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2012年4月創作文芸1: ワイが文章をちょっと詳しく評価する![20] (454)
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ワイが文章をちょっと詳しく評価する![20]
- 1 :12/04/01 〜 最終レス :12/04/13
- オリジナルの文章を随時募集中!
点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!
ここまでの最高得点79点!(`・ω・´)
- 2 :
- 過去のスレッド
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![19]
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bun/1330690265/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![18]
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bun/1327791714/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![17]
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bun/1325803422/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![16]
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bun/1323620185/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![15]
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bun/1322483902/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![14]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1319546097/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![13]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1318369661/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![12]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1314785282/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![11]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1312320244/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![10]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1309421691/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![9]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1306490907/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![8]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1304810561/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![7]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1302864278/
- 3 :
- レベル2
- 4 :
- ワイが文章をちょっと詳しく評価する![6]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1298499050/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![5]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1293712272/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![4]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1285859746/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![3]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1272763741/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![2]
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1254570717/
ワイが文章をちょっと詳しく評価する!
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/bun/1249125836/
- 5 :
- モツカレー
- 6 :
- >>1 おつでっす
- 7 :
- ワイさんが書き込み量制限しょっちゅう下がりまくるのが、なんか凄い面白いんだが
- 8 :
- 686 名前:ぷぅぎゃああああああ ◆Puug571Ifs [] 投稿日:2012/03/29(木) 05:07:38.24
第十回ワイスレ杯のルール!
名無しの書き込みを必須とする!(名乗った場合は通常の評価に移行する!)
設定を活かした内容で一レスに収める!(目安は千文字程度、三十二行前後!) 一人による複数投稿も可!
通常の評価と区別する為に名前欄、もしくは本文に『第十回ワイスレ杯参加作品』と明記する!
ワイが参加作品と書き込む前に作者が作品を修正する行為は認める!
今回の設定!
舞台は駅! 寂れた無人駅! 複合施設のような巨大ターミナル! 様々な業種が参入して商店街と化した駅等!
単なる駅の役割にとどまらない! 複合した要素が織り成す場所に物語は生まれる!
想像で書いてもよい! リアリティを重視してもよい! 掌編の可能性を追求すればよい!
応募期間!
今から今週の土曜日まで! 上位の発表は投稿数に合わせて考える!
日曜日の夕方に全作の寸評をスレッドにて公開! 同日の午後八時頃に順位の発表を行う!
このような催しを開催中!(`・ω・´)
- 9 :
- 今回は上位十作を発表する予定だった!
惜しい作品が当落上にあったので十一作に増やした!
ワイの判断!(`・ω・´)
- 10 :
- 全作品の寸評!
ttp://p.tl/IgSz-
ちょっとお風呂入ってくる!(`・ω・´)
- 11 :
- きたっ!
- 12 :
- ぎゃー 褒められたー 入選なくなた…
- 13 :
- 重大なことを忘れていた!
前スレの全作品の原文を誰かコピペして!
ワイはレベルが低いので文字数制限を受けていて出来ない!
よろしく!(`・ω・´)
- 14 :
- 原文コピペしようと思うけど、だれか取り掛かってる?
取り掛かってるなら分担でもいいかなとか。
- 15 :
- 18:50から原文コピペ始めます
- 16 :
- >>14一任
進めてください。激しく乙!!!!!
- 17 :
- >>15あなたはネ申になろうとしている
- 18 :
- 名も無き駅のホーム。俺は立ったまま、虚ろに線路を見下ろしていた。
隣に佇んでいる妹が、震える小声で言う。
「……ねぇ、兄さん」
「なんだよ?」
「あのさ……本当に、電車に乗るの?」
その声は、弱々しかった。まるで捨て猫の鳴き声だ。俺は妹を元気付けるように、頭をぐしゃぐしゃ撫でてやる。
「大丈夫だって。絶対、元気になって帰ってくるさ」
「……兄さんの嘘つき!」
妹の顔に、激しい怒りの色が浮かんだ。その悲痛な叫びは、俺の心を一瞬で締めつける。
「兄さんの友達だって、結局帰ってこなかったんでしょ? 『楽園電車』に乗ったきり……」
目から大粒の涙を流しながら、妹が俺の体にすがりつく。
「……でも、このまま死ぬよりかはマシなんだよ。何もしないより、ずっとな――」
一週間前、医者から聞いた。俺の命は、もって一ヶ月だそうだ。
聞いた時はただ、何も感じなかった。しかしそれから日が経つと、心に死の恐怖が巣食い始めた。
俺は、望みを託した。この名も無き駅にやってくるという『楽園電車』に。
その電車は、死期の近い者の前にのみ現れるという。行き先は――『楽園』だ、とだけ聞いた。病苦も飢餓も争いもない、楽園だと。
普段の俺ならば、こんな噂は信じなかったろう。だが、俺と同じ病室に居た友達は、本当に『楽園電車』に乗った。
『今、電車がきたよ。……一足先に乗るね。さいなら』
その声を最後に、電話が切れた。そして友達は行方知れずになった。
居なくなった友の顔を思い浮かべていると、ホームにノイズ混じりのアナウンスが流れた。
この場所は、とっくのとうに廃駅になったというのに。
『――白線の――内側に――』
俺は、線路を走ってくる電車を見た。妹は唖然とした顔で地にくず折れた。
目の前で、がしゃんと音を立てて扉が開いた。俺は妹を立たせ、その頭を滅茶苦茶に激しく撫でる。
「帰ってくるって。絶対、帰ってくるから……な?」
「……絶対だよ? 兄さん……!」
俺は電車に乗り、座席に座る。車内に人の姿はなかった。
遠ざかっていく妹の姿に、いつまでも手をふる。
行き先は、楽園。
- 19 :
-
地上の入り口がそばにある地下鉄のホーム。黄色いラインの近くに男が一人立って
いる。電車はこない。男以外に人はいない。もう逃げたのだろう。男は少し変わった
自がしたかった。少しムードのある、ちょっとドラマになりそうな自。誰にも
迷惑はかからないだろう。死体すら残らない、あるいは発見されないだろう。遠く
から何かがやって来る音がする。男は右手に持っている携帯電話を見た。あと五分
で津波が来る事を知らせるメッセージが表示されている。続いて右手についている
腕時計に視線を移す。それと同時に線路をなぞるようにして、大量の水がトンネル
から入ってきた。ほぼ黒に近い緑色に瓦礫や木材、何かの破片が混ざっているのを
見て男は少し顔をしかめた。想像していたのと少し違っていた。人が混ざってない
分まだマシだったが。すぐに地上の入り口からも大量の水が入って来る。エスカレ
ーターを降りてくるその水の方が少し色が綺麗だった。男は近くにあった金具にし
っかり掴まった。一瞬監視カメラにこの光景は写っているだろうかと思う。それを
頭の中で言葉にする暇もない。男はあっという間に飲み込まれた。
- 20 :
- 電車を待つ君の横で僕は時計を気にしている。季節外れの雪が降っている。「この街で見る雪は
これが最後ね」と、淋しそうに君が呟く。
無人駅である。それは茫漠たる野原の只中にぽつねんと所在しており、周りには商店街は疎か
人煙の縁すら見られない。
山懐に抱かれた小さな街で、僕と詩織は育った。幼馴染みであり、街に同年代の子供が少なかったことから、
僕達はいつも一緒にいた。しかし、この春から詩織は東京の大学へと進学することになった。僕はこの街に残り、
家業である農家の仕事を継ぐ。
僕は何時の頃からか詩織に恋をするようになっていた。詩織が僕をどう思っていたのかは分からない。
しかし、僕から詩織に恋心を打ち明けることは終ぞなかった。
出立の日である今日の詩織は何時にも増して格別に綺麗に見えた。詩織は本当に綺麗になった。僕は最も近しい、
親しい人の成長ぶりに今改めて瞠若していた。僕達は何時までも幼いままではいられないのだ。
降りしきる雪の彼方に、こちらへ徐々に近付いて来る電車の姿が仄見えた。僕の鼓動は早鐘を打った。
この一秒一秒に、詩織は更に美しさを増すように思われた。
動き始めた電車の窓を開け車内から身を乗り出し、詩織は何か言おうとしている。僕達は互いに見つめ合ったまま何も言えなかった。
今、この瞬間にこそ、この降りしきる雪のように、二人の間に何か奇跡が結晶することを心の底から願った。
二度と会えない今生の別れではないだろう。しかし、東京には厖大な数の人間がおり、物質に富み、機会に溢れ、
その中で詩織は様々な経験をして今より更に成長し、更に美しくなるだろう。詩織の口唇が「さようなら」と動くような気がして、
僕は慌てて大声で「元気でな!」と叫んだ。
詩織が去ったホームには僕と雪だけが残された。何気なく、だが親しみを込めて、中空に向け手を差し伸べてみる。
なごり雪は僕の掌に音もなく舞い降り、何事もなく溶けては露と消えた。
- 21 :
- 第十回ワイスレ杯参加作品×三駅物語
夕暮れの駅舎は屋根も線路も、電車さえも凍てついていた。
奈緒美はホームにうすら積もった雪を踏みしめて、待合室へ急ぐ。
/どこにいる。俺たちもうダメなのか/待合室のベンチで、液晶画面に向ける瞳がおぼろになった。
/日本最北端の駅にいるの/隼人は、やっと届いた奈緒美のメールに口もとを歪めた。誤解だ、
といく度も電波で詫びた。だが返事はなかった。三年つきあった奈緒美の性格は理解をしている。
なぜ、別れた女の相談に乗ったのか。とても迂闊だった。しかもその女は奈緒美の友人でもあったのだ。
三人はサークル仲間として、大学の四年間を過ごしている。なにもなかった、そう言っても
奈緒美は頑なだった。
/北海道の稚内駅か/隼人からの返事に、奈緒美は首のマフラーをとく。一瞬でほほが熱を帯びた
のだ。/渡しそびれた婚約指輪を海に沈めるため、最南端の駅にいる/表示されたテキストに、あっ
と声を上げた。顔を向けた売店にひとの姿はない。あたりは雪が波に溶ける海のように深閑としている。
駅探訪サークルで、最南端の駅がある九州指宿の出身だ、と隼人はあいさつをした。 そして、
「砂むし温泉に行きたいね」と騒いだことも奈緒美には懐かしくおもい出されたのだ。
/実家にいるの/という メールに隼人のマブタが爆ぜた。駅だっていつまでも名声を誇れるわけではない。
そう考えたとき、隼人にわずか希望が見えた。
「知らなかった、日本最南端の駅って、沖縄にあるのね」
「奈緒美はサークルでも旅の目的に熱心だったからな」
だから誤解が多い、と隼人は言う。指宿にある『西大山駅』は八年前に栄誉をモノレール『赤嶺駅』
に譲っている。/駅は二番になったが、俺の一番はいつまでもかわらない/浮ついた文字だったが、
力強い言葉として奈緒美のこころに沁みた。そしてふたりは互いの間にある駅で再会をした。それが、
兵庫にある『日本へそ公園駅』ひょうきんな駅名がつらくしていたキモチを氷解させ、おだやかな
ものに導いたようでもあった。
日本のへそで、奈緒美は指に光る輝きを眩しそうに眺めた。
- 22 :
- 生まれた時から僕が在住してる大阪民国は、玄関口のJR大阪駅がとても広くなって、伊勢丹とかルクアとかができて今、全体的にきらきらしてます。
空間をかなり贅沢に使ってて、庭園みたいなのもふんだんにあって、これ全部もし木造やったら素敵やろうなあとか妄想したりしてます。
あと、阪急梅田駅の百貨店は、地下に『巨大な構造物』が発見されて工事が一旦中止になってて「うおー謎の『巨大な構造物』とか夢拡がるー!」って思った。
あと、ここからは自慢じゃないけど、うそ、自慢だけど、日本一高いタワーと言えば東京のなんたらかんたらランドマークタワーとの事だけど、日本一高いビルと言えば!何年後かに完成予定の!近鉄阿部野橋駅のハルカス!イエイ!
地下四階、地上60階にして300メートル!16階なんか丸ごと美術館になるそうです。
嗚呼ターミナルと其の眷属から成る祝祭回路!的なワクワク感が今からあるし、家から歩いて10分かからないとこに美術館できるとか本気でテンションあがります。
僕が小さかった頃はそこそこ大きいですね程度の中途半端な立ち位置の阿部野橋駅だったけど、日本一とかそういうレベルに君臨するなんて、実感が湧きません。
お祖母ちゃんがこの事知ったらびっくりするだろうと思う。
でも、完成の暁には僕んちの土地の値段きっと上がるだろうから、その時は売り払って、奈良とかの郊外に大きい家を買って引っ越しようと思います。
- 23 :
- 自らのミスでは無く上司の失敗だったのに、詰られ罵倒され挙句の果てに蹴り飛ばされる。ありふれた日常。
溜息を吐くと、ふと以前みた飛び込み自のニュースを思い出した。
通勤ラッシュの時間帯に会社勤めの男が線路へ飛び込み自をしたらしい。俺は死ぬなら迷惑を掛けずにでと憤りを感じた。しかし何故男が自したのか今なら分かる気がした。
きっと、疲れたのだろう。多分男も俺と同じような最低の職場に勤めていたのだ。そのうちに感情がすり減り、怒りも哀しみも感じなくなる。そうなるとふと思うのだ。疲れたなあ、ば楽になるだろうなと。
――ば楽になる。
幾度も噛みしめた。ば全てから逃げ出せる。ただこのまま死に一自者として処理されるのには抵抗がある。社会に対して復讐をしたい。
魔が差した、いや憑き物がついたのか。社会的に衝撃的な自方法だけを考えていた。
案外難しい。悩んでいると上司に吐かれた暴言を思い出した。
――馬鹿が余計なこと考えてるんじゃねえ。単純なことだけすりゃあ良いんだよ。
駅で出来る単純な自方法と言ったら飛び込みだろう。――一つ思いついた。実に単純だけれど衝撃的ではある。
電車が通過するという放送が聞こえた。一度息を吐き切り、その後肺を空気で満たす。両腕を広げ線路へと走り出した。
何人かがこちらを振り向く。気にせず走る。二、三人の体が手に触れた。そいつ等を離さぬように腕に力を込める。俺のやろうとしている事に気付いた誰かが悲鳴を上げる。
線路が近い。腕に抵抗を感じる。ホームの端まで来た。足を軽く曲げ、飛ぶ。
体に軽い衝撃。二人巻き込んだ。絶叫。被害者のものか、それとも俺のものかもしれない。
電車が近づくというより、大きくなる。俺の下で二人がもがいているが、手遅れだ。電車はどんどんと大きくなる。瞬間、暗転。俺の瞼が勝手に閉じたらしい。不思議と安らか。
ああ、終わりだ。
朝のニュースで線路への飛び込み自を報じていた。電車を待っていた客を何人か巻き込んで死んだらしい。全く迷惑な話だ。
会社に行きたくない、と思う。我ながら子供っぽいとは思うが嫌なものは嫌だ。暴力をふるう上司にサービス残業。ば楽になれるだろうか。
憂鬱な気分で駅への道を歩いていると、ふと今朝ニュースで見た飛び込み自を思い出した。
- 24 :
- 各駅停車の新幹線は、僕の過去を巡る。ホームに降り立つ僕を迎えたのは、初恋の女性だった。幼い、あの頃の姿。クラスメイトが周囲を歩くなかで、僕は彼女を抱きしめた。キスをして、犯した。
売店で母親の手作り弁当を買って車両に乗り込むと、扉は閉まり、発車する。半裸の彼女は窓の向こうへ、遠くなっていく。
次の駅で、僕を捨てた巻き髪の女を見つけた。嫌がるのを引っ張って、線路に落とした。泣き喚くので小便をかけてやった。びしょびしょになった彼女が妙にそそった。線路に降りて、服を脱がせた。一度中に出すと、もう僕の気は済んだ。
女は泣きながらホームに上る。裸のままで走る。僕はそれをゆっくり追う。改札を出たところで、裸の通行人達が彼女を押さえ込んでいた。彼女はゆっくりと犯される。僕はそこに小便をかける。
駅から街に出て、当時声もかけられなかった大学の後輩を捜した。薬局のトイレのなかに彼女はいた。悲鳴が上がる中、脚を持ち上げ、濡れた股に挿入していく。たくさんのキスをする。彼女の中に射精する。
腕を引っ張って駅に戻り、新幹線に連れ込んだ。座席に座っていた僕、立っていた僕、母親と一緒の幼い僕、運転席の僕、そしてこの僕、全員で彼女をまわした。
車両が発車する。彼女のおなかが膨れていく。破水して、出産する。僕の母親が取り上げる。また後輩は犯される。止まらなくなった車両の中で、彼女は何度も僕の子供を産んだ。
最後の駅に着いた。僕は全てを置いて、現実に戻る。
- 25 :
- 1894年 阿津田神宮前参道にて、初代栄三郎が茶店を創業。
1895年 馬車の発着所として、阿津田神宮駅開設。
1910年 屋号を栄三郎本舗とする。みたらし団子のほか、餡入り団子、うぐいす団子を発売。
1923年 阿津田神宮駅舎内にてみたらし団子販売開始。
1954年 阿津田神宮駅改築工事。
1962年 昭和天皇ご来駕のおり、みたらし団子を召され、「当代随一の団子」とのお言葉を賜る。
1963年 「あつた団子」の商標登録。
1977年 阿津田神宮駅舎改築。三階建てビルヂングにブティック、玩具店などとともに店舗出店。
国内初の駅複合施設と話題を呼ぶ。
1980年 宮中市に二号店、三号店出店。製造工場増設。
1997年 阿津田線廃線。
2005年 阿津田市と宮中市が合併。
2010年 JR阿津田神宮駅廃止。駅ビルヂング老朽化のため取り壊し決定。
「ふうー」大きなため息とともに六郎が丸めていた背中をぐっと伸ばす。「うちの団子屋も
こうして見ると、歴史だなあ」文字を綴っていたノートをパタンと閉じる。
幾多は六郎のでっぷりした腹を横目で見つつ、こいつも年取ったな、そんなことを思う。「いや、
大したもんだよお前んちの団子屋。この阿津田神宮駅とともに生まれ、発展し、そして……」
「みなまで言うな。俺の代で店ぇ畳むのは忍びねえが、これも何かの巡り合わせだ」
「宮中市との合併が利いたよなあ。人の流れがガラっと変わっちまって。この駅ビルも取り壊し
かあ」幾多は、がらんと人気のない駅ビル内を見回す。「いろいろあったなあ、俺、人生初デート
はこの駅ビルにあった映画館なんだぜ」
「『テアトルあつた』ね。常に二本立てでお得だったよなあ……って、初デートのお相手って誰
だよ? 聞いてねえぜ、二組の近藤か?」
「ハハハ、まあいいじゃねえか、中学ん時の話だよ。それよりお前、これからどうするんだ」
「まあ、なんとかなるさ。お前みたいに大学なんか行ってねえけど、一応和菓子作りの腕はある
からな。宮中市の菓子屋で働かせてもらうか、それか……」六郎は椅子からおもむろに立ち上がる
と、何も置かれていない陳列棚のガラスを叩いた。「全く新しい土地へ行って、全く新しい人生を
始めるのもいいな。ここは駅だ、出発の場所、ここから、どこへだって行けるんだ」
- 26 :
- たまえ婆ちゃんは熊村駅の守り神だ。
熊村駅とは田舎の小さな村にある無人駅である。誰も居ない改札口に切符入れ場が設置されていて、そこに客たちは切符を投入していく。誰も客を見送ることなく、そして誰も出迎えることがない寂しい駅だった。
しかしある日、たまえ婆ちゃんがふらりと駅にやってきた。どこから来たのか。年齢はいくつなのか。それは誰も知らない。だが、来る日も来る日も彼女は駅にやってくるようになった。そして長い事、この駅の改札口で乗り降りする客たちを見守ってきた。
たまえ婆ちゃんが熊村駅の守り神と呼ばれるようになったのには理由がある。それは彼女が来るようになって数年が経った日のことだった。熊村駅に停車するはずだった電車がその直前で横転事故を起こしてしまった。
通勤ラッシュの時間帯のことである。たいていはガラガラで走っているその列車も、朝だけはぎゅうぎゅうに混み合っている。車内は酷い有り様だった。転倒した女性や、割れたガラスで顔を切ってしまった男性が床に倒れ込んで呻いていた。
何か予感めいたものがあったのだろうか。その日、たまえ婆ちゃんは何処となく落ち着かない様子だった。だからなのか、列車の横転事故に一番早く気がついたのはたまえ婆ちゃんだった。列車の事故を察知すると、たまえ婆ちゃんは走った。
走って走って、そして村の皆に知らせて回ったのだ。きちんと説明することは出きなくても、彼女の酷く訴えかける様子に村人たちは駅へと向かった。
事故が発覚してからの対応は早かった。すぐさま救急車や消防が呼ばれ、村人が総出で手伝っての救出活動が行われた。熊村駅の構内に寝かされる大勢の怪我人。苦しがっているその人たちを元気づけたのも、やはりたまえ婆ちゃんの優しさだった。
彼女はひとりひとりの所へ順番に行き、そっと気遣うような声を聞かせた。するとその瞬間だけは痛さを忘れたように、怪我人の顔に笑顔が灯るのである。
あの事故から早くも数年が過ぎた。もうたまえ婆ちゃんの躰は限界に近づいていた。寿命である。日に日に弱っていっているのが目で見ても判り、それほど先が無いことは明らかだった。
そして到頭、最後の日がやってきてしまった。一九時に到着する熊村駅の最終列車。その日、最後の客を出迎えたのは彼女の癒されるような笑顔ではなく、冷たく硬直した亡骸だった。
推定の享年は一三歳だと言われている。
- 27 :
- 「商店街を一周してください」
駅前商店街の昼下がり、乗り込んできた青年の言葉にタクシーの運転手は顔をしかめた。
(自分の足でまわりゃいいだろうが)
商店街と提携し、歩き疲れた買い物客を標的にしている彼らにとってその注文は燃料の無駄遣いにしかならない。運転手は不機嫌にサイドブレーキを落とした。
「この一角にコロッケ屋がありませんでしたか? お婆さんが一人で営んでる」
五分程走っただろうか。青年が商店街の一角を指した。
「ああ……もう随分前に年だとかで店を畳みましたよ。初めてじゃないんですかお客さん」
「ええ、とても美味しいコロッケ屋でいつも人が並んでましたね」
「どうでしょうねえ、あたしゃ食べたことはないですがそんなに美味しいとも聞かなかったような」
「そんなことはないでしょう。何でも商店街一の客引き屋として、商店街から感謝状と温泉旅行をプレゼントされたんでしょう」
「え? ……あ、ああ、そんなこともあったのかなあ」
運転手がバックミラーを覗くと、青年は穏やかな表情で外を眺めている。
「でもねえ運転手さん、その温泉旅行に行っている間に空き巣に入られて有り金全部盗まれちゃ、お婆さんも大変だ――」
青年の言葉は急ブレーキの音にかき消された。「す、すんません」赤信号を見落としていた運転手がもごもごと謝る。ところが青年はやはり穏やかに「安全運転で頼みますよ」とにこにこ笑っている。しばらくしてまた青年が口を開く。
「一度は廃商店街になりかけたここも、今では立派なアーケードまで建って見違えますね」
「ところでそのコロッケ屋のおばあさんは今はどうしてるんでしょうね。もう一度あのさくさくのコロッケにかぶりついてみたかった」
運転手は答えない。いや、口はパクパクと開くものの声が出ない。
「お婆さんもしばらく頑張っていたけれどそれまでの蓄えが一銭もないんじゃどうしようもない。息子夫婦に嫌々引き取られて今はどこかの老人ホームでぼんやり過ごしているんじゃないかな……おや、どうしたんです運転手さん。顔が真っ青だ」
青年が運転手の顔を覗き込む。
「ああ、運転手さん。ここまでで結構です。おいくらですか」
「……結構です」
「そう? どうもありがとう」
青年はにっこりと笑うと商店街の人混みの中に消えていったのだった。
- 28 :
- 銃声――弾が耳の辺りを掠めた気がしたが、俺は全力で駅デパートの店舗を駆け抜けた。茅ヶ崎ルミネだ。壁に表記がある。だが人がいない。俺と追跡者しかいない。
また銃声、眼前の柱が吹き飛ぶ。振り向いて姿を見ようとするが、都度発砲される。小柄な女としかわからない。
「振り向くな、振り向くな」奴の声。若い。「脇目も振らず走れ。土産物にも目を向けるな」
言われると気になる。横目で売店を見た、途端に商品が吹き飛んだ。「見るなと言ったろう。このまま進め」
駅構内に出ると、賑やかな照明に迎えられる。「そっちも駄目」ゲームコーナーが蜂の巣になった。わけもわからぬまま走る。改札を跳び越える。
「ここは本当の世界じゃないのよ」女は叫ぶ。「でも帰るチャンスがある。今から来る電車に乗ればいい」発砲は続いているが――明らかに威嚇だ。電車に乗れば、だと。素直にそれを聞くと思うか?
ホームに出ると同時、俺は陰に身を隠す。女が現れたところを狙い、蹴った。銃が舞った。驚いた顔を見せたのは、制服の少女だった。
「お前、何がしたい。ここは――」
「今の、格闘技ね。まさか、試合中の怪我?」
「なに」瞬間、記憶がちらつく。空手の全国、相手選手の上段蹴り――。
「貴方は今、昏睡状態にあるのよ」
無人のホームに列車進入の表示が輝く。
「人との繋がりが絶たれた、醒めない夢。ここには遊びも、食べ物もある。駅外にはもっと多々な快楽がある」
「お前は何者だ」俺は訊いた。
「私はここ長いから。でも遊びすぎちゃって。廃線かな、電車が来なくなった」
遠い目をした。
「同じ轍を踏ませたくなかったけど……負けたわ。好きになさい。なんなら、私と駅弁スタイルを楽しんでもいいわ」力なく笑った。
「電車に、乗れば帰れるんだな?」
彼女は頷いた。「線路に落ちて死ぬも良し」
風が切られる。轟音と共に列車が進入した。
開いたドアに、俺は乗り込む。
「お達者で、って――」
手を伸ばして彼女も引っ張り込んだ。唖然とした顔が揺れ、列車は動き出す。
「これでお前も帰れるなら、楽しみはその時でいい」
病院のベッドで俺は目覚めた。家族に涙で迎えられた。翌日、茅ヶ崎のクレー射撃元全国選手が同じく昏睡から復帰したというニュースを見た。
『塩澤トメさんは九十五歳。八十年前の事故により……』
。
- 29 :
- 僕が彩菜と出逢ったのは電車だった。恥ずかしいけれど、そのきっかけは痴漢だった。
彼女は可愛かった。だから痴漢をした。すると驚くことに彼女が誘ってきたのだ。とんだ乱女だった。
僕は誘われるままにホテルに行き、獣のようにヤリまくった。精根尽き果てるまでヤリまくった。
行為が終わると、彼女は一変した。さっきまでの乱ぶりが鳴りを潜め、今度は清純ともいえる言動をとるようになった。
僕を誘ったのは、単に容姿が好みだったかららしい。嬉しかった。次のデートの約束をした。
それから様々な偶然や奇跡が起こり、僕たちの仲は着実に、ゆっくりと進展して行った。
やがて僕達は結婚をした。幸せな家庭を築いたのだった。
- 30 :
- 駅構内の雑踏に紛れて、モンペの娘がいた。手を振りながら走り寄ってくる。
賢一には、周囲がモノクロで、薄桃色のモンペを穿いた彼女だけがカラーに見えた。
「美宇さん、来てくれたんですか? 来ないって言ったのに」
「真夜中に賢一さんの寝息を聞いてたら、気が変わったんよ。もう一度明るい所で男前の顔を見たいと思うてな」
美宇は人目も気にせず、軍服の青年に抱きついた。
「ありがとう。美宇さん、あなたの事は死んでも忘れません」
「死んでもだなんて、縁起でもないこと言わんといて」
美宇は、賢一に下腹を押し当てて囁いた。
「お空の星になってしもうたら、お腹の子供、抱けへんくなるで」
賢一は危うく、避妊はしたはずだと言いそうになった。
「わかっとる。あんたの子を身ごもうとる。そう思いたいんや。でないと地上で待っとる張り合いがないからな」
仮に慰安婦の妊娠が発覚すると、国の規定により、故郷にいる彼の親族への遺族年金は一切下りなくなる。それは避けねばならない。
「帰ってきたら、結婚しましょう。帰還すれば許可は簡単におりるはずです」
「六〇〇光年先に行ってしまう男のいうことなんて信用できるかいな」美宇は涙で顔をぐしゃぐしゃにした。「でもうれしいで。待っとる。ずっと待っとるからね」
構内で〈発射〉を予告するアナウンスが流れた。あちこちで、二人のように別れを惜しむ嗚咽や激励、万歳や唱歌が聞こえた。
賢一は美宇に向かって親指を立てるポーズを取ると、流星を模したマークの列車の中に消えた。それが最後だ。この列車には車窓がない。もう顔を見ることはできない。
『まもなく列車が〈発射〉します。危険ですから、場内の皆さんは展望室に退避して下さい。大変眩しい閃光が発生しますので遮光メガネの着用をお願いします』
警報が鳴り、人々がホームから退場する。惜別の駅は無人になった。
ホーム内の線路がゆっくりと起動し、列車か垂直方向に立っていく。空に向かって無数の誘導リングが点灯していった。こいつが大気圏まで列車を導いてくれる。
列車は十六両編成だが、実際に大気圏を突破するのは先頭車両だけだ。後続の燃料積載車両は順番に切り離されて燃えつき、役目を終える。
今、列車は最後尾の車両に点火が与えられ、閉ざされた構内を揺るがせて、力強い上昇を開始した――
- 31 :
- 五年がかりで駅ビルが大改装されて、いわゆる複合施設に生まれ変わったものの、もとより地方都市、
オープン当初の賑わいは既に遠く、平日の正午とはいえ閑散としている。
改札口のあるフロアにカフェが一店。店外の席でカフェ・ラテを飲みながらエッセイのネタを思案する
のが最近の私の日課だ。ノートパソコンの電源を入れたとき、声が響いた。
「だから、来んなっつっただろ?」
改札へと続く道の途中で、だぶついたズボンの青年と、地元の高校の制服を来た少女が向かい合っていた。
「なんでいちいち泣くわけ? 電話もメールもするっつってんだろ」
制服の少女はうつむいて黙ったまま。青年の方は両腕を腰にあてて、うんざりしたようにため息をつく。
四月……。私は想像した。青年は高校を卒業して、これから特急列車に乗り、ほかの街へと旅立つのだろう。
後輩の少女は恋人だ。昼休みに学校を抜け出して、見送りに来たに違いない。
私は青年の不貞腐れた、傲慢な態度に不安と不快を感じた。口をへの字に曲げて睨む目に、別れた夫の姿が
ちらつく。亭主関白、九州男児、そんな言葉では軽すぎる、徹底して身勝手な男。
苦労するわね、でもまだ若いんだから、さっさと別れた方がいい……。私は遥か過去の自分に言い聞かせる
ような気持ちで少女を見つめた。
「じゃあな、時間だから。お前もさっさと帰れ」青年はぶっきらぼうに言い放つと、足元の荷物を掴んで改
札へ歩き出した。少女は暫くうつむいたままだったが、やがて諦めたのか、とぼとぼと駅の出口へと歩いて
行った。
このカップルは長続きしそうにない……。私はエッセイの書き出しを考えようと、カフェ・ラテのカップを
つまんだ。
視界の端で、人影が立ち止まり、ゆっくりと振り返るのが見えた。青年の方だった。青年は改札の間際で足
を止め、体の向きを変えた。そして去っていく少女の後ろ姿をずっとずっと、いつまでも見送っているのだ
った。
私は誤解をしていたかもしれない。少女が一方的に、献身的に青年に焦がれているものと、そんな風に、か
つての自分自身を投影して見ていたが、どうやら思い違いだったようだ……。私はなんだかほっとして、他
人ごとなのに嬉しく、同時に少し妬ましくもあり、つまんだカップを唇に寄せ、そっと目を閉じた。
- 32 :
- 発車間際、俺は美桜(みお)の手を振りほどき、列車から降りた。
「え? ちょっと、どこ行くのよ!」
目を丸くした美桜が慌てて叫ぶ。
「ごめん……やっぱり、無理だよ」俺は唇を噛み締めた。「こんなの、俺には無理
だ」
「なに言ってるの今更……約束したじゃない。ほら、早く乗ってよ」
「ごめん」俺は頭を下げる。「一緒には行けないよ」
「意気地なし! あなたはいつだってそう。いつも最後の最後で逃げる。卑怯よ……」
……乗ってはならない、この列車に乗っては、ならない。俺の本能が叫ぶ。耳鳴りが
する。回避しなければならないのだ。近い未来に起こるであろう出来事が、俺には分か
っている……。
騒ぎを聞きつけたのか、係員が近づいて来る。
「乗らないんですか?」
「ええ……ごめんなさい」
「それでも男なの!?」美桜が蔑んだ目で俺を見る。「嘘つき。絶対に一緒だって約束
したのに……私たちがどうなってもいいのね?」
「……ごめん」俺は美桜から目を逸らし、列車から二歩、三歩後ずさった。
ピィーっと笛の音が響き渡る。「出発ー!」係員が告げる。
列車が動き出す。美桜を見送るのが忍びない。俺は目を閉じた。ガタン、ガタン……
列車がレールの上を滑ってゆく。ガタン、ガタン……速度を増す……音が遠ざかって
ゆく……そして。
ガタン、ゴゴオオッ!
この世のものとも思えない轟音。
きゃあぁぁー!!
断末魔の叫び。
こうなることが分かっていたとはいえ、動悸が激しくなり、息が苦しい。そう、俺に
は分かっていたのだ……。
小野急ハイランド名物『暴走機関車! トーマツ君』。東洋一凶悪という噂の
ジェットコースターに乗ったら、涙と鼻水と涎で顔面ぐちゃぐちゃ腰砕けのヘロヘロ
になって、場合によってはおしっこジャーなんて事態にもなりかねないことを……。
- 33 :
- 「絶対、帰ってくるからな。土産楽しみにしてろよ」
二人の妹達の頭を両の手で撫でるトオルの声には、どこか張りが無かった。
惑星間鉄道が開発されて、数世紀。
当初絶望視されていたその計画も、シャトルに代わる安価な移動手段としての登場が期待され、こうして日の光を浴びることとなった。
二百年後には、人類が居住する全惑星に鉄道を通すに至る。が、しかし、それで何かが変わったわけでもない。
宇宙政府の要職は地球を含む天の川銀河出身者で占められ、遠隔地ではほとんどの者が貧しい生活をしていた。
そんな中の一人であるトオルも、妹達により良い生活をさせてやるため、出稼ぎに出ようとしていた。
ホームには彼ら以外の乗客はいない。
トオルの前にある電車は、何か意図があるのか、それとも考案者のユーモアなのか、旧世代の電鉄のようなフォルムだった。
「兄ちゃん……」
下の妹、ミカはトオルを不安そうに見上げている。上のユカも同じだった。
「大丈夫だって。母さんの面倒、頼んだぞ」
彼らの母親、エミは体を病んでいた。それも、トオルが出稼ぎに行く理由の一つなのだった。
「でも、お医者さんはもうだめだ、って……」
「そんなのわかんないだろ」
「でも……」
「せっかく首都星で働けるんだ、いい薬を沢山買っておくさ」
嘘だ。彼が働きに行くのは首都星ではなく、鉱山惑星。
重機の持ち込めない坑道には、高価なロボットを壊すリスクを侵すよりも出稼ぎの人間を安い給料で突っ込む方が割に合っているのだ。
鉱山の仕事は危険、それは昔から決まっている。大抵は落盤で潰され、運が良くとも粉塵で肺を悪くする。
だが、そんなことを妹達に言うわけにはいかないのだった。
『三番ホームより、小マゼラン線首都星ヘケト・パクナ行き、間もなく発車致します、三番ホームより……』
時折雑音の混ざるスピーカーが告げる。
「じゃあな、二人とも。給料ちゃんと送るからな」
「兄ちゃん……」
ピィィ、と合図が鳴り、ミカの声はかき消された。
トオルの乗った電車が動き出す。すぐに妹達の姿は見えなくなり、駅も遠くへ離されていく。
『間もなくこの車両は大気圏に入ります。窓はお閉めくださるようお願い致します……』
窓を閉めたトオルは小さく息をついた。
彼は、妹達が「嘘つき」と呟いたことを知らない。
- 34 :
- サイコリーディング――触れた対象の思考を読み取る能力。由佳が重体の友人エリから得たのは、満員電車で罵声を浴びせる男の映像、そして暴行の記憶だった。
慣れない切符を購入し、朝の駅のホームへ。発車間際の満員車両に飛び込む。ドアが閉まり、揺れ出す車内で由佳は男を捜した。
人を掻き分け進むなか、触れた乗客の痴漢妄想や人願望が頭に入り込む。危険だが、急を要することではない。無視して次の車両へ急ぐ。
三つ目の車両で男の特徴的な金髪を発見した時、自分の無計画さに舌打ちをした。相手が凶器を持っていた際に対処する術がない。スタンガンでも購入しておくべきだった。
しかし機会を逃すわけにはいかない。列車が停止する。ドアが開き、男が降りる。由佳は人に打ち当たりながら走る。
下車する直前、妙なビジョンが頭を掠めた。数種の粉、コード、少女の笑顔――。咄嗟に振り向くが、無情にもドアは閉まる。疑念の中で、由佳は男を追った。
駅前ロータリーで金髪を羽交い締めにした時、全てが判明する。
「何だよ、離せよ!」彼の頭に暴行の記憶はない。代わりに、怪しげな袋を持った少女を車両から追い出す映像を見た。
次の瞬間、一帯は爆音に揺れた。
- 35 :
- 好き。高校の頃、気づけば見ていた彼女の顔。子供っぽいようで、話すと意外としっかりしてる。彼氏がいるのか気になって、ある日ストレートに訊いてみた。
「いるわけないじゃん」
てっきり、いないわけがないと思っていた。
「私可愛くないもん」
そう言われても、一週間後にはいるかもしれない。もしかしたら明日かもしれない。放課後の廊下で話せるのは、これが最後かもしれない。
「――僕と、付き合って」
苦しい想いをぶちまけるような気持ちだった。当たりでもはずれでも、全部を彼女にぶつけたかった。
驚いていた彼女。僕が不安でいると、その顔はだんだん笑顔に満ちていく。
「乗った!」
手を握られて、僕も笑った。
春の小道を一緒に歩いた。夏は海へ。秋の大食い対決。冬は炬燵で向かい合う。
「どうしても、東京芸大に行きたい」
ペンを止めて彼女は言った。じわりと僕の手が汗ばんだのは、多分炬燵のせいじゃない。彼女には夢があった。憧れの女優の母校で学びたいと常々言っていた。
「それがいいよ」明るい声を出した。僕は農家を継ぐから、必然と別れとなる。
二人しての猛勉強が始まった。「あきらはしても意味ないよ」「意味ないけど、教えられるから」彼女の助けになれれば、それで良かった。
三度目の冬、合格発表の日、家の前で彼女に泣かれた。ありがとうと言われ、抱きつかれた。
今、駅で彼女の帰郷を待っている。
デザインの勉強は楽しいとのこと。女優とちぐはぐだけど、彼女らしい。
停止した新幹線のドアが開いて、雑多な人波が溢れ出す。
僕は目を奪われている。少し長い髪、こちらに気づいた彼女の、あの頃の笑顔。
「やあ」駆け寄ってくる。途中、面白いぐらい綺麗に躓いて、僕はそれを受け止めた。
- 36 :
- ちいさなホームに立ち、男はちいさく深呼吸をする。ここから始まるのだ。男は考える。ようやく街に出るのだ。ベンチの埃を
払い、掌に汚れがつかないのを確認して男は腰をおろす。この日のために仕立てたスーツだ。こんな所で汚すわけにはゆかない。
自らに開かれた未来を想い、男は頬を緩める。
「どちらまで?」いつの間にか隣に老人が座っている。惨めなまでに腰が曲り、おそろしく痩せ細っている。着ているものはもは
や服と呼ぶには憚られる。かつて背広であったらし いが、草臥れ果てほとんど原型をとどめていない。自分はこれから人生を始め
ようとしているのに、この老人はこんな 所で終わりを迎えようとしている。男は憐れみをおぼえる。
「終点の街までです」「街にはもう何度も?」「いいえ、はじめてなんです。」「お仕事か何かで?」「仕事、といいますか…、
人生そのものを、ですね。あたらしく始めようとおもいまして。この駅はいわば、私の人生の終わりであり始まりでもあるのです」
「私もかつて、街で暮らしたことがありました。」老人は身の上話を始める。街での華やかな生活、成功と裏切り、恋愛とその破
局、挫折、そして失意…。話に引き込まれた男は、老人の人生をともに生きた気分になる。
遠くで汽笛が聞こえる。
「おや、ずいぶん長々とおつきあいいただいてしまった。お疲れでなければいいが」「いえ、疲れてなど…」喉が渇いているため
か、声が嗄れている。立ち上がろうとするも、長時間座っていたためか、膝に力がはいらず、よろめいてふたたび尻が落ちる。
「この駅は終わりであり始まりである、そのとおりです。しかしより正確には、始まりの終わり、あるいは終わりの始まりというべ
きでしょう」
汽笛の音が近づく。老人は立ち上がる。男は老人を見上げる。老人はもはや老人ではない。新しいスーツに身を包んだ働き盛りの
男だ。かつて老人であった男は憐れむように微笑みかける。
「なに、気にすることはありません。始まりが終わり、終わりが始まる。先は果てしなく長いのです」
かつて老人であった男は颯爽と汽車に乗りこむ。男は走って追いかけたいとおもう。そして問いただしたいと。しかし、それが不
可能であることもまた、わかっている。男は視線を落とし、骨張った、染みだらけの、紙屑のような両の手を眺める。
- 37 :
- 「はい、お股広げてね。そしたら、しゃーって、していいよ」
少女は言われるがままにベンチで放尿した。駅のホームを行く通行人の目を引いた。
恍惚の表情。野外の風が秘部を撫でている。少女はやや上を見て言う。「ほんとう。気持ちいい……」
「もっと気持ちよくなろうか」
そうして、少女へ自慰の手順が教えられる。指が導かれる。通行人は皆足を止め、しかし声をかけることはできない。
少女の息が荒くなる。一心不乱に、その意味もわからない行為に没頭する。「由佳ちゃん!」少女の母親が現れ、「ああ……」娘の姿に卒倒しかかる。
「ママぁ、きもちいいよぉ」少女は胸への愛撫もしつつ、ぬるぬるになった秘部への指挿れも行っていた。シャッター音が鳴る。携帯を構え、撮影する通行人が現れる。
「やめて、撮らないで」母親が前に出る。
「撮ってぇ」少女は被写を受ける快感を知る。
「ココを触りながら、もっと奥を」更なる指示により、「あっ……うぅー」少女は絶頂へと近づく。
「そこまでだ」
人集りを割って美形の青年が現れた。
「悪質な地縛霊よ、無に還るがよい――隠、漠、明、深、念!」両手で結印。
少女の前に黒煙が生じる。「アアアア……」断末魔の悲鳴。
「除霊完了」青年は身を翻し、颯爽とホームを去る。
彼こそが『汕界荒厄師』――亡者を祓う一族の末裔である。
- 38 :
- 駅で姪の友香里を見送った。
「上に昇る列車、凄いな」
「うん……色々変わったよ、駅も街も」
俺が石器時代へ調査に行ってる間に、この国の政権は一つ目の宇宙人に乗っ取られていた。景色は一変していた。灰色の街。帰る時代を間違ったかと錯覚した程だ。
「それじゃあね」と言い、友香里は防爆ガラスの向こうへ。急いで呼びかける。「お前はどこだって上手くやれるよ」勤め先も上司も変わって、苦労も並ではないだろう。「頑張れ」手を振った。
駅の外からその光景を見た。列車は巨大な蜘蛛に絡め取られた。「友香里!」走り出した俺の目の前で、列車は空の切れ目に消失した。
星間戦争が始まった。一つ目達を憎みつつも、姪を奪った敵宇宙人を淘汰する為、俺は軍に入った。戦闘機に乗り、暗黒の空に現れる蜘蛛と戦った。
「赤蜘蛛――エースか」動きが異常に速い。捉えられる――。
寸前で腕輪を起動。俺と乗機は一瞬だけタイムスリップする。しかし制約の為、元の時代へと戻る。眼前には赤蜘蛛の背中がある。「ガラ空きだ」レーザーシュート、撃滅。
戦局は優勢。俺の部隊は先行し、敵星への突入作戦を開始する。空中の敵を粗方墜とした後、「全機哨戒。俺一人でいく」機を降り、巨大な繭の中へ。
敵首脳部の個体に戦闘能力はない。頭のみ肥大した小型蜘蛛を次々撃ち倒して進む。これは復讐だ。蜘蛛の王をしたら、次は一つ目をやる。
大広間に出た。白い蜘蛛が玉座にいた。
銃を構えた瞬間、レーザー光を見る。俺は背後から胸を貫かれている。
苦痛の中振り向いた先に、蜘蛛の身体の女がいた。
「友香里……」意識が遠のく。
「叔父さん」銃を向けて笑った。「私、どこだって上手くやれるのよ」
- 39 :
- Phase1
アキラ隊員の操縦する日産の軽が、勇鉄駅の駐車場に滑り込む。
Phase2
アスカ女性隊員が六番線ホームから特急に乗り、カフェ・ラテ片手に指定席へ着席する。
Phase3
ゴリラ隊長が駅ビル最上階のレストラン窓際に座り、物憂げな表情でコールボタンを押した。
――Phase to united
勇鉄駅とその複合施設は変形、合体。巨大人型兵器となった。
斜めになったホームを滑っていく梢の手を、博之が掴んだ。「ひろっ。何これ、どういうこと!」彼女の足下に街の景色が遠のく。人が無残にも落下していく。
「防衛軍だ。あいつら遂に駅まで改造しやがった」
「何それ、意味わかんないよ!」
「俺も意味がわからない。敵がいるわけでもない。奴らはお遊びでやってるとしか思えない」博之はどうにか梢をベンチの上まで引っ張り上げた。
遠距離恋愛、半年ぶりの再会の日。博之は無思慮に彼女を勇鉄市に呼んだことを悔やんだ。
だが、謝罪をした彼を梢は責めなかった。「ふざけたことはやめさせなきゃ。上に登りましょ」決して挫けず、とことん前向き。博之が見染めた彼女の一面だった。
十分後、巨大兵器頭部で頬杖をつくゴリラ隊長の元に、博之と梢が現れる。隊長の手元にはコールボタンのみ。「操縦機の類はないのか」博之が言う。
虚ろな目で向いた隊長の頬を、梢が引っ叩いた。
「意味のないことばかりしてるから、鬱っぽくなるのよ。今すぐ戻しなさい」
隊長の目から涙。「はい……」と言い、コールボタンを押す。
勇鉄駅の変形は解除された。ゴリラ隊長以下三名は無差別人含む諸々の罪で逮捕された。
博之が梢に圧倒された今日であるが、彼女もベッドの中では只の女だ。「ひろ……好き」彼の手に撫でられ、幸せな眠りにつく。
- 40 :
- 周囲の喧騒以上に自分の息遣いが頭に響く。そう混んでいない駅の改札前で人とぶつかった。
「すみません」と謝り、改札を通った。ホームへの階段を私はゆっくりと登る。
なぜ、歩いているのか。足元がおぼつかない。なぜ会社に行くのか。守るべき家族はもういないのに。息子達も妻の元へ行った。
会社に行っても待っているのは同情と残業。私はホームに着いた。
これからどうすればいい?どうすれば人生の成功者になれる?
人より先に行けばいいのか?足元も目の前もふらふらする。人より先に。衝動的に足を踏み出す。到着のアナウンスが響く中、私は人より先に一歩を踏み出した。
死ぬのは怖くない。失うものは、もう、無い。
電車が迫ってくる。車輪の音が大きくなる。死は怖い。怖かった。
私は反対のホームに走った。しっかりとした足取りだった。
線路内からホームへ登る。上半身がホームに上がった時、私は見た。人。人。人。
驚いた表情と、その裏に混じる感情。
私は思わず、動きを止めた。
しかし、一人の青年が私の手を取り、ホームに引っ張り上げた。まだ幼さの残る、あばた面の青年だ。彼が私をホームの端に連れて行く。
そこで私は、はっと正常な意識が戻るのを自覚した。恐ろしさがこみ上げ、私は彼のまだ新しいスーツに顔をうずめ、泣いた。彼の、私をなだめる低い声がスーツを通して私の頭にじんわりと響いた。
彼は泣き止んだ私に名刺を渡し、数本遅れの特急で会社に向かった。
私が会社に着いたのは、入社時刻ギリギリだった。ほうけた様に仕事をして、昼休みに何時もの珈琲を持って、休憩室のテレビを見ていた。
緊急ニュースが入っていた。特急が横転したそうだ。次々と切り替わる、死者の名前のテロップの中に、名刺と同じ名前を見つけた。私の目の前がふらふらとおぼつかなくなった。
西野大介 享年76歳 死因:末期ガン
三十歳を過ぎて起業し、一躍人生の成功者となった。
「亡くなった者の分まで生きる」をスローガンとする、事故や事件の遺族支援の慈善事業の主催者でもあった彼の死は、再婚した妻と、二人の息子達に看取られた、穏やかなものであった。
ホスピス療法により、死までの時間を有意義に過ごし、妻と息子達にそれぞれ最後の言葉を遺した後、虚空に「すまない」と呟き、世を去った。
その死に顔に幸せの色は無かった。
- 41 :
- 「あれっ」
ブブー、だって。なんかSuicaが弾かれるんだけど。どゆわけ? あたしこれから学校なんですけど。
なんか隣の改札でもおんなじことが起こってる。わあ、サラリーのおっさん超苛立ってる。「どーいうこった駅員!」だって。
「少々お待ち下さい」駅員が飛んできて改札を調べ始めた。ひとしきりいじってから、「うーん、ちょっといいですか」って手を出してきたので、Suicaを貸してあげた。ブブー、エラー音。「あれぇ」
「あれぇ、じゃねえよ! 電車間に合わねーだろ、くそ」おっさんはそう言って券売機に向かった。あっ、切符か。イライラしてても、やっぱり大人だなぁ。頭いい。あたしも真似しよう。
ブブー、切符は改札から戻された。おっさんは無言で仕切りを跨ぎ、乗り越える。「いいよな、金払ったんだし。ほら、あんたも来な」差し出された手を握って、あたしは改札の向こうへ。うへえ、べたべたしてるう。けどなんかロマンスかも。
並んで階段を駆ける。あたしとおっさんがホームに出たと同時に、閉まる電車の扉。「あー!」間に合わなかった。
「くそっ、カスJRのせいで」携帯を取り出して電話をかけるおっさん。「遅刻の連絡だよ。あんたも学校に一応かけな」
「そっか」あたしもスマホを出して電話をかける。プルルル、プルルルル……。
ブブー。
「ええー?」いったいどゆことよ。隣を見るとおっさんも同じ状態みたいだし。あたしたち、ハメられてんの?
と、そのとき、おっさんとあたしの間に謎の亀裂発生。「え?」そこから現れる豚のような生物。驚くあたしたちに、豚は言う。「僕は次元の管理豚。君たちは別の次元から来たようだね」
「なんだそりゃ」とおっさん。
「次元バグの影響かな。戻してあげたいけど、バグを全部消してからじゃないとダメなんだ。手伝ってくれる?」
こうして、あたしとおっさんと豚の次元バグ修正の旅は始まった。相棒がおっさんかぁ、って思うけど、彼氏に振られたばっかだし、こういうもいいかな。
- 42 :
- シロさんは八把野駅に住んでいた。シロさんは言うまでもなくホームレスで、六把野駅は廃駅だった。都市開発とかなんとかで、近くに大きな駅を作るために潰れてしまったのだ。
もと駅の八把野と、もと人間と呼ぶにふさわしいシロさんは相性が良かったようで、ホームの淵に腰掛けて足をぶらぶらさせているシロさんはホームレスながらいい絵を作っていた。
あのひとには近づいちゃあかんよ、とお母さんから言われていたのだけれど、飄々と生きているように見えるシロさんは子供心に羨望を抱かずにはいられなかったものだ。
一度だけシロさんと話をしたことがある。その日、僕は思春期らしく受験だの友人だの親だのに悩んで、夜にこっそりと家を飛び出したのだった。
明確な理由もなく涙を流し、鼻を鳴らして歩く僕に、街灯に照らされたシロさんが、おいでおいで、と手招きしたのだった。シロさんはホームに胡坐をかいていて、なんだか格好よかった。少し怖かったけれど、僕はシロさんの隣に座った。
シロさんは、ようきた、と笑い、ワンカップをぐいと飲んだ。がたんがたん、と最終電車が僕たちの前を通り過ぎ、光と音が闇の中に薄れていった。空になったワンカップの空瓶を線路の向こうの草むらに投げて、シロさんが口を開いた。
「この駅、わしにそっくりやろ。ちゃんとした駅の形しとんのに、電車は見向きもせんで通り過ぎてく。見た目は普通の駅と変わらんのに、もう駅としての役割を失くしてしまっとる」
ふう、と前歯の欠けた口を隠そうもせず、シロさんは溜息を吐く。そうして、
「きみはあかんよ。ちゃんと電車が止まる駅にならんとあかん、ちゃんとした駅にな。なにが嫌んなったか知らんけど、駅でおったら電車は止まってくれるし、人は寄ってくれるでなあ」
とまじめな顔をして言って、恥ずかしくなったのか顔を伏せてけたけたと笑った。僕はシロさんが何を言っているのかよくわからなかったけれど、なんだか落ち込んでいるのがばからしくなって、あはは、と笑い返した。
笑いやみ、お互い無言で少しぼんやりしたあとに、ありがとう、またね、と僕が言うと、シロさんは少し寂しそうな顔をして、せやな、またな、と独り言のように呟いたのだった。
翌週に八把野駅には工事の人が来て、使われなくなった駅は一週間もしないうちに跡形もなくなってしまった。あれからシロさんの姿は見ていない。
- 43 :
- 車椅子を引いた男は、今日も駅のホームに現れた。
私がこの駅に配属されてから二週間経つが、午後二時四十分ころになると男は必ずやってきて、ホー
ムで時間を過ごす。二時五十五分の電車が到着しても、男と車椅子の老婆は電車には乗らず、発車し
て暫くすると二人は帰ってゆく。これが、二週間毎日続いている。不思議に思っていた私は、男に声
をかけてみた。
「いつも、この時間に来られているようですが、乗らないんですか」
「駅員さんが不審に思ってるのは分かってましたよ」男は特に驚いた様子を見せなかった。「老いた
母を連れて毎日駅へ来ているのには、理由がありましてね……。弟が、二時五十五分の電車でこの駅
に着くはずだったんです、ひと月前にね」
男には年の離れた弟、老婆にとっては一番下の息子がいた。四十を過ぎて授かった子で、母親は特に
可愛がっていたという。が、その最愛の息子、義彦が二十歳のとき、風俗勤めの女を連れてきた。
「母は猛反対しました。弟も若かった。家を飛び出しましてね、以来十年間音信不通だったのですが、
ひと月前弟から便りがありました。女とは死別して、家に帰ってくるというんです。母は喜びました
よ」男は笑みをみせる。「ところが当日、弟は、アパートを出て駅へ向かう途中、交通事故にあった
のです。母は……弟が死んでからというもの、気力も体力も失って、すっかりボケちゃいました。弟
が生きていれば乗っていたはずの、二時五十五分の電車が着くころになると、『義彦を迎えに行かな
いと』ってね、騒ぐんです。だから私は、こうして毎日母を連れてきては電車を待ち、そして見送る
んですよ」
ちょうど、二時五十五分の電車が駅に到着した。降りる客の中に老婆の息子の姿はない。
「義彦は?」電車が駅を離れて暫くすると、老婆はつぶやいた。「義彦は乗ってなかったのかねえ?」
「母さん、きっと、日にちを間違えたんだよ。今日じゃなかったみたいだ」男は優しく言った。
「そうだねえ、日にちを間違えたんだねえ」
「ああ。間違えたんだ。義彦はきっと、明日の電車に乗って帰ってくるんだ」
そう言うと男は、なんとも寂しそうな表情で私に会釈をし、車椅子を押して駅から立ち去った。
- 44 :
- 「ばいばい」
女はそう言って子供をホームに向かってどんと押した。じい、とベルが鳴り、電車のドアは閉じてしまった。
子供はしばらく呆然としていたが、がたんがたん、という音が遠ざかり、ホームに静寂が訪れると共に、ぎゃあぎゃあと涙を流しながら叫びだした。
一部始終を見ていた青年は、目の前で起きた出来事に咄嗟に脳の処理が追いつかず、子供と共に呆然としていたが、子供の泣き声が聞こえ、コドモがステラレタ、と脳の処理が進んだ頃にようやく焦り、駅員を呼びに走った。
駅員は、あまり脳の回転が速くないであろう青年のしどろもどろな説明と、泣き叫ぶ子供の世話を同時にこなし、警察への電話と各駅への手配を済ませた。
駅へ到着した警察官は青年の説明と、駅員の通訳じみた解説を聞き、すぐに各駅に人員を配置し、電車の終着駅へ青年と共に向かった。
子供は、見ず知らずの青年の隣で大人しく座っていた。いつの間にやら泣くことを止めていた。初めて乗るパトカーに浮かれることもなく、鼻を鳴らしながらも、涙を流すまい、と決意しているような表情を浮かべ、しっかりと前を見据えていた。
終着駅は寂れた駅であった。警察官は子供の手をぎゅっと握り、早歩きでホームへと向かった。青年も緊張しながら後を着いていった。終着駅の駅員は子供にわざとらしい同情の目線を向け、彼らを案内した。丁度電車がホームに人を吐き出していたところであった。
青年が女を見つけるよりも先に、子供がおかあさん、と叫び、一人の女に向かっていった。ホームにいた人々は子供を見た後に、女に目を移し、興味深そうに成り行きを眺めていた。
女は驚いた表情を浮かべ、駆け寄ってくる子供に手を伸ばそうとしたが、ぐっと唇を噛んだ。そうして、再び子供をどんと押し、反対側の線路へゆっくりと歩いていった。
「ばいばい」
混乱している子供を愛しい目で見つめながらそう言って、女はゆっくりと線路へ落ちていった。青年は子供の目を塞いだ。警察官は大声で何かを叫んだ。駅員は非常停止ベルを押しに走ったが、がたんがたん、という電車の音は既に近づいていた。
- 45 :
- 私は駅の近くに住んでいるのです。駅があるということは線路があり、線路があるということは電車が走っているということで、つまり私は一日中電車の音を聞いて過ごしているのです。
毎日始発電車が近づく音で目を覚まし、線路の上を流れるように走る電車を窓から見つめ、まばらに乗る人々を目で追いながら、私の一日は始まります。
私はもうしばらく、駅の構内に入っていません。おそらく、もう入ることはないでしょう――つまり、この町から出ることはもう二度とないでしょう。
足を悪くしてしまってから、私は人の目線と言葉を恐れ、この町に隠れることにしたのです。
夕飯の買い物に出かけるころには、駅から流れ出た多くの人が私とすれ違います。私は駅ビルの前で足を止め、少しだけ駅を眺めます。この町に来てから身に付いた日課です。違う町へと行ける場所。外へ向かう人々の群れ。
人が流れ続ける川。命と生活のひしめきあう空間。違う世界へのターミナル。私はいつからか、駅に憧れを抱くようになっていました。
それはもう私と交わることがないからこそ抱く憧憬。人を運んでゆく、かたかたという電車の音は私にとって恐怖であり、一方で羨望を抱かせるものでもあるのです。
一人分の夕飯を作りながら、私は夢想します。明日、私は電車に乗って違う町へ行くのです。他の町へ出かける人々に紛れ、駅で電車を待つのです。
そこには私を蔑む目線も、罵倒する言葉もない。皆が川の水の一部となり、相手を気遣うこともなく、しかしながら相手を邪魔することもなく、ただ自らの生活への切符を持って旅立つのです。
かたかた、と包丁をリズミカルにまな板に叩きつけながら、私はそんな夢ばかり見るのです。
最終列車が通ったのを確認して、私は眠りに付きます。眠りの中の夢は私を苦しめるものばかりで、私はいつからか活動時間に美しい夢を見るようになりました。
私は布団の中で、なるべく眠りにつくが遅くなるように、ゆっくりと駅への憧憬を咀嚼するのです。
- 46 :
-
はあ、はあ。こんなあほらしいことを考えたヤツは首を絞めてやりたい。はあ、はあ。ちっ、なんだ
こいつら、なんでこんなにも笑顔なんだ。はあ、はあ。俺は怒りとも、あきらめともつかぬ言葉を胸の
奥で撒き散らしながら、タスキで汗を拭った。
山手線駅伝、内回り往路。全29駅、総距離34.5kmの3区を足を引きずるように走っていた。最長距離で
ある品川から浜松町駅区間の2.2kmだ。沿道のヤツらは、たかだか2kmちょっとをなに汗だくになってんだ、
というふうな顔を向けて笑う。だがちょっと考えてくれ、と俺は返したい。駅伝の参加資格は、
体重80Kg超だ。デブ伝なのだ。俺の所属する駅から、3年連続で不名誉を勝ち取った。山手線管区内の
駅員にデブが多すぎるとの投書が新聞に載った。あほらしいったらありゃしない。デブは省エネに逆行
するんだと。見ているだけで体感温度が3度は上昇すると、その爺は書いている。
駅員の健康維持が目的。そんなふうに主催するJR東日本のおエライさんは口にする。が、それは
パワハラだ。デブを依願退社に追い込む悪質なイジメだ。
「う、お、お、おおおおーっ」腹の底から絞り出した怒りを、沿道のあほヅラどもは気合いとうけとめ
たのか、「がんばってぇ」とかなんとか日の丸の小旗を振っている。それにしても、はあ、はあ。遅い。
なにかのトラブルがあったのか。1年がかりだったのに、はあ、はあ。沿道から声がかかる。
「残り1000m」なんだとぉ、俺の走りはまだそんなものなのかぁ。はあ、はあ。
どかん。そのとき背後で破裂音がした。はあ、はあ。やっときやがった。遅いつーの。振り返ると
品川駅方面から黒煙が噴き出している。すると、つぎに、どっかぁん、と衝撃音をともない、タスキを
繋ぐ田町駅から、火の手が上がった。沿道の歓声が嬌声に移る。いきなりあたりが騒然となった。
「山手線、全駅で同時多発テロが起こったあ」警備の駅員がスマホを手に叫び声を上げた。はあ、はあ、
なんだって。29の区間で爆発かあ。全身の汗が一気に引いた。
まさか、俺と同じことを願う走者が29人もいたってこと?
- 47 :
- 「正太、わしらはおっきな戦闘には巻き込まれんが遊撃はよくされる。気を抜くなや」
「火薬の匂いがしたら線路ほったらかして兄ぃの後ろに隠れとるわ」
正太はにんまりと幼い笑顔を浮かべた。潜水夫として派遣された正太は元服すら済ましていない童だった。
富一には故郷に年の離れた弟がいる。だからこそその姿を重ね、より一層正太を可愛がっていた。
そして今、富一は正太の亡骸を葬る穴を掘っている。昨晩の襲撃でのことだった。
「`ロ帽被ってしゃがんどきゃあ」
富一は鉄帽に響く弾の衝撃に目を眩ませながら、背中の正太を守るように応戦していた。鉄道隊の疲弊を目的としたゲリラはすぐさま撤退に転じた。
安堵の表情で振り返った富一は、そこで鉄帽に穴を空けた正太を見ることとなった。
今回の襲撃で亡くなった敵、味方含めた六人を穴に横たえ、土を被せていく。なんとなくだが、富一は一番上に正太を置いた。
「兄ぃ、なんで襲撃された場所に駅をつくるんじゃ?」
正太が疑問を口にしたのは何度目かの襲撃のときだった。
「仏様がな、わしらを守ってくれるからや」
「でも、白ん子も一緒に埋めるじゃろ?」
「わしらはな、死んだらみんな仏様や。肌の色なんて関係ない。
それとな、白ん子は仏様を忌み嫌うから寄ってこんのや」
正太は笑みを浮かべた。
「仏様になってもお国の役に立てるなんて幸せじゃな」
富一はその時の笑顔を思い出しながら正太に土を被せた。
仏の座に木簡をたてる。そこに書かれた名がこの駅の名となるのが通例だ。隊員は命名を富一に任せ、その駅は「憂士正」と名付けられた。
「憂士正」は後にできる前線の駐屯駅「富国」を支える補給路として、栄えていった。
- 48 :
- 子どもの頃の出来事というのは案外鮮明に覚えているものだ。その頃の僕は今と変わらず卑屈で矮小な考え方をする人間だった。記憶のそこここにそうした跡がこびりついている。
消したい記憶の数々を何かの拍子に思い出しては通りの一角に立ち尽くし、言いようのない気持ちになるのだ。
「五十円、貸してくれない?」
小学校の頃、隣町の絵画教室に通っていた僕はその日も一つ年上の姉と一緒に駅の待合室で電車が来るのを待っていた。田舎のとても小さな駅で、券売機などなく、駅員から直接切符を買わなければならない。今では考えられないような駅だ。
順番を待っていると僕らの前で切符を買っていた男が「あれ?」と声をあげた。
「五十円ないな……駅員さん、貸してくれませんか」
男の無遠慮な問いに僕は心底驚いて怖くなった。というのも駅員がきっぱりと断るのを見て、男が次に何をするか想像がついたからだ。男はぐるっと後ろを振り返り、僕らを見おろして言った。
「五十円、貸してくれない?」
困ったような笑みを浮かべて男は言った。太鼓のように心臓が鳴るのがわかった。もっと驚いたのは姉が財布を取りだして五十円玉を取りだそうとしたことだった。
「ありません」
僕は姉の手から財布をとりあげて言った。怖くて男の顔を見ることはできなかった。彼は再び駅員と交渉を始めたが、しばらくして小さな待合室から出て行った。
「返してもらえるわけないじゃん!」
駅のホームで姉の鈍重さを詰ると、どこか納得がいかないような表情で姉はぽつりと謝った。
この話を思い出したのはそれから十年以上たった後のことだ。姉が交通事故に遭ったと両親から連絡があり、大学の講義を抜け出して駅へと急いだ。
十台以上並ぶ券売機に小銭を入れていると、フッとかすめるようにその記憶が甦ったのだ。立ち止まる僕を後ろから詰る声が聞こえ、慌てて切符をとって改札を抜けた。その間にはもう、僕の小さくも誇らしい記憶は、惨めで情けない思い出へと変わっていた。..
- 49 :
- 走行している電車の中で、歩いていた。季節は春なのだろう。柔らかい陽射しが車内に射し込んできていて、心地よかった。
時おり足を止め、車窓越しに、流れてゆく雲の形や、高架の下に広がっている街の様子を眺める。家々のベランダには洗濯物が干され、
商店街に立てられたのぼりは、風にはためいているというのに、街に人影は見当たらない。
車内は空いている。年寄りが多い。
端の席に、ミニスカートをはいた、痩身の若い娘が座っていることに気付いた。両手で顔を覆い、背を丸めているその姿は、物思いに耽っているようには見えない。
何かに酷く打ちのめされたかのような、異様な雰囲気を漂わせている。彼女の白いシャツのお腹のあたりに、
血を連想させる赤い染みが付いているのも気にかかる。私は、彼女の様子を見続けることに苦痛を覚え、目を逸らす。
この電車に乗って、自分はどこへ行こうとしているのかを、どうしても思い出すことができなかった。それで、どこか所在ない気分で、さ迷うように車内を歩き続けていた。
ふと気がつくと、車掌が遠くから私のことを見つめている。彼はそっと近づいてきて、小さな声で私に訊いた。そろそろ降りたくなりましたか、と。
「なんのことですか」と私は聞き返す。
「降りたければ、降りることができるのです。この電車は環状線ですから、走り続けることもできますが、いずれは、降りることになるのですから」
「駅に着くのですか」
「ええ。すでに皆さんが、お待ちになられていますよ」
「誰が」
「ご自分の目で確かめてごらんなさい」
ホームが近づいてきた。多くの人が、私のことを迎えに来てくれているようだ。
いつの間にか、空がどんよりと曇っている。空があまりにも暗いせいで、人々の表情を窺うことができないが、泣いている人もいるようだ。
電車の速度が、ゆっくりと落ちていく。
安堵のような、虚脱のような気分が、心に拡がっていった。
そして私は、静かに目を閉じた。
訃報
山浦 隆さん(やまうら・たかし=鷺宮大学名誉教授・近代日本文学)が15日、脳梗塞(こうそく)で死去、82歳。
葬儀は近親者でおこなった。喪主は妻朋子(ともこ)さん。
- 50 :
- 駅前通りの商店街。石畳に列車の汽笛が響いています。
朝から奥さんと喧嘩して額にタンコブのある花屋さんがお店の前を掃除していると、どこからか口笛が聞こえてきました。
「誰だ、のん気に口笛拭いてやがるのは」
花屋さんが目を向けると、口笛を吹く青年が楽しげに歩いてきます。
「バラを六本くださいな、可愛いリボンで花束にして」
青年はバラを愛するマリーについて熱心に話しています。いつのまにか花屋さんは青年の熱意に負けないくらいの花束を奥さんに贈ろうとドキドキしていました。
弟子がケーキを焦がしてしまって機嫌の悪いケーキ屋さんに青年がやってきました。
「ケーキを一つ。ローソク六本付けてくださいな」
青年はケーキ作りが大得意のマリーのことを身振り手振りで話しています。ケーキ屋さんは弟子と一緒にマリーに負けないくらい美味しいケーキを作ろうとウキウキしていました。
ほんとうはお酒が嫌いなワイン屋さんに青年がやってきました。
「シャンパンください、うんと甘めの甘口の」
青年は甘いお酒に目のないマリーのことを愉快に話しています。ワイン屋さんはお酒を売ることが誇らしくなってワクワクしてきました。
青年は電車に乗って田舎の教会にやってきました。そして、白いお墓の前に花束とケーキとシャンパンを置きました。
お墓掃除をしていた近所のおじいさんが青年に気が付きます。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……そうかいもう六年かい」
「はい。彼女と別れて六年です」
「毎年来るからもう顔を覚えてしまったよ」
「ここは僕の一年の始発駅なんです。僕の一年はここからいつも始まります。彼女の想い出で一年分たっぷり幸せになれるから。一年頑張ることができるから。でも今日は片道切符を受け取りに来ました」
おじいさんは首を傾げました。
「今度の春に結婚します。ここには僕はもう来ません」
おじいさんは手を振って帰っていく青年を見送りながら思いました。きっと彼は電車で、優しいマリーの想い出がたくさん乗っているんだと。
そして想像しました。想い出がいろんなところで幸せに変わって下車しているところを。
「マリーや、お前は素敵な人に愛されていたんだね。おじいちゃんは鼻が高いよ」
おじいさんはマリーのお墓にニッコリ微笑むとお墓掃除を再開しました。
- 51 :
- 地方からも多くの人が利用する東京駅ビル。ここに出店をするだけで集客が容易いことはもはや自明の理だ。大学時代の先輩に空きテナントを紹介された俺は二つ返事で了承した。
マッサージ店だ。仕事や学業に疲れた女性を引き込むのは必至。エステティシャンの講習は以前開業を考えた時に受けていた。結局損を恐れて出店は見送ったが、東京駅ならば間違いない。
俺は卑猥なマッサージをしてやろうと考えていた。オイルエステと称し、全国各地から来る若い娘の身体を撫で回し、ふとした拍子に胸や股間の秘部に触れる。「あ、すみません。でもよくあることなので」「いえ……平気です」地方の気弱な娘はされるがまま。
「我慢して下さいね、くすぐったいですが」東京の都会っ娘。「うん……」甘えん坊。
「お兄さんの触り方えっちやなぁ」関西娘は明るく抵抗が少ないが、強引に首を摘むうち、「もう、ダメぇ……」後戻りが効かなくなっている。
当然、は行う。全てを終えた後にそっと告げれば、口止めとなる。たくさん気持ちよくして、ぬるぬるにして、ガンガンに犯す。
「次回も来て下さいね」「えっ、あの」「来て下さいね」男尊女卑を刷り込まれた九州女は従順だ。「……はい」後日、バックから突く。「ああっ! あっ!」乱暴な扱いに快感すら感じている。そして九州には可愛い娘が多い。圧倒的に多い。
だがそれに負けず美少女揃いなのが、「……」口数が少なく天然の道産娘。まず頭を撫で、「……っ」可愛い仕草を引き出す。堪らずぎゅっと抱きしめたり、いたずら気分で恥ずかしい部分をタッチ。「……ぁ」
可愛がって、可愛がって、最後に、「あっ! あ……!」一気に壊してやろう。あらゆる性感帯を開発してやろう。俺だけの道産娘。何もかも終わった後には、ティッシュを手に取り、汚れたところを拭いてあげる。
綺麗になったら、服を買ってあげよう。「ありがとう……ござ」思わず抱きしめた。君は何もしなくていい。いるだけでいい。天使のような子。さっきは乱暴にしてごめんよ。「……」笑ってほしい。俺だけに笑ってほしい。
「……」
――笑った。
先輩から、出店の話が潰れたという電話があった。
そうか。でももういいんだ。
俺は、あの子の笑顔に会えたのだから。
- 52 :
- 中三期修学旅行の帰り、列車が駅に着いたと同時に、支配能力者〈ジャッカー〉の力が発動された。振動する車内。僕と幼馴染の梨奈は座席の横で目を合わせ、警戒をする。
「この車両はもう一度京都へ向かいまァす」連結ドアから男子が現れる。
「寺門だ」梨奈が言った。
「奴がトレインジャッカーだったのか」旅行の間、バスジャック、寺院ジャック、様々な能力者と遭遇した。僕の機転と梨奈の度胸で難を逃れてきたが、やはり旅は終わるまで気を抜けない。
同級生の目は虚ろになっていく。支配能力はカテゴリ内の人間をその名の通り支配する。車掌なども寺門の意のままだろう。奴は余程京都が気に入ったらしいが、帰れなくなるのは困る。僕は立ち上がった。
「残念、寺門よ。ここを離れる前に、僕の能力を使わせて貰う」周囲の物品が浮き立つ。「ステーションジャックだ。駅オタで悪かったな」駅内全ての人間の意思を掌握した。同時に、車両内は奴の能力範囲でもある為、衝突が起こる。
「ぐっ」支配力の強さは互角。いや、負けているか。能力者同士は打ち負けた者が即支配を受ける。やばい。
「範囲限定は能力を強めるからなァ。俺の車両支配を破ることはできねェぜえ」
「どうかな」最後の手段だが仕方ない。「――梨奈」
「おうよ」ミサンガを外し、梨奈の能力が発動。浮遊していたバッグや携帯等が天井についた。「私は列島ジャッカー。範囲が広い程弱いって言ったの、訂正しなよ」
天性のアイドル気質である蟹山梨奈のジャックは日本全土を覆う。影響力が強すぎるため自ら使用制限を課すほどの、強大な独裁能力だ。
「なッ……」寺門の能力は瞬時に飲み込まれる。
「愚民ども、ひれ伏しなさい」梨奈はローファーとソックスを脱ぐ。吸い寄せられるように近づき跪いた寺門は、彼女の裸足を舐め始めた。他の生徒や教員も次々にそれを求め群がる。
「……」僕は唾を飲んだ。梨奈の能力は今この瞬間も肥大し続けている。この地球全てを支配下に置く日も近いだろう。
だが……君のファン第一号はこの僕だ。
「どけ」人を押しのけ、抱えた彼女の顔。「んっ――」
柔らかい唇に、唇を押し付けた。
- 53 :
- 飛び込み防止の為に十人体制でホームを見張る駅員。不良の相川は学ランに手を突っ込み、顔を下から覗き込む。
駅員は微動だにしない。舌打ちをして、相川は歩き出す。階段を下りて改札へ。
――あいつが死んだせいだ。相川は思う。春頃からちょっかいを出していた同級生が電車に飛び込んだ。次の日から駅員が増員された。別に被害を被るわけではないが、単に気に入らない。見張られている感覚。
「なあ、ざけてると思わねえ?」シューズの裏がコンクリの壁に打ち当たる。向かい合う男子の脚を掠めて、何度も。「十人とか増やしすぎ。馬鹿かっての」
「あは……だよね」
「ッせえ!」顎を殴った。男子は小さく嗚咽を上げる。「見張ってるだけで動きやしねえし。気味悪いんだよマジで」腹を殴る。彼は跪く。あとは蹴りの応酬。
「つか、良かったな。お前自できねえよ。死んだあいつに感謝しとけ。あれのせいで駅員増えたんだから」
翌日、朝のHRで相川は、彼の飛び降り自を知る。屋上で別れた直後のことだったらしい。プッ――教壇にガムを飛ばした。「ばーか」せせら笑う。
下校時、駅のホームで立ち尽くした。
「十三……十四」歩いて数える。駅員は十五人に増員されていた。「きめえ……」これ以上増えたら何人か半しにしてやると考えた。
ひと月後、相川にメールが届く。「はあ?」隣町のが自した。その母親からの内容だった。娘は妊娠していた。君に堕ろせと言われ、絶望した。「フツー堕ろすだろ」
駅で相川は瞠目する。駅員は三十人に増員されていた。「なんだよマジ」メールの続きを見た。私も死にます、とあった。「きめえよ……」
その日から相川は耳鳴りに悩まされる。針の様に細く鋭い音が、時々悲鳴に聴こえる。頭痛も併発した。「クソ……」おぼつかない足取りで朝のホームに立った。
快速通過のアナウンス。途端に耳鳴りが消えた。目の前を白の靄が覆った。
その中で、声を聞いた。
「……あっ、ああ! おああ!」突然に走り出す。人にぶつかり白線を越え、列車が進入する線路へと跳ぶ――。
寸前で駅員が押さえ込む。三十人の無表情が相川を囲んだ。
「離せ。死なせろ、死なせろ!」涙を流し喚いた。駅員を殴り、帽子が飛ぶ。その目は相川を見ている。
「死なせろ――」叫びは掻き消えた。列車が通過した。
- 54 :
- 『引き換え駅』を信じる人は少ない。だが、救いを求める人たちは信じている。
そういう人たちの行き着く場所が『引き替え駅』
プラットホームの長椅子で、酔った男が一升瓶を抱えて寝入っている。
その両脇には姉弟だろうか、小学生くらいの女の子と男の子が座っている。
姉弟の服装は薄汚れ、手足に血のにじんだ擦り傷がある。
電光掲示板に『父と引き換えに母』の文字が表示される。電車がホームに入ってくる。
姉弟は、酔いつぶれた父親を両脇から抱えて車両のなかへ運んでいく。
シートに父親を横たえると、ふたりはホームに戻ってくる。
扉が閉まり、電車は駅を出ていく。それを見送った姉弟は、手を取り合って帰っていく。
白髪頭の老婆と中年の男女が、長椅子で身を寄せるように泣いている。
駅の電光掲示板に新しい文字が浮かびあがる。次の電車がプラットホームに入ってくる。
三人は長椅子から立ちあがる。電車の扉が開き、三人並んで車内に入っていく。
老婆ひとりだけがシートに腰をおろす。男が老婆を抱きしめる。
男女がホームに戻ると扉が閉まる。ガラス窓から振り返る老婆の潤んだ眼差し。
電車が駅から立ち去り、電光掲示板の『親の命と引き換えに子供の命』の文字が消えたあとも、
中年の男女ふたりはホームに立ちつくしたまま泣いている。
次の電車の近づく音が聞こえてくる。ぼくに残された道はもうこれしかない。
贅沢な生活を夢見て、株やFXに投資した。すべてが裏目だった。多額の借金まで背負った。
電光掲示板が次の引き換えを表示する。その時だ。ホームにハイヒールの高い音が響いてくる。
妻が、ぼくの置き手紙を手に持って走ってくる。「あなた、馬鹿なこと考えないで!」彼女がぼくにしがみつく。
電車がホームに入り、背後で扉の開く音がする。電光掲示板の文字を見て、彼女は息をのむ。
「他に方法があるはずよ。ふたりで考えましょう」 ぼくは首を横にふった。
「わたしの為に、こんなことしないで」 ぼくは首を傾げた。
「きみの為に?」
妻の両肩をしっかり掴むと、身体を反転させて彼女を電車のなかへ押し込んだ。扉が閉まる。
彼女は扉のガラスを叩いていたが、電車はそのまま駅を出ていった。
電光掲示板を見上げると『一生分の愛と引き換えに一生使い切れない富』という文字がちょうどいま消えた。
- 55 :
- ホームのほうが騒がしい。悲鳴が聞こえる。駅長室の溝口が気にしていると、担当の伊東が飛び込んできた。
「駅長、また飛び込み自です。またですよ。自者は近くの女子高生とみられています。即死の状態ですが、遺体の損傷は存外軽いようで、内臓のはみ出しもありません」
「わかった。君は引き続き場内の指揮をとれ」
伊東を追い出すと、溝口は部屋の鍵を閉めた。駅長室には別にもう一つ扉がある。今度はその扉が開いた。
入ってきたのは、制服がずたずたで満身創痍の女生徒。先ほど線路に飛び込んだ張本人である。
「リリス、調子に乗りすぎだ」と溝口は死体に注意した。
「そうかな。今日のショーは上出来だと思うよ」とリリスは言った。「腸は飛び出してないし、左腕が車輪につぶされただけであとはほぼ原形をとどめている。俺的には90点だ」
「少女を演じているときにオレ言葉とは興ざめだ」溝口は彼女を見ないようにして言う。
「生憎と俺は女じゃない。でも男でもないがな」リリスは露出した房を隠そうともせずニヤリとした。
「怪物め、もう遊戯にも飽きた頃だろう。そろそろ元の居場所へ帰ってはどうだ」
「まだだ。俺は頭部が潰れない限り絶対死なない。どんな人間にもなれる。この能力を使って遊びを考えた。飛び込み自ごっこさ」
「お前のおかげで、この駅はすっかり有名になったよ。そりゃ収益も増えたさ」
「人間てのは陰惨なショーがないと生きていけないものだ。俺は、お前らが目を剥きだしにして轢死体を見るのが楽しくてしょうがない」
「次は誰に化けて飛び込む気だ? 若い娘は派手すぎる。無職の独身男にでもしておけ」
「馬鹿言うな。次は死んだ女生徒の同級生でいく。これ、いい展開だと思わんか?」
「人の死によって話を盛り上げようとする姿勢は感心できない」
「優等生だな。溝口さん、俺をもっとよく見ろよ。血だらけのこの体を抱きたくはならないか。屍姦はお嫌いかな」
「悪魔と情交などお断りする。去れ」
「俺は悪魔じゃないよ。命と引き替えるような契約はしない。ただ人間の邪気を引きずり出して遊びたいだけなのさ」
――それから二ヶ月後、さらに十人の自者を出したその駅は、最後に溝口駅長自身の飛び込み自をもって廃駅となった。
ただし飛び込んだ駅長が、果たして〈どちら〉なのかは判らなかった。
- 56 :
- 石ころ蹴って駅に着く。明日の為、時計のように動く日々。十数年も続けると見知った顔が多くなる。「いつもの他人」との接触は、慎重でなくてはならない。
改札を過ぎたすぐそこに、小さなエレベーターが有る。遅い。しかしタイミングよく乗り込めば、私の目指す車両の位置に、階段よりも早く着く。周囲に誰もいない事を確認し乗り込む。その瞬間、「まってえ」
あの婆だ。目が合うと、改札向こうから安心して歩いてくる。ロスタイム。無視などしたら明日から、婆に会うたび睨まれる。
ホーム。並ぶラインからわざとずれ、微妙に位置取るオッサンがいる。電車が入ってくると、その動きに合わせ此方に幅寄せしてくる。そうされると、此方が下がらないわけにはいかなくなるのだ。オッサンは必ず席をゲットする。私は今日も座れない。
降りた駅の出口にある小さな階段。カランと足にひっかかる。缶コーヒーが倒れてる。やはりBOSS。これで何度目の事だろう。
犯人はわかっている。歩道脇に停まっているタクシーの運転手だ。今時BOSSジャン信奉者。丁度私が出てくる寸前、そこの売店で買って飲み、放置するのが奴の日課というわけだ。飲み残しもまた日課だろう。
靴にかかった珈琲を拭きとり顔を上げると、奴が車の中からニヤニヤこちらを眺めてた。その時私の何かが切れた。もう嫌だ。スロットやってTOTO買って、会社に行かずに帰宅した。
朝。石ころ蹴って駅に着く。「まってえ」婆とアイコンタクト。私はにこやかに「閉」を押す。叫ぶ婆。
オッサンが私を押しのけ乗車寸前、チャリンと転がし肩をトントン「五百円玉、落としましたよ」オッサンは一瞬迷ってホームに戻った。スロットマシーンのメダルを追って。
出口の階段にはやはりBOSS。運転手はシートを倒し窓を開け、新聞紙をかぶってる。
私はPKの足取りで、迷う事無く蹴り上げた。缶はしぶきをあげながら、見事タクシーの窓へと飛び込んだ。
何事かと運転手、焦る動きに新聞紙が張り付く。私は歩みを止めずタクシーの、後部扉に手をかける。
慌しく乗り、行き先を告げる。運転手は周囲を見回し、まだ犯人を捜している。「おい早くしろ。会社に遅れてしまうだろう」怒気を込めて急かしてやった。運転手はしかたなく、諦め車を発進させた。
私は深々とシートに座った。そして背広の上から撫でてみる。懐の、辞表と一億当選券を。
- 57 :
- 生前、「日暮里ちゃん」という愛称で周囲から親しまれてきた彼は、実際のところは名前を持っておらず、
死ぬまで、駅の改札から一歩も外へ出ることがなかった。正確に言えば、死ぬ間際に担架に乗せられて、
改札をくぐり抜けたのが、彼にとっての唯一の「外出体験」であった。信じがたい話だが、本当にそうなのだという。
昭和二十年代の初頭に、日暮里駅の二番線ホームのゴミ箱に棄てられていたところを発見されたのが最初であ
ったらしい。
十歳の頃の日暮里ちゃんの日課は、環状線に乗車して、電車と共にぐるぐると回り続けることだった。昼飯時に
なれば池袋で降りて駅舎へと向かう。もっともこの頃には、渋谷や新宿などの駅舎にも可愛がってくれる人がい
てくれたので、食事に困ることは無かった。だが、たまには外の空気も吸わせてやろうと、売店の店員などが外
に連れ出そうとしても、改札を通過することだけは頑として拒み続けたのだという。思春期を迎えた日暮里ちゃ
んは、比較的容易にを捨てることができたらしい。売店の店員として駅構内で働いていた女たちが、彼のこ
とを不憫に思って身体を与えたということだそうだ。
日暮里ちゃんは無事にを捨て、男として成長していった。十五歳を過ぎた頃には、積極的に清掃作業に従事
するなどしていたが、「駅からは一歩も外に出たくない」という信条は、彼の中で、より強固なものに変化して
いったようだ。成人後の日暮里ちゃんにはあまり良い逸話は残されていない。満員電車で痴漢をして駅員に
拘束されたり、終電で酔客のポケットを探るような不始末もあったようだ。しかしその一方で、棄てられた新聞
や雑誌を丹念に読む行為は習慣となっていたらしく、博識な面も持っていたようである。
晩年に環状線の車内でたおれ、たまたま乗り合わせた医師から「末期ガンの疑いが濃厚」であるとの見立てを
受けた彼は、半ば無理やり担架に乗せられ、駅の外へと連れ出された。だが、改札を通り抜けたと同時に心臓
が止まってしまい、そのまま意識が戻ることはなかった。
日暮里ちゃんの冥福を心からお祈り申し上げます。
- 58 :
- 「早く! のぞみさんに迷惑かけちゃダメっしょ!」
俺はペットボトルを二本かかえて新幹線に飛び乗った。香織と二人で席に着く。香織がムッツリ顔で隣の席からにらんでる。誰のために買ってきたと思ってんだよ、とは思ったが、黙って香織にお茶のペットボトルを渡した。俺は事前に買っておいた缶ビールのプルタブを開ける。
「ちょ、ビールとか何様! のぞみさんに失礼なことしないで!」
「いやいや、新幹線に乗ってビールを飲まない方が失礼だろ」
「どこの中年サラリーマンよ、まったく」
ますます機嫌を損ねたようだ。
香織が腕時計と窓の外を交互に見始めた。
「タッ君、もうすぐ来るよ! ひかりさん! 準備準備! 一瞬だよ!」
準備って何?
「ひかりさんにいぃぃぃぃぃい、敬礼ッ!」
と、彼女はすれ違う新幹線に向かって窓越しに敬礼している。
たのしそーですねーかおりさん。ぼく、もう、ついて行けません。
新幹線を「さん」づけで呼ぶ。予約はもちろんグリーンシート。座布団持参でシートに正座。そんな香織は、女性鉄道ファン、いわゆる鉄子さん。なのに自覚が全くない。
「ねえ、タッ君。さくらさん、とか、みずほさんとか、来ないのかな」
「九州新幹線の? たしか乗り入れは新大阪まで。京都で降りるから会えないよ」
なんで知らないんだろう。こんなに新幹線が好きなのに。鉄道に関する彼女の知識は偏っている。
「さくらなら俺も見たいな、800系の新車両。N700系のアヒル顔と違ってスマートな顔がいいよな」
かくいう俺も一人の鉄道ファンとして車両にはちょっとうるさい。
「そうだ、どうせなら新大阪まで行ってみるか?」
「やだよ。せっかく京都行くのに。鉄ちゃんなタッ君、ちょーウザい」
オイオイお前がそれ言うな。いまいち香織のツボが分からない。
それから、三度ひかりさんに敬礼をしてやっとこ京都駅についた。
「京都タワーさま、うらやましーなぁ」
「なんで?」って、タワーさま?
「だってモダンできれーな、京都駅さまをいつも真正面で見てられるんだよ。そうだ、八条口側の背中もみてみよーっと」
京都駅を見上げてはしゃぐ香織をみてようやく気が付いた。 なるほど、こんな車両オタクの俺でも受け入れてくれるわけだ。
香織は建物オタク、なかでも駅が好きな駅っ娘さんだったのだ。
- 59 :
- ブラボー!!!!!
- 60 :
- 特別功労賞を授与する!!!!!
- 61 :
- 乙でした!
- 62 :
- お疲れさまーb
- 63 :
- 感謝感激雨あられ!(`・ω・´)
- 64 :
- つかれたw 寸評のコピペは他の方におねがいしまする
- 65 :
- ワイさんは規制を受けてるのかい?
忍法帳とか、えらい不便そうなんだが。
- 66 :
- 突然にレベル40から2になった!
それが影響して文字数制限を受けている!
寸評のコピペを待ってから順位の発表に移る?(`・ω・´)
- 67 :
- お疲れ様
- 68 :
- 寸評のコピペは不要。
早く結果発表を始めろ。
- 69 :
- お疲れー!
ワイさんもお疲れー!
- 70 :
- コピペいける人いないですかね?
バイバイさるさん、いっちゃいそうなのですw
ひとつのラインは消費済みなので……
よっしゃ!行けるとこまで行ってみまする!! www
- 71 :
- >>626
楽園電車は死期の近い者の前に限定で現れると云う! 本文を読むとそのような解釈ができる!
見送りにきた妹にも電車が見えているような描写が少し引っ掛かった!
>>649
地下鉄のホームに一人の男がいた! 飛び込み自と思わせて、実は津波を待っていた!
津波によって押し寄せる大量の水(海水)の描写が細かいせいで、『あっという間に飲み込まれた』ようには思えなかった!
>>650
老成したかのような青年の語りは落ち着いていて悪くなかった!
ただし、ある曲の歌詞を土台に作られていると思わせる作りが内容の足を引っ張り、見栄えを悪くした点は付け加えておく!
>>656
別れた二人が最北端と最南端から出発して日本の真ん中に当たる駅で邂逅を果たす!
メールの遣り取りの度に中心の人物が入れ代わるので若干の読み辛さを覚えた!
>>659
作中の主人公は大人の年齢に達しているように思う! しかし、語り口は子供のようでいて、且つ現実的な視線を併せ持っていた!
読後に奇妙な味わいとして残るものの、舞台の駅からは遠のいた!
>>665
テレビのニュース番組では日課のように死が報じられている! その何気ない日常が主人公の身に迫る!
やがてテレビは情報を拡散して不特定多数に結び付く! 誰にでも起こり得る負の連鎖がよい!
>>672
新幹線で過去を巡る点に深い意味があるのか! 文章の後半は妄想が混ざっているように思えた!
結局、主人公が行き着いた駅の真意は何なのか! 話の作りに既視感があるので目新しい部分はなかった!
>>681
ノートに綴られた年表が読者に現状を伝える小道具として使われていた! 全体の半分近くを占めているので残りが会話文の説明に終始した!
この一冊には駅と共に歩んだ一族の歴史が綴られている、と云うニュアンスにとどめて本編に注力した方がよかったかもしれない!
- 72 :
- >>626
楽園電車は死期の近い者の前に限定で現れると云う! 本文を読むとそのような解釈ができる!
見送りにきた妹にも電車が見えているような描写が少し引っ掛かった!
>>649
地下鉄のホームに一人の男がいた! 飛び込み自と思わせて、実は津波を待っていた!
津波によって押し寄せる大量の水(海水)の描写が細かいせいで、『あっという間に飲み込まれた』ようには思えなかった!
>>650
老成したかのような青年の語りは落ち着いていて悪くなかった!
ただし、ある曲の歌詞を土台に作られていると思わせる作りが内容の足を引っ張り、見栄えを悪くした点は付け加えておく!
>>656
別れた二人が最北端と最南端から出発して日本の真ん中に当たる駅で邂逅を果たす!
メールの遣り取りの度に中心の人物が入れ代わるので若干の読み辛さを覚えた!
>>659
作中の主人公は大人の年齢に達しているように思う! しかし、語り口は子供のようでいて、且つ現実的な視線を併せ持っていた!
読後に奇妙な味わいとして残るものの、舞台の駅からは遠のいた!
>>665
テレビのニュース番組では日課のように死が報じられている! その何気ない日常が主人公の身に迫る!
やがてテレビは情報を拡散して不特定多数に結び付く! 誰にでも起こり得る負の連鎖がよい!
>>672
新幹線で過去を巡る点に深い意味があるのか! 文章の後半は妄想が混ざっているように思えた!
結局、主人公が行き着いた駅の真意は何なのか! 話の作りに既視感があるので目新しい部分はなかった!
>>681
ノートに綴られた年表が読者に現状を伝える小道具として使われていた! 全体の半分近くを占めているので残りが会話文の説明に終始した!
この一冊には駅と共に歩んだ一族の歴史が綴られている、と云うニュアンスにとどめて本編に注力した方がよかったかもしれない!
- 73 :
- 寸評はこれを見ればいい。
http://www5.pf-x.net/~wannabees/cgi-bin/upload/src/si1875.txt
早く結果発表を始めろ。
- 74 :
- >>682
年老いた姿で世に産まれ、若い姿で死を迎えるのか! 『推定の享年は一三歳』の部分で内容がよくわからなくなった!
人々に知られるようになって十三年が経過した、と云う意味の比喩ならば理解は容易であった!
>>684
客とタクシー運転手の他愛ない会話が車内で交わされる! 間もなく被害者の孫と加害者の関係が浮かび上がり、一定の緊迫感を醸し出す!
どのようにして犯人を特定したのか! 警察に被害届は出していないのか! 罪に問われたあとの話なのか! 筋立てが良いので細かい部分に引っ掛かった!
>>699
昏睡状態の者が訪れる場所で二人は出会った! 時間の概念がないことを作中で仄めかし、到着した電車に共に乗り込んで意識を取り戻した!
落ちに当たる情報に違和感はなく、彼女の射撃の特徴が伏線として機能していた! ただ一点、彼女が電車の到着時間を知っていたかのようなくだりは気になった!
>>709
梗概に見える! 文章の肉付けがされていない骨格標本のように見える!
電車内の痴漢行為から幸せな家庭を築くまでの間を作品として仕上げていれば、相応に高い評価を得られたかもしれない!
>>710
未来の話! 彼はどこに向かおうとしているのか! そもそも何を目的としているのか! まるで背景が見えて来ない!
六百光年先に行ける技術があるにもかかわらず、列車は多段式ロケットの仕様と変わりがなかった! 設定が緩いように思った!
>>711
青年と少女の別れを目にした女性が過去の自分に重ね合わせる! それ故に身勝手な男と思い込んで不快感を覚えた!
しかし、その後の青年の態度に思いを改めた! 無理のない展開に揺れる女性の心情が巧みに表現されていた!
>>712
駅が舞台の設定でギリギリを狙った掌編! 乗り場を駅と見なせるのか! 機関車に模してあっても遊具ではないのか!
ショートショートの王道としては完成していた! ジェットコースターに切り替えポイントはないが読者によって評価の分かれる内容であった!
- 75 :
- >>743
未来の話は設定だけで、かなりの文字数を費やす! 一レスの規定では、それだけで不利に成り得る!
本作は一昔前の出稼ぎの風景として書いてもよかった! 設定に費やした文字数がワイには勿体ないように感じられた!
>>745
サイコリーディングから読み取った情報は何時のものなのか! 怪しい少女は何度も爆破を試みているのか!
暴行の犯人の手掛かりはなく、替わりに爆音が轟く犯行現場に居合わせた! 話の中心がぶれているように思った!
>>748
付き合っていた二人が離れ離れになって再会を果たす! 起伏の少ない話の中で彼女の夢がはっきりとしない!
憧れの女優が通っていたから東京芸大を志望したのか! 純粋にデザインの道を考えているのか! 作者の意図で二人を引き離したかのような展開に思えた!
>>749
出発点を明らかにしない状態で物語は展開する! 過去と未来の分岐点に現在の自分が立ち、振り分けが行われる!
または訪れた者に過去の惨めな自分を聞かせることで終わりと始まりを入れ替えているようにも思った! 内容の揺れ幅が大き過ぎると主題がぼやけて見える!
>>751
自慰に耽る少女が地縛霊なのか! 少女に指示を出している声は何者なのか! 母親は生者なのか!
通行人がわざわざ足を止めているのは地縛霊が視認できるからなのか! 残念ながら駅の設定は活かされていなかった!
>>752
宇宙人に支配された星に、またしても外宇宙から侵略者が現れた! 連れ去られた姪を助ける為に主人公は単身で敵の要衝に向かう!
そこで蜘蛛の身体に成り果てた姪がいて主人公を斃す! 環境に対応できる姪の設定は蜘蛛の身体のせいで崩れた! ワイには洗脳に見える! 不利な戦局なので立ち回りも巧みではなかった!
>>756
防衛軍は名ばかりで意味のない大規模な変形だった! 彼等の財力には驚いた! 罪に問われているので国と関係はないのか!
無理に話を広げたせいで収拾のつかない物語に成り果てた感がある! 物事が起こる意味と繋がりを考えた方がよい!
- 76 :
- アカン・・・
- 77 :
- ここでワイが挟まる!(*`・ω・´*)
- 78 :
- >>758
主人公は自を試みて失敗した! 青年に助けられた形になった! しかし、入れ代わるかのように電車の事故で亡くなった!
臨終の時の呟きは残された家族ではなく、あの時の青年に詫びた言葉に思えた! 駆け足の人生なので余韻に浸るまでには至らなかった!
>>760
内容通りに冒険した話だった! ワイの中では確実に遭難した! 助けられない深い次元の亀裂に堕ちていった!
主人公の語り口は悪くなかった! それ以外の褒められる点を探すと「ブブー」の異音に阻まれるので諦めることにした!
>>761
ホームレスがおそらく経験則に基づいた助言を少年に与える! 廃駅が言葉に説得力を持たせた!
取り壊された駅の跡には何も残らなかった! 再び会うことは叶わない、と考えたホームレスの寂しげな呟きだけが残された!
>>765
現実味のある話であった! 無駄な行為とわかっていても行動することはある!
高齢化の時代に相応しい内容をしっかりとした文章で書かれていた! さらに踏み込んだ創作の面白さはあまり感じられなかった!
>>766
一度目の「ばいばい」で子供を冷たく突き放す! 二度目の時には優しい眼差しで口にした!
同じ別れの言葉でありながら受ける重みが違っていた! 文章は洗練されていないものの、演出の巧さが内容を底上げした!
>>769
主人公は歩行が困難で非常に厳しい生活を営んでいるのはわかる! その理由は文中で明かされていなかった!
性別や年齢も推測の域を出ない! 独り言のような呟きの中にいるので読者は耳を傾けて脳内で補完しないといけない! それにしても手掛かりとなる要素が欲しかった!
>>779
二十九人による駅伝! 駅から一人が選出されるので競争する相手はいないと云える! その状態で沿道には観客がいて日の丸の小旗まで振っていた!
依願退職に追い込む駅伝に抗議して駅を爆破したのではないのか! 犯罪行為なので懲戒免職となって退職金が出なくなる! 動機と行動が伴っていない内容に読めた!
- 79 :
- 早く・・
- 80 :
- のっこめ!のっこめ!
- 81 :
- が漏れそう
- 82 :
- >>783
時代は限定されていないが戦火の渦中の話! 『白ん子』は文脈で外人と読み取れた!
作中で駅は墓標の意味を併せ持っていた! 現在の膨大な駅の数を思う時、何かしら胸に過るものがあった!
>>786
子供の頃に主人公は姉の行動を咎めた! 姉の交通事故の連絡を受けて券売機で切符を購入している時に思い出す!
誇らしい気持ちは後方の詰る声で霧散した! 姉の過去の追体験をさせたとしても繋がりは弱いと云える!
>>791
環状線は昏睡状態の生の中を回り続けていた! 主人公は乗客の一人であった!
降りることは人生の終着駅を意味する! やんわりと車掌に死を促されて主人公は事情もわからずに受け入れた! 美しい死生観は賛否が分かれるところ!
>>792
良い話ではあった! 彼女が別の存在に生まれて六年が経過したと読み取れる! 片道切符を受け取りにきた、と云う日本語は意味が少し危うい!
舞台は駅ではなかった! 比喩の場合は加点がないことを事前にスレッドで伝えておいた! それは毎回、僅差の激戦が繰り広げられていることを意味する!
>>799
妄想だけで話が成立していた! 地方の女性の特色を捉えた展開に笑える要素があった!
最後の三行は蛇足とまでは言わないが必要ないかもしれない! 読者を意識した作りは大いに加点に値する!
>>803
アイデアには新味がある! それ故に説明が足りていない! 支配能力は誰もが有する力なのか!
梨奈の列島ジャッカーの能力を発動させれば争う必要がなくなるのではないのか! 設定まで彼女にジャックされた感がある!
>>805
駅から飛び込むのを防止する為に駅員が増員される! その設定が屋上の飛び降りまで適応されるのか!
相川が耳にした最後の声は誰なのか! どのような内容なのか! その部分まで靄が覆っているので理解を深めることはできなかった!
>>814
置き手紙は妻を誘き寄せる手段だった! 電光掲示板の意味を妻は読み間違えて電車に捧げられた!
どのような手段で今後、各々の願いが叶うのか! 個人的に少し気にはなった!
- 83 :
- 682は享年13才で猫だろうと思いましたが、確かに明記はないんですよね。
一位候補だと思ったから番狂わせあるかな?
- 84 :
- >>819
リリスは悪魔ではないのか! 自分の楽しみの為に飛び込み自を演じているのか! 身元を確認された場合はどうなるのか! 架空の人間に化けているのか!
電車を停める行為は莫大な損失を生む! その状況下、飛び込みで駅が潤うことはあるのか! 矛盾が多過ぎて内容に納得できなかった!
>>823
リズムのある文章に馴染みはないが読み易かった! 日常に苛立った主人公が自暴自棄に走る!
そのように思わせて心憎い演出が用意されていた! よく考えられた構成に作者の苦心が見て取れた!
>>828
日暮里ちゃんのキャラクターだけで読ませる掌編であった! 穏やかな語り口調の地の文は日暮里ちゃんの関係者なのかもしれない!
関係した者達が育て親となっているので細々とした疑問はあまり気にならなかった! 全体が優しに包まれていた!
>>829
二人の会話を中心にして話が進む! それとなく知識をひけらかすが描写を忘れていない!
鉄道ファンでなくても理解を得られる作りに好感が持てる! 文章は書き慣れていて特に引っ掛かる部分はなかった!
- 85 :
- コペ乙でーす!!!!
- 86 :
- よし、よし。ワイスレは功労者が多いのう。
アッパレじゃ!!!!!!!!!!!!!!!!
- 87 :
- ワイさん早う!
アンタの番じゃ!!
- 88 :
- コピペ以上! 規制はいっちゃったーのでこれで多分最後ww
では皆さん! ワイスレ杯 発表会の開催です!!!!!
- 89 :
- 今回は似たような話が多かった!
文章から複数投稿もかなりいたように感じた!
その中で急設された十一位は作品の個性を発揮した!
そろそろいいかな?(`・ω・´)
- 90 :
- >>83
誤読は文化です。
- 91 :
- いけ、いけ!はぁはぁ・・
- 92 :
- いいよ
寸評からしてダメっぽい
- 93 :
- アウンサンスーチィじゃあんめえし!
- 94 :
- 十一位は>>57
日暮里ちゃんの容姿がとても気になった!
おめでとう!(`・ω・´)
- 95 :
- >>92
ダメっぽいのが来ることもあるから楽しめますよw
- 96 :
- ごたくはいい、さっさと始めろ。
- 97 :
- そうきたか・・
- 98 :
- 日暮里たんおめでとう。
- 99 :
- おめー
いきなり変化球なやつがw
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