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2013年05月創作発表14: 自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第75章 (416)
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【魔王】ハルトシュラーで創作発表するスレ 3作目 (820)
またまた騙されて創作発表板に飛ばされた訳だが 4 (310)
ファイアーエムブレム的フォーマットで創作 (207)
●○●○● スレ立て依頼所2 ●○●○● (249)
ファイアーエムブレム的フォーマットで創作 (207)
【魔王】ハルトシュラーで創作発表するスレ 3作目 (820)
自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第75章
- 1 :2013/02/16 〜 最終レス :2013/05/02
- ハイテク兵器 vs 剣と魔法。
内容はガイドラインを参照。
・sage厳守。
・書きこむ前にリロードを。マナーとして。
・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。分断防止のため。
・SS投下中の発言は控えてください。
・支援は50レスに1回。
・嵐、煽り、気に食わないコテは徹底放置。自然現象として脳内あぼーんしましょう。
・品性に欠けるレスはなるべく付けませんよう。
・気に食わないレスを、気に食わないコテハンまたは気に食わない人間のものと根拠無く認定するなかれ。
ループ禁止。対策としての『萌え』などには書き手も読み手も極端な反応をしないこと。
そんなことより海産物の話でもしよーぜ。
・以上を守らないものはぬるぽと見做し、鉄槌制裁( ・∀・)つ=■彡☆))`Д´)されます。
前スレ
自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第74章
ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1351193900/l50
保存庫
ttp://www26.atwiki.jp/jfsdf/
ttp://pixus.iinaa.net/jfs.htm
分家
ttp://jbbs.livedoor.jp/movie/4152/fjieitai.html
2 :創る名無しに見る名無し:2012/08/14(火) 11:26:03.07 ID:4RcBXbQ4
新暫定ガイドライン
0. 現代科学であれ男塾理論であれ異次元科学であれ議論であれ、第一に置くべきははスレ住人が楽しいこと。住人が不快に思う事は避ける。
1. 投下してくれる作者は神。批評はいいが節度を持ってやること。
2. 「自衛隊がファンタジー世界に」とあるように、あくまで「現代の日本国自衛隊」が主に関わる話であること。
3. 自衛隊の組織・装備はあくまで現用もしくは近未来的に配備が予想されるものに限る。
核兵器・旧東側諸国製兵器・未来兵器・巨大人型兵器など、現代の日本国が配備するにはナンセンスなものは極力避けること。
現代科学と作中の設定で説明できる場合にはこの限りではない。
4. 軍事力の背景となる社会構造、政治・戦略・作戦・戦術・戦闘に関してはある程度しっかり設定しておくのが好ましい。
作中の設定で説明できないものは避けること。
5. F世界側の設定は作者が勝手に決めることが出来るが、「超魔法・無敵キャラまんせー」な話にならぬよう気をつける。
基本的には自衛隊・近代兵器マンセーの方が好まれる。
また、オーバーテクノロジーの扱いは慎重に。
6. ファンタジー側の人間もきちんと描写する方が好ましい。
自衛官主観という演出などであえて描写しないのはこの限りで無い。
7. 萌えだけ、エロだけ、グロだけを目的とした作品は、このスレ以外のしかるべき板やスレに書き込むこと。
8. スレ外の該当作品にかんする批評などの雑談は、ほどほどに。
9. 次スレは>>980か480KBを踏んだ方が立ててください。
- 2 :
- ■今までこのスレで討議された議題
・ファンタジー世界の市場規模についての考察
・Rによる世界支配は許されるか
・江戸時代とファンタジー世界の類似性について
・大陸国家VS海洋国家戦略、その長短について
・マッチとメラ、着火手段としてどちらが優れているか
・F世界での日本経済再生と交易について
・ドラゴン…契約方法と空軍戦力としての有効性を考える
・自衛隊的ダンジョン攻略法
・対人地雷と魔法の罠。
・F世界における神の影響力について。
・F世界的陣地攻略法
・熊に見るモンスターの手強さ
・巨大昆虫対策〜界面活性剤から核弾頭まで
・決闘における非致死性制圧法(殺さずにいたぶる百の方法)
・F世界の街道、交通路における運搬手段が道に与える負担うんぬん
・銃弾を受け付けない素材を武具の材料に用いれるか
・マクロ経済を考慮すべきか
・後世の倫理や常識/後知恵で過去を断罪しても赦されるか
- 3 :
- ■さんざんガイシュツの話題
・シーレーン確保における脅威の排除(海賊、海の怪物対策)
・日本が傭兵を雇用することは可能か?
・萌えは是か否か。
・議論は是か否か。
・魔法・怪物の設定(最終的には作者に一存という結論)
・補給が断たれた場合、弾薬を何とか確保可能か?不可能な場合はどうなるか?
・球形以外の世界。
・食糧対策・餓死者の局限−魔物を喰らうモノ−
・在日外国人・異世界住人対策。政治思想の殴り合いは勘弁
・資源・エネルギー問題。
・外交方針について。
・人間と亜人の共生について。
ガイシュツだが、再考察とかは特に禁止されてない
SFは禁止だと言うことです
- 4 :
- 関連サイト
「帝國召喚」(作:くろべえ/分家皇軍スレ)
ttp://www.geocities.jp/wrb429kmf065/index.html
「輸送戦記」(作:Call50/本家)
ttp://homepage2.nifty.com/Call50/
分家まとめサイト
ttp://www.geocities.jp/wimsigma/
SSの書き方
ttp://www6.plala.or.jp/Action/taidan01.html
ttp://www6.plala.or.jp/Action/taidan02.html
- 5 :
- 過去スレ
創作発表板
74 ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1351193900/
72 ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1344911105/
72 ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1337702041/
71 ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1326519134/
70 ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1318261509/
69 ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1280728791/
68 ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1261921219/
67 ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1254132077/
66 ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1247917732/
65 ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1242886494/
64 ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1235983300/
63 ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220184382/
軍事板
63 ttp://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/army/1220300122/
62 ttp://hobby11.2ch.net/test/read.cgi/army/1214912385/
61 ttp://hobby11.2ch.net/test/read.cgi/army/1210853200/
60 ttp://hobby11.2ch.net/test/read.cgi/army/1206945872/
59 ttp://hobby10.2ch.net/test/read.cgi/army/1200068856/
58 ttp://hobby10.2ch.net/test/read.cgi/army/1187502563/
57 ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1181167154/
56 ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1177836560/
55 ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1173715591/
54 ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1171625885/
53 ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1170750554/
52 ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1166436294/
51 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1163066160/
50 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1161084208/
49 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1160188326/
48 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1157263954/
47 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1153579549/
46 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1149155655/
45 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1145708454/
44 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1141803533/
43 ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1138537013/
42以前は保存庫参照
- 6 :
- >>1スレ立て乙
ワシも膝に矢が刺さらなかったらホスト規制なんぞに(ry
- 7 :
- >>1乙
ワシも対空砲火で足が吹き飛ばなければソ連なんぞに(ry
- 8 :
- >>1乙
ワシも佐藤が独断で退却しなければ英軍なんぞに(ry
- 9 :
- >>1
スレ立て乙です。
すみません。ネタに続けません。
代わりに九時には投下したいと思います。
- 10 :
- へっ、その作品を待ってるヤツらがいるんだろ?
ここは俺に任せて先に行きな!
- 11 :
- 増援部隊の先頭は後三キロ地点まで到達している。
何としてもあと30分持ち堪えてくれ。
- 12 :
- 漸く、書き上がりました。投下します。
- 13 :
- 眼前で繰り広げられた惨劇に対し、『はやぶさ』艇長の対応は素早かった。
呆然とする周囲をよそに、彼は情報を集め、脅威評価を下していた。
対空目標。サイズと速度はヘリ程度。我に友好的では無い可能性が高い。火力は本艇に脅威足り得る。
彼は命令を下した。
「対空戦闘用意」
隣では、商人然とした異世界の男が、腰を抜かしそうになっている。指輪を通した彼の言葉は「まさか、こんな所まで……」「一体どうしたら」という呟きであった。〈魔法〉とやらは、男の茫然自失な様子まで正確に伝えていた。
男の狼狽ぶりは、信じられない事態に遭遇した常人の反応としては、概ね平均的なものであった。
だが、命令を受けた自衛官達は、弾かれたかの様に行動を開始していた。警報が鳴らされ、LM500-G07ガスタービンエンジンが全速力に備え唸りを上げる。レーダー員が探知目標に番号を付与する。数十秒後、艇は戦闘態勢を整えた。
訓練でできないことは、実戦では絶対にできない。訓練は実戦の如く。実戦は訓練の如くだ。
部下の動きを見ながら、艇長は昔仕えた艦長の言葉を思い出した。今のところ、自分が鍛えた『はやぶさ』は満足すべき練度を発揮している。
「ガレー船、さらに一隻被弾! 炎上中!」
行き足を止めていたものから叩かれている様だった。足を折られたミズスマシの様な、無残な有り様を晒している。無事な船は五隻まで減少し、必死に回避運動を続けていた。打ち上げられる矢の勢いは、乗員の動揺を表すかのように貧弱で、何の効果も無い。
「目標機数3。更に後方に1機、旋回中」
レーダー員の報告を聞きながら、鮮やかな青空に目を凝らす。双眼鏡では視界が狭まり追いきれないためだ。艇長の目には、目標は航空機でもヘリでも無い様に見えた。それは、奇怪な生物に見えた。
「……蛇? 火を吐く蛇がいるのか?」
「あれは、有翼蛇です。マルノーヴ各地に生息する魔獣。しかし、ああまで見事に使役されたところを、わたくしは見たことがありません」
リューリが、真っ青な顔色ながら気丈にも、艇長に説明した。
「使役? 操られていると?」
艇長が訊ねた。リューリが、天井を見上げながら答えた。
「有翼蛇は、人に馴れません。ですが、『魔獣遣い』は術によって使役すると聞きます。帝國軍はあの様な魔獣を軍に用いているのです」
重い口調で語った彼は、艇長の目を見つめ、切り出した。 船長殿。願わくばわたくしとカサード殿にボートをお貸しくださいませんか?」
傍らには、憤怒と焦燥に髪を逆立てたアイディン・カサードが拳を握りしめ立っていた。眦はつり上がり、苦戦する配下達を見つめている。
「……あなた方は本艇の大切な客人だ。お貸ししたとして、どうされるお積もりか?」
艇長の言葉に、カサードは態度で答えた。炎上するガレー船を指差し、反対の手で目の前の壁を力一杯殴打した。金属を叩く硬い音がブリッジに響く。乗員達が驚いた表情を見せた。艇長とレーダー員だけは顔色を変えなかった。
リューリが、カサードの代わりに言った。
「海将カサードは、部下と共に在ることを望んでいます。しかし、異国の方である貴船に参戦の名分はありません。ボートをお貸し頂ければ、我等は配下の軍船に漕ぎ寄せ、指揮を執る所存です」
「リルッカさんは、使節団の団長でしょう? あなたまで行く必要が?」
艇長はリューリを気遣った。指揮官が戻ったとして、ガレー船が自在に空を駆ける有翼蛇に勝てるとは思えなかった。
リューリはにこりと笑った。
「わたくしは南暝同盟会議に連なる者。敵たる帝國軍により味方が窮地に在りし時にただ黙って見ている様では、わたくしの幹も根も腐ってしまいます。拙い精霊魔法でも何かの役に立ちましょう」
大した口上だった。だが艇長は、リューリの足が震えているのを見逃さなかった。カサードが今にも海に飛び込んでしまいそうな様子であることにも、共感を覚えた。彼は部下を案じている。
艇長は、その身の内で血が沸く音を、はっきりと聴いた。
「お二方の御覚悟、了解しました。暫し待たれたい──通信!」
そう言って艇長は、通信員の手から無線の送話器をひったくった。だが、同時にスピーカーから声が聞こえた。
- 14 :
- 石動よ、別に投下を待っていても構わんのだろう?
- 15 :
- 『群司令より、各艇長。意見はあるか?』
艇長は機先を制された形になった。群司令の問い掛けに、無線からは各艇長の返答が次々と聞こえてきた。
『「わかたか」艇長、戦闘行為を制止すべきと考える』
血の気の多さで知られる『わかたか』艇長が、戦闘への介入を進言した。きっと狭いブリッジの中を熊の様にウロウロしているだろう。
『こちら「くまたか」。現状は、武器使用要件を満たさない。戦闘停止を呼びかけつつ、部隊の保全に努めるべきと考えます』
『くまたか』艇長の冷静な声が聞こえた。治安出動下令前に行う情報収集として派遣された彼らは、武器使用に制限があった。改正自衛隊法第92条の5は、対象を「自己又は自己の管理の下に入った者」に広げたものの、危害要件を『正当防衛』『緊急避難』に限っている。
『「うみたか」艇長。被攻撃船の乗員は、「日本人」の可能性がある。救援を進言する』
奇妙な事だが、『門』を越えたこの世界は、法律上日本国内らしい土地として扱われていた。政府は『南暝同盟会議』を主権国家であると確認するまでの間、あくまで国内における活動として自衛隊を運用するつもりであった。
そのため、眼前で戦うガレー船の乗員は、『未発見の』日本人の可能性がある。『うみたか』艇長はそう言っていた。
「こちら『はやぶさ』艇長。ガレー船乗員は、『南暝同盟会議』所属との情報を得た。本艇これより近接し、難船者救助を実施したい」
無線のやり取りに唖然とするリューリ達を尻目に、『はやぶさ』艇長は進言した。内心、無茶かなと思っている。救助のために近付けばまず攻撃を受ける。それは、様々な問題をクリアするが、更に多くの問題を生み出すだろう。
日本国として、それを許容出来るのか? その判断を現場がしても良いのか?
無線は約十秒、沈黙した。
『群司令了解。「はやぶさ」は、ガレー船に近接し、難船者の救助に当たれ。「うみたか」は「はやぶさ」を援護せよ。「くまたか」「わかたか」は「門」を確保せよ』
群司令の声はやけに明るかった。ミサイル艇を指揮する指揮官達は、その兵器特性からか即断即決を重視する傾向があると思われている。群司令もその例に当てはまるようだ。
『「はやぶさ」了解』
艇長は、自分の声も明るくなっている事に気付き、内心で苦笑いした。だが、手には既にじっとりと汗をかいている。今からは、命のやりとりになる。そう思うと、膝が笑いそうだった。
「船長殿! 早く我らを降ろしてください!」
じれた様子でリューリが言った。艇長は、彼に答えた。
「リルッカさん、カサードさん。ボートはお貸しできません。本艇これより貴船団の救助に向かいます」
「無茶です! 危険すぎます! 船では火球を回避できません。いくら鉄船と言えども……」
「──我、強要! 降りる!」
この船では不可能だと言い募る異世界の住人に対し、艇長は胸を張った。
「リルッカさん、本艇の名前を覚えていますか?」
「……『はやぶさ』です」
「そう、『隼』です。今から、我ら四艇が猛禽の名を名乗るその理由を、御覧にいれましょう」
艇長は爽やかに笑いながら、リューリの細い身体をレカロ社製シートに押し込んだ。手早くベルトを締める。そうしてから正面を向く。彼は大きく息を吸い、命令を発した。
「本艇は只今から救助活動のため、ガレー船に近接する! 第二戦速!」
タービンが一段甲高い音で、ブリッジの空気を震わせる。艇尾が激しく泡立ち、『はやぶさ』は満載240トンの船体を力強く前進させ始めた。
- 16 :
- 太陽が中天に昇る頃、南暝同盟会議水軍初の対空戦闘は、早くも破局を迎えようとしていた。
快速を誇った旗艦『バンガコルマ』号だが、既に至近に二発の火球を食らい、漕ぎ手に被害が出ていた。
いくら漕ぎ手に屈強な漢達(その中には人族以外の者を含んでいる)を揃えているとはいえ、四半刻余りも全力で漕ぎ続けていては、疲労の色が隠せない。
「頭ァ、もういけませんや。次は避けられそうにありやせん」
掌漕手長がふさふさした耳を情けなく垂れ下げ、泣き言を漏らした。彼は配下の二割を失っている。
「莫迦野郎、簡単に諦めるな。帝國の蜥蜴どもに笑われるぞ!」
「ですが……」
艦長は船首楼に仁王立ちになり、汗にまみれた赤黒い顔を左右に巡らせた。彼の視界の中で、艦隊の陣形はとうに崩され、各艦がてんでバラバラに海上をのたうっていた。
八隻のガレーの内三隻が炎上し、『バンガコルマ』号を含め三隻が損害を受けている。海上には、砕かれた櫂や焼け焦げた船材、そして黒い塊──先程まで人間だったものが無数に漂っている。艦長は唇を噛んだ。無様な有り様だった。
有翼蛇は鏃の様な編隊を組み、一旦空高く昇り始めていた。矢は気を逸らす事すら出来ていない。
畜生、太陽を背にしやがった。艦長は目を細めたが、蛇は直に見えなくなった。
彼らの戦備えは、空を駆ける敵に対して全くの無力を晒している。敵船への斬り込みに無類の威力を発揮した曲刀も銛も、炮烙や弩ですら役に立たない。
まるで、鮫に蹴散らされる小魚の群れの様であった。有翼蛇があとどれだけ火球を吐くことが出来るのか分からないが、少なくとも先に力尽きるのは此方である。
艦長は決して諦めてはいなかったが、切ることの出来る手札は尽きようとしていた。
その時、船尾楼から声が上がった。
「灰色船、動き出した──何だぁ!?」
「頭ァ! 見てくだせぇ。信じられねぇ……」
配下の狼狽した報告を受けて、艦長は戦闘開始後初めて灰色船の存在を思い出した。それまでは、無力な存在だと半ば無視していたのだ。
あの得体の知れない船にはカサード提督が乗船している。我等が此処で敗れたとしても、提督だけは無事逃がさねば。しかし、見張り共は何を見てそんなに慌てているんだ。彼は灰色船を見た。
次の瞬間、彼は自分の見たものに対し、配下と全く同じ態度を示す事になった。
「……何をどうやったら、あんな速さで走れるんだ?」
- 17 :
- 船は海上を滑るように進む。鉄の船体は小刻みな揺れをリューリに伝えていた。それは彼の知らない揺れだった。
彼の知る船というものは、風が強く吹けば煽られ、弱ければ行き脚を失い、潮とうねりの前に力無く押し戻される様な、真にか弱い存在だった。船長たる者は常に風と波を見極め、逆らわず利用する事に心を砕いた。
それを巧みに為す者が、練達の船乗りとされた。
でも、異界の船は違う。
彼等は海をねじ伏せ、自らの力で迅く走る。風もうねりも切り裂いて真っ直ぐに進む。
リューリはすっぽりと身体を包むような心地の、不思議な椅子に身体を預けながら、その速さに心を奪われていた。
左右の景色が飛ぶように流れ、ガレーがあっという間に大きくなった。
「船長殿! はやい! はやいです! 何なのですかこの船は!」
本当に船なのだろうか? リューリは興奮して叫んだ。
「海上自衛隊ミサイル艇『はやぶさ』、我が国で一番の韋駄天です。お気に召した様ですな」
リューリの興奮を露わにした態度に、艇長も満更では無い様子だ。
「真艦首のガレー船まで2000ヤード」
「取舵。140度宜候」
「とぉーりかぁーじ」
艇長の指示で、『はやぶさ』は左へと舵をとった。艇体が僅かに右に傾く。
「戻せ、舵中央」
左に針路を向けた『はやぶさ』は、ガレー船を右舷に見つつ、前を横切ろうとしていた。
「もどーせー、舵中央。宜候140度」
「目標、180度5000ヤード。ガレー船に突っ込んでくる」
南から太陽を背に、有翼蛇が再突入を図っている。レーダー員が、刻々と報告する。艇長は、やや固い声色で命令した。
「ガレー船と蛇の間に割り込む。こっちに引き付けるぞ!」
『はやぶさ』は、翡翠色の海原に弓の様にしなる白い曲線を描きつつ、21ノット(時速約39km/h)の速力でガレー船の南側に出た。
キレの良い挙動でそのまま横腹を有翼蛇の飛来方向に向ける。76ミリ速射砲は正面に向けたままだ。
日本近海に合わせ塗粧された灰色の船体は、強烈な陽光を受けギラギラと光を放っている。それは、翡翠色の海に良く栄えた。空からはその姿がはっきりと視認できた。
一旦高度を稼ぎ、南へ離隔した有翼蛇の編隊は、『魔獣遣い』の思念波に導かれた。
『魔獣遣い』は、高速で走る新たな船を警戒すべき対象と認識した。先程まで行われていた低高度からの襲撃の代わりに、更に難度が高く、強力な攻撃法を選択する。
蛇は、急角度で右に捻り込むと、太陽を背に急降下を開始した。十分な位置エネルギーを速度に変換しつつ、蛇は『はやぶさ』に向けて約65度 の角度で突撃した。
風を斬って有翼蛇が降下する。知性の感じられない両の目は、『はやぶさ』を捉えている。その情景は『魔獣遣い』の脳裏に映像となって伝えられた。
有翼蛇による急降下火球突撃。操獣士を乗せない事で、桁違いの機動性と速度を獲得したこの攻撃を破る事が出来るものは、アラム・マルノーヴ広しといえど存在するはずがない。
それは、全くの真実であった。
『魔獣遣い』の思念に混じる勝利への確信を感じたか、有翼蛇が甲高い鳴き声を上げた。禍々しい音色が辺りに響く。
降下する有翼蛇の姿を目撃した『バンガコルマ』号の乗員達は、炎上する哀れな異界の灰色船を幻視し、悲痛な呻き声を漏らした。
敬愛するカサード提督は、あの船と共にやられちまうに違いない。
誰もがそう思った。
- 18 :
- 『はやぶさ』のブリッジでは、艇長が慎重にタイミングを測っていた。レーダー員が距離を刻々と読み上げる。
「目標まで1000」
敵の注意を惹き付ける事には成功したようだ。有翼蛇が目標を『はやぶさ』に定めた事は、レーダーの輝点の動きから見て取れた。畜生、先に撃てりゃあ苦労は無いんだが──艇長は、射撃号令の代わりに言った。
「記録始め」
「了解」
ブリッジの中は戦闘配置の乗員であふれていた。88式鉄帽に救命胴衣を装着した航海科員が、固唾をのんで天井を見上げる。
「飛行生物3、左80度500。真っ直ぐ突っ込んでくる」
「目標まで300」
「了解。……カサードさんはどうした?」
「左見張りと一緒です!」
舷窓の向こうに、見張りの横で仁王立ちし、空を睨む威丈夫の姿が見えた。艇長は一瞬だけ迷った。退避を。いや、間に合わん。艇長は左舷見張りに指示を出した。
「目標が降下を始めたら叫べ!」
「目標直上! 急降下ァ!」
「蛇! 来るぞ!」
艇長の言葉尻に見張りの叫び声がかふさった。カサードの発した警告が同時に響く。
「取舵一杯! 最大戦速! 見張り退避急げ」
「総員衝撃に備えェ!」
三匹の有翼蛇が流星の様な勢いで降下する。海面から見上げたその姿は、殆ど垂直に落ちてくる様に見えた。甲高い鳴き声が、まるでサイレンの様だ。
対する『はやぶさ』の三基のウォータージェットノズルが駆動する。左舷側に猛烈な勢いで吐き出された水流が、艇首を蹴飛ばすような勢いで左に向けた。
椅子に縛り付けられたリューリの身体が、右に振り回される。乗員達は手慣れたもので、立っている者は皆何かに捕まり、その任を全うしていた。
『はやぶさ』は、海面を白く濁らせながら、左急速回頭を行う。
有翼蛇の眼を通して敵船を捉えていた『魔獣遣い』の視界から、かき消える様に敵船が消えた。
いや、有り得ない速度で舳先を振っている。敵船は此方の顎から逃れようとしていた。
「……海魔め」
「どうした?」
操獣士の問い掛けを無視した『魔獣遣い』は、思念波を放った。今ならまだ──
思念波を受けて、有翼蛇は喉を震わせると、その顎から火球を放った。高温の火球が尾を引いて敵船に向かう。粘性の高い分泌物を燃料とした焔は、命中すれば船材も人も等しく焼き尽くすだろう。
火球を放ち終えた三匹の有翼蛇は、疲労した体躯を無理矢理引き起こし、急降下の勢いをR。二匹がそれに成功した。海面を這うように離脱する。だが、残りの一匹は哀れな悲鳴を残し、大きな水柱を立てた。
引き起こしに失敗した一匹は、海面に激突したのだった。蛇はそのまま、もがく事すらせず、海中に消えた。
一方、轟音と水蒸気が『はやぶさ』左舷を包み込んだ。
「ああ、やられちまった……」
「糞ったれェ! 」
「駄目だ、次は俺達だ。皆殺しだぁ!」
濛々と立ち昇る水蒸気の雲を見て、南暝同盟会議の船乗り達は、口々に嘆き罵った。
だが次の瞬間、煙るような水蒸気の中から、『はやぶさ』が姿を現した。泡立つ海面を真一文字に切り裂いて、凄まじい速度で飛び出す。
最大戦速──44ノット。
アラム・マルノーヴの船乗り達にとって、それは有り得ない光景であった。
- 19 :
- 「左舷至近に着弾!」
「船体に異状無し! 各システム全力発揮可能」
「左見張りは、生きとるか?」
「だ、大丈夫でーす」
左舷の舷窓には、微かに炎が舐めた名残が、黒い煤となって付いているだけだった。どうやら敵の攻撃は破片を撒き散らす類の物では無いらしい。
艇長は、『はやぶさ』が戦闘能力を維持している事を確認した。激しいピッチングが連続して身体を揺さぶる。 当然だ。蛇風情にやられてたまるか。
艇長は、重要な事項を確認する事にした。
「記録は撮れたな?」
「動画、ボイスレコーダーその他完璧です」
「よし。本艇は、国籍不明の武装勢力から無警告攻撃を受けた。武器等防護の為、隊法第95条に基づく武器使用を行う──通信、群司令に報告!」
「目標を敵機に指定。280度、1000ヤード。左旋回!」
離脱した二匹は、態勢の立て直しの為体躯を左に捻った。思念波が再度の突入を命じる。哀しげな鳴き声があがった。信じられない程の速度で走る灰色船に向け、二匹の有翼蛇は襲撃機動をとった。
「右対空戦闘」
攻撃をかわし南へ走る『はやぶさ』は舵を右にとりつつ、西から迫る有翼蛇に右舷を向ける。主砲の76ミリ速射砲が、角張ったステルスシールドの砲塔を回転させた。
FCS-2-31射撃管制レーダーが、有翼蛇の編隊を捕捉する。主砲の砲身が連動し生物の様に動き、狙いを定める。
艇長は、艇長席のリューリを見た。
「リルッカさん。本艇はあの蛇を撃墜します」
「……良いのですか? 貴国は──」
余りの速度に目を白黒させていたリューリは、艇長の瞳をじっと見つめた。彫りの浅い男の瞳には、断固たる意志が存在していた。
「あの蛇はどうやら我が国にとっても侵略者である様ですからな」
リューリの視線を受け止めた艇長は、すぐに右舷から迫り来る有翼蛇に向き直った。
「距離800」
「主砲打ち方始めェ!」
艇長の号令と同時に、前甲板の76ミリ速射砲が乾いた発砲音を響かせた。閃光。続いて砲煙。激しい金属音と共に砲身下から薬莢が転がり落ちる。
発砲は二回。それで全てが決した。
- 20 :
- C
- 21 :
- 低空を這うように突撃する有翼蛇の眼前に、黒い華が咲いた様に見えた。
『はやぶさ』から発射された調整破片榴弾は、近接する有翼蛇の直前で信管を完璧に作動させた。黒煙と共に破片が哀れな蛇を包み込む。
まともに飛び込んだ一匹は、全身をズタズタに切り裂かれ、悲鳴をあげる間もなく海面に叩きつけられた。
二匹目は、更に劇的だった。目の前で仲間を叩き落とされた事に反応を見せる間もなく、76ミリ砲弾がほぼ直撃したのだ。強烈なカウンターを喰らったかの様に、有翼蛇は空中で消し飛んだ。顔面のパーツや薄い羽が、粉々になって落下する。
「グゥ、莫迦な!?」
思念波の逆流に、こめかみを押さえた『魔獣遣い』が狼狽した声をあげた。無敵であったはずの魔獣が、瞬きする間に墜とされた光景に、彼は言葉を失った。
攻撃魔法か? いや、あの様な威力の術を、俺は知らない。あの船は危険だ。
「おい、やられちまったぞ! どうする?」
操獣士の声に、彼は我に返った。与えられた任務は、敵の攪乱と物見である。支配下の魔獣を失った今、己に出来ることはあの船の情報を持ち帰る事。
冷静さを取り返した『魔獣遣い』は、操獣士に告げた。
「帰投する。あの船、将軍にお伝えせねばならん」
「心得た。彼奴はとんでもないな。有翼蛇が一撃とは」
彼等は、為すべき事を見誤らなかった。操獣士は愛龍の手綱を引くと、小さな旋回径を描きつつ、離脱を開始した。
南暝同盟会議の軍船に、あの様な型は無いはず。いや、我が帝國にも存在せぬ。南方征討領軍に、大きな障害となるやも知れぬ。あれを沈めるには──。
だが、彼の思考はそこで絶たれた。視界の片隅で、灰色船の更に遠方約四浬先にあるもう一隻に、微かな光を見た。
一息の後。
『魔獣遣い』の身体は、衝撃と共に空中に放り出されていた。赤く染まる視界の中で、引き裂かれた翼龍と操獣士が、混じり合って墜ちていくのが見えた。
彼は、自分も同じだと気付いたが、すぐに意識は闇に飲まれた。
- 22 :
- 「『うみたか』、敵一機撃墜。全目標撃墜」
「打ち方止め。第一戦速。ガレー船の救援に向かう」
艇長は、ようやく肩の力を抜いた。初の実戦に、無意識に緊張していたらしい。首を回す。椅子で惚けた表情を見せるリューリの姿が目に入った。
「敵は全て落としました。もう、大丈夫でしょう。これより、貴艦隊の救援に向かいます」
「……はい。──いや、いやいや! 艇長殿! この船は一体? 何というか、わたくしは御伽噺を見ているかの様な心地です」
リューリの言葉に艇長は思わず噴き出した。おとぎ話の様なのは、そっちの方だろう。
「ご助力に感謝いたします。カサード提督も感──」
「おおッ勇者達よ! 儂からの礼を受け取ってくれ! 何たる凄まじき魔導よ! 古の王国にすらこの様な軍船は存在すまい! 見事だッ! 感服仕った!」
とてつもない騒がしさで、カサードがブリッジに飛び込んできた。彼は、煤まみれの大柄な身体で、手当たり次第に乗員と抱擁し、褒め称え、笑った。彼は、艇長を見つけると、言った。
「お陰で、部下が生き残れた。感謝致す。先に手を出す訳にはいかなかったのであろう? 自らを危険に曝してまで──アイディン・カサードとその一党は、この恩決して忘れぬぞ」
「肝は冷えました。ですが、あれが『帝國軍』であるなら、遅かれ早かれ交戦は免れなかったでしょう」
「正直な男だな」
艇長はふと思い出し、言った。
「ところで、カサード提督。この艇の本当の速さ、お分かりいただけたでしょうか?」
「ぐ……聞いていたのか。あれは撤回しよう。我が戦船が一番だと思っておったが、どうやら『ハヤブサ』の名に偽りは無いようだ。完敗だ」
そう言って、カサードはまた笑った。
「ガレー船まで、500。単横陣を組んでいます」
「ウィングに出ましょう」
艇長は、リューリとカサード、そして腰を抜かしていたロンゴ・ロンゴを連れて、ブリッジを出た。
『バンガコルマ』号はお祭り騒ぎであった。つい先程まであらゆる手管を用いても倒せなかった帝國の有翼蛇が、いとも簡単に落とされたのだ。これで喜ばない者はいない。
疲れ果て、汚れきった漢達だったが、各々が力の限り歓声をあげ、拳を突き上げていた。
「艦長! 提督の灰色船近付きやす!」
見張りの報告に、全員が振り返った。平和な景色を取り戻した海原が、先程の戦闘など無かったかの様な態度を見せる。その中を、灰色に船体を塗粧した軍船が素晴らしい速度で近付いていた。
もう、誰も侮る者はいなかった。鋭い湾曲剣を思わせるその船は、恐らく近隣で最強の存在である事を、全員が理解していた。
「艦長どの。ありゃ、何者なんでしょう」
「知らん。検討もつかん。海神の御使いだと言われても驚かん」
艦長は、投げやりに答えた。ふさふさの耳を立てる元気を取り戻した掌漕手長は、感心した様に言った。
「少なくとも、連中が糞強くて、その糞強い連中が、糞ったれの帝國と喧嘩する気があるってのは、いい気分ですな」
そこで艦長は、灰色船にカサード提督の姿を認めた。虚脱した気分を腹に力を込めて追い出し、声を張り上げた。
「野郎共、提督が見てらっしゃるぞ! だらしねぇ様晒してんじゃねぇ! あの船に敬意を表するぞ! 合図出せ」
「漕手台に付けェ!」
満身創痍の漢達と五隻のガレーが、威儀を正す。灰色船上に立つカサード提督の顔がはっきり見える距離になった頃、艦長は五隻に命令を下した。
「異世界の勇士に──櫂立てェ!」
その様子は『はやぶさ』からもよく見えた。朱色に塗られたガレー船の両舷で、左右に突き出されていた櫂が、一斉に起こされた。
少なからぬ櫂が、折れ、焼け焦げていた。だが、傷付きながらも、全ての櫂を天に向けたガレー船団の姿は、紛れもない敬意を示していた。
国どころか世界が違っても、船乗りの流儀は同じか。
艇長は信号員長を呼ぶと、手空き総員を整列させた。潮風が、マストの艦旗をはためかせる。
「気ヲ付ケェ!!」
答礼喇叭が異界の海に高らかな音色を響かせた。
- 23 :
- 以上です。お待たせしました。
コピペミス、その他あります。すみません。あと、文章が荒れている気がします。
さらに、今回は突っ込みが沢山来そうな予感です。
御意見御質問御感想お待ちしております。
>>14
それ、死亡フラグですよー!
- 24 :
- 投下乙
熱い展開だね。
- 25 :
- 乙でした
速いぞー強いぞー
- 26 :
- 乙でした。
そろそろまとめサイトに作品を掲載したいのですが、作品名思いつきましたでしょうか?
あと、序章で題名が抜けてる話数がいくつかあるので、併せて考えておいていただければと思います。
- 27 :
- 無理にタイトル決めてもらう必要なんてないだろ
物語は唐突に氏だってタイトル未定なんだし
- 28 :
- >>24
ありがとうございます。ベタベタとのさじ加減が課題です。
>>25
はやぶさの速さは表現できていたでしょうか?
>>26
>>27
お気遣いありがとうございます。
作品名は、なかなか浮かばず難儀しております。
各章題名につきましては、実は途中携帯を変えた際にデータの移管に失敗しまして、把握していませんでした(;´Д`)
考えますが、遅れるかもしれません。
- 29 :
- まとめに載せたいなら正式なタイトルが決まるまで「タイトル未定(石動氏)」みたいな感じで区別すればいいんじゃね?
物語氏のもそうしてるしそこまできっちりしなくてもいいでしょ
- 30 :
- ファンタジー版UAVとは、敵さんなかなか面白いことするなぁ…もっと遠くから操作できれば便利なのだけど。
ところで、以前こっちにきたときは、こういうの連れていたっけか?
- 31 :
- >>30
西方諸侯(北近畿を襲った連中)は南方諸侯と違い妖魔を使うのを好まない。
ゴブリンやオークを亜人と称して、つまり名目上妖魔ではないということにして編成に組み込んでいた。
だから有翼蛇なんて明からさまな妖魔は使ってないんじゃないかな。
使ってるとしても、仕方なく・最小限って感じ。
だからこそ皇帝に役立たずと見なされてあんなことになってしまった。
- 32 :
- 少なくともほとんど居なかったと。
>だからこそ皇帝に役立たずと見なされてあんなことになってしまった。
…皇帝の決定に何となく同意してしまうのは何でだろう。
いろんな国が兵器の自動化に金をつぎ込んでいるのを見ている所為だろうか?
- 33 :
- この場をお借りして、拙作をまとめサイトに上げていただき、大変有り難く思います。
なるべく間を空けず、面白いと思っていただけるものを書きたいと思います。
- 34 :
- この場をお借りして、御礼申し上げます。
拙作をまとめサイトに上げていただき、大変有り難く思います。
なるべく間を空けず、面白いと思っていただけるものを書きたいですね。
- 35 :
- 二重投稿すみません。
- 36 :
- 忘れた頃にやってくる。そんな存在になりたい。
「そらのいくさ」です。ちなみにリメイク版です。
まだ、第1章も完成しておりませんが、プロローグと第1章前編と称し、投下したいと思います。
- 37 :
- 『そらのいくさ』
プロローグ
『――PR4(パンツァー・フォー)より各員、予定時間、ヒトマルニイマル。最終警告時間を突破。最後通牒は無視。戦闘を開始せよ(エンゲージ)』
『――こちらマイク1、全軍に通達。ニイタカヤマノボレ、ニイタマカヤノボレ、ニイタカヤマノボレ』
『――第2護衛隊群は予定位置に到着』
『――高射特化による各地の重要空港の守りは既に達成。高射特化各部隊はフェーズ3へと移行せよ』
『――RF-4撃墜を確認。RF-4の撃墜を確認。繰り返す偵察機ダウン。偵察機ダウン』
『――戦闘を開始、戦闘を開始(エンゲージ)』
ジョン・タイター。この20世紀インターネット上に現れた実在したかどうかも定かではない謎の人物に対する評価はさまざまだ。
世紀のペテン師から預言者等々。
けれども今やこの名前は世界中が知るところになっている。
それは、何故か。そしてなぜその名前が世界中が知っているのか。
……答えとして上げられるのはジョン・タイターが予言した未来世界に現代が近づいているから……であろう。
誰が――予測しただろうか? 世界金融危機とそれに続くアメリカ合衆国の内戦。それによる抑止力の破綻と世界経済の崩壊、そして第3次世界大戦の発生を――。
『――警告する。あなた方は日本国の領空を侵犯している。速やかに退避されたし。警告、速やかに退避されたし』
スクランブルのかけられた航空自衛隊のF-15制空戦闘機。傑作要撃機として世界中で運用されているこの機体を操る西宮二等空佐はお決まりの文句を敵機に対し、かなり離れた距離より打電していた。
軍隊ではない自衛隊という側面から大戦勃発後もその歪なROEは時折所々改変される程度で大きく改定される気配は今、現在ない。
と言うよりも我が国の国防をめぐる政治的混乱は空前の規模でありROEという細かな部分を軍事知識の基礎部分すら触れる気もなかった大多数の国民にとってどうでもいいことであった事が原因だ。
と言うか、今頃になって大学教育の場で地政学や安全保障が人気になっているらしい。ついこの間まで悪魔の学問扱いされていた地政学が日の目を見ることになったことに対し、日本国内の数少ない地政学の学者たちが涙を流しているそうだ。
西宮二佐ははっきり言えば歪なROEを運用する上での囮だ。さすがに歩兵を有する陸上自衛国軍を中心にROEの改善がわずかながら進んでいると言っても専守防衛の観点から、
戦争中であっても相手が国籍不明であればまず警告を――聞き入れなければまったく別の方向への威嚇射撃後再び警告を。
それでもだめなら今度は当てるつもりで威嚇射撃を。それを無視して初めて撃墜が可能。つまり相手が撃って来るまでの間何もできないのが空自だった。
だからこそ遠距離から囮が警告を。攻撃があれば囮は離脱し、隠れているF−35AJが攻撃を実行する。そういう段取りが自然とできてきた。
『――ッ! 攻撃を確認、攻撃を確認! 敵機だ!』
『――了解した。反撃を開始せよ』
チャフにフレアを射出し、いわゆるマニューバ機動――バレルロール――をすぐさま実行し、敵の長距離空対空ミサイルからの回避と離脱を目指す。
鳴り響くロックオン警報。
通常スクランブルは2機編成で行われるため同僚のもう1機は上昇しての離脱と回避に出たようだ。
西宮は追加の燃料タンクを切り離し、速度を上げる。
速度上昇――すなわち、アフターバーナー。
青い光と赤い光がエンジン後部の排気口より噴出、紫の輝きを見せ、慣性の法則はGと呼ばれるものになって西宮の体を縛る。
空力が突如増した為か、機体が持ち上がろうとする。
だが、バレルロールを中途半端にやめるわけにはいかない。
敵の誘導弾、いわゆるミサイルを回避する手段としてはチャフやフレア、そしてミサイルの燃料切れまで粘ると言うさまざまな方法が考案されている。
ミサイルは誘導ロケット弾だ。そして、それに搭載できる燃料は非常に限られている上に、誘導を見失えば無意味だ。故にバレルロールをはじめとする各種マニューバ機動は意味がある。
まるで銃身のライフリングのように――回れ――螺子の様に――回れ。
遠心力に振り回されるな。
そして、捻れ。限界点ギリギリで操縦桿を倒せ。倒して立て直せ。
体中がGに振り回される様な方向感の喪失とそれを無理やり押しとどめるベルトの圧迫感。どこまでも青い青空が迫ってくる。
真っ青な世界が視界一杯に迫ってくる。まるで壁のように――!
- 38 :
- 年齢は既に壮年に入る坂上一等空佐が発射ボタンを押したのと言葉を発したのはほぼ同時であった。
『――フォックス1』
中距離空対空ミサイルがF−35AJより放たれ一気に敵機へと空気を切り裂いて飛んでいく。
AAM−4という日本製の空対空誘導弾は確実に敵機を捕らえていた。
『――本日日本国政府は並み居る中国機を撃破し宮古海峡の強制的な封鎖を目論む中国東海艦隊を……』
メディアの第一報はそういうものだった。
西暦2020年。世界は正真正銘の第3次世界大戦になった。
ロシア軍は既に1発だけそれも自国領土内――ということになっているとある係争地――とはいえ核兵器を実戦に使用した。中国は台湾併合とマラッカ海峡を押さえることで石油ルートの確保に走るとともに海洋国家諸国の生命線を寸断する道と国家統一を選んだ。
アメリカの内戦では緒戦の打撃を受けていまだに政府軍は現状を立て直してはいない。もちろん基礎的な部分において政府軍は反乱軍を圧倒している為、損害から回復しシステムを整えなおせばワシントンを奪還し内戦の終結を宣言することはすぐに可能だろう。
だが、敵軍もまた高度な電子ネットワークインフラを自在に利用するアメリカ合衆国連邦軍の分波や州兵たちである。
そう簡単に建て直しはさせないための各種妨害策を行い内戦は泥沼化の一途をたどっていた。
なお、在日米軍は内戦直前のワシントンからの指示に従い現在、日本国政府の指揮下にある。
『――政府は、先のロシア製戦闘機、Su−30M密輸事件への回答として』
『――国土交通省は全国各地で建設が進む核シェルターの建設予定に大幅な遅れが出ていることを懸念しており』
『――かねてからとまっている「憲法中途改正問題」に対し衆院最大野党、明治会が政府に対し』
『――民意党党首は……』
かつて与党の立場に着いた野党民意党はその名前が指す民意が失われて今や空前の灯火であった。
『――また、自主党は』
正式名称、自由主義者党。旧社会党とともに冷戦期において日本で活躍した与党だ。
一時期徹底的に弱り、民意党に政権を奪われ、その間に世界金融危機が発生。
もし民意党ではなく自主党であればこれほど世界経済が破綻するような自体にはならなかったと言う意見が出る程度には民意党政権がひどかったと言えるかもしれない。
そんな民意党が7年近く政権を握っていた日本もまた異常におかしかったのかもしれない。
『――全国各地の神社仏閣で……オカルトじみた特殊な怪奇現象が数多く見られており、通報が相次いだため、警察並びに宮内庁が調査に乗り出して始めて……』
- 39 :
- 『そらのいくさ』
第1章『スタンド・オフ・ディスフェンサー ――2020.9』
1.
異世界の列島と日本列島が入れ替わった前代未聞の事件より2ヶ月の月日が過ぎた。
産業は旧列島開発で息を吹き返しつつあるとはいえ、燃料と食糧事情は悪い。アメリカの正統政府からは
USA『おう、日本、テメェとんずらこえてんじゃねーぞ! 異世界に領土が転移しましたぁ?
そんでもってまだ、旧世界とつながっています。大規模な軍を派遣できる程度にはつながっています。
そんでもって日本列島と入れ替わった異世界の列島も日本国領土にしますねー?
旧世界に土地があるから自衛隊を派遣するわ……だから大戦に参加できませーん……なんて通用すると思ってんのカァ! 本土が無事、おまけに入れ替わった旧列島を領土として接収! そして実は資源が一杯でしたーなんて認められるか!』
JAPAN『認めてね☆ お願いアメリカちゃーん』
USA『絶対に認めん』
さて、情報を整理しよう
『異世界』の『列島』 『旧世界』の日本列島
これが
『異世界』の『日本列島』 『旧世界』の『列島』
になって
『異世界』と『旧世界』はまだ、日本と呼ばれた国があった辺りで繋がっている。
つまり?
「彼の地は……旧世界の新規列島……暫定呼称『旧列島』はれっきとした我が国の領土であります」
総理大臣の答弁となるのだ。
「それで? 政府はこの異常事態をどうするおつもりか? 転移現象について政府は何も知らなかったというのですか?
この大戦の真っ只中に本土が……それも中国本土より飛来したIRBMの群れの迎撃に失敗して核が我が国に着弾する直前に入れ替わると言う現象を知らぬと言えるのですか?」
タイミングがよすぎる。それが日本に対する不信感だ。
SDI理論はまだ完全には機能しない。技術的に問題点がある事を証明する羽目になった中国のIRBMによる数の暴力。
MDによって大部分が撃墜されはしたものの敵の空海連続攻撃により疲弊していた護衛艦隊にすべてを迎撃するミサイルは残っていなかった。
当たり前だが、陸自の対弾道弾迎撃能力ははっきり言って日本本土全土を守る事は出来ない。主要都市などを守るのが精いっぱいだし、それだって海自や米軍との共同で守りきるといった話だ。
そして――日本本土に着弾する直前、転移現象が発生した。
「何度も繰り返しますが、われわれの感知するような物理現象ではないと言うことです。
未だ転移のメカニズムは解明出来ていないのが実情でありまして、そのような事を言われましても答え切れません」
藤上総理大臣はそう答えた。
69歳、政治家になってより20年自主党と共に歩んできた大物政治家は一気に老け込んでいた。
ふさふさな黒髪が自慢であったはずだがどうやら69になってようやく色素が消えてきたようでおまけに毛根も弱り始めたようだ。
「あれじゃ、長く持たないな」
そんな非情なおしゃべりがマスメディア関係者から出てくる中、彼は一国の総理大臣として答弁を続けていた。
「そういえば、全国のお寺やら神社やらで頻発してた超常現象が起きなくなったそうだ」
「へぇ……そういえば転移直前に御神体が光ったとかそういう話が一時期はやったな。もっとも転移の混乱でみんな忘れてるけど」
「どこぞのカルト宗教ではこの話を持ち上げて、我が国は神の国だ。神が異界に転移させたのだ。なんて言ってるらしいぜ?」
「へぇー。ひょっとしたらあたってたりして。なんてな」
「神様仏様、ありがとうございますーってか?」
小さな声とはいえ「がはは」なんて声が出ての会話である気になる人はいる。
そんなおしゃべりを気にも留めず藤上総理大臣は答弁を続けていた。
「先の『憲法中途改正問題』に関しまして、総理にはいつ参院での審議に移るのかお聞きしたのですが?」
「現在、我が国はいわゆる非常時の真っ只中と言うこともあり、折を見てとしかいえません」
「では、何時行うのか! こうしている間も自衛隊は不安定な身分で戦いを行っているのですよ」
現在、陸上自衛隊は『陸上自衛国軍』と暫定的に名乗っている。
現在、海上自衛隊はそのまま海上自衛隊と名乗っている。
現在、航空自衛隊は『空軍』という名称を勝手に付けられマスメディアでも使われ始めている。
- 40 :
- それもひとえに憲法中途改正問題に端を発している。世界が大戦争に向かうさなか、日本はさまざまな防護策をとったが最大のハードルたる憲法9条その改正がなされる直前に大戦が発生したのだ。
そのために憲法改正に向けて衆議院の3分の2の決議がとられたにもかかわらず参議院での3分の2の決議と国民投票が行われていない。
つまり、改正案の憲法は国会の途中で止まってしまった。
勇み足を踏んだのは自衛隊と本を書く人たちだろう。
もはや目前の憲法改正に向けて着々と準備をしていたのにこの事態である。転移によって憲法改正のめどはさらに遠くなりそうだ。
それが『憲法中途改正問題』だ。
- 41 :
- 2.
ウニヴェルスム神聖連合帝国。日本が転移した異世界の大陸の覇権国家にして、いわゆる剣と魔法のファンタジー世界観なゴンドワナ大陸において最大の文明レベルを誇っている超大国だ。
そんな連合帝国が大陸統一を唄って大戦争を起こすのはある意味、必然であったかもしれない。
旧世界における国際法の始まりを知ってる人は思い出してほしい。三十年戦争の講和条約として結ばれたウェストフェリア条約によって明確な国境線が引かれ、同時に国家間の商取引が生み出す利益の大きさによって戦争がビジネス化した事が国際法の始まりである。
そもそも、ウニヴェルスム神聖連合帝国の始まりは、『空の帝国(カウエル)』と言うかつての軍事超大国による大陸統一戦争に対抗するために4大国が結んだ軍事同盟に由来する。いまから150年前の事だが、今ではすっかり立場が逆転していた。
今や、かつての軍事超大国、カウエルこそが連合帝国の侵略を受けていた小国の数々にとっての希望の星だった。もっとも、そのカウエルも150年にわたるウニヴェルスム神聖連合帝国の圧力を前に、その国力を著しく疲弊させていたのが現実なのだが。
そんなカウエルの最大の懸念事項。それは食糧を大量に買い込みまくる謎の『国家』の存在であった。
「して、その国が要求した食糧はそれほどの物か?」
「我が国で1年に取れる食糧……その2倍を半年分と商人は語ったそうだ」
「それでも足りぬらしい。彼らの言う旧世界とやらからの輸入まで途絶えればどうなる事かだとか……」
「……で、何故そんなに食糧が無いのかね? 今年は特に不作とか? あるいは……」
「我ら魔道院が推測するに、おそらくは彼らは都市国家の連合体なのでしょう」
「自由都市同盟が国家を名乗っていると言った所かね?」
カウエルの皇城で、皇帝と宰相。そして元老院と魔道院、近衛騎士団と枢密院のトップはそんな会話をしていた。その他の閣僚も存在はするが、6人が主役となって会話している会議に口ははさめない。この国ではそういうものだった。
「魔道院長、そして枢密院長。仮にもしだが、彼らと敵対、あるいはそれに近い事態になったとして、我が国はどのような行動がとれるであろうか」
「まず、彼らの領土の大きさ、そして人口、政治的な権力は誰が握っているのか、と言った情報が足りませぬな、そのうえで枢密院としては――」
白髪に日本人がイメージする魔法使いが飛び出たような長い髭とローブを身にまとう枢密院のトップはそこでいったん口を止め、深呼吸の後に再び言葉を紡いだ。
「枢密院としては情報を得るためにも彼らをこの戦争に引っ張り込む必要があるかと」
「何?」
宰相の立場にある若い男は顔の向きを変えず、ただ目玉だけを動かして枢密院長を見る。まるで烏帽子を思い浮かべるような青い帽子をつけ、真っ白なローブに身を包んだ宰相はただ、低い声で小さく言葉を紡ぎだす。
「理由を申しましょう。間諜を送り込むのは現状、至難の業です。彼らの本国の場所が分からない事、そして何よりも我らと彼らでは人種が違う事。そして、最大の懸念事項。
我らと彼らではどうも価値観が違うようなのです。少なくともこのあたりのすり合わせが行われぬ限り、間諜を送り込むのは不可能に近い」
「魔道院としても枢密院の意見に同調いたします。彼らと我らの魔道技術の差異が分からない」
「近衛騎士団と致しても国軍の殆どが連合帝国との戦いで疲弊している現状、無理です。可能な限り敵対は回避願いたい」
情報と作戦を司る――枢密院
技術と外交を司る――魔道院
地方と軍事を司る――近衛騎士団
政治と貴族を司る――宰相府
そして、国家を司る――皇帝
カウエルはこの5つの組織と権能によって長きにわたって運営されてきた。
- 42 :
- 『戦争』を作戦と軍事と外交の3つの分野に分けることで、それぞれの組織がいらぬ派閥争いに興じぬ様と祖先が考えた仕組みは時々機能不全に陥る事はあったが、
少なくとも、今現在、機能不全は起きていない。
ひとえに宰相と皇帝の2人の有能さと連合帝国が引き起こした大戦争と言う異常事態によるものだった。
とは言え、その異常事態が長引くのは困る。カウエルがいかにかつて軍事超大国であったとしてもそれは150年前の事、徹底的にボロボロに敗退した後の今、連合帝国との戦争はもはや限界に達しようとしていた。
「だが、いかに連合帝国とかの国をぶつけるのかね?」
「――考えがあります」
枢密院長はそういい、何かを取りに退出していく。
3.
木箱が開かれる。
「あっ、腐ってる」
農水省の役人と税関の役人たちは箱の中の農作物を見てそういった。
「……ぼったくられたみたいですね」
「いや、腐りものの数はそう多くはない。たぶん、これがこの世界の……標準なんだろう。水につけるか塩漬けにするかしか保存法が無いんだろうな」
「すいません」
総合商社の岡部は冷や汗が噴き出る思いがした。
俺に恥をかかせやがって。
「岡部さん、これは?」
「あっ、その現地の商人たちが進めてきたんです、リンゴみたいな形をしているでしょ? サンプルと思いまして……」
「……岡部さん。精密検査しましょう。それからあなたを隔離します」
「えっ」
「不用意な接触は新世界衛生管理条項に違反します。
実際、2か月前、我々が新大陸に踏み込む際、宇宙人の様な防護服をつけ、装甲車にのり、完全武装で降り立ったのは同行していたあなたも分かっているはずでは?」
ちなみに現地の人にたいそう怖がられた。
ちなみに上陸第1歩目は自衛隊員と警察官の4人組でした。
幸い、上陸ポイント周辺に危険な動植物、そして細菌類がいないことが確認されたため、
重装な防護服は脱ぐことになっているが、それでも、船に乗り込む際、アルコール消毒として手を洗う事、作業着を脱ぐことが義務となっている。
日本に新種の病原体でも持ち込まれては困るからだ。
同時にそれはこの世界の人に対して日本側の病原体を持ち込まない為の措置でもある。
第1次新大陸調査の際、日本国が誇る各省庁の官僚たち――1府12省庁より、最低でも2名出された。
ところで、財務省の役人は百歩譲っていいとして、会計検査院の役人は何のために来たのだろう――
と自衛官、そして警察官と科学者、民間代表でいくつかの総合商社の人間が上陸した。
岡部はそのときからずーと、ここで日本に輸入する農作物を扱っている。
「そういわれましても、現地の人と話さないと状況というものはよくわからないでしょ? 特に市場の人間が一番そういうことには目ざといんですよ」
総合商社に勤める岡部にとって役人の頑なな態度は分からなくもないが商売する気を微塵にも感じられない非商売的かつ非合理的だった。
彼らは2×10の計算をわざわざ足し算で計算している。
それが岡部の官僚への評価だった。
(勿体無い……せっかくいいキャリアを持っていい能力があるのに)
優秀な人間は民間に行くべきである。行けないものが国に勤める。国は優秀な民間人出身者が率いるといった、ある意味アメリカ的な思考を岡部は持っていた。
だからこそ、異世界の新大陸上陸の切符を手に入れたのかもしれないが。
けれども行政機関と民間のそれも商売を基本とする商人とでは担当する分野の本質がまるで違うものという事を認識できていなかったという意味ではある意味「若い」商社マンなのかもしれない。
「分かりました、分かりました、隔離を受けますよ。けれど、これから商談の時間なんです。どうせ隔離されるならここでやらなきゃいけない仕事を全部果たしてからでいいですか?」
「それはいけません規定では――」
「ですが、お国に関わる事ですよ! どうせ、隔離されるなら、ここでやれる事全部やった後でいいのでは!」
「しかし、万が一の病気の際の責任は」
「そんなものはとっくに、国に責任を求めないって誓約書を書いて遺書まで提出しています。別にいいでしょ」
「……まぁ、いいでしょう。ですが、規定された時間には帰ってくださいね」
「はい、分かりました。では、行ってまいります」
岡部はやっと開放されたと思いつつも、またこれを切るのかと『規定』された消毒済み作業服を見る。
- 43 :
- ――自衛隊の高機動車は使い勝手がいい。
岡部が勝手にタクシーと評価している高機動車とそのドライバーは岡部の護衛だ。いや、厳密には車両の護衛か。
岡部には2人の警官の護衛が、その移動にはドライバーと護衛の自衛官が2名、計4名で移動することになっている。
ちなみに岡部以外にも岡部のサポートの名目で会社から派遣された長谷川という白髪交じりの優しそうな顔立ちをした中年男がいた。
「ってわけでして、別にええでしょうに」
「そういうわけにもいかんのだよ岡部君。君一人の問題ではない。ここにいる全員の問題だ。君の接触時は我々も何だかんだでいたのだ。つまり我々全員の責任であり問題だ」
「すいません……上官は問題ないと判断したようであちらのほうに報告は言っていなかったようで……岡部さんのお陰です」
ここにいる6人全員が仕事終了しだい隔離決定である。
が、自業自得であるという考えからなんだか空気が重いのだ。
「で……どうなんですか?」
護衛の警官、山口。
いかつい顔に似合わないほど優しい上に、山口の苗字からYAMAGUTIファミリーと同期にからかわている人物であったりする。
そんな山口が聞くこれからについて
「決まってるでしょ。領主様って奴がなんかでかい商会とやらに便宜を図ってくださる……こんなおいしい話、今逃したら商売は出来ないよ」
――領主様。その単語からやたら豪華なお城をイメージする人はいるかもしれない。もし、すべての領主様とやらに対しそう思っているのであれば、訂正するべきだろう。
――豪華絢爛の定義を大きく外れたボロ屋に城壁がくっついたような屋敷。
ちなみに領主様いわく、戦争の際における屋敷の防衛はとっくに放棄しているそうだ。
長崎湾を思い浮かべるような天然の良好。それがゴンドワナ大陸の小さな港町とその港町を領地とする国家、ペセルウゥ公国、バーミンガムの町。
とはいえ、内装は豪華である。もっと具体的にいえば家具だけは立派だ。
どれもこれも一級の芸術品に近い。
そんな一級品に囲まれ、高機動車の見張りの2名の自衛官は外で水筒の水、
残った岡部と長谷川、そして山口をはじめとする警官組み計4名は領主様の出すお湯割りのワイン
――水は貴重品の上に雑菌が混じっているため、消毒の意味でアルコールを混ぜる。
貴重品の水をいっぱい出すのも大変という事から中世ヨーロッパだと水よりもワインが飲まれたらしい――
片手に商談である。
仕方ないとはいえ
「格差社会だ」
自衛官の一人が思わずつぶやいた皮肉の一言が炎天下の中、仕事している自衛官のうんざりした気分を表していた。
さて、そんなこんなで商談である。
- 44 :
- 乙です
核ミサイルの雨を食らうところだったのに日本はのんびりしてますねw
改訂前と似たひどい戦争に巻き込まれそうで、さらに第3次大戦の旧世界に未来人……
今後も楽しみです
- 45 :
- 投下乙
カウエルが「空の帝国」と言う事は
『雲海』と呼ばれた連中は改訂版ではどうなったんでしょうか?>多くの竜王擁していた
- 46 :
- 「なるほど――小麦の量が減っていますね」
「今は、何処もかしこも戦争でね。むしろお宅の国の常識はずれの注文の量に担当者が即答したほどでして……お聞きしますが、日本国なる国の人口は?」
「前も言ったはずですが、約1億2千万人です」
「いえ、ですからそのような誇張ではなく」
「ですから、誇張ではなく、うちの国は約1億2千万人の人口がいるんですよ」
「……聞きますが、それ、本当に自由民の数ですか? 奴隷とかは数えてませんよね?」
「我が国にそのようなくくりはありません。ありていに言えば国民は全員、市民権を有した立派な自由民だけで構成された国家です」
警官の一人、谷垣はそう怒ったように口を開く。
奴隷のあたりに反論したい気持ちが抑えられなかったのかそれとも純粋に怒っていたのか。
「……ではお聞きしますが、これだけの食料を要求とはどういうことでしょうか? はっきりいって何故自活できないのか……まるで理解が出来ません。それだけの人口があり、自由民? 御伽噺だ」
「あなた方のその懸念も分かります。ですが、人口の話は事実だ。実のところ、自活しようと思えば出来なくはないのです。
ただし、それでも1億2千万人全員を養うことは出来ない。かつて、うちのくには増え続ける人口を自活できる範囲に収めようと海外に人を捨ててきたことがあるくらいです」
「捨ててはいない、移民だ、岡部」
「はいはい。とにかくうちの国はそういう国で、今じゃ貿易することで手に入れた金銀財宝で各国の食料を買い捲るってやり方で1億2千万人を養っているんです。
というわけで、よほど足元を見た値段じゃない限り払いますから、何とかなりませんか?」
「……事情は一応分かりましたが、無理ですな。
そもそも、今は各国何処も戦争でして……むしろあなた方を無駄飯ぐらいとして批判なさる貴族様がたの所領から買い付けるのは……その大変な……手間を必要としまして」
岡部は頭を抱えたい気持ちになる。
(何で、俺ばかり頭を抱えねばならんのだ!)
「まぁ、まぁ、双方疲れたでしょうから、会食などいかがですかな?」
領主の声で商談は一時終了となった。
商談相手の商会の商人は日本側の備品に注目していた。
岡部がしきりに利用していたボールペンや鉛筆。そしてメモ帳。
どれもこれも非常に便利そうで、見たことがない。
終わりです。第1章やたらなげー
そして、リメイク前の無条件降伏演説につながる過程とかを第2章では予定したり……
なんだこの大長編。
最近、なろうとかそう言う場所に進出することを考えてたり……
規制とか…ありますから
そして、石動さんや前スレの新作など、楽しみにしてます。
- 47 :
- >>46
投下乙です。リアルタイムで読むのは楽しいので、リメイクは嬉しいですね。
ワクテカして待ちます。
異世界との商取引や、衛生の話は魅せどころでもあり、また、突っ込まれどころでもありますね。
私は悩んでいます。
水よりワインが安いなんて、下戸の身には辛いですね(笑)。
ところで。
スマホで書いていると気付かないのですが、パソコンのブラウザで見たら、私の文章改行が少なくて、見づらいですね!
すみません!
- 48 :
- 乙であります
横2560とか3840とかの液晶ユーザーも多いし、気にしない方が良い >改行
今のまま続けた方が「寧ろ読み易い」って人を切り捨てるだけで終わるよりマシ
- 49 :
- ああやっと規制解除された。続きが書けたので投下させて頂きます。
>>23
乙です。お待ちしていました。海戦格好良いなあ。突っ込みどころが特に思いつかなかったです。
あと、私の環境だと読みづらい所はありませんでした。直接戦闘ではまず突き崩されない自衛隊ですが、
やはり今後は絡め手で苦しめられることになるのでしょうか。敵もそのうち学習するでしょうし。
>>46
乙です。前スレで2つの世界の戦いという書き込みを読んだ気がしましたが、やはりこういった
マネジメントの話は、規模の大きなストーリーには不可欠ですよね。凄い話になりそう。
- 50 :
- 「つまり負傷者は4名ということ?」
「現時点での戦闘を行えない者が4名です、深草三尉」
深草美雪 三等陸尉は、MINIMIを肩にかけた一等陸曹に訂正された後、無言で頷いた。
自衛隊は今、烽火によって急行したアルトラムの軍と共に、王都へ至る街道を進んでいる。
10式戦車が巨大な魔獣を撃破した後にやってきた彼らは、騎士団長ガーレン・ベルドの
指示のもとに傷を負った騎士や自衛隊員の手当てを終えた。その後、半数が英雄の祭壇に
留まり、もう半分の兵士達が護衛として自分達の周囲を固めている次第だ。
「崩落した天井の下敷きになったのが2人、デカい蜘蛛が吐き出した液体が目に入ったり、
飲み込んじまったりしたのが2人です。治療術師って呼ばれてた魔法使いみたいなのは、
後遺症はないと言っていますが。どうなることやら」
「そう……弾薬の状況は?」
口を開いた後、深草は顔をしかめる。天井の破片で左頬を切り、ひきつって痛んだのだ。
頬を伝い落ちた血が、戦闘服の襟を黒く染めている。黒のショートヘアは、鉄帽に
入り込んだ正体不明の液体で粘つき、半分固まっていた。
深草に報告している黒部大助 一等陸曹も、似たような有様だ。石材の粉を被った彼の
戦闘服は白く汚れ、左袖が破れている。ドーム内から脱出した際、撃ち漏らしていた
大型犬サイズの蜘蛛に飛びかかられ、あやうく腕を引き裂かれるところだった。
「殆どの隊員がマガジンを2つ使ってます。王都とやらについた後で、細かい弾数を
確認した方が良いかもしれません」
30代後半の黒部が口元を歪めて苦々しげに言うと、深草も似たような表情になった。
普通科の隊員は小銃のマガジンを6つ携帯することになっており、それは2018年の
総合火力演習でも同様だった。そしてあの祭壇に立っていた隊員の中で、背嚢を背負った
者は見かけていない。小声で言葉を交わした2人が、顔を見合わせる。
「どうしたものかしら」
「戦う限りはどうにもならんでしょう」
黒部の言葉に溜息をついた深草が背後を振り返った。相変わらず後部の排気口から、
赤く光る粒子を撒き散らす10式戦車が、やかましいエンジン音を響かせ付いて来ている。
開かれたハッチから車長が顔を出し、無線機を背負う普通科の隊員に大声で呼びかけた。
それに対し、通信手が首を横に振った後で返事をする。車長がうんざりした表情で空を
仰ぎ見た後、車内に引っ込んだ。
不意に10式戦車から苛立つような唸り声が上がり、無線を聞いていた隊員が手にした
レシーバーを耳から離して飛びのく。アルトラムの兵士達も騒ぎ立て、数人が戦車に槍を
向けた。
「無線も早く何とかしないと。延々怒鳴り合うわけにはいかないわ」
「周波数を変えてやれば済む話じゃないんですか?」
「その筈よ。上手くいかないみたいだけど……本当に、何もかも上手くいかない」
- 51 :
- 精神的な疲労が苛立ちに変わり、深草は前を歩く巌にきつい視線を送った。無線にせよ
負傷者の手当てにせよ残弾にせよ、全てを急がせ出発したのはひとえに彼の指示だった。
空薬莢の回収まではやらないとしても、戦闘後の状況確認や今後の計画等について、
時間をもっと割いて取り組むべきという深草の主張は、『ここで何時間座りこもうと意味は
無い』という巌の一言で却下された。
防衛大学校を出たてとはいえ、幹部自衛官として少なからぬ自負を抱いていた深草は、
指示に従いながらも不満を覚えていた。実際、巌が急がせた所為で部隊は様々な問題を
解決できないまま行軍を始め、こうして道中で話し合い、もしくは悪戦苦闘している。
そして彼女に言わせるならば、巌は隊の都合ではなくアルトラム王国の人間、もっと
言えばヴァレリアン王子の都合を優先しているように見えた。馬に乗ったヴァレリアンに
話しかけられ、よどみなく受け答えする巌の背を睨む。
「もちろん、二佐には名案があるのでしょうね」
蜘蛛に吐きかけられた液体は乾きつつあったが、纏わりつく刺激臭は消える気配がない。
巌誠一郎二等陸佐は不快感を押し殺し、努めて平静を装っていた。
「それにしても、自衛隊の戦いぶりは素晴らしかったぞ。お前達がいた世界では、軍隊は
全てああなのか」
「あれ以上です。今の我々には小銃と戦車があるばかりですが、他の兵器が加わればより
優れた戦闘能力を発揮できます」
「他の兵器というと、例えば?」
騎乗しているヴァレリアンは20代半ばに見えるが、何とも屈託のない様子で、子供の
ように質問を浴びせてくる。だが、彼を年齢不相応の幼稚な男と断じるのは愚かであると、
巌は考えていた。彼は戦闘直前の、前に立つなという一言で自衛隊の戦い方を察し、
ろくに説明もしないまま臣下を従えたのだ。
「多数の兵士を高速で輸送する、装甲板で守られた車。それに、強力な武器を搭載して
空から地上を攻撃する乗物などです」
「速いというのと、飛ぶというのはよいな。自衛隊の攻撃は強く、速く飛ぶものだった。
いや、速いゆえに強いのかもしれぬ」
「ですから、殿下。自衛隊の真価を発揮する為、我々は一刻も早く日本へ帰らなければ
ならないのです。あの英雄の祭壇を再び作動させる方法を見つけなければ。今の我々は
30人もいないのです。国を援助するには、余りにも足りない」
ヴァレリアンがその言葉に眉をひそめ、視線を正面に戻して目を細める。背後で声が
上がった。荷馬車に乗せられた、負傷した隊員の呻きだ。巌も顔をしかめ、僅かに俯く。
「何より彼らには展望が必要なのです。名も知らぬ遠い土地で……帰国する事もかなわず
……家族や恋人と引き離され、傷ついた彼らには」
搾り出すような押し殺した声で告げ、巌はヴァレリアンを見上げた。王子も巌を見返す。
- 52 :
- 「二等陸佐……いや、巌。そなたの言う事は正しい。だが英雄の祭壇の仕組みは我らも
分かっていないのだ。動かし方も……まして、呼び出された者を送り返す方法などはな」
眉根を下げ、声を落として語りかけるヴァレリアンの目はしかし、何の感情も映しては
いなかった。巌は彼から視線を外し、街道の先に見えてきた街へ向き直る。
幹部自衛官として、召喚された自衛隊員中の最高階級者として、巌は何としても、何を
喋っても、隊員全てを日本に帰そうとしていた。たとえその『全て』に、自分が入って
いなかったとしてもだ。そして即時の帰還が叶わない以上、その方法が見つかるまで、
隊員達の待遇を確保しなければならないと考えていた。
戦闘を繰り返せば、銃弾は早晩尽きてしまう。故障が直らない戦車の砲弾も、いずれは
無くなってしまう。野営の用意はない。食糧もない。被服も補充できない。衣食住さえ
覚束ない状態で王都へ向かうヴァレリアン達に同行することを決めたのは、万策尽きた
末に選択する最後の手段、つまり市街襲撃の前準備を整える為だ。最悪の手段であり、選択肢が
存在すると意識するだけでも嫌悪感が込み上げてくるやり方だが、背に腹は代えられない。
「ときに巌、英雄の祭壇について解き明かすのは一朝一夕にいかぬとして……そなたの
部下をどう養っていくか、見通しは立っているのか?」
「いえ、まだ計画と呼べる水準のものは何も」
思い悩んでいた点について触れられ、巌は僅かに目を見開く。その答えに頷いた若き
王子が笑みを浮かべた。
「ならば提案をしよう。城で過ごすのはどうだろうか?」
驚いた巌が足を止め、ヴァレリアンを再び見上げる。巌の後ろを進んでいた荷馬車が
急停止し、馬がいなないた。
「もしそれが叶うならば……しかし何故?どうやって?」
「単純な話なのだ。5年以上使われていない城内の兵舎を、取り壊すかどうするかを
陛下が思案していらっしゃる。王子と騎士団長、そして騎士と共に戦った、召喚されし
英雄達を泊めるという事であれば、よもや母上も……いや、陛下も拒むまい」
「しかし生活の費用が」
「無論、税から捻出するとも。アルトラムを救う輝かしき戦士達から宿代をせしめる筈が
ないではないか」
快活に笑い飛ばしたヴァレリアン。つられて笑いそうになった巌だったが、ひとつの
フレーズが引っ掛かった。
「……救う?」
「勿論だ。これからも我が国に力を尽くしてくれるのだろう? 案ずるな。一兵卒として
軍に入り槍の突き方を勉強しろなどとは言わぬ。自衛隊の適性を考えた任務を用意する」
呆気に取られた巌が、救いを求めるように騎士団長ガーレンの方を向いた。しかし、
大男は王子に抗議するどころか、巌を見下ろし小さく頷いてみせたのだ。
「で、殿下……ちょっと」
- 53 :
- 「ああ、当然ながらこれは一提案に過ぎぬ。そなたに良い考えがあれば、その心に従うが
よい。ところで、王都に着いたら直ぐ城へ行くぞ。陛下が自衛隊の労をねぎらうだろう
からな。兵舎もその時に見せよう」
「あの……」
「200年ぶりの英雄を我が国に迎えることが出来、誇りに思うぞ。王国にとって更なる飛躍、
更なる繁栄と秩序がもたらされることだろう」
「殿下。先程も申し上げた通り、現在の我々では真価を発揮することが!」
言い募ろうとする巌を馬上のヴァレリアンが見つめる。いつの間にか手綱から離れて
いた左手がゆっくりと開かれた。その掌に乗っている暗い金色の筒は、5.56mm弾の
薬莢。薄い笑みを保ったまま、王子は表情を強張らせた巌にゆっくりと深く頷く。
「案ずるな、巌。すべてよい様にはからう」
まるで安心できない巌もまた、ゆっくりと深く頷いた。薬莢を見せたヴァレリアンの
真意は読みかねたが、こちらの意表を突こうとしたという事は分かる。そして実際に
突かれた。銃など、しかも自動小銃など王子は先程まで見た事も無かったはずだった。
それが今では銃弾の存在を、深読みすれば限りある残弾の存在を示唆する薬莢を自分に
見せ、全て分かっていると言わんばかりの態度をとっている。つまり彼は注意深く
観察していたのだ。自衛隊員が発砲した時も、魔獣の群れが蹴散らされた時も、一方的な
戦いにではなく、召喚された自分達に意識を集中させていたのだ。
未知の存在を、未知の存在としてありのままに受け入れ、分析する能力。そこに文明の
優劣は存在しない。
ヴァレリアンと彼に従った人々によって、異世界に召喚された自衛隊は無用な戦闘を
回避出来た。だが同時に、彼らによって日本への帰還が困難になるという事を、巌は
直感した。彼らは、外見ほど『遅れた』人間ではなかったのだ。
「見よ、巌。森を抜けるぞ」
蹄鉄を履いた馬の足音が、どこか遠くに聞こえた。
「なんだ、ありゃ」
10式戦車の車長を務める、大野源 二等陸曹が呻くように言った。街道の右側、森を
抜けて直ぐの所に広がる平原に、竜巻が起きている。地面を削り、それを巻き込みながら
のたうつ灰色の渦だ。移動することも消滅することもなく、それが作り上げた渓谷の
中で、嵐と共に終わることも無く暴れ回っている。
「エルフ共の忌々しい実験……その残りカスだ」
同じくその光景を見ていた騎士が、苛立ちと共に独りごちた後、見たくないとでも
言うように兜のフェイスプレートを下ろす。
「世界中にこんな物を残しておいて、我らには過ぎたる魔力を持つべからずなどと説教を
垂れる。いつまで支配者の気分でいるのだろうな、奴らは」
嘲りと怒りが混じった言葉が、破砕音と暴風に掻き消された。
- 54 :
- 今回は以上です。よろしくお願いします。
- 55 :
- 小説家になろうに投稿したら
作家気取りで調子に乗ってる他の中二病作品を超える
好評か貰えると思うよ
頑張れ
- 56 :
- 未だに変な光と謎の音は止まらんのか。不便ねぇ。無線機まで使用不可なのは輪をかけてめんどくさい
強制脱衣犯罪集団に乗り回された先々代みたいに、不思議ななんとやらか。
- 57 :
- >>54
投下乙です。
ヴァレリアン王子はなかなかの出来物らしいですね。巌二佐はちと内幕を晒しすぎてしまった感があり、いかにも自衛官らしくて楽しいです。
細かな描写が人物の内面や感情を表しているようで、いいですね。場面が目に浮かびます。
そして、竜巻。何が行われたのか気になってたまりません。
どうしても、10式じゃなく、74式が目に浮かぶのは何故でしょうか。
次回も楽しみにしております。
- 58 :
- こんばんは。
改行については、当面このままで行きます。
- 59 :
- 交易都市『ブンガ・マス・リマ』
アラム・マルノーヴ南部沿岸地方の経済・文化の中心地であり、中継地でもある。現在は『南瞑同盟会議』の本拠地として、会議本体が置かれていた。
マルノーヴ大陸の南岸に突き出たメンカル半島は、無数の島々が浮かぶ広大な多島海に面している。この半島の先から海に流れ込むマワーレド川の河口に、最初の集落が作られた。
すぐに誰かが、この集落の立地が周辺の市邑を繋ぐのに大変都合が良いことに気付いた。
目端の効く商人達は迷わなかった。大陸からの交易品はマワーレド川を用いて運ばれ、島々に送り出された。逆に、島々で産出する様々な品は、『ブンガ・マス・リマ』を一大集積地に、大陸各地へもたらされて行った。
街に交易品と情報が流れ込み、人が集まった。人が集まれば、物と金が動き情報が集まる。この地は、マルノーヴ大陸沿岸を東西に進む交易船が補給し、情報を得るのに絶好の場所となって行った。数百年繰り返すうちに、街は、河口域では収まらなくなった。
無数の中洲上に市域は広がって行った。商取引をもって栄えた街は、自然と商人が権力を握る様になって行った。歴史上数度に渡り、周辺に勃興した王朝の支配を受けたが、最終的にこの地を握ったのは常に商人であった。
そして現在、土砂の堆積を避ける為、河口から離れた地に大型交易船用の岸壁と港湾が整備され、広域都市・商業同盟『タジェル・ハラファ』の盟主となった『ブンガ・マス・リマ』は、人口凡そ二十万を抱える巨大都市に成長していた。
その商都はいま、大騒ぎの真っ最中である。
「帝國の飛龍十騎を瞬く間に叩き落とした異界の水軍が入港するらしい」
「はぁー? あんた与太話もいい加減にせんね」
「いや、まことらしいぞ。その船は隼の如き速さで海を走り、光の飛礫が十哩離れた敵を落とすとか」
「あほらし。そないな事、古代王国の魔導軍でも無理やわ」
通りのあちこちで、商談の途中で、洗い場で、市民達の口に噂がのぼった。訛りのキツい者が多いのは、既知世界の彼方此方から集っているからである。
彼等の肌の色・目の色が千差万別なのは当たり前で、耳が長かったり、ふさふさしていたり、犬歯が鋭かったり、尻尾が有ったりしていた。
だが、誰も気にしない。「目が三つだろうが、鱗が有ろうが『商い』が出来る相手なら細かい事はどうでも良いだろう?」
彼等は徹頭徹尾そんな感じであった。
「魔人でもなけりゃ、そんな芸当出来っこないぞ」
「魔人?」
「そう言えば、知り合いの漁師がすげぇ速さで走る船と島ほどあるどでかい船を見たって!」
「そいつは豪気だな。見てみてぇもんだ」
「儂の聞いた話じゃと、異界の船乗りは一つ目の大男で、目から怪光線を放つんじゃと」
「眩しくないんかのう?」
「聞いたか!? 昼にカサード提督の水軍と例の異界船が、ラーイド港に入るらしいぜ!」
「あたし見たい!」
「行くか、面白そうだし」
「行くべぇ行くべぇ」
交易都市の住民というものは、好奇心に溢れた人々である。
結局、老若男女人獣精妖がこぞって「帝國の飛龍百騎を一瞬で全滅させた巨人の操る軍船」を見物すべく、商都の表玄関であるラーイド港区に押し寄せる事となった。
- 60 :
- たちまちのうちに石造りの岸壁は見物客で溢れ、それを当て込んだ物売りとスリと邏卒が入り乱れた。
あちこちで普段から仲の悪い商会の丁稚や、交易船の漕ぎ手の間で喧嘩が起きる。巻き添えを喰らったドワーフの放浪鍛冶が海に突き落とされた。怒り狂った同輩が、騒ぎに飛び込む。
その周囲では、すぐさまどちらが勝つかの賭が始まり、人混みに酔った森妖精が青い顔でひっくり返った。すかさず、彼女を介抱しようと、両手に余る数の男達が群がるが、彼等はたぎる下心と共に仲間の拳と魔法で纏めて吹き飛ばされた。笑い声が辺りに満ちていた。
気がつけば、祭の様な景色である。
その日のラーイド港区二番邏卒詰所邏卒長の日誌には、こう記されている。
『人々が集まり騒ぐこと甚だしく、非番を含め総員が此に当たる。この日、乱闘に及ぶ者百七十四名。落水者二十七名。摺りに遭う者、迷い子の数、数えきれず。
異界の舟は噂よりよほど小さく、さほどの異形に非ず。ただ一つ、突然舟が上げた咆哮に肝を潰すもの多数。運荷船二艘が転覆。明日、水軍に抗議の予定』
『されど、民衆の笑い集う様、久方振りの事なり。水軍の勝利をもたらしたこの舟を、人々は好意をもって迎えた事を此処に記す』
『2012年12月16日 不明飛行物体との戦闘終結後、目的地「ブンガ・マス・リマ」へ向かう。当初旗艦「ぶんご」を伴う予定であったが、現地住民の船舶多数が港内外に遊弋しているとの情報あり。
航行の安全を考慮し、本艇に政府代表を移乗後、第2ミサイル艇隊でラーイド港に入港する事とされた』
『ラーイド港にて、無数の人々の出迎えを受ける。港内の水面は、手漕ぎや帆走の小型船で埋まっていた。港の規模はかなりの物であった。機械の類は一切見えない。
近い風景といえば、東南アジアだろうか? だが、東南アジアにはエルフもドワーフも存在しない』
『岸壁にエルフと騎士と魔法使いらしい集団を見つけた。盗賊と神官とドワーフの戦士は探しても見つからなかった。何だか期待外れな表情をしている現地人が多かったので、艇長に汽笛を鳴らし歓迎に応える事を進言した』
『現実感の無い景色に、浮かれてしまった事を反省する。だが、信じられないがこれは自分に本当に起きた出来事らしい。何てこった』
『はやぶさ』航海長の日誌より。
- 61 :
- 「日本国政府を代表し、盛大な歓迎に感謝致します」
かつては商業同盟『タジェル・ハラファ』大商議堂として、現在は『南瞑同盟会議』の本拠として、その威容を衆目に示し続ける白亜の商館の中、その一室に人々は集っていた。
細密な紋様を丁寧に織り込んだ極彩色の絨毯の上には、巨大な円卓が鎮座している。その席の片側には、『南瞑同盟会議』に連なる諸勢力の重鎮が座り、もう一方には異界から来た使者が、腰を下ろしていた。
高価な調度品の置かれた部屋の天井は高く、採光窓からは柔らかな明かりが室内に注いでいる。部屋の空気は精霊の助けにより絶えず循環し、爽やかな温度に保たれていた。この事からも、この建物の主達が莫大な富を手中にしていることを窺わせた。
同盟会議重鎮の、一様に威厳と財力を競うかの様な、装飾品と衣装の鮮やかさに比べ、異界の使者は驚くほど地味な服に身を包んでいた。
僅かに装飾と言えるのは、首から下げた飾り布と、襟元に着けられた四角い青色のブローチのみである。些か肉の付きすぎた身体を分厚いクッションに預けたある都市の代表などは、あからさまに侮った表情を見せている。
だが、目端の利く者は使者の履く靴を一瞥し、僅かに眉尻を上げた。素知らぬ顔で、気を引き締める。そもそも、勇猛さで鳴らすカサード提督が手放しで褒める相手である。さらに、ロンゴ総主計からは彼の国の驚くべき報告が上げられている。
目の前の貧相にも思える男が、見かけ通りである筈もない。
「御礼を申し上げるべきは此方でしょう。我が水軍の危機、貴軍無しでは切り抜けられませんでした。百万の味方を得た思いです」
同盟会議側が、礼を述べた。〈ニホン〉の使者は頭を下げたが、表情一つ変えない。
「我々は攻撃を受けた為、必要最小限の自衛措置をとったに過ぎません。全てはこれからの交渉次第です」
「慎み深い事ですな」
- 62 :
- 〈ニホン〉執政府代表と名乗る男は、慎重に言葉を選びながら、次のような要求を示した。
・『帝國』に関する情報の提供
・『門』に関する情報の提供
・周辺海域及び地形調査の許可
・市内に出先機関の設置。郊外の土地の借り上げ
・〈通詞の指輪〉購入を始め、『南瞑同盟会議』との商取引の許可
これに対し、『南瞑同盟会議』側は、
・対『帝國』戦への参戦
・魔導兵器の供与若しくは売却
を求めた。〈ニホン〉側の要求に対しては、 出先機関の設置や土地の借り上げについては応じ、商取引についても指定する商会を通すことを条件に許可した。
周辺海域の調査については、水軍が彼等に大変な好意を示している事が大きく影響した。〈ニホン〉側は、ほぼ自由に調査活動を行うことを認めさせる事に成功した。
逆に『門』に関する情報の提供は、「リユセ樹冠国の秘儀に当たる」として、『同盟』は〈ニホン〉に参戦の確約を求めた。『帝國』の情報についても、小出しにする態度を示している。
〈ニホン〉側も、「参戦の判断は、『帝國』が我が国民を害したかどうかを慎重に確認しなければ不可能である」とし、魔導兵器については「兵器売却を禁ずる国法有り」として突っぱねた。
結局のところ、情報提供と参戦については次回以降の交渉に持ち越されることとなった。両者は一定の成果を得た事を確認した。
交渉において〈ニホン〉代表は『南瞑同盟会議』の諸国家代表に対して、頑なに「住民代表の皆さん」と呼び掛けた。些か不遜な響きである。〈ニホン〉側の慎重な姿勢の中に見えた、僅かな違和感である。
これに不快感を表する者は多く、一時会議は紛糾した。
それとなく訂正を求めるロンゴ・ロンゴに対し、〈ニホン〉代表は不思議な笑いを浮かべ、申し訳無さそうに言った。
「私は、まだ皆さんが求める表現を用いる事を許されておりません。どうか、ご容赦頂きたい。大変難しい問題なのです」
「理解出来かねますな」
「ところで、この周辺において無人の島の扱いはどの様になされているのでしょうか?」
何を言い出すのか、という表情でカサードが答えた。
「無人の島などそれこそ豆魚の数程在ろうよ。有益な島には人が住むが、それ以外は誰も知らぬ。漁師が風待ちに寄ることも有ろうが、魔獣のいる島も多くてな」
「では、無主の島々は数多存在すると?」
「応よ」
「それを聞き、安堵しました。遠からず良いお話が出来るかと、その様に期待しております」
〈ニホン〉執政府代表はそう言って、今度は本当の笑顔を見せた。
- 63 :
- 「いくぞ、1、2、3!」
「そりゃ!」
あちこちに錆が浮き、いささか古びた風情を見せる甲板上で乗員達が機械を操作する。ぎらつく陽光を受けながら、ブイが海面に投下された。ブイは海面に落ちると、派手な音と水柱を立てた。すぐに灯標が点灯する。
海上保安庁の設標船『ほくと』は、急ピッチで航路の啓開を進めていた。付近では『明洋』が海底地形や海流、水深その他諸々の観測データを集め、精査し、海図の作成に取りかかっている。二隻に寄り添う様に巡視船『てしお』が遊弋していた。
別の海域では『海洋』が、『おいらせ』を護衛に、ロランC局及び中波開設の適地を求めている筈であった。
GPSも海図も無い、浅瀬を示すブイも無い。天測も出来ない。そんな海で戦う事など不可能である。自殺行為だ。
至極真っ当な現場の意見を受け、日本国は先ずこの世界の有り様を調べ始めていた。
「左20度、ヘリコプター1機」
見張りの報告に船長が空を見上げる。汗が目尻に流れ、染みた。滲んだ視界の中で日の丸を付けた海自のヘリが、ローター音を響かせ飛び去っていった。
「どこもかしこも、フル稼働だなぁ」
あの機の他にも、聞くところによれば無人機が多数投入されているらしい。
陸地に関しては海自の掃海母艦を基地に、国土地理院の測量チームや陸上自衛隊中央地理隊が測量を始めている。沿岸部では掃海艇が走り回り、EOD(水中処分隊)が揚陸適地を探し回っていた。
異世界の理がどの様な物なのか、全く分かってはいない。それを解明するのは、本来学術研究者達である。
だが、ここは民間人が立ち入るには危険過ぎた。
日本にとっても異世界にとっても。
「ま、でかい仕事では有る、か」
船長は、まだ手付かずの大海原を眺め、一人呟いた。
- 64 :
- まだ、半分ありますが、連投規制に引っかかりそうです。
- 65 :
- 騎兵斥候が街道沿いを南下する軍勢を発見してから、七日が過ぎていた。
触接を続ける斥候からの報告を受け、南瞑同盟会議の諸都市自警軍及び、傭兵団は集結を完了。兵権の一時委任の手続きを持って連合軍を編成し、根拠地を進発した。
その数、自警軍歩兵六千、騎兵千余に傭兵団二千を加えた計九千の大軍であった。
これに対し、帝國南方征討領軍は歩兵約三千、妖魔兵団二千の計五千余という兵力である。神出鬼没の戦い振りで同盟会議側を翻弄し続けた帝國軍は、ここに来て遂に捕捉されたのだった。
ほぼ二倍の兵力を揃えた同盟会議は、これを決戦により戦況を挽回する好機と見た。罠を怪しむ声は、兵站を脅かされ、ゆっくりと、だが確実に衰退する諸都市の、決戦を望む声にかき消された。
帝國軍の跳梁による商取引の停滞と、これに対抗する為に集結した兵備の維持費に諸都市は悲鳴を上げ始めていたのだった。
一応の手当として、斥候に多くの兵が割かれた。伏兵を十分警戒しつつ、連合軍は軍を北上させた。
両軍は『ブンガ・マス・リマ』より北方約100キロの平原で互いを捕捉、対峙した。
丘に定められた本陣からは、戦場が一望出来る。
両軍が南北に対峙する平原は、西をマワーレド川がゆるやかに流れ、東にはいくつかの森林が点在している。川と森に挟まれた平地部分に、両軍は陣を敷いていた。
南に布陣する南瞑同盟会議連合軍は、自警軍五千を五つの隊に編成し、横陣を組んだ。その右翼には騎兵を配置し、予備隊として傭兵団を後方に置いた。
兵力に勝る側ならではの、手堅い備えである。当然、右翼に点在する森林は斥候により確認し「軍が統制を維持しつつ踏破するのは不可能」という報告を受けている。
隊列を組まない兵がどれほど伏せていたとしても、予備隊で容易く粉砕出来る。この世界の野戦において、陣形とはそれ程の意味を持っている。
一方、帝國軍も同様に横陣を構えていた。予備隊は妖魔兵団と見積もられた。騎兵は見えなかった。
両軍を一望し、南瞑同盟会議連合軍指揮官は、勝利を確信した。
戦場はほぼ平坦。兵力差は二倍。日没までは半日あり、天気は晴れ。敵に騎兵は無く互いに横陣を組んで対峙している。
平押しに攻めても、右翼から騎兵を旋回させても、勝てる。彼は己の信ずる神に感謝の祈りを捧げた。勝利は自分の人生に、栄光をもたらすだろう。富と名声という形で。
戦闘は、両軍前衛部隊の弓射を皮切りに、開始された。互いに矢を射掛け合う。射撃戦は当然の如く連合軍が優位に立った。
帝國軍の弓射は弱く、専門兵では無い事を示している。直ぐに、帝國軍の戦列が乱れ始めた。
鐘が鳴らされる。
射撃に耐えかねた帝國軍が、前進を開始したのだった。どこか投げやりな喚声が周囲に木霊する。地響きと共に、数千の兵が押し寄せるのを、連合軍は眼前に捉えた。
- 66 :
- 「何だ、あ奴ら?」
「まさか、カルブ自治市の旗か?」
「ソーバーン族の戦士もいるぞ!」
各戦列を指揮する中下級指揮官達は、すぐにそれに気付いた。
調整のとれていない様子で前進する敵勢が、少し前まで取引相手として、近隣の住民として、付き合ってきた者達である事に。
降り注ぐ矢に討ち減らされながら前進する帝國軍の軍装は、貧弱な上に不揃いであった。普段着に革や綿入れ程度の鎧を着込み、木製の盾を構える者が居ると思えば、カラフルな民族衣装のみの者もいる。
武器は手入れの悪い短槍や片手剣なら良い方で、農具を手にした者も少なくない。
帝國軍は、兵士では無い男達で作り上げられていたのだった。
「降伏した諸都市や市邑の民か。哀れな……」
一個隊を指揮する将が、顔をしかめた。だが、その口調とは裏腹に右手を掲げる。武将としての彼の思考は、勝利を確信し冷酷とも言える命令を下していた。
「横隊前へ! 蹴散らせ!」
進軍の角笛が鳴らされると、帝國軍とは対照的に、戦列を維持した連合軍が前進を開始した。各隊は兵制も装備も異なる。しかし、訓練を受けた兵士達であった。
両者は激突した。
連合軍の穂先を揃えた槍が突き込まれ、鍬や鎌を振り上げた男達が、バタバタと倒れた。悲鳴があがる。血飛沫が、隣りで戦う兵の顔に飛び散る。がむしゃらに振り下ろされる帝國軍の攻撃は、盾の壁に容易く跳ね返された。
「押せやぁ!」騎士や兵長の胴間声が響く。勢いを増した連合軍兵の人波が、降兵からなる帝國軍歩兵に襲いかかった。
「市民兵諸君! 逃げよ! 敵は帝國ぞ!」
連合軍指揮官の中には、寝返りを促す者もいた。
だが──
「何故、崩れぬ?」
帝國軍は、持ち堪えた。甚大な被害を出しながらも崩れない。泣きながら棍棒を振り回す若者がいる。喚きながら連合軍兵士に飛びかかる農民がいる。
明らかに異常な戦意であった。
一人の百人長が、気付いた。
「敵勢の後方に在るのは──まさか!?」
カルブ自治市兵の後方には、中継都市ケルドの旗印。ソーバーン族の後には、ドフダー族が見える。何れも水源争いや、通行税問題等で仲の悪い勢力である。
「督戦させているのか!」
前衛で血みどろになる部隊の後方には、必ず彼等と対立する勢力の軍勢がいた。しかも、督戦隊の役を担うのは普段劣勢に立っていた勢力ばかりである。
斧で横凪に襲いかかる敵をかわし、たたらを踏んだ首筋に、剣を振り下ろす。百人長は、元は樵であろう敵兵が叫んだ言葉に、愕然とした。「ここで勝たにゃ、家族が!」樵はそう言って死んだ。
対立する二つの勢力の扱いに差を付け、人質をとって戦わせる。人でなし共め。しかし所詮は浅知恵よ。いずれ、崩れるのは間違い無い。
この時点において、百人長は勝利を疑っていなかった。
帝國軍の戦意は異常な程高く、素人兵の集団に過ぎない彼等は、次々に倒れながらも連合軍の攻撃を良く受け止めた。
右翼側で新たな喚声が上がったその時、連合軍指揮官は思わず地面を蹴っていた。
帝國軍後方に控えていた妖魔兵団が右翼側に旋回し、連合軍側面を突いたのだった。味方の戦列が敵に拘束された事による隙を、帝國軍は見逃さなかった。
突撃衝力の高いオークや俊敏なコボルトが、連合軍右翼を食い破り始めている。放置すれば、半包囲を受けてしまう。
指揮官は即座に決断した。
「傭兵団を出せ。妖魔共の側背を突け!」
命令を伝える伝令が、傭兵団に分け入る。すぐさま数十から数百名規模の傭兵達が、報酬を得るべく各々突撃に移っていった。
地鳴りが大地を震わせる。迎え撃つ妖魔兵団と傭兵団が接触した瞬間、遠目にも鮮やかな血飛沫と、断ち切られた手足や頸が宙を舞った。
戦は再度膠着した。だが、兵数で劣る敵に打開策は無い。このまま行けば、勝てるだろう。連合軍指揮官は、冷静さを取り戻し、その時を待った。
- 67 :
- 四半刻の後、崩れたのはゴブリン共の集団であった。連合軍右翼に押しまくられた妖魔兵は、一隊が逃げ腰になると支えきれなくなった。
ここで、決する。
指揮官は切り札を投入した。
虎の子の騎兵約八百騎が、一丸となって右翼に出来た間隙に突入を開始する。各都市からかき集められた彼等は、一撃で全てを破砕し得る打撃力である。
泥を跳ね上げ土煙を引いて、騎兵が駆ける。南瞑同盟会議の騎兵は、機動力重視のいわゆる軽騎兵であったが、その威力は主に心理面で発揮された。
「よし、乗り入れるぞ! 馬蹄の錆びにしてくれる!」
目を血走らせた八百の騎馬が突撃する様に、意志の薄弱な妖魔兵はあっという間に戦列を乱した。
悲鳴を上げて逃げ惑うコボルトに、騎兵が槍を突き、馬蹄にかける。騎兵部隊に接触した部分から、帝國軍は溶ける様に崩れ始めた。
「勝ったな」
「御味方の勝利です。しかし、後味は悪いですな」
「うむ。傷ついたは我等の同朋ばかりよ。帝國め──」
連合軍指揮官と軍監が勝利を確信したその時、味方騎兵の側面に新たな敵が現れた。それは、森に隠れていた敵の様であった。指揮官は鼻で笑った。
伏兵か。だが散兵が少々あったとて、何ほどのものか。
間もなく、騎兵と敵の伏兵が接触した。
それは、突然の出来事だった。
妖魔兵を蹴散らせつつ進撃する騎兵隊長の耳に、魂を凍らせる様な雄叫びが聞こえた。獰猛な捕食者のみが為し得る咆哮。
少なからぬ騎馬が棒立ちになり、幾人かの騎兵が振り落とされた。騎兵隊長も、苦労して愛馬を落ち着かせる羽目になった。
「何事だ!?」
その問いに、部下が答えた。
「右の森林より伏兵! 散兵百余!」
右翼で、悲鳴と剣戟の音。そして、絶えぬ咆哮。何かがいる。
放置すれば、危うい。即断した騎兵隊長は配下に命じた。
「我に続け! 伏兵を蹴散らし、再度敵の後方に回り込む!」
だが、それは果たせなかった。
悲鳴が大きくなる。気がつけば彼のすぐそばまで、戦闘が近付いていた。何者だ? 騎兵隊長は、短槍を脇に構え馬首を巡らせた。
- 68 :
- 投下乙です。
しばらくは外交での駆け引きと無人島調査ですね。見つかったものによっては・・・どうなることやら。
- 69 :
- 「ば、化け物だぁ!」
配下の悲鳴と共に、配下の乗る頑強な軍用馬の首が消し飛んだ。乗り手が巨大な影に飛びかかられ、地面に落ちる。
「信じられん……」
呆然と呟く騎兵隊長の前には、巨大なヘルハウンドの姿があった。鋭い牙に騎兵だった物の一部を貼り付かせ、うなり声を上げている。
ヘルハウンドの群れは、次々と騎兵を屠る。よく見れば、魔獣達の間に帝國兵の姿が見えた。ヘルハウンドは、兵の指図を受け、騎兵を襲っている。
別の隊では巨大な獅子が荒れ狂っていた。騎兵隊の背後にはいつの間にか剣牙虎の群れが回り込んでいる。側背を突かれた騎兵隊は、細切れに切り刻まれつつあった。
諦めず離脱し再編成を図った騎兵隊長であったが、指揮官の存在に目ざとく気付いた敵兵が使役する剣牙虎により、愛馬諸共肉片と化した。
「騎兵が!」
眼下で、優位であった味方が敗走を始めていた。騎兵が敗れると、背後に敵を抱えた傭兵団もまた、敗走した。
敵横陣の突破にてこずっていた味方の歩兵部隊は、包囲されマワーレド川に追い詰められた。落水し、溺れる者が続出している。
「莫迦な……」
「指揮官殿、どうされますか!?」
「こんな事が……莫迦な!」
連合軍指揮官は完全に我を失っていた。それは、上空に現れた有翼蛇の編隊が放った火球によって、彼の身体が松明の様に燃え上がるまで、続いた。
南瞑同盟会議野戦軍は敗北した。
周囲に帝國軍に対抗可能な兵力は存在しない。再編成までの間、帝國軍を阻むものは無い。
帝國南方征討領軍が、交易都市ブンガ・マス・リマに迫るのは時間の問題であった。
- 70 :
- 青森県むつ市 大湊湾
2012年 12月25日 01時21分
政府の避難勧告に従い、住民が避難したむつ市の街並みは、闇の中に沈んでいた。人気の絶えた街では、信号機の灯りが黄色く点滅している。
一方で、海上自衛隊大湊地方総監部や大湊漁港の敷地では、深夜にも拘わらず多くの人々が動き回っていた。
彼等は『門』の警戒に当たる警察官、自衛官を始め、凡そありとあらゆる省庁・機関から派遣された官僚、学者、技術者達であった。
敷地にはエアーテントと天幕、応急のプレハブが立ち並び、昼夜を問わず車両が出入りする。電源車が唸りを上げる横で、クレーン車が資材を輸送艦に搭載している。小銃を構えた警備が辺りを睨む中、書類を抱えた研究員が右往左往し、ケーブルに躓く。
基地内は、活気と混乱に満ちていた。長距離偵察用無人機から大豆粉栄養食品に至るまで、山積みの物資で埋まっている。
敗戦から70年。戦火の絶えて久しいこの国に出現した、紛れもない前線基地の姿であった。
冬の陰鬱な曇り空は月明かりを完全に遮り、大湊湾に闇をもたらしている。煌々と灯りの点る陸上施設に対し、湾内は空と海の境すら見通せない。強い北風に煽られた白波が、辛うじてそこが海である事を証明していた。
そんな中、この夜で最も過酷な任務に就いている者は海上にあった。彼等は湾内に突如出現した『門』から祖国を護るべく、そして、『門』に近付こうとする全てを阻むべく、警戒監視を行っていた。
彼等──海上保安官と海上自衛官の乗る巡視艇や警戒艇は、快速と機動性を重視し小型である為、酷く揺れている。
陸自の沿岸監視隊が運用するレーダーは、波の影響で余計なエコーを拾ってしまっていた。操作員があらゆる手を尽くすが、完全には解消出来ない。
それを補う為に、彼等は身を切る冷気と船酔いに耐えながら、闇夜に目を凝らし続けていた。
投光器の光が海面を舐める。
常に形を変える白波の中に、異物があった。それは、僅か数秒間海面にあったが、投光器の光に捉えられる前に、海中に没した。
「視界内、巡視艇が二隻だ。『門』も確認した」
「ソーナーからの情報と一致しています」
「上の連中は、真面目に仕事をしているようだな」
「気の毒な事です」
潜望鏡のアイピースから顔を離した艦長は、非常灯の赤い光の下で、静かに笑ってみせた。
「両舷前進最微速。針路000度」
「宜候」
艦は水面下を、静かに進んでいた。
「この辺りの水深を考えると、浮上航行で行きたいところです」副長が言った。
「そうもいかん。海保はもちろん、大湊警備隊にも見つかるわけにはいかんからな。連中、レーダーに加えて暗視装置も使っているはずだ」
艦長が、キャップを被り直しながら言った。狭い発令所は、大きく左右に揺れている。海面ぎりぎりの現深度では、潜水艦も波の影響を大きく受ける。船酔いという訳では無いが、艦長は見かけほど楽な気分では無かった。
油断すれば、海面に飛び出すか、海底に腹を擦るか、はたまた警戒艇に衝突するか。艦長には細心の操艦が求められていた。
「どうせこの波では、暗視装置など五分と覗けやしませんよ。隠密行動は潜水艦の宿命とはいえ……」
「まあ、そう言うな副長。何しろ封緘命令だ。何をさせられるのか俺も知らん。まぁ、積荷とお客さんを見れば、ある程度予想はつくがな。とにかく、こっそりと向こうに渡らなきゃならん」
「やれやれです。……『門』通過10分前、針路上クリア」
副長は溜め息をつき、気持ちを切り替えた。艦長は、額に滲む汗を拭うと明るい声で言った。
「剣と魔法の異世界で極秘の任務。どうにもワクワクするじゃないか。なあ副長、折角だから楽しもう」
「私は艦長ほど気楽に生きられません。貴方が羨ましいですよ」
「この境地が分かるようになれば、一国一城の主まであと一息だぞ」
十分後、艦は『門』を潜り異界へと消えた。『門』が微かな光を揺らめかせたが、それに気付いた者はいなかった。
- 71 :
- >>68
ご支援ありがとうございます。
今回は、準備その一といったところです。
御意見御質問御感想お待ちしております。
- 72 :
- 一件訂正。
中波→中波無線標識
です。複数箇所から発信された電波を受信、受信方位の交差する点で、船位を測るシステムです。
- 73 :
- 乙です!
盛り上がって来ましたね、自衛隊の活躍が今から楽しみです
- 74 :
- 乙でしたー。
武器は幾らでも抜け道(狩猟用とか)あるし、取り敢えず断りの理由に使ったって感じ?
潜水艦はやっぱ調査かな、行きなり奪還っていうのは無いだろうし。
- 75 :
- 俺は改行を今のままで投稿してもらえて嬉しい
細かく改行してほしい人も多いとは思うんだけどね
- 76 :
- 乙でした
交易都市オワタ
助けて欲しかったらなんでもしないとね(ゲス顔)
- 77 :
- 何処の国の潜水艦だろう?
- 78 :
- 敵がこういう下種な奴らだと自衛隊の兵器でオーバーキルしても全く同情できないから良いな
>>77 ひょっとしたら中国じゃね?・・・まあアメリカか日本だろうけど・・・・
- 79 :
- 自国の諸侯を異世界で粛清する国ですからね〜
ところで諸君、帝国は滅びるべきである
ですねw
- 80 :
- 投下おつです
>>74
散弾銃なら割りと楽にいける気がする>武器輸出
銃身の半分までライフリングを刻んだガス圧動作式の散弾銃とスラッグ弾をセットで売れば、結構行けそうな気がするw
- 81 :
- 狩猟用戦車
狩猟用戦闘機
狩猟用駆逐艦
これで対中包囲網はばっちりだな
- 82 :
- >>78
妖魔の方が、妖魔の運用をやっている分、見ていて面白いけどね。
あれはいいものだ。南の連中も見習うべきだ。
>>79
最低限、門はなんとかして塞がないと不味いなぁ…。
- 83 :
- あ、間違えた。
帝国の方が、妖魔の運用をやっている分、見ていて面白いけどね。
って書くつもりだったのに。
- 84 :
- 投下乙
西方諸侯軍とは違い帝国軍本体は
妖魔運用の的確さと露払いに占領下においた敗戦国および劣勢な対立組織を督戦隊に配置
この戦なれした国相手に日本国のハイテク技術によるアドバンテージは大きくないと覚悟しないとヤバイ
緒戦で帝国にわたった情報の範囲は不明だけど
南瞑連合にも異世界間意思疎通魔法あるわけだから
最悪の場合日本国の軍事力の余力の無さが相手側が把握してる事も想定しないと
「異世界で陸戦」を安易に選択するのはヤバヤバ
- 85 :
- >>84
陸上自衛隊の(大規模な)派遣は控えたほうが良いかも知れんね。
こっちの民間人がどっさり帝国の手に落ちている以上、こっちのことは帝国にも結構知られていることだろうし、
そうなると直接対峙するのは面倒だ。
- 86 :
- 無人偵察機で偵察してからF15とかの航空攻撃でピンポイントに
指揮系統にミサイルぶち込んでからとか準備してから陸戦しないとヤバそうだな
- 87 :
- 銃の輸出とかすんのかね
日本製銃器は海外で評判良いみたいだけど
8ゲージ散弾銃とか再生産して欲しいわ
- 88 :
- そして向こうで魔力付与されるのか
- 89 :
- マジカルホーワ・・・・
- 90 :
- >>84-86
相手を大きく見過ぎだわ
余力という面では近代軍たる自衛隊が圧倒的
事件で警察・自衛隊の装備や人員も増強されてるだろうし
- 91 :
- >>90
少なくとも、陸の上でゲリラの相手をするのはね…。
そういうのは南の連中にやってもらうべきだ。
- 92 :
- >>71
投下乙です。自衛隊の出現によるF世界側の混乱は見ていて楽しかったです。帝国軍はかなりの戦力ですが、
現代兵器を初戦で駆使して圧倒すれば、随分勢いを弱められそうな気もしますね。何を使われて攻撃されているのか
殆ど分からないまま死んでいくと思いますし。補給の問題も、拠点を築くことで解決しようとしているように
見えます。
ただ、自衛隊にとっての脅威は地球側からやってきそうな気もします。最後に出てきた潜水艦がどの国のものにせよ、
足並みを揃える気はなさそうです。
次回も楽しみしています。
- 93 :
- 妖魔を運用して督戦隊で捕虜を戦わせる帝国・・・ベルセルクのクシャーンみたいだ・・・
>>91 妖魔は使用者殺したら分家の星がはためく時のキメラみたく暴走して無力化できんじゃね?
登場人物の発言聞く限り、本来は人になつかないらしいし、だったらこっちに来た諸侯連中が妖魔運用に
消極的な理由もわかる。
- 94 :
- >>86
F15は制空戦闘機
対地攻撃能力はF2支援戦闘機の半分も無い
ストライクイーグルはアメリカが技術提供して無い限り日本国だけで生産不可
WWIIのように基本設計に後付けでちょいちょいいじくった程度じゃ
パイロンや火器管制システムなどハード・ソフト両面で実用にたえられるかどうか
あと、無人偵察機もGPSの利用不可な状況じゃ運用制限もある
航空機による中継もありだがその場合戦闘機より高価な電子機の喪失リスクも高い
作品で言えば飛行蛇を指揮してた帝国軍の飛竜・操縦士&魔獣使いの撃墜
- 95 :
- >>94 たしかにF15は近代軍相手なら不十分な対地攻撃力だけどファンタジー軍相手なら十分いけるんじゃね?
例えば後ろの督戦隊に機銃掃射するだけでもかなり効果ありそうな気が・・・
- 96 :
- >>95
「餅は餅屋」で対人掃射なら攻撃ヘリ使うんじゃね?速度や高度的にも
ただ自衛隊員のメンタル的にきつそうであるが>人間標的
- 97 :
- 今思ったんだけど、帝国軍の航空兵力って空戦能力あるんだろうか?
現状の作中描写だと帝国は航空兵力を持った敵と遭遇してないみたいだか飛行蛇や飛竜は
現実世界のCOIN機やガンシップみたいに地上攻撃専用の可能性がある。
- 98 :
- 帝国に空戦能力があるというだけで結構な重圧を相手にかけれるよね
少なくとも日本側は戦闘中は常に戦闘機なりを出して制空権を取らないといけない
捻った使い方すればいい嫌がらせになりそう
- 99 :
- とりあえずF15で事前に制空権確保してからの方がヘリとか出すのは安全そうだな・・・・
あと海自の護衛艦のトマホーク、陸自のMLRSなり榴弾砲、重砲で制圧射撃するの
は?これなら航空兵力も無力じゃ?(トマホークは撃墜される可能性ありそうだけど)
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