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2013年01月エロパロ68: 【とある魔術の禁書目録】鎌池和馬総合 37フラグ目 (420) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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【とある魔術の禁書目録】鎌池和馬総合 37フラグ目


1 :2012/05/02 〜 最終レス :2013/01/03
ここは鎌池和馬氏著作、『とある魔術の禁書目録』『とある科学の超電磁砲』『ヘヴィーオブジェクト』のエロパロスレです
カップリングやシチュエーション、エロの有無を問わずSSは常時大歓迎。

ただし、特殊だったりや好みが分かれたりするシチュは投下前に警告しましょう(例 百合や調教、鬼畜や陵辱物など)。
投下前にカップリングの表記があるとなお良いです。
このスレは基本的にsage進行です。レスしたり投下したりする際はメール欄に半角で『sage』と入力しましょう。

次スレは要領が480KBを越えるか、レス数が950を突破した辺りで立てましょう。焦って重複しないように注意。
荒らし煽りはスルー。雑談は雑談スレに行きましょう。
ルールを守って、気持ち良く楽しみましょう。
前スレ
【とある魔術の禁書目録】鎌池和馬総合 36フラグ目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1327793654/l50
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(ライトノベルの部屋>とある魔術の禁書目録の部屋)
http://sslibrary.gozaru.jp/
総合データベース
http://www12.atwiki.jp/index-index/
過去ログは>>2以降

2 :
とある魔術の禁書目録
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とある魔術の禁書目録 2フラグ目
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3 :
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【とある魔術の禁書目録】鎌池和馬総合 30フラグ目
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【とある魔術の禁書目録】鎌池和馬総合 31フラグ目
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【とある魔術の禁書目録】鎌池和馬総合 32フラグ目
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【とある魔術の禁書目録】鎌池和馬総合 32フラグ目(実質33)
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【とある魔術の禁書目録】鎌池和馬総合 34フラグ目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1311846477/
【とある魔術の禁書目録】鎌池和馬総合 35フラグ目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1316527845/

4 :
では、「BLにも経験は必要だよね、初春」の後編の2を投下します
なんか妙に長くなってしまって申し訳ありません

5 :
 風呂からあがってさっぱりした初春飾利は下着を着けようかどうか迷ったが結局つけないことにした。
 丁寧に滴を拭ってバスタオル一枚だけを纏って生活空間に戻る。
 すると下着とシャツを着ているだけの上条が描きあげたばかりの原稿用紙に目を通していた。
 佐天涙子が三徹し初春飾利も一晩頑張った作品である。
 炎の魔術師と謎の東洋人の少年との絡みを描いた最新作だ。
 原稿を見るのに手慣れているのだろうか。手の脂で汚さないようにティッシュペーパーで指先をくるんでコート用の薄紙を捲って丁寧に読んでいる。
 ところどころで「なんでこんなこと知ってるんだよ」とか「これイギリスに送りつけたら確実にしに来るな」とかわけのわからないことを言っている。
 しかし嫌悪感を示さないのは理解があるからなのかもう諦めているからなのだろうか。
 初春飾利は声をかけることも忘れて興味深そうに反応を眺めていた。
「お、上がったんだ」
 気配に気づいてか、上条が顔を上げた。
 丁寧に薄紙を戻して原稿を角封に戻す。
 初春は上条の隣まで近づいて風呂で上気した顔で見上げた。
「……どう、思います?」
「んー、流石にねぇ、趣味は人それぞれだし楽しんでるのならば構わないと思うけど、少しは引いちゃうよね。
 絵は綺麗だし話の流れも雑誌の漫画に引けを取らないと思うし。
 なんか同性愛に纏める必要があるのか、って」
「そこは譲れませんよ、上条さん」
 半ば呆れたような上条に初春はきっぱりと言い切った。
 そして漫画としては高評価であることに満足する。
 同じ趣味を持っていない人が下す評価としては最高峰のものだろう。
 もちろん、楽しんでもらえたりさらには興奮してもらえれば最高なのだが、二次元と三次元はやっぱり違う。
 苦笑しながら上条が封書を机の上に置く。
 そして初春の頭を撫でた。
「まぁ、上条さんもエロい漫画とか持ってるわけですし。たぶん初春さんもドン引きするような奴。
 住み分けて互いを尊重するようにしないとダメですよね。うん、尊重は重要ですよ。美琴みたいに問答無用で灰とかはないわ」
 どんな内容だろう、と一瞬考えてしまったが互いに尊重するのだから触れないことにした。
 初春も自分の趣味を完全に否定されてしまう悔しさは知っているし、それを人に与えたりするものではない。
 私がいて貴方がいる。それだけで戦争は起こる。そして原因は大抵正義の押し付け合いだ。
 自分の無能さを棚に上げて人の趣味趣向に嘴突っ込んで規制しようとする輩は好きではないしそうなりたくもない。
 だがら初春は、
「そうですね」
 と上条に頷いて見せた。

6 :
 しかし瞳には小悪魔的な何かが浮かんでいる。
「で、どういうのが好きなんですか? やっぱりお尻でえっちするような漫画ばっかりなんですか?」
 にやにやと笑う初春に上条が一瞬憮然とした表情を見せる。
「私たちだけばれてるのはずるいと思うんですよね。上条さんの趣味も教えてください」
 悪友に影響されたのか初春の笑みは黒い。
 うきうきとした感情を隠さずずいっと近づく。
 そこには上条のことをもっと知りたいという欲望もあった。
「いやいやいや。マジで勘弁してください。風紀委員にこんなこと言ったら上条さんマジで捕まっちゃいます」
「もしかしたら小さい女の子が好き、とか?」
「それは白い奴だから。上条さんは年上のお姉さんが好きだから」
「ふぅん、お姉さん系が趣味なんですか。じゃあ、私なんか趣味じゃないですよね、残念です。
 佐天さんはスタイルいいからおっけーなんですね」
「だから! 二次元と三次元は別腹なの!」
 慌てる上条の頭に腕をまわして、ぐいと近づけた。
 ちゅ、と産毛の立っている頬にキスをする。
 瞬間、上条が慌てふためく。
 悪戯っぽい瞳で初春が笑った。
「お尻でする漫画は持ってないんですか?」
「……いっぱい持ってます」
「ふふ、正直でよろしい。じゃあ私にしてくださいよ。
 佐天さん、上条さんが凄く上手だって言ってましたし、それに取材しなきゃいけないんですから」
 床に敷いた布団に二人はまた横たわる。
 佐天涙子はまだ寝息を立てたままぐっすりと夢の世界だ。
 彼女のすぐ横で初春はうつぶせの形にされた。
 白いヒップを突き出す形になる。
「うう……恥ずかしいです」
 もじもじと切なそうにヒップを揺するが逃げようとはしない。
 これからのことに期待してしまっている。
 華奢でコンパクトな臀部はボリュームという点では劣る。しかし腰から流れるラインやぷりんとした張りのある肌は若々しく美しい。
 上条はできるだけ優しくつるりと撫であげる。
「ひぁ!」
「あ、痛かった?」
「い、痛くは無いですけど……びっくり、しました……」
 確信が持てないのか、初春の眉尻が下がる。少しだけ泣きそうになる。
 何分、人からされた経験というものが今日のこの日までないのだ。
 期待以上に不安もある。

7 :
 ――さわさわ、さわさわ……
「はんっ! ……ん……ん」
 きゅ、と瞳を閉じて布団向こうの固い床に額を押し付ける。恥辱に耐えている。不安げに指を噛む。
 可愛いな、と上条は一瞬見惚れた。
「はぁ……誰かに触られるのって、んっ、びりびりするんですね……」
 頬にうっすらと赤みが差す。風呂上がりとか上条のペニスを咥えた興奮だとかとはまた別に新たに湧きあがってくる感情。
 新たな欲望が浮かび上がってくる。
 それにこたえるように上条の指が尻の割れ目を撫であげた。
「やんっ!」
 すっ、と抜けるように一瞬。
 だが敏感な初春の肉体は反応してしまう。
 自分の意思とは関係なく背筋が震えた。
 恥ずかしい場所なのに、こんなに感じてしまうなんて。
 困惑する初春を構うことなく上条の掌が白い尻肉の上で踊る。ほんのりと赤く染まっているそこに軽い眩暈を起こしながら両手で鷲掴みする。
 上条は尻の丸さを包み込んで押し返してくる弾力を楽しんだ。
 ちゅ、と尻たぶにキスをする。
 わざと大きな音を立てて羞恥を煽る。
 ぴくん、と初春の背中が強張って尻肉に小さなえくぼが生まれる。
 嬉しくなった上条はもっと初春の背中を動かせようと舌を這わせた。
 ――ちゅ、ちろ、ちろろっ!
 ねっとりと唾液を塗りつけながら唇でついばむ。だんだんと熱のこもってくる秘部に晒されている空気がむわっとした匂いを孕んでくる。
 子猫のように背中を伸ばしながら初春飾利は目を閉じて熱い息を吐いた。
 小ぶりでも少女らしい丸みを帯びたヒップに刻まれた深い谷は思考停止するほど美しい。
 大人の女の艶めかしさは感じられないけれども、完熟前の桃のような初々しさと甘さを感じさせる。未熟ゆえに妖しい色香が漂って男の劣情を誘った。
(正直、男と女で比べ物にはならないと思うけどな)
 上条は心の中で思う。
 自分の尻を鏡で見てもこれほど綺麗なものではない。
 滑らかな球体の奥に放射状に皺を放つ可憐な蕾がある。
 緊張している尻肉に引きずられてかぱくぱくと口をあけ息づいている。
 その下にはたっぷりと蜜をたたえた割れ目からわずかにサーモンピンクを見せて粘り気のある液体を湛えている。
 水滴が一つ、つぅと太股を垂れた。
「……濡れてるねぇ」
「や、どこ見てるんですか!」
 無防備な女の恥ずかしい部分を晒していることに初春飾利が今更のように気付く。
 裸で下着も纏わずに隣にいたのに、まじまじとした距離で見つめられて騒ぎ出す。
 瞬間腰を逃そうとしたがむず、と上条に捕まえられた。逃げられない。

8 :
「こっちも後で可愛がってあげるけど、とりあえずは、ね」
 上条がゆっくりと中心部に顔を寄せる。ほんのりとボディソープの匂いがする。
 甘酸っぱい香りを胸一杯に吸い込んだ上条がお返しとばかりに息を吹きかけた。
「ひゃあんっ!」
 窄まりに吐息を感じて初春が甘い悲鳴を上げる。
 上条の大胆な行動は唇から先になって現れた。
「ひああああっ!」
 羞恥に耐えるように布団越しの固い床に額を押し付ける初春飾利。ショートカットの黒髪が切なげにゆれる。
 その感情を理解してやまない上条は胸をときめかせつつもわざと長々しく作業をする。
 綺麗に洗ってきて汚れなどかけらもない肛門の皺ひとつひとつを丁寧に舌でなぞる。
 ちゅ、とキスをしてぴくりとはねる尻肉を楽しむ。
「ん……おいしいよ、初春さんのお尻」
 ちゅるるっ、とわざとらしい音で吸いつきながら上条がからかうと、
「ば、馬鹿なこと言わないでくださいっ! へ、変態ですかっ!」
 と初春が反論する。するが腰砕けになったさまは快感にうめいている。
 抵抗できない。本気で逃げようともしない。
 シーツを鷲掴みにしながら歯を噛んで声を出さないように耐えている。
「ふぅん……でも、これが知りたかったことじゃないのかな。経験しなきゃわからないことはいっぱいあるよ?
 初春さんも楽しまないと」
 舌全体でアヌスを舐め上げて初春の理性を奪う。
 快感を覚えこませて自分に夢中にさせたい。
 きちんとした恋人がいるとしても男にはそういう本能がある。
 上条は夢中になって尻穴を舐める。ちろちろと舌先が動くたびに初春の細いヒップが左右に動いた。
 太股に流れる愛液も量と粘度が増してきている。
 気が弱いところがあっても正義感を持って風紀委員としての誇りを持つ少女が尻穴を舐められて快感に耐えている。
「ほら、初春さん。声出さなきゃ。きちんと体験しておかないといい漫画が描けないよ?」
「んんっ……きぃ……だって、恥ずかしいですよ、こんなの……」
 上条は悶えている初春飾利を揶揄する。
 窄まりをひくつかせて上条の唇に噛みつきながら初春が耐える。
 肛門粘膜の甘さを味わいながら上条の瞳に獣のような色が宿る。
 魅了されながら肛門の皺の一本一本をなぞって粘膜と皮膚との境界線を弄んだ。
「ほら、初春さん、気持ちいいって言わないの?」
 上条の恥ずかしい質問に初春は激しく左右に首を振った。
 興味津々だったはずなのに素直になれない。
 そんな初春を追い込むように上条の舌が肛門の中に捻じりこまれた。直腸内で一回転する。括約筋が舌を食いちぎりそうなほどに縮んだ。
「じゅる……じゅぱっ、ほら、気持ちいいんだろ?」
「酷い、ですっ! そんなこと言えるわけが……っ ああんっ!!」
 当然、こんな曖昧な答えで上条が満足できるわけがない。
 嫉妬と独占欲の入り混じったような、本来資格のない感情を抱きながら舌を奥にまで突っ込む。

9 :
「あううぅぅ!! いや、だめぇ、だめですぅ!!!」
 お尻を朱に染めた初春が絶叫する。初めての肛門愛撫にしてはずいぶんと感じている。
 やはり、ローターでのアナルオナニーでずいぶんと経験を積んでいるようだ。
 彼女の口から本当のことが聴きたくなった上条は少し意地悪をする。
「初春さんってどれぐらいアナニーしてたのかな? 教えてくれない?」
「いや、そんな恥ずかしいこと言えません!」
「じゃあ、やめちゃおっかなぁ」
 ぺろっと肛門を一度舐めて口を離した。
 厭らしい笑みを唇に張り付けている上条に快楽の途上を登りつつあった初春は強張った顔に半泣きの表情を浮かべて肩越しに振り返る。
「え……あ……」
「続けてほしいんだったら言ってよ。いやならいいけどさ」
「やぁあぁぁっ、こ、こんな中途半端で……い、言います! ずっと前から! 小学生の時からお尻触ってましたっ!
 オナニーしてましたっ!! ずっと興味あって、気持ち良くなってて……
 だから、やめないでっ! とっても気持ちいいから最後まで苛めてくださいっ!!!」
 上半身を布団に突っ伏して堰を切ったように快感を叫ぶ。
 恥辱の涙が零れてシーツに染みを作る。
 その一方で憑き物が落ちたかのように心がさっぱりとする。
 好きな物を好きだと認めてしまったことは初春の肛門をより性感帯として目覚めさせた。
 上条のペニスがみしみしと音を立てたように大きくなる。
 呆れるほどの射精を繰り返しても若い肉はまだ衰えを見せない。
 初春飾利の愛らしさに思わず自分で扱きそうになるがそれはメインディッシュの前に腹いっぱいになっておこうという魂胆と同じだ。
 自分の性欲の強さに苦笑しながら上条が初春のヒップを撫であげる。
 ひぃ、と短い悲鳴を上げた。
「最後までって、意味はわかってるよね?」
「わかってますっ! そんなの、最初から佐天さんが企んでたことじゃないですか!」
 涙目で上条を睨みつけた初春がやがて青菜に塩をかけられたようにしゅんと沈む。
 小さくなって消えそうなほどに身を縮ませて、そして意を決したように言った。
 ぞっとするぐらいに可愛らしく甘い声と尻肉を自身で割り開くという淫らな仕草で。
「……挿れて、ください……」
 少女のか細い声が上条の心臓を高鳴らせる。
「……上条さんのおちんちん。私の、ここに、入れてください……」
 ずくん、とペニスが妖しくときめく。
 上条の分身にあり得ないほどの力がこもる。
 いくら他の女の肉を知っていても、初春飾利のような穢れを知らない少女の肛交の懇願は心を奪われざるを得ない。
 しかも、佐天涙子もそうだが、処女の少女と処女のまま交わるという矛盾はまさしく禁断の快楽で激しく脳を揺さぶる。
 秘裂の興味を失ったわけではないのだが、やはりノーマルではないものに対する性的興奮は高い。

10 :
「きゃっ!」
 上条は初春を仰向けにしてその膝を初春の肩にまで落とした。
 股間が彼女の顔の前に来るほどに持ち上げる。無毛の場所は隠すことなく濡れていて初春が羞恥に染まる。
 露をたっぷり含んだ秘裂とおちょぼ口のようなお尻の窄まりがすべて見えてしまう。
「ひゃああっ、恥ずかしいですっ!」
 思わず初春の足が上条の背中をたたく。
 腕の三倍の筋肉が搭載されているという脚での攻撃だが不安定な体制と華奢な女の子の身体ということもあって上条にはほとんどダメージは無い。
 むしろ自分から尻肉を割り開いて見せたほど欲情しているはずの初春が再び羞恥に染まったことが嬉しい。
 そして、その羞恥が快感に返還される機構を大きな瞳の中に見つけた。
 暴れる初春の足を抑えつける。所詮は男と女。体力ではかなわない。
「たっぷり濡れさせないと入らないからね」
 言って、上条は自身のペニスを濡れた秘裂にあてがった。
 裏筋にたっぷりと蜜を含ませたあと、亀頭でお尻の谷間をすっとなぞりあげる。
「ひっひゃあああああっ」
 肉棒を女性器と肛門との間で往復させる。変形の素股。
 背中を反らせた初春のせいで亀頭から尿道のあたりまでが大陰唇を割って柔らかで敏感な粘膜に包まれる。
 挿入しているわけではないがそれにも匹敵するほど上条には心地よかった。
「柔らかいよ、初春さんの」
「や……やらしいですよ、こんなのっ」
 厚みのある二枚貝の肉で塗らされたペニスがてらてらと光りながら纏った蜜を尻肉の狭間にと落としていく。
 強請るように肛門がキスしてきて甘い疼きを感じさせる。
 筋肉組織の薄い下腹部が波打って初春が淫らに腰を躍らせる。
「こんな、いや、恥ずかしすぎますっ! こんなの、ボーイズラブと関係ないじゃないですかっ!」
「でもきちんとやっておかないと初春さん痛いよ?」
「そういうのはローションとか使うんじゃ、ひやっ! おっぱい触らないでくださいっ!」
「可愛いからいいじゃん。ほら、乳首もこりこりだ」
 困惑と快楽の入り混じった表情の初春飾利。乳房というには慎ましい場所を右手で上条が弄ると切なく悲鳴を上げる。
 大きく割り開いた脚の間から覗く顔が上気している。そこに上条の先走り汁と初春自身の愛液がぽたぽたと垂れて落ちた。
「ああ、すっごく気持ちいいよ、初春さん。きっと中も気持ちいいんだろうなぁ」
「だ、ダメですっ! それはだめっ!」
「わかってるって。今日はお尻だけだって」
 ぐちゅぐちゅと粘った音を立てる女性器が気持ち良すぎて本当にセックスをしているんじゃないかと初春は思ってしまう。
 このままするりと中に入ってしまったらきっと離すことができなくなる。
 ぎゅ、と自分の太股に深く指を食い込ませた。
 不安定な体勢でも腰が動いてしまう。

11 :
「すごく……大きくて……熱い、ですっ! あ、あああぁぁあ熱いっ!!! いやいや、気持ちいいっ! ひぃぅっ!」
 初春の腕が上条の首の後ろで交差した。
 折りたたまれるような形の上にさらに上条が重なる。
 濡れた陰唇が切なく戦慄く。
 きゅう、とお尻の穴が縮んだ。
「いやあああぁぁぁ、熱い、熱すぎるよぉっ! イくっ、いっちゃう!!!」
 ぎゅう、と全身を硬直させて初春飾利が身悶えしながら快楽の極みに達した。
 自分の両足と上条が上体を押しつぶす中で背筋を硬直させて仰け反る。薄い胸を突き上げる。
「ひあああああっっっ!!!」
 ぷしゅ、と音を立てたかのように愛液が一気に噴き出した。
 上条のペニスだけではなく下腹部全体を強く濡らす。むわっと性的な匂いが漂う。
 ぴんと突っ張った小ぶりな乳首がふるふると震えた。細い腕が痙攣するかのように上条にしがみつく。
 そして体力のすべてを奪われたかのように全身が弛緩した。
 ぽたり、と腕が落ちて汗腺を開いた初春飾利が目と鼻の距離の上条を見上げた。
 瞳が強く潤んでいる。
 吐息は荒い。そして甘い。
「酷い、です。お尻だけって話だったのに、おまんこでいっちゃいました」
「挿入はしてないじゃない。涙子のローター責めと一緒だよ」
「うう……でもいつ入っちゃうんじゃないかって怖かったですよ、もう……」
「でも気持ち良かったでしょ?」
「……はい」
 顔を真っ赤にしながら初春が再び上条の後頭部に手を回す。
 そしてぐいっと下から腰を突き上げた。
 秘裂と肛門付近とに上条のペニスと陰嚢とが当たる。
「上条さんだってこんなになってるじゃないですか」
「そりゃ、初春さん可愛かったし」
「んもう、そんなことばかり言ってるんでしょ」
「上条さんは無感情なのが美徳とは思いませんのよ。思ったことは素直に言わないと」
 くすくすと笑いながら互いに上気していく。
 まだ終わっていないのだ。
 その証拠に上条のペニスは初春飾利の陰蜜を纏って痛いほど勃起している。
「……いいかい?」
「……はい」
 一度上体を離した上条が宣言すると初春は小さく息を吐きながら初めて迎えるその時を待つ。
 上条には経験があるとはいえ緊張しないわけではなかった。
 女性器と違って滑る機能は無いからきちんと準備もしたが、本来迎え入れる場所ではない。
 無理をすれば破れてしまう。
 じんじんと疼くペニスとはやる気持ちを抑えつつ亀頭を改めて濡れそぼっている淫裂に擦りつけてたっぷりと蜜を纏わせる。

12 :
「あ……うぅん……いったばかりで敏感なんですから……焦らさないで……」
 悩ましげに柳眉を歪ませる初春だが上条もまた焦らされていた。
 温かい蜜をたっぷりと絡ませてますます元気になった亀頭を小さな窄まりにあてがう。
「あ……」
 初春の身体に甘い痺れが走った。木霊するように吐息を重ねる。
 聖少女の肛門は柔らかくほぐれていてキスするように亀頭に吸いついてくる。
 その刺激に従うように上条はゆっくりとペニスを埋め込んでいった。
「はいる……挿っちゃいます……」
 肛門周辺の肉を巻き込むように剛直が初春の中にめり込んでいく。
 そのさまを両足を抱えた初春が食い入るように見つめている。
 もともと異物を受け入れる場所ではない排泄専用器官であるがゆえに勃起したペニスはそう簡単には進んでいかない。
 肉欲の塊のような亀頭のエラという最大の難関は無理強いすることで乗り越えた。
「ん……はぅ……はぐ……」
 しかし、ローターでの経験が大きいのか、初春飾利は額に脂汗を浮かべて血の気が引くほどに拳を握り締めながらも初めての挿入に耐える。
 内臓を押される苦しみはあるが裂けるような痛みはない。
 それでも身体に力が入りすぎていて挿入にひと苦労する。
「初春さん、大きく息を吐いて。あんまり力入れてると裂けちゃうから。ほら、はぁーって」
 はぁー。
 初春が言われたとおりに大きく口から息を吐く。深呼吸する。
 括約筋から力が抜ける一瞬の隙が生まれた。
 そのチャンスを逃すことなく上条のペニスが一気に押し入った。
 カリの段差の激しい亀頭部分が入ると勃起の残り部分がするりと飲み込まれて埋まる。
「は、入ったっ! はいりましたぁ!! あぁぁあっ!」
 悲鳴を上げる初春飾利。
 ぶるぶると細い肢体が揺れて背中を仰け反らせる。
「お、大きいのが! 大きいのが私の中でっ! ああ、あああ、こ、これがっ!!!」
 初めて味わう圧倒的な充足感。
 息をするのも苦しいほどに内側から押されながらも待ち望んでいた感覚に全身が歓喜に震える。
 唇の端からよだれを流しながら体内を犯すペニスの存在に戦慄する。
 女性器のようにもともと受け入れる場所ではない分だけ大きな肉の塊が体内にある違和感も大きい。
 喜びながらも戸惑いを隠せない。
「ぐぅ……初春さんのお尻、きついな……」
 上条もまた強烈な感覚に耐える。疼き切っていた肉棒に燃え上がるほどような腸粘膜の熱を感じる。
 強く締め付けてきながらも内側は柔らかくペニスのすべてが粘膜に接触している。溶けあって一つになってしまいそうに錯覚してしまう。
 肛門部分で幹の根元をぎゅうと絞られながらも先端の亀頭部分はふわふわと柔らかく包まれている。
 二つの異なる感覚を同時に味わう快楽は女性器では味わえない。

13 :
「ああああ……上条さんの、で、お尻が、いっぱい……」
 脂汗を流しながらも初春の表情が蕩けてくる。
 シンプルな構造に見える割れ目から次々と新しい潤滑油が湧き出てきてアナルへと導かれる。
 動いてはいなくともじわじわと感じているようだ。がくがくと全身を揺らしながらも苦悶と愉悦の入り混じった顔を上条に見せつける。
「動かすよ? いいね?」
 先端奥にまだ余裕があることを確認してから上条がゆっくりとペニスを引き抜いた。
 挿入時と異なり抵抗は無い。するするとすべるように亀頭の直前まで抜けてぎゅうと肛門で絞られる。
「あ……ふぅ……」
 抜く動きが性感になったのか、初春の吐息に甘いものが混じった。背筋を震わせながら心地よさそうに小鼻を膨らませる。
 そして再度挿入し、引き抜く。
 四度五度と繰り返して初春が苦痛を訴えないことを確認し、上条は本格的に腰を動かした。
 ――――じゅぼっ、じゅぼっ、じゅぼっ
 性欲に突き動かされながらまだ中学生の幼いアナルを味わう。
 年齢的には佐天涙子も同じはずなのだが、体つきという一点で初春は幼い。
 成長途中の肉体はその不完全さが香り立つように美しさを開かせている。
 そんな少女の肛門を確実な動作で上条は味わい続ける。
 両手で初春の腰をしっかりとつかんで徐々に加速しながら腰を打ちつける。
 これまでのアナルオナニーの経験は確実に積み重なっていて初春の直腸は淫らにペニスに絡んで弛緩と緊張を繰り返し上条を喜ばせる。
「ひゃあっ! ひぃっ! ふわああっ! いや、なんか、すごいっ! すごいですっ! いや、わかんない!!
 気持ちいいかどうかもわかんないっ! けど、すごいぃっぃ!!!」
 少しずつペースの上がるアナルファックに初春の目が白目がちになる。
 まぎれもない歓喜の表情を浮かべて牝のように鳴く。
 困惑してもいる。
 最初の肛門性交でなぜこんなに感じているのか、と。それはもう才能だというしかない。
 ペニスを頬張って大きく広がった肛門に負けないほどに上の割れ目は蜜を溢れださせて存在をアピールする。
 腰が当たるたびにぺちんぺちんと間抜けな音がした。
 プリンのように白い尻が衝撃に揺れる。
 白く華奢なそこと比例するようにグロテスクな牡の器官が出入りしていた。
 汗でべったりと張り付いた前髪。それでも揺れるショートカットの黒髪。
 初めての肛交に興奮と困惑と快楽を混ぜ合わせた表情を浮かべる少女の顔。
 彼女の白く細く幼い肉体。
 なだらかな乳房。
 性器官とは思えないほどシンプルに見える筋。
 そしてペニスを受け止める肛門部分。
 そのすべてを愉悦に染めている、支配しているという征服欲が上条を満たしていく。

14 :
「どうなんだい、初春さん。初めてのアナルセックスは、どう?」
「い、いやぁ! そんなの、恥ずかしいですっ!」
「ちゃんと言ってほしいなぁ。だって、これは体験取材なんでしょ?」
「ひひゃあああっ! く、くりちゃん摘ままないでっ! そこ、敏感なんですからっ!」
「言ってよ。言ってほしいなぁ。上条さんはめちゃくちゃ気持ちいいですよ。最高ですっ!」
「ひっ、ひゃあっ……い、言いますっ! お尻えっち、気持ちいいですっ! お尻でずぼずぼってされて、めちゃくちゃ気持ちいいんですっ!」
「そっかそっか。癖になっちゃうかな? どう?」
「なっちゃいますっ! こ、こんなの、一度味わったらっ! 絶対癖になっちゃうっ!!!」
 淫猥な言葉を無理矢理引き出させながら上条は笑う。
 声高に響く絶叫には嘘など一つもない。
「これでもっといい漫画描けるようになった?」
「なりましたっ! だって、こんなの知っちゃったらっ! どういう気分なのか分かっちゃったらっ!
 切なくてドキドキして気持ち良くってっ! こんなの、これまでじゃわかんなかったっ!」
 これまで以上に速く強くリズムに身を任せて。
 上条がピストンを高速化させ初春の中の鉱脈を掘り当てていく。
「あ……っ、あーっ! いや、いっちゃうっ! お尻でいくっ! お尻でイクっ! いっちゃうよぉぉ!!!」
 初春飾利の小柄な身体が絶頂を前にしてびくびくと震えた。
 初めてのアナルファックで苦痛なく絶頂を迎えるという才能。
 上ずる声がどんどん高くなっていく。
 それに合わせて交合器官に目覚めた直腸がぎゅうと上条のペニスに絡みついた。
「お、おおっ! 俺もイくっ! いっぱいお尻の中に精液出すからなっ! 感じてくれよっ!!!」
「出してぇ!!! 出してくださいっ!!! オナニーじゃ絶対わからない感覚、私に教えてくださいっ!!!
 上条さんのでいっぱいにしてぇぇええっっ!!!!」
 上条の射精欲の高まりに合わせるように初春飾利の肉体は性的な絶頂に駆け上がっていく。
 全身がばらばらになりそうな感覚に怯えながらもその先を求め、崩れ落ちて巻き込まれて落ちていく恐怖とその先の圧倒的な何かを求めている。
 最高の瞬間を期待してか、その幼い貌にこれまで見たこともないような淫悦な笑みが浮かんだ。
 その表情を見て、
(可愛い――)
 と上条が思った瞬間、崩壊した。
「くぅぅうっ! 出るっ! っおあっ! 出るっ!!!」
 高速ピストンで初春の肛門を貫き直腸の奥深くまで打ち込む。少女の柔らかい尻肉は上条の腰を受け入れて潰れて密着する。
 男根はこれ以上ないほどまで深く深く侵入した。
 ――どくんっ、どびゅどびゅっっ どくんっっ
 弾丸のような射精。
 深く突き刺さったペニスが暴れまくる。
 水圧ですべてを押し流すような、そんな錯覚を起こすほどの勢いで男の種子を吐きだす。

15 :
「ひゃあああああっっっっつっ!!! で、出てるっ! 上条さんのせーえきが、熱いのが、わらひのなかにでてりゅっ!
 いやあああああっ、あつひ、あつすぎりゅぅうぅ!!! こ、こんのしらなひっ、すごすぎるよぉおおお!!!」
 腸内を熱い精液で焼かれる感覚に初春の快感は爆発した。
 ぐい、と背中が反る。白い喉を見せつける。
 病的なまでに全身が痙攣して強張ってシーツに大きな皺を作った。ざざり、と布を爪で掻く不安定な音がする。
 上条がすべてを放出してもなお、痙攣は続いた。
 ぎゅぎゅ、と直腸と肛門とが上条の精液を絞り取る。ペニスを膨らませようとする。
 絶頂の無意識の中で勝手に肉体が動いて男を欲しがっている風紀委員の少女。
 彼女の絶頂は五分ほども続いた。
 か細い悲鳴を上げ続け完全に白目を剥いた初春を上条が優しく抱き続ける。
 やがて出せるだけの精液を絞り取られて完全に縮んだペニスがちゅるりと抜け出る。
 男根の抜けた後の肛門がひくひくと切なそうに口を開く。内側のピンク色の粘膜から白濁の液体が毀れる。
 ぬらぬらと濡れた淫らな粘膜からびゅちゅ、びちゅ、と腸内に排泄された異物を噴きだした。
「大丈夫?」
 ようやく意識を取り戻した初春飾利の頭を上条は優しく撫でた。
 すべてが崩壊しそうなほどに疲れ切った初春が法悦を浮かべながら上条を見つめる。
「はぁ……はぁ……すごかったです。素敵でした……私、知らなかった……こんなに……」
 完全に上気した顔が官能に溶けている。
 嬉しそうに見上げてくる。
 その表情を見て、射精したばかりの上条のペニスがむきむきと元の力強さを取り戻した。
 快楽を欲しいという衝動が再び巻き起こり勃起は急角度で反り返る。
「は……あっ……やだ、初めてのキスなのに、乱暴ですよ……んっ……」
 気がつくと初春飾利の唇を奪っていた。
 互いの唾液で互いの顔をべたべたにしながら互いの不要となった二酸化炭素までも交換する。
 獣のような口交に初春は嫌悪感を浮かべない。うっとりと幸せそうに微笑んでいる。
 無防備な微乳を乱暴にもまれた初春が上条の昂りを悟ってか、上目づかいで言った。
「っはぁ……もう一回したい、って言ったら怒りますか? 淫乱だって軽蔑しますか?」
 二度目を求めてくる初春飾利。
 上条はなんら返答することなく再勃起したペニスをついさっき抜いたばかりの穴に再び挿入し本能の赴くまま腰を使い始める。
 新しい快感を知った初春飾利は貪欲にそれを味わいながら満足そうに笑って上条を受け入れ続けた。

16 :
「うう……酷いなぁ。なんで起こしてくれなかったの? 初春のアナルセックス見たかったのに」
 数時間後に眠い目を擦りながら佐天涙子が覚醒しての第一声はそれだった。
 あれから三回連続で上条当麻と初春飾利はアナルセックスを続け、その間にすっかり初春は肛門性交での絶頂をマスターしていた。
 やはり才能があるのだろう。
 お風呂で汗を流して綺麗に身支度を整えたころには午後の四時を回っていた。
 性的な匂いが充満している部屋の空気を入れ替えて皺くちゃになったシーツをとりあえず洗濯機に突っ込んで新しいものと交換した。
 そして二段ベットの上部に元の通りに整えたのだが、その時になって佐天は目を覚ましたのだった。
 すっかり事後だとわかった佐天は不満そうに頬を膨らませながらシャワーを浴びて身支度を整える。
 三日徹夜して処女をささげた疲労は完全には取れていないようだがとりあえず元気は取り戻したらしい。
「で、どうだった、初春。凄かったでしょ? 当麻さん凄く上手だからね」
「えっと……その……すごく、よかったです」
「やっぱり? だよねぇ。初春はエロ春だから最初っから気持ち良くなるって信じてたよ、うん」
「佐天さん……? そのエロ春ってなんですか?」
「ん? ローター三つも持ってて夜な夜なオナニーにふけっていた風紀委員のことですよ、もちろん」
「んもうっ! 佐天さんたらっ!」
 真っ赤になった初春が両手で佐天をぼすぼすと叩く。
 まったくダメージにならない。
 にゃはは、と笑いながら佐天が初春の頭をつかんで引き離す。
「大体さぁ、私のお尻の分残しておいてくれないなんて酷いよね。見せてあげるって言ったのに、初春が当麻さんのせーえき全部使っちゃうんだもん」
「な……」
「あーあ、初春がこんなに淫乱だったなんてお母さんがっかりですよ」
「い、淫乱なんかじゃ!」
「違うの? 最初の最初で三回もおかわりおねだりしておいてさ」
「あうううぅ……」
 どうにもこうにも、第一声の通り初春の肛門処女喪失を見たくて仕方がなかったようだ。
 後ろに回り込んで両手でごりごりと初春の即答部を拳骨で苛める佐天涙子と悲鳴を上げる初春飾利。
 そんな彼女たちのじゃれあいを横目に見ながら上条は彼女たちのこれまでの作品に目を通していた。
 その作品の中で上条は様々な男たちを犯していたり犯されていたりした。
 異様に美化された土御門元春やら青髪ピアス。学園都市最強、茶髪のスキルアウト。
 魔術サイドではイギリス清教の魔術師、騎士団、後方のアックア、右方のフィアンマなどなど。
 どこから情報が漏れているんだと言わんばかりの内容だが、もちろんこんなことを彼女たちが知るわけがない。 
 非常に疑わしいことだが偶然というものがあるのだろう、たぶん。そうでなければ怖すぎる。

17 :
 正直、これらの作品を上条は肯定できない。
 肯定できないが否定するつもりもない。
 大体否定しようにも市場ができているのだ。
 学園都市一位の財力ならばどうにかできるかもしれないが上条の財布は白いシスターのおかげでいつでも素寒貧だ。
 だが、こんな不幸な現状こそが今日の幸福を引き寄せたのかもしれないが。
 と、同時に恋人である御坂美琴にばれたときのことを思ってに胃が鉛を呑んだように重くなる。
 浮気相手は彼女の友人二人なのである。
 全部自分が悪いのだ。状況の流されて、否、嬉々と自分から流されている自分が全部悪いのだ。
 積極的に自分を誘ってきた佐天涙子と何度も肛門性交をして肌を重ねて情がわいて、そして処女を奪った。
 彼女の悪戯を黙認する形で初春飾利を巻き込んだ。
 二人とも決して上条が悪いとは言わないだろう。自分の責任だと言うのだろう。
 だから決して上条は自分を不幸だとは思わない。いや、二次元世界の自分が男に犯されている姿は不幸だとしか言いようがないが。
(いっそ、美琴もボーイズラブに染めてみるかなぁ……あいつのアナルはまだ試したことないし)
 もともと興味があって、でも言いだせないところに佐天涙子の誘惑があった。
 そのことを上条は思い出す。
 それがきっかけとなってハーレムが構成できれば言うことなしである。
 もっとも、現実はそう簡単にうまくいくものではない。二次元と三次元は違う。
 わかってはいるが知り合いに露骨にハーレムを形成している男がいるのだ。
 そいつの彼女たちもまたボーイズラブにはまっていて無理矢理原稿を描かされている、と愚痴をこぼしてもいた。
 何が悲しくて自分が男を犯したり犯されたりしている漫画を描かなくてはならないんだ、と。
 いろんな意味で手先が器用な男なので漫画も描けるのが災いしたらしいが、共同作業が多くなっていることがハーレムの維持に役立っているらしい。
(余談だが初春飾利の本棚にそのサークルの本は十冊以上入っていた)
 もげてしまえばいいのに、と思う反面素直に羨ましかったりもする。
 少なくとも誰も裏切ってはいない正直さは見習うべきだと思う。
(される覚悟で打ち明けてみるのもありかな)
 泣かせるかもしれないが、少なくとも今ここでじゃれ合っている少女二人は賛成してくれるのではないだろうか。
 そんな気がする。
 そもそも、白井黒子の言うところの「輪の中心にいても輪の中には入っていけない」御坂美琴の友人なのだ。
 破天荒な佐天涙子も生真面目な初春飾利も信用できる。なんとも照れくさいが、心底そう思う。
 肌を重ねて情が湧いただけなのかもしれないが、そう割り切れるほど上条は大人ではない。
 誰一人として失いたくないのだ。つくづく外道である。
 それがわかっていながらも上条は妄想してしまう。
 騒がしくじゃれあう二人の少女は考え込む上条を見て怪訝そうに顔を歪ませた。
「何考えてるんですか? 御坂さんのことかな? ダメですよ、今は私たちのこと考えてなきゃ」
「あ……私も、そうしてくれると嬉しいかなって、その……」
 佐天涙子が積極的に上条の膝の上に座ると初春飾利はおずおずしながら上条の背中に抱きつく。
 重さと体温が心地よい。
 少女特有の甘い匂いに包まれる。
 んー、と唸ったあとで上条は、
「実はさ……」
 と言葉を選びながら二人に協力を呼びかけはじめた。

18 :
以上です
二人いると倍かかりますね
これでもいろいろ端折ったんですが

19 :
スレ立て乙&執筆GJ!

20 :
エロくていいんだがなんとか前スレで纏まらなかったかなぁとも思ったり
別に悪いことじゃないんだけどさ

21 :
やっぱり、エロいなw

22 :
やっぱり上条と佐天の絡みは欲しがるよな。相性も良さそうだし

23 :
どうだろうか?なんか上条さんと佐天ってキャラ的に同属性のような気がすんだよ
磁石で言ったらプラスとプラス的な。お互いのキャラとか立ち位置が被ってるみたいな
どっちも世話焼き属性だからさ、実際に会話すると噛み合わないんじゃないのかと思うんだよね
いっぺんSS書いてみたことあるけど、どうも佐天は行動力がありすぎて上条さんの力を
必要としない的な展開になったりとかするんだよね。
佐天の質問攻めで上条さんが困ったりするのは容易にイメージできても佐天のために燃える流れにはなんない

24 :
佐天さんもコンプレックスは強いからな
無能力者云々に関しては
そこらあたりで絡めそうだけど

25 :
上条フラグは伊達じゃない、佐天さんが悪人に絡まれれてる所を上条が助けりゃすぐに陥落するよ。


26 :
性的なことに興味を持って上条を誘うというパターンもありそうだ

27 :
SS投下しようとしたら、規制に巻きこまれてるでやんの。

28 :
待っているとでも言って欲しいのか?

29 :
久々にコテを名乗って投下します。
エロなし、落ちなし。
黒子視点の黒上…でもないか。
以下5レス頂戴します。
トリ付けますのでお手数ですが回避はそれでお願いします。
では。

30 :
 白井黒子は困惑していた。
「何を言っておりますの?」
 それは、目の前の少年が何を言ったのか理解できなかったから……。

 話は少し遡る。
 とある事件で白井は痛感した。そして決意する。
 愛しきお姉様の立つその場所に必ず追い付いてやる――『お姉様の露払い』を自負する白井だからこその思いであった。
 あの時から積み重ねて来た研さんの日々。
 そして今日、その磨き上げた力を確かめようと、ライバルにして恋敵であり、そして何より目標でもあった人物をこの場所――室内運動場として建設途中に廃棄された――に呼び出したのであった。
 その人物の名は上条当麻。
 肩書きは、とある高校に通うごくごく一般の高校生。
 風貌は茫として目立った特徴は無く、その言動は支離滅裂にして理解不能。
 本人の申告を信じるなら能力は無能力者(レベル0)と言う、本来なら大能力者(レベル4)の白井と張り合えるような相手ではない。
 それなのに、学園都市に7人しかいない超能力者(レベル5)のしかもその第一位を退けたとか、学園外からの度重なる能力者による襲撃事件を解決したという噂。
 そして現実に見たあの光景――白井以上の空間移動(テレポート)能力者が最大出力で放った巨大な重量物を、空間ごとぶん殴ると言う常識外れの方法で消し去ってみせた。
 大きな壁だ。
 しかし越えられないなどとは微塵も思わない。
 相手にとって不足無し――。
 白井は予定通り、呼び出した少年に無理やり承諾させて彼との勝負に臨む。
 気持ちは最初っからクライマックス。一気に間合いを詰めて空間移動でもって組み伏せる……つもりがこれは失敗だった。
 上条当麻に能力は効かない――少なくとも白井の能力では彼をどうにか出来ない事を改めて実感する。
 だが、すぐさま取った手を捻って投げ飛ばした。
 何も空間移動だけが全てではない。風紀委員(ジャッジメント)で培った技術と判断力と精神力は、彼女の立派な武器だ。
 しかし、それも通用したのは1度だけであった。後は指先が掠めればまだいい方で、殆どは空を切るばかりで捕まえるなどほど遠く、当然投げ飛ばすなど以ての外。
 空間移動を交えているのにこの体たらくは何か。まるで自分が次に何処に飛ぶのか読まれているかの様な、そんな錯覚にさえ陥りそうになる。
 そう考えると暑い筈なのに全身に鳥肌が立った。
 でも白井の頭の中に諦めるという文字は浮かばない。
 気合いは今でも十二分。何せここに来る前たっぷりとお姉様成分を補充して来たのだ。
 補充しすぎてお姉様のベッドシーツを汚してしまったがそれはご愛嬌。シーツの犠牲を無駄にしないためにもここは退けない、いや退く訳がない。
 白井は再び空間移動を繰り返しながら、今度は自らは接近せず手当たり次第に上条に向かってガラクタを飛ばす行動に出る。
 そうしながらある機会を伺った。
 はたして――、上条が床に落ちた鉄パイプに躓いた一瞬を見逃さず、白井が次に飛んだのは少年の頭上。そこから脳天めがけての垂直ドロップキックを放つ。
 ドンっと足裏から足首、そして膝へと走る衝撃が確かな手応えを実感させた。
 更に踏み込んで駄目押ししてから再び飛ぶ。
 地面に見事着地したと同時に、背後でドッと人が倒れる音がした時、
(やった、今の手応え完っ璧にやりましたわ!)
 白井はこの瞬間勝利を確信する。
 だが、
「……しら、い……」
 背中にぶつかったしゃがれ声にギョッとする。
 あの感触は確実に相手を昏倒させるに至る――そう確信していた筈だったのに、
「……あ、貴方は倒れた筈……いやっ、何で立っておりますの!?」
 その言葉通り、振り返った先には上条が立っている。
 先ほどの倒れたと聞こえた音はまやかしか、勝利を欲したが故の幻聴だったのか。

31 :
 こちらに手を差し伸べた少年の様子が多少変ではあるが、そんな事はどうでもいい。上条を倒しきれな事実に白井は焦る。
「くっ!」
 能力ではなく己の脚力で床を蹴って少年との距離を取り理ながら、今一度相手のダメージを確認する。
 ふらつく様子も無く、ただ立っている様は最初の頃からとさほど変わらない。
(……やはりダメージは無い……という事ですの……?)
 その事に、信じられないと言う気持より、勝利を確信して盛り上がった自分への怒りが先に立つ。 
 奥歯をギリッと噛みしめて、
(さてどうしてくれましょう)
 白井は直ぐに次の作戦に思いを巡らせる。
 先ほどから上条は防戦一方で一度として攻撃に転じる事は無い。
 それは今も変わらない様で、相変わらず最初と同じ様な位置に立ってこちらを……、
「何ですのそのお顔は?」
 白井は上条の表情にそう口にせずにはいられなかった。
 鼻の頭を真っ赤にしているのは先ほどの一撃のせいか、それは兎も角、少年の顔にはあからさまな驚愕の表情が浮かんでいたのだ。
 白井は一瞬いぶかしんだが、すぐさまピンと来る。
「ははぁーん。もしやわたくしの攻撃が当たった事に驚きましたの? くっふっふっ、見くびって頂いては困りますわ。この白井黒子が策も無しに同じ事を繰り返すと思いましたの?
 言っておきますがわたくし、そんなに単純な女では有りませんわよ」
 そうだ。立ち上がったのならまた何度でも打ち倒せば済む事だ。
 白井黒子は諦めが悪いのだ――。
「行きますわよ!」
 優位に立てば一気に畳み掛けるのは勝負の鉄則とばかりに再び仕掛けようとする。
 ところが、
「ちょっと待て!」
「んな、今更命乞いでもするおつもりですの?」
 上条の急ブレーキに白井が思わずそう吐き捨てる。
「いや違う……、って命乞いって何だよ物騒だなおい……」
「言葉のあやです聞き流してくださいませ……で一体何ですの?」
 折角乗って来たのに、と内心零しながらも話を促した。
 しかし上条がもごもごと口ごもったので、
「何ですの男らしくない。男ならパッとお答えになって下さいまし」
「うっ」
 何なのだろうこの男、とイライラが募って思わず「さっさと喋らないとぶっ飛ばしますわよ!」と声を荒げると、
「お、怒らないで聞いてくれるか?」
「早く喋らないと怒りますの」
「う……あ……」
「早くしなさい! 貴方それでも男ですの!」
「はひぃい!?」
 そしてやっと上条が口にした言葉が、
「白井、お前……穿いているのか?」
「何をですの?」
「(……………………………………………………………………ツ)」
「あの、よく聞き取れませんの……と言うかもう少しはっきりお喋りになって下さい」
 すると何故だか上条は顔を真っ赤にして俯いて、それでも足りないのか顔を背けて一言――、
「(パンツ)」

32 :
 今度はもう少しはっきりと聞こえたが、はっきり言って聞き違いだろう。まさかこの場で『パンツ』などと……。
「……えと、だからもう少しはっきりと……」
 すると上条は真っ赤な顔をこちらに向けるとこうまくし立てた。
「パンツだよパンツ! さっきお前が頭上に飛んだ時俺は見たんだ! い、いや見たというか見えなかったというか……兎に角どうなっているんだ!?」
「な、何を言いたいのか全っ然伝わりませんの!?」
「兎に角っ! そんな穿いてるか穿いてないか判らん様な下着は絶対認められませんからね!」
 そして初めの台詞に戻るのである。
「何を言っておりますの?」
「もういい。取りあえず俺は帰るから」
 そう言うが否や踵を返して歩き始めた上条を、白井はその手を掴んで止めて、
「か、帰るって……決着がまだ点いておりませんわよ!?」
「俺は一つも手出しできなかったんだからお前の勝ちでいいだろ?」
「それではわたくしが納得できませんの! 最後までちゃんと約束を守って下さい! 貴方男でしょう!?」
「男男言うんならそれくらい察してくれ! そんなバ……、チラチラ見せつけられたら集中出来ん! 」
 どうやらこの少年は白井の下着が気になるらしく、
「……たかだかショーツが見えたぐらいで何を大袈裟な……」
「お、大袈裟じゃねーよ!? 大体御坂程じゃ無いにしろお前は少し恥じらいを持った方がいいと思うぞ?」
「何でそこでお姉様ですの? もしやわたくしにまであのやぼったい短パンを標準装備しろと? それをするくらいなら一生寮内に引き籠りますわ」
「お前お姉様に対して容赦無いな」
「一嗜好の不一致ですので殿方さんにご心配頂かなくてもわたくしとお姉様は相思相愛ですの」
「いや別に心配は……」
「大体、下着が見えるのが嫌ならスカートなどお穿きにならなければ良いんですのよ」
「それにしたって限度があるだろ? 昔のお前はそんなんじゃー無かった筈だ」
「昔のわたくしの何を知っておりますの?」
「あ、いや……」
 おかしな事を言ったかと思えば急に眼を逸らした事が気になったが、今はそれ所では無い。
「兎に角、きっちり白黒つくまで勝負はして頂きますの」
「だから嫌だって言ってるだろ!」
 どうやらこれだけ言っても通じない様だ。
(さて、どうしたものでしょう)
 取りあえず逃げられない様に手を捕まえたまま暫し思案する。
(要はわたくしの下着が気にならない様になればいいと言う事ですが……生憎体操服の持ち合わせは有りませんし……大体あれは肌に纏わりつく感じが好きになれませんの……)
 上条から見えない様にする方法は無いかとあれこれ考えるが思いつかない。
「なぁ、もう諦めたら……」
「お静かに、今考え中ですの」
 いっそ目隠しでもさせようかと、情けない顔をした少年を見ながらそんな事を考える。
 いや、でもそれでは勝負にならないではないかと直ぐに思い至り、
「あーっ! もう、いっそ殿方さんが同性でショーツの事など気にしないでいてくれたら良かったんですのに……」
「無茶言うな今から性転換して来いってか?」
「本気にしないでくださいまし……もう、大体殿方さんがいけないんですのよ。たかだか布切れ一枚に右往左往して恥ずかしいとは思いませんの?」
「無茶言うな! 健全な男子コーコーセー舐めるんじゃありませんの事よ!」
「(うざいですの)」
「酷っ……不幸だ……」

33 :
 無駄な掛け合いもそこそこにして、白井は改めて考え事を再開する。
 しかし、
(どうしたら見えない、どうしたら見せないで済みますの……)
 頭の中で同じフレーズがグルグルと回り、もはや頭痛すら覚えて来た。
 そんな時、逃げる事も意見する事も出来ず不貞腐れていた上条が、
「もうさー、あれじゃね? いっそ初めっから白井が下着姿だったらそれが普通になるからキニナラナクナルカモナァーなんて……」
「ん?」
 今、少年は何と言ったのか。ずっと見続ければ慣れる……そう言ったのでは無いのか。
「殿方さんにしてはナイスアドバイスでしたの!」
「へ? 何が? どの辺が?」
 白井の中で何かが輝いた。
「ふふふ、良い事を思いつきましたの」
「いや俺には悪い予感しかしないんだが……」
「いえいえ、殿方さんでしたらきっと喜んでくれますわ」
 不本意そうな上条に満面の笑みを向けた白井は、早速思いついた事を実行に移す。
 とは言ってもさしたる小道具もいらないので、直ぐに準備は整って、
「殿方さんの言うとおり、要は慣れれば良いのですわ」
 上条を床に座らせて、白井は思いついた事を話し始めた。
「慣れる?」
「その通りですの」
 そう肯定するや否や、白井はスカートの裾を左右から指で摘まむ。
「……と言う訳で殿方さんには『トクベツ』に、お姉様にしかお見せしない……、わ、わたくしのショーツをお見せして差し上げますの……」
 流石にちょっと、いやかなり恥ずかしいので、声は若干上ずり、自然と顔が熱くなってくる。
 それでもこれは全て愛するお姉様の……、
(否。全てはわたくし自身の為。この程度の事乗り越えられなくて何がお姉様の露はら……)
「全身全霊でお断りします!」
 まだ覚悟が出来ていなかったのかこの類人猿――たった今説明したのだから覚悟も何もないのだが――と、白井の表情に険呑とした陰影が浮かぶ。
「……目をお背けになったり逃げたりした場合、殿方のお洋服を地中深くに空間移動して差し上げますの。今逃げ切れたとしても必ず、絶対にそうして差し上げますの……」
 感情を押ししたその一言で、腰を浮かせかけた上条は元の位置に正座した。
 その顔は緊張でかかなり強張っている。
「さて、怖がる事はありませんわよ殿方さん。たかだか、わたくしのショーツを見て頂くだけですの」
「(た、たか……たかだかじゃねーだろぉがクソったれ……)」
「何か申されましたの?」
「いえ、もうさっさとお願いします。ホント、サクッといっちゃってください」
 この温度差は如何ともしがたい……その事に白井は小さく溜息を吐くと、
「では、参りますわよ」
 その言葉に呼応して、上条がごくりと生唾を飲み込むのが聞こえた。
 早まったかもしれない、という気持ちが微かに心を揺らす。
 だが、
(ええい、ここまで来て止められるものですか!)
 そしてその勢いのままスカートを裾を、腰の括れよりも高い位置まで一気に持ち上げた。
 2人の間を長い沈黙が流れる。
 そして、
「あ、あの、しら……、しら、しらしら、しららら……」
 顔を真っ赤にして壊れたレコードの様になった上条に、白井も思わず赤面してしまう。

34 :
「ど、どうですの? べ、別にどうと言う事も無いでしょう?」
 確か今日のショーツはローライズ&ローレグで後ろはTバックと布面積が少ないものであったと思いだす。
 それを選んだのは着け心地の一言に尽きた。
 最高級のシルク地のそれは、まるで何もつけていない様な解放感を与えてくれる。
 能力と解放感がイコールな彼女にとって、正に勝負下着とも言えるものだったのだ。
 ただ、布地が少ない分意匠の乏しさは否めない。
 後ろからなどは布が無いどころかお尻丸見え――これでは上条が勘違いするのも無理は無いと言える。
(ま、まあ見せるつもりもありませんでしたから。それに、多少やぼったい方が刺激が少なくてよろしいんじゃないですの?)
 気恥ずかしさを心の中で嘯いて誤魔化そうとした時だった。
「シライサン」
 まるで平坦な声に白井は現実に引き戻された。
「な、何ですの殿方さん!? 急に変な声など出したりして?」
「シライサン、ボク、オカシインダ」
「確かに喋りが変なのは解ります」
「チガウンダ、ミエナインダ」
「は、何がですの?」
 目の前の少年は何が言いたいのだろうと小首をかしげると、
「ミエナインダ。ソシテミエチャイケナイモノガミエルンダ」
 やはり上条の言葉は要領を得ないから、
「だからはっきりと仰ってくださいですの!!」
 白井は思わず声を荒げた。
 すると上条は土下座でもする様に床に突っ伏すとこう叫んだ。
「ノォォォオオオオオパンじゃねぇぇええええええええええかよちくしょおおぉぉおおおおおおおおおおおおお!! 騙された、めっちゃ騙されたああああああぁぁぁぁあああああああああああああ!!」
「はぁ!?」
 白井は我が耳を疑う――自分がショーツを穿いていないと。
「ふざけないで下さい!! ちゃんとここにショーツがある――」
 その啖呵と共にペチンと己の下腹部を叩く。
 何処がノーパンか、ショーツならちゃんと穿いているわと―――――、
「へ?」

 ここは常盤台中学女子寮の一室。
 その部屋の主の一人は今まさに憤っていた。
「あんの黒子の馬鹿! 自分のショーツを私のベッドにほっぽり出して何処に行きやがったっての!」
 御坂美琴がペンで作った即席の箸で挟んでいる光沢のある丸まった布……それはまさに白井が今身に着けている筈のそれであった。

35 :
終わりです。
たいして書くこともないのに後書きに1レス消費してしまった、ごめんなさい。
では。

36 :
おい続きがないぞ

37 :
ケダモノになって黒子を押し倒す展開まだか


GJ



38 :
けだものか
敷居が高いな

39 :
投下します。
タイトル通りで手とか口を使ったエロのみの話です。ちょっとだけ一方通行さん側のもあります。

40 :
SインさんとM条さん
ある日の夜、学生寮の一室にてインデックスは上条を問い詰めていた。
「ねえとうま、さっきは誰を見ていたのかな」
洋菓子のような甘い響きの声はいつになく硬く冷たい。
詰問を受ける上条はというと、驚く事にベッドの上で全裸のまま正座している。
正確に言えばインデックスの命令でさせられていた。
インデックスのほうは歩く教会の修道服を着ているため
白いシスターの前に座り俯いた上条は罪人にも見える。
事実インデックスにとって、今の上条は裁くべき存在だ。
「黙っていちゃわからないんだよ」
仁王立ちをしているインデックスは上条の顔を見据える。
だが上条はオドオドと視線を外すばかりでインデックスは呆れたように息を吐いた。
「さっきとうまは胸の大きな女の人を見てたんだよ」
ビクッと上条が身じろぎする。
「私と一緒にいたのにね」
恐る恐るといった様子でインデックスを見上げると悲しそうな表情をしていた。
「でもね、とうまがおっぱい好きなのは前から知ってるし別にそれはいいんだよ」
私も少しだけ羨ましいから、と上条の頭を慈しむように撫でる。
上条はそんなに怒ってないのかと思ったその時
「許せないのはねっ……!私よりもちっちゃな子のほうを
 見つめていた事なんだよッ!」
逆上したインデックスはがぶりと肩に噛み付いた。
ぎゃあと声を上げ身を仰け反らせる上条。
インデックスは幼気な顔に怒りを表し、怒りの牙を突き立てた。
「とうまは私といっつもしてるのにッ!どうしてッ!」
しゃべり終えて今度は腕に噛み付く。
上条は痛みに顔を歪めながらもインデックスの身体に手を当てて俺が悪かったとただ謝っていた。
従順にも怒りを受け止めている様子に、少しだけインデックスの顎が緩められる。
肩や腕は歯の後が残り、微かだが内出血を起こしているのが見て取れた。
よく見ればそこ以外のいたる所にも噛み痕だと思われる一対の連なった線が
数え切れないほどにある。
出血はしていないようだが日常的に全身を噛まれているのは想像に難くない。
「反省してる?」
こくこくと上条は情けなくも何度も頷いた。
けれどインデックスは許さない。
今度は噛むのをやめると乳首を少し強い程度の力で抓り始める。
ビクンと上条が大きい反応を示すがさほど痛みはないようだ。
それどころが、微妙な力の入れ方に別の表情を見せていた。
「どうしてそんな顔してるのかな……?」
グリグリ弄りながらもインデックスは微笑んでいて。
上条が苦しんでいるのか、悦んでいるのか、どちらにしても
同じ様に微笑んでいたのは想像に難くない。
男女の関係になった二人はいつからだろうか。
なんらかのプレイがエスカレートしてしまったのか
被虐と嗜虐で歓びを表せるようになってしまっていた。
もしかすると少年の強さは裏返しの弱さとなって、このような形で発露しているのかもしれない。

41 :
「こっちもおかしいんだよ」
インデックスは屈むとすでに硬くなっている上条の肉棒を小さな手で握った。
「お仕置きの最中なのにこんなにしちゃって。とうまって変態さんなの?」
辱めの言葉に上条は首を振る。だが期待は隠し切れないのか拒否しない。
インデックスは笑みを深めて優しく問うた。
「ね、とうまはどっちをお仕置きしてほしい?」
左手で上条の胸元をくすぐり、右手は股間を撫でながら。
そんな責めに上条は悶えながら小さく言葉を返した。
「ふうん、どっちもしてほしいんだ。とうまったら欲張りかも」
呆れた風に言いながらも答えがわかっていたらしいインデックス。
唇を舐めると上条の胸元へと顔を寄せて、つねった左乳首へ舌で触れた。
「んっ、ちゅろっ……んちゅっ……」
粘質の肉が這いまわり、弄られ過敏になったそこから
皮膚が溶かされているかのような疼きが広がっていく。
わずかな痛みが甘い舌使いによって快楽へと変えられていく。
耐え切れないのか上条の腕がインデックスの背中へと回された。
縋り付こうとしているかのように力が込められた。
「てちゅぅっ、んふぅっ……ぺろっ、ふふっ……」
れろれろと舌を止めないまま含み笑いをすると右手も動かし始める。
上条は自身の体温より少しだけ冷たい手に触れられて、うぁっと情けない声を上げた。
インデックスの手は小さく、膨れた肉棒を握るので精一杯だ。
だというのに、その手さばきは迷いがなく手馴れているよう。
まずは直立した肉棒へ指を添え、親指と人差し指だけでつまむ。
男性器が少女の柔らかな指できゅっと締め付けられ圧迫される。
そのまま二本の指でマッサージするかのように微妙な力加減で擦り始める。
インデックスの指は粘膜ではなく、肉棒の中をこねているかのように圧をかけた。
裏筋に触れてる親指とカリに触れている人差し指がグニグニと挟んで指圧する。
敏感な所を外側からほぐされる快感に上条はだらしなく息を荒げた。
指が徐々に下がっていって、玉袋と棒の境目辺りにたどり着いた所で止まった。
「んっ、ぅんっ……とうまのおっぱい固くなってきたね……ちゅっぅっ……」
同時に乳首を吸われるとわずかな苦痛とそれ以上の快感が襲い掛かる。
上条が切なげに俯いて、インデックスへと顔を押し付けもたれかかろうとするが
強めに玉袋を握られると痛みで頭を仰け反らせた。
「我慢しなきゃ駄目なんだよとうま。これはお仕置きなんだから」
インデックスに容赦はない。
上条の苦痛と快楽はインデックスの手の内にだけ存在している。
今度は根元を幾分強めに握って、先程と同じ要領で先端へと少しずつ登らせた。
まずは人差し指と親指の輪で締め付られて、天を向き上条は呻く。
中指、薬指と輪が重ねられ圧力を増していき、無理矢理に海綿体が収縮させられる。
痛みもあるのに、牛の乳のごとく根元から絞られるのに快感を感じてしまう。
「んっふっ、ちゅろっ……ぷ、ちゅぅっ、ん、れろぉっ……」
じっとりとした指の動きとは裏腹に、胸を責める舌の動きは激しくなる。
乳首周辺を唇で愛撫しつつも、乳首を舌で転がして、左手で右の乳首まで責め始めた。
上条は硬くなったそこを引っ張られる吸われてと少女のような声を上げてしまう。
そんな様子を楽しみながらもインデックスは責め立てていく。
左手で、舌で、優しく胸を愛撫してあげ、右手は上下の動きも混ぜていく。
はぁっはぁっと上条の吐息が荒くなり、肉棒が奥から震えていく。
昂ぶりが頂点に達しようとしたその時、唐突にインデックスが手を離した。

42 :
「おなかへったし、疲れちゃった」
至るべき絶頂を止められた上条は一瞬何が起きたかわからなかった。
理解して、ぇあっと喉から変な声が漏れる。
そんなっと切ない響きでインデックスを呼ぶが何もしてくれない。
擦れた声で頼んでも触れてはくれない。
押し倒して無理矢理という思考にも及ばない。
インデックスから許可のない射精なんてありえない事のように。
歯を食いしばって、苦しみすら感じる焦燥感で涙が勝手にこぼれ落ちてしまう。
自分でも情けないと感じるほどにインデックスに調教されてしまっているのだ。
「泣いちゃったら私がとうまを苛めてるみたいかも」
事実そうしてるに等しいインデックスはしょうがないなと首を振る。
もっと焦らしてあげたいけれど、そんな風に泣かれるのも可哀想で。
左手で目元を拭いてあげて、肉棒に宛がわれたのは逆手にした小さい握り拳。
「動いていいよとうま」
右手の親指と人差し指の輪で根元を囲んで、残りの指と平手で幹を包んだのだ。
傍から見ればその行為は酷く屈辱的にも思えた。
幼い少女が手を使えと男の射精を促しているのだ。
けれど上条は泣き顔をぱぁっと明るくほころばせ、犬のように飛びついた。
小さな修道女の手へと性行為のごとく腰を使い始める。
筒の形にした掌中で肉棒が前後に激しく揺れた。
膝立ちになった上条がすべすべの手へと腰を振る。
一刻も早く射精をしたいとストロークを早めていく。
必な、でも嬉しそうな上条を見てインデックスは微笑むと
上条の右手を自分の肩に乗せて支えにしてあげた。
体重がインデックスにかかり、バランスのよくなった上条の動きが早まる。
握った右手の中で先走り液がヌチュヌチュとした鈍い音を響かせる。
上条は両手をインデックスの肩と頭に置く。
抱きつくような体勢で唸りながらも、ただひたすらに快感を貪る。
(とうまの匂い……)
汗ばんだ上条の胸元がインデックスの鼻先にあたった。
「ちゅぅっ、ん、れろんっ……」
男の香りを嗅ぎながらも舌を使い上条を味わう。
乳首舐めと手コキの快楽で上条の全身がおこりのように震えて
揺れる右手がインデックスのフードを強く掴んだ。
そうしてんぁっと声をあげて高まったものを一気に吐き出した。
肉棒が脈動し精液が迸る。一回や二回では震えは収まらない。
高級なティーカップにも似た修道服へ欲望のミルクが注ぎ込まれる。
優しい表情のインデックスは逞しく暴れる肉棒の射精を助けようと
根元から先端までを扱き最後の一滴まで絞ってあげた。
絶頂を終えた上条の顔はだらしなく、唇の端から涎すら垂らし息を荒げていた。
「イッちゃったとうま可愛い……」
そんな顔も可愛らしくてちゅっとキスして涎を舐めとってあげる。
「こんなに出したんだね」
唇を離してお腹をみれば白い修道服の上にはドロッとした精液。
掬い右手に残ってる分と合わせて口に含んだ。
「んっ……ずずっ、ぺちゃっ……んぅふんっ……濃くて美味し……」
白濁液を指ごとしゃぶり艶かしくも舐め味わっている。
ずずっと音を立てて吸い、舌で塊を崩しこくんと飲み込んだ。
「とうまの飲んじゃったっ」
口を開いて上条へ見せ付ける。
いつものように無邪気な笑顔は精飲直後と思えないくらいだ。

43 :
「あンっ、とうまぁ……」
それを見てまた我慢できなくなったのか、上条の両手が修道服の中に入り込んで
小さな膨らみを直接撫で回した。
こうして攻め手が入れ変わる時もあるのだが
「ダーメ、今日はとうまのお仕置きなんだよっ」
そうはならず、インデックスは上条を押し倒す。
仰向けで倒れる上条は一度濃いモノを出したのにもう準備ができているようだ。
「ほら、おちんちんがまだしてほしいって」
幼くも艶を帯びた微笑。
一度精液を食べて飲んだためか、機嫌がよくなっている。
上条はボソボソと俺もインデックスを気持ちよくさせたいなどと
呟いているが聞いてもらえない。
先ほどの射精の時にフードが落ちているのにも気づかないインデックスは
「食べちゃうから」
あーんと口を開いて亀頭全部を咥えてしまった。
イッてからさほど時間の経っていないそこは敏感だ。
ニュルリとした舌の感触だけで頭を仰け反らせた。
「れろんっ、ん、えっ……ちゅるぅっ、はぁっ……ひもちいぃ……?」
上目遣いで見上げるインデックス。
ぶんぶんといった勢いで上条は頷く。
火照った口内に、暖かく包まれているのはそれだけで気持ちがいい。
インデックスは目だけで笑うと顔の角度を変えながら舌を使い始めた。
円の動きで舌をゆっくりと回して先っぽの味を確かめる。
「んっ……ぐっじゅっ……んべっ」
インデックスが口元を動かすとトロトロの涎を次々と送り込んでいく。
たっぷりと涎をまぶされて肉棒がぬめり光っているのがわかった。
「じゅるんっ……!ぶじゅるっ!ぐじゅじゅっ!」
強く吸い出されて上条は思わず足に力が篭る。
精どころか腰ごと吸いだされそうなほど激しい吸引力に舌を出して感じていた。
「とうまが好きなのしてあげるね」
インデックスが亀頭を咥えると丸い頬が小さく窪んで顔をそのまま沈めていく。
小さな口を大きく広げてモノを頬張っていく。
「じぇんぶ……ひゃべひゃった……」
インデックスは口いっぱいに咥えたまま嬉しそうに呟く。
亀頭の先端が口内と食道の境目に触れたのだ。
そのまま口蓋垂、のどちんこに亀頭が当たっている状態で
「んぐっ……んっん、おおっ……」
インデックスは喉を鳴らしながらも唇を押し進めた。
大きい上条のモノを全部飲み込もうとしていた。
お湯のような暖かい口内がまとわりつく。
肉棒がヌルヌルに包まれていく快感に上条は声をあげる。
粘度のある涎を潤滑油にして、先端がぐりりっと狭い穴をこじ開けていく。
喉が動くとぎゅっと締め付けられ文字通り飲み込まれそう。
ごくんごくんと音が聞こえるたびに精液が搾り出されそうな快感。
首元が嚥下の動作でへこむたびに上条は息を吐いた。
狭隘で柔らかい喉粘膜のどこに触れたって気持ちがいいのだ。

44 :
上条が見下ろしてみると視覚的な効果も高かった。
可愛いインデックスが銀髪を振り乱しながら自分のモノをしゃぶってくれている光景。
薄桃色の唇へと、若干黒ずんできた肉棒が割り開いていく。
小さな口が根元まで飲み込んでいるのを見ればそれだけで射精しかねない。
上条は息を荒げながらもインデックスから目を離さず見つめていた。


「ん、ふふっ……あ、んっぶぶっちゅぶりっ!んくっ、んじゅっ……!」
インデックスが上条を見上げると視線が絡みあう。
上条を見返しながらも目で微笑むインデックスは責めを強めていく。
口内のわずかな隙間から、じゅるじゅるっと水音が響きこくっこくっと何度も
飲み込む音がして喉でモノを扱いていく。
同時にインデックスが顔を少しずつ引いていくと得も言われぬ快感に襲われた。
嚥下運動で締め付けてくる食道へと肉棒が飲み込まれていき
引いた動きで喉に締め付けられたまま抜かれていく。
入っていく感覚と出て行こうとする感覚の相反する刺激。
熟練した娼婦でもできないだろう喉奉仕に上条の限界は近かった。
察したインデックスは飲み込みと前後の動きを早いペースで始めると
ああっと上条が乙女のように声をあげる。
「ちゅぶっ!じゅじゅっ!ちゅぼぼ、ぶじゅりっ!」
そんな下品とも言える鈍い水音を口内から響かせていく。
押し込む時は喉奥を亀頭の先端が叩いて粘膜が纏わりつく。
引く時はきゅっとしめた唇に締められながら舌が這い回る。
上条は快感のあまりインデックスの頭に両手を置いた。
その手は撫でようとしてるのか、遠ざけようとしてるのか、近づけようとしているのか。
どれも実行できないままおこりのように震えていて。
止めとばかりに根元まで咥えられたまま強く吸い出されて一気に放出した。
「……んえっ!、んんっ、んんっ!ごくっ……ごくっ……んっく、んっく…………」
びゅるびゅるっと音が聞こえてきそうなほどの激しい射精。
細い首に埋められた肉が蠕動して欲の塊を吐き出していく。
どくどくと精液がインデックスの口内より深い所へ流し込まれていく。
インデックスは食道に叩き付けられる精液を喉を鳴らして飲み込む。
そうすると同時にモノも締め付けられてさらに上条は吐き出してしまう。
飲精のための行為が射精を誘発しまた飲精へと繋がる。
何もかもがインデックスへ吸われていくようだった。
無意識なのか上条の手がインデックスへ伸ばされて
二人は手を繋ぎ合ったまま長い射精が終わった。
粘度のある涎と精液を零しながら濡れた肉棒が少しずつ現れていく。
ほどなく少女の口内に収まっていたとは思えない大きさのモノが晒された。
「ぷっ、ん、はぁっ〜〜…………気持ちよかった?」
インデックスは嬉しそうに笑って自身ありげに聞く。
上条は凄いよかったですと何故か敬語で返した。
普段はともかく性行為にあたっての両者の立ち位置が伺えるようだ。
今度は上条がインデックスに大丈夫だったのかと聞き返す。
いつもしてもらってはいるのだが、事前に苛められたのが効いたのか射精が長かったのだ。
そうでなくても負担がかかる行為ではあるし。
「少し苦しかったけど平気だよ」
あっけらかんとした口調は本当に平気そう。
「とうまが気持ちよくなってると私も嬉しいし気持ちいいの。
 とうまのを食べちゃうと口の中で感じてるのがわかって面白いんだよ」
上条の太腿に手を乗せて笑うインデックス。
いつもの無邪気な笑顔に上条も笑い返して
「だから全部出しちゃうね」
顔が凍りついた。

45 :
無理ですもう出ませんなどと焦りながらも言う。
「出さないと、とうまはすぐに女の子にちょっかいかけるんだもん」
そんなことはないですよと否定をするが
「ほらとうま足あげて……もっとあげるんだよっ!」
インデックスは聞いてくれない。
命令した後に上げられた脚を両手でえいっとばかりに押しやる。
そうするとベッドに寝ていた上条の足先が頭の横へとつく。
俗に言うまんぐり返し。
男ならばちんぐり返しともいう性器も肛門もインデックスから丸見えの体位へと変わった。
酷く恥ずかしい姿勢。なのだがこれもまた二人にとっては初めての行為ではない。
ただ最近は上条のほうが多いだけだ。
「とうまのお尻、してあげるね」
ゾクリと身をよじらせる上条。
恥ずかしい体勢のまま、インデックスから見下ろされていて。
そう思うと萎えていたはずの肉棒が微妙にだが硬度を取り戻していく。
けれど今のターゲットはそこではなかった。
インデックスの見ている所は玉袋の下にある排泄器官。
右人差し指を咥えると舌で舐めてトロトロの涎をまぶす。
口と指先から唾液の線が繋がって、そのまま指を穴へと差し入れた。
ひぐっと変な声をあげる上条。
二度射精をしたためか、それとも普段から責められているためか
少女の指をあっさりと受け入れてしまった。
インデックスが入れた指をくにくにと動かすとその度、上条の顔が歪む。
それが楽しいのだろう細い指が浅く上下に抽挿される。
何度もされているのに今だ慣れない刺激。
内臓がすべすべとした指に擦られる感触。
ほっそりとししている指が大きく感じられて、動かされると快感を覚える。
性器と違ってより敏感な内部は刺激されると呼吸が不規則に乱れるほどだ。
上条は幼い恋人の指で犯されるという背徳と羞恥で悦んでしまっていた。
肉竿もさほどの時間も経たず射精前の状態にまで勃起してしまう。
「ほら、まだ立つんだから」
お前が立たせたんだよなんて言う元気も立場も無い上条は喘いでいるだけ。
熱を孕んだ瞳でインデックスを見上げている様は続く責めを期待しているようにも見える。
インデックスはどこか淫らに微笑みながら、指を抜くと躊躇なくそこへとキスをした。
んあっと女の子のような声を出す上条。
舌を伸ばされて出口であるそこは、入り口へと変わり侵入を許してしまう。
「んっ、ちゅるっぅ……んえっ、んんっぅっ……」
軟質の肉が優しく粘膜を掻き回す。
ちゅっちゅっと音を立てて吸い付くように舌を動かす。
溜められた涎が注入されて、熱く溶かしていく。
刺激できゅっきゅっと舌が締め付けられると上条が気持ちよくなっているのが
わかるのだろう、インデックスはより熱心に行為を続けた。
「ぶじゅるっ、んっぶ、じゅるるっ!」
れろーんと蟻の門渡りから玉袋までを舐め上げて、袋ごと含んで吸い上げる。
また肛門まで戻れば表面の皺を伸ばさんとばかりに円を描いてほじられる。
湿った柔らかい舌が自在に動く度に上条はビクビクと震えてしまっていた。

46 :

足の間からインデックスが顔を出している視界。
横から見れば幼げなシスターが男の尻に顔を埋めて奉仕しているように見えるだろう。
経験のある事だが、想像するとみっともなさで涙ぐんでしまう。
気持ちがいいし、もっとしてもらいたい。
けれども大好きなインデックスにこんな事までやってもらうのも情けないとも思うのだ。
実際、情けなくも恥ずかしい体勢なわけだし。
「いいんだよ、とうま」
そんな上条の頭をインデックスはよしよしと撫でてくれた。
「とうまはいつもいつも頑張りすぎてるんだから。
 私と一緒にいる時ぐらいは頑張らなくてもいいの」
聖母のように慈愛ある微笑みが視界の中で歪んでいく。
「私もとうまが甘えてくれるほうが嬉しいんだから」
うんと頷く上条。
インデックスに撫でられると今度は嬉しくて涙が零れてしまった。
「いっぱい気持ちよくしてあげるね」
言葉と共にインデックスは上条の尻へと舌を伸ばした。
「んちゅっ、んんっ、んおっん、んえ、んちゅるっ、んんっ!」
セックスしているかのように何度も舌を入れて抜いてを繰り返す。
インデックスが首を上下させながらも舌を伸ばして縮めてを続ける。
入れたままじっとりと掻き回されれば溶けてしまいそうに気持ちがいい。
ほぐれたそこは暖かい舌の挿入を受け入れて、粘膜が愛撫される快楽だけを味わっていた。
「ちゅっ、ん……こっちもね」
新たな責め。
尻に深くキスをされながら、肉棒を握り扱かれて上条がうあっと呻く。
内側から性器に近い辺りを舌でほじられ疼くのに
それを押し上げられるように根本から擦られるのだ。
玉袋をやんわりと揉まれながら手コキをされれば
グツグツと腹の奥から沸き立ってくるような快感にすら襲われた。
上条は抑え切れない快楽でインデックスの名をうわ言のように呼ぶ。
「んじゅるるるっ……イッていいよ……とうま……ぢゅぢゅるっ……!」
インデックスは動きを早める。
小さな手で攪拌される先走りがぐちゅぐちゅと音を立てた。
舌が入り込んで深い所でピストンを刻む。
舌と指がリズムカルに動いて性器がビクンビクンと大きく震えている。
上条が大きく出るっと叫び白濁液がどっと溢れ出した。
三度目とは思えないほどのドロドロとした濃い精液。
インデックスは舐めるのをやめないまま、射精を助けるように扱いた。
右手で脈動する肉棒を擦りたてて、器にした左手で精液を受け止める。
だらしない顔で快楽を甘受する上条を見つめながらインデックスは
糊のように粘りつく濁流を最後まで搾り出してあげていった。

47 :
「いっぱいでたね」
ゼリーのような塊を手に持っているインデックス。
チロチロと舌で崩して味わったり飲み込んだりしている。
上条のほうは性根尽き果てたと言わんばかりに虚ろな目で口を馬鹿みたいに開けたまま。
絞りきられた果実のようにへにょへにょになっていた。
「これで浮気しないよね」
そもそも浮気自体してはいないのだが、上条は壊れた玩具のようにぎくしゃくと何度も頷く。
反論などできる立場ではないのだ。
「……とうまの事だから、もう少し出したほうがいいのかも」
なんだか物足りなさそうなインデックス。
甘えさせてはくれても甘やかしてはくれないらしい。
上条はひぃっと情けないほどか細い悲鳴をあげる。
気持ちいいし、してくれるのは嬉しい。でも男には限界があるのだ。
「……えい」
だが止める間もあろうか、インデックスが尻に指を挿入した。
中で半回転させたかと思えば性器の裏側辺りをくの字にした指先でひっかいたのだ。
声にならない声。
その一動作だけで肉棒が暴れるように震える。
「いっちゃった?…………あれ?精液出てないんだよ」
先ほどに倍加する勢いで震えているそれからは一滴の液も出てこない。
当然さきほどまでの射精で煙も出ない状態だからだ。
なのに射精とは比べ物にならない圧倒的な快感が上条を襲う。
「あれ?とうまとうま」
呼びながらもぐりぐりと前立腺の所を押して擦るインデックス。
その度に、上条の震えは全身に広がっていき、ついにはぐるんと瞳が裏返った。
「と、とうま!?」
尋常じゃない様子で意識を飛ばした上条を見てインデックスは慌てて指を抜いた。
ドライオーガズム。
射精するための役割をこなす前立腺を直で弄られて起きる絶頂。
射精を伴わなくても、それ以上の快感を得る事ができる。
連続で弄られ襲われた上条は耐えられなかったのだ。
しばらくして気絶から目覚めた上条は泣きながらその単語の意味と説明をして
前立腺責めはほどほどにと協定を結んだのだった。
それでも絶対禁止ではない辺り色々と気持ちよかったらしかった。

同日夜中の在るマンション。
薄暗い部屋にてギシギシと何かが軋み、小さく拍手をしているような音が響き続ける。
そこには一切服を身に纏っていない痩身白髪の少年と茶髪の少女がベッドで身を重ね繋がっていた。
正確に言えば少年が少女の背後から、後ろ手にした両腕を掴み貫いている。
スタイルがよく肉感的な少女を抱く少年の姿は幽鬼的な印象を醸し出していた。
少年は一方通行、少女は番外個体だった。
「ふっ、んっ、んっ……第一位なんでそんな激しく、あっあっ
 うっあ、ん、……盛り、すぎ……!」
口を開けば悪態だらけの番外個体だが今は弱々しい。
引っ張られてる手と性交の部分を支点にして背が弓なりにしなる。
きつい体勢で激しくも乱暴に犯されていると流石に普段通りとはいかないようだ。
逆に言えば普通のセックスでは余裕があるし、一方通行も乱暴にはしない。
だがそうする訳が今日はあったのだ。
「オマエ……今日アイツをずっと見てたよな」
番外個体を抱いたまま囁く一方通行。その言葉には明らかな苛立ちがあった。
「はっ?ミサカは別に見てなんか、ひぐぅッ!」
言い訳は許さないと意思表示するように乳房を強く握り締めた。
綺麗なお椀型をしている胸が手の中で歪み指の間から溢れでる。
「気づかねェとでも思ってンのか?」
夕刻に二人の少年とそのパートナーは通りを挟みすれ違っていたのだ。
会話もない目が合っただけのすれ違い。
けれど交流とも言えないそれは少年らになんらかの影響を与えたようだった。

48 :
「ち、ちがうってば……ミサカはシスターズからの受信でなんとなく見てただけで……」
正直に答える番外個体。
そんな事は一方通行もわかってはいる。
シスターズと打ち止めによって番外個体の意思とは関係なく行動してしまう事がある。
だが理屈ではないのだ。
一方通行自身、理由がわからないほどに苛立ってしまう。
番外個体がよりにもよって上条当麻に注意を向けているという事に。
当の上条当麻も似たような理由で責められていたりするのだけれど。
「違うか違わねェかは俺が決める」
そうして行為を続けようとした所で
「ぐぁっ……!」
悲鳴をあげた。
「無視しないで欲しいって、ミサカはミサカはあなたのお尻に指を入れて抗議してみる」
もう一人、全裸の打ち止めが行為に参加したのだ。
それは一方通行の背に抱きついて指を挿入するという些か異常な形だったが。
「何しやがるクソガキ……!今はコイツの仕置き中だろうが」
憎々しげな口調の一方通行だが打ち止めを制止しない。
逃げようと思えば番外個体ごと抱えて移動できるはずなのに。
「あなたは構って欲しい時はいっつもミサカを無視するよねって
 ミサカはミサカは少しだけ不満に思ってみる」
「知った風な口聞いてンじゃねぇ」
そう言って打ち止めを無視する一方通行。
それは肯定にも思えた。
「でもあんまり無視されるのも寂しいんだよって
 ミサカはミサカはちょっぴり能力を使ってみたり」
「がぁッ……!」
「ひゃぁっ!い、きなり……!」
一方通行がいきなりに射精をして二人の悲鳴が唱和した。
指先からの微弱な電気で刺激を受けた前立腺が収縮。
打ち止めの力で番外個体へ無理矢理に精を吐き出させられたのだ。
「ぐぅっクソったれ……!」
威勢のいい一方通行だが快感のためか声が震えている。
初めてではないから、耐えられるだけで常人ならば今の刺激だけで気絶していただろう。
それにやっぱり拒否の行動をしていない。
「むー、もうちょっと強いほうがいいのかな。でもあんまり強いと危ないし……
 そうだ!ってミサカはミサカは伝導率をあげるためにあなたのお尻の穴を舐めてみる」
打ち止めが一方通行の尻に手をあて広げると、ミルクを啜る子猫のように舐めはじめた。
ぺろりぺろりと舌が上下に動き、くちゅくちゅと唾液が送られ濡らしていく。
「あっ……ぐ、クソがっ……!」
後ろからの快感を振り払うかのように一方通行は腰を降り始めた。
尻で打ち止めの顔を押して、番外個体の中をえぐる。
「んぶっ……そんなに動いたら舐めにくいんだよって
 ミサカはミサカはもう一度能力使ってみたり」
「うぐっ……」
入れた舌からの電気責め。思わず腰が止まってしまう。
先ほどよりは弱いようだがそのぶん、濡れた舌から継続してピリピリとした刺激が伝わる。
打ち止めは緊張した括約筋が舌を締めてくるのが面白いのだろう。
ニコニコしながら能力のオンオフを繰り返し、舌先で一方通行の中を弄っていく。
「ぐ、ぎぃっ……!ぎゃはははっ!!はっ、やるじゃねェかクソガキ……!」
興奮しながら哄笑する一方通行。実に嬉しそう。
犯し犯される快感でなんだかハイになってしまっていた。
「あなたってやっぱりお尻好きな変態さんだねって
 ミサカはミサカはビリビリしながらあなたが喜ぶこと言ってみたりする」
打ち止めも楽しそうに責めていた。

49 :
ちなみに番外個体はというと
(二人で楽しみやがってもー)
なんだか蔑ろにされてる感があるがあんまり不満ではない。
何故なら打ち止めから全く不満の感情が伝わってこないのだ。
楽しいとか面白いとかえっちなことしたいとかばかりが伝わってきて文句も言う気が起きなかった。
誰かを苛めるのもいいのだが、自分勝手に扱われるのも嫌いじゃないというMな所もあるせいだったが。
(でも、このミサカは使い捨て予定だったから、子宮の機能をわざわざ止めてないんだぜ。
 生後一年で赤ん坊製造すんの笑い話にもなんないけど、第一位は責任とってくれるのかなー)
そうなったら一波乱ありそうと、いやらしくもほくそえんでいる番外個体。
「何笑っていやがるンだオマエ」
打ち止めの責めを受けながらも番外個体の様子に一方通行は気づいた。
「だって第一位が上位個体のせいで腰砕けになってるんじゃん。
 そんなんじゃミサカをイカセらんねーよ。なんなら第一位を先にイカせてあげようか?」
「……上等じゃねェか」
憎まれ口を叩かれ、暗がりの中で瞳がギラリと危険な光を放った。
番外個体が振り向いて一方通行にのしかかると打ち止めが弾き飛ばされて。
「あー、だから仲間外れにするなーって ミサカはミサカはあなたに抱きついてみる!」
二人の柔らかな身体に挟まれて汗と肌が纏わりつく。
大きめの胸が痩せた胸板で潰れて番外個体は挑発的に笑う。
打ち止めも負けじと身体を押し付けると背に小粒の乳首が擦れているのが伝わる。
対照的だがよく似た二人の裸体に抱きつかれると否応なしに盛り上がってしまう。
「でもヴォリュームは比べるべくもないよね。このミサカはセックスも出来るし、んっふっ……」
番外個体が屹立したモノへと身体を沈めた。
リズミカルに腰を振れば複雑に膣内が絡み蠢いて快感を伝える。
「ずるい。もうちょっと大きくなれば出来るようになるもんって
 ミサカはミサカはあなたみたいにお尻でえっちできるか考えてみる」
「うるせェ。交互に耳元で喋るンじゃねェ」
挟まれてほとんど動けない一方通行は番外個体を抱いているだけだ。
「第一位はやっぱり普通じゃつまんねーんだよね。ミサカも上位個体みたくやってあげるにゃーん」
繋がったまま番外個体が一方通行の排泄口に手を伸ばした。
「ぐぉっ……!?」
不意をつかれたらしく簡単に指の侵入を許してしまう。
「なにこれゆるゆるなんだけど。第一位はお尻よわいでちゅねー」
挑発的な赤ちゃん言葉を投げかけられているのに反論できない。
それどころか後の責めで竿のほうまで気持ちよくなってくる。
乱暴に指を出し入れされているようで的確に弱い所を狙われていた。
「上位個体のデータはこのミサカにもあるんだぜー」
そうなるとシスターズにも一方通行の弱点(尻的な意味で)が伝わっているかもしれないが
そこまでは思い当たらないし余裕もなかった。

50 :
「そっちはミサカが気持ちよくしてあげるのって、ミサカはミサカは対抗してみたり!」
「ま、まて、うごぉ…………!」
何故ならば打ち止めまでもが責めに参加したからだった。
ほっそりとした指の二人だが、狭い所に二本分となると圧迫感が違った。
番外個体に思い知らせてやるどころか責められて反撃ができない。
それとも実は望んでいるのか。少しだけ射精しかかってたりするし。
「今度は処女みてーにギチギチしてる。女の入れられる気持ちわかった?」
「なんだか噛み付かれてるみたいってミサカはミサカはかつてない感覚に驚いてみたり」
二人の指が微かにしか動いていないのに腹の奥まで衝撃がある。
ただその異物感すら気持ちよさに変わってしまう。変わるようになってしまっている。
ほとんど一方的に責められて打開策が見当たらないまま
「このままビリビリして第一位を気持ちよくしてやろーね」
「やっぱりそれが気持ちいいの?って、ミサカはミサカは血気にはやって能力を使ってみる!」
止めの一撃が見舞われた。
「オ、オマエラそれはやべェだ、ろ、ぐぎぃぃぃぃぃ!」
二人のミサカによる電撃で、奇妙な悲鳴と共に一方通行は絶頂を迎えた。
「ん、やぁはっ……第一位の負けー」
「気持ちよかったんなら褒めてほしいかもって、ミサカはミサカは賞賛の言葉を待ってみたり」
(流石に…………洒落になンね……)
番外個体の中にやたら濃いモノを吐き出しながら視界が白く染まっていく。
命の危機すら感じる快楽に性器周辺が誤動作したのだろう。
消えそうな意識とは裏腹にドクドクと活動を増して溢れ出していく。
「ふぅん……きゃはは、さっきよりいっぱい、こりゃガキが出来ちゃうかもねー。
 そしたら上位個体がお姉さんだよ。妹増えて嬉しいだろ」
「ち、ちょっとまって!そうしたらミサカはお嫁さんじゃなくて娘に!?
 って、ミサカはミサカは希望とは違う未来予想図に慄いてみたり!」
色々とずれている打ち止めだった。
(勝手な事言ってンじゃ……)
だが消えていく一方通行の意識では言葉すら放てずにいて。
ガクンと身体ごと脳のブレーカーは落ちて打ち止めを下敷きにして倒れこんだ。
「やっべ、ちょっとミサカたちやりすぎたかも。これアヘ顔つーの?第一位白目剥いてるよ」
「きゃー!ミサカの愛が深すぎてあなたが危険な事に!
 って、ミサカはミサカは動けないけどなんだかあなたの体重が心地よかったりする」
きゃいきゃいと騒がしい中、他人には見せれない顔になっている一方通行は
ほんの少しだけ笑っているようにも見えた。

51 :
終了

52 :
3時休みに読むにはエロすぎて困るw
しかしインデックスの台詞の中に「ン」を見つけた時はビビった。
あと一方通行が責められて「クソが」は場所が場所だけに…w
一つ気になったのは不思議な改行だけど携帯か何かかな?

53 :
Sなインデックス先生とM条のカップルも新鮮でGJですw
逆転されるへタレの一方通行さんもご愁傷様w

54 :
愛ある主従関係な上イン、ご馳走さまです!

55 :
乙!
番外さんをそのままお仕置きする一方さんもみてみたかった

56 :
中出しされたバードウェイが荒い息で顔真っ赤にして小刻みに震えながらも
いつもみたいな余裕の笑みを浮かべようと無理している妄想で抜きそう

57 :
前スレで「他人の不幸は蜜の味」なるものを投下したものです。
その続編を投下いたします。
非エロの上黒で、NGワードは「酸いも甘いも噛み締めて」で。
異様に長いです。

58 :
 風紀委員、白井黒子はふと警邏の足を止めた。
 ポケットからの微かな振動に気づいたためだ。
 ちゃーちゃーちゃーちゃーちゃちゃーちゃーちゃちゃー。
 同時に響くのは着信音。ダースベーダーのテーマである。
 彼女の携帯電話においてこの音が設定されている人物は一人しかいなかった。
 不幸の権化、すなわち上条当麻である。
 この着信音のたび、黒子は非常に微妙な表情で携帯電話を確かめるのが常だった。
 そのため彼女の学友たちの間では、この着信音の主が何者であるかのトトカルチョがなされていたりする。
 およそお嬢様方のやることではない。
 しかしながら常盤台の誇る電撃姫の所業をみるだに、そんな幻想はぶち壊されてしかるべきだ。
 と、彼なら言うだろう。
 ちなみに学友たちが周りにいる際の彼女の電話対応は、当麻の三大恐怖の一つであるらしい。
 閑話休題。
 ポケットに手を入れ、携帯電話を取り上げると、黒子は不審げに眉をひそめた。既に通話が切れていたためだ。
 着信音がしてからそれを取り出すまでの間、およそワンコール。
 つまりワン切りされたことになる。
 彼女の知る彼は、およそレディの扱いおいて及第点を与えられる手合いではないが、さりとて全くの礼儀知らずというわけではない。
 少なくとも、妙な悪戯をするような殿方ではないのだ。
 黒子は着信履歴を呼び出し、そこから当麻に返信をする。
 ワンコール、ツーコール、スリーコール……
 電話は繋がらない。ついには留守番電話サービスに切り替わった。
 伝言は残さずに、通話を切る。
 いやな予感がした。言いようのない不安に顔を曇らせる。
 黒子は直ぐに、別の短縮ボタンを押した。
「初春、少々頼まれてくれます? 今からいう番号の携帯端末の位置情報を調べて欲しいんですの……」
***

59 :

 上条当麻は追われていた。
 といっても、それはそれほど珍しい事態ではない。
 他人の厄介事に首を突っ込みたがる彼だが、この街においてはスキルアウトにからまれた人たちのそれがその先になることが多かった。
 三人以上の相手には逃げを打つといってはばからない当麻にとっては、逃走劇など慣れたものである。
 しかし、今回ばかりは勝手が違った。
 この厄介事は明確に、彼を狙っている。
 数は四人。
 当麻が逃げるに値する人員である。が、彼が逃げているのは人数のせいばかりではない。
 ちらりと、当麻は後ろを振り向いた。
 異様な風体だった。
 明らかに防弾防刃加工されているであろう黒の装甲服に、フルフェイスのマスクまで装備している。そして何よりの脅威は、彼らが手にしている、サイレンサー付きの大型拳銃だ。
 それは単なる脅しの道具ではない。既に数発撃たれていた。幸いなことに当たることはなかったのだが。
 追手の射線から逃れるように、当麻はすぐ脇の道に入る。
 ちゅん、という冗談のように小さな音がすぐ後ろに聞こえた。
(なんなんだ、畜生!)
 わけのわからない事態に、しかし声は上げずに内心で毒づく。
 再三言うが、不幸にも逃走劇には慣れていた。
 しかしながら、今回ばかりはいつもの手法、つまり人ごみにまぎれて撒くことなどできるわけがない。
 人気のない場所へと舵をきるうちに、彼は地の利の全くない廃ビル群の只中に飛び込んでいた。
 壁から壁へと身を寄せて走りながら、当麻はポケットの中の携帯電話を探る。
 一件の着信。
 奇妙な胃の痛みを感じつつ、誰からの着信か確認もせずに再びそれをポケットに忍ばせた。
 こんな事態に、巻き込めるはずがない。
 それでも彼女にコールを入れたのは、嘘がつきたくなかったからか。
 『今』の自分の人生は、そもそも嘘から始まっているというのに。
 疲労からか、後ろ向きになりだした思考を追い出すように頭を振り、彼は次の路地へと滑り込む。
「……!」
 数歩進んだところで、当麻は舌打ちとともに足を止めた。
 十数メートル先は壁。脇道もない。完全な袋小路だった。
 引き返そうにも、今飛び出せば的にしかならない。
 迎え撃つしかないか。
 そう腹を決め、彼は角の壁に張り付いた。
 迫りくる足音にはやる気を押さえ、息を整える。

60 :
 数秒後、装甲服の男が路地へと踏み込んできた。
 それに合わせるように、彼はその男の腹部へと右の拳を叩きこむ。
「ぐあっ?!」
 しかしながら、苦痛の呻きを漏らす羽目になったのは、当麻の方だった。
 当然と言えば当然の話だ。肉体強化系の能力者でもない生身の人間の拳など、装甲服を着込んだ相手に通用するはずがない。
「……」
 覆面故に男の表情はわからないが、嘲りの笑みが見えた気がした。
 それでも当麻は腐らない。
 銃を構えようとした男の腕を、左の拳を打ち上げて跳ね上げ、さらに腹を蹴りつける。
 ダメージこそなさそうだったが、それでも体勢を崩すことはできた。追い打ちすべく足を踏み出しかけ……しかしすぐに、後ろへと飛び退る。
 次の瞬間、襲い来るのは数発の銃弾だった。
 後発組が追い付いてきたようだ、その隙に目の前の男は体勢を立て直している。
 次の方針を決める間もなく、襲撃者たちが集結する。
 走って逃げるのは、もはや論外だ。拳銃の使えない乱戦に活路を見出すしかない。
 覚悟を決め、当麻は間合いを詰めるべく踏み出そうとする。
 その足が再び止まったのは、今度は銃弾のせいではなかった。
 ……いつもの名乗りは、ない。
 降って湧いた、としか言いようのない少女のとび蹴りに、銃を構えていた一人がもんどりうって倒れる。
 そしてそのまま、突然の事態に反応しきれていないもう一人の覆面の側頭部に、彼女は鉄板入りの学生鞄の一撃を加えた。なす術もなく吹き飛び、ビルの壁に激突しそのままずるずると崩れ落ちる。
「白井!」
 安堵とも焦燥ともとれる声音で、当麻が叫ぶ。
 彼の呼びかけに黒子は一瞬だけそちらを見、そして強く笑った。
 太腿のホルダーに手をやりつつ、彼女は前に出る。
 残る二人も、割って入ってきた乱入者の動揺から立ち直っていた。
 しかしながらというべきか、彼らが銃口を定めるのは仲間二人をのした黒子にではなく、あくまでも当麻に対してだ。
「安く見られたものですわね!」
 叫んで彼女は金属矢を転移させる。
 動かぬ的など外すはずもない。各三本、計六本の金属矢が彼をポイントしていた二つの銃口を串刺しにした。
 これで終わりだ。
 普通なら。
「白井、気をつけろ!」
 思いのほか近くから響く声に、黒子は緩みかけていた気を引き締めた。
「こいつら全員能力者だ!」
 当麻の叫びに呼応するかのように、獲物を使用不能にされた眼前の二人は、何の未練もなくそれを放り、ほとんど同時に両手を突きだす。
 轟!
 突如として巻き起こった烈風に、黒子は思わずたたらを踏んだ。
 間髪いれず、もう一方の男の掌から紅蓮の火球が打ち出される。とっさに転移しようとして……その必要が無いと知る。
 燃え盛る火の球は彼女を擦過し、そのまま背後の少年へと向かったからだ。
 響くのは、悲鳴ではあり得ぬ甲高い音。
 何が起こったのかなど、火を見るより明らかだった。内心で安堵の息を吐きつつ、黒子は視線をきつくする。
「初志貫徹とはご立派ですけど……!」
 呟きつつ、彼女はしゃがみこむように身をかがめた。
 奇妙な挙動に、風使いの視線が一瞬黒子に移る。移したはずだった。
 そこに、彼女の姿はない。
 その体勢のまま、黒子は男たちの懐にテレポートで潜り込む。
 そして地を蹴り思いっきり伸び上がって、風使いの顎へと痛烈なアッパーカットを繰り出した。インパクトの瞬間にテレポートを発動、拳一発で十メートルの高みにまで吹き飛んだ男は、もはやに体だ。
 さらに彼女は、宙に浮いたまま身をよじりつつ再び自身を転移させる。
 目の前の光景に呆気にとられていた発火能力者の首に両足を巻きつけ、捻り上げた。冗談のように男の体が回転し、脳天から地に沈む。

61 :
「……風紀委員をなめすぎですの」
 倒れこむような無様はしない。当麻に並ぶように三度その身を転移させ、彼女は悠然と腕を組んだ。
「名乗らなかったくせに」
「……第一声がそれですの?」
 軽口を叩く彼に、黒子は横目できつい視線を送る。
「白井」
「……なんですの」
「おまえ、フランケンシュタイナー似合うな」
「味わってみます?!」
 改まらない軽口に、彼女は口調もきつくした。
 この段に至って、当麻はどうやら黒子が本気で怒っているであろうことに気付いた。
「……あの、白井さん?」
「……」
 恐る恐るの問いかけに、なんですの、の返事すらない。
「怒ってらっしゃいます?」
「当たり前ですの!」
 爆発した。
「見てわかりませんの?! 見てわかりませんの! こんな中途半端なことをされて平静でいられるほど、私聖人ではありませんの!」
 凄まじい剣幕で迫ってくる彼女に、当麻はたじたじと後退する。一部残った冷静な部分は聖人なるセンテンスに反応を示していたが、現実はそれどころではない。
「どうせ銃火器を持った手合いとの諍いに巻き込みたくないとか、そんなことを考えていたんでしょう?! あのワンコールで義理を果たしたつもりでいらしたんでしょう?! 馬鹿にしないで下さいまし!」
 壁際に追い詰められた彼を上目で睨みつつ、彼女の言葉は止まらなかった。
「伊達酔狂で! 見栄であんなことを言ったわけではありませんの! 吐いた唾を飲むつもりも、覆水を盆に返すつもりもありませんの! それを!」
 それを、ともう一度、今度は小さく弱く呟いて。
 黒子は、俯く。俯いてしまう。
 振るえる肩に、言いようのない罪悪感を当麻は感じた。
「すまん!」
 それに突き動かされ、彼はただ頭を下げる。
「白井の言葉を、軽く考えていたわけじゃないんだ。でも、いくらお前が風紀委員だからって、こんなことにまで首を突っ込ませるのもって気持ちもあって」
「……あなたが言えた言葉ではありませんの」
 目元をこすりつつ、顔を上げて彼女は言った。
 返す言葉もない。
「変な遠慮はやめてくださいまし。……傷つくのは、なにもあなただけではありませんの」
「……今回は、お互い無傷ってことで?」
「……反省の色が見られませんわね」
「いや、本当に反省してるって。……正直、来てくれなかったらやばかった」
「なら、結構ですの」
 当麻のその言葉にようやく気が済んだのか、黒子はついに微笑んだ。
***

62 :

「うーん……」
 パソコンの前で腕を組み、初春飾利は首を捻る。
 あの後、例によって警備員に犯人たちを引き渡し、二人は風紀委員第177支部を訪れていた。
「どうかしましたの、初春?」
「ああ白井さん。調書は終わったんですか?」
「ええ、つつがなく。それで、どうしましたの?」
 別室から戻ってきてみれば、同僚が唸り声を上げていたのだ。気にならないはずがない。
「さっきの件なんですけど……」
 言って初春はちらりと黒子の後ろ、つまり当麻に視線をやった。
 その意図に気付いた彼女は、構わないとばかりに頷いて見せる。
 軽く目を見開き、そして何かに得心がいったのか薄く笑って、初春は頷き返した。
「……なんですの、その反応」
「いえいえ。で、先の件の取り調べの報告書が上がってきたんですけど。ちょっと妙な内容なんですよね」
「妙?」
 怪訝そうに呟いて、黒子は彼女の前に腰かけた。それに続いて、当麻もその隣に着席する。
「何が妙なんだ?」
「なんであなたが、当たり前のように先を促しますの……だからなんですの初春その顔」
「いぃえぇなんでも。で、ですね。まず、今回逮捕した4人なんですが、全員前科持ちです。ただ、同一グループに所属していたわけではなく、初顔合わせだったようですね」
「揃いの戦闘服着込んでたのにか?」
 いぶかしげに、当麻が疑問の声を上げる。
「雇われの実行犯で、首謀者は他にいるということですの? それなら別に妙な話というほどでも」
「妙なのは彼らの証言です」
 黒子の言葉を受け、初春は続けた。
「『神の啓示を受けた』『預言は実行しなければならない』等々……、おかしなことを口走るばかりで、まともな尋問にならなかったみたいなんです」
「うわあ……」
「やばい宗教にでもハマりましたの? そろいもそろって。天下の学園都市で」
「警備員もその線を疑ったみたいですね。……当初は」
「当初は?」
 眉をひそめる黒子に、彼女ははい、と頷き、
「尋問開始から十分ほどで、彼らの態度が豹変したようなんです。『はめられた』『何であんな女の言うこと聞いちまったんだ』等々……まるで正気に戻ったみたいに」
「……精神操作の能力者?」
 黒子の指摘に、初春は再び頷く。
「まず間違いありません。それもあって、彼らもかなり積極的に捜査に協力しているようですけど……」
「いつでも切れる尻尾が、重要な情報を持っているはずありませんわね」
「ですね。一応装備の配給を受けた場所は押さえたようですけど、そちらはまだ報告待ちです」
「……今回は誰かの厄介事に首を突っ込んだわけではなかったそうですけど」
 ちらりと先ほどとった手元の調書に目をやりつつ、黒子は初春に言う。
「あ、はい。この四人、写真で上条さんの顔を知らされてたみたいです。間違いなく上条さんを狙っての犯行ですね。ただ……」
「ただ、なんですの?」
「無関係な人間を巻き込むな、と徹底されていたみたいなんです」
「……ふむ」
 それには思い当たる節がある。
 黒子が乱入した時にも、直接的な攻撃はあくまで当麻に向けてのものしかなかった。
「それが、何か?」
「……うまく言えないんですけど、あれだけ大仰な装備に徹底された指令。……なんだかこの件がずいぶん大がかりな事件に思えて」

63 :
「不安をあおるようなことを言うもんじゃありませんわ」
 口ごもる初春を、彼女は窘めた。ちらりと当麻に視線を送る。
「狙いは俺だけか。それならそれで気が楽だな」
 彼は頭の後ろで手を組み、のほほんと言った。
「……呑気なことを。主犯が精神操作の能力者なら、誰が敵になるかわかりませんわよ」
「白井に襲われたら、抵抗できそうにないな」
「それは困りますわね。その時はきっちり殴ってくださいまし」
「右手でこつんとな」
 言葉の応酬の末、二人は顔を見合わせる。
 そして同時に、小さく吹き出した。
「本当、便利な右手ですわね」
「白井の方が便利だろ。いいよな空間移動。特売逃すこともなさそうだし」
「……能力の無駄遣いにもほどがありますわよ。それに大能力者はタイムセールに拘らなければならないほど、生活費には困りませんの」
「いーや、どんなに金回りがよくなろうとも、俺は特売を譲れないね」
「小市民ですわねぇ」
「うっさいですの!」
「だから似てませんの!」
「仲いいですねぇ」
 はっとして、二人は割って入った声の主を見る。
 そこには、にやにやとしか言いようのない笑みを浮かべる初春の姿があった。
「……なんですの初春、その下衆い顔は」
「花も恥じらう女の子に下衆はないですよ白井さん!」
「花も恥じらうというより、あなたの花は恥ずかしいですの」
 どういう意味ですかー! とぷんすかしている初春を無視して、黒子はあーと頷いている彼を見やる。
「何かわかったら、お知らせしますわ」
 ただし、と。
 上から目線で、彼女は付け足す。
「わかってるよ! 何かあったら連絡させていただきますよ白井様!」
 はいよろしい、と黒子が微笑み、ああちくしょうと、当麻は拗ねた。
***
 学生寮、と一言で言ってもその内実はピンキリである。
 例えば通う生徒全てが最低レベル3以上という某お嬢様中学校の学生寮など、『外』のオフィスビルもかくやというセキュリティーを誇っている。
 対して。
 レベル0、すなわち上条当麻の通学する特筆するべき点のない普通の高校の学生寮の防犯対策など、男子寮であることを差し引いてもお寒いものだった。
 ……現に、午前二時に窓ガラスに丸い穴が開けられたというのに、警報のひとつも鳴りはしない。
 キィ、と。
 微かにガラスの擦れる音がした。
 しかしながら、ベッドに横たわる標的は、起きる素振りを見せない。
 男は改めて室内を確認した。
 異様に家具のない部屋だった。めぼしいものといえば、テーブルとテレビ。
 そして、目標の横たわるベッドくらいしかない。
 ガラスにあいた穴から手を差し入れ、鍵を開ける。
 かちゃりと響いた小さな音に、やはり、こちらに背を向けた対象は身じろぎもしなかった。
 昨日の今日で暢気なものだ。
 男は思う。
 しかしながら、これは神の配剤と見るべきだろう。
 預言は、実行されなければならない。
 慎重に歩を進め、ベッドの前に立つ。
 腰から抜かれた大型ナイフは黒く塗られ、月の光も照り返さない。
 男はそれを大きく振り上げ……

64 :
「んぅ……」
 場違いな呻きに、その手を止めた。
 標的が、標的だったはずの何かが寝返りをうつ。
 男は混乱した。
 ここは男子学生寮のはずだ。
 標的である黒髪の少年の個室であるはずだ。
 『神』が、『女神』がそう預言したのだ。
 だったらこの、銀髪の少女は何なのだ?
 動揺から、男は一歩後ずさる。
 テーブルの存在を忘れて。
 ガンッ!
 取り返しのつかない、言い訳のしようのない失態だった。
「誰?!」
 少女が覚醒した。
 目を覚ました、ではなく覚醒だ。
 背後に意識をやったほんの数瞬で、少女はベッドの上で臨戦態勢をとっている。
 まるで、こんな事態に慣れているかのような対応だった。
「インデックス!」
 背後からの声に、しかし男は失態の上塗りをしなかった。
 右手へ、つまり窓へと飛び退りつつ侵入者を確認する。
 そこには、本来の標的たる少年の姿があった。
「てめぇ、昼間の奴らの仲間だな?!」
 背後に少女を庇いつつ、彼は叫ぶ。
 その問いには答えない。恰好を見ればわかることだからだ。
 男は沈思する。
 ここが標的の部屋であることは間違いない。
 少女がいたのは偶々、少なくとも標的の護衛というわけではなさそうだ。
 男に与えられた『予言』はひとつ。
 すなわち標的たる少年の抹である。
 しかしながらその予言には、一つの制約が課されていた。
 無関係な人間を巻きこまないこと。
 じりじりと間合いを詰めてくる標的と、その背からこちらを窺っている少女を交互に見る。
 両立は不可能。
 そう見切りをつけ、男は全身をスパークさせた。
 突如起こった紫電の閃光に当麻の眼がくらむ。
「くそ!」
 毒づき、ほとんど見当で右手を振るった。
 手ごたえは、ない。
 未だちかちかする視界を細め、なんとか状況を確認しようとする。
「とうま、外!」
 インデックスの声に、彼は窓の外へ目を凝らした。
 そこに映ったのは、電光を曳きつつ電柱に張り付く襲撃者の姿。
「待て!」
 当麻は叫んで窓から身を乗り出すが、さすがに電線を伝って逃げる相手を追う術はない。
 くそ、と小さく呟いて、今度はインデックスに駆け寄った。
「インデックス、怪我はないか?」
「うん、わたしはなんともないんだよ」
 ぐるぐると腕を回して、彼女は無事をアピールする。
 そっか、と彼は安堵のと息をこぼし、そしてぐしゃぐしゃと髪を掻き混ぜた。
「で、とうま」
 にこにこと笑顔を浮かべて、インデックスは当麻の顔を覗き込む。
「わかってる。全部話す。でも、ちょっと待ってくれ」
 彼女の追及をいったん制止し、彼は床に落ちた携帯電話を拾い上げた。

65 :
 一方のインデックスは、当麻に噛みつくでもなく、目を丸くして彼を見つめる。
「……なんだよ」
 彼女の視線に気づき、当麻は訝しげに言う。
 ううん、とインデックスは首を振った。
「ちょっと意外だっただけだよ」
「はぁ?」
 わけがわからず彼は眉をひそめるが、当の彼女は何も言わず、再びにこにこと、今度は含みない笑顔を浮かべる。
 不可解なインデックスの様子をおいて、当麻はアドレス帳を開いた。
 事情、時間帯。
 どちらも逡巡するに値する理由ではある。
 だが。
 彼女の言葉が、脳裏を過ぎる。
「……」
 意を決し、彼は彼女の番号を呼び出した。
「白井か? 常識のない時間にすまん。……力を貸してくれないか」
***
 振動音が微睡みを壊す。
 枕元のマナーモードに設定した愛用の近未来携帯が、己の職務を全うしているのだ。
 不機嫌さもあらわに、黒子はそれを取り上げる。迷惑メールだったらただじゃおかんと言わんばかりの勢いだ。
 ディスプレイに表示された発信者名に、瞬時に眠気が吹き飛ぶ。
 彼女はすぐさま身を起こすと口元に手をやって、通話ボタンを押した。
「白井ですの。……承知しました。直ぐに伺いますの。詳しい話はその時に」
 手短に通話を終えると、黒子は年不相応の寝間着を脱ぎ捨て、制服に着替える。
 隣のベッドで眠る愛しのお姉様、御坂美琴は夢の世界だ。気づかれた様子もない。
 何とも複雑な表情で、黒子は彼女の寝顔を見つめた。
 このまま起こさずに出るのは、恐らく正しい。
 しかし。
 彼に、何かあったら知らせろと言ったのは自分だ。
 そして。
 自分に、事が大きくなる前に頼れと言ってくれたのは、彼女だ。
 逡巡の後、彼女は美琴を揺り起こした。
「んあ? なぁによくろこぉ、もうあさ……ってまだ2時じゃない……あんたどういう……?」
「申し訳ありませんお姉様、少々トラブルですの。恐らく朝には戻れませんので、寮監に申し開きをお願いしますわ」
 半ば以上寝ぼけていた彼女だが、そんな後輩の言葉にさすがに目を覚ます。
「トラブルって……まさか風紀委員絡みじゃないわよね、こんな時間に」
 学生からなる風紀委員、普通ならこんな時間に召集がかかることなどあり得ない。事件があれば、それは警備員の管轄になるはずだ。
「絡んではいますけれど、風紀委員からの呼び出しでは、確かにありませんわ」
「なら……」
「しかしながら、私も看板に偽りなきことを証明しなければなりませんの。詳細は後ほど必ずご説明しますので、どうか快く送り出してはいただけませんか?」
「……」
 わけのわからないことを言う彼女の顔を、美琴はじっと見つめる。
 そこに冗談の色はなく、あるのはただ、真摯な瞳。
 ふう、と彼女は諦念の息をつく。
「……わかった。こっちは適当にごまかしておくわよ。ただし、後で絶対に説明しなさいよ。あと、危なくなったらじゃなくて、危なくなる前に私を頼りなさい。いいわね?」
「……はい。ありがとうございます、お姉様」
 黒子は美琴を軽く抱きしめ、そしてそのまま虚空に消えた。
 
***

66 :

 ノックの音がした。
 対面に座るインデックスがびくりと身を震わせるが、一方の当麻は警戒こそしているものの、腰を浮かせかけた彼女を制する余裕がある。
 一つ頷いて立ち上がり、一応忍び足でドアスコープから外を窺った。
 二房揺れる、茶色の髪。
 予想通りの人物に安堵の息をつき、彼は扉を開けて彼女を招き入れる。
「お邪魔しますの」
「本当にすまん、こんな時間に」
「学習能力があるとわかっただけで、十分ですわ」
 頭を下げる当麻に、黒子は冗談めかして笑った。
 苦笑いを返して、彼は彼女を部屋内へと促す。
「失礼します」
「あれ? 短髪といっしょにいた人だね」
 想定外の第三者の声に、黒子は真剣に驚いた。
「何度か会ったことはあるけど、名乗るのは初めてだね。わたしはインデックスっていうんだよ」
「あ、ご、ご丁寧に。白井黒子と申しますの……」
 流されるままに自己紹介をし終えたところで、彼女は眼前の少女の素性に思い当たる。
「あなたはいつぞや、地下街にいらした……」
 銀髪碧眼修道女姿など、これ以上ないほどに特徴的な出で立ちだ。
 落ち着きを取り戻した黒子は、もの言いたげな視線を家主たる少年に向ける。インデックスも同様だった。
 そうだよなー、と小さく呟き当麻は肩を落とすが、ややあって黒子に向き直る。
「白井、過程はすっ飛ばして説明するけど、インデックスは俺の同居人だ」
「本当にすっ飛ばしましたわね」
「すまん、この件が片付いたらその辺説明……」
「必要ありませんわ。確か命の恩人……でしたわよね?」
 言いつつ彼女はちらりとインデックスを見やった。
 うん、と躊躇うでもなく彼女は頷く。
「くろこも?」
「……まあそんなこともありましたけど、どちらかというと厄介事に首を突っ込む困った方という印象の方が強いですの」
「……苦労してるんだね、わかるんだよ」
「ありがとうございます。そういってくれる人がいるだけでも、救われた気分になりますわ」
「なんでいきなり友好温めてるんだよ?!」
 あさっての方向に向かう二人の会話に、思わず当麻は突っ込みを入れた。
「ですが」
 そんな突っ込みを意に介さずに、黒子は言葉を続ける。
「そんな苦労は、もうしないで済みそうですの」
 お呼びいただきましたし、と彼女は彼を流し見た。
 う、と当麻は言葉を詰まらせる。
 意味ありげな言葉と気まずげな彼の様子に、インデックスは思案げに眉を寄せた。
「とうま」
「なんだよ」
「さっきも聞いたけど、今回私の『知識』は役に立たないんだよね?」
「……ああ」
「それでとうまはくろこを呼んだんだよね。くろこを頼りにしたんだよね?」
「……そうだな」
 責められているような気分で、居心地悪く当麻は返事をする。

67 :
 だが、そんな彼とは裏腹に、当のインデックスは実にうれしそうな笑顔を浮かべてみせた。
「くろこ」
「はい」
「とうまを頼むんだよ」
「……はい?」
 娘を送り出す父親のような台詞を言う彼女に、黒子は間の抜けた声を上げる。
「とうまはね、事件に巻き込まれても相談なんてしてくれないし、心配かけないようにって事情の説明もしないし、誰かに頼ろうともしないんだよ」
 それが余計に心配かけるのにね、と不満たらたらに唇を尖らせてのインデックスの言葉に、当麻はごにょごにょと口の中で言い訳をしながら目をそらした。
「でも今回は、とうまはわたしに事情の説明をしてくれたんだよ。それにとうまは、くろこを頼ったんだよ。それがどういうことなのか、とうまはわかってないみたいだけど。わたしはそれが、ほんとうにうれしいんだよ」
 こんなときに不謹慎だけど、と言いながらも、彼女は心の底からの笑顔を浮かべている。
 それにつられるように、黒子の口元もほころんだ。どうにも、笑むのを押さえられない。
「インデックスさん」
 くつくつと笑いながら、彼女は呼びかけた。
「この件が終わりましたら、お時間いただけませんか? きっと、積もる話がありそうですの」
「うん!」
 二つ返事で、インデックスは頷いた。
「……先の話をすると、鬼が笑うって言うんだけどな。話、戻していいか?」
「あ、はい」
「実は……」
 かくかくしかじか、と先ほどの経緯を話す。
「狙いが俺だけっていうのは、まず間違いないみたいだ。でも相手の良心あてにするのも馬鹿らしいし、何より身元が割れちまった。で……」
「潜伏場所が用意できないか、ということですわね?」
「ああ。少なくともインデックスの安全を確保したい。できるか?」
「そうですわね……」
 とんとんと指先でテーブルを叩きつつ、黒子は黙考する。
「……新型のセキュリティシステムのモニターという名目で、教員に割り当てられるマンションがいくつかありますの。無論、その中には警備員もおりますますから、そちらからの伝手で空き部屋を用意できるかも……」
 少しお待ちください、と言って彼女は携帯電話を取り出しつつ席を立ち、玄関へと移動した。
 おそらく警備員の支部に連絡を入れているのだろう、しばしの間遠い声が響く。
 インデックスが小首をかしげて見せるが、当麻にしてみれば肩をすくめるほかない。
 しばらくして、吐息とともに彼女は居間に戻ってきた。
「話がつきましたわ。並びの別棟で二部屋、都合できましたの。どちらも隣室は警備員が入居中で、護衛を兼ねてくださるそうです」
「そりゃ願ってもない」
「ありがとうなんだよ、くろこ」
 直球の感謝の言葉に、黒子は面映ゆそうにする。
 が、それも刹那のことだ。
「車も回してもらいましたの。当座の荷物だけ持って、すぐに移動いたしましょう」
***

68 :

「……これが格差社会ってやつか……」
 半ば呆然としつつ、当麻は室内を見やる。
 あの後。
 眼鏡をかけた優しげな風貌の警備員の運転で、目的地たるマンションに到着。
 この警備員がインデックスの警護も兼ねる事になっているのだが、彼女は一目見てインデックスを気に入ったらしく、夜勤効果もあってかハイテンションで彼女を引きずって行ってしまった。
 残された当麻は、鍵の引き渡しを受けていた黒子とともに、隣のマンションの二階の一室に歩を踏み入れている。
「分譲タイプの1LDKですから。流石に学生寮とは仕様が違いますの」
 部屋やキッチンが使用可能かを確認をしつつ、黒子は事もなげに言った。
「ここでの生活に慣れたくないな……さっさと終わらせよう、こんなこと」
「前向きなのは、結構ですが……」
 眉をひそめて、彼女が振り向く。
「正直なところ、手掛かりが少なすぎますの。長丁場になる可能性がありますわ」
「……むぅ。じゃあおとなりさんにもきっちり挨拶しておかないとな……さすがに今は無理か」
「今後も無理ですわ。このフロア、入居しているのはこの部屋だけですの」
「は?」
「その方が都合がよろしいかと思いまして」
「……お見通しだなぁ」
 苦笑して頬を掻く彼に、黒子ははいと笑ってみせた。 
「では、リビングをお借りしますの」
 寝室から来客用の布団を引っ張り出しつつ、彼女は言う。
「は? って白井お前、ここ泊まっていく気か?!」
「あら、こんな夜の夜中に、うら若い乙女を外に放り出すおつもりですの?」
「いや……そんなつもりはねーけど……」
 単純に想定外な事態に、当麻は口ごもる。
「いやでもまずいだろ、それこそうら若い男女が同じ屋根の下って」
「そんな台詞が出るのでしたら、それこそ問題ありませんでしょう? それともインデックスさんとは爛れた関係をお持ちで?」
「何言っちゃってるのこの風紀委員」
「ならやっぱり、問題ありませんのね。……まあ護衛を兼ねていると思っていただければ」
 そう言われてしまえば無碍にもできない。
 そもそもここまで手を尽くしてくれた彼女の申し出を、断れるはずもなかった。
 一つため息をつき、
「……わかったよ。でも部屋のベッドは白井が使ってくれ。俺がリビングで寝るから」
「家主を差し置いてそういうわけにも」
「この状況で家主も何もないだろ。それに上条さんは床寝がデフォなんですよ。ベッドは女性が使ってください」
「……わかりましたの。ではお言葉に甘えて」
「おう。……あ、白井」
 ぺこりと頭を下げて部屋に入ろうとした黒子に、当麻はふと声をかける。
「なんですの」
「いや、お前その格好で寝るのか? 俺は部屋着持ってきてるけど……」
 言われて彼女は、足元に置いてあった紙袋を持ち上げた。
「ご心配なく。インデックスさんから一着、寝間着を押し付けられましたの」
「何やってるんだあいつ」
「では、おやすみなさいませ」
「……おやすみ」
 改めておじぎし、部屋に入る彼女を見送り、
「どうしてこうなった」
 と呟き、
「……俺のせいか」
 と、髪をかき混ぜた。
***

69 :

 軽やかな包丁の音に、目を覚ます。
 寝ぼけ眼のまま身を起し、当麻は音の発生源に目を向けた。
 そこには既に常盤台の制服に着替え、キッチンに立つ黒子の姿がある。
「……白井?」
「あら、おはようございます。もう少しで出来上がりますので、顔でも洗ってきてくださいまし」
「あ、ああ……」
 促されるままに立ち上がり、洗面台に向かおうとして……
「いや、何してるんだ白井」
「何って……朝食を作っているに決まってますの」
 なにを当たり前のことを、とばかりに彼女は呆れた風に言った。
「材料なんてあったのか?」
「先ほど買ってきましたの、ちょちょいと」
 実にテレポーターらしいお言葉だった。
「なんか悪いな、何から何まで」
「お気になさらず。それなりに腕に覚えはありますけれど、なかなか振るう機会がありませんで」
「お、なら期待大だな」
「普段自炊されてる方のお眼鏡にかなうかどうか……もうできますわ」
「ああ、わかった」
 言って彼は洗面所に向かう。
 当麻が顔を洗って戻った時には、既に朝食がテーブルに並べられていた。
 トーストにハムエッグ、サラダにスープという、彼の平素の朝食ではあり得ない品目。
「……朝起きて朝食が用意されてるなんて、何年ぶりのことでせうか……」
「……インデックスさんは?」
 感激にうちふるえている当麻に、黒子は遠慮がちに問う。
 返ってきたのは、沈黙。
「……ええと、どうぞおあがりになってくださいまし。冷めてしまいますの」
「……いただきます」
「はい、召し上がれ」
 かちゃかちゃと、しばし食器の鳴る音だけが響いた。
「うん、うまい」
「それは重畳ですの」
 にこりと笑んで、彼女も食事の手を進める。
 トーストに齧りついたところで、呆けたようにこちらを見る視線に気づいた。
「なんですの?」
「……いや、トーストかじる姿も絵になるな、と」
 さすがお嬢様、と続ける彼に、黒子は顔を赤らめる。

70 :
「……それは持ち上げすぎでしょう? トーストなんて、誰が食べても同じですの」
「いや、白井もインデックスの食事風景を見れば、そんなことは絶対に言えなくなるはずだ」
 しみじみと言う当麻に、どんなですの、と彼女は思ったが口には出さなかった。
 ほどなくして、ほとんど同時に二人の手が止まる。
「ごちそうさま」
「はい、お粗末さまですの」
 楽しげに黒子は言って、彼の分まで食器を重ねた。
「ああ、片づけは俺がやるよ」
「いえ、洗い物までが料理ですし。それにそろそろ時間を気にされたほうがよろしいのでは? いつもの学生寮からとは、距離が違いますの」
「え? ……うわ、ほんとだやべぇ! すまん白井、頼むわ!」
「お気になさらず。あ、鍵をお忘れなく。入れなくなるばかりか、下手をしなくても警備会社に通報されますわよ」
「わかった! ……じゃあ行ってくる!」
「はい、いってらっしゃいまし」
 どたどたと足音を響かせる後ろ姿に、見えない手を振る。
 慌ただしく扉は閉まり……途端に静まり返る室内。
 まるで嵐の後だった。
「騒々しい方ですの」
 やれやれとばかりに溜息を吐きつつ、しかしその顔には笑顔が浮かんでいる。
 ままごとというしかない、先ほどまでの彼との会話。
 それが奇妙なまでに楽しいことだと思えた。
「ま、こんな生活も、たまにはいいかもしれませんわね」
 誰に聞かせるでもなく、呟く。
 彼にはああ言ったが、どうせ長くは続かぬ事だ。少しばかり楽しんだとて罰は当たるまい。

 そしてそれは、本当に、長くは続かなかった。

 洗い物を終え、黒子も部屋を出る。
 寮の食事の時間にはもちろん間に合わないが、この分なら学業を疎かにしなくてもよさそうだ。
 エントランスを出たところで、びたりと彼女は足を止める。
 まるで彼女を待ちかまえていたかのように、一人の少女が立っていたからだ。
 年の頃は十四、五歳、可愛らしい顔立ちながら、その印象にそぐわぬ派手なドレスでその身を飾っている。
「どちら様ですの」
 太腿の金属矢のホルダーに手をやりつつ、警戒心もあらわに言う。
 対してドレスの少女はといえば、そんな彼女の様子に頓着せず、頬に指を当て笑いかけた。

71 :
「どちら様なんてつれないじゃない……白井さん?」
 何を気安く、と吐き捨てかけて、気付く。
 ああ、自分は何を言っていたのだろう?
 今正に、あんな姿で!
「私を迎えに来て下さるなんて! 感激ですわお姉様ー!」
「ええー?!」
 一足飛びどころかテレポートで間を詰められて抱きつかれ、ドレスの少女はただただ狼狽する。
「ちょ、えっ、待っ、は、離れ……!」
「いやですわつれないと言ったのはお姉様ではありませんかそもそも白井さんなどと他人行儀な黒子と呼んで下さいませ!」
「ああうんわかった、わかったから黒子落ち着いて」
「感激ですわお姉様お姉様が黒子と呼んでくれたから今日のこの日は黒子記念日ですのぐふっ」
 唐突に、黒子の身が崩れ落ちた。
 はーはーと荒く息をつき、顔を青ざめひきつらせ、自分で自分を抱きしめるドレスの少女。
 そんな彼女に爆笑しながら声をかけるのは、ホストばりに容姿の整った少年だった。
「よう、災難だったな」
 笑いさめやらぬ様子で、彼は少女を冷やかすように言う。
「笑いすぎよ」
 彼女にしては珍しく、不機嫌そうに唇を尖らせた。
「助けてやったんだからいいじゃねーか」
 そこまで言って、彼は顔から笑みを消す。
「大したタマだぜそいつ。あのままお前を飛ばす気だった」
「嘘? この子が一番慕ってるはずの、御坂美琴の距離を設定したんだけど。正直貞操の危機を感じたんだけど」
「相手が誰であれ、理性が情に勝るんだろ。そういうタイプの人間もいるって、自分で言ってたじゃねえか」
「そうだけど……」
「あと貞操の危機とか言ってんなよ。ウブなネンネじゃあるまいし」
「……」
「……え、何その沈黙。まさかお前」
「……さっさとこの子運んでくれない」
「いてっ、蹴んなオイ! わかった、わかったよ」
 マジかよ意外すぎる、などと言いながら、少年は黒子を抱き上げた。
 そのまま停めてあったボックスワゴンに乗り込む。
 後部座席に黒子を寝かせると、少年は助手席に座った。続いてドレスの少女は、黒子の隣に腰掛ける。
 二人の着席を確認して、運転席の男は無言で車を発進させた。
***
 手持ち無沙汰だ。
 何をするでもなくリビングの椅子に腰掛け、当麻はぼうと天井を眺めている。
 遅刻することもなく、いつものように学校は終わった。
 特に補習もなく、友人らに遊びの誘いを受けたものの、それを辞退してまっすぐ仮宿に戻ってきたのだ。
 迂闊に出歩くより、セキュリティー完備のこのマンションにいたほうがいいに決まっている。
 が。
 インデックスに安否確認の電話を入れたところで、やることがなくなってしまった。
 己の無趣味が呪わしい。
「……そういや今日この後どうするかなんて、話す暇もなかったな」
 独り言がふと漏れる。
 我ながら言い訳じみているなと思いながらも、当麻は携帯電話を手に取った。
 ……まるで狙いすましていたかのようなタイミングで、携帯電話が着信音を鳴らす。
 自覚なく喜色を浮かべて、彼は通話ボタンを押した。
「はいはい上条ですがー」
『出るの早いわね。私よ』
 予想外の相手に、当麻は軽く眉を上げる。
「なんだビリビリか。珍しいなお前から電話してくるなんて……」
『アンタ、黒子知らない?!』
「は?」

72 :
 ビリビリ発言に怒声も上げず、どこか逼迫した口調の彼女に、上がった眉が下がる。
「どういう事だ? 学校にこなかったのか」
『そうよ! 夜中に飛び出してってそれっきり。風紀委員絡みだっていうから初春さんに聞いてみたけど、支部にもいないし……それでその時聞いたんだけど、アンタ昨日黒子と一緒にトラブってたんでしょ?! 何か知らない?!』
「……実は今日、白井と朝まで一緒だったんだが」
『ちょっと待って詳しく』
 先とは違った逼迫感を滲ませて、電話向こうの彼女が問う。
「あ、いや変な意味じゃねーぞ? ただ俺が寝込みを襲われて」
『くくく黒子に?!』
「違ぇよ! お前自分の後輩何だと思っ……いやうんとにかく違うから!」
 一瞬色々納得しかけたものの、当麻は一連の事情を説明した。ただしインデックスの件は除いて。
『……アンタが今いるのって、セキュリティーモニターのマンションなのよね。なら防犯カメラに何か痕跡があるかもしれない。今から行くから!』
 聞くだけ聞いて、そして言うだけ言って通話は切れた。
 待ち受け画面に切り替わった携帯電話を、じっと見つめる。
 今になって、当麻は後悔していた。
 負い目があったとはいえ、やはり彼女を巻き込むのではなかった。
 巻き込んだ結果がこれだ。そして今や、美琴まで巻き込みつつある。
「くそっ!」
 悪態を吐き、テーブルを叩いた。跳ねる携帯電話。
 ……振るえる、携帯電話。続いて着信音。
 彼は大きく息を吐いてから、ディスプレイを確認する。
 白井黒子。
 ほとんど反射的に、当麻は通話ボタンを押した。
「白井か?! お前今何処に……!」
『第十七学区にある廃工場の敷地内にある貨物コンテナの中で、絶賛お休み中よ。迎えにきてね、ナイトさん?』
 返ってきたのは聞きなれた低めの声ではなく、聞き覚えのない少女のそれだった。
「……誰だてめぇ」
 我知らず声を低くして、電話口の少女に詰問する。
 こわいこわい、と少女はおどけた。
『本件の主謀者よ。施設の調整に手間取っちゃって、連絡がこんな時間になってごめんなさいね』
「御託はいい! 白井は無事なんだろうな?!」
『勿論。大切な人質だもの。今は薬で眠ってもらっているけど』
 そうでもしないと人質にできないし、と少女はやれやれとばかりに言う。
 勝手なことを、と当麻は歯噛みするが、口には出さない。
『詳しい場所は今からメールするわ。時間の指定はしないけど、早く来てね。それじゃあ』
 言うだけ言って、やはり通話は切れた。続いてメールの着信音。地図だ。ご丁寧に、美琴にまでCCで送信されている。
 後手後手だった。流されに流されている。
 再びの美琴からの着信に、もはや腹をくくるほかなかった。
***

73 :

 傾いた日に照らされた工場群は、さながら炎の柱のようだった。
 いい眺めじゃないな、と彼は内心で毒づく。
 あの後、第十七学区の入り口に待ち合わせた二人は、そのままメールに指定されたポイントへと一直線に向かった。
 明らかに現在使われていないであろう廃工場の敷地内、そこにいかにも不釣り合いな、巨大な真新しい真鍮色のコンテナが屹立している。
 傷一つ見えないそれの一面に、ぽっかりと開くどこか虚ろな、洞のごとき入り口の前。
 二人は一瞬視線を交わすと、同時に飛び込む。
「白井!」
 薄暗い内部に目を凝らし、当麻は焦燥もあらわに目的たる少女の名を叫んだ。
 そんな彼とは対照的に、美琴の心は落ち着いている。
 自分より焦っている少年が、傍らにいるためだろうか。
 その事実が逆に彼女の心にちくりと刺さるのだが、表には出さずに内部を見渡した。
 外観は貨物コンテナであるにも関わらず、その内は伽藍堂。
 目につくものといえば、まばらな照明と。
 反対側の壁を背に立つドレス姿の少女と。
 ……左手の壁際に背もたれて、俯いている常盤台の制服姿の少女。
「……白井!」
 正面の少女には目もくれず、当麻は黒子に駆け寄った。
 一方の美琴は威嚇するかのように全身に紫電を這わせ、一歩踏み出す。
「止めないわけ?」
 彼女の言葉に、ドレスの少女は肩をすくめた。
「ええ。彼がここに来てさえくれれば、彼女はお役御免だもの。薬で眠ってもらっているけど、傷一つつけてないわ。その薬も、あと10分もすれば完全に抜けるしね」
「目的はアイツだけなんでしょ? 私にまでここの場所をリークしたのはなんでよ」
「白井さんに手を出した以上、あなたの関与を懸念するのは当然でしょう? なら、リスクは最小限にしないと」
「最小限、ねぇ……」
「そう。彼より早くても、遅くても駄目。同時でないとね」
「……解せないわね。こんな手間かけてまで、黒子を攫った理由は何?」
 くるくると右手の人差し指を空で回して、ドレスの少女はその指で壁をつつく。
「彼の人質になりうる空間移動の大能力者が、彼女だけだからよ」
「……どういう、ことですの」
 疑念の声は、横手からだった。
「黒子……」
 当麻に肩を借りて立ち上がった彼女を確認して、美琴は安堵の息をつく。
 黒子は彼女に視線を向け、済まなそう目を伏せた。
 そして直ぐに、ドレスの少女を睨みつける。美琴もそれに倣った。
 三者の視線が集中するも、彼女は慌てた風もない。
 にっこりと黒子に微笑み、諭すように言った。
「ここから出られるのは私と、あなたの飛ばせるものだけだから」
 壁に当てていた指を、美琴に向ける。もう少し室内が明るければ、正確には彼女の背後を指差していたとわかっただろう。
「……扉が?!」
 ドレスの少女の指先を追った当麻が、驚愕の声を上げた。
 その声に、美琴も警戒しつつ背後を振り返る。
 音もなく。
 出口は、閉ざされていた。
 いや、閉ざされたどころか、扉の痕跡すらない。戸枠も、継ぎ目すら見当たらなかった。完全な一枚板。
 まるで、はじめから存在すらしていなかったかのように。
 当麻はまだしも、真ん前にいた美琴ですら気づかなかった事と合わせて、尋常ではない。
「そもそもね」
 歌うように、ドレスの少女が囀った。
「扉なんて、ないのよ。さっきまでは、『この子』が口を開いていただけ。もう閉じて、チャックさせちゃった」
「何を言って……!」
 わけのわからぬことを言う彼女に、当麻は苛立ち交じりに声を上げる。
「このコンテナは、生きているのよ」
 彼を見やり、ドレスの少女は教え子を諭す教師のように言葉を紡いだ。

74 :
「……は?」
 状況を忘れたかのような間の抜けた声が、当麻の口からこぼれおちる。
「……生きてる? これが?」
「正確には、四方の壁と床が、だけどね」
 軽く床を踏みしめ、訝しむ彼に、ドレスの少女はそう訂正した。
「……こんな生き物、見たことも聞いたこともありませんの」
 未だ膝を笑わせながらも、黒子は気丈に声を上げる。
「まあ、常識で考えればそうでしょうけど」
 ドレスの少女は笑った。
「うちのリーダーに、常識は通じないから」
 馬鹿馬鹿しいと、ばかりに。
「彼の、『物』に『者』を付与して、精神操作で自在にそれを操作するっていう実験が元だったんだけど、これはそこからスピンオフした技術の産物よ」
 慈愛に満ちた手で、ドレスの少女は壁をなぞった。
「人間を素粒子レベルまで分解して『何か』に組み込む……正直私にはよくわからない話だけど。『学習装置』で操作技術を刷り込んでおけば、例えば有人機の柔軟性を持った無人戦闘機が完成する、らしいわよ? お手軽な生体兵器よね」
 エックスリスペクトとか言っていたけど、どういうことかしら、と首を捻り、しかしすぐに気を取り直し。
「必要な人間も、クローンを使えば問題ないし、ローコストだし。……軍用クローンの製造費、あなたなら知っているわよね? 『超電磁砲』?」
 ぎっ、と奥歯を噛み締める音が、当麻たちにまで届く。
「で、軍事転用可能な能力者をあごで使うお前が、レベル5の第三位を敵に回してまでレベル0の俺を付け狙うのは何でだ」
 美琴が言葉を発するよりも速く、淡々とした口調で当麻が割り込んだ。
 人がせそうな視線を、彼に向ける。
 受け止められた。
「勘違いしてるみたいだけど、私はあくまで『本件』の主謀者。あごで使われてるのは私の方よ」
 熱い息を吐く美琴を尻目に、ドレスの少女は肩をすくめる。
「で、あなたを狙う理由だけど」
 言って彼女は考え込むように、頬に指を当てた。
「……『スペア』が『メイン』に成り代わるための前哨戦。『バイパス』潰しってところかしら」
「……何を言っているのか、さっぱりわかんねーよ」
 声を低くして言う当麻に、ドレスの少女はでしょうね、と苦笑した。
「別に懇切丁寧に教える義理もないし、正直あなたの重要度は私たちにもわかってないのよ」
「……つまり」
 未だ当麻から肩を借りながらも、黒子は力ある眼差しをドレスの少女に向ける。
「つまりあなたをあごで使う誰かを『主役』にするために、とりあえず他の『候補』消しておこうと、そういうことですの?」

75 :
 その言葉に、彼女は驚きと称賛の混じったまなざしを人質の少女に送った。
「鋭いわね。でも、とりあえず、とは心外だわ。念のためって言ってほしいわね」
「ふざけたことを……!」
「大真面目よ。彼一人おびき出すのに、廃棄予定の『この子』まで引っ張り出して、どれだけ手間をかけたことか。……無駄な犠牲をださないってリーダーの意向を必要以上に汲んだ面もあるから、自業自得でもあるんだけど」
 楽しげに三人を見やりつつ、ドレスの少女は言う。
「ああそう」
 もう付き合っていられないとばかりに、ついに美琴が全身から紫電を迸らせた。
 電撃の槍がドレスの少女を貫く……直前。
 何の前触れもなく、彼女の足元から壁がせり出す。
 電光はそれに直撃し、何らの損傷を引き出すことなく霧散した。
「言ったでしょう」
 くすくすと笑いの混じった声が、壁の向こうから響く。
「『この子』は『人間』だって。そしてわたしは」
「……精神操作の能力者」
 ご明察、と下がった壁から笑顔で黒子に拍手を送る。
「馬鹿にしてっ!」
「忠告しておくけど」
 ポケットに手を突っ込んだ美琴を制するように、ドレスの少女はそれを流し見た。
「天井は『この子』じゃない。重さ7トンのそれを、『この子』が支えているの。電撃くらいならまだしも、『超電磁砲』なんて打ち込まれたら、『手』を滑らせるかもしれないわよ?」
 舌打ちとともに、彼女はドレスの少女を睨む。相手は動じた風もかった。
 それもそうだろう、この場は彼女の掌の上と言っても過言ではないのだから。
「10分後」
 指を一本立てて、ドレスの少女は宣告する。
「今から10分後に、『この子』は『手』を放すわ。白井さんの薬もそろそろ完全に抜けるから、彼女とあなたはここから脱出できるでしょう? ぬのは彼だけ」
 ほら無駄な犠牲は出してないでしょ? と彼女は笑顔でぽんと手を叩いた。
 それと同時に、ドレスの少女の体が、背にした壁に飲み込まれていく。
「っ!」
 あれほど饒舌に事を語っていた彼女が、こうもあっさりと逃げを打つとは思っていなかったのだろう。完全に不意を打たれた。
「逃がすかっ!」
 それでもとっさに、美琴は再びの電撃を放つ。
 だがやはりというべきか、床から迫り出した壁が、ドレスの少女を庇う様に抱きしめた。
「いい子。……それじゃ失礼。もう二度と会わないことを、願ってるわ」
 くぐもった言葉が終ると同時に壁は歪み、元へと戻っていく。彼女の姿は、もはやない。
「〜〜〜っ!」
「お姉様」
 突然耳元に響いた黒子の声に、歯噛みしていた彼女は慌てて振り向く。
 ドレスの少女の言葉の通りだったのだろう。薬も抜け、演算能力を取り戻した彼女が、自分の肩に手を置いていた。
「後はお任せいたしますの」
「くろ……っ?!」
 名を呼ぶ暇もない。
 彼女が最後に見たのは、微笑む後輩の姿だった。

 ふうと一つ息を吐き、彼女は空の見えない天を見上げる。
「これが、お姉様やあなたがいる世界ですのね」
 視線を下して、彼女は気負いなく彼を見た。
「常々思っておりましたの。黒子もそこに立ちたいと」
「……立たずに済むなら、それに越したことない世界だよ、こんなところ」
 言外に早く逃げろと言って、彼は顔を背けて吐き捨てた。
「でも」
 そんな彼の様子を後目に、黒子は再び彼の前に立ち、そしてその右手を取る。
「あなたを助けられるなら、悪くない世界ですわ」
「……俺を転送する気か?」
「他に、何が?」
「無理だ!」

76 :
 何でもないことのように言う彼女に、当麻は顔を背けたままに叫んだ。
「お前だって知ってるだろ、俺の右手のことは! 御坂の電撃だって……」
 一瞬言葉を逡巡させるが、ややあって決然と続ける。
「学園都市第一位の力だって、俺の右手は消しちまうんだ」
「……例の都市伝説は、本当でしたのね」
 驚嘆の声を、彼女は上げる。
 驚きは、あった。
 しかし事実なら、この殿方でしかありえない、とも思っていた。
 くすりと、笑う。
「今日はラッキーデイですわ。あなたを助けるついでに、学園都市最強のテレポーターの称号が得られるんですから」
「白井」
「無理だと言われて、あなたは引き下がりますの? レベル5の第一位に立ち向かったあなたが?」
 笑顔を消して一転、彼女は怒りすらこめて言う。
「違いますわよね。だからこそ、あなたはここにいるのでしょう」
 それに、と咎めるように彼女は続けた。
「此度の事件の渦中はあなた。それに巻き込まれたのが私」
 いえと、彼女は首を振る。
「それに首を突っ込んだのが私」
 つまり。
「あなたが私で私があなた。……あなたが端役で私が主役ですの! だからあなたは!」
 ぎゅうと彼の右手を握りしめ、黒子は言う。
「黙って私に、助けられればいいんですの」
 不敵に笑って、彼女は瞳を閉じた。
 当麻はもはや、言葉もない。
 彼女を翻意させる、言葉がなかった。
 鏡に向かって諦めろと言って、一体何の意味がある。
「……ああ分かったよ! 白井!」
 その呼びかけに、黒子は塞いだ目を開ける。
「お前が俺を、助けてくれ」
 まるで泣き出しそうな顔の彼に、彼女は強く微笑んだ。
「私を誰だと思っていますの? 常盤台が空間移動の大能力者、風紀委員! 白井黒子ですのよ!」

 どれほど意気込めども、いかほど見栄切れども、目の前の現実は変わらない。
 出力した力が消えていく。喰らわれていく。干されていく。
 まるで、穴の開いたバケツに水を注ぐかのような徒労感。
 焦るな。
 瞳を閉じて自分にそう、言い聞かせる。
 空間移動の演算に、焦りはマイナスにしか働かない。
 絶対の能力などない。
 彼女は思考する。
 それを体現し続けてきたのが彼だ、彼の右手だ。
 だからこそ、そこに穴がなければならない。
 そうでなければ、彼の右手が存在できる道理がない。
 絶対の能力など、ないのだから。

77 :
 穴。
 穴の開いたバケツに、水を注ぐかのような。
 ならば、穴から水が抜けきる前に満たせるほどに一息に、溢れるほどに注げば。注ぐことができれば。
 閃きだが、確信だった。
 できないとは、言わせない。
 できると認識し、実現する。それこそが学園都市の能力開発だ。自分だけの現実だ。
 高々七十キロ足らずの殿方一人、転送できないはずがない。
 できると思え。
 できると信じろ。
 できると確信しろ。
 頭脳が回転する。思考が加速する。演算が光速する。
 閉じた瞼に光が奔る。
 目を、開く。
 瞳に映った現実は、常とは異なる色彩を放っていた。

 見開かれた彼女の瞳に、彼は戦慄した。
 赤く輝く彼女の瞳。
 毛細血管が破裂したのだろう、両の瞳からは血色の涙が流れて落ちる。
 出血は、そこからだけではなかった。
 鼻孔から、口元から、そして耳朶から。
 彼女のかんばせが朱に染まる。
 何をしているのかは、わからない。
 だが、無理をしているのは、よくわかった。
 まばたきもなく開ききった瞳孔は、少なくとも眼前の彼を写していない。
 もう止めてくれと叫びたかった。
 お前が傷つく必要なんてないと喚きたかった。
 けれど。
 おそらく彼女は言うだろう、あなたが言うなと。
 あなたが私で、私があなた。
 こんな風に、見えていたのだろうか。
 いつもの自分は、こんなにも、迷惑をかけて、心配をかけて、不安をかけて。
 そしてこんなにも、泥にまみれて、怪我にまみれて、血にまみれて、いたのだろうか。
「でも」
 震える声で、彼は言う。
「俺は、ここにいるぞ」
 そう。
 それでも彼は、今ここにいるのだ。
「……入院くらいなら、許してやるから」
 彼女の目元の血を拭い、無理矢理に笑う。
「きっちり笑って、終わらせてくれよ」
 ……彼の世界が、朱に染まる。
 


78 :
 彼女の世界が、色あせた。
 その名の通りの色彩に、白と黒に。
 ふと、自らの右手に目を落として。
 ああ、と。
 彼女は思う。
 なんて、白いのだろうと。
 穢れないほどに、白。
 それに繋がる彼の右手は。
 こんなにも、黒いのに。
 翳ることできぬほどに、黒。
 だから私は飛べるのか。
 だからあなたは飛ばぬのか。
 彼女は、見る。
 まるで一つのように絡み合う、自分と彼の右手の指を。
 そうだと、彼女は思い至った。
 ならば、混ざってしまえばいい。一つになって、しまえばいい。
 融けて混ざれば皆同じ。
 白よ翳ろ、黒よ穢れ。
 どれほど黒に近かろうとも、灰色ならば飛ばしてみせる。
 視線を上げる。彼の顔へ。
 強張った笑顔の彼に、彼女も笑う。
 気負いも照れもなく、ただ自然に。

 唇を、重ねた。
 白と黒が、混じる。

 光。
***
 少女の顔がずるりと下がり、少年の胸へおさまった。
 突然の赤光に、彼の目が眩む。
 それとほとんど同時に、背後で重い衝突音が響いた。
 当麻は慌てて、首だけ後ろを振り返る。
 聳えるように屹立する、無機質な金属の壁。
 先ほどまで閉じ込められていた、貨物コンテナだ
 それは、夕陽の朱を照り返している。
 彼は正面に向き直った。
 視界の下には茶色の髪が、視界の上には夕焼け空が。
「……ははっ」
 笑声が零れる。
 これが笑わずに、いられるだろうか?
「ここでお前を褒めたら、自画自賛になるのかな、白井?」
 自惚れが過ぎますの、という返事はない。
 その代わりにか、彼女は更に、彼にもたれかかった。
 姿勢を崩した当麻が、よろける。
 かくりと折れる、黒子の膝。
 崩れ落ちそうになる彼女の腰を、彼はとっさに抱き留める。
「……白井?」
 脱力した黒子の顎が、力無くと上を向いた。
 彼女のかんばせは、止め処なく赤。
 当麻の絶叫が、廃工場群の直中に響き渡った。

79 :

 その後のことは、よく覚えていない。
 ただ、病室に付き添ってくれていたインデックスによると、半狂乱で彼女の名を呼ぶ自分を、御坂が無理矢理電撃で気絶させ、いつもの病院に運んでくれたらしい。
「白井は?!」
 そこまで聞いて堪えきれなくなったのか、当麻は詰め寄るように、インデックスに言う。
「……隣の、病室に」
「ここ一般病棟だよな? なら、白井も大したことないんだよな?」
 歯切れ悪い彼女の様子に気付かなかったのか、気付かないふりをしたのか、彼は言い聞かせるようにまくしたてた。
 がちゃりと、入り口の扉が開く。
「目、覚めたのね、アンタは」
 安堵の吐息をほんの少しこぼして、彼女は言った。
「御坂!」
「……悪かったわね。あんまり聞く耳持たなかったから、気絶させて運んじゃった」
「そんな事どうでもいい! 白井はどうなったんだ?! 無事なんだよな?」
「……体は何ともないわ。寝てるだけよ」
「そ、そうか……」
 ほっと安堵の息をつく。
 そんな彼を見ても、御坂は入り口に立ち尽くしたままだ。
「……御坂?」
 ようやく彼女の異常な様子に気付いたのか、訝しげに彼は言う。
「……目を覚ますのは、時間の問題だって」
「あんた……!」
 ぽつりと言うインデックスに、美琴は咎めるような声を上げた。
「どうしたんだよ、二人とも」
 怪訝そうな少年に、視線を交錯させていた少女の一方、美琴が決然と言う。
「……その子の言う通り。目を覚ますのは、時間の問題だって。……それが五分後になるか、五年後になるか、わからないけど」
「は?」
「過負荷による脳の情報拒絶って、医者は言ってた。……見たくないから、聞きたくないから、感じたくないから……疲れたから、寝てるんだって」
 まるで妹達のように、美琴は淡々と言う。
 彼女とは対照的に、感情もあらわに、当麻は立ち上がった。駆け出さんばかりの勢いで、美琴の隣りを通り過ぎようとする。その肩を彼女は掴んだ。
「どこ行くつもり」
「決まってるだろ」
 言わずもがなの問いかけに、苛立ちまぎれに彼は言った。
「アンタ、黒子が倒れたのは自分のせいだって、思ってるんじゃないでしょうね」
「……でなかったらなんだよ!」
「自惚れんな!」
 押すように掴んだ肩をはじき、美琴は当麻の胸倉を捻り上げる
「あの子の怪我はあの子のものよ。あの子の怪我はあの子の責任よ! あんたのものじゃない!」
「……!」
 痛烈な一言に、息をのんだ。
「とうま」
 彼のいなくなったベッドに未だ向いたまま、インデックスが言う。
「迷惑掛けてごめんなさいと、助けてくれてありがとう。……私はどっちを言えばよかったのかな」
「インデックス……」
 彼女の言葉に、当麻はある一言を思い出した。
「あなたが私で私があなた、か……」
「うん?」
 彼の呟きに怪訝なつぶやきを漏らしながらも、美琴は手を緩めない。
「……いや」
 彼女を見下ろして、彼は笑顔を浮かべてみせた。
「そうだよな。すまん。……俺はあの時、あいつを信じたんだ。最後まで、信じてなきゃな」
「……ん、宜しい」
 その言葉に彼女も笑顔を返して手を下して、そしてその手で彼の背を叩く。
「やっといい顔になったわね。……行ってきなさい」
「……おう!」

80 :
 患者不在の病室に残された二人の少女の片一方が、立ちあがる。
 彼女は未だ入口に立ちつくしたままの、もう片一方に振り向いた。
「短髪」
「……何よ」
 先ほどまで浮かべていた笑顔は消えて、押しした返事を返す。
「みこと」
「だから、何よ」
 彼女の声音は変わらない。インデックスは、彼女の前まで歩み寄った。
「私はシスターなんだよ」
「知ってるわよ」
「お話聞くのは、得意なんだよ」
「……」
「懺悔告白は、秘密厳守なんだよ」
「……」
「……」
 沈黙が、続く。
「……何で、どいつもこいつも」
 誰へかの言葉を、美琴は吐き捨てるように言った。
「何で……何で! 何であそこで倒れてるのが私じゃないのよ! 何で黒子が!」
 俯き、爪が白くなるほどに両手を握りしめる。
「それは私に寄越しなさいよ! 私に責任回しなさいよ! 何が……っ!」
 ぎりぎりと、奥歯が鳴った。
「何がレベル5よ! 何が超電磁砲よ! こんな肩書あったって、後輩一人守れやしない!」
 何も、できなかった。
 ドレスの少女は光の翼と共に去り、やったことといえば、警備員への通報と、二人の搬送だけ。
 足手まといだ、こんなもの。
 血を吐く様な、悲痛な叫びが零れ落ちる。
「っ、ね、ねぇっ!」
 がばと顔を上げ、彼女は目の前のシスターに縋りついた。
「こ、このまま黒子が目を覚まさなかったらどうしよう……し、んじゃったらどうしよう!」
 ぼろぼろと、大粒の涙を隠すこともせず、彼女は吐露する。
 もう言葉もなく、彼女は目の前の白い修道女の胸に顔を埋めた。
 止め処なく泣きじゃくる美琴を、彼女は優しく抱きしめる。
「みこと」
 未だしゃっくりを上げているものの、幾分落ち着いた彼女の耳元に、インデックスは囁いた。
「私はくろこと約束したんだよ」
「……」
 顔を上げ、泣きはらした目で彼女を見る。
「これが終わったら、積もる話をしようねって」
 がーるずとーくなんだよ、と言うインデックスに美琴はかすかに鼻を鳴らした。
「む、何かなその反応」
「アンタほど、その言葉が似合わないのもいないわよ」
 目元の雫を拭いつつ、身を離して彼女は言う。
「あー! そんな事言うと、混ぜてあげないんだよ! 議題は『とうまの醸す不幸について』かも」
「なにそれ絶対参加させなさい」
 涙もなければ動揺ない、いつもの調子で彼女の肩を掴む。
「発案はくろこだから」
 にっこりと笑って、インデックスは言った。
「とうまがくろこになっただけだよ」
「……悪い影響、受けすぎよね」
「そうだね。でも」
 いつでも彼は、帰ってきた。
 だから。
「待っていよう?」
 彼女の言葉に、
「……うん」
 頷いた。

81 :
***
 しょりしょりしょり。
 林檎の皮を剥く音が、傾いた日の射し込む室内に響く。
 清潔な白のシーツが、ここ最近でめっきり嫌いになってしまった朱の色に染まってしまった。
 その色よりもなお赤い林檎の皮を剥き終え、切り分けた実を皿に並べる。
 白井黒子と刻まれたプレートが掛けられた病室の、面会時間終了前の定例行事だった。
 あれから、一週間が経過している。
 以来、当麻は毎日欠かさず見舞いに訪れていた。
 補習を断固として回避すべくこの一週間、彼は全ての授業を居眠りもせずパーフェクトにこなしている。
 そんな当麻の様を見、小萌先生は感涙に咽び泣き、クラスメートたちはすわ天変地異の前触れかと戦々恐々としていたが、噂の渦中は気にも留めていない。
 見舞いといえば果物だろうと、当麻は病室を訪れる際林檎を一つ、買っていく。
 それを彼女の枕元で剥き、面会時間終了間際に彼を迎えにくるインデックスが平らげるというのが、一つのサイクルとなっていた。
 果物ナイフを置き、小さく息をつく。
 規則正しい寝息をたてる黒子の顔を、眺める。
 彼女の白い肌も、朱色に染まっていた。
 額。
 瞼。
 鼻。
 そしてその色よりもなお赤い、唇。
「……」
 脳裏を過ぎる不埒な考えを、当麻はかぶりを振って追い出した。
 学友たちと交わした会話のせいか、変に意識をしてしまう。
 先の通り、彼は連日彼女のお見舞いに通っていた。
 つまり友人たちの遊びのお誘いを、悉く断っているということだ。
 最近付き合い悪いな上やんと言われ、隠すことでもないと事情を説明したのだが……
 やれ相手は女の子なのかかわいこちゃんなのかそれならボクをお供にと、大変やかましいことになった。
 相手が意識不明であることを伝えると、青金共々神妙に頭を下げたりもしたが、当麻にしてみれば逆に気味が悪いこと甚だしい。
 とはいえ、そんな神妙さなど一過性なものに過ぎず、やれチューしたれ上やんそうだぜい眠り姫の呪いを解くのは王子様のキスだと相場が決まってるにゃーフラグ解放やボクにもチャンスがなどと、いつものようにのたまいだした悪友二人は鉄拳制裁しておいた。
 なぜか他のクラスメートたちからの支援攻撃も行われ袋叩きにあいながらも、二人はグッドラックとばかりに親指を立てていたりしたのだが。
 ともかく。
 そのせいで、あるいはそのおかげで、彼は一週間前のあれを思い出してしまっていた。
 唇を、なぞる。
 あれは『今』の当麻にとって、間違いなく初めての口付けだった。感慨が無いわけではない。

82 :
「……お前って結構、人望あるよな」
 しかしながら、彼が口にしたのは全く別のことだった。
 上やんのヘタレ、という青い声が聞こえた気がしたが、努めて無視する。
 ただ実際、この病室を訪れる人は多かった。
 美琴はその立場上毎日というわけにはいかないが、暇さえあれば顔を出している。
 風紀委員の先輩である固法や同僚の初春、その友人の佐天ももちろん見舞いに来たし、彼女の宿命のライバルを自称する婚后なる人物は取り巻きと共に襲来、言いたいことを言いたいだけ言って去っていった。
 一番の変わり種は、以前黒子に捕縛されたという発火能力者だろうか。見返す相手が寝てんなとかどうとか言って、当麻に見舞い品を押し付けて直ぐに出て行ってしまったが。
「待ち人多いぞ……早く目、覚ましてくれよな」
 他ならぬその一人である彼は、そう言って彼女の額にかかった髪を払う。
 そしてじっと、表情変わらぬ少女を見つめた。
 なぜか、涙が零れそうになる。
「無責任だぞ、風紀委員」
 言って彼は、彼女の頬に手を当てる。
 そしてじっと、表情変わらぬ愛おしい少女を見つめた。
 そっと、顔を寄せる。
 もうあいつらに何も言えないな、と思いつつ。
 彼女の唇に、唇を、重ねた。
 夕焼け色の、世界が止まる。
 一度目は、鉄の味がした。
 そして二度目は、味気なかった。
 顔を、離す。
 もしかしたら味覚がおかしくなっているもしれないなと的外れなことを考えつつ、剥いた林檎を一かけかじった。
 林檎の味がした。
 当たり前か。
「冴えねーよな」
 深く椅子に腰かけ天井を仰いで、彼は自嘲する。
 視界が滲んだ。
 慌てて当麻は、目をこする。
 そんな事は無意味だとばかりに、堰が切れたように、両の瞳から涙が零れ落ちた。
「冴えねーよなぁ、本当……!」
 それでもなんとかそう呟くが、それが最後の抵抗だった。
 押しした嗚咽が、茜色の病室に響く。

「……いつものことじゃありませんの」

83 :

 ……都合のいい幻聴が、聞こえた。
 そうか、おかしくなったのは聴覚か。
 飛躍した思考を、涙と共に拭い去る。
 落とした視線に映るのは、開かれた瞳。
 赤く輝く瞳ではなく、名前の通りに白と黒のそれ。
「しら、い……」
「はい……白井黒子、ですの」
 声音は未だ頼り無いが、それでも彼女は笑んで応える。
「……あなたがいるということは、ここは天国ではなさそうですわね」
「第一声が、それかよ」
 今更取り繕っても無駄と知りつつも、当麻は平静を装う。
「ま、私がミスなど犯すはずがありませんの」
「自信満々だな、風紀委員」
「いいえ」
 ふ、と。
 慈愛に満ちた、としか表現しようのない微笑みを浮かべて、彼女は言う。
「私、白井黒子ですから。……頼った相手、間違ってなどいませんわよ……上条、さん」
「……これ以上俺から水分絞ろうとすんの、止めてくんねーかな、マジで」
 必に見開いた目を見せぬように、彼は膝に肘置きうつむいた。
「それは失礼しましたの。では、少し手を貸していただけません? 起き上がるのが少々骨ですの」
 返事をせず、それでも顔を上げて、当麻は右手を黒子の背中に回す。
 抱き上げるようにして、軽い彼女の身を起こし……
 唇を、奪われた。
 驚愕に、再び両目が見開かれるが……彼女の瞳は閉じたまま。
 この場合、目を閉じるのが礼儀だろう。
 だから当麻は、見るのをやめた。
 ややあって、一人が二人に分かたれる。
「……」
「……」
 長い長い、沈黙。
「……私としても」
 先に破ったのは、彼女だった。
 ぼそりと、夕日ではあり得ぬほどに頬を赤く染め、黒子は言う。
「ファーストキスが血の味というのは、いささか浪漫に欠けると思いましたの」
「……それで?」
 きっと彼女に負けず劣らずな顔色なんだろうなと思いつつ、当麻は相槌を打った。
「ですからあれはノーカンということで、改めさせていただきました」
「……何の味がした?」
「……甘酸っぱかった、ですの」
「……それは、浪漫があるな」
「……はい」
 互いが互いに目をそらしながら、それこそ甘酸っぱい言葉を交わす。
「……」
「……」
「……私として『も』?」
 ふと思いついたように彼が呟くと、黒子はぎくりと背を強張らせた。
「……白井?」
「なん、です、の?」
 当麻はあからさまに挙動不審な彼女に見、そしてその顔を肩ごとこちらに向かせる。

84 :
 当麻はあからさまに挙動不審な彼女に見、そしてその顔を肩ごとこちらに向かせる。
「すまん白井。……さっきのはいきなりで、味がよくわからなかった」
「……はい?」
「もう一回、確かめさせてくれ」
「は……んっ」
 驚きは、刹那。
 一瞬見開かれた瞳は、再び瞼に閉ざされる。
 肩に置かれていた手が、彼女の背に回った。
 頼りなげに身を支えていた彼女の両手も、彼の背に回される。
 ぎゅうと、彼の腕に力がこもった。
 彼女の両手は、必で彼の背のシャツを握りしめる。
 どれほどの時間が経過しただろう。
 それは一分だったのかもしれないし、一時間だったのかもしれない。
 どうでもいい事ではあった。少なくとも、当麻にとっては。
 だが、病み上がりの黒子にしてみればたまったものではない。
 自分に主導権のない口付けが終った頃には、息も絶え絶えに彼の肩に額を押しつける羽目になった。
「あー……大丈夫か?」
「……すまん、とは、おっしゃい、ません、のね」
「悪いことをしたとは、思ってないからな」
「……ケダモノ、とはいいませんの」
「……おう」
 彼女の結わえていない後ろ頭の長い髪を、くしゃりと撫でる。
「……」
 全身の血液が全て顔面に集中するかのような錯覚。
 この段に至って、ようやく当麻は明確に羞恥を覚えた。
 先ほどまででも十分に恥ずかしかったが、恥ずかしいことをしているという自覚を持ったのは今の今だ。
 思わず黒子の両肩を掴み、引き離す。
 突然の所業に、しかし彼女は怒るでもなく、呼気も整わぬまま彼を見、そして少し呆れる。
「……どうして今更恥ずかしがりますの……?」
「……正直雰囲気に飲まれて、えらいことをしてしまった感が」
「うぶですの」
「そんなにお達者ですか白井さん?!」
「私だって史上初ですの! そんな年下より照れてどうしますの?!」
 殿方がリードするのが筋でしょう、と赤面厭わず彼女は言う。
「……正直さ」
「……はい」
「過程を色々吹っ飛ばしすぎだよな、俺達」
「……はい」

85 :
「白井」
「はい」
「好きだ」
「……知ってますの」
「……そっか」
「……上条さん」
「……おう」
「……」
「……」
「……す」
「……」
「……好き、です」
「……知らなかった」
「……にぶちん」
「それも知ってただろ」
「はい」
 即答かよ、と彼は再び深く深く椅子に背もたれた。
 当麻に倣ってか、彼女ももぞもぞとベッドに潜り込み、彼とは反対側を向く。
「白井さーん?」
「……」
 返事はなかった。
 ふと思いつき、当麻は声を真剣なものに改める。
「……黒子」
 びくりと、彼女の肩が跳ねた。
「……寝ますの」
 ややあって、くぐもった返事が返ってくる。
 ふと気がつけば、上掛けからそっと覗く彼女の右手。
 当麻はそれに、自らの右手を重ねる。
 華奢な指先を、大きな手のひらが包み込んだ。
 言葉はない。
 凪のような時。
「とうまーリンゴー」
 それはすぐに、嵐になった。

 きっと不幸っていうのはこういうことを言うんだろうなと思いつつ。
 二人は不幸を、今ある不幸を、噛み締めた。

86 :
終わりです。
きっとこの黒子の能力名は「口先案内(リップサービス)」になると思います。
黒子かわいいよ黒子。
それでは長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

87 :
乙!
正直上条さんの右腕以外に範囲指定テレポートをして奇跡の切断脱出マジックになるもんだと思った

88 :
過疎

89 :
上黒の神がいた

90 :
上黒さいこう!
そこに性格が良くなったインデックスが混ざって、3人のほのぼのとした暮らしや、3Pが見てみたい

91 :
上黒大好物です!
黒子って惚れると一途だよねきっと
お姉さまの露払いもやっぱりツンデレ?

92 :
投下します
かみことです

93 :
 よくやるよ、という辺りの視線が痛い。
「なぁ……少し離れてくんない?」
「やだ」
 即答即効大否定である。
 ツンツン頭の上条当麻は右腕に絡まる化粧っ気のない(実際は僅かながらにしているのだが)勝気な少女を振り払えない自分にうんざりとしていた。
 しかしながらいつものように「不幸だー!」と叫ぶことはしない。
 実際問題、これを不幸と言ってしまえば周りの同年代の学生たち(男)にぼこぼこにされるだろうし自分でも不幸だと思えないのだ。
 いつもの大安売りのスーパーである。
 ぎりぎりに駆け込んで特売を逃すという当たり前の不幸を克服するために絞った知恵は特売三十分前にはスーパーに到着しているという決断だった。
 これでも少なめに見積もった数字だというところが上条当麻の上条当麻である所以である。
 財布を落としただの犬の尻尾を踏んだだの、不幸というよりは注意力散漫なんじゃね? という突っ込みのある事柄の多発事項は相変わらずだがおかげでここのところ特売を逃すようなことは無い。
 もっとも、これには一つ大きな要因がある。
 上条当麻の成績は若干だが上昇中なのだ。その恩恵として補習の数がぐっと減ったのである。
 それでも出席日数不足がちの彼が補習ゼロになる日はまだまだ遠そうなのだが、現実問題として彼の生活は楽になった。
 それこれも腕に絡みついている少女のおかげである。
 肩口までの茶髪のショートカットに白い花の髪飾り。整った顔立ちは勝気でありながらも優しさを秘めていて上条を見上げる瞳は僅かに綻んでいる。
 最低でも強能力者以上の能力者でなければ外国の王族であろうとも入学を拒否するという名門常盤台中学の制服を身に纏っていることがますます周囲の目を引き付ける。
 ましてや彼女が学園都市でも七人しかいないという超能力者の第三位だとわかれば大騒ぎになるだろう。
 幸いというか、メディアへの露出が多い割にカリスマ性というものに欠ける(というよりは映像では伝わらない健康的な空気が周囲に気づかせない)おかげでせいぜい「あの野郎見せびらかしやがって」程度の視線で済むのだ。
 もっともそれでも針のムシロであることに変わりは無い。
 学校帰りに待ち伏せを喰らって「特売があるから先に部屋で待っていろ」と言ったのに「ついてく」と言われた時点で何かしらの違和感は感じていたはずなのに。
「……御坂」
「なに?」
「もう少し離れてくんない?」
「い・や・だ」
 もはや何度目だか覚えていないやりとり。
 とりあえず日用品を買おう。石鹸とかシャンプーとか安いし。と浴槽関係を見て回っている時からこのざまである。
 制服というのは軍服からの転用だ。本来機能的なものであり欲情を誘うものではない。
 それでもこれだけ身を寄せつけてくれば御坂美琴の柔らかな肢体を感じざるを得ない。
 動揺を隠そうとできるだけ視線を合わせないようにしているのだが視線を遮断すれば脳のメモリはどうしても触覚の方に割かれてしまう。
 肘のあたりに当たる柔らかな感覚に思わず喉が渇く。
 ツンとデレの幅が激しい彼女だったが一線を越えてしまったことで抵抗が薄くなったのか今日は上条が押されっぱなしだ。
 加えて特売前の人の多さがそのまま視線に転換される。否応なしに感じ取ってしまう。
(俺の意識しすぎ……じゃないよなぁ?)
 視線は「うわ、よくやるよ。爆発しろ」「もげてしまえばいいのに」「上条君。なんで。そんな小娘と」などと上条をしてくる。
 二人の顔を見比べて上条の方が下だと品定めする分にはまぁ耐えられるが生温かい視線で「お幸せに」などとくれば上条は思わず悶えてしまうのだ。
 そんな上条の苦悩を腕に絡む小悪魔は楽しそうに眺めていたりもする。
 そして上条もそんな少女を独占している現状に酷く満足していたりもするから性質が悪い。
 やはり御坂美琴という少女は愛らしいし甘えられて悪い気はしない。ただバカップルに上条がなりきれないだけだ。
 こてん、と頭まで上条の肩口にかけてきて美琴が甘い声を出した。

94 :
「そういやさ、私待ち受け変えたんだよね」
 左腕を上条の右腕に絡ませたまま美琴が制服のスカートのポケットから緑色の何かを取り出す。
 ゲコ太という車酔いの癖があるカエルのキャラクターのストラップのついた、そしてそのカエルのデザインの携帯電話。
 丸耳の形の二つの突起物がついた機能性には欠ける外観のそれをぱかっとあけて上条に画面を突き付ける。
「なっ!?」
 そこには上半身裸の上条が口の端からよだれを垂らしただらしない顔をして眠りこけている姿があった。
 薄暗い画面でもそれがどのような行為の後のものだかは一発でわかるだろう。
 ちなみに、今のところそのような状況を撮られる可能性はただの一回しかない。
「なんていうのかなぁ。無防備になるとアンタも可愛い顔するのよねぇ」
「ば、馬鹿っ! お、お前、御坂っ! け、消せっ!」
「消してもいいけどすぐ元に戻せるわよ? 上書きしなければメモリの残存データから簡単に復旧できるもの」
「じゃあ上書きしなさいっ! っていうかして! してくださいっ!」
「い・や・だ☆ 私だって一生に一度の経験なんだけどさ?
 まぁ黒子に見られたら面倒なことになるけど、寝顔ぐらい自由にさせてもらう権利はあると思うのよね。
 腕を組むなとか言われたり名前で呼んでくれなかったりってこっちの言うこと聞いてくれないんだから」
「いや、あのね? 上条さんにも世間体ってものがありますのでしてね?
 このスーパーには毎週お世話になっているし次から行き辛くなっちゃうと困りますのよ?」
「ふぅん。そうなんだ。私と一緒にいると世間体がおかしくなるんだ。へぇえ。そんな風に思ってたんだ、知らなかった。
 一回でも抱いちゃうと男は女に興味を失うって本当なのね」
「あのね? ワザとだろ、ワザとからかってるんだよね?」
「しーらない」
 はぁ、と大きなため息をついて上条は項垂れる。
 惚れた弱みというやつだ、勝てるわけがない。なんとかうまいところ交渉して妥協点を構築するしかない。
「せめて、手を繋ぐくらいにしてほしいんですが。あと、名前については熟考します……」
「うーん、しょうがないなぁ。じゃあそこらあたりで手を打ってあげようじゃない」
 すると意外とあっさりと美琴は腕をほどいた。そして改めて上条のすべての幻想をす右手を握り締める。
 上条はほっとしたがそれでもどこか心の一部が残念に思っていることに気づかなかった。

95 :
「ふぅ……」
 なにかいつも以上に疲労を引きずりながら上条当麻は御坂美琴を連れて自室に戻ってきた。
 なんだかんだと途中で会話しながら歩いてくるといつも以上に時間を使ってしまっていた。もう空がオレンジ色に染まっている。
 八階建ての学生寮の一室である上条の部屋はすぐ傍まで押し寄せてきている隣の寮の陰にあって直射光は入ってきづらいがそれでもオレンジ色の空気が流れ込んできていた。
 同居人はもういない。
 すべてが終わって科学と魔術との間に線引きがなされて、彼女とは引き離されることとなった。
 とはいっても月一ぐらいで訪問してくるし最近白いシスターが必に覚えた携帯電話のメール機能で毎日のようにやりとりをしている。
 どこそこのお魚が美味しかっただのなんだの、意思疎通のネタは尽きない。
 今でもときどき目で追って探してしまうぐらいにあの生活の色はこの部屋に濃く残っている。
「はい、お茶」
 鼻歌交じりの小悪魔成分たっぷりの御坂美琴が氷をたっぷりと入れた冷茶を上条の前に差し出した。
 ちょこん、と上条の隣に座る。
「ん、ありがとな」
 上条は一気にあおった。冷たい液体が胃の腑に満ちていく。
 美琴はそんな上条を横目で見ながら一口お茶を飲んで言った。
「……あの子のこと、考えてたでしょ?」
 げふ、と上条がむせる。お茶が完全に胃の中に入っていなかったら噴き出していただろう。図星にも程があった。
「やっぱり。まぁ、仕方ないけどね。アンタたち仲良かったし。記憶を失ってからの家族、だったんでしょ?」
 ほう、と丸い息を吐いて美琴が少しだけ寂しそうに笑う。
 御坂美琴は上条当麻の複雑な過去も様々な出会いと別れを知っている。
 今自分が上条の隣にいることで上条の隣に座れなかった様々な少女たちがいることも知っている。
 しかし柄ではないと思ったのか笑みの方向性を切り替えて一層明るく笑った。
「でも今度の週末来るのよね? 楽しみにしなさいよ」
 嫉妬がないと言えば嘘になるが努めてそれは見せない。過去のことだからとすべてを切り捨てることができる男ではないことは百も承知している。
 それに、あの白いシスターだって別に嫌いではないのだ。
 確かに多少ウマの合わないことはあった。
 しかし一度腹を割ってみれば互いに尊重できる部分があることを見つけることが出来た間柄でもある。
 彼女が上条を悪からず思っていたのは知っていたし、それでも男女の関係を結んだのだ。
 そのこと自体に後悔は無いが多少なりとも後ろめたい部分はある。
 敬意と贖罪、とまで言うには言葉が過ぎるが、そのような観点から御坂美琴は上条当麻とインデックスという名の銀色の髪のシスターとの関係を受容している。
 もちろん上条当麻の隣に座る権利を譲るつもりはこれっぽっちもない。
 だからこそ日々の努力を欠かさないのだ。
「ところでさ、アンタずいぶんと疲れてるみたいね」
「あのね、だれのせいだと思っているのでせう? 上条さんの精神はすっかり擦り切れてしまいましたよ!」
「ったく、無謀なことを平気でやる度胸はあるくせに私と腕を組むのはいやなんだ。スキンシップはしたのに」
「……あのね、あのね? やっぱり人の目があるっていうのは重要な視点ですよ?」
「上手いこと言ったつもり? アンタまだ私と付き合ってるって自覚ないんでしょ」
「そんなことはありませんのよ? 正直、美琴といると楽しいし、可愛いし、嬉しくなるんだけどどうにも照れが先行しちゃうというか」
「ふぅん……じゃ、特訓しようか」
 言って、美琴がビニールの買い物袋に手を突っ込んでごそごそと何かを取り出す。
 手のひらに収まった小さなそれはピンク色のパッケージの入浴剤だった。緑色の髭のあるカエルがプリントされているのはご愛敬だろう。
「え? み、美琴さん?」
「正直言うと私もハズいんだけどさ、暗い所で一回だけじゃない、私たち」

96 :
 言葉通り耳まで真っ赤に染め上げた御坂美琴がそれでも真正面から上条当麻を見据える。
 こくり、と細い喉が動いて乾いた粘膜に唾液を送り込むさまを上条は見遣る。
 強気で真正面な性格に隠れがちな華奢で細い肩が微妙に震えていた。
「これね、新製品でね? 十秒で普通のお風呂を泡風呂に変えてくれるの。透明なお風呂だとやっぱり一気に見えちゃうからさ、これで少し練習しない?」
「れ、れんしゅうって……」
「すきんしっぷの、練習」
 慌てたような凡庸な口調で上条が返す。しかし目は泳いでいた。
 泡風呂なんてテレビの向こう側でしか見たことは無いし、体験してみたくないかと言われれば諾としか言いようがない。
 しかも可愛い恋人の裸体が――正直まだ緊張してしまうのだけれども――本当の意味で一糸纏わぬ生まれたままの姿を拝めるのだ。
 淡い明りしかない薄暗い空気の中でくらくらしながら終えた行為は十二分に素敵なものではあったけれどもすべてを目の当たりにしたわけではない。
 あまりにも魅力的な提案に心臓は昂ってきている。
 大体、つい先ほどの買い物のときだって柔らかな体を押し付けられて甘い体臭を嗅いでしまっているのだ。
 少年の若い性欲が抑えられるものではない。
 それを自覚している分だけ上条は自制しようとする。
「だめ?」
 だが、それを察してか、悲しそうな目をして少女が上条を見上げた。うっすらとだが目尻に涙の滴が溜まっているようにも見える。
 いくら紳士を自称するとはいえ男は性欲のケダモノに変わりは無い。しかも女の涙は最強の武器だ。
 上条当麻の自制心はぽっきりと折れた。抵抗する少女を無理矢理押し倒し脚を広げ秘所にペニスをぶち込むところまで一気に想像してしまう。
 ぞわわ、と背筋に淡い鳥肌が立つ。自制心の折れた場所がささくれだって上条の胸の中を突き刺す。
 左右に泳いだ瞳の中でほんのわずかだけ、理性が残っていた。
「そ、その、せめて、目隠しを……」
「ったく、もっと積極的になりなしよ。私だってそれなりに勇気振りしぼってるんだからさ。
 ……一応認めてあげるけど、身体洗う時だけだからね?
 湯船の中だったら泡で見えないんだし。暗がりと変わらないでしょ?」
 条件を出したという時点で了承のサインだということに上条は気付かない。
 実は二秒で目尻に涙を浮かべられる御坂美琴は心の中でにんまりしながらもその条件を飲んだ。
 ピンクというよりも真紅に近いココロの色の中で、恋人を騙す罪悪感など感じず少しでも距離を縮めることを喜ぶ。
 銀髪のシスターのことで嫉妬はしないと決めているが不安でないわけではない。
 そして、一線を越えても積極的になってくれない恋人と僅かながら溝ができてしまったことも敏感に感じ取っていた。
 恋愛の初体験者同士によくある互いを思うあまりのすれ違いだ。それが蟻の一穴になることもままあるという。
 だからこそ、もっと自分を求めてほしいと願ってしまうのは我儘ではないだろう。
 やはり不安なのだ。いくら超能力者としてもてはやされていても御坂美琴はただの女の子でしかない。
 見せびらかすように腕を組んでみたのも自分の中の弱い部分を少しでも消したいからだ。
 行動的には積極的になったように見えても心の内側は何も変わっていない。
 一緒にいた居たい。求められたい。もっと見てほしい。
 だから黒いしっぽが生えてきたって神様も見逃してくれるはずだ。
 天使のように微笑む悪魔の可憐な嘘を経験の少ない上条が見破れる道理なんてなかった。

97 :
「きゃははっ、やだ、くすぐったい!」
「うっさい! 美琴、少し黙れって!」
 バスタオルで前だけを隠した美琴の背後の上条当麻が華奢な背中を洗っている。
 FRPの床に直接膝をついて洗い椅子に座った白い肉体に奉仕している情景だ。
 簡単にタオルでまとめた後ろ髪に日ごろ見ることのないうなじがまだ上条のまぶたの裏に焼きついている。
 狭い浴室だ。互いにしゃがんでいるとはいえ空間は狭苦しい。ただでさえ響く少女の声が固形物のように積み重なる。
 垢落としのナイロンタオルではいささか刺激が強いと言われ、仕方なくじかに素手で背中を洗っているために上条の顔は赤い。
 インデックスが使っていた柔らかいスポンジはもう捨ててしまった。柔らかすぎて上条には合わなかったのだ。
 やはり女の子の華奢な体とガサツな男の肉体とは別物なのだ。
 御坂美琴もまた上条と同様に頬を染めているがこそばゆい刺激の反射そのものだろう。けらけらと溢れる嬌声を隠すこともできずに笑い転げている。
「うう、不幸だ……」
 あまりにも暴れるものだから滑り落ちつつある目隠しのタオルを元の位置にもどしながら上条は思わずいつものセリフをこぼしてしまう。
 途端、美琴の顔つきが一変した。
 ぶっすぅ、と自分で口で言いながら頬を膨らます。
「ちょっとぉ、仮にも付き合ってる女の子と一緒にお風呂入ってて不幸ってことは無いでしょう?」
「いや、おっしゃるとおりなんですけどね。でもね、上条さんのSUN値はどんどん削られていっている最中でございましてね!?
 お前なぁ、いい加減にしておかないと本当に大やけどするぞ!? いつまでも紳士ではいられないのですよ!」
「……そんなの、構わないのに、さ」
 泡まみれの背中をぐい、と押しつけるように上条の足の間に座り込む。
 くるくる変わる声色がやけにしおらしく、しかも目隠しをしているとはいえ細かな泡の向こうの背中が自分の胸板に押しつけられたことが分からないわけがない。
 上条は激高した直後であるのに冷水を背中に浴びたように意識が明瞭に輪郭を持って、そして腕の中よりももっと近くにいる少女の存在が赤くなるのを理解する。
「おわり! もう洗うの終わり!」
 肋骨の内側で狭苦しいとばかりに心臓が暴れている。
 上条は自分の興奮を否定するように言い切って御坂美琴を突き放した。
 ちくしょう、なんでここに水着とかないんだよ、と今更のような後悔を心の中で呟く。
 興奮は顔を赤くするだけではなく下半身にも血を送っている。
 実際問題として、耐えるのは苦痛なのだ。放置プレイは上条にはできないらしい。
「……当麻、前は洗ってくれないの?」
 だが、御坂美琴の追い込みは終わらない。
 残念そうな響きの声は上条の心臓を鷲掴みにした。
 ぶはぁ、と思わず噴き出した。思わず鼻先を抑える。鼻血は出ていない。
 大げさに背を仰け反らせたので僅かに目隠しがずれた。
 自分の肩越しに上条を見上げるおしゃまな瞳と視線が合う。嬉しそうに笑っている。
「お、お前な……」
 浴室の熱気も肉体を上気させている。少年の若いペニスも限界を超えて膨らんでいる。付け根から天を目指して突き上げて亀頭が赤黒く張っている。
 いくら腰にタオルを巻いているとはいえどもその程度で隠しきれるものではない。
 陰嚢に何か重いものが溜まっていて今にも噴出しそうだ。
 そして、一度女の肉を味わってしまった以上自分の右手を使うつもりになどなれない。
 そのような現状を理解していてもがっつくように美琴を求めるのは恋人の人格を軽視する行いのような負い目を少年は心の内に感じていた。

98 :
「洗ってくれないんだ。そっか、当麻が洗ってほしいんだ。やだなぁ、言ってくれないと分かんないよ?」
 くるり、と上条の距離の中で身体を反転させて、美琴が上条を見上げた。
 どきん、と痛く心臓が鳴る。少女は上条の左手に収まっているボディソープを取り上げて両手で擦って泡を作りだした。
 まだずれたままの目隠しごしに裸形の少女の姿がそのまま見える。
 小ぶりなむき出しの乳房。白くすっと細いくびれ。意外と肉付きのいい太股に隠れて股間は見えない。
 日ごろ少年のように元気に駆け回る姿ととても重ならない。
 そして信じられないほど無邪気なあどけない顔。
 無意識のうちにペニスの先から先走りが零れた。
 上条の存在を忘れたように大量の泡を作り出していた美琴がその泡を自分の前面に塗りまくる。
 たちまちのうちに白い肌がもっと白い泡の中に埋もれていく。
 なにをするのか、と不審に思った瞬間には強く抱きつかれていた。
「ちょ、美琴、お前……」
「身体で洗ってあげるね。恥ずかしいけど、特別だから」
 耳元で淫らにささやかれて上条の意識は文字通り貫かれた。瞬間に喉が干上がる。
「うわっ……」
 衣服越しでとは比較にならないほどに柔らかな乳房。たちまちのうちにひしゃげて薄い肋骨の向こうの心臓の鼓動が伝わる。
 先程目視したとおり瑞々しい肌は乳房に負けないほど柔らかいのに一瞬で元に戻る張りを備えている。
 当たる角度が変わるだけで形が変わる。まるでプリンのようにふるふるとする肉体。
 だがその内側には明確に筋肉と骨格があって、それがあまりにも華奢すぎてもし抱きしめたら崩れ落ちてしまいそう。
 湯につかったわけではないのに湯あたりしたように赤い肌になった美琴が心の底から幸せそうに甘える。
 もちろん、気づいている。上条の股間の異物に。息苦しいほど心臓が高鳴っている。
 柔らかな肉体のごく一部、乳房の先端だけが硬くなって上条の肌の上で小生意気に自己を主張していた。
「み、美琴……やばい……」
 ペニスには触れられていない。
 否、かすかに少女の下腹部や太ももに当たることはある。
 それほど強い刺激ではない。だが状況が異常なまでに感じさせる。
 ぞくぞくと背筋に鳥肌が立って射精欲が目の裏側を白く光らせ始めた。頭が煮え立ちそうになっている。
「も、もういいから! もうやめてくれって!」
 距離を置こうと少女の肩口に手を置いた。そのつもりだった。
 だが過剰な泡と微妙な距離がちょっとした偶然を生み出す。上条の右手はまるで狙ったように御坂美琴の乳房をつかんでいた。
「ひゃん! や、やだ、ちょっとそこ弄らないで!」
 見た目と裏腹に余裕がなかったのだろう。悶えながら舌っ足らずの声で悲鳴をあげる。
「ん……やだ、ダメ……私が、洗ってあげるんだから……私が、当麻の、特別になるの……」
 言って、細い腕を上条の背中に回し美乳をますます押しつけてくる。
 もうとうの昔に目隠しは外れている。
 目の下の肉がつりそうになっている。
 美人だし可愛い部類ではあるが突出しているわけではない。
 たぶん、クラスに一人二人はいるレベルの、美人。
 だが誰よりも美しくいとおしく思える少女が顔を真っ赤にしてしがみついてきている。
 強気で勝気で弱さを見せることを嫌っているはずなのに切なそうな顔で見上げている。
 思わず少女の背中に腕をまわしていた。

99 :
「あは……」
 小さな唇から丸い吐息が零れた。
 上条の背中に回っていたはずの腕が解かれて胸板の上に乗せられる。
 美琴に負けないほど硬くなっていた乳首が指先で引っかかれた。
「ぬおっ……」
「あはは、硬くなってる。ねぇ、男の人でも乳首って気持ちいいの?」
 少女のそれと比べれば極小といえるサイズ。そしてくすぐったいだけのはずの場所が燃えるように熱い。
 濡れた瞳に見上げられるとその熱がますます広がってしまう。
 悔しさがあるのかますます押しつけてきた御坂美琴の乳首は先ほどよりも硬く尖っていた。
 乳首と乳首とが擦れ、両者ともくぐもった悲鳴が漏れる。
 上条は美琴の背中に回した両手を必に握りしめた。
 目もつぶってしまいたいのに身体が言うことを聞かない。
 ささやかに浴びせられる吐息に魔法でもかかっているのだろうか。
 妖艶な響きが上条の肉体を上条の意識から奪い取ろうとする。
(く、くそう……わかってんのかよ! 俺だって余裕なんかないんだからな! めちゃくちゃにしちまうぞ!
 本当にレイプしちまいそうなぐらいなんだからな!)
 必に気張っているがペニスは正直だった。痛苦しいと上条を責めてくる。どろどろのマグマが今にも噴出しそうだ。
 もどかしくて切なくて、密室である浴室と二人の熱気がまるで固形物のように撫でてくる。それだけで先走りが溢れて止まらない。
 なのに。
 少女の白魚のように細い指が絡んできた。
「うおっ!!??」
 性神経の塊に触れられ、擽られ、握られて上条が頓狂な悲鳴を上げる。
 眉は寄り目は見開かれ背が反る。
 鈴口から根元まで、器用に開かれた手と指とが上条のペニスに過剰な刺激を与えて思わず少女を強く抱きしめていた。
「きゃっ!」
 二人の肋骨に美琴の小さな乳房が潰される。胸板に突っ込むようによろけた美琴は反射的にペニスを強く握ってしまって、限界を超えた上条の背中をさらに強く突き飛ばした。
 熱いそれを少女の牝の本能が扱かせる。
「やん、当麻の、熱くて、熱くて、熱い……大きくなってる……私の手の中でびくびくしてるよっ!」
 過剰な泡を纏った手がアクセル限界で根元から先端までピストン運動する。
 やや余り気味の皮膚を突っ張って陰毛の奥にまで下げたかと思えばエラと鈴口にまで引きずり上げて擦り上げる。
 亀頭の段差など関係なくすべてを巻き込んでいく。
 そのたびに上条の快楽が加速する。
 ただでさえ限界を超えているのだ。過剰な追加攻撃が異常なまでに性感を高めていく。
 密室で二人の汗が雲を作るように籠って一つのかたまりになっていく。
「う、わああっ、美琴! ダメだ! 出るっ!!!」
 肉茎が大きく広がる。尿道が拡張される。
 作られた空間に精液が到して先端が決壊する。
 脳みそが脊髄を下って股間に落ちて吐き出されそうな、そんな幻想。泥沼のような今からすべてが解放された今へと書き換えられていく。
 疼きが収束して一つのかたまりになる。美琴の手の中ではじける。
 もともと、この小悪魔の肉体を洗うという状況だけでも少年には手一杯だったのだ。
 はなから結末は見えていた。
 それが、訪れた。
「出るっ! み、美琴っ! 出ちまうっ!! 手を離……」
 最後まで言うことはできなかった。
 劣情を爆発させながら天を仰ぐ。成層圏の上まで突き抜けそうな感覚と地獄に突き落とされるような法悦。
 落雷に射抜かれたように肉体は真っ二つになりただひとつの形として少女の手の中で崩壊した。

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