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型月×リリカルなのはクロススレ41


1 :2012/04/21 〜 最終レス :2013/01/12
ここは、『TYPE−MOON関連作品』と『リリカルなのはシリーズ関連作品』の、
キャラクター同士の交流等を想像したり、SSを書いたりするスレです。
【前スレ】
型月×リリカルなのはクロススレ40
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1297595515/
【まとめ】
型月×リリカルなのはクロスまとめwiki
http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/1.html

 規制時の連絡・代理投下依頼etc.はこちらに
  型月×リリカルなのはクロススレ緊急避難所
  http://www2.atchs.jp/test/read.cgi/tmnanoha/2/
 外部のサイトで掲載されている作品についてはこちらで
  型月×リリなのSSについて語るスレ
  http://www2.atchs.jp/test/read.cgi/tmnanoha/4/

【注意】
 ・基本sage進行です。書き込む際は、E-mail欄に「半角」で『sage』と入力してください。
 ____      ________               _______
 |書き込む| 名前:|        |   E-mail(省略可): |sage     |
  ̄ ̄ ̄ ̄       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ・作品を投下される方はトリップの着用をお願いします。
  (名前欄に書いた名前・タイトルの最後に『#■■■■』を追加する。#は半角。■は任意の文字列)
 ・キャラの強弱、戦う両者の戦闘内容等の議論は荒れる原因にもなるので自重しましょう。
 ・荒らしに構う人も荒らしの仲間になってしまいます。華麗にスルーしましょう。
 ・次スレは>>980が立ててください。>>980が踏み逃げした場合、有志か>>990が宣言して立てて下さい。
 ・容量が足りなくなった場合も適時お願いします。

2 :
容量の余裕を見積もるのに失敗しました。
前スレの続き投下させていただきます。


3 :
 突く。
 すぱり、という擬音が聞こえそうだった。
 ごつごつだった岩の表面の一部が削れ、粉々になった石の破片が散らばった。
「さあ、やって見せて」
「………あの、」
 なのはは、今日初めて、訓練の内容に対して疑問を口にした。
「さっきまでの訓練と違って、これは明らかに戦闘スキルとしての魔力集中法の鍛錬ですよね?」
「? ――なにか、疑問があるの?」
「私の資質は放出系ですから、こういうベルカ式に近い魔力収斂スキルは、あまり伸びしろはないと思うんです」
 将来の夢は教導官である高町なのはは、戦闘魔導師としてどのような訓練をすればいいのかについての理論をこの若さで独学ながらも学んでいる。
 基本的に、地球における武術と同じだ。欠けたところを補い、伸ばすべきところを伸ばす。
 ただ、魔導における資質というのは、武術の向き不向き以上にピーキーというか、偏りが生じやすい。
 高町なのはのようなミッド式の放出・収束系戦闘スタイルの魔導師がベルカ式の近接戦闘の鍛錬をしてその系統の戦闘スキルを習得するのはリソースの無駄となる可能性が高い。
 これが同じミッド式でも、フェイトのような放出・移動系の戦闘スタイルを持っているのならば、体内魔力の循環と集中というのは戦闘にも活かせることが可能なのだが。
 そこらあたりの事情を、この人はもしかしたら知らないのだろうか――そういう懸念をなのはは抱いたのだった。
 凛が聡明であるとはいえ、専門分野は地球の魔術である。
 まったく見当違いの指導法をしてしまっても不思議ではない。
 しかし、凛の言葉は予想外だった。
「こんなの、戦闘スキルとして役立つはずがないでしょ」
 
 凛は右手を眼前にかざし、魔力を集中させた。ほのかに青い光が彼女の手に宿る。
「集中に時間がかかりすぎてる。私で一秒きるかどうかで、あなたが三秒。慣れたら私と同じくらいにできるかもしれないけど、高速の戦闘で一秒ってのは致命的よ。
 それに、概念的な【強化】がされてない、ただ魔力を通しただけの魔術とも呼べない程度のものよ。これでは、とてもBJは突破できないわよ。あれ、ちょっと強すぎ」
 ミッド式魔導におけるバリアジャケットは、ベルカ式でいうところの騎士甲冑を意味する。
 長き戦乱を経てベルカ式より受け継がれ、完成されたこの術式は、騎士や魔導師の身体を冗談のような強固さの防御力で守る。
 ちょっとやそっと魔力を指に集中した程度のことでは、とても貫くのは無理だった。
「だったら、」
「これは、あくまでも訓練の一貫」
 凛はその貫手で突く。
 岩の表面がまた削れた。
「集中力をどれだけ維持できるか、よ」
 魔力集中した手なら、力を込めて撫でるだけでも岩の角を削っていくなどということは可能だ。むしろ、その方が効率がいいとも言える。少なくともこんな思い切り突きこんでいて、万が一に集中が切れたのならば指を怪我する。下手したら突き指だけではすまない。
 だが、それが故に集中は強まるのだ。
「思い切り突いてみなさい。怪我するかもしれないという恐怖感は集中を乱すかもしれないけど、これはそれを克服するためのものでもあるわ。そしてその緊張感の中でどれだけ集中を維持できるか――が、この訓練の課題よ」
 威力を磨くのではなく、あくまでも集中力を養うための基礎訓練なのだということだった。
「とりあえず、休みの内にこの岩をつるっつるにしときなさい。それができたら、【強化】の魔術を改めて教えてあげるから。概念的に存在を強化する魔術はミッド式の魔導とは方向性が違うけど、応用の広さでは劣らないわ。
 そして【強化】で自分意外のモノに魔力を通す方法を学んだ後に【転換】の術式を習得してもらうわよ。
 宝石ははやてがどっかの次元世界から回収したものがたんまりとあるから、あなたの魔力を少しづつためこみなさい」
「はい」
 なのはは事情を飲み込めたこともあって、素直に応える。

4 :
 そして改めて指を伸ばし、魔力を集中した。
 桜色の光が手に宿る。
「ああ、それから、まがりなりにも魔術を習うってことは、あんたも魔術使いになるってことだから、それらとは別に必須の魔術を習ってもらうことになるからね」
「え?」
 なのはが少しだけ驚いたような顔をしたのは、凛がそういいつつもカードを取り出したからだった。
 簡易用のストレージデバイスだ。
 基本的な魔法が数種プログラミングされていて、ある程度の魔力資質を持つのならばそれに魔力を通すだけでその魔法を使うことができるというモノである。
 管理世界では、主に護身グッズとして販売されている。
 それを、今ここで凛が使うという理由がよくわからない。
「まあ、先に準備だけしときましょうか」
「?……その、必須魔術の?」
「そうね。とりあえず、」
 遠坂凛は、くるりと踵を返し、自分らを見ている者たちへと目を向けた。

「覗きなんてことをしているお行儀の悪い子たちを、捕まえないとね」

  ☆ ☆ ☆

「――――ッ!」
 気づかれていた、ということを彼女らが悟ったのは、悪魔のように美しく笑う遠坂凛の目がこちらに向けられた時である。
 冬木随一の武道家である美綴綾子にも。
 冬木の黒豹と自称する蒔寺楓にも。
 後に恋愛探偵と呼ばれることになる氷室鐘にも。
 霊感の鋭さを持つ三枝由紀香にすらも。
 理解できた。
 自分らは捕食される立場の弱い人間であると。
 言葉もなく全員が散開したのは、非捕食者であるがゆえの本能がなせるものであったのだろうか。
 だが、何処かの誰かが言っていた。
 人は本能が壊れた生き物であると。
 もしも彼女らに本当の意味で本能が残っていて、まともに機能していたというのならば、遠坂凛の訓練をつけて覗こうなどとかんが得なかったはずだ。
 
「バインド」

5 :
 遠くで発せられたはずのその言葉は、やけに鮮やかに彼女らの耳に届いた。
 楓の足と腕に青白い光の紐が絡みつき。
 鐘の胴体と腕が縛られ。
 由紀香の両手首に光の輪が嵌めこまれ、空間に固定される。
 綾子は。
 ふわり、と白いジャージでいつの間にか彼女らの傍にまで接近していた遠坂凛を見た。
「おおおおおッ」
 
 叫ぶ。
 林の中で繰り出したのは彼女の持つ技で最高の技――右の逆突き。
 伝統派空手と言われる競技空手の中でも最速の部類に入る技だ。 
 しかも彼女のそれは膝の抜きを利用しての重心の落下を拳に載せた、相手に知覚されにくい上に威力もあるという――
 いわゆる高速上段突きだ。
 それが。
 
 遠坂凛の動きは、独楽に似ていた。
 綾子の突きを身を屈めて捌きつつ、追い突きに前進する彼女の身体を反転して肩と背中を叩きつけて弾き飛ばす。
 八極門の技、鉄山靠の応用だ。
 そこからさらに手を伸ばし、振り回す。
 劈卦掌。
 綾子の精神は千々に乱れていたが、彼女の身体は冷静だった。
 両手をあげてのガードと、ローキック。
 古武術の多くはローに対する防御がほとんどない。
 それは日本、中国問わずの弱点である。
 綾子は知識としてそれを知っていたし、彼女の肉体もそれを覚えていたようだった。
 右のローと凛の左掌がヒットしたのは同時であった。
「〜〜〜〜〜〜〜ッッッ」
 
 声にならない声をあげ、綾子の身体が崩れ落ちる。
「さすがは冬木の女武道、美綴綾子ってところかしらね……」
 凛は蹴られた足に手を当てながら、苦笑した。
 そして震えている三人へと目を向ける。
「我々……どうするつもりだ……?」
 この異常事態の渦中において、気丈にも強い眼差しを彼女へと向け、問いただす声をあげたのは氷室鐘だ。
 凛は少し首を傾げてから。
「大丈夫よ。ちょっと記憶を操作する魔術の練習台になってもらうだけだから」
「ま、まじゅつ!?」
「だから、今のこの怖い思いも忘れてしまうのよ。私がちゃんと指導して、精神にも身体にも負担はかからないようにするから、安心していいわよ」
「そ、そんなことで――――」
 ぴたり、と凛の指先が鐘の額に触れた。
「本当に、ごめんなさい」
 崩れ落ちる。
 凛は、残りの二人を見た。
「……………ッッ!?」
「……………ッッ!?」 
 
 ほどなくして、楓と由紀香の意識は闇に落ちた。

6 :
 後日談その一。

「………どうやら、このコースではなかったらしいな」
 鐘がいうと、「葛木が間違えたのかよ」と聞いた。
「じゃないか? もしかしたら私らの知らない違う道が何処かにあるのかもしれないけど、さすがにこんな小さな山でも、うかつに知らない道に入り込むとか危険だ。引き返そう」
 綾子の提案に、「そうしようよ」と由紀香は言って、しゃがみ込む。山道を随分と登って疲れてしまっていた。彼女は体力はないのだ。この筋肉痛でしばらく動けなくなるかもしれなかった。
「仕方ないな……」
 楓も同意した。
 彼女ら四人は、遠坂凛と高町なのはがどういう稽古をしているのかに興味を持って探索にきたのだが、どうやら目撃証言が間違っていたのか、あるいは凛がこのコースから別の枝道を使っていったのか、すでにかなり歩いているにも関わらず二人の姿は確認できなかった。
 中腹の採石場跡にもいなかったし。
 もしかしたら、何処かに迷い込んだりしていないだろうか……という心配はどうしてかしなかった。
 あれは遠坂凛だ。
 ミス・パーフェクトと言われる彼女が、万が一にもそういうことになったりするとは思えなかった。
「もしかしたら、あらかじめ我らがおってくるのを警戒して、誤情報を葛木教諭に吹き込んでいたのかも知れぬ」
 と推測しているのは鐘。
 どうしてそういう意味のないことをするのか、ということは、楓の方を見て、
「汝がいらん好奇心をだして追跡してくる可能性は、普通に考えてかなり高そうだからな」
「あー、あるかも……」
「まあ、あるよなあ」
「お前らわたしをバカにしてるのか!?」
 ……まあそんなやりとりをしつつも山道を下るのだが、途中でぽつりと綾子が言った。
「けどなあ、どんな稽古をしていたのかってのは気になるんだよなあ」
「これがムエタイなら、象を飛び越えたりするって解るんだけどな」
「ムエタイなめんなっ」
「ちょっと格闘系に偏りすぎだよぉ」
 由紀香は口を挟む。
「あの子、なのはちゃんだっけ? あんな子が格闘技の訓練をするってのはやはり無理があるよ……なんかあの子は、フェレットとか子狐みたいな可愛い動物をつれて遊ぶのが似合うと思うヨ」
「やけに具体的だな……」
 フェレットに子狐――という言葉が何処からでてきたのか、鐘は問いただすのだが由紀香にもよく解らなかった。
 なんだかそういうイメージが頭の中に浮かんだのだという。
「フェレットか……」
 楓がそういうと、全員の脳裏にどうしてか高町なのはが何処かの怪物製造工場的なシンプルな地下室で構えている姿が浮かんだ。

 これはこれは師匠……。
 お久しぶりです……。

「え? えー!?」
「なんなんだこのイメージは!?」
 
 訳がわからないことになっていた!

 それは彼女らが学園で二年生の冬休みの頃、第五次聖杯戦争を二ヶ月後に控えた時期の話である。

7 :
 後日談その二。

 新暦0075年 管理局機動六課

「みんなには見てもらいたいのよ。
 なのはさんがどういうことがあって、どういう思いでみんなにトレーニングをさせていたのか」
 シャーリーは言いながら、ライトニング、スターズの両小隊の新人たちに魅せるために映像ソフトを立ち上げる。
 全員の前で、何処かの木造の宗教施設のようなところが表示された。
『最強の魔導使いとは何かでございますか』
 リンディ提督が画面の中で、そう言った。
「――――――?」
「――――――?」
「――――――?」
「――――――?」
 何が起きているか解らない、という顔で新人たちは目をぱちくりさせる。
 全員が黙りこんでしまった中で、提督は説明を続けていく。
『……やはり、魔法少女でございましょう』
 画面が変わっていく。
 解説は続いていく。
 スパッツにスポーツブラとタンクトップ姿の少女たちが、見たこともない武術の鍛錬をする姿が出てきたり。
 岩石を殴り、血まみれの手で荒い息を吐く少女がいたり。
『……そして薄紙を重ねるかのように魔力を練り上げ続け、集中させ、その功が成った時、その時こそ彼女の拳足は人ならぬ硬度を得てバターのように岩石を削ることができるのです』
「あ、これ教導隊の宣伝用の教材映像……」
 シャーリーの呟きが聞こえたが、全員声もない。
『ご覧下さい。
 これが魔法少女カレイドルビーが叩き上げた、それは見事な玄武岩の打岩にございます』
 白い、全長170センチほどの岩の塊だ。
『しかし、時に管理局の歴史はとんでもないものを生み出してしまうことがあるのです』
 次にでてきたのは、直径2メートルにも及ぼうかという、巨大な黒光りする球体だ。

『エース・オブ・エース高町なのはが鍛え上げた、それはそれは見事な黒曜石の打岩にございます』

「――間違えちゃった」
 テヘペロと舌を出して可愛いポーズをとるシャーリーであったが。

「――少し、頭冷やそうか」
「あ、いや、わざとじゃないんですー!?」

 ガクガクブルブルと四人は部屋の隅でかたまりつつ震える他はないのだった。

8 :
と、まだ書いてもいない長編の番外編というのもアレだけど、一応投下終了。
なんか投下してからミスに気づいたりとかもうアレだ…色々とアレだ…。
しかしこのエピソードが本編にそのまま採用されるかも未定なのでした。
というわけで、一種のギャグだと思って気軽に流してください。
けど感想はできたら、ちょっとください。
ちょっとでいいデスけど。
では、お粗末。

9 :
書き終わってから「救命阿ッ!」と最後いれとけばよかったと思った。
いずれ磨伸映一郎風は難しい…。

10 :
規制が酷いのかな

11 :
まほよに熱中しているのではないかとも思う。

12 :
まとめの現行スレを更新しといた。
こまめにやっとかないと、人もこないよな。

13 :
乙。助かる
まほよはDDDの二の舞になる気ががが
ヴィヴィオはどうしてああなった
主人公不在のトーナメントって嘗てないな

14 :
>>13
まほよはやってないが、評判は悪くないなあ…確保別にいいという話も聞かないが。
ヴィヴィオはどうせ敗者復活戦で本線いくんじゃね?
という気がしないでもない。

15 :
ぶっちゃけヴィヴィオ弱いし……本人の素質とやりたいことがかみ合ってない
後衛の射撃型向きのくせに戦闘スタイルが格闘偏重なんだもん

16 :
・主人公だが周囲からの戦力評価が低い
・名有りキャラとの初戦
・切り札初披露
・友人の敗退
・対戦相手のミウラは過去回想掘り下げ済み&切り札披露済み&前回上位入賞者に勝利
とまぁ勝利フラグ立ちまくりだっただけに
都合よく覚醒して勝利〜みたいなお約束の流れよりは良かったが
まほよは完結する前に手を出すと泣きを見そうで

17 :
ヴィヴィオというかVividの周辺の設定は、色々と話作りやすそうでもそうでもなく、まだ静観中…。
「魔女」が気になってるんだよなー。
クロスさせるのに都合がいいのか悪いのか。
cccにギル様参入は、予算が降りた時に他スタッフからの要望があったかららしい。
どんなシナリオになるのか、楽しみで仕方がないぜ…!

18 :
赤王様絡みのSSはまだほとんどなかったよな。
でてこないかな

19 :
EXTRAのクロスが読みたい
エタっちゃったのが凄く残念だ

20 :
そろそろリリナイ氏の復帰を求めてもいい頃合いなのではあるまいか?
リリブラ氏は…ご無事であればいいんだがねー…。

21 :
リリブラ氏は本当にな
生存報告があるだけでも大いに活気付きそうなんだが
理想郷も相変わらずだし
表紙でコラボしただけだった先月のコンプエースには肩透かし食らったなぁ

22 :
あれだけの勢いがあった人が、あそこでエタらせるとか…何かあったのかと思っちまうよ。
3月にアレがあったから、最悪の想像もしてしまうしな。
生存報告があるだけでも、というのは本当にだよ。ご無事でいてくれているというだけでむちゃくちゃ嬉しいよ。
プリズマイリヤとなのはのクロスの、あの続きとか誰か書かないものかねえ。
今度はA's時間軸で再会するとかさ。ヴォルケンリッター含めて。

23 :
次はひろやま或いはきのこシナリオで読んでみたいと思ってる

24 :
言峰とスカさんは仲良くなれそうだ

25 :
博士はどれだけ詰っても馬耳東風だから悪くはならんだろうけど
スカの興味で言うなら間違いなくアハト爺、ちょっと下がってゾーケン

26 :
方向性は似てても自分の方針は変えない連中ばっかで永遠に平行線な気がする

27 :
最近自分の中の赤王様熱が上がりすぎているのだが、なのはとのクロスではどう組み合わせていいのか今ひとつイメージがわかない…

28 :
「リリカルでマジカルな女子が魔法少女であるからには、余が魔法少女なのも道理であろう」

29 :
そんなことよりマスターアルトリアのSSをですね

30 :
…動かんな

31 :
まほよが話題に上がるかと思ったんだけどな
俺を含めて買ってない人ばかりなのか、単純に人がいないのか
2nd公開までもう少し
GODにも登場予定だったリンディの戦闘とか楽しみ

32 :
ヴィヴィオは作中屈指のチートキャラだったんだけどな
映像等を見るだけでどんな技も高速で学習する。聖王の鎧によりSランク砲撃にも耐えると
なのはとお話しした結果全部吹き飛んでしまったけどね

33 :
聖王以外にも雷帝だの覇王だのと…ベルカ世界もいい加減色んなのがいるなあ。

34 :
戦乱の時代ってそんなもんだろ
名乗ったもん勝ちだし

35 :
戦乱の時代だっただけに、名前を売ったり誇ったりする事で仲間を鼓舞したり敵を牽制できたりしたんでしょうね。

36 :
まあセイバーにも青とか白とか黒とか赤とかいるものな。

やっと規制が外れたけど、長らく書き込めなくてストレスがたまってたぜ…。
やはり小ネタとか定期的にないと寂れる一方だよな。
また何か気が向けば投下しよう。

37 :
wktk
現行の四期とプリヤ、2ndとかEXTRAとかネタはまだまだ控えてるんだけどなぁ

38 :
ところで避難所の方に投下されたFate/EXTRA白い魔導師だが、もうすでにまとめに入ってるし、今更ここに代理投下するのも変だよな。
プリヤは型月世界と大分かけ離れてきた気はするんだが、よい意味で言えば世界観を広げてくれるかもと期待してる。
アニメ化したら、また色々と盛り上がるかもしれんね。
…ところで確か、ルヴィアってアンリミだと伊藤さんだけど、元は田村ゆかりさんだったよね…。
凛は植田さんで…ここら声ネタでなんとか弄れないかとも思うんだが、なあ。

39 :
凛の孫も田村ゆかりだったような
でも声ネタは、通じない人もいるからねー

って避難所投下気づかんかった
しかもEXTRAきた!白い魔導師きた!これで勝つる!
遅筆だっただけで、書き溜めなさってたんですね。勝手にエター認定して申し訳ない
早速感想
「未来にありえた悲劇的な結末」を迎えたなのはさんか?
満足して最期を迎えたような感じはしないが、しかし擦れた雰囲気があるわけでもなく、一応納得はしてるのかな
ミッドが戦火に焼かれ、20で死亡? 四期なんてなかった
ワカメはブレないなー、親友ってなんだろう
戦闘はアイテムの仕様なんかも描写に入れていくのかな
次回も楽しみ
ところで、ここ日本における「夏」の定義は6〜8月とされていますが、えーっと?
近いうちに四話投下があると信じて――!

40 :
>>38
一応代理投下しとくか
wiki見てない人も居るだろうし。それに代理投下であろうと久しぶりに投下が欲しいじゃないか...

41 :
どうもー……一年以上、エタっておきながら、恥ずかしげもなく帰ってきました。
うん、下手に言い訳するより作品を投下した方が罪償いになりますよね。
そんなわけで「Fate/EXTRA 白い魔導師 第三話:First contact」です。
(どんなわけだ……)
PS:本スレがアクセス規制されてました。泣けるねチクショウ

42 :
 ――夢を見た。
 周りは全ては焼け野原。
 空も、家も、人も。
 全てが等しく燃えていた。
 これは原初の景色。あたしはここで―――。

「起きて。マスター、そろそろ起きて」
「んん……」
 ゆさゆさと体を揺すられて目をぼんやり開けると、
白いスカートとジャケット、ツインテールにした栗色の髪をした女の人。名前は確か……。
「ええと、アーチャー、さんだっけ?」
「それ、昨日と同じ流れだよね?」
 傍らに正座していたアーチャーのツッコミをスルーして体を起こした。
壁にかかった時計を見ると、時刻は七時半ちょうど。
「まだ七時半じゃん。起きるには早いって……」
「もう七時半だよ。これでも、昨日は遅かったから寝坊させた方だよ」
「寝る」
 そう言い残して再び横になるあたし。せめてあと一時間は寝ていたい……。
「だから起きなって、ほら、今日は対戦相手が発表される日だよ」
 カーテンを開けられて日光が顔にかかり、渋々と寝床にしていた体育マットから起き上がる。
大きく伸びをして体をほぐし、窓ガラスを鏡代わりに簡単に身支度を整える。
ふと窓の外を見ると、数列の並んだ空は相変わらずだったけど、ちゃんと朝日が差していた。
電脳世界のはずなのにリアルだな〜、と感心しながらマイルームを出た。

43 :

 ――――今朝見た夢の事は、忘れていた。

 食堂で朝食を摂っていると、携帯端末にメールが届いた。
内容は、一回戦の組み合わせを二階の掲示板に表示するとのことだった。
「いよいよだね」
 霊体化して姿は見えないけど、後ろに控えていたアーチャーが神妙な声で呟いた。
「心の準備は出来た? マスター」
「準備って言われても……」
 我ながら情けないと思っても、曖昧にしか答えれない。
なにせ遠坂さんに指摘された通り、未だに聖杯戦争に参加しているという実感が湧かない。
それこそ本当は授業中に夢を見ていて、今にも藤村先生の怒りの咆哮が聞こえてくるんじゃないか。
「時間は待ってはくれないよ。対戦相手が決まったなら、今日からアリーナに入ってもらうよ」
 アリーナ、というのはマスターとサーヴァントの為に用意された鍛練の場らしい。
この聖杯戦争にはいくつかルールがあって、その一つに6日後までに対戦相手と戦う為には、
トリガーと呼ばれる鍵を手に入れるというものがある。
そのトリガーが落ちているのもアリーナの中の為、6日間の間に鍛練しつつ手に入れないといけないそうだ。
「トリガーを手に入れないと、相手マスター達と戦うことなく敗北になるからね」
「敗北か……」
 この聖杯戦争の敗北者に待つ運命は死あるのみ、らしい。
そう言われても、やはり実感は湧かない。気が付いたら、これから君達に殺し合ってもらいますとか何処の漫画だか。
あの神父はそういうイベントが好きそうだけど。とりあえず、食べ終わったら見に行きますか。

44 :
 掲示板の前に行くと、案の定と言うべきか人だかりが出来ていた。
見たところ、表示されている名前はあたしの対戦相手だけだけど、他の人には別の名前が見えてるみたい。
公平を規す為に、他の組み合わせは見せないってことか。
で、あたしの対戦相手はというと……。
マスター:間桐 慎二
 決戦場:一の月想海
「へえ。君が一回戦の相手とはね。本戦に出てるだけでも驚きなんだけどねぇ」
 軽薄そうな声に振り向くと、いつもの様に人を小馬鹿にした顔をした慎二がいた。
「まあ、役割だったとはいえ親友だったわけだし? 一応、おめでとうと言っておくよ」
「あ、ありがとう……」
 全く祝福していない笑顔だけど、反射的に礼を言ってしまった。
そんなあたしの弱気な態度を感じてか、慎二はニヤニヤと笑みを強くした。
「そういえば、君、予選をギリギリで通過したんだって? 凡俗は色々ハンデをつけってもらっていいねぇ。
でも本戦からは実力勝負だから勘違いしたままは良くないぜ?
しかしこのゲームの主催者もなかなか見所があるねえ。
まさか一回戦の相手はかつての親友。嗚呼、主人公の宿命とはいえなんて悲劇だ!」
 そう言いながら自慢のワカメ……もといウェーブヘアーをかき上げる慎二。
うん、いつもながらいっそ感心したくなる様なウザさだ。
「ま、君も予選に勝ち残れんたんだし? 案外いい勝負になるかもしれないな。
 じゃあな、鳴海。ボク達の友情に恥じない勝負をしようじゃないか!」
 最後に、片目でウィンクして言い放つとサッサと階段を降りて行ってしまった。
恐らくアリーナへ向かったのだろう。まあ、なんというか……。
「清々しいまでにいつも通りの慎二だね」
「いつもあんな感じだったの? と言うか、よくあそこまで言われて我慢できたね」
 隣からアーチャーのどこか呆れた声が聞こえたけど、予選の学校生活の時から慎二はああいう自尊心に満ちた態度だった。
よく自分の自慢話をしていたけど、ほとんど聞き流していたから別段気にはしてなかった。
今思えば、一方的に話しかける慎二と話を適当に聞き流しているあたしという組み合わせは、さぞかし奇妙な友人関係だったかもしれない。
 しかし、そんな慎二とあたしはこれから殺し合わなければいけない。
言峰神父は敗者には退場してもらうと言った。それは恐らくただ失格になるだけでは済まないだろう。
何せ予選で人形に胸を貫かれた痛みは本物だ。もしアーチャーを呼べなければ、あたしはあのまま……。
――周囲は火の海。崩れ落ちる建物。
  そして瓦礫の下敷きになり、
  ■■■の意識は徐々に薄れて――
「マスター? どうしたの?」
「……え?」
 ふと、白昼夢を見た気がした。記憶にない、しかし現実感のある夢だった。
「どうしても気分が優れないなら、今日はやめておく? まだ一日目だし……」
「ううん、大丈夫。ちょっと呆けてただけ。ホラ、あたしたちもアリーナに行こ」
 気づけば掲示板の前の人だかりは無くなっていた。みんな各々の場所に散って行ったのだろう。
唯でさえ、記憶がないというハンデをあたしを負っているんだ。時間を無駄には出来ない。

45 :
 アリーナの入り口は、予選でレオを追って入った一階の壁にあった。
予選では唯の壁だったその場所は、今は観音開きの扉が付けられていた。
「――行くよ」
 隣のアーチャーと自分に言い聞かせて、今、ゆっくりと扉を開き――
瞬間、景色が一変した。
「わあ……」
 目の前に広がった光景に思わず声が出た。
 周りの景色は完全に海の中。あちこちに沈没船が漂い、それらを透明な通路で繋いでいた。
 まるで、サルガッソを水族館にしたみたい――。
「マスター、どうやら対戦相手は近くにいるようだよ」
 アーチャーの声で呆けていた意識を戻した。ゆっくり見て回りたい気もするけど、
今は探索の方を優先させないと。
「どうする? 一回仕掛けてみる?」
「仕掛けるって……猶予期間中だけどいいの?」
「うん、アリーナ内でなら猶予期間中でも3分間の接触が許されるの。
 でも注意して。負ければそこで退場と見なされるからね」
 慎二はああ見えても、予選を勝ち抜いた魔術師だ。魔術師としての実力は記憶のないあたしより上だろう。
しかしトコトン不利な状況にあるあたしには、今は少しでも対戦相手の情報が欲しい。
「アーチャー、慎二がいま何処にいるか分かる?」
「任せて。レイジングハート」
『All light』
 アーチャーが何かを命じると、レイジングハートが光り、何かの立体を空中に映し出した。
これは……もしかしてアリーナの地図?
「彼等がいる場所は……ここだね」
 その予想は当たっていた様で、慎二を示すマーカーが立体地図の一点を指していた。
「ここからすぐ近くの広場にいる。それも動いてないということは、向こうは待ち伏せしてるね」
「向こうは準備万端ってことか。行こう、慎二のサーヴァントがどんな相手か、ってことぐらいは見てみないと」
「了解。ついて来て」
 先行するアーチャーの後を追い、あたし達は慎二が待つアリーナの一角へと向かって行った。

46 :
 目的の場所は二分と経たない内に着いた。慎二達が待ち伏せしていた広場は、丁度アリーナの奥へと続く一本道の前にあり、
奥へと進もうとするなら必ずこの広場を通らないとならない場所にあった。
広場に来たあたし達を慎二は何をするというわけでもなくニヤニヤと嗤い、隣にいた女性は品定めをする様な目であたし達を見ていた。
女性は真っ赤なフロックコートを身に纏い、赤毛の長髪が風に靡いていた。
一見すると軍人の様な格好だけど、大きく開いた胸元と額から頬に架かった大きな刀傷のお陰で軍人という硬質なイメージは無い。
むしろ、暗黒街の侠客がしっくりくるかもしれない。こう、姐さんと呼びたくなるような。
「へえ、あれほど忠告して上げたのに律儀にやられに来たんだ。
それともボクの邪魔をしてトリガーを入手できない様にすれば勝てると思ったかい?
でも残念、鈍くさい鳴海と違ってもう取得しちゃったんだよねぇ」
 開口一番、慎二がそう自慢する手には光るカードが握られていた。恐らくあれが決闘場のキーとなるトリガーだろう。
しかし慎二達がアリーナに入ってからそう時間も経っていない筈なのに、もうトリガーを取っていたのは驚いた。
「そんな真似しないよ。慎二のサーヴァントがどんなものか見に来ただけだよ」
「ハッ、なんだボクの引き当てた最高のサーヴァントを見に来たってわけか。
 そうだよねえ、どうせ負けるにしてもどれ程の差があるか見ておきたいだろうからね。
 ライダー、挨拶してやりな」
 正直に答えると、如何にも芝居がかった仕草でひとしきり笑い、慎二は自分のサーヴァントを指差した。
呼ばれた女性――ライダーは一歩前に進み出ると、優雅に一礼した。

47 :
初めまして、嬢ちゃん。アンタがシンジの親友かい? アタシは……まあ、ライダーと名乗っておこうか」
 豪放そうな雰囲気から予想できない、それでいて様になっていた一礼を見せられ、あたしも慌てて頭を下げた。
「は、初めまして、鳴海 月です。こっちはあたしのパートナーのアーチャーです」
「……ええと、マスター? 何も律儀にクラス名を名乗る必要は無かったからね?」
 隣でアーチャーが驚き半分呆れ半分にツッコまれて、ハッと顔を上げる。ひょっとして今凄いポカをしたんじゃないでしょうか!?
ああ、ホラ慎二も目が点になってるし、ライダーはなんか爆笑してるし!


48 :
「アッハッハッハッハッ、まさか馬鹿正直に挨拶してくるとはね! こいつはご丁寧にどーも!
 いやはや、ウチのマスターの親友と聞いたもんだから、どんな奴か楽しみにしてたけど予想以上に面白い奴さね!」
 尚もケラケラと笑うライダー。なんかもう、穴があったら入りたい……。
「あのさ、鳴海。君って、ひょっとして凄い馬鹿?」
「うがっ!? し、慎二に言われるなんて……」
「はあ!? どういう意味だよソレ! ボクが鳴海より馬鹿なわけないだろ!」
「え〜? でもこの前、クラスの子に教えてた問題、思いっきり間違えてたじゃん。挙句の果てに逆ギレして」
「バ、あれはちょっとしたケアレスミスで……馬鹿って言う方が馬鹿なんだからな!!」
「さっきからバカバカ言ってるのは慎二の方でしょ!」
 ピーチクパーチクギャーギャーと言い合っていると、隣から大きな咳払いが聞こえた。
「二人供、そろそろ本題に入ろうか?」
 アーチャーは呆れ果て、ライダーさんはニヤニヤした顔であたし達を見ていた。
うぐぅ、さっきからずっと見られていたと思うと恥ずかしくなってきた……。
それは慎二も同じ様で、舌打ちを一つすると仕切り直す様に喋り出した。
「ふん、何にせよお前はここでお終いさ。どうせトリガーを手に入れられないなら、
 ここでゲームオーバーになっても同じ事だろ。ライダー、遠慮なく蜂の巣にしてやれよ!」
「はいはい、話し合いで平和的に解決もありだと思ったけどねえ。こっちの方がアタシらしいか」
 そう言って、ライダーが両手に武器を構えた。あれは……フリントロック式の拳銃?
「来るよ。マスター、後ろに下がって」
「は、そちらさんも準備はOKかい。なら……派手に景気良く撃ち合おうじゃないか!!」
 瞬間、周りの景色が赤く染まると同時にサイレンの様な音が鳴り響き、辺りに文字が浮き上がった。
その文字はこう書かれていた。
『Warning!! セラフより警告!
 アリーナでの私闘は禁止されています!』
「くそ、もう気付きやがったか!」

49 :
 慎二が毒づいている所を見ると、これはアリーナからの警告なのだろう。
でもすぐに戦闘を中断されるわけでは無いらしい。
確か3分。3分だけなら戦闘できる――!
「行って、アーチャー!」
 あたしの叫びと共に、アーチャーがライダーへ疾走する。
いや、これは疾走じゃない。よく見ると、地面スレスレを浮かんで飛んでいる。
『Accel shooter』
 レイジングハートの機械的な声と共に、光弾が五つ、ライダーへと奔る。
まともに受ければ、あの人形の様にただでは済まないはずだ。
「そらよ、と!」
 しかし、光弾がライダーの身体を貫くことは無かった。
ライダーが続けざまに素早く撃った弾丸が光弾を打ち消したからだ。
アーチャーは気にした様子もなく、ライダーに向かった速度のまま、レイジングハートで殴りかかった。
甲高い音がレイジングハートから鳴り響いた。
いや、正確にはレイジングハートとライダーの拳銃がぶつかり合った音だ。
ライダーはアーチャーが打ち合ってくるのを見るやいなや、両手の拳銃を交差させて受け止めていた。
「っ、弓兵を名乗る割には重い一撃じゃないかい」
「それはどうも。近接戦闘も必須科目だったからね」
 杖と銃の鍔迫り合いの中、ライダーは肉食獣を彷彿させる笑みを浮かべ、アーチャーは冷徹に言葉を交わした。
「はん、妙なナリのくせに元軍人かい? どうりでお堅い雰囲気がするワケ、だ!」
 気勢と共に、ライダーの蹴りがアーチャーの鳩尾に叩き込まれ、アーチャーは後退する。
しかしアーチャーは悶絶する様子もなく、後ろに飛びながら弾幕をライダーに浴びせた。
撃ち出された光弾の数は十発。散弾銃さながらの勢いで迫る光弾は、ライダーを足止めするには十分なはずだった。
―――そう、はずだったのだ。
ライダーが全ての弾丸をすり抜けて突っ込んで来なければ。
「なっ!?」
 予想外の行動にアーチャーが驚愕した。その隙をライダーは見逃さず、一気に距離を詰めて行った。
「そら、倍返しさ!」
 乾いた発砲音が二発、同時に響く。至近距離で放たれた弾丸がアーチャーの胸で破裂した。
「アーチャーッ!!」
「くぅ、っ」
 思わず声を上げてしまう。苦悶の声を上げながら、アーチャーはレイジングハートを横薙ぎに振る。
それをライダーはバックステップで避け、また両者の距離が開く。

50 :
「アーチャー、大丈夫!?」
 心配そうなあたしに対して、アーチャーは振り向きざまに笑ってみせた。
「心配無いよ。この程度ならバリアジャケットで防げるから」
 見ると、先ほど撃たれた箇所は血が流れてない処か、傷も見当たらない。
アーチャーの服は、ああ見えて防弾チョッキになっているのだろうか?
「やれやれ、雰囲気以上に相当防御が固いときた。今の一発が効かないのはショックだねえ」
「そうでもないよ。流石に至近距離で撃たれたら、弾は防げても衝撃そのものは響くからね」
「はん、ちゃっかり反撃してきて何言ってんだか。ま、シンジが言うよりは楽しめそうだけどね」
 お互いを認め合う様に、アーチャー達は笑い合った。まるでスポーツを楽しんでいるかの様な雰囲気に、
これが命のやり取りだという事を忘れそうになる。事実、さっきまでの動きだって辛うじて目で追えたくらいだ。
あたしがあの二人の間に立ったら成すすべ無く死ぬだろう。巻き込まれただけで人が死ぬ様なものを、
断じてスポーツ(運動)と呼んではいけない。
(これが、英霊の戦い……)
 アーチャーもライダーも、名前は分からないけど有名な英雄だったのだろう。
二人は、きっと戦場を駆けて、常人では出来ない数々の栄光や名声を手にしてきたに違いない。
そんな光景が目に浮かんでくるぐらい、二人の動きは現実離れしていて―――何よりもそれが自然体であるかの様に見せている。
そんな二人が、きっと生前会うことすら無かった二人が今、あたしの目の前で戦っている。
その事実に―――実際に行われているのは命のやり取りだと分かっていてのに―――説明できない昂揚感を感じてまう。
「おい、ライダー! 鳴海のサーヴァント相手になにモタモタやってるんだよ!!」
 でも慎二には、目の前の出来事に対してそんな感情は無いらしい。
むしろ思い通りにいかなくてイライラしているかの様に声を張り上げた。
「お前はこの僕のサーヴァントなんだぞ! そんな奴、さっさと片付けろよ!!」
「やれやれ……男だったら、もうちょっとどっしりと構えて欲しいものだねえ」
 まるで遊びで不愉快な事があった子供の様な慎二に対して、ライダーは苦笑してかぶりを振った。

51 :
「でもまあ……派手にぶちかましたいのは同感だ」
 ライダーがそう言った瞬間―――雰囲気が一変した。
ライダーの表情は相変わらず不敵な笑みを浮かべたままだ。
それなのに、その笑みはまるで肉食獣が牙を剥いてる様に見えた。
傍から見てるあたしでも分かる。今までライダーは本気じゃなかったんだと。
と、ライダーはおもむろに右手を挙げた。すると―――
「……え?」
 ライダーの背後の空間が水面の様に揺らぎ、何かが出てきた。
唐突に起きた不思議な現象に声を上げてしまったが、あれは―――
「大砲……?」
 そんなあたしの呟きが聞こえたのか、ライダーは一層笑みを深めて、
「砲撃用意……」
 アーチャーに向けて、手を振り下し―――
「藻屑と消えなっ!!」
 轟音と共に、砲弾が発射された。
いや、発射されたのだろう。
というのも、あたしの目には砲口が光ったと同時に、
アーチャーがいた場所が発破をかけられたかの様に地面が吹き飛ばされた様にしか見えなかったからだ。
どう見たって直撃だ。普通の人間なら跡形もなく吹き飛んでいるだろう。
「……ホントに固いもんだ。食い甲斐のあるロブスターって処かね」
 ライダーが呆れた様に呟いた。
爆煙が晴れると、アーチャーは桜色のシールドを出していた。
人形の一撃すら防いだシールドは、今回もアーチャーを砲撃から守ったのだろう。
「……ッ」
 でもアーチャーは全くの無傷では済まなかったみたいだ。
その証拠にシールドに罅が入り、ガードした筈のアーチャーの顔が苦痛に歪んでいた。
「何やってんだ、真剣にやれよお前!!」
「慌てんな慎二、押して駄目なら……」

52 :
 そう言ってライダーはさっきの様に背後の空間を歪ませ――
「もっと押してみろ、ってな!!」
 直後、無数の砲身が出てきた!
「っ、レイジングハート!」
『Accel Fin』
 アーチャーの両足に桜色の羽が出て、視界から消えたと思ったと同時に、
さっきまでアーチャーがいた場所が轟音と共に爆煙に包まれた。
見れば、アーチャーは足に生えた羽を使って宙に浮かんでいた。
大砲を確認したと同時に、空中へと回避したのだろう。
「ハン、本気で面白い奴だね! ホラホラ、どんどんいくよっ!!」
 ライダーの宣言に呼応する様に、砲弾の数が増していく。
その度に落雷の様な衝撃と轟音がこちらにも伝わってくる。
アーチャーはさっきの高速移動を使って砲撃をかわしているものの、
数が多すぎてライダーに近寄れないでいた。
 甘かった――あたしは今更ながら思い知らされた。
さっきまで様なスポーツ然とした戦いで、お互いの勝敗を決めるものだと、そう思っていた。
だがあんなもの、サーヴァントからすればじゃれ合い程度のものだろう。
絶え間ない砲撃は火力が、速度が、なによりも相手を殲滅するという気迫が違うと雄弁に物語っていた。
聖杯戦争――それは、英霊達が一騎打ちするという意味では無い。英霊達が全力をもって戦争することなのだと、
嫌でも理解させられた。
 マスターの特性なのか、アーチャーの様子は手に取る様に分かる。
今のアーチャーは回避する事で精一杯だ。それも体力と魔力を削りながら、どうにか回避している。
このままでは、砲撃が命中するのも時間の問題だ。一発でさえ、防ぐのに手一杯だった砲撃が今度は無数に襲いかかる。
そうなれば――今度こそ、アーチャーは跡形なく吹き飛ばされるだろう。
そして、その恐れた事態が起きた。
「くあ、っ……!」
「アーチャーッ!?」
 それは正に一瞬の出来事だった。さっきまで戦闘機のドッグファイトさながらの動きで回避していたアーチャーが、
電流に触れたかの様に体を痙攣させた。それで動きが止まったのは一瞬、だがその一瞬はこの状況で致命的だった。
そして―――!
「これで、終いだっ!!」
 無数の砲撃が、アーチャーを容赦なく撃ち抜いた―――。

53 :
「アーチャー……そんな………」
 目の前の出来事に、あたしは馬鹿みたいに呟くことしか出来なかった。
「驚いたかい? このゲーム、僕たちマスターもバトルの参加者なのさ」
 気障たらしい慎二の声に目を向けると、慎二の手元にコンピューターのキーボードみたいなホログラムが浮かんでいた。
恐らく、さっきアーチャーが止まったのは慎二が何かしたからだろう。
「ま、気を落とす事は無いさ。僕が相手じゃ鳴海が勝てないのは無理ないって」
 慎二が何か言っているが、あたしの耳には入ってこなかった。あたしは茫然とアーチャーがいた場所を見ていた。
アーチャーがいた場所は依然として、硝煙で見えない。それがこの砲撃の凄まじさを物語っていた。
あんな物が直撃したんだ。アーチャーは、もう………。
「地上に帰ったら自慢してもいいぜ。アジアのゲームチャンプの僕と戦ったと言えば少しはステータスに――」
「いや、シンジ。まだ勝ち名乗りを上げるには早い様だよ」
 慎二の弁舌を遮ったライダーは、硝煙に覆われた場所を指差した。そこには――
「アーチャーッ!」
 アーチャーがいた。バリアジャケットは至る所から血が滲み、レイジングハートも大破しそうな程、
亀裂だらけだったが、どうにか両足で立っていた。
「咄嗟にシールドでガードしたか。そのお陰で即死とはならなかった、というわけだ」
「くそ、馬鹿みたいに耐久が高いサーヴァントだな」
 ライダーの解説に苛立った声を上げる慎二。
良かった……生きていたんだ。思わず安堵の溜息が出る。しかし――
「っ、あ………」
 よろよろと、体を揺らしながらアーチャーはレイジングハートを構える。
まるでそうしなければ、次はあたしが殺されると言うかの様に。
どうする? どうにか立ったけど、戦える状態じゃないのは明らかだ。
ここを切りぬけるには一体、一体どうすればいい!?
――その時だった。
『Warning!! セラフより警告。
 アリーナでの私闘は禁止されています。
 直ちに両マスターは戦闘を中断して下さい。
 指示に従わない場合は、セラフよりペナルティが与えられます。
 繰り返します。直ちに両マスターは戦闘を中断して下さい――』
 アナウンスと共に、目の前に警告表示を示したメッセージウィンドウが浮かんだ。
「チッ、あとちょっとだったのにもうタイムオーバーかよ」
 慎二が忌々しく呟いたのを聞いて思い出した。
そうか――もう3分経過したのか。
「まあいいさ、鳴海程度ならいつでも倒せるからね。
 じゃあな、精々決闘日までにレベルを上げておきな。
 そうすれば、いい勝負ぐらいにがなるかもな」

54 :
 そう言って、慎二は高笑いしながら、ライダーとアリーナの奥へ去って行った。
あたしはその背中を黙って見送るしか出来なかった。
悔しいけど、いま慎二を追い掛けても返り討ちにあうだけだ。それに今は先にやる事がある。
「アーチャー、大丈夫!?」
「にゃははは……ここまで……ボロボロにされたのは………結構久し振りかも」
 あたしが駆け寄ると、アーチャーは力なく笑った。
間近で見ると改めて受けた傷の深さが分かる。常人なら絶命しても可笑しくないのに、
しっかりと両足で立って―――あたしを安心させる様に笑顔を見せた。
「………っ!」
 思わず唇を咬む。あたしは何を甘えていたんだろう。
戦う実感が湧かない。それはそうだ、何せ記憶が無いのだから。
でも時間は待ってくれない。あたし以外のマスターはこっちの事情なんて知った事では無いだろう。
それでもアーチャーはあたしの為に戦う。今みたいに殺されかけても。
「、と……」
 フラリと傾きかけたアーチャーの身体を慌てて支える。
思っていたよりずっと軽い身体に驚きながらも、肩を貸す様な体勢になる。
「今日はもう引き上げよう。帰って治療しないと」
「賛成だね……ごめんね、幸先悪い初日になって」
「そんなのいいよ、生きているのが奇跡みたいなものだし」
 肩を貸しながら、二人三脚みたいに来た道を引き返していく。
幸い、アリーナの入り口はそう遠くない場所にある。
そこまで行くぐらいなら、どうにかなるだろう。
「アーチャー」
 肩を貸しながら、あたしは声をかける。
この戦争を勝ち抜く理由なんて、まだハッキリとしてないし、
負けたら死ぬというのも、理解はしたけど納得が出来ない。
それでも―――
「次は勝つよ。絶対に」
 それでもこのサーヴァントの期待に応えられるくらいのマスターになろう。
その為には、まず慎二に勝たないといけない。そうでなければ、
あたしはアーチャーが救ってくれた命をまた無残に落とすことになるだろう。
「……ふふ、何を学んでくれたか知らないけど……朝より良い顔になったね」
 微笑むアーチャーと一緒に、あたし達はアリーナの入り口へと歩いて行った。

55 :
気付けば三話は一、二話より6kb増し。
スゴイね俺!そしてスゲー馬鹿。どんだけ時間かけてるんだ。
そんなわけでとんでもない遅筆ですが、最後まで呆れながら付き合っていただくと幸いです。
一年もあればCCCも出てA'sも映画化しますよね。アハハ……。
さて、今回が初めてのバトルとなったわけですが……戦闘描写ムズっ! 一人称って想像以上にムズっ!
つうかこれを面白く書けるきのこや虚淵は化け物か!? と、四苦八苦しながら書いてました(笑)
パワーバランスについて、慎二強すぎね? と思うでしょうが、
アーチャーはへっぽこマスターのお陰で全ランクE、
そして慎二もあれで凛が名前を覚えるくらいには腕の良いウィザード、
ついでにライダー姐さんに免じて許して下さい(マテ
次回の更新はなるだけ早く、夏までには上げます。

……あげたいなー。

56 :
以上、代理投下終了です
作者さん、ホントに乙です!

57 :
投下乙。
規制食らってたってのはあるけど、避難所も細かく見ておかないとだめだよな。本当。

58 :
正直、もうエタったと思ってた。待ってみるもんだ。

59 :
ここで連載している作品は、数が少ないけどもレベルはそれなりに高いからな。
数が少ないから粒よりになったのかはわからんが。
Lyrical Nightの続きはまだか。

60 :
投下きてたーー!!!
EXTRAだと強さ議論に発展しにくくて良いね

61 :
白い魔導師は今後戦闘面をどう描いていくのかなー
一般的なSS、アニメ的な戦闘か
それともゲーム解釈でオリ要素を足していくのか
ディバインバスター・耐久低下 とかねw

62 :
EXTRA関係のSSはもっと増えてしかるべきだよなー。
キャス狐かわいいよキャス狐。

63 :
意外に難しいというか、下手に淡々とやるとシナリオ追うだけになるからなぁ、
コミック版がいい感じなのである程度はあっちを参照した方が

64 :
クロスSSなんだし、そこらはキャス狐なり赤王様なりがなのは側で召喚とかでいいんじゃないかな。
コミック版が参考になるといえばそうだが。

65 :
にじファン閉鎖か
特撮系は権利厳しいのね

66 :
にじファンか…まあスレチな話題ではあるが、二次創作小説業界全体に波及しそうな事件だよな。
白い魔導師はあそこに投下していたはずだが、どうするんだろ?
理想郷に移転かな?

67 :
カレイドスコープの外伝2ってどこまで上げたっけ、
一話は過去スレで上げた気がするけど誰も編集してないし、自分で編集するにもタイトル忘れてしもた

68 :
外伝もあるだけまとめた気はするんだけど、どうだったかな?
ログ遡って確認しないといかんか…。

69 :
まぁ取りあえず2話載せておこう

70 :
では始めます
#1
冬木市郊外、国道を走っていた一台の車がそろそろと路肩に停車し、
運転席に座っていた少女は、大きく息を吐くと後部座席を振り返った
「振り切ったようですね」
厳しい顔で後方を警戒していた後部座席の女性はそう言うと、
自分の隣で気を失っている少女を見下ろした
いささか不穏な状況だが別段彼女達は警察から逃げている誘拐犯というわけではない、
かと言って社会的に真っ当な立場でもないのであるが
「ミス・マルミアドワーズ、
彼女が襲われる動機に心当たりはありますか?
あの“魔術師喰らい”に襲われるような謂れが有るとはとても思えませんが」
女性の問いに、運転席に座る少女―――間留美理緒は、
眼鏡の奥にある眼を丸くして問い返した
「バゼット女史、ひょっとして彼女が誰か知らずに庇ってたんですか?」
「えぇ、全く、
義を見てせざるは勇無きなりと言う所です」
女性―――バゼットはそう答えると、新都で時折見かける顔ではありますがと付け加えた
理緒はそうですか、と答えると
ジュエル・シードという名前に聞き覚えがあるかと、バゼットへ問い返した
「心当たりは―――いえ、そう言えば以前遠坂さんが口にしていたような……」
アーティファクトの類でしたかと続けると、バゼットは先を促した
「手のひら大の魔力結晶で、それ自体が一つの願望器として機能するモノだそうです、
一月ほど前、魔術協会からある『団体』に返還されたそうですが」

71 :

単独で一つの願望器として成立するほどのアーティファクト
それを返還したということは、余程その『団体』と係わり合いに成りたくなかったらしい、
魔術協会は極めて貪欲だが同時に極めて保守的な組織でもある、
この少女の容姿から考えて恐らく新大陸あたりの組織なのだろうとバゼットは当たりを付けた
実際には新大陸(アメリカ)どころではないのだがそこは知らぬが仏である
「返還された、ということは彼女はそちらの魔術師なのですか?」
「いえ、彼女自身はその『団体』のメンバーではないそうです、
詳しい話は分かりませんが、
もともとそのアーティファクトは彼女の母親が不特定多数を違法に入手した物だそうで」
なるほど、とバゼットは凡その状況を理解した
その不特定多数のアーティファクトを彼女がまだ所有しているかもしれない
ただそれだけの事情で彼女は命さえ狙われたのだ
別段、魔術の世界においてはおかしな話ではない、
特に野に降り外法を是とした魔術師ならば穏当な交渉など望むべくもあるまい
「状況から察するに、彼女はまるで事態を把握していないようですが」
自分が通りがからなければおそらく死んでいただろう、
不幸な話だが、“こちら”では良くあることだ
その是非を認めるかは別にして、バゼットは冷静にそう考えていた
「ミス・マルミアドワーズ、あなたの目的は―――」
恐らく似たようなものだろう、と当りをつけるバゼットに対して
理緒は心外なと眉を寄せた
「私のところは本家が『団体』側にこコネがあるんでそこまでする必要はありません、
いずれにせよ、持ってないのは確かですし」
今回はあくまでも個人的な事情だという彼女に対し、
そう言いながら調べたのは否定しないらしいと思いながらバゼットは納得した
その家自体がよその組織などにコネを持つこと自体は決して不思議なことではない
閉鎖的思想が主流な魔術師社会といえどそれは同じである

72 :

「それで、これからどうするつもりです?」
彼女の身柄をいつまでも保護しておくわけにも行かない
さし当たっては暗示をかけて帰宅させるのが常道だが―――
うかつに引き返してももう一度襲われるだけだろう、
標的にされている以上、眼を離すのも寝覚めが悪い
「『団体』側に引き取ってもらうというのは?」
「難しいですね、向こうはこちら側には基本不干渉ですから」
なにやらややこしい取り決めが有るのかもしれないが
身内以外の者をフォローするようなボランティア精神を組織に期待するほうがおかしい
「参りましたね……」
そもそも人命の保護など心得がないのである
せめて彼女が意識を取り戻せばまだ考えようもあるかもしれないが
「仕方がありません、
先にトマス・ホルバインのことを遠坂さんに報告することにしましょう」
そう言ったバゼットのそばで聞き覚えの無い電子音が声を上げた
調べてみると、どうやら気を失っている少女のポケットからであるらしい
「携帯電話でしょうか?」
「そうですね、これは―――」
まずい事態だなと思いながらバゼットは少女のポケットからそれを取り出した


73 :

#2
「やっと出た、大丈夫かアリシア?
フェイトがいつまでたっても連絡してこないってこっちまで泣きついてきたぞ?」
夜半の衛宮邸、受話器を片手に安堵のため息を漏らした衛宮士郎は
返ってきた声に眼を丸くした
『その声は士郎君ですか?
よかった、彼女は貴方の知り合いでしたか』
「バゼット?!
―――なんか、あったのか?」
士郎の問いに電話の向こうから緊張したトーンの返事が返る
「アリシアが魔術師に狙われた?
分かった、遠坂と話を聞くから一度うちに来てくれ」
『分かりました、
アインツベルンにはどうします、伝えますか?』
「いや、もう遅いし、
遠坂にはともかくイリヤには今度でいいんじゃないか?」
『あまり悠長な状況でもないのですが……
分かりました、それでは衛宮邸で』
バゼットの言葉に不安を覚えつつ電話を切る
眉を寄せて考えていると、後ろから声をかけられた
「外来の魔術師が冬木の街に入り込んでるの?」
「あぁ、バゼットの話だとそうらしい」
士郎の返事に声の主―――遠坂凛は眉を寄せて面白くなさそうに鼻を鳴らした
冬木市は遠坂家の管轄である、
協会に属する真っ当な魔術師であるのなら彼女に挨拶に来るのが筋というものだろう

74 :

「アリシアを襲ったのが偶然なのか意図的なのか、そこが問題ね」
後者であればアリシアさえ護っていればいいが、
前者であればどこに被害が出るか分からない
凛としてはアリシア個人の問題を別にすれば後者であるほうが楽なのだ
バゼットが来てからでなければ判断がつかないが、
とりあえず希望的観測はやめておこうと彼女は考えた

75 :
#3
「知り合い、ですか?」
「えぇ、時計塔にはあまり知られていないでしょうが聖杯戦争のマスターです、
今は管理者(セカンドオーナー)である遠坂さんの弟子ですが」
名を衛宮士郎といいます、というバゼットの説明に、あぁなるほど、と理緒は頷いた
学園では魔力をうまく誤魔化している為彼らは彼女が魔術師だと気づかなかったが、
先日の夕暮れ時、学園内で理緒はなにやら密談をしている士郎達に遭遇していたのである
アリシアがいた事と先の事件で遠坂凛が彼女と接触していたことから考えて、
おそらくアリシアの処遇についてだと思われるが
「あ、どうしよう……」
事態が事態ゆえに管理者の指示を仰ごうというバゼットに納得したは良いが、
これは困ったことになったと理緒は考え込んだ
正規に魔術協会に所属する魔術師でありながら、
管理者(セカンドオーナー)である遠坂家に何の断りもなく冬木の町で行動していた
という意味では彼女も同じなのであった
近隣の町からの通い、純粋に学生身分としてとはいえあまり良い顔はされまい
「慌てずとも遠坂さんは話の分かる相手です、
その程度問題はありません」
「バゼット女史は“ノーリッジの惨劇”を知らないから楽観できるんです」
フォローするバゼットだが理緒からすれば時計塔において早くも“話題”となった
入寮希望者同士の口論からノーリッジ学生寮のフロントを破壊したという
遠坂凛に対し警戒心丸出しという訳である
学園で見せる優等生然とした態度からは想像できない、
悪鬼の如き様は想像するだけでも恐ろしい
「本人が聞いたら火に油でしょうが―――
トマス・ホルバインの方がよほど問題です、ここは仕方がありません」
さらりと処刑宣告に似た言葉で理緒を切り捨てるバゼット
理緒はあきらめた顔でため息をついた

76 :


かくして―――
「いい度胸じゃない、貴女」
「そ、其処の所は、その……」
平身低頭する少女に残酷な笑みを浮かべるあかいあくまを横目で見ながら
士郎はバゼットに話を聞いていた
その傍らには空間モニターが浮かび、
不安げな顔でモニター越しに気を失った自分と瓜二つの少女を見下ろす女性が映っている
「それで、そのトマス・ホルバインってどんな奴なんだ?」
「“魔術師喰らい(メイガス・イーター)”もしくは“刻印収集家(ブランド・コレクター)”と呼ばれる魔術師です
130年以上前に封印指定され、時計塔から姿を消した男なのですが」
封印指定、それは時計塔―――魔術協会から、
魔術でありながら唯一無二となる“『魔法』一歩手前の奇跡”や、
希少な才能を持つものなどに送られる
魔術師にとって最高の栄誉であり同時に厄介ごととされる称号である
それが誉れよりも厄介ごとであるとされる所以はその処置にある
指定されたものに対し協会が「希少な才能を『保護』する」という名目の下に
拘束、解剖するということが往々にして有り得るからだ
それ故に指定されたものは大抵において魔術協会を辞し、行方をくらませる
多くの魔術師は研究者であり、拘束されてしまえば研究が続けられないからだ
そうした封印指定の魔術師を追うのが執行者と呼ばれる魔術協会の武闘派部門であり、
バゼット・フラガ・マクレミッツのかつての職場である
もっとも、魔術協会が積極的に封印指定を追うかと言うとそうではない、
その魔術師が野に下った後、より高みに至ろうとするか、
ひっそりと次代に引き継いでいくかはそれぞれだが
協会が動くのは概ねそれら―――正しくはその研究成果が危機に陥った時などである
故に、実際に封印指定を追っているのは
もっぱら金銭で動くフリーランスの魔術師が殆どなのだった
「“刻印収集家(ブランド・コレクター)”?」
耳ざとく話を聞いていたらしい凛が口を挟む、
後ろでいろいろ情けないことになっている少女にお茶を出しながら、
士郎はバゼットに先を促した

77 :

「魔術刻印を収集し、運用できるファイル―――
それを造り得たが故にトマス・ホルバインは封印指定されたと聞き及んでいます」
「嘘?! 魔術刻印は血族にしか使えないはずよ?!
―――って、だから封印指定されたのよね」
「はい、そしてその内容ゆえに彼は優先的に狩出されるよう指定されました」
本物の封印指定と言う物は実のところ余程の天才か異端のなせる業であり、
現在封印指定されている者の多くは魔術協会に不利益を与えかねないもの―――
魔術、神秘の秘匿を忘れ、聖堂教会などの異端審問に目をつけられたものや、
協会の管理地を勝手に侵害したものなどである
加えて利己的な思想である魔術師にとって
自家の魔術成果である魔術刻印を簒奪しようなどという輩を見逃す道理はない
だが、実際に協会の執行者が動いたかといえば―――
自家の安泰を優先した協会の魔術師は「自分達に関わらない限り問題は無い」と放置し、
あまつさえその存在を隠蔽、無かったことにしてしまったのである
「私が執行者になった頃、偶然資料が発見されたのですが、
既に協会が“居ない者”として扱ってから年月が立ち過ぎていましたから」
その存在は兼ねてから疑問視されていたのだという
『でも、100年以上昔の人なら―――』
「恐らく“刻印収集家(ブランド・コレクター)”としての遺産を受け継いでいる跡継ぎか、
何らかの処置で延命しているかのどちらかでしょう」
モニターに浮かぶ女性―――フェイト・T・ハラオウンにそう返す
魔術師の研究とは一生涯どころか末代までをかけたその家の至上命題である
それを果たすためであれば100年程度の延命ならば往々にして有りうる話なのだ
そして、その何らかの処置に他人の命が関わるのもまた、よくある話なのだった

78 :

「とにかく放って置く訳には行かないな」
「えぇ、冬木の管理者として見過ごす訳には行かないわ」
持ち前の正義感や義務感で各々が頷く中、フェイトは一人申し訳なさそうな顔をした
『御免、私も手伝えたらよかったんだけど』
「それには及びません、これは我々魔術師の問題ですから」
フェイトの所属する組織である時空管理局は
地球内部で完結する事態に対しては干渉する立場には無い
出来る事と言えば身内としての権限を駆使してアリシアの安全を計ることぐらいだろう
「どうする遠坂、今から新都に行くか?」
フェイトとの通信を片付けながら士郎がたずねる、
時計を見ていた凛は「ちょっと厳しいわね」と答えて腕を組んだ
バゼット達がホルバインと接触してから結構な時間がたっている、
いまから新都に行ってもそこにいる保証は無いし、
夜が明けて人の流れが活発化してしまえば魔術師としては動き辛い
「それに、今の内に武器を用意しておいたほうがいいわ、
バゼットはともかく私は聖杯戦争の時ほどの宝石は持ち合わせてないし」
封印指定が相手となるとどのくらい厄介かは予想できない、
最悪、サーヴァントを相手にするぐらいの覚悟はいるだろう
「でも武器ってどうするんだ、
今から宝石に魔力をこめるのか?」
「まさか、使い物になるほどの魔力が一朝一夕でたまるなら苦労しないわよ」
それもそうだ、と納得し、
では如何するのかと言う士郎に凛はバゼットがつれてきた少女を指さした
「士郎、マルミアドワーズって知ってる?」
「いいや?」
要領を得ない質問に首をかしげる、
衛宮士郎はもともとモグリの魔術師ゆえに、魔術師の社会事情にはとんと疎いのである
彼女の家など知る由も無い


79 :

「アーサー王がアイルランドの巨人、リオン王を討ち取った際に手に入れた
ヘラクレスが所持していたとされる銘剣の事です」
バゼットが解説を入れる、
アーサー王伝説は多岐に渡り、その中には様々な銘剣が登場する
アーサー王の選定の剣(カリバーン)や約束された勝利の剣(エクスカリバー)にはじまり、
円卓に集う多くの騎士もまた、その手に至高の銘剣を携える英雄なのである
マルミアドワーズはその中でも起源をローマ、ギリシャ神話とするものなのだという
「セイバーの宝具は約束された勝利の剣(エクスカリバー)だろ、
それに人の名前とどう関係が有るんだ?」
「剣を作ったのはローマでは鍛冶の神ヴァルカンと言われています
マルミアドワーズ家はその神の業を現代に引き継ぐ伝承保菌者(ゴッズホルダー)の家系です」
伝承保菌者(ゴッズホルダー)とは、神代の神秘をその血筋に保有する特殊な魔術師の家系のことを指す、
それ故にその歴史は古く、協会上層部を取り仕切る貴族よりも長いとされる
だがその多くは魔術協会には属さず片田舎に引きこもって細々とその神秘を伝えるだけで
協会の魔術師よりも世捨て人然とした者達である
マルミアドワーズ家は例外的に魔術協会に所属はしてはいるものの
やはり派閥争いには縁も感心も無い変り種であった
とは言え歴史を重んじる魔術師社会にとって、それ故に扱いづらい家系であるのは確かで、
バゼットとはそうした協会内での立場ゆえに親交があったのだという
「日本の間留美家は分家の末席ですが、それでも相応の礼装があるはずです」
「で、それを借りるのか?」
えぇ、と頷く凛だったが、その眼は到底穏便な色をしていない
借りるというより冬木に出入りする代金代わりに徴収するつもりだろう
「遠坂、お手柔らかに、な?」
そう思うとちょっとだけ同情してしまう士郎なのだった

80 :
今回は以上です

81 :
お。投稿に今気づいた。乙でした。
これは続きがきになる展開ですな。
次回も待ってます。

82 :
ぬう…書き込みが足りない…。
こんな調子だと書き手さんも萎えるだろうと思うのだが、ただ読んでるだけの人間では大きな声はいえないなあ。
EXTRAの新情報とかはコンプみても特に無いってゆーか、ギル様とどう付き合うかとか想像するだに楽しいてので、発売されたらこのスレ的にかなりの起爆剤になるのではないかと期待している。

83 :
遅ればせながらカレイド外伝乙
本編の続きも気になるんだぜ

84 :
※カレイドルビーZEROの本編はまだ1つも書かれていません。

85 :
枯れ井戸スコープの方だべ

86 :
2nd公開になったんだからもうちょっと盛り上がって欲しいな。
型月×なのはのクロス物の更新をここのところ全く見かけないのは寂しい。
自分も更新停止しちゃってるから人のこと言えないけど。
周りが盛り上がってないと自然とモチベーション下がっちゃうんだよなー。

87 :
ネタバレ嫌がられるかと思って黙ってたんだが
そろそろ2ndま交えて語ってもいいのだろうか

88 :
カレイド外伝乙!

89 :
なのはの映画見てないけど、どのあたりがテレビと違ってた?

90 :
グレアム提督が出てこない、ヴィータ襲撃よりフェイトとの再会の方が先、
闇の書の意思(リィンフォース)と闇の書の闇が別人格らしい
俺も見てないからよくは知らん

91 :
暴走リインがシリーズ最強と言われるだけの事はあった
ナハトなんかは別格だけど

92 :
ラケーテンのR軌道っぷりは必見
なのはさんはリインに足捕まれて叩きつけられたりとフルボッコ
驚異のリリカル☆チャンバラ
戦闘スピードも迫力も1stの比じゃなかった

93 :
ザフィーラが盾の守護獣から鉄拳の守護獣にクラスチェンジしてたな

94 :
マルミアドワーズはエクスカリバーより強いからガウェインにエクスカリバーを貸したアーサー王
そして、マルミアドワーズなぞものともしなかったネメアの獅子を殺したヘラクレス裸締め
触れてはならぬものを……

95 :
アーサー王「実は手に入れたのは剣ではなく、それを造る職人だったんだ!!」
円卓の騎士「721!!」
がやりたかったのさ

96 :
マルミアドワーズしらんかったのでぐぐってみたが…なるほど。
ぼくのかんがえたサーヴァント wikiには『業火成す巨雄の宝剣(マルミアドワーズ)』としてのってた。
…知ってる人は知ってて、色々と考えてるんだな。

97 :
昔僕鯖スレにリオン王出したことがあるんだけどあまりに内容がアレすぎていまだにwikiに登録されてないみたいなのよね

98 :
チートっぷりでいうなら蚩尤とかいたぞ

99 :
アーサーはツッコミ入れると切りがない
クーフーリンの子孫だとか名乗ったり、Fate的な意味で黒歴史が山盛りすぎるぞ

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