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2012年6月ロボットゲー595: 第三次スパロボキャラバトルロワイアル6 (525) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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第三次スパロボキャラバトルロワイアル6


1 :10/04/03 〜 最終レス :12/06/05
ここはスパロボのキャラクターでバトルロワイアルをやろうとするスレッドです。
【原則】
・リレー企画ですのでこれまでの話やフラグを一切無視して書くのは止めましょう。
・また、現在位置と時間、状況と方針の記入は忘れずに。
・投下前に見直しする事を怠らないで下さい、家に帰るまでが遠足です。
・投下後のフォローも忘れないようにしましょう。
・初めて話を書く人は、本編を読んでルールや過去のお話にしっかり目を通しましょう。
・当ロワは予約制です。投下する前にスレでトリップを付けて使うキャラを宣言しましょう。
・予約の期限は五日。期限内に書き上がらなかった場合の延長は二日までとなります。
【ルール】
・EN・弾薬は補給ポイントを利用することで補給することができます。
・補給ポイントは各キャラの所持するマップにランダムに数個ずつ記載されています。
・機体の損傷は、原則として機体が再生能力を持っていない限り直りません。
・再生能力も制限で弱体化しています。
・特定の機体がスパロボのゲーム内で持っている「修理装置」「補給装置」はありません。
・8時間毎に主催者からの放送が行われます。
・放送毎に主催者がMAP上に追加機体の配置を告知します。
・乗り換えは自由です。
・名簿は支給されます。
【備考】
・投下された作品に対して指摘をする場合は、相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
・ただし、ミスがあった場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
・スパロボでしか知らない人も居るので、場合によっては説明書きを添えて下さい。
・おやつは三百円までです。使徒やゲッター線は好きに食べてください。
・水筒の中身は自由です。健康を謳いながらハバネロやステビアを添加するのも自由です。
・これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
・作品の保存はマメにしましょう。「こまめなセーブを忘れるな」って昔どっかの元テロリストも言ってました。
・イデはいつ発動するか分かりません。本当にあった怖い話です。
まとめwiki
http://www31.atwiki.jp/suproy3/
したらば避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/13329/
前スレ
第三次スパロボキャラバトルロワイアル5
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1266155615/

2 :
スレまたぎ申し訳ありません
続き投下します

3 :

首輪から盗聴された音声データや、UN上の情報が集約された部屋。
ユウキに支給されたハロの動きも、この部屋で逐一見ることが出来る。
主催者であるヴィンデル・マウザーが今、着目しているのもそれである。
「中条の元へ潜り込んだか……」
ルネ・カーディアフ・獅子王の離脱時には適わなかったが、今回はうまくいったようである。
UNでユウキと連絡を取り合う中条ならば、いつかは情報を得ることになるだろう。
「ハロ――いつその存在を参加者全体に伝えるか」
考えながら、ヴィンデルが一人ごちる。
ハロの情報が参加者の疑心暗鬼、戦意、殺意を煽る目的のものである。
ならば何故最初から参加者全員にハロを支給しなかったのか。
情報は如何なる争いにおいても、重要な要素の一つにある。
その情報を得ることの出来る機械の存在を定期放送または、UN上で仄めかせばまた新たな火種の一つになる。
ハロの情報のみならず、ハロ自体が一つの煽動の道具になる。
「しかし、小細工は必要無かったかもしれんな」
ヴィンデルは部屋を後にした。

4 :
第一回放送直後だというのに延長をしてすみませんでした。
規制に巻き込まれましたのでどなたか代理投下をお願いします。
-----------------------------------
代理投下完了
そして投下乙です
なるほど、ハロが沢山ありかつ機能増築されていたのにはそういう理由があったのか
ジ・エーデルは絶好調だなあw
長官ダイモスも十分に強い組み合わせだが相手が悪かったか

5 :
投下&代理投下乙です
中条さんはガンバスター相手によく闘ったと思うよ
なんせ格闘戦しようにもサイズが4倍以上違うしなあ
ハロやらUNやらデータベースやらいろんな要素が上手く絡んできたなあ

6 :
良質なフラグを持つキャラはズガンでほとんど死に絶えたよ

7 :
人々の死を告げる放送は終わった
それを受けて参加者達がどのような反応を見せるかは人それぞれ。
青年と少女の場合は…。
放送が終わった後、Dボウイはある種の覚悟を決めた。
今、行動を共にしている少女がどういった反応を示そうと、自分は手を出さない。
大事な者の死によって、この会場にいる人間を皆殺しにしようとして
その結果、自分にその矛先が向かうとしても殺されても構わない,と。
彼には彼女の復讐を否定するつもりなど毛頭無かった。
彼女の大事なものを奪ったのは自分。ジュドー・アーシタの仇をとりたいと願う彼女を止める資格など無い。
気持ちは分かるからだ、凶刃を妹に向けてしまった今となっては虚しいばかりであるが。
そのように考えていた彼だが、放送から30分経った今でも彼はエルピー・プルと行動を共にしていた。
プルの様子は、というと悲しみに打ちのめされ塞ぎこむわけでもなく、
怒りに任せ周囲に八つ当たりをしているわけでもなく、至って元気、快活であった。
彼女がジュドー・アーシタの死に悲しまないはずはない。知っている人間の死にその顔を曇らせぬはずは無い。
ならば何故彼女は明るく振舞えているのだろうか。
理由は簡単。
放送を聞いていなかったからだ

8 :
初めに少年―――カズマと出会って以降、タスクが操るビッグデュオと交戦。そこに乱入し彼女を救ったヤマダ・ジロウ――――ガイとの、
そして翔子の操るウイングガンダムゼロカスタムの襲撃。
そのときのアクエリオンの無限拳によって吹き飛ばされて行き着いた先でアルベルトと交戦。
ギリアム、Dボウイと力を合わせ、どうにか退けた。
しかしここまで彼女は碌に食事を摂らずに動いてきた。
なれば腹が減るのは必然。
故に彼女は恥らうことも無くコクピット内の食べ物を探した。
探すとレーションは2枚の紙と一緒にあった。
紙は名簿と地図であったが、名簿は少し目を通した程度で上から自分の名前までを確認したあとは面倒になり、
クシャクシャにしてぽいとコクピットの後部に放り投げ、地図は脇に置いた。
そして放送が始まったとき、彼女はレーションの封を切るのに四苦八苦しており、それどころではなかった。
とても元の世界では軍属とは思えぬ彼女であったが、死亡者を告げる放送すら耳に入らぬほど集中しており、
放送が終わった後にようやくレーションを口に運ぶことができ、その不味さ,気持ち悪さに顔を歪めたのだ。
結果、Dボウイは今も彼女といる。
彼女がレーションに夢中になって放送を聴いていなかったと聞いた時は、
ジュドーの死を認めることが出来ずに強がっているのかと思ったが
そんなことはなく本当に聴いていなかったようで、逆に問い返されたときにはDボウイははぐらかしてしまった。
(俺は…)
しかし誤魔化した後にDボウイに残った物は、煮えきらぬ想い。
彼女が知らないのをいいことに、ジュドーの死を告げず、共にいてくれる人間を求める自分がそこにいたからだ。
プルに貰った2日分のレーションを味わわずに一気に流し込み、これまでの戦闘で減った腹を満たす。
彼女は意地でもレーションを2度と口に入れる気はないのだろう。遠慮するなと迫られDボウイは断れなかった。
万が一のために、3日分のうちの1日分は残しておけとなんとか説得したが。
「ん……あれは……」
レーションを嫌がったプルが食べるものを求めて向かったD−6の市街地でDボウイは地に堕ちた一匹の怪物を見た。
否、それはコクピットが開かれていたため怪物ではなく機体であるとすぐに分かった。
彼の近くにプルはいない。市街地のスーパーで食料、お菓子を確保しているだろうと思っていた。
そのため、Dボウイは単身、その機体、ジンバへと向かっていった。

9 :

血塗られたコクピットにパイロットはいなかった。
グチャグチャになったパイロットだった肉塊のみがそこにあり,それ以外は何も無かった。
Dボウイはそれが死体であると最初は分からなかったが、
日々の生活で見覚えのある人間の部位を目にすることでそれが死体であると理解する。
Dボウイの胃の中からこみ上げてくるものを何とか必死で堪え、それらを掻き集めた。
せめて埋葬して地に還してやらねば、このような死はやりきれなかった。
彼を埋葬する最中、死因はコクピットを狙われたためであるとコクピットを中心に大破していた機体の状況を見て無感情に考察した。
そして埋葬し終えると、墓荒らしのような行動を取る自分の無礼を
名も性別も顔も年齢も何もかも分からぬ者に心中で詫び機体の状況を確認した。
機体は何も反応を示さない。当然だがコクピット周りを破壊されたので管制システムなどがイカレてしまっていた。
仕方無いので地図と共に置いてあった紙媒体のマニュアルを手に取り、眼を通し、ようやくこの機体がオーバーマン、ジンバであると判明した。
そのオーバースキルは『窃盗』
物体を透過する手や伸縮する腕、手から放たれるエネルギーを使用することで、大小構わず如何なるものも盗むことが可能である等等。
と、資料に眼を通し続けていると急接近してくる機体があった。
「おい!!!そこでなにをやってるんだ!!!!!!!」
青い機体より聞こえる声は青年のものであり怒気を含んでいた。
ジンバの惨状を見て、怒りに駆られその場を去ったミストであったが、彼は再び戻ってきた。
というのも、再びイスペイルやその仲間たちがこの場に戻ってくるかもしれないと考えたからだ。
アトリームでは罪を犯した暴徒が現場に戻るということはよくあることであったし、
イスペイルはの市街地を何らかの目的があって目指していたのかもしれないと思い、ミストもまた市街地へ戻ると決めた。
そして市街地へ戻ったとき、ジロンを埋葬してジンバのコクピットに乗り込もうとしていたDボウイを
遠いながらも確認したミストは文字通り飛んで来たという訳だ。
感情のままにDボウイに怒声を浴びせたミストだが、Dボウイが丁寧にミストへ説明することで事態は収拾された。
ミストとしても、そのままにして放ってしまっていたジロンの埋葬をDボウイが代わりにしてくれたということで
彼に余計な敵意を持つことはなかったし、むしろ感謝すらしていた。
そのため軽い自己紹介を挟んだ後の情報の交換はうまく進んだ。
その際にDボウイは自身がテッカマンであることは隠した。
ランスやアックスの悪行が知れ渡っている可能性がある以上、良い印象は持たれなさそうであったからだ
「俺の知り合いはクルーゼさんとミユキちゃん、えっと名簿ではテッカマンレイピアって書いてありますけど、あとジロンさんでした」
ミストが過去形で言う理由はDボウイも察した。クルーゼという名前以外はどちらも放送で呼ばれたし、
なにより…少女を殺したのは自分だからである。
「俺の知り合いはプルという少女とギリアムだけだ」
情報の範囲は互いのこの場での知り合いから危険人物、更にはジンバの情報、まで及ぶ。
Dボウイが深く聞いたのはジンバの能力、窃盗に関してであった。
「するとこのジンバというのは武装だけではなく、そのクルーゼさんの仮面まで奪い取ったというのか?」
「ええ、クルーゼさんはホントに怒ってましたね。ジロンさんが仮面をぽいって捨てたときはひやひやしまして…ってDボウイさん?」
「ああ、すまない。聞いてる」
「ところで今思い出したんですが、ミユキちゃんは兄の相羽タカヤさんを探していたんですが、Dボウイさんは心当たりは無いですか?」
「……わからないな、すまない」

10 :
ミストは彼女の兄が何という名前で名簿に載っていたかは失念していたので、そうですか、といって特に追求はしなかった。
Dボウイもまたその話を早急に打ち切った。彼もまた自分が相羽タカヤであるとは言いたくなかったのだ。
妹が自分を想っていてくれたと聞かされる以上につらいことは今の彼には無かった。
そして話は次第に両者のそれまでへと移った。
といってもDボウイが話したのはアルベルトとの交戦のみであったが。
「大変だったな…」
ミストと共に行動していたジンバのパイロット、ジロンは自分を庇って死んでしまったようなものだと聞いて
Dボウイの口から自然と出た言葉であった。
それは守られる辛さを知っているDボウイのミストへの共感だったのかもしれない。
「ええ…俺には辛い戦いになってしまいましたよ…」
しかしこのDボウイの想いは直後に裏切られることになる。
「ジロンさんが死んでしまいましたからね」


自分のために死んでしまった者への申し訳なさも感じられず、
あくまで他人事のように、薄ら笑いを浮かべて話すミストの態度はDボウイにとって信じられないものであった。
自己紹介のときに異性人であると聞かされたDボウイは
ミストは所詮異星人であるからそういった感情に疎いのだ、と自分を強引に納得させ無意識に硬く握った拳を収めた。
そうしなければ今にもミストを殴ってしまいそうだったからだ。
そんなとき前方よりミストとDボウイの前に機体が現れた。
それは犬のように四足歩行であり、ミストは警戒するもののDボウイの静止があり落ち着いた。
「なにあれ……」
プルが不快感を隠そうともせずつぶやく。
彼女が機体より生じる瘴気を人一倍深く感じ取ったためだ。
その透き通るような青く重厚なフォルムとは裏腹に感じ取れるほどの禍々しさを秘めているのは
その巨躯に似合わぬ無骨なハンマーを持っているためか、機体に設置された核、またはゲイムシステムによるものか
いずれにせよ、Dボウイの合図もありプルはヴァルシオン改に攻撃を仕掛けずにガイアガンダムより降りた。
とはいえプルのミストへの態度は露骨なものであった。
ミストと積極的に会話を交わそうとしないのだ。
ヴァルシオンに搭乗し続けた影響なのか、人を殺したことにも気づかぬミストの無知から来るものなのか、プル自身にも分からなかった。
しかしミストを前にしての不快感を少女は抑え切れなかった。
「すまないな、ミスト。プルもストレスがたまっているみたいでな、軽く人間不信になっているみたいだ」
「いや、俺は気にしていませんよ。こんな場所に連れてこられてコクピットに缶詰状態ですからね。無理も無いですよ」
こういったときに口を挟みそうなプルは何も言わない。
ミストを警戒しているのだな、とDボウイは察した。
早々に切り上げたほうがいいと話題を変え今後の方針へと話を移した。

11 :
「ミスト…俺は北西の施設に向かおうと思っているが、お前はこれからどうするんだ…?」
「俺はイスペイルを許しません。故郷を滅ぼしてジロンさんまで殺したあいつを…」
「そうか…」
「だからここに来てないと分かったときは移動しようと思いましたけど、でも、お二人を放っておくことも…」
眼を逸らし申し訳なさそうにしているミストに対して、Dボウイは言い放った。
「いや、ミスト。俺たちに構わず行ってくれ」
「Dボウイさん…」
逸らしていた眼をDボウイに向けるミスト。
「勘違いしないでくれ。お前の力をアテにしていないわけではない。
ただお前がいないことで生じるリスクを差し引いてでもそのイスペイル達を放ってはおけないと思う」
「はい…」
「それは俺だけではなくプルも同じだろう。
しかし片や機体も無ければ、お前のヴァルシオンほどの力も無いガイアガンダムではお前の足手まといになりうる」
そこまでDボウイが言うとミストが口を開いた。その顔は決意を感じさせた。
「Dボウイさんが言いたいことは分かりました。俺は一刻も早くイスペイルを倒しますんでDボウイさんたちは協力者を募ってください」
「すまないな…お前にばかり負担をかけてしまって…」
「気にしないでください、イスペイルは俺の故郷の仇ですから。俺が倒さないといけないんです」
「死ぬなよ…それと最後に頼みたいことがあるんだがいいか?」
Dボウイの願いにミストは笑顔で返した。
「もちろん」




「ねえねえDボウイ。こんなの何に使うの?」
「まだ分からない」
「え〜」
プルがいうのはガイアガンダムの背に乗せたジンバのオーバーコート。
これはDボウイがミストに頼みジンバから切り離したものであった。
ジンバ自体はもう使うことは出来なかったが、運良くこのジンバコートは悪くない状態であったため持ち出したのだ。
これ単体では何も意味を成さぬが、他の参加者に支給されている別のオーバーマンと組み合わせることによってそのオーバースキル『窃盗』を使うことも可能ではないか?
その『窃盗』を用いることでこの首輪の除去の一助になるのではないか?という推測を立てていた。
Dボウイはミストにそれを試したかどうかを聞けなかった。首輪を盗聴されている可能性もあったし、
筆談で話そうにもミストという男は隠し事が苦手なようであったので漏らす危険性も高いと判断したからだ。
無論、シャドウミラー側がなんらかの工作をしている可能性は高い。
首輪をオーバースキルの対象外にしているか、首輪を取った者の首輪が爆破されるようになっているか、
まあ前者の可能性が高いだろうと考える。
そういうわけで、このジンバの能力があれば首輪除去が容易というわけではない。
しかし首輪を解除もしくは除去するための要素はこの舞台に散りばめられていて、
このジンバもまた要素の一つではないのかと考えるには十分であった。

12 :
「あとあの人はあれでよかったの?」
「ミストか…」
プルの声を聞いてDボウイの顔が険しくなる。
ミストという人間についてはどうにも考えるべきところがあった。
まず話してみての第一印象については、礼儀正しい好青年であると言えた。
しかし彼と話していくうちに、自分と彼の間の意識の差というものがどうしても目に付いた。
無論、それが悪いというつもりは無かった。
育ってきた環境も違えば、価値観も違う。冷静に考えてみれば命を軽視するというのも、単純に文化の差でありミストに罪は無いからだ。
「プル……ミストが気になるならついていっても良いんだぞ」
「そうしたら上に載ってる物はどうするの?」
「……」
「もう……変な事言わないでよ」
しかし罪が無いからといって同行したいか?と問われれば否。断じて否。
いざとなれば何をしだすか分からない…。
Dボウイが、らしくも無くイスペイルがどうのこうのと言葉を尽くしたのも結局、ミストを遠ざけたいがためであった。
死んで欲しくはないと祈るもそこまでであった。
「Dボウイはこれからどうするの?」
「北のほうの施設へ行きたいと思っている…。お前は」
「じゃああたしも!」
言い切るのを待たずしてプルは言った。
Dボウイはプルがそう答えるのは分かっていた。
しかし一応、彼女に選択肢を与えておきたかったのだ。
自分といれば不幸になるかもしれなかったから、その時に自分が受ける精神的苦痛を少しでも和らげるために。
そしてガイアガンダムは再び動き出した。
北へ行くと定め、ただ前へ。
彼は己の罪を少女に告げることは出来ない。
そしてその事実から目を背けるように、放送内容に考えを向け、疲労と満腹感から生じた睡魔に身を委ねた。

13 :
【エルピー・プル 搭乗機体:ガイアガンダム(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 パイロット状態:良好 満腹・お菓子いっぱい
 機体状態:多少の損壊。フェイズシフト装甲がダウン
 現在地:D-6市街地
 第一行動方針:Dボゥイと一緒に行動する。
 最終行動方針:なんでもいいのでおうちに帰る(正直帰れれば何でもいい)
 備考:名簿は見ましたが、ジュドーがこちらにいたこと、死んだことに気づいてません】
     ミストはある意味危険人物であると判断しました
放送を聞いていません
     ジンバコート所持
【Dボゥイ 支給機体:なし
 パイロット状況:疲労(大) ガイアガンダムの上に乗って移動中。満腹。 睡眠中。ジンバのマニュアル、地図所持
 機体状況:全身の装甲に傷や焦げ跡がある エネルギー中
 現在位置:D-6市街地
 第1行動方針:この殺し合いをとめる
 第2行動方針:テッカマンアックスは優先して
 第3行動方針アルベルトを警戒。ミストの話す危険人物に対しては…?
第4行動方針:ジンバコートを装備可能なオーバーマンを探す
 第5行動方針:施設を回り首輪の解除方法を考える
最終行動方針:ラダムを殲滅する
 備考:30分〜1時間で原作のように暴走するようになっています】
     ミストはある意味危険人物である判断しました
【ミスト・レックス 搭乗機体:ヴァルシオン改@スーパーロボット大戦OGシリーズ
 パイロット状況:イスペイルへの怒り
 機体状況:前面部装甲破損 エネルギー消耗(中) 核弾頭秘蔵 ガンダムハンマーとヴァルシオーネRのディバイン・アームを装備 エナジードレイン消費
 現在位置:D−6
 第1行動方針:イスペイルを追いかけてジロンの仇を取る(どこへ向かうかは未定です)
 第2行動方針:戦いに乗った危険人物、イスペイルは倒す
 最終行動方針:シャドウミラーを倒す】
 ※ゲイムシステムは、戦闘が終了すると停止します。一定時間戦闘していると再び発動。
 ※ヴァルシオン改の内部に核弾頭がセットされました。クルーゼの遠隔操作でいつでも起爆できます。
【1日目 15:30】

14 :
代理投下終了、そして投下乙です
プルが放送聞き逃してDさんが黙っているのがその後どう影響だろうか
ジンバのオーバスキルが使えるかははっきりせんがそういやオーバーコートは使い回せるんだったな
そしてミストさん……こんなに君と意識の差があるとは思わなかった……!

15 :
レイ・ザ・バレルとプルツーはしばし足を止め放送に耳を傾けていた。
幸いと言っていいのかどうか、レイの知己であるクルーゼとシンの名は呼ばれなかった。
同じジョーカーであるアギーハの名は呼ばれていた。
張五飛、テッカマンランスと合わせてジョーカーはすでに三人死亡していることになる。
(ジョーカーと言えど決して有利な立場ではないということだな。だが今はそれよりも)
レイは気付かれないようにゆっくりR-GUNリヴァーレの体勢を整えながら、立ち尽くすデュラクシールを見る。
レイの知り合いは呼ばれていない。だがプルツーの家族の名は呼ばれてしまった。
「そんな……ジュドーが……死んだ?」
死んだ27人の内の一人がジュドー・アーシタだった。
人数が減ったのはともかく、このタイミングはまずいとレイは頭を巡らせる。
(まずいな……プルツーは大分不安定だ。今暴走される訳にはいかん)
ほんの少し湧いた共感を黙殺しプルツーの様子を観察するレイ。
ぶつぶつと何事か呟いているのでとりあえず慰めてみるか。
「プルツー……俺はこんな時何と言っていいかわからない。だが気持ちはわかる。家族を亡くすのは辛い事だ」
「……嘘だ。ジュドーが死んだなんて」
「残念だが、今の放送は真実だと思う。奴らが虚偽の放送をする理由がない」
「嘘だ!」
プルツーは叫び、デュラクシールの腕をレイに突き付けた。腕の中に光の剣が生まれる。
「知ったようなことを言うな! お前に私の気持ちがわかるものか!」
「わかるさ……」
ガンスレイヴをいつでも動かせるようにして、レイはゆっくりと口を開けた。
(ここが勝負どころだ……撃つなよ、プルツー)
「さっき話したラウ・ル・クルーゼという男はな……俺の認識では生きてはいないはずなんだ」
「なに……?」
「第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦、と言ってもわからないか? とにかくその戦いでラウは死んだはずだ。
ジェネシス――巨大なガンマ線レーザー砲に巻き込まれてな。誤認はあり得ない。俺もラウの機体が爆散する光景は記録で見た」
「だが、ラウという男はここにいる!」
「そうだ。俺もそれが不思議だった。シャドウミラーには死者を蘇生させる技術でもあるのかもしれない」
「なんだと……?」
言われてプルツーもはっとなった。ここにはプルツーが殺したはずのプルがいる。
ヴィンデルが言った、望むもの全てを与えるという言葉――それには死んだ人間を生き返らせることも含まれるのではないか?
連鎖的にそんな想像をし、そのためには生き延びたプルを殺さなければいけないと思いあたり顔を歪めた。

16 :
「だからという訳ではないが、一人で抱え込むな。立場は俺もお前も同じだ。俺はお前に力を貸したいと思っている」
「力を貸す……今さら何をするっていうんだ。ジュドーが死んだのに……」
「だが、まだプルは生きている」
レイは守るべき対象はまだいるだろう、と思い出させるために力強く言った。
同時にレイは支給品の中からペンを取りだし、名簿の白紙部分に字を書き殴る。
「プル……」
「そうだ。ジュドーは間に合わなかったが、プルはまだ助けられる。まだ間に合うんだ」
「そうだ、プルは……プルだけは絶対死なせちゃいけないんだ……!」
プルツーの思考がレイよりプルに傾いて行ったのを見計らってレイは名簿を掲げた。
そこには
【これを読んでも声を出すな。俺たちは盗聴されているかもしれない。】
とあった。
プルツーははっとして何かに気付いたように首輪に手を当てた。
続けてレイは名簿にペンを走らせる。プルツーも自分の名簿とペンを取りだした。
【現状を打開するプランが一つある。お前やプル、俺やラウ、そしてジュドーをみなまとめて救う方法が】
【なんだって?】
【いいか、たとえ優勝しても奴らが約束を守る保証はない。最悪の場合勝ち残った瞬間に首輪を爆破されるかもしれない。
だから俺たちが目指すべきは、勝ち残りではなく反逆だ。仲間を集め、首輪をはずして奴らと戦うんだ】
【そんなことはわかっている! ジュドーを救うとはどういうことだ!?】
【奴らの技術を奪取するんだ。70人もの人間を拉致し、強力な機体を与え、死者を蘇生させるほどの技術だ。
きっとこの殺し合いも……全部なかったことにできるはずだ】
【なかったこと?】
【そうだ。いくらか犠牲が出たとしても、後から蘇生させることができれば元通りだろう】
【それは……そんなことは、おかしい。後から生き返らせるから、殺しても大丈夫だっていうのか!?】
【倫理的に抵抗があるか? だが他に方法はないぞ。お前とプル、そしてジュドーが三人揃って解放される道は】
プルツーはぐっと押し黙る。もうひと押しか。
【強制はできん。お前が奴らの口車に乗り、優勝して望みを叶えてもらうというのであればここで別れよう。
俺はラウを手にかけることなどできない。たとえ一人になっても奴らに戦いを挑む】
「レイ……」
「お前が本当にプルを守りたいと思うなら、俺は力を貸す。だが殺し合いに乗るというのなら……戦うしかないな」
「……」
「すまないが悩んでいられる時間はない。27人も死んだということは殺し合いに乗る人間が数多いということだ。
ラウを探すために俺は行くが、お前はどうする?」
ここで考える時間を与えてはいけない。今はレイを主催者打倒のための仲間として認識させることが最優先だ。
一分ほどすぎ、レイが焦り始めたところでプルツーは顔を上げた。

17 :
「……私も行く」
「プルツー?」
「プルを……守る。守りたいんだ。だが私だけではまた間に合わないかもしれない。だからレイ……お前の力を」
「それ以上言うな。お前の気持ちはわかると言っただろう? さあ、プルを探しに行こう」
「いいのか? お前はラウを探さなくて」
「ラウならこんな状況でもうまく立ち回っていることだろう。それに何と言ってもラウは一軍の隊長だからな。
今ごろ何人も仲間を作って俺を逆に探してくれているかもしれない」
「隊長か……プルにはとても無理だな」
「だろう?だから先にプルを探すのさ」
「……ありがとう」
プルツーは弱々しく笑った。そこにはさきほどまでの警戒する硬い表情はない。
うまくいった、とレイは微笑んだ。表面上はプルツーに応えたように見えるが、もちろんそうではない。
レイは主催者打倒などこれっぽっちも考えてはいない。
ジュドーを失ったプルツーを引き付けるためには、亡くした者を取り戻せる、その一縷の希望に縋らせる必要があった。
プルの捜索に協力するという名目がある限りはプルツーはレイの敵にはならない。
彼女をうまく利用し、敵対者を撃破していく……感触は上々だ。
「しかし、これからどこへ行くんだ?」
「そうだな……プルツー、お前の能力でプルの居場所わからないのか?」
「無茶を言うな。さすがにこんな広い場所ではわからない」
「なら、やはり人の多い場所を手当たりしだいにあたるしかないな。
ここから近い施設は……東に向かって北上し基地に行くか、南下して要塞に向かうかどちらかだな」
「北か南か」
「まあとりあえずは東に向かおう。誰かと接触すればその後改めて考えればいい」
「わかった」
そのまましばらく二人は東に向かって飛ぶ。
「……プルツー」
「なんだ?」
「もし、方針を確認しておこう。これから先、好戦的な参加者と出会ったときはどうする?」
「倒すに決まっている! そんなに奴を放置していてはプルに危険が及ぶかもしれないからな」
「そうだな。ではそうでない友好的な者と会った時は情報交換を持ちかけよう」
「一緒に行動するのではないのか?」
「そいつが了承すればいいが、目的があるかもしれんからな。それに、別々に動いた方がプルと出会える確率は高くなる。
合流場所の伝言でも頼んでおけばいいだろう」
「わかった。といっても私達が知っている情報といえばさっきのアポロと、お前が戦ったという鬼みたいなやつくらいだぞ」
「貴重な情報さ。殺し合いに乗っている危険人物だからな」
「そうだな……むっ!? レイ、あれを見ろ!」
二人の前方に巨大な光の柱が立ち昇った。
つい数時間前にもみた光、アポロが放った強力な攻撃とまったくいっしょだ。
「どうやら戦闘が起こっているようだな。アポロに間違いないだろう」
「アポロめ……!」
「おいプルツー、待て!」
「危険人物は倒すと言っただろう! 今度こそあいつを!」

18 :
止める間もなくプルツーはすっ飛んで行った。
見送るレイはさてどうするかと迷う。
(ここでアポロを倒しておくのは悪くない。アポロと交戦している何者かとも接触できるな。だが俺が前線に赴くことは避けたい……)
「プルツー、俺の機体はまだ再生中だ。アポロのような強力な機体とぶつかるには分が悪い。ここは任せてもいいか?」
「わかった! 巻き込まれないように退避していろ!」
「すまない。出来る限り援護はする」
信用の証だろうか、プルツーはさほど疑うことなくそういった。アポロに気を取られているのだろうか。
(どちらでもいいか。とにかくこれで俺は戦場を俯瞰できる立ち位置を得た。
プルツーが危うくなれば援護するし、勝ちそうならとどめをもらう。ノルマをこなしておくに越したことはないからな)
戦闘を確認できるくらいの距離で岩山に機体を隠すレイ。
そこにいるのはプルツーのデュラクシール、アポロのダンクーガ、そして見知らぬ機体が二機。
(あの頭部……Gタイプか。だが連合の物でもザフトの物でもないな……)
レイが見ているのはコズミックイラではなく未来世紀のガンダムだ。
その名をゴッドガンダム。宇宙最強の格闘家、キングオブハートのガンダム。
ゴッドガンダムは二回り以上大きいダンクーガと互角の戦いを演じていた。
ダンクーガの鉄拳をまともに受けず受け流し体勢を崩し、すかさず一撃を加えて離れる。
かと思えば一瞬で懐に飛び込み、目にも止まらない攻撃を繰り出しダンクーガを吹き飛ばす。
武器に頼らず機体の四肢で戦うガンダム。見ているだけでパイロットのとんでもない腕がわかる。
(キラ・ヤマト並み……いや、格闘戦では奴ですら足元に及ばんな。オーブにあのような動きをするパイロットがいると聞いたことがあるが)
そこにプルツーが飛び込んで行き、事態を把握しかねたか双方の動きが止まる。
その瞬間――
「何!?」
レイの見ている前でゴッドガンダムが爆発した。

19 :

「総士……」
荒野の中、ゴッドガンダムとクストウェル・ブラキウムもまた放送を聞くために留まっていた。
そして呼ばれた死者の名前。知らない名前であろうともロムは怒りを抑えきれない。
こんな殺し合いですでに27人もの尊い命が失われた。そしてその中にはカノンの探し人もいたのだ。
竜宮島の仲間、皆城総士。そして別人であると思っていた羽佐間翔子。その二人の名があった。
「総士が死んだ……? それに、翔子も……」
「カノン……」
これでカノンの仲間と共に島に帰るという願いは叶わなくなった。
まだ他に三人いる。三人しかいない。一人はもう永遠に帰って来ないのだ。
「すまん、カノン。俺が不甲斐ないばかりに……」
「ろ、ロムが悪いわけじゃない……そ、それに、今の放送が本当かどうかだってわからないじゃないか!
私は信じない……総士が、し、死んだなんて!」
「だが、カノン……」
放送はおそらく真実だ、とロムは言おうとした。
カノンもそれはわかっているのだろう。だがあまりにもあっけなく告げられた宣告に納得できずにいる。
その気持ちを推し量りロムは口を噤む。無理に正論を説いたところで得るものはない。
カノン自身が現実を受け入れるまで、ロムは待ってやることしかできない。
しばらく二人とも無言でいたが、やがてロムは視線を険しくして彼方を睨む。
「獲物見つけたぁっ!」
その方向から空を割くように舞い降りてきたのは野生児アポロと超獣機神ダンクーガ。
落ちてくる勢いを利用し断空剣を振り下ろす。その先にいるのはいまだ呆然自失だったカノンのクストウェル・ブラキウム。
「させんっ!」
「なにっ!?」
断空剣がクストウェル・ブラキウムを真っ二つにする寸前、ゴッドガンダムの蹴りがダンクーガの手から断空剣を吹っ飛ばした。
アポロはまさかダンクーガよりかなり小さいはずの敵に防がれるとは予想もしておらず動揺した。
そこに一気にロムが距離を詰めてパンチとキックの連打を浴びせる。
「いててっ! こんにゃろ……!」
自慢の鉄拳を振り回すダンクーガだが、ゴッドガンダムは優雅な足さばきでひらりひらりとかわす。
そして的確にカウンターを打たれダンクーガはあえなく後退した。
「こいつ……やりやがる! へっ、上等だ!」
「待て! 俺たちは戦いに乗る気はない! 拳を収めろ!」
「ああ? ちっ、またお説教かよ。俺を止めたけりゃ力づくで来いってんだ!」
奇襲をあっさり防がれ手痛い反撃を喰らったアポロはすでに熱くなっており、是が非でもロムに仕返ししてやると息巻いた。
その愚直だがまっすぐな感情はロムにも届き戸惑わせる。

20 :
「なんだ……この邪気のない拳は!?」
ダンクーガの鉄拳をいなしながらもロムはアポロを悪人ではないと感じた。
テッカマンアックスに感じたような悪意や暗黒大将軍にあった信念が感じられない。
だが攻撃は紛れもなく本物であり、まともに当たればゴッドガンダムとてただでは済みそうもない。
「オラオラオラオラ!」
「くっ、聞く耳もたずか……ならば!」
キックをダッキングして避けて、ゴッドガンダムはダンクーガの軸足を蹴った。
ダンクーガの巨体が傾いて地面に叩きつけられる。
「ぐああああ!」
「殺しはせん、だが戦う力と意志は奪わせてもらう!」
「この……舐めんなああっ!」
ダンクーガが飛び起きてゴッドガンダムへと突進する。
だがゴッドガンダムは闘牛士のようにダンクーガの鼻先で舞い、そのたびにカウンターを入れていく。
その動きはロムの強さを知っているカノンでさえ一時の動揺を忘れて見入ってしまうほどだった。
「……ノン、カノン!」
「! え……?」
「カノン! 君は下がっていろ!」
気遣われているのだとカノンは思った。
たしかに総士と、それに翔子の名が呼ばれた動揺は大きい。
だが今ロムが闘っている敵は明らかにテッカマンアックスや暗黒大将軍ほど恐ろしくはない。
自分でも戦える、その思いがカノンの中で燃え上がった。
「わ、私も戦える!」
「駄目だ! 今の君には背中を預けることはできない!」
ロムは許さなかった。
友の死を受け入れず目先の戦いで悲しみを忘れようとしても、そんな気持ちで一体誰に勝てるというのか。
こと戦いにおいてロムは一切の妥協を見せなかった。
「戦いに逃げるな! 君の悲しみは君自身が抱えていくしかない。その気持ちを有耶無耶にしたままでは何も見えてはこない!」
「で、でも!」
「君の力が必要な時はいずれやって来る。だからここは俺に任せてくれ!」
そこでロムは言葉を切り、アポロとの戦いに集中した。
アポロもまたロムを差し置いてカノンを狙う気はないようで、一対一なら好都合だとますます勢いを増してロムに襲いかかる。
カノンは渋々、ロムの邪魔にならないように二人から距離を取る。
見ていればロムは勝つだろうというのはわかる。腕の差がありすぎる。
だがアポロはたまに驚くような動きでロムに迫る。その度にロムはうまく捌くもののカノンは冷や冷やしっぱなしだった。
自分でもあの攻撃は避けられる、でもその次の動きはどうだ?
アポロとの戦いをシミュレートし、自分はおそらく負けるだろうなと漠然と推測した。
(あいつ、がむしゃらだけど迷いがない……だから動きも速いんだ)

21 :
今のカノンではロムはもちろんのことアポロにもついてはいけない。
全力を出し切れない者に背中は任せられないのは当然のことだった。
(でも……じゃあどうしろって言うんだ。総士が死んだなんて、認められるものか……!)
放送という楔はカノンの奥深くに打ち込まれた。
他のみんなはどうするだろう。真矢は悲しむだろう。甲洋はそれほど知っている訳ではないのでよくわからない。
だが一騎は間違いなく動揺する。それもカノンの比ではないほどに。
一騎と総士の関係は島の外から来たカノンにだってわかるくらいに深い。
幼馴染とか親友とかでくくれるようなものではない。
クロッシングを用いるという意味を除外しても、半身と呼べるものだったかもしれない。
(一騎……お前はどうするんだ? 総士が死んだって聞かされて、どう思うんだ?)
迷いは晴れない。
そのカノンの目前で何度目かわからないくらいに叩きのめされたアポロが吠える。
「くっそ……! ちっとも当たりやがらねえ!」
「動きが大雑把すぎる。それでは俺に一撃入れるなど不可能と知れ!」
「うるせえ! パンチが当たらねえってんならこうするまでだ!」
ダンクーガは大きくゴッドガンダムから距離を取り全身の砲門を前方に向ける。
プルツーとの戦いで繰り出した断空砲フォーメーションの構えだ。
「パンチが当たらねえんなら……避けられねえくらいにでかいのをぶっ放す! うおおおおおおおおおおっ!」
「こ……この力は!」
ロムの後ろにはカノンがいる。避けることは簡単だが、それではカノンに直撃するかもしれない。
一瞬で判断したロムは光が収束しきる前にダンクーガに向けて跳んだ。
「天よ地よ、火よ水よ……我に力を与えたまえ……!」
「吹っ飛べええええええええええええええっ!」
「とああああああっ!」
断空砲フォーメーションが発射される――その寸前。
分身しながら近づいたゴッドガンダムの右拳が光り、ダンクーガの腹を殴り付けた。
衝撃でダンクーガは上を向かされる。
断空砲フォーメーションは空に向けて発射された。
間近にいたゴッドガンダムもまた、その光の中に巻き込まれる。
「ろ……ロム!?」
断空砲フォーメーションの凄まじい光を呆然と見ていたカノンが我に返る。
膝をつくダンクーガ。

22 :
「……ここまでだ!」
そしてそのダンクーガの腕を捻り上げるゴッドガンダムの姿があった。
「ロム……!」
「くそっ、外したか!」
「機体から降りろ。この体勢では逃げられんぞ」
「んだとっ!」
ロムの言葉通り、ダンクーガが必死にあがこうとするがどこを押さえているのかゴッドガンダムをどかせられない。
だがゴッドガンダムも無傷ではなかった。ダンクーガを殴った右腕が余りの高熱に黒く焦げ付いている。
ゴッドガンダムはパイロットの動きを反映する機体だ。つまり、ゴッドガンダムが受けたダメージまでもパイロットにフィードバックしてしまう。
ロムの右腕もまたとてつもない痛みに襲われていた。指先を動かす事も出来ない。
だがロムは顔色一つ変えず、残る左腕でダンクーガを押さえに出た。
結果アポロは自由を奪われこうして地に這いつくばっている。
ダンクーガのエネルギーにはまだ余裕がある。しかしこの体勢から頭上のゴッドガンダムを攻撃する武器はない。
「武器はない……じゃあこうすりゃいいんだよ!」
だがアポロは元々武器に頼らず戦うタイプ。
そしてダンクーガにはある特殊な機能があった。
「な……!?」
「分離した!?」
ダンクーガの頭部がはじけ飛び、鳥になって飛ぶ。
分離・合体機能。このように敵に捕まったときの緊急回避手段として用いることもできる機能だ。
イーグルファイターは戦闘機形態のままくるりと旋回し、抜け殻となったダンクーガを掴んでいるゴッドガンダムに体当たりした。
「ぐあ……!」
「へへっ、どうだ!」
片腕の動かないロムはろくに防御できず吹き飛ぶ。そして空いたダンクーガの上にアポロは悠々と着地し、再度合体した。
ゴッドガンダムもまた立ち上がる。だが断空砲フォーメーションのダメージは大きく、動きはぎこちない。
カノンはもう見ていられず、強引にでも戦いに加わろうとクストウェル・ブラキウムを前進させる。
「ロム! 私も……」
「手を出すな! これは一対一の勝負だ!」
だがやはりロムによって制止された。
「そんなことを言ってる場合か!そのダメージでは!」
「己が一度始めた勝負ならば、不利になったといって助太刀を頼むわけにはいかん!」
それはロムの矜持だった。
相手がギャンドラーのような非道の輩ならともかく、アポロはきっかけはどうあれ戦いそのものは何の裏もなく向かってきた。
断空砲フォーメーションを撃った時もカノンを一緒に狙った訳ではない。ロムを狙った時たまたま後ろにカノンがいただけだ。
そうさせてしまったのはロム自身の未熟さと言える。だからこそ、ロムはアポロと正々堂々と戦い勝利しようとしている。

23 :
「俺の名はロム・ストール! お前の名は何と言う!?」
「アポロだ!」
「アポロか……ではアポロよ、仕切り直しだ!」
「言われるまでもねえ、勝つのは俺だ!」
互いの名前を交換してロムとアポロは再びぶつかり合う。
先ほど以上に激しさを増す激突にカノンは息を飲む。
片腕が動かないというのにゴッドガンダムはますます鋭い動きでダンクーガを翻弄し攻め立てる。
一方スピードではかなわないと見たダンクーガは装甲の厚さを活かし、ゴッドガンダムが攻撃した瞬間を狙い反撃する。
技量は遥かに届かなくとも、アポロの野性の勘はときおりロムの想像以上の瞬発力を見せる。
相打ち狙いだと見抜いたカノンは冷や汗をかく。一度でも直撃すればゴッドガンダムは動けなくなってもおかしくはない。
避けて、殴って、避けて、蹴って、避けて、蹴って、避けて、避けて、避けられずに受け流して……
気が遠くなるような攻防が続く。
いつまで続くんだ、とカノンが焦り出した時状況が動いた。
「「っ!?」」
ゴッドガンダムとダンクーガの中間に撃ち込まれた砲撃が大地を吹き飛ばす。
距離を取った二人の前に巨大な機体が舞い降りてきた。
「見つけたぞアポロ! 今度こそおまえを倒す!」
「てめえは……さっきのやつか!」
プルツーのデュラクシールがダンクーガに襲いかかる。
しかしその鼻先に疾風のように回り込んだゴッドガンダムの手があった。
「くっ、邪魔をするな! お前達もこいつに襲われたんだろう!?」
「……なるほど、君もこの少年に用があるということか」
「そうだ!こいつは危険だ、だから私が……!」
「済まないが、それは少し待ってもらいたい」
プルツーの言葉を遮るロム。
「君の事情も知らずに言うのも申し訳ないが、この場は俺に預けてくれないか?」
「何……?」
「このアポロという少年の拳には邪気がない」
「だからなんだ。助けろとでも言いたいのか?」
「いいや。俺が彼と拳で決着を付ける、そう言ってるんだ」
ロムの言葉にプルツーはたじろぐ。カノンも同じだった。
だがプルツーも最初の場所で主催者に大見えを切ったロムのことは覚えている。
そのロムの揺るぎない決意に圧倒され、デュラクシールはゴッドガンダムに道を譲った。
「さあアポロ、決着をつけるぞ」
「俺は別に全員まとめてでもいいんだがな。まあいいや、やってやるぜ!」
お互いにこれで終わりだという覚悟を決めて拳を握る。
ダンクーガが駆け出し、体ごとゴッドガンダムにぶつかっていく。

24 :
「おりゃああああ!」
「天空宙心拳、奥義……!」
ゴッドガンダムの全身が光り輝き、カノンとプルは思わず目を背ける。
ダンクーガの鉄拳が炸裂する寸前でゴッドガンダムが深く腰を落とし
――――ズドォォーーーーーーーン――――
吹き飛んだ。
カノンは確かに聞いた。太く重々しい音、この場に鳴るはずのない音を。
慌てて駆け寄ったゴッドガンダムは地に伏して、ピクリとも動かない。
ダンクーガは立ち尽くしている。
「な……なんだ?何がどうなってんだ?」
「アポロ、貴様……!」
「ま、待て! 今のは俺じゃねえ!」
「とぼけるな! 何が拳で決着を付けるだ!やはりお前は生きていてはいけない奴なんだ!」
「く、くそっ! 何がどうなってんだ!?」
襲いかかって来るデュラクシール。
アポロは何か異常な事態だと気付きつつもプルツーの猛攻の前ではその違和感を説明することができない。
ダンクーガの頭上を飛び越えてきた砲弾を、プルツーはダンクーガが放ったものだと勘違いした。
おりしもゴッドガンダムがハイパーモードに突入したときの光で視界が利かなかったときのことだ。
ゴッドガンダムの背中の放熱フィンが熱と光を全て後方に排出したからこそ、プルツーにはその砲弾がどこから来たのか判断がつかなかった。
頭の隅ではそれをおかしいと思う部分がある。しかしジュドーを失った悲しみはプルツーから冷静な思考を奪っていた。
アポロを放っておけばプルが危ない。それどころかジュドーを殺したのもアポロなのかもしれない……!
すべての原因がアポロにあると断じプルツーはアポロへと襲いかかる。
レイは後方、ロムは倒れ、もうプルツーを止める者はいなかった。

25 :

「命中、っと。これでいいのかい?」
「まだだ……あの強き者は……まだ絶えてはいない……」
戦場から遠く離れた岩陰に潜む影が二つ。
一つはティンプ・シャローンのテキサスマック。
もう一つは剣狼を手にするメリオルエッセが一柱、ウンブラ。
ウンブラは放送を聞く片手間に地面に埋まっていたティンプを掘り起こした。さきほど戦ったロムを陥れるための布石になると思ったからだ。
予想以上に死者の数が多いことに驚きながらもウンブラは心地よくその流れに身を委ねる。
この場には負の感情が渦巻いている。その勢いはとどまる事を知らない――恍惚としているウンブラにティンプは『手を組まないか?』と声をかけた。
ウンブラは宇宙に上がろうとしていた。
だが最も近いシャトル施設には殺し合いに乗ったものが二人いる殿情報がティンプによりもたらされた。
排除することもできなくはないだろうが、二人となれば苦戦は必至だ。
そこにさきほどのロムが追いついてきてはたまらない、とウンブラは話だけ聞くことにした。
ティンプもまたゾラにはいないタイプの、そもそも人間ですらないウンブラとの距離の取り方に苦心しぎこちない情報交換をして。
そうこうしているうちにロムとアポロの戦闘を察知し、では手を組む条件としてロムを倒せとウンブラが言ったのが馴初めだった。
やることはティンプが最初にこの場でやった事と同じだ。揉み合っているところを狙いハイパワーライフルで狙撃する、ただそれだけ。
さほど抵抗もなくティンプは了承した。
この距離ならばハイパワーライフルの射程内だし、万一こっちの居場所がばれたとしてもまだあそこには動物みたいな機体が残っている。
まさか敵に背を向けてまで仲間の仇打ちに向かってきはしないだろう――とゾラのルールで考え、ティンプはあっさり引き金を引いた。
弾丸は狙い通りの弾道を飛び、目標に見事命中した。
だというのに相方は仕留めていないという。
「直撃の寸前……あの光輝の力で身を守った……まだ、生きている……」
煙が晴れれば、ウンブラの言葉通りゴッドガンダムはまだそこにいた。
本来なら腰から上はこっぱみじんになっているはずが、無いのは左腕だけだ。
(どうやらあの拳で砲弾を撃ち落としたって訳かい。とんでもねえ化け物だな)

26 :
狙撃を一瞬で察知し、あまつさえ道具を使わず拳で迎撃する男。
まともに戦っていればどうなっていたことか。
だがとにかく戦闘力の大部分は奪えたに違いない。倒れたまま起き上がらないのだから。
「で、どうするんだ。とどめをさすかい?」
「無論……」
ウンブラは影のようにすすっと荒野を走っていく。
機体はどうするんだと言おうとしたティンプだが、どうでもいいかとハイパワーライフルを弄びながら戦場を観察するティンプ。
これであの場にいる者全てを倒せるかどうかは微妙だ。適当に間引いたら離脱するのがいいだろう。
しめたことに残っていた機体と後から来た機体が交戦し始めた。
残る一つは倒れたままのロムを庇う構えだ。
(星四ついただきだ。いや……あの変な嬢ちゃんに当たっちまえば五つか。運が良ければ当たらんだろ、悪く思うなよ)
ウンブラに当たってもまあ仕方ないか……というような気分でティンプはハイパワーライフルを構え、引き金を引く。
狙いはダンクーガと争うデュラクシール。
――――ズドォォーーーーーーーン――――
再度発射された砲弾はまっすぐにデュラクシールの背中に向かって飛ぶ。
「見つけたぞ、痴れ者がぁぁああああああっ!」
しかし炸裂する寸前巨大な剣が飛来し、ハイパワーライフルの弾丸を切り払った。
後を追うように現れたのは全身に傷を負った巨人だ。
「あ、あいつは……!」
ティンプにも見覚えがある姿。7時間ほど前、まさに今とまったく同じ状況でティンプが撃った相手。
ミケーネの武人暗黒大将軍が戦場に踊り込んできた。

27 :

休息を取り補給をすべくG-5の基地を目指そうと動き出した暗黒大将軍の前に現れたのは、同じく修羅の道を歩む剣鬼だった。
ウォーダン・ユミルが駆るガンダムアストレイレッドフレーム。
、二人は言葉もなく剣を抜いた。
この相手に言葉は不要、ただ剣で語るのみ。
「我が名はウォーダン……ウォーダン・ユミル! ヴィンデル・マウザーの剣なり!」
「俺は暗黒大将軍! ミケーネの将よ!」
暗黒大将軍がまず小手調べと竜巻を放てば、アストレイはガーベラストレートでその竜巻を一刀両断。
パスチャーキングがいななきアストレイが戦国時代の武者よろしく突撃、暗黒大将軍は受けて立つとばかりにダークサーベルを構える。
「はああああっ!」
「ぬおおおおっ!」
パスチャーキングの頭上を閃光の速さで刃が往復し、その度に馬は首を縮こまらせた。
そのまま数分、いや数十分と剣をぶつけ合う二人。
業を煮やした暗黒大将軍が覆いかぶさるように剣を振り下ろすと、アストレイの足がパスチャーキングの腹を蹴りその剣の下をくぐらせる。
駆け抜けざまにパスチャーキングは後ろ脚で蹴りを放つ。さしもの暗黒大将軍もまともに受けられないと後ろにジャンプする。
置き土産の竜巻を放てば、アストレイは怯まず竜巻の中に馬を走らせる。
ガーベラストレートが竜巻の中心を割き、暴風を剣身にまとわりつかせる。
暗黒大将軍の力を殺さず我がものとしてウォーダンは吠えた。
「受けよ、竜巻菊一文字・虚空斬波!!」
「む……おおお!?」
逆巻く風がガーベラストレートをコーティングする。
それ自体が風によって加速しているため、まさに雲耀の速さで放たれた一閃を暗黒大将軍はなんとかダークサーベルを盾に受け止める。
その瞬間風が解放され真空波となって暗黒大将軍に襲いかかった。
血風が舞い散り暗黒大将軍は後退する。
「押し込む!」
「させぬわ!」
一気に勝負に出ようとしたウォーダンを阻むべく暗黒大将軍の双眸が輝き破壊光線となって解き放たれる。
パスチャーキングが蹄を地に突き立て急減速。それはウォーダンの意に沿うものではなく、なればこそ動きに停滞が生まれる。
そこに喰らいつく暗黒大将軍のもう一つの剣。内蔵されたエネルギーは尽きてもセレブレイダーは剣の役目は失っていない。
アストレイの全長とほぼ同サイズの大剣を、ウォーダンは受け止めること叶わぬと見て刃を倒し流すべく専心する。
同時に足裏で馬腹を蹴り身を沈めさせた次の瞬間ガーベラストレートとセレブレイダーは火花を散らしつつ弾き離れた。
ここぞと間合いを取るウォーダン。その手はじわりと汗に濡れていた。
「さすがはミケーネ帝国七大軍団を率いる武人……なんという剣の冴えよ!」
「フフフ……貴様もやるではないか。この俺と剣でここまで渡り合うとはな!」

28 :
今まで戦ったどの相手とも違うタイプ。マジンガーとも、張五飛とも、ロム・ストールとも違う。
純粋な剣技でここまで暗黒大将軍と互角に戦った者はかつていなかった。
ごまかしようもなく腕の差で勝敗は決する。
互いに供はなく、邪魔する手合いもいない。体調も万全となれば引く理由がない。
暗黒大将軍はセレブレイダーを両手で構えた。
「だがここからが本番だ。貴様のその剣でどこまで耐えられるかな!?」
「セレブレイダー。なるほど、その剛剣を前にしてはガーベラでは少々役不足だな。ならば……!」
アストレイはガーベラストレートを収め、かわりに背中から棒を引っ張り出す。
あまりにも貧相なその獲物に暗黒大将軍は失笑した。
「何のつもりだ? そんなもので俺の剣を防げるというのか!」
「言うに及ばず……我が行く道はただ一つ、障害は剣によって切り払うのみ! 伸びろ、ザンバァァァッ!」
「な……なに!?」
棒から幾筋も光が飛び出し、一瞬後には見事な巨剣となって暗黒大将軍の前に現れる。
その長さ、大きさはセレブレイダーと比較しても見劣りしない。
さすがに片手では構えられずアストレイの両手でその柄を保持し、頭上でぶうんと旋回させるウォーダン。
「いざ! 斬馬の一撃、受けてみよ!」
「ふっ、よかろう! この俺の一刀こそが貴様を馬共々切り捨てる斬馬刀だと知るがいい!」
「チェストォォォォォッ!」
「でぇぇええええええい!」
同時に走り出し横にいる相手に向けて次々に剣戟を繰り出す。
ダイターンザンバーが岩山をバターのように斬り裂き、セレブレイダーが大地を豆腐のように断ち割る。
剣の嵐が通りすぎた道は一切合切が切り捨てられ平らになっていく。
だがその中心の二人、暗黒大将軍とウォーダンの身にはいまだにどちらの刃も届かない。
「はあっ!」
「甘いわ、そこっ!」
「見切った!」
「抜かせ!」
アストレイがパスチャーキングを走らせれば、暗黒大将軍は片手でダークサーベルを抜いてその鼻先を薙ぎ払う。
セレブレイダーがアストレイを頭から真っ二つにしようとすればダイターンザンバーが絡み剣の軌跡を変える。
破壊光線がパスチャーキングの足元を撃ち歩みを止めれば、瞬時に馬の背から飛びあがったアストレイが機体の全身を使ってザンバーを振り下ろす。
風をまとわせたセレブレイダーで掬いあげるようにウォーダンの斬撃を防いだと思えば、アストレイはひらりとパスチャーキングの鐙に腰を下ろす。
気がつけば暗黒大将軍は数刻前に張五飛と戦った場所まで戻ってきていた。
「ふ……フフフ……」
「どうした、何を笑う?」
「強い、強いな……! 貴様のその剣腕、あのゼンガー・ゾンボルトにすら劣らぬ!」
「ゼンガー? 知らん名だな」
「知らずともよい。だが奴は神をも断つ剣……貴様を切れば俺はまた一つ奴に劣らぬ強さを得ることができる!」
「誰と比べているのか知らんが、不愉快なことよ。貴様の前にいるのは俺だ、暗黒大将軍だ! ゼンガーとやらではない!」
「……そうだな、非礼を詫びよう。この返礼は剣によって……!」
「そうだ、来い! そしてこの俺の剣の錆になるが……」

29 :

――――ズドォォーーーーーーーン――――
暗黒大将軍の声は、突如響いた銃声によって断ち切られた。
敵を目の前にしているというのに暗黒大将軍はその音の方向に顔を向ける。
まるでウォーダンになど何の興味もなくなったかというように。
ウォーダンにもその銃声は聞こえていたが特に反応はしなかった。
ウォーダン達に向けられたものではないというのが音の拡散具合で分かったからだ。
だが暗黒大将軍は隙を見せた。やろうと思えばウォーダンは暗黒大将軍を仕留めることができたが、何故か身体は動かなかった。
何故ならその音を聞いた暗黒大将軍の横顔が、凄まじい怒りによって歪んでいたからだ。
「……ウォーダン・ユミルよ、勝負を預けさせてはくれんか」
「何?」
「今聞こえた銃声、間違いない! 俺とマジンガーの、草薙剣児との勝負を汚した卑劣漢よ!
奴が近くにいる……逃がすことはできん! 奴の血で草薙剣児の無念を購わせてやる!」
「…………」
「虫のいい話だとはわかっている。だがこの機を逃せば奴はまた行方をくらますだろう。今行かねばならんのだ……!」
「俺から逃げるわけではないのだな?」
「逃げる? 貴様、この俺が背中を見せて逃げるというのか!? ふざけるな!」
「……失言だったな。いいだろう、剣を収めよう。ただし条件がある」
「なに?」
「その卑怯者を切った後、改めて死合を所望する。そのため俺も同行させてもらう……どうだ?」
「俺の邪魔をする気か?」
「そうではない。俺も、武人の戦を汚す輩を見過ごす事は出来ん。だがお前がそいつを切るというなら俺は身届け人となろう」
「……よかろう。では奴を切った後、仕切り直して立ち合おうではないか」
「了解した」
暗黒大将軍とアストレイはお互い剣を収め、一路銃声が聞こえた方角へ向けて走り出す。
やがて戦場が見えてきた。
基地で得た情報からウォーダンは即座にそれらの機体の戦力を推察する。
(ゴッドガンダムとクストウェル・ブラキウム、ダンクーガに……そしてデュラクシールか。
デュラクシールとダンクーガが交戦している……ゴッドガンダムは負傷したか?)
倒れたままのゴッドガンダムを庇うようにクストウェル・ブラキウムが立ち、その視線の先に小さな点のような機体が一つ。
あれが暗黒大将軍のいう卑劣漢なのだろう、と当たりを付けた瞬間に、

30 :

――――ズドォォーーーーーーーン――――
二度目の銃声が鳴り弾丸はまっすぐにデュラクシールの背中を狙って飛んでくる。
(仕合っている者の背を狙うとは……!)
その唾棄すべき行動にウォーダンの怒りが爆発し、パスチャーキングを走らせようとした刹那、
「見つけたぞ、痴れ者がぁぁああああああっ!」
暗黒大将軍の手からセレブレイダーが弾丸のように投げ放たれた。
投剣は砲弾を両断し、爆炎をまき散らす。
宙に舞った剣を駆け抜けざまに掴み取り、暗黒大将軍が狙撃手へ向けて突撃していった。
「俺の出る幕ではないな」
見送ったウォーダン。かといってこのまま暗黒大将軍が戻って来るまで傍観しているのも興が乗らない。
都合よく戦場には相手のいない者が一人いる。ゴッドガンダムを守るクストウェル・ブラキウムだ。
「フューリーが開発した近接格闘戦用オルゴン・エクストラクター搭載機……相手にとって不足はない!」
パスチャーキングを走らせ、ダイターンザンバーを構えるアストレイ。
気付いたクストウェル・ブラキウムが構えを取る。だが遅い。
このまま一刀両断だ――ウォーダンは確信した。
「……なにっ!?」
だがその確信はクストウェル・ブラキウムではなく倒れていたはずのゴッドガンダムによって打ち砕かれる
左腕がなく右腕も半分壊れかけているゴッドガンダムが、一瞬で飛び起きて右肘と右膝で挟み込むようにダイターンザンバーを白刃取りしていた。
「……無事か、カノン……?」
「ロム! 大丈夫なのか!?」
「ああ……俺は大丈夫、だ。それより……逃げるんだ。こいつ……とてつもなく、強い……!」
一刀を受けただけでロムはウォーダンの技量のほどを見抜いた。
盟友ブルー・ジェットに匹敵するほどの剣腕。数刻前に戦った暗黒大将軍に勝るとも劣らぬ剣の冴え。
とても本調子ではないカノンを気にしながら戦える相手ではない。
ロムとて満身創痍ではあったが、戦意だけは衰えさせずウォーダンを睨みつける。
「カノン……!」
「できない! 私だけ逃げるなんて!」
「なら……頼む、俺の代わりにあの二人を止めてくれ……! アポロとあの少女を……早く!」

31 :
敵はアストレイだけではなく、狙撃をしてきた謎の敵もいる。
狙撃を全く感じ取れなかったカノンがいても、ロムの足を引っ張るだけだ。
なら今も戦っているアポロと少女を止めて、少なくとも敵対的ではない少女を味方に引き入れロムを援護する……それが最善とカノンは判断した。
「ロム……死ぬなよ! 私もすぐに戻る!」
「ああ、わかっている……」
クストウェル・ブラキウムが後退していく。ロムは警戒していたが、ウォーダンは動かなかった。
逃げる獲物になど興味はない。そんな者よりもっと素晴らしい敵が目の前にいるのだから。
「こうも立て続けに強者と死会えるとはな……僥倖とはまさにこのこと! 我はウォーダン、ウォーダン・ユミル! シャドウミラーの剣なり!」
「シャドウミラー!? 奴らの手の者か」
「強き武人よ、いざ尋常に……む!?」
ウォーダンがロムに切りかかろうとした瞬間、背筋をぞくりとする感覚が這いあがる。
同じ感覚をロムも感じたか、構えを崩し気配の出所を探るべくロムは気を集中させる。
「……いかん! カノン!」
ロムが探し当てた気――邪気の塊は、後退していくカノンのすぐそばだった。
クストウェル・ブラキウムの足元に、黒い渦のようなものが――人影がある。
人影は何か細い物を掲げる。
それは剣――ロムの愛刀、剣狼だ。
『――二段合身』
邪気がそう唱える。聞こえた訳ではなく感じた。ロムが散々身をもって成してきた行為。
閃光が走り、クストウェル・ブラキウムの横にそれは現れる。
パイル・フォーメイション。

「……バイカンフー……!」

呟くロムに応えるようにバイカンフーはクストウェル・ブラキウムめがけて拳を繰り出した。
不意を打たれクストウェル・ブラキウムは倒れる。
クストウェル・ブラキウムのコックピットにバイカンフーは剣狼を突きつけた。

――さあ、救えるものなら救ってみろ

と宣言するように。
前方のバイカンフー、後方のアストレイレッドフレーム。
ウンブラとウォーダン・ユミルという二人の強者に囲まれロムは悟る。
紛れもなくここが死地であると。

32 :
【一日目 14:45】
【ロム・ストール 搭乗機体:ゴッドガンダム】
パイロット状況:疲労(中)、左腕にダメージ大
機体状況:装甲表面にかなりのダメージがあります。左腕が欠落、右腕破損(なんとか動く)
現在位置:F-4 荒野
第1行動方針:ウンブラ、ウォーダンに対処しつつカノンを助ける。アポロとプルツーの戦いを止めたい。
第2行動方針:カノンと行動しつつ、決闘の場所を目指す
第3行動方針:悪を挫き弱きを助ける
第3行動方針:真壁一騎、皆城総士、遠見真矢、春日井甲洋の保護
第3行動方針:19時の暗黒大将軍との再戦に備える(上と同じくらいの重要度なので3を並べてます)
最終行動方針:剣狼を取り戻しシャドウミラーに正義の鉄槌を与える】
※羽佐間翔子は同姓同名の別人だと考えています。
【カノン・メンフィス 搭乗機体:クストウェル・ブラキウム(スーパーロボット大戦J)】
パイロット状況:???
機体状況:装甲がへこんでいる以外良好
現在位置:F−4 荒野
第1行動方針:ロムと行動を共にし、強くなる。
第2行動方針:竜宮島の仲間と合流する
最終行動方針:仲間と一緒に竜宮島に帰還する】
※羽佐間翔子は同姓同名の別人だと考えています。
※カノンの状態はお任せします。
【ウォーダン・ユミル 搭乗機体:アストレイレッドフレーム(機動戦士ガンダムSEED ASTRAY)
パイロット状況:良好、気力充実
現在位置:F-4 荒野
機体状況:ビームコート装備、損傷軽微、ダイターンザンバー装備、パスチャーキングに騎乗
第一行動方針:ヴィンデルの命令に従う
第二行動方針:次の戦闘相手を求める
第3行動方針:ロムを倒す
第4行動方針:暗黒大将軍が仇を打った後で再戦する
最終行動方針:ヴィンデルの命令に従い、真なるメイガスの剣になる為にも優勝を目指す
備考1:ヴィンデルを主人と認識しています
備考2:放送を聞き逃しています。】
※G-5エリアの基地のデータベースには会場に支給された機体の情報が入ってます。放送ごとに追加機体の情報も追加されます。
※ダイターンザンバーは柄だけの状態でアストレイの背部に背負う形で収納されています。

33 :
【ウンブラ 搭乗機体:バイカンフーwith剣狼(マシンロボ クロノスの大逆襲)
パイロット状況:良好
機体状況:良好
現在位置:F-4 荒野
第1行動方針:この状況を利用してロムを
第2行動方針:人間の性質に合わせ利用し負の感情を狩り集める(※)
第3行動方針:宇宙に上がり地上の負の感情の流れを観察する。
基地に殺し合いに乗る人間がいるなら別ルートを探す。
最終行動方針:狩り集めた負の感情を破滅の王に捧げる
(※)について
殺し合いに乗った人間→接触を避ける
強い人間→疑心暗鬼を撒くため、カノン、ロム、その他数人が危険であると情報を流す
それ以外→負の心を絞って】
【プルツー 搭乗機体:デュラクシール(魔装機神〜THE LOAD OF ELEMENTAL)
パイロット状況:疲労(中)、強い怒り
機体状況:装甲各部位に損傷 戦闘に支障なし 肩パーツ(タオーステイル)がいくつか破損 EN・弾薬残り60%
現在位置:F-4 荒野
第一行動方針:アポロを倒す
第二行動方針:プルと合流し守る。レイはかなり信用しています。
第三行動方針:ゲームに乗らない参加者と協力。
最終行動方針:ゲームからの脱出、または打破。その後主催者の技術を奪いジュドーを……?
参戦時期:原作最終決戦直後】
【アポロ 搭乗機体:ダンクーガ(超獣機神ダンクーガ)
パイロット状況:疲労(小)
機体状況:装甲各部位に損傷 戦闘に支障なし EN60%
現在位置:F-4 荒野
第1行動方針:どうなってんだ!?
第2行動方針:ダンクーガの性能にご機嫌。誰だろうがぶっ倒す!
最終行動方針:ぜんぶ倒して、最終的にはヴィンデルって野郎もぶっ倒す!
備考:地図、名簿共に確認していません。そもそも気づいてもいません】

34 :

やべえやべえ、あのときの化け物がこっちに向かってきやがる!
どうも俺を気満々って感じだ。今時復讐なんて流行らねえってのによ!
だがまあまだ三日たっちゃいねえ、無罪放免って訳には行くめえ。
じゃあどうする、あのウンブラって嬢ちゃんは向こうに行っちまったしこの場には俺一人しかいねえ。
せめてパスチャーキングがありゃ逃げることも……って、あのクソ馬そこでなにしてやがる! てめえの主人は俺だろうが!
何勝手に他のやつ乗せてんだ俺に許可を取れ……ってんなこと言ってる場合じゃねえ!
来た、来た、来た!
どうする俺、どうする!?ちくしょうやっとあのドマンジュウとお別れできたっていうのに!
ああ、俺はなんて不幸なんだ!?
【一日目 14:45】
【ティンプ・シャローン 搭乗機体:テキサスマック(PK)(真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ)
パイロット状況:良好
機体状況:良好 ハイパワーライフルの弾を5発消費
現在地:F-4 荒野
第1行動方針:暗黒大将軍に対処。逃げたい
第2行動方針:他の参加者の情報を集める
第3行動方針:可能な限り優勝は目指す
最終行動方針:生き残る

35 :

草薙剣児との戦いに横槍を入れた者をついに見つけた。
暗黒大将軍は迫りくる砲弾を見た瞬間、全ての怒りを爆発させた。
だから暗黒大将軍は気付いていない。
ウォーダンとの剣舞に興じる余り放送を聞き逃し、宿敵である剣鉄也の名が呼ばれたことを。
通りすぎた戦場の中心に、再戦を約束したロム・ストールがいたことを。
いまはただ怒りのままに剣を振るうのみ。
暗黒大将軍は止まらない。
【一日目 14:45】
【暗黒大将軍 支給機体:セレブレイダー(神魂合体ゴーダンナー!! SECOND SEASON)
パイロット状況:全身に大きなダメージ、激しい怒り
機体状況:良好、ENほぼ空、セレブレイドに変形中
現在位置:F-4 荒野
第一行動方針:ティンプ(名前は知らない)を八つ裂きにする
第二行動方針:剣鉄也を倒す
第三行動方針:ティンプを倒した後でウォーダンと決着を付ける
第四行動方針:ダイヤが現れたのなら決着を着ける
第五行動方針:余裕ができたらガンバスターを破壊する
最終行動方針:ミケーネ帝国の敵を全て排除する
備考1:セレブレイドは搭乗者無しでも使い手側の意思でプラズマドライブが機動できるようになってます
無論、搭乗者が普通に機体を使う事も可能です
備考2:放送を聞き逃したので剣鉄也が死亡したことを知りません
備考3:近くにロム達がいることに気付いていません】

36 :

「どうするべきかな、これは……」
一方、戦場の後方からレイは全てを見ていた。
ロムとアポロの戦闘。そこにプルツーが介入する。
その隙を狙い何者かがロムを狙撃した。
プルツーはその攻撃をアポロによるものと勘違いしたか、アポロへと攻撃を仕掛けている。
再度の狙撃は乱入してきた第三者、驚くべきことに数時間前にこの場所でレイも交戦した暗黒大将軍によって防がれた。
暗黒大将軍はそのまま狙撃手へと向かっていき、共に現れたアストレイタイプのモビルスーツはロムへと攻撃を仕掛けた。
かと思えばロムの仲間のそばにまた新たな機体が出現し、ロムの仲間を攻撃。
ロムはその敵とアストレイタイプとに挟まれ身動きが取れない……というのが現在の状況だ。
ではここでレイはどう動くべきか。
当初の予定通りアポロを倒し、ロム達と協力して襲撃者を撃退するのか。
襲撃者に与して手強いのが明白であるロムをここで脱落させるのか。この場合はその後で他の襲撃者を退けなければならないが。
あるいはここから最大威力の砲撃を打ちこんで全員を亡き者とするか……まあ、これはおそらく無理だろうとレイは思っている。そんな安易な手で仕留められるほど容易い相手ではいない。
「ふむ……」
「暇そうだな、若造。ならワシと遊ばんか?」
不意に聞こえてきた声にレイは戦慄する。
レーダーには何も映っていない。幻聴か? いや違う。
「……ぐっ!?」
その証拠にR-GUNリヴァーレが激しく揺れる。なにか巨大な衝撃によって吹き飛ばされているのだ。
とっさにカメラを巡らせると、岩の上に一人の男が立っている。
下着一枚しか身につけていない壮年の男。平たく言えばとしか表現できない男が。
「……な」
「戦を安全な場所から高みの見物とはな。気に入らん……気に入らんぞ! 貴様のような腑抜けはこの衝撃のアルベルトが叩き潰してくれる!」
(なんだこいつは!? 俺はいったい何をされたんだ!?)
安全を重視した結果レイは十傑集が一人との戦いの道を選んでしまった。
レイの常識をはるかに超越する超人。
向こうの戦場は誰もこちらに気付いていない。
プルツーも援軍に呼び戻す事は厳しい。
一対一の戦いが始まる。

37 :
【一日目 14:45】
【レイ・ザ・バレル 搭乗機体:R-GUNリヴァーレ(バンプレストオリジナル)
パイロット状況:疲労(小)、動揺
機体状況:EN残り40%、装甲各部位に損傷(再生中)、ガンスレイヴ一基破壊(再生中)、ディアブロ・オブ・マンデイの大斧を所持
現在位置:F-4 荒野
第一行動方針:プルツーを利用し、参加者を減らしていく。アルベルトに対処
第二行動方針:シンを探す。協力を要請するが、場合によっては敵対も辞さない
第三行動方針:ラウは……
最終行動目標:優勝狙い
備考1:メサイア爆発直後から参戦
備考2:原作には特殊能力EN回復(大)がありますが、エネルギーはポイントで補給しなければ回復しません】
【衝撃のアルベルト 搭乗機体:なし
パイロット状態:下着一枚しか着ていません。十傑集走り中。疲労(中)
現在地:F-4 荒野
第1行動方針:レイを倒す
第2行動方針:街へ向かう。服が欲しい。
第3行動方針:他の参加者及び静かなる中条の抹殺
最終行動方針:シャドウミラーの壊滅
備考:サニーとのテレパシーは途絶えています】

38 :
以上で代理投下終了です。
書き手氏&これまで代理投下していた方、乙です。
これは凄い大乱戦www
フラグが一気に形になりましたな
ロム兄さんは死地を抜け剣狼を取り戻せるのか!?

39 :
投下乙!
こ、これは続きが気になるメチャクチャいい話!
二転三転する戦局にどきどきわくわくでした
色んな人が関わったり、場面転換も多いのにだれないのがすげええ
面白かったです、どうなる次回!
特にロム兄さんとレイ!

40 :
規制解けたかテスト

41 :
完全に勢い止まったな

42 :
さて

43 :
荒野を西に向かい、街を目指す二つの機体。
放送が流れているがレーベンは歩みを緩めるつもりは毛頭ない。
耳を傾けてはいるものの殆どは周りへの注意に意識が向いている。
ゴライオンは満身創痍、ジャイアントロボを所有しているとはいえ安心は出来ない。
補給をするまで、無駄なエネルギーを消費したくも無ければ、周りの参加者との接触も避けておきたい。
なによりエーデルが参加している可能性がある以上、彼女を見逃すことは絶対に出来ない。
『……ジャミル・ニート、ジュドー・アーシタ、タスク・シングウジ……』
「タスクだと!無様な!俺以外の者に殺されるなどとは!」
そのほとんどを流すように聞いていたレーベンが、初めて意識した内容はいつか再戦すると決めた男の名前。
『……テッカマンレイピア、テレサ・テスタロッサ、ジロン・アモス……』
「……まあいい。いつかは奴を殺した相手も捜し出し、俺の手で」
しかし自分の殺した相手の名を気に留めることはない。
死亡者の発表が終わる。エーデルと関係があるであろうジ・エーデルの名が呼ばれなかったことに安堵した。
『最後に追加機体の位置を発表させてもらう……。C−5の北の橋に一つ。』
「C-5……だと?」
次に反応した内容は追加機体の発表だった。
徐にゴライオンを停止させると、付いてくるように命令していたジャイアントロボも動きを止めた。
レーダーに映る地図から現在位置を確認する。B-4の南南東5時の位置といったところだ。
補給地点のある市街地のほうが位置的には近い。追加機体の元へは全速力で急げば30分程で着ける。
欲張って両方を得ようなどと思っても、行って戻ってなどしていれば機体は奪取されているか、他の参加者が待ち伏せしているか。
「補給を選ぶか、追加機体を選ぶか。……一種の賭けだな」
機体の補給。エネルギー、弾薬は回復し安全ではあるだろう。だがこれ以上の戦力増加にはならない。
追加機体の奪取。傷ついたゴライオンから新しい機体に乗り換えられる。
だが弾薬も尽き、剣は折れている。全速力で移動しエネルギー消費した機体で複数の参加者と出くわせば苦戦は必死。
そもそもゴライオンやジャイアントロボより、見劣りする機体であれば行く意味は無い。
そして悩んでいる時間も、又無い。
「賭け――運だめしか」
死んだ男が言っていたそんな言葉を思い出す。
「俺は第一回放送を生き延び、奴は死んだ。・・・・・・ならば、運があるのはこの俺だ!着いて来い!ロボ!」
殆ど根拠など無いような自信でレーベンは追加機体を選び、C-5を目指す。

44 :

◇ ◇ ◇
上へ上へと昇り続ける禍々しい機体。
放送が終わっても搭乗者の碇シンジは、心此処にあらずといった表情で涙を流し続けている。
『シンジ。放送の内容はこちらで記録しておいたでござります』
「うん。ありがとう」
間抜けた口調だが優しく語りかける同乗者の言葉にも呆けた返事しか返さない。
『ノルマを達成しお前はジョーカーではなくなった。これからどうする?』
「これから……?今は何処に向かっているの?」
『宇宙だ。このまま行けばb-2辺りに出るだろう。だが大丈夫だ。使徒はエラ呼吸的なあれで活動できる』
W14のウィットにとんだジョークも泣かず飛ばずだ。
「……宇宙か……」
行った事はない。広くて大きくて生物なんてほとんど居ない。
煩わしい人間関係に頭を悩ませる必要も無い。
ここから逃げて、そこにずっと漂っていたい。
「でも駄目なんだ。僕は戦わなくちゃ……」
前を向いていく。そう決めた。あいつに殺された鉄也さんの意思を受け継ぐためにも。
「僕は強くて”正しい”人と一緒に戦って生きたい。一人じゃ無理だけど力を合わせたら……」
『強くて正しい人か。なら下を見ろ』
「……下?」

45 :
ゼルエルは上昇をやめ、地上へと目線を向けた。
会場全てを見渡せるわけではないが大地が眼下に広がる。なんだかミニチュアのそれのように思えてしまう。
『東の方角に機体が集まっている。第一回放送を乗り越えた猛者たちだ。
 そしてあれだけの人数が集まれば混戦となるだろう。その中で生き残る者は充分強者と言える』
「確かに強い人たちが集まる場所だろうけど、でも駄目なんだ。
 戦って傷ついて、その人たちは弱くなっちゃう。力の無い正義は無力だ。そんな人たちは必要ない」
『では逆に今は弱いかもしれないがこれから強くなる可能性のある参加者ならどうだ?』
「これから強くなる?」
『追加機体。会場に連れてこられた時に聞いているだろう。
 戦いで機体が傷つき、弱くなった者が目指す。ここまで生き延びているならそれ相応の実力を持っているはずだ』
「じゃあ、鉄也さんは……鉄也さんはそれに乗り換えれば死ななくて良かったの?
 強くなくなってしまった鉄也さんは、鉄也さんは、僕は鉄也さんを――」
地雷を踏んでしまった。うまく塞ぎこんだ彼を誘導したつもりではいたのだが。
剣鉄也の『死』を意外な形で悔やみ始めた。
W14はシンジが『手にかけたのは自分でも、殺したのはラカン』であると割り切っている。そう判断していた。
鉄也が死んでしまったのはラカンのせいである、と。
身勝手な理屈ではあるが、彼の中でロジックが完成していればW14にとってはそれでいい。
しかし彼は鉄也を『殺したのは自分だ』と認識しているような後悔の仕方を見せた。
なんにせよ、彼の心を閉じさせる訳にはいかない。だからロジックが整うように彼女はシンジに助言する。
『シンジ。おまえは間違ってなどいない。例え、間違っていたとしてもそれは二度と間違えないようにすればいい。
 間違いなんて誰にでもあるさ。人間だもの』
「そうか。そうだよね。人間は間違える生き物だから」
『……それでいいんだ。シンジ。』(本当にそれでいいのかしら)
うまく彼のグラついた彼の精神を安定させることが出来た。と喜ぶべきだろう。
だが彼をこのまま、この不安定な状態にしておいて良いのだろうか。
彼の言う”強くて正しい人”はゆがんでいるように思える。
人造人間の思考にノイズが混じり始めていることにまだ彼女は気付かない。
「行こう。その場所へ」
『はいなー。出発進行ー!』
黒い流星が大地へと振る。

46 :

◇ ◇ ◇
レーベンの追加機体を手に入れるという選択。これは正解と言って良い。
素直に機体の補給を選んでいたら、B-4の街でそのまま敵対することになるだろう集団と出くわすことになったのだろう。
もしもテレサ・テスタロッサ達と、戦闘をしていなければ
戦闘後に少しの間休みを取り、あの不味いレーションを口に含んでいなければ
エネルギーを浪費しないように空を行かず、大地を進んでいなければ
C-5に追加機体が設置されなければ、レーベンも今頃は死んでいたかもしれない。
そしてC-5周辺には放送前後、殆どの参加者が居なかった。
だからこそ、この地域に追加機体が設置された。とはいえる。
結果、レーベンは誰とも出会うことなくこのC-5北の橋の西口へと足を踏み入れたのである。
だがそんな事実を知らない彼は全速力を出していても周囲の警戒を怠ってはいなかった。
ジャイアントロボを先行させ、敵襲が無ければその後を付いて行く。
C-5に着いてからは尚のこととも言える状態だったかもしれない。
周りを念入りに確認し橋を渡る。水中では熱源反応で感知するレーダーの効き目は悪い。
追加機体を狙って現れる参加者を奇襲などということがあってもおかしくは無い。
だがそれも結局は杞憂で終わる。
ここまでは幸運が幸運を呼び、順調に事が運んでいる。
だが重要なのはこれからだ。追加機体がどれほどの能力を秘めているのか。
橋の中腹にそれはあった。
ゴライオンよりも少し低い程度の四角柱を積み上げたような機体。
残念ながら獅子の意匠は施されていないがゴライオンのそれよりも更にカラフルに彩られている。
未だ辺りを警戒しながらゴライオンからそれへと飛び移る。
ジャイアントロボは水中に待機させた。他の参加者にとってイレギュラーな要素はあった方が良い。
コクピットを見つけるのに一苦労しながらも、やっと見つけたその中へと入った。
シートに無造作に置かれたマニュアルを発見し、読み込む。
使えそうなものなら乗換え、そうでなければ破壊するだけだ。

47 :

「戦神の名を持つ機体か。」
――ゴッドマーズ、それがこの巨神の名称。
ゴライオンと同じく複数の機体が合体してこの巨大なロボットとなる。元となるのはゴライオンよりも1体多い6体の巨神。
だが同じ複数機の合体機でもゴライオンと違う点がある。
ゴライオンは分離時の各機体を各1名の人員で動かすというのが本来の使い方だ。
対してゴッドマーズはその6機全てを自身の脳波でコントロールが可能なのである
これでジャイアントロボをプラスワンし、計7体の機体を同時展開可能になった。他者よりも大幅な戦力の増強が期待できる。
武装面はどうであろう。合体時に剣を必殺の武器として使用するのもゴライオンと同様だ。
しかし合体時にはゴライオンと比べ、あまりにもその他の武装は少ない。
だがそれが決定的な戦力差とイコールで結び付けられるわけではない。
強いからこそ、その武装は最小限に抑えられていると見て問題ない。
それはギシン帝国軍の殆どの戦闘メカを一撃で倒してきた輝かしい戦歴からも伺える。
とはいえそこまでマニュアルには詳しく描写されているわけではないが。
とにかくこの機体は5人乗らなければ本来の力を発揮できないゴライオンの上位互換とも呼べる機体である。
まさしくレーベンが渇望したゴライオンよりも強力で、何者にも負けないだろう力がここにある。
しかしレーベンが気にしていることはまったく別のことであった。
「コアロボットの名は地母神の名とはな。良いだろう!
 新しき地母神たるエーデル准将に仕える身であるこの俺が古き地母神を使役するのも!」
自身の敬愛する女性を思い、悦に浸っていた……。
「なんだ。この感覚は……」
ゴッドマーズを起動してから感じ取れるようになったソレ。
若干の頭痛を伴うが、殺し合いの会場を参加者の感情が漂っているのが解るのだ。
放送後ということもあるのだろう。悲しみ、怒り、恐れの感情が殊更多く感じた。
それらの感情に流され、押し潰されそうになるレーベンの精神。
「こんなものがなんだ!この程度か!お前たちの悲しみとは!怒りとは!恐れとは!この程度の感情で!
 俺のエーデル准将への無垢なる想いが!燃え上がる感情が!!消されてたまるか!!!」
それをエーデルへの忠誠心によって、押しのけた。
しかし、まだ感じ取れる。歪な形をした心の持ち主がこちらに向かってきているのを。
だがこの感覚は妙だ。
(一人か?いや二つ、三つ分感じられるような気がする。)

48 :

ゴッドマーズの目の前におぞましい雰囲気を纏った異形の天使が降り立つ。
黒く、骸骨を模した様な顔を人間で言う胸の部分に取り付けている。背中には形容のし難い羽根が生えている。
生き物のようにも見えるが、レーベンはそれを『天使』だとそう錯覚した
「碇シンジと言います。こんな機体に乗っていますが殺し合いに乗るつもりなんてありません。
 仲間を集めてこの殺し合いを行っている主催者を倒したいんです。お願いです!僕に協力してください」
まったく持って印象に残りそうも無い少年がモニター越しに話しかけてきた。
この少年があの歪んだ心を持った奴か?それならば全くたいした物である。
表情だけ見ればそんな様子は微塵も感じられない。演技力だけならば自分と同程度といったところだ。
だがだからこそ違和感を覚える。この子供はどうしてここまで普通に居られるのか、と。
「良いですよ。自分もこの殺し合いを止めたいと願う一人ですから。
 ところであなたはエーデル・ベルナルという人物に心当たりはありますか?」
「え?そういう人に心当たりはありませんけど」
シンジが返答したと同時にゴッドマーズは空を、まるで光の速さで歩くようにゼルエルの元へと向かった
間髪いれずにゼルエルの横腹に拳を叩き込む。
ゴライオンよりも小さいながらも重量は1050tと重い。その体から打ち放たれるパンチ。
ギシン帝国の戦闘メカもこの一撃だけで倒されたものさえ居る。
だが、ゼルエルのATフィールドによってこの一撃は塞がれる。
「いきなり何をするんです!」
「知らぬのなら最早貴様は用済みだ!そのままこの場で千切れて消えろ!」
「くっ!嘘をついたんだ!あなたは!あなたは!お前は人を騙してまで殺し合いに生き残りたいのか!」
『レーベン・ゲネラールにゴッドマーズか。まずい奴に当たった。シンジ、ここは一時撤退を』
「黙ってて、ここは僕が蹴りをつける。鉄也さんの意思を受け継ぐためにも!」
『しかしだ。あのゴッドマーズはおそらく誰にでも本来のパイロット並に動かせるよう改造されているもの。
 一人でどうこう出来る相手ではない』
「黙ってろって言っただろ!」
シンジがここまで殺気立って反抗を露にする態度は初めてだ。
病的なまでに仲間になる相手に強さを求め、攻撃手段に訴え出ている。
これではうまく行く話もうまくはいかない。なんとしてでも止めるべきだ。
しかしそんな自分の感情的な考えにW14は疑問を持つ。
(どういうことだ。私の思考は矛盾している……。
 シンジが言うことをどんなことであれサポートし、遂行に導くのが私の役目。
 そして状況を利用し、殺し合いに乗らせるように誘導するのが真の役目。
 その結果、シンジが死のうが死にまいが私には関係がない。
 だがこの子を殺し合いに乗らせるなんて、この子が死んでしまうなんて。この子……?私はいったい)
言い知れぬ不安がW14を襲う。
だが疑問に思う時点で、不安を覚える時点で、彼女にとってはそれはおかしいことなのだ。
彼女は物を考え、感情を持っているように見えて、その実フリをしているだけ。
状況によってプログラムされた指示通りに、他者に違和感を与えないように動いているだけだった。
だが彼女は今迷いを生じている、

49 :

「今の声は!貴様女を!女を乗せているのか!答えろぉぉぉぉぉおおおおおおっ!」
『しまった。相手が女を憎んでいることは知っていたはずなのに……』
レーベンに自分の存在を知られてしまった。つまりは相手の闘争本能に火をつけてしまったのだ。
いつもならばこんな失態など無いはずなのに。
ゴッドマーズの腕付け根を狙い、ゼルエルが両腕を伸ばす。接近戦を繰り広げる両者。
避ける間もなくゴッドマーズの両腕は、かつてEVA弐号機がそうなったように切断される。
「そんなものでこのゴッドマーズを傷つけられるか!行け!ウラヌス!タイタン!」
いや、ゴッドマーズが分離したのだ。そのまま二機のロボットに変形した両腕はゼルエルへと飛び掛る。
それぞれの胸から発射された冷凍光線と反重力光線。これだけではATフィールドは突き破れない
「俺を甘く見たことを後悔するが良い!ゴッドファイヤー!」
足りないのならば足せば良い。ゴッドマーズの胸部が逆三角形の光線を発射する。
三つの光線を一点集中させると、流石のゼルエルも後退し始める。
そして、遂にATフィールドを破った。
「くぅっ!」
衝撃に顔を顰める。だが使途の体には殆どダメージが無い。
「なんであなたみたいに強い人がこんな殺し合いに乗るんです!
 これだけ強いなら僕と仲間になってシャドウミラーを倒すことだって出来るのに」
「仲間だと!そんな理屈が通るわけがあるかぁぁぁぁっ!ガキがっ!
 俺が仕えるのはエーデル准将のみ!そして俺の仲間はシュラン唯一人だ!」
ぶちっと血管の切れたような音がした。
事実切れていた。レーベンの鼻からつぅと流れる血。
最初に感じた頭痛。それは今まで戦闘時に発生する脳内アドレナリンで抑えていた。
シンジの身勝手な言動に気を取られたためにそのアドレナリンが停止したのだろうか。
今までとはレベルの違う激痛が脳内を走る。
「ぐぅぅぅぅぅぅぅおおおおおおおおおっ!」
レーベンは、獅子の雄叫びのような叫び声を挙げた。

50 :

「ぐううう!戻れ!ウラヌス!タイタン!」
これ以上の戦闘は不利と判断し、両機を呼び戻す。戦域を離脱し始める。
「あなたを逃がことは出来ない!」
「ジャイアントロボ!奴を黙らせろ!」
水中に身を潜めていたジャイアントロボが出現した。
移動中に渡していた折れた十王剣をジャイアントロボがゼルエルの体に突き刺す。
これで突き破ったATフィールドが完全に閉じることを防ぐ。
赤い球体目掛けて、振り上げられる拳が唸りを挙げる。
ゼルエルは殴り飛ばされ、弧を描くように水面へと落ちていった。
(あの程度で死んでいるとは思えん。だがこの状態では深追いも危険か)
「撤退だ!ジャイアントロボ!」
二機の機体がその場を後にする。そして今までの相棒にレーベンは別れを告げた。
――さらばだ。五匹の獅子よ!今は水底に眠れ!
【一日目 14:45】
【レーベン・ゲネラール 搭乗機体:ゴッドマーズ(六神合体ゴッドマーズ)】
 パイロット状況:疲労、頭痛、鼻血、戦化粧済み
 機体状況:良好、特殊サイコフレーム装備、EN20%減
 現在位置:C-4 上空(南)
 第一行動方針:ヴァン、ヴィレッタ、イスペイル、少年(シンジ)は次こそ必ず
 第二行動方針:女、女、女、ええええええ!
 第三行動方針:ジ・エーデル・ベルナルについての情報を集める
 最終行動方針:エーデル准将と亡き友シュランの為戦う 】
 ※参戦時期:第59話 『黒の世界』にてシュラン死亡、レーベン生存状況から
【レーベン・ゲネラール 搭乗機体:ジャイアント・ロボ
 機体状況:全武装の残弾0、全身の装甲に軽い損傷、EN40%減】
【備考1:特殊サイコフレームについて
     NTや念動力者のような力が使用可能、六神を自由に操ることが可能
     使いすぎると脳に大幅な負担がかかる
 備考2:ゴライオンがC-5水中(橋)に放置されています】おらず、機体データベースにしか記述されていない。

51 :

◇ ◇ ◇
ゼルエルは間一髪の所で殻を展開させることによって、致命的なダメージを受けることはなかった。
シンジには衝撃によって今は気絶し、眠りについている。
W14もダメージは受けたが、気絶をするほどと言うわけではないようだ。
傍らに眠るシンジの様子を見つめる。シンジは先程の凶暴性など感じられないほどにすやすやとした顔で眠っている。
――愛おしい

この感情の原因はなんだ。W14は以前になにか原因となる物があったか思い出そうとする。
まず間違いなく鉄也の乗ったEVA初号機を食べて以降に発生したと言っていい。
『なんだ。簡単なことじゃないか……』
初号機に入れられていた魂を分割しゼルエルに注入されたのが自分だ。
そんな初号機を私は喰べた。分割されたはずの魂は一つになってここにある。
その魂の元になったのは碇ユイのものだ。目の前に居る少年の母親のものだ。
自分の中には『碇ユイ』の完全な魂がある。
この感情も、先ほどの戦いの最中で迷いを生じたのも、その魂から来ているのだろうか。
それならば碇シンジに感じるこれは母性愛のそれか。
だがおかしい。自分には『碇ユイ』の記憶や人格パターンなどは無い。
W15のように別の人間の人格パターンを移植すらされていない単なる抜け殻のはずなのに。
それほどまでに『魂』というものは強い影響を及ぼす物なのだろうか。
『おかしいわね。人造人間に自我なんて、母性なんて必要ないのに。
 私はどちらの立場で生きていけばいいのかしら。……今のは言語機能の回復じゃないみたいね』
これも本来想定されていた少女の言語パターンとは違う。壮年の女性のそれだ。
少しずつ碇ユイが覚醒している。そんな自我の覚醒に人造人間である自分は畏怖や疑念を抱いている。

彼女は知らない。かつて自我の芽生えた人造人間が居た事を。

【一日目 14:45】

【碇シンジ 搭乗機体:第14使徒ゼルエル(新世紀エヴァンゲリオン)
 パイロット状況:気絶中、精神的不安定(肯定されないと崩れそうになるほど危うい)
 機体状況:ゼルエル(S2機関双絃共振励起型搭載)マゴロク・E・ソード、マジンガーブレード所持、胸部にダメージ。 
      W14 胸部にダメージ、碇ユイの自我の覚醒、人造人間としての抵抗、言語機能がお母さんぽく
 現在位置:C-5 海中(北)
 第一行動方針:強くて正しい、鉄也さんのような人を探して仲間にしてもらう(ただし、他人には多くを期待し過ぎない)
 第二行動方針:悪人、足手まといな人は積極的に
 最終行動目標:自分の正しさを貫き、強くて正しい人たちと共にシャドウミラーを打倒する】
 ※カヲル殺害後から参戦です。

【W14(ゼルエルXX)について】
 ゼルエルとの神経接続により、ゼルエルの受けたダメージはW14にもフィールドバックするようです。
 S2機関を取り込んだ結果、碇ユイの魂が覚醒し始めました。

52 :
投下乙です
レーベンは賭けに勝ったか。ゴットマーズつえええええ
シンジは確かに歪みだしたぞ。これ以上歪むか、それとも…
W14は碇ユイの魂だと? これは…

53 :
投下乙、ここのシンちゃんは歪んでも変に前向きなあたり漫画版の香りがするなw

54 :
ゴライオンの剣は折れても直せるはずだったような

55 :
直し方を知らなければどうということはない。
つまり意味がないってことだ。

56 :
まだ使える機体を破壊もせずに沈めたのか
不用心だな
あと
>備考2:ゴライオンがC-5水中(橋)に放置されています】おらず、機体データベースにしか記述されていない。
ここおかしくね?

57 :
投下乙!!
ゴッドマーズかあ…
思った以上に問題があるようだがそれでも強機体だな
ゴッドマーズはタケルが人間爆弾だから不味いんで
ゴッドマーズがやられたところで問題無いんだっけ??

58 :
なぜここまでの激痛が走るのかか。レーベンが理由を知るはずが無い。
それにはこのゴッドマーズの操縦法が関係している。この機体は脳波コントロールで動かしている。
本来の操縦者は明神タケル。彼以外の人間がこのゴッドマーズを動かすことを可能にした。
レモン率いる科学技術陣は、その他のこういった専用機体と同じように彼以外でも動かすことの出来るよう機体を改造した。
だがしかし明神タケルは宇宙人であり超能力者だ。
その特殊な脳波パターンを再現できない限り、動かすことは出来ても六神を自在に操ることや脅威の運動性能は再現不可能である。
似たような支給機体にライディーンがいる。こちらも他者が動かせるように改造。
そして本来の力を発揮するには念動力者という特殊な能力者が必要だった。
この場合は念動力者とは似て非なる存在『ニュータイプ』に支給した。
しかし、ゴッドマーズは他者が動かせるようになっても基本装備は少なく単なる木偶の坊である。
超能力者でも無く、念動力者でも無く、ニュータイプでもない参加者でも動かせるようなシステムが必要だった。
実際の所、必要なかっただろう。外れ機体として出せば良かったのだ。それは科学技術陣の探究心の賜物か。
かくしてサイコミュ、T-Linkシステム等の技術、明神タケルや数多の超能力者と言われる人物の脳波パターンから解析が行われた。
何の特殊能力の無い人間の脳波でも、超能力者の脳波に近いパターンに増幅する特殊なサイコフレームがゴッドマーズに搭載された。
これによって、本来の性能を活かせる程にゴッドマーズを動かすことが可能になった。
他者の感情が少しずつ読み取れるようになったのも、気のせいではなかったわけだ。
しかし、メリットばかりではない。レーベンが感じた例の頭痛がそれだ。
システムは脳波を増幅させる変わりに多大な負担を脳自体に掛ける。
単純に動かすほどなら支障は無い。が同時に六神を動かすとなれば話は別だ。
長時間の使用は深刻なダメージとなって操縦者に返って来る。いわば、諸刃の剣。
しかも意地の悪いことにこのデメリットははマニュアルには掲載されておらず、機体データベースにしか記述されていない。
すみません。まるまるこの部分が抜けてました。
>>49>>50の間です。
>>56
上記の文の上に>>50の文章のコピペした為に最後の部分が残っていたようです。
ゴライオンは本来なら壊す予定だったのでしょうが襲撃にあい
>>57
タケルが死ぬことでガイヤーの反陽子エンジンが爆弾になって爆発する設定です。
このロワにはタケルが参戦してないので大丈夫なはず。
作品中である時期から爆弾が無効化になった話もありますが。

59 :
投下します

60 :
二機がいた。
鎧武者と妖精。
傍から見れば妖精が鎧武者を導き、武者はそれに従えているよう。
眼前に広がるのは地と海と光の壁。
「すいません……。ヴァンさん……」
「……気にするな」
彼らは休憩を取っていた。
原因はルリ。
過去に、オペレーター、現在では艦長の職務を与えられている若年ながらも聡明なルリではあるが、
体力は歳相応の少女。いやそれ以下かもしれない。
艦とは違い、狭いコクピットの中に閉じ込められて慣れぬ兵器を動かすことは予想以上に重労働であったのだ。
そういうわけでテッサやドモン達と分かれて以降の行軍距離も伸びてはいなかった。
「俺は腹が減っていたんだ。お前のためじゃない」
「……」
ルリは迷惑をかけてしまったという気持ちと共に面倒見のいい人だな、という一面を発見していた。
気遣える余裕を見るに、このような場所に連れてこられる前も私のような者と行動していたのかもしれない。
それは私がいなければ参加者の情報を知ることが出来ないからにしろ、心中では穏やかでは無かろうに。
ルリは水を飲みながら、ゴソゴソと食べ物を探すヴァンの横顔を見ていた。
彼が取り出したものはカレーパン。否ただのカレーパンではない。
爆熱ゴッドカレーパン

ヴァンは一口味わってから物足りなければ、調味料をぶちまけ料理人を卒倒させるというのが常の男である。
だが今回の相手はそれをするにはどうにも分が悪かった。
茶色のパンを一口齧ると、ダンオブサーズデイに乗るために改造手術を受けたため
味覚障害となったヴァンの舌が刺激されヒリヒリしてきた。
辛さで徐々に顔は赤く染まっていき、ヴァンは叫んだ。


「からあああああああああああああああいいい!!!!!!!!
叫ぶ程辛いにも関わらず、彼の食欲は衰えるどころか刺激され、更なる一口を求めカレーパンへと向かう。
いい年の男が汗を流し、辛え、辛えと言いながら
ハムッ ハフハフ、ハフッ!!っと水に手をつけることなく食べ続ける光景はおかしいというよりもシュールであった。
それを見ているとルリは長らく口にしていなかった言葉を久しぶりに呟きたくなってしまった。
「バカばっか」
この男も付き合う自分もまた。




61 :


星の海に灯る火球が消える。
トビア・アロナクスの魂は消える直前になって蝋燭の様に盛大に燃えあっさりと消える。
それは彼の命の最後の叫びだ。
トレーズ・クシュリナーダにはそれを見つめることしかできない。
ただ、歯痒い。
未来ある若者が散り、こうして見取っているなど。
それは本来既に死んだ私の役目だった。断じて彼のではない。
だというのに私は今もこうしている。
彼を殺したものすら見つけられず、彼の死に報いれずのうのうと生きている。
トビアという優秀な仲間を惜しむあまりに、彼は顔も分からぬ殺人鬼に追いつけず放送を迎えた。


時同じくして彼女たちも放送を迎えた。
ルリはヤマダ・ジロウという男が自分の知るヤマダ・ジロウではないと断じていたため、気に留めることはなかった。
それ以上に気にかかっていたのは先ほど情報交換をしたばかりのテッサの死であった。
聡明であるが故に彼女の思考は彼らに降りかかったありうる限りの不幸を導き出す。
そしてテッサの名前のみが呼ばれたことも心配の種であった。
ルリにとって、ダイヤとイルイはまだまだ子供、ハーリー君のような弟や妹みたいな存在である。
テッサが彼らのためにその身を挺して救った姿は容易に想像がつく。
しかしこのような場所に放り出され、行動を共にした者を失い、またダイヤは己の無力さに打ちひしがれているやもしれぬ。
そして保護するものがいないがために暴走、若さゆえに道を踏み外してしまいうる。
彼らは多感な時期にあり、復讐など似会わないのに……。
またヴァンのスタンスが読めない。
彼は動じなかった。
放送を聞けど、彼はただ手に収まる大きさのパズルを解き続けるのみ。
先ほど会った者の死を聞いても、彼が指を休めることは無い。
それは名前を忘れているからかもしれないが…。
ルリの気苦労も知らずに無神経にもヴァンがパズルの面を動かすと、同時に生じる金属音のみがオープン回線より聞こえ、
気を揉むルリを少し苛立たせた
その苛立ちが彼女を、いままですることの無かった問答へと突き動かした。


62 :
「ヴァンさん、もしこの場にカギ爪さんがいなかったらあなたはどうするおつもりですか?」
「ああ?」
「………」
「言ってる意味がわからねえよ…」
「言い方を変えましょうか。あなたはここにカギ爪さんがいなければ
私やドモンさんやシーブックくん、ダイヤ君やイルイちゃんたちを殺してでも元の世界に返りたいと思いますか?」
「………」
ヴァンは彼女が求める答えをすぐには口にしない
彼の視線はただ彷徨う。考えているのか、それとも何も考えていないのか。
しかしYES、と答えれば次の瞬間には八つ裂きにされるという危険性を孕んだ問いである。
彼女は彼を刺激しすぎと自分を諌め、フォローを入れる。
「助けてもらっておいてこんな言い方はあんまりだと思います。でも……」
「おい!!!!!!!!!!」
迫るダン。彼の琴線に触れたかと思うルリ。
しかしダンはフェアリオンを押しのけて前に進んだ。響くアラート。攻撃を仕掛けられていた。
突如海中より現れた赤い機体の胸より放たれたる無数のミサイルは2機へと真っ直ぐ向かっていた。
「チィッ!!!!!!!!」
蛮刀よろしくダンの斬艦刀を変形させミサイルを切り落としていく。
後方に控えているルリを被弾させぬその滑らかで、流麗な剣さばきは我流ながらも達人の域に達しているといえた。
その剣技に見とれているまもなくルリも急いでジャマーをかけることでミサイルの無効化をなす。
結果、大きく逸れる物は無視し、ダンがミサイルを裁き続け最後の一つを処理すると息をつく事も無く追撃に備える。
しかし聞こえてきた声はどこか間の抜けた声。
「やあ」
通信より聞こえてくる声には、一瞬前にミサイルを放ったとは信じられないほど敵意が含まれてはいなかった。
それまで空気の抜けている風船のように異常な軌道を旋回していたビッグデュオは2つのプロペラを回しながら空中に静止した。
しかし安心できない。剣を構えヴァンは怒鳴る。
「てめえ!!!!!誰だ!!!何のつもりだ!!!」
「僕は渚カヲル。挨拶のつもりだったんだ。君は?」
渚カヲルがヴァンの名前を尋ねると、律儀にもヴァンは怒りを抑え応えた。
「俺はヴァン。人呼んで黒衣のヴァンだ」
「へえ、黒衣とは、さしずめ死神ヴァンってところかい?」
「死神ヴァンか……悪くない」
「そんな不吉な呼び名はやめてください。私まで勘違いされるじゃないですか。あなたなんて掃き溜めのプリティヴァンでいいです」
「えっ……そうか?」
ヴァンを悪趣味と言う彼女のセンスもお世辞にも良いとはいえない。
しかし堂々としたルリの突っ込みにかっこいいはずなんだが……と思うヴァンであった。
恥ずかしいから思っても口には出さないが。


63 :
「そんなことより渚さん。挨拶とはどういう意味でしょうか」
「君は?」
「私は……ホシノルリです」
ルリは偽名を使うことを考えたが、本名で応えた。
この目の前の少年はすべてを見透かすような瞳でルリを見つめ続けていたからだ。
そして渚カヲルはそれを聞くと満足したかのように微笑む。
「挨拶にそれ以上の意味は無いよ。」
「それにしちゃ手荒い土産だったな……」
「僕は機体の損傷を押してでも君たちに会いに来た。それだけさ」
「私たちにですか…」
うん、とカヲルはルリに対し言った。
確かに眼の前の機体の右足は根元から奪われており、その消耗は無視できるものではない。
美少年が話す言葉にしてはなんとロマンチックな台詞だとルリは思う、もしその前にミサイルを発射していなければだが。
「辛いのかい?」
「はあ…?」
突然尋ねられた為、間抜けな声を出してしまった。
「常に人間は心に痛みを感じている。心が痛がりだから生きるのも辛いと感じる。
 一目みて分かったよ、シンジ君と同じようにガラスのように繊細だね、君の心は」
「私は辛いと感じていません。どこぞのシンジ君がそうであっても」
「そうかな」
「そうです」
「でも君は興味に値するよ、いい眼をしている」
「照れますね」
「何をごちゃごちゃ言ってやがる!!」
平行線をたどる彼らの調子に付き合いきれず、ヴァンは堪らず声を張り上げた。
ルリはフェアリオンを今にも向かって行かんとするダンの前に出して制した。
「渚さん、ヴァンさんも辛抱の限界のようですので手短にお願いできませんか。あなたはこのゲームに乗っていますか?」
「うん」
「それは何故ですか?」
「僕が生き続けることが僕の運命だからだよ。
結果、人が滅びてもね。…だがこのまま死ぬこともできる。生と死は等価値なんだ、僕にとってはね。」
「てめえ!!!!!!!!!」
平然と言うカヲルに対してついにヴァンはフェアリオンに構わずビッグデュオへとダンを向けていった。
ヴァンの行動は素直である。
この渚カヲルという奴はカギ爪の男にそっくりだった。
姿形ではなくそもそも根幹が。
己が死んだとしても人の心の中で生き続けると説くカギ爪の男。
生と死は等価値だという渚カヲル。
両者共に生と死を等しく見るが故に独善的に判断し、物をいう。
笑みを絶やさず周囲に対する罪悪感すら持ち合わせていない。
渚カヲルとは詰まる所、ヴァンの一番嫌いなタイプに属する者だったのだ。
ルリの制止を振り切りダンをビッグデュオに接近させる。
その際に斬艦刀をダンオブサーズデイのような太刀へと変形、振り上げる。
ビッグデュオは回避行動をとることも無く微動だにせず、ヴァンはこれで決めたと確信した。

64 :
なぜ動かぬか。
ダンの急接近に戸惑ったのか、否。生きることを諦めたのか、否。
必要が無いからだ。

「なにぃ!!!!!」

ダンの唐竹割りはオレンジ色の障壁によって阻まれていた。
何人にも侵されざる聖なる領域――――――A・Tフィールド。
ダンの出力を以ってして太刀を振り下ろすが、なお断てぬ壁。
「そのバリアずりいぞ!!!!」
「A.T.FIELDは誰もが持っている心の壁さ」
「心の……壁…?」
「挨拶といっただろう?戦う気はないよ。君にも会えて嬉しかった。さようなら」
そう言ってビッグデュオは両腕部のロケットエンジンより圧倒的な運動エネルギーを受ける。
A.T.FIELDをまるでディストーション・フィールドのように展開し、太刀を巨躯のダンごと弾き、東へ飛んでいった。
それはヴァンなど元より眼中には無いと口にせず告げていた。
「野郎……!舐めた真似しやがって!!!」
「ヴァンさん」
「なんだよ!!!!!」
「気をつけてください、こちらに接近する機体が一機」
「あぁ!?」
ヴァンはルリが指す方向へ視線を走らせた。
目の前の光の帯が乱れる。
巨大な体の一部が見えてきたとき、歪みは大きくなり二人の間で通じる緊張感は膨れ上がった。
空間を裂き、紅い巨神がその姿を現す
ビッグデュオのように神々しく、ビッグデュオのように無骨なフォルムではなく、設計者の美的趣向を凝らした美しいフォルム。
「私はトレーズ・クシュリナーダ、交戦の意思は無い。情報交換を求む」
聞こえてきたのは美しき機神に乗るべくして乗る男の声。


65 :

こうしてルリとヴァンは再び情報交換のため、そこで止まった。
ヴァンはトレーズにカギ爪の男について尋ね、彼の口より答えを聞くと押し黙りパズルを解き始めた。
それは対話に消極的と取れたが、結局彼が会話に参加したところでかえって邪魔になるのが関の山であろうからルリはなにもいわなかった。
そして話題が渚カヲルについて及ぶとトレーズは全てを悟り、
同行者トビア・アロナクスの死に渚カヲルが状況的に関与していることを彼らに告げた。
「あんた……そいつのためにあいつを追わないのか?」
それまでパズルに没頭していたヴァンが突然問う。
突然口を開いたヴァンという男への第一印象を改め、トレーズは言う。
「今は追う必要は無い」
「なんでだよ?」
「私がこのゲームを壊すために行動すればいつかは彼と合間見えるからだ。私と彼の道は最後には交錯するのだから」
「途中であんたが死んだらどうする?」
「勝てばいい」
トレーズは冷静にその問いを切って捨てた。
堂に入った物の言い様は貴族としての誇りや威厳、決意を否が応にも、感じさせ、そこに慢心は存在しない。
喋り過ぎた、とヴァンはそれを聞くとテンガロンハットを目深に被りなおし視線を外した。
「……ふん」
彼はそれ以降、口を挟むことなくパズルを解き続けた。
貴族然とした佇まいを見せるトレーズと一見sラ風情のヴァン。
対極に位置する二人だが、ルリはヴァンがトレーズの考えに感じ入るところがあったのだと、推測した。
故にいま、彼のことをはっきりさせる時では無いと思えた。
先ほどの問いに対しての解が彼の中ではっきりせずとも、彼が前を向いているうちは信じようと。

66 :

右の親指でパズルの面を動かす。
それは習性の様な物で、その行動に意味は無い。
解けても何も起きない。
エレナが生き返るわけでもなければ、カギ爪が突然、目の前に現れるなんてことは無い。
しかし、解いてないと落ち着かない。それだけだ。
俺の中のモヤモヤを紛らわすため、昔ガドヴェドがくれたものだ。
(ころしてでももどる、か)
あの女が言った言葉を反芻する。
俺はカギ爪をそれはもう大変ぶっ殺してやりたい。
あの憎たらしい笑みを浮かべるカギ爪がベッドの上で安息を立てていることなど許せない。
こんな場所で死んで、戻れないなんてもってのほか。だったら……。
そう思った。そう思っていた。
しかし、考えるよりも先にあの女を守ってしまっていた。
契約は続いているから。
だがそれ以外の理由があるとすれば?
ヴァンは人殺しがいけないなどと言う正義漢でもなければただの復讐者だ。
だが目的のためにこの場でその行動を肯定すれば、それこそあのカギ爪と変わらない。
それだけは御免被りたい、そんなストッパーがあるのだと彼は思った。
「そうだな……勝てばいい」
俺には首輪を外すような器用な真似は出来ない。
そっちはあの女や男に任せよう。
俺に出来ることといえば勝つ事。
だから勝とう。
死なずに帰ろう。
首輪を外せなければ……その時はその時だ。
モヤモヤは紛れそうに無い。
それどころか勢力を拡大するばかり。
パズルは、解けない。

67 :

(すまなかったな……トビア君)
彼を助けえることも出来ず、殺人鬼の情報を集めるために、
少々こちらまで移動したが調査は途中で放置したまま。
渚カヲルを追うわけにもいかぬ状況だ。
(だが待っていてくれ。私も遅かれ早かれそちらへ向かうだろう)
彼の死を無駄にしないよう渚カヲルの首を取り
願わくは勝利の旗を掲げ。
(逝ったか…五飛)
討った者が死に、討たれた者が生きているという皮肉。
彼は貫いたのだろうか?彼の信ずる『正義』を。
愚問である。
信念亡き者に討たれるような自分ではない。
彼は己の正義をどこまでも求め、散っていったのだ。
「五飛、我が永遠の強敵(とも)よ。君と戦えた事を誇りに思う」
そして戦士に再び告げた。
伝わらずとも構わなかった。


「伝おう 今風に乗って♪」
渚カヲルは上機嫌であった。
人と人が出会うのは素敵な奇跡。だからその瞬間を宝物にしてとっておきたくなる。
そんなことを言ったのは誰だったであろうか。
彼が人ではなく使徒であることなどそんな奇跡の下には些細なことだ。
「遙か遠いあなたのもとへ♪」
一切の考えも無く、生の感情を剥き出しにして自分に迫ってきた男、ヴァン。
人工的に作られたにも拘らず、元の世界にいた彼女のように無機質な物ではない少女、ルリ。
前の世界では決して会えぬ存在だ。欺瞞と矛盾と疑惑に満ちたあのような世界では。
「いつか空をひとつにつながり♪」
君はどうだい?シンジ君。
望む、望まずとも、あの狭い部屋から連れ出され、あらゆる要素を含む箱庭の一部を知れただろう?
あの破嵐万丈のように君に応えてくれる人もいるだろう。その時、君はそれにどう応えるんだろうね。
「渡ってゆける あなたのもとへ♪」

会いたいよ、シンジ君


68 :

【ヴァン 搭乗機体:ダイゼンガー(バンプレストオリジナル)
パイロット状況:良好
機体状況:斬艦刀verダンの太刀装備、ガーディアンソード所持 胸部にダメージ中 全身に軽い焦げとダメージ小
現在位置:B-3 北部
第一行動方針:二人が話し終わるのを待つ。
第二行動方針:エレナの仇、カギ爪野郎をぶっ!あん、未参加?まだ決まったわけじゃねぇ!
第三行動方針:ダンを取り戻す。
第四行動方針:ルリと共に施設を目指し、カギ爪の男の情報を集める。
第五行動方針:渚カヲルはぶっ
第六行動方針:カギ爪がいなかったら……
最終行動方針:エレナ……。カギ爪えええええええええええッ!
備考:斬艦刀を使い慣れたダンの太刀、ヴァンの蛮刀に変形できます】
【ホシノルリ(劇場版) 搭乗機体:フェアリオンGシャイン王女機(バンプレストオリジナル)
パイロット状況:疲労小
機体状況:アサルトブレード装備、中破、EN消費(中)
現在位置:B-3 北部
第一行動方針:トレーズともう少し話す。
第二行動方針:街でハッキングに役立つ道具や施設を探す。
第三行動方針:ヴァンと共に行動する。
第四行動方針:自身のハッキング能力を活かせれる機体を見つけたい
最終行動方針:シャドウミラーを打倒する
備考:ヤマダ・ジロウ(ガイ)は同姓同名の別人だと思っています】
【トレーズ・クシュリナーダ 搭乗機体:ソルグラヴィオン(超重神グラヴィオン)
パイロット状況:良好  
機体状況:良好
現在位置:B-3北部
第一行動方針:ルリともう少し話す
第二行動方針:首輪だけでない勝利条件を調べる(会場からの脱出など)
第三行動方針:シーブックとの合流
第四行動方針:強い意志を持つものを生き残らせる
第五行動方針:渚カヲルの打倒
最終行動方針:主催者の打倒
備考1:トビアによる首輪の調査結果を聞きました】
【渚カヲル 搭乗機体:ビッグデュオ(THE BIG・O)
 パイロット状態:良好
 機体状態:マシンセル寄生 損傷修復中  装甲にダメージ(中)右足消失
 現在位置:D-4北部 
 第一行動方針:殺し合いに乗り人を滅ぼす
 第二行動方針:東へ行ってみようか
 最終行動方針:殺し合いに乗り人を滅ぼす】
【一日目 14:30】


69 :
投下終了なら最後は終了宣言してね
投下乙です
言われてみればカヲルの考え方は似てるな。敵をどんどん作ってるのに余裕だな
貴族と野獣が以外と仲がいいな
これでトリオになって安定しだしたかな
少なくともヴァンは優勝で帰ろうとは考えないか

70 :
たった40分でB-1から移動してヴァンたちと交戦してD-4まで行ったのか
10分で火球が見える距離まで移動なんて出来っこないとか議論してたのにワロスw
つか、追撃すら出来ないってトレーズどんだけなんだよw

71 :
時間に関しては申し訳ございません。
見積もりが甘かったですね。【一日目 15:00】
これでどうでしょうか?
トレーズが追撃できないというのは
私がトレーズと渚カヲルとの間には距離があったと解釈したのと
火球の正体を突き止めるというのが彼の第一行動方針であったためです。

72 :
10分で一マス移動は不可能がここの総意なのに、70分で会話、戦闘込みで6マスも移動出来るわけない
再考願います

73 :
自分で言うのも難ですが
大した会話や戦闘をさせたつもりはないんですがね。
では余裕を持たせて【一日目 15:10】
これで大丈夫だと思います。

74 :
ゴッドカレーパンwwwつーかヴァンwww
どんどん敵を作っていくなカヲル。シンジと出会ったらどうなるのか
時間は別に問題ないと思います。投下乙!

75 :
>>73
そういうことではなくてですね。
13:50にB-1に居たカヲルがB-3に移動した訳です。
>>61>>62の描写を見るに放送直後であるように見受けられます。
これだとカヲルがB-3に着いたのが14:00ちょっとすぎになるので
今までの展開などから計算すると矛盾が出ると言うことなのだと思います。
ルリ達とカヲルの出会う地点をもう少し北上させる。
若しくは、放送後の描写に時間の経過を匂わす内容を付け足すなどすると
>>70で挙げられている矛盾点が解消されるのではと思います。
あと、出すぎた真似かもしれませんがもう1つ。
カヲルがD-4に行った辻褄を合わせるために時間を延ばしたのはあまり印象が良くないかもしれません。
その分動きの少ないルリ達が少しの間ですが拘束されることになります。
今回は周囲に他の参加者が少ないことと時間的拘束が少ないので心配は無いと思います。
ですが時と場合、見る人によっては参加者の優遇等に取られかねません。
ルリ達とカヲルの時刻を別にするか、ルリ達を起点に移動できる範囲内にカヲルの位置を変更するほうが良いと思われます。
長文失礼しました。

76 :
申し訳ございません
その事につきましては後で修正させていただきます
時間の経過を匂わす内容を追加しようと思います
ただ現在は少し時間が取れなくなってしまったので後々という事になりますが
それと時間の引き延ばしについて
これまでに出た話ではDボウイプルミストの話で最大1530まで進んでいます
つまり1530までは引き延ばしても問題無いだろうというのが私の認識でした
しかしそういった見方もあるのだという事を覚えておきます
ありがとうございました

77 :
1058 名前:やってられない名無しさん[sage] 投稿日:2010/04/13(火) 09:05:42 ID:???0
ごばく
チッうっせーな
今回は周りに人がいないから時間を伸ばしても大丈夫ですがって
こっちだって言われなくても、そんなこと分かってやってるんだよ
時間を伸ばしてキャラの位置を進ませるのが優遇って
俺は他の参加者の集合してる場所に向かわせようとしてるだけだ、何が優遇だ
大体、伸ばしたと言っても10分程度だし
あの人の作品が破棄になったのはあの人がしたらばに書き込まなかったからで
移動力に関しては話がついてたじゃねーか
言ってやっても良いんだぞ
時速400キロで動けば云々ってな
ああ、うぜえ。ちょっと下手に出てれば調子に乗りやがって
反省してまーす
反省してまーすwwwwwサーセンwwwww

78 :
お前は本当に馬鹿だな

79 :
延期申請もせず延期しといて破棄とかよカス書き手

80 :
ならお前が書けば?
予約も無いからどうぞ

81 :
カス書き手?
書いてください、書き手さん、だろ

82 :
荒らしに餌与えるようで悪いが書き手の名誉の為に言うけど
新トリの空予約なら叩かれるけど
前に何作か書いた人の破棄宣言への暴言は明らかにいちゃもんレベルの荒らし行為なんだが
そういうのは止めろよな

83 :
>>77
これは別館の書き込みですね。
内容から考えると、どうやら私が書き込んだという事になりますね。
しかし私は書き込んではいません。
なぜならば私は4月13日より前から別館でホスト規制されていたので書き込みは不可能です。
第一、後で修正すると書き込んでおいて、立場を悪くするような書き込みをするはずがありません。
皆さんは気にしていないようでしたのでスルーしようか悩みましたが一応。

84 :
IDが変わるまで待てばよかったのに

85 :
説得力ねーなw

86 :
80 名前:それも名無しだ[sage] 投稿日:2010/04/16(金) 01:54:11 ID:d9g3JtPz
ならお前が書けば?
予約も無いからどうぞ
83 名前: ◆MTHlZP.yU. [sage] 投稿日:2010/04/16(金) 23:42:31 ID:d9g3JtPz
>>77
これは別館の書き込みですね。
内容から考えると、どうやら私が書き込んだという事になりますね。
しかし私は書き込んではいません。
なぜならば私は4月13日より前から別館でホスト規制されていたので書き込みは不可能です。
第一、後で修正すると書き込んでおいて、立場を悪くするような書き込みをするはずがありません。
皆さんは気にしていないようでしたのでスルーしようか悩みましたが一応。
語るに落ちるとはこの事かw

87 :
>>80は問題のあることを書いたわけではありませんし
まあいいかなと。

88 :
まあ修正はちゃんとしますから。
では

89 :
>>83
別館の管理人氏に頼んで該当書き込みのアク禁を申請されてはいかがでしょうか
まぁ、どうでもいい事に反応していないで早く修正済ませて欲しいですね
どんだけキャラ拘束してるんですか

90 :
言われてみれば長いな
予約したのが4日、投下したのが11日、で今は17日
議論が紛糾してる訳でもないのにほぼ二週間の拘束っすか
いやはや・・・こりゃ別館のも本人かって疑うね

91 :
実質1人しか書いてないようなもんだから
拘束してても問題ないけどなw
書けてもすぐ予約が入りそうもないし

92 :
別に書き手が多いわけでもないなら今いる書き手を大事にしようぜ

93 :
で、また期限過ぎてるのに連絡ない訳だが?
書き手を甘やかすからこんなグダグダになってるんだろうがよ

94 :
テスト

95 :
ダイヤ達の予約の期限は水曜日までのはずだが

96 :
そんなに急いで,続きでも書きたいのかw

97 :
純粋に注目してる人もいるので荒らしのいちゃもんに負けないでください

98 :
出来が悪かったら叩くから安心してくれ

99 :
遅れてすいません。私生活も忙しく
まさか今の予約状況で急かされるとは思っていなかったものですから
対応が遅れてしまいました。では>>61

星の海に灯る火球が消える。
トビア・アロナクスの魂は消える直前になって蝋燭の様に盛大に燃えあっさりと消える。
それは彼の命の最後の叫びだ。
トレーズ・クシュリナーダにはそれを見つめることしかできない。
ただ、歯痒い。
未来ある若者が散り、こうして見取っているなど。
それは本来既に死んだ私の役目だった。断じて彼のではない。
だというのに私は今もこうしている。
彼を殺したものすら見つけられず、彼の死に報いれずのうのうと生きている。
トビアという優秀な仲間を惜しみ、彼は顔も分からぬ殺人鬼に追いつけず放送を迎えた。


時同じくして彼女たちも放送を迎えた。
ルリはヤマダ・ジロウという男が自分の知るヤマダ・ジロウではないと断じていたため、気に留めることはなかった。
それ以上に気にかかっていたのは先ほど情報交換をしたばかりのテッサの死であった。
聡明であるが故に彼女の思考は彼らに降りかかったありうる限りの不幸を導き出す。
そしてテッサの名前のみが呼ばれたことも心配の種であった。
ルリにとって、ダイヤとイルイはまだまだ子供、ハーリー君のような弟や妹みたいな存在である。
テッサが彼らのためにその身を挺して救った姿は容易に想像がつく。
しかしこのような場所に放り出され、行動を共にした者を失い、またダイヤは己の無力さに打ちひしがれているやもしれぬ。
そして保護するものがいないがために暴走、若さゆえに道を踏み外してしまいうる。
彼らは多感な時期にあり、復讐など似会わないのに……。
またヴァンのスタンスが読めない。
放送を聞けど、彼は動じなかった。
既に放送から5分か10分かそれ以上経ったか。今も彼はただ手に収まる大きさのパズルを解き続けるのみ。
先ほど会った者の死を聞いても、彼が指を休めることは無い。
それは名前を忘れているからかもしれないが…。
ルリの気苦労も知らずに無神経にもヴァンがパズルの面を動かすと、同時に生じる金属音のみがオープン回線より聞こえ、
気を揉むルリを少し苛立たせた
その苛立ちが彼女を、いままですることの無かった問答へと突き動かした。


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