2013年02月懐かしラジオ348: 【姉御】篠原美也子のANN【110番】 (277) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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【姉御】篠原美也子のANN【110番】


1 :04/01/04 〜 最終レス :2012/09/23
93年秋から2年間、水曜2部で放送されていたこの番組。
「モテない、金無い、受からない」のキャッチコピーで、男子浪人生などに人気を博しました。
主なコーナーとして、リスナーからの投稿によって小説を完成させる“篠原美也子文庫”、
篠原美也子作成の珍妙なグッズをプレゼントする“ミヤコロンドン”などがありました。
篠原美也子オフィシャルサイト room493
http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Guitar/3094/
http://www.room493.com/
現在放送中、篠原美也子のありえない日々(WEBラジオも聴けます)
http://www.tbc-sendai.co.jp/fr_02radio.html
邦楽板の本スレ。
【二年目母さん】篠原美也子with龍part5【大奮闘】
http://music2.2ch.net/test/read.cgi/musicj/1067214023/

2 :
おな2ーゲット!

3 :
3はいただいた
返してほしければ10万ペリカ用意しておくのだな。
受け渡し方法は追って連絡する。

4 :
 

5 :
この番組の後釜が古内東子だっけ?

6 :
うるせーバカ

7 :
  Λ_Λ  \\
  ( ・∀・)   | | ガッ
 と    )    | |
   Y /ノ    人
    / )    <  >_Λ∩
  _/し' //. V`Д´)/
 (_フ彡        / ←>>6


8 :
>1
ほんとだ〜
ラジオやってる〜
仙台に住んでてよかった〜

9 :
なつかすぃーね。天才の誕生、ジレンマカード、ビーナスの鼻歌...わかる香具師いる?
なにげに全部持ってる罠...

10 :
>9
いいなぁ。俺は一回だけ写真入りポストカードをもらったけど、あれは何になるのかな?

11 :
WEBラジオ聴いてみた 話し口調が懐かしい〜
ネット放送なだけに曲が聴けないのが残念だけど
考えたら東北放送なら神奈川からでも十分聴けるな

12 :
>>10
それはビーナスの鼻歌だと思われ。シール式のはがきなら天才の誕生。
あー、無性に懐かしくなってきた!

13 :
>11
埼玉だけどニッポン放送が邪魔でほとんど聴けない…(´・ω・`)

14 :
>11
関東在住ならぜひライブにお越しを。

15 :
真夜中の官能小説
  熱い体 -第一話-
夜が来た。
良子はいつもの通り窓を少し開け、下着姿のまま風を吸い込んだ。
3階の窓からは向かいのマンションが見える。
電気は消えているが、でも誰かが見ているかもしれない。
そう思うとなんだか体が熱くなる。
仕事から帰って、堅いスーツを脱いで、窓のそばに立ち見知らぬ視線を
意識するこのひと時が25歳の良子にとって一番刺激的な時間なのだ。
目を閉じると、夕べの和男との時間が
映画のワンシーンのように浮かんでくる。
次に会えるのはいつだろう?
彼の前に立つと良子はバターになる。
触れられれば体中が解け始める。
書類に集中するメガネの奥の瞳、てきぱきと指示を出す低い声、
クールな仕草、彼が冷たければ冷たいほど良子の体は熱くなる。
良子は両手に頬を当て、そっと溜息をついた。
電話が鳴った。

16 :
文庫では「春の雪」が良かったなぁ。
ノベルティ結構持ち腐れ状態‥‥‥。
誰か欲しい方いますか〜?

17 :
>16
( ゜∀゜)ノハイ。ヤフオクに出してみれば高値が付くかも。
文庫ではダイヤモンドダスト(最初のやつ)が好きだった。

18 :
>>17
売るのには抵抗があるので、多分東京ワンマン辺りで配ります(^^;;
でも久しぶりに見たら、誕生と鼻歌には半分以上宛名が書いてあった‥‥‥。
プチトリビア(^^;;
篠原美也子のannでは、「誕生」と「鼻歌」の時代
1週間に2枚以上読まれると、枚数分を封筒でまとめて送るために
宛名の書いていない「さら」のノベルティが送られてきた。
1枚だけ読まれた場合は、それぞれに直に宛名を書いて送られた。
故に、前者の宛名の書かれていないノベルティは意外と貴重である。

19 :
>>18
そのトリビアが出せると察するにもしかしてかつてのハガキ職人さん?

20 :
>18
( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェー
ハガキ職人では他の番組で名前を聞く人達もいたなぁ。
番組の構成作家は「バカサイ」の椎名基樹だったね。

21 :
  熱い体 -第二話-
「もしもし、俺だ。今、君の部屋のすぐ下にいる」
「えっ?」
良子は窓に駆け寄った。
下を見ると公衆電話の中から和男が手を振っている。
再び電話に戻り、受話器を握った。
「もう、急なのね。もしもし?」
電話はすでに切れていた。
慌てて良子は窓に引き返し下を見るが、和男はもういない。
コンコン、ノックが鳴った。
「和男さん?」
良子は怪訝そうにドアを開ける。
果たしてドアの前には和男がいた。
微笑んではいるが走ってきたと見え、息が荒い。
良子はそれがおかしく、吹き出しながら中へ入れた。
中へ入るなり和男は激しく良子の唇を求めた。
「もう、せっかちなんだから」
和男は構わず唇から首筋へと唇をはわせ、右手でブラジャーを
肩からはずすと、露になった良子のR首に吸いついた。
  熱い体 -第三話-
和男の口の中でR首は隆起し、激しく踊った。
良子の体から力が抜け、立っていられなくなった。
和男は良子をベッドへ運び、スタンドのスイッチを入れた。
良子のかろうじて生きている意識の一片が切なく訴えた。
「電気を消して、お願い」
「だめだ」
彼は冷たくほくそ笑んだ。
自分にぞっこんほれている女、何でも自分の言いなりになる女、
そんな良子に対して彼の心の奥深くに灯っていた青白い炎がメラメラと燃え上がってきた。
和男はスラックスのベルトを引き抜くと、素早く良子の両手首をベッドにくくりつけた。
良子は一瞬自分の身に何が起こったか解らなかったが、すぐに激しく抵抗し叫んだ。
「何するの、嫌っ、嫌よ」
和男はそんな良子を満足げに眺めながら、部屋の窓を大きく開け放った。
向かいのマンションとこの部屋を遮るものは今や何もない。
眩しい光の中に怪しく悩ましい女体がくっきりと浮かび上がっている。
  熱い体 -第四話-
「俺達、もう普通のRじゃダメなんだ」
そう言うと、和男は窓際に立って向こうのマンションに手招きをした。
「か、和男さん、何をするの?」
和男はそれには答えず不気味に笑うばかりである。
すると、急にドアが開いた。
誰かが入ってくる。
「和男さん、誰かが入ってくるわ」
「慌てるなよ、俺が呼んだんだぜ」
入ってきたのは女だった。
黒のコートを着て、ボストンバッグを持っている。
女はバッグからロープとロウソクを取り出すとコートを脱ぎ始めた。
「あっ」
良子は叫んだ。
女はコートの下に何もつけていなかったのだ。
和男は驚く良子に猿ぐつわを噛ませ、ロープで体を縛り始めた。
「そう暴れるなって、体は正直なんだ」
ハッとして下を見ると、良子のそこはすでに濡れていた。

22 :
真夜中の官能小説
  熱い体 -最終話-
和男はロウソクに火をつけると、それをゆっくりと傾けながら、
溶け始めた赤いロウソクを良子の体に落とした。
ロウは肌の上に落ちるとたちまち光沢を失って固まった。
「ん、んー」
言葉にならない声を発する良子を満足げに眺めながら和男は
「ムチを出してくれ」と女に指図した。
「あたしにやらせて」
女はそういうとムチを握り締め良子の前に立った。
「いい子ね、あたしが可愛がってあげる」
夜の神聖な空気を打ち破るかのようにムチの快音が鳴り響いた。
女がハイヒールで良子のR首を弄ぶと、良子の濡れ具合は極みに達した。
「そろそろいいだろう」
和男はそう呟くとブリーフを下ろした。
和男のモノは硬直し、スタンドの光に生々しく照らし出された。
「いくぜ」
剣は奥深い若草をかき分けて、泉に突き刺さった。
午後11時。
隣の302号室には黙々と勉強に取り組む受験生の姿があった。

23 :
真夜中の青春小説
  この夜の向こう側 -第一話-
マモルは自分が何をやりたいのかまだよく判らない。
もうすぐ18になろうとしている秋、受験勉強は追い込みに入っているが、
参考書を眺めるマモルの目は気がつくと何も書いていない余白のページに止まってしまう。
母親は言う、「とりあえず勉強でしょう?」
友達は言う、「とりあえず大学行かなきゃしょうがないだろう?」
とりあえず勉強して、とりあえず大学にいって、それからどうなるんだろう?
とりあえず就職して、とりあえず結婚して・・・。
一体、いつまでこの“とりあえず”は続くのだろう?
マモルは頭を振って参考書をバタンと閉じる。
真夜中ってのはどうも良くない。
友達と騒いでいる学校での時間や、母親の小言にイライラする夜は
こんなこと考えもしないのに。
周りはしんと静まり返っているのに、胸の中だけがザワザワしている。
もう今日じゃない、でも、まだ明日じゃない隙間の時間、
マモルは無性に誰かの声が聞きたいと思った。

24 :
真夜中の青春小説
  この夜の向こう側 -第二話-
夜は人をさらけ出すものだなぁ、とマモルは思う。
気分転換にと近くの自販機にコーヒーを買いに行き、
街頭の下で無駄に明るく光る自販機の傍らに座り込み、
コーヒーを飲みながらタバコを吹かしていたところだ。
結局は惰性で生きているんだ、俺は・・・。
紫煙を夜空に吐き出しながらそう思う。
空は満月。
青白い世界がマモルを包み込む。
自分の歩みをしていないんだ。
大学っていうから、俺もって。
正直言って勉強は嫌いだ。
高校の勉強と大学の学問は違うのだろうが、
どうしても行きたいというほどの魅力は感じられない。
かといって、自分の夢に突き進む勇気もない。
などとマモルがぼんやり考えていると、後ろから突然、
「おーい、マモル君」と呼び声が響いた。
驚いて立ち上がり振り返ると、トレーニングウェア姿の少女がいた。
「あっ、中村か、ひょっとして?」
「そう、久しぶり」
中村とは、マモルが高2の時の同級生だった子だ。
「何やってんだ、おまえ。そんな格好で?」
「えっ?私?私はねぇ。フフッ・・・」

25 :
真夜中の青春小説
  この夜の向こう側 -第三話-
「はっ」
懐かしい少女の意味ありげな笑い声と共に飛び起きた。
夢だ、夢だったんだ。
体中に嫌な汗をべっとりとかいている。
そろそろ白髪が混じり始めた髪が額に張り付いている。
忘れようとしても忘れられない夢のように。
マモルは43歳。
生活を繰り返していくうちに女というものをどこかに置き忘れたような妻と、
生意気盛りの17歳の息子、少女雑誌の綴じ込みページにどきどきしながらハサミを入れる15歳の娘。
この3人に囲まれ、幸せか不幸せか判らないような毎日を送っている。
今朝の夢は何だったのか?
何の前触れなのか?
あの少女は何十年も経った今頃、何故、俺の前に現れるのだろう?
思い出したくない。
あの事件はとっくの昔に俺と、そして、あいつの胸の奥深くに封印したではないか。
そっけない妻の態度を後に、マモルはいつもの会社への道を歩き出した。
何気なく振り返ると見覚えのある影が近づいてきた。

26 :
なつかしぃー!>>篠原美也子文庫
ほとんど聞いたはずだけど、もう覚えてないだけに続きが楽しみ。

27 :
真夜中の青春小説
  この夜の向こう側 -第四話-
「親父、何ぼけっとしてんだよ。遅刻するぞ。」
息子の進だった。
マモルという名前のせいか比較的消極的だったマモルは、
自分の息子には積極的であって欲しいと願い、進と名付けたのだ。
しかし、当の進は、平凡な名前付けやがって、と思っているらしい。
「何だよ親父、女のことでも考えていたのか?」
進は冗談っぽく言ったが、マモルは内心ドキッとした。
中村のことが頭から離れないのだ。
「ああ、父さんがお前くらいの時のクラスメイトのことを考えててな・・・」
意外な返答に、今度は進がドキッとした。
そして、少し不思議そうな顔をして聞いた。
「親父ってさ、どんな高校生だった?」
「ん、父さんか?そうだな、普通の高校生かな。
 大人になりたくない、けれども子供扱いされるのも嫌だって。
 自由を叫んで自分勝手なことをしてみたり。
 普通だったな・・・」
マモルの目は遠くを見ていた。
そして、頭の中にはあの日の出来事が浮かんでいた。

28 :
真夜中の青春小説
  この夜の向こう側 -最終話-
「えっ?私?私はねぇ。フフッ・・・
 誰にも言わないでね。私、今から死んじゃうんだ。」
言葉の内容とは裏腹に、少女の口調はあまりにも無邪気であった。
少年は少し混乱した。
「死ぬ?なっ、何言ってんだよ、おまえ!」
「私ね、今の生活がイヤなんだ。
 何かとりあえず生きてますって感じで。
 それに、年取ってしわしわになっちゃうのもイヤだし。
 ほら、今死んじゃえば私はずっと17歳のままでしょ?」
少年は何故か何も言い返せなかった。
そして、その日を最後に彼女は姿を消したんだ。
「おーい、マモル君」
中村?ハッとしてマモルは振り返った。
しかし、そこに立っていたのは自分の父親がボケたかと心配する息子、進だった。
44回目の秋が訪れる。
マモルは自分が何をやりたいのかまだよく判らない。
「中村、俺は今日もとりあえず生きてるよ・・・」
43歳の少年は、息子に聞こえぬようにそう呟き、大きく深呼吸をすると駅へ走り出した。

29 :
え、これって本物の篠原美也子文庫?ぜんぜん内容忘れちゃった・・・
前に篠原美也子文庫のサイトあったけど、なくなってしまって、すごく見たかったので、うれしい。

文庫じゃないけど投稿して何度か読まれたことあるよー。
「ふとっぱら」のコーナー(名前うろ覚えだけど、FAXで投稿する奴)で
その週の一番になって、何か送られてくるかなーと思ったら
何も送られてこなかった思い出が・・・・w

30 :
篠原美也子伝記
  誰の様でもなく -第一話-
1966年10月30日 日曜日
午前三時を少し過ぎた頃、東京は渋谷の日赤産院にて一人の赤ん坊が生まれた。
母親が産気づいたとき、かかりつけの医師が留守で、救急車で産院まで運ばれ、
かなり時間が経っていたためか赤ん坊はすぐに産声を上げず、
取り上げた医師にお知りをいくつか叩かれやっと小さな泣き声をあげた。
3200グラムの子。
両親にとって初めての赤ん坊は、彼らの名前から一字ずつ取って『美也子』と名付けられた。
『あまり泣かない良い子でした』と古いアルバムにはある。
モノクロがほとんどのアルバムの中で、若い両親に抱かれているのは、
母親ゆずりの色白に丸々と太った赤ん坊だ。
ほんの子供時代から幼稚園の途中までの数年間を、美也子は当時まだ畑や原っぱだらけだった
志木という土地で三つ違いの妹と育った。
そして、美也子が五つの冬、一家は東京の池袋に程近い街に移り住み、
やがて美也子は小学校入学を迎える。

31 :
篠原美也子伝記
  誰の様でもなく -第二話-
小学校に入り、最初に知った言葉は『ポコチン』である。
プールの着替えの時間、クラスの男子の無数のポコチンを見て
本能的にこれだ、と悟ったという。
ポコチンは美也子の人生の中で重要なキーワードの一つではあるが、
今はまだ関係ない。
美也子が小五の時、初めて好きな人ができた。
思い切りのいい美也子は、さっそく放課後、体育館の裏に呼び出して告白した。
結果は『NO』
その後、その男の子がボコボコにされ転校してしまったことは言うまでもない。
そういう点に美也子の性格の明朗快活さと後腐れの無さが表れている。
そして、中学に進学し、クラスの人気者となり、何とか受験にも合格し、
いつのまにか三学期も終わり卒業式を明日に迎えていた。
しかし、幸せは長く続かない。
なぜなら、そのほうが伝記が面白くなるからだ。
だから美也子は、男に酒にポコチンにと青春を謳歌していた。
自らの運命を左右する出来事が間近に迫ってきていることも知らずに・・・。

32 :
篠原美也子伝記
  誰の様でもなく -第三話-
卒業式の日、クラスでも明るく、皆から人気のあったS子が学校の屋上から飛び降りた。
多くの新聞やワイドショーがその事件を取り上げたが、結局、自殺の理由については謎のまま
世間の記憶から消えていきつつあった。
そんなある日、美也子の元に一通の手紙が届いた。
『みんなあんたのせいだ』
見覚えのあるS子の文字は、ただそれだけをぶっきらぼうに美也子に伝えるものだったが、
何故S子が自殺の直前にこんなものを自分に送りつけてくるのか全く思い当たる節が無かった。
このことを誰にも相談できないまま一人で苦しむ美也子は、もしかして彼なら何か知ってるかもしれない、
そんな一心で思い切ってダイヤルを回した。
「もしもし、高橋ですが」
同級生の高橋悟はおとなしい性格ではあったが、1年以上も前からS子と交際を続けていて、
皆から異色のカップルとしてよく冷やかされていた。

33 :
篠原美也子伝記
  誰の様でもなく -第四話-
高橋の話はこうだった。
S子は美也子同様、音楽活動を行っていたらしく、それが実を結び音楽関係者と接触し始めた頃、
あろうことか彼らの目が美也子にとまったのだ。
「まさか、それで・・・」
美也子は愕然とした。
「そう思う。派手な彼女は自分らしくない地道なことを続けてて、
 それを邪魔されたのが耐えられなかったんだよ」
高橋は静かに言った。
自分が悪いわけではない。
判っているものの、心優しい美也子は胸を痛めて嗚咽した。
Rも出た。
辛いときはいつもこうだ。
楽しいときもたまにこうだ。
「なくなよ」
高橋が優しく言ってくれた。
「君を責める人はいないよ。もし、いても僕は君の味方だ」
嘘よ、美也子は思った。
恋人の自殺の原因である私の味方だなんて。
しかし、嘘でもいいと思うとさらに涙が出た。
この事件を機に、美也子は大きく成長した。
有名になってから態度がでかくなるなら最初からでかい方がいい、
と美也子が思い始めたのもこのころだった。
そして、月日は流れる・・・。

34 :
やっぱりこうやってまとめて読むと筋の繋がりがヘンだったりするね。まあそこが面白かったりするんだけど。

35 :
篠原美也子伝記
  誰の様でもなく -最終話-
19歳になった美也子に悲劇が訪れる。
歌手としてのデビューも決まり、レコーディングに明け暮れる日々の中、自動車事故に巻き込まれた。
半月ほど生死をさまよって意識を取り戻した彼女を待っていたのは、
生態を痛め二度と歌うことができないという現実だった。
そして、絶望した彼女は失踪した。
2年後、21歳となった彼女は作家として戻ってくる。
R小説『ポコチン』が性愛小説の新しいかたちとして直木賞候補となり、
鮮烈なデビューを飾る。
以後、ベストセラー作家となった彼女は出版を続け、25歳で高橋悟と結婚、
一児を生み幸福な生活を送っていたが、27歳の時、突然、骨髄性白血病が発病、
闘病生活に入るが病魔には勝てなかった。
1994年1月12日永眠。
享年27歳。
自伝的小説『誰の様でもなく』が遺作となる。
現在、墓地は埼玉県志木市にあり、命日には献花に訪れる人が絶えないという。
−以上、2014年度版 日本人名鑑より抜粋。

36 :
いまぼくらに〜できることは〜
(CMがない地域用のフィラー、実際はインスト)

37 :
>36
姐御がラジオを始める少し前に企画されたものだね。
百歌でもおなじみの石川よしひろと加藤いづみが中心になってた。

38 :
真夜中のサッカー小説
  PK  −第一話−
長い笛が鳴った。
地区予選の決勝、帝南高校対市立船越高校の試合は80分を終了し、スコアは1対1。
勝負はPK戦へともつれ込むことになった。
勝ったほうが全国大会への切符を手にする。
去年の決勝も同カードで、そのときは帝南が2対1と市立船越高校を下していた。
因縁の対決、負けられない。
どちらのイレブンも同じ思いである。
市立船越のキーパー、吉田は二年生。
175センチと決して大柄ではないが、天性のバネと抜群の反射神経で、
一年のときからレギュラーとしてゴールを守っている。
一方、帝南のキーパーは三年生のキャプテン、佐藤。
180センチの恵まれた体格を生かしたボールセービングで、
全国でも屈指のキーパーとして優秀選手にも選ばれている。
先に蹴るのは帝南。
身震いをするように頭を振った吉田にキャプテンの中村が声をかける。
「吉田、OK、OK」
吉田はうなずき、ゴールを背に両手を高くあげた。
帝南のキッカーは田口。
笛が鳴る。
助走が始まる。
"左"、吉田は飛んだ。

39 :
真夜中のサッカー小説
  PK  −第二話−
左と決めて飛んだ吉田の方へ帝南の一人目田口の放ったシュートが向かってきた。
コースを狙いすぎたのか緊張していたのかボールには勢いがなかった。
"もらった"、そう思った吉田は懸命に手を伸ばした。
しかし、どうもボールとのタイミングが合わない。
吉田の想像よりも遅かったようだ。
それでも反応しようとしてさらに手を伸ばした。
観衆が静まり返った。
吉田の手袋の先がボールに触れたように見えた。
が、ボールは音も無くネットを揺らした。
その時だった、無理な体勢だった吉田がバランスを崩し、肩からグラウンドに落ちたのだ。
ベンチから担架が運ばれると歓声が悲鳴に変わった。
市立船越の親玉、高校サッカー界の異端児と呼ばれる松丸監督も、この時だけは立ち上がった。
吉田はかなり痛そうだった。
「右腕が動きません」と言うのがやっとだった。
イレブンの心に不安がよぎる。
そんな状況の中で松丸監督が飛び出してきた。

40 :
真夜中のサッカー小説
  PK  −第三話−
松丸が市立船越の監督になって8年が過ぎようとしていた。
彼はサッカー選手としては大成しなかった男である。
しかし、指導者として成功した男である。
Jリーグができた今となっては、優秀な選手たちの目標はJリーグでプレイすることであって
間違っても国立競技場でプレイするなんてありえないのである。
しかし、松丸は違った。
彼は国立でサッカーをすることだけを目標にサッカーをしてきた。
そして、その夢が破れると、今度は指導者として国立に行きたいと考え始めた。
それが12年前の話である。
松丸の指導は、選手の将来性を考えるとか、自主性に任せるというのとは無縁であった。
彼は常に中心でありたかったし、選手などカードの一枚に過ぎないと考えていた。
その結果、確かに船越は強くなった。
そして、彼を恨む人間も当然多くなった。
田中カズ。彼は三年前、船越を支えるゴールキーパーであった。

41 :
真夜中のサッカー小説
  PK  −第四話−
あのときと同じ澄んだ空を松丸は見上げ、そして、ゆっくりと目を閉じた。
そう、あのときの田中もとうていプレイを続行できる状態ではなかった。
しかし、どうしても国立に行きたかった松丸は、田中を降ろさなかった。
しかし、船越は優勝できず、そして、田中は二度とゴールの前に立つことはなかった。
マスコミは松丸を鬼監督と非難したが、サッカーがまだあまり注目されていなかったためか、なし崩しとなった。
だから、今向こう側のベンチに座っている帝南の新監督がその田中だということを知る人はいない。
田中は若いが、まとまりのあるチームを作ったと好評だ。
今、自分の方を見ている悲しそうな目が松丸には痛かった。
何一つも迷わずにこの道を選んだはずだと自分に言い聞かせて、田中のことは忘れようと心に決めたのに。
一粒の涙が松丸の頬を伝って落ちた。
監督の指示を待つイレブンは不思議そうにそれを見つめていた。
松丸の口がゆっくりと開いた。

42 :
イイヨーイイヨー
なつかしいね
全部でどれくらいあったっけ?
たしかパーソナリティは2年丸々つとめてたから、20編ちかくあるのかな。
番組始まっていつ頃からこの企画が始まったか覚えてないけど。

43 :
>42
初回からあった気がする。

44 :
真夜中のサッカー小説
  PK  −最終話−
「試合を放棄する!」
「監督、何であの時あんなこと言ったんですか?」
結婚式場で青年は過去の疑問を幾分か年老いた男に投げかけた。
「もし、あのまま無理にお前を使ったとして、今頃こうやって笑顔で話し合い、
 可愛い娘を嫁にやることができるか」
半分冗談で半分真実を混ぜながら目じりのしわを集めて笑った。
「ただな、自分の年老いた欲望のためにもう後悔はしたくなかった。
 そして、おまえは今や日本、いや、世界を代表するキーパーになった。
 あの選択は今となって・・・おっ、見ろ」
いきなり大声で叫ぶ男の指差す先には、純白のウエディングドレスを纏った女性が美しく微笑んでいる。
「お父さん、綺麗?」
「ああ」
その男は必死に涙をこらえ、やがて涙がこぼれ落ちた。
黒い燕尾服に実を包んだ青年、吉田はその男がこぼした涙を見つめながら、
あの試合で松丸がこぼした一粒の涙を思い出した。
そして、吉田は花嫁に歩み寄り、そっと呟く。
「最高のお父さんだね」

45 :
真夜中の昔話
  鶴太郎 −第一話−
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
働き者の二人は子宝に恵まれませんでしたが、おじいさんは山に芝刈りに、
おばあさんは川に洗濯にと仲良く暮らしていました。
ある日、いつものようにおばあさんが川に選択に行くと、
川上から一羽の鶴が溺れながら流れてきました。
哀れに思ったおばあさんは、ちょうど手に持っていたおじいさんのふんどしをひらりと投げ、
「ほれ、これにつかまれ」
と言うと鶴は、
「助かったわ」
と、ふんどしにつかまり、無事、岸にたどりつくことができました。
鶴は丁寧にお礼を言い、
「感謝のしるしです」
と、ぽっこり卵を産み、空へ飛び去っていきました。
おばあさんは卵を持ってかえり、おじいさんと二人大切に育てたところ、
ある日、卵は割れ、
「マッチで〜す」
という声と共に男の子が生まれました。
鶴の卵から生まれたということで、二人はその子に『鶴太郎』と名付けました。
やがれ、五歳になったある日、鶴太郎は言いました。

46 :
真夜中の昔話
  鶴太郎 −第二話−
「おじい、おばあ、もっと飯を食わせてくれ。腹が減ったぞ」
おじいさん、おばあさんはとても驚きました。
鶴太郎は5歳の癖に成人並にご飯を食べていたからです。
エンゲル係数はどんどん上がり、破産寸言でした。
でも、鶴太郎はただの食いしん坊ではありませんでした。
琉球から引越ししてきた具志堅道場でボクシングを習っていました。
さて、そのころ何万里離れたところでたくさんの鬼の前で演説をしている黒鬼がいました。
「私が鬼帝国の王、鬼塚だ。
 鬼の、鬼による、鬼のための政治をするには人間が邪魔だ。
 みんなで人間をやっつけようではないか」
と宣戦布告をしていました。
これはあっという間に全世界に伝わりました。
「おじいさん、産経瓦版を見たかや?
 殿様が鬼退治した者には百万両の賞金と美女をプレゼントするそうだと」
これを隣の部屋で聞いていた鶴太郎は、鬼退治をしようと単純に決めました。
それは決して正義感からではなく、金欲と性欲からでした。
そして、鶴太郎は・・・。


47 :
真夜中の昔話
  鶴太郎 −第三話−
鬼退治に出発しました。
野を超え山を越えどんどん歩いていくと、道の真ん中にとても大きな犬が寝そべっていまいした。
そして、その隣にはなんと、あの、バザールでござーる君が犬のせいで先に進めず困っていました。
しかし、助けてあげるような鶴太郎ではありません。
ざまあみろと思いながらそのまま通り過ぎようとしたとき、バザール君が言いました。
「鶴太郎さん、その吉備団子を全部あげます。だから助けてください。お願いです。」
おなかが空いていた鶴太郎は、さらに一緒に鬼退治に行くという条件付きで助けてあげました。
めざとく吉備団子を見つけた犬がくれとうるさいので、やはり一緒に行くという条件付きであげました。
さて、さらにどんどん歩いていくと、バザール君の友達のキジに会いました。
キジは篭に入れられていて、もうすぐ食べられてしまうと泣いていました。
バザール君の必死の頼みで、残りの吉備団子と交換にキジを助けてあげました。
もちろん一緒に行くのです。

48 :
真夜中の昔話
  鶴太郎 −第四話−
船を求め鶴太郎が浜辺をうろついていると、
成金の浦島太郎が亀に虐待をされているのを見つけました。
哀れに思ったバザール君が助けに行きましたが逆にのされてしまい、
鶴太郎が仕方なく前に出ると、「おまえ金持ってるか?」と聞きました。
バザール君が、「鶴太郎さん、たかりなんてあんまりですよ」と言うと、
鶴太郎は浦島の胸ぐらをつかみ、
「バカだなあ、こんなアルマーニのスーツを着てるヤツが困ってたら、
 金を巻き上げるのが賢い現代人の生き方ってもんだろ、なぁ亀?」と言いました。
不意に同意を求められた亀は、これ以上関わらない方がいいと思い、海に逃げました。
結果として浦島を助けた鶴太郎は、当然のように報酬を求めましたが、
浦島には持ち合わせがないため、自家用の潜水艦で鬼が島まで送ってもらうことになりました。
船旅は順調に進みましたが、岸まであと一歩のところで鬼帝国の機雷に触れてしまい、船は撃沈。
必死の思いで島まで泳ぎ着いた鶴太郎は、そのまま鬼に捕らえられてしまいました。

49 :
真夜中の昔話
  鶴太郎 −第五話−
すると、牢屋に一人の男が現れました。
「おまえが鶴太郎か?俺はタノムサク。一緒に鬼塚を倒そうぜ」
と言うや否や、タノムサクは持ち前のパンチ力で牢屋を壊し、
二回連続疑惑の判定負けの恨みを晴らすかのように手下の鬼を倒し続け、
ついに敵は鬼塚一人だけとなりました。
そして、タノムサクは“清酒 鬼殺し”と書かれた一升瓶の液体を口に含み、
鬼に吹きかけました。
すると、鬼塚は苦しんで倒れてしまいました。
他の人がいくらやっても倒せなかった鬼塚を倒したのです。
鶴太郎たちが驚き呆然としていたのに気付いたタノムサクは体がまっぷたつに割れ、
中からなんと篠原美也子が出てきたのでした。
「驚いた?手柄は私のものね」
と言い残し、動物と共に去っていきました。
このキジは後に“柿島 伸次”と名乗り、
犬と猿は風の便りでは犬山モンキーパークを建設したそうで、
鶴太郎は一人さびしく悲しんだとさ。
おしまい。

50 :
文庫懐かしいなぁ。
今読んでも美也子さんが鼻をすする音も聞こえてきそう(笑)
夜から朝に変わる曖昧な時とともに‥‥‥お疲れさまです。

51 :
真夜中の青春小説
 春になれば  −第一話−
卒業式を終えたばかりの校庭には、卒業生を囲む後輩達の輪がいくつもできていた。
色紙や贈り物を渡す者、第二ボタンをねだる女生徒、涙、歓声。
声にならないざわめきの中で、僕は男子バスケ部の先輩達と握手を交わしながら
誰にも気付かれないようそっと体の位置をずらした。
たくさんの背中のむこうに、卒業証書の筒と一輪のカーネーションを抱え、
やはり多くの後輩達に囲まれている彼女がいた。
懸命に笑顔を作ろうとしながら涙をこぼしている彼女。
入学したての春、何気なく覗いたバスケ部の練習で彼女を見かけ、僕はすぐに入部手続きをした。
あれから二年。
誰にも話したことはない、特別な言葉を交わしたことも、まして打ち明ける勇気も持てないまま、
彼女--美也子先輩は四月から高校生に、僕は中学三年生になる。
こんな特別な春があるなんて。
キャプテンの後藤先輩の挨拶を聞きながら、僕はいつまでも美也子先輩の横顔を見ていた。

52 :
真夜中の青春小説
 春になれば  −第二話−
その美也子先輩に告白できないまま時間だけが過ぎた。
今は三年生最後の夏。
全国大会の予選が始まっている。
我がバスケ部は何とか勝ち進み、あと一つ勝つと全国大会に手が届くのだった。
学校ももう休みだが、今日も朝から練習をしている。
暑い中の長く苦しい練習でやっと昼になった。
「んぐぐ、はぁ、うるさいセミだなあ」
「そうだね」
蛇口の横に現れたのはバスケ部のマネージャー、麻衣子だった。
彼女は美也子先輩の妹であり、唯一僕がまともに話をできる女性だった。
「あと一つで全国大会だね」
力強く彼女は言った。
「そうだね」
僕は空返事だった。
「またそんな顔して」
続けて麻衣子は言った。
「今度の試合、お姉ちゃん見に来てくれるらしいよ」
思いがけない出来事だった。
僕の胸は高鳴った。
そして絶対に勝とうと思った。
「少しは元気でた?」
そう言った麻衣子の顔を見ると嬉しそうでもあり悲しそうでもあった。
しかし、今の僕には、彼女の複雑な顔は目に入っていなかった。

53 :
真夜中の青春小説
 春になれば  −第三話−
木々の葉が散り始めた。
僕の心の木はとっくに枯れていた。
あの全国大会の予選の決勝の日、僕は客席で美也子先輩が応援しているのを見て燃えた。
しかし、ダメだった。
その時、ふっと美也子先輩が見せた淋しげな表情が頭に焼き付いて離れない。
美也子先輩の夢も、僕の夢も崩れてしまった。
今日は秋も深まった日曜日。
なんだか僕は歩きたくなり、別に目的もなく学校へと歩いていた。
「もう受験だなあ」
とつぶやくと、
「お姉ちゃんの学校受けるんでしょ?」
と言う声がした。
振り向くと麻衣子だった。
図星だったため僕が何も言えずにいると、
「しっかりしてよ片山君、あなたらしくないわよ」
と麻衣子が言ってきた。
僕が黙っていると、
「私は元気いっぱいの君が好きなのよ」
と言って、にっこりと笑った。
その表情がとても可愛かった。
僕が呆然としていると、麻衣子は駆け足で行ってしまった。
突然の麻衣子の告白で、僕は麻衣子をただの友達と見れなくなった。
心の中は散らかっていた。

54 :
真夜中の青春小説
 春になれば  −第四話−
まだ心の整理がつかないまま、ただ時だけが流れた。
今夜は聖夜。
ライトアップされた街の光を受けて、僕はすれ違う恋人達を後目にただ一人歩いていた。
しかし、聖夜という華やかな雰囲気とおは対照的に僕の心は迷いに満ちていた。
数分後、僕は校庭のバスケットコートに立っていた。
特に理由はなかった。
ただここに立っていると何もかも忘れることができると思ったからかもしれない。
何気なく周囲を見回すと、しまい忘れたボールがひとつ、淋しそうに転がっていた。
僕はそのボールを取り眺めているうちに、美也子先輩のことを想っているときの自分と、
麻衣子に告白され異常に胸が高鳴ったときの自分が交錯し、どちらが本当の自分であるか
判らなくなっていた。
ティン、ティン。
ボールをつくうちに麻衣子のことばかり考え始めている自分に気付いた。
その夜以来、麻衣子のことを考えている時間が増えたような気がする。
そして、今までもつれていた心の糸が次第にほどけていった。

55 :
真夜中の青春小説
 春になれば  −最終話−
麻衣子は順当に、僕は奇跡的に美也子先輩の高校に合格し、晴れて卒業式を迎えた。
式典後、校庭は別れを惜しむ生徒でざわめいていた。
そんな涙と歓声の中、ぽつんと麻衣子が僕を見つめていた。
麻衣子は弱々しい目で近づき、
「片山君の気持ちは、私じゃなくお姉ちゃんに向いているのはわかってたんだ」
と切なく呟いた。
そして、駆け足で去っていこうとする。
麻衣子は気付いていたのだ。
しかし、聖夜以来、僕は麻衣子を誰よりも大切に想い始めている。
「違うんだ」と言ったが声が届かない。
後姿がどんどん小さくなる。
今、この瞬間に気持ちを伝えなければ、ボタンの掛け違いのように
互いの感情がずれていってしまう気がした。
その時、ふっと全国大会予選の決勝で美也子先輩の応援する姿が頭に浮かんだ。
"がんばれ、片山君"
と、あのときと同じ声援がどこかで聞こえた。
その一言でなりふり構わぬ勇気が湧いた。
僕は麻衣子の心を離すまい、と思った。
そして、桜並木を走る麻衣子を追った。

56 :
移転∩゚∀゚∩age

57 :
真夜中の青春小説
「たったひとつの朝を待つ幾つもの夜」−1−
何から書けばいいんだろう。
何を書いても、「何故?」と問い返されそうで、正直、僕はひどく考え込んでいる。
始まったばかりの予備校生活は、ひとまず順調。
積極的に友達を作る雰囲気ではないにせよ、帰り道、ファーストフードのコーヒーを片手に
あれこれ話をする程度の友達はできた。
今年スベッた大学にも「一浪すれば確実」と言われている。
「何かあったのか?」と聞かれれば、「何も無かった」と答えるしかないだろう。
けれど、気持ちを痛めるものが必ずしも大きな傷口とは限らない。
流行のドラマみたいに派手に傷つくことができれば、大声で泣いたり、
誰かに助けを求めたっていい。
辛いのは、人に話すほどじゃない、まして、涙なんか流すのははずかしいかすり傷だからだ。
僕は逃げようとしているんだろうか?
戦おうとしているんだろうか?
負けなんだろうか?
それとも勝とうとしているんだろうか?
死んでしまいたいということは、一体どちらなんだろうか?

58 :
真夜中の青春小説
「たったひとつの朝を待つ幾つもの夜」−2−
"死"というものに"夜"というイメージを持つようになったのは
いつの頃からだっただろうか。
"死"というものを知って間もない頃、
それは眠りの延長のようなものだと何となく思っていた。
眠りはまず資格から失い、
その後、聴覚やその他の感覚と共に意識が薄れていき、
やがて深い闇の中に滑り落ちるように消えていく。
そして、気がつけば朝というものであり、
"死"はその眠りから朝を取ったものである。
こう考えていたのだ。
このころから"死=夜"というイメージが頭の底にこびりついたのだろう。
それから今までに、死んだほうがましだ、と思うことが何度かあった。
もう、これ以上悪いことはあるまい。
そんなとき"死"はたまらなく甘く、誘惑に満ちたものに思えるのだ。
そして、今、その甘い誘惑に翻弄されそうになっているのも事実だった。
ただ、「何故?」と聞かれても本当に解らないのだ。
理由があったとしても、それはきっと些細なことなのである。

59 :
夜から朝にかわる曖昧な時とともに… 篠原美也子のオールナイトニッポン

60 :
真夜中の青春小説
「たったひとつの朝を待つ幾つもの夜」−3−
僕の命とは一体何なのだろうか?
18年間の僕の人生を振り返ってみる。
その中には、過去の僕がやった様々な出来事が"記憶"としてある。
そして、これからも僕はもっと多くの出来事を"記憶"として積み重ねていって、
その積み重ねの集大成こそが僕の命そのものなのだろう。
だけど、それの完成と同じくして、僕は"死"というものを迎える。
だから、僕の命すべてを振り返ることは誰にも、僕自身でさえ、出来はしないのだ。
それなら、僕の命なんて何の意味もなさないものなのだろうか?
そんなもののために僕は今までも、これからも、
幾つもの夜を数えていかなければならないのか。
朝が決して訪れないことを解っていながら。
死ぬということは、この行為に自ら幕を引く儀式に思える。
そして、その時、その言葉は何かしら厳粛で魅力ある響きを放つのだ。
今、僕は訳もなくその魅力に惹かれているようだ。
少なくとも、今それを否定する理由なんて、今の僕の心にはないのだから。

61 :
松村→鈴木さん

62 :
真夜中の青春小説
「たったひとつの朝を待つ幾つもの夜」−4−
僕は朝を待つ。
"死"とは本当に闇なのだろうか?
"朝"は本当に生の証なのだろうか?
"死"は生きている僕の無い物ねだりなのだろうか?
僕は生きたいのだろうか?死にたいのだろうか?
死ぬために生きているのだろうか?
"生命"とは活動する肉体なのだろうか?
それとも"記憶"という色が無ければ全くの空白であるこの精神なのだろうか?
"生"とはこの世界からかたちを持った"固体"として存在することなのだろうか?
"死"とはこの世界からかたちをなくし世界に溶け込むことなのだろうか?
それとも、完全なる発生、完全なる消滅なのだろうか?
生物は何故意味も無く存在し続けるのだろうか?
それとも何か重大な意味があるのだろうか?
"死"は"無"なのだろうか?
"死"が"無"であるなら、何故、"死"は存在しているのだろうか?
世界には"有"のみが在る。
それだけなのだろうか?
世界にはいずれ"朝"が来る。
しかし、僕には、まだ夜明けは来ない。
僕に"朝"が来た時、果たして、僕は在るのだろうか?

63 :
大部分の人にとって、生は死の対極としての生に過ぎないのかもしれない
生を積極的に生きるということは、結構むずかしい

64 :
真夜中の青春小説
「たったひとつの朝を待つ幾つもの夜」−5−
幾つもの夜が過ぎ、幾つもの朝が訪れる。
月日は流れていった。
僕は二十歳になった。
今、この年齢なりにいろいろ考えてみると、
人は大人になるとき、ピュアな心を失う。
たとえ、その心を持ち続けたいと願っても、
それが叶わないことを人は無意識のうちに知っているから、
それに抵抗する手段として理由のない"死"への憧れを抱くのだろう。
死ぬことに憧れる気持ちは、
子供の頃にかかる"麻疹"のように誰の身にも訪れる。
そして、その思いが去ったとき、人は大人になるのだ。
たった一つの朝を待つ幾つもの夜が終わりを告げたとき、
僕は理由の無い"死"への憧れが、心から過ぎ去っていくのを感じた。
そして、もう二度とあの頃の自分には戻れないということを実感した。
たとえ、人の命が朝には生えいでて栄え、夕べには刈られて枯れる青草のようであっても、
春には花を咲かせ、夏にはしぼむ花のようであっても、
"記憶"の中でしか存在しないあの頃のことを、僕は生涯忘れることはないだろう。

65 :
真夜中のラブレター小説
「あなたに会いたい」−1−
前略
突然手紙なんか書いて、きっと驚いているだろうと思います。
あなたが会社の研修で札幌へ行って二ヶ月。
料金を気にしながらでも、慌しくても、声が聞ける電話はうれしい。
だけど、いつも一番大事なことを言い忘れたようで、
一番言いたかったことだけ言えなかったようで、
受話器を置いたあと後悔ばかりしています。
顔を見ずに気持ちを伝えることがこんなに難しいなんて
あなたが東京にいたときには思ってもみなかった。
だから、おお見切ってペンを取ってみました。
いまどき手紙なんてはやらないし、うまく書ける自信もないし、
あなたの苦笑する顔が目に浮かぶようで照れくさいけど、
声にならなかった言葉を少しずつ書いてみるつもりです。
札幌は今一番言い季節よね。
東京は梅雨に入り、雨の嫌いな私には憂鬱な日々ですが、
とりあえず元気に仕事してます。
あなたも体に気をつけて、頑張って。
とても会いたい・・・それじゃ。

66 :
真夜中のラブレター小説
「あなたに会いたい」−2−
少し意外だった。
突然、君が手紙だなんて。
返事は電話でも良かったのだけれど、電話じゃうまく伝えられない気がして、
こうして僕も君に宛てて手紙を書くことにした。
東京はもう梅雨に入ったんだね。
北海道では梅雨というものがほとんどないらしい。
僕が君とはなれて、この札幌という街に来て幸せに感じることは、
食べ物がおいしいことと、君が雨の日に見せるあのあの憂鬱な顔を見ることができないことぐらいかな。
東京を離れてもう二ヶ月。
電話では言えないけれど、君の顔が見たい。
手紙は気恥ずかしくて、今まで書けなかった。
それから、君の言葉にならない気持ちは手紙で書くといい。
僕もそのほうが落ち着いて気持ちを受け止められる気がする。
手紙、うれしかった。
朝顔の種をもらったので一緒に送る。
気が向いたら植えてみてくれ。
毎日の生活は疲れることも多いけど、僕も頑張る、君も頑張れ。

67 :
あした?遠すぎて予想もつかないよ。きのう?忘れたなぁ。
あれ?今日の晩ご飯何食べたっけなぁ?
憎みきれないロクデナシ。篠原美也子のオールナイトニッポン!

68 :
真夜中のラブレター小説
「あなたに会いたい」−3−
前略
お手紙ありがとう。
不器用なあなたが私の好きな空色の便箋を選んだり、
あんなにしっかりした字を書くなんて少し意外でした。
もう気の合う仲間はできましたか?夜は安心して眠れていますか?
そして、札幌へ発つ朝にあなたが私に言いかけた言葉は何ですか?
毎日、あなたへの幾つもの問いかけといつか目にした場面にRます。
あなたが傍にいたときよりも私はあなたのことを考える時間が多くなりました。
考えるよりも思い出すの方が当てはまるかもしれません。
あの頃にも戻れない、今のあなたにも会えない、その隙間はあまりにもひとりです。
でも、あなたと同じくらいに強くなれるような、素直になれるような気がして・・・
あなたも気持ちに余裕ができたらまたお手紙ください。
体に気をつけて。それじゃ。
追伸
さっそく朝顔の種を植えました。
花が咲いた朝、あなたが隣にいてくれたら、うれしい。

69 :
真夜中のラブレター小説
「あなたに会いたい」−4−
返事、遅くなってすまない。
忙しかったと言えば忙しかったが、
本当のところ自分の気持ちをうまく文にできずに悩んでいた。
今朝、北海道では珍しく雨が降った。
それと同時に、君の憂鬱な顔が浮かんできて、
会いたい気持ちで胸がいっぱいになった。
東京はもう梅雨が明ける頃だろうか?
夏に向け、君の憂鬱な顔が笑顔に変わると思うとなんだかうれしい。
札幌に来てもう四ヶ月。
東京と札幌という遠距離になってしまったが、
この遠い距離が二人の気持ちをより確かなものにしてくれたと僕は思う。
君がまいた朝顔の種は順調に育っているのだろうか?
来月の君の誕生日に東京に戻る。
二人で朝顔が咲くところを一緒に見れたらいいと思う。
もし二人で朝顔の咲くところを見ることができたら、
札幌を発つときに言いかけた言葉を言うつもりだ。
東京に戻る日までの残りの日々をお互い頑張ろう。
君と二人で会える日までに朝顔が咲いてしまわないことを祈って。

70 :
前略
ふふっ、懐かしい書き出しでしょう?
あの日、あなたの乗っていた飛行機が墜落したというニュースを
私は空港で知りました。
あなたが札幌に発つときに私に言いかけた言葉、
結局、教えてもらえずじまいですね。
ひどいよ。
私もあなたに伝えたいことがあったのに。
実はね、もうすぐ赤ちゃんが産まれます。
妊娠を知ったとき、あなたに知らせるかどうかすごく迷いました。
手紙なら言える気がしたけれど、
結局、勇気が足りなかったこと今少し後悔しています。
赤ちゃんは男の子だそうです。
あなたに似ているかしら?
だったら、きっとハンサムね。
例の朝顔の咲いたあとの種をとってあるので、
毎年少しずつ増やしていこうと思っています。
そうすれば産まれてくる赤ちゃんに、
あなたのことをいつも話してあげられるでしょう?
この手紙、街で一番高いマンションの最上階から紙飛行機で飛ばします。
あなたにちゃんと届くといいけれど。
それじゃ、また。

71 :
どっかに全作全文あがってなかったっけ。
故・鷺沢萠が来たときのテープがあるかもしれない。

72 :
>>71
昔は全作全文作者付のページがあったけど、今はもう無いと思う。
ところで、この"篠原美也子文庫"は全作やるつもりなのかな。

73 :
「箱」もなかなか良かったなぁ。

74 :
あと12作・・・。
続けようかどうか迷い中・・・。
邦楽版の姉御スレで不評だったので、少し落ち込みながら
こっちで続けることにしてみたけど、
やっぱり迷惑なのかな、などと思ってしまう。
それ以前に、スレの半分くらいが篠原美也子文庫になっていることに疑問を感じる。

75 :
乙です
ぜんぜん迷惑じゃないと思いますよ。というかせっかくなんだから続行きぼん
回の途中ではレスしにくいかもしれないね。
俺はレスは1〜2回しかしてないけど、のんびり見てますよ。

76 :
連休も終わったことだし、そろそろ続行することにします。

77 :
真夜中の野球小説
 「ダイヤモンドダスト」 第一話
高三の夏はあっという間にやってきた。
「暑い」「去年とは大違いだ」とセカンドのポジションに向かって走りながら、
18になったばかりの和彦は思う。
雨に祟られた去年の予選。
県内屈指の左腕と評判だった二年生エース松本を擁し、優勝候補の一角にあげられた港高校だったが、
雨中、ぬかるみに足を取られた和彦のエラーによる失点が決勝点となり、二回戦で姿を消した。
トーナメントの厳しさを思い知らされた大会だった。
その後、松本の故障で選抜の夢も破れ、最後のチャンスとなる18の夏、
守備位置に着いた和彦は、軽く屈伸運動をしながらマウンド上の背番号『1』を見つめた。
松本とは中学時代からのチームメートだ。
故障も癒え、今大会では好投を続けている。
去年の痛恨のエラー、和彦は松本にまだ謝っていない。
二人そろって甲子園の切符を手にしたとき、初めて謝れるんだ。
準決勝、甲子園まであと二つ。
球審の手が挙がり、松本が振りかぶった。

78 :
>>70
その手紙に返信してみたいけど、なかなかうまく書けないわ

79 :
hosyu

80 :
ビ、ビビリました・・!!
こんななつかすぅいースレあったとは!!
発見記念カキコしときます。
確か水曜深夜でしたか?
ジュディマリも2部でしてた頃でしたよね?
思わずレス全読みしますた。

81 :
「ダイヤモンドダスト」第二話
一回戦からここまで、いずれも差をつけて勝利してきた港高校だったが、準決勝は一転投手戦となった。
特に松本は緩急使い分けた素晴らしいピッOで、相手打線を完全に封じ込め、ここまで無失点。
港高校、1点のリードで、とうとう9回表を迎えた。
簡単にツーアウトを取った松本は、一つ大きく深呼吸すると、
セカンドベースをちらりと見た。
照りつける日差しの向こうでは、和彦も同じように深呼吸をしている。
ここを勝てば甲子園は目の前だ。
そうすれば去年のあの忌まわしい出来事だって笑って話せる思い出に変わるはずだ。
松本は帽子を深くかぶりなおし、プレートに足を乗せた。
最後のバッターが打席に入る。
松本は1球、2球と直球勝負。
あっという間にツーストライクに追い込んだ。
そして、3球目。
1球大きく外そうとしたボール球をバッターがフルスイングした。
乾いた球音を残し、打球はレフトスタンドに消えていく。
同点。
松本は打球の行方を見つめたまま動けなくなっていた。

82 :
「ダイヤモンドダスト」第三話
一回戦からここまで、いずれも差をつけて勝利してきた港高校だったが、
準決勝は、一転、投手戦となった。
特に松本は緩急使い分けた素晴らしいピッOで、
相手打線を完全に封じ込め、ここまで無失点。
港高校1点のリードでとうとう9回表を迎えた。
簡単にツーアウトを取った松本は、一つ大きく深呼吸すると、
セカンドベースをちらりと見た。
照りつける日差しの向こうでは、和彦も同じように深呼吸をしている。
ここを勝てば甲子園は目の前だ。
そうすれば、去年のあの忌まわしい出来事だって、
笑って話せる思い出に変わるはずだ。
松本は帽子を深くかぶりなおしプレートに足を乗せた。
最後のバッターが打席に入る。
松本は1球、2球と直球勝負。
あっという間にツーストライクに追い込んだ。
そして、3球目。
1球大きく外そうとしたボール球をバッターがフルスイングした。
乾いた球音を残し、打球はレフトスタンドに消えていく。
同点。
松本は打球の行方を見つめたまま動けなくなっていた。

83 :
あっ・・・間違えた・・・・
もうずっと人大杉で・・・ごめんなさい。
ちゃんとした第三話は後日改めて・・・

84 :
これ入れるよろし
無印でもDoeでもどちらでもok
http://sakots.pekori.jp/OpenJane/

85 :
「ダイヤモンドダスト」第三話(訂正版)
内野手が駆け寄りマウンドに輪ができた。
仲間は口々に励ましてくれたが、もはや松本の耳には届かなかった。
呆然となったピッチャーは孤独だった。
ふと輪にひとり足らないことに気付いた。
和彦だった。
和彦は腕を組んだまま、こっちを見ているだけだった。
とたんに松本は気を取り直した。
周りの野手は松本の気持ちの切り替えに戸惑いながらも守備位置へ戻った。
「もう大丈夫だ」
と呟いた松本は次の打者を三振に押さえ全力でベンチに帰った。
松本は和彦に例を言いたかったが、いざ顔を見ると言えなかった。
いや、言うべきではないと思った。
試合は延長に入り、港ペースだった。
11回裏、和彦の二塁打を足がかりとして、サヨナラスクイズで勝利を収めた。
三塁から滑り込んだ和彦は土まみれだった。
ゲームセット。
港高校の校歌が流れる。
接戦を制したチームには団結力と勢いがついた。
高校生活最後の夏。
その夏もいよいよ本番を迎える。

86 :
「ダイヤモンドダスト」 第四話
決勝戦は雨のため順延された。
和彦にとっては去年を思い起こさせる嫌な雨だったが、
港高校にとっては連日熱投を続ける松本の方を休める恵みの雨だった。
翌日、どんよりとはっきりしない天気の中、港高校ナインはグランドに集結した。
この日で決まる。
それぞれに胸のうちには、今日まで勝ち抜いてきた自負、これから迎える決勝への不安、
甲子園への憧れなど、様々な想いがひしめいていた。
和彦は不思議な気持ちだった。
今は、以前感じていたような気負いもない。
ただ、今、この瞬間、この場所にいられることがうれしかった。
また松本の投球が見られることがうれしかった。
球状を浸す両校の声援のざわめきの中、和彦はエースナンバーを背負った松本を見つめた。
そして、プレーボール。
松本は大きくモーションを取り、体重を込めて投げた。
「ストライク」
球審の声が飛ぶ。
松本は1回の表を3人で押さえ、港高校の攻撃となった。
「風が出てきたな」
和彦はネクストバッターズサークルへ向かいながらそう思った。

87 :
「ダイヤモンドダスト」 最終話
予報通りに振り出した雨は、見る見るうちにグラウンドを大きな水溜りに変えた。
中断。
駆け足でベンチに戻り、雨にぬれたアンダーシャツを着替え、体を冷やさぬよう肩からかけたタオルをかぶった和彦は、
ふと壁に幾つも掛けられている千羽鶴を見つめた。
自分達と戦い敗れていった相手校が、港高校の健闘、そして自分達の分までという想いを込め、
涙をこらえながら手渡してくれた大きな鶴。
昨年、夢を果たせぬまま敗れ去っていった港高校ナインにはこの気持ちが痛いほどよく解っていた。
通り雨だったらしい。
雨はすぐに小降りになった。
グラウンド整備が始まり、再び試合が始められることになると、
松本は和彦の肩を何も言わずにポンと叩くと、小走りにマウンドに向かった。
和彦は追いかけるように走り出して、追いついた松本の背中を同じようにポンと叩き、
全速力でセカンドのポジションに向かっていった。

88 :
この人のAN日本でやってたしめの言葉の
〜〜〜の人も〜〜〜の人も
みたいな台詞って覚えてる人いたら教えてもらえませんか?

89 :
あー懐かしいな。俺も知りたい。

90 :
>>88
おはようの人も、おやすみの人も、いってらっしゃいの人も、お帰りの人も、……
こんな感じだったような。

91 :
おはようございますの人も
おやすみなさいの人も
いってらっしゃいの人も
来週まで元気で過ごしてちょうだい。
篠原美也子でした。

92 :
めざにゅーの挨拶を先取りしてたよな。

93 :
真夜中のSF小説  『奇妙な一日』 −1− 
カップから立ち上るコーヒーの湯気で鼻の毛穴が開くような気がした。
どこか開放感に似たその感覚に一瞬目を閉じると、
柳沢公平はおもむろに黒い液体の一口飲んだ。
濃い、苦い、おまけに熱すぎる。
15年に何々とする結婚生活だが、朝のコーヒーをめぐっての戦いは、
新婚わずか七日目にして妻の富子に軍配が上がっていた。
寝込むのである。
拗ねて仮病を使うというのではない。
本当に熱が出て具合が悪くなるのである。
元来、猫舌でカフェインが得意でない柳沢であったが、
六日目についに根をあげた。
「飲む、飲みます」
こうして、新婚七日目から今日に至るまで、
朝のコーヒーは柳沢にとって一種の儀式になった。
コーヒー如きで寝込まれてはかなわない。
それ以外はいたって普通の妻である。
唯一の自慢がコーヒーなのだから目を瞑るべきだ。
「おはよう」
中二の一人息子、洋平が食卓についた。
「おはよう」
柳沢はもう一口コーヒーを啜った。
いつも通りの朝だった。

94 :
真夜中のSF小説  『奇妙な一日』 −2−
軽い食べ物が食卓に並び順調に朝食が進む中、今日が燃えるゴミの日であることを、
柳沢は妻に指摘されて始めて知った。
ゴミ出し当番を勤めているのは柳沢自身に他ならない。
最近になってそういう伝統が形作られたのである
妻が言うに、世間体を気にしてゴミ出しをやらせないという考え方はもう過去のものであるらしい。
その結果として、柳沢にはゴミ出しという重要な任務が課せられることとなったのだ。
情けない。
つい柳沢は愚痴をこぼしてはみるものの、あの儀式と同様、結局は従わざるを得なかった。
「ごちそうさま、行ってくる」
急ぐようにして食事を済ませた洋平は備えていた荷物類を手際よく持つと、足早に食卓から離脱した。
陸上部の朝というのはそれなりに早いようだ。
柳沢もそれに促されるようなかたちで、朝食を終えると家を出た。
「行ってらっしゃい」
今でも妻が玄関先まで出てきて見送ってくれる。
紛れもなくいつも通りの朝だった。

95 :
真夜中のSF小説  『奇妙な一日』 −3−
柳沢は少し早歩きで駅に向かった。
柳沢にとって、いつもと違う時間の電車に乗ることはとても嫌だった。
柳沢は駅に着くとホームを見回した。
喋ったことのない見覚えのある顔がいつもと同じくいた。
こうして電車を待っていると、必ず部下の前田が声をかけてくる。
「おはよう」
やっぱり声をかけてきた。
柳沢は「おはよう」いつもと同じく答えた。
二人は満員電車に、車掌に押されながら何とか入れた。
柳沢はいつもと同じ電車にのれたことにひとまず安心した。
だが、そのとき、柳沢は何かいつもと違う、いや、違っていることに気がついた。
何が違ったかしばらく解らず、二駅が過ぎたとき、ハッとした。
確か前田は自分の部下だ。
それなのに前田はホームで「おはようございます」ではなく、「おはよう」と言った。
まるで、友達や恋人にでも言うように。
柳沢は、ただの言い間違いだと思おうとした瞬間、隣にいた前田が耳元で言った。
「今日も綺麗だよ」

96 :
真夜中のSF小説  『奇妙な一日』 −4−
柳沢はこれをたちの悪い冗談だと思うことにした。
しかし、上司に下らぬ冗談を言う前田に注意をしなければ、柳沢の気が済まなかった。
勤める上村工業に着くと、柳沢はいつもの係長の席に着き、午前中は書類を片付けていた。
昼、柳沢は朝の注意をしようと前田を喫茶店に呼び出した。
「朝の冗談は何かね?」柳沢は少し声を荒げてみせた。
「会社ではいわないようにしていたけど、君の顔を見たらたまらなくなったんだ」
前田の目は紛れもなく恋人を見るものだった。
柳沢は恐ろしくなり会社へ逃げ帰った。
柳沢が席に着くと、上司の奥山部長が声をかけてきた。
「柳沢君」
柳沢の耳元に近づいて言葉を続けた。
「綺麗だね。愛しているよ」
柳沢は身動きが出来ずにいると、ひとりのOLが呼びにきた。
「柳沢係長、上村社長がお呼びです」
柳沢が社長室に入ると、後ろから抱きつくものがいた。
「公平ちゃん可愛い」
上村社長だった。

97 :
真夜中のSF小説  『奇妙な一日』 −5−
柳沢はとっさに社長から逃れ、社長室を飛び出した。
部下の前田といい、奥村部長といい、よりによって社長まで。
柳沢は何がなんだか解らず頭を抱えた。
仕事を終え、帰宅途中、柳沢は妙な視線を感じながら一つのアメリカンジョークを思い出した。
ある男が数人の美女と一緒で全員が全裸という夢を見て、困惑して医者に相談したところ、
医者は何が不都合なのか?と聞き返した。
すると、その男は言った。「私も女だということです」というものだ。
柳沢は家に着くと自分の姿を鏡で確認した。
そんなことがあってたまるか。
と思いつつも、柳沢は鏡の中のいつもの姿に内心ほっとした。
いつも通り、家族三人で食卓を囲んでいると、息子の洋平が言った。
「ねぇ、お母さん。僕とお父さん、どっちが綺麗」
「そうねぇ、洋平の方が可愛いし綺麗よ」と妻の富子が答えた。
柳沢は頬を硬直させ立ち上がって叫んだ。
「もっと綺麗になってみせるわ」

98 :
Dr.Pepper STREET BREEZE

99 :
>>98
ベイFMの夜中の5分番組ですね。なつかしい
Shinonara Miyako文庫、話もさることながら、姉御の朗読の声が好きでした。
あの声が、すごく雰囲気をだしていた様にも思えます。
しかし、一体、この原稿はどうやって起こしているのでしょうか?以前に
篠原美也子文庫の全文掲載のHPがありましたが、閉鎖されてしまったようですね。
長文書き込みすみません。

100 :
当時の放送完全録音している神なのかな?

101 :
hosyu

102 :
真夜中の青春小説『この夜の向こう側(Pert2)』 −1−
マモルは自分が何をやりたいのかまだよく判らない。
もうすぐ18になろうとしている秋、受験勉強は追い込みに入っているが、
参考書を眺めるマモルの目は気がつくと何も書いていない余白のページに止まってしまう。
母親は言う、「とりあえず勉強でしょう?」
友達は言う、「とりあえず大学行かなきゃしょうがないだろう?」
とりあえず勉強して、とりあえず大学にいって、それからどうなるんだろう?
とりあえず就職して、とりあえず結婚して・・・。
一体、いつまでこの“とりあえず”は続くのだろう?
マモルは頭を振って参考書をバタンと閉じる。
真夜中ってのはどうも良くない。
友達と騒いでいる学校での時間や、母親の小言にイライラする夜は
こんなこと考えもしないのに。
周りはしんと静まり返っているのに、胸の中だけがザワザワしている。
もう今日じゃない、でも、まだ明日じゃない隙間の時間、
マモルは無性に誰かの声が聞きたいと思った。

103 :
真夜中の青春小説『この夜の向こう側(Pert2)』 −2−
ふと窓際に目をとめる。
どうせ築十年程度の一軒家が立ち並ぶ住宅街には星は瞬いてくれないだろうが、マモルは
暗闇の主を探すかのようにカーテンをめくり、ガラス戸を家族に気付かれないようにそっと開けた。
ひんやりと頬に秋の夜気が冷たい。
深夜27時。
普段ならその日のノルマをこなしている頃だが、ノートも参考書もさっき閉じたまま、
もう今は何も出来そうにない。
だからといって、明日ならできるのだろうか。
窓際に片肘をつき、マモルは柄でもないと思いながらも、溜息を思い煩いと一緒に吐き出した。
この先、俺はどうなっていくんだろう。
考えれば考えるほど答えは闇に溶け込む。
次第に眼が暗さに慣れてきた。
その両目が数件向こうの屋根の上を飛び移りながら走っている人影を捕らえたのと、
人影がこちらに気付いたのは、ほぼ同時だった。
状況を理解するどころか、頭の中が白紙状態のマモルの前へ、人影はトンと軽やかに舞い降りた。

104 :
真夜中の青春小説『この夜の向こう側(Pert2)』 −3−
「君かい、僕を呼んだのは」
舞い降りたその影は、動揺するマモルもお構いなしで喋り始めた。
「ああ、自己紹介が遅れた。僕は、一応、君たちの世界でいう天使って奴さ」
確かに頭上には輪が、背中からは大きな羽が生えている。
さらに、その自傷天使の話は勝手に進められる。
「うん、君は何か望みがあるみたいだ
うん、僕がそれを一つだけ叶えてあげる
さあ、言ってごらん」
全く一方的すぎる。
この状況の中で冷静に答えの返せる人間が一体何人いるだろう。
と、戸惑っていると、
「そうだね、少し急すぎたかな。
じゃあ、7日後の同じ時間また来るからその時までに考えておいてよ」
そのどうも突然すぎる天使は、空高く舞い上がったかと思うと、次の瞬間、暗闇の中へ姿を消した。
何だったんだろう、マモルの頭には疑問符がたくさん並んでいる。
今の出来事が夢であったかどうかは7日後にわかることだ。
しかし、夢であったとしても、僕自身の一番望むこととは何だろう。

105 :
ちょっと作ってみました。
http://radio.arisugawa-rounge.com/
場合によっては消すかも。

106 :
>105
激しく感謝!懐かしさがこみ上げてくるよ。声若いな〜。

107 :
真夜中の青春小説『この夜の向こう側(Pert2)』 −4−
一番望むこと。
そう問われても思い浮かばなかった。
そこで、マモルは昔どんなことを願ってきたか紐解いていくことにした。
幼い頃は弟が欲しかった。
一人っ子の守るは、友達の兄弟喧嘩の話がひどく羨ましかった。
誕生日には自転車を願ったこともあった。
遠足の前に新しいナップザックを欲しがったり、子猫を拾い、親に叱られたこともあった。
初めて女の子を好きになったときには、なんだかよくわからないその感情の行き場を求めた。
祖父を亡くし、もう一度会いたいと思ったのもこの頃だった。
中学生になると、部活で全国大会に行きたがり、勉強の成績を気にした。
転校する友達との別れを悲しんだりもした。
高校受験では合格を願った。
無事高校生になると、クラス替えのゆくえを真剣に悩んだ。
バイクを買おうと、アルバイトに精を出したこともあった。
そして、今。今は何だろう。
さしあたって大学合格か。
そうだろうか。
何か違う気がした。
マモルはこんなことを真剣に考えている自分に半ば呆れつつ約束の日を待った。

108 :
真夜中の青春小説『この夜の向こう側(Pert2)』 −5−
7日目の闇が冷たい微風をマモルの頬に運んだ。
そして、闇の場所から月の瞬く場所へと足を踏み入れた天使は、
マモルに暖かい微笑みを浮かべつつ、ゆっくりと口を開く。
「うん、見違えるほどにいい顔だよ。さぁ、聞かせてくれるね」
天使の陽気な言葉を浴びたマモルは、険しい面持ちのまま、天使の大きな瞳を強く見つめた。
「いろいろと考えては見たけど、正直なところはよくわからない。
だけどね、少し何かが見えた気がする。
本当に望むことは、きっと望んだことを達成した後からついて来るんだと思うんだ。
そうだ。僕の本当の望みが叶ったときに、僕のうれしそうな顔を見に来てくれるかい」
結局は微笑んでしまったマモルを前に、陽気な天使は静かにうなずくと、
この夜の向こう側を越えていくマモルの姿を想像していた。
「マモル。きっと僕は成長した君を見つけられると思う。
だって、今の君は七日前の君よりいい顔をしているんだもの」
そして、夜は明けていく。
すべての明日のために。

109 :
この真夜中の青春小説『この夜の向こう側パート2』は、個人的に非常に気に入った
作品です。特に、第3週目回の話が非常に印象的です。生で聞いたのが丁度第3週目
回でした。

110 :
5話目投稿した人、上手だな(みんな上手だけど)
これって投稿が少ないときとか、美也子さんがコッソリ自分で書いたのを読んだりしてたのかなぁ?

111 :
いや、そういうのもあったろうがさすがにADかDだろう…

112 :
hosyu!

113 :
いつだったか、投稿数を言ったことがあったはず。
もう記憶がアバウトだが、3ケタいってたはず。

114 :
父Rとか言ってたのこの番組だっけ? トリビアの魔Rで思い出したんだけど...

115 :
言ってたかも。「特ホウ王国」あたりとごっちゃになってるかもしれんが。
「タマキンを自由に動かせる男」の話をしてたのを思い出した。

116 :
age!

117 :
「ひとり」をリスナー達と歌って終わった最終回。あれは本当に泣いた。
確か両親が電話で出演した事ありませんでしたっけ??

118 :
お前ら、ありがとー!
最高に音痴だったぞー!!

119 :
「逃げてやる」
引き出しの中をかき回しながら、みゆきはさっきから何十回目に当たるそのセリフをまた呟いた。
時計の針はもうすぐ11時半。
朝の早い両親はもう寝ているし、大学生の兄は深夜でなければ戻らない。
約束まであと30分。
ようやく探し当てたセーターをバックに押し込むと、壁につるした制服に向かい、みゆきはもう一度呟いた。
「逃げてやる」
その口調は決して投げやりではなく、みゆき自身も不思議と「逃げる」という14歳の少女にあまり似つかわしくない言葉から、
ネガティブなものを感じていなかった。
実際、「何から?」と聞かれたらうまくは答えられないだろう。
ただ、みゆきは今夜を特別な夜にしたかったのだ。
優しくて、曖昧で、居心地の良い学校や、家や、そして、14歳という年齢から、
とにかく「逃げてやる」なのだ。
しかも、駆け落ちという手段で。
みゆきが選んだ相手は古川さとし。
先週の席替えで隣同士になったのと、口が堅そうだと思った、それだけの理由だった。

120 :
を、やっと続き、来た!無理せず続けてねん♥

121 :
ボーン ボーン・・・と12時を告げる振り子時計の音で、
みゆきはハッと我に返った。
もう二度とこの部屋に戻ってこないのではないのだけれど、
みゆきは、自分が多少なりともノスタルジックな気分になっていることを
否定できなかった。
まだ鳴り続けている振り子の音で、両親が目を覚ますのではないかと思いながら、
みゆきは荷物を担いで外へ出た。
11月の夜風がみゆきの肌に心地よい刺激を与えてくれた。
みゆきは頭がすっきりとして、完全に吹っ切れた。
私はこれから自分の見えない殻を駆け落ちという方法で打ち破るのだ。
古川さとしはあくまでパートナーであって、恋人じゃない。
みゆきがそんなことを考えながら家の門で待っていると、
闇夜の静寂を打ち破るように、ちりんちりん、という音がした。
さとしが、14歳の少年にしては珍しく買い物自転車で現れたのだった。
みゆきはこれが駆け落ちなのかなと考えてしまった。
しかし、さとしはそんなことは気にせず、「お待ちどう」と白い歯を見せた。

122 :
>>105
GJ!
ありがたく聞かせていただきました。

123 :
「とりあえずどうしようか?」
意外なことに、さとしは嬉しそうだった。
学校では渋々承知したのに、今のさとしは好奇心旺盛な、
まるで初めて遠足に行く小学生の様だった。
背中には大きなリュックサックを背負い、一杯に物を詰め込んでいる。
肩からぶら下げている懐中電灯がなんだか情けない。
失敗した・・・、みゆきは心の中でそう思った。
「とりあえず行こう。後ろ乗んなよ。」
さとしが笑顔で言った。
みゆきは言われるがままに、とりあえず乗った。
「さぁ、行くよ」
自転車が深く静かな住宅街を走る。
みゆきの頭の中で想像していたものより、はるかにかけ離れてはいるものの、
二人の駆け落ちは始まったのだ。
これからどうしよう・・・、みゆきの心の中には考えもつかなかった不安が走る。
「どこ行く?何ならゲーセン行こうか?」
失敗だ・・・、みゆきは確信した。
「学校へ行って。
駆け落ちなんだからもう二度と行かないでしょう。
最後に一度だけ見たいのよ」
心にもないことを、みゆきは言った。

124 :
中学の裏門が見えてきた。
裏門の前は国道で、深夜でも車の通りは激しかった。
門の前に不振な影が見えた。
前屈みになって立っている女性のようである。
近づくにつれてその人が妊婦さんであり、両手でおなかを押さえていることがわかった。
「どうしたんですか?」
自転車を止めて、さとしが駆け寄る。
「タクシーを止めたいんですけど・・・」
苦しそうに答える女性。
さとしはすぐさま自分が着ている上着をアスファルトの上に敷いて妊婦さんに座らせた。
「救急車、呼ばなきゃ」
みゆきが叫んだのとほぼ同時にさとしは車道に走り出していた。
例の懐中電灯を右手に高く掲げながら、車の方に向かってぐるぐるまわしている。
一瞬、唖然としたみゆきだったが、すぐにさとしの考えを理解した。
何でも良いから車を止めようというのだ。
何台かが素通りした後、「回送」と表示されたタクシーが静かに止まった。
状況を察した運転手が、さとしと共に女性に手を貸し後部座席に乗せる。
隣にみゆき、助手席にはさとしが乗り込む。

125 :
誰もが早く病院へ着いてほしいと願った。
みゆきは額に玉の汗を浮かべる女性のお腹にセーターを掛けた。
「この子を助けて・・・」
悲痛な声にさとしは爪を噛み、運転手はアクセルを踏んだ。
ようやく病院に着き、女性はただちに分娩室に運ばれる。
廊下の長椅子に3人が座っていると、母子手帳を手がかりに連絡された男性が駆けつけた。
男性は何度も頭を下げながら、妻が家出をしたこと、精神的に疲れていたことを語り、
「僕がいけなかったんです」と、涙をこぼした。
彼女たちもあいされているんだと感じて、みゆきはいたたまれなくなった。
「なんか似てるな」
さとしが耳元で囁き、その意味を理解したみゆきは小さく頷いた。
そして、細く長いリノリウムの床に産声が響いた瞬間、
みゆきはさとしの腕を握りしめ、運転手は父親の肩を叩いた。
ありふれた夜にも星は輝く。
ただ、それを知るのはいつも後悔のあとなんだ。
「始めよう」
みゆきは深く息をついてから、テレフォンカードを取り出した。
-FIN-

126 :
テレフォンカード・・・なんて懐かしい響きなのでしょう。
小中学生も普通に携帯電話を持つ時代。
10年前だからこそ、このような物語に仕上がったのでしょう。

127 :
いつもお疲れさまです
ずーっと読ませていただいてます
そうですね、テレフォンカードなんて、死語の域に達しているかも・・・
携帯電話が日本的情緒のいくつかを奪ったのは確かでしょうね。

128 :
こないだ、恋愛小説を書いている作家が、携帯電話の登場によって、微妙なすれ違いを書けなくなったといった意味合いの事を言っていたな。

129 :
駅の改札口で女を1時間待ち続けた男が公衆電話へ・・・
その時やっとたどり着いた女は、男が帰ってしまったと思い、失望の帰途へ・・
何も知らない男はまた改札口で立ち続ける・・・
みたいな奴ですなw

130 :
>129
改札口と言えば伝言板も使われなくなったなぁ。
冴羽遼に依頼したい場合はどうすりゃいいんだ。

131 :
伝言板ってまだあるのかね?
うちの方の最寄り駅では見なくなったような気も・・・(@都下)

132 :
>131
最寄り駅は割と新し目の駅だけど、伝言板は無い。

133 :
レギュラーになる前に(直前くらいに)、1回 臨時というか、特番というかで
姉御がANで喋っていたけど聴いた人っているのかなぁ??
偶然聴いていて「え、篠原美也子だ!?」ってすごくびっくりしたんだけど。


134 :
>133
1部のまっちゃんが休んだ時だっけ?

135 :
>134
たしか、2部だったけど・・・・。
一生懸命、自己紹介をしていた。

136 :
こないだ行われたライブのゲストに橘いずみが来てたんだけど、
MCで篠原美也子文庫の話題が出た。ANNにゲストで来た際、1エピソードを担当した話だったんだけど、
>>93-97の中の1つだったっけ?

137 :
>25 ですね。
主人公を、18歳から43歳にしてしまいました。
まだ3話目だからどうにでも収拾できるだろうと思って、
わざとやったような気がするなあ。

138 :
>137
そうだったんだ。登場人物を男から女に変えちゃったって話してたから、>>93-97かと思ったんだけど。

139 :
ほしゅ

140 :
高速道路を埋め尽くした渋滞の列は全く動く気配がなかった。
事故かな、マコトはちらりと腕時計を見た。
5時を回り、辺りはもうほとんど暗くなっている。
12月31日、今年最後の日。
マコトは10年ぶりに故郷を目指していた。
日本海に面した小さな都市。
多分、もう雪をかぶっているはずの故郷。
間に合うかな、マコトは窓の外に目をやった。
吉村、杉山、長谷川、懐かしい顔が浮かんでくる。
奴等は来るだろうか。
4人は高校3年間を同じボクシング部で過ごした仲間だった。
卒業後、実力を見込まれたマコトは東京のジムへ、他の3人は地元で進学、就職と道は分かれたが、
進路が決まった18歳の大晦日、思い出の詰まった体育館のリングの上で、4人はある約束をしたのだ。
10年後の今日、午後11時55分、ここでもう一度会おう。
一人東京へ向かうマコトへの3人からのはなむけの言葉だったのかもしれない。
あれから10年。
「いまだに4回戦なんて、参るよな」
マコトは苦笑交じりに呟き、動かない車の列を見つめた。

141 :
久しぶりにキタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!

142 :
一方その頃、家賃4万円の某アパートで長谷川は一人寂しくコンビニ弁当だった。
「奴ら、来るかな」
突然、電話が鳴り響く。
長谷川は3回ほど待ってから受話器を取るや否や、
「おい、どうしちまったよ」
と、独特の早口が聞こえてきた。
上司の上西工場長だ。
しかし、言われていることの意味がよく掴めない。
長谷川が、そう困惑したのも束の間、
「早く来い、ラインが止まってんだよ」
上西工場長が苛立たしく言った。
このときになって、長谷川はようやく意味を理解したが、一つだけ疑問に思う。
「あの、俺、今日休みで、明日の元旦から夜勤のはずですけど」
「今日が夜勤で、元旦休みだろ」
そんな気がしてきた。
「ぼけたこと言ってないでさっさと来い、10分は待つ」
「すいません、いますぐ行きます」
電話を切った頃には、長谷川も己の勘違いをすっかり認めていた。
「これは困った」
ナナハンをすっ飛ばして本社工場に向かう中、長谷川は仕事という大障壁の突破口を探した。

143 :
>142
ここの板はかなり長い間書き込みが無くても落ちないから、自分のペースでどうぞ。

144 :
「おい、寒いよ、帰ろうぜ」
杉山が言った。
「バカ、ここに集まるって約束しただろう」
吉村はそういうと、10年前と変わらないように見える体育館のドアを開けた。
杉山と吉村は同じ地元の大学に進学した。
杉山は卒業して出版関係の会社に就職したが、吉村は2年目に中退し、実家の酒屋を継いでいた。
「でもさ、こんなに早く来なくてもいいだろ」
猫背になって杉山がいうと吉村は電気をつけてこういった。
「トレーニングするんだよ、試合に備えてな」
その言葉で、"吉村はマコトと試合をするつもりだ"ということに、杉山が気付いたとき、
吉村は続けて当たり前のように言った。
「マコトは強かったけれど、俺との勝負は五分五分だったんだ。
俺だってトレーニングしてるからさ、情けない負け方はしないぜ。
杉山、応援してくれよ」
どうなっても知らない、といった表情の杉山はシャドウボクシングをする吉村を背中に体育館の外を見た。
真っ暗だったが、それも10年前と変わらないように見えた。

145 :
インターを抜けると見慣れた風景が広がりだす。
一面白い世界。
マコトは5時間の銃チアのあとに、10年ぶりの故郷に臨んだ。
しかし、パチッ、という音とともに視界が消えた。
「全く、あと少しだというのに」
ボンネットを空け、あれこれ調べてみる。
案の定、バッテリーがいかれていた。
見渡したところ、他に走る車は見当たらない。
目的地まであと10km。腕時計が11時の時報を知らせた。
マコトは何か決心するようにボンネットを強く閉じ、
「プロボクサーマコト、28、走ります」
照れもなく、そう言い放つと、マコトは雪の中を全力で走り始めた。
「工場長、怒っていたな」
青くなった右目の辺りを押さえながら、長谷川も雪道を急いでいた。
工場に着いた長谷川は、仲間との約束が頭から離れず、
結局、工場長のキツイ一発と引き換えに、何かと切り抜けてきたのだ。
「これであいつら来なかったら、俺はただのバカだな」

146 :
除夜の鐘が聞こえる。
10kmの道のりを軽くこなしたマコトは、白い屋根の懐かしい体育館に明かりを見た。
"奴等、来てるな"、マコトはにやっと笑い、残り100mの雪の絨毯を全力で走り抜けた。
だが、靴の雪を階段で拭い、ドアに手をかけたとき、中の様子がおかしいことに気付いた。
何か大声で言い争っている。
この聞き覚えのある声、確かに吉村と長谷川の声だ。
何となくドアを開けることにためらいを感じたマコトは、二人の怒鳴り声に耳を傾けた。
「バカ野郎、わざと負けて、マコトが喜ぶとでも思ってんのか」
「何言ってんだ。マコトに自信を持ってもらうためだろう。
あいつはいまだにベルトを掲げたことがないんだぜ。二人とも協力しろよ」
気がつくと、マコトはだだっ広い何も無い校庭で、上を向いて立っていた。
嬉しさ、思い出、自分の無力さに対する怒りと悲しみ、いろんなものが滴となってマコトの頬を流れていく。
マコトの心に降り積もった雪。
みんなが雪解けを待っている。
さぁ、走ろう、春に向かって。

147 :
吾輩はカメレオンである。
名前は特に無い。
生まれは遠くの暑い国だが、1年前、ここ四ツ越デパート8回のペット売り場へやってきた。
雨も降らず、シャッターが開かなければ、太陽も見えないガラス箱の中の暮らしは、
決して大満足とは言い難いが、たった一つ、生まれ故郷では滅多にお目にかかれないものが
ここにはわんさと溢れており、吾輩の無聊を慰めてくれる。
それは人間である。
吾輩の住むガラス箱の片側は売り場に面しており、店員および亀やら蜥蜴やら吾輩やらを
眺める買い物客を見ることができる。
そして、もう片側はもう一枚のガラスの壁越しに屋上広場が見渡せる。
夏はビアガーデンとやらで賑わい、真冬の今はさすがに人もまばらだが、
それでも少し暖かい午後にはサラリーマンやOLや家族連れの休憩所となる。
毎日様々な人間達が、吾輩の目の前で思わぬ姿を落としていく。
午前10時。
今日もそろそろ開店の時刻である。

148 :
開店のアナウンスと共にこのペット売場に飛び込んできたのは、一組の老夫婦だった。
「おじいさん、この茶色のがいいじゃないかねぇ。毛が長くて可愛らしいじゃないか」
どうやら犬を買いに来たらしい。
ふと、老爺と目が合った。
「はて、この緑色のは何だろう」
吾輩を知らないらしい。
吾輩はシンボルマークでも吾輩自慢の舌を出して見せた。
「なんという素晴らしい舌だ。螺旋状に伸びている」
感動してくれたようだ。
「何でこんなに舌が長いんじゃろうなぁ、なぁ、婆さんや」
しかし、老婆は犬に夢中で老爺を無視している。
吾輩は開店前に店員が入れてくれた朝御飯を舌で取って食べた。
ここでは昆虫の死骸だが、生まれ故郷では元気に飛んでいるおいしそうな昆虫を
特大の目をめいっぱい動かして見つけては、この長く螺旋状の舌で捕食していたのである。
この吾輩の達者な舌の動きに老爺は感心してくれたらしい。
老爺は相変わらずガラス越しで犬に愛嬌を振りまいている。

149 :
しばらくすると、吾輩を見つめていたその老爺はくるりときびすを返し、
犬を見ている老婆へ近づいていった。
吾輩はその後姿を見つめていたが、何やら吾輩にはわからない話を始めてしまったので、
すぐにそれにも飽きてしまった。
吾輩は何気なく後ろを振り返った。
今日もいい天気だ。
こんなとき人間ならどんな気持ちになるのだろうか。
残念ながら、吾輩のように狭い世界にいるものには広い世界にいる人間の気持ちはわからない。
そのとき、吾輩は妙なことに気付いた。
この時期、滅多に人が来ることのないあの屋上に一人の女性が立っているではないか。
それに、吾輩の記憶ではあのフェンスとかいう鉄の咲くより外に立っている人間を見たことがない。
「おじいさん」
突然、さっきの老婆が声を上げた。
振り返ると、慌てた顔で屋上を指差している。

150 :
老婆の一言で店内中がざわめきに包まれた。
そして、店員やら騒ぎを聞きつけた客やらで屋上広場は大騒ぎである。
吾輩にはその騒ぎの理由がもう一つ理解できないのだが、
ただならぬ雰囲気であることだけはわかる。
「来ないで。来ないでください」
フェンスの向う側の女性は首を大きく振りながら叫んでいる。
そして、女性がそうして体を動かす度に周囲からは悲鳴のような声があがる。
そんな人間達の不思議な行動に首をかしげている吾輩に、
毛づくろいをしていた隣の犬がポツリと呟いた。
「全く訳が解らないよ、人間ていう生き物は。
ああやって自分で自分を殺そうというのだからな」
自分で自分をR。どういうことだろうか?
吾輩の頭はますます混乱する。
「ちょっと私の話を聞いてちょうだい」
混乱する吾輩を尻目にさっきの老婆が女性に近づいていくのが見えた。

151 :
age

152 :
周りの緊迫したざわめきが見守る中、老婆が女に向かって何やら話し始めた。
それを見て、先ほどの犬が前足をなめながら言った。
「見ろよ、もうじき死ぬ老人がまだ十分に生きられる人間の死を止めようとしている。
ホント、わかんねえよなぁ、人間って」
すると、それまでいきさつを黙って見ていたこの店で一番年上のインコが呟いた。
「そうじゃ、わからん生き物じゃ。
彼らは自分が人間であることを自覚しているようで自覚しとらん。
己を高いところから見つめることができんのじゃよ。
自分の広さを忘れている」
この狭いガラス箱の中にいる吾輩にとって、そんな広さはとても魅力的に聞こえた。
一体、この空と人間とどちらが広いのだろうか。
女がこちらの世界に戻ってきた。
拍手が鳴り響く中、老婆と女はかたく抱き合っていた。
今日もまた晴れている。
吾輩は久しぶりに体の色を変えてみたくなった。
この広い空の色に。
吾輩は青いカメレオンである。

153 :
4回目のコールで、テレフォンカードの残り度数を示す数字がひとつ減った。
「もしもし」
「はい、橋本でございます」
「あ、こんばんは、吉田ですけど」
「あら、吉田さん?こんばんは、お久しぶりね。
 東京に行かれたんですって?今、東京から?」
「はい、そうです。あの・・・」
「吉田さん、家の弘なんかより全然しっかりしてるから平気だと思うけど、
 ほら、女の子の一人暮らしは狙われやすいって言うし」
「あの、弘君は・・」
「あらいやだ。おしゃべりしちゃって。ちょっと待っててね」
洋子は軽く溜息をついた。
幼なじみでもある弘の母の話好きはいつものことだが、
目の前で瞬く間に減っていくカードの回数と、引越し騒ぎの疲れが洋子をイラつかせた。
「もしもし」
弘の声がいつもより少し遠くで聞こえた。

154 :
春の雪、これも懐かしいですね。
どこかでとってつけた文章になりますが、テレフォンカードは今でも普通に
ありますが、携帯が普及した今では少しマイナーな物になったようにも思えます。
ですが、この話の様な男女のやり取りは小説としてはなかなかいいですね。

155 :
>154
確か電話代の支払いにも使えたはず。

156 :
「あ、あたし。どうなった?」
「何がだよ?」
「何がじゃないでしょう。人がせっかく心配してやってるんだからね。あいつのことよ」
「まあ、こっちも大学決まって、あいつとも同じところなんだけど、何となくってとこかな」
「まったく、もうちょっとしっかりしなさいよ。
 引越しで疲れてるのに電話してあげたのは、弘の声が聞きたかったんじゃないんだからね。
 弘がかわいそうだから電話してあげてるんじゃないの。しっかりしてよね。もう。」
「なあ、俺も正直言うとわかんなくなってきてるんだ。
 洋子とは中学まで一緒だったろ?高校は別だったけど。
 高2のとき初めて相談したよな。好きな子がいるって。
 それから、その子に対しての気持ちはかわらないはずなんだ、今でも。
 でも、ちょっと気持ちが変なんだ」
「あ、ちょっと待って。またかけ直す。カードがなくなる」
冷却時間は5分は必要だ。
弘のバカ野郎、私はもう東京よ。
電話の残り度数は75を示していた。

157 :
「お姉ちゃん、またかけるの?ねぇ?」
小学生が三人、電話ボックスの外で洋子が出てくるのを恨めしそうに待っていた。
「ごめんね」
と声をかけ、洋子は電話ボックスの外、初めてこの痛みを知った日のことを思い出し、
そっと唇をかみ締めた。
そう、高2の夏。
思いがけなかった相談。
「もしもし、そう、弘。
 あのさぁ、夏休みだけどさぁ。
 そう、みんなで。
 えっ?違うよ、行けなくなったんじゃなくて。
 ほら、洋子と一緒の高校の友達。うん、参加するって聞いたよ。
 だからさぁ、ちょっと相談なんだけどさぁ。
 あの子とさぁ、キャンプで。
 あ、そう。図星図星。
 応援してくれるって?
 あっ、それから・・・」
「お姉ちゃん、いいよ」
さっきの小学生が電話ボックスから出てきたので、洋子は再び弘の家に電話をかけ、
まだ呼び出し音のままの受話器に向ってこう呟いた。
「引越しで疲れているのに電話をしてあげたのは、弘の声がとても聞きたかったから」

158 :
「俺、あいつと話していると、すぐそばにいるはずなのにすごく遠く感じるんだ。
 ついでに壁に隔たれているような気がする。あいつが悪いんじゃない。
 でも何か違うんだよな。俺、自分の気持ちがわかんねぇよ」
「自分の気持ちがわかんないなんて嘘だよ。
 ただ誤魔化してるだけ。逃げてるだけ。
 あんなに電話でのろけてたの、弘なんだからね。
 いい?あんたはあいつが好き。それでいいのよ。
 弘は理屈っぽすぎるよ。
 ちょっと、何笑ってんの?」
「洋子、お前なぁ」
「何よ」
「別に、何でもない」
「それ、弘の口癖。いつも何か言いかけてやめるんだから。
 気になるじゃない。何なのよ?」
「いや、洋子の怒った顔が見えるからさぁ」
洋子の目からこぼれた涙が受話器を湿らせた。
残念でした、私は怒ってません。
そんなつぶやきが声にならず、テレフォンカードにひとつ穴を開けた。
「お前みたいなふくれっ面できる奴はなかなかいないからなぁ」
弘は遠い。ずっと遠い。

159 :
本スレが落ちたようなのですが、どこかに移転したかご存知の方いますか?

160 :
>159
インディーズ板にお引越し。
【名前の無い】篠原美也子PART8【書き込み】
http://music4.2ch.net/test/read.cgi/minor/1100985591/

161 :
サンクス!

162 :
最後のあの一言が楽しみ > 春の日

163 :
「どうした?急に黙っちまって」
「ううん、別に、何でもない」
洋子は努めて明るい声を出そうとしたが、心なし語尾が上がってしまった。
「洋子、おまえはどうなんだ?」
「どうって、何が?」
「東京行ってさぁ、友達とか家族とか思い出とか、いろんなのこっちに置いてきちまったろ。
 寂しくないのか?」
弘にそう尋ねられると、洋子は胸がつぶされる様な思いになった。
心細くなった。
しかし、弘に打ち明けることなどできなかった。
「何よ、いきなり。私は平気よ。忙しくてそんなこと考えてる暇なんてなかったわ。
 弘こそ私がいなくて大丈夫だった?」
洋子は少しおどけて聞いてみた。
沈黙が流れた。
洋子は弘が軽く息をのむのを感じた。
「なぁ、わかるかなぁ、 こっち、雪が降ってるんだぜ、春なのにさぁ、おかしいよなぁ、
 雪はさぁ、いいよな。優しい気持ちになれるよな」
「そうね」
「洋子ならわかるよな、今、俺の見てる景色」
「うん、わかる、見えるよ。まだまだ積もりそうだね。明日は銀世界だね。
 ありがとう・・・」

164 :
3人の人間がエレベーターを待っていた。
2台のうち1台は故障中となっている。
20階建ての高層マンション。
やっと扉が開くと、塾帰りらしい小学生が真っ先に無人の箱に飛び込み、
フロアパネルの前に陣取った。
そして「16」という数字を押した後、いつも教えられているらしい口調で
残りの2人に問いかけた。
「何階ですか?」
2人は一瞬顔を見合わせ、まず、スーツ姿の中年男がおずおずと、
「13階を」
と言い、大学生風の若い男が、
「同じです」
と少し驚いたように続けた。
煙のような居心地の悪さが2人の間を流れ、母親の言いつけを守ったことで
満足げな少年が「13」のボタンを押し、扉がゆっくり閉まりかけたとき、
小走りの足音が聞こえた。
「すみません」
軽く息を弾ませたOLらしい若い女に少年は同じ質問をし、女は
「20」
と答えた。
今度こそ扉は閉まり、特有の気詰まりな空気の中、
階数ランプの数字が「10」から「11」に変わろうとした瞬間、
何の前触れもなしに、エレベーターが止まった。

165 :
>164
この話不気味で大好き。

166 :
何が起こったのか誰もすぐには理解できなかった。
5秒の沈黙の後、少年が「開」のボタンを何度か押したが
重厚なドアに変化は無かった。
恐ろしく長い次の数秒間、4人は互いに何度も視線を交わし、
ようやく自分達の置かれている状況を理解した。
大学生風の男が緊急時のためのボタンを何度か押したが、
それがきちんと役割を果たしているか確かめようがなく、
カタカタという音だけが空しく響いた。
通気孔はあるが妙に息苦しく、中年のはげあがった頭には
不健康そうな脂汗が流れていた。
少年がおろおろとし、平静を装う大人達に向かって
何か話しかけようとした。
しかし、口がパクパクと動いただけで音にならない。
結局、先に言葉を発したのはOL風の若い女だった。
「閉じ込められたようですね。
 閉じ込められたのですね。
 閉じ込められたんだわ」
そう繰り返す女の顔つきはどことなく楽しげで、
男達の冷静さを一度に崩壊させるだけのおぞましさを持っていた。

167 :
この話読んでたら思い出した...
「閉じ込められたようですね。
 閉じ込められたのですね。
 閉じ込められたんだわ」
これ妙にゾクゾクしたの覚えてる

168 :
非常用のボタンを押す音は次第に大きさを増し、大学生風の男は、
やがて、そこにある全てのボタンを叩いた。
中年男はポケットを探って煙草を出そうとしたが、周りを見て断念した。
代わりにしわくちゃのハンカチを取り出し、汗を拭ったが、
焦りは拭いきれない様子である。
少年はへたへたと座り込むと泣きべそをかき始めた。
取り乱したことで生じた大小様々な音は、
彼ら自身をますます困惑させたに過ぎない。
女は壁面の鏡に向かい、先ほど走ったために乱れた髪を撫で付けると
にやりと笑った。
そのとき、突然電気が消えた。
過度の緊張が、エレベーターが一回り小さくなったような錯覚を起こさせる。
重苦しい空気が圧迫する。
「上へ参ります」
女の明るい声が暗闇を埋めた。
すると、ガタンとひとつエレベーターが大きく揺れ、ゆっくり動き出した。
それはジェットコースターが最初の坂を上がっていくときの
あの不気味なまでののろさにあまりに似ていた。

169 :
「どこまで上るのですか?」
大学生がおずおずと聞いた。
「どこまで上るんだ?」
中年男が上擦った声で叫んだ。
暗闇だけがあり、返事はない。
女を捕まえようと中年男はもがくように手を伸ばした。
そして、ついに女の首根っこを捕まえると、女にしては少し太い首を力一杯締め上げた。
「何故何も答えない?」
「く、くるしい・・・」
うめき声を上げたのは大学生だった。
「あっ、失礼」
中年男は慌てて手の力を緩めた。
その間にも、真っ暗なエレベーターがゆっくりゆっくりありえないほどの遅さで、
上へ上へとどこまでも上っていくのを3人の男達は震えながら感じていた。
どれほどの不気味な時間が流れただろうか。
不意に「下へ参ります」という女の声が響いた。
声はしたけれど、小さな箱の暗闇の中には女の姿はどこにもないように思われた。
急降下するに違いない、そう思った3人は恐怖におののきながら身構えた。

170 :
「3名です」
再び女の声が響くと、エレベータの床が音もなく消えた。
3人の男は姿を消した。
堕ちた。
呻き声を感じて中年男が下を見ると、やつれた男が下敷きになっている。
大学生は隙間なく男達が敷き詰められていることに気付いた。
3人の顔からさっと血の気が引き、すがるように上を見上げたとき、箱の蓋が閉まった。
立ち上がると、小学生でさえ頭をぶつけるほどに蓋が迫っている。
キレイに並べられた男達がマッチ棒のように見えた。
エレベータの床が音もなく現れた。
壁面の鏡が左右を軸として向う側に60度回転すると、OL風の女が滑り込み鏡のドアを閉めた。
小さく溜息をついて、わずかに汗がにじんだ額に白いハンカチを押し当てた。
すると、インターホンから冷たく抑揚のない女性の声が響く。
「ごくろうさま、あなた、新人ね?」
「はい、そうです」
「乗り遅れるところだったじゃないの。時間がないと注意したはずよ。
 それから、あなた、不気味さが足らないわ・・・」

171 :
この話世にも奇妙な物語で映像化して欲しい。

172 :
同じ学校に兄弟がいるのは何となくやりづらいものである。
野球部の部室を出たところで、妹の里美に呼び止められた大輔は、
にやっと笑ったチームメイトの原田に軽く蹴りをいれ先に行かせた後、
妹に向き直った。
「何?」
里美は大輔と一つ違いの中学2年生。
何となく目をそらす兄の気持ちをお構いもなく、大輔の腕をつかむと、
野球部の部室の隣、体育用具室へ兄を引っ張り込んだ。
そして、珍しく真剣な顔で振り返ると、一通の手紙を差し出した。
「何だよ?」
「これ、読んで」
「何なんだよ?」
「いいから読んで」
「嫌だ」
「何でよ」
大輔の手に無理矢理手紙を握らせようとした里美を、大輔は押しのけた。
ところが、思いのほかの勢いによろけた里美がぶつかった拍子に、
棚からばらまかれたテニスボールを踏んでしまった大輔は、
里美を押し倒すようなかたちでマットの山に突っ込んだ。
「あいてて・・」
埃っぽいマットから顔を上げ、下敷きになった里美に声をかけようとした大輔の目に
背番号「5」が見えた。

173 :
ジングルが何気に印象深い
「ちいさな事は気にしない、 大きな事は考えない!」とか
「至らない姉〜」 とか

174 :
ジングル、やっぱ、傑作は「もてない、金ない、受からない」かな。

175 :
たった一つの朝を待ついくつもの夜ってフレーズが好きだった。

176 :
それは紛れもなく大輔のものである。
卒業してしまった先輩の後を引き継ぎ、今日まで着用しているものである。
大輔は、何故それが今自分目の前にあるか理解できず手を伸ばそうとした瞬間、
背番号「5」が大きく動いた。
「そんなに押さなくたっていいでしょ。もう、いいわ。」
大輔の顔にテニスボールを投げつけると、
ものすごい剣幕で体育用具室を飛び出していった。
何がなんだかわからず唖然としたが、驚いたのはむしろその姿だった。
あれは確かに自分の顔だった。
大輔は怒ると右の眉があがる癖があったが、今見たのはまさにそれであった。
「今のは一体?」
事の真意を確かめようと慌てて用具室を出た大輔は妙な違和感を感じた。
何となく視線が低くなったような気がする。
そのとき、後から大輔の肩をポンと叩く者がいた。
それは、里美のクラスメイトの香であった。
香は少し不安そうな表情で大輔に話しかけてきた。
「手紙、渡してくれた?」

177 :
今、君の周りには何が聞こえていますか・・・。
篠原美也子のオールナイトニッポン!

178 :
今、君の周りには私の声以外、何が聞こえていますか・・・。

179 :
で、この人今どうしてるの?

180 :
>>179
オフィシャル自分で読みぃ

181 :
age

182 :
ようやく普通に見られるようになりましたな。
文庫の続きはどうなっているのでしょうか?
>>179
いまさらですが、彼女はインディーズに活動していますよ。

183 :
篠原美也子文庫
http://plaza25.mbn.or.jp/~parisblue/shinohara/index.html

184 :


185 :


186 :


187 :
なんだか深い眠りを邪魔されたときの感覚に似ていた。
香の話の内容が理解できないのだ。
「手紙って?」
大きな戸惑いを含んだその声が、大輔自身にはやたら甲高く、
裏返って聞こえた。
「忘れないでって言ったのに」
香は落胆の表情を隠しきれず、大きな溜息をついた。
混乱と戸惑いの中、大輔は里美が持ってきた手紙を思い出したが、
それと香をつなぐ線が見つからないのだ。
あらためて香に視線を向け、そこで初めて異変に気付いた。
確か香は大輔より10センチは背が低くなかっただろうか?
だが、今の香は大輔と同じ目線で話している。
混乱をおさえるため頭に両手を当てると、
野球部の大輔にあるはずのない長い髪に手が触れた。
次の瞬間、ものすごい形相で渡り廊下を走ってくる坊主頭の大輔の姿が
視界に飛び込んできた。
大輔より早くそれに気付いていた香は、決心したように呟いた。
「いいわ、やっぱり私、自分で告白するから」
そして、大輔をその場に残し走り出した。

188 :
「先輩」
声をかけようとした香をかすめるようにして彼女の横を全力疾走で駆け抜けた大輔の姿をした里美は、
そのまま里美の姿をした大輔の首根っこを掴んで再び体育用具室へと駆け込んだ。
「いったいどういうこと?」
自分の顔が、しかも女の子の口調で迫ってくるというのは気分の良いものではない。
大輔は自分の顔から目をそらして、ポリポリと頭をかいた。
「そんなこと、こっちが聞きたいね。まったく、こっちは試合が近いってのによ」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!」
ぶつぶつと文句を言っている大輔に向かって、彼の顔をした里美が右の眉を上げて怒鳴った。
彼、いや、彼女は今にも泣き出しそうである。
頼むからその顔で泣き出すのはやめてくれ、と半ば祈りながら大輔はあれこれと考え始めた。
確か手紙がどうとかってもみ合ってるうちに、テニスボールを踏んづけて、マットに突っ込んで・・・
彼がマットの山に目を向けると、突然ガラリとドアが開いた。

189 :
ドアの隙間から顔だけ突き出したのは、チームメイトの原田だった。
「何やってんだよ、練習始まってんのに、先生怒ってるからな」
原田は大輔の姿をした里美を睨むと、ぴしゃりとドアを閉めた。
里美は堰を切ったように泣き始めた。
その情けない顔が自分のものであることを嘆きながら、
大輔は最近こんな風に泣いたことがあっただろうかと、ふと考えた。
せいぜい、あくびのあと涙がにじむ程度である。
自分の感情に言葉を与えるより、
先に泣き出してしまうような妹がいつもうらやましかった。
大輔は初めてそれを認めた。
「香、お兄ちゃんのこと好きなんだ」
と言い捨てると、里美はしゃくりあげた。
「とにかくうちに帰ろう。その方がいいだろう、なっ」
大輔はいまや自分より背が高い里美の震える背番号「5」をポンと叩いた。
すると、ポンと背中を叩かれた。
隣には里美が里美の姿をして、いた。
大輔の左手から丸められた紙屑がポトリと落ちた。
大輔の目から妹の涙がポトリと落ちた。

190 :
久々にキタ――♪ o(・∀・o) (o・∀・o) (o・∀・)o キタ――♪
元気だった?

191 :
「あれ?」
待合せの公園を抜ける路地で、吉岡悟は真っ暗な空を仰いだ。
この時期特有のじっとりと重たい風に雨が混じり始めている。
軽く舌打ちをして悟は足を早めた。
待合せは午前1時。
路地を抜けたとき、公園の時計がきっちり1時を指し、
ぼんやりと小雨に煙る外灯の下、二つの人影が見えた。
「うまく抜け出せたか?」
駆け寄った悟に、いつものからかうような口調で話しかけた小柄なジャージ姿は、林健太郎。
傍らで、長身の背を丸めるようにしながら黙ってにこにこしているのが、安田智彦。
3人は同じ中学の一年生で、クラスでも評判のイタズラ仲間である。
「おう、姉ちゃんがなかなか寝なくてちょっと焦ったけど、ばっちり。ようし行くか」
振り返った3人の目の前、公園の木々を隔てて黒々とそびえ立つ古い病院跡。
不治の病を苦に飛び降り自殺した少女の幽霊が夜毎手摺にもたれすすり泣くという屋上を目指し、
恐いもの知らずの三つの影は出発した。

192 :
>>183
点字しかないの?

193 :
結構ハガキ職人同士も仲よかったね。この番組。漏れは数回しか有楽町行けなかったけど。
今みんな何してるのかな?

194 :
>193
未だにモテない、金ない、受からないの三無主義を実践中です。

195 :
モテの極なんてコーナーもありましたな。
朝5時まで聴いて高校逝ってた漏れも今年で三十路だorz

196 :
>>195
(・∀・)人(・∀・) ナカーマ

197 :
地方在住でネット局でなかった漏れにとって2部を聴くのは「歌うヘッドライト」との争いだった・・・
今のようにネットラジオの無い時代・・・
そんな時代を漏れ等は生きた!

198 :
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AF%A0%E5%8E%9F%E7%BE%8E%E4%B9%9F%E5%AD%90%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%9D%E3%83%B3
wikiに登場〜!

199 :
この人、10数年前のヴィックスドロップの「♪ばーかばーかエヘン虫」ってCMに出ていた女や、
今は亡き、積み木崩しのモデルの穂積隆信の長女に似てた。

200 :
オープニングのフリーダムが当時懐かしかったなあ

201 :
篠原美也子文庫、懐かしすぎです!!また読めて本当にうれしいです。
あと3作、よろしくお願いしますっ!

202 :
闇に支配されている院内の廊下の先は、悟達にとって永遠の空間に思えた。
どこまでも響く3人の足音。
湧き所が不透明な、生暖かい空気。
唯一、彼らが確信を持って信じられるのは、
懐中電灯の灯が照らし出す闇から逃れた現実だけだった。
そして、ひとかたまりとなって闇をかき分けながら進んだ一行は、
錆び付いた505号室の扉の前で立ち止まる。
「ここが幽霊少女の病室だったらしいぜ。寄ってくか?」
健太郎が爛々とした瞳で呟き、智彦と共に悟を見つめる。
「そうだな、何か迫力に欠けてるし、寄ってくか」
強い言葉を吐きながら恐怖をひた隠す悟は、
ドアノブを静かにひねると扉から溢れ出した光に呑み込まれ、
夜の闇に2人を取り残したまま消えた。
勇気を偽った微笑みを口元にたたえながら。
悟は、なぜか昼下がりの病室に呆然とたたずんでいた。
そこに夏の香りはなく、秋の切ない匂いが漂っている。
そして、悟がそこに見たものは、
窓の外の葡萄園を悲しげに見つめているひとりの少女だった。

203 :
ベッドにちょこんと腰掛けたその少女は葡萄園など見てはいなかった。
「理恵でしょ?足音でわかったわ。
 目が見えなくなったから、やけに音が気になるのよ。」
少女が見つめているのは、懐中電灯ひとつない暗闇なのである。
少女は悟の方を向かずにか細い声で続けた。
「理恵、昨日はごめんなさい。
 怒ってる?自分でもよくわかんないのよ。
 死にたいなんて嘘なの。
 ごめん、もう二度と言わない。
 理恵、今急がしいんでしょ?
 無理して毎日来ることないのよ。
 でも、うれしいわ。
 あの、私、とても感謝してるの。
 だから、忘れてね。昨日言ったこと全部。
 ちょっと私おかしかったのよ。
 高みの見物だ、なんて思ってない。
 私が勝手に卑屈になっているだけだわ。
 夕べ、ずっと泣いていたらなんだかすっとして、
 今すごく楽しい気分なの。
 だから、大丈夫。」
少女のふわふわした話し方は、悟の背中を寒くさせた。
「ねぇ、理恵、屋上行こうか。
 今日は気持ちいいんじゃないかしら。
 甘い匂いがするわ、葡萄の。」

204 :
「おい、どうなってんだよ?」
健太郎は智彦と顔を合わせる。
お互いの情けない顔に嫌気が差す。
「悟が…」
智彦がそう言いかけたとき、閉ざされたドアのノブがガチャリと音を立てた。
「ひっ」と二人は同時に後ずさり、壁に背中を打ちつける。
悟だ、悟に違いない、そう思いながらも、ドアがゆっくり開けられると、
二人は叫び声を上げて逃げ出してしまった。
振り返ることなど出来ない。
恐い。
悟なら声をかけてくるはずだ。
二人がごちゃごちゃの頭を抱えて階段にたどり着くと、
下の階から何者かが上ってくる音が聞こえる。
「嘘だろ…」
泣きそうになりながらも、二人は上りの階段を走っていく。
「ちょっと、この上って…」
五階建ての病院。
つまり、この上は幽霊が出るという屋上だ。
「やだよ、俺」
泣き言を言う智彦に、
「俺だって!」
と健太郎は怒鳴る。
音に追い立てられて屋上の扉を開けた二人は転がるように屋上に出た。
そこに待っていたのは、夜の雨ではなく、天高い秋の昼下がりだった。

205 :
あれー?タイトルが文字化けてる・・・orz

206 :
テープ探したら1本出てきた。
その日、東京は過去最高の真夏日で最高気温を記録したらしく、
いきなりオープニングで、鍋焼きうどん食ってた…。
この人、ラジオでものすごくテンションハイなのな。

207 :
>206
ライブのMCもテンション高いよ。昨日のライブはよかったなぁ。

208 :
この「妹」の時のBGM。なんだっけ?
ある意味あれを聞くと痺れる・・・。
昔カセットを買い込む金があれば、録り溜め出来たのに。

209 :
2人は座り込み、恐怖で震える体を寄せ合い、ドアを見つめた。
悟と少女が現れた。
健太郎は喋ろうとしたが、声が出ないことに気付いた。
悟も智彦もそのようだった。
ふと、少女が口を開いた。
「友達が来てたのね。
 音でわかるわ。
 あとね、あなた達がここに何をしに来たのか。
 そして、あなたが理恵じゃないってことも」
少女はそう言い、手摺に手をついて泣いた。
「ここに来るとね、いつもこうするのよ。
 そのあと、みんなで葡萄園に行くの。
 じゃあ、私は先に行くわ」
少女は手摺を乗り越え、消えた。
3人の体は宙に浮き、手摺を過ぎた。
互いに見つめあう3人は、出ない声で泣いた。
風船のスピードで落ちていく3人を不意に光が包んだ。
ひんやりとした地面に彼らは横たわっていた。
互いに目が合う。
3人はわけもわからず笑った。
アメは嘘のように止み、月が出ている。
そして、その月明かりが照らしだす見覚えのない一房の葡萄を見つけたとき、
3人の笑いは凍りついた。

210 :
高三の夏はあっという間にやってきた。
「暑い」「去年とは大違いだ」とセカンドのポジションに向かって走りながら、
18になったばかりの和彦は思う。
雨に祟られた去年の予選。
県内屈指の左腕と評判だった二年生エース松本を擁し、優勝候補の一角にあげられた港高校だったが、
雨中、ぬかるみに足を取られた和彦のエラーによる失点が決勝点となり、二回戦で姿を消した。
トーナメントの厳しさを思い知らされた大会だった。
その後、松本の故障で選抜の夢も破れ、最後のチャンスとなる18の夏、
守備位置に着いた和彦は、軽く屈伸運動をしながらマウンド上の背番号『1』を見つめた。
松本とは中学時代からのチームメートだ。
故障も癒え、今大会では好投を続けている。
去年の痛恨のエラー、和彦は松本にまだ謝っていない。
二人そろって甲子園の切符を手にしたとき、初めて謝れるんだ。
準決勝、甲子園まであと二つ。
球審の手が挙がり、松本が振りかぶった。

211 :
1回の表、松本はあっさり三人で片付ける。
その裏、1アウト1塁。
3番の和彦の打席。
気追い込んだ和彦の打った球は、セカンドの正面へ。
(しまった)
それでも併殺だけは避けようと1塁へ走る和彦の目の片隅に、
打球がセカンドの手をすり抜けていくのが映った。
スコアボードに「E」が点く。
1塁ベース上で小さなガッツポーズをし、2塁を見ると、
目が虚ろなままのセカンドがグローブに目を落としている。
去年の自分がダブり、和彦は胸がチクリと痛む。
和彦の一打がきっかけとなり、1回の裏は打者9人の猛攻で5点を取り、
試合は半分決まっていた。
6回に7点目を取り、完封ペースの松本を替える余裕を見せる。
和彦も4打数2安打。うち一つは追加点を上げる2塁打の活躍。
7対2でゲームセット。
挨拶の整列に向かう和彦に、ライトに入っていた松本が声をかけてくる。
「明日も頼むぞ」
「ああ」
そう、明日。明日勝てばやっと・・・。
和彦は松本に謝れるその日が来るのが嬉しかった。

212 :
懐かしいねえ・・・
どっかで文庫聞けないかなあ・・・
常連のコテだったよ・・・・
美也子姉さん、もうこんな歳にお互いなっちまったな。

213 :

ttp://www.tbc-sendai.co.jp/02radio/miyako/real/060521.ram
ttp://www.tbc-sendai.co.jp/02radio/miyako/real/060528.ram
ttp://www.tbc-sendai.co.jp/02radio/miyako/index.html
まぁこんな感じで今の声を聞いてると、ANN当時の自分にフラッシュバックするよ。
ドイツワールドカップとか巻のサプライズ選出とか彼女の口から聞いてるとしみじみだ。
今でも元気をもらえることに感謝してるよ。

214 :
篠原復活させろ、ブス。
ブスのくせによくそんな歌歌えるな。
なんて葉書を東子さんの所に送り続けた奴がいたな。

215 :
「和彦君」
試合後、球場をあとにし、帰宅しようとする和彦を呼び止める声がした。
和彦と同級生でマネージャーの真紀だった。
「おお、何か用か?」
「ううん、別に。駅まで一緒だから」
真紀は小さな体に大きなバックを重そうにぶら下げて
和彦の隣にちょこんと並ぶ。
「とうとうここまで来ちゃったね」
「ああ、ここまで来たら絶対勝つさ」
「頑張って。絶対、絶対勝ってよね」
短い会話の中に、和彦は真紀の3年分の熱い思いを感じていた。
この3年間、ナインと共に喜びや悲しみを分かち合い、
どんなときでも影になり日向になり、
和彦達を支えてきた真紀への感謝のしるしとして。
真紀に最高の18歳の夏をプレゼントするためにも、
明日勝って、絶対に甲子園に行かなければならない。
意気に感じた和彦は、真紀に親指を立ててみせる。
さっきより少し大きな声で言った。
「ああ。絶対、絶対、絶対勝つよ」

216 :
全てが懐かしい

217 :
8回の裏、汗が滑り落ちる。
火照った顔の、唯一、頬だけがなぜかゾクッとする。
松本は結局黙ったままだった。
「馬鹿」
和彦はセカンドポジションに向かいながら自分を罵る。
この回の表、港高校の攻撃。
電光掲示板には「0」が並んでいた。
松本はそこにどうしても「1」を出したかっただけなのだ。
相手校には初回の1点がある。
焦っていたのだ。
いつものなら、あいつは3塁で止まっていたはずだ。
ベンチに戻った松本は隣にドカンと腰掛け、泣き笑いの表情で口を開いた。
「俺、余計なこと・・・」
「去年は悪かった。ゴメン。」
自分でも驚いた。
松本の言葉を遮るために、その言葉は早くもポトリとこぼれた。
去年の自分のエラーに触れまいとするあの饒舌な沈黙が大嫌いだった。
もっと早く謝ることなどいくらでもできた。
だけど、待っていた。
何もかもわかっていたから。
和彦は守備位置に着いた。
ここを押さえたら、そのあとは最後のチャンスの最後のチャンス。
和彦はピシャリと自分の右頬を叩いた。

218 :
大歓声が消えた。
ぎらぎらの太陽、情熱に、熱い汗、ダイヤモンドダストのような砂埃。
「お疲れさま」
赤い目をした真紀が、大声で、明るい声で和彦達を迎える。
「おまえ、笑顔は違うだろ」
そういう和彦も笑っていた。
「だって、みんな頑張ったじゃない。すごいよ。」
真紀はそう言うと、急に顔を崩して泣き出してしまった。
その真紀の肩を監督の手がポンと叩く。
「そうだな。みんな良くやった。本当にすごい。本当にそう思う。」
泣いたり、笑ったり、青春そのもののこの場面で、
「次は大学だな」と、松本が和彦に話しかけてきた。
「野球続けるんだろう」
「ああ」
何も考えていなかった和彦は、勢いでそう答えてしまった。
でも、そういえばそうだ。
「だけど、おまえは去年のエラーがあるから推薦はないな」
「おまえだって、今日のオーバーランは何だよ?」
「俺はピッチャーだから」
そう言って笑う松本の胸を、和彦はトンと叩いた。
そして今度の野球はおまえとの対決だ。
Fin.

219 :
それじゃあ、次のハガキいってみよう。
えーっと、住所はないね。
ペンネーム、トキオ君、16歳。
『美也子さん、こんばんわ。
 どうしても聞いて欲しいことがあって、初めてハガキを書いています。
 美也子さん、普通って何でしょう?
 僕は1年半前の事故がもとで、左足が不自由になりました。
 実は、この番組を聴き始めたのも入院中眠れなかったある晩です。
 得意だったサッカーはおろか、走ることすらできなくなった僕を見て、
 まわりの人たちは口々に言いました。
 「普通なら一番楽しい時期なのに……」
 それ以後、あちこちで同じ様なことを言われます。
 美也子さん、普通って何でしょう。
 ゆっくりだけど、最近歩けるようになって僕は生きていくことに夢中です』
ふーん、そっかー、普通ね。
あんまりにもよく使っているから、逆に難しいよね。
あたしもいろいろ思うことあるけど、とりあえずみんなも意見あったら教えてよね。
秋だから考え事もいいんじゃない?
おっと時間だ、じゃ、宛先いっちゃおうかな。

220 :
これをもって最終回だっけ?

221 :
えーっと、先週のトキオ君のハガキに対して意見が何通か来てたから、
その中の一通をここで紹介するね。
『あたし、普通って言葉もトキオみたいな奴も大嫌い。
 あたしって本当、普通を絵に描いたような人生を今まで生きてきて、
 そんな自分が嫌いで、いろいろ抵抗してきたつもりだけど、
 何をしても誰かに似ているようでいつも不安だった。
 この間、某ラジオ番組のパーソナリティーが目の不自由なリスナーに
 頑張れって、治ったら俺のライブ見に来いって言ってた。
 そんなこと言ってもらえたのも、トキオのハガキが採用になったもの
 結局、ちょっと普通じゃないからじゃない。
 ずるいよ、結局、あんた達、それを利用しているのよ。
 何万人もの女の中で、普通の一人でしかないって思い知らされる奴の気持ち、
 あんたにわかる?』
うーっと、これは香川県の佳子ちゃんからだったんだけど、かなりきつい意見だね。
でも、あたしもその気持ち少しわかるかなーなんて。
まだまだ引き続き他の意見待ってるよ。
じゃあ、ここで一曲。

222 :

途中にスマソ
そうそう、これ憶えてる。思い出した。
途中、目の不自由な、のくだりですごくドキッとしたのを思い出した。

223 :
『普通の定義付けをして何になるのでしょう。
 普通であるか、普通でないか、その境目を決めてどうなるというのでしょう。
 あなたは普通です、だったらどうですか。
 あなたは普通じゃありません、だったらどうですか。
 自分が普通なら安心するのでしょうか。
 自分が普通でなければ悲観するのでしょうか。
 それともその逆でしょうか。
 無い物ねだりであることがわかっているんでしょう。
 誰もが普通に生きている、そう思うことはできませんか。
 普通の人間なんて一人もいない、そう思うことはできませんか。
 普通の定義付けをして何になるのでしょう。
 誰かを傷つける材料にするのですか。
 自分を傷つける材料にするのですか。』
これは、うーん、男の人の字じゃないかしら?
住所も名前もペンネームもないんですが、気になるハガキだったんでね、
今日は最初からこの問題を取り上げてみたんだけど、
えっと、ちょっと待ってね、CMの後も続けます。

224 :
で、さっきのハガキ。
普通でなぜいけないのか、普通をなぜ受けとめられないのか、
普通は自分を守るためのものなのか、傷つけるものなのか、
そういう内容のものだったと思うんだけど、
これは先週の香川県の佳子ちゃんの、
『私は普通である。
 普通でない人は普通でないことを利用して甘えている。
 それはずるいことではないのか』
という意見を受けてのものだと思うんだけど。
ま、事の発端を申しますと、16歳のトキオ君。
彼は事故で左足が動かなくなって入院中、家族の人とかに左足のことを含めて、
普通という基準で自分を評価されることが多くなった。
でも、その普通って何々だろうという話から始まってて。
この番組でもそれに対して意見を募集したり、紹介したりしてたんだけど、
やっぱり人それぞれの意見で。
あえてね、あたしは今まで、
あたし自身の意見はなるべく言わないようにしてきたんだけど、
今日はね、あたしの意見も少しだけ聞いてもらっちゃおうかな。

225 :
いや、あたし別にまとめるつもりないんだけどさ、
実は今週トキオ君からハガキ、手紙来てて、
彼、驚きながらちょっと照れて、とても感謝してたよ。
きっかけは、彼の普通って何?っていう問いかけで、
でも、実は彼、その手紙で同時に答えも出してたんじゃないのかな?
『僕は生きていくことに夢中です』っていう一言覚えてる?
そのあと、彼の問いかけにたくさんの意見が寄せられて、
ひとつも同じものはなくて。
佳子ちゃんの激しさも、名無しさんの切なさも、
正しいとか間違っているとかじゃないし、押しつけるの嫌だし、
それぞれがその人の100パーセントを夢中で生きていく、
ただそれだけのことがなんて難しいんだろう。
でも、そうありたいと願い続けることはなんて素敵なことなんだろうって思った。
後ろ姿がたくさん見えたよ。
あたしもそのひとつでありたいと思った。
そして、その後ろ姿にあたしは親愛なるって言葉で呼びかけたいと思うのよ。
たくさんの意味で、ありがとう。
みんなすごくカッコ良かったよ。
Fin.

226 :
長きに渡ってお疲れ様でした。
このスレはこの後どうなるかな?

227 :

お疲れ様でした。
タイムスリップってこういうことかなといつも読みながら思ってました。
深夜というか早朝というか、布団にくるまって聞いていたあの時がよみがえってました。
スレは、幸せなことにネットで今の声も聞けることだし、このままだらだらと、かな。
今語りでも昔語りでも集う人がいる限り何かしら話題出てきそうな気がします。

228 :
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR篠原駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―

229 :
3ヶ月近く書き込みがなくても落ちないのか。

230 :
先週土曜日に谷山浩子がANN-Rで一晩だけ復活
篠原美也子とか橘いずみ(旧姓)の番はあるのかな?

231 :
>230
谷山浩子に比べると知名度がイマイチだからなぁ。

232 :
そういえば最終回録音したのとってたかも、って思い出して押入れ探したら出てきた!
厨房だった頃の思い出が色々とよみがえってきて、泣けた。

233 :
>232
もう干支が一回りしたからな。

234 :
>>233から約3ヶ月半
>>1から約3年半
落ちないもんですねぇ〜

235 :
>>234
ほんとだw
なんてねばり強い。さすが姐御スレw。

236 :
石川よしひろが深夜のネット配信してるのは何か時代を感じた

237 :
とっとと埋めろカス

238 :
やだねw このまま10年続けてやるww

239 :
CM中にネット局で流れてたインスト曲の名前わかりませんかねえ。
ミュートギターのメロのやつとか好きで、いまだに頭から離れない。

240 :
質問日時: 2007/4/28 01:51:18 解決日時: 2007/5/12 03:22:18 質問番号: 11,438,452
自分の職場に、見るからにとても気が強い女性がいます。 そんな女性の彼氏として...
自分の職場に、見るからにとても気が強い女性がいます。
そんな女性の彼氏として務まるのは、やっぱり女性慣れしていてリードできる男性だろうな、と思っていたのですが、何と誰が見ても物静かな雰囲気の男性でした。
正直、「これだけ気が強い女の子の彼氏って、どんな人なんだろう・・・」と思っていたのですが、とてもビックリです。
自分の考えは偏見だったでしょうか?
回答日時: 2007/4/28 01:59:28 編集日時: 2007/4/28 02:00:59 回答番号: 36,785,555
気が強いからこそ、物静かな男性と付き合うんじゃないのかな。結構私の周りもそういう組み合わせ多い。
「引っ張ってほしい」っていう男の人が、気の強い女性に惹かれるんじゃないかと思う。
本当に気の強い女性は、相手にリードされることを嫌うと思うよ。自分の考えで行動するだろうから。
ま、見た目が気が強そうでもそんなことない人もいるし、見た目だけで気が強そうって思ってるなら、そういう点では偏見だけどね。
回答日時: 2007/4/28 23:00:19 回答番号: 36,806,435
きっと普通はあなたのように思う人が多いでしょう
が!
人は自分にないものを求めてしまうのです。
彼女は気の強い性格なので、物静かな雰囲気の男性がどうしても
気になってしまったのでしょう!
心理的に見ても、これは当然の結果だと思いますけどね〜

241 :
「your song」15th anniversary selection 2001-2008
あなたが書かせてくれた。そして、あなたの歌が、きっと、ここにある。
そんな思いを込めた、デビュー15周年記念セレクションアルバム。
バンドサウンドのRED DISC、歌とピアノだけのBLUE DISC、
どちらもどうしようもなく、篠原美也子。
2008.4.21 RELEASE
DDCV 1012-13 \4,200(tax in)
「SPIRAL」15th anniversary edition
デビュー10周年を記念して03年に制作された、
歌とピアノだけのセルフカバーアルバム「SPIRAL」に、
新録を加えたデビュー15周年記念エディション。
何もなくて、すべてがある。
マスターに、そしてビギナーに贈る、篠原美也子決定版。
2008.3.26 RELEASE
DDCV 1010-11 \3,800(tax in)


242 :
hosyu

243 :
age

244 :
あげる

245 :
 

246 :
銀幕のスターは

247 :
昨日、夜中に何気にテレビを観たら、中村あゆみが出演してるTVがあって、
尾崎豊の「シェリー」を歌ってた。
翼よりも、感動した。
シェリー(中村あゆみ)音源のみ
http://jp.youtube.com/watch?v=g7md-LOFMeY

248 :
MIYAKO LONDON

249 :
ほしゅ♪

250 :
ハガキよく読まれていたデンジャラスK君って元気かなあ。
当時大学受験生だった私は32歳になりましたよ。
篠原さん、河よりもゆるやかに〜を最後に聞かなくなっちゃったけど、間違いなくデビュー作から4枚めのアルバムまでは私の青春でした。

251 :
>>250
懐かしい名前だなぁ。。
俺も、しばらく聴いてなかったけど、夜間飛行でまた聞き直し始めた。
やっぱ、この人いいよ。

252 :
誰の様でもなく

253 :
新譜はまだかな

254 :
シェリー
俺は歌う
愛すべきものすべてに・・

255 :
ひとり 大好き。

256 :
川村カオリが死んじゃったよ
篠原が「sラみたいにホテルのキーを回していた」
と語っていたのが昨日のことのようだ
合掌

257 :
合掌

258 :
もう放送してたの15〜6年前なんだなあ・・・

259 :
しかし3年半たって60レスしか進んでないのかw

260 :
('-')

261 :
podcastにあのころの匂いがまだ残っているな。
本質が変わらないのは嬉しい

262 :
なんか、篠原美也子文庫をもう一度聞きたくなった・・・

263 :
受付中

264 :
あけおめ

265 :
熱いからだ。

266 :
midomiとかShazamとかある、こんな世の中ですが

267 :
ありふれたグレイは神曲

268 :
聞けば聞くほど味がでるね

269 :
金なぁ

270 :
あっこれも聴いてた 南野陽子から篠原美也子まで 幅広いな〜僕

271 :
おお

272 :
遠距離リスナーだったよ。
無我夢中で聞いてたよ。

273 :
いわゆる「昔の」深夜放送だけど、
今聞くと却って新鮮。
またやってくれないかな

274 :
キモい中年親父の懇願


275 :
約4ヶ月ぶりのレスにすぐさま悪口とか、どんだけひねくれてるんだよw

276 :
http://hissi.org/read.php/rradio/20120827/OER1Q2xRTW8.html

277 :2012/09/23
中島みゆきの二番煎じみたいんだった。
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