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2012年5月エロパロ401: [アーマー]メカ×少女[パワードスーツ] (312)
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[アーマー]メカ×少女[パワードスーツ]
- 1 :07/11/07 〜 最終レス :12/04/06
- サイボーグとか義体とかでもロボットでもなく
あくまで生身のおにゃのこがメカを装着したり着たりして
戦ったり飛んだり挙句の果てには変形したりとか
そういうのが好きな人…いるよね?
文章では難しいか?
- 2 :
- にげと
- 3 :
- 大好物だ
ぜひ書いてみたいが、>>1にキャラとかメカとか世界設定を頼む
敵はロボット兵器で、醜い触手生物が操縦してるのはどうだ?
- 4 :
- おいおい!前に落ちたスレを同じスレタイでしれっと建て直すなよ!
前スレのリンク貼るかなんかしてくれよ。
どんな傾向のジャンルかで前スレの前半は問い合わせ到で、それをまた繰り返す気なのか?
もっと>>1は詳細と例を書き込んでくれよ
- 5 :
- へぇ、前にも存在してたんだ
ロクに機能せずに落ちたのかな?
でも大丈夫
今度は俺がいる
- 6 :
- 逆にパーツ移植型サイバネティクスのほうが好みな俺がいる。
体にパーツを張り付けるだけだと鎧とかぶるのよね。嫌いじゃないけど。
って、生身で変形……?
- 7 :
- >>6
生身云々は前スレのコピペだろうから気にしなくてもいいと思うよ
てかもう自分がこう思うっていうシチュがあれば確認は必要ないと思うよ
縛りをつくるとまた過疎る恐れもあるし
君が今日からこのスレのパイオニアだ!
- 8 :
- 前スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1139239091/
http://mimizun.com/search/perl/dattohtml.pl?http://mimizun.com/log/2ch/eroparo/sakura03.bbspink.com/eroparo/kako/1139/11392/1139239091.dat
メカ娘とかエグゼリカとかプラグスーツみたいなの。
トリアエズモウソウノオモムクママニ。
- 9 :
- あんまり俺様世界爆発って好きじゃないんだ
女の子の好みとかモロに知られちゃうの恥ずかしいしw
誰かが作ってくれた世界観なら、それを元にパロってみることは可能なんだが
ヒロインの名前とか、所属する機構とか、戦う理由を考えてくれたら、
後は何とかでっち上げてパイロット版作ってみるが
同じ題材で競作してみるのもいいね
- 10 :
- か
- 11 :
- ちょwwww誤送信wwwww
以前のスレではなかなか世界観の作り込まれた良作が投下されてた気がするよ。
- 12 :
- >>1の設定はまだか
早くしないと勝手に設定を考えちまうぞ
- 13 :
- 航空自衛隊の戦闘機と連携するエースコンバットなメカっ娘という電波が…
- 14 :
- 紺碧の空を白い飛行機雲が切り裂いていく。
旧式のジェット輸送機であり、直掩戦闘機の姿はどこにも見えない。
ところどころ剥げかけた迷彩塗装だけが、この機が敵から自分を守る唯一の装備である。
大戦末期に当たるこの時期、輸送機の護衛に回せる戦闘機の余裕は連合政府軍にはなかったのだ。
21世紀の終わり、地球は予想もしなかった未曾有の危機に見舞われた。
外宇宙から飛来した謎の生命体と交戦状態に陥ったのである。
瞬く間に制宙権を奪取した敵は、月を橋頭堡として地球侵攻を開始した。
これに対し、人類は連合政府を結成し、総力を上げて反撃を試みた。
もはや人類同士でいがみ合っているような時ではない。
テクノロジーを、資源を、そして人材を、人類はその全てを結集して共通の敵に対抗することとなったのである。
特に新規に開発された“スカイエンジェル”と呼ばれる空間機動兵の活躍は目覚ましかった。
プラズマ推進ユニットを装備した、天翔ける戦乙女たちである。
元々は、航空兵力が整うまでの急場凌ぎに配備された部隊であったが、彼女たちは予想を遥かに上回る戦果を上げた。
敵が月から投下してくる重機動メカ相手に一歩も引けを取らず、幾度もの決戦で味方を勝利に導いた。
陸で、海で、彼女たちが戦場の空を舞っている限り、味方は一方的な勝利を重ねることができたのである。
しかし、敵の戦力が充実してきた中盤以降は、その圧倒的なパワーと物量の前に天使たちも苦戦するようになってきた。
万能を謳われた汎用兵器に限界が訪れたのである。
空戦、それもヒットアンドアウェーに特化した新型重機動メカの前に、エンジェルたちは為す術もなかった。
特にニューヨーク上空の戦いで大半のエースを喪失してからは、その凋落振りは著しい。
跳梁跋扈する敵機動メカや、大気圏に降りてきた航宙母艦とまともに戦える戦士は、ほんの僅かしか残っていない。
それをいいことに、敵はほとんど抵抗らしい抵抗を受けずに各地を侵攻していく。
だが、エンジェルに代わる航空ユニットは無く、結局人類は彼女たちに頼る以外なかった。
新型航空機の開発を遅らせた原因が、初期における自分たちの活躍にあったことは、彼女たちにとって皮肉であった。
ともかく、制空戦力として機能しなくなったユニットが取るべき戦術は、ただの一つに決まっていた。
- 15 :
- *
「ふぅ〜」
アナスタシア少佐は機内を眺め回して溜息をついた。
今年19歳になる彼女はロシア出身で、海軍航空隊所属のエンジェル隊員である。
デビューは開戦まもない迎撃戦で、これまで主要な決戦のほとんどに参加して無事に帰還を果たしている。
総スコアは公認で18機にもおよび、生き残りの中でも指折りのエースと言えた。
そんな華やかな戦歴とは裏腹に、彼女のアイスブルーの目は憂いを帯びている。
透き通るような目が、もう一度機内の光景に振り向けられた。
小学生高学年くらいに見える女の子20人の集団が、窓から見える風景に歓声を上げてはしゃいでいた。
学校の遠足さながらの光景である。
しかし、彼女たちは小学生でなければ、遠足に来ているのでもなかった。
これでも海軍幼年学校の生徒であり、訓練所を卒業した正規のスカイエンジェルなのである。
と言って、即席訓練を終えたばかりの女児がまともに飛べるわけはない。
ましてや、敵の新型重機動メカと戦うことなどできようはずがなかった。
長年におよぶ大戦は人材資源の枯渇は、ここまで悪化していたのである。
しかし、彼女らの行き先は後方の安全な訓練施設などではない。
むしろ、最大の激戦地と言われる最前線の一つニューヨークである。
飛ぶのがやっとというヒヨコには、それに相応しい仕事が待っている。
すなわち、プラズマ推進ユニットを使っての体当たり攻撃である。
圧縮させたプラズマエネルギーを一気に解放すれば、敵の航宙母艦などは一撃で轟沈できる。
1人で一艦を葬り去る、最後で唯一の手段であった。
如何に外道の戦術と言われても、人類に残された勝利への道はこれしか残されていなかったのだ。
先週、欧州における最後の空戦から帰還したアナスタシア待っていたのは、特別攻撃隊への参加命令であった。
エースたる彼女の役目は、あくまで敵艦に突入する隊員たちの直掩である。
露払いとして、重機動メカの防衛網を突破し、標的の母艦まで隊員たちを導くのが任務とされた。
エネルギーを効率よく圧縮させるため、攻撃隊員たちは急激な機動をとれない。
それを守り抜くには相当の技量が要求される。
エースとされるアナスタシアにとっても、かなりの覚悟が必要な任務であった。
- 16 :
- 「あと数名、君の補助につくはずだから」
ウェストバージニアで隊員たちを“受領”した際、教官の1人がアナスタシアにそう教えてくれた。
それが何の慰めにもならなかったことは言うまでもない。
教官は手塩に掛けて育てた生徒をなせ、アナスタシアは後輩たちのを見送らなければならないのだ。
実戦に参加できるとはしゃぐ娘たちをよそに、やるせなさが大人たちを苛んだ。
「敵襲っ、10時の方向。高度5000!」
突然の警戒警報が、アナスタシア少佐を我に返らせた。
急いで窓に顔を寄せると、北東の空を見上げる。
ゴマ粒のような染みが、やがて10個の点となり、直ぐに不気味なシルエットとなる。
「……ナグルファリ」
それはサソリのような外見を持つ、異星人の新鋭重機動メカであった。
航空力学を無視したボディをマッハ10で飛翔させる大パワーと、巨艦の装甲すら貫き通すビーム砲が武器である。
全長11m 、全幅3.4 m 全高2.2m そして重量82トンのボディは、性能を考えると驚くほどコンパクトである。
小回りは利かないが、圧倒的な速度と強烈な火線で、各戦線においてエンジェルたちを蹴散らしていた。
武装も持たない低速の輸送機など、襲われればひとたまりもないだろう。
「…………っ」
アナスタシアは、息を飲んで上空を見詰めている女児たちを見た。
そして、長いようで実際は短かった沈黙を破った。
「……注目っ」
少佐の号令で女児たちは一斉に立ち上がって気を付けする。
「命令。シャルロッテ2等兵曹はアリスパック装着の上、班員を率いて敵を迎撃せよ」
アナスタシアは語尾が震えているのが自分でも分かった。
迎撃とは名目だけで、実のところ半数を犠牲にして、時間稼ぎの囮にしようというのだ。
軍人としてはともかく、人としては決して許されない行為であるとは分かっていた。
命令を発した少佐とは対照的に、命令を受けた女児たちは嬉々として敬礼を寄越した。
待機を命じられた1班の面々は悔しそうに眉をひそめている。
少佐は軍における洗脳教育の恐ろしさを、この時嫌というほど思い知らされた。
そんな少佐の思いを知るはずもなく、女児たちは各々着替えを始めた。
カラフルなレオタードを着用すると、腕と足にプロテクターを、頭にヘッドギアを装着していく。
そして背中にプラズマ推進ユニットのバックパックを背負い込む。
通称アリスパックと呼ばれる戦術アタッチメントである。
- 17 :
- All-purpos Lightweight Individual Cannoning Equipment、即ちあらゆる用途を想定して作られた軽量の個人用砲撃装備である。
どんな戦闘機より速く飛べ、最新型の戦車砲を弾き返す防御力と戦艦の主砲を上回る攻撃力を併有する究極の兵器なのだ。
乙女はこれを装着することにより、自らの身をスカイエンジェルへと昇華させる。
ベテランに比べるともどかしいほどの時間が掛かったが、どうにか格好だけは整った。
全てがピカピカの新品であったが、既に旧式化したフォーミュラ1である。
例えベテランが出撃したとしても、苦戦は免れないであろう。
ましてや、ヒヨコ同然の彼女たちでは無惨な結果になることは見えていた。
それでも少佐は命令せずにはおれなかった。
「よし、シャルロッテが第1小隊長、ミョンスクが第2小隊長。それぞれ連携して敵を殲滅せよ」
準備を終えたエンジェルたちは、命令するアナスタシアを生き生きした目で見ている。
「戦闘後の集合地点は基本座標のX-21。各員の健闘を祈るっ」
一斉に敬礼するエンジェルたちの姿が、冷酷な鋼鉄の隔壁に掻き消された。
「許せ、妹たち……その代わり、敵の艦隊は必ず仕留めてみせる……」
アナスタシア少佐は答礼しながら心にそう誓う。
涙はとうの昔に枯れていた。
エアロックから飛び出した途端、エンジェルたちはバラバラになった。
第1小隊を任されたシャルロッテも自分の位置を見失う。
それでも地平線が目に入ってくると、ようやく体勢を整えることができた。
『キャロライン、こっち来て……そっちじゃないって、エカテリーナ……』
耳のレシーバーからミョンスクのキンキン声が漏れてくる。
既に彼女も発進直後の失調感から立ち直っているようであった。
「じゃあ、こっちも。マリアンヌ、イザベルどこ行くのっ? ベネデッタはそのまま……ルミコ、あたしを見なさい」
シャルロッテはお姉さんぶりを発揮して、どうにか小隊をまとめ上げる。
第2小隊も、あまり綺麗とは言えないまでも、なんとかV字隊形を保って飛行している。 その頃になると敵は高度を落とし、獲物に狙いを定めるように上空を遊弋していた。
- 18 :
- 「輸送機に近づけちゃダメ。みんな、イクよっ」
シャルロッテが命令を下したのと同時に、ナグルファリの編隊が急降下してきた。
エンジェルには考えられない超高速である。
彼らはハサミ状の前肢を振り立てると、先端に装備されたマスドライバー機関砲をぶっ放した。
電磁加速された重金属弾が、雨霰とエンジェルたちに降り掛かる。
パワーシールドがあっさり破られ、3人のエンジェルがバラバラに吹き飛んだ。
「ひっ……」
四肢や臓物を撒き散らして脱落する戦友を目の当たりにし、彼女たちはようやく訓練と実戦の違いを思い知ることになった。
だが、その時には既に勝敗は決していた。
『いやぁぁぁ〜ん。ついてこないでぇっ』
『あたしの後ろにぃ……誰か追っ払ってぇ〜っ』
甲高い悲鳴がスピーカーから上がり、そのたび沈黙と雑音に切り替わる。
アナスタシア少佐は拳を握り締めてそれに耐えていた。
こうなることは最初から分かっていたのだ。
編隊を崩されバラバラになったエンジェルたちは、それぞれ巨大なサソリに追い回されている。
そして、敵に優る旋回性能を活かすことなく各個撃破されていく。
一つ、また一つと識別ビーコンが消えていった。
「敵編隊、2つに分かれました。こちらにも突っ込んできます」
偵察員が金切り声を上げた。
敵は少佐の予想を遥かに上回るペースでエンジェル隊を無力化したのだ。
「……まずい」
敵を味方の対空砲陣地へ引きずり込むにはまだ距離がある。
このままでは対空ミサイルのレンジに入る前に撃墜されてしまう。
「これまで……か……」
少佐が無念そうに下唇を噛んだ。
偵察員が再び絶叫したのは丁度その時であった。
「本機の直上に新たな機影っ……」
敵の指揮官なのか、それは編隊から離れてただの1機で飛んでいた。
「いえっ、フォーミュラ・ゼロ。エンジェル隊員……味方です」
偵察員の悲鳴が歓声に変わった。
「……識別コード判明……“セイバー”……セイバー・ゼロですぅっ」
「なにっ?」
アナスタシアは窓から上空を見上げる。
そこには青空が広がっているだけで何も見えない。
太陽が眩しかった。
- 19 :
- 目を戻すと、5機のナグルファリが突っ込んでくるところであった。
視界の中で醜悪なサソリの姿がグングン大きくなる。
撃たれると思った次の瞬間、先頭のサソリが炎を噴き上げた。
続いて左右後方にいた2機が爆炎を上げる。
3機のサソリが黒煙を噴き上げて脱落していく中、残った2機は慌ててコースを変更する。
そこへ1人のエンジェルが急降下してきた。
大上段からの袈裟斬りを思わせる、鮮やかな一閃であった。
右背面から伸びた20ミリビーム砲は、まだ薄煙を引いている。
フォーミュラー・ゼロと呼ばれる試作型アリスパックである。
余りに過激なセッティングのため、普通の隊員では使いこなせないとして量産は見送られた。
僅かに作られた試作機の一部は、エース中のエースに渡されたという。
彼女、セイバーもそのうちの1人なのだろうか、目の覚めるような切り返しで反転上昇に移った。
プラズマ推進ユニットの航跡が青空を切り裂いた。
高空からの急降下で位置のエネルギーを運動エネルギーに変換したセイバーは、易々とナグルファリに追いつく。
そして内懐に飛び込むと、必の20ミリ砲を連射した。
ドドドッという音と共に敵のパワーシールドが中和され、次に甲羅のようなボディに大穴が幾つも開く。
機体内部に飛び込んだエネルギー弾が爆発し、動力部に致命的な打撃を与える。
その途端、ナグルファリが大爆発した。
続いてもう1機、背面ダイブに入ろうと横転した敵の腹部を、必の20ミリ砲が切り裂いた。
瞬く間に2機を撃墜、3機を撃破したエースの腕前は、噂どおり卓越していた。
位置のエネルギーを使い切ったセイバーに、新たに5機のナグルファリが襲いかかってくる。
逃げ回るだけのヒヨコより、1人のエースを脅威として捉えたのである。
敵は1機につき4丁、全部で20丁のマスドライバー砲をぶっ放した。
直進性に優れた無数の銃弾が高速発射される。
しかし、その正確な弾道がかえって災いした。
セイバーは軽やかな身のこなしで、あっさり射線から逃れる。
そして見るも鮮やかなループを描いて敵編隊の後ろに取り付いた。
- 20 :
- ドドドドドッと20ミリ砲が火を吹き、サソリのケツをひっぱたく。
敵は一斉に横転すると、散り散りなって急降下していった。
それでもセイバーが追いすがってくるのを認めると、今度は出力を全開にさせて急上昇に移る。
残念ながら、セイバーにはそれを追いかけるだけのパワーはなかった。
悔しそうに見送るセイバーの後ろに、生き残りのヒヨコたちが集まってきていた。
*
「さっきはありがとう」
JFK飛行場に着陸したアナスタシア少佐は、ヒヨコを引き連れてついてきたセイバーに礼を言った。
地上で見るエースは案外小柄であり、意外なことに年下であった。
キリリとした目鼻立ちに、への字に結ばれた口は武人の面相である。
ポニーテールにした長い黒髪が、心地よさそうに風に揺れていた。
「ところで……中尉はどうしてあんな所を飛んでいたの?」
アナスタシアはセイバーの襟元についた階級章を見ながら尋ねた。
「アンタと同じだ」
偉大なエースはつっけんどんな物言いで答えた。
つまり、彼女もまた特別攻撃隊の直掩を任務として、この作戦に招集されたというのだ。
アナスタシアは訓練所の教官が教えてくれた情報を反芻する。
「で、なんであんな命令を出した?」
セイバーがポツリと口を開いた。
「アイツらじゃ歯が立たないと分かってて、なんで出撃させたのかと聞いてる」
セイバーは冷たい目でアナスタシアを見詰めた。
アナスタシアは彼女の左目は鳶色なのに、右目は空のように淡いブルーであることに気付いた。
よく見ると、右目は微動だにしない。
東洋系の顔をしていることからしても、蒼い右目は義眼だと分かる。
「それじゃあ、なに……あのまま全員が機上に戦していた方がよかったって言うの?」
何も分かっていないくせにと、アナスタシアもセイバーを睨み付ける。
2人はしばらく睨み合っていたが、いずれからともなく目を逸らす。
そしてアナスタシアは司令部へ出頭するため、その場から歩み去っていった。
一方、残されたセイバーは首を巡らせ、先程までのピンチを忘れたようにはしゃぎ回るヒヨコたちを見ていた。
自分たちの無力さを思い知らされ落ち込んでいたのも束の間、ヒヨコたちは無邪気に互いの運の良さを喜び合っている。
それに、空戦に参加した隊員たちは、強烈なGから身を守るための強化剤をお尻から補給して貰えるのだ。
アヌスにホースを挿入されるのは失神するほど気持ちいい。
それにアヌスを責められた戦友が恍惚となるのは、端から見ているだけでも楽しいのだ。
強化剤の補給は、彼女たちにとって一種のご褒美なのである。
彼女たちが大はしゃぎするのも無理はなかった。
ヒヨコたちはキャッキャと騒ぎながらピストへと向かう。
それを見ているうちセイバーことミーコ・サカイの心は、いつしか初陣の頃に飛んでいた。
- 21 :
- お、良いね良いね。
- 22 :
- GJ!
外伝?どこかに本編があるんですか?
- 23 :
- 外伝じゃなく列伝
しかもパイロット版だから続きがあるかどうかも分からない
- 24 :
- 列伝ってことはハルトマンやマルセイユとかも出るのかな?
- 25 :
- 難しいな。
- 26 :
- あれれ
- 27 :
- さあて、妄想するか。
- 28 :
- 保守
- 29 :
- なんかないの?
つーか、見てる人いるの?
- 30 :
- 参考資料として
「ミスティックMAD」と「スカイガールズ」を買ってきます?
- 31 :
- スカイガールズは月末に単行本が出る予定の漫画版でヨロ
- 32 :
- 「いつまで寝てるつもりなのっ」
「さっさと起きなさいっ」
先輩たちの怒鳴り声でミーコ・サカイ二等兵曹は目を覚ました。
リズミカルな振動と微かな縦揺れを体に感じる。
「……そうだっ……あたし、空中母艦で出撃してきたんだった」
枕元の時計を見ると、既に起床予定の午前4時はとっくに過ぎている。
「わっ、やばっ」
ミーコは慌てて毛布を払いのけると、勢いよくベッドから飛び降りた。
回りを見渡すが寝ている者は誰一人いない。
「あっちゃ〜っ、よりによってこんな日に寝坊しちゃうなんてぇ」
今日はミーコにとって大事な初陣である。
北海道に建設された敵の前進基地を叩くため、連合政府極東軍503航空隊に攻撃命令が下された。
ミーコの所属する海軍第6航空戦隊は、これを援護する役目を帯びてハノイ基地から出陣してきたのだ。
敵は多数の航空ユニットを配備しており、激しい抵抗が予想される。
これが初陣になるミーコは、出撃メンバーに選ばれた嬉しさ半分、初の実戦に不安を禁じ得ない。
昨夜は早くにベッドインしたのだが、なかなか寝付けなかった。
眠ろうとすればするほど目が冴えてきた。
編隊機動についていけるだろうか。
恐らく迎撃に出てくるのはヒュロッキンであろうが、性能はフォーミュラ1より上なのであろうか。
敵の技量は低いと聞くが、自分で勝てるのだろうか。
「あたし……んじゃうかもしれないんだ……」
体は疲労しきっているのに、不安が渦巻く頭はどんどん興奮していく。
不安は焦燥感へと変わり、ミーコはいつしか己の秘所に指を伸ばしていた。
最初はパンティ越しに縦溝を撫でていたが、やがてもどかしくなってくる。
ミーコは腰をくねらせるようにしてパンティを膝の辺りまで下ろすと、ベトベトになった秘所を直接指で刺激し始めた。
「……はぅ……うっ……くぅぅぅ……」
声を出さぬよう枕を噛みしめた口元から、くぐもった甘い呻き声が漏れる。
これが最後のオナニーになるかもしれないと思うと、それだけで失神するような快感が走った。
股間から熱いモノが何度も迸り、シーツはすっかりダメになっている。
腰をくねらせるたびベッドがギシギシと音を立てた。
「あぁ〜ん、先輩たちにばれちゃう」
- 33 :
- それでもミーコの指は止まらない。
よく心得たツボを執拗にまさぐり続けた。
「ふむぅ……むぅぅぅ……」
回りで寝ている先輩たちに気取られぬよう、ミーコは枕を強く噛みしめる。
足が突っ張り、背筋に電流のような甘い痺れが走る。
体の奥底から込み上げてきたものが、熱い飛沫となってシーツにぶちまけられる。
不毛極まる営みは、彼女が失神して眠りにつくまで続けられた。
そのせいもあってか、ミーコはすっかり寝坊してしまったようである。
ハッチを開けて居住区に入ると、先輩たちはすっかり身支度を終え、既に食事も済ませているようであった。
本来なら、食事の準備は一番下っ端にあたるミーコの仕事なのだ。
「初陣なのに寝坊なんて、いい度胸してるぅ」
先輩たちがミーコを冷やかしてくるが、その目はみんな笑っている。
緊張から寝付けなかったろう後輩を気遣い、ギリギリまで寝かせてくれていたのだ。
「ご、ごめんなさぁ〜い」
ミーコは恥ずかしくなり、ペコッと頭を下げた。
「さっさと食べちゃいなさい。出撃までそんなに時間がないわよ」
ほとんど銀色に近いプラチナブロンドをショートボブにした中尉が、氷のような蒼い目でミーコを見詰めていた。
ミーコの直属上官、第3中隊長のマリーヤ・テレシコワ中尉である。
テレシコワ中尉は極東方面きってのエースで、地球外生命体が操るマシンを最初に撃墜したエンジェル隊員でもある。
ベテラン揃いの6空でも、1,2を争う実力者と目されていた。
氷の天使と呼ばれるエースの列機を命じられた時、ミーコは最初目の前が真っ暗になった。
エースをサポートする列機など、自分には荷が重すぎると思ったのである。
下手をすると中尉を怒らせ、クビになってしまうかも知れない。
しかし、何度か訓練飛行を行っているうち、彼女がチーム思いの頼りになる編隊長であることが分かった。
その後、ミーコは中尉に心酔しきっている。
今日の空戦でも、中隊長を命懸けで守り抜く覚悟であった。
「さあ、食べたらピストにいらっしゃい」
テレシコワ中尉が出撃準備をするため、ミーコをピストにいざなった。
「は〜い」
ミーコは食べかけのチューブゼリーをテーブルに置くと、中尉を追ってピストへ向かった。
- 34 :
- ピストに入ると、テレシコワ中尉が強化剤エンジェルステロンの注入ノズルを準備して待っていた。
ミーコはレオタードのクロッチを外すと、中尉の足元に四つん這いになる。
真っ白なお尻が剥き出しになっている。
「もっと足を開いて、お尻を上げなさい」
中尉の命令に従い、ミーコは姿勢を変える。
そして首をねじると、期待の籠もった目で肩越しに中尉を見上げた。
中尉は、と見るや、空いている左手をミーコのお尻の割れ目に沿わせた。
ひんやりとした指がアヌスをまさぐる。
冷たいのは指先に塗られたローションのせいである。
中尉はローションをまんべんなく塗り付けるため、アヌスに押し当てた指で円を描くように動かす。
「はぁっ……はぁぅぅぅっ」
泣き所を責められ、こらえきれずにミーコが声を出してしまう。
小さなお尻がプルプルと震え出す。
アヌスの表面が充分に潤うと、中尉は細長い指を内部に突き込んだ。
「むぅっ……うぅぅぅ……」
中尉はゆっくり指を出し入れし、柔らかくて傷つきやすい直壁にローションを塗り付けていく。
自然にアヌスが収縮し、指の動きを阻害した。
「あっ……あぁん……ちゅ、中尉どのぉ……ミーコ、も……もう……」
たまらなくなったミーコは、お尻を振り立てて更なる責めをおねだりする。
声は既に半泣きになっている。
それを見た中尉は指を引き抜き、代わりにノズルを押し当てた。
「それじゃ、イイわね? いくわよ」
ミーコが頷くのを待たず、中尉はノズルをアヌスに押し込んでいく。
完全に解れていたアヌスが簡単に割れ、ノズルはズブズブと直腸内部に沈み込んでいった。
「いぎぃ……ふ、太ぉぉぉい……中尉どのぉ……」
ミーコが泣き声を上げるが、中尉は耳を貸さない。
数秒後、ノズルの先端は直腸最深部に到達していた。
ノズルを排除しようとアヌスが激しく収縮し、そのたび狂おしいまでの快感がミーコを包み込む。
天にも昇ろうかという心地よさであった。
- 35 :
- 中尉の人差し指がトリガーを引き絞り、ノズルの先端からドロリとした液体が漏れ出した。
強化剤、エンジェルステロンである。
生身のまま猛スピードで飛び、上昇降下やアクロバットを強いられるエンジェル隊員は、強烈なGに苛まれる。
エンジェルステロンは細胞組織を保護し、脳や心肺の機能を正常に保つための対G強化剤なのである。
この助けなくして、エンジェルたちは普通に飛ぶこともできない。
当初、エンジェルステロンは経口剤や点滴による摂取が行われていた。
しかし大量の強化剤を飲むには苦痛を伴うし、何より胃が膨張するのは被弾時に危険を伴う。
そして点滴で必要量を摂取するには時間がかかりすぎる。
そこで、今では吸収のよい直腸からの摂取が一般的に行われていた。
余りの快感に、ミーコは声を出すこともできず、ハァハァと息を荒げている。
至福の快感が涙腺を緩ませ、顔は涙と鼻水でグチャグチャになっていた。
「バカね。昨夜、あんなに弄ったりするからよ」
中尉に指摘された途端、ミーコの股間が潮を吹いた。
同時に黒目が瞼の裏に入り込み、ミーコは失神してしまった。
「フフッ、可愛いわね」
中尉はクスリと笑うと、アヌスからノズルを抜き、代わりに逆流防止のプラグを挿入してやる。
プラグは圧搾ガスの作用で膨らみ、簡単には抜けなくなる。
ミーコが目を覚ますと、出撃準備は既に整えられていた。
いつの間にかアリスパックを装着されている。
「中尉どのっ?」
ミーコの横に、やはりアリスパックを装着したテレシコワ中尉が微笑んでいた。
せっかく、お返しに奉仕しようと思っていたのにと、ミーコはガックリと首を折る。
「まもなく敵の哨戒圏内に入る。いいな、攻撃隊に敵を近づけるな」
総隊長のアンナ・リトルガーデン中佐が、出撃前の支持を飛ばす。
「第1中隊は編隊の上、第2中隊は編隊の下、そして第3中隊は上空の警戒に当たる」
その指示に、ミーコはあからさまな不安顔を見せる。
上空警戒班は万が一の奇襲に備えての予備兵力である。
「そんなのって……ミーコ、活躍できないじゃないのぉ」
せっかくの初陣なのに、敵と戦えないことにミーコは憤慨した。
それでも上空警戒も大事な任務だと自分に言い聞かせて我慢する。
- 36 :
- 「味方攻撃隊、方位330度」
北を見ると、50機ほどの攻撃機が編隊を組んで飛んでいるのが目視できた。
それらを敵の迎撃機から守り抜くのが、ミーコたち6空戦闘隊の役目である。
出撃準備を知らせるブザーが鳴り、まず警戒隊の第3中隊がフライトデッキへと入る。
9名の隊員たちは互いに全身をチェックし、アリスパックの最終点検を行う。
All-purpos Lightweight Individual Cannoning Equipment、プラズマエネルギーを用いた戦術アタッチメントである。
空中戦はもちろん、対艦攻撃から地上戦まで、あらゆる用途を想定して作られた万能砲撃装備である。
その最大の特徴は柔軟なセッティングにある。
パワーを活かした速度重視タイプにするも、シールドを強化した重防御タイプにするも調整一つである
ミーコのいる6空では、姿勢制御ノズルに重点を置いた格闘戦タイプが好まれていた。
ドッグファイトには滅法強いが、最高速度やダッシュ力はそこそこである。
そして、少しでも攻撃力を上げるため、シールドに回すエネルギーは極限まで削られている。
再度ブザーが鳴り、デッキのエンジェルたちに出撃30秒前であることを知らせる。
ミーコは身を屈めてクラウチングポジションをとり、カタパルトの取っ手を固く握りしめた。
機種側のハッチが迫り上がり、冷たい気流が流れ込んでくる。
マイナス温度の厳しい冷気で、デッキはたちまち冷え切ってしまう。
エンジェルステロンの働きがなければ、ミーコたちは凍えてしまっていたであろう。
ミーコがそんなことを考えているうちに三度目のブザーが鳴り響いた。
天井から吊り下げられたシグナルが赤から緑へと変わる。
同時にガッシャーンという激しい作動音がしてカタパルトが前進した。
「むぎぃっ?」
目の前が真っ暗になりそうなGが襲いかかってくる。
一瞬の失神から立ち直ると、ミーコは大空の住人になっていた。
背中のプラズマ推進ユニットは安定した排気音を立てている。
「えっ、あっ……やばっ……」
ミーコは慌てて上下左右を見回すが、一緒に発艦した仲間の姿は見えない。
思わず半泣きになったミーコがパニックを起こしかける。
「ミーコ、どこ見ているの? ボンヤリしてないで、レーダーを確認するっ」
ヘッドギアのレシーバーからテレシコワ中尉の落ち着いた声が聞こえてきた。
それでミーコはようやく落ち着きを取り戻す。
- 37 :
- 「ご、ごめんなさぁ〜い」
バイザーの内側に疑似画面が展開され、レーダーが仲間の位置を知らせる。
左上後方を振り返ると、遥か高空に豆粒くらいの影があった。
仲間の姿を見つけ、ミーコはホッと溜息をつく。
「ほら、さっさと編隊を組んでっ。ボヤボヤしないっ」
一息入れる暇も与えられず、中尉の指示が飛んできた。
ミーコはユニットの姿勢制御ノズルを噴かし、鮮やかな反転上昇を見せる。
途中、出撃してきた第1中隊とぶつかりそうになりながら、ようやく中尉の左後ろに付いた。
中尉はそれを待って、編隊を更に高空へと持っていった。
第3中隊は高度5000で水平飛行に移る。
ミーコが下界を見下ろすと、遥か下方にキラキラと輝く点が幾つも見えた。
503航空隊の攻撃部隊である。
搭載されたミサイルにより、大雪山系の原野に作られた敵の前進基地を破壊するのが彼らの任務だ。
彼らの上空と下方には、それぞれ第1中隊と第3中隊が護衛についている。
もちろん、ミーコの位置からでは肉眼では確認できない。
同じく、敵の姿もどこにも見えない。
ステルス性に優れた彼らを、遠距離でレーダーに捉えることは困難である。
第六感というか、大空のどこかに潜んだ敵を違和感として感じ取る能力が命を分ける能力なのだ。
「さぁ〜っ、どっからでも掛かってらっしゃい。絶対、仲間に近づけさせないっ」
ミーコは目を爛々とさせ、周囲の見張りに集中した。
戦いは唐突に始まった。
敵の奇襲を受け、攻撃隊の数機が紅蓮の炎に包まれた。
味方編隊を掠めるようにして、サソリの化け物が通過していく。
ヒュロッキンと呼ばれる敵の主力迎撃機である。
「あっ……」
思わず突っ込もうとしてミーコは自分の任務を思い出す。
「あたしは上空の警戒を任されてるんだった……」
下唇を噛みしめるミーコの目の前で、第1中隊と敵との間に激しいドッグファイトが展開された。
排気炎が目まぐるしく駆け回り、色とりどりの曳光弾が飛び交う。
墜ちていくのはほとんどがヒュロッキンである。
大パワーを誇るサソリ型マシン兵器も、格闘戦になると6空エンジェル隊の敵ではない。
エンジェルたちは易々と敵の尻に取り付き、必の20ミリプラズマ砲をぶっ放す。
威力充分のエネルギー弾を受けたサソリは、装甲をぶち抜かれて炎を噴き上げた。
- 38 :
- やがて機数を減らした敵は、急降下で逃走を開始した。
しかし編隊の下には、プラニー・カチャーピチット大尉率いる第2中隊が待っていた。
逃げるヒュロッキンの腹下に潜り込んだ2中隊は、アッという間にそのほとんどを撃墜してしまった。
薄煙を上げて逃げていく数機には目もくれず、第2中隊は所定の位置に編隊を戻す。
鮮やかすぎる6空の活躍振りであった。
攻撃隊の被害は3機が撃墜、5機が撃破されただけで、作戦遂行には全く支障ない。
攻撃態勢を組み上げると、眼下に見えてきた敵のベースに向けて一斉にミサイルを放った。
何十本もの白煙を引いてミサイル群がベースに吸い込まれていく。
一瞬後、不法に設置された侵略者の前進基地は粉々に吹き飛ばされた。
「やったぁ、作戦成功」
上空で見守っていたミーコも思わず歓声を上げた。
後は近くで待機している地上軍に任せておけばいい。
長居は無用とばかり、攻撃隊は一斉に進路を反転した。
ミーコたちも安全圏まで攻撃隊にお供することにする。
この時ミーコは完全に浮かれていた。
自分で戦ったわけではないが、味方の戦果は素晴らしいものであった。
撃墜8機に撃破12機に比べ、エンジェル隊の被害は被弾3、不時着1に過ぎない。
不時着したフェイ・ホワン飛曹長も、無事に地上軍に保護されたという。
事実上の被害無しで初の任務を達成できたのである。
浮かれるなという方が無理であった。
だから、眼下にフラフラと飛んでいる1機の敵を見つけた時、ミーコの胸が高鳴ったのもやむを得なかったろう。
それを責めるのは酷というものであった。
「ヒュロッキンだ……故障してる?」
そのサソリは薄煙を引きながらミーコの真下を飛んでいた。
先程の戦闘で被弾したのか、フラフラして今にも失速しそうである。
ミーコがゴクリと生唾を飲み込んだ。
「編隊を離れたら怒られる……でも、サッと片付けて戻ってくれば……アイツ、まともに飛べそうもないし……」
ミーコの心の中で天使と悪魔が激しく戦う。
そして“1機撃墜”の欲望を前に、天使はあっさりと敗北した。
- 39 :
- ミーコはいきなり背面飛行に入ると、パワーを全開にさせて急降下を開始した。
『ミーコッ、戻りなさい……ミーコッ』
レシーバーからテレシコワ中尉の金切り声が流れてきた。
しかし、まっすぐ敵を見据えたミーコの耳には届かない。
バイザーの内側に電影照準器が浮かび上がる。
「今だぁっ」
ミーコはタイミングを見計らい、20ミリ砲の発射コードを思念した。
ところが、背中のプラズマ機関砲は反応しなかった。
「えぇっ、どうして? 撃てっ……撃てぇっ……」
ようやく、ミーコは安全装置を解除していなかったことに気付く。
だがその時、ヒュロッキンはミーコの接近に気付き、急上昇で体をかわしていた。
スピードに乗っていたミーコは引き起こしができず、ヒュロッキンの前につんのめる。
と、見るや、敵は頭を下げてミーコの追跡に入る。
そしてたちまちバックを取ると、ハサミ状になった前肢を伸ばしてミーコの両腕を掴み取った。
「いたぁぁぁ〜っ」
万力のようなパワーで二の腕を挟み込まれ、ミーコが悲鳴を上げた。
次の瞬間、ヒュロッキンがパワーを全開にしてダイブに入った。
そして充分に速度が出たところで、今度は急上昇に移る。
「むぅ……むぐぅぅぅ……」
限界を遥かに超えたGが掛かり、ミーコの意識が遠のいていく。
マッハ7で行われたダイブ・アンド・ズームの前には、エンジェルステロンも効果がなかった。
ミーコは白目を剥く寸前、上空の第3中隊が新たに出現した敵編隊と交戦しているのに気付いた。
ようやく自分が罠にはまったことを理解する。
全ては第3中隊を下に引き付ける巧妙な作戦だったのだ。
「こいつ……囮だった……の……。中尉……ごめんなさ……」
自らの迂闊さを呪いつつ、ミーコは意識を失ってしまった。
頼りなげな下半身に風圧を受け、ミーコは失神から立ち直った。
「ひぃっ?」
気が付くとレオタードのクロッチ部が引きちぎられ、股間が無防備に晒されていた。
アヌスに強烈な異物感が生じる。
ミーコが首を折り畳んで確認すると、サソリの尻尾がアナルプラグを引き抜こうとしているところであった。
- 40 :
- 「いやっ……こんなのって……いぃ……いぎぃぃぃ……」
膨張したままのプラグが強引に引き抜かれた。
入れる時より何倍も強烈な快感に脳髄を掻き回され、ミーコは白目を剥いて悶絶する。
しかし続いてアヌスに襲いかかってきた快感が、ミーコに失神を許さなかった。
サソリは尻尾の先端に付いたアタッチメントを、得体の知れない液体の入ったチューブに換装している。
プラグによって拡張されていたアヌスは、ぶっといチューブを易々と受け入れてしまう。
「あぁっ? いやぁ……こんなのいやぁ〜ん」
泣き叫ぶミーコを無視し、500tペットボトルほどのチューブが直腸を押し広げた。
次いで謎の液体がぶちまけられる。
「ひぐぅぅぅ〜ぅぅ……」
嫌悪感を我慢するため、ミーコは歯を食いしばらなければならなかった。
待つほどもなく、薬剤の効果が現れてきた。
「うぅっ……さむっ……」
耐え難い寒さと、体が千切れ飛びそうな圧力が襲いかかってきた。
先程の液体は、体内のエンジェルステロンを無効化する効能を持っていたのだ。
効果を確認すると、サソリはアタッチメントを逆転作動させた。
すなわち、今度はミーコの体内から体液を回収しようというのである。
「あぁっ……あんっ……」
ミーコはもの凄い排泄感を覚えてしまい、下半身が自動的に痙攣を始める。
「も、もうダメェ……」
ミーコが覚悟を決めた時、ガンガンという音と共にサソリの機体が振動した。
青白いパルスレーザーがミーコを掠めて流れていく。
フォーミュラ1に装備されている、7.7ミリレーザー機銃である。
「中尉っ」
振り返ったミーコは、ヒュロッキンの後ろ上方にテレシコワ中尉の姿を認めて狂喜した。
中尉はアームガードに埋め込まれたレーザー機銃を構えると、サソリの前肢に向けてぶっ放した。
威力はないが、命中精度と貫通力に優れたレーザーが、ミーコを捕らえていたマニピュレータを関節部分から吹き飛ばす。
体の自由を取り戻したミーコだが、エンジェルステロンなしで戦闘行動はとれない。
それどころかまともに飛ぶことも叶わぬミーコは、このままでは敵の餌食になってしまう。
- 41 :
- そうはさせまいと、テレシコワ中尉はミーコを抱きしめて現場からの離脱を図る。
マスドライバー砲を仕込んだ前肢を破壊され、サソリはボディに仕込んだ通常弾の機関砲をぶっ放す。
生身のミーコと一緒のため、中尉は急激な機動をとれないでいた。
体ギリギリのところを幾つもの曳光弾が通り過ぎていく。
「中尉っ、逃げてください……お願い、1人で逃げて」
ミーコは足手まといになることに耐えきれず、思わず叫んでしまった。
次の瞬間、最悪の事態が起こった。
もの凄い衝撃と共に、2人の体が蹴飛ばされたようにキリキリ舞いした。
命中弾を受けたのである。
ミーコはどこにも負傷していない。
となると、直撃を喰らったのは中尉の方である。
恐る恐る目を開けると、ヘッドギアのバイザーを吹き飛ばされ、顔面血塗れになった中尉がいた。
ペラペラのパワーシールドでは、敵の機関砲弾を防ぐことができなかったのだ。
「ちゅっ、中尉っ……」
バイザーの破片が右顔面のあちこちに突き刺さっているのを見て、ミーコは思わず絶句してしまう。
それでも中尉はミーコを放さない。
かえって強く抱きしめてきた。
その時、ようやく敵を蹴散らした3中隊が駆けつけ、2人は九に一生を得たのであった。
それから3時間後、ミーコは母艦の反省室で一人泣いていた。
テレシコワ中尉の負傷は命に別状なく、手術は無事に成功した。
しかし、超硬度プラの破片が突き刺さった右目は失明を免れなかった。
それは、エースとしての中尉がんでしまったことと同意義であった。
今日、ミーコは命令遵守の意味を、身を持って思い知ることとなった。
しかし、その授業料は余りにも高くついた。
- 42 :
- 新作北ーーーーーーー!
gj!
- 43 :
- やってるねぇ
- 44 :
- でかいこと言っといてなんだが、そろそろ挫けそうorz
- 45 :
- エグゼリカ・・・
- 46 :
- しろクロで一本書いてみるかな。
- 47 :
- ほ
- 48 :
- 裸アーマー保守。
- 49 :
- 前スレの1ですが去年俺が立てたスレが復活してて吹いたw
まさに>>4氏が今の俺の気持ちを代弁してくれている。
以前あえて生身うんぬんて書いたのは
「ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α6」ってのが既にあるから。
そういうのや人工生命体じゃない、本来弱いはずの生身の人間が
メカをまとう事によって強くなるところがミソだと思ってるから。
あるいは、身にまとうもの、身をつつむものフェチの一種なのかもしれんね。
まあ、それは当初の趣旨ではあるけど、あくまで俺の趣味なのでおいといて
最近メカ少女も萌えジャンルとして認知されてるわけでこういうスレあっても
いいよねって事で。
作品投下かなりGJ。
長文スマソ。
- 50 :
- メカ少女は文章では難しいし、漫画では描くの大変だし・・・
それでもイマジネーションは膨らむ。
- 51 :
- ああさ
- 52 :
- まだか
- 53 :
- なんとなく覗いてみたわけだが
セイバーの設定と文章に一目惚れ。
エロパロ板って広いんだな。
- 54 :
- yomi保守
- 55 :
- 武装メカ少女におっぱいは邪道だと思う。
中にエネルギータンクでも入ってりゃ別だけど、兵器にデッドウェイトはあってはならない。
あと、やたら素肌部分が剥きだしなのもね……。お前身を守る気あるのかと。
サムス・アランの無骨さは好きだな。
- 56 :
- >>55
おっぱいが大きくなけりゃ予算が通らなかったんだよ!
……うん。やっぱり邪道だな。
装甲板のようなおっぱい万歳。
- 57 :
- オッパイミサイルの存在価値を忘れてらぁ
- 58 :
- その胸には機密保持用の自爆装置が…
- 59 :
- 「っのぉ……てぇりゃぁぁああっ!!」
瞬間、僕を押し潰さんと落下してきたコンクリートはどこからか飛んできたパワードポリスのお姉さんのローリングソバットに粉砕された。
呆然とする僕の頭にパラパラと降り注ぐ小さな破片。あまりにも多くのことがいっぺんに起きすぎて、僕は立ち上がることすらままならなかった。
分かったのは僕を助けてくれたパワードポリスは声、体格、何よりたわわな胸の膨らみからお姉さんなんだろう、ということだけだった。
しかし、お姉さんはそんな僕を猫でも抱くように片腕に抱えるとバイザーを下ろし、暴走するバイクのような加速度で繁華街「だった」路地を走り始める。
「わ、わわっ」
「ちっ……あの二人は突破しなきゃダメか……」
外から見るとよく分からないパターンで点滅するバイザー。前に刑事ドラマで見たように、警官の特殊装備であるこのアイテムにはこの辺の地図や対人のセンサーが搭載されているのだろう。
もちろん、実物は初めて見たのだけど。
敵を視認したらしいお姉さんは呟くと、僕を抱えていない右手で揺れるおっぱいを掴みスーツごと一気に引きちぎり、投げつける。
そしていきなり僕を抱き寄せて胸に包み、敵に背を向けてしゃがみこんだ!
そして次の瞬間、まぶたを貫くほどのまばゆい光と、耳をつんざく轟音!
僕は赤ん坊のようにお姉さんに抱きつていた。
液状爆弾の無くなった胸はとても貧相なものだったけれど、僕はその暖かさと懐かしい香りに顔を埋めたまま泣き止むことはなかった。
- 60 :
- エロ無しだけど、おっぱいの使い道について書いてみた。今では反省している。
どうでもいいけど、舞台はテロに遭った渋谷みたいです。
- 61 :
- GJ!
最近投稿多いね。
- 62 :
- ほ
- 63 :
- げ〜
- 64 :
- >>63
てめぇ〜って野郎はw
- 65 :
- 頭には何をつける?
1.簡素なサークレット
2.耳当てと帽子だけ
3.顔の見えるヘルメット
4.フルフェイス
マンガとかだと1が一番多そうだが
- 66 :
- これは?携帯だけだけど
ttp://courseagain.com
- 67 :
- >>65
髪や顔を見せつつもある程度保護となるとヘッドギア的なものが理に適うかな…
でも明らかに女とわかるシルエットのスーツで顔が見えないというのも萌えるかも。
んで、それがシャコッって開いて顔が見えたりしたら最高だな。
- 68 :
- カレー空軍基地に非常警報が鳴り響いた。
ドーバー海峡側から侵入してくる敵部隊をレーダーが捕捉したのだ。
アイルランドを発した敵はロンドンに向かうものと思われていた。
しかし予想は外れ、敵編隊は大陸側へと到してきた。
全ての偵察衛星が失われた今は、各所に設置されたレーダーだけが頼りである。
多少は通報が遅れるのもやむを得ない。
ピストで待機していたスカイエンジェルたちが一斉にブーイングを上げた。
「文句を言っている間に出撃しろっ。ただの1機も海峡を越えさせるな」
ガーラント司令官の檄を受け、ルフト・バッフェのエンジェルたちは一斉に駆け出した。
指揮所前を離れると、エンジェルたちはアリスパックのプラズマエンジンを起動する。
そしていきなりのフルスロットルで我先に地面を離れていく。
30人ほどの隊員たちが眩い航跡を残して飛び上がっていく様は、古い特撮映画のミサイル一斉発射シーンを思わせる。
「うわっぷ……馬鹿者ぉっ」
濛々と立ち込める砂煙に、司令官は罵り声を上げて激しく咳き込む。
それでも青空を見上げると、頼もしそうな目で娘たちを見送った。
ベルリン航空隊──通称ルフト・バッフェ隊はドイツ空軍所属のエンジェル隊である。
それが、スコットランドに敵の拠点が構築されてからは、フランス国内へと進出してきていた。
フランスとしては、ドイツ空軍を国内に招き入れることに異論がなかったわけではない。
しかし、自軍の防衛網があっさり破られると、そんなことを言っている余裕はなくなった。
当初、戸惑いを隠せなかったパリっ子だったが、敵を完封するベルリン娘の活躍を見るにつけ、不安は熱狂へと変わった。
彼女たちの拠点がパリから現在のカレーに移転する時には、市民が反対運動を起こしたくらいである。
彼女たちの人気が、少なくとも対岸にある王立空軍のエンジェル隊より上であることは間違いなかった。
漆黒に塗装されたアリスパックをキラキラときらめかせ、ルフト・バッフェ隊の面々が急上昇していく。
彼女たちの背負っているパックは新開発のフォーミュラー2である。
30パーセントほど向上した出力は、そのほとんどが推進力に回されていた。
元々、速度と上昇力に特化されたBfセッティングを好んでいる部隊である。
ほどんどストレスなしに加速した彼女たちは、アッと言う間に高度5000に到達していた。
水平飛行に移ると、4人一組の小隊になって攻撃編隊を組み上げる。
そして下方の見張りをしながら西へと向かって飛び続ける。
- 69 :
- そんな編隊の第6小隊長の位置にアンネ・ヨアヒム・マルセイユ中尉がいた。
年齢18歳になる、長身でスラリとした美人である。
艶やかな黒髪を綺麗に撫で付け、常に不敵な笑みを湛えた姿はフランス娘たちを虜にしている。
先祖がフランス人ということも、彼女にとって有利に働いたのであろう。
アンネは直ぐにスターの座に納まり、ドーバーの星というニックネームでもて囃されることになった。
彼女の人気の源は容姿だけではなく、卓越した技量と多大な戦果もその要因である。
初出撃でヒュロッキンを撃墜したのをかわぎりに、1ヶ月で10機の敵を撃墜破した。
そしてエンジェルとして3年目に入った今月初めには、スコアは早くも80機に達している。
それにも関わらず、彼女はいまだに中尉として1個小隊を率いる身でしかない。
戦歴や戦果からしても、とっくに中隊長になっていてもおかしくはない。
アンネの昇進が遅れているのにはもちろん理由があった。
素行不良者というレッテルを貼られているのは、規律を重んじる軍人としては致命的だった。
脱柵や無断宿泊は毎夜のように繰り返され、言い寄るフランス娘は片端から抱いた。
何度叱られてもどこ吹く風であり、営倉から出たその日の夜には行きつけのバーに姿を現せたという。
素行不良は、なにも地上に限ったことではない。
厳格をもって知られるドイツ空軍にはあるまじきことだが、彼女はしょっちゅう空戦規程違反を犯した。
『敵攻撃隊を確認。方位275、高度3000。ヤールンサクサ、約30。上空に新型の護衛機を伴うっ!』
前方を見下ろすと芥子粒のような黒点が海峡上空に差し掛かるところだった。
戦略攻撃機のヤールンサクサと、フォルニョートと呼ばれる新型戦闘機の戦爆連合部隊である。
近付くにつれ、敵の数機が薄煙を引いているのが分かる。
編隊も大きく間延びして、ところどころが歯抜けになっている。
先にロンドン上空を通過するおり、ロイヤルエンジェルスと一戦交えたものらしい。
- 70 :
- 『第1から第4小隊でヤールンサクサをる。残りはフォルニョートを引き付けておけ』
編隊リーダーのエルフリーデ大佐が全軍に命令を発した。
同時に半数のエンジェルが横転し、背面飛行からパワーダイブに入る。
アリスパックのプラズマユニットが唸りを上げ、青白いアフターバーナーが尾を引く。
一気に護衛網を突き抜けた一団が、ヤールンサクサの編隊に襲いかかった。
16本の火矢と化したエンジェルたちは、獲物目指してまっしぐらに突っ込んでいく。
衝突する、と見えた直前、アリスパックに装備された30ミリと13ミリのプラズマ機関砲が火を吹いた。
16人のエンジェルはそのままの速度で敵編隊を突破する。
エルフリーデ大佐が振り返ると、約半数のヤールンサクサが火を噴いて脱落するところだった。
大佐は更に上空を見上げ、第5小隊以下がフォルニョートと空戦に入るのを確認した。
第2編隊を率いるのは第5小隊長のカテリーネ少佐である。
少佐は、フォルニョートが降下していった第1編隊に気を取られているうちに、まんまと上空を占めることに成功した。
「突撃せよ!」
少佐の口から短く鋭い命令が発せられた途端、16人のエンジェルが一斉に背面ダイブに入った。
各人のバイザーにクロスゲージが浮かび上がり、ザリガニに酷似した敵の機体が円からはみ出す。
「フェイエルッ!」
思考制御されたプラズマ機関砲が火を噴いた。
プラズマ弾がフォルニョートの機体に大穴を穿ち、たちまち数機が脱落する。
カテリーネ編隊も得意のヒットアンドアウェーに徹するつもりである。
個々の戦果にかかわらず急降下で高速離脱していく。
ところが、急降下していく味方を尻目に、ただ1人反転上昇に移ったエンジェルがいた。
第6小隊長のアンネである。
小さく短い翼が大気を切り裂き、真っ白な飛行機雲を引いた。
単独行動は厳に戒められた重大な軍紀違反である。
「マルセイユ中尉っ。編隊を崩すな」
カテリーネ少佐が怒鳴り声を上げ、アンネの列機であるフランツィスカ少尉は狼狽えたように周囲を見回す。
だが、そんなものなどどこ吹く風と、アンネは薄笑いを浮かべて急上昇していく。
- 71 :
- 2人一組のロッテを最小単位として戦うのが彼女たちの流儀だが、アンネは編隊を無視して個人戦闘に突入してしまう。
しかもBfセッティングが苦手なはずの格闘戦が彼女の好みであった。
太平洋戦線で戦うエンジェルが横の巴戦をお家芸とするのに比べ、アンネは縦の格闘戦を得意としている。
アンナは優れた上昇力を活かして、今度は腹側から敵編隊を撃ちまくる。
弱い腹を撃ちまくられ、たまらず1機のフォルニョートが火を噴いた。
アンナが敵編隊の上へと突き抜ける。
敵が単騎とみるや、フォルニョートは編隊のまま上昇機動で追撃を開始した。
ニヤリと不敵な笑みを浮かべたアンナは、反転を繰り返し螺旋軌道を描きながら更に高みへと上昇していく。
アンナの十八番、スパイラル上昇である。
この動きについてこれる敵など存在しない。
たちまち上空を占めたアンナは横転から再び急降下に移り、モタモタしている敵にプラズマの雨を降らせた。
またも数機のフォルニョートが爆炎を上げた。
そして再び上昇に移ろうとした時、アンナのアリスパックが変調を来した。
ユニット本体から異音がしたと思った次の瞬間、右のノズルが吹き飛んだ。
まだ先行量産に入ったばかりのフォーミュラー2は、細かい問題を幾つも抱えている。
急激な機動を繰り返したことにより、プラズマ反応炉に異常を来したのだった。
こうなったら如何にアンナが名手と言え、取るべき道は逃げの一手しかない。
残った左ノズルを全開にし、急降下で逃走に入った。
だが、フォルニョートも急降下では引けを取らない。
最大パワーを発揮すると、たちまちアンナに追いすがってくる。
数十門のマスドライバー砲がアンナに向かってピタリと照準を合わせた。
絶体絶命のアンナを救ったのは、突然乱入してきた一人のスカイエンジェルであった。
アンナの進行方向から逆進してきたエンジェルは、急上昇しながらプラズマ砲を全開にさせた。
小口径だが8門も装備されたプラズマ砲は、敵の気勢を削ぐのに充分な威力を秘めていた。
強かにカウンターパンチを喰らい、フォルニョートの編隊が大きく崩れる。
- 72 :
- バラバラになった編隊を突き抜けたエンジェルは、急上昇のまま半横転に入った。
そして背面飛行から頭を下げて急降下に移る。
見事な、教範通りのスプリットS機動であった。
眩いプラズマの奔流がフォルニョートに襲いかかる。
そこに引き返してきたルフト・バッフェの面々が再突入してくる。
形勢不利と見た敵編隊は180度の旋回を見せ、全速力で空戦域から離脱していった。
地上に戻ってきたアンナを待っていたのは、1週間の飛行禁止処分であった。
本当なら営倉入りを免れないところだったが、3機撃墜5機撃破の大戦果が彼女を重い処分から救ったのだ。
当のアンナはというと──全く懲りてはいなかった。
謹慎処分など糞喰らえとばかり、さっそく街に繰り出したのだ。
行きつけのバーでアンナが一杯やっていると、背後に人の気配を感じた。
振り返ったアンナは、そこに一人の金髪女性が立っているのを認めた。
眩い金髪を縦巻きロールに垂らせた、ゴージャスな雰囲気の美女である。
着ているフォーミュラー2は濃淡の付いたアースカラーに彩られ、小脇に同色のヘルメットを抱えている。
先ほどの空戦で途中から乱入してきたスカイエンジェルであった。
「やあ、ペネロッピー。ダンケ・シェーンは言わないでおくよ。確か、これで貸し借り無しのはずだ」
言葉とは裏腹に、アンナは嬉しそうに相好を崩した。
ペネロープ・デューク少佐──ロンドンのロイヤルエンジェルスに所属する編隊長である。
英国貴族の出身で、総スコア12機を誇る堂々たるエースである。
今日の空戦においても、2機のスコアが公認されている。
「オーホッホッホッ。その負け惜しみ……如何にも貴女らしいですわ」
ペネロープは満足そうに高笑いするとアンナの横に腰掛ける。
「スコッチを……この方のおごりで……」
ペネロープは飲み物を注文すると、ふて腐れて黙り込んでいるアンナの横顔を見詰めた。
「別に貴女を助けようと思った訳ではありませんのよ」
ペネロープはアンナがそっぽを向くのを嬉しそうに目を細める。
彼女にすれば、アンナが嫌な顔をすればするほど楽しいらしい。
「わたくしは、ただ敵にRAFを軽く見れば痛い目に遭うと教えて差し上げたかっただけですの」
- 73 :
- ペネロープは自分の留守中、敵にロンドン上空を通過されたことに憤った。
プライドの高い彼女は、せっかく素通りしてくれた敵編隊を、ドーバー越えまでして追っかけてきたのだ。
「で……ガス欠でロンドンに帰れなくなっちゃったのはマヌケだけどね。結構笑える」
アンナがようやく一太刀浴びせることに成功する。
痛いところを突かれ、ペネロープが真っ赤になった。
高慢なお貴族様であるが、裏表のないペネロープのことをアンナは気に入っていた。
ペネロープも自尊心に相応しい実力を持ったアンナのことを敬愛している。
所属する部隊は違っても、互いに尊敬しあえる友人であったのだ。
「どうだい。お礼ついでに、帰りのエンジェルステロンは私のおごりにしとこうか」
優位に立ったアンナがクククッと笑った。
美しい公爵令嬢のアヌスを抉って、ヒィヒィよがらせてみるのも一興かも知れない。
ペネロープがどんな声で泣くのか、アンナは想像して口端を歪めた。
「結構……遠慮しておきますわ。帰りの飛行機は予約済みですの」
公爵令嬢は素っ気なく答えながら壁の時計に視線を逸らし、上気した顔をそっと隠す。
そして空になったタンブラーをカウンターに置くと、スツールから立ち上がった。
「それより中尉、あまり無理をなさらないで。どうして、そんなに個人スコアにこだわるのかしら……」
ペネロープは正面を向いたまま、改まった口調で友人に忠告した。
「スター気取りもよろしいけど、何のためのチームですの? 大概になさらないと、貴女、近いうちに散っちゃっいましてよ」
ペネロープの言葉は辛辣だが、真の友誼から出たものであった。
ところが、アンナの対応は素っ気ないものであった。
黙ったまま薄ら笑いを浮かべたアンナを見て、ペネロープは処置なしとばかり首を振る。
そして背を向けてバーを出ようとしてその足を止めた。
急にアンナが激しく咳き込み始めたのだ。
その普通でない様子にペネロープは思わず駆け寄ろうとした。
「来るなっ」
アンナは口を覆っていた手でペネロープを突き飛ばす。
よろめいたペネロープの胸に、真っ赤な手形がベットリと付いていた。
「……アンナ……貴女……?」
いきなり吐血した友人を前にして、ペネロープは絶句したまま立ちつくしていた。
「分かったろ? 私にはもう時間がないんだよ」
蒼白になった顔でアンナが微笑む。
そして一転して鬼の形相になると、ペネロープを睨み付けた。
「誰にも言うな。言ったら、お前を……す……」
それを最後に、アンナがスツールから転げ落ちた。
- 74 :
- 投下乙&GJ!
スタイリッシュな描写カコイイ
続きwktkしながら待ってる
- 75 :
- 相変わらず惚れる文体と設定にGJを。
空戦いいなぁ。
- 76 :
- age
- 77 :
- 対空のハンスGJ……と、この中ではアンナか
となると後は対地のハンスの活躍も期待したいな
しかし、片やアフリカの星、片やソ連人民最大の敵
同じハンスでもえらい違いだよなぁ
- 78 :
- あ……最初アンネだったのを今思い出したorz
- 79 :
- age
- 80 :
- 主人公が男だったりするけれど大丈夫かしら
いや、ちゃんとパワードスーツな女の子も出るけどね
- 81 :
- >>80
これから投下してくれるってこと?
いいよカモン
- 82 :
- では、日を跨ぎましたが投下させていただきます。
注意書き
・今回は非エロです。
・グロ……というか、者がでます。
・スーパーロボット的なので、そういうノリが苦手な人はスルー推奨です。
・主人公が男の子です。でもちゃんと女の子も出ます。
・20レス近くの長い作品です。ご注意を。
・続き物です、ご注意を。
以上、どれかが許容できない方は、不快感を覚えぬために読まないほうがいいかもしれません。
それでも読んでいただき、不快感を覚えたとしても、残念ながら責任が取れません。あしからず。
全然OK、という方は、どうぞ↓へ。
- 83 :
- 地球人類が宇宙への進出を始めたその矢先。
宇宙より、無数の隕石群が飛来した。
それと時を隔てること、およそ一年。
人類は、ファーストコンタクトを果たす。
皮肉なことにそのファーストコンタクトは、人類の歴史を繰り返すかのような、侵略だった。
時空戦記ギアダイバー
episode 01 遭遇
- 84 :
- アラームの鳴る音が、部屋に響く。
無遠慮に耳を叩く警報に、小さく眉をしかめながら、彼女はベッドから身を起こした。
『第一級戦闘配備。ダイバーはスーツ着用後、格納庫へ向かってください。
繰り返します。第一級戦闘配備――』
言われるまでも無い――そう胸中で答えながら、残っている眠気を頭を振って払う。
彼女のさほど長くない、むしろ短いと言ったほうがいい髪が揺れ、乱れる。
それには構わず――どうせ、すぐにまた乱れるのだ――部屋を出る。
駆け足で女性控え室に向かうと、そこには既に先客がいた。
短くそろえた銀髪に、深紅の瞳。まるで彫刻のように整った顔立ちは、来客者に反応もしなかった。
「早いのね」
「丁度空戦シムを行っていた」
そっけない態度でそう答える少女に、小さく嘆息する。
それ以上話す時間も無いので、彼女はさっさと着替えることにした。
上着を脱いで、上半身を露出させたところで、部屋のドアが開く。
「茜、遅い」
「あう。ごめんなさい……」
軽く息を切らせながら入ってきた妹にそう言うと、彼女は素直に謝ってきた。
肩口にかかる彼女の黒髪が、さらりと揺れる。
「まあ、まだ大丈夫みたいだけど。トイレ?」
「……当たり」
遅れた理由を適当に聞いてみたら、どうやらその通りだったようだ。
恥ずかしそうにする妹に、本当に間が悪い子だな、と、小さく苦笑する。
そんなやり取りをしているうちに、銀髪の少女は着替え終えたようだった。
細身の体を、ぴったりとしたスーツに包んでいる。小脇にヘルメットを抱え、二人に向かって口を開く。
「先に行ってる」
「すぐ行く」
振り向きもせずに言う少女に、彼女はそう答えた。
- 85 :
- 突き抜けてしまいそうなほど青い空。雲も少なく、見事なまでの快晴だ。
その空を見上げ、小さく息を吐く。
「……いい天気だ」
特に意味も無く、そんなことをつぶやく。
ひゅう、と風が吹き抜け、彼の肌を撫でる。まだ肌寒い春の風に、彼は小さく身震いした。
「おい比呂、そんなところでぼけっとしてないで早く来い」
乱暴に自分を呼ぶ声に気づき、比呂と呼ばれた少年ははっと我に返った。
そうだ。自分は今、のんびりと空を眺めているような立場ではない。
慌てて声のほうを振り向き、小さく頭を下げる。
「ごめん、健吾おじさん。すぐ行くよ」
そう言って、小走りで呼ばれた場所――車庫へと向かう。
そこには、そろそろ初老にさしかかろうという、厳しそうな印象の男性が彼を待っていた。
単車の荷台に荷物をくくりつけ、軍手に包まれた手でそれをぽんぽんと叩いている。
それが催促の仕草であることを知っている比呂は、もう一度頭を下げた。
何せ、今自分がこうして生活できているのは、引き取ってくれた健吾のおかげなのだ。迷惑はかけたくない。
「今日はどこに……うげ、結構遠いなぁ」
荷物に付いた宛先に、小さく呻く。
世話になっているおじさんに、少しでも恩返しをしようと始めた手伝いだが、これが意外にキツい。
始めた当初は自転車にしか乗れなかったので、さほど遠くへは割り当てられなかった。
だが、バイクの免許を取るとすぐに、その範囲も広がった。今日などは、20キロも先の場所が目的地だ。
「仕方ねぇだろ。五年前ならいざ知らず、今じゃ郵便物なんてほとんどねぇんだ」
健吾が小さくため息をつきながらそう答える。
およそ五年前。地球規模での侵略戦争が起こり、日本もそのあおりを受けた。
地球上のどこにも存在しない組織――地球外からの侵略に、政府は情報規制を行うことも出来ずに麻痺。
相当数の被害者を出しながら、今では散発的にやってくる侵略者に対して、自衛行動を行うのが精一杯という有様だ。
人口も減り、疎開をする地区も多く、日本などはたった五年で閑散とした土地となった。
結果的に、郵便や交通機関はほとんど麻痺してしまったのだ。
「……そうだね」
疎開組である比呂も、それは分かっている。
小さい頃からの幼馴染と、もう五年も連絡が取れずにいるのだ。
それが分かっているだけに、比呂はそれだけしか答えられなかった。
- 86 :
- 「ありがとうね。どう、あがってお茶でも」
「ああ、ありがとうございます。でもすいません、まだちょっと仕事が残ってるんで」
荷物を届けた先で、そんなやり取りをする。
実は何度か来たことのある場所で、今応待しているおばあさんは、比呂も何度か話をしたことがあった。
丁度孫が比呂と同じような歳らしく、他に仕事が無いときなどはお茶やお茶菓子をよくご馳走になっていた。
いつも運んでいる荷物は、その孫からの郵便物だということで、届くと二重に嬉しそうな顔をしてよく話している。
嬉しそうに孫の話をするおばあさんに、遠い場所とはいえ彼も来るのにやぶさかではなかった。
何せ自分には、もう健吾以外に親類と呼べる人間はいない。
「そうかい。遠くて不便だろうに、いつもすまないね」
「いえいえ。俺も好きでやってますからね。
まあ、確かにちょっと遠いですけど、これくらいなら」
それじゃ、また来ます。と返事をして、バイクにまたがる。
名残惜しそうに手を振るおばあさんに手を振り返してエンジンを入れると、比呂は急がなきゃな、とつぶやいた。
実際、まだ少し宅配物が家のほうに残っている。
自分達が運んでいるのは、都会からの貴重な物だ。それを心待ちにしているおばあさんのような人がほとんどである。
だから、一刻も早く届けてあげなくてはならない。
自分も、家族や知り合いから手紙の一通でも届けば、嬉しいと分かっているから。
「……また時間が出来たら来るかな」
遠いことさえ気にしなければ、気のいいおばあさんだ。
一人で暮らしているということもあるし、ちょくちょく行くのも悪くないかもしれない。
そう思って、バイクを発進させようとしたその瞬間――
背後で、爆発に似た壮絶な音と、地響きがした。
「……え……?」
何事かと、半分呆けたような様子で振り返る。
土煙と、散らばった木材。瓦礫のようになった家を押しのけ、虫のような巨大な生物が、そこには存在していた。
その足元、先ほどまで話をしていた玄関先に視線を向ける。
そこには――
- 87 :
- 「う、あ、ああああああっ!?」
叫ぶ。
先ほどまで、嬉しそうに荷物を抱えていたおばあさんの笑顔と、崩れ落ちた家が重なる。
玄関先から、赤い液体がゆるりと染み出し、比呂に全てを悟らせた。
悟ってしまった。もうあの笑顔は、見れないんだと。
「ミツケタ」
体長は五メートルほどもあろうか。甲虫のようなフォルムの化け物が、こちらに視線らしきものを向けた。
相応にサイズの大きな脚を使って、こちらにゆっくりと近づいてくる。
何かを確かめるようにこちらを観察し、確信を得たのだろうか。ブン、と羽音のようなものを立て、碧緑の粒子を周囲に撒き散らす。
その行為で起きた風に吹き飛ばされ、比呂は地面を転がった。
「くそっ」
罵声と共に身を起こすと、自分を吹き飛ばした化け物はすぐそこにいた。
自分を食いちぎろうとせんばかりに口が開かれ、ぎちぎちと嫌な音を立てる。
俺はぬのか、と、比呂は漠然とそんなことを悟った。
両親は仕事先で侵略者にされたと聞く。自分もそうなるのか。
ぬのは嫌だ。怖いし、多分凄く痛い。でも、この状況で助かるとも思えない。
やりたいことも少しはあったが、もうそれも叶わない。
心残りは、折角引き取ってくれた健吾おじさんに、ろくに恩返しも出来なかったことくらいか。
ごめん、と、健吾に心の中で謝罪して、振り上げられた脚を見上げ――
その脚が、中ほどからへし折れるのを見た。
「……ァァァァァァッ!」
人間には発音できないような悲鳴を上げ、化け物が後ろに下がる。
その声量に、思わず比呂は自分の耳を塞いだ。どうやら自分は、まだそんなことをとっさにするだけの余裕があるらしい。
次の瞬間、化け物が後ろに下がったことでできた比呂との間に、何かが落ちてくる。
いや、落ちてくるという表現はおかしかった。何故ならそれは、人の形をして二本の足で大地を踏みしめていたのだから。
- 88 :
- 全長はおよそ二メートルと半。
全身を金属の鎧で覆い、あちこちに機械のようなものが見えている。
まるでアニメか漫画から抜け出てきたような、そんな二足歩行のロボットに、比呂は我を忘れて見入っていた。
『生存者確保! 君、早く逃げて!』
スピーカー越しのような声で、こちらに頭部を向けてくる。
女性の声か。どこかで聞いたような覚えがある。
とても懐かしい、それでいて親しみのある声。
『……って、まさか、ヒロ!?』
「え……?」
何故自分のことを知っているのだろう。少なくとも、自分にはこんな金属の塊に知り合いはいない。
だが、先ほどの声には聞き覚えがある。昔、よく自分のことを構ってくれた、近所の――
「か、楓さん!?」
『やっぱヒロか! 何でこんなところに!?』
驚愕の声を上げる二人を無視し、化け物が咆哮を上げる。
問答をしている場合ではないと、楓は瞬時にそちらに対して手に持ったアサルトライフルを向けると、一気に引き金を引いた。
爆発音に似た音が連続で響き、マズルフラッシュがその銃口の大きさを知らせる。
音速で発射された金属の塊が、今まさに彼女たちに向けて牙を向けようとした化け物の肉を抉り、後退させる。
だが、それで致命打を与えられたわけではないようだった。怯みはしたが、それだけだ。
意外にタフなその様子に、楓は小さく舌打ちをした。
空ではまだ仲間が戦っている。こいつ一匹に長々と構っているわけには行かない。
『……ええい、逃げろは撤回! ヒロ、乗って!』
「の……ええ!? ど、どうやってさ!?」
乗れと言われても、そのどこにも積載用のスペースなど見当たらなかった。
背中に乗れというわけでもないだろう。ランドセルのような平べったいバックパックがあるだけで、どこにも体を載せる場所など無い。
『背中! 背中に触って! 早く!』
アサルトライフルを乱射しながら焦ったように促す。
背中に触ってどうするというのか。だが他に助かるような方法も思いつかず、比呂は素直に従うことにした。
- 89 :
- 立ち上がると、体のあちこちが痛みを訴え、比呂は顔をしかめた。
だが、幸いにも痛みで動けないほどではない。軽い打撲程度だ。
言われた通りに近づいてバックパックに手を添えると、化け物が放ったと同じような碧緑の粒子が周囲を包む。
「ええっ!?」
その光景に戸惑い、周囲を見渡すとほぼ同時、どこかに引きずり込まれるような感覚に襲われる。
とっさに目を閉じて、再度開いたときには、小さな部屋のようなところにいた。
左右に長椅子のような物があり、正面には小さなモニターが付いている。
「ここはどこだよ!?」
周囲を見渡して叫ぶ。あの機体のどこにこんなスペースがあるというのか。
そもそも、この部屋はあの機体よりも幅が広い。どう考えても物理的におかしい。
そう思ってモニターに向かおうとした瞬間、強い衝撃が部屋を襲い、壁に叩きつけられる。
ぐ、と声が漏れ、肺から空気が強制的に吐き出させられる。
「くそっ」
罵声を漏らしながら頭を振る。先ほどよりはましだが、それでも今日は酷い事ばかりだ。
『ごめん、ヒロ。ちょっと我慢してて』
「我慢も何も、一体何がなにやら……」
そう答えて、楓の声が小さくくぐもっている事に気づく。
先ほどまでとは違う様子と先ほどの衝撃に、比呂はまさかとモニターに近寄る。
スイッチのようなものを押すと、ヘルメット越しに苦しそうな楓の顔が映った。
「楓さん、大丈夫ですか!?」
『……ちょっと下手こいた。大丈夫、ヒロは絶対安全な所に届けるから』
苦しそうな顔を無理やり笑顔に変えて、楓がそう言う。
全然大丈夫そうには見えない上に、彼女の言う大丈夫は自分の聞いたものとは違った。
楓さんのことだ、と言おうとして、唐突な揺れに襲われる。
信じるしかないのか。自分に出来ることが何も無いことに、比呂は拳を握り締めた。
- 90 :
- ちょっとまずったな、と小さくつぶやく。
比呂を回収したはいいが、その際にエイシム――化け物のことだ――の攻撃を受けてしまった。
幸い、機体の動きに支障はあまり無いが、その爪がわき腹に食い込んだのだ。
スーツの応急システムで出血は抑えているが、止まったわけではない。
しかし、戦いを止めて処置をする時間も無い。空ではまだ二人が戦っている。
「生存者、保護しました……主戦闘区域に戻ります」
『了解……て、ちょっと、大丈夫!?』
「あはは、ちょっと下手こきました。でも大丈夫ですよ」
心配そうに聞いてくる通信士に、苦笑で返す。
大丈夫。まだ動けるし戦える。ちょっと痛いが、それだけだ。
「ごめんね、ヒロ。ちょっと大変なことになってるから、届けるの少し遅れる」
『そんなことより、楓さんは大丈夫なのかよ!?』
「大丈夫大丈夫。これでも結構頑丈なんだから。
これからちょっと話できないけど、我慢しててね」
それだけ言って通信を切る。戦闘の会話を聞かせて不安にさせるわけにはいかないし、何より少し気恥ずかしかった。
五年前に疎開で別れることになったときと比べて、なかなかいい男に育ったものだ。
度々妹との会話で出てきた彼の話に想いをはせる。
「守らないと、ね」
もう知っている人間がぬのはごめんだ。
今の自分には戦う力がある。守る力がある。ならば、全部守ってみせる。
彼の未来も、妹の未来も、全部だ。
「茜、ロゼ! 散開!」
下から追いすがる大型の攻撃を避けながら、二人に指示を飛ばす。
同時に背中のバックパックが開き、中から小型のミサイルが飛び出す。
群れ、と称するのが正しいほどの数の小型エイシムに六つのミサイルが飛び、中空で更に分割される。
そのまま連鎖するように小爆発を重ね、いくらか数を減らすが、あまり効果は無かった。
- 91 :
- 「お姉ちゃん!」
「どこかにコマンダーがいるはずよ! 夏樹さん!」
『今スキャンしてる! もう少しもたせて!』
管制官からの通信に頷き、散開する。
この周辺には民家はほとんど無い。そんな場所に何故発生したのかはわからないが、そのおかげでまだ戦いやすかった。
つぶれた民家の持ち主には気の毒だが。
「大型は私が抑えよう」
「任せていい?」
ああ、と短く答え、ロゼと呼ばれた少女が背を向ける。
碧緑の粒子を放出し、彼女の機体は大型へと身を翻した。
左の手首から筒状の機械を取り出すと、そこから同じ色をした粒子の刃が現れる。
右手に持ったライフルから碧緑の粒子が飛び出し、大型が展開した粒子の壁に防がれる。
その壁に叩きつけるように刃を振るい、衝撃と共に粒子を撒き散らす。
そのまま背中から三角形の誘導砲台を二つ射出して、横から迫る爪を身を翻してかわした。
ほぼ同時に誘導砲台から粒子が吐き出され、大型の装甲を穿つ。
ほんの数瞬でのその攻防に、楓は任せてよさそうだと結論付けて、大きく息を吐く。
「よし、私らはちょっとでも数減らすよ」
「う、うん……でも……」
心配そうに返事をする妹に、大丈夫よ、と答える。
汗をにじませて呼吸も大きくなっているため、説得力が無いと自分でも思うが、こればっかりはどうしようもない。
なので、別の方向から攻めることにする。
「早く終わらせて戻らないと、お姉ちゃんゆっくり休めないんだけど?」
「……そうだね」
分かった、と答える妹を見て、どうやら納得してくれたようだと安堵の息を吐く。
ぐら、と揺れる意識を気力を振り絞ってどうにか留め、楓は機体を翻した。
- 92 :
- 「くそ、外はどうなってるんだよ……」
断続的に襲ってくる小さな衝撃に、比呂は一人愚痴をこぼしていた。
急に現れた化け物に、それを追うような形で現れたロボット。
しかもそれを操っているのは、五年前に疎開で離れ離れになった近所のお姉さんで、化け物と戦っている。
「何が何だか……」
一方的に通信が切られたが、他との回線は繋がっているのか、そこは切り忘れたのか、外からの会話は聞こえてきた。
その中でも衝撃的だったのが、彼女の妹である茜も一緒に戦っているらしいということだ。
自分と同い年の女の子が、楓と似たようなロボットを操って、戦っているというのか。
そして自分は、彼女達に守られるだけで、何も出来ないでいる。
当たり前だ。自分には戦う力も無いし、戦う術も知らない。そんな世界にはいなかった。
だがそれでも、自分の知っている人間が戦っているのに、何も出来ずにいるしかないというのは、歯痒いものだった。
「畜生……」
彼に出来ることは、何も無かった。
「こんなところに、何があるって、言うのよ……!」
息を切らしながら、刃を振るう。小型をその一振りで両断し、楓は愚痴るようにつぶやいた。
やつらがよく現れるのは、電子機器や情報機関が存在している周辺と、人がいる場所だ。
しかし、こんなところにはその二つも少なく、言ってしまえば田舎である。
だからこそ疎開という方法で人々は都会から逃げたのだが、何故こんなところをやつらが攻めるのか分からない。
「何か探してたのかな」
「かもね」
妹の言葉に、言葉短く返事をする。
吐き捨ててはみたが、どうでもいいことではあった。どんな目的があるにせよ、殲滅対象なのは違いない。
ただ、文句の一つでも言わないことには、そろそろ意識を保つのがつらくなってきたのだ。
『スキャン、完了したよ!』
そうやってどうにか意識をつなぎとめている間に、どうやら管制官は仕事を終えてくれたようだ。
通信からは焦ったような雰囲気が感じ取れ、どうやらまた面倒なことが起きたのだろうかと、楓はうんざりとした。
『データ送ったよ! オルゴン・クラウドが展開されてる! ダイブされる、気をつけて!』
ダイブという言葉に、これはちょっと覚悟がいるな、と楓は苦い顔をした。
- 93 :
- 小型の群れの奥、一回り大きい固体の周囲に、碧緑の粒子が雲のように漂っている。
その雲はコマンダータイプと称されるその個体を包み、一気に圧縮する。
次の瞬間、空気が歪み、その姿が消えた。
いや、消えたのではない。肉眼で視認出来ない速度で動き始めたのだ。
「ダイブ……!」
苦々しげに吐き捨て、レーダーを切り替える。
オルゴン粒子の流れを感知し、量子空間に突入――ダイブした固体を認識する、オルゴンデテクターだ。
同時に、機体を包むように粒子を球状に展開する。
直後、最大出力で張られたフェイズシフトフィールドを強い衝撃が襲い、楓は歯を食いしばってその衝撃に耐えた。
「お姉ちゃん!」
「ぐっ……大丈夫よ! それより、身を守ることに集中!」
相手がダイブしてきた以上、こちらも相応の手段を取る必要がある。
しかしそれには危険を伴い、安定してそれを使えるのはまだ自分の機体だけだ。
PSフィールドもいつまでもつか分からない。通常弾丸にはほぼ無敵なのだが、同じような粒子攻撃には、出力でしか対抗できないからだ。
「やるしか、ないか……」
異物を抱えた状態でのダイブは初めてだが、やるしかない。
制御に失敗すれば、自分はおろか比呂までも量子空間に『溺れ』て、オルゴン粒子に還元されてしまうかもしれない。
だがそれでも、このままでは負けることは明白だ。
「ヒロ……」
『楓さん!? 何この揺れ! どうしたんだよ!?』
通信を開き、仕方ないな、と苦笑する。
急な事態に巻き込まれ、よく分からないまま命の危険に晒されて、この程度で済んでいるのは大したものだと思う。
だが、これから話す事に彼は納得してくれるだろうか。
どう説明しようかと考え、卑怯だな、と思う。
どう説明しようとも、選択肢は一つしかない。ただ単に、彼に覚悟をする時間を与えたいだけだ。
何も知らずにんでしまうよりは、せめてどういうことか知ってからのほうがマシだろう。
そんな自己満足のためだけの説明だ。だったら――
「落ち着いて――は無理だと思うけど、手短に説明するね」
正直に話してしまうしか無いだろう。少なくとも彼女は、そう結論付けた。
- 94 :
- 説明そのものは、簡単だった。
化け物を倒すために、ある事をしなくてはならない。
それには危険が伴い、自分だけでなく比呂もんでしまうかもしれない。
だが、それを使わなければ、確実に負けて皆ぬ。
言葉にしてみれば、なんとも卑怯な話である。結局のところ、ぬのが嫌ならば選択肢は一つしかない。
『いいよ、やってくれ』
そして案の定、想定した答えが返ってくる。
断続的に襲ってくる衝撃に、傷が疼く。その顔を見て判断されたかな、とも思う。
「ごめん」
『いいから』
後で聞く、と答えた比呂は、納得し切れていないが、するしかないといった様子だった。
それを見て、自分はひどいやつだと、自嘲気味の笑みを浮かべる。
「後で、ね……」
どうしたものかと考える。スーツに無理やり塞いでもらっているが、腹の傷は思ったよりも悪い。
スーツの生命維持装置でどうにかもっているが、これは確実に入院する羽目になるだろう。説明できるのだろうか。
「……後のことは後で考えるか……ダイブモードスタンバイ!」
楓の指令に、機体の装甲が大きく膨らむ。
各パーツごとに分割され、その隙間から膨大な量のオルゴン粒子が放たれる。
「アクセス!」
宣言と同時に、装甲表面が弾け飛んで碧緑の粒子へと還元される。
残ったパーツがスライドし、一回り小さい姿へと変形する。
レバーではなく、装甲に覆われた自身の手を握って気合を入れ、楓は量子空間へとダイブした。
空間が歪み、周囲が停止したと思えるほど動きが緩慢に見える。
否、周囲は何も変わっていない。自分の時間の流れが変わったため、遅く見えるだけだ。
音速を超えるはずの弾丸が、指でつかめそうなほど遅く進む。
粒子一つ一つの流れが分かるほどの時間の流れにおいて、楓は自分に迫る敵の姿を見た。
- 95 :
- 「なんだ、これ……」
自分の周りに発生した奇妙な空気に、比呂は辺りを見回した。
彼の目は部屋の壁を映す。だが、彼の意識はその外側を知覚していた。
周囲の動きがじれったい程緩慢になる。
それと同時に、周囲のありとあらゆる動きが感知できる。
楓が腹部に深い傷を受けているのも、そのせいで制御が困難になっているのも、彼女の見ているものも。
意識すれば彼女の全てを知覚出来そうな錯覚に陥り、慌てて比呂は意識を外に向けた。
身を翻してオルゴン粒子を放つエイシム――彼女の意識の表層から読み取れた単語を、頭の中で反芻する。
EISM。高度な知性を持ち、地球外から現れた侵略者。
目的は不明。情報媒体や、知性体の存在する場所に出現し、奪っていく――
と、彼女の視界からコマンダーが消える。何のことは無い。楓が痛みに呻いた瞬間に、視界から外れたのだ。
そのまま迂回して、背後から迫ってくる。
「楓さん、後ろ!」
聞こえるはずが無いと思いながらも、比呂は思わずそう叫んだ。
「まずい……!」
断続的に襲ってくる痛みに顔をしかめたその一瞬で、エイシムの動きを見失ってしまった。
楓は小さく舌打ちをして、慌てて視線を巡らせるが、痛みで目が霞み、焦りで判断が鈍る。
――楓さん、後ろ!――
不意に聞こえたその声に、疑問に思うよりも先に反射的に振り向く。
迫るエイシムの爪をぎりぎりで防ぎ、どうにか姿勢を制御することに成功した。
「ヒロ……?」
油断無くエイシムに視線を巡らせながら、聞こえないはずの声に疑問符を浮かべる。
聞こえるはずが無い。回線は閉じているのだ。それに先ほどの声は、まるで『そういう意思』が入り込んだような、奇妙な声だった。
「考えてる場合じゃない、か……」
沈みそうになる意識を奮い立たせながら、楓はエイシムを睨みつける。
何故聞こえるのか考えるよりも、まずは敵を倒さなくてはならないのだ。
- 96 :
- なるほどそういうことか、と、比呂は妙に落ち着いた気分で、自分に起きている事態を理解し始めていた。
自分の意識が粒子に乗って拡散していくような錯覚。
これが、楓の言っていた『危険』なのだろう。つまり、この粒子に同化してしまうのだ。
気をしっかり持っていないと、すぐにでも溶け込んでしまいそうだった。
(だったら、今の楓さんは……)
怪我で意識が朦朧とし始めているはずだ。
そんな中、こんな空間に長時間いれば――結果は明白だ。
むしろ、まだもっているというのが信じられない。そもそも、どれほどの精神力があれば、あんな状態で戦闘が出来るというのか。
「楓さん、もうダメだ! これ以上は楓さんが――」
『そうも行かないの』
通信なのか、肉声をオルゴン粒子が伝えているのか――
どちらかは判別が出来ないが、楓の声に迷いが無いことだけは明らかだった。
『一旦ダイブアウトすれば、もうダイブできない』
私が限界だからね、と、自嘲気味に笑う。
『だから、このチャンスを逃したら全部パー。
ヒロも守れないし、茜も守れないし、仲間だって守れない。だから、ダイブアウトは出来ない』
そう答える楓から、悲壮な決意が伝わってくる。
何故この人はここまで出来るのか。何故他人のために、ここまで命を張れるのか。
思えば昔からそうだった。いつも自分のことは後回しで、人の事ばかり考える。
そんな彼女を、お節介焼きだと思いながらも、自分は憧れていたのだ。
「楓さん」
『何? 実は会話に気を回す余裕、無くなってきたんだけど』
つらそうに、だが律儀に答えてくれる。ほとんど最初からそんな余裕無かっただろうに。
だからせめて、少しでも手伝えるなら――
「少し、考えがある」
自分が出来ることを、やるしかない。
- 97 :
- 撹乱運動をするだけで、目に見えて敵の動きが衰えていく。
それに伴ってオルゴン・エナジーの出力も弱まり、何もしていないのに既に満身創痍だ。
だが、対象は未だ健在で、反応も消えていない。
となれば、やはり最終的には直接叩いて消すしかない。
そう思案していると、ゆっくりと――だが確実に敵の動きが止まる。
限界が来たか。そもそも、肉体に縛られている生物が、この空間にいること自体に無理があるのだ。
その上で負傷をしているのであれば、なおさらである。
このまま量子の塵と消えるのを待ってもいいのだが、何が起きるか分からない。
やはり敵が動けないうちに、確実に消すべきだろう。
そう考え、『コマンダー』は、確実な勝利を得るために、敵に向かった。
この仮初めの肉体で敵の体を引き裂き、量子の塵へと還元するために。
「今だ!」
比呂が叫ぶと同時、楓は自分に残った力を振り絞り、エイシムへと向き直った。
今まさに自分を引き裂こうと迫る両の爪をがっしりと受け止め、自分に突き刺さるのを防ぐ。
『捕まえ……たぁ……っ!』
その宣言と共に、胴体正面に露出したダイブコア――この機体の心臓部が、ぎらりと光を放つ。
そこから感じられる膨大な量のオルゴン粒子反応と、嵌められたという焦りに、エイシムがその場を逃れようと身をよじるが――
楓は、どこにそんな力が残っているのか、放すまいとその手に更に力を込める。
『チェックメイトよ!』
無慈悲な宣言と共に、圧縮されたオルゴン粒子が解き放たれる。
濁流のように溢れ出す粒子の束が、コマンダーエイシムを打ち据え、その肉体を抉り流していく。
ごうん、という爆発と共にその全てが粒子と化し、異邦の化け物は量子の塵へと還元された。
「やった! 楓さん、早く――」
早くこれを解除して――
そう続けようとして、だが比呂は続けることが出来なかった。
- 98 :
- 「たはは……下手、こいちゃったなぁ……」
ゆっくりと通常空間に戻りながら、自嘲気味につぶやく。
システムが強制ダイブアウトを知らせ、各所にある排気ハッチが開くと、そこから蒸気が噴き出した。
「ちょっと遅かったみたい……」
ゆっくりと地表に向かって降りていく。
補助AIの緊急システムが、自動で機体を軟着陸させようとしているのだ。
そのまま地面にたどり着き、ばくん、と装甲が開く。
そこには、血にぬれたスーツに身を包む楓が、機体にもたれるようにして座っていた。
「楓、さん……」
いつの間にか外に出てきていた比呂が、沈痛な面持ちで自分を覗き込む。
どうやって出てきたのだろう。考えるが、分からない。
やだなあ、こんな汗でどろどろの顔、見られたくないんだけど。
「ヒロのせいじゃないよ……ちょっと私の頑張りが足りなかっただけ」
そう言って、手を伸ばそうとする。だが彼女の手は、もう無かった。
「あちゃ、もうだめか。神様も意地悪だよね」
「楓さん……!」
何かを堪えるかのような口調で、比呂が名前を呼ぶ。
ごめんね、と言うと、彼は首を横に振った。
「ごめんついでで悪いんだけどさ……茜のこと、お願いね。あの子、相変わらず泣き虫だから……」
ずる、と上半身が沈む。既に下半身は無く、オルゴン粒子へと還っていた。
「ヒロならできるよ。私が保障する」
そうやって笑う彼女の顔は、五年前と同じ笑顔だ。
また俺は何も出来ずに笑顔を一つなくすのか、と、比呂は自分の無力さを呪う。
「そんな顔するな、てのは無理だろうけど……ヒロは優しいからね。
でも、なぁんも心配することなんて無いよ。いつだって、ヒロのすぐ隣には私がいるから――」
とん、と意外に軽い音を立てて、ヘルメットが落ちる。
それが彼女の、最期だった。
後に残るのは、彼女だったオルゴン粒子の残滓のみ。それもすぐに、虚空に解けて消え去っていく。
「う……ああ……ああああああああああっ!」
残ったスーツをすがるように握り締め、比呂はあらん限りの力で叫んだ。
空ではまだ、楓の守った仲間たちが戦っている――
――to be continued
- 99 :
- 以上で終了となります。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
それではまた、次回でお会いしましょう。
……できるだけ早くあげようと思います。
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