2013年17ニュー速VIP+374: 童貞「ラスト・Rーだ」〜天下ワレメの聖戦〜 (351) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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童貞「ラスト・Rーだ」〜天下ワレメの聖戦〜


1 :2013/08/26 〜 最終レス :2013/09/26
http://c.2ch.net/test/-/news4viptasu/1373773870/1-
続編です
なんか512KBをどうのこうので書き込めないんで立てました
童貞と共にあれ!

2 :
>>1
やっと勃ったか、待ってたぜ!

3 :
>>1乙!
勃つの待ってた!

4 :
ラストオブ童貞

5 :
や、やったー!

6 :
今でも即死ってあるの?
念のため保守

7 :
待ってたよ〜

8 :
前スレ容量オーバーとか頑張りすぎだwww
続き待ってる!

9 :
早くぅ

10 :
容量オーバーなんてあるんだな
支援

11 :
一乙!

12 :
マダー?

13 :
>>12
まあ気長にまてよ
書き貯めてるだろうから

14 :
支援

15 :
近年稀に見る良作

16 :


17 :


18 :
はよこい!落ちてまう

19 :


20 :


21 :
あげほしゅ

22 :
落ちないでくれ

23 :
このスレのおかげで童貞は一度捨てたら二度と戻れない唯一無二の存在なのだという真理に到達した

24 :


25 :


26 :


27 :


28 :


29 :


30 :


31 :


32 :
長らくおまんたせ致しました!
ちなみに自分はほぼ不登校にもかかわらず、保健の授業で50点中48点をとってしまったのがクラスに広まった苦い過去があります!
ご飯食べてから再開します
では、童貞と共にあれ!

33 :
wktk

34 :
ktkr

35 :
開戦まではいったよな…
とりあえず2部からスタート切ります
追ってた方は退屈かと思われます、すみません
ですが、今日中にヤリチン教団の教祖が活躍する辺りまでいこうと思います

36 :
待ってた〜!でもムリしないでね

37 :
沛然と降り頻る雨が、岬を喧しく打っていた。
少年の頬にこびりついた血と精液が、流れていく。
彼の目には脅えが浮かんでいた。
追い詰められていたのだ。
「よく頑張ったが……ここまでだな、童貞」
ジリジリとヤリチンが詰め寄ってくる。
油断なく、引き締まった表情だ。
ジッパーから抜き放たれた一物は、雨に濡れて一層黒光りしていた。
それは生殖の為に猛っているのではない。
人体を肉塊に変える為の、兵器目的の猛りだった。
「何故、童貞でいる」
ヤリチンが言った。
「童貞を何故に守る。
そこに何の意味がある」
後退していた少年の口から、小さな呪詛が漏れた。
もう後がない。
彼の後ろには、切り立った崖――その下には、荒れる海しかない。

38 :
>>36
優しいお言葉をありがとうございます!
あなたに幸あれ、ザーメン!

39 :
少年はそれを認めると、ふと、俯いた。
やおらに上げられたその顔からは、先ほどの脅えは消えていた。
「俺が童貞を守ってるんじゃない。
俺が童貞に守られてるんだ」
少年はズボンを脱ぎ捨てた。
跳ねたのは、決意に固まった一振りの一物。
「――行くぞ、ラスト・Rーだッ!!」
少年は脱兎の如く駆けた。
腰を引き、ヤリチンに必殺の一撃を見舞う。
端から見れば、それは抱擁にしか見えなかった。
少年はしっかりと腕を巻き付け、ヤリチンはされるがままとなっている。
と、ヤリチンが目をカッと見開き、口から血泡を吹いた。
少年もただではすまない。
激しく咳き込み、血を吐いた。
「――おい、あそこだ!
童貞があんなとこに逃げてやがる!」
「尊師様がやられてるぞ!」
ヤリチンの仲間らしき声が雨音に混じって聞こえる。
少年は暗くなっていく視界の中で、必死に最後の力を振り絞り、
「これで終いだ……ヤリチン」
ヤリチンを抱えたまま、黒い海目掛けて飛び込んだ。
撃ち抜かれた鳥のように、声もなく落ちていく。
飛沫が上がった。
彼らは、抗う力もない。
暗い。
暗い底に沈んでいく。
彼らは、死に呑まれていった。

40 :
イナバ族。
インシューの民の数ある部族の一つで、総数四千という少数部族である。
だが、彼らは部族間の力関係においては一二を争うほど、強かった。
理由は二つある。
一つ目は、だいたい一世代に一人、生まれながらに神通力を備える者が出てくるというものだ。
その者はシャーマンの力を持ち、霊媒能力に長ける。
幼少から髪が白くなり「それが神の意を代弁する者の証なのじゃ」とは元族長にして長老、オヅノの弁である。
その彼こそ、それに該当する人物で、特に呪術の才に優れているという。
この不思議な力を持つ者は神官として族長を影から支え、事実上、神託として族長に意見出来る存在である。
二つ目は、イナバ族がインシューの民に伝わる『神船伝説』と神船を代々守ってきた由緒正しい一族であるということだ。
四千という人口に不釣り合いな、広大なオアシスの所有権が認められていることからも、そのことの重要性が分かるだろう。
今日は、そんなイナバ族の暮らしを覗いてみよう。
砂丘の夜明けは早い。
彼らの朝は、鳥取鶏というやたら語感が良い家畜の鳴き声で始まるのだ。
塩漬け肉で朝食を摂り、武器の手入れを済ませたら、みんなウズウズしてくる頃合いである。
「一狩り行こうぜ!」
堪りかねたように声が上がった。
弾かれたように、男も女も老いも若いも立ち上がる。
それぞれの手には、得意の武器が握られていた。

41 :
「痺れ矢まだか!」
「ちょっと男子ー!女子の周りで大剣振り回さないでよ!」
おはようからおやすみまで、揺りカゴから墓場まで、狩って狩って狩りまくる。
彼らは狩猟を至上の喜びとするのだ。
LV99の勇者も真っ青なモンスターキラーなのである。
当然、その狩猟能力と戦闘力は凄まじい。
少し前、同じような民族性を持つ、グロい顔で巨体を誇り、肩から三点ドットのレーザー銃を装備し、優れた文明を持ちながら非常に好戦的な宇宙人が鳥取県にやってきたが、紆余曲折の果てに互いの力を認め合い、友情が芽生えたという逸話もある。マジかよ。
ちなみに、今でもその宇宙人とは年に一回、合同演習してるとかしてないとか。
そして、成果は日持ちが効くように塩漬けにし、その日の狩りを肴に、酒を酌み交わすのだ。
他には特筆することはない。
精々、岩塩を採ったり、昼寝したり、家畜の世話をするくらいなものだ。
彼らの生活は単純明快。
はじめ人間ギャートルズのエンディングみたいな感じである(別に例のゴリラはいない)。

42 :
今も鳥取の空の下、彼らは元気に砂丘を駈けている。
その手に握られたのは命を奪う、だが、命を繋ぐ為の武器だ。
彼らは、我々現代人が忘れてしまった何か大切なモノを知っているのかもしれない。
イナバ族は、オアシスにある小山の開けた場所に並ぶ、簡素な石造りの住居で、今日もナディアが発狂しそうな食卓を囲むのであった――。
「なぁ……二人共、ホントに何も覚えてねぇのか?」
その住居の中で、一際、立派な建物があった。
砂丘では貴重な木材でしつらえた机や椅子があり、位の高いものが住まう家だと見てとれる。
そこには、インシューの民ではない客人が三人いた。

43 :
「先生も、貞も。
なんも覚えてねぇってのか?」
赤毛の少女が訝しんだ。
貞はまったくわけが分からないといった様子で、首を振った。
「うぅん。気絶する少し前の記憶が曖昧なんだ。
小森さんに……ヘ、ヘンタイだとか言ったまでは覚えてるんだけど。
何か熱に浮かれてとんでもないことしてた気がする。
小森さん……もしかして僕、小森さんに失礼なことしちゃいました?」
「フッ、フヒィ!?
滅相もございません!」
小森が土下座した。
冷たい石畳に額を擦り付けながら、続ける。
「私は薄汚い雄豚です!
片栗粉で作った手作りオナホールで先っちょを火傷するどうしようもないクズでございます!」

44 :
「こ、小森さん……さっきからいったいどうしちゃったんですか!」
「私めの汚らわしい名をその高貴なお口で呼ばれるなんて……!
ましてや、敬語だなんてなんと!なんと畏れ多い!」
「操……小森さん、どうしちゃったの?」
「いや、その……」
操は言葉を濁した。
小森は身を震わせながら、言い募る。
「畏れながら!おやめになってください!貞様!
神がそのようなことをお許しになりません!
い、いや!貴方様こそが神でした!
貴方が神です!
コモリエルは貞様にお仕えします!」
「こ、小森さん……ちょっと何の冗談ですか!
意味分かんないですよ、もう!
ちゃんといつもみたいに喋ってくださいよ!」
「ハッ……!?」
小森は何かを察し、平服したまま、
「ブヒッブヒッ!ブゥブゥブゥ!」
鳴いた。
横で、操も内心泣いた。
「もう!小森さん!
ホントにどこか頭でも――」
貞が心配そうな顔で屈みこみ、小森の肩に手をかけた。
その瞬間、彼はバネ仕掛けのように飛び上がった。
「プギィィィイイイイイッ!?」

45 :
小森、もとい哀れな豚は、噎び泣きながら操に助けを乞うように縋る。
操はシャツが涙やら鼻水やらで濡れるのにげんなりしながら、背中を擦ってやった。
「生きててごめんなさい……毎日Rーで数億の我が子をR罪深き私めをお許しください……」
「あぁ、あぁ!分かったよ!
許すよ許してやんよオレが!
だから、さっさといつものどこからくるか分からない無駄な自信と意味不明な余裕を取り戻してくれ!」
「おお……聖母様や……!
私めの罪をお聞きください……行けたら行くよって結局いつも行きませんごめんなさい……。
図書室の辞書のちょっとエッチな単語に傾向ペンで線引いたの俺ですごめんなさい……」
「全部許してやるよ。
些細なことじゃねぇか」

46 :
「みんな歌ってる時歌ってません……午後の紅茶も午前に飲んじゃいました……」
「間違いは誰にでもあんだろ、先生」
「あと鳥取童貞基地の最初の日の晩、操のパンツ盗んだの俺ですごめんなさい」
「Rッ!!」
操の前蹴りに、小森が痛々しい鳴き声を上げた。
追撃を加える操を、必死で貞が止めた。
「ちょっと操!弱ってる小森さんに何してんだよ!」
「離せッ!!止めるなッ!!」
「で、でも、使ってないから!
売ったの!売ったんです!」
「テメェェェェェェェェェエエエエエエッッッ!!!!!」
弁解する小森の側頭に、腰の入った上段回し蹴りが極った。
ようやく、操が落ち着きを取り戻した時には、彼は使い古しの雑巾のようになっていた。

47 :
息を荒げながら、操が言う。
「フッー……フッー……とんでもねぇな、まったく!
最初は凄い人だと思ってたのに、日に日にダメな部分が目立っていってるぜ!」
「小森さん、しっかりしてください」
貞が小森を心配そうに覗き込む。
小森は微動だにせず、動かなかった。
「こんなのおかしいよ……!
いつもの小森さんなら殴られて喜ぶのに」
小森の異常な様子に、貞は本気で胸を痛めているらしい。
その時、ごめんください、と毛皮の暖簾が翻った。
「ブヒッ」
小森がむくりと起き上がった。
腐っても童貞。
回復力は流石である。
入ってきたのは、赤い帽子を被り、平たい箱を抱えたチャラいニイチャンだった。

48 :
「ピザのお届けに参りましたー!
ここはオヅノさんのお宅で宜しかったっしょうか?」
「ブヒッブヒッ!」
雑用は自分の仕事だと言わんばかりに、小森が応対する。
「……のハーフサイズ二枚と――ッスねぇ!
3980円にありあす!」
「ブ、ブヒィ」
「はぁ?家主じゃない?」
「ブヒュゥ……」
「お金も持ってないぃ?
ちょっとお客さん困りますよーウェーイ」
困り果てる小森に、助け船が出された。
「――あ、ごめん儂儂」
奥の部屋から現れたのは、オヅノ長老である。

49 :
茶髪の若いニイチャンは代金を貰い、帰っていった。
貞は一人、首をかしげた。
(今の人……どこかで……)
「大天使コモリエル、お付きのお二方もどうぞ。
これは宅配ピザといって、儂の大好物なんですじゃ。
遅いですが、今から昼食にしましょう」
一行は長テーブルに着き、インシューとピザの料理をふるまわれた。
その食事の席では、位が高いらしい主だった面々が並だ。
どうやら、ただの昼食会ではなく、神の使いの降臨についての話し合いの場でもあるらしい。
二十人近い屈強な男が並ぶその中で、大人しい小柄な少女が場違いに映っていた。
歳は十ばかりだろう、貞より下である。
日に焼けた健康的な肌も眩しいが、何より目立つのは、黒髪の一部に白い筋が混じっていることだ。
「この子はラビ。
見ての通り、異能の子じゃ。
予知を得意としておっての、儂も鼻が高いわい」
照れたように、ラビが頭を下げる。
操がオヅノに訊いた。
「アンタの孫なのか?」
「いや、娘じゃ。五十三番目の」

50 :
居並ぶ男達の中でも一際逞しい、現族長のザオウという男は、貞と操は見覚えがあった。
筋骨隆々の大柄な身体に、無骨な顔付きである。
「あ、あんた……あん時の!?」
捕まっていた時、貞と操の頭を鷲掴みにした大柄な男であった。
「その節は失礼した」
たどたどしい日本語で、ザオウが詫びた。
「喋れたんですか?」
貞が目をぱちくりさせる。
「少しはな」
「オレ達を食おうとしやがって!
一生恨むぜ!」
声を荒げる操に、族長はさも驚いたように目を見張った。
「とんでもない。
我がインシューの民はそのようなことはしない。
客人をもてなす際、鍋の味見を任すのがインシューの流儀だ」
「な、なんだそれ!
じゃあなんで拘束したんだよ!
それに矢も射ってきたしよ!」
「砂丘は広く、苛烈だ。
我々砂と生きる民でも、危険なのだ。
子供を行かせば、半時も保たぬ。
命を失うくらいなら、大怪我を負ってでも生かした方がいい……だが、お前達が神の使いの従者なら、それはいらぬ心配だったのだろう」
族長はすまなかった、と素直に頭を下げた。
釈然としないのか操はぶつぶつ言ったが、詫びを受け入れた。
その横で、ピザを頬張りながら、小森が言う。
「でも俺は食おうとしたよね」
「して、大天使コモリエル」
長老が口を挟んだ。

51 :
「此度の来訪、如何な意味があるのでしょうか」
小森は真面目な顔で、重々しく頷いた。
その目には悪戯な光が見え隠れし、いつもの調子を取り戻しているようだ。
「――世界に今、未曾有の危機が迫っております。
この俺、大天使コモリエルはそれを救いに参ったのです」
おお、と屈強な戦士達がどよめいた。
「なんて力強い御言葉だ……」
「さすが、神船を動かせる伝説に伝わる『ドウテイ』だ……」
彼らが交わす言葉は小森には解せなかったが、だいたいは察した。
気を良くし、体の良い言葉を続ける。
「皆様は選ばれし民……!
この世界にはびこる闇を焦がす、烈火の戦士!
そして俺は、天から差し込んだ、皆様を導く一条の光なのです」

52 :
「オオ……ドゥティ!」
「ドウテイコモリエルッ!」
小森は手に持っていたピザを丸呑みし、裾で手を拭いた。
「さぁ、神のご意志――絶対正義の名の下に、いざ行かん聖戦へッ!
まずは作戦会議なのです!
では、大天使はこれにて、ごちそうさまッ!
……――童貞と共にあれ!」
小森に続き、イナバ族の戦士達は出ていった。
残されたのは貞、操、長老に、ラビという少女だけである。
貞が操にこそっと言う。
「小森さん、元気になったみたいで良かったね」
「あぁ、それはそれで厄介なんだけどな」
操が小声で返した。
貞はこそと笑い、ご馳走になったと礼を言った。

53 :
「気にせんでええ、天使達よ」
「て、天使達って……」
貞は顔を曇らせた。
騙してるようで、決まりが悪い。
「あのぅ……僕達、実は天使とか神のお使いじゃなくて……」
口ごもる貞に、操は肝を冷やした。
本当のことを言っていいものか、気に病んだのだ。
だが、長老の口から出た言葉は意外なものだった。
「知っとるよ」
さも当然とばかりに答え、続けた。
「儂、その気になれば頭ん中覗けるし」
「!……そういや、そうだったな」
操がハッとした。
「儂は全てのものには意味があると思っておる。
雨の一粒にも、風の一吹きにも。
それぞれ目的の違う三人の出会いにも、そして、その三人とイナバ族との邂逅にもじゃ」
長老がふぅと嘆息し、ラビの頭を撫でた。

54 :
「儂はな、お若いの。
外界の進歩を見て、かねてからイナバ族の行く末を気掛かりに思っていたのじゃ。
ただ続く砂丘のような我ら。
目覚ましい発展を遂げる外界。
このままで本当にいいのか、と」
ラビが大きな丸い目を、更に丸くした。
「父様!そんな、ことない!
なんでそんなこという!
外界の人、自然汚す。
嘘をつくし、食べ物を粗末にする。
鳥取県民は、砂と共に生き、砂に死んでいく、でしょ?」
まぁ聞け、と長老が目で制す。
「確かに、このまま変わらないのもいいじゃろう。
誰からも忘れ去られ、それでも砂丘と生き、鳥取の風に散っていく。
イナバの在り方――それが本望という者も多い。
じゃが、まずは世界を見てからでもいい。
儂は、そろそろ若い世代に一族を託そうと思っていたところじゃった。
次世代が曇りなき眼で見定め、決める。一族の在り方をな。
それを見届けるのが、儂の最後の仕事じゃよ」
「アンタ……ジブリ好きなのか?」
「そんな時にやってきたのが、お主達じゃ。
例え、天から降りて来たわけでなくとも、イナバ族に新しい風が吹いたのは確かなんじゃよ。
これが何を意味し、どういう結末をもたらすかは分からぬ。
じゃが、古い言い伝えの通りに、イナバにきっかけをくれたあの男に、儂は残り少ない余生を懸けたいと思う」

55 :
ラビが悲しそうに、俯いた。
突然の話に、貞も操も何と言えばいいか分からなかった。
「あぁ、すまぬすまぬ」
長老が朗らかに笑う。
「別に変な期待をお主らに押し付けたいわけじゃないのじゃ。
気に病むことはないぞい」
「一族の命運……たくさんの人達……僕達、嘘でそんなものを巻き込んでいいのかな」
と、貞。
長老が、白い眉の下に、不思議な光を宿らせた。
「儂はお主達は言い伝えの通り、知らず知らずの内にでも、インシューを導くものじゃと思っとるよ。
例えそこが地獄でも、文句はない。
それまでの一族ということだけじゃ。
…………それに、何より……あの小森という男が、先ほど皆に語り掛けた言葉――」
オヅノ長老は言葉を切り、席を立った。
伸びをして、立て掛けてある槍をとる。
外に出る前、彼は振り返らず、続けた。
「――あの男……恐ろしいことに、嘘を吐いてなかったんじゃ」

56 :
世界を大いに賑わせている童貞混成軍は、今、中国地方を破竹の勢いで北上していた。
その規模の大きさたるや、誰もが予想出来なかったほどだ。
彼らが、ヤリチン寺院や童貞保健所など、各地の拠点を制圧していく一方で、捕らえられた童貞の解放や燻っている童貞を仲間に引き入れることにも熱心だったからである。
そして、その活動は彼らの期待以上の効果を発揮していた。
「おお……『三十人斬り』の佐々木だ!」
「『性騎士』の片瀬もいるぞ!」
「『こっくりさん使い』の小林もいる!」
ヤリチンに拘束されていた童貞は存外多く、中には、全国でも名が通った童貞もいたのである。
彼らは檻から放たれた猛獣のように、はたまたボールから飛び出したモンスターのように、自ら進んで前線に出向き、戦果を上げた。
鍛えた技で勝ちまくり。
仲間を増やして次の町へ。
そんなRPGの王道を行っていたのである。

57 :
《童貞軍の狙いは依然として、明確に分かってません。
警察は、不用意に童貞の潜んでいそうな場所に近付かないで、万が一遭遇してしまった場合は、速やかな通報を呼び掛けてます。
専門家によると、童貞は大変危険とのこと。
爆発の恐れもあるので、火の元厳禁。混ぜるな危険。
また有害物質やヤバげなウイルスを持っているかもしれないので、マスクの着用を促してます。
政府は、童貞軍に徹底抗戦の構えをとる姿勢で――》
日本だけでなく、世界中のニュースを独占しつつある彼らだったが、旗の立ち上げからまだそう時間が経っていない為、情報は少なかった。
貞員は既に三万以上。
大小様々な童貞軍によって結成された一大混成軍であること。
そして、彼らを引っ張るのが、屈強な大男でも熟達した古強者でもなく、小柄な少女であるという意外な事実だけが、世に広まっていたのだ。
「死せる童貞に自由を――」
「進撃の童貞ッ!童貞ッ!童貞ッ!」
彼らは強かった。
その力で同胞を救い、更に勢いづく。

58 :
だが、強さは時として刃を鈍らせることもある。
いい気になり、油断を生んではならないのだ。
派手に暴れたのだ、敵も本腰を入れてくるだろう。
ここからが本当の戦いなのだ――そう目を光らせたのは、頭のキレる、それぞれの反乱軍の代表者達だった。
先ほど制圧を終えたばかりの街のファミレスで、彼らは膝を交えていた。
「そろそろ、ヤリチン寺院の上層部が動くと見ていいでしょう」
「これまで通りにはいかんというわけだな」
凡そファミレスには似つかわしくない会話が、淡々と繰り広げられる。
席はほぼ埋まっていた。
思い思いに寛ぎ、勝手にソフトドリンクを飲みながら、意見を交わし合う。
「まぁ……鼻っから分かりきってたことだがな」
引き締まった長身に、顎髭を生やした男が言った。
この中では若い部類だが、発言力があり、軍議の中心にいた。
「……やはり、本気でぶつかりあったら不利かと思われますな」
「悔しいが、絶対的に物量が違う。
正攻法では攻められん」
痩せた童貞が、眼鏡をキラリと光らせた。
「兵法に秀でた童貞といえば、あの方がいますね」
「おお、奴か。
そういえば、見ておらんな」
「あの方……池上さんは性格はちょっとアレですが、軍師としては日本でも随一ですね」

59 :
「『包茎』の池上冠利か……その名は久々に聞いたな。
なんでもあの鳥取県に住む変わり者だとか」
鳥取県だと、とファミレスの一部が揺れた。
「阿呆か、気違いかそいつは!」
「変わり者で有名なのは知ってたが、まさか鳥取在住だと!?」
「とんでもない奴だ!
そんな頭のおかしい奴をこの軍に加えていいのか!?」
俄かに、ファミレスが騒がしくなった。
意見が飛び交い、激しくぶつかり合う。
更に飛躍し、話題が互いの部隊についての文句に切り替わってしまった者や、部隊の配置に不平を上げたりと、議題に関係のない意見を言う代表者さえ出てくる。

60 :
先ほどの長身の男が、『包茎』を擁護した。
「冠利さんか、俺はあいつを良く知ってる。
わけあって、共同戦線を引いたり、旅をしていたこともある。
会ったことある童貞は分かると思うが、情熱と童貞力は確かな男だぜ。
これから先戦い抜く為には、是非とも欲しい戦力にはちげぇねぇ」
その男、三擦り楽士団団長にして『早漏』の益垣が言った。
彼は横にいる小柄な少女に、目配せする。
「お前はどう思う?芳野の大将」
「どうもこうも」
芳野と呼ばれた少女が、嘆息混じりに言った。
「情けないったらないわね。
今は仲間割れしてる場合じゃないでしょ。
少しでも力を合わせないでどうすんの」
なんだと、と赤ら顔の男が立ち上がった。
「今のままの戦力でも一応対応出来てる。
池上とかいう奴が立案した作戦で、うちの軍団が割りを食うのはごめんだぞ!」
「んだと!そりゃ俺達もだ!」
「私もだ!身内が死ぬのは見たくはない!」
あちこちからそんな声が上がった。
分別のある童貞や、冷静な童貞は言い争いに顔をしかめる。
芳野が無言で立ち上がり、静かに言った。
「黙りなさい、カビ生えR共」

61 :
口論していた童貞達がサッと顔を赤くした。
芳野をねめつけるが、当の彼女は全く意に介した様子はない。
「あたしはね、正直、あんた達を駒にしか思ってないの」
この発言には、口論の外にいた童貞達も騒ついた。
芳野は淡々と続ける。
「あたしは全体を見てるつもりよ。
失礼、全体を見下ろしてるつもりよ。
あんた達の軍団一つ一つに構ってられないし、興味もないの。
ただ……勝つだけ。
だって、美少女は皆の為のものなんだもん。
あたしのやり方に不満があるなら、あたしをプレイヤーから引き摺り降ろせばいい。
……昔、知り合いに童貞がいてね。
聞いたことあるのよ、昔ながらの誇り高き戦士は『闘貞』とかいう方法で決着を着けるんでしょ?
いつでも受けてあげるよ」
芳野の言葉に、その場の童貞達は押し黙った。

62 :
だが、益垣は一部の童貞がちらと嫌な表情を浮かべたのを見逃さなかった。
(嬢ちゃんはよくやってる。
童貞でもないのに、しっかりと柱になってやがる……だがなぁ……)
益垣は渋い顔をした。
確かに、芳野はリーダーとしての資質は十分にあった。
気の強そうな瞳は有無を言わさない迫力があり、真一文字に結ばれた口が開かれると正確な命令が飛ぶ。
場慣れしているのか、多少のアクシデントにも動じない。
だが、全童貞の心を掴んでいるわけではなかった。
芳野佳乃は元、三ツ星ハンター。
反感を買わないわけがない。
更に、彼女は酷く独裁的で、勝つ為に犠牲を出すことにも躊躇がなかった。
何より、大前提として彼女はビッチなのだ。
俺達のリーダーが何故ビッチなのだ――皆、心のどこかで、そう思っていた。
(こればっかりは綺麗事じゃねぇ。
これは長い闘争の歴史に根差した、深いモンだ。
それに、反芳野派の意見も分かる。
お嬢ちゃんは貞のことで自棄になってんのか、かなり血の気の多い戦いを皆に強いてるも確かだ。
成果の代わりに、犠牲も払ってるのを忘れちゃならねぇ。
俺が大将補佐として恨みを分散させてはいるが、これ以上は反乱軍から反乱が起きるというコントにもなりかねん。
たくっ、どうしたもんかねぇ……)

63 :
益垣が人知れず心を砕いている間、芳野は意に反す者を黙らせたのにすっかり気を良くしたらしい。
満足気な笑みを浮かべ、軍議そっちのけでメニューに視線を落とした。
やがて、顔を上げ、店員を呼ぶ例のアレを押した。
「おい!パフェよッ!!
ありったけのパフェを持ってくるの!!
乙女のお腹がピンチなの!」
厨房の方から、げんなりした顔の若い女性が顔を出した。
年の頃は二十歳くらいだろう。
何故か着ているメイド服は、品のある顔立ちに中々似合っていた。
彼女は横でまとめた長い黒髪を揺らして、パフェを運んでくる。
「お待たせしました……芳野将軍。
適当にあるモノ入れてみたよ風気まぐれ岡田の冬色パフェでございます」
彼女が――岡田が濁った瞳で、パフェを置いた。
戻ろうとする岡田の肩を、小さな手が捉える。
「ヒッ……!」
「待ってよ。ご主人様の隣に座りなさいよ」
岡田はされるがまま、芳野の隣に座らせられた。
芳野はにやつきながら、その肩に腕を回す。
ぶらんと下がったそれは、自然と大きな膨らみに当たった。
小さく、岡田の口から息が漏れた。

64 :
「お、およしになってください……」
「芳野よさない!」
芳野は笑みを浮かべ、大きく実ったそれを撫でるように弄る。
岡田は必死に助けを求めるも、童貞達は話し合いに夢中だった。
ふん、と芳野が鼻で笑う。
「あんたみたいなビッチが街をうろついてたら、そりゃ童貞軍に捕まるっての。
おとなしく抵抗しなければいいものを、二人で五十貞のしちゃうなんてね。
その腕と巨乳に惚れたのッ!
あたしの計らいがあってこそ、この芳野佳乃様のメイドとして仕えることが出来るんだから、感謝してよね!岡愛理!」
「は、はい……感謝します。芳野将軍。
あと、岡愛理じゃなくて岡田愛理です……」
岡田は惨めさに涙を浮かべた。
その間も少女の小さな手は、彼女の乳房を弄んでいた。
否応なしに、身体は跳ねてしまう。
きつく口を結んでも、そこから、パフェよりも甘い声が漏れてしまう。

65 :
芳野は手持ちぶさたになったもう片方の手で、再びブザーを鳴らした。
「奴隷二号機!!
下が大洪水で喉が渇いたわ。
なんか炭酸持ってきなさい。
刺激的に弾ける、思春期飲料を所望するわ」
「ウホ……」
厨房から、黒い毛をびっしりと生やした大男が姿を見せた。
額は変に突き出し、小さな目は落ち窪んでいる。
その男は、芳野の前にドリンクを差し出した。
芳野はそれを呷ろうと手を伸ばしかけ――
「おい、氷入ってるじゃねえのよ!」
吠えた。
なんだなんだ、と童貞達が注意を向ける。
「氷入ってると薄くなるの!
でも飲み終わった後の氷をガリガリ食べるの美味しいの。
ああ、二つの思いに板挟みになるあたし可愛い……!
でも今は濃いぃぃのがいいんだからぁ」
どうやら芳野は機嫌を損ねたらしい。
ゴリラが、低く唸りながら震える。

66 :
ハッとして、岡田が芳野をあやした。
「よ、芳野将軍……怒っちゃです!
ゴリラは非常に繊細な生き物なんですよ。
交尾期間中以外は攻撃性のない穏やかな、そして神経質な動物なんです。
ちょっとしたストレスからも胃潰瘍になったり、心臓への負担で死に至ったりするという引きこもりばりのメンタルなんですよ!
ただ引きこもりとは違ってワシントン条約のサイテス1、つまり商業取引が原則禁止なほど希少動物なんです!
大量発生しつつあるヒキニートと違って、絶滅が危惧されている動物なんですから!」
「ゴチャゴチャうるせぇッ!」
芳野はグラスの氷をスプーンで掻き出すと、それを、あろうことか岡田の局部に押し込んだ!
「あ、あああ、ああぁぁああ!!!!!
おまたキンキンするのぉおおおおッ!!!」
「そ?よかった!
中でペンギンでも飼いなさい」
芳野は地面をのた打ち回る彼女にそう言い捨て、二メートルはあろうかというゴリラを見上げた。
ゴリラの目は、分かりやすく恐怖の色に染まっていた。

67 :
「ふん、そんなに怯えなくてもいいわよ。
芳野ちゃんは寛大よ。
あんまり痛くしないから。ね?」
何故かストローを持って迫る芳野に、ゴリラは弾かれたように胸を叩きだした。
岡田が顔を上げる。
「目覚めたのね!あまりの恐怖に野生に目覚めたのねウホゴリ君!」
「うるせぇッ!!」
芳野が小さな足で岡田を踏みつける。
「あう」
「芳野ちゃんのおみ足よ。
あははっ!人を踏むのは人を助けるのと同じくらい気持ちいいわね」
その時、入り口のベルが鳴った。
入ってきた男に、一人、また一人と視線が集まる。
芳野も踏みつけるのを止め、そちらへ顔を向けた。
がっしりとした体つきに、髭面の男。
ミリオタなのか、鉄帽と軍服を纏っている。
彼女は直感で、そこにいたのが、話題に上がった池上冠利であると理解した。
「皆さん、お揃いのようでありますな!
この池上冠利、義によって馳せ参じたであります!」

68 :
「い、池上団長さん……!」
床に這いつくばった岡田が、顔を上げた。
ゴリラも胸を叩くのを止め、助けを乞うように池上を見つめた。
「おお!二人共、こんなところでなんと奇遇な!」
「え、なに?あたしの奴隷と知り合いなの?
えっと、池上さん」
と、芳野。
「えぇ、彼らは童貞の味方であります!」
その言葉に、岡田とゴリラがしたり顔になる。
「ほら!私達は敵じゃないわ!
確かにスパッツマスク様以外の童貞は別にどうなったって気にしないけど、スパッツマスク様には忠誠を誓っているのよ」
「ウホ!」
だが、二人はすぐに縮こまった。
芳野がギロリと睨み据えてきたからだ。
「あんた達はあたしに召し仕えて天命を全うするの!」
「ひどい……あんまりよ……」

69 :
芳野は池上と向き直った。
「一応、リーダーの芳野佳乃。
来年受験だけど国家転覆狙ってる恋愛体質の愛されガールだよ。
よろしく、池上さん」
「貴方が噂に聞く芳野さんでありますか。
自分は鳥取童貞軍団長、『包茎』の池上冠利であります。
無職であります。
こちらこそよろしくであります」
池上は丁寧にも鉄帽を取り、一礼する。
顔を上げた彼の目は、抜け目ない光っていた。
「では、まずはこの場で皆さんに、報告したいことがあるであります」
「近畿にある大寺院のこと?
あんまり詳しいことは分かんないけど、そこにヤリチンが集まってるんだよね?」
芳野が小首を傾げた。

70 :
「えぇ、そのこともですが、もっと重大な秘密を知ってしまったのであります」
池上は意味ありげに、笑みを浮かべた。
それに、陰りが差していく。
「まずは、そのヤリチン達の動向についてからですが……。
皆さんも知っての通り、次の戦いは肝であります。
連中が本気で我らを叩きつぶしにくるでありますから。
信頼出来る情報筋からの話によると、ヤリチンは四万。ビッチが二万。
計六万はまず確実。
あと、近畿地方の自衛隊の無線周波がちょっといつもと違うっぽいでありますな。
更に、各地方のヤリチン教幹部も駆け付けてるみたいであります」
軽い語調とは裏腹に、その言葉は質量を持って代表者達にのしかかった。
うう、という呻きがあちこちから上がる。
「こちらの二倍以上だと……」
「それだけじゃねぇ。
自衛隊が来るなら、向こうからは銃弾が飛んでくるぞ……!」
「いや、そんな些細なことよりも、幹部だと!?
特にヤリチン四天王は聞いた話だと、一騎当千の化け物らしい!!」
「その中でも桁外れに強いというのが、ダース・ニーターだ……。
クソッ!スパッツマスクさんがいればッ!」

71 :
いつの間にか再開してる…別スレでアンタと似てるなと思ってたらやっぱあれアンタかww
モギャー…じゃなかった、続き待ってる!

72 :
見兼ねて、芳野が立ち上がった。
「ちょっと、なに士気ガタ落ちしてんの。
今回の戦じゃ、働きに応じてこの芳野ちゃんから賞品が出るんだよ」
彼女はポッケから小瓶を取り出す。
茶色い紙のような物が入っていて、なんだなんだと童貞達の注意を集めた。
「優秀賞はなんとこれ!
『あたしのカサブタ』こんなこともあろうかと、一瓶分貯めておいたの!」
うわ、という声がいくつも漏れるが、こういう時の彼女の耳は何故か遠くなるのだ。
構わず、また何か取り出した。
「最優秀賞は超豪華!
このコンタクトレンズ『芳野ちゃん二十四時』これはカラーコンタクトの要領で、あたしをレンズにプリントした芳野ラボの自信作よ!
これさえ付けてれば、いつでも視界に美少女が!
網膜に常にあたしが張り付いて離れないの!スゴいよね!
優勝出来なくても悔しがらなくていいわ、この芳野ガジェットは十枚組で定価二万九千八百円!
芳野ラボから好評発売中よ!
ちなみに、使い捨てじゃないから……一晩付けたくらいでさよならはイヤだから……!」
頭を垂れ、童貞達は暗い意見を交わし合った。

73 :
>>71
!?
なんのこたいってるのか分かりませんよ!!

お待たせしてすみません
サクサク続けます、童貞と共にあれ!

74 :
だが、その男の戦意は挫けるどころか、寧ろ燃え上がっていた。
「いや、悪いことばかりじゃないね、こりゃ」
そう言い切ったのは『早漏』の益垣である。
「考えてもみてくれよ。
幹部だぜ、幹部。
もしそんな奴が戦場にいたなら……もし尊師の奴が本気なら、尊師自身も来てるかもしんねぇぜ!」
「た、たしかに……」
「おお!この戦争に終止符を打てるやもしれぬ!」
俄かに活気が広がった。
芳野はあっという間に士気を向上させた早漏の手腕に、少し驚いたような表情を浮かべた。
普段は飄々とした彼だが、伊達に全国一の早漏と言われるだけはある。

75 :
>>73
あっwww ごめんごめんw
引き続きどうぞ!

76 :
よーし追いついたぞ
ところで別所のすれたいはよ

77 :
モギャー!ww
まさかバレるとは…
気合いいれて続けます!

78 :
池上は頷いた。
「彼の言う通り、今回の戦いは尊師直々に指揮する可能性が大いにあるであります。
この戦いの要は、銃を使う人間への対処法。
必ず来るであろう童貞ハンターの対処法。
幹部クラスなど、一流のヤリチン戦士への対処法。
以上の三点でありますな。
一個目と二個目は、自分に考えがあるであります」
「三番目は俺に任せてくれ!
ここらで名を上げたくてな!」
と、若い童貞が言った。
血気盛んな童貞が続く。
「俺もだ!仮にも『精液ダム』の安田だからな!
幹部程度、一捻りさ!」
「僕もだ……『Rーマスター』の力。
外でも発揮したくなったぜ」
「俺はダース・ニーターと裏切り者の諏八と後二人、四天王全てを討ち取るぞ!」
「俺もッ!」
「じゃあ俺もッ!!」
「どうぞどうぞどうぞ!!」
童貞軍に加わった新たな仲間は、更に続けた。

79 :
>>76
妹がふざけて立ててました!
http://c.2ch.net/test/-/news4viptasu/1378213167/1-

80 :
「それから、これは最初に言った『重大な秘密』でありますが……」
彼は一度、お冷やを呷った。
酒でも飲むかのような仕草だ。
感の鋭い者は、その時、見ただろう。
彼の目に見え隠れする、暗鬱としたものを。
池上が、再び口を開いた。
「――ソーマ・プロジェクト。
今朝、大寺院の情報局から手に入れた暗号文書の名前であります。
全容は明らかになってませんが、文書から読み取れた単語から、恐らく……世界規模で奴らは何かをする気であります……ッ!」
たちどころに、騒めきが広がった。
芳野でさえ、顔色を変えた。
「大寺院の情報局!?
よくそんなところから……いや、それより世界規模のプロジェクトだって!」
「連中の狙いは何なんだ……?
日本をヤリチンの国にして支配する……それだけでは飽き足らずに……」
分かりませんが、と池上が苦笑した。
「童貞にとって……いや、ヤリチン以外の生きとし生けるもの全てにとって良くない何かが、起きてしまうであります」
益垣がボソリと溢した。
「神の酒、か」
それは思いの外、童貞たちの注意を引いた。
皆の視線に気付き、益垣は言葉を続けた。
「いや、確かどこかの神話で、『ソーマ』っていう飲料が出てくんのさ」
「あぁ、インド神話でありますか。
ソーマ……なるほど、自分も今、思い出したでありますよ。
そこからとったでありますか?……だとすると……」
と、池上が唸る。

81 :
何人か博識な者も、考え深そうに頷く。
芳野は益垣の袖を引っ張った。
「なんなの、それ……詳しくこっそりまるっと教えなさい」
「俺もうろ覚えだが、神様の飲む特別な力や活力が出る霊薬で、月の神様でもあるらしい。
月は、ソーマの入った酒盆なんだとよ。
満月はなみなみ注がれた状態ってとこか」
「……ふぅん」
ソーマ・プロジェクト――芳野は口の中で呟き、まだ見ぬ戦いに気を引き締めた。
と同時に、彼女の胸中では、弟や母の笑顔が胸を焦がしていた。
そのプロジェクトとやらで家族に危害が及ぶなら、いっそ刺し違えてでも尊師を、と密かに心に決める。
芳野は一人納得したようにウンウンと頷き、下僕を呼んだ。
「腹ごしらえ用のご飯作ってくんない?
全員の分も。五分ね。
オーバーしたら罰ゲームだから。
あたしこのメニューのこっからここまで」

82 :
小さな独裁者の召使によって運ばれてくる冷凍食品に舌鼓を打ちながら、軍議は続いた。
池上はこれまでの戦闘の様子を周りから聞き終えると、溜め息を吐いた。
「今までの戦略では当然、勝てないであります。
数に勝る相手に、ただの力押しでは、敗退しかあらず。
まず、芳野さんは用貞術のさえ分かってないであります。
あと童貞の心も。
賞品はパンツにしろであります」
池上は非難がましい視線を、少女に浴びせた。
その目は、大将の信任を疑っているかに見える。
芳野に反発を抱く童貞が、そうだそうだ、と持て囃した。
「あ、あによ!?なんで戦術なんか勉強しなきゃいけないの!
花の中学生よ、あたし!
この犯罪者共!パンツとか恥ずかしいし!」
芳野が膨れる。
その時、大柄な男が、立ち上がった。
「不信任決議を希望する!
なぜ、ビッチに従わにゃならんのだ!」
「そうだ、もっと軍の被害を小さくしろ!」
「パンツ!」
「パンツだよ、ほら早く!」
勢い付き、次々とそんな声が上がった。

83 :
だが、反芳野派がいれば、芳野を支持する者ももちろんいる。
「おい、そりゃあんまりだろ!」
「確かにこの子は童貞使いが荒い。
けど、乱暴だが確かな力で俺達童貞を束ね、先導したのも彼女だ!あとパンツより一日お兄ちゃんって呼んでほしい!」
「そうだぞ蒸れたストッキング!
何の思惑があるにせよ膝枕+耳掻き、俺達童貞に力を貸してくれてるんだ幼なじみ設定でフライパンとオタマをガンガンして朝起こしてほしい」
頭を掻きながら、益垣も加勢した。
「まぁ、言いたいこたぁ分かるがよ。
お嬢ちゃん以外にいるか?
童貞軍全体を公平な、第三者な目で見れられる。
その上、まとまりのない俺達を、例え恐怖や暴力といった形でもまとめられる奴がよぉ。
俺ぁ普通にデートがいいかな」
その通り、と相槌を打った人物に、反芳野派は面食らった。
先ほど、芳野に不信の目を向けていた池上だったからだ。

84 :
「勘違いしないでほしいであります」
彼は反芳野派に言った。
「自分は芳野さんを大将に相応しいとは思ってないであります。
知識や経験のことじゃなく、心構えの問題で。
彼女の戦い方が粗いのは事実。
ですが、他に癖のある童貞軍をまとめられる人物がいないのもまた事実。
そもそも、今は芳野さんで揉めてる時ではないであります。
こうしている間にも、連中は攻めてくるかもしれない。
それとも、仲間や他の童貞を危険にしてまで、君たちは新しい大将を生むことに価値があるとお思いでありますか?」
その言葉に、彼らは恥じ入ったように顔を伏せた。
「統率力や指揮する力は間違いなくある。
だったら、細かい作戦や戦略は自分が考えればいいだけであります」
池上は芳野の方へ顔を向けた。
彼女は、挑戦的に笑った。
「上等!たった今から、貴方を芳野ちゃんの参謀に任命します!」
そして、彼ら代表者は、参謀――池上冠利の口から繰り出される作戦や用貞術に聞き入った。

85 :
それは、今までの彼らのやり方を真っ向から否定するものだった。
「まずは、全軍の分解、再構築が急務であります。
この混成軍は一つの軍団ではなく、ただの小さな軍団の集まりであります」
「だけど、それぞれの反乱軍で戦った方が慣れてるし、命令系統も早いしな」
と、別の童貞。
「今まではそれでやっていけたでしょうが、ヤリチンが本気で動いてくるなら、それでは勝てないであります」
池上ははっきりと言った。
三本の指を立て、
「『三大貞科』ご存知の代表者もいるでしょう。
童貞にはそれぞれ様々な能力や適性があり、大まかには三つに分けられる。
それで区分けし、新たに隊を作り直すであります」
彼は薬指を折り畳んだ。
「童貞剣士。肉棒術を用いた近接戦闘を得意とする。
主な適性は、ムケチンと言われているであります」
次に、中指。
「童貞銃士。射精術を得意とし、援護や遠隔攻撃など活躍の幅は広い。
主な適性は特にないが、真性包茎は射精精度が他に劣る為、向かない」
最後に、人差し指。
「童貞騎士。包皮を用いた堅固な守りが自慢。
主な適性は真性包茎。
これら三つで隊列を組み――」

86 :
代表者達は、池上の提案や作戦に驚き、訝しみ、感心した。
初めは彼を胡散臭げに見ていた者や、参入早々、高い地位を得た彼にいい顔をしなかった者も、いつの間にか夢中になっている。
芳野が単純な力で他を従える百獣の王だとすれば、池上は知力と口八丁に優れた狸だろうか。
彼らの大将とはまた別の人を惹き付ける力を、確かに池上は持っていた。

87 :
「いける……!これならいけるぞ!」
「むむ……確かに、理にかなった戦法だ!」
「さっそく、個々の隊に触れを出してほしいであります」
慌ただしい様子で、軍議は終了した。
代表者は足早に去っていき、後には三人だけ残された。
「まぁ、三擦り楽士団は射精に長けたモンしかいねぇんだな、これが」
と、益垣。
「分けるまでものぇ。数も少ないし」
「そういえば、久々でありますなぁ、益垣殿。
春先の北九州での小競り合い以来ですな」
池上が、ゴリラの持ってきたコーヒーを啜って言った。
「あぁ、やっぱりあんたもくたばってなかったか。
……お久し振りです、団長」
芳野が割って入った。
「二人って知り合いなの?」
「知り合いっつうか、俺は一時期、鳥取童貞軍にいたんだ。
副団長兼砲撃部隊隊長兼軽音部部長の益垣たぁ俺のことさ」

88 :
「何それ?初耳よ」
「聞かれてないからな」
益垣はすまして答えた。
「なんで抜けたの?
団体行動とれないダメな子なの?」
「音楽性の違いかな」
益垣と池上は互いに苦笑した。
「益垣殿は実力やカリスマを持ち合わせながら、それはもう手に負えない暴れん棒でしてなぁ。
血気盛んで、自分とはしょっちゅう……というかいつも喧嘩してたであります」
「えっ?こいつが」
芳野は益垣を見上げた。
気さくなニイチャン、といった感じだ。
適当な男だが、少なくとも彼女が知る益垣は飄々としていて、冷静な童貞である。
間違っても夜の校舎窓ガラス壊して回ったりはしそうにない。
「最後には大喧嘩して、直属の部下を連れて脱退さ」
益垣は昔を思うように、遠い眼差しを外へ向けた。
「あの晩の喧嘩はなんでありましたかね?
いつものように軍律違反を注意したのがきっかけか、掃除の割り当てがきっかけか」
「いや、酒か女の好みの食い違いだった気がするぜ?
……覚えてねぇや」
親しげに話す童貞二人に、芳野は目を丸くした。
「喧嘩別れしても、時間が経てばまた仲良くなれるもんなの?」
「多分な」
例によって例の如く、適当な返事が返ってくる。
芳野は唸った。
なにやら深く考え込んでる様子だ。

89 :
それを不思議に思ったのか、池上は怪訝な顔をしながら、
「そうそう、芳野さんに言っておかなければならないことがあるであります。
戦いの直前という時に言っていいものか悩みましたが……」
「え……年の差あるし困る……」
「君の弟は丁重に預か――」
《アンインストール♪アンインストール♪》
言いさしたところで、彼の携帯が鳴った。
「はい、もしもしであります。
……え!?何やってんのマジ困る!」
「ちょっと、なに言い掛けたのよ」
「なんでもないであります!」
彼は慌てたように通話を切り、誤魔化した。
「それより、二人共今作戦の要であります!
細かい打ち合わせをした方がいいであります!」
「それもそうね」
「だな」

90 :
彼らが、後々語り継がれるだろう、せいしをかけたせいきの決戦、天下ワレメの乱に苦心している間、大寺院からは軍用車が列を成して走っていた。
その行列は蛇のように伸び、くねり、国道を疾走していった。
その列の尻尾が遠く、山間に消えて行くのを見計らい、街からはちらほらと、塗られた顔料もおぞましい顔が姿を見せる――その先頭には、彼らとは対極に、死人のように青ざめた白い顔があった。
「出計らったのか?」
その白い顔の横で、大柄な男が言った。
「いえ、完全には。
留守を守る兵は残っているし、城の立地はいい。
見渡しも利くし、奇襲は無理そうだ。
とはいえ、万全の城を攻城するわけでもない――全隊に触れを、オペレーション『YUTORI』。
肩の力を抜いて行きましょう、童貞と共にあれ」
「こういう時こそ気を引き締めねば」
と言いたいところだが、と大柄な男は笑った。
「大天使が言うからには、その通りなのだろうな」
「えぇ、任せてください」
大天使は、小森新斗は、目の前に要塞のように聳え立つ大寺院を前に、口元を歪めた。
「こんな籠城、素人の仕事です。
プロが本当の出不精って奴を御覧にみせましょう」

91 :
その戦は、さながら神々が最前列での観戦を取り計らったかのように、空に近い高原地帯で起こった。
そこは全国でも有名なススキの大群生地だった。
見渡す限り、背の高い草が生えていて、遠くは視界が効かない。
ヤリチン達がかなりの距離まで、接近に気付かなかったほどだ。
童貞軍は、彼らは敢えてそこでぶつかるよう、待機していたのだ。
「!?……童貞だア゙ァ゙ァア゙アア゙!?」
怒声が上がった。
今、彼らが慌て不為いているうちに攻め込めば有効な打撃を与えられる――一体、童貞側の何人の胸にそんなことが過っただろう。
だが、彼らは待った。
「今叩けば、ノーリスクであの軍勢の片足くらいはもっていけるよ」
ウズウズして今にも飛び出しそうな大将が言った。

92 :
「今は堪える時であります。
……ヤリチンめ、やはり人間を斥候に置いてきましたか」
参謀が諫めた。
髭面の奥で底光りする目を、細める。
「全包茎部隊、構えッ!
ムケチン共に我らの力を示せであります!」
その言葉を皮切りに、童貞軍が動いた。
それを見て、ヤリチン側も攻勢に出る。
「撃て、撃ちまくれ!」
「あの現行犯共め!容赦するな!」
アサルトライフルが火を吹く。
けたたましい発射音が、冷たい外気を揺らす。
無数の弾丸――だが、童貞軍に血は流れない。
前衛に勃つ包茎部隊の皮が、軍のダメージを許さなかったのだ。
「いってー……」
「思いっきし引っ張られたみたいに痛いわ……」
包茎と馬鹿にされたことは一度や二度ではない。
ドリルチンチンと呼ばれたことは数知れず。
だが、そんな彼らのアレは皮肉なことに、命を守る盾にもなるのだ。
というか皮肉という言葉自体、彼らにとっては皮肉である。

93 :
ヤリチン軍にどよめきが広がった。
「あ、あいつら……!?」
「構わん!奴等は童貞!
このくらいは想定の範囲内じゃ!
火力で押し潰せェ!」
ヤリチン側が再度攻撃を加えようとしたその時である。
童貞軍は、気ぜわしい様子で、敗走していった。
「上官!奴ら逃げていきます!」
「追うぞ!上からは、何としても全滅せよとお達しが出とるけぇのう!
サーチ&デストロイじゃ!」
ヤリチン軍の斥候が生き生きと追い掛ける。
その数は三千近い。
半分以上はヤリチンではなかった。
銃で武装し、軍服を着ている人間である。
彼らは良く訓練の行き届いた精兵らしい。
隊伍を乱さず、童貞軍を追い詰めていく。

94 :
「奴らを逃すな!国家にあだなす逆賊じゃけぇのう!」
「しかし上官!奴ら、いやにあっさり過ぎません?」
「うるせぇ!ゴチャゴチャ言うな!
あいつらもゴチャゴチャ考えてないんじゃけぇ!」
だが、その言葉は間違っていた。
童貞軍が最初に待機していた場所にさしかかった時、左右から童貞部隊が忽然と現れた!
彼らは予め、姿勢を低くして、背の高い草の影に隠れていたのだ。
ヤリチン軍の斥候が半狂乱となった。
「童貞!?右からも左からもだ!?」
「落ち着け!隊列を整えろ!」
既に、一方的に人間が童貞を攻められるライフルの距離ではなかった。
「ソロモンよ、あたしは帰ってきた!」
更に、敗退を見せ掛けた本隊が土煙を上げて押し迫ってくる。
ヤリチン達は為す術もなく、CMくらいの時間で壊滅した。

95 :
「ほぅ……芳野め。
いつの間に小賢しい真似を。
最近の受験生は兵法も勉強するようだな。
受験戦争『ジハード』か……人間とは何と業が深い……!」
ヤリチン軍本隊より更に後ろ、小高い丘で遠巻きに観戦していた小柄な黒いローブの者が呟いた。
「如何致しましょう、尊師様」
隣にいた軍服を着た少女が、目に冷徹な光を湛える。
尊師は彼女の意を察したかのように、手で制した。
「いや、まだいい。
奴らに任せよう。童貞の手並み拝見といこうではないか。
シロよ、コーヒーを」
「いつものココアでございますね」
「余がコーヒーといえばコーヒーなのだ……!」
童貞軍がいつもとは違う――尊師だけでなく、ヤリチン軍の高官達も、早くに気付いた。
童貞軍はあっという間に、それもほぼ無傷で銃を使う人間を攻略したのだ。
「奴等はいつものアホの童貞ではない!
気を抜くな!抜け!」
ドピュ、という例の音が断続的に鳴り響いた。
それは山なりの軌道を描き、死をもたらす雨となって童貞軍に降り注ぐ。
着弾したそれは、湿った、だが耳をつんざく爆音を上げて、土と草と叫声を巻き上げた。

96 :
多くの童貞は包茎達の後ろに縮こまり、何とかやり過ごした。
だが、土煙が晴れてみると、運悪く怪我をしたものもちらほらと目に付く。
「こっからが童貞とヤリチンの戦いでありますな」
一際巨大に皮を広げ、旗本を一人で守った参謀が、その眼光をヤリチン軍に向けた。
距離は一キロもないだろう。
「全軍、進撃するであります!!」
「童貞ッ!童貞ッ!」
「童貞に栄光あれッ!!!」
――遂に、童貞軍が進撃を開始した。
横陣をとり、最前列には包茎部隊。
その兵力は六千を越える。
夥しい数の包茎である。
子供が見たら多分泣く。
その後ろに、守りより攻めに長ける、仮性、ズルムケで構成された歩貞部隊。
近接・中距離攻撃をメインとする彼らは、肉壁となった包茎の隙間から、射精しながら進軍していた。

97 :
人員は最大の二万。
中央には、旗本隊もあり、参謀が仕切りに指示を出し、その横で少女がポンポンを両手に足を振り上げていた。
更にその後ろ、童貞軍の後衛に控えるのは、約五千の、
「ヨッシャァ!景気付けに一発打ち上げるか!
俺達の濃くまろ花火をよぉッ!」
射精を得意とする、ぶっかけ部隊。
前列の中央で指揮を執っているのは長身に顎髭、テンガロンハットを粋に被りこなす童貞だった。
「発射だァァァアアア!!!
とべよォォオオオッッ!!!」
「安室、イキます!」
「最初っからクライマックスだぜ!」
「銃身が焼け落ちるまで撃ちまくってやんよ!」
童貞軍の後方から、火力支援のザーメン弾が射ち上がった。
通常、いくら射精術に秀でた者でも、遠距離火砲のような威力を出すには、溜め射ちをしなければならない。
勿論、敵と相対している時、寸オナを繰り返したり、限界まで我慢したりする暇はないのだが、池上は彼らを後ろに配置することにより、難しい運用を可能にさせたのだ。
青い空が、白く汚れた。
かと思えば、それらは隕石の如く、ヤリチン軍へ衝突したッ!

98 :
「ぎゃぁああアアア!?」
「包茎の者、もう馬鹿にしたりしないから軍を守れ!」
包茎手術を受けるものが多いヤリチン軍に、高火力の射精砲は大打撃を与えた。
あちこちでヤリチンが吹っ飛び、前列は壊滅状態となりつつある。
それを見るや、池上が声を張り上げた。
「攻め込むなら今であります!
進軍速度を上げるであります!!」
次いで、スマートフォンを高速で弄った。
童貞軍の公式ホームページに設置されたLINEが更新され、各々指示を理解する。
「ここからはあまり見えんが、敵はたじたじらしい!」
と、火力支援部隊隊長の益垣が童貞兵へと振り返った。
「たいしたモンだよ、池上参謀は!」
「も一発いっとくか!」
いや、と益垣がかぶりを振った。
「進軍速度を上げながら、消費がでか過ぎる一発の溜め射ちじゃなく、普通の射精、余裕がある奴は連射系の射精で支援してくれとのことらしい!
そうそう何発も放てる技じゃないしな!
野郎共!まだ先は長いぞ!
マムシドリンクを飲んでおけよ!」

99 :
また、歩貞部隊では、
「攻め込むようだ!
こっから俺達の出番だぞ!」
「見えてきたぜよ!童貞の夜明け!」
大将、芳野佳乃が疑問を口にした。
「このまま全員で射精大砲すれば勝てるんじゃない?」
「そうも上手くいかないのであります」
と、池上。
「この戦いは長丁場になるであります。
消耗の激しい射精砲を序盤からポンポン放てないでありますし、回復期間を置いた方が賢い。
何より、遠距離でただひたすら射ち合えば、向こうの方が数は多いんだから当然射ち負けるであります」
「確かに、言われてみればそうね。
ま、考えるのは池上さんに任せて、あたしはあたしで頑張ろ。
命短し殺せよ乙女!
あたしは雛祭りより、血祭りが好きなの!」
「いや、芳野さんは出なくていいであります」
芳野が鼻白んだ。
「なんでよ。
あたし強いよ、無双出来るよ!
チャージラッシュは全方位よ!」
「別に芳野さんのお力を疑ってはいないであります。
ただ、これは戦争。所詮、一個人の力で、どうこう出来るものではないであります。
芳野さんは体力を温存し、来たるべき時に備えるのであります」

100 :
「来たるべき時ってじゃあいつよ?今でしょ!」
小さな大将が地団駄を踏む。
池上は諭すように言った。
「ヤリチン四天王……彼らを倒せる可能性が最も高いのは、芳野さん、貴方であります。
そして、童貞の弱点属性であるヤリマンに対抗できるのも、貴方。
謂わば、最終兵器痴女。
だから、ここでいたずらに体力を消耗するのは得策ではない。
芳野さんは我が軍の汎用人型決戦兵器オマンゲリオンなのであります!」
「……!なんかあたし格好いい!」
参謀が血気に逸る大将を止めている間に、両軍の間合いは遂に目と鼻の先になっていた。
近距離の為、未熟な者は射精弾を捌いたり受けたりすることが出来ず、悲鳴が連なっていく。
やがて、互いの最前衛の刃が、ビタンッと湿った音を上げて切り結ばれた!
「戦じゃあア゙ァ゙ァア゙アア゙!!!」
「おおおおおおおおおおおおッッッ!!!」

101 :
包茎部隊がその防御力を如何なく発揮し、ヤリチン軍の一番ヤリを押し留めた。
数に勝るヤリ兵達の猛烈な突きを、血道を上げて受け止める。
横隊を組んでいる童貞軍にとって、陣を破られ、分断させられるということは命取りなのである。
彼らは必死だった。
「おらぁ!勝負しろ賞味期限切れR共がぁ!」
「ガードばっかしてんじゃぇ!」
ヤリチン軍の前線は、ゴムのような弾力を激しく罵った。
だが、彼らは防御に専念し、挑発と猛攻にじっと耐える。
いくら守りに優れた包茎といえど、よっぽどの実力差がないかぎりダメージは避けられないものである。
現に、特に攻撃が激しい中央にいる包茎部隊はあちこち怪我を負っていた。
それでも、彼らは頑として一切の攻撃をはねのけた。

102 :
そのスクラムの間から、射精弾が放たれる。
後方からは、白い弾幕が張られる。
それらは地味に、だが確実に、ヤリチン軍に被害を与えていた。
ヤリチン軍の前衛に、苛々と疲労が募っていく。
「押し潰せ!こっちの方が数は上なんじゃッ!!」
痺れを切らし、中央を破ろうとしたその時!
「今であります!
第一、第二、第三包茎大隊下がれッ!でありますッ!」
「第一第二第三下がれェッ!」
「一旦休憩とのお達しだァ!」
中央の包茎部隊がサッと引っ込む――代わりに現れたのは、彼らの三倍はいようかという歩貞部隊だった!

103 :
「第一から第三歩貞連隊、前へッ!
存分に射ち、存分に斬り伏せるでありますッ!!」
池上の命令に、閧の声が続いた。
「貞ッ!貞ッ!貞ェェェェェェエエエイッッッ!!!」
普段、女の子に「手相見てあげる」と手を握られただけで勘違いしちゃうほど純情な童貞達だが、今日ばかりは肉食獣となっていた。
一万を越えるフルチンが、太ももにぶつかり、ベチベチと湿り気を孕んだ音を上げる。
耳を覆いたくなる大合唱が、冬の寒空に高く響く。
さながら、それは己の自由を証明する鳥の羽ばたきのようにも聞こえた。
一万本のおちんちん。
二万個のたまたま。
怒りを湛えたそれは、いつもより猛っていた。
天を突く勢いの勃起。
風もないのに、躍動する睾丸。
一物は激怒していた。
叫んでいた。
童貞を!――紛うことなき童貞をッ!
その牙を突き立てんと迫る先は、決まっている。
包茎部隊の頑張りによって疲弊を見せる、ヤリチン達であるッ!

104 :
フッヒー!前は確かこの辺りで終わったはずでした
続けます
あ、一応童貞warsを推敲終わった奴からさらしてってますので良ければ見てってください!
http://961031.blog137.fc2.com/?m

105 :
「隊伍を整えろ!!来るぞ!」
「た、助けてくれ!童貞だ!童貞だ!」
一万の歩貞部隊は、津波のような勢いでヤリチン軍に傾れ込んだ。
包茎とは対象的な、守りを捨てたムケチンが先陣を切る。
ムケチンは、装甲のパージと引き換えに、高い突破力と攻撃力を持つのだ。
彼らは勇んでヤリチン兵を射ち抜き、斬り伏せ、踏み倒しながら進撃する。
それに続くのは、オールラウンダーな戦いを展開する仮性包茎。
ある時は熱く勃起して敵に切り込み、またある時は少し萎えて、ムケチンを皮で守ったりと忙しい。
池上は、最小単位の部隊でも、決して同タイプの童貞だけで固まらず、違うタイプの童貞が入るように強く言った(後で分かったのだが、虚偽の自己申告をして迷惑を掛けた者が多数いたらしい)。

106 :
これはある種の賭けであった。
彼らは互いに反目しあってるし、上手く能力の相互補完をしてくれる保証はない。
だが、池上は、この危機的状況下には、彼らも流石に助け合うだろうと踏んだのだ。
結果は大成功と言えた。
「クソッ!童貞共め!
なんて勢いだ!」
「こいつら、こんなに強かったか!?」
有名な童貞や、隊長格のヤリチン以外、個々の力にそう差はない。
力が同じということは、隊列の乱れや、疲労の具合で勝負が決まるということだ。
そして、勿論のこと、童貞軍の方が優勢だった。
「ヤリチン共め!歯ァ食い縛れやぁ!!」
「野郎、ぶっペニす!」

107 :
中央の動きに、両翼のヤリチン部隊にも動揺が広がった。
命令系統が乱れ、怒声が飛び交う。
見計らったかのように、そこの包茎部隊もサッと引っ込み、中央と同じように歩貞部隊が現れた。
「ど、童て――」
大人しい真性包茎に油断して突出していた、隊長格のヤリチンが倒れた。
眉間から、赤と白の混じったモノが流れ落ちる。
全体で二万にもなる歩貞部隊は、ひとしきり暴れ回った。
ヤリチン軍を撹乱し、多くのヤリチン兵を打ち倒した。
無論、ヤリチン側も戦士。
冷静な者からすぐに調子を取り戻し、襲いくる童貞を迎え討った。
数の上では、彼らがまだ有利なのである。
だが、童貞軍は大きな被害を被る前に、打ち鳴らされる太鼓の音を合図に引いていった。
代わりに対峙した童貞達に、ヤリチン軍は目を剥いた。
「ば、ばかな!包茎部隊だと!」
密な横隊を組んだ、皮かむりであった!
「クラウチ!タッチ!セットッ!」
「オェーイッ!!!声出してこォーッ!!!」
「一年もっと声出せェェェェェェエエエエエエ!!!」

108 :
物凄い勢いで投下してるな、見てるぞ!
途中で寝そうだけどww

109 :
彼らは最初より少なくなり、あちこち怪我を負っていたが、目は爛々と輝いていた。
戦意は死んでいない。
それどころか、作戦が功を奏してヤリチン軍を苦しめていることに、士気が高くさえなっていた。
引いていた間に傷の手当てを受けたらしい。
更に、休憩してマムシドリンクを飲んだのか、その一物は初対面時よりも太く、その角度たるや天を突くドリル!
ヤリチン軍は大いに狼狽し、戦意の低下を禁じえなかった。
元はといえば、彼ら包茎部隊によって始まった戦術で、手痛い目を見ているのだ。
そして、包茎部隊の厚い皮を打ち破る作戦を、彼らの上はまだ見出だせないのだから、当然である。
「どうなっているのだ……!
あの邪教徒共、我々を嘲笑うかのような戦を!」
ヤリチン軍の本陣で、高官のヤリチンが声を荒げた。
制服の襟に光るなんかバッジみたいなアレから、地方を任せられている幹部の一人であることが見てとれる。
歳は三十中頃だろうか。
取り分けて特徴もないその顔は、怒りのあまり青ざめていた。

110 :
「兵共は童貞相手に……何を、何をやっているのだ!
ゴミ虫共めが!!」
周りが必死に宥めるが、激昂した彼には逆効果だった。
「ええい、うるさいわ!
この戦で負けてしまえば、俺は領地を失ってしまう!
ショバがなければイケナイ商売も出来ないし、お金をがっぽり稼げなければ、豪遊しながら美女としっぽり出来ないではないかー!
もしかしたら、尊師様に怒られてクビになる可能性もある!
めんどくさいことに、視察に来てるからな……。
俺には、腹を空かせて待ってる妻と子供がいるというに!嘘だけど!」
「恐れながら」と兵の一人が進言した。
「その尊師様のお力をさっさと借りるというのはどうでしょう……?
今回の奴らは、一筋縄ではいきません。
恐らくここらで有名な『包茎』なる童貞が絡んでるかと」
「包茎……包茎の池上か!
知略や奇策でいくつもの不利な戦をひっくり返してる名貞……!
その首を俺が貰えば、諏八の若造が抜けて穴の空いた四天王に、仲間入り出来そうではないか!」

111 :
>>108
ありがとうございます!
あなたに童貞神の加護あれ、ザーメン!

112 :
このヤリチンは単純な質らしい。
俄然、怒りをやる気に変えたかと思うと、
「そうだ!ヤリマン部隊を前衛に出せ!
奴らの力の源の童貞力……即ち、童貞を奪いとればいいのではないかー!」
と叫んだ。
おお、という感嘆の色を孕んだ声が、取り巻きのヤリチンから上がった。
「仰る通りかと思われます!」
「名案ですな!」
「控えているヤリマン部隊も、直ちに前線に向かわせます!」
それは確かに、効果的な人選といえた。
ヤリマンは童貞全般に威力を発揮するが、こと、守りに専念し、山のように動かない今の包茎部隊には効果抜群である。
射精に長けた者は近づく前に射ってくるだろう。
近接戦闘に長けたムケチンは童貞を奪うのに苦労するかもしれない。
だが、動かない真性包茎など、彼女達の蜜壺にすぐ捕まるのは目に見えている。

113 :
「童貞君いっぱいよ!」
「くぅ〜、燃えてきたです!」
「エッチしよ!お兄ちゃんたち!」
「スゥ〜……オォー、イェス……オォオーイェス!」
「視界埋める童貞!しかも奴ら包茎!
下す裁定!穴を贈呈!奴らの存在理由否定!
みんな準備オッケイ!?
行くわYOッ!!」
――勿論、予め、対応策を考えていない池上ではない。
彼は来ると思ったであります、と誰に言うともなく呟くと、
「ハード・Rー部隊ッ!
出番であります!」
彼の背後――旗本隊の影に、密かに控えていた全裸集団がぬっと姿を現した。
数は二百ばかりか。
能面のように表情がなく、開ききった目に、異様な光を湛えていた。
芳野が、気味悪いとばかりに眉を潜めた。

114 :
「なに、こいつら」
「ハード・Rー部隊……来たるべきヤリチンとの大戦に備え、過酷すぎる訓練を積んだ者達であります。
志願者もいますが、主に罪人で構成されてるであります」
「罪人て……」
「戦犯や裏切り者でありますよ」
「軽くいうわね。池上さんって結構エグイことしてんのねぇ」
「まぁ、正義の為でありますから。
それに活躍に応じて刑罰を軽くする取り決めの上で、彼らも乗り気であります。多分」
「いつか後ろからバッサリやられちゃわないようにね」
「それくらいで終わるなら、それまでの指導者、ということであります」
池上は真顔で言った。
「王道とは決して綺麗な道ではない。
罪で均され、恨みで舗装された道なのであります」

115 :
池上が向かわした特殊部隊に、ヤリマン達はぎょっとした。
彼らは対峙した瞬間、それぞれ多少の差異はあれど、とんでもない行動に出たからだ。
「スパイシー。スパイシー。スパイシー」
「ボーノ。ボーノ」
一物に、タバスコ、辛子、唐辛子をふんだんに塗りこんだのだ!
中には瓶ごと尿道に突っ込む輩や、刺激が足りないとばかりにウォッカで一物に火を点ける輩もいる!
「あ、あんな極悪チンポの童貞……奪えるわけないじゃない!」
「入れたら死ぬわ!!」
恐れおののくヤリマン達だが、ハード・Rー部隊は待ってはくれない。
特殊部隊というだけあり、彼らは通常の童貞とは一味違っていた。
「スパイシー。スパイシー」
目にも止まらぬ、凄まじい手淫。
そこから、細い煙が上がる――かと思えば、一斉に、彼らの亀頭から火の玉が発せられた!

116 :
「ひ、火ぃ!?」
「ま、摩擦熱で……!?あ、ありえないわ!」
ヤリマン部隊は辟易した。
近づけば、彼らの、もはや毒と言っても過言ではないスパイシーオチンポに皮膚が焼け爛れるだろう。
そもそも、特殊部隊のオチンチンは危険物と化している。
童貞が奪えるはずもない。
挙げ句、距離をとって潮吹きで戦おうとした矢先に、まさかの能力バトルに突入である。
二百しかいないとはいえ、童貞奪って楽勝、と腹を括っていた彼女達の戦意は挫けてしまった。
「よし、特殊部隊に続け!」
「彼らを援護するんだ!」
「距離をとれ!出来るだけ射精弾で戦うんだ!」
ハード・Rー部隊の後ろに、大勢の歩貞部隊が続く。
童貞を奪われないよう、彼らを影にして、激しい援護射精を見舞う。

117 :
これには、さしものヤリマン達も参った。
「ひ、ひぃいい!!童貞怖い童貞怖い!!」
敗走していくヤリマンの背中に、白濁弾が射ち込まれていく。
くそみそなヤリチンの策略は、くそみそな童貞の策略によって打ち砕かれたのだ。
「な、なにー!?
ヤリマン部隊が敗走してる!?
なぁにをやっとるんだあの雌豚共ォ!!!」
と憤慨するのは、先ほどこの作戦を立案した幹部のヤリチンである。
「ちくしょう、ちくしょう!
こんなはずでは!こんなはずではー!
……そ、そうだ!これは陰謀だ!
八百長だ!そうに違いない!
そうでなければ夢だ!
これは夢だ!みんな消えろ!」
「現実です」
凛とした冷たい声に、その場にいた者達がぎくりとして振り返った。

118 :
腰まで届こうかという濡れ鴉色の髪の少女と、その横に、彼らの主――
「ククク……手酷くやられたな。
近畿地方統括寺院長、間宮」
――尊師は、黒いフードの下から覗かせた口元に、笑みを浮かべていた。
童貞軍の思わぬ優勢に、気を損じている様子はない。
心底、この戦を楽しんでいるといった風だ。
彼には、散っていった味方も、奮戦する三万の敵も、どうでもいいらしかった。
「間宮さん、これより貴方から指揮権を剥奪します」
少女が言った。
「な、剥奪ですと!?では私めは……?」
「三等兵になります」
「そ、そんな理不尽なことが認められ――」
その言葉が言い終わらない内に、彼の足下にディルドが突き立った。

119 :
少女が次は当てると言わんばかりの眼光を、間宮に向ける。
「いいですね?間宮『三等兵』」
「サ、サー!了解であります!サー!!」
「今からこの戦の指揮は、尊師様が執り行います。
全部隊にそう伝えなさい」
旗本隊が騒ついた。
「おお……尊師様が自ら……!」
「これは頼もしい……童貞共は終わりだな……!」
尊師はローブを翻し、威厳を持って進み出た。
「……所詮、戦いはより強く大きな力が勝つ。
安全な場所で余裕綽々と構え、何もしない高官も粗末なモノを張れ、全て出ろ。命令だ。
シロ、地方統括幹部も投入しろ。
全てだ。全武力を持って当たるのだ」
シロが冷たい目に僅かな笑みを浮かべた。
承知しました、と一礼する。
「……童貞共の断末魔は、どんな音楽よりも美しい……!
奏でようではないか。
奴らの血で、肉で、骨で、はらわたで。
性の讃美歌を……ッ!
全軍――進むのだッ!!!」

120 :
「フレー!フレー!ど!う!て!い!
D・O・T・E・童貞チェリボーイッ!!!!」
ポンポンを両手に声を張り上げる芳野の横で、池上が唸った。
考え深そうな顔で零す。
「このままじゃ終わらない。
終わらせてくれるはずがないであります。
こう、敵陣の雰囲気も変わったような気もしますな。
何か悪い予感がするであります……例えるなら部屋でメガストアをオカズに抜いている最中、階段の軋む音がしたかのよう……」
「考えすぎだって」
芳野が笑い飛ばした。

121 :
「ヤリチン共は池上さんの作戦でたじたじじゃない。
幹部やら高官共は自分可愛さからか、出てこないし。
あたしの出番ないまま終わるんじゃない?つまんなぁい。
ちなみにあたしは雨蘭とアスヒロが好きかな」
「幼女の誘惑には未だにお世話になってるでありますよ。
うむ、確かに強力なヤリチンは顔を見せてないようですな。
地位が中途半端にあると、そんなもんであります。
手下を使えば、自分は安全でありますからね」
「へぇ、このままあたし達が戦力を削いでいって、ヤバくなったら慌てて出るっての?
バッカねぇ。高い税金巻き上げて権力に胡坐かいてるから、危機意識ってモンが薄いのよ」
「うむ……権力とはそういうモノであります。
彼らはそうやって、下の者に辛い戦いを強いる。
……ですが、もしもそんな彼らよりずっと高い地位と力を持つ者が指揮するとなれば――」
言い終える前に、彼は目を見開いた。
芳野が訝り、その視線の先を追う。

122 :
そして、驚愕した。
空を駆る、アヘ顔――ヤリマンが飛んでいたのだ。
彼女は潮吹きの推進力で吹っ飛び、芳野の頭の上をダブルピースしながら猛スピードで通過した。
直後、二人は空気の震えを感じた。
耳をつんざくような爆発音が、彼らの鼓膜に焼け付く。
芳野は反射的に振り向いた。
その光景に、唖然とする。
「なに……これ」
そんな粗末な感想は、痛みと驚きの絶叫に掻き消された。
ヤリマンは、旗本隊のすぐ後ろに衝突したのだ。
小さなクレーターが出来、あちこちで怪我をした童貞が痛みに喘いでいる。
無論、ヤリマンもただではすまなかった。
クレーターの中心から生えている下半身がぴくりと動く。
彼女は生存しているらしいが、気を失い、酷い怪我を負っていた。
「お、おいっ!大丈夫!?」
芳野は近くの童貞に、駈け寄った。
血塗れで、足を折っているらしい。
意識は辛うじてあった。

123 :
「あ、ああ……よ……芳野ちゃんか……」
芳野は彼を知っていた。
ビッチの彼女にも親切に接し、今日の軍議では擁護してくれた代表者の一人である。
「あぁ……大丈夫さ。
こんな怪我……屁でもねぇ。
見ててくれよ……俺達が大将を勝たせてやるからよ。
あー……だからそんな顔すんなって……」
「喋っちゃだめ!い、いま手当てするから!
衛生貞!衛生貞ェェエ!」
「……芳野ちゃん、お願いがあるんだ……この戦いが終わったら言おうと思ってたんだけど……」
「な、なに!?言って!」
「……パンツの色教えて」
「グレーよ!!」
童貞の苦痛に引き歪んだ顔が、ふっと緩んだ。
そして、彼は意識を手放した。

124 :
「ちょっと!ねぇ!ねぇってば!」
「……ヤリマンミサイル」
芳野の背後で、池上が歯噛みした。
「人知を越えた超絶テクニックにより、凄まじいエクスタシーを与え、並みのヤリマンでも潮吹きによる飛行……いや、『発射』させる。
それほどの技……非道な手段……間違いない」
「池上さん」
と、芳野。
静かな声だ。
「諸悪の根源がいるのね。
そして、そいつがこれをやった」
「えぇ……」
「そう」

125 :
芳野は袖で目を拭い、立ち上がった。
「衛生貞!怪我人を運びなさい!
埋まってる敵兵も保護して!
ほら、急いで!!
第二波が来る前に!!」
芳野は振り向いた。
赤く充血した目を、敵軍へ向ける。
そこから覗く瞳には、炎がちらついていた。
「ぶっかけ部隊に連絡!
プランBを発動!
あたしの手筈通りにやりなさいと岡愛理に言っといて!」
芳野さん、と旗本隊の一人が泣き言を吐いた。
「か、幹部です!幹部クラスのヤリチンが来ました!
右翼も、左翼も、特に中央には恐ろしい使い手が!!
包茎部隊が頑張ってますが保ちそうにありません!」
「弱音は聞きたくないわ!
貴方も旗本隊の一人。
選ばれた戦士でしょ!
高官のヤリチンが来るなら、こちらも代表者を出すまでよ!」
芳野は歩き出した。
居並ぶ男達の肩までも届かない、小柄な身体で、彼らを割って進む。

126 :
「中央はあたしが出る。
絶対に破らせないから」
彼女の横に、髭面の男が並んだ。
「芳野殿」
「なによ。芳野殿、だなんて。
それより、中央を守るから皆に指示をよろしくね」
「この戦……絶対に勝ちましょう、芳野大将殿!」
「!……当たり前よ!
池上さんも死なないでね!」
芳野と池上は拳を突き合わせた。

127 :
先程、芳野が聞いた報告の通り、あちこちでヤリチンの反撃が始まっていた。
右翼では、落ちのびた中国地方統括寺院長が、
「アルハハハハハ!
何が包茎アルカ!雑魚には用はないアルヨ!
ワタシを止めるならせめて、『三十人斬り』の佐々木か『早漏』の益垣でも出すヨロシ!」
凄まじい肉棒捌きで、包茎部隊を蹴散らす。
それに、屈強なヤリチン兵が続いた。
「や、破られたァ!?
あの先頭のヤリチン強すぎる!
誰か止められんのか!!」
「む、無理だ!幹部クラスのヤリチンは俺達が束になっても勝てん!」

128 :
――そのヤリチンの顔面に、茶色い物体が飛来した。
避け切れず、「ベチャ」嫌な音がした。
「アイヤー!?ペッ!ペッ!
おげぇ、うんこアル!?
なんてことしやがるアルカッ!
ん?……待てアルよ、このワタシが避けられなかった……だと……!?」
「――ウホッ」
ヤリチンに巨大な影が落ちた。
咄嗟に横っ飛びで回避し、転がりながら間合いをとる。
「おれ、右翼、守る」
「お前アルか……!!」
ヤリチンの前に現れたのは、ゴリラだった。
学名、ゴリラ・ゴリラ。
サル目ヒト科の凄い奴である!
俄かに童貞達が色めき立った。
「ゴリラさん!」
「うぉぉぉお!かっけーっす!
今頭ん中でDKラップ流れてますよ!」

129 :
ゴリラは、肩越しに言った。
「ウホッ、ウホッホウッホゥホゥッ!」
「分かりました!
ヤリチン兵は俺らに任せてください!
行くぞ、皆!」
「おう!」
乱戦となる中で、ゴリラとヤリチンは対峙する。
「お前……後悔するアルよ、ゴリラ!」
「後悔、なんかしたことない。
一瞬を強く生きる。
だからしたこと、ない。
――それが野性だ!」

130 :
また、左翼でも、
「おめらこの俺を止め゙られっがー!」
「さーめ日本アルプスで鍛えあげらーたこん技!
受け止められるとね!?」
東北゙、中部を支配する地方を任せられた寺院長が他の高官を連れて猛攻を仕掛けていた。
既に包茎部隊を破り、歩貞部隊を蹂躙している。
並みの童貞ではやはり、相手にならない。
面白いように童貞達が吹っ飛んでいく。
だが、ヤリチンがそうであるように、童貞にも百戦錬磨の強者がいるものだ。
「『陰猛』の武藤、参る!」
「『三十人斬り』の佐々木、ここにあり!」
反乱軍で団長だった代表者や、腕に覚えのある名うての童貞が彼らを迎え出た。

131 :
肉棒が。
精弾が。
潮吹きが。
蜜壺が。
錯綜し、ぶつかり合い、命の火花を散らす。
人間の域を超えたくそみそな戦場だった。
そこに西日が差した。
それは、血にまびれた肉棒を不気味に輝かした。
それは、散っていき、地に伏せて動かない者を導く戦乙女かに映った。
開戦からどれくらいの時間が経過しただろう。
少しずつ、少しずつではあるが、数に勝るヤリチン軍が押していった。
戦いは、敵も味方も入り乱れる大混戦となっていた。
にも関わらず、尊師はヤリマンミサイルを放つことを止めなかった。
「あぁあっ!あぁあんっ!
イクぅ!イクイクイクゥウウ!!!!!
イッちゃうのォォォオオ!!」
「ククク……いってらっしゃい」
ペットボトルロケットのように、ヤリマンが発射された。
もう十五人目である。
それは、ヤリチン兵にも飛び火していたが、こと童貞陣営に多大な被害を与えていた。
童貞軍もやられっぱなしではない。
対抗しようとする者もいる。
「ちくしょう!尊師の野郎!
噂にゃ聞いてたが、とんでもないことをしやがるな!」
益垣が並みの童貞十人分の威力を秘めた射精弾を敵陣に放ちながら、悪態を吐いた。

132 :
既に童貞軍の陣は破られ、ぶっかけ部隊にも敵の手が伸びていた。
その為、敵の火砲(というか潮吹き特攻隊)に対し、童貞軍の火力援護は疎かになっていた。
「レディを兵器にするなんてな!
まったくとんだカス野郎だ!
というか、男なら身一つ、自分の射精で来いってんだ!」
喚きながらも、自慰を止めない。
彼はただ早漏というだけではなかった。
目にも止まらぬシコッティングスピードや、無駄のないフォーム、絶妙なセンズリング、そして弾薬の最大量はダムのようである。
極め付けは、ありとあらゆる意味での早漏(スピード)。
敵が攻め込んできた後衛で、援護射精の任を満足にこなせているのは彼くらいの者だ。
正しく彼は、一流の童貞であった。
「ハラショー!後ろにゃ怪我人やらもいるってのによぉ!」
口汚く悪態を吐き、飛び掛かってきたヤリチンを一刀の下に斬り伏せる。

133 :
たくさんうp嬉しい〜
おつ!

134 :
やっぱ益垣さんカッコいいな

135 :
しびれた
あの頃を思い出す

136 :
別スレの話題ですまんが例の150円がどうなったのか気になる

137 :
アクエの件か

138 :
>>1です
いまあちこち彼を探しているところです
中々会えなくて困っております

139 :
ほしゅ

140 :
>>138
アーイ!相変わらず携帯から頑張ってるんだなww
別スレの話題にまでわざわざレスありがd
続き待ってる

141 :
やっと続きが読めて嬉しいです!!

142 :
アーイ!
少しですが投下します
保守、ご支援、本当にありがとう!

143 :
「いっそ尊師の野郎をぶっ飛ばしにいきてぇが……」
悔しさに顔を歪ませる彼の目の前に、数人の屈強なヤリチンが現れた。
襟元にバッジ。平ヤリチンではない。
「いたぞ!『早漏』だ!」
「射精しすぎてテクノブレイク寸前のはず!」
「はっはっはっは!俺様は大隊長だぞ!
手だれのヤリチン十人、相手に出来るか!?
何せ、その辺の『並み』のヤリチンとは違うからなぁ!」

144 :
益垣は舌打ちした。
「団体でお出ましか……!」
高官のヤリチンを一度に複数も――益垣の額に、汗が流れた。
それを振り払うかのように、強く踏み込む!
「男は汗かいてマスかいてゴーだぜ!
俺の遺伝子、その身に刻みな!」
だが、彼の銃口から出たのは「ピュルッ……」弱々しい睾丸の涙だった。
一人で敵陣営に射精弾を射ち込み続けたのだ。
無理からぬことと言える。
彼の強靭な一物にも、限界は訪れていた。
「しまった――」
占めたとばかりに、いやらしい笑みを浮かべたヤリチンが襲い掛かってきた。
血に飢えた十本のオチンチンが、ぎらりと黒光りする。

145 :
益垣は萎え気味のペニシリンで受け流し、払いのけ、応戦した。
相手が凡百に埋もれるヤリチン兵ならば、今の彼でも何とかなっただろう。
だが、彼らはかなりの使い手だった。
あっという間に、益垣は傷だらけになり、追い詰められた。
「これでトドメだ!!
『早漏』の首、俺様が貰ったァ!」
リーダー格らしいヤリチンが、膝を突く益垣に迫った。
一物が、首を両断せんと唸りを上げる――が、割って入ったピンクローターによって弾かれた。
驚きの声を上げる間もなく、三人のヤリチンが呻いて倒れた。
「ビ、ビッチ!?何故童貞軍に!」

146 :
奇襲とはいえ、一瞬で三人も仕留めた若い女は、益垣を守るように立ち塞がった。
何故か、ナース服を着ているが、命のやり取りをしている彼らは気にしない。
益垣が頬を緩めた。
「……岡ちゃん、わりぃな」
「本当よ。途中の水着は寒くて死にそうだったわ」
岡田は振り返らず、返した。
彼女は大将の命令、プランB……もとい、罰ゲームで、大変な目にあっていた。
ぶっかけ童貞達の様々な注文に応じて、コスプレしたり、ポーズをとったりして、士気を上げるという大役を果たしていたのだ。

147 :
「……ここ数日間は人生で一番なんかアレだわ。
スパッツマスク様と運命の出会いをしたのはいいけど。
動物園で狂った童貞に追い掛けられるし、なぜか砂漠に行っちゃうし、鳥取童貞軍の浴場じゃ下着盗まれてなくなったし、挙げ句の果てには傍若無人な子のメイドにされちゃうし……だいたい、五分で五十人以上の料理作るとかトリコのサンドゴーレム戦じゃあるまいし……」
「まぁ、元気出せよ。よくあることさ」
益垣は苦笑しながら立ち上がり、彼女の横に並んだ。
岡田はちらりと彼の様子を一瞥し、溜め息を吐くと、小瓶を投げ渡した。
「なんだい、こりゃ?」
「『皇貞ドリンクタイプ』。
超強力な精力剤。普通の人が飲んだら死ぬレベルよ」

148 :
益垣は最後まで聞かず、ぐびぐびと呷った。
瓶を投げ捨て、礼を言う。
「――プハァ。ありがとよ!
美味……くはないけど、なんか下半身がポカポカしてきたぜ!」
そういう彼の身体の傷はほぼ塞がり、相棒は角度を取り戻していた。
復活した人外の精力が、人外の回復力を可能にしているのである。
本当はスパッツマスク様にとっておいたんだけどね――岡田はそれを見ながら、胸中、苦笑いを浮かべた。
「俺たちを放っておいて……!
な、な、なにをイチャイチャと!
けしからんR!」
ヤリチン達が激昂し、一斉に襲い掛かってきた。
それに対し、ローターと射精弾が猛威を振るった。
一人、二人、とヤリチンが倒れていく。

149 :
「バ、バカな……!
『早漏』の益垣など射精さえ出来なければ……射精さえ出来なければ勝てたはずなのにッ!
俺様は……俺様は大隊長様だぞ!」
リーダー格のヤリチンが、破れかぶれで一物を振り回す。
そのペニ筋を見切り、益垣は相棒で一撃した。
ヤリチンが顔を歪め、よろめいた。
「悪いな。射てなくても、『並み』よか強いんだ」
すかさず拳と蹴りと息子を叩き込み、ヤリチンを吹っ飛ばす。
18HIT!

「終わったな。いや、助かったよ岡ちゃん。
結構ヤバかったぜ」
「お礼は後でいいわよ、早漏さん」
二人は示し合わせたわけでもなく、サッと背中合わせになり、四方からの襲撃に備えた。
混戦の波は既に後衛を覆い尽くしていた。

150 :
「前の方はどうなってるか知らねぇか」
「さぁ?私も行ったわけじゃないから分からないけど、ここまで敵が傾れ込んでるあたり、だいたいの予想はつくわね」
岡田がローターを振るいながら続ける。
「気になるのよね。
芳野将軍や池上さんのこと」
「まぁな」
益垣の相棒が一人のヤリチンを貫いた。
「やたら気が強いし我が儘だけど、あの子もまだ十五歳の女の子だものね。
強がってるけど、生き別れの弟を探してるみたいだし」
「あぁ。そっくりな子でな。
嬢ちゃんと違って真面目で大人しい奴だがよ」
ローターが唸り、寄ってきたヤリマンを弾き飛ばした。
「行っていいわよ。
ここは私に任せてさ」

151 :
益垣が肩越しに彼女を見た。
「いいのかい?後衛の隊長が離れちゃってよ。
オニーさん本気にしちゃうぜ」
「大丈夫よ。そうそうやられないわ。
私と後衛のぶっかけ部隊なら全然平気。
それに、貴方みたいな童貞が今ここにいるより、前線の皆を助けに行く方がいいでしょ。
『早漏』……噂には聞いてたけど、とんでもないわね。
エロ同人の射精も真っ青なモノを見たわ」
「ははっ、岡ちゃんがあんまり美人だからなぁ。
おっぱいでかいし」
「ど――」
岡田が一瞬だけ振り返り、驚いた顔を見せた。
すぐに敵に集中するが、耳には赤みが差している。
「童貞ってバカしかいないの!?
まったく……ほら、早く行く!」
「あぁ!ありがとよ!
それじゃ、任せた!イッてくるぜ!」
益垣が敵と味方をかき分け、ヤリチンの一団を半壊させ、前線へと進んでいく。

152 :
岡田可愛い(*´-`)

153 :
うひょー!なんかいいよー!

154 :
ほしゅ

155 :
岡田ちゃんにフラグが

156 :
続ききてたのか
このスレに再び
出会えたことに感謝します
ザーメン

157 :
保守、ご支援ありがとうございます!

158 :
――彼らが危惧した通り、最前線ではヤリチンが圧倒的に優勢だった。
「ウホッ!諦めるな!
おれたち……まだ、ここで終われない!」
血塗れのゴリラが拳を振り上げて怒鳴った。
そう、彼は生きていた。
中国地方統括寺院長と激しい接戦を繰り広げ、何とか彼を下し、撃退させたのだ。
だが、それでも敵の勢いは弱まらなかった。
屈強なヤリチン達に、右翼の童貞兵は疲弊し、その陣にはいくつもの穴が開いていた。

159 :
だが、まだ隊列を辛うじて組めているだけましといえた。
左翼では、既に横隊の見る影もなく、完全な乱戦が繰り広げられていた。
代表者達が苦戦の末、地方統括寺院長を退けたのだが、彼らもただではすまなかった。
多くの代表者が強者のヤリチンに囲まれ、衛生貞に運ばれることとなった。
童貞達がどんどん削られていき、ヤリチン兵がここから、ぶっかけ部隊にも進軍しているようだ。
そして、中央――
驚くべきことに、中央は、誰一人として進軍出来なかった。
ヤリチン兵も。童貞もである。
それどころか、戦場のど真ん中なのにも関わらず、開けていた。
誰もがそこを避けるからだ。
そこで行われていた戦いは、彼らに介入出来ようはずもなかったのである。

160 :
その頂上決戦の余波に、巻き込まれたら命はない――その場にいた誰もがそう思った。
今そこは、世界で一番死に近い場所とさえ言えた。
「まっかなぁあ!ちかぁあああああいいいぃぃいいいいッ!!!!!」
芳野が飛び上がり、拳の連打を見舞った。
一発一発がオーバーキルなそれは、第九条に違反しているかもしれないとは本人の弁である。
それは強ちジョークではない。
アメリカは彼女の拳を警戒し、核保有をしているという噂もあるほどだ。
だが、その機関砲のような猛攻は、涼しい顔の少女に紙一重で躱されていく。
「怖いですね。当たれば私でもただではすみません」
少女はバックステップで間合いをとり、両手のディルドを持ち直した。
芳野も少し乱れた息を整え、拳を顎の高さで構える。

161 :
二人は所々服が破れ、芳野は手傷も負っているが、疲労困憊といった様子はなかった。
「マスター……ッ!
ずっと、ずっとずっと!貴方に恋い焦がれていたわ。
貴方は私から全て奪った。
誇りも!故郷も!愛する家族さえ!」
「記憶にございませんわ」
荒らぶる芳野に、シロは無表情で返した。
少女達は対極的だった。
癖のある栗色の髪の少女は、矮躯に似合わない怪力と鉄拳を構え、暴力的なまでに熱いハートをたぎらせている。
対する長身痩躯の少女は、鮮やかな体術と素早いディルド捌き、そして見るものを凍らせるような冷たい眼差しを芳野に向けていた。
「とぼけるんじゃねぇ!
アンタだけは許さない!許せないッ!
だから壊すの……心も、身体も……そして私も消えよう。永遠に!」
「仰ってる意味がよく分かりませんわ」
芳野は体勢を低くした。
今日何度目かになる、潮吹きジェットで飛び立つ。
昨日よりも速く。
一昨日よりもオクターブ高く。

162 :
シロは避けようとするも間に合わず、ディルドを十字に構えて防御した。
「ぐっ――」
宙へ撥ね飛ばされるシロに、芳野は追撃をしかけんと再び吹いた。
両腕を広げ、迫る芳野のダブルラリアット。
シロはそれを確認し、初めてちらりと苦い表情を――そして、神業を見せた。
恐ろしいほどの速さで体勢を整えながら、小振りなディルドを一息に十本投擲し、内一本が芳野の右足を掠めた。

163 :
勢いの弱った芳野に、右のディルド一閃。
苦し紛れに、芳野も拳を振るう。
力と技が拮抗し、二人は同時に着地した。
「今のは少々ヒヤリとさせられましたわ、芳野さん。
まさか、貴方がこれほどまで……ヤリチン四天王の私と互角に戦えるまでの戦闘力を秘めていたとは」
「ヤリチン四天王……やっぱりアンタがその一人ってわけね」
「えぇ。尊師様に……神に選ばれし戦士ですわ」
「ふん、後の三人の内、二人はダース・ニーターとかいう奴と諏八のバカね。
なぁんだ。たいしたことないじゃない。
全員酢漬けにして食ってやるわ」
シロが微笑を上らせる。
「高い実力に、その意味不明な自信と言動。
確かに尊師様の仰った通り、貴方は野放しには出来ませんわ。
私も本気で戦わなければならないようですわね。
流石尊師様が警戒する三人の一人なだけあります」
「えぇい、尊師尊師うるさいわ。
この教祖コン!今はあたしだけを見て!」
話は終わりだ、とばかりに芳野が踏み込んだ。

164 :
「マスタァァァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
力任せ、だが必殺の一撃をシロは半身を切って躱す。
「どれだけ威力があろうとも、当たらなければどうということはないのです」
続けざまの二撃、三撃も易々と躱す。
芳野の拳が遅いというわけではない。
確かに予備動作が大きく、動きには無駄が目立つ。
だが、体力は人類最強クラス。
当然、拳自体は普通の人間では視認さえ叶わない程には速い。
それほどのスピードが全くと言っていいほど、彼女には通用しなかったのだ。
店長はスカイフィッシュを見れるかもしれない、と芳野は後に自伝(自費出版)で語っている。

165 :
「この、だったら当たるまで放てばいいだけよ!」
威勢よく言い放ち、前蹴上げを見舞う。
意表を突いたはずの初めて見せる足技も、シロは流れるようなスウェーで躱した。
「グレーですか。奇遇ですね」
言いながら、ディルドを横一線。
芳野の髪がぱらりと落ちる。
しかし、彼女は全く臆した様子はない。
「絶対!!アンタを倒すッ!
その為に死線を潜り抜けてきた!
いくつもの死闘があたしをここまで叩き上げた!
血が、この拳を磨いてきたッ!!
店長ッ!四天王だか何だか知らないけど――」
芳野の渾身のラリアットを、シロは潜る。
瞬間、ぼそりと言った。
「もう四人ではなくなりましたけどね」

166 :
前スレないんであらすじと簡単な紹介書いときます!

167 :
これまでのあらすじ!
日本は暗雲に包まれていた。
ヤリチンが各機関、政治にまで魔の手を伸ばし、童貞を迫害しはじめたのだ。
広がる混乱。
悪化する治安。
錯綜する陰謀や思惑。
これを書いてるのを親に見られた俺。
ついには、諏八大檎が統治する治安のいい地方でも童貞が狩られ始める。
そんな折り、童貞に夢を見る平凡な少年、芳野貞はひょんなことから小森新斗という謎の童貞に出会い、童貞WARSの渦中へと巻き込まれていく。
ふたなり、ゴリラ、ローターを振り回すOL、様々な邂逅の中で、彼等は確かな絆を結んだが、全面戦争は無情にも迫っていた。
それは、とある男の死が引き金かに見えた。
最強の童貞、スパッツマスク……彼の死が全国の童貞に衝撃を与えた晩、大反乱が起きた。
九州での一斉蜂起に、貞は自身も行こうと決意する。
だが、その行く手を拒んだのは、味方であるはずの童貞だった。
幽閉される一行だが、紆余曲折を経て、鳥取県民の力を借りることに成功する。
押し迫る時間に急かされ、彼らは4輪バギーで砂丘をあとにした。
一方、童貞反乱軍はついに、ヤリチン軍と大規模な戦を展開していた。
初めは知将、包茎の池上による作戦が功を奏していたが、徐々にヤリチン軍に押され初める。
その影には、尊師――そう、教団トップの“奴”がいた。

168 :
ありがたや〜

169 :
ほしゅ

170 :
ほしゅ

171 :
しゅ

172 :


173 :


174 :


175 :


176 :


177 :
「はぁ?なに、それ」
芳野はその言葉の持つ響きに、足を止めずにはいられなかった。
「そのままの意味です」
シロが、酷薄な笑みを広げる。
それが芳野の不安に塩を塗るのを、知っているかのようだ。
「今日一人の裏切り者を処刑致しました。
二重スパイをしていたようですわね、彼」
芳野の表情が固まった。
どくんと心臓が不自然に跳ねる。

178 :
「最後までお仲間の名前を叫ばれてましたわ。
確か……貞だとか、佳乃だとか」
「嘘だよ」
芳野が顔を歪めた。
「事実です。現に彼はここに来てないでしょう?」
「あたしを揺さ振る作戦で来れないだけでしょ」
「おや。彼は敵ではないのですか。
死んでも困らない、寧ろ助かるでしょう」

179 :
ぴしゃりと言い返し、続けた。
「お可哀想に。
全てを投げ捨て、かつての仲間からの恨みつらみを一身に受け、童貞の為に……いえ、貴方達姉弟の為でしたか」
シロが口を滑らした、とでもいうふうな顔をした。
芳野に隠しきれない動揺が浮かんだ。
「な、なぃよそれ。
そげん口から出任せでものをゆもんじゃ――」
「ヤリチン教の力は強大ですわ。
政界を侵食し、童貞達に睨みを利かせるべく、各地方に大寺院を置きました。
一年前のことですわね」
彼女はにべもなく続けた。
「神の尊師様は、計画に差し障る三人――警戒すべき三人の内の一人、諏八大檎に目を付けましたわ。
彼なら利用出来る、と」
ありえない、と芳野が声を荒げた。
彼女は今や、完全に狼狽している。

180 :
「利用でくい?あいは童貞界一、貞義感が強か男じゃったど……。
例え大寺院に侵入すい為でん、尊師がどげな手をつこても……」
「えぇ。ですがその誇り高い彼はポリシーを曲げた。
大寺院長になって、貴方達の生活と貞操を守る為に」
芳野は頭を殴られた衝撃に襲われた。
シロは淡々と続ける。
「考えても見てください。貴方達の暮らした街はどれだけ貞操保持者にぬるかったと思いますか。
それは短いながらも、反乱軍大将として進んで見てきた街を思い出せば分かるでしょう。
貴方達の地方の条例と他の地方の条例を見比べてみてください。
安い貞操保持税さえ払えば、医療や教育などの公共サービスを受けることが出来ますし、ヤリチンに追われることもない。
大寺院長になって下に目を光らせれば、貴方達の安全を守ることが出来るのです。
私の本州大寺院がある街なんて、玄関から外出た瞬間に、出会って四秒で合体シリーズでございますわ」

181 :
「そ、そいじゃ……じゃあ……」
芳野は頭を抱え、呻いた。
「全て事実です。
泣かせますねぇ……悪役になってまで童貞軍を守ってきた諏八さん。
他者の為に夢を捨て……思春期に少年から大人に変わった諏八さん。
その真の意図とは、たった二人の幼なじみの為だったのですね。
彼は芳野さん……守ってきた貴方が、クソビッチになってしまったのを酷く悔やんでおられましたよ。
童貞を名乗る資格を失った彼は、その夢を貴方達に託していたのかもしれませんわ。
それなのに、貴方は――」
「やめてっ!」
芳野は顔を引き歪めたまま、擦れた声を漏らした。
しかし彼女は言葉を止めない。
徹底的に、芳野の心を壊しにかかった。

182 :
「――風俗に沈み、処女を散らした。
ただ肉欲のままに生きるビッチになってしまったのです。
挙げ句、最強の童貞ハンターと呼ばれるまでになりましたわ。
その過程は、バーのマスターとして、傍で見てきましたよ。
貴方が何でそうせざるを得なかったか、確か母親の医療費を稼ぐ為でしたわね。
貞操保持税も積もり積もれば馬鹿になりませんし」
芳野は俯き、何も言わない。
小さな身体は震え、啜り泣く声さえ漏れている。
ですが、とシロは再び口を開いた。

183 :
「本当にそれだけの理由で肉欲に溺れたのでしょうか?
いえ、私はそうは思えない。
芳野さん、貴方は……家族を守る重圧に耐えかねて、自分から望んでビッチに逃げたのですよ!
そしてその自分を許せない、受け入れられない。
今の貴方のビッチ然とした行為も、言動も、戦いも、人格さえも、全てはただの露悪……自傷行為なのです!
貴方はまだシンデレラですよ、芳野さん。
幸せは誰かがきっと運んでくれると信じてますね?
そんな子供のような我が儘で、唯一の理解者を裏切った。
本当の裏切り者は、貴方の方だったのですよ!」
瞬間、シロの眼前に拳が迫った。
「よ加減せんかァァァァァァァァアアアアアアッ!!!」
その動きは、緩慢ではないにせよ直線的過ぎた。
彼女に打つには、大振りで、あまりにも無防備過ぎた。
激情を乗せた一撃に、シロの表情に薄笑いが上った。

184 :
小さな拳は唸り、彼女の頬の横を通り抜けた。
――それを放った少女が、呻いた。
よろけて、その場で膝を突く。
「あ……え……?」
「どうなさったんですか。壊れかけのレディオみたいな声出して。
上手く喋れませんか?
気を失わないだけたいしたものです」
芳野を見下ろし、愉快そうにシロが続けた。
「隠し玉というのはとっておくものですよ。
最高のタイミング……最大の威力を発揮するその時まで……」
「な……」
芳野が苦しそうに顔を上げた。
彼女の身体には、謎の衝撃の残響が強く残っていた。
全身の筋肉が弛緩しきり、まるで身体の自由が効かなかったのだ。
芳野はとうとう、糸の切れた人形のようにどさりと地に倒れた。

185 :
彼女の目に、シロの足が映る。
「なんで身体が動かないのか理解してらっしゃらないようですわね。
教えて差し上げましょう。
答えは“振動”です」
シロが右のディルドに、もう一方のディルドの底をあてがった。
ガチャリとはまり、更にもう一本はめる。
二十センチを悠に越える業物ディルドが三本合わさり、一つの長大なディルドになった。
「まぁ……知ったところで無意味でしょう。
貴方は死ぬんですから。
最後に何か言い残すことはございますか?」
「あ……うぅ……」
「ふふふ。ないのですね。
寂しい人。
弟と親友の元へ送ってあげますね」
シロがさも楽しそうな笑みを零した。
三段ディルドを、頭上高くに振り上げる。
斜陽に赤く光ったそれは、いくら芳野が一流のビッチといえども、命中すれば簡単に首を飛ばす威力があるだろう。

186 :
ぐぬぬ…

187 :
芳野ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!

188 :
ほしゅ

189 :
ほす

190 :
sageしてたら保守の意味ない?

191 :
>>190
sageても保守することになるが
vip+なら数時間程度で落ちることはまず無いから保守する意味がない
場合によってはスレを埋めるという迷惑行為にすらなり得る
vip+は24時間以上あいても落ちないからな
このスレの前スレも最大で36時間ほど空いたが落ちてないし

192 :
でも感想とかコメントとか、>>1に対する乙とか励ましとかはいいんじゃね?

193 :
400位に落ちていたら保守すればいいよ

194 :
保守ありがとうございます!
自分、レスは大歓迎ですよ!
なんなら童貞について雑談していただいても一向に構いません!

195 :
芳野は涙を浮かべながら、ぎゅっと目を瞑る――とその時である。
声が上がった。
「ピンチになったら現れる!
ブルセラ最高!俺登場!」
浪々としたその声は、不思議な偉容を持って戦場に轟いた。
シロが眉を微かに動かし、何事かと振り向いた。
……一人、また一人と戦いの手を止め、視線はとある一点へと吸い寄せられていく。

196 :
「この世に悪がある限り、正義の怒りがこの胸焦がすッ!
救い求める声ある限り、戦場の風が俺を呼ぶッ!
俺が噂のマスクマンッ!」
誰も動かなかった。
もとい、動けなかった。
その場で根が生えたように棒立ちになり、小高い丘に釘付けとなった。
「や、やっぱり生きてたんだ……」
やがて、どこかで上がった声。
「ほれ見ろ!生きてた……いや、復活したんだ!」
「なんであいつが……!
死んだはずじゃ……!」
「救世主や……救世主様やッ!」

197 :
それは敵にも味方にも、大層な衝撃を与えた。
池に隕石が投じられたかの如く、波紋が広がっていく。
彼は自分でも自覚してはいないだろうが、良くも悪くも人を動かさずにはいられないその特質を如何なく発揮していた。
居合わせた者全ての心を掴み、強く揺さ振る。
「う、うそ……やっぱり……!」
彼を崇拝する女はローターを手に、歓喜の涙を流し、
「おぉ……こりゃたまげたぜ」
彼に助けられたこともある長身の童貞は、破顔し、
「くっ……何故あの童貞が……」
滅多なことでは表情を崩さないディルド使いさえも。
燃える夕陽をバックに、その男は名乗りを上げた。
「スパッと参上!スパッと解決!
俺が正義のヒーローッ!
マスク・ド・スパァァァアアッツッッッ!!!!!」

198 :
スパッツキターーーーーーーーーーーーーーーーー

199 :
スパッツさま〜!

200 :
スパッツマスクってやっぱり鼻が引っ張られて豚鼻みたくなっているんだろうか

201 :
モギャーの人来てた!

202 :
>>200
素顔は結構男前です!……多分

203 :
その少し前――
檻の中で一人の男が踞っていた。
まだ年若い。
傷だらけだが、中々しっかりとした身体は折り曲げられ、精悍な顔立ちは悔悟の念に強張っていた。
諏八大檎は、目を覚ましてからずっとこの調子だった。
「俺は……なんてことを……」
もう何度目かになる言葉が、その口から漏れる。
「奴の言う通りだ。
結局誰一人、救えなかった……ただの裏切り者だ。
あいつらを守ったつもりでいい気になって、大事なことは何一つ分かっていやしなかった……」
彼の胸に、起き抜けに浴びせかけられた同じヤリチン四天王の言葉が突き刺さる。

204 :
『貴方は大局を見過ぎるあまり、身近な大切なものを見落としていたんですよ。
自己犠牲で幼なじみを、童貞達を救っていたつもりでしょうが、そんなの貴方の英雄願望を満たすただのRーですから。
ほら、射精でもしてみたらどうです。
童貞なんでしょう?』
同僚は容赦なかった。

205 :
『あぁ、可哀想な芳野さん。
彼女は確かに夢を捨てました。
ですが、大人の階段上らざるを得なかったのです。
傍にいなかった貴方はご存知なかったでしょうね。
母親の入院費、自分と弟の貞操保持税。
彼女が一番大変な時期に、貴方は呑気に農園のテープカットですよ。
平仮名だらけの台本でスピーチですよ。
もうね。はっきり言いましょう。
貴方は全童貞のみならず、彼女からも全力で嫌われてます。
貴方が必死で守ろうとした拠り所を壊したのは、他でもない貴方自身ですよ』
それは幾度も反芻され、胸に迫った。
頭の中でわんわんと反響して止まなかった。
「……誰だ」
ふと、頭を抱えていた彼が、顔を上げた。
何者かの気配を感じたのだ。
「童貞」
いつからそこにいたのかは分からない。
もしかするとずっといたのかもしれない。
諏八の目の前に、線の細い童貞が立っていた。
三つばかり歳は下に見える。
芳野と同じくらいだろう。

206 :
「童貞だ……?
奴らが出撃してるとはいえ、よく入り込めたな。
お前何モンだ?」
少年は何も答えなかった。
諏八は気にもせず、嘆息混じりに続けた。
「まぁ誰でもいいや。
聞いてくれよ。俺は昔っからのダチに酷いこと言っちまった。
俺が悪いのに、だ。どうなったって、あいつはあいつなのにな。
変わってたのは俺の方だったんだ。
偽善で大勢の奴を救った気になってよ……男失格の、クズ野郎さ。
……なぁ、俺はどうすりゃいいんだ?」
少年はやはり何も言わなかった。
無言で近づくと、檻を背もたれにして座り込んだ。

207 :
「あいつは大変だったんだ。
それなのに俺は大寺院長なんかしてよ。
誰もそんなこと望んじゃいなかったのに、変な使命感つうか正義感に駆られてよ。
ホント、つくづく馬鹿だぜ。
なぁあんた、童貞軍の奴だろ?
ここまで来た理由なんざ、だいたい見当がつくぜ」
諏八は暗い笑みを浮かべた。
「殺れよ。俺は裏切りモンだ」
少年は肩越しに、諏八を一瞥した。
「出たくないの?」
「出る?」諏八は目を白黒させた。
「止してくれよ。俺は罪人、極悪人だ。
檻の中がお似合いだ」

208 :
少年は背を向けたまま、嘆息混じりに言った。
「最強の童貞。一騎当千。
若くしてそう呼ばれ、最強の処女芳野佳乃と肩を並べた戦は、既に現代の神話として語られている生ける伝説……諏八大檎。
それなのに……」
落ち着き払った様子の少年が、一変した。
「どうして、こう、この手の無駄に正義感あるバカは自分から牢屋に引きこもるかな!?
この手の奴はどうして、こう、苛々するかな!?
お前らがクズになるんなら俺はどうなるんだよッ!
嫌みかッ!?喧嘩売ってんのかよッ!?オイッ!!」
少年は足を踏みならし、喚く。
「前にあんたみたいなのに会ったよ。
彼は言ってました!
本当の牢は心の中にあるのかもしれないって!
その通りじゃないか!
引きこもるのは本職に任せろよ!
俺の仕事とるなよ!
怖いんだろ!その、あいつ、が!
えっ?何とか言ってみろ!」
「な、なんだよ……」
諏八は一寸、面食らった。
常軌を逸したように騒ぐ謎の少年は振り返り、キッとねめつけてきた。
病的に白い肌。酷い隈の上では、二つの炎がちらついている。

209 :
「逃げてるだけだろ!幼なじみから!」
諏八は目を見張った。
思い詰めたように顔を伏せる。
やがて、弱々しい笑みを浮かべた。
「あぁ。そうだ、その通りだな。
俺は怖い。今まで悪人をやってきたのは確かなのに、敵と思われてもいいと思ってたはずなのに……あいつと会ってから、自分勝手なことに、どうしようもなく怖くて堪らないんだ。
どんな敵にも震えたことはないのに……お笑い草だぜ。
あぁ、カッコわりぃなぁ」

210 :
少年は少し落ち着いたようだ。
息を整え、切り出した。
「今、その芳野さん率いる童貞軍は窮地に立たされてます。
貴方の戦友である池上冠利さんも。
かつての仲間達もだ。
このままじゃ、負けてしまう。
そして、ヤリチンの恐ろしい世界が始まる。
彼らが負けてしまえば、未来ある全ての童貞の望みも潰えてしまうんです。
貴方はそれでもそうやって――」
全部言い終える前に、檻が激しく揺れた。
諏八が渾身の力で体当たりしたのだ。
「どこだ!?教えてくれッ!」
血相を変えて、少年に怒鳴った。

211 :
「……出たいんですよね」
と、完全に落ち着きを取り戻した少年。
どこか嬉しそうだ。
「あぁ!誰かは知らんが助けてくれッ!
虫のいい話だと思うだろうが、こっから出してくれよッ!」
「自分で出たらどうです?」
少年は立ち上がり、すました仕草でズボンを払った。
踵を返し、歩いていく。
「お、おい!ちょっと待て!
芳野じゃあるまいし、素手でどうやって……おい!待てって!
そりゃねぇだろ……!」
ガクリと視線を落とした先にあったモノに、諏八はハッとした。
檻の向こう側、伸ばせば手が届く位置に、それはあった。

212 :
――少年は背後でけたたましい轟音が上がっても、振り返りはしなかった。
素知らぬ顔で歩き続ける。
間もなく、彼の横に一風変わった姿の青年が肩を並べた。
背は少し高い。
所々についた筋肉は、彼のタフさを物言わず語っていた。
両の手には女児用と思われるスパッツが握りしめていたが、不思議なことにそれは、その男の手に握られる為にあるかのように自然に収まり、どこか紳士的にも映る出で立ちだった。
何故か頭にもスパッツをすっぽりと被り、その下からくぐもった声を漏らす。
「感謝するぜ。
お前みたいな童貞、見たこと聞いたこともないが、そんなことは些細なことだな」
「止してくださいよ、諏八さん。
俺は通り掛かりの童貞ヒキニートです」
ちらりと横目で見て、少年が言った。

213 :
かっこいい

214 :
「諏八さん、だなんてそっちこそ止してくれ。
大檎でいいぜ」
吠えるように青年は笑った。
「で、恩人。お前はなんて呼べばいいんだ?」
「小森新斗、と呼んでいただければ」
小森新斗か、とスパッツを被った青年が何度かその名を繰り返した。
「不思議だな。
どこかで聞いた感じのする響きだぜ」
「きっと気のせいでしょう」
少年は笑った。
諏八も底ごもる笑い声を上げ、
「……本当にありがとうよ。
お前は俺の恩人だ。
新斗、お前のお陰で俺の道は決まったぜ」
「……道、といいますと?」
「今度こそだ」
スパッツの下で、男の目が底光りした。
「帰る場所がなくったっていい。
だったら歩き続けりゃいいだけだ。
今度こそ、本当のヒーローになってやる」

215 :
――そして、今。
彼が名乗りを上げ、びしっと決めた瞬間、背後で爆発が巻き起こった。
演出ではない。
ヒーローの背後で起こる謎の爆発現象は、実は科学的に解明されている。
人々の混乱や怪人達への情報流出、子供の夢を壊さない為に、一般に知らされていることはないのだが、とある研究機関の研究によってはっきりとした仮説が立てられているのである。
その爆発は、ヒーロー素という気体が原因であるという。
ヒーロー素はまだ解析が進んでいない未知の物質で、記号はややこしいことにとりあえずH2(別に某漫画は関係ない)。
この物質は不思議なことに、意思を持っているかのように、ある性質の人間の周りに一定数滞空している。
ある性質――謂わば、ヒーロー体質の者がその力を発揮する時、何故かその者の背後で急激に熱膨張するのだという。
気体の癖に、非常に空気の読める物質である。
余談だが、上述した話は本編に一切関係ない。
「ドウテイ!ドウテイ!」
「ドウテイトトモニアレ!」
「コモリエルッ!スパッツマスクッ!」
派手な爆発で巻き上げられた砂煙が晴れ、彼らも姿を見せた。
スパッツマスクに従うように、後ろに控える屈強な蛮族達――
「スパッツマスクだァ!?」
「蘇った!蘇りやがったッ!!」
「後ろのはどこの部族だ!」

216 :
スパッツマスクは咆哮を上げ、駆け出した。
それに、凄まじい数の蛮族が槍を振りかざして続く。
「悪漢に御仏の慈悲は無用ッ!
我がスパッツの錆になるがいいッ!!」
スパッツマスクは戦場に飛び込むなり、獅子奮迅の活躍を見せた。
縦横に暴れ回り、彼の行くところ、まともに打ち合える相手はいない。
あっという間に、たった一人の男にヤリチン軍は乱れだした。
「く……!何故、スパッツマスクが……はぅあ!?」
シロが腹に衝撃を受け、もんどり打った。
ふらつきながらも入った、芳野のショルダータックルである。
「もう動けるのですね……!
本当に人間ですか……」
芳野は答える余裕もないのか、肩で息をして、撤退しようとしていた。
シロが腹を押さえながら追い掛けようとし、膝から崩れる。
「……二、三本イッてますわね」
ありがちな台詞を漏らすと、口惜しそうに小さな背中を見送った。

217 :
「尊師様に報告を……」
シロの動きが止まった。
その口から、我知らずといった感じで言葉が漏れる。
「スパッツマスク……謎の援軍……もしかして、奴が……尊師様が最も警戒する奴が……!」
彼女は覚束ない足取りで立ち上がった。
苦悶の表情を見せたのは一瞬のことで、すぐにいつもの冷たい仮面が彼女を隠した。
「私が参るまで、どうかご無事で――尊師様」

218 :
スパッツ様ー!

219 :
今更だけどさ、幼馴染君の名前読めないんだけど誰か教えて

220 :
ほーん

221 :
>>219
たぶん「すぱつだいご」

222 :
>>221
サンクス
んじゃースパッツマスクの正体分かってたん?

223 :
スパッツマスクの最初の登場からわかってたよ
わかってたというか、多分そうかなくらいに思ってた
逆に、そう思って名前みたら読み方がわかった

224 :
序盤から臭わせている風はあったよね

225 :
素の時(というか、幹部として話している時)の諏八とスパッツマスクマンでのテンションの差が楽しい!

226 :
どっちが素なのか気になるところ

227 :
スパッツマスクマンが素だったら変態だろう
と思ったが、登場人物は変態ばかりだからな・・・

228 :
スパッツマスクは25歳前後だと思ってたわ

229 :
レスありがとうございます
童貞と共にあれ!!

230 :
たった一人の男によって、戦場は一変した。
大混乱を来たしているヤリチン軍と対照的に、半壊状態の童貞軍が息を吹き返したのだ。
陣形を建て直し、一丸となってヤリチン兵を迎え撃つ。
彼らの童貞(たましい)は熱くたぎり、激しく打ち鳴らされていた。
「救貞主、スパッツマスクに続け!」
「他の隊に遅れをとるな!」
「気のせいか、シャーマンキングのOPが聞こえるぜ!」
「スパッツマスクの復活祭じゃ!」

231 :
奮起する童貞軍の反対側からも、一万近い蛮族が矢と槍を武器にヤリチンを攻め立てた。
彼らはただの人間だが、その身体能力は童貞やヤリチンにも引けをとらない。
先駈けしたスパッツマスクに続き、彼らも八面六臂の活躍を見せた。
「な、ないごてか知たんけど、スパッツ男が援軍を呼っかくったみてじゃらいな……」
芳野はふらふらとした足取りで、童貞陣営に帰還した。
彼女に気付いた包茎二人に肩を貸され、矢面から離脱する。
芳野は包茎部隊に守られ、緊張の糸が切れたのか、膝から崩れた。

232 :
マムシドリンクを若い衛生貞から受け取り、礼を言う。
「あいが……ありがとう、みんな無事?」
「えぇ、えぇ、ピンピンしてますよ!」
「そう、良かった」
芳野はマムシドリンクを一口啜った。
「苦い……でも今はこの味が一番ね。
まったく……あたしときたら情けない。
あいつの言う通り……」
一人ごちる。
小さな声は、剣戟に掻き消されて、誰にも届くことはなかった。

233 :
若い衛生貞が、嬉々として芳野に笑い掛けた。
「芳野司令!良い報告と良い報告があります!」
「あによ?」
芳野が顔を上げた。
「ヤリチン軍は酷く混乱し、謎の援軍も目覚ましい活躍を見せております!
そして……スパッツマスク!
彼が童貞軍に帰ってきたからには、もう安心です!」
「ふぅん。まぁ芳野ちゃんの方が凄いと思うけどね」
芳野は面白くなさそうに、口を尖らせた。

234 :
おお

235 :
おもろい!

236 :
「そして、もう一つは……どうか自分自身の目でお確かめください!」
若い衛生貞が、サッと一礼し、作業に戻ろうと歩貞部隊に去っていった。
その歩貞部隊の波をかき分け、小さな人影が現れた。
衛生貞と入れ違いに、二人の子供が芳野の方へ走り寄ってくる。
芳野は我が目を疑った。
その一人は覚えがあったのだ。
辛い戦いの中でも、片時も忘れたことがなかった。
いくつもの眠れぬ夜を、彼の安全を祈って越えたか分からない。
身を焦がれるような愛しい思いが、芳野の胸に沸き上がってくる。
「――お姉ちゃん!」
「貞、抱いて!」
「嫌だよ!」
二人はひしと抱き合い、嬉し泣きにおいおい泣いた。
浮かぶ言葉はない。
会って言おうとしていた科白も、吹っ飛んでどこかへ行ってしまった。
だが、今の彼らにとってそんなものは、男優のうるさい喘ぎ声みたいなものだった。
戦過が裂いた悲劇の姉弟は、戦場の真ん中で嬉し涙に掻きくれたのだった。

237 :
「貞ちゃん……何ち言っかせば良かか……」
「もういいんだよ……僕の方こそごめん」
やがて、芳野が名残惜しそうに弟を離した。
視界の隅で、童貞達が奔走しているのを認め、自分を戦線に復帰しなければと思ったのだ。
落ち着きを取り戻した彼女は、もう一人の少年らしき人物に視線を移した。
「貞の友達?
弟がお世話になったわね。
姉の芳野佳乃、こんなんでも大将よ」
「あ、あぁ……アンタのことはよく聞いてる。
操、童貞だ。よろしく」

238 :
芳野は立ち上がり、握手を求めた。
操は年下のはずだが、既に芳野より頭半分高い。
芳野は何かを透かし見るように、じっと操を見つめ、顔を近付けていく。
「な、なんだよ……ッ!?」
彼女は無言で口付けした。
飛び退り、操がごしごしと袖で拭う。
「ア、アンタ何すんだ!?
いきなり……このっ、頭おかしいんじゃないか!?」
「この味……この反応……間違いない。
奇異な童貞力だとは思ったけど、まさか、ね……」
「何やってんのさ二人共……」

239 :
芳野は一人納得したように頷くと、殴りかかってきそうな勢いの操に言った。
「あら、手を上げる気?
男の子がレディを!?とんでもないね!オイッ!」
「くっ……!」
「ファーストキスが芳野ちゃんって末代まで自慢になるよ。
そうだ、あたしの唇マークを家紋にするがいいわ」
芳野はからりと笑うと、
「第一、殴ったところであたしが喜ぶだけだよ!」
それを捨て台詞に、ヤリチン軍へと飛翔した。
両腕を大きく広げて、茶色い髪をたなびかせたその少女は、どうかすると猛禽類のようにも映った。
後には、虹が残った。
彼女の心模様にも、その時、虹が掛かっていたのかもしれない。

240 :
尊師は、ヤリマンミサイルを十八発目で打ち止めにせざるを得なかった。
相対している男が、打ち上げを許さなかったからだ。
その童貞……小森新斗はただ風を受け、悠然と一物を揺らしていた。
「小森……新斗……ッ!」
敵軍の優勢にも、どれだけの味方が死んでも、尊師は心一つ動かした様子は見せなかった。
恐らく、大勢の敵に囲まれたところで彼は薄笑いを浮かべるだけだろう。
だが、今、彼は分かりやすく動揺し、怒り、その堅牢な大寺院のような精神は揺るがされていた。
それも単身で乗り込んできた童貞によって、である。

241 :
「久しぶりだな。
今はヤリチン教団のトップなんだって?」
小森が言った。
抑揚のない口調だった。
「何故だ……!
何故、貴様がここにいる……」
尊師の声色には戸惑いが滲んでいた。
彼は自分でもそれに気付いたのか、すぐにそれを覆い隠した。
「時が永劫なる深淵より降臨したと云うことか――面白い。
貴様が何処かで存在を維持していて、その純潔という刃を磨いていたのは、知っていたことだ。
大方、童貞界であろう。
遠路遥々御苦労なことだ。
……だが、貴様は何も出来ん。
ただ赤子のように、これから始まる余の暗黒遊戯に恐れおののき泣き喚くことしか出来ぬのだ…………ククク……フハハ……フハハハハハハァ!!!」
「その意味不明で背中がむず痒くなる言い回し……相変わらずだな……!」
小森が呆れたように首を振り、言う。

242 :
「悪いけどお前の企んでいることは止めさせてもらう。
やりすぎたな、尊師。
既にヤリチン帝国や童貞公国が網を張ってる。
馬鹿なことは止すんだ」
尊師が一歩前に進み出て、芝居掛かった仕草でローブを翻した。
「その余裕も今の内だぞ……小森新斗。
未だこの世界に光が満ちたる頃の俺様と思わぬ方がいい。
我が覇道を邪魔立てするならば、童貞公国の連中も、ヤリチン帝国の犬共も、貴様も……消し炭にしてくれるわ!」
尊師が地を蹴り、ズボンをパージした。
そこから、暗黒剣を覗かせる。
間髪を入れずに小森も抜刀し、抜き合わせる。
バチリとモノがぶつかり合い、火花が散った。
二人は目にも止まらぬ速さで動き回りながら、激しく打ち合う。

243 :
彼らの技量は、他とは次元が違うものだった。
それは死闘といえど、見る者に、ある種の感動すら湧かすほどの戦いだった。
「ス、スゲェ……!
こんな肉棒戦……滅多にお目にかかれねぇぞ」
「尊師様を援護しなくていいのか?」
「無理だろ……!」
無論、手助けしようと、その剣戟に加われる者などいない。
彼らが言葉を交わす間に、二人はつばぜり合いになっていた。
「肉棒を上げたな、尊師。
……暗黒面(ヤリチン)の力を感じる……!」
「何が暗黒面だ……!
貴様等童貞こそが虚像……ッ!」
「ふっ……ヤリチンの悪は童貞か……!」

244 :
クワイ・ガンとダース・モールの戦いで脳内再生してるw

245 :
胸熱ぅぅぅぅぅぅううッ

246 :
すげえええええええええ

247 :
>>244と同じだった

248 :
新斗とスパッツマスクどっちが強いんだ?

249 :
すげー

250 :
小森何者だ
最初はサンタの弟子かとおもってたが
なにンタだ?

251 :


252 :
保守ありがとうございます!
なんかこんなレスたくさんついたので初めてで俺嬉しいす
見てくれる人の為に張り切ります
童貞と共にあれ!
>>244
新旧合わせて一番好きな悪役ですね、ダースモール

253 :
小森が微かな笑みを浮かべる。
それに対し、尊師は苦々し気に歯を剥き出した。
彼の小さな身体が、押されていく。
体重に勝る小森の方が、単純な力比べでは有利だったのだ。
尊師が歯噛みし、より力を加えようと重心を前に移動させた。
だが、小森はそれを読んでいた。
サッと身を引き、肩透かしを食らわせたのだ。
たたらを踏み、尊師の身体は大きく泳いだ。
その隙を逃さない小森の射精弾が、彼の頭を僅かに逸れた。
尊師は体勢を素早く立て直し、間合いをとった。
「おのれ小森新斗……ッ!」
フードが大きく裂け、その顔が顕となる。
――年端も行かぬ少年だった。
貞や操と変わらないだろう。

254 :
「もう終わりかい、尊師?
そんなんじゃこの俺は倒せないぜ。
詳しくは知らないが世界を舞台に壮大なRーを扱くんだろ?
ただの童貞ヒキニートも倒せないようじゃあ、世界をオナホールになんて出来やしないぜ!」
「黙れ……ッ!天上の神であるこの俺様を愚弄するでないわッ!!」
人間の目には、尊師の右手が突然消えたように映っただろう。
一流の童貞である小森の目をして、ぼやけた影が動いてるだけにしか見えなかった。
彼の常軌を逸した手コキに、小森は身構えた。

255 :
(射精術か……?
溜め射ちか、連射系か。
それとも特殊技?
だとすれば何だ。
オーソドックスに火炎系の技か、興奮で一時的に巨根化する巨根術系統の技か。
ここは結石弾も視野に入れた回避動作を――)
口の中の呟きが止まった。
小森の目が大きく見開かれる。
一瞬だが、尊師の股間に、青い火花が見えたからだ。
(雷電系!?)

256 :
雷電!どうしたんだ雷電!雷電!らいでーん!

257 :
小森は咄嗟に横っ飛びした。
尊師の股間に閃光が走った。
摩擦から生じる紫電が、今の今まで小森の立っていた場所へ蛇のように伸びる。
渇いた音と共に地面が弾け、焼け焦げた。
「本当に腕を上げたな。
発現の難しい雷をその歳で……」
「まだこれくらいで驚いてもらっては困る」
尊師は息を荒げ、かなり疲労しながらも、目は爛々と輝いていた。
彼の股間も帯電し、引きこもりの目には眩しいくらいである。

258 :
「俺様は神となるッ!
新世界の神となるのだ……ッ!」
尊師が、股間を扱いた。
「小森新斗……神の奇跡を前にひれ伏すがいい!
『天抜』ッ!」
放たれた精弾は、青い稲光を纏っていた。
普通のおRみるくではないことは、明白だ。
小森はそれを躱し、反撃に移ろうとした。
――だが、確かに避けたはずの彼の背中に、電撃が走った。
「ん゙ほぉぉぉぉぉ゙ぉ゙ぉ゙お゙お゙ッ!?」
小森はうつ伏せに倒れ込む。
尊師の高笑いが、彼の意識を何とか繋ぎ止めた。

259 :
「ククク……電気を統べるのが余の能力。
それは即ち、磁界も自在に操れるということ。
余は自分の精液を、半径十五メートル以内ならば操れるのだよ。
普通の精液なら精々軌道を変える程度しか出来ぬが。
――余は鉄分系のサプリメントを常用しているのだ。
故に使用出来る健康的な神の技……その名も、天抜(てんばつ)」
「こ、こりゃ驚いた……たいしたもんだぜ」
小森はよろよろと立ち上がった。
尊師がふん、と鼻を鳴らす。
「しぶとい奴め。
次で終わりにしてくれるわッ!」
尊師の一物が何度も脈打つ。
それはクラゲのように宙を泳ぎ、発光して、尊師の周りでたゆたう。
綺麗なものだが、死をもたらす鬼火でもあった。

260 :
「無数の天抜……ッ!
如何に貴様といえど、これを受けて生きていられるはずがない」
「果たしてそうかな」
小森は痺れて立っているのがやっとにも拘らず、軽快に笑って見せた。
その態度に尊師が激昂した。
「そんなに死に急ぎたいなら死ぬがいいッ!
さらばだ小森新斗!
二度目の地獄を味わえィッ!」
不自然な軌道を描き、迫る電気を纏った精液弾。
小森はそれに対し、腰をぐっと引いた。

261 :
スパッツマスクが出てくるたびに変態仮面で脳内再生される

262 :
「お前の負けだ、尊師」
小森の尋常ならざる腰振りから生まれた突風が、天抜を吹き飛ばした!
そのいくつかが尊師を掠め、彼の口から悲鳴が漏れる。
「な――」
「お前が腕を磨いている間、俺だって何もしてなかったわけじゃない。
自分から手の内を明かした時点で、お前は負けてたんだよ。
雄弁は銀、沈黙は金。
口が過ぎれば全て台無しだ。
昔、そう教えたはずだろ?」
身体を動かせない尊師を見下ろし、小森は言った。

263 :
「さて……計画を中止させてもらうぜ。
とりあえず、反乱軍へのお土産にしよ」
小森は電撃の名残がある身体をぎこちなく動かし、尊師を担ごうとした。
だが、寸での所で邪魔が入った。
「させませんわ……!」
小森の頬をディルドが掠めた。
わざと外した様子はない。
殺意の籠もった攻撃だった。
小森は悪態を吐き、視線を走らせる。
腹を押さえ、息も絶え絶えの少女がそこにいた。
「外してしまいましたわ……尊師様の御前なのに……!」
少女は蒼白な顔を、歪ませた。

264 :
少女――シロが酷い怪我を負っていなければ、ディルドは小森の頭に突き立っていただろう。
小森もそれをすぐに理解したのか、少女の実力を警戒しつつも、余裕の笑みを上らせた。
「そんな身体で何が出来るんです?ん?」
「黙りなさい……この社会のゴミクズ」
「ありがとうございます!」
尊師が擦れた声を漏らす。
「シロ、か……!よくぞ来た我が右腕……」
「尊師様」
シロが満面の笑みを広げた。

265 :
ほし

266 :
保守

267 :
上げ

268 :
前半の流れ忘たww

269 :
あげほしゅ

270 :
>>268
〃www

271 :
半芝失せろ

272 :
保守ありがとう
全ての人々に童貞の加護あれ、ザーメン

273 :
小森が気まずそうに頭を掻く。
「悪いですけど、こいつ連れてきますから」
「それは無理だな……小森新斗」
尊師が口元を歪ませる。
「我がヤリチン教の層は厚いのだ」
と次の瞬間、どこからともなく黒い影がぬっと姿を現した。
小森は咄嗟に後ろに下がる。
「こいつが……ッ!?」

274 :
「コー……ホー……」
ダース・ニーターは尊師を守る守護神のように胸の前で腕を組んで、仁王立ちしていた。
小森はその場に釘付けになったように動かなかった。
ダース・ニーターを見透かすように、ねめつけるのを止めない。
その間に、こそこそと近づいていたヤリチン達が尊師とシロを助け出す。
「ま、まて!」
小森がハッとして追おうとするも、黒い影に阻まれた。

275 :
「コーホー」
「……いいぜ……!速攻で片付けてやる……」
小森は打ち込もうとしたが、ダース・ニーターの方が数段速かった。
彼の放った射精が、小森の足下で弾けた。
構わず踏み出そうした小森だが、その精液に足をとられてしまう。
バランスを崩し、派手に転ぶ。
「な、なんだこれ!」
小森は喚いて、とりもちのように靴の裏に引っ付いて離れないザーメンをどうにかしようと躍起になった。

276 :
「コーホー」
ダース・ニーターは任務完了だと言わんばかりに、背を向けた。
まるで小森に興味がないらしい。
無防備な小森に目もくれず、去っていく。
「ち、ちくしょう!待っちゃがれ!
俺の勝ちでいいのか尊師!悔しくないのか!
来いよ尊師!手下なんか捨ててかかってこいッ!」
「!……ククク……そんな安い挑発には乗らん。
余と貴様の決着は、いずれ訪れる……それが世界の選択だからな」
尊師の哄笑が響く。
それは小森の鼓膜に焼き付き、いつまでも離れなかった。

277 :
「勝てる!風は我が軍に吹いてるであります!」
あちこちに傷を作り、軍服を血で汚しているが、その男は希望の面貌を覗かせていた。
――池上はしっかりと二本足で立ち、生きていた。
彼は四人の高官のヤリチンを撃退する活躍を見せ、今は童貞を率いてヤリチン陣営に攻め込んでいる最中である。
「ヤリマンミサイルも何故か飛んでこないし、総攻撃を仕掛けるであります!」
池上は頬の血を拭った。
「スパッツマスクだけに任せるわけには行かないであります!
進め!全軍突撃でありますッ!」
彼の張り上げた声に、閧が上がる。

278 :
「全くだな。二度も助けられちまったぜ、あいつには」
彼の横で、益垣が機関銃の如くスペルマを放つ。
それはヤリチンの一団をあっという間に壊滅させた。
また、少し離れた所でも、童貞をまとめあげて、戦果を上げる者がいた。
「進め、進め!この戦い、勝てるぞ!」
ゴリラが先駈けて、童貞を先導する。
「ウォォォオオオオオオッッ!!
スパッツマスク様!!
岡田は!岡田愛理めはここにおりますぞォッ!」
他の場所でも、岡田がぶっかけ部隊を率い、果敢に切り込んでいた。
ヤリチン軍は童貞軍の底力に圧倒され、恐怖さえ広がっていた。
更に、後ろからは蛮族である。
彼らの原始的ながらも童貞は使わない攻撃手段は、童貞とばかり戦ってきたヤリチン軍を苦しめた。

279 :
粘着性かよwww

280 :
ほす

281 :


282 :
そして、そのヤリチン陣営の中心では、二つの嵐が彼らを蹂躙していた。
さながら散り敷く枯れ葉を巻き上げるつむじ風が如く、相見えるヤリチン達を吹っ飛ばしていく。
向かう敵一合とさえそれに切り結べる者もおらず、彼らを止めるのは不可能かに見えた。
――その二人の鬼神が、ぶつかった。
「お――」
「あんたはスパッツマス…………うんにゃ!?んにゃ、んにゃんにゃんにゃッ!?」
いや!?いや、いやいやいやッ!?である。
うんにゃ、は否定形として、続けて言うと驚きを表す言葉となる。
その使用頻度は非常に高い。
筆者もよく使う。
だが、芳野も一流のビッチ。
いつまでも隙を見せない。
互いに振りかぶっていたスパッツと拳を構え直し、サッと背中合わせになる。

283 :
「あんた、何やっちょっとよ。
こげなとこいで……」
「ハッハッハッハッハッハッ!
また会ったな少女よ!」
芳野はげんなりとした表情で、打ち込んできたヤリチンを放り投げた。
「ないよ、それ。
ないごてそげん変な喋り方しちょっとな。
もしかっせぇ……あぁ、そういうこっ。すっぱい合点がいったわ。
あんた特撮とか好いじゃったでなー」
「何を言ってるのか分からんぞ!」
スパッツが敵を切り裂いた。

284 :
「……スパッツマスクの正体て、あんただったとな。
ふぅん……ふぅん。そっかー……そうだったんだー」
「中には誰もいないッ!」
スパッツマスクはむきになって吠えた。
「……処刑されたって聞いた」
「……ヒーローは死なんッ!!」
彼は背中越しに怒鳴り、続けた。

285 :
「私の戦友の諏八から伝言を預かってきた。
すまなかった、と。
彼は犠牲になって君たちを救っていたと甚だ勝手な思い違いをしていたそうだ。
特に芳野には酷いことを言ってしまった、と。
彼は……死んでしまったので、もう君たちに会うこともないが、それでも一言ごめんと……そんだけだ……」
「死んじゃったんだ。弱っちぃの。
あたしもあいつに言いたいことがあんのよね」
芳野が零す。
スパッツマスクがなんだ、と興味深そうに訊いた。
「あんたなんかに言ってやんない。
あたしはね、あいつに用があっと。
ないごて、いっき署ずい、ご同行願われそうな変態に大事な伝言頼めっとなッ!」

286 :
芳野が苛々とかぶりを振り、
「ただ一言ゆなら、絶対許してなんかやらん」
「……そうか……だよな」
「言付けなんかで謝る奴なんか、絶対に許してやらんど!
ちゃんとまた会って、話さないと、許すいご気ぃならん!
ほんのこち自分勝手じゃらいな!
許可なくあたい以外の手で死におっせぇッ!
さっさ生き返れっち、言っきかせっ!一機あぐっから!」
芳野はモゴモゴと続けた。
夕陽に照らされているせいか、少し頬が赤い。
「ほいかぁ……伝説の続きじゃ」
「!……あぁ、分かった。
思いっきりぶん殴って、直接会うように言うぜ」
「ほどほどにせんなね」

287 :
彼らの戦いは圧巻だった。
一人でさえ手に負えないのに、彼らは背中を守り合い、目の前の敵だけに集中しているのだ。
そして――その暗黙の内に、互いを察した動き。
精弾が来ればスパッツマスクが弾き飛ばし、ヤリチンが飛び掛かってくれば芳野のラリアットが唸りを上げる。
彼らはそれまでずっとそうしてきたかのように、あうん(変換出ねーよ)の呼吸を見せたのである。
激しく立ち回る二人の影が、伸びていく。
やがて、日が沈み、残照が辺りを照らしてもその動きは止まず、それどころか速さを増していった。
「クソッ……世の中間違ってる……!」
その間、小森はというと、未だ粘着ザーメンに悪戦苦闘していた。
砂糖とスパイスと素敵なものがいっぱい詰まった小森の頭には、靴を脱ぎ捨てるという手段が擦りさえしなかったのだ。
間もなく、童貞達の勝鬨が上がった。
童貞軍は、圧倒的な不利を覆し、大勝利を収めたのである!

288 :
その晩から数日間、夜毎、盛大なお祭り騒ぎが巻き起こった。
童貞軍はあるいは歌い、あるいは踊り、勝利の美酒に酔い痴れた。
予断だが、後々、この週は『童貞ウィーク』『スパッツマスク復活祭』等と呼称され、世界中の童貞達が祝う習慣となった。
特に最初の晩、戦場跡で始まった大宴会は、ある種の見物だった。
「俺がMVPッ!
さぁ、ファンはヒーローインタビューをするがいい!」
「何言ってんの。あたしに決まってるじゃない。
さっさとお立ち台を譲れよ」
三万近い童貞と一万の蛮族、二ビッチに一ヒーロー、ゴリラが一頭に引きこもりが一コモリ――それぞれ入り乱れ、怪我の軽くない者も周りの制止を振り切って乾杯する。
冬空の下だったが、火照った彼らは寒さを感じなかった。
勝利の高揚と仲間と飲む酒が、何にも勝る最高の防寒具となっていたのである。

289 :
「衛生貞ェー!酒がないぞー!」
「平時で扱き使うんじゃねぇ!」
「今からこの十三歳ボーイッシュツンデレ系少女のパンツと、風呂場で盗んだ二十歳ヤンデレお姉さん系のパンツのオークションを始めるであります!」
「先生から売ってもらった奴ってテメェかよッ!」
小さな輪になって鍋を囲み、武勇伝を肴に、杯を傾ける。
ランタンと松明の火が揺れ、戦士達の楽しそうな顔が闇にぽうっと浮かんでいた。

290 :
「コモリエル……やりましたな。
急なことであまり他部族からの応援は集まらなかったですが。
少しでもお力添え出来たなら幸いですじゃ」
「えぇ、この勝利はインシューの民なくしては勝ち取れなかったものです。
鳥取県民に、ありがとう。
全ての童貞に、おめでとう」
裸足の小森と、ゴリラの背丈を越える槍を持つオヅノが言葉を交わす。
「まだ戦いは続くのですかな?」
「えぇ……ですが、敵の総本山が見えてきたところですね。
最終決戦は間近でしょう」
オヅノがうむ、と頷く。
「改めて、他部族に使いを出すことにしましょう。
奴らにこの国を、世界を支配させるわけには行くまいて」
「感謝します、オヅノ長老」

291 :
保守ありがとう
見てくれた人に童貞の神々の御加護があらんことを、ザーメン

292 :
芳野ちゃん可愛いなぁ

293 :
貞と操はどこ行った?

294 :
ほしゅ

295 :
ありがとうございます
皆様に童貞の栄光あれ、ザーメン

296 :
貞と操は、知り合いを見つけ、彼らの輪の中に入った。
周りの童貞が、何事か、そんなに凄い童貞なのか、と二人に目をやった。
彼らはあまり意識こそしなかったが、その輪は、実に錚々たる面子だったのである。
「おぉ!貞じゃねぇか!
聞いたよ、大冒険してたんだって!
詳しく聞かせてくれよ」
中盤まで一人で援護を続け、途中から最前線で攻撃の要となっていた男。
早漏の益垣。

297 :
「あんまり自分のことを悪役風に語らないでほしいであります!
悪役だけど!であります!ガハハハハハであります!」
と言って、赤ら顔で爆笑する包茎の池上。
彼は知る人ぞ知る隠れた名貞といった風だったが、今回の目覚ましい軍師ぶりや活躍から、一躍、時の童貞となっていた。
MVPを争っていた超獣二匹を面白がり、オヅノが簡単な投票をして、今日の主な功労者の中から一番を選り抜いたのたが、並み居る強者を押し退けて最優秀童貞賞をさらってしまったほどである。
一部では既に最強説も唱えられ、『賢貞』やら『知恵のチェリー』等の包茎に代わる二つ名も上がっているが、本人はあくまでそれまで通りを望み、突っぱねた。

298 :
「よっ!約束通りまた会えたわね、二人共」
「ウホホッ!」
岡田とゴリラもあまり知られていない人物だったが、今日の戦から有名人となっていた。
とんだシンデレラストーリーである。
「益垣さん、岡田さん、ゴリラさん……!と池上さん……!」
「池上は一生恨むぜ……!」
見知った四人に、貞と操の顔が綻びた。

299 :
「それにしても、まさか貞達と芳野のメイドのあんたらが知り合いだなんてなぁ」
と、早漏。
「こっちこそ驚き桃の木引きこもりよ。
不思議な縁もあるものよね。
というか将軍が探してた弟が貞君って嘘でしょ……予想だにしなかったわよ」
「あはは……なんか僕のお姉ちゃんが岡田さんとゴリラさんに迷惑かけてるみたいで」
すまなそうに貞が笑った。
いいのよ、と岡田が微笑みを返す。
「スパッツマスク様にも会えたことだしね。
罰ゲームは勘弁だけど。
そういえば、芳野将軍やスパッツマスク様はどこにいるのかしら?」
一口酒の缶を啜り、岡田が言った。
ゴリラが何か答えようとしたが、池上の笑い声に掻き消された。

300 :
「賞品のこのコンタクトレンズ……いらねー、であります!」
彼は『芳野ちゃん二十四時』をぞんざいに弄んだ。
芳野が見ていれば殴るのだろうが、彼女はその場にいなかったし、酔っ払っていてそこまで頭が回らなかったのだ。
益垣がちらりと横目で見る。
「なら俺にくれよ、団長」
「え、えぇ?こんな爪の掃除にしか使えなさそうなガラクタを?
まぁ捨てるのもなんだし、あげるであります」
「ありがとさん」

301 :
宇保・・・

302 :
あら、と楽しげに岡田がにやついた。
「あの子のこと好きなの?
顔だけは可愛いものね。発育も結構いいし」
「おいおい、勘弁してくれよ。
あいつはまだションベンくせぇガキンチョ。
俺はロリコンじゃあないぜ。
人がいらないって言ったらもらう主義なのさ」
益垣が肩をすくめた。
冷やかすような笑いを止めずに、岡田が言う。
「本当に?」
「ウホ……ホウッホウッホウッ!」
横に座る霊長類も混ぜ返した。
「ゴリさん、あんたまで俺をからかうのかよ。
ただの記念だ、記念品。
田舎のおふくろの土産にでもするさ」
少し困ったような笑みを浮かべた益垣に、助け船が墜落した。

303 :
「今の言葉、しかと聞いた!
その親孝行の心、気に入ったわ。
益垣、今からあんたを芳野ちゃんの親衛隊員に任命してあげる」
全員が、もとい、近くにいた戦士全てが声に振り向いた。
その少し癖のある髪をなびかせる少女は、さながら獲物を狙う鳶にも似た、抜け目ない微笑を湛えていた。
目の覚めるような大立ち回りを見せた、軍団長の芳野佳乃である。
彼女の横を歩く青年もまた、童貞の注意を引き付けて止まない。
それもそのはず、その青年はヤリチン四天王にして、長らく敵だった男――諏八大檎だった。
戦が終わってから、彼は忽然と現れた。
勿論、初めは戸惑い、怒りに燃える童貞も少なくなかった。
池上が彼は味方さえ欺き、スパイをしていたのだと証拠を提示しつつ弁明したが、それだけではその場を収めるには不十分かに見えた。
だが、諏八にしがみ付き、命に代えてもとばかりに彼を擁護する少年と、無言で童貞達を威圧するその姉の目力もあった。
理屈と、ひたむきな思いと、暴君が一つになり、諏八はとりあえず処分保留の身となったのだ。

304 :
「お、大檎じゃねえか。
お前タッパでかくなったな」
「しばらく見ない内に逞しくなりましたなぁ」
まだまだ彼を快く受け入れない者も多かったが、早漏と包茎は全く意に介した様子はなかった。
人となりや細かい事情を知っている二人は、まるで親戚付き合いでもしているかのような調子だった。
まぁ座れよ、と二人は促す。
「大檎君」
貞も嬉しそうに迎えた。
ランタンに照らされた彼の顔に、眉を潜める。
「どうしたの……頬。
まさかお姉ちゃんが……」
諏八は苦笑しながら、腫れた頬を擦った。
少女がむくれた。
「あによー、このあたしが暴力振るうわけないでしょ。
これはこのばかが自分で――」
「あぁ、そうだぜ。
これは佳乃にじゃなくてだな。
スパッツマスクに殴られたんだぜ」

305 :
貞は面食らった。
「スパッツマスクさんに?
一体どうしてさ?」
「お前らを泣かしちまったからな!」
諏八は豪快に笑うと、ふと、思い詰めたような表情を覗かせ、
「すまなかったな、本当に……あと、ありがとうな」
そして、手慣れた仕草で彼とその姉の頭を撫でた。
貞は照れたように俯く。
芳野は顔をしかめてそっぽを向き、両手を所在なさげにぶらつかせた。
「もう、僕も子供じゃないよ」
「一撫で二百円だから」
「もう中トロ五貫飛んだな!」

306 :
話している間にも、岡田は彼らの分を鍋からよそっていた。
芳野が満足そうに受け取る。
「さすがあたしのメイド。
あとポン酢!はよ!」
「はいはい……それはそうと諏八……くん?
スパッツマスク様はどこへ?」
皿を受け取りながら、諏八が答えた。
「あぁ、三分たったから星に帰ったぜ!」
「……明らかに三分以上いたけど……」
「息止めてたってよ!」
「よく分からない設定だけどさすがスパッツマスク様ッ!!」

307 :
ねぇ、と芳野が声を低くして訊いた。
「なんで自分がスパッツマスクだって皆に言わないのよ」
「なんで言うんだ!?
……あ!いや、俺は別人だぜ」
こそこそと、諏八が返した。
「もういいってのバカ。
あんたがバカみたいにカッコ付けて出てきた時、頭のスパッツをとってれば――今頃、異名通り『英雄』だったじゃん。バカだけど。
また昔みたいに、皆からちやほやされて人気者になれるよ。
あんた目立ちたがり屋じゃんか。
おまけに、バカで見栄っ張りで救いようのないバカだし。
なんでわざわざ隠す必要が……」
「まぁ、なんだ。ケジメだぜ。
俺は童貞として、一度死んだ身だ。
死んだままでいい。
スパッツマスクの存在が童貞軍の勝ちに繋がるってんなら……マスクは脱がない方がいいだろ。
英雄は、綺麗なままでいい。
誰だってそう思うだろ。
諏八大檎としてやったことは紛れもなく事実だしな」
「スパッツマスクとしての活躍もでしょ」
芳野がぴしゃりと言い返した。

308 :
呆れを通り越して苛々しながら、続けて何か言おうとしたが「それにな」彼に遮られた。
「俺はある童貞の前で宣言したんだぜ。
本当のヒーローになるってな」
「本当の……?なんだよー、それ」
「あぁ!俺も分からん!
だがな、ヒーローにはプライドや見栄よりもっと大事なモンがあんだよッ!!」
「意味わかんない。男ってホントバカ」
「あぁ、そうだな!でも捨てたもんじゃないぜ!」
諏八は一度言葉を切り、ふと、思い出したように言った。
「……あ、そうだ。新斗――誰か、新斗見てないか!?」
皆が、ハッとした。

309 :
「そういえば見てないわね」
と、岡田。
芳野がふん、と鼻を鳴らす。
「貞ちゃんが凄い童貞だってうるさいけど、胡散臭い。
敵陣のど真ん中で【規制ワード】踏んで動けなくなってた間抜けじゃん」
益垣がにやりと口元を緩めた。
「でも貞を安全にここまで送り届けた。
あの池上プリズンを抜け、鳥取県を渡り、更にはどんな手品を使ったか、インシューの手を借りて近畿の大寺院に奇襲ときたもんだ。
そっから諏八を助け出したのも、スパッツマスクを呼んだのもあいつだろ。
とんでもねぇ逸材だよ、実際」
「あぁ、先生は凄いぜ。たまに」
操が認めた。
底ごもる声でゴリラが言う。
「乱世になると、天が勇者を使わすものなのか……スパッツマスクといい、小森といい」

310 :
>>302でホウッホウッしか言わなかった宇保が
>>309の最後を言ったのかと思うとわろてしまう

311 :


312 :


313 :
うほ

314 :
うほほ

315 :
NTT 宮下雪茂 まんせー
NTT 宮下雪茂 まんせー
NTT 宮下雪茂 まんせー
NTT 宮下雪茂 まんせー
NTT 宮下雪茂 まんせー

316 :
ウホ!

317 :
ウホ、ホッホ(保守ありがとう)

318 :
助け舟は墜落するもの

319 :
「うむ。確かに。
スパッツマスクも小森君も、そして立派に大将を果たしている芳野殿もたいしたものであります。
芳野殿がクイーンなら、この二人はルークにビショップでありますな」
へらへらした笑いを急に引っ込めて、池上も大真面目な顔で同意した。
その彼を、芳野がじろりとねめつけた。
「その言い方だとまるでスパッツマスクと小森が並んでるみたいね」
その通りじゃないか、貞が言った。

320 :
「スパッツマスクさんも凄いけど……お姉ちゃんや僕が大檎君とまた会えたのも、小森さんのお陰だよ」
熱の込もった語調だった。
面白くなさそうな芳野を見兼ね、諏八がどうしたと声を掛けた。
「あんた達小森小森うるさいのよ。
別にあいつがいなくても、あたしが二人共助けたし」
「それでも、俺達に力を貸してくれたんだぞ」
諏八は穏やかに嗜めた。

321 :
「そりゃそうだけど……」
「お姉ちゃん」
貞が眉を潜める。
芳野は跋の悪そうに、だが、不愉快そうに認めた。
「あぁ、分かった、分かったってば。小森様様よね。
今度礼ぐらいは言うってば」
「お――噂をすりゃあなんとやらだぜ」
そういうと、諏八は立ち上がった。
喜色満面で手を振り、声を張った。
「おい、新斗!」
彼の目は、童貞達の輪の外をおろおろとうろつく小森を捉えていたのだ。
小森は諏八や貞達に気付き、チラチラと、
「いやぁ、奇遇ですね」
なかまになりたそうに こちらを みている!

322 :
「何つっ立ってんだ!?
来いよ!ちょうどお前の話してたんだぜ!」
「ンフ!じゃあ、お言葉に甘えちゃおっかな」
貞や諏八が彼と親しげに話す中、芳野は不服そうに口を尖らせた。
玩具を取り上げられた子供のように拗ね、
「や、やめてください将軍……そ、そんなの入らな……ひぎぃぃぃいいッ!!」
その怒りは岡田に向けられた。
童貞達の大宴会はそれから、更なる盛り上がりを見せた。
出し物に、三擦り楽士団のライブや芳野の水芸、インシューの舞踊が披露され、酒はあっという間に底を尽いた。
彼らは疲れ切っているはずなのに、夜を通して騒ぎに騒いだ。
今まで息を詰めて戦いの日々を送ってきたのだ。
鬱憤が爆発したに違いない。
買い出し班を決める際、紛争が勃発しかけたが、不機嫌な芳野によって鎮圧されるという事件も起きた。
空が白み初め、ようやく彼らの宴は収束に向かった。

323 :
潰れた仲間を背負い、童貞達はそれぞれ制圧した拠点へと帰っていく。
その様子に興味を惹かれたように、朝日が山並みから顔を出し、戦場跡をまばゆく照らした。
あちこちでギラリと矢じりが光る――。
あの苦しい戦いから一夜明け、童貞軍が生き長らえた最初の朝である。
まだ疎らにいる童貞やインシュー族の中を歩きながら、二人の男は言葉を交わしていた。
「寝なくていいんですか?」
「あぁ、どうにも寝付けん。
疲れちゃいるが、まだ脳がアルマゲドン出してるみたいだ」
「アドレナリンですね」
暁光から身を守る為にフードを目深に被った小森と、諏八だ。
「なぁ、泊まるとこ決まってんのか?
決まってないなら、俺達んとこ来いよ。
ここの大寺院に居着くつもりだ。
池上さんがとりあえずの童貞軍本部代わりにもするってよ。
お前も代表会議に出ればいいぜ。
あ、そうそう!ここの大寺院にはサウナが付いてるんだぜ!
サウナっていうのは、暑い部屋だぜッ!!」
「フヒ!そりゃありがたいです。
ですが、芳野さんが怒るかと思われます」
「あぁ……あいつか」

324 :
諏八がまだ少し腫れの残る頬を、ポリポリと掻いた。
「気ぃ悪くしたならすまんな。
佳乃は良い奴なんだが……どうも昨日は虫の居どころが悪かったみてぇだ。
たまに訳の分からん理由で機嫌悪くすんだ、あいつ」
「ははは、俺が弟と友人の蜜月をお邪魔したからでしょう。
可愛らしいじゃないですか」
「ミツゲツ?なんだそれ、早口言葉か?」
「それはそうと大檎さん。
なんでスパッツマスクと公表しないんです?」
「お前も佳乃と同じこと言うんだな」
諏八は吠えるように笑った。

325 :
「始めは嫌われてて、俺に会いたくもないだろうと思ってたんだ。
だから、諏八じゃなくて、スパッツマスクとしてあいつらを影から守れりゃ、それでよかったつもりだったんだが……」
「すぐバレて和解と」
「あぁ、だがそれだけじゃないんだぜ。
スパッツマスクは『英雄』なんて言われてやたら担がれてる。
自慢じゃないが、敵にはかなりびびられてるのも確かだ。
実際、マスクの下はただの弱っちぃ男だがよ。
でも、この戦いを勝ち抜くには、本物のヒーローにでもならないといけないんだと俺は思う」
小森は何も言わず、フードの奥から覗く瞳を彼に泳がせた。
彼は、柔らかい表情でただ前を向いていた。

326 :
「あいつらを放っておくなんて馬鹿なつもりはもうねぇぜ。
だが、ヤリチン軍を野放しにする気もねぇ。
尊師がこのまま力を強めたら、あいつらにも危害が来るだろうしな。
諏八大檎もスパッツマスクもやってやるさ。
二足草鞋でもやりきってやる」
それに、と彼は続ける。
「ヒーローは、素顔を見せるもんじゃないしな」
「ふっ……その『ヒーロー』に押し潰されないでくださいよ」
「おう、分かってる」
諏八は真剣な顔で頷いた。

327 :
宴会はその日の夜も、次の日の夜も行われた。
さすがに童貞達は、時と場合を弁えて、最初の大宴会のように上を下への大騒ぎはしないが、それにしても盛大なものである。
祭りといってもいい。
隊長格の中には咎めるものもいたが、強く言う者は一人としていなかった。
「酒が不味くなるであります!」
寧ろ、そういって笑い飛ばす代表者の方が多い。
童貞は、ずっと困窮した生活を続けてきたのだ。
少しくらい大目に見よう――代表者達はそんな事を考えていたに違いない。
戦時中だからこそ、笑える内に笑い、飲める内に飲み、食べられる内に食らうッ。
それが、童貞軍なのである。
その単純さはインシューの民と波長が合ったのか、彼らはすぐに意気投合した。
住民が疎開して無人となった街を、大量の童貞と槍を持つ部族が仲良くうろつく光景は、珍百景にも投稿されたという。
童貞達は気楽にヘラヘラ笑っていたが、インシューの民同様、武器の手入れは怠らなかった。
いつ、出撃するか分からない。
敵が次の瞬間、押し寄せてくるかもしれない。
故に、男達はRーを止めない。
明日、世界が破滅しようと、男達はRーを止めない。
あっという間に彼らが拠点にしている街のゴミ箱は、名残雪でいっぱいになった。

328 :
宇保さん人気なんで主人公てことで

329 :
まじでおもしろい

330 :
ほんと名前で呼んであげてください
宇保さんかわいそす

331 :
>>268
ものっそ亀レスですが前半置いてます
良ければどぞ!
http://961031.blog137.fc2.com/?mode=m&cat=8&page=5&cr=1a29a2d1fd7c473299999725869df603

332 :
こっちの方が読みやすいかも
http://mypagek.syosetu.com/349083/?guid=on
以上宣伝した!

333 :
>>332
ありがとナス!

334 :
まさか大天使コモリエルの正体は…モギャー?

335 :
トナカイはいつでてくるんだろう

336 :
>>334
モギャーが昔ローカルな掲示板で使ってた半値が小森です
ので、別人ですね!
今はヒッキーバルボア名義でうろちょろしてます!
>>335
たぶん相棒同様動物園の檻ですね!

337 :
>>332
早く先が読みたい!
と思って、検索からそこにたどり着いたら
既読レス(文)しかなかった
で、あります!

338 :
うほほしゅ

339 :
>>330
すみません!
>>337
すみませんブログと小説投稿サイトは手直し終わった分から投稿してます!
一応プロットは最初からあって、荒くても話はほぼ完成しているのですが、手直ししてから投稿してますんで遅いですね!
童貞warsエピソードU(鋭意作成中)とびっぷらの幼馴染「あんたのことずっと好きだったのよ!」男「!?」もよろしくね!(宣伝)
保守ありがとう!
童貞の神々のご加護あれ、ザーメン

340 :
大はしゃぎの童貞達だが、彼らの上官達は最初の日から、二日酔いの頭を抱えて軍議に没頭していた。
彼らが取り決めた新たな決まり事は、大きく分けて二つある。
一つは、ランク制度である。
武勲に応じて、GからAまでのランクに振り当てられ、士気向上や次の戦の配置の取り決め、更には、隊長の抜擢にも役立った。
この制度は、童貞はより童貞な童貞に従うという童貞心を利用したものであり、高ランクと判断された童貞が隊長に抜擢されれば、異論を上げる者も出ないのだった。
多くの代表者はB級童貞に位置付けられ、新兵だが活躍した岡田やゴリラもここに入った。
A級童貞はたったの四人。
「童貞じゃないし」
芳野が口を尖らした。
彼女の他には、益垣と池上、そして神出鬼没のスパッツマスクがノミネートされた。

341 :
CとDは先の戦を最前線で戦った、強めの童貞。
E、F、Gは普通の童貞で、Gには戦えない者も含まれる。
貞や操もここに入り、衛生貞を希望した。
また、Gには、影の立役者も紛れていた。
「良かったですね。A級童貞ですって」
と、小森が暗い声で言った。
「スパッツマスクはな。
俺はGだぜ!何もしてなかったから当然だけど。
お前はなんでGなんだぜ!?」
「いえ……その……結局なんもしてないんで……」
「でもスパッツマスクを呼んだのはお前ってことになってるぜ。
実際、まぁそうだしな。
再判定してもらったらどうだ?」
「いいんです……俺なんて……どうせ俺なんて……」
後に芳野が議会の出席者全員を脅し、彼をGに判定させたことが明らかとなった。

342 :
わろた

343 :


344 :
人いない(´・ω・`)

345 :
やっだあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!!
俺のスレあがってるぅうううううゔうゔゔ!!!

346 :


347 :
保守

348 :
ほし

349 :


350 :
1よ、落ちてまうぞ

351 :2013/09/26
星野仙一
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