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2013年02月学習塾・予備校242: 【じじい】ふろの氏専用スレPART1 【熱い心】 (460) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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【じじい】ふろの氏専用スレPART1 【熱い心】


1 :2012/10/16 〜 最終レス :2013/02/01
熱く語って下さい

2 :
ありがとう。感謝。質問の生徒さん、いたらお願いします。

3 :
>>2
君はなんだかねぇ。。。。
自分が威圧的だと気づかないのかねぇ。。。。。
JUSTICEがたりないんだよ、JUSTICEが。。。
周りはとっくに気がついていることなんだよぉ。。。。。
君、膝がいたいよねぇ。。
理由は君にはまだ早いから教えないよぉ。。。。

4 :
早速来たか。まあ何にせよ反応は嬉しい。茶でも飲め。

5 :
すっかり寝てしまった。指導メールがたまっていると思うから見てくるよ。見てきた。
さて、別スレで「プラン分けて別料金を取らなきゃ何故ダメなのか?」という問題があったが、それに答えようと思う。
それは、学習の機会を生徒から奪うことになるからだ。安く均等に授業を提供する。これだけで最初のうちはいい。
けれどもそのうち、高いランクの大学を目指す子が出てきたとき、それだけだと不満が出てくることがある。そうした生徒側の欲求不満の状態を回避するための「別プラン」なのだ。
換言すれば、熱心な生徒や保護者の期待に応えるためでもある。
仮に安いプランの生徒さんがいれば、やはりそれなりの時間数あるいは、サービスを受けられても、それ以上は御勘弁を、でいいのではないかと思う。
もし、安いプランのまま、難易度の高い大学を目指したいなら、皆と同じ時間数や内容だと、無理が生じてくる。つまり、難易度の高い大学なら、料金が高くて当然にならないといけないのだ。(なぜかは解らないが、こんなところに抵抗感のある塾の先生はとても多い)
いつか、国立医学部の話があったけど、あの仕事はとにかく大変の極みだ。
時間数や手間数ともに半端ないから、それ相応の手間賃を頂かないとやっていけない。自分の場合、オフ返上で生徒たちと、何日もホテルに泊まり込んでの指導となる。
以上のことは、飯屋で安い定食にするか、一品料理を何品もお好みでチョイスするのと同じ感覚だ。
どちらが割高になるかは、素人でもわかるだろうし、皆納得するというもの。
別スレにあった、レベルの低い生徒が高い生徒の邪魔になる、という塾長の不満(?)も回避できる。たくさん授業を取ってもらい、レベルの低い生徒を皆に追いつかせればいいだけのことだろう。これは保護者サイドの努力の度合いにもよる。
話をまとめよう。
結論として、我々は時間を切り売りする仕事なんだから、やはりその時間分の働きに応じて、頂くものは頂かないといけないと思う。
また、そうしなければ、塾自体の価値を下げることに繋がってしまうだろう。つまりは、舐められてしまうということだが、このあたりは、なんというか、なかなか説明が難しい。
こんな例を挙げてみよう。
高いランクの大学に受かろうとする生徒がいる。
一方で、低いランクの大学に受かろうとする生徒がいる。
それを、同じ料金で教えることは以下のようになるから危険なのだ。
「なぜ○○さんには手間ひまかけて教えているのに、私には教えてくれないのですか?同じ料金を払っているのに」
「いや、あなたは低いランクの大学だからこれくらいでいいの」
「私も同じだけみてください。でないと不公平です!」
「うーん・・・」
となってしまう。
だから、個別指導塾の個別料金プランは理にかなっている。時間数に応じて、加算すればいいだけだから。
しかし、それでは料金が青天井になってしまうから、それでは酷だという場合は、何か別のサービスを加えてあげるといい。
例えばそれが、今私がやっているメール指導だ。活字によるやり取り。これは全部無料にしている。
こちらの掲示板に質問が来ても、それは同じこと。
だから、一般の生徒さんの質問にも、いくらでも答えられるというわけ。
パンクしたらどうすんだよ!
というご心配もあるかもしれないが、そこはなんといっても無料だから、ある程度のところで納得してもらえるという仕組みだ。(ということで、生徒さんからの質問、お待ちしています!)

6 :
自分の生活はこんな感じ。起きたら指導メールがやってくる。(指導メールとしているのは、質問だけではなく、単語のミス数や、速読英単語のミス数の報告データの場合もあるから)
以下、自分語りをするのは、それが誰かの参考になると思ってのこと。決してただの自慢話ではない。
自分だけプロフィールを書かされたことが別スレであったけど(今考えてもおかしいけどね、洒落でつきあったんだ)
あそこで、指導科目を書かせる欄があった。
自分の場合は、全部の科目をコーディネートしている関係から、
「全部」
と書いた。もちろん、自分に物理やら化学やら解るはずもない。解説はその道のプロにやってもらえばいい。私の言う全部とは、どうやって勉強させれば合格するのか?ということだ。
例えば昨年は3人、国立医学部志望のセンター試験を担当したが、皆9割に達した。それはどうやって達成したのか?
ここからのことは、企業秘密の部分に関わってくるので、なかなか詳しく書けなくて申し訳ないが、少しだけ話そう。
簡単に言えば、生徒が苦手とする科目に集中的に指導することのできるシステムを確立できれば、全体の得点は限りなく満点近く、あるいは満点にまで延びていくということだ。
ここが実は個別指導の最大の強味の部分で、イメージで語られている、一人一人大切にとか、わからないができたに変わるなどという、表面上の見方とはかけ離れた部分であろう。
つまり、真実はこんな感じ。
例えばここに50点の答案がある。これを50点しかない、と考えるか、50点もある、と考えるかによって随分とその後の動き方に差が出るのだ。
・50点しかないのか、次頑張れよ。(一斉指導の限界)
・さてあと残り50点を、どこでどうやって取ろうか?(個別指導の真骨頂)
この差は大きい。もし、生徒が優秀で自己マネジメントが出来るのならば、一斉指導でも問題ない。けれども、
一体ここからどうすりゃいいの?
と嘆くレベルの生徒が圧倒的に多いのだ。また、それを見て見ぬふりをして通り過ぎる大人も本当に多い。もう、それは見てらんないくらいに多い。
だからね。塾の中に生きようとしないで、塾を集客スポットみたいに捉えてる先生を見るとね、なんというか、第一歩を踏み間違えてる気がするんだよ。
それでは、ギリギリのところで救える生徒も救えない。
自分がどっぷりと塾稼業に首まで浸かってないような先生の生徒は、指導機会を損失している可能性が高い。
自分のやってるメールによる24時間の指導体制が必要なのはこうしたスクランブルに対応するためだ。
「24時間指導」
その語感もあるのだろうが、ここでは反響が大きかった。衝撃だったんだろうなあ。考えたこともなかっただろうなあ。また、自分がそこまで出来ないという、引け目も感じたんだろうなあ。
(実践している人間がいるなら、挙手していいよ。そんなの誰だってやってる、みたいに言われるのは、それはそれで、発言者のレベルが測れていいから)
メールというツールの発明が、受験指導に大きな革命をもたらしている。それに気づかない、あるいは知っていても実践していない塾講師は、一度考え直したらいい。

7 :
あと、あれだね。自分に対し、精神論が好きで、奉仕の心を持ち、逆に商業主義的なものを嫌っているのでは?というイメージを持たれていたけどさ。両者は相反するものではなく、連続しているものだと思うよ。
塾の先生はね、さっきも書いたけど、指導の中にこそ生きるべきなんだね。というか、自分達はそこにこそ生かされていると考えるべきなんだ。
というのがさ、自分がスポンサーである保護者から信頼されてるなと思うときは、物凄く生徒(=お子さん)に対して、親身に指導しているとき。自分がこの上なく頑張ってるときなんだ。まあ、保護者は実際には指導の現場にはいないから、その何らかの証拠が見えているときかな。
よく、保護者をつなぎとめるために、面談やる塾あるじゃない?気持ちは解るけど、効果は大したことない。
下手すると、あそこは口ばっかり、になりかねないからね。長期で見た場合、こうしたイメージアップ戦略は逆に顧客の信頼感を損ねる。また、恐怖心をあおってつなぎとめるなんて場合は、もってのほかだ。必ず中身がちゃんと、伴っていないといけない。
相撲の有名な格言に
「お金は土俵の下に埋まっている」
というのがある。
相撲道に精進しろ、お金は自然に後からついてくる、という意味だ。
我々はプロとして、こうした言葉にこそ敏感になるべきなんだと思っている。
ソロバンを弾くのもいいが、それ以上に塾の道(そんなものがあるかは知らないが)に精進すべきだ。順番を、そう、何を大切にするか、その優先順位を間違えないことが大切だ。

8 :
ふろの先生スレ開設おめでとう
ぶっとびジャスティス君に来訪第一号の座を奪われたのは悔しい(笑
まあレスなかろうとも、かなりの人が閲覧してるよ
みんな、こっちのスレの65レス〜も読んでみてね
http://c.2ch.net/test/-/news4viptasu/1349961304/n
おっと先生!また一部の僻み野郎共に『自演』とか決めつけられて、ふろの先生に迷惑かけたらゴメソナサイ
もちろん俺は別人であり、ふろのファン

9 :
>>8
わお。そっちも紹介してくれたの?もうあれだね、自分の知り合いや友人以上に親切な人だね!嬉しいよ!
教室長だったあの当時(たった2年ほどだけど)いろんなことがあったよ。
いや、次何を書こうかわかんなかったんだけど、その頃のことを下らない読物にして書いてみようかな?ファンだなんてありがとう。こっちがファンになりそうだ。握手。

10 :
>>8
ジャスティス先生というのか。本当に彼が塾経営者なら、行ってみたいレベルだなあ。
別スレでも書いたけど、塾はさ、奇人変人の集まりだと思う。
なんだろう。教員を志したことのない奴等がそさ、はい、塾でござい。看板立てたからこれって塾だよね。
でも資格もなにもないけど。チラシ撒いたから来てね。
みたいなことするわけじゃない?誰か自演乙みたいに言ってたけど、塾経営こそ、最大の自演なんじゃないの?
ジャスティス先生は、どんな塾をやりたいのか?詩的な表現の中に、探りを入れてはいるんだけど、解らないな。
理由は、まだ自分には早すぎるんだろうと思う(笑)

11 :
熱血先生、記念age

12 :
>>10
熱血先生!相談にのって下さい!
僕の塾の塾長が、僕や親を宗教団体に連れて行って困っているんです。
しかも、親がそこに入っちゃって最悪!
周りの友達も入っちゃう子が多くって、肩身が狭いの
気持ち悪くって辞めたいんだけど、親がもうそこにぞっこんだから辞めれないよ
どうしたらいいの?熱血先生!

13 :
自演と言ってる人は、ご親切な書き込みもまた自演と捉えているのだろう。
全てが自演、何もかも自演、もう頭が自演に持っていく回路に動いているんだろうな。自分にはもうかまわないほうがいいよ。そっちには行かないから。
しかし、自演でないことを証明出来ないのが匿名性の難しいところだな。
さて、思い出話書いていこうかな。
【GTO先生の思い出】
二年間の教室長時代と書いたけど、後半は本部からの指示で講師研修の役目を兼ねていた。
役目というのは、社長面接をパスして入社してきた先生に、授業の仕方や講師としての心構えを説く仕事だ。
いろんな先生がいた。
「塾なんて仕事、(高学歴の)自分には楽勝ですよ、ははは」と言いながら、クソ厳しい部長の営業研修中にスキを見つけて窓から逃げた国立大卒の先生、
研修を終え、せっかく授業に投入した直後に
「男の子と二人きりで個室で授業だなんてわたし・・ハレンチ過ぎて出来ません!」と逃げ出した40代の女の先生。(もちろん独身。ずっと女子校だったらしい)
・・まあ、本当によく逃げられたもんだった。(いつかこの研修自体についても詳しく書きたい)
ということは、最初の社長面接自体に問題があったということなんだけど、当時は若かったのでよく解らなかった。とにかく、ろくな連中が集まらない。
まあ、今から思えば、塾の仕事は、当時は今では比べ物にならないほど、日陰者の仕事という印象が強かったけど。こいつ本当にやる気あんのか?みたいな人間が多くて、塾ってよっぽど、世の中的に舐められてる仕事なんだなーと、若者ながらに思っていた。
だから、私の厳しい(?)研修をパスしたのは、こんな状況だったこともあって、ある程度忍耐力の強い人間だけだった。ちなみに、中途採用ばかりだった。
GTO先生も、その中の一人だった。

14 :
>>12
え?詳しくよろ。

15 :
GTO先生は熱血漢ではなく、クルマがGTOなだけだった。
私はこっそりGTO先生と呼んでいたが、
その後マンガの影響で、なんだかかっこいいので仮に藤森先生としよう。
当時、ファックス指導と個別指導の理系科目の先生が不足していたので、社長の鶴の一声で急遽採用された先生だった。

16 :
藤森先生はかなりの近眼で、C-3POみたいな分厚い丸いメガネをかけていた。
学生講師のヌルオが、あるときそれを指摘して教室の陰で大笑いしていた。
「ブッ!松ちゃん先生、藤森先生、あれ、スターウォーズに着ぐるみなしで出演出来ますって!し、C-3PO役で!

「お前、失礼な奴だなあ」
「くくく・・い、今から金粉買ってきていいスか?」
「金粉?・・本当に失礼な奴だなあ」
「か、顔だけ!顔だけッスよ!たぶん藤森先生なら、絶対やってくれますよ!」
確かに気が弱そうで、ヌルオが頼めばやってくれそうだった。
動き方も、どことなくぎごちなくロボットっぽかったが、まあ自分の中ではそれも個性だと思い、
「ヌルオ、間違ってもそんなことを言うのはよせ!金粉は却下だ!」
といいながら、笑いをこらえていた。

17 :
あるとき、藤森先生に初授業のチャンスがやってきた。
相手は、高3生の美少女だった。
藤森先生は、C-3POだった。
送り出したはいいものの、隠れ巨Rの竹子先生(既婚)と、藤森先生大丈夫かなあ?と心配していた。

18 :
あ、時間軸がずれてるのは擬装しているので、大目に見て下さい。

19 :
>>14
本当に怖くて詳しく書けないよ、、
遠いところに電車で連れてかれるんだよ、毎週
正座させられて、拝まされて、、、
変な話を聞かされるし
怖くて、眠れないんだ
受験どころじゃないよ、先生


20 :
そうだよなあ。
今まで確かにファックス指導はソツなくこなしていた。電話質問も、ちょっとぎごちないけど、ちゃんとやっていた。
しかし、実戦は今回が初めてだったのだ。女子生徒とのマンツーマン指導、さあ、どうなるかな?と思っていると、
「バン!」といきなり教室の扉が開いて、その女子生徒(ユメコとする)がトイレに泣きながら駆け込んでいったのが見えた。
竹子先生とおれは顔を見合わせて、ぎょっとした。
「松ちゃん先生。今の、ユメコちゃんだよね?」
「な、何があったんかな?ちょっと竹子先生、話してみてくれない?」
「わかりました」
おれは教室の方に行ってみた。

21 :
>>19
そうか・・それは大変なことになったね。
でも、自分も幼い頃、仏教の洗礼を受けてるから、
行為自体は普通の印象を受けるよ。
それより何か変わったことはないかな?
一番怖いのは、お金の問題だと思うよ。
借金してまでハマってるとかないの?

22 :
ふろのさん酉つけましょう

23 :
>>22
酉ってなに?

24 :
>>21
お小遣いから、毎月会費みたいなのとられるんだ
電車のお金も自分のお小遣いから出しなさいって、お母さんがいうの
行かなくなると、悪いことがおきて受験に落ちちゃうんだって
だから怖くてお小遣いから出して行っちゃうんだ、、
志望校もなんか紙に書かれて、決められちゃった
行きたくないんだ、その学校、、

25 :
名前欄の所に、(#の後に好きな文字)を打ち込む
これでなりすましができなくなります
例えば#aって打ち込むとこんな感じになるよ

26 :
>>24
受験校を宗教団体が決めるの?
聞いたことないよ。ひどいね、信じられない・・・

27 :
名前も書きたいならこんな感じで、(ふろの#a)

28 :
>>25
これでどう?できてる?

29 :
できてるよ!

30 :
なるほど!ありがとう!

31 :
>>24
お小遣いかあ。そのうちもっと要求してくるよ。たぶん。

32 :
そろそろ授業の準備しに行きます。ではまた、休憩中にでも。

33 :
>>26
>>31
先生!明らかに対処法欲しがってると思うんだけど分析だけじゃないですか
>>12
ネタじゃないと信じてマジレスすれば
本来一番頼りになる肉親がそうだったら、こんなとこで助け求めてもしょうがないだろ
頼れそうな親戚か「児童相談所」いけ

34 :
>>33
うーん、今は様子見だよ。よくわかんないもの。
子どもの小遣い程度で通わせてもらってさ、
お説教が聞けるわけじゃない?それに、お茶菓子くらい出るだろうし。まあリーズナブルだよね。
まあ、そのうちどうなるかわかんないけどさ。
ただ、宗教団体が受験校決めるなんて、もってのほか。
ありえない。
児童相談所も警察も、今の話の段階じゃ動けないし。
おれにどうしろというの?聞くしかないでしょ?

35 :
>>24
じゃあ、迷える君にちょっとだけアドバイス。
実はさ、自分には信仰心に厚い人が、結構周りにいるのね。
宗教それ自体に問題を感じたことはないんだ。みんな良い人だし、実害ないし。
中にはそういうの毛嫌いする人間もいるだろうけどさ。
だから、信仰心のない君と、信仰心を持つご両親との「親子の問題」という気がするね。
一度話してみたら?児童相談所とか、事を無理に荒立てる必要はない。少なくとも今のところはね。
おれ、行きたくないよって、一度勇気出して言ってごらん?
自分も中学に上がる頃に拒否って行かなくなったよ?ごめん、そろそろ生徒が来るからこの辺で。

36 :
「藤森先生!」
「ど、どうかしたんですかあ?松ちゃん先生?」
「どうかしたんですかって、それ、こっちが聞きたいです!なんでユメコちゃん、出て行ったの!?」
「んわ、わかりませんねえ。彼女、きゅ、急に飛び出して行ったものですからねえ」
「何かその〜、彼女に・・したとか?」
セクハラという言葉は、当時まだなかった。
「し、してませんよ、何も?」
嘘つけ、と思ったが黙っていた。
「ただ、じゅ、授業をしていました私・・」
嘘つけ嘘を、と思ったが黙っていた。
「じゃあ、全く何もしないのに、彼女が勝手に泣いて出て行ったと?」
「あ、はい」
「それって・・本当ですか?」
「はい。私気に障るようなことも言ってません。ただ、その、授業に関することしか・・ハイ」
「はあ?(それが本当なら、どういうこと・・なんだ?)」

37 :
よくわからないまま教員室に戻ると、来客用ソファーにユメコちゃんと竹子先生が隣り合わせて座っていた。
どうやらさっきから竹子先生が慰めているようだが、ユメコちゃんはずっと下を向いているみたいだ。
「松ちゃん先生、ちょっと」
「はい」
我々は、面談室に入った。
「どうですか?彼女?」
「それが、さっきからずっと・・何にもしゃべってくれなくて」
「うーん、そうかあ。困ったなあ」
「あの、藤森先生がひょっとして・・何か・・なさったとか?」
言葉を選ぶように、竹子先生は言った。
おれは、藤森先生が言ったことをそのまんま説明した。
「それが本当なら、ふーむ・・あら?もう私帰る時間です!すっ、すみません、松ちゃん先生、あとはよろしくっ!」
おれはガクッとなったが、主婦の竹子先生には家庭の方が大事だった。

38 :
スミマセン、生徒さんの送迎をしていますので、書き込みはもう少しあとになります。見ている人いますか〜?

39 :
見てるよ
竹子先生薄情だなあ

40 :
>>37
見ていてくれてサンキュ!そう、薄情だなあと思ったよ。でも、この人は定時に帰るので有名だったんだ。
もう少しで帰ります。今、コンビニ。

41 :
「ユメコちゃん?」
「・・・」
「あの、さ。黙ってちゃわかんないからさ。その、藤森先生に何かされたり・・」
「なっ、何もされてません!」
「はっ!?えっ?本当に?本当に何もなかったのね?」
「はい・・うぐっ、何も・・何もされて・・グスッ、ないですから。あっ、あの新しい先生は、わっ、悪くないん・・です・・悪いのは、わた、わたし・・・ひっく、うっ、うわあああんっ!」
大声で泣き出すユメコ。帰りがけの生徒が、じろじろこちらを見ながら通りすぎていく。

42 :
おれは内心ほっとしながらも、どこか腑に落ちないまま、ユメコちゃんには面談室に入っておくよう指示し、再び教室へと戻った。
「藤森先生、今日はもう帰られて結構です。あとは僕がなんとかします」
「私、クビ、クビなんてことには?」
「なりません。だって、指一本触れていないんでしょ?」
「はい。それはもう」
「だったら大丈夫です。彼女も先生は何もしていないし、悪くないって言ってますから」
「そ、そうですか・・安心しました」

43 :
藤森先生は、ほっとしたようにため息をついた。そして帰ろうとして、
「あ、あのう。タイムカードは?」
わが社はタイムカードを記録機に入れて帰る決まりがあった。そうか、今押したら早退になるのか。
「自分が押しておきます」
「わ、わかりました。では・・」
決まり悪そうに帰る藤森先生の後ろ姿は、今でも忘れられない。おれは再び面談室に戻った。

44 :
ユメコはおれを発見すると、立ち上がって、深々とお辞儀をして謝った。もう、興奮などしていない様子だった。
「先生、私は、とんでもないことをしてしまいました」
「と、とんでもないことって?」
「あの、新しい先生・・すみません、名前を教えてもらっていいですか?忘れてしまいました」
「藤森先生」
「ありがとうございます。その、藤森先生に、謝らないと・・」
「どういうことなの?」
「本当に言いにくいことなんですけど・・」
「うん」
「私、あの先生ダメです!ごめんなさい!傍にいるだけでも、鳥肌が立ってしまって」
そう言うとユメコちゃんは本当に震えだした。

45 :
当時、
アタシあのひとムリ無理無理っ
と言う表現はなかった

46 :
「そうすると、この塾、辞めなくちゃいけないのかなって・・でも、私、この塾が好きだし、辞めたくないし、せっかく松ちゃん先生が探してきてくれたのに」
いや、探したのは本部なんだが。そして、面接したのは面接が大不得意な社長だった・・。
「私、どうしたらいいのかわからなくって、気がついたら涙がポロポロ出てきてしまって・・うう・・お、お母さんにも、人は外見で、は、判断しちゃいけないって、昔から言われてたのに・・」
そういや当時「キモい」という、他人を一発で全否定する、あの悪魔のような言葉は、まだなかった。
ユメコちゃんはまだ、震えている。
「それに、でも、あの人、ガイコツみたいで、なんか何考えてるかもわかんなくて・・ぐすっ」
ガイコツにC-3POか・・うむ、確かに遠くない。
「わかった。おれが新しい先生、つ、連れてくるから。しばらくは、そうだ!お、おれが数学やる!得意じゃないけど、出来なくもないし」
「ほ、本当に?」
「やるわっ!おれ!黄色チャート片手に、やります!」
「よ、よかった・・じゃあ、私塾辞めなくて、済みますね」
当時、黄色チャートはあった。というか、当時から超ロングセラー商品だった。
というわけでユメコちゃんは、最後は笑顔になって帰ってくれた。
問題は今後、女子高生に思いっきり拒否られた藤森先生の処遇をどうするかだな、とチャリで暗闇の中に消えて行くユメコちゃんを見送りながら思った。

47 :
>>45
おお、ナイス補足ありがと!「無理」も一発で他人を全否定出来る便利な言葉だよね!

48 :
翌日、おれは本部へと向かった。いきなりヤング教室長が直談判に来たので、社長はびっくりしていた。
「社長、かくかくしかじかです!なんとかしてください!」
「わかった、君。その、藤森君は今どこに?」
「教室でファックス添削しています」
「使えるのか?」
「使えますけど、使えない感じですかね」
「そりゃそうだな。おい、タイゾウ君」
「はい!お呼びですか?」
タイゾウ先生は、本部一の二枚目と呼ばれていた。当時、イケメンという言葉はまだなかった。
「藤森先生のことなんじゃが」
「ははっ」
「ゴニョゴニョ」
「ふんふん、ふんふん」
あとはよく聞き取れなかった。
「あー、そこの松ちゃん先生とか言ったな?君はもう教室に帰っていいから。理系の先生は、こちらでなんとかするよ。文系の君には数学は無理だろう?」
「はい、じゃあすみませんが、よろしくお願いします」
「うん」
おれは本部を後にした。

49 :
教室に帰ると、竹子先生(R)とウメコ先生(独身・崖っぷち)、それに渦中の藤森先生(C-3PO及びガイコツくん)が、黙々とファックス添削の仕事をこなしていた。竹子先生が自分に気づくと近づいてきて、小声で言った。
「お帰りなさい、なっちゃんから聞きました。藤森先生の件、大変でしたね」
なっちゃんは本部一の美人受付嬢で、今で言うと、仲里衣紗にクリソツだった。だから本部に行くのは、おれの密かな楽しみだった。
「そうか、なっちゃんから全部聞いたんですか。いや、今後の藤森先生の処遇がどうなるのか、まだわかんなくて・・」
「もう決まったみたいですね。次の部署が」
「ええ?そうなんですか!」
チラリと横目で藤森先生を見ながら、隠れ巨Rの竹子先生は耳打ちしてきた。ちょっとドキドキした。
そして、この女性社員連中も、全員あのいい加減な社長面接で入ってきたのだと思うと、ちょっと納得する気分になるのだった。
つまり、男の講師の面接のときは、きっとどうでもよかったんじゃないかな?

50 :
「私、聞いてびっくりしたんですよ!」
竹子先生は少し興奮していた。そして、このおれも竹子先生に耳打ちされながら、少し興奮していた。ウメコ先生が、ちらっちらっとこっちを見ていた。
「ど、どういうこと?」
「藤森先生、明日からなんと『外回り営業』なんですって!」
「え、営業ですか?本当に?」
解説しよう!
我がブラック塾の営業は、テレアポ部隊がキャッチしたご家庭を回って、半ば強制的に入会させる、悪徳な集団のことである!
そして、基本インドアな講師がそこに回されるということは、すなわち、暗に「肩たたき」を意味しているのだった!
(「リストラ」という言葉はまだなかった)

51 :
あーもう終わったなと、その時思った。すまない、藤森先生。転職、難しそうだけど、きっとうまく行きますように!と、おれは半ば祈るような気分に陥った。
「こっ、このこと、本人は?」
「まだ知りません。今から、本部で直接辞令が下されるらしいですよ。もうちょっとしたら、営業部長がこちらに訪ねてくるそうです。藤森先生を迎えに」
「そ、そうですか〜。じゃ、もう藤森先生ともお別れなんですね」
「そうですね。じゃあ私、お伝えしましたから」
そう言って竹子先生は、自分の机に戻っていった。

52 :
もうすぐクライマックスなんですが、まだ起きてる人いますか?

53 :
じゃあ、ちょっと休憩します。やり残した仕事もあるので。

54 :
起きてまーす
どんなオチが待っているやら
なにかしら藤森の逆転劇があるのかも

55 :
>>51
あ、まだ起きてるの?じゃあ、もうちょっとしたら再開するよ!逆転は・・乞うご期待!

56 :
>>55
スンマソ
明日(今日だ)早いんで、続きを楽しみにしつつ一旦さいなら
センセもお疲れ様でした

57 :
営業部長は、それからしばらくしたらやって来た。
「松ちゃん先生、しばらく」
「営業部長、いつも研修ありがとうございます」
新人の二人に一人がいなくなる、地獄のような、だけどな。
「いやいや、それより彼は?」
「はい、あちらに」
「わかった、じゃああとは僕に任せて・・おうい、藤森くうん!」
呼ばれて藤森先生は、きょとんとしていたが、やがて面談室に部長と二人で入って行った。どうやら、ここで
辞令を下すらしい。
10分くらいして、二人は部屋から出てきた。藤森先生は、なぜかニコニコしている。で、近づいてきて、おれにこんなことを言ったの。
「松ちゃん先生!やりましたよ!私、栄転決まりました!」
「は?」
「一ヶ月の給料が倍になるんですよ!倍に!」
それゃ、成功報酬を合わせてだろ?きっと。生徒が入んなきゃ、たぶん今より悪いし、営業部長の叱責が厳しいらしい。でも、そのときは・・
「お、おめでとう!藤森先生、よかったじゃん!」
と言うしかなかった。

58 :
>>56
ありがと!書くの遅くてゴメン!朝起きたら見てね!おやすみ!

59 :
その日から、藤森先生はいなくなり、一週間後、代わりにユメコちゃんの授業をしに現れたのはなんと、あのイケメンのタイゾウ先生だったのだ!タイゾウ先生、あんた理系だったのか。
「いや、自分経済学部卒なんで、数学はまあ得意なんですよ」
わお!自慢しても、全然イヤミじゃない!さすが二枚目は違う!そう思った。
タイゾウ先生は今度から週1回、ユメコちゃんの講座だけのために、わざわざ来てくれることになったのだった。もちろん、代わりが見つかるまでの間だったけど。
突如現れたイケメン講師に、ユメコちゃんは目が完全にハートになってるわ、女性講師はキャアキャア騒ぐわで、その日からその曜日は女性陣の気合いが入りまくりだった。その間、おれはほぼ空気だったことは言うまでもない。

60 :
そんなプチ騒動があったために、その後の藤森先生の消息については、誰も気にしなかった。タイゾウ先生がいる曜日は大フィーバー、いない曜日も、話題の中心は常にではないが、だいたいタイゾウ先生だった。
そんな時、おれは空気というか、うなずき係だった。やめなさいって。
なお、この時のタイゾウ来塾事件が、のちのウメコ移籍トラブル事件につながっていく。

61 :
ある日、どうしても気になって、タイゾウ先生に恐る恐る聞いてみた。
「あの〜?タイゾウ先生、その後、藤森先生はどうしていらっしゃいますか?」
「藤森先生はね、かなり変わったよ。あれから」
「と、言いますと?」
「営業マンとして、バリバリにやってるということさ」
おれの中で衝撃が走った。

62 :
記念age

63 :
藤多先生の強制リストラ事件は何時ごろ
出てくるんでしょうか?
例の法律違反の強制退去の話です。

64 :
全俺が注目したw
ドラクエ10の狩り場の空きを狙って早起きしたらメンテだったw
>>63さん、筆をいそがせちゃだめよw
面白そうだから、はしょることなく、スレ主さんのペースで書いてもらいたいw
塾の先生って、若いつうだけで女子高生にもてる時期あるのに、C3POすごいなw

65 :
「ええッ!?つ、通用しちゃったんですかッ?営業の仕事に」
「ああ、通用してるんだよ。立派にね」
タイゾウ先生は爽やかに笑ってそう答えた。
「実は、元々彼は営業マン志望だったんだよ。それが、理系科目の担当が足りないという君の希望で、無理矢理講師に押し込めたってわけ」
「え?そ、そうだったんですか・・知らなかった」
「ふらっと出ていっては、何日かに一件、必ず契約をとってくる。不思議な人だよ」
あの藤森先生が、一軒一軒外回りをこなしている姿を思い浮かべた。あの実直な彼が、玄関先で営業する姿は、それはそれで人の心を打つのではないかと思った。
ある日、それからもう一度だけ藤森先生に出会ったことがある。久し振りに会った彼は、終始ニコニコして、ファックス添削をしていた頃のぎごちなさは、微塵もなかった。
「松ちゃん先生じゃないですかあ〜?お元気ですかあ?やっぱりボクは、外が好きなんですよねえ」
生き生きしながら、自分にはこれが天職だということ、特に小学生の営業が得意で、玄関先で宿題を一緒に解いてやると、子どもも母親も、とても喜んでくれるのだという話をしてくれた。なるほど、それが彼の営業テクニックなんだな。なんか納得した。
最後に、営業で稼いだお金で、愛車GTO のマフラーを交換したのだと嬉しそうに語ってくれた姿が、今も印象に残っている。

・・以上です。途中寝てしまった。ゴメンナサイ。読んでくださった方々、ありがとうございました。ではおしまい。

66 :
>>63
リストラはなかった。いや、意外でした。スンマセン、気づいたらメール添削しながら寝てた〜!

67 :
おもしろかったw
G3P-Oだから子ども受けするのか!w
映画のほうもちびっ子に人気だったしw
あのG3P-Oは、イギリスの鎧をまとった騎士をメタモしたらしいよw
だから騎士道精神にあふれたガイコツなんだよw
またそのうち何か書いてくれよなw

68 :
>>64
サンキュ。待たせてゴメン。当時は自分も全くモテなかったよ。

69 :
>>67
ありがとう!何か思い出したら、また書くよ!今回も書きながら、いろいろ思い出してしまった。
実はチャンスがなくて書けなかったけど、藤森先生の愛車GTOには、一度だけ乗せてもらったことがある。死ぬかとおもうくらい、速かったよ。走り屋だったんだよね。

70 :
少しずつ書いていきます。また、明日の明け方までの予定。なんか思い出した今書いとかないと、永久に忘れそうな気がして。

【研修の思い出】
いい加減な社長面接をパスして、入社してきた連中が送り込まれてくる、社員研修制度、通称「松ちゃんの穴」。
当時24歳の自分に研修される身に、今の自分がもしなったら、本当に腹が立つかもしれないな。
若造教室長にいろいろ教え込まれるために、他塾から移籍のベテランなど、新入社員(全員が中途採用)が、何週間かにいっぺん、ゾロソロやってきた。
この「松ちゃんの穴」の研修期間に決まりはない。全てのテクニックをマスターしたら、全20教室のうち、どこかに配属が決まる。まあ、早ければ早いほど喜ばれたが。だいたい、2ヶ月目には皆、一人前にはなっていったと思う。
なんであんた若いのにそんな役目を?という疑問が湧くかもしれないが、自分はその塾には18の時からいたから、誰よりもこの塾限定の個別指導のテクニックについては熟知していた。
つまり、何故に自分が研修センターみたいなことをやらされたかと言えば、我が「ブラック塾」の重役連中は、
・・たぶん面倒くさかったのだと思う。
1対2、1対4、1対8、少人数一斉、自分はいろいろやった。その仕組みは独特で、今自分がやっている塾の指導スタイルの基盤になっている。
(このテクニックについては、質問があればいつでも受け付ける。興味がある方は絡んできて欲しい。まあ、作中でも言及することになるから、わかるかもしれない)
とまあ、そんな感じだった。
その日もいつものように、新入社員リストが自分の机の上に置かれていた。

71 :
「え〜と、原先生。35歳。一流私立大学卒業か。大学時代はラグビー部に所属・・」
「お茶、ここに置いときますね!」
「あ、しげ子先生、ありがとう」
この頃は、のちにエロエロ攻撃に走るしげ子先生とも、まだ仲が良かった。
「今日、新しい先生が来るんですね!」
「うん、そうなんだけどさあ・・」
「どうかなさったんですか?」
「うん。なんかね。みんな、いい大学出てんのに、こんなブラック塾なんかに来るんだなあって」

72 :
まあ結果オーライだったとは言え、ともすれば一人のブサイク青年の人生に大きな影響を与える所だった訳だ。
それ考えるとユメコと言う女子高生は鬼畜だな(!?)
美少女女子高生はこわい。。。
これが小・中学部の女子だったら「面白い顔した先生」くらいで、屈託なく付き合っていたんだろうがなあ

73 :
>>72
書き込みありがとう!反応があると嬉しい。
いや、本当に書きながらそう思ったよ。女の子怖いなと。彼女、お姫様状態だったから。
企業塾、しかもお客様第一主義のところだったから、
あの人パス!
の一声で、こういうことは結構あった。
自分のところは、まだ何とかなったから良かったけど、
営業部長は独断で、バッサバッサ首斬りしていたらしい。

74 :
「松ちゃん先生も、いい大学出られてるじゃないですか?」
「おれ?おれは、全然だよ」
しげ子先生は某私立大学、自分は一応国立大学卒ではあったが、偏差値は変わらないくらいだった。
「だってこの人、大手電気メーカーだよ?何しに塾なんて来るのかな?」
「なぜ辞めたのか、気になりますね」
その日の午後イチに、その元ラガーマンは現れた。

75 :
「あの、こちらでよろしかったですかね?私、本日より研修を受ける原と申します」
原先生は、身長体重ともに超大型。しかし・・どことなく気弱そうな人だった。
色黒で、そう・・イメージしてもらうとすれば、モノマネの山本高広を黒くして眼鏡をかけさせた感じ。元ラガーマンという割には、柔らかな印象だ。
「あ、はい。こちらですよ。松ちゃん先生、原先生お見えになりました!」
「はい!どうぞ」
その日は、確か大学がなかったのか、午前中からしげ子先生と、友達の設楽りさ子(現・三浦)似の女子大生しかいなかった。ウメコ先生と竹子先生は、本部研修で留守だった。
ファックス添削の手を止めて、原先生を奥の部屋でDM発送業務をしていた自分のところまで連れてきてくれた。
「あ、こんにちは。改めまして、研修を担当する松ちゃんです」
「わたくし、本日よりお世話になります、原と申します。よろしくお願いいたします」
「どうぞ、散らかってますけど、お掛けになって下さい」
「はい」

76 :
「・・大きな教室ですねえ」
「はい、ここは20人入る教室です」
「私に授業なんて出来るんでしょうか?」
「えっ?」
おれは耳を疑った。
「いや、実は営業職でこちらの会社を志望したんですが、どうも講師として配属されるみたいで、不安なんです」
「!?」

77 :
「あの〜、それはひょっとして社長の・・」
「はい、社長に『君は高校時代、理系の科目は何が得意だった?』と聞かれて、つい『物理です』って申しましたら・・即講師として採用になってしまって」
しげ子先生が、お茶を運んできてくれた。もちろん、会話内容に対し、そば耳を立てているのは言うまでもない。つまり、なかなか立ち去ろうとしない。
「原先生、ひょっとして初めて本部にいらしたのは・・」
「はい、昨日の午前でした。いや、学習塾ってこんなにスピード採用なんだなと」
いや、そうじゃない。そうじゃないんだよ原さん!
例の社長のデタラメ採用だったんだよ!あんたは知らないだろうけど。
男性社員だったから、またテキトーに選んだんだ。
でもって、翌日から直ぐ講師になれると思ってる。
さらに、一流大学卒業して物理が得意なら、物理講師として雇えると単純に思ってるんだよあの人!
だいたい、18から35なんて・・ブランク半端ねーじゃんか、そんなの!
「は、原先生は、どうだったんですか?」
「はい?」

78 :
読んでる人いますか?今から支度して、授業に出ます。続きは休憩中か、深夜になりまーす!

79 :
この一連の話の中で、何よりも不思議なのは
社長
だな。
よくそんな感覚で塾会社の社長が務まるな、と。

80 :
>>79
おっしゃる通り。全く別畑の人間で、講師経験はもちろんなし。ブラック会社というよりは、トンデモ会社だったよ。

81 :
>>78
いい忘れた。読んでくれてありがとう!励みになります

82 :
「おかしいと思いませんでしたか?」
「それは、なんと言いますか、講師職の方が基本給が上でしたし、正直、自分にでも出来るのかなあって」
「ふーむ。そんなに物理が得意なんですか?」
「いやあ、勉強し直さないといけません。出来るとた思ったのは・・こちらの社長さんが、あまりに『君なら出来る!』っておっしゃったものですから、ついその気になって」
やっぱりか・・学生でも出来る仕事だから、社会人なら尚更出来ると考えているんだな。
「わかりました。原さん・・いえ、原先生とお呼びしましょうか」
「はい。なんだか先生だなんて恥ずかしいな」
「今日から私が生徒になりますから、私に物理を教えてみてください」
「ええ?素人の私が、先生に教えるんですか?」

83 :
あれ?最初から原先生って呼んでるなあ。しまった。でも気にしないでね

84 :
「いえ、もう原先生は素人ではありません。少なくとも私にとっては今日から先生です」
「え?でも、先生はどうみても先生じゃないですか」
「うーむ、やりにくいですか?」
「はい、最初からはちょっと・・」
「そうですか、まずは指導の仕方を教えるので、いつも 私が生徒役をやるんですよ」
「あの、私がやりましょうか?」
割り込んだのは、しげ子先生だった。

85 :
「え?しげ子先生が?ファックス添削はどうしたの?」
「今日はもう終わりました。授業まで暇なんです。さっきからお茶汲みしかしていません」
そうか、立ち去ろうとしなかったのにも、次の仕事の指示を欲しがってたんだな。
「いや、これは・・おれの仕事だしなあ」
しげ子は、少し黙っていたが
「先生、毎日深夜までお仕事なさってるの私、知ってます。たまには、私に頼ってくれていいんですよ?」

86 :
と、殊勝なことを言った。
でも、おれはこの女のこんなところが苦手だった。
「でもなあ・・」
「先生、手伝わせて下さい!私、やってみたいんです!」
しげ子は、実はただやってみたいだけだった。
「そんなの、ダメに決まってるだろう!」と言おうとしたら、原先生が割り込んできた。
「あの、この女性は?」
「しげ子先生です。うちに1年ほど勤めている、学生講師なんですけど」
「しげ子と言います、よろしくお願いいたします」
「可愛い方ですね。生徒さんかと」
「まあ♪」
しげ子は可愛いと言われて嬉しそうだった。前にも言ったが、しげ子は今で言うと「ゆうこりん」に多少似ていた。
「私、しげ子先生となら、緊張しないで出来そうです」

87 :
スミマセン、明日の朝食の買い物に行ってきます。読んでる方、いますかあ?

88 :
あと、30分したら戻ります。読んでる方、しばしお待ちを

89 :
時々覗いてるぞ〜
>明日の朝食の買い物

って、奥さん作ってくれないのか?

90 :
原先生は研修講師に、ヤング教室長のおれより、ピチピチの女子大生講師しげ子を指名した。
「ええ!?」
「ウッフッフ、やりましたねー・・松ちゃん先生、ここは・・私にやらせてもらえますよね?」
ぐっ・・原先生も、期待するような目付きで、おれを覗き込むように見つめている。
「・・わかった。は、原先生がそうおっしゃるなら・・やってみても・・いいよ。特別に」
「ほ、本当に?」
「仕方ないだろ。原先生は超初心者だからな・・少しでも、やりやすい方がいい」
「ありがとうございます!」
しっかし、なんでこんな仕事やりたいんだ?しげ子は。
「ただし!条件がある。研修が終わったらしげ子先生は、必ずその日の内容を報告!つまり、各指導システムのどこまで出来るようになったか、その日の終わりに、必ずおれに見せること!」
「了解です!」
「原先生?」
「はい!」
「このことは・・くれぐれも、他言無用で」
「はい、す、すみません。私のために」
「う〜、やたーっ!じゃあ、原先生!ノートと筆記用具を持って、102の教室に集合!」
「はい!よろしくお願いいたします」
軽い敗北感を覚えながら、おれはDM発送の仕事に戻った。

91 :
>>89
いや、朝食の材料買ってきたんだよ。で、今1個書いたじゃん?
そしたら、醤油と海苔がないと言われた。また買ってくる。

92 :
>>89
覗いてくれてありがたい、一人じゃ萎えそうだった

93 :
>>92
毎日覗いてます

94 :
>>90
毎日!うわあ、ありがとうございます!今回は結構長編なので、明日も続くかもです!

95 :
うちの教室の壁は薄い。
いや、壁というよりは、ただのパーティションだった。だから、DM作業している103教室と、研修中の102教室は、樹脂ボード一枚で隔てられただけで、声は筒抜けだった。二人の声が聞こえてくる。
「原先生、まずは1対1指導のシステムから教えますね?」
「え?しげ子先生、確かこの塾は、1対2の指導からじゃあなかったでしたっけ?」
「そうですけど?」
「だったら、1対1の指導の仕方を教えるのは、無意味では?」
「あら?じゃあ、原先生は、1対2の個別指導の経験があるんですか?」
「ありませんよ。あるわけないじゃないですか・・見ての通り、超初心者ですから・・」
「だったら、まずは1対1から教えます」
「なるほど、わ、わかりました」

96 :
「1対1指導で一番大切なことって、一体なんだと思います?」
「一番・・そりゃ、指導が解りやすいことじゃないですか?」
「他には?」
「他に?・・思いつきません、す・・すみません」
「ンフフ、そうでしょう〜?私も最初はわかりませんでした。松ちゃん先生から教わるまではね」
「そ、それが大切なことなんですね!」
「そう、これが解ったら、今日は合格でいいです!」
「え?何だろう?・・大切なこと?教えて下さい!」
「それはですねえ〜」
「それは?」

97 :
そ、それはなんなんだ?おれ、そんなこと教えてない・・ぞ?
「それはですねえ〜」
「それは?」
「うーん、教えてあげよっかなあ〜♪どうしようかな〜♪」
「お願いします!教えて下さい!しげ子先生!」
「知りたいですか?たぶんこれができたら、一流の先生になれますよ?」
一流?おいおい、そりゃ、オーバーすぎるってもんだろ?
「はい!知りたいです!」
「わーかりましたっ!実は、一番大切なことは!」
「一番大切なことは?(ドキドキ)」
「今私がやったことだったんです!」
なに!?
「はあ?・・も、もうなさったんですか?」
「ハイ。私からは今日はここまで。松ちゃん先生!これでどうですかあ?研修終わりましたけどお!」
あ、なるほどそういうことかあ!

98 :
「いや〜見事だったよ〜、しげ子先生」
「ありがとうございます!でもちょっと強引だったかな?エヘヘ」
「な、なんのことですか?強引とか?今したことって、まだ何も教えてもらってないじゃないですか?」
おれは、しげ子の作戦に感心しながら、原先生に向かって言った。
「しげ子先生が、今日原先生に教えたかったのは、『勉強したいという心』を持たせることだったんですよ」
「勉強したいという心?」
「そう、簡単に言えば『知りたい!』と、生徒に言わせることでした」
「あ!そう言えば私、さっき『知りたいです!』ってしげ子先生に言っちゃいました!あ、なるほどなあ〜、しげ子先生、天才ですね!」
「エヘヘ〜、強引だったですけどね〜」
「そう、今のはズルい。でも原先生、1対1個別で大事なことがわかって良かったですね。私も今日は合格でいいと思います」
「はい。でも、松ちゃん先生。それは、すべてのシステムにも共通して言えることなんじゃないでしょうか?」

99 :
おれは首を横に振りながら答えた。
「いいえ。1対1個別には、決定的に他のシステムとは異なる性質があります。このシステムの欠陥と言ってもいいくらいの」
「1対1のシステムに欠陥?最高じゃないですか、マンツーマンシステムですよ?きっと一番よく解るはずじゃ」
「それは、他のシステムでもむしろ共通しているところです。集団一斉指導でも解りやすい先生はいます」
「そ、そうか。じゃあ一体、その欠陥とは?」

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