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2013年19家ゲーRPG190: テイルズオブバトルロワイアル2nd Part14 (343) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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テイルズオブバトルロワイアル2nd Part14


1 :2012/05/16 〜 最終レス :2013/10/12
テイルズシリーズのキャラクターでバトルロワイアルが開催されたら、 というテーマの参加型リレー小説スレッドの2周目です。
参加資格は全員にあります。
全てのレスは、スレ冒頭にあるルールとここまでのストーリー上 、破綻の無い展開である限りは、原則として受け入れられます。
これはあくまで二次創作企画であり、バンダイナムコゲームス等とは一切関係ありません。
それを踏まえて、みんなで盛り上げていきましょう。
詳しい説明は>>2以降。

2 :
【前スレ】
テイルズオブバトルロワイアル2nd Part13
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1312464668/
【過去スレ】
テイルズオブバトルロワイアル2nd 感想議論用スレ
http://game14.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1217252638/
テイルズオブバトルロワイアル2nd Part2
http://game14.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1220284765/
テイルズオブバトルロワイアル2nd Part3
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1220805590/
テイルズオブバトルロワイアル2nd Part4
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1221714713/
テイルズオブバトルロワイアル2nd Part4(実質5)
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1221714971/
テイルズオブバトルロワイアル2nd Part6
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1223568942/
テイルズオブバトルロワイアル2nd Part7
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1224680497/l50
テイルズオブバトルロワイアル2nd Part8
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1225550753/l50
テイルズオブバトルロワイアル2nd Part9
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1227941534/
テイルズオブバトルロワイアル2nd Part10
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1236911151/
テイルズオブバトルロワイアル2nd Part11
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1259019852/
【避難所】
PC http://jbbs.livedoor.jp/otaku/5639/
携帯 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/otaku/5639/
【2ndまとめサイト】
PC・携帯両用 http://www.symphonic-net.com/tobr2/mobile/index.html

【1周目のスレ(現在アナザールート進行中)】
テイルズ オブ バトルロワイアル Part16
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1231916923/
【1stまとめサイト】
PC http://talesofbattleroyal.web.fc2.com/
携帯 http://www.geocities.jp/tobr_1/index.html

3 :
----基本ルール----
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができ、加えて願いを一つ何でも叶えてもらえる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
 開催場所は異次元世界であり、海上に逃れようと一定以上先は禁止エリアになっている。
----放送について----
 放送は12時間ごとに行われる。放送は各エリアに設置された拡声器により島中に伝達される。
 放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去12時間に死んだキャラ名」
 「残りの人数」「主催者の気まぐれなお話」等となっています。
----「首輪」と禁止エリアについて----
 ゲーム開始前からプレイヤーは全員、「首輪」を填められている。
 首輪が爆発すると、そのプレイヤーは死ぬ。(例外はない)
 主催者側はいつでも自由に首輪を爆発させることができる。
 この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、開催者側へプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
 24時間死者が出ない場合は全員の首輪が発動し、全員が死ぬ。  
「首輪」を外すことは専門的な知識がないと難しい。
 下手に無理やり取り去ろうとすると首輪が自動的に爆発し死ぬことになる。
 プレイヤーには説明はされないが、実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。
 なお、どんな魔法や爆発に巻き込まれようと、誘爆は絶対にしない。
 たとえ首輪を外しても会場からは脱出できないし、禁止能力が使えるようにもならない。
 開催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にいると首輪が自動的に爆発する。
 禁止エリアは3時間ごとに1エリアづつ増えていく。
----スタート時の持ち物----
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を配給され、「ザック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「着火器具、携帯ランタン」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「支給品」
 「ザック」→他の荷物を運ぶための小さいザック。       
 四次元構造になっており、参加者以外ならどんな大きさ、量でも入れることができる。
 「地図」 → 舞台となるフィールドの地図。禁止エリアは自分で書き込む必要がある。
 「コンパス」 → 普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「着火器具、携帯ランタン」 →灯り。油は切れない。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「食料」 → 複数個のパン(丸二日分程度)
 「飲料水」 → 1リットルのペットボトル×2(真水)
 「写真付き名簿」→全ての参加キャラの写真と名前がのっている。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「支給品」 → 何かのアイテムが1〜3つ入っている。内容はランダム。
※「ランダムアイテム」は作者が「作品中のアイテム」と
 「現実の日常品もしくは武器、火器」、「マスコットキャラ」の中から自由に選んでください。
 銃弾や矢玉の残弾は明記するようにしてください。
 必ずしもザックに入るサイズである必要はありません。
 また、イベントのバランスを著しく崩してしまうようなトンデモアイテムはやめましょう。
 エクスフィアを出す場合は要の紋つきで支給するようお願いします。
 ハズレアイテムも多く出しすぎると顰蹙を買います。空気を読んで出しましょう。
----マスコットキャラの扱い----
 マスコットは「支給品」一つ分相当とカウント。
 なお、ロワでの戦いにおいて全く役に立たないマスコットキャラは、この限りではなく、「支給品」一つ分とは見なさない。
 ミュウを支給する場合はソーサラーリングを剥奪した状態で支給すること。コーダ、ノイシュ、タルロウXの支給は不可。
 マスコットキャラはプレイヤーではありません。あくまでも主役はプレイヤーという事を念頭に置いて支給しましょう。

4 :
----制限について----
 身体能力、攻撃能力については基本的にありません。
 (ただし敵ボスクラスについては例外的措置がある場合があります)
 治癒魔法については通常の1/10以下の効果になっています。蘇生魔法、即死術は発動すらしません。
 キャラが再生能力を持っている場合でもその能力は1/10程度に制限されます。
 しかしステータス異常回復は普通に行えます。
 その他、時空間移動能力なども使用不可となっています。 (短距離のテレポート程度なら可)
 MPを消費するということは精神的に消耗するということです。
 全体魔法の攻撃範囲は、術者の視野内(半径100mほど)ということでお願いします。
----ボスキャラの能力制限について----
 ラスボスキャラや、ラスボスキャラ相当の実力を持つキャラは、他の悪役キャラと一線を画す、
 いわゆる「ラスボス特権」の強大な特殊能力は使用禁止。
 これに該当するのは
*ダオスの時間転移能力、
*ミトスのエターナルソード&オリジンとの契約、
*シャーリィのメルネス化、
 など。もちろんいわゆる「第二形態」以降への変身も禁止される。
 ただしこれに該当しない技や魔法は、TPが尽きるまで自由に使える。
 ダオスはダオスレーザーやダオスコレダーなどを自在に操れるし、ミトスは短距離なら瞬間移動も可能。
----武器による特技、奥義について----
 格闘系キャラはほぼ制限なし。通常通り使用可能。ティトレイの樹砲閃などは、武器が必要なので使用不能。
 その他の武器を用いて戦う前衛キャラには制限がかかる。
 虎牙破斬や秋沙雨など、闘気を放射しないタイプの技は使用不能。
 魔神剣や獅子戦吼など、闘気を放射するタイプの技は不慣れなため十分な威力は出ないが使用可能。
 (ただし格闘系キャラの使う魔神拳、獅子戦吼などはこの枠から外れ、通常通り使用可能)
 チェルシーの死天滅殺弓のような、純粋な闘気を射出している(ように見える)技は、威力不十分ながら使用可能。
 P仕様の閃空裂破など、両者の複合型の技の場合、闘気の部分によるダメージのみ有効。
 またチェルシーの弓術のような、闘気をまとわせた物体で射撃を行うタイプの技も使用不能。
 武器は、ロワ会場にあるありあわせの物での代用は可能。
 木の枝を剣として扱えば技は通常通り発動でき、尖った石ころをダーツ(投げ矢)に見立て、投げて弓術を使うことも出来る。
 しかし、ありあわせの代用品の耐久性は低く、本来の技の威力は当然出せない。
----魔法の使用に関して----
 ロワ会場ではマナが特殊な位相をとっており、魔法使用者の記憶によって指向性を持ち、様々な形態となる。
 すなわち魔法の内容が術者の記憶にあるのならば、
 周囲のマナが晶術・フォルス・爪術など各々に最適な位相を勝手にとってくれる、ということである。
 それゆえ術者は元の世界のものと寸分違わぬ魔法を再現できる。
 召喚術や爪術など、厳密に言えばマナをパワーソースとしないタイプの魔法でも、
 会場のマナが変異して精霊や滄我の代役を務めてくれるため、発動に支障はない。
 ただしこの位相をとったマナは回復魔法とは極めて相性が悪く、回復魔法はもとの一割ほどしか効果がない。
 気功術などによる回復さえマナに妨害されるため、会場内では傷の回復は至難。
----晶術、爪術、フォルスなど魔法について----
 使用する前提条件として、「精神集中が可能」「正しい発声が可能」の条件を満たしていること。
 舌を切り取られているなどして、これらの条件を満たせていない場合、使用は不可能。
 仮に使えても、詠唱時間の延長や威力の低下などのペナルティを負う。
 「サイレンス」などで魔法を封じられた場合、無条件で魔法は使えなくなる。
 攻撃系魔法は普通に使える、威力も作中程度。ただし当然、TPを消費。
 回復系魔法は作中の1/10程度の効力しかないが、使えるし効果も有る。
 魔法は丸腰でも発動は可能だが威力はかなり落ちる。
 (魔力を持つ)武器があった方が威力は上がる。
 当然、上質な武器、得意武器ならば効果、威力もアップ。
 術者が目標の位置をきちんと確認できない場合、当てずっぽうでも魔法を撃つことはできるが、命中精度は低い。
 また広範囲攻撃魔法は、範囲内の目標を選別出来ないため、敵味方を無差別に巻き込む。

5 :
----時間停止魔法について----
 ミトスのタイムストップ、アワーグラスなどによる時間停止は、通常通り有効。
 効果範囲は普通の全体攻撃魔法と同じく、魔法を用いたキャラの視界内とする。
 本来時間停止魔法に抵抗力を持つボスキャラにも、このロワ中では効果がある。
 ただし、広範囲攻撃魔法と同じく目標の選別は不可であり、発動者自身以外は動くことが出来ない。
 TOLキャラのクライマックスモードも、この裁定に準拠するものとする。
----秘奥義について----
 秘奥義は一度だけ使用可能。その際、発動したキャラが持つ未使用の秘奥義も使用不可となる。
 使用後はTP大幅消費、加えて疲労が伴う。
 また基本的に作中の条件も満たす必要がある(ロイドはマテリアルブレードを装備していないと使用出来ない等)。
 秘奥義に類する強力な術技は秘奥義扱いとする。
 該当するのはシゼルのE・ファイナリティ、レイスの極光、TOLキャラのクライマックスモードなど。
 Iの覚醒はSB・OLと同じ扱い(何度でも使用可)だが、前世の姿に戻ることは秘奥義扱いとする。
 SRの追加秘奥義は2つ合わせて一つの秘奥義とする。TP消費は普通の秘奥義より増える。
 またリヒターのカウンターは秘奥義扱いとする。その前に普通の秘奥義を使っていたならば、当然カウンターは発動不可能である。
----TPの自然回復----
 会場内では、TPは戦闘ではなく時間経過で回復する。
 回復スピードは、1時間の休息につき最大TPの10%程度を目安として描写すること。
 なおここでいう休息とは、一カ所でじっと座っていたり横になっていたりする事を指す。
 睡眠を取れば、回復スピードはさらに2倍になる。
 なお、休息せずに活動している状態でも、TPは微量ながら徐々に回復する。
 回復したTPをすぐさま回復魔法にあてれば、ある程度ダメージの回復は見込める。
 しかし、かなりの集中力を割くためこの作業中は不意打ちに弱くなる。事前に鳴子を張っておくなどの対策は可能。
----状態異常、変化の設定について----
 状態異常並びに変化追加系は発生確率を無視すると有利すぎる効果なので禁止とする。
 Rの潜在能力やフォルスキューブ(マオ)、Dのソーディアンデバイス、D2のスロット、一部のエンチャントが該当する。
 D2のFOEも禁止。ただし術技にデフォルトで付加されている能力は有効とする。例として、
●ヴェイグの絶・霧氷装
●ミトスのイノセント・ゼロ
●ダオスのテトラアサルト
●ジルバのシェイドムーン・リベリオン
 等が挙げられる。

6 :
----合体技の再現(SのU・アタック、R仕様秘奥義など)----
 ロワを通して仲良くなったキャラや、同作品から来た仲間同士であれば、協力して合体技を使うことも出来る。
 合体技を編み出せる仲間、ならびに魔法・特技の組み合わせは各原作に準拠するが、
 このロワ中では次の条件を満たしている場合でも合体技の発動が可能。
  例1:異なるキャラ同士で、同名の魔法・特技を組み合わせた場合。
   例えばSの複合特技である「プリズミックスターズ」は、リフィルの「レイ」とジーニアスの「グランドダッシャー」などで発動するが、
   同名の魔法を習得しているので、フィリアの「レイ」とシャーリィの「グランドダッシャー」でも、「プリズミックスターズ」は発動する。
  例2:「それっぽい」魔法・特技を組み合わせた場合。
   例えばSの複合特技である「襲爪雷斬」は、本来ロイドの「虎牙破斬」とジーニアスの「サンダーブレード」などで発動するが、
   ジーニアスの「サンダーブレード」をジェイドの「天雷槍」などで代用することも可能。
   また常識の範囲内で考えて、それなら合体技が成立しそうだと考えられるなら、まったく新規の組み合わせも可能。
   例えばシャーリィの「タイダルウェーブ」で発生させた水を、ルビアの「イラプション」で加熱し、高温の蒸気を発生させて、
   もともとはジーニアスの魔法である、高温の蒸気で敵をあぶる魔法「レイジングミスト」を合体技として編み出すことも出来る。
  補則1:なおクレスなどは単体で「襲爪雷斬」を放つことは出来るが、同名の技でも合体技の方が威力は上である。
  補則2:新規のキャラ同士の新規の魔法・特技の組み合わせは自由に考えて構わないが、
       それにより成立する合体技は必ずシリーズのどこかから「本歌取り」すること。
       世界観の維持の観点から、まったく新規の合体技を編み出すことは禁止する。
  補則3:もちろん合体技を繰り出す当事者達は、ある程度以上気心が知れあっている必要がある。
       小説中で「仲良くする」ような描写を予め挟んでおくこと。
  補則4:合体技は当然大技であるため、発動させるためには上手く隙を作らねばならない。
       同じく小説中で「隙を作る」ような描写を予め挟んでおくこと。
  補則5:AのゲームシステムであるFOFを用いた、術技のFOF変化も上記のルールに準拠するものとする。
       FOFの属性と変化する術技の組み合わせは原作に準拠するが、上記のルールに違反しない限り、
       書き手は全く新規の組み合わせを考案してもよい。下記も参照のこと。
ケースバイケース、流れに合った面白い展開でお願いします。
----ゲームシステムのクロスオーバー----
 ロワ参加者は、デフォルトの状態では原作世界の知識しか持たないものの、
 ロワで他世界のキャラと交流を持ったり、何らかの方法で他の世界の知識や技術を得た場合、
 その世界特有のシステムを使いこなすことが出来るようになる。
 例えばリオンが事前にジェイドから説明を受けていれば、ジェイドの「タービュランス」で発生した風属性FOFで、
 自身の「双牙斬」をFOF変化させ、「襲爪雷斬」を放つことも可能。上項も参照のこと。
 ただしRのフォルスやTの獣人化など、その世界の住人の特異体質によるシステムのクロスオーバーは、
 原則として不可とする。
 ただしSのハイエクスフィアを用いた輝石による憑依などで、
 R世界やT世界の出身者の肉体を奪うなどした場合は、この限りではない。

7 :
----シリーズ特有の強化スキルやシステムについて----
シリーズのシステムに関わらず、特技・奥義は単独で発動可能とする。ただし連携の順番は原作に倣うこと。
P・・・なし。
D・・・ソーディアンデバイス、リライズは全面禁止とする。
E・・・潜在晶霊術は禁止とする。
D2・・・スロットは全面禁止とする。エンチャントは追加晶術、連携発動、リカバー(D2にはリカバーを使えるキャラがいないため)、
     特技連携、晶術追撃、秘奥義、追加特技、通常技連携、空中発動のみ有効とする。
S・・・EXスキルの「一定確率で」系、ガードステータス、ゲットウェル、スーパーガード、ライフスティル、メンタルスティル、
   グレイス、ステータスキープ、エンジェルコール、レジストマジック、 メンタルサプライ、コンセントレート、オートメディスン、
   スペルコンデンス、サプレスダッシュ、サプレスロウアー、MCディフェンド、ラッシングラン、パフォーマー、グローリー、
   HPリバース、レストアピール、アーマードブロウ、ガードアウェイは禁止とする。
R・・・フォルスキューブのドレインは禁止。潜在能力も禁止とする。
L・・・我流奥義は使用可。ただし副極意による追加効果の付与は禁止とする。
A・・・ペインリフレクト、アクシデンタル、ライフリバース、エンジェルコール、ピコハンリベンジ、オートメディスン、グローリー、グレイス、
    ADスキルの「一定確率で」系は禁止とする。
T・・・なし。
I・・・武器カスタマイズ、アビリティは全面禁止とする。
   (リジェネ、リラックス、悟り、グミの達人、踏ん張り1〜4、封印防御等を除けば能力アップなどしか残らないため)
SR・・・スキルはアビリティのみ有効。例外としてエミルが支給品のコアを入手した場合、アトリビュートの特技変化系を使える
----TOAの設定について----
 会場の音素量が少ないため、ルークの音素乖離は参戦時期に関わらず行われない。
 ただしルークが無茶をして第七音素を大量に使ったときはその範疇に属さないものとする。
 コンタミネーション現象は禁止とする。これはビッグバンの議論を防ぐためである。
 超振動は秘奥義扱いとするが、会場の音素が少ないため威力は半減される。
 それでも一撃必殺級の上、他の物を巻き込んでしまうのでよく考えてリレーしましょう。
 ティアの譜歌ナイトメアは、声に魔力が宿っている訳ではないため拡声器を使っても効果範囲は変わらない。
 また敵がある程度弱ってないと無効とする。
 カースロットは原則有りとする。ただし同じエリアに居ないと使えない、一人しか操れないといった制限を課す。
 勿論操られた者が憎しみを抱いている対象がいなければ効果は現れない。
 また導師の力のためレプリカのイオン、シンクには相応の疲労が襲うものとする。
 第七音素注入で怪物化はロワのバランスを崩してしまう為禁止とする。譜術式レプリカ製造も同様である。
 アンチフォンスロットは有り。ただし効果は一日。

8 :
----その他----
 *作中の進め方によって使える魔法、技が異なるキャラ(E、Sキャラ)は、 初登場時(最初に術技を使うとき)に断定させておくこと。
  断定させた後は、それ以外の魔法、技は使えない。
 *クラースは精霊(の力)を呼び出せるが、精霊自体は召喚できない仕様とする。
  理由はSのオリジンとロイド等との設定の兼ね合いが複雑なため。
 *Pのディストーションやカメレオン、Dエクステンションはあまりにも強力なため使用不可能な設定とする。
 *スタンの空中魔法変化技は下級は特技、中級と上級は奥義の扱いとする。
 *キールにはフリンジ済みのインフェリア晶霊が入ったCケイジを最初から与える。勿論これは支給品枠の一つとして考える。
 *Rの聖獣の力は参戦時期に関わらず有効とする。
 *アニー、ジルバの陣術は厳密に言うと魔術ではない為詠唱を必要としない。地面に方陣を描くことで発動させる事。その方法は問わない。
 *ジルバの月のフォルスは、対象が限りなく弱っていないと使用できない仕様とする。
  また乗り移っている間は一切のダメージを受けないため確かに無敵だが、
  逆に言うと本体は実に隙だらけ(同時に二人操るのは無理があり、こっちは操られている方が入っている)なため制限対象には入らない。
 *エミルはコア化をもって死亡扱いとする。このコアには莫大な量のマナが含まれている(センチュリオンコアも同様)。破壊も可能。
 *リバイブは危険になったら自動でHP回復大の扱いとする。
━━━━━お願い━━━━━
※一旦死亡確認表示のなされた死者の復活はどんな形でも認めません。
※新参加キャラクターの追加は一切認めません。
※書き込みされる方はスレ内を検索し話の前後で混乱がないように配慮してください。(CTRL+F、Macならコマンド+F)
※参加者の死亡があればレス末に必ず【○○死亡】【残り○○人】の表示を行ってください。
※又、武器等の所持アイテム、編成変更、現在位置の表示も極力行ってください。
※具体的な時間表記は書く必要はありません。
※人物死亡等の場合アイテムは、基本的にその場に放置となります。
※本スレはレス数500KBを超えると書き込みできなります故。注意してください。
※その他詳細は、雑談スレでの判定で決定されていきます。
※放送を行う際は、雑談スレで宣言してから行うよう、お願いします。
※最低限のマナーは守るようお願いします。マナーは雑談スレでの内容により決定されていきます。
※主催者側がゲームに直接手を出すような話は極力避けるようにしましょう。
※投下宣言は「○○分後に投下します」など時間を指定するのではなく、宣言後すぐに投下するよう心がけて下さい。
※基本的なロワスレ用語集
 マーダー:ゲームに乗って『積極的』に殺人を犯す人物。
 ステルスマーダー:ゲームに乗ってない振りをして仲間になり、隙を突く謀略系マーダー。
 扇動マーダー:自らは手を下さず他者の間に不協和音を振りまく。ステルスマーダーの派生系。
 ジョーカー:ゲームの円滑的進行のために主催者側が用意、もしくは参加者の中からスカウトしたマーダー。
 リピーター:前回のロワに参加していたという設定の人。
 配給品:ゲーム開始時に主催者側から参加者に配られる基本的な配給品。地図や食料など。
 支給品:強力な武器から使えない物までその差は大きい。   
      またデフォルトで武器を持っているキャラはまず没収される。
 放送:主催者側から毎日定時に行われるアナウンス。  
     その間に死んだ参加者や禁止エリアの発表など、ゲーム中に参加者が得られる唯一の情報源。
 禁止エリア:立ち入ると首輪が爆発する主催者側が定めた区域。     
         生存者の減少、時間の経過と共に拡大していくケースが多い。
 主催者:文字通りゲームの主催者。二次ロワの場合、強力な力を持つ場合が多い。
 首輪:首輪ではない場合もある。これがあるから皆逆らえない
 恋愛:死亡フラグ。
 見せしめ:お約束。最初のルール説明の時に主催者に反抗して殺される人。
 拡声器:お約束。主に脱出の為に仲間を募るのに使われるが、大抵はマーダーを呼び寄せて失敗する。

9 :
【書き手の心得】
1、コテは厳禁。
(自作自演で複数人が参加しているように見せるのも、リレーを続ける上では有効なテク)
2、話が破綻しそうになったら即座に修正。
(無茶な展開でバトンを渡されても、焦らず早め早めの辻褄合わせで収拾を図ろう)
3、自分を通しすぎない。
(考えていた伏線、展開がオジャンにされても、それにあまり拘りすぎないこと)
4、リレー小説は度量と寛容。
(例え文章がアレで、内容がアレだとしても簡単にスルーや批判的な発言をしない。注文が多いスレは間違いなく寂れます)
5、流れを無視しない。
(過去レスに一通り目を通すのは、最低限のマナーです)
〔基本〕バトロワSSリレーのガイドライン
第1条/キャラの死、扱いは皆平等
第2条/リアルタイムで書きながら投下しない
第3条/これまでの流れをしっかり頭に叩き込んでから続きを書く
第4条/日本語は正しく使う。文法や用法がひどすぎる場合NG。
第5条/前後と矛盾した話をかかない
第6条/他人の名を騙らない
第7条/レッテル貼り、決め付けはほどほどに(問題作の擁護=作者)など
第8条/総ツッコミには耳をかたむける。
第9条/上記を持ち出し大暴れしない。ネタスレではこれを参考にしない。
第10条/ガイドラインを悪用しないこと。
(第1条を盾に空気の読めない無意味な殺しをしたり、第7条を盾に自作自演をしないこと)
【地図】
通常:ttp://www.symphonic-net.com/tobr2/img/map0.JPG
禁止エリア(既:赤 予定:水色):ttp://www.symphonic-net.com/tobr2/img/map.JPG
【補足】
同一パートの投下は本文(状態表)投下終了後、24時間置きましょう。
修正がある場合には
誤字脱字レベル、ストーリーに変更が無い場合、最初の投下より24時間。
ストーリーに何か変更がある場合一旦取り下げ、修正作投下から24時間空けるのが望ましい。
また修正の場合、書き手が来ない際の猶予期間ですが、修正依頼から五日間以内に何らかのアクションを願います。アクションが無い場合強制破棄になる可能性もあります。
なお、作品を取り下げる場合は書き手の方で一度宣言する事。
宣言から再投下の間に同一パートの被り作品が投下されたら涙を堪えて避難所へ。
荒れる事が予想される場合には捨てトリップ推奨。

10 :
【参加者一覧】 
TOP(ファンタジア)  :1/4名→●クレス・アルベイン/○クラース・F・レスター/●藤林すず/●ダオス
TOD(デスティニー)  :5/7名→○スタン・エルロン/●ルーティ・カトレット/○フィリア・フィリス/●ウッドロウ・ケルヴィン/○チェルシー・トーン/○イレーヌ・レンブラント/○ミクトラン
TOE(エターニア)   :5/6名→●リッド・ハーシェル/○キール・ツァイベル/○チャット/○フォッグ/○レイス(レイシス・フォーマルハウト)/○シゼル                  
TOD2(デスティニー2) :5/8名→○カイル・デュナミス/○リアラ/○ロニ・デュナミス/●ジューダス/○ハロルド・ベルセリオス/●ナナリー・フレッチ/●バルバトス・ゲーティア/●エルレイン   
TOS(シンフォニア)  :3/7名→○ロイド・アーヴィング/●クラトス・アウリオン/○リフィル・セイジ/●リーガル・ブライアン/●プレセア・コンバティール/●マグニス/○ミトス・ユグドラシル
TOR(リバース)   :4/8名→○ヴェイグ・リュングベル/●クレア・ベネット/○マオ/●ユージーン・ガラルド/●アニー・バース/●サレ/○ジルバ・マディガン/○アガーテ・リンドブロム
TOL(レジェンディア) :3/6名→○セネル・クーリッジ/○シャーリィ・フェンネス/○クロエ・ヴァレンス/●ノーマ・ビアッティ/●ワルター・デルクェス/●ステラ・テルメス
TOA(アビス)    :4/8名→○ルーク・フォン・ファブレ/○ティア・グランツ/●ジェイド・カーティス/●アッシュ/●イオン/○シンク/●ディスト/●アリエッタ
TOT(テンペスト)   :1/2名→○カイウス・クオールズ/●ルビア・ナトウィック
TOI(イノセンス)   :1/5名→○ルカ・ミルダ/●イリア・アニーミ/●スパーダ・ベルフォルマ/●リカルド・ソルダート/●ハスタ・エクステルミ
TOSR(ラタトスクの騎士):4/5名→○エミル・キャスタニエ/○マルタ・ルアルディ/○リヒター・アーベント/●アリス/○デクス
●=死亡 ○=生存 合計36/66
禁止エリア
03:00:A1
06:00:F3
09:00:A6
12:00:D6
現在までのもの
B1,F5,G7,C3

11 :
スレ立て乙!

12 :
乙です

13 :
>>1 遅ればせながらスレ立て乙!

14 :
乙!!!

15 :
1stから2nd通して読み返してて漸く気付いたんだが、
2nd・259話のカイルの「お化けぇぇぇええええ!!!」ってやつ、1st・371話のオマージュだったんだな。
…フラグバーストどうなるだろうな…壮絶な修羅場と化すことを思うと今から気になって眠れない

16 :
フラグバーストな…多分次かその次あたりにガツンとくるんだろうけど…………しかしここまで全く予想できないってのも新しいと思うw
てんで見当がつかねえや。
おれもいま見返してるけど見返すと新しい発見があっておもしれーわ

17 :
中でも特に好き!オススメ!みたいななSSってある?

18 :
>>17
2ndを一気読みしたのは3年前だったかな
だから全てを鮮明には覚えてないんだけど、アニーの日記がすごい切なかったのは印象に残ってる…
あの書き手になら掘られてもいいと思った

19 :
あれは名作だな…。

20 :
自分はジューダスの最期辺りだな
アニーも泣いたが

21 :
アニーの話は言うまでもなく好きだが、ルーティの最期の話とクラトスvsシゼルの話もすごく好きだな。
誰も死なない話ではアニーのSSを除けば断トツでハロルドとロニが対峙した話が好きだ。
あとスパーダ独白?とルーク独白?のSSもいい。偶然だろうけど両方ともゾロ目の話数だったのも印象に残ってる

22 :
ハロルドvsロニは描写も比喩もタイトルもよかったね。
最近ので言えば「トワイライトに珈琲を」が好きだ。フォッグかっけえよ。
最近のバトルはロニ関連がぶっとんでて色んな意味で面白いが、熱さで言えばカイル&アッシュvsヴェイグかなあ

23 :
投下します。

24 :
「R?」
そうして、彼は自嘲しながら言った。酷くくたびれた声だった。
「うん」僕は応える。「ダメかな」
夏の始めの様な強い日差しがじりじりと僕達を照らしていた。
ここ数日で一番暑く、そしてとても長い一日になりそうだった。
空には綿を千切った様な雲が疎らに広がっていて、その隙間から見える青は嘘みたく澄んでいた。
地面には見渡す限りに青々しい葦が広がっている。ぴんと針の様に伸びた葉が、太陽を目指して真直ぐに背を伸ばしていた。
遠くには山が見えていたが、標高はすこぶる高く、てっぺんは薄いグレーで霞んでいる。麓には杉が数本生えていた。
時刻は午前10時。湿気のないからっとした、ラジオ体操がしたくなる様な朝だった。
「構わないヨ」
彼は悟った様にそう言った。あっさりし過ぎていて薄っぺらく、現実感などありはしない会話だった。
「怖くないの?」僕は試しに尋ねる。「これから殺されるのに、君は随分と冷静なんだね」
「“怖い”?」彼は口角を上げておどけてみせた。「“怖い”だって?」
馬鹿にするような口調に僕は少しだけむっとした。
まるで怖いという感情がまだこの世にあったのかと疑うかの様な声色だった。
だが僕の知る限り、恐怖は人間が感じるであろう当然の感情だ。僕は彼の言葉を怪訝に思い眉間に皺を寄せた。
「僕、何かおかしな事でも言ったかな。死ぬのは怖くて当然じゃないか。
 死は平等だとか遅いか早いかそれだけだとか言うけど、そんなの言ってしまえば屁理屈みたいなものだろう?
 結局みんな、いつ来るか分からない死に怯えながら生きてる。なんだかんだで死ぬのは怖いんだ。
 だからこの世には医者だって居るし、処方箋だって出されれば薬だってあるし、安楽死だってあるんじゃないか」
彼は黙っていた。僕は捲し立てる。
「それとも君は、殺されるのが怖くないとでも言うのかい?」
ふん、と彼は僕の言葉を鼻で笑った。
「誤解してるみたいだけどさー、ボクはマオを殺したいから生きてきたんだヨ。
 殺されるのが怖かったら、自分をRだなんてそんなのやってられないんですけど。
 それに正直死ぬとか生きるとかどうでもいいんだよネ。お母さんに会えれば、それでいいやって思ってるんだ」
それもそうか、と僕は思った。そうだった。根本的に僕達は相容れない存在だったのだ。
黒と白。交わる事は決してない対極の存在だ。

25 :
    

26 :
彼は皆を喪うのが嫌だったから、もう何も喪いたくないから自殺した。死が救いだった。黒い道だ。
僕はそうじゃない。死にたくない。もう何も喪いたくないから、生きて生きて生き抜いていく。生が救い、白い道だ。
再び会った彼は、マオでなくオルセルグと名乗った。中途半端に自殺しきれなくて、勝手に人格を作り上げていた。
オルセルグは自殺できそうになかったから、自分の中に居るマオをR為に皆をRのだという。
僕も本名のルカ=ミルダじゃなくアスラを名乗った。けれどそれは覚悟を形にしたかったからだ。
それにルカという名前には最早意味がなかった。ルカを知る人が居なくなった今、僕はルカである必要がなくなった。
昔の自分はこの世界を幾らくまなく探してみたところで、何処にも居ない。
落とし物とは違って、そこらの石の裏や箪笥の奥、小説の頁の間に挟まっていたりはしないのだ。
だから僕はルカをR事にした。過去との決別。僕はルカ=ミルダである事を諦めた。
皆をR鬼となる覚悟を決めた。だから僕は魔王であるアスラを名乗る事となる。
僕が皆をRのは、別にルカをR為でもなんでもなくて、ただ僕が生きていたいからだ。
全ては、おかえりルカ、と言ってくれる人を生き返らせる為に。
白い道も黒い道も、巡り巡って結局辿り着いた場所は誰かをR修羅の道。
理由は違えど、彼と僕は道を違えてなどいなかった。それなのに。
「……どうして、僕達は争わなくちゃいけないの?」
僕がかぶりを振って言うと、彼は小首を傾げた。
「知ったこっちゃないんですけど」彼はさして興味なさげに言った。「出会っちゃったから、仕方がないんじゃないのー?」
出会ったものは仕方がない。成程それは真理かもしれないと思った。
だけど、そうだとするなら神様はなんて残酷な事をするのだろう。
殺し合うしかない二人を此所で出会わせて、一体何をさせたかったのだろうか。
僕は少しだけ考えて、やがて答えを出すのをやめた。どうにもうまく言葉に出来そうにはなかった。
「今の僕は……僕を見たところで、皆はルカ=ミルダだと分かってくれると思う?」
僕は彼に尋ねた。その問いは彼が生きているうちに聞いておかなければならない事の一つだった。
「その姿で元がルカだって事を分かってやれって?」彼は嘲笑する。「とんでもないネ!」
僕は笑った。自分でも驚くぐらい力の無い苦笑だった。

27 :
 

28 :
「誰もルカだって分かってくれないなら、いよいよルカは生きているかどうかも分からないな。
 孤独なのは嫌なんだ。アスラを名乗ったのは事実だけど、僕はもっとルカだった証を残して生きていたかったのに。
 なのにどんどんルカは死んでいく。もう僕の体はこんなにもアスラだ。
 最早別物で、人間でさえない。声だって違えば、肌の色も違う。
 神様とは言うけれど……結局他人から見ればただの化け物さ。左手は無いのに、痛みさえ感じない。
 イリア達とまた会っても、僕はもう狂ってしまっていてルカには戻れないのかもしれないと思うんだ」
「それって嫌味?」すかさず彼は言った。「ボクは羨ましくて堪らないけどネ。自分の名残を殺せるんだからさ」
ボクとキミが逆だったら、どんなに良かっただろうね。
彼はそう締め括ると何か考えに更けるかの様に黙り込んだ。
僕は中指と親指で掴む刀を彼の喉元に突き付ける。彼は平然としたままぴくりとも反応しない。
彼は地に大の字に寝転びどうぞ好きにしてくれといった風で、僕は彼を見下す様な構図で立っていた。
僕は全く覚えていないのだけれど、彼が言うには僕達の勝負は一瞬だったのだと言う。
先ず彼が炎を僕にぶつけたけど、僕は全く怯まず彼の頭を鷲掴みにしてぶん投げたらしい。
彼は受け身を取ったが、落下地点には僕が居て、彼を串刺しにしたようだ。
そしてそのまま地面に十三回叩き付けて、二回スタンピングをした挙句唾を吐きかけた。
『まるでゴリラ対アリだね。リンチみたいなものじゃないか』
僕は言った。まったく我ながら酷い話だ。
そうした後に僕は剣を漸く抜いたらしい。彼は傷口を無理矢理焼いて治療したが、僕はすぐさま彼の喉元に剣を突き付けた。
攻防開始から僅か十八秒。勝負ありだった。僕はそこで漸く意識が戻る。但しアスラの姿のままで、だ。
意識が戻ると、まず僕は集気法を使って口内の怪我を直した。怪我があまりに酷くて喋れなかったのだ。
一通りの話を聞いて、馬鹿げている、と思った。そうだ。馬鹿げている。
僕が言うのもどうかと思うけれど、相手は身の丈五メートルほどの化け物だ。対峙する方がどうかしてる。
『勝てるとでも思ったの?』僕が冗談混じりに訊くと、彼は『まさか!』と肩を竦めていた。
『それなのにどうしてわざわざ真正面から挑んだんだい?』と僕は訊いた。

29 :
 

30 :
『プライドだネ』彼は少しも迷わずにそう応えた。『キミとの戦いだけは、逃げちゃいけない気がしたんだヨ』
酷く曖昧な答えだったが、僕は納得出来た。僕にも少し分かるような気がしたからだ。
同族嫌悪―――少なくとも彼もまた、僕と自分がどこかしら似ていると思ったんだろう。
「キミって意外に正気?」
ふと彼が何かを思い出したかの様に言った。
「かもしれない」僕は応えた。「僕が殺したらしいそこに転がってる人を見て、何も思わないくらいには正気かな」
僕は直ぐ側を無様に横たわる死体を顎で指した。
彼が言うには僕が殺したそうだけど、僕にはその記憶がどうにもなかった。
死体は俯せになっていて、辺りには血と肉片が飛び散っている。
僕が心臓を引き抜いてご丁寧に潰したそうだから、どうもこの肉片は心臓だったらしい。
まぁそんな事、あまり興味はないんだけど。そもそもからして、僕はこの女の人がどうも苦手だったのだ。
聖女だか神だかレンズだか奇跡だか知らないけれど、まったくもってうさん臭い。
綺麗事ばかり並べて相手を騙す。詐欺の常套手段じゃないか。
「あちゃあ」
彼は参ったな、という表情をして僕をまじまじと見た。
「手遅れだネ。キミ立派に狂ってるヨ」
「狂ってる? 僕が? こんなに冷静なのに?」
心外だった。こんなに冷静に物事を考えられてるこの僕が、狂ってなんかいるもんか。
そもそも自殺出来ないからって、自分を知っている奴等を片っ端から殺そうとしている様な人間に言われたくはない科白だ。
「冷静だからさ」彼は肩を竦める。「普通自分が無意識に人を殺したって知ったら、冷静でなんか居られないヨ」
そんなものなのだろうか。僕は考えてみたが、全く問題点は見つからなかった。
自分が無意識に人を殺した→意識が戻って、死体を見つける→記憶がないなぁ、まあいいか。
これの何がおかしいのだろう。異常なんて見当たらないじゃないか。変な事を言う奴だ。
「分からないな。僕には君の方がよっぽど狂ってる様に見えるけど」
「え? いやいやボクはまともだけどなぁ。うーん。まぁいいや。
 許してくれそうにないとか許してもらう気もないとか思ってたけど、なーんかどうでもよくなってきたなぁ」
僕が悩んでいると、彼は力無く呟いて溜息を吐く。
「許すって、何を?」
僕が訝しげに訊くと、彼は目を白黒させた。
「……何でもないヨ。ボクが馬鹿だっただけみたい」

31 :
 

32 :
ふぅん、と僕は言った。どうも馬鹿だという自覚だけはあるらしい。
しかしよくよく考えると、僕達がこうして話しているのはそれはそれで奇妙な光景だった。
火達磨のまま突っ伏した子供と、その喉元に刀を突き立てた化け物が世間話をしているのだ。
とっとと殺せばいいものを、と僕は思った。そうだ、自分でもそう思うのだ。
それなのに僕は刀を一ミリたりとも動かす事はなかった。というより動かす気がそもそもなかった。
何度か彼を殺そうと思ったし、殺していいかとも訊いた。それでも喉元を掻き斬る事だけは出来なかったししたくなかった。
何故だろうと僕は幾度となく自問した。
答えのような漠然としたものは僕の中をふわふわと宛もなく煙か何かの様に彷徨っていたが、
僕にはそれをうまく形にする事が出来なかった。
何となくこうなんじゃないか、と言う事は今直ぐにでも出来るのだろうけれど、僕はそうはしなかった。
決定的な理由が上手く言葉に出来る様になるまで、その彷徨う煙を無理矢理掴む事はしたくなかったのだ。
何となくその気持ちは強く触れてしまうと壊れてしまいそうな、そんな気がしていた。
沈黙が暫く続いた。心地良い沈黙ではなく、不自然で居心地が悪くなる類のそれだった。
僕は上手く今の気持ちを説明出来る様な言葉を探していたが、それはやはりそう簡単には見付かりそうになかった。
彼はその間、ゆっくりと燃えながら虚空を見つめていた。紅玉色の綺麗な瞳だった。
焔越しに見る世界は、きっと常に黄昏色をしているのだろう。
夕暮れ時と青空の違いが分からないのかと思うと、僕はいたく彼に同情したくなった。
彼はもう、二度と青い空を仰ぐ事は叶わないのだ。それは僕にとって自Rる理由になるには充分だった。
「殺さないの?」
重い沈黙は彼が破った。僕はこうべを垂れ、暫く口を閉じる。
何と言っていいのか少しだけ悩んだが、やがて僕はこう切り出した。
「僕には無理だ」
その言葉をチョイスした事を僅かに後悔したが、僕は続けた。
「何となく君には生きていてほしいんだ」
「……馬鹿にしてる?」
「してないよ」
彼は怒っていた。当然だ。自分を殺そうとしている人間に、生きてほしいと言う馬鹿がいるものか。
「じゃあ何さ。情けでもかけてるつもりなの?」
「そんなつもりでもないさ」

33 :
「ナニソレ……じゃあ何でさ?」
その言葉には明らかな棘があった。彼がはっきりしない僕に腹を立てているのは明白だ。
参ったな、と思った。これ以上空気を険悪にしない為には意地でも気持ちを言葉にしなければならなくなったからだ。
僕は臆病だしあがり症だったから、そういった作業がとても苦手だった。
「僕個人としては君に恨みはない」
「“恨みはない”?」彼が割り込む。「あんなに怯えてたキミの腕や指をボクが落としたのに?」
「あれは終わった事。仕方がない事だよ。それに見てみなよ、結局君もそのザマだ。痛み分けだよ。
 ただ話は戻るけど、だからその、僕と君が少し似ているから何か意地になっていた部分はあると思う。
 ただ、今君を殺せば僕の中のこのもやもやした気持ちに一生触れられない。
 君をRのは簡単だけど、そうするときっと胸にぽっかりと穴が空いた様な気分になると思う。
 僕等は神で、炎を使って、お互いに名前を捨ててR為に歩いてる。思考は真逆だけど……。
 僕は君に興味があって、だからわざわざここで目的が同じ僕らが殺し合うのは勿体ないというか……。
 まだこの島には殺さなくちゃならない人が沢山いるのに……僕と君のどちらかが消えてしまうのは効率が悪いというか……。
 こういうのって難しいんだよなぁ。うーん、なんて言ったらいいのかなあ……。
 僕は君ともっと話していたくて、違うとことか……説得がしたいわけじゃあないけど、つまり……」
しどろもどろになりながら僕は一生懸命に説明したが、それを纏める適切な言葉は皆目見当がつかなかった。
僕は溜息を吐いて目を伏せた。
「ごめんね、うまく説明出来ない」
彼は眉間に皺を寄せた。僕は慌てて続ける。
「た、ただ僕達のダメージがでかいのは確かだ。この消耗じゃあまずこの先、生き残れないと思う。
 目的は達成出来ない。ほぼ確実に」
「……つまり?」
彼が先を促した。
僕は生唾を飲み込むと一番言いたくない言葉をゆっくりと舌の上で転がして、そして。
「共闘しない?」
言ってしまった。僕はまた酷く後悔した。
今のところ一番言いたい事に近い言葉がそれだったものの、僕は彼と一緒に戦いたいわけではなかった。
僕は彼の複雑な自殺思想を理解出来ないだろうし、どちらかと言えば殺してやりたいという感情が大きいからだ。
「嫌だネ」
彼は即答した。当然だと思った。

34 :
 

35 :
「じゃあ……また僕と戦ってみる? どう考えても君が負けてまた今と同じ状況になるけど」
「……」
彼はむっとして黙った。少し意地が悪い質問だったように思う。
「ごめんね。でも見逃してほしいわけじゃないでしょ?
 というか見逃すつもりはないし、多分君のプライドもそれは許さない」
「まぁそれは一番嫌かも」彼は苦笑した。「キミがボクをRつもりがない以上は、最善は確かに共闘かもしれないネ」
見逃すか、嫌々戦うか、一緒に行くか、二人で仲良く自Rるか。
その四択だ。一つとしてまともな解などありはしない。けれどその中から選択しなければならないのだ。
“選択”。またそれかと思った。此所に来てからというものの選択のバーゲンセール状態だ。
「でも共闘って言葉は嫌なんですけど」
彼が唇を尖らせて言う。僕もそれには同意だった。仲間になるつもりはさらさらなかったし、何かが気持ち悪かった。
「じゃあ、こうしよう。これはハンティングゲームだ。
 僕ら二人で、この島に居る全員を狩る。殺した数で勝者を決めるんだ。横取りもアリで」
我ながら名案だ。屁理屈だけどこれなら共闘とは言わない。
「悪いけどボクは、マオを知ってるヒトだけをRつもりだヨ。
 それに最後二人になったらどうするのさ?」
ところが彼はそう言ってこちらに質した。僕は少しだけ悩んで、
「いいじゃないか、どうせ名簿には“マオ”って載ってるんだ。なら皆殺した方が手っ取り早い。
 二人だけになったら……負けた方が大人しく殺されればいいんじゃないかな」
そう言った。思い付きのこじつけ論にしてはいい線を行っていると思う。
「……PK、アリだよネ? 暇になったら後ろから一撃くれてやるつもりだけど」
彼は暫く瞳を伏せて何かを考えていたようだったが、やがてそう切り出した。
悪くない提案だ、という意味だろう。僕は彼の説得に成功したのだ。
「別に良いよ」僕は快く応えた。「返り討ちにしてあげるから」
彼は渇いた笑いを漏らすと、静かに上半身を上げ胡座をかいた。
むすっとした表情をこちらに向けている。
「アスラ、キミって本当にムカつく奴だなぁ。仲良くなれるかと一瞬思ったけど、多分無理だヨ」
「オルセルグ、君もね。君の考えは一生理解出来そうにないや」
憎まれ口に二人して笑った。仲間意識なんてそこにはちっともありはしない。
あくまでも敵同士で、この同盟はただの利害の一致。僕達の関係はとびきり奇妙だった。

36 :
 

37 :
ただ、悪い気だけはしなかった。それは僕達が、互いに足りない何かを持っていたからかも知れない。
僕にはルカを殺しきる勇気はない。皆の中に居ないから今は死んでいるだけで、僕はとことんルカにしがみついている。
彼にはマオを認める勇気がない。自殺出来なかった弱い自分から、もう一人の人格を作る事で逃げている。
僕達は表裏一体で、白と黒だ。決して混ざり合わない色で、だけど二色とも彩度を喪ってしまっていた。
どうも僕達は致命的な、人間らしい何かを何処かに落としてしまったらしいのだ。
今更お互いにそれを求め合って埋めようとしたところで……きっと、埋められはしないのだろう。
そんな事はわかりきっていた。
「歌ってもいい?」
精神力を回復させる為に休んでいると、彼が突然恥ずかしそうに呟いた。
いいよ、と僕は言う。
「歌が好きなんだね。……何を歌うの?」
心地良い風が吹いていた。風は彼の真っ赤な髪をふわりと掠い、燃え上がる炎をごうと乱した。
僕はずっと、心の中を漂い続ける気持ちを掬おうと躍起になっていた。
それは水に映る光の様に、手で掬うとさらさらと指の隙間から逃げてゆき、簡単には掴まえさせてはくれなかった。
だけれど何十何百とそれを繰り返しているうちに、漸く僕は“これじゃないか”というものが掴めた気がした。
それはもしかすると、僕に足りない何かを彼が持っているんじゃなくて、
ただ僕が捨てたゴミか何かに、彼が無様にしがみついているだけだったんじゃないかと思ったからだ。
「皆殺しの歌かなぁ」
「ひ、酷いセンスだね」
「五月蠅いなぁ、焼きRヨ」
「……ごめんなさい」
恐らく僕は――――――――――――――――彼をとてつもなく、哀れに思っていた。



38 :
 

39 :
【ルカ・ミルダ@アスラ 生存確認】
状態:HP30% TP20% 左肘から先消失 全身痣 肋骨骨折 右手人差し指、中指、小指切断
   アスラ化(秘奥義使用で解除) 全ステータス+
所持品:子供じゃないモン 旋風 黒髭ダガー 少し囓られたルグニカ紅テングダケ
    バクショウダケ クレアの首輪 ピクルスストーン
基本行動方針:優勝してルカの絆を取り戻す
第一行動方針:取り敢えずマオはまだ生かしておき、自らの目的に利用する
第二行動方針:ゲーム開始。暫くの行動方針はマオに任せるが、ロイドは自らの手で殺したい
第三行動方針:まずは一休み
現在位置:E6
【マオ 生存確認】
状態:HP15% TP35% 精神疲労大 火傷・炭化+ 右肩骨折 服がボロボロ 全身打撲
   リアラが超嫌い アニー以降の放送を聴いてない オルセルグ 封魔の石発動中
所持品:忍刀・東風 ワルターのサック 封魔の石 ワルターの首輪の欠片 聖杖ユニコーンホーン
基本行動方針:お母さんや聖獣達に愛されるため、『マオ』を完全にR
第一行動方針:取り敢えずルカはまだ生かしておき、自らの目的に利用する
第二行動方針:ゲーム開始。モリスン邸方面へ向かいつつ、マオを知る者全員をR。
第三行動方針:マオを殺してもリバウンドが治まらなかったら、聖獣に代わりヒトを滅ぼす。
第四行動方針:まずは一休み
第五行動方針:隠された神殿の扉を開く鍵を入手する? (意味があるのか?)
現在位置:E6

※アスラ化に伴いルカのステータスが強化されています
 エルレインの燃えた支給品はルグニカオオ紅テングダケと基本支給品一式です

40 :
投下終了です。支援有り難うございました。

41 :
投下乙です
これは怖い二人
どちらも微妙に改善の兆しがあるようにも見えるけれど
どうなるのか興味深いなあ

42 :
投下乙。そしてGJ
なんつー濃い短文ss。これまたイカれたマーダーペアが誕生したな・・・

43 :
…アスラの声と姿でルカがこの会話してるかと思うとww

44 :
保守

45 :
ほ、保守

46 :
この母子トリオがこんなになっちゃったのは、結局何が悪かったんだろうなあ

47 :
>>46
元のメンタルの弱さとしかいえねえ…
どっちも仲間大勢失ってるからな

48 :
ん、よく見たらトリオか
ルカとマオのことかと思った

49 :
保守

50 :
まとめで読んでてちょっと疑問だったんだけど
ep277でクロエとシンクってスタイレと会ってたよな?
でもep279でスタイレの存在が抹消されてるんだけど
これってどうなってるの?
投下された時の流れ知らないから教えてほしい

51 :
抹消というか、ただ単に279は時間的には数十秒かそこらの繋ぎだからでは?
スルーされてるわけではないかと思う。
クロエも我を失ってたっぽいし、シンクはスタイレの事言おうとしたけど「…………いや、なんでもないよ」 ってやめたみたいだし。

52 :
それについてはこっちも何度も突っ込んだ。あの短い時間の間にあの話は可笑しいと思った。だけど正式にアップされたってことは問題ないとまとめさんが認識したのだからこれ以上言うのは無駄だと思ってそれ以上突っ込むのはやめた。
我を失っていたとはいえ、クロエがスタイレ見つけて憎悪丸出しにしてるのに、そのスタイレに対する意識が次の話で消えてるってのはどう考えても可笑しいと思う。
今からでも訂正させた方がいいか?

53 :
>>50
>>51
ん?って思ってまとめ読んで違和感に気づいた
前スレの>>535の状態表にある

※この話はep277 Hors d'oeuvre on the snow 〜崩壊の輪舞〜の直前の出来事です。

って一文が収録されてないんだ

54 :


55 :


56 :
保守

57 :
最近見はじめて思ったんだけど、このロワのSSっていいタイトル多いよな。

58 :
   非科学的ねぇ……。でもそういうの、悪くないかも。
   結局、人の想いを形にするのが、科学の力なのかもしれないし……。
   あ! これはこれで新しい研究テーマになりそうな予感!


ベルクラントの出力エネルギーはこれの26倍くらいだったかしら、と思いながら隣の鬼畜祭司を見る。
気持ちの入れ替えは無理矢理された様だった。一睡もしていない状況でバルバトスが来る様な最悪のタイミングではあったが、一安心。
罅が入ったレンズの奥では涙に濡れた瞳孔が開いている。視線の先には現在進行形で崩れる塔。
崩れるスピードはクレイジーコメットの詠唱かと思うほどやけに遅い。
開き過ぎた距離は実像を狂わせる。天才と凡人の関係と同じように。
現実感は皆無。フラッシュバックする未来で見た崩れ落ちる外郭。大切な人の死。
未来でミクトランと共闘していた自分。神の眼を“壊さなかった”過去の英雄ベルセリオス。
どれもこれもがクレメンテのエクステンションでも消えてくれない現。
「なんて醜悪な……」
祭司のつまらない感想を無視して壊れた壁を見る。
雪に化粧されないハイデルベルグ城は酷く滑稽だが、吹雪かれないのはそれはそれで良い。
雪は毎日見てたから、好きじゃない。雪は積もるばかりで、雨みたいに汚れを流してはくれない。
天井にぽっかりと空いた穴は綺麗に崩れる塔を景色から切り取る。
少し遅れて地響き。轟く音はラディスロウの起動音よりも若干低く、ベルクラントの一撃が大地を砕く音よりも若干高い。
「ありゃりゃ」
私は肩を竦めてみせた。普通の人間ならここは驚いておくところだと思った。
「前言撤回。着弾角度から見て多分大丈夫だとは思うけれど、」
「破片が落ちてきても対処出来る様に城の外に出た方が、ですね」
「……てっきり冷静じゃないんじゃないかと思ったんだけど、物分かりが良くて助かるわ〜。
 馬鹿やホモやレプリカじゃこうはいかないもん」
天才の言葉を遮ったのは断罪のエクスキューションものだけれど。
しかし、慣れというものは怖い。フィリア=フィリスはここまで精神がぶれない人間だっただろうか、と荷物をまとめながら思う。
適応、というと語弊がある。外的要因により“進化”した……そう言った方が幾分自然かもしれない。
ルーク=フォン=ファブレ。白でも黒でもない三番目の選択は、存外彼女にとって大きな影響力を持っていたらしい。

59 :
そう考えると、やはり私はそうはなれない。見えるのは白か黒。面白いかそうじゃないか。
だから神だってRし、世界だって守るし……逆に言えば滅ぼせる。
“私は外的要因にはなれない”。ソーディアンに人格投射した時点でそんな事は知っていた。
そう。知っていながらわざと人格をコアクリスタルに投射した。
心の底で口を歪めるベルセリオス。“面白い”から仕方ない。目尻に浮かんだ涙を拭く祭司を見ながらそう思う。
「フィリア、荷物は私が持つから代わりにその子背負える?」
「はい」
こくりと頷く祭司。ちらりと視線は懐中時計。長針はやはり丁度12。
「……偶然にしちゃ出来過ぎてるわね」
「時間、ですか?」
フィリアが荷物をこちらに差し出す。
「もちよ。多分計画があった一撃ね。
 制限から考えて出力元は人じゃなく機械。破片の散り方と音から見て砲台はG1方向。規模から考えて持ち運べない初期設置兵器。
 ただ―――」
“塔破壊計画と考えるにはあまりにも妄誕無稽ね”。
そう言おうとした瞬間に南側の空が光る。思わず閉じる口。まさか……いや。
「まさか会場のループ確認の為に」
隣から聞こえる声。鋭さは褒めるけど残念、その解は不正解よフィリア=フィリス。少なくとも理由はそれじゃない。
計画したついでに塔を壊してまでそんな事をする必要が無いし、スマートじゃない。あと何より女の勘。
「詮索は後。まずはとっとととんずらしましょ。
 おしゃべりしてる間にペチャンコにされちゃ、お話にならないわよ?」
「ええ、そうですわね」
荷物を背負い、立ち上がる。祭司も青白い顔の少女を背負い立ち上がっていた。
地面を蹴り二歩目を踏み出すと同時に、脳内にソーサラーリングの熱線。
脈打つ心臓。ずきり、と小さな違和感。がんがんと破片の雨が城の屋根を叩く中、冷や汗がどっと背筋を濡らす。
“おかしい”。
こんな時真っ先に情けない悲鳴を上げて『助けてハロえも〜ん』とか言ってきそうな奴の声がしない。気配もない。
考えられる理由はざっと二つ。城の導師か壊れた塔のオリジナル。うっわ、どっちも最悪。
「ったく世話の焼ける……ッ!」
舌を打ち、弾かれる様に足を止め辺りを見渡す。気配がないのに居るわけない。
隣りの祭司も慌てて足を止め、背からずり落ちそうな少女を背負い直した。

60 :
何事か、といった間抜けな表情。英雄英雄五月蠅い馬鹿を思い出す。

「あの間抜け阿呆赤毛大馬鹿七歳児、どこ行った?」

がらがらと礫の驟雨に打たれる城の中、私の疑問に答えた奴は一人も居なかった。
天才が分からない質問への答えだなんて、相手がソーサラースコープだろうが最初から期待してなかったけれど。

*************

靴の踵が無機質な床を叩いてゆく。乳白色の廊下には、所々に大小の礫が散らばっていた。
普段から丁寧に磨き上げられている廊下だったのだろうが、嵐のお陰で埃に汚れ、むしろ白い部分を探す方が難しい。
廊下を守る様に左右に立つ高い壁には、瑠璃色の小さなタイルが隙間なく敷き詰められていたが、それも罅割れ最早廃墟の貫禄すらある。
埃が被った瑠璃色のタイルは酷く冷たそうで、それに囲まれた廊下の雰囲気はコーラル城の様にどことなくホラーテイストだ。
10メートルスパンで建つ柱には抉られた様に楕円の穴が空き、精巧な金細工が施された燭台が埋め込まれている。
燭台はトライデントの様な三つ又になっていてそれぞれ青白く長い蝋燭が刺されていたが、灯は点いていない。
天井は罅だらけだが奇跡的に生きていて、外からの光は入っておらずいやに薄暗かった。
くたびれた様に上から首をもたげるシャンデリア。幾つか砕けた硝子細工。
城一つが壊滅状態。何処がいつ崩れてもおかしくなかった。それだけ件の“風”が化け物じみていたという事だ。
何かに誘われる様に、俺はそこを奥へ奥へと進んでいた。
こつこつ、と冷たい廊下に音が響いてゆく。ミュウは俺の肩に乗っていた。俺もミュウも喋らない。
喋ってはいけないような、喋れば何か大切なものが崩れてしまいそうな、そんな緊張感が廊下を満たしていた。
やがて、隙間風に気付いた。崩れた廊下の壁から、月光の様に温度が死んでしまった光が差していた。
唾を飲む。喉がやけに生々しく音を上げた。身震いする様な冷気。空気が変わった。
冷めきった色のタイル。積もった塵。沈黙する瓦礫。傾いた蝋燭。くすんだシャンデリア。
息を吸い、ゆっくりとその隙間を覗き込んだ―――嗚呼。喉の奥から、力無く言葉が漏れる。

61 :
嫌な予感はしていた。覚悟も、出来ていた。それでも、それでもあんまりじゃないか。
「……なんだってんだよ……二回も逝っちまう必要なんて、無かっただろ……ッ」
けれどもそれは、奇跡だった。
床に横たわるそいつはさながらスポットライトに当たる主人公。瓦礫達は華奢な身体を丁寧に避けている。
しかし主人公の様に感情を出して動きはしなかった。人形の様だった白い肌は、土気色にくすんでぴくりともしない。
「ありがとうも、ごめんも、言ってなかったんだぞ……何とか言えよ……なぁ……なぁ……!! 頼むよ……!」
木の枝みたく細い手足は、錆びた機械の様に冷たく沈黙している。
切り裂かれた首筋からは黒く固まった柘榴が見えていた。
微笑んでいるのが唯一の救いだった。だけど、それだけ悔しかった。
まるで寝ているみたいだったから。肩を叩けば今にも起きそうだったから。びっくりさせれば、喋り出しそうだったから。
試しに肩を叩く。動かない。叩く。動かない。揺さぶる。動かない。動かないのだ。
動けるはずが、ないのだ。
「俺を置いて、いかないでくれ……………一人に、しないでくれ……」
生死を分かつ様に、天から差す光は沈黙した身体を抱かない。太陽は嘲る様に生身の俺を照らしていた。
膝から瓦礫に崩れ落ちて、薄暗い部屋に嗚咽を撒き散らす。どれだけ不格好でも構わなかった。
守りたかった。守れなかった。運命を呪う理不尽な後悔が、瓦礫を濡らす。
「う……っぁ……ッあぁぁああぁ………ッ!! う"あぁあぁぁァあッ………!」
――――――――――――――――イオンは、死んでいた。

*************

奇跡は癒し。癒しは第七音素。第七音素で出来たレプリカ。惑星の記憶は第七音素。奇跡はレンズの力。奇跡は聖女の力。
それぞれに等式が成立つならば、ルーク=フォン=ファブレはきっとこの世界の未来にとっての“要”だ。
記憶と回復、制限と奇跡、そしてレプリカ。今はまだ材料が足りないけれど、いつかきっとパズルのピースは当て嵌まる。
でも、幾つか疑問もあった。それはルークの情報に矛盾があったから。

62 :
オールドラントの“設定”では、体内音素が消滅すればレプリカの肉体も同様に消滅しなければならない。
第七音素は第七音譜帯に還らなければならない。音素で構成されるレプリカにとって、乖離はレンズと聖女くらい切り離せない問題のはず。
洞窟にアブソーブゲートが存在した以上、プラネットストームが機能しているのは明らか。
ただ、ルークは言った。『イオンの死体を探す』と。
もう最初は馬鹿かと。乖離した死体を探せたらアンタの世界の科学者も寝不足になってないわよ、と言いそうにすらなった。
最初は動揺してレプリカの性質を忘れてるのかと思った。でも直ぐにいくらなんでもそんな間違い有り得ないと気付いた。
そもそもルークの親友だったイオンは一度死んでいる。
私やミクトランならまだしも普通の神経の人間なら、親友の死に様を忘れるはずがない。
だから試しに尋ねた。『イオンはどうやって死んだの?』
ルークは少し悩んで、怪訝そうな顔で『思い出したくない』と答えた。
適当に聞き流したけど、表情と間から考えて嘘。本当は違うと確信した。
思い出したくなかったんじゃなくて―――“思い出せなかった”。
記憶が無くなっている。というより、それがあった事実は覚えているのだから“記録”が無くなっている。
……“記憶”じゃないところに悪意を感じる。
出来損ないのメモリー。天使の“脳内操作”という言葉が真っ先に浮かんだ。
でも、それも違うと女の勘が囁く。
ルークはレプリカの設定は覚えていて、音素乖離も知っていた。ただ、それを過去の乖離と繋げられない。映像もない。
根本的な回路の消失。結果の欠落。だいいち、故意にしては意味が分からない。
レプリカの死体が消えないのも、死体が消える事実がレプリカの記憶から無くなっている事も……恐らく必然。
無理にエネルギー統合をしたひずみ。世界を壊すにはここを狙うしかない。
“奇跡の様に大量の特別なエネルギーを使う何かが起きれば、何かが無くなる”。
仮説の域は出ないけど、簡単に言えばこの世界の仕組みは恐らくこれ。
人は何かの代償なしに何かを得る事は出来ない。等価交換ね……どっかの国家錬金術師かっての。
世界の真理にしては随分甘いと思うのは私だけかしらん。
私が創るならこんな世界にしない。だって詰めが甘いし、壊す事自体は簡単そうだし。
でも何処か引っ掛かる。そう思わせているのがわざとだとしたら? 故意に甘く創ったとしたら?

63 :
  

64 :
……ベルセリオス。もしかしてアンタ、絡んでないでしょうね?
そこまで考えて、溜息。勿論理由は目の前に赤毛が見えたから。途中でメロメロコウを拾った事は関係ない。
ここでざっと状況確認。目の前に広がる嫌な景色。耳から入る瓦礫に打たれる城の気配。緑毛の死体。うなだれる赤毛。
最悪だ、と肩を竦める。これだから餓鬼は面倒臭い。子供は絶対に産まない、と固く決意。
「立ちなさい」
杖で頭を小突く。あらあら、随分冷徹に言える様になったもんねハロルド=ベルセリオス。拍手喝采感心感心。
「ちょっと聞いてんの? 立ちなさいって言ってんのよ」
再び小突くが返事は無い。こめかみがひくつく。この度胸だけは1ガルド以上では買えない。
憤慨と同時に疑問も沸く。純粋にイオンの死体を見つけてこうなったならまだ分かる。
ただ、ルークはイオンの死自体も此所に死体がある事も既に知っていた。ある程度の覚悟は出来ていたはずだった。
それなのにこの間抜けな姿はどうなのよ……いや、待て。もしかして。
「―――――――――――――――――アンタ、まさか」
一つの解が浮かび上がると同時に、その厚い唇は言葉を紡いでいた。
寸でのところで続きの句を飲み込む。空気の読めない口に感動。
無言が続いた。外ではがらがらと瓦礫の雨霰が五月蠅い。下手したらそのうち城が崩れて死ぬかしら、と何となく思った。
圧死は出来れば避けたい死に方。綺麗な死に顔になりそうにないから。
天井の罅から白い粉塵がもくもくと舞い降りる。地響きにパラパラと壁が塵を落としていた。
死んだら取り敢えずコイツを恨もう。そんな風に考える自分はどうやら自分の死すら客観視しているらしい。
増殖するコアクリスタル。試作品に使った自分の人格。狂う感覚、縺れる思考。生身の身体は最早形骸サヨウナラ。
私の本名なんだっけ?
「……アッシュが」
そんな事を悶々と考えていたら、ぽつり、と氷柱から垂れる水滴の様にもの悲しい呟きが耳に入った。
やっぱりか、と溜息。考えられる2パターンを両方クリアしてくるだなんて。
神殺しの女が言えた科白じゃないけれど、神様って本当に残酷よね。皮肉抜きで。
「アッシュが―――――――――――死んだ」
その残酷さを面白いと思う感性は、多分ハロルド=ベルセリオスには無い。
エスト=ベルセリオスやカミーユ=ベルセリオスにはあったかもしれないけれど。

*************



65 :
状況は少しだけ理解してた。今安全な場所に、二人だけで居るって事ぐらいは。
「……ゴメン……横に……なりたいん……だけど」
自分でも驚くほど呂律が回らなかった。
たかが十数文字。でもそれを相手が聞き取れる様に発音するのは酷く疲れる。
ただこんなに華奢な女の子に背負われている負い目の方が、何だか余計に疲れる気がした。
迷惑を掛けていると思ったら中々寝付けもしない。
「起こしてしまいましたか。すみませんマルタさん。ハロルドさん達が来るまでもう少しだけ待ってましょう」
小さな背から私を下ろし、毛布ごと地面に寝かせる女の人。指がすらりと細くて肌が雪みたいに白くて、手付きは今まで見た事ないくらい丁寧。
大切にされている。それが指先から伝わってくる様で、なんだか目の奥が無性に熱くなった。
「……“さん”は……抜きで、いいよ……」
「分かりました、マルタ。でも、出来るならもう喋らない方が……」
心配そうでいて、どこまでも優しい声。フィリアはまるでお母さんみたい。
その顔も確りと見たかった。でも視界は何だかソダ間欠泉みたいに靄が掛かっていて、何が何だか分からない。ごめんね。
「……いいの……喋れる、うちに……喋って、おかない……と……」
何となく。本当に何となくだけれど。私、わかった事があった。
それは溜め込むには余りにも重くて、でも皆に吐露するには勇気がなかった。
だから周りに誰も居ない今しか、それも貴女だから……このタイミングなら言える。
「――――――――――もう、私……って、助からない……ぽいよね……えへへ……」
ねぇ、私、ちゃんと冗談っぽく言えたかな。
「……。そんな事ありません。絶対に助けますわ」
「…………あり、がと……フィリア……」
「だから今は、出来るだけ休んで下さい」
気休めって事は、知ってるんだよ。
ただの風邪とかじゃない事も知ってた。自分の身体の事はやっぱり自分が一番よくわかるし。

66 :
寝てばかりだったから曖昧だけれど、時間はもう発症してから随分経ってると思う。
自慢じゃないけど、私は病気になった試しが殆どない。小さい頃元気なだけが取り柄な女の子だったんだから。
それがこうなった。重い病気なんだなって事ぐらい、私にだって分かるんだよ? フィリア。
ある程度の普通の病気なら、レストアやアンチマジック、パナシーアボトルで治るもの。
それなのに、ホウなんとかっていうすっごい薬でも無理だった。そんなのもう治るわけない。
診察だってしてくれてるけど、本当は何もわからないんだよね?
感染症だったらどうするの? 足手纏いになるだけでしょ?
人質になった事も知ってるよ。皆を困らせてる事も知ってるよ。
フィリアに力がない事も知ってるよ。腕を震わせながら、私を無理して背負ってくれてたのも知ってたよ。
この島でホウテイなんとかっていうのがどれだけ貴重なアイテムかぐらいは私にだってわかるんだよ。
もう施しようがない病人なんて放って行けばいいのに。どうせ助からないのに。それなのに。
なんで、なんで……なんで。
「……なんで、皆……こんなに……優しいのよぉ……?」
自分でもびっくりするぐらいに震えて消え入りそうな声だった。
それに応える様に静かに頭を撫でるフィリアの軟らかい手。小さいのに優しくて、強くて、温かい。
だから、少しだけ嫌だった。
「……やめてよ」
決壊しそうになる何かを必死に押さえ付ける様に呟く。フィリアは何も言わず私を撫で続けた。
優しさは薬で、毒だった。私の弱い傷に染み込んで、中から殺してしまう毒。
「やめてったら……」
唇がわなわなと震える。感情が喉元まで出かかっていた。フィリアは何も言わずそんな強がる私を優しく抱き締める。胸の奥が苦しかった。
不意に頬に跳ねる滴。涙だと気付くまで時間はさしてかからなかった。なんでよ、と思う。
なんでフィリアが泣いてくれるの。私なんかの為に。こんな死に損ないの奴の為に。
どうして貴女みたいに優しくて強い人が、震える必要があるの。ねぇ。
「……フィリア」
強く強く、胸に顔を埋めてゆく。少しでも歪んだ顔を見られたくなかったから。
碌に出ない声を、情けない感情を振り絞って、ゆっくりと口を開く。

「……死ぬのは、怖いよ……」

言葉にすると同時に、感情がどっと心の堰を抜く。汚い嗚咽と一緒に大粒の涙が溢れた。

67 :
 

68 :
ぼろぼろと夕立みたいに、今まで出た事のないような量の涙が頬を無様に濡らす。
情けない。情けないんだ、本当に。私ってば守られてばっか。昨日から何も変わってない。
“もう、足手まといとか、誰かに守られるのなんて、嫌、だから”。そう考えてたのは何処の誰だっけマルタ=ルアルディ?
ユージーンを見殺しにして、キールに迷惑かけて、皆を困らせて。守られて。
挙句の果てに私自身がもう、半分生きる事を諦めちゃってる。それでまたフィリアを困らせて。
申し訳なくて、情けなくて、悔しくて。涙が出て。そんな何も進歩してない自分にどうしようもなく腹が立った。
私の腕と足は何の為にあるんだろう。目は何処を見てるんだろう。
こんなに細い腕の人に身体を背負わせて。皆は私を守る為に沢山傷付いて、戦い抜いてくれた。
私って、ダメな子だなぁ……。最低の女。こんなにも自分が弱い生き物だったなんて、知らなかった。
また誰か私の為に無理して死んじゃうんじゃないかって、今だって怖くて震えが止まらない。
ハロルドとルークって人も、私に薬を飲ませる時間がなければ今頃一緒に外に避難していたかもしれない。
私のせいだ。全部私が情けないから。いっそ、私をあの崩れそうな城に置いてきてくれていた方がどれだけ楽だったか。
でも、それでも、死にたくない。死ぬのはやっぱり怖いんだ。
守られる事にどこかで安心して、頼っちゃってる。
「一つ……だけ、いいかな……?」
死ぬのはとても怖い。でも、もしもの時の為に覚悟は絶対に必要だ。
「何でしょうか」
だからこれだけは言っておきたい。そう思った。
「……私が……死……んで、もし、エミルが……暴走、しちゃっ……たら……」
これは女の子同士がするには酷な話だけれど。だけど、女の子にしか言えない話。
私自身が一番言いたくなかった言葉。信頼とか愛とか、そんな類のものを全部ぶち壊してしまう様な話。
最悪な事を言おうとしている自覚はある。迷惑を更にかけてしまう自覚も。
世界が壊れちゃう可能性なんてこれっぽっちも考えてないし。頼りたくないのに、一番頼ろうとしてる。
でも、何も言わないよりは覚悟が出来るから。
だから言います。

「――――――――――――――――エミルを、殺して」

私って、ほんとバカ。

*************



69 :
「あっそ。取り敢えず立ちなさい」
襟元を掴み、ぐいと引っ張る。辛いのはわかってる。だけど同情なんか絶対にしてやんない。
ルークは人形みたくだらりと項を垂れている。少し引き摺るが、意外に重くて断念。カイルの方が少し軽い気がする。
温室育ちのボンボンは流石にいい餌与えられて生きてるわ。
「……あのさぁ。自Rるつもりなら止めないけど、私までRつもり?」
ルークはぴくりとも動かない。次々に思い浮かぶ残酷な言葉。
サディストになったつもりはないが、感情を抑制出来そうにもない。
だから私は杖を思い切り振りかぶって……そのままルークを殴った。手加減は全くしない。
飛距離に少しだけ驚く。思いのほか人って吹き飛ぶものなのね。遠心力のお陰かしら。
不意に見えた不抜けたルークの顔に腹が立つ。
もう数発入れてやればまだ見れる顔になるかねとも思ったが、餓鬼にこれ以上付き合ってやる時間が惜しい。
「あっそ。無視ね。いいわ、じゃあ勝手に言うから。
 で、いつまでそうやって餓鬼みたいに駄々こねてんのよ。精神年齢まで七歳児のつもりなの?
 それとも人を苛々させるのが趣味? なんなの? 馬鹿なの? 死ぬの? 不幸自慢もいい加減にしなさいよ」
癪に触ったのか、地面に倒れる身体がぴくりと動く。だけど私は続けた。口が続けたがっていた。
「あぁそれともアレ? レプリカって性格まで欠陥品なの? 流石は劣化模造品(笑)」
最悪だ、と思った。人が嫌がる事をして、挑発して、暴力振るって皮肉って。こちとら面白くもなんともなかった。
だけどこんな方法でしか私は人を動かせない。何かの為になんかなれやしない。
憎まれ口叩いて悪者になって、結局いつも通りのハロルド=ベルセリオス。損な性格だわ。
どうですか凡人の皆さん。天才なんて所詮この程度なのよ。
アンタらの気持ちは確かに分からないけど、アンタらだって私の気持ちは分からない。そうでしょどっかのベルセリオス。
「そこの死体も欠陥品(笑)だから死んだんじゃない?
 アンタのオリジナルも劣化してたから死んだのかしら? 下 ら な い 命 だ こ と !」
瞼の裏側にトゥインクルスター。ばちばちと星達が散って、銀河の向こうへ落ちてゆく。
身体が綺麗な放物線を描いて、あっというまに瓦礫へダイブ。手加減らしきものは一切無かった。
あのねえ、天才だって痛いのよ。

「今の言葉、取り消せよ」


70 :
じんじんと左頬が痛む。だけど目の前の赤毛が随分とマシな顔になって少し安心。うん、やっぱ性格最悪だわ私。
「……少しは目ぇ覚めた?」
私の言葉がスイッチだった。ルークの荒振る息遣いが徐々に収まっていく。
自分のした事と状況が漸く理解出来たようだった。
何人か殺してそうな目が徐々に円くなっていき、握り過ぎて血が滲んだ拳ががたがたと震えだす。壊れかけの機械みたい。
「お、俺、おれっ……なんてこと……ッ……こ、こんな、時、にっ」
ルークは目を潤ませ、目も当てられないくらい腫れているだろう私の顔と、自分の拳を交互に見る。
動揺している様子は意外に本当に七歳児と遜色無くて、私は少しだけ肩を揺らした。おっかしい。
「こんな時だからよ、ルーク」
私は笑いを堪えながら言う。ルークは青白い顔をぶるぶると左右に振った。
「ごめん……ごめんな……ハロルド……ごめんっ」
私は立上がり、震えるルークの額を杖で小突く。しつこい男は嫌われるのよ。
「はいはい、もういいから。お互い様だし。……アンタのやるべき事は何だった?」
ルークははっとした表情の後、息を大きく吸って目を開いた。私は感心する。
「――――――――――――“今、出来ることをする”」
切っ掛けさえ上手く与えてあげれば切替えはこんなにも早い。馬鹿だけど良い子ね。
「おっけ〜。んじゃ耳の穴ドリルでかっぽじってよく聴きなさい」
「ドリルって……」
「いいこと? 私はまだやる事があるから、今すぐアンタだけ避難しなさい。外でフィリアとマルタが待ってるから。
 私も直ぐに後を追うから心配しないで」
やる事がある、と聞いて僅かにルークは怪訝そうな表情をしたが、直ぐにいやいやとかぶりを振った。
「でも、そしたらイオンが」
ま、当然の疑問か。勿論想定済みだけど。
「大丈夫、この分だと城は多分崩れない。また後から来れるわ。早く!」
少しだけ、急かす様に演技。ルークは慌てて頷いた。私ってば女優向き? 今度科学者辞めてみようかしらん。
「ッ分かった! 外で待ってるからな!」
「わかったわかった。んじゃ、また後でね。
 それと、どーせアッシュとの通信あったんでしょ? またその時にでも話してね〜」
「あ、あぁ!」
ひらひらと手を振る。だるそーに適当に、心底どーでもよさそうに。
稀代の天才科学者ハロルド=ベルセリオスは、こんな時でも余裕のよっちゃんなのだ。


71 :
「……さて、と」

ふう、と深ぁい溜息を一つ。これで厄介者三人と一匹は消えた。漸く本来の目的の為に動ける。
ここからはマッドサイエンティストの退屈な考察時間。暇な人以外は飛ばしていいわよ。
ところで“崩れない”というのは実際嘘じゃない。この城はそんなにヤワな構造じゃない。避難は本当の本当に念の為。
破片も銃撃が南西のG1からだから、被害は実際北東が主になる。塔よりやや北西の此所に深刻なダメージが来るとは到底思えない。
ただ“崩せないか”と問われれば話は別だけど。まあとどのつまり、最初っからこれに乗じて崩すつもりだったんだけどね。
それにしても、と目的だった華奢な男の子の死体を覗き込む。
本当にレプリカの死体があったとは、流石の天才も半信半疑だった。
触れるし、ホログラムじゃないのは明らか。触れた感じ普通の死体と変わらない。
レプリカ技術フォミクリー、ね。大したものよ本当に。
だけど開発者のジェイド=カーティスとディスト、貴方達は憂い後悔してることでしょう。
この技術は確実に禁忌……私が関わっていなくて本当に良かった。
それはそれとして、レプリカの死体があるのはやはりおかしい。理論と結果のパラドックス。
第七音素が乖離しないなら、回復術で具現した魔方陣も消えない道理。でもそれはきちんと消える。
じゃあ死体は何故消えない? 意味が全く分からない。存在自体が世界の矛盾。やっぱり人払いして良かった。
貴重なサンプル、土葬や火葬されちゃかなわないもん。
―――――――――――――解剖するなら、今しかない。
その前にと、サックから氷漬けの頭部を一つ取り出す。サレの元に乱入する前にたまたま見付けたので刈っておいたものだった。
名簿は一度目を通して暗記したけど、念の為もう一度広げてみる。
……うん、間違いなくリカルド=ソルダートのものね。
この名簿、どうやら単純に同じ世界の人間を纏めたものらしい。
配列は世界毎に人物アルファベット順。私の世界やミトスの世界、ルークの世界とフィリアの世界が同じ法則で並んでいた。間違いはほぼない。
世界自体の並びは現時点では謎だけど、ここまで規則的にやっておいてランダムではないだろう。
最初は世界自体の順番もアルファベット順だと思ったが、どうも違うらしい。
というのも、名簿ではクレス=アルベインの世界から始まり、アリスの世界の計十一種で終わる。

72 :
しかし、ミトスの話だと十一番目のアリスの<リヒター=アーベントの>世界は、五番目記載のミトスの世界と同じらしいからだ。
故にアルファベット順は有り得なくなった。
そもそも二番目と四番目にそれぞれ私の世界とカイルの親の世界がある時点で疑問だったけど。
まぁそれは三番目の世界に知り合いが居なかったから保留してただけなわけで。
……結局、マルタの情報入り名簿でキール=ツァイベル達の三番目の世界が私達の世界とは完璧に違う事が分かって、保留も崩れたんだけどね。
そして、リカルド=ソルダート。コイツの世界の参加者はルカ=ミルダ、スパーダ=ベルフォルマ、イリア=アニーミ、ハスタ=エクステルミの計五人。
ここからこの城であった事件がある程度予想出来る。フィリアの話によれば、スパーダ=ベルフォルマは昨日の昼に此所に居たらしい。
そこにはウッドロウと……死体の硬直を見る限りイオンとリカルド、そして敵であるアリスが居た。
けれど、リカルドとイオンの死体は離れ過ぎている。アリス一人と好戦していたとするならおかしな距離。
そしてスパーダの話。彼はイオンは自分が殺したと言っていたらしい。
守れなかったのかイオンが庇ったか。イオンの死体の拷問痕――素人がやったとは思えない――から考えて、多分人質になってたんだろうけど。
アリス一人にイオンとスパーダが対峙していたなら、それは理解出来る展開。でもそしたら、ウッドロウとリカルドは?
恐らく、敵は拷問が得意な軍人か何かのアリスと、もう数人居た。
スパーダは拷問中のイオンを助ける為にアリスと、そしてウッドロウは別の敵と戦っていた。
もしかしたらその敵がリカルドだったのかもしれないが、ミトスの話によるとスパーダはリカルドが仲間の様に言っていたとのこと。
何にせよ結果的にリカルドとイオンは死に、アリスは逃亡という筋書きね。
「……ってか、あのチーグルに訊いてれば早かったしもっと正確だったわね。後で尋ねなきゃ」
この殺し合いは実のところ情報戦だ。如何に多くの有益な情報を集めて優位に立つかに鍵がある。
情報は相手が敵だろうが仲間だろうが交渉の道具になる。
今回掴んだ情報は大した事ないけれど、いつか必ず役立つ時は来るはず。
リカルド=ソルダートの首もそう考えれば貴重だ。
この世界の人間は、剣になったスパーダは特例として最早ルカ=ミルダしか生存していない。

73 :
ルカの事はスパーダが心配していたらしいから、多分メンタルはそう強くないだろう。
なら仲間に入れられる可能性は考慮しない方がいい。
腐敗していない状態で貴重な世界の人間を保存出来たのは予定外の利。
何よりこの世界の人間は“変身”出来るらしい。
スパーダはデュランダルという大剣へ、そしてミトス曰くルカはアスラとやらへ。中々面白い能力だ。
まぁ、そんな人間よりもよっぽど貴重なのが……。
「アンタなんだけどね。導師イオン」
苦無をポケットから取り出す。死体を辱めるのは気が引けるけど、レプリカの死体ともなると悪いけど垂涎モノだ。
それに導師という能力も稀有で気になる。
「ゴメンなさいね、これも科学者の性なの。世の為、皆の為よ。
 大丈夫、ちゃんとルークには見つからない様に城は壊してから脱出するから。隠蔽工作隠蔽工作♪」
我ながらいい笑顔が出来た。流れる様な動きで首元に苦無をあてがう。
ゆっくりと白い肉に黒い刃が沈んでいって、そして―――

「……なに、やってんだよ。ハロルド」

―――なぁんでアンタが戻ってきてんのよ七歳児ぃ。
私は本日何度目かの溜息を吐いて、舌打ちを我慢しながら静かに振り返る。
聞き間違いかと思って少し期待した自分が馬鹿だった。きちんと両足を地に着けて、目の前に忌々しい赤毛が立っている。
手には支給品袋。忘れたから取りに帰ってきたんだろう。どんだけタイミング悪いのよアンタ。
自分の不運っぷりと周囲の確認不足に心底うんざり。誰でもいいから時間を巻き戻して頂戴。
「参ったわね、まったく」
弁解不可能。逃走意味無し。苦無は右手。導師は左手。凍った首は足元に。状況証拠ばっちり。現行犯ね、あら素敵。
あーあ、皆Rばいいのに(笑)

74 :


【ルーク・フォン・ファブレ 生存確認】
状態:HP65% TP90% 強い決意 第2放送の遅れが気になる 全身に傷・打撲・痣
所持品:ソウルブラスト ミュウ ミスティブルーム ルークの日記 ペイルドラグ ガーネット
    ダイヤモンド 基本支給品一式三人分
基本行動方針:今自分に出来る事をする
第一行動方針:なんで……
第二行動方針:まず塔へ。その後チャットを探しに南へ
第三行動方針:マルタに協力する
第四行動方針:アリスを探してイオンの仇を取る? 当時の詳しい状況をミュウから聴きたい
第五行動方針:スパーダ・ジューダスが気になるのでハロルドに尋ねる
現在位置:B2・ハイデルベルグ城内部
【フィリア・フィリス 生存確認】
状態:HP60% TP55% 巨大な魔力が少し気になる 打撲や裂傷 髪が梳けている 眼鏡に罅
所持品:レンズ×10
基本行動方針:仲間を探しながら情報収集に徹する。ルークに着いて行く。
第一行動方針:どう返答するべきか?
第二行動方針:状況が変わってしまったので取り敢えず皆を待つ
第三行動方針:スタンを信じるが容赦する気はない
現在位置:B2・ハイデルベルグ城正門前
【マルタ・ルアルディ 生存確認】
状態:HPTP100% 右肩に傷跡 右の片袖無し 空腹 死への恐怖 フィリアを信頼
 センチュリオン・コアの存在への不安 デスガロ熱一時沈静化
所持品:エミルのマフラー 鬼包丁 レンズ×5 情報入り名簿 石 蟻地獄人の人形 毛布×2
基本行動方針:死ぬまでにエミルに会いたい。生きていたい。
第一行動方針:エミルにマフラーの件を謝る
第二行動方針:状況を整理したい
現在位置:B2・ハイデルベルグ城正門前


75 :
【ハロルド・ベルセリオス 生存確認】
状態:HP75% TP60% 仲間達が心配 巨大な魔力が気になる エミルを僅かに警戒 ルークの日記インプット
所持品:天才ハロルドの杖 スペクタクルズ×82 ローレライの宝珠 紫電 苦無×18 メロメロコウ(残量二割)
    とうもろこし ミスティシンボル  マジックミスト レンズ×14 メンタルバングル
    リカルドの頭部・首輪
基本行動方針:面白くないのでゲームには乗らないが殺しは認める
第一行動方針:さて、どうしますかね
第二行動方針:状況が変わったので皆と状況整理。今のところ行き先はまず塔が妥当か
第三行動方針:城での事件についてミュウから詳しい話を聴く
第四行動方針:G2へ向かう。ついでに塔を破壊した兵器も調査し、チャットとクレメンテもGETする
第五行動方針:フォルスの特異性について調査、R世界の住民に接触する
第六行動方針:スペクタクルズで未知の種族のデータ採取!
第七行動方針:次にロニに会ったらR
現在位置:B2・ハイデルベルグ城内部





退屈だ。
男は思った。会話は無いし、目線も合わなければ欠伸すら聞こえる。気まずい時間だけがだらだらと流れてゆく。
薄暗い部屋の中、対面の気怠そうに座る女は仏頂面で一言も発そうとしない。
男の手、縁が掛けたやや小さなグラスには赤ワイン。いつぞやの総指令のものには劣るが中々な代物だった。
女の方には目盛が付いた三角フラスコ。女は机に突っ伏しながら、自分のフラスコへワインを注ぎ机の縁を指でなぞる。
目線は窓の外。しんしんと積もる雪を23分間飽きもせずぼうっと眺めていた。
男はそれでも口を開かない。ここで開けなくとも、女に真意は筒抜けだろうと思ったからだ。
部屋は薄暗い。軍施設なこともあり元々明るくはない事を考慮しても暗かった。
やや切れかけた白熱灯の明かりが女の横顔を照らす。青白く儚げな光は女の肌を死人の様に冷たく見せた。
「で?」
やがて長い沈黙に負けたのは、意外にも女の方だった。
伸びをしつつ机から上半身を怠そうに上げ、三角フラスコを顔の前でゆらゆらと回転させる。
「ハッキリ言いなさいよ。口説こうとしてるの? ベッドに行きたいの?」

76 :
ここで終わり…?
投下しますも無かったから投下終了もないのかな
ハロルドのやっちまった感がやばいな
次どうなるか期待
あとマルタの発言…こっちも今後彼氏側の反応に期待

77 :
酷いジョークだ。男は腕を組み、女を睨んだ。滅多な事は口にするもんじゃない。
「冗談よ」女はげらげらと下品に笑う。「立派な奥さんいるもんね」
ワインを一気に飲み干し、溜息を一つ。男は頬杖を付いて天井を見上げた。
錆びたパンチングメタル。少し曲がったランプシェード。部屋の隅には蜘蛛の巣。とても人が住んでいるとは思えない部屋<ラボ>だった。
「……ねえ」
女がつまらなそうに呟く。男は埃が被った少女趣味のぬいぐるみから目線を女へ移動した。
「あんまり焦れったいと解剖するわよ。
 分かってる? アンタが二人で話したいってんだからわざわざこうしてやってんのよ」
女はワインボトルを掴み、自分と男のグラス<三角フラスコ>にそれぞれ注ぐ。男は再び溜息を一つ吐いた。
「意地が悪い真似はよしたらどうです」女の長い睫毛がぴくりと動く。「もう分かっているでしょう?」
女はぐふふ、と笑う。
「何の事かしらん」
男は眉間に皺を寄せると、腰に下げた剣を抜き机に置いた。コアクリスタルはくすみ、沈黙している。
女は視線をわざとらしく逸らした。男の顔に深い影が落ちる。
「はぐらかさないで下さい、大佐」
男はやや強い口調で言った。女は肩を揺らしてぐふふ、と笑う。
酔いが回っているのか頬は髪の色と同じローズピンクに染まっていた。
「知らなぁい」
ガダン、と音。男が机を叩き立ち上がる。
その拍子に机の上のソーディアンの耐久力資料――尤も資料が机と床を埋め尽くしていたので大した問題ではなさそうだが――がばさりと落ちた。
怖い怖ぁい、と女は全く動じずワインを飲む。
「工兵隊隊長らしからぬミスですよ、これは」
「……しつこいわね」
男の苛立ちに女も悪態をつく。徐々に悪くなってゆく空気に、らしくないなと男は思った。お互いに、だ。
「何をしたかったんです?」
男は深呼吸をした後、椅子に座りながら言った。
「別に、何も。ただのミスよ」
挑発的な態度と発言。男は冷静になれ、と自分に言い聞かせる。
「そのうち他のソーディアンマスターも気付き始めますよ。
 むしろもう違和感を感じているメンバーは居るかもしれません。
 シャルティエに到っては最近毎日の様に喧嘩をしているみたいですしね。
 貴女が平静を装っていられるのもあと数週間ですよ」
捲し立てる様に口が次々に言葉を掃き捨ててゆく。

78 :
シャルティエの件は敢えて言う必要もなかったかとも男は思ったが、時既に遅し。
女は、ふぅん、と面白そうに口角を上げていた。しまった、とばつが悪そうに顔をしかめる男。
「アイツらどんな喧嘩してんの?」
「話を逸らさないで下さい」
眉間を揉みあからさまに嫌がる男。女は下品に笑う。
「そう言わないでさぁ。教えて頂戴、イケメン情報将校さぁん」
「……それよりソーディアンです」
男はキッパリと話を断ち切る。
「相変わらず無駄にクールなのね。アンタが居なくなりゃ地上軍拠点の永久凍土も溶けるんじゃない?」
女はつまらなさそうに皮肉ると首の骨を慣らした。男はそれに構わず続ける。
「何故、こんな問題が起きたんですか?
 私ですら予想出来た事を貴女が理解していなかったわけがない」
女の指先がぴくりと動く。張り詰めた空気が部屋を満たした。
問題とは勿論、精神多干渉による人格崩壊問題の事だ。
「ましてや完璧主義の貴女が何故納品期日を無理矢理伸ばさず欠陥を黙認していたのか」
人格照射の提案があった時点で、本当は女には全て分かっていたのではないか。そんな疑問が男にはあった。
分かっていてわざと作戦を強行したのでは。場合によってはイクティノスが壊れる事も、カーレルが死ぬ事も計算だった、と。
「それに、この部屋にはベルセリオスが見当たりませんが今何処に―――」

「興味ないわね」

男は口を閉じざるを得なかった。キッパリと告げられたその言葉が有無を言わさぬ何かを持っていたからだ。
女は祈りを捧げる様に指を絡ませ、口元を隠していた。表情は見えない。
見えないからこそ、男は僅かに恐怖を覚えた。……一体この女は何を考えているんだ、と。
「凍結、されますよ」
「兵器にはよくある話よ」
「経歴に傷も付きます」
「天才に傷が付いても天才っしょ」
「きっと予算も減らされます」
「貯金なら兄貴のがあるし」
「技術も封印でしょうね」
「永遠に私だけのものね。光栄だわ」
「責任追及もあるでしょう」
「言い訳は千通り用意してあるわよ」
「誤魔化し切れるレベルの問題じゃないはずですが」
「そちらの言い分には根拠が無い」
「根拠?」
「そ。私が悪いと言うならその根拠を述べなさい」
言葉に詰まる。完封だった。的確過ぎる意見だ。
“天才だから分かって当然だった”。
そんな理由は通用しないし、何より女は証拠を残すほど温くない事を男は知っていた。

79 :
「……無いでしょう?」
女はにたりと笑った。悪魔の様に凶悪で薄っぺらい笑みだった。
「これは私の凡ミスなのよ、イクティノス」
「凡ミス?」
男は質した。
「凡ミスよ。“そうじゃなかったとしても、そうなるの”」
女の声のトーンが低くなる。男は漸く言葉の意味を理解した。
「事実と歴史は私の凡ミスを認めざるを得ない。“悪者なんて居なかった”という記録が残らざるを得ない」
故意だって証拠、何処にもないから。女はそう続けると岩の様に黙り込んだ。
白熱灯が不規則に点滅しだす。女の表情は未だに見えない。
男の喉がごくりと鳴った。底知れない恐怖が不安となり心を鷲掴む。
「……そういう様に、仕向けたんですか……?」
女は間髪入れずこくりと頷いた。鉄の様に無機質な双眸が男を見ている。
自分達は、とんでもない化け物を飼っていたのかもしれない。男は思った。
戦争が終わった今、ミクトランもカーレルもこの世に居ない。
天才を止められる人間は最早何処にも居ないのだ。その気になれば、何時でも世界は……。

「な〜んてね。全部ウソよ、ウ・ソ」

「あぁ、嘘ですか。まったくいつもいつも――――――――――――――は? 嘘?」
は? 男は困惑のあまり繰り返した。どこからどこまでが嘘だと?
「本当は、本当に凡ミス。というか分かっててやったのよ。あの短期間で地上軍が勝つにはそれしかなかったから。
 完璧にはしたかったけど、あれ以上開発が遅れると十中八九地上軍は負けてたわ」
舌をペロリと出してウインク。男が呆気に取られている様子を尻目に、女は肩を竦めて話を続ける。
「他に手段がないなら無理に完成させてでもそれに掛けるしかない。でしょ?
 それに照射した人格が崩れ始める日数もだいたい計算して造ったの。
 実際、問題起きたのは戦争終わってからでしょ? 目論み通りよ。
 アンタの場合知識と勘と疑念があった分、それが早かったみたいだけど。これはちと予想外。
 シャルティエのは性格的に予想内。アイツらが喧嘩しないわけないし。でも馬鹿だから気付かない。
 クレメンテは性格が落ち着き過ぎてるから気付かないだろうし、ディムロスは馬鹿だから最後まで気付かないでしょうね〜。
 アトワイトはあれでたまにヒステリーだからそろそろ気付く頃かしら。ぐふふ」
男は間抜け面で馬鹿みたく頷く事しか出来なかった。

80 :
ケロリとした女の表情はいつも通りだが、ここまで徹底しているといっそ清々しい。
「じゃ、じゃあ今まで黙っていたのはっ」
「それはまぁ単純に士気の問題よね。一つ質問しよっか?
 イクティノス、アンタ戦争する前に地上軍最終兵器が使用者に精神崩壊させる欠陥品だって知ったらどう思う?」
女は人指し指を立て、小首を傾げた。考えるまでもない質問だ。
「うぐ……確かに使いませんが……」
誰が最終決戦にそんな危険な代物を担いで行くものか。
「でしょ? んで、私からはその欠陥は言わずに軍報会議まで、責任追及まで待つ。
 後天的なただの予期せぬエラーなら責任も最少で済むから、証拠は勿論文字通り消し炭にしてあらゆる数値も改竄したわ。
 あくまでも私は“えぇ〜っ!? ソーディアンにそんな問題があっただなんて知らなかったわ〜リトラー総指令さま〜っ”ってなわけ」
「卑怯な……」
半ば呆れた様に男は苦笑する。白々しい演技も相俟って余計に酷い。
「ぐふふふふ。最上級の褒め言葉ね。
 ま、私以上の天才は居ないから、私が分からなかった事を攻められる人間もこの世には居ないし。
 それに何より戦争は終わってるから。これが戦争の途中なら大問題だけど、勝ったからいいのよ、勝ったから」
確かにその通りだと男は釈然としないながらもごちる。
機械を扱う身からすればその芽を潰さず放置したのは大問題だが、一般大衆から見れば終わり良ければ全て良しだ。
地上軍は天上軍に勝ったのだ。そしてその一番の功労者ハロルド=ベルセリオス大佐。挙句、大切な兄も戦争で喪っている。
罪や疑惑を洗い流すにはそれらの称号は充分だった。
「……どう? これが真実よ」
目前には目を輝かせたしたり顔。男は参ったと言わんばかりに諸手を上げた。
あまりに単純な真実。事実は小説より奇なりとは言うが、どっこいこれは逆に陳腐だ。
「忠告してあげる」
ふと思い出した様に女が呟く。
「忠告ですか?」
「そ。アンタは深読みしすぎなの。そんなだから熱血核弾頭に頭が固いインテリって言われんのよ。
 わかった? イ ン テ リ 少 将」
大きなお世話だ、と男は腹の底で唇を尖らせた。確かに深読みするきらいはあるけれど。
「……覚えておきます」
インテリ結構、と男はグラスのワインを自棄酒とばかりに飲もうと手を伸ばすが、こめかみに当たる女の細い指。
額にスイッチは付いていなかったはずだが、と怪訝そうな表情。

81 :
「……何ですか?」
「一つ約束して」
「はい?」
珍しい事もあるものだと男は目を円くした。女から取引以外で口約束を持ち出してくる事なんて滅多に無いからだ。
「あんまりしっつこいからアンタだけには喋ったけど。口、堅いわよね?」
男は少し返答に迷った。折角の弱みだ、たまには少し反撃しても良いかと思ったからだった。
「……勿論。解剖されたくはないのでね」
だが、堅くなかった場合を想定して素直に頷く。
脳裏に思い浮かんだのはざっと10パターン。その全てが解剖ENDでフィニッシュだったからだ。
「ぐふふ。わかればよろしい。これでホルマリンを追加注文しなくてよくなったわ」
一瞬、円柱状の硝子張りの標本に自分の死体が入れられている様子を想像して男は身震いした。
洒落にならないし、相手が相手だから本気でやりかねない。
「ささ、納得したならとっとと帰った帰った!」
女は、しっしっ、と汚物でも払うかの様に手を払う。
「言われなくとも、そうさせてもらいますよ」
「ふむふむ、しかし同僚の女の部屋に二人きりで午前三時まで、これ奥さんにバレたらかなりヤバげ?」
女は上目遣いでこちらを見る。男は肩を竦めた。
小悪魔スマイルのつもりだろうが、通り越して悪魔の微笑みにしか見えない。
「生憎と大佐を女と思っていない妻でね」
「失礼ね〜。じゃあ何なのよ?」
「化け物か、悪魔か」男は一つずつ指を折る。思い付いた三つ目が一番しっくりきた。「或いは、良くて神でしょう」
少なくとも人間じゃないのね、と女は力無く笑う。
男は今度こそワインを飲み干すと、静かに立ち上がった。
小さな声で、女は“かみ”、と何度か歌う様に呟く。男は拙かったかと思う。脳裏に過ぎる嫌な予感。
「神、ね。……ふぅん。悪くないわね」

82 :
女の声のトーンは本気だ。男は無言で女を睨み付ける。実現しかねないところが笑えない。
「冗談よ」
ぐふふ、と趣味の悪い笑いを漏らしながら、女はワインボトルの口にコルクを押し込む。
男は手荷物をまとめると、ドアノブに手をかける。開けようとはしたが、何かを思い出した様に口を開いた。
「……結局、何も企んでいなかった。それで良いんですよね? ハロルド大佐」
男はドアノブに手をかけたまま振り向く。女はこちらに背を向けていた。
「もう遅いのよ」
女は人指し指をくるくると動かしながら言った。男は眉間に皺を寄せる。
「……? 遅い?」
「そう。もう遅いの。ホラ時計見てみなさいよ。三時よ。早く自分の嫁のベッドに戻りなさい、イクティノス」
男は鼻から息を吐くと、ドアノブを回して部屋を出る。
「ハロルド、君を……信じていいんですか?」
ドアを閉める時、男は女の背にもう一度だけ声を掛ける。
信じていいのか、とは酷く残酷な言葉だ。男はらしくないミスに苦い顔をした。
「もう遅いのよ」
女は壊れたテープの様にそう繰り返した。男は目を僅かに細め、やがて間を置いてからドアを静かに閉める。
「オヤスミ」
女は振り向きながら言った。口から白い息が漏れる。目線の先には誰も居ない。冷たい鉄の扉があるだけだ。
女は無表情のまま自嘲すると、ぬいぐるみだらけのベッドに仰向けにダイブした。
時刻はもう遅い。丑三つ時は疾うに過ぎてしまっている。誰も彼も何もかもが遅かった。
遅過ぎたのだ。

83 :
代理投下終了
感想はまた後ほど

84 :
投下おつ〜
ハロルドは本当に底が見えないよな…
そして遂に奇跡の代償にも気付いたか
是非ともディムロスを何とかしてやって欲しいところだが難しいだろな…
このあとどうなるんだろ、ナイスバッドタイミングだったが

85 :
投下乙
城ではまた波乱が起きそうで
マルタもまたエミルから遠ざかりそうな臭いがプンプン
ハロルドが何を考えているのかまるで読めない

86 :
早まった…すまん
改めて投下乙
ハロルドはどこまで読めてるんだか…
ルークのタイミングがぴったりすぎてもう…
最近投下無かったからスレ上がってテンション半端なかったわw

87 :
投下乙です!
タイミング悪いルークは下手すりゃハロルドを敵と見なしちゃうのかな
どこも続きが楽しみすぎる

88 :
投下乙乙。この展開はまったく予想できなかった…ハロルドやっちまったな…あいかわらず引きがよくて続き気になる
地味に天地戦争の話が平行して進んでるのも気になる。ベルセリオス黒幕説は消えないな

89 :
投下おつおつ。
うーん、前にも書かれていた通りハロルドの底が本当に見えない。
どこからが想定外なのか。それとも、全ては想定内なのか。
というか、せっかく安定しているチームなのに崩壊する可能性があるじゃないですか、やだー!

90 :
保守

91 :


92 :
投下します。

93 :
あつい。
じりじりと照り付ける太陽のせいもあったが、それ以上に暑い……いや、熱い。
気温だとかどうとか、そんなレベルじゃなく熱かった。
汗は絶え間なく肌をじっとり濡らして服に張り付いていたし、肌が露出してる部分に到っては汗の水分が蒸発して白く結晶化していた。
辺りは原っぱだっていうのに、まるで砂漠みたいだ。
人由来の塩の結晶だなんてコックでもそうそう見れるものじゃない。
灼熱地獄の原因は判りきっている。僕はやれやれ、と横目で“それ”を見ながら溜息を吐いた。
判りきってはいるが、あんまりにも堂々としているから少し言い辛いのだ。
でも、いい加減こっちも我慢の限界だった。悪いけど限界を超えてまでサウナに入りたがるほど僕は変態じゃないんだ。
「あのさぁ」
僕は意を決して呟いた。彼は返事をするのが億劫だったのか、目線だけでそれに応える。
「その炎、どうにかならないの?」
僕は顎で彼の周りの鬱陶しい炎を指した。ならない、と蛋白に彼は言う。
「どうにかなるなら、とっくにどうにかしてるヨ」
「そりゃあそうだろうけど、」
続けようとして、口がまごつく。そうだろうけれど、なにか酷く平等性を欠いている気がした。
「けど、なにさ?」
彼が悪びれる様子もなく肩を竦める。僕はかぶりを振った。まったくデリカシーの欠片もありゃしない。
「……君は耐性あるから良いだろうね。けど、僕はそれをずっと我慢してろって言うのかい。
 結構酷い温度だよ、それ」
「そんなに?」
彼が驚いた事に僕は驚いた。常識というものを知ってくれ。
「そんなに。少なくとも100℃はいってるね。オーブンじゃないんだからさぁ」
僕はあんまり暑かったものだから、自棄になって彼に纏わりつく忌々しい炎を指差す。
このままだとこっちが綺麗な小麦色に焼けてしまうし、何より喉が渇いて仕方がない。
「……ていうか、そう思うならもう少し離れればいいと思うんだけど」
「自分勝手な……」
「五月蠅いなぁ。じゃ首でも落とせば楽になるんじゃないの?
 そもそも僕達仲間でもなんでもないんだし、嫌なら離れればいいじゃないか」
彼はむっとした表情で吐き捨てる。刺がある言い方だったけれど、確かにその通りだった。
一々喧嘩するのも面倒だ。僕は大人しく腰を上げて、少し離れた位置に座り直す。……。……………………。

94 :

「……………って、体感温度変わらないじゃないかぁ!」

思わず背中から原っぱに倒れ込む。上手く突っ込んだところで誰も褒めてはくれない。
「本当に五月蠅いなぁ。神様のくせにつべこべ言わないでほしいんですけど。
 ……あっ! ほらアスラのせいで魚逃げたし! もーっ!!」
マオが声を荒げて僕を睨む。そんな理不尽な。
でも、そう。魚。今は人をR事なんかより魚なんだ。

僕達は今、丁度昨日と同じ様にエリアE-7にある湖で―――――――――――――釣 り を し て い た 。

……いや、断っておくけれど別に僕達はふざけているわけじゃあない。
丁度今から20分前、時刻は10時12分。僕達はハンティングゲームという建前上の条件で手を結んだ。
最初の行き場所は決まっていた。エリアA-4にある館、モリスン邸という場所だ。
そこに彼の標的が居るらしい。僕には特に目的地はないから、素直にそこへ向かう事になった。
「アスラ、餌」
「……。僕は餌じゃない」
「つれないなぁ」
「釣りだけに?」
「……」
でも、僕達は体も精神も酷いものだった。疲労困憊もいいところだ。
それに二人共回復アイテムもなければ、治癒術も使えない。……僕は一応集気法があるけれど、他人にはかけられない。
だから単純に、休息が必要だった。彼が回復する為には、ヒーラーを捕まえて無理矢理頷かせるか、グミを奪うかをしなければならなかった。
けどそんな風に上手く事が運ぶ可能性、高いわけない。
彼が回復出来ない以上、精神力のストックとコンディション管理は生き残る上では重要だった。
彼は今直ぐ出発したそうだったけど、僕は無理矢理説得した。
尤も、別に彼に死んでほしくないと思っているわけじゃない。
むしろ彼が死ぬのは構わないし、ピンチに助太刀する気も更々なかった。
ただそれで僕の命が危なくなるのなら話は別だ。僕はそれが気に入らなかった。
二人で行動するのは、死亡率を下げる為でもあったから。
彼には、ある意味で僕の肉壁になってもらうつもりだ。馬鹿でも一応は神。戦闘力もあるし、威嚇と弾避けくらいにはなる。
……そうして休息している時、少し遠くに湖が見えた。丁度昨日僕が釣りをしてた湖だ。
落ちていた釣竿も丁度二本。時間もいい具合に昼前。
そこで僕達は精神力の回復と同時に空いた小腹の回復も計る事にした、というわけだった。
「どっちが多く釣れるか勝負しない?」


95 :
僕は暫くして言った。ただひたすら釣りをするというのが存外退屈だったからだ。
「いいけど」彼は小首を傾げる。「制限時間とかあった方がよくない?」
「11時」
僕は迷わず応えた。正午の放送後には行動開始したかったから、調理時間も考えてそのくらいに切り上げておくのがベストだ。
「景品がないと盛り上がりに欠けるヨ?」
彼が肩を竦めて微笑する。確かに。勝負事に賭けるモノが無いというのは実際どうなんだろう。
景品、景品か。とはいえ“品”はないから、何か別のものじゃないと。さてどうしたものか。
「……うーん……勝った方が次に会った敵に最初に襲いかかれるとか、どう?」
彼がいいね、と頷く。咄嗟のものにしては我ながらナイスアイデアだ。
僕達は時計の秒針が0になったのを合図に、再び釣竿を振った。
おかしな空気だな、と僕は少しだけ不思議に思った。なんだか相手が敵でも、やっぱり一人より二人の方がいいみたいだ。
根本的に、僕は淋しがり屋なのかもしれない。或いは、アスラがそうだったのか―――……


……―――11時。彼の聞き逃した放送の話や情報交換やらをしていると、時間が経つのはあっという間だ。
採った魚は彼の方が二匹だけ多かった。(大きさでは僕の方が勝っていた)
彼がムキになって湖を干上がらせてしまいそうだったので、故意にそうした。(くどいようだけど大きさでは僕の方が勝っていた)
僕は魚を捌いて、彼は火を熾す。彼は魚を捌くのが信じられないくらい下手だった。
「魚は僕が焼くから、寝てていいよ」
僕は集気法をかけながら言った。彼はどうも加減を知らないみたいだったからだ。折角の栄養源を炭にされちゃ敵わない。
眠る彼の隣で、暇を紛らわす様に空を見上げた。ぱちぱちと燃える炎から、黒い煙が高く高く続いている。
気付けばもう直ぐ放送だ。誰が呼ばれるだろうとふと考えたけれど、直ぐにやめた。
僕を昔から知っている人は、もう誰も残っていない。放送なんて何の意味もなかった。
不思議と実感は沸かない。ただ、笑いが止まらなくなった。涙まで目尻に浮かぶ。どうしてだろう。どうしてなんだよ。
「ルカ=ミルダは、何処にいった?」
曖昧な疑問は黒く昇る煙に混ざって、広い天に少しずつ溶けてゆく。
辺りは気持ち悪いくらいに静かで、高い空はくどいくらいに青かった。



96 :
【ルカ・ミルダ@アスラ 生存確認】
状態:HP35% TP25% 左肘から先消失 全身痣 肋骨骨折 右手人差し指、中指、小指切断
   アスラ化(秘奥義使用で解除) 全ステータス+
所持品:子供じゃないモン 旋風 黒髭ダガー 少し囓られたルグニカ紅テングダケ
    バクショウダケ クレアの首輪 ピクルスストーン
基本行動方針:優勝してルカの絆を取り戻す
第一行動方針:取り敢えずマオはまだ生かしておき、自らの目的に利用する
第二行動方針:ゲーム開始。暫くの行動方針はマオに任せるが、ロイドは自らの手で殺したい
第三行動方針:まずは一休み
現在位置:E7湖
【マオ 生存確認】
状態:HP15% TP45% 火傷・炭化+ 右肩骨折 服がボロボロ 全身打撲 リアラが超嫌い
   オルセルグ 封魔の石発動中 睡眠中
所持品:忍刀・東風 ワルターのサック 封魔の石 ワルターの首輪の欠片 聖杖ユニコーンホーン
基本行動方針:お母さんや聖獣達に愛されるため、『マオ』を完全にR
第一行動方針:取り敢えずルカはまだ生かしておき、自らの目的に利用する
第二行動方針:ゲーム開始。モリスン邸方面へ向かいつつ、マオを知る者全員をR
第三行動方針:マオを殺してもリバウンドが治まらなかったら、聖獣に代わりヒトを滅ぼす
第四行動方針:まずは一休み
第五行動方針:隠された神殿の扉を開く鍵を入手する? (意味があるのか?)
現在位置:E7湖

*ルカとマオが情報を交換しました

97 :
投下終了です。

98 :
投下おつー シュールな二人組だなw
そしてもう放送か…早いな

99 :
投下乙
一つ気になったんだが、二人の今の状態で実際釣りやら料理やら出来るの?
特にルカなんか、左腕は肘から先が無くて、右手も人差し指と中指と小指切断されてるんでしょ?
しかも昔からじゃなく、この殺し合いに参加してからなんだから、圧倒的に不慣れであることは確か
オルセルグvsアスラの時から気になってたけど、なんだか五体満足の状態で戦ってるように思えるし、ルカに関してはまともに手を使えない状態なんだから、このままごり押すならごり押すで、手つきがおぼつかないと感じられるような描写を入れてほしい


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