
ととこみしをうん とろあちふきふ
をへにどがとんず いっぱまいたら
しばえ しばえ
しばえ しばえ
こちこち
ここここっ
ちゃ

46 :
計算のない言葉
軽い軽い そうだね
でもね あのね
できれば
うん
正直 やっぱり
愛だね
変な
おはようございます
お疲れ様です
気を付けて
うふふ

誰にでも同じ様に接したい
そして誰にでも同じ様な印象を持たせたい
様々な事実を無視した立場で在り方で
人の心に居候したい それは
おこがましいことに違いない

47 :
回髄魍魎の節
一つ 痛みを説き伏せ
二つ 宙に飛び出るわ
三つ 腱を切り切り早急ぎ
奥から飛び出したるは
織神の背骨 金色に輝きて
飛ぶ鳥を堕とすように宙を劈く
四つ 最北峰の風が吹く
五つ 三文役者がのたうち回り
六つ どんがらがらがん鳴る小堤
切り潰したるは夜毎小見神
やいのやいのと烏合の衆
下がるぞ上がるぞ闇の中
柔手あまん 釜の灯を
さじめ都の 煙とな
これし日予後の波削り
差し出で取らせぬ 津無楽除け

48 :
黄色いちょうちょ
鮮やかな青色草原の
風は少し苦い味がする
君の持ってる網とムシ箱
僕に貸してくれないか
冷んやりした小川を越えて
しばらく歩いた雑木林の森の中
ここなら
好きなの獲っても言われない
そうさ全てが生きている
色のある世界は偶然じゃない
決められた色に塗られた世界は
毒を帯びているそれを
強く欲してはいけない
そんな手を思い切り伸ばすとー
君の親には知らせてあるよ
もうじき君を迎えにくる
防護服とマスクを付けて
鮮やかな青色草原の
君の頭に乗ったまま
動かない黄色のちょうちょ
今度僕は君へ
本物の黄色いちょうちょをあげるよ

49 :
道ばたで乾いていた君を連れて帰ろう
植え木鉢の肥やしにちょうどいい
気まぐれに種をまいては失敗したり
ケチくさく青ネギの根元を植えて収穫を期待したり
ひと鉢の土の中で君はずっと
笑ったり呆れたりねたふりをしながら俺と暮らしてくれ
こそとも音をたてなくても君の声はアレだ、すごくよく知ってる
みーん みんみんみんみんみーん

50 :
a

51 :
席の間
君の隣に僕がいる
僕の隣に君がいる
僕と君の間に何がある
椅子の間 両岸の間
繋がらないもの
渡れないこと
溶接できない
埋立地 埋立地
埋立地 埋立地

52 :
つまらないもの
生け捕られて用意された餌を食っては
排泄を繰り返すのみの幸せな動物は
嫌悪感を捨て 歩きながら死んで行くのを約束に
自由と自己責任という言葉で解放された
用意された道具で 檻と鎖は焼き切った
切った鎖をどこに隠そうか
歪んだ檻をどう誤魔化そう
最初の課題だ
正常に見つかるな
守備良くやらねば殺されるぞ
後に鎖で首を吊られる
守りながら隠し続けろ

53 :
宝の骨
肘から肩くらいまで隠れる
鉄の柵に寄り掛かり
黙って下を向く
遠くから肉の焼ける匂い
そう遠くない場所から
水の流れる音
もう3日経った
俺の細い足では歩けない
毎日呪文が聞こえる
もう決まっている
それは止まない
いつまでも鳴り響く
すでに体は限界なんだ
力を振り絞り
背中の柵にまたがる
足の骨がブラブラしてる
ああ水が飲みたい
もう一度肉が食べたい
白い手から欠けた砂が落ちる
一瞬全身に強い衝撃が走り
途端に視界が大きくブレる
カラカラコロン………… ....,,,o
握りしめた手があんなに遠くに

54 :
意識の無さ
捻りのない会話で夜が明けるなら
この世界はすでに限界なんだ
痛みを感じないとして
顔の皮を掻き毟って
未来の広告チラシを引き剥がせるのか?
目ん玉の中に入った
金属製のボタンを取り出せるのか?
色々腐った頭の中では
誰でも芋虫を飼ってるんだ
こいつのお陰で不思議とよく眠れるんだ
脇から砂が飛んでくる

55 :
教育
それなら俺の手を引っ張ればいい
肩から思い切り外れるから
そのまま持って行けばいい
変わった形でもないから
不信がられる事もない
焼け付いた道路にへばり付いた
軍手の方が目を惹くくらいだ
俺の手を持って
手を上げろ
って役所で叫んでみろよ
窓口の姉ちゃんがさりげなく
保育所を紹介してくれるだろうさ
先生の言う事を理解出来ないふりをして
馬が合わない奴の髪の毛を引っ張ればいい
まぁ あっちには
大きな椅子なんてないけどな

56 :
藁酒
みんな可笑しな顔をしてやがる
狂ったようにひん曲がった口してさ
太郎は仕事してるのか?とか
花子はもうそんな年か?とか
煎餅だって齧りたくもなるよ
足に蜘蛛の死骸くっ付けてさー
豚肉を生なのに食っちまう
そんであんな重い石を軽々とよ
持っちまうのは夢だと思ってんだろな
ああ百姓には用はねぇんだよ
だって酒をケツに隠すクズにはな
てめえは起きずに夢で死に続けろ
東寄りの風がてめえにはお似合いだ
ととよい よととい
ことんと よよよい
醒めずにいられっか

57 :
金色
知らずのうち横道に入って 気がつけば
狭っこい壁の中にめり込んでる
金色の電線が天を貫くように立ち立ち
きちんとしたドアの前で襟を立て
袖の中には水を入れた紙コップ
こじんまりしたスーツの中に納まる身体
街の景色は空虚の一点張り罵詈
今夜楊貴妃を抱く
駆けずり回る目は尻しか見ない
酔いしれた女の目は何もしていない
傷の深みまで差し入れて
やがて心の真ん中に突き立てる
そして空虚
街の真ん中で金色の電線を見上げてる

58 :
落とした指
自意識過剰な切断面
見栄の張った言訳を
話したかったのか ひっそりと
離したかったのか 静かに静かに
かりそめの感情が 零れ落ちる
絆創膏なんて邪魔なだけ
傷は毟ればいい
最後の顔は骨格だけなんだから
指の断面は熱くほとばしる
赤く燃えた鉄のように
消え消えになって
いずれ消えていく切断面が
小さい声で軋むのを
鼓膜が覚えていればそれで良い

59 :

舌を千切れるくらい引っ張って
鉄板の上でぶん殴る時って
使うのはハンマーかそれとも
感情が食べられる物であるなら
クシャミに失敗した時や
煙草が吸えない時の気持ち
それもだし
退屈な雨の日の休日や
行列に並んでいる時など
それと言う物は
一皿にのるくらいの大きさだろうか
それとも人の感情なんて
小瓶に入るような調味料だったりして
いずれにせよ
ハンマーなんかじゃ取り分けられないな

60 :
灰色の空が地平線へ流れ落ちていく
単純で大きな力に捻り潰されたビル
奥の方へ 奥の方へと揃わね足音達
時々ここはガラスの破れる音がする
一方向へひたすら地面が動いている
その先には穴はないが段差がある
段差は高い かさぶた位の
ほんの少しだけある
全てはそこへ吸い込まれるように

61 :
愛想笑い
今に見てろ
お前と入れ替わってやる
単なる小生意気な奴だと思ってろ
お前より良い仕事をしてみせる
お前より人の信頼を集めてやるよ
俺は勝てない勝負しかしない
自分勝手ってのはお互い同じ事だ
今の時代どっちが生き残れるか
先急ぐ奴に同情なんてないね
魂胆が違う 魂胆が鼻っから違うんだ
悩む事を美としない奴なんて
嘘っぱちだ お前はペテン師だ
あんたが捨てた吸殻
俺が拾っといてやるよ
今に見てろよ
お前と入れ替わってやる
これからお前の出番は減る一方だぜ
今のうちに俺をバカにしておけ
それがあんたの最後の仕事さ
笑っとけ 笑っとけよ

62 :
>61
勝ち負けを決めるのは慢心と折れた心であって、どちらもあまり感心しない。
より善いものへ、より明るい方へ、手を携えて進むのが人の道だと、経済の真ん中に飛び込んでみて思ったよ。
そこに熱意こそあれ、敵意は不要なんだよ、きっと。
新しく生まれてきた娘のために詩を書きたくて、柔らかい言葉を取り戻すために戻ってきたよ。
たくさん吸収させてもらう。
再会も楽しみにしてるよ〜

63 :
>>62
ありがとう遠い今の人。
俺は弱い人間だから、このくらい思わないと潰れちまうんだ。
例えヘタレだろうが身の程知らずだろうが
自分で決めた道で、いずれ誰にでも認められる仕事がしたいんだよ。
俺も平和でいたいけど、胸では野心を燃やさずにはいられない。
俺の見ても参考にならないだろ、すいません。
誰かのために書こうって、人も変わるんだなぁ

64 :
耳のない目
トスをする振りをして
後ろを振り向いた すでに
みんな違う試合をしていた
僕は向こうに行こうと
走るため少しだけ頭を下げたら
鉄柱が顎にぶつかった
カチンと妙な音がした
顎の事が心配になったから
大きく口をパクパクした
向こうのみんながこっちを見てる
みんなが慌てた様子で僕の方へ
駆け寄ってくる みんなが僕のいる
檻の前で今の僕みたいに
口を大きくパクパクしてる
何も聞こえない
ただパクパクしてるだけ
何も聞こえない
みんなに近付こうと一歩踏み出したら
鉄柱が膝にぶつかった 痛がる僕をみて
みんな笑っているようだった
何も聞こえないけど
きっと笑っているんだ

65 :
>63
勝利よりも達成のほうが美酒だと思うのだ
人は変わるよね
明るい方向を向く事ができているのは人生に善いがたくさんあったからで、みんなに、勿論饂飩っちにも感謝してるよ
>64
疎外感と焦燥感と無力感
真っ黒な革袋に詰め込まれたような気分
悪い夢をみたような感覚がした

66 :
会話
こっちに来るな それは
俺にとっての劇薬だ
その瓶に入ってるそれだよ
食えるんだろ
お前はそれを舐めちまいな
そんで空っぽの瓶だけ渡すんだ
俺の頭の中では
マッサラ色のグリスを作ってる
それは影の色のようで
空気みたいな色だ
こいつを見えないところで吐き出す
内緒話みたいに
俺の爪先に塗料が付いてるって?
いや ぞれはお前のアイデンティティだよ

67 :
奈落のように貪婪に何もかも呑み込みたい
何時も何時も腹が減って仕方がない
光輝く小さな愛娘も
皮を剥がれたメキシコの生首も
雲の中の莫大な記憶すべて
便所の壁にのたうつ文字の塗料でさえも
空中に楼閣を成す鮮やかな音の連なり
銀幕幻灯
脚を縮めた虫ケラの乾いた亡骸
太陽光の巨大な質量
人間の意志の閃光だ
無関心な虚空だ
無理強いして開かれる白い女の足も
廃墟に置かれた一脚の骨董椅子もだ

68 :
粗い歯の間から噛み砕いた万象を撒き散らし
極めて下品に食い散らかすのだ
それでいて
無色透明で湧き出る清水のような笑みを浮かべるのだ
そうして最期の日まで過ごすのだ
それが生きる事であるからには

69 :
溶けて消えそうな微温の光に倒れ伏し
その儚さに泣いている自らを
透明な空と一体化して
遥かな高度から見下ろしている
そういった心模様に秋を覚え

70 :
>>65
貴方とはいつか、無言でいいから一緒に海でも眺めに行きたいものです。
>>67-68
欲求が暴走しているようで、それを楽しんでいる。
混沌としてるんだけど、どこか幸せみたいなのを感じる。
>>69
世界と自分とが一体なった瞬間。
この世界が愛しくなってしまったら、もう逃げ出せない。

71 :
シューター
空中で暴れているあいつ
かりそめの欲情ってやつか
俺は石でも投げつけてやりたいね
そしたらあいつはどういう顔で
俺に向かってくるだろうな
それを思うとやっぱりやめておこうか
なんてゆっくりと面倒臭そうに砂埃が舞う
突然死したようにあいつは
バッタリと倒れたかと思いきや
地面を掘り出した まるで削岩機だ
あぁその下は土砂降りだ
俺は本気で砂でもかけてやろうかと思った

72 :
シンジケート
近寄られても背中を向けろ
尋ねられても返事をするな
尻込みして女々しくなって
恥部を見せたら
やつらは永遠にお前を笑う
嫌なら自分の手首を切って
病院に運ばれた方がいい
牢獄なのか天国なのか
それはお前が決めればいい
やつらから避け続けるには一番だ
[精神なんちゃら]ってのは
人間の特権さ
そんでお前は自分の血溜まりを
丁寧にスポイトで吸い取って
点々と数えて生きればいい

73 :
傷と舐め合う
愛が枯渇なら適当に
何でもいいから吐き出せばい
一時しのぎで生きて生きて
仕事もすれば情なんて薄れていく
毎日はそんなもの
孤独が死だと言えるなら
誰が貴方を引き止めるだろうか
意識の中で誰かを待ってる
それとも誰かのせいにしたいだけ
生きる術は己の中
死する術は誰かのせい
ひたすら落ち続けて 落ちて落ちて
地面ではない何かに当たった時
人は何故だか救われた気がしてしまうもの
それが誰かの心の断面だとしても
幸せは一瞬
不幸は一生もの

74 :
Re:シューター
俊敏なエイミングでヘッドショットを決め
倒れゆく陰を視野の隅に捉えたらもうかえりみない
最速で前線を押し上げるポイントマンだぜ俺は
名誉や栄光ではなくスリルと鍛錬した獰猛性の解放のために
相互にフェアな武装さえあれば殺人も合法なフィールドを駆けるのさ

75 :
愛が泡沫とは誠に言い得ており
石鹸を水に溶くようなこまめな少しの手間さえ惜しまなければ
虹色の愛情は絶えず沢山浮かべ続ける事ができるわけだ
要は原理の積極的応用なのだね

76 :
その発見には注意深さが必要だが
流転する万物にはシンジケートのように隠された繋がりの網がある
気分が優れている日には
あらゆるものから前進の糸口を見出すことができる気がするものだろう?

77 :
>>70
前みたいにかい?
幕張の浜から東京湾を見なかったっけ
近頃は潮騒から遠のいた生活だけどね

78 :
強迫観念
いきなりだけどあなたは
死んでしまう昨夜の
私の言葉があなたを襲う
見たことのない
夜景があなたには毒みたい
静かな風がヨットを
沈没させるかのように
部屋の奥の窓の中
街の街路樹が突然突き立って
あなたの大事な棚を破壊する
私は自由です だから
あなたを守ります
でも私の世界が
あなたを殺し続けるのが
とても苦痛なのです

79 :
>>74-76
軽やかに繋げますね、さすがです。
饂飩帳なんて、調子付いて名付けなければ良かった!
>>77
あの頃は言葉も見つからず気まずかったけど。
今ならお互いの視線が見るものは、海でもなく
遥か遠い他のモノなんでしょう。それはそれとも、
互いのすぐそばに居るのかもしれない。
時間を共有できる他人というものも貴重でしょう。
いや、別に俺たちできてないですよ?皆さん

80 :
あと、表現の中だけで別に海にいかなくてもいいんですよ?

81 :
ダビング
目に飛び付いた小さな破片のように
瞬きはしても擦ってはいけない
感じとしてはビデオテープだ
噛んで動かなくなったらお釈迦さ
真っ黒い塊がずっと目に焼き付く
巻戻したら必ず失敗するんだ
だからといって早送りはご法度だ
これは磁気テープじゃない
真っ赤に今にも溶けそうな
鎖なんだから
ヘッドを下げろ
先ずはそこからだ
ゆっくりとゆっくりだ
再生をと停止を繰り返せ

82 :
テクノブレイクと急性アルコール中毒を間違えた医師がいる

83 :
イミテーション
規則的に群がった蟻が
砂糖と腐肉で出来た岩盤を
囓り取っていくように
私の本物と信じ込んだ
この胸に宿る原石は
冷たく燃えていく
だらしなく無規則に
えぐれていく
灰に塗れた掌
砕けた泥の塊が
罠に掛かった獣のように
のたうち回る手の平で
誰にも気付かれぬよう
手を広げ落としたらそれは
音もせず影のように沈んでいった
地面と空は何も答えてくれない
そして私は
己に流れる血液すら
疑うようになってしまったのだ

84 :
アルファベット
非常に簡単なことだ
記憶を寸分違わず
覚えておけばいいだけ
ただそれだけの事なのに
何故間違えて覚えてしまったんだ
どこで間違えたんだろう
僕が話すと 誰かが笑う
僕が考えると 誰かが笑う
非常に簡単なことなんだ
それはもしかしたら
箸の使い方に似ているのかも
規則的に並んでいるのに
僕は何故か迷ってしまう
知恵の輪の迷路の推理小説だ
僕は楽しんでいる
僕は自分を笑っている
間違って覚えてしまったら
相手にされなくなるだけ
無口な労働者?要らないよ

85 :
声を掛けられる
やぁ!やぁやぁ忘れてないよね?
え?箸の使い方がイマイチ分かってないって?
それってーのは俺だって分からないまま使い続けてるぜ?
そんなんいいーじゃん!死ぬまで誤魔化せよーっ
君だって駄菓子屋のばぁちゃん騙してたんだろ?
バレなきゃ誰が何やってたって分からんよ
日本人なんて皆優しいんだからさーっ
そんなことよりさ、これからをさ、走り抜けたいよね?
ほらほら?そんな泳いだ目だと迷っちゃうぜ?
行く?行く?シリコンバレー行っちゃう?
おいーっす!

86 :

こんな寒いのにさっきから
ジャーマンポテトが茹だるのを待ってる
震えながら待てるのは ジャーマンポテトだからか
それとも ジャーマンだからなのか
それとポテトってさ 芋の事?だっけ?
「あっきれた。あなた、芋男ね」
「うるせー!芋女!」
こんにゃろ!こんにゃろめ!
今夜は帰さないぞ!ふぅふぅ。
こんにゃろー!こん…ナハハハハ!
おっと今日は蒟蒻芋の日か

87 :
カンニング
視界の九割を瞼に裏で見ている
信用出来ないのはそこじゃない
煙草を辞めたのに隠れて吸いたくなる
そんな心が気に食わないんだ
俺の机の横から覗こうとする奴
そんなのはとっくに居ない
それは俺が何も知らないから
他の奴らのした事を邪悪に感じるのは
頑なに守り続ける俺が居るから
邪魔なら消してくれ
俺の存在を消してくれ
目障りなんだ
俺が不正をしないだろうかと
俺を俺が瞼の裏で見張ってる

88 :
徘徊する放浪者
今もおっかなびっくり歩いてる
あの小高い丘を目指して
その先は険しい山だろうか
あるいは谷だろうか
段差の連続を経験し続ける
一人きりで歩いてる
道中肩を叩いてくれないのが
一番困る 僕は歩くのが遅い
間違えに気が付かないで
そして僕の事に気がついた時
ほら ずっと向こうに行っちまってる
そう言って呼び止めもしてくれない
轍のような僕の影だけが背後を染める
それもやがて風に飛ばされて
再び つい最近までの僕を見失う
コンパスはどこかに無くしてきたらしい
遥か数日前の向こうから
誰かの声が聞こえた気がした
忘れてしまったが それは
さっきまで一緒に居た人かもしれない

89 :
重傷患者
傷もないのに身体中が痛み出す
汗を流すたび痛みが増してくる
やがて気が付く
全身の毛穴が無数の刺傷だってことに
指は手足からパックリ割れた切傷で
眼はすでにえぐられている
鏡を見ると
血で赤く覆われた
重傷患者が写っていた
助けを呼ばないのは痛みで
声が出ないからじゃない
大きく開いた傷を
閉じたきり立ち伏してる

90 :
役立たずが立つ
難しいことなんてないさ
百も数える間に万事解決
悲しむこともないさ
百日も寝れば忘れてる
いいかい
全ては誰かが(もしくは時間が)解決してくれる
それで解決できないことなんてない
誰かが代わりにやってくるし
誰かが代わりに忘れてくれる
僕の代わりは幾らでもいるわけだから
僕が死んだら誰かが代わりに生きてくれる
好きなように嫌いなことを嫌えばいい
歌でも歌えば今日もご機嫌さ
君のこと?
さぁね

91 :
インメロディ
公に並ぶことのない商品を買うように
千差万別に独占欲を満たしていく
時には断食みたいなことをして
コンビニのパンの角だけ食べながら
写真しか目に写らない新聞でも広げて
「衰退期だってさ」 なんて呟いてる
仕事の話と家族の話はテレビで見ました
ステレオタイプの人生
今日も美味しい水を飲んで暮らしている
流れる音楽 歌ってる顔
そこには耳なんていらない
フィクションを 演じる顔
触れない想像をし続ける
そう触れない想像なんだよ
フィクションはファッションなんだ
命の大きさは比べられない
大きく見せているのは広告の仕業だから
メロディだけ覚えてる
ひたすらメロディだけ流れてる
言葉も知らない洋楽の
メロディだけを口ずさむ

92 :
昨日からの客
一言でもいいから その口を減らせよ
昨日から聞きっぱなしなんだぜ
上には社長と、専務と、アルバイト一人っきりだ
味噌汁飲むか?朝から何も食ってないんだろ?
それとこの なんだ 名前が分からねぇ これさ
カウンターの上にもう一週間も置いてある
要るかい?誰かの忘れ物だ
余計な事は言うなよ 好きに持っていけ
今は窓から見る限り夕方だ 雨が降ってる
水でいいのか?勝手に飲んで来いよ
暴れたりするなよ 社長らが降りてくるぞ
第一 いい加減帰ったらどうだ?
名前?知らないね
カウンターの上のから探してみたらどうだ?
OK 水は俺が持ってきてやるよ
味噌汁、そうか要らないか

93 :
寿命を縮められたらいいのに

94 :
やり直し
嫌な言葉が負の連想の架け橋になって
向こう岸からいくつもやって来る
その様子を僕は呆然と見てるだけで
やがて僕の居る窓にぶつかって来て
勢いよく開いた拍子に僕は小脇に抱えていた
小さくて甘いお菓子を落としてしまった
床に散らばるとあっという間に腐って
拾う気にもなれない
その腐ったお菓子のせいで部屋は
物凄く臭くなるし今まで僕が食べたのまで
腐り出して
やがて腐敗したガスで僕の身体が膨らむ
部屋の周りの森をあいつらが綺麗に整備し始める
僕は溜まったガスを抜こうとお尻に力を入れる
でも上手くいかない 周りで工事をする音が聞こえる
断続して継続して計画的で機械的なリズム
お尻に力を入れる
断続して継続的で無計画で非建設的なリズム
出すものを出して すぐに部屋から飛び出した
やはり何もない
騒がしい音が聞こえなくなってくるばかり
近くの川の流れが鬱陶しい程静かだ

95 :
リユース
所々飛び出してくるバネを押さえてる
どうやら頭の配線を間違えたみたいだ
僕はいつまでこうしていればいいんだろう
二十歳を過ぎて恥ずかしいけど 歯が痛い
いい加減 汚い場所にも慣れたよ
抑え切れない何かを僕は使えない
それは目の前で時間を掛けて静かに萎んでいく
関係の無い物が不要だって誰が決めた?
僕は望まずに集めようとしていただけ
そろそろ諦めないといけないな
何も残らない人生も悪くないだろう
死んで行くまで時間が勿体無いなら
誰かに差し上げたい

96 :
生クリーム
白くってねっとりしてて
甘くってまた食べたくなる
舌を突き出して欲しがる私
顔中が真っ白になって
所々には自分の肌
埋れていく胸の方まで
怪我も流血も白く染めて
残りの命を数えるまでも無い
ずっとそのまま
そのままでいい
溢れ続けて欲しい
この顔が露出しないよう
永遠に体の中に送り込めるように
黒くなる身体を忘れ続けることに
白く染めて
繰り返すだけ

97 :
キャンベル
パパだよ ママだよ
あははは お前って可愛いな
なんだ いたずら電話かい?
冗談さ そんなに正直になるな
どうした 泣いてるのか?
今どこにいるんだ?
分かった もういいよ
あのな キャンベル
お前は誰に似たのか 優しすぎるんだ
どんな誠実に生きようが
成果を上げなきゃ認めないよ
いいかい キャンベル
人から何でもいいからさ
盗って来いよ 畜生だったら尚更だ
人より良い暮らしをするために
それがお前に教える全てだ
そうだ キャンベル
やったらやり返される
だから必死に守るんだ
自分の物を人になんてくれてやるな
誰しも牙を隠してる 誰も信じちゃいけない
お前に恋人が出来たら
すぐに子供を作れ
その理由はそのうち分かる
ただ 我々は因果な生き物という事
キャンベル?
聞こえてるかキャンベル?
お前には幸せになってもらいたいだけだ
パパもママも願ってる
キャンベル?
今どこにいるの?
自分が傷付く事だけは止めなさい
何か喋って
ねぇキャンベル?キャンベル……

98 :
籠の中の鳥
こっちに来て
小さな声で鳴いてるの
そっと手を差し伸べて
触れ合う指にキスすれば
私はきっと出られるの
ここには何もない
水の張ったプールに
映る音も影もない
私はきっとこれが最後
広げた翼 すでに羽根は無い

99 :
いつも二時
俺の頭には鎖が巻かれていて
鎖なら始めと終わりが
あるはずなのにそれがない
一日一日生き続ける度に鎖は重くなる
どうやら外に出るたびに俺は
鎖の輪を増やして帰ってくるみたいだ
俺は楽になり 走りたい
俺は宙に浮き 死んでやりたい
無防備な首から下は全身
金属疲労を起こした針金のように
一触即発だ 頭だけが重い
縫い目を探る間に眠くなる それが
決まっていつも二時だ

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