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2013年03月アニキャラ総合80: あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part318 (298)
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あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part318
- 1 :2013/01/31 〜 最終レス :2013/03/10
- もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part317
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1354350154//l50
まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/
_ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
- 2 :
- >>1乙
まどマギからキュゥべえ召喚、しかし召喚者が…
QB「君の魂は第二性徴機の女性に等しい。ぼくと契約して魔法少女になってよ」
マリコルヌ「ぼくの願いはかわいい女の子になることだー!」
疲れてるのかな、俺…
- 3 :
- 新スレお疲れ様です。
それでは早速となりますが、新作の投稿を、0時丁度から始めようと思います。
- 4 :
- それでは始めます。
「ふうっ…やっと出来た…しっかし苦労したわ…」
トリステイン魔法学校、その女子寮にて、モンモランシーが精根尽き果てたかのように、大きく椅子の背もたれに体をあずけた。
テーブルの上には、今しがた完成した解除薬が置いてある。
「これでこの悪夢もようやく終わるのね…」
隣のルイズと剣心も、やっと一安心したように胸をなでおろす。勿論、油断は最後まで厳禁だ。まだそうなると決まったわけじゃない。
「とにかく、ホラ、飲みなさいよギーシュ」
そう言って、モンモランシーは解除薬の入った壜をギーシュに渡す。しかしギーシュは不思議そうな顔をして尋ねたのだった。
第三十六幕 『翔ぶが如く』
「…何でそんなもの飲まなくちゃいけないんだい? 得体の知れないものは飲みたくないんだが」
それを聞いて、ビシリ、とモンモランシーの額に青筋が立った。壜を持つ手は震え始めている。
何やら嫌な予感がしたルイズは、それとなく解除薬をモンモランシーから掠め取った。
「こんな臭い薬を作って、一体何をしたいのかよく分からないけど、これが君の趣味ということだけは分かった―――ぶるぁ!!!」
「アンタっ…マジっ…ホントっ…後悔するんじゃないわよっ…!!」
解除薬を持っていた手で、躊躇いなくギーシュの顔面目掛け渾身のストレートをぶち込んだモンモランシーは、息も絶え絶えにそうまくし立てた。
もしルイズが取ってなかったら、今頃薬はギーシュの顔面に派手に飛び散っていたことだろう。
やっぱり油断しちゃいけない。飲ませるまでが終わりなのだ。
「いいから飲みなさいよ!! あんたの病気を治す薬よ!!」
ルイズはそう言ってギーシュに薬を突き出した。口から出まかせだったが、そうでも言わないとコイツは飲みそうもない。
しかしそれでもギーシュはまだ渋っている様だった。
「分からないなあ。僕の何処に病気があると言うんだい? 僕はこのとおり至って健康そのものさ。僕は気付いたんだ…真の愛情というものは、分け隔てない、
あのラグドリアン湖のように大きな存在であることを。それを悟った僕の、一体どこがびょうき―――」
「「いいから飲めやぁぁぁあああ!!!!」」
シンクロした叫びを上げたルイズのモンモランシーの、巧みなコンビネーションにより、ギーシュは有無を言わさず解除薬を口の中に放り込まれた。
ゴクン、と確かに薬が喉を通っていく音を聞き届けたルイズ達は、それでも油断なくギーシュの動向を監視していた。
やがて、ひっく…と一つのしゃっくりをした。それから憑き物がとれたかのように、ギーシュはフラフラした表情で辺りを見回した。
「あれ…ここは…僕は…何を…」
そうして見ているうちに、まず視線が剣心へと移り、そして悪魔を見たかのような驚愕の表情をした。
「そっ…そうだ…僕は…」
ヨロヨロと立ち上がり、今度はおぼつかない足取りで少し歩いた後、そしてモンモランシーの方を振り向いた。
すると先程の剣心の時より、恐ろしいものを見たかのように顔が恐怖で歪む。
「あ……あっ…」
『惚れ薬』の効果は確かに消えた。だが、その時にした記憶まで都合良く消してはくれない。ちゃんと、自分のしたこと言ったことはハッキリと覚えているのだ。
剣心に言った痴態ともいえる恥ずべき行為。更には恋人であるモンモランシーに放った罵詈雑言の数々。
遂にギーシュは、その精神が限界へと達した。
- 5 :
- 「ぎいいやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
はち切れんばかりの金切り声を上げた後、ギーシュは白目をむいたまま、ぽっくりとそのまま倒れ込んだ。
全くどこまでも騒がしい男である。
「終わったわね…」
色んな意味を含めながら、ルイズはふうっ、と安堵のため息をつく。あの反応を見る限り、まず間違いなく戻ったことだろう。
流石にその後の精神状況までは面倒見切れないが。
「…もういいわ…。わたしも…何か疲れた…」
モンモランシーは遣る瀬無さそうな視線をギーシュに向けながらも、それでも仕方なさそうに杖を振り、ギーシュをベットに運んで寝かせてあげた。
「ホラ、これで終わったからいいでしょ? 少し一人にさせて頂戴」
ぐったりと椅子に寄りかかりながら、疲れたような目でルイズ達にそう言った。特に留まる理由も無かったので、ルイズ達はそそくさとその場を後にするのだった。
「はぁ…わたしも疲れたわぁ…」
部屋を出て早々、ルイズも深いため息をついた。剣心もはは…と乾いた笑いをする。
「まあ、無事元に戻ったようだし、これで一件落着でござるよ」
「でもホント、笑える話よね。ケンシンには悪いけどさ」
そう言ってキュルケは未だに思い出しては面白そうに笑いながら、真っ赤な髪をかき揚げる。
言ったらRわよ…。とルイズが殺意の視線を送った。
それを気にする様子はなかったが、キュルケはまだ何か引っかかりがあるのか、うーんと首をかしげた。
「でもまあ、相変わらず綺麗だったなぁ…ラグドリアン湖…」
と、ふと思い出すかのようにルイズが呟いた。
「前に行ったことあるでござるか?」
「うん、十三の頃、姫さまのお供で行ったことあってね。とっても盛大な園遊会が開かれてて…すっごく賑やかで、華やかで、楽しかったなあ」
昔を懐かしむ様子で、ルイズは続けた。
「実はあのラグドリアン湖はね、ウェールズ皇太子と姫さまが初めて出会った場所なんだって。夜中に姫さまに頼まれて、身代わりになって欲しいって言われてさ。今考えると、二人はその時逢引でもしてたのかなぁ…」
切なそうな表情をして語るルイズを他所に、ここで何か思いついたようにキュルケは叫んだ。
「あっ…そうよ!! ウェールズ皇太子よ!!」
「な、なによ急に!」
折角の余韻を邪魔されてルイズは口を尖らせたが、それに構わずキュルケは続ける。
なんでも、ラグドリアン湖に向かう道中、ウェールズそっくりの男を見かけたというのだ。
「そうよそう!! あぁやっと思い出せたわ! あの色男はウェールズ皇太子さまじゃないの!」
「……どういうことでござる?」
剣心が、伺うような視線でキュルケに尋ねた。
「…ウェールズ殿は、確かにあの時亡くなったでござる。それはキュルケ殿も見てたでござろう?」
「ええ、見てたわ。今まで全然思い出せなかったけど…でもあれは確かにウェールズ皇太子よ。わたしがあんな色男、見間違えるわけないわ」
今まで忘れていたのに、断言するかのような口調でキュルケは言い切った。それを聞いて、剣心の中で嫌な予感が膨れ上がる。
(『アンドバリの指輪』…死者に偽りの生命…レコン・キスタ…)
そして、ワルドが言った『ウェールズを亡き者にする』という真相…。
全てが、剣心の脳裏で繋がっていく。まるでパズルのピースをはめ込むかのように…。それはルイズ達も同様だった。
そして、そこから答えを導き出すのに、さして時間は掛からなかった。
「しくった、奴らの狙いは姫殿だ!!」
「…――!!?」
剣心が叫ぶと共に、ルイズ達も弾けるように反応する。剣心達は急いで学院の外に出ると、タバサに向かって剣心は言った。
「タバサ殿、シルフィードを呼んでもらっても―――」
「もう呼んだ」
阿吽の呼吸が如く、既にタバサは口笛を吹いていた。ひと足遅れて、シルフィードがばっさばっさと翼を羽ばたかせて飛んでくる。一行は素早く風竜の背中へ乗り込んだ。
「トリステイン王宮、急いで」
タバサはそれだけをシルフィードに告げた。その声の様子から尋常でないことを察したシルフィードは、急いで飛び上がり全速力で空を駆けた。
- 6 :
- 夜の風が静かに吹くトリステイン王国。しかしその王宮は、喧騒や怒号で昼間より騒がしかった。
剣心の読み通り、事はもうすでに起こっている…いや、起こってしまったと表現するのがいいだろう。
王宮の中庭で慌ただしく動いている護衛隊らしき一団は、降り立とうとしているその風竜の姿を見て、再び混乱が巻き起こった。
「こんな夜更けに一体何だ!!」
王宮預かるマンティコア魔法隊の隊長は、大声で怒鳴り込んだ。
「何奴!! 現在王宮は立入禁止だ、下がれ!!」
しかし風竜は下がろうとせず、そのまま着陸して来た。隊長は、その風竜と背中に乗る一団に見覚えがあった。
数日前、白昼堂々と王宮に乗り込んできた一行だ。アンリエッタ女王の友達と言ってはいたが、今は非常事態。
「またお前たちか! 面倒なときに限って姿をあらわしおって!!」
「姫さまは…いえ、女王陛下ご無事ですか!?」
風竜の背中から桃髪の少女――ルイズが飛び降りると、せきを切って隊長に詰め寄った。隊長は、鬱陶しそうな顔を隠そうともせず言った。
「貴様らに話すことではない。ただちに立ち去りなさい」
それを聞いたルイズは、怒りで顔を真っ赤にすると、懐から一枚の羊皮紙を取り出し、それを隊長に見せつけた。
「私は女王陛下直属の女官です!! この通り陛下直筆の許可証もあるわ! わたしには陛下の権利を行使する権利があります! ただちに事情の説明を求めるわ!!」
これには、流石の隊長も目を丸くした。成程、確かにルイズが持っているのは、アンリエッタの執筆による許可証だ。
なぜこんな少女が女王のお墨付きを…そう思ったが、彼も軍人。上司だと分かった以上、無粋な対応をするわけにもいかない。敬礼をして、隊長は経緯を説明した。
「今から二時間程前、女王陛下が何者かによってかどわかされたのです。警護のものを蹴散らし、馬で駆け去りました。
現在ヒポグリフ隊がその行方を追っています。我々は何か証拠がないかと、この辺りを捜索しておりました」
やっぱり…ルイズはそう思った。こうしている内にも、段々と嫌な予感は膨れつつある。
「それで、一体どこへ向かったの?」
「賊は街道を南下しております。どうやらラ・ロシェールの方面に向かっているようです。間違いなくアルビオンの手のものかと…」
不安は嫌な程的中していく。こうしてはいられない。ルイズはそれだけ聞くと、素早くシルフィードの上に乗った。
「夜明けまでが勝負でござる。それまでに追いつけないと…」
剣心の言葉に、一同は緊張感を覚える。彼がそこまで言うということは、それほど事態は重い状態だというのが分かったからだ。
「低く飛んで、敵は馬に跨っているわ!! でも速くお願い。時間は無いわ!! 行動は迅速に。翔ぶが如く!!」
翔ぶが如く。それに反応するようにシルフィードは、翼を羽ばたかせ急加速した。
- 7 :
- 森の中、その一つの生い茂る広い草原―――そこは燃えていた。
そこここに飛び散る血と、死体と、ヒポグリフ達幻獣の死骸と一緒に……。
彼らは麗しき女王を取り返そうと躍起になっていたヒポグリフ隊の連中だった。
奸賊を見つけ、その一向に容赦なく制裁を与えるべく魔法を放った彼等だったが、突然の事態により形勢は逆転。
あっという間に全ての隊員達が薙ぎ倒され、鮮血が辺り一面に巻き散っていった。
その中心に立っていたのは、常人なら死んでもおかしくないほどの傷を追ったウェールズと、生気の無い目で立ち上がる奸賊の面々だった。
「う、ん………」
アンリエッタは目を覚ました。ふと起き上がれば、そこは血と煙が燻る世界。周りを見れば、見知ったヒポグリフ隊の死体がいたるとこれで倒れており、
立っている連中も、全員死人のような表情をしていた。
そして目の前には…これほどの事態が起こっているというのに、相変わらず笑っているウェールズがいた。
「ウェールズさま…貴方…一体なんてこと…」
「やあ、驚かせてしまったようだね」
いつもの様な屈託の無い笑顔。それに怖気を感じたアンリエッタは、本能的に杖をウェールズに向ける。
「貴方は…誰なの…?」
震える声で、アンリエッタは問うた。未だに信じられないといった目で。
「何を言っているんだい? 僕はウェールズだよ」
「嘘よ! よくも魔法衛士隊の隊員達を…」
アンリエッタは叫んだ。声だけでなく杖を突きつける腕も震えてくる。容姿は確かにウェールズなのに…まるで別人のようだった。
「仇を取りたいかい? いいとも。君は僕をR権利がある。さあ君の魔法で僕をえぐってくれたまえ。君の手で殺されるなら本望さ」
仰々しく手を広げながら、ウェールズは言った。アンリエッタは震える手で杖を突きつけたまま固まっていた。
出来るわけない…あれほど好きだった皇太子を…Rことなんて…。
アンリエッタは崩れ落ちた。涙を流し、子供のようにただうずくまった。
「何で…こんなことに…」
「今は僕を信じてほしい。それだけさ」
「でも…でも…」
ウェールズの声を、アンリエッタの僅かばかりの理性が押し止める。違う…彼はこんなこと…わたしが望んでいたのは…こんな…。
しかし、今の彼女の心にはウェールズの言葉はよく響く。
「覚えているかい? ラグドリアンの湖畔で交したあの約束を。君が口にしたあの誓約の言葉を」
「…忘れるわけありませんわ。それだけを頼りに、今日まで生きて参りましたもの」
「言ってくれ。アンリエッタ」
まるで悪魔のような甘い囁き。しかし、アンリエッタの精神は、徐々に彼を受け入れつつあった。そうしないと…自分が保てなくなりそうだったから…。
「トリステイン王国王女アンリエッタは、水の精霊の御許で誓約いたします。ウェールズさまを…永久に愛すると…」
一言一句、間違えることなくアンリエッタは誓約の言葉を口にすると、ウェールズは満足そうな笑みを見せた。
「その誓約で以前と変わったことがあるとすればただ一つ。君は今では女王ということさ。でも、ほかの全ては変わらないだろう? 変わるわけがないだろう?」
ウェールズの熱弁に、アンリエッタはうんうんと頷く。もう止まらない、この気持ち。
ずっと今まで、こうやって抱かれたかったと夢見て来た自分だったのだから。
「どんな事があろうとも、水の精霊の前でなされた誓約がたがえられる事はない。君は己のその言葉だけを信じていればいいのさ。後は全部僕に任せてくれ」
優しく思えるウェールズの言葉、その一つ一つがアンリエッタの心を刺激する。今の彼女はただの無垢な少女だった。
アンリエッタは何度も頷いた。まるで自分に言い聞かせるかのように…。
「…非道いわ」
街道を飛んでいく道すがら、ルイズは眼下にある無残な死体の山を見て思わずそう呟いた。
血の臭い、煙の臭い。そして悪臭を放つ人間『だった』モノの数々。その中には最早原型を留めていないものも幾つかあった。
- 8 :
- シルフィードを着陸させ、ルイズ達は地に降り立つ。何か手がかりになるものはないか、探していると、幸運なことに生存者がいた。
「生きてる人がいるわ!!」
キュルケの声に、皆が一斉に反応する。
駆け付けて様子を見れば、腕に深い怪我を負っていながらも、確かに生きながらえている人間がいた。
「大丈夫でござるか?」
「ああ…あんたたちは…?」
「わたしたちも、貴方達と同じ、女王を誘拐した一味を追ってきたのよ。一体何があったの?」
味方だと知って少し安心したのか。その騎士は不可解、といった感じながらも話してくれた。
「分からないんだ…けど、あいつら…確かに致命傷を負わせた筈だったのに…」
「…それは一体?」
しかし、騎士の言葉はそれきりだった。安心感が極限にまで達したのか、そのまま眠るように気絶してしまった。
「どういう意味…?」
疑問符を浮かべて考えるルイズ達だったが、そうさせる暇はもうないようだった。
それに真っ先に気づいたのは剣心だった。彼の反応でピンと来たように、次いでタバサも勘付く。
囲まれている…いや、最初から待ち伏せのつもりだったようだ。剣心は、ゆっくりとデルフの柄を手にかけた。
刹那、魔法が四方八方から飛んでくる。剣心は素早くデルフを抜刀すると、振り向きざまに横一閃。その沿線上に入った全ての魔法をかき消した。
「おお、久しぶりのこの感触!! テンション上がってくるぜ相棒!!」
漸くまともな出番が来て嬉しかったのか、デルフが半狂乱になって叫ぶ。それに構わず剣心は、返すひと振りで遅れて飛んでくる第二波目を完全に防ぎきった。
遅れてタバサが反撃の呪文を唱える。氷の矢や風の槌が、先程飛んできた魔法の場所へと向かっていった。
着弾と同時に、何人かが吹き飛んで行き、氷の矢で串刺しになる。
だが何より驚いたのは、そんな状態になりながらも平然としている彼等の姿だった。
「…『アンドバリの指輪』とやらの効力でござるか」
タバサの攻撃を受ける前から既にボロボロだった彼等を見て、剣心は瞬時にそう考察した。あの様子で生きてるなんて普通じゃ考えられない。
剣心達は油断なく構えた。しかし、何故か敵はそれ以上攻撃をしてはこない。何かを伺っているのだろうか…それとも…。
そう考えていた剣心達の前に、ふとその影は現れた。生気のない人間の群れを押し分けて、悠然とやってくるその人影…。
それは間違いなく、剣心達が知っている、そしてもう会うこともないだろうと思っていた人物だった。
「…ウェールズ…殿…」
「やあ、また会えて嬉しいよ。『ガンダールヴ』…いや、ここは『人斬り抜刀斎』君と呼んだほうがいいのかな?」
ウェールズは、邪悪な笑みを隠そうともせずに、そしてそれを剣心に向けてそう言った。
- 9 :
- 今回はここまでとなります。少し短くて申し訳ありません。
来週は前編後編となりますので、出来れば二回投稿できればいいかなあと思います。
それではまた。ここまで見ていただきありがとうございます。
- 10 :
- 投下乙にて候う
- 11 :
- パパーダの人へ
仮にパパーダが魔界を決別する前に召喚されてたら
魔法学院の生徒、教師、使用人達はどうなってたんでしょう?
- 12 :
- オフィシャルでもやってない描写なんだから誰にも分からんよ
- 13 :
- ドラクエのスライムって水の精霊からはどう見えるんだろ?プルルン同士だし、お仲間?
- 14 :
- ぷるるん
- 15 :
- キャッ党忍伝てやんでえ
- 16 :
- 懐かしすぎる名前だ
- 17 :
- ペルソナから何かいいの召喚できないかなと考えたけどすでに押しも押されぬご立派なモノが召喚されてたの忘れてた
- 18 :
- ご立派様召喚はペルソナじゃなかったと思うが
- 19 :
- 出典はメガテンだな、ペルソナはゲスト参戦
- 20 :
- パパーダの人へ
もしもルイズがスパーダじゃなくて魔帝ムンドゥスか覇王アルゴサクスを
召喚しちゃったらどうなっちゃうんでしょう?
- 21 :
- ハルケギニア、少なくとも学院終了のお知らせ。
でもスパーダや半魔兄弟らがテファ辺りに喚ばれて来るかも。と言っても憶測でしか無いがね。
- 22 :
- それアレな人じゃね
- 23 :
- sageもしない奴に取り合うなよ
- 24 :
- 地獄のミサワであった電話相談のお兄さんの「知らねえよ」が頭をよぎった
- 25 :
- 惚れ薬をルイズ以外の誰かに飲ませるというのは鉄板だがおもしろい
- 26 :
- アニエスやシルフィードが惚れ薬飲んだSSもあったなあ
- 27 :
- ロリもいいけど、フーケとかアニエスとかBBAもいいよね
- 28 :
- ウルフウッド召喚の話では、よりにもよってコルベールが・・・
- 29 :
- >>25
萌え萌えさんのはそういやそのエピソードまだだったな。
メンヌヴィルとか先に来てるけど、まだタルブ戦前だし。
ふがくが飲んでも面白いけど、あかぎやルーデルが飲んだらすさまじいことになりそうだw
- 30 :
- 普段真面目なタイプに飲ませたほうが惚れ薬はおもしろいだろうな
- 31 :
- コルベールが飲んで学園長に惚れるとか
- 32 :
- >>28
そして1人の貴腐人が学園に降臨した
- 33 :
- 多分潜在的にはもっと・・・
あの人「ホモが嫌いな女子なんていません」
そしてトリステインに巻き起こる同類誌ブーム
- 34 :
- もう仮面ライダーバースか宇宙刑事シャリバンさんを召喚しようぜ。
- 35 :
- カブトゼクターとガタックゼクターを召喚というのはどうでしょう
- 36 :
- 皆さんこんばんわです。
先週予告していた通り、今日と明日の二回に分けて前後編を投稿しようと思います。
それでは予約がないようでしたら、0時半頃から始めさせていただきます。
- 37 :
- それでは始めます。
「流石は伝説の人斬り様だ。噂通り…いや、噂以上だ。僕の思考をこうも的確に読んで、追ってくるなんてね」
月夜が照らす森の中、ウェールズは不気味に笑って剣心にそう言った。
人斬り…そう言われた剣心は、ピクリと眉をつり上げる。
「『人斬り』…?」
「そう言えば、ワルドも言ってたわね…人斬りなんとやらって…」
キュルケとタバサが疑問符を浮かべる中、ルイズはハッとしたような表情をした。
刹那蘇るのは…封印したかったあの夢の記憶。ルイズにとってトラウマにもなった彼のもう一つの顔…。
しかし、剣心は気にする風な様子は見せずに、まず一歩前へ出る。
「姫殿は、どうしたでござる?」
その問いに、ウェールズはガウンを着た人影の方を招き入れた。ガウンを脱いで露わになったその影は、確かにアンリエッタその人だった。
ここでルイズは気が戻ったのか、アンリエッタを見るなり叫ぶ。
「姫さま!! こちらにいらしてくださいな! その御方はウェールズさまではありません! 『アンドバリの指輪』で蘇った亡霊なのです!!」
ルイズは悲しみを抑えながらも叫び続ける。こうなった事態を作り出したのは、元はといえば自分の過ち。
それが今、敬愛なる姫を苦しませていることになっているなんて…ルイズにとってこれはこれ以上ない辛さだった。
しかし、アンリエッタはウェールズに寄り添い、ただ首を振るばかり。ここでウェールズがおどけるように言った。
「おかしなこと言うね。彼女がついてくるのは、他ならぬ彼女の意思そのものさ。それ以上でも以下でもない。さて、それが分かったなら早速取引といこうじゃないか」
第三十七幕 『人斬り抜刀斎 前編』
「…取引だと?」
「そうさ。ここで君達とやりあってもいいが、僕たちは馬を失ったからね。明日まで馬を調達しておきたいし、魔法もなるべき温存した――――」
話している途中、不意にタバサの『ウィンディ・アイシクル』が、ウェールズの全身を余すところなく貫いた。
しかし、先程の兵士達と同じくウェールズは倒れない。どころか、みるみる内に傷口まで塞がっていった。
「無駄さ。君たちの攻撃じゃあ、僕には傷一つつけられない」
その様子を見たルイズが、再びアンリエッタに向かって叫んだ。
「見たでしょう! それは最早王子様ではありません! 別の何かですよ、姫さま!」
ただひたすら必死にアンリエッタに訴えかけるルイズだったが、それでもアンリエッタはルイズの言葉に耳を貸さない、貸したくないようだった。
「…お願いよ、ルイズ。杖をおさめて、わたしたちを行かせて頂戴」
「何を仰るのですか! それはもうウェールズ皇太子ではないのですよ! 姫さまは騙されているのよ!!」
しかし、アンリエッタはニッコリと笑うだけだった。その笑みには鬼気迫るものがあった。
「ええ…分かっているわ。唇を合わせた時から、そんな事は百も承知よ。でも、それでもわたしは構わない」
そして、今度は毅然とした表情をしてこう続ける。
「ルイズ、貴方は人を好きになったことがないのね。本気で好きになったら、何もかも捨ててでも、ついて行きたいと思うものよ。
世の中の全てに嘘をついてでも、これだけは…この気持ちにだけは嘘はつけないの」
「姫さま…」
「これは最後の命令よ、ルイズ・フランソワーズ。道を、あけてちょうだい」
アンリエッタの気迫ある声に、ルイズはすっかり萎縮してしまった。もう、彼女は止められない…。
自分の声はもう、届かない。
ただ呆然としているルイズ達を見たアンリエッタは、ウェールズと一緒にゆっくりと先に進もうとした、その時だった。
その目の前を、剣心が立ち塞がったのだ。
「姫殿には悪いとは思う。だが、このまま行かせるわけにはいかないでござるよ」
憮然としてそう言い放つ剣心に、アンリエッタは精一杯の威厳を振り絞るかのように口を開く。
- 38 :
- 「どきなさい。これは命令よ」
「済まないが、この国に忠誠を誓ったわけではござらん。拙者はルイズ殿の使い魔ではあるが、その前にただの『流浪人』でござるからな」
なおも淡々と告げる剣心を見て、アンリエッタはわなわなと震え、そして叫んだ。
「どうして…どうして邪魔をするの!! 忠誠を誓わない貴方が、わたしの気持ちを知る由もない貴方が、どうして立ち塞がろうとするの、何で行かせてくれないの!!?」
遣り場のない怒りをぶつけるかのように、アンリエッタはただ叫んでいた。それを見て、剣心は…ルイズ達が初めて見る、どこか物憂げな表情をした。
「わかるでござるよ…大切なものをなくした気持ち。返ってきて欲しいと思う気持ち。それが叶わず絶望する気持ち…けど姫殿、いつまでも過去を振り返っても、それじゃ前には進めない」
「だから…貴方に何が…」
「姫殿は、さっき『自分に嘘はつけない』と言ったでござるな。けど拙者には、無理して自分に言い聞かせているだけにしか見えぬ。
本当に、その言葉に、嘘偽りはないでござるか?」
アンリエッタは、言葉を詰まらせた。彼の一言一言が、アンリエッタの心を貫いていく。
その時、助け舟を出すかのようにウェールズがアンリエッタを抱き寄せた。
「騙されてはいけないよ、アンリエッタ。この男は冷静な態度でもその実、君を拐かそうとしているんだ。君は僕を信じてくれればそれでいい」
「ウェールズ様…」
その言葉に、アンリエッタはうっとりとしてウェールズに寄りかかる。そこでウェールズは、唐突に可笑しそうな声で言った。
「全く…面白いものだね。かつて冷徹、無情、無慈悲で冷酷な殺人鬼で名の通った『人斬り』様が、まさか情を語らうとは。それも作戦の内かい?」
ウェールズのその言葉に、とうとう我慢しきれなくなったのか、今度はルイズが食ってかかった。
「何よ、さっきから聞いてれば人の使い魔を人斬りだの殺人鬼だの…そんな風に言わないでよ!!」
「おや? 君は本当に知らないのかい? 主人であるくせに?」
おどけた様子でウェールズは尋ねた。その顔は邪悪で満ち満ちている。
「あっはっは、これは傑作だ! よもや自分の召喚した使い魔の、本当の素性を知らないとは!!
…と、そう言えばこの国は人の過去をあまり詮索しないんだっけか」
愉快に笑うウェールズを見て、ルイズは怒りより先に不安を覚えた。
あの夢が…また脳裏に蘇ってくる…。
「なら、他国の僕が代わりに話してあげようじゃないか。君の知らない、この男のとんでもない一面というのを…」
その言葉に、ルイズは嫌でも釘付けになってしまう。キュルケも、タバサも、そしてアンリエッタも、興味深そうに耳を傾けていた。
ウェールズは、以前かわらぬ表情をしている剣心を見て、一度ニヤリとすると、大げさな身振りで話し始めた。
「昔々、ここではない『どこか』…我々が『異世界』と呼ぶべき世界では、かつて戦争がありました。二つの勢力が、我こそが正しいと日々争い、殺しあった時代。そこに男は突然現れました。」
「男は、目に入るもの全ての人を斬り殺しました。闇夜に身を預け、獲物に悟らせず、まるで息をするかの如く人を斬る。それは文字通り鬼のようで修羅とも呼ばれる強さだったといわれてきました。
そこには平和を夢見る、ただの心優しい人間だっていたはずです。しかし、男はそんな人々にも躊躇いなく剣を振るい続けました」
「やがて、動乱が終わると男はひっそりと姿を消しました。幾多の斬り殺した人間の怨念から、まるで逃げるかのように…。最終的に斬った数は、百、千…否、それ以上とも云われています。
その、人を斬った事だけで伝説を謳われた男は、後に人々から畏怖と憎悪を込めてこう呼ばれるようになったのです…」
ウェールズは一旦、ここで止めて、そして吐き出すかのように言った。
「『 人 斬 り 抜 刀 斎 』と…それが君の呼び出した使い魔の、本当の正体さ」
話を聞き終えた後、皆一様にして呆然と口を開けていた。その中でルイズは恐る恐る、その視線を剣心へと向けた。
じゃあ、やっぱり…あの夢は……。
- 39 :
- 「……ホントなの?」
震える声で、ルイズは言った。
出来れば、否定して欲しかった。あの夢は現実じゃないと、そう言って欲しかった。
けど、剣心はルイズを見ると…悲しそうな表情をして言った。
「否定はしない…。全ては奴が今話した通り、それを否定するには…拙者は余りにも罪を重ねすぎた」
「…どうして、言ってくれなかったの?」
聞かないと決めたのは自分のはずなのに、なぜかルイズの意思に反してそんな言葉が口から出た。
それでも剣心は、なお優しそうな、それでいて切なそうな笑みを浮かべて言った。
「すまなかったでござるな。拙者は隠す気はなかった。でも…できれば語りたくなかった。それだけでござるよ」
その剣心の笑みを見て、ルイズはハッとした。
ただ悲しそうで、それでいて優しい目。
ふとルイズは首にかけたペンダントを見る。そして思い出した。その時のしてくれた彼の表情を…あの時の楽しさを……。
「さて、では戯れもここまでにして、そろそろ本格的にどいてはくれないかな?」
「言ったでござろう…通すわけにはいかぬと」
相変わらず不気味な笑顔で歩み寄るウェールズに振り返り、剣心はどこまでも憮然とした表情で言った。
「なら仕方ないね…力ずくでも退いていただこう」
ウェールズは、サッと杖を引き抜いた。それに反応するかのように、剣心も動き出す。鞘から逆刃刀を抜き、一閃を放つ。
しかし、偶然かタイミングが良かったのか、その前を巨大な水の壁が覆った。
「ウェールズさまには指一本触れさせはしないわ!!」
アンリエッタがそう叫んで、ウェールズの前に水の魔法を放ったのだ。
「くっ…」
剣は水の壁と衝突するが、流石に只の刀に水とは相性が悪い。押し返されそうになるも、剣心は鍔迫り合いに持ち込んで何とか耐える。
ルイズは、それをしばし呆然と見つめていた。…そして決心したのか、杖を抜き剣心の方へと向けた。
「…ルイズ」
それを見たアンリエッタは、やっと味方してくれた、そんな安堵の表情を浮かべていた。
が、しかし、ルイズが吹き飛ばしたのは、水の壁の方だった。
ドゴン!! と爆発を起こした水は、飛沫を上げて飛び散っていく。
それを見たアンリエッタが、表情を一変させて叫んだ。
「どうして、何故貴女まで彼の味方をするの!?」
「…姫さまはご存知ないでしょう…ケンシンに、わたしがどれだけ助けられたか、ケンシンの言葉に、わたしがどれだけ救われたか」
ポツリポツリと呟くようだったが、そこに確固たる強さを持った声で、ルイズは呟く。
「確かに…昔は人を斬ってきたかもしれない。非情だったのかもしれない…でもそれはもう過去のことでしょう?
私の知っているケンシンは、決して、人斬りなんかじゃない」
アンリエッタに顔を向け、そしてさらに続ける。その目は打って変わって強い輝きを灯していた。
「わたしが召喚したのは、人斬り抜刀斎なんかじゃないわ。優しくて強いわたしの使い魔、ヒムラ・ケンシンよ!!」
そして、アンリエッタと同じくらい毅然とした様子で、ルイズは杖を、ウェールズ達に突きつけた。
「そして! いくら姫さまといえども、わたしの使い魔には指一本たりとも触れさせることは許しませんわ!!」
髪の毛を逆立て、ぴりぴりと震える声でルイズは叫ぶ。
「…ルイズ殿……」
それを見た剣心は、どこか、嬉しそうな表情をした。
それに頷くかのように、キュルケやタバサも動き出す。それと同時に、周りを囲んでいた死人の兵隊達も魔法を放ち始める。
戦いが、始まった。
- 40 :
- しえん
- 41 :
- 直ぐ様ここにいる場所が、戦場へと早変わりした。
飛び交う魔法の呪文、風が唸り、炎が荒れ、水が迸り、土が揺れ動く。
タバサとキュルケは、素早く動いて回避する。反応が間に合わなかったルイズも、剣心に連れられる形でその場を離れた。
相手は不死身の兵隊達、斬ろうが叩こうが死ぬことはない。だがたった一つだけ、弱点とされるものがあった。
それは『炎』。
キュルケの放つ『ファイアー・ボール』が、一人のメイジに当たって燃え上がると、そのまま起き上がることなく倒れ込んだのだ。
「やった! 炎が効くわ! 燃やせばいいのよ!」
それを聞いたタバサは、直ぐ様キュルケの援護に回る。キュルケの放つ火の玉は、それから後三人ほど燃やし尽くした。
しかし、この快進撃も長くは続かなかった。
突如、ポツリポツリと水滴が空から落ちてきたのだ。それは段々多くなり、やがて音を立てて雨が降り出し始めた。
タバサが、珍しく焦ったように空を見上げると、そこにはいつの間にか巨大な雨雲が発生していた。
それを見たアンリエッタは快哉の声を上げる。
「見てご覧なさい! 雨よ、雨! 雨の中で『水』に勝てると思っているの? この雨のおかげで、わたしたちの勝利は動かなくなったわ!!」
嬉々とした表情のアンリエッタを見て、剣心は首をかしげた。
「そんなものでござるか?」
「…まあ、すっごい不利なのは確かね…」
キュルケが苦い顔をして言った。雨が振る以上、キュルケの火も弱まる。それに相手のアンリエッタはこれで水の鎧を敵方に全員はれることだろう。
タバサの風や剣心の刀では相手を傷つけることすら敵わない。
「…どうする、一旦逃げる?」
伺うような表情で、キュルケは尋ねた。だが実をいえば、それほど絶望視しているわけでもなかった。
だって、今自分たちの前にいるのは、そんな窮地から何度も救ってきてくれた、あの緋村剣心がいるからだ。
彼が諦めない限り、自分たちだって全力を尽くす。そう決意しているキュルケ達をよそに、剣心は鋭い目で、ルーンを唱えるアンリエッタを見つめた。
「そうだな…、倒せないのなら無力化するまででござる」
そう言って、剣心は逆刃刀を一度鞘に納めた。何をするか見当がついたタバサは、それに習って剣心の動向を見やった。
アンリエッタは悲しい表情でルイズ達を見つめていた。出来れば、彼女達は殺したくない。杖を捨てて道を開けて欲しかった。
だけど、彼女らはどうやら引くつもりはないようだった。この雨を見れば、誰だって自分たちの勝ちは明白だというのに…。
「……あくまで退くつもりはないようですわね…」
はぁ…とアンリエッタはため息をついた。ならば仕方ない、この状況がどういう意味か分からせてあげるまで。その内に諦めて逃げてくれることを祈ろう。
そう思い、まず全員に水のバリアを貼ろうと杖を高々とあげて、ルーンを唱えた、その時だった。
「―――――えっ…?」
一瞬、本当に一瞬だった。何かがぶつかるような痛みを、高く上げていた手の方から感じた。
そしてぎょっとする。杖が弾き飛ばされていたのだ。本当にいつの間にか。
「っ…しまった!!」
慌てて探索するアンリエッタのすぐ横には、抜身となった逆刃刀が深々と突き刺さっていた。
- 42 :
- (済まない、姫殿…)
飛天御剣流 『飛龍閃』にて、アンリエッタの杖を弾き飛ばした後、剣心は心の中で彼女に謝ると、素早く鞘とデルフの柄を握り、敵の一団へと向かっていった。
遅れてタバサが続く。
すかさず飛んでくる魔法の光を、デルフで全て受けとめると、今度は鞘を使ってメイジの杖のみを的確な動作で弾き飛ばした。
「キュルケ殿、炎!!」
そう叫ぶ剣心の言葉に、キュルケはピンと来ると、急いで呪文を唱えて小さな炎を作り出し、それを宙に舞う杖めがけて放った。
ボン! と小気味よい音を立てて杖は燃えた。
(無力化すればいい…たしかにそうだわ!)
いかな不死身とはいえど、杖をなくしたメイジ相手に自分たちが遅れを取る訳がない。成程理には適っている。
キュルケがそう考えていた頃には、剣心は飛天の剣をもって風の如き速さで一団の隙を縫うように走り、その途中すれ違うメイジたちの杖を全て叩き落としていった。
魔法はデルフで体よく吸収し、杖の持つ手を鞘で弾き、時には自らデルフで叩き割ったりもしていた。
「ホント、どうやったらあんな動きが出来るのかしら…」
相変わらず目で追うことも出来ない剣心の動きを見ながら、飛んでった杖を炎で燃やす中、キュルケはふとタバサの方へと視線を移して…そして目を見張った。
今の彼女の動きは、何ていうか…キュルケの知るタバサの戦い方とは、ちょっと違っていたのだ。
タバサが、一人のメイジ相手に立ち向かっていく。メイジは、彼女めがけて風の魔法を放つ。
いつもの彼女なら、ここは無難に避けて様子を見るだろう。
しかし、あろうことかタバサは身を屈ませて、風の刃を前にして突っ込んでいった。
頬に小さく切り傷をつくるも、魔法を避けたタバサはそのまま接近戦を挑んでいく。
直ぐに相手側は『ブレイド』の呪文を使ってタバサに切り掛ろうとするが、何と今度はそれを絶妙な体捌きと杖の動きだけで逸らした。
「あの子…あんなにアグレッシブだったかしら…?」
普段見るタバサのそれとは、全く違うその戦い方。時折剣心の方を向いては、まるでそこから学び取るように動きを変えていた。
タバサは、そのまま杖を動かしてメイジの杖を持つ手を狙って、思い切り叩いた。宙を舞った杖を振り返らず、タバサは先端の方のみを杖に向けてルーンを詠唱、杖は真っ二つに切り裂かれた。
余韻に浸る間もなく、次に襲ってくる二人のメイジを、タバサは見据えた。そして…あの構えをとる。
腰に杖をあて、屈んで待つ抜刀術の構え。しかしタバサは、待ちに徹さず後ろ足を思い切り踏んで地を蹴った。
呆気にとられている(ように感じる)メイジをよそに、タバサは素早く杖を振る。遅いながらも的確な動作でまず一人の杖が弾き飛ばされる。
その隙を狙って、もう一人のメイジが呪文を唱えようとするが、今度は『ジャベリン』で作った氷の刃が閃き、もう一人のメイジの杖をそのまま二つに切り飛ばした。
「はは…相変わらずブレないわね、あの二人」
相手は何度も蘇る不死身の軍隊だというのに、いつもと変わらず無双を続ける二人を見て、キュルケがニヤリと笑った。
「ホント、この二人が味方な時は、何が来ても負ける気がしないわ」
そう言っている間に、剣心は最後のメイジの杖を叩き潰した。これで全員もれなく弱体化。メイジからただの人間へと成り下がった。
剣心は、一旦鞘を腰に納め、タバサの方を見た。
「タバサ殿、任せても良いでござるか?」
タバサは、頷くような仕草をしたあと、すぐさま呪文を唱える。敵全員を吹き飛ばす『ウィンド・ブレイク』を、『龍巻閃』の様に身体を一回転させながら放った。
ゴウッ!! と暴風が辺りを覆い尽くし、その射程上にいた敵達は、その風の元吹き飛ばされていった。
(あの子の風…また少し強くなったわね…)
タバサが放った『風』の呪文の威力にそう疑問を感じながら、キュルケはタバサを見た。
(何よ、もう…ケンシンもタバサも…)
この光景を見て、ルイズは複雑そうな表情をした。
さっきは大見得切ってあんなこと言ったのに、いつの間にかあるべきポジションをタバサに取られていた事に、不服を感じていたのだった。
本当なら、剣心の隣にいるのは…自分のはずなのに…。
(私だって…戦えるのに…)
そんな悔しい思いをしながら、じゃあ自分には何ができるだろうか、と考えた。『爆発』以外に…。
「他に何かないの!? 伝説の『虚無』の力はこれだけなの…!?」
ルイズは、思わず『始祖の祈祷書』を懐から取り出し、ページを捲っていた。
何かないか、何か…そうして捲っている内に、本来真っ白だったところに、新しい文字が光っているのを見つけた。
- 43 :
- 「…嘘…」
やっとのことで杖を拾い上げたアンリエッタは、その光景を見て、そして唖然としていた。
暗かったとはいえ、水晶のように光る杖を見つけるのに、そんなに時間はかけていないはずだ。精々数十秒かそこいらである。
なのに、杖を拾い上げてそれを向け、呪文を唱えようとしてみれば、その唱えるべき対象はもういない。皆吹き飛ばされて視界から消え失せた後だった。
その雨の中、無表情でこちらを見る剣心とタバサは、未だに疲れどころか息切れ一つしていない。まるで何事もなかったかのように、ただアンリエッタを見つめるだけだった。
ふと、アンリエッタの脳裏に、オールド・オスマンの言葉が過ぎる。
『飛天御剣流はご存知ですかな? かつてワイバーンから私を救ってくれた恩人が振るっていた流派の一つでしてな。その強さはメイジの比ではない、あのエルフとも、正面からやりあえると私は思っております』
嘘じゃなかった…本当に目の前の男は、剣一本だけだというのに…この軍勢を相手にもろともしていない。
雨が降って、勝利は完全に揺るがないものだと信じていた。なのに、その全てを悉く打ち崩されてしまった。
緋村剣心という使い魔によって…。
(どうしよう…)
思わず恐怖で身体を震わせるアンリエッタを、ウェールズが優しく包み込む。
「安心しなさい。僕のアンリエッタ。これが終われば、晴れて僕たちの障害を阻むものはいなくなる。――さあ杖をとって、僕と一緒に詠唱してくれ」
今のアンリエッタにとって、ウェールズの声だけが心の支えだった。彼が杖を掲げると、アンリエッタもそれに習って杖を掲げる。
強力な魔力が、二人の間に流れ始めていた。
『水』、『水』、『水』の三乗に、『風』、『風』、『風』の三乗。それが合わさり、巨大な六芒星を作り出し、そこから水を纏った巨大な竜巻が出現する。
『トライアングル』同士でも、こうも互いに息が合うのは珍しい。殆どない、と言っても過言ではないだろう。
王家のみに許された秘術、『へクサゴン・スペル』。
詠唱は干渉しあい、段々と膨れ上がっていく。
城でさえ一撃で葬りそうな、その津波と暴風の合わせ技に、大気は唸り、揺れ動いた。
- 44 :
- 今回はここまでです。続きは明日投稿いたします。
この次の後には、いよいよ外伝を挟む予定です。まったりとお待ちくださいませ。
それではここまで見ていただき、ありがとうございました。また明日。
- 45 :
- >>30
アニメでは忘却で惚れ薬の効果を打ち消せたけどスカロンがかかったのはキモかった
- 46 :
- 乙でござる
- 47 :
- >>46さん、ありがとうございます。
さて、それでは予告通りに後編を投稿しようと思います。
予約がないようでしたら0時10分から始めます。
- 48 :
- それでは始めます。
唸るような風をその身に受けながらも、剣心はそれを一瞥しながら考察した。
(さて、どうするか…)
流石にあの竜巻は受けきれそうもない。あれを何とか回避したあと、反撃に移るのが無難か。
そう考えて一旦この場は離れようとルイズ達に告げようとすると、キュルケの困ったような声が聞こえてきた。
「ねえ、この子急に固まったまま動かないんだけど!!」
第三十七幕 『人斬り抜刀斎 後編』
「どうしたでござるか!?」
キュルケ達の目の前にも、あの台風は見えている。早く離れようとする気持ちは一緒だろう。
しかし、ルイズにはまるで何も見えていないかのように、『始祖の祈祷書』を持ってブツブツと呟いていた。
「ルイズ殿?」
剣心が足早でルイズの隣に来ると、デルフが何事か閃いたようだった。
「ああ、『解除』か。確かにこの状況にゃあうってつけかもな」
「…『解除』?」
「あいつらと俺は、根っこは同じ魔法で動いてんのさ。四大系統とは根本的に違う、『先住』の魔法。ブリミルもあれにゃあ苦労したもんだ」
昔を懐かしむような口調で、デルフは言った。
「けどよ、ブリミルだって手をこまねいてた訳じゃねえ。いやはや、対した奴だったぜ。
きちんと対策は取ってあったのさ。今動いている『先住』の魔法を文字通り解除する呪文、それが今唱えてる、『ディスペル・マジック』さ」
成程、ルイズはルイズなりに自分の出来ることを考えているんだろう。剣心は思った。
だが、どうにも詠唱は終わらなさそうな様子である。その前にあっちの呪文の方が先に完成するだろう。
そんな状況なのに、今のルイズには何も届いていない。ただ集中してルーンを紡いでいるだけだった。
「この子、一体どうしたの?」
キュルケが疑問符を浮かべて尋ねる。
「ルイズ殿は自分なりに、どうすればいいのかを考えている。それだけでござるよ」
そう言って、剣心は少し微笑んだ。
何だろう、ルイズのルーンを聞いていると、不思議と力が漲ってくる。高揚感を隠せなくなる。
今目の前に渦巻く台風を、受け止めることも出来るんじゃないかという、可能性で溢れてくるのだ。
「ふーん、そう。でもあれに対抗するには、せめて『伝説』ぐらいもってこないとね…って、そう言えばどっちも伝説なんだっけ」
キュルケはそう茶化したが、同じように不思議と危機感は感じなかった。
案外、この二人ならあれもどうにかしてくれるんじゃないか? と段々大きくなる竜巻を見やりながらも、キュルケやタバサはそう思っていたのだ。
「二人は下がって、ここは拙者達がやるでござる」
剣心はそう言って、ルイズの眼前に、まるで彼女を守る盾のように立ちはだかった。邪魔しちゃ悪いとキュルケ達も素直に頷き、そして被害が及ばない場所へと隠れる。
渦巻く奔流を前にしても、剣心の表情はどこか晴れやかだった。
(何だろう…この感じは…)
こうやってルイズのルーンを聞き続けると、力だけでなく心まで安らかになってくる。遠い記憶、赤ん坊の頃に、まだ生きていた母に聞かせられた子守唄の様だった。
「変なものでござるな」
「そういうもんさ、ガンダールウ。お前さんの仕事は、その飛天御剣流で敵を無双することじゃねえんだ。
『呪文詠唱中の主人を守る』。それだけさ。そうすりゃ『ガンダールヴ』はいくらでもお前さんに力を貸すぜ」
なるほど、今は『ガンダールヴ』の影響を受けているからか、とデルフの話を聞いて剣心は納得した。でも、今回はアルビオンと違い、どこか悪くない心地だった。そして…ふと昔を思い出す。
まだ自分が『心太』だった頃…守れなかった大切な人の墓の前で、強くなろうと決意したあの頃の記憶を…。
- 49 :
- 歩む道を間違えて、大きな罪を負ってしまったけれど、本当はこういう風に誰かを……何かを守りたかった。
そう考えると、剣心の顔は思わず綻んだ。結局それに気付くのに十年以上掛かってしまった。でも、まだ自分の力を必要としてくれる人がいる。その人を守るために全力を尽くす。何ともいいものだった。
今なら、大剣で抜刀術にも向かないデルフでも…最高の状態で『あれ』が撃てそうだ。
「お取り込み中悪いが、やはりあちらさんのが速かったみたいだぜ」
詠唱が完成したのだろう、竜巻の唸りに殺意が込められ始めた。そして次の瞬間、それは目にもとまらぬ速さで剣心達に襲いかかってきた。
しかし、剣心は慌てず騒がず、ゆっくりとデルフを鞘に納め、腰に置く。ワルド戦のときと同様、その構えは『抜刀術』だった。
しかし、それを傍から見ていたタバサは、無意識に首を振った。
違う、これから放つ技は、ワルドの時に見せた『双龍閃』とか、そんな次元じゃない…もっと強力な…何か。
タバサは目を凝らした。是非、それを自分も見極めたいと思って。
そんな背景を知ってか知らずか、水の竜巻は剣心を飲み込もうと目前まで迫ってきた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
剣心は叫んだ。それと同時にルーンも、今まで以上に光り輝く。高揚感高らかに、剣心は『左足』を踏み込んだ。
刹那、光の速さでデルフリンガーは抜き放たれる。それがまず『風』の台風に直撃し、激しく拮抗した。魔法は吸い込まれるようにデルフの方へと向かっていく。
途中通り過ぎる風の刃をその身に少し受けながらも、剣心は歯を食いしばってそれを耐えた。髪留めが解け、緋色の髪が流れるように広がる。
時間にして一秒あったかないか、その風の衝突は剣心の振り抜きで全て掻き消えた。しかし、残る『水』の奔流が、躊躇なく剣心へと襲いかかる。
しかし、剣心は素早く一回転、地を踏み砕きながら、更に威力を上げた『最強の二撃目』を繰り出した。
再び、魔力と剣の衝突。辺りを吹き飛ばし、木々は荒れ、木の葉は耐え切れずに舞い上がっていった。
その後ろで、ルイズは遂に呪文を完成させた。無論傷一つ負うことなく。
眼前には巨大な水の塊が迫ってきているというのに、全然怖く感じられなかった。
ただ、剣心が守ってくれている。それだけで不安も、さっきの変な嫉妬も何処かへと吹き飛んでいった。
やっと、自分も戦いの役に立てて、その無防備な身体を、優しい使い魔が守ってくれて。今だけ、剣心と一緒に戦っているという実感が、ルイズにとってはこの上なく心地いいものだった。
そして、この勝敗にもそろそろ決着が決まる運びとなっていった。
拮抗していた水と剣の力も、徐々に力が弱まっていく。だがそれとは裏腹に、ルーンは更に強く光る。
飛天御剣流 『奥義』
生と死の狭間で見出した、比類なき最強の技。それはルーンの力によって更に強く、更に大きなものへと変わっていった。
- 50 :
- 「うおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
勢いを無くし始めた強烈な水流に対し、剣心は思い切りデルフを振るい、水の奔流を横一閃に薙いだ。
― 天 翔 龍 閃 ―
それだけで、水は勢いと力を失い、ただの水滴へと変わっていく。
その瞬間を見たルイズが、ウェールズ達に向けて『ディスペル・マジック』を放つ。
眩い光が辺りを覆ったかと思うと、急に周りにいたメイジたちがバタバタと倒れていく。
その中にはウェールズも例外では無かった。
覆い隠していた雲はゆっくりと晴れていき、空から月の光が流れ込む。
死人が蘇る悪夢は…こうして幕を閉じた。
「……姫様…!!」
誰かに呼ばれる声が聞こえて、アンリエッタはその目を開けた。どうやら詠唱中に気絶してしまったらしい。
「…ルイズ…わたし…は…」
まっさきに飛び込んできたのはルイズの顔だった。そしてアンリエッタは、何が起こったのか、そして自分が何をしたのか、それを思い出した。
急いで起き上がり、隣を見れば、そこには冷たく横たわったウェールズの姿があった。安らかな笑顔で、ずっと動かないまま。
「……ウェールズ…さま…」
アンリエッタは、ポロポロと涙を流した。自分のしてしまった過ち、それは決して許されるものではない。
悪夢だと分かっていた。でも、自分はその悪夢に身をゆだねた。その結果、大事な親友にまで手にかけようとした。その迷惑のせいで、たくさんの人が…死んだ。
「目は…覚めましたか?」
ルイズが、悲哀とも侮蔑とも取れるような声で言った。彼女にも色々思うことはあるのかもしれないが、そこにいるのはいつものルイズだった。
でも、自分には彼女に縋る権利すらない。一度、彼女を殺そうとしたのだ。なんて言ったらいいのか、なんて赦しを乞えばいいのか、それを聞く資格は…ない。
「あの…起きて早々何で申し訳ないのですが、ケンシンを治して欲しいのです」
困ったような口調だったが、そこは有無を言わせないような感じでルイズは告げた。
見れば、隣には髪留めが解け、女のように髪を流しながらデルフを納めている剣心の姿があった。
「いや、拙者には必要ござらん。それよりも、他にもまだ息のある者が何人かいた。そっちの方を頼むでござるよ」
そう言って、この間にキュルケやタバサが探してきた、重傷ながらもまだ生きているヒポグリフ隊の兵隊達の方を剣心は指した。
確かに、あちこち切り傷を覗かせてはいるが、普通に立って歩いている分剣心の傷はさほど深くはないのだろう。―――アンリエッタには信じがたいことではあるが。
あの水と風の竜巻を受けて、ここまでの傷で済む彼は、一体何をしてあの竜巻を突破したのだろう…?
「あれは…何?」
そう思ったのはアンリエッタだけではなかったようだ。タバサもまた、不思議そうな表情で剣心に尋ねた。
「まあ、『奥の手』でござるな」
「しっかしおでれーたぜ相棒。まさかホントに防ぎ切っちまうなんてな。飛天御剣流を生み出した奴ってのは、どんなバケモノなんだ?」
「いやいや、デルフの吸収能力がなかったら、こうまでいかなかったでござるよ」
「そうだろそうだろ!! やっと相棒も俺の価値が分かってくれたみてえじゃねえか!! 感激すぎて涙が…出てくらあ…っ」
カチカチわめきながら急に吃り始めるデルフを見て、ああ、アイツも相当苦労してたんだなあ、とルイズは思った。
そのルイズの横目では、アンリエッタが暗い表情ながらも献身的な姿勢で、自分を探しに来てくれた忠臣達の傷を癒していた。
ある程度大事にはならない程度まで皆を回復させると、今度はアンリエッタは剣心の方を向いた。
「傷を見せてくださいまし。せめて、これだけは役立たせてください」
そう言って呪文を詠唱しようとするが、無理をし続けたのか、急にふらついて剣心の胸に飛び込むような塩梅となった。剣心はアンリエッタの肩を静かに抱くと、優しい口調でこう言った。
「無理をするものではござらんよ。拙者の傷は本当に大丈夫でござる」
あくまで、今の状態のアンリエッタを気遣っての発言なのだろう。しかし、それを聞いたアンリエッタは顔をうつむかた。
(どうして…何で恩義を受けとってくれないの…?)
そんな我侭に似た感情が、アンリエッタの中で沸ふつと湧き上がってくる。
彼に聞く資格なんて無いと思う。でも、それを跳ね除けても今、アンリエッタは聞きたかった。
- 51 :
- 「何故…貴方はわたくしに忠誠を誓わない以上、赤の他人の筈なのに…どうして貴方は…そこまでわたくしを…」
遣る瀬無さそうな声で、アンリエッタは尋ねた。何で彼は、こんなにも無欲なのだろう。なのに、何でこんなにも自分を助けようとしたんだろう。
何か欲しいものがある様でもなく、忠誠を誓うわけでもなく、でも本当に危なくなったときは、誰よりも早く駆けつけてくる。
結局のところ、王族として生まれ、王族として育ったアンリエッタは、剣心のその心に住む気持ちが全然分からないのだった。
そんなアンリエッタに、剣心は刺さっている逆刃刀を掴みながら、こう言った。
「…『人斬り抜刀斎』の下りは、聞いたでござろう?」
「ええ…それが…?」
「彼が言ってたことは、何一つ偽りはござらんよ。拙者は、かつてたくさんの人を殺めてきた」
どこか冷たくも悲しそうな表情をしながら、剣心は語り始めた。
「新時代の向こうにある平和を目指して、言われるがまま人を斬った。本当に、誰一人とて例外なく…」
剣心の悲しそうな声で呟く。その声の裏には、恐らくあの青年のことも入っているのかもしれない。ルイズは、なんとなくそう思った。
「そして漸く、激闘の果てに新時代は迎えた。けど、だからといって争いや諍いが無くなるわけではない。ちょっとしたことで人が傷つき、そして悲しむ者が現れる。
拙者は、そういった人々を助けてあげたいからこそ、今この剣を振るっているでござるよ。…それが、人斬りの過去を償う答えだと信じて…」
剣心は、ここで逆刃刀をルイズ達に見せた。
「じゃあ…その剣は…わざとそんな形にしてたのね…」
ナマクラだと思ってた。何でこんなにもこの刀にこだわるのか、ずっと不思議だった。
でも、ようやく分かった。この刀は、彼の『信念』そのものなのだ。Rことしか出来ない彼にとって、『殺せない刀』というのはそれだけで意味があるのだと…。
「少なくとも、拙者には、姫殿は悲しんでいるように見えた。悪夢に狂っている裏で、その中に眠る良心をずっと抑え続けてきた。そうでござろう?」
アンリエッタは言葉を詰まらせた。自分ですら分からなかったことを、こんなにも自分の気持ちを把握している、剣心のその口ぶりに。
「それにあのまま行かせたら、ルイズ殿だって悲しむ。拙者はもう、だれかが悲しむ顔は見たくない。それを放っておくことなどしたくはない。だからせめて、目の前に移る人々は守っていきたい。そう思っているでござる」
でも…、とここで剣心は、申し訳なさそうな表情をアンリエッタに見せて言った。
「姫殿には本当に済まないと思っている。言い訳にしかならないとはいえ、ウェールズ殿が殺されたのは、拙者の油断のせいだった。あの時、少しでも反応が間に合っていれば…」
それを聞いたルイズが、慌ててアンリエッタに向かって言った。
「そんな、ケンシンのせいじゃないわよ!! わたしが勝手にでしゃばったから…それだから…」
俯くルイズを見て、アンリエッタは首を振った。
違う…そもそもそんな危険な任務を頼んだのは自分なんだ…。
そう言おうとして、不意に誰かの声に遮られた。
「……ここは…どこだ…?」
その声を聞いて、一同は驚いたように一斉にそちらを見やる。
何と、ウェールズが息を吹き返し、虚ろな目で辺りを見回していたのだ。
その顔に、さっきまでの邪悪さは微塵も感じられない。ルイズ達が一度目にした、優しくも誇り高い姿だったウェールズの表情だ。
「ウェールズさま!!」
アンリエッタは、我を忘れて彼を抱き起こした。涙が再び溢れ出す。それは、歓喜の涙だった。
「ウェールズさま…今度こそ…」
「その声は…アンリエッタかい…?」
虚ろな目をアンリエッタに向けて、ウェールズは微笑んだ。
「やっと…会えた…君に…」
アンリエッタは、無我夢中で抱きしめた。その頬から涙が伝う。
奇跡…というほかなかった。『解除』が偽りの命を吹き飛ばしたときに、わずかに残っていたウェールズの生命の息吹に火を灯したのかもしれない。
だけど、それは長くは続きそうには無かった。
じわり…とウェールズの胸から大きな血溜まりが浮き出てくる。ワルドに刺し貫かれた、あの傷だ。
アンリエッタは急いで呪文を唱えようとしても、傷口は徐々に広がってゆき、治るどころか酷くなる一方だった。
「いやだ…どうして…?」
泣きじゃくるアンリエッタを見て、ウェールズは優しく告げる。
- 52 :
- 「無駄だよ…この傷はもう塞がりはしない。僕はちょっと帰ってきただけなんだろう…もしかしたら水の精霊が気まぐれを起こしたのかもしれない…」
「ウェールズさま…いや、いやですわ…またわたくしを一人にするの?」
アンリエッタは嗚咽を漏らして、噛み締めるように呟いた。ウェールズは、そんな彼女の隣にいる、懐かしい友の姿の方を見つめた。
「ありがとう…君達のおかげで、僕は彼女に会えた」
「いや…それより、本当に済まなかった…あの時、拙者が助けに入っていれば…」
「いいんだ…君たちに会わなかったら、僕はどの道あの戦争の中で果てていたからね…」
申し訳なさそうに顔をうつむかせる剣心を見て、ウェールズはゆっくりと首を振った。そして、アンリエッタをもう一度見てから、ウェールズは剣心の方を向いてこう言った。
「君に…アンを…任せてもいいかい?」
『え…!?』
「彼女は、優しいだけに危ういからね…君になら…僕も安心出来るんだ…」
ルイズ達は唖然とした。ただの一介の平民に、一国の王子が頼み事をしているのだ。しかも、その内容もまた、『姫を頼む』という大きなものだった。
水の精霊の件といい、やっぱりケンシンは凄い…そうルイズは思う反面、どこか寂しいと思う感情もあった。
「…約束するでござるよ」
「ありがとう…友よ…王としてではなく、一人の男として、礼を言うよ…」
確かな友情が結ばれつつあったが、そうしている間にもウェールズの命は失われつつある。
ウェールズは最後に、ラグドリアン湖へ行きたいと頼み込んだ。何でも、アンリエッタに誓って欲しいことがあるらしい。
一行は、ウェールズの命が消えない内に、風竜を呼んで急いでラグドリアン湖へと向かっていった。
ラグドリアンの湖畔、そこでウェールズは、アンリエッタの肩に身体をあずける格好で浜辺を歩いていた。
うっすらと朝日が登る光を見つめながら、ウェールズは言った。
「…あの時、僕はこう思ったんだ…このまま二人で、全てを捨てられたらと」
ウェールズの一言一言は、話すたびに段々とか細いものになってゆく。それでも、アンリエッタは何度も頷いた。
そして、ずっと聞きたいと思っていた事を、ウェールズに尋ねる。
「…どうして、そんな優しいことを、あの時に仰って下さらなかったの。どうして愛していると、仰ってくれなかったの」
やがて、ゆっくりとウェールズは答える。
「君を不幸にすると知って、その言葉を口にすることは僕にはできなかった」
「何をおっしゃるの…貴方に愛されることが、わたくしの幸せだったのですよ…」
ウェールズは黙ってしまった。愛する気持ちは同じなのに、その想いゆえにすれ違った二人。それは、今この場でも埋められることはなかった。
それでも、『彼女の幸せ』を願って、ウェールズは言った。
「誓ってくれ、アンリエッタ…僕を忘れて、他の男を愛すると…その言葉を、水の精霊の前で言って欲しい」
アンリエッタは首を振った。そんな事、言えるはずがない。
それでも、ウェールズは力を振り絞るかのように言った。
「お願いだ…じゃないと、僕の魂は永劫さ迷うだろう…君は僕を不幸にしたいのかい」
「…ならば、ウェールズさまも誓ってくださいまし。わたくしを愛すると…今なら、誓ってくださいますわね」
それを聞いて、ウェールズは力なくも頷いた。段々と彼に生気が無くなっていくのを、アンリエッタに痛いほど伝えてくる。
悲しげな表情をしつつも、アンリエッタは誓いの言葉を口にする。
「誓います、ウェールズさまを忘れることを、そして、他の誰かを愛することを」
言い終えたアンリエッタは、ウェールズの方を見た。
「さあ、次はあなたの番よ。お願いですわ」
「誓うとも…僕を、水辺まで運んでくれ」
ウェールズの言われるまま、アンリエッタは水辺へと近付いていった。朝日が写って光り輝き、神秘的な美しさを魅せる湖の端に、足を入れる。
「さあ仰って。わたくしを愛すると。この一瞬でいいの。わたくしはこの一瞬を永久に抱くでしょう」
アンリエッタが、期待を込めた目でウェールズを見る。しかし、彼はもう項垂れたまま答えなかった。
「ウェールズ…さま…」
- 53 :
- 肩を揺さぶっても、どんなに声をかけても、もう彼には届かない。彼はもう、遠くへと行ってしまったのだ。自分の知らない、何処かへと……。
ふと、アンリエッタの脳裏に蘇るのは、あの時の記憶。彼と初めて会ったとき、何度も遊んだとき、誓いの言葉を水の精霊に告げたとき。
様々な思い出が、泡のように浮かんできては、泡のように弾けて消えていく。淡く、そして儚い記憶の跡だった。
振り返っても、もうあの宝石のような時間は、帰ってこない。
「意地悪な人…最後まで…誓いの言葉を口にしないんだから」
アンリエッタはそう言って、静かにまぶたを閉じた。そこから、一筋の涙が流れていった。
暫くして、アンリエッタはゆっくりとウェールズの亡骸を湖に横たえさせた。そして杖を振り、ルーンを唱える。
水が動き始め。それがウェールズを優しく包み込んだ後、やがて湖の中へと吸い込まれていった。
ウェールズの姿が見えなくなっても、アンリエッタは湖を見ながら佇んでいた。
そしてそれを、木陰の中から剣心達も見続けていた。隣で泣きじゃくるルイズの頭を優しく撫でながら。
その数日後、アルビオンでは――――。
「報告がありました…『アンドバリの指輪』での籠絡計画…失敗とのことです…」
王党派は消え去り、今や完全に新皇帝のものとなったロンディニウムの居城。
その一室にて、オリヴァー・クロムウェルは震えるような声で志々雄に作戦失敗の報を伝えた。
その顔は、いつもしている余裕の表情ではなく、顔は蒼白、そして恐怖で歪んでいた。
「申し訳ございませぬ…まさか…このような結果になろうとは…」
「別にいいさ、特に期待してたワケじゃねえしな」
対する志々雄は、いつもと変わらぬ余裕の笑みでクロムウェルに向けていた。寛ぐようにソファに腰掛け、優雅に煙管を吸っている。
「んで、何で失敗したと?」
「はあ、それが報告によると…皇太子一団を追って一匹の風竜と、その上に何人かが乗っていたと書いておりますが、それが誰かまでとは…」
冷や汗を垂らしながら、クロムウェルは答える。それは仮りにもこの国の皇帝とは程遠い表情だ。
むしろ、『皇帝』という扱いきれぬ重圧に、必死に耐えているようだった。
「まあ、十中八九奴だろ。俺が送った刺客は、どうやら見て間に合わなかったようだな」
「しかし…シシオ様…何故『アンドバリの指輪』を、どうやって退けたのか…」
理解できぬ、といった感じでクロムウェルは呟いた。死んでも蘇るあの不死身軍隊に、死角などなかったはずだ。
「『虚無』にはそういう力もある、ってなだけだろ。イチイチ狼狽えんな」
それに対し、志々雄の答えは淡々としたものだった。未だ正体不明の謎が多い『虚無』なら、そういったことの対処法でも書かれていたのだろう…そう考えをめぐらしていた。
ならば、他にも幾つかの呪文は当然あるはず。
強力な力を持つ『虚無』の担い手…それを守る盾『ガンダールヴ』。
「抜刀斎一人だけでも充分だと思ったが、成程虚無の娘も侮れないな」
「では…どうなさいます…」
もはや志々雄に縋り付くような雰囲気を醸すクロムウェルに対し、志々雄は言った。
- 54 :
- 支援
- 55 :
- 「言ったろ、まず奴等を仕留めることが先決だとな、まあ、生き残ったら生き残ったでそれは俺が楽しめるからいいんだが」
「ご冗談を…」
「今送った刺客が、どれ程の働きをするか、それを見た後からでもいいだろう」
あいつか…クロムウェルはあの男の姿を思い出し、そして身震いをした。
確かに奴は強い。だが、どこか扱いきれぬ危うさも同時に持っている。まさにあれは…人を斬るために生まれてきた存在だと言っても過言ではないだろう。
「シシオ様…あの…あ奴は一体何者…」
そう聞こうとしたとき、一匹の魔法人形『アルヴィー』が急に窓へと飛んできた。アルヴィーは隙間を塗ってこの部屋へと入ってくると、志々雄の前でボンと二つに割れた。
見ると、アルヴィー中身には何やら手紙のようなものが入っている。
「何だ、もう来たのか」
人形の中身にある手紙を取って、それを広げて書いてあることを読んだ。異世界の文字だが、ここに来て長く経つ志々雄には、難なく読めているようだった。
それに書かれている内容を見て、志々雄はニヤリと笑みを浮かべた。
クロムウェルですら思わず背筋が凍りつくような笑み…『剣客』としての獰猛な笑みだった。
「すまねえオリヴァー。少し開けるわ。直ぐに帰ってくるとは思うが、何か進展があったら手紙でも飛ばせ」
「シシオ様…どちらへ…?」
クロムウェルが慌てた様子で、志々雄に尋ねた。彼に手紙が来るたび、こうして何処かへと赴くのはクロムウェルも知ってはいたが、何せ今は状況が状況だった。
しかし志々雄はそれに答えることはなく、まずソファから腰を上げると、火薬の仕込んだ黒手袋を手に深く差し入れ、椅子に掛けていた愛刀『無限刃』を腰に差し、そして同じく机に掛けていたマントのようなものを肩に背負った。
それは、『シュヴァリエ』の称号がついたマント…その書かれている紋章は、杖を二つに交差した模様は…このハルケギニアでも随一を誇る魔法大国、『ガリア』の紋章だった。
それを持って扉を開け、部屋から出ていこうとしたとき、志々雄は言った。
「決まってるだろ? 依頼だ」
- 56 :
- それでは今回はここまで。いよいよアンドバリ編も終了しました。
この次は宣言通り外伝を挟む予定です。
飽き性な自分がここまで続けられているのも、皆さんの応援のおかげです。本当にありがとうございます。
ではまた近いうちに、それではまた。
- 57 :
- 乙でござる
完走目指して頑張って下さい
- 58 :
- るろうにの人乙でした
理想郷鯖落ちR最近更新してない作者さん達帰ってこないかな?
ディーキンの人やデュープリズムの人、アセルスの人の続きが見たい
- 59 :
- 乙でござる
- 60 :
- 乙
外伝か、どうも最近いいイメージないんだよな
だいたいタバ冒からくるけどどいつもこいつもワンパターンで工夫のかけらもないロリ吸血鬼懐柔ものばっかで食傷
- 61 :
- >>60
萌え萌えさんみたいにオリジナル展開な外伝もある。
確かにあれも人間時代のラルカスが出てたりしたけど。
- 62 :
- まあエルザに関しては特に必要性もないのに話に差し込んできて「ああこいつもかバカのひとつ覚えだな」と思うことはあるが
- 63 :
- 「必要性」って何さ?
- 64 :
- 出す意味があるかどうかじゃない?
- 65 :
- >>63
その後の話で空気になるのに仲間にするとか
- 66 :
- おい投下しにくくなるようなレスはやめろよ
過疎にトドメ刺す気か
- 67 :
- タバサの冒険から出せそうなネタといえば、エルザ以外だとギャンブルの話があるね。
ちょっとした息抜き程度で。
- 68 :
- ざわ
- 69 :
- 振り向かないことさ
- 70 :
- タバ冒からだと、ほかは翼人編がややあるくらいか
タバサにクロス相手の強さを知らしめたいなら吸血鬼より火竜のほうが何倍もインパクトあると思うけど、
なんでみんな頑なにエルザ出すんだろ? ミノタウロスやコボルトもいるじゃん
- 71 :
- 可愛いは正義。これにつきるな。
- 72 :
- 左様
- 73 :
- 俺はエルザは出だしに子供を惨殺したシーンで、こいつは絶対好きになれないキャラだと思ったがなあ
- 74 :
- 黒魔とかだとイザベラレンジャーとかで再利用してたよね。
あぁいう使い方もあんのかと感心したわww
- 75 :
- エルザはここに限らないけど「実はそんなに悪くない」「生きるためには仕方なく」と好意的解釈されてるの多いよな
実際には
・実年齢30歳以上、それに見合った老獪さと狡猾さを併せ持っている
・人間の命や情をなんとも思っておらず、平然と捨て駒にする
・獲物に恐怖を与えることを喜ぶ、狩りの範疇を超えた残忍な嗜好
メンヌヴィルといい勝負の悪魔だぞ。社長くらい基本設定からいじるならともかく、やすやすと懐柔するのは原作読んでるのかといいたくなる
- 76 :
- >>60
アーカードやとらの殲滅やら幻十の隷属化っていうのもあったけどな
- 77 :
- 紛れも無い悪党キャラだけど、その根幹が種族的なものや生存欲求だから改心の余地有りと見なされたり
ある意味小物だから悪寄りの召喚キャラが手懐けるにはお手頃だったり
善悪問わず人外キャラ同士で絡ませるにも手頃だったりするんだろう
ゼロ魔では希少なシビアな性格、かつロリババァ枠でもあるから話を膨らませやすくもなるし
- 78 :
- 原作で不遇なキャラを何とか報わせてやりたい、ってのが二次創作の楽しみの一つだからエルザ救済もしゃあない。
まあ確かによくよく考えれば外道なんだけど、置かれてる環境考えれば十分「可哀想」な子なわけだし。
ルイズが凄い使い魔召喚した〜、って流れの二次創作も結局は同じ種類のカタルシスを得たいが為の話だと思う。
でもアンアンだけは何故か助けてやる気になれない。不思議!
- 79 :
- ロリRならリシュがおるで!
- 80 :
- 種族が違うから善悪問うこと自体がナンセンスというか
- 81 :
- 皆様御久しぶりです
他にご予定の方がおられなければ22:50ごろから投下させてください
あと今回はいつもにも増して全然話が進んでいませんが、どうぞご容赦を…
- 82 :
-
そこで問題だ!この状況にどう対応するか?
3択――1つだけ選びなさい
答え@:ナイスガイのディーキンは突如全員の顔を立てる名案を閃く
答えA:真のヒーローのボスが脈絡も伏線もなく突然プレーン・シフトしてきて解決してくれる
答えB:ほっといて成り行きに任せる。テンプレは無情である
・
・
・
意を決して教壇へと一歩一歩下ってゆくルイズと、それを指を咥えて見守る生徒たち。
縋るような必死の眼差しを向けてくるキュルケと、無表情に本を広げながらもちらちらとこちらを見ている蒼い髪の少女。
あと状況をまるで理解していないシュヴルーズ教師。
それらを意識しつつ、ディーキンは手早く考えを整理していく。
(ディーキンがマルをつけたいのは答えAだけど……、ウーン、流石に期待はできそうにないね)
ここでボスがヒーローらしくジャジャーンと登場して『待ってました!』と大活躍すれば実に面白い物語が書けそうなのだが。
しかしこれといった理由もなく彼がやって来るのは流石に無理がありすぎるだろう。
彼は一日友人の姿が見えないだけで異世界まで探しに来るような常軌を逸した心配性ではない。
ちょっと悩んでいるだけの友人に頼まれもしない助けの手を差し伸べるために異世界まで来るほど、常軌を逸した過保護でもない。
自分は別に冒険時以外でも四六時中いつもボスと一緒に行動しているというわけではないのだ。
(答えBは……、意味がよくわからないし。ここは@しかないってことだね)
選択肢は決まった。
では次に、全員の顔を立て事を上手く収めるためにはどう行動するべきか?
一番手っ取り早く確実なのは、ある種の呪文を使ってルイズらの決意を変えることだろうが……。
ディーキンはそれを、真っ先に候補から外した。
大した必要もなく魔法で人の意志を無闇に捻じ曲げる事は、利欲のためではないにもせよ決して善い行いとは言えないものだ。
それに立場上は主人であるルイズに、使い魔の自分が呪文を掛けて操るというのもどうかと思えるし…。
何よりも“未知の亜人”の自分が、人間に“先住の魔法”をかけて言いなりにするところなどを見られたら大問題になるのは目に見えている。
(ウーン、まあ、何も魔法に頼ることはないね…ここは普通にいこうかな)
ディーキンは別の方策を決めると、軽く深呼吸をして心の準備を整える。
そして手をぴんと伸ばして声を上げた。
「先生、ルイズ! ディーキンは話があるの。ちょっと話させてほしいの!」
「「……えっ?」」
今まさに教壇に到着して実演に臨もうとしていたルイズの動きが止まり、シュヴルーズと声が重なった。
振り向いてみると、ディーキンが机の陰からちょこんと顔を出して小さな手をいっぱいに伸ばし、ぶんぶん振っている。
シュヴルーズは一瞬微笑ましげにこれを眺めたが、すぐに取り繕うように顔をしかめると注意の言葉を口にした。
- 83 :
-
「おや…どうかしたのですか、今は授業中であなたの主人が実演にかかろうとしているのですよ。
お話なら授業の後にしてください、使い魔さん」
彼女は実際には温厚な性格で本気で怒ったりは滅多にしないのだが、経験上大らか過ぎて生徒に舐められては面倒なことになる、と考えている。
ゆえに態度の悪い生徒には、しばしば赤土を口に詰めるなどの過激な罰を与えて黙らせてきた。
今も別に怒ってはいないしこの亜人に対してもむしろ好感を持っている。
が、教師としての立場上生徒でもないものにこうも度々授業を中断されてそれを許しては示しがつかないのだ。
ディーキンの方はそんな教師に、さも申し訳なさそうにおずおずと頭を下げた。
「先生、ディーキンはゴメンするよ。
とっても申し訳ないし今は黙ってるべきだってわかるけど、今すぐに話さないとダメだと思うの。
ディーキンは先生とルイズに、みんな本当に怖がっているみたいだって伝えたかったんだよ」
「………はあ?
怖がるって、一体何を怖がるというので……、」
シュヴルーズは怪訝そうに教室を見回して……、そしてディーキンの言い分が正しいのを知った。
多くの生徒は不安げにしており、特に席が前の方の生徒は怯えてさえいる様子で机の陰に潜り込むなどの奇妙な行動を取っている。
「……?? これは一体……、皆さん、どうしたのです?」
シュヴルーズは状況が理解できず、困ったような顔で首を傾げる。
先程キュルケらが止めた時には、授業開始時にルイズが馬鹿にされていたのもあってよくある劣等生へのからかいの類と思っていたのだ。
だが、指摘されて改めて確認してみると、彼女が教壇に向かってから教室全体が明らかに異様な雰囲気になっている。
とても単なるからかいだけだとは思えない。
一方ルイズは、目を吊り上げてディーキンを睨んだ。
「ちょっとディーキン、余計な事を言って私に恥をかかせないでちょうだい!
一体どういうつもりなのよ?」
「ええと……、ごめんなの。
でもディーキンはルイズの事が心配なんだよ、先生やみんなの事もね。
ルイズは昨日、自分は魔法を成功できなくて失敗すると爆発するって言ってたと思うんだけど……」
それを聞いて、教室のあちこちから同調や嘲りの声が上がりだす。
「そうだ止めろ! また教室を壊す気かよ!」
「先生、聞いての通りなのでヴァリエールにやらせるのは無しの方向で!」
「自分の使い魔にまで言われてるぜ、流石はゼロのルイズだな!」
「!! ……っ、」
ルイズは罵声が飛び交う中、真っ赤な顔で俯いてぷるぷると屈辱に身を震わせた。
ディーキンは……、自分の使い魔だけは、応援してくれるものと思っていた。
他ならぬあの子自身が、昨日自分の初めての魔法で召喚されたのだから。
きっと自分は魔法が使えるようになったんだ、これからは他の魔法も成功するはずだ。
やってみよう、自分の初めての成功の証であるあの子が傍にいる、そう思えば勇気が出てくる。
――――そう、思っていたのに。
(そのあんたまでが、……私を笑うの?
こんなときにそんなことをわざわざ言うなんて、私を馬鹿にしてっ……!)
ルイズはきっと顔を上げると、酷く険しい……半ば殺気じみたものまで篭った目で自分の使い魔を睨んだ。
- 84 :
-
「……ぐっ! この、あんた……!」
ディーキンはそれに怯えるでもなく、正面から真っ直ぐにルイズを見つめ返した。
それはちょうど今朝、キュルケとの付き合いを禁じる命令に異を唱えたときと同じような目だった。
「………、う………」
その目を見ていると何故か気圧されるようで、それ以上言葉が出てこなかった。
同時に不思議と冷静さが戻り、煮え滾った負の感情が鎮まっていく。
教室のあちこちからはまだ罵倒や嘲りの言葉が続いている。
普段ならそのような言葉を向けられていれば平静ではいられない、暗い怒りと負の感情が沸き起こってきて意固地になる。
なのに、ディーキンを見た途端何故かそれも気にならなくなった。
周囲で軽薄に騒ぐ生徒らよりも、その声と視線の方がずっと強い印象と存在感を持って、ルイズの意識を捕えている。
(……どうして? これが、主人と使い魔の絆というものなの?)
「え……? 爆発って、何を言っているのですか?
錬金の呪文で爆発など……」
そんなルイズと教師の混乱をよそに、ディーキンは一旦ルイズから視線を外して、周囲で罵声を飛ばす生徒らの方に向き直った。
爬虫類の表情など分からない生徒らにも、彼の纏うその雰囲気から、
『おいお前ら。ディーキンはぷんすかしてるの』
といいたげな様子がしっかりと感じ取れる。
「やいこら、ディーキンのルイズにそんな口をきくのは気に入らないの!
黙って聞いてたけど、いい加減にしないとディーキンの堪忍袋の緒が切れるの」
むっつりと不機嫌そうな声でそういうと、腰に両手を当てて胸を反らし、首をゆっくりと傾げて周囲を見回す。
普通に見ればむしろ愛嬌があるくらいの発言と仕草だったが、何故か奇妙な威圧感を感じほとんどの生徒が口を噤んだ。
一部の鈍い生徒らは空気の変化にすぐには気付かずディーキンにも嘲笑を向けたものの、じろりと睨まれると声を詰まらせ、じきに声を落とす。
ディーキンは<交渉>するのに比べれば、あまり<威圧>は得意ではない。
性格的にも向かないし、小柄なので迫力に欠けるという問題もある。
とはいえズバ抜けて印象的な高い魅力を持ち、何でも臨機応変に器用にこなす高レベルのバードである。
その気になれば、多少気位が高いだけの貴族の子弟を一睨みで黙らせる程度はできて当然だ。
「ディーキンはルイズの使い魔で、ルイズはディーキンの友だちなの。
だから誰にもルイズにそんなことは言わせないの。
少なくとも、ディーキンがそばにいない時以外は!」
ディーキンは指をびしっと突き出してそう宣言すると、またルイズの方に向き直る。
「……だけどルイズも、どうして爆発するのなら先生にそう言って断らないの?
教室でそんなことをしたら、みんな迷惑だと思うの。
たまたま失敗してそうなるのは仕方ないけど、分かっててやるっていうのはよくないんじゃないかな?」
ディーキンが見るに、ルイズはプライドが高く頑なな面はあるにせよ根は誠実で筋を通す少女だと思える。
教師の方も多少過激な方法で生徒を黙らせたりはしていたが、恐らく基本的には穏健派で悪意のない人物であろう。
ならばこちらも誠意をもって正面から筋道立てて理を説くのが<交渉>を平和的に纏める最善手だ、とディーキンは判断したのだ。
何よりも、強引に止めるよりルイズも含めて皆が納得できるように事を収める方がいいに決まっている。
- 85 :
-
「え、その―――――」
ルイズはディーキンの言葉に怒ったり嬉しかったり恥ずかしかったりでかなり微妙な顔をしていたが、また話を振られて困惑した。
そんな質問をストレートにぶつけられたのは初めてだった。
他の生徒が見ている今、この場でそんな話に受け答えするのは極まりが悪い。
………というか授業中に、このまま使い魔と話していていいものだろうか?
ここらで教師が静止してくれてうやむやにならないだろうかと、多少姑息な期待を込めてシュヴルーズの方をちらりと伺ってみた。
しかし、彼女は予想外の事態に何が何だかわからずに口を挟みかねて狼狽えている。
……どうやら、自分で対応するしかないらしい。
ルイズはひとつ息を吐いて覚悟を決めるときっとした顔を作って胸を張り、自分の使い魔と相対した。
「……なによ、やってみなきゃわからないわ。
昨日はあんたの召喚にも成功したし、できるようになってるかもしれないじゃない。
挑戦しなきゃ永遠にできるようにはならないわよ!」
「うん、挑戦してみるのはすごくいい事なの。
ディーキンも挑戦するコボルドだから、ルイズを心から応援するね。
…でも、怖がったり心配してくれてる人がたくさんいる教室でやらなきゃいけないって理由はあるの?」
「……だって、先生にやるようにと言われたのよ?
出来るかわからなくても、やれと言われたことに挑戦するのは生徒として当たり前じゃないの!」
「でも先生は、その、ルイズの呪文が爆発するのを知らないんでしょ?
ンー……、例えば黙ってただ一緒に来てくれって言われて付いて行って、後でドラゴン退治だって言われたら普通は話が違うって怒らない?
まずその事をちゃんと話して、それでもやれって言われるかどうか確かめる方が親切だとディーキンは思うの」
むしろ止めたがっている周囲の生徒らが、何故はっきり教師に爆発すると教えないのかがディーキンには不思議だった。
しかしルイズは無闇に非難すると意固地になりそうな性格だし、迂闊な事を言って癇癪を起こされては自分も危ないと皆率先して発言するのを避けているのかも知れない。
爆発を起こされるのは怖いが、自分からそれを止めに行くのは嫌だという他力を期待する心情か。
逆にキュルケが止めようとした時に爆発の事に触れなかったのは、そのことを恥じているのであろうルイズに対する気遣いから、と言ったところか。
残念ながらルイズにはその真意が伝わらず、裏目に出てしまっているようだが…。
「う……、な、なによ。
それは、その、そうかもしれないけど。
でも…………、私だって、その………」
ディーキンはルイズが言葉に詰まってもごもごと口篭もったのを見ると、更に言葉を続けようとする。
――――が、そこで脇の方から、たまりかねたようにシュヴルーズが声を上げた。
「……ちょ、ちょっと待ってください!
先程から一体何を言っているのですか、錬金は失敗しても爆発などしません。
私とてこの学院で長年教杖を執ってきた土のトライアングル。それは確かだと断言できます!
あなたたちを疑うわけではありませんが…、爆発がどうのというのは何かの間違いではありませんか?」
- 86 :
-
周囲の生徒らから何を今更といった冷たい、あるいは呆れた視線が向けられるのを感じたが、シュヴルーズは頑張った。
彼女にも、メイジとして今まで積み重ねてきた知識と経験に対する誇り、そして教育者としての義務があるのだ。
学問というのは、断じて多数決や場の雰囲気で真偽が変わるものではないし、変えるべきものでもない。
たとえ頭の固い教師だと思われようが、明らかな誤りを生徒らがそのまま信じ続けるのを見過ごしておくことは矜持にかけてできなかった。
「〜〜! ……いえ、先生、本当に―――その、爆発、するんです。
で、ですから、あの……私、ディーキンの言う通りで、それでもやっていいのかどうか……」
ルイズは真っ赤な顔をして俯き、口篭もりながらもぽつぽつとそう言った。
それを聞いて幾人かの生徒が驚く。
キュルケもその一人だった。
(あ、あのルイズが……、自分でできないと認めるなんて!?
あの負けん気の塊みたいな子が……)
先程のディーキンの威圧が効いたのか、あるいは屈辱に震えながらも自らできないことを認めたルイズの姿に、流石に若者として貴族として感じるところがあったのか。
此度はルイズに対する嘲笑の声はひとつも上がらなかった。
屈辱を感じながらもそれに耐えているルイズと、そのルイズと教師とを見比べながら首を傾げているディーキン。
キュルケはその小さな主従の姿をまじまじと見つめた。
シュヴルーズはしかし、教室の空気には気付いていながらなおもルイズを説き、励まそうとしている。
「ミス・ヴァリエール、これまではきっと、何かの間違いで失敗したのでしょう。
大丈夫ですから、そんなに恐れずに………」
彼女は彼女で、できないという“思い込み”からルイズを立ち直らせ、誤りを正すという教師としての務めを果たそうと頑張っているのだ。
そこには何の悪意もない、教師としての使命感と熱意と善意からの行動。
残念ながらその努力は空回りしており、ルイズの苦しみをかえって深め、引き伸ばす結果となる。
「――――いえ、その。
……お分かりいただけないとは思いますけど、でも、間違いとかではなくて……」
「アー、先生、ルイズ。ディーキンはちょっと意見を言っていいかな?」
そこでまたしても、脇の方からディーキンが声を掛けて注意を引いた。
ルイズや他の教室の生徒らは、すぐにそちらの方に注意を向ける。
「……なんですか、使い魔さん。言ってごらんなさい」
シュヴルーズはまたしても自分の行動を遮られた形になり不服そうではあったが、しかし発言を止めることはせず、続きを促した。
単に授業を遮っているだけなら強行手段で止めてしまうのだが、この使い魔のいままでの行動や指摘には相応の正当性があると認めねばならない。
妥当な理由のある発言を押し潰してしまうわけにはいかない。
厳格な教師であるのはよいが、横暴な教師であるのは彼女の信条に反するのだ。
だが一言、忘れずに釘を刺しておく。
「あなたの指摘には感謝しますけど、これ以上何か言われても実演を差し控えさせるわけにはいきませんよ?
爆発など実際に起こるはずはありません、何かの間違い。
数え切れないほどの錬金を実際に見て行ってきた土のメイジとして、それは私が自信を持って保証します」
- 87 :
-
実際に幾度となく爆発するのを見てきた生徒たちは頑なな教師の言葉にうんざりした顔をするが、ディーキンはそれを聞いてひとつ頷いた。
「うん、ディーキンも実際にコボルドの洞窟を出て外の世界を見てみるまで、何千人も人が住む天井のない野ざらしの街があるなんて信じられなかったよ。
だから信じられないって先生の気持ちはよく分かるの」
シュヴルーズはこれが初めてのルイズとの授業なのだ。
そのような常識に反する事を使い魔や未熟な生徒たちの言葉だけで受け入れられないのは無理もないし、むしろ受け入れないのが正しい態度だろう。
ディーキン自身はまだ見てもいないうちから爆発するという言葉を信じているが、それはまた事情が違う。
「けど、他の生徒さんたちも爆発するのを信じてるし、怖がってるの。
先生が自分の意見を信じるのは正しいと思うけど、他の人の意見も尊重するのがもっと正しいとディーキンは考えるね。
―――だから、どっちも納得できる方法でやればいいと思うの」
それを聞いたシュヴルーズは、怪訝そうに眉を寄せながらも小さく頷いた。
「はあ、それは……まあ、それに越したことはありませんね。
どっちも納得できる方法、というのは?」
「ええと、まず聞きたいんだけど……、『錬金』っていうのは、離れてても使えるの?
何フィート……いや、何メイルか離れてても大丈夫かな?」
それを脇で聞いていたルイズは、いきなり何を言うのかと怪訝そうな顔になる。
シュヴルーズも首を傾けたが、少し考えて得心が行ったように頷いた。
「ええ……、メイジの腕にもよりますが、数メイル離れた場所に錬金する程度の事はほぼ誰でも可能です。
つまり、あなたが言いたいのは万一爆発が起きた場合に備えて教壇の上ではなく?」
確認を取るようにディーキンの方を見ると、ディーキンは笑みを浮かべて首肯する。
「そうなの、ディーキンがその小石を窓の外に浮かべるから、ルイズにはそれに『錬金』を掛けてもらえばいいの。
たとえ爆発しても、窓の外なら教室はそう酷い事にならないし、みんなも怖がる必要はなくなるってことなの。
それにルイズも、それなら迷惑をかけずにここで挑戦してみる事ができると思う」
ついでにディーキンもその爆発を見て確認できるしね、とは心の中だけで言って、2人と他の生徒たちの様子を伺う。
シュヴルーズは少し考え、それならば特に否定しなくてはならない要素もなさそうだからと承認した。
ルイズはあらためて決意を固めたような顔になると、無言でしかしはっきりと頷く。
他の生徒らも、それなら危険はないと判断したのか概ね安堵の表情を浮かべている。
窓際に近い生徒らは、自分の使い魔に爆発に驚いて騒ぎ出さないように、と事前に注意を促している。
窓の外に大型の使い魔を待機させている生徒らは、一時的に離れた場所に行くように指示して避難させた。
いよいよ準備が整うと、ディーキンはプレスティディジテイションの呪文を唱えてから、教壇に近い窓を細めに開ける。
そして呪文の効果で教壇の小石を運び、窓から何メイルか離れた場所に浮かべた。
机の陰に隠れなかった生徒らと教壇との間の距離から見て、このくらい離れていればまず大丈夫だろうと判断した長さだ。
亜人の“先住魔法”を見たことがない生徒らの多くはその様子をがやがや騒いで見ていたが、教師の注意を待つまでもなく直に静かになる。
所詮はレビテーションと似たような効果で、しかもほんの小さな物体を浮かべるだけなのだから大したことがないと見て興味も失せたようだ。
加えてこれからルイズが爆発を起こすのだから、まず安全とはいえある程度緊張しているのだろう。
ただキュルケの友人である蒼い髪の少女だけは、興味を失うでも、起こるであろう爆発を怖れるでもなく、浮かぶ小石をじっと見続けていたが…。
「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです」
緊張気味に窓際からやや離れた位置に立つルイズに、後ろに立ったシュヴルーズは緊張を解すようににっこりと笑いかけた。
- 88 :
-
ルイズはそれにこくりと頷き、唇をぎゅっと引き結んで窓の外に浮かぶ小石と、窓の傍に佇んでこちらを見つめているディーキンを交互に見る。
それからしばし目を閉じて深呼吸をすると、杖を振り上げた。
ディーキンはルイズが杖を振り上げるのを見ると、窓の外の小石とルイズの両方を視界に収めて精神を集中し、魔力の流れをしっかりと感知しようとする。
ついでに密かにエンセリックをそっと握り鞘を少し押し上げて、一緒に見ておいてくれという合図を送る。
さあいよいよだと、ディーキンは不謹慎ながら少しワクワクしていた。
呪文の失敗で爆発が起こるとは、一体どういう現象なのか?
ルイズは目を瞑ったまま祈るように短くルーンを唱え、小ぶりなワンドを振り下ろす。
小石は呪文の影響を受けて一瞬白く発光し……、
次の瞬間、窓の外で大爆発が起こった。
「「きゃああああ!?」」
細く開いていた窓から入ってきた爆風で、近くに立っていたルイズとシュヴルースは押し倒された。
外傷はないが、顔に浴びた爆風と煤のためにルイズは咽こむ。
涙が滲んでいるのは、果たして咽たためだけか。
「………大丈夫、ルイズ?」
ディーキンはルイズの傍に寄ると、背中をさする。
ルイズは、大丈夫よと力なく答えると、そっとディーキンの手を払った。
それにちょっと首を傾げてから、ディーキンは腰を抜かして事態の成り行きに呆然としている教師に声を掛ける。
「先生、見ての通りみたいなの。
ディーキンには爆発したように見えたけど、どうかな?」
「あ、……え、ええ、そう―――ですね。
すみません、まさか、その、こんな………何故………」
「分からないの、ディーキンも分からないし、先生にも分からないんだね。
それなら、ルイズは今すぐには多分『錬金』は無理だと思うの」
それを聞いて、地面にへたり込んで俯いたルイズの肩がぴくりと震える。
ディーキンはちらりと心配げな視線をそちらに向けるが、そのまま言葉を続けた。
「けど、ディーキンが思うに…、今すぐ錬金ができなくてもいいんじゃないかな?
がんばってゴールまで走れば、一番もビリも走った距離は同じだって、昔の偉い先生は言ったそうなの。
そういうのが、つまり教育の精神だってディーキンは思ってるの、どう?」
前の主人の元でバードの勉強をしていた時、覚えが悪かった自分は短気な主人がいつ愛想を尽かすか、癇癪を起こすかと始終ビクビクしていた。
だが彼は、普段の短期さからは想像もつかないほど長期間にわたって教育を続けてくれたのだ。
勿論、狩りをしたり略奪の算段を立てたり、にやにやと宝の山を眺めたりするのに飽きて気が向いた時だけではあったが。
『人は明日の完璧な答えより今日のマシな答えの方が良いと言うが、ドラゴンはそんなに急がぬものだ。
お前が何者かになるのを見届けることと、その緩やかに上達していく歌物語とが、当面私のいい娯楽になってくれるだろう』
ただ一度、機嫌のいい時にそう言って笑ってくれたことをディーキンは今でもよく覚えている。
ボスも、最初はろくに戦う事も出来ず魔法もほんの数個しか使えなかった自分に足手纏いだとも言わずに同行を認めてくれたのだ。
ディーキンが迷惑をかけても笑って許し、傷つくたびに癒し、死んだときは蘇生までしてくれて、友人として扱ってくれた。
彼らが将来できることを信じて、根気強く手解きを続けてくれたからこそ今の自分があるのだ。
- 89 :
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「え? え、ええ、……それは、そうですね」
シュヴルーズが戸惑いながらも同意したのを聞くと、ディーキンは満面に笑みを浮かべて何度もこくこくと頷いた。
そうして、今度はまたルイズの方へ。
「ねえルイズ、練習なら授業が終わってからディーキンと2人でもできると思うの。
頑張って練習して、できるようになったら皆に見せびらかしておおいばりして、グウと言わせるの。
それでいいんじゃないかな、どう?」
ルイズの肩にポンポンと手を置くが、ルイズは俯いたまま。
今度は、その手を払おうともせずにぽつりと呟いた。
「………簡単に言わないで」
「簡単じゃないよ、だから練習するの。ディーキンもやったよ」
「練習なら私もやったわよ! 何度も何度も!
だけど爆発するだけなの、魔法が使えるあんたには分からないでしょうけど!」
きっと顔を上げて、目じりに涙をためて自分の使い魔を睨む。
ディーキンはそれをじっと見つめて瞬きをすると、首を傾げた。
「ウーン……、そうだね、分からないと思う。
誰も人の本当の気持ちは分からないものだけど、分からなくても力にはなれるんだってボスは言ってたよ」
ルイズはまだ何か言おうと顔を上げて…、使い魔のあくまで穏やかな雰囲気に口を噤み、また顔を反らした。
正直なところ、使い魔の召喚に成功しても依然魔法が使えないショックで気持ちが荒れている。
ディーキンがあくまで自分の事を気遣ってくれているのは分かるが、口を開けば恨み言か愚痴しか出てきそうにない。
だがいつまでも黙り込んでいるわけにもいかず、結局また口を開くと、不機嫌そうな声をぼそぼそと紡ぐ。
「……それで……、具体的に、あんたがどう力になれるっていうのよ。
根拠のない気休めはもう、聞き飽きたわ」
「ウーン、そうだね。今すぐ解決っていう事はできないけど、いくつか方針はあるの。
ディーキンはルイズが呪文を唱える時に魔力の流れを見たし…、
それに、『失敗して爆発する』っていう事にも、心当たりはあるからね」
ルイズは思いがけない答えに、顔を上げるとまじまじとディーキンを見つめた。
「心当たりがあるって……、ほ、本当に?」
「もちろん、ディーキンは後で練習するときにそれを話すつもりなの。
今すぐ話せたらいいけど、授業の最中だからね」
ディーキンはそう返事をすると、にこにことルイズを見つめ返す。
…が、実はその表情程にやましさの欠片もないわけではない。
今の発言はまあ嘘ではないが、完全に真実かといわれれば…多少<はったり>をかましている部分もあるにはあった。
失敗すると爆発するというのは例えばフェイルーンのメイジが自分の力に余るスクロールを発動しようとして失敗すると、そういう現象が起きる“場合も”ある。
だが自分の力だけで呪文を唱えようとして爆発するという現象は知らないし、スクロールにせよ使用に失敗すればいつも爆発するというものでもない。
ワイルドメイジと呼ばれる連中はわけのわからない現象を起こしたりすることもあるが、必ず爆発するというような決まりはない。
だからその部分は、ルイズを落ち着かせるためのやや誇大な表現だといえる。
- 90 :
-
ディーキンは真正直に<交渉>することに比べれば、<はったり>をかけるのはそこまで得意とは言えない。
しかし今の場合、ルイズはこの話を信じたがっているはずだから簡単に言いくるめられるはずだ。
付け込んでいるようでやましいといえばやましいが、ディーキンは厳格な規律よりは自由を愛する方だ。
多少嘘を含んでいようとそれでルイズが立ち直って前向きになれるのなら、それに越したことはないと考えている。
それに心当たりがあるというのは言い過ぎにせよ、方針があるというのは嘘ではない。
先程魔力を見たことで少なくともあの爆発の系統は分かったし、エンセリックが何か意見を出してくれるかもしれない。
もっと詳細に、もう何回か見てみれば、更に何か掴めるかもしれない。
試してみたい案ならば今の段階でも既にいくつも持っている。
まあ、ルイズの爆発については長い間専門家であるハルケギニアのメイジたちが何も掴めなかったことなのだから、容易に解決できるとは流石に思わない。
だが少なくとも、ルイズが諦めない限り自分も全力を尽くすつもりだ。
それには一切、嘘はなかった。
ルイズを見捨てるという事は過去の自分を見捨てるようなもの、それはボスやその他大勢の人から受けた恩を裏切る事に等しい。
「正直言ってディーキンは、一人だと自信がないけど…。
でも、ディーキンは頼もしい友だちが傍にいるとすごく安心できるよ。
だからボスとかルイズが傍にいて一緒に力を貸してくれたら、何も心配はないの。
ルイズは、ディーキンと一緒に頑張ってくれる?」
そういって、ディーキンは握手するように右手を差し伸べる。
ルイズは、じっとその目と、差し出されたウロコと爪に覆われた小さくもごつごつとした手とを見つめた。
じっとルイズを見つめる目はきらきらと輝いていて、全身から嘘偽りなくルイズを信じ、頼る気持ちが滲み出ている。
そこには自分が力になる側なのだという尊大さや押し付けがましさ、内心見下したような態度などは微塵もなかった。
ややあって、ルイズは目をぐっと拭って不敵な表情に戻り、しっかりと差し出された手を掴んで立ち上がった。
ディーキンの背の低さからいってへたりこんでいる状態の方がむしろ握手はしやすかったが、その手を取って立ち上がる事に意味がある。
「――――しょうがないわね、あんたは私のパートナーなんだから。
お互いに協力するのはメイジの務めよ。
だから……、その、一緒に頑張ってあげる、から…、私を放って途中で投げ出したり、私より遅れたりしないでよね!」
- 91 :
-
D&D3.5版において技能判定は技能値+関係能力値ボーナス(平均的な人間の場合は±0)+1d20の出目(平均10.5)で行われる。
つまり技能がなく能力も平凡な一般人でも平均10前後の数値は出るし、失敗しても再挑戦可能な判定ならば粘れば20は出せるわけである。
<交渉(DIPLOMACY)>:
自分の話に賛成するよう他人を説得したり、情報を引き出したり、改心させたり、群衆を扇動したり、商品を値切ったりする技能。関係能力値は魅力。
判定に成功すればNPCの態度(敵対的、非友好的、中立的、友好的、協力的、熱狂的)をより良い方に変えることもできる。
・敵対的
痛い目に合えばいいとか、合わせてやると思っている。攻撃、妨害、叱責などの害を成す行為をしてくる。
・非友好的
直接手出しこそしないものの、酷い目に会えばいいと思っている。嘘をついたり悪い噂を流したり、単に避けたりする。信用されない。
・中立的
どうでもいいと思っている。挨拶されれば挨拶を返すくらいはする。道行く他人。
・友好的
好意を抱いてくれている。雑談に喜んで応じ、助言したり賛成、擁護してくれる。信用を勝ち得ている。
自分に危険のない範囲なら、多少の不利益や労力を我慢して助けてくれるだろう。
・協力的
積極的に力になろうと思っている。保護や支援、治療、加勢などを行ってくれる。
自分にある程度の危険や不利益があったり、大きな労力を要する事でも助けてくれる。
・熱狂的
心酔し、我が身を投げ打ってでも尽くそうとしてくれる。
怒り狂って突進してくるドラゴンの前に立ち塞がって庇うような、明らかに自殺的な行為でさえ行ってくれるだろう。
判定値が25あれば敵対的な相手を中立的まで持って行くことができ、50もあれば協力的に変える事も可能になる。
バードが最も得意とする技能のひとつであり、ディーキンならレベルから言ってちゃんと伸ばしていれば素でも平均50近くは出るはずである。
魔法等でのブーストも考慮すれば、ほぼ確実に50以上が出せるだろう。
つまり、話が通じてかつ話す暇がある相手でさえあれば大抵は説き伏せられるのだ。
作中でディーキンと対話した登場人物が軒並み好印象を抱き友好的になるのは、この技能の高さによる部分が大きい。
※
実際は大して口が上手いようには見えないかもしれないが、それは筆者自身がそんな超人レベルの口達者などではないからなので許してください。
TRPGで設定上人間を遥かに超えた知能を持つモンスターのロールプレイをするようなもので。
同じこと言っても信用される奴とされない奴がいるし、話の内容だけじゃなくて身に纏う雰囲気とかも違うんだよ多分。
- 92 :
-
<威圧(INTIMIDATE)>:
脅してNPCの態度を一時的に変えたり、士気を挫いたり、群衆を急き立てたり、スラムを安全に歩いたり、効果的に拷問したりする技能。関係能力値は魅力。
手っ取り早く話を纏めるには<交渉>よりいいかもしれないが、不用意に用いれば以降の関係は当然ながら険悪になるであろう。
使いどころに注意しなくてはならない技能である。
<はったり(BLUFF)>:
嘘をついて相手を騙す技能。関係能力値は魅力。
相手の<真意看破(SENSE MOTIVE)>との対抗判定となるが、下記のように状況に応じて難易度が上下する。
・相手がこちらの言い分を信じたがっている…難易度-5
「愛している、アンリエッタ。だから僕と一緒に来てくれ」
・その嘘は信じられうるもので、信じても特に害はない…難易度±0
「この子は竜じゃない。ガーゴイル」
・その嘘はやや信じがたい、対象にある程度のリスクを求める…難易度+5
「こいつを鍛えたのはかの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿、魔法がかかってるから鉄だって一刀両断でさ。
その分お安かあありませんぜ、お値段はエキュー金貨で二千、新金貨なら三千」
・その嘘は信じがたい、対象に大きなリスクを求める…難易度+10
「いえ、これは確かに学院の宝物庫の品ですが盗品などではありません。
学院長の不始末で現金が大至急入用になったので売らなくてはなりませんの、こちらとしても不本意なのです。
これでも私は学院長秘書です。あなたまで罪に問われかねないような品をお売りする、そんな女ではありませんわ」
・
・
・
「…売れなかったか…、疑われちゃいなかったと思うが、やっぱり使い方が分からない杖じゃあダメだね。
何とかして使い方を調べないとねえ…」
・あまりにブッ飛んだ話で常識的に考えて一考にも値しない…難易度+20
「あんたには信じらんないかも知れないけど、シルフィは実はボロ布体に巻きつけたアホ女とかじゃなくて韻竜なのね!
私たち風韻竜はウソつかない種族なの、だから私の事も信じてくれていいのね。
シルフィ生まれてから一度もウソなんかついたことはありません!
通りすがりの見知らぬ人を見込んでお願いするけど、シルフィは初めて訪れた街で食べ歩きをしてみたいからお金貸してほしいの。
ほら早く貸すのね、後でうちのちびすけの財布からちゃんと返すから!
……あのちびすけが嗅ぎつけてくる前に早くお金出すのね!」
・
・
・
「きゅい〜……、何で貸してくれないのね。
しっかり覗き見してたお姉様には殴られるし散々なのね〜…」
なお戦闘時にフェイントをかけて相手の隙を突いたり、敵の視線を逸らせて<隠れ身>の機会を得るなどの用途にも使用できる。
またさりげない身振りやほのめかしなどを使って、他人に真の意味を理解されることなく特定の人物だけに密かなメッセージを送ることもできる。
- 93 :
- 今回は以上です
お話ばかりでしたが、続きはなるべく早く書いていきたいと思います
それでは皆様、お付き合いありがとうございました
次の機会にも、またどうぞよろしくお願いします(御辞儀)
- 94 :
- 乙でした。
爆破させて教室破壊されないSSって初めて読んだ
- 95 :
- 乙です。
<交渉>40ですか。エピックまで行けばこんなものかもしれないけど、とんでもない数値ですね。
<芸能>はいかばかりになるのやら。
- 96 :
- 投下乙。
- 97 :
- 乙でした
ディーキンよく頑張った
一番面白かったのはハッタリの例文だったが
- 98 :
- まとめサイトのディーキンの解説部分は、呪文とか属性とか技能とか設定部分とかでページ分けた方がいいかも
現状だとまとまってなくて見にくいし、多分これからも増えそうだからどの道1ページじゃ足りなくなるだろ
- 99 :
- >>94
重力制御で爆発をおさえたりとか他でもないわけじゃあない
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