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2013年05月創作発表96: 非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Part33 (211)
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非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Part33
1 :2013/02/11 〜 最終レス :2013/04/28 1999年刑行された小説「バトル・ロワイアル」 現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが この企画では非リレーの形で進めていきます。 基本ルール ・書き手はトリップ必須です。 ・作品投下前の登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などの発表は書き手におまかせです。 ・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。 ・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。 ・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。 ・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。 ・「〜ロワイアル」とつけるようになっています。 〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。 ・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!! 前スレ 非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part32 http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1345428436/l50 非リレー型バトルロワイアルwiki ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
2 : >>1 スレ立て乙です! ではさっそく投下したいと思います。
3 : 21話 Rらなのにも理由はある 灰色の毛皮に長髪を持つ猫獣人の少女、君塚沙也は酷くR乱だった。 野外露出、被強姦、被輪姦、R、更には自分の携帯番号と住所を自分の痴態を写した写真と共にネットに載せるなど、 自滅行為に等しい事も平気でやっていた。 しかし、それでも彼女は普通に学校に通い、友達も多い。 両親はいない。 まだ赤子だった彼女を残して蒸発してしまった。 8歳まで孤児院で過ごし、以降は叔父夫婦に引き取られる。 叔父夫婦は決して沙也に対して冷淡では無かったが深く愛情を注いでいた訳でも無く、 沙也は孤独を感じ、いつしか、仮でも良いから愛情を求め身体を男の欲望に晒すようになった。 Rらになっていく姪を叔母夫婦はどうして良いか分からずただ見守った。 男に媚びる事により、孤独を紛らわしはするが精神は決して強く無く、精神安定剤を大量に服用したり、酒を大量に飲んだり、 誰も見てない所で手首を切ったり首を吊ろうとしたりする事もあった。 君塚沙也は捕まえた一人の男を路地裏に連れ込み行為を迫っていた。 「ヤろうよヤろうよヤろうよ」 「こ、こわいって」 制服をはだけさせ露出した豊満なR房を男の身体に擦り寄せ、スカートをたくし上げ濡れたそこを強調するが、 男――石川信泰は一行に行為に応じようとしない。 「何でよっ! こうすればいつもは男は無理矢理にでも私を犯してくれるのに! ちゃんと私のRとかあそことか見てよ、エッチでしょ? 欲情するでしょ? ねえ」 「いや、あのさ、俺さ、あんま度を超えたビッチは勃たないんだわ……いくらスタイル良くてもな、 それを見せびらかして恥じらいも無い女って趣味じゃねえんだわ……」 「……ッ!」 信泰の言葉に沙也は大きくショックを受ける。 自分の身体で欲情しない男なんて今までいなかったのに。 ちょっと誘えばもみくちゃにしてくる男ばかりだったのに。 自分の身体ではこの男は欲情しないのか。 沙也はとても悔しくなった。 「嫌、そんなの認めない! 私に欲情しない男なんて! 意地でもその気にさせてやる!」 「お、おいおい、待てお前うわああぁあ」 ズボンを下ろそうとする猫少女を制止しようとする信泰。 だが沙也の力は予想以上に強く攻防戦が続いた。 「ん?」 ズボンの攻防戦の最中、信泰は表通りの方に何かがいるのを見付ける。 沙也はまだ気付いていないようだが、それはほぼ全裸にベルトとニーソ手袋と言ういでだちの青い狐の女性だった。 また変態女かと信泰は一瞬思ったがどうも様子が変だ。
4 : 「あはははっ、おふたりさんお盛んねー」 「! 何よ邪魔しないで!」 「いやいや、ちょっと待てお前、あいつ何か様子が……」 「突然で悪いけど〜死んでくれるぅ?」 青狐女性は右手に持っていたリボルバー拳銃を二人の方へ向けた。 「「!!」」 流石にこの時沙也も我に返った。 ダァン!! 銃弾は二人の頭上にある看板の一部に当たる。 「やっべ、これやっべ、逃げるぞ沙也!」 「言われなくてもすたこらさっさだぜぇぇえ」 「逃げないでよぉ〜」 路地裏の奥へ逃げる二人を追って青狐女性は笑いながら走っていった。 ◆◆◆ 先程青狐女性がいた通りとは別の通りに信泰と沙也は出る。 走ってきて乱れた呼吸を二人は整える。 「ハァ、ハァ、ハァ……危ねーとこだった」 「ゼェ、ゼェ……すっかり殺し合いの最中だって事忘れてたわ」 「忘れんなよそれは……」 「……いつか絶対私に欲情させてみせるからね信泰さん」 「それより殺し合いから脱出する方法探すのが先だと思うけどな……」 「それもちゃんとやるわよ!」 「……取り敢えずRしまってパンツはけ」 「……」 むすっとしながら沙也は制服を着直しパンツを穿き直した。
5 : 【E-5/駐在所付近の市街地/早朝】 【君塚沙也】 [状態]健康 [装備]??? [持物]基本支給品一式、??? [思考] 基本:殺し合いから脱出したい。 1:絶対信泰さんを欲情させたい。 ※ヘレン・オルガの容姿のみ記憶しました。 【石川信泰】 [状態]健康 [装備]??? [持物]基本支給品一式、??? [思考] 基本:殺し合いはしない。脱出手段を探す。 1:沙也と行動。 [備考] ※ヘレン・オルガの容姿のみ記憶しました。 ◆◆◆ 「あーあー逃しちゃった」 青狐女性、ヘレン・オルガは獲物を見失った事に落胆する。 発狂していても落胆は出来るものだ。 「まあいいや、次いこう次! あはははははは」 相変わらずのテンションのままヘレンは次の獲物を捜し始めた。 【E-5/駐在所付近の市街地/早朝】 【ヘレン・オルガ】 [状態]発狂、失禁、ハイテンション [装備]S&W M3ロシアンモデル(0/6) [持物]基本支給品一式、.44ロシアン弾(12) [思考] 基本:とりあえず目に付いた人から殺していく。 1:あははははは [備考] ※君塚沙也、石川信泰の容姿のみ記憶しました。
6 : 《人物紹介》 【君塚沙也】 読み:きみづか・さや 灰色の毛皮と長髪を持ったやや人間よりの猫獣人の少女。16歳。高校一年。 両親に赤子の時捨てられ8歳まで孤児院で育ち、その後は叔母夫婦に引き取られる。 叔母夫婦からは最低限の接し方しかされず愛情に飢えいつしか身体を売ると言う形で(偽物だとしても)愛情を得るようになる。 次第にエスカレートしていき生来のグラマラスな身体もあいまって酷いR乱少女と化してしまい、 Rは愚か被輪姦強姦、野外露出、自分の個人情報をネットに晒す等自滅行為をするようになる。 普段は明るく振る舞いそれなりに友人も多いが、自分の身体で欲情しない男はいないと思い込んでおり、 誘いを断わられると取り乱したり逆上したりする一面もある。 精神的に不安定でもあり精神安定剤をたまに服用している。喫煙はしていないが飲酒はしている。 誰の目も無い所で自傷行為(リストカット)や自殺未遂(首吊り)を起こしたりもしている。 【石川信泰】 読み:いしかわ・のぶやす 大学生の青年。20歳。髪を金色に染めピアスを開けている等今時の若者風な外見。 いい加減かつ怠惰な性格だが、時折正義感が強い時もある。 清楚な女性か明るい女性が好みであまり性に奔放過ぎる女性は守備範囲外らしい。 学業の成績は非常に良いが素行の方がいかんせんよくないため霞んでいる。
7 : 投下終了です。
8 : 投下します。
9 : 22話 死ぬのか生きるのか淵を行ったり来たり 銃撃された腹からは止めどなく血が流れ落ちる。 止血しないといけないのは分かっているがそんな道具はどこにも無い。 ふらふら、ふらふらと、生気の抜けた顔で看護師の女性、南遊里は森の中を歩いていた。 先刻同行者を殺した猫の少年からは逃げられたようだがこのままでは出血多量で死ぬ。 「はぁ、はぁ……」 目が霞む、足に力が入りにくくなってきている。 確実に血が失われている。 ばた。 遊里は転んで倒れ込んでしまう。 「お、起きなきゃ……」 起き上がろうとするが上手く身体に力が入らない。 立ち上がれないのだ。 意識も遠のいているような気がする。 ああ、ここで死ぬのか、と遊里は諦念を抱いていた。 それもいいかもしれない、無残に殺されるよりはここで眠るように逝く事が幸せかもしれない、とも思っていた。 「う……う……」 夜勤明けで疲れきって酷く眠い時の感覚に似ていた。 このまま眠ればこの殺し合いからも解放されるだろうか。 遊里はそのまま目を瞑り意識を手放した。 倒れた遊里の傍に一人の影が立ったのだが彼女はそれには気付かなかった。 ◆◆◆ 「……?」 遊里は目を覚ます。 どうやらまだ自分は生きているらしい。 非常に気だるく頭がぼーっとするが、とにかくまだ命はあるようだった。 「気が付いたか」 「あ……」 見上げると、黒い毛皮の獅子獣人の男が立っていた。 白衣を着ているがその下は軍服だ。 記憶が確かなら、海軍の士官制服だったと思うが。 「一応、止血処置をして包帯は巻いておいた。だが、まだ安静にしてた方が良い」 「あ、ありがとうございます……あの、あなたは……」 「……添津武吉。海軍で軍医をやっている」 「軍医……」 「君の名前は?」 「南遊里です、看護師をやっています」 「そうか……君の傷は銃創だが、何があったのか良ければ聞かせて貰えないだろうか」 「はい……」
10 : 自分を治療してくれたのだから信用しても良さそうだ、と、遊里は今までの経緯を武吉に話す。 石清水成道と言う猫の少年に遭遇し、その少年が殺し合いに乗っていて同行していた竜錬アイが殺害され、 自分も重傷を負わされたがどうにか振り切ってきた事。 竜錬アイの友人の狐閉レイナと言う人が機械に詳しいらしく、もしかしたら首輪を外せるかもしれないと言う事。 ――実を言うと、もしかしたら最初に撃たれた時点ではアイはまだ生きていたかもしれないが、 自分は恐怖に駆られアイを置いて逃げ出してしまった。あの状況でアイが生き延びられた可能性は限りなく低いだろう。 非難されるのを恐れて遊里は余り正直には話せなかった。 「そんな事があったのか……災難だったな」 「はい……」 「私もこの殺し合いを潰したいと思っているんだ、良ければ一緒に行かないか」 「そ、添津さんが良ければ」 「分かった……ところで、武器になりそうな物を持っていないか?」 「武器、ですか? いえ、私の支給品、ゴボウだったんで」 「ゴボウ」 「10本入ってます、バッグに」 「……」 確認してみると確かに太いゴボウが10本、遊里のデイパックに入っていた。 叩かれれば痛いだろうが致命傷は到底負わせられないだろう。 主催者はこんな物を渡して一体どうしろと言うのか。 「私の支給品は君を治療するのにも使った医療キットだったからな、武器になる物が欲しいと思ったんだが」 「すみません……」 「いや、君が謝る事じゃないが……何にせよ君はしばらく動かせない、しばらくここにいよう」 「はい……」 処置したとは言え遊里はまだ下手には動かせない状態だった。 もうしばらく様子を見る必要がある。 武吉と遊里は危険ではあったが今は森の中でじっとするしか無かった。
11 : 【E-6/森/早朝】 【南遊里】 [状態]腹部に被弾(処置済)、貧血気味、精神疲労(中)、地面に寝かされている [装備]無し [持物]基本支給品一式、ゴボウ(10) [思考] 基本:殺し合いはしない、生き残りたい。 1:添津さんと一緒にいる。 2:首輪を外せそうな人を捜す。狐閉レイナさんを特に。 [備考] ※狐閉レイナの情報を得ました。 ※石清水成道を危険人物と認識しました。 【添津武吉】 [状態]健康 [装備]無し [持物]基本支給品一式、医療キット [思考] 基本:殺し合いはしない。脱出手段を探す。 1:南遊里を保護。 [備考] ※狐閉レイナの情報及び石清水成道の外見の情報を得ました。 《人物紹介》 【添津武吉】 読み:そえづ・たけよし 海軍軍医少佐。40歳。黒い毛皮の獅子獣人で眼鏡をかけている。 冷静かつ穏やかな性格で医術の腕も確かなため信望は厚い。 既婚で娘が二人いる。
12 : 投下終了です。
13 : 投下します。
14 : 23話 過程とかそういうのは吹っ飛ばしたい 「迷った?」 森の中を歩いていた青猫の少年石清水成道は嫌な予感を感じそれを言葉で表した。 「い、いや、まだ迷ったと判断するのは早計だ」 その予感を否定し、少年は歩みを続ける。 ダァン!! 「!」 突然の銃声と同時に成道のすぐ傍の樹木に穴が空く。 動きを止める成道。 辺りを見回すと、10メートル程離れた所の太い樹木の陰からライフルらしき物を構えた、 露出の高い格好の兎獣人の少女の姿が見えた。 女性はライフルを構えたまま成道に近付く。 そしておよそ2メートル程までお互いの距離が縮まった所で兎少女は口を開き始めた。 「私は殺し合いに乗ってるけど、あんたは?」 「……乗っている」 隠す必要も無いと考え正直に成道は答える。 「ふうん」 「……」 「誰か殺した?」 「……一人」 「へえ。私はまだ」 「……」 「唐突だけど、手ェ組まない?」 「え?」 唐突過ぎる兎の提案に成道は目を丸くする。 「唐突にも程がある」 「まあ聞きなって。一人より二人の方が色々やり易いと思うよ」 「……全然説明になってない。それに、優勝出来るのは一人なんだぞ」 「最後の二人になったら、どっちが生き残るか決めればいいじゃん。 一人で不特定多数Rより確実だと思うんだけど?」 「……」
15 : 成道は考える。 自分の目的は優勝、恐らくこの兎もそうだろう。 いきなり銃撃してきて突然手を組もうなどと言われ信用出来るのかと訊かれれば答えはNOだ。 途中で裏切られる可能性が8割を超える。 だが、この兎の言う事にも一理ある。 この先一人で参加者を倒していくのには相応の体力や武器が必要になるだろう。 一応当たり武器のモーゼル機関拳銃を支給されたとは言え銃弾も無限では無い。 相手を倒す前に弾切れでも起こしたらかなり不利になる。 その時代わりに攻撃してくれる者がいるなら非常に助かる。 「どう?」 「……分かった」 「おおー」 「俺は石清水成道、お前は?」 「ソフィア」 「よろしく。お前から提案したんだから裏切るのはナシだぞ」 「そっちこそ裏切ったら頭パーンってするからね。よろしく」 こうして奇妙な同盟が誕生する。 【F-6/森/早朝】 【石清水成道】 [状態]健康 [装備]モーゼルM712シュネルフォイヤー(7/20) [持物]基本支給品一式、モーゼルM712シュネルフォイヤー予備弾倉(5)、特殊警棒 [思考] 基本:死にたくはないので、殺し合いに乗る。 1:ソフィアと同盟。最後の二人になったらソフィアとやり合い優勝者を決める。 [備考] ※南遊里の名前と容姿を記憶しました。 【ソフィア】 [状態]健康 [装備]SVT-40(9/10) [持物]基本支給品一式、SVT-40の弾倉(3) [思考] 基本:優勝狙い。 1:成道と同盟。最後の二人になったら成道とやり合い優勝者を決める。 《人物紹介》 【ソフィア】 冒険者。白い兎の獣人で、グラマー体型。18歳。 その美貌に関わらず大斧と大口径ハンドガンを扱うパワータイプの戦い方が得意。 旅の資金稼ぎのため身体を売る事もある。
16 : 規制されたそうなので、代理で投下終了です。
17 : 投下、代理投下乙です。 怒涛の三連投下…。 では自分も投下します
18 : それは、そこにいた。 闇に身を包み、闇を支配する男。 男は頭に被ったパーカーの奥から、場を見詰めていた。 冷静に、冷徹に、男は灰色の頭脳を回す。 己の目的を達成させるための、最短のルート。 その思考に倫理は存在しない。 男は自覚しているから。 自分に倫理観は必要なく、人道という概念は当てはまらない。 何故なら、自分は他を破壊しつく病原(ウイルス)だから。 人間社会すらも破壊する、最強のウイルス。 それが自分。 自分はアレックス・マーサーではない。 その姿・人格を模倣しただけの存在。 だから、突き進め。 己の道を。 破壊の道を。 破滅の道を。 立ちふさがるならば、全てを取り込み蹂躙するだけだ。 止めてみろ。 止められねば、全てを破壊する。 ◇ 探偵・左翔太郎は暗闇の森林で立ち尽くしていた。 ハードボイルド風に構えながら、思考する。 殺し合いの目的。 先ほどのオジマンディアスとやらは何を目的としてこのようなことを行っているのか。 多数の人間を拉致して殺し合いを行わせるという余りに異常な事態。 さすがの翔太郎も考えずにはいられない。 考え、考え、考える。 だが、その作業自体はそう長くなるものでもなかった。 思い至ったからだ。 考えるのは自分の役割ではない。 自分の、左翔太郎の役割とは行動すること。 場を歩き回り情報を集め『相棒』へと必要な情報を提供する。 それこそが鳴海探偵事務所が誇る名探偵―――その片割れが使命だ。 左は『相棒』を心の底から信頼している。 だからこそ、この手段こそが正解だと微塵の疑いも持たずに行動できる。 「さて、いっちょやってやるか」 左が行動を開始する。 暗闇の森林に向けて足を踏み出し、殺し合いの打開をすべく歩き出す。 その時であった。 一陣の風が吹き抜け、左のシルクハットを掠め取った。 左にとってその頭を飾る帽子とはとても重要な意味を占める。 「あ、おい!」 ハードボイルドの欠片もないリアクションとともに左が帽子を追って駆け出す。
19 : 幸い帽子は、木々などに引っかかることもなく左から少し離れたところへと落ちた。 安堵を浮かべて走りより、帽子を掴もうと体を屈める。 そして、その行動が―――左の命を救った。 「……あ?」 寸前まで左の上半身があった位置にそれは飛来した。 身を屈めた左の真上を通過したそれは、その先にあった木々を容易くへし折り、地面に転がす。 静寂にあった場に、木々が倒れる轟音とそれにより巻き上がった砂煙が立ち込めた。 左は何が起きたのか理解ができずに呆けている。 ただ、自分が危機的な状況から九死に一生を得たということだけはボンヤリと把握する。 左に殺到したそれは、黒色の塊であった。 夜の暗闇の中でも尚分かる、闇を更に凝縮し塗り方めたかのような洗練された黒。 黒は、まるでそれが生き物か何かのように蠢いていた。 「避けた……か」 声が、聞こえる。 黒が殺到していきた方角から、声が。 低く、冷たい声だというのが左が感じた最初の印象であった。 木々の陰から現れたのは、灰色のパーカーを深く被った男。 左を襲った黒色は、本来男の右腕があるべき箇所から放たれていた。 肩口から噴出したかのように伸びている黒色。 左は男を見ながら帽子を被りなおし、大きく息を吸い、吐く。 謎の黒色を放ち、景観をも変化させるほどの威力の攻撃を繰り出した存在。 その声の主を前に、左は冷静に己を整えていた。 左とてガイアメモリを巡る数多の怪事件を解決してきた熟練の戦士だ。 これまで常人では想像もできないような事態に遭遇し、生き延びてきた経験がある。 明確な脅威を前にして、今さら怖気づくような男ではない。 「はっ、そんな生温い攻撃なんざ俺には当たらねえぜ」 回避できたのは完全に運であるのだが、そんなことは棚に上げて左は大言を吐いた。 帽子の角度を直しながら、人差し指で相手を指差し、余裕ぶった表情を浮かべる。 彼なりのハードボイルドを表したポーズで、左は謎の男と相対した。 「さぁ、次はどんなマジックを見せてくれるん―――うおっ!?」 男は左のハードボイルド劇場に付き合おうとはしなかった。 左を襲った黒色を自身へと巻き戻し、表情も変えずに飛び掛る。 その敏捷性たるや、左ですら目を見張るほど。 男との間にあった距離は一瞬で詰められ、その両腕が振るわれる。 横っ飛びに地面を転がり、回避運動をとる左。 この瞬時の判断力は流石といったところであろう。 「てめぇ! 人の台詞は最後まで聞きやがれ!」 憤慨とともに振り返る左は、その声色とは裏腹に冷静に行動していた。 1歩、2歩と後ろに下がり男から距離を離し様子を伺う。 生身だというのに男の敏捷性はドーパントの域に達している。 腕には覚えのある左であるが、正面きっての戦闘は極めて不利だと感じていた。 とはいえ、その根底にある余裕は揺らがない。 何故なら彼は『切り札』を有しているから。
20 : 相棒となす最強の戦士への変身は、この場ではできなかった。 ロストドライバーはあるのだが、何らかの細工が施されてしまっているのか、装着しても相棒と通じ合う事ができない。 だが、オジマンディアスは気前良く、もう一つのツールを用意してくれていた。 戦う為の、力。 もし相棒が戦えない時、一人であってしても変身を可能とするもう一つの『切り札』。 もう一人の『相棒』ともいえる存在―――それを所有している左は、自身の敗北など露にも思わない。 「やる気なら仕方ねえ。お前がどんなメモリを使ってるのかは知らねえが―――速攻で終わらせてもらうぜ!」 そして、左は『切り札』を取り出す。 赤色のベルトと、手のひらサイズの直方体。 そう、これの二つが彼の『切り札』。 ベルトを腰に装着し、直方体をベルトのスロットへと突き刺す。 ≪―――JOKER―――≫ 同時に電子音が響き渡り、左の周囲に異変が起こった。 宙から現れた黒色の何かが左へと集結し、一瞬の閃光を生み出す。 閃光の後、左の姿は一変していた。 右と左に伸びる二本の角。 黒色に染め抜かれた全身。 全てが黒色の中、昆虫の複眼を思わせる巨大な二つの瞳だけが赤く光っている。 「―――いくぜ」 その黒色の異形から放たれるのは、左翔太郎のキザッたらしい声。 左手をスナップさせ、黒色の異形が黒色の何かを操る男へと突っ込んでいく。 それは戦士であった。 とある街を怪異から守護するための、伝説の戦士。 数多の事件を解決し、数多の強敵を打ち倒し、街を守ってきた戦士。 戦士の名は―――仮面ライダージョーカー。 それはガイアメモリの力を得て変身した、左のもう一つの姿であった。 激突する黒と黒。 ジョーカーの拳が男の頬を打ち抜き、数メートルの距離を吹き飛ばす。 背後の木々に激突し、地面へと叩きつけられる男。 その姿を見下ろしながら、仮面ライダージョーカーは小さく息をつく。 「どうだい。ちょっとは目が覚めたか?」 黒色の異形を操る怪人。 ジョーカーの一撃は渾身のもので手応えも十分であった。 並みのドーパントなら撤退を視野にいれて行動を始める筈だが……。 眼前のそれは、違った。 再び怪人がジョーカーへと飛びかかる。 その様子にダメージは見受けられず、先程と何ら変わらぬ敏捷性をもって襲い掛かってくる。 ジョーカーが注目したのは、怪人の両腕であった。 ジョーカーを殺害する為に振るわれんとしている両腕が、数瞬前までと様子が違っているのだ。 形状が大きく変化している。 先程までは黒色が犇めき合うだけの両腕であった。 だが、今は黒色が腕の形から巨大な鉄球のような形へと変化している。 ドクンと、心拍が跳ね上がるのを感じた。 その鉄球に秘められた威力を察したからだ。
21 : 「くそっ!」 早い、と感じながらも、上体を大きく逸らして鉄球の一撃を回避するジョーカー。 しかし、鉄球は両腕にある。 次いで振るわれた一撃はとても回避しきれるものではなかった。 ジョーカーもまた両腕を掲げて防御の姿勢をとるが―――鉄球は防御の上からジョーカーの意識を揺らした。 「ぐっ……!」 意識が飛び掛ける。 衝撃に両腕の感覚が消える。 異常。異常なまでの威力であった。 ドーパントは愚か、攻撃力だけをとれば仮面ライダーのそれすらも越えている。 もしWに変身できていたとしても、これだけの一撃を受け切れていたかどうか。 単純なスペックではWの半分しかないジョーカーには、あまりに大きすぎる一撃であった。 (なんなんだ、こいつの力は……!) 痺れる腕を引きずって、返しの右脚を振るう。 だが、今度の一撃は空を切るに終わった。 怪物が消えたのだ。 確かに眼前にいた筈だったのに、ほんの一瞬で影も形もなく消えてしまった。 慌てて周囲に視線を送るも、人の姿は見られない。 逃げた? あの有利な状況で? そんな訳がない。 なら、何処だ―――と、そこまで考えたと同時にジョーカーは本能的なところで察知した。 真上に顔を向ける。 上空三十メートルほどの直上に、怪物はいた。 驚異的な敏捷性で垂直に飛んで、まるで消え失せたかのようにジョーカーの視界外へと移動したのだ。 怪物は、どのような原理か上空で静止していた。 鉄槌の両腕を振りかぶって、まるで力を溜めこむかのように身体を震わせている。 次の瞬間だ。 怪物の身体が加速する。 単純に重力に引かれたものでは有り得ぬ程の急加速でもって、怪物が落下してくる。 ジョーカーの動きは殆ど反射的なものであった。 受け身も何も考えずに、横っ飛びに跳び退る。 直後、寸前までジョーカーの身体があった地点に怪物が鉄槌を振り下ろした。 急加速と全体重と、渾身の力が込められていた一撃は、地面を十数メートルに渡って捲りあげ破壊する。 「ぐあっ!」 まるで、それは爆発のようであった。 捲れ上がった地面は礫となって、まるで散弾のような勢いと範囲とでもって周囲を蹂躙する。 直撃を避けたジョーカーも、衝撃の余波と弾け飛んできた瓦礫とに巻き込まれて、宙に浮いた。 ジョーカーとなることで防御力も遥かに向上している左であるが、これには一たまりもなかった。 身体中に突き刺さる礫に今度こそ身体の芯が揺さぶられる。 先程のお返しとばかりに吹き飛ばされる仮面ライダージョーカー。 地面を数回バウンドし、木々に激突して倒れる。 マズい、と思いながら足掻くも、脳を揺らされたジョーカーは立つことすらできない。 持ち前の負けん気で意識を保っているが、それでも眼前の存在にその隙は致命的であった。 一歩、また一歩とゆっくりと近づいてくる黒色の怪人。 怪人の腕は再び変化を見せていた。鉄槌から、今度は刀剣のような形状へと。 闇夜の中でいて歪に煌くそれは、一層の危機感を左へと植え付ける。 だが、動けない。全身に纏うダメージからの回復にはいまだ至らない。 そして、遂には刀が届く間合いに怪人が踏み込む。 振り上げられる刀。 その時、左の胸中に宿ったのは己への怒りであった。 殺し合いの場において、何も出来ずに退場しようとしている自分。 『帽子』を受けついだ男としても、仮面ライダーとしても、何も出来ていない。 こんな所で、『相棒』に全てを押し付けて死ぬのか。 そんなのは―――許せない。
22 : 「う、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 刀が振り下ろされる寸前、振り切れた左の激情が身体を動かした。 四肢を無茶苦茶に動かして、怪人の両足へとタックルをかます。 バランスを崩す怪人に、左はただ思い切り拳を振り下ろした。 が、その拳が届くより先に怪人の前蹴りが鳩尾へと炸裂する。 カウンターの要領で入った蹴りには、上体と下半身とか千切れたのではないかと錯覚する程の衝撃があった。 息が止まり、宙に浮く。 弓矢の如く直線的な軌道を描いて、ジョーカーは後方の木々へと激突した。 ドーパントの域すら超えた身体能力。 変幻自在に黒色の何かを操る力。 強い。 少なくとも仮面ライダージョーカーには荷の重い相手だ。 甚大なダメージにジョーカーの鎧が霧散し、変身が解除されてしまう。 「く、そ……フィリップ、頼む……」 左は縋るように胸ポケットからそれを取り出す。 今現在腰に巻かれているベルトと酷似した形状のそれ。 だが、それはスロットの数が二つ付いている。 そう、これこそが左の真なる力。 『相棒』と共に変身する二人で一人の戦士―――仮面ライダーW。 その力たるやジョーカーを凌駕し、更に数多の形態をも携えあらゆる状況に対応可能な、まさに一騎当千の戦士。 今は機能せず結局のところは単身での変身となったが、やはり最後に頼るものは『相棒』であった。 (……返事を、してくれ……頼む……) ベルトを付け替え、念じるように呼び掛ける左。 通常であれば、どれだけ離れた場所にいようとロストドライバーを装着するだけで『相棒』との会話は可能になる。 しかし今は、その機能が封じられている。 通信機能だけが停止させられているのか、変身機能すらも停止させられているのか。 ともかく、Wのロストドライバーは現状に光明を射し込むには至らない。 (フィリップ……!) それでも左は語り掛ける。 届いてくれと、祈るように心の中で声を上げる。 怪人はそんな左を無感情に見詰めるだけであった。 掲げられるは、その右腕。 右腕に黒色が集中し、蠢き始める。 瞬後、まるで鉄砲水のように黒色が右腕から噴出する。 標的は左翔太郎。 その命を踏みつぶさんと殺到する黒色に、左は目を見張った。 届かぬ『相棒』への言葉に、死を覚悟する。 そして、左は見た。 何処からともなく左の前へと躍り出た男の姿を。 襲い来る漆黒の奔流が前に、まるで臆することなく飛び出た男を。 男は、腰を落とし、自らの腕に装備した『何か』を前方へと突き出す。 それは、盾だ。 迫る黒い奔流と比較すれば余りに小さく、頼りなげな盾。 だが、その盾こそはどんな攻撃すらも防ぎきる最硬の盾。 まるで、それは装備者の信念をそのまま体現したかのような。 どんな敵であろうと引かず、揺るがず、砕けない、盾であった。
23 : 盾と、漆黒とが、激突する。 激突した瞬間、男は器用に身体を丸めてその殆どを盾に隠れるようにした。 同時に足を地から離し、宙に浮かせる。 漆黒の本流に押される男。だが、決して砕けぬ盾によって漆黒は男の身体へは届かない。 男は、まるで大波に乗るサーファーのように漆黒の奔流に身を任せていた。 奔流に流され、真後ろへ吹き飛ばされる男。 真後ろへ、つまりは左の方へと男は飛んできた。 そして激突しようかという寸前で、男は左の首根っこを掴み、盾の内側へと引き寄せる。 二人仲良く漆黒の波に乗る。 漆黒が噴出すればするだけ、左達と漆黒の怪人との距離は離れていった。 怪人が異変に気付いたのは、既に数十メートルほどの距離を吹き飛ばした後であった。 漆黒の噴出を止める怪人。 怪人は殺気の灯った瞳で見やる。 左と、もう一人の男。 男は威風堂々と其処に立っていた。 青いタイツとマスクに全身を包んだ男。 その右手に備わるは、中央に白色の星が彩られた円状の盾。 怪人の一撃を易々と防いだ盾だ。 怪人は、男を冷徹に見詰める。 男も、射竦めるような視線に決して引かず、怪人を睨んだ。 ぶつかり合う二つの視線。 引いたのは、怪人の方であった。 怪人は、男と左とに背を向け、その場から跳び去る。 一足飛びに闇夜へと跳ねていき、彼方の方角へと去っていく。 怪人は素直に興味を抱いていた。 仮面ライダージョーカー。そして自身の攻撃を容易く防いだ男。 そのどちらもが、怪人には遥か及ばないとはいえ、驚異的な力を有していた。 それは怪人の知らぬ『力』であった。 怪人は、本能的に『力』を、『進化』を求める。 全てを滅ぼす『ウイルス』として。 人間ですらない『科学の化け物』として。 『進化』を。 その為に、怪人は二人を見逃した。 怪人にとって、二人を『喰らう』のは容易い事であった。 ただ己の力を存分に振るえば、多少『力』を有した存在であろうと『喰らう』事はできる。 だが、片方の男はまだ『喰う』時期には至っていない。 最初に出会った男は、まだ切り札を有しているように感じたからだ。 満身創痍で男が縋ったもう一つのアイテム。 あれが作動すれば、男は更なる『力』でもって立ち向かってくるのであろう。 『喰う』ならば、その時だ。 完全となった男を『喰う』ことで自分はその全てを理解することができる。 そして、もう片方の男。 後からやってきた男―――あれは、おそらく『喰って』はいけない人種だ。 怪人は他者を『喰らう』事で、その記憶や人格、その者を形成する全てを取り込むことができる。 そう、全てだ。 後の男を『喰えば』、自身の何かが狂う……怪人は、本能でその事態を察知していた。 既に何百という人間を『喰らって』きた怪人をして、そう思わせた人物は初めてであった。 あの男は、危険だ。 だから、見逃す。 合理的な考えだ。何らおかしなことはない。 怪人は、重力から解放されたかのように幾度と跳ね続けながら、思考する。 『力』に溢れた場。 『進化』を望むのならば、これ以上はない。 さあ、俺は止めてみろ。 止められないのならば、全てを滅ぼす―――。
24 : 【E-3・森林・深夜】 【アレックス・マーサー@PROTOTYPE】 [状態]健康 [装備]なし [道具]支給品一式 [『色』]青色 [思考] 1:『力』を持つ者と戦い、『喰らう』 ◇ 「逃げた……いや、違うか」 怪人が去った場。 全身タイツの男は小さな溜息とともに呟いた。 マスクの奥の素顔には冷たい汗が流れている。 男もまた察知したのだ。 数多のヴィランと戦い、あらゆる戦闘を潜り抜けてきた第六感が、先の怪物の異常性を告げていた。 正面から戦えば、確実に勝機はなかっただろう。 険しい表情で怪物の消えて行った方角を見る。 あの存在は止めねばならない。そう胸に決意する男であった。 「無事か?」 そうして男は、視線を地面へへたり込んでいる左へと向けて、声を掛ける。 左も身体の至る所が擦り切れているが、ダメージそのものは深刻なものではないようだ。 その表情は死の淵から生還した安堵と、唐突に現れた男に対する困惑とが入り混じっていた。 「あんたは……?」 問い掛けは自然と口から漏れたものであった。 あの絶望的な状況に躊躇いなく乱入し、自身を救出した男。 仮面ライダージョーカーですら敵わなかった敵を前に、小さな盾一つで飛び出してきた男。 ドーパントでも、もちろん仮面ライダーでもない。 だが、その背中がどれだけ力強く、そして大きく見えるものか。 左は、疑問を感じずにはいられなかった。 眼前の男は何者なのか―――問わずにはいられなかった 「私はキャプテン・アメリカ―――」 左の問い掛けに、男は、自身の名を語った。 自信と誇りに満ちた声。 それは小さな声であったが、何故か不思議と胸に届く。 「―――自由を愛する者の、味方だ」 そう言い切る男は、そう、まさに威風堂々であった。 左の脳裏に、思わずある人物が思い描かれる程に―――。
25 : >>1 乙&投下乙です! バトルカードチップ・ロワイアルですが、以下の5名を追加します 【エクシズ・フォルス@ゲーム】5/5 ○セシリア・アーマクライト ○レーヴァント・フォン・シュヴァイツァー ○ラフィルト・ジェミナイ ○アズール ○ヴィルラス また、マップを以下に変更します A B C D E F G H 1原森森森森山城山 2海原病街森山山山 3塔海街街森山山山 4海街学街沼森森遺 5原原街街森森森砂 6樹原原原池森砂砂 7雪雪原森原砂池決 8館雪原森神砂砂砂 原=野原、沼=沼地、遺=遺跡 病=病院、雪=雪原、砂=砂漠、樹=ミラの大樹 塔=風の塔、学=コダマ小学校、館=狩猟の館 神=パルフィナ大神殿、城=ハイラル城 決=デュエル・アカデミア 続いて、バトルカードチップ・ロワイアル3話を投下します
26 : 「……何なのよ、これ……」 セシリアは、殺し合いに巻き込まれた現在の状況に戸惑っていた。 「まさか、これが神判とか言わないよね……」 ここに来る前、セシリアは元凶であるファウストを倒し、全てが終わったと思ったが、不思議な魔女フィリアによれば神判は始まってすらいないらしい。 そして神判を受けに転移魔法陣に乗り、聖域ラムベントへ向かったはずが気が付くとこんな場所にいた。 「ちょっとフィリア〜〜! どうなってるのよ〜〜!! 出てきて説明しなさいよ〜〜〜〜!!」 おそらくフィリアなら何か知っていると思い、大声を出してみるが何も起こらない。 「……はぁ、一体どうなってるのよ〜」 がっくりと肩を落とし、溜息をつくセシリアであったがすぐに聖杖リアファルトを手に出し後ろを向く。背後から足音が聞こえてきたからだ。 この状況では誰が敵か分からないため、聖杖リアファルトを相手に突きつける。 「誰!?」 思っていたよりも距離があったため相手の姿は良く分からない。シルエットを見るに人間のようだが、それにしては頭の形が蟹みたいだ。 「待ってくれ、俺はこの殺し合いに乗ってなどいない」 その蟹頭は青年の声をしていた。 「……こんな状況でそう簡単に信じられるわけないでしょ」 「どうすれば信用してくれる?」 「……そうね、……それじゃあ、あんたのバッグをこっちに投げてくれる?」 「……わかった」 青年は少しだけ迷ったようだが、セシリアの言う通りにバッグを投げた。 (迷ったってことは、バッグの中は空っぽってことはなさそうね。それに、わたしのようにバッグ無しで戦えるなら迷わず投げるはずだし。 ここに来てからそんなに時間は経っていないから、バッグの中身を全て取り出して隠しておくことも難しそうだし。 ……大丈夫そうね。ひとまず信用してもいいかな) セシリアは目の前の青年は殺し合いに乗っていないと判断し、聖杖リアファルトを下す。 「……とりあえずあんたは信用してあげる。わたしはセシリア。セシリア・アーマクライトよ。」 青年も少し緊張が解けたのか自己紹介を始める。 「俺の名は不動遊星。チーム5D'sの一員だ」 雲に隠れていた月が姿を現す。月明かりに照らされて今までシルエットしか見えなかった遊星の姿がはっきりと見えるようになった。 「……髪型だったんだ、あれ。へんなの」 それがセシリアの遊星に対する第一印象であった。
27 : ◇ セシリアの提案で立ち話をするのもなんだからということで、近くの館に移動することにした。 遊星もセシリアの大声で立ち話では危険と判断したため、反対することはなかった。 二人は先客がいないか警戒したが、見たところ無人のようであり、少し歩いた所に椅子があったので、そこで情報交換をすることにした。 「そういえば、まだバッグの中を見ていなかったわ。先に中身の確認を済ませましょ」 「俺もまだ、中身を全部見ていないな。まず、俺の支給品から確認しよう」 二人は遊星の支給品から確認をすることにした。 「これは……? なるほど、説明書によれば、これはタクティクスカード《フレイム》というものらしい」 「へえ、どんな効果を持つの?」 「火炎で相手を攻撃するらしい」 「……それだけ?」 「いや、命中すると炎が残り続け、相手を苦しめ続けるらしい」 「……なんか地味ねぇ」 遊星は気にすることなく、次の支給品を調べる。 「次は……バトルカード《ブラックインク》前方に球を打ち出し、着弾点とその周囲を盲目状態する」 「盲目状態って?」 「ああ。しばらくの間目が見えなくなるらしい。次は………!? これは……」 「何? どうしたの?」 「《レッド・デーモンズ・ドラゴン》……」 それは遊星のライバル、ジャック・アトラスの魂ともいうべきカードであった。 「そのカードがどうかしたの?」 「このカードは世界に一枚しかない、俺の友のエースカードなんだ。それがここに紛れているということは……」 「もしかして、私達の物も誰かの支給品として配られているってこと!?」 「その可能性は高いだろう。《レッド・デーモンズ・ドラゴン》だけを特別扱いする理由も分からないしな」 おそらく、遊星のエースカード《スターダスト・ドラゴン》もこのバトルフィールドの何処かにあるはず…… 遊星は必ず取り返して見せると心の中で誓った。 「次の支給品は……剣、か……」 いままでの支給品はカードばかりだったこともあり、正直殺し合いに巻き込まれた実感は二人にはあまりなかったが、 剣という暴力的な物が出てきたためゾッとした。 「でも、普通の剣じゃなさそう……」 「普通じゃない? どういうことだ?」 「別に。ただ、何となくそう感じただけ。ところで、遊星は何でわたしが殺し合いに乗っていないと思ったの? 支給品も確認してないのに見ず知らずの人に話しかけるなんて、危ないんじゃない?」
28 : 「フッ、あの大声を聞けば乗っていないだろうと思ってな」 「聞かれてたんだ……」 「まあな」 「けど、確信には至らないんじゃない?」 「ああ。だが、乗っていないという決定的な証拠はない」 「え!? それじゃ、支給品も確認していないのに、どうするつもりだったの!?」 「この殺し合いを打破するには恐らく俺一人の力では不可能だ。それに、時間が経つほど殺し合いに乗ってる奴らによって仲間が危険な目に遭うことも多くなるだろう。 だから多少のリスクを負ってでも、誰かと接触した方がいいと考えたんだ。そして支給品のことだが、さっき俺は全部は見ていないと言った」 「あ……!」 「万が一セシリアが乗っていた場合、おそらくこのバトルチップを使うことになっていただろう」 そう言って遊星は左腕に取りつけられた機械を見せてきた。 「なに、これ……?」 「今このデュエルディスクにセットされている物は説明書によればバトルチップと呼ばれているものだ。 そしてこのバトルチップは《カワリミ》といい、攻撃を受けた時ダメージを無効にし少し離れた場所にワープさせる効果がある」 (わたしが聞いているのはそっちじゃなくて腕につけてる方なんだけど……まあ後で聞けばいいか) 「もしわたしが乗っていたらこのバトルチップで逃げようとしていたわけね」 「乗っていないなら今のように情報交換ができ、乗っているなら危険人物の外見もわかるし、避ける必要なんてなかったからな」 「へえ。てっきり誰かいるから話しかけて来ただけかと思っていたけど、襲われた時のこともちゃんと考えているのね」 「ああ。それより気になっていたんだがその杖、何処から出したんだ? 俺が見た限り突然出てきたようにしか見えなかったが」 遊星が聖杖リアファルトを指差す。 「ああ、これ? これは聖杖リアファルトって言って、エクシズにしか触れることの出来ない神器よ」 「? どういう意味だ?」 説明にしては少し大雑把すぎたかもしれない。そう思い、セシリアはもう少しだけ詳しく話す。 「要するに、神属のフォルスを受け継いだ人をエクシズって言って、その人達が使っていた武器を神器って言うんだ。 それでこの杖、聖杖リアファルトは、聖杖の巫女パルフィナって人が使っていた物で、 わたしはその聖杖の巫女パルフィナのフォルスを受け継ぐエクシズだから、聖杖リアファルトを自在に出せるってことよ」 こう言えばさすがに解るだろう。しかし、遊星の返事は以外なものであった。 「済まないが、意味が分からない……」 「ええ!? 何で!? ……わたしってそんなに説明が下手なのかな……」 「いや、そうじゃない。俺の知らない言葉を使っているから、分からないだけなんだ」 「知らない言葉?」 「神属のフォルス、エクシズ、聖杖の巫女パルフィナ……どれも聞いたことがない」 「……あんた、どこの田舎にいたのよ」 「ネオ童実野シティだが……少なくとも田舎とは言えない場所だな……」 以前にもレーヴァント達に田舎ではないにも関わらずパルフィナの事を知らない、と同じような反応を返されたことがあった。 つまり遊星は、レーヴァント達と同じ常闇のベルジュの出身者だろうか。
29 : (でも、それにしちゃフォルスの事も知らなそうだけど……それに……) 「ベルジュを旅してきたけど、ネオ童実野シティなんて聞いたことないわよ」 遊星の言っていることが真実ならば、モノリスを求めてベルジュを旅してきたセシリアはネオ童実野シティの存在を知っているはずなのだ。 しかし、大抵の人が知っているはずのフォルスの存在も遊星は知らない上、ネオ童実野シティは田舎ではないと言う。 一方の遊星も、困惑せざるを得なかった。 杖が突然出てきた時は何らかのカードを使ったかと思っていたのだが、セシリアはまだバッグの中を見ていなかった。 ではその杖は何なのかと聞いてみると、遊星の聞いたことのない単語が飛び出し、さらにネオ童実野シティを知らないと言う。 どうやらセシリアはベルジュと呼ばれる所を旅してきたらしいが……やはり、遊星はそんな地名を聞いたことがなかった。 「ベルジュ……? 何処だそれは」 「〜〜〜〜!? ちょっと、いい加減にしてよね! ベルジュはわたし達の居る世界じゃない!!」 いくらなんでも地上であるベルジュを知らないのはおかしい。 話が噛み合わない現状にイライラしてきたセシリアは、もう遊星を無視して何処かへ行こうかと考え始めるが、遊星はセシリアの一言であることに気付く。 「世界……そうか、俺とセシリアはそれぞれ別の世界の住人なんだ」 「……はあ?」 「なぜ気付かなかったんだ。いいか、それぞれに支給されるカードは大きく分けてバトルカード、バトルチップ、デュエルモンスターズカード、タクティクスカードの4種類がある。 俺は初めデュエルモンスターズカード以外は全てシリウスが自作したのかと思っていたが、大きく違いのあるタクティクスカードはともかく バトルカードとバトルチップには殆ど違いはない。名称とカードの形くらいだ。しかし、自作品だとしたら分ける理由が見当たらない」 「言われてみれば確かにそうだけど、わたし達が気付いてないだけでちゃんとした理由があるんじゃないの?」 「そうかもしれない。だが、デュエルモンスターズカードは元々俺の世界にある物なんだ。他のカードも別の世界から持ってきている可能性だってある」 「もしそうだとしたら、まだわたし達の他に最低でも3つの世界があるってことになるわね……はあ〜〜……なんだか思っているよりも面倒になってきたわね」 「3つ? 2つじゃないのか?」 「わたしの世界にはどのカードもないから」 「なるほど、だとしたらまだ他にも別の世界がある可能性があるな……それにあの時、マリエッタは警告する際元居た世界に帰せと言っていた」 「そういえば、言ってたわね……正直あまり思い出したくないけど」 「! 済まない、そんなつもりじゃなかったんだが……」 「いいわよ、別に。それで?」 「ああ、恐らくマリエッタは何らかの方法で異世界の人達が集められたことを知ったんだ」 「何らかの方法って?」 「まだそこまでは分からない……」 「……まあ、そうよね」 「ともかく、俺達は異なる世界からシリウスによって一つの世界に集められたことは間違いないだろう。会話がうまく噛み合わないのもこれで説明できる」 遊星の仮説はこれで終わりのようだ。 この仮説が正しければ遊星はふざけている訳ではなく、本当に知らないから聞いてきただけなのだ。 「……あの、その…………」 「うん? どうした?」 「……ごめんなさい、異界の人がフォルスやベルジュのことを知らないのは当たり前なのに、怒鳴っちゃって……」 「気にしてないさ。それよりも情報交換と支給品確認を済ませたほうがいい」 「……そうね、さっさと終わらせましょう」
30 : そして遊星はバッグの中身を調べると、一枚の紙が出てきた。 「どうやら参加者名簿のようだ」 遊星は参加者名簿を広げ、セシリアにも見えるようにする。 「うそ!? なんでアイツがいるのよ!?」 真っ先に反応したのはセシリアだった。 「アイツ?」 「ヴィルラスって名前があるでしょ。アイツはイグニスに倒されたはずだし、わたしも確かにその瞬間を見たんだけど……」 「死んだはずの人物が何故か参加している、か……同名の別人じゃないのか?」 「だといいけど……」 今のセシリア達に確かめる術はないため、このことはひとまず置いておき、名簿を見ておくことにした。 「……どうだった?」 「……俺が知っているのはクロウ、ジャック、ディヴァイン、プラシド、ブルーノ、ホセ、十代さんの7人だ。 ジャック、クロウ、ブルーノ、十代さんは俺の仲間で、この殺し合いを止めようとしてくれるだろう。 だが、ディヴァインは人体実験で平気で子供を殺し、俺の仲間を言葉巧みに操って破壊活動をさせていた。恐らくこの殺し合いにも乗るだろう。 プラシドとホセはイリアステルという組織の幹部だ。奴らは俺達の町、ネオ童実野シティを破壊しようとしている。奴らもおそらくは……」 「乗るかもしれないってわけね。 わたしが知ってるのはアズール、ヴィルラス、ラフィルト、レーヴァントの4人よ。 ラフィルトとレーヴァントはわたしの仲間よ、きっとわたし達の力になってくれるわ。 ヴィルラスは間違いなく乗るでしょうね。力がどうとか、下等種族がどうとかいってたし、モノリスをめちゃくちゃに壊してたし。 聖器へと還ったはずなのになぜここにいるのかが不思議だけど」 セシリアの世界ではフォルスと呼ばれるエネルギーが全ての物に宿っており、死者のフォルスは聖器ヴェゼルへと行き、 聖器ヴェゼルから再び形ある物に転生すると信じられているため誰かが死んだ場合、聖器ヴェゼルへと還られたと言った表現をする。 「アズールはわたし達の世界、ベルジュを破壊しようとしているわ。それに、わたしの母さんを殺したのもアイツなのよ……」 「……相当に危険な人物ってことか……」 「……そうよ、前に戦ったときは手も足も出なかった。……ところで、ロックマンの名前が2つあるけど、どういうことだと思う?」 「単に同名の別人なのか、それとも……いずれにせよ、今の俺達には確かめる方法はない」 「まあ、そうね。次はわたし達の世界の事を教えあわない?」 「そうだな、異世界の事を知れば何か分かるかもしれない」
31 : そうして遊星とセシリアはそれぞれ居た世界のことや出来事を話す。 ネオ童実野シティ、デュエルモンスターズ、デュエルディスク、D−ホイール、モーメント、シグナーとダークシグナーの戦い、WRGPとイリアステル…… ベルジュ、フォルス、エクシズ、神器(ラグナファクト)、断罪の塔、ヴェゼルと神判、アズール…… 互いの世界について語っていると結構な時間が経ってしまった。 「……それにしても、わたしと遊星の世界ってあまりにも違いがあるわね。説明するのに時間が掛かるし」 「だが、決して無駄な時間ではなかった。互いの世界の事を知っているのと知らないのとでは大きな違いがあるからな」 「そうね……そういえば、まだわたしの支給品を見ていないわ」 「それよりも気になることが沢山あったからな……」 セシリアは思い出せたことに安心した。聖杖リアファルトが有るとはいえもしこのまま忘れていたら戦闘に支障があったかもしれなかったからだ。 「じゃあ、見ていくわよ……タクティクスカード《バンシーズクライ》……発動中、相手の攻撃力を極限まで低下させる……かなり強くない?」 「ああ、使いどころによっては切り札になるだろう」 「それじゃ、次は……バトルカード《ムーリジェクション》……30秒の間、2歩動くたびに復活する電波障壁を発生させる」 「電波障壁?」 「どういう意味かしら、これ……」 「文字そのままの意味で捉えれば電波を防ぐ壁を発生させるようだが……」 「うーん……防御カードってことなのかな?」 「恐らくはそうだろう……」 「まあ考えていても仕方ないし次の支給品、見てみましょうか……何これ?」 セシリアが取りだしたのは一つの管だった。中身は深紅に染まり、禍々しい雰囲気を感じさせる。 「えーっと……クリムゾン収集装置。かざすだけでノイズの結晶体であるクリムゾンを集めることができる」 「ノイズ……シリウスが言っていたな、戦いが激しくなればなるほど周りのノイズは濃くなると……そのノイズの結晶体ということなのか?」 「……これ、やばいんじゃない? 捨てた方がいいかも」 「だが、ノイズは戦いに何らかの影響を及ぼすのなら、これは俺達の切り札になるかもしれない」 「その影響が何なのか気になるんだけどね。重要そうだし、やっぱり持っておく方がいいわね。次は、と……あ、地図だ……って、あれ?」 「どうした?」 「この地図、おかしくない?」 そう言ってセシリアは遊星に地図を見せてくる。
32 : 「パルフィナ大神殿って所があるでしょ? そこはわたしの住んでる所なんだけど何でこんな所にあるのかしら? まさか、ベルジュから持ってきたんじゃないでしょうね」 「あるいは、精巧に作っただけなのか……」 「気になるわね、行ってみましょう」 「現在地は……周りに雪が有る建物は狩猟の館しかないな」 「物騒な名前ねぇ……それで、遊星はどうする?」 遊星はデュエル・アカデミアが気になっていた。決闘者養成学校である建物が、なぜこんな所にあるのか。だが、 「俺はまずこの館を探索するつもりだ。なにか脱出への手掛かりが見つかるかもしれない。それに、この館の名前も気になる」 「うーん、…………パルフィナ大神殿も気になるけど、確かに狩猟なんて名前は普通じゃないわよねえ…… ……………………そうね、わたしも手伝うわ」 「いいのか? セシリアの家なんだろう?」 「いいわよ、別に大神殿が逃げるわけじゃないし。それにさっき言ったけど、ここも気になるのよ」 「……わかった、よろしく頼む」 「こちらこそ、よろしくね」 そして、発動条件を見るに《フレイム》と《バンシーズクライ》は交換したほうがいいと思われたので、交換した後二人は館の探索を始めることにした。 「……わたしのランダム支給品、結局デュエルディスクと《バンシーズクライ》、《ムーリジェクション》、クリムゾン収集装置の4つだけじゃない。遊星は6つあるのに、不公平よ」 「聖杖リアファルトがあるからじゃないか? 自身の武器があるというのは有利だからな」 「そうなんだけど、な〜んか納得いかないのよね〜。あと一つぐらいあったっていいじゃない」 【深夜/A-8/狩猟の館・館内】 【不動遊星@遊戯王5D's】 [状態]:健康 [装備]:フォーソード(ヴィオ)@ゼルダの伝説4つの剣+、デュエルディスク(遊星Ver.)@遊戯王5D's [道具]:ブラックインク@流星のロックマンシリーズ、バンシーズクライ@ユグドラ・ユニオン、レッド・デーモンズ・ドラゴン@遊戯王5D's、 カワリミ@ロックマンエグゼ、基本支給品 [思考]基本:殺し合いの打破 1:狩猟の館を探索する 2:1が終わったら、パルフィナ大神殿へ向かう 3:仲間を探す [備考] ※参戦時期は第130話「未来へつなぐ、仲間との絆」終了後です ※セシリア・アーマクライトからエクシズ・フォルスの世界の情報を得ました 【セシリア・アーマクライト@エクシズ・フォルス】 [状態]:健康 [装備]:聖杖リアファルト@エクシズ・フォルス、デュエルディスク@遊戯王5D's [道具]:フレイム@ブレイズ・ユニオン、ムーリジェクション@流星のロックマンシリーズ、クリムゾン収集装置@流星のロックマンシリーズ、 基本支給品 [思考]基本:殺し合いには乗らない 1:狩猟の館を探索する 2:1が終わったら、パルフィナ大神殿へ向かう 3:仲間を探す [備考] ※参戦時期はPhase7「エクシズ・フォルス」終了後です ※不動遊星から遊戯王5D'sの世界、遊城十代の情報を得ました
33 : 【フォーソード(ヴィオ)@ゼルダの伝説4つの剣+】 不動遊星に支給。 引き抜くと身体と剣が4つに別れると伝えられる剣、フォーソード。その内の一つ。 このフォーソードはヴィオが使用している物。 【ブラックインク@流星のロックマンシリーズ】 不動遊星に支給。 前方に周囲に誘爆する球を打ち出し、着弾すると着弾点や誘爆箇所にいる相手を盲目状態にする。 原作内の説明文 「ヒットすると まわりの 8マスに ゆうばくして 敵を もうもくにする!」 【レッド・デーモンズ・ドラゴン@遊戯王5D's】 不動遊星に支給。 ジャック・アトラスのエースカードであり、シグナーの竜。 守備状態の相手を攻撃した時、その相手にダメージを与える強力な効果を持つが、 攻撃をしていない味方にダメージを与える効果も持つ。 【カワリミ@ロックマンエグゼ】 不動遊星に支給。 デュエルディスクにセット、またはPETにスロットインしている間に攻撃を受けた時、 一度だけそのダメージを無効にし少し離れた場所へ移動させる。 漫画では逃げることを優先したためか、手裏剣を投げなかった。 【フレイム@ブレイズ・ユニオン】 不動遊星に支給。 発動すると周囲の敵に火炎攻撃を放ち、さらに炎上状態にさせる。 使用条件:杖を装備している人物のみ 詠唱文:地獄の業火を纏った紅の魔導師…その炎を以て、敵を焼き尽くせ! 【聖杖リアファルト@エクシズ・フォルス】 白光の三柱神・豊穣のパルフィナが手にしていた多くの人々に癒しをもたらしたラグナファクト。 ラグナファクトはエクシズに宿っているため、没収されずに済んだ。 また、ラグナファクトはエクシズにしか触れることは出来ない。 【バンシーズクライ@ユグドラ・ユニオン】 セシリア・アーマクライトに支給。 発動中、敵の攻撃力を1にする。 使用条件:剣を装備している人物のみ 詠唱文:絶望の果てに、死を告げる乙女…その悲痛なる想い、敵を貫かん! 【ムーリジェクション@流星のロックマンシリーズ】 セシリア・アーマクライトに支給。 30秒間、ブレイク属性を除く全ての攻撃を一度だけ防ぐ電波障壁を発生させる。 電波障壁は2歩動くごとに復活するが、ブレイク属性の攻撃を受けるとその時点で効果は終了する。 原作内の説明文 「いどう するたびに ふっかつする ムーのしょうへき!」
34 : 【クリムゾン収集装置@流星のロックマンシリーズ】 セシリア・アーマクライトに支給。 悪の組織ディーラーがノイズの結晶体であるクリムゾンを集めるために使っていた装置。 掲げるだけで周囲のクリムゾンを集められる。 初めからある程度溜まっている状態で支給された。 以上で投下を終了します
35 : 異端オリキャラロワの第五話を投下します
36 : 「……ここらへんでいいでしょうか」 海沿いの岩場にて、一人の男が自分の右手に握られていたディパックの紐を離し、両手に持ち替え、それを冷たく白い岩の上に置いた。 ディパックをそこに置いたその青年は、ふうとひとつため息をつくと、中身の確認をはじめた。 「箸……ですか。まさか、これだけとは……まあ、私にはお誂え向きの武器。といったところでしょうか。 箸は、食事をするにあたって器と同様に大切なものです。栄養の適度な補給も、さばいばるには必要な事ですからね」 男は仕方ない。といった様子で箸をディパックに戻すと、自身も岩の床の上へと腰掛けた。 そして、そのままふっ、とため息をつくと、死んだように動かなくなった―― それから、約十分の時間が経ち、男はその瞳を閉じたまま、岩に腰掛けたまま、隣にディパックを放置したまま――彼はその体勢から微動だにしていなかった。 その男はそれから目立った動きはしていない、が息遣いは感じられているので息絶えてはいないようだ。 自分が殺し合いというどうしようもない状況に於かれているにも関わらず――彼は微動だにしていなかった。 「あの……そこの殿方、生きていらっしゃいますか?」 と、その時。 一人の着物姿の少女が現れ、男に声をかける。 目を閉じたまま微動だにしない人間を発見したのだから、その反応も理解はできた。 しかし、男は反応はしない。 生きている――しかし、男は少女の声に1コンマの反応も示してはいなかった。 生きているのなら――死んでいないのなら、少女の声には反応できたはずだ。 なぜなら、人間は意識がある中では、意識的でない限り他人の行動には何かしらの反応を示すはずだからだ。 では――――何故、彼は反応という行動をしなかったのだろう? 疑問はおいおい解った。 それは、彼が約一分弱のタイムラグの後、その反応を示した時だった。 「ん……おや、貴方は?」 「なんだ。生きていたのですね。 ……わたくし、うっかり死んでしまっているものと思い、少し怖かったですわ」 「それは失礼。夜風に当たっているうちに少々睡魔に襲われまして……」 「あらあらまあまあ。寝ていらっしゃいましたのですわね…… わたくしも、そうとは知らず無礼な行動をしてしまい、申し訳ありません」 まあ、ネタをバラしてしまえば……彼は単純にうっかり寝てしまっていただけなのだった。 少女も、男も、深々とお辞儀をすると、夜の雑談と洒落込む事にした。
37 : □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ 「私の名前は、福司榊貴と申します。少しの間ではございますが、よろしくお願いします」 「あ、はい。よろしくおねがいしますわ。 わたくしは、意箏巳昊という者ですわ」 「ふふ、素敵なお名前で」 「あらあら、いやですわ。お上手ですのね」 福司榊貴。 彼はまあ外見はごく普通の青年である。 身体的な能力も、特に突出したものはない。 華道の道を極め、神の領域までも超えた神童だと、まことしやかに話題になっているだけの、ごく普通の青年である。 彼はそれほどこの参加者中では異端ではない。 ただ、極稀にしか手に入れることができない才能をほんのひとかけら持っているだけの、ただの一般の人間だ。 席を同じくしている意箏巳昊もまったく同様だ。 彼女も日本では世界的に有名な家元の一つである、意箏家の一人娘というだけだ。 由緒正しき貴族の末裔とか何かとは言われているものの、やはりそれはさほど異端ではない。 両親からの躾で、ほぼ全ての習い事を極めてはいるものの、それは社会的に驚かれるだけ。この殺し合いに於いては塵一つにもならないものである。 二人は、それを知っていた。 だからこそ、この殺し合いをどう動こうか迷っていた。 R気はない―― まず、自分では実行前に殺されてしまうだろうから。 だからゲームに乗る気はない。 しかし、それ以外で行動するなら、どう動けばいいのか。 二人が考えていたのはそれである。 しかし、それは全く持って思いつきやしない。 ――――だから。 「……しばらく、ここにいることにしましょうか」 「……ええ。そう、ですわね」 二人は、今は行動しないことにした。 それもまた一興だろう。 参加者の性格や個性はそれぞれ十人十色。いや、四十八人四十八色である。 故に、そういうケースもある。 だからこそ、これは面白きものだ。
38 : 【B-1/海沿い/一日目/0:50】 【福司榊貴】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品、箸 [思考]基本:今は、考えないでいましょう 1:いずれ、兄を探さなければいけませんね…… 2:意箏さんについては……どうしましょうか…… 【意箏巳昊】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品、不明支給品 [思考]基本:あらあら、困りましたわ 1:なにもしない、というのもまた良きものですわね キャラクター紹介 【福司 榊貴(フクシ サカキ)】 福司兄弟の弟。 見た目はごく普通の青年なのだが、華道に対しては神をも超える才能を擁している。 テレビの出演経験もあるが、華道のほうが疎かになるため、一回出演したきり出ていないとのこと。 彼の知人曰く、『礼儀正しく涼やかな印象を持つ美少年。』とのこと。 【意箏 巳昊(イゴト ミソラ)】 世界的に有名な家元、意箏家の一人娘。 性格は穏やかでおとなしく、春の日差しのようにぽわわんとしている。 両親の躾から、ほぼ全ての習い事をしており、ほぼ極めている。 日本でも雑誌や新聞で取り上げられるなど、色々と話題の少女である。
39 : 投下終了です
40 : 皆様投下乙です。 では自分も自由奔放投下します。
41 : 24話 占い師、妖狐、賞金稼ぎ 鼠獣人、川西栞は占い師である。 相手の手を握る事で脳内に、ぼんやりとではあるが握った相手の近い未来が映し出される超能力を、 生まれ付き持っておりそれを利用して占い師をやっていた。 自分の未来は予知出来ず、また、時には予知したく無い未来も予知してしまう時があるため、 栞自身はこの能力に対して複雑な気持ちを抱いていた。 完全に「嫌」と言い切れないのは、この能力のお陰で生活の糧を得られていると言う面もあるためである。 「占い師をやっているのか」 「うん……手を握れば近い未来が、ぼんやりと見えるから」 「超能力って事か?」 「有り体に言えばそうね、信じてくれなくても良いけれど」 「……じゃあ、俺の未来を占ってくれよ」 別荘地にある別荘の一つ。 居間で、栞はこの殺し合いで出会った妖狐・イェレミアスに占いを求められた。 イェレミアスは座って右前脚を「お手」をするように栞に差し出す。 「……」 「どうした?」 「やめた方が良いと思うけど」 しかし栞はその求めを断る。 「何でだよ、やっぱ超能力なんて嘘かぁ〜?」 からかい気味にイェレミアスが栞に言う。 本気で超能力を否定している訳では無かったが。 栞は少し神妙な面持ちを浮かべていた。 「……この能力、見たくない未来も見えるのよ」 「ん?」 「ずっと前、小学生の時、仲の良い友達がいたんだけれど、 ある日その子の手を握ったら、大型トラックが迫ってくる映像が見えたの。 それで、次の日、その子、トラックに轢かれて死んじゃった……」 「……」 「高校の時も、似たような事があった。 占い師始めてからも、何回か……生活するために、占い師続けているけど」 人が死ぬ未来を見せられると言うのは、気分の良いものであるはずが無い。 無論見えた相手に対して栞は助言は行ってきた。 未来が変わった者も何人かはいたが、未来が現実になった者もそれと同じくらいいた。 結局は本人がどうにかするしか無いと言う事。 栞の「占い」とは、要するに「見えたその人の未来への助言」である。
42 : 「ましてや殺し合いよ? ろくな未来見えないだろうし……やめといた方が」 「……」 イェレミアスはふさふさの尻尾を振りながら沈黙する。 そしてしばらくして口を開いた。 「ネタバレしちゃ、つまらないか」 「……」 「良いや。分かったよ」 イェレミアスは結局占ってもらう事はやめにした。 (いや、別に怖くなった訳じゃないぞ。未来どうなるか分かったらつまらないだろ。うん) そうこうしている時、二人は玄関の方から物音がするのを聞く。 隠れようとも思ったが隠れられそうな場所も無いので、 栞はベルグマンMP18、イェレミアスは苗刀と、それぞれの支給品を構えて侵入者を待つ事にした。 やがて、二人のいる居間に軽装鎧姿の金髪男が現れた。 「動かないで、武器を捨てて両手を上に!」 「ああ?」 「言う通りにしてくれ、そうすれば何もしない」 「お邪魔だったかい、じゃあ失礼するよ」 「ちょっ……人の話聞いてた!?」 去ろうとした男を栞は思わず引き止めた。 「はいはい言う通りにしますがな」 男は栞に言われた通りに持っていた剣とデイパックを床に置き両手を上げた。 「これで良いかよ」 「う、うん……じゃあ、単刀直入に。あなたは殺し合いに乗っているの?」 「んな質問されて『はい』なんて答える奴はいねえと思うがな。 まあ、俺は殺し合う気はねぇよ? マジで。襲ってくる奴には容赦するつもりはねぇけど」 栞に銃口、イェレミアスに刀の切っ先を向けられながらもそれを物ともせず、 軽い口調で自分の考えを話した。 しばらく栞とイェレミアスは無言で武器を突き付けていたが、 やがて構えを解く。
43 : 「ごめんなさい……」 「謝る事はねぇ、警戒心を持つのは良い事だ」 「私は川西栞、こっちが同行して貰っているイェレミアス」 「俺はザガート・マキシムだ。ザガートで良い。 別荘地から出ようと思って歩いてたら、ガラス割られた家あったから入ったら、お前らがいたって訳だ」 「成程な……ザガート、俺らと一緒に来ないか? 仲間は多い方が良いだろ?」 ザガートを仲間に勧誘するイェレミアス。 栞も特に反対は無いようだ。 「そうだなぁ、別に断る理由もねぇし、良いぜ」 ザガートは誘いに乗った。 そして三人は支給品を見せ合う。 ここで、栞とイェレミアスはザガートの持っていた拳銃が気になった。 支給品は一人に一つの筈だが、ザガートは剣と拳銃を持っているのである。 「ザガートの支給品ってその剣なのよね?」 「おう、あ、この銃の事か?」 「どうしたんだ、それ」 「俺を殺そうと襲ってきた女がいてな、始末ついでに拾った」 「し、始末……」 「殺したのか……」 「襲ってくる奴には容赦しねぇって、さっき話したろ?」 「そ、そうね……」 「別に責めるつもりは無いぞ、すまん」 二人は否定はしたが、ザガートは確かに二人が一瞬、自分に対し非難の視線を向けていたのを見た。 もっとも、ザガートはそんな事を気にするような男では無かったが。 三人は別荘地から出る事に決め、荷物を纏めて出発した。
44 : 【C-2/別荘地/早朝】 【川西栞】 [状態]健康 [装備]ベルグマンMP18(20/20) [持物]基本支給品一式、ベルグマンMP18の弾倉(3) [思考] 基本:殺し合いには乗らない。 1:イェレミアス、ザガートと行動。 【イェレミアス】 [状態]健康 [装備]苗刀 [持物]基本支給品一式 [思考] 基本:殺し合いには乗らない。 1:栞、ザガートと行動。 【ザガート・マキシム】 [状態]健康 [装備]ショートソード [持物]基本支給品一式、二六年式拳銃(5/6)、9mm×22R弾(12) [思考] 基本:殺し合う気は無いが襲われたら容赦しない。 1:栞、イェレミアスと行動。 2:別荘地から出る。 《人物紹介》 【川西栞】 読み:かわにし・しおり 21歳、灰色の鼠獣人。相手の手を握ると近い未来が予知出来ると言う超能力を持ちそれを使って占い師をやっている。 能力によって生活の糧を得ているのでこれを大切に思う反面、 見たくない未来(その人の死など)も見える時があるので、実際は能力に対し複雑な思いを抱いている。 手袋をしていると能力は発動出来無い。予知出来る範囲は最大でも一ヶ月先まで。 細身だが胸だけかなり大きい。 【イェレミアス】 22歳、妖狐。狼に近い風貌で成人男性程の体躯を持ち、顔や身体に赤い隈取のような模様がある。 陽気な性格で、子供好き。良く住んでいる森の近くにある街で子供の相手をしたりする。 手先も器用だが妖力を使って物を操る方が得意。 最近、夢精に悩んでいる。
45 : 投下終了です。
46 : 投下します。
47 : 25話 秘められたる欲求 「殺し合いなんてしたくねぇ……」 狐獣人の青年、蒲生重勝は森の中で途方に暮れていた。 別に道に迷ったと言う訳ではなく殺し合いに巻き込まれた事に対してである。 彼はRビデオで、女優に精液をかけたりするだけのいわゆる「汁男優」として出演し生計を立てていた。 本番こそ無かったが有名なAV女優に自分の精液をかけられるだけでも良かったし、 何より気持ち良くなれて金も稼げるのだから汁男優の仕事に満足していた。 そんな自分がまさか殺し合いなどに巻き込まれるとは予想だにしていなかった。 「死にたくねぇ……どうすっかなあ」 「あの……」 「えっ……うお! いつの間に」 いつの間にか背後に、学生服姿の少女が立っていた。 金髪で、中々の美少女だった。 ここで重勝は自分が油断し過ぎていた事を自覚する。 もしかしたら声も掛けられず殺されていたかもしれないのだから。 「あ、驚かせてすみません……私は殺し合いには乗っていないです」 「本当か? ……俺も乗ってはいないけど」 「私は、神楽坂雪子と言います」 「俺は、蒲生重勝」 「あの、蒲生さん……もし良ければ一緒にいては駄目でしょうか? 一人だと、怖くて、不安で……足手纏いにはならないようにしますから……」 「え? うーん……」 可愛い少女に一緒にいて良いかと訊かれ、重勝は少し悩む。 こんな殺し合いに巻き込まれ、不安なのは十分に理解出来る。 自分だっていつ襲われるか分からない恐怖はあった。 頼みを無碍に断るのも気が引けたので重勝は雪子の頼みを聞いてあげる事にする。 「別に良いぜ。俺も一人じゃあれだったし」 「本当ですか、ありがとうございます……あの、宜しくお願いします」 「ああこちらこそ」 「……蒲生さん、何を支給されたんですか? 私は、これなんですけど」 雪子が重勝に見せた物はグルカナイフ。 ククリとも言う「く」の字型に曲がった刀身を持った大型の刃物だ。 「でっけぇナイフだな……俺は、これなんだが」 「サブマシンガン、ですか」 重勝が雪子に見せた物は、フィンランド製の短機関銃、タンペレーン ヤティマティック。 少し上を向いた銃口とコッキングハンドルを兼ねた折り畳み式のフォアグリップが大きな特徴。
48 : 「セロテープで説明書きが貼っつけてあったから、使い方は大体分かった。 でも……これで人を撃ちたくはねぇな……脅しに使うぐらいにしてぇよ」 「人なんて殺したくない……ですよね」 「そりゃあそうだろ、いきなり殺し合いに放り込まれたからってはいそうですかって殺し合い出来る訳ねぇよ。 ……ただ、自分の身は守らなきゃいけないしな……そのためにもしかしたら相手を殺しちまう時も、あるかもしれない」 「そんな時が来なければ、良いんですが」 「だな……」 その後、二人は取り敢えず森を抜ける事にした。 この時、神楽坂雪子はある欲望を隠していた。 (滅茶苦茶にされたい……) 男に、蹂躙されたい。 身体をまさぐられ、犯されたい。 純潔を奪って貰いたい。 たっぷりと精を注がれたい。 殴られたい、首を絞められたい。 小便をかけられても肛門を舐めさせられても良い。 滅茶苦茶にして欲しい。 (蒲生さん……頼めるかなあ) その欲望を、蒲生重勝に叶えて貰おうと、雪子は考える。 【D-3/森/早朝】 【蒲生重勝】 [状態]健康 [装備]タンペレーン ヤティマティック(40/40) [持物]基本支給品一式、タンペレーン ヤティマティックの弾倉(3) [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:雪子ちゃんと行動。 【神楽坂雪子】 [状態]健康 [装備]グルカナイフ [持物]基本支給品一式 [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:蒲生さんと行動。蒲生さんに滅茶苦茶にして欲しい。 《人物紹介》 【蒲生重勝】 読み:がもう・しげかつ 25歳。茶色の狐獣人。AVの汁男優として女優に精液をぶっかける仕事をしている。 本番こそ出来無いが気持ち良くなれて金も稼げ、本番程技量も必要無いのでこの仕事に満足している。 ジムに通っているためそこそこ引き締まった身体を持つ。 【神楽坂雪子】 読み:かぐらざか・ゆきこ 17歳。高校二年。金髪をポニーテール風に纏めている。某無双シリーズの王元姫に似ている。 家は資産家で、裕福な家庭に育つ。聡明で温厚、礼儀もしっかりしている上、巨Rでスタイルも良いと言う才色兼備。 だが、乱暴に男に犯され蹂躙されたい、奴隷になりたいと言うマゾな欲望を抱えており、 しかしその欲望が叶えられず人知れず悶々としていた所、今回の殺し合いに巻き込まれた。
49 : 投下終了です。これで全キャラ出揃った。
50 : 投下します。
51 : 26話 頭がパーン 稲葉憲悦は自分の性奴隷である柏木寛子を探していた。 だが、ゲームの会場である島はかなり広い、あても無く探し回るのははっきり言って徒労であり現実的でない。 それは憲悦自身も分かってはいる事だった。 (だけど、あいつは具合が良いからなぁ、出来る事なら死んじまう前にもう一回……) 考え事をしながら憲悦が放置されたミニバンの傍を通ろうとした時。 「!」 ミニバンの陰から狐の獣人の男が飛び出してきた。 そして憲悦に向かって、包丁を構えながら突進してくる。 刃先が目指すは人狼の胸か腹。 だが、その刃は人狼のデイパックによって阻まれた。 「うっ」 「この野郎!」 「がっ!」 狐の横腹目掛けて回し蹴りを入れる憲悦。 狐はアスファルトの上に倒され、手にしていた包丁を落としてしまう。 「げほっ、ごほっ……」 「俺を殺そうとするとは良い度胸だ……丁度イイ、こいつの威力お前で確かめてやらぁ」 急襲されて憤慨した憲悦は自分のデイパックの中に手を突っ込み、それを取り出す。 先刻強姦した少女から自動拳銃を奪ったが、それでは無い、彼自身の支給品。 「えっ……」 それを見た狐――二宮嘉光は戦慄する。 憲悦が取り出した物は、セミオート式の散弾銃、ブローニングオート5。 憲悦はそれを構えると銃口を路上に跪いている狐に向けた。
52 : 「あっ、い、嫌だ、ごめんなさいごめんなさい!」 「許さん」 「あっ、ああぁあっ! 助けっ」 ドォン!! 至近距離で散弾を受けた嘉光の頭部は半分肉片と化して血と脳漿が飛び散った。 ほぼ即死に近かった、恐らく嘉光は何が起きたか良く分からず、ほとんど痛みも無くRただろう。 「うっひょー、すげぇ威力だな」 憲悦自身、殺人を犯すのはこれが初めてだったが、 元々少女を監禁凌辱しているせいか倫理観も薄まっていたようで特に何の呵責も無く、 それどころか散弾銃の威力に感嘆の声をあげていた。 「まあR事は無かったかもだが、もうやっちまったもんはしゃーねー。 さてと……寛子と可愛い女の子捜しに戻るか」 憲悦は引き続き柏木寛子の捜索(並行して可愛い女の子捜索)を続ける事にした。 【二宮嘉光 死亡】 【残り37人】 【C-5/道路/朝】 【稲葉憲悦】 [状態]健康、満足 [装備]ブローニング オート5(4/5) [持物]基本支給品一式、12ゲージショットシェル(10)、シグP210(7/8)、シグP210予備弾倉(3) [思考] 基本:殺し合う気は無いが女の子がいたら犯す。寛子を捜す。 [備考] ※殺し合う気は無いものの殺人への抵抗は全くと言って良い程無いようです。
53 : 投下終了です。
54 : 投下乙です。 キャラ追加の報告を。 【バットマン】から ○ナイトウイング(ディック・グレイソン)/○ロビン(ティム・ドレイク)/○ダミアン 【魔法少女リリカルなのは】から ○フェイト・T・ハラオウン/○プレシア・テスタロッサ の5名を追加します
55 : 投下します。
56 : 27話 暗澹の心 狐閉レイナによる柏木寛子への説得は非常に難航を極めたが、 取り敢えず自殺願望を減退させる事には成功した。 だが、悲観的、自虐的思考は相変わらず。 身を隠すのに使っている神社のお堂の隅でぶつぶつと独り言を呟いていた。 (どうしたもんか……) レイナは困り果てる。 彼女が思っている以上に寛子の抱えた事情は深刻だった。 何しろ、家族は不和、家出しても捜して貰えない、挙句の果てに悪い人狼に捕まり監禁凌辱。 死にたくなるのも無理は無い。 だが、出会ってしまった以上、目の前で死なれるのは嫌だった。 かと言って、殺し合いと言う状況下で、ずっと凹まれてても、正直に言えば行動の妨げになる訳で。 だがこれ以上寛子を立ち直らせる方法はレイナには思い付かなかった。 望み薄だが自力で立ち直ってくれないだろうかとレイナは思う。 「誰かいますか?」 「!」 社の外から女性の声が聞こえレイナの耳がぴくりと動いた。 その声は寛子にも聞こえたようで、ぶつぶつ言うのをやめて社入口の方へ顔を向けた。 「いるなら入っても良いでしょうか、私は殺し合いには乗っていません」 女性は殺し合いに乗っていないと言うが、鵜呑みにする訳にはいかない。 レイナはそう思い、寛子に声を出さないよう合図を送り、自分の武器であるナイフを手に取る。 「入ってきて、私達も乗ってはいないから」 女性に入ってくるよう促した。 万一女性が不穏な行動を取った場合は即座にこちらもアクションを起こせるようにである。 そしてその女性が社の引き戸を開けて中に入ってきた。 金髪の外国人風の少女だった。 「えーと、私は狐閉レイナ、あっちにいるのは柏木寛子さん。あなたの名前は?」 「アゼイリアって言います」 「アゼイリアさんね……乗ってないって言ったけど、本当よね?」 「本当です」 「……なら、良いんだけど、あ、私達も本当に乗っていないからね」 互いに本当に殺し合いをする気が無いかどうか確かめ合う。 もっとも口上だけでは確実では無いとはお互い分かってはいたが。 それでも双方どうにか納得し、アゼイリアは社の引き戸を閉めて中に入り、座った。 ◆◆◆
57 : 娼館を探索したアゼイリアだったが運が良いのか悪いのか誰とも遭わなかった。 その後探索を切り上げ、平地、森を歩き神社に到着した。 そこには二名先客がいた。 狐獣人の女性、狐閉レイナと、生気の薄い表情を浮かべた自分と恐らく同年代の少女、柏木寛子。 互いに殺し合う意思は無い事を確認して、二人の隠れる神社の社内に入った。 「ええと、お二人はいつからここに?」 「この殺し合いが始まってすぐぐらい……ええと、その、ね」 「?」 「柏木さん、自殺しようとしてたのを止めたのよ」 「えっ、そうなんですか……?」 「それを止めて、それでも死ぬって聞かなくて、ずっとここで説得してたのよね。 流石にもう死ぬとは言わなくなったけど、危なっかしくて……放ってはおけないのよ」 「……」 隅の方にいる寛子にちらっと視線を向けるアゼイリア。 レイナから寛子の事を詳しく聞かされる。 アゼイリアも戦災孤児となって、自殺を考えた事も一度では無い身としては、寛子の事が他人事のようには思えなかった。 しかし「死ぬのは駄目」「生きてれば良い事はある」等の言葉は、恐らく寛子も散々言われたであろうし、 そんな事を言ったぐらいで寛子が立ち直れる事はまず無いだろう。 「……無理に説得しても、多分受け入れて貰えないと思います」 「そ、そうかな、やっぱり……」 「でも、見捨てる事も出来無いんでしょう?」 「うん」 「ここは、無理に説得せず、普通に連れて歩いてみては? と言っても自分も、人を立ち直らせるプロとかでは無いので正しいかどうか分からないんですけど」 「それは私もそうだし……」 「……二人で何こそこそ話してるのよ」 「「!」」 二人で密談を交わしているのが気に入らなくなったのか、 寛子が二人に近付いて話に割って入る。 「あ、いや、これからどうしようかって。ね?」 「そ、そうです」 「ふーん……」 「取り敢えず、ずっと神社にいても仕方無いし、移動しようと思うんだけど、柏木さんも来る、よね?」 「……(コクリ)」 寛子は黙って頷いた。 「よし……あ、そう言えばアゼイリアさんって何を支給されたの? 私はこのナイフなんだけど」 「私はこの金槌ですね、柏木さんは?」 「……これ」 寛子がアゼイリアに見せたのは、小型のリボルバー。 ニューナンブM60、日本の警察で使われている拳銃。 予備弾も数発入っているようだった。
58 : 「拳銃ですか、凄いですね」 「……別にこれで頭撃とうとかは考えてないから」 「い、いや、聞いてないですよ」 「頭蓋骨砕けて死ぬのはちょっと嫌だし」 言葉の節々から、まだ自殺を考えているようだとレイナとアゼイリアは思った。 柏木寛子の心の闇は相当根深いとも。 三人は荷物を纏め神社を出立した。 【D-4/神社/朝】 【柏木寛子】 [状態]首にロープの跡 [装備]ニューナンブM60(5/5) [持物]基本支給品一式、.38SP弾(10) [思考] 基本:死にたい。 1:憲悦には会いたく無い。死んで欲しい。 2:取り敢えず狐閉さん、アゼイリアと一緒に行く。 【狐閉レイナ】 [状態]健康 [装備]コンバットナイフ [持物]基本支給品一式 [思考] 基本:殺し合いから脱出したい。 1:柏木さん、アゼイリアさんと行動。 【アゼイリア】 [状態]健康 [装備]金槌 [持物]基本支給品一式 [思考] 基本:殺し合いはしたくない。殺し合いから脱出する手段を探す。 1:狐閉さん、柏木さんと行動する。
59 : 投下終了です。
60 : 投下します。
61 : 28話 崩壊は唐突にやってくる 別荘地を後にした栞、イェレミアス、ザガートの三人は、早速揉めていた。 「南行こうぜ南!」 「アホかお前東に決まってんだろ、街近ぇだろうが」 正確にはイェレミアスとザガートが揉めていた。 南に行くか東に行くかで考えが分かれてしまっていたのである。 栞は割って入る事も出来ず二人のやり取りを見守っていた。 「街なんかにこだわってんじゃねェー! 娼館とか病院とか墓場とか廃墟ホテルとか気になる所あンだろが!」 「オメエが気になってるだけだろがボケ! どれも遠いだろうがよ、アーン?」 「ちょ、ちょっと二人共その辺で……」 ヒートアップし始めた二人を止めようと栞が声を出した。 「ん?」 栞は身体に突然の違和感を感じる。 胸元と背中が熱い。 視線を恐る恐る下へとやる。 「……」 するとどうだろう、R房に穴が空き赤くぬめりとした液体が溢れ出ているでは無いか。 ここに穴が空いていて背中に熱さを感じると言う事は貫通している? 何が貫通した? 「……栞?」 「あ……? おい、それ」 イェレミアスとザガートも異変に気付いた。 栞は何気無く胸元の赤い液体を触り手触りを確かめた。 「これ、温くて、ぬめってしてる」 感想を述べた直後、栞の首を何かが突き抜けた。 鮮血が栞の首から噴き出し、栞はうつ伏せに倒れ込んだ。 後頭部の脊椎の部分にも小さな穴が空いていた。 ここから入った物は栞の脊髄と気管、食堂を穿ち、彼女の生命活動を強制停止させたのだ。 そしてイェレミアスとザガートの二人は見る。 栞の向こうに拳銃らしき物を構えた少女が立っているのを。 少女は微笑んでいた。
62 : ザガートは即座に剣を構えようとした。 だがその前に少女が、減音器付きの拳銃の引き金を引くのが早かった。 減音器は栞がやられた時に銃声も何も聞かなかった理由である。 そしてその狙いは恐ろしく正確だった。 放たれた銃弾はザガートの左太腿を抉る。 「うぐっ」 腿に走る激痛にザガートが顔を歪め、よろめいた。 直後、ザガートの右目の視界が消失した。 残った左目の視界も真っ赤に染まり、一気に意識が遠のいていく。 「イェレミアス、逃げろ――――」 消えていく意識の中、同行者の妖狐に向かって力一杯叫んだ。 ◆◆◆ どこをどうやって走ってきたのだろうか。 イェレミアスは、周囲を見渡し、あの黒髪の少女は追ってきていない事を確認する。 遠くに娼館らしき建物が見えるのでどうやらあの時自分が提案した南の方へ走ってきたらしい。 「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」 息切れが酷く、心拍数もとんでも無い事になっている。 落ち着かせなければならないだろう。 だが、同行者を一気に失ってしまった事で、予想以上に自分は動揺していると、イェレミアスは思った。 「一人ぼっちになっちまったよ……うっぐ」 脇腹に痛みを感じるイェレミアス。 見ると、血が出ていた。 撃たれていたのだ。 「マジかよ……」 行動するには大して支障は無いが、突き抜けている部分が無い所を見るに銃弾は体内で残っているようだ。 内臓を傷付けて内出血を起こしている可能性も否定出来無い。 つまりいつ死んでもおかしく無い状態かもしれないと言う事だ。 「……死にたくない……」 死の恐怖がイェレミアスを襲う。 ぶるぶると、涙を浮かべて、妖狐は震えていた。 ◆◆◆
63 : 「一人逃げられちゃいましたか、まあ良いでしょう」 殺害した二人からそれぞれベルグマンMP18短機関銃と予備の弾倉、ショートソード、 二六年式拳銃と予備弾を回収し、 黒髪の美少女、の姿を借りた生体兵器、八神雹武は再び獲物を捜し始める。 【川西栞 死亡】 【ザガート・マキシム 死亡】 【残り35人】 【C-4/平地/朝】 【イェレミアス】 [状態]右脇腹に盲管銃創(出血多し)、死への恐怖 [装備]苗刀 [持物]基本支給品一式 [思考] 基本:殺し合いには乗らない。 1:死にたくない。 [備考] ※八神雹武の容姿のみ記憶しました。 【C-2/別荘地周辺/朝】 【八神雹武】 [状態]健康 [装備]64式微声手鎗(0/8) [持物]基本支給品一式、64式微声手鎗の弾倉(3)、ベルグマンMP18(20/20)、ベルグマンMP18の弾倉(3)、 ショートソード、二六年式拳銃(5/6)、9mm×22R弾(12) [思考] 基本:参加者を見つけ次第殺害する。 1:参加者の捜索。 [備考] ※イェレミアスの容姿のみ記憶しました。
64 : 投下終了です。
65 : 投下します。
66 : 29話 爆裂スル恐怖 給油所の事務所にはロリ系の成年向け雑誌や漫画、ビデオが多数置かれていた。 ここで働いていた者が趣味で集めていたのだろうか。 マンティコアの青年ウラジーミルは、そう言う趣味は無いが興味本位でそれらを読んだり視聴したりする。 「ウラジーミル君、そう言うのが好きなの?」 「え!? い、いや、そういう趣味は無いですけど、たまにはこういうのも良いかな、って」 「へえ……」 趣味は無いと言っても、幼い裸体には成熟した裸体とは違う魅力を放ち、 ウラジーミルは自分の気持ちが昂っていくのを否定出来なかった。 その昂りは彼の股間にぶら下がるそれの体積を否が応無しに大きくしていく。 「ごめん、福島さん、ちょっとトイレ」 「……行ってらっしゃい」 ウラジーミルがトイレに行く理由を愛沙は察する事が出来た。 ロリ系成人向け漫画を一冊持っていったからだ。 トイレの扉が閉まる。 しばらくして。 「あっ……あっ……ああ……ああ……あぁああっ」 トイレの中から雄の喘ぎ声が響いた。 水を流す音の後、ウラジーミルが出てくる。 その表情は何かを悟ったようなそんな感じであった。 「……手、洗った?」 「洗いました」 一応それだけは愛沙はウラジーミルに尋ねた。 ガシャンッ!! 不意に、ガラスが割れ中に何か投げ入れられた。 投げ入れられたそれは、床で一回バウンドした。 二人共、一瞬それが何なのか理解出来なかった、理解出来た時には。 ドガアアァアン!! それは轟音と共に炸裂し、ウラジーミルと愛沙は爆風と破片によって身体を吹き飛ばされていた。 事務所内は一瞬にして瓦礫の山と化し、煙が立ち込める。 窓ガラスは全て粉々に吹き飛んだ。 「凄い威力……」 給油所事務所の中に、自分の持っていたRGD-33柄付手榴弾を投げ入れた銀髪犬耳の女性、マリアは、 手榴弾の威力に惚れ込んだ。 事務所の中に入って中にいたであろう人物の生死を確認しようとしたが、 建物が崩落する恐れもあるし、何より煙が立ち込め、コンクリート製の建家が歪む程の爆発なら、 誰も生きてはいないだろうと中には入らなかった。 爆発の音を聞き付けて誰か来るかもしれないと、マリアはさっさと給油所から立ち去った。 だが、マリアは思い違いをしていた。
67 : 「う……う」 ウラジーミルはまだ生きていた。 身体中に破片が刺さり、左腕と右目を失っていたが、辛うじて命は取り留めていたのである。 全身の激痛に耐えウラジーミルは立ち上がる。 「右目が……見えない……左腕が……無い……」 右目の視力が完全に消えている事、左腕の肘から先が無くなっている事にショックを受けながらも、 ウラジーミルは一緒にいた筈の愛沙の姿を残った左目で必死に探した。 「福島さんっ、ふくし、ま、……!」 程無く愛沙は見付かった。 うつ伏せに倒れ、腹から臓物が丸ごと飛び出している。 顔はとても綺麗だったが、開いたままの目はどこも見ておらず光は消え失せていた。 恐らく、何が起きたのか分からないままだっただろう。 周囲の状況や自分の怪我、愛沙の状態から、爆発物、恐らく手榴弾か何かを投げ入れられたのだろう。 「何て事だ……くそっ、誰だ! 誰がこんな事を! ウグッ! ……つぅ」 襲撃者を今すぐにでも探したかったが、全身の痛みに目眩がする。 せめて失った左腕の止血だけでもしなければ遅かれ早かれ失血で死んでしまうだろう。 「手当……しないと……ごめん、福島さん……」 同行者を守れなかった事を悔いながら、ウラジーミルは手当するための道具を探し始めた。 【福島愛沙 死亡】 【残り34人】 【D-2/給油所周辺/朝】 【マリア・ベーラヤ】 [状態]健康 [装備]スナイドル銃(0/1) [持物]基本支給品一式、.577スナイドル弾(10)、RGD-33柄付手榴弾(2) [思考] 基本:優勝狙い。 [備考] ※ウラジーミルが生きている事には気付いていません。給油所からは離れています。 【D-2/給油所/朝】 【ウラジーミル・コスイギン】 [状態]右目失明、左腕肘から先喪失(出血多し)、全身に細かい破片による傷 [装備]クロスボウ(0/1) [持物]基本支給品一式、クロスボウ予備矢(10) [思考] 基本:殺し合いには乗らない。 1:手当をしなければ……。 [備考] ※福島愛沙を襲っていた男(鐘上真生)の容姿を記憶しました。
68 : 投下終了です。
69 : 投下します。
70 : 30話 三人の修羅 市街地にある雑貨屋。 紫竜の青年エマヌエルは、陳列棚にあったサイダーを手に取った。 キャップを開けてそれを飲む。 金など払っていないが店員はどこにもいないので問題は無い。 「はあっ……」 ある程度飲み一度口からペットボトルを放す。 炭酸の刺激とサイダーの甘味がエマヌエルの喉を通り抜ける。 (支給品の水じゃ味気無かったもんな……) サイダーを飲み干してカウンターの上に空いたペットボトルを置き、 エマヌエルはサイダーを四本陳列棚からくすねて自分のデイパックに突っ込んだ。 万引きGメンが絶対に見逃さない行動だったがここに万引きGメンはいない。 「行こうかな」 そろそろ雑貨屋を後にするべく、エマヌエルは出入口へと向かう。 そして出入口の扉を潜った直後。 彼は後頭部に重い衝撃を感じた。 「ッ!」 視界が揺れ一瞬意識が遠くなり、エマヌエルは片膝を突いた。 エマヌエルの後頭部を金属バットで殴打した下手人、鐘上真生は追い打ちを掛けるべくバットを振り上げた。 雑貨屋の中を覗いた時、竜種がいた事に少し驚き、相手にせず逃げるべきかと思った。 人間と竜種では体格差も筋力差も大きい。生命力も段違いだ。 それに先刻翼の生えたライオンの獣人にやられた右肩の矢傷もネックになる。 一応小さなドラッグストアにて包帯と消毒薬を見付け応急処置は済ませてあるが痛みはまだ残っている。 この状態で竜種相手に正面きって戦いを挑んでも、勝ち目は薄いと言わざるを得ない。 だが、出入口から出た時を狙って不意を突けば勝機はあると踏んだのだ。 だがその考えはあまりにも甘かったと真生はすぐに思い知る。 バシッ 「!!」 「痛いじゃないか……」 振り下ろしたバットは紫竜の左手によりがっちりと受け止められてしまった。 よく見ればその手は赤く染まっていた。 絵の具などでは無い事は予想がつく。 真生を睨み付けるエマヌエルの瞳には明らかな怒りの色が滲む。 一気に血の気が引いていくのを真生は感じた。 バットを取り返そうとするも、掴まれたそれは全く動かない。
71 : メキッ 「はっ?」 金属バットがくの字に折れ曲がる。 紫竜の握力で金属バットはあっさり白旗を上げてしまった。 「いっ……うあああぁあ!!」 金属バットの最期を見て、本能的に「この紫竜には勝てない」と悟った真生は、全速力でその場から走って逃げた。 「……逃げ足、早いな……いてて……くそっ……」 逃げる青年をすぐにでも追い掛けてやりたかったエマヌエルだったが、 殴られた後頭部の痛みでそれに伴う脳震盪でまともに動けず断念した。 恨めしそうに、逃げ去っていく青年の後ろ姿を彼は見詰めていた。 ◆◆◆ 「はぁ……はぁ……畜生、武器が無くなっちまった」 紫竜から逃げ果せた鐘上真生だったが、武器を失ってしまった。 早々に代わりの武器を探さなければならない。 「家に入って包丁か工具でも……ん?」 「!」 武器を探そうと思っていた所、前方に一人の少女がいるのを発見した。 少女もまた真生に気付いたようで一瞬歩みを止める。 (ちぃっ、武器もねぇし、ここは逃げとくか) 相手を殺そうにも武器であった金属バットは先程紫竜によって破壊された。 素手で殴り殺したり絞め殺したりするのは自信が無かった。 真生は近くの細い路地に逃げ込んだ。 「くそっ、早く武器見付けねぇと」 武器が無くては何も出来無い。 真生はまず何より武器を手に入れなければと思った。 ◆◆◆ 青年と遭遇したが逃げられてしまった。 成沢由枝が青年を追おうとした時には既にその姿を見失ってしまっていた。 (無理して追う事も無いか……) 青年にこだわる理由も無い。 由枝はさっさと諦めて別の獲物を探す事にする。
72 : 【F-3/市街地/朝】 【エマヌエル】 [状態]後頭部にダメージ、軽い脳震盪、両手血塗れ [装備]無し [持物]基本支給品一式(水少量消費)、???、ステーキナイフ、三*矢サイダー(3) [思考] 基本:皆殺し。 1:脳震盪が回復するまで待つ。 [備考] ※鐘上真生の容姿のみ記憶しました。 ※鐘上真生、成沢由枝とは離れた場所にいます。 【F-3/市街地/朝】 【鐘上真生】 [状態]右肩に矢傷(応急処置済)、疲労(中) [装備]無し [持物]基本支給品一式 [思考] 基本:皆殺しにして優勝する。 1:あのライオン野郎(ウラジーミル・コスイギン)は次会ったら絶対にR。 2:紫竜(エマヌエル)は次会ったら逃げる。 3:武器を手に入れたい。 [備考] ※ウラジーミル・コスイギン、福島愛沙、エマヌエル、成沢由枝の容姿のみ記憶しました。 ※エマヌエル、成沢由枝とは離れた場所にいます。 【F-3/市街地/朝】 【成沢由枝】 [状態]健康 [装備]金槌 [持物]基本支給品一式、錆止めスプレー [思考] 基本:殺し合いに乗り、優勝を目指す。 [備考] ※金上真生の容姿のみ記憶しました。 ※エマヌエル、鐘上真生とは離れた場所にいます。
73 : 投下終了です。
74 : 自由奔放オリロワ投下します。 31、32話はあれな内容なので避難所です。 33話を投下します。
75 : 33話 行軍 病院を後にした福井知樹、村上在羽、エリノアの三人は墓場を訪ねていた。 そこで三人が見付けたものは、首を吊って死んだ少女の死体。 しかも、性的暴行を受けた形跡があった。 服は破かれほぼ全裸の状態の上、白い体液が身体に付着し股間には赤と白の混じった液と、 失禁による小便が垂れ流しになっている。 「こりゃ酷ぇ……」 少女の死体の惨状を見て知樹が呟く。 在羽とエリノアは無言だったが知樹と同様の気持ちだった。 この少女が暴行を受けた末に自殺したのか、それとも、暴行を行った下手人によって殺されたのかは分からないが、 何にせよ、この少女が悲惨な死を迎えた事は明らか。 「知樹さん、この子、このままにしておくのは忍び無いですよ……」 エリノアが知樹に言う。 「……埋める時間も道具も無いけど、下ろしてやる事ぐらいは出来るな。在羽、手伝ってくれ」 「良いよ」 知樹と在羽は少女の死体を下ろす事にした。 酷い悪臭が立ち込めていたが我慢する。 死体は既に死後硬直が始まっていて割と作業は難航したが、どうにか首を絞めていたネクタイを解き、 少女の死体を地面に横たえさせる事に成功した。 しかし死後硬直が酷く折畳まったままの膝等はどうしようも無かった。 「ブルーシートありますけど……」 「それを掛けてやろう」 エリノアが見付けてきたブルーシートを、少女の死体に掛けてやる。 野ざらしよりはましであろう。 「……これ以上この墓場には何も無さそうだし、街の方行くか」 「そうだね」 「はい」 三人は墓場を後にし街の方へと歩き始めた。
76 : 【C-6/墓場/朝】 【福井知樹】 [状態]疲労(中) [装備]??? [持物]基本支給品一式、??? [思考] 基本:殺し合いから脱出したい。在羽、エリノアと行動。 【村上在羽】 [状態]健康 [装備]??? [持物]基本支給品一式、??? [思考] 基本:殺し合いはしない。知樹、エリノアさんと行動する。 【エリノア】 [状態]健康 [装備]??? [持物]基本支給品一式、??? [思考] 基本:殺し合いはしない。在羽さん、知樹さんと行動する。
77 : 投下終了です。
78 : 投下します。
79 : 34話 抑えきれぬ欲求 「放送が近いな、どこかで休もうか」 「そうですね」 第一回目の放送の時刻が迫っている事もあり、重勝と雪子の二人は休息出来る場所を探し始める。 現在いる場所は朽ち果てた廃屋が建ち並ぶ廃集落。 どの家屋も老朽化が激しく落ち着いて休めるような状態では無かった。 「ん……?」 「蒲生さん、あれは……」 二人はある物を発見する。 死臭を漂わせる、牡馬とメイド姿の女性の射殺死体。 全身に穴が空きそこから染み出した血液が地面を濡らしていた。 女性は何故かR房と秘部を露出していた。 「うっ……」 凄惨な様子の死体を見て、思わず吐き気を催してしまう雪子。 「大丈夫か?」 「……大丈夫、です」 「……見た所、殺されてから結構経ってるみてぇだし、こいつら殺した奴はもう近くにはいないだろ、多分」 「早く行きましょう」 「ああ」 これ以上死体の傍にはいたくないと言わんばかりに雪子が早くこの場から立ち去る事を重勝に進言した。 その後、床が抜けていない比較的状態の良い廃屋を見付け、 二人は休憩場所をその廃屋と定める。 「ちょっと埃っぽいけど、文句は言えねぇな」 「そうですね……」 畳の間で寛ぐ重勝と雪子。 雪子が自分のデイパックから懐中時計を取り出し時刻を確認すると、放送まで既に一時間を切っていた。 (……放送が終わったら) 雪子はある欲望を胸に秘めていた。 それは、同行者の狐獣人、蒲生重勝に滅茶苦茶にして欲しいと言う、倒錯した性欲。 結局、最初の四時間ではタイミングが掴めず何も出来なかった。 放送が終わった後、雪子は思い切って重勝に切り出してみようと考えていた。
80 : (そうだね、ストレートに頼もうかな、拒否されたら……いや、蒲生さんだって男なんだし、 目の前でRとあそこ見せつけてやれば……夢は広がるね) 「……どうかした? 雪子ちゃん」 「え? ……いや、何でも?」 雪子の性欲求の事など、重勝は知る由も無い。 そして、午前8時、第一回目の放送が開始された。 【E-4/廃屋郡/朝】 【蒲生重勝】 [状態]健康 [装備]タンペレーン ヤティマティック(40/40) [持物]基本支給品一式、タンペレーン ヤティマティックの弾倉(3) [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:雪子ちゃんと行動。 【神楽坂雪子】 [状態]健康 [装備]グルカナイフ [持物]基本支給品一式 [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:蒲生さんと行動。蒲生さんに滅茶苦茶にして欲しい。
81 : 投下終了です。
82 : 投下します。
83 : 35話 第一回放送(自由奔放オリロワ) 『はい、午前の8時になったから第一回目の放送を始めるぞ。 プレゼンターは俺、吉橋寛和だ。 まずは禁止エリアな。良く聞けよ。 午前9時から、C-2、E-2、F-2。それとC-3、D-3。それとD-5。 以上の六つのエリアだ。 繰り返す、午前9時から、C-2、E-2、F-2。それとC-3、D-3。それとD-5だ。 指定された時間の後に入ったら首輪がボンッだからな。 次に死んだ奴だ。五十音で発表する。 “浅井貴光” “アリシア・ルクルス” “安野賢史” “池田里子” “石和清香” “緒方龍也” “川西栞” “ザガート・マキシム” “シップウジンライ” “武田周治” “竜錬アイ” “二宮嘉光” “深魅留維” “福島愛沙” “宮永正子” “村田ユズハ” “森林源五郎” 以上17人。残りは33人だな。 中々のペースだ、良いぞその調子だ。 その調子でどんどんやり合ってくれ。 とまあ、以上だな。 次の放送は正午0時。 また俺の声が聞けるように頑張って生き残れよ。それじゃあな』 【残り33人】
84 : 投下終了です。
85 : 投下します。
86 : 36話 満たされぬ欲求 放送が終わる。 呼ばれた死者は17人。残り人数は33人だと言う。 その33人の生き残りの中には、廃屋群の廃屋の一つにて放送を聞いた蒲生重勝と神楽坂雪子が確かに含まれていた。 「随分死んでるんだな」 「ですねぇ……やる気になっている人がそんなに多いんでしょうか」 「分かんねぇけど……禁止エリア、この近くだな。 ここらは入っていないかもしれないけど、念の為に移動した方が良さそうだな」 放送で指定された六つの禁止エリアの内、D-3エリアには廃屋群が含まれている。 但し、その廃屋群はエリア区分によってD-3東南端、E-3西南端、E-4西北端と言う感じに分断されている。 現在自分達がいる廃屋のある場所がどの部分に含まれているか分からないが、 廃屋群の一部が禁止エリアに指定された以上、廃屋群からは離れた方が得策だろう。 重勝はそう考えた。 「でもどこに行きます?」 「そうだなぁ、うーん……」 地図を広げ考える重勝。 (折角蒲生さんにアタックしようと思ったのに、はぁ、残念) 雪子は心の中で、放送後に重勝に自分を滅茶苦茶にして欲しいと頼もうと計画していた事が、 禁止エリア指定により頓挫した事を嘆いていた。 一刻も早く移動しなければならない状況では流石に自分の欲望を通す事は出来ない。命が掛かっているなら尚更だ。 (いやいや、また別の機会を窺えば良いだけの話よね。諦めたりしないんだから) 欲望を捨てる事こそしなかったが。 「よし、西に行ってみるか。図書館とかある所」 「どうしてそこに決めたんですか?」 「いや、何となく」 「成程」 「よし、行こうか」 重勝と雪子は早速荷物を纏め、放送を聞くのに使った廃屋を後にし、 コンパスを頼りに西方向へ歩き始めた。
87 : 【E-4/廃屋群周辺/朝】 【蒲生重勝】 [状態]健康 [装備]タンペレーン ヤティマティック(40/40) [持物]基本支給品一式、タンペレーン ヤティマティックの弾倉(3) [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:雪子ちゃんと行動。西へ向かう。 【神楽坂雪子】 [状態]健康 [装備]グルカナイフ [持物]基本支給品一式 [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:蒲生さんと行動。西へ向かう。 2:蒲生さんに滅茶苦茶にして欲しい。
88 : 投下終了です。
89 : あっ西じゃないや東だわ 修正しとこう
90 : 投下します。
91 : 投下します。
92 : 37話 連死 分校にて、内藤行光は放送を聞いた。 死者が17人も出ている事にショックを受け運営への怒りを顕にする。 絶対に殺し合いを潰さなければと決意を新たにした。 「しかし17人……多いな。私以外に殺し合いを打倒しようなどと考えている者は、 本当にいるのだろうか」 こうも死亡人数が多いと不安になる。 更に、行光自身、殺し合いに乗った竜人警官以降誰とも会っておらずそれが不安に更に拍車をかけた。 だがまだ諦めるには早い、自分を含めまだ33人生き残っている。 全員殺し合いに乗っているとはとても考え難いと、行光は考える。 「放送も聞いたしさっさと行くか……」 放送も聞き終え、これ以上分校にいる理由も無い。 行光は荷物を纏めて教室を後にし、昇降口へ向かった。 問題はこれからの行き先である。 現在いる分校のあるエリアはD-4であるが南下すると禁止エリアに指定されたD-5にぶち当たる。 かと言って北は森でしかもその先も禁止エリア。 となると東か西かしか無い。 「どこに行く……」 行き先を考えながら行光は校門を通り抜けた。 「いぃ〜たぁ〜」 「……!」 妙な抑揚の女性の声。 直後、行光の胸元を熱が貫いた。 耳を劈くような音が響く。 「がっ……は」 口から血を胸元から血が噴き出すが辛うじて行光はまだ立っていた。 撃たれたのだとすぐに理解する。 鍛え抜かれた屈強な肉体のおかげで即死は免れたが、重傷である事には変わり無い。 溢れる血液、遠のく意識。 「くそっ……不覚……ここまでか……」 恐らく自分はもう助からないだろう。 この殺し合いを打倒するための事を何も成し遂げられず死にゆく、実に残念であった。 せめて、自分を撃った者の顔を見届けようと、消えかかる意識を必死に保ち銃弾が飛んで来た方向を見据える。 殆ど全裸の、青い狐獣人の女性が、銃をこちらに向けて構えていた。 笑っていた。明らかに正気では無い。
93 : そしてもう一発の銃声が響いた瞬間、行光の首輪が炸裂する。 狐女性の放った銃弾が行光の首輪に命中し誘爆したのだ。 行光は首に大きな穴が空き、鮮血を撒き散らしながら崩れ落ち、しばらく痙攣していたがやがて動かなくなった。 「あははっ、仕留めたりぃ」 獲物を仕留めた事に歓喜する狐女性、ヘレン・オルガ。 相変わらずその精神は狂ったままである。 「へへっえへへっ、どんどん、ころっ」 掃射音が響きヘレンの言葉は中断される。 彼女の身体中に穴が空き血が噴き出す。 心臓、肺、脊髄、脳、生存に必要な全ての器官が銃弾によって破壊されその機能を喪失し、 そして彼女自身の命も潰える事となった。 イングラムM10の空になった弾倉を交換する白狼獣人、フーゴ。 そして自分が撃ち殺した青狐獣人の女性の死体に近づき、彼女が持っていたリボルバーを拾い、 所持品を漁って予備の弾も手に入れた。 ついでに男の死体も調べるが、特に何も無く早々に切り上げる。 そして足早にその場を立ち去った。 「にしても、緒方の奴死んじまったんだな」 先刻の放送で呼ばれた死者の名前の中には、自分を襲ってきたが返り討ちにし犯して捨てた、 竜人警官の緒方龍也の名前もあった。 自分が捨てた後、誰かに殺されたのだろうか、それとも自分で命を絶ったのだろうか。 どちらかは分からないし、別に確かめる気もフーゴには無かった。 【内藤行光 死亡】 【ヘレン・オルガ 死亡】 【残り31人】 【D-4/分校周辺の市街地/午前】 【フーゴ】 [状態]健康 [装備]イングラムM10(40/40) [持物]基本支給品一式、イングラムM10予備弾倉(2)、針金、ニッパー、三十年式銃剣、 ベレッタM92FS(12/15)、ベレッタM92FSの弾倉(3)、S&W M3ロシアンモデル(4/6)、.44ロシアン弾(6) [思考] 基本:面白そうなので殺し合いに乗る。 1:獲物を探す。
94 : 投下終了です。
95 : 投下します。
96 : 38話 強制移動です 「えっ、C-3、D-3って……まるっきりこの辺じゃないか!」 放送で指定された禁止エリアに、廃ホテルの一室に隠れていたチーター少年、 篠原昌信は慄いた。自分が隠れている場所が丸ごと禁止エリアに指定されたからである。 ずっと一箇所に留まっていたおかげか、17人死んでいる中で無傷でいられたが、 ここに来て一刻も早く移動する事を余儀無くされた。 「くそっ……折角ここは安全だと思ったのに……移動するしか無い……」 愚痴を言いながらも、昌信は渋々荷物を纏め移動する準備を始める。 ここに留まっていてはいずれ首輪が作動して死んでしまう。 荷物を持って、何時間かぶりに部屋の出入口の扉を開け廊下に出た。 放送前、殺し合いが始まって、と言うよりは昌信がホテルの一室に隠れて少し経った後、 ホテルのどこかから銃声らしきものが聞こえた。 もしかしたらこの廃ホテルのどこかに死体でも転がっているのでは、 もしかしたらこの廃ホテルのどこかに殺し合いに乗っている人物がうろついているのでは、 と思うと、昌信は本当に動くのが嫌になる。 だがぐずぐずしてはいられないのが実情だ。 支給された狩猟用狙撃銃、豊和ゴールデンベアを手に持ち、昌信はホテルの出口を目指した。 【C-3/廃ホテル西部三階廊下/午前】 【篠原昌信】 [状態]健康 [装備]豊和ゴールデンベア(5/5) [持物]基本支給品一式、7.62mm×63弾(10) [思考] 基本:死にたくない。 1:C-3、D-3エリアから離れ新しい隠れ場所を探す。
97 : 投下終了です。
98 : 投下乙です。 投下スピード我凄まじい。 自分も新ロワを始めさせていただきます。 ロワ名は「???ロワ」です。
99 : 無音
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