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2012年2月創作発表78: 非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part26 (406)
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非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part26
- 1 :11/12/28 〜 最終レス :12/01/30
- 1999年刑行された小説「バトル・ロワイアル」
現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。
基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前の登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などの発表は書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!
前スレ
非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part25
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1322494596/
非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
- 2 :
- 新スレ乙です!
では、厨二ロワ第一話、中編を投下します。
- 3 :
- ■◆
「――――叩け」
ガッゴォォォォオオオオン!!
先程攻略したものと同じ氷の塊が、京介を潰さんと叩きつけられる。
しかし只でやられる程京介は馬鹿ではない。
衝撃を最大限逃がすように攻撃を避け、その手に握る短剣で塊を両断。
コルト・アーヴィングを害せんと迫るその刃を見ても尚、大魔術師の余裕は全く崩れない。彼からすればこれは、蠅を蠅叩きで叩こうとして避けられた程度に過ぎなかった。
氷が空気中で渦を巻き、コルトの盾となる。
短剣の刺突は氷の渦に突き刺さり、それを破砕させる。
相当な霊装のようだな――――、とコルトは『魔術師』としての笑みを浮かべる。
「貫け」
槍状に変化した氷が京介にかなりの速度で向かう。
もしまともに受ければ串刺しは免れないだろう。
暴走しながらも理性を働かせ、短剣を盾として槍の刺突を防ぐ。
かなり押されはしたが、魔術により生み出された槍では霊装を破壊することは困難だ。
京介が短剣を振り、槍を振り払う。
そして再び、コルトに向け突撃。その短剣は禍々しい魔力を放っている。
コルト・アーヴィングはそれを見て初めて、一つの疑問が脳裏をよぎる。
「(何だあの霊装は………あれほどの魔力を放つ代物はそうそうお目にかかるものではない筈………そしてそれを使いこなすだと?あの少年、何者だ?)」
「■■■■■■■■―――――――――!!!!」
咆哮しながら駆ける京介。
コルトの放つ氷の礫を正確に打ち落とし、逆に跳ね返してさえみせる。
『第一世界』において相当な高位の大魔術師の魔術を、全力でないとはいえ素人がこうも的確に対処できる筈がない。
魔術師の中で、京介の持つ短剣への興味が更に高まる。
少なくともあれはあんな少年が持っていていいものではない。
自分のような魔術師にこそ真の力を引き出してやれる。
――――――――――――してでも、奪ってやろう。
コルトを囲むように、無数の巨大な氷柱が地面から生える。
氷魔術を応用した防御。
氷の質も先ほどまでの攻撃に使ったものとは段違いの良質なものだ。
霊装を用いたとしても、そう簡単に破壊できる代物ではない。
これで当面の足止めは出来そうだ。
- 4 :
-
「…………天地を凍らせ縫い止める氷の鬼神よ」
一小節の詠唱。
それを終えると同時に、コルトの前に一体の怪物が出でる。
それを形容するなら東洋の『阿修羅』。
三つの面と六本の腕を持つ、氷で出来た化け物。
「命ずる。外敵を速やかに抹し、霊装を奪取せよ」
罅が入り始めた氷柱の檻が消え、京介の姿が露わになる。
同時に阿修羅が接近、その六つの腕で京介を粉砕せんと迫る。
京介は短剣を振るってそれを払い、後退。
もしこれが長剣であったなら、居合斬りの要領で阿修羅をより確実に破壊出来たかもしれないが、短剣程度のリーチでは精々阿修羅の指先を削ぐ程度が限界だ。
次の瞬間にはあの氷の腕が京介を粉砕する。
余裕。
コルト・アーヴィングには神流京介が阿修羅を攻略できる可能性は皆無と踏んでいた。
あれは自律行動が出来る。
自律行動をする魔術で生成した怪物は、術者の腕が試される。
術者が未熟であればあるほど生成したモノの動きは単調かつ無駄が多くなるのだ。
逆に優秀であればあるほどその動きは精密かつ複雑になる。
コルトほどの魔術師であれば生成体にはその場で最適な行動を取るだけの知能が宿る。
先の索敵氷塊の自律行動には魔力節約の為単調な生成しかしていなかった。
しっかり詠唱工程を踏んでいれば、神流京介はせていたかもしれない。
が、コルト・アーヴィングの『魔術師としての誇り』は、索敵魔術などで外敵を葬ることを良しとしなかった。
それでも京介が本当の一般人だったなら、十二分に事足りたろうが。
詠唱工程を踏んだ『阿修羅』を、この少年は攻略できない。
コルトはそう確信している。
大魔術師と一般人の力の差は、霊装一つで埋まるほど小さくはないのだ。
どれだけ強力かつ絶大な代物でも、使い手次第で只の玩具にも成り果てる。
神流京介はあの霊装と相性の良い人物のようだが、それでも霊装頼みの輩などに自分の魔術は攻略できない。真に魔術を知る者でなければならない。
あれで、普通の魔術師レベルの魔術を行使できたなら。
それなら、『切り札』を抜くこともあったかもしれない。
だがこの少年には、それほどの価値はない―――それが、コルト・アーヴィングの見解だった。
- 5 :
- 理性を失った狂犬如き、秘術を尽くすまでもない。
「■■■■!!」
阿修羅の腕が迫る。それを軽く避けるが、その腕は六もあるのだ。
軌道も速度も角度もバラバラに、京介を潰さんとする。
ああされてしまえば、鎖から放たれた犬ではどうすることもできない。
コルトの予測通り、悪足掻きはあっさりと終わった。
六つの腕が神流京介の肉体をがっしりと捉え、身動きの一切を封じる。
後はもはや言うまでもなく。
阿修羅の剛腕が少年の体を捻り潰し、鮮やかな臓物をぶち撒けさせるだけ。
コルトは微笑を浮かべ、少年と自らの生成した阿修羅に背を向ける。
―――期待した程でもなかったか。
またケーキの食べ比べでもしてみるか。
いや、今度は真面目にし合いでもするか?
そういえば地図にはデパートも載っていた。
そこにならひょっとするともう少しマシなケーキがあるかもしれないし。
すっかりした少年には興味を失い、いざ当面の指針を固めた時に。
がきゃっ。という音が二回鳴って。
ごとっ。という音が鳴って。
最後に、がたっ。という音が鳴った。
「………………何?」
コルトが怪訝な顔をして振り返ると、まさについさっきした筈の少年。
コルトの阿修羅は確かに、その六本の剛腕で京介を捕縛した。
だが、コルト・アーヴィングの失敗は神流京介という少年を『ただの少年』『理性を失った狂犬』と断じてしまったところである。霊装云々より、彼を侮りすぎたこと。
35分間を延々と繰り返し、誰よりも『死』に敏感になった少年。そんな彼が、たかが身動きを封じられた程度で取り乱し、冷静さを失うなどあるはずもない。
そしてコルトが警戒した短剣の霊装もまた、非常に強力な一品だ。
六本の腕で捕縛されながらも、右手の短剣で阿修羅の腕の一本を落とし。
予想だにしない反撃を受けて力を緩めた阿修羅の体を真横に両断。
強引な手段ではあったが、阿修羅を攻略して見せたのだ。
そしてその事実は、コルト・アーヴィングに対して屈辱的な事実を気付かせる。
「そうか――――狂化はただの演技でしかなかったのか」
「悪いね、担がせて貰ったよ。アンタが魔術師だってことは最初の氷で理解した。だから、さっきみたいな化け物を出してくるのは幾つか想定した内の一つだった。
もしアンタが最初の氷柱だけを慎重に撃ってきたり、防御に徹してくることも想定してた。それら全てを考慮したら最適なのは『暴走』だ」
- 6 :
- 暴走して冷静さを失った相手なら多少手を抜いても勝てる、という慢心。
それを想定して、神流京介は『狐火つぐみ』をされた怒りで暴走した――――と、見せかけた。皮肉にも、コルトが行った挑発が彼の芝居により高い信憑性を生んでしまったのだ。
コルト・アーヴィングはまんまと、何の力も持たない少年に出し抜かれた。
しかし、大魔術師コルトの中には不思議と怒りの感情は沸いてこない。
むしろ、自分を出し抜き一矢報いるに至った京介への感嘆があった。
かつてこれほど白熱した戦いがあったか。
これほど―――コルト・アーヴィングを奮わせた男がいたか。
この少年はきっととても正しい。どう悪ぶろうが、姑息とさえいえる手段に訴えようが。彼は正しい道を結果的に歩むのだろう。実に―――面白い生き様だ。
だから彼は自分を刺さない。斬らない。
自分の氷は接近戦に向かない、そのくらいは既に気付いているだろう。
この距離から猛攻されれば、切り札など使う暇がない。
詠唱行程を踏めないのだから、不慣れな戦いを強いられることになる。
きっと負ける。
「君は、狐火つぐみという少女のことを聞いた。君にとって、大切か?」
「俺は自分が可愛い人間だから」
自分はこの少年に救われたのだ。
この少年には人しなど出来ない。その彼が、守りたいという人物。
「―――――まあ。何十年も一緒に居続けて飽きないくらいには大切ですかね」
コルト・アーヴィングは勢いよく神流京介を蹴り飛ばした。
その体から迸るのは先程までとは比べ物にならないほどの人的な冷気。
彼の魔力が空気中に放出され、纏う『氷』の属性も放出されたことによる冷気の発生。その状態は、コルト・アーヴィングの『本気』を意味していた。
これを最初から発動していたなら、京介は今頃全身氷付けで凍死している。
彼が『大魔術師』格にまで上り詰めた理由―――最強の氷魔術の行使。
試し撃ちをすることさえままならないだけの威力。
一度行使すれば環境が壊れ、植物は遺伝子レベルで凍結する。
彼は知らないが、時之坂祠が制限を加えるのに手を焼いたほどの威力。
名を――――――『氷帝(フローズンエンペラー)』。
「行け。これから此処に途轍もない『何か』が来る」
予期はしていた。
バトルロワイアル開幕直後から、自分の本気を以てどうにかできるかどうかレベルの使い手が居ること。本来は神流京介をどうにかして逃走予定だった。
- 7 :
- しかし。生きるべきは神流京介の方なのだ。
コルトの死で彼が生きるならコルトは此処で死ぬ、それが正しい。
「早く行け。君の霊装はこのし合いで必ず君の力になってくれる。事情は知らないが、君が成し遂げられずにいる『何か』を越えることだって可能な筈だ」
「アンタ………死ぬ気なのか?」
さあな、と応え、コルトは迸る冷気を抑えようともせずにただ、佇む。
もう語る事はない、ということをその背中が示していた。
「死ぬなよ」
コルトは最後まで答えずに、京介の走り去る音を聞いていた。
戦慄を覚えるような怖気はもうすぐそこまで迫っている。コルト・アーヴィングの人生で最大の難敵。最後の戦いとなるか、生き残って更なる戦いに進むかは分からない。
絶対級の切り札を抜きながらも、尚全身の悪寒が消えないほどの相手。
一向に構わない。魔術師として最高の誇りである―――。
姿を現した『それ』。
それは少女の姿をしていた。
しかし全身から放つ気と悪意は隠し切れていない。
彼女の名を、名塚京子という。
ストーリーは、またも持ち越される。
- 8 :
- 投下終了です。
次回の投下で今度こそ第一話終了!
- 9 :
- 新スレ&投下お疲れ様です。
その圧倒的文の質、羨ましい限りです。自分もその意気に達したい。
そんな感じで数だけロワ投下。
- 10 :
- 先に言っておこう。
おれはである。逃げも隠れもしない。おれはである。
どこぞの熊は言い逃れとしてという名の紳士だとかほざいてやがったが、おれはあんな見苦しい真似はしない。
おれは言うなればという名の変質者だ。
女子を見れば普通に欲情する至って健全な高校生。
小学生女子を見れば紺のスク水を着せてみたくなる。
中学生女子を見れば初ブラジャーを初々しく着用する姿を想像して悶える。
高校生女子を見ればぴっちりとした瑞々しい太ももを惜しげなく晒すブルマを履かせてみたくなる。
大学生女子を見れば普段ありのままの姿で慣れない大人の色気を放とうと努力している姿を観察してみたくなる。
それ以降も勿論見れば見るほど欲情の対象だ。
どんな後期高年齢者な老人のおばあさんであろうとおれは尊重する。
おれが性に興味を持ったのはなんのことはない。
当時中学生たるおれたちの義務を全うしたまでだ。
まあ、他の男子はそういうことを表沙汰にしたがらないけどおれはそういうことはしない。
おれは正面切って斬りこんでいく。
高校生たる他の女子の反応も楽しくて仕方がない。
おれはぶつのも好きだが、ぶたれるのも好ましい。脚色はあらず。快感さ。
いやー高一のときは真っ赤になりながら罵ってくれたものだが、最近は半分の人間は冷えた笑顔で「死んでくれ」って言ってくれる。
溜まらないよ、まったく。あの学校はおれのハーレムだ。元女子高からの共学ということもあり男子に比率も低い。
わざわざ苦労して頑張って勉強した甲斐があったというものだ。ん? ああ勿論大学の志望校はできるだけ女子の多い所に行こうかな、って。
で、だ。
そんな事はどうでもいい。
ていうかおれもその大学いけるかどうかが危うくなってきた。
別に成績な意味ではないさ。
違う、そうじゃない。
じゃあなにか。決まっている。
運命の仕業だ。
運命論、宿命論。
特別信じている訳ではないが時には肯定もする。まあ相対的に否定もするが。
し合い、表向きは共同生活。
何故ここで共同生活という設定を引っ張りだしたのかはおれには分からないが、そこはいいだろう。
問題は前者だよな。
し合い。まごうことなきし合い。
意味が分からなければ辞書をやる。今はないけど。
いや。
もっと正しく言うとそこまではいい。
それ以上に問題なのが―――――女の人までも参加しているって言うことだ。
- 11 :
- したくもないが、最低限男をすことならやってやる。正当防衛。
繰り返すがおれは女性が大好きだ。愛している。詐欺にだって掛かってやろう。
女性であれば問答無用でおれの嫁だ。
おれは女性であれば無償の愛を捧げよう。無駄な恋に溺れよう。
女性が望むならおれはここにいる男を撲滅しよう。
女性が望むならおれはこの物語の頭を滅しよう。
宣言、及び義務だ。もしくは枷だ。
おれは女の味方でいよう。
正義の味方でも悪の味方でもなく。
善人を目指すわけでも悪人を志すわけでもなく。
偽善者になるわけでも偽悪者になるわけでもなく。
むろんペット、奴隷としては動かない。
おれがおれとして、自己証明のために、自分の心を支える為に。
女性に縋る形で、おれはおれの在り方を。
探し、求め、手に入れる。
おれがおれを決めたらそれはきっとおれじゃない。
きっと狂いに狂った、「おれ」を名乗る誰かなのだろう。
女好きの情けないヘタレがおれなんだ。
女好きの頼れるヒーローがおれなんだ。
騎士のように女に忠誠を尽くすのがおれなんだ。
戦士のように欲の為に薙ぎ倒すのがおれだから。
そんな。
変哲もない女性が大好きな人間の物語である。
♂♀
おれが目覚めたのは、海だった。
真夜中の海。
月日が差し込み煌く海面がおれの視界を奪う。
「…………はあ」
まず出たのが嘆息だった。
深い深い、だらけきった情けない溜息だ。
両手をを腰に当て、やれやれと格好つけた感じで首を振る。
おれのツンツンとした髪が少し揺れる。
「どうなってやがってんだか」
どうやらおれは言葉を出すことによって自意識を保っているらしい。
―――――言葉を切らせたら、何かが終わってしまう。そんな悪しき予感がして。
- 12 :
- 少しとはもったいぶらず、豪快におれは混乱しているらしい。誰かエスナを唱えてはくれないものかな。
「し合い―――ねえ」
言葉に出しても実感がわかない。
し合い、死ぬ。
どう思い描いたところでおれが死ぬ場面など想像が出来ない。
いや、こういうとなにやら自信家のように聞こえてしまうがただ単におれが平和ボケをしている、そう言う意味だ。
まあ平和ボケも何も、平和が崩れることなんて誰も想像だにしてなかっただろうが。違うな、この考え方が平和ボケか。
やれやれだぜ。……心境が心境だけにあまり格好も決まらないが。
と、おれは砂浜に座り込み、ディパックという支給されたバックを弄る。
なにやら中身が乱雑してたので、一先ず適当に紙の束を取り出した。
そこには「参加者名簿」と表紙に簡単に書かれて、あとは箇条書きで恐らくはあいうえお順で名前が並んである。
………ていうか並びすぎだろ。何だこの数。アホか? アホなのか?
なんでもっと小分けにしないの? 馬鹿なの? 馬鹿でしたか、そうでしたか、すいません。
……ともあれだ。
とりあえず、といった具合にお気楽におれは名簿を上から追う。
しかし、先が長い。一人目の名前ですでに挫折気味だ。なんだこれ、地獄か?
おれは文字が大っ嫌いなんだよ。あー、頭が痛くなってきやがった。
「とはいえな」
見なきゃ始まんないだろう。
もしかしたら、幾数億の確率でおれの知り合いがいると適わんし。
はいはい、見りゃいいんだろう。見りゃ。
誰とも知れず語るおれ格好いい、さすがそこに痺れる憧れるぅぅ! まあ自分に憧れてどうすんだ、って感じだが。
「で、だ。………えっと」
と、おれは読み進みていき、眠気も襲うイの塊に突入(無駄にアの塊が多かった気がする)。
えーと、次は飯島遥光。いいじまようこう。いいじま………ようこう。
……エート、ツギハ。
「って、まてまてまて」
思わず声を出して無心の境地に踏み入ったおれを止める。
飯島遥光?
いや、アホか。アホなんだな。
主催はアホなのか? 馬鹿なのか? 死にたいのか?
そいつは、おれの彼女だろ。
- 13 :
- 永遠を誓った、永久の朋。盟友。そして恋人。
浮気性どころではないおれを支えてくれる。
無言のうちに支えてくれる、そんな女の子。見守ってくれる女の子。
それが!
それが、それが。
それが、それが、それが。
なんで、なんで、なんで。
なんで、なんで。
なんで!
ここに―――――いるんだっ!
「ふ、ざ、け、ん、なあああああああああああああああっっ!」
怒号。
迸り溢れかえる感情がこの身を支配する。
どうしようもなくリミッターは解除され、爆弾のように心情を破裂させる。
意味が分からない意味が分からない意味が分からない。
どうしてこうなったどうしてこうなったどうしてこうなった。
いやはや、この感情の起伏についていけない人もいるかもしれないが、おれはそう言う人間だ。
本能には逆らわない人間だから。
本能には逆らわない。
だから、このどうしようもなさをどう解消すればいいのか。
おれにはわかっている。
「………ぜってえ、す。あの二人をす。」
煮えたぎってしてやる。
切り刻んでしてやる。
見るに堪えなくしてやる。
おれは血眼になり、名簿を乱暴に上から下へと走らせる。
イ、ウ、エ、オ、カ、キ、ク、ケと読み進めて(ちなみにおれの名前ももちろんあったが)、コの塊で、また手を止める。
そこに映るのは、一つの名前。
「国分……哲也………?」
いやいや。
いやいやいや。
ないない。
ないないない。
それだけはない。
- 14 :
- 確実に確定的に、おれは言える。
こいつだけは、ない。ありえない。
だってこいつ。
死んでるんだぜ? おれが三歳ぐらいの時に。
それまで仲良くやっていたと聞いたが、死んだのは事実だ。
どう足掻いたところで、それはない。
…………いや。
「………いや、まてよ」
そうだ。そうだよ。
一番可能性が高かった可能性を見落としてたわ。
同姓同名の別人なんだよ。いやー、おれとしたことが参ったね。
流石に恋人が載ってた直後だからかな。いやはや早とちりご苦労様ですってか。
ま、まあ。
うん、そういうことなんだよきっと。
だって死人が生き返るとか、おれの性格が真面目ちゃんになるのと同じだよ。
とりあえず、だ。
おれの当面の目標は、飯島遥光を探すことだ。
そして、女の子を守ることだ。
そして、そして。
女の子に、ここでのおれの動き方を指示してもらうんだ。
いや、そうでもしないと、おれは―――――おれは―――――。
おれでなくなる。
♂♀
その女の子。
勇気凛凛と出遭ったのはそれから間もなくのことだった。
「こんばんわ、熊本潤平です」
「こんばんは、勇気凛凛です」
至って平和的に、平和すぎて逆に何かあるんじゃないかと疑わせるぐらい、そのには悪意が無かった。
むろんのこと、おれは女の子を傷つけることはしない。それがたとえし合いであっても。
だが、この少女は違うんじゃないか?
怯えるなり、竦むなり、疑ったり、妬んだり。
普通はそういうことをするもんじゃないのか?
この少女にはそれがない。
まるで、この世には慈愛しか満ちていない。
その揺るぎない信頼―――――いや押しつけを彼女は放っていた。
- 15 :
- 言わずもがな、まるでそう言ってるかのような錯覚すら覚える。
そんな姿を見て。
おれは―――――――。
「素敵過ぎるぜっっ! なんだこの愛おしい女神っ! なんだこれ、本当にこの世の生き物なのか!?」
途轍もなく愛でたくなった。
やっべぇぜ! やっべぇぜ! やっべぇぜ! テンション上がってきたぁぁぁあああああああああああああああっ!
んだよこん畜生、バトルロワイアルも捨てたもんじゃねえよ!
なんだこの可愛い生物、むぎゅうううううううううってしたい。
ていうかする! 決めたぜ。おれこの子についてくよ!
「むぎゅうううう、むぎゅううう、むぎゅううううううううううううううう!!」
柔らかい。この感触はきっと中学生だな。ふむ発育が良くて結構だ。
まあ発育無かったところでおれのまえでは些細な問題に過ぎないがな。
対し凛凛ちゃんは。心地の良いの声で叫ぶ。
「い、いやっ、止めてくださいっ! くすぐったいですっ! おにいさん」
おにいさん。 おにいさん!!
いいねいいねいいね。とことんこの子はおれのありまくるツボをおさえてくれるぜ。
ああもう、もうもうもう。この鈴みたいなおさげがキュート過ぎて泣けてくる。
え、彼女? ああ遥光なら大丈夫だよ、あっちもあっちて大概な奴なんだから。許しだってもらってるね。
「っていうかお、落ち着いてくださいおにいさん」
「おにいちゃんって呼んだらね」
無駄に凄む。
これがおれ。格好いいね。
「………はあ、おにいちゃん離してください、くすぐったいです」
「ベリーグッ!」
で、おれは約束通り凛凛ちゃんを離す。そして爽やかな笑み。
約束を守らない男はどうかと思うぜ。男としてはやっぱ失格かな。
……あぁ、けど温もりが………。
っておよおよ凛凛ちゃんの姿が若干遠くへ……。なにから遠ざかっているんだろう。おかしな子だなあ。
そんな事を思っていると凛凛ちゃんの方から話を振ってきた。
どうやら最低限の威厳は消えていないらしい。って素晴らしい。
しかしながら声色は若干疲れている様子で。
ぼくはなにもわるいことはしてないよ?
「はあ、まったくおにいさん……いえおにいちゃんはですか」
「ああ、だ。またの名もだ」
- 16 :
- 「そこまで堂々と言われると対応に困りますね」
と、いいつつ溜息を吐いた。
いやはや苦労人って感じがまた可愛らしい。しかし何に苦労してるんだろうな。
そんな中。
おれは何かの予感を――――直感した。
「さて、おにいちゃんに問います」
予感は的中するもんだ。
凛凛ちゃんの手には《剣》が握られている。
汗一つ。
おれは額からようやく流した。
興奮の汗だった。
♂♀
満月がおれを照らす。
だが、それは同時に彼女、勇気凛凛を照らすものでもある。
懐中電灯なんて、「無粋」なものとっとと降ろしたさ。
なんだこりゃ。
なんなんだよ、こりゃ。
「…………すげぇや」
思わず感嘆の声を漏らす。
この戦乙女は―――――――すごい。
《剣》だとか、《可愛い》だとか。
- 17 :
- そんな事がどうでもよくなってくる。
この揺るぎない
「もう一度問いますよ。答えなければ、わかるはずです。おにいちゃん。
ですから賢そうなおにいちゃんだからこそ、問いているんです。
おにいちゃん。あなたにとっての《正義》はなんなんですか。わたしはそう問いています」
《正義》が心地悪い。
おれの前には正義なんて意味を成さない。
女性を前にしたらおれにとって正義なんてカスも同然だ。
だから、新鮮なのだ。
まだ、こんな生物がいたのか。
「このわたしにとっての《正義》は弱きを助け悪を挫く。善人は守りますが、悪人は斬らなければなりません。
わたしの《正義》が直結して平和です。それがわたしの英雄論。英傑です」
それはまた高尚なモットーなことだ。
ただ、――――――――――それは、
「そりゃあ、また低俗なこった」
あんまりだ。
どこまでも杜撰でヒーローとは程遠い。
「それはまた酷い言いぶりを受けてしまいました。
………では、おにいちゃんの《正義》はなんなんですか?」
凛凛ちゃんは、眉間に皺を寄せる。
声色は興味半分、怪訝さ半分。
それでもまだ剣を振るうことはない。おれはまだこの子の言うとこの《悪》ではないって証だろう。
「きみの英雄論は安っぽい。中学生らし過ぎるんだよ、きみの論は」
「もう一度言います、ならばあなたの《正義》とはなんなんですか」
「違うね、全然違う。そもそも《正義》なんて語っている時点でダメなんだよ。
《正義》何て捨てちまえ。それは縛りにしかならない。不自由な生活をして何が楽しい」
言葉は返ってこない。
剣を地に突き刺しているまんまだ。
「《正義感》が救えるのは、自分だけだ。ごちゃごちゃ御託を並べるのは雑魚のすることさ」
「……つまりは何がいいたいのですか」
静かに言葉は返ってくる。だからおれは返す。
「きみの正義はきみの《正義》でしかないってことだよ。女性に運命を任せると決めたおれだが、
きみの《正義》では間違っても動いていない。おれはおれの《目的》で動いている。
そもそも《正義》と《目的》をまとめてる時点でそこで失敗してるんだよ、凛凛ちゃんの指針は」
「つまりは、わたしに対してなにをしろと」
「慌てるなよ、今はおれにスポットライトが当たってるんだぜ。横やりは無粋以外なにものでもない。
きみはようするに善人を救いたいのだろう? だがそれはきみでいうところの善人だ。
おれでいうところの善人とは違うかもしれない。たとえばおれみたいなのがいい例だろう。
- 18 :
- おれはおれを良しとしている。そして少なくともそれを良しとしている人を数人知ってる。だがきみにとってはどうなんだい」
「善人だとは―――思えませんね」
当然の答えが返ってきた。
だからおれも当然の答えを返す。
「だろうね。だがおれは無論ながらそれを由として動いている。
当然これが《正義》だとは言わないさ。自覚している。だが、《悪》だとも思ってねぇよ。
悪人になった覚えもねえし、人としては欲に生きて当たり前だろう」
「ですが、その欲に生きる為に犯罪者――――所謂悪人は絶えません。
おにいちゃんだってそうです、あなたはいつか性犯罪でも起こしそうです」
「せ、性犯罪!? おいおい凛凛ちゃん! おれはそんなことをしないよ!?
肉体関係なんてもってのほかだよ! あんなの人間のすることじゃない。まったくどうしてこう人間ってのはあんな生殖しかねえんだろう」
「中途半端なさんですね」
呆れた口調で返す。
仕方ないじゃん。それをおれはしたくないんだから。
「いや、だってよう。犯すってことは少なからずそいつの領域に踏み入ってしまうんだよ。
おれは怖いんだ。誰か一人に固執するなんて俺にはできないし、おれはすべての女性を愛したいんだぜ?」
「………まあ、そんな事はいいんです。話を戻しましょう。
ですが、人は本能に任せれば、目一杯に狂うんですよ、おにいちゃん。
誰もが本質的には善人では無かれ、「いい人」、わたしをそう考え、そして信じる。そう言う愚者のつもりではあります。
――――だからこそ、わたしはここにいる狂った人たちを正さなければならないんです。それが《目的》じゃ駄目なんですか」
「それはきみの《正義》ありきだろう。だが考えろって。
きみの善人は、おれにとっての悪人でもあるかもしれない。きみとっての悪人は、おれの悪人かもしれない。
そんな中、きみは誰が、間違っている、なんて言うんだよ。そもそも実を言うとおれは凛凛ちゃんのことを割と悪人ってみてるんだぜ」
「わたしが―――――悪人?」
今まで微動だにしなかった眉間が動く。
だが、この女神をおれは―――――受け入られない。
「押しつけがましいんだよ。凛凛ちゃんの考えは。
善人であることを強要するなんてそれは一つのいじめだよ。人には人がある。人には特色がある。人には個性がある。
必ずしも善である必要なんて無い。人類補完計画じゃあるまいし、全人類をおなじにしてどうするんだよ。
馬鹿馬鹿しい。そんなのだったらきみが忌み嫌う「人間などくだらないから全滅させる」とかほざく悪人と大差ないんだよ」
どの口が言うんだか。
おれは静かにそう思うが、口は止まらない。
「ですが、平和であることがいいことに変わりはありません」
「きみの平和はどうせあれだろう。争い事がない、とかそんな感じだろう」
「そうです。わたしは幼き頃から争い事が無くなるといいな、と夢を見ていたらしいです」
「だろうね。だったら一つ聞くよ。
たとえば悪人が人類を全滅させたとしたら、そこには争い事なんて無いんだよ。これは平和なんじゃないのか」
「屁理屈です」
「よくいうじゃないか。屁理屈も理屈。スモモも桃ってな。
それに地球にとっては救われたとさえ言ってもいい。有害なガスだのなんだのそういったものがなくなるんだからな」
「…………つまりは、わたしの《正義》は間違ってると」
- 19 :
- 「正義としては間違ってないよ。それを行動としての《正義》としては間違ってんだよ、って言いたいんだよ」
よく言うよ。
おれは――――おれは――――。
「ならおにいちゃんはわたしになにを望んでいるのですか?」
「なにも望んでいないんだよ。きみの《目的》が間違っていると意趣返しの意味合いも兼ねて言ってるだけなんだから」
「そう、ですか」
なんでおれはまた。
なんでおれはまたこうしてこうしてこうして。
「凛凛ちゃんの《正義》をおれは正してほしいんだよ。
自惚れるな、きみは女の子だ。背負い過ぎちゃいけないんよ。争い事などもってのほかだ。肌が傷ついたらどうするんだよ」
人の個性を壊して。
人の長所を滅して。
「はあ」
彼女の溜息に介さず、おれは言った。
否、言ってしまった、そんな描写が正しいのだが、ともかく声に出していってしまうのだった。
「女の子は女の子らしく可愛らしく、そして凛々しくそれでいてくれたら、何よりの至高なんだよ」
「きみの《正義》なんてどこにも無いんだ」
―――――また、やっちまった。
凛凛ちゃんの手からは、《剣》が粒子状になって消える。
♂♀
飯島遥光が以前俺に対してこう名付けた。
- 20 :
- 「流星(ブレイカー)」と。元々中二病のように人を名付けるのが好きだった彼女であるが、おれは何故だか納得してしまった。
時に煌く、裏で何かを壊してゆく姿はまさしくおれであるからだ。
人格を壊してゆく男。
それがおれの全貌である。
人を受け入れられない。
人を拒み続ける。人の性格を拒絶する。
王者性質。
人に左右されたくない。そう言う男なのだ。
故におれは気にいらない人間を壊す。自分好みに改革する。
時には暴力を。時には知力を。時には詭弁でおれは破壊の旋律を奏でる。
しかし徹底的な、というわけではなくあくまで最低限の個性は残してだ。
王者でありども、暴君ではない。
それでも、おれは「人間」を壊し続けてきた。
だがおれはそんなおれが嫌いだった。
人は生まれながらに美しい。そう言う観点から見たらおれは確かに勇気凛凛ちゃんと似通っていたのだろう。
そのような思想を持つおれは、人間が壊れてゆくのが耐えれなかった。
そうしておれは改心しようと頑張った。
最初は抑制しようという気持ちを保ち続けようと、耐え忍んだ。
それでも長くは続かず、そこでおれは考えた。
『そうだよ、おれ自身から、そういうキャラクターを消せばいいんじゃないのか?』
と。
おれの王者気質に上回る何かしらのキャラクター。
思い立ったら吉日。
直ぐ様おれはなんのキャラクターを演じようかと画策した。
そんな時に接触したのが、飯島遥光。その人だった。
- 21 :
- そして彼女からの一言で、おれは全てを決めたのである。
♂♀
ここで、おれの鍍金が剥がれた理由を考察するのであれば、すごく簡単だった。
混乱していたのだろう。
おれがここにいること。遥光がここにいること。
その二つで混乱していたのだろう。
だから後は簡単。
落ち着けばいい。落ち着いて対応すれば――――おれはただのになることが出来る。
というキャラクターを身につけることで。
おれはおれという人間を束縛する。――――――まったく、凛凛ちゃんに言う立場がないよな。おれは。
詭弁師、詐欺師。
王者とは程遠い。まあ遠くておれは安心ものなのだが。
さて、ここからの後処理はなにをすべきなのか。
まあ極めて単純な話で、セクハラ……じゃなくて交友を深めながら、彼女の指針をたてなおすことだろう。
今更、おれが考え直すってのも変だしな。
ってなわけで。
「潤平おにいちゃん。なにがしたいんですか」
「潤平お兄ちゃんは凛凛ちゃんに膝枕をされてみたい」
「はあ、それは何になるのでしょうか」
「おれの心が救われる」
「いや、割とわたしは潤平おにいちゃんに対して快くは思ってないんですよ?」
- 22 :
- 「いやー、救われない人がここにいるんだけどなー! 誰か助けてくれないかな―!」
「…………おにいちゃんはそれでも、大人ですか」
「いーや、おれは子供だよ。いつまでも子供さ。ピーターパンだよ」
おれは、この子について行こうと思う。
責任であり、キャラクターを創る上で大切であろうから。
そう。
おれはである。逃げも隠れもしない。おれはである。
どこぞの熊は言い逃れとしてという名の紳士だとかほざいてやがったが、おれはあんな見苦しい真似はしない。
おれは言うなればという名の変質者だ。
女子を見れば普通に欲情する至って健全な高校生。
小学生女子を見れば紺のスク水を着せてみたくなる。
中学生女子を見れば初ブラジャーを初々しく着用する姿を想像して悶える。
高校生女子を見ればぴっちりとした瑞々しい太ももを惜しげなく晒すブルマを履かせてみたくなる。
大学生女子を見れば普段ありのままの姿で慣れない大人の色気を放とうと努力している姿を観察してみたくなる。
それ以降も勿論見れば見るほど欲情の対象だ。
どんな後期高年齢者な老人のおばあさんであろうとおれは尊重する。
おれが性に興味を持ったのはなんのことはない。
当時中学生たるおれたちの義務を全うしたまでだ。
まあ、他の男子はそういうことを表沙汰にしたがらないけどおれはそういうことはしない。
おれは正面切って斬りこんでいく。
高校生たる他の女子の反応も楽しくて仕方がない。
おれはぶつのも好きだが、ぶたれるのも好ましい。脚色はあらず。快感さ。
いやー高一のときは真っ赤になりながら罵ってくれたものだが、最近は半分の人間は冷えた笑顔で「死んでくれ」って言ってくれる。
溜まらないよ、まったく。あの学校はおれのハーレムだ。元女子高からの共学ということもあり男子に比率も低い。
わざわざ苦労して頑張って勉強した甲斐があったというものだ。ん? ああ勿論大学の志望校はできるだけ女子の多い所に行こうかな、って。
自分に言い聞かせる。
- 23 :
- そう言う人間であろうと、自らに罰する
宣言、及び義務だ。もしくは枷だ。
おれは女の味方でいよう。
正義の味方でも悪の味方でもなく。
善人を目指すわけでも悪人を志すわけでもなく。
偽善者になるわけでも偽悪者になるわけでもなく。
むろんペット、奴隷としては動かない。
おれがおれとして、自己証明のために、自分の心を支える為に。
女性に縋る形で、おれはおれの在り方を。
探し、求め、手に入れる。
おれがおれを決めたらそれはきっとおれじゃない。
きっと狂いに狂った、「おれ」を名乗る誰かなのだろう。
女好きの情けないヘタレがおれなんだ。
女好きの頼れるヒーローがおれなんだ。
騎士のように女に忠誠を尽くすのがおれなんだ。
戦士のように欲の為に薙ぎ倒すのがおれだから。
そんな。
そんな。
変哲もない女性が大好きな人間の物語である。
【一日目/深夜/H-Z 住宅街】
【熊本潤平@オリキャラ】
[状態]、健康
[装備]勇気凛凛(膝枕中)
[道具]KS×1、RS(1〜3)
[思考]
基本:女性を守る
1:勇気凛凛ちゃんと行動
2:飯島遥光と合流、国分哲也に関しては保留
3:女を守る
【勇気凛凛@他の書き手様のオリキャラ】
[状態]悩み、健康
[装備]
[道具]KS×1、RS(1〜3)
[思考]
基本:……………?
1:……………?
- 24 :
- 投下終了。
とりあえず一言。YO氏。本当に申し訳ございませんでした。
題名:無題――――NoTitle――――
- 25 :
- 投下乙です。
すげぇいいキャラ…
投下します。
DOL4th43話 バトロワロンパ―希望の書き手と絶望のし合い―
登場人物:◆xzYb/YHTdI、◆8nn53GQqtY、苗木誠、大神涼子、クルト・アーウィング、桜井咲夜
- 26 :
- 【0・BAD END START】
「………」
◆xzYb/YHTdIは放送を聞いていた。
死者で呼ばれた中で知っているのは2人である。
◆9QScXZTVAcと◆9n1Os0Si9Iの二人。
ある程度ではあるが、面識がある人間が死ぬのは悲しことだ。
さて―――閑話休題。
僕は今何をやっているのだろうか。
そんなことは見ればわかるだろう?
これは狂った物語なんだ。
それは当然であり。
それは必然であり。
それは偶然であり。
それは悠然であり。
僕にとってはどうでもいいことなんだよ。
では―――――はじめようか。
この腐った、物語を。
【1・ハジマリ】
「……9Q氏に9n氏がか…」
隣にいた◆8nn53GQqtY氏がつぶやく。
短時間、4時間で知り合いが二人死ぬという状況は、やはり悲しいものだった。
ちなみに今、僕こと◆xzYb/YHTdIと◆8nn53GQqtY氏は資料室にいた。
どこの工場にも資料室があるものなのか、僕は知らない。
でも、ここの工場には結構大きい資料室があるようで、今はそこを探していた。
「……あれ、これは」
資料室にあった、数年前の記事。
それ以外何も入っていないの棚に一つだけ放置されていた。
僕はそれをとり、近くにあったソファに座る。
◆8nn53GQqtY氏は他に何かないかずっと探している。
記事を開くと、一つの小さな記事があった。
「……消えた少年、ねぇ」
数年前の記事、その地域欄の見出しにあったその記事。
少年が消えた――――それだけの小さな記事。
少年の名前は――――と言うらしい。
どこの地域の事件かは知らない。
だが、もし生還できたらその少年がどうなったか調べてみよう。
その記事を、デイバックにしまう。
- 27 :
-
「……ぁ?」
何故か視界が揺れる。
立ちくらみか?
おいおい、この若さでそれはないよ。
自分はそのままソファに腰を落とした。
【2・change】
ドン、という音が聞こえた。
放送後、少し傷心しながらも立ち直ったところにその音が聞こえた。
場所的には室内だろう。
多分◆xzYb/YHTdI氏が転んだとかそういったところだろう。
この資料室は資料が散らばっていたりするので転びそうに自分もなった。
だから、特に気にすることではないだろう。
さて―――今考えるべきことを考えよう。
し合いの人数は67人にまで減った。
だが、放送後というのは裏切りが多発する。
その点については心配することはないだろう。
自分を危険人物であろう人間から助けてくれた少女。
本気でし合いを打破しようとする戦略化である青年。
そして、近くにいる善人である少年。
自分の身は今のところ安全だろう。
だが――――問題はひとつ。
いつ、どうやってその3人を裏切ってすかだ。
今の時点でしては、駄目だろう。
残りの63人を相手取るだけの武器も強さも自分にはない。
まぁ、だからこそ悩んでいるわけで。
「…すみません、8n氏」
「ん?どうしたの?」
後ろから声が聞こえてくる。
声の主は◆xzYb/YHTdI氏だろう。
役に立ちそうな資料を探しながら返事をする。
「先ほどはすみません、立ちくらみがしてソファに激突してしまって」
「ああ、やっぱりxz氏が出してたのか、いいよ…それくらいさ」
転んだのではなく立ちくらみ。
まぁ、普通に立ちくらみなんてあるしね。
気にすることはないだろう。
「…まぁ、念のために休んでおいたほうがァッ!?」
ドゴォ、という低音が一瞬耳に入ってきた。
それと同時に感じたのは、後頭部に感じた強烈な痛み。
前のめりに倒れる。
薄れゆく景色の中、最後に見たもの。
それは―――――――
- 28 :
-
笑いながら見下している、◆xzYb/YHTdIの姿だった。
【3・ダンガンロンパ】
さて、今まで僕がまじめな人だと思っていた人。
それはお気の毒に、僕なんかに騙されているんなんてね。
僕は、超真面目でお利口な人間なんかじゃないんだよ。
ここで倒れている◆8nn53GQqtYも、僕に騙されていたんだろう。
信頼して、こっちを見ずに対応するなんてさ。
警戒くらいしないと簡単にされちゃうんだよ?
だってここは、バトルロワイアル。
無法の地帯、裏切りなんて至極当然。
裏切りなんてものは、知り合い同士でもあるんだよ。
「…はぁ、かったる」
今まで着ていた◆xzYb/YHTdIの皮は捨てよう。
今から僕の名前は、◆xR8DbSLW.wだ。
◆xzYb/YHTdIは僕に似ている超善人。
◆xR8DbSLW.wは、今の僕だ。
言い表せば、
月と鼈。
雲の差。
雪と墨。
提灯に釣り鐘。
駿河の富士と一里塚。
こう言ったところであろう。
似ていても似ていない。
表と裏。
それはまさにオセロみたいなものだね。
白と黒。
善と悪。
本物と偽物。
本物は、◆xR8DbSLW.w。
偽物は、◆xzYb/YHTdI。
「…さてと」
閑話休題、どうしようか。
◆8nn53GQqtYをした今、下の二人をどうしようか。
あの二人は確実に、自分が犯人だと断定するだろう。
この場は逃げるべきか。
いや、逃げて自分の情報を他人に回されたら困る。
この「罪」を、誰かに被せ付けるんだ。
「おい、テメェ!何してやがる!」
- 29 :
- 声が聞こえて、ふとにやりと笑ってしまう。
いいカモが見つかったからである。
そこにいたのは二人の人間。
大神涼子と苗木誠の二人。
両方とも特徴は把握している。
善人であり、この場にとって希望である点だ。
だからこそ、早めに始末しないといけない。
「…何って、正当防衛ですけど」
「正当防衛、だと?」
「ええ、この人が僕に襲いかかってきたから倒したんですよ、だから僕は悪くな「それは違うよ!」」
それは違うよ、という声は苗木誠のものだった。
早くも、自分を論破する材料が見つかったらしい。
「その人は、何も持ってないのに…男性であるあなたを攻撃するはずがない」
「この人が武道の達人かもしれないよ?」
「それだったら、その人が死んでいるはずが無い!」
まぁ、それはそうだな。
武道とかは全然やってないし、多少喧嘩ができるだけだ。
体格を見れば分かる通り、そこまで良くはない。
武道の達人と戦えば、もれなく負けるだろう。
「…実は、この人が襲いかかってきたときに持ってた武器がこれなんだよ。
僕が偶然避けれて、その時武器がこっちにわたってきたから殴ってしまったんだ。
だから、僕は「それは違う!」」
再び、妨害される。
さすが苗木誠である、◆xR8DbSLW.wは思った。
「この人はバッグを持っていない、君のバッグもその人のバッグも机の上に置いてあるよね?
さっきまで、君たちは味方で…君が裏切ったんじゃないのか?」
「……」
さて、返しの言葉が見当たらない。
正直言って口戦で勝てる気はしない。
とりあえず、この場を切り抜けることに考えを向けようか。
「……ああ、そうだよ…俺がしたよ…◆8nn53GQqtYがな」
「ッ――――テメェ…!」
俺は右ポケットから銃を取り出す。
それは普通の銃ではなく、特殊な銃なのだが、見せるだけなら十分だ。
俺はこの銃を大神と苗木に向ける。
「…死にたくなければ、ここを通せ」
「脅しのつもりか?」
「ああ、そうだよ」
これで騙せれば、上々だ。
そう思いながら、銃を持った手を少し動かす。
撃つぞ、という意思表示に見えなくはないかな。
苗木は、黙って動いた。
「な、苗木っ!」
「大神さん、ここは退くべきだよ…今の僕達にはどうしようもない」
「くっ…!」
- 30 :
- 二人ともあきらめたようだな。
俺は、堂々と扉に行く。
このまま外に逃げては、自分がやったことはばれてしまう。
だから――――ここでの得策は。
【4・FAKE STORY】
「クルトさん!」
「……◆xzYb/YHTdIか、どうした」
「8n氏が、された!」
「っ――――なんだと!?」
報告によると、◆8nn53GQqtYが死んだらしい。
そしてしたのは、二人組の男女らしい。
焦って、びくびくしながら◆xzYb/YHTdIは話した。
「…そいつらは?」
「まだ、二階に…」
「そうか」
そういうのを放置してはいけない。
銃を持って立ち上がる。
「君はここで待っていてくれ、説得するなり、どうにかする」
「お願い、します」
部屋を出て行き、周りを確認する。
銃は持っていないらしいから、待ち伏せをして襲おうとしているかもしれない。
一回を周って、いないことを確認して、二階に向かう。
【5・WORST END】
「…そこの二人!両手を上げろ!」
二階に上がってすぐに二人の人間を見つけた。
特徴も聞いた通り、あの二人がした人物だろう。
「…誰だテメェ」
「NO.7…」
「セブン……?」
敵に対してまで本名を言うつもりはない。
銃を構えて、二人に問う。
「質問に答えろ…何故、お前らは人をした」
「……え?」
「何言ってんだ?」
「とぼけても無駄だ…!女性をしたと聞いた…言い逃れは出来ないぞ!」
「…待て!それは、したのは!」
- 31 :
-
バン―――――――――――
そう音が鳴り、何があったのか分からなくなった。
いや、それはすぐに分かった。
自分の体が倒れていて、視界が狭くなっていく。
後ろから、狙撃されたのだ。
誰に――――なんだ?
俺は最後に後ろの方を見た。
そこにあったのは、ピストルを構えて笑っている◆xzYb/YHTdIがいた。
【6・END1】
「あんた!大丈夫か!返事しろ!」
「……駄目だ、死んでる」
すべて去った後、残ったのは二人の人間だけだった。
苗木誠と大神涼子はクルトの死体を前に悔しさを隠しきれなかった。
「…◆8nn53GQqtY…許せねぇ……!」
「僕もだよ、絶対に…許せない」
二人の男女に残ったのは、希望と怒り。
この二人がその後どうなるかは―――まだ分からない。
【◆8nn53GQqtY@非リレー書き手 死亡】
【クルト・アーウィング@戦場のヴァルキュリア3 死亡】
【残り 65人】
- 32 :
- 【夕方/C-4工場二階】
【大神涼子@オオカミさんと七人の仲間たち】
[状態]健康、怒り
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:このバトルロワイアルをゼッテー潰す
1:苗木と行動
2:◆8nn53GQqtY(◆xzYb/YHTdI)は許さない
3:御伽銀行のメンバーと合流、特に亮士
[備考]
※オオカミさんと○人間になりたいピノッキオ後からの参戦です。
【苗木誠@ダンガンロンパ】
[状態]健康、怒り
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:このバトルロワイアルを止める。
1:大神さんと行動
2:◆8nn53GQqtY(◆xzYb/YHTdI)は許さない
3:皆を見つけたいな…
[備考]
※第一章「イキキル」の(非)日常編からの参戦です。
【7・END2】
今回の終了後の小話。
結局僕は工場を出た。
咲夜さんが持っていた銃を奪って、クルトさんをした。
自分を守ってくれた人をして、心を痛めている。
……とでも思ったか?
それは大間違い、僕はそんな良い人ではない。
さて―――特に言うこともないのでそれくらいで。
- 33 :
- 【夕方/C-4】
【◆xzYb/YHTdI@非リレー書き手】
[状態]頭に治療痕、他はいたって健康
[装備]FNハイパワー@現実(8/13)
[所持品]基本支給品、アンプル・シューター(1/1)@のびハザG2、デイライト(25)、FNハイパワーのマガジン(2)、何かの記事@オリジナル
[思考・行動]
基本:し合いに優勝する
1:武器をを探す
2:誰だろうが容赦しない
[備考]
※DOL3rd死亡後からの参戦です。
※二次元の知識は覚えている部分と忘れている部分があります。
※何故スタンスを方向転換したかは不明です
【夕方/C-4工場医務室】
【桜井咲夜@ドラえもんのび太のBIO HAZARD G2版】
[状態]気絶中、Gウイルス覚醒
[装備]
[所持品]基本支給品、不明支給品(0〜1)
[思考・行動]
基本:し合いの阻止
1:……
2:のび太君達と合流する
[備考]
※本編開始前、飛行機に乗る前からの参戦です。
※Gウイルスが目覚めました。以下の状態となります。
○怪我の治りが早くなる
○筋肉量の増加
他にも増える可能性があります。
※し合いを聞いていませんが、近くにクルトがまとめた放送情報が置いてあります
投下終了です。
そろそろ死人のペースが異常になってくる…少なくなるようにしないと
- 34 :
- 投下乙です。こちらは死人がまったくでません。というかマーダーが少ないです。ゲェー。
投下します。 六話 十と九
登場者:柳生十兵衛三厳
- 35 :
- そこは城であった。荒城の月という歌があるように、題名だけで言うならまさにそのような感じの日本の城である。
城はそれほど大きくない。連結式層塔型四重五階、内堀のみで水がたまっていた。外周もそんなになく走って三十分で外周を一周できるほどだった。
その場に似つかわしい男がいた。和服に松の様な髷に眼帯、眩く眼光。
男は剣豪、柳生十兵衛三厳である。
(父上や玄信斎、そして死んだはずの烏丸少将まで)
名簿を見るなり彼はそう思う。死んだはずの人物、ここではかなり生き返っているのだ。
(となるとあれは化け物か。少なくとも)
仏、ではない。御仏がこんなことをするはずはない、と彼の思考回路の一つとしてあった。
神ではないのならせる。とは言えど徳川家光は言っていた。
親に会うては親をし、仏に会うては仏をす。
同じく父上もそのようなことを言っていたのだろう。たとえ誰の信頼を裏切っても己の欲望のために。
ならない。そんなことはあってはならない。が、このし合いの場は父上は水の得た魚のようなもの。策略、陰謀、剣術。全てを総動員するはずだ。
それを止めるためには力もいる。支給品を調べると一つの日本刀が見えた。
物干し竿。そのような名称だがあながち間違いではない。あまりにも長すぎる。柳生十兵衛とて使えるかどうかわからぬ代物だ。
だが見たところ名刀とはわかる。済んだ刃は月光を照らしていた。
鞘にしまうともう一つ、あるらしい。バックの中だが十兵衛の時代にそんなものはなかったため、何か南蛮のものか、とぐらいにしか思わなかった。
ジッパーの開け方は日本刀と同じく試行錯誤した末にわかった。ぐいいい、というような音と共に中身が見える。
中身のものは白い。白い、うさぎのような生物だった。だがそれはうさぎではない。未知の生命体だ。
生物はまるで笑顔かのように、話し始めた。
「やあ、君は誰だい?」
十兵衛はすぐさま刀を抜こうとする。どうみても目の前のはあやかし、化け物だからだ。
だがいつもより長いせいか抜刀までの時間が長い。白い生物はバックから飛び出し、犬のように後ろへ飛んだ。
バックは切り裂かれ、その後、十兵衛は怪物に構える。
「貴様、怪物かっ!」
「怪物? そこまでは言われたくないなあ。僕の名前はキュゥべえ。君にはあまり関係のない存在だよ」
「きゅうべえ?」
まるで自分の名前をもじっているかのような言い方だ。気に食わない。
だがそんな気持ちはまったく察せず、キュゥべえは話を続ける。
「しかし僕が支給品とはね。この惑星にあんな力を持つものがいるとは思いもしなかったよ。
そうだね、その国での、いや世界での宗教にでてくる神のようだよ。人知を超えた、と君たちは言うのかな?」
「神?」
「そうだよ。別世界にいる僕たちを集めてきて時空さえも移動して、あんな化け物のような女もす。とんでもない代物だ」
時空の移動。その言葉で十兵衛がわかるのは浦島太郎の話ぐらいである。
まさか自分がとうに昔の過去の人間か、と。
「大体、僕は自分が選んだ少女しか可視できるはずなんだよ。なのに君は選んでもないのに見えてる。つまり僕は、ものということだ」
支給品なのだからものなのだろう。役に立ちそうではない。
「まあいい。このまま僕は移動することにするよ。用もあるからね」
「待て」
立ち去ろうとしたキュゥべえを止めるように十兵衛は言った。
「なんだい? 詳しいことは聞けないよ」
「俺はどういう者だ。それだけを答えろ」
十兵衛が今、第一に聞きたいことであった。自分の存在がこの場でどういう者かというのは重要なことだ。
キュゥべえは無表情に答えた。
「そうだね。君はさぞかし、過去の時代から来た剣豪、ってことかな」
そう言い残すとキュゥべえは高く飛んだ。まるで狐のように。
あの生物に自分の父親、柳生但馬守宗矩と同じ所を感じる。心の奥底まで深い欲がつまっているかのような。
自分は過去の人間、そしてあの生物の存在。二つは彼に冷や汗を起こさせる。
城内は底知れぬ不安で埋め尽くされている。まるで夜の暗闇のように。
- 36 :
- 【一日目/深夜・晴れ/城・内部】
【柳生十兵衛三厳@柳生一族の陰謀】
【状態】健康
【装備】物干し竿@Fate/stay night
【道具】通常支給品
【思考】基本:主催のお命を頂戴する。
1:父上を止める。
※キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカはどっかに行きました。
【物干し竿@Fate/stay night】
すんごい長い日本刀。アサシンの得物。宝具ではないがそこそこ名刀。鉄も斬れるらしい。
【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】
意思あり支給品。みんなの黒幕。本来は少女の前に現れ、どんな願いでも一つ叶える代わりに魔法少女になってもらう契約をしてくる。
見た目は可愛らしいけど無表情なので不気味。みんなからうざいと言われる。
人間の倫理観が無いため寄生獣みたい。人は食わないけど代わりに死んだ自分を食べる。
代わりはいくらでもいるとレイみたいなこと言ってたがこのし合いでは代わりなし。
本来はインキュベーターという地球外生命体。だから寄生獣ってより物体X。
投下終了です。
- 37 :
- 一旦今やっている非リレーロワを凍結させます。
暇が出来たら書きに戻ります。
いままで応援してくださった方(いないだろうけど)ありがとうございました。
- 38 :
- 突然ですがschoolバトルロワイアルを打ち切らせていただきます。
代わりに人数と規模を小さくしたオリロワを開始します
では、op投下
- 39 :
- ……………めっちゃ眠い。
それが至って普通の青年である俺、佐原裕二の最初に抱いた感想だった。
いやね、皆さん。だからって俺が何事にも冷静沈着を装う厨二病とか思わないでね。俺本当に普通だから。多分この場にいるみんなが同じこと思ったよ絶対。
だってね、俺は普通に宿題やって普通に親から小言を貰って普通に布団に入って寝て普通に目を覚ました筈なんだよ。なのに今の俺が居る場所ときたらさ、ちっとも普通じゃない。
考えてみろよ!瞼を開けたら訳の分からん美術館に居た俺の気持ちを!
えー、こほん。
というわけで俺は今、美術館らしき場所に居る。
俺が夢遊病患者だとか、そんな馬鹿みてえな話は絶対有り得ない。
誘拐。俺はどうも寝てる間に誘拐されたらしい。
――――それも、俺だけじゃないから余計性質が悪い。
数えてみたら俺を含めて16人も、こんな妙ちくりんな場所に呼ばれていた。
テレビのドッキリにしちゃ過激すぎだ、いただけない。
いたいけな少年少女の手足を椅子に縛り付けるのはやり過ぎだ。
しかも縛り付けてる物は麻の紐。ったく痛いったらありゃしねえ。
「 」
声を出す。出した筈なのに、空気が漏れるだけ。
どうやってんだか知らねえけど、声帯がおかしくなってるらしい。
得体の知れない薬品でも投与されたか?後遺症が残るようなことはやめてくれよ?
ふざけんなって―――俺は、俺は。声を失う訳には―――
「皆様。目はお覚めになりましたでしょうか?」
怒りに沸き立っていた俺の心が一気に冷却される。まるで氷水を浴びせられたように全身が萎縮し、怒りやパニックを忘れたように思考は冷静になっていく。
そして最初に俺の普通すぎるどこにでもある脳が導き出した答え。
この声には。俺たちを誘拐した奴にだけは、何があっても逆らうな。
本当は怒りに身を焦がして怒鳴る場面だろう、それが『普通』だ。
なら今の佐原裕二は。今だけは『異常』でいい。
こんなところで惨めに死ぬくらいなら―――異常でいい!!
声の主は女だった。
20代前半くらいに見える、まだアイドルとしてやっていけそうな可愛らしさの残る顔をした美人。プロポーションも悪くないし、恐怖とはかけ離れた風貌。
だけど、コイツは悪魔なんだ。もしくは魔女、魔物の類。
コイツは現に俺たちを誘拐して拘束してる。でもそれだけじゃない。
どす黒い、闇。そんなものを俺はコイツに感じている。
- 40 :
- 「……うふふ。やっぱり私の目に狂いはなかったようですね」
いや。お前の言ってることは分からんが中身は狂ってるだろうよ。
というか早く俺達を集めた理由を説明しろ。そして早く帰してくれ。
「おっと失礼!私は楓坂闇薙という者です。職業は学生、大学四年。趣味はボトルシップの制作、将来の夢はありません!何処にでもいる普通の若者でっす!!」
嘘吐け、という空気が美術館のホールを支配した。
少なくとも普通というところだけは確実に嘘だ。
この女―――楓坂闇薙は異常。むしろ異端と言った方がいいかもしれない。
だから俺の敵だ。今すぐにでもあの喉笛を食い千切ってやりたいくらいの嫌悪。
「えーっとですね。自覚の有無はそれぞれ違うと思いますが、皆さんがこの場に集められた理由は皆さんのとある『共通点』に由来しています。
そしてその『共通点』を生かして『ゲーム』をして貰いたいのですよ」
ゲーム………。共通点を生かす………?
おい。此処に集められた奴等には、俺も含めて共通点があるってのか?
待ってくれ。俺は『無個性』を体現したような人間なんだぞ?
幸運も不幸も得ずに、まさしく中間を永遠に進むだけの人間だぞ?
此処に居る奴。
16人がみんな、俺と同じなのか?
そりゃあ―――最高に狂った傑作だぞ?
俺からしたら俺みたいな人間が他にも居るのは嬉しいけど、世の中としてどうよ。
しかしそんな心配は不必要だった。最悪な言葉が、楓坂の口から紡がれた。
「『異常能力者(サイキッカー)』。それが貴方たちの共通点です。
そして皆様には今宵、『最優の能力者』を決める為に『生き抜いて』頂きます」
□
楓坂闇薙は、笑いながらそれを告げた。
今まで平穏に生きて―――平穏に紛れて生きていた能力者たちに。
終わりの始まり。平穏は終わり混沌が始まる。
「まー簡単に言うとね。『てめえらには最後の一人までし合って貰う』ってこと。反則は基本的になし。冷たい謀も熱い殴も何でもオッケーだよ。
だけどね、三つだけ禁止行為を決めちゃう。
『私の定めた区域からの脱走』『私への反抗』『12時間の間一人の死者も出ない状況を作り出すこと』。これは反則だから絶対にしないようにね!」
騒然、といった空気ではない。
どこか悟ったような、まるでいつかこうなると知っていたかのような。
此処に集められた16人は、簡単に言えば人格まで『異常』な人間たちだ。
通り魔。
- 41 :
- 人鬼。
果てには能力を自覚して悪を働く卑劣漢。
逆に能力を自覚せずに悪を無自覚に働く少女。
とにかく異常な連中のみを集めた、狂人どものデスゲーム。
例えば先の佐原裕二。彼は『普通に執着し過ぎている』。
そして彼もまた、『普通の道だけを歩む』為に無自覚で能力を使っていた。
「あーっと!大事なことを忘れていました!!反則行為をするとどうなるか教えなきゃいけないんでした………。じゃあそういうことで、西藤明くん!きりーつ!!」
西藤明。金髪のsラ風の男が、全身をびくっ、と震わせた。
無理もないだろう。目が覚めたら得体の知れない場所に拉致されていて、犯人の女が訳の分からないことをのたまい始め、果てにはし合いときた。
彼は自らの『物体を浮遊させる能力』を犯罪行為に使っていた小悪党だったが、まさか他にも能力を持つ奴等がいるとは思わなかった。
そして『反則を犯すとどうなるか』。完全に見せしめの空気である。
「早く!……ってああ、手足を縛ってるから立てないのかー。んじゃいいや。えいっ」
ドゴン。
何処かくぐもった、押ししたような音がした。
直後、比較的落ち着いた空気が漂っていた空間は戦慄に。
西藤明の胸元が弾け。真っ赤な鮮血が飛び散り。断末魔の叫びさえなく。
逆に言えば、彼は幸せだったのかもしれない。
苦しむことなく、死んだことさえ理解できない内にたのだから。
「君たちの心臓には、爆弾が埋め込まれています!でも心配しないで。私の能力で作った爆弾なんだから、勿論私の任意で傷痕も体への影響もなく消滅させられます。
まあいきなりこんな事されて怒らない方がおかしいけど、大丈夫!何も見返りなしで協力しろとは言わないよ。ちゃんとすっごい賞品を用意してるんだからー!!」
指を一本突き出して。
「優勝者には自分が『神』となった平行世界を一つ、あげちゃいます!金も女も地位も名声も、果てには絶対的な能力も何でも思うがまま!」
それからルールの説明を開始する楓坂。
一頻り説明を終えた時、唐突に人々の姿が消えていく。転送の開始。
美術館に、楓坂闇薙の笑い声だけが響いていた。
【サイキッカーバトルロワイアル 開幕】
【主催―――楓坂闇薙】
- 42 :
- 地図
A B C
1港 森 森
2遊 ア 商
3住 神 廃
港=港 森=森 遊=遊園地
ア=アミューズメントパーク 商=商店街
住=住宅地 神=神社 廃=廃団地
■ルール■
1:最後の一人になるまでし合いをする。優勝者には自らが『神』となった平行世界が与えられる。
2:参加者たちにはランダムで支給品が与えられる。
3:死者五人毎に死者の告知放送を行う。
4:尚、12時間の間死者が出なかった場合全員の『爆弾』を起爆する。
5:放送ごとに禁止エリアが設定され、そこに進入した者も『爆弾』が発動する。
名簿
【参加者】15/15
○翁街護 ○沖崎翔 ○銀丘白影 ○佐原裕二 ○野神麗音
○福沢正也 ○由能寺雅弘 ○江之本澪 ○鏡御音 ○死神舞凪
○柄部霊歌 ○十上鈴音 ○葉桜くのん ○魅上礼 ○璃神妹花
【主催者――――楓坂闇薙】
- 43 :
- 投下終了。
では改めてこれからよろしくお願いします
- 44 :
- 投下乙です。
サイキッカーのロワってありそうでなかったんですよね。
新ロワ投下します。
- 45 :
- 小さな小さな脳みそを持つ頭が、それについていけていなかった。
『一体、何が起きているのか』と考えるのみで脳みそは答えを出そうとしていない。
今回なのも、幻影のなのかもしれない。そう、考えてしまいたいと思う自分が恐ろしい。
いつまでこのままなのだろうか?
変な首輪つけられて、手錠もつけられた。他の奴もそうだが、ほぼ寝ている。
恐らく知り合いもいるのだろうが、視界がぼやけてよく見えないし、顔までは確認できなかった。
普通なら、罵声とか、悲鳴とか、鳴き声とかあってもいいのに無いから、余計実感がわかない。
『っと、全員そろっているかな?』
小さな小部屋の前に大きく掛けられたスクリーンにあの青年の顔がどアップで映った。
不気味さと、シュールさで、思わず噴出しそうになったが、堪える。
こういう場合、ヒーローぶる奴は真っ先に死ぬ。見せしめとか言う存在には、絶対になりたくない。
仕方ないので、心の中で「大体分かっている」と少し呟き、「シュールすぎる!!」とつっこんだ。
『皆さん。こんにちわ!!!』
もちろん、子供向けの番組やヒーローショーのように声が帰ってくることは無い。
ほとんどは、ウザそうに画面をにらめつけている。
首輪をつけられ、手錠も掛けられ、いきなり大声を出されたらさすがに頭にくるだろう。
『あれ?元気が無いな。もう一度、こんにちわ!!!』
ってか、このタイミングで、返事返す奴なんていないだろ。
つぅか、こんばんわの時間じゃないか?
あーあ。早く終わってくれないかな‥‥。
どうせ、見せしめみたいなのして、ルール説明するだけだろ。
- 46 :
- 「眠いんだよ。起こすんじゃねぇよ。」
あーあー出ちゃったよ。見せしめポジションのヤツ。
でかいヤツだから、ぶっちゃけやばそうだと思っていたけど、ここで死んでくれたら楽だ。
ピーピーと機械音が流れていて、やばそうな展開を作っている。
何故か、音源は、近くにいたおっさんの首輪。
『あーミスッた。』
「嘘だろ!!止めろよ!!止めてくれよ!!!嫌だ!!!嫌だ!!!嫌だぁぁぁ!!!」
首が吹き飛んだ。
呆気ないほど、鮮やかに吹き飛び首の無い死体が転がる。
微妙に返り血がついた。
って、これ、明らかに誤爆だよね。
今、ミスッたっていっていたじゃんね。
あのデカイ男そうと思ったんだよね。
「なんだこれ。」
『何か言った?関勝宏君。』
「いや、何もないッです。」
目立つことしてされたくない。
死にたくは無い。ってことも無いけど、なんか嫌だ。
死にたいけど、死にたくない。すごく矛盾している。
僕もこの男みたいにされたのだろうか?
いつの間にか、辺りもざわついている。
「それじゃ、ルール説明す‥‥‥。」
「ちょっと待てィ!!!俺は許さねぇぞ!!!」
のっぺらぼうの青年(?)がいきなり飛び出すと、スクリーンに向かって走り出す。
ヒーロー気取ったヤツ。こいつも死ぬんだろうな‥‥。
ってか、スクリーンに抵抗するつもりなのか?
あれ?主催者すつもりだけど、せないよねこれ。
多分、幻影見せられているんだろうな‥‥
「ダストアウト。バイバーイ崖鉄平君!」
落とし穴に、のっぺらぼうは落ちていった。
しばらくすると、グシャという何かが潰れる音が聞こえてくる。
死因は転落による後頭部打撲か、そんなものだろう。
馬鹿みたいに目立つことはしない。そう決めた。
「最初に言ったとおり、僕の能力は完全催眠。いつでも君たちをせるんだよ。」
完全催眠。
この三日間。まるで、し合いに巻き込まれていたかのように見せかけられた。
痛みも、匂いも、音も、色も、性格も、行動も、全て惑わされた。
化け物のような能力。危険だ。
しかも、この爆弾付首輪。行動を抑制され、下手すれば死ぬ。
- 47 :
-
「ルールを説明するよ。よぉ〜く、聞くんだよ。聞き逃しても教えないから。」
【呉莫氏@ネタキャラ 死亡】
【崖鉄平@ネタキャラ 死亡】
【夢オチだったオリロワのキャラでロワ GAMESTRAT】
【色欲(アンドレイ・チカチーロ)@精霊】
[オリキャラ紹介]
呉莫氏(くれ・ばくうじ)
中年男。ネタキャラ。名前どおり誤爆死した。
崖鉄平(がけってぺい)
のぺらぼう。ろわらじおつあー2nd in 非リレーバトルロワイアルにて誕生したキャラクター。
色欲(アンドレイ・チカチーロ)@精霊
唯一、前ロワに出せかなった精霊。長谷川脱獄の前に、実は声だけ出している。
紅の目をした青年。『永遠の苦しみ』という、完全催眠を使うことが出来る。
- 48 :
-
○基本ルール
・し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が優勝。
・優勝者は無事にもとの世界へと戻れ、願い事をかなえられる
(幻影であるが、そのことは参加者に伝えられない)
・デイパック・ランタン・携帯電話・食料一日分・地図・時計・戦利品支給は行われる。
・禁止エリア(後術)やルールに違反した場合は首輪が爆発
・首輪の威力は、成人男性の首が胴体から離れるくらい
・見せしめ以外の十一人が死亡した、もしくは半日が経過すれば放送が流れる。
【放送】
・放送では、死亡者と禁止エリア、その他情報が言われる
○特別ルールについて
・24時間以内に優勝者が決まらない、15時間以内に死亡者が出なかったら自動的に全ての首輪が爆発。
・禁止事項を犯すと、特別制裁ルールが施行される。
・禁止事項を犯すと、首輪から声が流れる。
【禁止事項】
・十人異常、同じ建築物に存在する。
・特殊能力で、攻撃力やパワーなどの補助能力が短時間で急上昇する。
・主催者を害しようとする。
・17時間の時点で一人も害していない。
・首輪を解除した。
【特別制裁ルール】
・同じエリアに10人以上>建物内の生命反応が9人になるようにしないと、首輪爆発。
・補助能力上昇>特別制裁(どうなるかは、不明。)
・主催者害未遂>主催者からの制裁
・17時間時点で未害>一分以内に人をさないと首輪爆破
地図
ABCDE
1森森病森小
2学湖家家森
3家レ工林家
4警家デ空空
5×××デレ
空=空港 森=森 林=林 空=空港 レ=レストラン
病=病院 湖=湖 ×=禁止エリア デ=デパート
家=民家 小=小屋 警=警察署 工=工場
- 49 :
- 参加者
【精霊】6/6
○ボニー・パーカー(嫉妬)/○ジャック・ザ・リッパー(暴食)/○巴御前(憤怒)
○ビリー・ザ・キッド(強欲)/ヨハン・ゲオルク・エルザー(傲慢)/○チェ・ゲバラ(怠惰)
【元所有者】3/3
○関勝宏/○ジェイミー・バセット/○平沢健雄
【単なる伏線キャラ】6/6
○長谷川雫/○関春翔/○山口美雪/○ソ・ワルピン/○海棠/○伊達坂浩二
【名前が出てこなかった奴】3/3
○山口美砂/○平泉弥生/○伊達坂拳
【出すつもりだったキャラ】3/3
○諏訪悠磨/○暁秋九朗/○細身の男
【一般人。出す気無いよ枠】5/5
○エヴァン・グラニット/○香坂幹葦/○ヴェル・ロベス/○大塚英哉
【ネタキャラ。出す気なんて無いよ枠】3/3
○豆眼伽羅/○ク・レナドナ・キゲー/○雷音金倶
【二つ名キャラ。出す気無いよ枠】6/6
○瓜生雁茄(不死人し)/○阿亜吾アア(地獄の訪問者)/○フリックス(キモ笑い剣士)
○軌条口兵(灼熱の受験生)/○鈴木花子(凄く☆凡人)/○五条ひとみ(デリケートハート)
34/34
【主催】
○アンドレイ・チカチーロ(色欲)@精霊
○???@???
○???@???
○???@???
- 50 :
- ということで、投下終了です。
投げやりのように、完結させた前ロワの伏線回収とかするつもり。
- 51 :
- 投下乙です。
オリキャラでも癖の強そうな…。
変哲オリ投下します。
- 52 :
- 「…人しなんてしたくないな」
僕、轟車は隠れてお菓子を食べていた。
友達もいなく、ただお菓子を食べることが好きな男。
それが僕の特徴であった。
数少ない仲のいい人と言っても、深川君くらいのものだし。
彼も無口だから話すことはほとんどない。
「……あ、チョコなくなっちゃった」
袋に入っていた小さい英語のついたチョコがなくなっていた。
いつの間にこんなに減っていたんだろう。
僕はカバンの中からポテトチップス(450g)の大袋を出した。
ゲームセンターでよくある大きいのを一回でゲットしたから持ってきたのだ。
「死にたくはない、けど…正直、もう生きてなくてもいいかな」
ポテトチップスを5つくらい口に放りこむ。
口の中で大量に潰されていくのを感じる。
その中で血の味が少し混ざっているのを感じた。
唇を触ると血が付いていた。
唇が切れていたのか…と思ったところに痛みが生じる。
塩が傷口についていて地味に痛かった。
「……」
ポテチの袋をゴムで閉じてカバンにしまう。
その代わり出てきたのはグロック17という拳銃。
それをじっと見つめる。
エアガンではないのかとは思ったが、付いていた予備弾が本物であるのを見て本物だと実感する。
「これで人を―――――す」
窓からのぞいて見えた木に向かって銃を構える。
発砲はしないが、撃つふりをする。
少し時間が経った。
仕方ない――――そう思ってグロック17をカバンにしまう。
その代わり次はチョコチップクッキーを取り出す。
5枚組のが3つ入っているチョコクッキーだ。
これがお気に入りで大量に持ってきている。
「いただきます」
1つ開けて食べ始める。
好きなものはどんな所で食べてもおいしいものである。
それが例え――――し合いが舞台の島でも。
級友をさなくてはいけなくても。
「動かないで」
後ろから声が聞こえた。
その声には聞きおぼえがあった。
そう―――確か彼女の名前は―――――――。
【残り 30人】
- 53 :
- 昔、超巨大な会社を運営する名家がおりました。
代々第一子が引き継ぐ―――その第一子が私でした。
瀬戸家、その第一子が私、瀬戸麗華。
生まれてから人生のレールは決まっていた私はとにかく英才教育を受けました。
赤子のころから様々な語学を植え付けられました。
幼少のころには護身用の格闘技を何種類も受けました。
そんな完璧な人生を歩んでいた私にはないものがありました。
それは――――友人と言うもの。
父上は私には必要ないとおっしゃりました。
帝王とは孤独なものである――――だそうで。
でも、ある時私は一人の少女に声をかけられました。
「すごいむずかしほんよんでるね、なんていうほんなの?」
見た目はすごく可愛らしい少女という感じでした。
その時最初に感じたものはその印象―――。
その次に感じたものは、嬉しさでした。
始めて声をかけてくれた、それが嬉しくてたまりませんでした。
人前ではじめて泣いた瞬間でもありました。
私は今でも彼女に感謝しています。
「―――――雪子」
私は外に出て、はじめて気づいた。
雪子が、そばにいなかった事に。
「雪子――――どこなの――――?」
私が唯一信頼している人。
その人が今――――いない。
焦りが生まれてくる。
もしかしたらされそうになっているのかもしれない。
もしかしたら悪漢共に犯されそうになっているのかもしれない。
もしかしたら自分も考えすぎで無事なのかもしれない。
もしかしたら――――――死んでいるのかもしれない。
「ッ―――――!」
自分が冷や汗をかいていることに私は気がつきました。
だが―――私は帝王になるべき人間なのです。
こんなことくらいで焦ってはならないのです。
ここで私がすべきことは―――――。
「どうしよう――――分からない」
し合いに対抗するべきか―――?
いや、それは駄目―――会社に迷惑がかかるわ。
私だけの問題ではない、働いてくれている皆のためにも駄目だ。
じゃあ―――し合いに乗る?
駄目だ―――雪子をすことになってしまう。
それだけは駄目だ。
じゃあ―――どうすればいい?
- 54 :
-
「――――――――」
答えは、一つだけだった。
成功するかは分からない。
それでも――――この可能性に賭けたかった自分がいたのです。
「――――瀬戸さんじゃないか」
「ええ、轟君―――久しぶりというべきでしょうか」
「いや、そうでもないと思うよ」
初めて会ったのは、クラスでも浮いている轟車―――。
自分もあまり話したことはなかった。
相手が先ほど持っていたのは銃―――こちらの武器はスタンガンだったので、不利である。
だが、唯一の救いは轟君が乗っていないように見えること。
現に武器をしまいお菓子を食べている。
「―――さっそくで悪いんだけどさ、轟君」
「何?瀬戸さん?」
「――――――死んでもらえません?」
いきなり言い放った。
スタンガンを起動させて轟君に近づく。
しかし、轟君は動くことはなかった。
スタンガンによる一撃で轟君はうつぶせに倒れる。
「――――――ああ、こんなものですか」
クロッグ17を取り出して轟の額に押し付ける。
引き金を引く指が、震えた。
少し引くたびに増える重み。
少し引くたびに増える幻聴。
人し、鬼、悪魔、屑、瀬戸家の恥、消えてしまえ。
どんどん増えていく幻聴。
それは少しづつ、少しづつ、瀬戸麗華を崩していく。
瀬戸麗華という人間を崩していく。
「あ、あああああああああああああああ!!!!!」
思い切って、引き金を引いた。
そしてその瞬間、私は人者の名前を背負うことになった。
【残り 29人】
- 55 :
- 投下終了です。
今までのサブタイトルを決めてなかったのでここに。
1-1 フタリ、ヒトリ 1-2 決意/決別
2-1 run!run!run! 2-2 正当化☆BOY 2-3 虚しさと悔しさと自分の弱さ
3-1 sweetboy 3-2 人者誕生
以上です。
- 56 :
- 投下乙です。自分も投下します。俺得6 15:愛なんてものはバーベキューで食らえ
登場:源静香、レックス、倉沢ほのか
- 57 :
- 15:愛なんてものはバーベキューで食らえ
「うう……ドラちゃんにのび太さん、武さん、スネ夫さん、どこにいるのかしら……」
源静香は支給品である蕎麦切包丁を右手に持ち、平野部の道路の上を歩いていた。
微かに潮の香りと波の音が聞こえる。海が近いのだろう。
「どうしてこんな事に…」
「なぁ、そこの君」
「!」
突然聞こえた青年の声に静香は驚き足を止めた。
「だ、誰ですか? どこにいるんですか?」
声は確かにしたが姿が見えない、それだけで静香の恐怖は倍増する。
そして声の主が草むらから姿を現す。
漆黒の毛皮、赤い瞳を持った、巨躯の狼。
見るからに凶暴そうで、残虐な雰囲気を漂わせていた。
「ひっ…!」
狼の外見に気圧され、たじろぐ静香。
「ええと、驚かせちゃったかな?」
「え…」
しかし、狼の口からとても穏やかな口調の青年の声が発せられ、静香は再び驚く。
外見からは想像もつかない程優しい雰囲気の声だった。
「俺は君に危害を加える気は無いよ、し合いには乗っていないって事…」
「わ、私もです」
「そっか、良かった。俺はレックスって言うんだ、君は?」
「源静香です…あ、あのレックスさん、私、友達を捜していて……」
静香はレックスと名乗った黒狼にこのし合いに呼ばれている自分の友達の事を尋ねたが、
色好い返答は得られなかった。
「うーん、君が初めて会った人だな」
「そうですか…」
「…俺も人を捜しているんだ、稲垣葉月って言うんだけれど、赤い髪の女性だ。見ていないか」
「いえ……」
「そうか……折角だし一緒に行動しないか静香ちゃん」
「そうですね…お願いします」
一人で心細かった静香はレックスの申し出を受け入れ一緒に行動する事にした。
怖い外見だが悪い人(狼)では無いと、彼女は判断したのである。
◆◆◆
- 58 :
- (うーん、成長すれば美しくはなるだろうけど……そうなっても俺の好みじゃ……いや、いかんいかん、
俺は葉月一筋に生きるって決めただろう?)
同行して貰う事にした少女を黒狼レックスは観察する。
(葉月、生きていると良いんだが……まだ子供tktkしてないし)
「あれ…誰か来るみたいですよ」
「ん?」
静香が指差す先にレックスは視線を向ける。
すると確かにこちらに向かって歩いてくる一人の少女を発見した。
(……レックスリサーチアイ起動)
警戒するよりも何よりもレックスはその少女の身体を遠目から調べ始めた。
(良い…良いな、葉月には、葉月にはー負けるけれ、ど…見た感じ年齢は10代後半ぐらい…ムフッ、
右手に持った拳銃…こっちに向け、え?)
ダァン!!
銃声が響くと同時に二人の少し目の前のアスファルトが小さく抉れた。
銃撃された事は言うまでも無い。問題は少女がなぜ自分達に向け銃撃してきたのか。
考え得る答えは幾つかあるが、レックスはまずは少女と対話を試みる事にした。
「ひっ…!」
「くそっ、乗ってるのか!? 待て! 君! 俺達は……」
ダァン!! ダァン!!
「きゃっ…!」
「! 静香ちゃん!?」
再び銃声が響き、静香が呻き声をあげ、左上腕を押さえた。
僅かに赤い物が滲んで見える。
「い、痛い…!」
「……ッ、静香ちゃん、俺の背中に乗れ! 逃げるぞ!」
「は、はい!」
もはや対話は望めないと思ったか、レックスは負傷した静香に自分の背中に乗るよう促す。
静香も状況が逼迫していると悟りレックスの背中に乗り込んだ。
「掴まってろ!」
「はい!」
背中に静香を乗せレックスは北方向に伸びる道路を全速力で駆け始めた。
ダァン!! ダァン!! ダァン!!
背後から再び聞こえる銃声。
しかし銃弾は運良く二人を外れた。
レックスとその背中に乗った静香は襲撃してきた少女をどうにか振り切る事が出来た。
少女――倉沢ほのかは少し残念そうな表情を浮かべる。
「流石に無理があったかな、遠過ぎた……まあ、良いんですけど……はぁ、北沢さんはどこにいるのかな?」
ウェブリーリボルバーに予備の弾を込めた後、ほのかは黒狼の少女の走り去っていた方向に見える街並へ歩き始めた。
- 59 :
- 【早朝/F-3平野部:道路】
【源静香@ドラえもん】
[状態]左上腕に銃創、レックスの背中に乗っている
[装備]蕎麦切包丁
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:し合いには乗らない。友達を捜す。
1:レックスさんと行動。
[備考]
※稲垣葉月の情報を得ました。
※倉沢ほのか(名前は知らない)の外見を記憶しました。
※レックスと共にE-3方面に向かっています。
【レックス@オリキャラ】
[状態]健康、源静香を背中に乗せている
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???(1〜2)
[思考・行動]
基本:葉月を捜す。し合いはしたくないが必要なら戦う。
1:静香ちゃんと行動。
[備考]
※ドラえもん、野比のび太、剛田武、骨川スネ夫の情報を得ました。
※倉沢ほのか(名前は知らない)の外見を記憶しました。
※源静香と共にE-3方面に向かっています。
【倉沢ほのか@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康、狂気
[装備]W&SウェブリーリボルバーMkVI(6/6)
[持物]基本支給品一式、.455ウェブリー弾(4)、MkII手榴弾(3)、工事用ロープ、日本刀
[思考・行動]
基本:皆し。北沢樹里は惨たらしくす。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※レックス、源静香(どちらも名前を知らない)の外見を記憶しました。
※E-3方面に向かっています。
- 60 :
- 投下終了です
- 61 :
- みなさま投下乙です!レックス君好きだー。……でも、子供tktkっておい!w
四字熟語ロワ16話投下します。新年一発目は鏡花水月さん。
- 62 :
-
「なあ《私》よ」
「どうした《私》よ」
「《私たち》はここで、この娯楽施設において、一体何を成すべきなのだろうか?」
「ははは、何を言う《私》」
「決まっているだろう《私》。どこであろうと同じだ」
「どこまでも《私たち》は”役者”――」「ならば自らに課せられた”役目”を全うするのみであろう」
「そうだ、その通りだ」
「分かっているじゃあないか《私》」
「だが」
「だが?」
「では《私》の”役目”とは何か? し合うことか?」
「いいや、違う」
「違うぞ《私》」
「《私》に与えられた役名は”鏡花水月”」
「鏡に映る花、あるいは」
「あるいは水面に映る月のように、とらえどころのない美しさ」
「そう、鏡花水月に」
「そうだ、鏡花水月に」
「《私たち》は鏡花水月に成らなければならない」
幻影のような薄い霞みに包まれた駐車場の一角。
白銀の髪を厳かに装い、灰と浅葱の着物を着ている”役者”鏡花水月の声が、
その空間の四方八方からまるでエコーのように響いていた。
第一放送が流れても、鏡花水月は変わることなくA-2に鎮座している。
いいや、より正確にいうなら《鏡花水月たち》だろう。
鏡花水月はそのルール能力によって、エリア一つを貸し切って実体のある幻影を作り出す。
ほら、今霧の中から数人の男が出てきた。
それらはみな揃って鏡花水月の容姿をしている。
――この中で”本物”の鏡花水月は一人。他は全て幻想だ。
だが、蜃気楼や陽炎と違うのは、それがエリア内であれば実体も持っているということだ。
「精査の結果。幻影の《私》が持つ幻影の武器は、この駐車場の車に確かに傷を与えた」
「ただし、与えた傷もまた幻想だ」
「幻想の傷を与えた車をエリア外に運んだ場合、車は元の状態に戻った」
「そう」
「傷を与える行為もまた、幻影」
「しかしエリアから出るまでは、幻影は実体に限りなく近い」
「つまり、ここで起こる出来事は、真実以外でも真実として扱われるということだ……」
ずっとA-2に座し、来る者は惑わして四字熟語としての”役割”を果たそうとする鏡花水月だが、
だからといって何もせずに時間を過ごしていたわけではない。
自らのルール能力、《自分のいるエリア内に質量をもった幻影を発生させる》というそれについて、
彼はこの数時間を使って調べ上げていたのだ。
「もう一つ分かったのは、作れる幻影には制限が課せられているということ」
「嘆かわしいことだが、どんな幻影でも作れるわけではないようだ」
「大きさの制限、作れるのは親指サイズから車サイズまで」
「被写体の制限、此方以外の参加者の幻影は作れない」
「そして……かなり小さな刺激であっても、”受けた”場合には幻影は立ち消えてしまう」
- 63 :
-
水面に映る月が、少し水面に波紋を立てるだけで消えてしまうように。
鏡花水月の作り出す幻想もまた、少しの刺激でさえ致命傷となってしまう。
これらを踏まえると――無敵のように見えるこのルール能力にも、弱点は存在していることが分かる。
だが、それらは見破られなければ問題が無いものだ。
そして鏡花水月は見破らせない。だから、この空間のすべては、幻影に包まれる。
「鏡の前に置かれたその花が本当に実体なのかどうか、知る術などありはしない」
「だがしかし、鏡の向こうに見える花は間違いなく幻想だ」
「不確かな実体と、確実な幻想」「人はこの両者を並べられると、幻想を選んでしまう生き物だ」
「自らの愚かさに気付くことはない」
「鏡の中へ抜けてしまった少女から見れば、此方こそ幻影であるかもしれないとは考えない」
「故に人は間違える――此方のような者にさえ、間違えさせられてしまう」
「……少女と言えば《私》。
先の男が言っていた少女は、まだ生きているようだな」
「そうだな《私》。
だが、《私》が騙したあの男は死んでしまったらしい」
「悲しいか?」
「いいや、悲しくはない。それがあの男の”役目”であったのだろうと、不思議と得心している」
「恐いか?」
「いいや、恐くはない。此方も人だ、いつかは死ぬる。
次がもし此方の番であったとしても、悔いのない人生を”演じて”きたつもりだ」
「そうか――なあ、《私》。”演じた”人生は楽しかったか」
「《私》なのだから分かっているのだろう。なぜ聞く」
「いいや、これもまた一つの、《私》の”役目”であるからだ」
「そうか……ああ、そうだな」
「幻想ではない実態を確認しておかねばならないのは、此方もだ」
「《私》がその問いに答えを出せないことも含めて……《私》はいつも、決まった演目を演奏するだけの機械だった」
振り返ると鏡花水月は、自ら役者として役に徹するあまり、
それ以外の記憶がほとんど疎かになっていたらしい。
主催者側からの記憶操作はほとんどされておらず、代わりに嫌がらせのように、
自分の姿と目線以外に×が乱れ飛んで霞みがかっている。
さらに、多くのシーンは、三人称視点から自分を見つめた姿で脳内再生される。
否応なしに、ここに来る前の自分を見せつけられるのだ。
確かに綺麗だった。
鏡花水月と成った男が舞っていた舞台は、とても綺麗で完全だった。
だが――それだけだ。
「元からある”役”を完全に演じたところで。それはただ、言われたとおりに役を再現するのと同じなのだ」
「此方はただ、立派な葦として生えているだけで」
「造花でその身を飾らない代わりに、自分の意志で葉を広げようと考えることを、放棄している」
「ここですら。し合えと言われてなお、《私たち》は破綻してしまっている」
「自らの命よりも”役割”を優先している」
「鏡花水月になることで、舞台装置と化すことで」
「もし過ちを犯しても、此方ではなく”役”のせいであると言えるように……弱き心に予防線を張っているだけ」
「弱いのだ、《私》は」
「《私たち》は。結局誰もが、その結論に達する。人間は――弱いのだ」
ああ。
だから此方は、ただこのA-2に鎮座する舞台装置であろう。
誰も聞くものが居ない場所。
虚実の存在が入り混じる霞みの中で、鏡花水月は真実の言葉だけを連ねて、
自らの”役割”を改めて認識した。
- 64 :
- ここにあるのは舞台装置。
迷い込んで来たものを惑わすだけ惑わして、ただそれだけの、鏡花水月。
「誰も来ずとも構わない。誰かが来ても、構わない」
「夢を見る者、願う者、信じる者――《私たち》はその幻想を壊さない」
「壊さないことで、救われるか?」
「それとも先の男のように、破滅に向かうか?」
「願わくば、その顛末に最後まで、此方が関与せぬことを」
ふ、と消える。
駐車場のあちこちに薄くかげっていた霞が、鏡花水月の”独り言”の終わりとともに晴れ、
表向きA-2は何もない世界へと回帰する。
――誰かが。このA-2へと這入ってこようとしているのを、鏡花水月は察知したのだ。
「……うむ。問題はない。心配はいらない」
「此方は今回も、いつもと変わらない演目を成し遂げる」
さあ来いとばかりに発した凛とした視線は、侵入者の”二人”に届いているだろうか?
分からない。
分からないが、どうせ鏡花水月のやることは変わらないのだから関係ない。
惑わして、惑わすだけだ。
他のことをするつもりは、鏡花水月には無かった。
ふと、先ほどの男――心機一転との会話を思い出す。
心機一転をやり過ごすために、あのときは適当なことを言った。
彼を追っていたらしい少女……勇気凛々が現れたら説教でも食らわせてやるなどと。
笑止千万だ。
説教とは人格者が行うものだ。
どこまでも役者でしかない鏡花水月に、説教などできようはずもない。
「まだ生きているのだったな、件の少女は。
もしこのA-2に現れたら人格者の”役”でも演じてやろうか」
「むろん、真実味のない説教など、聞いても疎ましいだけであろうが……」
「ときに真実は、幻想を凌駕するほどに幻想だ。一秒先に何が起こるかなんて、お天道様でも分かるまい」
いつまでたっても曇ったままの空を見上げ、鏡花水月はひとりごちた。
けして日の目を浴びることのないし合いは続く。
決められている演目のように、悲劇的に。
【A-2/駐車場A地区】
【鏡花水月/舞台役者】
【状態】健康
【装備】不明
【持ち物】不明
【ルール能力】自分のいるエリア内に質量を持った幻影を発生させる
【スタンス】A-2に迷い込んだ参加者をただ惑わす
- 65 :
- 投下終了。
次回は数だけロワに登場早々アレな目にあってる勇気凛々ちゃんの顛末などです。
- 66 :
- たぶんこれが最後の追加になります。俺得いろいろロワ、四名の追加
【ましろ色シンフォニー-Love is pure white-】4/4
○瓜生新吾/○瓜生桜乃/○瀬名愛理/○天羽みう
を追加します。近々二話を投下できるといいなあ。
- 67 :
- 初めまして、皆様投下乙です。
私も非リレーロワを始めさせていただきたいと思います。
ロワ名は『好みの作品でバトルロワイアル』です。
まずは参加者名簿と地図を投下させていただきます。
OPはまた後日になります。
- 68 :
- 【参加者名簿】
【ムダヅモ無き改革】7/7
○小泉ジュンイチロー/○麻生タロー/○杉村タイゾー/○アシモ/○金将軍/○イゾルテ・ゲッベルス/○エルヴィン・ロンメル
【テイルズオブシリーズ】5/5
○ロイド・アーヴィング/○ヴェイグ・リュングベル/○ウッドロウ・ケルヴィン/○ミクトラン/○ガイアス
【ストライクウィッチーズ】5/5
○宮藤芳佳/○坂本美緒/○ペリーヌ・クロステルマン/○サーニャ・V・リトヴャク/○エイラ・イルマタル・ユーティライネン
【新テニスの王子様】4/4
○越前リョーマ/○真田弦一郎/○石田銀/○遠山金太郎/
【カッコカワイイ宣言!】3/3
○鳥/○くまさん/○センパイ
【コープスパーティーブラッドカバー 】3/3
【ソードアート・オンライン】3/3
○キリト/○クライン/○ヒースクリフ
○岸沼良樹/○森繁朔太郎/○刻命裕也
【エースコンバットZERO】2/2
○ラリー・フォルク/○パトリック・ジェームズ・ベケット
32/32
【地図】
ABCDEF
1海海街街原村
2海浜街街原原
3海浜川川川川
4原原村原原原
5山原原原原原
6山山村山山塔
浜…砂浜
そのエリア全域がこのようになっているわけではない。
(例・C3は川となっているが全域が川というわけではなく、陸地も存在する)
以上になります。
これからよろしくお願いします。
- 69 :
- いきなりですが>>69の名簿が一部おかしかったので修正
【コープスパーティーブラッドカバー 】3/3
○岸沼良樹/○森繁朔太郎/○刻命裕也
【ソードアート・オンライン】3/3
○キリト/○クライン/○ヒースクリフ
このようになります
- 70 :
- それでは、『好みの作品でバトルロワイアル』のOPを投下させて頂きます。
- 71 :
- 「……イラ。起きて、エイラ」
声が聞こえる。大切な、サーニャの声が。その声の導きのままに、私――エイラ・イルマタル・ユーティライネンは目を覚ます。
私は夜間哨戒で疲れてるんだけどなぁ……。まあ、それはサーニャも一緒なんだけど。
それに、サーニャに起こされるってことは目覚めてすぐにサーニャの顔を見ることができるってことだ。そう考えると疲れも吹き飛んでしまう。
大きく伸びをして、目を開く。最初に見えた景色は期待通りサーニャの顔だった。ああ、今日も可愛いなぁ……。どこか不安げな様子なのが気になるけど……。
でも、なんでサーニャがここにいるんだ? 私は夜間哨戒が終わった後、自分の部屋のベッドで眠りについたはずだ。
それなのにサーニャがここにいるということは……ああ、そうか。また寝ぼけて私の部屋に入ってきちゃったんだな。まったく、今日だけだかんな。
それにしてもなんか部屋の中が暗いぞ。サーニャはもう着替えてるみたいだし、電気ぐらいつけてくれたっていいと思うんだけどなぁ。
そういえば何でサーニャは私を起こしたんだろう? 今日は軍議の予定は入ってなかったはずだし……。
もしかしたら私が忘れてるだけかもしれないけどな。とりあえずサーニャに聞いてみよう。
「おはよー、サーニャ。どうしたんだ? ……あ、まさかツンツンメガネに何か言われたのか!?」
「違うの、エイラ。周りを見て」
サーニャにそう促されて辺りを見回す。まだ暗さに目が慣れてなくてよく見えないけど、気配や時折聞こえる話声から大勢の人がここにいるのがわかった。
未だ寝ている奴。私のように近くの人に起こされている奴。既に起きていて何か考え事をしている奴。見える範囲だけでも十数人はいるだろうか。
年齢も性別も、おそらく人種もバラバラな人間が、一つの部屋に集められていた。
そう、一つの部屋に、だ。私の部屋にこんな大勢の人間は入らない。
それに、501基地の内部というわけでもない。私とサーニャがいるのは、まったく来たことがない部屋の中だった。
「なんだよここ……そうだ! 隊のみんなは!? サーニャ、誰か見てないか?」
「いいえ、誰も見てないわ。私もついさっき目を覚まして、近くにいたエイラを起こしただけだから……」
私の問いかけに、サーニャは首を横に振りつつ答える。
ウィッチが十一人いる501基地から、私たちだけがこの部屋に連れてこられているとは考えにくい。
きっと他のみんなもこの部屋のどこかにいるはずだ。
だったらまずはみんなを探そう。ミーナ隊長や少佐、大尉がいればこういう事態でも的確な指示を出してくれるだろうから。
その時だった。部屋に、一人の男の声が響いたのは。
「全員が目を覚ましたようだな。では始めようか」
その声と同時に、部屋の明かりがつけられた。
これは幸いとばかり改めて辺りを見回すと、少し離れたところに見慣れた顔を見つけられた。
宮藤と少佐、それとツンツンメガメ。どうやらあちらはあちらで目覚めたあと合流できたみたいだ。ミーナ隊長や大尉、他のみんなの姿は見えない。
まあ、誰かがいることを確認できただけでもいいとしよう。。
今気にするべきなのは、さっきの声の主のことだ。始めようかと言ったからにはさっきの男が私たちをここに連れ込んだんだろう。
501基地からウィッチを誘拐だなんて、そう簡単なことじゃない。でも私たちがこんなところにいるってことは、さっきの男はそれをやってのけたんだ。
いったいどんな奴なんだ? すると、私が抱いた疑問に答えるかのように、またさっきの声が聞こえてきた。
「余の名はアドルフ・ヒトラー。もっとも、一部の者には言うまでもはないだろうがな」
- 72 :
- 声の発せられたほうを向くと、そこにはチョビ髭を生やした男が立っていた。
余だって? なんだか偉そうな奴だな。それこそツンツンメガネよりもよっぽど偉そうだぞ。
でも、あの男――ヒトラーって言ってたかな――の立ち振る舞いというか風格というか、まあその類のものはたしかに偉い者のそれだった。
なんだかカールスラントの皇帝に似てる気がしないこともないぞ。
「ヒトラーッ! キサマ、何をするつもりだッ!」
すると、今度はまた別の男の声が。なんかこのヒトラーって奴と知り合いっぽいな。
叫び声を上げつつ立ち上がったのは、高そうなスーツに身を包んだ男だった。あの偉そうなヒトラーの知り合いってことは、こいつも偉いんだろうなぁ……。
「そう騒ぐな小泉ジュンイチロー。何をするかは余が今から直々に説明してやる。
……さて、少し邪魔が入ったが本題に移ろうか。お前たちには、今からし合いをしてもらう。最後の一人になるまで、な」
……は? し合い? 最後の一人になるまで? 何を言ってんだこいつ?
「ふざけるなッ! ヒトラー!」
「そんなことやるわけないだろっ!」
「っべーわー! し合いとかマジべーわ!」
部屋の中は即座に怒号に満たされた。そりゃそうだよなぁ。し合いをしろって言われてはいそうですかなんて言う奴がいるわけないよなぁ。
かく言う私もし合いなんてやる気はさらさら無い。そんなことをするならウィッチになってネウロイと戦ったりしてないぞ。
「そう騒ぐな。お前たちの首に付いているものに気が付かないのか?」
「首だと……これは」
小泉ジュンイチローとか呼ばれてた男が首元に手を運ぶ。そこには鈍く光を反射する銀色の首輪が嵌められていた。
咄嗟に自分の首元にも手をやると、そこにもたしかに首輪は存在していた。そしてそれはもちろん、サーニャの雪のように白くてキレイな首元にも。
気付かない間にはめられていた首輪。これは不味いぞ。脳のどこかで警報が鳴り響いている気がする。
「この首輪はだな……ラインハルト、前へ出てこい」
「ハッ、総統閣下」
ヒトラーの声に呼応して、軍服姿の男が出てきた。
いかにも真面目な堅物軍人って感じの奴だ。
「お前には特別な任務を言い渡していたと思うが、それは別の者が遂行することになった。
よって、お前にはまた別の任務を今からやってもらう」
「はぁ……」
- 73 :
- そう言うと、ヒトラーはポケットから何やらスイッチのような物を取り出した。
なんだ? 何をするんだ?
ヒトラーがこの後何をするかを探るために、私は魔力を開放する。固有魔法である未来予知を使うためだ。
そして見えたもの、それは――
「サーニャ、見ちゃダメだ!」
「エイラ!?」
私がサーニャに覆いかぶさるのと、ヒトラーがスイッチを押して――爆発音が聞こえてきたのは、ほぼ同時だった。
部屋の中は一瞬、静寂に包まれる。そして一拍遅れて――
「嫌あああぁぁあああぁああっ!?」
「キサマァッ!?」
「嘘だろ!?」
「っべーわー! 首輪が爆発とかマジべーわ!」
怒号と悲鳴が響き渡った。
それも当然だと思う。ラインハルトと呼ばれた軍人の首から上が先程の爆発で吹き飛んだんだから。
「何ッ!? 何があったの!?」
「ダメだサーニャ! 見ちゃダメなんだ……!」
未来予知の固有魔法を持っていて本当によかったと思う。
あんな光景は、サーニャには絶対に見せたくない。
「このように、余は首輪を自由に爆破させられる。このし合いを妨害する者には今のラインハルトと同じ目にあってもらうことになるぞ。
……さて、それでは説明の続きをしようか。お前たちには一人一つずつこのデイバッグが与えられる。
中には様々な道具や武器が入っているから有効に使うべきだな。中身の詳しい説明は省かせてもらう。
次に禁止エリアについてだ。禁止エリアとは……」
その後も、ヒトラーによるルールの説明は続いた。
こんな状況でもその説明に耳を傾けられたのは私が軍人だからだろうか。
でも、私にできたのは説明を聞くことと、震えるサーニャの近くにいてやることだけだった。
「……説明は以上だ。では、これよりお前たちには第三帝国の技術力を用いて作った転送装置でランダムに余が用意した会場に移動してもらう。
移動が完了したその時がこのし合い――バトルロワイアルのスタート時刻だ。それでは、お前たちの健闘をこのヴァルハラ宮から見させてもらおう」
ヒトラーのその言葉と同時に、部屋にいるヒトラー以外の全員――このし合いの参加者の身体が光に包まれる。
「サーニャ!」
「エイラ……!」
私は咄嗟にサーニャに手を伸ばす。サーニャも私の方に手を伸ばしてくれた。
手と手が触れ合う、その直前。その直前に、サーニャの姿は掻き消えて。そして私も、同じように。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「……総統閣下」
「どうした、トリスタン」
「何故このような催しを? 小泉ジュンイチローを亡き者にするためならば、このような催しを開催せずともよかったのでは……」
「お前もまだまだ若いな、トリスタンよ。……そうだな、今は亡きスコルツェニーのように言うなれば、『余の慈悲深さは底なし』ということだ。しかし、今はそんなことは重要なことではない。
お前にも持ち場があるはずだぞ、トリスタンよ」
「……失礼しました、総統閣下。それでは持ち場に戻らせて頂きます」
「それでよい。……ククク……ハハハ……」
【ラインハルト@ムダヅモ無き改革 死亡】
【残り32人】
- 74 :
- 以上でOPの投下は終了です。
次回は鳥と空気王の出番になる予定。
- 75 :
- なかなかカオスな人選やなwww
- 76 :
- 投下乙です!新年最初の新ロワだー(よな、たぶん)
メンツも組み合わせも個性的な感じで期待してしまう!麻雀漫画のはずなのにムダヅモ勢主催に似合いすぎw
四字熟語ロワ17話投下しますー。四時の投下は久しぶり
- 77 :
-
感情は液体です。
だって、溢れるものだからです。
沢山の蛇口が付いた大きな大きな容器に入っている感情は、
”喜び”って書いてある蛇口や、”悲しみ”って書いてある蛇口を捻ることで出てくるんです。
こんなふうに、きゅっと。
いま私が捻った蛇口は、ちょっと前は”悲しみ”の蛇口だったらしいです。
でも《楽しい》って蛇口のラベルに書いてあるから、私は楽しくなる。
口が歪んで、こころがうきうきして、涙が出てきそうになって、
思わず私は目の前でうずくまっている髪の薄いおじさんに向かって汚い言葉を吐いてしまいます。
「あはっ、《ぶざまですね》、髪の薄いおじさん。死体をまだ守るんですか?
意味なんてないのに。自分が死んでしまうのに! 本当に――ばかですね!」
おじさんから返事は返ってきません。
まだかすかに動いているから死んではないと思います。
洒々落々さんに《落として》もらい、音もなく着地した一階で、抱き合っていた二人の男女。
その男の人のほう、名前も知らないけど髪の薄いこの人は、
さっき私が頭をかちわってあげた女の人の死体をいまだに抱きかかえたまま、私の《りんりんソード》を受け続けています。
もう、何度も何度も斬ったのに。
死んでしまった女の人を抱きしめたまま、されるがままにされているんです。
それはまるで、私が憧れ《て、いなかった》姿で。
見ているだけで鳥肌が立って、あたまの中でちかちかと光が鳴って、苦しくて。
だからまた、振り下ろすんです。
一撃で死んでしまわないようにじわじわと――とっても悪いやりかたで、逆にこいつらを苦しめてやるんです。
そうだ……だから。
《私が苦しんでいるのは、おかしいんです!》
「ぐあはぁっ……!」
「まだですか。痛いんじゃないんですか。苦しいんじゃないんですか?
私はさっきから、あなたが逃げられるだけの隙は与えているつもりです。なのに、なんで逃げないんですか!
……また斬ります。今度は右腕、次は左腕を順に落としてあげます。
だからこれ以上、良い事なんかしないで――その死体を見捨てて逃げてください!」
私が何を言っても、何回叫んでも、髪の薄いおじさんはぴくりともしません。
もう死んでいるのかもしれない、そうだったらいいのに、いいやダメなんじゃないか、頭の中がぐるぐる回って、
お酒を飲んでいるみたいな感覚になっていきます。
実際、私はお酒を飲んでいます。
酒々落々さんと出会ったあの駐車場で。そのあとの、あの男子トイレで。
でも、お酒を飲んでいる時のぐるぐるは気持ちいいのに、いまのぐるぐるは違います。
例えばそう、父や母に叱られて、
でもなんで叱られているのか分からなくて、顔をむすっとさせるしかないあの時みたいです。
父の記憶も母の記憶も消されているので例でしか言えませんが、
そんな感じで――いらいらして、むかついて仕方なくて、平たく言えばそう、理不尽なんです。
「理不尽なんですよ! 私はただ、《悪いことをしたかった》だけなのに!
うう、何で、何でですか? 清々しい気持ちになるはずの行為で、どうして私はこんなに苦しいんですか?
――いいえ、楽しいんです! 今にも泣きだしたいくらいに私、この行為を楽しんでる!
楽しんでいるのに、なぜか苦しいんです! 苦しまなくていいはずのことで、何で……教えてください!
教えてよ! うああ、あああ!」
- 78 :
-
目をつむった私はひときわ高く《りんりんソード》を掲げました。
これを振り下ろして、もやもやした気持ちと一緒にこの人もせばいい、そんな思いを込めて掲げました。
本当に、感情が液体だとするなら。
この時私は、私の心の許容量を超えた感情を溢れさせていたのでしょう。
いっぱいいっぱいすら超えてしまった、氾濫の様相でした。
でもその時、気の抜けたような電子音がして、
スピーカーを通したような奇々怪々さんの声が店内放送を始めて、剣が振り下ろされることはなくなりました。
名前が、呼ばれたんです。
心機一転さんの、名前が。
◇◇◇◇
「……ここまで、だな」
わずらわしい”店内放送”とやらが終わったと思ったら、
威勢よく剣を振り上げていたちびっこが魂が抜けたようにして床にばたりと倒れた。
吹き抜けの二階から茶番すぎる人劇を見ていたおれは、その顛末を見届けると小さく舌打ちをした。
つまらない終わり方だ、と思ったからだ。
――酒を飲んで過ごしていたらやってきたちびっこ、勇気凛々は、
何故かは知らないがちょっと狂った思考を持っていた。
少年漫画を読んで過ごしたかのような思考回路の、その一つ一つを逆さにしたような考え方。
”善”にすべきことを”悪”にし、”悪”にすべきことを”善”とする、
催眠術にでもかかったかのような異常性を会話の端からおれが感じ取るのに、大した時間は要らなかった。
しかしそこでそれを矯正しようとするほどおれはいい大人ではない。
おれは勇気凛々の、破たんした、逆さまの思考を逆手にとり、悪いことを教えた。
悪いことって何かって?
18になるまでは教えられねえかなあ、ぐはは。全年齢板だしよ。
まあ、性根は真面目な子なんだろうちびっこが、
なんか腑におちないような顔をしながらも”悪いことの気持ちよさ”に溺れていくさまは、
このおれが心を芯から震わせるほどに扇情的な姿だったとだけ言っておこう。
いやいや全く、役得だった。
親戚の×××は女子高生を襲ってこの前警察に捕まっていたが、これはあいつにも自慢できるだろうな。
……だが、今の劇は少し拍子抜けだ。
すっきりしたことだしもうちょっと遊んでみよう、と思って実際に悪いことをさせてみたわけだが、
勇気凛々は自分の破綻した思考に耐えられる精神力を持っていなかったらしい。
おれのルール能力でサポートしてやって一人をすところまではよかったが、
残った中年の男のほうが死体を守ろうと抱きかかえたあたりから変に様子が変わってしまった。
それでも割と面白い展開になっていたが、ぷつんと糸が切れたように倒れて終わりとか。
ぜんぜん面白くない。
「人間ってのは、ときに採算度外視の行動を取ったりするもんなんだがな。
このちびっこの考え方はどうも硬くていけねぇや。
”そんなことをする人がいるわけない”って奴に出会っちまったときの対処法も教えとくべきだった。
まあ、一人して、もう一人も再起不能にした。金星じゃねえが御の字だ。
もうちょっとトイレで教育してやらなきゃいけねぇようだが、これくらい働いてくれりゃあいい。
最後におれが生き残るために、使わせてもらうぜ、お嬢ちゃん」
- 79 :
-
中央階段を下りながら、おれは床に伏すちびっこに話しかけた。
喋った内容は比喩ではない。
おれはただ、勇気凛々を、この何にも分かっていないちびっこを道具として使うと決めていた。
欲望のままに犯し、どろどろにして罪を重ねさせ、依存させて、おれが居なければ生きていけなくする。
そして利用するだけ利用して、最期にはきっと切り捨ててす。
酒を飲むのと同程度に、おれの中でそれは楽しいと思えた。
とりあえず教育は後だ。今は眠っていてもらおう。
念のためおれは、自らのルール能力を使ってもう少し強めに《操作》をしておく。
――デイパックに残った酒瓶は二本。使うのはそのうち一つ。
おれが《操作》できるのは洒々落々の名前通り、酒だ……と思いきやそうではない。
正確には、酒が酒たるゆえんの物質。《”アルコール”を操ることができる》、のだそうだ。
ルール能力発動の合図は、酒瓶をラッパ飲みすること。
「ん……っくい〜♪」
ごきゅ、ごきゅと気持ちいい音をさせて喉を流れていく酒は、この時にかぎり胃には溜まらない。
《皮膚に溜まっていく》。目には見えないだろうが、感覚としてはそんな感じだ。
飲み終わり、空になった瓶をデイパックにしまう(これはこれで別の用途がある)と、
おれはいつもと違う場所に酒が溜まっている不思議な感覚に酔いしれた。
さあ、ここからがルール能力の使いどころだ。
《皮膚に溜まった酒は、おれの任意で皮膚の汗腺から霧状に放射され――酒の霧もまた、おれの任意で操れる》。
おれは《酒の霧》をそれなりの量だけ出して、まずは倒れているちびっこの方に向かわせることにした。
桃色の霧がおれの身体から沸き立って浮遊する。スピードは遅くはなく、すぐちびっこにたどり着く。
ちびっこの周りを包むようにして漂わせた《酒の霧》を、おれはさらに《操作》。
鼻から吸わせるようにして、おれはちびっこの体の中へ霧を侵入させた。
「あ……ひゃうっ。あっ」
「あらら、起きたか? 霧とはいえ、やっぱ異物が入ってきたら感じるもんなんだな。
でも今は寝とけよ。お嬢ちゃんがし損ねた男は……おれがしといてやっからよ」
突然だが、人がなぜ酔うのかのメカニズムを完全に説明できるやつは意外と少ない。
おれも全部分かっているわけじゃないが、”アルコールが回る”という言葉ならだいたいのやつが分かるはずだ。
言ってしまえばおれのルール能力は、アルコールを回す能力。
ちびっこの体内に侵入させた《酒の霧》はアルコールで出来ている。これをちびっこの頭に回せば、どうなるか。
しびれるのだ。アルコールは脳に回るとその機能をマヒさせる。
案の定、一度起きたようなそぶりを見せたちびっこは、眠り姫のようにすとん、とまた落ちた。
初めて使ってみたが、このルール能力も意外と使えるな。
「さて、次はこっちだ」
おれは次に、ちびっこがせなかった男のほうを向く。
ちびっこに対しては昏睡させる程度の量しかアルコールを入れなかった
(これでもけっこう危険だ。あとですぐに抜く)が、こっちの男の方にはもっと別のアプローチをかける。
急性アルコール中毒、という言葉を知っているやつはまあ多いだろう。
一気に酒を飲むことによって肝臓の許容量をアルコールが越え、脳が完全にマヒして心停止とかになる症状。
なったことはないから分からんが、確かそんな感じのアレ。――おれのルール能力なら、起こせるはずだ。
ナイフも毒も使わない。最も安価で安全、かつ確実にすことが出来る。
試さない手はない。
- 80 :
-
おあつらえ向きなことに、死にかけの男は肩で息をするのみでもう動けないようだ。
本当に馬鹿な男だ。
せめて反撃の一つでもすればいいものを、この男、
どうみても死んだと分かる連れの少女を守り抜こうとしていた。
不意打ちぎみに目の前で仲間をされて動転していたか、生きていると信じるほどに追いつめられていたか、
もう喋る気力もないらしい今となっては聞くことも叶わないが……”放送”は終わった。
連れの少女の名前も呼ばれただろう。少女が死んだということを耳で理解させられたはずだ。
「大丈夫だ。すぐに仲間のとこに連れてってやらぁ。痛くもないし、一瞬だ。
おれしか見てないから、安心してけや」
端から見たら、この言葉はある種の慈悲に見える。
実際にはちびっこを眠らせたのは、おれしか男の死にざまを見ていない状態にするというより、
ちびっこにおれのルール能力と人方法を知られないためっていう側面が強いが、まあものは言いようだ。
《酒の霧》が再び現れる。今度は、さっき飲んだ分の残りすべて。
摂取すれば確実に冥土に旅立てる量のアルコールだ。
酒には強い、弱いがある。
アルコールを分解する酵素の量の違いがその強弱を決めるのだが、
いくら酒に強かろうと、おれの《酒の霧》はそもそもアルコールを分解する肝臓を通らない。
犯したい部位に直接染み込ませるから、どれだけ酔いに強かろうが弱かろうが関係が無いというわけだ。
ふわり、と進む桃色の霧が、血まみれの男の周りを囲む。
なんで色が付いているかは知らないが、無色より操りやすいのはいい。おれは霧を《操作》し、
見るも哀れな男に引導を渡してやろうと――確かに、そうしようとしたはずだった。
不思議なことが起こったのは、その次の瞬間だった。
「あ?」
《霧が弾かれた》のだ。
いや、弾かれたって表現は適切さに欠けていた。かき消された、というほうが近い。
《酒の霧が、かき消された》。
それも、動けないと思っていた血まみれの男の手がほんの少し虫を払うようなしぐさをしただけで。
どういうことだと思っていたら、不思議な現象はさらに続いた。
無言で、男が立ち上がったのだ。
「 」
「……おいおい、何の冗談だ?」
問いかけてみたが、返事はない。
ベージュのスーツを自分や連れの少女の血で汚した男の姿は、まるでゾンビのようだった。
目に光が無い。
――自分でもなぜ立ち上がれるのか、なぜいまさらになって立ちあがるのか、全く考えていないような。
あるいは、考えることさえしていないような。
そんな佇まいをしている。
- 81 :
-
男は深く息を吐いた。
すると、ごぼごぼ、と嫌な音を立てて、男の口からどろりとした血のかたまりがよだれのように出た。
しかしそんなことは意に介していないらしく、男が次に取った行動はまたおれを驚かせた。
少女を。
頭を割られ、死んでしまった少女を床に寝かせ、腕を聖女のように組ませて。
弔いとばかりに両手を合わせ、黙とうを始めたのだ。
おれが見ていることくらい知っているだろうに、もう男の目はおれを見ていないようだった。
……なめてんじゃねえぞ? 恐れを知らん若者だったらこう言うところだったが、
生憎おれは酸いも甘いも知ってしまった人間。すでに、《酒の霧》が弾かれた理由に目星はついている。
「おい」
「 」
「無視すんなよ、ゾンビおじさん。無理して動いてまで仲間の弔いたあ、ご苦労なこった。
だけどもう限界だろう? 酒でも呑んで一旦休戦といこうぜ? この銘柄、名も知らなかったが美味なんだ」
「 」
「……なんてな。分かってるよ。あんたの名前は軽妙洒脱。
つまりそのルール能力が、おれのアンチ……《酒を脱する》能力でもなんらおかしかねぇ」
反応はないが、つまりそれは肯定とも取れる。
おれからしたらほとんどこの推測は確信に近かった。
ルール能力は能力である前にルール。破るにはルール能力しかないのだから。
そう、軽妙洒脱……この男がここに来ておれに余裕を見せたのも、”おれのルール能力”を知ったから。
自分のルール能力がおれのルール能力を完封できるものだと、勘違いしたからだろう。
「だが甘い、ぜ。チューハイ程度にな」
おれはようやくこちらの方を向いた男に見せつけるように、デイパックからあるものを取り出した。
空になった酒瓶。二本。
言ったはずだ、酒瓶もあとで別の用途に使うって。
それに、言ったはずだ。おれはちびっこが、勇気凛々が二階から一階に飛び降りるのを”手伝って”いる。
《アルコールを操る》能力でそれが出来るか? 否。
つまり導き出される答えは一つだけだ。
「おれのルール能力は二つある」
――ルール能力は、一人に一つとは限らない。
おれは酒瓶をジャグリングを始める奇術師のように両手に持つと、それを高く、高く放った。
放られたものは落ちてくる。
《酒瓶は空中でぶつかり、派手な音を立てて破片となりながら――軽妙洒脱の方へ向かって降りそそいだ》。
- 82 :
-
ガラスで出来たそれは人をすための流星雨。
洒々落々の《酒》ではない方、《落》のルール能力。
だが、完全に不意を打ったはずのおれの攻撃にも、軽妙洒脱は姿勢を崩さなかった。
目を遠くに泳がせたまま、血まみれのスーツでその場に立ち尽くす。断罪の時を待つ囚人でもこんな寂寥感は出せない。
なのにその口だけが動いた。
おれとちびっこが襲撃をかけてから、声も出せなくなっていた口がここで喋った言葉は、
漢字にすれば四文字で表せるとても短い言葉。
「……一発殴る」
その言葉とともに、軽妙洒脱は悲劇的に笑い始めた。
握りしめた拳が硬すぎて、笑うしかなかったんだろうとおれは思っている。
【B-1/娯楽施設・中央大通り一階】
【軽妙洒脱/ショー芸人】
【状態】全身に多数の裂傷、精神衰弱
【装備】なし
【持ち物】基本支給品、壊れたレーダー、包丁×2、二日分の食糧、
ショーに使えそうな楽器、金属バット、フライパン
【ルール能力】詳細不明
【スタンス】一発殴る。
【勇気凛々/女子中学生】
【状態】昏睡
【装備】なし
【持ち物】化粧用の手鏡、ボウガン
【ルール能力】勇気を出すとりんりんソードを具現化できる
【スタンス】気絶
【酒々楽々/わるいおじさん】
【状態】笑うしかねえぜ
【装備】なし
【持ち物】酒瓶×1、空の酒瓶×7
【ルール能力】酒◇アルコールを操る。落◇詳細不明
【スタンス】適当。りんりんで遊ぶ
――――
投下終了です。
このパートの続きは19、21話と続く(予定)で、しばらくこのパートがメインです。
上手く書けるかなー。
- 83 :
- 投下乙です。おお〜!!二つ目の能力か‥‥気になるなぁ〜
ってなわけで、夢オチロワを投下します。
一話「女とツキナシと馬鹿‥‥そして、ギャンブル」
- 84 :
-
「ちょっ!!!ゴボッゴホ!!!たすッか!!!」
開始エリア水の中って、ツイて無いってレベルじゃないよ!!
支給品も沈んでいくし、体もだんだん沈んでいくし!!
ちょっと、ヤバイ。ちょっとこれヤバイって。
足つった、足つった。沈むってこれ!!沈むってこれ!!
え、ちょっと。他の参加者来ちゃったって。
なにこれ、片手にマシンガン持っているよ。
あーやばい、されるわ。こりゃ撃たれる。
溺死するのと、されるのどっちが先かな。
ツイてない、というレベルじゃない。コレ。
「手に捕まれ‥‥子供‥‥。」
差し出されたのは、手。
手?ってあれ。これ、予想外。罠かな?
ってか意外と、浅っ!!
「心配‥‥するな‥‥すつもりは無い‥‥。」
◇
「私の名前は‥‥瓜生雁茄だ‥‥。よろしく頼む。」
警戒はしないとならない。
片手にはマシンガン。握手を求めているとはいえ侮れない。
っていうより、握手っておかしいよね。
「私の名前は、山口美雪。よろしくお願いします。」
こんな感じかな?
と、思ったけど、まあいいや。この女の人強そうだし。
怪しいし、警戒しないといけないはず。だけど、それえお出来るほどの神経は無い。
人をすことは怖いし、出来たらしたくない。
し合いに参加させられている。そして、私の考えは矛盾している。
「おー集まってる、集まってる。二人もいる。」
声が聞こえた。高い男の声。
声の主は、両手を挙げてこちらへ向かって歩いている。
深緑のコートを着た、感じよさそうな容姿の男。
名前は分からないが、し合いには乗ってなさそうな顔をしている。
危険。という言葉は無い。
- 85 :
-
「止まれ‥‥し合いに‥‥乗っているか?」
「聞きたい〜聞きたい?」
「調子に乗るな‥‥男。」
「分かった。乗ってない。」
男の答えも、雁茄という女の人の答えもNOだった。
心強い。けれど、少し心配でもあった。
ここにいる全員が生き残れるか、という。
怖かった。もしも誰かが裏切るかもしれないと考えると。
「俺の名前は、平沢健雄。南雲市警察の刑事やってます。」
「私は‥‥瓜「別にいい、名前を言わなくて。」
男の声と、瓜生さんの声が被った。
故意に重ねてきた。嫌な予感しかなかった。
「今から死んじゃう人の名前なんて興味ない。」
平沢のコートのそで下から、小型の拳銃をスライドされる。
デリンジャー。この拳銃の名前は知っていた。
小型拳銃。リンカーン大統領を暗するために使った拳銃。
それを、左手に構えた。
銃口は私に向けられている。
「さて、一人目かな。」
「そうは‥‥させない‥‥。」
バン!バン!バン!
銃声が何発かの響いた。
平沢のデリンジャーも、瓜生さんのマシンガンも発砲されていない。
「どう‥‥なっている?」
続いて爆音。
近くにあった、家が吹き飛んだ。
爆発と共に、瓦が隕石のように降り注いだ。
窓ガラスの破片も、吹雪のように、飛び散る。
「‥‥クソ‥‥逃げられた‥‥。」
◇
- 86 :
- ところ変わって、近くの民家。
平沢刑事と、瓜生雁茄がニアミスした数分前の話。
テンガロンハットを被った青年、ビリー・ザ・キッド。
固有能力、『空気銃(エアガン)』を所有する。クラスは強欲。
アウトロー。彼の職業。
(ったく、馬鹿じゃねーのか?色欲のヤロー。)
色欲こと、アンドレイ・チカチーロ。ロストフのし屋、赤い切り裂き魔。
容姿がかなり異なるのは、精霊であるため、まったく違う肉体を受肉したからである。
能力は完全催眠。それによって、騙されていた記憶。
記憶の混乱を招くため、困惑しているしている者も少なからずいる
少なくとも、ビリー・ザ・キッドは例外である。
(ってか、なんだこりゃ?)
彼が居た西部開拓時代には、少なくともテレビは無かった。
彼が居た西部開拓時代には、少なくともラジオは無かった。
彼が居た西部開拓時代には、少なくとも冷蔵庫は無かった。
彼が居た西部開拓時代には、少なくとも除湿機は無かった。
彼の目に映る、全てが新鮮な光景。
だが、好奇心と同時に、色欲の幻影や罠である可能性があるとも考えている。
四角い、ガラスのついた箱の突起物──テレビの電源のスイッチ。
好奇心旺盛の彼には、押したくてたまらなかった。
『続いてのニュースです。市長選挙の開票の結果は、○○さんが優勢で‥‥』
大音量の、音が部屋中に響く。
誰もいなかった、箱のガラスの向こうに、いきなり女が現れた。
彼は、恐らくそう考えたであろう。
参加者とニアミスしたと勘違いしたビリー・ザ・キッドは恐るべき事を口にした。
「てめーは、し合いに乗っているのか?」
『○○氏は五百表の大差をひっくり返し‥‥』
「おい‥‥シカトはねーだろ。」
『では、明日のお天気です。』
「おい、俺様でも怒る時は怒るぜ。」
『現場の××です!!』
「クソ!!新手か!?二対一は卑怯じゃねーのか。」
『以上でした。では、また明日。』
(逃げやがったか。女はりたくねーからな。ラッキーだぜ。)
「変わっている奴だ。」
声が聞こえた。
実は、もう一人。その家の中には、精霊がいた。
ビリー・ザ・キッドが死んで、数百年後処刑された男。
精霊の名前は名前は、ヨハン・ゲオルク・エルザー。ヒトラー暗に失敗したテロリスト。
片手には、手榴弾。安全ピンはすでに抜かれて、衝撃をくわえたら、確実に爆発する。
バン!バン!バン!
人差し指を向けると、気圧の利用して、銃弾のように腕を撃ち抜く。
「俺様の能力を忘れたとは、言わせねーぞ。」
「お前は馬鹿か!?」
腕にぽっくりと穴が開き、穴からは袋から水が漏れたかのように、血が流れる。
痛みと衝撃のせいで、手を握ることは出来なかった。
だから、ゆっくりと、エルザーの手からは、手榴弾が転げ落ちた。
- 87 :
-
それが、民家爆発の原因である。
◇
「だ、大丈夫ですか!?」
銃口を向けられた矢先、家が吹き飛んだ。最早、理解できる範囲のことではない。
あの、平坂という刑事のトラップだった?ならば、何故、さずに逃げた?
疑問ばかり残るだけで、何が起きているのか分からなかった。
原因が、どうと嘘をつかれても信じてしまうと思う。
もう、何も理解できない。
「ゲホゲホ!クソ‥‥無茶苦茶しやがるな。」
ジーンズの履いた片足が、瓦礫を蹴り上げて吹き飛ばした。
続いて、手が出てきて、胴体と思われる所に乗っていた瓦礫を投げる。
昔見た、スプラッター映画で見たことのある光景。
中からは、おっかない人鬼が出てきて、戮の限りを尽くす。
むっくりと、何かが出てくる。
私は、それを見る事しかなかった。
もう、最早、人知を超えているような気がする。
「‥‥気をつけろ‥‥何が出てくるかは‥‥分からない‥‥。」
アイスホッケーのマスクを被った人鬼、無敵の人アンドロイド。
発狂してしまう。ソレを超えた。
出てきたのは、予想を裏切る、テンガロンハットを被った青年。
まったく、おっかなそうには見えない。
「おー良かった、助かったぜ。」
「動くな‥‥動いたら‥‥す。」
「ちょいちょい、待てって。俺様は、オメーらをす気なんてねー。」
「生憎‥‥こちらは‥‥お前をす気がある‥‥。」
え?と思ったときには、銃声が聞こえていた。
構えた、マシンガンからは、数十発の弾丸が発射されたていく。
同時に薬莢も次々と、地面に落ちていく。
ズドドドドドと言う銃声が、地響きのように伝わった。
- 88 :
-
「‥‥全部‥‥外れた!?」
テンガロンハットが穴だらけになって瓦礫の上に転がっている。
金髪碧眼の青年は、呆れたような顔をして、こちらを見ていた。
マシンガンの重さは、相当なもののはず。
だが、確実に一発は命中していたのは確認できた。
男の腕にあるかすり傷のみが、被弾したという証拠。
「どうなっているの?」
これほどの、民家崩壊でも無傷だった青年。
これほど、乱射されたのに、無傷の青年。
化け物だ。化け物としか、現しようが無い。
男の腕からは、わずかに血が垂れる。
「女とガキには、手を上げねーつもりだ。」
「だから‥‥どうした‥‥?」
「出来れば、すのは避けてーんだ。」
「‥‥大体、察した‥‥。」
「ここから、立ち去れ。」
「分かった‥‥。」
あんな、瓜生さんも化け物との戦闘を控えたいはず。
マシンガンの銃口を男から遠ざけた。
もしも、男が裏切るかもしれない。だが、裏切っても抵抗は出来ない。
化け物だから、常人の私達には、せない。
「瓜生雁茄だ。‥‥名前だけ‥‥名乗っておこう‥‥。」
「俺様の名前はビリー・ザ・キッド様だ。次名前を聞く時は、地獄だぜ。」
「えーと、私の名前は、山口美雪です。」
ビリー・ザ・キッド?
あれ、どこかで聞いたことのある名前だ。
頭の中で、考え、探ったが、記憶の中から搾り出すことは出来なかった。
「フン‥‥下らない‥‥。」
え、ちょ、何?
どんな人それ。
有名人?芸能人?ハリウッドスター?
私だけ分からないんだけど。
ね、話の輪に混ぜてよ。
いったい、誰なの?
「早く行くぞ‥‥山口‥‥。」
疑問の残る、瓦礫の山から私と瓜生さんは立ち去る。
- 89 :
- 【一日目/深夜/E-3・家】
【山口美雪@単なる伏線キャラ】
[状態]健康、混乱 ずぶ濡れ
[装備]なし
[道具]なし
[思考]
基本:し合いには乗らない
1:どうなっているの?
2:ビリー・ザ・キッド‥‥だれだっけな‥‥?
【一日目/深夜/E-3・家】
【瓜生雁茄@二つ名キャラ】
[状態]健康
[装備]M60(残弾:少)
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜2
[思考]
基本:不明
1:ビリー・ザ・キッド、平沢を警戒
2:とりあえず、山口と合流
【一日目/深夜/E-3・家】
【ビリー・ザ・キッド@精霊】
[状態]健康、腕にかすり傷
[装備]なし
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜3
[思考]
基本:女と子供はさない
1:できれば、したくねーな〜。
※ビリー・ザ・キッドには気づいていません
◇
息がしにくい。
手榴弾の破片が胸部に直撃し、鎖骨が折れている。
爆風で吹き飛んだ。手榴弾の威力を変化させたためだ。
固有能力である『誤爆弾』。爆発の威力を無限に変える事が出来る。
ただ、狙った目標は爆出来ない。つまり誤爆だ。
テレビを狙って、ビリー・ザ・キッドを爆死させようとしたが失敗した。
バチが、当たったというのか。
出血は、腹部と片腕の傷口から大量に出ている。
右足が動かない。足にいたっては、肉が捲れ上がり、骨が顔を出している。
それにようやく気づいた。
体中の激痛で、動けそうにも無い。
もう絶望的。あとは、死を待つだけしかない。
- 90 :
-
「クソッ‥‥あのガキが!」
声は掠れている。肺からの呼吸が十分でないためである。
全ては、ビリー・ザ・キッドのせいだ。
あの男が、考えなしに右手を撃ったから、手榴弾を落とし爆発した。
能力は、『空気銃』。能力的には、こちらが上のはずだった。
「久しぶり。ゲオルク・エルザー。」
元所有者だった男、平沢健雄。
幻影の中で、共闘し戦った男だ。
閣下。そう、呼んでいた。
彼は残酷な性格だ。恐らく、される。
死ぬ。ようやく、るようだ。
恐らく、一人目の脱落者か。
見っとも無い死に方だ。
「俺も優勝したいんで、んじゃ。」
小型の拳銃。デリンジャー。
引き金には人差し指。力を入れたら、る。
いつされるかも、彼の気まぐれしだいである。
彼の言葉からすると、今からでもされるだろう。
ゴチン!
奇妙な音が鳴った。
少なくとも、デリンジャーは発砲されていないはずだ。
銃声でもない、鉄が何か硬いものに当たるような、そんな音。
「だ、大丈夫で、ですか?」
どうやら、助けられたようだ。一人の少女に。
見たことがある。確か、ビリー・ザ・キッドの所有者だった少女。
雨の日。刑事を二人した日にいた。
もしかしてコレは罠か?
だが、このヘタレの少女が罠を仕掛けてくるとは思えない。
この少女はどう動く?
ここで、せば、優勝はしやすくなる。
さなければ、しに来るかもしれない。
となると、されるのは、目に見えている。
- 91 :
-
「わ、私を警戒していますか?」
「ああ、そうとも。」
「わ、私のな、名前は、平泉弥生です。」
「‥‥どういう、風の吹き回しだ?」
「じ、じじ自己紹介です。す気は無いです。」
「お前も、あの日見たはずだ。二人の人間をした。」
「けど‥‥目の前で、人が死んで欲しくないんです!!」
くだらない、覚悟だ。
コレは、ギャンブルだ。人をさずに優勝できるかなんて。
さないと自動的に、爆死する。
生存できる可能性は、ほぼゼロパーセントだ。
あくまでも、“ほぼ”ゼロパーセント。
少しでも可能性がある。
まったく、馬鹿なヤツだ。
だが、面白い。その賭けに乗ってみようじゃないか‥‥。
◇
【一日目/深夜/E-3・家】
【ヨハン・ゲオルク・エルザー(傲慢)@精霊】
[状態]右手、右足出血(大) 衰弱気味
[装備]不明
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜2 手榴弾(個数不明)
[思考]
基本:精霊は皆しにする
1:クソ‥‥!
2:もう助からない
【一日目/深夜/E-3・家】
【平沢健雄@元所有者】
[状態]健康、気絶
[装備]デリンジャー(2/2)
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜2
[思考]
基本:他の参加者の前で好青年を演じて、隙を見て、す。
1:優勝したいな〜
【一日目/深夜/E-3・家】
【平泉弥生@名前が出てこなかったキャラ】
[状態]健康
[装備]火掻き棒
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜2
[思考]
基本:し合いには乗らない
1:男(ゲオルク・エルザー)を助ける。
※ビリー・ザ・キッドには気づいていません
- 92 :
-
[オリキャラ紹介]
強欲(ビリー・ザ・キッド)
金髪碧眼の青年。精霊。正体は、アメリカのアウトローであるビリー・ザ・キッド。
女と子供はさなというポリシーを持つナルシスト。頭が良くない。
固有能力は『空気銃』。体中から、気圧を変化させた物質を飛ばすことが出来る。
スタータスについては、前ロワ参照。
山口美雪(やまぐちみゆき)
ショートカットの高校生。山口美砂の姉。
関勝宏の同級生で明るいが、尽く運に恵まれていない。
瓜生雁茄(うりゅうかりな)
スタイルの良い女性。それ以外は不明。
『不死人し』という二つ名を持つ女性で、戦闘経験に長けている。
平沢健雄(ひらさわたけお)
汚職警官。海棠、伊達坂の同僚。残酷で腹黒い性格。
それ以外は、前ロワ参照。
傲慢(ヨハン・ゲオルク・エルザー)
軍人のような男。正体は、ヒトラー暗未遂犯、ゲオルク・エルザー。
固有能力は『誤爆弾』。爆発物の威力を変化させれるが、誤爆しかできない。
スタータスについては、前ロワ参照。
平泉弥生(ひらいずみやよい)
極端にヘタレな大学生。実は、森久保組若頭(ジェイミーによって暗)の娘。
幻影の中では、ビリー・ザ・キッドの所有者だった。
投下終了です
- 93 :
- 皆様投下お疲れ様です。
自分も投下します
- 94 :
-
あの町は嫌いだった。
嫌で忘れたくて、それでもどうにもならない思い出ともいえない記憶がこびりついてるから。
毎日学校に通い、授業を受け、友達とだべり、そして帰りたくもない家に帰る。
何も新しいことなど始まらないだったのに。
朋也(……………)
やたらと自然の多い場所だった。
山を迂回しての一々面倒な登校。
すべての山を切り開けば、どれだけ楽に登校できるのだろうか
直線距離を取れば、20分ぐらいは短縮できそうだった。
朋也(一日、20分……。するとそういやあの時は諦めたが一年でどのくらい、俺は時間を得することになるんだ…)
計算しながら、呆ける。
朋也(ああ、やっぱよくわかんねぇ……)
辺りに友達の姿は愚か顔見知りはいない。
本来であれば繁盛していて賑わっていてもおかしくないであろうショッピングモールがあった。
今日が休日というわけでもない。
つまりは…そんな買い物を出来るような状況ではない、ということ。
そんな閑散としたした光景を目の当たりにしても俺は焦ることなく、悠長に歩き続けた。
……。
一度、立ち尽くす。
朋也「はぁ」
ため息と共にコンクリート固めの天井を仰ぐ。
視線の先には、何もなかった。強いて言うなら衣服がいっぱいあった。
特に俺は意に介さず、歩き進めようとする。
声「はぁ」
別のため息。俺のよりは小さく、短かった。
発生源である背を見ている。
そこには、俺の背でゴロゴロ言ってるなんとも惨めな女生徒がいた。
聞いた話だと同じ三年生らしい。
けれど見慣れない顔だった。当然の話だ、聞き慣れない学校の生徒だというのだから。
長い髪が、俺の背中で踊っている。
女の子「………」
何故だか知らんが怒った顔だった。
俺は特に衣服に興味がないから素通りしたが、こいつは違うのだろう。
- 95 :
- こんな異例な場に置いてよくもまあそんなこと思えると逆に俺はその胆っ玉に称賛するよ。
女の子「うんうん……」
何かを自分に言い聞かせるように、目を瞑って、こくこくと頷いている。
女の子「………」
そして少女は目を見開く。
じっと、目の前に広がる衣服の山を見つめた。
女の子「おにーさんはさ、服が好きかい?」
名指しで指名される。
けど、俺に訊いているのではなかった。
一人で、誰ともなしに問いているのだ。
俺だったら、どう答えるべきなのだろうか。
女の子「ぼくはとってもとっても好きだぜ」
女の子「けどさ、たとえお気に入りの服があったところで何時までをそれを着るわけにはいかない」
女の子「なにもかもさ、変わらずにはいられないんだよ」
女の子「汚れるし、解れるし、そして流行おくれになるもんね」
女の子「たとえ高くても、お気に入りでも、安くても、杜撰でも」
女の子「変わらずには、いられないんだよ。その度にぼくは、泣きそうになる」
過去捨ててきた服を思い返しているんだろうか。
なんか泣きそうな口調で、話し続ける。はっきりいってどう対処すればいいのか困る。
女の子「それでもさ、服を一々好きできるのかなあ」
…………。
俺は思い出していた。
以前、俺は長い長い、校門へとつながる坂で、似たようなことを聞いたんだった。
尤もあっちの方が言ってることは高尚だったんだがな。
あの少女は、止まっていた。立ち止まっていた。立ち竦んでいた。けれど、前に進んだ。
ならば、この少女はどうなんだろうか。
この少女は、弱いんだろうか。……俺と同じ様に。立ち止まってしまうんだろうか。
女の子「ぼくは……」
朋也「だったら、もう一回見つければいいだけだろ」
女の子「うん……?」
少女の視線が、こちらに向く。
まるで、俺の言葉を待ってたかのように、嬉しそうに言葉を返す。
朋也「何回でも見つければいいんだよ。次の可愛い服とか、お気に入りの服とか」
朋也「というよりも服じゃなくたって嬉しいこととか、楽しいこととか、あるんだろう。なければそれも探せばいい」
朋也「おまえの楽しいことや、嬉しいことはひとつだけなのか? 違うだろ」
結局は、俺もまだ弱かったのだろう。
なにが支えになって、強くなったと錯覚していたのか。
- 96 :
- この女の子に言うと同時に、俺自身に言い聞かせているのだ。
女の子「…………アハッ」
笑う。
そう。
何も知らなかった。何もできなかった無垢な頃。
誰にでもある。
朋也「ほら、行こうぜ」
俺は女の子を背に乗せたまま、歩く。
衣服売り場を目指して、坦々と歩き始める。
○
岡崎朋也は超がつくほどのお人好しだった。
岡崎朋也はどのように言っても不良だった。
反する性質。
善に位置する、一つの根源。
悪に位置する、一つの肩書。
上っ面の偽悪者。
故にこの現状を受け入れ難かった。
し合い。
生と生のもぎ合い。
生と死の奪い合い。
こんな現状が――――嫌で嫌でたまらなかった。
何も変わらない日常が、今では何故か恋しかった。
あんなに変わってほしかったのに。
あんなに終わってほしかったのに。
今では、この変わり果てた現実を前にしては、そんなのは戯言でしかなくて。
望んでいたがために、願ってしまったがために。
その激変を受け入れきれなくて。感情が溢れ出して。どうしようもなくて。
どうしようもなくて。
どうしようもなくて?
どうしようもなくて、どうしたいんだろうか。
- 97 :
- せっかく手に入った異常をぶち壊すのか。
三年という長い月日の間、ずっと待ち望んでいたものを、もう一度手放すのか。
その通りだ。
実際、岡崎朋也はこの異常は要らなかった。
不要。不必要。
どうにも扱いきれなくて、実感する。
夢は夢でしかない。それも悪夢。
早く目を覚ましたかった。目覚めるのが、いつものあの帰りたくもない家でいい。
そしてまた行きたくもない学校に行き、ぼんやりと過ごし、親友のいる寮へと足を運ぶ。
だから。
彼はし合いなんか、捨てたのだ。
現実逃避に逃げ込んだのだ。
弱さ故の、行動だった。
一度、幼き身体の少女と共に掴んだ強さは、儚げに見えた。
○
先に言っておくと、飯島遥光という少女は精神年齢が幼い。ついでに言うと身体的成長も乏しい。
病気とかではない。ただ単に家での環境や、根本的な遺伝子レベルの話なだけであって、深く考える必要はない。
とは言っても、彼女は既に、高校三年生。
永劫学院の三年生にして、熊本潤平と恋仲。
いや、主観的にみると確かにそうなのだろう。
両者が両者とも、恋に落ちたともっているし、愛している。
しかし客観的な事実では違う。
熊本潤平は飯島遥光を保護している。
そんな共通認識ができているのだ。
しょうがないのかもしれない。どうしようもなく釣りあうわけもないのだから。
幼すぎるが故に、それはもはやいじめの対象、そこまで言わずとも所謂“浮く存在”にまで自然と伸し上がった。
だからこそ、熊本潤平と出逢う前の彼女は直ぐ様孤立するようになる。
兎にも角にも冷たい印象のクラスだったのだ。実際は明るさも併せ持つクラスだったのだが、当時の彼女には関係がない。
遥光(………面白くないなあ)
学校生活が、相変わらずつまらないものであった。
相変わらずという継続する形を取ったのも簡単な話で中学のころからだったから。
だから、彼女は学校を転々と移動していたという経歴を持つ。
そんな典型的な虐められっ子体質。
だが、彼女は何時だって学校をやめようだなんて思わなかったし、
- 98 :
- 何時だって彼女は前向きに生きてきた。いじめに屈することなんて―――無かった。
たとえ面白くなくとも、その先に希望があると信じてやまなかった。
そんな中。
彼女は巡り逢った。
同じく孤独―――孤高を自ら貼っていた彼に。
性格の殻に悩まされていた熊本潤平に中学三年生の時に出逢った。
そして彼女は命じる。
特に出逢ったことのない人間だったけど、直感めいたものを信じて幼き彼女は、ただ言った。
子供がものをねだるかのように。
遥光「になってよ。そしてさぁ、ぼくだけのものになってよ」
潤平「いや意味分かんねえし」
類は友を呼ぶ。
悩まされる者たちは自然と引き合い、そして何時しか惹かれあい。
ロワイアルに参加させられるということになった。
○
そして、岡崎朋也が飯島遥光を拾ったのは、ショッピングモールの衣服売り場。
淋しげに、怯えた感じに、隅っこで固まっていたのを見つけたのが始まりだった。
○
服売り場。
はあ、俺は何やってるんだろう。
早く古河や、春原と合流したいって言うのに。
なんで俺はこんな小さいガキと戯れているんだろうか。
朋也(………けど、なんか懐かしいな)
不思議だった。
今までこんなガキと遊んだ記憶なんて無かったのに。
思いとは裏腹に、懐かしかった。温かかった。
朋也(そういやさっきも………)
さっきも、名簿を見たときもなんかそういう感じになったよな。
確か伊吹風子っていたっけな。その名前を見たとき、何故だか心が、チクリとした。
- 99 :
- さながら恋に落ちたかのような……。
朋也(……バカバカしい)
本当にバカバカしい。
ありえない、名前だけ見て恋するとか俺はどれだけ情緒不安定な人間なんだ。
そう言う役柄は春原に任せるべきだ。
あいつなら女っぽい容姿してりゃあ、男でも惚れそうな勢いだからな。
朋也(さすがにそりゃないか)
ていうかあったら困る。
俺が色々と危ない。せめてそういうのは柊勝平とかそんな名前の人に放り投げてほしい。
全国の柊勝平さんには申し訳ないが。
朋也(まあさすがにそんな都合よくいないだろうがな)
と、ここで俺は視線を、現実へと戻す。
そうだった。
ここから、生き返らないと……それすらも叶わなくなる。
朋也(…………はあ)
心の内で溜息を吐く。
そして、目の前ではしゃいでいる女の子に目をやる。
しかしどうみても高校三年生には見えないな。
よくて中学の一年生にしか見えない。精神年齢はもっと低いだろうが。まあ春原とどっこいどっこいって感じかな。
妖怪(あんた、人がいないところでなにいってるんすかねぇ?!)
なんか聞こえた気がするけど、いいや。
馬鹿(よくねえよ!)
うっさい。幻聴。
本当春原の幻聴だけあるな。
金髪(金髪を馬鹿にすんなよっ!………もういいです)
なんか泣きながら立ち去る春原の幻影が見えた。
俺も疲れているのかな。
…………はあ。
遥光「みてください! おにーさん! 似合いますか!?」
そんなことを考えると、あの子がトテトテと可愛らしく走ってくる。
言われたのでみると、それは先ほどまでの制服から一変して、カジュアルなファッションだった。
うん、ファッションセンスはある。あとは素材の残念さがなければ完ぺきだったのに。
朋也「うん、似合ってる似合ってる」
遥光「投げやりですぅ! ―――うぅ、もっと可愛くなってやるぅ!」
というと、せっかく褒めてんのにm制服をこっちに投げやって衣服売り場に逃げ込んだ。
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