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Berryz工房のエロ小説を書こうよ!!! part4


1 :11/04/07 〜 最終レス :11/12/24

Berryz工房のエロ小説を書こうよ!!! part3
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1198859317/

2 :
まさか4まで出来るとはおもわなかったwww

3 :
1001 :1001:Over 1000 Thread
〜未だかつてこれほどまでに感動的な
             スレがあっただろうか?〜
 ★このスレッドを読んだ人達の声★
「何気なく開いたこのスレッドとの出会いから、
 新しい自分の可能性を信じようと思った。」(27歳、ニート、男)
「感動した!勇気が湧いてきた!人生観が変わった!
 自分にも何かやれそうな気がした!」(24歳、契約社員、男)
「落ち込んでる時にこのスレッドを見つけ、
 期待しないで読んだが、読んで涙が出た。」(21歳、学生、女)
これほどまでにみなさんに愛されてきたこのスレッドですが、
残念ながら、このレスで終了となってしまいました。
でも悲しまないでください。
このスレッドはいつまでも
あなたの心の中で生き続けているのですから…

4 :
新スレ(^_^)
愛理まいまい見たい

5 :
書く人さんにも帰ってきて欲しいな

6 :
誰かスレ建てたら伸びないかな〜?

7 :
ん?

8 :
愛理ー
舞ー

9 :
誰もいない的な

10 :
こないかな?

11 :
作者さんは?

12 :
まだかなぁ

13 :
文豪のお方・・・

14 :
こないのか

15 :
第二章
―みんな同じだけ孤独で 同じだけ怯えてるなら
 何も怖いこと ないんだね 私 あなた 抱きしめるよ―
ある日の夜。
部屋のカレンダーで文化祭までの日数を数える。今週末がいよいよ文化祭。
「それが終わりゃ、楽になるかぁ…」
やりたくもないことをやらされ、したくもない苦労を重ねる日々ももうすぐ終わる。終われば一息つける…ボクはそんなことを考えながら、眠りについた。
翌朝。
いつもと同じ朝だった。
いつもと同じように家を出て、
いつもと同じように学校に向かい、
いつもと同じように授業を受ける。
ボクは授業のことより、放課後にやるべきことの方を考え込んでしまい、そっちで頭がいっぱいになっている。
そんな朝だった…

16 :
>>15
二時間目。古典の授業を受けている時だった。
「○○君、いますか?」
見慣れない教師が、ボクを呼んだ。普通ではないことだ。
「はい…」
恐る恐る手を挙げたボクは、教室の外へ呼ばれた。いったい何があったんだ?
「…」
教室を出る時、反対側の机で教科書を広げていた…舞美ちゃんと目が合った。もっとも、何か話せる状況ではない。
ボクたちは一瞬だけ目を合わせて、また他人に戻った。
一瞬だけ合った彼女の目は、とても心配そうだった。
「何でしょうか?」
教室を出たところでそう訊ねたボクは、思いもよらないことを聞かされる。
「実は…おじいさんが…危篤状態で…」

17 :
>>16
一瞬、この人が何を言っているのか、ボクは理解できなかった。祖父が、危篤?
一体何の話だ…冗談だろう…?
しかし、その先生の目から『冗談』の二文字を見出すことはできなかった。ボクに重大な事実をきちんと伝えなければいけないという
『厳しい部分』と、ボクの身に起こったこと、そしてこれから直面するであろうことを案じての『憐れみの部分』が入り混じった…
目をしていた。
そう、これは夢でも何でもない…真実なんだ…
真実?
ボクのおじいちゃんが、危篤?
やっとボクは事実を理解した。時間にしたらたかだか一分やそこらだろうが、ボクにはとんでもなく長く感じられる…一分であった。
「…で、祖父は今、どこに?」
「△△病院の、集中治療室に入ってるって…お母様から電話があって…」
ボクは授業を切り上げ、一人病院に向かうことになった。ボクに伝えてくれた先生が、タクシーを呼んでくれた。
「すいません。ありがとうございました…」
お礼を言うボクは、自分の言葉に力がなくなっていることに、自分でも気が付いていた。

18 :
>>17
ボクの祖父は74歳である。この国の男性の平均寿命は79歳だ…とは、この間授業で習ったこと。ならば、祖父はまだまだ
生きられるはずだ。はずなのだ。なのに、なぜ…
祖父はボクが生まれた時から、何かとボクのことを可愛がってくれた。だから、アルバムに残されたボクの幼少時の写真は、
祖父と一緒に写っているものがことのほか多い。
祖父がここ数年、健康を害することが多かったのは事実だ。しかし、それは命を脅かすような重度のものではない、とボクは
聞かされていた。だから、今までずっと『大したことはない』と思っていた。信じ込んでいた。
しかし…それは甘い思い込みだったのだ…
そんなことを考えているうちに、タクシーは目的地の病院にたどり着いた。
病院にたどり着いたボクを待っていたのは、親族たちの姿だった。ボクの姿を認めると、皆が皆詳しい状況を聞かせてくれた。
祖父は今朝、いつもと同じように何事もない朝を迎えていたのだそうだ。ところが、祖母が少し目を離した間に突然倒れ、意識を
失っていたという。
祖母がそれを発見し、慌てて病院に運んだが、既に危篤状態であったという…
集中治療室の内部に立ち入ることはできなかった。しかし、ボクが身元を明かすと、ガラス一枚隔てたところから祖父の姿を
見ることが許された。

19 :
>>18
そこで、ボクは…
目を閉じ、意識を失ったままたくさんの医療機器に囲まれ、弱々しい脈を逐一測られ、の瀬戸際に立たされている祖父の姿を見た。
「…じいちゃん…じいちゃん!」
別に泣きたいと思っていたわけでも、泣こうと決心していたわけでもない。だが…あまりにショッキングな、変わり果てた祖父の姿を見たら、
自然に涙が止まらなくなってしまった。
目の前で、自分の大切な人がの瀬戸際に立たされている。しかし、ボクはただそれを見ることしかできない。何もしてあげられないし、
助けることもできない…
この時ほど、自分の無力感を感じたことはなかった。
病院を出た後に親族たちと食事をしたが、何を食べたかも、何を話したかも覚えていない。ボクはそれほどまでに…ショックを受けていた。
打ちひしがれた心のまま、ボクは家に帰った。家に着いても、自分の部屋に戻っても、少しも気持ちが休まることはなかった。
(つづく)

20 :
|ω・) ということで、かなり遅くなってしまいましたが(原稿のまとめがなかなか仕上がりませんで…申し訳ない)
    第二章が始まりました
    『人の生と』と『優しさ』がテーマになります
|ω・) 2chの連投規制がきつくなったようで いつまでここで連載が続けられるか、正直自信がありません
    無理だった場合は 
    http://yy21.kakiko.com/test/read.cgi/morning/1295362956/ で連載を続ける予定です…

21 :
お疲れ様です
規制大変でしょうが何とか続けて下さい

22 :
>>19
その晩。
眠れないまま一人ベッドに横たわっていた、ボクの携帯電話が鳴った。発信元は…『矢島舞美』。
「もしもし?大丈夫?」
ボクの身に何が起こったかは、生徒の間でも噂話レベルで伝わっていたらしい。彼女もそれを耳にして、心配してボクのところに
電話をかけてきたというわけだ。
ボクは正直、彼女に何を話せばいいのか分からなかった。
できれば、何も話したくない。でも一人にはなりたくない。なったらなったで、重い絶望感に襲われてしまう。
一方では話すことを拒否していながら、一方では一人になりたくないと思っている。それは実に矛盾した、相反する気持ちだけれど…
その矛盾した状況を、ボクは受け入れるしかなかった。
「ごめん、今は…何も、話せないんだ」
舞美ちゃんはボクの心境を察してくれたようだった。
「そっか…そうだよね。
 ごめんね。じゃあ、切るね」
電話を切ろうとした舞美ちゃんを、ボクは呼び止めた。
「いや…ちょっと待って。頼みたいことがあるんだ」
「…何?」

23 :
>>22
ボクは、彼女にあることをお願いしてみようと思った。
「何か…話してくれないか。何でもいい。サッカーの話でも、まいみちゃんの趣味の話でも…何でもいいよ。
 ただ…ボクに…ずっと…話してて、欲しいんだ…
 声を、聞いてたいんだよ」
電話を切ったら、また一人の時間が帰ってくる。それは重い絶望感で満ちた、辛い時間だ。そうなりたくないから、ボクは電話を切りたくなかった。
自分はろくに話せやしないのに、誰かの声を聞いていたいなんて虫の良すぎる話だ、と自分でも思う。
でも…今のボクは、彼女の声を、どうしても聞いていたかった。
「そっか…じゃあ…何の話、しようかなぁ…」
舞美ちゃんは少し困った声になっていたが、それでもいろんな話をボクに喋ってくれた。
それも、何かオチのつくような、ボクが笑えるような話を選んで話してくれた。彼女の優しさがとてもとても嬉しかったが、それに何も返せない
自分が悲しくて、そして少し腹立たしく思えた。

24 :
>>23
日付が変わって、しばらく経った頃。
「ごめんね…そろそろ寝なきゃいけないかも…」
舞美ちゃんが、申し訳なさそうにボクに呟いた。
「そっか…こっちこそ…ごめん。こんな時間まで…喋らせちゃって…電話代も…高かった、よね…
 ごめんね…今度…払うから」
自分の言葉に、驚くほど力がないことにボクは気がついた。別に長くはない言葉なのに、喋ることがものすごく苦痛に感じる。
「いいよ…そんなの。それより…大丈夫?一人で寝られる?」
「わかんない…でも…まあ…やってみるよ」
ボクは正直…朝を迎えるのが怖い、と思った。でも、これ以上舞美ちゃんに迷惑をかけるわけにはいかない。彼女には彼女の
生活があるのだ。それはボクも分かっている。
「ごめんね…おじいちゃん…助かるといいね…
 じゃあ、おやすみ」
「ああ…おやすみ」
それが実現する可能性は、一体どれくらいあるのだろうか。きっと、ほぼないということを…舞美ちゃんは、知っているのだろうか。
それは、ボクには分からなかった。

25 :
>>24
翌朝。
祖父はまだ、との戦いを続けている。『容態変化なし』という一言だけが、ボクに知らされた新しい情報だった。
ボクは学校に向かった。正直言えば行きたくなかったが、文化祭の直前でもあるし、行かざるを得なかった。
教室に入って、自分の席に座ったら、誰かが近づいてきた。舞美ちゃんだった。
「おはよ」
「…おはよ」
彼女はいつもと変わらない、優しい笑顔でボクに接してくれた。とてもありがたいと思ったが、上手にその気持ちを伝えることのできない自分に、
ボクは内心少し腹が立った。
「…眠れた?昨日」
「…うん、まあ、少しだけ」
なかなか眠れないまま夜が過ぎて行った。だから、ボクは浅い眠りを少し取っただけで学校へ向かうことになった。でも、あまり眠いとは思わない。
いつもなら間違いなく、眠さのあまり行動に支障をきたすような状態なのに…
不思議なものだ。人間、こういう時はほとんど眠れなくても、別に眠いとは感じないように作られているらしい。
「何かあったら、いつでも言ってね」
「…ありがとう」
やっと彼女にお礼を言うことができた。でも、その言葉は相変わらず弱々しくて、力のないものだった。
『どうしてもっとちゃんと舞美ちゃんにお礼が言えないんだろう』
ボクは心の中で自分を責めた。そして、彼女に心の中で謝った。

26 :
>>25
チャイムが鳴って、時間割通りに授業が始まった。
"いつもと変わらない一日"が、何事もなく過ぎて行った。昨日までなら、特に何の感慨も抱くことはなかったはず。でも、この時のボクには、
それがとてもありがたいものに思えた。
放課後。ボクはいつものように一人残って、昨日できなかった分まで、作業に勤しんでいた。
クラスの他の生徒を使えるのはせいぜい前々日からである。体育系の連中はそれぞれの部活動が忙しいし、文化系の連中だって各自、
部の出し物があるので、あんまりクラスのことを手伝ってはくれないのだ。
逆にいえば、ボクはそのどちらでもない立場だからこそ、こんな仕事を『させられて』いるのだけれど…
作業の合間に、ふと教室の前の廊下に立ってみた。窓の外から見える反対側の校舎では、生徒会の連中が忙しく動き回っている。
汗だくになりながら、立て看板に一生懸命ペンキを塗る舞美ちゃんの姿が見えた。
「ボクも頑張らなきゃ…」
そう、予定された日付は待ってはくれないのだ。たとえ一人でも、ボクが頑張らなければ、事は前に進まない。
どれくらい一人で勤しんでいただろうか。時計を見たら夕方六時半を回っている。一年で最も日の長い時期に差し掛かっているが、
大分日も傾いて、空も暗くなってきた。
「そろそろ帰るか…」
昨日の分の遅れをカヴァーして、おつりが来るか来ないか程度には作業が進んだ。今日はこれくらいで引き上げよう。
(つづく)

27 :
お疲れ様です
他に誰も居なくなった?

28 :
>>26
教室を出たボクは無性に甘いものが飲みたくなって、売店の自販機へ向かった。
紙コップのサイダーを買い、一人で飲んでいたら、
「あっ、先輩!」
茉麻ちゃんがひょっこり顔を出した。聞けば、彼女も今の今まで自分のクラスの作業を手伝っていたのだという。
「へー、優しいねぇ」
「先輩こそ、こんな遅くまでお疲れ様です」
茉麻ちゃんはボクの祖父の一件をおそらく知らない。知らないから、たぶんこんなに笑顔でいてくれるのだろう。
別に嫌じゃないが、その笑顔に笑顔を返せない今の自分が申し訳ない、とは思う。
「元気ないですね。どうか…したんですか?」
ボクの変化に気付いた彼女がそう訊ねた。
さて困った。素直に話すべきか、話さざるべきか、話すにしてもここで話すべきか、場所を改めるべきか…
ちょっとだけ考えて、ボクは一つの結論を出した。
「よかったら、一緒に帰らない?」
「いいですよ」
茉麻ちゃんは素直に従ってくれた。よかった。これで絶望感に苛まれるまでの時間を、ちょっとだけ引き延ばすことができそうだ。

29 :
>>28
校門を出るころには、外はすっかり日が落ちて暗くなっていた。空にはいくつかの星が浮かんでいる。
「で、先輩、どうしたんですか?」
「ああ…さっきの話、か…」
結局、ボクは彼女に…事のいきさつを素直に話してしまった。
祖父が突然倒れたこと、おそらく長くは持たないであろうこと、その姿を見て大泣きしてしまったこと、自分が何もできないのを
思い知らされ、絶望してしまったこと…
話しているうちに、ボクはだんだんと自分の声が涙交じりになっていることに気がついた。
「先輩…」
茉麻ちゃんが押していた自転車を止めた。ボクも足を止めた。
「ボクは…何もできない…辛いんだ…
 何とかしたいのに…自分がどうすればいいのか、分からないんだよ…」
必に我慢してきたのに堪え切れず、ボクはまた泣いてしまった。彼女の前では…気丈に振る舞っていたかったのに…

30 :
>>29
茉麻ちゃんは何も言わなかった。何も言わないまま、ボクの手を優しく握ってくれた。
目が合った。彼女の美しい瞳も…ボクと同じように、うっすらと涙が滲んでいた。
それを見たら、ボクはまた、溢れ出ようとする涙を堪えることができなかった。先輩の面目も何もあったものではない。ないけれど、
彼女の優しさに甘えてしまいたかった。
「ごめんね、こんな情けないとこ見せて…」
「…いいんですよ、先輩。謝らなくていいです。でも…」
「でも?」
「…これが…もし、先輩の役に立ってくれたら、いいんですけど…」
そう言って、彼女は空を見上げた。その動きに合わせて、ボクも同じように空を見上げる。雲のない夜空に、相変わらずいくつかの星が
浮かんでいた。

31 :
>>30
「私、何か辛いことや悲しいことがあったら…星を見るんです」
「星?」
「泣きそうになったら…空を…星を見て…上向いてるうちに…なんか…涙が止まっちゃって」
そう言うと、茉麻ちゃんはボクにこう囁いた。
「だから、先輩も…辛くなったら、星を見てください。きっと…涙が…止まると思うから…」
「…うん」
振り子のようにあちらこちらへと振れていたボクの心が、少しだけ落ち着いた気がした。
彼女の純粋無垢な優しさに触れれば触れるほど、落ち着ける気がする。できれば、もっともっと触れていたい、と思った。
「先輩…何かあったら…いつでも連絡ください。話ぐらいは…聞けると思うから…」
「…ありがとう。でも、大丈夫。きっと…何とかなるさ」
ボクは…精一杯の笑顔を作って、彼女と別れた。
一人に戻った時に気がついた。
『偽りの笑顔を作ることは、これほど大変だったのか』と。
その日の夜十時二十六分、祖父が74歳でこの世を去った。脳出血が因だった。
(つづく)

32 :
>>27
|ω・) ありがとうございます しばらくはシリアスな話が続きますが… まあ、これも全部伏線や前振りということで…

33 :
しばらく更新してなかったので久しぶりにこのサイトみたら来てた!
最高です!次も期待してますo(^▽^)o

34 :
>>31
翌日…学校を二日ほど『忌引』で休むことになったボクは、通夜に参列した。そこで棺の中に納められた祖父の亡骸に対面した。
すべての医療機器から解放された祖父の顔は安らかだった。でも、どんなに安らかなに顔をしていたとしても…
大切な人を失った悲しみが消えるわけではない。
亡骸を見ているうちに、ボクはまた泣いてしまった。思いっきり泣いてしまった。そして、あることを思い出す。
「じいちゃん…おっとうのところに…行ってしまったんだね…」


35 :
>>34
誰にも言えなかったこと。できれば、誰にも知られたくないと思っていること。
それはボクが今よりもっともっと幼かった、ある夏の雨の日の記憶。

36 :
>>35
「おっとう!はやくー!」
「にいちゃん!まってよー!」
ボクには二つ年下の弟がいた。ちゃんとした名前はあるけれど、ボクは彼のことを『弟=おっとう』と呼んでいた。
逆に彼もボクのことを名前では呼ばなかった。もっぱら『にいちゃん』である。
ボクによく懐いてくれて、ボクより目鼻立ちがはっきりとした、可愛い弟だった。
たまたま母親のいない日だった。レインコートを羽織ったボクと弟は、雨が降る中、家へ急いで帰ろうとしていた。
家の前の道路に差し掛かった。信号のない道だった。
「まだわたれるぞ!はやく!」
「まってよー!」
ボクが先に道路を渡った。遅れて、弟が渡ろうとした。その瞬間。
「…あっ!」
見通しの悪い場所からスピードを上げたトラックが走ってきた。
しまった。『車が急に飛び出してくるから、気をつけろ』と言われていたのに…
ボクは弟に引き返させようとした。でも、遅かった。

37 :
>>36
ボクの目の前で、鈍い衝撃音がした。
弟は、トラックに撥ねられた。弟の黄色いレインコートが、真っ赤に染まって…
「おっとう!!」
恐れをなしたのか、トラックは救助もせず逃げて行った。ボクは弟のそばに駆け寄った。
「にいちゃん…いたいよぉ…いたいよぉ…」
薄れていく意識の中で、弟はボクに…確かにそう呟いた。その声は確かにボクに聞こえた。
でも…ボクは…何もできなかった。

38 :
>>37
その後、弟は意識を取り戻すことなく、息を引き取った。短い命。短すぎる一生。
何日か経って、弟を撥ねた犯人が捕まった。をして、いくばくかのお金が我が家に支払われた。でも、人の命は…お金で買えるものじゃない。
どんなにお金を払ってもらおうが、たとえ犯人が命で償おうが、弟は…もう二度とボクに笑ってくれることはないのだから。
それ以来…ボクは雨の日が大嫌いになった。
雨が降ると、あの日のこと…鈍い衝撃音、血まみれのレインコート、弟の最期の声…を思い出してしまう。
「おっとうをしたのは…ボクだ…」
あの時、ボクが急かさなかったら。
手をつないで、一緒に歩いていれば、きっとこんなことにはならなかったはず。
確かに撥ねたのはトラックだ。
でも、その状況を呼び込んだのは…ボクだ…

39 :
>>38
弟の葬式で、ボクはその事実を両親や親族
…亡き祖父もいた…
たちに告げた。
誰一人、ボクを責めなかった。当たり前のことなのかもしれない。小学校にすら入っていない当時のボクに、責任を背負わせることなど、
できようはずもない。
でも、ボクは…今でもずっと…弟をしたのは自分だ、と思い続けている…
「ねんねーころーりーよー…」
棺の中に入った弟に向けて、母親は…弟が大好きだった子守唄をずっと歌い続けていた。その記憶は、今もボクの脳裏に焼き付いている。
それ以来…ボクは子守唄を聞くのが大嫌いになった。子守唄を聞くと…あの日、棺の前で涙声になりながら、ずっと歌い続けていた母親の姿と、
大好きだった弟のことを思い出して…
「おっとう…ごめんな…ごめんな…」
『大好きだった弟をしてしまった』
…ボクは雨の日に刻まれた記憶と、忌まわしい十字架を背負いながら、それからの人生を生きることになった。

40 :
>>39
それからしばらくして、ボクたちは今の家に引っ越した。だから、ボクが学生生活で出会った人たちは、ボクの『過去』を知らない。もちろん、
ボクにはその方が都合がよかったことは言うまでもない。
新しい家の一部屋に、弟の仏壇がある。弟の…小さな小さな遺骨の一部が、そこに供えられている。
その部屋の存在は家族と一部の親族以外、誰も知らない。
どんな友達も、佐紀も、舞美ちゃんも、千奈美ちゃんも、梅田さんも、そして茉麻ちゃんも知らない。
恐らくこれから先も…彼女たちが知ることはないだろう。
『ボクが弟をした』なんて、知ってほしくもない…
生きていれば、弟は今年、高校生になっていたはずだった。きっと、ボクよりも女の子にモテる、人気者になっていたはずだ…
あの人懐っこい笑顔で、ボクと仲良くしてくれていたのだろうか。それとも、喧嘩の絶えない兄弟になっていたのかな。
…その真相は、永遠に分からない。

41 :
>>40
千奈美ちゃんについた、二つ目の嘘。
「え?きょうだい、いないの?」
「…まぁ、そんな感じ」
嘘だった。本当は、大好きだった弟を…自分のせいで…してしまった…
「おにいちゃん、か…」
あの日、千奈美ちゃんを膝の上に乗せて、思い出してしまったこと。
「にいちゃん…いたいよぉ…いたいよぉ…」
それは、あの夏の雨の日、弟を介抱しようとした時の態勢にそっくりだった、
ということ。
(つづく)

42 :
.....切ない

43 :
俺も書きたいけど書いていいのかな?

44 :
汝の為したい様に為すが良い

45 :
<プロローグ>
妻に子供が宿った。
俺はそれを聞いて少し複雑な気持ちになった。
俺は人生を真っ当に生きたことがない。そんな男が子供を育てていいのだろうか?
「あなたの青春はどれもかけがえのないものだったのよ」
妻はそう言ってくれるが、実際本当にかけがえのないものだったのだろうか?
先など見えなかったあの頃。
何度も後悔した日々。苦しくてのうとした時もあった。

そんな記憶を俺は大切にしたいとはあまり思えなかった。

.....ただ一つ。彼女達に出会ったこと。そのことだけはよかったと思える。
俺の頭の中に浮かぶ妻も含めた七人の女性。出会った時間は違えど、皆俺に大切なことを全て教えてくれた。
この出会いだけは、誇れる。

46 :
こんな感じで書いてみようと思いますが、どうでしょうか?
エロ小説は初なのでグダグダになりかねないと思いますのでどうか暖かい目で見守って頂けたら嬉しいです.....
千奈美に文も上記の通り下手ですw 更新も遅いかも

47 :
>>41
告別式が終わり、祖父は小さな骨壷の中に入った。
弟と同じように、小さな壷の中に入った祖父を見たら…ボクは何ともやりきれない気持ちにさせられた。
ボクはまだ悲しみから抜け出せないままでいた。でも、学園祭は目の前に迫っている。
『すべてが終わるまでは、辛いことがあっても我慢しよう』と心に誓った。
学園祭の前の日。午後からの授業は全部カットになり、生徒全員、それぞれのクラスや部活動の出し物の準備をすることになる。
これまではほとんど全部ボク一人でやっていた仕事だが、ようやくクラスメイトの力を借りられるようになった。
「じゃあ、これ、色塗っといて。赤でお願いね」
「じゃあ、これ、あっちに貼っておいて」
「じゃあ、これ、一緒に持っていこう」
指示を出すのは大体ボクだ。もちろん自分の仕事もあるので、それをこなしながらみんなに指示を出す。忙しい。忙しくて忙しくて
悲しみに浸っているヒマなどない。
その意味では、いい時間だったのかもしれない。他のことを考えなくて済むからだ。だから、少しでも時間が空かないように、ボクは
何かあれば他の人の作業も手伝った。

48 :
>>47
準備作業が全部終わったのは夕方の六時過ぎだった。でも、まだ家に帰りたくない。
というか、一人になるとまたあれこれ考えてしまうから、できれば学校の中にいた方がいい。
そう思いながら歩いていると、いつしかボクの足は生徒会室の方に向いていた。こっそりドアを開けてみる…
が、中はもぬけの殻だ。
みんなどこへ行ったのだろう…と思っていたら、同じクラスの男が来た。彼も生徒会の一員だ。
「おや、○○、何やってんの?」
「いや、クラスの準備は全部終わったからさ、何かあったら手伝おうかなって」
「マジ?まだ仕事残ってるんだよ…じゃあ、手伝ってくれ」
彼に言われるがまま、ボクは膨大なパンフレット用紙の印刷作業を手伝うことになった。
印刷室の中は使い古しのトナーから発せられるインクの香りが充満していた。
「そう言えば、前はよく手伝いをさせられたなぁ…」
あれだって、別にやりたくてやっていたわけではなかったのだ。誰もやりたがらなかったから、しぶしぶ引き受けただけの話。
ただ、あの仕事を引き受けなかったら、舞美ちゃんと出会うことはなかっただろうし、仲良くなることもなかっただろう。
その意味では、悪くなかったのかもしれない…
なんてことを考えていたら。

49 :
>>48
「あれ?どうしたの?」
舞美ちゃんがこっちを見て立っていた。制服のあちこちにペンキをつけながら。
「何かさ…帰りたくなかったからさ、ちょっと手伝おうと思って」
「そっか」
舞美ちゃんはあれこれ言わなかった。その代わり、一つだけこう言ってきた。
「明日、文化祭終わった後…
 何時になるかわかんないけど、時間ある?」
「うん、いいよ。
 …でも、どうしたの?」
「全部終わったら、二人で会おうよ」
「いいの?」
「…いいよ」
ボクと舞美ちゃんは、明日の夜に会う約束をして、そして…また『他人のふり』をして別れた。その後、生徒会の仕事を
二時間ばかし手伝ったが、彼女とは一言も言葉を交わさなかった。

50 :
>>49
文化祭当日の朝が来た。空は快晴。雨の心配はしなくて済みそうだ。
ひょっとしたら、『晴れ男』だった祖父が晴れさせてくれたのかな、そんなことをふと思った。
当日準備の関係で、ボクはいつもより一時間早く家を出た。
朝七時過ぎ。人影もまばらな学校にやってきて、一人準備をする。
「おはよ」
舞美ちゃんが現れた。彼女はボクよりもさらに一時間前に来て、お客さんに配るパンフレットの整理や、ゲートの取り付け作業を
していたそうだ。
「いよいよ…今日だね」
「うん」
今日が終わればすべてが終わる。少しだけ、のんびりする時間が取れる。
「じゃあ、何時になるかわかんないけど、必ずメールするから」
「うん」
そして、どちらからともなく、『頑張ろうね』と言い合って別れた。ボクも大変だが、彼女はボクの倍ぐらいの量の仕事をすることになる。
そのことは、ボクも知っていた。
去っていく舞美ちゃんの後ろ姿を見ながら、ボクはただただ、彼女の仕事がうまく行くことを願っていた。

51 :
>>50
朝九時。模擬店スタート。
そこからはもうひたすら働いた。時間の感覚も忘れてクレープの皮を焼き、接客をし、洗い物や後片付けをし…
鉢巻きのように巻いたタオルはすぐに汗まみれになった。でも立ち止まっていられない。ひたすら集中、集中、集中…
好天も手伝って、クレープは順調に売れた。『余ったらどうしようか』の心配はしなくて済みそうだ。
午後三時半、クレープ完売。作業終了。
午後四時、模擬店終了。
午後六時、撤収完了。

52 :
>>51
「じゃあ、みんな、おつかれー!!」
すべてが終わった。ボクはいろんなことがあったこの一週間、すべてのプレッシャーから解放された気がして、ホッとした。
「なあ、○○も、打ち上げ来るだろ?」
クラスメイトの言葉でふっ、と我に返る。
「ああ、後で行くよ」
みんなが三々五々、学校を後にしていくのを見届けて、ボクは誰もいない教室に一人入った。
「終わった…全部…終わったんだ…」
今までの疲れがドッと出てきたのと、安堵感と、今まで抑えてきたいろんな感情とが混じり合って、そしてそれらすべてから解放されたような気がして、
ボクはまた泣いてしまった。
自分が脆い人間だということを改めて思い知らされた一週間だった。自分が無力だということも痛感させられた一週間だった。
でも、自分に優しさを与えてくれる人がいるということ、そしてその優しさがいかにありがたいかを知った一週間でもあった。
結局のところ、ボクは彼女たちの優しさに甘えてしまっていたのである。それは自分でもよく分かっていた。でも、彼女たちの優しさに甘えられなかったら、
きっとボクは職務を全うすることなどできなかっただろう。
舞美ちゃんの優しさ。
茉麻ちゃんの優しさ。
形は違えど、ボクにとっては、どちらも大切なものだった。彼女たちがいなければ、今のボクはいないのだから。

53 :
>>52
心の中でいろんな感情が混じり合いながら、ひとしきり泣き続けたボクが、ふっ、と冷静さを取り戻した時、ボクの携帯電話にメールが届いた。
舞美ちゃんからだった。
『今から生徒会みんなで片付け作業があるから 全部終わったら10時とか11時とかになっちゃうかも…
 私は何時でも大丈夫だけど それでも平気?』
よほど急いでいたのだろう。顔文字も絵文字もないまま、文字だけが羅列されている。
ボクに断る理由はなかった。昨日の『約束』は、どんなに遅くなっても必ず果たしておきたかった。
『構わないよ。全部終わったら 連絡ちょうだい』
制服は汗だくで着れたものではないので、ボクは駅のコインロッカーに私服を預けていた。駅のトイレでこっそり着替え、打ち上げに行く。
打ち上げが終わり、カラオケに行く人と行かない人に別れた。ボクは舞美ちゃんとの約束があったので『行かない』方を選び、みんなと別れた。
「じゃあ、またなー」
みんなと別れて一人歩いているうちに、ボクはまた泣きそうな気分になった。そうだ、こういう時こそ…
空を見た。
「じいちゃん、おっとう…見てたか。
 ボク、がんばったよね…?」
そんなことを、夜空に向けて呟いた。
すると、自然に涙が止まった。茉麻ちゃんの教え、どうやら効果があったらしい。それとも…祖父と弟のおかげ、なのだろうか。
駅へと歩いていたら、携帯電話が鳴った。舞美ちゃんからだった。十分後に駅に着くと言う。
(つづく)

54 :
|ω・) 話がごっちゃにならないように、名前欄に題名を入れることにしました
    これで少しは分かりやすくなる…かな?
>>45-46
|ω・) 乙です あんまり人のいないスレですが 心折れずに…w 頑張ってください
    期待しています

55 :
久々に盛り上がってるね!

56 :
なかなか盛り上がってる。

57 :
>>53
辿り着いた、駅の前。
「お待たせ」
舞美ちゃんが現れた。彼女もどこで着替えたのか、私服姿だ。ペンキがところどころついたあの制服で、街を歩くのは確かにマズい。
「じゃあ、行こっか…」
ボクと彼女は特に行き先も決めないまま歩いた。しばらく歩いて、公園にたどり着いた。夜遅くなったこともあってか、周囲は誰もいないようだ。
舞美ちゃんがベンチに座っている間、ボクは近くの自販機でジュースを二つ買った。どっちからともなく『乾杯しよう』という話になったからである。
「じゃあ、お疲れ!乾杯!」
舞美ちゃんは(努めて?)明るく振る舞っていた。ボクを元気づけようとしたからなのだろうか?
一方ボクはといえば、少しずつ口数が減っていった。疲れがドッと出ていたのである。
「でも、大変だった…ね…」
祖父がんだことは舞美ちゃんも当然知っている。先に彼女が、その話題を振ってきた。
「うん…まあ…」
ボクはそう返すと、ゆっくりと話し始めた。

58 :
>>57
いろんなことが立て続けに起こって、自分の整理できる範囲をとっくに超えてしまっていた。
気持ちの整理もつけられないままに、ただただ文化祭までを乗り切った。
終わった途端、ドッと疲れが出てきた。
だから、まだ心の中で気持ちの整理ができないままでいる…
という趣旨のことを。

59 :
>>58
すると、彼女はこう呟いた。
「○○くんが…どんどん落ち込んでいくの、見ててよく分かってた。でも、こういう時…どうやって接してあげたらいいんだろうって…
 考えたけど…どうしていいか、わかんなくて…
 私、何もできなかったね…ごめんね」
彼女に非があるわけがない。というか、なぜ謝る必要があるのだろう。でも、彼女はボクに頭を下げている。
「いいよ…いいんだよ…」
ボクは舞美ちゃんの顔を直視できず、正面を眺めた。何の動きもないブランコが二つ、並んでいた。
「…私…何の力にもなれなくて…ごめんなさい」
舞美ちゃんが泣いていた。そんな彼女の姿を見て…ボクも堪え切れずに泣いた。
一緒に泣いた。涙が止まらなかった。

60 :
>>59
ボクは彼女の肩を抱くと、そっと顔をこちらに向けさせた。
「泣いちゃったから…変な顔になってるよ…きっと」
「いいよ、そんなことは…どうでもいいさ。
 嬉しかったんだ。一緒に泣いてくれて…
 すごく、嬉しかった」
ボクはそっと彼女の唇を求めた。触れ合う唇と唇。
ゆっくりと舌を出していくと、彼女もそれに応えてくれた。絡み合う舌と舌。
ゆっくりと唇を離すと、目に涙の跡の残る彼女の顔が、ほんのりと赤くなっていた。
「抱いて…」
彼女がそう呟いた。いいのだろうか。ここは外である。今は誰もいないが、人が通る可能性だってゼロじゃない。
それなのに…
「…いいの?人、来ちゃうかもよ?」
ボクはそう訊ねた。でも、舞美ちゃんは…さっきボクが発した言葉と、同じことを言うのである。
「今はそんなこと…どうでもいい…
 ○○くんが…楽になって…喜んでくれるんなら…私は…どんなことでも…してあげたいよ…」
そして、ベンチの上で、ボクは彼女を抱いた。

61 :
>>60
しばらく、二人はそのままでいた。不思議なことに、汗かきな彼女の汗を体に浴びても、ボクはちっとも不快とは思わなかった。
時間をかけて、ゆっくりと…体勢を変えて、ボクは彼女の胸に顔を埋める。舞美ちゃんの腕力で強く押し付けられるような形に
なって、少し痛かった。
「ん…ちょっと…痛い…かも」
「あっ!ごめんね…大丈夫?」
舞美ちゃんはそう言うと、
「ね、ちょっとだけ、後ろ向いてて」
と言って、ボクを後ろに向かせた。一体何をする気なんだろうか。
しばらくすると、ボクは突然後ろから抱きつかれた。
「これで…いいよね?」
彼女の胸にあった『硬い感触』が消えた。ひょっとして…
「ブラ、取っちゃった…痛かったら、嫌、なんでしょ?」
そんな声が聞こえた。

62 :
>>61
「ってことは…今…」
ボクの問いに、彼女は首を縦に動かした。アゴがボクの背中に当たったから、縦に振ったのだと理解できた。
「いいの?ボクだって、男なのに…」
「言ったでしょ?
 …○○くんが…喜んでくれるなら…楽になってくれるなら、どんなことでもしたい、って」
そう言うと、彼女はさっきと同じように、ボクを深く抱きしめた。硬い感触はもうなかった。
ボクは…自然に、彼女の乳房の中心に、引き寄せられていた。シャツの上からではあるが、ゆっくりと吸いついていく。
「あっ…ちょっとぉ…」
舞美ちゃんはそう言いながらも、ボクの髪を優しく撫でた。それは、まるで母親が乳飲み子に対してするのと同じような
行為だった。

63 :
>>62
ボクは下から舞美ちゃんを見上げた。彼女と目が合った。
「もう…甘えん坊さんなんだから」
でも、その声にネガティブな部分は感じられなかった。いつもの、優しい彼女の声。
「ごめんね…」
「…もっと、したい?」
ボクは黙って頷いた。
「…しちゃいけないことだとは、分かってるんだけど…」
舞美ちゃんは笑って首を横に振った。
「いいよ…さっき言ったじゃない、『どんなことでもしたい』って。
 でも…ここじゃさすがに…やっぱり、ちょっと恥ずかしくなっちゃった、から…」
そして、彼女はボクの耳元で囁いた。

64 :
>>63
「私…今夜は…帰りたくない。帰さないで。
 ○○くんの…そばにいたい」
(つづく)

65 :
<小学六年生・春>
小5から一学年上がった俺は.....正直変わらない生活をしていた。
というよりもいつもそんな感じだった。この年は卒業を少し意識するようになるくらいで、本当に去年と変わらない生活を送っていた。
クラス替えもそこまで影響はなかった。俺の通っていた小学校は全学年三クラス制。6年も経てば誰とでも知り合うことが出来るような状態で、心機一転程度としか思えなかった。
ただ、その心機一転も最初は少しの楽しみになるのだろう。
「○○!俺お前と同じクラスだって!」
小学生の頃、一番仲がよかった高橋が叫ぶ。
「おう!そうらしいな」
「しかもしかもな!なんと.....真野ちゃんと同じクラス!キタァー!!」
「.....はいはい」
明らかに俺と同じクラスになったことはついでで、真野さんと同じクラスになったことを喜んでいた。まあそりゃそうだろう。

この時はまだ恋など経験したことはなかった俺だが、恋愛と友情なら恋愛を取るのが普通であることくらいは理解していた。俺も決してそこまで熱い友情を求めていなかった。

66 :
ミスった.....
もう一度書き直しますm(_ _)m

67 :
<小学六年生・春>
小5から一学年上がった俺は.....正直変わらない生活をしていた。
というよりもいつもそんな感じだった。この年は卒業を少し意識するようになるくらいで、本当に去年と変わらない生活を送っていた。
クラス替えもそこまで影響はなかった。俺の通っていた小学校は全学年三クラス制。6年も経てば誰とでも知り合うことが出来るような状態で、心機一転程度としか思えなかった。
ただ、その心機一転も最初は少しの楽しみになるのだろう。
「○○!俺お前と同じクラスだって!」
小学生の頃、一番仲がよかった高橋が叫ぶ。
「おう!そうらしいな」
「しかもしかもな!なんと.....真野ちゃんと同じクラス!キタァー!!」
「.....はいはい」
明らかに俺と同じクラスになったことはついでで、真野さんと同じクラスになったことを喜んでいた。まあそりゃそうだろう。
この時はまだ恋など経験したことはなかった俺だが、恋愛と友情なら恋愛を取るのが普通であることくらいは理解していた。俺も決してそこまで熱い友情を求めていなかった。

68 :

そんな高橋の浮かれた話を軽く流すと、今度はもっとうるさい奴が現れた。
「◯◯おっはよ〜!」
背中を強くたたかれた。声の主とそのいつもの行為でその正体がわかった。
「嗣永.....また同じクラスか」
「またって何よ〜。嬉しいでしょ?」
「そうだな〜」
高橋に返答した時と同じくらいのテンションで俺はいった。

69 :

「ちょっと〜!何よその棒読み!」
「そりゃあそうだろうな。しかも嗣永が同じクラスとか真野ちゃんがかわいそうだな〜」
高橋がやれやれという手つきをする。それに桃子が敏感反応した。
「うわ〜ん、ひど〜い!◯◯〜」
さっきの俺の棒読みはすっかり忘れて、桃子が俺の腕を掴む。決してこの時は桃子と付き合っていたわけではない。いつものスキンシップだった。少しおかしいかもしれないが、桃子といるていつもこの流れになっていた。
だが、この時はいつもの流れにならなかった。

70 :

桃子が腕を勢いよく掴みすぎてしまい、
「ちょっ、つ、つぐな.....!」
「きゃ、きゃあ!」
桃子が俺をのしかかるように倒れた。
「いっ、いってえ.....」
そう呟きながら瞑っていた目を開いた。
するとそこには.....当たり前だが桃子が目の前にいた。
「ご、ごめん、◯◯.....」

申し訳なさそうな顔で桃子が謝った。
思わず俺は.....

71 :

「い、いいからそこをどいてくれない?」
「へ?あ、ごめ〜ん!」
今度は少しにやけた。にやけながら桃子は立ち上がった。
「おいおい、朝からお盛んだな〜」
「◯◯と嗣永が熱愛報道か!」
「うるせぇ!!」
俺はからかっている男子達にブチ切れながら立ち上がる。
そして、恥ずかしさの余りに自分の席へさっさと戻った。
確か、その時の桃子も少し顔を赤くしていた。

72 :
あの人は〜悪魔〜
.....誰もいないな

73 :
いるよ
お疲れ様

74 :
>>64
舞美ちゃんがそんなことを言ってくるなんて、予想していなかった。だから、ボクは驚いて訊き直した。
「いいの?親、厳しいんじゃ、ない、の…?」
すると、彼女はなぜか不機嫌な表情になった。
「そんなこと、どうでもいい。理由は後でいくらでも、作れるし…」
決して大きな声ではないけれど、彼女の話す言葉には確かに迫力というか、『強い気持ち』みたいなものが感じられた。それに圧倒されてしまって、
ボクは言葉を返すことができなかった。
そのまま、彼女が続けた。
「だから、今夜は、一緒にいようよ…いいでしょ?」
ボクは覚悟を決めて、黙って頷いた。そして…彼女の気持ちに押されたせいか、自分でも予想していなかったことを口走ってしまう。
「…ボクの家、来る?親、いるけど…」
「平気なの?私が行っても…」
「…わかんない。でも…あんまり…遠くには…行きたくないんだ…疲れちゃって…」
ボクがそう言うと、舞美ちゃんは小さく頷いた。
「そうだよね。○○くん…疲れちゃってるもんね。
 いいよ…
 連れてって。バレないように、気をつけるから」

75 :
>>74
そして、ボクは…舞美ちゃんを連れて、自宅へと向かうことになった。まさかこんな展開になるとは…彼女も思っていなかったに違いない。

76 :
>>75
歩く道すがら、ボクは舞美ちゃんに自宅の間取りを教えた。親にバレてしまったら何かと面倒なことになる。ミッションは完璧に遂行しなければならない。
「ドア開けたら、先にまず居間があって、そこの入口にもドアがあるから…ボクが目配せしたら、一人で階段を上がってくれる?ボクが親の注意を
 引きつけてる間に、上に上がって。で、廊下を歩いて行って…突き当たりが、ボクの部屋だから」
「わかった」
「ああ、それから悪いけど…靴は…部屋に持って上がってもらって、いい?」
「いいよ。部屋に持って入って大丈夫?」
「うん」
舞美ちゃんが真面目な顔をして聞いてくれるものだから、ボクもつい真面目な顔をして、あれこれと話してしまった。そして、話し込んでいるうちに、
二人はボクの自宅の前までやってきた。
「じゃあ、始めるよ」
「…うん」
たかだか家に入るだけなのに、ボクらはまるで強盗だか、スパイのように綿密にあれこれと打ち合わせをし、そしてミッションを遂行しようとしているのである。
でも、舞美ちゃんと二人でこんなことをしている時間が、ボクは心のどこかで…少しだけ、楽しいなと思った。
何でそう思ったかと訊かれたら…上手に答えられないけれど。

77 :
>>76
作戦は成功した。舞美ちゃんはボクの両親に気付かれることなく、ボクの部屋の前へと移動した。ボクはボクで、両親に帰宅したことを告げて、
疲れたから部屋に籠ると言い、そして冷蔵庫から水とお茶を取り出して、階段を上った。

78 :
>>77
階段を上って廊下に立つと、ボクの部屋の前で舞美ちゃんが待っていた。
「お待たせ。うまくいったね」
ボクがそう言うと、彼女も笑った。そして、ボクが部屋の扉を開け…
「おじゃまします」
舞美ちゃんが、ボクの部屋へとやってきた。朝、この部屋を出た時には、まさかこうなるとは思いもしなかった。
世の中は不思議、何が起こるか、わからないものである。
「あんまり騒げないけど…まあ、よかったら、のんびりしていってよ…」
「ありがと。○○くんも…私に構わずに、眠たかったら寝ちゃっていいからね?」
「うん…」
ボクは…万が一に備えて、部屋に鍵をかけた。そして、舞美ちゃんに冷えたお茶を渡す。すると、彼女はそれをすぐに飲んでしまった。
よほど喉が渇いていたらしい。
「私さ、ほら、汗かきだから…すぐ喉が渇いちゃうんだよね」
そう言って、彼女は笑った。ボクにはそれが『いつもより明るく振る舞おうとしている』ように思えた。いつもより明るく振る舞って、ボクに寂しい
思いをさせないようにしようという彼女の優しさ。でも、今のボクは…それにちゃんと応えてあげられない人間になってしまっている。
内心、彼女に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

79 :
>>78
会話が途切れた。しばらくして…
「ちょっと暑いね、この部屋…冷房、ある?」
舞美ちゃんがそう言った。ボクは黙って冷房のスイッチを入れる。冷たい…というよりはまだ少々生温かい…風が吹いてきた。
「ごめんね…すぐには…涼しくならないんだ」
「わかった。いいよ、気にしないで」
彼女はそう言って、また笑った。
舞美ちゃんがゆっくりと立ち上がって、そしてベッドの上…ボクの隣に座った。
ボクが彼女の顔を見る。
二人の目が合った。
(つづく)

80 :
お疲れ様!

81 :
遂に部屋にdkdk

82 :
>>71
嗣永桃子。彼女とは小学校生活に四度も同じクラスになった腐れ縁だった。
彼女の特徴はいつもテンションが高く、世間でいうぶりっ子キャラ。見ての通りそんな感じの少女だが、最初っからそんな女の子ではなかった。
彼女と初めて会った時は小2の頃。俺と桃子が初めて同じクラスになった時でもある。
その時の桃子は今とは正反対な性格で、人を寄せ付けずいつも一人だった。
そんな彼女だったが、その時も少し俺と関わりがあった。
一学年下で幼稚園が一緒だった舞波という女の子がいて、その女の子はよくクラスの子からハブられていた。なので、俺がよく助けてあげた。
そんな中、桃子は当時としては意外なことに舞波を気にかけていた。
俺はそのことを問いてみた。
「嗣永さん、なんで人と全く話さないのに舞波だけには優しくするの?」
「ん?ああ、醜いから」

その返答に俺は呆れたが、今思えばいわゆるツンデレだったのかもしれない。

83 :
終業式が近くなったある日、舞波が俺と桃子に父親の転勤で引っ越すことを告げた。
すると桃子は号泣しながら舞波にいった。
「あんたが転勤したらもう誰も守ってくれないのよ!?どうせあんたのことだから虐められて自してお終いよ!!」
酷い言われようだったが、舞波は優しく微笑んで桃子を引き寄せた。
舞波は現在モデルをやっている。人というものは不思議だ。今は一年に一回、ある行事に舞波と会っている。

84 :
終業式が終わり、舞波が引っ越し、小3になった俺はある女の子と出会うことになるが、桃子と関わることはなかった。
一年の間を空けて俺は桃子と再会した。その時の桃子はもうぶりっ子になっていた。
桃子の性格の突然変異の理由。残酷な事実を俺は知ることになる。
「嗣永とは上手くいってるか?」
「うっせえ!すぞ!」
俺はあの事件から散々からかわれた。でも俺は情けないことにあれをきっかけに桃子を意識し始めた。
四年の歳月もかけて。

85 :
少しスペースを空けすぎたかもしれない.....見にくい
しかもこれだけ時間をかけてたったのこれだけ.....
すみませんm(_ _)m

86 :
>>79
「おいで…」
彼女の言葉を聞いたボクは、まるで催眠術にでもかかったかのように、素直に体を彼女に預けた。
そして、さっきと同じように…ボクは彼女の腕に抱かれるのである。
ゆっくりと、彼女の腕に抱かれ、胸に顔を埋め、そして…
「さっきの続き…したい?」
「…うん」
ボクが小さな声でそう答えると、彼女は…
「じゃあ、ちょっと待って。目…閉じて…」
そう言って、ボクに目を閉じさせた。彼女の腕がボクの体をホールドする。そして、
「ん…」
彼女の唇が触れたのがわかった。優しいキスを交わす。
唇が離れた。ボクはまだ目を開けられない。何が起こっているのかは、感覚で察するしかない。

87 :
>>86
そして、ボクの唇に何かが触れた。
「いいよ…吸って…好きなだけ…吸っていいからね」
それが何であるかは、彼女のこの言葉で理解できた。ボクは目を閉じたまま、夢中で彼女のそれに吸いついた。
「…やっ!ちょ…っと…」
舞美ちゃんの上半身が一糸纏わぬ状態であることは、目を閉じたままのボクも知っていた。抱きしめられた時に…感じるはずのシャツの感触が
一切なかったからである。
『ボクの前に…裸の…舞美ちゃんが…いる…』
去年の冬のことを思い出した。でも、あの時と今とでは…ボクと彼女の関係も変わった、気がする。今のボクは情けなくて、弱々しい男だと自分でも
思うけれど、それでも…今の彼女なら…こんなボクでも、きっと優しく…受け止めてくれるに…違いない…
そう思うと、自然と体に力が入った。彼女の乳房に思いっきり吸いつき、舌を這わせていく。
ボクはまた『乳飲み子』に戻ってしまった。でも、彼女の前でなら…それでもいいや、と思った。自分の弱いところを曝け出しても、彼女はきっと、それを
受け入れてくれるはずだと信じることにした。

88 :
>>87
ボクがゆっくりと目を開けると、目の前に彼女の白い肌が見えた。そこから視線をだんだん上へと向けていったその先に、舞美ちゃんの顔があった。
二人の目が合った。舞美ちゃんはボクに微笑みかけると、片手でボクの頭を優しく撫でた。
「大丈夫だよ…何も怖がらなくて…いいから…
 しばらく…こうしてようね…」
そう言いながら、彼女はボクの頭を撫で続けた。ボクはたまらなくなって、再び彼女の乳房に吸いつく。
「ん…」
舞美ちゃんは去年の冬のように、やっぱりどこか声を抑え気味にしているように感じられた。でも、時々…我慢できなくなったように甘い吐息を漏らす。
その声を聞いたボクがさらに強く吸いつけると、
「んっ…」
再び甘い吐息を漏らす。あの冬の日よりも、彼女の表情は柔らかくなっていると感じた…声を抑え気味にしているところは、変わらないけれど。

89 :
>>88
しばらく、そんな時間が続いた。ボクは彼女の優しさにただただ甘え続けた。彼女はそれを嫌がる素振りも見せず、ボクを包み込むように、
受け入れていくのであった。
彼女の乳房の中心の丸い実は、ボクがどれだけ、何度も強く吸いついても、綺麗な桃色のままだった。
素直に、美しい、と思った。
上半身裸のままの舞美ちゃんが、ボクを導くように、ゆっくりと体を倒した。そのまま、ボクたちはまたキスを交わす。
「まいみちゃん…ボクは…」
自分の中にある感情を、ボクは抑えることができないと感じていた。それを彼女に伝えよう、そう思った。
「ボクは…キミのことが…」
「…待って」
舞美ちゃんの白い指が、ボクの唇に触れた。その行動の意味はボクにも理解できた。
それは、『それ以上何も言うな』、という意味のサインだった。
(つづく)

90 :
おっき!

91 :
>>89
「…どうして?どうしてさ?ボクじゃダメなの!?」
彼女には、ボクの言葉が責めているように聞こえたかもしれない。ボクは言った後でそう思って、
「…ごめん。言い過ぎた」
そう言って謝った。
舞美ちゃんは答えない。何も言わないまま、彼女は上半身裸のままだった自分の体に布団を巻き付けた。急に、二人の間に
大きな溝ができたような気がした。
溝ができた、そう感じたボクは彼女の顔を見ることができず、ぼんやりと部屋の壁を眺めていた。
重苦しい時間、重苦しい空気。それは、あの冬の日、二人でホテルの部屋に入った時に感じた空気と、同じように感じられた。

92 :
>>91
舞美ちゃんがゆっくりと口を開いた。
「…分かってる。○○くんの気持ちは…分かってる。
 でも、待って…」
彼女は途切れ途切れにそう呟いた。一体、何を待てというのだろう。ボクにはそれが分からなかった。
「待って、って…何を待てばいいのさ」
ボクがそう訊ねると、舞美ちゃんはとても険しい表情になった。どうやらボクは彼女に訊いてはいけないことを訊いてしまったらしい。
あの冬の日の記憶が、またボクの脳裏にフラッシュバックした。そうだ、あの時…
「それ以上は、訊かないで。○○くんのことは…大切な友達だと思ってるよ。思ってるけど…言いたくないことも…あるから…さ」
彼女は確かにそう言った。あれから半年経った。でも、ボクはまだ彼女の身に起こった『彼女が話したがらない出来事』の真相を知ることができないままでいる。
いろんなことがあって、お互い『親友』と呼べるような間柄になり、裸と裸を曝け出し合って、躰と躰を繋ぎ合っても、それでも教えてもらえないことのようだ。
じゃあ、これ以上何をどうすればいいのだろうか?

93 :
>>92
もしかしたら、ボクには一生教えてもらえないことなのかもしれない。それならそれで仕方ない。でも…もしそうだったとしたら、ボクは彼女に、今までと同じように
接することができるのだろうか。いや、最終的にはそうなれるかもしれないが、しばらくは前のようにまた『気まずい関係』が戻ってくるかもしれないな…
ボクはそんなことを考えていた。自分にも同じように『誰にも知られたくないこと』があることを隠したまま、そんなことを思っていた。それを思うと、ボクは自分が
『何とまあ、都合のいい人間なのだろう』と思って、ちょっと自己嫌悪に陥りそうになった。
もちろん、ボクのそんな心の中は、舞美ちゃんには分かるはずもないし、知られたくもないのだけれど。

94 :
>>93
ボクが一人、心の中でいろんな気持ちをごちゃ混ぜにしていた時だった。
「ごめんね…」
舞美ちゃんの声が聞こえた。ボクは視線を彼女の方へ向ける。二人の目が合った。舞美ちゃんの表情からは、さっきまで見えていた険しさが消えていた。
それを見たボクは少しだけ、自分の心が楽になったのを感じた。
「別にさ、○○くんのことが、嫌いな訳じゃない、大切な友達だって思ってる…ってのは、分かって…くれるよね?」
「…うん。だって…前も、聞いたしね」
「そっか。そうだよね…
 ほら、私さ、すぐ、いろんなこと忘れちゃう人だからさ、言ったかどうか覚えてなくて…あはは」
そう言って、彼女は笑った。でも、『すごく無理して作っている』、作り笑いな感じがありありと分かる。これも、去年の冬と同じだ。

95 :
>>94
「だってさ、ほら、私たち、受験生じゃない?だからさ、あんまり、そういうの、良くないんじゃないかなぁ…
 とか言って…」
それは、以前のボクが思っていたことと同じだった。そう、三年生になったばかりの頃のボクが思っていたこと。
でも、あの時と今とでは状況が違う。ボクは、今更そんな理由で自分の気持ちを否定されてしまうのは、どうにも納得できなかった。
それに…
『これもきっと、彼女が慌てて作った答えだ。舞美ちゃんの本心は…こんなことじゃないはず…』
ボクは心の中でそう思っていた。証拠は何もない。
何もないけれど、絶対そうだ、という確信があった。
「そんな理由で、自分の気持ちを否定されるの、嫌だよ…」
「…えっ」
彼女の表情が変わった。ボクの答えに、戸惑っているようだ。
ボクは意を決して、彼女の方に向き直った。そして、口を開いた。
(つづく)

96 :
>>84
その日の学校の帰り道、高橋は俺に唐突な疑問をぶつけた。
「お前、本当に嗣永のこと好きになったんじゃないのか?」
「は!?」
散々からかわれた俺はもちろんイラついていた。なのに、高橋はそれすら理解出来ない無神経ボーイだと思っていたのだが.....
「ちょっ、うるさい声を出すなよ。別にからかってるわけじゃねえよ」
「じゃあなんなんだよ」
「あのなぁ、俺は少なくとも三年はお前らをみてきたんだぜ。いや、他の奴らも理解できてるはずだよ」
高橋は小3になった時に引っ越してきた。つまり他のクラスメイトよりも一緒にいる時間は短かった。
ただ、俺は高橋の方が他のクラスメイトよりも俺の事を理解していると思っている。それは単純に高橋と一番仲が良かったからという理由だけではない。
高橋が引っ越してくる前の俺は桃子程ではないが、人付き合いがあまりなかった。
もしかしたら俺自身は舞波を助けていたわけではなく、舞波に相手をしてもらっていただけかもしれない。

つまり高橋が来たからこそ仲間と気楽に話せる俺が存在し、高橋が俺のことをよく理解していることは十分わかっていた。

97 :
だが、この時高橋が何がいいたかったのかは小6の俺にはわからなかった。
「だから何なんだよ!」
高橋が一旦ため息を吐いていった。
「嗣永が人気あるの知ってるのか?」
「へ?」
俺は思わず間抜けな顔をした。
「本当に知らないのかよ..... 真野ちゃん程ではないけどな、嗣永はクラスの男子から何度も告白されてるんだぞ?」
「こ、こくはくぅ!?そっそういうのは中学生とか、高校生とかからじゃないのか?」

高橋は俺の問いを無視して続けた。

98 :
「でも、嗣永は全て断っている。で、最近は嗣永に告白している奴が減ってきている。これでわかったか?」
「いや、わからないや」
「ふざけんな!お前にはゼロから教えなきゃいけないのか!」
立場が逆転してしまった。さっきまでは俺がイラついていたのに、今度は高橋がイラついている。当時の俺は逆ギレか?とでも思っていたのであろう。
「つまりだな、嗣永には他に好きな人がいる」
「うん、まあそうだね」
「で、みんなは嗣永の好きな人を知っている」
「うん、そうだね.....ん?何で?」
高橋が頭を抱える。

99 :
「じゃあお前に聞くぞ?もしお前に好きな人がいたとする」
「俺は別に嗣永のこと好きじゃないぞ!」
「誰もそんなこといってねえよ!もしお前に好きな人がいたらだよ!」
「はあ.....」
「でな、もし好きな人に自分でない好きな人がいたら、さらにその好きな人を自分が知っていたら、お前は告白できるか?」
「え〜と、まあ、告白しにくいだろうな」
「だよな、つまりそういうことだ」
つまりそういうことだ。一体何がだ?と思ったがとりあえず納得してしまった。
「ふ〜ん。.....で、嗣永は誰が好きなのか?」
少し照れ隠しで高橋に聞いた。聞いてしまった。

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