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ガンダムSEED 逆襲のシン・アスカ EPISODE XL


1 :11/10/17 〜 最終レス :12/06/14
ガンダムSEED DESTINYで主人公の座を追われたシン=アスカが
今度こそまっとうな主人公として返り咲く!
シン主役の種死アフターについて語り合い、SSを投稿し、職人をGJ!するスレです。
荒らし煽りは徹底スルー、職人さんへの敬意を忘れずに。
前スレ
ガンダムSEED 逆襲のシン・アスカ EPISODE XXXIX
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/shar/1296819424/
まとめページ:
ガンダムクロスオーバーSS倉庫
ttp://arte.wikiwiki.jp/
避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/10411/1230163812/
新規職人さんも随時大歓迎です。

2 :
>>1乙をしろって言うならやってやるさ!
逆シンスレはシン主役(待遇)のアフター物なら、誰でもウェルカム。
王道なシリアス、レイやフレイ生存、アフロな芸能プロ社長なギャグ、十数年後が舞台のシンの娘が主役。
傭兵シンの生き様に、痛快娯楽復讐劇、ザフトに残ったシンの戦い、クーデレAIスキーにパロネタ。
なんでもお好きな物をどうぞお気になさらず、自由にお楽しみ下さい。

3 :
>1乙
ネタかぶり? 気にするな、誰も気にしない。

4 :
>>2
なら総合クロススレからの出張ネタも投下して良いんですね?分かりました頑張ります

5 :
そのスレが廃れた理由がわかったような気がするわw

6 :
>>4
ご自分のスレにお帰り下さい

7 :
>>4
おまえあのスレ潰したいだけの荒らしだろ

8 :
>>4
アンタは一体何がしたいんだ……

9 :
XL…服のサイズかとオモタ

10 :
>>4
とりあえずあのスレの注意事項見直して来い。
それでもまだ何か言いたいんならまずはあっちの方のスレでな。
以下通常運行で。

11 :
毎度毎度ご無沙汰しております。
新スレ乙です!だけではアレなので投下します。
規制に引っ掛かった場合戻り次第投下を続けるか、後日続きを投下しますのでご了承ください
・何時書き始めたのか、一発で分かる前置き。
レイ「……」
ハイネ「……」
ステラ「♪(ワクワク」
『あいつはセツコさんの俺達の敵なのに……!』
ハイネ「これ、立ってるよな?」
レイ「ええ、フラグですね」
ステラ「……あれ? これ、ステラとレイとハイネ出ないの?」
スティング「ほぉーら、ステラ無条件生存で俺もマシな死に方ができるスパロボLだぞぉ!」
ステラ「やったぁー!」
シン「あの……」
ルナ「正座」
シン「あれは並行、多元世界の俺で、俺だけど俺じゃない……」
コニール「黙って」
シン(なに、この腐ったラブコメみたいな修羅場……)

12 :

機動戦士ガンダムSEED
逆襲のシン・アスカ Mercenary Of Red
request27
シン・アスカの帰還より時は僅かに遡り、アーモリー1軍病院では本来であれば出会う事さえ無かったであろう“兄弟”が対面していた。
「久しぶり。 いや、直接会うのは初めてだなキラ、キラ・ヤマト」
その男、カナードを見た瞬間、キラは一瞬鏡を見ているのかと錯覚した。
目の前にいたのは肩までかかる黒い髪と自身とは対照的に吊りあがった黒い瞳、口元に不敵な笑みを浮かべた男。
「君は、一体……?」
男の態度と言葉、自身に良く似た声にキラは動揺を隠せない。
「俺の名前はカナード、カナード・パルス。 スーパーコーディネイターになりそこねた男」
「キラ・ヤマト……お前の、兄弟だよ」
「そんな、まさか!」
キラは自分と似た顔、同じ声で見下ろす男に困惑を隠せなかった。
今は亡き血の繋がった両親を除けば、ナチュラルとコーディネイターの違いはあれど唯一の肉親は姉であり妹とも言えるカガリだけの筈だ。
「兄弟とは言っても、実際に遺伝子が同じかは知らないがな。 育った腹、母体は一緒だ。 兄弟と言っても差し支えはないだろう?」
キラの驚いた顔に心底嬉しそうな意地の悪い笑みを浮かべるとカナードは口を開く。
「母体? まさか……メンデルの人工子宮!? じゃあ、君は……!」
カナードの言葉に、引っ掛かりを見出したキラは自身の知識から推論し、その答えを導き出した。
「くくっ、だから最初に言っただろう? スーパーコーディネイターに“なり損なった男”だと」
キラの答えに満足したのか、カナードはくぐもった笑い声を上げ、目を細めた。
「……っ!」
キラはカナードから発せられた殺気にも似た気配にベットから飛び降りると思わず身構える。
「そう身構えるな……別に、今すぐどうこうしようって訳じゃない。 少し話をしに来ただけだ」
先ほどとは真逆の平静とも言えるカナードのその態度はどこか恐ろしさすら感じさせた。
「僕に何の用です?」
警戒を緩めることなく、体に緊張感を張り詰めさせたままキラは
「事情は大凡アスカとジュールに聞いた。 だが、分からない事が1つだけある……何故、反撃しなかった?」
「えっ?」
カナードの言っている意図が掴めずキラは聞き返した。
「何故アンドリュー・バルドフェルドとロミナ・アルマフィ反撃しなかったと聞いている。
  斜め読みした資料ではクリティカルフリーダムは殆ど損傷していなかった。 何故だ?」
背にナイフを突き付けられたかのような冷たい感覚にキラは半歩退く。
「…………あの人達は、僕の罪の象徴だ。  
 僕はあの人達の大切なものを一方的に奪った。
 僕は殺されても仕方ないし、あの場で死んでも構わなかったんだ」
暫しの躊躇の後、キラは搾り出すように口を開き始めた。

13 :

「ふん、なるほどな。 ……今日は話だけで帰るつもりだったが、止めだ。 貴様の甘ったれた性根を叩き直してやる」
カナードは突然キラの胸ぐらを掴むと、そのまま壁に叩きつけた。
「いきなり何するんです!」
抗議の声を上げたキラはカナードの腕を掴むが、鉄のようにビクともしない。
「殺されても仕方ないだと? それは侮辱だ、貴様が犠牲にした命への!
 罪だと? それならば貴様は生まる前からどれだけの罪を背負っている?
 今までに、生きる為、生き残るために……どれだけの人間を殺してきた!」
「君に、君に僕の何が分かるんだ!」
カナードの詰問にキラは、怒鳴り返すと、その腕を振り払う。
「ハッ、その通りだ。 他人の事など誰も理解出来ない!」
カナードはキラを見下すように睨みつける。
「違う! 人には言葉がある! 話せば分かり合える!」
首を振り、カナードの言葉を否定しキラが叫び返す。
「はっ! お前がそれを言うか! まぁ話合いでカタがつけばそれで良い。 だが、それではどうにもならなければどうする?」
言葉を重ねるにつれカナードの語気が上がり白熱していく。
「最終的には力尽くで相手を黙らせるしかない! お前がラウ・ル・クルーゼとギルバート・デュランダルにしたようにな!」
感情が頂点に達したカナードは勢い余り拳を壁に叩きつけた。
「あれは……! いや、言い訳はしないよ。 全部僕がやったことだ、後悔はしていない。 それでも力だけが僕の全てじゃない!」
「だが、その力はお前の一部だ。 お前は自分自身を否定して何を信じる? 
 ラクス・クラインか? アスラン・ザラか? カガリ・ユラ・アスハか?」
詰問するカナードにキラは押し黙る。
「お前が信じるものはなんだ!? 最後に信じられるものはなんだ?」
激情の熱が帯びていた言葉は、次第に諭すような落ち着いた口調に変わっていた。
「僕は、僕が信じるのは……」
「馬鹿野郎、もうわかっているんだろうが! 答えられないなら代わりにいってやる!
 自分自身だ。 すべてを失って最後に残るのは、最後に信じられるのは、決断を下せるのは自分しかいない」
迷っているキラにカナードは真っ直ぐな言葉をぶつける。
「でも僕は、僕の力は! エルちゃんを、アイシャさんを、トールを、フレイを、ラクスを、みんなを!
 ……誰も、誰も救えなかった!  そんな僕自身をどうやって信じるって言うんだ! あの男が言ったように僕は!」
カナードの言葉と勢いに、キラは悟ったような態度の仮面、その奥に仕舞い込んだその心の奥底をぶちまける。

14 :
「やっと本音を出しやがったか」
カナードは舌打ちしながら目を細めた。
「僕は誰も救えなかった。 その上、友達を、サイを、ミリィを、カズィを傷つけた……」
その場にへたり込むとキラは俯きながらボソボソと呟いた。
「誰かに悩みも相談できなかったのか」
「僕は、僕を周りを信じて……違う、僕は拒絶されるのが怖かったんだ。 だから何も言えなかった」
カナードの問いを聞いたキラは首を振ると大きく肩を落とした。
「ふん、誰にも頼らず、耳を塞ぎ、一人で突っ走って、結果がこれか。 無様だな」
座り込んだキラを見下ろしながら鼻を鳴らすと、カナードはわざとらしく肩をすくめる。
「あなたは……好きなように言って」
顔を上げたキラはカナードを苦々しげな顔で見上げた。 その目の奥にはかつての光が、僅かに力が戻って来ているように見えた。
「はっ、気に入らないか? 言っただろう。 黙らせたいなら、力尽くで来い!」
顔を上げたキラを見て不敵な笑みを浮かべてカナードは挑発する。
「なら、遠慮なく……八つ当たりさせてもらうよ!」
キラが深呼吸を一つすると、小指から一本ずつ指を握って拳を形作っていく。
最後に親指を握りこみ、拳を固めると、声にならない叫びと共にキラはカナードへと飛びかかった。
「いい動きだ」
それに反応してみせたキラの拳を紙一重で避けると、カナードは笑いながらキラの蹴りを入れた。
キラは瞬時後ろに飛び退き、蹴りの勢いを殺し、口元を歪め見たことの無いほど嬉しそうな表情を浮かべる。
次の瞬間、お互い仁王立ちで怯むことなく無言で応酬する拳と蹴り。
交わす言葉など必要なくなく、ただ室内には打撃音だけが響いていた。
どれほどの時間が立ったのか、いつの間にか両者は限界に近づいていた。
残った体力はお互い一発分、そこに全てを込める。
「カナァードォッ、パァァルスゥゥッ!」「キィィィラッ、ヤァァマトォォォッ!」
互いの名を叫びながら、渾身の力を込めた拳を繰り出すし、それは交差しながら顔面に直撃。 
二人は無言で交差するように前のめりに倒れた。

15 :
「……まるでガキの喧嘩だ」
ゴロンと仰向けになったカナードが馬鹿馬鹿しいと一人呟く。
「こういうの、はじめてかもしれない」
起き上がる体力も残っていないのか、前のめりのままキラは笑う。
「殴り合いの喧嘩か?」
カナードは億劫そうにに上半身を起こすと、運良く手の届く範囲にあった水差しの水を口にする。
「それもそうだけど、兄弟喧嘩かな」
「……俺とお前の間に遺伝子上の繋がりがあるかは確かじゃない。 あくまで母体が同じなだけだ」
苦笑しながら言ったキラに言い返し、カナードは水差しを机に戻した。
「兄弟喧嘩じゃなくても、本音をぶつけ合ったのもはじめてかも殴り合いなんてしなかったし」
ゆっくりと体を起こすキラ。
「俺は二度目だがな」
少しだけ不愉快そうに顔を歪めるとカナードは立ち上がった。
「少しは気が晴れたか? 迷いが消えたならもっと良いが」
先程まで殴り合いをしていたのが嘘のようにキラを気遣うカナードは問い掛ける。
「何て言えば良いかな。 まだ迷ってると思う……だけど、するべき事は見えた気がする」
「そうか……さて、用は済んだから俺は帰る」
言葉を選びながらもしっかりと答えるキラにカナードは満足そうに頷き、立ち上がると服に付いた埃を払いのけた。
「もう行くの? 少し休んでいけば良いのに」
「俺も忙しいんでな」
立ち上がろうとするキラを手で制すると、肩を竦めて見せる。
「そうだな、機会があればまた……」
「カナード、僕も戦うよ」
カナードの言葉を遮り、キラは立ち上がる。
「僕はもう逃げない。 自分がやったことから目を逸らさない。
 僕が犠牲にした命を背負って他の命と自分自身の為に戦うよ。
 許して貰えないかもしれない。 無理かもしれないけど、やってみる。
 そして生き残って、僕が傷つけてしまった人達に謝る。 それが今の僕に出来ることだと思うから」
「好きにしろ……ただ、手がいるなら貸してやる。きっとアスカもそう言うだろう」
キラの言葉に振り向く事なくカナードは告げる。 その背中はどこか嬉しそうに見えた。
「ありがとう」
キラは深々と頭を下げる。
「先生、こっちです! 患者さんと不審者が殴り合ってます」
「何だと! 私の患者に手を出すとはいい度胸だ!」
階下から聞こえる看護師と医師ミハエル・コーストの声にキラとカナードは顔を見合わせる。
「厄介事になる前に逃げるか 」
「……僕も付き合うよ」
迫り来る危機に、顔を引き攣らせた二人は迷わず窓から飛び降りた。
「何処に行った患者ー!? 不審者ー!!」

16 :

アーモリー1港湾部軍関係者用食堂
「やれやれ、やっと飯にありつけるよ」
食堂入り口までたどり着いたシンは大きく溜め息を付いた。
『半分はお前の所為だがな』
「細けぇ事は良いんだよ!」
携帯情報端末から聞こえるRBの皮肉にシンは大袈裟なリアクションで返した。
『しかしあの男、シンが何故煙草吸いだと分かったのか不思議だな』
内心呆れつつもRBはふと湧いた疑問を口にする。
「多分、におい……だな」
一瞬考えるとシンは声を低くし呟いた。
『まったくギル、デュランダル議長みたいな事を言うな……ん?』
シンの悪ふざけに苦言を呈したRBは自らの言葉を訝しんだ。
「ん、どうした?」
シンは急に黙り込んだRBに首を傾げる。
『……いや、何でもない。 ただの通信エラーだ。(ギル……今のはレイ・ザ・バレルの記憶か?)』
RBは無愛想な一言を告げた後、突如押し黙った。
「エラーって昔の携帯電話かよ……」
まぁいいかと首を振るとシンは食堂に足を踏み入れる。
ザフトの食堂、少なくともアーモリー1の軍関係者向け食堂はビッフェ形式になっている。
常に食糧難に悩まされているプラントにしては一見豪華に見えるが、これには大きく分けて2つの事情がある。
一つは少人数化の為、もう一つは嗜好によるものだ。
コーディネーターと一括りにされているが、そこにいる人間の出身人種は様々である。
プラント生まれの第二世代、第三世代は兎も角、地上生まれの第一世代は人種の坩堝とも言える状態だった。
食事は日常の基礎、ただでさえストレスのかかる低重力下のプラントでは食生活の変化は多大なストレスとなり得る。
そこでプラントの食べ物は海鮮ジョンゴル鍋に代表される無国籍料理又はバリエーション豊かな多国籍料理種類が多かった 。
また、この形式は戦災を逃れて来た移民や難民にも非常に好評でシンもその恩恵を受けた一人だった。
シンがふと、私物の時計を見るとプラント標準時で午後二時を過ぎたところだった。
周囲を見渡すと、流石に人は疎らで赤緑黒服それに連合の軍服を着た人間が何人かいる程度。
普通軍の食事は兵員用と士官用将校用に別れているものだが、狭いプラントでは小型艦船と同じく特に食事の場所に区別はなかった。
「さて、何を食おうかな」
とは言う物の元々シンは味には期待していない。
屑肉を固めたステーキのような何かや動物性タンパク質の魚モドキは栄養こそ豊富だが、味は地上の天然物や養殖物と比べて遥かに劣る。
シンに好き嫌いは無いし、傭兵となってからは現地調達も多々あった為、食い物に関してはそれほどこだわりは無かった。
だが、最近舌が肥えて来たのか妙に食い物に五月蠅くなった傾向があった。
「コニールの料理美味いし……ルナのも悪くなかったなぁ」
思い起こせばルナマリアも決して下手ではなく寧ろ上手かった。
「よくよく考え無くても恵まれてるな、俺」
入り口につっ立ったままシンは苦笑する。
『なんだノロケか?』
「そんなんじゃない、まぁ感謝はしてるけどさ」
ボケッとしているシンにRBが突っ込むと、シンは照れ臭そうに鼻の頭を掻いた。

17 :

「いやー、危なかったね。 まさかコースト先生が走って追いかけてくるとは思わなかったよ」
「俺としたことがあやうく捕まりかけるとはな」
どこかで聞き覚えのある2人の良く似た声にシンは思わず振り向く。
「あ」「お」
「まだいたのか、ロンゲ」
「黙れ、ウサギ野郎……生きて帰ってきたようだな」
目があったシンとカナードは挨拶がわりに罵り合う。
「まぁ、な。 何時も通りさ」
カナードのどこか安心したような声にシンは頷くと肩を竦めてみせた。
「そうか、いつも通りか」
シンの態度にカナードは鼻を鳴らした。
「カナード、何食べる? あ、シンだ」
カナードの後ろから歩いて来たキラは気の抜けた声でシンを指さした。
「キラさん。 あんた、なにやってるんです?」
キラとカナード、違和感のある組み合わせとキラの妙に毒気の抜けた態度にシンは眉を顰める。
(しかも二人とも顔腫れてるし、何かあったんだろうか)
「ご飯食べようと思って」
「そうですか」
不思議そうに首を傾げるキラに釈然としない顔を見せるシン。
「シンもご飯?」
「ええ、そんなとこです」
キラの問いにシンが答える。
「じゃあ、ここは僕が奢るよ」
「……では、遠慮なくご馳走になります」
キラの好意を無下にするのも悪いと思い、シンは素直に頷いた。
「おい、あれ、シン・アスカじゃないか?」
「本当だ……なんでキラ・ヤマトと飯食ってるんだ? 仲悪いって聞いたぞ」
「イケメン三人が仲良くご飯食べてるなんてハァハァ、もう……!」
(なんか、凄い注目されてる気がする……)
天ぷら蕎麦を啜りながら、シンは周囲の声と視線を気にしながら目だけを動かした。
気にしないようにしても、傭兵として染み付いた習慣、つい周りの声に聞き耳を立ててしまう癖からどうしても気になる。

18 :
「……シン」
一頻り笑い終えたキラはシンの顔を真正面から見ると驚くほど真面目な表情で言った。
「な、何ですか?」
急なキラの変化に戸惑い、シンのの声が僅かに上擦る。
「君は、人はそれぞれの場所ですべき事があるって言ったよね。 君に言われて、僕は考えたんだ。
 今の僕に、これからの僕に何が出来るのかって。 カナードと会って……まぁ色々合って、ようやく答えが出た。
 僕はもう逃げない。 自分がやったことから目を逸らさない。 
 僕が犠牲にしてしまった命と傷付けてしまった人の想いも、悲しみも、憎しみも、怒りも全部受け入れて背負ってみせる。
 背負って僕も戦う、戦い抜くよ。 傷付けてしまった人たちへの贖罪の為に、生き残って謝るため、何より自分自身のために」
はっきりとした力強い口調でキラは言い切った。
シンはキラの目をまじまじと見る。
質の良いアメジストのように驚くほど澄んだ瞳の奥には確かな覚悟と決意の色が見えた。
数時間、数日前。 そして記憶の中にある数年前の姿とは別人かと見違えるようなキラの顔に、この僅かの間に何があったのかと目だけを動かし、カナードに訴える。
シンの視線に気づいたカナードだが、返答は口元に笑みを浮かべるだけだった。
「シン?」
傍目にはボケッとしているように見えるシンを不審に思ったのか、キラが声をかける。
「(まるで憑き物でも落ちたみたいじゃないか)……期待、させてもらいます」
喉まで出かかった内心を飲み込み、シンは言葉を選びながら口を開いた。
「うん、任せてよ」
キラは力強く頷いた。
「そういえば、キラさん乗る機体あるんですか?」
キラに気圧されている雰囲気を変えるために、シンはふと湧いた疑問を口にした。
「一応、ダコスタさんには頼んで置いたけど、無ければジンだろうとゲイツでも構わないよ」
「いや、ゲイツやジンは拙いでしょ」
「お前は何を言ってるんだ。 せっかく拾った命を無駄にする気か」
さすがのカナードも慌ててキラに言った。
「フリーダム系列はなくても、ガルバルディの予備機位はどこかにありますよ」
「なければうちのヘリオスを貸してやるから早まるな」
必死な二人だが、今のキラには実行しかねない妙な説得力と勢いがあった。
「話は聞かせてもらいました!(バンッ!」
「ひっ!」
真後ろからのバンッ!という机を叩く音にシン達は一斉に振り向く。
運悪く近くにいたどこぞの国の官僚らしき女性が悲鳴にも似た驚きの声を上げていたのにご愁傷と思いつつ、シンは声の主の顔を見る。
その男はこの場には場違いにも見える小奇麗なスーツに身を包み、黒髪に眼鏡を掛けた何処にでも居るような東洋人だった。
ただし、作り笑いを張り付けたような顔と胡散臭さが服を着て歩いているような雰囲気を除けば、だが。

19 :
「乗る機体がないのなら、是非我が社、我が企画6課設計のヘリオスmkIIにご試乗ください」
「出たな、インチキセールスマン」
男の顔を確認した瞬間、カナードは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「あ、どうもお久し振りです。 先日の暗幕の件ではありがとうございました」
一方シンはペコリと頭を下げ、仕事モードの口調になる。
「いえいえ、此方こそ丁寧なレポートをありがとうございます。
 流石インパルスのテストパイロット、とても参考になりました。 いずれ試供品をガルナハンの方に送らせてもらいます」
「いつもすみません。 ……ところで、個人的な相談なんですが。
 あの暗幕、素材と色変えて夜間用とか砂漠用、密林用にできませんかね? 個人的に購入したいんですが」
「……なるほど、それは思い付きませんでした。 後で社の方に連絡を入れて検討してみます。 見積もりはいつも通り……」
シンと男は一通りの形式的な会話を終えると、声を潜めコソコソと悪巧みを始める。
「ええい! 普通に話し込むな! なぜ貴様がここに居る!?」
周囲の目も気にせず怪し気な話をし始める二人にカナードが声を荒げた。
「チッ、ウッセーナ…ビジネスですよ、ビジネス。 それに各国の最新鋭機の実戦をこの目で確かめるチャンスですからねぇ」
カナードの嫌味に一瞬、嫌な顔を見せた男は渋々といった様子で言った。
「さっきヘリオスmkIIに試乗とか言っていたが、なんのかんの理由をつけてうちにも回さないのにそんなにすぐ用意できるのか!」
「貴方の所にはこっそり試作品回してるから良いじゃないですか……。
 それにあのキラ・ヤマトが乗るなら今直ぐにでも用意させますよ。 戦闘データだけでどれだけの価値がつくことか。
 乗る機体がないならスーパーストライク、フル装備ストライクのアッパーバージョンを用意させたのですが……惜しいことをしました」
「ねぇ、シン。 あの人誰なの?」
口論を始めた二人にキラは声をひそめ、こっそりとシンの肩を叩いた。
「ああ、あの人はアクタイオンの……」
「これは申し遅れました。 私、アクタイオンアジア極東支社で企画六課課長をやっている者です。 機会があればぜひご贔屓に」
振り向いたシンの言葉を遮り、恭しくキラに名刺を差し出す課長。
「はぁ、わざわざご丁寧にどうも」
キラは名刺を受け取ると頭を下げる。
「それで如何ですか? そちらが良ければすぐにでも」
「一寸待った! うちもレイダーなら余ってるぞ!」
課長の言葉を遮り、ドヤ顔で颯爽と現れたのはエドだった。
「ヤタガラスでも良ければ予備機はいくらかあるね」
その後ろから普通に歩いて来たジャンが付け加える。
「また誰か現れた!……ってまさか、ジャン・キャリーさん!?」
次々現れる見知らぬ人達に困惑していたキラは数年ぶりにあった顔見知りに驚きの声を上げた。
「ん……君は。 久しいね、キラ・ヤマト君。 一先ず健啖でそうで何よりだ」
キラに気付いたジャンは爽やかな笑みを見せた。
「あんたら、どこから現れたんですか」
驚きの表情を浮かべるキラに対し相次ぐ顔見知りの来訪にうんざりとした顔をした。
「補給補充の受け取りに手間取ってたらこんな時間になってな。
 昼飯にしようとしたら見知った顔がいたんで声を掛けたって訳だ」
「シンに丁度用があったからね」
エドの説明に片手に紙袋をぶら下げたジェーンが一言加える。
「ほぅ、それで営業妨害ですか」
貼り付けたような笑みを絶やすこと無く課長はいった。
「仕方ないだろう! キラ・ヤマトのデータにボーナス出るんだから!」
「うちだって金一封でるんですよ! 邪魔はさせません!」

20 :
「それで、用ってなんですか?」
課長とエドのやり取りを溜息をつき大きく首を振り無視を決め込むと、ジェーンに問い掛けた。
「必要だろうと思って、折角着替え持ってきたのにその言い方?」
投げやりなシンの態度にジェーンは不愉快そうな顔で紙袋をシンに押し付ける。
「あ、本当ですか。 お気遣い有難うございます」
中身を確認したシンは態度を一変させると、深々と頭を下げた。
「最初から素直になりなさい。 それとシン、偶にはスーツをクリーニングに出しなさい。
 自分でやるのが面倒ならコニールにやってもらうとか、誰かに頼むとか、色々あるでしょう。
 あんたももう21でしょ? ナチュラルでも成人なんだから。 普段の着るものくらい自分でしっかりしなさい。
 後、Yシャツは皺になってたからアイロンかけておいたからね。 これからはちゃんと着るのよ。 分かった?」
「はいはい、分かってますよ」
(オカンか)(母さん思い出すなぁ)(母親みたいだな)(メリオルより口煩いな)
ジェーンのお小言に辟易しながらシンは頷く。
「返事のはいは一回! 第一あんた言わないと分からないでしょう? 言ってもやらないんだから……」
「お説教中すみませんが、私はこれで失礼しますね」
今日は長くなりそうだな。とシンが説教から抜け出す算段をつけ始めた時、絶妙のタイミングで課長が口を挟む。
「ああ、どうも。 暗幕の件はでき次第ガルナハンの方に詳細と見積り送ってください」
シンは内心で手を叩いて喝采したいほどだったが、あくまで押し隠し事務的に事を進める。
「分かりました。 ヤマトさんも何か有りましたら気軽に連絡をください。
 私で良ければ、力になれるなら微力ですが喜んで協力させてもらいますので」
シンの言葉に頷いた課長はキラに向き直り一礼する。
「はい。 有難うございます」
「あやしいなぁ」
「ふん、何を企んでいるのやら」
素直に頭を下げたキラに対して、エドとカナードは課長に疑いの目を向ける。
「ああ、カナードさん今思い出しましたがメリオル女史が貴方を探していましたよ。
 かなり怒っていらっしゃるようでしたから早めに連絡したほうがよろしいのでは?」
課長は口元にいつもの貼り付けたようなものとは違う、隠し切れない愉快そうな笑みを浮かべた。
「あ……助言感謝する」
課長の言葉を聞いた瞬間、カナードの顔が引きつり、冷や汗が吹き出る。
「いえいえ、では私はこれで失礼します」
「何だよ、あ……って」
最後まで楽しそうな笑みを浮かべていた課長の後ろ姿を見ながらシンはカナードに聞いた。
「こっちのことだ。 気にするな……ああ、そうだ! おれはようをおもいだしたからかえる!」
「必死だな」「確実に何でもなくはないな」「素直にメリオルさんに謝りなさい」
冷や汗だらだらかいているカナードに追い打ちをかけるミハシラ三人組。
「ええい! うるさい、放っとけ!」
「カナード! 行く前に教えてよ!」
必死にその場を後にしようとするカナードにキラが声を掛けた。
「っ何だ!?」
キラの真剣な表情にカナードは思わず立ち止まる。

21 :
「メリオル女史って誰さ! シンもコニールって誰!?」
「貴様ァ……っ!」
キラの思いもしない言葉にカナードは奥歯をギリギリと鳴らす。
「嫁だ」 「嫁?」
エドはニヤつきながらキラの言葉に答える。
「見つけた! カナード、貴方は一体何を! なんで道草食ってるんですか!」
肩を震わせながら現れたのはショートカットの髪の眼鏡を掛け白い軍服を着た女性、傭兵部隊X副官メリオルだった。
「あの人ですよ」
キラを見ながらメリオルを指さすシン。
「違う、道草など食っていない。 食べているのはヌードルだ」
「カナード、貴方と言う人は……」
カナードの子供以下の言い訳に思わずメリオルは溜息を付く。
「はは、カナードにしちゃ面白い冗談だな」
「赤鬼、なにが面白いんですか!」
他人事だとケタケタと笑ってシンに怒りの矛先が向いた。
「そういえば、メリオルさんなんでここが分かったんですか?」
シンはすかさず話を変えメリオルの気を逸らす。
「アクタイオンアジア、企画6課課長からメールが入りまして……。
 初見の方も居るようですね。 お見苦しいとこを見せて失礼しました。
 私、傭兵部隊Xで副官兼任の統括責任者をしていますメリオル・と申します。以後お見知りおきを」
怒りが冷め、我に帰ったメリオルは周囲を見渡したメリオルは深々と頭を下げた。
「あの野郎、チクリ入れてやがったか……!」
一方、カナードは課長への恨み言をぶつぶつと呟く。
「なにブツブツ言ってるんですか、帰りますよ。 挨拶もそこそこですが、彼のせいで多忙なもので失礼します」
「痛、痛、分かった。 行くから引っ張るな。 キラ、アスカ、また会おう」
耳を引っ張られながらカナードは退散していく。
「……行っちゃった」
「忙しない男だな」
呆気に取られ立ち尽くすキラの隣にいつの間にか食事をトレーに乗せていたジャンがいた。

22 :
「所でシン、コニールってだ…「あんた、結構しつこいな! ……住処世話になってる奴ですよ。 小煩い小娘です」
コニールとの関係を詮索するキラに思わずシンは声を荒げる。
「随分な言い方じゃないか? 健気で面倒見の良さそうな娘に見えたが?」
「本当に可愛くていい子なのにひどい事言うわね」「未成年誑し込んで、しまいにゃ手を出してその言い方か」
「誑し込んでも手を出してもいませんよ! ジェーンさんもエドさんも余計なこと言わないでください!」
面白がってシンをからかう三人にシンは思わず声を上げる。
「う、羨ましい……! 自分を慕ってくれる未成年の子と同棲とか、クールビューティな副官のメガネっ娘とかsneg! ずるいや!」
「それ何てエロゲ? って何言ってんだ、あんた。 第一、プラント評議会議長が恋人じゃないのか?」
突如変貌し始めたキラに冷淡な視線とツッコミを入れるシン。
「君に僕の気持ちが分かるかぁ!」
「良いから落ちつけ。 割とマジで。 あぁ、この人面倒くさいよ! 殴りてぇ」
周囲の視線も気にも止めず狂気の叫びを続けるキラにシンは思わず殴りかかりそうになった。
「シン、気持ちはわかるがお前も落ち着け」
エドはシンの肩を掴み殴りかからんとしようとするのを静止する。
「僕は、僕は……ゴメン少し錯乱した、僕疲れてるみたいだ」
「錯乱するのはアスランだけで十分なんで、アスランだけで十分なんで落ち着いてください。 俺も人の事言えませんけど、キラさんそんな人だったんですね」
ようやく落ち着いたのか、肩で息をするキラに水の入ったコップを渡す都心は唖然とした表情で言った。
シンにとってキラはもっと超然とした悟ったような雰囲気のある落ち着いた人という印象が強かった。
「私の知るキラくんは妙に悟った所もあるが、歳相応の気の良い青年だよ、君と同じね」
タイミングを見計らったジャンがその場をまとめる。
「はぁ……なんだか疲れてきた。 時間も近いんでシャワー行って、会議に行ってきます」
「おう、行って来い」
「またすぐに会うと思うけど、またね」
大きな溜息を付き、立ち去るシンにエドとキラは他人事のような笑顔で手を振っていた。

23 :
支援?

24 :
>>23
支援感謝
アーモリー1ザフト総司令部正面玄関前
Yシャツに袖を通し上下に黒いスーツを身に纏い、サングラスをかけ全身を黒く染め上げたシンはその場で待っていた。
「まだなのか?」
『コートニーは迎えを寄越すと言っていたが、来ないな』
僅かな苛立ちを感じさせるシンの独り言にRBは相槌を打つ。
「向こうから時間指定してこれか。 っ!」
シンは無意識にスーツの内ポケットに仕舞っていた煙草に手を伸ばしたが、すぐさま吸えない事に気付いたが構わず一本取り出し咥えた。
『そういらつくな、せっかちな男だな』
「別に苛付いてはないさ」
呆れたようなRBにシンは言い返す。
『そうか? まぁ、お前が言うならそういう事なのだろうな』
「そうだよ、それよりも随分黙りだったじゃないか」
意外そうな声を上げたRBに先ほどの事を思い出したシンは忘れかけていた文句を言った。
『私にもそういう時がある。 ……それに“あの男に似た私の声で”キラ・ヤマトを無駄に刺激する事も無いだろう?』
「へぇ、案外色々考えているんだな」
理路整然としたどこか陰を帯びたRBの言葉にシンは感心したように唸る。
『論理だった考慮の結果、そういう結論に至っただけだ』
フフンと自慢気に鼻を鳴らすRB。
「そういえば、迎えが来るって誰が来るんだろうな」
RBを軽く無視するとふと思った疑問を口にする。
『まぁ、多分ルナマリア辺りだろうな』
「ん? 理由は?」
迷い無く言い放ったRBにシンは首を傾げる。
『簡単だ。 アーサー艦長は会議に出るし、アビーはその付き添い。 
 ヴィーノは裏方だから除いて、暇そう……残っている士官クラスはルナマリアしかいない」
「なるほどね」
そんな事も分からないのかと言いたげなRBにシンは頷くと、一人暇そうなルナマリアの姿を思い浮かべ思わず口元が緩む。
『ふっ、嬉しそうだな』
シンの表情を見てからかうRB。
「止めろよ、一応俺とアイツは……」
「話の途中ですが、ルナマリアじゃなくてすみませんね」
眉をひそめたシンの言葉は女性の声に遮られる。
「……聞いてたのか。 君が来たんだな、アビー」
声の方へと振り向き、書類ケースを左手に抱えたアビーの姿を確認したシンの声は不躾だが、顔はむしろ穏やかだ。
口ではそう言いながらも、シンは目の前の彼女の事が嫌いではなかった。
ルナマリアやメイリンのようなアカデミーからの知り合いではないからこそ、シンを客観視し、率直な意見を述べることが出来る。
シンに対しても遠慮なしに物怖じせず文句をつけることができる数少ないできる存在だった。
メサイア戦役中では増長しがちだったシンの静止役であり、年齢も上であることからの姉が弟を諌めるような物言いは、どこか師匠の一人で自称姉代わりだったリーカを思い出させ、アビーの提言はシンも珍しく反発すること無く素直に受け入れていた。

25 :
「ええ、それよりもルナマリアのことを過小評価しすぎですよ」
頷くとアビーは若干不機嫌そうにずいっと一歩詰め寄ると右手の人差指をシンに突き付ける。
「ん、そりゃ腕は認めるけどさ。 内勤はその……わかるだろ?」
アビーの勢いに押され、口元の煙草を胸ポケットに仕舞うとシンはフォローを入れながらも、最後に言葉を濁す。
「……それでも、昔よりはいいですよ」
ルナマリアの内勤が言葉を濁すほどなのは事実なのか、アビーは突きつけた指を戻すと腕を組む。
『その様子だと、相変わらず内勤は論外なのか』
どこか感慨深くRBは呟く。
「だろうな」 「……はぁ」
シンは小馬鹿にしたように軽くため息をつくが、当事者であるアビーにとっては笑い事ではないのだろう言葉もでない。
「それよりも公の場でサングラス位外したらどうですか?」
「これ付けてないと目立つんだよな……」
アビーの指摘に渋々シンはサングラスを胸ポケットへとしまった。
シンの赤い目は一目でコーディネイターと見抜かれ、なによりシン・アスカの特徴と言える物だったので、普段はサングラスやヘルメットで隠していた。
「付けていない方が格好良いですよ?」
不満気なシンの顔を下から上目遣いで覗き込みながらアビーは褒める。
「あんまり煽だてると本気にするぞ?」
思わぬアビーの行動に、シンは目を細め右手でアビーの軍帽を抑えると上からその顔を覗き込む。
「いいですけど。 私、結構面倒臭い女ですよ?」
軍帽に掛かったシンの手を払い除けると、アビーはシンの顎を抑えながらぞっとするような笑みを浮かべた。
「勿論、冗談だよ」
背筋に冷たいものが走るのを感じたシンは自分の顎に触れているアビーの氷細工のような細い指をそっと下げさせる。
『怖い女性だな』
「全くだ」
RBの感想に心の底から頷くシン。
どうも自分は自分をよく知る年上の女性に頭が上がらない運命にあるらしいと心の底から噛み締める。
「では行きましょうか、ミネルバを長く留守にできませんし」
今度は穏やかな微笑を浮かべるとアビーは総司令部入口の方へ足を進める。
「あれ、留守番だったのか?」
「忘れ物をするようなルナマリアには『まだ』留守は任せられませんよ」
シンの問いかけに答え、アビーは大きく肩を竦めた。

26 :
「お疲れ様です」 「どうも」
総司令部入り口で立哨に立つザフト兵に許可証を見せながら敬礼し、中に入るアビーに続きシンも建物の中に入る。
「ふぅ……」
建屋の中に入ると適温に調整された空調が心地良く、シンは襟元に手を伸ばした。
「連合が担当の区域がありますから、気を抜かないように」
シンが入り口を通った事で安心し、Yシャツのボタンを外そうとした事をアビーが咎める。
「了解」
襟から手を外し、ふと先に目をこらすと、白い連合の軍服を着た立哨に立つ兵士の姿が見えた。
おそらくは隊長或いはリーダー格と思われる色黒なスキンヘッドの中年男性、言い方は悪いがどことなく軽薄そうな若い金髪の青年。
それに黒いロングヘアーとどこか憂いを帯びた表情が印象的な若い女性の三人だ。
女性に何故か既視感を感じるシンは無意識の内にじっと視線を送っていた。
「どうしたんですか? 変な顔して、何か有りましたか?」
「いや、別に何でもない」
シンの様子に気付いたアビーは首を傾げるが、シンは気のせいと思うことにして、言葉を濁した。
「あ……」
シンの視線と先程のやりとりで気付いたのか、女性がシンとアビーに敬礼し、一瞬遅れシン達も返礼を返した。
「お疲れ様です。 ミネルバ隊アビー・ウインザーです。 シン・アスカを連れてきました」
アビーはスキンヘッドの隊長に会釈をし書類を渡すと、後ろに立つシンを指し示す。
「……確かに、状況は伺っています。 お手数ですがボディチェックと銃をお預かりします」
書類の内容の確認をした隊長は、すっとアビーとシンの顔を見ると二人の部下がそばに立つ机のへと促す。
「あー、銃ですか。 ちょっと待って下さいね……えっと……」
隊長の言葉にシンは内ポケットや袖口、靴の裏あらゆる所から銃やナイフを取り出し机の上に置いていく。
「どんだけ持ってるんですか」
一足早くボディチェックを終えたアビーは次々出てくる武器に呆れ気味にシンを見る。
「仕方ないだろ。 こっちはこの武器に色々掛かってるんだから……あ、これで最後です」
アビーに顔を向けながら、ジャラジャラと武器を並べると最後に胸ポケットに入ったライターを机に置いた。
「た、確かにお預かりします……これは、飴?」
シンの武器の量に唖然としながらケースへと仕舞おうとした女性士官は零れ落ちた何かを手に取ると小首を傾げた。
「あ、飴ですね。 良かったらどうぞ。 人工甘味料無しの貴重品ですよ」
両手を上げ金髪の男性兵士にボディチェックされながらシンは微笑んだ。
「はぁ、有難うございます」
困惑しながら軽く頭を下げる女性士官。
「相変わらず甘党ですね……あ」
シンの飴を見て突如アビーの表情が曇る。
どうやら思い出さなくても良い事を思い出してしまったらしい。
「はい、チェック完了です。 中へどうぞ」
「まったく余計な手間を掛けて。 ほら、急ぎますよ」
「ちょっ、引っ張るな! ちゃんと行くから待ってくれ」
チェックが終わり、不機嫌そうにシンの袖を引っ張り先へと促すアビーにシンは抗議の声を上げながら引張られて行った。
「……甘くておいしい」
一方、シンから貰った飴を口に入れた女性士官は幸せそうな顔を見せていた。

27 :
「アビー、子供じゃないんだからそう引っ張らないでくれ」
「子供じゃない割には飴なんて持ってるんですね。 ああ、そういうやり方で粉かけているわけですか?」
シンに言われ手を離したアビーは若干の侮蔑を含んだ視線をシンに向ける。
「なんでそんなに不機嫌なんだよ」
「……別に不機嫌ではありません」
シンの問いに顔を背けるアビー。
まさか貴方が紅茶に砂糖三杯も入れたからでしょうが!と怒るわけに行かず言葉に詰まる。
(俺が何をしたって言うんだ……)
『何故あんな目で見られるか分からないなら、自分の胸に聞いてみるんだな』
RBの言葉にシンが憮然とした表情のまま暫くアビーの後を付いて行くと、廊下で話し込んでいる一団に出くわした。
「やはり……」
「しかしそうなると……」
「あ、イザークさん」
見覚えのあるおかっぱ頭を目にしたシンは声を上げた。
「あ、シン。 帰ってきたんだ」
シンの声に真っ先に気付いたルナマリアは軽くシンに手を振る。
「シンだと? おお、良く帰って来たな」
ルナマリアの声でシンに気付いたイザークは早足で駆け寄って来た。
「ええ、なんとか帰って来れました。 それより、報告遅れてすみません」
「気にするな、ディアッカから連絡は受けていた」
頭を下げるシンにイザークは頭を上げるように促すと肩を叩く。
「あれ、そういや艦長とシホさんは?」
「艦長はミネルバ改装工事の打ち合わせで一寸離れててるの。
 シホさんも補給の事で少し外に出てる。 アビーも案内お疲れ様」
「忘れ物なんて子供じゃないんですから、もっとしっかりしてください」
傍らに立っていたアビーにルナマリアは労いの言葉をかけると書類を受け取る。
「忘れたのは艦長だもの。 私は何度も確認したわよ」
「また、子供みたいな言い訳を……まぁ、そんな事はどうでもいいですが、会議の進捗状況はどうです?」
悪びれもしていないルナマリアに一瞬呆れたような顔を見せたアビーはすぐに意識を切り替えると聞いた。
「今の所は今後の方針と戦略を纏めた位ね」
「方針って言うと?」
ルナマリアの言葉にシンが聞き返す。
「ザフトとオーブは近日中は部隊の再編成。 
 それ以外は哨戒と索敵をローテーションで持ち回りする予定だ。 それに各国軍は指揮系統を別にする事が決まった」
ルナマリアに代わりイザークがシンの問いに答える。
『と言うことは連合は一纏めに? それとも国ごとか?』
「大まかにいえば大西洋連邦、ユーラシア連合、東アジア共和国、ザフトの4つに分けられることになった」
「オーブ軍とミハシラはどうなるんですか」
「オーブは絶対的に戦力……総数が足りん。 ミハシラや傭兵も集め、遊軍として働いてもらう」
「なるほど」
イザークの答えにシンは頷いた。

28 :
「まだ時間があるな」
チラッと壁に掛かった時計に目をやるとイザークはシンへと言った
「それで俺は何で呼ばれて何を聞かれるんですか?」
「概要は報告書とスリー・ソキウス中尉から把握している。
 お前が見つけた物について聞かれた事を素直に答えれば良い。 寧ろ余計な事は喋るなよ」
シンの疑問に答えるとイザークは釘を刺した。
「わざわざ墓穴掘るようなことしませんよ」
「だと良いがな」
「休憩時間終了です。 会議を再開しますので参加者はお集まり下さい」
不服そうなシンに鼻を鳴らしたイザークの言葉は会議の再開を告げる若い兵士の声に遮られた。
「時間だ……取り敢えず俺と来い」
シンは無言で頷くとイザークの後に続いた。
部屋に入った瞬間、ピンと張り詰めた空気を感じたシンは思わず新兵のように背筋を伸ばした。
(あら、珍しい)
こんなに初々しいシンを見るのはどれくらい久しぶりなのだろうか。
ルナマリアの記憶ではデュランダル議長に会った時やインパルスの正規パイロットに選ばれた時以来だ。
本人にそのつもりはなくても案外人見知りで口数も多い方でないため基本的に不機嫌そうな顔なのでふてぶてしく見える為、比較的付き合いが長く心を許しているルナマリアにも珍しく見える光景だった。
三人(アビーは帰ったのでいない)は用意された椅子にイザーク、シン、ルナマリアの順で腰掛ける。
「そう緊張するな(と言っても無理な話か)」
シンの態度に気付いたイザークは振り向くとシンに声を掛けた。
「すみません。 あんまりこういう所慣れてないもんで」
ザフト時代のシンは常に前線か現場に出ていた。
アカデミー(士官候補生)→テストパイロット→正規パイロット→傭兵という遍歴の為、お偉いさんを含む会議など縁がなかった。
傭兵になってからは言うまでもない。
戦術眼やMSを始めとする機械関係の知識、戦闘能力と反して事務処理能力はかなり低い。
「よし、分かった。 分かりやすく三行で説明してやる。
 静かに大人しく座ってろ。
 呼ばれたら立って、あそこまで行って聞かれた事に答えろ
 終わったら元の席に戻ってまた座れ。 OK?」
「あそこ?」
「あの正面の、お偉いさんの目の前のとこだ」
イザークは大きな机の前に置かれたパイプ椅子を指差した。
「大丈夫か?」 「多分……」
「よし、会議が始まってすぐ呼ばれるだろうから準備はしておけよ」
「うぃっす」
シンの返事にイザークは怒っているような呆れたようなどこか悲しそうな、なんとも言えない微妙な表情を見せたが、シンは見なかった事にした。
「すみません、遅れました」
「間に合ったぁ」
始まるのを見計らったようにアーサーとシホが空いていたイザークの両隣に座る。
「全員着席なされたようですので再開させていただきます」
進行役であろう女性士官の顔には見覚えがあった。
『ん、音声記録領域のデータと一致。 進行役はレナ・ヒューストンか』
「みたいだな」
RBの言葉にシンは憮然とした表情で答えた。

29 :
>>28
スミマセン。 レナ・ヒューストンはレナ・イメリアの間違いです。
「シン・アスカ氏、前へとお願いします」
会議は特筆すべき事もなくつつがなく進行し、シンが退屈そうな顔を見せ始めた頃シンが呼ばれた。
「ルナ、持っていてくれ」
「いいわよ」
RBの入ったタブレットを後ろのルナマリアへと渡すと立ち上がり、前へと進んだ。
「あんたも移動出来なかったり、預けられたり、体が無いと不便ね。 誰かに頼んで移動用の入れ物でも作ってもらったらどう?」
『ふむ、一考に値するアイディアだ。 検討してみるか』
(……他人事だから呑気だな)
後ろから聞こえるルナマリアとRBの歓談から意識を外し、シンは正面を見る。
レナ・イメリアが若干不愉快そうな表情で見ていたので一礼すると、スッと視線を外し数歩下がる。
(幸いにして入ったことはないけど、死刑囚の裁判所ってのはこんな感じなんだろうな)
「あれはミネルバ隊の……良かった、生きていたのか」
「話には聞いていたが生きていたか」
「あれが、シン・アスカ。 デュランダルの懐刀、ミネルバの鬼神か、まだ若いな」
小声で囁かれる話を無視し、見渡せばシンでも知っているほど、名の知れた連合、ザフトの提督指揮官揃い。
一方、面識のある人間も何人かいた。 
オーブ軍はイツクシマ艦長に、元マハムール基地司令官であり、ガルナハン解放戦において旗艦デズモンドでミネルバ隊と共闘した現アーモーリーシティ防衛艦隊総司令ヨアヒム・ラドルや端の方にはアンリ・ユージェニーの姿もあった。
アンリは先程言葉を交わした以上に随分早い再会で、ラドルに関してはローエングリンゲートの後にも会ったというか、結構な借りがあった。
「アスカ氏?」
正面から掛けられた威厳すら感じる野太い声と潮の香りにシンは顔と意識を正面に戻した。
「ぉ……」
「?……」
声にならないと言うより何か感情を噛み殺したような声を上げた目の前の連合の軍服を着た将官……階級章を見るに中将、おそらくこの部隊の最高司令官にシンは心の中で首を傾げた。
「あー、すまない。 足労感謝する。
 概要はユーラシア軍のスリー・ソキウス中尉から聞いているが、目撃した君の口から直接状況を聞きたくて呼ばせてもらった」
RBの作ったレポートを手に取った中将はシンを一瞥する。
そこでシンは目の前の中将が煙草を分けたサンダルを履いたゴリラ似の男、提督であることに気付いたが心の奥に仕舞っておいた。
「それはどういう意図で、でしょうか?」
「君の率直な意見が聞きたい。 君はアレを何だと思う」
「兵器でしょうね、それもジェネシス級の」
「ほう、理由は?」
RBとの会話の結果導きだされた、シンのジェネシス級という言葉に反応した周囲がざわつく中、提督は動じずにシンへと問いかける。
「あの巨大さ、ミラージュコロイド、ビームすら弾く強度のPS装甲。 間違いなくジェネシス級の戦略……」
「し、失礼します!」
シンの言葉は突然部屋の中に入ってきた兵士に遮られた。
「何事だッ!」
提督の横に座っていた少将の階級章をつけたおそらく参謀であろう男が立ち上がり兵士を叱責する。
「も、申し訳ありません! しかし暗号データの解析が完了した結果、とんでもないものが……」
「この場で再生をしてくれ。 アスカ氏は一旦元の席に戻ってもらえるか」
提督の言葉にシンは無言で頷くと足早に席へと戻る。

30 :
「お早いお帰りで」
「遅いよりはいいさ」
席に戻ったシンはルナマリアからRBのタブレットを受け取る。
『思ったよりも早く解析が終わったな。 数日かかるかと思ったが』
「連合の技術力侮りがたしってとこだな」
RBの言葉にシンが付け加える。
「では、再生を開始します」
兵士の声で室内が暗くなり、お偉い方の後ろに設置されたスクリーンに映像が映し出される。
『……ますか、わた・は……私はラクス・クライン。 プラント評議会議長です』
スクリーンに映し出されたのは鮮明ではないもののピンク髪の若い女性、ラクス・クラインの姿だった。
『このデータを、私の知る全てをコネクター、巨大な建造物のミラージュコロイドの中に偽装し……時間が、あまりありません。
 アプリリウス近郊での歌姫の騎士団、アンドリュー・バルトフェルド造反を手始めに、アプリリウス1が占拠され・・・。
 この裏にはターミナルが、旧クライン派が暗躍しています。 地球連合、オーブ、どの国の方でもどのような勢力の方でも構いません。
 お願いです、ターミナルを、EDENを止めてください。 このままでは世界は……「失礼! ラクス・クライン閣下ですな!」ガガッガガッガg…』
ラクスの声は音声と映像は男の声とノイズと共に途切れた。
「続いて添付データを再生します」
ノイズに代わりスクリーンに映し出されたのは
「続いて添付ファイルを開きます」
ラクスに代わりスクリーンに映ったのは巨大な円筒形の物体の設計図だった。
端に惑星間短期航行用電磁加速カタパルト『コネクター』と書かれたそれは多少の差違はあるものの、シンが目撃した建造物に違いなかった。
「こいつは」
『データと約20パーセント程違いがあるが、間違いないな。 設計変更があったか改修でもされたのか』
「……待てよ、まさかあの位置は? RB、あれを見つけたポイントを見せてくれ』
『構わないが……そう言う事か!!』
慌てたシンの様子にQBははっとしたように声を上げた。
続いてスクリーンに映し出されたのはコネクターの推定位置を示した宙図とそのカタパルトの行き先。
「奴らの狙いは地球だ!」
「馬鹿な、連中ブレイク・ザ・ワールドを再びやるつもりか!」
「いや、あのカタパルトならBTWほどの被害を出さずにピンポイントに狙った場所へ撃ち込める。 無論多少の誤差はあるだろうがな」
青ざめた顔情で思わず立ち上がった東アジアの司令官に提督はどこか冷めた様子で淡々と言った。
「他人事のように言う! あれで我が国がどれほどの被害を負ったか!!」
提督の言い方が癪に触ったのか、憤慨した東アジア司令官が机を叩いた。
「他人事? 他人事だと!?」
東アジア司令官の言葉に、提督の肩眉がつり上がり肩が震えた。
「中将、ご自分の立場をお忘れなく」
「っ! 分かっている」
ぐっと奥歯を食いしばり立ち上がろうとした提督を右隣に座っていた参謀が声を掛けて制止した

31 :
「私は貴官とその祖国があの事件でどれほどの被害を受けたかは数字の上でしか知らず、そのお気持ちは察する事しか出来ません。
 しかし、私は以前海軍にいました。 
 貴方と同じように私も同期を始め、少なくない親しい者を失っています。 BTWの再来は私、いえ我が国もまた他人事などではないのです」
深呼吸を一つし、気を沈めると提督はゆっくりと穏やかに言葉を紡いだ。
「……失礼しました、私も頭に血が登っていたようです」
提督の言葉に平静を取り戻した東アジア司令官は深々と頭を下げ、謝罪する。
東アジアはBTWで上海をはじめとした沿岸部に多大な被害を受けており数年経った今でも復旧していない地域も存在した。
それを思い起こさせる今回の事で頭に血が登っても無理はないだろう。
事実室内のざわめきは未だに収まっていない。
しかし、将官や上級士官クラスでこうなら末端の兵達の動揺は如何程の物か。
「お気になさらずに。 それよりも今は力を合わせBTWの再来を防がねば」
提督は首を振り、謝罪など不要だと示すと動揺の隠しきれない周囲を見渡し、わざと声を張りこの場にいる全員に聞こえるように言った。
他国の将官が東アジア司令官だけではなく意図に気づき頷く。
「次のファイルを開いてくれ」
「は、はい」
スクリーンに映った次のファイル。 離反した艦隊の推測数やアプリリウス1防衛網の隙間が映し出されてもざわめきは止まらない。
本来であれば値千金の情報が霞むほどコネクターの衝撃は大きかった。
この場にいた全員、特に連合兵の脳裏に最悪のケースが浮かんでいた。
あれは地球を、自国を狙い撃ちに出来る、と。
「拙いな」
「ええ、本国が何時撃たれるかも知れないんで士気が落ちてます」
イザークの呟きにシンが相槌を打つ。
「状況がはっきりとすれば逆にあがるんでしょうけどね」
ザフト勢も若干揺らいではいるが、大半がそれ以上に首都奪還の怒りに燃えている状況故に地球軍よりはマシだ。

32 :
止まらないざわめきに提督は技官を連れてこなかったのは失敗だったかと内心舌打ちする。
「誰か、この中にあれの現状を説明出来る者はいないのか」
「僭越ながら、我が軍の技官であればこの場にいますが?」
提督の呟きが聞こえたのか、ザフトの指揮官ヨアヒムが口を挟んだ。
「お願い出来ますか?」
背に腹は変えられないと提督が深く頷いた。
「局長、局長はいるか!」
「ん、局長?」
ヨアヒムの声にシンは周囲をキョロキョロと探す。
「……ここにいますが」
あからさまに嫌そうに渋々立ち上がったのはゴリラのようにガタイの良い白衣の男局長だった。
「彼は元ヴェルヌ設計局局長で統合設計局設立後はアーモリー1工廠で特殊設計室主任を勤めています。 今回のコネクターについても一部解析を担当しています。
無言で頭を下げる局長。 見かけの割に人見知りする質なのだ。
「では局長、このコネクターの現状について説明して貰えるか?」
「……只今御紹介に預かりました者です。
 あくまで推察ですが、この画面の設計図と観測データ……
 皆さんのお手元にあると思います。  両者を見比べるに完成間近である事は確かだと断言出来ます」
ヨアヒムの有無を言わせぬ態度に、局長は諦めたのかレーザーポインターでスクリーンの設計図をを差しつつ解説をする。
「どれくらい開発が進んでいるかは分からないか?」
「設計に多少の変更があったようなので断言は出来かねますが、パワーユニットや伝達関係、照準装置が未了に見えます。 現状の完成率は凡そ90パーセント前後でしょうか」
「完成までの時間は?」
「通常なら1ヶ月……早くて、突貫工事の最速で一週間程度かと」
「わかりました。 有難うございます」
提督の言葉に局長は一礼し、席に座る。
「……一週間」
「それで地球が、撃たれるだと」
何処か怯えを含んでいたざわめきが、若干の怒りの色が混じったものへと変わる。
(一先ず、士気は戻ったか)
「中将、各々の情報や方針を纏める時間が必要ではないだろうか」
「ええ、どうやらそのようです」
場に熱が戻ったことに提督は内心ため息を付くと、ヨハヒムの提言に提督は同意する。
「一旦解散としよう。 中佐、後は頼む」
「では、本日はこれにて閉会となります。 皆様お疲れ様でした」
レナの言葉で席に着いていた殆どの人間が一斉に立ち上がる。
決戦が近い。
言葉はなくとも肌で感じる気配。
その場を去る人々の足は一様に早く、表情は強張っていた。

33 :
「アスカ君」
所詮は雇われの身、急ぐ理由もないと混雑に巻き込まれるのを嫌い椅子に座ったまま辺りを見ていたシンに声が掛けられる。
「あ、シュバリエ大尉」
声の方に向き直るとモーガンシュバリエがそこにはいた
「ああ、そのままで構わない。 しかし、大事になったものだな」
立ち上がろうとしたシンを手で止めるとモーガンは言った。
「きっと、後でなるか、先になったかの違いですよ」
モーガンの言葉にシンは肩を竦めながら答える。
「そうかもしれんが、随分落ち着いているな」
「騒いでも何も変わりませんよ。 俺は俺が出来る事をやるだけです」
感心したようなモーガンを真っ直ぐ見ると、シンははっきりと答えた。
(……言い切って見せるか、若いな)
シンの真っ直ぐな言葉、視線にモーガンは無意識に羨望の眼差しを向けていた。
「おい、何をしている! シン、行くぞ!」
出口付近からイザークの大声が聞こえた。 近くにはルナマリアや局長、アーサーとシホの姿も見える。
「はぁ……はい、はい。 今行きますよ! 少佐、呼ばれているみたいなんでこれで失礼します」
イザークの顔を見て溜め息を吐くと、シンは立ち上がりモーガンに頭を下げた。
「気にしないでくれ」
「本当にすみません。……あの人、まだ俺の事部下かなんかだと思ってるよなぁ」
(若いっての良し悪しだな)
小声で愚痴りながらイザークの方へと歩いて行くシンの背中を見送りモーガンは内心苦笑した。

34 :
大多数が立ち去った大会議室。
その室内に残ったものが数人いた。 
それぞれ各国軍を代表する将官。
僅かにいる佐官も艦隊参謀を勤める者ばかりだ。
「厄介な事になりましたな」
最初に口を開いたのはユーラシア軍の司令官だ。
「持久戦や消耗戦は無理だ。どの道艦隊決戦にはなっただろう」
「しかし、向こうにイニシアティブを取られたのは若干痛いですな」
それに東アジア司令官とその参謀が続く。
「あの大物、予兆はなかったのですか?」
「本店、アプリリウス本部ではどうか知らないが、少なくとも前線であるアーモリーで聞いたことはなかった」
「マティスシティでも同様ですね。 情報収集は進んでいるのですか?」
「今はキラ・ヤマトやマーティン・ダコスタを始めとする歌姫の騎士団関係者や本部での勤務経験がある者に聞き取り調査をしている最中です」
イツクシマ艦長の疑問にヨアヒムが答え、続くアンリの言葉もヨアヒムは返した。
一通りの話が終わり、全員の視線が最高階級者である提督に集中する。
「それでどうするのですか、提督?」
「……ユーラシア艦隊は動けますか?」
目を閉じていた提督は問い掛けた参謀の言葉に口を開いた。
「もう少し調整にかかりますな」
「東アジア共和国はどうですか?」
「要の部隊の到着が遅れています。 2日ほどで到着するでしょう」
「オーブ艦隊?」
「補充人員の練成に三日ほど頂きたい」
「ザフト、プラントは?」
「マティスとアーモリーの摺り合わせにもう少し時間がかかりますね」
「それに、傭兵の召集と手札の一枚、ミネルバの完全修復まで4日ほど欲しいところです」
全ての意見を聞いた提督は再び考えこむ。
「モリシタ艦隊付き本部参謀……なにか意見はあるか」
傍らに立つ参謀、モリシタ少将に意見を求める提督。
「アルガ。 トップは、最高司令官は貴様だ。 上層部より貴様に全て一任するように指示を受けている」
「……事後の責任問題も含めて、か。 ふん、上等じゃないか! 全軍、全部隊に通達しろ。 一週間、一週間後全てのケリを付ける!」
予期せぬ戦略兵器コネクターの出現により当初連合軍の予定していた中長期的戦略、数回に分けた波状攻撃作戦は破綻。
これにより次善の策とされていた大規模攻略規作戦すなわち全戦力での艦隊決戦が実行されることとなる。
後にヤキン・ドゥーエ、レクイエム攻略戦と並び語られる、コネクター攻略戦アプリリウス沖海戦。
つまり、アプリリウス戦役の最終局面は静かに、その幕を開けようとしていた。

35 :
今回の投下は以上です……なんとか規制に掛からずに済んで良かった。 >>23氏改めて支援有難うございます。
途中で何か見た事があるような人(二人目)がいたかもしれませんが、気の所為です。
……2Zやってたらシンがあの人の事を口にしたから、甘い物食べさせてやりたくてついやった。 今はそこそこ反省しています。

36 :
乙&GJ!
拳で語り合うキラとカナードは意外だった。
何気にこの二人が会うのってこのスレじゃ初めてか?
色々と動き出して、時間制限もできて続きが気になって仕方ない。
飴ちゃんのこと気がつくのにちょっと時間かかったw

37 :
「課長」さんってアレだな、パトレイバーの内海さんの女性化キャラだな、きっと

38 :
>>4です、宣伝として我々のスレにあるネタを…
がしゃん
デス子「ご、ごめんなさいマスター」
シン「あ、いいよ。気にすんなって」
水仕事中に食器を割ってしまい申し訳なさそうに謝るデス子にシンはいつものように
優しくフォローした。アスカ家ではおなじみの光景である。
独立思考型ヒューマノイド型デバイス、デスティニー通称デス子。
状況可変型デバイス『インパルス』のマスターであるシン・アスカのもう一つのデバイスである。
デバイスでありながら裸眼の視力が悪い為眼鏡を着用し、かつ出来る時と出来ない時の差が激しい。
つまるところ一種のドジっ娘属性を持つ、本来効率的なプログラミングをされているのがデバイスなの
だが、デス子に関しては何故かしら作者の趣味を反映させたかのような無駄なプログラミングがなされている。
(得意とするのは敬愛する主人にいつでも温かいお茶を出せる掌に保温機能の発生させるパルマ・フィオキーナ)
さらに付け加えるとデス子の出生自体にも謎が多すぎた。
・シンが異次元に漂流した時からすでに存在していた。
・シンが漂流直前に乗っていた愛機と装備が一緒であるにも関わらずヒューマイノイド型デバイスであった。
対しシンも『インパルス』を所持していたりとここも謎が深い)
・シンをマスターと認識している
・『独立型』である為、ユニゾンデバイスではない(ユニゾンできない)
・生後数カ月でありながら肉体年齢は10代中盤(ただし精神は追いついていないので甘えたいところがある)
等、あげればきりがない。この自体に管理局は一時封印も視野にいれたが、そこはシンの抵抗と涙目に
なっているデス子の姿にお偉いがたがキュンとした為不問になった。とはいえ野放しにも出来ない為、とりあえず
の措置として教会側も交えてシン・アスカ共々保護という形をとったのであった。
デス子「うう、でも今月で3枚目」
シン「いいよ、どうせ百均だし」
保護されたシンとデス子は同じ生活をする事になった。まぁ、マスターとデバイスの関係ならばそれも当然なのであるが
残念なことにデス子は『独立型』である、つまるところ同居するシンの身にしてみればそこらの女子と変わらない存在
であるため事実上同棲であった。さらに羨ましい不幸なことにシンをマスターと仰いでいる為、ベッドに潜り込んでくる、
風呂場に背中を流しに来る(なおデス子はバスタオルである)等、気軽なコミニケーションを取りたがるのである。
見た目は美少女でありスタイルも中々、胸こそ普通ではあるがその分ガードが緩く、シンのラキスケ体質もあってか素で
誘惑しているようなデス子との生活はシンにとって地獄のようなものであった(生殺し的な意味合いで)。
デス子「すいません、すぐ片付けます…」
シン「(だから!胸の谷間とか!かがんだ時見えたりとか!ガードが緩いんだって!)」
近年、シャマルの身体測定の結果デバイスでありながら子供を宿せるという事も判明した。
(デス子自体肉体的な成長・老化する可能性も示唆されている)
目下、デス子の身体のメカニズムの解析がシャマルにより積極的に行われている。
(自分達にも適用できるかの可能性のため)
インパ『御主人、押し倒すなら今だ』
シン「お前は黙ってろ!」
デス子「どうしたんですか?旦那様(マスター)?」
シンの理性との闘いはまだ始まったばかりだ。

39 :
>>38
‥こいつは学習能力ないのか

40 :
>>39
ここからだと思うけど一人乱暴な口調ではあるがあちらに注意しに行ったらしい。で、それに対してあちらの結論は
「スルーしてもらおう こっちからは向こうにレスするな面倒くさい事になるから」
だそうだ…ビックリするよなまさかのノータッチとか

41 :
>>40
正確には総合クロススレに苦情イイに来た人達にだけあれは荒らしですと対応してくれるらしいがな

42 :
>>40
このスレ見てるって人が「ややこしくなるから来るな」と言った上での結論だけどな
大体タッチしてもどうにもならんだろ

43 :
>>42
無責任な気がするよな

44 :
で、その結果苦情言った奴に対してマッチP狙いの荒らし認定とか;
馬鹿にしてる

45 :
スレ立て乙。前から書いていた(よね?)MOR氏の投下があって何よりです。色んなパロネタがあって面白いんだが、
もう佳境に入ってきてるようで。ちょっとまとめ見て話を把握してこよう。
>>44
明確な悪意を持って荒らしに来る人間に対しては、無視する以外ないだろう。今回はこうやって反応したから、次もきっと
来るぞ。

46 :
注意というか苦情を言いに言ったら荒らし扱いされたよ
自分の口が乱暴だったなら反省もするがのっけから荒らし扱いとか…なんなんだあのスレ?!

47 :
・乱暴な口調は、荒らし扱いされる格好の理由になる。
>>4はクロススレにもいる可能性がある。
>>46>>4と同一人物と疑われた可能性がある。実際そうかもしれない

48 :
>>46
落ち着け落ち着け。少なくとも注意はしたんだしあちらに問題も明かしたんだ、重い腰でどう対処出来るか見ものだろ?これでまたあのスレから迷惑かかる奴が来たら、今度は問答無用で殴り込みすればいいよ。
それまであちらが静観するのか動くのか、見物してりゃいい

49 :
490 シンの嫁774人目 2011/10/23(日) 19:46:12 ID:MbJkPGNc
>>485
そっちのスレがどうなろうがこっちの住人である俺達からしてみれば知ったこっちゃない。
スルー出来ないお前らが悪い。
だとさw何この言いようw件の奴さんが自分のスレの人間ならどうするつもりなんだろう

50 :
>>49
覗いてきたけどそいつ意外の人も同じような感じだよな
マジムカついてキタ、自分がいる憩いのスレに迷惑っつか荒らす馬鹿がいるって事を簡単に考えてやしねぇあいつら?同じ目に合ったら何て言うつもりなんだか

51 :
>>49は向こうのKK9HiHQg?
そんなレスするのがいるくらいならもう一度行ってみればいいんじゃね?
議論スレってとこの方でもここの話してるみたいだしそっちの方で言った方がいいかもだが

52 :
カリカリせず放っときない。
コピペされた奴に限らず目の滑るレベルのばっかりだし
それらの作品にしてあの住人ってこった。
突撃クズは特別なんじゃなくて典型例なんだよ。

53 :
殴り込むって何するんだ。荒らすのか?それともこっちに投下されたSSを同じように向こうにコピペするのか?
どっちにしたって最低の手だ。誰の得にもならない。

54 :
>>52
だな
あちらも好き勝手言ってるらしいが本当にまたあるならば…
……その時は容赦しねぇ、そんだけだ

55 :
>>51
そいつに限らずてめーらのスレの人間が害だってのに何もしない。寧ろほっとけってさえ言ってる連中がほぼ全員

56 :
>>55
それなら尚のこと行ってくればいいじゃないか
荒らしは論外だが暴言吐かなきゃ多少は真面目に考えてはくれるだろうよ

57 :
荒らしの事を話題にしてる時点で相手の思うつぼだろ
ほっとけよ

58 :
>>35
MOR氏投下乙です
キラとカナードのというのは新鮮でかなり楽しめました
後色々と吹っ切れたキラww本編でもあの性格だったらよかったのにww
次回も楽しみにしています。
後、この空気の中何なんですが、1つ皆様に質問してもよろしいでしょうか。
本編最後でムウは記憶を思い出しましたが、その後ネオとしての記憶はどうなったか分かる方いらっしゃいますか?
覚えているか、それともネオ・ロアノークとしての記憶は消えてしまったのか、本編ではあまり明確な描写が無かった様な気がしまして……
SODの続きを書く上で参考にさせて頂きたいので、よろしくお願いします。

59 :
>>58
公式には詳述されてなかったのでは。まああった所で推して知るべしですが。
それだけに、記憶が残ってて三人とシンに詫び切れないと煩悶するケース、
全く残ってなく単に勝ち組生活満喫、あるいは残っていても自分のではない、
もしくはだからこそラクスに仕えてアヤマチナハクリカエサナイ…等など色々なパターンがあり、
ある意味シン以上にSSのイメージを印象づける部分とも言えますな。

60 :
MOR氏乙
キラももう少し感情が見えるキャラだったら良かったのにね。
シンとあの人のフラグも、来るといいね!

61 :
>>58
>>59さんの言うとおりに、公式では特に語られてはいないようです
記憶が戻ってからのムゥの本編内描写も極端に少ないため、作者さんなりのムゥ・ラ・フラガ像で書かれてしまったほうがよいかと思われます

62 :
MOR氏乙です!!
X-ASTRAYですら描かれなかったキラとカナードの兄弟喧嘩は読んでて新鮮でした。(スクライドのカズマを思い出したのはナイショ)
カナードは個人的に好きなキャラなので今後も出てくると良いな。

63 :
>>59,61お早いレスありがとうございました。
ネオの記憶に関しては明確な描写がなさそうなので、私なりの解釈で描写させて頂きます。

64 :
>>37
……その発想はなかったわ。 
他の作品なら採用していた設定ですが、残念ながらオッサン率の高いMORでは課長は中年間際の男性です。
ってかいつもながら元ネタ特定早いよ!
>>62
実は二人の殴り合いはカズマイメージしてたりします

65 :
前スレ926氏のボツネタ、ことに927のナタル編のシリーズ化熱望。
…思えばシンの傍には、色々な意味で喪失…もっと言えば奪われた、女性(ひと)が
なんとなく映えるという傾向があると言えるか?
TVの時点でそもそも命取られたステラにマユ(生きてた場合も義手とかアチコチ)
顔の傷ついたアルテイシア大公、息子も夫も失ったロミナママンなどなど…
奇跡的な外交的勝利をもぎ取ったのに認められず半ば追放のカナーバ女史のように
有望だったがあまりに情報量が少なすぎて定着しなかったケースもあるが。

66 :
>>65
んじゃ、そんな女性で一つ小ネタをば。
「………さむ」
寒さで身体を震わせて夢うつつから覚める。さっきまで汗まみれだったのだ、服も着ていないのだから寒くて当然だろう。
唸り声を上げながら首を回すと、隣で自分の顔を見ていた彼女と目が合う。
「どうかしました、カリダさん?」
「んー? なんでもないわよ、ただ見てただけ」
ウェーブのかかった黒髪をかきあげ、柔らかな笑みで返される。そんな彼女の笑みを見ているうちに、なんとなく悪戯心が湧きあがってきて。
ぷにぷにと二の腕を摘む。くすぐったそうに身をよじるカリダに構わずに続ける。
「ちょっと、もう………やぁだあ」
「んぅ、もうちょっとだけ」
「やめて、止めてよね。おばさんよ、私。色々きついのよ、カガリさんと違って」
「いやあれはただのメスゴリラですよメスゴリラゴリラ………やらかくていい気持ちですよ?」
照れ隠しなのか、頭をぱしぱしと叩かれてしまう。そうされるとシンも意地になってしまい、さらにぷにぷにと。
そんな攻防がしばし続く、だがそれも直に収まって。代わりに聞こえてくるのはカリダの熱っぽい吐息。
「………んっ」
「………こういうのって、あれでしたっけ? なんて言うの、やけぼっくいに火がつく?」
「多分違うわよ、というか失礼、ねっ」
頬を膨らませながらシンの腰にまたがる。むっちりとした重さは流石にカガリでは味わえないものではある、それがいいことなのかどうかはともかく。
シンに顔を近づけ、額に頬に鼻に瞼に耳にと、唇を優しくも強く押し付けていく。
されるがままだったシンだが、唇に押し付けられるとそのまま舌を伸ばしてカリダの舌と絡ませ合う。
ぴちゃり、ぴちゃりという音とカリダのどんどんと荒くなっていく吐息が部屋に静かに響き、やがて名残惜しそうにカリダが唇を離すと吐息だけになって。
もう一度唇を押しつけようと顔を近づけ。
「ねえ、カリダさん」
ぽつりとシンが呟いた言葉に、なあに? と言いたげに首をかしげる。
カリダの目を焦点の定まらない瞳で見返し。
「俺のこと、殺したいですか?」


何も言わず、ただ唇をシンの唇に重ねる。
今度は、舌は伸ばさなかった。

67 :
「俺のこと殺してやりたいです?」
「………いい、え?」
「そうだって言って下さいよ」
乾いた声。感情のほとんどこもっていない冷めた声を上げるシンを何も言わずに変わらず笑みを浮かべてカリダは見つめていて。
「そうだって、言ってくれなけりゃ、そうじゃなけりゃ、あの人が………キラさんが、あんまりなんですよ」
ラクス達への逆襲の中で討った青年、彼女の息子キラ・ヤマト。どこか壊れてしまいそうな程の繊細さを持っていた彼を思い浮かべる。
彼を討ったことそのものは後悔はしていないしああするほかなかったのだと納得もしている。
もっとも、討ったことへの喜びなどは今に至るまで感じることはできなかったが。
そんな彼の母親が今自分の腰にまたがっている。その行為が、キラに対して一抹の申し訳なさを煽りたててしまう。
そしてそれ以上に、息子を殺した相手の腰にまたがるカリダの行動も、恐らくそう言うことなのだろうと思えてきてしまって。
「ねえ、カリダさん。本当は、俺のこと殺してやりたいんじゃありません?」
「別に……そんなことはないわよ。というか、そんなこと今さらよ」
胡乱な瞳で彼女を見返す。薄暗い中で微かに見える彼女の表情は、自分以上に冷めきっていて。
「なぁんにも、してやれなかったもの。苦しんでるあの子に、なんにも………出来たはずなのにね、やろうと思えば抱きしめてやることだってできたのに。やらなかったもの、ね」
はすっぱな態度で鼻を鳴らす、その行為は過去の自身に対する侮蔑なのかそれとも現在の自身に対する侮蔑なのか、シンには判断できない。
シンの困惑に気付いているのか相変わらず微笑みながら言葉を続ける、その姿はどこかキラ・ヤマトを彷彿とさせる危うさが漂っていて。
「だから………貴方を恨んだってどうしようもないの。そんなことをする資格はね、もうどっかに行っちゃったのよ」
「…………人を憎んだりするのに、資格がいるわけないでしょう」
「でも貴方はキラを憎まなかったでしょう?」
「………………どう、ですかね?」
曖昧に言ってごまかす。だが、彼女の言う通りなのかもしれないと内心ではそう思っている。
戦いなんて嫌だった、平和の方が好きだった、結局力でしか解決できなかった、それ以外の道を選ばなかった。
キラと自分に違いなんて殆どない。ほんの少し、ボタンをかけ違えていたのなら自分はキラと同じことをしていたのかもしれないのだ。
もし彼を憎むのだとしたら、それは自分自身を憎むのと大差ないこと。自分は運が悪く、キラは運が良かった。その程度の違いしかないのだから。
「だからね、私があなたを殺したいなんて思うわけないわ。むしろ…………貴方こそ、私を殺したいんじゃないかしら?」
「……………なんですか、その無茶苦茶な言い草は」
「あら。だってそうじゃないかしら。キラを育てたのは私ですもの、回り回って私のせい、って思うのはそんなにおかしいことかしら?」
挑発するような笑みを浮かべるカリダに何も言うことが出来ない。
そんなことはないですよという一言が、どうしても言えない。
「ねえ、シン君。本当は、私のこと殺してやりたいんじゃない?」
何か言おうとして、何度も口を開こうとして、結局何も言えなかった。
彼女の息子を殺した奴が、どんな慰めの言葉をかけられるというのだ。
苦しそうな顔を浮かべるシンの唇にカリダは軽く唇を重ねるとふんわりと柔らかく笑った。
「もう寝ましょう? 身体も冷えちゃった」
「ええ………そう、ですね。ええ、そうですね………寝ましょう、ええ」
その笑顔が、壊れたものではないと証明することは出来ないのだけれど。

68 :
Q.なんでカガリとフラグ立ってんの?
A.キラ「貴様のやった事、どんな理由があろうと犬畜生以下だ!鬼だ!外道の極みだ!」
これを言わせたいがため。それ以外には特に理由はない。シンカガトカスキダケドネー
逆襲後のシンはなんか幸せになる姿が想像できない。
なって欲しいんだけど、しちゃいけないというか何と言うか。

69 :
朝一で見に来たら、なんというネタが。カリダって誰だったっけ?としばらく思い出せなかったがw

70 :
>>66-68
ジョナサンなシン乙。しかも絶叫したキラが結局敗れるとはなんともドSな。
しかしSSのシンは一大決戦の後にようやく明るい未来を掴むのも悪くないけど
こう世間の片隅で爛れた安穏に身を沈めるのもわりと絵になるんだよなあ。
また倉庫に登録させていただきたく思いますので、何かタイトルがおありでしたら
ご一報ください。あとできればこの前日譚たるシンカガの巻も(ドテポキグシャ

71 :
>>65
そんな年上の方々をパトロン…いや、スポンサーにして一大勢力を築いたツバメ…いやいや、シンが
ラクシズ全滅&アスハ家滅亡後に、「終わったよ…全て」と、慰霊碑(オーブの、とは限らない)で皆様と
亡き人達に伝える話が見たいな

72 :
>>66-68
何故か凄いヤンデレブラコンなカガリが脳裏に浮かび上がってきたんだがw
個人的には虎戦以後から、だんだん欝になっていくキラとそれを慰めるカガリは
見てていい感じだったんだけどな……なんで無理矢理に姉弟にしたんだろ?

73 :
姉弟設定はともかく、初代OPから想像する限りカプになったかどうかは五分五分じゃね?
「キラフレorキラカガでアスラク倒してEND」がよかったと?

74 :
当時見てた時はフレイは怖い女、ラクスは漠然とだがなんかヤバい女というイメージが強かったんだわ
あの二人よりは、お馬鹿だけどキラの事を真剣に気遣ってたカガリの方がいいんじゃないかなとw

75 :
お疲れ様です。相変わらず、書くスピード遅い&グダグダですが、第六話出来ました。
特に問題なければ、投下させて頂きます

76 :
「シン。あそこに漂っているものはなんですか?」
「あれは連合のドレイク級ですね。その横っ腹に刺さっているのはザフトのナスカ級。
多分、最後の戦闘の時に特攻をかけたんだと思います」
「あんなに大きなものも、未だに処理されていないんですのね」
「完全なスクラップ状態の物ならさすがに回収しますけど、ああいった原型が残っている物は
戦死者の遺品が回収出来る見込みがあるので、定期的に調査隊が調べているんですよ」
 今、俺はピンクのパイロットスーツに身を包んだラクスさんと並んでローレンツ・クレーターの縁を歩いている。
とてもメルヘンチックな雰囲気に思えるかもしれないが、お互いの腰に安全用のロープが結ばれているという、
何ともマヌケな格好を見れば、どんなメルヘンチックな言葉も吹き飛んでしまう。
しかし、ラクスさんはそんな事にはお構いなくキョロキョロと子供の様に辺りを見回しては俺に色々と聞いてくる。
 そもそも、何故こんな事になったのかと言えば、それは俺が朝食のお皿を洗っている時の会話から始まった。
「シン、今日はこの後に何か予定がありますか?」
「今日は仕事も休みの予定ですから、今のところ何もありませんよ」
「そうですか・・・ではシン、私ひとつお願いがあるのですが聞いて頂けませんか?」
「お金がかかるものはダメですよ。うちの財政は火の車なんですから」
「そこは問題ありませんわ。何か買って欲しいというようなお願いではありませんから」
「ならいいですよ。それで、一体何ですか?」
「とまあ、そんな事があったんですが、俺一人では判断しかねるんでアスランの意見をお願いします」
『随分といきなりだな、シン。とはいえ、大体の事情は分った。
こちらとしても彼女の言い分は分るし、何とかしてやりたいところではあるが・・・』
 朝食後にラクスさんが俺に言ってきたお願いというものは、“偶には自分も、外を歩きたい”
という、とてもシンプルな願いだった。
 しかし、今の月面はお世辞にも綺麗とは言えず、スペースデブリやMSや戦艦のスクラップが
飛来してくる為、安全面において非常に危険な状態だ。
 そして何より、ラクス・クラインがローレンツ・クレーターから出たという事が知れれば、
彼女を狙う有象無象の輩を呼び寄せてしまうという危険性も孕んでくる。
『月面上空の衛星の攻撃対象を、その時間だけ外部からの侵入者に向けるよう出来ればいいんだが。
そこら辺に関して俺はノータッチだったんで、キラにでも聞かないと何とも言えんな』
「なら、キラさんに頼んで下さいよ。あの人、基本的に暇なようですし」
『お前の所で喋っている時以外は割と真面目に仕事しているようだぞ?・・・多分だがな。
まあいい、キラにも繋げて聞いてみるとするか』

77 :

……
………
《衛星のセキュリティへのハッキング?大丈夫、出来るよ》
「本当ですか?あれってクライン派の奴らに管理されてるって聞いてますけど」
《そんなの僕にかかれば朝飯前だよ。あの人達、御大層な防壁作ってガードしているつもりのようだけど、
僕から言わせればザル過ぎて壁にさえなってないね。お陰で、彼らが何かしようとしても筒抜けさ》
『・・・物凄く聞いてはいけないような言葉が聞こえた気がするが、出来るんだな?キラ』
《任せてよ。ただ、幾らザルなシステムとはいえ3時間に1回はチェックが入るようになっているから、
出歩くにしてもその時間内って事になるね》
「3時間もあれば、クレーター周辺歩き回るには十分ですよ。問題はそれでラクスさんが満足してくれればですけど」
『まあ、そこはお前がうまく説明して納得してもらうんだな。
後、もしもの事があるといけないからロープでお互いを繋いでおくなどの処置はしておいた方がいいな』
「そんな、犬の散歩じゃないんですから。でも、まあ何かあるといけないですし付けておきますか」
《話は纏まったようだね。それじゃあ、これから1時間後に衛星のシステムをハッキングしておくから宜しく》
「1時間後ですね。了解しました」
 で、現在に至る訳だが・・・俺の後ろを歩いているラクスさんはといえば、とても楽しそうだ。
 確かに、ここに来てからずっとあの穴倉の様な居住区から出る事はなかったし、息が詰まってもいただろう。
これからは、定期的にキラさんにお願いして外出できるようにならないかなと考えていると、腰のロープが引っ張られた。
「っと、急に引っ張ると危ないですよ。どうしたんですか?」
「シン、今日はありがとうございました。お陰さまで、とても素敵な散歩が出来ましたわ」
「まだ時間もありますし、もう少し歩きませんか?俺も普段はMSに乗りっ放しで月面歩くのは久し振りですし」
「いえ、その前にあなたにはお聞きしたい事があります」

78 :
 その言葉を聞き、俺が振り返るとそこには何かを決意した眼をしたラクスさんが俺を見つめていた。
「ラクスさん?」
「ここに来てから、いつかは聞こうと思っておりましたが・・・シン、あなたはこの私が憎くはないのですか?」
「それは、どういう・・・」
「シンのご家族が亡くなられた原因でもあるフリーダム。その強奪の手引きをしたのは私です。
その事は、あなたもキラやアスランから聞いているでしょう。
ならば、フリーダムの起こした戦いで亡くなられたご家族の死の元凶はキラよりもむしろ私にあります。
ですからシン、あなたには私に対して、ご家族の無念を晴らす権利があります」
「シン。私はあなたの下へ来る時に、自らの罪を償うため、この命をも捧げる覚悟で参りました。
どのような罵倒も覚悟しておりましたし、如何なる辱めを与えられたとしても、受け止めるつもりでした」
「・・・」
「でも、あなたは私に何も言わなかった、何もしなかった。
その事が逆に私を不安にさせました。あなたの心はもう、死んでしまったのではないかと」
「随分と改まって何を言うかと思ったら、そんな事ですか。全く、馬鹿馬鹿しい。
というか、俺の監督官として来ているあなたがそんな犯罪を推奨しちゃダメでしょう」
「シン、私は真面目に聞いているのですよ。何故あなたは敵を前にして、そんなにも普通に振る舞えるのですか!」
「じゃあ、逆に質問しますけど、俺がラクスさんを手に掛けたとして、俺の家族が戻ってくるんですか?」
「それは・・・」
 
 俺の質問に対して言い淀んでしまったラクスさんを前に、俺はとつとつと語り始めた。
「オノゴロ島で死んだ家族の事は一生忘れません。
戦争の道具にされて死んでいったステラの事も、ずっと心に留めていくつもりです。
でも、その事に囚われ続けてしまったら、きっと俺は前には進めない」
「あなたの言うとおり、フリーダムは家族とステラの敵です。
今でも憎いし、撃墜した時なんかはついにやってやったぞ!と、歓喜もしました。
そのフリーダムをキラさんに託したのがラクスさんだというのなら、あなたも敵なのかもしれません。
だけど、それであなたを殺したとして俺に何が残りますか?」
「シン・・・」
「きっと何も残りません。僅かな復讐心は満たされるかもしれませんけど、それで終わりです。
ラクスさんの自己犠牲の精神は立派なものですけど、そんな事をしたって俺の家族もステラも救われない」
「それに、いきなり戦争に介入してきて勝利したあなたが、その責任を取らずに死に逃げるなんて許しません。
あなたにはあの三隻同盟を率いた者として、この世界がどうなっていくかを見届ける義務があります。
そして、俺に対して本当に申し訳ないと思っているのなら、絶対に途中で投げ出すような事はしないで下さい」
「だからラクスさん。これから先、どんな事があっても生きて下さい。
生きて生きて生き抜いて、この世界がどう変わっていくのかを俺に見せて下さい。
それが、俺から多くのモノを奪ったあなたが生涯を賭して為さねばならない仕事です」

79 :
 そう俺が話し終えると、俯いていたラクスさんはゆっくり顔を上げた。
その顔は、先程までの悲痛な表情ではなく、どこか晴れやかで何かに納得した表情が見てとれた。
「随分と言いたい放題言って下されましたわね、シン。
私、ここまで他人に言われ放題されたり、好き勝手指図されたりしたのは初めてですわ」
「そりゃよかった。この調子で、家事やら色々な事に関しても意見させて貰いましょうかね」
「全く、あなたと言う人は。でも、そうですわね」
「そんなシンだからこそ、私はあなたという人間がどうなっていくのか見届けたいと想ったのでしょう」
「シン、先ほど述べたようにあなたに対しての贖罪をしたい気持ちに嘘偽りはありません。
ですが、それと同じくらい私がシン・アスカという存在に心惹かれたのも事実です」
「ですから、私はラクス・クラインの名においてこの世界の行く末をあなたにお見せする事をお約束致します。
その代わり、私にシン・アスカという男の生き様を存分に見せて下さい」
「こんな俺の人生なんてたかが知れると思いますけど、それで良いのならご自由に」
 こうして、俺たちは初めての散歩を終わらせ家路に着いた。
奪った者と奪われた者。その両者が横に並び、お互いの未来を監察していく。
傍から見れば何ともおかしな関係かもしれないが、今はこれでいい。今はまだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「どうやら彼も、無事に宇宙へあがったようですねぇ。事は全て順調に運んでいます。
それではこちらの準備も、始めましょうか」
「ほど良く成長した“種達”を収穫する為の準備を」

80 :
 以上で第6話終了です。短いですが、さすがにラクスだって自らの罪の重さは自覚しているだろう
って感じで書きましたが、戦場を散々引っ掻き回した挙句に、のうのうと議長の椅子に座った
アニメのピンクはどんだけ神経死んでいるのかなぁと改めて・・・まさに唯我独尊
次回からは、色々と情勢が動き始めると思います。○キオはトコトン悪に

81 :
乙!
何この仲良し4人組

82 :
乙!
こいつ等はとてもいいw
漫画版はつい先日読む機会があったが、レイとギルのやりとりもかなりお気に入りだったお(オイ

83 :
投稿乙です。
キレイなラクスいいね。

84 :
GJ、こういうやりとりは原作でこそやればいいものを。

85 :
さてシンは復讐者だったろうか?
シンは大切なものを奪っていく戦争そのものを憎んでいたように思える。

86 :
>>85
さすがに、家族やステラの敵が誰なのかと判明すれば多少の復讐心は湧くんじゃないかな?
それがアニメ版だと、散々打ちのめされて、さらに敵がほざいた「一緒に戦おう」に涙流して頷いちゃってる始末…

87 :
そういえばシンの嗜好って、ラッキースケベ的な描写からか「スキー」がデフォなのが多いけど(勿論例外も居る)
このスレの職人方はちっぱいとグラマー、どっちが好みなんだろう?

88 :
>>85-86
復讐鬼誕生で締めた方が、遙かによかった
1話プロローグに回帰する意味でも
「オーブは『討たれなかった』」
「違う!『討てなかった』んだ!! あいつら(とお前)のせいでっ!!!」

89 :
>>85 このスレでそんな事を言うなんて、職人の未来まで気か、お前は!!

90 :
間違えた>>87

91 :
>>87
に貴賎なしだ
どんな女性にも必ず二つずつついている
実に平等だと思わな(グシャ

92 :
>>87
まぁ職人の好みがどちらであれ、このスレの女性は職人の嗜好すら無理やり矯正しそうだがなwww

93 :
その昔、ある作品の女性たちにその作者が拉致される事件が起こってだな…

94 :
貧は希少価値なんて幻想だ

95 :
ドキュメンタリーでたくさんの雌エビと一匹の雄エビが入った偕老同穴を見て
食糧、酸素が充分あるステーションに閉じ込められたシンと嫉妬大爆発寸前のヒロインズに置き換えて見てしまった。

96 :
C.E.XX
インターネットのとある掲示板で呟かれたその一言は、あらゆる世界の人々に激震を与えた。
巨派と貧派、果たして我らの創造主(さくしゃ)はどちらの派閥なのか?各作品のヒロイン(?)候補達が創造主に詰め寄るのにそう時間は掛からなかった。
それに対する回答は千差万別である。
「そりゃあ小さい胸に決まってるでしょ?だって希少価値ですよ?」
「私の望む世界は巨の巨による巨のためのランド!貧は」
「いや自分の大きさには興味ないんで、美派なんで」
「( ゚∀゚)o彡゜」
「胸より尻だろJK」
「愛でれればどっちでもいい」etc...
……まぁどれだけの数の答えが出ようと、全てのヒロイン(?)を満足させられる答えを出すのは到底不可能な訳で、
ヒロインズ『そんな回答でなぁ、私達を納得させる事などぉ、できるわきゃぁねぇだろぉぉおおお!!!』
当然のように各作品の世界でクーデターが勃発した。
創造主の嗜好から外れた容姿()を持つ女性達は、彼らを物理的に排除し新しい世界を始める為に行動を開始し、
真のヒロインになり得る資格()を持つ女性達は、それを阻止する為に立ち上がる。
何時しかその争いは国を、年代を、時空すら飛び越え、全ての平行世界を巻き込む一心不乱の大戦争へと発展した。
「胸は重くて邪魔なただの飾りじゃない。強力な兵器なのですよ」
「そして兵器は使わなきゃ。いやらしい視線で見られるのに我慢してきたのは、使う為よね?」
『イエス・ユア・ーヌ!!』
圧倒的な数と武力を誇る一大組織『キョヌーコスモス』
「殿方は長い間、あの谷間という揺り籠の中で戯れておりました」
「しかし!ときはすでにとのがたをから…す、す?「スダテルデソキウス」すだてる?ときがきたのだー!」
『見必殺!見必殺!!』
少数ながらエリート揃いの精鋭集団『スレンダーズビーイング』
2つの陣営が、世界を2分していく……

97 :
「やっぱりアンタはそっちの陣営で出てきたか。まぁ、一度は本気でやり合ってみたかったんだが…」
「目標をインパルスタイプと確認、戦闘を開始する」
何時の間にか巻き込まれた主人公
「君は僕と同じだ!なのに何故そちら側に付くんだ!?」
「やめてよね。僕は唯、リア充が許せないだけなんだから」
自ら望んで巻き込まれたライバル
「何がホルスタインの卑猥な胸よ!ブラも着けずにTシャツを着る奴らのあのとんでもない行為の方が遥かに卑猥じゃないの!!」
「時代は常に変革を求めています。巨が保たない時が来ていると何故分からないのです!!」
熾烈さを極める争い
「鍵を…この争いを終わらせる鍵を持っています!」
「鍵?何の事かしら…」
秘密を握る少年
「へぇ、何だか本当っぽいじゃない。誰から渡されたわけ?」
「ど、Drって女の人です……眼鏡をかけた」
暗躍する人影
「僕達は…」
「私達は…」
『分かり合うことができた……』
そして置いてけぼりの創造主
勝利を掴むのは一体どちらの陣営か?果たしての未来はどうなるのか?
逆襲のシン・アスカ the move『Best・Bust・Select』
好みのを、揉みしだけ!ガンダム!!

98 :
>>87からの流れをみて3秒で思いついてしまった…職人の皆様、大変申し訳ありません。
因みに私は慎ましい胸が好きです。慎ましい胸が好きです。
とりあえず何処かに逃亡させてもら(ソンナジカンガアタエラレルトオモッテルノ? デッスヨネ〜

99 :
>>93
嫌な、事件だったね……(明後日の方向見ながら)
あれは、色んな職人さん方が勝手にリレーしてクロスする豪華な一品だったなw

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