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2013年08月創作文芸34: ワイが文章をちょっと詳しく評価する![28] (660)
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群像新人文学賞54 (360)
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![28] (660)
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ワイが文章をちょっと詳しく評価する![28]
- 1 :2013/06/27 〜 最終レス :2013/08/02
- オリジナルの文章を随時募集中!
点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!
ここまでの最高得点79点!(`・ω・´)
- 2 :
- 前スレで日本語を勉強中の朝鮮人が現れてわけのわからない日本語を書いていたのにはワロタw
- 3 :
- 前スレ
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bun/1365918133/
- 4 :
- 前スレチェックしたら新着レスがたくさんあって、「ひょっとしてワイ杯開催?」と思ったら違ったw
- 5 :
- これワイが自分で立てるのか
そえばテンプレなかったなあ
- 6 :
- 底辺の朝 プロローグ
摩央「まま〜お兄ちゃんが苦しそうだよ!
おRの病気だよぉ
すごくこすってるよぉ」
香織「アンタ朝っぱらから何やってんのよ!」
健人「うああ」
あわててズボンを上げそのまま家を出る
摩央「ねえ お父ちゃんの病気ってわたしにもうつるかな。。。」
心配そうに見上げる
香織「うつらないように祈りなさい」
健人はRーを19日間我慢し続けていた
- 7 :
- >>6
お兄ちゃんの病気がお父ちゃんに変わっていた!
土曜日の朝から元気なのは理解した!(`・ω・´)
- 8 :
- 正解は、作者が病気でした!
- 9 :
- おっ、いるじゃん。ちょっと上がっていい?
昨夜さ、すんげえ怖い思いしてさ。おまえにも聞かしてやろうと思ってよ。
タケダ先輩いるじゃん? 事故ばっかで身体中にボルト入ってる人。知ってっしょ。
おれ、前からあの人にクルマ借りる約束しててさ。タント、黒の。
で、借りたのよ、昨夜。
そんとき先輩がさ、おめえ、ぜってえ事故んなよ、このクルマ保険入ってねえからって。
あの人もう三台潰してんじゃん。だから金ないんだよ。
おれもさ、べつに事故るつもりはないからさ。ハイハイって。
でさ、交差点あるじゃん。先輩んちの前の県道から国道に入るとこ。
あそこにさ、変な地蔵立ってんの知ってる? いつも花とか置いてあって。
先輩んちで飲んでるときとか、買い出し行ってこいとか言われて、夜中にあそこの交差点で信号待ちしてっと、
あの地蔵がさ、なんかガキが立ってこっち睨んでるみたいでさ、気持ち悪いんだよ。あたりも暗いし。
で、昨夜、先輩のとこから、国道出ようと思って信号待ちしてたら、やっぱ地蔵が目に入っちゃってさ。
それで、信号が青になって右折するあいだも、ずっと地蔵がこっち睨んでるみたいで、おれも目が離せなくなっちゃって。
したらさ、いきなり対向車がパカパカってパッシングすんのよ。
そんときひょっと前見たら、横断歩道に、ガキと手つないだ髪の長い女がさ、ぱっと浮かんでさ。
もう、ひぇーーって。冷や汗がドバドバって。
えっ、幽霊? ちげえよ、危うく歩行者轢いちゃうとこだったって話だよ。
無保険のクルマで横断歩道の母子轢いたら、おまえ、いくら借金背負うと思ってんだよ。
ぞっとすんだろ、それ考えたら。
いるわけないじゃん、幽霊とか。おまえ、そんなもん信じてんの? バカじゃね?
は? 事故? 対向車? タントぐしゃぐしゃ? 即死? おれが? ・・・・あっ
- 10 :
- http://sakka.org/training/?mode=view&novno=10369
よろしくお願いします。
- 11 :
- >>10ですが、リンク先でのアドバイスを頂いて、冒頭のみ、人物描写に力を入れて書きなおしてみました。
これも併せて、ワイ先生、見てやってください。
いつも通勤で使う駅へとつながる橋。
その下には、都会特有の、濁りきった粘液を想像させる腐臭の漂う大きな川が流れている。その川までの高さはずいぶんと高い。橋から飛び降りれば、死ぬだろう。いや、死ぬのだ。
その川に向かって、先日、飛び降りた会社員がいる。私と話したこともない、しかし同僚であった。
水を浴びたかのように、短い髪を頭に張りつけた、薄毛が特徴的な鬱々とした男だった。痩せて浮き出た頬に小さな目と鼻、口がお粗末についている顔をいつも下にばかり向けており、くたびれたスーツに身を包んだ彼の立ち姿はまるで枯れ木のようだった。
そんな同僚を、私は関係がない人間とも思った。だが、親近感を覚えたのは確かだ。
何故なら、もし死ぬのならば場所はここにしよう、と私は橋の中央で歩を止め、流れの見えぬ巨大な川を眺め、たびたびそう思っていたからだ。
- 12 :
- >>9
>タント、黒の。
(具体名は出さない方がよい!)
>は? 事故? 対向車? タントぐしゃぐしゃ? 即死? おれが? ・・・・あっ
(事故死した幽霊が友人と思われる家を訪れて語っていた!
相手を幽霊と知りながら長い話を黙って聞いていたのか! 友人の様子を少しは語らせた方がよい!)
内容に対して書き急ぎ過ぎた感はあるがショートショートとしての出来は悪くなかった67点!(`・ω・´)
- 13 :
- >>10
>その川までの高さはずいぶんと高い。
(見栄えの問題で『ずいぶんとある』としてもよい!)
過去に川に飛び込んだ二人の手紙の内容を主人公はどのような手段で知ったのか!
>いつも通勤で使う駅へとつながる橋。
(主人公の最寄りの駅の途中に橋があるように思える!
そこから同僚二人が飛び降りた! 飛び降りを予感させる宮内を含めれば三人!
偶然にしても多いように感じる! 会社へ向かう途上に橋があれば、それほど気にはならなかったと思う!)
橋から飛び降りると望んだものが手に入る!
手紙の内容を信じると最初に飛び降りた近藤の顛末に引っ掛かる!
近藤は飛び降りで亡くなった! 悩みがなければ自ら命を絶つことはない!
従って手紙の設定が崩れているように見えた!
文章は悪くないが所々に設定の甘さが見て取れた68点!(`・ω・´)
- 14 :
- >>11
話をしたこともない人物の詳しい描写には違和感がある!
話をしたことはないが前々から気になっていた等の理由を挙げた方がよい!(`・ω・´)
- 15 :
- >>13
手紙の内容は個々で変わるという設定を読み落としていた!
ただし内容を知った過程は不明! 納得のいく説明は文中に書かれていなかった!
それらを踏まえて69点とする!(`・ω・´)
- 16 :
- >>12
ありがとうございます。
>具体名は出さない方がよい!
例えば高級スポーツカーとするよりRーリ、携帯音楽プレイヤーとするよりiPod、
タバコとするよりマルボロ、ライターとするよりジッポなどとしたほうが、
主人公の背景や性格も見えて来やすいと思うのですがどうでしょう
- 17 :
- >>16
高級スポーツカーで物足りないのであれば、Rーリの特徴を捉えた描写で補えばよい!
タバコも同様にマルボロとわかる表現で書けばよい! ライターをジッポにしたい場合も同様に!
主人公の背景や性格を小道具で表現することは悪くない! 具体名を出さないと表現できないと云うのは甘え、と考えた方がよい!
具体名を避ける理由は『名誉棄損』の部分が大きい!
今回の内容では、タントは事故車として扱われていた! 車のメーカーからすれば嬉しい表現の仕方ではない!
要するに面倒を自ら抱え込むようなことはしない! これに尽きる!(`・ω・´)
- 18 :
- そんなこといったらドラマで悪役の乗るクルマなんかどうすんのってかんじ
日本の小説は大藪春彦以前以後で大きく変わった
ttp://www.kanshin.com/keyword/357477
- 19 :
- >>17
>要するに面倒を自ら抱え込むようなことはしない
なるほど。
もし、文章で食えるようになったら気をつけたいと思います。
- 20 :
- >>18
大藪はちょっと古すぎないか?
でも武器や兵器はディティールが命だから現代アクションなら商品名は必須だよな
ベレッタとコルトの違いを文章でって言われてもなあw
- 21 :
- ゴルゴやルパンは商品である武器を全面に出している!
武器は扱う者の腕もある! 的を外したからと云って即、名誉棄損にはならないと思う!
また史実通りであれば、それが性能の優劣に関わることであっても許されるのではないだろうか!
それらを無視して独断で、○○○は○○社製の△△に劣っていて、いずれは武器の性能の差を世間が知るところになるだろう、
等のような内容は書かない方がよい! 名誉棄損で訴えられる可能性を完全には否定できない!
作品の内容にもよる!(`・ω・´)
- 22 :
- どうせ店員にでも揃えてもらったんでしょ。
片手を軽く上げて近づいてくるその男を一目見ると、BEAMSで揃えたいかにもという着こなしの拙さに、洋子は小さく舌打ちした。
↑例えばこんな文章はどうでしょう。
男は金はあるが、センスがないという設定です。
映画や音楽やファッションといった風俗を描こうとしたら、ショップ名はわりと重要になってくると思いますが。
- 23 :
- よろしくお願いします。
http://www5.pf-x.net/~wannabees/cgi-bin/upload/src/si3228.txt
- 24 :
- >>22
習作で危険を冒すのは割に合わない
実際はその程度、危険ということもないだろうけれども、ちょっとした不安の種にはなりかねないからな。損
固有名詞をそのまま使う癖が付いてしまうのもよくないし
それよりも、その固有名詞を使って出したい感じを、それを使わずに出す練習をしたほうが、得
どうしてもその固有名詞を書きたいと思ったときが、向上のチャンスというわけ
- 25 :
- つまるところ、応募作で固有名詞がある場合、
問題が発生するのを恐れて下読みの段階で落とされるって理解でいいのかな
ま、飛び抜けて才能を感じさせる場合は別だろうけどw
- 26 :
- しかし昨日の子ども襲撃事件のマツダは気の毒だったな
- 27 :
- 事件以来ひやといさんの書き込みがなくなったな
- 28 :
- で、7月3日ワイ杯のお題発表でオケ?
- 29 :
- オバケ
- 30 :
- ねむひー
- 31 :
- なんクリっていう偉大な先輩がいるからなあ
固有名詞は上手く使わないと二番煎じに
- 32 :
- とはいえ「全身ユニクロ」と書けばある程度イメージが浮かぶところは捨てがたいなあ
リアリティに格段の差が出るんだよな
固有名詞を出すと
- 33 :
- 今だけしか見てないからだろ。才能のある奴は100年先を直観的に感じとっているからな。
固有名詞や流行語は、未来の人間のお笑いぐさになる危険性がある。
- 34 :
- 星新一は意識して固有名詞を使わない。どの時代どの国でも読める普遍性を追求してるから。
一方で、同時代性、現実味、迫真さといった要素は確実に失ってる。
- 35 :
- べつに100年読んでもらいたいとか思ってないよ
文章で飯が食いたいだけだw
- 36 :
- >>23
>出来たばかりの新日本橋ののキラキラ輝く蘭干が〜
(打ちミス!)
>「三越だー!!???!!いやっほうー!!!」
(文字化けを疑った一文!)
>「楓はんん親友とあっては、これくらいんプレゼントはな」
(打ちミスなのか!)
>「ええんや。おお連れん頼みどすから」
(打ちミスなのか!)
>オレンジのように甘く、サイダーのように爽やかな、夏の奇跡だった。
(忠晴の引率であれば、いくらでも起こせる奇跡と云える!
奇跡を別の言葉に置き換えた方がいいかもしれない!)
口語体の砕けた表現が凡ミスのように見える回であった68点!(`・ω・´)
- 37 :
- >>22
貶める内容で具体名は出さない方がよい!
>>32
安価の服がウリのユニロクはニーズに合わせて高級な品も扱い始めた。
このように実在の名前に似せた表現ならば問題ない!
- 38 :
- >>36
ご評価ありがとうございます。
凡ミスが多いですね。
お恥ずかしい。
でも、「ん」が連続しているのは、京都弁のせいです。
別にこれは打ちミスではないのです。
でも、割合高評価でよかったです。
ありがとうございました。
- 39 :
- 似せた名前なら問題ないとはいうけど、「面白い恋人」が「白い恋人」とまぎらわしいって
訴訟起こされてんだぜー
- 40 :
- >>39
字面だけではなく、パッケージまで似ていた!
正露丸でも似たようなことがあった!
習作の現段階では会社の利益を侵害する事態になっていない!
固有名詞の多用は危険を伴う!
描写の向上にも繋がらない!
人によっては手抜きに見える!
自身の力で描写に励んだ方がよい!(`・ω・´)ノシ
- 41 :
- >>ワイ様
なんとなく文体で見抜いてしまっていると思うのですが、
私は春先から、学童疎開の少年たちとオルガン弾きの話。
骨董屋にくる三人の客の話。
これを書いた人間です。
当時(春先)からご覧になって、
一応進歩はしてますでしょうか?
- 42 :
- >>41
最初の頃から地の文は読める! 読み辛いと思うことは少ない!
書き急ぐと誤脱が多くなる! 推敲不足なのかもしれない!
感想の領域になるが、物語の展開がパターン化しているように思った!
不遇の主人公が突然の出来事で幸せを掴む!
作者の好みが内容に反映されているのかもしれない!
無理のない展開で物語を終わること!
あまりに内容が凡庸だと読み進めるのが辛くなる!
奇を衒うと辻褄が合わない話に成りかねない!
今の目標としては適当だと思う!
文章よりも話の内容に心を砕いた方がよい!(`・ω・´)作品の出来が安定していない状態で進歩の判断は難しい!
- 43 :
- >>42
レス感謝です。
地の文は読めますか。良かったです。
推敲は大切ですね。
そのパターンは確かに定着していますね。
自家撞着かもしれません。
新人なので、常に新しい作品&プロットで行きたいと思います。
とても参考になりました。
ありがとうございました!!
- 44 :
- やるか!(`・ω・´)
- 45 :
- きたか。
- 46 :
- ヘイ、待ってたぜ
- 47 :
- 燃えてきた
- 48 :
- 既に参戦の構えにござる
- 49 :
- はやくこい!
- 50 :
- 第二十二回ワイスレ杯のルール!
名無しの書き込みを必須とする!(名乗った場合は通常の評価に移行する!)
設定を活かした内容で一レスに収める!(目安は千文字程度、三十二行前後!) 一人による複数投稿も可!
通常の評価と区別する為に名前欄、もしくは本文に『第二十二回ワイスレ杯参加作品』と明記する!
ワイが参加作品と書き込む前に作者が作品を修正する行為は認める!
今回の設定!
付き合い始めた二人が初めてのデートに出掛ける! 彼女は行き先を知らされていない!
彼氏が全ての計画を立てていた! 当日、待ち合わせ場所で二人は落ち合う!
彼氏はどこに彼女を連れていくのか! 二人はどのような結末を迎えるのか!
応募期間!
今から土曜日の日付が変わるまで! 上位の発表は投稿数に合わせて考える!
締め切った当日の夕方に全作の寸評をスレッドにて公開! 同日の午後八時頃に順位の発表を行う!
夏らしい話に集中するのか!(`・ω・´)
- 51 :
- 今までで一番緩い設定なんじゃないの?
- 52 :
- 評価よろ
http://blog.crooz.jp/11280919/ShowArticle?no=16
- 53 :
- 色弱のひと?
- 54 :
- >>52
ブログのコメント欄なのか!
誹謗中傷の類いを書かれたことについての所感が述べられていた!
ニックネームだけで人物の説明がなかった! 頭で想像することも出来ない!
特定の人物に向けた内容なので物語性は皆無と云える!
評価できる点が見つからなかった!(`・ω・´)
- 55 :
- 52さんはブログの本人さんじゃないみたいね
さて一番乗りは何系かな。自由度高いから予想がつかない
- 56 :
- 今回はアイディアVS王道というところか
- 57 :
- あなたをはじめてみた日、燦々と光のシャワーが降りそそいでいました
いかつくってたくましいコンニャク芋のあなたの男らしさに、ただでさえ赤い人参の私は、
身体中が恋の炎で燃え立ちました
私なんかが、あなたを想うこと事態が不遜きわまりないでしょう
はじめて約束したデートに、私はせいいっぱいのお化粧と
せめて白い貝の欠片を身に纏い、天にものぼる一生一度の大瀬になぜでも心はときめき
白玉のしずくが眼からほとばしりました
待ち合わせた畦のほとりで私はあなたに眼をつぶらされました
あれは夢幻でしたか、素敵なダイニングテーブルにお刺身コンニャクが
盛られて、その上にカルパッチョ風に私がドレスアップされて掛けられていました
あれは私たちの夢の結婚式ですよね。きっとそうですよね。
人参と生まれたからにはせめて美味しくありたく、それを今生の命尽くして願い参らせ
それでもあなたのお役に立てたらと思う無礼を御許しくださいませ
- 58 :
- 第二十二回ワイスレ杯参加作品
>>57
早々に一作!(`・ω・´)
- 59 :
- 白いサンダルの爪先に、太陽の光が落ちている。彼女は空色の日傘を傾けて足先に陰をつくった。
店名だけ描かれた大きな硝子窓の向こうに、濃い緑の葉と、ランプシェードの茶色がかったオレンジ色が見える。平日の午後でも、店内は混み合っているようだった。
甘い香りに包まれた彼女は、楽しげに笑いながら近付いてきた女性三人連れに道を譲った。その白い額を、吹き出した汗が一筋流れた。
交差点で信号待ちをする車の列に、シルバーの車を発見した彼女は小走りに歩き出す。
三台駐車できる店の駐車場には、赤い車が一台、止まっていた。その前に車を止め、彼が顔だけ覗かせた。
「早く乗って」
日傘を畳み、急いで乗り込んだ彼女は、シートベルトを締めながら、隣を見て絶句する。夏だと言うのに、初デートだというのに、彼は黒いスーツに黒いネクタイ姿だった。
葬儀の参列者みたいな格好に相応しい沈鬱な彼の横顔を見上げ、彼女は負けず劣らず沈鬱な顔で
「どこに行くの?」と訊いた。彼は彼女を見ようともせず、無言のまま車をスタートさせる。
街を出て海岸通を走っていく。その間も彼は無言で、彼女も黙ったままだった。
やがて、案内表示板を見つけた彼女は、小さく悲鳴をあげた。
「やっと分かった?」
相変わらず前を向いたままで、彼が呟いた。
「君がアイツを殺した場所だよ」
彼女は俯き、桜色のマニキュアの爪を弄った。
「殺してない」
「殺した。死ぬ理由なんて無かった」
「私、振られたの」
「だから殺したんだろ?」
再び、沈黙が車内を支配した。
車が止まったのは、海辺公園の駐車場だった。彼女は、大きな瞳に涙を浮かべた。
「調べたんだ。死んだのはアイツだけじゃない。君と付き合ったヤツは、良くて事故って病院送りだ」
「私、男運、悪いの」
「で、殺したんだ?」
彼女は涙を拭った。海辺公園の駐車場に、赤い車が一台、静かに入ってきて止まった。
「帰る」
彼女は車を降りた。彼も車を降り、叫んだ。
「認めろよ! 殺したって」
彼女は空色の日傘を開き、早足で歩く。後を追いながら、彼は何度も叫んだが、彼女の耳は(或いは心は)彼の存在を拒否していた。
だから赤い車が走り出し、彼を跳ね飛ばしても振り返らなかった。
赤い車は彼女を追い越すと止まった。彼女は呟いた。
「男運が悪いの」
- 60 :
- 第二十二回ワイスレ杯参加作品
>>57
>>59
快調に二作目!(`・ω・´)
- 61 :
- 「メア、出かけるぞ!いいかげん、こんな所で寝てたらいかん!」
暗いお部屋でいつまでもウトウトしているあたしを見かねたのか、パパが急にそんな事を言いだした。
「出かけるって、どこに?」
目を擦りながら不機嫌にそう訊くあたしに、
「遊園地さ!お前が小さい頃、よく一緒に行ったじゃないか」
上機嫌でパパが答える。パパと遊園地?いやよ今さら。そう言いたかったが、何かが心に引っかかる。あたしは渋々パパと出かける。
遊園地は家を出てすぐの場所にあった。こんな所に何時の間に?でも……
メリーゴーラウンド、スプラッシュコースター、お化けの飛び出す3Dライド……乗ってみると、何だかテンションが上がってくる。
遊園地でこんな気分、小さい頃に浦安ネズミーランドに連れて行かれた時以来だ。
「やー楽しいな。お前とこんな所に来るなんて何年ぶりかな?」
青空の下のカフェテラスで、パパがサンドイッチを頬張りながら笑う。私もクレープを食べながら頷く。
パパに何か言いたい事があった気がするけど、今はどうでもよくなってきた。やがて、二人で園内を駆け回ってる内に日が暮れて、
遊園地の大通りを行進する虹色のパレード、赤や青の光彩に煌く、お城や馬車たち。
「さてとメア、お前はそろそろ帰らないと」
ふと、名残惜しげにパパが呟く。お前は?聞き返すあたし。その時だ。
「帰る場所なんてないぞ!」
地鳴りのような恐ろしい声が遊園地に轟く。突然、お城や馬車たちが真っ赤な炎を噴き上げた。瞬く間に炎が辺りを舐める。真っ黒に燃え尽きていくお客さん達。
「いや!」
顔を背けるあたしを、
「メア!見ちゃいかん!」
パパが自分の胸に抱き寄せる。ごおお。あたしを抱いたパパの体が、風になった。
うそ?あたしは混乱する。風に巻き上げられたあたしの体が、宙に浮いて、そのまま満天の星空に吸い込まれていく。
「メア、久しぶりにお前に会えて嬉しかったよ。だがまだ、その時じゃない。さあ、自分の世界にお帰り!」
風になったパパがあたしの耳元で寂しげ。
「パパ!」
パパを呼ぶあたしの目から、涙が一粒。
#
「心肺機能回復!意識を取り戻したぞ!奇跡だ!あれだけ長い間煙にまかれていたのに……」
お医者さんらしい人があたしを見下ろしてそう叫ぶ。あたしは知ってる。奇跡じゃないのだ。
- 62 :
- 第二十二回ワイスレ杯参加作品
>>57
>>59
>>61
スタートダッシュは上々!(`・ω・´)
- 63 :
- ワイ杯きたか!
- 64 :
- 第二十二回ワイスレ杯のルール!
名無しの書き込みを必須とする!(名乗った場合は通常の評価に移行する!)
設定を活かした内容で一レスに収める!(目安は千文字程度、三十二行前後!) 一人による複数投稿も可!
通常の評価と区別する為に名前欄、もしくは本文に『第二十二回ワイスレ杯参加作品』と明記する!
ワイが参加作品と書き込む前に作者が作品を修正する行為は認める!
今回の設定!
付き合い始めた二人が初めてのデートに出掛ける! 彼女は行き先を知らされていない!
彼氏が全ての計画を立てていた! 当日、待ち合わせ場所で二人は落ち合う!
彼氏はどこに彼女を連れていくのか! 二人はどのような結末を迎えるのか!
応募期間!
今から土曜日の日付が変わるまで! 上位の発表は投稿数に合わせて考える!
締め切った当日の夕方に全作の寸評をスレッドにて公開! 同日の午後八時頃に順位の発表を行う!
今回の設定!(`・ω・´)
- 65 :
- 「一晩だけ出現して翌朝には消える、お菓子の城があるらしい
んだ。内装全部が、食べられるんだって。僕もまだ行ったこと
ないんだけど、初めてはぜひ君と一緒に、って」
憧れの健太に誘われて、景子は有頂天だった。噂が本当か、
そんなこと、景子にはどうでもよかった。健太とならどこだって、
地の果てだっていい、そうおもっていた。
噂は本当だった! 人気のない原っぱには不似合いな、パス
テルカラーの素敵なお城がそこにはあった。開け放たれた扉から
中に入ると、すでに二、三十人の先客がいた。ある者はテーブルの
上に這い、ある者は柱にしがみつき、我を忘れ、垂れる涎にも構う
ことなく、それらにむしゃぶりついている。この光景に一瞬驚いたものの、
たちまち充満する甘く強烈な薫りに陶然となった二人もまた、
そこに加わった。すべてがおそろしく美味しい! 気が遠く
なりそうだ! やがて、ぐらりとお城が傾ぐ。しかし、
食べることに夢中で、気がつく者はない。……
「パパ、とれてる?」茶色く光沢のある巨大な甲虫が二匹、
触角を寄せ合っている。「ふむ、まあまあかな。見るかい?」
「いやああ! ちょろちょろ毛が生えてて気持ち悪いもの。
はやく捨てちゃって!」ママが魅力的に羽根を開け閉めする。
「そうだな、害生物だしな」パパは逞しくぎざぎざしたご自慢の
腕を振りかぶると、摘んでいた〈人間ホイホイ〉を傍らの沼へと
放り投げた。それはずぶずぶと沈んで、たちまちあとかたもなくなった。
「パパ、ちゃんと手を洗ってね」優しいママの声に、パパは満足げに触角を揺らした。
- 66 :
- 「一晩だけ出現して翌朝には消える、お菓子の城があるらしい
んだ。内装全部が、食べられるんだって。僕もまだ行ったこと
ないんだけど、初めてはぜひ君と一緒に、って」
憧れの健太に誘われて、景子は有頂天だった。噂が本当か、
そんなこと、景子にはどうでもよかった。田舎道をピクニック
するだけだっていいじゃない。ううん健太とならどこだって、
地の果てだっていいわ、そうおもっていた。
噂は本当だった! 人気のない原っぱには不似合いな、パス
テルカラーの素敵なお城がそこにはあった。開け放たれた扉から
中に入ると、すでに二、三十人の先客がいた。ある者はテーブルの
上に這い、ある者は柱にしがみつき、我を忘れ、垂れる涎にも構う
ことなく、それらにむしゃぶりついている。この光景に一瞬驚いたものの、
たちまち充満する甘く強烈な薫りに陶然となった二人もまた、
そこに加わった。すべてがおそろしく美味しい! 気が遠く
なりそうだ! やがて、ぐらりとお城が傾ぐ。しかし、
食べることに夢中で、気がつく者はない。……
「パパ、とれてる?」茶色く光沢のある巨大な甲虫が二匹、
触角を寄せ合っている。「ふむ、まあまあかな。見るかい?」
「いやああ! ちょろちょろ毛が生えてて気持ち悪いもの。
はやく捨てちゃって!」ママが魅力的に羽根を開け閉めする。
「そうだな、害生物だしな」パパは逞しくぎざぎざしたご自慢の
腕を振りかぶると、摘んでいた〈人間ホイホイ〉を傍らの沼へと
放り投げた。それはずぶずぶと沈んで、たちまちあとかたもなくなった。
「パパ、ちゃんと手を洗ってね」優しいママの声に、パパは満足げに触角を揺らした。
- 67 :
- すみません。
>>65は>>66に訂正でお願いします。
- 68 :
- 第二十二回ワイスレ杯参加作品
>>57
>>59
>>61
>>66
水溜りで素っ転んだ!(`;ω;´)
- 69 :
- 「こ……ここで、お昼ご飯ですって……!」
暗い路地裏のラーメン屋の店先に立ち尽くして、エナは唖然とした顔でコータに言った。
高校二年の夏休みも残り一週間を切った土曜日のこと。
クラスメートのコータから突然「会いたい」という電話を受けて、ドギマギしながら近所の公園にやって来たエナ。
だが、待っていたコータの開口一番は「エナ様!宿題見せてください!」だった。
「……!」
エナは心に咲いた小さな花が、しおしおと萎れていく音を聞いた。
それでもまあ幼馴染みのよしみ。いけない事とはわかっていても、他ならぬこいつの為ならばと、家に帰って宿題一式を貸してやると……
「すまない!助かった!メシでもおごらせてくれ!」
頭を下げてそう言うコータにノコノコついて行った果が、このざまだ。
「この店は麺大盛り、野菜特盛りまで無料で、脂の量、味の濃さも自由に選べる……だがな、ひとたび大盛りを頼んだら絶対に残すことは許されない厳しい店なんだぞ!」
コータが得意げにウンチクをたれる。
ギリリ!エナの歯ぎしり。お礼と言うからついて来てみれば、こんなデリカシーの欠片も無い殺伐としたラーメン屋。
それに……エナは心中で呟く。あたしを一体誰だと思っているのだ?
「ま、初心者のお前は麺半分野菜少なめがお勧めだけどな!」
コータがナメきった様子でエナの肩を叩いた。
だがコータとて、ラーメンマニアの間では知らぬ者のない爆食系ラーメンブロガー『マンモスちゃん』の正体がエナだと知っていたならば、そんな暴言は慎んでいただろう。
しかし全ては手遅れだった。ぎらん。彼女の眼が怒りで光った。
「マスター!大豚ダブルメンマシマシマシアブラマシマシカラメニンニクマッターホルンでダブル!」
エナが、嗜虐に口の端を歪めながら厨房の店主にそう唱えた。
「ちょまっ!」
コータの顔が恐怖に竦んだ。
「へいおまち!」
程なくしてカウンターに到着した二杯のラーメン。洗面器の様な丼にモッコリ盛られた高さ数十センチに及ぶ麺塊を前にして、コータの顔から見る見る血の気が引いていった。
#
翌日、エナのブログに晒されていたのは、数kgのラーメンを瞬く間に完食して笑顔のエナと、マッターホルンの三合目で力尽きてカウンターに突っ伏したコータの惨めな姿だった。
- 70 :
- ねえ、大ちゃん、あたし、デートに誘われちゃった。どうしたらいいと思う?
水溜まりですっ転んだ! 何やってんのあたし。せっかくの初デートなのに。たぶんパンツまで見られた。
「おまえ、相変わらずだなあ」
「なにそれ。いいから、ちょっと手、貸して」
大ちゃんが伸ばしてくれた手につかまって、立ち上がる。いつの間にか、ずいぶん大きな手になってた。
「おまえ、おれたちが走り出すと必ず転んでたもんな」
「みんな、あたしを置いてズンズン行っちゃうからでしょ。待ってって言ってるのに」
「だって、遅いんだもん。しょうがないよ」
ミソっかすには理由があるんだってことを晴れ晴れと言ってくれるじゃない、大輔くん。
「ねえ、普通、デートって映画とかお茶とかじゃないの?」
「見せたいものがあるんだよ。ほら、懐かしいだろ、このあたり」
「原っぱだったのにね。いっぱい家が建っちゃったね。でも、やっぱ見晴らしいいわ、ここ」
「ここから、学校が見えるんだよ」
「ああ、うちの高校ね。あたしも教室からぼけっとこっちの方見てることあるよ」
「知ってる」
えっ。
「おれさ、学校行けなくなってから、いつもここに来て、おまえのこと見てたんだ」
やばっ、顔赤くなる。
「おまえがさ、授業受けたり、笑ったり、弁当食ったり、居眠りしたり、そういうの見てたんだ」
「なんで、そんなこと急に」
「言っときたくてさ」
「大ちゃん、どうして学校に来ないの? いじめ?」
「そういうんじゃないんだ。おれ、みんなのようには大人に成れなかったみたいなんだ」
翌日、大ちゃんは首を吊った。遺書もなくて、どうしてなのか、誰もわからなかった。
あたしはそれから、転ぶことも、泣くことも、笑うこともできなくなった。それでも、大人には成った。
ねえ、大ちゃん、あたし、デートに誘われちゃった。人生二度目のデートだよ。
勤め先の同僚なんだけど、手が大きくてさ。いいやつなんだ。
あれからずいぶんいろいろ考えたんだよ。どうしてだったんだろうって。
でもね、大ちゃんだって理由なんかわかんなかったんだと思う。だって、わかってたら言ってくれてたよね。
あたし、あいつとデートに行こうと思う。そして、たぶん、お母さんになるんだ。
- 71 :
- 第二十二回ワイスレ杯参加作品
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>>70
只今、六作品!(`・ω・´)
- 72 :
- 計画はバッチリだ。
俺はプランを反芻する。
まず、噴水広場で待ち合わせ。美紀ちゃんの電車は10時40分に着くから、俺は25分着のバスに乗る。
美紀ちゃんイチオシのお店で新作ライチ&マンゴー飲んでから、本番の映画。きっと『高柳くん、何観る?』ってなるから、美紀ちゃんイチオシのシリーズ第三作目の前売り券、人気キャラの「特典グッズ」付を厳かに捧げる。
見よ、計画は完璧だ!
それなのに、梅雨なんて嫌いだ! バスは遅れ、駅前到着は38分!
俺は走った。メロスのように。
水溜まりを踏んで、靴下までぐっしょり濡れたけど、広場の時計は40分。
「高柳くーん」
オレンジの傘の下で、ぱっつん前髪にツインテールが跳ねている。ピンクのワンピの美少女が美紀ちゃんだ。世界中の皆さーん、このめっちゃ可愛い女の子が、俺の彼女です!
だけど。幸せな気分はあっという間に消し飛んでいた。
アーケード街を並んで歩く俺と美紀ちゃん。彼女の動きに合わせて、肩掛け鞄に下げられた「特典グッズ」が揺れている。勿論、俺からのものじゃない。
閉じた傘からポタポタと落ちる水滴は、俺の心が流す涙だ。
そうだよ。大好きな映画だし。前売り、買うに決まってるし。もしかしたら、既に観てるかも。ああ、なんてマヌケで哀れな俺。しかも「ライチ&マンゴー? ヘンなの」だって。
「高柳くん、次は次は?」
「映画かな?」
「何を観るの?」
意気地なしな俺は「決めて良いよ」と答えた。美紀ちゃん、ちょっと不満げに、そして、つまらなさそうに、ふぅんって鼻を鳴らす。俺は完全に息絶えた。さらば友よ、墓標には「美紀ちゃんをこよなく愛した男」と刻んでくれ。
美紀ちゃんが選んだのは、彼女イチオシのシリーズ第三作目。
俺は勇気を振り絞り、少しふやけた前売り券を取り出す。
神よ、奇跡か? 美紀ちゃんスマイルが輝いた。
晴レルヤ!
気を良くした俺は特典グッズを渡す。肩掛け鞄のグッズと並べ、美紀ちゃんは
「二つになっちゃった」
「二つだね」
「前売りも余っちゃった」
「また観ればいいよ」
美紀ちゃんは真っ赤になった。
俺も、真っ赤になった。
雨のち晴れ。
- 73 :
- 第二十二回ワイスレ杯参加作品
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>>72
只今、七作品!(`・ω・´)
- 74 :
- 俺は、ミニッツ大佐。
ここ東の果ての国ジパングで、正しい文法を守っている国語Gメン、チームサムライのリーダーだ。
俺達は、女子高生のら抜き言葉も、「すべから」の誤用も許さない。
今日もこうして、パトロールをかかさない。
工藤:隊長!2ちゃんねるに新たな文学賞が!
隊長:何、ワイスレ杯だと?
ここの日本語は乱れとるなあ!よし、我らが美しい日本語の手本を見せてやろう。
工藤:まず、デートの約束だそうです!
何?そんなもの、としまえんに決まっている!
工藤:隊長!新手のウイルスです!「か」がつ○えません
くっ、本当だな。
○まわん、次の条件は?
工藤:行き先を考えないと、
そんなもの、決まっている。結末は、
ガー、ピー、何?今度は機械の故障か!
ザーー、
やはりあなたは投稿しすぎです。
バイバイ猿さん!
完
- 75 :
- >>74
かなり微妙!
設定のくだりはあるが、物語として成立していない!
かなり微妙!(`・ω・´)
- 76 :
- お洒落しようにも、ドレスのひとつもなく、あっても非国民で街中をそんな恰好で歩けるはずがない。
舞鶴港の夕日は空の色を海に落として、私の心の水平線の果てまで真っ赤に染め上げていく。
あなたの軍服姿は黄金の鎧をまとったように光輝いて、どうでも魅せられて、私はあれも言おう、
これも言おう、用意していった言の葉が頭から抜け落ちてしまって、何も言えずにただ呆けのように
見惚れているばかりだったの。
「ねえ、俺に今日の行く先を任せてくれる」
ただ黙って私はあなたについていくだけ。言えばよかったのよ、後々どんなにか後悔した。
私を抱いて下さい、私のすべてを奪って下さい、そうなのだけど、まだ記憶の扉の此処でもそれが
どうしても言えないの。だってあなたはあまりにも光輝いていた。
蛍だった、馴れしたしんだ田んぼの小川から今しも蛍が飛び交っている。差し出してくれる手に
ようやっと私は差し出せた。あなたの神様みたいに神々しいあなたの笑顔は私一人にむけられているの、
あなたの手のぬくもりが身体中に、心の底の底まで伝わってくるの。忘れないわ。すっかり皺だらけに
なってしまった私の手の平に今も感じるの。
帰って来て下さい、きっとまた私を此処に連れて来てくださいの、ひと言だって言えなかった。
何かほんとうに言えばよかった。ただ夫婦蛍がもつれ合うように、夕闇迫るとばりで宝石のように
かがやいているのを見入られたようにふたりで見つめ合った。それだけだった。
「安原さん、聞いているのですか。安原さん」
今、養老院に入っている。おかしいのよ。私ったら、みすぼらしく、髪も抜け落ちて、
どこからどこまでヒキガエルさながらに醜いの。昨日のあなたとのデートでは幾ら何でも
もっと可愛く、美しかったはずだわ。そうよ、あれは昨日の事だわ、絶対そうなの。
今日も待ち合わせの場所にいくの。あなたはきっとまた蛍を見につれていってくれるの。
今度こそ言うわ。私を抱いて、それで私を連れて行ってくださいって頼むの。
あなたが行こうとする先に私もお供しますと、心いっぱいで叫ぶの。
「待っているから、約束だよ」
行くわ、きっと私は乙女に戻っているわ。今は悪い夢を見ているだけなの、
長いおかしな夢から明日こそ目覚めるの……
- 77 :
- お洒落しようにも、ドレスのひとつもなく、あっても非国民で街中をそんな恰好で歩けるはずがない。
舞鶴港の夕日は空の色を海に落として、私の心の水平線の果てまで真っ赤に染め上げていく。
あなたの軍服姿は黄金の鎧をまとったように光輝いて、どうでも魅せられて、私はあれも言おう、
これも言おう、用意していった言の葉が頭から抜け落ちてしまって、何も言えずにただ呆けのように
見惚れているばかりだったの。
「ねえ、俺に今日の行く先を任せてくれる」
ただ黙って私はあなたについていくだけ。言えばよかったのよ、後々どんなにか後悔した。
私を抱いて下さい、私のすべてを奪って下さい、そうなのだけど、まだ記憶の扉の此処でもそれが
どうしても言えないの。だってあなたはあまりにも光輝いていた。
蛍だった、馴れしたしんだ田んぼの小川から今しも蛍が飛び交っている。差し出してくれる手に
ようやっと私は差し出せた。あなたの神様みたいに神々しいあなたの笑顔は私一人にむけられているの、
あなたの手のぬくもりが身体中に、心の底の底まで伝わってくるの。忘れないわ。すっかり皺だらけに
なってしまった私の手の平に今も感じるの。
帰って来て下さい、きっとまた私を此処に連れて来てくださいの、ひと言だって言えなかった。
何かほんとうに言えばよかった。ただ夫婦蛍がもつれ合うように、夕闇迫るとばりで宝石のように
かがやいているのを見入られたようにふたりで見つめ合った。それだけだった。
「安原さん、聞いているのですか。安原さん」
今、養老院に入っている。おかしいのよ。私ったら、みすぼらしく、髪も抜け落ちて、
どこからどこまでヒキガエルさながらに醜いの。昨日のあなたとのデートでは幾ら何でも
もっと可愛く、美しかったはずだわ。そうよ、あれは昨日の事だわ、絶対そうなの。
今日も待ち合わせの場所にいくの。あなたはきっとまた蛍を見につれていってくれるの。
今度こそ言うわ。私を抱いて、それで私を連れて行ってくださいって頼むの。
あなたが行こうとする先に私もお供しますと、心いっぱいで叫ぶの。
「待っているから、約束だよ」
行くわ、きっと私は乙女に戻っているわ。今は悪い夢を見ているだけなの、
長いおかしな夢から今こそ目覚めるの……
- 78 :
- お洒落しようにも、ドレスのひとつもなく、あっても非国民で街中をそんな恰好で歩けるはずがない。
舞鶴港の夕日は空の色を海に落として、私の心の水平線の果てまで真っ赤に染め上げていく。
あなたの軍服姿は黄金の鎧をまとったように光輝いて、どうでも魅せられて、私はあれも言おう、
これも言おう、用意していった言の葉が頭から抜け落ちてしまって、何も言えずにただ呆けのように
見惚れているばかりだったの。
「ねえ、俺に今日の行く先を任せてくれる」
ただ黙って私はあなたについていくだけ。言えばよかったのよ、後々どんなにか後悔した。
私を抱いて下さい、私のすべてを奪って下さい、そうなのだけど、まだ記憶の扉の此処でもそれが
どうしても言えないの。だってあなたはあまりにも光輝いていた。
蛍だった、馴れしたしんだ田んぼの小川から今しも蛍が飛び交っている。差し出してくれる手に
ようやっと私は差し出せた。あなたの神様みたいに神々しいあなたの笑顔は私一人にむけられているの、
あなたの手のぬくもりが身体中に、心の底の底まで伝わってくるの。忘れないわ。すっかり皺だらけに
なってしまった私の手の平に今も感じるの。
帰って来て下さい、きっとまた私を此処に連れて来てくださいの、ひと言だって言えなかった。
何かほんとうに言えばよかった。ただ夫婦蛍がもつれ合うように、夕闇迫るとばりで宝石のように
かがやいているのを見入られたようにふたりで見つめ合った。それだけだった。
「安原さん、聞いているのですか。安原さん」
今、養老院に入っている。おかしいのよ。私ったら、みすぼらしく、髪も抜け落ちて、
どこからどこまでヒキガエルさながらに醜いの。昨日のあなたとのデートでは幾ら何でも
もっと可愛く、美しかったはずだわ。そうよ、あれは昨日の事だわ、絶対そうなの。
今日も待ち合わせの場所にいくの。あなたはきっとまた蛍を見につれていってくれるの。
今度こそ言うわ。私を抱いて、それで私を連れて行ってくださいって頼むの。
あなたが行こうとする先に私もお供しますと、心いっぱいで叫ぶの。
「待っているから、約束だよ」
行くわ、きっと私は乙女に戻っているわ。ちょっと悪い夢を見ているだけなの、
長いおかしな夢から今こそ目覚めるの……
- 79 :
- 何度もすいませんでした。78でお願いします
- 80 :
- 第二十二回ワイスレ杯参加作品
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>>69
>>70
>>72
>>78
只今、八作品!(`・ω・´)
- 81 :
- >>74は設定を活かせていないので通常評価に移る!
>工藤:隊長!2ちゃんねるに新たな文学賞が!
>隊長:何、ワイスレ杯だと?
(文学賞の言葉だけでワイスレ杯とわかるのか!
説明の過程を省略しているとしても引っ掛かった!)
>そんなもの、決まっている。結末は、
>ガー、ピー、何?今度は機械の故障か!
>ザーー、
(今までの会話は通信機器を介していたのか!
最初にそのようなくだりがないので唐突に思えた!)
>やはりあなたは投稿しすぎです。
>バイバイ猿さん!
(この文章からはワイスレ杯に何作も投稿していて、作品を弾かれた様子が窺える!
最初の遣り取りの全てが創作によるフィクション! 最後の落ちがノンフィクション!
そのように読めないこともないが、あまりにも描写が少ない!)
文章を削り過ぎて内容の把握が難しい60点!(`・ω・´)
- 82 :
- とばりってなに?
- 83 :
- 帳は遮るもの!(`・ω・´)
- 84 :
- 今回のワイ杯、作品の集まり具合が悪くない?
- 85 :
- なかなかアイデアが出ないんや
- 86 :
- デートさえも許してもらえなかった。こうするしかなかった。僕たちは手を取り合って街を出た。
「いいんです。こんなデートも、楽しい!」彼女は少し天然でいい子だ。守ってあげたい。
レンガ敷の古道を歩く。夕日が僕らの世界を照らしている。
「もう少し先に湖が有るらしいよ。ボートにでも乗ろうか」「え、ボートなんかに乗れるんですか?」「うん、用意してある」「すごいですー」
レンガ畳の隙間には雑草が目立ち始めた。遠くで聞いた事の無い鳥の鳴き声がした。日が沈もうとしている。
脇の草むらから物音がした。「止まって」小動物の体重が出せる音ではない。
「な、何かいます」「僕から離れないで」僕は彼女を後ろに控えさせ、剣を抜いた。
――ふふふ。これは計画していた事なのだ。この辺にいるのは雑魚のマッドドッグ。さあかかってこい。女の子はゲームだろうとシチュエーションを整えればノってくれるもんだ。
彼女がこのオンゲを知っていたのは意外だった。初期の頃だけ少しやっていたらしい。僕のほうが後輩という事になるが結構ハマっているのでそこそこ強い。そして案の定、彼女の方は初心者みたいなもんだった。
現実だとあの父親が何かと邪魔をする。彼氏ができたと言ったら異様に敏感になってしまったらしい。最近はとにかく彼女が家にいないと不機嫌だという。そこでこのデート。ゲームとはいえ映像が凄くて中々の雰囲気。お、出てきたぞ。
夕日をバックに姿を現したそのモンスターは僕が予想していたものとは大きく違っていた。大雑把にサイとも巨大な牛とも言えるが、その口を見れば決して草食ではない事が確かだ。こいつには……勝てない。
奴は鈎爪でレンガ畳を引き剥がしながら突進してきた。全滅してしまったら雰囲気は最悪になるだろう。初デートは失敗か、そう思った瞬間。
奴の片目に矢が突き刺さった。咆哮と共に向き直る凶獣。だがその動きはあまりにも鈍重だった。「彼」にとっては。
「彼」はボウガンを投げ捨てざまに走り込みクリスで奴の腹を破った。そのまま呪文を呟くとクリスに光が集まってゆき、奴は爆散消滅した。こ、この凄腕プレイヤーはいったい……。
後ろから声がした。
「娘と付き合いたいと言うのなら、これくらい強くないと困る。たとえゲームでもな」
「父です」
申し訳なさそうにクリスを鞘にしまいながら「彼女」が言った。
- 87 :
- あ!ちょっと訂正します
- 88 :
- デートさえも許してもらえなかった。こうするしかなかった。僕たちは手を取り合って街を出た。
「いいんです。こんなデートも、楽しい!」彼女は少し天然でいい子だ。守ってあげたい。
レンガ敷の古道を歩く。夕日が僕らの世界を照らしている。
「もう少し先に湖が有るらしいよ。ボートにでも乗ろうか」「え、ボートなんかに乗れるんですか?」「うん、用意してある」「すごいですー」
レンガ畳の隙間には雑草が目立ち始めた。遠くで聞いた事の無い鳥の鳴き声がした。日が沈もうとしている。
脇の草むらから物音がした。「止まって」小動物の体重が出せる音ではない。
「な、何かいます」「僕から離れないで」僕は彼女を後ろに控えさせ、剣を抜いた。
――ふふふ。これは計画していた事なのだ。この辺にいるのは雑魚のマッドドッグ。さあかかってこい。女の子はゲームだろうとシチュエーションを整えればノってくれるもんだ。
彼女がこのオンゲを知っていたのは意外だった。初期の頃だけ少しやっていたらしい。僕のほうが後輩という事になるが結構ハマっているのでそこそこ強い。そして案の定、彼女の方は初心者みたいなもんだった。
現実だとあの父親が何かと邪魔をする。彼氏ができたと言ったら異様に敏感になってしまったらしい。最近はとにかく彼女が家にいないと不機嫌だという。そこでこのデート。ゲームとはいえ映像が凄くて中々の雰囲気。お、出てきたぞ。
夕日をバックに姿を現したそのモンスターは僕が予想していたものとは大きく違っていた。大雑把にサイとも巨大な牛とも言えるが、その口を見れば決して草食ではない事が確かだ。こいつには……勝てない。
奴は鈎爪でレンガ畳を引き剥がしながら突進してきた。全滅してしまったら雰囲気は最悪になるだろう。初デートは失敗か、そう思った瞬間。
奴の片目に矢が突き刺さった。咆哮と共に向き直る凶獣。だがその動きはあまりにも鈍重だった。「彼」にとっては。
「彼」はボウガンを投げ捨てざまに走り込みクリスで奴の腹を破った。そのまま呪文を呟くとクリスに光が集まってゆき、奴は爆散消滅した。こ、この凄腕プレイヤーはいったい……。
後ろからの発言。
「うむ見事。付き合いたいと言うのなら、娘より強くないと困る。たとえゲームでもな」
「父です」
申し訳なさそうにクリスを鞘にしまいながら「彼女」が言った。
- 89 :
- 失礼しましたー。>>88でお願いします。
- 90 :
- 第二十二回ワイスレ杯参加作品
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>>88
設定の緩さが最大の敵!(`・ω・´)
- 91 :
- 地下室に私たちはいる。ゴキブリが私たちの体を這いずり回る。
私はアマ。ひどい臭いを放っているらしい。そして、仲間たち、腐った皮膚のミデ、黒く変色しているヒテ、吐瀉するドイ、宝物を奪われたカン。
私には不満がある。仲間たちが次々と散歩に連れて行ってもらえる事。
ミデは愛おしそうに抱かれて地下室を出て行き帰ってこない。ヒテはポケットに入れられて出て行ったきり。
ドイは火をつけられた。焼けた皮膚の臭いが私にまとわりついた。もちろん、グラハムにも。グラハムは嬉しそうに笑んでいた。真っ黒焦げになったドイはやっぱり地下室を出て行った。そして、それっきり。
私は残ったカンと一緒に地下室を出ていく時にグラハムが言う言葉、「散歩に行こう」の意味を語り合った。カンはきっと地獄に連れて行かれるのよ、と憎々しげに話した。カンは大切な性器を包丁で切り取られたことを恨んでいるらしい。
グラハムがいなくなったら、私たちは虫たちに蝕まれ、腐っていくしかない。カンはそこを分かっていない。
連れてこられたときは、私はまだ一人だった。グラハムの手によって、ミデとヒテ、ドイ、カン、そして私アマが誕生した。
グラハムこそ、神だった。その前のたった一つの人格だった私はひどくいやな女だった。そんな「私」を、「私」の心の底からミデ達と眺めていた。この女、死んじゃえって願ってた。
カンに「散歩に行こう」と告げたグラハムはひどく焦った顔をしていた。その顔を私に近づけると「散歩に行こう」と言った。嬉しかった。カンの次は私だ。
グラハムはカンを引っ張って行く。地下室の出口の階段には、カンの腐った皮膚と体液が付着していた。
もうすぐ、グラハムと散歩に行ける。
――その時、地下室の扉の外で慌ただしい足音が聞こえた。パトカーのサイレンも聞こえた。
ひどく嫌な予感がした。扉が乱暴に開けられた。グラハムじゃない。
「ガイシャの死体の一部、――アたマを発見した! ミぎうデ、ヒだりテ、ドうたイはキッチンにて調理された跡がある! カはんしンは廊下に放置されている! すぐに応援、頼む!」
グラハムの泣き叫ぶ声が聞こえる。ああ、私の愛しい人。私を生み出してくれた人。彼と外を歩く、ただそれだけで良かったのに……。
私の腐った目玉から、ぬるりと黄色い液体が流れ出た。それは、切ない涙のようだった。
- 92 :
- 「連れて行きたい場所が有るんだ」
前を歩く私の「彼」が言う。
「はい、どこでも付いていきますよぉ」
少しぶっきらぼうで心配性な彼が不安にならない様に私は精一杯の笑みを作って、そう言った。
真っ青な空には真一文字に描かれた飛行機雲が見える。真っ直ぐに先を行く彼を、後ろから追いかける。
駅の改札を抜けて、ホームに降り立ち、白線の上に居る彼の斜め後ろに並んで、二人で電車を待った。
後ろから覗き見る彼の首筋、大きな背中。そして何かを求めて中空でもがく体格の割には小さな手。
私が手を伸ばすと、その手は少し乱暴に私の手をさらっていった。
電車の到着を知らせるアナウンスと音楽が鳴り響く。電車のドアが開き、私たちを乗せてドアを閉じ、そして再び走り出す。
季節は夏。私たちが知り合ってから、丸一年。
少し奥手な私と彼は、去年の夏に私が転職した先の職場で知り合った。
秋にはまだ同僚で、冬になる頃に友人になり、春先にはもう、愛していて、思いを伝えあったのはついこの間だ。
まるで、初恋の様な私と彼。だけどそれでいいのだと思う。
電車が止まって彼が立ち上がる。今度は彼から伸ばしてきたその手を掴んで私は立ち上がる。
電車を降り、改札を抜けたその先は昔ながらの下町だった。
どこに行くのだろう? 口には出さずに彼の手につかまって、狭い下町の路地を進む。
雲一つない空から太陽が燦々と私達を照らしつける。蝉が声高らかに夏を謳う。
彼に手を引かれて行き着いたその場所は、小さなお寺の片隅にある共同墓地の卒塔婆の前だった。
「最初の、っていうか、マエカノ。……話してなかったけどさ。名前、同じなんだ」
細長い棒に記された戒名の下には、私と同じ名前と享年18という文字が有る。
「だからさ、変に名前同じだからとかそんな風に誤解して欲しくなくてさ、それだけじゃないけど……」
しどろもどろしながら話していた彼が口を真一文字に結ぶ。彼の手に力が籠るのを私の手が感じる。
「好きな人が出来ました。だから、もう……、来ませんね」
少し震えた彼の肩に後ろから腕を回して、開いた方の腕で彼の腕にしがみついた。
「……いいよ、また来よう。来年辺りにさ」
少し奥手な私達だから、きっとロスタイムも長めでいい。きっとあなたも奥手でしょ?
風が吹いて、卒塔婆を揺らした。
- 93 :
- 「連れて行きたい場所が有るんだ」
前を歩く私の「彼」が言う。
「はい、どこでも付いていきますよぉ」
少しぶっきらぼうで心配性な彼が不安にならない様に私は精一杯の笑みを作って、そう言った。
真っ青な空には真一文字に描かれた飛行機雲が見える。真っ直ぐに先を行く彼を、後ろから追いかける。
駅の改札を抜けて、ホームに降り立ち、白線の上に居る彼の斜め後ろに並んで、二人で電車を待った。
後ろから覗き見る彼の首筋、大きな背中。そして何かを求めて中空でもがく体格の割には小さな手。
私が手を伸ばすと、その手は少し乱暴に私の手をさらっていった。
電車の到着を知らせるアナウンスと音楽が鳴り響く。電車のドアが開き、私たちを乗せてドアを閉じ、そして再び走り出す。
季節は夏。私たちが知り合ってから、丸一年。
少し奥手な私と彼は、去年の夏に私が転職した先の職場で知り合った。
秋にはまだ同僚で、冬になる頃に友人になり、春先にはもう、愛していて、思いを伝えあったのはついこの間だ。
まるで、初恋の様な私と彼。だけどそれでいいのだと思う。
電車が止まって彼が立ち上がる。今度は彼から伸ばしてきたその手を掴んで私は立ち上がる。
電車を降り、改札を抜けたその先は昔ながらの下町だった。
どこに行くのだろう? 口には出さずに彼の手につかまって、狭い下町の路地を進む。
雲一つない空から太陽が燦々と私達を照らしつける。蝉が声高らかに夏を謳う。
彼に手を引かれて行き着いたその場所は、小さなお寺の片隅にある共同墓地の卒塔婆の前だった。
「最初の、っていうか、マエカノ。……話してなかったけどさ。名前、同じなんだ」
細長い棒に記された戒名の下には、私と同じ名前と享年18という文字が有る。
「だからさ、変に名前同じだからとかそんな風に誤解して欲しくなくてさ、それだけじゃないけど……」
しどろもどろしながら話していた彼が口を真一文字に結ぶ。彼の手に力が籠るのを私の手が感じる。
「好きな人が出来ました。だから、もう……、来ませんね」
少し震えた彼の肩に後ろから腕を回して、空いた方の腕で彼の腕にしがみついた。
「……いいよ、また来よう。来年辺りにさ」
少し奥手な私達だから、きっとロスタイムも長めでいい。きっとあなたも奥手でしょ?
風が吹いて、卒塔婆を揺らした。
- 94 :
- 第二十二回ワイスレ杯参加作品
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>>91
>>93
投稿は今日まで!(`・ω・´)
- 95 :
- 第二十二回ワイスレ杯のルール!
名無しの書き込みを必須とする!(名乗った場合は通常の評価に移行する!)
設定を活かした内容で一レスに収める!(目安は千文字程度、三十二行前後!) 一人による複数投稿も可!
通常の評価と区別する為に名前欄、もしくは本文に『第二十二回ワイスレ杯参加作品』と明記する!
ワイが参加作品と書き込む前に作者が作品を修正する行為は認める!
今回の設定!
付き合い始めた二人が初めてのデートに出掛ける! 彼女は行き先を知らされていない!
彼氏が全ての計画を立てていた! 当日、待ち合わせ場所で二人は落ち合う!
彼氏はどこに彼女を連れていくのか! 二人はどのような結末を迎えるのか!
応募期間!
今から土曜日の日付が変わるまで! 上位の発表は投稿数に合わせて考える!
締め切った当日の夕方に全作の寸評をスレッドにて公開! 同日の午後八時頃に順位の発表を行う!
最後の告知!(`・ω・´)
- 96 :
- あのさあ、私ら、付き合いはじめたばかりだよね? でもって、二人っきりのデート、最初のデートだよね? うんって、分かって頷いてる?
え? べーつーにー。怒ってなんかないよ。あーそう? うん、スゴいね、あ、あたしはしないから。良いって。興味ないし。いやいやいやいや、これから先も有り得ない。え? だーかーらー。怒ってないってば。
さっきから聞こえてくるのは、カノジョさんの声ばかりだった。当たり前だよね。私はカノジョさんに同情する。普通の女の子は、こういう特撮展とか興味ないから。
カノジョさんの向こう側で、しょんぼりしているカレにダメ出しする。自分が行きたい所じゃなくて、カノジョの希望を選ばなきゃ!
こういう趣味の所は、一人か同好同士で来るものだからね。ほら、カレはまだ観たいのに、カノジョさん、スタスタ行っちゃう、あーあ、かわいそ。ガンバって追っかけなさい。アナタは、そういう道を選んだんだから。
だから私は、カレカノジョ不要論を採択するわけ。正直、邪魔。時間の無駄。忍耐力の浪費。どうせ人間同士は長続きしないもの。知ってる? 離婚率。いや、私も知らないけどさ、どうせ別れるなら、何故に付き合うか。何故、結婚に至るかってこと。
私はゆっくりと特撮展を堪能する。悪いけど、空気を悪くするカレカノジョも居なくなって、とっても快適だった。
まさに至福の時。障害物無き、視界明瞭な人生の一部分であり、生きる為の活力。
さて、と。ココロのエネルギー充填が終わったら、今度はカラダ。お腹がグゥグゥ音を立てている。
近くのパスタ屋さん、土日もランチセットがあって、パスタ中盛りはサービスだし、デザートスイーツ付きだし、絶対、外せない。
満員のパスタ屋さんの前、名前を記入。燦然と輝くお一人様。そう、自由なワタシ。
あれ?
パスタ屋の向かいのアイスクリーム屋で、見覚えのあるカレカノジョを発見。店の外にある濃い青と白のパラソルの下で向かい合って座っていて、丸テーブルの上で、そっと手を触れ合わせ、それは楽しそうに談笑中。
アイスクリームを顎に付けて、おまえたちはバカデスカ?
カノジョの顔にカレが手を伸ばし、顎を拭ってペロリと舐めた。ヤダキモイ。
しかもそれだけでは終わらず、テーブルの上で指を絡めたまま近付くと、軽く唇を合わせた。初デートでキスかい!
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- 第二十二回ワイスレ杯参加作品
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今日のラッシュはあるのか!(`・ω・´)
- 98 :
- 俺は今日投稿するよ。
- 99 :
- なんか書けそうで全然書けないな、これ
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