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2012年07月創作発表224: ゲームキャラ・バトルロワイアル Part4 (455) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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ゲームキャラ・バトルロワイアル Part4


1 :11/03 〜 最終レス :12/05
様々なジャンルのゲームキャラを用いた、バトルロワイアルのクロスオーバー企画、
『ゲームキャラ・バトルロワイアル』のスレへようこそ。
【使用上のご注意】
『ゲームキャラ・バトルロワイアル』には、版権キャラクターの暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。
CEROで言えばD辺りに相当するかもしれません。
この作品は『バトルロワイアルパロディ』です。
苦手な方が読むと、後々の嫌悪感の原因となったり、
心や体などに悪い影響を与えたりすることがありますので、絶対におやめください。
☆前スレ
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1297423778/

☆まとめwiki
ttp://www29.atwiki.jp/gamerowa/

☆したらば
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/13051/

参加者名簿
4/7【東方project】
● 霧雨魔理沙/○博麗霊夢/○十六夜咲夜/○レミリア・スカーレット/ ● アリス・マーガトロイド/ ● 風見幽香/○東風谷早苗
3/7【ポケットモンスターシリーズ】
○レッド/ ● グリーン/ ● キョウ/○サカキ/ ● シルバー(金銀ライバル)/○アカギ/ ● タケシ
4/6【ファイナルファンタジーW】
○セシル・ハーヴィ/○カイン・ハイウィンド/ ● リディア// ● バルバリシア/○ルビカンテ/○ゴルベーザ
1/5【メタルギアシリーズ】
● ソリッド・スネーク/ ● ハル・エメリッヒ/ ● サイボーグ忍者(グレイ・フォックス)/ ● リボルバー・オセロット/○雷電
3/5【ペルソナ4】
○瀬多総司(主人公)/○花村陽介/○里中千枝/ ● 天城雪子/ ● 足立透
1/4【星のカービィ】
● カービィ/ ● メタナイト/ ● デデデ大王/○アドレーヌ
2/3【ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡】
● アイク/○漆黒の騎士/○アシュナード
18/37

2 :
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる
生き残った一人だけが、元の世界に帰る+ひとつだけ願いを叶えてもらえる
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる
【スタート時の持ち物】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収
(義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない)
また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される
「ランダムアイテム」は作者が「エントリー作品中のアイテム」と「現実の日常品」の中から自由に選択 
 必ずしもデイパックに入るサイズである必要はなし
 また、イベントのバランスを著しく崩してしまうようなトンデモアイテムは企画頓挫の火種、注意

3 :
【「首輪」と禁止エリアについて】
ゲーム開始前からプレイヤーは全員、「首輪」を填められている。
首輪が爆発すると、そのプレイヤーは死ぬ
(例外はなし。不死の怪物であろうと、何であろうと死亡)
開催者側は、いつでも自由に首輪を爆発させることができる
この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、開催者側へプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている
24時間死者が出ない場合は全員の首輪が発動し、全員が死ぬ
「首輪」を外すことは専門的な知識がないと難しい
(下手に無理やり取り去ろうとすると、首輪が自動的に爆発し死ぬことになる)
プレイヤーには説明はされないが、実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである
(実際に盗聴されているかどうかは、各企画の任意で
 具体的な方法や、その他の監視の有無などは各企画で判断)
開催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にいると、首輪が自動的に爆発する
【放送について】
放送は六時間ごとに行われる。
放送内容
「禁止エリアの場所と指定される時間」
 →出来るだけ離れた地点を二〜三指定。放送から二時間前後で進入禁止に
「前回の放送から今回の放送までに死んだキャラ名」
 →死んだ順番、もしくは名簿順に読み上げ
「残りの人数」
 →現在生き残っている人数。
「管理者(黒幕の場合も?)の気まぐれなお話」
 →内容は書き手の裁量で
【状態表について】
SSの最後には必ず状態表を入れ、今どんな状況なのかをはっきりさせる。



4 :
【場所/何日目/時刻】
【キャラ名@作品名】
[状態]:健康とか怪我の具合とか色々
[装備]:武器とか防具とか
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
(支給品を確認したら支給品の名前@作品名を記入。現実世界から出す場合は@現実で)
[思考]
基本方針:ゲームに乗るかどうか等そのキャラが行動する元になる考え
1:
2:1から優先順位が高い順番に行動方針を記入。4とか5とか作っても大丈夫だし減らしてもおk
3:
【使用例】
【A-1/一日目/深夜】
【霧雨魔理沙@東方project】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ポーション×3@FFシリーズ、金属バット@ペルソナ4
[思考]
基本方針:ゲームを止める
1:アリス達と合流する
2:やばそうな相手には自分から関わらない
支給品解説
【ポーション@FFシリーズ】
HPを小回復する液体。

【金属バット@ペルソナ4】
主人公専用の武器だが、他の人でも扱うことは可能かと思われる。
クリティカル率がやや上昇する。



5 :
【予約について】
予約はしたらば(ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13051/1254284744/)で行います。
予約する人はトリップをつけて「○○(キャラ名)と××を予約します」と書き込んで下さい。
予約期間はは原則として5日です。事情があったりするときは追加の延長(2日程)もできます。
延長したい場合は、再び予約時と同じトリップをつけて延長を申請して下さい。
が、延長を連発するのは避けて下さい。
何らかの理由で破棄する場合も同様です。キャラ追加予約も可能です。
予約期限を過ぎても投下されなかった場合、その予約は一旦破棄されます。
その時点で他の人がそのキャラを予約する事が出来るようになります。
また、前予約者も投下は可能ですが、新たな予約が入った場合はそちらが優先されます。
【荒らしについて】
荒らしや煽りは徹底スルーで。どうしても目にとまるのなら
専用ブラウザを導入してNG登録すること。

6 :
スレ立て乙です
では続きを投下します

7 :

◇◇◇
その村は不気味な程に閑散としていた。
ホラー映画の舞台になっていたと聞かされても何の違和感もなく納得するだろうなと雷電は思った。
当然、人が住んでいる気配などない。
「ひどい場所ですね! ずっとこんなところにいたら息が詰まりそうです!」
全員の気持ちを代弁するように早苗は言った。
「幻想郷とやらも、こういう所ではないのか?」
「こんなお化け村と一緒にしないで下さい! 幻想郷はもっと活気がありますよ。ね? 霊夢さん」
霊夢はちらりと早苗を一瞥したが、すぐに黙って前を向いた。
早苗は思わず俯いた。
サカキの説得もあって、霊夢は二人に敵意を向けることはなくなったが、やはり未だに心を許してはいないようだ。
「あ、あー……、そうだ。ここから脱出できたら、その幻想郷とやらに行ってみてもいいか? 少し興味があるんだ」
雷電が場の空気を変えようと話題を変えた。
早苗はぱっと明るくなって、すぐにそれに飛びついた。
「大歓迎です! 雷電さんなら神奈子様や諏訪子様も気に入ってくれます!」
「神奈子と諏訪子。神だとか言ったな」
アカギが前を向いたまま言った。
「はい、そうです。あ、言っておきますが、私だって神様ですよ。現人神というやつです!」
自慢げに早苗はそう言った。
「信仰を命とする神。人よりも上に位置する存在でありながら、人に依存しなければ生きていけない。……フフ、幻想郷という世界は面白いな」
嘲笑するようなアカギの言葉に早苗はむっとするも、肩に置かれたサカキの手によってその気持ちは萎んでいった。
雷電は、その様子を見て少なからずサカキを見直していた。
彼はこの短時間で、早苗という女性の人格を正確に見抜いていた。彼女がどんな発言に腹をたてるのかをよく理解している。
雷電でさえ彼女の特殊な思想には未だ馴染めていないというのにだ。
「確かに幻想郷は面白い場所だな。一度でいいから神という存在に会ってみたいものだ」
「まったくその通りだな」
サカキとアカギはそう言って笑う。仲が良いのか悪いのか、傍目からはよくわからなかった。
「……あの、それで……霊夢さん。少しは思い出しました?」
「思い出すも何も、私はアンタなんか知らない。神奈子や諏訪子なんて神も聞いたことない」
つっけんどんなセリフ。
見かねて雷電が口を挟んだ。
「早苗。気持ちはわかるが、あまり無理強いはしない方がいい。こういうことはじっくり時間を掛けた方が──」
「私は記憶障害なんか起こしてない! いたって正常よ! ただ気付いただけ。サカキ様が私にとっての神だって。……サカキ様。本当なんです。信じて下さい。私は……」

8 :
支援

9 :
「分かっている。だからそんな心配そうにしなくていい。私は霊夢を信用している」
「ディアルガによって時間軸の違う人間を殺し合いに参加させているんだろう。厳密に言うなら、ここにいる霊夢は早苗の知る霊夢ではないということだ」
それは村に向かう道中にアカギから聞いた話だった。
伝説のポケモンといわれるもので、今のところ現在の状況を説明できる唯一の存在。
時間移動と空間移動を行うディアルガとバルキアを使えば、世界創世さえ可能だとアカギは言っていた。
何故最初にそのことを言わなかったのかと雷電は詰問すると、
「ポケモンという存在を信じてもらってからでないと、話しても意味がないと考えた。下手に話しても、よりポケモンに対する理解を遠ざけ、混乱するんじゃないかと思ってな」
と、至極当然のように言っていた。
確かにその通りだし、その情報を開示するタイミングも、霊夢の状態を考えれば完璧といえるだろう。
彼女は自分が正常だと考えている。だからこそ、他者から記憶障害だと言われれば当然のように反発する。それは霊夢を刺激し、いらぬ争いを生む元になりかねない。
アカギの説明に早苗は未だ半信半疑のようだ。しかし、サカキも信じたその情報に、霊夢は一応納得している。今重要なのはその一点だ。
「だが、わざわざそんなことをする必要性が感じられないな」
「案外、今のような状況を楽しむため、という風にとれなくない」
「そうなると、主催者はかなり遊び心の持った者というわけか」
ペラペラと喋る二人。最初に会った頃の確執などなかったかのようだ。
そのころころと変わっていく話題についていけず、自然と他の三人は閉口した。

10 :
支援

11 :

それに最初に気付いたのはサカキだった。
「何かが光っている」
村の中を歩いていると、突然サカキがそう言ったのだ。
彼の指さす方向を全員が見つめる。確かに、何かがぼんやりと光っている箇所があった。どうやら建物が光を放っているようだ。
すぐに行ってみようということになり、五人はその光が放出する場所へと向かった。
そこは神社だった。
早苗と霊夢は懐かしそうに辺りを見回し、他の三人は物珍しそうに周りを観察する。
鳥居を潜り、しばらく歩いたところにある本殿。光っていたのはそこだった。
奇妙なことに、その光は電球などによるものではない。まるで本殿が意思を持って光を放っているように、建物全体が薄ぼんやりと輝いていた。
「……私が行こう。皆はここで待っていてくれ」
そう言って、サカキが拝殿へと足をかける。
「あ! 土足で足を踏み入れるとは何事です!」
「私もお供します! 一人では危険です!」
同じ巫女でもまったく違う反応をみせる。
だがどちらかといえば早苗の方が巫女らしい。霊夢は本殿が踏み荒らされることもまったく意に介していない様子だった。
「……早苗。今はそんなこと言ってる場合じゃない。それに、こんな古ぼけた神社に神様がいるとは思えないが」
雷電の素朴な疑問に、早苗はふふんと鼻をならした。
「どれだけ社が廃れていようと、神を祭る場所には神が宿るものなのです。神棚だって、大きさは違えどその性質は神社と同等のものです。当然神様は宿ります」
「……こんな場所にも神がいるというのか?」
「正確には分霊というものですね。他の場所で祭っている神を招き寄せてその力を借りているのです。分霊しても神の力は衰えることがありませんから、実質的には本家と同じだけの神徳が得られるというわけです」
「つまり、ここに神がいるわけではないが、その力はある……と?」
「んー……、まあそういうことです!」
どこか曖昧だったが、彼女は言い切った。
「なるほど。随分と便利なものだ」
アカギにとってむしろ感心したのは、今まで馬鹿な行動しか目に映らなかった早苗が比較的まともな知識を披露していることだった。
「わかった。靴を脱ごう。これで問題ないだろ?」
サカキは素足で拝殿へと足を踏み入れる。
「霊夢。お前は皆と共に待っていろ。心配するな。おそらく誰もいないだろう」

12 :
支援

13 :

本殿の中を少し探索すると、サカキの目当てのものをすぐに見つけることができた。
「……ふん。案の定か」
そこにはクリスタルがあった。どういう原理かはわからないが、光を放ち、その場で浮遊している。
「二つ目。やはり何か意味があるらしいな。これには」
意味のないものが二つも用意されているとは思えない。おおかた、いくつか集めることで効果が発揮されるアイテムなのだろう。
サカキはそれを躊躇することなく手に取ると、そのままバックの中に入れた。
「……誰だ?」
それは直感だった。根拠があったわけではない。しかし、その場に誰かがいるような気配がしたのだ。
「姿を隠している者が、誰だと聞かれて正体を明かすと思うか?」
どこからともなく声が聞こえる。
いる。何者かがここにいる。姿が見えないだけだ。
支給品の効果か? いや、姿を隠さなければならないような参加者が近くにいるというのなら、既に自分の命はない。
もしや……
「しかしそれでも明かすのが私流だ」
何もないところから男が現れた。
サカキからすれば、それは魔法のような光景だった。
「……それで? わざわざ参加者に接触した理由を聞こうか」
内心の興奮を抑え、サカキは言った。
「大した理由ではない。少し、貴様の持つそれを調べたかっただけだ。どうだね? しばらく預けてはもらえないか。ほんの十分もしない内に用事は終わる。この機会を逃せば何かと面倒なんでね」
これほど心の内の読めない男をサカキは見たことがなかった。
敢えて参加者という言い回しをしたことについても、わざと姿を現したのではないかというこちらの読みに対しても、一言の感想も言わない。
サカキは迷うことなくクリスタルを男に投げ渡した。
「良い判断だ」
にやりと男は笑い、その場に座り込むと一人作業をし始めた。
ゴーグルを装着し、奇妙な機械でクリスタルを入念に調べている。
「何も言わずに渡してくれた礼だ。聞きたいことを教えてやろう。調べている間だけだがな」
サカキに躊躇も遠慮もなかった。
「貴様達の目的は何だ?」
「私は雇われた身に過ぎん。崇高な目的とやらは、神にでも聞くんだな」
「神? この神社のか?」
「いいや。この世界の主さ」
その言葉に、サカキはますます引きこまれた。
「このクリスタルには何の意味がある」
「四つ集めたら真実を知ることができる、とだけ言っておこう。今はそれ以上の付加価値があるかもしれんがな」
「それを調べるために?」
「お前の考えている通りだよ」
これで三つの重要な話が聞けた。
敵は神で、ここは神の世界。そして、神の中にも不信得者がいるということ。
「一つ目はレッド。二つ目はアシュナードという狂王が持っている。三つ目は……未だ誰の手にも渡っていない。これも含めて計四つだな」
聞いてもいないのに男は重要な情報を喋ってくれた。どうやら自分を気に入ってくれたようだ。
好都合である。
「何故そんな重要な情報を参加者である私に教える」
「雇い主は公平な闘争をお望みだ。一方の力が強ければ、もう一方を強くする。色々と予期せぬ事態が続いたのでな。情報がとあるチームに流れ過ぎた」
「……公平な闘争を私が助長すれば、こちらに得はあるか?」
初めて、男は黙った。
「私を雇え。使えるぞ。私は」

14 :
支援

15 :

本殿の中を少し探索すると、サカキの目当てのものをすぐに見つけることができた。
「……ふん。案の定か」
そこにはクリスタルがあった。どういう原理かはわからないが、光を放ち、その場で浮遊している。
「二つ目。やはり何か意味があるらしいな。これには」
意味のないものが二つも用意されているとは思えない。おおかた、いくつか集めることで効果が発揮されるアイテムなのだろう。
サカキはそれを躊躇することなく手に取ると、そのままバックの中に入れた。
「……誰だ?」
それは直感だった。根拠があったわけではない。しかし、その場に誰かがいるような気配がしたのだ。
「姿を隠している者が、誰だと聞かれて正体を明かすと思うか?」
どこからともなく声が聞こえる。
いる。何者かがここにいる。姿が見えないだけだ。
支給品の効果か? いや、姿を隠さなければならないような参加者が近くにいるというのなら、既に自分の命はない。
もしや……
「しかしそれでも明かすのが私流だ」
何もないところから男が現れた。
サカキからすれば、それは魔法のような光景だった。
「……それで? わざわざ参加者に接触した理由を聞こうか」
内心の興奮を抑え、サカキは言った。
「大した理由ではない。少し、貴様の持つそれを調べたかっただけだ。どうだね? しばらく預けてはもらえないか。ほんの十分もしない内に用事は終わる。この機会を逃せば何かと面倒なんでね」
これほど心の内の読めない男をサカキは見たことがなかった。
敢えて参加者という言い回しをしたことについても、わざと姿を現したのではないかというこちらの読みに対しても、一言の感想も言わない。
サカキは迷うことなくクリスタルを男に投げ渡した。
「良い判断だ」
にやりと男は笑い、その場に座り込むと一人作業をし始めた。
ゴーグルを装着し、奇妙な機械でクリスタルを入念に調べている。
「何も言わずに渡してくれた礼だ。聞きたいことを教えてやろう。調べている間だけだがな」
サカキに躊躇も遠慮もなかった。
「貴様達の目的は何だ?」
「私は雇われた身に過ぎん。崇高な目的とやらは、神にでも聞くんだな」
「神? この神社のか?」
「いいや。この世界の主さ」
その言葉に、サカキはますます引きこまれた。
「このクリスタルには何の意味がある」
「四つ集めたら真実を知ることができる、とだけ言っておこう。今はそれ以上の付加価値があるかもしれんがな」
「それを調べるために?」
「お前の考えている通りだよ」
これで三つの重要な話が聞けた。
敵は神で、ここは神の世界。そして、神の中にも不信得者がいるということ。
「一つ目はレッド。二つ目はアシュナードという狂王が持っている。三つ目は……未だ誰の手にも渡っていない。これも含めて計四つだな」
聞いてもいないのに男は重要な情報を喋ってくれた。どうやら自分を気に入ってくれたようだ。
好都合である。
「何故そんな重要な情報を参加者である私に教える」
「雇い主は公平な闘争をお望みだ。一方の力が強ければ、もう一方を強くする。色々と予期せぬ事態が続いたのでな。情報がとあるチームに流れ過ぎた」
「……公平な闘争を私が助長すれば、こちらに得はあるか?」
初めて、男は黙った。
「私を雇え。使えるぞ。私は」

16 :
しむらー!同じレスだそれはー!

17 :
ふっと男は笑う。
「その自信といい、遠慮のなさといい、なかなか気に入った。だが、私の一存では決められん」
男の目的が闘争にあるというのなら、ここは事実がどうであろうと雇うと言うべきところだ。それだけのことを考える頭をこの男は確実に持っている。
これは男にとっての信用の証。そうサカキは捉えた。
「貴様の部下になることも、私は一切異論ない。どのような任務が下されようと、私なら応えられる」
「任務は何者かが下すものではない。時代が、世界が全てを決めるのだ。誰もが流動する相対敵と戦っている」
「貴様にとって今の敵が、ここにいる参加者というわけか?」
「現段階で、我々の目的はほぼ達成している。それでも尚このゲームを続けるのは、色々と思惑が錯綜した結果だといっていいだろう。要するに──」
突然、男の言葉が止まった。
「なんだ? 何か見つけたのか?」
「……クックック。これはこれは。雇い主には……やはり報告するべき問題だな」
男は機械やゴーグルをしまうと、クリスタルをサカキに手渡した。
「非常に助かった。おかげでいらぬ手間を取らずに済んだ。改めて礼を言おう」
「礼などいらん。私のことを、その神とやらに言い含めてくれたらそれでいい。少し色をつけてもらうと個人的には嬉しい限りだがね」
「優勝者を決める必要性はない。我々はただ殺し合わせたいだけなのだ。できるだけ醜く、できるだけ無様に。その過程で人が死ぬのなら好都合。とまあ、そう考えている。
……とりあえず、お前に教えられるのはこれくらいだ。これらの情報を知り、どう動くかはお前次第。お前にとっての相対敵が何者なのか。次に会う時までにその答えを用意すると言うのなら、雇い主には私が進言してやろう」
男は携帯のような小さな端末を投げ渡した。
「雇い主からの情報提供だ。せいぜい賢く使え。あくまで生き残るためにな」
端末を操作すると、現段階で生きている参加者が表示された。さらにそのプロフィール。各参加者の最新のスタンス。様々な有益な情報がこの端末には詰まっていた。
「……その助言は貴様の意思か?」
「言っただろう。私はお前を気に入ったとな。下手なことをして死なれれば、……まぁ寝覚めくらいは悪くなる。快適な睡眠は健康維持に必須だろう? 私もこれで、けっこう歳なのだよ」
数秒間、互いに見つめ合う。それは腹の探るための僅かな時間といってもよかった。
「了解した。お前の求めるものと相容れるかどうかは知らんが、その答えは用意しておこう」
「雇い主の機嫌次第では、早い段階からお前を引き入れることを了承するかもしれん。せいぜい精進するがいい」
男はそれだけ言い残すと、再び何事もなかったかのように消えてしまった。
今度は気配も掴めない。完全にこの場からいなくなったようだ。
「……けっきょく、何が目的なのかは読み切れなかったか」
わざわざ隠さなければならないほど、雇い主の目的は秘密裏に行うべきものなのか。それとも……
「っと。さすがに時間を食い過ぎたな。そろそろ戻るか」
一応、今の同行者達のプロフィールを確認し、サカキはその端末をしまった。

18 :
支援

19 :

「どうだった? 随分と時間が掛かったようだが」
何食わぬ顔で帰って来たサカキに、アカギが言った。
「何も問題はない。探索に時間が掛かっただけだ。まさかただの結晶体があっただけだとは思わなかったのでな」
そう言って、クリスタルを取り出して見せる。
「これが光っていただけだ。大したことではない」
「何だこれは?」
「さあな。我々の走光性を利用して、バトルロイヤルでもさせたかったんじゃないか?」
「ふん。私達は虫だというわけか」
「少なくとも主催者側から見れば」
「……それ、持っていくのか?」
雷電の問いに、サカキは頷いた。
「何が必要になるかわからんからな。まぁ、最低でも懐中電灯の代わりにはなるだろう」
けっきょくサカキは、予期せぬ来訪者のことは誰にも言わずじまいだった。
ずっと歩き通しだったため、休息を取ろうということになり、近くの民家へと五人は入った。それなりに広く、部屋も四つほどある。
主催者側の趣向なのか、日本風の家の中に丸テーブルや椅子が置いてあり、かなり浮いたインテリアとなっていた。
「お邪魔しまーす!」
大声で早苗は言った。
変なところで律儀である。
雷電が適当に棚を開ける。そこには今まで誰かが住んでいたかのように、服が丁寧に畳まれていた。
「色々と物資が調達できそうだな」
その言葉を皮切りに、全員で家の中を物色をすることになった。
各々が自分の興味ある場所を調べる。五人もいれば、すぐに必要なものは揃うだろう。
「……サカキ。ちょっといいか?」
サカキが一人で棚を調べていると、ふいに雷電が声をかけた。
「何か見つかったのか?」
「いや、そういうわけじゃなく……その、アカギのことなんだが」
「アカギ? 彼がどうした」
サカキが視線をアカギに向ける。彼はちょうど、奥の部屋へと入って行ったところだった。
「正直言って、俺はあいつを信用していない」
「……それはまた唐突な告白だな。共に行動していた仲間だろう?」
「俺と早苗はアカギと会ってすぐにサカキ達と出会った。だから……」
「時間が浅いから信用できないと?」
「そうじゃない。実を言うと……」
サカキは雷電から事のあらましを聞いた。
ポケモンを使うアカギを早苗が妖怪だと判断したこと。その彼女を黙らせるためとはいえ、非情な行動に出たこと。殺しを厭わないと明言したこと。
そして、何か別の目的があるのではないかということまで。
「……確証がないな」
しかし、サカキはそう言って雷電の言葉を否定した。
「確かに私は、最初彼に疑われたりもした。しかし、それはこの場においてはごく自然な考え方だ。
殺しを厭わないというのも、君と違い、自分の身を守る力がない我々にとって最低限の覚悟といえる。誰も好き好んで人をわけじゃない。だからこそ、早苗君も生きている。そうだろう?」
サカキの言葉は正論過ぎるほど正論だった。
雷電は、アカギがサカキを怪しいと言った時、ただの印象だと言って相手にしなかった。しかし、それは自分も同じだ。アカギが何か別の目的の為に動いているという考え方は、ただの直感に過ぎない。言うなれば、それもただの印象だ。
「確かに……考え過ぎていたのかもしれない」
「早苗君が大事なのはよくわかるよ。だが、常に視野を広めておかなくてはならない。そうしなければ、また妖怪にしてやられるかもしれんぞ。なにせ、妖怪というのは人と大差ない者までいるくらいだからな」
「……ああ。悪かった。突然こんなことを言い出して」
「仲間の心理状況を確認するのは重要なことだ。むしろ、よく打ち明けてくれたと礼を言いたいくらいだよ」
そう言ってサカキは笑った。
「あ、いや……。そう言われると立つ瀬がないな」
雷電は苦笑して礼を言うと、早苗のところへと戻って行った。

20 :
支援

21 :

「妖怪退治の基本はやはり問答無用が一番です!」
「まあね。いちいち相手の話聞くのも面倒だし」
「……いや。やっぱりそれは聞くべきじゃないか?」
早苗がいつもよりテンション高め(普段から高いのだが)に話し、それを軽い調子で霊夢が受け返す。
最初に出会った頃の気まずさはいつの間にかなくなっていた。
ディアルガによる時間移動が記憶違いの原因だということを霊夢が信じ、サカキが地道に説得を繰り返した結果だ。
それに何より、霊夢にとって自分と同じ境遇の者というのはどこか親しみ深いものがあったのだろう。
二人の会話は時折ついていけないこともあったが、雷電は微笑ましい気持ちで見守っていた。
サカキとアカギはこの場にいない。二人で話し合いたいことがあるということで、別室にいるのだ。少し気にはなったが、霊夢のことも含めたより深い情報交換だという意見に納得し、今はこうして早苗と二人で霊夢の面倒を見ている。
サカキのいない所での霊夢は至って普通だ。これも彼を支えにしている結果だとは分かっていても、その自然な振る舞いを見ていると、案外病気もすぐに治るのではないかと、そんな甘い期待をしてしまうのだった。
ところかわって、別室。
大きな丸テーブルを挟んで、二人は対峙していた。
その椅子の座り方だけでも対照的。
サカキはどっかりと座り、マナーもへったくれもなく足をテーブルに置いている。棚から見つけ出してきた葉巻を吸う姿はどこからどう見ても悪人のそれ。
対してアカギは針ほどの隙も見せない心構えで静かに座っている。
「貴様のおかげで随分とやりやすかったぞ。アカギ」
みなまで言わずとも分かる。サカキがこれほどまでに素早くグループに溶け込めたのは、アカギの悪印象が早苗と雷電にとって強過ぎたからだ。
「その態度を見る分には、やはり私の事を知っているようだな」
「噂程度には。貴様の地方にはあまり詳しくない」
アカギの組織は、宇宙エネルギーの開発を掲げているが裏では伝説のポケモンを使って新たな世界を創世しようとしている。裏の世界に精通するサカキは、ここに来る以前からアカギがどうしようもない企みを胸に抱いていることを知っていた。
「私は詳しいぞ」
アカギはあくまで表情を変えずに口を動かす。
「ロケット団を結成し、世界を震撼させた一人の男、サカキ。突然姿を消した謎の男。トキワジムのリーダーがその男であったことに世間が気付いた当時はかなりセンセーショナルだったぞ。ジムリーダーは厳選されたポケモン使いの称号だからな」
「奴らの情報網はザル同然だ。貴様も同じ穴のムジナならわかるだろう?」
「確かに。だがそのため我々のような人間は力をつけることができた」
一瞬の沈黙。
もう立て前は必要なかった。
「うまく仕込んだな」
「霊夢のことか? ふん。まだまだだ」
「しかし、よくされている。何より、命令に逆らわないところがいい。私の駒はどれも駄目だ」
「やり方が悪い」
「君のようにはできんさ。どうやってあんな便利な道具を作った? 後学のために教えてくれ」
どうしようかとサカキは迷う。が、褒められるのは嫌いじゃない。
サカキは自分の左手を見せた。
「……小指がないな。確か、霊夢も同じ傷を」
「私がつけた」
アカギが目を細める。
「奴に恐怖というものを心底植えつけてやった。その上で、私が恐怖を克服する様を見せつけてやった。一発だったよ。何とも打たれ弱い女だ」
正確にいえば、何にも捉われないという霊夢の基盤ともいえる性格があった結果だった。
多少なりとも恐怖というものを今までに抱いたことがあったのなら、これほど簡単に折れたりはしなかっただろう。
何にも縛られず、負の感情に囚われたことのない霊夢だからこそ、短時間であれだけの人格矯正ができたのだ。
「まさかそんなことで……」
アカギは言葉をなくしてしまっているようだ。
「ククク。支配者足る者、道具の一つも作れないでどうする」
「……君はそういう発想をする人間か」
「当たり前だろう? 部下は大事にするが、命令を遂行するだけの道具には利用する以外に価値はない」
「では、どうして身を挺して彼女を庇った?」
「ああいう腑抜けた奴らには、お人好しの仮面を被った方が効果的だ。早苗と霊夢が知り合いだということも含め、かなりの好印象に繋がると踏んだ」
抜け目ない奴め。
アカギは内心そう罵倒した。

22 :
支援

23 :
「……君のスタンスを聞いておこうか」
「脱出の手段は多いに越したことはない。そして、一番効率的なのが優勝であるという事実は誰にも曲げられん。要はそういうことだ」
「なるほど。多少ニュアンスは違えど、だいたいは私と同じか」
「ディアルガの件は一応礼を言っておこう。貴様にとっての切り札だったのだろう?」
「君が現れた時点でその優位性は崩れたよ」
ディアルガとバルキアの件は、自分一人が知っていてこそ優位を保てるものだ。サカキが他の二人にばらしてしまう可能性がある以上、もはやそれは切り札とはいえない。
サカキがどの時間軸からここに呼ばれたのか。それはアカギには分かりようのないことだ。
もしかしたらディアルガ達のことは知らなかったのかもしれない。しかし、そんな小さな可能性に賭けて黙っておく程の情報ではない。
情報を渋るのは、その行為がばれないという確信があってこそするものだ。ばれてしまえばそれだけで不審感を抱かれることになる。それはあまりにもリスクが高い。
「殊勝だな。しかし、貸し借りはもうなしだ。あの雷電とかいう小僧を戒めてやったからな」
「戒める?」
怪訝そうにアカギは聞いた。
「貴様が怪しい、だそうだ。どうする? 私としてはここで殺しても一向に構わんぞ。戦力はもはや充分過ぎるほどにある」
「……彼でなく私を取るということか」
その言葉に、サカキはクックと笑った。
「どちらが有能かは明白だろう? 早苗は霊夢が抑える。奴に固執する理由はないな」
「下手な行動は取らない方がいい。さしたる障害にはならない。君がそのように戒めてくれたのだろう?」
「なかなか冷静じゃないか」
「私は神になる男だからな」
アカギはそう言ってにやりと笑う。
つられて、サカキも笑った。
それは交渉成立の証だった。
「先程、主催者側からの干渉があった」
端末をテーブルの上へ置いてアカギの方へと滑らせる。アカギはそれを手に取ると素早くモニターを表示させた。
「……先程、私のことを詳しく知らないと言ったのは嘘ということか」
「当然だ。簡単に手の内を明かす馬鹿がどこにいる」
サカキは、これまでに自分が得た情報を全てアカギに話した。
クリスタルのこと。主催者側にいる男のこと。その男の会話から得た情報のこと。
「奴は優勝に拘らないと言っていた。つまり、うまく動けば複数人でも生き残れるということだ。どうだ? 最高のカードだろう?」
「ああ。最高だ。全財産をベットしても申し分ない程にな」
アカギは端末をサカキに返した。
二人は立ち上がった。
サカキは葉巻の火を靴で消し、適当な場所に捨てた。
「その葉巻。吸わないのか?」
「親切なおじさんを演じるには、少しばかり印象が悪い。ストックはちゃんと持っているがね」
「……まったく。マメなことだな」
扉を開け、談笑していた三人に向けてアカギは言った。
「もうしばらく休憩してからここを出よう。今のうちに準備をしておいてくれ」

24 :
支援

25 :

「サカキさん。ポケモンって本当に妖怪じゃないんですか?」
サカキが雷電と早苗を呼び寄せると、開口一番に彼女が聞いてきた。
「定義は人それぞれだ。君がポケモンというものがどういうものか分からないように、私にも妖怪というものが何なのか分からない」
「はあ。……うーん。じゃあけっきょくよくわからないままってわけですか」
「そうでもないぞ。たとえ妖怪でも、有効活用はできると考えてはどうだ?」
「有効活用?」
「ポケモンはモンスターボールに入れれば所有者の言う事を忠実に聞いてくれる。たとえポケモンが妖怪だとしても、妖怪退治に使ってはいけない理由はあるまい? むしろ、両者で凌ぎを削ってくれる方がこちらとしても好都合」
「なるほど! さすがはサカキさんです! 頭良いです!!」
早苗的に、その理屈は納得のようで、今にも拍手しそうなくらいに新たな発見を喜んでいた。
こっそりと雷電がサカキに耳打ちする。
「正直助かった。どう説得すべきか迷っていたんだ」
雷電のその言葉に、サカキは笑みを浮かべて小さく頷いた。
「それで霊夢のことだが、アカギと相談して決めたことを君達にも守ってもらいたい。簡単に言うと、あまり彼女を否定せず、刺激を与えないようにサポートするというものだが、一応君達の同意を得てからにしたいと思ってな」
「無論反対などしない」
「私もです! 霊夢さんが治る為なら何だってしますよ!」
「……助かるよ。本当に、出会ったのが君達でよかった」
その言葉に、二人は暖かい笑顔で応えた。
「そういえば、アカギはどうした?」
「霊夢を襲った人間について本人から話を聞きたいそうだ。大丈夫。彼はやり方を心得ているよ」

26 :
shienn

27 :

◇◇◇
「霊夢。少しいいか?」
サカキと早苗、雷電が別の部屋で話し合っている時、ふいにアカギがそう声をかけた。
サカキ達は、アカギと決めた霊夢の対処などについて話し合っている。無論、霊夢には知らされていない。彼女はただサカキに待っていろと言われたから待っているだけだ。
「……何?」
霊夢はアカギをあまり好きになれなかった。サカキと同じ、いや時にはサカキ以上にリーダーとして場を取りまとめる様は、霊夢にとってあまり面白い光景ではなかったのだ。
霊夢にとって、サカキは神。全てにおいて絶対の存在。そのサカキよりも上に立とうとするアカギを本能的に嫌うのは当然といえる。
「そう邪険に扱わないでくれ。少し君に話しておきたいことがあっただけだ」
「悪いけど、今は気分じゃないの。そういう話は──」
『貴様のおかげで、随分とやりやすかったぞ。アカギ』
突然、サカキの声が聞こえ、霊夢は目を見開いた。
アカギの手には四角い機械が握られている。
「テープレコーダーだ。録音した音声を聞くことができる。君には少しショックな内容だが、伝えておいた方がいいと思ってね」
このテープレコーダーはサカキと合流する以前、早苗から譲り受けたものだった。
「……一体何なの。あなたとサカキ様がどういう会話をしたのかは知らないけど私は……」
「いいから黙って」
それでも文句を言おうと口を開くが、テープから流れる内容が核心に近づくにつれて、段々と閉口していった。
『奴に恐怖というものを心底植えつけてやった。その上で、私が恐怖を克服する様を見せつけてやった。一発だったよ。何とも打たれ弱い女だ』
『まさかそんなことで……』
『ククク。支配者足る者、道具の一つ作れないでどうする』
霊夢の冷え切った表情。それが驚愕へと変わっていった。
『……君はそういう発想をする人間か』
『当たり前だろう? 部下は大事にするが、命令を遂行するだけの道具には利用する以外に価値はない』
霊夢の手が震えているのが、アカギにもわかった。
「で、でも……サカキ様は……私を庇ってくれた。だから──」
『では、どうして身を挺して彼女を庇った?』
『ああいう腑抜けた奴らには、お人好しの仮面を被った方が効果的だ。早苗と霊夢が知り合いだということも含め、かなりの好印象に繋がると踏んだ』
霊夢の言葉は、もはや紡がれることがなかった。
「……まさかと思っていたんだ。それで、少し引っ掛けてみた。……残念だよ」
そう。アカギは、サカキと共同戦線を組むつもりなど鼻からなかった。
あの交渉の場は言うなればブラフ。
こちらに協定の意思があると見せかけ、霊夢を瓦解させるだけの言葉と、サカキが持つ情報を得るためのもの。
アカギにとって、サカキの存在は邪魔以外の何物でもない。
雷電達の信頼を即座に得る演技力。人を束ねるに足る手腕。何よりも恐ろしい人心掌握術。
アカギには、もはやサカキはデメリットしか生まない存在だった。
サカキは優秀だ。しかし、優秀過ぎる人間は時に毒となる。
自分以上に駒をうまく使える人間はいてはいけないのだ。
「君にとって、あの男は神だった。しかし、彼は君を何とも思っていない。君を道具としか考えていない。……彼は、君にとっての全てだったのに」
「……せ……ない……」
「そうだ。もはや、君の精神を繋ぎ止める方法は一つしかなくなった。……いいんだ。全てを解き放てばいい。君は何も悪くない。悪いのは、君を騙したあの男だ」
霊夢がサカキを。そして、サカキを殺した霊夢を私が。これで不確定要素は全て消える。
目の前で人を殺した人間を。正義はこちらにあるのだ。早苗はともかく、雷電なら理解するだろう。
扉の隙間から、サカキの背中が見える。無防備な背中が。
さて。あともう一言、彼女に殺人へと漕ぎ出すための勇気を与えよう。
「大丈夫。誰が何と言おうと、私が君を許そう。私が……君の神になろう」
霊夢は、自分のデイバックから鋭利な包丁を取り出した。刃物恐怖症を治すために、自分の意思でバックにいれた包丁。刃物を克服し、サカキに褒められようと思っていた包丁。
(悪いなサカキ。主催者に関する情報はありがたく頂いておく。新世界の礎となってくれ)
アカギは、極上の笑みを浮かべて心の中で黙祷した。

28 :
支援

29 :

◇◇◇
「霊夢はそれなりに自尊心が高い。彼女を怒らせるようなことは極力控えよう。たとえ冗談であってもな。そうやって、徐々にこちらが導いていけばいい。時間は掛かるだろうが、正常に戻る可能性はある」
「わかった。大した協力はできないかもしれないが、俺にできることなら喜んで力を貸す。何かあれば言ってくれ」
サカキは雷電に礼を言うと、早苗と向き合った。
「早苗君。君はさっきのように、できるだけ彼女の話相手になってやってくれ。何だかんだと言っても、やはり似た境遇の君には親近感があるようだ」
「任せて下さい!」
そう言って敬礼する早苗に、サカキは微笑んだ。
「ああ。頼りにしている」
ふいに、扉が開く音が聞こえた。
サカキが振り向く。
その隙間から、入って来るのが霊夢だとわかる。
「どうした? 待っているように言っておいたはずだが。何か問題で……も……」
サカキの言葉は、途中で掻き消えた。
早苗は思わず手で口を覆い、雷電は驚愕で身動き一つできない。
ぎらりと光る包丁。それを霊夢は手に持っていた。
そこには、血濡れの博麗霊夢がいた。
「霊……夢。何だ……それは?」
やっとの思いで、サカキは口を開いた。
「ああ、サカキ様! 見て下さい。ほら、これ」
そう言って霊夢は血がべっとりとついた包丁を見せつける。
奥の部屋には、仰向けで倒れているアカギの姿が見えた。
「克服したんです。ほら! もう全然平気なんです!」
興奮冷めきらぬ様子で、ぶんぶんと包丁を振り回す霊夢。頬についた血が、鈍く光っている。
雷電は、その様子を見て思わずぞっとした。
「本当は誰よりも先にサカキ様に聞いて欲しかったんですけど、お忙しいようでしたから……。でもちゃんと敵は殺しました! 
ほら見て! 見て下さい! 私がやったんですよ。この手で、この包丁で殺したんです。凄いでしょう!? 
ああ、本当に……どうしてあんなに怖がってたのか不思議なくらい。とても自信がつきました。恐怖なんてもうありません。どんな敵が来てもサカキ様を守れます!」
ぺらぺらと口早に喋る霊夢。その嬉々とした様子は、まるで子供のそれだ。
「……あ、ああ。そう……か。それは……」
戸惑いがちに近寄り、ぽんと肩を叩く。
「つ、疲れただろう。雷電達と少し休息を取るんだ。服もこんなに汚れてしまっている」
「ああ。そうですね。確かにこの格好じゃ、他の参加者と出会うと何かと不便です。近づいてくれないと刺し殺せないですもんね」
そう言って笑う霊夢。その笑顔は純真無垢なものだった。
「雷電。任したぞ」
雷電は声すら出せず、その場で頷いた。
「……大丈夫。治療に関する最低限の知識は持ち合わせている。彼女が暴走しないように見張っていてくれ」
雷電にだけ聞こえるように呟き、慌ててサカキは部屋へと駆け込んだ。

30 :
支援

31 :

ぱたん
ドアを閉め、先程まで急いでいた様が嘘のようにゆっくりと血まみれの男に近づいた。
「勘違いするな。別にお前を嵌めたわけじゃない。貴様が勝手にしっぺ返しを食らっただけだ」
アカギは生きていた。腹を刺され、血が噴出しているが、必死にその箇所を押さえている。
「……残念だ。本当に残念だよ、アカギ。君なら私の部下になれたのに。幹部になっても差し支えない能力を持っていたのに」
サカキはあくまでゆっくりとした動作で、アカギのバックから医療道具を取り出す。
「……い、いつ……霊夢に……指示……を……」
アカギはサカキと合流してから、ずっと二人を監視していた。サカキがいない時も、霊夢を監視することで二人が会話する状況を作らないように動いていた。
事実として、それは成功していたはずだ。
「指示などいらない。貴様のテープレコーダーを、私からの殺害の指示だと奴が勝手に解釈しただけだ」
霊夢はサカキを神として認識している。彼が自分の仕えるべき神だと本気で信じている。
彼女にあるのはただそれだけだ。妖怪は問答無用で倒すべきだと考えているのと同じ。彼女にとって、サカキを信仰することは当たり前のこと。
たとえサカキ自身から自分を拒絶されようと、彼女にとっての神はサカキなのだ。
本物の神に諭されようが閻魔に説教されようが、その性格が一切ぶれなかったように、霊夢の本質は変わらない。
一度霊夢に植え付けられた感情、価値感は、まず抜けることがない。
誰に対しても平等に接し、何事にも縛られないというのはそういう意味だ。霊夢の中で確立された信念ともいえるそれは、消えることなくずっと霊夢の中で残り続ける。
アカギを刺したあの時、霊夢には何の感慨もなかった。そこには恐怖も、戸惑いも、決意すらなかった。
あるのはただ、この男を殺せばサカキが喜ぶという厳然たる事実。
自分の思うように生きてきた霊夢は、ここに至り、サカキの思うように生きるという道を見出し始めていた。
「支配者に必要なのは心を知ることだ。道具だろうと部下だろうと、その者を理解しなければ人を真に動かすことはできない。……貴様は心を否定した。人を代替物のある駒だと信じ、その心を疎かにした」
それは、アカギにとって必然とも言うべき隙だった。心を不完全なものと否定し、心のない世界を作ろうとしたアカギ。それが悪のない世界へと繋がると信じ、それを正義に生きてきた。
人を理解しようという試みは、それを脳裏に思い浮かべただけで、アカギの信念を裏切るものだった。
おもむろにアカギの傷口に消毒液をかける。
呻き声。しかしサカキは意にも介さない。
「貴様は神になると抜かしていたな。貴様にとって支配者と神は同義語かもしれんが、私から言わせればまったく違う。
神は人を嘲笑う。支配者も同じだ。だがその本質はまるで違う。神は崇められ奉られる。しかしな。支配者は“崇めさせる”のだ。“奉らせる”のだ。
似て非なるもの。貴様はその認識を吐き違えた。だからこそ、貴様は満足した。雷電と早苗という駒を手に入れ、それ以上を求めなかった。支配することを考えなかった。それは貴様の驕りだ。人間でありながら、自分を神だと勘違いした貴様のな」

32 :
支援

33 :
とん、と床に奇妙な文様の瓶を置いた。
「私に支給されたアイテムだ。これを飲めば、その傷も回復するだろう」
アカギの目が今までにないほどに見開き、そちらへと這いずる。
しかしサカキは気にせず、ガーゼで傷を圧迫して包帯を巻く。
「……ほ、包帯……など…いらん。……その……瓶……を……」
サカキが邪魔をして瓶を手にできない。治療を続けるサカキの腕をどけようともがく。渾身の力で腕を引き剥がそうともがく。
しかし、重傷であるアカギには無理やり治療するサカキをどうにかできるものではない。
震える手を伸ばす。しかし瓶までの距離はあまりにも遠い。
(私は……んのだ。……世界を……心のない……感情なんてない…世界を……作るまでは……!)
走馬灯のように過るアカギの過去。
優秀な頭脳を持ちながら、一人孤独に生きてきた人生。機械ばかり弄り、友達と遊ぶこともなかった子供時代。
誰もが彼を誉めた。誰もが彼を見本とするように自分の子供に言い聞かせた。
全ては大人の価値感。
それを押しつけられたアカギと同年代の子供。
妬み、恨み、怒り。
そんなものもう見たくない。なくなるべきだ。そんな不完全なものは、なくなるべきなのだ。
「心」を軽視した? 神を目指した驕り? 
そんなもの知らん。私の目指すものは、私が理想とするものは、たとえ誰であっても否定はさせん。私が見つけた、私だけの道だ。私だけの覇道だ。こんな男に、邪魔されるわけにはいかない!
「良い目だ。決して諦めることのない目。野望に燃えた目。つくづく、貴様は私に似ている」
サカキは、瓶をアカギの目の前に置いた。
「飲むといい。貴様をここでのは、少々惜しい」
アカギは、もうサカキの言葉など聞いていなかった。
この男の思惑などどうでもいい。こうして救いの手を差し伸べるというのなら、喜んでその手を握ろう。
そして後悔するがいい。これほどの屈辱を受けてそのままでいる私ではない。
アカギは乱暴に瓶を掴むと、そのまま一気に飲み干した。

34 :
支援

35 :

雷電は後悔していた。早苗も自分と同じ気持ちだということはその青ざめた顔を見れば明白だ。
未だ興奮冷め切らぬ霊夢を見て、心底どう接するべきか分からなかった。
戦闘狂なら大勢見てきた。人をことを造作もなくやってのける人間達と何人も相対してきた。
しかし、その中でも彼女は別。性質が違う。人をことに何の感情も抱いていない。愉悦も、躊躇も、全てない。サカキのため。ただそれだけの理由で、彼女は何だってできる。それが彼女にとっての生きることで、それだけが彼女の支え。
突然、大きな音がした。
「誰か! 誰か来てくれ!!」
思わず早苗と顔を見合わせ、慌てて中へと入る。
そこには、テーブルを巻き込んで倒れるサカキと、中国の文様の入った瓶を片手に絶命しているアカギがいた。
「……間に、合わなかった」
項垂れるサカキ。その腕は、アカギにやられたであろう引っかき傷でいっぱいだった。
「突然、水が飲みたいと行って暴れたんだ。私は止めたんだが……」
蛇口から流れ出る水。アカギは水を飲んでいる途中で死んだのだろう。顔の辺りが水で濡れていた。
「急性体力失調……」
1945年、日本の広島に原爆が投下された。その影響で大火傷を負った人間が、執拗に水を欲しがり、それを少し飲んだだけでショック死するという現象が起こった。
その要因というのが急性体力失調である。水を飲むという行為で、自分の安全を確信してしまい、その安堵感からショック死してしまうというもの。
瀕死のアカギがどう思ったのかは分からないが、とにかく彼は水を飲むことで、ほんの少し安心感を得てしまった。それが急性体力失調を引き起こしてしまったのだろう。
アカギの様子から、死んでいることは明らかだ。しかし、雷電は脈を取らずにはいられなかった。
当然、脈は動いていない。
「なんということだ……」
「私が悪かったんだ。私がもっと必死に彼を止めていれば。彼の傷は、致命傷ではなかったのに……!!」
「……自分を責めるな。見たところ、サカキの治療は完璧だ。サカキのせいじゃない。……これは、回避できない不幸な事故だった」
「不幸? それは違うわ。これは幸運よ。私が引き起こした、ね」
霊夢の軽い声が雷電に届いた。
「こいつはサカキ様に仇なした。当然の報いよ。ねえ早苗。あなたもそう思うでしょ?」
「え……?」
「あなた。こいつのこと妖怪だなんだって言ってたじゃない。……ああ。なるほどね。そういうことか。妖怪だからサカキ様を陥れようとしたんだ。これで合点がいったわ」
妖怪。
そう。確かに早苗はポケモンという単語を受け入れられず、アカギを妖怪の首領か何かだと勘違いしている節があった。アカギに恨みもある彼女なら、ざまあみろとでも言うべきところなのだろう。
しかし、アカギの凄惨な死に様を見て、霊夢の血濡れた姿を見て、早苗はすっかり委縮してしまっていた。
「早苗。大丈夫か?」
ふと、聞こえたのは雷電の声。自分を心配し、自分を大切に思ってくれる存在。
そうだ。ここで自分が迷っていてどうする。自分は雷電を導かなくてはならない。こんなところで迷ってなどいられない。
「……だ、大丈夫です! そうですよ。アカギさんは妖怪のボスでした。これは……当然の…報いです……」
言葉はどんどん小さくなっていく。誰がどう見ても無理をしている。
しかし、霊夢は気付いているのかいないのか、ふっと笑った。
「あんたならそう言ってくれると思ったわ」
霊夢は少しあからさまなくらいにサカキにすり寄った。その様子はまるで主人にじゃれる子犬のようだ。
「ねぇサカキ様。私、ちゃんとうまくできましたよね。サカキ様のお役にたてましたよね」
サカキは、雷電の方を見た。
何も言えない。しかし、それでも雷電は頷くことしかできなかった。
「……ああ。よくやった。偉いぞ」
頭を撫でてやると、本当に嬉しそうに霊夢は笑った。
雷電も早苗も、その笑顔に思わず顔を背けた。

36 :
支援

37 :

霊夢は今、血濡れた服を脱いで、新しいものに着替えている。まるで推し量ったかのように霊夢が来ていた特徴的な服が社務所にあり、それを雷電が取って来てくれたのだ。
サカキは考え事があると言って、一人違う部屋で葉巻を吸っていた。
今回の件。終わってみればこちらの大勝利だった。
裏切り者のアカギは死に、彼の駒だったモンスターボール二個と、雷電と早苗を手に入れた。この収穫は非常に大きい。
だが、それを手放しに喜ぶ気にはサカキはなれなかった。
確かに今回、サカキは勝てた。しかし、それはやはり運が良かったからだ。
サカキとアカギは似ている。もしも二人の境遇が正反対だったら。どうなっていたかは分からない。
それどころか、もしもアカギが自分の信念にさえ拘らなければ、同じ状況であってもうまく立ち回っていたかもしれない。
(レッドのおかげ。……と、考えるべきかもしれんな)
サカキは一度負けている。未来に敗北することを知っている。
自分は神などではない。
まして完璧などではない。
それを知っていたからこそ、地道な演技で雷電達を味方につけ、アカギに露骨な情報提供をした。あれは仲間の証であると同時に、彼を試すものだったのだ。
それがあったからこそ、いずれ起こったであろうアカギの裏切りを早計なものにし、こうして未然に防ぐことができたのだ。
誰かと接触し、うまく仲間に引き入れることができた時、一番に考えなければならないのが裏切り行為だ。そしてそうなった場合、やはり一番にターゲットとされるのは博麗霊夢。精神的に不安定な彼女をうまく利用すれば自分の手を汚さずに人を殺せるのだ。
だからこそ、サカキはアカギ達と出会う前に保険を打っておいた。
サカキという神の考え方。支配者であるサカキが、常に彼女を観察し、試しているという固定観念。
それらを霊夢に植え付けておいた。
今回の状況は、サカキが想定していたものと大して変わらないものだった。
雷電も早苗もアカギに対し敵対心を持っていた。
そのためにアカギは博麗霊夢を使ってサカキを殺そうとした。皆から病気だと認識され、精神的に不安定だと言われる彼女を。
これからも駒を増やしていこうと考えるアカギなら、サカキをとしても自分に害が被らない方法をとる。
要するに、霊夢に罪を着せるというもの。サカキがそうしたように。
案の定、アカギはサカキが予想していたように行動し、そして墓穴を掘った。
霊夢はあまり頭を使うタイプではない。しかし、恐怖を克服することに対する真剣な気持ちは本物だった。恐怖の克服は神に近づくための崇高な行い。そう霊夢は考えていた。
霊夢は自分の感情に素直な人間だ。嘘をつけないし、つく必要もないと考えている。
アカギの行いをサカキによる殺害命令だと勝手に認識したのは霊夢の意思だ。
全て霊夢の独断。だからこそ、霊夢はアカギを殺し興奮した状態でも下手なことは言わなかった。命令通りに遂行したとは言わなかった。何故なら、実際に命令されたわけではないからだ。
(これで霊夢は、また一つ使える人間になった)
早苗に対する仲間意識が多少強い気もするが、それでも自分が命令を下せば彼女をことができるだろう。
彼女は人を殺したことで、躊躇なく殺人を行える人間になった。その意味は大きい。
今回の行動は、彼女の意思によるものだ。ポケモンにはできない判断で、彼女はサカキのために働いた。彼女は、命令を命令以上に遂行できる者になりつつあった。
忠実な部下。サカキはそういう人材を大事にする。それが支配者にとって必要な人間だということを知っている。
しかし、霊夢はまだまだだ。ポケモンよりは使えるが、それでも所詮はただの道具。彼女が自分の部下となるにはもう一皮むけてもらわなければならない。

38 :
支援

39 :
早苗と雷電も多少労力は掛かるが、なかなか良い道具だ。
早苗の危険思想はうまく扱えば参加者を減らす役に立つだろうし、雷電も押しに弱いところがある。十分教唆は可能な上、防衛の為の攻撃ならばこちらが指示せずとも行ってくれる。
お人好しの二人だ。もしかしたら身を庇って敵の攻撃を防いでくれるかもしれない。
(……それにしても、雷電の奴。私が霊夢を本気で心配しているだと?)
それはその通りだ。なにせ、彼女は脱出の鍵となる人物なのだから。しかし、その後の言葉が気に入らない。
(彼女に対する優しさなど、私は持ち合わせていない)
そんなものがあるはずがない。確かに彼女は自分にとっての部下になりつつある。
だがそれでも、不要となれば切り捨てるだけの存在であることに変わりはない。そんなものに優しさなどというものを注ぐメリットなど皆無。いやむしろデメリットだ。下手な情は判断を鈍らせるだけなのだ。
(所詮は道具。ただ黙って私の為に働けばいいのだ)
道具は使役してこそ道具。有益だからこそ道具。
サカキはそれを扱うだけだ。
しかし、もしも霊夢が、自分にとっての部下足り得るのなら……。
支配者は、部下のために動かなければならない。それが、サカキの思う自分の理想の姿で、その信念こそが世界を掴むものだと信じている。
サカキは無理やり思考を別のものに移した。
ポケットから端末を取り出し、それを眺める。
これだけの戦力を手にした今、もはや無理をして仲間を集める必要はなくなった。
レッドの悪評も、道具達への影響以外に考慮すべき点はない。そしてその影響も、大して考えなくても済むだろう。
『霊夢をこんな目に合わせた人間は私と顔見知りだった。その人間はきっと私達の悪評をばら撒いているだろう』。そう二人に言っておいたのだから。
雷電も早苗も本気でそれを信じていた様子だった。
人は、最初に得た情報を信じる傾向がある。実際の信頼性は同列のものだとしても、自分が最初に見聞きしたことだからという、ただそれだけの理由でその情報を信じる。
たとえレッドに吹聴された人間が現れても、もはや雷電達がそれを信じる可能性はかなり低い。
唯一、霊夢と早苗の知り合いである霧雨魔理沙が直接接触してきた場合は非常に厄介なことになったであろうが、端末を見る限り彼女は死亡している。
魔理沙がいなくなったというのなら、この問題はもはや解決したも同然だ。誰がどう説得しようと、彼らを言い包めるのは容易いだろう。
戦力は揃った。クリスタルも私の手にある。
端末を操作し、リアルタイムで映り変わる参加者のスタンス表を眺めながら、改めてこの道具の便利さに感心する。
「……なんだ。使える人間など一人もいないじゃないか」
生存している人間のプロフィールを確認し、サカキは呟く。
もはや、サカキにこれ以上の駒は必要ではなかった。アカギのような裏切り者を作る可能性があるため、頭脳派の人間を引き入れることももうしたくない。考察ならば自分ができる。わざわざ人を求める必要などない。
「今回の私の相対敵はアカギだった。次は……、クックック。そうだな。参加者全員というのも面白いかもしれん」
自分の悪評を聞いた人間は皆殺し。他の連中は情報を聞き出して。全て状況次第だが、基本的なスタンスはそれでいいだろう。
あくまでも自分は影で動き、できるだけ人を減らしておく。
主催者がこちらに接触してきたということは、他の参加者にも接触する可能性があるということ。
自分よりも有能な人間を見出されても困るのだ。ただそれだけで、主催者がこちらへ干渉してこなくなるかもしれない。現状、最も効果的な脱出手段をそんなことで失うわけにはいかない。
自分の命は最優先。あくまで参加者を皆殺しにするのはその次。
しかし確実に、参加者の数は減らす必要がある。
ふと男の忠告を思い出すが、それをすぐに一蹴する。
もはや新たな仲間を引き入れること自体が危険だ。よほど有用な情報を持っているともなれば話は別だが、そんなことはまずないだろう。
ならば殺し合うしかあるまい。それがこの場所で、それが参加者に割り当てられた役割だというのなら。
「乗っていようが乗っていまいが、もはや関係ない。全て根絶やしにする。ククク。この急造のロケット団でな!」
そして、神に取り入り、ついでにそいつをも引きずり下ろす。
人間を支配するのはいつだって人間だ。神などの出る幕などないということを教えてやらなければならない。
サカキはこれからのことを思い、愉快そうに笑った。

40 :
支援

41 :

【チーム ロケット団】
【サカキ@ポットモンスター】
[状態]:健康、脛に軽傷 左小指欠損(治療済み) 服が埃だらけ
[装備]:M1911A1の予備弾(21/21)
[道具]:基本支給品一式、モンスターボール(ナッシー)@ポケットモンスター モンスターボール(ケーシィ)、モンスターボール(リザードン)、リポビタンD、治療道具一式、ロープ、テープレコーダー、端末機、クリスタル、葉巻を何本か
[思考]
基本方針:神に取り入る余地を残しながらも、脱出方法を探す
1: 参加者を根絶やしにする。有益な情報を持っている者がいれば、聞き出してから
2: 他のクリスタルを探す為に施設を回る。
3:博麗霊夢の理想の神でいる
4:利用できる者は利用する。
5:レッドの事は保留。
※この場所が博麗大結界に似た何かで形作られているのではないかと考えています。しかし、あくまでも仮説の一つであり、それに拘るつもりはありません。
※テープレコーダーの内容は二重録音によって消去しました。
【端末機】
生存している参加者のプロフィールと、最新の簡単なスタンスが載っている端末。
【博麗霊夢@東方project】
[状態]右足の太ももに銃創(貫通傷、治療済み)、左小指と薬指欠損(治療済み)、興奮状態、 妄信状態?
[装備]ミニ八卦炉@東方project、血濡れの包丁
[道具]基本支給品一式、デデデ大王のハンマー@星のカービィ、Ipad@現実
[思考]
基本方針:全てはサカキ様のために
1:サカキを邪魔する人間は。
2:知り合いと再開しても、サカキが気に入らなければ……
3:レッドを警戒
※これを異変だと思っています。
※マルクの裏に黒幕がいると思っています。
※金属板(Ipad)は山小屋で拾ったものです。霊夢は使い方がまったくわかりません。
※刃物に関するトラウマを克服しました

42 :
支援

43 :

認識が甘かった。霊夢のことを、心のどこかで軽視していた。これはその結果だ。
どうにかして止められなかったのか。そのことばかりが頭を過る。
俺はアカギを信用していなかった。しかし、彼が殺し合いに乗っていなかったことも事実だ。
……いや。もしや乗っていた……のか? 
霊夢と二人きりになった時、サカキと仲違いさせようとしたんじゃないだろうか。
それならば先程言っていた霊夢の言葉も納得がいく。
もしもそうなら、アカギは何という悪党だ。
結果的に自分が死ぬことになったとはいえ、病気である霊夢をさらに情緒不安定にさせるようなことを言って、あまつさえ彼女を使ってサカキを殺そうとした。
過程だけじゃない。結果として、アカギは最悪なことをした。霊夢に人を殺させた。それは、彼女が正常に戻ったとしても必ず尾をひくものだ。一生拭い得ない罪だ。それを、背負わせた。
これはどうにかして霊夢から真実を聞く必要がある。それを聞いたうえで、もしも自分の憶測が当たっていたのなら、今回のことは当然の報いというものだ。
しかしそうなれば、ますます俺は霊夢を支えてやらなければならない。アカギがそういう男だということを薄々感づいていながら、俺はずっと放置していたんだ。
霊夢にしてやれること……。
それは、サカキのために働くことだろう。今の彼女の心の支え。それを守る手助けを俺はしなければならない。
サカキは信用できる。あの男には、どこか人を惹きつけるものを持っている。
早苗を守り、霊夢を守り、そしてサカキを守る。
難しい。果てしなく難しいことだ。しかし、それでもやるしかない。それが俺の使命だというのなら。
【雷電@メタルギアシリーズ】
[状態]:ダメージ(大)疲労(中)全身に裂傷
[装備]:強化外骨格、スローイング・ナイフ(2/3)
[道具]:基本支給品一式、確認済み支給品1〜2、グリーンの全支給品一式(未確認)
[思考]
基本方針:妖怪退治をしながら仲間探し。サカキの指示に従う
1:何としても三人を守り通す
2:霊夢に対する罪悪感
3:ハル・エメリッヒとの合流
4:グリーンのためにも自分の出来ることをする
5:リボルバー・オセロットを警戒
※MGS2エンディング後、MGS4本編開始前からの参戦
※人間の体を成してないものは全員妖怪で、人間に化けている妖怪もいると思っています。また、妖怪は等しく人間の敵だと思っています
※霊夢を精神的な病気だと思っています

44 :
支援

45 :

霊夢さん……。確かに、私は妖怪退治をしてきました。その気持ちは今でも変わっていません。
けれど……、死体がこれほど気持ちの悪いものだとは思わなかった。これほど嫌悪感を催すものだとは思わなかった。
……でも、妖怪は退治しなくてはなりません。雷電さんの知り合いを殺した妖怪たちを。
そのための手段がことしかないのなら……。うー、……駄目です。
やっぱり決心できない。霊夢さんの姿が目に焼き付いて離れない。
私はどうするべきなんでしょうか。妖怪退治も満足にできない私。でも、私が雷電さんや霊夢さんを導いてあげないといけない。
……そうだ。私が導いてあげないといけないんだ。
くよくよしてる暇なんてありません! 怖いと言って逃げている訳にはいかないのです! 
妖怪は有効活用すべきだというサカキさんの助言に習い、ここにいる妖怪たちを一掃してやりましょう! のは怖いから……あくまでもやっつける程度で。
今回の件で、自分の力だけじゃ妖怪を倒せないことはよくわかりました。
私はアカギさんに騙されてました。恐怖すら覚えていました。でも、私だけでは無理でも妖怪同士をぶつけ合えば、勝機はあるはずです。
今思えば、神奈子様も妖怪から信仰をもらっていました。妖怪の有効活用はそれと変わりありません。
むしろ素晴らしいくらいに効率的です! こんなやり方に気付いたサカキさんはやっぱり頭が良いです!
そう。サカキさん。あの人は、どこか人を従わせる才能のようなものがあるみたいです。
霊夢さんをずっと支えてきたあの人なら間違いは起こさないはず。雷電さんもそのつもりのようですし、しばらくはあの人に従いましょう。
待ってて下さいね霊夢さん。必ず、私があなたを治してみせますから。
【東風谷早苗@東方Project】
[状態]:気分が悪い。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、支給品0〜2
[思考]
基本方針:神奈子様の仰るとおりに。とりあえずサカキに従う
1:妖怪を有効活用! 効率良く妖怪退治です!
2:霊夢さんは私が治してみせます!
3:仲間探し
4:雷電に妖怪退治の何たるかを教える
5:ゴムボールの妖怪(メタナイト)と次に合う時は逃がさない
6:ピエロの妖怪を退治して、元の世界に帰る
※霊夢を精神的な病気だと思っています。
【アカギ@ポケットモンスター 死亡】
【残り 17人】


46 :
支援

47 :
途中でこんがらがってミスったりしましたが、これで投下終了です
支援ありがとうございました。本当に助かりました

48 :
投下乙です。
サカキさんのカリスマが滲み出す。そしてアカギが死亡。
これで完全にポケモン勢はマーダーだけに。霊夢が怖い……
雷電と早苗は彼が危険だと気付く時がくるか。今後に期待です

49 :
投下乙です。
サカキがアカギに支配者の何たるかを見事に示しましたね。
順調に手駒が揃ってきて、ついに参加者根絶やしを決意したサカキ。
雷電と早苗はサカキの本性に気づくことができるのか?更に狂気が増した霊夢。
先が気になります。
有名な全選手入場、ゲームロワ版つくりました。
参加者のプロフィールを参考にしましたので、ネタ要素はたぶんないです。
少しでも楽しめたら幸いです。

50 :
マルク「地上最高の殺し合いを見たいか――――ッ」
観客「オ――――――――――――!!!!」
マルク「ボクもサ ボクもサみんな!!」
マルク「参加者入場!!!」
全参加者入場です!!!!
白い悪魔は生きていた!! 更なる研鑚を積み人間凶器が甦った!!!
新生FOXHOUND隊員!! 雷電だァ――――!!!
博霊大結界はすでに我々が完成している!!
博霊の巫女 博霊霊夢だァ――――!!!
跳びつきしだい突き刺しまくってやる!!
バロン王国竜騎士団隊長 カイン・ハイウインドだァッ!!!
全国の有名旅館なら我々の歴史がものを言う!!
天城屋旅館の次期女将 大和撫子 天城雪子!!!
真の支配を知らしめたい!! ロケット団 サカキだァ!!!
ポケモンリーグは1階級制覇だが殺し合いなら全階級オレのものだ!!
トキワのジムリーダー グリーンだ!!!
殺人事件捜査は完璧だ!! 特別捜査隊リーダー 瀬多総司!!!!
幻想郷のベスト・メイドは私の中にある!!
紅魔館のメイド長が来たッ 十六夜咲夜!!!
絵を描くことなら絶対に敗けん!!
絵画実体化能力見せたる 画家 アドレーヌだ!!!
バーリ・トゥード(なんでもあり)ならこいつが怖い!!
八十稲羽署の新米刑事 足立透だ!!!
デイン王国から狂王が上陸だ!! 13代国王 アシュナード!!!

51 :
心の無い世界を作りたいからギンガ団を結成したのだ!!
神の力を見せてやる!!アカギ!!!
 
メイドの土産にベルトとはよく言ったもの!!
吸血鬼の奥義が今 実戦でバクハツする!! 紅い悪魔 レミリア・スカーレットだ―――!!!
クリミア軍大将こそが地上最強の代名詞だ!!
まさかこの男がきてくれるとはッッ アイク!!!
闘いたいからここまできたッ キャリア一切不明!!!!
ジョウト地方のポケモントレーナー シルバーだ!!!
オレはプププランド最強ではないポップスターで最強なのだ!!
御存知仮面の騎士 メタナイト!!!
ジュネスの本場は今や八十稲羽にある!! オレを驚かせる奴はいないのか!!
花村陽介だ!!!
小さァァァァァいッ説明不要!! 20cm!!!
カービィだ!!!
弾幕は実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦弾幕!!
幻想郷から霧雨魔理沙の登場だ!!!
ベルトはオレのもの 邪魔するやつはハンマーで思いきり殴り思いきり叩くだけ!!
プププランド”自称”大王 デデデ大王
信仰を増やしにここへきたッ!!
現人神 東風谷早苗!!!
人形繰りに更なる磨きをかけ ”七色の人形遣い”アリス・マーガトロイドが帰ってきたァ!!!

52 :
今の自分に死角はないッッ!! 暗黒騎士・パラディン セシル・ハーヴィ!!!
セオドア大陸の剣技が今ベールを脱ぐ!! デイン王国から 漆黒の騎士だ!!!
弟の前でならオレはいつでも暗黒期だ!!
魔道士 ゴルベーザ 偽名で登場だ!!!
兵器開発の仕事はどーしたッ 技術者の炎 未だ消えずッ!!
造るも壊すも思いのまま!! ハル・エメリッヒだ!!!
特に理由はないッ 正々堂々戦うのは当たりまえ!!
ゴルベーザにはないしょだ!!! 四天王最強!
ルビカンテがきてくれた―――!!!
カンフー映画で磨いた実戦足技!!
稲羽市のブルース・リー 里中千枝だ!!!
実戦だったらこの人を外せない!! 妖怪最強 風見幽香だ!!!
超一流忍者の超一流の忍術だ!! 生で拝んでオドロキやがれッ
セキチクシティのジムリーダー!! キョウ!!!
FOXHOUNDはこの男が壊滅させた!!
隠密潜入のエキスパート!! ソリッド・スネークだ!!!
若き王者が帰ってきたッ
どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ
俺達は君を待っていたッッッレッドの登場だ――――――――ッ

53 :
加えて負傷者発生に備え超豪華なリザーバーを5名御用意致しました!
ニビシティのジムリーダー タケシ!!
傭兵 サイボーグ忍者!!
ミストの召喚師!リディア!
四天王の紅一点 風のバルバリシア!
……ッッ  どーやらもう一名はジョーカーとして暗躍している様ですが、到着次第ッ皆様にご紹介致しますッッ

54 :
以上です。
元ネタの選手数と、ロワの参加者数が一人しか違わなかったので作りやすかったです。

55 :
それにしても参加者がどんどん死んでくなこのロワ

56 :
投下乙です
サカキ…アカギよりカリスマなさそうなんて思っててスマンかった
一度負けている分の強さか、なるほど
そしてネタキャラと思ってた早苗さんの健気さがちょっと可愛く見えてきたぞ
ところでサカキ様の状態表、だいぶ前から【ポットモンスター】になってるんよねw
響きのシュールさにツッコミ入れるタイミングを逃してて指摘が遅れてしまった

57 :
ポットモンスターwwwww
面白いからもうこのままでいいよサカキ様www

58 :

ロケット団が安定してきてるな、内部に不穏の種がほとんどない
三勢力的の内もっとも体力的なダメージも少ないし
それにしてもこのサカキ、外見はゲーム版より真斗ポケスペ版のサカキのイメージだ
人心掌握術に知恵が回る、まさに一般人マーダーにふさわしい
だが笑どころはポットモンスターが全部持ってったww

59 :
ポットモンスター(想像図)
http://www3.nhk.or.jp/anime/kasumin/chara/images/chara_pot_img.gif

60 :
ポットモンスター光臨wwww
えっ?>>59さんが書いたんですか?

61 :
思いっきりNHKのカスミンってアドレスに書いてあるがなw

62 :
真っ先に思い出したのがこいつだったんだ、すまない…
ヘナモンって早苗さんに真っ先に退治されそうだよね
ポットモンスター、意外とみんな気づいてなかったんだな
てっきり分かっててツッコんでないのかと思ってた

63 :
そういえば現在位置が記入されてないけど、どの辺りなんだろう?
ゴーストタウンってことはB-5かD-2辺り?

64 :
投下乙ー、頭脳戦というか心理掌握戦というかがゾクゾクして凄く面白かった
そしてボス対決はサカキに軍配が上がったか…
アカギは心を否定したせいで、結果としてその敗因となったのがまたしんみりと来る
更新の多いこのロワが今のしんどい時期の数少ない楽しみになってるよ
書き手さん達、これからも応援してますわー

65 :
全選手入場ネタも投下されてマジ盛況ロワ状態だなww嬉しいww

66 :
逆に考えて、なんでこんなに盛況なんだろうな。
実は純粋なマーダーがレッドしかいなくて、ほとんどが(主催も)対主催だから?

67 :
明らかに初期より書き込みが増えてる……これは嬉しいことだ。
逆にレッドがまだ殺し合いを続けようとしていることに驚き

68 :
レッド、サカキ、霊夢、セシル、カイン、アシュナード辺りが危険だな
霊夢とセシルに至っては、もう完全に狂ってる

69 :
せしるマギカは狂ったフリだけどね
スタンス見れる道具で表示されるスタンスってまさか

70 :
そのまさかだろう。

71 :
>>66
俺の個人的なマジレス
参加人数が少ない上に作品が少なくてしかも有名作ばかりで
キャラやらなんやら把握しやすい上に
参加者の少なさに輪をかけて書き手がポンポンいい意味で殺してくれるから
最近のロワの中ではテンポがマジ良い
おかけで空気キャラがいないしロワ内での各勢力状態や因縁やらが把握しやすくて、
俺途中参加だがあっさえり追えたもんよ、素晴らしい

72 :
>>70
サカキ「出番がない気がする」って表示されてたのかwwww
そりゃこれ以上仲間作んねーってなるわ

73 :
おお、メタいメタい
あーんそんなメタい道具出されるんならもうちょっと頑張ってマジメに書けばよかったー
「二人はプリキュア」とか「せしる☆マギカ」とかサカキ様混乱するだけだろ女子高生的に考えて
そういえばこのロワってステルスいないね
ステルスのいないロワって話が暗くなりすぎず、テンポよく話が進む気がする
えーりんがステルス対主催だけどモロバレだから問題ないよね

74 :
展開的には超まじめなのに、妙なところでネタが入るサカキ様ww

75 :
レッドさんがステルスに転向しただろ
でもこれから騙す相手がホモって認識をしてるっていうね

76 :
そういやまだ状態:健康なのってツンデレ組だけじゃね?
レッドさんは何だかんだ言っても一般人+利き腕使えない状態だから
下手するとさくっと返り討ちに遭うかもしれん

77 :
スタンス表示へのお前らの反応に吹いたw
確かにそんな奴ら「何だ。使える人間は一人も居ないじゃないか」だよなw

78 :
レッド「ホモのカップルだああああああああああああああ!!!!!!!」
これを見た瞬間のサカキ様の心境はいかほどだっただろう

79 :
サカキ「解せぬ」

80 :
・瀬多、千枝、レミリア、咲夜、アドレーヌ、漆黒組
・アシュナード、カイン組
・サカキ、霊夢、雷電、早苗組
・花村、ルビカンテ、レッド組
・セシル
・ゴルベーザ
戦力的にはどこもバランスが取れているような気がする。

81 :
良い感じにグループが分かれてるね
満身創痍でさえなければ瀬多グループが一番戦力は充実しそうだけど、
今は全員ボロボロだからなぁw

82 :
対主催の命運がホモのカップルにかかっているという事か

83 :
楽しい会話の所申し訳ないですが投下させていただきます。
番外的なもので、かなり危ない描写があるので指摘おねがいします

84 :
  
「我輩の城でそんな輩はいないぞ。まったく、忙しいのに……次はこの作戦でピーチちゃんを……」
「魔法使いの格好をした子?ここにはいないわ。で、あなたも私にチャレンジする子?この私の水ポケモンで……え?ポケモンをもっていないの?」
「巫女服の子?私は知らないわよ。......にしても私の他に生存者が居るなんて。このゾンビが溢れる町で……ちょっと!一人じゃ危険よ!?」
「花好きの阿婆擦れ?知らないな。それより、お前。アカリスを捕まえたらここに連れてきてほしい。机が壊れてしまってな……」
「えー?巫女さん?うーん、知ってるけど、古手、って苗字だからアンタの探してる子じゃないと思うよ。……あ!バイトの時間だからおじさんはもう行くね!」
「ぽえーん。みんなしらんとです。メイドなんてものは。ぼくらはめいどにはいきませんです。たぶん」
「ザビー教に入ってくれたら教えて……?信仰しないんデスか?……残念ですね〜。まぁ最初からそんな人知りまセ〜ン」
「あーら、久しぶりのお客さん。GBミュージックへようこ……え?メイド?知らないわ。……ちょっと!?冷やかし!?」
「ワシはミュートシティに何十年も住んどるが巫女服を着た子なんて今までに見かけた事がないぞ。……お、第三レースが始まった。アンタは賭けんのか?」
「強い女性で、花が好き……?そんな女は見てないな。強い女性って聞く、と春麗を思い出すな。イライザは強くないし。すまんが他を当たってくれ。」
「変にテンションが高い、緑髪の女の子?なんだそりゃ?ヤク中の象徴か?まぁ、このロスサントス……いや、サンアンドレアスには絶対居ないぜ」
「博麗霊夢?誰だいそれは?博麗神社に巫女なんて居たのか?……紫。変な冗談はよしてくれ。それと入り口からの入店を頼む」
 
☆ ☆ ☆

85 :

宇宙空間に漂う二人。先ほどは成り行きでパイロンとかいうエネルギー生命体を撃墜してきた所だ。
彼女達が生身でも平気なのは妖怪であり式神である所為か。それともなんらかの術がかかっているのだから平気なのかもしれない。
 
「紫様。いい加減に何を目的に人探しをしてるのか、私にも説明してください」
「藍。貴方に説明しても信じてくれないでしょう。それに貴方は全ての物事を倫理的に考えるからこの事を説明しても理解出来ない筈よ」
「では、私にも理解出来るように、一言で仰ってください」
「いうなれば、異変ね。きっと」
「異変なら、またいつもの様に、誰かが解決するじゃないですか。紫様動く必要は……」
「今までの異変を誰が解決してきたかを、明確に知っているの?」
「逆に質問しますが、それを知る必要があるのですか?」
 
八雲紫は言葉が詰まる。今のところ、それを知っても自分にはメリットがない。
いや、メリットがない状況を作らされていたのか。それさえもわからない。
いま、幻想卿に異変が起きている。たまたま私は幻想卿の外に用事があり、そのお陰に異変に巻き込まれずにすんだ。
博麗霊夢、霧雨魔理沙、アリス・マーガトロイド、十六夜咲夜、レミリア・スカーレット、東風谷早苗、八意永琳、蓬莱山輝夜の存在が消えている。
幻想卿に、最初から存在しなかった事にされているのだ。幻想卿で、彼女達を知るものは私以外いなくなっていた。
紅魔館には主が居らず、そこに住んでいる門番と魔法使いとその使い魔はそこに住んでいる理由さえ忘れている。
竹林に住む不死の子は虚ろな目をしながら何百年前と同様、当たりの妖怪に退治という名の危害を加えている。
守矢神社の神様二人はなぜ幻想卿に移住してきたのか思い出せないらしい。
人形使いの家と魔法使いの家は完全に失せてしまっていた。
博麗神社はあるにはあるが、周辺や境内が森に変貌していて誰も近づこうとはしなかった。
つまり、森の中にポツンと立っている謎の建物と化している。妖怪が住んでいるとかいう噂はたつ始末で、それが神社と知っている人物でさえ少なかった。
……なぜか博麗の巫女がいないのに幻想卿は安定しているのは幸いな事だ。だがいつ博麗大結界が崩壊するのかはわからない。
これは不味い事態だ。だからこそ博麗霊夢を探すのだ。スキマを駆使し、異世界を回り、そしてなぜか世界を救うことになったり。
こんな事をしていては幻想卿が崩壊してしまうかもしれない。
何が起きたかは予想がついている。外の世界から何者かによって拉致された。
幻想卿を知り尽くしている私はすぐに幻想卿に住む者の仕業ではないとわかった。
だがわかった所でそれはどうしようもないことだ。なにせ世界の可能井は広い。時間軸、次元軸、『if』の軸。
その三つが交じり合うお陰で見つける事ができない可能性は無量大数の彼方にあるのだ。
だが探さずには居られない。

86 :

 
「……藍、貴方は一回幻想卿に戻します」
「えっ?もうちょっと外の世界を満喫したかったです」
「イレギュラーが起きたのだから。こんな事は二度としないわ。なにかあったらこれで連絡してちょうだい」
「……これは?」
「携帯電話とその説明書」
「ほうほう、これが噂の……」
 
幻想卿へのスキマを開き、言葉を言い切る事ができなかった藍を押し込む。
藍を幻想卿に戻す理由は、幻想卿に何者かのコンタクトがあるかもしれないからだ。
もっとも、橙が留守番をしているが、彼女一人じゃ如何せん心配だ。
これまでに1000以上の世界を巡った。これからも巡るだろう。見つかる気はしない。
向こう側からのコンタクトがあればすぐに迎う事が出来るのだが……
ため息を付き、またスキマを広げる。次の世界を覗き込むとサイケデリックな色の世界と鳥人間。
この世界を捜索するのか、と、またため息をついてしまった。
 
☆ ☆ ☆
 
「やあや、えーりん」
「貴方、仕事は?」
「息苦しいったらなんの。あいつ等さ、ここらをウロチョロしてるからね〜。ほら」
 
廊下が見える窓を見るとあのポケモンが浮遊して瞑想していた。話しかけるのは遠慮しておいた方がいいだろう。
そしてその隣には私を睨み続ける女神。……私、何か悪い事をしたのだろうか?
 
「あれ?マルクは?マルクとイントロクイズしたかったのになー」
「マルクは今あっちの部屋よ。……それより、あいつ等をあの部屋に近づけてはないでしょうね?」
 
マルクはボスとやらにお願いをしている最中である。戻ってこない事からきっと駄弁っているのだろう。ボスとは確かそんな性格だ。
あの部屋というのは姫がいる部屋である。彼らが姫に近づこうならばどんな手でもつかって殺してやる。
もっとも今すぐ殺してやりたいのだが。

87 :

 
「大丈夫だ。あの部屋を開くとエネルギーに吸い込まれて死ぬ、と言っておいた」
「そんなんで効果あるのかしらね」
「充分効果あるよ。漠然的な説明なのに誰も近づこうとしない。ゼロ以外はね。もっともゼロも近づいても開こうとはしない」
 
なるほど、神もどうやら自分の命が惜しいらしい。(イザナミという例外がいるが)
それに彼らは私達の仕事内容がわからないだろうし、そういった理由からそんな漠然な理由でも信じたのだろう。
ただゼロだけはイザナミの思惑はわかっているらしい。人間なら力技でこちらが勝つだろうが、彼を今事はこちらにはデメリットだ。
 
「それで、君は思いついた?」
「…?なにを?」
「外に連絡を送る方法さ」
「馬鹿にしているの?」
「いや別に」
 
こいつはどこまで人の神経を逆撫でれば気が済むのだろうか。外の世界にコンタクトを取るなんて現時点では不可能だ。
あの二体のポケモンが、あの遺伝子ポケモンとかのせいで操られ空間が閉じており外からも中からもコンタクトは不可能。
この空間を移動できるのは、あの神達だけだ。自分とマルクとイザナミはここを管理しているので外に出る事は不可能。
それもわかっているのにイザナミはその質問をしてきたのだ。
 
「……話しかけないで。二度と」
「おいおい、だから俺は中立の立場で君寄りなんだって。そんな拒絶することもないでしょ」
「拒絶するわよ。私の邪魔ばかりして」
「俺には君をどうだってできるんだぜ。ゲーム機の事も言ってないんだから」
 
押し黙ることしかできなかった。確かにこいつには借りがある。
ゲーム機の事をあいつらにいったら私は参加者諸共、抹殺されるだろう。当然輝夜も。
それだけはならない。絶対に。
 
「……ないわ。勝ち目はない。貴方にも」

88 :

「おいおいそんな自分を卑下しないでよ。それはそれで困る」
「貴方って困ってばっかね」
 
そういうとイザナミは押し黙った。まるで自分がさっき押し黙った様に。
……なんだ。イザナミが私に不味い事を言ったように、私もイザナミに不味い事をいったのか。
 
「……確かに困ってばっかだ。人の望みについては、何回やっても良い結果は得られない。打破してもそれまでだ」
「……何の話よ」
「なんでもないよ。じゃ、頑張ってるえーりんにヒントをあげるよ。120円で」
「……………。」
 
最初に言った、「良い結果は得られない」という言葉が気になったが、ヒントがほしかったのでそれをスルーし財布から120円を出した。
もっともこいつは休憩室にある自販機のジュースが飲みたいだけでヒントなんて挙げる気は無いかもしれない。
だがこいつは120円を貰わない限りこの部屋を出ることはないだろう。キスよりはマシだ。三枚の効果をイザナミの手に乗せ
「あ、やっぱりドクターペッパー飲みたいからあと30円」
「………はい。」
 
る前に銅色の硬貨をイザナミの手から二枚取り、穴の開いた銀色の硬貨を乗せる。
ヒントなんて期待はしていない。こいつがここから出てくれればそれでいいんだ。
 
「ありがとね。じゃあ、ヒント挙げちゃうよ〜!」
「えっ」
「えっ」
「なにそれこわい」
 
だが本当にヒントをくれるとは思わなかった。150円で今後の運命を握るヒントを売る神が居ていいのだろうか。
まぁいいか。幻想卿の神々も大体こんな感じだ。
 

89 :

「あいつらいるだろ?」
「ええ。それが」
 
イザナミが指を見えないように廊下の方に向ける。そこにいたのは先ほどと同じ通り女神がこちらの部屋を向いており、ミュウツーの方は瞑想を続けている。
女神が訳の分からない字の書いてある本を読み始めている以外は変わらない。目を背けたくなるような光景だ。
 
「神々ってのは自分優先で物事を考える」
「それは貴方も?」
「ふふん、どうだろうね。で、神々は無駄にプライドが高い。それは君もわかるだろ?」
 
確かに神々は無駄にプライドが高い。だがそれがどうしたのだ。徒党を組んだ神々を相手にするのは荷が重過ぎる。
こちらの勝機は無いに等しい。
「……そして自分が最強だと思っている」
「……まさか神々同士で潰しあいさせる気?」
「そのまさかさ」
「呆れた。なんていうか非現実的すぎるわ」
「…………ちょっとまって」
 
イザナミがアゴにわざとらしく指を置いて思考し始めた。
ここまで男のふりをするとは。少し間違っている気がする。
 
「……もしかして、えーりんさ。あいつらが徒党を組んでると思っているの?」
「!」
 
そうか、そういうことか。奴らは徒党を組んでいる訳ではない。
奴らは利害の一致で一緒に行動しているだけだ。自ら願う事を叶える為に一緒に行動しているだけであって彼らは仲が良い訳ではない。
それに比べて最初からここにいるマルク、イザナミ、私は比較的仲が良いほうだ。(最初からいるボスは仲が良いのか微妙なところだが)
 
「月が誇る頭脳って以外と明晰じゃないんだね〜。正直がっかり」
「情報が少ないと答えを間違えるものよ、チェスだって相手側の陣地が見えないだけで勝利するのが難しくなる」

90 :

 
そうだ、なんて事を聞いたのだろうか。これなら勝てる可能性が出てきた。
彼女達の誰かに接触をし、仲間割れを起こさせる。嘘の情報を流す。
……もっとも近づくのも難しいが、そうこう言っている場合ではない。彼女達の中で比較的安全な者は、ゼロか。
そんな事を考えているとイザナミの胸ポケットから騒々しい音楽が流れる。
携帯とやらの着信音だろう。先ほど鳴ったものとは違うところをみると先ほどの『恋人』ではないらしい。
イザナミは電話に出る事はなかった。 
「……もしかしたら君の敵は1人減ったかもね」
「あら、嬉しい内容ね。それで、その発言の意味は?」
「ゼムスが離反した。まったく大馬鹿者だよ。あいつは最後まで自分が最強だと思っているみたい」
 
ふと廊下を見ると女神と遺伝子ポケモンは消えていた。
そうか。やはり彼女達は仲が良い訳ではない。裏切り者は全力で潰しにかかるらしい。
だが、離反などするはずが無い。甘い言葉で誘われない限り。
だからこそ、私はイザナミにそれを聞くことにした。
 
「……それで、まだ気になることがあるんだけど」
「ん?なんだい?」
「ゼムスの離反は貴方が仕掛けたことでしょう?」
「勿論。アイツの思想は危険だったし、正直邪魔」
 
その言葉を軽く言うと私から貰った100円玉でコイントスをし始める。
うら、と言うと、やはり裏だった。なんでわかるの、と質問してきて話題を逸らさせようとしたが、それだけはならない。
 
「貴方が、少しでも自由に動ける様に目を減らす為?1人ぽっち減らした所で自由度は上がらないわよ」
「うーん。えーりんの推理は半分当たってる。でも外れてる」
 

91 :

そういうとイザナミは出口に体を向ける。飲み物代ありがとう、というと部屋を出て行ってしまった。
もっと知りたい事が沢山あったのだが。
入れ替わるようにマルクが戻ってきた。口の周りにカロリーメイトの粕が沢山ついているのを見て思わず笑みが零れてしまう。
久しぶりに笑った気がする。大丈夫。私にも運が回ってきた。
マスターボールの中身を挿げ替えた事も、ゲーム機を支給品に仕込んだ事も。全てが上手くいっている。
……贅沢を言うが、博麗霊夢が拾った端末機「ipad」が対主催の手に早く渡る事も願っておこう。
博麗霊夢はその端末をまだサカキにも、東風谷早苗にも、雷電にも喋っていない。重要な物だとは思っていないのだろう。
なにせあのゴミ屋敷にあったのだからゴミ同然に扱っているかもしれない。それは勘弁してもらいたい事だが、サカキの手に渡るよりはマシだ。
……運が回ってきたと同時にイザナミへの疑問が強くなった。私へのデメリットばかり作ったと思ったら今度は私を助けるような真似。
逆に考えればこのヒントは罠かもしれないのだ。慎重に行動しなければ。
 
☆ ☆ ☆
 
「どういうことだゼムスよ。そなたは我々の目的を忘れてしまったのか」
――――愚か者め。
 
会場の外。鏡写しの向こう。真っ暗で星が綺麗だ。そして見えるのは月。そして機械仕掛けで顔がある謎の星。
ずっと夜だということと島の半分が殺し合いを観測、監視する為の建物がある以外は参加者がいる会場とほぼ同じだろう。
真っ暗な海がその月と謎の星を写す。そしてゼムスはその月がよく見える所にいた。アスタルテとミュウツーの方を向くとニヤリと笑う。
 
「私の分は揃った。だが、お前らの分はない」
「……そうか。そなたは自分の望みだけを叶えたいのだな」
――――1人分は充分にある。だが、我々の分は無いではないか!
 
脳内に劈くようなミュウツーの声ががゼムスを襲う。
そして無数のシャドーボールが無軌道ではあるがゼムスを狙う。
ゼムスは、それを、避ける。
 
が、ならなかった。

92 :

 
「なっ!?」
 
唐突に体が動かなくなった。なぜだ。
 
「フォックスダイって便利だね〜。こうやって愚かな行動をする奴を誰にも気付かれることもなく仕留めることができる。」
ゆっくりとイザナミが砂浜に現れた。波がイザナミの足を定期的に濡らす。手に持っているのはペットボトルと注射器だ。
最初で最後の一本を使ってしまった、とイザナミは付け加えた。
「がああああ!?」
 
全てのシャドーボールがゼムスに命中した。だが死ぬ事は無い。
 
「離反!?……どういうことだイザナミよ!?話が違うじゃないか!」
「うわー、しぶといね。フォックスダイでも死なないなんて。でも麻痺はしてるみたいだ」
 
女神が少しずつゼムスに近づく。どこから取り出したのか散弾銃を持つ。
ミュウツーがイザナミにゼロはどうしたかと聞くとイザナミは休憩室でマッサージ機に座ってたよ、返事をした。
それを聞いたミュウツーはテレポートで消えうせた。結果ここにいるのはゼムスとイザナミとアスタルテだけだった。
 
「お、おい!イザナミよ!話が違うではないか!私との約束はどうなるっ!?」
「約束?ああ、君が一方的にしたものだろう。俺が離反に手を貸すわけが無い」
 
イザナミはドクターペッパーの栓を捻る。すると炭酸が強かったのか三分の一が吹き出てしまい砂浜に零れ落ちる。
だがイザナミは気にする事なく飲み口を口に当て、喉を動かす。
 
「なんだとっ!?お、お前が」
「黙れ。最後まで鬱陶しいぞ」
アスタルテが喉であろう部分を散弾銃で撃つ。だが死ぬ事はない。彼だって耐久力はある。

93 :
 

94 :

フォックスダイの影響で体こそ動かないものの、死ぬ事は無かった。
「がっ!?」
「なかなか死なぬな。私こそ、こうやって、苦しませて、死なせたくは無い。弱点を教えるがよい」
だがゼムスは喋ることはできない。仕方なくアスタルテは何度も銃ででゼムスを息絶えるまで引き金を引いた。何十回、何百回、何千回と。
ゼムスは最後に、我の魂はどうとかこうとか言ったが、アスタルテは気にせず弾丸を打ち込んだ。結果として砂浜には肉塊と弾奏が絡み合った。
とどめを刺した事を確認するとアスタルテはイザナミのほうに近づいていく。
 
「なぜ早く言わなかった?」
「そんな怖い顔しないでよ女神ちゃん、それで、何を?」
「ゼムスが離反しようとしていた事だ。奴の言動からするにそなたはゼムスが離反しようとしていた事を知っている」
「言うタイミングが無かったもんでね。アイツが俺に離反の提案をかけてきた時に言えばよかったかな?」
「……そなたに一任するのが間違いだったか。次はないぞ、イザナミよ」
「大丈夫だよ女神ちゃん」
 
色情魔め、とアスタルテが呟き、自分達が先ほどまで居た建物に歩き始めた。
それを聞いていたイザナミは苦笑いをしながらゼムスの死体に近づく。
 
「……あらら。これは酷い」
 
それ以上ゼムスの死体に近づくことはしたくはなかった。
正直、こんなに上手くいくとは思わなかった。
自分がゼムスに「やつらを出し抜けば自分の利益があがるぞ。大丈夫、誰にも言わない」と言い、離反を促させる。
すぐに離反したのを見るととても滑稽な話だろう。結果としてアスタルテとミュウツーの怒りを買い、殺された。
彼女達には完全にゼムスが勝手に離反してるのだと思っているのだが、実際は自分が離反させたといっても間違いない。
空を見上げるとその星がこちらを見下ろす。
だいたい、1人分は揃っていてもマルクが居ないとアレは起動しない。
 
「……しかし、面白いじゃないか。欲望ってさ。……はぁ」
 
ある感情を押し殺し、自分も建物に戻ることにした。
戻っている途中、また携帯がなる。どうやら『恋人からのラブコール』らしい

95 :

☆ ☆ ☆
「ばっちりOK貰ったのサ!」
「そうよかった。じゃあ、今すぐ」
「ちょっと、待つのサ」
 
マルクが戻ってきて言った事は開口一番それだった。かなり順調じゃないか。
今すぐ仕事に取り掛かってもらいたいのだがマルクが待ってほしいといった。
急いでいるのに、何だというんだ。マルクは誰にも聞かれないように、そして盗聴器に拾われないように私の耳に口を近づけた。
 
「人質の部屋も入ったのサ」
「え!!?」
「え、えーりん!声が大きいのサ!」
 
あまりにも非現実な事に声を張り上げてしまった。
人質の部屋はイザナミとしか入れない。それなのに何故?
 
「えーりんを安心させたくて、ボスにおねがいしたのサ。ボス同伴だったけど」
「……そう。ありがとね、マルク」
 
頭を撫でてやる。ああ、この子は本当に良い子だ。私を安心させる為にこんな事をしてくれるなんて。
だが、二度とこういうことはしては貰いたくは無かった。
ここまできてリスクを犯すようなことはしたくない。今は怒る気にはなれなかった。
 
「輝夜ちゃんは元気だったのサ。というより本当に人質に部屋とは思えないぐらい豪華だったのサ」
 
確かに人質とは名ばかりで、こちらの手違いで連れてきてしまった、のが正しいのだ。(もっとも本来の意味合いで姫が利用される可能性もあるが)
手違い、というのは拉致するときに巻き込まれた者達である。つまり輝夜の他にもいるのかもしれない。
それが気になったので聞いてみる事にした。

96 :
「姫の他に誰かいた?」
「居たのさ。帽子を被った少年と、それと、」
 
マルクが押し黙った。
口を動かすが、言葉を発するのが苦しいのだろうか。
 
「……ローザがいたのサ。ずっと僕をずっと睨んでた」
「!…………貴方が悪い訳じゃないわ」
 
マルクを慰める。だが、私の頭の中は疑問で埋め尽くされた。
彼女は首を跳ね飛ばされ死んだ筈だ。よく似た別世界のローザって訳でもないだろう。
ではなぜローザが人質の部屋に生きている状態でいるのだろうか。もしや蓬莱の薬か?
それをマルクに聞く気にはなれなかった。なにせマルクは参加者、人質に「悪」を演じ接触しなければならないのだから。
姫と、帽子の少年。......きっとレッドが固執している子だろう。彼らも最終的には救い出さなければ。
倒すべき敵は減った。会場の参加者をこちらに来させることが出来れば私の勝ちは決まったものだ。
その時が来るまで、こちらの敵を減らすことを考えなければならない。やることは多すぎるが、これぐらいが丁度良い。
 
☆ ☆ ☆
数刻前。
 
「へいへいへーい、皆元気なのサ〜?」
 
硝子の向こうに豪華な装飾、そしてPC、漫画本、テレビゲーム、etcetc…。しかし彼女達はそれを手に取ることはない。
この強化硝子には無数のヒビが入っているが穴が開くことはない。そして硝子の向こうのすぐ目の前には壊れたイスが転がっていた。
黒髪の少女はじっとマルクと、その男を睨み続ける。
死んだはずだったローザもマルクを睨み続ける。少年はまだ状況がわかっていないが、マルクと彼がロケット団の様な悪というのはわかるらしい。
男が葉巻に火をつけ、壁によりかかる。

97 :

「……えーりんはどこ?」
「秘密なのサ。でも確実に無事で無傷だってことは教えてあげるちょ〜」
 
輝夜は永琳が何をさせられているのは知らない。
人質、というのは拉致をする時に、たまたま近くにいたとか、性格が似ていた、とか些細な理由で間違って連れてこられた者達だ。
傍迷惑という言葉が彼女達に相応しい言葉である。
できるなら彼女達を逃がしてやりたいが、この計画を知る者をこの世界の外に出すわけにはいかなかった。
 
「セシルは大丈夫なのっ!?」
「うーん、それは言えないのサ。でも生きていることだけは確か」
 
ローザが声を張り上げマルクに質問をする。参加者の情報を彼らに教えるのは禁則事項に含まれているので教えることはできなかった。
それに教えられたとしても彼女にセシルが今どういう状況かを言うのは余りにも酷だ。
ああ、カインとセシルは本当に可哀想だ。生きているのに彼らはローザの為に殺し合いに乗ったなんて口が裂けても言えなかった。
 
「ねぇ!どうなってるの!?君たちは何者なんだっ?」
「落ち着くのサ、ゴールド君。僕からはまだ言うべき言葉じゃないのサ」
 
レッドが固執している少年、ゴールド。彼はレッドと同じく頭が良い。だからこそよく考えて発言するタイプなのだろう。
違いはレッドの様に心が腐っておらずポケモンを心の底から愛していることぐらいだろう。他は殆ど同じであった。
人質の中で一番接触しやすいだろう。どうにかして接触しなければならない。
そんな事を思考しているとボスが葉巻を吸い終わった。
それはこの部屋から出なければならない事を意味した。
 
「それにしてもよかったのサ。みんな元気そうで。じゃ、僕はこれで〜」
 
部屋を出るとき、ボスがマルクに人質に接触した理由を聞いた。
マルクは永琳を安心させたい、と正直に言うとボスは、お前は良い奴だな、と言い頭を撫でた。
 
そしてその部屋に残ったのはローザ、ゴールド、輝夜の三人だけ。

98 :

 
「…….どうなってるのかしら……セシルは大丈夫なの……?」
「本当にムカつく妖怪ね」
「落ち着いて、ローザさん、輝夜さん」
 
二人が文句を言ったり項垂れたりする度にゴールドは宥めたり慰めたりしていた。
それでも輝夜とローザは気持ちを静めることはできなかった。
輝夜はぶつぶつ言いながら下を俯き、漫画本らしきものを読みはじめた。
ローザは輝夜よりも俯き、気分を沈ませる。
ローザは先ほどまで、首と胴体が分かれている状態だった。
蓬莱の薬のよる所為。ただし再生速度は大幅に遅いタイプ、と先ほど輝夜は言った。
もっとも再生の早いタイプがあったりするのは知らない、と付け加える。
つまり彼女は不死の状態で、参加者に首輪という見える恐怖を植えつける為に一度殺された、ということになる。
実は、輝夜と自分は先にこの部屋に連れてこられ、何が起きたか理解できず情報を交換しあっていた。
もっとも幻想卿の話は非現実であり到底信じられなかったが、彼女がポケモンの存在を知らない所を見ると信憑性は増してきた。
その時はこの建物の外で何が行われているかはわからず、二人で永琳の無事を願い、そして自分のポケモンの無事を願っていた。
すると、唐突に、部屋に死体が投げ込まれた。それを見た自分と輝夜は悲鳴を上げ、嘔吐こそはしなかったものの、ずっと気分が悪かった。
だがそれで終わらなかった。その死体が、ゆっくりと再生し始め綺麗な女性に変わったのは驚いた。
彼女と情報交換をして、そこで初めて外で不特定多数による殺し合いが行われているのを知ったのだ。
永琳が参加させられているかもしれない、と輝夜がそこで喚き始め、それからずっとこんな感じだ。
あのポケモンは無事だ、と言ったのだから無事なのだろう。彼が自分達に嘘をいうメリットはないだろうし。
それに明晰な頭脳を持っているのだから案外、参加者ではなく運営の方を担当させられている可能性もある。
その事を告げても彼女は喚く一方だったが。しかし、なぜ今頃になってマルクとやらがこちらに来たのだろうか。
先ほどまではガソリンスタンドの制服をきた男が何度も様子を見に来るだけであって、こちらに喋りかけることは殆どなかった。
しかし、いまさっきは違った。マルクはこちらに喋りかけてきたのだ。今頃になって大体的なアピールをこちらにしてきたのは可笑しい事だ。
……まてよ?
 
「……こちらの味方?」
「えっ?ゴールド君、何て言ったの?」

99 :

ローザが自分の言葉に反応する。だがまだ自分の考えが纏まっていないので返事を返すことはできなかった。
こう考えてはどうだろう。マルクがこちらに接触したのは些細な理由なのかもしれない。
それこそガソリンスタンドの男が、暇だからこの部屋に来た、と同じように。
彼は、元気そうでよかった、と言っていた。それがそのままの意味だとしたら?
僕らの安否確認をしたかった。それだけの理由なのかもしれない。
それに、彼はローザを殺した。そこだ。そこが可笑しい。必要があるのに、蓬莱の薬を飲ませた。
彼はローザをのを拒否して、蓬莱の薬を飲ませたのかもしれない。 
確信はない。だが、彼のあの神経を逆撫でし苛々させる台詞は全て演技だとしたら?
彼は味方だということになる。
 
「……確証はないけど、二人とも僕の話を聞いてくれる?」
「……えぇ、いいけど」
「つまらない話だったら承知しないわよ」
 
とりあえず、自分の推理を彼らに話すことにした。もっともこの内容を彼らに話してもここから出られないのに代わりは無いけど。
 
☆ ☆ ☆
 
「そう、やはり予想通りだったか、うん、うん、あー、干渉はできるだけ避けてって言ったじゃないか……うん。そう、わかった。じゃ、また連絡してね」
 
イザナミは電話を切る。まったく、あいつは少し扱い辛い。
数時間前は気持ち悪いぐらいのテンションで意気揚々と会場を駆け回っていたのに今は冷静に任務を遂行するとは。自己暗示とは怖い物だ。
しかしやはり予想通りだった。逆にこの予想が外れてしまったら、と冷や冷やしていた所である。
 
「……でさ。あんまり君にはこの部屋を出てもらいたくないんだけど」
 
今イザナミがいる部屋はボスの部屋だ。すまんな、とボスは上辺だけの謝罪をする。
やはり掴めない男だ。
 
「ゼロは君に不信感を持ってる。他二名も君の存在をよく思ってはないし。下手したら殺されちゃうよ」

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