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2012年5月アニキャラ総合241: 【柊】ナイトウィザードクロスSSスレ【NW!】Vol.30 (304) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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【柊】ナイトウィザードクロスSSスレ【NW!】Vol.30


1 :11/06/10 〜 最終レス :12/05/19
アニメでも大活躍し、過去リプレイ作品で異世界慣れした我らが“下がる男”柊蓮司……
そんな彼や他の登場人物達がもしも○○の世界に飛ばされたらor○○キャラが第八世界にやって来たら…?
そんなナイトウィザードのifストーリーを語るスレです。
■ 注意事項 ■
・不要な荒れを防ぐ為に、sage進行で御願い致します。
・冥魔(荒らし)に反応するあなたも冥魔です、スルーしましょう。
・次スレは>>975を踏んだ方、若しくは475kbyteを超えたのを確認した方に御願い致します。
 また、重複防止の為に次スレを立てる人は立てる前に宣言を御願い致します。
・荒らし、カッコ悪い。
・Q.ナイトウィザードって○○のパクリ?
 A.とりあえずほぼ全て何かのパクりです。初版が2002年3月発売なのでそこから判断してください。
■ SSを投下する方へのお願い ■
・NWキャラをクロスさせたい作品世界に送り込むも良し、
 逆にクロスさせたい作品のキャラをファー・ジ・アースを中心とした
 きくたけワールドに招いてNWキャラ達と掛け合い活躍させるも良し、
 SS創作者(GM)の想像の赴く儘に楽しめる物語を書き込んで下さいませ。
 但し、NW関連スレと云う事で片方は「ナイトウィザード」で御願い致します。
・801等、特殊なものは好まない人も居るので投下する場合は投下前にその旨を伝えましょう。
・各作品の初投下時は、クロスする作品名を最初に御願い致します。
 そうすれば読者も読み易いでしょう。
・SSの内容が18禁の場合は地下スレ(検索ワードは「卓上ゲーム」)へ。
・NW側からのホストキャラはNW公式作品に登場しているキャラを主軸として、
 SS創作者オリジナルのキャラをストーリーに絡める場合はあくまで脇役としての
 立場で参加させて下さいませ。
・御互いの作品を尊重しましょう。一方的なクロスは荒れる原因ですよ。
■前スレ
【柊】ナイトウィザードクロスSSスレ【NW!】Vol.29
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1284646213/
■関連スレ
ナイトウィザード-NightWizard!-セッション45
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1261397730/l50
【S=F】菊池たけし総合 112【NW】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/cgame/1304518150/
■関連リンク
http://www.fear.co.jp/nw/(原作ナイトウィザード公式)
http://www.nightwizard.jp/(TVアニメ公式)
http://www42.atwiki.jp/nightwizard/(アニメ版まとめWiki)
http://www32.atwiki.jp/nwxss/(過去SS保管庫)
■非クロス作品の場合は、卓上ゲーム板の専用スレへの投下も検討してください。
卓上ゲーム板作品スレその5
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/cgame/1248526786/l50
■投稿規制時の代理投下、クロススレに投下するには微妙なネタや、荒らし等の緊急時は避難所へ。
ナイトウィザードクロスSS避難スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12795/1244722087/

2 :
記念に2ゲット

3 :
下がる男

4 :
上がらずとも遠からず…

5 :
忍者は不便でつなあ

6 :
なかなかレベルが生えん

7 :
いかん、このままではまた落ちてしまう。
お題で…
柊蓮司inアリアンロッドでどうか!
アザゼルさんとベル様は気が合うと思うんだ。
アンゼ「というわけで今日は皆さんにアヴェルシアの殺意ダンジョンに挑んでいただきます」
柊「いや、最近のS=Fリプ、シーフ系のキャラがいないんだが」
アンゼ「柊さん。頑張ってくださいね」
柊「やっぱり俺かよ?!」
ティナ様「漢探知などという舐めきった真似が私のダンジョンに通用するなどと…
     その程度の認識で挑んでくるとは死にたいようですね」

8 :
ダンジョンを外から爆砕するようなキャラはいないしなぁ。

9 :
柊がvaultからの男と間違われるようです

10 :
ここはクロスワールドを導入してサクラと共に戦艦でダンジョンに突入すればいいと思うんだ。戦艦でもボコボコにする殺意ダンジョン半端ないってなるぜ!

11 :
まず最初の坂を転げ落ちるのか。たまんねェな。

12 :
オレはようやく転がりはじめたばかりだからな的な

13 :
あかとき!とのクロスを考えたのだが、違和感無さ過ぎてヤバかった
ついでに市民の皆様にフルボッコにされているククリク様とベルの姿が容易に想像できた

14 :
>>182
似合うと思うんだがな
相方に「メイドの武器はハウスキープに使うもの全部です」とか言いそうな人据えてw

15 :
すまん、盛大に誤爆したorz

16 :
いや、ある意味誤爆ってない……んじゃないのか?
つーか懐かしいなその台詞w

17 :
>>14
ゴキジェットで追い払われる魔王を幻視した

18 :
>>17
主人公から「後姿がゴキブリ似」と、原作のラノベで言われた某神官を思い出してしまったw

19 :
>>18
「それは秘密です」か

20 :
どこかの魔王とは致命的に相性が悪いな…。
仮にも魔王なんだから魔神官なんか雑魚なのかもしれんけど。

21 :
NWならあの神官より弱い魔王っていっぱいいるだろうな。
というか魔王を名乗れるよな、NWならあの神官。

22 :
魔王を名乗ったら色々と面倒そうじゃないですか

23 :
ナイトウィザードのキャラデザ好きだわ
十年近くたった?今でもベル様の良さは色あせない

24 :
そうか、来年で十周年か。
企画自体は前年の夏から動いてたって話だけど。

25 :
アルシャードに帰ったピコレットがまともになってしまった…!

26 :
トイレの芳香剤は言語機能が壊れてモンティパイソンになってただけだから

27 :
まさか萌えポイントを無くすとは思っていなかったぜ。

28 :
エンダースさんって
冥界最強と裏界最強に並ぶ力つけたんだね
知らなかったよ
どっちも滅んだり、復活途中だから
今現在だとエンダースこそが最強なのか?

29 :
今期アニメは
 TIGER & BUNNY
 セイクリッドセブン
 BLOOD-C
 怪盗天使ツインエンジェル
 トワノクオン
とクロスし甲斐の有る作品が多いなぁ。
けど、過去作品でもTRIGUNとかハートキャッチプリキュアとかとのクロスも投下はしたいんだよなぁ。
けど、未だ自身で良しと思える処までは書き進めてられてないし、
自分ではまとめWikiに編集出来んしなぁ……orz

30 :
ススダドアカ12神とかの神々がいたり、世界を渡るキャラがけっこういたりSDガンダムは相性よさそうだな。

31 :
止まってる…反応があるか分からんがネタを振るなら今のうち…
なぁ、遊戯王で他作品のキャラ用のデッキを作るってのがあるじゃない?
NWでそれやるとしたら、どんな感じになるかねぇ?
とりあえず思いつくのとしてはアンゼでインティ&クイラとかエリスで宝玉獣あたりだけど

32 :
アンゼが遊戯王のデッキを持つとしたら、って感じ?
カード内容は遊戯王限定なのかしら。

33 :
とりあえず軽く柊デッキでも組んでみるテスト
・モンスター×20
切り込み隊長×3、ならずもの傭兵部隊×2、コマンド・ナイト×2
XX−セイバー フラムナイト×3、不死武士×2、マジックストライカー×2
ソード・マスター、ターレット・ウォリアー
無敗将軍 フリード、サイレントソードマンLV5、サイレントソードマンLV7
ギルフォード・ザ・ライトニング
・魔法×15
増援、戦士の生還×3、連合軍、一族の結束
神剣−フェニックスブレード×2、融合武器ムラサメブレード×3
ライトニング・ボルテックス、地砕き、ハリケーン、死者蘇生
・罠×5
死力のダッグチェンジ×2、スピリット・フォース
リビングデッドの呼び声、聖なるバリア−ミラーフォース−
エキストラ
ギガンティック・ファイター、X−セイバー ウルベルム、X−セイバー ウェイン

34 :
\アッカリーン!!/
                \ガンナーズブルーム/

35 :
そういや気づいたが、この学園世界って『とある』の科学サイドの黒幕に
とってはすごいやりやすい世界だろうな。
魔術サイドとの協定が無いどころか、学園世界の敵と戦うという名目で
魔術の情報集め放題だし。

36 :
越境留学が普通にできるから、素質がなくても魔法が使える系の世界の学校に通えば
情報収集ってほどでもないよーな。

37 :
その代わり荒廃の魔王とかはいよる宇宙人とか個人レベルで凶悪なのが結構いるけどな。

38 :
アゼル「セーラー服、着れない」
ベル「いやブレザーだし、というかアンタ魔王でしょーが」

39 :
>>35
「合法的にやればうまくいく」ことに気付けば研究もはかどりそうだな。
逆に非合法にやろうとすると執行委員やら何やらに完膚なきまでに叩き潰されそうだ

40 :
ナイトウィザードは魔法と科学が融合した世界だもんな
ある意味研究が目指す先の理想そのものだ
ガンナーズブルーム提供しているアンブラや絶滅社の子会社に科学サイドが関わっててもいいな
強化人間やアンドロイドなんて研究成果そのものだし

41 :
よその知識取り入れたら元の体系から外れすぎて別物になったでござるの巻き。
遺伝子研究してたはずがいつの間にやらどうすれば動物と人間の遺伝子を合成した怪人が作れるようになるかに走ったり、
究極の医学は神への祈りを極めることだよ、となったりw

42 :
逆に、ライフワークみたいに研究してた人が、「結果」がもう存在してることを知らされて
目標を見失う、ってこともありそう。
ゼロ魔のコルベール先生が内燃機関の本読んで、研究課題が無くなったり。

43 :
>>42
 いや、逆にその「結果」を下敷きにして新しい技術を生み出すという展開も
 アリだと思う。
 ゼロ戦見て飛空挺作るような人だし。

44 :
同じ、秋葉原が舞台と言うことで、シュタゲとのクロスを考えたが・・・
ナイトウィザードだとなんでもアリ過ぎて、シュタゲの物理法則乗り越えちゃうのが厳しいな
あと、柊とオカリンが同い年(19歳)だという事実に気付いて愕然とした

45 :
エリスとフェイリスが隣人というネタが

46 :
>>44
とりあえず全ての原因はベル様に押し付けておけばいい

47 :
バイト冥王「ちょっと時間止めてくる」

48 :
ブリーチの月島さんのやってることが実にNWの魔王チックだな。

49 :
ブリーチ
ライフパス「剣がのびーる」追加
なんの役に立つかは判りませんがあなたの剣が伸びます
最長13kmです

50 :
もっと卓ゲらしく[2d6+1]kmと表記しようぜ

51 :
これは無駄に13km伸びるのがネタなんだよ

52 :
パンッ!「今の500倍や」も外せないぜ。

53 :
妹が[2d6+1]人いたりするのもナイトウィザードなら普通ですよね。
+1ってことはアニメ版か。

54 :
アンゼロット「いつからレベルが上がっていると錯覚していた?」
柊「なん…だと…?」

55 :
Dies iraeとのクロスはまだこないのか

56 :

チャド「一体どうちまったんだ柊!お前が卒業出来だのだって、月島さんのおかげだろうが!」

57 :
月島さん「助けに来たよ、エンダースさん」
月島颯爽と登場!

58 :
下がる男「月島だと・・・・月?・・・真昼の月・・・アンゼロットのしわざかぁあああ!!」

59 :
いっそ[d6×d6人]でいいんじゃね?

60 :
月島「好きな人が、できました。」

61 :
お久しぶり。あるいは、初めまして。
以前、とある世界の騒動日程を投稿させて頂いたものです。
トラブルデイズの続編の序章と第一章が書きあがりました。
よろしければ、20:50から投稿させていただきたいと思います。

62 :
やっほー期待
だがスマン、もう飯食わないとやばい・・・・w

63 :
序 章   異界の日々
 「でさ、ハリー。こっからどうすればいいかわかる?」
 いとも気楽に、ロンがそう言った。
 彼の目前には、チカチカランプを点滅させている箱のようなものが、でんと鎮座ましましている。
 その箱は『ピグマリオン』と言い、非魔法族(マグル)たちの道具、『パソコン』の魔法版である。
 極上生徒会から、学園世界の各各校に一つずつ貸し出されているもので、学園世界内の情報格差を埋める役に立っているらしい。
 よくわからないが。
 兎に角、ハリー・ポッターの目の前にはピグマリオンが在って、その間には親友たるロン・ウィーズリーが、思案顔でこれまた座っていた。
 ―――僕にわかるわけないだろ!
 思わず叫びそうになるのを、ぐっと堪える。
 確かにハリーは、マグルの伯父家族の元で生活していて、父親がマグルマニアとはいえ純魔法族なロンよりは、マグルの文化や道具に詳しい。
 しかし。だ、私物は常に従兄弟(ダドリー)のお下がりだったあの境遇で、パソコンなどというハイテク機器に触れる機会が、僕に在ったとでも思うのかこの親友は。

64 :
 忌々しい記憶を押し殺して、画面をにらみ付ける。
 ざっと見たところ、『網を埋葬する探索者(インターネットエクスプローラー)』とか何とか言うのが動いているのはわかる。
 確かこれは、天気とか色々な情報を教えてくれるものではなかったか。
 しかし、だから如何しろというのか、『七つ目の窓(ウィンドウズセブン)』とかいうのが入っているらしい事は聞いているが、それが一体なんだというのだろう?
「うーん……」
「………やっぱりハリーにも分んない?」
「―――そうだね。
 こういうのはシェーマスや、何よりハーマイオニーに聞くのが一番じゃない?」
 己と同じく、マグル出身の同級生の名を挙げてみるが、
「………やれたらとっくにやってるよ。
 今日は休日だからね。シェーマスは雷門ジュニアハイスクールの『サッカー』だっけ? ボールをひたすら蹴り回してるやつ。
 ともかくソレ見に行ってるし、我らが友人ハーマイオニーは、いつも通り―――」
「いつも通り、麻帆良アカデミックシティのライブラリィアイランドで本の虫やってるんだね?」
 そーゆーこと。と、ロンは首を幾度も縦に振った。

65 :
 そういえばこの間、件のハーマイオニーが、友達が出来たとか言っていたなと、ハリーは思い出した。
 紹介されたその女の子は、人畜無害に見えて実は人の心を覗けてしまう、割とスゴイ人だった。
 などと、関係のない思考に、脳の容量を傾けていても意味がない。記憶を検索し、二人は頼りになりそうな人物を検索する。
「あ、コリンとか如何?」
「コリン。って、コリン・クリービー?」
 一つ下の後輩の顔を思い出す。確かに、彼もマグル出身だったはずだ。そしておそらく、ハリーよりもまともな生活環境だった事だろう。でも、
「コリンもいないでしょ? 確か報道部のカメラマンやってるんじゃなかった?」
 極上生徒会の会報、所謂『ごくつう』の写真が、日刊預言者新聞ばりに動きまわっているのは、たしか彼が技術提供したからだとか何とか。
 その縁で、カメラマンをやっていると、何かの折に聞いたことが在った。
 この学園世界では事件など日常茶飯事なので、報道部は選抜委員や執行委員と同じく、基本、休日返上である。
 
「あ。そうだ、『交換留学生』連れて来るってのはどうかな?」
「本気かい。ハリー、あの人たち呼ぶの?」
「だってピグマリオン(コレ)って、もともと彼ら(ナイトウィザード)の道具でしょ?
 ローマの事は、ローマ人に聞け。だよ」

66 :
 学園世界を襲う危機は山ほどあり、それに対抗すべく組織されたホグワーツの選抜委員は、『闇の魔術に対する防衛術』の実践経歴で選定されている。
 故に、ハリー本人を含め、勢い『ダンブルドア軍団』のメンバーが殆どを占めている。
 しかし、一番に頻度が高い危険が、侵魔、冥魔関係の、第八世界関連の事件であり、しかし、侵魔に対する正確な知識や戦闘経験など、DAメンバーは持ち合わせてはいない。
 そういうわけで、そのあたりを補佐するため、交換留学の名目で、何人かのウィザードが輝明学園からやってきている。
 休日といっても、ハリーとロン同様ホグワーツに残っているウィザードは、この広い城(校舎)をくまなく探せば、一人か二人は居るだろう。
「でもさぁ、それってスリザリンの馬鹿と変わらなくない?」
 少し前の出来事だが、侵魔関係の事件の処理にあたっていたウィザードが、無礼なスリザリン生にプッツンきて、問答無用の一撃をぶち込む事件が在った。
 勿論、件のスリザリン生はあいつだ。白髪オールバックのドラコ・マルフォイだ。
 空から隕石が降ってくる光景(スター・フォール・ダウン)は、見ていても心臓に悪いので、彼らを怒らせないよう注意しようと、全生徒に共通認識が生まれた事件だった。

67 :
お久しぶりー。支援

68 :
お久しぶりです。支援

69 :
「やっぱりさ、折角違う世界に来てるんだから、これくらい自分で使いこなせるようになりたいじゃん」
「その心は?」
「元の世界に戻ったら、パパに自慢してやる」
「そーゆーことか………、やけに熱心だなと思えば―――。
 でも、それもそうだね。けれど、実際問題どうするの? っていうか結局ロンは何がしたいのさ?」
「へ? 言ってなかったっけ?」
「うん。聞いてない」
 あー、そうだっけ? と、ロン・ウィーズリーはトレードマークたる赤毛を掻いて、
「棋譜が欲しいんだよ。ほら、こないだのチェス大会の時の……」
「―――嗚呼。ゴクセーが主催してたやつね。確か、君はベスト8までいったんだっけ?」
 ハリーは、記憶を探る。
 たしか、先週ぐらいに開催された、極上生徒会が定期的に開催する各学校の親睦イベント『スポーツ大会』。
 その知的スポーツ部門チェスの部で、我らがロン・ウィーズリーはホグワーツからただ一人出場し、並み居る強豪をバッタバッタとなぎ倒し、準々決勝まで進んだそうだ。

70 :
 ついでに、なぜ伝聞かと問われれば、当日ハリーは同じく極上生徒会主催の肉体スポーツ部門クィディッチの部に出場していたからだ。
 因みにスコアは準優勝。
 なぜなら、ファイアボルトを駆るハリー以外、ホグワーツの選手は軒並み、相手チームの機械箒(ブルーム)に、手も足も出なかったからだ。
「いやー、実はもうちょっといけると思ってたんだけどねー。
 対戦相手だった、Index-Librorum-Prohibitorumって女の子がさー……」
「ああ、その娘に負けたんだったよね」
「オグゥハッ!!
 い、いきなり傷口抉ってくれるね親友(ハリー)。
 君だって、サクラ・ヴァンスタインとか言う十歳の女の子にボロ負けしてたくせに―――!」
「グフゥウ!!!
 あ、あれはシュベルトライテなんていう無茶苦茶な箒のせいでッ!
 クィディッチの技術的にはこっちの方が断然上だったんだからね!」
 お互いの精神に大ダメージを叩き出して睨み合う。
 十分ほどで不毛さに気づいて、視(死)線をひっこめあった。
「で? その禁書目録とかいう女の子がどうしたのさ?」

71 :
私怨

72 :
「なんかさ……、すっげー変だった。
 こう、うまく言葉にできないんだけどさ、人間とチェスやってるようには思えなくて―――」
「ふーん………?
 そんなに上手かったの? その娘」
「実力者(うまい)って感じじゃあないんだよ。ただ強い。どうしようもなく、『強い』」
 ロン・ウィーズリーの特技は何かと問われれば、まず十中八九『チェス』と答えるだろう。
 賢者の石の事件の時に見せた巨大チェス戦は、ダンブルドアをして手放しで褒め讃えさせたものだった。
「あの娘には、恐ろしいぐらいに隙がなかった。
 何をやっても届かない。どう攻めたところで対応されるッて感じで、ホントに人間相手にしてるようには思えなかった。今思い出しても寒気がする」
 ソレはひどい屈辱だっただろう。
 肩をすくめたロンの、引きつった表情がありありと語っていた。
 そして、ハリーは、
「判る。すっごく良くわかる」

73 :
『七つ目の窓(ウィンドウズセブン)』『網を埋葬する探索者(インターネットエクスプローラー)』
邪気眼チックな名前になって素敵w

74 :
 親友の貌には、覚えが在った。機械箒について語る時の自分と同じ貌である。
 クアッフル回し(チェイサー)や、ブラッジャーの扱い(ビーター)に関しては、間違いなく自分たちに一日の長が在る。
 しかし、ことスニッチの捕獲(シーカー)となれば、レドームや人工知能でチューニングされた箒の支援を受けられる彼らの独壇場だ。
 己の五感のみで胡桃大の動きまわるボールを探し出さねばならないこちらとでは、忌々しい事に最初から勝負にならないのだ。
 故に、彼ら(ナイトウィザード)の戦術はただ一つ、自らのシーカーが金のスニッチをとる前に、如何にして一五〇点未満に失点を抑えるかだけだ。
 相手キーパーに真理の箒(エルメスブルーム)を持ち出された日には、ハリーは目の前が真っ暗になるかと思った。
 けれど、
「で、何とか対抗策たてようと思って、彼女の棋譜が欲しいんだけどさ」
 まぁ。互いに負けっぱなしは性に合わないという事で、

75 :
「それは良い心がけですウィーズリー。
 しかし、時間は有限ですので即座にネットサーフィンはお辞めなさい。レギュラー抜きでは作戦会議がままなりません。
 ポッター。貴方もです」
 響いた声にピシャンと背筋を伸ばす負け犬二人。
(は、ハリー。如何いう事さ)
(ど、如何いう事も何も、僕は君を呼びに来たわけで)
(何でそれを早く言わないのさ!)
(一切聞く耳持たなかったのはどこの誰だ!)
「ポッター。ウィーズリー」
『サー! イエッサー!!』
 弾かれるように振り向き、思わず敬礼してみれば、そこには泣く子も黙る鬼の副校長の姿が。
「いいえ、今の私(わたくし)は副校長ではなくクィデイッチホグワーツ代表チームの監督です。
 そして、ポッターとウィーズリー。監督命令です即座に着替えてクィディッチ場においでなさい」

76 :
 静かな口調が非常に恐ろしい。
『サー! イエッサー!』
 踵を揃えて胸を張って、返答を張り上げたところで、
 耳を劈く、不愉快な音が部屋中、否、城中に響き渡った。
「侵魔警報!?」
「こんなときに襲撃!?」
 学園世界にホグワーツ魔法魔術学校が転移してきてからの風物詩。学園世界の敵の侵攻、「モンスターの学園侵入」であった。
 声を上げる生徒たち。しかし、マクゴナガル副校長は平然と、
「しかたがありませんね。ポッター、ウィーズリー。選抜委員としての責務を果たしなさい。
 避難誘導は我々が行います。くれぐれも、粗相なくホグワーツの品位を落とす事の無いように、何よりも無事に帰っておいでなさい」
『はい。先生!』

77 :
 二人はローブからワンドを取り出して、駆け出す。
 ホグワーツ魔法魔術学校選抜委員『DA(ダンブルドア軍団)』所属ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリーは、自らの学校、否、家を守るために戦いの場に赴いた。

78 :
第一章   皮膚の下の頭蓋骨  _trouble_under_the_days_
 1
 夢じゃないかしらん。あるいはたちの悪い魔術にでもかかっているのか。
 午後七時二八分。上条当麻は、目前の光景に呆気にとられていた。
 今日のこの日、上条は同居人達にせがまれて、彼女らとともに学園都市の外。A区画の『極上生徒会管理棟』に程近い『学生食堂』に足を運んでいた。
 言うまでもなく学園世界は学園の集まりである。学園都市のような、在る程度とはいえ食料を自給できる学園は極めて少ない。
 そのため、極上生徒会直轄で、某農大や学園都市などの、食料を生産できる学園が作ったものを基本無料で提供する施設が存在する。
 正式名称は別にあるのだが、学園世界の住人からは基本『学生食堂』と呼ばれていた。
 さて、その『学生食堂』に二人の居候に引っ張られるようにやってきた上条当麻だが、
「へっへぇ〜ん。どう? とうま。私だってやる時はやるんだよ?」

79 :
もしかして出場したのは商品目当てとかそういう話デスカこの腹ペコシスターさん支援

80 :
 などと言うセリフに、目を丸くしたのだった。
 テーブルには色とりどりの料理が載った皿が沢山。全て基本無料な基本セット以外の贅沢品ばかり。
 共和学院高等部の『食卓の電撃作戦』ですら満足するであろう料理の山を挟んで、胸を張るのは居候一号。
 その名をインデックス。
 Index-Librorum-Prohibitorumと言う一〇万三千冊の魔道書を記憶した魔道図書館であり、さまざまな魔術師に狙われている修道女なのだ。
 なのだが、上条にとっては彼女が覚えている魔道書の内容よりも、彼女(ハラペコシスター)の食費の方が、余程重要であったりする。主にエンゲル係数面で。
 そして、
「あ、あの。インデックス? 椅子の上に立ったら危ないよ?」
 おろおろと、椅子の上に立って胸を張るインデックスを支えようと、挙動不審なのは居候二号。その名をアゼル・イヴリス。
 荒廃の魔王の名を持つ、世界のすべてを食いつくす魔王であり、あらゆるウィザードに狙われている存在である。
 しかし、上条にとっては彼女の出自よりも、学校で常に一緒に行動することによる嫉妬の視線の方が余程深刻であった。主に生命の危機的な意味で。

81 :
「…………」
 そして、テーブルに並んだ料理を見て、インデックスの得意げな顔をみて、上条当麻は天を仰いだ。
 蛍光灯の明りが目にしみる。
「なぁに、とうま。何か文句でもあるの?
 とうまの言う通り、自分の食費ぐらい自分で稼いだんだよ!!」
「い、インデックス。危ないから……っ」
 居候二人に視線を戻す。騒ぐ姿がぼやける。
「とうま?」
「上条君?」
 刹那。上条当麻は食卓に右手をのばした。

82 :
 2
 
 数日前の事だ。
 とある事情で、アゼルの身柄を預かる事になった上条は、目下、新たな悩みを抱えていた。
「ん〜? どうかしたのかにゃー、カミやん。難しい顔したってカミやんじゃ貫禄不足だぜい?」
 昼休み、教室の隅の自分の机に陣取って、如何しようかと首をかしげ、眉間に皺を寄せる上条は、横からかけられた失礼なセリフに、ぐりんと頭を巡らせた。
「土御門。てめぇよりによって第一声がそれかよ!!」
「にゃー。残念だがカミやん。土御門さんはクラス全体の意思を代弁しただけなんだにゃー」
「?」
 
 意味不明な事を言い出す土御門元春に、傾げていた首を逆に傾けて、
「お前、いったい何を訳の分らん事を………」
「君の辛気臭い顔を。一方的に見せつけられるこっちの身にもなってみろ。このやろー」
「うぉう!?」

83 :
 ぼそりと呟かれた台詞にあわてて振り向くと、
「あ。わたし。声に出してた?」
「って、姫神! 何時からそこに!?」
 黒髪ロングのクラスメイトは、何処か遠い目をして一言。
「……。結構前から。
 ふ。君にとって私は。もう視界にも入らない旧キャラなのね。
 やっぱり。私って報われない」
「おーい、姫神ぃー。姫神秋沙ぁー。戻ってこーい。なんか真昼間なのにお前の周りだけ夜になってんぞー?」
「誰の所為だと思ってるんだかなにゃー、この男は。
 で? カミやん。その、何とも表現のしようのなくお近づきになりたくない異様に辛気臭い顔をこれ以上見せられるのは勘弁してほしいので、単刀直入に聞くぜい?」
 何という言い草! と憤る上条を無視して、
「今度は一体―――」
「美少女二人と同棲しとる癖にその辛気臭い顔はなんじゃーっ!!!!」

84 :
 次の瞬間、土御門のセリフを遮って、ハンマーの様に固められた拳が上条の頭骨に叩きつけられた。
 ごめすぐうぇい! と、後頭部に食らった強烈な一撃に、瞼の奥に火花が散って、鼻孔を火薬のような匂いが満たした。
 頭蓋骨がスライドしそうな一撃に悶絶する上条を他所に、その一撃を喰らわせた張本人は、まくしたてるように喋り出した。
「今度という今度はマジで切れたでカミやん!!
 謎の転校生な銀髪巨美少女(きょにゅーぱつぎん)と同棲する事を涙ながらに承認したと思ったら! 実は銀髪貧美少女(ひんにゅーぱつぎん)と既に暮らしてましたぁっ!?
 なんやねんそれ! 両手に花のウハウハハーレムか! 上条当麻は銀髪フェチかっ!?!」
 衝撃に掻き混ぜられた頭が、絶叫に揺らされて感情を逆撫でる。
「あ、青髪ピアス………。てめぇ、人さまの頭どついといて、最初に言うのがそれかよ………」
「はんっ! 裏切り者が何いうても知らん!! こんの一級旗(フラグ)建築士っ、立てた旗(フラグ)に埋もれてしまえっ!! ボクかてそんな羨ましい死に方したいわ!!」
「わっけわっかんねぇ事言ってんじゃねぇ!! てめぇ、今一瞬お花畑が見えたぞ! 
 死ぬほどの痛みってのをないままに味わうってぇのが一体どういうなの事か教えてやろうか!! ああッ!?!」

85 :
「君は。それぐらいされても仕方ないと思う」
「ひ、姫神さんっ! 何と慈悲の無いお言葉を!! ってか、お前から見た俺ってそんな目に遭わされるのが、当り前な最低男なのか!!?」
「貴様は何を当然のことを言ってるのよ」
「って、吹寄!? つーか何で悩んでただけなのに、上条さんは優しい言葉一つ貰えないばかりかそこまで言われなくちゃならないわけ!?」
 不幸だぁ!!
 叫ぶ上条にベアナックルを一発。騒音を止ませて、吹寄制理は、ふん。とばかりに腕を組む。
「………。まぁ、クラスの男子(オトコドモ)の九割方は羨ましがってんだろうけどにゃー」
「女子は? 後ついでに残り一割(つちみかど)は?」
「まぁ、女子にも別の意味で『羨ましがってる』のは居ると思うんだぜい? もしかしたら中にはオトコドモと同じ対象に嫉妬の視線向けてるのが居るかもしれないけどにゃー。
 あと、インデックスもアゼルちゃんも、土御門さんも守備範囲からは、外れてるんだにゃー」
「……。流石、ロリコン且つシスコンは言う事がちゃうな………」
「そんなほめても何にも出ないんだぜぃ――――って、誰がシスコンだッ!!?」
「お前だお前。アゼルは耳良いからな、時々お前の部屋から出てくる舞夏みて真っ赤になってんだよ。
 何してんだ一体」

86 :
「んなっ!?」 
「ちょっと、つちみー? なんでそこで固まるんよ」
「ナ、ナニモシテナイゼイ。義理ノ妹ハまなー違反ナンダゼイ」
『何でソコでカタコトになるんだ土御門元春!!』
「貴様ら煩い」
 
 声をそろえた上条と青髪ピアス。そして土御門は、吹寄の鉄拳の洗礼を受けた。
「で? 上条。貴様何を悩んでたのよ?」
 無意味な雑談を断ち切って一言。吹寄制理は上条に尋ねる。
 吹寄の、「なんでボクだけ何にもないんや。誰か、誰か愛をプリーズ」と、呻く青髪をふっ飛ばした鉄拳に上条は怯えながら、
「ひぃ!? 言いますからベアナックルは勘弁!
 只今上条家は金欠なのです! 財政がピンチなのです!! 質素倹約、綱紀粛正の嵐が吹き荒れていても来月まで保つかどうかが怪しいのです!!!」
「……貴様。奨学金はどうしたのよ。
 学園世界(コッチ)に来てからだって、毎月しっかり出てるでしょ?」

87 :
 奨学金と銘打ってはいるが、学園都市の学生は基本、同意の上で超能力開発の人体実験を行っているようなものであり、つまりその事に対する報酬なのである。
「であるので吹寄さん! 俺の、無能力者(レベル0)の奨学金ごときで、高校生男子とハラペコシスターと荒廃の魔王の生活費全部まかなえる訳ねぇのです」
「………。甲斐性無し」
「うぐぉはっ!? ひ、姫神。ストレートな意見は、時に人をとんでもなく傷つけるってことご存知でせうか?」
「………。待ちなさいよ、確かアゼルさんにも奨学金は出ていたはずでしょう?
 何で、貴様一人で一家を養うマイホームパパみたくなってるのよ?」
 異世界の魔王の奨学金(人体実験報酬)ならば、そこまで赤貧にあえぐ事もあるまいに。
 関係無いが、マイホームパパから何を妄想したのか、青髪ピアスが復活して騒ぎ、吹寄の鉄拳制裁が、三度振り下ろされる。
 上条は、まるで先ほどの姫神が乗り移ったかのような太陽の恵みを失った貌で、
「いや、なんか書類に問題が在ったからとかで、再来月からになるらしくて………」
 思わず、声を失う面々。
 そもそも戸籍も何も存在しない異世界の魔王が転校してくるという事態自体が異常なのであって、書類作る人もきっと大変な思いをしているのだろう。

88 :
支援

89 :
『ま、がんばれ』
「………アリガトナ」
 ようやく貰えた温かい目線と優しい言葉に囲まれて、上条当麻は涙を堪えきれなかった。

90 :
 3
 という経緯が在って、帰宅した後、のんびりスフィンクス(飼い猫)と遊んでいたインデックスと売り言葉と買い言葉になった。
 恐縮するアゼルに仲裁されて、それでも『自分の食い扶持ぐらい自分で稼いでみろ!!』といった事を言って、冷戦状態になって
「で、この状況だよとうま! どう! 見直した!
 私だってのんべんだらりととうまに寄生してるだけじゃないんだからね!!」
 未だ椅子の上でふんぞり返るインデックスを、ぼやけた目で見つめる上条は
「その幻想をぶち!!」
 アツアツの麻婆豆腐に右手を突っ込んだ!
「か、上条君?」
 ―――かに見えた瞬間、横から伸びて来たアゼルにつかまれて、皿の淵ギリギリで停止していた。

91 :
「………あの、火傷、しちゃうよ?」
 唐突な奇行に目を瞬かせて、問うてみれば、
「放せアゼル! こんなの幻だ!! 存在しない光景だ!! インデックスに金を稼ぐなんて生産的な事が出来るわけねぇ!!! 
 ぅおおおおお!!! 呻れ幻想殺し(イマジンブレイカー)!!! 俺はこの幻想をぶち壊すんだぁああああっ!!!!!」
「え、えっと、如何しようインデック……す?」
 混乱しながら自分よりも上条と付き合いの長い少女に振ってみれば、白いシスターはすでに椅子の上でプルプルと震えており、
「…………まの………」
「え? ちょっと、インデックス? 何で笑ってるの? え?」
 目元を前髪に隠し、横に裂けた口元から歯をのぞかせる白い修道女。
 因みに、笑顔は動物が威嚇し牙を剥いた姿にとてもよく似ているそうだ。

92 :
「とうまのっ、ばかあああああああああああ!!!!」
 ザ・人間砲弾インデックス。
 涙ぐみながら、口を大きく開いてテーブル越しに飛びかかり、狙い過たず、上条当麻の頭(もくひょう)を捕え――
「……えっと、テーブル乗り越えるのは良くないよ?」
 ―――る寸前に、アゼルの反対の手が伸びて空中に吊り下げられる。
「はなすんだよアゼルっ!! きょうこそ、きょうこそとうまのバカに思い知らせてやらなくちゃいけないんだからぁ!!!」
 服を掴まれたまま、手足をじたばたさせる白い少女。
「何をっ!! だれが馬鹿だこんにゃろう!!」
 右手を掴まれたまま、声を上げるツンツン頭の少年。
「え、えっとー……。あの、二人とも、落ち着いて? ね?」

93 :
支援ー

94 :
 両手で二人の人間を捕まえたまま、困った顔をするセーラー服の魔王。
 ののしり合うインデックスと上条に、周囲に助けを求めるように見まわすアゼル。
 当然、視線が合う傍から目をそらされて、「ふぇ。」その目じりに涙が浮かんだ。しかし、善良な一般市民は、誰も好き好んでこんな奇景に関わろうとは思わない。
 暫くの後、ビジネスとして百パーセントの義務感で、『学生食堂』の店員が声をかけるまで、この状態は続いたのだった。
 禁書目録(Index-Librorum-Prohibitorum)。通称インデックスはいら立っていた。この学園世界に来てからと言うもの、神経を逆撫でされることが多すぎる。
 特に今日のは酷かった。
 上条自身から「食い扶持ぐらい自分で稼いで来い」とか、言っておきながら、いざ『学生食堂半年分無料パス』をとってきたら、たちの悪い魔術扱いである。
 一生懸命勉強して、並み居る強豪を打ち破ってきた熱戦は、偏に上条に喜んで貰いたかったからなのだが、この結果は納得できない。
 なので
「やけぐいなんだよ!!!」
「わぁーっ!! 待ちやがれこのハラペコシスター!! って、なんかすごい勢いで口に入れてらっしゃる!!」
「とうまの分なんかのこさないんだよ!!」
「畜生!! 結局こんな展開かっ!!!」

95 :
 残像が残るほどに機敏に動くインデックスのフォークと負けじとテーブルを駆け巡る上条の箸。
「二人ともちょっと待った」
 ピシッ。と蝿を捕える武蔵の様に、アゼルの両手の箸が二人の食器を掴んで止める。
「あ、アゼル?」
「何。上条君?」
 上条は恐る恐る。
「両手箸は、行儀悪いぞ?」
 ギヌロッ!!
「すいませんっしたぁ!!」
 内気だろうがヒロイン体質だろうが魔王は魔王。睨まれると恐ろしく怖い。
「二人とも、ご飯を食べるのは仲直りしてからだよ」
 言われてひるむ二人に続ける。
「あのね。いくらなんでも、さっきのは上条君が失礼だと思う」
「申し訳ありません」
 条件反射で謝り倒す上条にさらに溜息一つ。

96 :
この人(だいまおう)、身体スペックの無駄遣いにもほどがあると思いませんか?
…いや、料理と食材を無駄にする方がよろしくないですね思いません本日の夕食もご馳走様でした支援

97 :
「ほら、上条君もこうして謝ってるんだから。許してあげよう?」
「ううぅうううううう」
「済まなかった! インデックスっ!」
「ね?」
「うぅうううぅうううう」
「今まで悪かったインデックス。お前はやればできる子なんだな。もう二度とごく潰しのエセシスターだの、パサライト聖職者だの言わないから」
「…………」
「流石はインデックスさん! いや、様!! 俺の幻想とともに赤貧の現実まで打ち砕いてしまわれた!!貴方様こそ救いの―――」
「とうまの頭骨をカミクダクッ!!!!」
「ってぎゃぁああああああああああああ!!!! なんでだぁあああああ!!」
「なんで、そこで余計なこと言っちゃうのかなぁ?」
 もうどうしようもなく、とても深い溜息を吐き出すアゼルであった。

98 :
 4
 夜の街を行く。
 学園都市第七学区に戻ってきても、上条とインデックスは未だ言い合っており、やいのやいのと騒ぎながら、アゼル・イヴリスは、そんな二人を眺めていた。
「羨ましい」
 ポツリと呟く言葉に、夜の静寂を蹴り飛ばしている上条とインデックスが気付くはずもなく。アゼルは一人、星を仰いだ。
 結局、上条とインデックスは仲が良いのだ。あんな無茶苦茶な罵り合いをやっても、自分たちの関係が崩れるなどとは欠片も思っていない。
 それは、アゼルが二人に出会う前から育んでいた絆で、そこにはアゼルの思いつかないろいろな過去が、ぎっしりと織り込まれているのだろう。
 どことなく、居心地が悪い。
「アゼル、ちょっと何とか言ってくれ!!」/「アゼル!! とうまってば酷いんだよ!!」
 そんな複雑な魔王の内心を知らず、二人して同時に話を振ってくる。はぁ。と、溜息をついてアゼルは二人に近付いて。

99 :
 瞬間。
 空気が変わった。
「魔力が動いた!! けど、変だよ! わたしの知らない動き方してる!!」
 瞬く星の輝きを押しつぶして、紅の月が空に昇る。
「『月匣』!? ってことは」
 紅の世界が、三人を覆い、
「………来た」
 黒山のように、無数の悪魔が零れ堕ちた。
「……っ!」
 弾けるように駆けだす上条。彼の右手、非常識を否定する『幻想殺し(イマジンブレイカー)』であれば、力の弱い侵魔ごとき一撃で倒す事が出来る。
 それは、以前パール・クールが差し向けた下級侵魔どもを相手取った時に証明済み。
「待って」
 しかし、果たして上条の前に、アゼルが立った。
「アゼル?」
「あたしに、やらせて?」
 言って、アゼル―――荒廃の魔王『アゼル・イヴリス』は、わだかまる暗闇の様な悪魔たちを睥睨した。

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