1read 100read
2012年2月エロパロ700: 江戸時代でエロパロ (185) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

( ∴)攻殻機動隊でエロ 6thGIG(∴ ) (115)
【スケットダンス】SKET DANCEでエロパロ 2 (181)
【乳】おっぱい総合スレ【胸】 (962)
おまもりひまりでエロパロ (714)
【三國戦国】無双シリーズ総合エロパロ5【OROCHI】 (395)
優等生を堕落させたい (322)
【GENESIS】川上稔作品エロパロ1冊目【AHEAD】 (542)
Myself; YourselfでエロパロU  (217)

江戸時代でエロパロ


1 :09/11/27 〜 最終レス :11/12/10
後は頼んだ。

2 :
だか断るでござる

3 :
時代劇スレと重複じゃないか?と思ったら見つからない…。落ちたのかorz
まぁ、スレ趣旨違うかもだが。

4 :
おおおっ
ついさっきまで、「専用スレのないSS」スレに落そうかと思って、
投下準備してました。
こんなスレが立ったんですね……。
 水/ 戸/ 黄/ 門  さまの二次なんですが……
江戸時代もの、ということで、すみませんが、ここに、投下させてください。
お願いします。

5 :

エロあり、タイトルに「くのいち」とありますが、忍者色は薄いです。
本文投下に 11レス いただきます。 
一年前、39話第1回放送の中でお娟さんが「お嫁さんになれませんよ」と言われているシーンから妄想した、
水/戸/黄/門 さまの二次です。
とはいっても、あののんびりとした雰囲気とは全く違うし、オリキャラも出てきます。
お娟×助さん(少々)、お娟×オリキャラ です。
書きかけで放置してて、時代劇スレに落そうか迷いながら、久々に覗きに来たら、圧縮で5日前に、スレが落ちてたという……。
くのいちスレも雰囲気が違うので、腹くくって好きなように書きました。
明るくないこうもんさまはイヤ!、ご自分のイメージが壊れる、という方などは、スルーお願いします。
そうだ……主な用語の意味……必要でしょうか。
 しもた屋=仕舞屋。以前商家だった家。または、長屋でもなく商家でもない普通の家
 口吸い・口を吸う=キス・キスをする
 匕首=あいくち、やくざ者がもつ刃物。ドスのこと
他には何があるかな……あとは、聞いてくださるか、ググってください すみません。
では、投下します

6 :
                     
恩ある方からの頼みにより、光圀を護衛しつつ、その一行に同行しているお娟。
諸国を巡り歩き、東海道を東へ、川崎に入り、江戸とは目と鼻の先というところに来ていた。
光圀、助三郎・格之進、お娟以外の他の者は、せっかくだからと江の島見物へ出かけ、
一行より遅れて江戸に入ることになっていた。
秋の陽が茜色に家屋の屋根や軒を照らしはじめたので、無理をせず川崎宿で旅装を解くことにした。 
四人は、光圀の用事で、品川の東海寺を訪ねることになっている。
昼はとうに過ぎ、夕ぐれが間近い。
今夜の宿を探しつつ、賑わう通りを歩んでいく。
一行のしんがりについていくお娟の目が、角の煮売り酒屋から出てきた男の顔に釘づけになった。
「……すけ……」
思わず、声を上げそうになるのを咄嗟にこらえた。
――恭助だ!
男は、通りの角を曲がり、狭い路地に入っていった。
お娟がその狭い路地をのぞいた時にはもう姿は見えなくなっていた。
「ちょいと、知り合いを見かけたものですから……ご隠居、夕餉の刻には戻ります」
大急ぎで言い置き、光圀の返事もそこそこに、お娟は駈け出した。
しかし、飛び込んだ路地に男の姿は無く、見失ってしまった。

「どうしたのじゃ。すすまぬようじゃな、お娟」
光圀が、食のすすまないお娟に気がついて怪訝な眼を向けた。
助三郎へ酌をしていたお娟は、慌てて銚子を膳に置いて返事をした。
「いえ、そんな。その、少し疲れたのかもしれません。ご心配には及びませんよ、ご隠居」
「それならよいが。明後日品川へは朝早く入り、東海寺へ寄るから、まあ明日はゆるりとしていなさい」
「……はい。お言葉に甘えさせていただきます」
お娟はにっこりと笑い返し、その場を取り繕った。
今夜の膳には、珍しくたっぷり酒がでていることもあり、お娟の様子には誰も気づくことはないようだった。
「助さん格さんも、明日は気兼ねなく好きにしなさい。わしは昼寝でもしているかな」
「そうですね、ご隠居。国にもどれば、堅っ苦しい毎日。昼寝もうかうかできませんから」
そう言いながら、酒に強い助三郎は、光圀の杯を満たし、顔色も変えずにまた自分の杯を空けた。
隣で格之進がくっくと笑いつつ、全くそのとおり、とうなずいている。 
助三郎は手酌でもう一杯飲み干し、格之進にも酌をしつつ言った。
「この近くに私の師匠の縁の道場があるので、明日はそちらへ参って、ひと汗かかせてもらおうかと」
「せっかくなので、私も、助さんに連れて行ってもらうことにしました」
格之進は酒はたしなむ程度で、乱れはないが、顔に朱がさしている。
「あー……酔っ払いました、あたし。ご隠居……部屋に下がらせていただきたいのですが……」
お娟は早くこの場から去りたい心持であった。昼間目撃した男の顔が頭にちらついて落ち着かない。
「おお、よいともよいとも。疲れたであろう。はやくお休み」
お娟は内心ほっとしながら「では、ご無礼致します」と、部屋から出た。
自分の部屋に戻ろうと廊下を進み始めると、厠にでも立ったかのように、助三郎が後ろについてトンと肩をたたいた。
「お娟……」
「助さん」
お娟は体を硬くし、前を向いたままでいた。今夜はひとりきりで過ごしたかった。
「今夜は……」
しかし悟られてはいけない。声だけはつとめて明るく返事をする。
「あいよ……いつでも、待ってるよ」
「いいのか」
「なに遠慮してんのさ。いいにきまってる」
「では、あとでこっちが忍んで行く」
うん、と声なく返事をした廊下の暗がりと同じお娟の顔色は、助三郎には見えなかった。
昼間の男――恭助は、お娟が義父の許で修行を積んでいた時に、出会った。
恭助は二十を超えたぐらいで、義賊の頭目争いに巻き込まれて、深手を負ってお娟一族の里に迷い込んで来たのだった。
義父は恭助を匿い、身の回りの世話をお娟に言いつけ、介抱してやった。
厳しい修行を積んでいるとはいえ、女としては幼いお娟はすぐに恭助に惹かれていった。
恭助はお娟の初めての男だ。
まだ傷も癒えぬうちから、恭助はお娟を女にし、自分好みに仕込んでいった。

7 :
                        
粗暴さはあったが、心根は優しい、少年のような男だった。何よりお娟には心を開いていた。
まだ幼さの残るお娟を、ただ慰んでいたとは思えなかった。
恭助はお娟を抱くことで、自分を癒していたのかもしれない。
義父もその関係は知っていただろう。知っていて見ぬふりをしていた。
いずれ男の体を覚え、くのいちとして生きていかねばならない。
せめて好いた男に、と思ったのかもしれない。
お娟は恭助のおかげで、女としての悦びをあらかた覚えたといってもよい。
恭助が里から出奔した後は、一族の者たちから、くのいちとしての性技を教え込まれていった。
その後、凌辱されようが、卑劣な拷問を受けようが、屈しない精神と耐える技を身につけてきた。
男の一物を咥え、男を悦ばせることもまた――。
今も――。
「……おえん……」
一度目は、お娟の口と手でたっぷりさすられて果てた助三郎が、再びすぐお娟の中で太く強張ってきた。
「なにも、あたしでなくても……。この辺にはいい女がたくさんいるんでしょうに」
そう言って、仰向けになった助三郎の耳たぶを啄ばんだ。
「国へ帰ったら、お前ともしばらく会えぬだろう」
「好いた娘でもいるのかい? いやだ、妬けるねえ」
助三郎に馬乗りになった腰を少し浮かせて、動きを止める。焦らせてやろうと意地悪くほほ笑んだ。
「おい、お娟……」
助三郎が、すかさずお娟の腰をがっしり掴んで、引き寄せようとしてくる。
そうはさせまいと、お娟は踏ん張り、ますます腰を引く。
おもむろに助三郎は、片手をお娟の乳房に回し、強く鷲掴みにした。
むにゅと飛び出た乳首を、その指が何度も弾く。
「あっあっあんっあん!」
密やかな喘ぎは助三郎にかろうじて聞こえるほどのもの。
しかし、それはさらに部屋の空気を濃くしていった。
乳房を弄っていた手は、やがてお娟の股間に伸び、赤く膨らんだ肉芽を探し出した。
「はあんっ」
びくりとお娟が白い喉を仰け反らせた。
『虫もさねえって顔してるくせに、お前、俺のをしっかり咥えてるぜ』
恭助の声が耳に蘇ってきた。
『マメもこりこりだ。見てみろよ、ほら』
恭助に跨って向い合せになり、そこを見せつけられた。
赤黒く太い肉棒が、まだ熟れきっていない、自分のそこに押し込まれていた。
薄い繁みは白いその部分を、いっそう幼く見せている。
桃色の割れ目が捲れあがって、まさに咥えているように見える。
肉芽は毎日弄ばれて、腫れて敏感になっていた。
気味が悪いような、返って美しいような、ぬらぬらと灯りにきらめいている。
恭助は楽しそうに、お娟のぷっくりとした肉芽をやさしく指で撫で始めた。
ひゃうっ、と悲鳴をあげて身を捩れば、恭助は満足げに目を細め、さらに執拗に愛撫を続けた。
それがお娟は好きだった。
じんじんとした刺激は、やがて痛みのない波のようになり、お娟は身を捩りながら、いつの間にか腰をぎこちなく動かしていた。
肉棒がお娟の中を擦る度、ねちゃねちゃと音がした。
お娟が感じれば感じるほど、粘り気のある水音が激しくなる。
声をした喘ぎに、恭助の喘ぎが時折混じると、体が熱くなった。
羞恥など忘れ、腰を揺らすことに没頭した。
腰の向きを変えると、恭助のモノが擦る場所が変わり、あらたな快感が生まれた。
恭助の上で、何度も体を震わせ、気をやった。
恭助が果てるときは、急にお娟の自由を奪い、恭助の思いのままに体を揺さぶられた。
強く突き上げられ、擦られ、壊れるほどに。
恭助にしがみつき、髪を振り乱しながら、快感に身を委ねた。
少女のお娟は自分から快楽を貪ることを覚えていった――。
            

8 :
                        
ふと我に返ると、硬い助三郎のそれは、今まさに弾けるところだ。
助三郎の腹の横に手をつき、助三郎の上で、腰を前後にゆっくり動かす。
少しずつ向きを変えながら、お娟はゆっくり昇りつめていく。
お娟の腰にやった助三郎の手の力がまた強くなり、お娟の動きに合わせながら、助三郎の動きも強く速くなっていく。
お娟のことなどお構いなしに、助三郎が腰を突き上げ始めた。
部屋の中には助三郎の荒い息と、お娟のごく小さな喘ぎ、粘性のある水音が響く。
助三郎に余裕がなくなり、その顔が歪んだ。
お娟は、一行の女難を避けるという役目も負っている。
酒が入ると、よく助三郎はお娟を抱いた。
しかし毎度、光圀や格之進らに憚りながらお娟を抱くのは、あまりよいものではないだろう。
日頃のお娟の働きに感服していることもあり、お娟に遠慮もある。
女に弱いのが玉の傷の助三郎は、宿場でふらりと飯盛り女にうつつを抜かすこともしばしばだった。
お娟も、助三郎が欲求を満たすだけの関係に徹していることが、正直ありがたかった。
それに、お娟の気持ちは常に光圀のみに向いている。
それも、男として、である。
一行に加わったばかりの頃、真っ先に光圀の寝間にお情けを……と忍んで行ったことがある。
自分の役割を全うするべく、のことだ。
だが、光圀はお娟に指一本触れることはなかった。
お娟は、役目を全うできなかったという焦燥と、自分を受け入れない初めての男の存在に、激しく動揺した。
やがて、その複雑な想いは、光圀を護り旅をしながら変化していった。
地位も名誉もありながら、それを鼻に掛けず、常に弱い者の側に立つ。
狼藉者と対峙した時など、年齢を感じさせない光圀の強さに、役目とは反対にお娟は何度も光圀に助けられている。
何より、闇の世界にいた自分を、身も心も解放してくれた。
人並みの親の愛を知らず育ってきた自分に、光圀の中の父性に触れ、穏やかな愛を知った。
そして光圀への畏敬の念は、やがて男としての光圀への思慕へと変わっていった。
「今夜は、これきりにしましょう、助さん」
朝早く稽古場に出かけるのを気遣い、起き上がって、腰まわりにかろうじて留まっている着物を整え始めた。
助三郎は素っ裸のまま、じっとお娟の様子を見つめていたが、がば、と起き上がるとお娟を抱き締めた。
「明日は格さんと出かけるのでしょう。早くお戻りなさいな」
よく鍛えられた肩にあごをのせて、お娟は諌めた。
しかし助三郎は、そのままじっと動かなかった。
「もうっ、今夜はおしまい。どうしたのさ、助さんらしくもない」
いつもは、終わればさっぱりとしているふたりだ。
「らしくねえのは、お娟のほうじゃあないのかい」
それに応えず、そっと助三郎の体を押して、身づくろいを始める。
助三郎もそれ以上のことを口にせずに、寝巻を纏った。
部屋を去り際、助三郎が言った言葉に、お娟は動きを止めた。
「お娟、おまえなにか気にかかることでもあるのか」
「え……そんなこと……あるわけないよ、助さん」
「それならよいが。なにかあれば、なんでも話せよ。ちったあ力を貸せるかもしれない」
「いいよ、あたしのことなんか。なんで助さん、そんなこというのさ」
助三郎は、襟を正しながらお娟には目を向けず、「いや……おまえ……なんだか上の空だった」
そう言い置いて、すばやく部屋から出て行ってしまった。
***
翌昼すぎ――。
助三郎達が宿に帰ってきたのと入れ替わりに、光圀の元から出かけた。
歩きながら、ぼんやり昨夜の助三郎とのことを思い出していた。
自分の分をわきまえていなくてはならないはずが、いつになく乱れてしまった。
あんなことは今までなかった。
それも、昨日恭助を見かけてから、胸のなかでなにかが燻り続けているからだ。

9 :
                            
お娟は、恭助を見失った路地を入っていた。
そこはしもた屋が点在する、路地の寂れた道だ。
お娟は、必になって恭助を探した。
――なにやってんだ、あたしは。
会ってどうするのだ。
ハタと立ち止まったとき、不意に腕を掴まれた。
抗うより先に、口を塞がれ、しもた屋の中に連れ込まれてしまった。
垣根から引き戸まであっという間だった。
真っ暗なしもた屋の中の上がり框に、突き飛ばされるようにして倒れ込んだ。
「久しぶりだな、お娟」
戸を閉め心張棒を下ろす音がした。
「恭助……」
少し目が慣れ、外から漏れ差し込む光で部屋の中が薄明るく見えてくる。
後ろに首を向けて、戸口に立っている男を見上げた。
「手荒なまねをして、悪かった。人に見られるわけにはいかねえからな」
そう言って男はお娟の背後にしゃがみこんだ。
「久しぶりだ」
体を寄せ、腕をまわしてお娟を抱いて耳元で囁く。
「といっても、俺はお前たちをずっとつけていたんだが。気づいていただろう?」
「……なにをしようってんです?」
「会いたかった。お前とこうしたかった」
熱い息もろとも、うなじに唇が押し付けられた。
お娟が逃れようと身を捩ろうとした。
しかしお娟の動きは、やすやすと男に封じ込まれてしまった。
「もがいても、無駄だ。お前は俺から逃れられないはずだ」
すばやく男の手が、お娟の襟から滑り込み、乳房を掴む。
「忘れたとは言わせない。最初に覚えた男の体だからな」
乳房を掴む手に、やんわりと力が加わっていくと、お娟の中心が熱くなっていく。
「なにを企んでいるの? あたしを捕まえて……」
「俺と……一緒になって欲しい」
乳房を弄っていたしなやかな指が、すっかり硬くしこった先端をはじく。
「……今ごろ何を言うの……」
「今の仕事を片付けたら、その後は俺は山で暮らしていく。できるならお前と一緒に」
「……今の仕事って……」
腰から尻のあたりを撫でまわしていた大きな手が、お娟の裾をまくって内股へと移ってきた。
思わせぶりな話が気になり、お娟はもうしばらくされるがままになることに決めた。
「……あにさん、あたしが今お仕えしてる方を、知った上で言ってるのかい?」
お娟は、硬く侵入を拒んで閉じた足を、少し緩めてやった。
誘うように腰を少しくねらせてみる。
どんなに責められても、無防備に『気をやる』ことはなかった。そういう自信があった。
それはくのいちとして当然のこと。
男の手が、股間を覆うようにいざってきた。
繁みを包み込むようにして、動きを止めた。
「ああ。だからこそお前の手が借りたい。そうしたら必ず上手くいく」
手はそのまま、じっと動かない。一方、乳首をはじくのは続いていた。
「ここを指で弄られると、お前はいつも悦んだな」
お娟はうつむき、熱い息で喘いだ。
もちろん、男を欺くための、いつもの芝居のはずだった。
お娟は股間にあてられた、男の温かな手指の動きを期待している自分に気づいた。
何かが体の中でくすぶり始めている。
そんな心の内を見透かしてか、男は冷やかな笑いを浮かべた。
「水戸の爺さんを、るのさ」
耳に熱い息を吹きかけるように、囁く。
「なんだって!」

10 :
              
お娟が体を起こそうとすると、また男に抑え込まれた。
「無理だぜ。お前はもう俺をすっかり思い出してる」
そのとたんに、股間にあてがわれた指がすばやく滑り、お娟の秘所に迷わず押し込まれた。
「!」
「すんなり入りやがったな。ずいぶん仕込まれたんだろう。いい器になったな」
無遠慮な指は、お娟のそこを抜き差ししたかとおもうと、ぐっと深く差しこまれていく。
「……っ」
「ほう」
ぐいぐいと中を遠慮のない動きで掻きまわす。
疼きとともに、温まりきっていないそこに、まるで抉られているかのようにわずかに痛みを感じた。
「キツイじゃねえか。生娘みたいによ……」
強引な指の動きに、もう一本の指が加わる。
当然ぐい、と押しこまれ、思わず息を呑んだ。
すぐに疼きが強い波になって体中に広がっていく。
男の唇がうなじからおとがいを伝い、耳たぶを啄ばみ、ねっとりと舐る。
「ああ……あにさ……」
これは、あたしの芝居だよ。感じない、なにも感じちゃいない……。
指が中でばらばらと蠢き、お娟の一番感じるところを撫で擦る。
我慢がきかず、体が跳ねた。
ぬちゃ……と粘ばり気のある湿った音が聞こえる。
声が、熱い息が、長い指が。
確実に思い出させている。
抑え込んでいた焦燥に似た思慕が、急に体を貫く様にして記憶の底から湧きあがる。
「あにさん……!」
後ろに顔を振り向けて、恭助の唇に自分の唇をぶつけていた。
忘れようとしても忘れられないでいた。
己を押しして男と交わる時でさえ、いつも体の奥の奥で、恭助の熱を思っていた。
それに気がつかぬようにしていた。
「あにさん、あにさん」
舌を絡ませて夢中で口を吸った。
お娟の秘部には、恭助の指が突っ込まれ、せわしない動きを止めない。
狂おしいほどの快感がそこからうねるようにやってくる。
「や……欲しいっ、あにさんがっ……ああっ」
止まることなく続くそれは、お娟の素直な欲望を無視し続けた。
今は、恭助の指に翻弄されるだけが、お娟に許されたことのように思えた。
「どれ、マメはどうだ? 熟してるか、摘む頃合いを過ぎちまったか……? ふふ」
上り框に這うように上半身を預け悶えながら、自分から土間についた足を踏ん張り、腰を上げる。
くっと、男の含み笑いが聞こえる。
みっともなくてもいい。触れて欲しい。
もう片方の手が回り、その指が、突っ込まれて捲れた肉襞の上の方に伸びていく。
撫でるような動きで、それを剥きだして、左右に揺らした。
「やあ……っい……ああ」
「さすがに、すっかり熟れていやがる……そういや、お前、こうされるのが好きだったな」
後ろから尻を抱きかかえるようにして、恭助はお娟のそこを責め上げた。
「あ―――っ」
お娟は体を痙攣させて、上り框の上でぐったりとなった。
恭助はまた喉の奥でくっくっと笑いながら、肩で息をするお娟の様子を眺めている。
おもむろに、雪駄を脱ぎ、お娟の体を部屋の中へ抱え上げた。
奥へと進み、その体を二間奥の部屋の、畳の上に転がした。
雨戸が閉まったままで、暗くカビ臭い匂いがかすかに漂う。
「や……」
抵抗はした。
でも、抗いきれるはずもなかった。
胸を肌蹴られる。
昼間とはいえ、火の気もない空き家の冷気にさらされ、乳房の先端がきゅっと尖った。
そこへ恭助の手が両胸を鷲掴みにした。
ぐい、ぐい、と乱暴に揉みしだく。

11 :
                   
「長じてこんなにでかくなってやがる。いい掴み心地だぜ」
「い……っ」
お娟は思わず呻いた。摘まみあげられた先端が痛い。
しかし、指で擦り合わされて、弾かれるとすぐに鼻にかかった声が出た。
乳房にむしゃぶりついた恭助の肩を突っ張って、抗う。
尖りをぬめぬめと舐られ、それごと飲み込まれ、ちゅぷ、ちゅぷ、という音が耳を刺激する。
それに帯を解く音が混じる。
「いやっ……あにさん、よして……」
強く肩を押しやると、恭助はすでに帯を引き抜き、着物を一気に剥ぎ取った。
転がるお娟に馬乗りになり、両腕を掴む。
しゅ……と腰ひもを扱いて、両手首へ巻きつけ、後ろ手に縛り上げた。
お娟が半身を起こすと、すぐまた背中を押されて横向きに転がされた。
上になった足を掴まれ、尻に熱いものがあたる。
「あっ」
体を横に向けたお娟の後ろから、恭助がぐいっと腰を進める。
「くっ……あ――――っ」
「お娟……お前は……」
恭助が次の言葉を飲み込んだのがわかった。
泥濘の奥へと押し入ってくるそれは、お娟のが咥えたどんな男根とも違っていると思えた。
抗い、逃れることはできたはずだ。
両手首の縛めなぞ、容易くはずすことができる。
でも。
お娟にはできなかった。
恭助の指が唇が体をなぞるたび、体中が悦びに震えるようだった。
次の恭助の荒々しい愛撫を待ち受けている自分がいる。
後ろからの恭助の息づかいに、期待に胸を震わせている。
そして、昔の自分とは違う体を恭助に晒すことに、生娘のように慄いてしまう。
恭助は気づいたはずだ。
「くのいちの体とは、こうも……」
味わうように、浅く抜き差ししながら、馴染ませていく恭助が呟いた。
本来なら強引に刺し貫いて、欲望のままにお娟を嬲り犯してしまってもかまわないのに。
そうはせず、じっくり嬲られるのがお娟には堪らなかった。
「……あにさ……もう……」
くのいちとして仕込まれた体は、昔の自分とは違う。
わかってそうしているのか、恭助はゆっくり奥深く押し入っていく。
「は……ああっ」
最奥を突かれて、お娟は仰け反った。
背中にぴったりと寄り添った恭助の体の温もりが、お娟の中の記憶を呼び覚ます。
もっと奥へと誘い込みたくなって、お娟は前へ体を折り曲げた。
腰をすりつけるように突きだす。
すると、恭助がお娟の体を引き戻し、またその体にぴったりと抱きしめた。
「俺から、離れるな」
熱く囁かれたその言葉に、胸の奥が切なく震えた。
下になった腋からも腕を回され、両の乳房が揉みしだかれる。
「あっ……あに……さ……はあっあ……」
肩や耳に、恭助の唇が這っていく。
恭助の腰の動きが速くなり、息が荒くなる。
「あ……あん……はっ……ん……」
前に回った恭助の手が、敏感に尖った肉芽に触れた。
「はああっ」
また白い喉を見せて、お娟が仰け反った。
「ここは、変わんねえな……ほら、こりこりだ」
知らず、涙がこぼれていく。
「や……いい……ああ……ん」
きゅう、とお娟の女肉が恭助を締め付けた。
同時にお娟は、穿たれたそこが、ずくずくともっとぬかるんでいくのを感じた。
                     

12 :
                     
「く……きついな……お娟、食いちぎる気か……」
恭助が呻く。
突然動きが止まり、背中を押され、うつ伏せにされた。
後ろから尻のすぼまりを滑って、蜜壺と化したそこに熱の塊が乱暴に突き込まれ、お娟は高く声を上げた。
すぐに恭助の腰が円を描くように回り、お娟の中をかき混ぜる。
ぐちゅ……ぬちゅ……という音とともに、ぽたぽたと畳に滴が垂れていく音がする。
お娟が、恭助に擦りつけるように腰を上げると、それが押さえ込まれた。
「こうされると、お前は……いいんだよな……っ」
寝そべるように床に押し付けられて、先ほどまで弄られていた乳房が、お娟の体の下でぐにゅ、とつぶされた。
押しつけるように恭助の熱い塊が、お娟の女肉の一番感じるところを、ぐいぐいと擦っていく。
「くあ……っんや……あ……あっ」
突き上げられるたびに、お娟の体が、ずっずっと畳の上をずり上がっていく。
恭助がすかさずお娟の肩を押さえ、腰を掴んで、自分の腰に打ち付けた。
「んやあああっ」
散々弄られた敏感なところを擦り貫かれたお娟は、叫び声を上げた。
泣き声に似たお娟の喘ぎの中、あの頃と変わらず自分勝手に昇り詰めていく恭助の息遣いが、切迫さを増していく。
「おえん……っ」
名前を呼ばれることが、嬉しい。
両手を縛められ、後ろから犯されるように交わっていてさえ、お娟は恭助の想いを感じずにはいられない。
……あにさんも、あたしを忘れないでいてくれた。
また淫猥な水音が激しくなり、肌の打ちあわされる乾いた音が一定の調子で部屋に響く。
お娟は、わずかに残っていた、くのいちのとしての自分をかなぐり捨てて、後ろ手に縛られたまま夢中で腰を揺らした。
敏感な女肉を擦られ、気が遠のきそうなくらいの快感が何度も頭の先へ突き抜けていく。
「お娟、お……えんっ」
「ああっ」
恭助がお娟の最奥を貫いて、精を放ってぶるりと体を震わせた。
少しして、お娟ははあはあと大きく息を吐きながら、不自由に半身を起こした。
ずるりと恭助が体から抜けていく。
恭助がまだ荒い息をしながら、無言でお娟の縛めを解き始めた。
「あにさん……?」
いぶかったお娟が呼ぶと、恭助は、はにかんだように小さく笑んだ。
それは、昔と変わらない、懐かしい笑みだった。
お娟が自由になった腕を伸ばすと、恭助がそれに応えるようにお娟の口を吸った。
「お娟、お娟……」
恭助がお娟の名を呼ぶ声が、切なげで苦しげだ。
あたしも、ずっとこうしたかった、そう言いたいが、深く舌を吸われて言葉も呑み込まれていく。
また、恭助がお娟を欲している。
お娟はそれがわかって、嬉しくて涙が溢れた。
……わかってる。今だけだ。ふたりが睦みあえるのは、今、この時だけ。
何にも言わなくても、お互いに解りあえた。
再び出会い、情を交わせたこと。
そして、お互いの間に深い溝があることを。
「……お娟、俺と一緒にならないか」
唐突に呟かれたそれには答えず、お娟はまた恭助の愛撫に溺れていく。
今度は穏やかな、しかしお娟を狂わせるに充分な恭助の愛撫に、あの頃のように身を委ねた。
埋めようもない溝であることを、お娟は忘れたかった。
「あにさん、あにさん……っ」
刻の許すまで、何度も求められた。
お娟もねだるように、何度も恭助を呼び、それに応えた。
***

13 :
            
東海寺へ立ち寄った後、江戸に入り、そのまま静江宅で湯島見学組と合流することになっていた。
そう高くない木立の道を、御殿山へ向かうゆるい坂道へさしかかった。
ゆるやかに曲がっていく道を進んでいくと、木々の間の左手前方、東海寺の塀が見え隠れしている。
と、突然草むらから黒い影がいくつも躍り出てきた。
黒装束の男たちが、一行の前に三人、後ろに四人。
道の脇の草むらにも、気配を感じる。
「何者だ!」
格之進が叫んだ。
助三郎も格之進もすでに腰を落として光圀を庇い、いつでも迎え撃つ態勢になっている。
光圀は身じろぎせず、静かに立っていた。
族は答えずに、少しずつ近づいて間を狭めてくる。
そこへ、また一つの黒い影が横合いから飛んで出てき、一行の前に立った。
根結いの垂れ髪が、扇のようにふわり、宙に広がって、流れた。
「お娟!」
「来てくれたか」
助三郎格之進の声に、お娟は答えなかった。
昨夜のうちにお娟は宿を出ていた。
お娟の登場にもほとんど動じず、族は無言で間合いを詰めてくる。
かさかさと枯れた木の葉が立てる音がするのみとなり、あたりは静まり返っている。
お娟は全身で、恭助の気を感じ取ろうとしていた。
押し寄せる気から、族が忍の者ではないと察知した。
忍でないなら、お娟がこの場を切り抜けるのは容易いはずだ。
しかし、この中に恭助がいるのなら、それは難しいことだった。
「!」
族の一人が襲いかかってきた。
格之進は、体ごとぶつかってきた族の、匕首(あいくち)を持つ手首を掴み引き倒しざま、鳩尾に拳を打ち込んだ。
それを合図に一斉に族が到してきた。
光圀を後退させて、お娟は素早く集団の中に恭助を見出した。
「恭助!」
吠えるように名を呼んだ。
しかし、匕首を振り上げた族の姿が目の前に立ちふさがった。
咄嗟に、その男の懐に飛び込んで体当たりを食らわせた。     
股間に膝を入れて蹴り上げたのだ。
もんどりうって地面に転がる男には目もくれず、背負った刀を引き抜いて恭助に向う。
「どこ!?」
体を元にもどした時には恭助が視界から消えていた。
刀を峰に返す。
無言で、背中に迫った族を、また一人、振り向きざま峰打ちでかわした。
すでに、助三郎と格之進は斬り合いの中にいた。
匕首を振りかざす者、抜き身を引っ提げて間合いを詰める者。白刃が時折きらりと光る。
峰打ちに族をまた一人倒す助三郎と、手刀で丸腰の格之進は族を向かえる。
「恭助っ」
視界に認めるも、また新たな族が斜め右から突進してきた。
跳躍する間もなく、脇差程の忍者刀を、ぎりぎりの間合いで左肩から袈裟に払う。
ごつ……鈍い骨音とともに族の左腕がだらりと下がった。
匕首を放って、右手で肩を抑えようとする族の脇を、体を沈めて走り抜ける。
すばやく後ろに回り族の足を払った。
手ごたえが刀を通して手に伝わる。
族がうめき声をあげて地面に転がった。
ご老公は?
無事だ。道の脇の大岩を背に、隙の無い立ち姿が見えた。
族どもは助三郎と格乃進に挑むのに必の様子だ。
形勢は有利と見た。
お娟は体をぐるりと回して、居場所を見極める。
恭助は――いた。いつの間にか正面に。

14 :
    
           
「きょうすけっ、観念しな、こんなことやって……あんたはあんたは……っ」
「言っただろう、俺は爺さんを仕留めて、名を上げると。今からでも遅くない、こちらへ来い」
「ばかなことはよして。もう終りなんだよ……」
「そこをどけ。爺さんをる」
「あにさんっ」
「どかねえかっ……お娟」
「この場から……去って、早く行っちまってください」
「ちっ、仕方ねえ……お娟、お前とやるしかないのか。もう一度言う。そこを、どけ」
「あにさんこそ……逃げて、逃げのびて、そうしたら……」
生きてさえいてくれれば、もう一度会える、そう言いたかった。
恭助が、動く。
お娟は昨日、今まで恭助を求め続けていたことを、いやというほど自覚させられた。
恭助とともに生きられたなら……抱かれながら何度も夢想した。
また、恭助が動き、間合いが狭まる。
今、刀を投げ捨て、恭助を抱きしめたなら、それに応えてくれるだろうか。
お娟は一瞬、この場から恭助とともに飛び去っていく自分を思った。
「お娟、お前とやりたくねえんだ。頼む、爺さんをらせてくれ」
すがる様な眼をして、恭助がまるで懇願するように言う。
「名を上げて頭になったら、お前を迎えに来る、きっとだ、お娟」
しかし、ぬかりなく間合いを詰めて来、今にもお娟に仕掛けることができるところまで迫っていた。
ご老公様――。
瞬間振り向くと険しくこちらを見据える光圀がいた。
お娟に危険が迫ったなら、いつでも飛び出せる、剣気を放つ。
歳を感じさせない、力強さが漲っている。
ぞく……と背中を何かが駆け上がる。
こんなあたしを守ろうとしてくれるお方がいる。
遂げられることのない想いはしかし、恭助のとは違う、穏やかな生の喜びに満ちている。
力強い鼓動を感じる。
あたしは、ご老公様をお護りする、それしか生きる術がない。
それがなければ、ここにはいなかった。恭助とも再び肌を合わせることはなかった。
再び刀の柄を強く握りしめる。
一瞬だけ、ひるんだことにお娟は恐ろしくなった。
そして、今から恭助に向かう、そのことにも。
必ず屠らなければならない。
くのいちとしての本能がそうお娟に告げる。
刃を峰から返し、八双の構えに引き上げる。
「やるのか」
恭助から人らしい表情が消えた。酷薄そうな笑みが口の端に浮かぶ。
昔の恭助の人懐こい笑みを思い出す。日に焼けた顔で、夢を語ったあの頃を。
烏合の衆を率いて勤めを果たさなければならない、今の恭助が堪らなく哀れに思えた。
「お前は、俺がやれるのか、小娘のころから慕っていた男を。俺もお前のことを……」
皆まで言わせなかった。
お娟は地面を蹴って、高く跳躍した。
恭助がすぐ反応し、匕首を振り上げた。
まっすぐ恭助の腕が伸ばされた。
お娟は飛びながら、忍者刀を脇へ引いて、恭助の胸めがけて切っ先を定めた。
恭助の匕首の切っ先のほうが先にお娟に届くかと思われた、その時。
「嫌あ!」
お娟の目が信じられないというように見開かれた。
飛び込んでくるお娟を迎えるように、恭助が両腕を広げていた。
どんっという鈍い音ともに、その体がお娟を抱きとめる。
お娟の体は力強く抱きしめられ、そのまま地面に恭助もろとも落ちた。
お娟の握った刀は、恭助の左胸を突きとおしていた。

15 :
                      
恭助は瞼を閉じ、笑みを浮かべている。それは先ほどとは違って、穏やかに見えさえした。
すぐにわけのわからない衝動が突き上げて来て、お娟は高く声を上げ、刀を引き抜いた。
血が噴き上がって、お娟に降りかかる。
「ええいっ」
引き抜いた刃先を、力いっぱい跨った男の上に突き刺した。
どす、と鈍い音をさせて、男の体が揺れた。
昨日お娟を抱いた、その胸に刃を突きたてる。
もう一度、さらにもう一度。
また引き抜き振り上げる。
「お娟、止めよ!」
光圀の声が、どこかから響いてきたような気がした。
「もうよい、おえんっ」
とたんにお娟はがっしりと後ろから抱きしめられた。
振りかざした手が痛いほどの力強さで止められていた。
「もう、よい」
もう一度、穏やかに、しかし有無を言わせない強さで制止される。
「は……あ……」
お娟はゆっくり両腕を下した。
うつろな目で、目の前の、黒装束を無残に裂かれた男を見た。
血の噴出する音が耳をつくように聞こえてきた。
「お娟、もう、よいのだ」
光圀は、瘧のように震え続けるお娟を後ろから包むように抱いた。
握り締めた刀から、その指を一本一本ほぐしてやる。
ようやくぽとりと忍者刀が地面に落ちた。
光圀は、ぶるぶると震える細い肩を、もう一度強く抱いた。
恭助の血にまみれたお娟は光圀に背中を預けるように崩れた。
「ごいんきょ……」
それだけ言って、お娟は涙を溢れさせた。
「よい、なにも言うな」
震えが小さくなっていくと同時に、お娟の嗚咽が、だんだんと大きくなっていった。
光圀がお娟の頭を胸に抱きしめて、「泣けば、よい」とだけ言うと、お娟は憚ることなく声を上げた。
助三郎と格乃進がそれぞれ最後の族をたたき伏しているのが見える。
恭助の黒装束は血を吸って、さらにどす黒く染まっていく。
何事もなかったかなように、風が枯れ葉を巻き上げていく。
風は、子どものような泣き声と血の金気臭さをさらって、道を吹き渡っていった。

16 :
                  
*                
助三郎の母、静江の家で、また旅のために皆が集まっている。
旅の支度で、女たちは台所で忙しく立ち働いている。
お娟は台所仕事は苦手だ。
とはいうものの、何か手伝わねばならず、とりあえず釜にかかった鍋の蓋に手をかけた。
……飯の炊け具合はどうだろう。
「まだ、お米の蓋を取ってはいけません」
ふいにかけられた厳しい声に、お娟がその手を引っ込めた。
静江が怖い顔でにらんでいる。
「お米の炊き方がわからないなんて、いいお嫁さんになれませんよ」
「あいにく、その気はありません」 
すました顔で、即座にそう答えていた。
いつまでも、光圀のそばにいるつもりだ。
たとえ、女の悦びを得られなくても。
そばにいて、その身を守ることができることが、この身の悦びだ。
静江には気づかれぬよう、ぺろりと舌を出した。
とたんに静江が振り返った。吐いていた息をずっと吸いこみそうになる。
こんな、何気ない日々、かけがえのない人とのかかわり。
そんな営みに身を置けることの喜びを噛みしめる。
そして新たな旅に出られる。
米の炊きあがる湯気を見つめながら、すでにお娟の心は、また光圀たちとの旅の空へと飛んでいた。
===終===
どうもありがとうございました。
このスレの発展を願ってます!

17 :
いいじゃん!
GJ

18 :
面白かったよ。GJ!

19 :
期待上げ

20 :
>>12
GJ
時代劇スレ落ちたのか。

21 :
なんとか即回避させたいが……
30レスいけばいいんだっけか
それと、ここって、時代劇スレと違って、
おおっぴらに、一次ものでもいいんだよね?

22 :
一応、保守しとく
上にもあるけど、二次も当然いいんだよね……

23 :
江戸時代が舞台なら、一次でも二次でも問題無いと思う。

24 :
保守しておこうかの

25 :
いい時代だ

26 :
規制解除か?

27 :
……解けてた!
やっぱ、需要ないのかなあ。
時代劇系好きなのに……

28 :
生娘を、同じ重さの金で買える。

29 :
高い!

30 :
一貫=1両 なら
一晩だけなら高い買い物
1月間、好き放題 なら買ってみる
1月限定だが、仕込んでみるのも悪くは無い
好きなだけ飼い馴らせるなら、安いもの
どこぞの大店の旦那に、買われた娘 を妄想w

31 :
保守
書きたいけどネタが思いつかないぜ

32 :
いやあ、なに、気長に待ってるさ。
寒いから全裸というわけにはいかねえがな。

33 :
ほしゆ
保管庫行って、時代劇スレの時のSS読んできたぜー

34 :
保守

35 :
風邪ひきそう

36 :
っくしゅん!

37 :
まもの

38 :
>>36
 つ綿入り袢纏
 つ甘酒

39 :
>>33
それってドコにあるの?
携帯からだとなかなか探せなくて。

40 :
>>39
ttp://green.ribbon.to/~eroparo/contents/drama-dat04.html
2chエロパロ板SS保管庫
ttp://green.ribbon.to/~eroparo/
ドラマの部屋 dat落ちスレッドの部屋その4
にある

41 :
鬼平 「 おまさ ・ ・ ・わしの前で屈んで排尿いたせ 」

42 :
>>37
なつかしいw

43 :
排尿♪

44 :
「承知致しました長谷川様」 密偵おまさは平蔵から手渡された南蛮渡来の秘薬を白湯と一緒に飲み干すとしばらく自らの腹を摩り尿意が起こるのをひたすら待っていたが ・ ・ ・ 秘薬の効き目が現れたと満て「長谷川様 ・ ・ ・ 出しとおございます」 と平蔵に言った。

45 :
おまさは丁寧に足元の裾を上に手繰り寄せ尿汁が裾に掛からぬ様に纏めると膝を横にくノ字にゆっくり曲げで腰を降ろし陰部が見える様に屈んで排尿を姿勢を取って尿意を解放した。

46 :
おまさの陰部から最初は数滴づつ玉雫の様に尿水が滴り落ちて行き,途中から徐々に勢い増して行き庭の白い砂利を濡らして行った。 そして秘薬の効能がでもあるのだろうか上役の平蔵に自らの排尿を見られている影響か,おまさは一切の恥じらいもなく排尿に耽って行った。

47 :
>>40
アリガト。読みたかったのが読めた。

48 :
>>46 おまさ……続きは?!
自分、梅安書いてみたいが、うまく書けん
しかし、ここで書くまでもないかもな
原作で充分エロいもんな……
おもんさん……

49 :
劇スレのときの、必二次のお人はお元気ですかね
必シリーズ、今後は新作主水抜きか? 
てか、新作あるのか
ああ ご冥福をお祈り……

50 :
ああ、そうか
藤田さん・・・

51 :
そろそろ……保守

52 :
保守

53 :
圧縮きそうで、こないねえ

54 :
圧縮来てて、涙目になりかけたけど、ココ、残ってて、驚いた。
なかなかしぶといなw 

55 :

娼婦遊郭スレか迷ったのですが、こちらへ。
夜鷹(最下層の娼婦で、野外で筵(むしろ)を引いて客をとる)の娘
と、とある小藩の国家老次男のお話です。
一次モノに挑戦。字がたくさんですみません。
エロは強引ですが、あっさり目です。
ひっそり大目に見てください。。。
過疎だし、いつか誰かのお目にとまったら幸いです。
本文投下は16レス
NGワードはタイトルかIDで
投下します。

56 :
               
生暖かい風に、雨のにおいが混じり始めた。
織澤修二郎は、色街をあてもなく歩いていた。
国家老次男が供もつけず、ましてうろつく場所ではない。
特に美形でもないが涼しげな目元に整った相貌、引き締まった体躯。
剣術に秀でた修二郎は、東軍流免許皆伝、藩主親族の剣術指南役でもあった。
普段なら隙のない男の袖を、女たちはひき、いかがわしい声をかける。
他の重役からの婿にぜひ、との声が最近とみに多くなった。
家督は、嫡男総一郎が継ぐことになっている。
父の織澤忠右衛門も、いよいよ次男の心配を始めている。
綾姫の輿入れが決まり、お役御免となるからである。
綾姫六歳、修二郎十三歳の時から妹の奈緒と一緒にお遊び相手として仕えて十二年余り。
途中、綾姫の剣術指南を仰せつかり、東軍流を指導してきた。
綾姫は修二郎にとてもなつき、主従の関係以上の信頼を寄せていた。
それは修二郎と二人だけにしかわからぬ、秘めた想いでもあった。
妹奈緒だけは、それをたぶん察知していたであろう。
兄の悲恋のゆく末を、ひとり案じているらしかった。
身分違いの恋に、成就などありえない。
こんな小藩に、藩主の息女が降嫁した例などあろうはずがない。
たとえ心が通い合おうとも、己の想いのままに姫に触れることさえ許されないのだ。
綾姫は幼い頃から、江戸住まいの正室である母親にも思うように甘えられぬ境遇だった。
修二郎の同情と忠心はやがて姫の成長とともに、特別の想いへ変化していった。
宝物のように愛しい姫があと数月で江戸へ発ち、そののちに遠国へ嫁ぐ。
そして、見ず知らずの男のものになるのだ。
気づくと色街外れの川原沿いの堤道に出ていた。
提灯が無ければ、足元さえもおぼつかない闇夜だ。
歩を進めていくと、橋のたもとにある飲み屋の灯りがまだ届く薄闇に、人の気配がする。
反射的に左手を腰の物に添え、腰を落とした。
「お、おさむらいさま…」
上ずった声が暗がりから聞こえる。
娘の声だ。
目慣れてくると、筵をかかえた女がひとり立っているのがわかった。
この辺りは、夜鷹が客を引く場所だということを思い出しながら、何故か興味を覚えた。
修二郎のような者なら、早々にこの場から離れるところだ。
夜鷹か――。
未練がましい己をもっと貶めてみるか。
俺は、綾姫にふさわしい男ではない。
それを嫌というほど己に刻まなければ、この先何をしでかすか自分でもわからない――。
自棄の極致だった。
頭の中に何度も浮かんだ、綾姫を抱く見ず知らずの男の姿。
それを振り払いたかった。
修二郎の身なりから、上客であるのは一目でわかるはず。
しかし、夜鷹の女は突っ立ったままである。

57 :
                  
「おんな、俺につきあえ」
修二郎から女の腕を掴み、居酒屋横の草むらの暗がりに誘った。
ここなら、飲み屋の灯りのおかげでかろうじて女のからだを確かめることができる。
この稼業に身をやつして日が浅いのか、緊張した様子で筵を引き延べる。
終るか終らぬかのうちに、修二郎は提灯を吹き消した。
おぼつかない態度に業を煮やしてか、またはそそられたか。
自分でもわからないまま、修二郎は性急に女を押し倒した。
「きゃ…」
驚いたことに、女は短い悲鳴とともに、抗うそぶりを見せた。
「……おい、こざかしいことは、するな……」
女の両手首をその頭の上で掴み、刀の下緒で括りとめる。
そのまま筵にうつぶせに這わせて、腰を突きださせた。
女の着物の裾をはだけ、程よい肉づきの尻を両手で掴む。
「や……ああ……」
尻のすぼまりの少し向こうに、尻を広げられて晒された秘口が見えた。
力なくかぶりを振る女に、情欲を煽られる。
――分別のある男など、くそくらえだ。
薄い繁みを乱暴に擦り、乾いた窪みに指をあてがう。
無言で、親指を突き立てた。
「ひっ」
ぐいと指を押し込まなければ押し返されるほど、そこは狭く窮屈だった。
「っく…い……っ」
「なんだ、気娘でもなかろうに」
うつろな表情で、なおも指を動かす。その時女がたまらず声をあげた。
「お侍さまっ、お、お慈悲をっ」
若い女の声に、修二郎ははっとなった。
「ひ…め……」
女の声は、綾姫の声音そのものであった。
よく見ると、恐怖に顔を引きつらせているものの、その面ざしもどことなく綾姫を彷彿とさせた。
組み敷いた夜鷹は、すれっからしの年増でなく、開いた襟からのぞく乳房もふっくらした
瑞々しい娘のものであった。
狼狽し動かなくなった修二郎を訝しみながらも、括られた両手のまま娘は起き上がった。
「申し訳ございません。お侍さま、申し訳ございません……」
頭を垂れて、修二郎に詫びる。
「なぜ……だ。なぜここで客を取っている?」
愚問だ。しかし、聞かずにはいられない。
「母の薬代を作らなければならないので……」
素直に答える娘に、胸の奥がチクリと痛んだ。
両手を縛っていた下緒をはずしてやりながら、修二郎は娘を抱き寄せた。
「男を知らぬわけではあるまい」
答えを待たずに、娘の唇を乱暴に塞ぐ。
唇を舐め、吸い、開きかけた隙間から舌をねじ込んで歯列をなぞる。
うんっうんっ、と洩れる声を、あふれた娘の唾液ごと啜った。
綾姫の唇を凌辱していると、錯覚する。

58 :
                    
ほどなく雨が落ちてきた。
「くそっ」
唇をやっと放し、恨めしげに真黒な空を見上げた。
娘は、たったこれだけの行為にも、すっかり放心したように座り込んでいた。
「おい」
「……はい」
声を聞くたび、胸が熱くなる。
――これは、綾姫じゃない、夜鷹だ。卑しい女なんだ。
そう思いながら、修二郎は娘の手をとり、引いた。
「場所を変える。金なら、払う。嫌なら去れ」
ぶっきらぼうに言い放つ。
「金が、欲しいんだろう?」
去れ、と言っておきながら、裏腹な言葉が口からこぼれる。
俺は、どうしてもこの娘が欲しいのか――。
娘は、視線を落したまま、顔を歪めた。
やがて意を決したように顔を上げ、
「行きます」
とだけ言って、修二郎の後ろに従った。

「ばばさま、今夜、離れを借りますよ」
老女の耳元で話しかける。
かつて修二郎の母に茶の湯の手ほどきをしていた婦人である。
今は亡き夫の田沢幸右衛門は、先代藩主の剣術指南役をしていた剣の達人だった。
先代さえも一目置く、無骨な昔堅気の武士そのもの、という男だった。
婦人の名を、安(やす)という。
今は一人身となり、下男一人とともに城下町から少し離れた所に住んでいる。
城下はずれの色街からは、程近く、賑やかかと思えばそうでもない場所だ。
「あ? 修二郎どの。あー……離れ屋、ね。よろしい。夜具は奥の部屋からお持ちなされ」
耳は遠いが、しっかりしている。
織澤家の遠縁で、幼い頃より家族ぐるみで世話になった家だ。
総一郎・修二郎・奈緒の兄弟妹を孫のように可愛がってくれた。
厄介者の次男坊など、自宅では何かとわずらわしい。
自宅を飛び出し、一人この家で一晩中太刀を振るったりしたものだった。
今夜のように、女を連れ込んだこともあった。
行儀作法など何かにつけて厳しく臨むので、親類縁者さえにもけむたがられていたのだが。
この老女は、次男坊の修二郎にはことのほか甘かった。
離れのなかに、行燈の明かりが灯った。
娘が、帯を解いて色の褪せた襦袢一枚になる。
「朝までに帰ればよかろう? 一晩付き合ってもらうぞ」
ここへの道々、娘が明日は母の薬を求めに薬屋へ行く、ということを聞いていた。
――夜鷹ごときを、ここへ連れ込むとは。俺は馬鹿なことをしている……。
「金は弾むと言った。俺の言う通りにしろ……それから、今夜のことは他言無用だ」
娘は黙ってうなずいた。
「こっちへ、来い……」

59 :
                            
修二郎は下帯一つになり夜具の上に座って、立ったままの娘に手を伸ばし引き寄せた。
「あ!」
娘は修二郎の腕の中に倒れ込んだ。
「申し訳ございませ……ああっ」
娘を後ろから両腕に抱き締め、襦袢の上から乳房を掴んだ。
形良い膨らみを揉みながら、尖った先端を指先で捉える。
痩せて小柄ながら柔らかな娘の体は熱く、火照りが伝わってくる。
布の上から、硬くなっていく突起をくるくると指先で撫で、きつく摘まむ。
一方で、唇でうなじから首筋を上へと辿り、耳朶をくわえる。
柔らかな耳たぶを舐ると、娘が頭を弱く振った。
襟の合わせ目から、左胸へ右手を滑り込ませる。
ふっくらと張りのある乳房はあたたかく、掌の中でいくらでも形が変わった。
しっとりと瑞々しい肌が、掌にひたと吸いつくようだ。
乳房を弄りながら、左手は体の線を確かめるように撫でまわし、股間に伸ばす。
娘は、ふ、はっ、と息をつき、次第に高まる快感を逃そうとしているようだった。
襦袢もそのままに腰ひもを解くこともせず、娘を乗せた膝を開いた。
乗せられた娘の股間も一緒に開く。
襦袢の裾を肌蹴て、繁みの奥の湿り気を帯びてきた窪みに指を押し入れていく。
やはりそこは、ひどくきつかった。
埋めていく指の先が、肉の抵抗にあって奥へと進みづらいほどだ。
それでもぬめりが生じ始めていた。
今度は胸元の布の合わせ目を乱暴に開いて、両の膨らみを晒す。
つんと勃った二つの膨らみの頂が、そこだけ生々しく赤く、淡い灯りの中に淫らに揺れた。
次第に秘所が潤いを増して、粘りのある水音が聞こえだした。
「んん……んう……」
快感の中にいることは、上気した体や切なげに歪んだ表情からもわかる。
それでも娘は耐えているらしく、声をして震えている。
修二郎は娘の声がどうしても聞きたかった。
「声を、出せ」
顎を掴み、人差し指でぷっくりした唇の閉じ目を抉じ開けた。
「あ……っかは……」
歯の噛み合わせのその奥で、修二郎の指先が鍵の手に曲がった
娘は指を突っ込まれて、閉じることができない。
下に回した手のほうは、娘の女肉を抉るように、動きを速めていく。
「はっ……ああっああっ」
膣内に埋め込んだ中指と薬指で掻きまわしながら、抜き差しを続ける。
「ふあああああっ」
親指で花芽を弄り出して、押しつぶすように転がすと、娘は腰を浮かし高い声をあげた。
「くあ……あふ……あっ、あ――――」
同時に体が跳ねて、背中を反らしびくびくとした後、くったりと修二郎の膝に倒れ込んだ
娘は気を失ったようだった。
ぐったりした体をそのまま夜具にうつ伏せに下ろす。
その両足を広げて、修二郎は下帯を取った引き締まった腰に、娘の尻を引き寄せた。
張りつめた己の物を、濡れそぼった秘所にあてがった。
ぬちぬちとそこで音を立てながら、修二郎は耳に先ほどの『声』を蘇らせていた。

60 :
                              
紛れもなく綾姫の声だった。
長い間耳慣れた、少し甘たるい、愛おしい声。
白くまろやかな尻に視線を当てながら、慎ましい姿を思い出す。
「姫……綾どの……」
目を閉じて呟くと、修二郎はゆっくり腰をすすめていった。
頭の隅ではわかっている。
胸の中に切なく苦しい思いが広がっていて、気を失ったままの娘に苛立ちすら覚えている。
綾姫ではない娘は、修二郎と繋がりかけているのに、目覚めない。
綾姫と思えば逸る気持ちを抑えての緩やかな動きに徹していたものを、もう堪え切れなかった。
ずんっと思い切り、娘の体に己を深く突き入れた。
娘の体が揺れて「んう……」と呻き声があがった。
構わず、ずいっと腰を引き、力強く腰を打ち付ける。
「やあああっ」
悲鳴があがった。
自分の体が男に苛まれていることに気付いたのだ。
男の数を知らぬらしい狭い膣壁を、穿つように修二郎は律動した。
「んやあっ……あぁっ……やっあああ……」
泣き声に変わったその声に、修二郎は少し動きを緩やかにした。
「すまなかった」
「お、お許しくださ……ん……あ……」
片方の乳房を包むように掌に納めて、やわやわと揉みあげる。
「……頼む。俺を『修どの』と呼んでくれないか」
耳たぶに唇を寄せ、甘く噛んだ。
「あんっ……ふあ……ああ……」
「客の頼みなんだぞ……」
手を回し、花芽をそっと撫でてやる。
「はあっ……あう……あぁんっ」
潤いが増し、抽送が自然と早くなる。
ぬるぬると締め付けてくる肉の襞は幾重にも修二郎を包み込み、
動きを止めても腰のあたりを疼かせる。
蠢きに誘われて抜き差しをすれば、とたんに奥へと引きずり込まれるように翻弄された。
娘の体は、生娘かと思えばそうでなく、今まで抱いたどの女とも違っていた。
繋がると、陰(ほと)が、別の淫猥な生き物のように蠢いた。
「ああっはああっ」
娘の声が動きに合わせて大きくなった。
声を聞くと、綾姫を抱いている……と、また錯覚する。
「あ、綾どの……あや……」
修二郎は乳房を両手で掴み、夢中で腰を前後に揺らした。
娘はもう、喘ぐ声を押さえることができないでいる。
「呼べっ、俺の名を呼ぶんだ……綾どの!」
獣のように腰を打ち付けて、修二郎は吠えた。
「っ……う……しゅう……ああっ」
うつ伏せで、突きだした娘の尻に修二郎の腰が打ち当って、
肌のぶつかる乾いた音が部屋に響く。
「修二郎だっ。修どのと呼べ!」
「しゅ……どの……しゅうど……」
「聞こえぬっ」

61 :
                      
「しゅうどのっ……しゅうどのっ……」
「呼べ! もっとだっ」
「しゅうどのぉっ……」
綾姫が嬌声をあげ、自分の名を狂おしく連呼する。
娘の襞が、修二郎を逃すまいと収縮し始める。
腰に突き上げてくるものを感じながら、頭にある理性の欠片を振り払った。
「あや!」
肌と肌を密着させて、ぐいぐいと、娘の最奥に……綾姫の中に、欲望を注ぎ込んでいた。

翌朝、修二郎は娘を残し、田沢邸を後に、登城した。
娘は力尽きて、起き上がることもできなかった。
娘のことは、老女のあるじ、安によく頼んできた。
娘の家には使いをやって、心配のないようにもしておいた。
さすがに、やり過ぎた、と思ったからだった。
最初は夜鷹を買って、荒んだ胸の内を晴らすつもりだった。
身分も、己の自尊も、叶わぬ想いごと、貶めてしまうつもりだった。
……耳に、絶叫がこびり付いているようで、離れない。
昨夜は娘を責めるように抱き続け、何度も己の名を呼ばせた。
自分がそうさせて、満足したはずだ。
抱いてみると淫らに狂う娘の体に、溺れてしまった、というのも否めない。
しかし己の名を叫ぶのを聞きながら果てた後、虚しさで胸が苦しくなった。
悲しみと、どうすることもできない怒りに苛まれ、それから逃れたくなって、また娘を抱く、それを繰り返した。
――俺は綾姫を抱いていたのではない。
わかっている。
恋しい人の声を持つあの娘の、声を抱いた。
わかっているのだ。
触れることはおろか、姫とはもう、言葉さえ交わすこともできない。
次に会えるのは、声も届かぬ場所で、顔も上げることも許されず、ただ見送るだけの、姫の出立の時なのだ。
――二度と、生きて見(まみ)えることは、叶わぬ。
ただ心で想うこと、それだけしかなかった。
***
下城すると、そのまま、田沢邸へと向かった。
娘は『阿乃(あの)』といった。
阿乃は元々城下のさる武家へ下働きに上がったが、母親が床に伏せったため、看病のために自宅へ戻ったのだった。
しばらくは内職と、蓄えを取り崩して凌いだが、薬代が嵩み、やがてその日の暮らしも立ちゆかぬほどになっていった。
やむにやまれず借りた金を、返すこともできず、とうとう色街に立つようになったのである。
夜鷹なら、ところの顔役へ断りをいれれば、店に縛られることも無く仕事ができる。
実入りはわずかだが、病人を抱えた娘には、これしかなかった。
母は、胸を病み、時々大量の吐血をするほどという。

62 :
             
いつものように阿乃を抱いた後、修二郎は阿乃にここに住み込み働くように言いつけた。
「けれど……」
「心配いらぬように俺が手配をしている」
「私は、借りたお金を返すためにあの仕事をするように言われました。
黙ってここへ来てしまって……修二郎様や田沢様にご迷惑が……」
「心配いたすな、そう言っているだろう。お前は何も考えなくていい」
「修二郎様……」
阿乃は袂で顔を覆って、声を抑えて嗚咽を漏らした。
修二郎は阿乃をここへ住まわせるつもりになっていた。
阿乃がここへ来てまだ一月ほどだが、阿乃と過ごす時間が修二郎にとって
安らげるひと時になっていた。
この安らぎを失いたくない、そう思うようになっていた。
もともと姫付きの役で、心穏やかな勤めの日々を送ってきたのだ。
修二郎は血なまぐさいことから疎遠なところにいた。
できれば目をそむけたままでいたかった。
それは日ごろから父を見てきたからである。
家老である父は、政の表向きより裏の事の成り行きに目を光らせている。
それは時に血なまぐさいことを自ら采配し、取り仕切って闇から闇に葬る――
そんな父を間近に見てきたからだ。
半月前の夜更け。
修二郎は、珍しく屋敷に戻っていた父の、その自室へ呼ばれた。
部屋にはすでに兄までが控えており、違和感を覚えつつ、促されるまま父たちの前に
折り目を正して座った。
久しぶりに親子だけで相対し、父から長年の勤めを労う言葉がかけられた。
修二郎は父の言葉に、素直に喜びを表に顕した。
父、織澤忠右衛門は、息子の殊勝な態度に親らしい笑みを刻んだが、一つ咳払いをし、
居住まいを正した時には、すでに射るように目を細めていた。
修二郎を見つめる父の視線が、次第に冷たい光を帯び始めた。
「お前も、江戸詰の者達の不穏な動きを知っておろう。その者達が国に帰参し、
殿の弟君擁立の機会を得ようと、暗躍しておる」
食い入るように修二郎は、顔色一つ変えぬ父を見つめていた。
「今、国に入っている者は、留守居役次席の坂木新五郎である。
まずこれを葬れば奴らの動きもある程度封じ込められるだろう」
ごくりとのどが鳴った。
坂木は、綾姫のお遊び役をしていた頃から見知っている男だ。
頭脳明晰で、誠実な青年だった坂木を、修二郎は記憶している。
父の細められたまなざしは、底知れぬ光を湛えて、修二郎の背筋を震わせた。
「坂木新五郎を亡き者にし、奴が引き連れている者を残らず斬り捨てよ」
修二郎は非情な命令をまるで夢のように聞いていた。
「他言無用。これは上意であるぞ」

63 :
                
長年の修二郎の勤めぶりを傍で見ていた藩主からも、厚い信頼を得ているそうだった。
「儂や兄の片腕となり、その腕を生かして存分に働いてもらいたい」父はそう言った。
               
密かに命令を受けて、刃向かう者、謀反の企てなどを未然にしかも根絶やしにする。
新たな役目は、今後ゆく道が、闇の中、日陰をゆくものだと修二郎は悟った。
そして踏み出したら、後戻りできぬことも。
***
阿乃の母が、んだ。
病が軽くなれば、田沢邸へ引き取るつもりでいた。
このところ阿乃は、母の元へ戻り、最後は枕元から離れず看病していたのだ。
阿乃は悲しみ打ちひしがれて、しばらく食事をとらないほどになった。
それは綾姫が旅立って行った頃のことだった。
修二郎はなす術もなく、姫を見送るしかなかった。
阿乃と同じく、しばらくは悲しみにくれた。
綾姫の涙で潤んだ瞳をを振り払うかのように、剣の稽古に打ち込んだ。
しかし、稽古場で木大刀を振っていると、姫との最後の稽古を思い出して手が停まってしまう。
最後の稽古の日は早春とはいえ、冷え込みのきつい、雲の多い日だった。
綾姫の袴姿はいつも、凛として可憐だった。
今も瞼の裏に焼き付いている。
ひととおり素振りを終えたところだった。
突然、姫が「あ」と言って、素振りの手を止めた。
藩邸にある、板張りの稽古場で、姫の見つめている方――庭へと目を向けた。
「あ」と修二郎も声をあげた。
「牡丹雪」
「そのようですね」
厚い灰色の雲に覆われた空から、白い羽のようなものが、ふわりふわり落ちてくる。
綾姫と修二郎は、稽古場の板張りの上に正座して、しばらくその光景に見入っていた。
「花びらのようですね、修どの」
「雲の上で、牡丹が咲いているのでしょうか。美しい……」
「雲の上の牡丹。真白な牡丹なのでしょうね」
「……冷えてきました。戸を閉めて……稽古はこれにてお終いに……」
「修どの……」
綾姫の見つめる目が、次第に潤んでいくのがわかった。
「今しばらく……このままでいたい……」
「………………」
涙を堪えて震える肩を、抱き寄せて、心の内を告げてしまいたい。
その衝動が突き上げてくるのを、必に押しした。
膝に置いた拳を、爪が食い込むほどきつく握りしめる。
――わかっています。
綾姫の声が聞こえた気がして、はっと顔を上げた。
綾姫がこちらに微笑みかけ、こくんと頷いてみせた。
その眼から、涙がはらはらとこぼれ落ちていく。

64 :
               
しばらくお互いに無言で見つめあっていた。
それだけで、心が通い合っているような気がした。
              
あの日二人きりで見つめていた景色を、また鮮やかに思い出した。
修二郎は再び素振りを始めた。
人を教え導く勤めから、時に人の命を奪う勤めへ……。
闇の中、もがき惑う日々の中で、綾姫というよりどころを失ってしまった。
あの時と同じように木大刀を振ってはいるが、現実の勤めには真剣を振るうことさえある。
虚しさが修二郎を満たしてゆく。
それでも修二郎は木大刀を振り続けた。
それは、これからの勤めのための鍛錬でもあった。
坂木を斬らねばならないことに、本当は迷いがある。
上意とはいえ、誠実な人柄に好感を抱いていた男だった。
探りを入れると、坂木の方でも警戒の色を強めているが、国に連れて入った下士の一人が、
逃走したという話も聞いた。
お互い、無理をしている、という気がしてならない。
今、坂木に会って腹を割り話をしたならば……などと考えてしまう。
真剣ではなく、木大刀で立合うように、とことんお互いをぶつけ合ってみたい、と思った。
どうして、このような抜き差しならない関係になってしまったのか。
政の摩擦やゆがみに、深い憂いを抱いたところで修二郎にはどうにもできない。
――俺は父上のようにはなれぬ。
父の非情さをあらためて思い知るようで、肌が粟立った。
阿乃の母の喪が明けた頃には、すっかり阿乃は田沢邸になくてはならぬほどの
存在になっていた。
子のおらぬ安は、下働きに精をだす阿乃を、娘のように可愛がっている。
阿乃は次第に元気を取り戻していった。
修二郎も、何かと気の抜けぬ日々の中で、阿乃と過ごす時間がかけがえのないものとなっていた。

春の兆しをあちこちに感じ始めたある日、阿乃が田沢邸を一人で抜け出した。
密かに探しまわり、夕暮れにようやく見つけ連れ戻させたが、修二郎は訝しんだ。
自然、詰問も厳しくなったが、それでも阿乃は口を割ろうとはしなかった。
修二郎は詰問を止めて、障子を閉めた。
驚いて、顔を上げた阿乃に飛びかかるように組みついた。
「やっ……」
阿乃が小さく悲鳴を上げるのを黙し、袴の紐を緩め裾を捲り上げ、向い合せに膝上に抱き上げた。
「嫌……っ」
「抗うのか」
阿乃の腕が、修二郎の胸にばたばたと当たる。
「今宵は、お許しを……」
「何故だ!」
「お許しくださいませっ」
撒きつく逞しい腕から、逃れようと、激しく身を捩る。

65 :
                                 
「だめだっ」
初めてみせる激しい抵抗に、修二郎は加虐心を煽られた。
肩を押さえ込み、開いた股間を己へ引き寄せた。
女陰に一物をあてがい、乾いたそこを下から一気に穿った。
「あああっ」
ぎっちりと絡みつくような女陰の奥の襞に、修二郎が締め付けられる。
着衣も脱がぬまま阿乃を貫いて、修二郎は腰を遣い始めた。
わずかな動きもさせまいとするかのような、阿乃の締め付けに驚くばかりだ。
かつてない阿乃の拒みように、強烈な快感を覚えた。
阿乃がいつも泣くように悦びの声をあげる場所を、腰を回しながら執拗に擦り、
小柄な体を持ち上げ、己の膝に落とす。
同時に下からも腰を突き上げた。
「んやああ――っ」
貫かれた衝撃に、絶叫をあげ、阿乃が後ろへ逃れるように仰け反った。
穿ったまま、夜具に阿乃の体を押し倒し、裾を腰まで捲った。
繋がった場所が目の前に晒されている。
猛々しい修二郎がまさに阿乃の桃色の女陰を割り押し開き、根元近くまでずぶりと入れられていた。
先ほどまで乾いていた陰(ほと)は、今はたっぷり潤っていた。
たらたらと滴るその蜜に、白濁した粘液が混じっている。
「何だ……?」
修二郎は気付いて顔を寄せた。
「お前……客をとったのか」
阿乃は激しくかぶりを振った。
「では、これはなんだ。昼間どこへ行った?」
指で掬って、阿乃の前にかざした。
修二郎の目が厳しく細められていく。
阿乃は怖気て、目をぎゅっと瞑った。
「言え! どこかで男に会っていたのだな?! 言わぬか!」
修二郎が阿乃の片脚を肩に担ぐように持ち上げた。
娘らしい張りのある腰を引き寄せ、上から突き込むようにのしかかった。
「くっ……あああああっ」
「言わぬなら、二度とここから出られぬようにしてやる」
「っん、おゆるし……はっあっあっあぁっ」
妬心に苛まれ、だんだんと抽送が激しさを増す。
阿乃の表情が哀しげに歪んで、両目から涙がこぼれおちていく。
拒みぬくことができぬ体が恨めしいのか。
それほど、修二郎と馴染んでしまった、と思い知ったのか。
しだいに阿乃がいつものように、自分から修二郎の激しすぎる律動に、体を合わせていく。
片脚の膝が折れ曲がって、胸に押しつけられている。
もう片方の乳房を弄ろうと、胸元が乱暴に押し開かれて、修二郎の手が押し込まれた。
痛いほど掴み締められ、揉みあげられ、勃ちあがった乳首をきゅっと捻られる。
「やぁっ……はぁっあぁんっ」
腰を回しながら突き上げられ、阿乃の叫びは嬌声に変わっていった。
部屋には、修二郎の獣のような息づかいと呻き、阿乃の甘い悲鳴、そして律動に合わせて起こる、
ぬちぬちという水音が満ちている。

66 :
                        
ふたりは、着物も脱がずに下半身だけを露出して、ある一点で繋がれていた。
修二郎と阿乃を繋ぐもの。
それは愛情ではない。
修二郎はそう思っていた。
現に、いつも綾姫を想いながら、阿乃を抱いている。
色街で出会った、夜鷹の娘。
金で買った、愛しい女の声をもつ娼婦。
荒んで昂った己を鎮めてくれる、ただの情婦だ。
いや。
修二郎は焦燥に駆られながら、気づかないふりをしていた。
苛み味わいながらも、しだいに感じ始めたのは、情愛だということを。
この娘を手放したくない、そういう感情は、これからの修二郎には
持つべき感情ではないのかもしれなかった。
主の命令一つで、命の遣り取りをせねばならぬ役目を負ったのだ。
それが修二郎の心を揺さぶり続けている。
なにかにすがらなければ、平静を保つことなど、出来なかったに違いない。
それを今、阿乃を貫き、その温かな襞に包まれながら、嫌というほど感じ始めていた。
阿乃にすがって、己の生をその体の奥の温もりの中で、確かめたかった。
阿乃を手放したくない。
あれほど激しく拒絶の態度を示した阿乃が、今は従順に修二郎の下で汗をほとばしらせ、快感に震えている。
花弁のようなふっくらした唇からは、もう甘い鳴き声しか聞こえてこない。
修二郎は阿乃の涙の跡を見ぬふりをし、最後の律動を深く力強いものにした。
事後に阿乃は出奔の顛末をようやく語った。
夫婦約束を交わした男がいる、阿乃はそう言った。
予想していたものの、修二郎の胸は波立った。
江戸へ旅立ったその男は役目上帰参したが、阿乃との約束のために、主人の元から逃れてきてた、
ということ。
ともに国を出ようと誓いあったこと。
そして今日、その手筈を打ち合わせてきたこと。
「けれど、私は……どうしたらよいか、迷っているのでございます」
そう言って、修二郎の手を押し頂くように両手に包んだ。
「今すぐにでもあの方の元に飛んでまいりたいはずなのに……」
「……」
「……なのに、何故か修二郎様を思うと、胸が苦しくなるのでございます」
阿乃が眉根を寄せて、口を引き結んだ。
自分の胸に、握った修二郎の手を押し当てる。
その様子が、頼りなげで、修二郎は震える阿乃の肩を抱き寄せた。
「お前を、その男のところに行かせたくないな」
顎に指を添え、こちらを向かせて唇を吸った。
「行くな」
阿乃が戸惑った表情をして、また涙を溢れさせた。

67 :
                      
修二郎の胸のあたりが、ちりちりと痛んだ。
口の中で、苦い味が広がっていくような気がした。
「私は、どうなってしまったのでしょうか。自分がわからなく……」
「わからなくてもよい。今は俺に抱かれろ。お前の想い人を忘れさせてやる」
「あ……お許しを……」
「許さぬ」
今度はできるだけ柔らかく笑って、引き寄せた阿乃の帯を解き始めた。
***
阿乃は、修二郎の元を去るようなことはできないと思い惑っていた。
愛情なのかもしれなかった。
会えぬ想い人より、何度も自分を欲してくれる男。
数日前の、想い人に抱かれた悦びより、修二郎の存在が大きくなるのが恐ろしい気がした。
安の元に仕えて、穏やかな日々を送る幸せを感じてはいる。
けれど安婦人も老齢で、いつまでこの生活が続くかもわからない。
その上に、最近修二郎の存在が、急に儚く感じることがあって、不安になることがあった。
時折狂ったように自分を欲する修二郎の、心の歪みを知るようになった。
同情と憐れみが綯い交ぜになり、自分がそれを癒せるなら、と思い始めていた。
しかし、身分が違いすぎる。出過ぎたことだ。
金で買われた娼婦なのだから、いつか捨てられるのだと、始めからわかっていたはずなのに。
阿乃は安婦人の使いで外出をした道々、これからのことを考えて、思い惑った。
昨日まで暖かかった春先の陽射しが、今日は雲に覆われて、真冬ほどではないが冷えてきている。
肩をすぼめて、冷たくなった指先に、ほうっと息を吹きかけた。
外出は、いつも修二郎があまりいい顔をしないが、今日は仕方なかった。
身内の不幸で実家へ帰っている下男の代わりに、安の持病の薬をとりに行くところだ。
それが、いけなかった。
色街へ渡る橋の前を過ぎようとした時、阿乃は悩み事で頭がいっぱいだった。
だからすぐ後ろに、男がつけてきたのに、気付かなかった。
人通りのない路地へ入ったところで、阿乃は急に当て身をくらい、意識を失った。

阿乃が目を覚ました時には、修二郎の顔が心配そうに目の前にあった。
「ばかもの。あれほど外出をするなと言っておいたのに」
ごめんなさい。
そう言おうとしたが、口がうまく動かない。体も同じだった。
修二郎が縛めを解いていることにようやく気づき、次第に状況が掴めてきた。
頭が働き始めると、次に、鼻孔に強烈な金気の匂いが入ってきた。
吐き気が込み上げる。血の匂いだ。
「ひっ」
慌てて口を塞ぐ。
男が狭い部屋の中でふたり、無残に斬されて倒れていた。

68 :
                       
修二郎は手に持っていた、折れた脇差を投げ捨てた。
狭い家屋の中で、修二郎は脇差を振りかざし、ここまでやって来たのだろう。
それは、斬り合いの凄まじさを物語っているようだった。
「ここを出るぞ。立て、阿乃」
修二郎が、急いで阿乃の腕を引きあげた。
体は、見覚えのある、娼家の主とこの界隈の元締めのようだった。
修二郎に手を引かれて、娼家らしい店から外へ出た。
廊下にも用心棒なのか、浪人の体が数人転がっている。
店の外には予想どおり、手下や浪人者が待ちかまえていて、修二郎と阿乃を取り囲んだ。
修二郎はたったひとりで、阿乃を連れ戻しにきたのだ。
身分が身分だけに、自分の囲い者のことで、だれかの手を借りることもできなかった。
以前は、修二郎が金で話をつけたのだが、それであきらめられなかったらしい。
それほどに、阿乃は上玉なのだろう。
修二郎に囲われてからも、以前夜鷹の阿乃を抱いた客が、あきらめきれず、
色街の元締めに手を回したようだった。
あの時は隠して手配りしたが、今は修二郎の正体も掴んでいるだろう。
目の前の無頼の者たちは、ニヤついた顔で、珍しそうに修二郎と阿乃を眺めている。
「元締めがヤラレた!」
店の奥から、叫び声があがった。
目の前の男たちの顔色が変わった。
「こいつらを街から出すな! 切り刻んであの世へおくってやる」
男たちの中でも、一番屈強な男が、ずいと前に立ちはだかった。
「あの世で元締めに会っても、手が出せないようにしてやる」
修二郎はすらりと大刀を抜き放った。
男たちの囲みが、斬撃の間合いから、さっと退いて広がった。
「阿乃、行けっ」
するどく修二郎が言った。
「でも……」
「いいから。俺が足を一歩進めたら、橋へ向かって走るのだ」
「……」
「そうしたら、お前の想い人の所へ行くがよい。迷わず行けよ。よいな?」
「修二郎さま……安さまは」
「後のことは案ずるな、俺に任せておけ」
「でも……」
「お前の懐に、いくらか入れておいた。それを使って好きなところへ行くがよい」
「……いいえ……いいえ!」
阿乃は激しくかぶりを振った。
「ばか! 言うとおりにしろっ。主人の言うことが聞けぬのか?」
「いいえっ、私は……っ」

69 :
                    
じりっと包囲がわずかに狭まった。
修二郎は包囲から鋭い目をそらさずにいたが、声だけ和らげ阿乃に言った。
「行け、阿乃。幸せになれ。必ず想い人と添い遂げて幸せになれ」
                        
阿乃はかつて坂木家に奉公していた。
その下士の男と想い合うようになったのだ。
江戸にいってしまった男が、自分を捨てたのだ、と阿乃は思っていた。
だから、夜鷹家業に身をやつしたのだ。
想い人の男は、実は役目上、詳しいことが言えぬまま、阿乃を置いて国を出たのだった。
想い人というのは、江戸から坂木とともにこのたび帰参したが、主の元から逃走したという
下士の男だった。
修二郎は坂木への探りの中で、それを知った。
阿乃との約束を守るためか。
それとも、政争に巻き込まれ、変わりゆく主にいたたまれなくなったものか。
修二郎はその男が羨ましかった。
自分にはとうていできぬことだった。
いや、そういう方法もあったのだ、と阿乃の想い人のことでようやく思い至ることができた。
しかし、今となっては、遅すぎることだ。
「修二郎さま……」
「行け」
刀を正眼から上段に移した修二郎は、左足を一歩間合いに進めた。
同時に阿乃は身を翻した。
包囲が修二郎めがけて狭まった。
修二郎がするするとその中へすすみ、阿乃に近い位置の男から、斬り払う。
喚き声をあげ転倒するのを合図に男たちが入り乱れて修二郎に迫ってきた。
無造作に大刀を振り回しているように見えて、確実に修二郎は包囲網を斬り崩していった。
あと五人倒せば、ここを斬りぬけられるだろう。
――阿乃は、走っているか?
一瞬橋の方を見やると、阿乃が立ちすくんでいるのが見えた。
離れたところにいたが、修二郎を案じて泣き顔になっているのが見えるほどのところだ。
「ばか! 走れ、阿乃!!」

70 :
                      
修二郎が叫ぶと、阿乃は弾かれたように踵を返した。
包囲の一人がそれに気づいて、阿乃に向かって駆けだした。
追いつかれてしまう。
しかし、修二郎が追っても間に合わぬ。
追ったとしても、ふたりともに危うくなる。
男たちの凄まじい気の中で、修二郎はやむを得ず、手にした大刀を後方へ投げ放った。
「きゃああ!」阿乃の悲鳴が聞こえるのと同時に、男の断末魔の叫びが聞こえた。
狭い店の中での斬り合いで折れた脇差は、その場に捨ててきていた。
得物は、今放った大刀のみだ。
「走れっ、阿乃! 走れえっ」
「しゅじろうさま!」
最後に耳朶を打ったその声は、もう綾姫の声ではなく、阿乃の声そのものだった。
得物がなくなり丸腰となった修二郎に、白刃を振り上げた四人の男が到してゆく。
修二郎は、迫り来る男達を認めながら、一瞬視界に入った舞い散る白い羽のようなものに、
目を奪われた。
阿乃の声を胸の内に繰り返しながら、修二郎は体の力を抜いて、空を仰ぎ見た。
いつの間にか、牡丹雪が、落ちてきていた。
===終===

71 :
 
終わりです。
本文は 15レス でしたorz
誤字脱字ありましたら、ごめんなさい。
拙文すみません。精進します。
お読みくださった方、ありがとうございました。

72 :
GJすぎる

73 :
こんなに読み応えのあるSSは久し振り!
また書けたらぜひ投下して欲しいです

74 :
>>71
GJ!大作で凄いな!
時専で剣客の再放送見て今頃はまった
大治郎と三冬のエロもいつか誰かお願いします

75 :
下がってきたのでアゲとく。

76 :
>71
あっちのスレは甘々カプでこっちのは悲恋なんだね。
なんだかしんみりする。

77 :
>>74
大治郎三冬 根強いな。
自分も、あの二人の朝チュンもどきでさえ、萌えてしまうクチ
池波なら、自分は今、雲霧仁左衛門と七化けお千代だなー。
原作のほうだけど。
ドラマはキャスト一新して、も一回やってくれないかなあ。
せめて、どなたか気が向いたら、仁左のお頭とお千代の初物お願い……
時代(劇)物って少ないからなー。
仕方ないんだろうけどさ

78 :
>>77
今ドラマでやってる渡部版の、二人の微妙な距離感がかえってエロスwを感じるんだよなw
あの二人で原作の夫婦後の交わいとかやってほしかったと思うがなかったようなので
せめてここで希望だけでも言ってみた
時代劇ものは上の投下された神作品も萌えるし、他の作品でも萌えるの沢山あるよな

79 :
>>78
ドラマ、お匙屋敷の三冬かどわかしの回ではすでに、
渡部大路ではなくなってて泣いたな。
新婚の二人のイチャイチャ(?)も見てみたかったね。
過去の作品……そういえば、必の作品とか、えらく萌えたよ。
こうして見ると、ぽちぽちと投下あるね。

80 :
ありがたいことだ

81 :
>>79
さっき久々に見たが渡部大路ver萌えるなw
かどわかしの回は本当にこの二人で心底見たかった!
あの渡部大治郎が叫ぶだけで萌えそうだw
原作読んでも初夜がどんな風に運んでいくのか想像できないがw
必の作品も萌えたし、なにわも良かった
また神達が戻ってきてくれたら嬉しいから全力でお待ちしてますよ

82 :
保守のついで、ということで許してくれ
また池波ネタで悪いんだが、
週刊○波正○郎の世界17号(←ぐぐると出てくる)の表紙
禿萌えたんだがwww
三冬かわええし、大治郎の表情が。 らぶらぶの新婚さんじゃないか〜。
ドラマじゃないが、中先生の絵で萌え充電
妄想とまらんくて、眠れん
スレチかもだが、エロ萌〜とか他板じゃできんし・・・。
暴走、すまんです・・・

83 :
最近の三冬は、握ったままでないと
(どうにも寝付けぬ……)
のであった

84 :
ま、よいわさ
……って、某板の池波スレかとオモタw

85 :
この流れワラタw
もう少しせめてドラマで原作並のラブラブな2人は
初期のキャストで確かに見たかったなぁ
原作でも三冬が大治郎を求めるのははっきり書かれているが
大治郎が三冬を求めるのはないんだよな
大治郎はやはり剣で体を動かしてるからそういう欲求は
三冬より少なかったのかとか原作読んでも考えてしまうw
この作品に限らず色々な時代劇作品の神の投下を心待ちにしております

86 :
規制中? 保守しに来た
今、時代劇って、なにやってる?まっつぐぐらい?
今年は、映画多いんだっけか。
映画はなあ、また藤沢
嫌いじゃないけど、エロくは・・・

87 :
リアルタイムってわけじゃないが
居眠り磐音でぜひ読みたい。

88 :
一次で続き物(連載)って、このスレの趣向・嗜好と合わないかな。
過疎だから、この際何投下してもいいかなあと思ったりもしたけど。
……やっぱこの板向きじゃないよね。
やっぱ、二次かあぁ。

89 :
投下してくれるならなんだって大歓迎
個人的には一次のほうが好きだよ

90 :
下がりすぎてるから保守あげ
そういや昨日おにへー久々にやってたね

91 :
おまさの 「再び犬に為りとうございます」 には萌たな!

92 :
ある意味(ココ的な意味でも)萌えるセリフだなー。
それにしてもサッカー裏番組だからか? 十ン年前の映画の放送。
2夜連続と最初聞いた時には、なんか新しいことやるのかと
一瞬期待したんだが。
みんなお肌つやつやしてたな……。

93 :
岩下姐さんは塗り過ぎだったな。 しかし最後に平蔵は何事を耳元で囁いたんだろな?

94 :
大治郎×三冬萌え〜♪

95 :
「おまさ・・再びワシの犬になりたいと確かに申したな?それならば後ろを向いて四ツん這いになりワシに尻の穴をしかと見せい」平蔵はおまさに指示を出した。 おまさは平蔵の言う通り着物の裾を上げ四ツになり「長谷川様これでよろしゅうございますか?」と尻の穴を見せた。

96 :
「おまさ良い心掛けじゃ!それよりしかし年期の入った良い尻と穴じゃぁな!おまさ」 すかさず平蔵は自ら唾液を人指し指に舐め濡らし,おまさの尻の穴に突き入れた。「おまさ痛いか?」 「いいえ痛とうございませぬ長谷川様・・・突いた指の感触が恥ずかしながら気持ち良うございます」

97 :
「気持ち良いか!?おまさ!よしよしもっとお前の尻の穴を突いてやるぞ!」 平蔵は穴に入れた指を動かした。 「ハヒ・・・ハヒ・・・ハヒ・・・はひ!」 おまさは自ら尻を激しく突き出して平蔵の忠実な雌犬になり従った。 「よく従ってくれる犬じゃの!おまさョ」

98 :
「引き込みから足を洗って長谷川様の元にはせさんじて密貞になる願をお許し頂いたその恩義を果たしとうございます・・・ですからお好きな様にして下さいませ長谷川様ぁ」 おまさは平蔵の前で恥ずべき醜態を曝しなからも気丈に受け答えた。 (終了)

99 :
口を割らない下手人を仕置きする部屋で,梁に巧みに排便をする様に縄で吊され卑猥な言葉を吐露させられるおまさ。

100read 1read
1read 100read
TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

【性拷問】拷問系総合スレッド【水責め火炙り】 (617)
【♂⇒♀】女の子が電気あんまで悶絶!9【♀⇔♀】 (598)
【獣姦】人×獣 限定 (305)
女にお尻を犯される男の子8 (267)
パトレイバーで物語を書こう (225)
Cでエロパロ (164)
【異文化】日本人×外国人【コミュニケーション】 (167)
■ タルタロスでエロパロ! ■ (308)


















さらに見る