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2013年17ニュー速VIP+211: 勇者「拒否権の無い選択などあるものか!」【2】 (316)
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勇者「拒否権の無い選択などあるものか!」【2】
- 1 :2013/09/14 〜 最終レス :2013/09/27
- 勇者「拒否権の無い選択などあるものか!」
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1376663328/
の続きです
落ちちゃったみたいなので立て直し
- 2 :
- 待ってたーーー!!
- 3 :
- >>1
BBA乙
- 4 :
- 国王「……お話しするとは言った物の、私もあまり詳しい事は知らないのですよ」
国王「お母様もお父様も……女剣士様も、あまり、お話はして下さらなかった」
国王「こうして……この本を読むと、納得は出来る……のですけど、ね」
僧侶「いえ……」
僧侶「あの……お父様の事は、何か……ありませんでしたか?」
国王「ああ……エルフの姫は、少年と出会った頃には既に」
国王「身籠もっていたようだ、とありましたね」
戦士「僧侶が回復魔法を使えると言う事は……」
国王「ええ。人であることに間違いは無いでしょうけれど」
国王「相手の事までは……」
僧侶「そうですか……」
国王「……エルフの妊娠期間は、とても長いとありました」
国王「勿論、少年の力の干渉等もあったのでしょうけど……」
僧侶「…… ……」
戦士「叔父上」
国王「はい?」
戦士「……この事は、金の髪の勇者様は……ご存じなかった、のですか?」
- 5 :
- 国王「……と、思いますよ」
国王「様子を見るに……ですが、しかし」
国王「…… ……」
戦士「叔父上?」
国王「先ほど、この事実を知っていた者は意外と多い、と」
国王「言いましたね」
戦士「え、ええ」
僧侶「盗賊様、鍛冶師様、女剣士様……」
僧侶「港街の神父様、娼婦様……あ、少女、さん」
戦士「それから……エルフの姫、か」
国王「…… ……」
僧侶「国王様?」
国王「……先ほどは言いそびれました」
国王「何時告げようかと迷っている内に……否、言い訳ですね」
戦士「叔父上?」
国王「一人は、船長と言う男の方です」
国王「まだ魔導の街の解放前に……力を貸してくれた、海賊船の船長」
僧侶「海賊……!?」
国王「海があれば船が居る。今も……どこかには……否」
国王「生きていれば、ですけど」
- 6 :
- 戦士「お祖母様と同世代であるなら……」
国王「……そうですね。こちらもそれ程記述が無いので」
国王「海賊そのものは今も、存在していると思います」
国王「所属不明の船も、目撃されて居ますしね」
国王「……少年の話が受け継がれているか、それは定かではありませんけど」
僧侶「その方が、どうか……?」
国王「いえ…… ……もう一人、が問題なのです」
戦士「まだ居るのか……」
国王「……私も、兄さんも知っているのですよ」
僧侶「それは……会ったことがある、と言う意味、ですか?」
国王「頻繁にはお会いしていません。ですけど……」
国王「……きっと、兄さんが勇者と魔法使いさんにお話していると思います」
国王「詳しくは後で、彼らに聞いて下さい」
戦士「…… ……誰なんです、それは」
国王「戦士」
戦士「?」
国王「女剣士様に思い人が居た事はご存じでしょうか」
戦士「……親父に聞いた事はあります。生涯独身であられたのは、その人の……」
戦士「所為、と言うか……」
国王「……ええ。私も詳しくは知らないのですけどね」
国王「側近様、と言う方がいらっしゃいました」
僧侶「その方が……もう一人、少年さんの事を知っていらしたと言う……?」
国王「……ええ。お母様とお父様を頼り、金の髪の勇者様を連れて来られたのが」
国王「その、側近様です」
国王「彼は盲目であられましたが、鉱石の洞窟への作戦にも」
国王「金の髪の勇者様と、兄さん、女剣士様と共に」
国王「参加されています」
- 7 :
- 僧侶「危険では……!?」
国王「……彼も回復魔法の使い手でした。後方支援で参加されたのですよ」
僧侶「で、でも……」
国王「…… ……」
僧侶「……?」
戦士「叔父上」
国王「……先に、結論から言ってしまいましょう」ハァ
国王「彼の事を正確に……どう説明したら良いのか……」
僧侶「国王様?」
国王「側近様は……『魔王の側近』だったそうなのです」
僧侶「!?」
戦士「金の髪の勇者様は、少年の事は知らなかったのでは無いのですか!?」
国王「どんな事情があったのか、詳しい事を知る事はできません……もう」
国王「ですが、側近様は金の髪の勇者様を連れて、この国に来られた」
国王「そして、『魔王を倒す勇者』として、育てていらした」
僧侶「…… ……ちょ、ちょっと……待って…… ……」
戦士「……僧侶?」
国王「そして、金の髪の勇者様が旅立たれた後。忽然と姿を消してしまわれた」
戦士「!?」
国王「……勇者の母君と同じなのですよ」
僧侶「失礼を承知で、申し上げます……!」
戦士「僧侶……?」
国王「…… ……」
僧侶「側近様が、『魔王の側近』だったなら」
僧侶「……そ、側近様は、人では無いのでは!?」
戦士「!」
国王「…… ……」
僧侶「なのに……なのに、回復魔法が使えた、って……!?」
僧侶「……お、おかしい、です……何故……!?」
- 8 :
- 戦士「! ……そうか、魔であるのなら……!!」
国王「……先ほど、貴女の半身が人であろう所以」
国王「本当にエルフなのか、と……問うた所以は、そこなのですよ」
戦士「叔父上!」
国王「……落ち着いて、戦士。もう疑っては居ませんよ」
僧侶「でも……でも……ッ では、魔と人の子であれば」
僧侶「……回復魔法が、使える、と言う事……ですか? ……で、でも……!」
国王「貴女も、落ち着いて下さい僧侶さん」
国王「……側近様は、紛う事無く魔族でいらっしゃった」
国王「ただし、『元人間』の……です」
戦士「元……人間?」
国王「……人、と言うのは、唯一……」
国王「魔へと変じる事のできる、生き物なのだそうですよ」
僧侶「…… ……え?」
戦士「魔へと……変じる?」
国王「はい。側近様は、魔王の力で人から魔へと変じた元人間の魔族」
僧侶「そんな……そんな事が……可能、なのですか……!?」
国王「……その目で確かに見た物を、否定する事は難しいでしょう」
戦士「何故……魔族等に……」
国王「私も、にわかに信じられる話では無いと思いました」
国王「…… ……ですが」
戦士「『世界の裏側を少しだけ』……」
国王「……何より、お母様のお言葉です。疑おうとしても……難しいのですよ」
国王「実際に、見てこられ……残して下さった『世界の裏側』」
国王「紐解く必要がなければ決して開くなと……」
国王「……痛い程、その気持ちが……解りますよ」
- 9 :
- ちょっとお買い物にいってきます!
- 10 :
- いってら
- 11 :
- 少年よ、アナルを砕け!
- 12 :
- >>11
アナル砕けたら人工肛門なってまうやろうが(`・ω・´)
- 13 :
- 戦士「……女剣士様の思い人が、その……」
戦士「側近様……だと、言うのか?」
国王「……側近様と金の髪の勇者様が居なくなってから」
国王「女剣士様は、あの……勇者と母君がいらっしゃった小屋に、住んでいらした」
戦士「…… ……」
国王「……貴方の名付け親は、女剣士様です」
戦士「聞いて、ます」
国王「目先の疑問に捕らわれすぎて、真実を見失わないで下さい、戦士」
戦士「え……」
僧侶「真実……」
国王「私にも兄さんにも……勿論、貴方達にも」
国王「知らない事が、まだまだあるのでしょう」
国王「……知らなければいけない事も」
僧侶「…… ……」
戦士「やはり……俺達は、魔導国に行かなくてはいけないだろうな」
国王「…… ……」
- 14 :
- 僧侶「……はい」
国王「決して、無茶はしないと誓って下さい」
戦士「はい、叔父上」
国王「ですが……確かに、貴方達に頼らざるを得ない」
国王「……勇者に言われて、気がつきましたよ」
戦士「え?」
国王「『魔王を倒す事だけが、世界を救う事じゃ無い』と、ね」
僧侶「…… ……」
国王「兄さん達が戻れば、食事にしましょう」
国王「……ああ、そうだ。その前に……見せておきたい物があります」
国王「戦士は見た事がありますね?」
戦士「え……」
僧侶「?」
国王「お母様が作られた魔石、ですよ」
国王「……『世界』から、忘れられて行く、技術です」
……
………
…………
王子「……これだな」
魔法使い「名前、剣士…… ……え!?」
勇者「剣を通して、魔法を使う!?」
王子「属性までは書いていないな……日付は……随分古い」ペラ
魔法使い「ええと…… ……うん、やっぱり……」
魔法使い「……私が、お爺様達に試された少し後、だわ」
- 15 :
- 勇者「……俺は、選ばなかったけど……」
勇者「魔法使い達に此処で会った時、彼も……確かに居ました」
魔法使い「……廻りを見ている余裕が私には無かったけど……」
勇者「驚いたんだ。俺に……似すぎてて。でも……」
勇者「……どこか懐かしい感じがしたけど、俺は……」
王子「勇者様が選ばなかった、と言う事は」
王子「……運命に選ばれなかった、と言う事です」
王子「何かを企んでいたのか……しかし……」
魔法使い「……でも、もし本当に……剣士が少年だとするなら」
魔法使い「こんな……堂々と…… ……」
王子「しかし……居たんだろう?」
魔法使い「え?」
王子「……『魔導将軍』だ」
勇者「はい……見た目は、人間そのものでした」
勇者「……僧侶も、気がつかなかったみたいだし」
魔法使い「自分と同じに考えちゃ駄目かもしれないけど」
魔法使い「……余裕が無かった、んだと思うわよ」
魔法使い「それに、剣士が魔族なら……魔導将軍も言ってたけど」
魔法使い「魔力を封印してた、とか……」
王子「……魔法使い、そうじゃない」
魔法使い「え?」
王子「……魔王に繋がるだろう者、が……二人同時に居たんだ」
勇者「!」
王子「結託しているとみても不思議じゃ無いだろう」
魔法使い「あ……!」
- 16 :
- 勇者「……で、でも、剣士の登録は……俺達が随分幼い頃ですよ?」
王子「……見た目は変わっていた、のか?」
魔法使い「! ……幼い頃の記憶は確かじゃ……無いですけど」
魔法使い「……でも、あの頃は『お兄さん』だと思ってた」
勇者「確かに……今は、俺と同じぐらいか……少し上、にしか……」
王子「……それに、俺は闘技大会で『紫の瞳の男』を見ている」
王子「あれは……俺が女剣士様と戦った時だ。忘れもしない」
王子「……金の髪の勇者だと思った。そっくりだったからな」
勇者「その時の、見た目は……」
王子「今の貴方と変わりませんよ、勇者様」
王子「……それに、これだ」パサ
魔法使い「依頼書……?」ペラ
王子「剣士は……ここから依頼を受けて」
王子「鍛冶師の村の傭兵の仕事に出向いている」
勇者「!」
王子「……その、インキュバスの魔石を魔導国へ持ち帰った時期が解らない以上」
王子「決めつける訳にはいかないが……」
魔法使い「剣士が、持ち帰った可能性もある……!」
王子「僧侶の言い分を信じると……随分と力の強い魔族だった様だし」
勇者「…… ……」
王子「……すみません。疑いたい訳では無いのですけど」
魔法使い「いえ……さっきの話、ですよね」
勇者「側近……か。『魔王の側近』だった、盲目の男……」
勇者「……父さんを育てた人で、女剣士様の思い人」
王子「…… ……」
魔法使い「…… ……」
- 17 :
- 勇者「そして……元人間」
王子「……剣士が、魔王であるとするなら」
王子「様々な属性の魔法が使えるとするなら」
王子「……この記述は、誤魔化し、か……」
魔法使い「……本当に、剣士は……魔王なのかしら」
勇者「それを確かめに行くんだ、魔法使い」
王子「……お母様の残された本を読んでも、解らない事が多すぎる」
王子「それに……魔導将軍が勇者様に残した言葉も」
魔法使い「二人が結託して、此処に居たとするのなら…… ……」
魔法使い「……あれ?」
勇者「どうした?」
魔法使い「剣士が……魔王だとするのなら」
魔法使い「……最果てにある、って言う……魔王の城には……」
魔法使い「魔王は、居ない……の……!?」
王子「その可能性は否定は出来ん。だからこそ」
王子「……魔導国に向かわざるを得ない、んだろう?」
勇者「……はい」
魔法使い「でも……矛盾だらけ、よね」
魔法使い「行動が無茶苦茶すぎて、どこかで行き詰まっちゃうわ」
勇者「本当に迷路に迷い込んだみたいだよな」フゥ
王子「……勇者様の母君も、同じ事仰っていた」
勇者「『世界の裏側を少しだけ知っている』ですか……」
王子「偶然で片付けるには、余りにも……」
魔法使い「……お母様は何処に……」
王子「…… ……」
魔法使い「あ! ……ご免なさい……ッ」
勇者「気にしないで下さい。 ……大丈夫です」
王子「……すみません」
勇者「確かに……心配です。でも……」
勇者「……側近、て人も……忽然と姿を消した、んですよね」
王子「見た訳では無いので……解らないです、けれど」
王子「『居なくなった』と言う点は、同じですね」
- 18 :
- 勇者(母さん……何処に?)
魔法使い「勇者……」
勇者「……あ、御免」
王子「側近は……俺もよく知ってるんです」
王子「女剣士様が、独身を貫かれたのも……彼が、居たから」
王子「……女剣士様があの小屋で、少しの間住んでいらっしゃったのは」
王子「ご存じでした……か?」
勇者「え……いいえ……」
王子「……少し、血生臭い話になりますけど」
王子「あの場所にいらした時に……魔導国の手の者だと思われる輩に」
王子「襲われて……」
魔法使い「!」
勇者「……」ギュ
魔法使い「勇者……手……」
勇者「……握ってて良いよ。辛いだろ」ギュ
勇者「でも……御免。聞かない選択肢は、無い」
魔法使い「…… ……うん」ギュ
王子「……まだ、今の小屋までの道を作っている途中でした」
王子「昔は違う道があったのですが、そういう危険を回避する為の工事中」
王子「……そんな時に、タイミング良く、ね」
勇者「…… ……」
王子「そこへ……魔物が現れた様なのです」
魔法使い「え!?」
王子「結果として、女剣士様は左腕を失われたが、命は……助かりました」
王子「……同時期に貴方が、母君に連れられてやってきた、のです」
勇者「…… ……でも、俺が覚えて居るあの小屋は」
勇者「とても、綺麗でしたよ?」
魔法使い「そりゃ、掃除、ぐらいは……」
勇者「いや、そうじゃ無くて……なんて言うか」
勇者「凄く、暖かかったよ……なんだろうな」
勇者「…… ……幸せ、だった」
魔法使い「勇者……」
- 19 :
- 王子「…… ……母の愛、でしょうか」
勇者「そうかもしれません」
勇者「……後で、僧侶と戦士も一緒に、連れて行って下さい」
勇者「僧侶なら……何か解るかもしれない」
魔法使い「……そうね」
王子「…… ……仲間だから、ですか?」
勇者「え?」
王子「すみません。本当に……俺だって、疑いたくは無いんです、でも……!」
魔法使い「…… ……」
王子「エルフの姫、と言う人の特徴とも一致するし」
王子「……確かに、エルフの弓……お母様が差し上げただろう物と」
王子「同じなのだろうと、信じようとは……する、のです……けど」
勇者「……仲間だから、確かに信じています。でも」
勇者「騎士団長様は……側近さんの事も、信じられません……か?」
王子「…… ……信じたい、ですけど、ね」
勇者「俺は……信じます。盲目の身で、父さんを育てて下さった」
王子「…… ……」
勇者「……すみません。中々、そう……簡単には……いかないですよね」
王子「いえ……俺こそ、すみません」
王子「そんな事言い出せば……お母様も、お父様も」
王子「誰も……信じられなく、なってしまう……」
魔法使い「……『大いなる勘違い』」
勇者「魔法使い?」
魔法使い「この……『世界の裏側』を紐解けば」
魔法使い「真実にたどり着くなら……そうするしか無いわよ、勇者」
勇者「……うん」
王子「戻りましょうか。食事を済ませて、取りあえず今できる事の対策を練りましょう」
……
………
…………
- 20 :
- 剣士「『支配する為の世界』……だと?」
母親「そうよ。この石があれば、人間を従わせる事なんて簡単よ」
剣士「…… ……」
母親「鍛冶師の村で実践済みでしょ?」
剣士「そうして……脅して回るつもりか」
母親「まさか!そんな面倒な事しないわよ」
剣士「…… ……」
母親「……もうすぐ、勇者達が此処に来るはずよ」
剣士「? そんな保証は……」
母親「あると言った、でしょう?」
剣士「……魔石の話と、何の関係がある?」
母親「何の為にあの洞窟を手に入れたと思うの」
剣士「何……?」
母親「何の為に鍛冶師の村の奴らを従わせたと思っているの?」
母親「あの鉱石は、鍛冶師が金の髪の勇者の光の剣を修理するのに使ったのよ」
剣士「…… ……」
母親「光の剣が無いと、魔王は倒せない……のかどうか、知らないけれど」
母親「材料と職人はこの国の手の内にある」
剣士「それだけで……勇者が動くとでも思う、のか?」
母親「動かすのよ」
母親「この、魔寄せの石。街の中にばらまいたらどうなると思う?」
剣士「!」
母親「……貴方は魔法使いと子供を作る」
母親「勇者は、完璧な光の剣を手に入れる」
母親「……そして、勇者に着いていけば良い。魔王を倒せば良い」
剣士「そんなに……上手く行くと思うな」
- 21 :
- おひるごはーん
- 22 :
- んじゃ、おれもー
- 23 :
- そうだな、腹減った
- 24 :
- 母親「……どうかしら、ね」フフ
剣士「…… ……」
母親「上手く行かないと思えば……行かない物よ」
母親「さっきも言ったでしょう。そうさせれば良い、のよ」
母親「……簡単な話」
コンコン
剣士「…… ……?」
母親「届いたのね」スタスタ
剣士「! ……此処に直接?」
母親「全部じゃ無いわよ……」カチャ
母親「……そこに居て頂戴」
パタン
剣士「…… ……」
剣士(簡単に言う……いくら俺が恩があると言え)
剣士(……従う理由など、無い。何より……)
剣士(俺は、勇者に『選ばれなかった』)
剣士(……だが)
剣士(『魔王を倒す』んだ……『倒さなければならない』んだ)
剣士(……その思いは……消えん)
剣士「…… ……」
剣士(何を……企んでいる……?)
剣士(……何を、隠している)
- 25 :
- スタスタ
剣士(…… ……炎、か)ヒョイ
剣士(確かに……禍々しい、と言えばそうだが)コロコロ
剣士(…… ……)コン
剣士(魔族の物……だと言ったな)
剣士(この石を量産する? ……馬鹿な!)
剣士(…… 世界を作り替える、等と言っていた、が)
剣士(何を支配する気なんだ。何を……)
カチャ
母親「……やっぱり、それに触っても平気なのね」
剣士「どう言う意味だ」
母親「さっき話したでしょ。これは……弱い魔物を寄せ付ける」
母親「惹かれて、離れられなくなるのよ」
剣士「……それが、何だ」
母親「貴方、魔族でしょ?」
剣士「俺、は…… ……」
母親「肯定できないのは解ってるわ。だけど、否定も出来ないでしょう」
母親「見た目も変わらない。あり得ない紫の瞳」
剣士「…… ……」
母親「記憶は無くしているかもしれないけれど」
母親「……貴方は、少年よ」
剣士「違う……ッ」
母親「それも、否定も肯定も出来ない筈よ」
母親「それに触れても、動じない位の力を持つ魔族」
剣士「……黙れ!」
母親「お父様は思い出して貰っては困る、なんて言ってたけど」
剣士「…… ……」
母親「思い出して貰わないと、困るのよ」
剣士「……何故だ。お前達は……何を企んでいる!」
- 26 :
- 母親「さっきも言ったじゃ無いの。世界を……」
剣士「支配する者がいれば、支配される者も同時に存在するんだ」
剣士「……お前の言っている事は……」
母親「『私達が支配する世界』にするのよ!」
剣士「……何?」
母親「どうして、金の髪の勇者が魔王を倒したのに」
母親「『世界』から魔が失われなかったと思う?」
剣士「……?」
母親「どうして、魔王が居ない世界に、また勇者が生まれたと思う?」
剣士「……復活した、からだろう」
母親「信じてるの?」
剣士「……何?」
母親「答えは簡単じゃないの」
剣士「……知っている、と言うのか」
母親「教えて欲しい?」ニッ
剣士「…… ……」
母親「肯定は出来ないわよね……まあ、良いわ」
母親「答えは……もうすぐ、金の瞳の少年が持って来る」
剣士「!」
母親「必ず来る、と言ったでしょう」
剣士「……し、しかし」
母親「さっき知らせが届いたわ」
母親「勇者達が今朝、この国に向けて出発した、とね」
剣士「!」
母親「さあ、行くわよ?」
剣士「……何処に」
母親「決まってるでしょう……勇者様をお出迎えに、よ」
剣士「…… ……」
……
………
…………
- 27 :
- 勇者「……どう思う」
僧侶「どう考えても……繋がりません」
魔法使い「そうね、話を聞く限り……剣士が……少年が鍵を握ってる……けど」
戦士「……叔父上が見せて下さった魔石も、少年がお祖母様に作り方を」
戦士「教えたのだと……言っていた」
魔法使い「全てが少年に帰結するわ。でも……道筋は矛盾だらけ」
僧侶「……この目で確かめるのが最善には違い無いと思います」
僧侶「でも……」
戦士「とにかく、親父が戻ったら勇者の家へ行こう」
戦士「それから……」
魔法使い「……魔導国、ね」
勇者「ああ」
勇者「……どうにか、戦争にならない様にしないと」
魔法使い「でも……あの人達は、人の言う事なんて聞かないわ」
戦士「…… ……」
カチャ
王子「お待たせしました……準備は宜しいですか?」
勇者「あ……はい!」
王子「……では、行きましょう。ご案内致します」
王子「俺は……入口で待ってますから」
スタスタ
戦士「……親父」
王子「ん? ……なんだ」
戦士「昔、連れて行ってくれようとしていた勇者の家、て言うのが……」
王子「……ああ。今向かっている所、だ」
戦士「…… ……女剣士様が、襲われた場所」
王子「…… ……」
戦士「女剣士様は……お幸せで居られたのだろうか」
- 28 :
- 王子「……お前の名を授けてくれたのも、女剣士様だ」
戦士「ああ」
王子「孫の様だと……可愛がって下さって居たよ」
戦士「…… ……」
王子「抱いてやる事が出来ないのが残念だと……言っていたが、な」
戦士(女剣士様の思い人は……魔王の、側近)
戦士(その事実を……勿論、知っていらっしゃった、のだろう)
戦士(……信じて、いらっしゃった、のだろう)
戦士(だが……魔王は……少年。そして、剣士……!?)
僧侶「あ、あの。戦士さん?」
戦士「……あ、ああ……どうした」
僧侶「……信じて下さって、ありがとうございました」
戦士「え?」
僧侶「知らなかったとは言え、側近様の、その……」
僧侶「……そんな、例があると……あの……」
戦士「お前は、仲間だ、僧侶」
戦士「……それに、例を言うのは俺の方だ」
僧侶「え?」
戦士「さっき、叔父上が見せてくれたお祖母様の魔石……」
僧侶「…… ……」
戦士「『とても力強く、俺に似た感じがする』と……」
僧侶「……はい。騎士団長様を見ていても思います」
僧侶「解ります……戦士さんが、とても……その」
僧侶「……良く、似ていらっしゃいます」
戦士「ありがとう……嬉しかった」
僧侶(母を知っていた、盗賊様……)
僧侶(……全てを知って、伝える事は……悩まれたのだろう)
僧侶(だけど……残して下さってありがとうございます)
僧侶(魔王……貴方は、さらに……まだ、知っているのでしょうか?)
- 29 :
- 魔法使い「ねえ、僧侶」
僧侶「は、はい!?」
魔法使い「ぼーっとしてると転ぶわよ……いや、あのね」
僧侶「だ、大丈夫ですよ! ……はい?」
魔法使い「……魔導国に行くと、きっと厭な思いをすると思う」
僧侶「え?」
魔法使い「絶対に戦士の傍から離れちゃ駄目よ」
魔法使い「……勇者の事だから、長居はしないと思うけど……」
僧侶「…… ……」
魔法使い「絶対に一人にならないで。約束して」
僧侶「魔法使いさん……」
魔法使い「……お願いよ。大事な……仲間なんだから」
僧侶「……はい。ありがとうございます」
魔法使い(……覚悟を決めるのよ、魔法使い)
魔法使い(私には仲間が居る。勇者が居る……だから)
魔法使い(私は……一人じゃない!)
魔法使い(剣士……折角庇ってくれた、けど……貴方が、もし魔王なら……!)
勇者「魔法使い」
魔法使い「え? ……あ、何?」
勇者「……大丈夫か?」
魔法使い「……平気、って言いたい、けどね」
勇者「…… ……」
魔法使い「ねえ、勇者のお母さんって、どんな人だったの?」
勇者「え? ……なんだよ、こんな時に」
魔法使い「こんな時だから聞きたいのよ。私達だけで……これ以上」
魔法使い「考えられる事も……考えつく事も……」
勇者「……そうだな」
- 30 :
- 勇者「母さんは……優しい人だ。だけど、何時も寂しそうだったな」
勇者「柔らかく笑って……暖かく包んでくれるような人だった」
勇者「でも、その笑顔が……寂しそうに見える時があった……な」
魔法使い「…… ……」
勇者(母さん……何処に行ってしまったんだ?)
勇者(無事で居るなら、良い。良いんだけど……)
勇者(側近って人も、父さんを送り出して……居なくなった)
勇者(……母さんは、何を知ってたんだ?)
王子「……『世界の裏側を少しだけ』」
勇者「え?」
王子「これだけ様々な情報がありながら、どれも……不鮮明で」
王子「魔法使いも言っていましたが、矛盾だらけです」
王子「……見失わないで下さい」
勇者「…… ……はい」
王子「あれです……俺は、この辺で待ってますから」
勇者「…… ……変わって、ない、な」
スタスタ、カチャ
戦士「……埃は積もっているが……綺麗、だな」
魔法使い「確かに……荒らされたりはしてないみたいね」
僧侶「……不穏な気配は感じられません」
僧侶「寧ろ……優しく包まれるような……大きくて、暖かい……気配がします」
魔法使い「良い家で育ったのね、勇者」
僧侶「……母の愛、ですかね」
勇者「……ありがとう」
戦士「しかし……ならばやはり、自分の意思でどこかへ……?」
- 31 :
- 勇者「……母さん…… ……ッ」ズキンッ
戦士「勇者?」
勇者「……ッ」
魔法使い「……勇者!?」タタタ……ッ
勇者「何だ、胸が…… ……ッ」チカッ
僧侶「!? 胸の辺りが……光って…… ……!?」
チカッ ……チカ……ッ
『……う、しゃ……ゆう……しゃ ……』
魔法使い「何か、聞こえる……」
勇者「ペンダントから!? ……この声は、母さん!?」
『ゆ……うしゃ、聞こえる?』
勇者「母さん、母さんだね!?今、どこに……ッ」
『ああ、良かった。通じた……』
『時間が、無いの……だから、良く、 ……き ……て』
魔法使い「ど……どうなってるの!?」
勇者「母さん! 母さん!?」
『……最果て…… ……魔王、 し、ろ…… ……』
スゥ……
僧侶「光が……消えた」
戦士「……どう、言う事だ……!?」
戦士「……最果て……魔王の城……?」
僧侶「……今は、もう何も感じません……」
勇者「母さん……ッ どう言う事だ!?攫われたのか!?」
魔法使い「勇者様、落ち着いて! ……今は?」
僧侶「……お母様の気配だけ、感じます」
僧侶(おかしい……この家には、お母様の守りの力……)
僧侶(暖かい、愛情しか感じないのに……?)
戦士「……最果て、と言ってた……な」
- 32 :
- 勇者「…… ……ッ」グッ
魔法使い「勇者……?」
バタンッ
王子「勇者様!? ……戦士!」
戦士「親父!?」
王子「……今、小屋から光が……大丈夫か!?」
僧侶「あ……だ、大丈夫です。あの……」
魔法使い「光…… ……」
勇者「騎士団長様」
王子「は、はい?」
勇者「……すぐに、魔導国に向かう準備を整えて下さい」
王子「……何が、あったのです」
勇者「このペンダントから……母さんの声が聞こえたんだ」
王子「え!?」
勇者「……今どこに、って聞いたら…… ……ッ」
王子「ど、何処に居られるのです!?」
魔法使い「……最果てに。魔王の……城、に」
王子「!?」
僧侶「……でも、他の気配はしないんです!此処には……!」
僧侶「暖かい、大きな気、しか……多分、これはお母様の……」
僧侶「それと、同じ気配しかしないのに、何故……!」
戦士「お前も落ち着け、僧侶……!」
僧侶(何だろう……私、これ……ッ 知って、る!?)
僧侶(……悲しくて、苦しくて……寂しくて、嬉しい)
僧侶(どうして……こんな時に……!!)
王子「……だ、だが……それなら、尚更魔導国に行くのは……」
勇者「……あの国には、剣士が……少年かもしれない男が、いるんでしょう」
王子「…… ……」
勇者「魔王……ッ 許さない……ッ」
魔法使い「勇者……ッ」ギュッ
- 33 :
- 王子「……わかりました。急いで、準備させます」
勇者「…… ……すみません」
王子「ですが、早くて明日の朝になると思います」
王子「今日は城で……ゆっくり休んで下さい。良いですね?」
戦士「勇者」
勇者「……はい」
……
………
…………
后「……あら?」
コンコン
使用人「失礼します……后様?」
后「ああ、ありがとう……使用人。相変わらず良い香り」
使用人「……側近様と魔導将軍が頑張って居られるのに」
使用人「暢気にお茶を飲むと言うのも……気が引ける、んですけどね」
后「仕方無いよ、やる事ないもの」
使用人「……どうされたのです?天井……見つめて」
后「んー……私も、さ。お茶貰ったら、魔王の所に行くつもりだったの」
使用人「…… ……今は落ち着いていらっしゃるのでは?」
后「うん……でも、そろそろかなって」
后「此処にいても、肌がピリピリするしね」
使用人「……そう、ですね」
后「……で、勇者に連絡取ってみたの」
使用人「…… ……は?」
后「勇者ーって、話しかけてみたんだけど……切れちゃった」
使用人「…… ……」
后「口、開いてるよ?」
使用人「いや、あ、あの!そんな……あっさり……!」
后「あのペンダント、目印になるでしょ?」
使用人「……目印って。どうやったって見えませんけど」
- 34 :
- 后「丁度、始まりの国の、あの小屋に居るみたいだしね」
使用人「……それも普通は解りませんけど」フゥ
后「もう……」
使用人「膨れないで下さい……で、切れた、とは?」
后「急に……魔力が届かなくなっちゃった」
后「……時間、なさそうだしさ。もう、強引に四人とも」
后「呼び寄せちゃおうかなって思ったんだけど」
使用人「……はい?」
后「『まだ駄目』って事なのかなぁ……あ、いただきます」
使用人「…… ……本当に、規格外になってきましたね、后様」
后「『揃って』ないのかなぁ……」
使用人「……聞いてます?」
后「聞いてるよ」
使用人「……なら。いえ……良いです」ハァ
使用人「『揃って無い』……んですか?」
后「解らないけど……でも」
后「……揃って無かった、私達でも……倒せた、もんね」
使用人「…… ……」
后「倒すだけなら、倒せるんだろうな、勇者だもん」
使用人「……また、繰り返します」
后「うん……」
使用人「…… ……」
后「後で……もう一回、やってみる」
使用人「……ん?」
后「え?」
使用人「……北の街に向かってる、って魔導将軍様に」
使用人「仰ってませんでしたか」
后「うん。だから、随分遅いなぁと思ったら」
后「始まりの街に戻ってたんだね」
使用人「な、何故……!?」
- 35 :
- 后「そこまでは私にもわかんないわよ」
使用人「……そりゃ、そうですけど」
后「……必要なんでしょ、何かが」
使用人「『腐った世界の腐った不条理を断ち切る為』に、ですか」
后「…… ……多分、ね」
……
………
…………
剣士「……あれか」
母親「よく見えるわね」
剣士「…… ……」
剣士(船長の船に乗って居る時に……鍛えられた、な)
母親「……とうとう、よ」
剣士「……従う気等無いと言ったらどうする」
母親「…… ……」クッ
剣士「何がおかしい?」
母親「答えは勇者が持って来る、と言った筈よ」
剣士「……随分な自信だ」
勇者「! ……あれか……!」
王子「勇者様、あまり身を乗り出されては……!」
戦士「……着いてきて良かったのか、親父」
王子「……『国王の命令』さ」
魔法使い「国王様は……大丈夫なのですか」
僧侶「そうですよ……狙われている、と……」
王子「足が無いと戻れないでしょう?」
勇者「そうですが……」
王子「大丈夫です。騎士は無能ではありません」
- 36 :
- 勇者「…… ……」
王子「信じて下さい、勇者様」
王子「俺達も、『仲間』です」
勇者「……はい」
魔法使い「! ……お母様……と、あれは……!!」
戦士「剣士……!!」
僧侶(…… ……)ドキン、ドキン
僧侶(この……胸騒ぎは……何……!?)
僧侶(…… ……今なら、ハッキリ解る……あの人は……!!)
戦士「……僧侶?」
僧侶「あの人……やっぱり、人間じゃありません」
魔法使い「……魔族、なのね」
僧侶「はい…… ……以前会った時は、魔導将軍と同じように」
僧侶「……力を、封印されていたのかもしれません、ね」
王子「……着岸します。気をつけて下さい」
ザザァ…… ……
スタスタ、トン……トン
母親「ようこそいらっしゃいました、勇者様……あら」
母親「騎士団長様まで?」
王子「……王は?」
母親「……代理を仰せつかっています」
王子「…… ……」
剣士(これが、騎士団長……か)
剣士(……勇者。随分逞しくなった)
剣士(こうして間近で……改めてみると)
剣士(本当に……そっくりだ)
- 37 :
- 勇者(……剣士。俺にそっくりな男)
勇者(父さんにそっくりな男。そして……魔族の、男)
剣士「…… ……」
勇者「…… ……」
王子「では、勇者様方が戻る迄、私は船で待たせていただきます」
母親「あら、その必要はありませんよ。勇者様達はきちんと……」
王子「『王命』ですから。待たせて頂きます」
母親「……まだ、王を名乗られるおつもりですか」
王子「当然ですよ。理不尽な要求に従う義務はありません」
王子「では勇者様。失礼致します」
スタスタ
母親「…… ……」
勇者「用件が済み次第、俺達は魔王の城に向かいます」
勇者「ですから、手短にお願い致します」
母親「…… ……ひとまず、我が家へどうぞ」
剣士(随分とあっさりだな……警戒しておくに越した事はない)
魔法使い「お母様……」
母親「久しぶりね、魔法使い……立派になったわね」
母親「闘技大会から戻らなかった時は心配したけど……」
母親「見事に勇者様のお仲間になれたのね。流石私と父親の娘ね」ニコ
魔法使い「…… ……お爺様は?」
母親「立ち話も、ね。とにかく、案内するわ」
剣士「……勇者」
勇者「な……なんですか」
母親「貴方も行くわよ、剣士」
剣士「…… ……」スタスタ
勇者「…… ……?」
……
………
…………
- 38 :
- 父親「魔法使い! ……立派になったな」
魔法使い「……お父様!お爺様は……!」
父親「……まあ、待ちなさい」
父親「貴方が勇者様ですな……確かに、金の瞳をしておられる」
勇者「……初めまして」
母親「魔法使い……本当に良くやったわ」
魔法使い「……こっちは僧侶。それから、戦士よ」
父親「うん……そうか。それで、勇者様」
僧侶(こっちを見ようともしない……)
戦士(……話には聞いていたが、露骨にも程があるな)
勇者「それで……執拗に俺達をこの国へ来させる様に」
勇者「仕向けた理由を聞かせて頂けますか?」
母親「随分な言い様ね」
戦士「……そう言われても仕方無いだろう」
僧侶「どうして、鉱石の洞窟で……始まりの国の騎士団と抗戦までされたのです?」
僧侶「何故そこまでして、あの洞窟を手に入れたかったんですか」
父親「……どうですかな、お二人。あちらの部屋で……」
勇者「父親さん。この二人も俺の仲間です」
勇者「まずはその……邪魔者扱いの様な態度を改めて頂きましょう」
母親「……私達は魔法使いの親よ?」
魔法使い「……それが何だと言うの、お母様」
母親「……魔法使い」
魔法使い「……ッ ゆ、勇者も言ったでしょう!?」
魔法使い「私達は……ッ」
勇者「魔法使い」スッ
魔法使い「勇者……?」
勇者「確かに貴方達は魔法使いのご両親に間違いありません」
勇者「だけど……それが何なのです?」
父親「…… ……」
勇者「母親さんが言った『それが何だと言うのか』と言うお言葉を返したら」
勇者「何と答えられるのですか」
- 39 :
- 勇者「母親さんが言った『それが何だと言うのか』と言うお言葉を返したら」
↓
勇者「母親さんが言った様に『私達は勇者一行だぞ』と言うお言葉を返したら」
訂正orz
- 40 :
- ゆっくりでいいんだぞ
- 41 :
- 楽しみにしてたシーンだ
ゆっくりでいいよー
- 42 :
- 母親「……わ、私達は王の血筋なのよ!?」
戦士「そんな事を言えば、俺だってそうだ」
母親「……ッ そ……ッ」
勇者「……『劣等種』の癖に、と言いたいのですか」
父親「……始まりの国の国王に、聞いたのですか」
魔法使い「お父様。何を考えていらっしゃるのかわからないけど、もうやめて!」
魔法使い「魔王を倒す為に、勇者が頑張っているのに」
魔法使い「『世界』は平和を望んでいるのに!」
魔法使い「どうして、戦争を起こそうとなんかするの!」
母親「黙りなさい!魔法使い!」
剣士「……だからうまく行く筈など無いと言っただろう」
僧侶「剣士……さん?」
剣士「……『答えは勇者が持って来る』と言っていたな、母親」
勇者「……俺?」
父親「ま、まあまあ……質問にはちゃんと答えよう」
父親「……何も、私達が争うために、勇者様達を呼んだ訳ではないのですよ」
勇者「俺が答えを……って、何です?」
父親「ある程度の情報は知っていらっしゃるとの前提でお話しましょう」
母親「父親……!」
父親「……お前は、あれほど言葉に気をつけろと言っただろう!」
父親「あれを持ってきなさい」
母親「…… ……」
父親「行くんだ、母親!」
母親「……ッ」クルッ スタスタ
戦士「解る様に話して欲しい物だな。俺達には時間が無いんだ」
剣士「…… ……」
父親「単刀直入に申しましょう……貴方達が魔王の城に向かう必要はありませんよ」
- 43 :
- >>40.41
すまんのぅ……ちょっと焦っちゃった
- 44 :
- 勇者「は?」
戦士「……どう言う意味だ」
父親「『少年』をご存じでしょう」
魔法使い「……港街の、勇者様」
父親「そうだ……少年は魔族だった。この街に取り入った魔導将軍を殺し」
父親「……当時の領主、お爺様を殺した人物だ」
僧侶「紫の瞳に、闇色の髪を持つ……男性」チラ
剣士「…… ……」
父親「まあ、それは良い……確かに劣等種、等と言う物を」
父親「容認してた私達にも悪い部分はある」
勇者「……その、少年がどうしました」
父親「薄々気付いていらっしゃるでしょう。魔法使いからも聞いている筈だ」チラ
剣士「…… ……」
勇者「歳を取らない、から……魔族だと言いたいのですか」
父親「立派な証拠でしょう。それに……もう一つ」
父親「……紫の瞳、ですよ。こんな瞳は、他に見た事が無い!」
父親「彼は否定しますがね。剣士は……少年に間違い無いのだと」
父親「……私達は信じていますよ」
勇者「しかし……剣士……さん、本人が否定しているんでしょう?」
カチャ
母親「彼にはね、記憶が無いのよ」
僧侶「え!?」
魔法使い「記憶が、無い……?」
戦士「……そんな都合の良い話があるか!」
剣士「その言い分も尤もだろうが……そこは、本当だ」
魔法使い「…… ……何時、から?」
剣士「最初にこの街に来た時には既に……否、もう少し前から、だな」
- 45 :
- 母親「……これに見覚えはあって?」ゴトン
戦士「石……魔石!?」
僧侶「…… 違います、魔力は感じません」
母親「……? 貴女……?」
魔法使い「まさか、これ……あの洞窟の……!?」
母親「……ええ、そうよ。魔法の鉱石」
母親「騎士団長の息子なら、これを何の為に使うかは解ってるわよね?」
戦士「……光の剣の修理、か」
父親「そうだ。既に鍛冶師の村の職人も押さえてある」
父親「……私達なら、この剣を修理する事ができます。鍛冶師様の居ない今」
父親「これが無いと……お困りでしょう、勇者様?」
勇者「待って下さい。父親さんは、さっき魔王の城に行く必要は無いと言いましたよね?」
勇者「だったら……修理の必要など……」
母親「……続きを、父親」
父親「ああ、失礼。脱線しましたな」
父親「お父様から聞いた話ですが、魔導将軍と言うのはそれはそれは強い男でしてな」
父親「だが、少年は……様々な属性の魔法を用いて、その魔導将軍を」
父親「あっさりと倒してしまった」
父親「……何故そんな事ができたと思います?」
勇者「それほど……少年が強かった、と言いたいのですか」
勇者(……そりゃ、少年は魔王だったから……な)
勇者(しかし……それを、この人達が知っている筈が無い……!)
父親「まあ、そうですな。少年はとても強かった」
父親「それに、加護に捕らわれず魔法を使える等、聞いた事もありません」
戦士「……何が、言いたい?」
母親「……」フフッ
僧侶「な……何がおかしい、のですか」
魔法使い「お母様……?」
父親「……ご存じ無いのですかな?その様子では」
勇者「何が言いたいのですか!」
父親「……髪や肌の色を変える事はできても、瞳の色を変える事はできないのですよ」
- 46 :
- 勇者「そ……それが何だと言うのです!?」
母親「闘技大会に実際に出たのはね、『姫』と言う娘なのよ」
僧侶「!」
戦士「……何?」
母親「予選までは確かに、その娘は『蒼の瞳』をし、水を操っていたのよ」
母親「だけどね……魔導将軍と対峙した時には、紫の瞳に変わってた」
魔法使い「い、今……瞳の色は変えられないって言ったじゃ無いの!」
母親「そうよ。だから……変わったのは『外見』の方ね」
勇者「! ……姫、の姿に化けた、と言う……のか……」
父親「きちんと証人が居ますよ。紫の瞳の姫は、風の魔法で魔導将軍の手足を切り落とし」
父親「……その後、お爺様の首を切り落としている」
父親「お父様がまだ若かった頃の話だ……そして、紫の瞳の姫は」
父親「この街の全権を手に入れ、港街に支援する事と劣等種の解放を条件に」
父親「権利を、お父様へと返しているんだ」
母親「……実際に話をしたのは少年の方だったらしいけどね」
僧侶「え……」
母親「言ったそうよ? 『少年の言葉は私の言葉。私達は夫婦だから』とね」
僧侶「……夫婦!?」
父親「そう……様々な加護の魔法を操り、己の姿まで変えてしまう……」
父親「しかも、その時に観客席にはちゃんと、少年の姿をした何者か……」
父親「恐らく、少年の魔法により姿を変えられた姫だったのでしょうね」
父親「……それが、居たと言う」
母親「貴方のお祖母様ね。盗賊って人と、一緒に……ね」
戦士「!」
魔法使い「それは……お爺様が……仰っていた、の……」
母親「そうよ……剣士」
剣士「……なんだ」
母親「言ったでしょう?答えは金の瞳の少年が持って来る」
勇者「…… ……」
父親「私達は一つの結論にたどり着いた」
父親「そんな……人智を超えた存在は、一人しかあり得ない」
母親「……少年は、魔王。違うかしら?」
- 47 :
- 僧侶(姫……お母様!? お母様のお腹には……私が……否、でも!)
僧侶(……私には、間違い無く人間の血が……!)
勇者「……初耳ですね」
父親「嘘を吐かれるのは宜しくないですな」
勇者「では逆にお聞きします。少年が剣士であると言う証拠は?」
勇者「……記憶を無くしていらっしゃるのでしょう。確かめる術はありませんよ」
母親「証拠は揃っていると言った筈よ。それに……良いのかしら」チラ
戦士「……?」
母親「あの国の始まりの王が、魔王の力を借りた……なんて」
母親「醜聞も良いところよ?」ニッ
母親「……まあ、魔族だろう事は間違いは無い。それだけでも充分だけどね」
戦士「とんだ棚上げだな。魔導将軍の力を借り、私設軍隊まで持とうとしていた癖に……!」
父親「おや、よくご存じだ。やはりお祖母様から聞いたのですか」ニヤニヤ
戦士「!」
魔法使い「……そうやって……そうやって鍛冶師の村の人達も脅したのね!」
魔法使い「魔寄せの石まで持ち帰って……!!」
父親「何か勘違いしているね、魔法使い」
魔法使い「え……」
父親「……この鉱石を手に入れたのにも、理由がちゃんとあるんだ」
僧侶「光の剣の修理……ですか」
父親「最初の質問に答えましょう、お仲間さん」
父親「……鍛冶師の村はどうでした?平和だったでしょう?」
父親「あの石があるおかげで、魔物は村まで降りては来ない」
母親「私達はね、魔法の鉱石にあの魔力を移して量産するつもりなのよ」
剣士(手の内を明かす……のか!?)
母親「そうして、大地の要所要所に設置すれば……どう?」
母親「何処の街も、国も……魔物を恐れずに済む様になるのよ」
僧侶「……それは、違います!」
魔法使い「僧侶……?」
- 48 :
- 僧侶「確かに、暫くは良いでしょう。ですが、魔気を吸い上げた世界は、何れ……!」
僧侶「大地は腐り、花は咲かなくなります!そんな事になったら、大地は……」
僧侶「この『世界』は……!!」
母親「…… ……」
勇者「僧侶……」
父親「まあ、心配はご尤もですな。しかし、大丈夫ですよ」
父親「あれは、鍛冶師の村の聖職者……魔族の作った物ですが」
父親「我らはこの魔法の鉱石に力を移すのです。だから……心配はいりません」
僧侶「そんな筈ありません!その魔力は……!」
勇者「僧侶」
僧侶「……勇者様……」
母親「でも貴方達はその目で見たんでしょう」
母親「……魔寄せの石で、困っている村人は居たの?」
魔法使い「……そ、そんな事を、して……」
母親「今よりも平和になるのよ。魔法使い」
魔法使い「…… ……」
勇者「確かに、魔王を倒すだけが世界を守る事では無いだろう」
戦士「勇者!?」
勇者「……だが、まだ……『魔王の城に行かなくて良い』理由を」
勇者「聞いていませんよ……父親さん」
剣士「……俺にもきちんと、説明して貰おう」
魔法使い「……剣士、さん?」
剣士「お前の両親は、俺に……『魔王を倒さなければならない』と言う俺に」
勇者「!?」
戦士(魔王を……倒さなければならない? ……少年かもしれない)
戦士(魔王かもしれない……剣士が?)
父親「私達も聞かせて頂きたいですね。少年が……魔王なのかどうか、を」
- 49 :
- 剣士「父親!」
父親「……大きな声を出さないで頂きたいな」
剣士「ならば黙れ。 ……魔法使いの代わりに、勇者に着いていけば良いと」
剣士「……そう言っていたな」
母親「……後にしてちょうだ……」
剣士「答えろ! ……どう言う事だ!」
母親「……ッ」
剣士「話が違うだろう」
勇者「ま、魔法使いの代わりにって……どう言う事だ」
魔法使い「……お母様?お父様!?」
父親「……ッ」
剣士「俺と魔法使いの間に子を作れと言うんだ」
魔法使い「な…… ……ッ!?」
剣士「そうして、俺に勇者の共になれとな」
母親「…… ……」チッ
剣士「黙って居ると思っていたのか」
母親「貴方に悪い話では無かったでしょう!?」
剣士「……従うとは誰も、言っていないがな」
剣士「それに、俺を少年……魔王と言うのならば尚更だ」
剣士「そんな者との間に、我が娘に子を宿せと言うのか?」
父親「…… ……」
勇者「先に、答えて下さい。俺は言いましたよ」
勇者「『知りません』とね」
父親「……もう言っただろう。剣士が少年ならば、最果てに誰も居るはずが無い」
戦士「ならば金の髪の勇者は何を倒した?」
僧侶「そ、そうです! ……魔王は、一度確かに倒されています!」
僧侶「剣士さんが、少年さん……魔王の筈は無い!」
母親「……まるで、見てきたかの様に言うのね、貴女」
僧侶「え……」
- 50 :
- 勇者「……剣士さんが少年と、魔王と仮定しても、貴方達の行動には」
勇者「矛盾がありますよ」
戦士「……そうだ。光の剣を修理する目的は何だ?」
母親「……黙って!貴女……僧侶と言ったわね。どうして……」
魔法使い「黙るのは貴女よ!お母様!」
母親「……なんですって?」
魔法使い「私は物じゃ無いわ!これ以上、貴方達の言いなりになんて」
魔法使い「ならない!」
母親「……冷静になりなさい、魔法使い!」
母親「貴女には……私達一族の血が……」
魔法使い「血だの優れてるだの、どうでも良いのよ!」
魔法使い「私は私よ!」
勇者「魔法使い!」ギュ!
父親「! ……魔法使い、お前……まさか、勇者様と……?」
僧侶(…… ……ホッとしてはいけない、んでしょうけど)フゥ
僧侶(あの話が、本当ならば、嘘は……)
剣士「…… ……」
剣士(あの蒼い瞳の娘……人では無いな)
剣士(……しかし、流石にそろそろ潮時か……ッ)ズキンッ
剣士(……糞、何だ……こんな時に……ッ)
母親「……お兄様は否定したけど、私は信じてるわよ」
父親「母親!」
母親「魔法使い、良く聞きなさい。私達の祖先はね、最果ての街に住んでいたの」
魔法使い「……な、ん ……え?」
戦士「……最果ての地?」
父親「母親…… ……ッ」ハァ
母親「魔の地に住む事を許された、唯一の人間なのよ!」
母親「何故私達は必ず優れた加護を持って生まれてくると思うの!?」
母親「魔族の血が、どこかで混じっているからに決まっているわ!」
母親「……もっと自信を持ちなさいと、何時も言っていた筈よ、魔法使い!」
母親「私も、お兄様もお父様も貴女も……優れた血を持つ、選ばれし者なのよ!」
- 51 :
- 戦士(……お兄様?)
魔法使い「…… ……」
僧侶「……あ、あの、魔法使い、さん?」
勇者「魔法使い…… ……」
剣士(…… ……なん、だこれは……ッ)ズキンッ
剣士(何かの、力……?)
母親「勇者とは言え、ただの人間よ!」
母親「魔法使い、貴女は此処に残って、剣士の子を産むの!」
母親「……そして、この『世界』を作り替えるのよ!」
母親「『私達が支配する世界』にね……!」
父親「……母親、落ち着きなさい」ハァ
勇者「アンタ達の目的は……それか……!」ガタンッ
父親「仕方あるまい。私達は選ばれた者には違い無い」
父親「だが……これで計画はパァだ!」
父親「母親、お前の所為で……ッ」
魔法使い「あ……は、は……アハハハハ!」
勇者「ま、魔法使い!?」
母親「何がおかしいの!?」
魔法使い「残念ね、お母様!私にはね、優れた加護なんて無いのよ!」ポロポロ
父親「!?」
母親「な……何を言っているの!貴女は、確かに……!」
魔法使い「……炎よ……ッ ぐ、ぅ……ッ」ボォ、ジュウゥ……!
僧侶「魔法使いさん!」
父親「……な……ッ」
母親「馬鹿な……ッ」
魔法使い「ほら、見てご覧なさい!」
魔法使い「しっかりと火傷の跡がつくわ!」
父親「そんな馬鹿な!あの時、確かに……!」
魔法使い「あの時、震える私に声をかけてくれて、助けてくれたのは」
魔法使い「剣士よ! ……彼が、炎の魔法で相殺してくれただけよ!」
- 52 :
- 魔法使い「みんな騙されてただけよ!剣士が魔王!?あり得ないわ!」
魔法使い「……私達は選ばれた者なんかじゃ無いのよ!」
魔法使い「だとしたら、私の事はどう説明するの!?」
魔法使い「アンタ達が、『出来損ない』だの『劣等種』だのと」
魔法使い「蔑んだ人達の中に、この家の者だって居たじゃ無いの!」
勇者「魔法使い……!」ギュッ
勇者「……僧侶、回復を……」
僧侶「あ、は、はい……!」パァ
父親「な……な……ッ 剣士、知ってたのか……!?」
剣士「……答える、必要は……な、いだろう」
戦士「……どうした?」
剣士「構う……な。平気だ……ッ」ズキンッ
母親「そ……んな……ッ だ、だから、だから駄目なのよ、だから、炎なんて……!」
母親「……ッ 勇者!光の剣を寄越しなさい!さもなければ……!」
パアアアァァ!
父親「うお……ッ」
母親「きゃあ……ッ」
僧侶(な、に……ッ !? この感じ、この力……は!!)
魔法使い「光……!?」
戦士「僧侶……ッ」
勇者「な……ッ」
剣士「ぅ、う……ッ !?」
剣士(……こ、れは……ッ 魔の気……!?)
剣士(否、しかし……ッ)
シュゥウウウン…… ……
剣士(……ッ ……き、えた……?)
剣士(痛みも、収まった…… ……!?)キョロ
剣士(勇者達が、居ない!?)
- 53 :
- 父親「な……んだ、今の……は!?」
母親「く……ッ 目が……ッ」
剣士「…… ……?」
ガアアアアァ……ッ
剣士(咆哮……?)
ズシン!グラグラグラ……ッ
母親「きゃ……ッ!?」
父親「な…… !!ゆ、勇者達が居ない!?」
剣士「……上だ!」
母親「え…… ……」
バキバキバキ……ッ ガアアアアアアアアアアアア!
父親「な……ッ!?」
剣士「……!」
ドオオオオオォン!
母親「ひ、ぃっ ……て、天井、から……ッ!!」
剣士「獣……!? 魔物か!?」
剣士(何故……!!)
父親「か、雷よ!」
ピシャアアアアアン!
グルル……グル……!!
剣士(効いていない……!)
- 54 :
- ガアアアアアアアアアアアア!!
父親「ぎ、ギヤアアアアアアアアアアアアアア!!」
バキバキ……ッグチャ……!!
母親「あ、あ……あ、ァ……!!」
剣士「逃げろ!」
母親「……こ、腰、腰が……ッ」
剣士「……!炎よ!」ボゥ……!
ギャアア、ギャア!
剣士「……!」タタ……ザシュ!
母親「……ひ、ィぃ……!!」
ギャアアアアアアアアアアアア!
ズゥ……ン…… ……
剣士「…… ……」ハァ
母親「あ…… ……ぁ……」ガタガタガタ
剣士(何処から……来た!? ……上……しかし、上には……)
剣士(! 領主……)タタタ
母親「あ、あ……お、置いて行かないで、よ……!」
剣士「動くな!」
タタタ……
- 55 :
- お風呂とご飯!
- 56 :
- おつー!
ちょっ、毎度毎度いいとこでwww
ぼちぼちなー
- 57 :
- BBAまたいいところで…
剣士は連れていかれなかったなまだ終わらないのか
次世代に続いちゃうのか
- 58 :
- ぬあああああまた良いところで笑
いてらー!
- 59 :
- 剣士(……領主の部屋……は、此処だったな)
バタン!
剣士「!」
剣士(……床に、穴)
剣士(……領主は……居ないな。食われたか…… ……?)
剣士(血痕が無い…… ……ッ)ハッ
タタ……バタン!
剣士「……!」
剣士(石が、無い!?)
剣士「…… ……」
剣士(さっきの頭痛の原因……そうか……)
スタスタ……
剣士(…… ……)キョロ
剣士(押しつぶされたように、壊れたベッド……)
剣士(…… ……引きちぎられた様な、布……これは)スッ
剣士(…… ……)ハァ
スタスタ、トントン……
母親「あ……ァ……キャアアアアアアア!」
剣士「……俺だ」
母親「あ…… ……」
剣士「メイド達は」
母親「……きょ、今日は……誰も……」
剣士(人払いをしていた、のか……)ハァ
- 60 :
- なるほど、雷が効かなかった理由は…
- 61 :
- 剣士「……この布に見覚えは?」スッ
母親「え……ぇ……? ……ッ お父様の、夜着…… ……?」
剣士(やはり……か)ハァ
母親「お、お父様は……化け物に!?」
剣士「…… ……」
剣士(……真実を告げるべき、だろうな)
母親「……ッお、お父様……!」
剣士「違う」
母親「え…… ……」
剣士「……それが、領主だろう」スッ
母親「! ……ば、馬鹿な事言わないで!どうして……!!」
剣士「……魔寄せの石とやらは、無くなっていた」
母親「!?」
剣士「先ほどの光……多分……否」
剣士(あれは……随分と強い魔の気だった)
剣士(……あれの正体は分からん……が、恐らく)
剣士(触発されたな。随分……悪意の篭もった代物だった)
剣士「……近くに置きすぎたのだろうな」
母親「……え」
剣士「弱った身は喰らわれ、自我を失い……魔物に成り下がった」
剣士「……推測だがな」
母親「そ……ッ そんな……ッ!?」
剣士「自分の目で確かめてくるが良い」クルッ
母親「ま……待って!何処へ……!」
剣士「……身の丈以上を望んだ罪だ」
剣士「俺が此処に……留まる理由など、無い」
スタスタ
母親「待ちなさい!ま……剣士!」
母親「待って、置いて……置いて、いかないで……!!」
- 62 :
- 剣士(……情けをかけてはやれんな)ハァ
剣士(問題は…… ……)
スタスタ
剣士(……勇者達は、何処へ……消えた、か)
剣士(船は……居る。流石にこれだけ離れて居ると、騒ぎには気がついて居ない、か)
剣士「…… ……」ピタ
剣士(騎士団長……だったか?)
剣士「……おい」
王子「! ……あ……ッ!!お前……!」
剣士「騎士団長、だな」
王子「何故、お前が……!?勇者様達は!?」
剣士「……光に飲まれて、消えてしまった」
王子「! ……何をふざけた事を……!」
剣士(まあ……信じられないのも無理は無いか)
剣士「なら、見に来るが良い」
王子「……何?」
剣士「……魔寄せの石をこの国の者が持ち帰った、と言う話は聞いているか」
王子「…… ……」
剣士「その光が発せられて、勇者達が消えた後」
剣士「……どうやら、石の魔力に取り入られたらしい領主が魔物になった」
王子「!?」
剣士「父親……魔法使いの親父は食われ、母親は無事だが……」
剣士「……屋敷は惨状を極める」
王子「……魔物、は?」
剣士「俺が倒した」
王子「…… ……な、何故その魔物が、領主だと解る!」
王子「魔寄せの石を補完していたんだろう!だとすれば……!」
剣士「……雷の魔法が効かなかった」
剣士「後は……見れば解る、だろう」
王子「…… ……何故、それを……俺に教えるんだ」
王子「お前は……少年じゃ無い、のか!?」
剣士「……覚えて居ない」
王子「……は!?」
剣士「望むならば……全て話そう」
- 63 :
- 王子「…… ……」
剣士「信じられないのも……無理は無い」
剣士「照明する手立ては何も無い。だが……」
剣士「信じて貰えるのならば、一つ教えて欲しい」
王子「……何を、だ」
剣士「……『世界』を」
王子「!」
剣士「魔寄せの石は無くなっていたが」
剣士「……随分と長く、この国にあったんだろう」
剣士「頭である領主と、その息子が居なくなった今……」
剣士「……この国は混乱に陥るぞ」
王子「……し、しかし……」
剣士「母親を放って置いて良いのか?」
王子「……助けてやる義理は無い」
剣士「捕らえる事はできる。あの女は……懲りん」
王子「! ……お、おい!着いて来い!」
騎士「は……如何なされました?」
王子「……領主の館へ行く…… ……」チラ
剣士「……案内は必要か?」
王子「…… ……」
剣士「…… ……」ハァ
剣士「事が済み次第、俺も拘束するが良い」
王子「!?」
剣士「……構わん。どうせ……何処へも行けん身だ」
王子「お前……」
剣士「剣士、だ……知っている、な」
……
………
…………
- 64 :
- 勇者「……う、ぅ……」
魔法使い「勇者!」
僧侶「気付きましたか……」ホッ
戦士「……」
勇者「!! ……みんな……ここ、は……」
后「ごめんね、無茶しちゃった」
勇者「……母さん!」
魔法使い「急に、眩い光に包まれて……気がついたらここにいたの」
僧侶「……そして、この方……貴方のお母様がいらっしゃいました」
僧侶「あの光は……お母様の魔法……だったのですね」
戦士「……転移魔法、と言うそうだ」
勇者「え……でも、それじゃ……ここは……」
后「ここは、最果ての地……魔王の城、だよ」
后「間に合って良かった。まさか魔導国に居るなんて思わなかったから」
后「吃驚したよ」
勇者「どう……いう、事だよ」
勇者「ああ、いや……そんな事より、母さん、無事だったんだね!?」
后「落ち着いて、勇者」クス
魔法使い「……全部、教えて下さる、んですって」
勇者「全部……?」
后「うん、全部。貴方が望む全て……まあ、厭でも知る事になると思うけど、ね」
勇者「! ……あ、剣士は……!?」
后「あの紫の瞳の男性だね……居ないよ。呼んだのは、勇者達だけだもん」
勇者「……ッ ど、どう言う事だ!? 何で、なんで母さんが転移魔法なんて……!」
后「もう、落ち着いてって言ったでしょ」クスクス
后「……無理、な事は解ってるんだけどね……御免ね、勇者」
勇者「な……んで、謝る……んだよ……」
后「んー、勝手に居なくなっちゃって、心配かけた、から?」
后「……それだけじゃ、無いけどね」
后「…… ……取りあえず、移動しながらでも良いかな」
后「時間が、ないの」
勇者「え…… ……」
- 65 :
- 后「歩きながら話すね……着いてきて」
スタスタ
勇者「…… ……」
僧侶「…… ……」
魔法使い「…… ……」
戦士「…… ……」
后「本当は……勇者には格好良く乗り込んで来て欲しかったんだけどね」
后「本当に……時間が無いんだ」
魔法使い「……時間が無いって、あの……どういう……?」
后「……魔王が、目を覚ます」
勇者「!?」
僧侶「……やはり……魔王は、此処に……居るのですか?」
后「え?」
魔法使い「……さっき、魔導国で……少年が魔王で、剣士が……少年で……」
魔法使い「ええっと…… ……ッ!?」
后「んー、剣士ってあの紫の瞳の人でしょ?」
后「で、少年ってのは……『港街の勇者様』だよね」
戦士「知っているのか……!?」
后「……勿論、知ってるよ……だって」
后「『金の髪の勇者』が倒したもん」
勇者「え!?」
后「……僧侶ちゃんは、気付いてるよね?」
僧侶「……はい」
勇者「何……?」
后「勇者、取り乱さないと約束して」
勇者「…… ……」
后「勇者?」
勇者「……ッ わ、わかった……よ」
- 66 :
- 后「……少年、は港街の勇者様で、魔王だった」
后「金の髪の勇者……貴方のお父さんは、その魔王……」
后「紫の瞳の魔王を、倒した」
勇者「…… ……じゃあ、なんで俺は……勇者なんだ!?」
勇者「どうして、魔王が……まだ、居るんだ!?」
后「…… ……」
后「それからね……私は、魔族だよ」
僧侶「…… ……」
魔法使い「え!? ……ちょ、ちょっと……僧侶、どういうこと!?」
僧侶「わ、わかりません、わかりません!」
僧侶「でも……でも、確かに、お母様の、気配は……魔族なんです……!!」
戦士「……そうで無ければ、転移魔法、等……だが……!」
戦士「貴女は、勇者の『母』なのだろう!?」
戦士「魔族から、どうして……人間が……『勇者』が……!!」
勇者「な……ん、で……母さん……が……」
勇者(母さんが……魔族!?)
后「一つだけ、確かな事が言える。それは……」
后「貴方が、『勇者』だから。『勇者』は……人間だから」
后「……さ、着いた……開けるよ?」
勇者「母さん!待って、母さん……!」
キィ……
后「紹介するね……側近と、魔導将軍……魔導将軍は、会った事あるよね」
側近「間に合ったか、后…… ……大きくなったな、勇者」
魔導将軍「ハァイ……って、間に合わせた、の間違いでしょ、后」
戦士「……『側近』!?」
僧侶「え……え……!?」
后「……皆、大事な仲間だよ」
魔法使い「……な、か……ま!?」
魔導将軍「忘れちゃったの? ……仲間、って教えてあげたのにぃ」
- 67 :
- 側近「しかしまぁ……まるっきり魔王にそっくりだな」
魔導将軍「仕方無いわよ、『勇者』だもん」
勇者「な……な……!?」
后「ね?剣士君は……魔王じゃ無かったでしょ」
后「……ほら、あれが……魔王。私の旦那様で……」
后「貴方の、お父さんだよ、勇者」
僧侶(これが……魔王……そして、元、ゆう…しゃ……?)
魔法使い(馬鹿な……ッなんなの、この魔力……ッこんなの、どうやったって……!)
戦士(どういう事だ……三人が……魔王を、押さえ込んでいる……!?)
勇者「う、ぅ………うわああああああああああああああああ!」
后「ああ、もう……取り乱さないでって言ったのに」
側近「いや、無茶だから!」
魔導将軍「后は昔から、さらっと酷いよね」
勇者「ど、どう言う事だよ!どうして……!?」
勇者「どうして、父さんが魔王……な、な……ッ!?」
魔王「……ゥ、ウ……アアアアアアアアアアアアア!!」
ビリビリビリ……ッ
僧侶「うぅ……ッ」
僧侶(これは……ッ 苦しみ……!?)
僧侶(魔王は……苦しんでいる……!?)
魔法使い「……ッ」
魔法使い(胸が痛い……何で……こんなに、切ないの……!)
魔法使い(……魔王、も……なの……?)
戦士「! ……ッ」
戦士(何だ……胸が、締め付けられる……ッ)
戦士(……何故、こんなにも……悲しい、んだ……?)
勇者「これ、が……魔王……この、死体みたいなのが!?」
勇者(これが……魔王。これが……父さん……! 何で、なんで……!)
勇者(何で、俺は……喜んで、居るんだ!?)
- 68 :
- 后「魔王! ……もうちょっと、もうチョットだけ……待って。ね?」
魔導将軍「后、早く!」
側近「……ッ 解ってても、辛いよなぁ……」
僧侶(どう、言う事……!?三人が……全力の、魔力で……)
魔法使い(魔王を、押さえ込んでる!?でも……ッ)
戦士(魔王は、世界を滅ぼす……こんなにも力があれば、確かに……だがッ)
勇者「お……お前が、『側近』ってどう言う事だ!?」
勇者「それに……お前は、魔王の仲間なんだろう、魔導将軍!」
勇者「か…… ……母さん!何やってんだよ!何で……!!」
魔導将軍「まあ、我慢してちょうだい……魔王様、押さえとかないとさ」
側近「全部吹き飛ばしちまうからなぁ……」
后「大丈夫……少し、話すぐらいは持つから」
后「後は……ちゃんと知って、ね?」
勇者「……ちゃんと……知る……?」
側近「結局使用人ちゃんに丸投げかよ……」
魔導将軍「仕方無いじゃない、ねぇ?」
后「……本当は、ちゃんと説明してあげたい、けどね」
后「…… ……できるだけ、になっちゃうけど」
后「聞いて、勇者」
- 69 :
- ……
………
…………
魔王「…… ……ん」パチ
魔王(又……此処か)
魔王(……あれ?)
魔王(あれは……勇者!?)
后『勇者!滅びを選ぶなら、それも構わない!それも……ッ』
魔導将軍『それでも、変わる! ……勇者、選ぶのよ!』
側近『……ッ この腐った世界に、光……ッ を!』
魔王『………お前が、勇者か』
バチバチバチッ
勇者『あ、 ……あ……』
バチバチバチッ
魔王『さあ、我が手を取れ』
バチバチバチッ
勇者『………ッ』
バチバチバチッ
魔王『光と闇は、表裏一体。どちらを欠いても存在できぬ』
バチバチバチッ
勇者『……拒否権はないんだな』
魔王『ああ……世界は美しい』
勇者『俺は……魔王を、倒す!』
魔王(違う……! ……ん、何が……違う……!?)
魔王(……でも、駄目だ!駄目なんだ……!)
魔王「そうじゃない……!后、やめろ!」
魔王「魔導将軍!側近……! やめ……!!」
シュゥウン……
紫魔「……む」
魔王「うわぁ!」
シュゥン……
紫魔の側近「……ぅえ」
魔王「おわぁああああ!」
紫魔の側近「お前、煩い」ゴン!
魔王「……いってぇ!」
- 70 :
- 魔王「側近!紫の瞳の……魔王……」
紫魔「……あれは『過去』だ」
紫魔の側近「しょうがねぇだろ。俺達には『過去』しか見る事はできねぇんだから」
魔王「…… ……いきなり出て来たら、吃驚するだろ」
紫魔「確かに、私達には『過去』しか見る事ができない。だが……」
紫魔の側近「んな事言われてもねぇ。こっちも予測できねぇしな」
紫魔「…… ……聞け、二人とも」
魔王「え……あ、御免」
紫魔「…… ……側近の所為だな」
紫魔の側近「俺!?何で!?」
紫魔「何でも糞も無い。お前が悪い」
紫魔の側近「…… ……理不尽」
魔王「あ、あの……で、何だって?」
紫魔「……私達には『過去』しか見る事ができん。だが……もうすぐ『現実』になる」
魔王「……『現実』……」
紫魔の側近「……宿題は終わったか?勇者」
魔王「……だから、俺は魔王だって……」
紫魔の側近「……俺にとっての魔王様は、こいつだけなんだよ」ポンポン
紫魔「……頭を撫でるな」
紫魔の側近「お前でっかいからねぇ……撫でるのも一苦労だよ」
紫魔「だからやめろと言ってるんだ。聞こえなかったか?」
紫魔の側近「はいはい。かがんでくれると嬉しいんだけどね。楽だし」
紫魔「…… ……人の話を聞け」
魔王「…… ……楽しそう、だよなぁ、何時も」
紫魔の側近「まあ、退屈はしねぇな」
紫魔「……私はお前の玩具では無いぞ」
紫魔の側近「俺は随分お前に色々されたけどね!」
紫魔「忘れたな」
紫魔の側近「しれっとにこっと言うなあああああああああああ!」
- 71 :
- 魔王「…… ……」クスクス
紫魔の側近「笑い事じゃねぇよ、全く……」フゥ
紫魔「仕方無い。側近だからな」
紫魔の側近「あーほーう!七割お前です!」
紫魔「そっくりそのまま返すわ!」
魔王「……お、お楽しみの所、申し訳無いんだけどな」クック……
紫魔の側近「……笑いすぎだよ、お前」
魔王「……『現実』になる、ってどう言う事だ?」
紫魔「…… ……聞かねば、解らんか?」
魔王「……勇者が、来た……のか」
紫魔の側近「ああ、そうだそうだ!だから!」
魔王「え!?」
紫魔の側近「……『宿題』だよ、勇者」
魔王「……『特異点』って何だと思う、か」
紫魔の側近「…… ……」
魔王「…… ……御免。俺には……解らない」
紫魔「…… ……」
魔王「でも……上手く言えないんだけど……」
魔王「……俺、『間違えないと思う』んだ」
紫魔の側近「…… ……」フッ
魔王「な、何だよ!?何笑ってんだよ!?」
紫魔の側近「否……お前らしい答えだなぁ、と思って」
魔王「え?」
紫魔「……『特異点』と言うのはな」
紫魔の側近「えぇえ……説明しちゃうの……」
紫魔「黙れ……『時間が無い』んだ」
魔王「……え?」
- 72 :
- 紫魔「……特異点、と言うのは」
紫魔「何かを基準と定め、それでは推し量れない事ができて初めて」
紫魔「……その事象、の事をさせる言葉だ」
魔王「…… ……??」
紫魔の側近「お馬鹿さんには解らないってよ」
魔王「う、煩いよ!」
紫魔「……お前は、『間違えて居ない』のだろう」
魔王「…… ……」
紫魔の側近「自信持ちなさい。お前は……『勇者』なんだから」
魔王「『だった』……だろ…… ……うん」
魔王「『大丈夫だ。間違えて居ない』」
紫魔の側近「……ああ。それで良い」
紫魔「…… ……」
魔王「……紫の瞳の魔王……?」
紫魔「…… ……『来た』な」
紫魔の側近「……だな」
魔王「え…… ……ッ」
パアアアア……ッ
魔王(……うぅ……ッ な、んだこれ……ッ)
魔王(光、に……吸い込まれ……ッ)
魔王「『ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』」
……
………
…………
- 73 :
- やっぱこの2人の絡み好きだ
ついにクライマックス
- 74 :
- 后「私達は……『勇者』と旅を共にする仲間だった」
魔導将軍「今でも仲間でしょ」
側近「ちゃちゃ入れんなよ、魔導将軍」
后「……ふふ、で……今の君たちみたいに、魔王の元までたどり着いた」
后「まあ、今回は……ちょーっと、強引な手段使っちゃったけど」
魔導将軍「……ちょっと?」
側近「だから、突っ込むなってば」
后「……特異点。最後まで、はっきりとは見極められなかったな」
魔導将軍「……そうなの?」
戦士「……特異点?」
側近「そうだ。『俺達』と違う所」
魔導将軍「『今まで』と違う所」
后「剣士か……貴女か。私達は、答えを出せなかったの。僧侶ちゃん」
僧侶「……私!?」
側近「そうだ。ハーフエルフの癒やしの娘」
魔導将軍「エルフの姫様の娘、でしょ」
僧侶「!」
后「……『私はお前』『お前は私』『勇者と魔王』『光と闇』は『表裏一体』」
魔法使い「……え?」
魔導将軍「『勇者は、魔王を倒す』」
戦士「!」
側近「『魔王は勇者の光を奪いさる』」
后「そして……『勇者は、魔王の闇を手に入れる』」
勇者「……な……ッ 何が言いたいんだよ!母さん!」
- 75 :
- 后「私達は、こうして、今の貴方達と同じように」
后「……良く解らない言葉の羅列を聞かされた」
后「私は……水の癒し手『僧侶』」
僧侶「!」
魔導将軍「炎の『魔法使い』……多分、どこかで血が繋がってるわね、魔法使いちゃん」
魔法使い「!」
側近「緑の『戦士』……次はお前だぜ、戦士」
戦士「!」
勇者「…… ……」
后「そして、魔王は……」
勇者「『勇者』…… ……俺の、父さん」
魔王「…… ……『間違えて居ない』」
勇者「……え…… ……」
ビリビリビリ……!
僧侶「!」
魔法使い「きゃ……ッ」
戦士「……ッ」
勇者「……! ……父さん!」
魔王「『ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』」
- 76 :
- う〜ん 正直この代で終わらせて欲しい
- 77 :
- いつ終わってもいいよ
むしろ無理やり終わらせたりしないで欲しい
自然に、予定通り進めて欲しい
- 78 :
- ビリビリビリ……!
魔王「ウゥ……ゥ、ァ、ア……ッ」
勇者「と……父……さ、ん……?」
后「……『勇者』は、世界に一人しか存在できない」
僧侶「『魔王』を倒せるのは、『勇者』だけ……」
魔導将軍「光の加護を受けられるのは、勇者だけ……光は勇者だけの物」
魔法使い「『闇』は……『魔王』だけのもの……」
側近「そして……『勇者は必ず、魔王を倒す』」
戦士「……『光と闇』は『表裏一体』」
魔王「……『魔王は勇者の光を奪い去り』」スッ
勇者「『勇者は魔王の闇を手に入れる』……」
魔法使い「あ……あ、ま……魔王が……ッ」
戦士「立ち上がった……ッ!?」
僧侶「……! あ、手……手、に……ッ」
魔王「…… ……」スッ
勇者「……勇者の、印」
勇者(でも……俺と、違う。真っ黒だ)
勇者(……あれが、魔王の……『闇』)
后「……さて、時間が無いね」
側近「泣くな、魔導将軍。喜べ……俺たちは喜ばなくちゃいけない」
魔導将軍「わ……ッ 分かってる、わよ……!」
勇者「……ふ、ふざけるな……!」
勇者「『俺に、魔王になれ……と言うのか!』」
- 79 :
- 魔王「……解って居るはずだ、勇者」
勇者「!」
魔王「『途切れる事無く回り続ける、運命の輪』」
勇者「…… ……」
魔王「……『この腐った世界の腐った不条理を断ち切れ』!」
勇者「…… ……ッ!?」
パア……ッ
僧侶「……ッ光の剣が……!!」
パリン!
魔法使い「割れた!?」
戦士「……ち、がう……見ろ……ッ」
僧侶「……勇者様の、光を……すい、とって……る!?」
勇者「…… ……ッ」 グッ
魔王「……『知る事を拒否するな』!」
勇者「『拒否権の無い選択などあるものか!』」
魔王「『真に美しい世界を望む為だ』」
勇者「『勇者は、必ず魔王を倒すんだ!』」
……
………
…………
- 80 :
- 紫魔「……む」サラサラサラ……
紫魔の側近「魔王様?」
紫魔「…… ……」サラサラ……
紫魔の側近「……おいおいおいおい。俺は置いてけぼりですか」
紫魔「お前の事だ。どうせすぐに追いかけて来るんだろう」サラサラサラ……
紫魔の側近「え、何それ」
紫魔「……主を放っておく側近が何処に居る」サラサラサラ……
紫魔の側近「はいはいはい。お前寂しがり屋だもんね」
紫魔「お前程便利な奴は居ないからな」サラサラサラ……
紫魔の側近「……ほんっとうに『最後』まで、素直じゃネェなぁ……」ハァ
紫魔「……すぐに、連れて来い…… ……命令 ……だ」サラ……サラ……
紫魔の側近「……解ってるよ」
紫魔「…… ……」サラ…… …… ……
紫魔の側近「…… ……」
シュゥン……
金の髪の魔王「……ぅ、ウ……ッ」
紫魔の側近「何時まで寝てんの。起きなさいって」ポン
金の髪の魔王「…… ……! ……ッ側近!?」ガバッ……ゴン!
紫魔の側近「ぐえッ!」
金の髪の魔王「いってぇ……ッ」
紫魔の側近「…… ……そりゃ、俺の台詞……」
金の髪の魔王「……ッ 紫の瞳の魔王は!?」
紫魔の側近「……『終わった』よ」
金の髪の魔王「……え…… ……」
紫魔の側近「『終わった』んだ……喜べ。喜んでやってくれ……勇者」
金の髪の魔王「……だから、俺は……」
紫魔の側近「もう、『魔王』でも無いけどな」
- 81 :
- 金の髪の魔王「え…… ……」
金の髪の魔王(……そうか。俺は……勇者に……あいつに……)
金の髪の魔王「……過去しか、見れない……んだよな?」
紫魔の側近「ああ……『俺達』はな」
金の髪の魔王「?」
紫魔の側近「……言っただろ。魔王様は『終わった』んだ」
紫魔の側近「……『断ち切った』んだよ。お前が。黒髪の勇者が」
金の髪の魔王「あ……で、でも……!!」
紫魔の側近「……喜んでくれよ、勇者。俺も……もう『終わる』」サラサラ……
金の髪の魔王「側近!?」
紫魔の側近「……やっと来た、か」フゥ
シュゥウン……
??「…… ……ん、ここ…… ……は……?」
金の髪の魔王「あ……!!」
紫魔の側近「待たせたなぁ、女剣士」
女剣士「……側近!?」タタタ……ッ
女剣士「お前、目は!?その姿は……!!」ペタペタ
紫魔の側近「……ちょ、セクハラ!」ハハッ
金の髪の魔王「…… ……」
紫魔の側近「ほら、勇者呆れてる」
女剣士「え……勇者!?」
- 82 :
- シリアスなシーンだけどサラサラサラでワロタ
- 83 :
- 紫魔の側近「お前が育てた勇者だよ」
紫魔の側近「……ちょーっと、瞳の色は紫になっちゃった、けどな」
女剣士「……勇者……か……」
金の髪の魔王「女……剣士、様……!!」
女剣士「あれ!?私、腕がある……し……!?」
紫魔の側近「俺が見えてた時より、すこーし、大人になった、かな」サラサラ……
女剣士「……な、んだ……これ……夢、か!?」
女剣士「側近……霞んでる、ぞ」
紫魔の側近「んー……まあ……『終わった』からねぇ……」
女剣士「終わった……?」
紫魔の側近「ま、良いよ。どうせ難しい事はわかんねぇだろ」
紫魔の側近「……で、どうするんだ。一緒に来るか?」
女剣士「え…… ……?」サラサラ……
金の髪の魔王「!」
金の髪の魔王(女剣士様の身体が……!)
紫魔の側近「……いや、答え無くて良いよ。ほんっとうにお前は、わかりやすいな」クス
女剣士「な、何だよ!どう言う意味だ!」
紫魔の側近「……いや、まあ、ほら。魔王様待ってるしな?」
紫魔の側近「お茶でもしようぜ、一緒に、さ……あいつに、フランボワーズ作らせよう」
女剣士「……お前は相変わらず、主人を使うんだな」クス…… ……サラサラサラ……
紫魔の側近「あいつにそれ以外に、何の特技があると!?」サラサラサラ……
金の髪の魔王「…… ……」
女剣士「私、一度……食べてみた…… ……か、った…… ……」サラ…… ……
紫魔の側近「……待ってるぜ、勇者」サラサラ…… ……
紫魔の側近「『また、後でな』」サラサラ……サラ …… ……
金の髪の魔王「……ああ」
金の髪の魔王「『また、後で』…… ……ありがとう、側近」
- 84 :
- キリも良いので今日はこの辺で
明日仕事なので寝るよ!お休み!
- 85 :
- 1おつー!
女剣士、会えてよかったなぁ
- 86 :
- 乙
- 87 :
- おっつー
- 88 :
- 涙出てきた
- 89 :
- あれ?目から鼻水が……
ゆっくり休めよ
魔王、側近、女剣士…
*゚゚・*+。
| ゚*。
。∩∧∧ *
+ (・ω・`) *+゚
*。ヽ つ*゚*
゙・+。*・゚⊃ +゚
☆ ∪ 。*゚
゙・+。*・゚
スコーン&幼女も今日はお休み〜
- 90 :
- 間に合わなかったもの置き場としてぴくしぶに間借りしました。
でもこれは今更貼っても許される気がした。
ttp://s-up.info/view/201201/113702.png
- 91 :
- 女剣士ぅえ
- 92 :
- 女剣士かわゆ
- 93 :
- あぁ…
終わってからはってほしかった…
ま、しょーがないよな…
- 94 :
- おはよう!
出勤するので電車で書けたら!
- 95 :
- いてラー
- 96 :
- pixivでの探し方も教えてくれると助かる
いてらー!
- 97 :
- むしろ今そのネタはやめて欲しかったな
- 98 :
- 電車で寝てた( ゚д゚)
……働いてくる (´・ω・`)
- 99 :
- おつかれww
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