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2012年6月なりきりネタ250: ヒーローTRPG外伝 (234)
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ヒーローTRPG外伝
- 1 :11/02/27 〜 最終レス :12/06/10
- アンチ
- 2 :
- はいお疲れ様Deathー
うーんいい流れだね
テンプレもなしに立て逃げしたところを一発で踏み潰す
辛いだろ?辛いよね?
………この糞スレ、もういらないだろ?
ブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチ
- 3 :
- 人のエゴが渦巻く街「エゴイックシティー」
この街でもまた、正義と悪の戦いが繰り広げられる。
己が正義のため、戦えヒーロー!
己が欲望のため、悪行を尽くせヴィラン
ヒーローTRPG外伝 開幕
- 4 :
- テンプレ
名前:
職業:
勢力:正義(ヒーロー)、悪(ヴィラン)、中立など
性別:
年齢:
身長:
体重:
性格:
外見:(変身前)
外見2:(変身後の姿)
特殊能力:
備考:
※テンプレ記入時における注意事項
1.なるたけ変身しましょう(アメコミ的でも特撮的でも)
2.解釈次第でなんでも出来る能力、リスクになってないリスクがある便利能力
は話の展開、他者のモチベーションを大きく損なう危険性があります。
事前に相談することを推奨します。
3.後付設定を行う場合は事前に相談をしましょう(容姿の変化程度なら相談無しでも可)
また相談を行わず、後付け設定を行った場合は、後手キャンでなかったことにされても
強行した本人の責任です。逆恨みはやめましょう。
五日ルール/決定リール有り/後手キャン有り
- 5 :
- のキャラは参加しちゃだめなの?
- 6 :
- >>5
従士お断りってことだろ
- 7 :
- で、このスレどうすんの?
- 8 :
- 従士ってなに?
- 9 :
- >>7せっかくだから俺はこのスレに参加しちゃうぞ
- 10 :
- 俺も参加しなくもなくもない
- 11 :
- 世界征服の手始めに、このスレは悪の組織フロシャイムが乗っ取った!
さ、お掃除お掃除。
- 12 :
- 私は今、恐ろしくねじれ曲がったモラトリアムの中にいる。
モラトリアムがねじれ曲がるのかどうなのかはおいといて、とにかく私は複雑な状況の中にいる。
私の名はチェリー・クロト、25歳元OLで今は俗にいう無職にあたる。
そして、OLと無職の間に悪の組織に属する怪人になりかけていた時期があった。
悪になっていた訳ではない。そこのところを勘違いしてほしくはない。
何故そんなちゅうぶらりんなのかといえば
本当に間の抜けた話なのだが、組織の人間が乗る車に轢かれ、気がつけば肉体改造され改造人間になっていた
そして、組織のために忠実に動くための狗にするための人格改造の直前
ヒーローではなく不景気によって組織は壊滅してしまった。
組織が壊滅した後、私に渡されたのは、ほぼ無意味に近い自由と
失った物と同等の価値があるとは思えない額の退職金だけだった。
死んでしまったことになってしまっている以上、私は元の生活には戻れず
一般人にもどろうとしても、このツギハギだらけの風貌と力がそれを邪魔する。
大きな力を押し付けられてしまった私に残されている道は気がつけば二つしかなかった。
平和を愛し、秩序を守り、悪を挫くヒーローか
野望を抱き、秩序を乱し、わがままに生きるヴィランか
その二つのどちらかを選ばなければならない…ならないハズなのだが
「そんな決断、出来る訳ないじゃん」
決断しきれていない私は、廃墟と化した組織の秘密基地でパンをかじりながら外を見ていた。
ここ数日、帰る家も無い私はこうやって日々ごちゃごちゃと考えながら、だらだらと決断を遅れさせていた。
いっそ山奥にでも篭り、仙人のように生き、老いてればいいが、それさえも適わない
この体は首を刎ねられるか、心臓を握りつぶされない限り、老いることさえも許されない。
捕食者(ヒーロー)に襲われない限り、半永久的に悪事を働くことが出来る…
と廃墟の奥で埃をかぶっていたマニュアルにそう書いていた。
私が私を認識しているかぎり、選択も消えることは無く、モラトリアムは永久に続く
ならいっそ決断してしまったほうが楽なのは、頭では理解できる。
理解はしているが心がついてこない。
失った物が鎖になっているのか、それとも私が生来の怠け者なのか
とにかく思い切った決断が出来ない。ただそれだけ
- 13 :
- と一人で悶々としていると1つの変化が眼下で起こる。
廃墟の前にある銀行が強盗に襲われている。
私はその光景を眺めながら、また物思いにふける。
彼らがどんな過程を経てそのような凶行へ至ったか思考を巡らせる。
貧乏だったから?妹の手術費?退屈しのぎ?それともまた別のお涙頂戴な理由があるのだろうか?
どんな理由があるにせよ。彼らは自身を正当化し凶行に及んでいる。私の体を改造した連中と同じように
何勘違いしてんだか、どれだけ否定することができない理由だとしても、それが奪い、傷つけ、殺してもいい理由になる訳が無い
そんな屁理屈が通ってたまるか
「……」
私は立ち上がり手に持っていたパンを外へ投げ捨てる。
この間まで動く気配をさえ感じなかった心が動くのを感じる。
そうだ!そんな屁理屈のせいで私みたいな救われない奴を増やすわけにはいかないんだ。
「チェンジング…」
足に力をこめる、心臓が燃えるように熱く感じる。
「ナァァァァウッ!!!」
私は叫びながら、窓から飛び出していった。
モラトリアムは終った。
名前:チェリー・クロト(パッKー【patchinger】)
職業:無職(求職中)
勢力:正義
性別:女
年齢:25歳
身長:155cm
体重:46kg
性格:思慮深い、サバサバしている、事故の影響で喋り方が女らしくなくなっている
外見:ブラックジャックのように全身つぎはぎ、金髪のショートポニー、緑眼の釣り眼
外見2:メカニカルにアレンジされた騎士、いたる所に継ぎ接ぎのあとがある
特殊能力:
【不完全怪人ボディー】
半永久的に悪事を行うために改造された体
常人より頑丈、キズの治癒も些か早い(切断されても生えない迅速な処置が必要)が
毒や病気に対する耐性は常人並み。心臓を大きな損傷を喰らうか、首を刎ねられると死ぬ
【即席武装(インスタントウェポン)】
手に持った物体をしばらくの間武器に変化させることが出来る。
物によるが大体1〜5分で武器が自壊し使い物にならなくなる。
悩み:死んだことになっているため、社会復帰する手段が一切無いこと
備考:
一般人の思考が残ってしまった元OLの怪人もといヒーロー予備軍
犯罪者の捻じ曲がった屁理屈で自分のような不幸な人を作らないために戦う
- 14 :
- 金を奪い逃走車に乗り込む強盗の目の前に突如現れるは、私チェリー・クロトではない
そこにいるのは、継ぎ接ぎされた鎧を纏った騎士っぽい怪人、パッKー(マニュアルに載ってあった)
けして、偽物の鉄の城の略ではない。継ぎ接ぎされた者という意味でパッKーなのだ!
フロントガラス越しに慌てている強盗達の様子が伺える。
さて、どうしたものか?
エネミーデータ
名前:強盗×3(本名不明)
危険度:★★☆☆☆〜★★★☆☆
備考:ただの銀行強盗、異能があるかどうかは不明
- 15 :
- おい!何やってんだ!!さっさと引き殺せよ
- 16 :
- リーダー格らしい奴が助手席で喚くように指示を出している。
身振り手振りからして、早く車を出せとでも言っているのだろうか?
と悠長に歩いて車に近づいてきた矢先、車が猛スピードでこちらに向かってくる。
「お?やっぱりそう来る?」
急接近してくる車に対し、私はそう呟き身を構える。
怪人らしく車の衝突に耐えてみせるような真似はしないというか、私はそこまでタフじゃない
そういう理由もあるが、ハナから私はそんな無謀を冒すことは考えていない。
受け止められないのならば、いっそ
「てぃやッ!!!」
飛び乗ってしまえば良い。
私はタイミングを見計らい、車のボンネットへ飛び乗ろうとするが
「あがッ!」
タイミングが遅かった。バンパーに足を引っ掛け、倒れこむようにボンネットに乗り
そして、思いっきりフロントガラスに頭を打ち付けた。
「〜〜〜ッ!!!」
声にならない声をあげ、打ち付けた箇所を摩りたいがそうもいかない。
文章では伝わりにくいだろうが、こういう走行中の車に飛び乗ったシュチュって決まって
「あわわわわわッ!!!」
蛇行運転等で飛び乗った相手を落としにかかるよね。
という具合で、そんな真似をしている場合ではない。
それに加え、助手席と後部座席にいる強盗が私を狙い銃を撃ってくる。
今の状況の中では耐える以外に選択肢は無いに等しいかも知れない。
しかし、早くこの危険走行どうにかしないと、下手をしたら一般人が巻き込まれる危険性がある。
「でもどうしたら」
何かのきっかけさえあれば、どうにかできるかも知れないのに
【強盗の車に飛び移るも、着地失敗で圧倒的に不利な状態に車は現在蛇行運転中、危険性大】
>>15
ネタ振りありがとうございます。助かりました。
- 17 :
- 状況!強盗の車に怪人が飛び込み蛇行中!映像送ります!
無線機から流れるけたたましい声のあと、ツギハギの鎧怪人が車に突っ込む姿がモニターに映し出される
それを凝視し、興奮のためか恐怖のためかわからぬ汗を浮き上がらせながら男は無線機を握った
こちらコマンダー!
銀行強盗は法を破った罪人である
そして怪人は人類の敵、悪である!
滅しなければならぬ存在だ!
捕縛オペレーションは破棄する
すみやかに殲滅せよ!
演説がごとき命令変更に無線機からは歓喜をともなう了解の声が響いた
かくして蛇行する車は敷き詰められていた車止めを巻き込みタイヤはその回転を止められる
僅かな慣性が終ったとき、四方の建物屋上から無数の鉛玉やはくげきほうが降り注ぐのだ
罪人もろとも人類の敵を葬るために
- 18 :
- 私は日ごろから『環境さえ整っていれば、私のような体の不自由な障害者は、障害者でなくなる』と考えています。
例えば、私がA地点からB地点まで行きたいとします。ところが駅にはエレベーターも付いていません、
バスやタクシーも車椅子のままでは利用できないという状況では移動は不可能、または困難です。
そのとき、確かに私は『障害者』で、四肢のない『だるま女』だということを痛烈に感じます。
障害者(私)が『かわいそう』に見えてしまうのも、物理的な壁による『できないこと』が多いためなのです。
そんなある日。私の乗った車椅子は強盗の車に激突されました。私は私の運のなさに涙を流しました。
車体の前方とアスファルトに挟まれながら数メートル以上押されっぱなしの私。手足もないくせに無駄に大きな胸が車に潰されて痛いです。
「いい加減にしてください。この運命…」
私は車椅子のスイッチをあごで押しました。車椅子はガシャンガシャンと音を鳴らしながら変形していくと
生れつき存在しないはずの私の手足の代わりとなって強盗の車を押し返します
キュルキュルキュル!
強盗の車の後輪が甲高い悲鳴をあげ私の鋼鉄の足からは火花が散ります。
しかし次の瞬間、私は何が起こったのか理解するまでに時間がかかりました。
例えたら扉を開けようとした時に、外にいた人に扉を開けられて軽い力で扉が開いたような感覚。
そうです。私が車を押し止める必要もなく車は車止めに止められたのでした。
ボーン!パンパンパンパン!
四方の建物屋上から無数の鉛玉やはくげきほうが降り注いできます。
私の手足は鋼鉄ですが身体は剥き出しの生身です。私は車を横にひっくり返して盾にしました。
すると迫撃砲の火球が車を包み込みました。
「あぶなかった。もう少しで私が火の車でした」
私は鋼鉄の足でアスファルトを蹴り飛ばし建物の裏にかくれます。
- 19 :
- 君はコクハ臭がきつすぎるから撤退するわ
- 20 :
- ひどい
あの車には人質も乗ってたのに
- 21 :
- >>18
テンプレートに記入をしてください
- 22 :
- 振り落とされないようなんとかボンネットにしがみつく最中
私はある事実に気がつく。
それは後部座席の後方、隠れるように身を屈め、必死に耳をふさぐ子供もとい人質の存在
車に乗り込むところまでちゃんと見ていたはずなのに、いや、わざわざ人質も一緒に袋にいれてきたのか
違うだろ!今は何故そこにいるのかが問題じゃない。
あの子に危害が及ぶ前にどうにかしなきゃ
と頭を悩ます私に、追い討ちをかけるかのように、状況は私を追い込んでいく
耳に届くは「とおりゃんせ」のメロディ、いかん、このままだと信号横断中の歩行者にぶつかってしまう。
と、唐突に私がひき殺された情景がフラッシュバックされる。
それだけは絶対にダメだ!同じ目にあわせるためにヒーローになる決心をしたわけじゃない。
「南無三」
拳を固め、意を決する。
銃撃により穴だらけになったフロントガラスならば、いともたやすく砕けるはずだ。
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
私は雄叫びと共にフロントガラスに拳を振り下ろす。
ひびだらけのフロントガラスは薄氷のように砕け散り、私と車内を隔てていたものが無くなる。
そして、私は勢いに任せ、車の中へ侵入する。
予想外の行動に対し、一瞬唖然となるも、我に返り銃を構えるが
「そんなの想定内なんだよ」
強盗が引き金を引くよりも早く、車のサイドブレーキを引き上げる。
強制的に車輪の動きを止められた車は、慣性の法則に従い独特の音と共にスピンする
揺さぶられる車内、その中で私は人質の子供を抱え、車から放り投げられるかのように脱出する。
「おぅ」
思いっきり地面に叩きつけられ、声が漏れる。
痛みでどうにかなってしまいそうになるが、人質の子供の安否が気になり腕の中の確認する。
「…」
恐怖で声が出ず、震えてはいるがどうやら無事のようだ。
ホッとため息をつきそうになった次の瞬間、嵐のような銃声が轟く
すぐさま、私は子供と共に建物の間に身を隠す。
「一体何だってんだ」
とりあえず、身の安全を確認し、私はため息と共に子供と腰を下ろす。
呼吸を整え、今何が起こったか確認する。
銃撃、そう強盗犯を捕らえるにはあまりにも過剰すぎる銃撃とロケット砲的な何かでの攻撃
おそらく、いや、確実に警察のやり方ではない。いや、こんな被害の大きいやり方は政府に属するもののやり方ではない
間から顔を出し、改めてその惨状を確認する。
「そういえば、こんな光景前にテレビで見たな」
- 23 :
- それは生前、ランチ中に見ていたニュース番組内でのことだった。
とあるヒーローのやり方が凄惨極まりないもので遂に全国指名手配されたと報じていたものだ。
そのヒーローは、一般人に異能で作ったアンテナを取り付けることにより、絶対服従の一流兵士に変え
その兵士たちに武器を持たせ、どのような犯罪者に大しても過剰すぎる攻撃を加え、私刑するという
挙句、ちょっとでもヒーローらしくない風貌のヒーローが居たなら、怪人と扱いし危害を加えくると
確実にヒーローのやり方から逸脱した非人道的なやり方で、その危険性と異常さから遂に国から拒絶されてしまったそうだ。
名前は確か
「…アンフェアジャッチだったはず」
その自らの手を汚さないやり口と一方的な断罪からその名がつけられた
おそらく攻撃の理由は、強盗とそして、そこに居た私か
となると、この子の面倒を見ながら行動することは出来ない。しかし、ここにおいといても
と頭を悩ませていると、なにやら物凄い物に乗った女性がやってきた。
「あ…」
言葉に詰まる。視線の先にあるのは彼女が銃弾の雨を凌いだ時に使った車だったもの
そして、その前まで強盗と私が乗っていた車
悲鳴等々が聞こえなかったので被害者が出なかったと安心していたが、そうでもなかったらしい
いや、でも、彼女も彼女で無事なわけで
「…すいません、こんなことに巻き込んじゃって」
唐突に彼女に謝る。困惑するかもしれないし、怒りをあらわにするかも知れないが
でも、言っておかないと駄目な気がしてならなかった。
「失礼ついでに…この子お願いしていいかな?多分この先の銀行にこの子の親がいると思うから
余裕が無かったら警察に預けてもいいから、お願い
多分、今の攻撃は私を狙った奴だと思うし、私が面倒みちゃうと危ないしね」
【強盗おそらく死亡、物陰にやってきた乙部に子供の面倒を見るよう頼む】
エネミーデータ
名前:アンフェアジャッジ
危険度:★★★☆☆〜★★★★★
詳細:次レスまでに投下します。
>>18
参加希望ってことですよね。よろしくお願いします。
出来ればテンプレを埋めていいただけると助かります。
テンプレ
名前:
職業:
勢力:正義(ヒーロー)、悪(ヴィラン)、中立など
性別:
年齢:
身長:
体重:
性格:
外見:(変身前)
外見2:(変身後の姿)
特殊能力:
備考:
※テンプレ記入時における注意事項
1.なるたけ変身しましょう(アメコミ的でも特撮的でも)
2.解釈次第でなんでも出来る能力、リスクになってないリスクがある便利能力
は話の展開、他者のモチベーションを大きく損なう危険性があります。
事前に相談することを推奨します。
3.後付設定を行う場合は事前に相談をしましょう(容姿の変化程度なら相談無しでも可)
また相談を行わず、後付け設定を行った場合は、後手キャンでなかったことにされても
強行した本人の責任です。逆恨みはやめましょう。
- 24 :
- [流れを悪くしてしまった
ごめんよ]
人質を連れてさる乙部
[撤退する。がんばってくれ]
- 25 :
- 名前:コマンダージャスティス(アンフェアジャッチ)
職業:元軍人、現在指名手配中
勢力:正義?
性別:男
年齢:45
身長:230cm
体重:120kg
性格:左翼主義、残虐、好戦的
外見:白髪、無精髭、顔に大きな傷跡、額に赤い宝石が埋め込まれている
外見2:装甲と武装で身を固めている。例えるなら人型戦車、もしくは歩く要塞
特殊能力:
「パーフェクトアーミー」
自身の能力で作り出したアンテナを取り付けることにより
どんな人間でも一流兵士にすることが出来る。
兵士化した際、アンテナ同様、作り出した武装を持たせることができる
もう1つの異能を発動させた場合、能力は解除される
「ヘルアポカリプス」
作りだした武装を兵装化し、超人と化す能力
もう1つの異能を発動させた場合、能力は解除される
備考:
捻じ曲がった正義で無差別に捌きを下すヒーロー崩れ
妻を強盗に殺された時、異能に目覚め、狂った。
- 26 :
- チェリーさん無事?
- 27 :
- 一応無事です。
被害はそうでもないんですが、余震が怖くて心落ち着きません
- 28 :
- >>27
乙。無事でなにより
- 29 :
- こんなときに不謹慎だとは思うのですが、
SSになってもいいから話にオチをつけて、一旦休止するべきなんでしょうか?
- 30 :
- そもそもお前一人のーなんだから好きにしろ
- 31 :
- よしわかった
もう少し落ち着いたら俺も参加してやろうじゃないの
- 32 :
- >>29
チェリーさんが落ち着くまでこのまま様子見でよいのでは?
話をまとめずに一旦休止しているスレも沢山ありますし
もしチェリーさんが今後も続けられそうなら無理にオチをつける必要は無いと思います
- 33 :
- 落ち着いて来たんで明後日辺りから再開しようかと思います。
- 34 :
- がんばれー
- 35 :
- ヒーローTRPG外伝、前回までの三つのあらすじ
1つ、野良怪人チェリー・クロトはこれからの身の振り方をどうするか決断しあぐねていた
2つ、その最中、目の前で銀行強盗が発生、チェリーはヒーローとしての生きることを決意する。
3つ、しかし、その先に待っていたのは、指名手配犯のアンフェアジャッチによる無慈悲な暴力であった。
カウント・ザ・メンバー!現在の参加者は残り一名
- 36 :
- それはそれらしくあるからそれなのだ、とは名も知らぬ哲学者の言葉だ。
「フハハハハハハ!エゴイックシティーの民衆諸君、今のうちに惰眠を貪っておくがいい!」
街を見下ろす高い建物の屋上で腕を組み、悪者らしく高笑いし、悪者らしい台詞を悪者らしく低い声で叫ぶ。
そして身に纏うはいかにも悪そうな軍服、さらに眼帯。
「俺が来たからには、すぐにこの街を恐怖のどん底に叩き落してやる!!」
つまりいかにも悪者らしいこの俺こそ、まさに悪者の大幹部であるという事だ。
……いや、遺憾ながら今では全てを過去形で語らなければなるまい。そうだ、俺は悪者の大幹部"だった"のだ。
一時は世界征服の寸前まで迫った我が秘密結社は、首領の戦死と共に事実上壊滅した。
それはほんの40年前の出来事だが、物語の発端となると時計は更に30年遡る。
現在から数えておよそ70年前、一つの戦争が終わって、一つの帝国が滅亡した。忘れるものか。1945年、全てが終わり、全てが始まった年。
敗北を受け入れられない敗残兵たちはUボートで海を渡り、尊大な戦勝国への復讐を誓いつつ祖国を遠く離れた密林の奥地に落ち延びた。
やがて彼らは小さな駐屯地を作り上げる。それは偶然発見した未開の遺跡に土嚢を盛り、兵舎二つ、倉庫一つを備えただけの小さな砦だ。
世界を脅かす秘密結社の物語はこの不恰好な砦から始まって、30年後の島国で幕を閉じた。ヒーロー達はここで物語を終わらせたかったらしい。
首領戦死の後、生き残った者はヒーローの迫撃を逃れるべく偽名で小市民に紛れ込んだ。奴らは執念深かったが、まぁモサドほどじゃない。
今となっては追う者も無く、誰もが過去を忘れ各々のを享受している。何せ改造人間というのはやたらと丈夫で長生きなのだ。
しかし俺は果てしなく穏やかな老後を捨てて再び懐かしい服を身に着けた。ただの一人でもう一度悪の秘密結社を始めたのだ。何故か?
俺は日に日に老いている。70年前の改造手術によって老化が止まっていた肉体が、今更になって年齢を追いかけ始めた。
髪や口髭は徐々に色を失い、頬の皮膚は弛んで皺は増え深くなった。整えた口髭を剃り老眼鏡を掛ければ癇癪持ちだった晩年の父に瓜二つだろう。
体力衰えず健康体なのは改造手術の恩恵だが、流石に背中は丸まってきたし、出歩く際にはエボニーのステッキを持たねば心配が付きまとう。
さらに最近では枕元に度々懐かしい顔が現われる。絞首台にぶら下がった上官、顔のない兵士、悪の戦闘員や怪人……皆が揃って手招きしている。
明らかに思考の老化が招いた悪夢だ。誠に遺憾ながら、老衰死の予感が、恐怖が、思考のあちこちにべっとりとへばりついてしまったらしい。
俺は老いて、死の輪郭が見えてきた。この事実を受け入れたならばどうするべきか。考えに考えて辿りついたのは1945年の誓いである。
最初に集った敗残兵の一人として、この誓いの元に殉ずる、あわよくば誓いを果たす事は最後の責務とすら言える。何よりも好ましい最期であろう。
それに俺は祖国と組織に忠誠を誓った軍人である。軍人であるならば、誰だって老衰死より名誉ある戦死を迎えたいものだ。
だから俺は残りの人生をかけて、もう一度夢を見るのだ。
また世界中に喧嘩を売ってやる。我が祖国を歴史の棺桶に葬った者達に、我々の名前を思い出させてやる!
- 37 :
- そうして昔話から這い上がってきた亡霊は、鋲を打った軍靴とステッキでカツカツと上機嫌にリズムを刻み、埃舞う路地裏で奇妙な騎士の前に現われた。
「やあ、お嬢さん。あんたは……正義か?悪か?見てくれはいかにもこちら側だが……上にいる兵隊どもはどうだ?正義か?悪か?」
銃声響き硝煙漂う中を歩くと、70年前を思い出して胸が弾む。ああ、手にしているステッキがモーゼルライフルだったなら、どんなに喜ばしいだろう。
それならば俺はきっと前線指揮官であって、部下を率いていて、敵は赤旗振り回すロシア人の機甲師団で……もし現状がそうあれば、どれだけ素晴らしいだろう。
しかし夢を見るには遅すぎて、あるいは早すぎる。目下の目標を遂行しなければいけない。
「俺はゴル大佐。秘密結社『ヴェアヴォルフ』の大幹部である」
ああ、40年ぶり、40年ぶりだ!この肩書きを誰かに語ったのは!感情が一気に若返り、記憶がスライド写真のようにどんどんと蘇ってくる。
ただの一言、懐かしい台詞を吐いただけ。それだけで身体中の血を若者のそれと入れ替えたように、老化という感覚が見る見ると遠ざかってゆく。
「……つまり俺こそが悪者であるという事だ。あんたが悪い奴なら手を貸すし、さもなくば…ことになろうな。初対面、しかも唐突な話で恐縮だが」
名前:ゲアハルト・ミハイロビッチ・ゴル
職業:元世界的秘密結社大幹部
勢力:悪
性別:男
年齢:外見は60才程度(実際には100歳以上)
身長:173cm
体重:71kg
性格:病的なほどに几帳面で神経質で反共主義者。過去のトラウマからバッタを異常なほどに嫌悪する。
外見:(変身前)ナチ親衛隊の黒い軍服姿で腰にはルガーピストルのホルスター。右目に黒い眼帯。口髭。常に黒いステッキを手放さない。
外見2:(変身後の姿)怪人狼男。服装はそのままだが、全身が毛皮に覆われ、頭部は狼そのものに。筋組織が変化し身体能力が飛躍的に向上する。
特殊能力:改造手術以前から、まるで『別人が演じている』かの如く巧みな変装を特技とする。
また怪人狼男に変身している間は、噛み付いた人間を操る能力を有する。但し「進め」「戻れ」程度の命令に限られる。
備考:かつて世界征服の一歩手前まで迫りながらも一人のヒーローによって壊滅させられたとある世界的秘密結社の大幹部だった男である。
戦時中、ナチ親衛隊(SS)に所属していた過去を持つ。
【悪い奴です。よろしくお願いします】
- 38 :
- >>37
よろしくお願いいたします!レスは今夜中にお返ししますね
- 39 :
- 心配事が消え、ため息をしたいところだがそうもいかないらしい
>「やあ、お嬢さん。あんたは……正義か?悪か?見てくれはいかにもこちら側だが……上にいる兵隊どもはどうだ?正義か?悪か?」
いつの間にか現れたドイツ軍人に私はたじろぐ
「上にいるのは正義でも悪でもない…いや、ヒーローになれない奴に巻き込まれた一般人だ」
異様な威圧感に抗うかのように私は軍人の問いに答える。
>「俺はゴル大佐。秘密結社『ヴェアヴォルフ』の大幹部である」
>「……つまり俺こそが悪者であるという事だ。あんたが悪い奴なら手を貸すし、さもなくば…ことになろうな。初対面、しかも唐突な話で恐縮だが」
なるほど、そういうことか
なんとなく合点し、一息ついてから一番初めの問いに答える。
「生憎…私のモラトリアムはついさっき終ってしまったよ。スカウトならもっと早く来ていれば乗っていたかもしれなかった
私はヒーローとしての道を選んだ!あんたが私をつもりなら、返り討ちにしてその道を歩く」
自分を振るい立たせるようにそう声高らかと返すと、車だった残骸に手を伸ばしバンパーらしきパーツをもぎ取る
「チェンジング!」
気合を込めそう叫ぶとバンパーは折れ曲がり捩れその形を一振りの剣に変える。
どんなものでも短時間だけ武器に変えることが出来る…それが私の異能
「タァァ!!!」
間髪をいれずに私は軍人に切りかかっていく
- 40 :
- >>39
>「上にいるのは正義でも悪でもない…いや、ヒーローになれない奴に巻き込まれた一般人だ」
「正義でも悪でもない?ヒーローになれない奴?それがあれだけの力を?」
さらに聞き返し、溜息が出る。この40年で我々の生きる世界は随分とややこしくなったらしい。
白と黒、西と東、そして正義と悪……古き良き世界の勢力図は、いつだって2つの色で塗り分けられていた。
しかしいつしか境目に生まれた新たな色が最初の2色を侵食し、今や世界はサイケデリックなモザイク柄だ。
>「私はヒーローとしての道を選んだ!あんたが私をつもりなら、返り討ちにしてその道を歩く」
彼女の言葉には、確かな決断と覚悟の意思が現われていた。ある意味で期待通り、見てくれ以外は随分とヒーローらしいじゃないか。
あの忌々しいバイク乗りを思い出すよ。思えば、奴も元々こちら側だった。口元が緩み、笑みが浮かぶのが止められない。
「いや残念、もう一週間早く来るべきだったかな?」
>「チェンジング!」
焼け焦げ塗装が剥げたバンパーは、掛け声と共に彼女の手の中でシルエットを歪な剣へ変えた。
彼女がそれを振りかざし、俺に切りかかってくる。俺の手に剣は無く、無論盾も鎧も無い。さあこのままでは死んでしまうぞ。
「返り討ちとは、嬉しいことを言ってくれるな」
瞬間、彼女と俺の間に黒い輝きがキラキラと舞い散り、剣の先から放射状に広がった。
ほんの一瞬剣が止まり、ほんの数ミリ彼女の視線が逸れた。すかさずルガーピストルを抜き、無照準で3発撃つ。
そこに生まれた小さな隙に、俺は切っ先の届かぬ一歩後ろへと退いた。
「……だがな、大幹部が死ぬにはまだ早すぎる。早すぎるんだ」
エボニーは金属の如く硬質な木材だが、金属ほどの弾力は無い。だから一点に力が加われば硝子のように砕け散ってしまう。
つまり先程舞ったのは、放り投げられ主人の身代わりとして粉砕されたステッキだ。あれは結構に気に入っていたのだが、止むを得まい。
「さて、口惜しいが今日は挨拶だけにしておこう。この年寄り一人じゃあんたを殺せそうにない。それに……」
俺と彼女の言葉が途切れる間に、大通りから聞えてくる音が届く。共に届く匂いと同様に懐かしい音は、確実に少しずつ近づいていた。
装具の揺れる音、複数が泥靴で駆ける足音、早口に飛ばされる指示と、それに対する応答。それはつまり、訓練された兵隊達の活動音。
先程の銃声を聞きつけたに違いない。足音と声から判断するに、恐らくは一個分隊以上。少なくとも10人は居る。
「どうやら"巻き込まれた一般人"どもが降りてきたらしいぞ」
話している間にも、何足もの泥靴は足音を立てて、我々の居る場所へと近づいてくる。
- 41 :
- 保守
- 42 :
- 再び、3発の銃声が響いた。
尖兵として飛び込んできた3人の兵士は心臓を、あるいは頭部を著しく損傷し──要するに銃弾で吹っ飛ばされて──気持ちの悪い水音のようなものを漏らしながら倒れた。
間髪あけずさらに2発。後ろに居た2人が同じようにして倒れて、死んだ。これで5人。いよいよ楽しくなってきたぞ。
「やあヒーロー、やっぱり手出しは出来ないか?止むを得まいね、だってあんたはヒーローで、奴らは小市民だから」
ヒーローとは即ち英雄であり、英雄は人々の為に滅私に努め人々の敬意を集めるものだ。悪党らしい悪党と戦うヒーローは、ヒーローらしくなければいけない。
何故か牙を剥く一般市民を攻撃できずに戸惑う姿は、いかにもヒーロー的なジレンマじゃないか。
「誤解しないでくれ、馬鹿にしているんじゃない。あんたにはあんたの、俺には俺の仕事があるんだ」
やがてロシア人たちとは随分違う装備で身を固めた兵隊が現われた。ごちゃごちゃと各種装置を取り付けた最新鋭自動小銃の銃口がこちらを睨む。
「よく聞け!俺はゴル大佐!秘密結社『ヴェアヴォルフ』の大幹部である!」
……折角悪党らしい台詞を吐いたのに、奴らは格好の良い台詞を返すこともなく、無言で引き金に指を掛けた。まったく嘆かわしいことだ。
悲しいかな、バッタですら理解した様式美をこの無能な小市民どもは理解出来ないのであろう。おやおや、奴らが人差し指に力を入れたぞ。
「貴様らに俺の真の姿をみせてやろう!貴様らを地獄に送る者の名前と姿、よく覚えておく事だ!」
変身……と、言っても、俺の場合はヒーローほどに華々しいものじゃない。掛け声も効果音も無く、身体中が妙な音を立てるだけ。戦争中はそれでよかったのだ。
そうして俺はもう一つの姿となる。もちろんヒーローどものように格好の良いコスチュームなどありはしない。重ね重ね、戦争中はそれでよかったのだ。
身に纏うは今しがた降り注いだ鉄の暴風で戦死者のようになった軍服。被り物と呼ぶには精巧すぎるオオカミの頭。鋭く伸びた爪。さあ、古臭い決まりの台詞だ。
「俺こそが怪人狼男だ!ここを貴様らの墓場にしてやろう!」
ヴェアヴォルフとは祖国の言葉で狼男を意味するが、復讐を誓う敗残兵もそれを名乗った。つまるところ、俺は両方の意味でヴェアヴォルフなのだ。
それからはまぁ、過去の再現だ。
飛び来る弾丸を避けるなり受けるなりしながら近寄って、一番近い一人に噛み付く。するとその哀れな兵隊は口から血の泡を吹きながら痙攣する。
後はそいつを盾にしながら腕を持って銃口を他に向け、「人差し指に力を入れろ」と命ずる。すると不思議なことに『盾』は引き金を引いてしまって同士討ちの出来上がりだ。
我ながら奇妙としか言い様のない能力を久しぶりに振るうのは楽しかったが、面倒になってきたから残りは喉笛を喰いちぎるか顔を潰すかして殺した。
兵隊が姿を消した後、元の姿に戻ると目眩がした。銃弾を身体で受け止めすぎて血が足りなくなったのだ。まったく、若い頃ならもっと無茶な戦い方も出来たものだが……
このままヒーローと戦うことも出来たが、あんまりに疲れてしまったし、何より大幹部らしくないではないか。
「……思いのほか、派手な挨拶になってしまったな。あんたがヒーローとしてこの街の平和を守るなら、またいつか顔を合わすことになるだろう!さらばだ!」
そうして、俺は軍靴をコツコツと鳴らしながら路地裏を後にした。一人のヒーローと、何体もの惨殺死体を残して。
【さてさて、どうしたものだろう……】
- 43 :
- 【おおう、まだスレが残っている……】
【もし再開するとしたら人は集まるのかしら……】
- 44 :
- 悪の秘密基地は地下でなければならない。また人の近寄らない廃工場の地下なら尚良い。
新調したステッキを突きながら、広い空間を一人うろつく。空調設備が停止した工場地下には僅かな埃臭さと黴臭さを含んだ湿った空気が満ちている。
あるいは総統も、最期を過ごした帝都の地下司令部で同じように淀んだ空気を感じていたのだろうか。
時代遅れのモーゼル小銃、不名誉の証となった無数の勲章、今や忌み嫌われる祖国の旗、そして史上最大の極悪人のレッテルを貼られた偉大な総統の肖像……
この街で得た新たな秘密基地を彩るのは、40年前よりはむしろ70年前の風景である。元々、我が忠誠の対象は組織ではない。偉大なる総統、そして祖国のみである。
もちろん、壁一面の大きな世界地図だとか、禍々しい鷲のレリーフだとか、チカチカ音を立て点滅する無意味な信号灯だとか……40年前らしさも相応に残したつもりだ。
やはり悪の秘密基地は、こうでなければいけない。
……足りないのは勇敢な兵士と優秀な将校。司令官だけの組織。全く、全く、なんと滑稽なことだろう。
『悪の戦闘員急募』などと馬鹿な新聞広告を打ったものだと我ながら思う。
偉大な祖国を思い出す兵士はもう居ない。世界征服という言葉に夢を見る輝かしい若者も居ない。
第一、こんな募集に集まる単純な悪人には技量も知能も忠誠も、何もかも期待できない。兵士として綿密な作戦に用いる事など出来るものか。
俺がこの大衆紙に託したただ一つの希望は、再び秘密結社『ヴェアヴォルフ』の名を世間に思い出させる可能性だ。誰かが『ヴェアヴォルフ』を思い出せば、それでいい。
誰かが思い出せば、それを他の誰かに話すだろう。他の誰かはさらに他の誰かへ、次の誰かへ……そうして無数の人間に伝わる。中には治安関係者やヒーローも居るだろう。
彼らはその名を聞いてどうするだろう。悪党の存在を許さず、秘密基地の捜索を始めるかもしれない。市民生活を防衛する為、街中に警官が増えるかもしれない。
あるいは誰か、先の銀行強盗事件に前後して軍服姿の老人を目撃した事を思い出すかもしれない。今はまだ、それだけでいい。
まだ何も終わっては、また始まってはいない。恐らく全てはこれから始まり、また終わるのだ。
【とりあえずコテさん募集中…】
【気力ある限りは一人で頑張ろうかしら】
- 45 :
- 保守
- 46 :
- 保守するくらいなら参加してやれよ
- 47 :
- コーヒーショップで働くサムは知的障害のため7歳の知能しかもってない。そんなサムの宝物は愛娘のルーシー。
慣れない子育てに奮闘しつつも、ひたむきに愛を注いでいる。
優しい仲間たちにも囲まれ、幸福な日々を送るふたりだったが、ある日、悲劇が襲う。
父親の知的年齢を追い越してしまったルーシーが学ぶことを拒否し始めたのだ。
心配した担任教師からソーシャルワーカーが派遣され、ルーシーはサムのもとから連れ出されてしまう。
もう一度ルーシーと暮らしたい。
父親失格の烙印を押され落ちこむサムだったが、敏腕女性弁護士リタとともに、裁判に出ることを決意する。
なぜなら、誰よりも自分がルーシーを愛しているから──。
はたしてふたりは幸せな日々を取り戻すことができるのか。
せつないほどに無垢な愛、親子の絆に涙する感動の物語!
- 48 :
- >>47
いい話だ、感動的だな
だが無意味だ
- 49 :
- ◆X9hUpsnDGYはもう消えたのか
誰か来るまで1人で頑張るんじゃなかったのか
- 50 :
- >49
ヽ | | | |/
三 す 三 /\___/\
三 ま 三 / / ,、 \ :: \
三 ぬ 三. | (●), 、(●)、 | ヽ | | | |/
/| | | |ヽ . | | |ノ(、_, )ヽ| | :: | 三 す 三
| | |〃-==‐ヽ| | .::::| 三 ま 三
\ | | `ニニ´. | |::/ 三 ぬ 三
/`ー‐--‐‐―´´\ /| | | |ヽ
【居るだけ居るんですけども、流石に一人で頑張れませんでした】
- 51 :
- >>50
あきらめたら試合終了ですよ
- 52 :
- >51
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll/ ̄ ̄\llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll/ ヽllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii|iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii| し T |iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii
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- 53 :
- 参加したいけど掛け持ちするほど余裕がないこのもどかしさ
- 54 :
- 参加したいけど普通の質雑しかやったことねぇ
- 55 :
- やってみればなんとかなるかもしれんよ
- 56 :
- ,. < ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ > 、
/ ヽ _
〈彡 Y彡三ミ;, この際ですからFO上等、遅レス上等、不慣れな方でもどうか気軽に参加してみませんか
{\ \|_ \>ー 、 ト三三ニ:}
人{ >、,___.>、/三 ヾ\ |わ三彡;!
/./ トミ;,_ Y/ \>ノー〜=- "
V / /!  ̄ ̄ ゝ | / _
し/'┴──----─''| ン}\-ヾ彡
ヾ、___ノー'''`
- 57 :
- 筆力あると思うのでここでずっと待つより他の人いないスレに行ってきたらいいと思います
ジェンスレとかブラまほとかあなたが活躍できそうなスレはいっぱいあるよ
- 58 :
- むむ、参加してみたいかも。
しかし初めてなんですよねー。
- 59 :
- >>44
俺の名は氷雨京一郎。探偵だ。
社会の闇に挑み、戦い、打ち砕く――。
そういうカッコイイことがしたいなぁと言う夢を抱えつつ、浮気調査やら猫探しやらを行っている不甲斐ない貧乏探偵だ。
「はぁ、夢のあることは起きないもんかね」
俺は朝のコーヒーを嗜みつつ、朝刊にざっと目を通していた。
そして、そこで俺はその広告に目が留まる。
『悪の戦闘員急募』
俺はそれを見て一瞬怪訝に思い、次に気分が高揚してくるのに気付く。
「フ……悪の組織ってのは、やっぱこの世にあったってわけか……」
ニヒルな笑みを浮かべると、俺は物置に向かった。
「げーほげほ、げほげほっ!」
ホコリまみれになりながら、俺は物置から銀色のブレスレットを取り出した。
今は亡き、探偵の師匠から授かった変身ブレスレットだ。
なんで師匠がこんなモノを持っていたのかいまいちわからないが……間違いなく、変身ヒーローになれるブレスレットである。
俺はそれを腕に嵌めると、愛用のベスパを走らせた。
目指すは『悪の戦闘員急募』と書かれていた場所。
まだ見ぬ悪の組織との対決に心が躍る。
……そう、この時の俺はまだ甘かった。色んな意味で。
- 60 :
- 名前:氷雨京一郎
職業:貧乏私立探偵
勢力:善
性別:男
年齢:24歳
身長:181cm
体重:66kg
性格:とにかくかっこよくなりたい、正義の味方のような活躍がしたいと思い、なるべくそう振る舞おうとする、精神的に幼い男。
外見:黒いコートに黒い帽子を被っている。ブレスレットを嵌めている。
外見2:白銀の鎧を纏った騎士のような姿・シルバーブリッツに変身する。
特殊能力:高速での移動、攻撃が可能。
備考:正確には彼は二代目シルバーブリッツ。今は亡き師匠からブレスレットを受け継いでいる。
- 61 :
- ヒーローと言えど自分がまともに食っていけなければやっていられない。
明日の飯がなければ他人も守れない。
悔しいが、ヒーローとは余裕のある奴がするもので。
明日飢え死にするかも知れない奴がやる事ではないのだ。
「あ゛ぁ………腹減ったなぁ…………」
裏路地を一人の男がふらふらと覚束ない足取りで往く。
着古したジャージ姿に無精髭。
顔の素材は悪くないのに、顔色が悪く痩せこけているせいか酷く不気味だ。
「残飯とかねーのかよ……あーあー………」
地面に這い蹲りながらゴミを漁る。
いずれ焼却炉行きへとなるはずだったそれらが裏路地に解き放たれた。
「ラッキー!食いさしの果物!僥倖……なんという僥倖……!!」
もそもそと残飯を食い散らかし、ほんの少しだけ空腹が満たされたところで。
深い、深い、溜息を一つ。
俺かい?俺は……崎守 衛(さきもり まもる)
五年前……自分は人々を守るヒーローで、中小企業に勤めるしがないサラリーマンだった。
それが今はどうだ。結婚詐欺に遭い挙句会社は倒産……ここまで落ちぶれちまった。
再起しようにも不況とやらで就職口も見つからねえ。バイトも何かすぐクビになるし………
誰かを守りたいって感情は今でも変わらない。でも、誰かを守れるほどの“余裕”がねえ。
何処で踏み外したんだろうなぁ、俺の人生。
もうパーフェクトもハーモニーもないんだよ………
(あん………?これは………)
目に留まる一枚の新聞紙。
そこに書かれていた文字は───『悪の戦闘員急募』
(……もういいや。飯食えるならなんでも……俺はもうヒーローじゃない……
ただの社会不適合者…………ニートにすらなれねえホームレスだしな………)
正義が金に屈した瞬間であった。
※ ※ ※
「廃工場の地下ってまたベタだな……」
ふらふらと今にも死んでしまいそうな表情と足取りで崎守はただ歩く。
歩く事がこんなに苦痛だったか。最近は動くのも疲れる。
「あ………やべえ……俺履歴書ない……とにかく……飯を恵んで……ください」
悪の秘密基地の入り口に辿り着いたところで。
崎守は視界のぼやけを感じると同時にぱたりと倒れこみ。
……空腹のあまりに、意識を失った。
- 62 :
- 名前:崎守 衛(さきもり まもる)
職業:無職
勢力:中立(元・ヒーロー)
性別:男
年齢:27
身長:180
体重:86
性格:そこそこ熱く阿呆な男、妖怪金クレー
外見:イケメン台無しの無精髭に着古したジャージ姿
外見2:蒼い装甲に覆われたヒーロー『サフィール』
特殊能力:身体が頑丈。防御能力に長ける
備考:
その能力で文字通り盾となり悪の牙から人々を救ってきた元ヒーロー
ただ5年前勤めていた会社の倒産と結婚詐欺に同時に会って散々な目に。
今は能力で時折用心棒をしつつなんとか生きている
不定期になるかもだけど、こんなのでよければ……
- 63 :
- 朝5時、夢の中で鳴り響く起床ラッパで目を覚まし、「旗を高く掲げよ」と「世界に冠たる我がドイツ」のレコードを聴きつつ、洗顔と食事を終える。
朝食はライ麦パンにザワークラウト、ベーコンとジャガイモのスープという野戦用の兵隊食。この献立だけは70年前から毎朝変わらないし、これからも変えまい。
パンを一口齧れば輝かしい時代を思い出し、ブイヨンで煮込まれたベーコンを咀嚼し瞼を閉じると懐かしい銃声と砲声が聞えてくるようだ。
髭と髪を整えた後には装具点検。昨晩アイロンをかけた軍服には皺一つ無く、念入りに磨いた本革の帯革やホルスター、将校長靴は真っ黒に光り、傷の一つも見つかるまい。
「服装の弛みは精神の弛み」とは尊敬する上官の言葉である。
ところで、現在のところ綿密に作り上げた銀行強盗計画を実行する戦闘員は居ないし、全市民毒殺計画に必要なトリカブト怪人を作り出す悪の科学者も居ない。
こうして資材も人員も不足している以上は一切の作戦を凍結する他にない。悪の大幹部たるもの、一人きりで取るに足らない犯罪に手を染めるべきではないからだ。
盗むなら銀行から金庫ごと、なら街を丸ごと。盗むなら巨大ドリル戦車を使い、ならオオカミバクテリアや猛毒アブラゼミを使う。規模は大きく、手段はユニークに。
強大かつ明確で異端の恐怖であるからこそ、悪の組織は路地裏の薄汚いsラと区別されるのだ。そしてまた、全ては私利私欲ではなく名誉ある理想の為に。
そういう次第なので概ねこの時間帯は情報収集に費やす。街に蔓延るヒーローの名前、人数、正義の組織の規模、悪人の数、規模、めぼしい人材の居所等等……
昼を回るとくたびれた背広に着替え義眼を詰め顔を変え、元石油企業役員クリスティアン・フォン・ベルグマン氏なる架空の老人に扮し喫茶店で昼食を取る。
この街に来てから幾度となく食事に訪れている為、気の良いベルグマン氏は今やすっかり馴染みの客である。無論、誰もベルグマン氏の正体は知らないのだが。
誰も秘密結社『ヴェアヴォルフ』を知らないし、怪人狼男を知らないし、ゲアハルト・ミハイロビッチ・ゴル大佐を知らない。我が祖国の名前すらも今や忘れられている。
ベルグマン氏がとぼけた微笑みを浮かべる裏で、俺は罪無き一市民どもを憎むのである。祖国を歴史から葬ったのは、彼らの如く無自覚な大衆なのだ。
さて、それから。
>59,>61
「これは……驚いたな、まさか本当に人が来るとは」
それから、再び軍服を纏い悪の大幹部ゲアハルト・ミハイロビッチ・ゴルに戻った俺は、廃工場の前で二人の男と遭遇したのである。
一人は黒いコートに黒い帽子。悪者として評価に値する出で立ちだ。古今東西、悪い奴というのは大体黒い衣装を好む。俺もそうだ。……但し、ヒーローも半数ほどは黒いのだが。
もう一人は薄汚く貧相な見てくれの男……そもそも生きているのだろうか。荷車に潰されたヒキガエルの如くぺしゃりと地面に這ったまま動かない。
「俺はゴル大佐。秘密結社『ヴェアヴォルフ』の大幹部である。新聞広告を見たんだな、あんたら」
言い慣れた台詞を挨拶代わりに口にして、コツンとステッキを突き、1歩ごとに軍靴でコンクリートを叩き、俺よりいくらか背が高い、黒い服の男に歩み寄った。
気難しげな表情を浮かべ、睨みつけるような目付きで威圧する……そうした悪の大幹部、あるいは親衛隊将校らしい態度と仕草を保つ。
さて、この男はどちらなのだ。白か、黒か。正義か、悪か。正義の怒りに燃え悪の組織を倒しに来たのか、悪の理想に魅了され悪に組するのか。
いずれにせよ、心が躍るじゃないか。だが、それよりも。
「早速我が秘密基地に案内しよう……ところで、これはあんたの連れかね?」
ステッキの先で倒れている男のわき腹をつつく。まだ反応は無い。
「いずれにせよ中に運ばねばなるまいが、俺はご覧の通りの年寄りだ。あんた、そいつを背負ってきてくれ」
- 64 :
- >57
【敗残兵は敗残兵らしく、ここを死に場所と決めているのです】
>58,>62
【Welcome to this crazy thread!このイカれたスレへようこそ!】
【当スレッドは誰でもウェルカム。分け隔ては嫌いでね】
【そういう訳でこれからよろしくお願いします!】
- 65 :
- >>61>>63
目的地にたどり着いた俺の目の前に現れたのは、いかにも悪の大幹部って感じのじーさんだった。
今時軍服なんて着やがって、どういうセンスしてんだか。
今の時代、悪にもこの俺のようにクールでスタイリッシュでブリリアントな格好をして欲しいものだ。
まぁいい、そんな悪にこの俺の正義の啖呵を切ろう……そんなことを思っていたら……。
今度はいかにもホームレスって感じのおっさんが、俺の目の前で倒れた。
「お、おい! 大丈夫かおっさん!」
咄嗟に俺はそのおっさんを抱える。
軽く頬をぺちぺち叩いてみる。あー、うん、息はある。まだ大丈夫か。
どうもこのおっさんは悪の手でどうにかされたわけじゃないようだ。
俺は探偵なのでそんなことはカンでわかる。
>「早速我が秘密基地に案内しよう……ところで、これはあんたの連れかね?」
「い、いや違うけど……ええっと、ゴルフ大佐さんで合ってたっけ?」
おっさんが目の前で倒れたことにびっくりして、悪の大幹部の話をちゃんと聞いてなかった。
間違ってたらどうしよう。怒られるとやだなぁ。
それはさておき、悪と戦うのよりも、まずはこのおっさんを助ける方が大事だと俺は判断する。
>「いずれにせよ中に運ばねばなるまいが、俺はご覧の通りの年寄りだ。あんた、そいつを背負ってきてくれ」
「あ、ああ。わかった。俺の推理じゃ、このおっさんは空腹で倒れてる。背負ってく代わりに、このおっさんになるべく早くなんか食わせてやってくれ」
俺は早速、不確定名:悪の大幹部の言う通りに倒れているおっさんを背負うと、奥へと向かう。
あ、あれ? なんか気付いたら俺悪の言うこと聞いてね?
【と言うわけで崎守衛を抱え、ゴル大佐の言うまま基地へと向かう俺】
【改めてよろしくお願いします】
- 66 :
- 「さあ、ここは俺に任せて皆は逃げるんだ!」
頭から爪先まで等しく美しい蒼で彩られた装甲を身に纏ったヒーローが高らかに叫ぶ。
ヒーローはヴィランである改造人間の攻撃を自ら受け止め、文字通り市民の盾となる。
「一撃必生!刑務所で反省しやがれパーーーンチッッ!!」
異能によって強化された鉄拳がヴィランに炸裂、相手は気絶。
華々しく爆散でもしてくれればいいが、
このヒーローは外見こそ派手なものの戦い方は堅実で地味な方だった。
「天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶってな!また誰かを傷つけるような真似したら、ただじゃおかねえぜ!」
ああ、誰だっけこいつ。
なんか五年くらい前に居たんだよな。
そう………こいつは………こいつは………
「俺じゃん………って、あ?」
崎守の意識が覚醒しまず最初に認識したのはここが地面の上ではないこと。
どうやら背負われているらしい。
いい歳こいておんぶされていることに気恥ずかしさを感じる。もっとまともな運び方はないのか。
「はぁ〜〜〜……腹減った……おい、いいぞ、降ろしてくれ」
黒い帽子の男の背中をぱちぱち叩いて無理矢理おんぶ状態から脱出。
空腹で力が出ないのか、不恰好にも尻餅をつくはめになった。つくづく冴えない。
ぱんぱんと薄汚いジャージに被った誇りを掃い、ふらふらよろよろ頼り無げに崎守は立ち上がる。
立ち眩みが酷い。腹に力が入らない。足がふらつく。そういえば最近風呂どころか水も浴びてない。
全部空腹のせいだ。それでもまだ歩けるのは多分身体が丈夫なお陰だろう。
「おたくなんか食いモンもってる?………あ、俺崎守衛。おたくも広告見てか……?
俺って裏社会は初めてだから……緊張してんだよね……まあ、仲良くやってこうぜ」
全く緊張もくそもない、疲れきった声で握手を求める崎守。
こう見えて昔はうざいぐらい熱血な若者だったのだが、今や見る影もない。
崎守の足取りは依然覚束ないままふらふらと先頭の老人を追う。
多分目の前の老人が組織の人間なのだろう。
いかにも悪そうな軍服だし、何より雰囲気が歴戦の猛者を感じさせる。
今やただのホームレスだが腐っても馬鹿でもハラペコでも元ヒーロー。それぐらいは感じ取れる。
「あ……そういや、悪の組織ってやっぱ不採用とかあるんですかね………
俺……ここで採用されなきゃ餓死確定なんですけど……
つーか飯とか恵んでくれません……?今も正直歩くのすら辛いっていうか……」
適度に壁にもたれて小休止を挟みつつ消え入りそうな小声でもそもそと呟く。
豚の餌でもいいのでたらふく食わせてくれ、崎守の願いは厚顔無恥だが切実であった。
【大佐、氷雨さん、よろしくお願いしますねん】
- 67 :
- >65
>「い、いや違うけど……ええっと、ゴルフ大佐さんで合ってたっけ?」
考えるよりも先に、つい声を荒げていた。年寄りと言うのは頭に血が上りやすいのである。
「ゲアハルト・ミハイロビッチ・ゴル!俺の名はゴル大佐だ!二度と間違えるな!」
全く、全く、これだから最近の若い奴は。名前を間違えるのも黄色い小太りのヒーローの仕事と相場が決まっている。
加えて黒い奴は冷血漢と決まっているのに、何だこの態度は。やはり若い奴ときたら、昔からの決まり事というものをわかっていない……
>「あ、ああ。わかった。俺の推理じゃ、このおっさんは空腹で倒れてる。背負ってく代わりに、このおっさんになるべく早くなんか食わせてやってくれ」
「……悪人らしくはないが、止むを得まい。パンか何かと……いくらか残っていたはずだ」
二人の見知らぬ男を連れて地下への階段へと向かう。本来なら、秘密のスイッチで作動する秘密のエレベーターだとか転送装置を設けたいところだ。
もしも組織が再び立ち直ったならば、真っ先にそれを作ろうと考えている。今はまだ、より優先すべきものが無数にあるのだ。
「……気をつけろよ。この通路には無数の罠が仕掛けられているし、迷えば二度と出られまい」
無謀にも我が秘密基地へ侵入を図るヒーローを歓迎するのは竹やりを仕込んだ落とし穴や毒ガス噴射機、殺人レーザー銃、火炎放射機、機関銃の束……
そして殺風景ながら入り組んだ通路である。
>66
>「はぁ〜〜〜……腹減った……おい、いいぞ、降ろしてくれ」
途中、貧相な男が目を覚ました。第一声はそれこそ黄色い小太りそのものである。
>「あ……そういや、悪の組織ってやっぱ不採用とかあるんですかね………
「不採用などありえん。この秘密基地を知ったからには、大人しく戦闘員になるか、俺の手で殺されるか。その2つしかない」
ちらりと振り向き無愛想に答えてやる。黒い服の男はヒーローの気配を感じさせたが、この男も……いや、こちらは見れば見るほど、単なる貧相な男だ。
うす暗く湿気と殺意に満ちた迷路を抜けると、一つ目の部屋である。本来なら、ここには腕利きの怪人や戦闘員が防衛の為に配置される。
今はまだ一人の兵士もおらず、がらんとした部屋には長方形の真新しい4人掛けテーブルが2つと丸椅子が8つ並んでいるだけだ。
「さて、すぐに戻るから大人しくここで待っていろ。話はそれからだ。……念の為に言っておくがな、俺の案内無しに迷路を抜けられると思うなよ?」
二人を残し入ってきたのと反対側にある扉を抜ける。先ほどと同じような迷路を急いで抜けて居住区域、台所へ。
朝食用に作り置きしてある兵隊食を温め、金属製の皿に盛り、トレイに載せる。部屋を出てから10分ほど過ぎただろうか。早く戻らなければ。
ああいうヒーローまがいの連中を一つの部屋に閉じ込めておくと、大抵は悪の組織にとって好ましくない事を話し合うものである。
全く、全く、浮浪者の食事の用意など、大幹部たる将校が担う責任ではない。だが、約束を違える事は誇り高きドイツ軍人には許されないのだ。
- 68 :
- 【ちょっとレスを前後させてもらいますねん】
>>67
>「ゲアハルト・ミハイロビッチ・ゴル!俺の名はゴル大佐だ!二度と間違えるな!」
「ひっ!?」
思わずびくっとなって身を竦めてしまう俺。ち、カッコわりぃぜ。
だが、これだけの気迫があるってこたぁ、こいつは間違いなく悪の大幹部。
ヒーローとして倒すべき相手だってことは把握できた。
しかしこいつの名前は長い上に早口すぎて把握できなかった……。大佐なのはわかったので、以後は大佐とだけ呼ぶことにしよう。
「わ、わりぃな、大佐。もう間違えない、気を付ける」
そう言いつつ、俺は大佐を追って歩く。
>「……気をつけろよ。この通路には無数の罠が仕掛けられているし、迷えば二度と出られまい」
「マジっすか!?」
また間の抜けた声が出てしまった……クールに行きたいのにどうしてこうなる……。しかしよく考えてみれば悪のアジト、それくらいの備えはしてあるに決まっている。
「フ……面白くなってきやがった」
と、渋くカッコイイ声で言ってみる。
ただしなるべく大佐には聞こえないように。ただの自己満足で言ってみたかっただけだし。
しかし真面目な話、大佐を倒してしまったらここからどうやって脱出すればいいん?
>>66
>「はぁ〜〜〜……腹減った……おい、いいぞ、降ろしてくれ」
と、そんな感じで大佐に連れられていく途中で、おっさんが目を覚ました。
それなりのプライドはあるのか、自分からおんぶから脱出する。
しかし、尻餅をついてしまった様子を見て、思わず手を差し伸べる。
「おいおい、大丈夫か?」
手を差し伸べたものの、それに気付かずにおっさんは立ち上がってしまった。
べ、別に寂しくなんかないんだからねっ!
>「おたくなんか食いモンもってる?………あ、俺崎守衛。おたくも広告見てか……?
> 俺って裏社会は初めてだから……緊張してんだよね……まあ、仲良くやってこうぜ」
そう言って、今度はおっさん――崎守衛が俺に握手を求めてきた。
俺は素直にその手を受け取り、しっかと握手する。
鍛え上げられた戦士の手だと、俺の灰色の脳細胞は推理する。
「食いモンか……ちょっと待っててくれ」
そう言うと、何かなかったかなと思ってコートの中をガサガサと漁ってみる。
出てきたのは……焼き肉の……タレ。なんでこんなモンコートの中に入れてんの俺!?
「……わりぃ、ないみてぇだ」
焼き肉のタレを呆然と見つめながら答え、コートの中にしまう。
そうそう、名乗ってもらったからには名乗り返さないとな。ヒーローたるもの紳士でなくては。
「フッ、俺の名は……氷雨京一郎(ひさめ・きょういちろう)。天才的頭脳を誇る探偵さ」
無駄にカッコイイポーズを取って名乗ってみる。
「ま……広告を見てやって来たのは確かだが……俺の真価は、これからだぜ……」
もう一回ポーズを決めて、ハッと我に返り、恥ずかしくなってやめる。
- 69 :
- 【改行が多すぎるって出たですよ】
>>66>>67
そして、しばらくして一つ目の部屋に辿り着く俺たち。
かなり広い。しかし本来ならここに怪人や戦闘員、他の幹部たちで埋め尽くされるのだろう、と俺は推理した。
なんとなくこの組織って今はカワイソウな組織なんじゃないかと思えてきた。
>「さて、すぐに戻るから大人しくここで待っていろ。話はそれからだ。……念の為に言っておくがな、俺の案内無しに迷路を抜けられると思うなよ?」
「あ、ああ……そうするよ」
正直俺の灰色の脳細胞でもこの迷路の解き方はわからない。ここは素直に従っておくが吉か。
大佐が去っていくのを見て、俺は残された崎守の方に話しかけてみた。
「で……崎守さんはもしかして、ここで働くつもりなのか? せちがらい世の中だからな、その選択も否定はできねぇけど」
俺がここでどういうつもりで来たのかは、もう少し黙っていよう。バラされると命が危険でピンチな気がする。
- 70 :
- >「不採用などありえん。この秘密基地を知ったからには、大人しく戦闘員になるか、俺の手で殺されるか。その2つしかない」
大佐の無愛想な返答に崎守はあ、そーすか。とだけ気だるそうに相槌を打つ。
食いっぱぐれなければそれでいい。今現在崎守の目的はそれだけであった。
殺風景で陰気な道を抜けようやく部屋に辿り着いたらしい。
部屋はがらんどうでテーブルと椅子が申し訳ていどにちょこんと座しているだけで、後は何もない。
少なくともインテリアに対するセンスのかけらも感じられなかった。
こんな娯楽も欠片もない部屋でじっとしているとその内気でも触れてしまうのではないかと崎守は危惧する。
ともかく今は腹を膨れさせる事が重要で、そこらの問題はどうでもいい。
>「さて、すぐに戻るから大人しくここで待っていろ。話はそれからだ。……念の為に言っておくがな、俺の案内無しに迷路を抜けられると思うなよ?」
「飯が用意されるまで一歩も動く気なし」
すとんと丸椅子に腰を下ろし一言簡潔に述べる。
目が爛々としているあたりすでに腹では食事へのカウントダウンが始まっているのだろう。
>「で……崎守さんはもしかして、ここで働くつもりなのか? せちがらい世の中だからな、その選択も否定はできねぇけど」
京一郎が気を利かせたのか話題を振ってきた。
今は腹が減って仕方が無いから喋るのも億劫だし、ただ煩わしいだけなのだが。
「……そりゃ働くからここにきたんだろう。まるでヒーローが新興組織をぶっ潰しにきたよーな発言だぞ」
もしくは冷やかしかと言外に付け加える。
発言的に京一郎がヒーローだと疑ってもおかしくはないのだがところがどっこい。
崎守はイイ感じに頭がパーなのでそんなこと思いもしない。
それにこの部屋までの道程を鑑みるに。
飯はないかと問うと焼肉のタレをおもむろに懐から出したと思えばセルフツッコミをかますわ
いきなり無駄にキレのあるポーズキメてきたり少々変な、訂正、愉快な人物らしいのは確かなので。
“また芸人根性を発散させているのか”と解釈したのかも知れないが。
「……それに、京一郎の言うとおり世知辛い世のな……食いっぱぐれないようにしたいんだよ」
そして、生きる事に必死になりすぎて信念や譲れない何かを丸ごと路地裏に置いてきてしまった。
『牙無き人の盾となる』……そんなものを、生への渇望と引き換えに捨ててきた。
漫然とした中で生ぬるく……ダラダラと………『ただ生きてる』だけの状態であった。
京一郎を見ていると辛くとも信念を貫いて生きていた自分を少しだけ思い出し、虚しくなる。
崎守自身はそれを全く自覚していなかったが。
「日本社会は敗者に厳しいし……だからヒー……いや、慈善事業もやる余裕ねえし……」
そこで言葉をぷつん途切れさせて崎守は黙りこくった。
いい加減喋るのが辛くなってきたのか、何か思うところがあるのか、それは本人にしか判らないが。
【ちょっち遅れました、申し訳ない】
- 71 :
- >68,>70
「やあ、待たせたな。それでは早速話を始めようか。座りたまえ」
往復10分と調理5分として、およそ15分ほど部屋を空けたことになる。果たしてヒーローの雰囲気を纏った黒い衣装の男は俺を倒す算段を立てただろうか、それとも……
次いで湯気も薄らいできたスープ、黒パン、ザワークラウトを乗せたトレイをテーブルに載せ、椅子に腰掛けた薄汚い方の男に視線をやると……うむ、やはり薄汚い。
他人を装う黒い衣装の男の仲間ならば、もしかして……とも算段したが、どうやら本当に他人らしい。
「そっちの……ええと、浮浪者。5分だ、5分やる。急いで食え」
ちなみに今回のスープは我ながら美味に仕上がったと自負している。何せ70年前から毎朝調理し、また食してきたのだから。
どれだけ煮込めばベーコンの旨味が染み出し、ジャガイモが程よく崩れるか……経験に裏づけされた確かな手順で調理すれば、兵隊食が備える貧しさも雲散するのだ。
そうして、浮浪者の食事が終わるのを待って。
「……そうだ、名前をまだ聞いていなかったな。呼ぶのに不便だ。教えてもらえんかね」
話しながらカツン、とステッキを突く。さてさて、彼らにどこまで明かしたものか。
俺の名を知らなかったところを見るに、40年前の戦いもバッタのバイク乗りの存在すら、彼らにとっては70年前の戦争と同じ与り知らぬ過去の出来事に過ぎないのだろう。
世界を脅かした男も、世界を救った男も、等しく歴史に埋もれ消えつつある。今更、失われた過去をもう一度語る必要もあるまい。新しい物語を始めよう。
「見ての通り、俺は退役軍人でな。2年前まである国の陸軍大佐で…悪の組織を始めたのは年寄りの道楽って奴だ。軍人恩給をつぎ込んで、ようやく秘密基地を作ったところなんだ」
例えば毎日正午に喫茶店を訪れるベルグマン氏のような、架空の老人がまた一人出来上がる。俺と同じ顔と名前、そして異なる過去を持つ架空の退役軍人だ。
70年前から数多の人格と顔を作り出しては捨ててきた。一つ一つがまやかしの過去を持ち、短いシーケンスを生きては唐突に消え去る。彼らの前に現れた"ゴル大佐"も、いつか同じ末路を辿る。
無論、それにはまだ早すぎるし、もしかすると先に消え去るのは本物のゲアハルト・ミハイロビッチ・ゴルかもしれない。
「悪の戦闘員となったあんたらには早速作戦を実行してもらいたいのだが…念の為に確認させてもらう。いや、本来なら確認するまでもない事なのだが……」
またカツンとステッキを突き、右に左に一歩二歩と歩くと、おもむろにホルスターを開いてルガーピストルを抜いた。
「二人とも、戦闘員として悪に付き従う意思はあるのだな?さもなくば……」
先程、薄汚い男に語った言葉は真実だ。従うか死か、脅迫とはまったく悪の組織らしい手段ではないか。
- 72 :
- すいません、都合により継続が不可能な状態になりました
俺はいなかったことにしてください。本当に申し訳御座いません
- 73 :
- 【あら、残念です! またどこかでお会いしましょう! ところでレスは土曜まで待ってください! 申し訳ない!】
- 74 :
- 【早起きし過ぎたんでレス完成――】
>>71
「俺の名前か? 氷雨京一郎――しがない探偵だよ。氷雨でも京一郎でも、呼びやすい方を」
俺は鮫のように笑って名乗る。そして大佐の語る、この組織の誕生経緯を聞いて――俺はこう答えた。
「この味は、ウソをついている味だぜ」
いや、間違ってもこんなじーさんの汗なんか舐めたくないし実際舐めてないが、何故かこんな言葉が口をついて出た。もう俺は何かが末期なのかも知れない。
しかし、彼の話がウソだと言うのには確信があった。今になって、俺の灰色の脳細胞が思い出したのだ。
確かこいつのフルネームは、ゲアハルト・ミハイロビッチ・ゴル。そう――“ゴル大佐”。
今は亡き師匠のホラ話くらいにしか聞いてなかった、バッタのバイク乗りと、そのライバルの存在。
そのライバルの名前が、確か“ゴル大佐”とか言ったはずだ。
師匠はそのバイク乗りに憧れてヒーローになったんだとも言っていたっけ。
もっとも、一度しかまともにヒーローを出来る機会はなかったらしいが。
“ゴル大佐”が銃を突きつけ、俺に仲間になるかどうかを問うてくる。そのわかりやすい「悪」っぷりに、俺は大仰に肩を竦め――できる限り冷たい目をしてこう答える。
「そんな意志はないね」
そう、悪に従うつもりはない。俺は、悪を叩き潰すためにここにやってきたのだ。探偵なんかやっていると、わかりやすい悪なんてこの世にはなくてイライラする。
結局俺はそのイライラをどうにか解消したいだけなのかも知れない――そんな考えが一瞬頭をかすめ、同じく一瞬で振り払う。
そして俺は、左手に嵌めたブレスレットに手をやり、いつでも変身できる準備を整えながら……一応聞いておく。
「これは有名な探偵が言ってたことなんだけどよ、撃っていいのは撃たれる覚悟があるヤツだけらしいぜ。それでも、断った俺を――撃つかい?」
そう言って俺は、皮肉げにウインクしてみせた。
【シリアスシリアスシリアス……】
- 75 :
- >74
>「俺の名前か? 氷雨京一郎――しがない探偵だよ。氷雨でも京一郎でも、呼びやすい方を」
>「この味は、ウソをついている味だぜ」
「探偵、ね」
おやおや。折角作り出したまやかしの過去は語りきる前に役目を終えてしまったらしい。物語はまた、失われたはずの過去に繋がった。
この街に暮らす警察高官や高級軍人、民間警備会社役員、民間防衛組織──いわゆる正義の組織の幹部、新聞に名を踊らすヒーロー……それらの名は調べ上げてあったが、探偵とは。
思えば19世紀の頃から探偵もまた正義を成す立場にあった。少なくとも、俺の生きた常識の中ではそうあるべきとされていたではないか。
「お見事、お見事……ああ、俺は嘘を吐いた。確かに嘘を吐いたよ、名探偵殿」
つい、口元が緩む。戦闘員希望者を装った輝かしい正義に燃える名探偵が、悠々と悪の秘密基地に潜入し、悪の大幹部と相対し今まさに正体を明かした……
悪の大幹部とヒーローの邂逅としては最高のシチュエーションだ。
>「そんな意志はないね」
そうだ、それで良いんだ。古き良き時代、正義は如何なる誘惑に対しても、誰もが迷わず誇らしげに胸を張り、この氷雨なる男と同じ言葉を口にしたものだ。
気取った理屈は不要だ。奴は正義で、俺は悪。正義が悪の言葉を拒む事にどうして理由が必要だろう。奴がそれらしく振舞うなら、俺もそれらしい台詞を返そう。
「ならば氷雨よ、ここが貴様の墓場だ!」
と、氷雨が左手首に右手をやり、何かの構えを取った。
ここで奴を射るのは容易いが……悪の大幹部たるものは変身中だとか説教中のヒーローを妨害する事は許されない。これもまた、一つの決まりごと。
>「これは有名な探偵が言ってたことなんだけどよ、撃っていいのは撃たれる覚悟があるヤツだけらしいぜ。それでも、断った俺を――撃つかい?」
「俺にそれを聞くのか?撃つ覚悟を、覚悟を、俺に尋ねるのか?」
何たる愚問、何たる冗談か。気づけば俺は肩を揺すり、声を上げて笑い始めていた。威厳を漂わす大幹部ではなく、過去に苛まれた親衛隊員の表情が顔を覗かせる。
黒衣の悪魔と呼ばれた第三帝国の親衛隊員が、全世界を悪夢に戦慄させた悪の大幹部が、死に損ないの年寄りが、今更何を恐れるのだ。何を覚悟するのだ。
無論、氷雨もそれは判っているのだろう。これもまた、形どおりの台詞という奴だ。
「よろしい、答えてやろう!覚悟などとうに済んだ!撃てるものなら撃つが良い!」
俺は叫びが終わるか終わらぬかのうちに人差し指を引く。甲高い銃声と共に、銃弾は寸分の狂い無く氷雨の眉間目掛けて飛び出した。
>72
【アリャー、これは残念】
【短い間でしたが、この敗残兵にお付き合いいただいてありがとうございました!もしまた状況が変わり都合着きましたら是非とも戻ってきてくださいな】
【さてさて、これからどうしようかしら】
- 76 :
- 「あうっ」
俺はその言葉と共に、弾丸を眉間に撃ち込まれて、盛大に後ろに倒れ込んだ。
だが――死んじゃいない。間一髪で変身が間に合った。
銀色の騎士の様な姿への、変身。
師匠が言っていた、確か「シルバーブリッツ」って名前のヒーローが、ここに再誕する。
変身の口上も言えなかった上に、いきなり倒れた姿なのは、ちょっとばかし格好がつかないが。
俺は何とか立ち上がりつつ、その間にゴル大佐がどういう相手なのか、少しばかり分析する。
大佐の持つ殺気は、尋常なものではない。
恐らくは、人を殺し慣れてきている男の殺気。
そして、撃たれる覚悟なんてとっくの昔に済ませてる、兵士の殺気。
こういう相手に、カッコつけた俺の安っぽい挑発は逆効果だ。
この分析を、挑発する前に済ませておけば良かった、全く。
――とは言え、こういう無駄で不利なカッコつけが出来なくて何がヒーローだってんだ。
「あいにくと俺は銃は持たない主義でね、残念ながらお前さんを撃ってやることはできないが」
さっとファイティングポーズを取ると、俺は地面を蹴って突貫する。
「パンチは少しばかり慣れてるぜ?」
シルバーブリッツになってから体が軽い。こんな気持ちで戦えるのは初めてだ。
もう何も恐くない。
喧嘩ならともかく、本当の「戦い」に挑むのは、そもそもこれが初めてなわけだが。
【バトルフェイズに移行。シリアスになり切らないのはPCのせいかPLのせいかw】
【とりあえずは2人で進める――しかないでしょうかね】
- 77 :
- 【あう、レス番忘れた、>>76は>>75宛てです】
- 78 :
- >76
>「あうっ」
9mm弾が頭蓋骨を割り脳を引っ掻き回す……直前に、奴は変身した。間の抜けた悲鳴をかき消すようにチュンと金属音が響き、跳弾が壁にめり込む。
まばゆいばかりに光る白銀の西洋甲冑。名乗りや格好付けた口上を聞いてやるのを忘れていたな、と思う。問いに呼び起こされた親衛隊員の記憶が、大幹部としての決まりごとを反故にした。
「これは困ったな。ルガーが役に立たないとなれば……」
展開としては素晴らしいが、状況としては極めて不味い。手にある武器はルガーとステッキ。変身したところで牙と爪。いずれにせよ一定の打撃は期待しても甲冑そのものを砕く事は容易くあるまい。
あるいは変身後の怪力で単純な肉弾戦に持ち込む手もある。しかし先日の銀行強盗事件の折、身体が昔ほどに頑丈でないことは悟らされた。
どの道、間も無く変身し戦わなければならないだろうが、肉弾戦のみで最終的な決着をつけるのは賢いやり方ではない。
つまりは指揮所──実際には名ばかりの居住スペースに過ぎないが──に設けられ、祖国を象徴する銃器を溜め込んだ武器庫を今こそ開く時なのだ。
これまでは栄光の時代を思い出す為のコレクションに過ぎなかったが、だからこそ手入れだけは万全だ。ガラスケースを破って銃弾を装填すれば、いつだって戦争を始められる。
中でも特に貴重かつ高価な品、ァービュクセ対戦車銃。あれを使えば甲冑のヒーローも只では済むまい。問題はどうやって指揮所に戻るのかである。
>「あいにくと俺は銃は持たない主義でね、残念ながらお前さんを撃ってやることはできないが」
覚悟を決めて、身体の何箇所かに神経を集中し力を込める。古めかしい、格好の付かない変身のプロセス。それと、今やプロセスの一部となったお決まりの台詞。
「今から貴様に俺の真の姿をみせてやろう。貴様を地獄に送る者の名前と姿、よく覚えておく事だ!」
途端に生じた毛皮で軍服が一回り膨れ、頭蓋骨が音を立て変形し、身体中の骨格が再構成され、血液の流れは勢いを増す。
気難しい表情をしていた老人が異音と共に一瞬で映画から這い出したような人狼に変身──あるいは変化するといった方が適切か。傍から見ればさぞ不気味な光景だろう。
あとはもう一言、「俺こそが怪人狼男だ」というお決まりの台詞を叫ぶはずだったのだが。
>「パンチは少しばかり慣れてるぜ?」
次の瞬間には、氷雨が地面を蹴っていた。たった一度の蹴りとは思えない勢いで、甲冑と同じ銀色の籠手が目前へと迫ってくる。
しかし、奴がわざわざ攻撃を宣言したものだから、宣言を合図にひょいと左へ飛ぶだけで拳からはいとも簡単に逃れられた。まずはこいつを足止めしなければならない。
「悪いなヒーロー、まだ倒される訳にはいかんのだよ」
そのまま大きな口をあんぐりと開いて、奴の頭に喰らい付く。
【ヒャー、申し訳ない!遅くなってしまいました。いかんせんバトル描写が苦手なので……】
【このまま進めてある程度で外に出て、新しいコテさんを迎えるタイミングを作りたいところですね】
- 79 :
- 【す、すいませんいそがすぃ……もうちょっと待ってくださいねー】
- 80 :
- 【お待たせしましたー!】
>>78
パンチを繰り出しながら、俺はふと思い立った。
……名乗りをあげるの忘れてた。
……パンチを早く出し過ぎて、怪人となったゴル大佐もまた、名乗りをあげる暇を与えてやれなかった。
悪いことしたなぁ。
思考までもが加速した状態で、そんなことを考える。
それが油断だったのかも知れない。
次の瞬間には俺の頭は、首元からばっくりとゴル大佐怪人態にかじられていた。
「いたたたたた! 痛い! 痛い! 首! 首がもげる! こう見えてそんなに装甲厚くないんだから!」
一応命は無事だった。
しかし、思わず弱点を口走ってしまいながら、ゴル大佐怪人態の腹に必死にパンチの連打を叩き込む。
見えてない上充分な距離が取れていないので、大したダメージは与えられないだろうが。
しかし、相手をひるませて口を開かせるくらいの威力はなんとかあったようだ。
「ふぅ……」
なんとか、脱出はできたようだ。
「……俺の名は――シルバーブリッツ。さぁ、名乗れよ怪人」
キザにゴル大佐怪人態を指さし、名前を問う。
「ゴル大佐怪人態」とか言って長すぎるしね!
【勝手にやられて勝手にピンチを脱出させてもらいました、すみません!】
【さてここからどうやって外に出ましょうか……】
- 81 :
- どうしたゴル大佐
- 82 :
- >80
久しぶりのヒーローとの戦いは、老化を再確認する苦痛で始まった。
>「いたたたたた! 痛い! 痛い! 首! 首がもげる! こう見えてそんなに装甲厚くないんだから!」
意外や意外、思ったほどに丈夫なヒーローではないらしい。対戦車銃を持ち出さなくても決着を付けられるのではないだろうか……
そう思ったのもつかの間、俺の身体はやはり老いていて、ロシア兵の頭を鉄帽ごと落花生の如く噛み砕いた、あの恐ろしい顎の力は既に失われていた。
あらん限りの力を込めても牙は中々鎧を抜けず、ギーギーと金属を引っかく嫌な音を立てるだけ。さらに歯茎に血が滲み始め酷く痛んできた。
極めつけは腹への止め処ないパンチである。元々が多少の銃弾に耐えうる身体なのだからと無視していると、徐々に内臓へ響き始めた。
胃袋を裏表ひっくり返され蛸糸で徐々に締め付けられるような、鈍く淀んだ吐き気が殴られる度にこみ上げてくる。
銀行強盗の一件でも40年前や70年前からの老いを自覚したつもりだったが、いつだって現実は非情である。
「……くそっ!」
そういう訳で徐々に顎の力が緩み、奴に脱出の隙を与えてしまったのだ。
さて、ほんの一瞬の沈黙。湿った空気が一層と生ぬるく感じた。
>「……俺の名は――シルバーブリッツ。さぁ、名乗れよ怪人」
驚いたことに、奴はまるで今まさにヒーローに変身したかのように、今しがたの衝突を忘れたように、洒落たポーズで口上を吐いたのである。
やはりルールは守られるべきで、その点で俺と氷雨改めシルバーブリッツは同じ価値観を共有している訳だ。なるほど、合点がいった。
「俺こそが怪人狼男だ!シルバーブリッツよ、ここを貴様の墓場にしてやろう!」
いかにもヒーローらしい台詞に、いかにも怪人らしい台詞を返す……が、どうにもずれたタイミングで決まりが悪く、第二撃の機会を掴めない。
老いた俺がシルバーブリッツを倒す力を有していないのもまずい。対戦車銃を持ち出すにしても、悪の大幹部が緒戦で尻尾を巻いて逃げ出すのは如何なものか。
で、あるならば。
「……フハハハハハハ!良いことを教えてやろう、シルバーブリッツよ!」
あたかも余裕綽々に椅子へ腰掛け、高笑いの後に決まりの台詞。そしてヒーローの名を呼び、不敵な笑みを浮かべ、さらに長台詞だ。
「貴様がこうして俺と戦っている間に地上で何が起きていると思う?
氷雨京一郎が忌々しくも優秀なヒーローだということはとうに調べがついていた!そうだ、あの新聞広告は貴様だけを狙った罠だったのだ!
貴様さえ居なければ街は手に入ったも同然だ!今頃、我が配下の戦闘員が貴様の仲間を捕らえ、無防備な街を恐怖に陥れている頃だろう!」
やたらと説明的な台詞そのものは、バッタのバイク乗りをアジトに誘き寄せた時と概ね同じ。アジトで対峙するというシチュエーションも同じ。
ただあの頃と違うのは、俺は奴の協力者の居所も知らないし、もちろんそれら協力者の誘拐も洗脳も企てていないし、そもそも奴を知らなかったし、
また街を襲撃する為の作戦は発動していないし、そもそもそんな作戦は立案していないし、実行する戦闘員も居ないし……その他諸々嘘八百。
無数の人格を演じてきた経験が、隠し切れない真実や矛盾点を煙に巻いてくれればいいのだが。
要するに俺が逃げるという構図が良くない訳だ。一旦シルバーブリッツを追い出し、悠々と準備を整えてからそれを追えば悪党としても面目が立つ。
それにまぁ、俺と同じような価値観を持った相手だ。優秀なヒーローだとか貴様さえ居なければとか、特別扱いするような言葉には弱いのではないか。
気づかれぬように唾を飲む。俺は悪の大幹部だ。威厳を保たねばならない。心の奥底に湧き上がる焦燥感を悟られてはならない。
「いいか、俺も鬼じゃあないんだ。負けを認めた上で乞うならば、快く貴様に通路の見取り図を譲ろうじゃないか」
【ひー!ごめんなさい!外に出る方法を考えてたらすっかり遅くなってしまいましたです】
【どうにも強引ではありますけれど、一応はきっかけを……】
- 83 :
- >>82
>「俺こそが怪人狼男だ!シルバーブリッツよ、ここを貴様の墓場にしてやろう!」
>いかにもヒーローらしい台詞に、いかにも怪人らしい台詞を返す……が、どうにもずれたタイミングで決まりが悪く、第二撃の機会を掴めない。
やっぱり名乗りのタイミングが遅れたのが拙かったようだ。
どことなく気まずい雰囲気が流れ、俺と狼男はしばしの間停滞状態に陥った。
どうしようかと困っていると、狼男の方が先に動き出してくれた。
ああ、良かった。
>「……フハハハハハハ!良いことを教えてやろう、シルバーブリッツよ!」
>「貴様がこうして俺と戦っている間に地上で何が起きていると思う?
>氷雨京一郎が忌々しくも優秀なヒーローだということはとうに調べがついていた!そうだ、あの新聞広告は貴様だけを狙った罠だったのだ!
>貴様さえ居なければ街は手に入ったも同然だ!今頃、我が配下の戦闘員が貴様の仲間を捕らえ、無防備な街を恐怖に陥れている頃だろう!」
そして、いかにも悪役らしい長台詞を吐く狼男。
なかなかに痺れるシチュエーションだ。
しかも、まさか俺だけを狙ってあんな新聞広告を打っていたとは。
ちょっと、いや結構嬉しかったりする。
ただ――奴の台詞にはひとつ問題があった。俺の仲間、と言う言葉。
少なくとも戦いに役立ちそうな仲間はどうしても思い浮かばない。
と、友達がいないわけじゃないぞ!?
しかし、俺は、自分一人いないだけで街が恐怖に陥るほど、優秀なヒーロー。らしい。
そう言われては街を見捨てるわけにはいかない。
「くっ、貴様卑怯な! だが、街を危険を晒すわけにはいかない!」
大仰な身振り手振りと共に、テンプレ台詞を吐く俺。
「仕方ない、今回は俺の負けだ……だから頼む、街を救うために、見取り図を渡してくれ!」
【お待ちしてましたー。】
【と言うわけで負けを認めて見取り図をくれー、状態です】
- 84 :
- >83
>「くっ、貴様卑怯な! だが、街を危険を晒すわけにはいかない!」
「ほら、持って行け。手遅れじゃなけりゃいいんだがな」
いやはや40年前を思い出す。まさかこれほどまで"らしい"ヒーローが現代の世に生き残っていたとは!
そうだ、まさに忌々しくも優秀なヒーローだったバッタのバイク乗りも、あの時俺が吐いた台詞に同じような反応を返したものだ。
貴様とはなかなか良い友達になれそうだよ、シルバーブリッツ。
「貴様がヒーローとして戦い続けるなら、また会うこともあるだろう!ハーッハッハッハッ!」
テーブルに投げた見取り図を手に立ち去るヒーローを余裕たっぷりの高笑いで見送って、奴の足音が聞えなくなって。さてさて、それから。
外に出て平和な街と直面したシルバーブリッツが、嘘を嘘と見抜く事にさしたる時間は要すまい。積み上げた嘘は一つの綻びから一気に崩壊する。
さあ、忙しくなるぞ。アジトの入り口は早急かつ厳重に封鎖せねばならない。対戦車銃を準備しよう。狙撃する場所は?タイミングは?時間は?
義眼を詰め急ぎベルグマン氏に扮した俺は、70年前から時間が止まったかのようにように真新しい対戦車銃を手に取る。懐かしさがこみ上げるが、過去に浸る暇は無い。
一般的なライフルに比べれば極めて長大であるからして、運搬時の規定通りに銃身と機関部に分割する。それぞれの部品だけでは鉄管部品のようにしか見えない。
分割した対戦車銃をゴルフバックに収めてしまい、ベルグマン氏がこれを担げば年齢相応に穏やかかつ豊かな老後を楽しむ男の出来上がりだ
羽織ったトレンチコートの内には油紙とカンバスで包まれた8mm対戦車銃弾を10発ほど忍ばせた。背広の内側には、愛用のルガーを。
大急ぎで廃工場まで登った頃には、シルバーブリッツの既に姿はなかった。そろそろ、奴は平和に気づき始めているだろう。
地下への入り口は手榴弾とワイヤーを利用したブービートラップを数箇所仕掛けた上で施錠し、さらに秘密の階段を設けた事務室は南京錠で3重に施錠した。
次は奴を探し、狙撃位置とタイミングを捉えなければならない。恐らく氷雨京一郎の発見自体は中々に容易だろう。
何せ探偵と呼ばれる輩は、公然と事務所を構え、また所長として名を広告するものだ。無論、偽名の可能性を考慮すべきだが、悪の大幹部としての直感がそれを否定した。
あれほどまでにヒーローらしいヒーローがニヒルな笑みを浮かべ、俺の嘘を見破りながら名乗った名だというのに、どうしてそれが嘘だろうか。
それらしい男はそれらしく振舞うものだ。あのタイミングで偽名を名乗るなど、ヒーローとして格好が付かない。ヒーローにはあり得ないアクションだ。
「シルバーブリッツ……いや、氷雨京一郎よ。首を洗って待っているが良い。すぐに血祭りにあげてやろう!ハーッハッハッハッハッ……」
こうしてベルグマン氏はまた一つ高笑いをあげ、人気の無い廃工場を後にするのだった。
【見取り図を渡し、対戦車銃を持ち、入り口を封鎖して、それからアジトの外へ】
【こっからしばらく街の中でアレコレですね】
- 85 :
- TRPGは楽しい雰囲気ですよねー!?♪。
- 86 :
- 【うう、まだレスができない……もうちょっと待ってくださいねー】
- 87 :
- >>84
かくして俺は見取り図を手に入れ、念願の外に着いたぞ。
「……あれ?」
街に出た途端強烈な違和感を感じて、俺はすぐに変身を解く。
確か戦闘員が街を恐怖に陥れているはずと狼男は言っていたはずなんだが……。
一応街をそこら中見て回って指さし――はしないけど確認。
どう見ても街は平和です。本当にありがとうございました。
よく考えてみれば狼男――ゴル大佐の言葉には色々妙な所があった。
あの言葉がハッタリというか――嘘だと判断するのに、そう時間はかからずに済んだ。
なんだかんだで安堵の溜め息が漏れる。
と、同時に腰が抜けて、俺はへたりこんでしまった。
産まれて初めての命を賭けた死闘の前に、俺ともあろう者が恐怖していたのだろう。
しばらく動けそうにない。
さっさと事務所に戻らないといけないのに……と思いつつ。
【と言うわけでしばし街に待機状態で】
- 88 :
- >87
「あんた、氷雨京一郎?」
馴れ馴れしく肩を叩き京一郎を呼び止めたのはガラの悪い若者──ヤスオであった。文法の間違った英字Tシャツにパーカーという出で立ち。
ペンキを被ったようにわざとらしい橙色の髪の毛は、たっぷりのワックスでセットされ、まるで洗濯糊で固めたようだ。
恐らく本人は毎朝鏡の前でいかした髪型といかしたファッションの自分に酔いしれているに違いない。
「とっととやっちまおうぜヤスちゃん。俺もうダチに飯オゴるってメールしちゃったよ」
「でもあのジジイなんか言ってたべ?やる前に何か言えってよ」
さらに2人、同様にガラの悪い若者が続く。クッチャクチャと不愉快な音を撒き散らしガムを噛むトシヒコと腰巾着のツヨシだ。厄介事の雰囲気を感じた通行人が彼らを避け始める。
アメリカのいわゆるヒップホップ系ファッションを真似たらしいトシヒコはやたらサイズの大きな服を着て、何型とも例え難い奇抜な形のサングラスをかけてキャップを斜めに被っている。
無論彼は音楽的才能と無縁の星の元に生まれ、誰かを感動させるラップを披露した経験など一切無い。彼の音楽経験はソプラノリコーダーで途絶えたままだ。
一番背の低いツヨシはヤスオと似たような格好だが、スキンヘッドで唇と右の鼻の穴にピアスを通していた。いっとうおっかない外見とは裏腹に3人組で一番の頭脳派と呼ばれている。
何せ、彼だけが九九を暗唱出来るのだから。
──発端はほんの30分前。
「やぁ、君たちかな?このあたりで鳴らしてるっていうのは」
唐突に現れたいかにも金を持っていそうで、かつ人の良さそうな老人はまさに鴨が葱を背負ったような格好の獲物。本来なら愉快な3人組の臨時収入に化けるはずだった。
だが、その老人はまるで小銭を渡すように、ヤスオに札束を投げて渡した。傍目にも軽く100万はある。愉快な3人組は目を丸くして、生まれて初めて目にする100万の札束を凝視した。
コンクリートをステッキを突く堅い音で、彼らの注目は満足そうに微笑んだ老人に移る。
「軽く一仕事してくれればこれの倍、君ら全員に渡そう。悪くない話だと思うんだがね」
さて、ヤスオはパーカーのポケットに感じる札束の重みを感じつつ、老人の依頼を思い出そうとする。誰かをどうしろ。彼の脳から要点だけが出力される。
「ってか探偵とかマジ?実在すんの探偵って?殺人犯とか捕まえんの?洋館とかで?」
実際のところ、氷雨京一郎なんてのは誰だか知らない。誰でもいい。そう、話の要点はこうだ、『氷雨って探偵をボコボコにしろ』と。ボコボコ。自分達の唯一とも言える得意分野だ。
氷雨ってのはきっとこいつに違いない。気取った黒いコートに洒落たブレスレットと爺さんは言ってたはずだ。写真も見せられた。たぶんこいつだ。
「まああんたのことはどうでもいいんだけどさ……ヴェアヴォルフに反する者には死あるのみ……だっけ?意味わかんねぇ」
ヤスオは老人に命じられたとおりの台詞を口にすると、ポケットからバタフライナイフを引っ張り出し、柄を開いては閉じてと安っぽい威嚇をしてにいと口元をゆがめた。
それに続いてトシヒコとツヨシも同じバタフライナイフを取り出して柄を開く。いよいよ通行人達は関わるまいと足早に距離を取り始める。
「わかんねぇけどよ、なんかあんた殺さなきゃいけないらしいんだわ、俺ら」
ヤスオの言葉を皮切りに、3人はてんでバラバラの方向から京一郎に切りかかった。
エネミーデータ
名前:愉快な3人組(ヤスオ、トシヒコ、ツヨシ)
危険度:★☆☆☆
備考:ゴロツキ3人組。異能等は一切無し。3人ともバタフライナイフで武装。バカ。
- 89 :
- 「全く醜い劣等どもめ、精々仕事に励んでくれよ」
手頃なビルの屋上から双眼鏡でバカ3人とヒーローのやり取りを眺める。隣には組立て終えて弾を込めた対戦車銃が寝そべっている。
ゴロツキをけしかけたと言えばまるでマフィアの手法だが、戦闘員による襲撃と言い換えたなら悪の大幹部たる倫理観にもどうにか認められよう。
あのバカ3人はきちんと言いつけを守るだろうか。
何の工夫も無く、立ち止まった氷雨を狙撃することは可能だった。傍目には奇襲の優位性を捨ててまで"戦闘員"を送るという選択が不可解に見えるかもしれない。
悪の大幹部とは往々にして非合理的なものなのだ。一見して意味の無い、無駄な、不利な、無数の決まり事の中で戦わなければならない。
変身前のヒーローに攻撃し、あまつさえ倒してしまうなど代表的なタブーだ。奴らがポーズを取って掛け声と共に変身する時、我々は一通りの演出全てを見守ろう。
奴が変身のポーズと名乗りから成るシーケンスを終えたなら、その瞬間に対戦車銃が火を吹く。いかにバカ3人と言えど、奴を変身させるだけの器量はあるはずだ。
それまでは文字通り、ここから高みの見物といこうじゃないか。
【さてさて、とりあえず雑魚キャラで繋ぎの戦闘を……】
【もう少し人が増えないかしら】
- 90 :
- テンプレ
名前: ゴッドマン (仮の名前:マイケル・ダグラス)
職業: サラリーマン
勢力:正義(ヒーロー)
性別:男性
年齢:25
身長:185
体重:100
性格:公明正大
外見:(変身前)安物のスーツ、伊達眼鏡 、七三分け
外見2:(変身後の姿) 青と赤の派手なタイツ、赤のマント
特殊能力:驚異的な腕力、鋼の肉体、目からビームなどの超能力
備考:普段はうだつのあがらないサラリーマン。しかし、人々の
ピンチとなると颯爽と空より現れる。
そう、彼の名前は神の使い・ゴッドマンなのである!!
- 91 :
- >88>89
「ああ、俺が氷雨京一郎だ。フッ、俺も有名になっちまったな」
イカしたと言うよりもイカレたガキ共が、俺を呼び止める。
こんな連中でも俺の名を知っているとは、全く名探偵は辛いぜ。
などと自分に酔っていたら、こいつらいきなりバタフライナイフを出してきやがった。
どうやら名探偵というものは命の危険とも隣合わせらしい。
>「まああんたのことはどうでもいいんだけどさ……ヴェアヴォルフに反する者には死あるのみ……だっけ?意味わかんねぇ」
イカレたガキ共3人組はそんなことも言い出している。
どうやらゴル大佐に雇われた戦闘員……でいいんだろうか……?
ゴル大佐の組織、ヴェアヴォルフとはどれだけ人材不足なのか。
またなんだか大佐が可哀想になってきた。
こんな相手に変身したくはない。
しかし、バラバラの方向から切りかかって来られては、さすがに通常状態では対処しにくい。
とりあえず華麗なバックステッポでナイフを回避したが、お気に入りのコートが切り裂かれてしまう。
さらに襲いかかって来るガキ共。変身するしかないのか――?
【とりあえず回避専念】
>90
【はじめまして、ようこそゴッドマンさん!】
【早速ですが変身したがらない俺を助けるとかどうでしょう……大佐の意見も聞いておかないとですが】
- 92 :
- 摩天楼を行き交う人々の中で、人一倍肩幅の広い男がいた。
年の頃は、20代だろうか。安物のスーツと大きな眼鏡が間抜けさを演出している。
彼の名前は、マイケル・ダグラス。何の変哲も無い普通のサラリーマンである。
そう、普段は。
しかし、彼にはもう1つの顔がある。それが見える時、彼は超人となるのである!!
そう、彼の名前は!!
「「わかんねぇけどよ、なんかあんた殺さなきゃいけないらしいんだわ、俺ら」」
目の前では青年が何だか知らない3人に因縁を吹っかけている。
マイケルは周囲の人々を見るが、どうも関わりたくないように避けているようだ。
この街の人々は勇気すら見失ってしまったのか。マイケルは小さく深呼吸すると
男達へ向かって恐る恐る話しかけた。
「貴方達、暴力はよくないですよ。話し合いで解決すべきです。
不満があるのなら、私が聞きます。悩みがあるのなら!!」
病院のパンフレットを差し出しぎこちない笑みを浮かべる。
手には「これでスッキリ 便がドッサリと出る!!」と書かれた
パンフレットがあった。
「し、しまった。これは便秘のお客さん用だった。
・・・つ、つまり何を言いたいか。仲良くしましょう!!」
悪党に意味不明な説得をしながらマイケルは伊達眼鏡の
奥の目を光らせていた。
- 93 :
- >91
「おらおらっ、やっ!」
ヤスオが引っ掛けた刃先でコートを裂くと、愉快な3人組は得意になって一層派手にナイフを振り回す。
とはいえ彼らのナイフが単なる飾りから脱却したのはこの襲撃が初めてだ。徐々に3人の足並みは乱れ、隙も目立ち始める。
ツヨシに至っては、最初から京一郎に刃先が届かないような一歩後ろで斬り付けるフリをしているだけなのだ。
「クソッ!」
奇抜なサングラス越しの真っ暗な視界の中で、トシヒコの振るう刃先は黒いコートを纏う京一郎を中々捕らえられない。
もちろんサングラスを外せばいいというのは「イケてないパンピー」の発想で、「ナウでヤングなイカした男」たる彼にそんな選択肢はない。
それ以前に彼の素晴らしい脳味噌はナイフが当らないこととサングラスの間に因果関係を見出せないのだが。
「大人しく殺されろよ探偵!」
トシヒコは悪態と共にガムを吐き出し、そして。
「ぶへぇっ!?…ってめぇ!舐めた事しやがって!」
そして、地面に張り付いたガムを踏みつけたヤスオが前のめりに転んだ。完全な自滅である。
ところがヤスオは何やら京一郎に攻撃されたものと思い込み、溢るる鼻血を拭いながら激昂した。トシヒコも自分のガムが悲劇の根源だと気づいていない。
いずれにせよ、この愉快な3人組は中々戦意を失いそうにない。
>92
>「貴方達、暴力はよくないですよ。話し合いで解決すべきです。不満があるのなら、私が聞きます。悩みがあるのなら!!」
思わぬところからの思わぬ言葉に、3人ともの関心は一旦京一郎から逸れた。まるで聖職者のように諍いに口を挟んだのは、どうにも冴えない男だった。
色褪せた背広と冴えないメガネに七三頭。彼らの言葉では「リーマンのオッサン」と分類され、弱々しいと捉えられがちな存在である。
「なんだオッサン。文句あんのか」
「俺らが誰か判って言ってんの?なに、死にたいの?」
鼻血塗れのヤスオが湧き上がる怒りのままに京一郎相手にナイフを振り回すのをよそに、トシヒコとツヨシは京一郎よりも勝ち目のありそうなサラリーマンへと絡み始めた。
>「し、しまった。これは便秘のお客さん用だった。・・・つ、つまり何を言いたいか。仲良くしましょう!!」
「……オッサンよぉ、舐めたことばっかしてっと殺しちゃうよ?」
もうガムは吐いたというのに空気を噛んで口をクチャクチャしながら、トシヒコはサラリーマンのネクタイを引っ張ってナイフを突きつけた。ツヨシはただニヤニヤして後ろに控えている。
>90
【はじめまして!地の果てへようこそ】
【この雑魚キャラはサービスだから、まず倒して落ち着いて欲しい】
【そういう訳ですからバカ3人組は煮るなり焼くなり捻るなり、お好きにどうぞ】
- 94 :
- 【あうあう、遅くなりました! レス番は前後させていただきます】
>93
思った以上に、こいつらケンカ慣れしていない。
一時は変身しないとこの難局を乗り切れないのでは、と思ったが――。
そんなことはなかったぜ!
しかし反撃に転ずるチャンスまでは見いだせない。
あともうちょっとだけ鍛えておけば良かった、と今になって後悔する。
ヤツらの内のひとりは、勝手に自爆して、余計にこっちに悪意を向けてくる。
さてどうするか――。
>92
そんな所に助け(?)がやってきた。
至極真っ当な言葉をこの場で言える辺り、立派な人物なのだろう。
さらにその姿を見て、俺は名探偵のカンで理解する。
この男、ただものではない。
>「し、しまった。これは便秘のお客さん用だった。・・・つ、つまり何を言いたいか。仲良くしましょう!!」
少し天然入っているようだが……。
そして、ヤツらの注意はその男に向かってしまった。
いくらただものではないとは言え、これは俺の戦い、巻き込むわけにはいかない。
一瞬気が逸れただけで充分。反撃のチャンスは掴めた!
「どこを見ている! 俺はここだぁっ!」
丁寧に本来の敵の居場所を教えつつ、うまいことトシヒコが倒れてもマイケルにナイフが刺さらない様注意して蹴りを放つ。
本当は名前などわかっていないが、書いておかないと不便だ。
【ホント遅くなって申し訳ない! お2人とも健在でしょうか……?】
- 95 :
- 【おるぞー】
【とりあえずもうちょっとゴッドマンさんの方待ってみてからレス対応するつもりです】
- 96 :
- >>94
>「……オッサンよぉ、舐めたことばっかしてっと殺しちゃうよ?」
「え、あ…う。すみません、許してください!!」
おどおどした口調で逃げていくマイケル。
やがてマイケルの姿は路地の中へ消えていった。
- 97 :
- マイケルが消えていって数分と経たない内に、闇の中から
声が聞こえ始める。
悪をあざ笑うかのような鴉の叫び声。
トシヒコの背中に冷たい風がなびく。背後には漆黒の怪人とも
呼べる男が立っていた。
まるで鴉を模したかのような、全身黒の異形の存在。
彼は、彼自身をデッドマンと呼んでいる。
デッドマンは驚異的な速度でトシヒコの脇腹にボディブローを数発叩き込むと
前蹴りで一気に吹き飛ばしてみせた。
「おい、お前達の他にも悪党がいるなら教えてやる。
俺はデッドマン。罪を憎み、悪を憎み、そして正義を憎む男だ。
死ぬのが、嫌ならば俺の事を伝えろ。そして恐怖するがいい。」
- 98 :
- >96
>「え、あ…う。すみません、許してください!!」
「おうおう、あんまりヒーローぶるんじゃねえぞオッサン!」
格好をつけて飛び込んできたリーマンのオッサンはこうして舞台を降りた。安っぽい勝利が愉快な3人組の心を満足させた。
残るは本来のターゲット、氷雨京一郎ただ一人だ。
>94
>「どこを見ている! 俺はここだぁっ!」
「あぁ?」
ドスを効かせて振り向いた瞬間、トシヒコの天地が逆転した。少し遅れてわき腹に鈍痛が走り、間も無く目前にアスファルトの地面が迫る。
ほんの数秒で何が出来るでもなく、当然のことながら顔面を強打。自慢のイカしたプラスチック製サングラスは粉々に砕け散った。
「へぁぁ……目が、目がぁ〜!」
悪運強く失明は免れたが、細かい破片を直に受けた両目の激痛に耐えかね、トシヒコは喚きのた打ち回った。
落としたナイフを拾うことすらしない。何故なら目玉が痛いから。イカしたサングラスを失った事も理解していない。何故なら目玉が痛いから。とにかく目玉が痛いのだ。
先程から妙に静かだったツヨシに至っては、何時の間にか腰を抜かし「あわわ、あわわ」と声を出し震えながら失禁してしている始末だ。
「くっそ……なんだよ、なんなんだよ!あのジジイ、話が違うじゃねえかよ!」
悪態を付くヤスオの脳裏には老人の言葉が思い起こされる。「探偵を気取った時代遅れの優男をナイフで刺すだけの簡単な仕事」、と爺さんは言っていた。
それがどうだろう、HIPHOP生まれHIPHOP育ちのトシヒコがいとも簡単にやられてしまった。もしかして奴は特殊部隊とか傭兵とかそういう過去を持っているのではないか。
いずれにせよ只者ではない!
>97
京一郎と目が合い、ぞっと寒気が走る。心臓をつかまれたかのようだ。いや、待てよ。何かおかしい。何か……
>デッドマンは驚異的な速度でトシヒコの脇腹にボディブローを数発叩き込むと前蹴りで一気に吹き飛ばしてみせた。
そこで一旦、ヤスオの記憶は途絶える。全身に激痛を感じる間も無く気を失い蹴り飛ばされ、襤褸切れの絡まった枯木のように、ぐったりと冷たい地面に転がった。
パーカーのポケットからは、カラーコピーで作り出された偽札と新聞紙が成す札束が空しくこぼれ落ちた。
>「おい、お前達の他にも悪党がいるなら教えてやる」
デッドマンなる男の口上を聞いていたのは、ズボンをすっかり濡らしたツヨシと苦痛にのたうつトシヒコだ。2人とも誰かにそれを伝えるどころではない。
【ごめんなさい、デッドマンさんの攻撃先をちょっとだけ変えさせてくださいな】
【これでめでたく3人とも沈黙と相成りました。さてさて……】
- 99 :
- >91
歳を取るということ。それは年齢を重ねること。体力を失うこと。死に歩み寄ること。
そして、短気になるということ。
「Scheisse!」
双眼鏡の像が震え、唐突に祖国の言葉で老いた罵声が聞えた。それが自分の声で、また自分の手が怒りに震えているのだと気づくのに数秒要した。
何もかもがうまく回らない。まったくどうしようも無い劣等どもが。変身させるどころかスズメの涙ほどのダメージも与えぬまま駆逐されつつある。ウクライナ人だってもっとまともな仕事を成したというのに!
湧き上がる焦燥感が将校マントを羽織ったヒムラー長官に化けて、俺の頭の中で「とっとと殺せ」と叫び続けている。「親衛隊員たるもの些事に囚われず柔軟に任務を遂行せよ!」と。
無能3人と、老いた自分と、思い通りに回らない現実が、一層と脳内の長官を肥大化させてゆく。頚動脈の血流が勢いを増し、老いた心臓の周りが痛んできた。
悪の大幹部たる倫理観は未だ射撃を拒んでいるが、軍人たる価値観は長官と共に重みを増しつつある。これらを共に掛けた天秤は、いつまでも水平ではあるまい。
>92,>97
終わらない面倒事はさらに俺の心臓を苛む。
遠巻きに諍いを眺めていた大衆の中からやたら肩幅の広い男が一人歩み出てきた。
悪との戦いの最中に一般市民が紛れ込んできて、それを守る為にやむなく変身する……ヒーローと悪の戦いには欠かせない、まったく素晴らしいシチュエーションだ!
そう思ったのも束の間。背広男が引き下がり姿を消したかと思えば、間も無く漆黒の怪人が現れてバカの1人を蹴り飛ばしたのである。気づけば奴らは完全に駆逐されていた。
最高のシチュエーションは最低の面倒へ。正義とも悪ともつかない存在が、俺の期待を打ち砕いた。照準を氷雨から漆黒の怪人へと移し、3秒間息を整える。ようやく長官が静かになった。
まずは異物を抹消するのだ。物語が正しく回らないのなら、正しく回す努力をするまでだ。そうだ、とにかく誰かを殺しさえすれば長官は静かになる。俺も本来の仕事に戻れる。
まず銃口が光り、それから爆発音が響いた。放たれた8mm対戦車銃弾の弾頭は、有象無象に揺さぶられることもなく、まっすぐデッドマンの頭部へと向かった。
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